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2024年5月31日 第5回新たな地域医療構想等に関する検討会

医政局

○日時

令和6年5月31日(金) 13:00~15:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12階 ホール12E
東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング
 

○議事

○淺野課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第5回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、
事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 本日は、山口構成員から御欠席、土居構成員から14時30分までの御出席である旨、御連絡をいただいております。
 また、参考人として、一般社団法人日本慢性期医療協会 池端幸彦副会長、一般社団法人全国有床診療所協議会 猿木和久副理事長、
一般社団法人日本在宅ケアアライアンス 新田國夫理事長、公益社団法人全国老人福祉施設協議会 大山知子会長の4名の方をお呼びしております。
 なお、池端参考人におかれましては、14時50分までの御出席と伺っております。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の八矢準公営企業室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官に御出席いただいております。
 続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1から7、参考資料1を
配付いたしましたので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○淺野課長補佐 それでは、以降の進行は、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「関係団体・有識者ヒアリング(第4回)」でございます。構成員・参考人の計6名の方々からの発表を行っていただくこととしております。
 それでは、事務局からヒアリングの進め方の説明をお願いしたいと思います。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 資料1で本日のヒアリングの進め方の説明をいたします。
 2ページ目です。まず、各発表者の先生方から資料に沿って10分程度で御説明いただきます。その後、全ての発表者の説明終了後に、まとめて質疑応答を行います。
 ※印で書いていますが、事務局でスクリーンに資料を画面共有いたします。各発表者におかれましては、お渡しするポインターでスライド送りの操作をしていただきながら発表いただきますようお願いいたします。
 発表の順番です。最初に小熊構成員、その次に池端参考人、猿木参考人、新田参考人、吉川構成員、大山参考人の順番で御発表をお願いいたします。最後に、まとめて質疑応答をいたします。
 以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、早速、小熊構成員から御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○小熊構成員 皆様、こんにちは。自治体病院協議会の小熊と申します。
 自治体病院の現状と新たな地域医療構想に関する考えをお話しさせていただきます。
 ページをめくっていただきまして、3ページを御覧ください。これは、今の自治体病院の数でございます。厚労省と総務省でちょっと違います。それは地方公営企業法を適用する総務省が少なくなってくるということでございます。現在、850病院まで減っております。
 4ページは、自治体病院に期待されている医療でございますが、離島・山間僻地の医療から高度専門医療というところまで、いろいろ要求されているということであります。
 次のページ、お願いします。これは最近の病院数の動きでございますが、849、853というところで推移しております。
 次のページ、お願いします。6ページは、そうした自治体病院の65%は、人口10万人以下の小都市あるいは地方に存在しているという状況でございます。
 次のページ、お願いいたします。これは最近の経営指標とか、どういう形態で運営されているかということです。
 その次のページですが、現在、コロナ後にベッドの利用率が70%ぐらいということで、一頃よりはちょっと下がってきて、戻ってきていないという状況でございます。
 次のページ、お願いします。最近の地域枠の医師で、若干医師が増えてきているのですが、100床未満のところではほとんど変わらない。200床もほとんど変わっていない。それ以上のところで増えてきているという状況にございます。
 11ページをお願いします。これは今の問題点でございます。
 12ページは、知事会で今後のことを検討した報告です。
 14ページは、先日、国から消滅可能性自治体という報告がなされました。トータル1729のうち744が将来、消滅可能性があるということで、はっきり申し上げますと、こういうところに我々の自治体病院の65%がいるという状況でございます。
 その次をお願い申し上げます。そのような状況の中で、2040年を見据えた新たな地域医療構想というのが厚労省から提案されました。これは全ての今後の医療・介護・在宅ということを考える上で、適切な判断ではないかと我々は思っております。既に今までにいろいろな団体の先生方から提案されましたように、観点を変えてデータを重視して、未来にふさわしい体制をつくって、それに向かって進むべきだと私どもは考えています。それには、医療DXの活用は不可欠でございまして、クラウドネイティブ化、HL7 FHIRといったものを大いに活用しなければならないだろうと思っています。
 それで、16ページ以降は私どもの考えでございますが、従来の二次医療圏は、病院の病床配付ということを検討したものかもしれませんが、日常医療圏・生活圏が今後はベースになって、それが寄り集まっていくものだろうと。
 それから、地域ごとに状況が全く違いますので、最新情報をいかに活用して、誰が旗を振ってイニシアチブを取るかという問題を突き詰めていかないと、いつまでも煮詰まらない状況が続くのではないかと思います。
 その中で、公民関わりなく、かかりつけ医機能、働き方改革、機能分化・連携。それから、昨今、問題になっております救急体制をどうするかといったことも、きっちり未来を見据えてやらなければいけないだろうと思っているところです。
 次の17ページですけれども、これが今、お話しした、私ども自治体病院が考えている必要条件というか、こういう体制でなければならないと思っているところであります。都会の先生はあまりよく御存じないかもしれませんけれども、今、地方では診療所がどんどん減っていっています。高齢化して後継者がいないということで、診療所の数がどんどん減っておりまして、そういったところに我々、小規模の自治体病院があって、かかりつけ医機能を発揮しながら休日・夜間・救急体制を何とか維持しているという状況でございます。
 ここに書いてあるとおりでございます。病院も療養と一体となってやらなければいけないということです。
 19ページは、以前、私どもが自分たちの病院の中で、地域医療支援病院とその環境はどうなっているだろうということを調べたデータでございます。上にグラフになっていますように、10万人を切ると、途端に地域医療支援病院がなくなる。減ってくる。5万人以下ではもっと顕著だということが分かっております。その二次医療圏を見ますと、病院も診療所も、地域医療支援病院がないところはどんどん減っているという状況が分かります。そういったところでは、紹介状を持たない患者さんが中核的な病院に来て、近所の診療所とか小規模病院に行けと言っても行きたがらない、拒否されるという状況が続いているということでございます。
 ですから、23ページを御覧いただきたいのですが、私どもはかかりつけ医機能を非常に重要視しております。どういうふうにこの体制をつくるか、今、検討会も行われているようですが、しっかりと地域医療体制、介護を分け合うような、救急にも貢献するような体制をおつくりいただきたいと思っています。
 その次以降は、今まで申してきた今後の展望ということで、同じような内容となっております。ですから、繰り返しになりますが、未来のあるべき姿というものをきちんと情報として、データとしてつかんで、それに対して公民関係なく、それからいろいろ機能分化・連携しながら、一体となって進めていただきたい。
 それと、先ほども申して恐縮ですが、旗振り役といいましょうか、イニシアチブを誰がどうやって取ってリードしていくか。今までの地域医療構想調整会議の会議の在り方を見て、つくづくそう思っているということを最後に御報告させていただいて、私からのお話とさせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本慢性期医療協会 池端参考人から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○池端参考人 では、私のほうからお話しさせていただきます。今回、こういうヒアリングの場に御指名いただきまして、ありがとうございます。福井は今、新幹線で盛り上がっています。今日も3時間で来ました。ぜひまた福井へいらしていただければと思います。
 本日は小規模の福井県の地域医療構想のことと、それから慢性期医療の立場で少しお話しをさせていただきたいと思っています。今日の内容は、背景と、福井県における地域医療構想の進捗状況と課題。それから、慢性期医療の立場で医療提供体制をどう考えるか。そして、私見も含めて、新たな地域医療構想の成功のために何が必要かということを少しお話できればと思っています。
 これは御案内のとおりです。入院はこれから増えるところ、減るところ、ありますけれども、外来は減っていく。一方で、在宅はこれから増えるニーズがあるということです。
 それと、地域医療構想ですが、(国全体では)数から言えば120万床弱で、ほぼ目的を達してきているということが言えます。そして、高度急性期、急性期、回復期で90万床。これも実はほぼ目的を達しています。慢性期もむしろ減ってきている状況でありますが、一番問題なのは回復期ということになり、回復期が少し足らないのではないか。でも、それは増やすのではなくて、機能分化をしなければいけないのではないかということにつながるかと思います。
 いずれにしても、多くの病気が治せた時代が、治せなくなってきたということに対して、治し・支える医療をどういうキャパでボリュームを膨らませていくかということになるかと思います。
 そういった中で、地方弱小県の代表的な福井県ですけれども、人口76万で下から何番目というところです。一応、幸福度日本一と言われていますが、こういった弱小県で地域医療構想をどう進めてきたかということです。
 当県の地域医療構想の状況ということで、病床の転換とかスリム化の進捗状況としては、全国9位ということになっていて比較的進捗している状況ですけれども、一番の特徴は、今回、かなり個別対応したヒアリングを各病院に行ったということで、そのヒアリングの対象は、令和4年度の病床機能報告の内容と異なるところ。それから、平均在院日数が22日以上のところ等を中心に、全て、官民問わず、県の担当者が対象病院に対して丁寧なヒアリングを行いました。
 そして、意見を吸い上げた結果として、非常に経営を不安視することもあるので、経営セミナーも県医師会と共同で行ったり、補助事業の募集を増やしたり、退院支援ルールの活用とか県版のACP、意思決定支援のエンディングノートを作ったりとか、こういったことを行ってきています。
 11ページは時間の関係で省略しますが、こういったルールで医療と介護の連携、特に医師とケアマネの連携というのが9割近く、入退院の中では行うようになっているということで、一定程度の効果があるかと思います。
 12ページ、13ページ、エンディングノートの紹介です。
