ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方検討会> 第1回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会 議事録(2017年3月29日)




2017年3月29日 第1回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成29年3月29日 10:00~12:00


○場所

航空会館201会議室


○議題

(1)医薬品販売業の規制について
(2)医薬品管理の現状について
(3)世界の偽造医薬品対策について
(4)その他

○議事

○総務課長 ただいまから、第 1 回医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様には御多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。座長を御選出いただくまでの間、議事の進行を務めさせていただきます、医薬・生活衛生局総務課の辺見です。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本日の配布資料の確認をいたします。資料 1 から資料 7 まで、参考資料 1 及び参考資料 2 です。資料 1 が検討会開催要綱、資料 2 が構成員名簿、資料 3 がハーボニー事案の概要及び対応について、資料 4 が規制の現状に関する資料、資料 5 が偽造品に対しての厚生労働省のこれまでの取組、資料 6 「世界の偽造医薬品対策」、資料 7 は今後のスケジュールに関する資料です。資料 6 は木村構成員に御提出いただいている資料です。そのほか、参考資料 1 GDP の日本語訳、参考資料 2 は薬機法の関係条文です。不足等がありましたら、係にお申し出ください。

 構成員を御紹介いたします。五十音順に、資料 2 の名簿に沿って読み上げます。赤池昭紀構成員です。

○赤池構成員 名古屋大学の赤池です。どうぞよろしくお願いいたします。

○総務課長 安居院雄介構成員です。

○安居院構成員 日本チェーンドラッグストア協会の安居院です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 一條宏構成員です。

○一條構成員 日本医薬品卸売業連合会薬制委員会の一條です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 奥田晴宏構成員です。

○奥田構成員 国立医薬品食品衛生研究所の奥田です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 木村和子構成員です。

○木村構成員 金沢大学の木村です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 河野安昭構成員です。

○河野構成員 都庁薬事監視担当の河野です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 本日は御欠席ですが、杉山茂夫構成員です。次に、田島優子構成員です。

○田島構成員 弁護士の田島です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 土屋文人構成員です。

○土屋構成員 国際医療福祉大学の土屋です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 長坂良治構成員です。

○長坂構成員 製薬協の流通適正化委員会の委員長をしています。長坂です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 羽鳥裕構成員です。

○羽鳥構成員 日本医師会の常任理事です。

○総務課長 遅れていらっしゃるようですが、花井十伍構成員です。改めて御紹介させていただきます。続いて、原靖明構成員です。

○原構成員 日本保険薬局協会で流通の委員をしている原と申します。よろしくお願いいたします。

○総務課長 松本欣也構成員です。

○松本構成員 日本製薬団体連合会品質委員会の松本です。よろしくお願いします。

○総務課長 三村優美子構成員です。

○三村構成員 青山学院大学の三村です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 森昌平構成員です。

○森構成員 日本薬剤師会の森です。よろしくお願いします。

○総務課長 以上の方々に構成員をお願いしております。

 次に、事務局を紹介させていただきます。医薬・生活衛生局長の武田です。大臣官房審議官の森です。安全対策課長の佐藤です。監視指導・麻薬対策課長の伊澤です。総務課医薬情報室長の紀平です。私は総務課長の辺見です。よろしくお願いいたします。

 ここで、医薬・生活衛生局長の武田より、一言御挨拶を申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 改めまして、医薬・生活衛生局長の武田です。各構成員の皆様方におかれましては、本日は大変多忙なところ、この検討会に御出席を賜り、心より御礼を申し上げたいと思います。また、委員各位におかれましては、日頃から私ども医薬行政の関係について、御支援、御協力を賜っておりますこと、この場をお借りしまして改めて御礼を申し上げたいと思います。

 皆様方に御案内のとおり、今般、ハーボニー配合錠の偽造品という事案が発生しました。本件については、医療用医薬品の偽造品が国内で流通し、薬局から最終的には患者の手に渡ったということで、結果的に患者が服用することはありませんでしたが、医薬品に対する国民の信頼を損いかねない、非常に重要、重大な事案であったと私どもは受け止めております。

 厚生労働省といたしましては、この事案が発生し、我々が承知した後、直ちに偽造品の流通ルートの調査、解明、偽造品の確保と拡散防止、患者の健康安全の確認を行ってきました。更に、それに加えて医薬品を譲り受ける際の確認事項等に関する通知を 2 16 日に発出させていただいたところです。

 このような、私どもとして直ちに講ずべき対応については、順次講じてきたわけですが、本検討会では、このような事案を踏まえて、取引相手の適格性の評価などの課題について、国際的な動向も踏まえつつ、偽造医薬品の流通を防止するという観点から、製造から販売に至る一貫した施策のあり方について検討していただきたいと考えております。

 品質が確保された医薬品の供給というものは、薬事行政の使命であり、また関係者が同じ思いで取り組むことが重要だと考えています。構成員の皆様方から御意見を賜り、制度的な対応も含めた再発防止策を検討し、講じていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○総務課長 本日の具体的な議事に入る前に、本日が最初の検討会ですので、検討会の概要について簡単に御説明させていただきます。

 資料 1 に検討会の開催要綱を付けています。目的は、先ほど局長から申し述べさせていただいたところです。検討事項は、偽造医薬品流通防止のための卸売販売業者、薬局における医療用医薬品の管理に関する事項、製造から販売に至る一貫した流通防止のための方策について、その他ということで、検討いただきたいと考えているところです。

 構成員等については御覧のとおりですが、 3.(2) に、座長は構成員の互選により定めていただくと規定しているところです。その他詳細については御覧のとおりですので、説明を省略させていただきます。

 御説明しましたとおり、検討会には座長を置き、構成員の互選によってこれを定めるとしているところですが、どなたか御推薦を頂けますでしょうか。

○奥田構成員 この検討会の座長については、薬剤師関係の審議会や関係の会議でも座長を務めておられ、医薬品行政にお詳しい赤池構成員にお願いするのがよろしいと思いますが、いかがでしょうか。

○総務課長 ただいま奥田構成員より赤池構成員の推薦がございまた。皆様、いかがでしょうか。し

                                  ( 異議なし )

○総務課長 皆様から御承諾を頂けたということですので、赤池構成員に本検討会の座長をお願いいたします。赤池先生、座長席にお移りください。

○赤池座長 ただいま本検討会の座長を仰せつかった赤池です。よろしくお願いいたします。

○総務課長 続いて、座長代理の指名に移ります。先ほどの開催要綱の中に、「座長に事故があるときは、座長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と定められているところですが、赤池座長に座長代理の指名をお願いいたします。

○赤池座長 座長代理には、医薬品の流通にお詳しい、三村優美子構成員を指名させていただきます。

○総務課長 三村先生、よろしいでしょうか。

○三村構成員 指名を受けさせていただきます。

○総務課長 では、三村先生には座長代理の席にお移りいただきたいと思います。

○三村座長代理 よろしくお願いいたします。

○総務課長 それでは、以後の議事進行は赤池座長にお願いいたします。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、メディアの皆様方、御理解いただき、御退室のほどよろしくお願いいたします。

○赤池座長 議事に入ります。本日は第 1 回目ですので、現状の規制の状況などについて、事務局からまとめて御説明いただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○医薬情報室長 資料 3 、資料 4 に基づいて御説明いたします。まず資料 3 「ハーボニー配合錠偽造品流通事案の概要及び対応について」です。 C 型肝炎治療薬のハーボニー配合錠の偽造品が流通したという事案が発生し、結果的に 15 ボトルが発見されました。こちらの偽造品は、調剤された患者が見た目の違いに気づかれ、服用しないという結果となっております。見つかったものの写真がありますが、左がハーボニーの真正品で、右の色と形の違う錠剤の入ったボトルがあったというものです。

 こちらについて、これまでの対応を 2 ページに記載しています。厚生労働省としては、自治体と連携しながら 5 つの対応を実施しています。まず、偽造品流通ルートの調査を行い、流通ルートを確定しています。偽造品の迅速な確保・公表による拡散防止で、これまでに流通したと思われる偽造品は全て確保したと考えています。次に、患者の健康安全の早急な確認ということで、こちらの偽造品が出された薬局にかかっていた患者で、ハーボニーの錠剤を受けていた患者全てについて、健康安全の確認を行い、問題がなかったことを確認しています。次に、再発防止のための通知を行い、後に説明する通知を発出し、こういった問題が起こらないように対策を取ったところです。最後の行政処分については、これまでに 7 7 市から、サン薬局の平群店、平松店に対し、業務停止と管理薬剤師の変更命令が行われています。これまで、東京都と大阪府からは、卸業者に対して改善命令が出されている状況です。

 次のページは、今回見つかった偽造品の流通ルートです。左側の計 6 社の卸売販売業者を経由し、右側の関西メディコ傘下の薬局に偽造品が流れたということで、最終的に見つかったのが赤字で書いている、左から 6 ボトル、 1 ボトル、 3 ボトル、 5 ボトルの計 15 ボトルで、その流れをロット番号で記載しています。

 これについて、 2 16 日付けで、「卸売販売業者及び薬局における記録及び管理の徹底について」という通知を発出しております。通知の内容は 3 点で、まず譲り渡しの記録の正確性の確保です。今回、最初の卸売販売業者のほうで購入した譲渡人の氏名が偽名だったという話も出ていますので、譲渡人の氏名の確認の際に、身分証等の提示を求め、本人確認を行うこと、販売業等の許可番号や連絡先等の情報を確認し、記録することを求めております。

2 番目が、管理薬剤師による医薬品の管理の徹底というものです。卸売販売業者と薬局の双方ですが、譲り受けた医薬品について、まずその状態を確認すること、管理者として必要な注意をすることです。

