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2017年3月17日 障害年金の認定(血液・造血器疾患による障害)に関する専門家会合(第2回)議事録
○日時
平成29年3月17日(金)16:30~
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○出席者
構成員
直江座長、岡本構成員、倉石構成員、高井構成員、中尾構成員、松下構成員 |
○議題
1.開会
2.議事
(1)関係団体からのヒアリング
(2)障害認定基準(血液・造血器疾患による障害)の見直しの検討
(3)その他
3.閉会
○議事
(直江座長)
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより第2回障害年金の認定(血液・造血器疾患による障害)に関する専門家会合を開催いたします。
本日は週末の大変お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、本日の議事と資料について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
(尾山事業管理課給付事業室長補佐)
事務局でございます。
ご説明の前にご案内をさせていただきますけれども、中尾構成員におかれましては、ご都合により18時ごろご退席される予定でございます。
また、伊原年金管理審議官は公務のため、やむを得ず欠席とさせていただいております。
それでは、本日の議事を説明させていただきます。
初めに、本日ご出席をいただきました団体の皆様方から、生活実態の状況や認定基準に関する意見などについて、ヒアリングをさせていただきたいと思います。
4名の方から順次お話をいただいた後に、構成員の皆様方からご質問をいただく時間を約10分程度とりたいと考えております。
そのヒアリングが終わりましたら、団体の皆様方からのご意見を踏まえた見直しの検討を、前回に引き続きお願いしたいと思います。
議事については、以上でございます。
続きまして、本日の会合資料を確認させていただきます。
お手元に議事次第、座席表、構成員名簿、参考人名簿、そして、資料1-1として、再生つばさの会と特定非営利活動法人PNH倶楽部様からの意見書、それから、資料1-2として、社会福祉法人はばたき福祉事業団様からの意見書、資料1-3として、一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク様からの意見書、資料1-4として、特定非営利活動法人血液情報広場・つばさ様からの意見書でございます。次に、資料2といたしまして、「障害認定基準(血液・造血器疾患による障害)の検討事項」でございます。以上の資料のほか、議論の参考といたしまして、現行の障害認定基準と診断書も机上には別途お配りしております。
それぞれお手元にございますでしょうか。不足がございましたら、お申し出いただければと思います。
事務局からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
(直江座長)
ありがとうございます。
今、事務局から説明がありましたけれども、最初に団体のほうからのヒアリング、それから、その後質問を経まして、前回からの引き続きの検討事項についての議論を進めるということにしたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
そうしましたら、まず今日は参考人ということで、発言いただきます団体の皆様、本当に今日はお忙しい中、ありがとうございます。
限られた時間ではございますけれども、質疑応答を含めましてお話を伺いたいというふうに思っております。
それでは、資料の順番にということで、まず、最初は再生つばさの会の博田様からお話をいただくということなので、よろしくお願いいたします。
(再生つばさの会 博田参考人)
座ったままでよろしいでしょうか。
最初に説明させていただきます、再生つばさの会及びNPO法人でありますPNH倶楽部の2団体連名という形で要望書を提出させていただきますが、本日は私、再生つばさの会会長の博田と申しますが、私の方からお手元の資料、説明というか読み上げさせていただきます。
まず、お手元の資料1-1ということで、前半でまず私どもの、当会の再生つばさの会の紹介をさせていただきます。
「はじめに」というところから読み上げさせていただきます。
当会は、血液の病気である再生不良性貧血(AA)及び関連する疾患、骨髄異形成症候群(MDS)・発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)・ファンコニー貧血(FA)など、そちらに記載されている関連疾患と診断された患者さんとそのご家族によって構成し、病気の苦しみと不安をなくすために、会員同士が互いに連絡しあい、励まし助け合い、病気に対する認識の向上と、治療方法の情報交換を行っていくことを目的とし、年4回の会報の発行と、全国での医療講演会を開催し、再生不良性貧血及び関連する疾患の国内の主要な先生方にご講演をいただいております。
これらの病気は、症状により、軽症から重症までの患者さんがいらっしゃいますが、重症で血球数値が低くとも、その状態が長く続くと、外観上、健常者に見られてしまうこともひんぱんにあります。しかし、血液数値が低いわけですから、健常人と同じ仕事につくことはできません。本来であれば、働き盛りで、家族を支えなければならない患者さんもいらっしゃいます。
また、男女を問わず発症年齢がさまざまであり、病気の進行による全身症状の悪化に伴い、身の回りのことや、家事・子育てなども自力ではできなくなるなどの日常生活の著しい質の低下や、重症化し職を辞することを強いられるなど、患者さんとそのご家族は治療費、生活費の調達のために奔走しなければならないケースがあり、その精神的、経済的負担は大きいものがあります。
さらに、ある患者さんの例なのですが、障害者年金の申請を市役所でした際に、市役所の担当者から「血液疾患では通らないよ」と最初言われたと。最終的にはこの患者さんは2級の認定を受けたということなんですが、そういうケースがございました。
以下に述べる意見と申しますか、ご要望を参考にしていただき、専門家の先生方が適切かつ有効な認定基準を検討していただき、多くの患者さんの支援に役立つよう、障害年金の制度が十分に機能することを強く望みます。
以上の当会の紹介を踏まえまして、前回11月28日の第1回会合の資料5、障害認定基準の中の検討課題の2の中にありました、障害等級判定に用いる評価項目についての検討項目の幾つかについて、以下で意見と申しますか、要望を挙げさせていただきます。
要望の1としまして、「貧血の程度の把握として『ヘモグロビン濃度』と『赤血球数』の両方を用いる必要があるか」についてですが、ヘモグロビン濃度は高いが赤血球数は低いという患者さんや、その逆のケースもあります。「ヘモグロビン濃度」と「赤血球数」の2つの基準があって、どちらかを満たせばよいという現行の制度は、患者さんにとってメリットが大きいため、両方とも用いて貧血の程度を把握したほうがよいと思います。
要望の2といたしまして、「易感染性の程度の把握として、『顆粒球』を分類した一つの『好中球』についてどう考えるか」についてですが、前回会合の資料に記載があるように、再生不良性貧血の重症度基準の一つが、好中球となっています。「好中球」の表現に変えることを要望します。
なお、好中球と同様に、再生不良性貧血の重症度基準に「網赤血球」も基準の一つになっています。ぜひ「網赤血球」を追加することを要望いたします。
要望の3としまして、血液・造血器疾患の分類について、「骨髄異形成症候群」の明記を要望いたします。
骨髄異形成症候群は、患者さんによって症状や数値もさまざまでありますので、骨髄異形成症候群の場合は症状に合わせて「難治性貧血群」・「出血傾向群」・「造血器腫瘍群」のいずれかに当てはまるもので認定する。いずれにも当てはまらない場合もあるので、今日の会合のお手元にもあるようですけれども、障害認定基準、これの第1章の、今回ご検討いただいている血液・造血器疾患については第14節に記載されているようですが、その後の16節に悪性新生物の障害の記載の中で(7)というところ、お手元の資料で先ほど見ましたら90ページに書かれているようですが、(7)のところに「悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、症状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。」ちょっと素人にはちょっとわかりづらい表現ですけれども、この骨髄異形成症候群につきましても、このような表現をしていただいて、ぜひ追加いただければと思います。具体的な表現については、専門医の先生方にご検討をお願いいたします。
最後に要望4とございますが、これは今回の専門家会合の検討課題とは外れてしまいますが、12年前と少々古いデータにはなりますが、当会の会員の皆様へアンケートを実施した際に、障害年金について知っているかという質問に対して、知っているというのが22%、知らないというのが78%という結果でした。先ほどの前半でご説明しました、市役所の人間で、窓口の担当でさえ、「血液疾患が障害年金にならない」と言うような状況を考えますと、血液疾患に限ったわけではありませんが、医師だけではなくどこの病院でも患者さん自身が障害年金について知り得るようなハンドブックの配備を希望します。
再生つばさの会及びPNH倶楽部からの意見書としては、以上、ご説明差し上げました。
よろしくお願いいたします。
(直江座長)
博田様、ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、はばたき福祉事業団の大平様、よろしくお願いします。
(社会福祉法人はばたき福祉事業団 大平参考人)
社会福祉法人はばたき福祉事業団の大平と申します。よろしくお願いいたします。
私どもはばたき福祉事業団は、1989年にHIV感染被害訴訟の裁判提訴がありまして、その後1996年に裁判は和解を経まして、みずからの救済を進めていくということで、東京HIV訴訟原告団を中心に救済事業を行う団体としてはばたき福祉事業団を設立いたしました。今年で20周年になります。
私自身は血友病患者で、ちょっと記憶が定かじゃないんですけれども、大体60年余、血友病の患者会にずっと携わってきまして、全国ヘモフィリア友の会の立ち上げですとか、いろいろなことをしておりました。
その中で、障害年金のこともいろいろな形で携わってまいりました。1996年の和解、この20年の経過の中で、私たちは厚労省とも手当協議という形でこの障害年金について検討をずっと持ってきておりますけれども、その中で血友病、HIV、HCVという重複的な感染の問題、それから、総合的な判定の問題、そういうことについて主に血友病の病態の理解というものがなかなか進んでいないというところで、私たちは大変苦労してきておりまして、20年の間、やはりこの障害年金の問題というのは実際に一般の生活状態区分と症状とのかい離というものが大変大きいなというところを感じておりましたけれども、なかなかこの見直しというところは検討がされてこなかったというところがあります。
今日お示ししましたように、まず、文章のほうから読ませていただきますと、今般の障害年金の血液・造血器の疾患についての障害認定基準の見直しに当たって、凝固因子欠乏症患者へのHIV感染被害の救済を実施しておりますはばたき福祉事業団として、以下のとおり意見を述べさせていただきます。
そもそも、いわゆるHIV訴訟の和解において、和解確認の和解条項の中の恒久対策の一つとして、「HIV感染者の障害者認定等について」原告と厚生労働省とが、当時の厚生省が協議していくことが約束され、平成10年にHIV感染者が障害者認定され、障害年金の対象傷病となりました。血液・造血器疾患としての血液凝固因子欠乏症等はその以前から障害年金の対象疾病でありましたけれども、当時の社会的背景としてはHIV感染者のほとんどが血友病であり、HIV感染症の障害年金認定には、血友病が必然的に付随していたところがありました。
また、障害年金には就労が困難となった被害患者の生活支援として、被害者の救済的な役割を果たしてきました。実際にHIV感染症、血友病、また関節障害などの傷病で認定されてきたところであります。そのような歴史的・社会的経緯を踏まえ、年金制度全体が運用されるべきであり、今回の見直しにおいても、このような経緯を踏まえた上で議論していただきたいということを強く切望しております。
凝固因子欠乏症、特に血友病の治療は大変進歩したところでありますが、それに伴い患者の高齢化も進んできております。重症血友病患者がこれまで体験したことのない年代に入ってきており、現実に凝固因子製剤の使用量の増加や関節障害の悪化、あるいは頭蓋内出血等の重篤な出血の増加などの事態を実感しているところでもあります。こういった患者の実感を反映した障害認定基準となるようにされたいというところが、私たちの大きな希望であります。