 14ページ以降がヒアリングの対象と内容について書かれています。これも説明は割愛させていただきますけれども、その結果、15ページにありますように、ヒアリングを実施した効果としては、対応方針を変更したのは、病床単位で機能を選択しているから変わったのだということが分かりました。それから、有床診療所の位置づけをしなければいけないのではないかということか浮かび上がってきました。さらに、回復期への病床機能の転換やダウンサイジングを検討する医療機関がだんだん増えてきていることも分かりました。
 ヒアリングの主な意見としては、経営が成り立つか不安であるとか、目安をもっと示してほしいとか、有床診療所の機能を大事にしてほしいといった意見が上がってきたことを受けて、16ページにありますように、県としては、病棟単位で病床機能を選択する病床機能報告では、各医療機関の病床の実態を正確に把握できないのではないかという意見が多数上がって、思い切って病床単位で策定しようということで方向転換して、それをホームページに載せました。17ページ以降です。
 病棟単位と病床単位の結果、総数で言うとあまり変わらなかったです。18ページにありますように、そんなに誤差はありません。
 グラフで見ていただくと、19ページ以降、県全域とそれぞれの圏域で見ても、病棟単位・病床単位、病床の数字はほとんど変わっていないです。ただ個々の中身がそれぞれの医療機関ごとに違って、病床単位にしたことで機能を真剣に考えるようになったということが非常によかったのではないかと思っています。
 もう一つは、そこに至るまでの過程で、民間も公的も含めて、補助金をどこがどう取って、どう病床を減らしたかということを、全て調整会議で紙面で全部公開していました。そういったことが少し功を奏して、真剣にお互いを意識しながら考えるようになったということが言えるかと思います。
 27ページは、診療所の機能のことですけれども、28ページに今後の方針として、実態をより正確に反映している病床単位での報告をベースにしようということで、県は決定させていただきました。
 過剰病床医療機関については、個別に対応することが非常に重要で、今後も続けましょうということになりました。
 一方で、新興感染症等々については、地域医療構想の対象外としてカウントすべきではないかという意見が多くありました。
 そして、再度、令和6年度に取り直して、それが病床単位の下で病院の病床を全部オープンにして、もちろんホームページに載せているのですけれども、このように紙面で調整会議の皆さん全員に公表したということは結構インパクトがあったようです。病院・診療所の先生方に集まっていただいた場でも公表しています。
 そういったことで、32ページは県の考え方ということで、今後は、新興感染症の受入れは別扱いにして、8150程度にしよう。それから、新興感染症のベッドを300床。それから、重症心身障害者あるいは医療的ケア児のレスパイトといった一般病床を240床ということで、全体では一般と療養を合わせて8246に病床構想を持っていこうということで、数については順調に進んできているということになります。
 そして、2025年度までの取組については、次の33ページにありますように、病床機能の転換や医療機関の役割分担を中心に協議していこうということ。それから、逆紹介・紹介の状況、転院調整の実態を把握すること。それから、各医療機関の地域医療連携室に参加していただこうということで、ここが病病連携に非常に重要ではないかということで、令和7年度からやっていこうということで、今、動いています。
 あと、次のページは公的病院のいろいろな取組のオープンデータです。また御参照いただければと思います。こういうデータを全てプッシュ式でオープンにしたということです。
 41ページ以降にありますように、なぜ病床・病棟がある程度うまくいったかということですが、福井モデルと言って、COVIDのときの幾つかのポイントがあるので、赤で書いたところ3つ。オミクロン株で原則在宅。このときにお互いに意見を出し合ったこと。それから、入院コーディネートで、全病院が集まってそれを理解したということ。ここで病院同士のお互い顔が見える連携ができたということがよかったのではないかと思います。
 あと、地域包括ケアを支えるためにということで、これは御案内のとおりですけれども、これから在宅をしなければいけない。そして、前の画面を見ていただくといいのですけれども、44ページにありますように、地域包括ケアを支える地域医療構想の担い手は、むしろ回復期的なところではないかということで、今回の診療報酬改定はどうなったかというと、7対1の重症度、医療・看護必要度が厳しくなって、ここから一部、地域包括医療病棟に行くことを想定した。
 それから、4、5、6に対しては、地域包括ケア病棟に移ることを想定。逆に地域包括ケア病棟から上がることは難しくて、さらに療養に関しては介護医療院に行くこと。いずれ療養2はなくなるのではないかということを想定しながら、こういった動きが出てくるのではないかということを考えると、ほぼ包括的な病棟が増えてきている。急性期がここまでだとすると、回復期医療というのは、実は地域包括医療病棟も回復期的な機能になってくるのではないか。最終形としては、急性期医療と大きな意味の回復期機能と慢性期の3つに分かれてくるのではないか。
 ただ、13対1のこの部分は、地方にある公立・公的病院の小規模なところをどう残していくかということが1つの課題ではないかと思っています。いずれにしても、地域密着型・多機能型の病院ということが非常に重要ではないかということを考えて、そのためには、46ページにありますように、信頼できるかかりつけ医とケアマネと地域包括支援センターをどう活用するかということになるかと思います。
 高度急性期、急性期、回復期、慢性期とありますが、急性期、回復期、慢性期の3つのジャンルに分かれたほうがいいのではないか。回復期という名前よりも、むしろ地域包括期、これは江澤先生もおっしゃったかと思いますが、包括期という名前のほうがぴったり来るような気がします。そして、急性期も急性期だけでできるところは少なくて、急性期多機能、回復期も慢性期多機能ということにすると、こういった特定機能がずっとありますが、急性期は主に特定機能病院、急性期充実体制加算病院、総合入院体制加算病院を中心に、一部の特化した急性期病院を入れて3~4種類ぐらい。急性期多機能は急性期一般から地域包括医療病棟ぐらいまで。慢性期多機能は地域包括医療病棟から広く扱う。慢性期は慢性期の治療病棟ということ。
 そうなると、高度急性期は純粋の急性期病棟。それから、急性期多機能と慢性期多機能を併せれば地域密着型の多機能病院といったものになってくるのではないかということを考えました。
 そして、3層構造があります。日本医師会、都道府県医師会、郡市区医師会。地域医療構想の調整会議には都道府県医師会が入ってくるのですけれども、実働部隊は郡市区医師会ですね。地域、市町をどう巻き込むかということが、これからの地域医療構想には非常に重要ではないかと思っています。
 最後です。新たな地域医療構想の成功のためにということで、まず、ステークホルダー同士の信頼関係が非常に重要ではないか。行政には聴く力を持っていただきたい。
 それから、3層構造へのアプローチ。特に市町単位をいかに巻き込むか。
 それから、成功体験が非常に大事なので、信頼関係をいかに構築するかということ。
 それから、ホームページに載せただけでは情報公開になっていない。むしろプッシュ型でそれをどんどん出すことが必要ではないか。
 それから、医療・介護の提供者同士と、患者・要介護者。患者に対する医療提供体制、地域医療構想の周知が全くできていないような気がするので、そこも重要ではないかということを感じました。
 課題としては、行政に対する不信感。要するに、行政から押しつけられているということをいまだにおっしゃる病院の先生方もいらっしゃる。そして、在宅・介護との連携もいまだ希薄。地方と都市部の差異。国民への情報提供の不足。上意下達の体質。情報開示の不足。一般病棟・療養病床の枠組みは必要かということ。
 それを直すためには、丁寧な情報提供とヒアリング。在宅・介護提供体制との一体的な構想。それから、思い切って大胆な集約化をせざるを得ないかなという気がしています。国民への情報不足というのは、丁寧な説明と情報提供。上意下達ではなくて、トップダウンからボトムアップ。情報開示の不足に関しては、マーケティングを意識したプッシュ型情報開示。それから、一般病床・療養病床の枠組みは、これは法改正も必要なことなので、なかなか難しいと思いますけれども、撤廃も考えていただいたほうがいいのではないかということを感じました。
 あとは、いろいろと書いていますけれども、時間の関係で、また御覧いただければと思います。
 以上、簡単ですが、説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、全国有床診療所協議会 猿木参考人から御説明をお願いしたいと思います。
○猿木参考人 御紹介ありがとうございました。一般社団法人になりまして、一般社団法人全国有床診療所協議会となりました。
 有床診療所協議会では、全国の有床診療所の活性化を目指すために各地に協議会を設置しております。そして、有床診療所の病床の認知度向上のために、「有床診療所の日」のイベントなどを毎年開催しております。
 有床診療所の現状といたしましては、現在5593施設、7万5000床の病床。そのうち療養病床が4万7000床あります。全国の病床数の約6.5%、それなりの位置を占めております。そして、大事なことですが、病床を持つ究極のかかりつけ医である。ここを強調したいと思います。
 機能としましては、御存じのように、病院からの早期退院患者の在宅・介護施設への受け渡し。専門医療(手術・分娩・リハビリ)。特に、全国の出生数の約半数、45.3%を有床診療所でお産を担っております。緊急時に入院するのは当たり前でございまして、緊急入院やレスパイト入院までやっております。在宅医療の拠点でございます。終末期医療もきちんとやっております。医療と介護の一体的な情報提供をしております。
 高齢者を含む全世代型地域ケアの中核として頑張っております。しかしながら、残念ながら、施設数は毎年減少が続いております。
 そして、有床診療所の病床機能報告ですが、急性期でほとんど申告しております。というのは、有床診療所は、皆さんお話しのように、高度急性期、急性期等々の分類にはどうしてもなじみません。極端なことを言いますと、ゆりかごから墓場までじゃありませんけれども、急性期病床から看取りまで、その人に応じた入院がいつでもできるというのが有床診の特徴でございます。病床機能報告では、ここにありますように、6割が専門医療をちゃんと担っておるということでございます。
 課題であります。現在の地域医療構想について、私たちの考えを述べさせていただきます。
 地域医療構想は、地域の関係者が集まり、課題を共有する機会となりまして、機能分化に向けて一定の成果を上げてきたのは事実でございます。
 ただし、人口減少地域のみならず、全国的に医療・介護の人材確保は大変困難となっておりまして、高齢化する地域での在宅医療や介護サービスも含めた包括的検討が、今後、地域医療構想の中では大事な検討課題ではないかと思います。
 有床診療所は、病床機能報告の中では、先ほど申し上げましたように、病床区分を1つ選択することになっておりますけれども、なじみません。回復期や慢性期の患者が多いケアミックスの有床診においても急性期を選択する傾向があります。
 病院・介護施設との連携でございますが、病院との連携はとてもうまくいっています。高度な専門的医療が必要な場合には、地域の病院に依頼、紹介、転院など円滑に連携が進められております。しかしながら、逆紹介については若干課題があります。どうしても制度的な問題がありまして、紹介した病院のほうでは、自分の病院の地域包括ケア病棟に入れたり、それを持っている病院に紹介してしまって、紹介元の私たちのところには戻らないケースがままあります。
 介護施設との連携も大変うまくいっておりまして、発熱や脱水、軽症~中等症の患者はすぐに受け入れまして、軽快後に施設に戻しております。また、介護施設等で対応困難な医療、例えば酸素投与、点滴などを実施して、患者さんや施設のほうが望めば、最期の看取りまで行っております。療養病床のみならず、一般の有床診療所の病床も、ショートステイ(短期入所介護)などとして利用出来ております。