 最後が、薬剤師による医薬品の管理の徹底です。調剤しようとする医薬品の状態を確認し、通常と異なると認められる場合には適切に対応することを求めているものです。

 一番最後の紙ですが、薬剤師・薬局関係の 3 団体の懇談会を 2 23 日に開催しています。こちらで関係者で議論を行っていただき、議論のポイントは 3 点あります。 1 点目は、こういった事案が二度と起こらないように、行政と各団体で連携し、決意を持って取り組むというものです。 2 点目は、先ほどの通知の内容の 3 点とほぼ同じ内容です。 3 点目は、地域から信頼される、かかりつけ薬剤師・薬局を推進していますので、こちらを実現するために、改めて薬剤師の基本的使命の 1 つである、「物」としての医薬品の管理を徹底することを申し合せいただいています。

 続いて、資料 4 「医療用医薬品の販売に関する規制等の現状」についてです。 1 ページが、薬局、医薬品販売業の許可・届出施設数です。こちらは平成 18 年に法改正があり、平成 21 年に新しい法律が施行されています。平成 18 年度の数字は法改正前の数字ですが、「一般販売業」「薬種商販売業」といった業態があった頃の数字です。

 平成 21 年度に法改正が施行され、「店舗販売業」という形になり、従来の一般販売業と薬種商販売業に相当する数が、こちらの店舗販売業に移っているということになると思います。平成 21 年から平成 27 年に、こういった数字になっているというものです。

2 ページが、医療用医薬品の製造から販売までの通常の流れと、法令上の許可との関係です。左から順番にいくと、まず医薬品を製造する段階で、製造業の許可が必要だというものです。許可要件としては、製造管理、品質管理に関する基準の GMP と、構造設備規則が適用されています。

 こういった医療用医薬品、製造されたものを元売りするための許可として、製造販売業の許可があります。こちらの許可要件としては GVP GQP というものがあり、製造販売後の安全管理のための基準と、製造販売の品質保証の基準が許可要件となっています。

 流通する医療用医薬品については、製造販売承認を取得することが求められております。こちらは、表示や封については、医薬品、医療機器法の施行規則に規定があり、後ほど御紹介させていただきます。

 流通に関して、卸売販売業という許可があります。こちらの許可要件ですが、薬局等構造設備規則の中で、卸売販売業に必要な許可の要件が示されています。

 それから販売に当たり薬局の許可要件として、薬局等構造設備規則と体制省令とを委託していますが、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令という中で、設備や体制について定めているというものです。そのほか、病院や診療所に販売する際にも、卸売販売業の許可が必要というものです。

 次のページは、薬局と卸売販売業者に関する医薬品医療機器法上の規制について概略を示しています。こちらの記載は、法令の記載を少し簡略化したものです。まず薬局の定義としては、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所とされています。また、卸売販売業者の定義は、医薬品を薬局開設者、医薬品の製造販売業者又は販売業者、病院又は診療所等の開設者等に対し、販売し又は授与する業務を行う業者とされています。

 許可についてです。まず、薬局の開設許可は、所在地の都道府県知事、その他政令市などが与えることとなっており、構造設備や調剤を行う業務の体制等が基準に適合しないときはということで、省令で開設のための基準は定められています。卸売販売業者の許可については、同様に都道府県知事、政令市からの許可となっており、こちらも構造設備の基準が省令で定められているものです。

 その要件です。まず薬局ですが、構造設備の許可要件は、換気設備、面積、照明等の構造上の設備、調剤室、調剤に必要な設備を備えていることとされています。卸売販売業者については、換気設備、面積、照明、冷蔵貯蔵のための設備が規定されています。

 次のページは、それぞれの許可要件の体制についてです。薬局については、薬局の開店時間内に常時、薬剤師が勤務していること、薬剤師の人数などが定められており、そのほかに業務に関する手順書の作成、手順書に基づく業務の実施が省令で求められているものです。卸売販売業者については、これに相当するものは法令の中では規定されていません。

 管理です。薬局の管理については管理薬剤師を指定し、実地の管理が法律上求められております。その管理薬剤師が薬局の構造設備、医薬品等の物品の管理などを行うとされており、薬局開設者に必要な意見を述べることとなっております。また、卸売販売業者についても、医薬品の営業所ごとに管理者、原則薬剤師ですが、これを置いて管理を行うこととされているものです。

 次のページは、薬局開設者、卸売販売業開設者の遵守事項です。まず薬局ですが、管理薬剤師の意見の尊重、試験検査、記録などがあります。最後の所ですが、医薬品を譲り受けたとき及び譲り渡したときは、品名、数量、授受の年月日、譲渡し又は譲受人の氏名を記録するという規定が施行規則の中で規定されているというものです。卸売販売業者についても、営業所管理者の意見を尊重する、試験検査、不良品等の記録があります。 3 番目ですが、医薬品の適正管理を確保するための指針の策定や従業員への研修、手順書の作成、それに基づく業務の実施が施行規則の中で規定されています。最後の所は、医薬品を譲り受けたとき、譲り渡したときは、品名、数量、授受の年月日、譲渡人、譲受人の名前を記録するという規定があります。

6 ページは、医薬品の物のほうの表示や封に関する規制です。幾つかあります。最初が、直接の容器への記載事項です。こちらは直接の容器又は被包に、製造販売業者の氏名、名称及び住所、医薬品の名称、製造番号又は製造記号、重量、容量又は個数等の内容量などが記載されていなければならないと法に定められております。また、郵送する際に調剤専用医薬品に関する表示という特例もございます。

 添付文書の記載事項です。医薬品については、添付する文書又はその容器、被包に用法、用量、その他使用及び取扱い上の必要な事項が記載されていなければならないとされております。

 販売、授与の禁止として、直接の容器への表示や添付文書について、規定に触れるような医薬品は販売、授与してはならないという規定があります。

 封については、製造販売業者から出荷される際に、その医薬品を収めた容器、被包に封を施さなければならないとされております。

 次のページです。製造販売承認書に包装に関する記載をすることとなっており、それぞれの医薬品が製造販売承認される際に、包装工程の最後として、こういった形で包装して出荷するというものが承認書に定められているというものです。

 次の 8 ページはバーコード表示についてのものです。こちらは、法令上の規定ではありませんが、取り違え事故の防止、トレーサビリティの向上、医薬品の流通の効率化を推進するために、平成 18 年からバーコードの表示をお願いしており、こういったものがあります。

 次のページは表示する内容についてです。バーコードで表示いただく内容として、調剤包装単位、販売包装単位、元梱包装単位のそれぞれについて、このように定めています。◎でピンクとなっているものが、今、必須で表示をお願いしているもの、○が任意で表示いただくものとしています。オレンジで◎で※が付いている所については、平成 33 4 月以降に出荷されるものにバーコード表示を必須とするというものです。次の 2 枚に、こういったバーコード表示で期待されることを記載しています。簡単ですが以上です。

○事務局 引き続き資料 5 を用いて、偽造品に対しての厚生労働省のこれまでの取組を御説明いたします。スライド 1 をご覧ください。国内で近年問題とされてきた偽造医薬品というのは、今回のハーボニーの事件のようなものではなくて、インターネットのサイトを通じて個人輸入している事例となります。国内販売店を介しておらず、薬剤師が関与していないという問題ですとか、インターネットサイトも販売業許可を受けていない、外観が国内流通品とは全く異なるものであるといった特徴がありました。例えば ED 治療薬について言えば、表示上はバルデナフィルが入っていることになっていますが、実際に入っていたのはシルデナフィルであったとか、痩身用の医薬品については、未承認の有効成分であるオルリスタットというものが入っていることになっていますが、実際にはシルデナフィルが入っていたといったもの、これらが近年、見付かっている典型的な偽造医薬品です。

 それに対して、厚生労働省として打ってきた手立てについてご説明いたします。スライド 2 を御覧ください。今までの偽造医薬品については、あくまでも無許可のインターネットサイトからの個人輸入ということですので、それに対するリスクの増大に対して、いかに手を打っていくかという観点から様々な対策を実施してきました。まず、平成 23 年以降、健康食品、海外医薬品について、インターネット上から買上調査し、これを国立医薬品食品衛生研究所で分析していただき、適切な品質等を有する医薬品であるのかどうかを調べて参りました。また、分析の結果、先ほどのような偽造医薬品であるということが判明した場合には、国民への注意喚起の実施、販売サイトについてはレジストラ ( ドメインの登録を行う業者 ) にサイトの閉鎖を要請するといった措置を実施しております。

 また、偽造医薬品関係の情報、健康被害情報を広く情報提供するため、また広く情報収集するために、平成 25 年以降は「あやしいヤクブツ連絡ネット」を設置しています。これによって、ホームページ等による情報提供、注意喚起、コールセンター等を通じた情報収集、情報提供を行ってきました。また、同じ時期になりますが、平成 25 年には、インターネットによる違法販売などについて、厚生労働省のホームページに通報用のメールアドレスを設けています。通報窓口の一本化、通報の迅速化がこれによって図られていると思っています。

 また、平成 26 年度からは、委託事業でインターネットパトロール事業を実施し、積極的にインターネットのサイトを確認するなど、国内外のインターネット販売サイトに対して能動的な監視を行っています。これにより、違法サイトについては、レジストラ等にサイト閉鎖を要請しております。方針は、見つけ出す、流通させない、使わせない、これが我々の基本的な方針であり、この方針に基づき、今までの偽造医薬品に対する対応を実施して参りました。

 参考資料については、各事業についての説明をしているもので、口頭で御説明したものについて、文字に書き表したということですので、後ほど御確認いただければと思っております。以上です。

