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2022年10月19日 第1回医療法人の経営情報の
データベースの在り方に関する検討会

医政局

○日時

令和4年10月19日(水) 16:00~18:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15階 カンファレンスルーム15B
東京都千代田区内幸町1丁目3-1幸ビルディング


○議事

○山本医療法人支援室長 それでは、ただいまより、第1回「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本来であれば、構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところではございますが、
お時間の関係上、構成員の名簿、厚生労働省出席者名簿の配付をもって、紹介に代えさせていただきます。
また、本日は、全員出席との御連絡をいただいております。
なお、松原構成員から他用務により途中離席をされる場合があるという旨を御連絡いただいております。
本日は、新型コロナウイルス感染対策の観点から、オンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
まず、初めに発言の仕方などについて御説明させていただきます。
御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただくようお願いいたします。
なお「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。
発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、マイクをミュートにするようお願いいたします。
また、座長から議題などに賛成かどうか、異議がないかどうかの確認の際には、
賛成の場合は「反応」ボタンをクリックし「賛成」ボタンをクリックするか、または、カメラに向かってうなずいていただくことで、
異議なしの旨を確認させていただきます。
それでは、まず、開催に当たり医政局長の榎本より御挨拶を申し上げます。
○榎本医政局長 皆様こんにちは。医政局長の榎本でございます。
本日は、構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
また、平素より医療行政の推進に御尽力を賜っておりますこと、重ねて御礼を申し上げたいと存じます。
医療法人の経営情報の活用につきましては、これまで骨太の方針2021で、事業報告書等などの電子媒体での届出等が求められておりまして、また、今年6月に閣議決定されております骨太の方針2022におきましては、経営状況に関する全国的な電子開示システムの整備などが求められているところでございます。
この検討会では、今申し上げました全国的な電子開示システムも含めまして、医療機関ごとの経営情報のデータベース構築について、その在り方を御検討いただきたいと考えているところでございます。
我が国の医療は、御承知のとおり、高齢化あるいは医療の高度化によりまして、国民医療費が大変増加してきております。また、生産年齢の人口が減少してきている中で、担い手が減少してきている。また、医療資源の地域格差といったような、いろいろな課題を抱えているところでございます。
こういった課題に対応していくためには、やはり国民の皆様への丁寧な説明と理解ということが必要であると考えておりまして、この医療法人の経営情報のデータベース構築というものは、これに資する大変重要なものであると考えているところでございます。
本日の検討会の構成員の皆様におかれましては、ぜひこの制度がよりよいものとなりますように、それぞれの御専門のお立場から、ぜひ忌憚ない御意見を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
大変短くて恐縮でございますが、私の御挨拶に代えさせていただきます。これから、どうぞよろしくお願いいたします。
○山本医療法人支援室長 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は上から、議事次第、厚生労働省出席者名簿のほか、資料1「開催要項」、資料2「『医療法人の経営情報のデータベース』の在り方について」でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
続きまして、議題の1つ目でございますが、本会議の座長についてお諮りしたいと思います。座長は構成員の互選により選出したいと存じますが、医療法人の事業展開等に関する検討会等、これまで医療法人に関する検討会で数度にわたり座長を務めていただいた田中構成員に、このたびもお願いしたいと存じますが、皆様いかがでしょうか。異議ございませんでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○山本医療法人支援室長 ありがとうございます。
それでは、皆様に御賛同いただけましたので、田中構成員に座長をお願いしたいと存じます。
田中構成員におかれましては、座長として、以後、議事運営をお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
報道関係者の皆様、冒頭カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。カメラ撮りを終了いただくようお願いいたします。
○田中座長 本検討会の座長に選任されました田中でございます。構成員の皆様方の協力を得て、当検討会の円滑な運営に努めてまいります。
本検討会は、大変重要なテーマを扱います。ただし、委員の人数が本当の専門家に限られているので、自由な発言によって進められると考えます。30人も委員のいる、いろいろな会議もありますが、そういう場合は、一人一言言って回っていくだけみたいな会議がないわけではありません。この会議の場合には、本当の専門家の少ない人数です。どうぞ自由な発言をお願いいたします。
議事に入る前に、座長代理についてお諮りいたします。開催要項によって、座長は座長代理を指名することができるとされています。そこで私としては、座長代理を荒井構成員にお願いしたいと考えます。皆様、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田中座長 では、荒井構成員、よろしくお願いいたします。
次に、代理人の発言についてもお諮りします。
団体を代表して参加されている構成員の方が欠席の場合には、代わりに出席される方について、1.事前に事務局を通じて座長の了解を得ること。及び2.当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言を認める扱いでよろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田中座長 ありがとうございます。
今日は全員出席ですが、代理出席の場合は、そのようにして参加を認めることといたします。
早速、議事に入ります。
資料2「医療法人の経営情報のデータベース」の在り方について説明をお願いします。
○山本医療法人支援室長 それでは、資料2の御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、これまでの検討の経緯についてまとめております。
2ページは、これまでの政府・与党の動きです。
令和2年12月の改革工程表2020から累次に政府方針等に記載されております。赤枠は特に全世代型社会保障構築会議の中間整理や、いわゆる骨太の方針2022において、現場で働く人の処遇改善に際して費用の見える化など、促進策を進めるとの記載がされています。
