ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産流通部会)> 第14回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産流通部会議事録(2017年3月1日)
2017年3月1日 第14回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産流通部会議事録
健康局健康課予防接種室
○日時
平成29年3月1日(水)10:00~
○場所
厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○議事
○事務局 定刻になりました。ただいまより、第14回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。
本日は御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開ですけれども、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は、傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。
初めに、本日の委員の出欠状況について御報告をいたします。
本日は、委員10名のうち、伊藤委員、加藤委員、釜萢委員、川西委員、野口委員、細矢委員、森委員、山口委員の8名に御出席をいただいております。また、福島委員につきましては、少し遅れられるとの御連絡をいただいております。
また、坂元委員からは御欠席の旨の御連絡をいただいております。
現時点で、厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
ここで新しく就任された委員の方を御紹介いたします。
国立医薬品食品衛生研究所所長の川西徹委員でございます。
○川西委員 川西でございます。よろしくお願いします。
○事務局 また、本日は3名の参考人をお呼びしておりますので御紹介を申し上げます。
日本製薬工業協会バイオ医薬品委員会ワクチン実務委員会委員長の上田徳仁参考人でございます。
○上田参考人 上田です。よろしくお願いいたします。
○事務局 一般社団法人日本ワクチン産業協会理事長の菊池正彦参考人でございます。
○菊池参考人 菊池です。よろしくお願いいたします。
○事務局 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第4室室長の信澤枝里参考人でございます。
○信澤参考人 信澤です。よろしくお願いいたします。
○事務局 冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
「議事次第」「配付資料一覧」「委員名簿」、資料1から5、そして、最後に参考資料を御用意してございますので、配付資料一覧と照らしまして不足しております資料がございましたら、事務局におっしゃっていただければと思います。
次に、審議参加に関する御報告をいたします。
本日の議事内容において個別に調査審議される品目はございませんので、本日の議事への不参加委員はございません。
次に、部会長代理の指名についてでございます。
厚生労働審議会令第6条第5項により、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとなってございます。
本部会では、伊藤委員と川西委員が厚生科学審議会の委員でございますので、伊藤部会長より御指名をお願いいたしたいと思います。
○伊藤部会長 それでは、川西委員にお願いしたいと思いますが、いかがございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○伊藤部会長 ありがとうございます。
それでは、川西委員に部会長代理をお務めいただくこととさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、ここからは伊藤部会長に議事進行をお願いしたいと思います。
○伊藤部会長 では、議事に入りたいと思います。
本日は、3件の報告事項がございます。
まず、最初の議題(1)ですけれども「予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAサイクルに関する業界団体からのヒアリングについて」ということでございます。
まず、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 それでは、業界からのヒアリングに先立ちまして、事務局より御説明をさせていただきます。資料1をごらんいただければと思います。
資料1は、平成26年に告示をされました予防接種に関する基本的な計画、いわゆる基本計画のうち、本日のヒアリング、ワクチンの計画開発に関連する部分を抜粋したものでございます。
「第二」では、国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項が記載され、ワクチンの製造販売業者は、安全かつ有効なワクチンの研究開発を行うこと等とされております。
「第三」では、新たなワクチンの開発に関して、国が感染症対策に必要な新たなワクチンの研究開発の推進を図ることや、世界に先駆けて開発するよう努めること等が示されております。
「第五」では、予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項として、研究開発関連の事項が列挙されております。
「国は、国民の予防接種及びワクチンに関する理解と認識を前提として、『予防接種・ワクチンで防げる疾病は予防すること』という基本的な理念の下、ワクチンの研究開発を推進する。また、日本再興戦略(平成二十五年六月十四日)を踏まえ、国内外の感染症対策に必要なワクチンを世界に先駆けて開発することを目指す」とした「基本的考え方」に続きまして、「開発優先度の高いワクチン」「研究開発を促進するための関係者による環境作り」等が列挙されております。
「これまでの取組状況」といたしまして、2.に簡単にまとめておりますけれども、まず、開発優先度の高いワクチンにつきましては、平成25年12月に業界団体である一般社団法人日本ワクチン産業協会に対し、通知により協力を依頼しているところです。なお、開発優先度の高いワクチンに指定したもののうち、帯状疱疹ワクチンにつきましては、平成28年3月に対象となる製剤が承認され、その後、ワクチン評価に関する小委員会において評価を実施中ということになっております。
このほか、国立研究開発法人、日本医療研究開発機構いわゆるAMEDの研究におきまして、ワクチンのシーズ開発を実施してまいりました。AMEDの研究事業に関しましては、参考資料の2ページ目に関連資料をつけてございますけれども、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業といたしまして、診断薬・治療薬及びワクチン等の創薬研究開発を一体的に推進するとされておりまして、一連の研究課題の中にワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究というものも位置づけられているところでございます。
このAMEDの研究事業でございますけれども、参考資料の裏面にお示しをしておりますが、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランでありますとか、下の方でございますけれども、国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画といったところで、最近、策定をされております基本計画、あるいはアクションプランでも取り上げられているというところでございます。
ヒアリングに先立ちまして、基本計画のうち、ワクチンの研究開発に関する部分の簡単な御説明、それから、これまでの取り組みに関する御紹介は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。
それでは、予防接種に関する基本的な計画について、ワクチン産業の観点から、ワクチン産業協会の菊池参考人より御説明いただきたいと思います。
菊池参考人から御説明を、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池参考人 ワクチン産業協会の菊池です。
早速説明させていただきます。
2ページ目、3ページ目は、ワクチン産業協会の概要を示していますが、総務、技術、PR、法規、安全管理、国際という委員会がございまして、PRは啓発に関する委員会で、法規は基準関係、それから、国際は、国際協調もありますので国際的な流れを全部つかんで日本に持ち帰るという委員会です。総務が全体を俯瞰しているということになります。その上に理事会があって、総会で決議するという構図になってございます。そういうガバナンスになっています。
次のページでは会員の一覧を示しておりますが、ワクチンを製造するメーカー、販社、各社18社からなっているということであります。
次の4ページ目、本日のプレゼンの内容ですが、ざっくりと簡単に今までワクチンが、どういう役割を果たしてきたかということ、それと2007年にワクチン産業ビジョンの最初の分が出されているのですが、その後の流れ、あとは予防接種制度見直し提言と基本計画、その後の流れを説明しまして、産学官連携の現状。4番目がワクチン関連施策に関して望まれる事項、これは我々が考えて、皆さんと一緒に議論をしていかないといけないということをまとめてございます。それと、国の成長戦略にワクチン産業は貢献できるのかどうかというのを最後にまとめてございます。
順次説明します。5ページ目で、ワクチン開発の歴史を掲げておりますが、1900年代に入りまして急速に新しいワクチンが開発されました。小児用ワクチンが中心なのですけれども、これによって、公衆衛生、特に子供さんの亡くなる数が劇的に減っていって平均寿命が延びたということは言うまでもございません。
次に6ページ目で、日本のワクチン産業の変遷ですけれども、戦後、伝染病とかを含めて感染症が大流行したことを契機に、いろいろな国の施策が施され、1960年代、70年代には、政府の指導によってワクチンがつくられていったという非常にすばらしい時代で、日本は先進的に取り組んでいったという歴史がございます。
次のページで、80年代以降ですが、輸入ワクチンが入ってきたり、ここで見ると「平成6年」と書いてあるところ、特にインフルエンザワクチンが、いろいろなレポート等も含めて、急に接種されない時期が、冬の時代があったというところで、ワクチンに関しては健常人に接種することもありまして、いろいろな歴史があるということを示しています。
