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2024年3月29日 第1回新たな地域医療構想等に関する検討会

医政局

○日時

令和6年3月29日(金) 10:00~12:00

 

○場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 7階 カトレア
東京都千代田区六番町15

 

○議事

○淺野課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 座長選任までの間、進行を務めさせていただきます医政局地域医療計画課の淺野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところでございますが、時間の関係上、座席表及び構成員名簿の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 本日は、今村構成員及び山口構成員より御欠席、松田構成員より少々遅れるとの御連絡をいただいてございます。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の滝室長、文部科学省高等教育局医学教育課の堀岡企画官にも御出席をいただいてございます。
 それでは、開会に先立ちまして医政局長より御挨拶を申し上げます。
○浅沼医政局長 おはようございます。医政局長の浅沼でございます。
 本日は、お忙しい中、委員の皆様には御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、構成員の皆様方には平素より医療行政の推進に御尽力いただきまして、重ねて御礼を申し上げます。
 地域医療構想ですが、こちらは中長期的な人口構造や地域の人の移動の質、ニーズの質、量の変化を見据え、医療機関の機能分化、連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的としているものでございます。現行の地域医療構想につきましては2025年までの取組となっていることから、新たな地域医療構想につきまして策定に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 具体的には、2040年頃を見据えまして医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の人口の増大や、あるいは現役世代の減少に対応できるよう、病院のみならずかかりつけ医機能や在宅医療、医療介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討を進めていく必要がございます。
 こうした課題がある中、本検討会は新たな地域医療構想の策定及び施策の実施等につきまして御議論をいただくこととなるものでございます。
 大変、広範囲にわたることになりますが、構成員の皆様方におかれましてはそれぞれの御専門の立場から忌憚のない御意見を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○淺野課長補佐 続きまして、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1から3、参考資料1から3を配付しておりますので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまででお願いをいたします。
(カメラ撮り終了)
○淺野課長補佐 それでは、議事に移ります。
 議題1「座長の選出」でございます。
 資料1「新たな地域医療構想等に関する検討会 開催要綱」を御覧ください。
 まず、本検討会につきまして、開催要綱に基づき目的等を御説明いたします。現行の地域医療構想につきましては、参考資料1を別途配付しておりますが、こちらに記載のとおり、「第8次医療計画等に関する検討会」の下に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を設置し、病床の機能の分化・連携の取組を通じた地域医療構想の推進等を目的として検討を進めてまいりました。
 このたび、3月21日に開催されました社会保障審議会医療部会における議論も踏まえまして、本検討会を設置することとしてございます。
 まず1の「目的」でございます。2つ目の○に記載しておりますとおり、本検討会は新たな地域医療構想について、2040年頃を見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の人口の増大や現役世代の減少に対応できるよう、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討することを目的に開催するものでございます。
 次に、2の「検討事項」でございます。検討事項は3点ございます。
 (1)新たな地域医療構想の策定及び施策の実施に必要な事項、(2)医師養成過程を通じた対策を除く医師偏在対策に関する事項、(3)その他本検討会が必要と認めた事項となります。
 3の「構成等」及び4の「運営」につきましては、記載のとおりでございます。
 別紙が、本検討会の構成員名簿となります。名簿については、こちらを記載のとおり御確認いただければと思います。
 それでは、検討会の座長でございますが、開催要綱3の(2)に基づきまして構成員の互選により選出することといたします。どなたか御推薦を頂戴できればと存じますが、いかがでしょうか。
 江澤構成員、お願いいたします。
○江澤構成員 日本医師会の江澤でございます。
 座長については、社会保障審議会医療部会の部会長を務めておられ、医療分野に明るく、地域医療構想にも精通されております学習院大学の遠藤久夫構成員にお願いするのがよいかと思いますが、いかがでしょうか。
○淺野課長補佐 ありがとうございます。
 ただいま江澤構成員より、遠藤構成員を御推薦いただきましたので、遠藤構成員に座長をお願いするということで皆様御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○淺野課長補佐 ありがとうございます。
 それでは、本検討会の座長は遠藤構成員にお願いをしたいと思います。遠藤構成員におかれましては、座長席にお移りをいただきまして、以後の議事運営をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
(遠藤構成員 座長席へ移動)
○遠藤座長 ただいま座長を仰せつかりました学習院大学の遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど医政局長よりお話がありましたとおり、この検討会のミッションは大変重いものがございます。かつ広範囲にわたっているということでありますので、私といたしましても微力を尽くしたいと思いますが、ぜひ構成員の皆様方の御協力をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず議事に入る前に、開催要綱では、座長は座長代理を指名するということになっておりますので、座長の代理を指名させていただきたいと思います。私からは、これまでも地域医療構想のワーキンググループの座長を務められ、かつこの地域医療構想発足時から非常に関わっておられまして大変この問題に精通されておられます尾形構成員にお願いしたいと思います。尾形構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、尾形構成員におかれましては恐縮ですけれども、座長代理の席に御移動をお願いいたします。
(尾形構成員 座長代理席へ移動)
○遠藤座長 次に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席された場合の代理出席の方法についてお諮りをしたいと思います。
 事前に事務局を通じて座長の了承を得ること、さらに当日の会合において承認を得ること、この2つの条件をもって参考人として御参加いただいて、かつ発言をいただくということをお認めするということにしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は、議題の2「新たな地域医療構想に関する検討の進め方について」、議題の3「新たな地域医療構想に関する関係団体・有識者ヒアリングの進め方について」の2つでございます。
 事務局からこれに関して一括して説明をお願いしていただきまして、その後、皆様から御意見等を頂戴したいと思います。
 では、事務局よろしくお願いいたします。
○高宮参事官 医療提供体制改革担当の参事官です。
 では、まず資料2を御用意ください。「新たな地域医療構想に関する検討の進め方について」になります。
 資料を1ページめくっていただいて目次です。3項目ございます。
 まず1つ目が「地域医療構想の取組及び進捗」で、これまでの地域医療構想についての概要、それから取組の状況などを御説明いたします。
 その次に「医療提供体制をとりまく状況」として、新たな地域医療構想を検討していくに当たって人口動態、それから医療需要、関係する制度の概要などについて説明をいたします。
