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2023年3月1日 第11回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ

医政局

○日時

令和5年3月1日(水) 16:00~18:00

 

○場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 7階 カトレア
東京都千代田区六番町15

 

○議事

○黒川専門官 定刻になりましたので、ただいまから、第11回「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開会いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 会議中の留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 本日、野原構成員は御欠席との御連絡をいただいております。
 また、参考人として、石川県健康福祉部、永松聡一郎部長、大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課、岡田敦子課長、一般財団法人三友堂病院、仁科盛之理事長、田林義則理事の4名の方をお呼びしております。
 また、オブザーバーとして、総務省自治財政局準公営企業室の和田室長、文部科学省高等教育局医学教育課の相原課長補佐に御出席いただいております。
 次に、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1から4を配付いたしましたので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。
 早速、議事に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は「地域医療構想について」でございますけれども、各府県における地域医療構想の取組状況につきまして、まずは石川県から御説明をいただき、その後に質疑応答を行う、次に大阪府から御説明をいただきまして、その後に質疑応答を行うという運びで進めたいと思います。御説明につきましては、1府県当たり15分程度を目安にお願いいたします。また、その後の質疑応答につきましては、参考人1人当たり10分程度を目安にお願いしたいと思います。
 それでは、石川県健康福祉部、永松参考人により、まず、資料1の説明をお願いいたします。
○永松参考人 健康福祉部長の永松です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、スライドの1ページ目となります。
 厚生労働省は、2022年、2023年の地域医療構想の進め方としまして、検証・見直しを行うよう、都道府県に通知しました。
 この通知では、都道府県の裁量が大きいのですが、本日は、石川県の取組事例を御説明いたします。
 最初に、石川県の地域医療の状況を御紹介いたします。スライドの3ページ目となります。
 石川県は人口が約112万人で、能登北部、能登中部、石川中央、南加賀の4つの医療圏より構成されております。
 人口減少が進んでいる能登北部と、医療需要がこれからも伸びる石川中央の両方を抱えており、今後の日本の縮図だと考えております。
 次に、石川県の地域医療構想の進め方につきまして御説明いたします。5ページとなります。
 こちらが会議体の構成でして、水色のところが、地域医療構想に関連するものです。県単位のものと、医療圏ごとのものに加えまして、分野別のワーキンググループとして、周産期医療を検討する赤ちゃん協議会と、KDBを分析する体制を整えております。
 また、今年度、全県単位の地域医療構想調整会議を3回、医療圏単位のものも3回、それに赤ちゃん協議会や夜間救急ワーキングを加えまして、合計20回の検討を行っているところでございます。
 石川県では、私たちの地域のことは、私たちで決めるというスローガンの下、できるだけ多くのステークホルダーの方に参加していただける運営としております。運営面で工夫したこととしまして、病院長の経験がある地域医療構想のアドバイザーの方に座長をお願いし、また、医療圏内の全ての病院がオンラインで視聴可能という体制といたしました。
 これから具体的な検討の内容を御説明いたします。9ページ目となります。
 当県でも医療圏の役割分担や連携を議論するために、最初に医療機能とされる高度急性期、急性期、回復期、慢性期の色分けや細分化を議論しました。
 大阪府や奈良県をはじめ、他県さんでも、この青の急性期や緑の回復期の部分を細分化される議論がされているかと思います。
 当県でも、重症度や専門性と緊急度の2軸で整理しまして、こちらの10ページのような具体的な疾患や医療機関名をマッピングして、関係機関と共有したところでございます。
 また、医療機能とセットで議論されるものは、病床機能報告でございます。
 病床機能報告は、各医療機関が病棟単位で自主的に医療機能を選択するものとされておりまして、石川県の病床数は他県さんと同様に、高度急性期や急性期が多くて回復期が少ないといった現状でございます。
 ところで、昨年度の令和3年度の病床機能報告を見直してみました。そうすると、こちらの表の1にありますように、例えば複数の病床があるにもかかわらず、1つの医療機能しか選択していない病院が複数ございました。
 また、表の2のように、例えば石川中央の平均在院日数を見ますと、高度急性期と急性期が同じでして、急性期相当なのに高度急性期として報告されている病院があるのではないかと示唆されました。
 また、回復期相当なのに、急性期として報告されている病院もあると考え、例えば平均在院日数が長い、患者の重症度割合が低い、院内からの転棟割合が高い病棟につきましては、このように色づけにして、各医療機関にお伝えし、実態に即した報告を行っていただきたいと、お願いしたところでございます。
 14ページ目です。しかしながら、令和4年度の病棟機能報告において、病床機能を変更する病院はありませんでした。そこで、調整会議の場で、各医療機関にどのような考え方で、病床機能を選択したのかを御質問させていただきました。
 そうしたところ、表の2段目にありますが、金沢大学、金沢医科大学、石川県立中央病院は、これまで全て高度急性期だったのですが、調整会議後に持ち帰って検討していただきまして、眼科や人間ドックや一部の内科病棟を急性期として修正したいという申し出がございました。
 しかし、こちらのB病院やC病院のように、多くの病院は、病棟機能を見直すことに躊躇されている様子です。
 結果としまして、令和4年度の病床機能報告につきましては、高度急性期が約250減り、回復期が約100増加するといった結果になりました。
 15ページ目に、今後の示唆ということでまとめておりますが、定性的な指標である赤、青、緑、黄色の医療機能は、医療機関が自主的に選択するために、医療資源投入量の多い機能を選択する傾向、私たちはインフレと呼んでいますが、インフレする傾向があるかと思います。
 医療機関からは、診療報酬や補助金申請における不利益とか、職員へのモチベーションへの影響を懸念しており、また、病院長が必ずしも確認されていない状況で回答されている事例も多数ございましたので、この結果に留意することが必要です。
 よって、調整会議の場で、各病院長さんに対して、どのような理由で御回答されたのか御説明いただくことで、この調整会議の議論が活性化するかと思っております。
 次です。地域医療構想では、これまでお話しした医療機能や病床機能報告の議論に終始しがちですが、私たちはそれよりも、地域固有の課題を解決することのほうが重要だと考えております。
 そこで、石川県の取組を3つ御紹介させてください。
 まず、石川県では、機能分化や連携を円滑にするために、3つの論点というものを設定しました。
 1つ目は、急性期病院から後方支援病院への転院受入れの円滑化、2つ目は、救急受入れの役割分担、3つ目が、在宅医療の急変時への支援体制に関してです。
 それぞれに関しまして、資料の説明は割愛させていただきたいのですが、18ページから22ページ目に示すように、私たちは医療機関だけではなくて、自治体を巻き込みながら検討を進めております。
 この際に、特に有用だったのが、医療機関に対してのアンケートだったと考えております。
 23ページ目ですが、公立病院や200床以上の病院及び建替えを予定している病院に対しまして、23ページから24ページ目に書いてある質問項目をアンケートしまして、25ページ目に示しているのは、私たちは星取り表と呼んでいますが、星取り表の形で整理して調整会議の場に出しております。
 このような星取り表を作りますと、病院さんの特徴や共通傾向が明らかになります。これは1つの事例なのですけれども、下段にあります、やわたメディカルセンターから機能が重複している病院や、心臓カテーテルの検査体制に課題意識を持っているといった、御発言がありましたので、こういった発言を契機に、南加賀地域では、夜間の心臓カテーテルの輪番体制を作ろうかと、協議が始まっている状況でございます。
 事例の2つ目としまして、能登北部地域の検討の状況を御報告いたします。
 能登北部地域は4つの市町村から成り立っておりまして、それぞれが100床から200床規模の公立病院を有しております。各市町とも少子高齢化と人口減少の中、今後の病院経営や医療従事者の確保が難しいために、県で①から④の情報を見える化して検討の材料を提供いたしました。
 具体的に申しますと、今後の患者数予測が減少していく傾向とか、医師の派遣状況、また、各病院さんがどのような意見を考えているのか、見える化しました。
 また、県民意識調査も同じ時期に行いまして、例えば、病院の統廃合に対して、必ずしも否定的ではない意見が多かったということも分かっております。
 さらには、厚生労働省の技術的な支援も活用させていただきました。大変ありがとうございます。現在、各病院の経営分析を行っているところでございまして、令和5年度中に作成する公的病院経営プランの策定に、こちらの検討結果を活用したいと考えております。
 次に、最後の事例を紹介させてください。
 石川県では、一昨年に、新生児がなくなる医療事故がございまして、それを契機に、周産期医療の在り方を検討するための赤ちゃん協議会というものを設置しました。
 周産期医療は多くのステークホルダーが関わります。産科医、医療機関、大学、あと、市町からは副市長、副町長さんが参加して、この検討会を行いました。馳知事御自身もこの会議に参加しました。
 私たちは、様々な課題を見える化しまして、例えば35ページ目以降ですけれども、各病院での分娩数や産婦人科医の配置状況、36ページ、各病院での分娩数、あとは産婦人科医の勤務時間、労働環境も見える化しました。
 さらには、38ページ、39ページ目で、病院間でどのような救急搬送が行われているのか。
 40ページ目で、女性医師に対してどのような支援案が行われているのか。
 41ページ目では、医療機関の役割分担。
 そして、42ページ目では、産科医を今後、養成、派遣していく循環型サイクル、こういったものについて検討を深めてまいりました。
 その結果、赤ちゃん協議会からの中間取りまとめを経まして、令和5年度には周産期医療の対策としまして、大きく3本柱、産科医不足地域の体制強化、産科医の養成の確保、さらには妊産婦に優しい環境整備という事業を開始していく予定で、引き続き、県内の周産期医療の体制強化を進めていく予定でございます。
