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2024年5月22日 第3回新たな地域医療構想等に関する検討会
医政局
○日時
令和6年5月22日(水) 13:00~15:00
○場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8階会議室
東京都千代田区内幸町2-2-3
○議事
○淺野課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第3回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
本日は、猪口構成員、今村構成員から御欠席、松田構成員から少々遅れる旨、吉川構成員から30分程度遅れる旨の御連絡をいただいております。
参考人といたしまして、公益社団法人日本歯科医師会、瀬古口精良専務理事、公益社団法人日本薬剤師会、荻野構一常務理事、東京都保健医療局、岩井志奈医療政策担当部長の計3名の方々をお呼びしております。
また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の八矢準公営企業室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官に御出席をいただいております。
続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1から8、参考資料を配付いたしましたので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
なお、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○淺野課長補佐 それでは、以降の進行は、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、まず議事に入る前に代理出席につきましてお諮りをしたいと思います。
本日の会議につきましては、公益社団法人全日本病院協会の猪口構成員の代理としまして、常任理事の大田泰正参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議題は「関係団体・有識者ヒアリング(第2回)」でございます。
構成員・参考人の計7名の方々から発表を行っていただくこととなっております。
それでは、事務局、ヒアリングの進め方について説明をお願いします。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
資料1を1枚めくっていただいて、本日の関係団体・有識者ヒアリングの進め方です。一番上の四角に書いていますが、まず、各発表者から資料に沿って10分程度御説明をいただき、全ての発表者の説明終了後に質疑応答を行いたいと考えています。
米印で書いていますが、事務局でスクリーンに資料の画面共有をいたします。各発表者におかれましては、お渡しするポインターでスライド送りの操作をしていただきながら発表いただきますようお願いいたします。
発表の順番につきましては、左側に書いてありますとおり、伊藤構成員、瀬古口参考人、荻野参考人、河本構成員、玉川構成員、岩井参考人、高橋構成員の順で御発表をお願いいたします。最後にまとめて質疑応答ということでお願いいたします。
説明は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ヒアリングに入りたいと思いますけれども、多くの方からの意見をいただくわけでございますので、議事運営に御協力いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、伊藤構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○伊藤構成員 日本医療法人協会の伊藤でございます。本日は、民間病院の立場で、新たな地域医療構想に関する検討会に対して御提案を申し上げたいと思います。
まず、資料2の2ページに、4月17日に行われましたヒアリングで御発表いただいた御意見をまとめてございます。最初に、今後の85歳以上高齢者の増加につきましては、確実な未来であること。それから、現状投影の医療・介護体制では対応に無理があるということ。2060年からのバックキャストで体制構築の協議を進める必要があること。その体制の基本は在宅であり、強靱な医療・介護連携の構築が重要であること。構想区域は弾力的に考えること。地域医療構想を協議するためのデータ基盤は整備されているが、残念なことに十分利用されていないこと。これを活用して地域医療構想のさらなる推進を図ること。これまでの病床機能をベースとした協議から、病院機能を中心とした協議としたほうが、国民にとっても、医療・介護現場にとっても理解を得やすいこと。人材確保の困難から医療DX等の新技術の導入が不可避なことが示されております。
これらの御意見に対しまして、全く異論はございませんし、賛同するものでございます。今回、これらの御意見をベースとして新たな地域医療構想を進めていくために、各論として検討すべき具体的項目について提案をしたいと思っております。提案の概要は3ページに箇条書きしてございます。これに沿って説明を申し上げます。
3ページ、最初の項目になります。まず、4ページから6ページのところで、地域医療構想の原点について考察した資料を載せてございます。2026年以降の新たな地域医療構想においても、これまでと同様に、良質で効率的な地域医療・介護の仕組みをつくり、社会保障のサステナビリティを確保することを目的としているものであります。2060年を目標としました新たな地域医療構想におきましても、在宅を中心とした医療体制を構築する中で、必要となる病院、病床は確実に減少してまいります。地域医療構想は病床削減を目的としておりませんけれども、バックキャストにより推計され、確実に減少していく病床と、より多く求められる在宅、介護連携の関係構築を時間軸に合わせて、過不足ない形で整理することに重要な役割があることを認識しなければならないわけであります。
病院に限って申し上げれば、適切な機能を有する適正数の病床確保を目指して、暫時病床削減をしながら、地域最適医療体制を構築するために、民間病院と公立・公的病院の特性を徹底的に検証し、有効活用することで、現実的な新構想を展開することが可能になります。
民間病院は、既に在宅医療を含めた地域包括ケアの下で中核的な役割を果たしている病院が数多く存在してございます。これらは民間病院のフレキシビリティーに支えられたものでございます。今回は7ページから11ページに救急対応件数、あるいは都市部において民間病院が果たしている役割について、さらに、12ページから13ページにコロナ対応の民間の実績を示してございます。今回は提示できませんでしたが、在宅医療や医療・介護連携の分野においても、既に中核的な役割を果たしていることは周知されておるところでございます。これら民間病院の特性を有効利用することが、地域医療構想を加速させる重要な要因になると考えておるところでございます。
14ページに示しましたが、そもそも地域医療構想の検討開始当初から、平成23年3月の新公立病院改革ガイドラインによりまして、公立・公的病院の役割が明確にされた上で、再編等を推進することが前提とされておりました。もちろん公立病院でなければ果たせない医療機能があり、これを堅持することの重要性は理解しておりますが、2060年に向けた地域医療の効率性と持続性を考えますと、運営補助の在り方も含めて、民間と公立の特徴を生かした再構築が重要なポイントになります。
一方で、新たな課題として浮上してまいりましたのは、基準病床数と必要病床数の差異でございます。現在、都道府県において、第8次医療計画に向けた対応が進められておりますけれども、一部自治体で新基準病床数が大幅に増加し、ほぼ全圏域で病床不足となってしまうような事態が生じ、大きな混乱を招いているところがございます。これまで当該地区では、激しいせめぎ合いの中で公立・公的病院の再編統合が実行されて、ようやく病床が適正数になったにもかかわらず、今後も増床可能な事態を行政が生み出すことの矛盾は解消されなければなりません。
3ページ、2つ目の丸のところでございます。同様に都市部では、現状投影モデルを踏襲して、さらなる病床規模の拡大や、病床機能の急性期化を求める医療機関もあることから、これら地区協議会に、地域診断の活用を促し、協議を活性化させたり、これまで国が推計して公表しているところの18ページから21ページに示してございます未来予想図、これをさらに詳細な地域の未来定量推計データとして示すことで協議を適正な方向に修正できる可能性はないのか考えてみる必要がございます。また、構想区域においてこのような問題事例が発生した場合に、これを仲裁するための国の機能を新たに創設することを提案いたします。
次に、地域医療構想における特定機能病院の扱い方でございます。都市部の大学病院と附属病院は、1つの構想区域だけで考えますと大変大きなゆがみを生じることになるために、全県あるいは複数の広域医療圏をベースとして、別枠協議とすべきだと考えております。また同時に、首長の意向というのが地域医療構想の障害になる可能性が当初から指摘されておったわけでありますけれども、この問題に対して具体的な対応策が出ておりません。今後の構想を推進し、医療圏の組替えを進めるに当たって非常に重要な課題となる可能性もあり、国として対応の方針を示していくべきだと考えます。
3ページの3つ目の丸でございます。17ページは、ワーキンググループの資料として示された再編対象医療機関の対応方針の検討の進捗状況の報告でございます。今後の新たな地域医療構想を進めるに当たり、再編の進捗を確認することも非常に重要でございますが、大事なのは、再編実行後はどうなったのか、改革後の地域の医療体制を検証して、当初目指した良質で効率的な体制が継続的に維持できるかどうか、これを確認することはさらに重要なことと考えます。この検証の仕組みを活用して、例えば、巨大公的病院統合などの不適切な事例の結果の公表を行って、再編構想の再考を求めることを可能にしなければなりません。
新たな地域医療構想において再編が形骸化しないためにも、構想推進のために行われた対策の影響、効果について経時的に検証が行われ、効果を公表する、そういう仕組みの構築が急がれるわけであります。これまで好事例として示された地域だとか、国が重点支援地域に指定している地域も同様に、果たして地域における医療の品質、効率性が向上して、サステナビリティが維持されているのかどうかということを経時的に検証することが重要であります。
2060年を目指す改革が近視眼的な変容だけで終わってしまわないために、評価システムの構築が最も急がれます。これが整備されなければ、新たな地域医療構想は単なる病床合わせに終わることになりかねません。
最後に、医療のDX化に関する提言でございます。未来の圧倒的な人材不足に対応するための医療DX、これは絶対必要な要件であることは間違いございません。しかし、過去に医療IT化の推進目的で導入されました電子カルテ、22ページから23ページにデータを示しておりますが、これは病院経営にとって大変大きな負荷、負担となっており、医療情報のIT化が、逆に医療費上昇の一因になりかねないところを懸念するわけであります。このたびの医療DX化に伴うシステムに係る負担が電子カルテの二の舞にならないように、適正なコストコントロールを可能とする仕組みが必要であることを提言いたします。
私の提言は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、瀬古口参考人、日本歯科医師会から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○瀬古口参考人 日本歯科医師会の瀬古口でございます。本日は、歯科の立場から御説明をさせていただきます。