 ここにありますように、赤い四角の有床診療所に向かって、ピンクの急性期病床あるいはオレンジの地域包括ケア病床、緑のリハビリ病棟から、いきなり在宅へ戻るのではちょっとという患者も有床診療所で一旦引き受けて、元気にして帰すという役割を担っております。
 2040年の医療提供体制のイメージでございますが、2040年には、働き手の減少も相まって、医療機関・介護施設等の医療・介護職の確保が一層困難になります。地域の状況に柔軟に対応できる提供体制が必要となる。人員配置の規制緩和とICTの活用を進めて、今いる限られた人材をより有効に活用すべきであると思います。
 地域を面で支えるかかりつけ医機能は、一層重要となります。終末期についても、人生会議の周知を図り、適切な医療提供が求められます。
 地方のコンパクトシティが今、あちこちにありますけれども、小規模病床を有する有床診療所は、重要な医療資源になるのではないかと思います。
 ここにありますように、地域密着型の有床診療所は、黄色で囲ってありますように、入院機能を持っている究極のかかりつけ医機能があるところでございます。いろいろな施設とか、まちづくり、行政とも協力できているところでございます。
 新たな地域医療構想への期待でございますが、有床診療所の病床は、病院や介護施設との連携や在宅医療も担っておりまして、小規模で柔軟、ここが大事でございます。柔軟な運用ができております。病院病床とは異なる診療所病床として、今まで以上に効果的かつ有効に活用されることを期待しております。
 現在、地域医療調整会議の構成員として、有床診療所団体の参加は32区域にとどまっておりますけれども、今後、より多くの区域において有床診療所団体の参加が求められます。
 ここで赤枠で囲っておりますように、有床診療所団体がこれだけしか入っておりません。
 結語の前に、飛ばしたページがあるので、ちょっと申し訳ありません。有床診の役割でございますが、何度も言っていますけれども、有床診療所は急性期から看取りまで広範囲に対応しております。地域医療の隙間を埋めて、患者や家族の多様なニーズに応えられます。
 既に2室8床と呼ばれる、一般病床と療養病床を柔軟に利用できる、つまり、定額制の病床と出来高払いの病床とを自由に移動することができるという仕組みがあります。
 医療・介護の複合ニーズに対しても、有床診療所の病床は有用でありまして、医療過疎地域では唯一の病床として多機能を果たしており、地域医療構想の充実に当たっては、有床診療所のさらなる活用が期待されます。
 結語としては、新たな地域医療構想の検討に当たっては、地域の医療資源の減少を踏まえて、人的配置の制約が少ない有床診療所の活用を視野に入れた積極的な議論を期待します。そして、有床診療所の病床は、繰り返しになりますけれども、急性期から看取りまで、地域のかかりつけ医として人生の幅広い状態の患者を受け入れておりますので、病床機能区分にはなじみません。したがって、地域医療を支えるためには、新たな地域医療構想の中で診療所病床という新しい病床単位を考えてもいいのではないかと思います。そういう中で、人生会議等々を利用しまして、その患者さん、家族がどうやって地域の中で最期を迎えていくかということを、診療所病床が支えていくことができると私たちは思っております。
 今後、地方にあって人材が減っていく中で、医療関係職種、例えば病院では必須の放射線技師とか薬剤師とか、有床診では必須ではありません。あるいは、人数に厳しい規制がない有床診療所の病床が、地域の入院医療需要を満たすために入院病床として維持しやすい、病床として維持しやすいのではないかと指摘しておきます。新しい地域医療構想における医療・介護・福祉の連携の重要な一翼を有床診が担っていけるのではないかと思っていますので、どうぞ御理解のほどよろしくお願いします。
 繰り返しになりますけれども、病床の機能分化になじまないので、ぜひ今後は診療所病床という新しい概念を考えていただいたら大変うれしく思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、日本在宅ケアアライアンス 新田参考人から御説明をお願いしたいと思います。
○新田参考人 ありがとうございます。日本在宅ケアアライアンスの理事長をしております新田と申します。日本在宅ケアアライアンスは、在宅関係22団体が入った団体でありますので、私の今日のプレゼンは在宅医療に関して行いたいと思っております。
 左の医療需要の変化。これは厚労省からの構図でございますが、外来患者数は既に減少傾向にある、医療圏が増加している。もう一つ、右上は、在宅患者は多くの地域では増加する。こういうような状況の中でかかりつけ医はどうするのか。減少する外来患者の対応を迫られて、在宅医療を行う必要があるだろうと思っております。
 その在宅医療とは何なのだろうというのが右の2つの構図で、医療と介護の複合ニーズが一層高まる。もちろん、高齢者、85歳以上になるに従って医療・介護の複合ニーズが高くなります。そして、死亡者数が増大する。現在、総死亡の50%以上が85歳以上でございます。となると、総死亡で85歳以上の人が亡くなる前には、介護、そして医療の複合ニーズを抱えた方をどう見ていくか。これが基本構造であると思っています。
 現行の地域医療構想に関する評価と課題ですが、私はずっと不満でございました。何をやっているのかよく分からなかったというのが正直な話でございます。現行は、制度論を中心にして展開し過ぎたのではないかということが1つあります。先ほど言いましたように、2040年を見据えて、新たな社会のありように対して、地域医療体制の構築が必要であることはもちろんでございまして、先ほど言いました外来患者の減少、在宅数の増加、医療・介護の複合ニーズ、死亡数の増加などに対応することを見極めた上で、病床等々、在宅も含めて見ていく必要がある。それが医療構想の基本になるだろう。
 そうすると、病床数を中心とした医療構想のみでは、地域医療構想とは恐らく言えない。在宅医療の受け皿がまだ十分だと私自身は思っていませんが、十分に整備されない限り、地域医療構想におけるかかりつけ医・在支診あるいは病院の連携による地域完結型医療提供体制の構築は困難だろうと思っています。
 地域医療構想の根幹でございますが、超高齢社会における求められる医療機能とは何だろう。もちろん、治すに特化した高次機能を担う病院も必要でございます。その次に、地域医療・在宅医療を支える病院。恐らく中小病院は、ここに果たす大きな役割があるだろうと思っています。一方、いわゆる一般の外来から在宅医療というのは、私どもが経験する中で、超高齢者が多くなるに従って、病院を経ずに外来に通っていた人が外来に来られなくなる。病院も行かないで在宅医療になる。そして、最期、看取りになる。病院を一切必要としない高齢者も増えてきている。これも事実でございます。そうすると、その場合、何をするのかというと、その方たちの生活・介護・医療の一体的な取組だろうと思っています。
 したがって、地域医療構想が完結するには、病院完結型医療から地域完結型医療への転換が必要とずっと言われてきていましたが、まだまだ不十分でございます。そして、今、言われているかかりつけ医機能の整備。これは後で少し述べます。その中で、在宅医療が地域医療構想の主要な課題となって、その上で評価の在り方が求められるという逆発想が私は必要だろうなと思います。
 そして、病院完結型から地域完結型医療への転換のためにはということで、右のかかりつけ医機能を十分に発揮するためのかかりつけ医が必要だと言われていますが、このかかりつけ医を在宅医療に向けるということは何かというと、座学ではなかなか困難だろう。現在外来を主とするかかりつけ医が在宅医療を行うことにより、OJTとしてかかりつけ医機能を獲得・深化させることができるということをしない限り、左側の地域完結型医療・介護提供体制の構築で、このかかりつけ医機能が発揮される制度整備はなかなか難しいだろうと思っています。
 そのために一番重要なのは、診療所における看護機能ではないか。全国で在宅医療が機能している有能なところというのは、必ずそこに有能な看護師がいます。この地域の行政あるいは訪問看護あるいは介護との連携、家族との連携、あるいは施設との連携のためには、医者がやるわけじゃないですね。そこに存在する、いわば診療所の看護師が機能を果たす。これは大変重要なことでございます。ただし、診療所看護師には診療報酬体制が一切ありません。そういったことでも、その辺りのところが今後考えられなければいけないだろうと思います。診療所の医師がかかりつけ医機能を果たすためには、診療所の看護体制を充実させることです。
 かかりつけ医自身はどうかという話ですが、在宅医療においてかかりつけ医は、歯科、薬剤師、看護師、リハビリ、介護、行政職員、様々な関係者との連携が求められる中で、結果としては、摂食・嚥下、ポリファーマシー、認知症、緩和ケアの諸問題、あるいは外来・病院では気づかない関係性が地域になければ分からないという中で、かかりつけ医には様々なことが求められます。
 そういう意味で、かかりつけ医というのは、病気の背景に健康の社会的な要因も存在することを理解して、人生の終末期までを支える医療に必要な臨床力を備えつけるということで、これは座学だけては本当に難しいわけですね。ということは、かかりつけ医は、在宅医療を行うことでかかりつけ医機能が深化すると思っています。何よりもOJTじゃないかなと思います。
 かかりつけ医と在支診の違いでございますが、24時間診療、単疾患以外の複合ニーズに対応、介護を含めた地域連携をするのは在支診だろう。今のところ、かかりつけ医は多くの解釈がありますが、2040年に向かって考えたとき、真の意味のかかりつけ医はいつでも相談出来、患者に寄り添うことが出来る医師であると思っています。
 今の話を少しまとめると、治し支える医療を実現するための総合的な課題は、この左側の絵でございます。年齢に従って、最期、ダイイングの時代ですが、病気を治す医療から、生活、治し支える医療という総合的視点ということで、この基本が在宅医療になるだろう。もちろん、この隙間があって、そこには様々な事情で入退院を繰り返す人もあります。だけれども、多くのところでは、そこは生活の充実とか人生の満足とか生きがいという支援をしながらいくだろうと思っています。
 一方、これは最近の老健事業で行われたアンケートですが、郡市区医師会に所属する医療機関における訪問診療・往診の取組状況でございますが、まだまだ会員の2割以下のところが多くて、51%でございます。51%で在宅医療の需要・供給体制を賄えるのかという話ですが、現在、何とか賄えているのだけれども、10年間、この状況だと困難な状況に陥るというので、先ほどのような、現在の単疾患を抱えているかかりつけ医の医師たちが、きちんと在宅医療ができる体制に持っていくことが重要かなと思います。
 なぜできないのか。24時間の在宅医療、夜間体制、休日対応というところで、1人プラクティス、医師のところはなかなか困難と。そして、今、在宅医療を進める様々な機能連携とか複雑なことがありますから、1人のところではなかなか困難でありますから、そこをどういうふうに乗り切るかというところでございます。
 一方で、複数医師による診療所、あるいは地域でも複数診療所のグループ診療等といったところが機能すると思っておりますので、さらなる地域連携が必要かなと思います。
 もう一つは、中小病院との連携。さらに、看護小規模多機能居宅介護との連携。看護小規模多機能は、今や高齢者のホスピスケアにもなりつつあります。私のところもそうです。となると、多くはがんで、心不全他で一人暮らしの方が自宅が困難になった場合、在宅では介護も含めて大変な場合に看多機で看取るということです。そうすると、看護小規模多機能と機能する在宅医療は、中小病院と同じ役割で、私自身は中小病院とそういったところを分ける必要もないなと思っているぐらいでございます。ということで、地域完結型の提供体制のためには、そういったものも見ていく必要があるかなと思います。
 新たな地域医療構想に期待することでございますが、1つは、医療機関の役割分担・連携は今までも言われたとおりでございまして、その中で地域の医療としてグループ・プラクティスの推進、あるいは中小病院がきちんと役割を明確化して、そこの地域による機能を果たすこと。
 それには、医療・介護の複合ニーズへの対応でございまして、さらに診療所のかかりつけ医機能と多職種協働のさらなる推進ということ。さらに、先ほど言いましたが、看護小規模多機能型居宅介護の推進。さらに、ここにつけ加えるなら、診療所における看護機能の推進。