インフルエンザが全然打たれなかった時期に、乳幼児の超過死亡率が上がったということは、疫学的にも普通はとれないようなデータが上がってきているという事実もございます。
次に、産業ビジョン等のお話に参ります。9ページ目、2007年のワクチン産業ビジョンの骨子です。
この時期は、これを契機にワクチン開発が進んでいったのですが、ざっくり70ページぐらいあるのですけれども、これを1枚にまとめたらこういうことだというように我々は理解しています。ワクチンメーカー、これは製造メーカーです。微研さんとか、化血さんとか、北里第一三共ワクチンとか、デンカさんとか、武田さんも含めて、製造メーカーをワクチンメーカーという呼び方をしています。研究開発・製造に特化したスペシャリティーファーマを目指してほしい。
そのため、国内メガファーマと戦略的な連携が必要である。
さらにシーズ獲得のために外資との戦略的協力、国内研究機関との共同研究を進める。
国内市場の拡大、外資メーカーからの技術移転、外国市場への展開により収益構造を改善して、これでサイクルを回していって、新しいワクチンの研究につなげるというようなことが書いてございます。その流れに沿った動きも、国内企業の中には多分にあるということです。
次に10ページ目、予防接種基本計画です。
ここには概要をまとめていただいた部分を掲載していますが、特に産業界としましては、赤字が含まれている2番、3番、5番、6番について積極的に取り組んでいるということをお示ししてございます。
11~16ページについては詳しく御説明はしませんが、80年代は、日本でも盛んにワクチンの上市が行われていたのですが、見ておわかりのように、90年代以降、日本のワクチンは冬の時代でありまして、その間にアメリカやヨーロッパでいろいろなワクチンがいっぱい出てきて、逆に日本が後進国になってしまった。2007年のビジョンが出る付近から、2008年にHibワクチンが上市され、今、Hibワクチンに関しては日本での患者はゼロになっていまして、完全に制圧している状態でございます。そういう新しいワクチンが日本にも導入されて、その後、15ページ、16ページに書いてあるように、日本で次々とワクチンギャップが解消されていったということを歴史的に示してございます。
17ページもすごくビジーなスライドで申しわけないのですけれども、国内企業と外資系企業の連携の状況、これは全て正確に把握しているかどうかというのは不安があるのですが、進行形のものもあるので、今、わかっているものだけ掲載してございます。日本国内の会社と外資系が連携しているのを一覧にまとめてございます。日本にないワクチンを、日本の子供たち、成人にも使えるようにするという動きがこの中で読み取れるのではないかと思います。
次19ページで、現状の産学官連携についてですが、アジア新興国に対しての実例を2つ挙げてございます。
20ページ、ベトナムの政府、それとJICA、ODAも含めて、日本の産官連携で麻疹のプロジェクトを立ち上げて、ベトナムでアウトブレークが起こったときに、このワクチンでしっかりと抑えたという実績もございます。
インドネシアに関しましても、これは過去の話になりますが、生ワクチンの製造基盤技術プロジェクトが進んでいたという事例がございます。
現在もいろいろなプロジェクトが進んでいまして、日本の英知を東南アジア諸国に提供していくという連携を行っているところです。
次の21ページで、新しい研究に関しての連携の状況をかいつまんで説明します。
日本は安全なアジュバントというのを志向した傾向が強いのですけれども、安全なアジュバントに関して、国と企業が連携して行っている。新規のアジュバントに関しても行っている。あと、経鼻ワクチン等も行われている。ジカ感染症に関しても、ここに載っている部分だけではないのですけれども、日本の各社がいろいろな研究を行っているという事実がございます。
22ページですけれども、内閣官房主導の官民連携会議。これは開発途上国の感染症対策に関する官民連携会議という名目ですが、こことも連携が行われていて、ここもいろいろな省庁が入っていまして画期的な事象だと捉えています。
次に参りまして、4番目「ワクチンに関連施策に関して望まれる事項」ということで、順次説明して参ります。
1つ目、24ページで「国の予防接種行政に関する施策、および、ワクチン事業を促進させる施策推進」ということで、ワクチン開発に必要な体系的な疫学調査が国として必要ではないかということで業界としては考えておりまして、これもいろいろな対話をしながら、どう協力していくかということを話し合っていきたい。
研究開発段階からの定期接種化・接種勧奨対象疾病の検討ということで、これは後でも説明をしますが、ワクチンというのはいきなりつくれと言われてもつくれないわけで、ワクチンは基本的に注射剤で、ウイルスを無菌でつくるというのは、普通の無菌というのは差圧をつくって外に出す構造になっているのですけれども、逆に外に出してはいけない構造なので、すごくコストがかかる設備になります。リスクを持って、この設備投資をするということは相当勇気が要ることで、これがうまくいったら、ちゃんと定期接種になるという議論をもっと早い段階でする必要があるという意味合いを示しています。
次25ページ目で、研究開発推進のための、産学官が連携する環境の整備。これは基本計画の中にも書かれていますが、これを実行していきたい。
それと、日本には非常に優秀な免疫、ワクチンの研究者が多くいらっしゃいまして、その辺を何とか製品化に結びつけるオープンイノベーションというのを、企業側も努力していきますが、国としてもサポートしていただきたいというように思います。
次の新規技術によるワクチン等の開発ガイドラインというのは、新しい技術が出てきたときに、このガイドラインが整備されていないために開発が進まないということが多々ありますので、この辺も連携して問題を解決していきたい。
あと「技術の進歩に則した対応・ガイダンス(カタルヘナ法への対応等)」、それから「基準・規制要件等の国際的協調」。
治験施設については、特に乳幼児、小児の治験施設に関しては、まだまだ未充であるというように考えています。
26ページの「国際協調の更なる推進」ということで、これはタスクフォースで提言してございますのできょうは詳しく説明しません。
あと「生物製剤関連規制(国家検定・生物学的製剤基準等)の改善」ということで、これもタスクフォース等で提言をされていますのできょうは割愛します。
27ページです。
「規制・基準の国際協調を通じた研究開発促進および効率化」で、「副反応報告、感染症報告の改善」は、普通の医薬品と違って、ワクチンは各社が副反応というのをとりにいくのですけれども、小さな個人病院に、多くのメーカーが同じことでいっぱい押し寄せるという現象が、今、起こっていまして、これを効率化していくような方法等、国といろいろお話をしながら効率化を図っていきたいと思っています。
28ページは非常に重要なところなのですけれども、「必要なワクチンの安定供給体制整備」ですが、安定供給における厚生労働省と企業のさらなる連携が必要だと思っています。ワクチン固有の課題ですが、結局、欲しいからといってすぐにできないということで、これは後でかいつまんで説明しますが、そういう事情がございます。
あと、審議会の議論に先立つ科学的議論の場の設置。これは日本版ACIPという言い方をしますが、アメリカのACIPでも、ACIP自体には産業界は出ているわけではないのですが、その準備委員会とか、技術委員会には入り込んでいますので、そういう意味では、そういう場で国防とも言えるワクチンの開発に関しては、企業の意見も十分参考にしていただきたい。通常、営利とかそういうことをイメージされる傾向はありますが、ワクチンに関して、そこで多大なる利益を得ようと思っている会社は恐らくいないと思いますので、その辺を含めて透明な議論をしていきたいと思っています。
次29ページで、安定供給に関しての話の続きですが、これは後でかいつまんで説明します。
危機管理体制の強化ですが「『細胞培養ワクチン実生産施設整備等推進事業』の継続的な危機管理対応と国の積極的な協力」というところで、実は整備事業は、設備に関しては国費で整備されているのですが、維持管理に関しては、ある意味、企業がやっていることになります。結局、いつ起こるかわからないので、企業サイドから見ると、これは収益事業には当たらない事業になります。負債事業ということになりますので、これを維持していくことが一企業に委ねられるというのは、国民目線から見ても疑問が呈されるのではないかと思いますし、この事業が始まって4年、通常の製造機器ですと減価償却が7年で、その後どうするかとか、この体制を維持することに対しては、まだ、いろいろな議論をしないといけないことがあるということで、そういう場が必要なのだと思っています。現にワクチン産業協会からも数年前に要望書を提出している次第でございます。
30ページにワクチン産業の特徴ですが、ここで右出ししているところを見ていただきますと「定期接種化など、行政の方向性が示されないと、市場が安定せず、高いワクチン接種率が維持されない」というのが一つのキーメッセージです。
それと「突発的な需要増等に対し、即座に対応することは難しい」ので、ストックを含めてどうするべきか、国の安全保障のためにどうするべきかということを、リスク管理を含めて広い範囲で話していく必要があると思います。
ここに書いていますが、生ワクチンのリードタイムが2年ぐらいございまして、インフルエンザとかも親鳥からやりますので、そう簡単に、ぱっとふやせるわけではないということが小さい字で書いてございます。
次のページは、ワクチン特有なことで、これも右出しを見ていただければいいのですけれども、ウイルス培養用の原材料が入手できなかったり、原材料のリスクに伴う変更等により、計画された生産量が得られない場合が多々ありますので、この辺は産業界も当然頑張らないといけないのですけれども、全体としてリスクヘッジをしていかないといけないと思っています。
32ページは、予防接種行政に関する審議会・審査会についての構図なので、これはもう皆さん御存じのことなので割愛します。
先ほど後出しすると言っていたのが33ページのことになります。
現在、承認を得たワクチンは、審議会を経て、定期接種の議論をされるのですが、オレンジの上の「産学官が一堂に会して定期的に議論する場」が臨床の段階から必要だということを強く申し上げたいと思います。
というのは、この段階で設備投資等をしないと定期接種になっても提供できない。規模にもよるのですが、150億とか200億とかの設備投資をすることになるのです。これがある意味、承認をとって空振りということになると、それはそれで大きな問題になっていきます。会社が維持できないという問題になっていきます。
