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2022年7月27日 第11回第8次医療計画等に関する検討会

医政局

○日時

令和4年7月27日(水) 16:00~18:00


○場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 7階 カトレア
東京都千代田区六番町15


○議事

○松本補佐 定刻になりましたので、ただいまから第11回「第8次医療計画等に関する検討会」を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 初めに、発言の方法などを説明させていただきます。
 本検討会の構成員におかれましては、発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、発言をするようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、再度マイクをミュートにするようにお願いいたします。
 また、座長から、議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
 また、本日は参考人として、厚生労働科学研究(人口動態や地域の実情に対応するへき地医療の推進を図るための研究)の研究代表者であります、自治医科大学地域医療学センター教授、小谷和彦先生。
 周産期医療に係る第8次医療計画に向けた勉強会の構成員であります、公益社団法人日本産科婦人科学会周産期委員会委員長、杉山隆先生。
 同じく、公益社団法人日本産人科医会副会長、中井章人先生。
 同じく、一般社団法人日本周産期・新生児医学会理事長、中村友彦先生。
 同じく、公益社団法人日本新生児成育医学会理事長、早川昌弘先生。
 小児医療に係る第8次医療計画に向けた勉強会の構成員、公益社団法人日本小児科学会理事、平山雅浩先生。
 同じく、公益社団法人日本小児科医会業務執行理事、佐藤好範先生。
 以上、7名の方々をお呼びしております。
 参考人におかれましては、発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 次に、資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、構成員名簿、厚生労働省出席者名簿、参考人名簿のほか、資料1、参考資料1から5までを配付させていただいておりますので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「5事業の検討状況報告」でございます。事務局から資料が出ておりますので、関連資料の説明をお願いいたします。
○中村室長 それでは、事務局より、まず資料1「5疾病・5事業について(その2;5事業について)」の説明に入らせていただきたいと思います。
 目次ですけれども、最初に検討体制についての説明をさせていただいた後、5事業についての資料の説明に向かわせていただきます。
 検討体制、4ページを御覧ください。第8次医療計画の策定に向けた検討体制としましては、第8次医療計画等に関する検討会の下にワーキンググループをつくっておりまして、救急と災害医療に関しましては、遠藤先生に座長をしていただきまして、救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループで現在検討を行っているところでございます。また、へき地医療と周産期医療、小児医療につきましては、へき地医療は厚生労働科学研究の研究班、周産期医療、小児医療につきましては有識者の意見交換という形で検討した後、この第8次医療計画等に関する検討会に報告をするという検討体制で行っているところでございます。
 続きまして、5ページを御覧ください。こちらにへき地医療、周産期医療、小児医療の検討体制について記載させていただいておりますけれども、厚生労働科学研究、小谷先生を研究代表者として行っていただきまして、その他周産期の勉強会については御覧の学会や日本医師会、日本看護協会に参画いただいております。小児医療についても同様に学会、医師会、看護協会に参加いただいているところで検討いただいております。本日はそれぞれへき地、周産期、小児につきまして、参考人として御参加いただいている先生に検討状況の御報告という形でさせていただきますので、今回こちらを中心に時間を取らせていただければと考えているところでございます。
 6ページ以降が、救急医療、災害医療と順に資料があるところでございますけれども、救急と災害医療につきましては、資料自体は遠藤先生のところのワーキンググループで既に出ている資料でございますので、資料の説明自体は本日割愛させていただきまして、議論している主な論点というところ、41ページを御覧いただければと思います。
 救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループで議論いただいている主な論点でございますけれども、まず救急につきまして、救急医療機関の役割分担ということで、特に増加が見込まれる高齢者の救急搬送への対応としまして、主に二次救急医療機関での受入れの推進をしていくべきではないかという点で、ワーキンググループでもこの方向性については賛同いただいているところでございまして、また、三次救急医療機関の位置づけにつきまして、こちらは二次救急医療機関が対応できない重症者、多様化する複数疾病の合併例、また、診断困難事例等への対応を三次救急医療機関で行っていくべきではないかという意見をいただいております。
 その他、在宅・介護施設の高齢者の対応としまして、ACPを推進していくことであるだとか、プライマリーケアを充実することで救急搬送をせずに済むような体制を整備するべきではないかということ、また消防機関、救急医療機関、かかりつけ医、その他介護施設等の関係者が連携・協議する体制を構築していくべきではないかということ。また、新型コロナウイルス感染症蔓延時における救急医療としまして、コロナ患者への対応、非コロナ患者への対応の両立であるだとか、重症者へ対応できる人材を育成していくことに加えまして、救急医療という観点からは、救急の感染防護という観点の人材をしっかり育成していくことも必要ではないかという意見をワーキンググループでいただいております。ドクターヘリ・ドクターカーに関しましては、広域連携を推進、また、ドクターカーとの連携の推進であるとか、こういったことについて現在議論をいただいているところでございます。
 続いて、災害医療について69ページに御議論いただいている主な論点を記載させていただいているところでございます。災害時に活動する保健医療チーム、こちらは最初の論点でございますけれども、災害時等における災害派遣医療チーム(DMAT)等の法令上の位置づけの必要性も含めた派遣や活動の円滑化ということですが、こちらはDMAT等の位置づけを明確化するためにDMAT等の法制化について検討してはどうかということがワーキングでは言われているほか、DPATの新興感染症対応の位置づけにつきましては、感染症まん延時のどのフェーズでDPATが特に必要なのかを整理すべきではないかという御意見、また、各種保健医療活動チームの連携強化、災害時等に特に必要となる看護師の派遣の仕組みという論点につきましては、こちらは地域で行います災害訓練に積極的に様々な保健医療チームを参加させていただくべきではないかという御意見もいただいております。その他、災害拠点精神科病院の整備の推進、また、災害拠点病院等における豪雨災害の被害を軽減する体制、そういったものの構築を進めること、また、災害時等における医療コンテナの活用が普及するための方策などについてワーキンググループで御議論をいただいているところでございます。
 ワーキンググループでいただいております主な御意見につきましては、参考資料1としてまとめさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 続きまして、へき地医療についての説明をさせていただきます。71ページでございます。へき地医療につきましては、まずへき地の定義でございますけれども、へき地とは「無医地区」「準無医地区」などのへき地保健医療対策を実施することが必要とされている地域とされているところでございます。
 72ページを御覧ください。へき地医療の沿革についてでございますけれども、無医地区等住民の医療確保のために昭和31年度より11次にわたる年次計画を策定し、地域の実情により各種政策を実施しているところでございまして、平成30年度からは第7次医療計画に一体化したところでございます。
 73ページでございます。へき地における医療の体系図でございますけれども、へき地医療支援機構を中心としまして、行政、へき地で勤務する医師、へき地医療に協力する施設・機関、そしてへき地の住民がそれぞれ連携・協力し、かつほかの都道府県の先進事例にも学びながら、効果的・効率的で持続可能性のあるへき地への医療提供体制の構築を行っているところでございまして、真ん中の上にへき地医療支援機構、その下、へき地医療拠点病院を支援・連携、また、その下にへき地診療所を支援・連携し、左右に国であるだとか、地域枠の医師の派遣の調整を行う地域医療支援センターとの協力など、こちらがへき地医療における医療の体系図でございます。
 74ページを御覧ください。へき地医療拠点病院の概要でございます。こちらは指定要件といたしまして、アとイとカを御覧いただきたいのですけれども、まず「ア 巡回診療等によるへき地住民の医療確保に関すること」「イ へき地診療所等への代診医等の派遣及び技術指導、援助に関すること」、そして「カ 遠隔医療等の各種診療支援に関すること」、これらのことを行う病院としまして、都道府県において指定がされているところでございます。
 75ページを御覧ください。へき地診療所の概要でございますけれども、都道府県知事が次の設置基準ということで、へき地診療所を設置しようとする場所を中心としておおむね半径4キロメートルの区域内にほかに医療機関がなく、その区域内の人口が原則として人口1,000人以上であり、かつ診療所の設置予定地から最寄り医療機関まで通常の交通機関を利用して30分以上要するものである等の要件の基準に基づいて、へき地診療所が設置されているところでございます。
 76ページを御覧ください。こちらは無医地区等の実態についての調査でございますけれども、結果は77ページを御覧いただければと思います。無医地区の数でございますけれども、一番上、昭和41年から徐々に新しくなって、最新が令和元年でございますが、無医地区の人口自体は全体として減少傾向でございます。全国の準無医地区に関しましては、無医地区に該当しなくなった地区が準無医地区に指定される事例が多いため、増加傾向にございます。
 78ページを御覧ください。こちらはへき地医療の現況調査でございますけれども、へき地医療対策の実態を調査するもので、結果は79ページを御覧いただきたいと思います。こちらはへき地医療拠点病院の実態でございますけれども、400床未満の比較的小から中規模の医療機関が多く、公立公的医療機関が全体の70%以上を占めているところでございます。
 続きまして、80ページを御覧いただきたいと思います。へき地医療拠点病院が特に取り組むこととされている事業であるへき地診療所等への医師派遣、代診医派遣、巡回診療を合わせて「主要3事業」と呼んでおります。また、主要3事業と情報通信技術(ICT)を活用した遠隔医療を合わせて「必須事業」を呼んでおります。令和2年度に主要3事業の取組を年12回以上実施したへき地医療拠点病院は、全体の65.8%でございました。
 81ページを御覧ください。こちらはへき地診療所についての調査結果でございますけれども、令和3年4月1日現在、1,108医療機関がへき地診療所に指定されておりまして、90%以上が無床診療所であり、公立公的医療機関であるとのことでございます。
 82ページを御覧ください。第7次医療計画中間見直し時の議論・改正事項でございますけれども、改正事項としまして、へき地医療拠点病院の主要3事業の年間実績、こちらは指標例に追加しておりまして、それが合算で12回以上の医療機関の割合ということで記載させていただいておりまして、2ページ前の12回以上実施したへき地医療拠点病院は全体の65.8%という調査結果の12回というものは、現在指標例に入っているものでございます。その他、へき地医療拠点病院の必須事業の年間の実績も指標例に入れておりまして、へき地医療拠点病院の必須事業の実施状況に関しまして、指針の中身としまして、事業が実施できていないところについては経年変化も考慮して直近の状況を確認するということを指針に入れさせていただいていること、また、医師確保計画との整合性を取ることについても、第7次医療計画中間見直し時には加えております。今後の検討事項としまして、医師確保計画とへき地医療計画の連携及びへき地における地域枠医師の役割について、引き続き整理していくこととされております。
 83ページを御覧ください。こちら、医師確保計画の策定ガイドラインでございます。その抜粋ですけれども、まず、上のところですが、都道府県において、医師偏在の状況等に応じた実効的な医師確保対策を進められるように、医師偏在指標を用いて医師少数区域及び医師多数区域を設定しております。これらの区域分類に応じて具体的な医師確保対策を実施することとしていると。
 また、この下の医師少数スポットというところを御覧いただきたいのですけれども、都道府県においては、必要に応じて二次医療圏よりも小さい単位の地域での施策を検討することができるものとして、局所的に医師が少ない地域を「医師少数スポット」として定め、医師少数区域と同様に取り扱うことができるものという区分をつくっております。ここでへき地に関してなのですけれども、既に巡回診療の取組が行われており、地域の医療ニーズに対して安定して医療が提供されている地域や、病院が存在しない地域などで明らかに必要な医療をほかの区域の医療機関でカバーしている場合等、既に当該地域で提供すべき医療に対して必要な数の医師を確保できている地域を医師少数スポットとして設定することは適切ではないこと。また、現在、無医地区・準無医地区として設定されている地域等は無条件に医師少数スポットとして設定することも、同様の理由から適切ではないと考えられ、医師少数スポットはあくまで当該地域の実情に基づいて設定しなければならない。一方で、へき地診療所を設置することで無医地区・準無医地区に該当していない地域でも、当該へき地診療所における継続的な医師の確保が困難である場合であって、ほかの地域の医療機関へのアクセスが制限されている地域などについては、必要に応じて医師少数スポットとして設定することが適切であると考えられるということで、医師確保計画の中でもへき地対策との整合性を取るような記載が現在されているところでございます。