 もう一つは、都道府県、二次医療圏では地域完結型医療は困難かなというふうに私は思っています。市町村の高齢者保健福祉計画と地域医療構想の一体化というふうに思っていまして、東京では市町村で医療計画をつくったのは3つでございます。国立、稲城、武蔵野。それぞれの地域に応じて、違った地域医療計画がつくられています。例えば、武蔵野市のような大病院があるところは病院中心型の市町村の地域医療構想。私のような国立は病院がありませんので、市民のための地域医療ですね。稲城は市民病院がありますから、市民病院を中心とした地域医療。それぞれによって違いが出てきます。と同時に、それが高齢者福祉計画と一体になって見ていくということでないと、先ほどのような医療・介護複合型ニーズを持った人たちの対応は困難だろうと思います。
 国や自治体の役割として、人材育成だろう。タスクシェアをするために人材育成が必要であって、中で特定行為のできる看護師の養成・推進も重要なことだろう。現状では、他に病院が派遣できる人しか特定行為ができる看護師がいません。地域の訪問看護あるいは診療所看護の人たちが、特定行為を受けるだけの時間と余裕がないのです。そうすると、今後果たす役割のためには、もう少し特定行為ができる看護師の養成を身近にするということが1つであります。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、吉川構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○吉川構成員 よろしくお願いいたします。日本看護協会の吉川です。このような機会をいただき、ありがとうございます。本日は、看護職の立場から「新たな地域医療構想に向けて~地域での看護機能の強化と人材確保・育成~」について、お話しします。
 お話しする内容は、スライドにお示しするとおりです。
 2040年の社会を見据えますと、その状況に対応していくためには大きく2つの課題があると考えています。1つ目は看護機能の強化、2つ目は人的資源の制約です。本日は、この課題に対応するために、右側に記載しております4点について御説明します。
 まず、1つ目、外来看護機能の強化についてです。
 現在、外来では、認知機能や生活機能が低下している患者、単身の高齢患者への対応や、社会資源の活用に向けた調整が増えてきています。さらに、患者が外来予約日に来院されないことや、来院時の身なりや言動に変化を感じて、外来看護職が支援の必要性に気づくことも多くなっております。
 今後、外来通院が困難となる状況や、治療中断が生じるケースへの対応を考えますと、D to P with NやMaaSなどのICT活用を推進し支援していくことが必要と考えます。また、医療と介護の複合ニーズを持つ患者が増えるため、医療からつながるケアプランの一体的な作成や、専門性の高い看護師の外来、地域での活動を推進し、ケアの継続による重症化予防も重要になります。さらに、これからは、医療機関で患者を待つのではなく、医療においてもアウトリーチ型の伴走支援の視点が重要になると考えます。
 専門性の高い看護師の地域での活動推進についてですが、入院から外来、在宅まで、切れ目なく看護ケアを継続していくためには、平時から相談・連携、また体制構築が有効になると思います。
 スライドにお示ししますように、既に滋賀県の地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアムさんでは、例えば皮膚・排泄ケア認定看護師が連携推進法人以外の施設の看護師に対して研修会を開催し、統一したケアの指導を行っていくことで皮膚の状態が改善されたという事例や、誤嚥性肺炎での入院が多い施設の介護職員に対して、摂食嚥下障害看護認定看護師が安全な食事を摂取する方法についての研修会を開催し、その後、継続的にスマートフォンを活用して食事摂取の状況を共有して、遠隔で助言を実施していくことで、入所者の誤嚥性肺炎や食思不振での入院が減少したという報告がされています。専門性の高い看護師による地域の他施設や他職種への支援は、ケアの質向上、また地域での療養生活の継続につながっています。
 2つ目は、訪問看護機能の強化についてです。
 現在、訪問看護事業所数は1万5697事業所まで増加していますが、約半数が看護職員5人未満の小規模事業所です。訪問看護における医療処置の実施件数やターミナルケア利用者数は増加しています。
 在宅療養や在宅看取り、また介護施設における医療ニーズの増大に対応していくためには、地域全体での24時間体制の確保が急務となっています。そのためには、連携拠点となる訪問看護事業所を位置づけて、複数の訪問看護事業所で機能分化・連携を図っていく体制が必要と考えております。この連携体制を構築するに当たっては、全国医療情報プラットフォームの活用など、利用者情報の共有化の仕組みも不可欠となります。
 この拠点型訪問看護事業所について、少し御説明します。
 機能としては大きく2つあり、多世代・多機能に対応したサービスを提供する、また、地域の訪問看護事業所の支援を行うといった機能を持ちます。既にこのような事例は複数あり、そのような機能を持つ事業所は、看護職員数が多いこと、多職種連携を実施して、原則として二次医療圏へ対応していること、また、24時間対応体制を構築していることといった特徴があります。詳細な事例は御覧ください。
 次に、3つ目の看護小規模多機能型居宅介護、通称看多機の機能強化について御説明します。
 看多機は、一人一人の状態に合わせて、訪問看護、訪問介護、通い、泊まりを柔軟に組み合わせたサービスを提供しており、医療ニーズが高い利用者や、退院直後で状態が不安定な方などに対応しています。全国で現在952事業所まで増加していますが、小規模自治体ではまだ1か所もないところもあります。右下のグラフにありますように、2040年には利用者が130%増となり、主な介護保険サービスの中でも最も大きな伸びが見込まれていると報告されています。
 看多機で実施しているケア、また介護サービス提供による利用者の状態変化については、こちらのスライドを御参照いただきたいのですが、下のグラフにありますように、入院を回避できた等の状況は、地域の中で機能分化をしていく上での大きなメリットの一つと考えています。
 看多機の設置に向けましては、人と場所の確保、また重度な利用者や在宅看取りにも対応できるための方策が必要になります。そこで、本会では敷地内看多機を提案しています。
 既に全国で幾つか行われており、ここでは静岡県の聖隷沼津病院の例を掲載していますが、利用状況としては、例えば病院から退院後、1週間程度の泊まりや自宅退院への準備として。また、重度な利用者のレスパイトとして。透析患者が、外来通院に併せて通いでの利用や泊まりでの利用などが行われています。利用者の主治医は、85%が診療所や他病院であり、主治医の専門外の症状や重症化した場合などは同一敷地内の病院で対応することもあります。このように、敷地内看多機は地域の診療所や病院とも連携しながら、医療ニーズの高い利用者の対応から看取りまで、地域の暮らしを柔軟に支えている状況です。
 4つ目の人的制約に対する対応について御説明します。
 グラフでお示ししますように、看護職員の就業者数は年々増加しています。真ん中の年齢別構成割合で見ますと、50歳以上の看護職が増加しており、特に60歳以上の看護職が12.8%を占めています。これは悪いことではなく、右側のグラフにありますように、60歳以上の看護師は介護領域などで活躍する者が増えており、在宅での療養や暮らしを支える場で、今、力を発揮しています。
 今後、生産年齢人口が減少していく中で、どのように看護職を確保していくかということですが、他職種との協働や医療・看護DXの推進は大前提となりますけれども、今までの施設単位で看護職員を確保し育成していくという考え方から脱却し、地域全体を面として捉えて、地域で看護職を育成・確保、また共有していくという考え方に転換していかなければならないと考えています。
 既にそのような取組は行われており、例えば一部の地域医療連携推進法人では、病院と診療所、また訪問看護、老健の間で看護師の出向を行い、不足人員の補塡や過重な勤務シフトの緩和が可能となっています。また、急性期の公立病院でも、地域の中小病院等の認定看護師取得準備段階の看護師の育成や新人看護師の教育の実施、公立病院から不足人員の補塡のための出向なども行われています。都道府県看護協会でも、県行政から委託を受け、看護師や助産師の出向事業を展開している県もあります。
 また一方、働き方改革についても考えていく必要があります。近年、短時間正規雇用の看護職員が非常に多くなり、夜勤が難しい看護職も多くなってきています。一律的な夜勤時間での勤務を求めるのではなく、夜勤可能な時間帯を柔軟に設定することで、夜勤勤務者の確保や就職希望者の獲得につながっている事例もあります。今後は、地域の看護提供体制を確保するためにも、公立病院や地域医療支援病院などが看護師の育成・派遣・出向機能を持ち、地域の看護提供体制を整備することも方策の一つと考えています。
 こちらのポンチ絵は、保健・医療・介護提供体制のイメージです。こちらのスライドは、一般的な都市部におけるイメージを示していますが、日常圏域では、在宅医療を積極的に支援する医療機関や診療所が、24時間体制で在宅医療の4機能を担うこと、訪問看護事業所や看多機の中でも連携拠点となるような診療所を位置づけて、各関係機関と連携しながらニーズに応じた役割発揮をしていくイメージです。
 こちらのポンチ絵は、過疎地のイメージです。過疎地域では、高度急性期の医療機関から看護師が派遣・出向し、公民館や医師不在の診療所で、住民の主治医などと連携しながら、住民からの相談を受けたり、健康管理をしていくイメージです。情報共有のためには、情報共有システムや、オンライン診療が不可欠になりますので、D to P with NやN to N、またはMaaSなどのICTの活用が必須になると思います。
 最後に、地域医療構想に期待することです。下の四角の枠の中に記載しておりますが、2040年頃を見据えた医療・介護需要とサービス提供体制の目指す姿を基に、看護職員の需給の見通しをしっかり示していただきたいということです。
 それから、全国医療情報プラットフォームを活用した看護情報の共有化の推進、看護業務の効率化など、医療・看護DXの推進、D to P with NとかMaaSなど、ICTを活用した外来医療、また看護提供体制についての検討、医療・介護提供体制においては、複合ニーズにも対応可能な訪問看護事業所や看多機の役割の明確化、看護職員の確保に向けて、看護職員の育成や派遣、出向機能を果たす医療機関の確保を図るといったことを期待しています。
 御清聴ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、全国老人福祉施設協議会 大山参考人より御説明をお願いしたいと思います。
○大山参考人 ありがとうございます。
 それでは、新たな地域医療構想ということで、私どもの特別養護老人ホームの介護の視点から御意見申し上げたいと思います。
 最初、文章での御説明でして、次に7ページからパワポでの説明に入らせていただきます。釈迦に説法かと思いますけれども、特養とはということで、入所施設ではございますが、医療法上での位置づけは居宅等になっております。現状では、多様な医療ニーズを抱えております。その状況は安定していても、認知症や身体等の状態により常時介護が必要で、在宅生活が困難な方の終の棲家となっており、在宅に近い環境で支援する生活支援施設であるということを御認識いただきたいと思っております。
 次のページでございますけれども、特別養護老人ホームにおける入所者の状況と稼働状況・課題でございます。このグラフのとおり、年々稼働率が下がっております。地域によってのばらつきはございますけれども、利用数が少なくなっている。その反面、要介護1や2でも入所が必要な方を受け入れる可能性のために、制度見直しや、または特例入所として認知症や知的障がい・精神障がい等、虐待、単身世帯等という措置入所の適切な運用も求められております。医療・介護ニーズを抱える85歳以上の高齢者の増大を考えますと、医療と介護の連携は、今後ますます重要になってきていると思います。
