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2022年11月8日 第2回医療法人の経営情報の
データベースの在り方に関する検討会

医政局

○日時

令和4年11月8日(火) 17:00~19:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階 カンファレンスルーム15B
東京都千代田区内幸町1丁目3-1幸ビルディング


○議事

○山本医療法人支援室長 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」を開催させていただきます。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、全員出席との御連絡をいただいているところでございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
まず、初めに発言の仕方などについて御説明させていただきます。
御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただくようお願いいたします。なお「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。
発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、マイクをミュートにするようお願いいたします。
また、座長から議題などに賛成かどうか、異議がないかどうかの確認の際には、賛成の場合は「反応」ボタンをクリックし「賛成」ボタンをクリックするか、または、カメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は上から、議事次第、構成員名簿のほか、資料1「前回検討会での主な御意見」、資料2「『医療法人の経営情報のデータベース』の在り方に関する報告書案」、参考資料1「運用のイメージ」でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
報道関係者の皆様方、冒頭カメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラ撮りを終了いただきますようお願いいたします。
○田中座長 構成員の皆さん、こんにちは。第2回の会合です。
早速、議事に入ります。資料1及び資料2「『医療法人の経営情報のデータベース』の在り方に関する報告書案」について、事務局より説明をお願いします。
○山本医療法人支援室長 御説明させていただきたいと存じます。
資料1につきましては、前回の先生方の御発言の内容ということでございます。御確認いただきたいと存じます。
資料2につきましてで、ございます。
「I.はじめに」には、制度に関するこれまでの経緯を記載させていただいております。
まず、最初の○ですけれども、医療法人について記載させていただいています。
その次の○につきましては、事業報告書等につきまして御説明させていただいているものでございます。
次の○につきましては、事業報告書等につきまして、デジタル化ということでアップロードによる届出等について取組を行っておりますので、その経緯を入れさせていただいております。
2ページの最初の○でございますが、「一方」ということで、医療を取り巻く課題について記載させていただいているところでございます。次の○では、こうした医療を取り巻く課題に対応するということで、国民に対して丁寧な説明が必要であるということを記載させていただいております。次の○で、この点について、政府方針等にも盛り込まれていることを記載させていただいております。
2ページ最後の○でございますけれども、給与費、処遇改善についても活用するという方向で、政府方針の中にも盛り込まれていることを記載させていただいております。
3ページの最初の○でございますけれども、こういった経緯を踏まえてということで医療法人の経営情報のデータベースについて、構築に向けた検討が必要であると記載させていただいております。
次の○につきましては、これに係る厚生労働省の取組としまして、調査研究事業で方向性について整理させていただいていることを記載させていただいております。
最後に、こうした経緯を踏まえて本検討会で議論を進めていただきまして、一定の議論を踏まえて結論を得たということで報告書の取りまとめに結びつけさせていただいております。
「Ⅱ.医療法人の経営情報のデータベースの目的等について」でございます。こちらからは前回の資料を基本的には落とし込みさせていただいた上で、構成員の皆様方の前回の御意見を盛り込ませていただいている内容になっております。
○ 我が国では、高齢人口の増加や医療の高度化など国民医療費が年々増加し、また、今後、生産年齢人口の急激な減少や医療資源の地域格差など医療制度上克服すべき課題がある。
○ また、新型コロナウイルスの感染拡大初期において、感染拡大による医療機関の経営状況への影響を把握することが困難であり、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関への迅速な支援や国民への情報提供が十分ではなかったという課題も存在する。
○ こうした医療を取り巻く課題に対応するための政策を進めるためには、医療の置かれている現状と実態を表す情報を収集し、政策の企画・立案に活用するとともに、国民に対して丁寧に説明していく必要がある。
○ 地域医療の担い手である医療法人は、運営の透明性が求められており、その運営状況を明らかにすることにより医療が置かれている現状と実態について分かりやすく情報提供することは、医療法人制度の趣旨とも反しない。
○ このため、政府方針等でも医療法人の経営情報の収集及びそのデータベースの構築並びに国民への丁寧な説明について、検討が必要とされている。
○ 具体的には、医療法人の経営情報を把握・分析するとともに、その分析により国民に丁寧に説明するため、新たな制度として医療法人の経営情報を収集してデータベースを構築する。
これにより、
・ 医療機関の経営状況をもとに、国民に対して医療が置かれている現状・実態の理解の促進
・ 医療機関の経営状況の実態を踏まえた、効率的かつ持続可能な医療提供体制の構築のための政策の検討
・ 物価上昇や災害、新興感染症の発生等に際し、経営への影響を踏まえた的確な支援策の検討
・ 実態を踏まえた医療従事者等の処遇の適正化に向けた検討
・ 社会保険診療報酬に関する基礎資料である医療経済実態調査の補完に活用することが可能となる。
○ また、医療法人の経営情報のデータベースは、医療機関の経営分析に活用することも可能であり、経営情報を提供した医療法人が開設する医療機関が自ら行う経営課題の分析等に活用することが可能である。
○ なお、新たな制度を医療法人制度に位置づけ、医療法人に経営情報の提出を義務づけた場合には、これまでの調査のように調査主体が被調査主体を抽出し、被調査主体が任意で回答するものではなく、医療法人について全数把握が可能となる一方で、全ての医療法人が提出可能な情報には限度があり、提出を求める情報については、原則として医療法人が既に取得・収集している情報とする等の法人の負担に対する配慮が必要である。
○ また、新たな制度の目的は医療法人の経営情報のデータベースの構築とその活用にあり、都道府県知事による監督・指導を目的とする事業報告書等とは異なることから、事業報告書等の届出内容を詳細化するような現行制度の見直しではなく、これらは別制度にすべきである。
○ 新たな制度の施行時期については、改革工程表2021においては、2023年度までに医療法人の経営情報のデータベースを構築することとされており、この政府方針を踏まえ、施行後に決算期を迎える医療法人から対象として、施行時期は2023年度の可能な範囲で早期とする必要がある。
 
Ⅲ.医療法人の経営情報のデータベースの在り方について
1.制度の対象とする医療法人について
○ 新たな制度において現行の事業報告書等に含まれる損益計算書等よりも詳細な経営情報の提出を義務づけるに当たっては、医療が置かれている現状と実態を明らかにするという目的に照らして、経営規模等により対象を限定することは望ましくないため、事業報告書等と同じく全ての医療法人に対する義務化を原則とする一方で、対応が困難であることが明らかな医療法人まで義務化すべきではない。
○ このため、小規模な医療法人で経理に携わる者も限られることが見込まれる、法人税制度で社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階税制)が適用されている法人は、社会保険診療報酬に概算経費率を乗じるなどして経費を算出していることを踏まえ、新たな制度の対象から除外すべきである。
 
