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2024年4月17日 第2回新たな地域医療構想等に関する検討会

医政局

○日時

令和6年4月17日(水) 13:00~15:00

 

○場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール
東京都港区新橋1-18-15

 

○議事

○松本課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第2回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1から6、参考資料1を配付いたしましたので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 なお、構成員の交代と構成員の役職に変更がございましたので、お手元の参考資料1「新たな地域医療構想等に関する検討会 開催要項」にて御確認をお願いいたします。
 構成員の交代につきましては、国分構成員に代わりまして、福島県保健福祉部の玉川啓次長が新たに構成員となられましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日は、山口構成員が御欠席との御連絡をいただいております。
 オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の八矢室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官に御出席いただいております。
 なお、冒頭のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○松本課長補佐 それでは、遠藤座長、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「関係団体・有識者ヒアリング」でございます。
 5名の構成員と有識者の方々から発表を行っていただくこととしており、有識者として、一般社団法人日本病院会の相澤会長にオンラインで出席いただいております。
 それでは、事務局よりヒアリングの進め方について説明をお願いいたします。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 そうしましたら、資料の1で本日の関係団体・有識者ヒアリングの進め方について説明いたします。
 1ページめくっていただいて、2枚目です。
 まず、各発表者の方々から、資料に沿って10分から15分程度、御説明をいただきます。5名全ての発表者の説明終了後に、まとめて質疑応答を行いたいと考えています。
 また、米印で書いていますが、事務局においてスクリーンに資料を画面共有いたします。各発表者におかれましては、ポインターをお渡ししますので、スライド送りの操作をしながら発表いただきますようお願いいたします。
 発表の順番です。左側に書いてあります。最初に香取構成員から、続けて、江澤構成員、相澤参考人、猪口構成員、松田構成員、その後に質疑応答ということで進めていただきたいと考えています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、早速、ヒアリングに入りたいと思います。
 それでは、まず初めに香取構成員からお願いいたします。
○香取構成員 構成員の香取です。よろしくお願いします。
 両手を使わないといけないので、ちょっとばたばたするかもしれませんが、よろしくお願いします。
 まず最初に、私がいただいたお題ですが、この4つです。
 社会保障・税一体改革において目指していた医療・介護提供体制の考え方と方向性はどのようなものであったか。歴史的に今の立ち位置を振り返ると。
 2つ目が、現在の医療・介護提供体制の課題。
 それから、今後の地域医療構想に期待すること。
 そして、2040年頃を見据えた医療提供体制のイメージということで、これを10分でと言われたので、短いので結論だけ申し上げます。皆さん御専門なので詳しい説明は要らないと思うので、簡単に結論だけお話をしたいと思います。
 まず、前回提出資料の163ページに主な検討課題というのが示されていました。今日も資料の中にありますが、これは、今後議論すべき課題をほぼ網羅をしていると思うので、これはこれでよろしいのではないかと思っています。
 また、前回の各委員の議論を伺っても、各委員の問題意識はおおむね同じ方向を指していると思いますので、よろしいのではないかと思うのです。その上で幾つかお話をしたいと思います。
 まず1つは、日本全体で見ると、2060年代後半ぐらいまでは医療・介護の需要の総量は増大し続けると思われます。2040年以降も後期高齢者の人口が増え続けるので、ピークアウトはさらに先に来ると考えるべきです。
 他方で、医療・介護を担う人材とか物的資源は明らかに有限なので、しかも、地域ごとに置かれている状況は相当異なっています。もう既に2040年になっているところ、あるいは2060年になっている地域はたくさんあるということになります。そうなると、地域医療構想を考える上では、こういったことを前提に、それぞれの地域ごとに2040年、ここでは2040年ですが、私は2060年まで考えないといけないのではないかと思っていますが、そこのまず絵姿を描いて、その時点でその地域がどうなっているか。そこからバックキャストで考えて、どれくらいの医療・介護資源がその時点で確保できていて、それで、どうやってニーズをカバーするか。要するに、切れ目のない医療を提供するかという視点で考えることが必要だと思います。
 その意味で言うと、2040年に描かれる地域医療構想の姿は、地域によってかなり違う。まず1つは、現在及び将来のそれぞれの地域の医療資源の分布がどうなっているか。今、これだけ医療資源がある、あるいは開業医がいるといっても、20年後にどうなっているかは分からないわけです。そこを視野に入れないといけないですし、病院・病床も、これから必要な改革をしていかないといけない。地域によってはダウンサイジングをしないといけない。そういうことを見て、その分布の形を考える。
 同様に、現在及び将来のその地域の人口・高齢化率、あるいは高齢化の中の高齢化の進行の度合い、疾病構造が変わる、さらには、人口減少に対応して、地域政策の視点から集住とかコンパクトシティとか、コミュニティの形そのものを変えていくような改革がこれから進むので、それも視野に入れて考える。つまり、動態的な視点で考えるということが必要だということです。そうなると、単純に、都市と田舎とか、人口が増える、減るというような二元論で考えたり、あるいは、今の人口規模が100万人、10万人、20万人とかいうのではなくて、もうちょっときめの細かい、類型分けをした上で考えるということが必要になると思います。
 地域ごとの差は、申し上げたように非常に大きいです。それから、医療とは直接関わりがないのですが、やはり、それぞれの地域が変わっていく、医療構想の前提となる下部構造である社会経済環境も大きく変化をするということになりますと、例えば、今の診療行動、受診行動を前提に考える。あるいは、今の病院外来、入院・外来、医療・介護といったそれぞれのサービスの機能分担を前提にして、言わばプロジェクション型で現状を投影して将来を推計するという推計の仕方は、恐らく機能しない。むしろ、どういう改革をこれからやって、最適な資源分配とか機能分担とかタスクシフトとか、そういった改革を織り込み、かつ、介護も含めた全体の改革をどうするかという、言わば改革をこれから織り込んで絵姿をつくるという、改革遂行型の医療構想をつくっていくということが必要になるのではないかと思います。
 各論に入って幾つか申し上げると、コロナの経験でも、これは言うまでもないと思いますが、この検討会の冒頭の課題にも入っていますけれども、これから在宅とか地域の医療を強化していくということは不可避だと思います。これをきちんとやっておきませんと、また病院とか救急が機能不全を起こすということが起こるということになります。コロナ禍の経験は、多くの方がおっしゃっていますが、未来の絵姿が前倒しで現前したものだと。今回の能登の地震も同じようなことが言えるのではないかと思います。これは大事です。
 もう一つは、この間、医療だけではなくて、あらゆる意味でテクノロジーの進歩は非常に早いです。そうすると、今回、コロナの在宅対応を見ても分かるように、入院と在宅の境界線というか役割分担というのは多分大きく変わるし、変えることができるのだと思います。つまり、時間とか空間を超えた医療というのがこれからどんどん可能になっていくということになります。そうすると、在宅とか地域でどういう形の絵柄を描くかといったときには、こういった技術進歩の成果というのをどのように在宅に織り込んでいくか、あるいは生かしていくかということを織り込んで絵を描くということが恐らく必要になります。
 もう一つは、医療圏の問題なのですが、申し上げたように、今後の人口動態の変化は極めて大きいです。つまり、現状の二次医療圏の大半は恐らく維持できないと考えるべきだと思います。
 さらに言えば、先ほど言った医療の機能のことを考えれば、あるいは、介護との関係で地域医療構想と地域包括系統の関係ということを考えていくと、単純に、今の地域医療構想のように病床を頭に置いて、病院の数を考えて二次医療圏の中で完結する医療をつくって病床の機能をどうするということではなくて、むしろ、例えば在宅を支えている在宅の医療圏、これは恐らく地域包括ケアの生活圏域とかぶると思うのですが、そういうものと、言うところの二次医療圏のような病院をバックアップにしたような体系。さらには、高次機能の病院の診療科、要するに、診療圏そのものを、少しレイヤーの組合せで考えて、医療資源の分布と医療の提供体制を考えるという医療圏の考え方も恐らく変わるのではないかと思います。これは、ファクトに基づいて考えるということになるので、これもそれぞれの地域の医療の提供の形によって違うかもしれませんけれども、それをやらなくてはいけない。
 それから、人口はもちろん減っていきますが、2035年には85歳以上人口は日本全体で1000万人を超えます。85歳以上人口の方というのは、その半数は要介護です。4割は認知症のスコアがあります。現在でも6割の方が独居か高齢夫婦世帯に住んでいる。つまり家に高齢者しかいないという世帯に住んでいる人が6割。これは増えることはあっても減ることはありません。ということは、家族介護力はほぼ当てにならないということになります。
 そうすると、現在、介護がそうであるように、医療もアウトリーチというのを前提にした提供体制を考えていかないと恐らく対応できない。その意味でもテクノロジーの問題をどう考えるかということは非常に重要だと思っています。
 4番目、これは繰り返しになりますが、いい悪いの問題は別として、やはり資源制約は大きいと考えるべきです。
 医療・介護需要が増えていくのに見合って医師が増えたり看護師が増えたりということはちょっと考えにくいので、一定の制約がかかるという中で考えないといけない。コロナ禍で日本の医療提供体制については、様々、いい面もあるし、津々浦々医療が受けられる体制を我々はつくってきたわけですけれども、一方で薄膜になっている医療、あるいは機能分化が十分行われていないことに伴う脆弱性というのが露見したということがあります。そのことを踏まえて、今ある資源、あるいは将来確保できる有限な資源をどうやって効率的に組み立てて、増大する医療・介護需要に応えるかという問題性で恐らく考えたほうがいいと思います。そうなると、機能分化、連携はもちろんのこと、かかりつけ医機能を実装していくということは、もう不可欠の課題ということになろうかと思います。
 それから、もう一つ、今、働き方改革が進んでいますが、日本の医療・介護スタッフの労働条件は極めて厳しいです。ある意味トラック運転手よりも大変なはずなので、そうなると、今以上に現場に負荷をかけるような形で改革を進めるということは恐らくできないと思います。つまり、働き方改革は当然に織り込んだ上で、実現可能な提供体制を考えるということになりますので、そうなると、例えばタスクシフト、専門職種間のタスクシフト。専門職種の人は、その人ではないとできないことに特化してもらうということは大胆にやっていかないといけないですし、テクノロジーを活用していくことで負荷を軽くする。IT、IoTはもちろんのこと、SaMDとかAI診断とかChatGPTとか、この手のものは20年後は当たり前にその辺にあるという技術だと思ったほうがいいので、そういったものをきちんと織り込んで、地域医療計画を書かないと、画餅に帰すということになるのではないかと思いました。