次をお願いします。
まず、歯科医療提供体制のイメージでございます。厚労省の歯科医療提供体制等に関する検討会の中間の取りまとめでございまして、人口構成の変化、医療・介護等における歯科保健医療ニーズの多様化を踏まえまして、様々な地域インフラと連携して地域の状況に応じた歯科医療提供体制の構築が求められるものでございます。
次をお願いします。
次に、日本の人口の推移でございます。皆さんも当然これはもう御存じのことでございますが、人口は減少局面を迎えるとともに、高齢化率が高くなっているということでございます。また、15歳から65歳のいわゆる生産年齢人口については、2022年現在の7,420万人、59.6%が、2040年に5,978万人、53.9%と大幅に減少いたします。2065年になりますと4,529万人、51.4%まで減少することが予想されております。
次をお願いします。
一方、歯科医療機関数の推移でございます。平成2年の5万2,216から増加をし続けていまして、平成28年には6万8,940ということでピークとなっておりましたけれども、その後、令和4年には6万7,755ということで減少化が起こってきているところでございます。
次をお願いいたします。
次に、都道府県別の歯科医療機関数でございます。歯科医療機関数は都道府県によりかなり差があります。平成14年から令和4年までの20年間で歯科医療機関数が減少したのは17道府県になります。真ん中のブルーのところに書かれております、この道府県が減少しておるところでございます。
次をお願いいたします。
そして、歯科大学、歯学部は全国で29ございますが、歯科大学、歯学部が設置されている19都道府県の歯科医療機関数を見ますと、令和4年では、全国6万7,764のうち4万7,350と全体の69.9%となっております。このように、歯科医療機関の多くは歯科大学、歯学部が設置されている都道府県に設置されている傾向ということが分かると思います。
次をお願いいたします。
続きまして、無歯科医地区の推移でございます。昭和59年の1,935地区から令和元年の777地区まで減少傾向にありましたが、令和4年には784地区に増えて、人口も令和元年の17万8,463人から18万8,647人に増えているところでございます。
参考までに、無医地区は、減少傾向が続いており、令和4年では557地区、人口は12万2,206人となっております。
次をお願いいたします。
次に、主たる業務の歯科医師数の推移でございます。病院従事者は、平成12年から令和4年までほぼ変化がございません。病院歯科等の定員にも変化がないものと考えられます。診療所の開設者は平成22年の6万100人をピークに減少傾向となりまして、令和4年には5万6,767人となっております。一方、診療所の勤務者は平成12年の2万18人から増加傾向にあり、令和4年には3万3,490人に増えております。これは、歯科診療所を開業するよりも診療所への勤務を希望する者が増加していること、また、歯科診療所の規模が個人の小規模経営から法人化した経営にシフトしていることが考えられるものでございます。
次をお願いいたします。
ここからは在宅歯科医療についてお示しいたします。まず、在宅医療サービスを実施している歯科医療機関の割合でございます。若干は増えているのですが、ずっとこの2割強にとどまっているのが現状でございます。
次をお願いいたします。
次に、在宅歯科医療に関する現状と課題でございます。下段の在宅歯科医療の課題に示されておりますとおり、医科歯科連携の推進、歯科医療と介護との連携の推進及び歯科医療機関間、歯科診療所間や病院歯科と歯科診療所における連携の強化が課題であるということ。
また、入院により歯科治療や口腔管理が中断し、その間に口腔内の状況の悪化、口腔機能の低下が進行することが多く、退院後に痛くて食べられない等の訴えが出て初めて、家族やかかりつけ医からかかりつけ歯科医に連絡が入り、治療を再開するケースが多いということでございます。継続性が現状ないということでございます。
また、要支援・要介護高齢者の口腔内の状況は良好とは言えないことが多く、潜在的な歯科医療、口腔ケア等のニーズがあるとは考えられますが、患者からの訴えがない場合はそのニーズを把握することが難しいということで、介護支援専門員等を含めた要支援・要介護高齢者に関わる多職種との連携が必要となっております。
こうしたことを踏まえまして、令和6年度の診療報酬・介護報酬改定において鋭意議論されたところでございます。医療・介護の連携が進むことを期待しておるところでございます。
次をお願いいたします。
ここからは事例でございます。まず、青森県の十和田市立中央病院と上十三歯科医師会の地域連携「十和田モデル」でございます。歯科の標榜のない十和田市立中央病院からの依頼に基づき、在宅歯科医療等を行っているものでございます。入院時から様々な既往を有する患者さんを認知することで、退院後も施設や在宅でスムーズな加療が行えているということのモデルでございます。
次をお願いいたします。
続きまして、千葉県の東京湾岸リハビリテーション病院と習志野市歯科医師会の連携の事例でございます。入院時から訪問歯科診療を行い、退院時カンファレンスを経て、退院後も訪問歯科診療が継続されているというものでございます。
次をお願いいたします。
続きまして、福岡県の浮羽歯科医師会の取組でございます。医師会や病院、障害者施設、介護施設、認知症カフェと連携し、協力歯科医院で訪問診療等のマッチングが行われているものでございます。
次をお願いいたします。
最後に、新たな地域医療構想に向けた課題と期待することを示したいと思います。
まず課題ですが、これまで説明してきましたとおり、歯科医療機関の地域偏在と減少、無歯科医地区の増加。また、歯科医師の就業先の変化、勤務医の増加ということでございます。また、訪問歯科診療を行っている歯科医療機関は約2割にとどまっている。過疎地、中山間地域を含めて、在宅歯科医療の提供が困難である。また、障がい児、障がい者や医療的ケア児、医療的ケア者、有病者、要介護者への口腔健康管理の提供体制の未整備。また、各地域における医科歯科連携、多職種連携の整備。就業する歯科衛生士・歯科技工士の不足が挙げられます。
次をお願いします。
こうした課題を受けて期待するところでございますが、まず、人口の減少や構造を踏まえた歯科医療提供体制の確保・整備、誰一人取り残さない歯科医療・在宅歯科医療の展開といたしましては、医療インフラが整備をされていない地域、特に無歯科医地区や過疎地、中山間地域を含む都市部以外、歯科医療機関の減少地域における人材を含めた歯科医療機能の維持・確保、歯科医療提供体制の整備。また、地域の歯科診療所では困難な障がい児や障がい者、医療的ケア児や医療的ケア者、有病者、要介護者への口腔健康管理に資する環境整備が挙げられます。
そして、医科歯科連携、多職種連携の更なる推進に向けて、医科病院における歯科機能の拡大や歯科診療所との連携、後方支援体制の構築に基づく歯科医療提供体制の確保。それから、入院時から在宅・施設等に至るまでの地域の歯科診療所と医科病院、医科病院内における医科歯科連携の構築。また、ICTを利活用した多職種との連携の更なる強化、これが構築されることを切望しております。
以上、雑駁ではございますけれども、日本歯科医師会の説明とさせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本薬剤師会、荻野参考人から御説明をお願いいたします。
○荻野参考人 本日はこのような機会を頂戴して誠にありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
本日、新たな地域医療構想に向けて、薬剤師の視点からお話をさせていただきたいと思います。本日のヒアリングにつきまして、事前にお示しいただいた標記のテーマに沿って御説明をさせていただきたいと思います。
まず初めに、薬局について申し上げますと、薬局は単に薬剤あるいはOTC医薬品の供給を担うだけでなく、医療法において医療提供施設に位置づけられております。したがって、薬剤師・薬局は、健康増進、医療、介護、全てのステージにおいて、医師、医療関係職種との多職種・地域連携の下、患者、利用者ごとに個別最適化した薬剤師サービスとして、具体的には地域包括ケアにおけるチーム医療への貢献、医薬品適正使用のための各種方策、国民自らによる疾病予防や、その促進に資する健康相談などを提供する役割を担っておりまして、地域において、医療の質の向上に貢献しなくてはなりません。今回の第8次医療計画の指針においても、さらに増大していくだけでなく、多様化する在宅・介護ニーズに対応する観点から、麻薬調剤、無菌製剤処理、休日・夜間対応、小児在宅等の薬局機能が指標例として盛り込まれており、薬局の機能の充実や体制整備を図っていくことが、地域の「医療」提供体制に必要であると考えております。
そのようなことも背景として、地域でいかに途切れなく必要とされる方に薬剤等を提供するか、つまり、「医薬品」提供体制の確保については、地域における医療の質の担保のために、まさに薬剤師に与えられた責務であるとして、その体制構築に日本薬剤師会として取り組んでいるところであります。
一方、後述いたしますけれども、薬剤師については地域偏在、業態偏在という問題も存在しております。病院薬剤師、薬局薬剤師の役割は異なるところもあるものの、薬剤師という人の観点では、都道府県において、職域・地域の偏在について、薬剤師確保計画が策定されたところです。特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題であるところ、薬剤師確保に関する取組と併せて、都道府県において地域ニーズに応える薬局機能を有する薬局や、地域における薬局の開設の状況把握、分析を行うことが、2040年を見据えた持続的な医薬品提供体制の構築を図る上では必須と考えております。また、今の医療計画では、「医薬品」の提供体制の視点が明確でないところがございますので、医療提供体制を考える上では、医薬品のことも併せて検討することを位置づける必要があります。
在宅医療についてでございますけれども、医療・介護の複合ニーズが特に生じる現場であり、医療と介護の垣根なく対応しているところですが、今後さらに多職種連携を推進する必要があると考えております。すなわち、在宅医療における薬局が果たす役割として、退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りの全てのフェーズにおいて、こちらにお示ししているように、医療提供施設として、在宅医療において求められる機能に関わっております。
他職種との連携についてもう少し申し上げますと、医師、看護師、ケアマネジャー等の様々な職種への情報提供を実施しており、医師には、患者の服薬状況に基づく処方提案や、服薬が困難な場合の対応策の提案が多く実施されております。また、多職種連携等におきましては、医療DXの観点からICTの活用を進めており、日本薬剤師会においては、ICTを活用した薬剤師業務の資質向上等を目的とした研修プログラムを作成し、薬剤師の資質向上に努めているところでございます。
地域医療を支える上では、在宅に限らず、外来患者に対しても当然、休日・夜間への対応が必要と考えております。日本薬剤師会では、輪番制を含めた外来患者に対する休日・夜間の医薬品提供体制の構築、また、在宅患者に対しましては、在宅対応の可否や、在宅に係る薬局機能の有無等の見える化に取り組んでいるところです。なお、現在、地域における医薬品提供体制に関しては、とりわけ外来患者に対する休日・夜間対応、在宅患者に対する休日・夜間対応、それから、離島・僻地など医療資源の乏しい地域における医薬品提供体制が課題とされておりまして、薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会でも、それぞれの要因に応じた対応策について議論されているところでございます。
