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2022年8月4日 第12回第8次医療計画等に関する検討会

医政局

○日時

令和4年8月4日(木) 15:00~17:00


○場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 9階 スズラン
東京都千代田区六番町15


○議事

○谷口室長 ただいまから第12回「第8次医療計画等に関する検討会」を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。
 本検討会の構成員におかれましては、発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、発言をするようにお願いいたします。
 なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。
 発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、再度マイクをミュートにするようお願いいたします。
 また、座長から議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
 本日は、櫻木構成員、野原構成員は御欠席との御連絡をいただいております。
 次に、資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、構成員名簿、厚生労働省出席者名簿のほか、資料1、資料2、参考資料1を配付させていただいておりますので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
○谷口室長 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 議題「1.在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける検討状況について」を議題としたいと思います。
 事務局から関連の資料が出ておりますので、報告をお願いします。
○谷口室長 それでは、資料1、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける検討状況を御報告させていただきます。
 2ページ目、検討体制についてとなります。
 3ページ目を御覧ください。第8次医療計画の策定に向け、第8次医療計画等に関する検討会を立ち上げて検討を行っているところです。
 現行の医療計画における課題等を踏まえ、特に集中的な検討が必要な項目については、本検討会の下に四つのワーキンググループを立ち上げて議論を行っており、うち左から三つ目の赤枠で囲っている部分が当ワーキンググループとなります。
 4ページ目に開催目的や構成員の先生方を御紹介しております。
 5ページ目、検討事項についてですが、(1)在宅医療の基盤整備、(2)患者の状態に応じた質の高い在宅医療提供体制の確保、(3)災害時や新興感染症拡大時における在宅医療の提供体制等を中心に議論を進めているところです。
 6ページ目となりますが、ワーキンググループの検討経過につきまして、令和3年10月に第1回を開催以降、令和4年7月28日までで計5回にわたり検討を重ねてまいりました。本日は、これらのワーキンググループで検討された内容について、御報告をさせていただきます。
 次のページから在宅医療の提供体制についての御報告となります。
 8ページ目ですが、訪問診療の件数の推移をお示ししております。近年、増加傾向を認めているところです。
 9ページ目に参りまして、訪問診療の必要量について、二次医療圏別の推計をお示ししております。
 2025年以降に後期高齢者の割合が9割以上となることが見込まれます。訪問診療の利用者数は多くの地域で増加していき、305の二次医療圏において、2040年以降に訪問診療利用者数のピークを迎えることが予想されております。
 次のページとなりますが、訪問診療の現下の供給実績と将来需要のピーク値を都道府県別にお示ししております。人口の多い自治体でのギャップが顕著となっております。
 11ページ目におきまして、在宅療養支援診療所・病院の届出数の推移をお示ししております。左が在宅療養支援診療所で近年横ばい、右が在宅療養支援病院で増加の傾向となっております。
 12ページ目に医療機関機能強化型在支診とその他に分類しており、それぞれについて算定している在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料を比較しております。
 いずれも施設入居時等医学総合管理料の算定が多くなっており、機能強化型施設のほうがカテゴリー1の難病等の対応が多い状況、また、算定別に見ますと、難病等への患者への対応は、施設入居時よりも在宅時医学総合管理料のほうで多く算定されております。
 13ページ目に12ページのグラフのカテゴリー1、カテゴリー2の色分けの詳細をお示ししております。
 14ページ目にお示ししている図ですが、二次医療圏は人口が多く、人口密度が高い大規模型、人口密度が中程度の中規模型、人口が少なく密度が低いその他と分類し、訪問診療件数と提供医療機関数の関係を見ております。
 二重線のカーブが大規模型を示しており、緑の横線で示す8割の診療を2割の医療機関によって賄っていることが分かります。点線がその他となり、8割の診療を約3割の医療機関がたまわっております。
 人口が多く密度の高い地域では、一部の医療機関が在宅医療を提供している傾向があり、人口が少なく密度が低い地域のほうが提供医療機関に多様性が見られるような結果になっております。
 15ページ目に在宅療養支援診療所以外の診療所の訪問診療に関する診療報酬上の評価として新設された在宅療養移行加算について、お示ししております。
 従来の継続診療加算216点を在宅療養移行加算1に移行、また、当該医療機関または連携する医療機関が往診を提供する体制を有していることで、在宅療養移行加算2として116点が加算されます。
 16ページ目に在宅医療のグループ化に関する長崎市の事例をお示ししております。
 長崎在宅Dr.ネットが連携窓口となり、在宅療養を希望する方に在宅主治医を紹介し、在宅療養をサポートする仕組みです。かかりつけ医を優先として在宅主治医とし、主治医をバックアップする副主治医、近隣のドクターや専門医等を確保することで、訪問診療の分担や急な対応にも備える仕組みを確立し、24時間対応体制が実現されている例となります。
 17ページ目は情報通信機器の活用事例となります。
 今後、高齢化の進展に伴い、在宅医療のニーズが増加する一方、マンパワーの制約があることを踏まえ、情報通信機器等の活用等も含め、質の高い効果的・効率的な在宅医療の提供体制を進める必要があります。
 活用事例としまして、対面診療の補完としてのオンライン診療、訪問看護とも連携した遠隔地への提供、多職種連携におけるネットワーク構築等があり、御紹介しております。
 18ページ目でここまでの小括とさせていただきます。
 高齢化により、今後、多くの地域で在宅医療の患者の増加が見込まれること。
 多くの二次医療圏で需要がピークを迎える2040年に向けて、生産年齢人口の減少を踏まえたマンパワーの確保も求められる中、在宅医療提供体制の整備がより一層必要となること。
 こうした中で、提供体制を確保するため、グループ化、ICTの活用等、診療体制の強化や業務の効率化など、様々な取組が行われていることとまとめてございます。
 19ページ目から訪問看護のパートとなり、ここで訪問看護利用者の推移をお示ししております。訪問看護ステーションの利用者は、介護保険、医療保険共に増加を認めております。
 20ページ目ですが、訪問看護の必要量について、二次医療圏別の推計をお示ししております。
 2025年以降に後期高齢者の割合が7割以上となることが見込まれます。訪問診療の利用者数は、216の二次医療圏において2040年以降に利用者のピークを迎えることが予想されます。
 21ページ目に訪問看護ステーションの職員数及び二次医療圏別の規模別に見たサービス提供量の状況をお示ししております。
 いずれの医療圏でも、看護職員数の多い事業所ほど職員1人当たりの訪問回数が多い傾向があります。また、二次医療圏の規模別に見ますと、大規模型の医療圏のほうがそれ以外の規模の医療圏と比較して、職員1人当たりの訪問回数が多くなってございます。
 22ページ目に訪問看護ステーションのマンパワー確保による医療提供の質・量の向上、職員のQOL向上の事例の御紹介をしております。
 23ページ目より小児在宅医療のパートとなります。
 小児の在宅医療については、10歳未満の利用者が多く、また、難病や医学的な処置を受けているなどの患者の割合が多くなっております。
 24ページ目に小児の訪問看護の利用状況をお示ししております。
 左のグラフに小児訪問看護利用者の推移をお示ししており、近年、増加していることが分かります。
 右のグラフに難病や医療的ケアに該当するものの割合の推移をお示ししており、平成23年から令和元年で約2.7倍となっております。
 25ページ目に都道府県における小児の訪問診療及び訪問看護に関する把握状況をお示ししております。
 訪問診療及び訪問看護を利用した小児の人数について把握しているのは、47都道府県のうち約25%、小児に対応している在宅医療機関等については、病院や診療所について把握しているというのが約40%、訪問看護ステーションについては約50%の把握ということでした。
 次のページに小児在宅医療の体制整備に関する施策を御紹介しております。
 厚生労働省では、小児も含めた在宅医療に係る知識、経験を備えた医療従事者等の養成事業、医療機関におけるレスパイトの体制整備に係る費用の補助を行っております。
 また、自治体において地域医療介護総合確保基金を活用して、小児在宅医療に関する整備ですとか、人材育成を推進している事例があり、御紹介しております。
 27ページ目でここまでの小括となります。
 高齢者の増加等により、多くの地域で訪問看護の利用者増加が見込まれること。
 訪問看護事業所において、大規模化、グループ化、ICT活用等、様々に取組が行われていること。
 小児の訪問診療の利用者は約3,200人、訪問看護の利用者は約2万人であり、半数程度が難病等や医療的ケアに該当する児であること。
 小児在宅医療については、利用者数や提供機関数などを把握できていない都道府県が多く、実態が必ずしも明確ではないこと。
 厚生労働省の事業ですとか、地域医療介護総合確保基金を活用した事業等で承認された取組があることについてまとめております。
 28ページ目から医療圏の設定に関するパートとなります。
 二次医療圏について、また、在宅医療の圏域設定に当たって、医療資源の整備状況や介護との連携の在り方を踏まえ、従来の二次医療圏にこだわらず、できる限り急変時の対応体制や医療と介護の連携体制の構築が図られるよう、地域の実情に応じて弾力的に設定する等、在宅医療の体制構築に係る指針の記載をお示ししております。
 29ページ、在宅医療において積極的役割を担う医療機関や連携を担う拠点に関する現指針上の記載をお示ししております。
 医療計画上に位置づけることが望ましいとされており、目標や求められる事項については記載がありますが、設定や設置の目安については明記されておりません。
 30ページ、第7次医療計画における在宅医療に係る圏域等の記載内容についてです。
 在宅医療体制を構築する圏域の設定単位は、二次医療圏としている都道府県が66%でした。その他、保健所圏域や群市区医師会単位、市町村単位での設定も見られました。
 都道府県の医療計画において、在宅医療を積極的に担う医療機関や連携を担う拠点に関する記載については、記載なしまたは目標や対策の指針の内容のみ記載という都道府県が多い状況でした。
 31ページ目でここまでの小括としております。
 在宅医療の提供体制を整備していくに当たっては、現在の地域の在宅医療に係る体制の整備状況、介護等の連携状況を踏まえ、適切な医療圏を設定することが必要であること。
 在宅医療を積極的に担う医療機関や連携を担う拠点に関しては、多くの都道府県において具体的な記載がまだないというところです。
 32ページ目より、急変時の対応の資料となります。
 地域の診療所における在宅医療の課題として、マンパワーの確保と次いで患者の急変時等に対応するための後方支援体制の整備が上げられております。
 33ページ目は、こういった点について、地域で有効にカバーされているモデル的な事例、柏市と長岡市の取組をお示ししております。
 いずれも診療所間による水平連携、両市連携等による垂直連携等が有効に構築され、マンパワーの確保と後方支援の課題に対応しております。
 34ページに在宅等における看取り機能の推移をお示ししております。看取り加算及び在宅ターミナルケア加算の件数ですとか、算定している医療機関数は増加傾向となっております。
 35ページに全国の消防本部で行われた心肺蘇生を望まない傷病者に係る救急出動件数の結果をお示ししております。