 総じて、今回これからつくる地域医療構想は、ベッドの数をどうするとか、機能をどうするとか、お医者さんの数をどうするかということではなくて、2040年なり2060年にどういう医療の形を考えるのか。あるいは、医療・介護の提供の形を考えるか。それそのものを書くのが地域医療構想だと位置づけるべきではないかと思っています。
 一応、コメントは以上です。
 あと、1~2分残ったので、参考資料を簡単に御説明します。
 今の医療提供体制改革の議論の流れは、2008年の社会保障国民会議に遡ります。ここで医療・介護に関するシミュレーションというのを行っています。このシミュレーションは、プロジェクション型のシミュレーションではなくて、目指すべき医療・介護の形をつくり、そこに向かって改革を一定進めると。機能分化と連携とかタスクシフトを織り込んで改革を行ったらどうなるかというシナリオを行いました。
 この改革シナリオを踏まえた形で、社会保障・税一体改革で「2.7兆円フレーム」というのがつくられて、機能強化と効率化の同時実施ということと、消費税の目的税化ということで、医療に一定の消費税財源が投入されました。
 これを受けて、社会保障改革プログラム法がつくられ、2013年の社会保障制度改革国民会議で基本的な今の改革のロードマップが描かれて、2014年に、御案内のとおり総合確保法ができて、この中で地域医療構想・医療計画、それから、総合確保基金という財源措置も踏まえた対応がなされたという流れになっています。
 この後、それぞれの会議でどういうことをしたかとか、どういう考え方でやったかというのが出てきますけれども、ここをざっと見ていただくと、あまり時間がないのであれですが、例えば、あのときにどういうことをやったかというと、当時の病床の機能分化と患者さんのニーズのベクトルがずれている。これを合わせましょうというのが、そもそもの提供体制全体の考え方です。外来と入院というか、診療所と病院の役割分担をして、病院は、外来は専門に特化しましょう。診療所は、専門外来と主治医機能を強化しましょう。このとき既に主治医機能問題も出てきていますし、介護との連携も出てきています。
 これが皆さん御案内かと思いますが、当時の病床の機能を分化して、高度急性期、急性期、当時はたしか慢性期だったか回復期だったか名前は忘れましたが、みたいなことをつけていって、高度機能のところには集中的に資源投入して、入院期間を短くして、できるだけ早く在宅へ帰していく。こういう大きな絵柄を描いた。
 当時、これは何をやって計算したかというと、実際に患者さんがどのように各医療機関、あるいは、介護の機関の間で移動しているかという移動のシミュレーションをして、それぞれがどういう機能・役割を果たして、どういうニーズを果たしていて、どこに隘路があるかというのを見ました。
 このファクトに基づいて改革のレベルによって3つのシナリオをつくって、一番厳しいシナリオというか大胆にやったものは、急性期病院をさらに高次機能とそれに分けてということやりました。あわせて、このときに、こうやるとベッド数がどうなるか、あるいは、マンパワーがどうなるかという推計をして、これが国民会議の報告になっています。一体改革では、それを踏まえて、さらにそれに制度側、医療制度、介護制度の改革を織り込んで、全体の機能強化と効率化を進める絵柄を描きました。
 この絵はよく皆さん御覧なっている絵かと思いますけれども、これは先ほどの国民会議の絵と基本的には同じ考え方です。このときに実は入ったのは、そこにちょっとありますけれども、地域に密着した多機能病院という概念をちょっと入れまして、今の地域包括ケア病棟につながる考え方ですが、このときに少しこの考え方が入っています。
 このときに、こういう機能強化をし、こういう効率化をし、こうなるとベッド数はこのぐらいになり、全体の医療・介護の提供体制はこうだとこういう絵を描いて具体の改革を進めるということをやりました。
 このとき、既にICTの利用の話とか、あるいは、患者の数がどうなるかといったシミュレーションもやっています。
 このとき、マンパワー必要量のシミュレーションをしているのですけれども、このときの推計だと、医療・介護で2015年に650万ぐらいという計算だったのです。今、医療と福祉全体で850万人がいるので、もちろん、障害とか子供もいるので全部ではありませんけれども、数量的に行くと、大体想定したとおりの数は今のところ確保できています。ただ、このときよりも人口推計が厳しくなっているので、2040年の人的制約というのは、このときの推計よりも多分大きくなるだろうと思います。
 その後、御案内のように、社会保障改革国民会議の中で、今、我々が取り組んでいる改革の考え方が基本的に示されていますけれども、右の一番下のほうに出てくるのですけれども、その考え方は2008年の国民会議のあるべき医療・介護の姿を踏まえてつくっているものだと言っていますので、先ほど言った2008年のフレームというのが現在でも続いていると考えてください。
 2014年に御案内の医療介護総合確保法がつくられて、この中で地域医療構想をつくること、国が指針をつくること、財源措置として基金をつくること、そして、地域包括ケアとの連携をすることが書かれて、今の制度が進んで、総合確保指針がつくられ、各地域で地域医療構想がつくられ、それを支えるものとして基金という財源が消費税財源で用意されているというのがこれまでの流れということになります。
 ちょうどいいですね。15分。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして江澤構成員からの御説明をお願いしたいと思います。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 それでは、ヒアリングの説明をさせていただければと思います。
 まず、日本の人口ピラミッドの変化ですけれども、2025年に75歳以上の人口が2割近くとなり、そして、2040年に向けて85歳以上の人口が増えてくるのは御承知のことと思います。そうすると、侵襲の強い治す医療よりも、治し支える医療を選択するケースが増えてきます。それによって今後の急性期医療のニーズの縮小化も予測されるところでございます。
 続きまして「2022年度病床機能報告について」ということの資料ですけれども、こういった資料をたびたび目にするわけですけれども、非常に病床数ばかりに目をとらわれるような傾向がございます。特に、当初から地域医療構想は病床削減の政策ではないかという、このレッテルを今後払拭していく必要は最低限あると思っています。したがいまして、病床数よりも病棟機能に着目することが重要ではないかなと思います。
 続きまして、こちらは「一般病床数・療養病床数の推移」ですけれども、地域医療構想の取組が始まりました平成28年、西暦の2016年からは、約6.3万床、一般病床・療養病床数は減っており、年間平均すると9,000床が減少している。これは自然減の結果ですけれども、こういった実態になっておりまして、トータルの必要病床数は、全国的なマクロの数字でいくと下回ってくるという状況にあります。
 続きまして、こちらは届出病床数の推移ですけれども、主に回復期と思われる回リハ病棟、あるいは地ケア病棟、そして、主に急性期と思われる一般病棟入院基本料ですけれども、回復期系が増え一般病棟入院基本料、急性期系が減っておりますので、いろいろ地域医療構想に全然進んでいないのではないかという御批判もある中で、一定程度進んできているとは評価をしているところでございます。
 続きまして、こちらは「入院料ごとの平均在院日数及び病床利用率」ですけれども、右の病床利用率を見ますと、どの入院料におきましても、利用率が6割から8割に大体収れんしているのが実態でございます。
 続きまして、病院報告による病床の利用率の推移ですけれども、こちらは経年的に、一般病床・療養病床ともに低下傾向にあります。
 続きまして、医療費の動向調査による受診延日数の伸び率ですけれども、これは全て対前年同期比でございます。したがいまして、令和2年度は、対前年比、コロナの影響を受けてマイナス5.6%になっておりますが、その後の令和3年、4年も、対前年度比マイナスという形になっておりまして、これは稼働率、利用率の低下を示しているものでございます。
 続きまして「入院料別の病床数の推移」で、特に急性期一般、あるいは地域一般の病床数ですけれども、全体的に横ばいでございます。ただ、急性期一般1、看護配置7対1の病棟が、直近で35万3000床とわずかに微増しているという形でございます。
 ここで、この急性期が病床機機能報告で多くてなかなか減らないといういろいろな意見もありますけれども、あくまでも7対1病棟を減らすための地域医療構想では決してないと考えておりますので、やはり地域の医療提供体制の最適化というのを各地域で考えていくのが地域医療構想でありますので、ぜひその辺りはしっかりと立ち位置を踏まえて議論する必要があろうかと思います。
 続きまして「入院料別の平均在院日数の推移」ですけれども、いずれも、急性期一般、地域一般、近年は平均在院日数は横ばいが続いておりまして、その一方で、平均在院日数が横ばいにもかかわらず、近年、経年的に病床稼働率は低下を示しています。
 続きまして、こちらは、右側が「療養病棟入院基本料届出病床数」ですけれども、こちらも近年低下傾向にあります。
 こちらは、療養病棟の平均在院日数ですけれども、こちらも近年横ばいの状況になっています。
 一方で、こちらも療養病棟においても稼働率は低下傾向にあります。
 それから、こちらは地ケア病棟の入院料と入院医療管理料ですけれども、こちらは創設以来順調に増加をしてきておりまして、さらに、こちらの回復期リハビリテーション病棟入院料についても増加傾向にあるという状況にあります。
 いろいろ調べますと、これは患者調査の結果ですけれども、2005年から20年にかけて、高齢者人口は1000万人増えており、要介護認定者数も約250万人増えており、そういった中で、年間入院患者数は2005年から減り始めて、今、2005年に対して25万人減少しています。この間に2005年から病床数も約10万床ぐらい減少をしているところでございます。したがいまして、今後の推計に当たっては、現状、投影型モデルは使いづらく、この辺りをどのように推計値に生かしていくかということになろうかと思います。
 続きまして「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱い」ですけれども、こちらは、厚労省の資料に地域包括ケア医療病棟を我々のほうで追記したものでございますけれども、これは病床を、これは医療機関が急性期だ、回復期だと思って当然届け出るわけですので、その辺りは十分尊重する必要があると思います。
 一方で、もう一つの見方として、病棟の機能に着目することも必要ではないかと思っておりまして、恐らく、この中で、右上にありますが治療室については高度急性期、あるいは療養病棟、あるいは障害者病棟については慢性期、あるいは回復リハビリ病棟の人は回復期、この辺りは、多くはコンセンサスが取れているだろうと思いますが、例えば、地域包括ケア病棟については、急性期、回復期、いろいろ届出があろうかと思います。また、今回、診療報酬改定で創設されました地域包括医療病棟、こちらは、13対1看護配置の地ケア病棟では受け切れない高齢者救急を主に担う病棟、そして、急性期一般医療の2から6、いわゆる急2から急6の移行の受皿として創設をされたところでございまして、制度上は回復期として創設された経緯もありますけれども、こちらも、恐らく現場においては急性期と届けるところもあれば、回復期での届出もあるという形で、この辺りをどのように共有していくかというのが重要なことで、まずは、届けている病床の機能の報告に加えて、病棟機能を、要は、この左の4つのどのフェーズに、どういった病棟が報告されているかが重要ではないかと思っております。
 続きまして、こちらは急性期充実体制加算と総合入院体制加算1~3の取得状況で、病床数の総計が22万5000床ありますけれども、これについては、多くの方が急性期、あるいは一部高度急性期と思っているわけでございます。
 したがいまして、病床機能報告による各医療機関の選択は最大限尊重すべきでありますし、その一方で、病棟機能の実態の現状も注視していく必要があろうかと思います。