 また、このような検討を進めていく中では、データに基づく分析というものも重要だと考えております。
 こちらは、保険局からの通知になりますが、都道府県は、市町村が保有するレセプトなどを閲覧することが可能とされておりまして、当県では市町村に加えて、後期高齢者医療広域連合からもレセプト情報の提供を受けまして、地域医療構想の議論に活用しているところでございます。
 駆け足で恐縮でしたが、最後に本日お伝えしたいことを2枚にまとめさせていただきました。
 地域医療構想の推進に必要なことということで、私たちが考えていることを、こちらで述べさせていただきたいと思います。
 最初に数字の1ですが、ステークホルダーを理解することが大切だと考えております。都道府県、市町村、大学、医師会、医療機関、住民の代表者など、様々なステークホルダーが関わり、それぞれのステークホルダーに当事者意識を持って課題を考えていただく、そして行動を起こしてもらうことが重要だと考えております。
 そのためには、各ステークホルダーの意思決定プロセスを理解していくことが重要で、特に自治体立病院では、病院長さんの意思決定にできる範囲に制約があって、首長さんや副首長さんと協議する必要性や、意思決定に時間がかかることを留意しておくことが必要です。
 また、数字の2、地域医療構想の進め方ですが、進めるためには、ステークホルダーに参加していただいた後、きちんと課題を設定して、課題を見える化して、解決策を提示して、合意を形成する。これを何回も何回も繰り返していく必要があって、そのためには、きちんとデータに基づく説明というものをしていく必要があるのかなと思います。
 具体的な会議の進め方としまして数字の3でございます。(1)のロジ面に関しましては、当県では、議論を進めるために、医療圏単位の調整会議にも本庁が議事進行に関わりました。また、議論を活性化させるために、地域医療構想のアドバイザーに座長をお願いしましたし、地方厚生局にもオブザーバーとして参加いただきまして、適宜、助言をいただきました。大変ありがとうございます。
 また(2)の議論の進め方ですが、①問いの設定が重要だと思っておりまして、地域医療構想では、とかく赤、青、緑、黄色の医療機能や病床機能報告の議論に偏る傾向がございますが、むしろそれ以外の地域固有の課題を解決することが重要と考えております。
 ですので、取り組むべき課題を選択して、参加者が答えることができる問いを作り、課題を持ち帰ってもらい、次の調整会議まで検討してもらうことが重要だと考えております。
 最後のスライドです。
 また、都道府県は、データを分析して、創意工夫で地域全体の課題を見える化することができると思います。石川県は本当に試行錯誤でしたが、様々な調査を設計いたしました。
 また、地域の課題を面的に把握するにはKDBの活用が大変重要だと考えております。
 また③仮説の構築ですが、調整会議は、ある程度の解決策を示すことが重要だと思っておりますので、地域医療構想アドバイザーと議論の落としどころというものを幾つか作っていくことが重要と考えております。
 また、④議論の活性化につきましては、データの分析を行うと医療機関の特徴や共通傾向が分かりますので、私たちは調整会議の場で、その課題の原因をどう考えるかとか、各病院さんがどう貢献できるかということを、みんなに、各病院に発言してもらいました。
 最後です。医療機関の関心事は、やはり自院の経営に資する情報であり、すなわち患者さんがどれだけ来るかということでございます。
 個々の医療機関の経営にどれだけ影響が出るかを見せることが重要だと思っておりますので、厚生労働省の技術的な支援を活用したり、都道府県はKDBやDPCの分析の結果を伝えることが、今後の地域医療構想の進展の鍵となると思います。
 また、4でございますが、当県もできていない今後の展望でございます。地域医療構想調整会議と医療従事者の確保を協議する地対協が両輪で動くようにしたいと。また、当県では、調整会議や地域医療対策協議会に大学の病院長さんが出ておりますが、医師の派遣は個々の医局が決めますので、県の会議をどのように個々の医局さんにお伝えするのか、どう連携するのかというのは、今後の課題かと考えております。
 早口となりましたが、発表は以上となります。御清聴ありがとうございました。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、構成員の方々から御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 今村です。熱心な取組、感銘いたしました。
 9ページにあります、石川県の病床機能の分類のことについて、もう少し詳しく知りたいのですが、奈良県でも急性期を2つに分けて、急性期と重症急性期に分けているわけですけれども、ここで言う2番、3番、4番の定義の切り方というのは、どんなふうに切られているのかということと、実際にこれを報告として求めて病床を集めてもらえるかという、この2点教えていただければと思います。
○永松参考人 お答えいたします。
 まず、後者のほうから先にお答えさせてください。県単位の報告では、2、3、4を含めまして、各病院がどれに相当するのかというのを御回答いただいております。
 10ページにありますように、その時の機能というものは、1つに選ぶ必要はなくて、複数選んでいただいて構わないという形で御回答いただいております。
 これとは別に、国への病床機能報告はやっていただいておりますが、その回答においては、先ほど私がインフレと申し上げましたように、各病院は県の会議で議論した機能とは異なり、赤とか青で回答してきたので、どうしようかと困っていたところでございます。
 先生の最初の御質問です。ここの分類が、どうして2軸にしたのかといいますと、私たち実は奈良県方式にしようかと、初めは考えておりましたが、そうすると、3番、4番がどっちが上なのか下なのかということで、なかなか合意を得ることができなかったり、両方大切だよというのが、うちの県の中での議論でした。
 ですので、苦労した着地どころというのが、③と④を並立することとなっております。
 御回答は以上です。
○尾形座長 今村構成員、いかがでしょうか。
○今村構成員 ありがとうございます。
 奈良では、ポストアキュートか、亜急性期かというのは随分議論があって、奈良のほうは、軽度急性期と急性期を分けるという定義でやったのですけれども、そちらはそういう議論の中で、この縦に2つに割るということだと分かりました。ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 御説明どうもありがとうございました。
 いろいろな悩みを抱えながらやられているということがよく分かりました。その端的な例として、13ページに結構問題意識を持たれていると思うのですが、①から③という傾向が見られて、実態の医療機能に即した報告がなかなか行われていないのではないかというところを悩みとして書かれていて、それに対する施策としていろいろな情報を与えて、再度出していただきたいと言っても、なかなか変わらないということがあるのですが、ちょっと聞きたいのは、やはりこの病床機能報告は、当該医療機関の機能の報告が、実態に即していないのではないかというところがかなり多く見られたということなのでしょうか。
 もう一つは、15ページの今後の示唆というところがあるのですが、これは、石川県の方と事務局のほうにもちょっとお尋ねしたいのですが、資料1の15ページに今後の示唆とあって、病床機能報告制度の限界として、定性的な指標である医療機能は、医療機関が主観に基づき、自主的に選択するため、医療資源投入量の多い機能を選択する傾向があるとうたわれています。
 病棟単位の報告では、なかなか細かい粒度での病床機能を反映し切れない場合があるということなのですが、この報告制度がこのような仕組みになっているのであれば、石川県だけではなくて、全国そういう悩みを抱えられているのではないかと思っていて、これを全て足し合わせれば、本当に、全国の病床数を集計すれば、無視できない乖離が生じているということも懸念されると思います。
 報告の仕方なのですが、より実態に即した機能を反映すべく、本当に病棟単位でやっていいのか、それとももう少し精緻にするために、実態に即した機能を反映すべく、一定程度の定量的な基準を追加するということも考えていいのではないかと思うのですが、石川県の方、それから事務局の考えをちょっとお聞きしたいと思います。
○尾形座長 それでは、永松参考人、お願いします。
○永松参考人 答えさせていただきます。
 本当に悩みました。各病院さんに実態が合っていないのではないですかと、間接的に御意見をお伝えしましたが、ここのB病院、C病院、D病院みたいな様々な病院さんの主観に基づいてお答えいただいて、なかなか県が考えているのと、病院さんからの御報告が違うのかなと思います。
 ただ特徴は、B、C病院とD病院を比べていただきたいのですけれども、D病院、急性期と回復期が混ざっている病院が、回復期が増えることは全然抵抗なかったのです。なので、やはり新しい色が混ざること、急性期から初めて回復期の緑になることとか、またもう一個上、今まで高度急性期から初めて急性期の新しい青を入れることというのは、病院さんは、かなりハードルが高いのかなと思っております。
 私は、都道府県からは、制度はいい点と悪い点というか、特徴を捉えて使えればいいかと思っておりますので、この制度をどう運用するかは、事務局さんに御回答をいただければなと思います。
 以上です。
○尾形座長 それでは、2つ目の質問のほうについて、事務局、お願いいたします。
○有木課長補佐 事務局でございます。
 今、幸野構成員から御指摘いただいた点につきましては、まず、昨年の12月に皆さんの御意見をいただいて取りまとめたとおり、現在の制度の基本的な枠組みは維持しつつ、取組みを進めていただくこととしています。
 一方で、今、御発表いただきましたとおり、こういった制度の中で各都道府県が工夫されているところ、苦労されているところがあるというのは、我々も承知しておりますので、そこの部分につきましては、来年度、再来年度に2025年以降の地域医療構想を議論、検討させていただく中で、様々な声も踏まえながら考えていきたいと思っております。
 以上です。
○尾形座長 幸野構成員、よろしいでしょうか。
○幸野構成員 2025年までということで了解しました。25年以降については、1つの検討課題になると思っています。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、櫻木構成員、どうぞ。
○櫻木構成員 ありがとうございます。
 今までいろいろな地域医療構想のお話を聞いてきたのですけれども、今日のお話が一番分かりやすくて、すとんと来るような気がしました。
 それは、やはり私たちの地域のことは、私たちが決めるのだという立場に立たれて、いろいろな検討をされた結果ではないかと考えています。
 50ページの地域医療構想の推進に必要なことというまとめの中で、様々なステークホルダー、これの理解を得ていくのだということが示されています。
 ステークホルダーの中に、地域の住民ということを考えておられるようですけれども、地域医療構想にはいろいろな会議体があるわけですけれども、それぞれの会議体に地域の住民の方というのは、どういう形で参加をしたのかというのを教えていただきたいのが第一点です。