 心肺蘇生を望まない傷病者に係る緊急出動の件数は、令和元年及び令和2年においておのおの5,359件、5,538件でありました。
 令和元年と令和2年の2年間のみでの比較となりますが、望まない患者について、心肺蘇生を中止した事案の増加、搬送せずとした事案の増加、また、かかりつけ医の連絡が取れた事案の増加が見られております。
 一方、36ページにお示しするとおり、都道府県が把握する在宅医療救急医療連携に関する市町村等への情報提供や患者本人の診療情報、DNAR等の情報を関係職種で共有できるようなルール、ツールづくりですとか、在宅療養患者の救急搬送について、受入れ先の医療機関の指定などを含む連携ルールの作成状況は、いずれもまだ十分とは言えない状況となっております。
 37ページより、災害に関するパートとなります。災害時における在宅医療の提供の継続について、在宅医療の体制構築に係る指針における記載を再掲してございます。
 38ページ、災害時においても適切な在宅医療を提供するため、在宅医療に係る機関は、業務継続計画の策定が求められるところですが、まだ策定状況が十分ではないという状況がございます。
 39ページになります。こうした状況に対し、令和3年度の厚労科研において、BCP作成の手引案を取りまとめたところです。
 40ページ目となりますが、令和4年度の事業において、BCPの作成を支援していく取組を設けてございます。
 41ページに小括としております。
 地域の診療所で在宅医療を維持・推進する上での課題として、マンパワーの確保、急変時に対応するバックアップの体制等が上げられております。
 心肺蘇生を望まない傷病者に係る救急出動について、心肺蘇生を中止、不搬送、かかりつけ医の連絡が取れた事案の割合の増加が見られますが、依然として蘇生の継続ですとか、搬送となった割合も相対的に高い状況にあります。
 在宅医療のバックアップ体制や夜間輪番等、在宅医療を担う医師による相互協力や多職種連携を含む水平連携と急変時に入院を要する在宅患者のための垂直連携の仕組みを、ICT等を活用して有効に構築している事例について。
 在宅医療の提供体制構築に係る指針における災害時等にも、適切な医療を提供するための計画策定に関する記載について。
 BCPの策定率は、依然低い状況にあるということとまとめております。
 42ページ目から最後のパートとなりまして、多職種連携についてとなります。現行の指針における多職種連携に関する記載を再掲しております。
 43ページ、44ページに歯科に関する取組を載せております。
 43ページ、口腔、栄養、リハビリの取組が一体となって運用されることで、効果的な自立支援につながることが期待され、特に口腔領域では、誤嚥性肺炎の予防及び口腔嚥下障害の改善に医科歯科連携を含む多職種連携や、口腔嚥下機能を適切に評価していくことで、食事形態・摂取方法の提供及び経口摂取の維持が可能となるところを載せております。
 44ページ目の歯科保健医療ビジョンは、これからの歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿として、平成29年に取りまとめられたものです。今後は歯科医療機関の機能分化や役割分担の下、地域の中で様々な職種、施設との連携を前提とした歯科医療提供体制を構築していくことが提言されております。
 45ページより薬剤師、薬局に関する資料となります。
 令和元年の薬機法改正により、薬剤師や薬局の在り方についても見直しが行われました。該当の部分をオレンジで囲っております。
 46ページ目に新たに位置づけられた地域連携薬局に関する資料を載せております。
 要件として、関係医療機関との情報共有や夜間までの対応、また、地域包括ケアの知識や在宅医療への対応が設けられているところです。
 47ページ目、薬局における在宅薬剤管理の状況です。居宅療養管理指導を中心に算定が伸びている状況をお示ししております。
 48ページ目は、訪問リハビリテーションに関する資料となります。
 制度上、介護保険による利用者が多くなっている状況ですが、医療保険、介護保険共にレセプト件数は増加を認めております。
 49ページ目が栄養食事管理に関する資料となります。
 在宅での栄養食事管理の対象となっている患者は、要介護認定を受けている患者が多く、居宅療養管理指導の算定が多くなっており、レセプト件数も増加傾向となっております。
 在宅患者栄養食事指導についても、算定医療機関や患者数は増加しているところです。
 50ページ目にここまでの小括を載せております。
 リハビリ、栄養、口腔の取組が一体となって運用されることで、より効果的な自立支援・重度化予防につながることが期待されること。
 訪問歯科診療においては、地域の訪問歯科診療のニーズに対応すること、病診連携、多職種連携に着目した体制構築を図ることが重要であること。
 薬物療法の有効性及び安全性の確保の観点から、在宅医療における薬局のさらなる役割が期待されること。
 在宅医療を受ける患者へのリハビリテーションや管理栄養士による栄養食事指導を受ける患者数が年々増加していることとまとめております。
 最後の51ページに全体を通じた論点をまとめております。
 在宅医療の提供体制について、現在の地域ごとの医療資源の状況を踏まえた量的拡充やグループ化など、効果的・効率的な在宅医療の提供体制の整備、都道府県が小児在宅医療の利用者数を把握するため、国や都道府県における取組について、在宅医療における医療圏、いわゆる在宅医療圏の設定の規模について、在宅医療において、積極的役割を担う医療機関及び連携を担う拠点の位置づけについてです。
 次に急変時、看取り、災害時等における在宅医療の提供体制についてですが、在宅医療を担う医療機関と救急医療機関、消防機関との連携の強化ですとか、在宅療養患者が住み慣れた地域で最期まで過ごせるためのICTを活用した病診連携・診診連携・多職種連携等の体制整備について、在宅医療を担う医療機関におけるBCPの策定についてです。
 最後に在宅医療における各職種の関わりについて、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導、訪問リハビリテーション、訪問栄養食事指導等の在宅医療への関わりについてと論点をおまとめしております。
 以上、ワーキンググループにおける検討状況を御報告申し上げます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ワーキンググループの検討状況の御説明でありました。また、最後には論点が整理されております。これにつきまして、御意見等をいただければと思います。
 田中構成員、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 ありがとうございます。
 在宅医療ワーキンググループの座長をしておりますので、事務局から大変丁寧な説明がありましたが、少しまとめを申し上げます。
 1番目、グラフにも示されていましたが、在宅医療は外来よりも入院よりもこれからニーズが急増していく分野です。したがって、重要視をしなければなりません。
 2番目、院内と違って、在宅ではチーム医療、あるいはチームの介護を考えるときに、それぞれの専門職の一人一人が別の組織に属している場合が多いわけです。在宅医療であっても、訪問の看護、リハビリテーション、口腔ケア、栄養ケア等のいずれも大切です。一部は介護保険適用のほうが多くなっています。訪問リハも訪問看護も介護保険適用のサービスの方が多い。
 さらに在宅で暮らしていくためには、栄養管理をするためにもきちんとした食事が必要ですが、食事は自前です。そうなると、医療保険、介護保険を超えた生活支援サービスもセットになっていないと、在宅療養生活は続けられません。院内とは違うチームの必要性を強調したいと感じます。
 最後の3番目は、高齢者だけが在宅医療の利用者ではない点です。今の発表にもありましたけれども、小児の話は大変重要になってきています。それから、コロナ感染症の拡大の中で高齢者ではない方の在宅医療も必要性が増しました。
 そういう視点を忘れてはならない、が現在までの議論の座長としてのまとめでございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。重要な御指摘をいただきました。
 それでは、多くの方が手を挙げていらっしゃいますが、猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
 今回の資料の28ページに医療圏のことが出ております。二次医療圏にこだわらずというような表現もあるわけですが、在宅医療に関しては、地域包括ケアシステムの中で動かすというのが一番理想的な形であり、それをさらにまとめていくのは市区町村でないと、先ほどの介護保険のほうが多いと田中先生も言っておられましたけれども、医療圏としては市区町村でいいと思います。
 特に二次医療圏そのものに問題があって、数万人から100万人を超えているようなところで同じような構成はできないので、できればどこかで二次医療圏のことについても、今後の在り方を議論していただきたいと思っているところです。
 以上です。
○遠藤座長 江澤構成員、お願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 私はワーキンググループの構成員で、ワーキンググループで多くの発言をさせていただきましたので、今日は簡単に3点だけ申し上げたいと思います。
 1点目は、在宅患者訪問診療料の算定患者のうち、3割が要介護1と要介護2、半数が要介護3から要介護5ということでございます。したがいまして、在宅医療の継続に当たっては、ホームヘルパーさんたちの日常生活の下支えがないと継続しない。すなわち、在宅医療は容易に破綻するという側面がありますので、在宅医療の計画を策定するに当たっては、在宅介護の提供体制、また、その在り方も踏まえて策定しないと、在宅医療だけでは計画が立ち行かなくなる面があるので、御検討いただきたいと思います。
 あわせまして、これまでも在医総管より施設総管が伸びておりまして、今後もその傾向が続くと思われますので、そういったことをまず念頭に置きます。また、全国ベースになりますが、10万床が空床になっています。したがって、在宅医療を受けたいとしても、そういったところも視野に入れながら、計画を策定していただければと思います。
 2点目は、訪問看護ステーションの在り方についてでございます。こちらは介護分野でもこれまでいろいろと議論になってきましたけれども、訪問看護ステーションの理念、役割と実態が異なっている、そごが生じているということであります。
 今、介護保険が大半ですが、訪問看護ステーションの介護保険の算定においては、全国の延べ算定件数ベースで見てみますと、件数ベースでは既に半数を超えています。5割を超えている状況で、看護職員さんより上回っているので、これはさすがに訪問看護ステーションの在り方と実態についての見直しがいろいろなところで議論されているのが現状であります。
 この辺りを含めて、今年の診療報酬改定でも訪問看護ステーションの様式の見直しがなされまして、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が行う訪問看護という形で、リハビリテーションと一線を画すようなことになっています。
 したがいまして、訪問看護ステーションの本来の役割は、ターミナルケアとか、看取りとか、特別管理加算、難病への対応であったり、そういうことにもなりますし、今後、リハ職と看護職員の算定件数の割合とか、あるいは医師の特別指示書への対応、そういったところでより本来のあるべき訪問看護ステーションに導くことが必要であることです。
 あわせまして、中にはリハ職に偏ったステーションも存在しておりますので、そういったところにおいては、経営者、あるいは管理者に十分理解していただくような取組も必要ではないかと思っております。
 最後に1点だけですが、在宅医療においては、ターミナルケアの看取りの割合の数がこれから増えてくると思いますが、既に人生の最終段階における医療ケアの設定プロセスのガイドラインにのっとった取組が運営上で網羅されているところでございます。本人ができない場合は、医師の代理者とともに医療ケアチームが合意を形成するプロセスを重視しているものであります。
 病院や施設だと、医療ケアチームが一堂に会するのは容易ではあるのですが、在宅医療で一堂に会することは難しく、また、ICTでも御本人、御家族の一瞬の表情とか、言葉から酌み取ることが非常に重要なこともあって、ICTが馴染むかというと、必ずしもそうではない中で、在宅の看取りは御本人の意思を尊重して取り組む必要がありますので、そういった意味では、好事例の収集、あるいは横串で横展開に広げていく、そういった形で御本人の尊厳が最期まで保証されるようなみとりの在宅医療の在り方を、看取りの質という観点でいま一度取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、大屋構成員、お願いいたします。