本来ならば、グローバルにつくれるようにして、そのうちの一部を日本にというのが理想的なのですが、グローバルメガの4社はそういう形なのですけれども、日本の場合、まずは日本の需要を考えると、この時期に議論し始めて、これも一堂に会する場を定期的に持つと。例えば年間スケジュールで何月にこういう議論をしましょうとか、そういう定期的な、透明な議論をする場があるべきではないかというように思ってございます。
次に、34ページ目で、ワクチン産業ビジョンを2007年に出されて、内容的に非常にすばらしいものでございましたが、2つ目のレ点の1つ目の●ですけれども、継続的に更新して、アップデートしていくことが必要かと思っています。この辺を協力して、今の時代に合わせたビジョンに変えていくという作業が必要かなと思ってございます。
次のページで、定期接種化・接種勧奨ワクチンの費用の検討、費用等、何が適切かということも含めてですが、この辺が企業によっても違うでしょうし、内外の考え方も違うのかもしれませんが、この辺の適正化、ある意味では疾患が起こった場合、起こる確率に対しての費用対効果をどう考えるかということを含めて、費用の適正化をするというのが必要なのかと思っています。この辺は詳しく話すと長くなるので、きょうは割愛をさせていただきます。
最後の「ワクチン産業は日本の成長戦略へ貢献できるか?」という話に入ります。37ページです。
左の上の図、先ほども申し上げましたように、免疫とかの分野では本当にすぐれた研究者が日本にはいらっしゃいます。ここを何とか生かしたいと思っています。
下のカラムですけれども、海外を見ますと2013年のソースでは5社ですが、実は4社になっています。そこが企業規模を持って、世界的に物を輩出するのでコストも当然安くなりますし、日本に何社も必要なのかという話も多分あるのだと思うのですけれども、そういう意味では、タスクフォースでもいろいろ話されていると思うのですが、それを含めて、一緒に日本の将来を考え、日本の成長とか、国際貢献がどうやったらできるかということを話し合っていく場がほしいというように思っています。
最後、38ページ目「日本の成長戦略への貢献」ということで、世界もそうなのですけれども、ここには新規ワクチンの研究、アジュバントの研究、投与デバイスは日本の得意とするところです。そういうものが必要だと思います。
今まで、ウイルスを使ったワクチンがほとんどだったのですけれども、DNAとかメッセンジャーRNAのワクチンも、当然、今から出てくると思われ、そういう意味では、世界に先駆けて日本が新規ワクチンをやっていかないといけないと思っています。日本の英知を結集して、オープンイノベーションをうまく使って、製造規模の確保もし、投資力も確保をしていく必要がある。
そのためには、企業サイドに求められることとしては、安定供給の使命を守るための努力、それと先行投資へのリスクテイク、健全な財務体質を保つことと規模を持つこと。このリスクテイク等をするために、国や行政に期待することとしては、グローバルメガに対抗できる国家戦略が要るだろうということと、産業育成のための官民対話、オープンイノベーションの積極的展開への支援ということが望まれると思います。
いろいろな技術を含め、産官学のコミュニケーションをオープンにディスカッションする場が望まれるところです。
以上、ワクチン産業協会からのプレゼンでした。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
菊池参考人からは、ワクチン産業協会から政府に対する強い要望がたくさん並べられたような気がしますが、日本製薬工業協会からもお話を用意していただいていますので、それとあわせて質疑をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
どうしてもここで一言言っておきたいということはありますか。
それでは、引き続きまして「世界のワクチン市場と日本における研究開発の促進策について」、日本製薬工業協会バイオ医薬品委員会ワクチン実務委員会委員長の上田参考人から御説明いただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○上田参考人 製薬協の説明を上田からさせていただきます。
タイトルは「世界のワクチン市場」と書いていますが、直接関係のない文言が入っています。申しわけございません。
まず、製薬協に関して、余りなじみのない方々もいらっしゃるかと思いまして、その紹介からさせていただきます。
「製薬協は革新的で有用性の高い医薬品の開発と製薬産業の健全な発展を通して、日本および世界の人々の健康と福祉の向上に貢献することを共通の目的とした研究開発志向型製薬企業72社の任意団体です」。
下の詳細説明は割愛します。
3ページは、製薬協の組織図を示します。その中のバイオ医薬品委員会の中にワクチン実務委員会がございます。
4ページに示す12社が会員会社で、種々検討を行っております。この会社の中には、ワクチンの製造あるいは販売を、現在、直接行っていない、研究開発に特化して検討しているという企業も含まれます。
5ページは、ワクチン実務委員会の主な活動内容です。
1つ目は、ワクチンに関する政策、研究開発促進、審査・国家検定等、種々、ワクチンの事業をしていく上で、多くの共通の課題がございますので、そういったものを話し合いながら、今後、当局ともさらに対話を進めながら提言をしていければというふうに考えて活動をしております。
2つ目なのですが、国民がワクチンに対して正しく理解をすることは非常に重要であるということはいろいろなところで議論されています。その中で、報道機関から適切な情報を発信していただくことが大事と考えます。そういったことでメディアを対象とした「製薬協メディアフォーラム」というセミナーで、ワクチンに関してもトピックを挙げて啓発活動を行っております。
3つ目は、IFPMAという団体があるのですが、そこに参画し、国際的な情報についても入手しております。
6ページ、本日の内容なのですが、まず1つ目は、現在の研究開発の状況についてお示しし、2つ目は研究開発の促進策について、特に疫学だとか、定期の接種とか、その辺にフォーカスを当てて御説明させていただきたいと思います。
先ほど日本ワクチン産業協会から、種々、幅広い内容の御発表がございましたが、製薬協の中でも同じ課題認識を持っております。
8ページ。2014年3月28日というのは、先ほどの紹介のあった基本計画が発出された日です。これ以降承認されたワクチンを整理しました。この中には、一部変更承認をとったという、「一変」と書いているところですが、そういったものも含めて書いております。
1つ目は、水痘ワクチンに帯状疱疹の効能・効果追加が行われたという承認です。
2つ目は、DPTのワクチンなのですが追加免疫。現在DTワクチンが使われている時期に追加免疫をするというコンセプトだと思うのですが、そういったワクチンが一変承認されています。
2016年1月には、2品目目に当たるHibワクチンの承認。
それから、10価の肺炎球菌が2015年3月に承認され、その後、基本方針部会で定期接種としては導入しないという結論が出されています。
それから、髄膜炎菌。その下に3品目目に当たる四種混合ワクチン(DPT-IPV)が定期接種として使用されております。
最後に示すのは肺炎球菌ワクチンなのですが、13価のものです。これは高齢者への効能・効果追加という一変承認です。
9ページ目に示すのは、いわゆる新型インフルエンザワクチンに関してですが、2014年3月28日以降ということに限定すれば、2社の3品目に当たります。しかし、関連するワクチンでありますので全てを取りまとめた表になります。
これは国の整備事業の一環として開発されたワクチンでありまして、この中には2つのワクチン、1つ目はH5N1亜型に対するワクチン、2つ目のプロトタイプワクチンはH5N1以外の亜型にも対応できるワクチンの承認です。これらを一覧でまとめております。
このように、国のパンデミックの危機管理にワクチンを通じて貢献している企業がございます。
10ページ目、基本計画に示された開発優先度の高いワクチンの開発状況についてまとめております。これは製薬協の中で取りまとめた情報で、公開情報に限定しております。国内の全てをまとめているという状況ではありませんので御承知おきください。
まず、定期接種に指定されているワクチンはございません。それから、先ほど話がありました帯状疱疹ワクチンについては1品目が承認されて、現在、定期接種に関する評価が行われていると理解しています。
臨床開発あるいは申請中のワクチンということで申し上げますと、RSウイルスワクチン以外は、全て開発品目が存在するという状況です。
臨床試験のステージに入る前の「探索研究・非臨床」と書いておりますが、そういったところにも公開している情報で2品目のものがあります。
この一覧で、開発ステージを見たところ、基本計画が発出される前から研究開発が開始されていると思いますので、企業が開発すべきと考えていたワクチンが、基本計画で示された国の方針に一致していたといえると思います。
次は、先ほど申し上げました研究開発促進のために必要なことについて提言を取りまとめています。
12ページのマル1として「ワクチン開発に必要な感染症の疫学情報の整備、および、疾病負荷に関する研究の充実」というタイトルをつけております。
先ほども説明があったと思いますが、感染症疫学情報が、現在、十分な状況ではないと思います。もっと詳細な、正確な情報が必要な状況だと思います。その収集のあり方、それから、国の役割とか主導のあり方というものを明確にしていただく必要があると考えております。
感染症対策の基本計画を策定する上で、一つは国内で流行している感染症はどういったものがあって、それに対してどのような対策をしていくのか、優先順位はどうなのかということ、それから、国内には流行していないのですが、いわゆる新興感染症等の国外で流行している感染症、あるいは旅行のときに問題になるような感染症等がありますが、そういったものへの対策の立案も必要かと思います。
こういった感染症疫学情報は、やはり国が主導して収集していただきたいと思いますし、産官学が協同して、共用できるデータベースのようなものを整備する必要があるのではないでしょうか。
このようにして、研究開発すべき対象疾病は何なのかというのが明確にされると思います。
資料には記載しておりませんが、一つ事例を挙げたいと思います。
百日咳に関しては、現在、3,000カ所の小児科の定点調査の報告に基づいて国内の感染状況が検討されていますが、その報告の中で成人が約半数を占めるという情報が出てきています。小児科定点で調べている中で、成人の発症が50%ということはちょっと不可解な部分もあるのですが、この百日咳の国内における感染、流行状況をより正確に把握していく必要があると思います。その結果、医療ニーズは何なのか、対策をする必要があるのか、ワクチンの位置づけはどうなのかという、よりよい議論ができるというように思います。
2番目「研究開発段階からの“定期の予防接種”の対象疾病の指定」です。