 それから、地域の固有の課題の解決策を考える、このことが重要ですということは、非常に私も共感します。何か地域医療構想というと、国のほうから何かいろいろな情報を得て、国のほうから様々な課題が与えられてというようなイメージがどうしてもあるのですけれども、地域固有の課題の解決を考えていくということで、様々そういった地域固有の課題というのはあると思うのですけれども、それの取捨選択とかあるいは優先順位、これをどういうふうにつけていったのか、これを教えていただきたいと思います。2点よろしくお願いいたします。
○尾形座長 すみません、座長からですが、ちょっと時間の関係がございますので、ここで現在挙手されている大屋構成員までの4人の方に質問を絞らせていただきます。御質問については、簡潔にお願いしたいと思います。
 失礼しました。それでは、永松参考人、どうぞ。
○永松参考人 簡潔に回答いたします。
 市民団体の代表としましては、婦人団体とか、民生委員とか、食生活改善委員会の方に、地域の地域医療構想調整会議に入っていただいております。
 2点目、課題の取捨選択なのですけれども、正直、医療機関に課題を挙げてもらうというと、出てくる課題が多過ぎて、実は解ける課題が少ないかなというのが正直なところです。
 ですので、やれるものから一つ一つ課題を解決しているというのが、都道府県の現状でございます。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 櫻木構成員、よろしいでしょうか。
○櫻木構成員 ありがとうございました。
 それでは、織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 ありがとうございます。
 今の櫻木構成員の御意見とほぼ一緒なのですけれども、ものすごくいいのは、50ページの議事の進め方の①の最初の○、この文章が全てであると思います。これは、病床機能報告等よりも、やはり地域固有の問題の解決を考えることが重要ということなのだろうと思います。
 そういうことを含めて14ページ、先ほど問題になっていました、急性期を回復期になかなかしないという病院があるということなのですけれども、実際、100床未満の病院は、1病棟か2病棟しかないというような状況です。ですから、多分、急性期、回復期で迷うところが多いと思うのです。200床以上の病院は、4病棟ぐらい持っていて、1つは回復期というのはあり得るのですけれども、1病棟か、2病棟しかないと、なかなか急性期か回復期の判断が難しいのだろうと思いますけれども、そこら辺はいかがでしょうか。○尾形座長 永松参考人、どうぞ。
○永松参考人 ありがとうございます。
 ある病院の事例なのですけれども、病床が合計100、50足す50で運営されているのです。その50床でも約20床が回復期リハビリテーションの加算を取っているのですけれども、引き続き急性期で登録したいという院長さんの御意向が強くて、回復期にならなかったというのがあります。お答えにならないのですけれども、病院さんが、急性期にこだわるのは本当に強いので、心を変えていただくのは、相当苦労しておるのが都道府県の現状です。以上となります。
○織田構成員 分かりました。ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。それでは、伊藤構成員どうぞ。
○伊藤構成員 ありがとうございます。伊藤です。
 質問をさせていただきたいのは3点、まず1点ですが、全県的な県単位の構想会議の調整会議をやった後に、各医療圏単位での地域医療構想会議をやっておいでになるという、ここの関係性、県単位で起こった議論の課題を各地区に落とすのかどうかというところが、一点。
 それから、先ほどと同じですけれども、13ページのところ、14ページのところでかなり詳細なヒアリングをやっておいでになるようですが、これは物すごく手間がかかるので、これに対してどういう人員、県のスタッフの数をどういう形でこれをやっておいでなのか、分かれば教えていただきたいのと、さらに14ページのヒアリングに関しては、当然のことながら毎年行われるものだと思っておりますので、その計画等があれば教えていただきたい。
 以上です。
○尾形座長 永松参考人、お願いします。
○永松参考人 1点目、お答えはそのとおりでございます。まず、全県単位のもので問いを設定して、各地域医療圏に落として回答を得ると。それをまた県単位に持ってくるといった、この繰り返しでやっております。1点目の答えです。
 2点目、人員体制です。正直少ない人員で頑張っております。若い係長、グループリーダーに夜遅くまで頑張ってもらっているというのが正直なところでございます。
 質問の3点目、来年も各病院さんに、オープンな場で御質問をしていただくことを繰り返していきたいなと考えております。
 以上となります。
○尾形座長 伊藤構成員、よろしいでしょうか。
○伊藤構成員 はい、結構です。
○尾形座長 それでは、大屋構成員、どうぞ。
○大屋構成員 私からは、2つ御質問を差し上げます。
 1つは、先ほどのプレゼンの中で、地域医療構想調整会議と地域医療対策協議会が両輪のようにして、しっかりと県全体の取組を進めるというお話だったのですが、私、両方の会議に出たりするのですけれども、必ずしもその2つに出てきている参加者が、もう片一方の会議のことを意識しているかどうかというのは、なかなか難しいと思うのですけれども、そこについてどのように、うまくその2つを組み合わせるようにされているのかという工夫について教えていただきたい。
 2つ目は、29ページで、やはり医師確保に御苦労されているということで、徐々に、いわゆる地域枠と自治医科大の卒業生の割合が増えているということになってきているのですが、地域枠の臨時増員分が減ってくると、ここのところは、また厳しくなったりとか、これは、地域枠以外の人が地域に行きたがらなくなったということも指しているのか、ちょっと大学の方に聞かないと分からないかもしれませんが、行政としての捉え方を教えていただければと思います。
○尾形座長 永松参考人、お願いします。
○永松参考人 ありがとうございます。先に2点目からお答えします。
 石川県では、平成21年より地域枠が始まり、最初の卒業生も義務年限が終わろうとしています。地域枠の卒業生と自治医科大学の卒業生による医師派遣も、これ以上増えないのかなと考えております。ですので、各病院さんには、医者がほしいと言っても追加派遣はありません。現状が最大限です。かつ、女性医師の割合が多くなってきていますので、育休産休に入る方もいますので、勤務環境を整えてくださいと、各病院さんにお伝えしたところでございます。
 2点目、地対協と地域医療構想調整会議の連携なのですけれども、私の県では、たまたま参加者が同じメンバーであることが多いことと、あと両方の会議の資料は公開したりとか、内容をお互いフィードバックし合いながら運営していきたいなと考えております。
 以上となります。
○大屋構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいでしょうか。ほかにも御質問等あろうかと思いますが、申し訳ありません、時間の関係もありますので、資料1については、この程度にしたいと思います。
 永松参考人、どうもありがとうございした。
○永松参考人 ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、引き続きまして、大阪府健康医療部、岡田参考人から資料2の説明をお願いいたします。
○岡田参考人 大阪府健康医療部保健医療企画課の岡田でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 2ページをお願いいたします。
 本日、大阪府からの御説明の内容といたしまして、大阪府の医療体制の特徴を踏まえました府独自の地域医療構想の取組につきまして、今年度の新たな取組も含めて御説明をさせていただきます。
 3ページをお願いいたします。
 大阪府の医療体制の特徴といたしまして、民間病院の割合が約9割と全国より約1割高く、公民で医療を支えていることから、地域医療構想の推進には、公民一体で取り組むことが必要となってございます。
 このため本部では、医師会や病院関係団体等と地域医療構想の議論の進め方などにつきまして、意見交換を密にするなど、日頃から信頼関係の構築に努めております。
 具体的には、病院団体の役員会などでたびたびお時間をいただきまして、進め方について御意見をいただきながら、会としても御協力いただくようにお願いするとともに、全病院を対象としました説明会なども開催しまして、趣旨説明を行うなどしております。
 4ページをお願いいたします。
 大阪府では、大阪アプローチの推進といたしまして、全病院参加型の取組を進めております。
 具体的には、ポイント1にありますように、病床機能報告等の定量的分析や、各医療機関の診療実績の可視化など、独自の診療実態分析を行いますとともに、ポイント2といたしまして、病床機能報告対象病院の全病院に、2025年に向けた具体的対応方針、病院プランを提出いただいております。
 具体的には、資料右下に記載の現状の病床機能や、2025年に向けた検討内容等にある各項目を内容といたしまして、今年度の提出率は、1病院を除く465病院に御提出をいただきまして、99.8%と非常に高い率で御協力をいただいている状況でございます。
 次に、ポイント3といたしまして、全病院参加型の会議であります、病院連絡会を、府内8つの二次医療圏ごと、うち大阪市では、4基本医療圏ごとで開催をいたしまして、各病院の診療実態や具体的対応方針の共有、また、地域医療構想の推進につきましての意見交換の実施をさせていただいております。
 今年度は、コロナ禍ではありますけれども、ウェブではなくて、やはり対面での開催を行ったほうがよいのではないかといった団体様からの御意見もありましたことから、12月に各圏域で開催いたしまして、実際御出席もいただいて、406病院、参加率として87.1%の病院の病院長の方々などに御参加をいただいている状況でございます。
 この上で、各圏域の地域医療構想調整会議におきまして、具体的対応方針の協議を行っております。
 二次医療圏ごとの病院連絡会や、地域医療構想調整会議、また、その間で設けております懇話会などの会議につきましては、各圏域の保健所が事務局となりまして、本庁とともに説明や病院との調整を行うなど協力して会議運営を行っております。
 5ページをお願いいたします。
 先ほどポイント1として御説明いたしました、診療実態の見える化の事例でございます。
 がん、脳卒中、心血管疾患、救急、周産期、小児医療などに係る各医療機関の診療実態につきまして、実際の病院名を入れたものを各圏域で共有させていただきまして、地域での議論や、各医療機関の自主的な転換等の取組に御活用いただけるようにしておる状況でございます。
 6ページをお願いいたします。
 病床機能報告と病床数の必要量の比較の表を御覧いただきたいのですけれども、一番右側の合計欄ですけれども、2021年の病床数は8万7975床と、一方で2025年の必要量は約10万床となっております。
 一方で、基準病床数につきましては、約6万床ということで、既存病床数が基準病床数を上回っておりますため、大阪府では、2025年の必要量の達成に向けた新たな病床整備というのができない状況となってございます。
 このため、既存病床数の8万7975床の範囲内で定量的分析を行った上で、機能分化を促進しております。
 このうち、急性期の報告病棟につきましては、奈良県や石川県の取組もありましたけれども、大阪府でも診療実態の分析をさせていただきまして、重症急性期と地域急性期に分類をさせていただくとともに、下の棒グラフを御覧いただきたいのですけれども、地域急性期と回復期を合わせた24.3%と、病床数の必要量における回復期30.9%の割合を比較しまして、その差につきまして、今後の転換を促しております。
