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2016年12月21日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成28年12月21日(水)17:00~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

稲 田 英 一、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 倉 根 一 郎、 
鈴 木 邦 彦、 千 堂 年 昭、 田野崎 隆 二、 長 村 登紀子、 
花 井 十 伍、○濱 口   功、◎半 田   誠、 前 野 一 雄、 
益 子 邦 洋、 溝 上 雅 史、 三 谷 絹 子、 室 井 一 男、
山 口 照 英
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)五十音順

衞 藤   隆、 大 戸   斉、 小 幡 純 子、 嶋   緑 倫、
三 村 優美子

日本赤十字社

佐竹経営会議委員、井上経営企画部次長

行政機関出席者

一 瀬  篤(血液対策課長) 他

○議事

○血液対策課長 定刻となりましたので、ただいまから「平成28年度第2回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催いたします。本日の会議は公開で行います。本日は、衛藤委員、大戸委員、小幡委員、嶋委員、三村委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、倉根委員、鈴木委員、山口委員から遅れて参加されるとの御連絡を頂いております。全委員22名中、14名の出席を頂き、定足数を満たしておりますので、薬事・食品衛生審議会令第九条により、本部会が成立したことを御報告いたします。また、本日は日本赤十字社血液事業本部から、佐竹血液事業経営会議委員、井上経営企画部次長にお越しいただいております。

 議事に入る前に、薬事分科会審議参加規程に基づく審議参加等の可否について御報告申し上げます。本日の議題については、議決を求める議題はなく、退席委員はありません。これ以降の撮影は御遠慮いただきます。この後の進行については半田部会長にお願いいたします。

○半田部会長 皆様こんにちは。それでは、資料の確認を事務局からよろしくお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。議事次第が1枚目にありまして、2枚目に座席表、その次に委員名簿があります。その後、資料1-1、平成29年度の血液製剤の安定供給に関する計画()について、資料1-2、平成28年度の原料血漿の配分変更について(報告)、資料2という紙が1枚ありまして、資料2-1、献血推進に係る新たな中期目標、資料2-2、平成29年度の献血の推進に関する計画()、資料2-3が横長になりまして、平成29年度の献血の推進に関する計画()の新旧対照表です。その次が参考資料2-1、献血者数の推移、参考資料2-2、献血率の推移(年代別)です。資料3とした1枚紙がありまして、資料3-1、東京地域におけるHEV感染実態調査、その下に、参考資料3-1、輸血用血液製剤に係る受血者へのHEV感染症防止対策について、資料3-2、血小板製剤への感染性因子低減化技術の導入について、資料3-3、血液事業部会安全技術調査会、HBV-DNA国内標準品及びHIV-RNA国内標準品の力価の再評価、資料3-4、日本赤十字社におけるヘモビジランス2015、資料3-5、感染症安全対策体制整備事業(平成27年度)実績報告、資料3-6、NATコントロールサーベイ事業(平成27年度)実績報告です。

 資料4-1、供血者から始まる遡及調査実施状況、資料4-2 1.として、原料血漿の貯留保管見直しについて、参考資料として原料血漿の貯留保管期間の見直しについて、次が横長の資料4-2 2.、国内各社の原料血漿の保管状況等、資料4-3、血液事業部会等で出された御意見、その次は資料4-3の続きで、トロンビンの供給停止について。資料4-4、シャーガス病に対する疫学調査の結果についてという1枚紙があります。資料4-5、平成27年度諸外国における献血血液の安全対策等調査報告書概要、資料4-5の別添として、問診票が横長で付いております。

 資料5は1枚紙がありまして、横長の資料5-1、平成27年度血液製剤使用実態調査報告、資料5-2、平成27年度血液製剤使用実態調査(血液・血漿分画製剤使用状況と自己血輸血)。資料5-3が1.から3.まで、まとまっておりまして、輸血管理体制-小規模医療機関-と書いてあるカラーのものです。資料5-4、「血液製剤の使用指針」()、参考資料5-1、現行の「血液製剤の使用指針」の一部改正について。

 それと委員限りとして、委員参考資料として、ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言、一番最後に、その概要を横長の紙1枚でお示ししております。以上です。乱丁落丁等がありましたらお知らせください。

○半田部会長 皆様、大丈夫でしょうか。今日も非常に盛りだくさんの内容で、2時間という時間内で終わらせたいと思いますので、委員の皆様方にはよろしく御協力のほどお願いいたします。

 最初に議題1に入ります。平成29年度の血液製剤の安定供給に関する計画()についてです。これについては、血液法の規定によりまして、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて策定されます。本日、この場で皆様方の御意見を伺って、部会の意見としてまとめたいと思います。最終的には、3月に開催予定の部会において、皆様方の最終的な判断を仰ぎたいと思います。最初に事務局から資料1-1、資料1-2について説明をよろしくお願いします。

○事務局 議題1は、平成29年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()についてです。資料1-1について説明させていただきます。需給計画は、血液法第25条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。資料の2ページを御覧ください。血液法第25条第2項に規定されている、本計画で定めることとされている各事項について、第1の平成29年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量は、4ページの別表第1に、第2の平成29年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、5ページの別表第2に、第4の平成29年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、6ページの別表第3に、それぞれお示ししております。

 別表第1から第3の需要見込量や、目標量に関しては、血液法に基づく関係製造販売業者からの届出や、近年の供給実績を基に、医療需要に対して過不足が生じることなく、安定的に供給されるよう算出したものです。

 2ページに戻って、第3の平成29年度に確保されるべき原料血漿の量の目標は、93.5万Lとしております。この目標量の算出の考え方については、8ページで触れさせていただきます。

 第5のその他原料血漿の有効利用に関する重要事項の1、原料血漿の配分ですが、3ページを御覧ください。1の原料血漿の種類ごとの標準価格については、次回開催される当部会において、日本赤十字社や国内製造販売業者の財務状況等を踏まえて、御審議いただくことになりますので、今回は空欄とさせていただいております。

 また2は、採血事業者である日本赤十字社から、各国内製造販売業者への平成29年度における原料血漿の種類ごとの配分見込量です。最近の需要の動向や、在庫状況などを勘案して配分しているため、各製造販売業者により、年度ごとに配分量の変動はありますが、全体としては安定供給に必要な量の配分が可能となるよう調整しております。

 次に8ページを御覧ください。平成29年度の原料血漿確保目標量()は、平成28年度と比較して1.5万Lの減とし、93.5万Lとしております。2.の各製造販売業者への配分量は、凝固因子製剤用が計50.5万L、その他の分画製剤用が計46万L、合計は96.5万Lとなります。平成28年度と比較すると、血液凝固第 V III 因子製剤の在庫に少し余裕があることから、凝固因子製剤用の配分量がやや減少しております。一方、その他の分画製剤用は、免疫グロブリン製剤の適応症の拡大による需要増が見込まれるため多少の増加となっています。また、各製剤販売業者への配分量と、日赤の確保目標量との差3万L分についてですが、平成17年度以降、国内自給の推進には将来にわたって安定的に原料血漿が確保・供給される必要があり、毎年度献血者を安定的に確保する必要があるので、製造販売業者の原料血漿必要量に多少の余裕を見込んだ確保目標量の設定が必要との考えに基づき、一定量の上乗せを行ってきた結果、日赤の在庫量が確保されていることから、有効期間の問題もありまして、在庫分から一部を配分するものとなります。

 次は11ページの平成27年度需給計画の実施状況です。一番下の原料血漿確保実績ですが、確保目標量91万Lに対して、90.9万Lを確保し、確保目標量を達成しております。

12ページの5.原料血漿の配分計画量と実績については、化血研製剤の出荷差止めを受けて、代替品増産のため、化血研に配分する予定の原料血漿から約5万Lを融通の上、日本製薬株式会社に配分しました。

13ページの別表を御覧ください。アルブミン製剤の国内自給率については、平成19年度の62.8%をピークに横ばいの状況が続いており、平成27年度は前年度と比較すると1.3%下がり56.4%となっております。

 血液凝固第VIII因子製剤については、遺伝子組換え製剤のシェアの伸長により、国内血漿由来製剤の自給率は低下の状況が続いております。また、人免疫グロブリン製剤の国内自給率は0.2%下がり95.6%となっております。各製剤の国内自給率の推移については、19ページ及び20ページを後ほど御覧ください。

 次に14ページの平成28年度需給計画の上半期(4月~9月)の実施状況です。化血研製剤の出荷差止め、また今年4月の熊本地震による化血研の生産ライン停止に対応するため、引き続き他社に増産や追加輸入を依頼しました。なお、化血研の生産ラインは9月までにおおむね復旧し、稼動を再開しております。

 こうした取組によりまして、全体としては製造輸入量は順調に推移していますが、アルブミン、組織接着剤、乾燥人血液凝固第I X 因子製剤、乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤及び人ハプトグロビン製剤については、化血研製剤の出荷差止めなどの要因によりまして、上半期の製造輸入量や供給量の需給計画に対する達成率が低くなっております。

 今年度、上半期の原料血漿確保実績ですが、確保目標量95万Lに対し、50.8%の48.3万Lが確保できており、製造販売業者へは計画どおり配分できるものと見込まれます。なお、5.の2つ目の○については、この後、資料1-2で説明いたします。

 次に16ページの別表を御覧ください。今年度上半期のアルブミン製剤の国内自給率は52.2%となっております。ここ数年横ばいの傾向が続いておりますが、化血研製剤の出荷差止めや熊本地震による影響もあり、平成28年度は下がってしまうのか、下半期の状況を注視したいと思います。また、組織接着剤の自給率が低下しているのもアルブミン製剤と同じ理由によるものです。血液凝固第VIII因子製剤は、引き続き国内血漿由来製剤のシェアが低下しております。人免疫グロブリン製剤の国内自給率は0.7%低下し94.9%となっております。

 以上、平成27年度、平成28年度上半期のいずれも、化血研製剤の出荷差止めや、熊本地震の影響があったものの、全体としては国内での医療需要をほぼ満たす血液製剤が供給されているものと考えております。