また、血友病の特徴として、非出血時と出血時の様態が大きく異なるということを注目していただきたいと思います。非出血時には健常者とも変わらず活動ができる方もいます。また、関節あるいは筋肉内出血等の際には、自力での移動もままならず、血液製剤の投与等の治療を行っても、数日にわたりその状況が続くことがあります。この場合、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることが不可能なのはもちろん、場合によっては他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない状況に陥ります。この血友病の特徴を踏まえ、これを確実に反映することができる認定基準にされたいというのが、私たちの希望であります。
さらに、一定数発現するインヒビターを持つ血友病患者については、治療のない時代の血友病患者の状態になる可能性も強く、成長期の障害が残るとともに、特に成人の場合はその治療と生活が非常に困難となります。認定に際しては、血友病と病態は全く異なるものとして判断できるような認定基準にしていただきたいと考えております。
先に申し上げましたように、認定の中で一般状態区分と、そしてまた現実の病態のかい離があまりにも大きいというところが私たちの現実に体験しているところでありますので、今回の見直しの中でその辺を十分検討していただいて、いかにその認定基準の中でそういうものが反映できるかどうかということを、ぜひ検討していただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
(直江座長)
大平様、ありがとうございました。
それでは、3番目になりますが、一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワークの佐野様、よろしくお願いします。
(一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク 佐野参考人)
ヘモフィリア友の会全国ネットワークの佐野でございます。よろしくお願いいたします。
大先輩の大平さんの後でこういった話をするのは大変畏れ多いんですけれども、私どもは地域の血友病患者会がつくりました全国組織ということでございまして、地域血友病患者会、現在26団体が参加しておる組織であります。その中で、こういった意見書をつくりまして、出してまいりました。
この意見書の中で、割合とこちらも簡潔に書いてありますので、簡単にご説明いたしたいと思います。
まず、血友病、いわゆる先天性の凝固因子障害、出血性疾患というのは、もちろん出血がとまりにくい病気であるということなんですけれども、むしろそれに伴う合併疾患あるいは後遺障害、こちらのほうが後を引くといいますか、重篤なものを引き起こしている現状がございます。
具体的に申し上げますと、ここに書いてありますような四肢障害、あるいは頭蓋内出血によるてんかんや視野狭窄などの後遺症、あるいはまたHIVやHCV感染症といったものでございます。
こういった合併疾患があるということで、この部分をどのような形で評価・認定していただくのかが、非常な問題であると思います。また、前回のこの会議でもちょっと言葉が出てきましたが、定期補充療法というのが血友病ではございます。ただ、この普及は、大体今世紀に入ってからぐらいです。しかも、それは幼少期の患者さんを中心として、普及しだしたものですので、それ以前から治療をされている患者さんに関しては、こういった合併疾患、後遺障害というのが過去の出血により、あるということでございます。
そういったところをきちんと認定していただくというのが必要でございまして、具体的に診断書を見てみますと、凝固因子製剤輸注の回数及び量とか、血液検査成績というのが、現状におきまして患者さんのQOLを反映しているかどうかというと、あまり反映できてない可能性があるのではないかというところがあります。
定期補充療法をいたしますと、製剤輸注の回数及び量はやっぱりふえますし、血液検査成績はこれはもちろん出血時間とかAPTTとか、こういったところを中心に低くなるわけなんですけれども、それが患者さんのQOLを正しく反映しているかというと、全く反映していない場合すらあるというところで、その他の所見ですとか、その他の障害の一症状ぐらいしか、きちんと書いていただけないという形にもなってくるわけです。そこのところが何とかならないかなと考えます。
また、血友病と申しますと、男性の病気と思われておりますけれども、血友病以外の先天性の血液凝固因子異常症というのもございます。こちらのほうに列記してございますが、これは小児慢性特定疾患ですとか、それを引き継いでいる大人の公費負担制度の対象疾患であるわけです。これらの疾患におきましても重篤な患者が存在し、しかも女性の患者さんが実はかなり大きな比率でおられます。
血友病類縁疾患と申しておりますが、女性特有の婦人科系といいますか、そういったところの出血症状を有する場合が多々見られます。これに即した適切な認定を行っていただきたいと思っております。
障害の状態等に関しましての診断書に関しましていいますと、意見書4番が不要・不適切な形式となっており、いたずらに医師に負担を強いるに過ぎない例も見られると書いております。お医者様からは非常に書きづらいというような声も実は聞きます。そういうところもありまして、認定に適切に寄与するものとなるべく、改善していただきたいということです。疾患それぞれに特化した様式を新規に作成することも含めてと、これは現実問題としてそのほかの疾患等もございますので、私どももなかなか難しいとは思っておりますけれども、やはり改善していただきたい部分でございます。
以上でございます。
(直江座長)
佐野様、ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、特定非営利活動法人血液情報広場・つばさの橋本様、よろしくお願いいたします。
(特定非営利活動法人血液情報広場・つばさ 橋本参考人)
よろしくお願いします。橋本です。
私は長男が慢性骨髄性白血病を患ったことから、1986年より血液がんの当事者支援にかかわっております。つまり、私自身が患者の経験者というよりも、支援団体の活動を通して実感していることを述べさせていただきます。
血液がんは、悪性リンパ腫、さまざまな種類の白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫などが挙げられます。発症は小児血液腫瘍およそ年間3万人前後と私たちは聞いております。
当法人は1992年から今日まで情報提供を中心とした患者支援活動を継続しておりますが、1990年代後半までは、血液がんの治療は骨髄移植しかないと言われており、私たち市民層の患者向け支援活動では、骨髄移植療法や疾患の基本理解などの情報提供を中心としておりました。しかし、ちょうど2000年ころから一部の血液がんに対する経口薬が登場し、その血液がんは薬によって長期寛解が可能となりました。以降、他の血液がんにも新規薬が次々と開発され、血液がんの治療成績はますます改善されつつある、と感じております。
また、2000年以降も骨髄移植を必要とする患者は相変わらずありますが、それもありがたいことに成績が徐々に上がってきていると言ってよいと思います。
つまり2000年代に入ってからは薬の恩恵や移植療法の成績向上もあって、血液がんの治療経過と治療後の暮らしが格段に長くなっているということになります。一方、骨髄移植では治療後長期合併症という状況があります。これは、GVHDと呼ばれる症状がさまざまに発症して、いつまでも治らない状態を言います。この合併症を抱えたまま、血液がんは進行していないが違う疾患に悩まされながら暮らしている人も大勢いることを知ってください。
それをさらに詳しく述べます。2001年に、白血病の一種である慢性骨髄性白血病にもたらされた分子標的薬が国内で承認されました。それ以降、この薬を服用することで寛解を維持している患者さんがたくさんいます。また、これを追いかけるようにして、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫や、そのほかの血液がんに対してもさまざまな新規薬が登場しています。
では、それらの薬を服用していれば全ての患者さんが元気に健常者として過ごせてきたかというと、それぞれに状況は違います。長い服用期間において、副作用によってときに深刻な身体症状に苦しみ、そのために深刻な心理的な不調にも陥って、身動きならないという人も現実にあります。根治をもたらしたかに見えた移植でも、治療終了から長い期間を経てから合併症の出現によって再度通院しているという患者さんもいます。
そこで、認定基準の見直しを要望させていただきます。血液がんの患者によっては、薬や移植などの治療によって貧血もなく・白血病細胞の増殖もなく・歩行も何とかできる、しかし仕事や地域活動に参加できる状況にないという、以下のような人がいることをご理解ください。
多剤併用療法の結果、非常に強いしびれが残っている。移植などの治療によって長期合併症が残り、呼吸などの不自由を感じて生活が困難であると感じている人がいます。分子標的薬で寛解ではあるが、つまり、病気の症状は一旦とまっているかに見えるが、副作用が強く出現して困っている患者さんもいます。多剤併用療法、造血幹細胞移植などの治療法から強度の心理不安が出て、これが非常に苦しいという状況が出てきて、なかなか治らないという人がいます。治療の後遺症が複数の臓器に発生していて、日常生活が困難であるという方もおられます。
たくさんの患者さんの現実に触れている立場として、障害の認定基準、A表、B表ではかれる状況も非常に大切ですが、この組み合わせだけでははかりきれない障害も発生しているという現況を認識していただけますよう、強く希望いたします。
以上です。
(直江座長)
橋本様、ありがとうございました。
それでは、4名の方々にご意見、それから意見書をいただいたところでございますけれども、まず、構成員の先生方から質問を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。
それじゃ、私から1つ。
参考人の方ではないんですけれども、今日は席上に障害認定基準という平成28年6月1日改正というのを、これを配付していただいたんですけれども、先ほども話がございましたが、いろんな疾患で必ずしもこのA表、B表というのは全部にあるわけじゃないんですか、これは。
(米田障害認定企画専門官)
今、座長のほうでお話いただいているのは血液疾患のほうで、疾患ごとにA表の臨床所見、B表の検査所見に分けてつくられているものが、ほかの基準でも同じような扱いがされているのかという意味でよろしいでしょうか。
(直江座長)
そうですね。
(米田障害認定企画専門官)
このA表・B表につきましては、基本的に血液・造血器疾患の障害認定基準にはこういったものを採用していますけれども、他の基準で臨床所見と検査所見というのを分け、こういった表形式でつくられている基準は、呼吸器疾患に一部ございますが、その他にはございません。
(直江座長)
わかりました。ということは、この血液のこの会は、仕事が多いということになりますね。
ありがとうございました。
何か質問ございますか。松下先生、何かございませんでしょうか。
(松下構成員)
極めて妥当な意見をいただいたかと思うので、まだこの中に反映できていないものに関しては、何とか今の枠組みの中で反映できるようになればいいなとは思っていますけれども、いろいろと細かく検討しないといけないことが多いような気はいたしております。
(直江座長)
私が先ほど質問したのもそのとおりで、やはり血液が数字でA表、B表をつくっちゃうと、なかなかそれからこぼれる場合とかがあるということなので、やはり何かそれとたくさんの疾患がこれは含まれていますので、どの疾患にもこの表が全てというふうなものをつくるというのは、これはなかなか前回の会でも至難の業だなというふうに感じていました。その辺の注釈といいますか、運用といいますか、うまく何か形ができるといいなというふうにも思っております。
よろしいでしょうか。大変本当に貴重な意見を伺ったなというふうに思いました。
あと、もう一つ、いろんな方が強調されていたのは、1つの臓器の障害だけではなくて、複合している方が現場では結構いらっしゃるというような話もお話を伺ったかなというふうに思うところでございます。
何か、じゃ、中尾先生。
(中尾構成員)
前回のこの会議のときに、移植後の合併症として慢性GVHDがこういう障害認定の対象としては必要だというご意見があったと思うんですが、そもそも先ほど橋本さんが述べられたような化学療法なり移植後の後遺症を救済する項目というのは、現在の中にはあるんでしょうか。
(米田障害認定企画専門官)
認定基準の具体的な日常生活状況等により総合的に認定するというところで、化学療法や移植後の後遺症についても基準の中で見ているということで行ってございます。
(中尾構成員)
今ここにある認定の基準としては、この辺明文化はされていない?