疫学情報に基づいて、だから、このワクチンが必要なのですというように開発が望まれる疾病を特定し、感染症対策においてワクチンをどのように使っていくのか、ワクチン以外の対策もあると思いますが、ワクチンの位置づけを明確化することが重要だと思います。
ワクチンの位置づけが不明確であれば、研究開発の投資の判断が難しくなります。例えば市場規模が将来どのようになってくるのかとかを踏まえて、大規模な臨床試験の投資の判断をしていく必要があるのですが、そういった点から研究開発のインセンティブが働きにくい一つの要素になっている可能性がございます。
2つ目の事例ですが、先ほど申し上げました百日咳ですが、これがワクチンの位置づけが明確になってきたときに、より効果の高い、あるいは効果の持続するワクチンが必要なのか、あるいは現行のワクチンをさらに追加接種していく必要があるのか、その年齢はとか、接種回数はといった議論が行われれば、より開発が進むのではないかというように考えます。
13ページ、3つ目の点で「“定期の予防接種”指定のあり方および検討プロセスの改善」についてです。
現在、定期の接種の議論というのは、承認取得されてから開始されています。別の言い方をしますと、開発中あるいは開発前、審査中に、定期を含めた議論ができないという状況が現在あります。
そういったことから1番に書いていますように、開発後期から、先ほどの日本ワクチン産業協会の話と同じですが、このような連携体制をつくって、連続的に評価、議論できるような体制を構築する必要があると考えています。
こういった中で、先ほど設備投資の事例がありましたが、研究開発の全体戦略を明確化していくことができると思います。
2つ目は「“定期の予防接種”の検討プロセスを迅速化すること」。承認後、定期とするべきワクチンに関しては、速やかに定期の予防接種指定の判断ができるようにすることが重要だと思います。
1つ事例を挙げさせていただきたいのですけれども、現在、定期接種、任意接種と、ワクチンに種別があるのですが、一般の国民の方、お母さん方は、任意接種は国が重要と、必要と言っていないのだからワクチンを打たなくてもいいのでしょうという声が出てきているというようによく聞きます。当然、ワクチンに関する啓発活動というのは業界も含めてしっかりやっていかないといけないと考えていますが、やはり定期接種として早く提供できるというのはいいことだと思います。
「疫学的有効性、安全性評価に必要な基盤的疫学データベースを薬事承認前(例えば、臨床後期段階から)から構築すること」と書いています。現在、定期の議論をする際に、では、この疾病の疫学データはどのようになっているのだという議論を始めるのでは遅いと思います。
また、ワクチンが定期接種として導入された後、ワクチンにより、この疾病がどのように変化していくのか。発症率が随分減りました、ワクチンの効果ですね。ワクチンをやめると、また、このような感染症が発生するかもしれない。そういったエビデンスをつくる上でも、こういったデータベースをつくっていくということが必要だと思います。
14ページの「3.“定期の予防接種”の指定要件を明確化」です。
新規ワクチンのニーズあるいは位置づけを評価するためには、先ほど疫学情報のことを申し上げましたが、疾病負荷、どれだけ重篤な病気なのかとか、どれだけ発症するのか、あるいはそれに係る経済的コスト。これは直接的なコストであったり、あるいはお母さん方が仕事を休まれるというような社会的なコスト等も含めてなのですが、どれだけ重要な疾患なのかということを明確化することが大事だと思います。
現在、開発優先度の高いワクチンが指定されていて、こういったワクチンが必要だということはわかっているのですが、これが将来、承認された後、定期接種の指定をされるためにはどのような要件が必要なのかというのが、今、議論されるべきだと考えます。
そういった要件が明確にわかっていたならば、例えば後期の臨床試験の際に、追加の補足のデータを取得することも可能になって、承認後、審議が始まって、これで定期にならないということにつながるかと思います。
4番目「“定期の予防接種”の指定要件等に関する産官学の協業」です。
どういったものにワクチンが必要なのかとか、あるいは研究開発の方向性、方針等を明確にするときに、産官学を交えた議論の場というのが必要になってくると思います。
ワクチンの期待すべき有効性、安全性のプロファイルを明確にし、要件に合致したワクチンを開発し、承認後、速やかに定期接種として使用することができるということにつながると思います。
今回、疫学あるいは定期接種に関する内容にフォーカスして御説明申し上げましたが、これから引き続き、産業も含めて、いろいろな議論をさせていただきたいというようにお願いいたします。
説明は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
どちらかというと業界サイドからの要望のほうが強いような気がするのですけれども、厚生労働省のほうから何かくぎを刺しておくことがあるようでしたら、まずいただきたいのですが大丈夫でしょうか。
では、委員の方々から御意見なり御質問なりを業界の方々にいただきたいと思います。
山口先生。
○山口委員 菊池参考人の御発表について、2、3点お伺いしたいのですけれども、多分新型インフルのときに、設備は国が投資してくれたのだけど、あとの維持管理に相当のお金がかかるという、確かに細胞培養ですので、培養のメディウムとか、そういうのを常に準備しておかないといけないという意味ではよくわかるのです。そのこと自体は反対しないのですけれども、これをずっと続けていくと相当なお金になってしまうような気がするのと、もう一つ、新型インフルの場合は、そういう設備をつくって、ほかのものにも適用するようなことを多分想定していたのだろうと思うのですね。ですから、季節性インフルに対してそれを適用することによって設備と、それから、そのサイクルを回しておくということが期待されているのかなと。あとはどんなものが必要なのかという話が1点目です。
2点目に、カタルヘナ法のことが書いてあったのですけれども、先ほどプラズミドワクチンとか、そういうのもあります。それから、組み換え生ワクみたいなのも多分出てくると思うので、そういうようになったときに、組換え生ワクチンだと、恐らくカルタヘナの第一種の評価をどういうようにするかということがあって、そのようなことが記載されているガイドラインがあれば産業界としてはいいのか。要するに、どういうように整備していれば、そのことについて対応がしやすいのかという、その辺を教えていただければと思います。
○菊池参考人 御質問ありがとうございます。
まず1つ目の細胞培養の話ですけれども、細胞培養の原液をつくるのはほとんどがタンクになるわけです。そこの転用は各社、試みてはいるのでしょうけれども、細胞培養の施設で季節性をつくるとなると、4価のワクチンを別々に培養して、出来高が違うものを合わせたり、コスト的に全然合わないということもございます。だから、培養のほうを転用するのは非常に難しいというのが一つです。その後の製剤行程を利用するというのはゼロではないと思います。
各社によって違うのですけれども、巨大な設備を維持管理するだけでも年間10億は超えるのです。それと、もしも起こったときのための材料を確保しておかないといけない。それも使用期限が来るわけなので、そういうのをずっとため続けると、実際に起こったときにワクチンが1ドーズ幾らになるのかというのは一度想定してみる必要があると思うのです。そうなると、現実離れしたようなことになって、企業サイドも心苦しいという話になるので、それは危機のために備えるわけなので、もうちょっと対話をして、どうすべきかというのを話し合っていかないといけないし、そのために危機管理対策をやっている会社がつぶれてしまったら元も子もないと思います。これは国民目線で見て、正しいようにすればいいのではないかと思っています。
2つ目の話は、具体的にお話しするのは難しいと思うのですけれども、結局ガイドラインがないから進まないという話になりかねないのです。今、皆さんが基礎でいろいろなことをやっている中で、どういうワクチンができる可能性があるとか、そういう話を一度する場を設けさせていただいて、そのガイドラインをつくっているところが、ないところもあるかもしれないですね。そういうのを話す場があるといいのかなと思います。我々でまとめてみてもいいのですが、なかなか基礎なので言えませんみたいな会社もあるのですけれども、できるだけまとめて、どなたに御相談すればいいかというのがわかれば、それは具体的にできると考えています。
○山口委員 カタルヘナというのは日本独自なところももちろんあるのですけれども、欧米は環境影響評価をやっていますよね。要するに、グローバルに開発していくとすると、その辺との兼ね合いもあるでしょうし、その辺をどういうように整理するのかという気がしたものですから。
○伊藤部会長 きょうのお話は、どちらかというと基本方針部会の話なのかなという気がするので引っかかるのですが、ワクチン産業協会と日本製薬工業協会と役割分担があるのでしょうか。まず、その辺から教えていただけますでしょうか。
○菊池参考人 分担という意味ですか。
○伊藤部会長 はい。
○菊池参考人 製薬協からも追加発言をしてもらうといいのですけれども、日本ワクチン産業協会は、基本的には日本の公衆衛生を守るために、かつてからある製造メーカーが中心となって立ち上げてきた、昔の細菌製剤協会になりますので、先ほど示したように、感染研さんとも連携させてもらっています技術とか、インフルの株とかを含めて、細かいことまでやっているのが日本ワクチン産業協会になります。
○上田参考人 先ほども説明したのですけれども、製薬協の加盟会社は、ワクチンの製造あるいは販売をしている全ての会社が加盟していないという現状がございます。それがまず前提にございます。
2ページに示したのですが、製薬協そのものが、どういう視点が活動している企業の集まりかというところを申し上げますと、研究開発を進めて、日本及び海外に貢献していく、そういう思いを持った企業の集まりという前提を踏まえると、製薬協全体では研究開発を促進して、より国民のために、国民のニーズのある医薬品を提供していきたい、そのために何ができるのかという視点で、全体的な活動があると思います。
そういった中で、ワクチンに関しても研究開発を進めていく上で、いわゆる行政の予防接種の施策について議論をしたり、あるいは研究開発を促進するためにオープンイノベーションだとか、臨床試験のガイドラインの必要性だとか、そういった議論をしています。
製薬協は幅広く議論をしているのですが、各会社1名ないし2名が、月1回議論しているという、割と小ぢんまりした集団だと思います。ですから、特に役割分担を決めて、ここは日本ワクチン産業協会のエリアだから触れないとか、そういう意識は強くは持っていないのですが、先ほど菊池参考人が話されたように、日本ワクチン産業協会はいろいろな組織がありますので、広く活動されていると思います。