 3つ目が「新たな地域医療構想の検討」についてということで、これまでの審議会などでの議論の状況、それから考えられる課題、検討事項、想定するスケジュールなどについて説明をいたします。
 資料の枚数が多くなっていますので、資料を飛ばしながら説明をしていきます。
 まず4ページですが、地域医療構想の概要になります。
 皆様御承知のところだと思いますが、地域医療構想については中長期的な人口構造、地域の医療ニーズの質・量の変化を見据えて、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的としているものです。
 ①に書いていますが、各都道府県において現行では2025年の医療需要と「病床数の必要量」について、医療機能ごとに推計をして地域医療構想として策定をいただいています。
 各医療機関から都道府県に対して「病床機能報告」で現在の病床機能、それから今後の方向性などの報告をいただいています。
 ③ですが、各構想区域の「地域医療構想調整会議」において、病床の機能分化・連携に向けた協議を実施していただき、④の都道府県が「地域医療介護総合確保基金」などを活用してその取組を支援するということを行ってきています。
 5ページ以降は、それぞれの概要になります。
 9ページで、平成25年社会保障制度改革国民会議の報告書の抜粋をつけています。その当時は地域医療ビジョンと言っていましたが、地域医療構想について提言をされています。高齢化の進展で、疾病構造の変化を通じて必要とされる医療の内容が変化をしてくるということで、その地域のニーズに対応した医療提供体制への機能の転換ですとか機能分化、連携の必要性が指摘をされてございます。
 13ページですが、地域医療構想に関する主なこれまでの経緯をまとめた資料になります。
 平成26年に医療法が改正をされて、地域医療構想の策定のガイドラインが平成29年に発出をしています。その後、公立・公的医療機関において先行して対応方針の策定をしていただき、令和元年のところでその対応方針の再検証の取組を行っています。
 その後、また新型コロナが発生をしまして、地域医療構想の議論が一時期止まるというような状況がございましたが、令和4年の3月に医政局長通知、地域医療構想の進め方というもので議論を再開しています。現在、PDCAサイクルを通じた地域医療構想の推進に取り組んでいるという状況です。
 14ページ以降でそのガイドライン、各通知などの概要をおつけしています。
 25ページからが「地域医療構想の取組状況」になります。
 各都道府県に調査、確認を行いまして、地域医療構想、医師確保計画のワーキンググループに報告、議論をいただいているものになります。
 各構想区域の目標の設定、あるいは27ページ以降で各医療機関の対応方針の策定状況などを確認しています。それらの目標の設定、あるいは対応方針の策定が一定進捗、取組が進められているところだというような資料のデータになっています。
 31ページは、各都道府県において定量的な基準を導入して病床機能報告の分析をしている状況になります。
 令和4年度のデータになりますが、58%の都道府県で定量的な基準を導入して分析をしているということです。
 32ページから佐賀県の例ですとか、34ページには奈良県の定量的な基準の例をおつけしています。
 37ページからは、「地域医療構想調整会議の開催状況」になります。
 新型コロナの発生時にはなかなか調整会議の開催も難しかったところですが、令和5年度にはコロナ前よりも多く地域での協議というものを行っていただいているところです。
 46ページは、地域医療構想調整会議で各都道府県はどういうような会議体を置いているかの例になります。
 46ページは石川県の例です。真ん中の左側に赤い四角で囲っていますが、県単位の地域医療構想調整会議、それからその下に地域ごとの地域医療構想調整会議を置いて、さらに課題ごとのワーキンググループも置きながら議論をいただいているということで、これは石川県の例になります。
 それから、52ページから54ページまでは都道府県知事の権限と行使の流れ、54ページは権限行使の状況の資料をおつけしています。
 55ページからは、病床数の変化の状況になります。
 56ページが、2022年度の病床機能報告です。
 2022年の病床を報告いただいている合計は119.9万床になります。2022年時点の2025年の見込みで報告をいただいているのが合計119.0万床で、一番右側の地域医療構想における2025年の病床の必要量、推計の下の病床の必要量ですが、こちらが合計119.1万床ですので、病床の合計については大体その必要量と同じ水準くらいまできています。
 他方で、機能ごとの病床数については、紫色の急性期ですと2025年の見込みが52.5万床、一番右側の2025年の推計上の必要量が40.1万床ということで差異が指摘をされています。
 57ページ以降、他方で方向性としてはそれぞれの機能ごとの病床についてもこの必要量の方向性に沿った取組が行われているということです。
 例えば59ページの資料ですと、2025年の必要量と2015年の病床数、それから2022年の病床数の乖離の状況をまとめた資料になります。2015年から2022年にかけて病床機能計の乖離率が5%からプラス0.7%に縮小していて、必要量に近づいているという状況にございます。また、機能別に見ても4機能それぞれ乖離率は縮小をしているという状況です。
 60ページからは、構想区域別に見たものになります。
 構想区域別に見ても、2025年の必要量との乖離の変化は全体として縮小している傾向にあるということです。
 66ページからは、地域医療構想の進捗状況についてそれぞれの構想区域での取組の状況になります。
 66ページは、2025年の病床数の見込みと、病床数の必要量に生じている差異について各構想区域でデータの分析、解析を行っているかどうかを確認したものです。43%の構想区域で行っている、57%の構想区域では行っていないという状況になっています。
 68ページは今の分析、解析の中で、データの特性だけでは説明できない差異が生じている構想区域について、データだけではない要因分析評価を調整会議で行っているかを確認したものです。大体半分、半分、48%の構想区域で分析評価を行っている、52%では行っていないという状況になっています。
 71ページが、各構想区域において医療提供体制上の課題があるかどうかを確認したものです。339全ての構想区域で何らかの医療提供体制上の課題があるという回答になっています。
 右側は、個別のどのような課題かというものをお聞きしたものです。救急医療体制、あるいは医療従事者の確保、医師の確保、在宅医療、外来医療、看取りの体制などの課題がある区域が多くなっています。
 74ページからは、「地域医療構想の推進に向けた支援」策になります。
 75ページが、まず重点支援区域です。
 全国13道県の21区域を選定して重点支援区域として支援を行っています。データ分析、あるいは医療介護総合確保基金の優先配分などの財政的な支援を行い、それぞれの区域における医療機関の医療機能の再編、統合などを支援しているところです。
 77ページが、医療介護総合確保基金の概要になります。
 その中で、78ページは「病床機能再編支援事業」、病床の減少に伴う機能の再編・統合などの場合の給付金の制度というものを設けています。
 79ページ以降は、医療介護総合確保基金などを活用した支援の例をおつけしています。それが83ページまで続いています。
 84ページからは、税制です。
 登録免許税、不動産取得税の税制上の優遇措置、それから法人税、所得税の特別償却制度が設けられています。
 86ページは、福祉医療機構の優遇融資になります。
 88ページは、各都道府県においてデータ分析をやっていただいています。そのデータ分析チームの構築した場合の補助、支援というものも行っています。
 89ページから「2025年に向けた取組」になります。
 92ページですが、3月中に昨日付で発出をしております。
 内容としては、「2025年に向けて国・都道府県・医療機関が取り組む事項の明確化」で、国において推進区域・モデル推進区域を設定してアウトリーチの伴走支援を行っていこうという取組を行ってまいります。アウトリーチの伴走支援としては、データ分析などの技術的な支援、医療介護総合確保基金の優先配分などの財政的な支援を行っていきたいと考えています。
 それ以外に、2つ目のポツの国において地域別の病床機能等の見える化を行うことによって構想調整会議の分析、議論の活性化などの取組を行っていくこととしています。
 96ページから「医療提供体制をとりまく状況」です。
 最初に、98ページが人口動態になります。
 2040年に向けて、高齢者は緩やかに増加を続けていきます。さらに、高齢者の中での高齢化が進んでいきます。また、生産年齢人口については大きく減少するという状況になります。
 99ページが、その人口動態を地域別に見たものです。
 構想区域別に大都市型、地方都市型、過疎地域型に分けて右側の表ですが、2025年から2040年の人口の変化の状況を示したものです。大都市型の構想区域については生産年齢人口が1割減で、高齢人口が17%の増、地方都市型については生産年齢人口が大体2割減で、高齢人口は2%増ですが、下のほうのグラフを見ていただくと高齢者の人口が増える地域と減る地域、両方どちらも出てきます。