(倉石構成員)
現在はないと思います。
(直江座長)
恐らく、現在の考え方を私が答えるのも何ですが、恐らくそういう治療に関連した副作用の障害のために、新たにそういう項目があるかという質問だと思いますけれども、それはないですね。
(倉石構成員)
ないです。ただ、診断書を書いてくださっているその先生の中にはというか、A表にはない症状で、GVHDに関することが9と10とか、症状のところで詳しく書いてくださっている先生もいらっしゃるんですよね。それは認定のときに大変役に立つ。
(米田障害認定企画専門官)
すみません、認定基準の方の80ページの初めに表があると思うんですけれども、その下に「血液・造血器疾患による障害の程度」ということで書かれている中に、「薬物療法に伴う合併症」ということで、基準の初めに大きな設定として入れ込んでいるという形をとっています。
(直江座長)
この文章の中に「症状の経過等(薬物療法による症状の消長の他、薬物療法に伴う合併症等)」と、ここですね。
(米田障害認定企画専門官)
そうです。
(直江座長)
ありがとうございました。
また後でこれは議論が出てくるのかもしれませんが、ほかにご意見、ご質問、よろしいでしょうか。
それでは、なければ参考人の皆様、本当に今日はお忙しい中、貴重なご意見を賜りました。本当にありがとうございました。
ここで参考人の皆様には座席を移動していただきまして、次の議事に進みたいというふうに思います。
それでは、障害認定基準の検討事項について資料の説明をお願いしますが、非常に広範に及びますので、ある程度区切っていただいて、その都度構成員の意見を聞いて進めたいというふうに思います。
なお、今日の資料は、前回の議論を踏まえたものになっていますが、この後の議論では本日ただいま行ったヒアリング、意見も参考にしながら、ポイントをしぼって議論をしていきたいというふうに思います。
それでは、事務局のほう、よろしくお願いします。
(米田障害認定企画専門官)
それでは、お手元の資料2、障害認定基準(血液・造血器疾患による障害)の検討事項を説明させていただきますが、机上配付してございます障害認定基準も合わせてご用意いただきたいと思います。
初めに、資料2の構成の説明でございますが、こちらは前回の第1回会合で構成員の先生方にご議論いただいた内容をもとに、検討課題ごとに異論が出なかった事項、確認事項、検討事項の3つに分けて記載しております。
異論が出なかった事項につきましては、前回の会合で皆さんご意見が一致したもので、今回ご議論いただく事項からは外させていただきます。
確認事項につきましては、前回の会合である程度ご意見がまとまったもの、また、他の確認事項と同一な内容なものを分類したもので、ほぼ皆様のご意見は一致しておりますが、改めてご確認をいただき、修正等必要な場合にご意見等をいただくことを考えております。
次に、検討事項でございますが、こちらは前回の会合でご意見が一致しなかったものや、ご議論されなかったものを分類しておりますので、皆様のご意見をいただければと思います。
最後に、資料の下段でございますが、前回会合で皆様からいただいた主な意見を掲載してございます。
それでは、資料2の1ページ、検討課題1、血液・造血器疾患の定義についてをご覧ください。また、あわせて障害認定基準の80ページをご覧いただければと思います。
項番(1)についてですが、現在の認定基準の分類区分とすることについては、異論がございませんでしたが、分類区分の名称としては近年の医学的知見に見合わず、属さない疾患もあるとのご意見から、確認事項として分類の名称を「赤血球系・造血不全疾患」、「血栓・止血疾患」、「白血球系・造血器腫瘍疾患」とすることについて、ご確認いただければと思います。
次に2ページ、項番(2)でございますが、障害認定基準の2認定要領(2)にございます、血液・造血器疾患の主要症状の記載につきまして、自覚症状と他覚所見の見直ししたものを確認事項として記載してございます。
下線の部分が見直しを行った部分ですので、ご確認ください。また、検討事項として、女性特有の症状を表す「月経過多」を自覚症状に含めること、血栓疾患の症状を表す「血栓傾向」を他覚所見に含めることについて、ご議論いただければと思います。
次に3ページ、項番(3)でございますが、障害認定基準の2認定基準(3)にございます、血液・造血器疾患に係る検査の記載について、見直したものを確認事項として記載してございます。
下線の部分を見直ししたものですので、ご確認いただければと思います。
お時間の都合により簡単な説明ではございますが、以上で検討課題1の説明を終わらせていただき、先生方のご意見をいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
(直江座長)
ありがとうございます。
それでは、検討課題の1から進めたいと思います。
前回の確認でもございますけれども、現在の3群に分けるということの分類区分としてはこれでいいと。ただ、名前を「赤血球系・造血不全疾患」、それから「血栓・止血疾患」、「白血球系・造血器腫瘍疾患」ということにしてはどうだろうという意見が出ておりました。
いろんなさまざまな疾患を包含するということでございますので、ここは大きな議論はないかなと思いますけれども、よろしいでしょうか。
ここは確認ということで、このとおりで進めたいというふうに思います。
それでは、2ページ目の項番(2)ということでございまして、ここについて確認事項の中で、主要症状としては、他覚所見は、易感染性、出血傾向、リンパ節腫脹、肝腫、脾腫でございます。ということを整理したということでございます。
ここはよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
出血傾向とか、ちょっと名前の変わったところもありますけれども、よろしいですね、これは。
それで、検討事項のほうでございますけれども、先ほど、今ヒアリングの中でもございましたけれども、確かに「月経過多」というのは、これは生理的な出血でございますので、上の出血傾向の中に含めないこともないんでしょうけれども、月経過多を自覚所見として含めてはどうかというご意見だったかと思いますが、これはこれではっきり書いてあったほうがわかりやすいということかと思いますので、よろしいでしょうか、これは。
それから、血栓疾患を今回加えようということでございまして、血栓というのは他覚所見かという、血栓としてはなかなか難しいんでしょうけれども、血栓傾向であればいいのかなという、ちょっと言葉尻の問題かもしれませんけれども、この辺、血栓傾向としてはどうなんだろうということでございますけれども、これはこれでよろしいでしょうか。他覚所見ということで、何かありますか。
(松下構成員)
これは前回からの課題で、細かいことを言い出せばきりがないわけなんですけれども、この診断書を専門家が記載するとした場合には、他覚所見なんだろうなと思います。
血栓傾向の自覚所見としては、左足が腫れますとか、あるいは肺梗塞を起こしたという方が呼吸困難がありますとか、そういったことになるんですが、そういった症状はその他の状況によっても発生し得るので、あくまでも担当医が血栓症を発症しているということを他覚的に認知した場合に、含めるということにするのかなと。医学的にはそのように考えております。
(直江座長)
出血傾向に比べると、血栓傾向というのはやや同列ではないかもしれないのですが、ただ、明らかに先ほど言いました分類のほうでは、血栓・止血疾患ということになっておりますので、止血だけ入って血栓のほうがないというのも困るので、これは入れてはどうかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
それでは、ありがとうございました。
2ページのところまでいきました。
それでは、3ページのところでございまして、今度は検査でございますけれども、文言を改めて、血液一般検査を「血球算定検査」に改めたということであります。それから、ここに画像検査としては超音波検査が入っているんですが、例えばCTとかPET検査とか、骨シンチも含めてさまざまな検査があるので、ここは画像検査としてその中に例えばCT検査、エコー検査等というふうにするかどうかと。書きぶりをどうするかという話だったと思いますけれども、現在考えられているのはどうでしょうかね。CT、MR、PET、それから、骨シンチ、超音波検査、そんな程度が多いんでしょうかね。あと、SPECTとか細かいのを言えばきりがないと思うんですが、SPECTはシンチですね。
この辺は、都合のいい言葉としては、やっぱり画像検査でしょうか。
岡本先生、何かこの辺ご発言いただけますか。
(岡本構成員)
やっぱり画像検査と言うとわかりやすいと思いますし、これでいいと思います。
(直江座長)
画像検査として括弧をして、現在書いてあるのは超音波検査なので、例えば画像検査について、(CT検査、超音波検査等)というようなところでどうでしょうかね。いいですか。
ありがとうございます。
というふうに書いてはどうかということですが、この辺何かご意見よろしいでしょうか。
あとは、松下先生だったかと思いますけれども、細胞表面抗原、これは追加になっていますね。ありがとうございました。
ほかに、中尾先生、よろしいでしょうか。
(中尾構成員)
はい。
(直江座長)
はい。ありがとうございます。
3ページのところまでは終わりましたので、じゃ、事務局のほう、またお願いいたします。
(米田障害認定企画専門官)
それでは、資料2の4ページ、検討課題2、難治性貧血群の障害等級判定に用いる評価項目についてをご覧いただき、あわせて障害認定基準の83ページA表、B表をご覧いただければと思います。
項番(1)ですが、前回会合では、A表に記載がございます「治療により貧血改善はやや(少し)認められるが、なお」の表現は必要ないこと。「易感染症」は「易感染性」であることについては、異論がございませんでした。
確認事項としては、貧血の程度は輸血の頻度で定義してはとのご意見もございましたが、従来どおり、貧血を含めた形で「貧血、出血傾向、易感染性を示すもの」とすることで、ご意見もまとまったものと思いますので、確認事項といたしました。
5ページの項番(2)でございますが、確認事項としてA表の重症度を評価する表現で、「高度、中度、軽度」や「ひんぱん、時々、必要に応じて」は、このままの表現とすることでよろしいか、ご確認いただければと思います。
血液・造血器疾患の認定基準には、それぞれの疾患群のA表に同じような表現が使われており、前回の会合では疾患群ごとに検討を行い、最終的にはこのままの表現でよいとの方向であったと思います。
6ページ、7ページの項番(3)、(4)でございますが、B表「検査所見」に関する見直しのご議論で、「赤血球数」と「骨髄像」の削除、「顆粒球」は「好中球」への変更、区分ローマ数字3の「白血球数」は「2,000/μL以上3,300/μL未満」に変更することについては、異論がございませんでした。
しかしながら、赤血球数につきましては、先ほど団体様から評価項目とすべきとのご要望もいただきましたので、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