さらに、在宅医療における薬剤師の資質向上の観点では、確保基金を活用した取組を進めております。こちらは一昨年度の会議資料となりますけれども、過去に実施したこのような事業も含めて、都道府県薬剤師会において、地域ごとの課題を踏まえ、必要な資質向上に取り組んでいるところであります。
次に、地域における医療の質の担保において特に重要な、薬局・薬剤師と医療機関の連携についてです。先ほども触れたところでありますけれども、医療・介護のニーズも高度化・多様化してくる中で、入院から在宅への移行等に関しては、病院・診療所の医師、薬剤師と薬局薬剤師の連携が、薬剤情報の一元管理による医療の質担保のために重要です。具体例として、参考資料の30ページに心不全患者に対する連携の取組をお示ししています。通常の薬物治療においてはもちろん、医療機関、薬局との連携を進めることで大きな効果をもたらす疾病分野は、そのほかにも多くあると考えております。こうした観点でも、地域における医療提供体制においては、薬局機能や薬局の開設状況等を踏まえた検討が必要であり、さらには、これらの連携に係る資質向上のためにも基金等を活用し、より一層の取組を強化していく必要があると考えています。
また、心不全についてでありますけれども、こうした観点から、日本薬剤師会としては学会と連携するなどして、地域において医療機関等と連携した患者フォローアップの在り方について検討していく予定でございます。
次に、病院薬剤師・薬局薬剤師の確保等について御説明をいたします。8ページです。先ほど申し上げた薬局薬剤師と医療機関の連携に加え、地域の医療提供体制における適切な薬物療法においては、冒頭にも述べましたとおり、医療従事者の確保として、薬剤師の確保が重要でございます。御承知のとおり、薬剤師については、職域・地域の偏在について、特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題として、地域医療介護総合確保基金を活用の上、地域の実情に応じた薬剤師確保策を講じることとされました。それを受けて、各都道府県では、第8次医療計画に薬剤師確保策を盛り込むなど、行政、病院薬剤師会、薬剤師会が協力して、積極的に取り組んでいるところでございます。
こちらの結果は、全国において、職能団体としても1年間、行政と必死に取り組んできたことを反映しており、また、結果として医療計画にこれだけ明記されたことも、それだけ世間の関心も高かったことの表れであると考えております。都道府県ごとの取組にばらつきがある可能性はありますけれども、今後、好事例や各県の取組を共有していくことで、地域の実情に応じた的確な確保策につながると考えておりますので、この流れ、取組に関しましては、引き続き、当会としても日本病院薬剤師会や行政と連携しながら全力で取り組んでまいりたいと存じます。
また、1年でこれだけ浸透したのは、それだけ喫緊の課題であり、それは行政・団体で協働して何とかせねばならない、そういった意識があったからこそであり、今度の新たな地域医療構想においても医療従事者の確保の観点を議論するのであれば、当然、薬剤師にも言及されるべきだと考えております。
最後に、ここまで御説明をいたしましたことの取りまとめになりますが、2040年頃を見据えた医療提供体制に必要なことについて申し上げます。医療法において医療提供施設に位置づけられた薬局は、地域医薬品提供体制の確保を通じて医療の質の担保と向上に貢献することが求められることから、外来医療において、医療提供体制モデルについては薬局を含めたものにすることが必要です。また、在宅医療においては、退院時支援、日常療養支援に加え、急変時や看取りへの対応も必要であり、薬局が医療・介護連携体制に積極的に参画し、多職種連携をさらに進めることで、地域におけるチーム医療を実現することが必要と考えます。そのためには、薬局の著しい数的・質的な地域偏在を解消するため、現状を的確に把握した上で方策を検討することが喫緊の課題だと認識をしております。
それに伴って、薬剤師の地域・職域の偏在についての対策、とりわけ病院薬剤師の確保は直ちに取り組まなければならない問題であり、また、地域における薬薬連携、多職種連携を確実に進めていくためにも、薬局薬剤師業務のDX対応にしっかりと取り組んでいくことが必要と考えます。
新たな地域医療構想に期待することとして申し上げますと、外来・在宅医療に関連する議論には、特に「医薬品」提供体制確保の観点からも薬剤師が構成メンバーになること。医療提供体制の中に、医薬品提供体制の確保についても位置づけること。病院薬剤師の不足と薬局の地域偏在については、国、地方自治体においてもその認識が共有されなければ成果が表れにくいということから、これらについては医療計画と連携をした行政計画等としていただくことも含めて、新たなテーマとしていただきたいこと。地域医療介護総合確保基金では、薬剤師確保、薬剤師の資質向上、在宅医療のほか、医薬品提供体制の確保など新たな地域医療構想の実現に向けて柔軟に活用できるようにすること。また、薬剤師・薬局の課題については、医政局と医薬局との密な連携、情報共有をお願いいたしたく存じます。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、河本構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○河本構成員 健保連の河本でございます。
私のほうから、事務局からいただいたお題に沿って、保険者の目線から、現行の地域医療構想に関する評価と課題、それから2040年頃を見据えた医療提供体制のイメージ、さらに新たな地域医療構想に期待すること、この順番で意見を申し上げさせていただきます。
次をお願いいたします。
まず、現行の地域医療構想に関する評価と課題というところでございますけれども、日本全体としての病床数、これは2015年の数字から、2025年の見込み、ほぼ計画どおり推移をしているということで、必要量に収れんしてきているのは、地域医療構想の成果だと考えております。医療資源投入量に着目して将来の医療需要を推計して、計画的に調整すると、この手法は妥当だなと考えているところでございます。
次をお願いいたします。
ただし、急性期がその必要量よりも多くて、回復期が必要量よりも少ないと、この状況は徐々に解消されつつございますけれども、病床機能報告の数字上は、依然として多くの構想区域で必要量との乖離が発生しているところがございます。
次をお願いいたします。
この必要量との差異が生じた要因について、その下にアンケート調査の結果がございますけれども、病床機能報告が病棟単位であることに起因しているとか、あるいは定量的な基準の導入で説明ができるといった部分が多い一方で、約6割の構想区域において、十分に説明できない差異があるということも事実でございまして、その意味では、さらなる要因の精査が必要だと考えているところでございます。
次をお願いいたします。
コロナ禍によって議論の停滞、これはやむを得ないと考えておりますけれども、ただ、やはりPDCAが十分に機能していない部分もある。その意味で、2025年度に向けた地域医療構想のさらなる推進の取組、これはしっかりと進めていただく必要があると考えております。今後2年間の取組は、新たな地域医療構想の発射台という観点でも、極めて重要だと考えるところでございます。
次をお願いいたします。
2040年頃を見据えた医療提供体制のイメージということでございますけれども、今後、医療の在り方を考える上で想定される要素として何項目か挙げてございます。人口構造の変化、それから、医療需要の変化、特に医療と介護の複合ニーズのさらなる高まりですとか高齢者救急の増加、看取りの増加、それから、外来の患者さんは多くの地域で既にピークアウトしているのに対して、在宅は多くの地域で患者数が今後も増加をしていく。入院も疾病構造が変化をしてくる、こういった変化。医療・介護人材の不足という変化もございますし、それから、医療DXの推進です。これは大きな変化として想定しておくべき要素ということだと思います。そういったDXの活用も含めた国民・患者の意識の変化ということもございます。それから、財政制約の深刻化。これは避けて通れない変化だと考えております。
次をお願いいたします。
2040年頃を見据えた医療提供体制のあくまでもイメージということでございますけれども、患者が必要なときに迅速に必要な医療を受けられるということが一番の肝だと考えております。しっかりと担保されなければいけないこと。そのために、さらなる医療機能の分化・強化、それから介護を含めた連携によって、過不足のない最適な医療・介護提供体制を構築することが必要になってくるということでございますけれども、ここではイメージとして、3段階になっておりますけれども、地域的な広がりのイメージを記載しております。1段階目が中学校区から市町村という範囲、それから、その外側に市町村から二次医療圏の広がり、そして、さらにその外側に二次医療圏から都道府県といった地域的な広がりということでいうと、3段階ぐらいが考えられるのではないか。もとより地域の実情に応じてこの区域というのは当然変わってくると思いますけれども、こういったイメージをしております。
次をお願いいたします。
それぞれの圏域の機能ということでございますけれども、もう少しイメージアップをいたしますと、1段階目は、言ってみれば顔の見える関係ということで、かかりつけ医や患者を中心に医療・介護を調整する。また、日常的な外来医療と在宅医療はこの範囲で充足をする。さらに、有床診療所等を活用した一時的な入院も想定されると思っております。
それから、2段階目は、まさかの時の支えと書いてございますけれども、緊急搬送を含めた一般的な入院医療を充足する圏域。紹介患者を中心とする専門外来を担当し、また、時間外診療や在宅医療の不足を補完するといった機能も入っているのかなと考えます。
そして、最後の砦として、基幹病院・拠点病院が濃密な医療を集中投入する。重度の救急搬送ですとか、あるいは難しい手術を集約していく、難病等の専門性が極めて高い特殊な外来に専念をする、こういう3層構造をイメージしているところでございます。
次をお願いいたします。
今申し上げたお話を、今度は外来、在宅、入院という切り口で見てみます。まず、外来に関してですけれども、患者数が減少する中で、臓器別・診療科別に特化した診療所が増え続けるという状況は、やはり非効率なのかなと思います。得意領域を持ちながらも、日常的な症状に幅広く対応するかかりつけ医機能の強化が重要だと考えます。
短期的には、連携による面での対応が現実的だと思いますけれども、長期的には診療所の集約化とか大規模化といったことも視野に入ってくるのではないかなと思います。時間外診療とか夜間往診、緊急入院の対応といったことを念頭に、中小病院、有床診療所の活用というのも選択肢だと思います。
在宅については、入院並みの重装備の在宅と、それから日常診療にとどまる軽装備の在宅でアプローチが少し違ってくるのではないかとも考えております。重装備型は、緊急往診、入院とか看取りが可能な中小病院や複数医師診療所が主に担当して、難病とか医療的ケア児等の在宅医療ニーズについても、こういったところが受け皿になる。一方、軽装備型というのは、外来のかかりつけ医が引き続き担当することによって、在宅の裾野を拡大していくということかなと思っております。なお、都市部を中心に在宅を専門に大規模展開する医療機関をどのように位置づけるのかということも課題だと考えます。