○赤池座長 ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。

○羽鳥構成員 日本医師会常任理事の羽鳥です。先ほど、これから偽造品流通防止のため全体の方針として、武田局長から根本的に見直すこと。それから、先ほどの三者懇談会でも、決意を持って当たると書かれておりますので、この検討会で何らかの前向きな方策が出るものと思います。個別のことは、これからたくさん議論していかなければいけないことだと思いますが、現金問屋というものがあっていいものかどうか。そして、人の生命にもかかる医薬品を一般の人、あるいは薬局が売るという行為をするというのは、医薬品を扱っているという意識ではなく物としてしか扱っていないのだと思います。薬は、あくまでも薬であって、人間の生命をも左右するわけですから、そういうものとして医薬品の取り扱い全体にかかる規制をしなくてはいけないと、考えていただきたいと思います。

 それから、今回の卸は、後でまた具体的な名前が出てくるのかと思いますが、そのような所に対しての医道審議会などでのきちんとした処罰、それから管理薬剤師だけでなく、関わった薬剤師についても、何らかの罰が必要であろうと思います。偽造品であることを、患者さんが見つけたわけですよね。ということは、薬剤師が薬剤を確認せずに、瓶ごと薬を渡した。瓶に何が入っているかを確認せずに、薬であるのか、あるいはうどん粉であるのかも分からないまま渡したということですよね。シート包装であれば分かるかもしれませんが、瓶に入っていてそれをそのまま渡したという、その仕組みも問題だと思いますし、そのようなことについてきちんと前向きに、この検討会で御検討いただきたいと思います。

○森構成員 今、厚生労働省から、偽造医薬品に対するこれまでの取組について説明がありましたが、これまでインターネットでの偽薬対策が中心であり、国内では偽薬は出ていなかったということは、日本の流通の誇りだと思います。そういう状況の中で、薬剤師は流通管理を担う者として、きちんと責任を果してきたのですが、今回の件は、医薬品の品質管理、流通管理という薬剤師の基本的な責任をなおざりにしてしまい、偽薬を患者に渡してしまうという、非常に重要な事案だと捉えています。ただ、今回の件は例外で、特定の薬局の問題だと思っていますが、医薬品の流通管理、品質管理を担う薬剤師として、二度とこのようなことがないようにしていきたいと思っています。

 羽鳥委員からボトルを開けなかったという話がありましたが、今までの日本の調剤の良さのひとつとしては、ある意味ではヒートシールでの調剤で、最後に薬剤師が1シート1シート確認して出すということがあったと思います。そのことにより、例えば、異物が入っていたり空包であったりという物を見つけて、流通させなかったという良さがありました。今回の、ハーボニーに関しては、箱を開けると品質が低下し、そして使用期限が 45 日という問題等があって、開けるか、開けないかの判断が難しいところがあったと思いますが、今後、二度とこのようなことがないようにしていきたいと思います。また、幾ら薬剤師だけが頑張っても偽薬対策は難しく、やはり製造から販売に至るまで一貫した施策が必要だと思いますので、是非検討会の中で今後の対策を議論していきたいと思っております。以上です。

○赤池座長 ほかにいかがでしょうか。

○土屋構成員 今もお話がありましたが、やはり根本的に今回のことの最大の問題点は、患者さんに渡ってしまったということで、これは、もう本当に反省すべきことだと思います。ただ、そこには逆に言うと、皮肉なことにといいますか、我が国の流通などの対策がほぼ完璧にできていて、非常に環境が良くて、そんなことをチェックすることが自分たちの役割だということを薬剤師がチェックが必要だと認識する機会がなかったということだと思います。恐らく海外は、もう少し薬剤師がそこを注意していないと、いろいろなものが入ってきてしまうというところがありますが、我が国では余りにも環境がきちんとしていたがために、結果としてこういうことになったのではないでしょうか。ですから、今回のことは原点に戻って、もう一回薬剤師は一体何のためにいるのだということも含めて、表現は悪いですが、なすべきことを考えさせる良いきっかけになった。本当に国民に対して安全な医薬品を供給するということの立場を、それぞれがそれぞれの職種で役割分担をしながらやっていくということを、今回のことはいろいろと示しているのだろうと思います。

○赤池座長  3 人の構成員の先生方から、非常に重要な御指摘がありました。これは、非常に重要な事案で、再発を防がなければいけないということです。また、最後に今後の進め方について御説明があると思いますが、今日が 1 回目ということで、これから検討と議論を重ねていくことになります。

 そういう意味で、本日は特に最初ですので、先生方、もし御意見がありましたら、フリートーキング的な形、あるいは御質問でも結構です。まだ若干時間がありますので、もし何かありましたら御発言いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

○一條構成員 卸売業連合会としては、昭和 50 5 月に、 JGSP という医薬品の供給と品質管理に関する実践規範、もうかれこれ 40 年近くになるガイドラインを作って、医薬品の流通上の品質、適正管理の徹底を会員に図ってきました。 JGSP 自体は、薬事法、薬機法等の改正のたびに、新しく対応をするということでやってきましたし、多分これからお話があるかもしれませんが、昨年度も PIC S GDP 日本語訳案作成にも協力をさせていただいてきました。今後、 JGSP GDP の対応型を取り入れるということで、現在馴染ませる作業をやっています。そのような経験がありますので、是非この検討会にも協力をさせていただき、日本国内で不適切な流通が起きないようにしていきたいと、卸売業連合会でも考えております。

○赤池座長 ほかにいかがでしょうか。

○三村座長代理 今回の事件については、医薬品流通体制は非常に高度に出来上がっており、もともと信頼性の高い仕組みであるために、そこに紛れ込んできということで、関係者の方からしますと、恐らく意外であったのだろうと思います。ただ、従来とは異なり、 2 つほど要件、条件の違いが生じている、あるいは医薬品流通の環境変化があったことを前提として、少し問題点を整理していく必要があると思います。

1 つは、これほど高額な医薬品が流通する事態が前提とされていなかったということだと思います。高額であればあるほど、非正規の流通経路が生まれる必然性が、どうしても出てきますので、それをどう考えるかです。もう 1 つは、これはどちらかというと、その場その場でしっかり管理していただくことはいいと思うのですが、流通在庫のあり方をどう見るかです。流通段階のどこかで流通在庫の偏りなどが生じてきますと、どうしてもそれがこういう形の中で出てくる可能性があります。今回厚労省では、 2 つ目のポイントとして、正に全体としての製販一体、あるいはサプライチェーン全体としてそれを見ていくような仕組みを作ることを非常に強調されていらっしゃいますし、バーコード表示も徹底していくような仕組みを整備していくことが方針とされていますので、かなり改善されるのではないかという感じがしております。

○赤池座長 やはり、制度というか、システムの改善と、現場で関わっていく薬剤師も含めた方々の意識や倫理も含めた改善、その両方が伴わないと、なかなか難しいとは思います。ほかにいかがでしょうか。

○長坂構成員 製薬協で流通適正化委員会の委員長をしております、長坂です。メーカーの立場で少しお話をさせていただきます。先ほど、一條委員からもお話がありましたが、取引を正規に、きちんと契約書を結んでいる流通卸で 100 パーセント、取引先、いわゆる医療機関も含めてですが、流通は賄われていると思っております。卸様の努力が非常に高かったことがあり、海外では偽造品が非常にあるのですが、日本では全く起きなかった、これはそのような卸さんの努力があると思っています。ただ、今回はそういう意味では、全くそのレベルとは違う、概要が見た目で分かるようなレベルのものだと思っております。そういうことが起きたということについては遺憾ではありますが、海外のケースとはかなり違うということは、我々は認識をしております。

○赤池座長 ほかにはよろしいでしょうか。時間の関係もありますので、次の議事で、木村構成員から世界の偽造医薬品対策について御説明を頂きますので、そちらの質疑に併せてこの議論の続きを行わせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○医薬・生活衛生局長 まず、羽鳥先生から、根本的なこの検討会の今後の議論の理念や方向性について、御指摘を頂きましたので、そういった点を十分受け止めて検討してまいります。それについて、積極的な御議論をお願いできればと思います。

 それから、傍聴の方もいらっしゃいますので、少し補足をいたします。ボトル調剤を薬剤師が開けずに、確認せずにということですが、国内の医薬品でボトルで出されているものは、むしろ例外的です。基本的には、錠剤、又は PTP 包装のケースが多く、今お話が出ていますように、日本の調剤の現場ではシート単位で調剤をされることが多いのです。結果的に、そこで目視で現場の薬剤師の方々に確認をしていただいているというのが、通常の形だと思います。それで、今回の商品については、世界的にあの形態で販売がされており、日本では珍しいボトルでの調剤になっておりました。それが、これまでの国内の医薬品流通に対する信頼性の高さもあり、わざわざ開けてチェックをしなくてもと。先ほど、森委員からも御指摘がありましたが、開封すると 45 日間で有効期限がきてしまうという問題もあり、開けずに調剤をしている、箱であれば封を開けたものかどうかが分かりますので、その形での調剤が行われています。

 ただし、今回の事案を含めて、私どもは現場の薬剤師には、封を開けて確認をするように求めております。それから、製造元のギリアド・サイエンシズでは、 PTP 包装に切り替えて、出荷をするというような対応も取られているということで、承知をしております。そういうことで、一応対応は図っておりますが、そもそもこういうことをどう考えていくのかを議論いただければと思います。