 製剤ごとの供給量や国内自給率の状況については17ページに、平成27年度需給計画の計画及び実績、平成28年度需給計画の計画及び上半期の実績、平成29年度需給計画の計画値を並べ、更に各年度における原料血漿の配分計画と実績についてまとめた資料をお示ししております。18ページから23ページは各製剤の状況を図表やグラフにまとめてお示ししたものです。

 続きまして、資料1-2について御報告いたします。2.の状況を御覧ください。日本製薬株式会社より、平成28年度の原料血漿配分量について、10.4万Lの追加要望がありました。理由としては、昨年度6月の化血研製剤の出荷差止め、更に今年4月の熊本地震による化血研の生産ライン停止により、代替製品として静注用グロブリン製剤を増産する必要があるためとのことです。3.の対応のところで、血液製剤の安定供給を確保する観点から、日赤や日本製薬と調整の結果、10.4万Lのうち原料血漿6万Lについて化血研に配分する予定であった原料血漿から融通の上、日本製薬株式会社に配分することとしました。以上、資料1-1、資料1-2について説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

○半田部会長 ただいまの御説明に関して御意見、御質問はいかがですか。平成29年度の需給計画()、平成29年度の原料血漿確保目標量、平成27年度の需給計画の実施状況、平成28年度の上半期の実施状況です。

○溝上委員 抗HBs人免疫グロブリンについて、これはほとんど来年も予定していないということでよろしいのですか。

○事務局 抗HBsグロブリンについてですが、国内の抗体価の高い原料血漿を確保するための委託事業を平成25年度から国が予算措置しまして、日赤のほうに原料血漿の確保の事業をやっていただいてはいるのですが、平成29年度の需給計画上はこういう数字にはなっております。ただ原料血漿の確保は引き続き平成29年度も事業として行う予定です。

○溝上委員 はい、分かりました。

○半田部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○稲田委員 アルブミンの自給率はずっと低いまま、今、今年下がった原因について御説明があったのですが、実際、平成19年度ぐらいから全く変化しないか、むしろ低下傾向にあるというのは、この辺は何か根本的に考えて対策を打っていかないと、この自給率は上がらないのではないかという気がするのですが、何かその辺り御意見や情報があれば教えていただきたいと思います。

○半田部会長 いかがでしょうか。

○事務局 やはり、アルブミンの自給率が上がらない原因は、DPC制度が導入されて、どうしても安価な輸入製剤を使う病院が多いことが原因として挙げられると思います。国内製剤も、原料血漿の価格を低く抑えるとか、国内メーカーはコストを抑えて効率的に生産するとかして、そういった価格競争力を付けていくことが国内自給率を上げるために大事かと考えております。

○稲田委員 DPC導入の病院の中でも、やはり、コストが取れる、あるいは取れない所によって、DPCと海外製品、国内製品を使い分けている所がありますので、その辺りの価格競争力を付けていかないことには、恐らくアルブミンの国内自給率は上がらないということで、これはかなり深刻に捉える必要があるかと考えております。

○半田部会長 いかがですか。よろしいですか。

○事務局 価格競争力を付けるように、いろいろな対策を考えていきたいと考えております。ありがとうございます。

○半田部会長 そうですね。これに関しては、多分皆さんも認識されているように、一番最後の所に参考資料がありますが、今回、化血研の問題があって、ワクチン・血液製剤産業タスクフォースからの提言ということで、やはり、根本的なことから見直さないといけないという提言がありますので、これに沿って基礎から変えていくことが重要だと、そういう案が示されているということです。ですから、今の稲田委員の御質問というのは、正に、その部分をいかにこの審議会を中心にして具体化していくことが重要かということだと思います。ほかにいかがですか。

○長村委員 遺伝子組換えのアルブミンがゼロということで、準備をしているというふうにも聞いておりますが、今後のこの展開というか、予定はどのようになりますか。

○事務局 田辺三菱製薬のメドウェイ注のことかと思いますが、5%、25%製剤というのがあります。5%のほうは平成21年に製造販売承認の取下げをしたのですが、25%のほうは一元承認に向けて、今、審査当局と調整を進めているところと聞いております。なお、今年の6月に、北海道の製造工場におきましてカルタヘナ法の違反が発覚したので、現在、そちらのほうの再発防止策にも取り組んでいると聞いております。

○長村委員 そちらのほうは、今後カルタヘナの廃液の問題とかをクリアすれば製造できるようになっていくと考えてよろしいですか。

○事務局 そうですね。そこは今、製造再開に向けて努力していると聞いております。

○長村委員 了解しました。

○半田部会長 ありがとうございました。時間も押してますので、今回の審議も踏まえて、次回は原料血漿の配分価格を含めて、当該、需給計画()を審議させていただきたいと思います。

 それでは、次に議題2、平成28年度献血推進調査会の審議結果及び平成29年度の献血の推進に関する計画()についてです。この計画()についても、血液法の規定によりまして、薬事・食品衛生審議会に意見を聞いて作成されるものです。したがって、今回、皆様方の御意見を聞いて、最終的には来年の3月の部会において承認していただきたいということです。それでは資料2-1から資料2-3までについて御説明をよろしくお願いします。

○事務局 資料2について説明させていただきます。本日の血液事業部会に先立ち、1215日に献血推進調査会を開催しました。本日御覧いただいている資料は、いずれも調査会で議論を頂いたものです。

 資料2-1、~献血推進2020~の進捗状況について御説明します。献血推進2020は、将来の血液の安定的な供給体制を確保するため、新たに平成27年度から平成32年度までの6年間の中期目標として設定したものですが、2.にある表の項目に記載されているとおり、大きく4つの目標を掲げております。

 1ページと2ページは、設定時の記載そのままです。3ページを御覧ください。中期目標の初年度である昨年度(平成27年度)の実績を記載しました。1点目は、若年層の献血者数の増加として、10代~30代までの献血率を目標値として定めました。平成27年度の10代~30代の献血率は、いずれも目標値を下回るばかりか前年度を下回る状況です。

 この理由として、まずは200mL献血由来製品の需要動向を踏まえた400mL献血の推進方策等が要因と考えられます。今後は、高校や大学等で、事前の献血セミナーにより献血意識の向上を図った上で、学校献血を実施するなどし、その後の継続的な献血につながるよう、具体的にはこのセミナーを受講した学生さんや生徒さんたちに、献血ルーム等へ足を運んでもらえるよう、若年層の初回献血者を受け入れる体制を整えることが重要な取組となると考えております。

 なお、献血率が目標値に及ばないことについて、直ちに危機的な状況が起こるわけではありません。日本赤十字社が全国を7つのブロックに分け、広域的な需給体制を整えたことにより、有効期限切れにより、廃棄される血液が少なくなるなど、計画的な採血により、必要な量を賄えるようになったことも、結果的に、献血者数が減少していることの理由の1つではないかと考えています。また、高齢化が進んでいるにもかかわらず、ここ数年は輸血用血液製剤の供給量自体が減少しているようです。

 献血推進2020の目標値は、2年前に日本赤十字社が行ったシミュレーションを基に算出した数字ですが、日赤さんが引き続き検証を行っていることから、できれば来年度の献血推進調査会において報告や検討を行い、その後、こちらの血液事業部会にもお諮りしたいと考えております。

 2点目は、安定的な集団献血の確保として、集団献血に御協力いただける企業・団体を6万社まで増やすこととしております。平成27年度の集団献血実施企業・団体数は、前年度を上回る状況にあり、これは地方自治体と各地の血液センターが一体となって、推進が行われた結果であると受け止めています。引き続き目標の達成に努めていくとともに、今後は集団献血においても、若年層の献血者が減少していることから、その構成比率を向上させる取組が重要となると考えています。

 3点目は、複数回献血の増加として、複数回献血者を、年間120万人にまで増加させることを目標としております。平成27年度の複数回献血者数は、前年度を下回る状況にありますが、日本赤十字社のデータによると、全体の献血者のうち、年2回以上献血を行っている方の構成比率は、少しずつですが上昇しているようです。今後も引き続き複数回献血者クラブの活用を強化し、特に複数回献血者における若年層献血者の構成比率について向上させる取組が重要となると考えております。

 最後に4点目ですが、献血の周知度の上昇として、日本赤十字社が主催する献血セミナーの実施回数を増加させ1,600回を目標としております。平成27年度の献血セミナー実施回数は、前年度を上回る状況ですが、平成25年度の学校等の外部施設での開催実績を基に、1年に5%ずつ増加した場合の数字を目標としており、それには僅かに届いていない状況です。

 平成24年から文部科学省の文章を付して発出している「学校における献血に触れ合う機会の受入れについて」という血液対策課長通知に基づき、地方自治体と血液センターの取組が、校長会や養護教諭への理解を高めていると受け止めているので、今後も全国的な取組として行っていくことが重要であると考えています。

 続きまして資料2-2、資料2-3について御説明します。これは国が策定する平成29年度の献血の推進に関する計画()、いわゆる献血推進計画の案であり、資料2-2は、今回の案の修正点を反映したものです。資料2-3は、平成28年度計画との新旧対照表となっています。説明は、資料2-3の新旧対照表に沿っていたします。

 左の枠が平成29年度の計画案、右の枠が平成28年度の計画です。基本的には、昨年度の計画から大幅な内容変更を伴う改正はなく、文脈、文言の整理といった内容となっております。まず、1ページ冒頭の平成29年度に献血により確保すべき血液の目標量についてですが、この数値は、現在、血液必要量の最終確認中であり、今後確定値を記載することになりますので、現在は空欄としております。

 3ページの削除となっている箇所ですが、献血制限の見直し及び採血基準の改正の周知については、施行された当初から既に5年以上の時間が経過し、その役目は終えていると考えておりますので、来年度の献血推進計画からは削除しました。

 5ページから6ページにかけては、これは献血セミナーの定義の記載に着目して、その文脈から前後を入れ替えたものです。

 6ページの削除の箇所は、平成28年度の計画では、「50歳代から60歳代を対象とした対策」がありました。この推進計画の制定当初から年代がシフトして、現在の50代は、比較的他の年代と比べても献血率が高い傾向となっており、また年齢の上限が上がったとする採血基準の改正の周知も、この制定当初から時間が経過しておりますので削除しました。