入院については、医療資源の投入量に見合った最適な病床・病棟の配置となるように、引き続き再編・統合を進めていくということだろうと思います。病床区分は基本的に現行の枠組みを踏襲しつつ、定量的な基準を活用していく。高度急性期から急性期については、更なる集約化・大規模化によって症例の集積を高める。急性期、回復期については、高齢者救急への対応を念頭に包括的な機能を発揮する。慢性期については、在宅医療や介護と役割分担をしつつ、医療ニーズの高い患者に重点化していく。こうしたことかなと考えております。
次をお願いいたします。
最後に、新たな地域医療構想に期待することでございます。冒頭に書いているように、患者さんにとって安全・安心な医療・介護が効果的・効率的に提供されると、これが一言で言えば期待ということでございますけれども、幾つかの切り口から見てまいりますと、まず、医療需要の適切な推計が必要です。外来医療や在宅医療の必要量についても、疾病構造、患者の状態を考慮して、医療資源投入量を踏まえて可能な限り詳細に推計をする。
それから、構想区域については柔軟な設定ということで、都市型モデルとか過疎地モデルのみならず、地域ごとに関係者が主体的に検討する。この医療計画の更新に併せて、同じ地域でも段階的にその区域のサイズを変化させるということも出てくるのかなと思います。
医療・介護資源の最適配置と連携ということでいいますと、選択・集中と強い連携によって、人材の能力を最大限発揮していただくということなのですが、やはり地域ごとに24時間365日救急患者を受け入れる、そういった二次救急医療機関を確保するということが大事だと思います。
また、医師偏在対策として、医師多数区域から医師少数区域への再配置を調整していく必要がある。過剰地域では、新規開業の妥当性を判断するためのいろいろな仕組みの導入ということも検討すべきだと思います。また、併せて、医師が病院勤務医としてキャリアを長く継続するための施策も必要だと思います。一方、不足地域では、医師個人の努力だけに頼らずに、継続的に持続可能性を確保する方策が必要だと思います。
それから、医療の質向上・効率化ですけれども、全国医療情報プラットフォームとかオンライン診療が恐らく定着してくる。さらに、プログラム医療機器、健康アプリが拡大していく。こういったことが医療機関のコスト抑制にも寄与するということを期待しております。
患者の希望による選択ということで言いますと、地域医療構想の内容と進捗を住民に分かりやすく情報提供するということは必須であると思います。それから、医療情報提供制度を継続的に改善していく。その際にアウトカムデータの公開も重要だと思います。
また、行政のガバナンスも重要だと思っておりまして、当初からPDCAサイクルを実装して、都道府県知事または国が確実に進捗管理をすべきで、人口流出等によって想定が大きく変化する場合は、当然、構想の見直しも検討すべきだということでございます。
それから、最後、私ども保険者が保険者機能を発揮するということですけれども、DX等によって可視化される医療・介護情報も活用しながら、また、医療関係者の方と協働しながら、これまで以上に患者中心の医療を推進していく。こういったことが地域医療構想に期待することでございます。
私からは以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、玉川構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○玉川構成員 よろしくお願いいたします。福島県保健福祉部の玉川と申します。私のほうからは、地域から見える地域医療構想の現状と課題、福島県にとどまらない観点で説明させていただきます。
まずスライド1、次のスライドです。
本日の報告事項、記載のとおり大きく4点ございます。また、参考資料としまして、都道府県の意見、先駆的自治体の資料、福島県の医療圏概観等を添付しております。後ほどお目通しいただければ幸いです。
次のスライドをお願いいたします。
福島県の状況です。人口は183万人で、面積は北海道、岩手に次ぐ第3位の広さ。広大な県土に6つの医療圏。1つの医療圏が小さな都府県単位となっているような状況にあります。
次のスライドをお願いいたします。
これまでの歩みです。取組に苦慮した県の1つであります。構想策定前の段階で県立病院が9から3に再編。調整難度が高い民間病院が中心の県となっています。新型コロナ対応も経て、令和4年度、厚生労働省の勉強会を契機に進め方を見直して、地域推計等を強化したところです。
次のスライドをお願いいたします。
進捗状況です。本県も急性期病床が多く、回復期病床が少ない状況でした。回復期へのシフトは、徐々にではありますが、段階的に進展をしているかと思います。一方、外形的には急性期となっておりますが、実際には包括期の病床が含まれていたり、急性期は上記よりも大きく縮小をしているという実感がございます。
次のスライドをお願いいたします。
コロナ禍での医療体制構築における実像となります。本県では、ほぼ全ての医療機関に役割を担っていただきました。重症、中等症Ⅱなど、実際的な医療機能に即した役割分担がなされたというのが実感です。役割分担などコロナ禍の経験を生かすこと、こういったことが改めて重要と考えております。
次のスライドをお願いいたします。
現在の地域医療構想における課題と対応、その全体像としてまとめてみました。現状と課題から、枠組み・推進体制、スキームの部分と、下のほうは役割分担・医療体制、コンテンツと言える部分、そちらの2つに分けて整理を試みました。今回の課題は青色で表示をしています。
次のスライドをお願いいたします。
スキーム、枠組み面の課題です。大きく6点ほど挙げています。まず1つは、構想への誤解・理解不足、2点目は2025年の早期陳腐化、3つ目、経営判断の困難性、4、会議デザインの不足、5、事務局体制の専門性・調整力の不足、6、2026年、空白年度への対応です。確保基金事業は多数の関係者に活用されているので、遅くとも来年の春までには取扱いの提示ということが不可欠であり、詳細については1から6に記載のとおりでございます。
次のスライドをお願いいたします。
コンテンツ面です。大きく5点挙げています。1、病床必要量と機能報告の制度的な不整合、これは皆さんからも御指摘があったところ。2、策定時と実際の機能のずれ、3、医療資源が乏しい地域への対応、既に病院から在宅へが成り立たない地域というものが存在しています。4、在宅や介護との連携に際する調整の困難性、5、医師確保・看護師不足への対応です。
次のスライドをお願いいたします。
先駆的自治体の取組からの示唆です。象徴的キーワードになりますが、対話と信頼、自ら決めるためのデータの可視化、グランドデザイン、様々なステークホルダーを意識した対応。
次のスライドをお願いします。
県医師会等と腹を割って話せる関係、自院の経営に資する情報、病床の整合性よりも地域完結型医療の理念や価値観との整合性、中でも合意形成のための必要要件、これは重要な視点です。そして、医師確保・養成との一体の議論の重要性などです。
参考資料に添付している資料は、厚生労働省が先進事例として広く共有しています。事例の紹介に留めず、共通する課題や知見の抽出を行い、制度的にビルトインを行っていくことが重要と思います。本県の報告では、その一端を試みたいと思っております。
次のスライドをお願いいたします。
次の地域医療構想に向けた課題と対応、その全体像が右側となります。
次のスライドをお願いいたします。
現状では、左側ですが、都道府県向け、そして「策定」のガイドラインとの位置づけに留まります。また、策定期間が1年程度のため、アウトプットの作成がメインとなりがちな設定です。
右側です。アップデートが必要な事項です。国民や医療、自治体関係者が同じ目線で力を合わせるためにも、オールジャパンとしての方向性、構想の全体像、講じる施策、推進のスタンス、それらの可視化や共有が不可欠です。策定期間の確保も非常に重要となります。
次のスライドになります。
会議のデザインのアップデート、主要ステークホルダーへの理解です。PDCAよりも、病院経営者の方にはOODAループの視点のほうが実際的かと思います。右側です。観察・把握、仮説の構築、決心・意思決定、決定事項の遂行、それぞれのフェーズで必要な情報、ステップというものがあります。診療報酬や施設基準も重要な要素であり、関係の方々が地域課題を踏まえた経営判断を行って遂行してもらうためにも、各フェーズでのサポートということが重要と思います。
次のスライドをお願いいたします。
地域協働による構想の推進です。地域医療構想は、建て付けは過去の行政計画のような形に見えますが、各地域のステークホルダーの行動変容を軸としており、違うレベルでの取組が必要となります。地域医療構想では、協働型のプランニングと推進の観点が不可欠です。協働による検討プロセスは、それ自体が実行の事前整理、準備行為になります。協働で進めるためには何が必要かが全てのキーポイントになると思います。
次のスライドをお願いいたします。
推進のための組織体制の確保、専門性の確保です。左側が現状です。事務局職員は、経営層に対して説明・調整、リーダーシップの発揮が期待されます。一方で、短期間での異動など、専門性の確保に難しさがあるのが実際です。対応事項も順次追加をされます。
右側になりますが、人的体制確保のためには、体制強化の地方に対する要請や地財措置、そしてもう一つ、専門支援体制の強化には、アカデミック・コンサルを組み合わせたトータルとしての伴走支援の体制、専門研修の強化、今の取組の更なるアップデートが重要と思っております。
次のスライドをお願いいたします。
コンテンツ面のアップデートです。1、目標と実績が対応する制度の設計、2、現実的な医療機能を踏まえた目標の設定、その柔軟化が挙げられます。3、複数シナリオの設定、医療機関集中地域と過疎地域では、医療の在り方というものが大きく異なってきます。そして右上、4、現実解を意識した在宅や介護との連携強化、介護側との連携には、医療体制側だけのアプローチでは対応が困難な面があります。進め方の難度が高いということが実際です。5、病院経営の持続可能性の観点です。人材確保の困難性など、経営環境の悪化により、地方では、今後、病院の持続可能性が大きな課題になります。医療機関は地域の限られた資源、必要な役割を適切に継続的に担うための伴走的な支援も必要になります。6、人材確保に関する制度設計のアップデートです。医師が絶対的に不足する地域への実効ある対策、そして、地域包括ケアを支える総合的診療に対応する医師の育成と確保。看護では、若年人口の大幅な減に伴う新卒看護師の減少対策、在宅分野等との人材の育成とマッチング、さらには支え手を確保するためのプラチナナースの拡大など、看護人材確保策も厳しい局面に入ります。
いずれも地方でも当然取り組みますが、国としても、地域医療構想の議論と連動した医師確保、看護師確保、再就業対策の検討、実効ある対策の展開をお願いいたします。
スライド17、結びとなります。国と都道府県等との協働関係のアップデートになります。国が地方に指示を下すという単純な構図ではなく、我が国全体で、国民、患者、医療従事者、医療団体、医療機関、自治体、国などが協働で向き合い、取り組む政策課題、これが地域医療構想と認識しています。
右側、石川県の示す地域医療構想推進の5つの要件。これは地域での推進だけではなく、地域医療構想全体のデザインづくりにも同じことが言えると思います。47都道府県、様々な経験・知見を有しております。今後の議論においては、コロナ対応で培った都道府県等との協働・対話のアップデートをお願いしたいと思います。
以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、岩井参考人、東京都保健医療局から御説明をお願いしたいと思います。