2.提出を求める経営情報について
【総論】
○ 新たな制度において、原則、全ての医療法人に経営情報の提出を義務化するのであれば、一般的には医療法人が対応可能な範囲の情報となるよう医療法人の負担への配慮が必要である。一方、政府方針等で示されている人件費等の費用等を把握することや、補助金の創設又は診療報酬改定などの政策活用を踏まえれば、収集する経営情報がより詳細であることが活用性の向上に繋がる。
○ このため、新たな制度により医療法人に提出を求める経営情報は、「政策活用性の向上」及び「医療法人への業務負担」の双方を考慮した上で必要な項目を検討する必要がある。
○ なお、提出を求める経営情報の項目は、医療法人制度では統一的な会計基準が定められていないものの、医療機関ごとの財務諸表を作成することを想定して、任意ではあるが、病院会計準則を用いることを推奨していることを踏まえて、「病院会計準則」を基礎として検討を行うべきである。ただし、全ての病院で病院会計準則を適用していないことは考慮する必要がある。
○ これらを前提に、提出を求める収益及び費用(損益計算書)の情報については、事業形態の多角化が進む法人もある中、新たな制度の目的と医療法人の業務負担を考慮して、対象となる事業を病院及び診療所に限定した上で、医療機関ごとの経営情報を求めるべきである。
○ 一方、資産、負債及び純資産(貸借対照表)の情報については、施設単位で作成していない法人も一定数あることから新たな制度の対象とはせず、現行の事業報告書等における法人単位の貸借対照表を活用すべきである。
○ なお、本検討会では、医療機関ごとの資産、負債及び純資産の情報を収集することで、医療機関におけるマネジメントにも活用できる旨の意見があったが、新たな制度施行後のニーズ及び医療法人への業務負担の状況を踏まえ検討することとし、今後の課題とする。
 
【経過措置】
○ 複数の医療機関を開設する医療法人の中には、施設別に損益計算書を作成していない法人が一定数(約3割)あることが調査研究事業において報告されていることから、こうした医療法人の準備のための期間として、制度開始後の提出期限の延長又は制度開始から一定期間、提出内容の簡素化を認める等の経過措置を設ける必要がある。
○ 新たな制度では、現行の事業報告書等と同時期(決算終了後3ヶ月)の提出が医療法人の事務的効率性の観点から望ましい。一方、医療法人の中には負担増加による提出時期の延期又は、提出時期に猶予を設ける配慮が必要である。
 
【処遇改善への活用(職種別の1人当たり給与費)】
○ 骨太の方針2022及び、公的価格評価検討委員会「公的価格に関する今後の処遇改善の基本的考え方及び処遇改善の方向性の中間整理」(令和3年12月21日)において、制度による現場で働く医療従事者の給与上の処遇の把握について検討が求められている。
○ 医療従事者の処遇の適正化を進めるため、新たな制度によって、医療機関における現状の給与の把握をするには「職種ごとの年間1人当たりの給与額」の把握が必要である。これは「職種ごとの給与費の合計額」と「職種ごとの延べ人数」により算出できるが、医療法人における財務情報として存在しないことも考えられ、医療法人の負担を考慮すれば既存調査で対応可能なものは、それを活用すべきである。
○ このため、新たな制度では「職種ごとの延べ人数」については、別途「病床機能報告」によって報告されている毎年7月1日時点の「職種別の人数」を活用することとし、例えば無床診療所のように「病床機能報告」において得られない場合には病床機能報告の調査対象日と同じ7月1日時点の人数の報告を新たな制度によって求めるべきである。
また、「職種ごとの給与費の合計額」については、財務諸表等の作成には必要とせず、医療機関が把握していないことも多いとされているため、回答を容易にする観点から対象時期を暦年(直近1月1日から12月31日まで)とすべきである。
○ また、医療法人によって、職種ごとの細分化が困難な場合や細分化できる範囲も異なるため、提出の対象となる職種の全体を示した上で、その区分方法も含めて提出を任意とすべきである。ただし、医療法人にとって可能な範囲で提出への協力を求める必要がある。
○ なお、医療法人の負担を考慮すれば上記によらざるを得ないが、「医療従事者の処遇の適正化を進めるための医療機関における現状の給与の把握をする」との目的を踏まえれば、「職種ごとの年間1人当たりの給与額」は、例えば、年俸制を採用している病院では退職金見合いの金額も含んでいる場合や、医療機関ごとに勤続年数や経験、保有する資格状況等が様々であるため単純に医療機関間での比較はできないこと及び、「職種ごとの人数」を7月1日の定点とすることで通年の延べ人数と比較して異なる傾向になる可能性があるが、こうした点は、分析や公表する際には十分に留意が必要である。
 
【提出を求める経営情報の具体的な項目】
○ 新たな制度において、提出を求める経営情報の具体的な項目は、「病院会計準則」をベースにした上で次のとおり(9頁~11頁)とすべきである。
経営情報、病院の項目を9ページに記載させていただいております。※については任意の項目ということでございます。
10ページは診療所の項目ということで整理させていただいております。※は任意の記載項目ということでございます。
11ページは、経営情報として職種別給料及び賞与並びにその人数の対象となる職種ということで、職種全体を示した上で、どのようなくくり方をするかなども含めて任意とさせていただくということでございます。
 
3.病床機能報告・外来機能報告との連携について
○ 新たな制度で収集する情報は、医療法人の経営情報となるが、関連する他の調査によって収集した情報と連携することにより多角的な分析の可能性が高まる。
○ 具体的には、法に規定されている「病床機能報告」及び「外来機能報告」との連携を行うことが考えられることから新たな制度においては、これらの報告と共通のIDを用い、情報の連携を可能とすべきである。
○ ただし、他の調査との連携により医療法人の属性に係る情報が付加されるため、連携したデータベースは政府内で活用することを前提とし、それ以外の活用については、本検討会において研究目的などのニーズへの意見があったことを踏まえつつ、慎重な検討が必要である。
 