 7ページの3.、献血推進運動中央連絡協議会の開催の箇所ですが、これは同協議会の設置要綱に合わせて、「都道府県献血推進協議会」を追加しました。

12ページの削除となっている箇所と、その下の文章については、東日本大震災を受けての記載となっておりますが、これまでに説明した削除する記載と同様に削除することとしました。もちろんこれは削除したからといって、例示として記載された震災を忘れてよいということではなく、一般的な災害時等の対策として生き続けているものと考えています。それ以外の箇所については、文脈、文言の整理となっております。

 なお、参考資料として、2-1、献血者数の推移、2-2、献血率の推移を添付しております。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○半田部会長 ありがとうございました。調査会の議論の内容、そして平成29年度の献血推進計画()について、御説明いただきました。委員の皆様、御意見あるいは御質問、いかがでしょうか。

○濱口部会長代理 資料2-1の4ページ、最後の○、「献血の周知度の上昇について」という所の中で、「地方自治体及び採血事業者の取り組みが、校長会や養護教諭への理解を高めている」という文言がありましたが、この高めているというのは、具体的にどういう状況を見て、高めていると判断できているのでしょうか。もう少し具体的に、この内容を教えていただければと思います。

○事務局 これは各都道府県、あるいは各血液センターの取組で、各地域の校長会等の場において、献血の必要性を説明しているというところです。今のお尋ねですが、いわゆる献血のセミナーの実施回数が多くなっているというのは、その受入れである学校、あるいは校長先生や養護教諭の先生の理解を得ているものと受け止めておりますので、先ほどの説明でお話したところです。

○濱口部会長代理 ありがとうございました。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○岡田委員 資料2-1の3ページにある、「若年層の献血者数の増加について」という所で、やはり数年前にこの事業部会で資料を頂いた中で、学校献血を実施している県が、県によってすごい差があったという資料を頂いたことがあるのですが、やはり県による差が非常に多いので、低い所を高めるような努力ということをすれば、増加につながると思います。確か数年前にそういうデータがありますので、特に低い都道府県で、こういう事前セミナー等の開催を多くするとか、自治体の職員に協力を依頼するとか、そういう努力をすることが必要ではないかと思います。例えば非常に学校献血を受け入れている率が高い県に、そういう所に力を入れても、そんなには増えないと思うので、特に低い都道府県には力を入れたほうがいいと思います。

○事務局 御指摘、どうもありがとうございます。おっしゃるとおり東日本に関しては比較的、高校献血の受入れが高い。残念ながら西日本のほうは、学校に献血バスを受け入れること自体は、率としては低いというのが実態です。ただ、実際に高校生に学校現場で献血をしてもらうことについては、いわゆる学校側の理解、保護者等の理解ということも必要ですので、今の日本赤十字社の方針としては、学校献血も重要ではあるけれど、それに加えて先ほど御説明した献血セミナー、これによって、まず献血というものを知ってもらおう、その重要性を理解してもらおうということに力を入れております。先ほどの説明で申し上げたとおり、このセミナーを受講した学生さんや生徒さんが、いわゆる固定施設であるところの献血ルームであるとか、あるいはショッピングセンターに移動採血車が行っておりますので、そういった献血の場を見掛けたときに協力してもらえればということも、私ども、あるいは日本赤十字社の行っている対策ですので、御理解いただければと思います。日本赤十字社のほうから補足するところがあればお願いします。

○日本赤十字社井上経営企画部次長 日本赤十字社の井上です、お世話になっております。高校献血につきましては、平成23年4月1日に採血基準の改定、17歳の男性の400mL改定をしていただきまして、17歳の男性の400mLというのは、その後順調に伸び続けているという実態です。

 今、岡田先生から御意見を頂きました高校献血についても、この5年間、およそ全国に5,000校ある高校の中で、この数年は減少はしていません。ほぼ約1,300校、25%の高校での献血を実施していただいているといったところですので、私どもとしても何とか残りの3,700校に向けては、引き続き校長会、あるいは養護教諭の先生方の御理解を頂きながら、高校献血のチャンスを頂くことを努力し続けてまいりたいと思います。併せまして、高校献血が難しい高校におかれましては、献血セミナーを実施させていただきまして、献血ルームのほうに献血誘導していくといった形で、引き続き若年層の10代の確保に取り組んでまいりたいと考えているところです。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○稲田委員 こういういろいろな対策が示されているのですが、実際には全く献血率は上昇していない、むしろ低下している。やはりこれは深刻に捉えるべきで、実際、我々がいろいろなものを計画するには、やはりPDCAサイクルのプランをして、最終的にそれがどうなっているかを見て、更に改善する。そういう、何か具体的な努力はどうも見えてこないような気がします。先ほど岡田委員から御指摘がありましたように、やはりちゃんと地方において、それがどうなっているのか、先ほどの理解度が高まったと、それが実績にどうつながったのか、その辺の具体的な評価がなされていないという気がしますので、やはりもう少しきめ細かく、総論だけではなくて、やっていただければと思います。

 もう1つ、進捗状況、プランとしてパーセントで出ているのですが、実際の人数であるとか、もちろん後の表から計算もできるのですが、それから集まる献血量など、絶対値としても出していただければと思いました。以上です。

○半田部会長 ありがとうございました。今の稲田委員の御意見に何か。

○事務局 御指摘、ありがとうございます。今後の資料の出し方等については、工夫していきたいと思います。

○半田部会長 あと、今の非常に重要なポイントとしては、PDCAサイクルを回して、どこがいけなかったのかというところから、やはりマネージメントシステムを進めて、そういう形で毎年資料として作っていかれるといいのかと思うのですが、この辺に関して何かコメントはありますか。

○事務局 御指摘、ありがとうございます。御指摘いただいたところを含め、今後のより細かな対策にいかしていきたいと思います。

○半田部会長 ほかに何か御意見はいかがでしょうか。

○室井委員 今の皆様の質問にも関係するのですが、参考資料2-1と参考資料2-2を見ますと、献血率と献血者数が少し乖離していまして、例えば40代の方の献血者数は増えていますが、献血率自身は増えてはいないのです。50代もそのような傾向がありまして、つまり40代、50代の方は複数回献血するけれど、より若い方はしないから、こういう献血率と献血者数の乖離が出てくるという考えでよろしいのでしょうか。

○事務局 献血率や献血者数も延べ人数で計算していますので、そこは同じだと思いますが、井上次長、それでよろしいですか。

○室井委員 例えば参考資料2-2の献血率を見ますと、40代の方も漸減していますが、献血者数ではやや増えているような感じが見受けられるのです。50代も多分そうだと思うのですが、つまりこれは、ですから若い方は複数回献血をしないけれど、40代を超えているとたくさん献血をされるので、こういうデータになるのかと思って質問したわけです。

○日本赤十字社井上経営企画部次長 ただいま御覧いただいている資料は、全血献血者の推移、参考資料2-1に載っているのは全血献血のみですが、このほかに成分献血もあります。ただ、成分献血においても同様の傾向がありまして、40代、50代、更には60代の方々の献血率、献血者数も伸びていまして、その分、10代、20代が減少しているというのが実態です。日本赤十字社としても全国的な会議、それから7つのブロックに分かれていますが、現在は献血管理課という部署を設けまして、そことの情報共有を図りながら、具体的に毎月の進捗管理を行いながら、では、どのようにして10代、20代の方々に献血現場に来ていただいたら、この数字が変わっていくだろうかということで、10代、20代の方々に複数回献血クラブ会員に加入いただきまして、その方々に次回の献血のお願いをしていく。成分献血であれば予約献血というものにつながるわけですが、そういったことで10代、20代の方々の献血チャンスを拡大していくというところに努めて、この数字の回復、逆転現象に向けて、今は取り組んでいるところです。

○半田部会長 ほかに何か御意見はいかがでしょうか。

○大平委員 事務局のほうからも、学校献血の啓発は、これから盛んにしていかなければいけないということだったのですが、実際に数字としては伸びていないわけですね。ですから、そこをやはり深刻に受け止めて欲しい。先ほど日赤からの説明もありましたが、17歳からの400mL献血というのは伸びているという話だったのですが、では、16歳の200mL献血はどうなのかということとか。先ほど委員の方からも、西日本の状況はどうなのかということが出ているのですが、それに対して積極的な答えになっていないかと思うので、もう少し西日本はどのように改善していったらいいのか、何か問題点があるのかどうかということも含めて、何かお答えいただければ、より今後の若年層の献血率を増やしていく、1つの何か実態が分かってくるのではないかと思うのです。今回の資料では、そこのところはなかなか分かるような資料がないというところで、資料の提示というのを考えていただいたらいいのかと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。今の御意見も、非常に基本的な御意見で、いかがでしょうか。

○事務局 御指摘、ありがとうございます。今、大平委員のほうからも、200mL献血の在り方という御指摘がありました。これは先週の献血推進調査会の中でも、大いに議論になったところです。実際には16歳から献血ができることにはなっているのですが、400mL献血ができるのは、男性は満17歳から、女性になると満18歳からになるということもありまして、残念ながら高校のほうに移動採血車を持ち込んだとしても、400mL献血ができる生徒さんは、いわゆる誕生日を超えてからという制限もありますので、400mL献血を推進するという考え方からすると、少々難しいところもあります。

 日本赤十字社さんが、残念ながら高校献血のほうに積極的でない理由というのは、200mL献血に関しては、せっかく献血していただいたにもかかわらず、医療機関での需要が少ない。医療機関でそのまま使われないと、血液自体は生ものですので、残念ながら一定期間経過すると廃棄せざるを得ない。そうすると、かえって善意の献血も無駄になってしまうようなこともあって、日赤さんのほうの、特に西日本の採血の計画からすると、二の足を踏んでいるというような状況はあるかと思います。