○大屋構成員 大屋でございます。よろしくお願いします。
 在宅医療、訪問診療、訪問看護にしても、急激に件数が増えているという御報告を受けたところです。私も周りの地域を見て、非常にそのようなニーズが高まって、実際、それに携わっている医療者が増えていることも確認しております。
 そこで御質問なのですけれども、これだけの増加があったということは御報告を受けているのですが、例えばこれに携わる医療者がこれに並行して増えているのかというようなところなのです。なおかつ、それは単純に数が増えているのではなくて、同じ能力といいましょうか、知識と経験を持った者が増えているのだろうか。つまり数だけ増えて、十分な医療サービスを提供できない形で増えているということは、質が下がっている可能性も考えられます。質問というのは、このような様々な訪問診療なり、介護なりを行っている質についての評価というのは、現在、どのような形で行われているのか。または今後行われるのかというようなところが第1点でございます。
 御質問の中に多少含まれることではあるのですけれども、先ほどからほかの構成員も御指摘のように、このような医療または介護の場合は、そこに加わってくる多職種のチーム、医師、看護師、その他のメディカルスタッフは、必ずしも一つの組織からではないために、例えばミーティングを行ったりというようなことは、ある特定の疾患をお持ちの方であれば、そういうことが日常的には行われたり、また、入退院のときには、そういう取組があろうとは思うのですが、日常的にそういう形が行われているのかというと、行われていない場合も結構多いのではないか。そういうことをしっかりチームで、ICTなり、対面なり、様々な方法で、多職種連携の話合いをしながら、このような介護を受ける方たちに向けて、医療サービスなり、介護サービスを提供していることはどの程度行われているのか。好事例では見せていただいたのですけれども、そこら辺をもし把握されているようなことがありましたら、教えていただきたいということです。
 逆を言えば、情報通信機器なり、チームの組み方、地域でいろいろな医師がいて、長崎のよい事例が出ていますけれども、例えば外科の先生と内科の先生など、様々な先生がチームを組んで、がんの末期になって点滴が取れなくなったら、外科系の先生がP1CC(腕から挿入する中心静脈カテーテル)を入れて、栄養をそこから入れるとかの連携が必要です。しかし、点滴が取れなくて皮下注でいいだろうみたいなことが現場で行われているわけです。そういうことがちゃんとチームを組んでできるように、チームをどのようにつくるかということで、各地域で検討されているかどうかという情報を仕入れていらっしゃるのかという点について、御質問をしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。二つの御質問が出ております。お願いします。
○谷口室長 御指摘ありがとうございます。
 先生の御指摘のとおり、まだまだ急増する需給のギャップのところの議論にとどまっておりまして、その点は恐縮でございます。
 質の議論につきましては、もう一つの御指摘である連携の点とも大きく関わってくると考えております。御指摘のとおり、院内と違いまして、院外ですと、各職種がそれぞれの事業所におるということもありまして、連携がしにくい状況があり、各職種における対応がそれぞれに行われるような状況になっております。
 そういったところにつきまして、今後、これから議論が必要となってまいります連携における拠点の置き方ですとか、連携を積極的に担っていく医療機関の在り方ですとか、そういったところの議論も含めまして、多職種の連携が有効に行われることで、それぞれの職種の在り方ですとか、提供の内容等も見つつ、相互の質の提供についても引き上げていくことができるのではないかと考えております。
 事例の把握につきましては、残念ながら、地域ごとに好事例について一つ一つ聞き取ったりという形での把握となっておりまして、全体的な傾向ですとか、携わる人数ですとか、そういったところの分析はまだできておらずというところです。
 以上、お答え申し上げます。
○大屋構成員 ありがとうございました。
 本当に重要なポイントですし、それが課題であるということを厚生労働省でも十分に理解されているということで、今後、進むことを祈念しています。
 周りとか、私たちがいろいろな介護関係、在宅関係を見ますと、多職種の方が書かれた報告書だけが積み上がっていて、本当に見ているのかみたいな疑問も生じます。いろんな施設の薬剤師さんの指導の報告書があります、栄養の指導があります、ヘルパーさんからの報告書もありますと、ただそれが積み上がっているだけというところもそれなりにあるので、そういう現場からの課題も取り上げて、それをぜひシステムづくりの中に生かしていただければということでございます。よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございます。山口でございます。
 私からは二つ質問と二つ意見がございます。
 まずこれから在宅医療を受ける患者数は多くの地域で増加が見込まれる中で、11ページを見ますと、在宅療養支援診療所は横ばいになっていて、在宅療養支援病院は増えてきています。私は在宅医療をこれから増やしていくには、多くの患者を診ることも含めて、特に都市部においてはグループ化が大事なのではないかと思っています。
 ただ、増えていくニーズに応えるためには、診療所が横ばいであれば、在宅療養支援病院がもう少し増えないと、ニーズを満たすことができないと思うのですけれども、今後どれぐらい増えることが予想されているのか、期待できているのか、その辺りの事務局で把握している印象というか、今後の見通しがあれば、教えていただきたいというのが一つ目でございます。
 二つ目として、訪問看護のことなのですけれども、特に訪問看護ステーションは、小規模のところが非常に多いです。たしか7割ぐらいは人数の少ないナースでやっていらっしゃる訪問看護ステーションだと把握しております。先ほどからの御説明もあったように、医療的ケア児が増えてきて、がんの末期の患者も含めて難病の方もいらっしゃいます。そうすると、多機能や高度な機能を持った大規模な訪問看護ステーションを増やす必要があるのではないかと思っています。
 先ほどの御説明の中では、27ページのところで、訪問看護事業所において、大規模化やグループ化が行われているとおっしゃったのですが、全国的に行われている印象は、私の中ではあまりないのですけれども、どういうところがうまくいっているのか。うまくいっている特徴みたいなもので把握されている内容を事務局から教えていただきたいことが二つ目でございます。
 三つ目として、医療圏なのですけれども、先ほど猪口構成員もおっしゃったように、私も二次医療圏はこれだけ人口動態が変わってきている中で、見直しが必要ではないかと思っていますが、特に在宅医療については、それぞれの地域によってかなり人口動態が変化してきていると思いますので、在宅医療を担う体制も含めて、圏域の適切な医療圏の設定を進めていくことが大事ではないかと思います。
 最後に小括の41ページのところです。ここで心肺蘇生を望まない傷病者というような話がございましたけれども、まだまだ話合いができていなかったり、最終的な意思表示ができていいなかったり、ACPということが進められつつある中で、しっかりと話合いをすることができていない例がまだまだ多いと思います。それに加えて、今後、検討していく中で独り世帯が圧倒的に増えてきていて、今はキーパーソンとなる家族という存在を視野に入れて意思表示を考えられていますけれども、そういったキーパーソンすらいないという方が今後増えてくる可能性が高いと思います。そういったことの事態も視野に入れながら、今後のことを検討する必要があるのではないかということが二つ目の意見です。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 後半二つは御意見でしたけれども、大変重要な御指摘だと思います。
 二つの御質問がありましたけれども、事務局、コメントをいただけますか。お願いします。
○谷口室長 御質問、御指摘、ありがとうございます。
 一つ目の御質問につきまして、いわゆる在支診が横ばいであるところ、在支病が右肩上がりに増えているが、見込みといいましょうか、将来の推計においてどれぐらい増やしていくかといったところを考えているかという御指摘だと思います。
 こちらの御質問につきましては、今時点で明確にこれぐらいまで増やすといった推計ですとか、議論を持ち合わせているわけではございません。地域によりまして実情に応じた形で在支診の数ですとか、在支病の数ですとか、土地の状況に合わせた形でバランスよく配置されることが重要と考えておりまして、特に現時点で明らかな推計等を設けているわけではないところでございます。
○山口構成員 推計でなくてもいいのですけれども、どういったところで増えているとか、どれぐらいの規模の病院で増えているとか、そういう把握はないですか。
○谷口室長 恐れ入ります。現時点で特に持ち合わせてございません。
 続きまして、2点目の御質問につきまして、高度な看護人材等が要求される中であるところで、どういった形の訪問看護ステーションの大規模化であるとか、工夫において、そういった人材の確保等も含めて把握しているかという御質問と認識しております。
 そちらにつきましては、御指摘のとおり、小児や難病は非常に専門的な知識を持って対応すべき患者さんも今後増えてくることが予想されます。一つの対応としましては、人材養成事業等を活用しながら、そういった専門的な知識を持った方についても育っていただき、その上で幅広く活躍していただくような形に整えてまいりたいと考えております。
 また、グループ化といったところも、1人の専門人材が各所のところで幅広く活躍することにおいては、対応策の一つではないかと考えております。
○遠藤座長 山口構成員、いかがでしょうか。
○山口構成員 ありがとうございます。
 ただ、グループ化とか、大規模化は、集約することができない現状があるように聞いておりますので、うまくいっているところは、どのようにすればうまくいくのかということを好事例も含めて調べていただいて、早急に進めないといけないところではないかと思っていますので、ぜひその辺りはお調べいただきたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 事務局、よろしくお願いいたします。
 お待たせしました。織田構成員、よろしくお願いいたします。
○織田構成員 ありがとうございます。
 皆さんがおっしゃっていますように、在宅医療は生活の場ですので、多職種による医療・介護連携、さらには行政の支援も欠かせませんので、市町村単位が基本になると思います。ただ、市町村によっては、こういうサービスが充足していないところも多くあります。そういうような市町村をどうしていくのか、どうバックアップしていくのかという問題があります。あと、入院と在宅は結構密接な関わりがありますので、ここをどのようにしていくのか。
 また、先ほどお話に出ました医療的ケア児の在宅医療の問題です。市町村だけでは解決できない部分がありますので、実際に在宅の中でも医療的ケア児をどう対応していくのか。ある意味では、隣接する医療圏と別の形で連携が取れる体制をつくっていかなくてはいけないのではないかと思います。市町村単位、さらには医療的ケア児、小児に関してはさらに広い範囲と考えてもいいと思います。
 あと、皆さんから出てきていますように、18ページにあります情報通信機器の活用だったり、33ページの在宅医療の連携モデルを見ますと、その多くがICT、情報通信機器を使って、情報の共有化を図っておられることが、はっきりしています。今後、これらの活用は重要だろうと思います。そこで、厚労省、国としては、医療計画の中に情報通信機器の活用を記載するだけではなくて、これをどのようにして広めるかが重要になると思います。好事例を示すことはもちろんいいのですけれども、それだけでは遅れるところが結構出てくると思います。これは都道府県で検討することかも分かりませんけれども、国としては、情報通信機器を活用した在宅医療連携モデルをどのように広めていこうと考えておられるのか。
 子供の在宅ケア児の問題と情報通信機器の2点について、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、コメントをお願いいたします。
○谷口室長 御質問、御指摘をありがとうございます。
 医療的ケア児等を含む小児への対応については、御指摘のとおり、非常に複雑な問題も抱えている状況と認識しております。資料の中でお示しのとおり、診療を受けている小児の患者が3,200人、また、訪問看護を受けている患者が2万人ということで、診療と看護のギャップも見られますし、市町村単位で難しいこともあると考えております。そのため、圏域等についても、柔軟な対応をもって必要な提供を行っていきたいと考えております。