 青色の過疎地域型については、生産年齢人口が28%減、高齢人口が12%減ということで、それぞれの地域ごとに人口動態が変わってきますので、それぞれの地域の類型、体系に合わせた対応が求められることになろうかと思います。
 100ページが、各構想区域を構成する市町村が変化しないと仮定した場合の構想区域の人口の変化になります。
 2040年には人口20万人未満の構成区域が5割を超え、5万人未満の構想区域も58ということで増えてくるという状況になります。
 101ページからは、医療需要の変化になります。
 101ページは入院患者で、全国での入院患者数は2040年にピークが見込まれ、その入院患者の中での高齢化が進みます。地域ごと、二次医療圏ごとに見ますと、既に2020年までに98の医療機関、医療圏、2035年までには236の医療機関、医療圏がピークを迎えることが見込まれています。
 102ページは今の二次医療圏ごとの入院患者ですが、65歳以上人口が増加する二次医療圏でもがん、あるいは虚血性心疾患、脳梗塞については入院患者数の増加ほどは急性期の治療の件数が増加しないという推計になります。
 103ページは外来患者数で、外来患者数は2025年にピークで、既に多くの医療圏で2020年までにピークを迎えています。
 104ページは、在宅患者になります。
 こちらは、ピークは2040年以降ということで、全国的に多くの二次医療圏で在宅患者数の増加が続くということになります。
 105ページは、85歳以上の人口が2040年に向けて増加をし、85歳以上の方については医療と介護の複合ニーズを持たれる方が多いということです。
 106ページが、死亡者数になります。
 2040年まで増加をして、170万人の方が亡くなられるということが見込まれます。また、亡くなる場所については自宅、あるいは介護施設などが増加傾向にございます。
 107ページ、認知症の有病率になります。
 85歳から89歳のところでは、4割を超える方が認知症有病率ということになります。
 110ページは、入院患者に占める要介護者の割合になります。
 急性期一般入院料などの入院患者については26%、地域一般入院基本料などでの入院患者については54%の方が要介護、要支援ということになっています。
 113ページからはマンパワー、医療従事者の観点です。
 生産年齢人口が大きく減少する中で医療人材、あるいは福祉人材の確保が厳しくなっていくということです。
 114ページは提供者側、医師の高齢化も進展しているということです。
 右側の診療所の医師ですと、平均年齢60歳を超えているという状況になります。
 115ページからは、関連する制度の概要になります。
 「医師の働き方改革」については、本年の4月から施行をされます。
 125ページからは「かかりつけ医機能」になります。
 かかりつけ医機能が発揮される制度整備につきまして、こちらは令和7年4月施行の予定で今、施行に向けた検討を行っているところです。
 133ページは「在宅医療」ですが、在宅医療については8次医療計画の中で在宅医療に積極的な役割を担う医療機関、あるいは在宅医療の必要な連携を担う拠点を確保するという取組を各都道府県において行っていただいているところです。
 136ページは「医療・介護連携」で、地域包括ケアシステムの構築の取組、それから介護施設などと医療機関との連携、あるいは在宅医療、介護連携推進事業の取組などが行われているところです。
 148ページは「地域医療連携推進法人制度」になります。
 医療機関、あるいは介護施設、介護事業者の連携を進めるための法人として、全国で36法人が設立をされています。
 154ページから、また「新たな地域医療構想の検討」についてです。
 155ページですが、令和4年12月の社会保障審議会医療部会の取りまとめた意見の抜粋になります。
 下のほうですが、地域医療構想について、病院のみならずかかりつけ医機能、在宅医療等を対象に取り込む。それから、慢性疾患を有する高齢者の増加、生産年齢人口の減少が加速していく2040年頃までを視野に入れてバージョンアップを行うということが指摘をされています。
 このため、「治す医療」を担う医療機関と「治し、支える医療」を担う機関の役割分担の明確化をする。これまでの病床機能分化、連携の推進に加えて、在宅中心に入退院を繰り返し、最期は看取りをする高齢者を支えるための医療・介護の水平的連携を推進するということと指摘をされています。これらを踏まえた検討を行っていきたいと考えています。
 157ページが、令和5年6月の骨太の方針の抜粋になります。
 真ん中より下の下線を引いたところです。都道府県の責務の明確化等に関し、必要な法制上の措置を含め、地域医療構想を推進するということとされています。
 161ページ、昨年12月に閣議決定をされた全世代型社会保障構築の改革工程になります。こちらも先ほどの医療部会の取りまとめと同じようなことが記載をされています。2026年度以降の地域医療構想の取組について、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大、現役世代の減少に伴う医療需要の変化に対応できるよう、2040年頃を視野に入れつつ、病院のみならずかかりつけ医機能、在宅医療、医療介護連携等を含め、中長期的課題を整理して検討を行うこととされています。
 162ページは、先週の医療部会で報告をした資料になりますが、現行の地域医療構想については引き続き既設の地域医療構想医師確保計画ワーキングで進捗状況の評価、さらなる取組等の検討を行います。新たな地域医療構想については、本検討会を新設して検討を行うということです。
 163ページ、現状と課題、検討事項等について事務局のほうで一定の整理をしたものになります。
 この現状、課題、検討事項についても本検討会で御意見をいただきながら進めていきたいと考えています。
 真ん中の【主な課題】です。点線で囲ったところです。
 2025年の病床の必要量に病床の合計・機能別とも近づいているが、構想区域ごと・機能ごとには乖離がある。
 2つ目の○で、これまで病床の議論がされているが、外来や在宅医療等を含めた医療提供体制全体の議論が不十分ではないか。
 3つ目で、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上が増大する中で、在宅を中心に入退院を繰り返し、最期は看取りを要する高齢者を支える医療を提供する必要。その際、かかりつけ医機能の確保、在宅医療の強化、介護との連携強化などが必要ではないか。
 4つ目の○で、2040年まで見ると地域ごとに人口変動の状況が異なる。
 一番下の○で、生産年齢人口の減少などがある中、医師の働き方改革を進めながら地域で必要な医療提供体制の確保を行う必要がある。
 これらの課題を踏まえて、右側の【主な検討事項(案)】になります。
 まず、2040年頃を見据えた医療提供体制のモデルについて、地域の類型ごとの医療需要の変化に対応する医療提供体制のモデルというものを検討する必要があるのではないかと考えています。その際に、医療DXですとか遠隔医療等の取組をどのように反映するかも検討いただきたいと考えています。
 2つ目の○が、これまで取り組んできた病床の機能分化・連携です。これまでの取組の中で改善する部分があるかどうかということを御議論いただきたいと考えています。病床の将来の推計、推計方法など、それから病床の必要量と基準病床数の関係、病床機能報告、構想区域・調整会議、それから医療介護総合確保基金、都道府県の権限などです。
 3つ目の○ですが、さらに地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制の議論を地域医療構想に取り込んではどうかということです。入院・救急・外来・在宅・介護連携・人材確保などを含めた医療機関の役割分担・連携の在り方。それから、将来推計については病床だけでなくて外来・在宅等の推計、それから医療従事者の推計も見ながら地域で医療提供体制の議論を行っていただくこととしたらどうかと考えています。
 それから、医療機関の役割分担という観点から医療機関からの機能報告、構想区域・調整会議については外来とか在宅・介護連携等の議論を行う区域について、これまでの二次医療圏を中心とした構想区域では少し広いのではないかということを御議論いただきたいと思います。
 あとは基金、権限、そして一番下の市町村の役割、在宅・介護連携等の議論、調整を行う際には市町村の役割、関与というものが重要ではないかということです。
 最後に、164ページに今後の想定のスケジュールになります。
 本日、第1回の検討会を開催し、この後、月に1、2回程度御議論いただきたいと思います。それで、医療部会に報告しながら検討を進めてまいります。最初は関係団体、有識者からのヒアリング、その後、論点の提示をして議論を行っていただいて、夏から秋に中間まとめ、その後、制度改正の具体的な内容の議論で、年末に最終まとめということを想定しています。また、必要があれば法案の提出ということも想定をして検討いただきたいと考えています。