 それから、卸売業者のことに関しては、今日御説明がありましたように、規制の面から言いますと、医薬品卸売業者に対する規制が必ずしも十分で詳細な規制になっていませんでした。ただし、今お話がありましたように、医薬品卸売業連合会では自主基準を作り、非常に高いレベルの管理をしていただいていると思っております。基本的には、今までもそれで問題なく推移をしてまいりましたが、やはり一部の優良な卸売業者さんが守っているだけでいいのかと。国の制度として、全ての業者に守らせなければいけないのではないかという問題点が、提起をされているのかなということです。ですので、卸売業者と一括りにされると、だいぶ実態とも違うような気がいたしますし、その点はよく認識をして議論が必要かなと思いましたので、付け加えさせていただきました。

○羽鳥構成員 このハーボニーには 1 瓶に入っているのが 28 14 日分ですよね。それが 45 日の期限ですから、開けて当然だったということが言えるのではないでしょうか。それから、他には共通製剤はないと言っていますから、病院などで瓶でバラ錠を出していますよね。局長のお話で、“ない。”というのは間違いですよね。

 それから、今回の卸業者の中でも、現金問屋が存在することが間違いですから、大手の問屋のことだけを話していても全体が取り締まれないような法律では、駄目だということですよね。そういうことで、よろしいですね。

○医薬・生活衛生局長 言葉不足で申し訳ございません。まず、 2 つ目の点については、正に御指摘のとおり、優良業者だけが守ればいいということではないということで、今後の検討会で御議論いただきたいと思います。それから、 1 点目のボトル型の包装については、これがものすごく珍しいみたいなことを言ってしまったので、誤解を生じているかと思います。海外では、一般的な形態ですし、これからも増えていく可能性もあります。こういう形態のものでも安全性をきちんと確認するために、どのような措置が必要かということを検討しなければいけないかなと思っております。よろしいでしょうか。

○原構成員 確かにボトル型の剤形はたくさんあるのですが、実際にはそのまま患者さんに渡すということが今まではなかったということです。実際にバラ錠を一包化して、中がきちんと合っているかどうかを薬剤師が確認をして出してきた。ところが、今回のケースだけは、そのまま瓶ごと渡してしまうという処方が起きたということで、そういう意味合いでは、本当に日本では余りなかったことが起きたというのが事実ではないかと私は思っております。それだけを、付け加えさせていただきます。

○赤池座長 武田局長から補足説明を頂き、更に御議論を頂きました。そういう意味では、だいぶ問題点が洗い出されてきたと思われます。この点については、ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、世界の偽造医薬品対策の状況についても御紹介いただければと思います。「世界の偽造医薬品対策について」として、木村構成員より、これまで厚労科学研究費の研究班で取りまとめられてきた内容等について、御紹介をお願いいたします。

○木村構成員 私は、 1996 年から、 WHO の偽造医薬品調整官というものを仰せつかって、それ以来金沢大学に移ってからも、研究室のテーマとして偽造医薬品を取り上げております。 20 年間、偽造医薬品と暮らしているようなものです。

 クイズです。これは本物でしょうか偽物でしょうか。分かる人。 10 年以上先生をやっているので、質問をして当てるのが大好きになりました。でも、当てるには恐れ多い方が座っていらっしゃるのでどなたでも。瓶が白くて中が見えないというのは、今回問題になったハーボニーと共通するところがあります。でも、こんな所に出してくるので、本物を出してきても話が続かないので、偽物だろうと思われると思います。これは、皆様のほうに答えは付けていないと思うのです。付けてしまうとクイズにならないので。

 偽物です。これはカンボジアでサンプリングした抗生剤です。どういうところで偽物と言えばいいか。今回の場合はラベルも本物だったとか、あるいは本物のコピーで、ラベルを見ても分からなかったようなのですが、よくあるパターンとして、このラベルをよく見ると誤字・脱字があります。「 Cefixime 」というので、本来「 me 」の所が「 ne 」になっています。それから「 Dosage 」も「 Do 」とあるべき所が「 o 」が脱けている。よく見ると誤字があります。

 中には、このような錠剤が入っています。錠剤を見ても、見たことのない人には本物かどうだか分からない。これはラベルが偽物で、本物のラベルはデザインがちょっと違います。ですから、知っている方は「あれっ、違う」と思うのでしょうけれども、知らない場合が多いです。ラベルまで気が付かないと分からないです。

 私たちのやり方としては、製造業者に確認をして、本物か偽物かを最終的に決めています。製造番号が、ない製造番号になっているので、うちの研究室としては偽物だということで、カンボジア政府も、これに対して措置をしたということです。

 これは主成分しか分析していないのであれですけれども、ちゃんと規定どおりの 400mg Cefixime は入っていました。他の調剤成分などは分析していないので、そこは分からないです。入っていればいいかというと、これはよく議論があるところなのです。医薬品がない所は、偽造品でもあったほうがいいという議論があるのですが、それはとんでもないことです。これは、たまたま入っていましたけれども、次のものは入っていない可能性があります。だって、責任を持って作っていないわけですから。偽造品は、たとえちゃんと成分が入っていても、入っていなくても絶対に駄目です。これが WHO の見解でもあります。クイズは以上です。当たった方はいらっしゃいますか。

 本日お話をさせていただくのは、偽造医薬品の共通の認識として、国際的に使われている定義はどんなものか、規模はどのぐらいか、どういう特徴があるか、健康被害が出ているかどうかというようなことです。国際的な偽造医薬品対策としてどういうことがやられているか。それから、日本でも検討を進めている、適正流通基準 (GDP) で、偽造品関係のところを御紹介します。

 厚生労働省の方が出ているようなのですけれども、加盟国会議で、 WHO の定義が整理されました。これは偽造品です。名称、表示、包装、文書、組成、それから起源に関して、ここですね、赤線を引いておけばよかったのですけれども、「故意に偽った医薬品」ということです。要は、故意に偽った医薬品、ここが重要なポイントです。

 それに対して不良品というのは、規格外医薬品です。正規の業者が作っている承認された医薬品なのですけれども、腕が悪くて品質が今一だなと、品質基準に満たなかったようなものが不良医薬品です。この偽造医薬品と不良医薬品が、せっかく巨額な投資をして作った、開発した良い医薬品を台無しにしている犯人たちであります。実はこれを何とかしないと、世界の医療事情は良くならないのです。是非そこを認識していただきたいと思います。

 これは余り言っていなかったのですけれども、新しい定義の中に入ってきました、無承認・無許可医薬品です。ちゃんとした医薬品であっても、国の許可を受けていないと、審査されていないわけです。ネットでも、実はちゃんとした医薬品でどこか他の国で承認されているのだけれども、日本では審査していない医薬品というのがいっぱい入ってきています。そのようなものが「無承認・無許可」医薬品です。

 よく聞かれるのは、どのぐらい偽造医薬品というのはあるのでしょうかということです。「正確な答えはありません」というのが正確な答えです。その性質上、ちゃんと見積もるのは困難ということです。なぜかというと、真正品となるべく似ているように作る。今回のハーボニーもそうでしたけれども、酷似しているから見分けが付かない。たとえ有害作用が出ていても、それが偽造医薬品のせいだということが認識されない。本来の病気のせいだということにされて、偽造だと気が付かれないことが多いので、偽造医薬品による犯罪というのは完全犯罪だと言われています。規模はなかなか分からない。

WHO も、 2006 年頃にこういうことを言っていました。先進工業国は、市場価値の 1 %未満、アフリカ、一部アジア、ラテンアメリカなどは 30 %以上、旧ソビエト連邦は 20 %以上の偽造品が流通していると。そのように言った時期もあるのですけれども、言わないことにしたと、この見積りは撤回しますということで、今年中に WHO が見積もったものを公表しますと言っております。それなのでこの下に、一般的合意はグローバルな医薬品産業の約 1 10 %と言っていますが、この辺も、多分以前に言っていたこの辺の言い方を基にしているのかと思われます。別のほうに書いてあって、これは引用しました。

 それから、アメリカの民間の団体が見積もったところで、 2010 年は 750 億ドルに達する。これは 891bill 10 %とすると、これもこれも大体単位はそろって、日本の正規の医薬品、日本は全部正規ですけれども、医薬品市場の規模と大体一致します。だから、日本の薬が全部偽造品になって、世界を回っているぐらいだという認識なのです。ただ、 WHO が今年出してくると、それがどう変わるかというのが 1 つ関心が持たれているところです。

 これからお話しますけれども、 EU やアメリカが 2010 年以降法律の改正を盛んにして、規制を厳しくしました。その法律改正の前に実態調査をやりました。証拠をいっぱい集めて、その上で法律改正をやったということです。 2002 年からのその証拠集めの段階で、正規流通経路で 27 件、違法経路で 170 件の偽造医薬品を EU の加盟国は検出しました。アメリカも 2000 年までは年間平均 5 件の偽造医薬品を検出していたのが、 2005 年にはその 10 倍の 54 件になったということで、事態は深刻化していると考えております。

 これは、 Pharmaceutical Security Institute という所が公表しているものなので、皆様も自分で御覧になることは可能です。ただ、御覧になってもここまでしか出ていないです。なぜか前のほうは消してしまったのです。私はずっと追っているので、昔のを持っているので、続けてこうやっています。昔の数値は変わっていないので、こう伸びている。民間のノンプロフィットの団体、開発能力のあるマルティナショナルな製薬企業の 30 社弱ぐらいが会員になっていますが、そこが、自分たちでその会員会社とか政府の協力を得たり、新聞記事を読んだり、私の所にも「アーティクルを出したらくれ」というような話がありましたが、自分たちの努力で集めています。あくまでも民間団体の調査ですけれども、右肩上がりに見えます。 1 つは、 PSI の収集能力自体が上がっているということもあると思います。御参考までにお示しします。