 ICTの活用につきましても、構成員の御指摘のとおり、今後、活用は必須と考えております。好事例のいずれもICTの活用を有効に行っております。位置づけ等については、引き続き検討をさせていただければと考えておりますが、逆に医療情報に関しましては非常に機微な情報を取り扱うところもありますし、有効かつ安全な活用の取組については、引き続き検討していきたいと考えております。
○遠藤座長 織田構成員、いかがでしょうか。
○織田構成員 情報に関しては、個人情報の問題も絡んできますので、地域に丸投げするよりも、国が指針を出してやっていかないと、進まないのではないかと思います。ですから、しっかり国としてもICT活用のバックアップを検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○織田構成員 どうもありがとうございます。
 お待たせしました。尾形構成員、お願いいたします。
○尾形構成員 ありがとうございます。尾形です。
 私から1点質問、1点意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず質問ですが、先ほど山口構成員から御質問のあった11ページの図です。これを見ますと、右側の在宅療養支援病院は順調に増えているのに対して、左側の在宅療養支援診療所の施設数は平成28年をピークとして伸び悩んでいるように見えるわけですが、在宅療養支援診療所は非常に重要だと考えますので、伸び悩んでいる要因についてどのように考えておられるのかということです。これは保険局医療課のマターかもしれませんが、分かる範囲で結構ですので、御教示いただければと思います。これが質問です。
 次に意見ですが、その前のページの10ページです。ここには訪問診療に関する将来需要と供給実績を突合した、言わば都道府県別の需給ギャップを示した図が示されているわけです。これはこれで私は意味のある図ではあると思いますが、一方で、これだけ見ると、ややミスリーディングな面も同時にあるのではないかと思います。
 例えば一つの例として申し上げますけれども、この図で高知県のデータを見ますと、将来需要のピークが月当たりレセプト件数で5,000件となっています。それから、供給実績が4,000件ということですから、需給ギャップは1,000件程度であって、都道府県に比べてあまり問題はないと一見見えるわけです。
 しかし、一方で、御案内のとおり、高知県は人口当たりの療養病床数が日本一多いという状況がずっと続いているわけでありまして、療養病床については、都道府県間で非常に大きな地域差があることが知られています。地域医療構想における慢性期病床機能の必要病床数の推計に当たっては、こういった状況を勘案して、地域差縮小措置を導入して、慢性期病床の削減を図ると同時に、在宅ケアに対する需要増を見込んでいるわけです。これは一つの例として申し上げたわけですが、10ページの図を見る際には、こうした政策の動向も十分に踏まえて考える必要があると思います。これは意見でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 まず質問について、事務局、お願いいたします。
○谷口室長 御質問、御指摘ありがとうございます。
 在支診の伸び悩みに関する御質問につきまして、近年、在支診は横ばいになっている原因についてはっきりしている分析がないというのがお答えでございます。
 一方、医療機関の数だけでは、質の提供などを図り切れない部分もございますので、対応能力やサービス内容なども含めて、今後、検討していかなくてはならない問題だと考えております。
 今後は在支診以外の在宅医療を行う医療機関の新規参入なども含めて、地域の実情に応じた在宅医療の提供体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
 御指摘いただきました都道府県別の需給のギャップにつきましては、御指摘を賜りありがとうございます。先生の御指摘のとおり、あくまで現状の推計を伸ばして出しているものでございまして、統計上の限界があります。
 以上でございます。
○遠藤座長 尾形構成員、いかがでしょうか。
○尾形構成員 ありがとうございました。結構です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 佐藤構成員、お待たせしました。
○佐藤構成員 ありがとうございます。
 私もワーキンググループに参加してございますので、内容の詳細ではございません。議論の進め方等について幾つかあります。
 43ページの多くの多職種連携について、ワーキンググループの中で職種の違う現場の方たちからいろんな意見を出されました。非常にありがたかったと思っておりますし、連携の場においては、意見や厚労省事務局からの御回答も皆さんが共有できることは非常に重要なのだということを改めて感じました。
 その視点から申し上げまして、私から複数回、後日の回答となった質問がございました。構成員の中でも共有できればと思った質問でもございましたが、後日の回答については、どのような扱いになっていくのかということを簡単に教えてください。
 もう一点ですが、51ページに主な論点が示されております。ワーキンググループの中では、在宅の訪問歯科診療に関しましては、小括として含められておりましたが、今回、主な論点ということでくくられております。これは主な論点になっているという理解でよろしいのか、この2点をよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
○高田補佐 ありがとうございます。医政局歯科保健課でございます。
 これまでにいただきました佐藤先生からの御指摘、または他の構成員からの御指摘で宿題事項になっているものなどにつきましては、直接お答えしているものも含めまして、第2巡目などのワーキンググループで資料として説明できるものを用意した上で、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○谷口室長 恐れ入ります。医政局地域医療計画課からもお答え申し上げます。
 論点等については、今の歯科保健課と同様、連携を図りながら、先生からいただいた御指摘についても取りまとめて、また、こちらにお示ししているとおり、論点2も含めておりますので、2巡目の議論等でも引き続き御指摘を賜りながらやっていきたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 佐藤構成員、いかがでしょうか。
○佐藤構成員 2巡目の議論に視点を置いているということをよく理解いたしました。こちらからもできるだけそれに資するための意見や事前の質問や御説明をしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 私からは二つの要望と二つの質問をさせていただきたいと思います。
 まず意見ですが、今回の在宅医療における医療圏ですが、市町村単位の設定もありますけれども、私は最終的に地域包括ケアシステム単位があるべき姿だと思っております。市町村となると、大きさがかなり違いますので、そのことを踏まえたお考えをしていただきたいという要望であります。
 二つ目は、先ほど大屋構成員もおっしゃられたことで、加えて尾形構成員からの質問に関わることだと思うのですが、在宅の質の問題です。最後の51ページには量的拡充という言葉を明確に書かれているのですが、質の検証がどこにもないことが大きな問題になってくるのではないかと思っております。
 先ほど尾形構成員がおっしゃった、なぜ在支診が伸びないのかについてですが、今、実際に都会で何が起こっているのかということを検証すれば分かるのではないかと思っております。今、都会では、いわゆる在宅専門のチェーン店みたいな診療所があり、我々みたいな病院から勤務医をどんどん引き抜くように職員を増やして、在宅医療に取り組んでおられます。一つの診療所が数百人単位、場合によれば1,000人単位の在宅の方を診ている形で、これはある意味、医者を派遣するという形です。本来の議論である在宅に関しては、私、そもそも論である在宅医とかかりつけ医との議論をなくして、在宅で診るだけの医者を考えるのか、という議論もそこには出てくると思います。
 あるべき姿としては、今、都会で活動している在宅専門、この方々は地区医師会にも入らない方が多く、地区の診療所、病院とも連携しない診療所となっており、いわゆる先ほどの12ページの中に示されている大規模な形での展開のあり様だと思っております。これがいいのか、悪いのか、こういう形を今後進めるかどうかということの方向性を出していただきたいと思っております。今のことが二つの意見であります。
 その中で、私がもう一つ思っていることは、今後の在宅医療に関しましては、地域密着型病院がしっかりと地域の先生方とも連携しながら、在宅医療に関して連携していくことが大事でありますし、その意味では、一つは在宅療養後方支援病院というシステムがございます。平成26年にできた制度でありまして、緊急時に受診とか、入院ができる体制です。日頃からかかりつけ医と在宅の患者さんとの情報を交換しておくというシステムで出来上がった制度であります。本来はこれが一番大事ではないかと思っているのですが、今回のどのページを見ても、在宅療養後方支援病院のことが1字も出ていないというのはどういうことなのか、質問させていただきたいと思います。
 それにまつわる話になるのですが、地域密着型病院の多くは許可病床が200床以下であれば、在宅支援病院へ右から左になることができるのですが、多くの民間病院はケアミックスをしておりますので、なかなかなれないわけであります。一般病床200床という病床数の問題に関して議論がされているのか、この2点をお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 質問が二つ出ておりますので、事務局、お願いいたします。
○谷口室長 御指摘、御質問をありがとうございます。
 1点、後方支援病院に対しての取り上げと申しますか、論点化がきちんとできていないという御指摘だと理解いたしました。それにつきましては、不足で恐縮ではございますけれども、32ページ等に掲載しまして、後方支援の重要性とか、好事例等の御紹介におきましても、病診連携、後方支援が確立されてこそというところで、重要性については、十分に認識しているところでございます。引き続きバランスの取れた在宅医療の在り方について、そこを大事に考えていきたいと思っております。
 あと、病床数の件につきましては、御指摘を賜り、ありがとうございます。全体的な需給の議論にとどまっておりまして、そういった質の内容は、これから議論が必要なところと考えております。事務局でもよく考えさせていただきたいと思っております。
○遠藤座長 御質問では、200床の話についてになります。
○谷口室長 恐れ入ります。そのところが今のお答えになります。
○遠藤座長 加納構成員、よろしいでしょうか。
○加納構成員 よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 私からは、訪問看護の提供体制につきまして、2点意見を述べさせていただきます。
 一点目は、皆様もおっしゃられているように、小児の訪問看護に関する実態把握の必要性になります。24ページに示されておりますように、小児の訪問看護の利用者数が非常に増えてきています。中でも難病や医療的ケア児に関しての割合が8年間で2.7倍と非常に多くなっていることが示されておりますが、27ページに記載されておりますように、小児の在宅医療の利用者数や、提供の医療機関数をきちんと把握できていない都道府県が多く、小児の医療の実態が明確ではない現状となっております。
 日本看護協会で各都道府県の第7次医療計画の中間見直しの際に、都道府県看護協会が行政に対してどのようなものを働きかけたのかということに関して情報収集を行った結果、最も多い働きかけが訪問看護師の確保と、医療的ケア児に対する訪問看護提供体制の整備でした。しかし、実際に第7次医療計画に小児の在宅医療の体制整備について明記されている都道府県は限られていた状況にあります。
 ワーキンググループの論点にもありますように、今後、都道府県の医療計画に小児の訪問看護の具体的な対応状況の実態把握を行い、その上で体制整備について具体的に検討することをぜひ記載する。そして、それを国が指針において示すことが重要であると考えます。
 小児の訪問看護については、小児医療との連携が非常に重要となると思いますので、医療計画の中でも一体的に検討をいただきたいと思っております。
 2点目は、訪問看護の提供体制の確保と整備です。先ほど山口構成員からございましたご意見、ご質問の回答にもつながると思いますが、高齢化に伴う訪問看護の必要量や、在宅看取り数の増加が認められている中で、24時間対応が必要となる、訪問看護の安定的な供給のために訪問看護ステーションの大規模化が必要である、また、それらの推進が求められていることが事実でございます。