 令和7年度に国のほうでガイドラインの検討・発出、令和8年度に地域で協議いただいた上で新たな地域医療構想の検討・策定、令和9年度に新たな地域医療構想の取組、ちょうど8次医療計画中間見直し後の取組とスケジュールがそろうというようなことを想定しています。
 資料2は以上になります。
 続いて資料3で、関係団体・有識者のヒアリングです。
 2番目の「実施方法」に書いてございますが、4月から5月の検討会において関係団体・有識者から資料に沿って説明いただいた上で構成員との質疑応答を行ってはどうかと考えています。
 「ヒアリング項目」は、2040年頃を見据えた医療提供体制のイメージ、あるいは現行の地域医療構想に関する評価、課題、それから新たな地域医療構想に期待することとして医療機関の役割分担・連携、在宅医療、高齢者施設等における医療の提供、医療、介護の複合ニーズへの対応、あとは国、自治体、医療機関、保険者等の役割などについてヒアリングを行ってはどうかと考えています。
 対象についてはこれから調整をしたいと思っていますが、医療関係団体、介護関係団体、保険者、都道府県、学識経験者ということを考えています。
 それから、参考資料の2と3で、本日御欠席の今村構成員と山口構成員から意見書をいただいています。
 今村構成員からは、現在の地域医療構想は病棟単位で機能を明確化する形になっているが、病院単位での方向性についても機能明確化できるような議論を進めるということの意見。
 それから、意見の2つ目として将来推計を行う場合に新型コロナの影響を受けている2020年から2022年の間のデータを使うことは慎重にしたほうがいいのではないかという御意見です。
 参考資料の3、山口構成員からは、1つ目の意見が生産年齢人口の減少は医療の担い手の減少も意味するということで、この問題については2040年以降も視野に入れて議論していく必要性があるのではないかという御意見。
 2つ目が、医師の働き方改革について実際にどのような課題が生じているのかも明らかにしつつ、新たな地域医療構想を考えていく必要があるという御意見をいただいています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から報告のあった内容につきまして御意見、御質問等をいただければと思います。いかがでございましょうか。
 岡構成員、お願いいたします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。
 医療連携推進法人についてお聞きしたいのですけれども、今、全国で三十幾つあるということですが、これは病院同士の病床の譲り合いというか、それが主なのか、今後2040年に向けると病院と介護施設とか、あるいは訪問看護、そういう連携をやはり推進するべきだと思うのですけれども、現状はどのような法人が連携されているのが多いのか、ちょっとお聞きしたいのですが。
○遠藤座長 では、事務局お願いいたします。
○山本医療法人支援室長 連携推進法人を担当させていただいております医療経営支援課の山本と申します。
 地域の連携推進法人につきましては、岡構成員が今おっしゃったとおり、目的としましては医療機関ですとか、介護施設ですとか、そういった形の機関が連携し、機能分化などを進めて地域医療をより効率的に支えていくということになろうかと思います。
 その中に、必要なこととして病床の融通ということも必要だろうということで、法的効果として連携推進法人間で病床過剰地域であっても病床の融通ということで、連携推進法人内での病床が増加しなければA病院からB病院の方に病床を移行することもできるということになっています。
 現状の36の法人の中で5法人がこういった仕組みを活用していただいて、病床を融通しつつ機能分化にも取り組んでいただいているというふうに認識しております。
○遠藤座長 岡構成員、いかがでしょうか。
○岡構成員 ありがとうございます。
 静岡県は割合、病床の融通でやっているのですけれども、病床の融通はある程度、もう必要病床数に近づいてきたので、今後はさっきおっしゃったようにいろいろな地域の診療所とか介護施設とか、そういう連携を進めたほうがいいかなと思ったのですが、今お聞きすると割合そのほうが多いということなので理解しました。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、オンライン参加の佐藤構成員、お手を挙げておられますのでお願いします。
○佐藤構成員 ありがとうございます。岐阜県飛騨市の地域包括ケアの佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 2点、要望といいますか、課題を挙げさせていただきます。
 まず1点目です。複数の医療、介護支援がある都市部よりも、その支援が乏しい地方のほうがより介護から在宅医療との連携まで切れ目なくサービスを提供できる体制をどう確立するかが求められております。地域の開業医も非常に高齢化しており、その存続が難しくなっております。
 特に在宅医療が継続的に活動できるよう、その専門医の育成、24時間対応可能なサービスやその環境整備の支援が必要であり、その在り方についてさらなる議論が必要ではないかと思っております。患者の在宅生活について、介護サービスの知識、連携の理解をいただいている専門医、在宅医の育成が必要ではないかといったところでございます。
 課題の2点目といたしまして、地域医療構想では市町村の役割があまり明確になっていないということを感じているところでございます。市が地域の実情によりプレーヤーとしてどう関わるべきかというところがありまして、第8次の医療計画に向けた在宅医療の体制構築に係る指針においても、在宅医療に必要な連携を担う拠点というものを位置づけられるとされています。
 介護保険法に基づき在宅医療、介護連携推進事業の実施をしているのは市町村、あとは地域の包括支援センターでありまして、その役割を地域医療構想においても明確化する必要があるのではないかと思っております。
 地域の実情の把握は一次医療単位、場合によってはそれ以下の生活圏で丁寧に見ていく必要がありまして、医療側等の入退院の支援のルールとか、退院後の介護認定により介護サービスの共通の理解も必要であります。
 市町村により、課題抽出会議や多職種連携の研修の推進の役割にスポットを当てていただければというふうに思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 それでは、國分構成員がオンラインで手を挙げておられますので國分構成員、その後、会場参加の方にいこうかと思いますので、國分構成員お願いいたします。
○玉川参考人(國分構成員代理) 福島県保健福祉部、國分の代理で本日出席をさせていただいております玉川と申します。よろしくお願いいたします。
 私からは、福島県は全国知事会の社会保障常任委員長県となっておりまして、その立場から我々として地方で気づいている点などを申し上げさせていただければと思っております。
 今回の構想の検討に先立ちまして、まずはこのような場を設けてくださいました厚生労働省医政局の皆様には改めて感謝を申し上げます。地域医療構想につきましては、医療の現場の方々と向き合う都道府県の役割が非常に重要だと感じておりまして、その中で都道府県の声をこういう検討の段階から取り入れていく機会を設けていただけるのは非常に大きいことだと思っております。
 その上で、意見を申し上げさせていただければと思います。
 1点目ですが、浅沼局長の冒頭のお話にありましたとおり、この地域医療構想の目的ということをやはり分かりやすくアップデートをしていくということがまずは重要と思っております。
 実際に地域でこの取組を進めていきますと、ややもすると病床を削減するのが目的という捉え方をされ、医療関係者の方の非常に厳しい抵抗に遭うということがございますが、この地域医療構想の本質は大幅な人口の減少、そして極めて深刻に進む高齢化の中にあって人的な資源が限られる中、どのように変化する高齢者の医療ニーズ等に対応し、持続可能な体制をつくるかが目的だと私は認識しております。
 その中では、医療関係者の方々と都道府県は決して対立するものではなく、一緒に肩を並べて取り組むものと思っておりますが、そのための定義づけが、ややもすると足りないところがあるのではないかと考えております。今回の検討会の中で定義づけを改めて地域の方や医療関係者の方が腹落ちするような中身にアップデートいただければと考えております。
 2点目ですが、都道府県との連携の強化という観点になります。コロナ禍において非常に苦しい経験がありましたが、医療現場の方々と都道府県がしっかりと向き合うことができた、関係性を構築することができたということは大きな資産になっています。併せて、厚生労働省の医政局等の皆様と各都道府県の衛生担当部門が顔の見える関係、そして協働で取り組む関係に進化したと思っております。その関係性を、この地域医療構想の中でもしっかりと続けていくことが必要ではないかと考えておりまして、検討会の中で幾つかの手続を踏まえてしっかりと議論いただくことは非常に重要と思っております。