○伊藤部会長 皆さんおわかりになられましたでしょうか。
ほかにも山ほど質問がありそうなのですけれども、いかがでございましょう。
○加藤委員 ちょっと話題がずれてしまうかもしれないのですけれども、最初の菊池参考人にお伺いしたいのですが、JICAさんを通じて、いろいろな国際協力をしていることは非常によくわかりました。それに対して、私の所属する国立感染症研究所も協力をさせていただいて、ワクチン産業協会さんにはとても感謝をしております。
実は、私はそれとは別に、WHOの西太平洋事務局にも毎年会議として出ているのですけれども、このような日本の貢献というのは、WHOのほうではそんなに大きくアピールされていないように思うのです。
また、WHO等でワクチンに関する会議があったとしても、特に日本の産業界からは意見が出てきていないというようなことになりますと、もう少しそういった場を利用して、日本のステータスを御宣伝されたほうが、せっかくやってきているのですから、よりメリットがあるのではないかというように一つ感じました。
また、WHO関連の話として、近い将来の投資として必要なものとすると、例えばポリオウイルスというのは既に世界からクリアをされようとしていますので、今後は非常に強い規制のもとにウイルスを扱わなければいけない。御存じのように、GAP3と呼ばれているものです。そうすると、ポリオウイルスワクチンの製造はBSL3のグレードでやらなければいけないと多分決まっているのですけれども、今回、それに対する投資が特に含まれていなかったと思うのですが、その辺は産業界さんとしては、どのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
○菊池参考人 1つ目の御質問ですけれども、御指摘のとおり、実はベトナムの件は、当時いらっしゃったWHOの遠田先生とかなり密に連携して制圧にかかわったこともありますし、やっていることはすばらしいと思うのですけれども、宣伝が足りないというのは確かかと思います。日本特有かもしれないですけれども、やったことはベトナム政府が評価してくれればいいぐらいの話で、ベトナム政府からは相当な栄誉をいただいているのですけれども、それを世界に発信していないという現状で、その辺も日本のためにもやっていくべきだというようにアドバイスをいただき、ありがとうございます。
もう一つのポリオの話ですけれども、この件は2つのことがあると思いまして、旧日本ポリオ、今は微研さんに統合されましたけれども、国内企業ではセービン株がつくられていまして、これはある意味、弱毒なので規制は厳しくないと思うのですが、野生株を日本でつくるという計画は今のところありません。
○加藤委員 WHOの話では、たとえセービン株であったとしてもBSL3施設でつくらなければいけないということになっています。
○菊池参考人 わかりました。その辺は実際に行っている会社にヒアリングをして。
○加藤委員 多分相当な投資が必要になるのではないかというように。
○菊池参考人 ちょっと認識が足りなかったので、別途、御相談させていただきたいと思います。
○伊藤部会長 定期接種の話が大きな要望で出ていたと思うのですけれども、定期接種に至るまでの道筋というのは、基本的にはある程度のボリュームゾーンが増えていって、その後で、国民的なコンセンサスが得られないと、いきなり定期接種ありきでの議論にはしにくいと、私は個人的には思ってはいます。そのために日本版ACIPに相当するような予防接種、ワクチンの分科会というのができて、さまざまなところで多くの人たちに発言をしていただいて、最終的に、定期接種の議論がされるという認識だと思っていて、そこら辺が製薬企業の方々と違うのかなという気もするのです。
HPVが定期接種化されましたが、途中で予期せぬ形でサスペンドされているというような状況から考えると、やはりちゃんとした道筋というか、データに基づいてというか、実績に基づいてという話をしていかないといけないのかなと思っていて、私ども、実際に接種をする者から見ると、そちらのほうが自然かなと、思っています。そういう考え方に対して、今回提示をされた企業の方の考え方とは少し違いがあるような気がするのですけれども、それに対して、どうお答えになられますか。
○菊池参考人 違いはないという理解です。当然、承認されたワクチンが定期接種に適切かという議論は今の状態でやっていただければいいと思います。ただし、こういう疾患に対して、例えばですけれども、RSVとか、今、ワクチンもなくて治療法もないような疾患に対して、安全性も確保されたちゃんとしたワクチンができれば、将来的には定期接種の方向で議論がされるべきだとか、そういう議論が開発段階であったほうがいいと、そういう意味です。だから、開発段階からこれが承認されれば定期接種にしますみたいな話をしてほしいという考え方は持っていないです。
したがって、部会長がおっしゃった仮定で構わないのですけれども、もっと疾患に対するワクチンの開発をしている段階で、ワクチンの必要性の議論が必要だということを言っています。
○上田参考人 同じ考えです。科学的な議論は非常に重要です。科学的に議論をして、有効性、安全性、医療経済性、これが3つのキーワードになって、基本方針部会で議論されている、これはそのとおりだと思います。
ただ、定期接種にするために、判断するのに時間がかかっている。それを迅速にする方法はないのかというのが1点です。
もう一つは、例えば新規のワクチンでも、既に製品が上市している発売されているようなものでもそうなのですけれども、例えば有効性であれば、どのような要件が必要なのかということは十分議論されていないと思います。
今のままであれば、承認されてから、このワクチンの有効性はどうだ、あるいは疫学はどうなのだ、既にあるワクチンの性能はどうなのかという議論が始まる。それを、例えば開発段階で十分議論されていれば、そのスペックに見合うような要件のデータをとることを試行して臨床試験ができるということも考えられるかと思います。
○釜萢委員 今のところ、定期接種を、どの段階でゴーサインを出せるかというのは、実はとても微妙な問題で、伊藤部会長が言われたように、国民的な合意の形成というのがないと、実際にはなかなか難しいだろうと思います。
現状でちょっと振り返ってみますと、例えばムンプスのワクチンはMMRに入れて、あのような経緯があって、今日ムンプスの単独ワクチンは任意接種で可能ですが、あれを定期に入れたほうがよいことはみんなわかっているのだけれども、現状、入手できるワクチンでは、定期とするのはまだ不十分だというような認識が多い。これはこういう条件だからと厳密にはっきり言えない部分もあって、例えば副反応の髄膜炎の発生率がどうなのかというのは、おおまかには言えますが、これは個々のワクチンによってみんな違うので、そこを一律にガイドラインのような形で、これを満たせば定期になるというようなのは、なかなか整理が難しいのかなと私は個人的には思います。
ただ、臨床試験の段階で、既に定期になる方向が出ないと、企業としては大きな投資になかなか踏み切れないという事情を我々も踏まえた上で、どうやったら国民的議論ができて、そして、国民の合意が得られるのかというところで、HPVワクチンについても、厚労省のいろいろな御努力もあって、徐々に国民的合意に持っていけそうな方向に、今、来ていると思っていますが、そこを余り焦ると、また、思うようにいかないというところもあって、慎重にやっているというところではないかと認識をしております。
以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。
今、釜萢先生からお話があったことが、ここの委員の総意かという気はいたしております。
ちなみに、基本方針部会のほうで否決をされた定期接種化のワクチンの話ですけれども、あれは多分、市場原理から言うといろいろな薬があって、ほかにいい薬が出てくればみんな置きかえていくわけで、悪い薬かどうかはよくわかりませんけれども、ほぼ同等なのか、それよりも価値が高そうではないものを新たに入れないというのは、マーケットから考えるとごく自然の考え方でああいう判断をしたというように思っておりまして、それを後になって定期に入れてくれなかったのはと言われるのはどうかなと個人的には思うのですけれども、製薬協としては、そういう考え方について、どうお答えになられますか。
○上田参考人 具体的なワクチンの話を申し上げているのではないのです。今、伊藤先生のおっしゃった話というのは、2016年5月の基本方針部会での議論だと思いますが、そこでは有効性を議論されて結論を出して、しかるべき判断をされたのだと思うのです。当時、渋谷委員が御発言されているような内容、あるいは岡部部会長が事務局のほうにメモをとっておいてください、まだ課題がありますねという部分については、引き続き議論をしていく必要があるのではないかと思っております。
○菊池参考人 今の件で、ワクチン産業協会の資料の33ページを誤解いただきたくないのは、これは国民目線で考えています。
よく見ていただきたいのは、緑色のところは、当然、承認後でいいのです。新しい、今ないようなワクチンを開発するときというのは、相当なリスクテイクをしないといけない。そういう意味では、こういう系統の疾患に対するワクチンがやはり必要だよねという、ちゃんとした議論をする場が欲しいということです。
先ほどRSVを例に出しましたが、多分、小児科の先生はみんなRSVを欲しいと思っているのです。そんな中で、RSVを研究していてある程度いいデータが出てきた。当然、そこに設備投資もしていきましょう。これはもしかしたら世界にも通用するかもしれないという話の中で、定期的に日本のために必要なワクチンは、こういうものですねとか、そういう話をする場が欲しいと言っているのです。個々の企業に関して何か言っているわけではないということだけは御理解ください。
○伊藤部会長 前にこの議論をしたときは、ノロなどまだワクチンができてなかった時代に、ノロのワクチンを開発するべきだというように言ったと思っていて、それが次々に進んできているのではないかと、開発の段階で促進するというように思ってはいるのですけれども。
ですから、そういう意味での、この委員会の持っている役割というのはあるのではないかと思います。
福島先生、どうぞ。
○福島委員 さまざまな意見が出ている中で、私は疫学データということに関して少し考えを申し上げたいのですけれども、お二人の参考人、特に上田参考人は、疫学データを開発段階で把握しておくべきだというように強調されたと思いますし、それは私も完全に同意いたします。
伊藤部会長としては、それは基本方針部会のほうでという考えもあるかもしれませんけれども、私はワクチン評価に関する小委員会や分科会にも所属していることから、疫学データをもう少し整備すべきだということは以前からたびたび申し上げてきました。