○岩井参考人 東京都保健医療局医療政策担当部長の岩井と申します。本日はこのような機会を頂戴し、ありがとうございます。東京都からは、地域医療構想の推進に関する取組状況や現場の声をお伝えし、今後の議論の材料としていただけたらと思います。
次のページをお願いします。
まず、東京都の地域特性について申し上げます。都は人口密度が高く、都心部の昼夜間人口比率は120%を超える状況です。医療機関の面では、高度医療を提供する病院が集積するほか、規模では200床未満の中小病院が約7割、また、民間病院が約9割を占めます。交通網は高度に発達し、高齢者人口は約311万人、高齢化率は22.8%、高齢者単独世帯が多い状況です。こうした地域特性に応じて、患者が広範に医療サービスを受療する動きが見られます。
次のページをお願いします。
将来の人口動向ですが、都の総人口は2030年の1,424万人をピークに減少し、2040年は1,398万人となる見込みです。一方、高齢者人口は2040年以降も増加し続け、2050年にはピークの398万人となり、高齢化率も最大の29.4%となる見込みです。さらに、医療ニーズが高いと考えられる80歳以上の人口は、2040年には121万人、2055年に最大の154万人に増える見込みです。こうした高齢化の動向に対応できる医療提供体制の構築が必要です。
次のページをお願いします。
現在の都の地域医療構想でございます。「東京の2025年の医療~グランドデザイン~」として、「誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる「東京」」を描き、その実現に向けた基本目標を掲げる東京都地域医療構想を2016年7月に策定しました。基本目標の達成に向け、医療介護サービスの連携のみならず、健康づくり、福祉などの施策とも連動して、様々な取組を進めております。
次のページをお願いします。
地域医療構想の構想区域としては、13の二次保健医療圏を構想区域に設定しております。下段の2025年の病床数の必要量は、構想策定時に国から示された計算式により、医療機能別に推計したものです。そのため、将来人口や入院受療率、病床稼働率など、様々な要因により影響を受けることに留意する必要があると認識しております。
次のページをお願いします。
地域医療構想を推進する会議体でございます。資料の左上、地域医療構想調整会議を設置し、各区域別に原則年2回開催しています。地域の医療の状況等に関する意見交換のほか、病床配分、2025年に向けた対応方針等の協議に加え、外来医療や紹介受診重点医療機関等に関する協議についても実施しており、近年、協議事項が増えている状況です。
また、構想区域ごとに在宅療養ワーキンググループを設置し、在宅医やケアマネなど多職種の関係者で地域の現状・課題について議論しています。さらに、病床配分申請に関して区市町村単位の分科会を設置し、地域で必要な医療機能等について意見交換することとしています。
また、資料の右上、保健医療計画推進協議会の下に設けた地域医療構想調整部会で各調整会議の議論を集約し、共通課題の抽出や課題解決に向けた方策の検討等を行っています。議題に応じて適切な会議体を設け、地域医療構想実現に向けた議論を推進しています。
次をお願いします。
6ページ目は、実際の会議のスケジュールや協議事項等を、令和5年度を例にお示ししたものです。必要に応じて御確認いただければと存じます。
次のページをお願いします。
7ページ目は、調整会議で行っている地域の医療の状況に関する意見交換について、これまでの主な議題をまとめたものです。大きな傾向として、令和元年度までは、病床の機能分化や地域で必要な医療機能等について、グループワーク等も行いながら議論してきました。一方、令和2から3年度は、新型コロナの感染拡大に伴い、コロナ患者の受け入れに関する対応状況や医療連携、役割分担に関する意見交換を行いました。令和4年度以降は、コロナ禍で明らかになった高齢患者の救急対応等の課題や地域の医療連携等について議論を行っており、後ほど一部を御紹介いたします。
次をお願いします。
8ページ、病床機能報告から見た医療機能別の病床数の推移については、2025年の必要量と比較して乖離の大きかった回復期の病床数は、平成26年度の制度開始時に比べて増加傾向にあります。また、定量的な基準を適用した場合は、参考で記載しておりますけれども、病床機能報告の数値を上回っており、医療機関の自主的な機能分化、連携の取組が進んでいると認識しております。
ただし、病床機能報告は実態を表していないなどの指摘もあり、2025年の必要量も推計値であることから、各調整会議では、必要量との単純比較ではなく、地域医療構想を地域でどう進めていくかの観点で議論を進めております。
次をお願いします。
9ページ、新たな地域医療構想の策定に向けてです。コロナ禍を経て、最近の調整会議で出された主な意見を御紹介いたします。まず、患者動向等に関する意見ですが、介護度が高い方や認知症の方がコロナ後は特に増えていること。救急でも高齢者で独居の方の入院が非常に多いこと。慢性疾患患者が入退院を繰り返しており、入院期間の長期化と退院に当たっての出口が少ないといった意見があります。また、介護度の高い方は、介護や福祉等の連携が必要であり、区市町村との連携が不可欠であること。高齢者の診療については、病院だけではなく、介護施設も含め考える必要があること。患者像が変わり、高度急性期、急性期の看護師でも高齢者対応が必要なこと。高齢者医療には限界があるにもかかわらず、本人・家族の理解が十分でないことなどの御意見がありました。
続いて、医療・介護提供に関しては、人材不足に関する意見が多く、都内でも看護師の不足で病床を開けられず、病床稼働率が上がらないこと。看護助手の確保も難しいこと。介護側でもケアマネジャーの高齢化や人手不足、訪問看護ヘルパーの確保が難しく、看護師が代わりに業務を担っているといった御意見もありました。
このような状況を踏まえると、新たな地域医療構想の検討に当たっては、認知症や基礎疾患等を抱える高齢患者がより一層増加し、独居の方の増加等も想定の下、それらのニーズに対応できる医療・介護全体での体制構築の議論が必要ではないか。また、現在、既存のサービスを提供するための看護師やケアマネ等の人材確保も厳しい状況であり、将来に向けて医療・介護の人材確保の状況を踏まえた議論が必要ではないか。こうした視点を考慮していただければと考えております。
次のページをお願いします。
最後に10ページ、新たな地域医療構想策定の手続に関して3点挙げております。1点目ですが、現行の地域医療構想では、2013年当時の実績値を基に、2025年の病床数の必要量等について国の示す計算式で推計するなど、全国で一律の考え方で策定されており、以降考え方の見直しはされていないと認識しております。
しかしながら、この間、新型コロナ対応など想定外の事象が発生する可能性もあり、また、今後、人材の確保がより厳しい事態に直面するなど、地域によって状況が大きく異なることも想定されます。そこで、新たな構想においては、策定後も様々な状況変化を踏まえ、適宜考え方の見直しやデータ更新を図るとともに、都道府県の実情に応じた柔軟な対応を認めるべきではないかと考えております。
2点目は、現行の地域医療構想は、病床数の推計値を基本に策定されていますが、新たな構想では、医療・介護全体で体制構築を検討すべきであり、病床を中心とする視点だけでなく、全体を捉えられるような指標が必要ではないかと思われます。そこで、構想策定後も、地域の現状を的確に捉えて自律的に今後の対応を判断できるよう、複数の適切な指標を示していただけないかと考えております。
3点目ですが、新たな地域医療構想の策定ガイドラインの提示は令和7年度とされております。都は、医療・介護に関わる関係者も多く、十分な議論の時間が必要であることから、ガイドライン等は可能な限り早期にお示しいただきたいとのお願いです。
東京都からの発表は以上となります。御清聴ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、高橋構成員から御説明をお願いいたします。
○高橋構成員 国際医療福祉大学、高橋です。
まず、資料の1ページ目の一番上に書かれているところでありますけれども、サザエさんの磯野波平さんの想定が54歳で、52年後に生まれた島耕作さんが社長になったときの想定が54歳で、50年間で随分変わったというのは多くの人が知るところであります。更に、高齢者もそれ以上に変わりました。その変化を高齢者施設とか病床の将来予測に反映すべきであろうというのが今回の発表の骨子になります。
1ページ目の真ん中のグラフについてお話しします。これまで高齢者の認知症が倍増するとずっと言われておりましたが、私は全国いろいろなところを歩き回り、意見を聞いていて、認知症が増えているという実感はほとんどありません。認知症が急増するという推計はおかしいなとずっと思っておりました。
グラフの真ん中の青い線が、認知症急増という予測の根拠になった九大の二宮先生が4つの地域で調査をして、年齢別の発生率を算出して全国の認知症患者数を推計した2014年に出した論文の結果を示します。この論文は、2040年に800万人になるだろうということを予想されていたのです。ところが、10日ほど前に、同じ調査フィールドで二宮先生が10年後に調査をしたら、各地域の認知症の発生率が劇的に下がって、オレンジ色の線になったり、要は200万人全国の認知症患者の推計値が下がったということが朝日、読売等の新聞の1面で報道されておりました。やはり二宮先生の2024年の推計値の大幅引き下げからも、認知症患者の減少傾向が読み取れるわけです。
さらに、この灰色の線は、2022年、東大の笠島先生が「ランセット」に出された論文の結果を示します。笠島論文では、学歴等の因子を入れて非常に高度なシミュレーションをやったところ、認知症は増えるという予測とは異なり、今後減少するという結果が出ております。私の肌感覚とも非常に一致しています。このような形で、今後、認知症患者数や疾病ごとの患者数推計のやり方を根本的に変え、2040年の患者数の想定数を変える必要があるだろうというのが一番言いたいところであります。
次のページをよろしくお願いいたします。
2ページ目は、療養病床と一般病床の稼働率の月ごとの推移を表しているもので、新型コロナの後、戻ってくるだろうと期待していたのですけれども、思いのほか戻ってこないという形になっています。
私は、地域医療構想の創成期である2012、2013年の頃に、各年代の病院や施設の年齢階級別の利用率などを算出し、この値に将来の年齢階級別の人口の推計値をかけて地域の需要を推計する今の方式を使って全二次医療圏の予測を行いました。その後、この値がどう変わっているかというのをずっと追ってきているのですけれども、2016年ぐらいまでは予測値と需要が一致していたのですが、その後、需要が伸びて、建設が追いつかないということがずっと続き、ワニの口が開いてきました。施設が足りなくなるのではないかと心配していたのですけれども、あに図らず、どんどん空床が増えてきているという事象が起きております。
それで、これは何なのだということで、全国各地の知り合いの経営者関係の人に電話をかけて聞いたのだけれども、よく分からんという答えが非常に多かった。今回この委員会でのプレゼンにむけて、現場で地域の様子に詳しいケアマネジャーを中心にかなり聞き込みをやりました。これをやる前の疑問というのは、今までの想定で言いますと、当然、施設とか病院に入っている人のうちの10万から20万人が間違いなく在宅にいないと数字が合わない、この利用率が合わないという現状があります。
それで集めた論文と聞き込んだ結果が3ページ以降に書いてあります。出てきたことの1つ目としましては、今御紹介いたしました、認知症患者数は減るだろうという予測、これは多分当たるというふうに私は思っております。