 続きまして、特養には、別紙の参考資料にも記しましたけれども、多岐にわたる医療処置が必要でございます。透析、胃ろう・腸ろう、在宅酸素や気管カニューレ、インシュリンや悪性腫瘍の受入れができない施設もございます。要介護3以上の要介護高齢者の入所の生活施設であるために、医療ニーズ増大への対応が現在、非常に課題となっております。今回の改定で、緊急時の対応や協力医療機関との連携、配置医師緊急時対応加算などの見直しが行われたところではございますけれども、特養の配置医師や看護職員の役割・機能強化によって、医療ニーズの増大への対応力の向上がまさに求められつつあるというところでございます。
 次に、看取りの状況・課題でございますが、全国老施協は、既に看取りケアについては、人生の最期まで尊厳ある生活を支援するということを重要と考えて支援しております。介護施設に対しまして、医師及び家族等の相談の上で、過剰な処置は行わない看取りケアの実践を推奨しております。近年、老衰で亡くなる人が急増しております。先ほど新田先生もおっしゃっておりましたけれども、これに伴った自宅や介護施設等での死去が増加傾向にございます。こうした傾向は、多死社会の到来が近づくにつれて、一層強まると思われます。
 現在、特養退所者のうち69%が死亡退所でございます。83%は特養における看取りの対応をしてございます。この終の棲家としての機能は一定程度果たしておりますが、今後、さらに機能強化が求められている社会でございます。
 続きまして、これは特別養護老人ホーム50床の1日の例でございます。点々で枠を括ったところが看護体制です。今、介護報酬改定で、このピンクに全部染めたところが医療との連携の中で変わってくる構想ではございますけれども、点々の中で週1回だけ、配置医師がおおむね2時間回診していただけるのが現状です。そして、黄色の部分では、緊急時の対応は看護職員等の付添いの下で診療所等に受診に行くというイメージ図でございます。そうしますと、利用者も対応する職員もかなりの時間、2時間から3時間以上、拘束されてしまっているという現状で、特養の中で医療が治療として完結することがないということです。
 ですので、こういう厳しい状況の中で、ピンクの医療連携の中で、24時間、どのような対応が試みられるのかというところは、いろいろと課題・問題が山積しているのではないかと思っております。
 続きまして、この図のように、私どもは医療連携のイメージの中で、全国に大都市部もあれば、限界集落の土地もある。そのようなところに立地している特養が、果たしてスムーズに医療・介護の連携ができるのか、ここが非常に難しい。その上でも、そういう立地条件の悪いところ、連携が結び得ないところも含めて、適切に緊急時の対応ができるか。それから、医師や家族等との相談の上で、過剰な処置は行わない看取りケアの推奨が維持できるか。また、認知症のある人への適切な支援や行動・心理症状などの予防や早期対応の推進が進められていけるか。それらも含めて、最後の四角になりますが、オンライン診療・相談の活用を含めた、切れ目のない医療と介護の連携をするには、オンライン診療というものは非常にポイントが高く、重要視されるのではないかと思っております。
 これらを含めまして、これ以上に医療と介護の連携が不可欠であるということを申し上げたいと思っております。
 続きまして、2040年頃を見据えた医療と介護提供体制のイメージでございます。予測としては、2025年以降は、後期高齢者の急増から現役世代の急減ということが見込まれております。それに対する課題としましては、人口構造の変化や、それに伴う社会環境の変化が見込まれております。では、その対策はといいますと、私どもの立場からすれば、その地域性や社会資源に応じた極めて効率的な再編をしていただかなくてはならないのではないかと思っております。
 それでは、最後になりますが、介護の視点から、この構想に期待するものとして、主な3点、申し上げたいと思っております。
 まず、1点目ですが、特養は医療の提供の場ではないということでございます。在宅医療と同様に考えるべきではあるが、在宅との相違点は、常時看護職員が健康状態を把握し、緊急を要する場合や医療的措置が必要となった場合に速やかに対応できる機能は、特養としては備えている。その特養の機能を御理解いただいた上で、地域医療構想の中で居宅等とはまた異なる位置づけである特養ということで検討していただきたいと思っております。
 2点目でございますが、配置医師の在り方・機能・役割について地域医療構想の中に位置づける必要性があろうかと思っております。
 3つ目でございます。緊急時や夜間を含めたオンライン診療や、日常的に医師と特養等の介護施設が連絡・相談できる仕組みなど、特養等利用者の医療アクセスの向上を図り、切れ目のない診療をするためには、今後、義務化された医療との連携の中で、オンライン診療を含めないと網羅されないのではないかと思っております。
 以上を申し上げて、私どもの意見とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。お世話になりました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ただいま、構成員、参考人の合計6名の方々から御発表をいただきました。大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
 それでは、ただいまの御発表を受けまして、御質問、御意見等あればお願いしたいと思います。なお、事務局から当初、御案内がありましたとおり、池端参考人におかれましては、14時50分までの御出席ということですので、池端参考人への御質問、御意見等につきましては、それまでにお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 では、猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 猪口です。どうもありがとうございます。
 池端先生にちょっと質問させてください。17ページ、病床機能報告というのは、もともと病棟単位でやるのを病床単位で、つまり1つの病棟に50床あったら、急性期が20で回復期が30であれば、そういうふうに分けて報告したということでよろしいのでしょうか。
○池端参考人 おっしゃるとおりで、そういうニーズが強かった。では、それで1回集計してみようということでやった結果、こうだったということです。総数としてはそんなに変わらなかったけれども、それぞれの機能が、うちは20が回復期で30が一般とか、そういうのを全部積み上げていった。
○猪口構成員 結果としては、ほとんど差が出なかった。今までとイメージが違うので、そのイメージを皆さんがもっと理解すると、もう少し急性期が減ったりしたのかなということかと思うのですけれども、それは実際上、あまり差が出なかったということでしょうか。
○池端参考人 そうです。ただ、一つ一つの病院については、かなり細かく分けられているので、自分たちは20床がこうということを正直に入れた。でも、この20は要らないねとか、そこをさらに考えるようになってきているので、この次にがらっと変わってくるのかなという気がして、取りあえず、そこを認めたということで、病院が自分たちは本当にどういう機能が必要か。ひょっとしたら急性期、要らないのではないかということを考え始めたということ。
 今まで、病棟単位だと急性期か回復期かということで登録しなければいけなかったので、それを考える余地もなかった。数字は変わっていなかったけれども、雰囲気がすごく変わったので、調整会議の中の意見が大分変わってきたので、それから回復期に落として一般をやめようというところがどんどん増えてきているのです。だから、病床で報告させたということが1つのきっかけになっていくのではないかということを感じています。
○猪口構成員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 ありがとうございます。
 吉川構成員に2つ御質問があるのですけれども、1つは、今後、外来の看護師の機能強化ということで、D to P with Nというのは、これから進めていくのは非常に重要なことだと私も思うのですけれども、それにおいて、専門性の高い認定看護師を養成するということですけれども、今、認定看護師、時間的にも経済的にもかなり制約があって養成が難しい。当院でも、経済的にはある程度奨学金を出してやっていますけれども、時間的な制約で難しくて、なかなか人数が増えない。
 そこでお聞きしたいのは、現状、看護協会で把握している中で、こういう認定看護師が順調に増えていっているのか。あるいは、今後、需要が高まる中で、例えば10年後を見据えて認定看護師が今の状況で十分満たされるのかどうか。あるいは、今の制度の質を落とすわけにはいかないと思うのですけれども、増やすためにもう少し簡便に取れるようなものを考えているかどうかということを1つお聞きしたいということ。
 それから、もう一つは、看護師の確保の問題で重要なことですけれども、先ほど就業看護師、50歳以上が増加したということですけれども、病院で見ていると、看護師はぎりぎり確保できても、夜勤はなかなかやりたくないというか、できないという看護師が増えて、実際、そのような影響で、例えば今、美容クリニックに流れているのは、夜勤がないというのを売りにすると、看護師がみんなそっちへ行ってしまう。こういうことで、今後ますます、特に若い人もそういう傾向があるので、僕が危惧しているのは、夜勤ができない看護師が増えてくることによって病院の機能が崩壊するのではないかと思っています。
 そこで、こういう夜勤に関して看護協会で何か考えているのか。これはもちろん何らかのインセンティブをつけるというのは、厚労省の方にもちょっと認識していただければと思うのですけれども、夜勤可能な看護師を確保するということで、何らかの対策というのはあるのかということをお聞きしたいです。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 専門性の高い看護師が、今、増えているかどうかに関しましては、領域によって差があります。例えば、その時の時代の流れもあり、昨今では感染領域は非常に増えています。
 また、今後に向けて、実際にそれぞれの領域でどのくらいの需要があるのかについては、まだ調べている段階でありお答えできないのですが、非常に専門性高くケアができますので、本会としましては、今ご意見にあったような受講のしにくさ、研修時間が長いなどへの対応として、eラーニングでの研修や、研修期間を短くするなど、もう少し育成を図ることができる体制を取っているところです。
 それから、夜勤の確保に関しましては、国が様々な制度をつくっていただき、本当にありがたい反面、逆に夜勤をできない人が非常に多くなっている実態です。ここにお示ししたように、一律的に何時から何時までが8時間の夜勤、16時間の夜勤と示すと、そこにはなかなか合わないため、少しフレキシブルに、できるところで入っていただくような制度を導入している病院もあります。そういったところでは、夜勤ができる人も比較的増えてきているというお話も聞きます。
 あとは、病院で、夜勤をやっている人に対しては少し手当をつける等のインセンティブを与える形で対応している病院もありますが、国のほうでも何か考えていただけると私たちもありがたいと思っているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。岡構成員、よろしいですか。はい。
 土居構成員、お願いいたします。
○土居構成員 皆様の御発表、どうもありがとうございました。
 私は、猿木参考人と吉川構成員に1つずつ質問させていただきたいと思います。
 まず、有床診につきまして、それぞれの地域で柔軟な対応をなさっていらっしゃるということ、御発表で私も勉強させていただきました。その中で、釈迦に説法ですけれども、病院は20床以上で診療所は20床未満であるという、この病床数が有床診の役割として何か大きな意味を持つのかどうかというところをお伺いしたいと思います。今後、人口が減ってくる地域においては、患者数の減少に応じて病院の病床も減らさなければいけないということになると、場合によっては20床以上あった病院が19床以下になることも考えられると。