 7ページをお願いいたします。
 こうした取組によりまして、2014年からこれまでで、急性期病床は約4,000床減少しまして、回復期病床は約4,000床増加するなどの機能分化が進んできております。
 8ページをお願いいたします。
 地域の会議等におきまして、客観的に病床転換の議論を行うためには、医療機関の報告に当たっての基準が必要との意見が多くございましたため、今年度新たな取組といたしまして、府独自の報告基準を設定いたしました。
 具体的な内容は、下の表を御覧いただきたいのですけれども、高度急性期から慢性期までの各病床機能につきまして、府内病院の令和3年度の病床機能報告における人員配置や診療実績の入院料ごとの分布などを分析しまして、患者像なども踏まえた基準を設定いたしました。
 今年度は、この基準に基づいて約9割の病院様から、全ての病棟を基準に基づいて御報告いただいたという状況でございます。
 次の10ページを御覧いただきたいのですけれども、9ページ、10ページがその具体的な内容でございます。
 9ページの(2)にありますように、高度急性期か急性期のどちらで報告をいただくか、病院の任意となっております入院料につきましては、府の報告基準に沿って御報告をお願いしております。
 10ページをお願いしたいのですけれども、10ページの(3)にありますように、例えば、急性期一般入院料4から7につきましては、看護師数ですとか、平均在棟日数の基準を満たさない場合は、回復期として御報告いただくようにお願いしているというような仕組みで報告基準を策定しております。
 11ページをお願いいたします。
 本年度の取組の2つ目といたしまして、病院機能の見える化という取組も行っております。病床機能ごとの病棟の割合に応じまして、この表の上側にございますように、急性期病院、急性期ケアミックス型病院といったような7つの分類に分けまして、それら病院の主な役割を示すとともに、特に太い枠、オレンジ色の枠で囲っております、現在、回復期を担っていただいております病院様に対しまして、回復期の機能を強化していくことを働きかけるということを行っていまして、そういう形で役割分担の議論を促している状況でございます。
 12ページをお願いいたします。
 今年度の各病院の具体的対応方針についての合意の状況でございます。
 調整会議で合意となった病院が462病院、継続協議となった病院が3病院でございます。
 過剰病床への転換計画については、下の表で内訳を示しております。新型コロナで、一時的に病床機能が変わっている病棟を、2025年には元の機能に戻す計画である23病院を除きまして、30病院がコロナと関係なく転換をされる。そのうち入院料の変更のある転換は19病院ありまして、中には、一番右側ですけれども100床以上の転換である再編統合事例が1件ございまして、こちらは継続協議となっている状況でございます。
 13ページをお願いいたします。
 地域医療構想の推計値と入院実績の比較を、今年度新たに行いました。入院実績は推計値を下回り推移をしております。コロナ禍前は増加傾向で推移をしておりますけれども、コロナ禍以降は減少傾向に転じております。
 14ページをお願いいたします。
 病床機能別で見た推計値と実績の比較でございます。特に右上のグラフを御覧いただきたいのですが、回復期の実績は、ほかの病床機能と違いまして、コロナ禍でも増加をしている一方、推計との乖離が大きくなっております。
 15ページお願いします。
 まとめでございます。地域医療構想の推進に当たっての課題といたしまして、病院連絡会や、地域医療構想調整会議で各病院から多く出ている意見を基にまとめさせていただきました。
 1点目でございますが、病床数の必要量につきましては、2013年の実績を基に推計されたものでして、医療を取り巻く状況も大きく変わっている中で、実態との乖離が生じるなど、地域医療構想調整会議における協議の根幹をなすメルクマールとしての信頼度が低下しておりまして、議論を行う中でも、必要量についての考え方の整理も必要といった意見が出ております。
 具体的には、新興感染症を見据えた病床数とすることや、急性期病床は、「救急対応病床」と「予定入院対応病床」を区分して必要量を算定するといったような意見でありまして、国におかれては、ぜひ2025年の見直しまで据え置くのではなく、早急に考え方の整理、見直しをお願いしたいと存じます。
 次に、病床機能報告につきましては、回復期という名称が、サブアキュートを含めた、今後増やすべき機能を表し切れていないということなので、例えば、「亜急性期・回復期」ですとか、「地域包括ケア・回復期」といったように名称を変更していただいたり、病床機能についても共通認識をしっかり持てるように、大阪府で導入した入院料ごとの報告基準のようなものを、国においても導入いただいたりすることで、より客観的かつ具体的な議論につながるのではないかと考えております。
 次に3点目でございますが、診療報酬につきましてです。回復期機能を有する回復期リハや地ケア等の入院料の施設基準が厳しくなっておりまして、病院様のほうからは、転換を検討しているけれども、基準が厳しく難しいと言ったようなお声も多くお聞きしているところでございます。回復期機能への転換が進むように、基準要件の緩和が必要ではないかと考えております。
 最後に、医療法の知事権限についてでございます。
 過剰な医療機能への転換の中止の要請権限につきましては、再編統合等による新規開設病院というのが適用となっていないということで、先ほど御説明いたしました100床以上の過剰病床への転換の事案に対しても、行政指導にとどまっているという状況でございます。
 国におかれては、こうした案件につきましても要請等できるように、見解をお示しいただく、または対応策をお示しいただきたいと考えております。
 以上、今後、地域医療構想をしっかり進めていくためには、いずれも喫緊の課題と考えておりますので、御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 私からの説明は、以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等をお受けしたいと思います。
 それでは、今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 今村です。機能分化のことを随分頑張っていただいていることがよく分かりました。
 6ページで総量の病床のお話を聞かせていただきたいのですが、実際、今、大阪府の病床数は8万7000で、病床数の必要量は10万で1万3000ぐらい、今のままだとあふれるという計算だと思うのです。これをどんなふうに吸収していこうと考えておられるのかということと、2025年で10万ですけれども、大阪府の人口を純粋に考えれば、35年、45年というのはもっと増える計算になるわけで、同じぐらいの乖離がどんどん大きくなっていくと思うのです。
 そういったことに対しての対策というのは、どういうことを考えていただいているのかというのを教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○尾形座長 それでは、岡田参考人、お願いいたします。
○岡田参考人 ありがとうございます。
 委員御指摘のとおり、大阪府では、国の定める算定方法に基づきまして算出されました基準病床数を、既存病床が上回っているということで、新たな病床整備ができない病床過剰地域となっております。
 一方、病床数の必要量は約10万床ということで、基準病床数と大きな差が生じているというところで、先ほども御説明いたしましたように、既存病床数の中で病床機能転換を進めているというところですけれども、地域医療構想調整会議などでも、しばしばこの両者の数が異なるということにつきまして、病院様などからは回復期の見込みが多過ぎるのではないかとか、あるいはもっと病床数が必要なのではないかといったような御意見もいただいているところでございます。
 府のほうでは、両者の制度の違いについては説明を行っているものの、冒頭説明したように、メルクマールとしての信頼度が低下してきているという状況でございますので、国におかれては、病床数の必要量の見直しをお願いしたいと考えております。
 基準病床数でございますけれども、第7次計画の策定時に、基準病床数の特例措置の活用についての検討を行った上で、毎年基準病床数の推計値のシミュレーションを行いまして、見直しの必要性などを確認しているところでございます。
 今後、8次計画の策定に当たりまして、国から示される予定の新しい基準病床数の算定式も踏まえた上で、8次計画で設定する基準病床数については検討を行う予定でございます。
 現時点では、府は、他府県からの流入超過となっている地域ではありますけれども、将来的に不足するといったようなことのないように、基準病床数の算定をしっかり行うことで、基準病床数に沿った病床の整備といったようなところも、今後検討してまいりたいと考えております。
○尾形座長 今村構成員、いかがでしょうか。
○今村構成員 私、お隣の奈良におりますので、大阪であふれた人の1割でも奈良で診てくれと言われると、奈良全体で、今、2000床をどうしますかというような議論をしている中で、1割大体2000床なので、とてもではないけれども、受け切れないという状況があって、ぜひどう対応するかを、これからまだ増えていくという前提で考えていただきたいと思っていること。
 それと、病床を基準病床数よりも上回っていたら、増床できないという理解をしていなかったのですが、これは事務局のほう、必要病床数が多かったら増床できるという理解をしていたのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
○尾形座長 これは後質問ですので、事務局、お願いします。
○有木課長補佐 事務局でございます。
 原則としましては、基準病床と既存病床というのを比較して、既存病床のほうが多い場合は病床過剰地域ということになりまして、例えば、都道府県知事は、公的医療機関に対しては、開設許可の申請を行わない、あるいは、公的以外の医療機関に対しては、開設について勧告をすることができると医療法上なっております。
 一方で、先ほど大阪府のほうからもお話があったとおり、基準病床数につきましては、人口の増加が見込まれる場合は、厚生労働大臣と協議した上で基準病床数を変更することができるという規定もございます。
 そういった法律構造の中で、各都道府県において、必要な対応の判断をしていただきたいと考えております。
 以上です。
○尾形座長 今村構成員、よろしいでしょうか。
○今村構成員 大阪は、まだ、これから患者さんの数の1.3倍から1.5倍に増えると思うので、純粋に受け切れるかどうかということを考えていただく必要もあるし、必要ならば病床を増やすということも選択肢だと考えています。
 今村からは、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 先ほど石川県でも質問したのと同じような感じなのですが、多分、大阪の定量的分析、大阪がアプローチをされているのは、石川県と同じ悩みを抱えられているのだろうと思っていて、それで独自の大阪の報告基準などを設定されたと思うのですが、こういった定量的基準とか、大阪独自の報告基準を入れることによって、病床機能というのは、ある程度実態に即したものになったとお考えでしょうか。石川県の場合は、なかなかうまくいかないという話だったのですが、大阪の場合は、いかがでしょうか。