今の日本の人口構造であるとか、ワクチンでカバーできる疾病の重篤性からして、このワクチンが重要だということが十分認識されていても、それを定期接種化するかどうかという議論において、少なからず複数のワクチンで、導入したときに、そのインパクトはどうやって評価するのかというような問題はたびたび指摘されてきたと思います。そして、その疾病がサーベイランスでカバーされている病気とは限らない場合は、急遽サーベイランスに入れたりということもあったと思うのですけれども、そういうことができない、あるいはできたとしてもたびたび法改正をするのかという問題が起こってきたと思います。
私は、ワクチンの研究開発を推進するに当たっては、ベースとなる疫学データを整備することが必須と考えていて、そのためには現場からパッシブサーベイランスで報告いただくというところには限界があると思っています。
将来的には、日本の医療データベースを中央で一元管理して、それをワクチン接種情報と連結するということが必要になってくると思います。恐らく参考人がおっしゃっているのは、そういうことを整備した上で、研究開発を進めると、その後のプロセスもスムーズになるのではないかとおっしゃっているのだと思うのですが、いかがでしょうか。
○上田参考人 福島先生、ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりです。
先ほどのRSVの事例を使って少し話をさせてください。例えば日本が世界に先駆けてRSVワクチンを実用化しました、承認をとりました、アメリカでもヨーロッパでも途上国でもRSVワクチンの承認がとれました。日本において、RSウイルス感染症の疾病の重篤度、あるいはどれだけ流行しているのかという情報がない。定期接種の議論をするために、その疫学情報をとりましょう、ワクチンの効果はどのように評価するのか、そういう議論に、例えば2年間かかりました、5年間かかりました。任意接種と言われているから国民は、それは大事なワクチンではないのだよねという理解をされる。一方で、海外ではいち早く、これは勧奨接種しないといけない。アメリカでも、ヨーロッパでも、いわゆる定期接種として使用されている。そういった状況が発生すれば、これは日本の国民にとって、非常に残念なことになると思います。
そういった意味でも、福島先生に解説していただいたような疫学のデータ、あるいはワクチンが承認される前から議論できるところはあるのだと思います。当然、定期接種にするかどうか、これが承認取得された後の議論、判断でいいというのはおっしゃるとおりです。
○伊藤部会長 山口先生、どうぞ。
○山口委員 疫学データの話については福島委員のおっしゃるとおりだと思います。
ただ、先ほどの話で気になったのは、そういうようなデータベースをつくるのを国にやってほしいという捉え方を私はしたのですけれども、もちろん国も関与しないといけないとは思うのですが、開発する企業、要するに、産官学、どこがどれだけのウエートを持って開発をするかという、その辺が一つのポイントかなという気がするのです。
○上田参考人 詳細については、これからの議論だと思います。産としては知らないという話ではないと思いますが、やはり我々は、今のところ、国が主導して産官学が連携してやっていくのが一番いい形ではないかというように考えております。
○伊藤部会長 加藤先生、どうぞ。
○加藤委員 今の問題に関してなのですけれども、私は実際に調査には携わっていないのですけれども、感染研の中には疫学センターというところがあって、感染症発生動向調査を定期的にホームページ上にもアップしますし、印刷物も医療機関等には配っていると思うのですけれども、その中で、例えばRSVの発生も週報として出ていると思うのです。もしかしたら福島委員がおっしゃったみたいに、報告のないものについては確かにやらなければいけないのですけれども、少なくともRSVについては報告があるので、何がそこで足りないのかということを、もしよろしければ聞かせていただいて、所に持ち帰って、感染研として対応できるものであれば検討させていただきたいと思います。
もう一つ、ちょっとつけ加えたいのですけれども、先ほど百日ぜきの発生が国内でふえているというお話があったと思います。また、一方では新聞等で御存じのように梅毒も成年層でふえている。この調査の難しいところは、今は受け身なのでけれども、どの国の人が起こしているかというのがわからないのです。それが日本人で起こしているのであれば、日本のDPT接種はどうだったのか、いわゆる性感染症はどうなのかというのがわかるのですけれども、たくさんの外国人が日本に来ている状況だと、受け身の調査には限界があるというのは、さっき福島委員の言ったとおり、私も限界があると思います。
○伊藤部会長 御回答されますか。
○上田参考人 具体的な未充足の疫学調査の部分というのは、できれば専門でいらっしゃる福島先生のほうからお答えをいただくか、議論の場を別に持ちたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福島委員 既に公開された直近の審議会での話では、帯状疱疹ワクチンについて、定期を見据えた議論を始めたときに、帯状疱疹という病気をどうやって把握していくのかということが議論になったと思います。
帯状疱疹は、感染症といえども慢性の病気ですので、当然、サーベイランスの対象にはなっておりません。ワクチン導入前、すなわち現状での疾病負担を把握した日本の疫学調査は4つございましたが、その研究を、例えば全国レベルの調査を、導入後にもう一回、一から立ち上げて実施するのかとなったときに、余り実行可能性が高いものではないでしょうと。その場合にレセプトデータとか、既存のデータを使って何かできるのではないですかということを私は申し上げました。新たなシステムを、日本での保健医療データベースを一から立ち上げというのは大変なことは私もわかっておりますので無理を申し上げているのではないのですけれども、とにかく今のサーベイランス体制だけでは限界がある対象疾患があるのも事実であって、そのために起こってくる問題に対して、今後、どのように対処していけますかという問題になるかと思います。
○伊藤部会長 疫学データ、NDBとか、最近はデータバンクのような整備が進んでいるところもあるので、そういったものが利用できないかというのが今後の議論だろうと思います。
そろそろ時間が限られてきたのですけれども、幾つか個別の話なのですが、DPT-IPVが出てきて、その後、外国と同じように5種とか6種とかというのが出てくるのか、出てこないのかというのは、きょういただいた資料では全く入っていないのですけれども、そこら辺はどうなのかというのと、それから、開発から市場に出てくるまでのリードタイムがワクチンごとに違うという話が出ていたのですけれども、今後、ワクチンの供給とかを考えるときに、リードタイムがどのぐらいあるのかというのは私どもも把握ができれば参考になると思うのですが、そういうのは公開ができる代物なのか、2点について教えていただけますでしょうか。
○上田参考人 まず1点目です。
1点目は10ページの中の表の2つ目、DPT-IPVワクチンを含む混合ワクチン、これは具体的には5種混合ワクチンが、現在、2つの品目が開発されているということが公開されています。公開されていない情報については把握できていません。
それから、研究開発から承認までどれぐらいのリードタイムが必要かというものは、品目によって異なってくると思います。それを公開できるように整理したデータは、現在、持ち合わせておりません。例えば品目によって、まだ世界でも実現されていないワクチンについては。
○伊藤部会長 開発からのリードタイムではなくて、つくると決めてからマーケットに出るまでのリードタイムです。
○菊池参考人 製造のリードタイムは各社で違う可能性がゼロではないのですけれども、ベースになるデータというのは提出できると思います。きょうはお持ちしていませんが、それはできると思います。
先ほどのご指摘のあった5混とかは、ワクチン産業協会の資料の17ページ、18ページにちゃんと書いてありますのでご参照ください。
○伊藤部会長 ありがとうございます。
○釜萢委員 時間が迫っていて恐縮ですが、一言だけ。
菊池参考人の37ページのスライドですが、世界で見ると、ワクチン製造メーカーがかなり限られているという中で、日本では多くのメーカーに今ワクチンをつくっていただいているという状況です。まずは国民に安定して、よいワクチンが供給されるということが、我々の一番のミッションですので、その点から、今後、日本のワクチンの製造メーカーはどういうようにあるべきかということを教えていただきたいと思います。
○菊池参考人 世界を例に見ると、やはり大きな会社が製造に責任を持って、工場を幾つも持って安定に供給するというのがいいのだと思います。日本は、固有の戦後の事情とかいろいろあるのですが、その辺をどうしていくべきかというのが、逆に言うと、その次の38ページの「国や行政に期待すること」ということで、グローバルメガに対応できる国家戦略的なところに含まれていて、そういう議論をしていかないといけないのではないかというようにとっていただけるといいと思います。
この場で私のほうからどうすべきだという話をすると、いろいろな弊害がございますので控えさせていただきます。
○上田参考人 ちょっと補足で話をさせていただきます。
これまで開発されているワクチンは、主に臨床試験の中で抗体のレベルを判断して開発してきています。これから開発される新たなワクチンは、もっと大規模な発症予防効果をきちんと見るという臨床試験のデザインになってくると思います。すなわち、その分開発期間が長くなったり、あるいは開発投資が大きくなってくるというようなところでありますし、海外も含めて開発するということになれば、大きな開発の資金が必要になってくるということになります。ですから、それを進めていく上では、そういった資金の面でも非常に重要でありますし、ワクチンを通じてきちんと国民に貢献できるということだけではなく、世界に貢献できたり、あるいは、企業としてきちんと採算がとれる事業であるということを示していく必要が重要になると思います。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
○野口委員 済みません。簡単に。
ワクチン産業というのは、経済学的に見れば、企業のほうがリスクを支払うことになるという正の外部性と言われる部分があることが非常に知られた市場なわけですけれども、そういった市場だからこそ、国の関与あるいは大規模化することによって、企業のリスクが多少なりとも軽減されていく。それによって、最適な均衡点が達成できるという代表的な市場なわけです。