4.国民への公表方法について
○ 新たな制度は、医療法人の経営情報をデータベース化して、把握した情報を分析し、国民に対して医療が置かれている現状・実態の理解を促進等することにある。
○ この目的を果たすためには、国民に対してより分かりやすく丁寧に医療の現状・実態を提示することが求められる。この点、個別の医療法人ごとの情報を公表したとしてもそれが医療の実態を表しているとは限らず、むしろ、データベースであることを活かし、例えば、属性等に応じたグルーピングによる分析等の結果により、全体像を示した方がより国民の理解は深まると考えられる。
○ 一方、個別の医療法人の経営情報を公表した場合、一人医師医療法人の存在など小規模な経営を法人形態により実施している医療法人も数多くあり、人件費など個人の報酬額を容易に推測できる内容にもなり得る。
○ また、社会医療法人や一定規模以上の医療法人に限定したとしてもSNS等の発達した現在においては、公表された情報について、悪意的にこれを利用される可能性も否定できず、個人又は法人の権利利益を侵害するおそれがある。
○ このため、公表する経営情報については、新たな制度によるデータベースの属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表し、医療法人から提出された個別の医療機関の情報は公表しないこととする。
○ なお、新たな制度において国民への公表をデータベースの分析結果とする場合であっても、例えば、地域によっては施設数が限定される精神科病院などでは、一般病院と同様の地域区分でのグルーピングでは匿名の分析結果の公表であっても医療機関が推知される可能性が高まる。こうしたことも踏まえつつ、個別の医療機関の情報が推知されないよう配慮が求められる。
○ 新たな制度によるデータベースの具体的な分析方法については、今後のシステムの設計、運用段階において、より充実したものとなるよう検討すべきである。このため、本検討会では具体的な検討は行わないが、国が直接分析する場合も含めて分析方法を検討する際には、セキュリティ等国民の信頼性確保とともに医療法人からも安心して情報が提供できるよう上記のような点を考慮して検討する必要がある。
 
5.研究者への提供のための制度(第三者提供制度(仮称))について
【制度の必要性】
○ 新たな制度では、国民・企業の負担を源泉とする医療費等を中心に収入を得ている医療法人から提出を求め、公費を使って医療法人の経営情報のデータベースを構築するものである。したがって、当該データベースは国民共有の財産として有効活用されるべきであり、そういった観点から、研究目的等のためにデータを利用する第三者への提供制度について検討が必要である。
○ 一方で、新たな制度により構築されたデータベースに記録された情報を公表した場合には営利目的に利用することも否定できず、そのような利用は新たな制度の目的には沿わないことからデータの提供者たる医療法人からの信頼を損なう可能性がある。
○ さらに、当該データベースは、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報や、事業報告書等との照合により、いわゆる一人医師医療法人の理事長等、特定の個人の収入等を容易に推知することができる情報が含まれることにも留意した検討が必要である。
 
【第三者提供制度(仮称)を検討する上での基本的な考え方】
○ 新たな制度の目的を踏まえれば、まずは国民の理解を深めるため収集するデータ数を一定以上確保した上で、公表する分析結果の充実が必要である。
○ また、新たな制度によるデータベースの有効活用という観点から、学術研究目的であっても、いわゆる「オーダーメイド集計」のように、個々のニーズを踏まえた分析結果の作成・提供への取組も必要である。
○ 第三者提供制度(仮称)については、上記の充実を前提とした上で、データベースとしてデータの充足を見据えた施行期日とし、それまでに提供対象となる情報の内容や利用目的の限定方法等、また再識別させないための方法、漏洩のリスクの低減等、制度の詳細について慎重に検討していくべきである。
 
【第三者提供制度(仮称)の目的】
○ 統計法では、公的統計は国民共有の財産という考え方の下、統計調査に対する国民の信頼を確保する観点から、調査票情報の適正管理と守秘義務(秘密保護)を図った上で、公益性のある統計の作成及び統計的研究について、個票形式のデータ(調査票情報及び匿名データ)を第三者に提供している。
○ 高齢者医療確保法上のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)も、調査対象(個別のレセプト情報に係る個人情報)の秘密の保護を図った上で、目的等を限定し、第三者に提供している。
○ 医療法人の経営情報のデータベースを第三者へ提供する場合においても医療法人の競争上の利益等を保護することで、信頼と協力を得ることができる仕組みとすべきであり、第三者に提供する場合には提供先で医療法人・医療機関が特定される形での公表がされない仕組みとする必要がある。
○ このため、利用目的は、第三者への提供に当たって本制度の目的に適った利用に限定すべきであり、「医療経済に対する国民の理解に資すると認められる学術研究」や「適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案」として、制度趣旨に沿った目的とすべきである。
○ その上で、第三者に提供する場合には、当該目的に合致した利用申請となっているか、データの漏洩や紛失が発生することがないよう、データ利用に当たってセキュリティが十分に確保された環境が整えられているか等を客観的に審査できるよう、有識者による審査の仕組みを前提にすべきである。
 
【第三者提供の方法及び対象】
○ 統計法では統計の作成や統計的研究(統計の作成等)を行う場合、調査票情報を提供することができる。匿名データは、学術研究の発展、教育の発展、国際社会における我が国の利益の増進及び国際経済社会の健全な発展、国民経済の健全な発展又は国民生活の向上(デジタル社会形成基本法に規定する特定公共分野)に資すると認められる統計の作成等を行う者に提供することができる。
○ 医療法人の経営情報のデータベースに記録された情報を第三者に提供する場合については、当該情報がオープンデータと照合することにより医療法人・医療機関の特定を容易に行えるという性質を持つことを考慮し、提供する情報の範囲は研究目的に照らして必要最小限の範囲の情報に限定する等、個人及び法人の権利利益が侵害されないよう配慮した上で、提供する必要がある。
○ その上で、第三者提供を行う場合には、
・ 提供の対象とする者については、データを扱う体制整備の有無を含め、前記の目 的に沿って適切に研究を行える者か、研究倫理の保持が可能か
・ 提供を求めるデータの範囲は、研究目的に適った必要なデータ範囲であるか
などの観点から申請内容を審査し、提供の可否を決定する方向で検討すべきである。
 