3ページ目は、昨年11月の社会保障審議会医療部会の資料でございます。ここでは、事業報告書等のデジタル化として、現行の都道府県に届け出ている法人単位の財務諸表などの事業報告書等について、電子的な届出を可能とすることとし、これにつきましては、既に省令改正が行われ、施行が始まっているというところでございます。
4ページは、昨年実施いたしました、医療法人の事業報告書等に係るデータベース構築のための調査研究事業の報告書の概要でございます。
下段にございますとおり、全国的な電子開示システムを構築する場合の方向性と、事業報告書等の詳細化を行う場合の方向性について御示唆いただいております。
5ページからは「医療法人の経営情報のデータベースの目的について」です。
6ページでございますが、本制度の目的の1でございます。
我が国では、高齢人口の増加や医療の高度化など医療費が増加し、また、今後、生産年齢人口の急激な減少や医療資源の地域格差など、医療制度上課題がございます。
また、新型コロナ感染拡大に際して、医療機関支援などに当たり、医療機関の経営状況把握できていないことも課題とされています。
こうした課題に対応する政策を進めるためには、医療の現状と実態を国民に対して丁寧に説明していく必要がございます。
また、地域医療の担い手である医療法人は、運営の透明性が求められており、その運営状況を明らかにする、それにより、医療が置かれている現状と実態を表すこと、これは、医療法人制度の趣旨とも齟齬を来さないと考えられます。
このため、医療法人の経営情報の収集及びデータベースの構築並びに国民への丁寧な説明について、検討が必要とされているという御提案でございます。
7ページでございますが、本制度の具体的な効果を記載しております。
医療法人の経営情報を把握・分析するとともに、その分析により国民に丁寧に説明するため、医療法人の経営情報を収集する。
これにより、1つには、医療機関の経営状況をもとに、国民に対して医療が置かれている現状・実態の理解の促進、1つには、医療機関の経営状況の実態を踏まえた効率的かつ持続可能な医療提供体制の構築のための政策の検討、そして、政策の検討の具体体的なものとして、物価上昇や災害、新興感染症等に当たり、経営状況を踏まえた的確な支援策の検討、実態を踏まえた医療従事者等の処遇の適正化に向けた検討、社会保険診療報酬に関する基礎資料である医療経済実態調査の補完に活用することが可能となります。
また、医療機関側も、マクロデータを自院の経営指標と比較することで、経営課題の分析にも活用可能であると考えられます。
8ページでございます。
ここでは、本制度の特徴や留意する点を記載しております。
まず、医療法人の経営情報の提出は、抽出調査ではない、医療法人の義務的な全数把握であることが特徴となる。これを踏まえて制度の設計を進めるべきと考えられます。
一方、全ての医療法人に提出を義務づけることであれば、一般的に医療法人が提出可能な制度であるべきと考えられる。医療法人が既に取得・収集している情報をもとにすべきではないかと考えられます。
また、対象は医療法人のみであることから、新たな制度で政策のエビデンス全ての情報を得ようとすることは限界があるということを踏まえて検討すべきと考えられます。
なお、新たな制度の目的は、データベースの構築とその活用にあります。したがって、法人の監督・指導を目的とする事業報告書等とは目的が異なることから、別制度とすることを前提とすべきと考えられます。
本制度の実施時期ですが、新経済・財政再生計画、改革工程表の2021でございますけれども、こちらの中で2023年度までに本データベースの構築が求められております。新たな制度による経営情報の提出は2023年度可能な限り早期に開始し、新たな制度が施行される後に決算を迎える医療法人から順次提出を求めるべきと考えられます。
9ページからは、本制度の在り方についてでございます。
10ページにあるように、6項目に分けて課題を整理しております。
11ページは、制度の対象とする医療法人についてでございます。
新たな制度では、現行の事業報告書等よりも詳細な経営情報の提出を求める必要があります。これを理由に、理由もないまま、対象と対象外を区分すれば、公平性を欠き、そうなりますと、対象とされた法人から協力も得られず、その目的を果たせなくなる可能性がございます。
このため、事業報告書等と同様に、新たな制度でも原則全ての医療法人を対象として義務化すべきと考えられます。
一方、新たな制度により、経営情報の提出義務化をするのであれば、対応が困難な医療法人までも対象として過度な負担を前提にならないよう考慮する必要があると考えられます。
小規模な医療法人は、経理に携わる従業員も限られることが見込まれ、特に法人税法上、いわゆる4段階税制が適用されている法人は、診療報酬に概算経費比率を乗じるなどして経費を算出しており、こうした法人に限って除外してはどうかと考えられます。
12ページは、提出を求める経営情報についてでございます。
考慮すべき点として、提出を原則義務化するのであれば、医療法人が一般的に対応可能な範囲の情報であるべきで、過度な負担を強いるようなことのないよう考慮すべきと考えられます。
一方、骨太の方針2022など、政府方針等で示されているとおり、政策のエビデンスとして活用するのであれば、収集する経営情報は、より詳細な方が活用性も高まります。
したがいまして、新たな制度で求める経営情報は、政策活用性の向上と、医療法人への業務負担、この両面をにらみ、検討することが必要と考えられます。
これらを踏まえ、経営情報の対象としては、収益、費用につきましては、対象を病院、診療所に限定した上で、病院会計準則をベースにしてはどうでしょうか。
資産負債及び純資産、いわゆる貸借対照表ベースの情報につきましては、施設単位で作成していない法人も一定数あることから、法人単位である現行の事業報告書等による貸借対照表によるべきだと考えられます。
13ページは、考慮すべき経過措置の考え方でございます。
昨年度実施した調査研究事業では、施設別に損益計算書を作成していない法人が一定数あることとのことでございました。
このため、新たな制度を施行するに当たっては、医療法人の準備する期間も考慮して、制度開始後に届出期限の延長や届出内容の簡素化を求めるなどの経過措置を設けてはどうでしょうか。
医療法人の事務的効率性の観点から、新たな制度は、決算終了後3か月とする現行の事業報告書等と同時期の届出が望ましいと考えられます。一方、負担増加による届出時期の延期または届出時期に猶予を設ける、そういった配慮も検討してはいかがでしょうか。
14ページは、届出を求める経営情報として、給与関係でございます。
骨太の方針2022及び公的価格評価検討委員会の中間整理において、本制度によって、現場で働く医療従事者の給与上の処遇の把握について検討が求められています。医療従事者の処遇適正化を進めるための現状把握には、職種ごとの年間1人当たりの給与額の把握が必要と考えられます。それには職種ごとの給与費の合計額と職種ごとの延べ人数により算出することとなります。医療法人によっては、存在しない数値とも考えられるものでございます。
医療法人の負担も考慮し、職種ごとの延べ人数は、病床機能報告の7月時点とし、また、職種ごとの給与費の合計額は、医療機関が把握していないことも多く、回答を容易にする観点から暦年とすることが考えられます。
さらに中間整理の趣旨を踏まえて、提出を義務づける考え方がある一方で、医療機関の負担を踏まえて、対象職種を含めて医療法人の任意とすることの考え、そういった考え方もございますが、いかがでしょうか。
15ページは、具体的に届出を求める勘定科目を整理した案です。
18ページは、病床機能報告、外来機能報告との連携についてでございます。新たな制度において単独で活用するのではなく、既存の調査等と連携することも、情報量を増やし、活用性を高める方法として考えられます。