先ほどからお話があるように、どちらの団体さんにも、いわゆる外資系の企業がある程度入っているということがわかるわけですが、これもワクチンによって違うと思うのですけれども、実際に日本のマーケットで、外資系企業のシェアがどの程度あるのか。あるいは、ちょっと言いにくい面もあると思いますけれども、世界の市場と比べると、日本の市場がどのぐらい閉鎖的なのか、開放的なのか、この辺をちょっと教えていただきたいと思います。
○菊池参考人 正確な数字かどうかわからないのですけれども、大体半々から6・4で、日本企業が6、海外が4、もしくは半々ぐらいになってしまっているかもしれませんが、それぐらいのイメージです。そこには価格の問題とか、いろいろな問題もございまして、売り上げシェアとしては、そういう状況だと思います。
参入障壁というのは見方によるのですけれども、日本独特の生物学的製剤基準の適合性とか、そういうことが外資系から見たら参入障壁になっている可能性もあるかもしれませんが、今は透明化されているので、障壁はほとんどないという理解をしてもいいのかなと思います。
○上田参考人 別の観点で、これからどうやっていくべきかということを考えたときに、海外にすぐれたワクチンがあって、国内にないということであればそれを導入する必要がある。あるいは、国内企業が日本、海外を含めて、臨床試験、開発をした場合に、やはり規制のギャップというものがあれば非常に困難になってきます。
そういった意味では、規制のハーモナイゼーションが議論されているところではあるのですが、そういったものも進めていく必要があると考えています。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
最後になるのですけれども、もし定期接種になったら、オプジーボと同じように価格を下げるのでしょうか。免疫チェックポイント阻害薬の薬価が下がりましたけれども、それと同じように、市場が拡大したら下げるとか、そういう考えはお持ちなのでしょうか。
○上田参考人 御提示いただいた事例とワクチンが同じように比較できるようなものではないと思います。
○菊池参考人 定期接種になって価格を下げたという前例は多分幾らでもあると思うので、企業努力はするのではないかと思います。ただし、やはり価格に関してはいろいろな側面から見ないといけないので、できるだけ透明にして、国民目線で正しい方向に持っていく必要があると思います。
○上田参考人 もう一点、海外でよく議論されることなのですが、やはりワクチンの研究開発は継続して、サステーナブルな状態で続けていかないといけない。そういった中で、ワクチンを開発するのに非常に大きな開発費用が必要であったり、設備投資が必要になったり、試験に非常に多くのものを要してコストがかかるという事実も理解していただかないといけないのですが、当然、企業としても努力していかないといけないといったことを考えています。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
引き続きまして、議題(2)のほうに移りたいと思います。「2016/17シーズンのインフルエンザの流行状況について」、信澤参考人より御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○信澤参考人 ありがとうございます。では、早速始めさせていただきます。
資料4、右肩にページ番号を示しておりますので、それに従って説明いたします。
まず2ページに、今シーズンの世界のインフルエンザの流行状況を示しております。上が北半球で、下が南半球です。
まず、北半球のほうからいきますと、昨シーズンの2015/16シーズンは、A型のH1pdmが主流を占めておりましたが、今シーズンはA型のH3亜型のウイルスが流行の主流を占めております。流行の立ち上がりも昨シーズンに比べると少し早くなっております。流行の主流はH3ですが、ほかのウイルスはどうかといいますと、A型のH1pdmですとか、B型のビクトリア系統、山形系も多少はありますけれども、非常に少ないです。
それに対しまして南半球のほうですが、南半球の2016シーズンは、北半球での2015/16シーズンのA型のH1pdmの流行を引き継ぐ形で、A型のH1pdmが流行の主流を占めておりました。流行の後になりまして、A型のH3ウイルスが少しふえてきたという状況です。
3ページですけれども、これは日本のインフルエンザの今シーズンの流行状況を示しています。
先ほどの繰り返しになりますが、日本でも2015/16シーズンにはA型のH1pdmが流行の主流を占めておりましたが、右のほう、2016/17シーズンはH3型が大半を占めております。また、流行の立ち上がりも昨シーズンは2016年の1月からでしたけれども、今シーズンは2016年の11月中旬ぐらい、46週あたりから立ち上がり、流行に入っております。
4ページに流行していたウイルスの分布を示しております。これは2017年の第5週までの集計の結果ですけれども、A型のH3N2亜型のウイルスが90%を占めております。A型のH1N1pdm、またはB型のビクトリア系統、山形系統がそれに続いておりますが、ごらんのように非常に少なくなっております。
5ページ目に、今シーズン使われましたインフルエンザワクチンに含まれるウイルス、ワクチン株を示しております。上がWHOが推奨するワクチン製造株で、下が実際に日本で使われたワクチン製造株です。
今、世界で使われているインフルエンザワクチンの大半が3価のワクチンでして、WHOの推奨としては、A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09類似株、A/香港/4801/2014(H3N2)類似株、B型のビクトリア系統としてB/ブリスベン/60/2008類似株を推奨していますけれども、4価ワクチンを使う国に対しては、その下に示しましたB型の山形系統のB/プーケット/3073/2013類似株を推奨しております。
WHOのワクチン製造株の推奨の仕方といいますのは、ここに示していますように特定の株だけを推奨するのではなくて、特定の株と類似の抗原性を示すウイルスをワクチン製造用に使うようにという推奨の仕方です。
その下の日本のワクチン製造株ですが、A型はWHOの推奨株そのものを使っておりまして、3番目に出しましたB型のビクトリア系統のB/テキサス/2/2012というのは、WHOが推奨しておりますB/ブリスベン/60/2008の抗原類似株です。日本は、このビクトリア系統は推奨株とは異なる類似株のほうを用いています。そして、日本では2015/16シーズンから4価ワクチンを採用しておりまして、4つ目のワクチンとしてB型の山形系統であるB/プーケット/3073/2013をワクチン株に使用しております。
6ページ目に示しましたのは、2017シーズン用南半球向けのWHOが推奨するワクチン製造株です。2017年用のワクチン推奨株としては、A型のH1N1pdmの推奨株がカリフォルニアからA/ミシガン/45/2015に変更になりました。
7ページ以降に、今シーズンの2016/17シーズンの流行株の遺伝子解析及び抗原性解析の結果を示します。
8~10ページが、A型のH1N1pdmの解析結果を示しています。
まず国内の状況ですけれども、遺伝子解析の結果から、国内の分離株は、9ページのHA遺伝子の系統樹に書いてございます6B.1というサブクレードに属するウイルスが大半を占めておりました。
9ページの系統樹の左のほうにA/カリフォルニア/7/2009とありますが、この株がワクチンのコンポーネントになっているウイルスです。
10ページ目に、A型のH1pdmの流行株の抗原性について示していますけれども、きょう示します資料の中に同様の円グラフが何回か出てきますが、この円グラフの意味は、今、流行している株がここに示します、例えばこの場合はA/カリフォルニア/7/2009あるいはA/ミシガン/45/2015と抗原的に類似しているかどうかを示しております。
色が水色の濃いのから薄いの、それから、オレンジ、赤とありますけれども、水色までが抗原性が比較的類似していると考えられると理解してください。オレンジ色、赤色になる場合には、抗原性が乖離しているということを意味しております。
10ページの上のほうにA/カリフォルニア/7/2009との流行株の抗原性の一致度を示しておりますが、左に書いてあります鶏卵分離株というのはワクチン製造株の親株に当たりますけれども、鶏卵分離株及び右側にありますワクチン製造株であるX-179A、いずれも流行株とは抗原性が一致していることがわかります。
この抗原解析に用いております血清は、通常、フェレットの抗血清を用いております。
ページがあちこちいって申しわけないのですが、8ページ目に戻っていただきまして、上から3番目のレ点ですが、フェレットの血清を用いた場合は、抗原性が一致していたのですが、人のワクチン接種後血清を用いた抗原解析の結果、一部の血清が流行株とワクチン株に対して異なる反応性を示したという結果が得られました。
このような結果は、昨年9月のWHOの会議で既に報告されておりまして、そのような結果を踏まえた上で、2017シーズンの南半球用のワクチン推奨株がA/カリフォルニア/7/2009から、サブクレード6B.1のA/ミシガン/45/2015類似株に変更になっております。
変更されたA/ミシガン/45/2015のウイルスと現在流行しているウイルスの抗原性の一致度を見ましたのが、10ページの下の円グラフです。左から細胞分離株、鶏卵分離株、これはいずれもワクチン株の親株に相当します。そして、右端にありますのが、ワクチン株候補になっておりますX-275Aです。いずれの株とも現在流行しているウイルスは抗原的に一致することが確認されております。
11ページ目に海外の状況を示しましたが、海外の分離ウイルスの状況も、日本の場合とほぼ同様でして、遺伝子解析の結果から分離株の大半はサブクレード6B.1に属しております。
また、フェレット血清を用いた解析の結果、海外流行株の抗原性はワクチン株であるA/カリフォルニア/7/2009と一致しておりました。
また、ヒトのワクチン接種後血清を用いた解析の結果から、一部の血清は流行株とワクチン株の抗原性の違いを認識しておりました。
次に、A型のH3N2ウイルスですが、12~16ページの資料を使って説明いたします。
まず、国内の状況ですけれども、繰り返しになりますが、今シーズンはH3N2ウイルスが主流になっております。
13ページ目にHA遺伝子の系統樹が書かれておりますが、3C.2a1と書いてありますグループに属するウイルスが流行の大半を占めておりました。
14ページに抗原解析の結果を示していますが、ここに示していますのは、細胞分離株の結果です。左上がワクチン株の親株であるA/香港/4801/2014、その右がA/香港/7127/2014、これは抗原類似株に相当します。また、左下のA/埼玉/103/2014も抗原類似株です。そして、右下のA/三重/25/2015は、3C.2a1という今シーズンのウイルスの大半が属しているサブクレードのウイルスです。