 例えば、急性期一般の2~6、地域一般の1、2、3、地ケア病棟、回リハ病棟、これを仮に総計しますと約39万床程度になるわけでございますけれども、これを当然急性期と届ける医療機関もあれば回復期で届ける医療機関もありますし、それに加えて、実際どういった機能がなされているのかということは着目していくことでありますので、この辺りを両側面から見ていくということは重要ではないかなと思います。
 したがいまして、今申し上げましたように、病床機能報告を病棟機能報告のようなイメージで位置づけることが重要ではないかなと思っております。特に、現在、ケアミックス病院、いわゆる救急も受入れるしリハビリテーションも使われるし、慢性期の医療にも対応し、そして、在宅医療を行っている。こういった病院がどんどん増えてきますし、あるいは、今後、1つの機能や1つの入院料のみで、同じ基本料のみで運営する病院というのは今後さらに限られてくると思いますから、したがいまして、今後の、いろいろなこういったケアミックスを分かりやすくするために、しっかりと病棟機能で報告をして、その医療機関、病院がどういった病棟機能になっているかということが大変重要ではないかなと思います。
 また、一部には回復期という言葉がイメージが悪くて、機能報告をしないのではないかという御意見も伺っておりますけれども、もし仮に、回復期のネーミングを変えるのであれば、例えば包括期、すなわち、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟は、入院早期から多職種協同で包括的医療を提供して在宅生活につなげる、そういった医療で、そういったフェーズであれば包括期機能というのも考えられるのではないかなと思っております。
 続きまして、こちらは推計在宅医療患者数の推移ですけれども、患者調査では、2005年から2020年の15年間で21万人増えておりまして、続きまして、こちらは診療報酬のほうで拾っておりますけれども、平成28年から訪問診療件数は28.3万件増えています。
 続きまして、こちらは在宅時医学総合管理料、あるいは施設入居時等医学総合管理料、いわゆる在総管、施設総管の算定回数も、平成28年から約31万回が増えているという状況で、在宅医療は、これが伸びがまだ足りないのか、十分伸びているのかというのは、また議論が必要かと思いますが、当然右肩上がりになるというところでございます。
 また、介護サービス費、青色が特養、オレンジが老健、グレーが介護医療院でございますけれども、全体的には微増傾向にあります。ただ、例えば、オレンジの老健については、近年は少し微減、少しずつ減少に転じている状況にございます。
 これらの介護サービス施設・事業所調査による介護施設利用率の推移ですけれども、これは利用率ですけれども、近年、特養も老健も介護医療院も徐々に低下傾向にある状況にあります。
 それから、一方で、高齢者住宅ですけれども、右側の上から2つ目の有料老人ホーム、それから、4つ目のサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住、この辺り、2つ合わせて、今、86万戸が供給されております。
 そのうち、一番上が看・介護職員の3対1の配置となる特定施設、いわゆる特定施設でございまして、真ん中が住宅型、すなわち外部から訪問診療、訪問看護が入るようなサービス提供の形態。一番下がサ高住でございますけれども、いずれも濃いブルーから、右から3つ目の要介護3、4、5、いわゆる在宅医療を要すると想定される入居者の割合が、上から4割、5割、大体3割程度という形で、かなり在宅医療の提供の受皿になっているという状況でございます。
 したがいまして、地域医療構想においては、地域の介護施設や高齢者住宅でどういった介護サービス、あるいは、どういった在宅医療が提供されているかを十分に踏まえた議論が必要でありますから、ぜひこの辺りは介護の行政担当者、あるいは、介護の事業所の関係者が一堂に会して、地域医療構想から地域医療・介護構想という形で変革してく必要があると思っております。
 その上で、在宅医療は介護保険と親和性が高いので、介護保険の保険者である市町村単位を在宅医療の圏域とするのが原則、在宅医療の圏域というのは、これまでもいろいろ検討会でそういった意見が多々出ておりますけれども、在宅医療の圏域というのは、やはり市町村単位がふさわしいと思いますし、そして、地域に複数ある市町村を束ねて連携して、地域医療介護構想調整会議で議論していくというのは大変重要なことではないかと思います。
 その一方で、中ほどの調整会議ですけれども、やはり地域の特性がございます。今までお示したデータは、我が国全国のマクロのデータでございますから、地域によっていろいろ特性も全く異なってきますし、したがって、これまでのように二次医療圏の高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床数を決め打ちすることなく、弾力的に運用できるような、議論できるような素地が必要ではないかと思いますし、それから、これまでも仕組みはあるわけですけれども、人口が100万人、200万のようなところから、非常に人口過疎部のいろいろな構想区域がございますので、必要に応じて、分割であったり合併した議論というのは、今後さらに進めていくべきではないかと思っております。
 続きまして、日常生活圏域、いわゆる地域包括ケアシステムの日常生活圏域は、中学校区相当となっておりますので、こういった各日常生活圏域において、しっかりと、例えば在宅医療・介護医療ですね。今回の同時改定ではかなり手当てされましたけれども、こういった在支病とか地ケア病棟を有するような中小病院と、かかりつけ医、在宅医、特養の配置医師、介護施設等が、ふだんから顔の見える関係で、介護側からいつでも気軽に相談できる関係というものを、今後、進めていく必要があると考えております。
 まとめに入りますけれども「これまでの地域医療構想の現状と課題」につきまして、まずは、地域医療構想イコール病床削減政策のレッテルを払拭する必要がありますし、7対1を減らすためにここの議論しているのではないということでございます。
 それから、当初は、やはり病院経営者の「道標」。何を申しているかというと、これからはニーズがちゃんと、これからのいろいろなニーズを踏まえて病院はいろいろ歩んでいかなくてはいけない中で、ニーズがないのに、例えば過剰な投資をして多重化になることとか、そういったことがないようにという形に期待もされたところでございますが、実際、その辺りがどうであったのか。
 それから、介護関係者不在での在宅移行の議論がなされてきている現状。
 それから、「急性期」と「回復期」が、特に認識の差異が大きいのではないか。
 地域医療構想調整会議が地域によってはかなり事務的な会議になっている傾向があります。
 病床機能分化と連携は、それなりに推進はしてきていると考えております。
 最後に、まとめでございますけれども、「必要病床数」ばかり着目するよりも、「病棟機能」の見える化というのが重要ではないかなと思います。
 また、「急性期」「回復機」の認識、これは、当然、共有というか医療機関が報告するのは、当然そこは尊重すべきであるし、一方で、客観的な指標として、病棟機能に着目することも必要ではないかということを申し上げております。
 それから、「回復期」のネーミングをもし変更するのであれば、「包括期」とかそういったアイデアもあるのではないかということ。
 構想区域は、今申しましたように、規模に応じた「分割」や「合併」を弾力的に行う必要がある。
 それから、在宅医療圏域は原則「市町村単位」で、そして、構想区域と密なる連携を図っていく必要があるのではないか。
 続きまして、今、かかりつけ医機能というのが別の会議体で議論されておりますので、そういったところの進捗、あるいはかかりつけ医機能の報告制度、そういったことを踏まえたり、あるいは、地域の高齢者住宅、あるいは介護施設でどういった在宅医療が提供されているのかと、そういったことを踏まえた議論が在宅医療においては特に重要であると申し上げます。
 調整会議には、市町村・介護関係者の参加の下「地域医療介護構想」とするべきではないか。
 それから、「治し支える医療」の拡大を踏まえまして、今後、推計についてどのように考えるのかということであります。
 それから、地域の特性、やはりこれは地域の方々が一番分かっておりますから、地域の特性を踏まえて、また、地域の裁量というものも、少し拡大するなり、いろいろ含めていくということは必要ではないかと思っております。
 それから、医療機関の経営には大変大きな影響を及ぼしますので、ぜひ医療機関の健全経営というものを踏まえながらの議論というのは大変重要なポイントだと思います。
 最後に、昨今、医療・介護の動向の変化が非常に以前より早くなっておりますから、医療計画と整合した、6年ごとに少しずつ修正していくなり、見直しも、地域医療構想においては必要ではないかなと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、オンラインで相澤参考人から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○相澤参考人 どうもありがとうございます。
 それでは、画面を共有させていただきます。
 後期高齢者、特に85歳以上の高齢者の人口増加は、住まい、暮らしに何らかの支援や医療を必要とする国民が増える社会が我が国に到来するということが予想されますが、これは確実な未来であるということを我々は認識して、地域医療構想を考えなければならないと思います。
 次のスライドを御覧ください。
 住民が住み慣れた地域、住民が日常生活を営んでいる地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を実現・充実させることが国の方針として掲げられ、推進されています。
 このため、市町村は、地理的条件、人口、交通事情、その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況、その他の条件を総合的に勘案して、各市町村の高齢化のピーク時までに目指すべき地域包括ケアシステムを構築する区域を念頭に置いて、中学校区単位、地域の事情に応じた日常生活圏域を定めるとされていますが、住民が日常生活を送るための重要なインフラである医療に関しては、この日常生活圏ではあまり考慮されずに設定されております。
 次のスライドを見てください。
 日常生活圏には、住民が必要とする医療機関が必ずしも存在していないことも多く、例えば、診療所はあるが病院はない、病院はあるが診療所はない、診療所も病院もないなど、日常生活圏の医療事情は様々であります。このようなことから、身近な地域で日常的な医療を提供できる地域範囲、日常生活圏よりは広く従来の二次医療圏よりは狭いかあるいは同程度、以下、地域医療圏と称しますが、この圏域を設定し、住民の日常的な医療を確保する必要があります。
 次のスライドを見てください。
 日常生活圏の住民を医療面で支え、治し支える医療を行う医療、以下、地域型病院と申しますが、これは、これから急速に増加する高齢者の中程度から軽症の内科的急性治療を主として担うとともに、生活支援が必要な状況に陥る、または進展リスクが高い高齢者には、入院時から総合評価を行い、多職種協働のチーム医療により、医療の重度化防止や廃用症候群への進展防止のためのリハビリなどを行うことにより、生活機能の維持向上を図ることに加え、退院後の生活、療養支援の調整を行うなどの新たな急性期入院機能を整備することが必要となります。
 さらに、自院または他院における急性期治療後の生活機能低下をしている患者さんに対し、集中的リハビリを行っても回復の期待ができない場合、生活機能の維持を図り、退院後の安心できる療養生活を見据えた退院支援を行う回復期入院医療機能も必要となります。
 地域型病院は、重症急性期患者の入院治療は行わず、このような患者の治療機能を有する他病院(広域型病院)に治療を依頼するとともに、中等症から軽症の外科系急性期入院治療をどこまで行うのか、どこからは行わないかを、自院が有する医療機能と地域の医療事情を勘案した上で決断するということが必要となり、これが広域型病院との役割分担と連携を進めていくためには必要となります。