 先週の献血推進調査会でも、委員の先生方から強く御意見を頂いたところとして、これまで日本赤十字社のほうの医療機関に対する、200mL献血を使ってほしいという呼び掛けが、これまで十分ではなかったのではないかという御指摘もありますので、私どもと日本赤十字社のほうで、引き続きこの件については更なる検討を行い、200mL献血の在り方についても今一度見つめ直していきたいと考えています。

○半田部会長 次回、資料を出されるときに、もしできましたら、今の皆さんの御意見をまとめますと、どういう原因で献血率が伸びないのかという、そういうところをきちんと分析したデータですね、それをある程度示していただいて、それで今後どうすればいいかという、そういう思考が当然なされているわけですが、それをもう少し資料として出していただくと。

 それから、西日本の実態というものに関しては、やはり底上げというところで、すごくいい意見ではないかと思いますし、それももし計画()の中に入れていただければいいかと思います。よろしいでしょうか。ほかに当該需給計画()に関していかがでしょうか。

○益子委員 毎年、献血率が下がってきている、これは大変な状況であるということは、今、稲田先生がおっしゃったとおりなのですが、もちろんPDCAサイクルを回して、どこが要因かということで対策するというのも、とても大事なのですが、それとは別に全く今までの観点と違うアプローチを考えないと、この長期低落傾向を防げないのではないかと思います。目標達成がはるかかなたに来てしまっていますので。

 例えば大学受験のときに皆さんボランティア活動などをしていると、そういうのがポイントになるということもありますし、入社試験などもボランティア活動がポイントになるというのがあります。例えばこういう献血をしているということは、非常に公共の役に立っているのだということで、それにポイントを付与するということが、もし制度的な形でできるのであれば、それは非常にインセンティブになるのではないかと思うのですが、その辺の検討はされているのでしょうか。

○事務局 御意見としては大変有り難く思っています。ただ、非常にインセンティブについては難しいところがあり、あくまでも献血自体が、善意で無償の自発的な献血ということで、これまでお願いしているものですから、頂いたような御意見について、どのようなところまで認められるのかというところは、丁寧に考えていきたいと思います。

○益子委員 おっしゃるとおりで、そこはやはり慎重にしないといけないというのはよく分かるのですが、ボランティア活動でも同じだと思うのです。ですので、やはりそこで何らかのうまい手立てはないものかということを、是非検討していただきたい。今までのことを幾らやっていても、どんどん悪くなるばかりだと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。時間がなくなりました。今回、いろいろな御意見が出たと思いますが、是非、当該計画()の最終案を、今回の議論を参考にして、次回の3月の部会に提示、お願いしたいと思います。

 続いて議題の3に移ります。平成28年度安全技術調査会の審議結果について、資料の3-13-2について御説明をお願いします。

○事務局 議題3に関して説明いたします。資料3-1、東京地域におけるHEV感染実態調査というものを御覧ください。まず1ページ目にグラフがありますが、医療機関から感染研へのE型肝炎の届出件数を示したものです。IgA抗体検査が届出基準に追加されたこともあり、近年、肝機能異常とIgA抗体陽性のみで報告される例も増えていると考えられています。参考までに、研究班の報告によると、日本人の500万人は感染既往で、年間12万人が新規感染しているという推定もあります。

 次のページの上のグラフを御覧ください。こちらのほうでは、試行的に北海道でNATをやっていますが、それの陽性頻度の推移になっています。これは平成17年より日赤のほうで、劇症化が懸念されるgenotype4型のE型肝炎ウイルスが報告されている北海道にて、献血者におけるE型肝炎ウイルス感染の実態調査が継続されていることになっています。

 その下の3は輸血後HEV感染事例数の推移ですが、17年間に20例あり、原因となった献血者は感染初期の抗体陰性例が大多数でした。劇症化が懸念されるgenotype4型は、全て北海道で3例、その他はgenotype3でした。また、報告された患者の多くは一過性の急性感染で、5例はウイルス血症が遷延しましたが、劇症肝炎や死亡例の報告はありません。輸血による感染率自体は50%と推定されています。ウイルス血症が遷延した5例の詳細は、次の5枚目のスライドを御覧ください。慢性化に関する文献は6枚目のスライドに挙げられています。

 ページをめくっていただいて、次の7番のスライドになりますが、今年3月から6月に日赤が東京地域で行った、献血者対象のE型肝炎ウイルス感染の実態調査結果ですが、1万5,039本の献血血液をランダムに抽出し検査したところ、個別NAT陽性は11本あり、陽性率は0.073%、すなわち1,367本に1本の割合でした。これは北海道地域でのデータよりも高い陽性率となっています。なお、genotypeは全て3型でした。

 ここで参考資料3-1を御覧ください。こちらは輸血用血液製剤に係る受血者へのHEV感染症防止対策についてというものです。11年前にE型肝炎のIgG抗体検査がなされたのですが、東京では8.6%、北海道では3.9%という結果でした。東京のほうが北海道より基幹センターが多いことと、今回のNAT陽性率の結果は一致しました。元の資料にお戻りください。陽性者の詳しいデータや、その後の追跡調査結果に関しては、8枚目のスライド以降を御覧ください。

 次に12枚目のスライドになりますが、輸血後HEV感染に係る各国の対応というスライドです。国によって考え方は様々で、例えばヨーロッパの中でもイギリスでは、成人の臓器移植や同種幹細胞移植患者に対しては、HEVチェックした血液製剤の使用が推奨されています。現場からは移植の輸血のみならず、移植が必要と診断された時点での輸血から、HEVチェックした血液を使用したいとの要望もあり、需要が増えたことから、イギリスでは1単位当たり約2,500円の追加料金をもらって、24プール以下のNATでスクリーニング検査した製剤の供給を開始しています。免疫不全患者は移植患者に限られないこと、また、HEVの持続感染は一般人口に比べて移植患者においてはどのぐらい多いのかなど、更なる実態調査が計画されているということです。

 一方、オランダでは抗体陽性率が27%で、年間13万件のHEV新規感染が推定されています。そのうち輸血感染が占める割合が0.2%であることから、入院中の患者であっても、輸血感染のリスクよりも環境中から感染してしまうリスクのほうが高いと計算され、そのことから、全国民対象にE型肝炎予防の広報活動を開始し、献血血液についてはE型肝炎のスクリーニングは行わないと決定したと聞いています。

 次に参考資料を御覧ください。日本においては、この参考資料にありますように、事務連絡ですが、移植医療対策推進室から日本移植学会、日本造血細胞移植学会に対して、臓器移植時の輸血を原因とするE型肝炎ウイルス感染への対応について、昨年1116日付けで注意喚起が出されています。

 委員の先生方からは、「免疫を抑制するような抗体薬を使用している患者への注意喚起も必要ではないか。その全体像を把握してから対応すべきではないか」という意見や、「免疫不全状態にある患者には、イギリスのようにHEVチェック済みの血液製剤を供給すべきではないか」という意見を頂きました。その場合、どの患者を対象にするのか。また、イギリスのように薬価以外に追加料金を上乗せで頂く仕組みは、現在、日本にはないことから、費用負担の考え方については日赤や関係各所との協議・検討が必要となります。

 感染経路に関しては、ブタのレバーやホルモン、イノシシの肉の生焼けなどが指摘されていますが、6割は感染経路が分かっていません。なお、今年2月から3月にかけては、旭川の高齢者介護保険施設において、E型肝炎患者の集団発生が報告された例もありました。委員の先生からは、前回調査から抗体検査に関して10年以上たっておりますので、感染研と日赤が全国調査を開始すると報告がありました。E型肝炎の感染のリスクに関しては、国民へのより一層の周知徹底も併せて検討していくべき課題と考えています。資料3-1に関しては以上となります。

 引き続き資料3-2を御覧ください。血小板製剤への感染性因子低減化技術の導入について、日赤から報告いただきましたので、御報告します。この低減化技術の導入は、日本赤十字社において2004年に「輸血用血液の安全対策」の1項目として公表し、これまで低減化処理した血小板の品質、感染性因子に対する低減化能について日赤が独自に実施した評価試験の結果や、海外諸国の導入状況について報告していただきました。昨年度の安全技術調査会と運営委員会では、この技術を実際に血液事業に導入するに当たっての費用、安全性、有効性に関して、MIRASOLINTERCEPTの両方で十分な検討を進めておくべきとの提言がなされました。

 各国の現在の導入状況のアップデートに加え、世界で一番短いと言われる3日という消費期限の血小板製剤を製造し供給する日本の体制に、MIRASOLINTERCEPTを導入するとどのような影響を及ぼすかについて検討していただきましたので、報告いたします。3枚目の資料2に、MIRASOLによるPC処理と現行作業工程の比較というのがありますが、表にMIRASOL、裏にINTERCEPTを導入した場合の、追加工程に要する時間が記載されています。INTERCEPTが裏に書いてありますが、MIRASOLと同様の処理に加えて、2、3時間の吸着処理が必要で、更にバッグの入替で血小板のロスが1割発生するとのことです。

 引き続き資料3のグラフですが、これは辰巳の工場の実際の製造工程をグラフ化したものです。1枚目の表が現在の工程、裏がMIRASOLの工程ですが、現在の供給体制の中でMIRASOLは対応できることが示されています。

 次のページはINTERCEPTを導入したシミュレーションですが、2、3時間の吸着時間があるために、例えば夕方4時以降に届いた血小板を、翌日の午前中に出荷することができなくなるとのことです。

 また、資料5は各国の状況に関してアップデートしていただいたものです。左が日本ですが、左から2番目のフランスにおいては、INTERCEPTの操作が煩雑ということで、中止されたということです。イタリアやスペインでは、INTERCEPTからMIRASOLに乗り換えた血液センターがあること。また、イギリスでは費用対効果の面から、この技術を導入しないと決定したことなどが報告されました。米国においてはFDAが、細菌及びジカウイルス対策の不活化技術としてもINTERCEPTを承認しています。

 次に資料7、感染性因子低減化技術導入に係る米国内の動向についてという資料を御覧ください。こちらでは米国生物医学先端研究開発局が、赤血球の不活化技術開発に対して、MIRASOLINTERCEPT、両方の技術に資金援助をし、国防総省は全血の不活化技術の開発支援を行っているとのことです。