2番目、同じ笠島論文なのですけれども、高血圧、糖尿病、高脂血症は10年後増える。しかし、脳卒中、心疾患になる人はかなり減るだろうという予測が出ています。これは、今は非常に予防が進んでいて、病気を認識している人の数は増えるけれども、重症化する人が非常に少ない。健康日本21の成果の1つかなと思いますが、それが進んでおり、これも私が日頃感じていることを非常に言い当てているなという感じで、非常に重要な知見かと思います。
それから3番目、高齢者が元気で健康になっている。これは後ろの参考資料3に論文を全部示してありますけれども、意外に少なくて4報しか出てきませんでした。でも、全てやはり高齢者が元気になっている。握力が上がっているとか、歩くスピードが速くなっているとかという形で、方向性はそろっています。
4番目は、聞き込み調査で、データで確認できるものではないのですけれども、元気な人が突然亡くなっている在宅のケースが非常に増えている。それで、もう少し詳しく聞きますと、在宅に1人でいて、数日前まで、自分でどうにか食事をし、家の周りを歩いていたのに、1週間ぐらいしたらもう亡くなっていたというケースが意外に多いということであります。これはがんで、コロナのときに医療機関を受診できず、急に悪くなった状態で発見されるというケースもあるのですけれども、そうではなく、普通に生活して亡くなったケースが増えているということです。これは悲惨かと聞くと、5人中4人が間違いなく悲惨ではなく、家族も受け入れ、本人も望んでいたという形で、特に都心の新しい亡くなり方で、このようなものに対応することが非常に大事だろうと考えられます。
それから、5番目でありますけれども、団塊の世代は、社会の慣習に囚われず、これまで自分でいろいろなことを決断してきました。日本の慣習の「家」という考え方にとらわれず、いろいろなことをやってこられました。参考資料4に書いてありますけれども、まず最初、子供が結婚式のときに仲人式結婚式をなくし、それから、父親が亡くなるときに胃瘻をつけないというケース、それから、母親の結婚適齢期に家族葬を広めるという形で、周りの目よりも、自分のやりたい方向に進むという形でずっと決断をされてきた世代であります。この世代の人に聞き込むと、先ほど言ったように施設に入らず家にいて、ころっと亡くなってもいいという人が非常に多いので、今後、特に都市部を中心に、先ほど言った在宅で亡くなるという選択をする人が間違いなく増えるだろうと思います。これはまだ立証できている段階ではないですが、聞き込み等ではその可能性が非常に強い。そうすると、必要病床数、それから施設の必要数というのは大幅に変わる可能性があるだろうということであります。
それから、私の経験から言いますと、その変化というのは、過疎地よりも都市部のほうがはるかに速い。それで、先ほどの二宮先生の論文のフィールドは全て過疎地から地方の外れであります。ということで、笠島論文のほうが都市部の影響をちゃんと織り込んでいる分だけ、認知症の減少が速かったのではないかなというのが私の見解であります。
4ページ目に提言としてまとめております。
まず1つ目は、認知症や各疾患の患者予測は、従来の静的手法ではなく、高齢者の急激な変化の影響により鋭敏に反応する動的シミュレーションモデルを用いること。これは相当のコンピューターのパワーがないとできませんけれども、それを行うと、今起きている変化を組み込んで予測ができる。学歴をはじめ、高齢者の変化を反映する因子を組み込むことが望ましい。こういう新しいモデルを用いた新しい推計方式を取り入れることがいいのではないかというのが1つ目の提言になります。
提言2、現状投影モデルで必要病床数を推定するとともに、やはり今までのやり方でどうなるかというのが基本だと思います。まずそれを行った後、認知症の減少や、寝たきり高齢者の減少などの介護や医療を取り巻く提供体制に大きな影響を及ぼす因子を組み込んだ複数のシナリオをつくって、地域ごと、病種ごとに必要病床数を算定するというような方法を行うことを進めるのがよろしいかと思います。
提言3、これまでの認知症を含む患者や要介護高齢者の増加に対応するための新規建設に割り振り、今までは増えるから施設数をもっと増やさないといけないというのが一般的な政策の方向性でありました。一方、今年の改定、非常に頑張って施設の給与を上げるという方向にかじを切りましたけれども、周辺にも及び、なかなか人が集まっていないところもありますし、それから、何よりも今、建替えが必要だけれどもできない施設が多いので、その資金を現状の病院や施設の維持に回す。数を増やすというよりも、現状を強化する方向で地域医療構想を作成することが必要かと思います。
提言4、これからの後期高齢者が望む元気な生活を維持するためのリハビリや住宅改修、それから新しいタイプの独居でずっと家にいるという人が、今後、特に都市部に増えると思いますので、この新しいタイプの高齢者全員が変わるわけではなく、10%とか多くても20%だと思いますけれども、それだけの比率でありますので、そういう新しい対応の受け皿の介護保険サービスが必要ではないかなということであります。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
以上で7名の構成員、参考人の方から御発表をいただきました。大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
大変御協力いただきまして、当初予想していた時間とほぼ同じ時間に終わりましたので、残りの時間は皆様からの御意見、御質問等をいただければと思います。どなたからでも結構でございますけれども、何かございますか。
山口構成員、お願いします。
○山口構成員 ありがとうございます。山口でございます。私は、瀬古口参考人と荻野参考人と玉川構成員に質問したいと思います。
まず、瀬古口参考人ですけれども、私は、これから高齢者が増えてくる中で、もちろん周術期だけではなくて、糖尿病と歯周病との関連など、歯科との連携は非常に大事ではないかなと思っております。病院と歯科医師会の連携ということで今日幾つかの例をお示しいただいたのですけれども、これが増加傾向にあるのかということと、地域医療構想の中でどのような位置づけにすればこういった取組が進むのかというようなことのお考えがあれば教えていただきたいということが、まず瀬古口参考人に対してです。
それから、荻野参考人ですけれども、お話の中で医療提供体制モデルとして薬局を含めるというようなことがあったのですが、今、対物業務から対人業務へと薬局が移行していく中で、私はやはり患者が薬局を選ぶという意識を持たないと、そういった位置づけになっていかないのではないかと思っています。ところが、健康サポート薬局にしても認定薬局にしても、ほとんど周知されていないという状況の中で、医療機関と連携をすることも含めて、どのような取組をこれから進めていかれる御予定なのか。医療提供体制モデルの中に薬局を組み込むために、どのようなことを今予定されているかということを教えていただきたいと思います。
3つ目として、玉川構成員に、お話の中で国民や住民という言葉があまり聞こえてこなかったように思います。さきの地域医療構想のガイドラインのときに、作成段階から住民が参加する必要があるということが明記されました。そういったことからすると、地域医療構想というのは住民が理解するということがとても大切だと思っているのですけれども、実際に行政の方から見てその辺りはどうだったのかということと、それから、前回のことでの反省というようなことで、今後、住民の参画、それから周知、啓発というようなことについて、全国的な動きとしてはどのような動きがあるのかということを教えていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、質問ですので、瀬古口参考人からお願いしたいと思います。
○瀬古口参考人 進んでいるか進んでいないかということでの御質問をいただきましたが、まだまだ進んでいないのが実情でございます。やはり歯科のところ、いろいろなところの文言を見ても、山口構成員が言われますように、重要だということはよく分かっていただいているのですが、どこを見ても歯科の文言は出てこないのですね。「等」というところに含まれながら、実際にお願いを申し上げると、歯科というのはぱっと文字が頭の中に出てこないというところもありますし、病院との連携というところで、最近はかなり我々歯科のことについて理解をしていただけるようになり、病診連携、歯科の診療所と、病院のほうは少しずつ進んでいますけれども、医科の診療所との連携というのはなかなか難しい状況があって、これが増えていない。
また、我々の歯科の中でも、例えば偏在のところも含めて、病院の中に歯科が入るということも、病院歯科というのは非常に重要なものでありますけれども、そこもうまくいっていないという現状と、それから、歯科の診療所というのは特異的で、1人でやっているところが多くて、要請があってもなかなか行けない。先ほどもありましたように、20%をちょっと超えたところで推移をしているということで、例えば10年後を考えた場合に、皆さん方が結構高齢になってきているので、歯科の診療所が大きく減ってくるという中で、法人のほうに歯科の先生方が行くということプラス、近年の新規歯科医師の半数以上を女性が占めている中で、途中でリタイヤしている者もいますので、実際にここに対応できるような歯科の体制づくりをしていかないといけないと考えておるところでございます。
それから、あとは位置づけでございますけれども、我々が今考えておるのは、位置づけというか、どのようにすれば歯科のところが伸びるかということについては、例えば偏在も含めた中で、病院において採算が当然合わないので、国民全員に対して均等な歯科医療提供体制ができる仕組みをつくる、足りないところには国からの助成金、あるいは、市町村は難しいので都道府県からの助成金というものを含めた中でいただけると、全国レベルで対応できるのかなと今思っておるところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、荻野参考人、お願いいたします。
○荻野参考人 荻野でございます。
御質問いただきましてありがとうございます。まず、御指摘のとおり、国民が薬局の選択をする上で分かりにくいということ、それは私どもも感じているところであります。その上で、医療提供体制のモデルの中でどういう方策を考えるのかというところでありますけれども、1つ申し上げますと、薬局の機能ごとに、例えば健康サポート薬局、あるいは地域連携薬局、専門医療機関連携薬局という2つの認定薬局制度がスタートをしております。これは元々、平成27年に患者のための薬局ビジョンが示され、その翌年の平成28年に健康サポート薬局の届出制が始まった。そして、少しの間を置いて、令和元年の薬機法改正で認定薬局が盛り込まれてきた中で、特に健康サポート薬局と地域連携薬局の違いも含めて分かりにくくなっていると感じているところであります。
現在、山口構成員も御参画されておりますが、医薬局の中では薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会が開催されておりまして、それらに対する見直しの議論も精力的に行っていただいていると承知をしております。その検討会の取りまとめを踏まえた上で、今後、薬局の機能を整理しながら、国民に対してどのように周知をしていくかということは、日本薬剤師会でも積極的に対応させていただかなければいけないと認識しております。