 山口構成員もおっしゃいましたように、私たちも小規模な訪問看護ステーションも多いといった現状は非常に認識しておりまして、例えば訪問看護ステーション開設時の支援や、訪問看護師の確保、夜間の連携、教育研修機能、経営支援を一体的に総合的に支援する仕組みが必要であると考えており、2019年から都道府県看護協会と自治体と連携して、訪問看護総合支援センターの設置を推進しております。
 現在、実際に23の都道府県にセンターが設置されており、小規模なステーションでは難しい、人材の採用や、教育研修、夜間訪問等をカバーしていくような体制をつくること、そして、それらの整備に向けた取組みを進めているところがございます。ですので、医療計画の中でそういった総合的な支援機能を持つようなセンターの設置、位置づけの必要があると考えておりますので、指針などに記載していただければよいと考えます。
 先ほど大屋構成員から訪問看護の急増に対し、医療者は足りているのか、どうなっているのかという御質問があったかと思いますが、厚生労働省の試算では、2025年に訪問看護師が10万人必要だと言われておりますが、実際の今の状況は5万人を超えて増えてきております。
 質の評価はどのように行われているかという御質問もありましたが、こちらに関しましては、自己評価のレベルではございますが、今、全国訪問看護事業協会が事業所の自己評価ガイドラインをつくっており、ストラクチャー、プロセス、アウトカムに合わせて自己評価をしています。
 訪問看護ステーションには全くの新人が入るときもありますし、様々な医療機関から転職してくる方もいるということで、新人教育などもしっかりしていかなければなりません。そのため、新人教育プログラムをつくるとともに、その人たちの育成を評価していくプログラムもつくり、できるだけ質を上げていく取組みをしている状況となっております。そちらに関しましては、情報提供をさせていただきます。
 以上です。
○遠藤座長 御意見並びに補足の情報提供をいただきました。どうもありがとうございました。
 河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
 私からは大きく3点について、意見、質問、要望を申し上げたいと思います。
 1点目は、今回の在宅医療の検討と2025年以降のポスト地域医療構想の関係についてでございます。
 まず質問というか、確認ですけれども、資料の9ページ、10ページで、今後の訪問診療の必要量の推計が示されておりますが、この推計には高齢化の影響による需要の増加に加えて、今後の病床の機能分化ですとか、あるいは連携に伴って生じる訪問診療の必要量も織り込まれているのかどうかということでございます。
 現行の第7次の医療計画、あるいは第8期の介護保険事業計画、過去の資料を見ますと、2025年までの在宅医療の増加見込みについて、高齢化の影響による増加見込み約100万人に加えて、地域医療構想などの病床の機能分化・連携などによって、新たなサービスが必要になる必要量が30万人分と、そんな推計も過去にはございます。資料の9ページの出典を見ると、織り込まれていないようにも見えます。
 ここからは意見ですけれども、今後の訪問診療とか、在宅医療を考える上で、そのベースとなる必要量を推計する上でも、地域医療構想、これは2025年までですから、ポスト地域医療構想とセットで考えていく必要があるのではないかと考えております。
 一方で、地域医療構想のバージョンアップというのは、大変に重たい課題でもございますし、相応の検討時間を要するとも想像できますので、そこで事務局に確認なのですけれども、第8次医療計画における在宅医療というのは、ポスト地域医療構想を意識せずに計画を策定して、構想の検討状況を見ながら、第8次の医療計画の中間見直しで必要な修正を図っていく、そんなお考えなのか、どういったお考えなのか、現時点での想定で結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。
 2点目は、在宅医療等の効率的な提供体制についてでございます。2040年に向けて生産年齢人口が減少する中で、在宅医療についても効率的・最適な提供体制の整備が極めて重要だと考えておりますけれども、本日の資料の中でも、効率化の事例として、グループ化ですとか、あるいは情報通信機器の活用、大規模化などを取り上げておられますが、第8次計画ではこれらを具体的な計画に落とし込むことができないのか、その辺りはワーキンググループでさらなる御検討をお願いしたいと思います。これは要望でございます。
 最後3点目、在宅医療の提供体制に関するデータについての要望でございますけれども、14ページで訪問診療の多くが一部の医療機関によって提供されているという内容がございましたし、先ほども加納構成員のお話の中で出ておりましたけれども、具体的にどういった医療機関が大部分を担っているのか、次回、データも踏まえて議論できるような対応をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御要望、御意見でありましたので、事務局、答えられる範囲でコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○鷲見課長 御質問ありがとうございます。地域医療計画課長の鷲見でございます。
 先生がおっしゃいましたように、地域医療構想につきましては、2025年に向けまして、特に今年度と来年度において、都道府県に取り組みをお願いしている状況です。
 一方で、構成員からも御指摘がございましたように、2040年に向けてバージョンアップしていくという話が全世代型社会保障の中間取りまとめの中にもございましたけれども、こうした動きにつきましては、今後、先生方とも相談しながら進めていくことになるだろうと考えているところでございます。
 また、今回の第8次医療計画との関係でございますが、私どもはまず2025年に向けた地域医療構想の中で、第8次医療計画における在宅医療の部分についての検討を進めるということでございますが、先生が御指摘の中間評価との関係はどうなるのか、この点につきましては、ポスト2025年をどうするのかといった議論の中で、第8次医療計画の中間評価とどういう形でリンクさせていくのかといった点も含めて検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 引き続きお願いします。
○谷口室長 もう一点、グラフに関する御指摘にお答えいたします。9ページ目の推計につきましては、2019年度における性・年齢階級・都道府県別の受療率を推計年度における性・年齢階級・二次医療圏別の推計人口に乗じて積み上げ、全国における訪問診療患者数の推計値をお示ししたものです。したがいまして、病床機能分化等の影響を織り込んだものではございませんということをお答え申し上げます。
○遠藤座長 河本構成員、事務局からのコメントがありましたけれども、いかがでしょうか。
○河本構成員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。中島でございます。
 私からは、1点、意見を申し述べさせていただきます。
 御報告いただいたとおり、田中先生のワーキンググループにおいて、細部にわたって丁寧な御議論を重ねておられると思っております。
 医療と介護の連携を進めていく上では、現場における医療関係者、介護関係者相互間の情報共有がスムーズに行われることが前提となります。例えば高齢者の在宅医療・在宅介護におきましては、かかりつけ医、訪問看護師とケアマネジャー、ヘルパー等の間で個人情報の保護にしっかり留意しつつ、持病、服薬の状況、要介護度、御利用されている介護サービス等の情報を共有することで、それぞれの利用者に対する、総合的できめ細かな医療・介護の提供が可能となります。
 介護情報のデジタル化が、必ずしも進んでいない状況があることを踏まえつつも、現在進行しておりますマイナポータルを活用して蓄積・閲覧できる健診・医療情報の延長線上に、介護に係る情報も、しっかり加えていくことが必要だと思っております。
 なかなか時間がかかる問題でございますけれども、こうした医療・介護両面にわたる情報共有に関わる中長期的なグランドデザインといったものも、そろそろ描いておく必要があると考えております。あくまで意見でございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 今村構成員、お待たせをいたしました。
○今村構成員 今村です。
 四つほど意見と注意喚起をさせてもらいたいと思います。
 19ページ、20ページにあります訪問看護のことですけれども、訪問看護が実際のところ何件行われているかということは、データ上、把握するのが非常に難しいという問題があって、実際、総数でどれだけ訪問看護が行われているかは、今のところ分からない状況です。将来推計をしようと思うと、基の詳細なデータがないので、先々どれだけこれが起こるのかということが分からない状況があって、このデータをぜひ精緻化して集められる方法を考える必要があるのと、それがない限りは、なかなか推計は当たらないということがあります。
 それと、訪問看護や訪問リハは介護保険からまかなわれますから、介護保険はそれぞれ介護度に合わせて上限があるのです。そうすると、ニーズがあっても、訪問看護ではなく、訪問介護を選ぶというケースが多々あって、ニーズは想定できるのですが、本当に増えるかどうかということも分からない状況があります。したがいまして、データをちゃんと精緻化していくことと、介護の推計をどう考えるかということが非常に重要だと思います。
 二つ目です。これは医療圏の話で、28ページ、29ページですけれども、二次医療圏が広過ぎるということは、私、全く賛成です。ただ、市町村にいたしますと、例えば大阪は100万人で1市町村ですし、奈良で見ると、1,000人以下の市町村が大量にあって、一概に市町村という話にはなりにくいと思っています。私が見ている限り、郡市医師会の単位で切るというのが一番きれいに切れるのではないかと思っています。これで切ったことはあまりないとは思うのですが、小さい市町村ですと、診療所さえもないという状況がありますので、郡市医師会という単位も検討に加えていただければと思っております。
 三つ目です。在宅の看取りです。34ページの資料ですけれども、在宅のみとりの点数が徐々に伸びているということは全くいいことなのですが、在宅での死亡の率が増えているかというと、率は増えているのですが、増えている率の内訳は、かなりの率は検視なのです。警察による検視です。ですから、看取りによって在宅で死亡している方が率として増えているわけではなくて、事実上、検視の方が増えていっているということが、今、その背景にあります。看取りではなくて、検視になった人がどういう人だったのかということはまだ把握されていない状況で、医師の看取りがあったケースなのかどうかも実はよく分からないという状況です。ですから、在宅死の率を上げていくには、あくまで看取りなどの医療管理下で死亡をみなすべきだと思いますので、在宅の死亡率が上がっていっているかのような数字に惑わされてはいけないと考えています。
 四つ目です。歯科保健の問題で、43ページ、44ページ辺りです。奈良県で口腔ケアによる疾病の低下などのスタディーを長期間やっているのですが、口腔ケアによって疾病を減らすのは非常に効果的だと実感をしております。特に介護状態になった方の誤嚥性肺炎を減らす、もしくはそれに関連したフレイルが減るということは、かなりエビデンスもそろってきていますので、歯科保健の特に口腔ケアに関しては、在宅の医療では力を入れていくべきだと考えております。
 もし事務局からコメントがありましたら、いただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 データの問題・課題であるとか、その他、ただいまのような問題がありましたけれども、何かコメントはございますか。特段の御質問ということではなかったと思いますけれども、コメントがあれば、お願いいたします。
○谷口室長 今村先生、御指摘ありがとうございます。
 データ、グラフ等の数字の用い方につきまして、重要な御指摘をいただいたと理解しております。よく理解して努めてまいります。
 以上でございます。
○遠藤座長 今村構成員、いかがでしょうか。
○今村構成員 分かりました。数字だけ分かるようにしてほしいのと、数字が出せないものがたくさんありますので、ぜひ注意していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 重要な御指摘ありがとうございました。
 それでは、続けてお願いいたします。
○高田補佐 医政局歯科保健課でございます。
 口腔ケア・口腔清掃の充実ということについて、御指摘、御意見ありがとうございます。
 2巡目の議論に際しましては、衛生士の活躍の場が現状どうなっているか、また、どのような活躍の内容があるかということも含めて、資料を提供させていただきつつ、先生方の御意見を引き続き伺ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 お待たせしました。荻野構成員、よろしくお願いいたします。
○荻野構成員 ありがとうございます。