 以上、赤血球の不活化技術がまだ実現していないこともあり、デングウイルスやジカウイルスなどの新興再興感染症が国内で蔓延した場合、当面は検査や献血制限による対応を考えているとのことです。委員の先生方からは、緊急時に使えるように承認だけ取るという意見もありましたが、すぐに薬価収載されない場合については、開発費用の負担の考え方も課題となっており、引き続き行政との相談が必要ではないかとの意見を頂きました。

 なお、INTERCEPTは置換血小板が前提となっていますが、MIRASOLの場合、置換血小板の導入に間に合うかどうかに関しても質問いただきました。MIRASOLは置換血小板でデータがまだそろっていないこともあり、不明とのことです。有効期限の延長ができるかどうかについても意見を頂きましたが、不活化処理は血小板を傷めることから、慎重に見極める必要があるとのことです。

 また、感染症のアウトブレイク時、例えばジカウイルスが流行したプエルトリコでは、INTERCEPTによる不活化が行われていますが、ウイルス対策をターゲットにするには、INTERCEPTも考えるべきではないかとの意見も頂きました。さらに最近、血小板の機能低下、凝固因子活性の低下を指摘する論文も発表されたことから、患者さんへのメリット、デメリットについて、慎重な検討が必要なのではないかという意見もありました。

 様々な貴重な意見を頂いているわけですが、不活化技術の導入に関して、検討が始まったときと現在では大分、状況が変わっているということで、改めて技術導入の目的や、最終的に患者さんに利益をもたらすかどうかも含めて、引き続き慎重な検討を進めていただくことになりました。以上です。

○半田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関し、質疑応答よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○溝上委員 E型肝炎の件についてですが、一番最初、1ページ目のスライド2、感染症動向について感染研に報告するようになっているのですが、この法律のこともよく知らない医者も多く、実際、報告されていないものがいっぱいあると理解しているのです。北海道のE型肝炎感染報告例が41例で、推定有病率が0.6%という数字になっていると思うのですが、現実にはもっとたくさん症例があり、報告されていないだけだとすると、これの2、3倍をみておかないといけないのではないかと思います。

 例えば、急性B型肝炎も報告せよとなっていて、計算上は8,00010,000ぐらいは一過性の急性B型肝炎に、今、日本でかかっていると推定されるのですが、100200ぐらいしか報告がなかったと思います。今、一番新しい数字は分かりません。そういうことからすると、この推定有病率は少し低過ぎるのではないかと思います。それが1つです。一度そういう検討もしていただければと思います。

 2つ目、資料6は、輸血による細菌感染症症例が年間、2015年には2例あるということでよろしいのでしょうか。

○半田部会長 2つの御質問がありましたが、まず、HEVの有病率は実際もっと高いのではないかということですが、この辺はどのように。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 日赤の佐竹です。全くおっしゃるとおりです。我々も認識しておりますが、それでもあえてこれを出したのは、一般に、ほとんどの北海道の臨床の先生は、ほかの地域よりは、HEVについて非常に注意深くなっています。それで北海道についてはデータを出してもいいかという感じで出しました。もちろん、全国にしますと、北海道以外の所はかなり注意はされていないのは事実です。

○溝上委員 東京は倍近く感染率があるので、もっとあるのではと思ったのでお聞きしました。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 はい、全くおっしゃるとおりです。

○溝上委員 2つ目は、資料6の輸血による細菌感染症症例が2015年には2例になっている、これについて。失礼ですが、たった2例、2例もと、どちらを取るかによるのでしょうけど、それについてどのようにお考えでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 こちらで挙げているのは確定症例です。ですので、実際、疑い症例というものは2030例ぐらい挙がってきます。確定というのは、製剤の中のバクテリアと患者さんの血液中のバクテリアがきちんと同定され、それが同じものであるとパルスフィールドかアンゲノムかどちらかで証明されたものを挙げております。それが2例ということです。この2例はイーコライとオーレウスの2例でした。

○半田部会長 そうですね、あくまでもこれは自発報告というところからきていますので、もっとある可能性は当然あるということは、通常、感染症は全てそうですので、そうお考えいただければいいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○田野崎委員 輸血HEV感染についてですが、日赤からの実態調査の資料3-1で、いつもここのスライド10の一番下の「輸血血液中のHEVは、感染性が低いか、感染しても臨床的に問題にならない」というところが、少しこのまま残ってしまうと気になる文言なのです。今のHEVに対する考え方について、現状調査している最中であり、必ずしもgenotype4が本当に少なくて、臨床的に問題にならないのかどうかということについても、まだ結論は出せていない状況と考えてもよろしいのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 ここにお出ししている資料は、この安全技術調査会のときに出した資料そのままですので、安全技術調査会ではこの文言についてやはり問題にされ、私からこの文言は少し書き過ぎでしたということを、その会では申し上げました。そのまま出ておりますので、これが残っているわけですが、ただ、HEVの感染性とその臨床の症状が、ほかのBやCと比べると、かなり低いことは確かです。

 これまで多くの、今回その上のスライド8にありますが、これはドナーの中で見つかった人をフォローしましたが、その中ではこの7例を見ていますが、この7例はほとんど臨床症状を全員示しておりません。1人だけALTが132となりましたが、その後はすぐ低下しています。これは今回のデータですが、北海道でフォローしているデータでもほとんどは無症状で過ごしています。ですので、臨床的な重要性として、全体的としては、かなり症状は無症候か低いことは確かですが、その中でごく小数が臨床的に重大問題を起こしてくる、そこが非常に悩ましいところであるのは確かです。

○田野崎委員 私の質問の内容としては、確かにこの資料から見るとそういう結論なのかもしれませんが、その後に東京地区の資料が出たり、月ごとにいろいろなデータが出てくるに及び、またその中ではgenotype4も決して少なくはない。結局、抗体検査だけではよく分からなくて、NATの検査が入らないと分からないですし、全国的にちゃんと調べられているわけではないので。

 それから、免疫抑制剤や何かが使われている症例に関しては、ちゃんと網羅的には調べられていないので、かなりアンダーエスティメイトされている可能性がまだあるだろうと。ただ、費用対効果など対策をどこまで立てるかということについては、これから、まだ慎重にやってもいいかと思いますが、まだHEVが問題にならないのかどうかということは分かっていないので、今後とも、いろいろ調査を進めていただくという考え方でいいのでしょうかという確認です。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それは症例をどんどん積み重ねて、その程度をきちんと……していかなければならないとは我々も考えております。症例はどんどん蓄積していきたいと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。時間がないので次にいきたいと思います。また後でお願いしたいと思います。

 それでは、資料3-3から3-6まで御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 資料3-3は、HBV-DNA国内標準品及びHIV-RNA国内標準品の力価の再評価ですが、これはNATのためにHCV、HBV、HIVの国内標準品が製造されてから10年経過しており、当時はエンドポイント法によって国際標準品に対する相対力価が定められておりました。

 その後、定量法の性能が飛躍的に向上したことから、主に定量法を用いて標準品の力価を決定するようになりました。このような現状から、現行のHBV国内標準品とHIV国内標準品の力価を、定量試験法を用いてそれぞれ国際標準品に対して再評価したところ、HBV国内標準品の力価は1057,000IU/mL、HIV国内標準品の力価は752,000IU/mLと算出されました。

 ついては、この下の表にありますように、国内標準品の力価を再評価した力価に再値付けする旨を感染研から報告していただき、了承されております。なお、実際の体外診断薬として承認されているものは、WHOの国際標準品に基づいて決められているので、今回の国内標準品の変更に伴って、臨床の先生方に影響が出るということは現実にはないと考えられております。また、今後は検査法の変化に伴って、その時々にきちんと値付けをする方向で進めるということです。

 引き続き、資料3-4の日本赤十字社におけるヘモビジランス2015です。5枚目のスライドは、TRALI疑い症例・TACO疑い症例の評価結果というスライドです。医療機関の先生方からTRALI疑いと報告された178件のうち、検討した結果、最終的にTRALIと評価されたものは7件、輸血以外が原因となった可能性のあるTRALIは6件でした。残り165例に関しては、レントゲン写真等から心原性肺水腫があったかなかったかで分け、心原性肺水腫があったものは92件、最終的にTACOと評価されたものは63件でした。

 下の6枚目のスライドにありますように、緑のバーがTACOの症例数になりますが、2012年4月から評価を開始しておりますが、報告数は増加傾向にあります。

 少し飛んで11枚目のスライドですが、日赤から今年、輸血関連循環過負荷に関する注意喚起を、医療機関に情報提供していただいております。

 引き続き、輸血後感染症ですが、13枚目のスライドです。B型肝炎に関しては水色のバーになりますが、これに関してはHBVのコア抗体の基準の厳格化と個別NATにより、件数が減ってきております。一方、赤いところはC型肝炎疑いですが、報告数は余り変化はありません。

 次に、下の14枚目のスライドに病原体別解析結果とありますが、細菌で2例、確認試験陽性となっておりますが、原因菌は大腸菌と黄色ブドウ球菌でした。続いて、次のページの16枚目のスライドです。採血年別ですが、2014年に個別NATが導入されましたが、2015年にかけてHBV、HCV、HIVの報告例はありません。

 次のページの17枚目のHEV感染の症例は全て血小板製剤です。この下の表の3例に関しては血小板製剤です。18枚目のスライドで、CMV感染疑いの報告数は増加しておりますが、全ての症例で輸血との因果関係はありませんでした。

 次のページ、19枚目のスライドです。2015年8月に新生児のサイトメガロウイルス感染の更なる原因解明のため、未熟児周産期医療実施医療機関の協力を得て、ほかの母親からもらったものも含み母乳の提供を頂き、10例を解析したところ、9例は母乳から検出されたウイルスと、患者から検出されたウイルスとの塩基配列が一致し、あとの1例に関しては感染原因不明という報告でした。以上が資料3-4になります。