 84ページを御覧いただきたいと思います。こちらが地域医療対策協議会における医師派遣の実績でございますけれども、右下の赤枠ですが、派遣された3,146人のうち1,525人が医師不足地域に派遣されているというデータでございます。派遣された3,146人のうち92%の2,893人が修学資金貸付対象医師・自治医大卒業医師となっておりまして、今後修学資金貸付対象医師等の増加が見込まれるため、さらなる医師派遣の増加が見込まれるところでございます。
 85ページを御覧ください。こちらがへき地の医療の研究班で御検討いただいている主な論点でございます。へき地で勤務する医師の確保の在り方やへき地医療提供体制の確保の在り方、中でも遠隔診療を活用したへき地医療の体制について御議論いただいているところでございます。こちらについては後ほど御報告いただけるとのことでございますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、86ページからが周産期医療についての資料でございます。
 87ページ、少子化の進行と人口減少社会の到来でございますけれども、合計特殊出生率が平成17年に1.26を底としてやや持ち直し、1.45まで回復しましたけれども、令和3年は1.3でございました。
 88ページを御覧いただきたいと思います。出生時の体重別出生数及び出生割合の推移でございますけれども、極低出生体重児、超低出生体重児の割合が増加傾向でしたが、近年は横ばいでございます。
 89ページを御覧ください。妊産婦の死亡数は年々減少しております。世界でも死亡率は低いと。最も安全なレベルの周産期医療体制を提供しているデータでございます。
 90ページを御覧ください。こちら、周産期医療体制の模式図でございますけれども、下の主に低リスク分娩を扱う医療機関から地域周産期母子医療センター、現在全国で296か所、そこからリスクの高い妊娠に対する医療及び高度な新生児医療を行うところとしまして112か所の総合周産期母子医療センターを設置しております。このような体制で周産期医療を提供しております。
 91ページを御覧ください。産婦人科を標榜する医療機関数と分娩取扱実績医療機関数の推移でございますけれども、産婦人科または産科を標榜しているところでございますが、徐々に減少しております。出生数の減少と併せて分娩を取り扱う医療機関も減少しているところでございます。病院においては25%、診療所においては65%と、分娩を取り扱っていないところがございます。
 92ページを御覧ください。NICUとMFICUの病床数と患者延べ数の推移でございますけれども、NICU、MFICUともに施設数、病床数は増加しているところでございます。3つ目のポツですけれども、NICUの病床数については、平成27年に出生1万人対25~30床という目標が示されておりまして、平成29年には達成いたしました。その後、令和2年度について出生1万人対40.4床と大幅に目標値を上回っている状況でございます。
 93ページを御覧ください。産婦人科医師数の推移ですけれども、こちらは徐々に増加しております。令和2年における15~49歳の女性人口に対する産婦人科医数は、平成6年の約1.4倍でございます。
 94ページを御覧ください。周産期医療圏についてでございますけれども、第7次医療計画の中間見直しの際から、周産期医療圏ごとの体制整備を求めているところでございます。現在、15の都道府県において、二次医療圏と異なる周産期医療圏が設定されているところでございます。
 95ページを御覧ください。周産期医療の集約化・重点化に向けた取組ということでございますけれども、医療の質の向上と安全性の確保のために、周産期医療の集約化と重点化が進んでいるところでございます。これに伴い、産婦人科医・産科医が不在の周産期医療圏または分娩取扱施設が存在しない周産期医療圏が、北海道に現在4圏域、福井県1圏域、愛知県1圏域、高知県1圏域の合計7つ存在しております。それぞれにおいて周産期医療を提供するための取組が行われているところでございまして、四角の中に北海道、福井、愛知、高知におきまして、それぞれ医師の確保や確保に向けた取組というものが、修学資金の加算であるだとか、そういったところで行われているところでございます。
 96ページを御覧ください。こちらは周産期医療の集約化・重点化に向けた取組として、タスク・シフト/シェアのスライドでございますけれども、院内助産所・助産師外来など妊婦の多様なニーズに応えまして、地域における安全・安心・快適なお産の場を確保するとともに、産科病院・産科診療所において助産師を積極的に活用し、正常産を助産師が担うことで産科医師の負担を軽減する、そういう助産師の専門性の積極的な活用というところで、院内助産所・助産師外来の活用が進められているところでございます。
 97ページを御覧ください。こちらはオープンシステム・セミオープンシステムでございますけれども、分娩を取り扱わない医療機関と分娩取扱医療機関が役割を分担することで、地域の周産期医療体制を構築するものでございますが、令和2年度には全国で157の周産期母子医療センター等の産科医療機関がオープンシステム・セミオープンシステムを利用して妊産婦への対応を行っているところでございます。オープンシステム・セミオープンシステムの説明については、この真ん中の青いところでございますが、オープンシステムが、地元で健診を担当した医師、助産師が分娩時に連絡を受け、連携病院に出向いて出産に対応する。セミオープンシステムは、健診を地元で行いまして、分娩を別の連携医療機関で行う。出産には連携病院の医師、助産師が対応すると。オープンシステムは健診をしていた人が別の医療機関に出向いて出産に対応すると。そこがオープンとセミオープンの違いでございます。下にその基幹施設の数の推移のデータを載せております。
 98ページを御覧ください。周産期医療に関する協議会の調査結果でございますけれども、令和元年度、令和2年度ともに周産期医療協議会を開催していない都道府県が存在しているところでございます。医師はほとんどの都道府県で参加しているものの、新生児科医が参加していない都道府県がございます。また、救急医が参加している都道府県は少ないことがございます。助産師は37都道府県で参加している。消防関係者の参加は32都道府県でございます。そのデータでございます。
 99ページを御覧ください。病棟における産科区域の特定でございますが、周産期母子医療センターの約半数で、産科一般病床は産科患者専用でございます。産科専用病棟を有さない周産期母子医療センターのうち、約半数では区域管理やユニット化により産科区域の特定が行われておりますが、現在、医療計画上、産科区域の特定に関する記載はないところでございます。成育医療等の提供に関する施策に関する基本的な事項、真ん中の四角でございますが、ここに既に「分娩を取り扱う医療機関について、母子への感染防止及び母子の心身の安定・安全の確保を図る観点から、産科区域の特定などの対応を講ずることが望ましい中、医療機関の実情を踏まえた適切な体制の整備を推進する」という記載がございます。
 100ページを御覧ください。周産期医療の勉強会で御議論いただいている主な論点でございますが、医療機能の明確化及び圏域の設定ということで、無産科周産期医療圏への対応、周産期医療圏の見直し、また、周産期医療に関する協議会で行う周産期医療に係る人材育成や新興感染症蔓延時の周産期医療について協議会で検討するべきではないか、医療の質の向上と安全性の確保ということで、ハイリスク妊産婦への対応、NICU、周産期医療機能の集約化・重点化、助産師外来等の活用推進、オープンシステム・セミオープンシステムの推進、産科混合病棟の在り方や医療的ケア児への支援など、こういったことについて周産期医療の勉強会で御議論いただいております。こちらも後ほど先生より御報告させていただきます。
 続いて、小児医療でございます。102ページを御覧ください。日本の人口の推移でございますけれども、日本の総人口が減少に転じていく中、14歳以下の人口は年々減少していくと考えられているところでございます。
 103ページでございます。小児の死亡者数自体は減少しておりまして、特に新生児、乳児の死亡率が減少しているところでございます。
 104ページを御覧ください。時間外においては、他の世代と比較をして、児童がより医療にかかる傾向にございます。
 105ページを御覧ください。年齢区分別の搬送人員構成比率の推移でございますけれども、高齢者の搬送割合は年々増加傾向でございますが、小児は増加傾向にはございません。新生児の搬送人員では、中等症の割合が高いですけれども、乳幼児、少年の多くは軽症でございます。
 106ページを御覧ください。こちらは小児医療の体制図でございますけれども、左下、相談支援ということで#8000事業、子ども医療電話相談事業が病院前の相談窓口としてございまして、そこに初期小児救急であるだとか、一般小児、小児地域支援病院(一次~二次)、小児地域医療センター(二次)、小児中核病院(三次)、こういう一次から三次に向けた役割分担が体制で構築されておりまして、小児への対応を行っているところでございます。
 107ページ、小児科標榜医療機関数、小児科医師数の推移でございますけれども、小児科を標榜している病院数は減少しているところでございます。小児科を主として標榜する診療所の数は横ばいでございます。病院、診療所に勤務する小児科医師数は増加傾向にあります。特に病院小児科については集約化が進んでいると考えられてございます。
 108ページ、小児救急医療体制としまして、こちらは先ほどの大人のところの救急体制、左側が大人で右側が子供というように記載しておりますけれども、下から一次、二次、三次という体制を組まれているところでございます。
 109ページでございます。小児医療圏でございますが、第8次医療計画の指針を策定する際に、小児救急医療圏を小児医療圏として一本化することを求めているところでございます。現在7つの都道府県におきまして小児医療圏と異なる小児救急医療圏を設定しているところでございます。
 110ページ、小児科医師数の推移ですけれども、15歳未満の人口に対する小児科医の数は、近年一貫して増加をしておりまして、15歳未満の人口の10万対の医師数に関しては、令和2年には平成6年の2倍となっております。
 111ページです。医療的ケア児について、医療的ケア児とは、医学の進歩を背景としまして、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことでございまして、全国の医療的ケア児は約2万人推計されております。下、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、こちらは昨年の6月に公布されたものでございますけれども、このように法律ができて、医療的ケアの子供に対する対応を進めていくことになってございます。
 112ページでございます。こちらは子ども医療電話相談事業(#8000)の整備と周知でございますが、相談件数は年々増加しているところでございます。現在46都道府県で深夜0時以降も実施されているところでございます。左下の四角の表でございますけれども、応答率、どのくらいつながっているか、時間内応答率等を把握している都道府県については、令和元年度は6県でしたが、令和3年度は11県に増えておりますけれども、まだ11県にとどまっているところでございます。
 113ページ、小児医療の勉強会で御議論いただいている主な論点については、医療機能の明確化及び圏域の設定ということで、小児医療圏と小児救急医療圏の一本化というところ、それから、小児医療に関する協議会で協議会への参加が望ましい人材、外因性疾患、外傷などに対応する体制をどう検討するか、また、新興感染症蔓延時の小児医療体制、医療の質の向上と安全性の確保という点での集約化・重点化、ICTの活用、医療的ケア児への支援、退院支援やレスパイトの受入れ、#8000への取組状況などについて論点として御議論いただいているところでございます。
 資料1の説明は以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、本日、参考人としておいでいただいております先生方から、へき地医療、小児医療、周産期医療、それぞれについて御説明をいただければと思います。へき地医療につきましては小谷参考人より、周産期医療につきましては中井参考人、小児医療につきましては平山参考人から御説明をいただければと思います。質疑応答につきましては、参考人より全て御説明をいただいた後、まとめて行いたいと思います。
 初めに、へき地医療につきまして御説明をいただきたいと思います。御説明時間は大変恐縮ですけれども、10分程度を目安にお願いできればと思います。小谷参考人よりお願いいたします。
○小谷参考人 へき地の医療についてお話しさせていただきます、へき地医療研究班の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほども資料をもとに説明がありましたけれども、へき地医療計画の沿革をオーバービューさせていただきます。へき地医療計画につきましては、修学資金等を設けて医療従事者の量的確保、研修やキャリアパスを謳って質的な向上、そして、へき地診療所、へき地医療拠点病院、へき地医療支援機構という組織を整備してその連携と支援による医療の確保に注力して進んできた歴史があります。へき地保健医療計画は独自に進んできましたけれども、医療計画の中にへき地の医療という事業がありますので、第7次医療計画からはこの医療計画の中に一体化するという大きな動きがあって今日に至っております。
 こうした沿革を踏まえまして、私どもの研究班は、へき地医療事業に係る指標について意識しながらずっと研究を進めさせていただいております。この班は、へき地や離島医療の専門家をはじめとして、医師偏在や確保の政策専門家、ルーラルナーシングの専門家、そして、都市計画の専門家等で構成され、へき地医療ビジョン、医療体制、医療従事者の働き方や教育研修について検討してきました。これらの視点から今回少しお話をさせていただきます。