 その中で、可能であればですが、中間取りまとめですとか、節目、節目の中で都道府県に検討状況や検討会の皆様がどんなことを問題として考えられているかということをある程度、今年度のうちから情報共有いただいて、都道府県からの意見も取り入れていくというようなプロセスを設けていただければ、検討会で作成する報告から大きく内容を変えずに進めることができるのではないかと考えております。厚生労働省の皆様には御検討をお願いできればと思います。
 そして、3点目です。直近の話にはなりますが、現在、モデル推進区域や推進区域の設定といった議論などが進んでおります。各地域の医療従事者の方々からの不安としては、それが機械的に当てはめられるのではないかということで、懸念の声が寄せられています。
 その設定に当たっては、各地域に対しての事前の説明、協議をしていくことが医療関係者との信頼を構築していく上で重要と思っておりますので、地域で不要な混乱が生じないように、設定に際しては都道府県と十分な協議をお願いできればと思っております。
 以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 会議の進め方についての御提案もありましたが、これにつきましては事務局と相談して検討をさせていただきたいと思います。
 それでは、会場参加の方々からどなたかいらっしゃいますか。
 では、会場参加からはお一人だけですね。高橋構成員からお願いいたします。
○高橋構成員 国際医療福祉大学の高橋泰です。
 全国の病院、施設の方とお話をいたしますと、コロナが終わった後の稼働率が思ったように戻ってこないということを物すごく聞きます。
 もう一つ、同時に、コロナ前と比べて特に高齢者が元気になってきて、入ってくる方の様子が随分変わったという声を聞きます。
 この辺が昨今の病院や施設の稼働率が低いということと非常に関係しているのではないかと考えています。病院・施設の必要病床数の将来予測に高齢者の心身状態の向上や疾病構造の変化を組み入れることが必要かなと、これをやらずに今までと同じように高齢者の施設利用の推計を行うと、病院の病床、あるいは介護の施設をつくり過ぎるという可能性が非常に高いのではないかと危惧しております。この検討会でその高齢者の変化、特になぜ今、稼働率が低いのかというようなことの分析のようなことの検討をしていただけるとありがたいと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御提案として受け止めさせていただきました。貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、猪口構成員お願いいたします。
○猪口構成員 猪口です。どうもありがとうございます。
 いろいろな問題点があって、163ページのところに【主な課題】とか【主な検討事項(案)】がたくさん載っているので、これを検討するのは大変だなと実は思っているのですが、私がやはり一番に言いたいのは、98ページを見ると本当に高齢者の数が増えるのに対して生産年齢人口が激減してくる。この2040年頃を目指して考えるということになると、2040年の18歳人口は去年辺り生まれた子供たちになるので、実はもう70万台まで減っているわけですね。これがまた増えていく予想はあまり立っていない中で、高齢者が増えていくのをどうやって見るか。これは医療だけの問題ではなくて介護も含めて、ここが一番大きい問題になるだろうと思っています。
 それだけの人数で当然、高齢者は疾病も多いし、要介護の方も増えるんだとすると、この少ない若者でどうやってそこを支えていくのか。それは多分、病院とか介護施設の運営とか、人の仕事の仕方、またIT関係がどれだけ増えるかとか、どういうふうにすればそれが効率的な運営になるのか。ここをかなり真剣に考えないと多分、見切れなくなるだろうと思っています。
 今のままのシステムでは多分、医療も介護も崩壊する可能性が私は高いと思っていますので、ぜひそこら辺のことも議論をするといいのではないかと思っておりますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘であり、ベースの話でございますので、そういうことも含めながら御検討を続けるということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかに、会場でいかがですか。
 では、江澤構成員お願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。3点、意見を申し上げたいと思います。
 まず、マクロの視点で、患者調査の結果などによりますと、我が国の入院患者数は2005年の146万人から減少しておりまして2020年には121万人となっています。すなわち、この最近の15年間で25万人減少しているというのが実態です。
 また、その結果として急性期、地域一般、療養病床の最近10年間の平均在院日数は横ばいにもかかわらず、病床稼働率がじわじわと低下をしてきています。
 確かに、コロナの影響で2017年から20年にかけてどんと10万人入院患者数が落ちましたけれども、その上で先ほどありましたようにコロナ前に戻らないという現状も多々ある中で、これまでの減少傾向の直線上にあるとも考えられますから、この辺りは今後も非常に注目していく部分だと思っています。
 一方で、この15年間で高齢者人口が1000万人増えています。要介護認定者も250万人増えています。それなのに、病床の入院患者数が減っているという現象は、これは非常に重要なファクターだと思っています。
 そして、地域医療構想を策定した平成28年度から、在宅医療の患者さんは31万人程度増えています。こういったことを十分踏まえた上で次の地域医療構想を考えていかなくてはいけないかなと思っています。
 この背景には、「治す医療」と「治し、支える医療」の役割分担と連携、あるいは国民が「治し、支える医療」を選択する傾向が高まっているといったことが背景にありますから、こういったことは今後議論すべきことではないかなと思っております。
 したがいまして、2040年に向けた地域医療構想におきましては、これまでの性・年齢階級別の現状投影モデルから脱却して、目の前に起きている現象と国民の医療の関わり方をはじめとする様々な今後の予測等の各種パラメーターを客観的に分析していくことが求められると考えています。
 2点目は、もともとの出発点は医療区分の1の70%を入院外の在宅医療や介護施設で対応するというものでありまして、医療分野だけでは議論は成り立ちませんので、一刻も早く地域医療介護構想とすべきと考えております。
 すなわち、地域医療構想調整会議に介護分野の行政担当者や関係団体等が参加して、地域の介護施設や高齢者住宅でどういった医療が提供されているのかを共有することが必要でありますし、さらには各地域の介護保険の事業計画との整合性も求められると思いますので、縦割りのない連携というのが非常に今後重要になると思っております。
 最後の3点目は、病床届出の実態もさることながら、各医療機関の病棟の実際の機能、果たしている機能に着目することが重要と考えています。
 当然、医療機関の意思で病床区分はいろいろ急性期から回復期、慢性期までおりますし、したがいまして、地域包括ケア病棟を急性期、回復期のどちらにするか、あるいは今回できました地域包括医療病棟も急性期、回復期、どちらで届け出るかというのは医療機関の裁量であり、尊重すべきことであります。
 一方で、届出ばかりに着目するのではなくて、機能にも着目していくことは今後重要なことだと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、病院経営に大変大きな影響を及ぼすものでございますので、特にしっかりキャッシュフロー経営が成り立つかどうか、これは病院経営におきましては大変な生命線にもなりますので、まずはしっかり各医療機関が地域で倒れることなく健全経営が担保できるといったことを踏まえた上で議論は行っていくべきだと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。御指摘を3つ頂戴いたしました。
 それでは、介護の話も出ましたので、オンラインに戻りまして東構成員お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の会長の東でございます。
 このたびは、新たな地域医療構想の委員会に全老健の私が参加させていただけること、本当に感謝いたしますとともに、今、遠藤座長もおっしゃいましたし、江澤構成員もおっしゃいましたけれども、やはり地域医療構想を議論していく上で、介護抜きにはなかなか難しいというふうに私も考えております。
 そういう意味で、まず2点、3点、御意見申し上げます。
 まずは、認知症についてです。資料2の107ページには、今後認知症患者が急増するということが示されております。これは皆さん周知の事実だと思います。
 さらに、101ページには、今後入院患者に65歳以上が占める割合が上昇し、2050年には80%まで達するということが記載されております。
 さらに、111ページには急性期で25.5%、一般病棟では61.4%が既に認知症を持っている患者であるということも示されております。
 また、在宅の患者数は多くの地域で増加し、2040年にピークを迎えるということが104ページに示されております。