 引き続き、資料3-5は感染症安全対策体制整備事業、平成27年度の実績報告です。実施内容は2番にありますように、()チクングニアウイルスに対する高感度核酸検査法の開発、()献血で検査落ちした血液検体におけるデングウイルス核酸検査の実施、()は海外における血液安全に関する情報の収集及び交換です。

()においては、大規模Primerスクリーニングで同定されたPrimerProbeのセットについては日赤と情報共有されております。()においては20プールで100検体、計2,000人の検体を、平成26年度の当事業の成果を利用し調べた結果、全て陰性で検出系として問題ないことが確認されております。平成28年度については、次の3ページにありますが、平成2627年度の成果を利用し、デングウイルスとチクングニアウイルスについて、同様にプール検体を用いて、検査落ちした血液とコールバック検体を利用して検査を実施していただきます。また、国内移入が危惧されているジカウイルスに関しても高感度核酸検査法の開発をしていただいております。

 引き続き、資料3-6は感染研に委託しておりますNATコントロールサーベイ事業の実績報告です。平成26年度にNATガイドラインの改正及び輸血のためのNAT感度の改正、輸血や分画プールの実際に実施している試験法の変更がありました。

 平成27年度は更新された試験法において、改訂後の感度とNATガイドラインに従い、HBV、HCV、HIVのNAT検出感度及び同定試験が適切に精度管理されているか、実情把握を目的として、第7回NATコントロールサーベイが実施されました。実地研修などを行い再検査をした施設もありましたが、結論として適切に精度管理されていることが確認されました。なお、平成28年度では、第8回NATコントロールサーベイを実施していただいております。以上が資料3-6の説明となります。

○半田部会長 ありがとうございました。

○溝上委員 2つありまして1つは質問ではないのですが、私の専門のB型肝炎、C型肝炎が1例もコンフォームできなかったことに関して、非常に有り難いということを感謝いたします。2つ目は、HBV-DNA国内標準品、資料3-5を見ると、現在臨床では5.64logというものを使っております。それが今後は6.02logに変わるという、そういう理解でいいのでしょうか。今現在、患者さんはそれでずっとフォローしていたのですが、そのように考えればいいのでしょうか。

○濱口部会長代理 一応、値付けをこのように決めましたので、今後は6.02logということになります。

○溝上委員 そうしますと、古いデータを使うときにそれの1.何倍かして、その数字を比較すればよろしいでしょうか。

○濱口部会長代理 どの時点からそれをやるかというのは、まだ議論が必要かと思いますが、少なくとも、数値自体がこういう形で、今の測定の技術からすると、10年前に出した値とは違うということですので、キットの製造に国内標準品が用いられていた際には、数値が変わる場合があります。

○溝上委員 それが1つ、もう1つの問題は、今後はIU/mL、今まではlog10IU/mLというのを使っていたのですが、海外ではIU/mLというのを使っているものですから、そちらが推奨されているということでよろしいのでしょうか。

○濱口部会長代理 そうです。国内標準品に関しては国際標準品とよく並べる形で測定を出しますので、IUが推奨されております。ですので、IU/mLという形で出していただければと思います。

○溝上委員 そうしたら、それを臨床の医者に説明するときには、昔のキットと今のキットでは、これだけ良くなったから数字をコンバートしなければいけないと、キットの感度が良くなったから、このように変える必要があると説明すればよろしいのでしょうか。

○濱口部会長代理 そこのキットの問題というよりも、標準品のところです。

○溝上委員 標準品が変わったのですか。

○濱口部会長代理 そうです。標準品の値が今回、値付けが。

○溝上委員 あれ、キットが良くなって精度が良くなったから、高くなったと、そういう説明ではなかったですか。

○濱口部会長代理 測定の方法が変わったということです。10年前に測定した方法というのは、エンドポイント法というもので測定しておりました。現行においては定量PCRによって測定をするということで、やり方がかなり違っています。一応、そのための誤差と考えております。ここで10年前のときは5.64log10IU/mLと出していたものを、現行の一番精度の高い測定法で、もう一度測定をしてみると、6.02になっているということです。

○溝上委員 キットが良くなったからというのではなくて。

○濱口部会長代理 そうです。

○溝上委員 キットが良くなったからではないのでしょうか。例えば、ロシュのバージョン幾つでしたか、これは古いキットに比べると確かに良くなっていると思っていました。そう思っていたのですが違うのでしょうか。いかがでしょうか。

○岡田委員 まず、国内標準品は、ものは10年前と同じなのですが、その当時の測定法で用いた方法であって、それを再評価し、その再評価した方法は定量性になっていますので、まず測定法が違うのですね。

○溝上委員 測定法が違うのですね。

○岡田委員 同じ検体は同じ検体なのですが、測定法が違うということなのです。それと、国際標準品もこの10年間で何回も更新されているのですね。それで、今使われているものを基にして評価をしたのです。それで、昔は定性でエンドポイント法だったので、結局、ハーフログでしますから、統計処理するとどうしても誤差が出たのですが、今は定量法ですのでかなり。

○溝上委員 それは分かります。それは分かりますが、10年前と今とではキットそのものの性能は非常に良くなっているように思うのですが、その点は考慮されているのでしょうか。

○岡田委員 これはあくまでも、評価の対象は国際標準品なのですね。

○溝上委員 ですから、今度測ったのは新しいキットで測っているわけですね。古い10年前のキットで測っているわけではないですね。

○岡田委員 そうです、はい。

○溝上委員 その分も加味されませんか。

○岡田委員 ですが、対象とする国際標準品の相対的な評価なので、別に国際標準品の検出感度も相対的に動きますので、別にキットの性能が変わっても同じキットで測定すれば。

○溝上委員 はい、分かりました。ただ、我々臨床家は薬を使って、それでどれぐらいウイルスが下がるか、それに臨床データがどう続くかということで、この薬が効くかどうかを検討するわけです。

○岡田委員 それでですね。

○溝上委員 そのようにキットも変わっていて、測定法も変わっているとなると、前のものと比較するときに、どのようにすればいいか非常に困るので、それでしつこく聞いているわけです。

○岡田委員 で、あの。

○溝上委員 時間もないですから、どのような換算式にすれば、前の数字を今の数字と合わせることができるかということを、是非一度検討していただけると有り難いと思います。

○岡田委員 この国内標準品に関しては、原料血漿の評価と輸血用の。

○溝上委員 これはあくまで、輸血用のものであって、我々が臨床に使っているものは使わないのですか。

○岡田委員 診断薬とは違います。

○溝上委員 あ、そうですか。

○岡田委員 診断薬ももとを辿れば、国際標準品との力価を出しています。

○半田部会長 すみません、時間が大分ロスしてしまいましたので、この辺で。あとはフロアでやっていただければと思います。

○溝上委員 決まったことですね。

○半田部会長 では、次、議題4にいきたいと思います。資料4-1から4-3までよろしくお願いいたします。

○事務局 資料4-1を御覧ください。供血者から始まる遡及調査実施状況についてです。右端の列にあるように、1,717件が遡及対象になった件数ですが、20プール時代の検体を遡及したところ、6件のHBVの個別NAT陽性が報告されましたが、陽転しなかったのが1例、あとの5例は死亡との報告でした。したがって、一番下の最終的な報告になったものは、HBV、HCV、HIVともに0件でした。

 2ページ目です。平成2711月~平成2810月の疑い症例を含む感染症報告事例のまとめを御覧ください。HBVの感染報告事例は14件、HCVは28件、HIVは0件でしたが、HBVのみ1例、個別NAT陽性事例がございました。その他36件の報告は、E型肝炎ウイルスが5件、サイトメガロウイルスが6件、細菌等が25件でした。細菌症例で使用済みバッグが陽性になったのが1例で、輸血後死亡例はありませんでした。HBVについてですが、平成28年1月に個別NATをすり抜けた事例が1例発生しております。この症例はスクリーニング個別NATが陰性だったのですが、その後の献血でB型肝炎検査が陽転化したために遡及が行われたものです。受血者は輸血後、HBs抗原陽性となったことで判明しており、塩基配列の分析の結果、供血者と全て一致し、genotypeはAeという欧米型でした。供血者は、その後、急性B型肝炎を発症したとの医療機関からの報告がありましたが、受血者については特に発症していないとの報告です。極めてまれな例ですが、テクノロジーの限界もあり、今後もリスク行為の正確な申出と、コールバックを引き続きお願いするしかないと考えております。

 3ページ目は、献血者のHIV抗体・NAT陽性件数です。一番右下の数字を御覧ください。献血10万件当たりの陽性件数は平成27年が1.08でしたが、平成28年度の1月~9月の速報値では0.772と引き続き減少傾向にあります。以上です。

○事務局 続いて、資料4-2 1.です。原料血漿の貯留保管見直しです。初めに、本件に関して日赤では、血漿分画製剤用の原料血漿について、ウイルス陽性血漿の混入による最終製品の回収を回避するため、貯留保管を自主的に導入し、その期間を段階的に6か月とし、現在に至っております。これまで検査精度の向上、HBc抗体検査の強化、個別NAT導入などの安全対策を上乗せする一方で、6か月の貯留保管体制を継続してきましたが、昨今の採血事業者の役割や原料血漿を取り巻く環境の変化等を踏まえて、貯留保管体制の見直しについて検討いたしました。

 2の経緯です。()平成9年当時、血漿分画製剤の製造後にウイルス陽性の原料血漿が混入していたことが判明した場合には、最終製品を回収せざるを得ませんでした。その対応策と原料血漿の安全性を確保するため、日赤では自主的に2か月間の貯留保管を開始しました。

()その後、貯留保管の期間を徐々に延長し、効果的にウイルス陽性血漿を排除できる期間として、6か月間を設定しました。次に、2ページ目の()です。平成15年には、『混入したウイルスの種類及び量が特定され、かつ、製造工程において当該ウイルスは十分に除去・不活化されていることが確認されれば、個別の分離血漿の段階にある原血漿を除き、当該製剤を回収する必要はない』旨の、厚生労働省4課長通知が出されました。