6.その他(医療法人以外の経営情報)について
○ 調査研究事業では、医療法人以外の経営情報についてもデータベース化を検討すべきとされているが、新たな制度では、医療法人の制度として位置づけるため、医療法人以外の設置主体を対象とすることは難しい。
○ 一方、医療法人以外の経営情報について、新たな制度によるデータベースによる分析結果と医療法人以外の経営情報と合わせて活用することができれば、日本の医療が置かれている現状・実態を表す上で有用であり、他の公開情報も収集し、医療法人の経営情報のデータベースとの連携を進めるべきである。
以上が報告書案の内容でございます。
併せて、大変恐縮でございますが、参考資料1につきましても御説明させていただきたいと存じます。
参考資料1につきましては、運用のイメージということでございまして、このデータベースが構築され、その際にどのような政府内、厚生労働省内で運用していくのかをあらかじめイメージ図ということで整理させていただいたものでございます。
上の四角にございますとおり、運用に当たって国と独立行政法人の関係を踏まえ、独立行政法人福祉医療機構(WAM)を活用して進めることを検討中ということでございまして、構築された際には、国と独立行政法人たる福祉医療機構と連携しながらデータベースの構築さらには分析及び公表をして進めさせていただきたいと思っております。
具体的に申しますと、医療法人からG-MISを活用させていただきまして、御提出いただいたものを国及びWAMで共有させていただいて、データベースを構築していくということでございます。
右肩に※がございますけれども、WAMにつきましては、まず公共上の事務等を効果的かつ効率的に行うということで、独立行政法人でございますので、そういった意味で政府が行う業務につきまして連携させていただくことは対応可能なのではないかと考えているところでございます。
さらに、職員につきましては秘密保持義務が課せられておりまして、地位は公務に従事する職員とみなされて、刑法上の刑罰につきましても、みなし公務員という規定が設けられております。そういった意味でも、公的な業務を行っていただくに十分ふさわしいと考えているところでございます。
さらに、既に社会福祉法人のデータなりの分析・公表も実施していただいておりますので、ノウハウもあるということでございます。
こういった形でデータベースが構築された場合には、運用として国及び福祉医療機構が協力して進めさせていただきということで、イメージ図を1枚資料として入れさせていただいているところでございます。
御説明は以上でございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
これから構成員の皆様の御意見・御質問を伺いますが、大部なので2つに分けます。11ページまでのIとIIと、後段にある公表の仕方は性質が違うので、前半はまず1ページから11ページまでについて、御質問・御意見おありの方、お願いします。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 まず、質問させていただきたいのですが、今御説明いただいた運用のイメージの参考資料ですけれども、これを見るとG-MISで都道府県と国に提出するようなイメージなのですが、そもそも事業報告書は都道府県知事への届出となっていますけれども、今回の届出は誰に対して行うものなのでしょうか。また、G-MISではなくて紙ベースの提出というのは可能なのか、その辺を教えていただきたいと思います。
○田中座長 お答えください。
○山本医療法人支援室長 まず先に、紙での対応は可能かどうかでございますけれども、現状、事業報告書等につきましてデジタル化ということで進めさせていただいているところでございます。一定数紙での対応を希望される医療法人がございますので、そういった意味では新たなデータベースの制度ができたとしても、紙での提出も残す必要があるのだろうと考えているところでございます。
さらに、参考資料1の運用のイメージを御覧になっていただきたいと存じますけれども、制度的には医療法人と国と都道府県という関係で考えますと、医療法人を直接的に所管しているのは都道府県ということになろうかと思います。そういったことを踏まえて現状の事業報告書等につきましても、医療法人は都道府県に提出されることになっております。新たな情報であっても、医療法人と都道府県、国との関係は踏まえる必要があるだろうということで考えております。制度的には医療法人から都道府県に御提出いただいて、その上で国に提出いただくという内容で、それを踏まえてデータベースを構築していくということでございます。
一方で、G-MISというシステムを活用することによって、医療法人が提出された経営情報につきましては、国と都道府県が共有することが可能となっております。そういった意味では、実行上は国でデータベースを構築していくことになろうかと思います。そういった意味で、少し図で描き分けさせていただいておりまして、こちらに都道府県の位置づけをG-MISを介して提出いただくということで位置づけさせていただいた上で、制度的には報告、提出、情報提供の求めを国からして、その報告を求めるという点線を入れさせていただいておりますけれども、実線に運用上のG-MISから国に提出がされて、それを蓄積してデータベースを構築するという考え方になるのではないかということでイメージ図をつけさせていただいているところでございます。
○田中座長 猪口構成員、今のお分かりですか。
○猪口構成員 そうすると、考え方としてはG-MISを介して都道府県に提出して、それが国に集まるということなのか、G-MISから直接国に行くという両方のルートがあるということになるわけですか。
○山本医療法人支援室長 実務的にはG-MISを使いますので、全国的なデータベースとなりますので、国でデータベースを構築することになろうかと思いますけれども、先生がおっしゃるとおりでございまして、制度的な流れとしましては都道府県を経由している形になるということでございます。
○猪口構成員 その辺は多分、文章的にはどこにもちゃんと書いていないので、提出先がよく分からないなという感じがしております。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。文章でも図でも示した方がいいかもしれませんね。
荒井構成員、お願いいたします。
○荒井構成員 ほかの方の意見がなければ、意見を少しだけ述べさせていただきます。
2点ほどあるのですけれども、1点は12ページ以降ですので、まず1点述べさせていただきたいのですが、今回の内容の中で処遇改善の活用があって、7ページを見ていただくと、公的価格評価検討委員会からの要望で、今回1人当たり給与費というデータを収集する方向となっているわけですけれども、こうした経緯を踏まえれば、今回のこの内容で要望にどの程度応えたことになっているのか、その内容が公的価格評価検討委員会にとって受容性があるのか、医政局側からの報告や先方との一定のコミュニケーション、調整はしたほうがいいのではないかと思っているのですが、そのあたりはどのようになっているのでしょうか。医政局への質問です。
○田中座長 調整が済んでいるのかという御質問でしたが、いかがですか。
○山本医療法人支援室長 現状を申し上げさせていただきますと、公的価格評価検討委員会中間整理におきまして、処遇改善に向けた政策手法を実現する観点から、それぞれ分野における費用の見える化といった記載がされているということでございます。その上で、公的価格評価検討委員会においては研究事業ということで現在研究されていると承知しておりまして、その中で整理しているのが現状と、費用の見える化につきましては、8月30日に公的価格評価検討委員会の中で方向性が示されているところでございます。その中で少し触れられている内容としましては、医療法人の計算書類等について、事業種類ごとの費用における職種ごとの給与費等における支出などの区分の追加等について検討するということが記載されているところでございます。こういった形で、まさに今、御検討いただいております経営情報のデータベースの方向について検討するようにと、公的価格評価検討委員会の中で示されているという認識でございます。
○田中座長 質問は、この報告書が向こうの委員会に納得してもらえるかという意味の質問だったと思いますが。