 今、有床診は数が減少しているというふうにお話がありましたけれども、その20床以上か未満かということが、有床診の役割として何か大きな意味があるのか。そんなに数は多くなくてもいいから、診療所にベッドがあることが意味のあるということなのか、それとも、もし診療所であっても、地域によっては20床以上のベッドを用意するほうがいいということであれば、もちろん今の定義だと病院になるわけですけれども、有床診として果たす役割というふうに、今おっしゃったことをより発揮できるということが将来的に考えられるのかというところをお伺いしたいというのが1点目であります。
 次は、吉川構成員についてですけれども、看多機の役割という御説明がありまして、1つの大きな役割を果たしていらっしゃるのだなと思いますし、資料の8ページには、これは社会保障審議会介護保険部会の資料ということでありますけれども、看多機の今後の利用者が増加する見通しになっていると。ただ、私はこのバックデータがどうなっているかというところまで詳細を存じませんので、私の一見する見立てでは、これは介護保険部会で老健局から示された資料であるけれども、医療の需要と介護の需要と両にらみで分析して、こういう利用者の見込みになっているということでは必ずしもないのかなと。介護保険事業計画から積算した結果として、こういうふうになっているということなのかなと思いました。
 その点で、同じ資料の9ページに、看多機サービス提供による利用者の状態変化ということで回答があって、入院を回避できたというところにかなりの数の回答があるというような調査結果をお示しになっておられるということで、ここから質問させていただきたいわけですけれども、看多機の利用者が増えるということによって、将来的に入院の回避がより多くの方にできることが期待できるのか、どのように御覧になっているかという御認識をお伺いしたい。看多機の利用が増えることを通じて、今までは入院で対応せざるを得なかった利用者の方が、看多機で対応することを通じて入院患者を抑制できることにつながるのかどうなのかというところをお伺いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 まず、猿木参考人からお願いいたします。
○猿木参考人 有床診の猿木でございます。御質問ありがとうございました。
 20床と19床で意味があるか。法律で決まっていますので、それが非常に官僚的、こんなことを言ってしまうと失礼ですけれどもね。まず、本当のことを言いますと、19床じゃなくて、例えば30床ぐらい。小規模入院施設という考え方が昔あったのですけれども、少しマスメリットを持たせていただくと、内科系の有床診は経営が楽になると思います。実は、個人的なことを申し上げますと、私、6床しか持っていませんけれども、専門が泌尿器科で、ばんばん手術をやっています。手術をやるためには、患者をたくさん持ってしまうとかえって看護師が大変になってしまいます。
 ということで、有床診は非常にばらつきがある集団でありますけれども、もし可能だったら病床数を増やしていただいて、今の規制のままで。つまり、有床診のいいところは、基準看護を取っていませんので、加算はありますけれども、看護師が何人とか、必ずしも縛られない。非常に柔軟ところです。先ほど申し上げましたけれども、病院ですと、専門職として放射線技師が必ずいなければいけないとか、薬剤師の先生が必ずいなくてはいけないとか。医者も、外来何人に対して何人必要、病棟に対して何人必要、そういう規制がありませんので、非常に融通無碍に運営ができる。
 言い方は悪いですけれども、安価に入院治療ができる施設であるということは事実です。本当はいけないのですよ。私どもの立場から言うと、安価じゃないほうがいいに決まっていますから。でも、現実問題として、高度急性期病院に比べれば、1日当たりが5分の1とか、小病院に比べても半分ぐらいの費用で入院治療ができていますので、そういう意味では、今後の医療費削減の中では有床診を上手に活用していただければいいかと思います。
 先ほども申し上げましたように、本当に急性期から看取りまで、ちゃんとやっていますので、いつでも患者さんのステージに合わせた入院ができます。今、皆さんの話題になっている人生の終末期に限らず、ちゃんと人生会議を開いていただいて、40歳でも50歳でも若い頃から、今後の人生の中で死を考えていくということも一緒にできていけるのではないかと私は思っています。そういう意味では、今後の地域医療構想の中で、有床診を病院といろいろな施設との間にぜひ挟んでいただいて考えていただければ大変ありがたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 続いて、吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 9ページの入院を回避できたことに関して、今後、看多機を利用すると入院をしなくて済むのかという視点かと思いますが、重症の患者さん、本当に治療が必要な患者さんは、やはり入院してしっかりと治療していくことが原則だと思います。ただ、自宅で、例えば人工呼吸器を使っている人、人工呼吸器を使っていなくても非常に喀たんが多く吸引が必要といった、より密なケアが必要な患者さん、住民の方などは、入院する前に看護師が徹底的にケアをすることによって改善もされます。そういった意味において、軽症であれば入院を回避できるという考えを持っています。本当に治療が必要であれば、それは入院させることが絶対的条件です。
○遠藤座長 ありがとうございます。土居構成員、よろしいですか。はい。
 ほかにいかがでございましょうか。
 大屋構成員、どうぞ。
○大屋構成員 大屋でございます。
 まず、猿木先生に質問なのですけれども、いわゆる有床診療所の数が減っていますし、地方では無床診療所も減ってきているという中で、今、役割として、地域の中で地域包括ケアとか、その手の、高齢者を含めて、しっかりとゼネラルに診れるような医師ということの期待があるということ、私もそうなのですけれどもね。一方、医師の育成のほうに私、関わっているものですから、そう考えたときに、昨今の若い人たちは、どちらかというと有床診療所を開いても自分の専門性ばかりをやって、必ずしも全身を診るような形の開業形態を取らない人も増えてきているというところで、今後、どういうふうに両方をさせるかというような課題がきっとあると思うので、それについてどうお考えというか、今後の展望というところを教えていただければというところが1点。
 次、吉川構成員ですけれども、ちょっと似ているかもしれないのですけれども、専門性の高いナースをつくっていくということで、例えば感染症の専門のナースが出たからといって、その方が高齢者の医療でゼネラルに診ていけるかとか、がんの終末期で食欲が落ちたよという形とか、うつになってきたというのに対応できるかといったら、そうではないと思うのですけれども、それを今、御説明の中では、こういうふうに専門性高くやれば、そちらもこちらもできるようにちょっと聞こえたものですから。
 そこのところについて、ゼネラルで、高齢社会で在宅で全身を診れるような看護師さんの育成と、専門性の高いナースの育成というのはちょっと違うところもあると思うので、それを追加して御説明いただければ、我々医師の育成についても役に立つかなと。医師と看護師が連携を取るにしても、どのように連携を取ればいいのかということにつながってくるかなと思いました。よろしくお願いします。
 最後は、特養のお話をいただいた大山参考人ですけれども、ここで配置医師が、はっきり言われなかったと思うのですけれども、いま一つの実力の医師が、特養とかに、医師不足の中で結果として流れていっていらっしゃると思うのですが、そこはある程度の専門性ということよりも、しっかりとゼネラルが診れるとか、寄り添うことができるとか、責任を持ってACPとかをやってというような技能が求められるのですけれども、そのようなことをその方たちに教える場所があるのかというか、訓練、トレーニングさせるような仕組みがあるのかという質問になります。
 もう一点は、どのような方が今、配置されているかというデータ等があるのであれば、今後、いろいろなところで見せていただければ参考になるかなと思っております。
 以上です。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、猿木参考人からお願いいたします。
○猿木参考人 御質問ありがとうございます。猿木です。
 有床診をやっている医師の能力、御指摘ありがとうございます。結局、有床診をやっている先生方の一番の魅力というのは、最初から最後まで医師として人生に関われるということだと思うのですね。地域の中で診ていた人が、具合が悪くなって入院をちょっとする。軽ければそのまま帰す。重症化してもちゃんとして帰す。いよいよこれはうちの手に負えないとなったら、病診連携で高機能病院に転送して、また戻ってきていただいて、元気になって、また帰す。在宅へ戻って高齢者になって、例えば介護施設に入ったとしても往診で診るということ。
 最初から最後まで、その人に関わる、ある意味、究極のかかりつけ医であると申し上げましたけれども、そこの医師としての醍醐味ですね。切り取られた病気、切り取られた人生を診ていく病院の先生方と、そこが大きな違いだと思います。私は、医師の原点としては、最初から最期まで、その人を最後まで責任を持って診る。先生、任せたよ。分かったよ、ちゃんとやるよという、それが僕は医師と患者の原点だと今でも思っています。
 そういう医師をどうやって育てたらいいかというと、批判になってしまいますけれども、今の臨床研修制度とキャリアアップの専門医制度はちょっと問題があると思っています。専門医を目指す教育システムは、それはそれでいいのですけれども、話が飛んでしまいますけれども、基礎へ行きたい人も、どうしても最初に臨床研修医を2年やらなければいけないとなると、めげてしまうのですね。だから、後になっても臨床研修ができるような制度設計を厚労省は考えてほしいと思います。
 2つ目は、医学教育の中で診療所研修をたしかやっているはずなのですが、その中にぜひ有床診療所の臨床実習を入れていただいて、私たちが生き生きと働いて、患者さんとの信頼関係がよく育っている中の関係性を見ていただいて、ああ、こういう医者もいいなと思っていただけるような実習ができるような制度を、ぜひ厚労省では考えていただきたいと思います。
 とにかく在宅の中で有床診療所は意外と知られていないので、先ほど申し上げましたけれども、病院や在宅施設、特養もそうですけれども、その中間に有床診療所を入れていただけると、地域の住民の方も随分助かるのではないかと思います。お答えになっていますでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 専門性の高い看護師とジェネラルのナース、またその関係性という御質問かと思いますが、基本はジェネラルのナースを私たちも考えています。ただ、ジェネラルのナース、つまり全ての看護師が基本的に持っていなければいけない力に加え、さらにそれぞれの看護師が働いている領域で求められてくる力が必要になってくると思います。まずは、基本的にはジェネラルのナースに力をつけてもらうことは非常に重要な点、また、そこをしっかりと育成・教育していかなければいけないと考えております。
 さらに、その中で、特に自分がこの領域を究めたい、学びたいという方々が専門領域を勉強されるわけですので、ジェネラルのナースが日々、仕事をしていく中で、分からないところについて、専門性の高い看護師にコンサルしたりしながら支援を受けていく関係性になると思います。よろしいでしょうか。
○遠藤座長 それでは、大山参考人、お願いいたします。
○大山参考人 御質問ありがとうございます。
 具体的なお話は難しい。いろいろ事情がある中での配置医師をお願いしている訳でございます。地元のクリニックの先生にお願いしている場合もありますし、病院等にお願いして派遣されてきている場合もある。非常にばらつきがあるということです。そのばらつきの中で、ACPとか、その辺の訓練をしているかどうかとなりますと、今、自治体等、地方では、それぞれ地域包括・共生社会に向かう中で、そういうテーマでのいろいろな委員会等を設けております。その中に在宅医療とかに興味のある先生方、また、そこを代表する先生方が参加して、ACPも含めたものを論じているというのが現実でございます。