このため、病床機能報告や外来機能報告との連携により、多角的な分析が可能となることから、病床機能報告、外来機能報告と共通のIDを用いることで、病床機能報告、外来機能報告との連携を可能としてはいかがでしょうか。
ただし、他の調査と連携することにより、作成する情報は、国で政策活用することを前提にしたものとすべきであり、それ以外の活用については慎重な議論を行うべきとも考えられます。
17ページは、国民への公表方法についてでございます。
医療法人の経営情報は、これを把握・分析し、国民に対して、現状・実態の理解の促進等をするために収集するとの考えでございます。
この目的には、個別の医療法人ごとの情報を公表する必要性はないものと考えられます。むしろ、属性等に応じたグルーピング等による分析を充実しつつ、その結果を提示することにより、国民に対して分かりやすく丁寧に医療の現状・実態を提示することができると考えられます。
一方、個別の医療法人の経営情報を公表した場合、法人形態であっても、小規模のものも多数あり、個人の報酬を容易に想定できる内容になり得ます。
また、一定規模以上の医療法人に限定したとしても、SNS等の発達した現在においては、悪意的に利用されるリスクなども伴います。
このため、公表する経営情報については、属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表してはどうでしょうか。
なお、公表する具体的な内容となる分析方法は、システムの設計時や運用時において、より充実した内容となるよう検討していくこととしてはどうでしょうか。
18ページは、研究者への提供のための制度の必要性でございます。
新たな制度では、医療費等を収入の中心とする医療法人から提出を求め、公費を使って医療法人の経営情報のデータベースを構築することから、データベースは国民共有の財産であると考えられます。このため、有効活用の検討が必要であると考えられます。
一方で、当該データベースの使い方によっては、地域医療に悪影響を及ぼすような利用も可能ですが、それにより国民の利益に反することも考えられます。
このため、第三者に提供する場合であっても、その取扱方法については、慎重な検討が必要であると考えられます。
さらに当該データベースは、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報や、事業報告書等と照合することにより、いわゆる一人医師医療法人の理事長等の個人の収入等を推知できる情報が含まれることに留意が必要です。このため、第三者提供の制度設計の検討が必要であると考えられます。
19ページは、第三者提供の基本的な考え方でございます。
国民の理解を深めるためには、公表する分析結果の充実が必要です。学術目的であっても、いわゆるオーダーメイド集計のように、個々のニーズを踏まえた分析結果への取組も必要と考えられます。
第三者提供制度については、上記の充実を前提とした上で対応することを考えますが、その制度の施行時期もデータの充実を見据え、それまでに制度の詳細を慎重に検討していくこととしてはいかがでしょうか。
20ページは、第三者提供制度の目的でございます。
統計法では、統計調査に対する国民の信頼を確保する観点から適正管理と守秘義務を図った上で、公益性のある統計の作成及び統計的研究について、個票形式でのデータの第三者提供をしております。
いわゆるNDBも秘密の保護を図った上で、目的を絞って第三者提供をしております。新たな制度においても、医療法人の信頼を確保する仕組みとすべきで、第三者に提供する場合には、医療法人、医療機関が特定される公表はされない仕組みが必要です。
新たな制度でデータを第三者提供する場合であっても、目的にかなった利用に限定すべきであり、目的としては、医療経済に対する国民の理解に資すると認められる学術研究や、適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画・立案のような趣旨としてはどうでしょうか。
その上で、第三者提供する場合には、目的、セキュリティ等を客観的に審査できるよう、有識者による審査の仕組みを前提にしてはどうでしょうか。
21ページは、第三者提供の方法及び対象です。
統計法では匿名データを学術研究の発展、教育の発展などに資する統計の作成等について、研究者等へ提供ができます。
新たな制度の経営情報には、オープンデータと照合することにより、法人・医療機関の特定を容易にすることが可能であることを考慮し、研究目的に照らして必要最小限の範囲の情報に限定する等、配慮した上で提供する必要があると考えられます。
その上で、第三者提供を行う場合には、提供の対象とする者は、前記の目的に沿って適切に研究を行える者か、研究倫理の保持が可能か、提供を求めるデータの範囲は、研究目的にかなった必要なデータ範囲であるかなどの観点から審査し、提供の可否を決定する方向で検討してはいかがでしょうか。
22ページは、その他として、医療法人以外の経営情報についてです。
調査研究事業では、医療法人以外の経営情報についてもデータベース化の検討をすべきとされています。新たな制度は、医療法人の制度として位置づけることを考えています。このため、医療法人以外の設置主体を対象とすることは難しいと考えられます。
したがいまして、医療法人以外の経営情報は、制度の対象とはしないものの、データの活用に当たって、公開情報を実務的に連携して活用することとしてはどうでしょうか。
23ページ以降につきましては、参考資料でございます。説明は省略させていただきますが、御審議の参考としていただきますと幸いでございます。
説明は、以上でございます。
○田中座長 室長、説明ありがとうございました。
今の説明の中でも、何か所か「いかがでしょうか」という問いかけがありました。構成員の皆様に答えていただかなくてはなりません。
ただいまの説明に対して御意見、御質問のおありの方は、お願いいたします。なお、発言の仕方は、もう皆さん、3年目なので慣れていらっしゃいますが「手を挙げる」ボタンをクリックするか、挙手でお願いいたします。その上で、私が指名申し上げますので、マイクのミュートを解除の上、御発言ください。また、発言後は、マイクをオフにしていただくようお願いします。
では、どなたからでもどうぞ、会場にいらっしゃる石井構成員も含めて、どなたからでもどうぞ。
医師会は、猪口構成員ですか。
○猪口構成員 はい、猪口です。よろしくお願いいたします。
たくさん問いかけがあるので、主立ったところだけ申し上げたいと思います。
8ページの、これは確認なのですけれども、4つめの○、現在、もう行われている事業報告書等とは異なる別制度だということが書かれておりますので、逆を言いますと、今回の制度でより精緻な値が求められたとしても、それが逆に、この事業報告書等のほうに、逆に跳ね返るということは決していないようにお願いしたいということが、第1点でございます。
それから、11ページでは、小規模な医療法人、四段階税制のようなものを適用している医療法人、これは非常に数が少ないと聞いておりますので、これは、除外でよろしいのかなと思います。
それから、13ページの経営情報についての経過措置のことですけれども、ぜひ経過措置を設けていただくということと、それから、決算終了後3か月というのは、一般的に提出時期と重なりますので、これは少し遅らす等の配慮がないと、なかなか、最も忙しい時期とぶつかるので配慮をお願いしたいと思います。
それから、14ページでございますが、3つ目の○の途中から書いてある任意とするかどう考えるかということですけれども、人件費の計算というのは、非常に困難な部分もございますので、ぜひ、これは任意とお願いしたいと思います。