また、網赤血球につきましても、評価項目とすべきか検討事項としておりますので、ご議論いただければと思います。
8ページの項番(5)の検討事項につきましては、ご一緒に認定基準の82ページ下段の表をご覧ください。
こちらの表では、溶血性貧血のようにもともとの疾患が赤血球にのみに関するものは、赤血球像のみで障害等級の判定を行いますが、再生不良性貧血のように造血不全に関する疾患は、赤血球像、白血球像、血小板、骨髄像のうち、3つ以上該当することを認定の要件としております。
このように疾患によって異なる取り扱いが必要であるか、また、骨髄像を評価項目から削除した場合も含めてご議論いただければと思います。
以上で検討課題2の説明を終わらせていただき、先生方のご意見をいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
(直江座長)
検討項目の2はいろいろ意見が出たところだと思いますが、順番にいきたいと思います。
まず、4ページでございますけれども、異論が出なかった項目という中で、この「治療により貧血改善はやや(少し)認められるが、なお」の表現は削除でいいということで、これは必要ないだろうということで意見が一致しておりますし、「易感染症」というのは、これは先ほど既に所見のところで出てきておりますけれども、「易感染性」ということに変更でよいということでございます。
確認としましては、臨床所見の1ですが、従来のとおり貧血を含めた「貧血、出血傾向、易感染性を示すもの」とすることでよいかどうかということでございますけれども、貧血は輸血をすればある程度は改善するんですが、そこを踏まえて貧血、出血傾向、易感染性ということでいいかどうかということですが、この辺は貧血というのを省くかどうかなんですが、あってもいいかなというふうにも思うんですが、この辺、改めて中尾先生、いかがでしょうか。
(中尾構成員)
特にあってはいけないということはないと思いますので、残すということでよろしいんじゃないですか。
(直江座長)
そうですね。輸血をしないと貧血になるということで、輸血をしているということでございますので、1つだけ満たせば全て3つとも満たさないといけないということだと問題があるかと思いますけれども、そういうわけではないので、ここはこのままでいいんじゃないですかね、従来どおり。と、思いますけれども、いかがでしょうか、ほかの先生方。
特に、これはそんなに大きな意見があるところではないので、4ページ目はこのとおりというふうにしたいと思います。
それから、5ページ目でこれは何度も出てまいりますけれども、「高度」、「中度」、「軽度」というものとか、「ひんぱん」、「時々」、「必要に応じて」というこれは頻度の表現ですけれども、これも皆さんの前回までの意見としましては、あまり頻度を書き込んでしまうと外れた場合に非常に運用が難しくなるんじゃないかと。あまりがちがちに縛るべきではないんじゃないかということで、多くの構成員の方、納得いただいたと思うんですけれども、この辺、倉石先生、何かございますでしょうか。
(倉石構成員)
いや、特にこれ以上のことは。
(直江座長)
これでいいんじゃないかということでございますね。
現場で何かそれで混乱するということが特になければ、従来どおりこの表現を使っていくということでいいのかなというふうに思いますが、よろしいでしょうか。
はい。では、6ページですね。6ページは7ページや8ページとも関連しますので、6、7、8はつながっておりますので、まとめて。
ここはいろいろ議論があるところでございまして、先ほどヒアリングのほうでも具体的に赤血球数の削除の問題とか、網赤血球の問題というのも出たんですが、まず、この辺改めてそういう意見が出ているんですが、どうなんですかね。赤血球、ヘモグロビン、つまり、これは障害の程度ということなので、必ずしもこの病態そのものを的確に表しているのかどうかというと、私は個人的な意見としては、やっぱり貧血というのはヘモグロビンが薄い状態というふうに国際的にも定義されていますので、赤血球数が幾らあっても貧血症状はヘモグロビンが下がっていれば、これは貧血ですよね。
ということなので、ヘモグロビンに関しては、これはこれでいいのかなというふうに、つまり、これはこれでというのは、赤血球数というのはなくても、障害の程度としては赤血球数よりはヘモグロビンというのがスタンダードじゃないかなと思うんですが、ここもご意見、前回もいただいていますが、中尾先生、いかがでしょうかね。
(中尾構成員)
現実的な運用ということでいいますと、この造血不全の患者さんにおいて、障害を起こす患者さんの生活を制限する一番の要素というのは、やっぱり輸血だと思います。
今、輸血の基準というのは、輸血学会のガイドラインにて決められていまして、一応1つの目安としては、ヘモグロビンが7グラム、あるいは貧血に伴う自覚症状がある場合には輸血をしてもいいということになっていまして、実は赤血球というのはそこには全然入ってきていないんですね。
したがって、あまり現実的には赤血球というのは、診察室の場でも使われていないということで、あまり赤血球を残す必要性は患者さんにとってもそんなにメリットはないのではないかというふうに考えています。
(直江座長)
ありがとうございます。
(倉石構成員)
両先生のおっしゃること、全くそのとおりなんですけれども、先ほどちょっと高井先生ともお話していたんですけれども、ちょっとお聞きしたんですけれども、今度認定することになりますと、確かに参考人の方がおっしゃっていたように、どっちかには入るんだけれども、どっちかには入らないということが実際にあるわけなんですよね。
赤血球のほうでこの基準を満たしているかどうかで、等級が変わることもあるので、邪魔にならなければ置いておいてもいいかなというふうに私自身は思っているんですけれども、高井先生の意見も。
(高井構成員)
確かにヘモグロビン濃度と赤血球の数とのかい離するケースも、まれではありますけれども存在するということと、臨床上ヘモグロビンと赤血球と合わせて見ることが多々あるように思うんですね。
ですから、ヘモグロビンで規定するとクリアカットになるんですけれども、やっぱりあったほうがいいように思いました。
認定項目の数からして、多ければ複雑になる要素もありますけれども、幾つ以上ということになってくると、どちらか引っかかった場合はとれるので、そういった基準をつくるのならば、残しておいてもいいのかなという気がいたしました。
(直江座長)
意見がここから分かれているんですが、今のところは改めて84ページですかね。83ページ、84ページのところで、「ヘモグロビン7.0g/dL」と、赤血球数が「200万/μL」という2つの基準があって、いずれかに該当するということで、どっちかを満たせばいいと、こういうことになっているんですが、実際問題はこれ、赤血球は200万/μL未満で、ヘモグロビンは7.0g/dL以上という人が、そんなにいるのかなというふうに……
(倉石構成員)
いません。だから、ほんのちょっとのところなんですよ。
(直江座長)
要するに、ヘモグロビンも測定のたびにちょっとずつ変わりますよね、赤血球がね。
恐らくボーダーの方は、一番そのときの悪いデータが7.0g/dLを切っていれば、その基準を書くというところのほうが大きくて、実際問題ね、運用としては。赤血球そのものという、そんなには使わないんじゃないかなという、先ほども先生がおっしゃった輸血の基準というのも、ほとんどヘモグロビンなので。
(倉石構成員)
それは先生、そのとおりなんですよ。だから、認定するときの話をさせてもらっているわけなんですけれどもね。
(直江座長)
最初に、それとも、経過的に。
(倉石構成員)
認定はある時点での診断書で認定するわけですから。
(直江座長)
つまり、最初の認定ということですね。
(倉石構成員)
そうです。
(直江座長)
ということなんですが、この辺、患者さんのことを思えば、もう一つの基準があったほうがいいんじゃないかという。現在がそうだからという、そういうことですね。
ということですが、いかがでしょうか。
これは岡本先生。
(岡本構成員)
確かにどちらかで拾えるという方向でいけるのかもしれませんけれども、基本的には白血球は好中球、血小板は血小板、赤血球に関して2つの指標がある、1つでもいいのではないかなと考えます。
恐らくどちらが多い、少ないというのは、今僕たちが認定をしようとする疾患の中では、おっしゃったように極めてまれではないかと思います、そういうことは。
(倉石構成員)
もちろんです。ものすごく少ない。
(岡本構成員)
ですから、そこまでものを広げるのか、それともやっぱりバランスをとって明らかに高い、低いということで選んでいくんであれば、僕はこのほかの血球系と整合性をとるために要らないような気がします。ヘモグロビンがやっぱり一番ゴールドスタンダードですし、それで押すべきではないかと思います。
(直江座長)
ここで長々議論を続けますと、これは時間がかかりますけれども、前回異論がなかったということと、今日の意見で確かに赤血球数で救われる部分があるかもしれないと。ただ、あったとしても極めて少ないだろうということなので、とりあえず議論を進めるということを考えますと、現在の異論が出なかった事項ということで、今回ヒアリングで赤血球数のご要望を承ったんですが、今の段階では一応ヘモグロビンを使うということで、赤血球数は削除でよいという、前回の議論をそのまま踏まえて、一旦話を前に進めたいというふうに思います。
(中尾構成員)
もし記録があるようでしたら、ヘモグロビンが7.0g/dL以上で赤血球200万/μL以下の、過去の認定の事例とかを次回にでも、ここで見せていただいくというのではどうでしょうか。
(直江座長)
そうですね。はい。それは多分今の項目は仮置きですので、次回またこの話は出るかもしれませんので、もしそういうことは可能でしょうか。
(倉石構成員)
それは探すのが大変なぐらい、確かにまれではあります。
ただ、4月からで何件かあったと思うんですけれどもね。
(中尾構成員)
電子データにはなっていないんですか。紙で探さないといけないという。
(倉石構成員)
そうです。
(直江座長)
なるほどね。大変ですね。
ちょっとこれは後でまた事務局と相談いたします。
それから、2つ目ですね。「顆粒球」は「好中球」でよいということで、これは易感染性ということと、先ほどヒアリングでもこれは好中球でいいんではないかということで、好中球にするということで、これはご議論がなかったところでございます。
それから、「骨髄像」は削除でよいということで、前回この会で出たんですが、これは恐らくその骨髄像は最初の診断は必ずやっていると思いますね。1回目は必要なんですけれども、これは更新のときに要らないという、そういう意味だというふうに理解したんですが、これは倉石先生、どのぐらい書いてあるかという先生の感触、わかりますか。
(倉石構成員)
最近1例あったかな。僕はほとんど見ていないんですけれども、高井先生はどうですか。
(高井構成員)
あまりなかったように思います。
(直江座長)