 では、そこに配置医師がしっかりと学び得ているかとか知り得ているかというと、そこは難しい問題で、特養等は週1回の2時間程度の回診となりますと、内科系の先生が全ての患者さんを診ていただきながら、緊急性等も含めて協力病院等にお願いするという流れで、安定期の利用者の方の療養上の健康チェックというのがメインでございます。今後、医療構想も含めて地域包括・共生社会となるならば、医療系の先生方にも終末期に向かう人生ということはどうあるべきかも含めた包括的な考え方の学びもしていただければ、私たちにとってはありがたいと思います。
 もう一点のデータでございますけれども、これはちょっと確認しませんと、後でお答えすることになるかと思いますが、おおむね内科系の先生が多い。あとは、認知症が非常に多くなってきていますので、施設によっては精神科の先生にまた別で診療をお願いしているという場合もございます。
 以上でございますが、よろしいでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○大屋構成員 ありがとうございます。
 私どもは大学病院ですので、いわゆる派遣ということが1つの機能になっているのですけれども、特養とか、いろいろな施設に派遣するときに、大学院生が行きましたよとか、到底しっかり勉強していないような人たちがバイトに行っていたりもするわけなので、そこをしっかり勉強した人に行ってほしい。そこで学んで、それがおもしろいといって、そっちのほうに行く子もいるので、それはエクスポージャーという意味では重要なことで、そういう面も含めて、しっかりと教育なり育成というものが、最低限、こういうものが必要ですよということを示していただくと、また勉強する人は勉強するかなと。
 あとは、退職した先生とかが取りあえずみたいな形だったり、臨床経験、全くないけれども、取りあえず雇ってもらったからみたいな形もあるので、それについても最低限、これは勉強しましょうというのを示していただいたほうがいいのではないかなと。
○大山参考人 それは今後の連携、課題になろうかと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに。
 東構成員、お願いします。
○東構成員 ありがとうございます。全老健の東でございます。
 まず、私は平成元年から有床診療所の併設で老健施設をやっていたものですから、先程来、有床診療所の話がたくさん出ましたので、ちょっと御紹介したいと思います。私は25年間有床診療所を運営してきたのですが、1つは経営が大変厳しいこと、それから看護師不足のために、3年前に有床診療所をやめて無床診療所になりました。それが昨今の有床診療所の現状かなと考えております。しかし、前回のプレゼンで申し上げましたように、やめた理由の1つは、併設の老健施設で医療ショートができるようになったものですから、有床診療所に入院させて治療していたものを老健施設の医療ショートで治療できることになったのも大きい理由でございます。それを1つ御紹介しておきます。
 それから、大屋構成員からジェネラル、総合医のお話が出ました。これは非常に重要なテーマだと思いますが、実は私ども老健施設の管理医師も、ドクターの第2、第3の就職場所となっておるのが実情でございます。そうなりますと、老健施設の管理医師であっても耳鼻科の先生であったり、基礎の先生が来られることも中にはあります。ですから、私が会長になって2年後から、日本老年医学会と全国老人保健施設協会、それから国立長寿医療研究センターのバックアップを得まして、老人保健施設管理医師総合診療研修会というものを開始しております。そこでは、老健施設の管理医師になった先生方に、看取り、認知症、高齢者医療、老健施設で管理医師をするのに必要なテーマを、講義とグループワークも含めましてやっております(コロナ前は2日間かける2回、合計4日間で実施)。
 この老人保健施設管理医師総合診療研修会が始まりましてから、老健施設の管理医師のいわゆる医療のスキルというものが大変上がったように私は感じておりますし、必要だと思って、そういうことをやっておるということを御紹介したいと思います。
 私の質問は、新田先生への質問です。よろしくお願いいたします。新田先生がおっしゃったように、今後は在宅医療のニーズが増えますので、病院完結型から地域完結型の医療が必要だというご意見、私も同意見でございます。またそういうことをやる上で、生活・介護・医療の一体的取組が必要だということ、これも私も同意見でございます。また在宅医療をやる場合に、在宅介護というものが車の両輪みたいに必須だということを私は考えておりますが、新田先生の御意見をまずそこで伺いたい。
 それから、新田先生の資料の5ページにポンチ絵が出ております。そこに介護サービスと書いてございますが、そこの中で地域完結型医療における老健施設の役割を、新田先生はどのように考えておられるかを伺いたいと思います。それが2点目。
 それから、私自身は、在宅医療を担っているかかりつけ医と老健施設の管理医師とは、大変親和性が高いのではないかと考えております。先生は看多機との連携が非常に重要と言われましたけれども、残念ながら老健施設との連携はあまり言われておられなかったので、ぜひ老健施設との連携というのをどのようにお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○新田参考人 東先生、失礼しました。もちろん、地域医療構想、市町村構想の中に老健は必ず入っておりますので、我々、市で連携会議をするときには、老健、特養、皆さん入っています。一方で、ある場所は地域の例えば市町村構想に入らない老健があるのですね。これが課題です。特養もそうでございます。私は、ぜひその地域の市町村、先ほどお話ししました高齢者の基本構想と地域医療構想を一体にすべきだと言ったのは、その中に老健も特養も、場合によっては有床診療所も全部入れることが重要です。
 ただし、市民の側から見て、何が違うのという話になります。例えば、看多機も先ほど質問がありましたけれども、訪問看護ステーションが経営している看多機と、我々医療機関が経営している看多機は明らかに質が違います。その意味で、東先生が老健でも医療ができる。これはとてもいいことでございます。無駄な入院を減らす。医療に併設した看多機もそうです。我々、入院ゼロになりました。在宅からの病院の入院がゼロになった。そういう意味で、重症化等も含めて全てできる。しかしながら、医療の質がその地域にないことによりちょっと違うのだろうなと思います。そこは地域のお互いが本当に顔の見える水平、垂直、多職種連携であれば、そういうことができるだろうから、いわゆる数で見るのではなくて、これから私たちは質で見ていくことが重要かなと思っています。
 質問に答えたでしょうか。ありがとうございます。
○東構成員 ありがとうございます。先生からしっかり言葉に出して言っていただけるように、老健施設の医療機能がますます高度になるように頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 池端参考人と吉川構成員にお尋ねしたいのですけれども、池端参考人から病床単位で病床機能を決めた形態をつくられるということですけれども、通常、病院の機能を考えていくと、まず、病院全体の機能があって、病棟の機能があって、病床の機能があってということで、奈良県でも地域医療構想会議をしていく際に、まず病院全体が主な方針は何をするのですかということを決めるのでさえ、かなりエネルギーを使っている。すると、病床単位になっていくためには、当然、病院単位、病棟単位が決まっていなければ、それが考えにくいということで、どんなふうにそれを整理されて、病院単位、病棟単位、病床単位の中で決めるということをされたのかというのが質問でございます。
 吉川構成員ですけれども、今まで需要のことは結構問題になっているのですけれども、供給の側が本当にそんなに供給できるのでしょうか、お考えをお尋ねできればと思います。現時点で新規で看護師免許を取られる方は多分6万人ぐらいおられると思うのですけれども、今の18歳ぐらいの女性の数で言うと1割強になっていると思うのですね。40年の未来を考えると、その頃には多分15%ぐらいがなることになっていて、そういう未来が今の定員や供給体制を考えると数字上は起こってくるのですけれども、本当にそういうことが現実に達成し得るものなのか、それとも早くに制限がかかって、供給そのものにセーブがかかるのだろうかということ、もしお考えがあれば教えていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 では、池端参考人、お願いいたします。
○池端参考人 御質問ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、まず、なぜ病床単位でやってみようかといったのは、福井県は病院も小規模が多いのですね。1病棟、2病棟、3病棟というところが多くて、1病棟の中でも、例えば地域包括ケア病床が数床あって、全体は療養病床とか、全体は一般とかあって、そこが全部、今までは一般病床と届けたり、療養病床で慢性期と届けたりしていたのですけれども、うちは8割が慢性期であっても、一般病床が15床あるから一般で届けたいということで届けていた。
 実態と合わないということがあって、実態で思うようにやってください。それでデータを取ってもよろしいですかということを厚労省に確認したところ、結構ですということであったので、それで管理者が自分の病床を何床ということを、医療法上とか診療報酬上ということを抜きにして届けていただいて、その結果が積み上がったら総数としてはあまり変わらなかったということです。
 今度、お宅の15床の一般病床は本当に必要ですかというヒアリングを行ったところ、実際に平均在院日数は長いし、医療資源投入量も少ないですね。全体で回復期に持っていったらどうでしょうかというヒアリングを個別に行い、補助金もあるよとお伝えする。では、そうしますということでどんどん落とし込んでいって、それが今、だんだん減ってきている。特に一般病床と言われている急性期が減ってきているので、そういう流れができた。最初、そういうことを各医療機関から言っていたことに対して、逆に県が丁寧に答えて、1回、それでやってみましょうということをやったことで、本気で自分たちの機能を考えるようになって、最終的にそれが機能分化をしていくことになったということが本当のところということでよろしかったでしょうか。
○今村構成員 基本的に各病院が自分は急性期中心ですというのが認識としてまずあって、その上で、それが議論としてなっているという理解でよろしいですか。
○池端参考人 そうです。急性期、本当にそうですかと中身を見ると、いろいろな数字から見ると、急性期とは言えないねというところがあって、そこをどう自覚していただくかということからスタートして、まず、思うように小分けしていいですから、4つの機能の中でどれかを出してくださいということからスタートしたということです。
○今村構成員 分かりました。
○遠藤座長 吉川構成員。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 今後、生産年齢人口が減っていく中で、供給が続くのかという観点での御質問かと思います。今は確かに毎年6万人程度が卒業していますが、そもそも学校の定員が満たない状況も出てきていますので、新卒に頼ることは厳しいと思います。とはいえ、潜在ナースもかなり多く、潜在にさせないようにしていかなければいけないことと、潜在ナースをいかに把握するかということが重要です。今、国の届出制度を変え、ナースセンター機能も変えておりますので、そういったところで対応しながら、潜在ナースを活用することが重要と考えます。
 また、今、検討がされている地域医療構想がどのような形になっていくかによっても、結構影響が出てくると考えています。
○今村構成員 ありがとうございます。分かりました。
○遠藤座長 それでは、初めての方を優先させていただければ。高橋構成員、先に手を挙げておられましたね。高橋構成員、どうぞ。
○高橋構成員 私のほうは、大山参考人と猿木参考人に伺いたいと思います。