 まず、へき地医療の現状と課題という点についてです。これがへき地医療の体系図なのですけれども、近年ようやくこの形が取れるようになってまいりまして、医学部の教科書にも載るようになってまいりました。都道府県にあるへき地医療支援機構、第一線現場のへき地診療所、無医地区等もこれによって解消されてまいりまして、診療所は全国に約1,000あります。そして、都道府県の医療計画を受け、へき地の診療所を支援するへき地医療拠点病院が、医療従事者と医療の確保に係るシステムとして機能するようになってきています。特に同拠点病院においては、医療計画の主だった指標である、巡回診療、医師や代診医の派遣、遠隔医療支援等が役割として求められています。医療従事者の確保はもちろんのことですけれども、今回は8次の医療計画に向けていろいろ検討した結果、へき地医療の今後の医療の確保に着目して検討を進めてきております。近年、へき地では人口減少が著しく進行し、しかし、医療を必要とする場所は依然として存在し、あるいは増える傾向も見られ、かといって医療機関を新しく開設するのも難しく、ところによっては1人の医師が複数か所のへき地診療所を担当するような事態も生じています。巡回診療、代診医派遣、遠隔医療支援にもっと着目して進めていく必要があるという見解があります。
 先ほどの資料にもありましたが、へき地医療対策は基本的には無医地区解消を目指して進んできました。人口50人以上の居住という定義にありますが、居住人口が徐々に減ってきて、準無医地区への移行が進んでいる状況であります。へき地医療拠点病院の指定要件にあるような、巡回診療、代診医派遣、遠隔医療支援等を駆使してへき地の医療を確保する体制を時代に即して整備していく必要性が示唆されます。
 経年の推移をあらためて示しますが、無医地区は経時的に減少しております。無医地区対策の奏功に加えて、人口減少等が影響しています。他方で、準無医地区は比較的漸増しているのが見て取れます。この数年の資料ですが、無医地区は637から590と、50程度、減っていますし、準無医地区は74か所増え、その人口は、2万5000人程度、増えている状況にあります。
 へき地医療計画に係る指標の現状です。特に、先の第7次計画の中間見直しでは、へき地医療拠点病院に対して、主要3事業である巡回診療、医師派遣、代診医派遣の機能評価のごとく具体的な年間の回数が指標に挙げられました。しかし、この何年間を見ましても、主要3事業の未実施である病院が依然としてあります。この未実施の実態は大きく変わらず、毎年、30%以上に見られます。遠隔医療、ICTによるへき地の支援を加えて必須事業の実施を見ても、未実施のところが20%以上あります。これに対して、私どもで、未実施のへき地医療拠点病院の話を伺いますと、医師不足で巡回診療や代診に行けないという理由がうかがえるとともに、もう一つ、時間とか効率の面で離れたへき地に赴くための移動コストの大きさが理由として出てきています。この移動コストに対策を打たなければ、現行の指標の改善はなかなか見込めないだろうという認識を持っています。
 さて、今後の方向性に話を進めさせていただきます。国からは、オンライン診療の推進が示されています。また、新型コロナウイルス感染症発生時の医療対応に関する特別研究に参加させていただきましたが、へき地医療での対応を全国調査したところ、へき地医療支援機構から見たへき地医療の好事例として、オンラインシステムを用いた情報共有や研修が挙げられました。そして、少数ですけれども、へき地診療所で実際にオンライン診療を新たに導入して対策したところもありました。へき地医療でのオンライン診療の有用性は、新興感染症対策としても部分的に示されております。
 さらに、先行してオンライン診療を実施しているへき地医療機関を、私どもで色々と調査しましたところ、1つの診療所を起点に、離れた複数の診療所を診察しているケースがありまして、各診療所に看護師がいて、いわゆるD to P with Nの形で診療が継続的にできています。巡回診療や代診医派遣もこういう形でできるということでもあります。それから、専門医との連携にも示唆がありまして、D to P with N やD to Dを活用すればへき地診療所でも可能になるという意見もあります。厚生労働省のへき地医療現況調査や私どもの研究班の調査で、へき地医療拠点病院やへき地診療所でオンライン診療を含む遠隔診療の導入が少数とはいえ見られてきており、この背景には先行した機関の経験あるいは情報が他のへき地医療機関間で徐々に共有されているのではないかと想像します。
 もう一つ、自治体の役割が非常に大きいということを挙げたいと思います。へき地医療を担う医療機関は自治体立のことが少なくないのですが、最近のケースとして、和歌山県で始められたICTを用いた全県的な遠隔医療連携をお示しします。県立医大が起点となっています。この連携施設の中にへき地医療拠点病院やへき地診療所が含まれています。これが実働してみますと、へき地医療の診療所にいる医師たち、特に若手医師たちが、県立大学の研修と同じようにできるようになったり、医局カンファレンスに参加できたりするということも発生しますし、今まで通わなければいけなかったところが移動コストが削減でき、さらに診療もかなり充実してきたというようなことが出てきております。
 私どもの研究班での最近の調査結果ですが、へき地医療拠点病院とへき地診療所において、オンライン診療を含む遠隔医療を実施できているところと実施できていないところの差違は、その機関の所属する自治体の支援があったかどうかです。すなわち、自治体の支援がある場合にオンライン診療を含む遠隔医療の実施割合が高くなっています。その支援の内容ですが、資金援助に加えて、導入時の人員の提供、あるいは研修会の実施を含む情報の提供等が挙げられています。
 最近、第7次医療計画の中間見直しの際に、へき地医療計画にオンライン診療について新たに記載した県が見られています。愛知県ではオンライン診療の検討に入るような記載が追加されています。兵庫県においてもオンライン診療に触れ、この実施には県による一定の方向性や方針の策定・共有等が必要であると記載されており、自治体の役割の重要性が示唆されております。
 ともあれ、国全体でオンライン診療の推進が考慮されております。へき地医療計画の主要・必須事業内の指標の実現または拡充に向けて、オンライン診療の導入が、新興感染症対策を含めて方向性の一つであろうと認識しているところです。巡回診療や医師・代診医派遣の整備、そして人口減少を伴うへき地の医療の在り方を論じる中で、特に指標の実施が困難な機関においては、時間や効率性を含む移動コストに対策する必要があり、全ての機関でなくてもよいと考えておりますけれども、例えば巡回診療や代診医派遣を断らざるを得ないような状況があればオンライン診療の部分的な導入を検討したり、先行して実施する機関に相談したりして、少しでもへき地の前線的医療を支援するような形が取れるといいと思います。そして、自治体の役割にも期待します。また、へき地での労働者派遣法の改正がありましたので、例えば病院でオンライン診療を経験した看護師等をへき地診療所に派遣するような様々な工夫も一考されるかと思います。いずれにしましても、こうした対策は、指標にしないまでも現場として検討や工夫を進める必要があると考えております。
 最後の資料です。現状の医療計画の指標に、巡回診療、医師派遣、代診医派遣というところがあります。それぞれの中にオンライン診療によって、巡回診療をどのくらい実施できたか、あるいは医師派遣、代診医派遣にどのくらい応えられたかということを特出しすることもありえるのではないかと考えております。それから、自治体の支援ということも促進要因でありますので、オンライン診療導入の支援、例えば研修会の実施や各種情報の提供がありますが、これをへき地医療支援機構への指標として盛り込むことも考えられると思います。
 アウトカム指標については継続的な検討が必要な状況と考えていますけれども、へき地の医療を確保するということを一義としてきた経緯もございます。その確保もいまだ到達していない状況であります。一方で、例えば、へき地の前線にあるへき地診療所の医師がへき地医療拠点病院等と円滑に医療連携ができていると感じているか、満足度もアウトカムの指標になるとすれば、へき地診療所における医療連携の満足度を検討していくことはあってよいと思いますが、なかなか病気をしたときにはへき地を離れてしまうようなケースがあって、健康度のハードアウトカムをアウトカムにすることが難しい実情がありまして、このようなことでいかがでしょうか。医療連携の充実を促す意味にもなるかもしれません。以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、周産期医療について御説明をいただければと思います。中井参考人、よろしくお願いいたします。
○中井参考人 周産期の4団体を代表して日本産婦人科医会の中井から御報告させていただきたいと思います。
 初めに、周産期医療の現状と課題を産科側から見たものでありますが、高齢の妊婦さんの増加、それに伴う偶発合併症の増加、また、社会的ハイリスクの妊婦さんが増加しているということで、これらの妊婦に対応する体制の強化、これをぜひお願いしたいところでございます。
 続いて、メンタルヘルスケアの重要性、これが増加しております。左上の図は妊産婦死亡の原因別頻度の推移でありますけれども、かつて産後出血などが第1位でありましたが、近年、直近では自殺による死亡が第1位を占めるようになっております。その背景の一つであるメンタルヘルスケアの介入が必要となるような妊婦さんの割合は、以前の厚労科研の全国調査でおよそ4%、分娩の妊婦さんの数でいいますと3万人程度発生するということであります。一方、それに対します周産期母子医療センターの対応でありますけれども、他の疾患に比較しまして、この精神疾患に対して24時間対応可能であるという施設の割合は37%と非常に低いものがあります。また、死産、流産、こういったものを経験した女性、これもメンタルヘルスケアが必要になるわけですけれども、そうした相談窓口、都道府県としては100%ですが、市町村では85.9%と全てを網羅されていないということで、医療施設を含めた地域で対応できるシステムづくりも求められているのではないかと考えているところであります。
 次に、産婦人科医療機関の推移と医師数の推移でありますが、先ほどの重複になりますが、15年前から私たちの団体、日本産婦人科医会では98.4%の回収率で調査を行っておりますけれども、16%ぐらい、6,000あった産婦人科施設が5,000に減っております。特に減少が著しいのは、分娩を取り扱っている一般の病院と診療所になります。また、医師数は先ほどもありましたように増加しております。増加している施設というのは、主に総合と地域の周産期母子医療センター、こちらで2倍程度の医師数になっているところであります。一方で、直近の3年間、産婦人科、常勤医師数の増減を自治体ごとに見てみますと、御覧のように大都市圏では比較的医師は増加しているのですが、3分の1近くの自治体で医師数は減少しており、いわゆる医師の偏在対策があまり機能していないのではないかという状況にあります。
 おめくりいただいて、こちらは新興感染症、コロナ感染症等に関してでありますが、多くの自治体で周産期母子医療センターがこれら患者に対応しておりました。しかし、新興感染症が蔓延する時期になりますと、感染症診療のみならず通常診療、その両立が求められるわけですけれども、こういったことは平時より検討して、その体制づくりをしておく必要があると考えられます。また、感染妊婦のトリアージでありますけれども、災害時小児周産期リエゾン等の人材の育成あるいは活用ですね。これも平時から検討する必要があるかと思います。そして、流行期になりますと自宅療養の妊婦も増えるのですけれども、この妊婦の入院基準が一般と異なります。酸素飽和度などが少しでも低下しますと、これは必ず何らかの影響が胎児に出るわけですから、そうしたことに右にあります3学会からも警鐘を鳴らして、より早い段階での入院を推奨しておりますので、こういったことをぜひ消防関係の方とも共有していただきたいと考えているところであります。
 次、お願いいたします。これは各自治体の協議会についてでございますが、先ほどもあったとおり、あまりこの協議会が実施されていない都道府県、現在でも存在しています。そして、その構成員でありますが、新生児科医、助産師、消防関係者あるいはメンタルヘルスに関わる人材、こういった方が委員として入っていないところもありますので、そうしたことのないよう御示唆いただきたいというところであります。また、協議会の機能として人材の教育、これにも力を入れていただきたいと思います。既に産科診療ガイドラインなどで認められている日本母体救命システム普及協議会あるいは新生児蘇生法普及事業のこういったシミュレーション教育はしっかりしたものがございますので、こういったものを協議会の事業としてぜひ推奨していただきたいというところであります。
 次のスライドでありますけれども、これは先ほどあったとおりで、産科病棟が独立していないところが増えております。いわゆる産科混合病棟でありますが、総合周産期においても4分の1は混合病棟になっています。地域周産期では56%が混合病棟、混合病棟の中には男性の患者さんと一緒になっているところも見受けられるので、これは今後改善しないといけないのではないかと。特にこれは日本看護協会が前から言っておりますが、ユニットマネジメント、ゾーニングなどをして産科区域の特定をちゃんとするようにとお願いしたいところで、これは助産師が妊産婦ケアに集中できる環境、これをお願いしたいというところであります。
 次をお願いします。次は新生児側からの要望でありますけれども、NICUの重点化・集約化が必要と考えられています。先ほどもあったように、平成27年に設定された出生1万当たりの病床数、これは既に平成29年に到達しているわけですけれども、その後、出生数の減少に伴って現時点で全国の平均が先ほどもあったように1万出生に対して40.4床ということであります。そして、左下の図なのですけれども、各施設のNICUの分布でありますが、特に「地域」と書かれた地域周産期母子医療センターですけれども、ここは40%が6床未満のNICUになっています。そして、その右の図の右下の円グラフですけれども、地域周産期ではそこを管理する担当する医師が2名未満が35%、つまり1名でやっているということなのです。こうした小規模なNICUはぜひ今後集約化し、新生児医療を担当する医師を重点化することで医療の質を向上し、かつ働き方改革、これを達成するためにも必要な課題ではないかと考えられているところであります。