 私からは、薬剤師の意見として、1点申し上げさせていただきたいと思います。
 在宅医療の提供体制につきましては、在宅に携わる薬剤師・薬局が外来から在宅へシームレスに対応していくことが重要だと考えております。在宅と申しましても患者像は多様でありまして、高齢者のみならず、小児在宅なども含め、薬物療法が必要な患者に的確に医薬品を提供できるよう、在宅業務を担う薬剤師・薬局が一貫して患者さんを支え、医療・介護の多職種のチームの一員として、地域の在宅医療をより一層支えていくことが重要であると考えております。
 以上、私からの意見でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 江澤構成員、よろしくお願いいたします。
○江澤構成員 1点だけ追加でございます。
 在宅医療の提供体制に当たって、1人の医師が24時間、365日対応するのは到底困難でございますので、最近、いろんな地域で取組が進んでいます。例えば在支病、あるいは地域包括ケア病棟を有するような中小病院が、地域の在宅を行っている診療所、あるいは介護・特養の配置医師等と毎月1回ミーティングやカンファレンスを行うような連携を平素より図っておくことによって、介護施設での急変時の受入れであったり、本来そういったところを担う役割の病棟として地域包括ケア病棟も創設されておりますし、必ずしも三次救急や救命救急センターに行かなくても対応できる誤嚥性肺炎とか、尿路感染症等も多々ある中で、地域の面で支えるといった仕組みの構築が今後不可欠だと思っておりますので、そういった視点でいろいろ検討していただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、大体御意見は出尽くしたかと思いますので、本件につきましては、これまでにしたいと思います。
 続きまして、議題「2.医療の安全の確保について」を議題としたいと思います。
 事務局より資料の説明をお願いいたします。
○栗原専門官 事務局より「医療の安全の確保について」、資料2に沿って説明させていただきます。
 2ページ目、3ページ目は、以前の検討会でも使用されたスライドになります。
 3ページ目を御覧いただければと思います。赤い四角で囲わせていただいているとおり、医療の安全の確保につきましても、都道府県は基本方針に即して、かつ地域の実情に応じて医療計画を定めることとなっております。
 4ページ目は、医療安全推進総合対策を抜粋したものでございます。その中の医療安全を確保するための関係者の責務等につきましては、国の責務とともに、地方自治体の責務として、国の基本的指針・基準等を踏まえ、国や他の地方自治体等との調整を図りつつ、地域における医療の実態を把握した上で、医療機関に対して指導監督等を行う必要がある。そして、地域住民に対して保健所などを窓口とした教育、情報提供、相談業務などを実施するとともに、医療関係団体における取組の調整、指導、情報提供等を行う必要があると記載されている次第でございます。
 5ページ目は、現行の医療計画の基本方針と作成指針、医療の安全の確保に関係するものでございます。
 具体的には、大きく医療提供施設における医療の安全の確保と医療安全支援センター、この二つについて記載されている次第でございます。
 下に四角で囲ってあるとおり、医療提供施設における医療の安全の確保につきましては、医療安全管理者を配置している医療施設数の割合、専従または専任の医療安全管理者を配置している病院数の割合、医療安全に関する相談窓口を設置している医療施設数の割合となっております。
 医療安全支援センターにつきましては、二次医療圏の総数に対する医療安全支援センターを設置している二次医療圏数の割合、常勤換算の相談職員の配置数、医療安全支援センターの活動状況に関する情報提供の状況、医療安全推進協議会の設置状況が挙げられております。
 6ページ目は、これまでの主な医療安全施策と医療計画をまとめたものでございます。
 左上を御覧いただければと思います。平成14年に医療安全推進総合対策が策定されており、平成18年に医療安全対策加算、平成24年に患者サポート体制充実加算が新設されております。
 右に移っていただいて、平成27年10月に医療事故調査制度が開始となっており、平成28年には特定機能病院においてピアレビューが開始となり、平成30年には特定機能病院以外を対象として、医療安全対策地域連携加算が新設となっております。令和3年4月には特定機能病院の承認要件に第三者評価の受審が追加となっております。
 さらに右に移っていただいて、赤い四角のところ、平成19年には都道府県等に医療安全支援センターの設置努力義務が課されており、今年の3月に医療安全支援センター運営要領が改正となっております。
 下の棒のところに移っていただければと思いますが、第5次医療計画において、医療の安全の確保に関する事項は盛り込まれております。第6次、第7次につきましては、こちらの大きな変更は行いませんでしたが、今、説明させていただいたような各種制度の変更等によって、医療の安全の向上を図ってきたところでございます。こちらを踏まえまして、今回、第8次医療計画の検討に当たり御議論いただければと思っております。
 具体的な検討課題としましては、真ん中に記載させていただいているとおりでございます。
 医療提供施設における医療の安全を確保するための措置については、医療事故調査制度について理解を深める必要があること、内部からの評価だけでは分からない安全管理上の問題点を明らかにすることにより、医療安全管理体制の質をより高める必要があるということを挙げさせていただいております。
 医療安全支援センターにつきましては、医療従事者の医療安全に関する知識の習得が必要であること、患者・住民の医療への主体的な参加が必要であること、地域の関係機関との連携強化が重要であること、こちらを挙げさせていただいております。
 以上、医療提供施設における医療の安全を確保するための措置と医療安全支援センター、二つに分けて、これからは議論させていただければと思います。
 めくっていただいて、医療提供施設における医療の安全を確保するための措置について、説明させていただきます。
 8ページ目となりますけれども、医療提供施設における医療の安全管理体制の重要なポイントとして、医療安全管理者と患者相談窓口が医療計画に記載すべき現状及び目標として位置づけられております。
 これに加えて、近年は、医療法に基づく医療事故調査制度の開始、他の医療機関等からの評価などの施策を講じることによって、さらなる医療の安全の向上を図ってきたところでございます。
 9ページ目からが医療事故調査制度についてとなります。
 医療事故調査制度の目的となりますが、医療事故が発生した医療機関にて院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関が収集・分析することで、再発防止につなげることにより、医療の安全を確保するものとなっております。
 対象となる医療事故が定義されておりまして、医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって、当該医療機関の管理者がその死亡または死産を予期しなかったものとなっております。
 具体的な制度の流れは、下に示すとおりとなっております。
 青い線、対象となる医療事故が医療機関内で発生した場合、医療機関は遺族への説明、第三者機関である医療事故調査・支援センターへ報告、必要な調査の実施、調査結果について遺族への説明及びセンターへの報告を行います。
 赤い線で示すとおり、センター調査というものがございまして、医療機関または遺族から調査の依頼があったものについては、センターが調査を行い、その結果を医療機関及び遺族へ報告することとなっております。
そして、医療事故調査・支援センターは、医療機関が行った調査結果の報告に係る整理・分析を行い、医療事故の再発の防止に関する普及啓発を行っております。
 10ページ目は、医療事故調査等支援団体についてとなります。
 医療機関は、院内調査等に当たり、必要な支援を支援団体に求めることとなっており、具体的には医療事故の判断に関する相談や調査手法に関する相談、報告書作成に関する相談等、様々な支援を行っていただいております。
 具体的な参画団体としましては、下に示すとおり、職能団体、病院団体、病院事業者、学術団体等、様々な団体に参画いただいている状況でございます。
 11ページ目は、支援団体等連絡協議会についてとなります。
 支援団体が組織しているものが支援団体等連絡協議会となっておりますが、具体的な目的としましては、様々な団体がありますので、支援団体間の情報共有を図ること、医療事故調査並びに支援団体が行う支援の円滑な実施のための研修を行う、病院等の管理者に対して支援団体を紹介するという目的がございます。
 現在、支援団体等連絡協議会につきましては、中央組織として1か所、地方組織として都道府県ごとに設置されている状況でございます。
 12ページ目は、制度開始後6年9か月の医療事故調査制度の状況となっております。
 医療事故報告受付件数としましては、2,374件となっております。
 医療事故調査結果報告は、2,083件となっております。
 センター調査の依頼件数は186件であり、センター調査の報告件数は108件となっております。
 13ページ目は、院内調査の結果報告件数の推移となっております。2017年以降、おおむね300件台で推移している状況でございます。
 14ページ目は、センター調査の状況となっております。
 2021年12月までの累計としまして、センター調査の対象となっている件数は174件であり、全体の9%を占める状況です。
 また、依頼者としましては、2021年は、遺族からの依頼が90%を超えており、計33件の依頼がありました。
 15ページ目は、都道府県別人口100万人当たりの年間の医療事故発生報告件数となっております。最大が三重県、京都府の5.2件となっており、最小が福井県の1.0件、平均は全体で2.9件となっております。
 16ページ目は、病床規模別の医療事故発生報告実績の割合となっております。病床規模別の割合についてはグラフを御覧いただければと思いますけれども、報告実績が1回以上ある施設は1,229施設となっており、報告実績がない施設は、17万8187施設となっております。
 17ページ目は、医事関係訴訟事件の新受件数の推移となっております。医療事故調査制度が平成27年10月から開始となっておりますが、その後もおおむね800件台で推移している状況でございます。
 18ページ目は、以上を踏まえまして、医療事故調査制度のポイントとしまして、機能的な運用というものを挙げております。
 医療事故調査制度におきまして、医療事故に該当するかどうかにつきましては、病院等の管理者が判断することとされております。病院等の管理者は、医療事故が発生した場合、医療事故調査等支援団体に対しまして、医療事故調査を行うために必要な支援を求めることとされております。支援団体が組織した支援団体等連絡協議会は、地方組織として都道府県ごとに設置されており、医療事故調査・支援センターと連携して、医療事故調査に係る研修を実施するとなっております。
 医療事故調査制度には様々な研修がありますが、その一つとしまして、医療事故調査制度管理者・実務者セミナーの受講者数の推移をみますと、制度創設当初の平成27年度は1,847名でございましたが、近年は600名前後で推移している状況でございます。
 また、実際に医療事故に該当するか否かの判断を行う管理者の受講については、全体の1割前後にとどまっている状況でございます。
 このような状況から、令和2年12月に医療事故調査・支援センターから医療事故調査制度の普及・定着に関する要望が出されており、その中で、病院等の管理者が医療事故調査制度の運用において主たる役割を担っていますが、医療事故調査制度に係る研修会への出席が少ないことから、当該研修への管理者の出席を誘導する方策の検討について要望されている次第でございます。
 こちらを受けまして、令和3年3月に各自治体宛てに医療事故調査・支援センターや支援団体が開催する研修の受講を推進するよう事務連絡を発出するとともに、令和3年7月に発出した立入検査の実施についての通知においても、医療事故調査制度に係る研修への医療機関の管理者の参加状況の確認を行うこととし、病院等の管理者の医療事故調査制度に関する正確な知識や理解を促進しているところでございます。
 19ページ目は、医療事故調査制度管理者・実務者セミナーの受講者数の推移を示したものでございます。
 左にあるとおり、平成27年につきましては、1,847名の受講者でありましたが、近年は600名前後で推移している状況でございます。
 実際に医療事故に該当するかどうかの判断を行う管理者につきましては、赤いところで示すとおりですが、全体の1割前後にとどまっている状況でございます。
 以上が医療事故調査制度についてとなります。
 20ページ目は、ポイントの二つ目としまして、外部からの評価による医療安全の推進というものを挙げさせていただいております。