○荒井構成員 ええ、そういう意味です。記載されているように、要望先が明確なので、この要望でどうかという一定の調整をしたほうがいいのではないかという意味で、調整されたのかという質問をしたのですが。
○山本医療法人支援室長 調整につきましては、今後どのような形が必要なのかというのはあろうかと思います。そういった意味で、今回の資料で公的価格評価検討委員会などの考え方ということでいけば、処遇の関係の情報については必須項目とすべきという考え方がある一方で、実務的に対応可能なのかどうか、医療法人の負担を考えた場合については任意ということも考えられるということで両論を併記されていると考えておりまして、その部分どのようにするかということでございますけれども、その結論として前回の検討会の中で任意という方向を示していただいたという認識でございます。
○田中座長 荒井構成員、いかがですか。
○荒井構成員 ここの場でそうなっているということは、私もその場にいたのでよく分かっているのですけれども、そのあたりの内容について先方と調整がついているのですかという話で言ったんです。要望先がはっきりしているので、それはコミュニケーションとっておいたほうがいいのではないですかという意味です。
○山本医療法人支援室長 私ども、まさに医療法人の状況なりも踏まえて御検討いただいていることだと思いますし、政府方針なりも踏まえて今、検討いただいていると認識しているところでございます。そういった意味で、本検討会の中で一定の方向性、御意見・報告書をいただいたと認識した上で、これを当該検討会にお示しさせていただくような形になるのではないかと考えているところでございます。
○田中座長 ということは調整はまだのようです。これから提出して、向こうにはねられるかもしれません。今の説明だとそれは分からないですよね。そういう理解でよろしいですか。
○山本医療法人支援室長 私どもとしては、そういったものを踏まえて有識者の皆様方から検討いただいていると考えておりますので、そういった意味では、この検討会の内容が尊重されるのではないかと考えているところではございますけれども、そういう意味で報告等が出ているわけではございませんので、当該検討会や別の検討会に対して調整しているかといいますと、調整はしていないということでございます。
○田中座長 荒井構成員いかがですか。尊重されると期待しているという返事でしたが。
○荒井構成員 現状では調整がまだ十分されていないのだなということが分かりました。ありがとうございます。
○田中座長 では、野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 私はちょっと意見が違いまして、それを調整する必要があるのがどうかということですよね。我々の意見は我々の意見として言うべきであると私は思っていますので調整の必要はないと思います。確かに、昨日あたりの医療関連メディアでは、医療機関の経営は近年になく好調とか財務省が言っていて、新型コロナ感染症の補助金はすぐにでも中止すべきだとかいろいろなことを言われているわけですけれども、好調なのかどうか、実際に感染された患者さんを受けたところは好調だったのかもしれませんが、例えば前も言ったかもしれませんけれども、「ダイヤモンド・プリンセス号」の時は、自分たちが死ぬかどうか分からないところに医療従事者は飛び込んでいったわけですよね。それに対して報酬を出したわけですよね。新型コロナ感染症ワクチンに関しても、最初はアナフィラキシーショックの心配があるから打ちたくない、もしも患者さんが亡くなるようなことになったらと医師たちはみんな嫌がったんですよね。それに対する代償としてそれ相応の補助金が出された。
実際、新型コロナ感染患者さんは私の病院でも受け入れていますけれども、明日から補助金を中止しますよと言われたら、例えばそのために30床、40床とっていたのに、では、その40床を誰が埋めるのですかと。患者さんは当然入退院していますけれども、40床の空きベッドを埋めようとすると相当時間がかかるんですよ。半年から1年かかるんですよ。そんなことも含めての補助金だったと我々は頑張ってきたわけですよね。もっと言うと、新型コロナ感染症病棟にいるナースの給料は当然手当を山ほど出しています。家にも帰れません。そのためのアパートも用意しました。万全な体制で臨むべく全て用意しての結果、それで医療費が高くなっているではないかと言われても、それ「後出しじゃんけん」のような話で、そのようなことでは次に新型コロナ感染症のような新興感染症が起こったとき我々はもう協力しませんよという形になってしまうような気がします。
今回、利益を非常に生んでいるから今回は経営情報を全部公表するべきだと、収益を公表すべきだと、全部公表すべきだというのは、医療業界からすると甚だ腹の立つことで、我々は一生懸命頑張ってきたのにコロナが弱毒化したら仕打ちはこれですかという話になってしまうので、我々の意見としてははっきり言っていただいて、これがコロナで利益を生んだてんまつになるという形の、我々が利益を生んだから全部公開しろよという形でのデータベース化になっていただきたくないということは切に訴えたいと思いますので、ここは厚労省に頑張ってもらわないと、今後何か起こったときに、あのときにえらい目に遭わされたから、次は感染症に対しても何に対しても協力しませんよということになってしまう。我々が命を張ったことは理解していただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
今村構成員、お願いします。
○今村構成員 今のお話で言うと、8ページの職種ごとの細分化が困難な場合は任意という任意の部分が一番引っかかっているところなのかなと思いますが、これは任意でないと現実的に医療法人として提出するのは不可能だろうなと、日本医師会でも検討した結果で出ております。
各職種別で言いますと11ページにそれぞれ全部述べられておりますが、当然これは大きな医療法人から一人医療法人まで、全ての医療法人に義務化する以上、全ての医療法人が提出可能な形にならなければならないと。特に小さな医療法人等になりますと、結局職種が1人しかいないということはたくさんあるわけで、そうなりますと、個人情報を医療法人側として提出することになっていきます。今回は、医療法人の情報となっておりますけれども、そこにはたくさんの個人情報が入っておりますし、かつ、給与だとある意味、職種によってはというか、例えば、1人の薬剤師さんに、あなたの給料が1年間幾らだったかを報告するからねという形になって、我々医療法人側は個人情報をどういう形でその方に許可をもらえばいいのかという問題が発生することになるかと。
あと、これらの職種を医療法人によってきれいに分けていないところはいっぱいあります。当然、誰に幾らお支払いするかというのは、ある程度の大きな法人さんですと給与表があってということになるでしょうけれども、特に小さな法人になればなるほど、そのときのその地域の状況によって、この人にはちょっと色をつけて出さないといけない、そういうことは多々あって、同じ法人内でも誰が幾らもらっているかを公表することはまずありません。それでいて法人として報告すると、万が一でも、この薬剤師さんが幾らで、この職種は幾らで、かつ、それがお一人しかいなければ、あの人幾らもらっているという形になります。ということで、これを義務化されると非常に困ってしまう医療法人がいっぱい出るなと。一言で言うと、これを義務化されると、そもそもこのデータベースを医療法人として提出が不可能となってしまうことから、ここは任意以外あり得ないという結論で出させていただいています。そういう意味では、先ほどの野木構成員からの御発言も含めて、しっかりと厚生労働省さんには守っていただきたい、しっかり主張していただきたいところです。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。任意とすべき理由を丁寧に言っていただきました。
伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 私も全く同様の意見でございまして、前回も申し上げましたけれども、処遇改善状況を見るために一つ一つのバリエーションが多すぎるところのデータを無理やり出すということは、データの不確実性につながることは否めないわけですし、同時に、膨大な作業量が必要になります。これを外注するにしろ、内製で行うにしろ、とてつもない負担がかかることになって、現状から見ますとこういう厳しい状況を招くことはぜひ避けていただきたいというのが本音です。