 続いて、これも先ほどあった医療的ケア児でありますけれども、NICUの長期入院、その後の退院支援につながるコーディネーター、これは総合周産期は算定要件になっていますので大体のところで配置されているようですが、地域周産期では83.5%で配置されていません。いろいろな配置していない理由が幾つか聞かれていますけれども、医師がやっているからそれでいいのだというところもありまして、これはまた今の働き方改革と逆行するのではないかと。長野県の取組を右側に書いてございますが、こども病院に在宅支援病床16床を設置しております。そして、在宅移行に向けた準備をする。また、レスパイトの受入れもここで行う。こうしたことで長期入院患者のQOLと患者と家族との愛着形成、こういったことを促進していくということで、ぜひこういった取組を全国にも展開していただくよう御検討いただければというところでございます。
 駆け足でまいりましたが、私が一番言いたいのは最後の働き方改革なのでありますけれども、この現状をまず御紹介いたしますが、左上、これは主に産婦人科のものですが、総合周産期、地域周産期、一般病院と分けまして、自施設での年間の時間外在院時間を示しました。全体を平均すれば近年減少傾向で何とかA水準に収まる状況にはなっているのですけれども、そこに黄色いバーで示した外部施設での労働時間、これを加えますとB・C水準規模になってしまうというところであります。まず自施設の勤務状況ですが、右の図を御覧いただければと思うのですが、総合周産期の全国のうち17の施設、11%ではB・C水準を超える状況になっています。右側のカラムなのですけれども、常勤医師、非常勤医師、分娩数をそれぞれ示してありますが、A水準に収まる施設、またB・C水準以内にある施設と比較しますと、このB・C水準を超えている施設は明らかに医師数が少ないのです。つまり、医師不足により長時間労働になっていると言うことができます。これが実際MFICUなど総合周産期は維持しなければなりませんけれども、そのためには夜間2人程度の当直が必要になりますが、1名しか確保できない施設が幾つも出ておりまして、御承知と思いますけれども、6個の自治体で実際にこのMFICU加算の返納ということがもう起こっています。ですから、崩壊状態に近いということです。地域周産期も同様、13.7%が医師が非常に少ないということで長時間になっています。一般病院なのですけれども、12%で69の施設がこのB・C水準を超えておりますが、ここは医師が少ないだけでなく分娩数も少ないのです。2年前ですか、3年前になるのか、厚生労働省でお出しになった統廃合を検討すべき公的公立病院というものがありましたが、その中で産婦人科のある施設は全てここに入ります。これが現状ということであります。
 一方、外勤の問題でありますけれども、左の中段に示したように、全ての医療施設で、非常勤医師が6~7割雇用されているということなのです。そして、その非常勤医師を雇用する施設が行っている分娩数は年間の出生数の70%に及ぶのです。現在はA水準を満たせばいいかもしれません。B・C水準を満たせばいいかもしれませんが、2036年にB・C水準がなくなるわけですので、そうしますとこの非常勤医師が確保できず、ここの分娩が行えなくなるリスクがあることをよく御理解いただきたいということです。
 次ですけれども、これは私たちも別に手をこまねいているわけでありません。可能な限りの努力はしております。現在いろいろ検討されているのは、この分娩を取り扱わない施設をいかに活用するかということで、妊婦健診であるとか産前産後の管理、こういったものができないか。あるいはこれは分娩を今後休止する施設でも、こうした産後の管理、産褥管理を積極的にやることで、そういった施設を活用していけるのではないかと思います。また、これらは全く現在支援されていない事業でございますので、こういったことへの支援、それから、現状行われている産後ケア、これをもう少し充足していただく必要があろうかと思います。
 先ほども話があったセミオープンシステムであります。オープンシステムを実際にうまく使ってうまくいっているところはほとんどないと思います。ですから、全国でやられているのはおおむねこのセミオープンということです。自分の施設で分娩する妊婦のうちローリスクを連携施設にお願いするというもので、これはうちの例を挙げましたけれども、3~4割の妊婦が連携施設で健診を受けて、これはもう時間的に我々を非常に助けてくれます。そして、医療が標準化していくことでうちにハイリスクが集まって帝王切開率が非常に上がり、南多摩というのがうちの地域なのですけれども、かつて東京都のお荷物であった周産期死亡率が高かった地域で、現在では水準を下回る状況になっているところであります。
 次が最後になりますけれども、これは医師の労働負担を軽減する院内助産でありますが、なかなか進行しておりません。もう少しこの辺も活性化、推奨していただければと思いますが、院内助産システムは結局助産師がローリスクの分娩を大部分やるというものですが、当直医を置かなくていいことにはなりません。ですから、これはあくまで労働負担を軽減する策で時間の軽減にはなりません。一方、助産師外来、これは医師が見るべき外来数が減りますので、明らかに時間短縮につながるシステムです。こちらのほうが少し普及状況はいいようですが、こういったものをぜひ推進していただきたいと思います。
 私からは大体以上で、その後にあります資料はそれをまとめたものですから御覧いただければと思いますけれども、周産期を代表して言わせていただければ、僕らの前にあったはずの地域医療構想と医師の偏在対策、この道が今はぼやけて見えなくなっているのです。我々は断崖絶壁に立たされているようで、働き方改革が私たちの背中をそっと押してくる、そんな心境なのが周産期に関わる医師全員の思いでございますので、よろしく整合性の取れた改革をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、小児医療につきまして、平山参考人からお願いしたいと思います。
○平山参考人 よろしくお願いします。小児科は小児科学会と小児科医会を代表しまして、平山から説明させていただきます。
 まず、冒頭の小児医療のところで、少子化が進んで子供の数が減っているということがあるのですけれども、小児科医が増えていると。ただ、そういう中で、子供に対するケアは非常に多様化していまして、児童虐待、不登校、発達障害とか、保健、福祉、教育の対応も小児科医が中心に行なっています。今回の検討会は医療だけに特化していますので、小児科医がやることはここで説明できることは少ないのですけれども、その辺を御考慮いただいてお聞きいただければと思います。
 1枚目ですけれども、これは小児科学会が2000年代ぐらいに最初に提唱しました医療提供体制ですね。左下に中核病院、地域小児科センター、地域振興小児科Aという分類がありまして、中核病院小児科というのは三次医療圏に1つ必要、それと地域小児科センターは二次医療圏に1つ、それ以外でという形で地域振興小児科Aと定義され、現状はこのような分布になっているのですね。左上に示していますけれども、2005年に調査した中では、全国の小児科の病院医師数が1人から3人と非常に疲弊したような状態の中での病院が多く、これを集約するような形で3類型に持っていく努力がなされたことによってかなり改善してきたということです。入院・救急の集約化をする、あるいは救急・入院医療の広域化等を進めながら非常に良質な形に持ってこられた。右の下に全国94.3%は60分以内に到達できる分布に今はなってきている状況があります。
 次のスライドをお願いします。これが医療計画と、先ほど言いました上のほうに3類型の基準、定義的なものが示されております。ここの中核病院、地域小児科センター、地域振興、この3つと厚労省の分類の仕方は実は違っていまして、バーの下に小児中核病院、小児地域医療センター、地域支援病院が示されているように、この分類のかなり不一致が起こっている。求められる機能と規模の不一致のために要件を満たせない施設、この辺の整合性が取れるような形で小児医療提供体制を持っていく必要があると、少し問題提起をさせていただいています。
 その次の資料をお願いします。7次の中間見直しのときに、全国的に小児医療協議会というものがつくられていないところが指摘されました。周産期部会はそもそもあるのですけれども、ない現状がありまして、その辺りを整備する必要があるということを提唱されて、その後、現状どうなっているかということの調査の結果、これを受けてもまだ1回しか開催されていない、全然開催されていない、設置されていないというのがかなりの部分で見られるということです。それと、その医療協議会の在り方です。周産期と非常に関わりを持ちますので、これとの連携は3分の2ぐらいでなされているのですが、地域医療構想との連携は3分の1しかなされていない現状があります。小児医療に対する協議会の構成は、非常に多岐にわたる議論が必要になってきますので、いろいろな分野の人材を活用して包括的に行う必要があるのではないかということで、まだまだ小児医療協議会は機能していない状況にあるということが言えます。
 次、お願いします。先ほど周産期での中井先生のお話もありましたし、冒頭にもありました、小児の在宅医療的ケア児ですね。今、これは爆発的に増えております。特に呼吸器をつなげる重症な医療的ケア児が特に増えている状況があって、このケアが非常に重要になってくると。さらに、もちろん在宅で疲弊した家族をいかに助けてあげるかというレスパイトとか、こういうものは整備をする必要がありますので、この辺も小児科医が対応していく必要があるということが考えられると思います。
 次、お願いします。#8000、子ども医療電話相談事業、これは最初のほうに説明があったと思うのです。この認知度というのは、左の上に書いてありますけれども、就学前の子供を持っているお母様方、御両親は7割ぐらい周知されてきたということはあるのですが、実際にまだまだ課題があるということで、応答率の問題等は冒頭でもお話があったと思うのですけれども、これを改善するのにウェブを活用した右のような情報提供とか、こういうものを利用することによってそれを補完することができないかということで提示させていただいています。
 その次の資料をお願いします。これは外因系の疾患、つまり小児内科以外の外傷、熱傷とか外科系疾患について示しています。こういうものの電話相談、これは千葉のデータなのですけれども、増えている、4割ぐらいあるということです。実際に外因系の一次救急で扱える施設が、千葉では17施設のうち6施設しかできない。つまり、この辺の対応ができない施設はまだ課題としてありますので、この辺の体制を整備することも含めて、これも小児医療協議会等で話し合っていく必要があるのではないかということで、示させていただいています。
 その次の資料をお願いします。これに関して新型コロナ、もちろん新興感染症に関することで、小児医療はまた独自にこういう新興感染蔓延期に感染症診療のみならず通常診療を維持できる体制が必要、平時よりこういうものを検討していく必要があるということで提示させていただいています。それと、こういう新興感染症が爆発することに対して、かなり逼迫するわけですので、入院調整とかこの辺を、今、災害時小児周産期リエゾンとか、そういう指定ができてきていますので、こういうものを中心として常日頃対応していく必要があるのではないかということで提示させていただきました。
 その次、これはICTの活用の例として千葉県の例が出されておりますけれども、外房こどもクリニックはオンライン診療でかなり広域にカバーをしていますということですね。慢性疾患の診療、あるいは新型コロナの流行した時期で病院での感染を避けたい等の理由で活用されたということです。疾患にある程度偏りはあるのですけれども、優位点としては距離に関係なくアクセスできるという利点もありますし、オンラインは感染暴露をせずに使えますので、ただ、反面、もちろん処置とか、聴診とか、そういうことはできませんので、対面の確保というある一定の回数は対面で見る必要があるということで、これも小児医療、かなり広域にカバーする必要がありますので、その辺のアクセス等も含めてこういうものを一部活用していく必要があるのではないかということで提示させていただきました。
 その次、これは小児科医の活動範囲ですね。冒頭に申し上げたのですけれども、これは小児科専門医を対象に調査した3,559名、専門医の21%ぐらいが答えています。一般的に主たる活動分野は一般小児診療、二次・三次医療ですね。新生児というのが8割であることが分かっているのですけれども、左の円グラフですね。全てのエフォートを考える上で61%はそれ以外のことをしているのです。行政・地域の社会活動をはじめ、学校保健、障害児在宅医療、健診、多様な分野の活動をしている。こういうことが分かっています。ですから、計算しますと、専門医1名当たり2.6機関で勤務して4.6分野で活動している形になるということであります。また、周産期でも出てきていますが、この後述べますけれども、新生児医療というのは基本的に小児科医がかなりの部分をやっていますので、この辺の役割を重要視する必要があると思います。ですから、小児科医師は一般の医療以外のことももちろんあるのですけれども、かなりの広範囲の役割を多重にやっている現状があるということです。
 次、お願いします。これは周産期の先ほど中井先生が示されたものと重複することがあるのですけれども、新生児医療に関わる医師数、労働の苛酷な現状を見ているわけですね。日本の新生児医療はざっくり3,600人の医師が支えているということです。これを見ますと、総合周産期では平均8.2人、地域周産期では5.9人という形で役割を担っていると。その左の中ほどのところで、これはどの医師が担っているかという分類なのですけれども、総合周産期で7割、地域周産期で4割が専攻医も含めていわゆる新生児専門医関連が担っていますが、それ以外は小児科専門医、小児科専攻医その他の者の役割で担われているということですね。ですから、新生児医療というのは新生児専門医関連の医師だけでは提供できない現状があり、大部分は小児科医が担っています。周産期・新生児医療で苛酷な現状は先ほど中井先生も示されたと思うのですけれども、この辺も小児科医がかなりの部分の役割を担い、過度の時間外労働を新生児医療を行う小児科医に強いられている現状があります。
 次、お願いします。小児科医が様々な社会インフラを支えているのですけれども、それらを小児医療体制で構築された病院群が社会インフラを支える根幹となっていますので、人材供給システムをうまく回していくということで、少ない小児科医師を活用していくというのを図として表しました。保健、福祉、教育など、医療と関係ないところで役割がいっぱいありますので、この辺を若手からベテランまでうまく支える形にできればということで示されております。