書いてある症例がない。
(高井構成員)
あまりないと思います。
(直江座長)
ということは、これはでもしかし、最初の障害認定のときに要るかどうかということも含めて、どう考えるかということですね。
(高井構成員)
上のほうの血液・造血器の現症年月日と、検査成績の実施日があまりずれると、どちらの日付をとるべきかわからなくなるということなので、診断時の数字というのは必ずしも認定のときには要らないのではないかという気がいたします。
(直江座長)
だから、今の意見としましては、この診断書の表の書きぶりですけれども、ア、イ、ウとありまして、イの骨髄に関しては、恐らく診断時には恐らく必要で書くんだけれども、次の更新のときの血液検査所見としては日にちが随分ずれてしまうので、必ずしも2回目以降は要らないではないかという、そんなようなご意見だと思いますし、前回のご議論もそのような流れで入ったというふうに思いますけれども、ここはだから削除でよいという意味は、そういう意味であるということで、これは事務局のほう、何か初診には必要だけれども、更新のときには要らないという、そういうことだと混乱が生じるとか、そういうことはございますか。それでよろしいですか。
(米田障害認定企画専門官)
初診と更新でございますが、障害の認定ですと障害認定日と、事後重症あるいは更新時に障害の状態の確認を行いますが、これを分けて基準がつくられているものではないので、あくまでも一緒という考えで運用してございます。
(直江座長)
わかりました。そうしますと、そういう医学的な診断というのは別にされているという前提だとすれば、これは障害と直接骨髄像は結びつくものではないので、これは削除ということだと思います。それでいいですね。
つまり、障害と骨髄像は関係がないということで、これはよろしいですか。そういうことなら。
(中尾構成員)
私もそれでいいと思いますし、物すごく苦し紛れに書かれた骨髄の重症度分類になっていまして、実際に非常にナンセンスな項目ですから、むしろそれは省くべきだと思いますね。
(直江座長)
わかりました。
じゃ、この項目としては、「骨髄像」は削除でよいということで、改めて確認ということでよろしいと思います。
さて、一番議論があったのは、検討事項の項目でございまして、網赤血球についてということでございます。
これは中尾先生、改めてちょっと網赤血球のことについて。
(中尾構成員)
私が前回申し上げましたのは、A表の中で「輸血をひんぱん」あるいは「輸血を時々」、「輸血を必要に応じて行う」ということが、ある程度漠然とこのような表現で残っているとしますと、どこかで客観的な輸血の必要性がある患者さんにおいて、どのくらいあるかという、数字を挙げた方がいいだろうということで、それで、実を言いますと好中球あるいは血小板も含めまして、造血機能の程度を一番正確に、あるいは客観的に表す指標が網赤血球の絶対数であるということで、もしこのB表というものを残すのであれば、網赤血球数を評価しないというのは、非常に片手落ちになるというのが私の意見です。
実際、倉石先生からは申請書にはあまり記載されていないというお話があったと思うんですが、実は例えば再生不良性貧血の場合は、当然診断時には必要ですし、それから、特定疾患の更新のときにも必ず網赤血球という項目がありますので、さらに、その重症度がどうかという判定の中にも使われている項目ですので、それがあるからということが申請される医師に何か負担になるということは、少なくともないと思うんですね。
ですから、何かこれを残す、網赤血球を入れることが非常にデメリットになるということが、私自身はちょっと思いつかなかったものですから、何か1つ本来本当に客観的にある患者さんの骨髄機能がどうかということを、数字として入れるとすれば、網赤血球をB表の中に入れたほうがいいのではないかというのが、私の意見です。
(直江座長)
ありがとうございます。
網赤血球数をもし入れるとすると、これはB表になると思いますけれども、これは数字とかは大体この重症、中症、軽症くらいで、これは国際的に標準という数字はあるんでしょうか。
(中尾構成員)
それは重症度においてはあります。重症が2万/μL未満、それ以外は一応中等症になります。国際的には2万/μLしか使われていないんですが、経験的には6万/μL以上ありますと輸血が不要になりますので、中等症で輸血が要るか要らないかの基準は大体6万/μLになります。
ただ、国際的にそこまで記載されているものはないですね。
(直江座長)
一応2万/μLが一つの基準と。
(中尾構成員)
2万/μL未満ですと、非常に高度の骨髄不全で、赤血球輸血は週に1回、7日から10日に1回が必要というのは、世界的なコンセンサスだと思います。
(直江座長)
なるほど。この辺は、これは網赤血球が入った場合に、輸血で非常にこのヘモグロビンが上がってわかりにくい人でも、その網赤血球がもし2万/μL以上あるということになると、もうちょっとどうなんですか。将来的な予測ができる、あるいはその現在の障害の程度という点に照らしてみると、その輸血が妥当かどうかがわかりやすくなる。どんなメリットがあるのか。
(中尾構成員)
おっしゃるとおりで、輸血による影響は、例えば5千/μLぐらいの人が輸血をした翌日に、7、8千/μLぐらいまで上がることはあります。これは輸血によってある程度網赤血球は持ち込まれるためです。ただ、例えば網赤血球がもともと2万幾つの方が、輸血によって3万/μLになるということはありませんので、輸血に左右されない造血能の指標としては、一番確実だと思います。
(直江座長)
ということですが。
(中尾構成員)
ですから、私の意見としては、例えばA表の中の輸血を「ひんぱん」、「時々」、「必要に応じて」という、そこをもう少し具体的に、週に1回とか月に1回とか、そういうふうにされるのであれば、あえて網赤血球をB表の中に入れる必要はないと思うんですけれども、A表をこのようなある程度雑駁とした表現のままでいくとするのであれば、やはりどこかに1つは本当の客観的な骨髄像の評価を示せる数字は入れたほうがいいのではないかというふうに思います。
(直江座長)
これはある程度、骨髄像を反映した数値というふうに考えることもできるんですか。
(中尾構成員)
骨髄機能を表す最も信頼できる数字が、網赤血球数ですね。
(岡本構成員)
評価の方法なんですけれども、A表のところで輸血を「ひんぱんに」、「時々」、「必要に」というのは、具体的にそれはチェックをするだけということですか。
(倉石構成員)
チェックというのは。
(岡本構成員)
今、議論になっているのは、この輸血が「ひんぱん」等々のところを、どのようにコンシステンシーを保って評価できるかということだと思うんですけれども。それをより客観的にすると、前回も議論があったと思うんですが、1週間に何回以上とか、1週間に1回とか、時々とか、そういったよりもっと具体的な数でいくかということになります。確かにオブジェクティブなんですけれども、それが逆に首を絞めることになるかもしれないので、そこのところはそのような表現にしておいて、実際評価される方のある程度の目線は合わせるような、何らかの方策をとっていって、この形でいいんではないかという議論もあったと思うんです。
その先生がおっしゃる網赤血球というのは、よりそれを客観的にするという指標として組み込むかどうかということになると思うんですけれども、そこのところをまずどっちのほうを選択をするかというところを議論する必要があると思うんですけれども。
それがやっぱりオブジェクティブにもっとしっかりがちっとしたほうがいいということであれば、輸血の回数を規定するのか、網赤血球を入れるのかという議論になるのではないでしょうか。
個人的には、僕はこのままでいって、審査される方の目線が合うという形であれば、それでいいような気がしますね。
(直江座長)
今のこのA表の区分ローマ数字1、2、3は、この出される担当医の先生がどこにチェックされるかということだけですよね。
(倉石構成員)
そうですね。輸血の回数と期間で。
(直江座長)
そうですよね。
現在の項目というか書き方を見ると、これは輸血の回数及び総量というふうに書いてあるので、これがこれだけでは少しわかりにくいということなので、いずれどういうふうな形がいいのかということにはなると思いますが、今の中尾先生のお話は、この輸血のこの書き方が漠としているので、それに何か客観性を持たせるような指標として最も使い勝手がいいのは網赤血球ではないかと、そういうお話だったと思うので、私も前回これはなくてもいいのかなと思っていたのですが、今日のいろんなお話を聞いたり、一応骨髄像がなくなるということとか、赤血球数もなくていいといまだに思っていますけれども、とすると、骨髄機能のある程度の反映ということで、負担もなくて現在既に内にやられている網赤血球数を書かせるというのは負担でも何でもないので、骨髄像を書かせるほうがよっぽど負担ですので、あってもいいのかなというか、ちょっと思い始めたところなんですが。
(倉石構成員)
これ、骨髄像があってもなくても書いてないから同じなんですけれども、3つ満たさなきゃならないんですね、B表は。認定する場合に。
その場合に、骨髄像がなくなって、あくまでもこれは認定する立場からなんですけれども、網赤血球を入れますと、網赤血球が書いてあれば4つのうち3つになりますから、認定する立場としてはありがたい。これは学問的じゃなく、認定する立場としては。
(直江座長)
もちろん、項目が多いほうが認定はしやすいだろうと思いますし、今まで4項目だったところが1項目減っちゃうわけですからね。
(倉石構成員)
しかも、全部満たさなくちゃならない。
(直江座長)
そうですね。それは厳しいですね、大変ね。
(倉石構成員)
でも、今でもそれは同じなんですけれどもね。骨髄はほとんど書いていないですから。
(直江座長)
書いていない場合は、それはないものとして扱うんですか。
(倉石構成員)
でも、3つ満たさなきゃいけないです。あと、残り全部。
(直江座長)
ということは、結構厳しいわけですね。
(倉石構成員)
網赤血球を入れてもらって、それで3つにすれば、少し範囲が広がってくるんじゃないかと。
(直江座長)
なるほどね。わかりました。
網赤血球があることで認定されにくくなるという、そういう逆の危険性というのは中尾先生、そう心配することはないですか。
(中尾構成員)
そうですね、やっぱりそのローマ数字1、2、3をどの数字にするかによると思います。
私は本当の意味での重症というので、ローマ数字1は2万/μL未満がいいかなというふうに思ってはいたんですが、実は2万/μL未満というと、物すごく強い骨髄不全で、好中球でいいますと200/μL未満ぐらいになってしまうんですね。
したがって、そこまでいくとちょっとローマ数字1が非常に厳しくなり過ぎますので、つまり、そういう網赤血球へのレベルをどういうふうに設定するかによって、今まで認定された人が認定されなくなるということを防げると思います。
(直江座長)