処遇改善の状況を判断するのに、各職種全ての人の給与状況を知らなければそれを判断できないのかというところから、もう一度プリミティブなところに戻って研究を進めていただいて、ある程度そこで結論が出るまでは、これに関しては任意あるいは提出しなくてもいいという状況で進めていただきませんと、非常に間違った情報が出てきたときにそれを比較することによって、まさに国民に知らしめるべく正確な情報が得られないことは十分にあり得ることを考えると、ぜひこれは任意でお進めいただき、さらなる比較検証のための研究を進めていただいた上で再度検討すべきかと思っております。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。データの信憑性に関わる大変大切な御意見でした。
ほかにいかがでしょうか。猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 基本的に今までの御意見どおり、医療法人というのは個々の給与を職種別で集約して分かるようにというデータは多分ほとんどつくっていないと思います。今まであまり要求もされていなかったということもあります。
4ページの一番下に、原則として医療法人が既に取得・収集している情報ということで法人の負担に配慮すると書かれておりますので、これが原則だと思います。ですから、今あるデータで出せるものをということで、それを整理してある医療機関は出せるかもしれないけれども、そうでないところは任意であるということが今までの議論の中でもずっと繰り返されたことだと思っております。
以上です。
○田中座長 これまでの議論の確認ありがとうございました。
ないようでしたら、後半に移ります。公表の仕方です。これはこれで大きな課題です。12ページから最後に至るまでの報告案について、御質問・御意見をお願いいたします。
野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 先ほど手を挙げていたのですけれども、気づいてもらえなかったようなので、猪口構成員が発言した後の話なのですけれども、技術的に猪口構成員がおっしゃったとおり、これを本当に発表するとなると、その費用はどうなるのか。本当にすごい費用がかかってくることもありますし、大変な労力になってくるわけで、そのあたりをどう考えておられるのかということと、伊藤構成員も言われましたけれども、データが独り歩きするということは非常に気をつけなければいけないというところは再度考えていただきたいということです。
それから、話は変わりますけれども、公的価格評価検討委員会の見える化による分配の適正化という話が出ていますが、いつから給料を決めないといけないことになったのか。共産国ではないので、一応日本は自由経済の国なので、分配の適正化、こちらの給料を抜いてこちらに回してくださいということが強制的にされるのはどうなのかなという気はしますので、そこはおかしいのではないかと、我々が頑張らないといけない部分だと思いますし、実際このデータを出すことがどれだけの労力が必要なのかということは、再度考えていただきたいと思います。
後になってしまい、すみません。
○田中座長 失礼いたしました。前半部分についての御意見ですね。ありがとうございます。
荒井構成員、お願いいたします。
○荒井構成員 後半部分1か所だけ。12ページの「3.病床機能報告・外来機能報告との連携について」ということですけれども、この検討会は昨年度から研究事業ということでやっていて、そのつながりの中であるわけですが、前回も私は何度も意識的に使っていたのですが、「病床機能報告等」ということで「等」とつけているのは外来機能報告だけのことを言っているのではなくて、医療施設調査やその他可能なものをできるだけつなげて分析すべきだと思っているんですね。なので、今回これを見ると「等」が外れて「病床機能報告」と「外来機能報告」だけになっているのですが、これは非常に私としては問題が大きいと思います。というのは、この制度の基本設計からして、できるだけ追加負担となるような報告はやめましょう、最小化しましょうと。その代わり、ほかの既に報告されているデータとリンクして使いましょうということで、新たな制度で報告する項目を絞っているわけで、その代わりほかのものとくっつけるということなので、病床機能報告や外来機能報告だけではなくて、医療施設調査等とも結びつけることを少し書いておいていただきたいと思います。
なぜこれだけ私が昨年来言っているかというと、医療施設調査には診療所の主たる診療科という情報があるんです。医療施設調査とくっつけると、主たる診療科別の診療所の財務データを全数ベースでとれるんです。これは医療経済実態調査でも明らかにしているデータですが、客対数がすごく少なくてデータの信頼性が低いんですよ。なので、医療施設調査とリンクしていただけると、今回の目的にも出ていた医療経済実態調査の補完という部分がすごく進むんです。なので、ぜひ病床機能報告や外来機能報告だけではなくて、ほかの利用可能なものともリンクする方向でしてほしいなと。少なくとも「等」というのはつけていただかないと、随分限定的な書き方だと思いました。よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○山本医療法人支援室長 一旦、状況を御説明させていただきたいと思います。統計法上の制約が少しございまして、その点を御説明させていただきたいと存じます。
統計法上では、統計調査の調査票情報、個票ということになりますけれども、これは行政機関等が別の統計を作成する、要するに分析などをすることは可能ですとなっています。したがいまして、先生がおっしゃるとおり、医療施設調査なりとひもづいて分析することは可能ということになろうかと思います。
一方で、データベースという取扱いでございますけれども、医療施設調査なりをひもづけさせていただいて、1つのデータとしてデータベース化することは統計法上できないことになりますので、分析する際に別の統計調査を活用することは可能なのですけれども、データベースとして整理する際にひもづけることは、それを厚労省が持ち続けてデータベースとして整理していくのはできないということになります。
一方で、病床機能報告や外来機能報告につきましてはオープンデータになっておりますので、これをひもづけて常に1つのデータベースの中で整理させていただくことは可能だということで、この点で今、病床機能報告、外来機能報告を記載させていただいているということで整理させていただいております。
○田中座長 説明ありがとうございました。いかがでしょうか。
○荒井構成員 こういう理解でよろしいでしょうか。経常的に統合されたデータベースとして管理するのは、ここで挙げられた2つだと。ただ、それ以外の情報源とも随時連携して必要な情報は出していくということですね。そうだと理解するならば、誤解のないように、この2つをリンクすると書くのはいいですけれども、それ以外の有効な情報源ともリンクして、政策意思決定等に役立つような分析を積極的に行うということは、どこかに書いていただけないでしょうか。
○山本医療法人支援室長 少し記載が違うかもしれませんけれども、16ページの最後の「6.その他」に医療法人以外の経営情報についてということで記載されております。これについては、まさにオープンデータなりであれば独自に入手して、これとひもづけることは可能だと、そういったことはしていくべきだとしていただいておりますが、こういったことと関連した考え方なのではないかと理解していたのですけれども、いかがでございましょうか。
○荒井構成員 今の話は、他の開設主体のデータも集めてというところに入っているというお話ですか。
○山本医療法人支援室長 入っているというか、同じ考え方の下に活用できるものについては、分析の際に活用させていただくことは可能なのではないかということです。
○荒井構成員 その理解は分かったのですけれども、その中に含めて書いたというのはちょっと無理があると思うので、ぜひ明確になるような形で書いていただいたほうがいいのではないかと思います。
○田中座長 ありがとうございます。検討課題として記録しておきます。