 次、お願いします。あとは3枚ほどまとめさせていただいているのですけれども、8次医療計画の提案に当たっては、小児医療圏あるいは小児救急医療圏、この辺を一本化するというのを先ほど冒頭で説明されたと思うのですが、それと一つの医療機関で中核、地域医療センターの医療機能を担うことが難しい地域も出てきますので、複数の機関がうまく連携することで機能分担する必要があると。小児医療機能の役割というのは、医療だけではなく福祉、保健、教育がうまく連携するような形で機能するような配置にならないといけませんので、この辺を意識した形で進める必要があるだろうということです。
 医療的ケア児に関して、いろいろなところでの支援体制、特に今はケアコーディネーターですね。こういうものの育成は非常に重要になっていますので、レスパイトとかこの辺の医療体制の整備につなげていく必要がある。
 その次ですね。これは協議会に関しての充実ということで、先ほど述べたような内容です。外傷、熱傷、この辺に関することも協議会で論議していく必要があることと#8000についても説明させていただきました。
 その次、お願いします。新興感染の医療体制は、蔓延期においても平時から検討し、体制整備をしていく必要があると。
 また、働き方改革は小児においても担っていく必要がありますので、この辺も加味しながら、小児科医師をいかに維持していくかが重要と考えております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ただいま3人の参考人の先生から大変重要な御指摘、あるいは厳しい問題提起もいただいたかと思いますけれども、事務局の御説明の内容及びただいまの3先生からの説明内容につきまして、御意見、御質問等があればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 織田構成員、お願いいたします。
○織田構成員 ありがとうございます。救急医療とへき地医療についてお聞きしたいと思います。
 41ページの救急医療のところですけれども、これは重要な論点を御議論いただいていると思います。そういう中で、1つ目の○の1つ目のポツになりますが、高齢者の救急搬送への対応ということで、今後二次救急医療機関の受入れを推進するということがあります。現在、二次救急の多くが民間病院なのですけれども、基本的にこれは財政支援もなくて、ほとんど自助努力で維持しています。さらには働き方改革も入ってきますと、今後、逆に後退する可能性があります。そういう意味では、この医療計画の中でどのような位置づけをするかということと、今後、三次救急医療機関とともに二次救急医療機関の重要性をぜひ強く打ち出していただきたいということです。31ページに救急医療の現状と課題というイメージ図があります。二次救急医療機関を真ん中に置いて、これはいいのですけれども、この中で二次救急医療機関はどちらかというと地域に密着型で、三次救急はどちらかというと広域型ですので、密着型のこの二次救急医療機関が出口問題等についても解決の糸口になるのだろうと思います。ですから、二次救急医療機関への財政的、人材的支援に資する議論を深めていただきたいと思います。
 2点目はへき地医療の医療体制についてですけれども、参考資料3の最後の20ページに指標例が書いてあります。オンライン診療については本当にこれから重要になるだろうと思います。救急医療も、周産期医療も、へき地医療も、オンライン診療に関しまして、今はiPhoneなどのスマートフォンでもどんどん使えるようになってきていますので、今後さらに進めていただきたいと思います。そのような中で診療から投薬・服薬指導の一気通貫したシステムを今後どうやってつくっていくか、そこら辺をお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 御意見ではなく御質問ですね。織田構成員、コメントをいただきたいということですね。
○織田構成員 救急医療のところは二次救急医療機関をどのように位置づけるかをもう少しはっきりとしていただきたいということで、これは意見でも結構です。へき地医療に関しては今後服薬指導も含めた体制をどうやってつくっていくのかをお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 これはどなたに対してでしょうか。これは小谷参考人でよろしいですか。
○織田構成員 小谷先生、よろしければ。
○遠藤座長 では、小谷先生、もしコメントがあればよろしくお願いいたします。
○小谷参考人 まさに大事なところであります。へき地には薬局が近くにない場合も見られます。オンライン服薬指導に積極的な薬剤師の先生方もおられます。先ほど自治体の役割を強調しましたけれども、これは、一診療所や一病院の一存ではなく、オンライン服薬指導もセットで提供できるように、都道府県のような大きな枠の中で検討し、計画的に進めていくところが必要なのではないかと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 織田構成員、いかがでしょうか。
○織田構成員 遠隔診療、オンライン診療はこれから重要になると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 櫻木構成員、お願いいたします。
○櫻木構成員 参考人の先生方に本当に御丁寧で分かりやすい御説明をいただき、ありがとうございました。日本精神科病院協会の櫻木です。救急と災害と周産期について御質問をさせていただきたいと思います。
 まず救急なのですけれども、これは医療計画の中で精神科救急と一般救急の連携のことがずっと取り上げられています。具体的に言うと精神疾患あるいは精神障害をお持ちの方が身体合併症のことで救急の医療を利用される場合、もう一つは精神疾患等がおありで自殺企図があって受傷されるとか、あるいはオーバードージングなどの問題で救急の医療をお受けになる場合があると思うのですけれども、特に精神障害あるいは精神疾患をお持ちの患者さんが身体合併症で救急医療を利用する場合に、なかなかそこが円滑に進まないケースがあります。以前に消防庁から一つは大阪方式というのですか、精神科医が救急の情報センターでトリアージを行っていく形があったり、あるいは山形方式といったのですか、記憶ははっきりしませんけれども、一旦精神が受けて、トリアージをして、身体合併症の治療になるというように、様々地域によっては取組が行われているようなのですけれども、全体的に精神科の救急と一般救急の連携についてどのように今後進めていくと考えておられるのか。これは事務局に御質問したいと思います。
 2番目の災害のことです。DPAT、今回お示しいただいたように新型コロナウイルス感染症に対する活動、これもDPATでやっています。特に蔓延時に精神科の医療機関などでクラスターが起こったようなケース、これはかなりDPATが活躍するというか、有効に活用されている状況があります。ただ、一面、これもお示しをいただいたように、DMATと比較するとそういった新興感染症の蔓延時におけるDPATの活動、これが行動要領の基本方針で明確になっていないことがあって、幾つかの問題点が実際の現場で起こっているという報告を受けています。救急のワーキンググループで我々のところの野木副会長も御指摘になりましたけれども、活動中に感染を隊員がしてしまった場合、実際に感染するあるいは濃厚接触になるというと、自分の職場に戻って一定期間仕事ができないわけですが、その辺の問題が具体的にはあったということですけれども、活動要領の中で明確化していくことについてお考えを、これも事務局になると思いますが、お願いをします。
 もう一つ触れられていました災害拠点精神科病院の指定です。これも令和元年から指定が始まったと記憶をしていますけれども、全く進んでいない県が7県あるという御報告がありました。これに関してはヒアリング等で原因についても分析をされているようですけれども、例えば具体的に難しい部分に関して国として何か進めていくために方策を考えておられるかということですね。一つは指定要件についてのスライドもありましたけれども、災害拠点精神科病院の場合には災害時に患者さんをトリアージするためにかなり広いスペース、これが必要になってくるということで、例えば総合病院の精神科などではなかなか受けにくいということがあろうかと思います。ただ、どうも都道府県レベルでは公的病院をまず指定をしてということになってくると、スペースの問題でなかなか進まないということも聞いておりますけれども、その辺についてお願いをしたいと思います。
 周産期のほう、これは中井参考人からも御説明がありましたけれども、メンタルヘルスケア、このことがかなり重要になってきています。第7次の医療計画のときにも妊産婦さんの自殺の問題が取り上げられて、産後鬱に関して、第7次の医療計画のときに取り上げられたわけですけれども、具体的に第7次の医療計画の中でどのように進捗しているかをお伺いしたいのと、第8次の中ではどのように今後進めていくというようにお考えになっているのかを教えていただきたいと思います。
 それから、ハイリスク妊婦の中に精神疾患あるいは精神障害をお持ちの妊婦さん、これの問題があろうかと思います。これもなかなか古くて新しい問題というか、解決がなかなかついていないのですけれども、そのことについて8次の医療計画の中ではどのように考えておられるか。
 以上、お教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 いずれも事務局への御質問ということでよろしいですか。
○櫻木構成員 結構です。
○遠藤座長 事務局、コメントをお願いいたします。
○中村室長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 まず、精神科の精神科救急への対応についてなのですけれども、こちらはもともと医療計画の中では5疾病のところで身体合併症や精神科の救急などの事項について記載をさせていただいているところでございます。こちらは現在精神・障害保健課において精神科救急の中での身体合併症の対応については検討中ということでございまして、今、総合病院の精神科などでの対応について研究を行っているところでございまして、精神のところの記載と救急のところの記載は今も両方に記載をするような形で連携して行っておりますので、今後とも情報共有しながら行っていくところでございます。
 次に、DPATですね。感染症のときのDPATの活動が基本方針に明確になっていないということにつきましては、こちらは基本方針の中で明確にしていく方向で検討しているということでございます。その活動においての感染症での補償などに関しても協定を結んで、その協定の中に活動中の保険のことについても、一緒に保険で感染したときにどうするかということまでも含めて対応するような方針で考えていると聞いております。
 災害拠点精神科病院においての指定はこれからどんな形で進んでいくかということなのですけれども、こちらはもともと指定がまだ決まっていないと答えた都道府県に対して現在ヒアリングで詳細を聞いているところでございまして、各県に聞きますと、結局対象となるような医療機関の建て替えの時期に重なってしまって、建て替えの時期になるところを精神科の拠点病院として指定するのかどうかということも問題として都道府県から聞いているところでありまして、引き続きヒアリングして、どんな方法があるか、都道府県と連携をしてやっていくということでございます。
 続いて、周産期のところについて、産後鬱について、第7次医療計画においての進捗状況についてですけれども、申し訳ないですが、御質問の趣旨をもう一度いただければと思います。
○遠藤座長 櫻木構成員、補足をお願いします。
○櫻木構成員 例えば地域で協議会をつくるとかという項目が入っていたと思うのですけれども、一つの切り口としてはそういうことかと思いますが、それは分かりますか。
○中村室長 協議会につきまして、先ほど資料の中で、メンタルヘルスの関係者であるだとか、そういったことがまさに今は協議会の中で明確に入れることになっておりませんので、第8次計画の中での対応の方針としましては、都道府県の周産期医療の協議会のメンバーの中にメンタルヘルスに対応する関係者を入れて、そこで地域の中で妊産婦の産後鬱とか、そういったことへの対応も含めて御検討をしていただく体制をつくっていくことは有用ではないかということを勉強会の中で中井先生たちも含めて検討しているところでございます。
○遠藤座長 櫻木構成員、いかがでしょう。
○櫻木構成員 産後鬱のことはかなり深刻な問題と我々は受け止めています。妊産婦さんの死亡の第1位の原因が自殺ということになっていますので、これはかなり深刻な問題だと思うので、心もとないような気がしました。
 それと、精神科救急と一般救急の連携ということで、必ずしも精神科救急という形で精神疾患が急性増悪したようなケースというよりは、むしろ精神疾患は安定しているのだけれども、身体的な急性の病気が起こったということに関しての対応が現場ではうまくいっていないようなケースがあって、例えば大阪とかでは個別にローカルルールというのですか、都道府県で対応しているようなこともあるのですけれども、国としてその辺はどのようにお考えになっているかということです。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○中村室長 お答えさせていただきましたように、精神科救急の8次計画においての対応につきましては、現在検討をしているところでございまして、先生からいただいたような御意見、その地域の実態とか、そういった御意見等も踏まえまして、必要に応じて検討させていただきたいと思っております。
○遠藤座長 櫻木構成員。
○櫻木構成員 なかなか十分なお答えとは思いませんでしたけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 お願いいたします。
○杉山参考人 参考人の日本産科婦人科学会の杉山でございます。
 櫻木構成員からの御質問ですが、国も産婦の健診に注力しており、各自治体で産後の2週間健診、4週間健診を公費負担による健診を実施するよう進めておりますので、これが各自治体で進んでいます。それから、各周産期医療協議会においても、実際に産後2週間、4週間に産後鬱に対するスクリーニング検査をして、ハイリスク産婦を精神科にどのようにつなげるか、各自治体における周産期医療協議会で考えているところでございます。現時点で定量的な部分やエビデンスは示せませんが、間違いなく進んでいるということは紹介させていただきます。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 事務局、何かありますか。よろしいですか。
 櫻木構成員、よろしゅうございますか。