 平成14年に策定されました医療安全推進総合対策におきまして、医療安全の取組への第三者による客観的な評価は、医療安全の向上にあたって有効であると言及されております。
 特定機能病院につきましては、群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大学病院において発生した事案を踏まえ、医師・看護師等のスタッフがお互いの病院に立ち入りを行い、医療安全の改善のためのアドバイスを行う、いわゆるピアレビューを実施することが義務づけられるとともに、日本医療機能評価機構といった第三者評価を受審し、指摘事項に対応するよう努めるとともに、その対応状況について公表することが特定機能病院の承認要件となっております。
 また、特定機能病院以外の医療機関におきましても、平成30年に医療安全対策地域連携加算が新設されており、医療機関相互の評価が算定要件の一つとなっております。
 具体例の一つとしまして、独立行政法人労働者健康安全機構においては、2~3病院でグループを作り、その相互評価によって、自院のみでは予測していなかった指摘を受け、病院内での改善活動につなげていただいております。
 こうした近年の動向を踏まえまして、他病院からの評価や第三者評価を受審することにより、さらなる医療安全の向上を図っていくため、医療安全に関する外部からの評価について、作成指針へ追加することを検討する必要があると考えております。
 21ページ目は、医療安全対策地域連携加算の概要をお示ししたものでございます。令和2年7月時点で本加算を取得している病院及び有床医科診療所につきましては、計2,954施設、全体の20.1%となっております。
 22ページ目は、以上を踏まえまして、医療提供施設における医療の安全を確保するための措置に関して、項目と論点を挙げさせていただいております。
 現行の作成指針においては、医療安全管理者と医療に関する相談窓口について挙げさせていただいておりますが、それに加えて、論点①、論点②を追加しております。
 医療事故調査制度については、医療事故調査制度の運用の要であります病院等の管理者に制度についての理解をより深めていただくため、医療事故調査・支援センターまたは支援団体等連絡協議会が開催する研修を管理者が受講した医療施設数の割合につきまして、新たに項目へ盛り込むことについて、どのように考えるかというものを挙げさせていただいております。
 外部からの評価による医療安全の推進につきましては、病院の総数に対する他の病院から医療安全対策に関して評価を受けている、また、第三者評価を受審している病院数の割合について、新たに項目へ盛り込むことについてどのように考えるかというものを挙げさせていただいております。
 以上が医療提供施設における医療の安全についてとなります。
 続きまして、医療安全支援センターについて、次のページ以降、説明させていただきます。
 24ページ目は、医療安全支援センターの概要となっております。
 医療安全支援センターは、医療法に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区によって設置されております。
 具体的な役割としましては、医療に関する苦情や相談に応じるとともに、必要に応じて助言を行うこと、医療の安全の確保に必要な情報提供を行うこと、病院等の管理者または従業者に対して医療安全に関する研修を実施すること、医療の安全の確保のために必要な支援を行うこととなっております。
 その他、当該センターの活動方針等を協議するため、医療安全推進協議会の設置や定期的な開催等、具体的な業務につきましては、医療安全支援センター運営要領において規定されています。
 医療安全支援センターの現状ですが、医療安全支援センターは都道府県に設置されるセンター、保健所設置市区ごとに設置されるセンター、二次医療圏ごとに設置されるセンターの三つに分けられます。そして、計416か所のセンターが全国で設置されています。
 年間の相談受付総数は10万1542件となっており、医療安全推進協議会は全国で計98か所設置されています。
 25ページ目は、医療安全支援センターの現状をお示ししたものでございます。
 医療安全支援センターにつきましては、現行の医療計画作成指針においては、センターの設置率、相談職員の配置数、活動状況に関する情報提供の状況、医療安全推進協議会の設置状況が項目に位置づけられております。
 さらにセンターにおきましては、センターの相談対応に関する質の向上、相談対応以外の活動、医療安全推進協議会の開催によって、さらなる医療の安全の向上を図っているところでございます。
 これを踏まえまして、ポイントを三つ挙げさせていただいております。
 センターの相談対応に関する質の向上についてですが、センターには様々な相談が来ますので、医療安全支援センター運営要領においては、必要な研修を定期的に受講させることを求めております。
 医療安全支援センター総合支援事業におきましては、センターの職員を対象とした研修を令和3年度は計5回開催しており、センター1か所当たりの当該研修の受講者は全国で平均して1.26人となっております。一方、令和3年度に1人も受講していない都道府県が複数あったという状況でございました。
 相談対応以外の活動としまして、医療安全支援センター運営要領におきましては、住民への医療安全に関する普及啓発活動の実施を求めているところ、全国の平均実施率は82.4%となっておりますが、大半のセンターはホームページへの情報の掲載にとどまっている状況でございます。
 また、医療法におきましては、医療従事者を対象とした研修の実施を求めておりますが、全国の平均実施率は27.1%にとどまっている状況でございます。
 医療安全推進協議会については、医療安全支援センター運営要領におきまして、定期的な開催を求めているところでございますが、全国の平均実施率は27.4%にとどまっている現状でございます。
 26ページ目以降が、今、説明させていただいた内容をグラフ化したものでございます。医療安全支援センター総合支援事業で開催した研修における医療安全支援センター職員の受講者数についてですが、赤い線で示すとおり、全国平均は1.26人となっており、都道府県によっては1人も受講していない都道府県がある状況でございます。
 27ページ目は、医療安全支援センターによる住民への医療安全に関する普及啓発活動の状況となっております。全国の平均実施率は、赤い線で示すとおり、82.4%となっておりますが、大半のセンターはホームページへの情報の掲載にとどまっている状況でございます。
 28ページ目は、医療安全支援センターによる医療従事者を対象とした研修の実施状況についてとなります。赤い線で示すとおり、全国の平均実施率につきましては、27.1%となっており、こちらについても研修を実施していない都道府県が複数あるという状況でございます。
 29ページ目は、医療安全推進協議会の開催状況になっております。赤い線で示すとおり、全国の平均実施率は27.4%となっており、こちらについても都道府県によっては開催していただいていないところもございます。
 30ページ目は、各自治体における医療安全支援センターに関する取組例を紹介しております。
 東京都におきましては、相談職員への研修として、令和3年度は延べ13人の相談職員に医療安全支援センター総合支援事業が実施した研修を受講していただいております。
 松本市については、相談対応以外の活動として、公民館の活動の機会を活用し、右に示すような「医者にかかる10箇条」を市民からの要望に応じてセンターの相談員に紹介していただいております。
 医療安全推進協機会ですが、横浜市は年間1~3回の頻度で開催しており、事業の振り返りや事業計画の検討、寄せられた相談に関する事例検討が行われております。
 31ページ目は、以上を踏まえまして、論点を挙げさせていただいております。既存の項目に加えまして、論点①から論点③まで挙げております。
 相談対応に関する質の向上につきまして、相談職員の総数に対して、医療安全支援センター総合支援事業で実施する研修を受講した相談職員数の割合の項目を追加することについて、どのように考えるかというものを挙げさせていただいております。
 相談対応以外の活動につきましては、医療従事者向け研修を実施しているセンターの割合や患者・住民に対する医療安全促進のための意識啓発活動の実施状況について、新たに項目へ盛り込むことについて、どのように考えるかというものを挙げさせていただいております。
 医療安全推進協議会につきましては、医療安全推進協議会が設置されるだけでなく、実際に開催され、活動が活発となることが重要であることから、現在、医療安全推進協議会の設置の状況が項目となっておりますが、こちらの内容を医療安全推進協議会の設置・開催状況へ項目を変更することについて、どのように考えるかというものを挙げさせていただいております。
 以上、医療の安全の確保について説明させていただきました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 医療の安全の確保についてを当検討会で議論するのは初めてかと思いますので、事務局からも論点、原案のようなものが示されておりますけれども、これらをめぐって御意見等をいただければと思います。
 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 ありがとうございます。山口でございます。
 医療事故調査・支援センターも医療安全支援センターも、私、かなり深く関わっておりますので、意見を述べたいと思います。
 医療事故調査・支援センターですけれども、運営委員と再発防止の委員をしておりまして、様々な問題を感じているところです。
 15ページに人口100万人当たりの医療事故発生報告件数とありますが、これを見ると、何となく発生件数に見えてしまいますが、あくまで報告している件数ですので、発生件数とイコールではないということで、報告件数自体、地域によってばらつきがあるという実態がございます。
 16ページには病床規模別の報告件数が示されているのですが、見ていただきますと、全く報告がないというところが、800床以上で17施設になっています。これは病床数からいうと、特定機能病院がかなり含まれていると思いますけれども、もうすぐ7年たとうとするにもかかわらず、高度先進医療をおこなっている特定機能病院で、1件も報告がないというのがまだ2桁あると聞いていますので、この辺の問題を感じています。
 17ページで、医事関係の訴訟が800件辺りを推移しているということも、例えば医療事故調査制度で報告してくれない、報告してほしいと言っても、する必要はないと言われてしまって、そうすると、院内調査をしてくれない。そのことについての報告もない。そうなれば、検証するとしたら、法的な措置を取るしかないということで、動いている方が結構いらっしゃることが、こういった数にも出てきているのではないかと思っています。
 医療計画の中で、管理者の研修や、ピアレビューを含めた外部からの評価を盛り込んでいただくことはもちろん賛成なのですけれども、それに加えまして、今、厚生局の立入りのときにも、そういった研修のことは聞いてくださっているわけですが、特に特定機能病院は2017年度から医療安全監査委員会の設置が義務になっています。5年たとうとしている中で、医療安全監査委員会自体の内容に非常にばらつきがあるという実態がありまして、どういったことをしないといけないのかという基準も全くないわけです。5年たって、そろそろその辺りの見直しをするということも、報告件数に関係するのではないかと思いますので、医療計画だけではなくて、医療安全推進室ではそちらも検討していただきたいということが、医療事故調査制度のことについての意見です。
 医療安全支援センターですけれども、25ページに現状が書かれてございますが、研修も受講者が少ないとあるのですが、私、初任者研修と実践研修などに関わっています。医療安全支援センターの相談員をするような方は、専門職の方もいらっしゃるのですけれども、一般職の方がいて、例えば昨日まで水道局にいて、異動してきて医療の相談を受けるということをされているわけです。非常に不安な中で相談を受けておられて、そろそろ慣れてきた、2~3年たった頃に異動されるということで、質の問題が充実していかないという課題があります。
 それから、自治体の通信環境が非常に悪くて、オンライン研修になっているのですけれども、入ってくることすらできないような医療安全支援センターが多くて、さらには座学だけではなくて、実践研修のところになると、がくっと受講する人数がさらに減ってしまうという問題点があります。ですので、医療計画にぜひとも研修の参加状況を加えていただきたいと思っております。