それから、申し訳ありません、いっぱいあるのですけれども、16ページ目の病床機能報告との連動というのは、これは、データを補完するという意味では、非常にいい方法だと思いますけれども、その下に書いてあるように、ただし書きのところの、国で政策活用するということに限らしていただいて、これを広く公表するということは、これは、もうすぐにひもづけができてしまいますので、それは決してしないようにお願いしたいと思います。
それから、17ページの下から2つ目の○ですけれども、公表する情報、あくまでそのグルーピングしたものであって、個別の情報は出さないということが基本でありまして、これは守っていただかなければ困ると思います。
それから、18ページの第三者提供ですけれども、これは慎重な上にも慎重に、新たな、取り決めになると思いますので、規則をつくるに当たっては慎重にやっていただきたい。
それから、同じことですけれども、20ページにありますように、趣旨に沿ったもの、なおかつ、有識者の審査、これがどうしても必要だと思います。
それから、非常に重要なことですけれども、22ページの2つ目の○です。医療法人だけではない、病院をやっているほかの団体の公開情報、これをぜひ収集して、医療法人のデータベースとともに、これを連携して1つのデータにしていくということは非常に重要で、日本は、医療法人は多いですけれども、医療法人だけではなくて、他に公立公的とか、様々な病院、医療機関がございますので、そこと合わせたデータを出さないと、日本の中の医療機関のデータとしては不十分になりますので、ここについては、必ず行っていただきたいと思っております。
すみません、非常に質問項目が多くなりましたけれども、以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
多様なポイントについて御発言いただきました。もし足りなければ、また後でどうぞ。
猪口構成員、8ページについては確認だったのでしょうか。最初に御発言いただいた点です。
○猪口構成員 これは、そうです。特に質問にはなっていませんけれども、ここは、ぜひ気をつけて、事業報告書等とは切り離して、今回決めたものが事業報告書等に跳ね返らないようにしていただきたいということです。
○田中座長 そういう御趣旨でした。ありがとうございます。
では、野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 ありがとうございます。
それでは、私のほうからもちょっと話させていただきます。猪口構成員が言われたところと重なってくるところも結構あると思いますけれども、お話をさせていただきたいと思います。
まず、前提として4ページの部分で、アンケート結果を取ったという形で、上のほうの調査結果で、都道府県が全国開示に95%、医療法人の63%が賛成と、回答と書いてありますけれども、これは、実際問題として我々が4病協でやったときは全く反対で、いわゆる60%、70%が反対しているという結果だったわけで、それは報告書にも載っているのですけれども、そのことは、ここに全く載っていないので、いわゆる医療法人、こういうアンケート結果のほうは、公表を医療法人は、ほぼ反対していたと考えていただきたいと思うのですけれども、その点が全くここには紹介されてなかったということは、非常に残念なことだなと思っております。
それから、先ほど8ページのところで猪口構成員がおっしゃったとおり、これは、事業報告書等とは異なるものということは、しっかり認識していただきたいと考えております。
それから、その次、14ページ、これも猪口構成員がおっしゃいましたけれども、職種ごとの年間の1人当たりの給与等という形では出ていますけれども、これは非常に難しい、それぞれの医療法人の1つの特徴というか、戦略というところもありますので、ここをどう考えるかというのは、非常に難しいところで、例えば、当院の例を挙げると年俸制ですから、退職金等はありません。全くないという形になりますので、それをほかの病院等と比較されると、全然給与形態が違うところと比較するということは、全くナンセンスな話になってくると。
それから、勤続年数の問題とか、いろいろなことがありますので、これは、それぞれの病院の1つの職員を集める戦略的なところと言ったら言葉は悪いですけれども、それぞれの病院が努力して頑張っている部分であって、自分ところの病院の特徴を出そうと頑張っている部分を、一括で全部出させるというのは非常に乱暴なところで、ここは慎重にしていかないと、僕は駄目なのではないかなと、データ的にはデータが独り歩きしてしまうと思っています。
それから、15ページのところで、いわゆる項目がありましたけれども、先ほど猪口構成員が言われたとおり、事業報告書等とは、これは全く違いまして、今回の趣旨というのは、医療法人での医療の在り方、医療がどうなっているかというような形を求めるものでありますので、これは、もう医療に限定して、医業収益等を書くべきだと思います。
例えば、医業外収益等が載っていますけれども、例えば、受取利息とか配当金とかというのは、例えば、これは任意とか書いてありますけれども、現実的に医業外収益を全部書くということになってしまうと、そういう別の、例えば、経営がうまくいっていなくて遊休財産を売ってしまって、一時的に収益が上がっている、でも、経営はいいではないかと言われても、実際は、病院のほうは赤字になっているのに、表面上だけは黒字になっている。あるいは、いわゆる保険等の満期等で病院に戻ってくるとか、いろいろ病院には、医業外というところで様々なものが含まれていますので、その辺りをちょっと明確にするという意味では、この辺りを外さないと、大きな誤解を招いてしまうということで、今回の調査の趣旨は、医療の経営実態がどうなっているかということになりますので、医療外のところは外さないと、これはちょっと、もともとの趣旨と外れた内容になってくるのではないかなという気がいたします。
それから、長々と話しましたけれども、最後に、これは猪口構成員もおっしゃいましたけれども、グルーピングの問題ですね。グルーピングの問題は、個々にどうしていくのか、当然グルーピングは必要だと思うのですけれども、例えば、精神科病院などは、少ないのですね。大阪府だけで48とか49とかしかないのですね。それをグルーピングするというのは、どうグルーピングするのだろうと。大阪全県一区というなら分かりますけれども、二次医療圏と考えたら一病院しかないので、全部それが出てしまうということになってしまうので、グルーピングはしっかりどういうグルーピングをしていくのかということを検討していただかないと、結局、その病院の全ての情報を垂れ流しにしてしまうということになりますので、いや、これは正直、公開されるということは、基本的にないと思いますけれども、それが公開されれば、営利目的のコンサルタントとか、そういう人たちは、隣の病院は、実はこう給料を出していますよとか、医師の給料はこれぐらいですよという形で、情報を入れてくれるというか、また出て行くという、非常に危険なことを起こすと思いますので、その辺りは十二分に考えていただいて検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
特にグルーピングについては、気をつけて設計すべきと言っていただきました。
伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。伊藤でございます。
今、野木構成員、猪口構成員から御発言がございましたけれども、基本的には、全体、同じような意見でございます。特に8ページのところの事業報告書等は、別制度であるということで、ぜひこれは徹底をしていただきたいと強くお願いを申し上げるものであります。