それから、もう1点でございますけれども、薬局は特に地域偏在が著しいという実態がございます。ですから、その機能別の配置に関し、地域というのを二次医療圏で考えるのが適切なのか、あるいは生活圏域で考えるのが適当であるのか、これは議論をしていかなければいけないと思いますが、そういった意味では、地域住民のニーズに応えるため、その地域毎に薬局という施設をどう配置していくか、あるいは、どのようにコントロールできるのかというようなことも含めて取り組んでいく必要があると考えております。この中には、離島・僻地も含めて、薬局のないところに薬局が配置できるような方策も含めて我々は考える必要があり、そういったところは行政とも連携をしながら、日本薬剤師会でも引き続き精力的に取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、玉川構成員、お願いいたします。
○玉川構成員 玉川でございます。
地域医療構想への国民の参画の在り方、そういった観点かと思います。まず1点、現状でありますけれども、率直に申しまして、住民、国民の方の参画ということがビルトインできている状況には至っていないのかなと足元としては感じております。1つの工夫としては、市町村役場の方々に住民側の目線ということを意識していただいて、参画いただくということは、代替的にはやっているかもしれませんが、一定の制約があるのが実情かと思っています。
そして、まさに今回、17番のスライドにありましたが、結局、地域医療を守っていく、つくり上げていくには、医療関係者だけではなくて、住民、国民の方々、市民の方々の役割分担への理解や医療のかかり方、そして、市民、国民としての心構えといった部分を含めまして、その方々の理解がなければ進められないという形があります。このため、グランドデザイン的な部分も含めて、我が国で、ないしは地方で取り組んでいくということも前提情報としてお示しをしながら、また、可能な範囲で住民の方々の意見については、審議会によっては患者団体の方々等も入っていただいているところもありますので、そのような工夫をどこまで地方としてやっていけるか。協働については、国と地方だけが協働するものではなくて、地方の現場でも、より多くのステークホルダーの方々と連携をしていくということが一番大事だと思いますので、そういったことを次の構想の中ではより心がけてやっていく必要があると認識しています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
時間も限られておりますので、できるだけ多くの方から御意見をいただきたいと思いますが、それでは、フロアのほうでどなたかいらっしゃいますか。
まず、土居構成員が意思表示をされたようなので、土居構成員、岡構成員、それから先ほど手を挙げられています櫻木構成員という順番にさせていただきたいと思います。
では、土居構成員、お願いします。
○土居構成員 今日の御発表どうもありがとうございました。大変勉強になりました。いろいろ重要なことが御発表の中で御発言あったというふうに記憶しておりますので、これを今後の議論にも生かしていきたいと私自身も思っております。
図らずも、玉川構成員と高橋構成員は、新たな地域医療構想について複数のシナリオという言葉でおっしゃったことは非常に私としても意義深いものがあるなと思います。ただ、どういう意味で複数のシナリオということなのかということは、今後より精査していく必要があるのだろうと思います。
私のイメージを意見として述べさせていただくということで、この発言を終わりたいと思いますけれども、高橋委員の御発表の言葉で言うと、現状投影モデルですね。つまり、私の理解では、性別・年齢階級別の受療率とか受診率、それから、疾病構造が現状のままであったとして、2040年までに至るところでどのような地域の医療と介護のニーズがあるのかをまずは把握した上で、それにとらわれるわけではなくて、例えば地域によっては在宅にシフトしていく。それから、玉川構成員がおっしゃったような在宅対応が困難な地域では、また別の形で対応していくというようなことを新たな地域医療構想の中で数値化して、今後の医療・介護の提供体制をどういうふうに各地域で構築していくかを検討する形にするということで、玉川構成員もおっしゃったように、地域によって実情が違うので、それぞれの地域の特性に合ったようなデータの分析をしていくことがまず必要だというのは、私自身もそのとおりだと思います。
それともう一つは、私が第1回で発言させていただいたことなのですけれども、人材確保に制約が生じる可能性があって、だけれども、人材確保に制約があったからといって、その地域の医療や介護を滞らせるわけにはいかないということなので、そうすると、人材確保に制約があった場合でも、どういう形でなら対応できるのかということを含んだシナリオというか、そういうモデルも許容できるような形で新たな地域医療構想を策定していく。これは、もしかすると岩井参考人がおっしゃったような柔軟な対応という言葉に該当するのかもしれないですけれども、どういう形でも、地域の実情に合わせればそれでいいというのはちょっと甘過ぎると思っていて、何らかの提供体制の改革を加えるということを前提とした複数のシナリオという意味での柔軟な対応は、私は、むしろそれは個々の地域で対応していかなければいけないと。全ての構想区域で統一のモデルで算出した必要量でなければ駄目だというわけではなくて、スタンダードがありながらも、そこの派生系を複数認めるという形でシナリオをつくって、そこで今後の医療・介護の提供体制の在り方を示し、それを共有して、各地域で2040年に向けて取り組んでいくというような段取りにしていくことがいいのではないかと思います。
私からは以上、意見でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、岡構成員、お待たせしました。
○岡構成員 本日、瀬古口参考人から医科歯科連携の重要性、あるいは歯科医療と介護の連携、そして、荻野参考人から病院と薬局の連携ということでお話があったのですけれども、これはむしろ厚労省の方への御質問になるかもしれないのですが、このような連携のときに大事なのは情報共有だと思うのです。特に入院中の患者さんの情報共有とかを、薬局の場合、モデルケースでファクスでやり取りをしているところがあったと思うのですけれども、今、病院の中での情報連携は、HL7FHIRを利用して3文書6情報共有ということが進んでいると思います。ただ、電子カルテが診療所あるいは中小の病院でなかなか普及しないという問題があるのですけれども、今、歯科の診療所とか薬局が、今後、病院との連携はHL7FHIRを使ってやるような方向性で話が進んでいるのかとか、あるいはどの程度の進捗状況かというのを教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 事務局、コメントをよろしいですか。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
1回目の検討会でもお示ししましたが、医療DXの取組を進めているところです。その中で、全国医療情報連携の基盤を構築すること、プラットフォームを構築することになっていまして、そのプラットフォームにおいて、医科の医療機関、それから薬局、歯科の医療機関も含めてオンライン資格確認のシステムなどを活用した連携に取り組んでいくということを構想しているところになります。
○岡構成員 分かりました。そうすると、例えば今、入院サマリーとかそういうのも病院間では可能になってくるのですが、今後、例えば歯科診療所とか薬局でも、そういうのは可能になるような方向性なのか。そういうことを進めないと、なかなか連携というのはうまくいかないと思うのですけれども、ぜひそこを検討していただければと思います。
○遠藤座長 御要望ということでよろしいですね。
それでは、オンラインに戻りたいと思います。先ほど来手を挙げておられた櫻木構成員、お願いします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
今日は発表をいろいろいただいて、それぞれの立場から本当に貴重な参考になる御意見をいただいてありがとうございました。
そこで質問なのですけれども、今までの地域医療構想の考え方というのは、いろいろな報告制度でデータを集めて、それを地域の調整会議という協議の場で問題の解決を図っていくという手法だったと思うのですが、今日お話をいただいた中で、薬剤師会の荻野参考人のほうから現行の問題点として挙げられた医薬品の供給提供体制の問題、それから薬剤師さんの偏在の問題ですね。このことは非常に喫緊の、我々も非常に関心の高い重要な問題だと思うのですけれども、医薬品の供給提供体制であるとか、あるいは薬剤師さんの偏在、特に病院薬剤師さんが非常に不足していることに関して、地域医療構想の中で、具体的に言うとどういう形での解決ができるとお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
○遠藤座長 では、荻野参考人、お願いいたします。
○荻野参考人 御質問ありがとうございます。大変難しい御質問と考えておりますけれども、まず、病院薬剤師の確保についてでございます。今般、第8次医療計画の中に、医療従事者の確保で初めて薬剤師の確保という事項、とりわけ病院薬剤師の確保が喫緊の課題というふうに位置づけていただきました。本日の資料でお示しさせていただいておりますけれども、それを受けた形で、43の都道府県で医療計画に薬剤師確保の計画が盛り込まれたということでございます。そういった意味では、それぞれの都道府県で医療計画の中にきちんと位置づけ、計画を立てて推し進めていただく、その際には確保基金を使わせていただくという現在の取組は大変有用であり、そういった方向で着実に進めていくことが極めて重要ということが申し上げられるのではないかと考えています。
その一方で、地域における医薬品提供体制ということですけれども、私どもが考えておりますのは、必要な方に必要なときに必要な医薬品を過不足なく提供できる、そういったネットワーク、仕組みづくりを構築するということでございますが、もちろん薬剤師確保ということも関係いたしますけれども、先ほども申し上げましたとおり薬局の地域偏在が著しいということで、その地域偏在を解消するためにどうするか。これが極めて大きな課題としてあることを皆様に御理解いただきたいと思います。ですから、そのような意味で、「医薬品」提供体制ということを念頭に置きながら地域医療構想の中でも議論していただきたいということ、また、医薬品提供体制の構築について医療計画と連携をした行政計画への位置づけということも含めて議論いただけると大変ありがたく、目指すべき方向に近づけるのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、お手を挙げておられます大屋構成員、よろしいでしょうか。
○大屋構成員 大屋です。どうもありがとうございます。
最初に、伊藤構成員に御質問したいのですけれども、人手不足の際に、やはり医療DXを推進するということで、これは前回も前々回も皆さんそのことを言われて、私もそうは思うのですけれども、まさに伊藤構成員が言われたようにコストの問題というところが大きいかな。電子カルテの二の舞にならないようにと、これは非常に当たっていて、結局、医療費全体は限られているわけで、そこにまたDXという会社の人たちがどっと入ってきてごっそり持っていけば、従来の医療者が使っていた分がぼんと減るわけですので、十分にここは御検討いただきたいのですけれども、何か具体的に現時点でアイデアのようなものがあってこういう発言をされたのかということを1点教えていただきたいということです。
2つ目は、荻野参考人なのですけれども、実際問題、病院薬剤師の不足というのは、1つは病院の数が非常に多いということと、その病院で非常に質の高い薬剤に関連する業務をするとなると、そこにたくさん人を入れて加算を取れるようにということになると、どんどん大きな病院、都会の病院が薬剤師を吸収していって、地方からどんどん抜けていくというような現状があるのですけれども、そこら辺は薬剤師会として何らかの危機感的なものをお考えで対策があるのかをお伺いしたいということになります。