 住民への医療安全に関する普及啓発活動も医療安全支援センターの役割です。医療安全支援センターは保健所などに設置されているので、住民に対して一番近いところに存在しているわけです。なので、もう少し積極的な情報提供をしていただく必要があるのではないかと思う中で、82.4%がホームページへの情報提供にとどまっています。医療安全支援センターのホームページを見て情報を得る住民はほとんどしていないと思います。そうだとすれば、医療計画の中では、ホームページとは切り離して、具体的・積極的な情報提供をしている状況、その数を把握するようなこともしていただきたいと思いますし、医療機関への研修の実施体制ということも医療計画の中できちんと数として見ていくということで、やらなければいけないという意識をさらに高めるような方向性で進めていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 実際に関与されている御経験から、非常に重要な御指摘をいただきました。御意見として承りました。ありがとうございました。
 今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 私もこれに長く関与しておりますので、その経験も踏まえて、御指摘させていただきます。
 9ページにある事故調の対象になる定義、患者さんの定義ですけれども、先ほど山口構成員からありましたこととかぶりますが、定義によると、医療に起因したという言葉が曖昧なために問題が起こっています。例えばベッドから落ちて亡くなったというケースは、医療に起因するのか、それとも普通の事故なのかというところは、かなり判断が分かれるようで、地域によって、もしくは病院によって、それは医療事故であったり、そうでなかったりするという状態が発生しておりまして、その差がさらに患者さん方の不満を買っている状況があると理解しています。実際、こういう差について、厚労省としてどれぐらい把握されているのかということは、ぜひお聞きしたいところであります。
 三つあるのですが、二つ目です。医療安全支援センターですけれども、医療安全支援センターの存在が医療機関や医療従事者にあまり知られていないという問題があります。実際、患者さんとドクターや病院が揉め始めたときに、医療安全支援センターに相談してみてくださいと言われている患者さんと、そんなものがあることを知らなかったという患者さんに分かれるようで、後からその存在を知った患者さんが病院に対して大変不信感を覚えるというケースが多々あるかと思います。センターなどの実際の周知状況について、どれぐらい事務局として把握されているのか、もし把握している数字があれば、教えてもらいたいところであります。
 三つ目は要望ですけれども、31ページのセンターに関する論点です。センターは実際に活動の活性化度が随分違っていて、ほとんど機能していないところとすごく頑張っているところがあります。医療安全などについては、第三者評価が行われているわけですから、支援センターも第三者による活動状況の評価を考えてはどうかと思っています。それによって、どれだけ相談する価値があるのかということが、患者さん側からも分かりやすくなるのではないかと思いますので、これは要望ということで聞いていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 分かりました。ありがとうございました。
 事務局、御質問がありますので、回答できる範囲でお願いできればと思います。
○栗原専門官 先生、御質問ありがとうございます。
 医療事故調査制度ですが、医療に起因し、または医療に起因するということがどういうものかということにつきましては、医療の範囲が具体的に決められておりまして、医療の範囲に含まれるものとしましては、手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為が考えられるとされております。
 医療に起因し、または起因すると疑われるものでないものの具体例としましては、火災等に関連するもの、地震や落雷等、天災によるもの、併発症、原病の進行、自殺、院内で発生した殺人、傷害致死などが挙げられております。
 もう一つ質問をいただきました、医療事故の現状がどうなっているかということにつきましては、病床規模や機能に応じた医療機関における報告体制につきましては、現在、厚生労働科研で検討していただいているところでございます。
 2点目、医療安全支援センターにつきまして、具体的な周知がどれぐらいの状況かということは、現状、お答えするデータを持ち合わせておりません。
 一方で、当省としても、医療安全支援センターの周知につきましては、非常に重要だと考えておりまして、例えば医療安全支援センターの認知度向上のために、広報紙への記事の掲載等、広報活動の強化を図っているところでございます。
 そして、医療安全推進週間というものがあるのですが、そちらに併せて、各地方厚生局が開催している医療安全ワークショップにおいて、今年度より医療安全支援センターに関して講演のテーマに含めるよう、実施要領を改正したところでございます。
 引き続き広報活動を継続していくとともに、医療安全支援センターに対する国民の認知度について、向上を図ってまいりたいと思っております。
 以上となります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 今村構成員、いかがでしょうか。
○今村構成員 取組をしていただいていることは、それなりに理解しております。例えば定義について、転倒や落下を入れてほしいわけではないのです。ただ、そうはいっても、各病院や各県によって対応が違っていること自身がトラブルを生んでいるということで、実態としてどれぐらいまでのところが入っているのか、どれぐらいまでが事故として扱われているのかという標準線のようなものが分からなくなっていることによるトラブルだと思います。ですから、全部を入れてほしいということではないのですが、そういった実態把握もぜひ進めていただければと思っております。
 今村からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 大屋構成員、よろしくお願いいたします。
○大屋構成員 大屋でございます。
 医療事故、また、医療の安全、患者安全については、私は大学病院の病院長をしておりますので、特定機能病院のための様々な研修会、それから、大学病院自身の医療安全の研修会等で何回もいろいろなお話をお聞きして、医療事故調査制度についてもある程度理解しているつもりでございます。
 これは少しレベルが低い御質問になるのですけれども、先日、大学病院長会議のワークショップがあったときに、医療安全、患者安全、医療事故関係のグループのセッションが一部であったのですが、そのときに、医療事故調査制度という名前が何となく、医療事故と決めてから報告する、院長が決めるので、疑っている段階で出すということもあるのですけれども、もう少し幅広く、調査したらいいのではないかという事例まで出せるような名前になると、もっと報告件数が増えるのではないかという意見が出ていたわけです。
 もちろんそういうものを出してくださいという制度であることは承知していますし、全ての医師にこの内容を全て理解させ、病院長のリーダーシップでしっかり医療安全を進めるということは分かってはいるものの、そこの名称についていろいろ言われたりということで、現場からは苦労しているという声が上がっていたということなのです。そのような声を私はたまたまそこでお聞きしたのですけれども、同様な意見が他の様々な場所、各都道府県等々で上がっているかと思ったので、その点について教えていただきたいというのが1点です。
 もう一点は、医療安全支援センターについてです。しっかり行われている県とそうでない県があるということで、場合によっては、評価、どのようなことを行っているかという調査も行ったほうがいいと先ほど御意見があったと思います。各都道府県のホームページを見ましても、何をやっているのかよく分からない、コロナ対策がどうこうと書いてあるような医療安全支援センターもあったりするので、そこら辺は評価なりも行っていただいて、先ほどの意見に追加して、評価についてフィードバックを各センターにしていただくということ、その結果も私どもに知らせていただきたいということでございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御質問もあったかと思いますが、事務局、何かコメントはありますか。
○栗原専門官 大屋先生、御指摘ありがとうございます。
 当省としましては、医療事故調査制度に関する名称について、様々なところで御指摘を受けております。日本医療安全調査機構の運営委員会においても御議論などをいただいているということは、承知しております。
 一方で、こういった制度の趣旨や目的、定義も含めまして、各医療機関において適切な判断がなされるよう、周知徹底が改めて重要だと感じているところでございまして、研修等を通じて、医療機関への継続的な周知活動に今後も努めていきたいと思っております。
 2点目、医療安全支援センターですけれども、評価については、医療安全支援センター総合支援事業というものがありまして、そちらで年に1回調査を行っております。
 それに加えて、医療安全支援センターがどういった取組をしているか、各支援センターが情報交換をするような場もつくっておりまして、そういったところを通じて、今後も質の向上を図っていきたいと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 大屋構成員、よろしいですか。
○大屋構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 江澤構成員、よろしくお願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 時間が押しておりますので、手短に申し上げます。
 22ページの論点①については賛成ですけれども、管理者もしくは他の職員にしろ、組織的にどう取り組むか、そして、それを継続的にどう実行していくかというところが一番重要なので、取りあえず今回はこういったものを含めまして、今後、取組についてもいろいろと注視していく必要があると考えています。
 論点②についても賛成でございますが、第三者評価は病院機能評価等が想定されると思いますが、例えば100近い小項目があっさて、医療安全に特化した項目は3項目程度であろうかと思いますので、医療安全における第三者評価にふさわしいものを引き続き検討していくべきだと思っております。
 最後に31ページの医療安全支援センターに関する論点についても、賛成でございます。医療安全支援センターをより活性化する方向で取り組んでいただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 岡留構成員、お願いいたします。
○岡留構成員 ありがとうございます。
 時間が超していまして、申し訳ありません。簡単に述べさせていただきます。
 質問が1点と要望ですが、31ページの論点のところで、医療安全支援センター、医療安全推進協議会に保健所が関与するということで、非常に強く書いてあるのですが、これは一般住民に対する啓蒙活動のために入れるのかどうかということで、保健所機能をここに加える意味は何だろうかという質問です。
 これからウィズコロナの時代になって、保健所はそれどころではない。恐らくこんな事業に人員を割けないという懸念があるものですから、その辺、行政としてはどう考えているかということについて、教えてもらいたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○栗原専門官 ありがとうございます。事務局より回答させていただきます。
 現在、医療安全支援センターは、医療法におきまして、保健所を設置する市及び特別区によって設置されています。負担感というところを御指摘いただいたのだと思いますけれども、できる限りセンターの役割をサポートできるように、医療安全支援センター総合支援事業などを用いて、我々もサポートさせていただければと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 岡留構成員、よろしいでしょうか。
○岡留構成員 はい。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 大体御意見は出尽くしたようでございます。
 時間は5分ほど過ぎておりますけれども、それでは、本日の議論はこのぐらいにさせていただければと思います。
 最後、事務局から何かございますか。
○谷口室長 本日は、会場での一般傍聴の制限をさせていただいており、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙とは存じますが、御協力いただけますよう、何とぞお願い申し上げます。
 また、次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡をいたします。よろしくお願い申し上げます。
○遠藤座長 それでは、本日はこれまでとしたいと思います。長時間どうもありがとうございました。
 






(了)

<照会先>

医政局地域医療計画課
直通電話:03-3595-2186

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