それから、もう一点、これも野木構成員からもお話がございましたが、14ページの職種ごとの年間1人当たりの給与額の把握ということでございますが、これは、1つは病院というか、医療機関という非常に特殊な状況の中で、これを7月1日のデータをもとに、これを見直しとして算定するという案が出ておりますけれども、医療機関の特殊性から申し上げれば、4月に一番多くの人数を抱えながら、期末である3月の末に、人数が減ってくるという、そういう状況の中で、7月というのは、非常にまだ多い人数の中での算定ということになります。非常に細かい話で恐縮ですが、そうしますと、一人一人の所得として全体を割りますと、非常に薄まってしまう。多職種との比較ということになりますと、マイナス評価になるということが懸念されるわけで、これに関しては何らかの手立て、方策をもう少しきちんと立てる必要があるだろうと思います。これは、資料の出し方という意味で、ぜひお願いを申し上げたいと思っております。
それから、データ評価の方向性ということでお願いしたいのが、これも御発言の中にありましたけれども、経験年数による手当の扱いです。看護職や他の職員の経験年数による差を、どういう形で評価していくのかということと、各職種でも、その中にさらに詳細な資格というものがあるはずですが、その資格に対してどういう手当がなされているかということまできちんと検証がされるのかどうか。それができないのであれば、この職種1人ごとの年間の給与に関しての把握は、非常に雑駁なものになることによって誤解を招く可能性がある。病院機能、それぞれの機能によっては、大きな誤差につながりかねないという懸念がありますので、ここは、ぜひ見直しをしていただくか、あるいは、正確で、さらに詳細な基準というものを設けて、これを公表していただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
人件費の把握については、より詳細な設計が必要であり、簡単ではないとの御指摘でしたね、ありがとうございます。
荒井構成員、お願いいたします。
○荒井構成員 ほかの方の手が挙がっていなかったので、発言させていただきます。
今、各関係者からコメントをいただいたところですけれども、その点で幾つかちょっと私のほうで確認したいことがあるのですが、事業報告制度と、この制度とは別のものであると。実際そういうふうに、この案では提案されているわけなのですが、その場合、別物なのだけれども、考え方については共通する部分もあると思うのですね。
どういうことかというと、既存の事業報告書等に関しても、今回、電子化してデータベース化するということは決まっているわけで、もう実際に進行中のわけですけれども、これに関しても、やはり、国民の理解を得るために、そのデータベース化したものをそのままにしておくのではなくて、一定のグルーピング化して、医療界の理解を深めるために、公開していくということは当然考えられていますので、そういう意味では、今回議論している経営情報の制度とは違うといっても、どういうグルーピング化をして公開していくのかという部分に関しては、共通だと思いますけれども、その辺りはどう考えたらいいのかということと、もう一つ、そもそも事業報告書等の場合は、既に公開されているデータなので第三者提供制度とは違うのですけれども、第三者に対して、データベース化した事業報告書等を提供するということが当然考えられるわけです。既に公開されているものですから、当然、新たに議論している第三者提供制度とは違うのですけれども、データベース化された事業報告書等の公開制度についても、同時に議論していく部分もあると思うのですが、その辺りはどうなのだろうかということが1つ。
もう一つ、新たな別のものですよと言っている経営情報の制度に関して、第三者提供制度のところなのですけれども、これが、先ほどの猪口構成員の説明だと十分に理解できなかったのですが、その第三者公開制度において、病床機能報告等の連携したものは、純粋に政府による分析だけという意味でおっしゃったのか、第三者制度には、病床機能報告などとリンクしたものも含むのかというところが、非常に重要なポイントだと私は思っております。実は今回の経営情報制度も、そのものだけだと、もちろん価値はあるのですけれども、十分な価値を持ち得なくて、医療政策目的であるとか、医療経済だとか、そういう観点から研究者が研究する上では、病床機能報告などと連携したりとか、そうしないと価値が半減してしまうのですね。
ですので、第三者提供に当たって、ちゃんと審査をするとか、データの利用目的が適合的であるということは非常に大切だと思うのですけれども、その辺りのところは担保した上で、第三者提供のときには、病床機能報告などと連携したデータも含めていただかないと、せっかく集めて構築したものが、価値が減り過ぎてしまうのではないかなと思います。
もちろん、病床機能報告と連携することによって、個別法人が特定されてしまうのではないかという懸念は、とてもよく理解できます。
ただ、提供を受けた個別データは公開しないといったようなことを担保する、サインをするなどして担保するということが前提ですけれども、病床機能報告などと連携したデータの提供という形を取ったほうがいいのではないかと考えております。
というのも、政府が分析する場合でも、政府の中で全部データをとどめているわけではなくて、外部のシンクタンクに依頼してやったりしているわけですね。そのときもサインして、外に漏らさないということを前提で分析しているわけなので、第三者制度で審査を受けた上で提供が許可された研究者の場合には信用できないという発想はよろしくないと思いますので、一定のサインなり何なりして、個別データを開示しないということは担保しつつ、第三者提供者先の研究者に関しては、病床機能報告等を連携したデータで考えていただきたいなと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
最後のは御意見で、前に2つ質問がありましたけれども、いかがでしょうか。
○山本医療法人支援室長 1つは、事業報告書等、現状の都道府県に出しているものでございますけれども、これについて、まずは別制度にすべきではないか、それは目的が違うからということで、資料のほうに御提示させていただいておりますけれども、その際に、先ほど猪口構成員からお話をいただきました、それは別制度であるから、データとして結びつけるかどうかということを、そこまで申し上げていることではございません。そこについての、何か運用上の齟齬等あれば、そこは当然考えていかなければいけないと思いますけれども、そこの連携をしないかどうかということまでは、資料に御提示させていただいているものではないということでございます。
また、事業報告書等をデータベース化したものの活用方法については、現時点では、何か決まっているものがあるということではございません。もちろん、政府内にそういったデータがあれば、それを活用させていただきたいと考えているところでございます。
○田中座長 荒井構成員、いかがですか。
○荒井構成員 ありがとうございます。
既存の事業報告書等には、貸借対照表のデータがあるのですけれども、新しい制度には貸借対照表のデータはありません。ですので、既存の事業報告書等から貸借対照表データを持ってこないと、いわゆる純資産比率であるとか、そういう貸借対照表データを使ったような分析ができないことになりますので、そういう意味では、つながっている部分というのが当然あると思いますし、実際、事業報告書等のほうをデータベース化しているのに、全くそちらのほうは分析しないというのでは、余りにももったいな過ぎますし、そもそもデータベース化してきた背景としても、事業報告書等のほうも当然グルーピング化して、公表することを想定しているのかなと思っております。
以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。検討いたしましょう。