野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 何度もありがとうございます。ちょっと話がずれて申し訳ないですが、データがある程度研究者の方々に出るのは、私は以前から反対はしていなくて、医療の経営状況を見てもらうということで、病院経営のことを、わかって頂けると思います。本当に今状況がいいのかというと、あまりよくない状況にどんどんなってきていることを理解して頂けると思います。人件費率がどんどん上がってきて、患者さんはおられても職員はいないという状況があり、地方などでは職員の取り合いになっている現状があります。そういう状況を知ってもらうのは非常にいいことだとは思っていますので、その辺を手助けしていただくことは私個人的には反対していません。
ただ、情報というのは非常に漏れやすいというか、出やすいということは十二分に考えていただきたい。御存じのとおりこの10月にも、いわゆるNTTデータさんが管轄するライフデータイニシアティブに情報が一部集中していた問題で話題になりましたよね。ただ、そのときには法令違反の可能性があった場合の報告ルールが決まっていなかったから国への報告が遅れました、しませんでしたみたいな話になっていて、要するに、そういうものが決まっていないから、別に情報が漏れたところで罰則規定はないのですという話になってくると、いわゆる天下のNTTデータさんが情報を出してしまうということを行ってしまったというか、プログラムの誤りが出たということですよね。こういうことが絶対ないようにしてもらわないと、出たときには病院が非常に不利益を被る可能性があります。職員たち個人もそうですけれども、そのあたりの法令違反の可能性に対する処罰と言ったら変ですが、それは徹底して何らかの方法を考えていただきたいと。そうでないと、データが漏れました、すみませんでしたと。我々は患者さんのデータが漏れたたら、漏れました、すみませんでは済まないのですよね。病院の存続に関わる問題になります。しかしながら片一方では漏れました、すみませんでした、法令違反はないので報告しませんでしたで済むのは、とんでもない話だというところは理解していただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 これで集めたデータの安全性、データが守られるかどうかについての御懸念でしたね。これはよろしいですね、当然のことですから。ありがとうございます。
石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 前段で、てにをはで大変恐縮なのですが、6ページの3つ目の〇で「ただし、全ての病院で病院会計準則を適用していないことは考慮する必要がある」と記載していただいておりますが、「全ての病院及び診療所で病院会計準則を」と書くのが適切ではないかと思います。てにをは的で申し訳ないのですけれども、そこは直していただくのかなと。
それから12ページ、そもそもの検討会のテーマが医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会でございますので、これから私が申し上げることは完全に焦点がずれていると思うのですが、感じたことを一言だけ申し上げます。
このデータベースをつくるためのインプットの議論を随分長い時間かけてしっかりとしていただいたと思います。それに関して、私も何回も開催された会議に出席させていただいておりまして納得しております。データベースがつくられる、インプットすべき情報についての様々な議論はしていただいた。そしてデータベースがつくられる。そのデータベースをつくるに際しては、病院機能報告や外来機能報告との連携も行う。結果、国民に公表されるデータは、つまりデータベースではなくて、アウトプットとしての結果、国民に公表される情報はどんなイメージの情報なのかについて、私自身は全くよく分からないという状況にあるなというのが感じたところでございます。ただ、そもそもこの検討会は、そのデータベースの在り方に関する検討会なので、吐き出す情報をどのようにするかについて検討する検討会ではないのかなとも思っておりますので、意見ではなくて何となく感じた感想ということでコメントさせていただきました。
以上でございます。
○田中座長 どのようなデータベースになるかという御質問ですか。
○石井構成員 単純な感想で、特に質問と思っていただかなくても結構です。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 今、石井構成員もおっしゃったようなところを含めて、今回、医療法人のデータベースをつくるそもそもの目的が、特に国が政策の企画・立案に活用と。そうであれば多分、先ほどの野木構成員にしても、状況をしっかり把握してもらいたいというところにおいては、ぜひ我々もちゃんと情報提供していきたいという部分はそのとおりだと思いますし、そのためのデータベース。また、そのようにつづられているわけですけれども、この企画・立案・政策において、特に後ほどの部分で13ページは、そもそも医療費等というのは国民費用の負担を源泉とする医療費等なので、それを用いて経営する医療法人はちゃんとデータを出しなさいねという形になっています。これは医療保険のことを指すと思うのですけれども、今回のデータベースにおいては、病院のみでなくて一人医療法人の歯科も入ってきますので、ここでは歯科の情報もしっかり得られるというデータベースになるのだろうなと思います。そうすると、これで医療保険の中の医科と歯科についてはしっかり情報が収集されるなと。その上で、16ページの医療法人以外の経営情報と比較して政策・立案というのは理にかなっているとは思うのですが、今回のこの中では医療保険の中の医科と歯科については分かりますよねと。ただ、その他の情報にはちゃんと調剤も入るのだろうか、その上で医科・歯科・調剤という医療保険全体についても、ちゃんと政策として考えているのだろうかについて質問させていただきたいなと。
と申しますのも、私が聞いているところでは、例えば2000年から2017年に確かに医療費が上がりましたと。約8兆円の医療費が上がったのですが、その中の5兆円がお薬に関わるものですと、4兆円が薬剤です、1兆円が調剤費が上がったのですと。その上で、医療法人のいわゆる経常利益は1%、2%で、結構多くの医療法人が赤字になっておりますと。一方で、調剤薬局さんの平均の経常利益は12%程度ですと。この辺は、同じ医療保険の中の医療費の配分として公平であるかという議論は必要でしょう。今回の医療法人の経営情報のデータベースが、医科・歯科・調剤といった中でしっかりと適正な医療制度に持っていくべく寄与していただければなと願うところです。
以上です。
○田中座長 同じ医療費を使っている調剤薬局等についてはどう考えているかという御質問でしたが、いかがですか。この報告書とは直接関係しませんが。
○山本医療法人支援室長 薬局なりの経営情報ということになろうかと思いますけれども、こういったものは現状においてはあまりないという認識でございます。そういった意味では課題ということで認識させていただきたいということでございます。
恐縮でございますが、本件の検討会の趣旨ではございませんので、なかなか踏み込んだ御回答はできませんけれども、そういった状況でございます。
○田中座長 今村構成員、よろしいですか。
○今村構成員 ただ、ここに書いてある政策の企画・立案等というのは、必ずしも医療法人のことだけに限っての政策ではないですよね。つまり、医療保険制度というか国民皆保険制度そのものなので、医科・歯科・調剤を含めての検討をするための材料という、そこは間違いないということでよろしいでしょうか。
○山本医療法人支援室長 まさに先生御指摘の部分につきましては4ページの2つ目の〇に記載させていただいておりますけれども、最後の・でございますが「診療報酬に関する基礎資料である医療経済実態調査の補完」といった形で診療報酬改定や診療報酬に係る情報として活用させていただくことを想定した上で、データベースの構築を検討していただいているということでございます。
○今村構成員 今回のこの中では調剤自体は話としては出てこないわけですけれども、当然そのためには医科・歯科・調剤のデータベース構築は、しっかり厚生労働省でしていただきたいというところかと思います。