 こうした経緯を踏まえて()です。一昨年の10月ですが、安全技術調査会において貯留保管期間の見直しについて審議いただき、その結果、B、C、Iについては、個別NAT導入や製造工程での不活化により安全性は確保されているが、新興感染症等が存在するという理由から、それらの影響を定期的に検証することを条件として、貯留保管を漸減していくことについて了承いただきました。

 これを踏まえ()です。一昨年12月の運営委員会に安全技術調査会の審議結果を報告したところ、未知の病原体が混入する可能性があることを考慮し、貯留期間の在り方を再考しましょうということになりました。この資料は一昨年の審議結果を踏まえ、今年の9月に再度、運営委員会に説明させていただいた内容です。

 次に、下の3の海外規制当局の状況です。2ページ目から3ページの四角の枠の中に、WHO、欧州、米国について、それぞれ貯留保管期間に関する定義があります。欧州や米国では、貯留保管期間として60日間という基準があります。

 次に4ページの4の血漿分画製剤販売業者の対応についてです。CSLベーリング社、バクスター社、日本血液製剤機構のWebサイトには、ウインドウ期に採血された血液を排除するため、PPTAの基準に基づき、6か月の間に2回の検査で陰性が確認された供血者を適格供血者と認定し、適格供血者から採血された血漿は60日間貯留保管した後に、原料血漿として使用する旨の記載がされています。

 次に5の見直し案です。日赤が自主的に貯留保管を開始した当初の目的は、B、C、I陽性の血漿が原料プールに混入し、製剤が回収となることを防止するためでした。そして、HBVなどが混入している原料血漿を効率よく排除し、かつ血漿分画製剤の製造現場に大きな影響を与えない貯留保管期間として、6か月間という期間が採用されました。しかしながら、現在は全献血血液を個別NATでスクリーニングしております。また、「50プールNAT陰性の血液が混入しても血漿分画製剤の安全性に影響はない」という旨の4課長通知も出されておりますので、貯留保管期間を6か月とする必要性は消失していると考えられます。また、現在の貯留保管の考え方については、WHOや欧州のガイドライン、米国薬局方に、ウインドウ期に採血した原料血漿の排除を目的としていることが記載されており、各国の血漿分画製剤製造販売業者も同じ目的で、60日間の貯留保管を実施しています。

 多くの新興再興感染症は、感染後1~2週間で感染が明らかになるものがほとんどで、さらに日本では入国後4週間は献血の延期をお願いしています。一方、製造工程に病原体の除去・不活化工程のない新鮮凍結血漿については、6か月間の貯留保管を継続すること、そして全献血血液の検体を11年間保存していることから、原料血漿の貯留保管期間を短縮しても、受血者の安全性や遡及調査への影響はないものと考えております。以上により、日赤としては、原料血漿の貯留保管期間を2か月間とすることが妥当と考えました。

 次に、6の安全性の検証についてです。一昨年の安全技術調査会において、献血者確保への影響が極力ないように、原料血漿の在庫を漸減していくことにより、2か月貯留分が、実際に製造販売業者に払い出されるのは数年先になるというシミュレーションを示しました。こちらは8ページに資料を付けております。この間に、安全性の検証を行いながら進めていくという前提の下に、貯留保管期間を見直すことの了承が得られております。

 最後に7で、見直すことにより期待される効果を4つ挙げています。()血液凝固因子製剤用原料血漿の運用の安定化、()血液凝固因子製剤の製造効率向上、()保管施設の削減による費用効果、()原料血漿必要量の急激な増減への対応です。特に()については、原料血漿の確保において、年単位での大幅な増減が課題となっております。貯留保管分の在庫を払い出すことにより、年ごとに献血者数や献血量を大幅に増やしたり、減らしたりすることを防ぐことが可能になります。なお、参考資料として、一昨年の安全技術調査会の資料、また資料4-2 2.として、国内分画メーカーに原料血漿の保管状況などを聴取した結果の資料を付けています。

 なお、本件については、9月の運営委員会でも説明させていただいたところ、原料血漿について安定的に供給でき、何かリスクがあったときにも対応できるような保管のシステムを検討することを条件として、安全技術調査会での結論は「妥当」という御意見を頂きました。併せて、「原料血漿の価格を下げる方向の努力をお願いしたい」との御意見も頂いております。以上、資料4-2について説明させていただきました。

 続いて資料4-3です。血液事業部会で出された御意見について説明いたします。こちらは、その次の資料の(参考)にあるように、5月の運営委員会と6月の血液事業部会にトロンビンの供給停止についてお諮りしたところ、幾つか御意見や御質問を頂きましたので、資料としてまとめたものです。9月の運営委員会で報告いたしました。

 まず、ウシ由来製剤がほとんどのシェアを占めるようになった理由について御質問いただきましたが、ヒト由来製剤は特定生物由来製品に指定され、使用に当たり患者への説明や記録の保存が必要なこと、またウシ由来製剤のうち多くのシェアを占める製剤は液剤で、生理食塩水に溶解させるといった手間が不要であることが主な理由と考えられます。なお、ヒト由来製剤とウシ由来製剤のコストについては、主なヒト由来製剤の薬価と、ウシ由来製剤のうち多くのシェアを占める持田製薬の製品の薬価を比較しますと、ほぼ同程度の価格となっております。9月の運営委員会では委員限りとしまして、参考資料1.というものをお配りし、JBがトロンビン製剤を製造する際にかかるコストについては、かなりの額の赤字になっていることをお示ししました。

 次に、資料の裏を御覧ください。体外診断薬、医療機器、再生医療分野等におけるトロンビンの需要について御意見や御質問を頂きました。体外診断薬メーカーとは、ウシ由来製剤を原料として使用することで調整済みです。医療機器に関しては、外科手術での局所止血材として、海外非献血由来のヒトトロンビンが使われている例があるようです。また、再生医療分野に関しては適応外の使用であるため、これを理由に承認や薬価の維持を検討することは適当ではないと考えますが、他製剤の製造工程にトロンビンを使用する国内メーカーがあり、当該メーカーが、当分は承認を維持した上で他製剤用にトロンビンを製造する予定と聞いております。また、他社においても、トロンビンを使用した製剤の開発を進める予定です。こうしてトロンビンの製造体制が維持されることで、再生医療分野での需要に対応できると考えます。なお、9月の運営委員会では委員限りとして、参考資料2.というものをお配りし、ヒト由来製剤の多くが体外診断薬の原料に使用されているという現状を説明しました。

 また、「「薬価削除に向けた手続き」は少し早すぎるのではないか」との御意見を頂きましたが、トロンビンの製造体制がこのように維持されることで、ウシ由来製剤に問題が発生した場合などにヒト由来製剤を供給する体制を確保しておくことができると考えます。なお、関係学会に御意見を聴取したところでは、トロンビンの供給停止について、特段の異論はございませんでした。以上、資料4-3について説明させていただきました。

○半田部会長 ただいまの説明に対して、御質問あるいは御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、引き続き資料4-4と資料4-5をお願いいたします。

○事務局 資料4-4は、シャーガス病に対する疫学調査の結果についての最終報告です。平成25年1月8日から今年の8月21日まで実施した、日赤での疫学調査の結果、陽性者数に関しては、昨年度の第1回血液事業部会で中間報告させていただいた3名から、その後に新たな陽性例は見付かりませんでした。こちらの資料の報告は以上です。

 続いて、資料4-5です。平成27年度の諸外国における献血血液の安全対策等調査の報告書概要です。平成25年に日本国内で発生した輸血によるHIV感染例の発生を受け、献血時の虚偽申告に対する罰則規定やHIV等の供血血液の安全対策等について、諸外国の状況の調査をしてきましたが、平成25年度のオーストラリア、平成26年度のシンガポールへの訪問調査に続き、平成27年度はイギリス、フランス、ドイツについて、調査会社に調査を委託しました。今回、3か国の血液事業、献血制度、献血事業におけるHIV検査、MSMの献血適格要件、HIV感染者、AIDS患者に対する国家的な取組について、調査いただきました。

 2ページ目のまとめにあるように、今回調査対象とした欧州3か国では、問診時に虚偽申告した献血者に対する罰則規定は設けられていませんでした。また、性行為を通じて、故意又は過失によりHIVを感染させた者の訴追に刑法が適用された事例等はありましたが、献血の問診時に虚偽の申告をした、又は虚偽の申告により受血者が感染症に感染したことをもって刑事罰が科された例に関しては、確認できるものはなかったとのことです。

 国別に比較したデータを添付しましたので、表1から表4を御覧ください。また、各国の問診票を別添資料として付けていますので、御参考にしてください。以上です。

○半田部会長 運営委員会からの報告ですが、資料4-1から、全体を通して御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、議題5に移ります。平成28年度適正使用調査会の審議結果についてです。御説明をお願いいたします。資料5-1から資料5-4です。

○事務局 議題5は平成28年度第2回適正使用調査会での報告事項です。資料5-1を御覧ください。この血液製剤使用実態調査は、国が日本輸血・細胞治療学会に委託して実施されたものです。1ページ目は輸血管理体制に関しての調査結果です。表1にあるように、輸血が行われている機関は1万軒程度あり、アンケートの回収率は51.75%と年々上昇しており、国内で使用された輸血用血液製剤の4分の3の情報が、このアンケート調査の中に含まれます。

 5ページの表7cを御覧ください。輸血管理料取得状況の年次別推移です。2010年には輸血管理料取得施設が864施設でしたが、2015年には約2倍の1,710施設に増加しています。続いて、6ページの表7dを御覧ください。輸血適正使用加算を取得している施設は全体の3割弱になりますが、300床以上の病院では6割以上が取得しています。

21ページを御覧ください。図11ですが、輸血責任医師、検査技師、臨床輸血看護師が配置されている病院では、赤血球製剤の廃棄率が低い傾向が見られました。なお、赤血球製剤の廃棄率に関しては、廃棄血処理の運用方法について、委員から「実態を教えてほしい」という要望もありました。