 これは、 WHO 2013 年から集め始めたものです。以前から WHO には、こういう偽造医薬品のデータベースを作れということがずっと言われておりましたが、今の担当になって、ようやくできたということです。この中にも WHO で、この業務に携わった方がおられますが、ようやく完成したということで、世界から偽造医薬品の事例があると、 WHO に報告されるというシステムが出来上がりました。非常に良いシステムです。今はイギリス人が担当でやっております。

2013 7 月以降、 2016 11 月時点で約 1,300 の不良医薬品・偽造医薬品が報告されています。アフリカが一番多くて、ヨーロッパとか、南北アメリカ、西太平洋地域、もう世界中の地域から出ています。東地中海とか、南東アジア地域。薬の種類も駆虫薬から感染症治療薬、神経系。一番弱いのはバイアグラとか ED 薬なのですけれども、決してそれだけではなくて、生命に即直結するような感染症治療薬、あるいは腫瘍の薬なども偽造品として出ている、何でも出ている。要は、偽造品をまく人は何でもいいのです、儲かればいいので、売れればいいので、そういうことで全部偽造される可能性があるということです。可能性があるのではなくて、偽造されています。

 これは日本のデータです。税関で、商標権の侵害などで偽造品が入ってきたら止めてくださいと、 10 の会社が申告をしています。それに基づいて、税関が止めた結果です。これは縦軸が錠なので、年によって違いますけれども、 2016 年は 4 万錠ぐらい止まっています。ここ以前はなかったわけではなくて、こういう制度自体がここから始まって、 2006 年より前は、特に止める対象になっていなかったということです。なかったわけではない。

 偽造医薬品がなんで増加してきているか。今までお話をさせていただいたことで、日本は久しぶりに偽造品が出てきたということでひっくり返っていますけれども、世界的に偽造医薬品は増加していると考えられております。その背景は何かと言うと、要は医薬品の需要が増加している。高齢化して年を取ると薬をいっぱい飲みます。こんなにいっぱい薬を抱えて薬局から出てくるお年寄りがいます。日本もそうですけれども、医療費が高いので、医者に行かなくていいことは自分で治せということで、自分でどんどん薬を買って飲みなさいということだと思ってしまっている節があって、世界的にもセルフメディケーションで薬をどんどん自分で買う。素人判断で買ったりするというようなこととか、具合は悪くなくても、ますます健康になりたいという、健康志向で薬に頼る。あるいは医薬品まがいの健康食品に頼るというようなことで、薬あるいはそれに類似したものが世界的に氾濫しているという状況があります。

 つまり、これは売れ筋商品なのです。商売するのに持ってこいの商品なのです。かつ、薬というのは偽物と本物の識別が困難です。ですから、今回も患者さんの所へ行くまで分からなかったというのは、正にその例です。それから、小さいのでこそっと隠すことができる。だから密輸するのも楽です。かばんの中に入れて、「何か申告することはありませんか」「ありません」と言ったらパッと通れてしまう。隠匿が容易。税関も突破しやすい。

 先ほど、税関に申告する品目を 10 並べましたけれども、あれは全部止まっていて、あれだけの数ではなくて、税関の方がいたら申し訳ないのですけれども、かなりの割合は、あれだけ申告していても、実は入ってきてしまっています。止まっている場合も、止まったものだけがあれで、あれより多い数が実は入ってきていると考えたほうがいいと思います。それから、簡単に流通網に乗って、今回もそうですけれども、気付かれずに回っているということになります。

 それを支えている背景として、規制緩和になって、自由貿易が盛んになる。これから縮小するのかもしれないのですけれども、これまでは自由貿易を拡大するということでどんどんやっている。それから流通の監視とか罰則が世界的に不十分です。だから、今は委員の中からも「しっかりやれ」という御意見がありましたけれども、偽造品に対する流通監視や罰則が甘いというのは国際的に言われています。アメリカは 3 年ぐらい前に罰則を厳しくしました。

 麻薬だと、捕まると死刑になる場合がありますけれども、偽造品を持っていて捕まって、死刑にするという規則はありませんし、死刑になった人もいません。だから、アンダーグラウンドの方たちは、麻薬だと死刑になるかもしれないけれども、偽造品だったら死刑にはならなくて、隠すのも容易だし、資金源としてこっちに流れているという話はあります。

 作る側としては、打錠機とか、そのオーブンとか、薬を作る専用器具は世界中に今は拡大していて、どこでも手に入ります。医薬品は開発するのに、ここにも一流の製薬企業の方がいらっしゃいますけれども、何千億円とかかります。しかし、それを真似をして、それ風に作るのは数百万円あれば機械も買えるし、誰でもできるというようなものなので、そんなに大変なことではない。医薬品を作るのは大変なことかと思っているかもしれないけれども、大変なことではないです。

 インターネットが普及して、販売するほうもネットに載せると、ネット上でお客が付く。お客のほうも、ネットを見ていると何か欲しいものが見付かって、注文すると送られてくる。お互い接触しないで、どんどん商売が成り立つというような社会になっております。つまり、医薬品というのは、今までの話でリスクが低くて、リターンが大きい。偽造医薬品はですが、それで犯罪組織が注目している。

 売る人、偽造者は医薬品市場を完全に理解して、需要に敏感に反応する。今は何を作って売れば儲かるかというのを完全に理解して、これは製薬会社も是非見倣ったらいいと思うのですけれども、敏感に反応するということで、良い商売をしている。大規模に製造している、大きなギャングスターが関係している所もあるし、そんなに大変なことだとは知らずに、裏小屋でちょこちょこ作っていて、結果的に偽造品をばらまいているという小規模経営もあるということです。

 偽造医薬品というと、何か素晴らしい、ハウニみたいな夢のお薬が偽造されるのだと思っているかもしれないのですけれども、私は、途上国で医薬品のサンプリングをして、ほとんどの薬がジェネリックなのです。ジェネリックでも売れればいいので、偽造品もいっぱいある。だからジェネリックはないのだというのは間違いで、ジェネリック薬の方も是非認識を持っていただきたいのです。先発薬の方は、最近かなり自社の製品が危ないというようなことを心配されるようになってきました。要は、何でも偽造屋さんは売れればいいという観点でやっているということです。

 なぜ偽造医薬品が問題になるかと言うと、例えばハンドバッグとか時計などの偽造も非常に問題があります。社会の発展を阻害するということでは問題になるのですけれども、特に偽造医薬品が国際的にも大きな注目を集めるのは、人の健康を損なうということです。そのために、それ自体が非常に毒性の強いものを含んでいて、そのために健康を害している、あるいは甚だしい場合は亡くなる方も出ています。そういうものとか、気が付かないで被害を受けている場合もあります。偽造医薬品に関わっているために、本来受けるべき治療を受けずに、よりその現状が悪くなるというようなことも治療の機会に起きています。

 それから、抗生剤の偽造品もたくさん出ています。感染性の疾病の治療薬の偽造品は 2 番目に多かったという WHO の資料がありましたけれども、あそこでは抗生剤がかなりあります。マラリアの薬などもありますけれども、耐性菌が出現する。量が少ないとか、全く入っていなかったら耐性菌は出現しないのだけれども、それだと効かないので、いい加減な量を入れていると、耐性菌の出現に結び付くということがあります。「なんだ、変な薬を出して」ということで、医薬品への信頼がなくなる。それから、医療に対する信頼もなくなる。「今の医療は全然駄目だな」というようなこと。

 経済的な影響としては、医薬品の開発が阻害される。本来良いものを開発している製薬企業が、それで資金を回収して、また新たな開発に資金を投入すべきものが、偽造屋さんに持っていかれてしまうというようなことで、まだまだ欲しいのに、ないという薬がいっぱいありますが、その開発が阻害される。それから社会の進歩・発展が阻害される。犯罪組織の肥になっているということで興隆を招くというような問題があります。

 これは、私の研究室で、どのぐらい健康影響があるかというものを Pubmed で検索をする。これもよく聞かれるのですけれども、「どのぐらいの被害が出ているのですか」と。案外ちゃんとまとめたものはなくて、ですから Pubmed に絞って検索、一定の検索式を入れて検索をしているので当然バイアスはありますけれども、検索を去年、厚労科研で報告しました。被害者が約 5,800 名ぐらいで、そのうち死亡者が 3,600 名だから、死亡率は 62 %と非常に高いです。アーティクルとして投稿するようなものですから、何でもないものは投稿されないので、特に問題のあるものが投稿されるので、死亡率は高くなります。それにしても非常に死亡率が高いというようなものです。

 これは日本であった事例です。事例 2 のほうですが、 6 年ぐらい前に奈良県でネットでシアリスを買われて、痙攣を伴う障害になられたということが報道されました。それから、やはり投稿論文で、日本のお医者さんが患者さんの症例報告をされています。ハーブの精力増強剤をネットで買って、意識障害になった、低血糖状態になってしまった。それを分析して調べたらシオデナフィル、これはバイアグラの成分で通常の 4 分の 1 ぐらいの量が入っていた。それから、グリベンクラミド、これは糖尿病の薬で、血糖降下薬なので低血糖症になった。通常の量の 50 倍以上入っていたので、危ないところだったのですけれども、この方は亡くなりませんでした。意外とこの ED 薬には、なぜかグリベンクラミドがよく入ってきます。偽造薬で、健康被害を起こすもので、よく出てくる成分というのは限られているというのか、比較的よく出てくるというものがあって、その中の 1 つでグリベンクラミドというのがあります。日本にもそういうものが入ってきています。