ここの辺は今日決定する必要はないので、ある程度のデータ等に基づいて、適切な数値を考えるということでもよろしいかと思いますが、この辺、前回からの大きな議論でしたけれども、網赤血球数というのは今回、骨髄像を省くということで言うと、項目数も減るし、骨髄機能の反映ということで、あってもいいんじゃないかというのが今回の意見かなと思いますが、この辺はとりあえず入れるということで、岡本先生、どうでしょうか。
(岡本構成員)
確かに輸血の回数ということになってくると、どれくらいの期間と時期によっても均等にずっと入れているわけではないと思います。客観的になるとは思うんですけれども、逆にそれであれば輸血の頻回というところを括弧をしてしまえば、輸血の大体の必要性というのがわかってくるので、現実に近いものかなというふうに思うんですけれども。どこに設定していいかということが、なかなかちょっと難しいと思うので。
すみません、もう一つ。それから、これは本当に3項目を満たさなきゃいけないかという。それはいけないんですかね。
(倉石構成員)
それはそうなっているからそうしていただけで。それは検討していただければと思いますけれども、高井先生どうぞ。
(高井構成員)
3項目以上となっている以上、3項目というふうに考えています。ただ、ローマ数字1に……
(直江座長)
これは8ページの話にも多少絡む話ですけれども、再生不良性貧血ですと、これは3系統ともだめじゃないと認定されないと。ただ、例えば赤血球だけができにくいという場合には、1項目でいいというふうになると、これは再生不良性貧血にとっては非常に不利だということなので、これは必ずしもその血球系のどれか1つがこれ以下であれば、これは十分重症度としてはいいのではないかということなので、これは後の議論にもなるんですけれども、まさに岡本先生がおっしゃったとおりが8ページのお話です。
そうしますと、これは輸血の頻度を改めて数値化するかどうかということもあるんですが、これはなかなか先ほどの議論に戻ってしまうのであれですが、これは先ほどの網赤血球数を入れるとすると、具体的な数値をどうするべきなのかということもございますので、ちょっとこの辺は宿題ということで、これはなかなか議論が大きいところなので、ちょっと残したいと思います。
それから、今8ページのほうにいっていただくと、先ほど倉石先生がおっしゃったとおりで、B表に掲げる3つ以上に該当するものとされているが、ほかの疾患の例や、B表から「骨髄像」を削除した場合を考慮し、見直すべきではないかということで、この障害度としては3つとも満たせばいいんですけれども、赤血球だけがまだ基準を満たさない。それで、白血球や血小板は満たした場合でも、そうすると区分としては上がってしまうということは、ほかの疾患とのバランスから言うと、ぐあいが悪いのではないかという、そういうご指摘だと思いますし、これは少なくとも1系統がこの1、2、3、4のうちいずれか1つが満たさない場合には、最も悪いもので認定をするというところではないかと思いますけれども、岡本先生、それでよろしいですか。
(岡本構成員)
ええ。診断の確かさではなくて、重症度の問題なので、先生のおっしゃるとおりでいいと思います。
(直江座長)
中尾先生もこれでよろしいですね。
(中尾構成員)
はい。
(直江座長)
ありがとうございました。
これは議論がないところだと思います。
というところで、ようやく8ページまできました。
じゃ、9ページ以降、お願いします。
(米田障害認定企画専門官)
それでは、資料2の9ページ、検討課題3、出血傾向群の障害等級判定に用いる評価項目についてをご覧ください。また、あわせて障害認定基準の84ページA表、85ページB表をご覧いただければと思います。
項番(1)ですが、前回会合では、A表に記載がございます「凝固因子製剤を輸注している」は、「補充療法を行っている」に変更することについては、異論がございませんでした。
次に、確認事項ですが、前回の会合で、ITPの評価についてご意見がございましたが、従来の評価ではITPの症状として血小板減少による出血症状が挙げられますので、A表では「出血傾向」、B表では「出血時間」、「血小板数」で評価しておりましたので、ご確認いただければと思います。
また、検討項目では、血栓疾患に関する評価については、どのようにすべきかですが、血栓症などの現行の認定は、障害の表れた部位の認定基準により認定を行っていますが、血栓疾患として認定基準に具体的に例示できるかも含め、ご議論いただければと思います。
10ページの項番(2)でございますが、難治性貧血群でも同じような表現がございましたが、確認事項としてA表の重症度を評価する表現で、「高度、中度、軽度」や、「ひんぱん、時々、必要に応じて」はこのままの表現とすることでよろしいか、ご確認いただければと思います。
11ページ、12ページの項番(3)、(4)ですが、B表「検査所見」に関する見直しのご議論で、凝固因子欠乏の評価として、「APTT」を加え、検査数値も同じでよいことに異論はございませんでした。
確認事項ですが、「出血時間」は血小板無力症など、評価項目として必要な疾患もあることから、このままでよいかご確認いただければと思います。
次に、検討事項として、先天性血液凝固因子異常症の評価項目として、「凝固因子活性」を追加すべきか、また、追加した場合は検査数値をどうすべきか、ご検討いただければと思います。
血友病につきましては、世界血友病連盟が凝固因子活性による重症度を示しておりますが、フォン・ヴィレブランド因子を含む他の凝固因子についても、一律の検査数値で重症度を判定することはできないか、ご議論いただければと思います。
また、団体様から凝固因子製剤に係るインヒビターの指摘もございましたので、合わせてご意見等いただければと思います。
13ページの項番(5)につきましては、障害認定基準の84ページ中段の「障害の状態」の規定でございますが、このままでよいかご確認いただければと思います。
以上で検討課題3の説明を終わらせていただき、先生方のご意見をいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
(直江座長)
ありがとうございます。
それでは、9ページから議論を進めたいと思いますが、「凝固因子製剤を輸注している」は、「補充療法」ということに変えるということで、これは議論がなかったところだと思います。
それから、確認事項でございますけれども、ITPの評価項目としては「出血傾向」と「出血時間」、「血小板数」でよいかどうかということですが、これについて大きな議論はなかったと思いますが、改めて岡本先生いかがでしょうか。
(岡本構成員)
これでいいと思います。
(直江座長)
松下先生もよろしいですか。
はい。では、これはこのとおりで結構です。
血栓疾患に関する評価については、これはなかなかB表でたくさんある血栓傾向の区分を書き込むということは、難しいという議論がございました。
この辺を改めて、松下先生のほうからご意見をいただきたいと思います。
(松下構成員)
主な意見のところに書いてありますように、血栓傾向を呈する疾患については、仮にA表の区分ローマ数字1、この3つに便宜的に分けて、B表については今、直江先生がおっしゃったように抗凝固因子活性、アンチトロンビンとかプロテインCとかプロテインSといったようなタンパク質に関しては、一般的な出血する血友病なら凝固因子活性の分類に当てはまりませんので、なおかつ必ずしも抗凝固因子活性の数値によって重症度がきっちりと線が引ける、ある程度線が引けるといった血友病のようなことが当てはまらないことから、血栓傾向に関しては必ずしもB表をつくる必要はないのではないかというふうに、ちょっと個人的には考えているところです。
(直江座長)
血液はあまり細かく表を書き込めば書き込むほど大変になっていきますけれども、この今の松下先生のA表の案としてはそこの下に書いてあるんですが、これを松下先生、「致死的な血栓症を起こしたもの」というものを書くということは、その言葉の意味としては、将来また致死的な血栓を起こす可能性があるものと、そういうふうな理解でよろしいでしょうか。
(松下構成員)
はい。そういったことと、もう一つは致死的な血栓症といいますと、一般的に肺梗塞とか脳梗塞とか、腸間膜の広範な血栓症で、場合によっては非常に腸間が多数摘出するに至ったとかといったことがあると思うので、いずれにしても重い後遺障害につながりますので、そういったことも含めてこれを区分ローマ数字1とするべきだというふうに考えます。
区分ローマ数字2に関しては、実際にはアンチトロンビン欠乏症にしても、無症状ではあるが抗凝固療法を行わないといけないような方もいらっしゃいますので、そこでローマ数字2と3を線を引いてはどうかと。
例えば、大腿静脈に血栓症を起こして治療した経験があるとか、そういった方に関しては真ん中ぐらいの症例としてはどうかというふうに考えます。
(直江座長)
血友病を対象にしていると思いますけれども、現在でも高度の関節症状のあるものを区分ローマ数字1、それから、中度の関節症状のあるものをローマ数字2としているということから見ると、血栓症もこれに準じた区分があってしかるべきということだろうと思いますけれども。
それから、今のお話にあったように、B表に関してはこれをいちいち決めるのはなかなか難しいということで、あえてつくらない、あるいはこのB表の運用については、別途定めるというようなところかと思いますが、これはなかなか難しい話だと思いますから、事務局から何かこの辺のこと、ございますでしょうか。そういうようなことでもいいのか。部分的にB表がないなんていうのは困るということは、どうなんでしょう。
(米田障害認定企画専門官)
ちょっとその前に、「致死的な血栓症を起こしたもの」という表現なんですけれども、今、松下先生が言っていただいたのは、現在もその障害の状態にあるという意味で、この文言をということであれば結構なんですけれども、障害の認定において、過去に血栓症を起こしてそういう状態にあったという過去の障害の状態を基準にするというつくりになっていないものですから、現状こういった症状であるといった方がどうなんだろうということでつくられているものでございますので、ちょっと簡単になり過ぎてしまうかもしれないんですけれども、高度の出血傾向というところに高度の血栓傾向というのを入れる程度で、文言的に整理することはできないか、ご意見をいただければと思います。
(松下構成員)
確かに今、事務局からお話があったように、それも一つの考え方だと思うんですよね。あまり細かく書いてしまうと、当てはまらない人をどっちにしたらいいかわからなくなってしまうし、正しい認定にならない可能性もあるので、専門医が記述するとして、これはローマ数字1、2、3どれに当てはまるんだろうかということを考えたときに、そういう意味なんだなということがわかれば、今の事務局の提案でもいいような気もします。
(直江座長)
高度、中度、軽度ということは、出血傾向では定められているところなので、ここの運用として特にきちっとコンセンサスが得られていれば、それが一番いいのかなと思いますが、これは具体的にどうなんですかね。
例えば倉石先生、何かこの辺で現場では非常に困るとか、そういうことが起きずに、ある程度整理されるものでしょうか。数もそれほどないでしょうか。
(倉石構成員)