 続いて、22ページと23ページです。検査等について、日勤帯でも300床未満の病院では、血液型検査は半分近くが外注されています。不規則抗体スクリーニングは6割、交差適合試験も3分の1は院外の検査機関に検査を委託している実態が分かりました。

 続いて28ページです。輸血後感染症検査の実態調査報告です。委員の先生からは、「輸血によって感染症になる方は非常に少なくなったので、症状がない方の感染症検査については見直すべき時期にきているので、来年のテーマの1つにしてはどうか」という提案を頂いております。

31ページの図18です。科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドラインの認知度です。500床以上の病院での周知は進んでおりますが、300床未満では4割近くがまだ知らないという状況でしたが、このアンケートをきっかけに少し認知は進んだかと思います。以上で資料5-1の説明を終わります。

 続いて資料5-2です。3ページの表2、輸血実施予測患者数の年次推移を御覧ください。2015年は同種血輸血患者数が100万人を下回ったということと、2014年に少し増えた自己血輸血患者が減少傾向にあることが分かりました。手術件数は増加しているので、適正使用が進んでいることと、低侵襲手術が広がってきた結果なのではないかとの御意見を頂きました。

 続いて、8ページの血液製剤使用状況の年次推移を御覧ください。赤血球製剤、血小板製剤ともに、500床以上で病床当たりの使用量が徐々に増加しておりますが、全体としては横ばいとなっております。10ページ目の免疫グロブリン製剤の使用量についてです。2011年以降は増加傾向が続いています。なお、500床以上の病院の半数以上で、川崎病、ギラン・バレー症候群、ITP、CIDPなどの免疫学的な機序による疾患に対して使われている実態が分かってきております。

12ページの図4、1病床数当たりの赤血球使用患者数を御覧ください。赤血球が使われている患者数は規模にかかわらず増加傾向でした。13ページの表8ですが、小規模医療施設では、赤血球製剤、血漿製剤は廃棄率が高いことが分かりました。16ページは大量出血時の輸血に関してですが、クリオプレシピテートやフィブリノゲンの使用状況を示したものです。大量出血症例に対する輸血に関しては、現在AMED研究班で検討を続けていただいています。クリオ製剤に関しては、日本輸血・細胞治療学会の製剤委員会で院内調製のプロトコールが策定されていますが、使用可能施設は53施設にとどまっております。

17ページの図12は、貯血式自己血輸血の使用量が減少していることが分かりましたが、来年度以降は回収式や希釈式の自己血についても調べていただくことにします。

 また、同種血の安全性の向上と自己血輸血の使用量減少の関連を裏付けるデータがあるかどうかについて御意見を頂きましたが、来年度以降の調査で検討させていただきます。以上が資料5-2の説明です。

 引き続き、資料5-3 1.の資料を御覧ください。小規模医療施設での輸血管理体制についてです。1ページ目にあるように、無床の診療所で使用実績が増えています。

 資料5-3 2.は外来輸血に関してです。1ページ目にあるように、外来輸血の施設は去年より減少しています。更にページをめくっていただいて、資料5-3 3.は病院外輸血についての詳細な報告です。この7枚目のスライドですが、病院外輸血の実施場所については、介護施設や在宅での実施が増えています。11枚目のスライドは、病院外輸血の理由に関してで、「在宅治療を行っているため」「終末期医療のため」「身体障害があり通院に支障があるため」との回答が多くを占めています。日本輸血・細胞治療学会からは、「在宅や小規模施設での輸血に関してガイドを作る作業をしている」との回答がありました。また、前回御紹介させていただいた輸血手帳についても、情報を学会や日赤の職員を通じて周知していくとのことです。国でも、輸血療法の実施指針の改定に向けて、AMED研究班で現在検討していただいています。

 続いて、資料5-4の「血液製剤の使用指針」()を御覧ください。この指針の経緯ですが、以前に血液製剤の全ての国内自給の達成を目指す中で、血液製剤の使用適正化基準が設けられ、平成11年に血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針が策定されました。平成17年には、各領域における最新の知見に基づいて、血液製剤の使用適正化の一層の推進を図るために、大きく改定されております。その後、輸血医療の発展に合わせて一部改正が重ねられてきたところですが、一部記載が古くなってきたことと、エビデンスがはっきりしない記載もあることから、全面的に見直す方針で研究班を立ち上げて、日本輸血・細胞治療学会が中心となって、科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定を進めていました。

 各製剤ごとの学会のガイドラインに沿って、まず研究代表者の松下先生に、血液製剤の使用指針の改定案を御作成いただきました。適正使用調査会の委員から頂いた貴重な御意見を集約し、反映すべく、現在適正使用調査会の座長、研究代表者及び事務局の三者で改定作業を進めており、今年度中に最終案を局長通知として発出することを目標としております。引き続き、事業部会の先生方及び研究班の先生方の御協力をお願いできればと考えております。以上です。

○半田部会長 非常に厚い資料を簡潔にまとめていただきましたが、いかがでしょうか。

○倉根委員 資料5-210ページです。この調査の目的にもよると思うのですが、例えば比較的小規模の病院であると、本来、多発性筋炎とか重症筋無力症という疾患が来ないという病院もあると思うし、比較的特化した病院が出てくるのではないかと思うのです。このデータとしては正しいのだと思いますが、読み方として、本来そういう患者が来ない所で質問されれば、「使いません」と言うだろうということで、患者がいるかいないかもきちんと示さないと、データの読みが正しくなくなってしまうと思うのです。本来は、背後にもっとデータがあるのかもしれませんが。

○事務局 御指摘ありがとうございました。来年度の調査では、実態を反映したような形でお願いしていこうと思います。

○鈴木委員 同じく資料です。3ページに、自己血輸血患者数がだんだん減っているというデータがあります。その理由について教えていただきたいと思います。

 それと、16ページの右の文章で、「産科危機的出血などの疾患においても、フィブリノゲン製剤の適応が未だ認められていない」ということですが、産科危機的出血に限ってでいいのですが、適応がまだ認められていない理由についても教えていただけますか。

○事務局 自己血輸血が減っている理由は、侵襲性の高い手術が少なくなっていることと、手術技術が進歩していることなどが挙げられると思います。

 フィブリノゲン製剤に関しては、現在はまだ適応がありませんが、現在、大量出血の輸血のガイドラインの策定に向けた研究班で検討していただいております。実態として、そのように使われていることは承知しておりますが、今後、まずはエビデンスのあるデータに基づいて適応拡大をしていただければと考えております。

○鈴木委員 検討中ということですね。

○事務局 そうです。

○長村委員 同じ16ページです。「53施設」と書いてありますが、43施設ではないでしょうか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。学会に確認させていただいて、間違っているようでしたら修正させていただきます。

○大平委員 16ページのフィブリノゲン製剤の問題です。この報告の中で患者に不利益なところが出ているのが16ページの記載だと思います。そこで、フィブリノゲン製剤の適応がいまだに認められていないというのは、もしこれで大量出血時の対応などでの事故がいろいろと起こるとしたら、逆に未だ承認が得られないということ、また、供給ができていないということについての患者からの訴えも出てくる問題なのではないかと思うのです。ですから、日本で十分に供給できるような体制があるにもかかわらず、それができないという現状というのは、極めて遺憾なことだと思いますので、そこは早くに需要に見合った体制を取っていただきたいと思います。

○事務局 貴重な御意見をありがとうございました。学会で科学的根拠に基づいたエビデンスの調査をしていただいております。また、歴史的経緯もありますので、その辺りは科学的な根拠を大切にしながら、今後も研究班の先生方には進めていただきたいと思っております。

○半田部会長 時間が押しています。ただいまいろいろと御意見を頂きましたが、それを参考にしていただきまして、学会や研究班と協力して、当局においては適正使用の推進をよろしくお願いしたいと思います。

 最後の議題6の御説明をお願いいたします。

○事務局 本日、委員の参考資料として、ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言を配布しておりますので御参照ください。今後、この提言を基に、関係する審議会で御議論いただくために、現在厚生労働省において必要な項目を整理しているところです。血液事業に関する事項については、こちらの血液事業部会のほうで御相談させていただくことを考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。

○半田部会長 何か御意見はございますか。

○倉根委員 私はここに委員としておりますので、所属の立場として申し上げていいかどうか分かりませんが、感染症研究所です。ここに「感染症研究所」という名前が幾つか出てきますが、これはあくまでも、私どもの理解としては、顧問からの提言であり、感染症研究所の意見をここに述べろと言われているものではありませんので、感染症研究所はまた別の意見であることは、ここで述べたいと思います。必ずしも、ここが感染症研究所の意見を反映しているものではないということだけは、ここで申し上げたいと思います。

○半田部会長 それは、今まで「感染研」と出てきた全体のことですね。そういうことをおっしゃったわけですね。

○倉根委員 はい。

○半田部会長 いかがでしょうか。

○室井委員 大変素晴らしい案で、臨床的に有用になると思うのです。少し思ったのは、今回初めて自己血貯血の適応ということが出てきました10ページ以降です。各術式別に適応が述べられていて、非常にいいと思うのですが、この自己血輸血の序文がないのです。この前に序文があったほうが分かりやすいのではないかと思って質問しましたが、よろしくお願いいたします。

○半田部会長 これで議題は全て終了いたしました。ありがとうございました。今後の日程については、後日また事務局から御連絡をお願いいたします。

○血液対策課長 年明けに薬事・食品衛生審議会の委員の改選が予定されておりますので、現在のメンバーでは本日が最後の部会となります。皆様には熱心な御審議を頂きまして、誠にありがとうございました。今期で御退任になられる委員におかれましては、任期中、様々な案件について御指導、御鞭撻を賜りましたことに、心から御礼申し上げます。また、来期以降もお残りいただく委員におかれましては、引き続き高い見地から忌憚のない御指摘、御意見を賜りますよう、お願い申し上げます。

 年末でございますので、新しい年が皆様にとりまして良い年になりますよう、心からお祈り申し上げまして、御礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○半田部会長 本日はありがとうございました。これで閉会にいたします。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 山本(2905)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会)> 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録(2016年12月21日)

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