 ここからが世界の偽造医薬品対策です。 (1) から (9) まで並べました。いっぱいあって、ちょっと苦痛かもしれないのですけれども、世界ではこのぐらい偽造医薬品に対して、今、力を入れて対策を立てて頑張って対応しているということです。この間の伊勢志摩サミットから始まって、 WHO は当然前からやっていますし、国連薬物・犯罪事務所も関わっているし、国際刑事警察機構も乗り出しているし、欧州評議会もやっているし、欧州連合もやっているし、米国もやっているし、アジア太平洋経済協力でも取り上げている。また、この Basel Coalition という、バーゼル大学が自分たちで開催した、専門家たちを集めて国際機関を集めてやった対策会議ですけれども、そういったものがあります。それから、ここには挙がっていない国でも、偽造医薬品対策というのはプライオリティの対策だということでやっている所があります。

 昨年 5 月の伊勢志摩ビジョンで、私としては非常に感激したのですけれども、これまで医薬品に関しては、必要な治療薬がないから資金を投入して、技術を投入して開発しましょうというところに力点が置かれていましたが、去年の G7 サミットでは、安全で効果的で質が確保された医薬品ということが強調されました。抗生剤などでも抗微生物薬、やはりこれも安全で効果的、品質が保証されたというようなことをきちんと言っています。だから、品質が大事ということに、やっと世界のリーダーたちが目を向けてくれたと考えています。

 さらに、医薬品の不正取引とか、偽造という言葉も出てきて、これはいかんのだと。患者の安全性、それから R&D の投資に悪影響を与えるということを認識するということで、今皆様が御議論しているようなことは、「ちゃんとしっかりやれ」と、去年 5 月の伊勢志摩ビジョンで言われています。

 それから、 WHO の加盟国機構で、政府しかこの会議には出られないのですけれども、国の活動のあり方、国家計画の作り方、それから技術、真生性の検証技術をまとめる。先ほど御紹介した定義も、 WHO の加盟国機構で作られたものです。

 それから、犯罪防止刑事司法委員会で、 2011 年に決議をして、なぜこれを出してきたかというと、犯罪組織ネットワークを破壊するために、能力強化を支援しましょうと。要は、ここで犯罪組織が偽造薬に絡んでいるということを言っているということです。素人もいるかもしれないけれども、犯罪組織も絡んでいるのだという認識で対応をする必要があるということです。

 パンジア作戦、これは INTERPOL です。国際刑事警察機構が、毎年 5 月から 6 月ぐらいの時期に 1 週間、世界の INTERPOL のメンバーや、税関とか保健衛生当局と協力して、インターネットの問題のある犯罪的なものを取り締まるということをやっています。昨年は問題のある 5,000 サイトぐらいを閉鎖した。それでは、 2017 年にやったらもうないかというと、また同じぐらい閉鎖されます。毎年ずっとやっていて、去年で 9 回目で、毎年何千と閉鎖してなくなるかというとそうではない、また翌年もちゃんとあります。毎年毎年、毎年毎年やっています。押収薬は 5,300 万ドル、約 60 億円ぐらいになります。これが来年なくなるかというと、また押収されるというようなことです。 INTERPOL が乗り出しているというのは、組織犯罪が絡んでいるからと言っていました。

 欧州評議会は、文化とか人道ということに関してやっている、 EU とは別の組織です。人権などを取り入れているのですが、そこが世界で初めて医薬品犯罪条約という医薬品犯罪、偽造品を中心とする条約を作りました。 2011 年に署名のために開放されて、昨年 1 月に、発効するために必要な 5 か国が批准国になって発効しました。現在までに 9 か国が批准して、もう 1 か国が批准して 10 か国になると、締約国会議が始まって、実効性とか、問題点とか、どのように実施しているかということが議論されるようになります。日本は、欧州評議会のオブザーバー国で、この条約を作る過程にも参加しています。

 どういう条約かというと、偽造医薬品とか、偽造医療機器の製造や供給などの行為を刑事犯罪としましょうと、これがこの条約のエッセンスです。いろいろ盛り込みたいとか、いろいろな意見が出たらしいのですけれども、結局国のやり方とか、国の利害があって、合意をしたのはとにかく刑事犯罪としましょうというところだそうです。だから、偽造医薬品に対して条約があるということを是非覚えておいていただきたいと思います。

EU は、 2011 年に、医薬品指令というのが EU の医薬品の薬機法みたいなものになりますけれども、偽造品に関して強化しました。先ほど、 EU で伸びているというお話を規模の所でしましたけれども、ああいうデータに基づいて、実際に法律改正に相当する指令の改正をやって、偽造医薬品を狙った指令の改正をやりました。このときに、偽造医薬品の定義を初めて入れました。それから卸の規制を強化する。実際に医薬品を扱わない、口先で商売をしていると言ったら言い方は悪いですけれども、ブローカーに対しても規制をする。ちゃんと登録しなさいとか、記帳しなさいということを規制する。

 製造販売承認を取得している人は、偽造品らしいものを見付けたら当局に通報しなければいけない。それから改ざん防止措置です。処方箋薬の個包装、最終単位のパッケージに改ざん防止措置とその認証。先ほどバーコードの話が出てきましたけれども、これが二次元バーコードです。基本的なのは GS1 という所で出している二次元バーコードで、これをここで設けている、要求している。それと改ざん防止措置。途中で誰かが開いて触って開けたら分かるような何か工夫をしなさいというようなことをやっています。

 あとはインターネットで、一般用医薬品はネットで売ってもいいと。非処方箋薬は売ってもいいということになりましたけれども、ちゃんと EU のロゴを付けるというようなこと。いいと言う割には、ネットで買うと怖いよという警告をちゃんとしなさいと法律の中に書いてあります。それなら認めなければいいのにと。要するに、これの経緯があって、認めざるを得ないというところだったと思います。

 これが罰則を強化したというのが 2012 年です。強化したために、個人だったら 500 万ドル以下又は 20 年以下の禁固刑、あるいは併科ということです。これ以前は、軽犯罪法で、数ドルの罰金ぐらいの制裁でしたが、 2012 年に厳しくしました。

 今話題になっていて、皆様も御存じだと思いますけれども、「医薬品流通網の保全に関する法律」ということで、医薬品が製造販売業者から卸を何箇所か通って医療機関、あるいは薬局に販売される、その各段階で、いつどこを何が通ったかということを分かるようにする仕組みを作ることが求められています。 EU でも二次元バーコードというのがありましたが、 EU は最初の製造販売業者と、最後の薬局だけでデータベースに入れる、チェックするということです。アメリカの場合は、流通の各段階でデータベースに入れられて、どこを通ったかが分かる。なぜかというと、アメリカの偽造品というのは、流通が弱いからだということになっていて、この流通段階で変なものがいっぱい入ってくる。

 日本とは違うというか、日本より深刻な事情を抱えているようです。だから、きちんとした卸もあって、そこがほとんどの流通量を押さえているのですが、残りの僅かなシェアを何百という小さな所が食い合っていて、今の売れ筋は何かというのを読んで、パッと売り抜くような商売をやっていて、そこを何とかしようというのがこの法律の狙いです。

 これは APEC で強制力はないのですけれども、偽造医薬品を取り上げていまして、各 APEC 加盟国での偽造医薬品対策を強化しようということで、今年もトレーニングコースがアメリカで開催されるというものです。

 これは大学で、バーゼル市の後援を得て、偽造医薬品対策を議論しました。 EFPIA 、日本で言う製薬協の欧州版とか、一流製薬企業とか、 WHO とか、欧州評議会なども来て、どういうことをやっている、どういうことが問題だ、というようなことをプレゼンテーションをしました。私も呼んでいただくことができて、これとは全然違いますけれども、このような問題があるという話をしました。それぐらい欧州では、大学が国際機関を集めて議論するぐらい、偽造医薬品というのは問題視されているということを申し上げたかったので、ちょっと付け加えさせていただきました。

 これから、 GDP の話を大急ぎでやらせていただきます。国土地理院グローバル・フォーラムという所が出している世界地図ですが、こんなにいっぱい GDP を作っている国があります。日本はこの辺にあるのですけれども、日本の名前はないです。日本はあることになっていない。世界的に日本はあるというふうには認識されていないという状況です。日本でも、今は厚労科研の研究班で、 GDP について検討を進めております。

 これが、 PIC/S GDP の日本語訳です。 1 章から 9 章まであって、その研究班で日本語訳の案を作成しました。ここの中にも、研究班で御尽力を頂きました方がおられます。

 どういう内容かというと、大きく分けて品質管理システムの話、環境条件の管理の話、流通網の完全性と保全に関するルールというようなことが書かれております。今回日本で問題になったことに関しても、 PIC/S GDP の中には入っていて、供給業者の適格性をちゃんと評価しましょうと言っております。ですから、卸売販売業者は、現金問屋はと本当は言いたいところですが、卸売販売業の許可を受けた者又は当該製品を対象とする製造承認を保有する者から、医薬品の供給を受ける必要があると言っています。だから、日本のちゃんとした卸売販売業の方は当然やっているのですけれども、やっていない人がいたので、今回のような問題になったということです。ですから、購入に先立って、供給業者の適切な適格性評価、承認を行うということです。

 それから文書化というのは、取引の記録をちゃんと残しなさいと。今回は現金問屋で残っていなかったみたいなのです。それから、医薬品の受領に対しては、損傷を受けていないことを確実に保証すること。偽造が疑われる製品は隔離して、所轄当局に報告する。損傷を受けていないことを確実に保証することというところがどうだったのかなということが議論にもなっております。