ないというより、私、去年の4月で1年間ちょっとないもので、高井先生のほうが。
(高井構成員)
私の経験では抗リン脂質抗体症候群がありました。
アンチトロンビン3欠損症とか、あまりそういうレアなケースというのは出てきたこと、記憶がございません。
(直江座長)
わかりました。
今の事務局提案ですと、この表現については再考の余地ありということで、松下先生も基本的にはその方向でいいんではないかというご発言だったんですが、ということで整理させていただいていいでしょうか。
B表がないということについては、どうでしょうか、事務局のほう。
(米田障害認定企画専門官)
B表がないことについては、一応81ページの(5)の最後の行の2行になるんですけれども、血液・造血器疾患の病態というのが各疾患によって差異があるものですから、「検査成績のみをもって障害の程度を認定することなく」ということで、代表的な疾患的には一部例示という形で規定しているんですけれども、あくまでもいろんな疾患を考えたときに、この決められている一部例示だけの検査成績ではちょっと決められないという場合には、ここで総合的に認定するということで、書かれてございまします。
(直江座長)
ありがとうございました。
大変いいコメントが書いてあるということで、これを適用するということであれば、必ずしも全部を書き込む必要はないというふうに今、理解しました。ありがとうございました。
それで、10ページのところ、これは先ほどの議論とも少し関係しますけれども、この表現について、先ほど輸血で出たとおりなんですが、これは前回の話ではこれをもう少し具体的に書き込むという意見は特になくて、このままの運用ではどうかという話だったので、これはこのままでよろしいでしょうか。
はい。ありがとうございます。
そうしましたら、11ページのところで、APTTにPTを加えるということは異論がなくて、評価項目としてたしか出血時間がないとフォン・ヴィレブランド病とこの血小板無力症ですか、この診断ができなくなってしまうということなので、これは加えておいていいんではないかという、そういうご意見でございました。
それから、検討していただきたい項目で、凝固因子活性を追加すべきではないかということが今回出てきているんですが、これについてもちょっと松下先生、追加していただけますでしょうか。
(松下構成員)
佐野さんの意見にもあったように、血友病以外の重篤な凝固因子欠乏症に関しても、きちっと評価して認定したほうがよいのではないかというふうに、私も思っています。
もう一つは、PT、APTTのみでは、必ずしもこれはWFHの基準にしたがってということになりますけれども、3つに分かれている重症、中等症、軽症といった重症度分類が行いにくいということもございますので、あくまでも個人的な案ですけれども、新たに凝固因子活性といったものを設けてはどうかと、こういうことであります。
それについては、12ページの参考のところの表がそれに当たるのかと思っています。
ただ、これはあくまでも血友病対象、世界血友病連盟の表なので、先ほど佐野さんからお示しになられた各種の凝固因子欠乏症の中には、これでも分類できないものがあることは事実です。細かいことを言い出せばきりがないということですね。
(直江座長)
ありがとうございます。
この活性ということであれば、後天性の場合もこれでいけるんでしょうか。
(松下構成員)
後天性の凝固因子欠乏症を障害年金の対象とするかどうかということに関しては、ただちに僕としてもちょっと判断しにくいですね。この制度のポリシーから考えてどうかということも、議論があるかと思いますけれども。もちろん、患者さんは大変苦しんでいらっしゃるし。
(直江座長)
ごめんなさい。後天性というのは、インヒビターのですね。
(松下構成員)
大平さんからいただいたインヒビターの方については、確かに基本的に重症血友病の症状の一段上の重症度を持ってあるということは事実です。定期補充療法を行って出血の予防ができる状態では、基本的にはない。バイパス止血療法による定期輸注というのが保険で認められるように数年前になって、ある程度の定期補充療法ができるようになっているんですが、インヒビターのない血友病の方に比べて、定期補充療法の予防効果というのはそれほど著しくないと言われています。
ですので、インヒビターがある方の生活状態の厳しさというのは、インヒビターのない方に比べてより厳しいというふうに考えざるを得ないんですが、今この3つに分かれている認定の中に、そのさらに上位にインヒビターのある方ということの制度上の仕組みをどうすればいいのかというのは、ただちに私もどうすればいいのかはちょっと、答えに窮しているところです。
それと、今後定期補充療法もしくは定期的な薬物療法によってインヒビターのある方についても、出血をより効果的に予防できる治療法が、治験中のものを含めて出てくる可能性は割とあると言われているので、そういったときを見越してこれをつくっていかないと、と思います。
現在、保険で使用できる薬物療法の中では、定期補充療法によって有効にインヒビターのある方の出血を予防できるというものは完全には存在しないので、その点を考えて数年先にわたってこの制度をどうつくっていくのかということはちょっとあるかと思います。
(直江座長)
ということで、インヒビターに関してはこの凝固因子活性を測定すれば、その人たちの重症度もこれでは評価は必ずしもできない。
(松下構成員)
インヒビターについては、インヒビター力価というのを別に測定いたしますので、インヒビター力価がある一定レベルのもの以上の方はインヒビター陽性血友病ということになりますので、そういった方に関しては、治療法が別になりますから、単純にインヒビターの数字が5個以上、5個以下というものではちょっとないのかなと思います。
(直江座長)
将来的には別途考える、あるいは表だけではない運用が必要だという。
(松下構成員)
事務局の方はどういう運用を考えてくれるのかというところになるんですけれども、もしインヒビターのある血友病を新たに上位に置くとすると、別の考え方がいいのかなと思います。
(直江座長)
ありがとうございました。なかなか……
(岡本構成員)
すみません、戻って恐縮なんですけれども、出血時間に戻るんですけれども、前回の議論で診断ということだったんですが、先生、これは無力症とかそういったものの重症度にということで、ここに入れたほうがいいということでしょうか。
(松下構成員)
出血時間によって重症度を分類できるかということに関しては、医学的にはどうかなという部分がありますが、今現時点でここにあるわけで、じゃ、これが全然要らないのかと。
要するに、障害年金を認定するに当たっての重症度分類に全く参考にならないのかなというと、そうでもないのかなという気もして、迷うところではあるんですが、あってもいいのかなというふうにちょっと消極的に思っているというところです。
(岡本構成員)
ただ、恐らく多くの病院でデューク法を今あまりやらなくなっているんじゃないですか。
(松下構成員)
やりません。
(岡本構成員)
ですから、少なくともこのデューク法を直す必要があるのではないでしょうか。
(松下構成員)
そうですね。そこはちょっと考えてもいいのかなと思うんですけれども。
(岡本構成員)
少なくとも、恐らく出血傾向で切って、とまらないから、とまるからということで重症度が判断できるというのは先生、なかなか難しいんじゃないか。
(松下構成員)
おっしゃるとおりなんですけれども、あえてこれがなくても重症度分類がほとんどの病気でできると思うんですが、今先生がおっしゃった無力症の方とかはどうするのかなというのがちょっと思いつかないですね。
(岡本構成員)
それは出血の程度しかないですよね。
(松下構成員)
出血の程度しかない。それこそA表でしか表現できないということになります。
(重永事業管理課給付事業室長)
先ほどの松下先生のお話のほうに戻ってしまうんですけれども、インヒビターの関係の等級のお話なんですが、障害年金制度上、1級、2級、3級ということで、厚生年金は3級までありますし、国民年金については2級まであるということで、この枠組みというのは動かしづらいというふうに思っております。
その中でインヒビターの方について特定のこういう要件を設けて、こういうような方については何級を検討するとか、そういうような形でインヒビターの方について特定の評価を明記していくということはあり得ると思っています。
(直江座長)
ありがとうございました。
インヒビターの件も、ちょっと宿題ということでよろしいでしょうか。
はい。ありがとうございました。
今、血小板の話に戻りますけれども、今の話だと診断には必要な疾患はあるけれども、必ずしも重症度ではないのではないかというご指摘なんですが、これは省くとまずいですか。
(松下構成員)
最終的にはなくても恐らくA表があれば分類できると思うんですけれども、そういった形で困る疾患は極めて少数だと思います。
(直江座長)
どちらかというと、これはB表を細かくすれば自分たちの首を絞めるというところもありますので、やはり障害の程度としては全体の状態で、しかもA表でそれは血液疾患によっているんだということが関連づけられるということが必須で、B表はそれをサポートするものであるということから言うと、B表ありきじゃないんだろうというふうに思いますので、じゃ、ここはカットにしましょうか。
はい。ありがとうございます。
ということで、戻っていただいて、12ページまで来たわけでございますが、最後の13ページですね。
これはこのままでいいということで、前回ご議論いただいた部分で、大きなディスカッションはないと思います。
ありがとうございます。
そうしましたら、最後ですけれども、あと残り時間も少ないんですが、14ページ以降をお願いできますでしょうか。
(米田障害認定企画専門官)
それでは、資料2の14ページ、検討課題4、造血器腫瘍群の障害等級判定に用いる評価項目についてをご覧ください。
また、あわせて障害認定基準の85ページA表、86ページB表をご覧いただければと思います。
項番(1)ですが、前回会合では、A表に記載がございます「易感染症」は「易感染性」に変更することについては、異論がございませんでした。
次に、確認事項ですが、臨床所見の「発熱、骨・関節痛云々」については、一部の所見が即していないとのご意見もございましたが、認定する際に必要とのご意見もあり、従来のままでよろしいかご確認いただければと思います。
また、「急性転化の症状を示すもの」などについては、近年の医学的知見に基づくものとなっていないとのご意見から、削除することをご確認いただければと思います。
検討事項では、治療の必要性を継続していることが重症度の評価になるとのご意見から、障害等級判定の評価項目として「治療に反応しないもの」、「治療にある程度反応するもの」、「治療によく反応するもの」の規定について、ご議論いただければと思います。
16ページの項番(2)でございますが、確認事項として、他の疾患群でもございました、重症度を評価する表現で「著しいもの」、「あるもの」や「ひんぱん」、「時々」はこのままの表現とすることでよろしいか、ご確認いただければと思います。