 地域型病院の外来は、その役割からして、当然かかりつけ医機能を発揮すべきでありますが、地域の事情と病院の特色により、一部の外来は専門外来機能を発揮する場合もありましょう。しかし、地域型病院の外来は、主としてかかりつけ医機能の発揮にあると認識すべきであります。地域型病院のうち、自ら在宅医療を実施する病院(地域密着型病院)は、在宅医療機能を発揮し、さらには病院外に活動を広げることにより、地域包括ケアシステムの構築に必要な役割を果たすことが強く求められます。自らは在宅医療は行わないけれども、在宅医療の支援を行う病院を、地域密着型病院との違いを明らかにするために、地域連携型病院とすることが望ましいと思っております。
 一方、広域型病院は、当然、紹介外来重点医療機関としての外来機能を発揮すべきであり、かかりつけ医機能は発揮すべきではないと思います。
 地域型病院と広域型病院は、地域医療圏よりも広い広域医療圏において役割分担を明確にして、相互に補完する機能を地域全体で発揮することが必要であります。1つの病院だけでは対応できない、多様化する医療ニーズに応えるためにも、病院の役割分担と連携は欠かせないと思います。
 当然、現在の医療提供体制では、病院数は少ないものの、医療のある分野にだけ絞った医療を地域医療圏内で発揮する病院や、広域医療圏において発揮する病院があり、必要な医療を提供していることも、地域全体での医療提供体制の構築に貢献していることも認識すべきであります。
 これまでに述べた病院類型を表にまとめてみました。
 病院を地域型病院と広域型病院に分け、さらに地域型病院を地域密着型、地域連携型、地域専門型、広域型病院を、広域型、広域専門型に区分して、かかりつけ医報告制度、外来機能報告制度、病床機能報告制度との関連性を示したので参考にしていただければ幸いです。
 これまでの地域医療構想が、病院機能分化ではなく、入院機能だけに絞った病床機能分化(実際は病棟機能分化)の下で議論を展開してきたことは、病院の機能分化と連携を推進するためには不十分であり、改善すべきと考えております。これまでの病床機能別に計算された必要病床数は、病床が過剰とならないための目安の数値として活用すべきであろうと考えます。
 地域医療構想を、病床機能分化から病院機能分化に変更することが必要であり、その際には、病院を、医療法で定められたかかりつけ医機能報告と外来機能報告及び病床機能報告の下で機能分化を推進し、役割分担と連携を強化することが必須と考えます。
 これが病院の機能分化を示した表でありますが、医療法における従来の一般病院の種別(左側)と新たな考え方(右側)における病院の種別についてスライドに示しました。
 一般市民としては、病床機能を示されても、病院を選択するための参考にはならないと思いますが、病院等の機能を明確にして示すことは、市民が病院を選択する際に大いに参考になるものと考えております。
 病院機能分化と連携をどの地域範囲で考えるかが、医療提供体制を構築する上で重要であるということは言うまでもないと思います。しかし、後期高齢者、特に85歳以上の高齢者の人口増加に伴う医療ニーズの変化に対して適切な対応が問われていることを考えると、従来の医療圏の考え方を踏襲するのではなく、視点を、日常生活の場としての日常生活圏に暮らす住民の日常的な医療をどのように確保するか、現在、病院として機能している病院機能をいかに活用して、今後の社会の変化に対応するかに変えて、医療圏を見直すことが必要と考えます。
 これまで、多くの都道府県においては、二次医療圏を地域医療構想区域に設定して議論を進めてきましたが、人口の変化や情報通信技術、道路網の整備など、社会の発展、変貌を考慮しますと、医療圏の基本的考え方を日常生活圏を基盤として、その幾つかの日常生活圏の医療を守る地域医療圏、地域医療圏の幾つかをまとめて、そこの医療を確保する広域医療圏という考え方に変えていくことが大事ではないかと思います。
 高齢者の医療ニーズに応えるためには、前述したように、地域型病院と診療所が連携協働して日常的な医療を提供する身近な地域を地域医療圏として設定することが必要であります。地域の事情と医療機関の偏在を考慮して、地域ごとに設定すべきでありますが、地域医療圏内には必ず地域型病院が1つ以上あること、病診連携が行われていること、在宅医療体制や病介護連携が構築されていることなどの日常的医療が、地域内で完結する条件を満たす地域範囲を都道府県が地域医療圏として設定することが必要と思います。
 地域型病院が担うことが難しい医療を提供する病院を広域型病院とし、この病院と地域型病院が病病連携により必要な入院医療を確保する地域単位を広域医療圏とすべきであると思います。
 広域医療圏には、必ず2つ以上の広域型病院があることを条件に都道府県が設定することがよいと思います。都道府県は、その病院が実施してきた医療提供や、医療機関のデータ、病床機能報告、外来機能報告、かかりつけ医機能報告のデータを基にして、必要な機能を有する病院と協議の上、その病院と協定を結ぶことで、地域型病院と広域型病院の確保を図り、協定を結んだ病院には、国・都道府県が何らかの支援を行うことにより必要な医療提供体制を確実に構築することが重要と考えます。
 病院の地域ごとのばらつき、偏在の是正は、病院を新たに建設したり、統廃合を進めて行うのではなく、病院ごとの役割を明確にした上で、現に存在する病院を生かし、圏域の範囲を調整することで医療提供体制を構築するという方針を中心に、病院機能分化と連携を進めていくということが大事だと思います。
 適切な病院機能分化と連携の構築は、病床機能分化を推進する方法や、診療報酬による病床機能区分を進める方法では達成できないと思います。病院が現在発揮している機能を基にして、病院を地域型病院と広域型病院に分け、各病院がその機能を強化することにより、病院の機能分化と連携を進めることが、医療資源が限られている中で、効率的・効果的な医療提供体制を構築する上で必要であると思います。この病院の機能分化により、国民にとって分かりやすく、利用しやすい医療提供体制が構築できるものと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして猪口構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。
 「地域医療構想に関する提言」ということをお話ししたいと思います。
 まず、全日本病院協会では、2021年度版の「病院の在り方に関する報告書」、ここでは、2040年を実は見据えた医療界に向けた提言というのを行っております。そこで一番中心として考えていましたのが、健康管理・医療・介護・福祉サービス、これを一体的に検討する。これが地域包括ケアシステムではなくて「地域包括ヘルスケアシステム」という呼び方で地域を包括的に検討することが必要と提言させていただきました。
 そして、今回は、1から6までのことにつきまして、本年の3月16日に提言を策定しております。右側がその本文で、このQRコードからそれを見られるようにいたしました。
 それでは、1つずつお話をさせていただきますが、今、高齢化の進行と地域性ということで、高齢化がもたらす影響は地域によって大きく異なっております。特に、大都市近郊では高齢者の絶対数は増加します。それに対して、高齢化の進行した地域では、高齢者数は横ばいなのですが、実は医療・介護サービスの提供者の不足が問題になります。
 ここに書いてありますように、大都市では高齢者が増加するのに対して、医療・介護サービス提供者は減少します。それに対して、高齢化の進行した地域は、横ばいですが、サービスの提供者が大幅に少なくなってしまう。こういう実情に応じた対策が必要だということで、下のほうに書いてありますけれども、地域における現状の分析、それから、健康課題の特定と優先順位の決定、さらに、地域医療構想への反映ということを行って、結果の評価が地域を主体に適切になされる仕組みづくり、これが必要であろうと提言いたしました。
 次のページがデータの活用です。
 今も厚労省を中心に様々なデータを利用し、多くのデータ構築を行っているのは分かるのですけれども、そこをリンクさせて分析するためには、使用する統計データが実施年が異なっていたり間隔が異なっていたりするので、それを統一しないと、なかなか実態が見えてこないのではないかというようなことを言わせていただきました。
 それから、自治体の有する医療・介護保険のデータですけれども、実は個人情報保護法についての考え方が自治体によって異なるので、利用可能な範囲とか手続などが標準化されていないというようなことがあります。そこで、やはりデータの利用範囲の標準化と、申請手続の標準化、迅速かつ円滑なデータ利用というようなことを行って、分析ツールを提供して、研修などの機会を強化することによって地域ごとのデータがつくられていくのではないかと思っております。
 実際の地域医療構想の範囲の見直しと必要(基準)病床数ですけれども、現在、基準病床数と必要病床数が異なっています。異なっているというのは、地域医療構想でももう示されていることで、これによりある程度混乱が生じていることは間違いないと。これを統合する必要があるだろうと考えます。それで、必要(基準)病床数と仮に書いてありますけれども、これを出すことによって各地域の病床数が見えてくるということになります。
 それで、下に行きますけれども、必要(基準)病床数というのは、現在、病床稼働率が、少し低くなっています。それから、入院受療率も低下傾向です。しかしながら計算上基準病床数は増えてしまい、そこには、当該医療圏で利用可能な医師、看護師などの人的資源も実は配慮されていません。これらを配慮して考えないと、病床数は出るのだけれども、必要な人員が配置できないので、病床が動いていないということは、実は過疎地域ではかなりこれが起きてしまっているのです。ですから、そういうことを早急に見直す必要があるだろうと思います。
 それから、慢性期の必要病床ですけれども、これは介護施設、在宅医療と綿密に関係しますので、そこのところをどう持っていくかというのは、一緒に含めた検討が必要だということを言っております。
 一方、地域医療構想の範囲の見直しと、今言いました必要(基準)病床数の算出ですけれども、まず、二次医療圏が2~3万のところから200~300万のところまであるということです。しかし、これをすぐに見直すというのは、都道府県の作業としては非常に難しいところもあるのだろうとは思います。したがって、この二次医療圏を、弾力的な運用をしたらどうかと考えております。具体的には、小規模な場合に、複数の二次医療圏を統合して運用するということで、医療機能を十分に、一つの単位の中で満たすことができるということです。
 それから、その基準病床数に算定するときの特定機能病院の病床除外と書きました。特定機能病院というのは全国に80幾つあるわけですが、基本的に、できたときから、これは都道府県単位、三次医療圏における高度な医療をつかさどるということになっているわけです。したがって、二次医療圏が中心である構想区域の中で、特定機能病院をどのように位置づけるかによって、いろいろと問題が出てきます。
 例えば東京でも、区中央部にはたくさんの大学病院があって、8,000床ぐらいそこでは基準病床数がオーバーになっているのですけれども、既得権ということで、これはそのまま置いてあるのです。でも、基本的には、それは、東京都が東京都全体の必要病床数を出した上で、まず特定機能病院の分を引いてしまって、残りを各地域で分けるというほうが現実的ではないかというようなことを提案させていただきました。
 それから、多くの都道府県において基幹病院というものがあって、基幹病院には多くの医師もいますし、患者さんはそこに流入しています。したがって、そこのベッドについてはある程度多くなっているわけですから、それと患者さんの流入分と病床数というのをバーターすることによって、本当に必要病床数が出てくるのではないかということを考えております。
 病院機能の分類についてですけれども、今まで10年ぐらいにわたって地域医療構想をやってきたわけですけれども、やはり回復期というのは非常に定義が曖昧で、どうも病床機能分類がはっきりしなかったということがあります。我々の提案としては、病床機能よりも、やはり病院機能としてある程度区分けをしていったほうが分かりやすいのではないかということで、下に書いてありますのが、左側が高度急性期病院、これは今の病床機能報告制度で言うと高度急性期と急性期になると思いますけれども、基本的に、先ほど言った特定機能病院のような高度な手術とか三次救急、しかも、範囲が三次医療圏というような病院は、高度急性期病院としても位置づけてしまっていいのではないかと考えます。