○櫻木構成員 杉山先生、どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 佐藤構成員、お願いいたします。
○佐藤構成員 座長、ありがとうございます。地域医療計画課に2つほど質問でございます。
 まず、第6次、第7次の医療計画の中で、災害医療は災害拠点病院とDMATとEMIS、3つの整備が基本的な方向性でございましたが、本日は災害拠点病院とDMATについての訓練や財政支援及び今後の取組が示されております。EMISが今回示されていないのは、既に整備されたという理解でよろしいのかもしれませんが、連絡網とかこういうものに重要なのは、メンテナンスされていて、必要なときに必要な機能をするかが問題になると考えます。したがいまして、メンテナンスや訓練についてどのように対応しているかを教えていただきたいと思います。
 もう一点です。106ページ、小児医療の体制の中で、一次小児医療で書かれている中で、歯科ではいわゆる小児歯科医療については小児科医におつなぎする、もしくは場合によっては、一次・二次支援病院に情報提供する、受診勧奨を行っていただく等々の役割を持って、医療連携であったり、地域でのシステムの中で機能してまいりたいと思っています。今回この小児医療の体制の中で小児歯科医療はどのように位置づけられているのか、事務局の御見解を伺いたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、よろしいでしょうか。
○中村室長 ありがとうございます。
 まずEMISについてでございますけれども、こちらは災害の対応のシステムとしまして非常に重要なものと認識しております。自治体においても災害が起こったときに医療機関の状況を把握するのにEMISを活用しておりまして、そちらについてのメンテナンス、訓練、使い方などについては、現在もEMISをこれからどう活用するかということを厚労科研などでも研究を続けているところでございまして、決してこちらは議題として入れていないということをもって既に完成したと考えているわけではなくて、引き続きアップデートは続けていくべきものと認識しております。
 続いて、御指摘いただきました小児の体制図についてでございますけれども、こちらは2020年の医療計画の見直しの際の検討会においても御指摘をいただいたところでございますが、こちらは連携の必要な対象を全て網羅しているものではございません。小児の医療におきましてもちろん連携が必要と考えられる歯科でございますけれども、それ以外にも周産期医療や在宅医療などそれぞれとも連携が必要であると思っております。これら連携が必要と考えられる全てを体制図の中に横断的に記載しているものでないことについては御容赦いただければと考えております。ただ、もちろん歯科との連携は重要だと考えております。
○遠藤座長 佐藤構成員、よろしいでしょうか。
○佐藤構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 では、各事業について1つずつ質問と意見ということでお願いします。
 まず救急医療の41ページの論点の中で、在宅医療とACPが進んでいるということに関連して、救急車をACPの合意が取れている人に呼んでしまった場合に蘇生をやめることができないという問題があって、家族の人がこの後に蘇生をやめてくださいと言っても結果的に蘇生をして救命センターに連れていく現象が起こっていて、これの対策は消防庁と厚生省との協議の必要なことだと思います。そういったことについて、今、議論が進んでいるかどうかということで御質問です。
 2つ目、今度は災害医療について、63ページですけれども、この災害医療の議論の中で病人船のことについての言及がありません。今、病院船は内閣官房に準備室までつくられて、どういう対策が取られようとしているのか、まさに検討しているところだと思うのですけれども、この病院船ができるできないで災害医療への対策は大きく変わるのではないかと思います。そういった意味ではこの中でせめて進捗の報告などをしていただくほうがよいかと考えます。今、進捗が分かればぜひ教えてもらいたいと思います。
 3つ目、へき地医療ですけれども、これは小谷先生のプレゼンの中で出てきた20ページの指標の中のアウトカムの話なのですが、アウトカムにへき地医療をつくるのはなかなか難しいというのはよく理解しております。私は指標作成の研究班を長年やっておりますので、このアウトカムの設定が非常に難しいことも理解しています。その中で今回、満足度についてアウトカムとして設定できるかという御質問があって、今までは満足度はアウトカムだけでなくストラクチャー、プロセスも含めて指標にしていないという状況でして、それが客観的に測定できる数字とはなかなか評価しづらいことがあって今に至っております。ですから、そのほかにアウトカムになるようなものがあれば望ましいのですが、今、感染症のアウトカムなども検討しておりますけれども、こういった政策中心になるようなものはなかなかアウトカムの設定が難しいという問題点がございます。もし小谷先生から御意見があればと思います。
 4つ目、産科の周産期のことについてですけれども、出生数の減少が著しく進んでおります。資料にありましたけれども、昨年81万人まで減っております。これは4年ほど前に人口動態統計で予測した数字でいうと8年先の数字なのです。それが4年間で達成されているということで、急速に少子化がスピードアップしております。さらに婚姻数も2割というオーダーで減っている状況の中で加速していくことがございます。今、産婦人科の医療の中では大変苦しい状態だということはよく理解はしているつもりなのですが、その中でも急激にこれだけ予測を外して少子化が進んでいくことに対して、どのようなことを考えておられるかということを、事務局か、これは学会の先生でお答えいただければと思います。
 最後、小児ですけれども、在宅小児の問題についてあまり議論がなされていないように思いました。これは中間見直しの際に小児の在宅医療をもっと頑張らなければいけないと指標に結構入れた経緯があって、それが今回は全然、論点の中でもあまり見られない状況の中で、学会の先生のプレゼンの中では一部出てまいりましたけれども、急に温度が下がったように感じました。この辺について今のお考えがあれば教えていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 どなたにというところ、確認させていただきますが、救急と災害については事務局についてのお尋ねだと理解してよろしいですね。
○今村構成員 はい。
○遠藤座長 へき地のアウトカムを満足度以外にも考えるべきではないかということ、これはどなたに対する。
○今村構成員 これは小谷先生ですね。
○遠藤座長 分かりました。
 周産期については、これは中井先生でよろしいのでしょうか。
○今村構成員 はい。
○遠藤座長 小児の在宅医療については。
○今村構成員 これは事務局です。
○遠藤座長 分かりました。
 では、事務局からお願いいたします。
○中村室長 まず、ACPについて、途中で蘇生をやめることができないという問題について、消防とどんな調整ができているかということなのですけれども、こちらについては救急のワーキンググループの中でもまさにACPの取組についてのプレゼンテーションを消防庁からしていただいたほか、消防の中でこれが現場でどんな運用をされているかということについて御報告いただくなど情報を共有いただいて、消防と厚労で協力をしながら検討するということを進めているところでございます。
 続いて、病院船についてなのですけれども、こちらは先生のおっしゃったように今月から内閣官房に船舶活用医療推進本部設立準備室というものが設置されておりまして、こちらの中で災害医療の全体の中での病院船の位置づけや船舶の保有の方策であるだとか、平時の活用方法や自衛隊艦艇を活用した医療活動訓練、災害医療における民間との連携強化に係る検討などについて検討が進んでいると承知しておりまして、各関係省庁との連携した会議というものも行われているところでございます。適宜内閣官房の状況などを見ながら、こちらについても必要に応じて検討をしていきたいということで考えているところでございます。
 先に在宅小児のところについて御回答させていただきますけれども、こちらについては在宅医療に関するワーキンググループを別途設置しておりまして、その中で小児に対する在宅のことについても議題に上げて、そちらで検討を進めていくこととしております。
 事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、へき地医療に関しまして、小谷先生、何かコメントはございますでしょうか。
○小谷参考人 健康に係るハードアウトカムについて、私どもも寿命や死亡に関して検討はしているのですが、さらに継続的に検討させていただきたいと思っております。現場や地域住民への影響にも配慮しながら、また先生方にも教えていただきながらということで、よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 それでは、周産期につきまして、中井先生、よろしくお願いします。
○中井参考人 まず、今、全国の分娩がいろいろな機能の施設で行われています。およそ50%が診療所、そして周産期母子医療センターが25%、一般病院が25%という比率なのですけれども、機能ごとに考え方がありまして、高度な医療を提供する周産期母子医療センターでは、分娩数がどんどん減ってきますと非常に医療効率が悪くなります。ですから、周産期センターに関しては、あるいは大きな施設に関しては、集約化と重点化が対策として求められるのではないかと思っております。一方で、本当にへき地とはいきませんが、地域医療を支えているのは、分娩取扱診療所が非常に人口密度の低いところなどで多く分娩しているというデータは手前どもで持っておりまして、その辺、現在、先ほど小児科で出たアクセスの時間、グラフがあったと思うのですが、産婦人科では既に4~5年前ですか、アクセス状況を調べまして、一次施設も含めたアクセスはたしかもう98%か99%ぐらいで1時間以内に到達できるというもので、周産期センターですと1時間以内が90%ぐらいになっていたように思いますけれども、それがさらに集約化することで悪くなるとは思います。そこについては、例えば妊婦さんのための宿泊施設であるとか、事前にそういった大きな施設が必要になる妊婦さんに関してはそういった施設のそばで滞在していただくなどの対応が今後求められていくのではないかなと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 よろしくお願いします。
○杉山参考人 日本産科婦人科学会の杉山です。
 画面を共有させていただきたいと思います。これは日本産科婦人科学会につくっていただいた資料(日本産科婦人科学会会員の年齢別・男女別・施設別分布の推移)です。2014年の調査ですから、現在は8年進んでいることになります。赤色が女性医師で、青色が男性医師です。産婦人科医師の高齢の部分、現在の60歳以上はほとんど男性医師であることがわかります。また、現在の70歳以上の診療所に所属する男性医師の多くは依然分娩に携わっています。今後5年で著変はないにしても、10年後、15年後といった長期的な視野に立ちますと、徐々に減少する診療所数に伴い、高齢産婦人科医師が分娩に携わる割合が減少し、女性医師の割合が著増することが予想いただけると思います。現時点で60歳未満の女性医師が約50%ですので、10~15年後を見据えますと、出生数は減少しますが、24時間365日分娩を支える医師に占める女性医師が多くなりますので、マンパワー減少につながることは事実です。中井先生が周産期医療の説明の部分でお示しになりましたように、晩産化現象、偶発合併症の増加、妊産婦のメンタルヘルス上問題のある妊産婦を含めた社会的ハイリスク妊産婦の増加等を鑑みましても、まだまだ厳しいということを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 今村構成員、よろしゅうございますか。
○今村構成員 ありがとうございます。
 2点、病院船についてはお答えいただいたので状況は分かったのですが、いかにも今の災害の議論とオーバーラップした内容の議論だと思うので、ぜひ連携を取ってやってもらいたいと思います。
 出産数が減っている件、両先生からの御説明でよく分かりました。ただ、これは7次医療計画をつくったときには今頃90万人まで減っているけれどもどうしようかと言っていたのが、今は80万人まで減っているという、1割減のはずが2割減になっているという、この予測を外して進んでいる事態が今までに比べて状況をより早く変え、変わろうとしているので、その点については今後の際にぜひ留意していただきたいと思います。
 今村からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 お待たせしました。大屋構成員、よろしくお願いします。
○大屋構成員 全国医学部長病院長会議の大屋でございます。それぞれについて御質問とコメントをさせていただきます。
 救急ですけれども、高齢化を迎えて救急搬送患者さんが劇的に増えて、劇的とは言わないかもしれないですけれども、大きく増えているということで、相当どこの救命救急センターも非常に多忙を極めているのだろうと思います。この中で、もちろん体制を整備するところも非常に重要なことで、既に議論はされていると思うのですが、ちょうど28ページにあるような高齢者が結局救急搬送されて病院、救命救急センターや急性期病院にやってくるというところの前に、しっかりと地域で支えておけば、そして、早期に患者の変化を見ておけば、そこまで運ばれないような体制が取れるのではないかと思います。28ページ、また、29ページでは議論されてはいるのですけれども、そこまで議論のポイントに入っているように見えなかったので、改めてこのような地域包括ケアやプライマリーケアといいましょうか、地域での高齢者をしっかり見ていくという体制の中で救急を支えるということについては、事務局にお願いしたいのですけれども、どのような方向性を取られてワーキンググループに依頼されているのかが1点目です。