医師会は、今度は今村構成員ですか、それとも猪口構成員、もう一回ですか。
どうぞ、猪口構成員。
○猪口構成員 事業報告書等の件は、今までも何遍か確かめたことで、これは、もう別制度であるということと、事業報告書等は今のところ、都道府県内で公開ということになっておりまして、それで都道府県において、どのような形で公開するかというのは、都道府県での考え方ということになっていると思います。
したがいまして、都道府県によって今でも公開の仕方、もしくはどういう人間に公開するかというようなことも差があるように思っておりますので、今のところ、それを全国的なデータとして結びつけるというような考えには至っていないのではないかなと、今は判断しております。
以上です。
○田中座長 追加解説、ありがとうございました。
荒井構成員、どうぞ。
○荒井構成員 既存の事業報告書等の公開が都道府県単位でなされることになっているというのは承知しているのですが、それとは別に、厚労省のほうでデータベース化するということになっていて、それは、現在進行中のわけで、厚労省のほうでデータベース化した事業報告書等を一定の公開、公開というのは、グルーピングして、国民の理解に資するための公開をするということは、少なくとも含まれていたのではないかと私は理解しているのですが、この辺は、私の理解なので厚労省の方にお聞きしたいのですが、その辺はどうなっていますでしょう、既存の事業報告書等のデータベース化したものは、どういうふうに扱うことになっていたのでしょうか。
○田中座長 お答えください。
○山本医療法人支援室長 まず1つ、猪口構成員からいただいた件でございますけれども、既存の事業報告書等につきましては、都道府県に報告されて、閲覧については都道府県において行うということで、これは今までのルールのそのままでございます。
その際には、インターネット等を活用して、閲覧に供するということで省令改正をさせていただいております。
一方で、電子化することによって、これは、G-MISを使ってアップロードによる届出をしていただくことになっておりますが、全国的に集まるということで、全国的な事業報告書等のデータベース、これは法人単位の損益計算書であったり、貸借対照表であったりという、経営上のデータということになりますけれども、これは全国ベースでデータベース化されます。
一方で、この活用方法については、決定したものがあるということではございませんで、ただ、データベースということでデータがございますので、こういった形で政策活用等には、使う可能性はあるということでございますし、我々のほうではそういった考えであるということでございます。
あと、もう一つでございますが、資料の中で、12ページにございますけれども、これは荒井構成員からもお話をいただいた件でございますけれども、今回、制度の対象としては、最後の○の1つ目のポツでございます。これは、制度の対象としては損益計算書ベースの内容を、病院会計準則をベースにしていただくということで対象になるということでございます。
一方で、貸借対照表、BSベースの情報につきましては、現行の事業報告書等を活用させていただいてデータベース化させていただくと。
ただ、新たな制度として頂く情報の中には入りませんので、別制度であるということでありますので、今回の新たな制度の対象にはならないということでございまして、こういった意味で、事業報告書等として集まった情報は、活用させていただく方向であるということは、この資料の中ではお示しをさせていただいているということでございます。
制度は別でございますけれども、2つありますデータについては、ひもづけさせていただいて活用ができるのではないかという御提案をさせていただいております。
○田中座長 よろしゅうございますか。
では、ほかの方、御意見、御質問があれば、お願いします。
野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 ありがとうございます。
ほかに北山構成員が挙げられたので、本当は先に話してもらったらよかったのだと思うのですけれども、先ほどの中から事業報告書等のデータベース化というのも話は出ていますけれども、やはり基本的には、それを公開するというのは、直接的には聞いていないですし、正直、これは猛反対の項目になってくると思います。
といいますのは、僕もこういう構成員になるまでは、全国の医療法人の事業報告書を見ることができることは知りませんでした。大阪府下のものは見られるのは分かっていましたけれども、見に行くということは実際ありませんでした。今回、構成員になったので、ほかの病院のをもらってきました。確かに、すぐくれます。ほかの病院も、どこの病院のも驚くほどとても簡単にくれます。しかし、それを見ると、その病院の経営状況とか全部分かってしまうのですね、当然のごとく。
それがいいことなのかどうかということなのですね。好奇心でいろいろな知り合いの先生のところももらってきましたけれども、これが、ほかの第三者が見たときに、研究として使われるのはいいと思いますけれども、ほかの第三者、前にも言いましたようにM&Aみたいな目的で使われると、この病院はかなり脆弱になっているなと、この病院を乗っ取るのは簡単だなという形で使われるというのは、非常に不本意な使われ方になると思いますので、データベース化されるのはいいですけれども、インターネット上で出るというのは、海外からどこからでも見られるということになりますので、これは、かなり慎重にしていただかなければならない。研究と一般の人に公開するというのは、別々に考えていただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 きつい御指摘でした。ありがとうございました。
北山構成員、お願いします。
○北山構成員 ありがとうございます。北山でございます。
私のほうから、個人情報とプライバシーを専門に取扱業務としておりますので、その観点から項目の4と5の国民への公表方法と、あと研究者の提供のための第三者提供制度について、少しコメントをさせていただきたいと思っております。
全体的な方向性については、特段異論のあるところではないのですけれども、ポイントとして取扱うデータの一部に個人情報とか、プライバシーに関する情報が含まれる可能性があれば、それを公開、提供する場合のリスクをどのように低減するかというのがポイントなのかなと理解しております。
また、プライバシーとか個人情報に限らず、法人情報だとしても、そこにはセンシティブ性の高い情報が含まれることがございますので、同様の配慮は、やはり必要になってくるのかなと考えています。
個人情報保護法とかの観点からは、例えば、公開とか、提供することについては、法改正によって、法令上の根拠を持たせれば、確かに法令に基づく提供として、個人情報保護法、条例違反にはならないとは思うのですけれども、判例上は、そのことが直ちに、当然に民事責任を発生させないとまでは言い切れないとなっておりまして、やはりプライバシー侵害の有無とかは考慮しないといけないなと考えております。
データ利活用という観点では、確かに今回の制度の目的自体は非常に重要なところもあると思うのですが、他方で、制度を維持させるために、やはり国民の信頼というのをいかに勝ち取るかというところが重要なポイントだと認識しておりまして、そういった観点では、先ほど申し上げたリスクをどのように低減するかというのが、課題になると認識しております。
そういった観点で今回、方向性として示していただいた、国民への公表方法としては、グルーピングした分析結果に限定するといった点や、研究者への提供については慎重な検討を要する等は、かなり好ましい方向性であると思っております。もっとも、まず、グルーピングという観点では、先ほどもコメントがございましたが、どのようにグルーピングするか、誰が分析するのか、そのときの提供の条件はどうするのか、分析の委託先のセキュリティはどうなのか等の要件については慎重な検討が必要ですし、研究者への提供に関しても、研究目的という意味では非常に重要な目的ではあるのですけれども、やはりプライバシー侵害というのは、ここでは発生し得るものですので、提供される情報の内容や利用態様を契約上どう限定するか等の議論が必要なのではないかなと思っております。