 急性期の病院はいろいろありますので、基本的には二次救急を行っており、二次医療圏が対応範囲となります。急性期といっても、回復期というか、ここではいい言葉が最終的に見つからなくて「post/sub-acute機能」と書いてあります。昔は亜急性期と言ったのだと思いますが、仮に置きました。こういうような機能と、それから、全日病がネーミングしたのですが、かかりつけ医機能支援病院、これは診療所と連携しながら、地域のかかりつけ医機能を発揮できる、そしてそれを支援する病院ということで、これもpost/sub-acute機能と回復期を含んでおり、地域包括ケアシステムと連動して、医療・介護連携を行って、主に市区町村の中で活躍している病院、主に中小病院が中心になります。
 慢性期はむしろ、介護のほうとの連携をどうするかということが中心になります。このような形の病院を機能分類することによって、医療関係者としてもどこに紹介するかということがはっきり分かりますし、まず、患者さんに見えやすい、国民に見えやすい機能分類というのが必要であろうと思っております。
 それから、今、いろいろと診療報酬改定等々でも問題になりました高齢者救急、この医療提供体制のことです。高齢者救急においては、地域の医療資源を活用して高齢者救急に対応するということが必要であろうと思います。これは、今申し上げましたかかりつけ医機能の支援するような病院、これは高次機能なことはできないかもしれませんけれども、高齢者の軽傷な入院などを想定した場合に、ここで十分に治療でき、その後地域に戻すということは十分に可能です。
 それから、二次救急病院としては、手術等も含めて十分に対応可能です。
 さらに、手に負えなくて、三次救急にお願いするという連携が必要になる場合もあると思います。このような形で高齢者には対応するのがいいのではないかと思います。
 今、各地域で、実は三次救急がERまで行って、一次から三次まで全ての救急患者さんをまとめて全部見るというようなことがいくつかの地域で起きています。実は、これをやると、そこのところに患者さんが集中し過ぎてとても見切れなくなっており、またそれを今度後方転送するという機能が難しくなって、一方、周りの病院が疲弊して二次救急を行えなくなるというようなことも起きてしまっています。こういうようなセンター方式は、あまり高齢者救急にとってはよろしくないと考えます。
 それから、今後の必要な対応として、ACPがあります。まだまだ現実問題として動いていないところが多いですので、これを推進することが必要です。場合によっては登録性とし、さらに登録内容の参照が可能な仕組みを構築することも考えられます。患者さんの希望する医療の提供が可能となるように、もしも救急車を利用する場合でも、救急隊にもそれが分かるというような仕組みが良いと思います。主治医がいるのだったら、主治医にもそれを確かめるということも必要になります。
 あとは、かかりつけ医機能支援病院を含む周囲の医療機関との役割分担をきちんと決めておくということが必要になると思います。
 最後に、医療人材の問題です。
 実は、厚労省のデータによりますと、医療・福祉分野の従業者数が、2018年が826万、2040年には974万人必要になるとされています。何と150万人増えるわけですが、実際には、2023年に出生した子が2040年にもう18歳人口になります。この人口が実は70万台なのです。ほかの産業もありますし、どう考えてもこのように増えることはないです。一方では、最近、円安で外国の方もあまり来てくれなくなっているし、高齢者の方で元気な方に働いていただくということも、それはいいと思いますけれども、それで置き換えられる数字ではないと思います。右側を見ても明らかに人口がこれだけ減って、生産人口が減っている中に医療・介護だけ増やすというのは、非現実的な話だと思います。
 そうすると、これから先2040年の医療・介護の提供体制を維持するためには、そのシステムを抜本的に見直す必要があると思います。システムを見直すときに、わずかあと10数年しかありませんので、早く開始しないと、システムはなかなかそんな見直しはできません。
 どういうことかというと、やはり医療DXをどこまで入れていけるか。介護の世界ももちろんです。それから、効率的な運用が必要です。診療報酬改定をずっと体験してきたところ、診療報酬である程度の点数を病院として上げるためには、人を増やして何らかの加算などを整備しないと、点数は増えないのです。その結果どうなっているかというと、恐らく急性期だと10数年前から10%ぐらい人件費率が上がっています。今度も人件費の問題が出てきています。そういう中で、人を増やさないと回らないシステムという見方を変えないと無理だと思います。すでに効率的な運用について真剣に話し合う時期がもう来ていますよということを言いたいのです。
 それで、あとは施設基準を、今度も新しい病棟の単位ができましたけれども、施設基準についても、その在り方について、今申し上げたようなことを考えながら、今からつくり変えていかないと間に合わないのではないかと危惧します。本当に施設はできて、認可も下りたけれども人がいなくて動かない、高齢者を見切れないというのが本当に目の前に来ているということを認識すべきだと思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、松田構成員からお願いいたします。
○松田構成員 松田です。
 地域医療構想に関連して、どういうデータをどのように活用するのかということを話せということですので、今日は福岡県の分析事例を話したいと思います。
 これまでの進捗状況に関する個人的な感想ですけれども、実はいろいろとツールをつくってきました。傷病ごとの患者数がどうなるのか。なかなかそれを活用してもらえなかったというのが、このデータを整備した人間としては、少し忸怩たる思いがあります。
 結局、そのためになぜ病床機能の配分の見直しをしなければならないのかということを考えるための具体的なデータの検討に基づく地区診断が不十分なまま議論が進んでしまったという問題点があると思います。
 今からお示ししますけれども、一つ、うちの教室でつくったAJAPAというソフトは、人口構造の変化に伴って、傷病別の入院需要とか外来需要がどうなるかということを推計するソフトです。これは、私たちだけではなくて日医総研も出していますし、石川ベンジャミン光一先生も出しています。
 それから、Newcarestというのは、2015年の性・年齢階級別、要介護別の介護サービスの利用状況が続くとしたらどのぐらいのサービスが必要なのかということを推計するソフトで、これもうちの教室のホームページからダウンロードできます。
 あとはSCRです。
 これはSMRと同じ考え方で、それぞれの地域の医療サービスの提供量とか介護サービスの提供量を、性・年齢階級を調整してどのぐらいになるかということをやるので、100より大きければ、それが多くやられる。100より少なければ少ないということで、これもう内閣府のホームページで公開されているものです。
 例えば、これは福岡県の医療圏別のSCRですけれども、今日お示しするのは福岡県福岡・糸島医療圏と飯塚医療圏ですが、見ていただいて分かるように、例えば、福岡・糸島医療圏でも全部そろっています。飯塚医療圏の場合には、これは療養病床が足りなくて、施設系の施設病院入院、その他入院医療とか介護サービスはかなりやられていると。ただし在宅は少ないと。こんなことがそれぞれ地域で分かるという意味です。今日は細かく説明することはやめますけれども、大体どういうものかということが分かっていただけたらと思います。
 それから、人口推計の結果ですけれども、福岡・糸島医療圏は国内で珍しく人口が増えてきたところです。そのため、若年層もかなりいるのですけれども、見ていて分かるように2020年か2040年で高齢者層、85歳以上の数が約3倍ぐらいになってきます。そのために外来需要も入院院需要もまだまだ増えるという地域になります。
 それから、介護のほうの影響が大きくて、仮に2015年の使い方を前提とすると、介護サービスの必要量が2倍に増えてきます。特に、施設介護は2.3倍ぐらいに増えてきてしまうということになります。
 あとは、DPCのデータがありますので、DPCのデータを見ると、MDCというのは診療科別だと思っていただけたらいいのですけれども、どこの病院が何をやっているかというのが可視化できます。これも経時的にデータが出ていますので、福岡・糸島医療圏の場合には、多くの急性期病院が患者数の多寡はあるものの、同じような診療パターンでやっていることが分かると思います。
 それを今度、MDCの01の中に絞って傷病別で見てみると、それぞれの病院が何を見ているかが分かるのです。そうすると、見ている疾患の多様性がかなり分かってくるのが言えます。
 例えばMDC04なのですけれども、比較的、上半分の数が多いところは多様な疾患を見ているのですけれども、下のほうの数が少ないところになってくると、肺炎と誤嚥性肺炎だけを見ているという状況が見えてきます。
 あと、これはMDC05で循環器ですけれども、これも数が多いところはたくさんいろいろなものを見ていますけれども、少ないところは、心不全とか慢性虚血性心疾患を見ているということが分かります。
 これは11です。11は腎臓系ですけれども、これも数が多いところはいろいろな疾患を見ているのですけれども、数が少ないところは、ほとんど尿路感染症の入院だけを見ているということが分かります。
 16は、量の多寡にかかわらず、ほとんど骨折だということです。
 あと、救急もこういう形で、福岡はすごく病院もあるので、こういう形で、いろいろな病院が救急をやっているのですけれども、見ていただければ分かるように、数の多い少ないにかかわらず、同じようなパターンでやっているところが分かります。
 あと、手術とか全がん、がんとかいろいろありますので、また見ていただけたらと思います。
 それで、あともう一つ、非常に重要でありながら使われていないデータとして、病床機能報告というのがあります。病床機能報告のデータも毎年毎年出てきていますので、それをうまく整理すると、例えば、病床稼働率みたいなものが計算できます。例えば、これは高度急性期、急性期だけを見ていますけれども、福岡・糸島医療圏の場合は、全体で見ると病床稼働率が80%ということです。要するに、地域全体として病床過剰になっているという状況が分かると思います。
 あと、これは常勤医師の割合です。これは医師の働き方改革から来るわけですけれども、大学病院の場合には、研修医を非常勤と数える場合があるので低くなってしまいますけれども、これも症例数が少ないところは、かなり常勤比率が低くなっています。アルバイトのドクターによっていろいろ回している状況がある。こういうものが、医師の働き方改革でどうなのかということが、特に救急との関係で問題になります。
 これを実際に図示したものですけれども、ただし、ここで、救急に関しては少し問題になるのが、地域医療構想でも地域医療計画でも、二次救急、三次救急の話ばかりしてしまっているのですけれども、一次救急のバッファがちゃんと回らないと、二次急、三次急の負荷が大きくなり過ぎて救急が駄目になってしまいます。そうすると、今、一次救急というのはかなり常勤割合の低い病院が見てくれているのですけれども、そこの一次救急の処理機能をどのように地域で確保していくか。ここをやらないと駄目だろうと思っています。
 それから、病症機能報告では、患者さんがどこから来てどこに帰っているのかも見るのですけれども、そうすると、これを見ていただくと、症例数が少ない病院というのは、かなり介護施設から患者さんを引き受けているということも分かります。それから、また、実際、どこに返しているかというと介護施設に返していることが分かります。さも高度急性期、急性期として出していただいているのですけれども、症例数の少ない病院は、かなりのところが介護施設とやり取りをやっているという状況が見えてきます。
 あと、これはDPCのデータで見ているのですけれども、細かい表で申し訳ないのですが、まず全体で見ると、これだけの20疾患ぐらいで大体合計数の4割になるのですけれども、これを、実は介護施設、社会福祉施設からの入院症例だけで絞ってしまうと、上位8疾患で半数以上を占めます。その上位8疾患は何かというと、一番多いのが誤嚥性肺炎。それから、肺炎、股関節骨折、尿路感染症という、いわゆる高齢者救急で問題になってくるような傷病がここにいっぱい出てくるわけです。
 こういう形で、ほかにもいろいろ分析しているのですけれども、それぞれ医療圏の地区診断というのをずっとやってきています。
 例えば、今までの分析を基にして、福岡・糸島医療圏の地区診断をやると、2020年まで人口が増加し、その後、漸減する。しかし、中高年層の人口増加により、入院需要は急性期から慢性期も含めて2040年以降も増加する。