 そして、2点目、災害に関しては徐々に体制が整備されてきているということで、我々もDMATの隊員をたくさん出しているので、それなりに理解はしていて、それで一つ、これは要望になりますけれども、確かにDMATが仕事をする際にいろいろ都道府県から具体的に、これは沖縄の事例を出されていますが、いろいろな取り決めをして安心して働けるような状況ができてきたのは理解しております。さらに法制化も含めて災害対策を取っていただくということはぜひ進めていただきたい。これはコメントなのですけれども、ただ、DMAT隊員を育成するということは、完全に病院の持ち出しだったりとか、個人のモチベーションに大きく依存しているということになっています。そう思うのですが、これは結局は地域を守るということ、国土を守るということ、国民を守るということで、非常に社会性が高いということなので、放置ではないですけれども、これは病院の努力に任せるのではなく、ぜひ都道府県レベルなり国の支援なりで育成のところからしっかりとサポートいただければと思いました。
 次は地域でございます。地域、へき地でございますけれども、今日はお話の流れでどうしてもオンライン診療が中心になってきたような気がしたのですが、本来はへき地で働く医師をどう確保するか、その医師たちのキャリア形成をどうするのか、継続的に働いてもらうにはどうすればいいのか、また、へき地支援病院がどのようにサポートすればいいかというほうが中心ではないかと思ったのですが、事務局、それでよろしいのですねということで、2番目は小谷先生に御質問なのですけれども、オンライン診療となりますと確かに支援病院と診療所との間のオンライン診療とD to PやD to D、D to P with Nというのはあると思うのですけれども、実際問題オンライン診療になったら、別に地域医療支援病院でなくて、どこでも、東京からでもいろいろなところの診療ができてしまうことになるのです。そういう議論まで、どことどこを結んでというところの議論が出てくると思ったのですけれども、そこは金がかかるから補助金をもらっている病院しかしないのだと理解してよろしいのかどうか、議論がいろいろなところで出てきていると思いますので、もしよろしければ教えていただきたいということです。
 最後は小児科と産科のほうですけれども、これは本当に医者の中でも非常に大変なハードなお仕事だと思っていますし、特に新生児医療、これは小児科も産科も関わっていらっしゃるということで、現在集約や重点化、そして医師をそのような分野に向けていくということをされていると思うのですが、今後働き方改革、そして、先ほど出ていたような出産・育児等で中心になって働いておられる女性が増えてくることになったときに、その体制がしっかりと取れるのかどうかということ、十分なシミュレーションが必要だろうと考えております。本当に少人数で支えられているか、特に地方はそのような状況にあります。NICU・GCU等々、総合周産期の病院等で働いているそのような医師をしっかりとサポートしてあげるということ、そして、なるべくそちらに医師を誘導するというのか確保する対策がぜひ必要で、いろいろなところで医師不足で医師の偏在でということがありますので、そこに焦点を当てて、ぜひ指標なり統計なりを取っていき、政策的な誘導も行っていただきたいというのが私からの事務局への要望となります。なぜこれを言っているかというと、医師の総数が多いからといって既にそれを削減、医学部の学生の数を減らす、地域枠の学生を減らす、それは全体の流れからはなるほどというところはあるのですけれども、総数だけ減らしておいて非常に大変な職場の医師の確保というところの重点が少しでも甘くなると、そこに穴が空いて非常に厳しいことになるかと思いますので、ぜひそこについては御検討というか、取組をつなげていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 事務局に対する御質問ということですね。
○大屋構成員 小谷先生に1点だけ、議論があったかどうか、お願いします。
○遠藤座長 まず事務局からコメントをお願いいたします。
○中村室長 ありがとうございます。
 まず、救急についてのワーキンググループでの検討で、特に救急の前で地域での対応のことについてどんな議論がされているかという御質問をいただきましたけれども、こちらについてはまさにこのワーキングの話題の中心のところでございまして、今回の資料においては29ページや30ページなど、在宅の搬送だとか在宅医療・救急医療の連携セミナーの資料、地域包括ケアの資料を入れさせていただいておりますけれども、まさに救急医療の側の対応だけではなくて、救急を受診しないで済むような日頃からの医療やプライマリーケアについてしっかり充実させていくべきではないかであるだとか、在宅の段階で救急医療が必要か否かについて選別することによって、救急の前での対応ができるようにするべきではないかとか、そういう方向の議論をワーキンググループで実際していたところでございます。
 続いて、災害のところについてですけれども、こちらはDMATの育成などについてでございますが、現時点ではDMATを保有する医療機関においては診療報酬上のDPCの機能評価係数をつけることにおいてインセンティブというようにさせていただいているところでございまして、引き続きどのようなことができるのかは検討させていただきたいと考えているところでございます。
 救急と災害については以上でございます。
○遠藤座長 小谷先生、オンラインについて何かコメントはございますでしょうか。
○小谷参考人 大屋先生のご指摘のへき地の医師の育成と確保につきましては、医療計画においてへき地医療支援機構に対する現行指標の中にもへき地医療に従事する地域枠、医師数というのが指標に入っております。これを実現するために、都道府県はキャリア形成支援を含めて医療従事者や医療の対策を進めておられますし、私どももこの点の大事さは十分認識しております。
 オンライン診療について、都道府県境を大きく飛び越えることはできるとしても、今はまずは都道府県の医療計画として、都道府県内でしっかりとした連携体制を取ることを念頭に置いていくのがまずは適当と思っています。オンライン診療を契機として、都道府県内の医療従事者間でへき地医療事業に関して様々な連携あるいは意思疎通が進むこともあると考えます。その形を取ってもらう体制を、へき地医療により協力していただくような中核病院や大学病院の経路をきちんとつくっていくことを念頭に、へき地に関心を持っていただく機関を増やしていくということを念頭に議論しているところであります。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 まだお手を挙げておられる方が8名おられまして、司会の不手際なのですけれども、お一人のスピーチの時間を制限しなかったものですから、大体質疑応答で10分かかっております。したがいまして、終了時間が7時になってしまいますので、どうしても6時半までには終了したいと思いますので、大変申し訳ありませんけれども、御質問、御意見は簡潔に、御質問はどなたに対する御質問なのかということを明確にしていただきたいと思います。御意見をいろいろとおっしゃりたいのは分かりますが、簡潔にできるだけお願いしたいと思います。
 お待たせしました。吉川構成員、どうぞ。
○吉川構成員 ありがとうございます。私からは救急医療と災害医療について意見と事務局への質問をさせていただきたいと思います。
 まず救急医療について、救急医療において患者さんを最初に受け入れる救急外来の看護師の配置や看護体制が極めて重要になりますが、現在、救急外来は外来の一部に組み込まれており、外来の看護師、救急外来の看護師の配置に関する基準はない状況です。そのことにつきまして、資料の39ページに基本的方向性として救急外来における看護師の配置状況や業務実態を把握し、看護師の配置に関する基準等について検討して必要な措置を行うと記載されており、令和3年度の厚労科研で実態調査がされているかと思います。その結果を踏まえて、専門性の高い看護師も含めた看護師の配置に関する基準等の設定を検討することについては、非常に優先度が高い事項であると考えます。しかし、41ページの主な論点の中にはそのことが含まれておりませんので、こちらにつきましても引き続き検討を進めていただきたいという要望となります。
 災害医療について、災害時における看護師の確保や、派遣調整が非常に重要な事項となっており、資料にも記載されております。災害支援ナースは、都道府県看護協会とも連携して長年活動しており、実績も出ております。医療計画の指針の中に看護師の派遣体制について記載し、都道府県の医療計画に落とし込んで、今後災害時の看護師の派遣や、活動をより円滑に効果的に行っていくことが必要となると思いますが、医療計画への記載については何らかの検討やお話が出されているということがあるのかどうか、事務局にお伺いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、声は聞き取れましたか。ちょっとあれしましたけれども、大丈夫ですか。お願いいたします。
○中村室長 いただいた御質問は、医療計画の指針の中に看護師の派遣のことについてどう書き込むかという御質問と承知しておりますけれども、記載の仕方については、これからどう書くかということは検討していきたいと思っておりまして、現時点でどのように記載するかについてはまだ考えておりません。
 以上でございます。
○吉川構成員 分かりました。検討はされているということで理解してよろしいでしょうか。
○中村室長 医療計画のワーキンググループ自体が、まさにその指針をどのように変えていくかということについての議論の場でございますので、その中でどの部分を変えていくかということも含めた検討になるかと考えております。
○吉川構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 山口構成員、お待たせしました。
○山口構成員 ありがとうございます。
 まず、資料1の65ページと69ページに浸水対策のことが書かれています。最近50年に一度経験するかどうかの大雨ということを1年に何回も聞くようなことになってきておりまして、恐らくこの豪雨災害は今後も複数の箇所で毎年起きてくるのではないかと思います。だとすれば、第8次医療計画のところで特にこの浸水対策、災害拠点病院の中でも対策がまだできていないところが結構あるようですので、そこはしっかりと検討していただきたいということを、国としては各都道府県におっしゃっていただきたいと思います。
 へき地のことなのですけれども、小谷参考人の資料の9ページのところを見ていますと、先ほどから御説明があったように無医地区人口よりも準無医地区が増えてくる、こういうことが書かれていまして、恐らく人口的にもそうなのですけれども、私が気になっているのが、地域で住民だけではなくて開業医の方が高齢化してきている。そうすると、地域によっては後継ぎがいないということで、今は地域の医療を何とか保てているけれども、例えば5年後、10年後に閉鎖せざるを得ないというところが結構あるやに聞いています。そうすると、またこの準無医地区が増えるのではないかと思うのですけれども、そういったことも視野に入れた上で第8次医療計画の作成をする、そのための調査も必要ではないかと思っているのですが、小谷参考人にそういったことが議論の中で話題が出てきているのかどうかということと、問題意識をどのように持っていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。特に第8次医療計画は2024年からの6年間ですので、大きく地域医療がさま変わりする過渡期に入ってくるのではないかと思いますので、その辺りについてお尋ねしたいと思いました。
 最後に周産期なのですけれども、出産の高齢化とハイリスク分娩が増えているということ、それに伴って高度な周産期医療が必要ということを考えますと、分娩機関のセンター化・集約化が私は本当に急務ではないかと思っています。だとすれば、周産期医療に関する協議会にきちんといろいろな役割の方が入っていただいて、そして住民の方にもそのセンター化、アクセスに少し時間がかかるようになったとしても宿泊施設の整備などを含めてしっかりやっていくことを協議した上で、周知していく必要があるのではないかと思います。資料1の91ページを見ていますと、分娩を扱う医療機関が半減しているように資料としては書かれていますけれども、恐らく小さな医療機関が分娩をやめていっているところが多いのではないかと思いますので、医療機関の数だけではなくて病床数がどう変化しているかということもできれば事務局にはお示しいただきたいと思いましたので、そういうことが可能かどうか事務局にお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 それでは、事務局、お答えいただけますでしょうか。
○中村室長 今の最後のところでございますね。医療施設の病院の数ではなくて病床数でということでございますけれども、そちらについてはできるかどうかも含めて検討はさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 へき地については開業医の年齢の問題も含めてということで、小谷先生、何かコメントはございますでしょうか。
○小谷参考人 へき地診療所の閉院というのも実際に見られてきていて、医療継承の問題については私どもも人口が減って閉院するのもシミュレーションを含めて調べています。検討はしているのですが、有効な策がなかなかないとされますので、それを念頭に置いて対策すべきというのはご指摘の通りです。継承者確保と同時並行して、今日お話しさせていただいた巡回診療の拡充のようなことを進めていかなければいけないのだろうと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 災害拠点病院の話もございましたね。それは事務局への御質問ということでしたか。
○山口構成員 それは要望です。
○遠藤座長 要望でしたか。失礼しました。
 それでは、お答えとしては以上ですけれども、山口構成員、よろしゅうございますか。
○山口構成員 先ほど申し上げた開業医さんの継承問題については、各都道府県でもしっかりと調査をしていただいて、今後に対策を立てていただく必要が医療計画の中でもあるのではないかと思いますので、これをお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 御要望として承りました。ありがとうございます。
 お待たせしました。野原構成員、よろしくお願いします。
○野原構成員 私から救急医療、災害医療、そして周産期医療について何点か意見と要望を述べさせていただきたいと思います。
 救急医療については、高齢者の救急患者が増加している中、資料の論点に示された視点はどれも重要だと認識をしています。役割分担については、症状が軽い方を最初に診療する地域の一次救急の役割も重要と考えております。介護施設の対応に関連してACPの取組や医療と介護の連携について、現状まだ地域によって取組に差があると認識をしています。全国の好事例の紹介や横展開を進めていただければと思います。