GDP の検討班では、日本の GDP も国際整合化しようとしている検討班ですが、今御紹介したような PIC/S GDP を学び、日本でもどういう GDP が必要かという素案を作成させていただきましたけれども、まだ検討課題としては対象範囲をどこまでにするかと。当然、普通皆が薬という範囲はカバーするのですが、それ以外の体外診断用薬などは入らないというような議論は今後になります。

 それから、対象範囲の業態はどこまでか。卸売販売業者などは当然入ってくるのですけれども、薬局間の取引はどうなのか。経営陣にちゃんと認識していただかなければならないとか、 GDP の責任者の資格はどうするのかとか、我が国固有かなというところもありますけれども、分割販売はどのように取り扱うのかなど、まだまだ幾つか詰めないといけない課題があります。

 最後になりますが、日本は偽造医薬品禍を免れていないというのは言える。取引に際しては、基本的なルールを守ること。今は PIC/S GDP を御紹介しましたけれども、基本的なルールを守ること。それから、偽造品に対する警戒を怠らないよう、消費者、流通業者、製造者の教育や啓発が必要だということです。平和ボケという言葉が使われますけれども、そんなことあるはずないと思っているうちに、こういう事件が発生してしまいました。それから万が一偽造医薬品が検出された場合には、直ちに対処できる体制を整備しておくことが必要だということです。以上です。どうも御清聴ありがとうございました。

○赤池座長 どうも御説明ありがとうございました。世界の偽造医薬品対策ということで、科学研究費で検討されてきた内容をまとめていただくとともに、この委員会のある種の方向性をお示ししていただいたように思います。まず、木村構成員から説明を頂いた内容について、御質問、あるいは御意見がありましたらいかがですか。

○羽鳥構成員 木村先生、どうもありがとうございました。世界の状況がよく分かりました。木村先生も、 10 ページの所でもお示しになっていましたが、やはり、医薬品の偽装品というのは、今回の現金問屋から買ったのと同じように、これは不正のものであるわけですよね、これが刑事事件、暴力団が絡んでいるとか、そういうことももしかしたらあるかもしれない。要するに、儲かるものだったら売買していいという発想ですよね。これは、ほかのサプリとか、セルフメディケーションのときにも使われるかもしれませんが、医薬品については特にそういう対象とならないような仕組みを作らなければいけないということです。先ほど先生がおっしゃっていた GDP を早く日本でも確立しなければいけないと思いますが、速やかにできる方策は何かないものですか。

○木村構成員 多分それに答えが簡単に出るのだったら、今、アメリカとかヨーロッパで大きな問題になっていますが、それも何とかなっていると思うのです。要は、最初のときに偽造医薬品というのはこういうものだと申し上げましたが、本物か偽物か分からないとか、こっそり持っていたら分からない。いつの間にか、私たちの生活の中に入ってくる、というようなことができてしまう犯罪物品です。ですから、たちの悪い犯罪物品なので。

○羽鳥構成員 分かりました。それであればこそ、最後に示された GDP の中の、インボイスを使って取引の明確化をするということ。きちんと書類で証拠を残しておくということ。誰がどうやって売ったかと。多分、今回の現金問屋さんは燃やしてしまって、もうなくしてしまったりするから、そういうことにならないような仕組みを国が担保していかなければいけないのではないかと思います。

○赤池座長 ほかにいかがですか。

○一條構成員 現行の薬機法でも、譲受・譲渡に関しては、きちんと記録を残すようにということになっているのです。改めてそれを厳格に守れということで、通知を出していただいたと思っています。

 先ほどの不適切な流通業者が存在するということですが、卸売販売業の免許というのは許可要件の中で、薬局と構造設備規則を、これに合っていればいいよと。それから、薬剤師を管理薬剤師として雇えばいいよということで、それができてしまうというところがあります。卸売業者が、例えば、不適切な出所不明の医薬品を扱うとか、そういう所でも一応卸売業者の許可が認められて、更にその許可期間もずっとそのまま続いていくというところに、やはり、制度的な対応が必要かと思います。

 また、医薬品を仕入れする際というのは、実は普通の卸は製薬メーカーとの間で、その情報をきちんと共有するという仕組みが出来上がっています。これはどうしてかと言いますと、トレーサビリティの完全性をそこで確保するためで、どういう商品で、どういうロットで、どういう期限のものが、どういう医療機関に行っていると。さらに、生物由来等の製品に関しては、患者さんのどこまで行ったかというトレーサビリティの完全性をやりましょうということでできています。これはなぜかと言いますと、結構、年間にいろいろな有害事象が起きてきます。例えば、副作用の問題とか、製造したものに一部製造工程の過程でゴムが入ったとか、そういうことで、そういうもののロットは回収してくださいと。そういうことが年間約 80 件ぐらい起きています。それは、卸売業者がメーカーと一緒になってどのデータの医薬品がどこに行っているかということに基づいて、回収作業をするという仕組みになっています。そういうことで、いわゆる現金問屋のように、出所不明なものを扱って、トレーサビリティも確保できないということを本当に日本の流通からなくしていくことは非常に大切ではないかと思います。

○赤池座長 どうもありがとうございます。

○森構成員 木村先生、どうもありがとうございました。少し教えていただきたいと思います。 4 ページ、「偽造医薬品の規模の見積り」の中段から下の所ですが、 EU 加盟国の所で、ここに正規流通経路で 27 件、違法経路で 170 件とありますが、ここでの正規と違法とはどういうことでしょうか。例えば、これは中間流通の問題なのか、消費者がアクセスするところで薬局ではない所から買ってしまったのか、それは違法流通だと思いますが、それが 1 点です。

○木村構成員 ヨーロッパのいろいろなデータを見ますと、正規流通というのは、正規に免許を受けた卸売業者とか薬局です。そういった正規に免許を受けていない所が違法になってくるわけです。

○森構成員 分かりました。正規でない所に、国民がアクセスして買ってしまったところの問題。そこは別にして、私も十数年前からヨーロッパへ行っていろいろな所を見させていただいていますが、医薬品の流通問題で偽薬対策が一番に上がってくるのですが、どうしてこの正規流通経路の中に、かなり問題になるように偽薬が入ってきてしまうのか。それが 1 点です。その中で、様々な対策に取り組んでいるようですが、なかなか解決しないのはなぜか。もう 1 点、今まで偽薬対策で、非常に効果があったものがあれば教えていただきたいと思います。

○木村構成員 どうして正規流通経路に入るのかということですが、よく言われることは、ヨーロッパの場合は並行輸入です。製造メーカーと代理店契約を結んで、そこがきちんと正規のものを輸入して販売するのではなく、代理店契約を結んでいないのに、例えば第三国経由で安く仕入れて、安く売ると。そこは少し流通が不透明で、そこで偽造品が入ってくると、こういったことは、よくヨーロッパの場合は言われています。

 それから、何で解決に向かわないのか。それは先ほど羽鳥委員も、パッと解決しろという御意見でしたが、ヨーロッパとかアメリカも賢い人たちが集まって、なかなか解決できなくて、どんどん問題が大きくなっている。要は、偽造品自体の性格の問題です。通常はみんな気が付かないでどんどん使って、偽造屋さんを肥やしている。それに関わっている人たちが、プロの犯罪集団なので知恵比べみたいになっている。そういうようなことが、とても解決を難しくしている 1 つかと思います。犯罪の中でも、例えば麻薬問題も、これだけ騒がれても全然解決しなくて、どんどん悪くなってますよね。かなりそれと近いようなことになり得ると。ただ薬の性格は違いますが、やはり、同じように困った問題であるのです。非常にたちが悪いと思います。ですから、決して警戒心を、「何だ、薬の話か」ではなくて、これはとても深刻な問題で、解決が難しい問題だというつもりで臨んでいただかないと解決しない。解決はまず無理だと思います。

○森構成員 先生から説明があった中で、ヨーロッパ等で要は偽造品か本物かもう分からない包装形態になっているというところが肝のひとつで、だからこそ、きちんとした流通経路の中で取引をしていかなければいけないと改めて感じました。

○羽鳥構成員 先ほど一條委員がおっしゃられた、流通卸をやっている所は、絶対にあり得ないが、医療機関とか、あるいは患者さんとか、あるいは薬局から「余った薬があるから、買うよ。」という薬の得方をする、そういう仕組みが許されていることが、こういうことを起こしているのだと思います。きちんとしたトレーサビリティを、追う事が大事ではないでしょうか。そうではない商習慣があることがやはり間違いだと思いますので、先ほどから言っていますが、薬は薬であって、食べ物とか、一般商品と同じような扱い方をする仕組みであったら絶対にいけないということで、買取りをなくすような仕組みも考えていかなければいけないのではないでしょうか。

○土屋構成員 木村先生の、正に 1 枚目のパワポではないのですが、これがそもそも偽物か本物かと言っても、恐らく多くの人といいますか、我が国の国民を含めて、薬剤師も含めて、本物の画像を知らない状況だと思います。

 私は今、 AMED で実施されている我が国の医療用医薬品の画像情報のデータベースを作ろうという研究に協力しているのですが、我が国には販売単位の画像データベースというものがそもそもありません。偽薬への 1 つの抑止力として、そういうものが、あるいはサイズや重さについてのデータベースというのが、必要ではないかと思うのです。 AMED で研究開発中の画像データベースは外観類似のことをやるためのというのが頭に付いていますが、実はそうではなくて、きちんとした全体集合が少なくとも見える、それをどの情報の粒度まで公開するかは別として、やはり、きちんとしたデータベースを作っておくことは、いろいろな意味で大事ではないかと思います。