○尾形座長 岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 ありがとうございます。
 御質問が、今回の独自の基準であるとか、定量的分析を行うことで実態に即したものになっているのではないかということですけれども、今回の基準を作ることによりまして、例えば、独自の基準のほうになりますと、人員の基準ですとか、診療実績を基に分類をいただくという内容になっておりまして、例えば、今回、コロナ禍であるということで、一時的に人員体制が減っているケースなども中にはあったのですけれども、そういった場合におきましても、今回、この基準を参考にいただくことで、もともとは急性期だけれども一時的に人員が減っていることで少し回復期になるとか、あるいは高度急性期だけれども急性期になるといったようなケースも中にはあるのですけれども、そこはきちんと地域医療構想調整会議などにおいて、一時的にこういう状況になっているので、将来としては、2025年には機能を戻して、例えば、もとの急性期に戻します、もとの高度急性期に戻しますという御説明も加えていただいた上で、今後の2025年に向けたプランを、それぞれ御説明いただいているという状況でございますので、やはり客観的基準に基づいて、自分のところの病院がどういう機能を有しておられるか、今どんな状況であるかというようなことを地域で共有いただいて、その上で、地域医療体制をどう連携、分化しながら進めていくかという積極的な議論につながっておると考えております。
○尾形座長 幸野構成員、いかがでしょうか。
○幸野構成員 よく分かりました。やはり定量的な基準は、一定程度必要だということが分かったと思います。ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
 聞いていて、とてもいいなと思ったのは、11ページの、実は病院機能の見える化ということで、ここの病院はどういう機能ですよというのを一目見て分かるような形にしているというのが、これは、とても国民にとって分かりやすい考え方ではないかなと思いました。
 1つ質問をさせていただきたいのですが、大阪府の中の大阪市は、多分全国で一番人口の多い二次医療圏だと伺っているのですが、たしか300万ぐらいいるという話で、一体その大きい大阪市を、どのように全病院参加型の話し合いを行っているのか、ちょっと参考に教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○尾形座長 岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 ありがとうございます。
 大阪市域におきましては、二次医療圏としましては、大阪市が1つの二次医療圏であるのですけれども、4つの東西南北の基本医療圏に分けまして、例えば、今、投影いただいております4ページのポイント3にあります、病院連絡会につきましては、それらの基本医療圏ごとに、東西南北に分けて実施をしております。
 ただ、それでもやはり1つのブロックにおいても、かなりの病院数がございますけれども、そこは大阪市と大阪府で連携をしまして、まず、全病院様のほうにこの病院プランを御提出いただくお願いをするところから、プランを提出いただいて、その分析を大阪府のほうで行って、それで、大阪市とも分担をして資料作成でありますとか、病院にお越しいただく手続、また、会議運営なども府の本庁と、それぞれの市ですとか、政令市、大阪市などと連携をして開催をしているという状況でございます。
 全病院に御参加いただいているというところは、本当にありがたいと考えておりまして、そちらは、やはり冒頭申し上げました病院団体の方や、医師会の方などに、日頃から地域医療構想の取組の趣旨を御説明させていただいて、全病院で協議をするというところも御賛同いただいて、御出席いただいていると考えております。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 非常に大きい二次医療圏でコントロールができるか、4つに分けたとしても二次医療圏は結局1つなので、そうすると、15ページの最後のような知事権限の問題とか、そういうことも出てくるのだろうと思うのです。
 これは、大きいものを4つに分けているのだったら、いっそのこと二次医療圏を分けるとはお考えにならないのでしょうか。
○尾形座長 岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 ありがとうございます。
 今のところ、確かに大阪市におきましては、人口が200万人を超える人口ではあるのですけれども、現状といたしましては、4つの基本医療圏に分けて、細かな話し合いなどは、それぞれの基本医療圏を基にするのですけれども、全体の医療提供体制の検討であるとか、それにつながる調整などにおいては、大阪市を1つの二次医療圏ということで、7次計画におきましても推進をしてきているところでございますので、現状といたしましては、大阪市につきましても、1つの二次医療圏というところで進めていきたいと考えております。
○猪口構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。それでは、小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 ありがとうございます。
 岡田参考人には、分かりやすく御説明いただき、ありがとうございます。
 私のほうからは、大都会の大阪で、しかも基準病床が、こんなに旧態依然として低い中で、必要病床数に向かって、民間医療機関が9割もあるのに、こういう整理がよくできているなというのが、偽らざる思いです。
 今後全国で、民間医療機関を含めた地域医療構想を進めなくてはいけないという今の状況の中で、この大阪のやり方といいましょうか、約100%の民間医療機関が素直に、言い方としては怒られるかもしれませんけれども、素直に地域医療構想調整会議の話にのっとって、人員の役割を見直すと、そこは非常に重要視すべき点ではないかなと思うのです。
 最近、大病院を建築して地域医療構想調整会議や、大阪府庁の府の話を聞かないでそういうことをする病院が出そうだという話も聞いていますけれども、それ以外の大半の方が、これだけで皆さんの協議に加わって自院を見直すと、そこのポイントを、私は事務局に、全国に広げる1つの重要な課題ではないかと思うわけです。
 先ほどの石川県を決して非難するわけではありませんけれども、大阪ほど医療機関も豊富でないし、民間も多いわけではないのに県の言うこと聞かないと、あるいは調整会議の言うことを聞かない。でも大阪は、民間が9割を超えているのに、こういうふうに進んでいる、この違い、そこのポイントの対応の仕方というのを、どんどん広めなくてはいけないのではないかと思って、その違いを事務局としては十分に分析していただいて、全国に広めていただければと私は思うところです。
 これは要望でございます。以上です。
○尾形座長 御意見として承りたいと思います。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。まだ、いろいろ御質問等もあろうかと思いますが、時間の関係もありますので、この辺にしたいと思います。
 岡田参考人、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、三友堂病院より、医療機関の立場から地域医療構想の取組について御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 恐縮ですが、御説明につきましては、10分程度を目安にお願いできればと思います。
 それでは、三友堂病院、仁科参考人より、資料3の説明をお願いいたします。
○仁科参考人 スライドお願いします。
 一般財団法人の三友堂病院の仁科です。よろしくお願いします。
 このたび、当法人の取組を取り上げていただき、誠にありがとうございます。また、このような貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。この取組が、今後の地域医療構想に少しでも参考になればと思っております。
 それでは、よろしくお願いします。
 次のスライドをお願いします。
 このスライドは、山形県のちょうど南に当たる置賜二次医療圏を表した地図です。
 人口は、徐々に減りまして20万を切った状況で、19万5000人であります。
 病床数も20施設、2,030床となっております。
 入院患者については、肺炎、骨折、脳疾患障害が、わずかに増加傾向でありますが、総数としては減少傾向にあります。
 特に若い人、いわゆる若年人口の減少に伴いまして、出生率が低下しているということであります。
 それで、置賜の二次医療圏の地域医療構想計画においての必要病床数は、2013年2,065床、2025年は1,749床、316床減少です。
 急性期病床が過剰で、回復期病床が不足となっております。
 令和3年度の救急搬送の件数は、総数で5,276件、二次医療圏は、公立置賜病院というのがありますので、その医療機関は2,159件、米沢市立病院は1,594件、三友堂病院は1,054件、大体3病院で9割を示しております。その他は、10%であります。
 米沢市内では、当院と米沢市立病院が94%を占めております。このプロジェクトの背景は、医療環境について、高齢化を伴って疾病構造が変化していること、また、両病院の常勤医が高齢化していること、常勤医の確保がままならないこと、さらに、両病院は、老朽化になっており建替え計画ということ、それらそれが大いに関係しているところです。
 したがいまして、当院と米沢市立病院が一緒に、2つの病院が急性期医療を切磋琢磨してやるというよりも、医師の確保の観点からも医師の集中化が、将来を見据えてベストであるのではないかと考えております。
 スライドをお願いします。
 令和5年11月の開設予定の新米沢市立病院と新三友堂病院の概観です。
 公立病院と民間病院が隣接し、2階から5階まで、いわゆるコモンストリートと言う渡り廊下で結んだ建物であり、そこに共同利用の建物も一緒になっております。
 両病院は、経営母体は独立採算制を敷いております。あくまでも、このプロジェクトは、医療連携を主たる目的としたものです。
 向かって左側が米沢市立病院、右が三友堂病院です。同一のフロアに両病院の関連施設を配置することで密接な連携を図ります。
 中央には、共同のアメニティセンターとエネルギーセンターを建築して、効率的な施設整備等、運営を行います。
 スライドをお願いします。
 このスライドは、再編の経緯、開院までのスケジュールです。
 この表では、平成29年から始まっておりますが、実は平成23年度に、両病院は一緒になろうかとか、そういう話し合いは、私と米沢市立病院の前院長先生と、こういうディスカッションをしたのですけれども、お互いの経営母体が違うということとアイデンティティが働き、なかなかうまくいきませんでした。
 そこで、平成28年度に、市長と私と会談がありまして、そのときに米沢の医療環境、特に救急対応がなかなか難しい状況になってきたということで、平成29年に、米沢市地域医療連携在り方委員会を設立したところです。
 その後、平成30年に病床機能調整ワーキング、両病院の基本計画の策定、令和2年度に重点支援区域選定等と、県の御協力もありまして、それが順調に進みました。