 大山参考人に関しましては、非常にシンプルな質問で、私はずっといろいろな施設の稼働率というのを追っていて、病院も介護系も利用者がなかなか戻ってこないという状況があるのは分かっているのですけれども、理由を考えるのに一番理解に苦しんでいるのが、特養の利用率が何で戻ってこないのか。ずっと続いていた何百人レベルのウエイティングリストがなくなって、埋まっていないところが非常に増えてきている。高齢者は増えているのに、なぜ稼働率が上がらないのかという理屈を考えるときに、私としては特養に戻ってこないというのが一番不可解なところなのですけれども、老施協としてどういうふうな解釈をされているかというのが1つ目の質問になります。
○遠藤座長 それでは、大山参考人、お願いいたします。
○大山参考人 御質問ありがとうございます。
 近年、要介護3以上という入所基準がございますので、非常に重度化している方たちがまずは特養入所してきている。そうすると、在所期間年数も大変短くなっているのですね。昔でしたら10年ぐらいいたのが半分以下、3年ぐらいが平均値になっている。ほとんどが病歴を持っていますので、すぐに病院入院になってくる。戻れる確率も、重度化していますのでなかなか難しい。そういうことで空きが出てきてしまう。
 入所者も少なくなっているのはなぜかといいますと、種別でいろいろ多様な利用できる施設が増えてきた。本来でしたら、重度化していて在宅で暮らしにくい方たちは特養という選択肢があったのですが、今はサービス付き高齢者住宅など、住宅のいろいろな種別が増えてきたために選択肢が増えてしまっている。ただし、一番重度化している方たちが、終の棲家として看取りケアもできているとなると、特別養護老人ホームが一番だと思っておるのですが、選択する側がどういう施設を選択するか、幅が広がってきたということで、そういう待機者というのでしょうか、少なくなっているという現実があります。
 それに関して、私たち特養というのはどうあるべきかということも含めて、国民にどう理解していただけるか。種別は非常にいろいろあるのですが、先ほどもお話に出ました、国民は特養と他の施設種別とどれがどうだか違いが分からない。どこでも入れるところに入りたいというのが実情と思いますので、そういう意味でのコマーシャルをしっかりと私たちもしていかざるを得ない。
 あと、医療構想の中で、先ほど先生の御質問にありましたが、嘱託医の先生方がどの辺までそこの施設に関わることが重要か。ACPも含めたトータルの人生ケアの中でどうあるべきかというものを御一緒に共有しながら、いかに施設での暮らしが維持できるかというところも私たちの今後のテーマになってくると思っております。
 以上でございますが、よろしいでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 高橋構成員。
○高橋構成員 もう一点、猿木先生に、有床診は二極化しているように見えまして、非常に専門性の高い有床診と、地域を守る、先ほど看多機的な働きをしているところがありましたけれども、そこの切り分けといいますか、まず実態をどのぐらい把握されているのかということと。それから、目指すべき方向性が全然違うような気がするのですけれども、その辺の二極分化していることに関して、どういうふうにお考えでしょうか。
○猿木参考人 御質問ありがとうございます。
 まず、私は二極分化していないと思います。もともとお産を専門にしているところは確かに専門ですけれども、私も実は泌尿器で専門化しているように見えますけれども、末期の患者さん、ほかの患者さん。例えば、肺炎で入院して、そのまま家に帰れなくなった人もみとっていますので、有床診というのは専門性でやっている人も、そうじゃないときはちゃんと診ますよ。慢性期であっても、自分がかつて勉強した得意なものであれば、その専門性を生かした入院もやりますよ。そういう意味で、融通無碍だと思います。
 ただ、はっきり申し上げて、産科とか泌尿器科、整形外科とか、あるいは透析をやっているところとか、得意な専門のものを持っているところは、例えば手術代が高いですから生き残る可能性が高いです。先ほど申し上げましたように、内科系で手術代が入らないとか、処置代が入らないとか、そういうところはマスメリットがないと今後は生き残れない可能性が高いと思うのです。だから、有床診の単価をますます上げていただくか、あるいは病床数を拡大させていただいて、今の有床診の規制のままで、もっと緩やかに地域の中で生き残っていけるような方策をぜひ考えていただきたいと思います。
 お答えになったでしょうか。以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかにございますか。
 玉川構成員、お願いいたします。
○玉川構成員 失礼いたします。
 吉川構成員に2点ほど質問させていただければと思います。前提としての問題意識として、今村構成員がおっしゃったように、この20年間で出生数が4割ぐらい減ってきており、当然、これから看護の分野に進む方も減ってくることから、供給面での制約というのが大きくなることについて、都道府県側としても非常に危機意識を持っているところです。
 その中で、1つの解決策としまして、今回のスライド11の中で、地域の中核的医療機関において、ナースの育成や派遣の出向機能を持つことを1つの方策という御提案があります。それに関して、実際に実現していくためには、どのような制度・支援が必要かという点について、コメントをいただければと思います。
 もう1点に関しましては、先ほどの人材確保の1つのキーファクターとしての、ナースセンター機能についてです。これから人材確保の困難化、そして需要の変化ということが生じてまいります。2040年を視野に入れた中で、ナースセンターの今後の役割について、どのような認識をされているかということに関してお願いできればと思います。
 あと、先ほどの大屋構成員のコメントに関連して、我々地方においては、専門看護師の中でも在宅分野を育成したいというニーズがあると伺っております。専門でありつつも比較的広めの分野をカバーできる方という意味合いと認識しております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 今後、看護師の育成や派遣を中核的な医療機関で、地域全体で育てる実現に向けては、こういった機能を持つ病院に対し、診療報酬の中での役割、施設基準の中に入れることや、報酬をつけるといった形にできればよいと思います。何らかの制度で後押しをしていただくことが必要になると思います。
 それから、人材確保に向けたナースセンターの機能についてですが、ナースセンターはそもそも看護師の無料職業紹介をしており、今まではどちらかというと来る人に対して対応する形でした。しかし、もっと強化する必要があり、自分たちから出ていき、どこにどれぐらいの移動の予定があるのかというところもしっかりと把握する。さらにハローワークなどともしっかりと連携して一緒にやっていく等、ナースセンターの役割をさらに強くしていくよう、現在進めています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大体予定した時間に近づいてまいりましたけれども、最後、1人ぐらいは可能かなと思います。
 では、香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 ありがとうございます。
 私、質問というよりは、ちょっと気がついたことを申し上げたいと思います。
 最初に、細かいことですが、新田先生がお示しになった5ページのところで、地域完結型の医療と介護提供体制の構築、厚労省の絵を引っ張っているのですけれども、これは新しいバージョンがあったと思います。かかりつけ医、在支診など中小病院の機能をきちんと位置づけて、この真ん中にもう一個、丸をつけた絵がたしかあるのです。そちらのほうが先生の御説明に合っていると思うので、これは後でどこかで資料を補足していただければと思います。
 それと、池端先生がおっしゃったお話、それから猿木先生がおっしゃったお話、共通している話がちょっとあるのではないかと思っています。今まで病床の機能分化ということをずっと考えてきて、一般病床と療養病床とか、病院の機能、入院を起点に物を考えて機能分化する、となっていたのですけれども、恐らくこれから考えなければいけないのは、病院だけではなく地域のことも考える。ということになると、地域医療全体の中で病院病床というのはどういう機能・役割が求められているのかということを考えることになる。恐らく機能分化とは別に、それをどうやって連携させていって、必要なサービスを地域でつくっていくかということになる。そうなると、連携の形というのが多分問題になる。
 そうすると、池端先生が47ページでお示しになっているように、それぞれの病院が病床単位あるいは病棟単位でこういう機能を持っていて、それを必要に応じて組み合わせて持つという、さっきの今村先生のお話のように、下から積み上げていって病院の機能をつくっていく。多分、そういう発想になるのではないかと思います。
 そう考えると、有床診もそうですし、地域の地域密着型の中小病院もそうですが、そういうところがニーズに合わせて、多機能な、昔で言うケアミックスのような機能をフレキシブルに持つことができるような病棟の形、病床の形を考えて、地域医療構想の中でどう形作っていくか。多分、そういう話になってくると。
 もともと有床診というのは、日本の病院の発展経過の中で歴史的に生まれてきたものです。たしか最初の医療法の定義では、病院とは病床を持っている診療所と書いてあったと思うので、それをどこかで線を切って、大きい病院と診療所に無理に分けたときに、クリニック・ウイズ・ベッドというよく分からない定義ができたということだったのではないでしょうか。昔は48時間とか、そういう規制がかかっていた。今考えると、もともとそういう連続的にできてきたものの中での位置づけということなので、有床診固有の問題というよりは、今、言ったような地域における病床機能をどういうふうに提供するかという中で考えるということでいいのではないか。
 看多機も恐らく同じで、もともと看多機というのは小規模多機能の看護強化版ということですから、地域の中でワンストップで介護サービスを一元的に、最期のターミナルまで診るという拠点をつくっていくということの中で、患者像が変わっていく中で看護機能を強化するということで生まれてきたものです。そう考えると、基本的には同じコンテクストの中でその機能・役割を考えることになるのではないかと思います。
 最後、実はちょっと質問しようと思ったのですけれども、大屋先生の御質問があったのでここでは繰り返しませんが、特養の医療機能、これはもう30年前から配置医のままなのですけれども、これでいいのかということを考えたほうがよくて、前回申し上げましたけれども、今、いろいろな居住系の施設ができて、介護サービスについてはパッケージ型で内包させるにしても外付けにするにしても、それなりに整理されているわけですけれども、医療をどういうふうに提供するかということについてはあまり整理されていないわけですね。
 先ほどの老施協会長のお話でも、配置医は日常的な健康管理をするということで置いてあるということで、容体急変とかターミナルについては基本的に想定していない形になっているので、これはそもそも制度論も含めて考えるべき話で、老健局が考えるのか地域医療構想の中で考えるのか、前者で考える話じゃないかという気もするのですが、いずれにしても特養・居住系サービス全体でどういう整理をすればいいのかを考える必要があるのではないでしょうか。
 全体的な感想ですが、前回と今回とで地域医療構想を考える上での論点が随分整理されたのではないかと思っていて、非常に有意義なヒアリングだったのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。最後に見事にまとめていただきまして、ありがとうございます。
 ちょうど時間でございますので、これぐらいにさせていただければと思います。本日も積極的な御議論いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきました御意見を深めまして、今後の検討を進めていきたいと考えますが、事務局から何かありますか。
○淺野課長補佐 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会、これまでにさせていただきます。長時間、どうもありがとうございました。
 

(了)
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