○田中座長 今回の検討会を超えて医療保険の費用の使い方については広く検討すべきであるという御指摘をいただきました。ありがとうございました。
ほかに報告全体について何かございますか。松原構成員、お願いします。
○松原構成員 今回データを公開するということで、ぜひ気をつけていただきたい点は、今までなかったものが公開されますと、見方を知らないと不必要な論争なり報道が起きることがありますので、公開する際には適切な見方も併せてお示しいただくことが必要ではないかと思っております。例えば、社会福祉法人は内部留保が過大だとたたかれまして、実際に調査を事務局として実施しましたところ、ほとんどがため込みすぎではなくて、逆に過半は足りないことが分かりました。内部留保がたまっているように見えても、借金返済や設備投資に投下し、実際には内部留保として計上している額は実在しないということがよくございます。また、医療法人の利益は非営利組織のため配当できまませんから、出ている利益が全てが社会保障に投下されるものだとか、そういう基本的な見方も併せてお示しいただいたほうがいいと思います。
以上です。
○田中座長 そのとおりですね、ありがとうございます。
野木構成員、お願いします。
○野木構成員 何度もすみません。石井先生が言われたところが本筋ですし、今、松原構成員もおっしゃったのですけれども、私も何度も言っていますが、データが独り歩きしないようにことはしてもらいたいと思います。今回コロナで非常に利益を生んだから医療法人はけしからんみたいなアウトプットになってしまうと何の意味もないことになるので、そこは冷静に見てもらわないと、実際に利益が上がっていても、立て直しあるいは医療機器を購入する場合に資金は絶対要るんです。そのために医療法人は一生懸命、運転資金をためるんです。それは一つの戦略の中でやっているわけなので、アウトプットの出方によって本当に考え方が変わってしまうということで、本質的に言うと、前も言ったかもしれませんけれども、いわゆる医療の財政を国民に分かってもらうことに何の意味があるのかと。国民に医療の質や安全性という治療のことを分かってもらうのはいいですけれども、医療法人の財政がどうだということを国民に分かってもらうというのは、あまり意味がないと言うと失礼ですけれども、それよりももっと大切なことが一方ではあるのではないかと思いますので、そのあたりはよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 とにかく今回は13ページの2つ目の〇にあるように、データベースを属性等に応じてグルーピングした結果を公表するのだと。個別の医療機関の情報は公表しないと、ここにはっきり明記されておりますので、これを必ず守っていただきたいということを念を押してお願いしたいと思います。
その後の第三者提供制度(仮称)については、まだまだこれからいろいろ議論を進めて、より確かなものにつくり上げていくと理解しておりますが、今回、法律事項で法律に書くときには第三者提供制度(仮称)についても法律に書かれるようになるのでしょうか。
○山本医療法人支援室長 こういった報告書をまとめていただきましたうえにおきまして、第三者提供制度をつくることについては法律の事項になろうかと考えております。さらに、有識者による審査を行うという体制についても法律事項になってこようかと思いますし、目的の部分についてもこういったことで法律の事項になってくるのではないかと考えておりまして、そういった点については、まさに検討会の中で御報告いただいた内容を尊重させていただく方向で制度の設計を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
○猪口構成員 分かりました。では、その際には、今後、議論を積み重ねていって、より確かな形での第三者提供制度にしていくということをしっかり書いていただきたいと思います。
○田中座長 確認を含めてありがとうございました。
北山構成員、お願いいたします。
○北山構成員 形式的なところで冒頭に申し上げるべきだったと思うのですけれども、資料1の2ページで公表方法の項目があるのですが、3つ目の○で前回私が発言させていただいた要旨をまとめていただいていると思うのですが、4行目の後半の「研究者への提供という観点で」以降の文章は、公表方法ではなくて第三者提供制度について論じさせていただいたので、記載の場所を「(第三者提供制度(仮称))」の項目に移動していただきたいということです。先ほど様々な構成員の方がおっしゃったように、第三者提供制度は今後議論が非常に重要だと思いますので、その論点を明確にする意味でも、このコメントを「(第三者提供制度(仮称))」の項目に移動していただきたいと思っています。
以上です。
○田中座長 資料1を作り直すことは可能でしょうか。
○山本医療法人支援室長 修正させていただきたいと存じます。
○田中座長 皆様の御意見のおかげで大分確認がとれました。この報告を超えて医療政策全体についてのコメントは承っておきますと言うしかないかもしれませんが、厚労省に伝わったと感じます。
ほかに御意見・御質問がなければ、本日の議論はここまでといたしますが、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田中座長 では、事務局においては本日の検討会の御質問・御意見を踏まえて、必要な最終的な対応をお願いします。
医療法人の経営情報のデータベースの在り方については、前回、本日と誠に精力的に御議論いただきました。今日示された報告書案についても、いろいろな御意見を頂戴しました。様々な点について気をつけよとの御発言はありましたが、大きな反対はなく、全体的な方向性については、ほぼ皆様の意見が一致したのではないかと判断いたします。
なお、本日の議論で伺った御指摘については必要な修正があるかもしれません。それについては座長である私に御一任いただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田中座長 ありがとうございます。では、そのように取り図ることにいたします。
本日の議論はここまでといたしますが、最後に事務局から何か連絡事項がおありでしょうか。
○山本医療法人支援室長 本日は、会場での一般傍聴を制限させていただいております。議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう進めてまいりたいと存じますので、構成員の皆様方におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力いただけますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○和田医療経営支援課長 医療経営支援課長の和田でございます。
構成員の先生方、どうもありがとうございます。これまで御議論いただきまして、誠にありがとうございました。今回、報告書を座長御一任ということで取りまとめていただきまして、御礼申し上げます。医療法人の経営情報の活用につきましては、厚生労働省の委託事業としまして本年2月、3月に都道府県の方々など関係者へのアンケート・ヒアリングを踏まえました有識者との議論によりまして、全国的な電子開示システムを構築する場合の方向性などを検討させていただきました。本検討会では、この委託事業での検討などを踏まえまして、ある程度整理させていただいたものを事務局案として提出しまして御議論をいただきました。本件につきましては、ここにおられる構成員の先生方を初め、アンケートやヒアリングで御協力いただいた都道府県の方々等多くの御協力・御助言により、ここまで来られたものと思っております。この場をおかりしまして、これまで御協力・御助言いただきました皆様方に改めてお礼を申し上げます。
今後につきましては、社会保障審議会医療部会に報告させていただいた後に、必要な法律案の作成等の手続を行ってまいりたいと思います。
今後とも引き続き御協力・御助言のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○田中座長 課長ありがとうございました。
構成員の皆様、時間を取っていただきありがとうございました。よい報告ができ上がりました。これにて終了いたします。

(了)

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