 一方、米沢市では、令和3年度に都市再生特別措置法に基づく都市再生整備計画に両病院の建築を位置づけ、令和5年3月には、再編計画の厚生労働大臣の認定を受ける予定、そして、令和5年11月に開院を目指して、今、頑張っているところです。
 それと同時に、地域医療連携推進法人を設立する予定となっております。
 次のスライドをお願いします。
 このスライドは、3病院の新旧の対照表です。全体の病床数は627床から462床ということで、機能別には、高度急性期病床は10床から18床、急性期病床は371床から245床、回復期病床は232床から177床に減少、慢性期病床は12床から22床の10床増床の予定です。
 全体的に26%の削減となりますが、山形県地域医療構想に基づく人口動態や疾病構造の変化、両病院のDPCデータを参考に、両病院の病床を設定いたしました。
 また、病床数の設定においては、置賜病床機能調整ワーキングにて、これは、山形大学の医療政策学経済学の村上教授のアドバイスを受け入れながら設定したところです。
 次のスライドをお願いします。
 これは、両病院の全体のコンセプトと、並びに経営形態を表した図です。
 時間がありませんので、かいつまんで言えば、地域連携推進法人を上に持っていって、その下に、米沢市立病院と当院がぶら下がるという経営形態を示しております。
 地域医療連携推進法人は、資金的な縛りもなく、ソフト面で自由な発想ができその特徴をうまく生かそうということで、今、取り組んでいるところであります。
 次のスライドをお願いします。
 両病院における診療連携の具体的な内容です。米沢市立病院は263床、当院は199床ということで、隣同士になっております。
 それで、この図で分かるように、市立病院は、いわゆる高度急性期、急性期、当院は、それ以外の回復期とか、ここに書いてありますように、地域包括ケア、回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア、あと人間ドックとかそういうことを、それ以外は米沢市立病院でカバーしてもらうということであります。
 また、三友堂病院は、介護医療院60床を令和6年に開設して、慢性期医療として連携を図ることの計画をしております。
 スライド8をお願いします。
 ちょっと分かりにくいのですけれども、地下に地下駐車場と、1階がロータリーになっておりまして、キーワードは、アメニティセンターに2階から5階までの渡り廊下でつながっているということで、各フロアについては、関連部門となって、合同カンファランスとか共同利用をお互いにして、連携を図ることにしております。
 下の図では、診療科の主な内容です。かいつまんで言えば、市立病院は急性期、三友堂病院は、サブアキュート、ポストアキュート、あと、いわゆる回復期リハビリテーションと緩和ケア、人間ドックを担当するということです。
 次のスライドをお願いします。
 両病院、アメニティセンター、エネルギーセンターの全体のレイアウトです。
 次をお願いします。
 両病院の合築に関しては、あり方検討委員会の決定事項であり、両病院の診療機能を補完しつつ、かつ高度医療機器の共同利用が円滑にできるようにしています。2階から5階の2階と4階アメニティセンターのところにコモンストリートを設置しておりまして、共同利用の施設をそこに入れるということです。
 そして、隣同士というメリットを最大限に生かすには、両病院の転院の導線が簡単になり、また、エネルギーセンターのイニシャルコスト削減、給食センターを共同化するということで、2つで約1億4000万ぐらいコスト削減できるのではないかと考えております。
 次をお願いします。
 地域医療連携推進法人の設立の概要です。法人名は、一般社団法人よねざわヘルスケアネットです。
 理念といたしましては、人口減少、少子高齢化、医療従事者の不足とか、そういう状況の中において、米沢市において地域医療、介護供給体制の維持と、それを発展的に行うということを目的とし、各医療機関の連携を推進して、医療、介護、あと在宅サービスを分割して、かつ永久的に提供することを目指すというのが理念であります。
 運営の方針としては、参加法人においては、果たすべき役割を明確にして、機能の分担を図ることによって、地域医療、介護サービス提供体制の維持と、参加法人の効率化を図るとしています。
 具体的には、①病床の機能の再編、診療機能の効率化とか適正化、②参加法人が一体となって、医療従事者の確保と人材の育成を行う、それに伴う環境づくり、③参加法人における人材の交流、共同購入など、そういう体制を取るということであります。
 次のスライドをお願いします。
 再編の計画についてですが、医療介護総合確保法に基づいて認定を受けるために、米沢市立病院と共同して地域医療構想の達成に向けた再編計画を策定して、今後、地域医療構想調整会議で協議する予定です。
 そして、認定を受けた場合には、取得する不動産については、登録の免許税、不動産の取得税の優遇措置が受けられます。
 次をお願いします。
 米沢市の都市再生整備計画についてです。
 市民が健康で、安全・安心な暮らしを実現するために、米沢市立病院について、平日夜間・休日診療所をそこに集約させて、そういう施設の整備を行うととともに、当該地域に新たに三友堂病院を隣接整備して、いわゆる医療機能の再編とネットワークを促進して、医療の拠点の確立を図ることを目的に、米沢市においては、両病院の再編が都市再生整備計画に位置づけられました。位置づけられる当該事例は、都市再生整備計画における都市機能誘導区域内の基幹的誘導施設として、国土国道交通省の都市構造再編集中支援事業補助金も併せて活用する予定となっております。
 当院の補助金は、5億円を予定しております。
 スライドをお願いします。
 本日発表したまとめです。①地域医療連携推進法人は、緩やかな組織形態であります。決して強固な経営形態ではありませんが、資産的資金的にも、そんなに縛りなく、ソフト面で自由な発想ができることが出発点であります。
 ②官・民官民融合で、お互いに独立採算制で、双方に経営の形態を維持しながら目的の機能分化を図るということです。
 ③官のよさ、民のよさを補完して、地域医療のあるべき姿を、これから追求しつつ、これが一番のことなのですけれども、常に市民の目線に立った医療提供を目指すということです。
 ④当プロジェクトは、いわゆる自治体病院と民間病院が隣同士で連携するというのは、まれなケースであり、モデル版として是非とも成功裏に収めたい、私は考えております。
 以上で、非常にまとまりのない説明で申し訳ありませんけれども、御清聴ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等を承りたいと思います。時間が押しておりますので、御質問及び御回答については、簡潔にお願いしたいと思います。
 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 どうも仁科先生、御説明ありがとうございました。長年かけて、こういうことをダイナミックにやってのけたというのは、本当にすばらしいことだと思います。
 1つだけ質問をさせていただきたいのですが、もしも両方の法人、片方は市民病院ですけれども、そこでドクターとかナースとかの転籍があった場合に、それがあるかどうかということと、その場合の給与体系をどういうふうに調整するのか、そこをちょっと教えていただけますでしょうか。
○仁科参考人 医師については、転籍です。そして、一般の、いわゆる医療スタッフは。
○田林参考人 参考人の田林です。代わって、給与面について説明させていただきます。
 市立病院は、まだ地方独立行政法人を取っていませんので、なかなか出向契約を取り交わすのは、現状では難しい状況です。ただし、やり方としては、三友堂病院から市立病院に出向する場合は任期付職員ということで、5年間を限度として勤務するという形で、その場合は、5年間は市立病院の職員として働く。ただし5年後は、三友堂に戻るというような、5年間を限度にした任期付の職員として出向することができます。
 逆に、市立病院から三友堂病院については、これは比較的、今までのケースもありますので、在籍型在籍出向の勤務ということで、市立病院の勤務規定に基づいて、その期間は、それは5年とかそんなに長くはできないのですけれども、1年とか2年という中で、在籍型の出向でという形式を取っていきたいと考えております。
 今のところ、三友堂病院から市立病院には数名、5名程度の任期付職員という形で、今、検討しているところです。
 以上です。
○尾形座長 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 分かりました。ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。それでは、幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 御説明ありがとうございました。
 本当に官民の再編ということで、非常に興味深く聞かせていただきました。まさに今の医療事情と今後の医療事情を見据えた機能分化で、地域医療構想の大きな成果ではないかと思っています。
 差し支えない範囲で、立ち入ったことをお聞きするのですが、両院ともに新築移転し、隣接して総合的な機能を有する病院を作られるということなのですが、素朴な疑問として、ここまで密着に連携するのであれば、それぞれの病院を併設するということではなくて、1つにしてしまう、統合という選択肢はなかったのでしょうかということ。やはり、官と民が1つになるというのは、非常に難しいことなのでしょうかというのが、素朴な疑問です。差し支えのない範囲でお願いします。
 それで、患者や地域住民から見れば、大きな総合病院ができるというイメージなのですが、実はよく見れば、2つの病院に分かれているということで、例えば、外来に行こうとした場合、どちらの病院も外来をやられていますので、どっちの外来に行ったらいいのかというすみ分けが結構気になるかなと思うのですが、その辺の御懸念があるのかということをお聞きしたいと思います。差し支えない範囲で結構です。
 それから、統合前は急性期病床が370で、統合後は245ということで、その差は125減るわけなのですが、今いる急性期の患者の方たちは、どういったことになるのか、それぞれの病態に合わせて2つの病院に転院いただくのかということ。
 それから、医療従事者の方が気になるのですけれども、医療従事者の方は、どういう人事交流を、この2つの病院でしていただくのかということについても、お聞きしたいと思います。
 以上です。
○仁科参考人 まず、経営の統合についてお話しします。
 米沢市立病院、特にうちの三友堂病院は、130年以上の歴史を持っており、持ったうちの代で三友堂病院の名を返上するというのは、なかなか私の選択にはなくて、それで、市長さんとも、三友堂という名前は、あくまでも残すということ話し合いました。こと先ほどの御質問で一緒になるというのは、資金の問題とか、自治体病院の赤字とか、そういう資産の問題とか、いろいろな問題があるのです。できれば一緒に、市民三友堂病院という形にしたかったのですけれども、それがなかなか難しい状況であったということで、回答になるかどうかは分かりませんけれども、そういう経過です。
 あと、今、三友堂病院は、一般財団法人で、公益法人ではありませんので、そういう点(純資産300万円問題)と、あと、将来的に市立病院が独法法人になれば、これ以上に人事交流の面とかが円滑にできて、いろいろな面でお互いが補完できる関係になると思います。それと、今、コロナの影響とかで、非常に市立病院も、いわゆる患者減とか、そういうことでマイナスになっているという事情もあります。