 この在宅患者数の多くは要介護高齢者と考えられますが、その方々はほとんどが何らかの認知症を合併していると考えて間違いないと思われます。
 108ページには、そのことを裏づける資料として、単独世帯の認知症高齢者が今後、急速に増加するということも示されております。入院にしろ、在宅医療にしろ、認知症のこと抜きには議論ができないということが、このような資料で明らかになっていると考えられます。
 2番目に、看取りについて申し上げます。106ページには今後高齢者多死時代を迎え、死亡者数が一層増加するということが示されております。
 さらにこの資料を見ますと、右下の資料に介護施設等における看取りが急増していることも示されています。
 138ページには「介護保険三施設における入所者・退所者の状況」が示されておりますが、介護医療院につきましては52.2%が死亡退所となっています。つまり、介護医療院は看取りという意味では大きな役割を今後も期待されているということが考えられます。
 また、私ども老健施設におきましては、多くが在宅復帰、在宅支援をしていますが、老健施設においても10%程度が死亡退所、看取りというふうに一定程度の看取りの機能を担っていることも分かると思います。ですが、この資料だけでは、介護医療院にどのようなところから来て、どのような日数で、どのように亡くなっていったのか、老健施設にどのようなところからターミナルケアの方が来られて、何日くらいでどのように亡くなっていったのかが分かりません。今後そういう資料も出していただければと思います。
 最後に、医療介護連携について申し上げます。
 142ページに在宅医療・介護連携の推進のポンチ絵がでておりますが、介護保険施設の中で医療を提供している施設は介護医療院と老健施設だけでございます。その他の施設は、全て医療は外づけであります。今後、地域医療構想の議論をしていく上で、この介護医療院と老健施設がどのような医療を提供できるのかというようなことも詳細に示していただくことが必要かと存じます。
 先ほど江澤委員もおっしゃっておられましたけれども、医療だけではなく介護の分野でもどのような医療提供ができて、どのような部分の医療を担っていくのかということを議論していく必要があると思います。
 最後です。147ページを御覧ください。
 ここには、「「在宅医療に必要な連携を担う拠点」と「在宅医療・介護連携推進事業」の関わり」ということが示されております。この中の右にピンクの四角で囲まれております「在宅医療に必要な連携を担う拠点」ということが示されております。この中の【設置主体】を見ますと、病院、診療所、訪問看護事業所、地域医師会、保健所、市町村となっております。
 しかし、その下の【求められる事項】につきましては、地域の医療及び介護の関係者による会議、それからその下にも地域の医療及び介護、障害福祉サービスについての機能を把握、その下にも退院時から看取りまでの医療や介護、障害福祉サービスにまたがる様々な支援といったような文言があります。介護に求められる事項が多くあるにもかかわらず、設置主体の中に介護保険施設はありません。
 そもそも、この在宅医療に必要な連携を担う拠点は、在宅医療、介護に必要な連携を担う拠点であるべきで、こういうところが医療だけではなく、先ほど江澤委員がおっしゃったように縦割りではなくて、しっかりと医療と介護というものを横串に刺すような体制というものを今後設定していただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 まさに、今回の新しい地域医療構想の議論の対象としては介護、あるいは在宅医療との連携ということが大きなポイントになっているわけでありますので、そういう意味で介護のお立場から御発言をいただきました。貴重な御発言、ありがとうございます。
 それでは、オンラインでまだ御発言されたい方はいらっしゃいますか。
 では、会場に移りたいと思います。河本構成員、願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
 新たな地域医療構想に関する検討の進め方について、何点か御意見を申し上げたいと思います。
 まず、新たな地域医療構想が目指す時期についてでございますけれども、高齢者人口がピークとなる2040年頃に向けて検討するということにはもちろん異論はございませんが、入院患者数は多くの医療圏で2035年までにピークを迎えるということでございますし、今回の新たな地域医療構想は病床だけではなくて、かかりつけ医機能、在宅医療も含めて地域医療を考えるということになりますけれども、外来患者数は2025年以降減少していきますし、逆に在宅医療は2040年以降にピークを迎えるということでございます。
 メインの時期を2040年に設定するとしても、その前後の状況というものをきちんと意識しておく必要があると考えております。
 次に検討事項についてでございますけれども、地域を類型化して医療提供体制のモデルを設定するということには賛同いたします。その際には、病床機能だけではなくて外来・在宅介護といった各機能がどのように地域に配置をされて、またその機能分化と連携をするのか、地域住民に分かりやすく全体の姿が見えるようにするべきだと思います。
 また、病床機能と外来・在宅では地域的な広がりは当然違ってくると思いますので、重層的というか、そういった構造になるのではないかと考えております。
 また、かかりつけ医機能については、令和7年度から報告制度が始まって地域の実態が国民に可視化されるということになりますけれども、地域で継続的にそのかかりつけ医機能を担う医療機関を確保するということは大変重要だと思います。
 一人医師の診療所に個人の努力で頑張っていただくということですと、もちろん連携をしたとしても機能を確保できないといった地域もあると思いますので、有床診療所を含めて一定数の医師を抱えた診療所を配置するといったことも検討の余地があるのではないかと思います。
 在宅医療については、緊急の往診とかターミナルケアを含めて入院並みの医療が必要な患者さんもいれば、通院はできないまでも比較的簡単な治療で済む患者さんまで、医療需要にかなり幅があるのではないかと、そういったことも想定をした検討が必要だろうと思っております。
 最後に、地域医療構想がどのような形になるとしても、PDCAを回して計画的に進捗を管理していくということが不可欠であると考えているということでございます。
 私からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、お待たせいたしました。土居構成員、お願いいたします。
○土居構成員 慶応義塾大学の土居でございます。このたびは、この検討会に参加させていただくことができましてありがとうございます。
 私は、2014年から始められていた地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会にも参加させていただきまして、まさに最初の地域医療構想をどういうふうにつくっていくかという議論にも関わらせていただきました。
 その際、DPCデータなどのビッグデータを活用して、各構想区域における医療需要をデータに基づいて測っていくことを始めたというのは、当時としては非常に画期的だったというふうに思っております。
 確かに、そのデータが膨大であるがゆえにデータ処理に時間がかかっていたというのは当時でありまして、逆にそれがゆえに当時の地域医療構想の策定をする上での議論の限界というのもあったと思います。8ページにありますように、そのデータをつぶさに見て、そして医療資源投入量に基づいて医療機能を定義していくということをしたわけですけれども、それ以上にもっときめ細かく、医療の連携だとか、機能だとか、そういうものがあの当時議論できたらよかったという後知恵的な話ではありますけれども、今回は新たな構想ということになりますので、データも既にございますし、さらにきめ細かく、先ほど事務局からも御説明のあったような様々な配慮をした上で、そのデータに基づいてまずは議論の素地をつくるということは今回も極めて重要だと思っております。
 特に地域医療構想の位置づけということで言いますと、経済学の考え方に基づけば、需要と供給というものがあって、そのミスマッチをどういうふうに直すかということになると、価格で調整するか、数量で調整するかという2つしかないわけですが、価格で調整するというのが診療報酬で、単価で調整するということだけれども、先ほども御紹介があったように国民会議などでの議論を踏まえて数量で調整するという方向も活用していく必要があるというようなことだったのだろうと私は認識しております。まさに診療報酬単価で調整するのではなくて、病床数で調整するという数量調整の形で医療の効率化を図っていくという精神が当時もあったわけですし、今回もその必要性は変わっていないと思います。そういう意味では、地域医療構想をさらにバージョンアップしていくというところで、その数量調整の役割というのは引き続き重要だと思います。