また、研究者に対して提供したとしても、研究者のほうで再識別されてしまったら、そこは大問題ですので、必ずそうしないよう義務づけることはもちろんですが、同時に、漏えいしてしまったら、それも大変なことですので、いかに漏えいのリスクを減らすかという観点が、かなり重要なのかなと思います。
もちろん個人情報に該当しなければ、漏えいしたとしても、それが当局への報告だとか、そういった対象にならないと認識しておるのですけれども、制度の信頼確保という観点では、提供先が、いかに信頼できる体制を整備しているのか、こういった点からの確認を事前にするということが非常に重要になってきて、場合によっては、例えば、契約に監査条項を設けることを必須とする等の検討も重要なのではないかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○田中座長 ありがとうございます。
グルーピング並びに研究者へのデータを渡すに当たっては、極めて注意した設計をしなくてはいけないということを詳しく言っていただいたと思います。ありがとうございました。
松原構成員、お願いいたします。
○松原構成員 今回の参考資料に載っております、病院経営管理指標の指標を最初に開発しておりますので、その立場から発言させていただきますと、先ほど二次医療圏別とかだと、どこの病院だか分かるとお話がありましたけれども、別に病院経営管理指標の真似をする必要はないのですが、北海道地方とか東北地方とか、そういう大きな県単位以上の地域別で載っていまして、個別の病院が分からない形で公表しております。
あと、1人当たり人件費については、今回御提示いただいたような職種別をあれだけ細かくやるというのは、ちょっと費用対効果からいってどうかなと、さすがに負担が大きいのではないかなと思っております。
病院経営管理指標のほうでは、常勤医師と常勤看護師だけはすでに1人当たり人件費が出ておりまして、これは、比較的出るのではないかと思います。
あとは、バランスシートにつきましては、今のところ法人単位でもいいということは経過措置としてはいいと思いますけれども、例えば5年以内とか、ちゃんと区切って、病院については拠点ごとに出すべきだと思っております。そもそも病院会計準則にのっとるということが法律ではないのですが、一応通知で出ておりますし、法人単位ではなくて拠点単位で出さないと、本来、病院自体の、一体自分たちの病院がどういう状況にあるのかということが分かりませんので、今後の病院自身のマネジメントのためにも、経過措置という形でバランスシートは施設単位で、拠点単位で出すという方向が望ましいと思います。
以上です。
○田中座長 病院管理指標の話と、それから、BSについての将来の方向について御意見を頂戴しました。ありがとうございます。
石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 石井でございます。
先ほどからお話をされている件の再確認をさせていただいて恐縮なのですが、資料の3ページに事業報告書等の見直しに関する記述がございます。
これは、先ほど来のお話でいくと大変重要なことなので、しっかりとここの点を認識しつつ、新たに構築される制度として、新たに作られる医療法人の経営情報のデータベース化という問題を認識していかなければいけないのだろうと思っているのですが、この3ページで、黒丸の最初は、今まで紙で提出していたデータの提出を電子媒体のアップロードによる届出を可能とする。こういう形になっています。これに関しては、既に省令改正が行われて、もう現実に走っています。
2番目は、ということで、データが電子媒体によって集約されることになってきたので、結果として紙媒体での提出も認めるけれども、最終的に紙で提出されたものを、電子化作業を行って、全ての情報は電子化されるということで全47都道府県のデータを、全国規模でデータベース構築をするという形も、これも確定事項でございますね。もう決まったことで、これからの話ではないということの確認です。
そして、それとは全く別に、今まで制度として紙で閲覧に供されていたところの各都道府県における個別の実名のついた事業報告書等のデータを各都道府県において、ホームページ等において閲覧可能とするということ。これも確定事項でありますね。そして、その具体的やり方は各都道府県の御判断になると。ここまでが確認でございます。
そこで、ちょっと私の質問なのですが、ホームページ等というのは、従来どおりの紙での閲覧というのを前提としてもいいのか、いや、そうではなくて、あくまでも電子的な電子化した事業報告書等ということになるのであれば、今までの紙を見ていたという時代は、もう完全に終わって、ホームページではなくても電子的な媒体を閲覧するという方向に時代は変わる、このことをもう法律としてというか、制度として確定しているという前提でよろしいのか、いずれにしても、もしそうだとすると、大変大きな変化が新しくこの検討会のメインテーマである医療法人の経営情報のデータベース制度を構築する以前の、今までの制度に対する変化が電子化、電子媒体、そして、そういうものを活用したところでの開示、場合によっては、これらを集約した全国規模のデータベース、これについて公表するのか、しないのかというお話もございましたが、ということで、今まであった既存の制度自体の中で、大きな変化は、もう一回申し上げますが、既に確定的に始まった。ここのところは、もうはっきり認識せざるを得ないということで宜しいでしょうか。
そして、私は、実務家でございます。先ほど来、M&Aというような言葉もございましたが、いずれにしても個別の医療法人の名称が出ている財務諸表を、事業報告書等のメインは財務諸表でございますから、それをしっかりと実名で見させていただいている側の人間でありますが、これが紙ではなく電子媒体になるということは、やはり大変な変化であると。デジタルトランスフォーメーションを実感することになるのだろうと、こういう状況にあるのだという前提は、やはり認識せざるを得ないのだと理解をしておりますが、そういった理解でよろしいのかどうかということを、少しくどい質問となりましたが最初にさせていただきたいと思いましたので、コメントさせていただきました。
もう一点、22ページでございますが、先ほど松原委員から期限を定めて5年ぐらいの期間で、施設別での貸借対照表というお話がございましたが、パブリックセクターですね、プライベートセクターでもいいのです。医療法人以外の病院開設主体で、複数の病院を開設したり、複数の診療所を運営している、そういう開設側で、施設別のバランスシートを既に現時点において、より医療法人よりも公益的な公共的な立場の高いほうが開示しているのですね。そこに、ちょっと私は疑問がございまして、国立病院機構NHOは、確かにしていると思います。それ以外は、しているのでしょうか。その辺りというものの整合性は、やはりちょっと作っておかないと、手間の問題もございますし、それだけではなくて、やはりとてつもなく負荷、負担がかかるということもあるので、確認をさせていただきたいと思いました。
以上でございます。
○田中座長 事務局への確認ですね、3ページの大きな変革がある全体像についての確認、それから、都道府県がホームページ等と言っている、この等は何かというのと、今の22ページに関する御質問、お答えください。
○山本医療法人支援室長 まず、3ページの資料にございます、現状の事業報告書等の取扱いでございます。