 コロナは別としても、やはりうちの今までの歩みとか、市立病院は市立病院の今までの歴史とか、それを廃止して一緒になるというのは、なかなか高いハードルではなかったかと思っています。
 したがいまして、将来的を別として、地域連携推進法人を作って、その下に市立病院と三友堂病院がぶら下がるというホールディングカンパニーみたいな形で、まず、スタートしようということです。
 あと、患者の振り分けは、市立病院は、いわゆる地域支援病院になっていますので、あくまでも急性期の患者さんをトリアージして、そして、慢性期で安定してきた場合は、当院及び医師会のクリニックのほうに紹介していただくということです。
 人事交流については、独法人が市立病院になれば、もう少し緩やかになるのではないかと思います。
 以上ですね。適切な回答になったかどうか分かりませんけれども、以上です。
○尾形座長 幸野構成員、いかがですか。
○幸野構成員 外来患者の方は、どういうふうにすみ分けをして受診されるのでしょうか。
○仁科参考人 外来患者さんは、あくまでも市立病院は支援病院という縛りの中で振り分けるということです。通院の場合は、今、市立病院もどんどん紹介患者を各クリニックのほうに振り分けて、今、逆紹介の形で進んでいます。
 当院においては、当院のかかりつけは、原則では、併科の問題もありますけれども、当院の診るべき患者と、紹介する患者を振り分けています。患者さんの都合もいろいろあろうかと思いますけれども、それは、課題のうちの1つでありますけれども、それをしなければ、この構想は、なかなか難しいのではないかと考えております。
○田林参考人 田林ですけれども、少し補足させていただきますが、一応市立病院と三友堂病院の外来像というのを協議し決定しております。その上でしまして、各市民のほうに、その説明会をし、医師会の先生方にも説明をして、こういった外来像で市立病院は急性期で、紹介型を中心にする。三友堂については、慢性期という形のかかりつけ医機能をやって、さらに在宅医療をやっていくというような振り分けをしている状況です。
 以上です。
○尾形座長 幸野構成員、よろしいですか。
○幸野構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 ありがとうございます。
 仁科先生には、このような新しい方針でお進めいただいていることを、感謝申し上げたいと思います。
 ちょっとお聞きしたいのは、隣に置賜病院というのが、かつて日本ですごい注目を浴びた病院があるのですが、現在、先ほどのスライドにもありましたように、人口が19.5万人で、急性期だけで700床を超える、慢性期を入れると900床を超えるという医療体制の構築を考えられたわけですが、山形県は、大学の地域医療に関する関与も非常に大きいということもあって、その中で置賜病院との将来的な関係というのは、県全体、大学を含めて皆さん御了解されたと解釈してよろしいのでしょうか。その点だけお願いします。
○仁科参考人 置賜総合病院は、ほとんど山形大学からの教室から派遣されている医療機関です。それで、医療機関のすみ分けというのも、質問と少し意味は違うのですけれども、米沢市民は、ほとんど米沢市で医療完結してほしいということです。またで、置賜総合病院の周囲の人口動態を見てみますと、どんどん米沢市以上に人口の減少が進んでおり、将来的に、大学のほうでも置賜総合病院と、いわゆる市立病院・三友堂病院の関係をどうするかというのも、課題にはなっていますけれども、現時点においては、まず、市立病院・三友堂病院の再編統合をスタートしようということです。現在の医師の派遣元はで、三友堂病院も市立病院も山形大学医学部がメインですが、市立病院は、一部東北大学、福島県立医大となっております。
 将来的には、山大医学部のほうで全部米沢市の医療をまかなう考えは持っていますけれども、なかなか、今、山大も人手不足でなかなか難しい状況です。
 私からは、以上です。
○尾形座長 小熊構成員、よろしいですか。
○小熊構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 ありがとうございます。
 仁科先生の今回の事例は、非常に地域医療構想の将来の1つのビジョンを示しているのではないかなという感じがいたしまして、非常にすごいお仕事をされているなと思うのですが、1つ私は、ある地域の重点支援区域の統合に少し関わってみたものですから、心配があるのですが、先ほどの小熊先生の質問にも一部関連すると思うのですが、置賜総合病院があって、そして、今度は先生のところで、2法人が併設されますけれども、こういうときに、一番問題になるのは、ドクターの配置ないしは看護師さんの配置、それが十分できるかどうかということが非常に心配になってくるわけですね。これは実践的な話になりますけれども、その辺のところの、例えば山形大学との協議あるいは東北大学との協議、いろいろなところに手を尽くしておられると思いますが、その辺の人員の配置手配は、抜かりはないと考えておられますでしょうか、その辺をちょっとお聞かせください。
○仁科参考人 なかなか今の御質問は、山形大学医学部の考え方に、どっちを優先するかというのは、ちょっと微妙なことでセンシティブな問題です。医療スタッフ、看護師については、うちの法人は看護師養成もしていますので、比較的スムーズに配置が可能かと、あと、コメディカルは全部配置できるかというと、完全ではありませんけれども、原則解雇しない形で考えました。医師に関しては、山形大学としては、山形県の医療機関は、全部充足させるような考えを持っています。
 したがって、置賜総合病院と、うちの米沢市立病院を、どういうようにすみ分けするかというのも、正直な話、教授の教室の考え方にも大分左右されると思います。それがないように、私も大学に通っているところです。
○田林参考人 参考人の田林ですけれども、先ほども地域医療構想ワーキングの中で、山大、医療政策学講座の村上教授の話が出たと思うのですけれども、そのときにも、公立置賜病院と米沢市立病院の病床の在り方については、話が出ました。
 将来的には、もしかしたら、米沢市立病院と公立置賜病院の再統合もあり得るかもしれませんが、現状、米沢市の医療を完結することが優先ではないかということで、まずは、米沢市立病院と三友堂病院の機能分担を図って、統合・再編をしようという形が、今回の1つの目的となっております。
 ですから、岡留先生の言われるように、将来的にどうなるかというのは、置賜総合病院というのは、築平成20年程度だと思いますので、それから考えると、先に、こういった問題が、また出てくる可能性があろうかと思います。
○岡留構成員 いずれにしても、仁科先生、この先生のお考えといいますか、公と民が融合ないしは、非常にフュージョンする地域の医療構想の大きな1つの流れを示しているのではないかなという感じがして、そのアイデアに、私は、今日びっくりしているところです。先生、頑張ってみてください。
 以上です。
○仁科参考人 補足ですけれども、うちの医療スタッフも急性期を外すというのは、どうなのだとか、けんけんがくがくの議論になりました。
 しかしながら、将来を見据えた病院の在り方というのは、2つの病院を存続させるのが当病院にとっても、山形県においも医師不足の中で難しいという医療環境を職員に対して説得いたしまして、そういう決断に至ったところです。
 以上です。
○岡留構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 それでは、織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 ありがとうございます。
 今の岡留先生の話と一緒で、官民の融合、これは本当に、全国的にもほかにない事例なのだろうと思います。そういう意味では、よくここまでやって来られたなというのと、あと、給与体系とか、外来の機能分化、医師の配置の問題、一つ一つ、今、お答えをいただきましたので、大体理解できました。
 あと、基本的には、一緒にやるというのは、民間の経営手法をある程度市民病院のほうにも影響を与えたいということもあると思うのですけれども、指定管理者制度みたいなものは、話としては出てこなかったのでしょうか。
○仁科参考人 仁科です。ありがとうございます。
 在り方委員会のときに、そういう指定管理者の形態とか、いろいろなパターンがあります。
 それで、いろいろな事情で市立病院としているわけですけれども、先ずは、地方独立行政法人となって、自治体の枠というのですか、いろいろな制約が外れますので、それを目指していただくということです。で本来だったらば、スタート時点において独法法人のほうになっているはずだったのですけれども、それがいろいろな事情で遅れ遅れになっているところです。
 そういうことで、織田先生の仰るとおり、本当に私も、ここまで来たなと思いつつ、まだまだ課題というのはあります。11月の1日に向けて、何とかそれをクリアして、まず、市民の目線に立った医療を目指すということで、それは、米沢市立病院のスタッフ、管理者も同じで、うちがよければいいとか、市立病院がよければいいとかでなく、お互いにウイン・ウインの形で行くというのを、いわゆる見える化して、そして、市民のために医療の提供をするというのが一番の目的でありますので、それに今後とも努力したいと思います。
 以上です。
○織田構成員 ありがとうございました。
 ぜひ先生、我々の手本となるように、これからもいろいろと教えていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○仁科参考人 ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、仁科参考人、田林参考人、本当にありがとうございました。本件については、以上としたいと思います。
 本日は、もう一件、資料の4が残っております。申し訳ありませんが、少し時間を延長させていただいて、この資料4についての検討に進みたいと思います。
 それでは、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○有木課長補佐 事務局でございます。資料4について御説明させていただきます。時間も押していることから、少し駆け足で御説明をさせていただければと思います。
 2ページ目を御覧ください。
 先ほど仁科参考人より三友堂の取組というので、年表の御説明をいただきましたけれども、そちらを少しお借りして、三友堂病院のほうで御利用された様々な新しい取組ですとか、御利用いただいた国の支援策について太字にしております。
 このうち、赤字にした部分につきまして、ほかの医療機関でも同様の利用がありますので、その事例というのを我々のほうから御紹介させていただきます。
 4ページ目を御覧ください。
 1点目、まず、医療機関の併設のケースです。医療機関の併設につきまして、それぞれ独立した医療機関でございますので、医療法上の施設、人員配置基準をそれぞれ満たすということが前提でありますけれども、その上で、先ほども御説明いただいていましたとおり、渡り廊下などでそれぞれの建物がつながっている場合に、患者さんや、職員の往来が物理的に行いやすくなる中で機能分化連携が強化されているという事例として、2事例御紹介させていただきたいと思います。
 1事例目が、埼玉県立小児医療センターと、さいたま赤十字病院です。
 もともとさいたま市内に別々に立地していた病院が、埼玉県の課題であった医師不足ですとか、周産期・救急医療の拠点不足問題の解決を図るために、両者が同時に移転新築をし、併設という形で写真のとおり、両病院、隣接同一敷地内で新しく建ったということです。