 ただ、2015年頃から2025年までのこの間の時期の状況と比べて、今後2040年を見据えるとさらなる高齢化、それからこれまで以上の人口減少というものが我々に襲ってくるということになりますので、これからということであれば15年くらいの時間があるということではありますけれども、そのスピードが早いということを踏まえた地域医療構想の新たな作成というものが求められているのだろうと思います。
 そういう意味で言いますと、先ほど来、何人かの構成員もおっしゃっておられるように、在宅医療との連携、介護との連携、こういうものももちろん重要だと思います。それで、今の地域医療構想はあいにくビッグデータを活用したということはよかったのですが、在宅医療等という形で、今申し上げたような様々な他の機能との連携というものが若干抽象化されてしまっていたということだったんだと思いますので、ここを今回はより具体的にしていただくということで、しかも願わくばデータに基づいた議論の素地をつくっていただくということが私は大事ではないかと思っております。
 それからもう一つは、事務局から御説明があったように各県で取り組まれた好事例、つまり地域医療構想はデータに基づいて分析した結果としてまずはたたき台が出てくるのだけれども、それだけでは不十分な点を様々に補っていただいた各県の好事例、こういうものを全国展開、横展開するというような形で新たな地域医療構想で取り込んでいただくということもぜひ積極的にしていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、マンパワーの確保です。これも非常に重要でありまして、今の地域医療構想はそこまで配慮をしていなかったというか、そこまで当時は逼迫していなかったということがあって、まずは病床の必要量というものを推計するということから始めたわけですけれども、今後は医師の働き方改革もありますから、人材確保というものがますます制約条件として大きくのしかかってくるということになりますから、患者側の需要だけでなくて供給側の人材確保、しかもこれは地域間の偏在、それから診療科間の偏在というものを願わくば是正できるようなことも視野に入れながら、地域医療構想の中で取り込んでいただくということが必要かと思います。
 私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、当初は規模別の病床数の数量調整というところにフォーカスが置かれておりまして、そこにエビデンスベースの議論がされたわけですけれども、まさに今回は在宅医療とか介護等連携ということを視野に入れなければならないとなると、そこら辺もエビデンスベースでやるべきだという御主張であるし、マンパワーも非常に不足してきているという状況があるので、それも考慮した上での議論が必要だという御指摘だったわけですけれども、誠にごもっともだと思いました。ありがとうございます。
 ほかにいらっしゃいますか。
 それでは、吉川構成員お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。日本看護協会の吉川でございます。
 看護の視点から、3点意見を述べさせていただきます。
 まず1つ目は在宅医療についてです。構成員からも多くのご意見が出ておりましたように、今までの地域医療構想は病床数に着目して検討が進められてきています。しかし、入院、外来と並ぶ大きな柱の一つである在宅医療についても、地域医療構想において検討を行うことが必要と考えます。
 資料にも、在宅患者数は多く、これからも地域で増加していくことが見込まれていることが示されておりますので、病床機能のみならず地域全体でかかりつけ医機能や在宅医療、また医療・介護の連携等を含めて検討を行っていくことは非常に重要なことと考えます。
 第8次医療計画の中でも、地域の実情に応じた訪問看護を含む在宅医療の体制整備を進めていくこととされていますが、地域医療構想全体における在宅医療の将来像はどうあるべきかというところをしっかりと明確にしていく必要があると思います。
 2点目は、かかりつけ医機能についてです。「治す医療」と「治し、支える医療」を実現するためにはかかりつけ医機能の発揮が重要になり、令和7年4月からはかかりつけ医機能報告が始まります。在宅医療の提供におきましては、医療と介護の連携、そして多職種で連携した重症化予防や療養指導、支援体制の整備が必要になります。地域における医療職の連携体制の在り方や、かかりつけ医機能について、さらに議論し、体制の整備が必要になっていると思います。また、それらを検討していく中ではICT、特に遠隔医療などについても検討する必要があると考えます。
 3点目は、看護職員などの需給推計についてです。
 生産年齢人口が急減していく中で、将来の医療需要に応じて医師をはじめとする医療従事者を確保し地域医療を維持していくことが必要であり、医師以外の医療従事者の確保についての検討も非常に重要なこととなります。
 そのための需給推計ですが、現状の中では非常に難しく、簡単にできるものではないと思います。しかし、構想区域の医療提供体制上の課題として、医師以外の医療従事者の確保も挙げられておりますので、ぜひ看護職の需給推計にも着手する準備を進めていただき、需給推計を実施していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 マンパワーの問題点については先ほど来、何人かの先生から御指摘いただいているわけですけれども、需給推計は医師についてはいろいろやられているわけですが、看護について、あるいはその他の医療従事者についての推計も行うべきであろうという話、または医療者間の連携は在宅医療を行う上での非常に重要な視点なので、その辺にも着目をしてほしいという御意見だったと思います。ありがとうございます。
 それでは、尾形構成員どうぞ。
○尾形座長代理 ありがとうございます。
 今日御説明いただいた資料2については、これまで公表されてきた資料を中心として非常に幅広い領域についてのデータがまとめられていて、全体としては今後新たな地域医療構想を検討していくに当たって参考になるものであると思います。その上で、何点かコメントをさせていただきたいと思います。
 1点目は資料2の64ページですが、現行の地域医療構想の進捗状況についての評価、あるいはまとめが示されているわけです。これはワーキンググループに出された資料ですし、ここに書かれていることについて特段異論はありません。
 ただ、今後、新たな地域医療構想を検討していくという観点からは、ここに書かれていることに2点ほど付け加えさせていただきたいと思います。
 1点目は、56ページに示されております2022年の報告と、それから2025年の必要病床数の比較でありますが、現行の4つの病床機能を見ると、必要病床数に最も近づいているのは明らかに慢性期機能であります。
 その背景には言うまでもなく、先ほどからお話が出ております介護医療院という新たな介護保険施設を創設したことによって、療養病床からの転換がある程度進んできたという事実があるということに留意する必要があると思います。
 つまり、医療のみならず、介護も併せた総合的な対応によって病床数に一定の影響をもたらすことができているということであり、こうした医療・介護を通じた対応の有効性ということは新たな地域医療構想を検討するに当たっても参考になる点だろうと思います。
 2点目として、この図では急性期が過大な報告になっていて、回復期が過小な報告になっているというようなことがよく言われるわけですが、56ページの図だけを見るとそういうふうに見えるわけですけれども、これはある意味では見かけ上の問題であると思います。
 そのことは、例えば資料2ですと34ページ、あるいは35ページに示されております、いわゆる「奈良方式」において急性期を重症急性期と軽症急性期に分けて報告を求めたところ、重症急性期が必要病床数の急性期に、それから軽症急性期プラス回復期が必要病床数の回復期にかなり近い数字になっているという事実によっても裏づけられていると思います。
 つまり、現在の高度急性期、急性期、回復期、慢性期という4つの病床機能区分が見かけ上のアンバランスをもたらしているというふうに考えられるので、新たな地域医療構想における病床機能区分を考える際にはこういった点を十分踏まえる必要があると思います。これが1点目であります。
 それから、2点目としては163ページです。最後のほうに「新たな地域医療構想の主な検討事項(案)」が示されており、ここには広くいろいろな事項が網羅されていると思いますけれども、この163ページの記述についても気づきの点を2点申し上げたいと思います。
 まず第1点として、右側に【主な検討事項(案)】ということで最初の〇ですが、2040年頃を見据えた医療提供体制のモデルというのが先頭に掲げられております。確かに医療資源や人口動態等については御説明があったように地域差が大きいわけですから、地域の実態に応じた一定のモデルを考えるということは理解できる点だと思います。
 ただ、その前提として大事なのは、やはり各地域における医療・介護の必要量の推計と、それから現状とを比較をして、何が不足して何が過剰なのかというのを明らかにしていくことではないかと思います。モデルというのは、そうして明らかになった過不足をどう調整していくか、その際の有効なツールなのではないかと思います。これが1点目です。