 同じような診療機能を持った急性期病院は数多く存在する。ただし、入退院の状況を見ると診療内容に大きな違いがある。
 慢性期の医療・介護サービスを必要とする後期高齢者の絶対数が増加する。高齢者救急の対応が課題になる。
 SCRで見ると、全ての医療機能において全国よりも多くのサービスが提供されている。
 介護サービスのニーズが増加すると。
 現状を踏まえると、なかなか急性期医療の機能分化を迅速に行うことは難しいだろうと思います。ただし、後でまたデータを示しますけれども、高齢者救急の対応を具体的にどう考えるのか。これは、今の働き方改革の中で大きな転換ということが必要だと思います。どの病院が在宅医療を支援する病院になるかという具体的な議論を、多分、地域医療構想調整会議でやっていただくことが必要だと思います。
 鍵となるのは連携で、療養病床と介護施設は、このままいくと多分賄い切れなくなりますので、減らすというよりもどう維持するかということがポイントになるだろうと思います。
 あと、在宅医療の供給量を増やすことができるのか。外来の需要がまだ増えていくところで、そこで、今も全国よりも2割か3割ぐらい多くやっている訪問診療をさらに増やすことができるのか。多分、今までいろいろな委員の先生が言われているように、システムそのものを見直していかないとちょっと難しいのかなと思います。
 あと、慢性期から発生する急性期の対応をどうするのか。肺炎、骨折、心不全、尿路感染症、再脳梗塞、ここら辺が、いわゆる高齢者救急としてこれから増えてくるわけですけれども、ここをどのように見ていくか。端的に言ってしまうと、肺炎とか心不全とか尿路感染症は予兆がありますので、その早い段階でどのように対応していくかということを考えないといけないのではないかなと思います。
 あとは、地域医療構想の議論に、入り口、出口とかにも介護と在宅はかなり絡んでいますので、介護関係者、在宅医療の関係者が参加することが必要だろうと思います。
 同じような感じで、そういう意味で、先ほど来いろいろなところに出ている図ですけれども、ここのところを、在宅と介護施設を支える病院を、日常生活圏域よりちょっと広いところでどのようにつくっていくかということがすごく大事で、そうすると、今回出てきた介護施設を支援する病院の役割というのが非常に重要になると思いますので、この選定をどのようにやっていくかということが、地域医療構想調整会議等でも重要になるかなと思います。
 あと、飯塚はこんな感じで人口減少してきて、実は外来も減っています。深刻なのは、実は介護も需要が減ります。ここはもう一極集中でやっているので、形も、今までやってきたのとずっと同じようなものを示していますけれども、結果として、こう、地区診断をして、例えばこの地域だと、人口が急減に減少していくことを考えると、冒頭で香取委員が言われたことですけれども、高齢者のケアを受けやすい地域に集中できる重点政策を多分ベースでやってかないと難しいのだろうと思います。
 あとは、そうすると、医療と介護の連携、病院と在宅の連携をどのようにやっていく、スムーズな連携が必要になりますので、この枠組みとしては、既に函館で動いているような医療・介護連携サマリーみたいなのを使った情報共有というのをやっていくことが必要ではないかということを少し示しています。
 あと、高齢者救急に関して言うと、これから、実際、高齢者救急は今のままだったら増えます。救急全体が2.2倍、1.23倍か1.27倍になるのですけれども、ここで見ていただきたいのは、救急というのは75歳未満は減ります。75歳以上が増えるということで、これからすごく増えてくるのが、85歳以上の救急が2倍以上に増えてくる。ここをどのように見ていくかということがすごく大事です。そうすると、連携の枠の中でやっていかないと、やはり難しいだろうと思います。
 そういう意味で、地域医療のバッファをどうつくるのかということもすごく大事ですし、地域医療構想調整会議では、この高齢者救急の話をしっかりと話し合っていただくことが大事なのだろうなと思います。
 これはRapid Response Systemを地域レベルでつくるということです。
 あと「在宅医療の時代がやってくる!」ということなのですけれども、在宅医療の考え方を厚労省の研究費で少し整理させていただきました。
 結局、在宅医療というのは慢性期をどう見るかという話なのですけれども、慢性期を見るのは、在宅で見るのか入院で見るのか、あるいは介護施設で見るのか、この3つしかありません。だから、例えば入院機能がすごくしっかりしているところは在宅医療ニーズが減ります。だから件数はマイナスになります。介護施設がすごくたくさんあるところというのは、在宅医療のニーズが減ります。だから、ここはマイナスなのですけれども。
 例えば、代替施設とか入院医療がすごくたくさんあるところは何かというと東北地方です。東北地方は療養病床が足りないのですけれども、一般病床と介護施設がたくさんあります。だから、非常に診療所が少ないところですので、そもそも在宅医療ができない。そういう構造のところで、在宅医療を、ニーズとしては出てくるのですけれども、無理に膨らませようとすると、多分地域は破綻してしまう。そうなると、地域資源の状況を考えて、慢性期をどう見るかということになると、東北地方とか山陰地方のように、そもそも診療所がないところは、今ある入院機能とか、今ある介護施設をどのように生かしていくかということを考えないと駄目だろうと思います。
 その上で、例えば福岡とか東京のように、介護施設とか入院機能に制限があるところは在宅医療を増やさなくてはいけないわけです。では、在宅医療を増やす上で一番大事なのは何かというと、分析をしてみますと、緊急時の対応機能です。入院の受皿があるのか、緊急往診ができるのか、そういう体制があるかないかと一番大事で、2番目が、同じようなケースになりますけれども、在宅人材で、特に訪問看護、訪問診療をやれる体制があるのか。
 それから、3番目が、実はサ高住が出てきます。要するに、在宅をやりやすい住環境があるのか。その上でさらに在宅支援機能が違ってきますので、そうすると、どう考えても在宅を増やすためには、このところ、要するに、今回のもので言うと、在宅を支援する病院群をどうつくるかというところが非常に重要になってくるということになります。
 検討の基本的な視点ですけれども、福岡市と嘉麻市、これは、人口構造の変化を見ていくと、それぞれの地域の傷病構造の推移、介護需要事業の推移が分かりますので、それに基づいて慢性期をどのように見ていくのかということを考えていただくということが大事だろうと思います。
 例えば、福岡市のように、多分、介護施設のニーズが2.3倍になるからといって、施設介護を2.3倍にしてしまったら、多分介護保険料はもたないと思います。そうすると、こういうところでは、もう在宅医療を増やさざるを得ないわけで、そうすると、地域医療構想調整会議の中では、在宅医療を支える病院群をどのように整備してくということが議論の中心になる。
 一方で、嘉麻市のように介護の需要が減ってきている。なおかつ、外来需要も減ってきて、そもそも診療所が減ってきているわけですので、それでも一定以上の慢性期が増えることになると、在宅医療を増やすよりも、今ある施設介護、療養病床の機能を維持するという議論をすることが合理的だろうと思います。
 結語は、今話してきたことですけれども、いずれにしても、いろいろな委員の方がおっしゃられたように、地域医療構想とか地域医療計画の目的というのは、地域のニーズに合った医療提供体制を構築することですので、そうすると、日本は成熟化した社会ですので、実は人口構造の変化で医療・介護のニーズが決まってきます。それは10年先、20年先、かなり明らかな未来なので、それを踏まえて、先ほど香取委員がおっしゃられたように、バックキャストでそれぞれの地域で何が必要なのか。それを必要とするときに、いろいろな人的支援とか物理的な制約があるから、それを踏まえた上で改革をして、こういうような形でやってくのがいいのではないかということを皆さんで合意していただくということが、将来、重要なのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 以上で5名の構成員、参考人の方々から御発表をいただきました。大変貴重な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御発表を受けまして、御質問、御意見などをいただければと思いますけれども、まずは対面で御参加の方から何人かお当てするという形にしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 それでは、特段手も上がらないようですが、よろしいですか。
 では、オンラインで御参加の方で、何か御意見、御質問はございますでしょうか。
 今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 今村です。
 すばらしいプレゼン、ありがとうございます。先生方の発表、共感できるところが非常にたくさんありまして、これからの問題がよく分かりました。
 江澤先生と松田先生に教えていただきたいことがあるのですけれども、私、将来推計を頑張っていろいろとやっている中で、今、それぞれ御発表がありましたように、医療と介護と在宅の連携した将来推計というのが必要だということは、かねてから言われているのですが、その中で、今、介護施設が結構空いてきているという、稼働率が落ちてきているということをどう理解するかということに苦慮しております。
 推計値は何度か、それぞれの先生方も出していただいているように、1.5倍に増えるというような数字が出ている中で、総数としての稼働が落ちてきているというような状況があって、それは慢性の病床もそうなのです。この前提を置かないで、将来推計が随分変わるという問題が非常に大きいので、今、それぞれの現場に携わっている先生方から見て、この現在の傾向が続くような状況なのかどうかということです。
 私が知っている範囲で情報を考えた中では、まず、ここ2年ほどの死亡率が上がっていまして、予想よりも20万人ぐらい余分に亡くなっている計算になるであろうということ。コロナがあって入院控えが起こっているであろうということ。あと、マンパワーが現実に不足して介護のほうも準備ができないということもある。その中で、この傾向が結局続くかどうかというのが将来の推計には非常に大きく影響するので、その辺について、先生方がどうお考えか教えていただければと思います。お願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、お名前が出ましたので、江澤委員からお願いいたします。
○江澤構成員 今村先生、御質問、誠にありがとうございます。
 在宅医療の提供が伸びているのはお分かりだと思いますが、ただ、この中には、特に地方に行きますと、一軒一軒の在宅よりも、多分、介護保険3施設で見る在宅医療のほうが多いのが実態ではあるのですが、一方で、最近では高齢者住宅がかなり伸びを示してきていて、そこで行われている在宅医療、いわゆる、施設総管に相当するものが在総管よりも伸びが高く、ですから、かなり高齢者住宅というのが在宅医療の提供の場に一つはなっているのだろうと思います。
 それから、もう一つは、疾患別で言いますと、やはりがんの看取りが増えている中で、がんは、やはり在宅看取り率が高いというデータはありますから、やはり、がんはかなり在宅で看取られている部分ではないかなと思っています。
 それから、老健については、最近、在宅強化型が徐々に増えてきていて、非常に在宅率も高く、以前よりは回転性が高まっているので、そうすると、おのずと稼働率は落ちてくるという傾向にはなりがちでございますので、そういったいろいろな細かいことが積み重なってのことと思います。
 一方で、冒頭に申しましたように、治す医療と治し支えるの役割分担と連携が推進され、特に、高齢者において、緩和する医療、がんを抱えて生きる医療、あるいは看取るためのターミナルケア医療、こういったものが増えているのは確実でございますから、かなり在宅医療の選択というものが増えていて、その辺りのいろいろな国民の医療の選択も含めて、総合的に、今、介護施設の稼働が徐々に落ちているのが実態だろうと思います。
 それから、もう一つは、介護もかなり施設ケアを受けるためには一定程度の費用負担がかなりかかってきますから、そこが果たして今の介護保険の費用負担の仕組みで賄えていけるのかどうかというところも見ていかないといけないと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 松田構成員、何かありますか。