3つ目は、玉川構成員にお聞きしたいのですけれども、医師確保、医療者確保、様々な面の医療者が非常に少ないということを随分言われて、話合い等で解決されていると言われていたのですが、先ほどから述べていますけれども、近くに東京があり、東京でそこが吸収していくということについて、医療者、医師、看護師、看護助手、薬剤師が来ないと思うのですけれど、そこのところで特別に話合いということ以外、みんなでやるぞというように考えてシステムでやっていくということ以外に、ちょっと精神論的な感じもするので、何か具体的にアクションを既に起こされたようなことがあれば教えてくださいということです。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ちょっと音声が聞きづらかったところがありますけれども、それでは、まず、伊藤構成員、コメントございますか。
○伊藤構成員 伊藤でございます。御質問ありがとうございました。
医療DX化に関しては、最後に申し上げましたけれども、非常にコストの問題が大きな負担になると私どもは考えております。それに具体的な対応策があるかと言われますと、具体的なものはないわけでございますが、1つは、まず、DXに対する支出という意味で言うと、電子カルテもそうでしたが、それぞれのベンダーが思い思いの形で勝手に規格をつくって、それに対して非常に高額なメンテナンスフィーも含めて持っていくような状況を防ぐという意味でも、国がある程度の規格というものをつくっておく必要があるのではないか。その規格に基づいて開発を進めていくというようなこと、あるいは機器の導入を進めていくことが必要ではないかと思っていることが1点。
それから、今度は収入という意味で考えておりますけれども、1つは、DX化をする目的はそもそも人手が足りないということですので、例えば入院基本料等を考えましても、今までは頭数で入院基本料を決めていたところが、重症度、看護必要度を用いて評価する、いわゆるストラクチャー、人数で構成されていた診療報酬の要素が、ストラクチャーを超えてプロセス、つまりそこで行われている行為によって診療報酬が決められることになったわけであります。これをさらにDXを使うことによって、アウトカムという視点も入れて、つまりストラクチャー、プロセス、アウトカムの3つの要素を組み合わせることで、看護師の数、あるいは人材の頭数がいなくても、それに見合ったプロセスを経て、ちゃんとしたアウトカムが出ているものに関しては、きちんと診療報酬を支払うというような仕組みが構成されるべきではないかと個人的には思っております。ただ、これはまだこれからいろいろと現場の皆様方と詰めていくことかと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、荻野参考人、簡潔によろしくお願いいたします。
○荻野参考人 ありがとうございました。なかなか難しい御質問をいただきました。大病院と中小病院、またその中でもそれぞれ実情が異なってくると思います。病棟薬剤業務に係る加算の算定があまり多くないという現状において、十分に病棟薬剤業務を実施できる薬剤師数の確保、これが大きな病院にとっての課題。そして、中小におきましては、薬剤師が2人、3人という場合、例えば1人が風邪を引いて休暇を取ると、機能ができないという状況になりますので、そういった意味での病院薬剤師の確保という、病院の規模や実情に応じた様々な課題があると思います。
なかなか的確なお答えができなくて恐縮ですけれども、それぞれで状況が異なってくるということを踏まえ検討が必要ではないかと申し上げさせていただきます。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、玉川構成員、お願いいたします
○玉川構成員 医師確保、看護人材確保の部分でお答えさせていただきます。
2つの観点です。まずはナショナルベースで国全体として制度的に取り組む部分と地方で取り組む部分、この2つの構成が重要だと思います。医師偏在に関しては、やはり人が集まるところに人が行くというのは当然の形ですので、制度的な面で、いかに地方のほうに適切に人が行くような建て付けにするかということに関しては、国の力が必要と思います。一方で、例えば地方における医学部の臨時定員の増に関しては、修学資金の対策など、地方の取組が並行しないと成り立ちませんので、我が県でも50人近くの修学資金、臨時定員増に関する部分などは、かなり大規模に投入させていただくなど、地方なりの対策は並行して行っていくところです。
看護人材確保の部分についても、恐らく国全体としても看護人材の確保を、人がいない中でどうしていくかという観点になってくる部分だと思います。地域に関して言えば、再就業対策、プラチナナースということが重要になってきますので、我が県ではナースセンターについて、サテライト機能などを強化して、マッチングの向上などに取り組んでいます。ナースセンターについてはオールジャパンでのアップデートが非常に重要になってくると思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
○大屋構成員 どうもありがとうございました。すみません。海外からで、声が小さくて申し訳ございません。
○遠藤座長 とんでもございません。ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 皆様、御発表ありがとうございました。
医療人材の確保について玉川構成員と岩井参考人にお伺いしたいと思います。ただ、玉川構成員への質問に関しましては、今の大屋構成員からの質問と重なるところがございまして、玉川構成員の発表において示されている、看護職のなり手の不足への対応として、新卒者の確保と並行して再就業支援等実効性のある人材育成、マッチング、プラチナナースの拡大等、活躍の場の確保策の注力についてお聞きしたく思っておりました。大屋構成員への御回答として、ナースセンターへの活動支援、また財政支援を含めて、そのようなところを取組んでいくということをお伺いしましたので、大丈夫です。
岩井参考人にお聞きしたいことも、同様に看護師の確保についてです。看護師の不足により、病床制限の現状があることが資料に書かれておりますけれども、看護職の確保の具体的な取組や、また、今後このようなことを検討するとよいといった取組がありましたら教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 では、岩井参考人、お願いいたします。
○岩井参考人 岩井でございます。
看護師の養成確保対策等ですけれども、これまでも東京都では様々取り組んではおりまして、例えば都立の専門学校も7校ございますし、ナースセンターという形でナースプラザもございまして、マッチング等ももちろんしてございます。
それから、定着対策としまして、やはり離職率が高い等もございますので、働きやすい職場環境の整備ですとか、院内保育施設の運営などの取組の支援等も行っております。
あと、プラチナナースというお言葉、福島県さんのほうからもございましたけれども、私どものほうでも、定年退職後も含めてキャリア継続等を支援するような取組もしてございます。あわせて、看護職員の資質の向上ということで、様々な専門研修等を実施するとともに、認定看護師ですとか特定行為研修修了者などの育成に取り組む病院への支援なども行っております。
こうした再就業対策を含め、様々実施しているところでございますが、現状の人材の不足感ですとか、今後少子化等が進む中での対策という面では、今あるものに加えて、具体的に、また地域の意見等も伺いながら考えてまいりたいとは思ってございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、東構成員、お手を挙げておられますので、お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の東でございます。
私からは質問ではなく、意見を1点だけ申し上げたいと思います。高橋構成員のプレゼンの内容でございますが、後期高齢者の病態像、意識、それから認知症の割合等について、学術論文や聞き込みで様々な非常に興味のあるデータをお示ししていただきました。後期高齢者の病態像、意識というのは、今後の地域医療構想の病床を語る上で非常に重要な観点だと考えております。
私も現場で在宅医療や老健施設の運営に関わっておりますので、高橋先生の資料の3ページ(4)に記載がある、「独居でも自宅で亡くなることを選択する高齢者は、増えていくように思う」とのケアマネジャーからの意見は、私も現場で実感していることでございます。また続けて、「これらのケースは、悲惨なケースか」という質問に対し、これは悲惨ではないという考え方についても、後期高齢者本人や御家族もこのような考え方を持つようになってきたのではないかなと私自身も感じておるところでございます。
それを受けて、4ページで高橋先生が提言されておりますが、提言3、新規建設に割り振る方向から、既存の病院や施設の維持や充実にまわす方向に切り替えるべしとの提言は、私も全面的に賛同するところでございます。今ある社会資源をいかに有効に活用するか、今いる人材をいかに有効に活用するかというところに注力すべきであって、新たな箱物を造ったり、新たな人材をというのではなく、これからどんどん生産年齢人口が減少していく中で大変重要な観点かと思います。
それから提言4において、「死ぬ直前まで家にいることを可能にする支援を充実」という提言がされております。私もこのとおりだと思います。医療機関で亡くなる方はどんどん減少しております。私も次の機会でプレゼンをさせていただきますが、老健施設で亡くなる人は増えておりますけれども、直前まで自宅にいて、最後の最後で老健施設で亡くなるという方も大変多くなっています。こういう意味で、死ぬ直前まで家にいることを可能にする支援ということは、大変重要かなと感じました。
最後に、18ページに高橋先生が示されておりますが、これから寝たきりの高齢者が減少するというときに、医療療養病床や介護医療院の必要病床に影響があるだろう、これもそのとおりだと思います。また、私どものような高齢者施設が、寝たきり高齢者を介護する施設から認知症の自立支援施設にという御提言も、全く賛同するところでございます。私も、次の週に高齢者に対するプレターミナルACPのお話をさせていただきますが、後期高齢者の意識、それから希望、病態、そういうものをきちんと踏まえた上で今後の議論が必要かと考えます。以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
予定していた時間になりましたけれども、フロアで初めての方で御発言されたい方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
それでは、オンラインでもお手をお挙げになっている方がいらっしゃいませんので、これをもちまして、本日のプレゼンテーション等及びそれに関連する質疑応答については終了させていただきたいと思います。
大変貴重な議論ができたと思います。どうもありがとうございました。
本日いただいた御意見も踏まえまして、今後の検討を進めていきたいと考えております。
最後に事務局から何かございますか。
○淺野課長補佐 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会はこれまでとさせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。
<照会先>
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