 2点目として、ここのページに地域医療介護総合確保基金の活用ということが書かれておりますが、こうした財政上の支援というのは重要な施策であると思います。その際、現行の地域医療構想というのは、言うまでもなく消費税増税による増収分を活用するという、言ってみれば給付と負担を併せた政策となっていたわけですけれども、新たな地域医療構想については残念ながらそうした話はないようであります。財政的な支援の強化という観点がなくて、本当に実効性のある政策展開ができるのかという点については、私は危惧をする点であります。これが2点目です。
 それから最後ですが、3点目としまして最後の164ページに検討のスケジュールが示されておりますが、これを見ますと、いずれにしても今後9か月ぐらいで新たな構想を取りまとめるという大変な日程になっているわけであります。
 一方、現行の地域医療構想については、実際に動き出したのは2017年度からであったとしても、その前に遡りますと、2008年の社会保障国民会議の最終報告におけるいわゆるシミュレーションというものがありましたし、あるいは2009年のいわゆる2025年ビジョンによって基本的な考え方はある程度整理をされていたと思います。
 つまり、十分な準備期間を経て実際の地域医療構想が設計され、動き出したものであり、それと比べると、率直に言って今回のスケジュールはかなり拙速であるという印象は否めません。もちろん、今回はゼロからの出発ではなくて、既に現行の地域医療構想の経験があるので、ある程度は問題が緩和される面もあるでしょうけれども、一方で既にお話が出ておりますように、今回は外来医療、あるいはかかりつけ医機能、在宅といったような新たな要素が入っているので、問題は決して簡単ではないと思います。このスケジュールですと、いろいろ取りこぼしも出てくるのではないかということを危惧いたします。
 そういった意味で、新たな地域医療構想についてはスタートした後、その見直しを含めて柔軟に検討をさらに続けられる機会や場を設けていただきたいと思います。これは要望ということです。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。重要な御指摘をいただいたと思います。
 最後のスケジュールにつきまして、現在の地域医療構想については様々な検討会が連鎖的に行われてきたわけですけれども、私も当初から参加しておりましたので、かなり慎重な議論がされたということはよく知っておりますので、まさに尾形構成員が言われるような問題点は若干、私も気になるところです。
 したがって、この点については質問ではありませんでしたけれども、事務局としてどういうお考えがあるのか、今の範囲で結構ですけれども、何かお考えをいただけますか。
○高宮参事官 御指摘ありがとうございます。
 スケジュールについてですが、今回、年末までの最終まとめについては、これまでの地域医療構想の取組を踏まえて改善すべき点、それから病床の機能分化連携について改善すべき点、それから在宅・介護連携などに幅を広げるというようなことで議論いただきたいと思っております。
 それで、年末にまとめるものについては、その中の制度改正のような内容、つまり骨となるような内容について議論いただくということだと思っています。そこは、さらに具体的な地域医療において協議をどうやっていただくかという具体的な議論については、またガイドラインを議論する中で検討を進めていきたいと考えています。
 また、さらに尾形構成員から指摘がありましたが、スタートした後にまた見直しを行うようにするというような観点も踏まえて考えていきたいというふうに考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 尾形構成員、何かありますか。
○尾形座長代理 いいえ。ありがとうございました。
○遠藤座長 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。オンラインでどなたかいらっしゃいますか。
 それでは、こちらのほうでお願いいたします。櫻木構成員がお手を挙げておられますので、お願いいたします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
 私もガイドラインの策定の検討会から参加させていただいて今日までずっとやってきました。それで、今回新たな地域医療構想を考えるということで再び参加させていただきまして、どうもありがとうございます。
 何人かの構成員からも御指摘がありましたし、それから事務局のほうからの説明にもありましたけれども、今までのというか、2025年を目途とした地域医療構想というのは病床機能の分化、あるいは連携というようなことで進んできて、今回新たに在宅医療であるとか、あるいは医療・介護の連携ということを含めて検討するということでありましたけれども、地域医療構想というのは構想区域ごとにそういった目途を定めていくというふうな内容でありましたので、従来の病床機能、特に病院の入院機能に関して言えば、高度急性期というようなかなり高規格の部分も含まれておりましたので、構想区域間の格差というものが生じた場合に一定の基準、例えば人口20万人でありますとか、あるいは流出率が幾らというようなことで調整を図ってきた。
 小さな構想区域は大きいほうに集約をするというような形で進んできたというふうに理解しておりますけれども、今後、在宅でありますとか、あるいは医療と介護の連携ということを考えると、これはかなりその構想区域自身をどういうふうに考えるか。今までの病床機能の分化、連携といったものよりは、むしろもっと日常のというか、身近な部分を取り上げるわけですから、今までの構想区域と同じような構想区域の考え方でいいかどうかというような議論が必要かと思います。
 資料の99ページのところにもありますし、それから尾形構成員も御指摘になりましたけれども、幾つかのモデル、例えば大都市であるとか、あるいは地方都市、それから過疎地といったようなモデルを考えてというようなこともおありですが、これは構想区域の考え方自身をもっと多様に考えるというか、新たな構想区域の線引きというのを考えるのかというところにちょっと疑問が出てきましたので、その点についてお伺いできればと思います。
○遠藤座長 では、事務局、御質問でありますので、構想区域の考え方についてお考えがあればお願いいたします。
○高宮参事官 御指摘ありがとうございます。
 まず、現行の地域医療の構想区域については、病床についての機能分化連携の議論が中心に行われていますので、二次医療圏を中心にして設定、議論が行われていると承知をしています。
 今回、その病床の機能分化連携に加えて在宅医療、あるいは外来と介護連携などを含めて、全体の地域医療構想の議論を行っていくということを考えています。それで、外来、あるいは在宅、介護連携などを行う区域については現行の構想区域、病床の議論をする区域と、また別の区域の単位というものも考える必要があるのではないかと思っています。どのような区域で外来・在宅などの議論を行っていただくのがいいかということも含めて、またこの検討会で議論いただきたいと思います。
 ですから、重層的な議論を行う場ができていくというようなことを想定しています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 オンラインのほうも特にいらっしゃらない、あるいは会場も特にいらっしゃらないですね。大体、御意見はいただいたということでよろしゅうございますか。
 それと、資料3のヒアリングの原案についてのコメントはありませんでしたけれども、それではこの事務局提出のヒアリングの原案を御承認いただいたという理解でよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、何かあれば最後にいただきますが、特段ないということであれば、これで一応議論は終了させていただきたいと思います。非常に長時間、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 それでは、事務局としましては、ただいま非常に貴重な御意見がいっぱい出ましたので、大変な宿題になっていると思いますけれども、今後の議論に資するような資料の作成等をお願いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。それから、有識者からのヒアリングということも本日承認されましたので、着手していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 最後に、事務局から何かありますか。
○淺野課長補佐 次回の検討会でございますが、詳細が決まり次第、御連絡をいたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
 それでは、本日の検討会はこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 

(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課
直通電話:03-3595-2186

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