○松田構成員 施設介護の需要が減っている原因は、明らかにサ高住というか、いわゆる住宅型のところで見ているものがすごく増えてきていることだろうと思います。あと、COVID-19の影響がどのくらい続くかということですけれども、そこは多分一時的なものだろうと思っています。
 ただ、その一方で、これから団塊の世代の方たちが85歳を超えてきてたくさん死ぬ、多死社会になってきます。多死社会になることで、恐らく終末期をどう生きるかということに関する、いわゆるいろいろな議論がされてくるのだろうと思っています。それがどういう影響をするかということを、これから考えなくてはいけないのですけれども、多分、そこはなかなかやはり決められないので、そうすると、少しをオーバーエスティメーションになってしまうかもしれないのですけれども、一応、現行ベースとして、どういう傷病構造になっていくのかということを推計して、それをどう見るのかということをやるしか方法はないのではないかなと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○今村構成員 ありがとうございます。現状の問題点が共有できたと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 高橋構成員、今の話に関連しますか。先に挙げている方がいらっしゃるので、関連するのであれば。
○高橋構成員 関連します。
○遠藤座長 では、高橋構成員、お願いいたします。
○高橋構成員 前回もお話しさせていただきましたけれども、今、稼働率が下がっているというのが、私、一番関心事でありまして、今度、5月のときにお話しさせていただきますけれども、認知症の発生率が下がるという『Lancet』の論文は私の感覚にすごく合っておりまして、学歴と認知症の発生率というのは非常に関係して、これから、認知症の発生率の高い小・中卒の人が非常に減って、高学歴の人が増えてきて、それで認知症の数が減るだろうという予測があって、これは精神科の先生とかにも聞いても感覚的に合っているなという人が非常に多いので、私は、これから、認知症の増え方というのは予測よりも下回るだろうと見ております。
 それから、皆さんも感じている、高齢者がどんどん元気になってきてという形で、特養に年数がどんどん遅くなってきていることは間違いなく起きてきています。ですから、そういう意味で言うと、1人の人が処置で使う介護量、療養量というのが、今、減る傾向にあるのではないか。数は増えても人の使用量が減れば、総量は変わらないという形になりますので、それをどう組み込むかということが、今回の計画を考えるときに非常に重要なポイントになると思いますので、5月のときにできるだけ資料を集めて整理をして、そこの、今村先生と同じ疑問を持っているところに関して、私なりの見解を述べさせてもらいたいなと考えております。
○遠藤座長 貴重なコメントをありがとうございます。
 それでは、オンラインで、お待たせしました小熊構成員、お願いいたします。
○小熊構成員 ありがとうございます。
 今日は5人の先生にすばらしい御講演をいただき、ありがとうございます。まず御礼を申し上げたいと思います。その中で、私がお話を聞いていて思ったことを述べさせていただきます。
 1つは、今後の地域医療構想というものに、今までは医療、しかも、病院機能だけの地域医療構想と言っていいと思うのですが、そこに、外来医療だとか介護とか在宅、そういった地域に密着したといいましょうか、高齢者医療に非常に不可欠な要素を取り入れようとしていると。これは非常に私どもも歓迎すべきことだと思うのですが、今も申しましたように、今まで検討されてこなかった領域が新たに入るものですから、病床機能だけでなくて、先生方がおっしゃるように、病院機能、あるいは、病棟機能を明らかにしろとか、介護との関係をどうするか、在宅との関係をどうするかなどの検討が要ります。
 そのためには、診療所の働きが、そういった細かいことにおいては絶対に必要になると思うのです。今まで診療所の先生は地域医療構想にあまり、医師会の代表者はかかわっていたかもしれませんが、個々の先生が入っていることはないと思うのです。ですから、そういった問題を新たに展開していかなくてはいけないのではないかなと私自身は思っております。
 やはり働き方改革とかかりつけ医機能、それから、医療人材の欠如、この3つはどうしても避けて通れない問題で、しかも、地域ごとにこの状況が全く異なると私は思っております。ですから、全国一律に物を考えることはできなくて、大都市圏とか政令指定都市群、あるいは県庁所在地群のような都市群、それから、それを外れたような小都市群、それから、さらに我々がよく担当している地方の田舎ですね。人も減り、物も減り、施設も減っている、ないという、そのように分けて考えていかなくてはいけないのだろうと私は思います。
 特に大事なのは、病院の機能、病棟の機能というのを明確にして、この機能はこのレベルの病院は持ってはいけない、この病院はこっちに力を注力しなくてはいけないというようなお話も非常に大事だと思うのですが、地域によっては全てフレキシブルに活動しなくてはならないところもあるのですね。それは地域ごとによって違うので、そういったことを、きちんと都道府県、あるいは市町村を中心に、日常生活圏からそれを拡大したもの、それから、二次医療圏にしたもの、さらに広域型にしたもの、そういうようなことを全て論理的に出していかなくてはいけないのではないかと思うわけです。
 そのためには、皆さんがおっしゃったように、新しい情報、新しいデータを用いて未来に向けての必要な事項を検討するというのが非常に重要だと思うのです。こういうこと言うと松田先生に大変申し訳ないのですけれども、松田先生のデータがどうして全国で採用されないのか。先生のデータを用いてやると、必要病床数、必要人員、いろいろな必要な介護、そういったものがきちんと出るような気がするのですが、そこいらの、実際、例えば我々のような素人に先生のデータをどう解釈したらいいのかというようなことが本当に理解できていないということがあって申し訳ないのですが、そのお考えを松田先生から御説明いただけないかなと思って手を挙げさせてもらった次第です。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 松田構成員、コメントがあればお願いいたします。
○松田構成員 データの分かりやすい提供ということに関しては、関わった者として少し努力不足だったなと思っています。今のおわびといってはなんですけれども、全国の二次医療圏単位の、先ほどお示ししたような地区診断を取りあえずたたき台として僕のほうでつくらせていただいています。それを、今年の前半には何とか完成させたいと思っているのですけれども、それを提示させていただいて、これはうちの教室のホームページに張りたいと思っていますけれども、それをたたき台にして議論していただけたらと思っております。データの出処とか加工の方法とかも含めて全て公開する予定ですので、使っていただけたらと思っています。
○遠藤座長 小熊構成員、よろしいですか。
○小熊構成員 松田先生、厚かましいお願いついでに、もうちょっとお願いしたいのですが、公表するだけではなくて、こうやって使うのですよ、こうやって先生のおつくりになられたデータが、実際に地域医療構想につながるのですよ、それにはこうするのですよというような分かりやすい御説明をいただけないものでしょうか。大変厚かましいお願いだとは思っているのですが。
○松田構成員 コロナがあったのでできなかったのですけれども、毎年、ずっとハンズオンのセミナーをやってきています。これは議事録は残るのですか。僕も少し年を取ってしまったのでなかなか動けなくなってきてしまっている部分があるのですけれども、DPCのときは全国を回ってデータの使い方のハンズオンセミナーをやったのですけれども、今年は頑張って、地域医療構想に合わせて出てきているデータの活用方法のハンズオンセミナーを全都道府県でやりますので、またよろしくお願いします。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、東構成員が手を挙げておられますので、東構成員、どうぞ。
○東構成員 ありがとうございます。
 各先生方から本当に大所高所に立った御意見、御提案、ありがとうございます。
 私からも感想を5つほど、それから、要望1点と質問1点したいと思います。
 香取構成員もおっしゃっていましたし、ほかの委員もおっしゃっていましたけれども、まず、地域の実情が今後大きく異なってくるので、それを考慮した議論が必要だということは、私もそのとおりだと思います。さらに、江澤構成員もおっしゃっていましたけれども、医療機関の議論だけでは駄目で、やはり介護施設や介護サービスも含めた包括的な議論が必要ということにも私も賛成でございます。
 それから、回復期につきましては、その定義、ネーミングに少し問題があるのではないかという御意見もございました。これは私の専門外でございますけれども、こういう議論も今後必要なのかなと考えます。
 それから、高齢者救急、また、高齢者医療についても大きな問題があるということ、これは後で質問のところで申し上げます。
 最後に、医療・介護福祉サービスの人材のことを少しお話ししたいと思います。
 これは、先程のプレゼンでも今後大幅に不足するという御指摘がございました。特に、介護分野の介護人材不足につきましては、我々介護分野におきましては喫緊の課題がずっと続いておるわけでございます。それにもかかわらず、国土交通省は、かなり以前から、サービス付き高齢者住宅(サ高住)の開設に1床当たり約100万円ほどの補助金を出していたと記憶しております。そういうこともあって、サ高住の増加率というのは目覚ましいものがあって、今やもう過剰と言っても過言ではないと私は考えております。そして、このサ高住が増えますと、ほぼ漏れなく訪問介護とデイサービスがついてまいりますので、当然ながら、介護人材がどんどんとまた必要となるわけでございます。
 そういう中、ここへ来て、医療機関にも介護人材を入れたらどうかという御意見も耳にするようになりました。しかし、今後、我が国の生産年齢人口はどんどん減り続けるということ、これは現実でございますので、これ以上介護人材をあちこちに振り分けるということは無理でございます。ですので、新たな箱物をつくるとか、介護人材をまた振り分けるというようなことではなくて、今ある社会資源、これをいかに有効に活用すべきか、ということを考えるべきであって、医療機関で仮に認知症等により介護が必要になれば、できるだけ認知症が得意なところ、介護分野にその方をすぐつなぐとか、そういうようなことも含めた地域医療構想の議論が必要ではないかと思います。
 要望を1つ申し上げます。
 資料1の3ページ「新たな地域医療構想の主な検討事項(案)」に、「主な課題」と、右側に「主な検討事項」という記載がございます。その中に「主な課題」の中で言えば、3つ目の○の最後のほうに「在宅医療の強化、介護との連携強化等が必要」という文言があります。そして、右の検討事項のところの3つ目の○に「介護連携」という言葉が使われております。しかし、これはどれも、医療サービスと介護サービスがどう連携するかという視点にとらわれている資料ではないかと私には見えてしまいます。今後は、介護保険サービスにおける医療機能というような視点も踏まえた検討をお願いしたいと思っています。
 介護保険サービスにおける医療機能、これは軽度の医療ニーズがある要介護高齢者の対応を介護保険サービスで対応するというようなことも踏まえて、今後の地域の病床等を検討していっていただきたいと思います。
 最後に、1点質問ですが、猪口構成員の資料5の9ページに「高齢者救急を想定した医療体制の構築」とあり、その必要な対応として「ACPの推進と、登録、登録内容の参照が可能な仕組みを構築し」云々との記載がございます。現在、高齢者救急におきましては、本人も家族も望まないような救急医療が提供されている実態もあります。そういう意味で、今はACPという言葉が、看取り、ターミナルを想定されて使われていることが多いと思いますが、今後は、このACPという言葉が、ターミナル、看取り期だけではなくて、プレターミナル、その前の医療ニーズに対してどの程度の医療を御本人や御家族が望んでいるのかという意味でもACPという言葉が使われるべきだと考えています。猪口先生、お考えを聞かせていただければありがたいです。
○猪口構成員 御質問、ありがとうございます。