17ページの項番(3)ですが、B表「検査所見」に関する見直しのご議論で、易感染性の評価として、「顆粒球」を「好中球」へ変更することに異論はございませんでした。
確認事項ですが、貧血に係る評価項目としては、「赤血球数」より「ヘモグロビン濃度」のほうが適切とのご意見があり、変更することでよろしいか、ご確認いただければと思います。
検討事項としては、前回の会合で検討事項とされていましたが、お時間の関係でご意見をいただけなかった「病的細胞が出現しているもの」、「白血球数が正常化し難いもの」、「白血球が増加しているもの」は、事項として適当か。また、医学的知見からすると、違和感があるとのご意見をいただいた、CRPとLDHについては、評価項目として適当であるかご議論いただければと思います。
18ページの項番(4)では、B表の区分ごとの重症度を示す検査数値につきまして、前回の会合で特にご意見をいただいておりませんが、このままの数値でよろしいかご確認をお願いいたします。
19ページの項番(5)につきましては、障害認定基準の85ページ中段の「障害の状態」の規定がございますが、このままでよいかご確認いただければと思います。
最後に、20ページの検討課題5、造血幹細胞移植の取扱いについてでございますが、検討事項として腎臓や肝臓に移植をした場合の認定基準をもとに、GVHDの程度を加えた規定にすることを考えております。
具体的には、「造血幹細胞移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、移植片対宿主病(GVHD)の有無及びその程度、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する」との規定を加えるべきか。
また、再認定の際の規定として、「障害年金を支給されている者が造血幹細胞移植を受けた場合は、移植片が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする」と挙げてございます。
以上で検討課題4、5の説明を終わらせていただき、先生方のご意見をいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
(直江座長)
ありがとうございます。
ここもまだ十分議論が尽くされていないところでございまして、今日も一応6時半まででしたっけ、ですよね。10分ぐらい延ばしてもよろしいでしょうか。
(米田障害認定企画専門官)
よろしければ、10分程度お願いできればと思います。
(直江座長)
じゃ、10分だけ時間をいただいて。いつもこれは造血器腫瘍のところは時間切れになっちゃって、なかなかここまで進まないんですが、まず、14ページのところでございますが、これは「易感染性」に変更でよいということは、それでよかったと思いますし、評価項目として発熱等々がいろいろございますけれども、このままでよいかということなんですが、特にご意見はないかと思いますが、評価項目としてこのCMLの急性転化を念頭に置いた記載ぶりになっていたんですが、これをどのように変更するかというのは、これ、結構難しいところで、特に検討事項のところで区分ローマ数字1、2、3などの重症度に関する規定をどうするべきかというのは宿題でございました。
先ほどのちょっと議論にもありますけれども、がん全体のほう、悪性腫瘍全体のほうとしましては、先ほど配っていただいたこの認定基準の90ページにありまして、これが一般状態区分の下に障害の程度1級、2級、3級で、ほとんどこれ、書きぶりが大分血液とは違うんですね。
同じ腫瘍でも造血器腫瘍だと非常に細かくて、治療の反応性ということを書き込んでいるんですが、悪性腫瘍全体として見ると、著しい消耗とか障害のために、一般状態区分の例えばオに相当するもの、またはウに相当するものというふうになっているので、これは血液をあまり細かく書き過ぎるというのも問題で、例えばこれで倣うとすれば、ここは悪性腫瘍のために一般状態区分何々というのでも通るんではないかというふうにも思いますが、ここら辺はどの程度書くべきなのか。
悪性腫瘍と言っても、非常に状態のいい方から、先ほどヒアリングで出たように薬の障害とか副作用で苦しんでいらっしゃる方から、それから、いまだに難治ということで度重なる治療で非常に全身状態の悪くなっていく方、これは時間は限られておりますけれども、さまざまある中でどういうふうに、ざっくりと必要な人にそういう届くような形で書くべきなのかということを、ちょっとこれ、全体として考えなきゃいけないのかなと思ったんですが、この辺どうでしょうか。
岡本先生、いかがでしょうか。
(岡本構成員)
基本的には先生のお考えでいいと思うんです。
ここのがんのところを見ると、当初、造血器腫瘍ってなかなか治りにくかったので、固形がんと全く違う視点だったんですけれども、治療の進歩によってかなり似通ってきたところはあると思うんですね。ですので、ここと整合性をとるような形でいいのではないかと思います。
実際にB表を使ってその重症度というものを客観的にこれだけ多数の疾患がある中でも無理なので、それはやめて、先生が今おっしゃったような形で腫瘍に伴う症状などの文言を入れることと、先ほどブリーフィングであったように、今の現状、それから、これからの治療薬の導入のことを勘案して、治療に伴う副作用等でということも文言をしっかり入れて、1つの大きな表にまとめるのが一番すっきりする形ではないかと思います。
(直江座長)
ありがとうございました。
今、非常に貴重なご意見だと思うんですが、やっぱり腫瘍そのものによる症状と、腫瘍があることによって正常造血が障害されて出る症状と、それから、今おっしゃったように治療そのものによって起こってくる症状と、大きくこの造血器腫瘍の部分は3つに分けられると思うんですね。
そういうような言葉がもとで、例えば障害区分の何とかに相当するような障害があった場合には、広く認めるということで、確かにこのB表は自分たちで考えても、考えれば考えるほど袋小路に入ってしまって例外が幾らでも出てくると。
つまり、腫瘍だといっても数がふえるだけではなくて、数が減るような腫瘍も中には存在しますので、これは一般論として言うのは非常に難しいですね、実際。
ということなので、これは腫瘍の白血球系に関しては、ちょっとこれは大幅に考える必要があるのではないかと。
特に、この十数年最も治療法が変わったのもこの造血器腫瘍の分野ですので、今日のヒアリングを踏まえて、少し大きな宿題にさせていただいてよろしいでしょうか。
この辺、倉石先生とか、高井先生、いかがでしょうか。最近随分変わったなという。
(高井構成員)
おっしゃるとおりだと思います。
(直江座長)
時間がないからといって、こういうまとめ方をしちゃいましたけれども、これはやむを得ないのかなと思いますけれども、事務局のほうとしてはどうでしょうか。
(米田障害認定企画専門官)
座長にご相談させていただいて、次回また提案させていただければと思います。
(直江座長)
ありがとうございました。
何か今この腫瘍に関して、加えたいというかこれをぜひ入れたらどうかという、ほかに何かコメント等はございますでしょうか。
ということで、今まではなかなかなりにくかった、適用される方も少なかったと思うんですが、今後は治療の進歩によって随分病態や障害の程度というものも変わってくるだろうと思いますので、ここは少しじっくり考えて進めたいというふうに思います。
それでは、どうも時間を超過しましたけれども、貴重なご意見をありがとうございました。
それでは、事務局のほうに……
(岡本構成員)
先生、造血幹細胞移植のところ。
(直江座長)
まだ抜けていましたか。
(岡本構成員)
検討課題5のところ。
(直江座長)
最後のですね、ごめんなさい。
20ページです。これは前回の検討事項を引き継いでおりますけれども、この辺の、今日のヒアリングを踏まえてちょっと岡本先生にコメントを。
(岡本構成員)
新しいところなんですけれども、私の考えを述べさせていただきます。
移植の後の障害ということで一番問題なのは、慢性の移植片対宿主病です。これはここにありますように腎臓は腎臓、肝臓は肝臓というそのスケールを使うのは、なかなか難しいです。
理由は、複数の臓器が同時に障害をされてくるものがありますし、この各臓器の障害の程度では当てはまらない臓器も存在をします。ですので、これは慢性移植片対宿主病の重症度というのものしっかりとグローバルな基準がありますので、それをぜひ使っていただければと思います。
それに関しては、日本のバリデーションも済んでいますし、その重症度というものとクオリティー・オブ・ライフがイコールであるということがわかっておりますので、それは非常にリーズナブルなものだと思います。
そこから外れるものとしては、全くこういった合併症はなく、腎障害等だけが起こってくるとか、そういったものに関してはおのおのの臓器のものを使うということでよろしいんではないかと思いますが、その慢性移植片対宿主病と、やっぱりそれが今一番移植の後の患者さんの障害に大きく関与しているものですので、その病態はそれに伴う合併症に関しては、そのスケールを使うのが僕は妥当ではないかと思います。
それから、また原病が再発をしてくる方もありますから、その場合にはまたその原病に伴う、先ほどの腫瘍のものを当てはめればいいのではないかと思います。
時間に関しては、今のトレンドとしてはどこまでというのはありませんが、少なくとも造血、血液をつくる力が戻り、治療の対象となった疾患が治癒して、再発をしていない状態でというところから始めるのが妥当ではないかと思います。
以前は3カ月以降に慢性移植片対宿主病を診断するという基準がありましたけれども、それは全く人為的なもので、今はそれはなくなりました。ですから、どこからがいいか悪いかというところは議論をしなくてはいけないと思いますが、1年前後というような区切りではなく、ちょっと今思い浮かびませんけれども、現実に沿った形の時間軸というものを設けることが必要だと思います。
(直江座長)
とすると、これは改めてこれは事務局と相談をして、その基準を、障害のグレードの認定に応用するということでよろしいでしょうか。
(岡本構成員)
はい。ぜひ世界的なものとバリデーションできているので、お送りしますのでそれを見ていただいて検討いただければと思いますが。
(直江座長)
はい。じゃ、これはまた次回ということでよろしいでしょうか。
それでは、ちょっとちょうど10分延長しましたけれども、事務局のほう、よろしくお願いします。
(尾山事業管理課給付事業室長補佐)
本日は構成員の皆様、並びに団体の皆様方には、お忙しい中ご出席いただき、大変ありがとうございました。
次回は本日のご議論などを踏まえまして、認定基準の改正案、それから、診断書の改正案もご提案させていただきまして、ご意見をお伺いしたいと思っております。
なお、次回の日程につきましては、皆様方と調整の上、後日ご連絡を差し上げたいと存じます。
以上でございます。
(直江座長)
ありがとうございました。
遅くまでご苦労さまでした。
<照会先>
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