石井構成員からお話をいただいたとおりでございまして、(1)の1つ目のポツ、2つ目のポツというのは、実際にもう進めさせていただいております。省令改正もさせていただいております。
(2)のほうでございますけれども、都道府県のホームページ等において閲覧を可能とするということでございますけれども、正確に申しますと、インターネット経由での閲覧ということでございまして、これは、そのようにしていただくことになっております。
ただ、インターネット経由というのは様々ございまして、ホームページというのが一番思い浮かぶということで例示させていただいておりますけれども、例えば、請求者に対してメールで提供するということも都道府県の中では、そう考えているというところもあるとお聞きしております。
ここの取扱いについては、都道府県のこれまでの取扱いを前提に行っていただくということでございます。できるだけ、これまでと変わりのないような対応をお願いしたいということではお話をさせていただいているというところでございます。
あと、公立病院なりは、経営情報を細かく公表しておりまして、そういった意味では、国立病院機構ですとか、国立高度専門医療研究センターですとか、そういったものでも公表されておりますけれども、そういったところも出しているという認識でございます。
以上でございます。
○田中座長 石井構成員、よろしゅうございますか。
○石井構成員 はい。
○田中座長 松原構成員、どうぞ。
○松原構成員 私の発言で、もし誤解があったらいけないので念のため申し上げますけれども、バランスシートを拠点ごとというのを、それを個別に公表しろということは申しておりません。あくまでもグルーピングして、個別の病院が分からない形にして公表と、そういうことを前提にしております。
一方で、やはり拠点ごとにバランスシート作る必要があるのではないかというのは、今まで作っていないところにとっては、確かに大きな負担になると思うのですけれども、マネジメントする上で拠点ごとにどうなっているか、その合計として法人がどうなっているかがありますので、今後の経営改善のためにも、すぐにやれということではなくて、ちゃんと経過措置を取ることによって、持続可能な経営をするためにも、この制度が、ちゃんと拠点ごとに作ることになれば、作らざるを得ないとなりますので、すぐということではなく、経過措置を作ることでそういう方向に持っていく必要があるのではないかと、そういう指摘です。よろしくお願いします。
○田中座長 確認ありがとうございました。
野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 何度もすみません。厚労省と北山構成員にちょっと教えていただきたいと思うのですけれども、確かに都道府県の、先ほど出た電子化したデータベースを都道府県のホームページ等で閲覧可能にするということで、これはもう本当に大きな変化だとは思います。本当にこれがまかり通るということになれば、といいますのは、閲覧に関しましては、偽名であろうが何であろうが取れるわけですね、適当に言って、適当なことを書いたら全部もらえる。それをインターネット上で、全部メールで送るという形になるという理解ですから、これは誰でも偽名を使ってもらえるというような形を考えておられるのかということを1つお聞きしたい。
それで、そのことによって、いわゆる不利益が発生した場合は、これは、北山構成員に教えていただきたいのですけれども、そういう場合は、どういうふうな形、損害賠償等を踏まえて、公開したところに対して損害賠償等できるのかどうか、それはどういう形になるのか教えていただきたいと思います。
○田中座長 本委員会の、この医療情報とは別の、経営情報とは別の事業報告書等に関する御質問ですが、いかがですか。答えになれますか。
○山本医療法人支援室長 恐縮でございます。
事業報告書等は、若干、先生、御説明が不足しておりまして、恐縮でございます。これは、データベースは都道府県で構築して、公表するとか、開示しているとかということではございません。これまで紙で閲覧請求には応じて、閲覧に供していたものを、個々の法人の事業報告書等でございますけれども、これは法人単位の財務諸表というのも含まれており、例えば、PLにおいては、収益費用は本業の収益費用というような取扱いになっている。これは閲覧に供してもよい内容にするということで、平成18年に改正をされている内容でございますけれども、これが対象になっているということでございまして、決してデータベースが公開されているというようなものではございません。
○田中座長 北山構成員、何か不利があったときの法律上の扱いはどうかという御質問でした。
○北山構成員 個別の事案にはよりますが、都道府県が開示したことで何か損害が発生した場合、例えば、国家賠償請求訴訟や不法行為に基づく賠償請求訴訟が考えられますが、偽名で申請されたとしても、手続上の不備がなかったような場合は、直ちに過失や違法性等の要件は認められにくいだろうとは思います。都道府県の担当者が、そうしたデータベースを悪意に売却したような場合は別ですが、手続上の不備がなければ、請求は容易ではないと思われます。
○田中座長 よろしゅうございますか、野木構成員。
○野木構成員 ありがとうございます。
当然、事業報告書等のデータベースが、ホームページから閲覧できるようになることは分かっています。それは厚労省が言われるとおり、かなりの情報というか、経営状況が入っていますので、それを誰でも取れると、偽名でも取れるというのは、やはり個人的にはあまり歓迎できることではないし、医療・病院関係者、法人関係者にとってもあまりうれしいことではないとと思います。
以上です。
○田中座長 ほかにいかがでしょうか。
本検討会の主題である経営情報のほうについては、皆様から、いろいろな確認の質問がございまして、事務局からも回答がありました。基本的に個別の医療機関の話ではなく、グルーピングをした上でデータを使う。研究者が使いたいときでも、きちんとしたチェック機構が選択する、委員会が選んだ研究者にしか渡さないと確認されました。
ほかに御意見はございませんか。
では、大体御意見は出尽くしたと思われます。本日の議論は、ここまでといたします。
様々に留意すべきである、これこれは注意すべきだとの御指摘をいただきました。
しかし、今日、事務局から提示された大体の案について、特に、これこれに注意すべきとのご意見はありましたけれども、こういう方向ではけしからぬとする御意見は特になかったと言えます。
本日の委員の皆様方の御意見の中で、さらにきちんと深めよとのご指摘もありましたので、それを踏まえて、次の回に一種の取りまとめ案的なものを準備していただきます。急いでいるようなので、次回は、検討会2回目ではありますが、本日の議論を踏まえた上でのことですが、取りまとめ案の準備をお願いします。
本日の議論はここまでといたしますが、事務局から何かございますか。
○山本医療法人支援室長 ありがとうございます。
本日は会場での一般傍聴を制限させていただいており、議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう、進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙中とは存じますけれども、御協力いただきますようお願い申し上げます。
また、第2回の検討会は、11月8日、17時からを予定しております。詳細が決まり次第、また、追って御連絡をさせていただきたいと存じます。
○田中座長 では、本日の検討会は、ここまでといたします。大変専門的な観点から貴重な御意見を頂戴しました。誠にありがとうございます。
では、また次回にお目にかかりましょう。

(了)

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