 ここでACPを使ったのは、本当に、いわゆるアドバンスケアプランニング、ですから、御本人の意識がはっきりしているとき、御家族とよく話し合って、最後はどのような形を迎えるのが自分としては好ましい、家族もそれを納得するというところから始まっているわけで、それが、でも、現実的にはそこの判断がもうできないような状況のACPをどうするのか、ここはやはり家族が、今までの御本人がどのようなお考えで生きてきたかというようなことでやはりつくる。つくったものが、今度、何かのときに救急車が来て、この人はこのように考えていましたということをすぐにちゃんと示せるように、皆さんがちゃんと準備をするということで、いわゆるターミナルの、例えばDo Not Resuscitation(DNR)とか、そういうものとACPとは明らかに違うものだと私は考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 時間が大分迫っておりますので、できるだけ多くの方からの御意見を頂戴したいと思いますので、御意見は簡潔にお願いできればと思います。
 大屋構成員、お願いいたします。
○大屋構成員 本日は大変勉強させていただきまして、どうもありがとうございます。
 私のほうは医師の育成に関わっておりますので、それに関連して御質問させていただきます。
 今日の中では、やはり医療・介護、それから、福祉関係の連携だったり、それが地域ごとでというようなお話が随分出てきて、なおかつ、医療者が足らないというようなことも随分出てきたと思います。今の医師の育成課程は、研修をしてもらって幅広く勉強した後は、専門医を目指して専門医機構の専門医のプログラムに入って取ります。取った後どうしているかというと、皆さん専門の病院に勤めて、その後の皆さんの希望は、若い先生方の希望は、専門のクリニックを開業するということになっていって、そのようなキャリアパスの中では、今お話があったような、介護と非常に密接に関わる分野の勉強なり、福祉との関係、そして、地域との連携というようなところ、地域包括ケアの病棟の主治医になってどんなことをやるんだということをどこで勉強するのかということに関しては、あまりないのです。
 正式のプログラムがそういう学ぶ又は研修する仕組みが、いわゆる、しっかりした仕組みがありませんので、それをある程度つくっていかないことには、なかなかそこで求められるような医師を確保するのも難しいかなと思いますので、そこについて、どのように、解決策がないというのは重々承知しているのですけれども、特にこの件について発言された江澤先生と相澤先生にお考えだけでも少し教えていただければ、我々もいろいろ考えていきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、まず江澤構成員、お願いします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 これは大屋構成員のおっしゃるとおりでございまして、これまでもさんざん議論されてきました。特に、医学教育の問題で、地域の研修、いろいろな介護施設も含めた研修も増えてくる中で、どうしても臨床実習の臓器別の研修というものに目が行きがちになるというのがまだまだ実態だと思っています。そういった中で、今日の御発表の皆さんに共通していたように、高齢者救急であったり、臓器別の専門家のみの医師というよりは、地域では、幅広く総合的に患者さんを診られる、あるいは介護とも連携しながら、そして、在宅医療の見直しが要るというのは、これは明白でございますので、御指摘のとおり喫緊の課題と思います。
 特に、今、我々の医師会でも、組織力強化ということで、勤務医の勧誘をすごく今活発にしているのですけれども、そういった医師会とか、いろいろな地域での活動のチャンネルを増やして、ぜひ、そういった在宅医療とか地域包括ケアの推進に興味を持っていただいたり、身を投じていただく医師というのは、これから養成する必要は、そのニーズは確実にございますので、その辺りはいろいろ総合的にまた取り組んでいく課題ということで、また、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 実は、相澤参考人も御退室されておりますので、よろしゅうございますか。
○大屋構成員 分かりました。
○遠藤座長 ほかにございますか。
 それでは、土居構成員、お願いいたします。
○土居構成員 5人の先生方のプレゼンテーション、どうもありがとうございました。私も大変勉強になりました。特に、病床機能の4機能についての新たな定義づけをより現実的に考えていくということには非常に示唆を多くいただいたと思っております。
 ただ、小熊先生から松田先生のデータが必ずしも浸透しないのではないかという御意見があったと思いますが、私は、松田先生のデータ分析に大変敬意を表しておりまして、今の地域医療構想を策定する際には、香取構成員もこれまでの経緯を御説明されましたけれども、それまでは、医療機能にまつわるシミュレーションをする際には、平均退院日数の短縮という形で、かなり機械的にそれをしていたということだった。それが、現場サイドからすると、しゃにむに平均在院日数を短縮せよというのかというハレーションも当時はあったように記憶しておりますけれども、それをまさにDPCデータなどを分析することを通じて、医療資源投入量で病床機能を分化するというところに初めて成功したというのが、私にとっては、この地域医療構想の、今の地域医療構想の中では一つの画期的なものだったのではないかと思います。
 ただ、御指摘のように、現状不十分なところがあるということも、これまたそのとおりだと思いますので、今後は、ぜひとも松田先生にも御活躍いただくとともに、厚生労働省からも、今後、各都道府県で地域医療構想を新たにつくる際には、そうしたデータの分析方法とかデータの読み方だとか、そういうところを、恐らくはまた策定ガイドラインをおつくりになられるのだと思いますけれども、さらにそれのコメンタールというか、より詳細な解説を厚生労働省からも各都道府県にしていただくということを通じて、よりデータに基づいた分析及び、それを地域医療構想を新たにつくる際の素地にしていただくということが大事かなと思います。
 私は、松田先生に2点だけ御質問させていただきたいと思います。
 まず、救急についてですけれども、当時も救急の分析を松田先生はされていたと記憶しておりますけれども、必ずしも今の地域医療構想では、それがデータでダイレクトに反映されるということにはならなかった。だけれども、これほどデータがしっかり出てきているということですから、今後、新たな地域医療構想を策定する際には、救急のデータも活用しながら、地域の医療提供体制を考えていただくということに役立てられるのではないかと思うのですけれども、救急医療のニーズ、ないしは搬送の経路といいましょうか、どの病院に搬送されているかというようなところの分析と、今の病院の病床機能との関係というのをどのように見るのかというところについて、何かお考えがあればお聞かせいただきたい。
 もちろん、患者の病状に応じてその機能が位置づけられるというところは、これまではそうだったわけですけれども、必ずしも、病床機能のそれぞれの機能においての医療ニーズというのは、救急搬送された患者なのか、別にそうではなくて、外来から入院された患者なのかというところは問わずの医療需要というのが、今までの地域医療構想ではそういう測り方をしていたように思った次第でありまして、もし何かお知恵があればお聞かせいただきたい。
 それから、もう一つは、今後の地域医療構想のデータで裏づけていくという点においては、医療機関や介護施設という点での需要というだけでなくて、それぞれの機関や施設を結ぶ線で、どの介護施設からどの医療機関に移った方がどのぐらいの度合いでいらっしゃったかというような部分の、この線の需要といいましょうか、その人数の把握というものも重要になってくると思うのですけれども、もちろん、それは施設だけではなくて在宅も含めてですけれども、これはデータがありそうだとは思うのですが、そういうものを今後の地域医療構想の新たな作成の際に活用できるかどうかというところについても、可能性についてお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 松田構成員、いかがでしょうか。
○松田構成員 救急の搬送経路の分析はもうできます。これは2種類データがあって、1つはDPC、1つはレセプトのデータを使うことでできます。直近で出すと思うのですけれども、DPCのデータを使うと、年齢階級別にどういう傷病で搬送されたかということが分かります。それに先ほどお示しした将来推計をかけていくと、その地域でどういう救急が増えてくるかということ分かりますので、これはできます。
 それから、もう一つ、救急に関しては、DPCのデータだけになってしまうのですけれども、ジップコード、郵便番号が入っているので、そうすると、それぞれの傷病について、どのぐらいの距離を運ばれてきたのか、それが二次医療圏域で完結しているかしていないか、そういう分析ができます。そうすると、いろいろやってみると、この国の今一番大きな問題は、実は高齢者の救急は割と身近なところで圏域でかかっていて、しかも、先ほどの線の分析で言うと、それぞれの病院が受け付けている介護施設というのは、大体一定しています。ですから、かなり連携ができていることが実際見えるのです。あと、だから、それを今度の新しい仕組みの中で、どのように連携関係をちゃんと契約していくかだと思います。
 問題は、周産期がやはり地域によって物すごく搬送距離が違う。この周産期に関しては、そういうデータに基づいて計画的にやっていくということをやらなくてはいけないのだろうと思っています。そういう意味で、今のデータをつなぐ、特に、今回、ナショナルデータベースと介護データベースとDPCのデータがつなげて分析できるようになりましたので、それを使うことによって救急の実態というのはかなりきれいに見ることができるだろうと思います。
○土居構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 大体予想された時間が近づいていますけれども、何かこれはというのがあれば、あとお一方ぐらいは可能かなと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 では、高橋委員、簡潔にお願いいたします。
○高橋構成員 今日、何人かから出てきた議論の中で、人手不足をDXでどう補うかという話が出てまいりました。安倍内閣のときに、未来投資の中で、センサーを入れたときに0.1人人員削減していく、今、0.4人になりましたけれども、そういうようなものがなかなか推進しないことがありますので、どういうような項目をDXでやって、それをやるかということを早めに方針を出すということがすごく大事だなということを、特に、猪口先生の話を聞いて感じました。
 私、そこに関わって、データを検証するのに1年半かかりまして、ぎりぎり2018年に間に合ったという形になりましたけれども、これは決めたからすぐ点数化するとかはできないので、時差がありますので、これはDXを人手不足に生かすためにどういう項目が今後有用かというのは、ぜひここの中に入れていただきたいなと感じました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御提案、御要望として承りました。
 まだまだお話しされたい方はいらっしゃると思いますけれども、このようなお話は、基本的に今日でなくてもいつでもまたできるようなお話でありますので、今後、また御意見を頂戴したいと思いますので、本日は予定の時間が近づいておりますので、議論はこれぐらいにさせていただければと思います。
 それでは、本日、様々な御意見をいただいておりますので、事務局におかれましては、今後の検討のための材料として扱っていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に事務局から何かございますか。
○松本課長補佐 事務局でございます。
 次回の検討会については、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日の検討会はこれまでとさせていただきます。本当に貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
 

(了)
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