 こちらの低層棟部分は、廊下で連結されておりまして、必要に応じて患者さんや職員が行き来可能となっております。
 こちらにつきまして、分娩を、さいたま赤十字病院で、小児医療を埼玉県立小児医療センターが行われるということで、総合周産期母子医療センターを共同で運用されているということになります。
 もともと県内での周産期・救急医療の拠点不足問題というのがあり、こういった両病院が連携することによって、県内のあらゆるハイリスク分娩に対応できるようになったと、地域において課題であった周産期医療の機能が向上したと、そういうようなものとして認識しております。
 続いて、5ページ目を御覧ください。
 こちらは、舞鶴赤十字病院と舞鶴市民病院の事例になります。
 舞鶴市は、市内に公的医療機関が4病院設置されており、再編統合に向けた議論が平成19年から行われていたところですけれども、平成24年に、各病院の特色を生かし、あたかも1つの総合病院として整備を行う計画が発表されました。
 それを踏まえまして、各医療機関の機能分化を進められるということになり、舞鶴市民病院につきましては、かねてより地域で不足していた慢性期機能、後方病院としての役割を担うということになりまして、その上で、舞鶴赤十字病院の隣に新築移転をし、渡り廊下で両病院を連結することで、同様に必要に応じて患者や職員の行き来を可能とし、連携を強化しているという事例です。
 さいたま市の事例、舞鶴市の事例いずれも、地域において求められている機能を担うために、機能分化連携を図る中において、医療機関を併設することで連携を深めている、そういう試みであると認識をしております。
 続いて、7ページ目を御覧ください。
 まちづくりの観点からの地域医療構想の推進事例ということでして、地域医療構想につきましては、まちづくりの観点からも考えることが必要だと考えております。
 先ほど三友堂病院のほうからも御説明をいただきましたけれども、国土交通省の都市構造再編集中支援事業補助金というものが、立地適正化計画に基づき、地方公共団体、民間事業者が行う都市機能や居住環境の向上に資する公共公益施設の誘導、整備、防災力強化、災害からの復興、居住の誘導の取組等に対し、集中的な支援を行って、各都市が持続可能で、強靱な都市構造へ再編するのを目的とする補助金があります。
 こちらの事例は、福島県の福島市の事例でして、この地域では、急性期が過剰、回復期が不足しているという中で、民間の病院ですけれども、大原綜合病院と大原医療センター、それぞれもともと急性期を担っていた病院が、全体の病床を減らしつつ、急性期機能を集約化し、回復期への転換を図ったという事例です。
 これにつきまして、地域医療介護総合確保基金の支援と合わせまして、福島市の都市再生整備計画に位置づけられた補助金というのを活用されていると。
 このように、自治体の都市計画に位置づけられることで、国土交通省の補助金も活用した医療機関の再編が可能ということになっております。
 続いて、9ページを御覧ください。
 認定再編計画による取組ということで、医療機関の再編を支援するため、令和3年より、地域医療構想調整会議で協議、合意された再編計画を厚生労働大臣が認定する仕組みを創設しております。
 認定された再編計画については、税制優遇措置や独立行政法人福祉医療機構の優遇融資を受けることができるという仕組みになっております。
 9ページの1事例目につきましては、北海道の民間病院と有床診療所の再編統合で、有床診療所のほうは、急性期を担っておりましたけれども、両者を再編統合する中において、地域において不足する回復期、慢性期を担うというものです。 この再編計画につきまして、地域医療構想調整会議で協議、合意されたということを踏まえて、厚生労働大臣が認定し、不動産免許税の軽減措置を受けていらっしゃるという事例です。
 続いて、10ページを御覧ください。
 2事例目は兵庫県、こちらも民間の医療機関同士、病院同士の再編統合ということになります。
 こちらは、全体の病床数も4床削減した上で、同様に地域で不足していた回復期、慢性期を担うものとして、計画が地域医療構想調整会議で協議され、厚生労働大臣として認定を受けているということになります。
 こちらの税制優遇措置の詳細につきましては、この資料の参考という形で26ページにつけておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 続いて、11ページを御覧ください。
 現在のところ、二次医療圏の半数以上が病床過剰地域ということになっておりますけれども、病床過剰地域における都道府県知事の権限について整理したものになります。
 医療機関が新規開設、増床を行う場合は、都道府県知事の許可を受ける必要がございますけれども、病床過剰地域では、都道府県がそれぞれの行為に対して、中止の勧告をできる旨、医療法で規定されております。
 しかしながら、病床過剰地域でありましても、こちらに簡単な図をつけておりますとおり、①の同一地における開設者の変更。そして②の同一開設者による同一医療圏での移転というものにつきましては、その前後で病床種別ごとの病床数が増加されないときは、勧告を行わないということを、医政局長通知において示しているところです。
 一方、認定再編計画の枠組みを利用する前提となる、複数の医療機関の再編統合については、③同一開設者による同一医療圏内での医療機関の再編統合、④異なる開設者による同一医療圏内での医療機関の再編統合というものについて、現状、通知で言及をしていないという状況になっています。
 実態としましては、③の場合については、その前後で病床数が増加しないときは、勧告を行わないとしている都道府県もあると承知しております。
 また④のほうにつきましては、許可病床の権利のみを取引し、増床の手段とするような医療計画の本旨と相容れない事象にならないよう、同種の相談があった際には、十分な事前説明を求めることとしていると、そういう都道府県もあると聞いております。
 13ページを御覧ください。
 以上の事例の紹介あるいは現在の制度の説明を踏まえまして、今回事務局として提案する対応方針ということになります。
 地域医療構想に沿った再編の取組を進めるためには、地域医療構想調整会議で合意された、地域に必要な再編に対して、厚生労働省が認定し、再編に必要なインセンティブを認めるという認定再編計画の枠組みというのは有効であると考えております。
 一方で、現状、認定再編計画の枠組みの利用というのは、あまり進んでいないところなのですけれども、そういった中で、利用を促進するために、以下の2つの対応を行ってはどうかと考えています。
 1つ目が、認定再編計画の枠組みを利用した場合は、併設する医療機関について、医療法の施設基準の特例を認めてはどうか。
 具体的には、認定再編計画の枠組みを利用した場合は、各医療機関がそれぞれ医療法上の基準を満たし、かつ、各医療機関の患者に対する治療に支障がない場合に限り、医療機関に併設する介護医療院の取扱いを参考に、医療法で定める施設の一部を共用することを認めることとしてはどうか。
 こちらの併設する介護医療院の取扱いというのは、参考の15ページのところに通知を抜粋したものをつけておりますので、御参照ください。
 ただし、この場合において、各医療機関が同一の地域医療連携推進法人に参加していることと、各医療機関のいずれも出資持分のある医療法人により開設されたものではないことを条件としてはどうかと考えております。
 2点目としましては、病床過剰地域における医療機関の再編統合のうち勧告をしないことが適当と認められる場合について明確化してはどうか。
 具体的には、病床過剰地域における複数の医療機関の再編統合を行う場合、その前後で病床数の合計数が増加されず、かつ、認定再編計画の枠組みを利用した場合は、勧告を行わない旨、通知で明確化してはどうか。ただし、病床過剰地域であることに鑑みまして、原則、稼働していない病床数を除いた範囲として、そういったものを勧告しないとしてはどうかと考えております。
 事務局からの説明は、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 今後の対応方針についての意見なのですが、1つ気になりますのは、最後の②のところなのですが、病床過剰地域で勧告を行わない場合というのは、その前後で、病床数の合計が増加されなかったらいいという書き方がされているのですが、例えば、急性期病床が過剰であるにもかかわらず、急性期病床が増加して、それ以外の、例えば、回復期が減少することによって、トータル的には、合計数が増加されないという場合、これもよしとするということなのでしょうか。
○尾形座長 これは、御質問ですので、事務局、お願いします。
○有木課長補佐 事務局でございます。
 認定再編計画の認定基準としまして、調整会議で合意されているということが1つあるのですけれども、それに加えまして、再編前後で対象医療機関の病床機能別病床数の合計数につきまして、やむを得ない場合を除き、当該構想区域において過剰となっている病床機能の病床数の合計数が増加しないというふうに、現在の認定再編計画の通知で示しております。
 再編計画の認定の基準というところで、構成員御指摘の部分については、既に考え方として示されておりますので、ここの部分については、追加的にそういった部分は示さずに、ここの認定再編計画の枠組みの中で対応していくものと考えております。
○尾形座長 幸野構成員、いかがでしょうか。
○幸野構成員 意見なのですけれども、地域医療構想の考え方からすれば、病床機能によって増減を考えていくということなので、こういう場合、本当に地域医療構想調整会議で合意されたからといって、合計数が下回っていればいいという判断はどうかというのと、機能ごとの増減によって勧告の判断を行うという考え方があってもいいのではないかなと思いますので、意見として申し上げます。
○尾形座長 では、これは御意見として承っておきます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御意見、御質問がないようですので、本件につきましては、事務局から示された13ページの「今後の対応方針」ということで、おおむね異論はなかったと思います。
 事務局は、本日の意見等を踏まえて、必要な手続を進めていただきたいと思います。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。最後に事務局から何かございますか。
○黒川専門官 本日は会場における一般傍聴を制限させていただいており、議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙とは存じますが、御協力いただきますよう何とぞお願い申し上げます。
 また、次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは、以上とさせていただきます。本日は、内容が大変盛りだくさんだったことと、座長の不手際で若干時間をオーバーしてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。
 これをもちまして、ワーキンググループを終了としたいと思います。どうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課
直通電話:03-3595-2186

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