見ていただきますと、実際に、今、流行している株のうち、ここに示しました細胞分離株と抗原性が一致する株が約7~8割ございました。これらは細胞の分離株なのですけれども、次に15ページを見ていただきまして、こちらには実際に使われたA/香港/4801というワクチン株の親株の鶏卵分離株と実際に使ったワクチン株それぞれとの抗原性の一致度について示しております。が、流行株の80~90%近いウイルスが、抗原性が乖離しているという結果になっております。
ただ、16ページにちょっと変わったウイルスの結果を示しておりますが、16ページに出しましたA/埼玉/103/2014といいますのは、14ページの左下に出しましたA/埼玉/103/2014というウイルスを卵で複数回継代して、卵でよくふえるようになったウイルスです。このウイルスの抗原性と、今、流行しているウイルスとの抗原性を比較しますと、かなり抗原性の一致が見られるという結果でした。
抗原解析の結果は、用いる血清の種類によりましても多少ぶれることがありますので、16ページに書いてあります「血清#151」「血清#152」といいますのは、一応、2種類の血清を使って確認しましたが、いずれの血清でも比較的抗原性が一致していることが示されたということです。
海外の状況ですけれども、海外でもH3N2のウイルスが流行の主流になっておりまして、大半のウイルスが3C.2a1に属しておりました。また、細胞分離株で比較したところでは、流行株の大半がワクチン推奨株であるA/香港/4801あるいは抗原類似株と抗原性が一致しておりました。
一方、鶏卵分離株であるワクチン株、あるいは鶏卵分離株の香港/4801等とは抗原性が乖離して、あるいは一致する割合が減っているという状況でした。
次に、B型ウイルスですけれども、B型ウイルスのビクトリア系統について18~20ページの資料に基づいて説明いたします。
B型ウイルスは非常に分離される量が少ないのですけれども、国内ではビクトリア系統、山形系統の混合流行で、どちらかといいますと、ビクトリア系統がやや多いという結果でした。
遺伝子解析の結果、19ページに系統樹が示してありますけれども、クレード1Aに属するウイルスがその大半を占めておりました。
19ページの左下のほうにB/ブリスベン/60/2008、B/テキサス/2/2013とありますが、これがそれぞれWHOのワクチン製造推奨株と、日本で用いた抗原類似株であるウイルスの系統樹用の一致を示しております。
20ページに、流行株とそれぞれのウイルスとの抗原性の一致度を示しておりますが、上段の細胞分離株で比較しますと、B/ブリスベン/60もB/テキサスも、今、流行しているウイルスと抗原性がほとんど一致しております。
これに対して、鶏卵分離株で比較しますと、WHOが推奨しておりますB/ブリスベン株と抗原性が離れるウイルスが実際に流行しているウイルスの中で大半を占めております。一方、B/テキサスとの抗原性に関しては、比較的一致したウイルスが流行していることがわかります。
21、22ページで、B型ウイルスの山形系統に関して国内の状況を示しておりますが、遺伝子解析の結果、国内流行株は全てクレード3に属しておりまして、抗原解析の結果からも国内流行株はワクチン株であるB/プーケット/2073/2013と抗原的に類似しておりました。ただ、分離されている数が非常に少なくて、円グラフは出しておりませんが、現時点でたしか13株ぐらいだったと思います。
海外の流行状況も、B型ウイルスに関して分離されている量が少ないのですが、それから、混合流行という点では海外でも同じです。ビクトリア系統と山形系統の混合流行で、どちらかが多少多いという差は地域によってありました。遺伝子解析の結果、ビクトリア系統はクレード1A、山形系統はクレード3に属するウイルスが主流となっております。
それから、抗原解析の結果、やはりビクトリア系統の大半はワクチン株のB/ブリスベン/60/2008と抗原的に類似しておりました。これは細胞分離株での比較です。また、山形系統の大半がワクチン株のB/プーケット/3073/2013と抗原的に類似しておりました。
24ページに薬剤耐性株の検出状況を示しておりますが、国内では、ノイラミニダーゼ・インヒビターに対する耐性株は検出されておりません。また、海外でもA型のH1pdmとB型のビクトリア系統で数検体分離された報告がありますが、広がりは見られておりません。
最後に25ページに、今回、報告いたしました情報を提供していただきました機関を書いてございます。
本日は、本来でしたら感染研のインフルセンターのセンター長、あるいはこの資料のデータを解析しておりますインフルセンターの第1室長が報告するべきではあったのですが、2人ともWHOの会議に出張中ですので、私からかわりに報告させていただきました。
以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
インフルエンザが随分はやって、H3N2がたくさん出ていて、それが結果として鶏卵のワクチン株とのずれが発生していたというのが大体の御要旨かと思いますが、何か御質問とかはございますでしょうか。
どうぞ。
○森委員 15ページについてお伺い致します。こちらは実際にヒトの抗体を使った結果ということでしょうか。
○信澤参考人 いえ、フェレットの血清です。
○森委員 フェレットですか。では、14ページとの違いは何でしょうか。
○信澤参考人 14ページは細胞で分離された株との抗原性の比較で、15ページは鶏卵で分離されたウイルスとの比較になっております。鶏卵で分離する、あるいは増殖を繰り返すことで抗原性が変わっているということを示しております。
○森委員 ヒトの抗体で調べた場合、抗原性が変わっていたという点でご質問致します。フェレットで見た場合は抗原性がほとんど一致していたのにもかかわらず、ヒトでは変わっていたというのは、どのように理解したらよろしいでしょうか。
○信澤参考人 これはちょっと特殊な例なのですけれども、H1pdmで認識が異なった人というのは、特定の年代に生まれた方たちでして、そのときにエクスポーズされたウイルスに対する抗体がある程度できまして、その抗体が今回流行しているウイルスとは反応しづらいという結果だったのです。
具体的に申しますと、1977年に流行が始まっておりますH1N1亜型のウイルスがあるのですけれども、ソ連風邪と言われていたウイルスですが、そのウイルスに暴露された人たちの抗体が、9ページの系統樹でいきますと、真ん中辺に「K163Q」というアミノ酸変異が出ているのですけれども、ソ連風邪に暴露した人たちのうちある一定の年代に生まれた方たちは、163番目がKというHAを認識しやすい抗体を持っていたのです。ところが、それ以降に生まれた人たちはそういう抗体を持っていなくて、現在、流行しているウイルスに対する抗体もできて反応するのですけれども、その163番のKに強く反応する人たちの抗体というのは、このアミノ酸変異が起きたために、現在のウイルスを認識がしづらくなって、そのため、反応性が悪くなっていると考えられ、このような一部の人の抗体が、現在のウイルスとは反応しづらいという結果になっております。
○森委員 しづらくなったというのは、その部分に対する抗体ができにくくなったという理解でよろしいでしょうか。
○信澤参考人 済みません。1点言い忘れましたが、その人たちが接種しているワクチンはA/カリフォルニア/7/2009なのですけれども、A/カリフォルニア/7/2009も163番目がKなのです。それに対して非常に強く抗体が誘導されるために、その部分が変わったウイルスに対しては、恐らく反応しづらくなっているのだろうというように考えられます。
○森委員 了解しました。その部分が実際に中和に関与するかどうか、についてはまだわからないということでしょうか。
○信澤参考人 はい。これから詳細は調べられていくと思います。
○森委員 ありがとうございました。
○伊藤部会長 どうぞ。
○福島委員 済みません。手短に。
スライドナンバー12番の4点目によりますと、国内ではH3型に対しては流行株とワクチン株が8割ぐらい合致していなくて、それが卵馴化の影響を受けたということでよろしいですよね。
○信澤参考人 はい。
○福島委員 海外でも、同じような状況という理解でいいのでしょうか。17枚目のスライドの4つ目のレ点では、海外ではそのような現象が余り強くなかったというようにもとれますが、同じ状況というように見てよろしいですか。
○信澤参考人 傾向としては流行株と合致する割合が減少しております。
○伊藤部会長 話題は尽きないかもしれませんけれども、事務局にお返ししますので、議題(3)について、よろしくお願いします。
○事務局 それでは、議題(3)「その他」につきまして事務局より御説明をさせていただきます。
前回、第13回の本部会におきまして、ワクチンの安定的な供給体制確保のための備蓄プログラム整備事業、いわゆる免震倉庫に関する事業について御審議をいただきまして、補助要件に係る論点につきまして御了承をいただいたところでございます。
資料5の関係なのでございますが、その後、手続や必要種類の精査等を進めまして、先日の部会でいただいた御意見も踏まえております。例えば資料5の下の通し番号で言うと6ページを見ていただきたいのですが、免震倉庫を設置する区域は、ハザードマップにおける各種災害発生の想定区域に該当しないこととか、事業継続のガイドラインに基づくBCP(事業継続計画)の策定を考慮すべきという御意見をいただいたところですけれども、そういった御意見も踏まえて、資料5にお示しした公募要項を整備いたしまして、本年1月25日から公募を開始したところでございます。
公募の期間は、3ページに書いてあるのですけれども、2月24日までということでございまして、先日終了したわけでございますが、残念ながら応募はございませんでしたので、こちらについては再公募も含め、今後の方向性を検討したいというように考えております。
報告事項に関しての御説明は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
御質問とかはありますでしょうか。また、再公募なり何なりのことに関しては御連絡させていただくのだろうと思っております。
以上で本日の議事は終了ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 次回の開催日程は、また、追って御連絡させていただきます。
○伊藤部会長 それでは、本日の「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を終了いたします。
ぎりぎりになりましたけれども、どうもありがとうございました。
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