 私は、今まで我が国で偽造医薬品が流通しない理由の 1 つは、日本語表記だと、これが極めて偽薬を作ろうとする業者にとっては、最大の貿易障壁であるといいますか、あれはものすごいストップになっていると思います。やはり、英語やそういうもので済んでしまう所はそれでいけてしまう。逆に今度は、画像を取り込んでということになると、またよくないのかもしれませんが、少なくとも、医薬品画像のベースがどうなっているか分かることができるデータベースはきちんと構築しておかないといけないのではないかと思います。

 そういう意味では、昔、アメリカ等では PDR で実際の写真が見えるというのがあって、医学会総会では、画像を付けた医薬品識別ハンドブックを記念出版として出しております。そういう医薬品の画像あるいはサイズや重さといったことも含めて考えていく。これは直接の対策にならなくても、そういうものを見つけ出すことができるデータベースで、それが必要かと思います。

 もう 1 つは、我が国はリパッケージについては余り問題にならないのですが、要は、アメリカはリパッケージを業としてやっているので、リパッケージ業者がバーコードのナショナルドラッグコードのコードを取得しているのです。ところが、我が国は薬局とか病院であっても、リパッケージは幾らでもしているわけなのに、患者には期限やロットに関する情報は殆ど知らされていない。要は開封された後をどうするかということについて、今まで余り言われてこなかった。ヨーロッパでは箱渡しなので、患者には箱のまま渡している。あるいはアメリカは工場みたいな所でリパッケージをやっていますので、それぞれロット・期限情報について薬局で把握している。ただ我が国はそうではない所でリパッケージが行われているので、このリパッケージをどう考えるかということについて、それを保証しているのが今までの適正な流通ルートだったと思いますので、そういうことも含めて、全体として考えるときにはリパッケージの問題も少し考えなければいけないのではないかという気がします。

○赤池座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがですか。今日はフリートーキングのような形で進めていただきます。

○奥田構成員 教えていただきたいのですが、土屋委員の御発言にもあったリパッケージの問題と、木村委員の資料の分割販売ということが、それは非常に裏腹の関係と思います。これは、要するに外箱を外して流通する経路があるということですね。品質のほうをやっていて、 1 次包装、 2 次包装という言い方をするのですが、 1 次包装はいわゆる医薬品の安定性のためにする。 2 次包装はまた別の目的である、使われております。そこの部分を切り離すことが習慣として行われているということですか。

○土屋構成員 もちろん、分割販売はリパッケージの 1 つですが、通常、例えば患者さんに渡すときの 1 包化というのは、正にリパッケージなのです。その期限とロットを誰がどう保証するのかというのは、逆に調剤段階で、それをどこまで記録しておくのかという話にもいく。ただし、それをやらなくていい、きちんとしたルートで流れてきていて、その保証があるので、そこの最後の所は省略しても大丈夫というのが今までだと思います。

 ただ、こういう時代になってきて、そういうことも含めて原点に戻って考えると、患者さんに行くまでの包装形態をいろいろ考えていくと、封がされたものが開けられた、開けられてリパッケージされた、その内容の保証は誰がどうするのかということをきちんと考えるということです。最後のところは製薬会社では対応のとれない話でもありますので、そういったことも含めて、検討が必要だと思います。今回の流通のことでどこまでやるかというのは別として、全体としてはそういうこともあり得るということを、そのときにはどこまでを担保しておくのかということは、検討の中には入れておかなければいけないかと思います。

○赤池座長 どうもありがとうございました。

○森構成員 今のリパッケージの件で、薬局は調剤の用に供する医薬品の分割販売を行うことができます。それに関しては、保険薬局協会とチェーンドラッグストア協会と日薬の 3 者で、ガイドラインを作成していますので、出来次第、 2 団体に相談させていただき、御報告させていただきたいと思います。

○奥田構成員 承認申請書の書き方のことが、この委員会の検討資料に出ていて、 PTP 包装までの議論はして、その後については紙箱に入れてこれを制すということでしたので、その部分については、そのときは余り議論に上がっていなかったことを感想として述べさせていただきます。

○赤池座長 ほかによろしいですか。

○原構成員 先ほど日本医薬品卸売業連合会からトレーサビリティの話が出ましたが、メーカーから卸に行って、どこの医療機関や薬局に、どのロットが何個行っているかは問えると思いますが、逆に我々薬局からは、例えばある卸から仕入れたものが、これはどこから来たのだろうと、実はそこから遡れなくなっている。両方向が見えていれば、最後に辿り着いた所がちゃんとしたメーカーで、その過程が全部見えて、適正な温度管理で流通しているならば安全だと。これを辿っていって、何か知らない所に辿り着いたら、それは偽物ではないかもしれませんが、それは担保できないものであると。こういうことで、下から遡れるような管理はヨーロッパではされているとか、またはチャレンジしたことがあるとか、そういうことはありますか。

○木村構成員 アメリカですね。自分の所に来る前は、どこを通ったか、そこに行く前はどこを通ったか、全部が辿れるように、 2023 年を目標に 10 年計画で、電子的に辿れるようにするという、今、アメリカは作業をしております。ヨーロッパは全部ではなく、最初と最後です。最後の人が確かにアステラス製薬で作られたものかなど、そういうことが分かるということです。

○原構成員 それが可能となっても、暴力団風の人たちとか、頭の良い人たちが入ってきたら、やはり、破られるような感じになってしまうと、捉えられたりはしているのですか。それができれば大丈夫だろうという感覚でよろしいですか。

○木村構成員  2 次元バーコード自体、そういった技術の専門の方に伺うと、よく似たもの、非常に精巧なものを作ることは可能だと言われるのです。ですから、 2 次元バーコードでトレーサビリティを確保しても、それで偽造品がなくなるというのは、そんなにハッピーなものではなく、ただ今よりは良くなるだろうと。 1 つの方策で、偽造品を駆逐することは無理だと思ったほうがいいと思います。いろいろとあれもやり、これもやり、どんどん偽造品屋さんが住みにくくなる、商売をしにくくなるような、首を締めていくような、そういうつもりで。 1 つだけ何か良いものを見つけましょうと、ここは皆さん非常に優秀な方がおそろいですが、それはまずあり得ないと思って、あれもやり、これもやり、できることは全部やるというつもりがよろしいと思います。

 ついでに、先ほどリパッケージの話が出ましたが、アメリカの場合は日本の分割包装ではなく、もっと卸の自由度が高く、いろいろ仕入れたものを次に販売する病院のために再包装みたいな、小分け包装をします。日本で言うと、小分け許可が必要なことまでできて、そこで自分のラベルを貼って売れるので、偽造品がその中に混じっていても、きれいなラベルを卸が貼ってしまうと、偽造品もそのまま良いものみたいな顔をして流れていく。アメリカ政府は、それが非常に弱点だという認識をして、かつ、アメリカの卸の免許は州が出しているので、州によって厳しかったり、甘かったりするので、連邦でこういうような要件でという要件を決めて、免許を出すのは州ですが、データベースで登録させるとか、甘い州に関しては、「連邦レベルの最低限、それを守りなさい」ということでやっているということです。

○赤池座長 ほかはよろしいですか。

○羽鳥構成員 今、トレーサビリティのお話がありましたが、私は日本医師会で医療廃棄物の担当もやっているのですが、その場合、今はマニフェストを書くのです。医療機関で排出したごみを、紙でやるときは 7 枚ぐらいの厚い紙でぎっしり書くのですが、ごみを扱う業者、最終的な処分がどこに行って、どういうふうに処理されたか、そこまで記入する仕組みになっています。もちろん、電子マニフェストもあって、コンピューター上で登録することも可能ですが、いわゆる感染性の廃棄物や環境に負荷をかけないかとか、そういうことをやるような仕組みもあります。医薬品も当然これはできると思います。 1 1 錠でトレースできるかどうかは分かりませんが、少なくとも上流の部分に関してはできそうです。先ほどから言っていますが、患者さんや薬局から購入できない仕組みにすれば、きっともっと良い解決ができるのではないかと思います。そのトレーサビリティを厳密にやっていただけたらと思います。

○一條構成員 先ほどもトレーサビリティでは、一気通貫の仕組みが出ていますので、今回の GDP の考え方からすると、分割、更に日本の現行法で言うと、薬局からも薬品を売ることができるということがありますので、当然、そういう声があれば、それは GDP の適用範囲になるということでも、決しておかしくない、自然な考え方かと思います。

○赤池座長 どうもありがとうございました。本日の会議は 12 時までとなっておりまして、木村先生には世界の偽造医薬品ということで御説明を頂きまして、それをベースに非常に充実した議論をありがとうございました。

1 つの方向性として、 GDP 、ガイドラインが議論の中で、皆さん大体一致してきたように思われます。

 残念ですが、時間ということで、本日の議論はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。最後に事務局から連絡事項はありますか。

○総務課長 資料 7 で今後のスケジュールをお示ししております。本日の議論の中で出ました GDP の中にも、様々な分野があって、物の正当性と言いますか、偽造品の混入を防止する仕組みから、輸送過程における品質の確保に関わるものまで、幅広い規定がある。その中で、かつ本日のお話の中でも、流通の規制の周辺の様々な課題も御指摘いただいております。そうした中で、今回のハーボニー偽造薬の問題に着目して、優先して取り組むべきことについては、できるだけ早急に取りまとめをしていただいて、何らかの省令改正等の法令的な対応も含めて検討しつつ、幅広い問題について引き続き御検討を頂くような形で考えておりますので、またいろいろ御相談させていただきながら進めていきたいと思います。第 2 回の開催日程については 4 月中旬頃を予定しておりますが、改めて調整の上、御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○赤池座長 本日は本当に重要な御検討をありがとうございました。それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方検討会> 第1回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会 議事録(2017年3月29日)

ページの先頭へ戻る