 地域によって医師不足や偏在がある中で、ドクターヘリと同様にドクターカーについても、全国津々浦々に展開を進めるには課題もいろいろあるのではないかと考えております。医師の指示の下での救急救命士の医療処置が拡大される中で、その有効性についての研究事業の成果を大いに期待をしたいと思います。
 DMATについては、今般のコロナ禍の中で各地域で入院調整や医療体制構築に多大な貢献をいただいています。DMATは研修等の場で多機関連携や調整の訓練を受けておりまして、感染症を含む健康危機管理の場面でより活動が円滑に進むような体制整備を進めていただければと思います。災害時に大きな役割を果たす災害拠点病院の整備は重要でありまして、国による各種財政支援の仕組みもありますが、災害時には各種職能団体などによる保健医療チームによる支援活動も重要であり、こうした活動への財政支援についても充実を図っていただければと思います。
 周産期医療については、資料に示されたとおり、全国的に分娩取扱医療機関の減少が続く中で、住民や妊婦さんなどの関心も高く、岩手県でも県議会で毎回取り上げられるテーマであります。示された論点に医療機関の集約化・重点化とともにアクセス確保がございます。岩手県でも市町村と連携して妊婦さんのアクセス支援の取組を行っていますが、現状、国として、財源として国の地域医療介護総合確保基金の対象となっていない状況です。これは全国的な課題でもあり、国としての財政支援の在り方についても検討を進めていただければと考えております。
 また、産科医の増加がすぐには見込めない中、現状も助産師の役割が大変大きいのですが、今後の助産師の育成確保やさらなる活用策についても検討を進めていただければと思います。
 周産期医療は母子ともに安全な医療の提供が大前提であり、医療計画において周産期医療圏や医療機能の集約化・重点化の議論を進めることは必要と考えております。一方で、今回の小児医療、参考資料5の5ページに「安心して出産・育児ができる土地にしか人は住まない。少子化対策の切り札は、小児科対策である」という記載がございます。地方で子育て支援施策や移住・定住対策などの人口減少対策を進める中で、分娩を取り扱う医療機関や小児医療機関は極めて重要な要素であり、医療政策以外の政策における位置づけもあることについて配慮する必要があるものと考えております。医療計画上の論点でないのは承知をしておりますが、厚生労働省として母子保健や子育て支援施策、人口減少対策など、他の政策との整合の観点から、例えば当事者の皆さんや他の分野の専門家を入れた検討の場を設定するなどの取組を期待しております。
 私からは以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。御要望として承りました。
 続きまして、荻野構成員、お願いいたします。
○荻野構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。私からは災害医療について1点事務局からコメントを頂戴したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 被災地への迅速な医薬品の供給、適正使用のためには、薬事の観点から多職種、行政との連携調整を担う災害薬事コーディネーターが重要になると考えておりまして、当会といたしましても設置・養成のための予算措置を継続的に厚生労働省にお願いをしてまいりました。この7月22日付で「大規模災害時における保健医療福祉活動に係る体制の整備について」という名称で通知が発出されたところでございますけれども、この中に災害薬事コーディネーターが保健医療福祉調整本部の構成員として新たに明示をされたところでございます。実際に幾つかの自治体でも災害薬事コーディネーターの設置が徐々に進んできており、薬剤師が当該コーディネーターを担っていると認識をしております。有事における医薬品提供に係る体制整備を確実に進めていくためにも、災害薬事コーディネーターを医療計画に位置づけていただきたいと考えております。この点について事務局からのコメントをお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、よろしくお願いします。
○中村室長 コメントをありがとうございます。
 54ページに7月22日付の事務連絡を引用させていただいておりますけれども、右側には医療計画の指針、現状のものと対比して記載をさせていただいております。まさに災害時においては様々なチームが現場に入るところでございますので、医療計画の指針の中でもそれぞれ様々な医療チームと連携することについて、現状の記載をさらにアップデートする記載にしていくことについて検討をさせていただきます。その中で災害薬事コーディネーター等について検討させていただきたいと考えております。
○荻野構成員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 お待たせしました。尾形構成員、よろしくお願いいたします。
○尾形構成員 ありがとうございます。尾形です。私からは主として救急医療についてコメントを述べさせていただきます。
 本日の資料1のデータを見ますと、これは25ページから27ページのあたりですけれども、二次救急医療施設の状況についてはかなりばらつきがあるように見えます。もちろん地域ごとの状況等様々な要因はあるにせよ、相当頑張っておられるところがある一方で、必ずしもそうでもなさそうなところも見受けられるわけです。これに加えてもう一つ別の事例ですが、今回の新型コロナウイルス感染症への対応の状況を見てみると、厚労省の当初の公表データで見ますと、三次救急医療施設は90%以上が新型コロナ患者受入れ可能と回答していました。これに対して二次救急医療施設は40%程度が受入れ可能と回答していたと記憶しています。もちろんこれをもって直ちに二次救急施設が十分機能していないということではないと思いますけれども、かなりばらつきがあるのは事実であり、その内容については十分吟味をする必要があるのではないかと思います。
 その際、ここからは意見ですけれども、資料1の23ページから24ページにかけて、救命救急センターの4段階評価の資料が示されおります。私はこれは非常に重要な試みであると思います。特にストラクチャーだけではなくプロセス評価まで進めているということですが、こうした試みについては救命救急センターのみならず三次あるいは二次等、他のレベルの救急医療施設についても今後広げていくべきではないかと思います。こうした機能の評価と、診療報酬や補助金等の財政措置については、救命救急センターの事例が示しているように、本来リンクすべきものなのではないかと思っています。あわせて、このことは本日御説明いただいたほかの事業分野、例えば周産期母子医療センターや小児中核病院等、他の分野についても当てはまる話なのではないかと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 非常に重要な御指摘であり、かつなかなかハードルも高い議論でありますけれども、重要な御指摘だと思います。これについては災害と救急のほうの部会で細かい議論をずっとしてきた経緯がございますけれども、重要な御指摘だと思って承りました。ありがとうございます。
 加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 今、尾形構成員がおっしゃった二次救急の状況に関しては、ぜひとも救急災害の検討会で資料を出したいと思うのですけれども、大阪ではコロナにおいても圧倒的な数を二次救急が引き受けております。その先ほど示された割合等は二次救急の状況によって違うわけで、地域によっていろいろな理由で受けられなかった病院があるのも理解しております。このようなことをきっちりと明確に分析して対応すべきだと思っております。
 私からの質問と要望なのですが、救急災害に関してとへき地とNICUのことに関して少し御質問したいと思っております。
 まずは、これから集約化していかなくてはいけない、その代表が小児、周産期、三次救急だと思っております。逆に分散したほうがいいのが高齢者医療救急を含む二次救急ではないかと思っておりまして、その点、今回の41ページになりますが、冒頭にまとめていただいた内容は非常に大事だと認識しております。二次救急がこれから高齢者の搬送受け入れをしっかりと対応していきますが、また別な面でいよいよ三次救急の整理をしなくてはいけないのではないか、もっと三次救急を集約化していかなくてはいけないのかという状況になっているかと思いますので、それを踏まえて第8次医療計画をつくるべきではないかと思っております。
 先ほど冒頭に織田構成員がおっしゃったように、二次救急に関しては財政支援がほとんどございません。災害拠点病院と三次救急とは違うのですけれども、三次救急に関しましては58ページにあるように、ほぼこれと似たような財政支援が行われているわけです。58ページに書かれているいろいろな面では二次救急に関してほとんど全く行われていないというのが事実ですので、この点、今後しっかりと考えていただかないといけないと思っております。災害において、二次救急も頑張っておりますが、AMATに関しましても非常に頑張っております。災害の支援は、先ほどお話がありましたようにDMATだけではなくていろいろな救急医療活動支援チームがございますので、それらに対するところにもしっかりと財政支援をお願いしたいと思います。特に必要となる看護師の派遣の仕組みの中には、その派遣を行なう病院の財政支援もしっかりと書いていただかなくてはいけないと思っております。
 以上が要望でございます。
 次の2つ、まず和歌山県における遠隔医療支援システムを用いたへき地医療支援システムについて小谷先生に教えていただきたいのですが、こういったシステムが和歌山では非常に成功している事例なのですが、これを用いて全国的に同様な同じようなシステムで展開していく流れになっているのかどうかを教えていただきたいと思います。今までどうしてもシステムができますと、その地域だけのシステムに陥ってしまいまして、ベンダーが変わるとまた使えないとかが起こります。全国的な展開、先ほどもちょっと意見がありましたが、そういったものに展開できないというところがありますので、この点、どのような形でこういったことが考えられているのか教えていただけたらと思います。
 最後にNICUなのですが、NICUに関しましては今回参考資料で出していただきました8ページにNICUの重点化・集約化ということで、本当にたくさんつくり過ぎているというか、目標を超えているという結果になっておれば、どのようにして集約化するかとか、このようなことに関して、これは事務局にお聞きしたいのですが、今後NICUの認可は非常に厳しくして認可しないようにする等、何か目標、またはそういったものをつくるのかどうか教えていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、小谷先生、この和歌山方式が全国展開できるのかどうかということですが、いかがでございましょう。
○小谷参考人 これは本当に医療計画で都道府県ごとにどのようにしていくかというところだと思います。たまたま和歌山県立医大、地元医大の牽引もあったということで、例えばもっと前の例でいうと高知県とか島根県なども既に全県的な取組をやっておられますし、それぞれの形を各都道府県で医療計画として考えていただくということ、一つの例として最近始まったこととして、今回オンライン診療も入っていたので取り上げさせていただいたという経緯であります。全県的にやるのが大事だという認識です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
○加納構成員 そうすると、県ごとに全く違うシステムで互換性がないとか、そういったことがまた起きてしまうのかということを懸念しております。
○小谷参考人 またその辺も全国の協議会がありますので、そこでの議論だと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 NICUについて、事務局からお願いいたします。
○中村室長 御質問ありがとうございます。
 NICUの状況につきましても、各県ごとに出生数であるだとか配置であるだとかについては、地域の状況によって異なると考えております。また、ここの資料の中にはNICUで働いている人数などについてのデータもありますけれども、地域の中でどの地域においてNICUを残していくことがいいのかということを、地域の中の周産期医療に関する協議会などで御検討いただきながら、地域ごとに進めていくことになるのかと考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 加納構成員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 お待たせしました。河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。
 1点目が救急医療の関係で、41ページのワーキングの論点ですけれども、先ほど大屋構成員からもお話がございましたが、在宅高齢者の救急搬送に至る前のプライマリーケアの充実あるいは急性増悪時にかかりつけ医や訪問看護師がどういった役割を担うのかと。そういったことはかかりつけ医機能の中身に関わる重要なポイントだと思います。その意味では、この8次の検討会でもかかりつけ医の議論は始まっておりますけれども、ワーキングのこういった論点に関する議論の結果も検討会に詳しく御紹介をしていただきたいと考えております。
 2点目がへき地医療の関係でございます。オンライン診療の有用性についてのお話は大変興味深く伺いました。所属自治体の支援があれば実施可能といったお話もございましたので、その意味では自治体支援も拡充していただいて、これをしっかり前に進めていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。
 大変お待たせしました。江澤構成員、よろしくお願いします。
○江澤構成員 ありがとうございます。私からは救急医療、周産期医療、小児医療について意見のみを申し上げたいと思います。
 救急医療についてです。高齢者の軽症、中等症の救急搬送が増加している状況におきまして、介護施設利用者、高齢者住宅入居者の日頃からの健康管理やプライマリーケアの充実・強化を図ることによって、合併症の併発や基礎疾患の悪化を防止できる余地があると考えております。事例では、介護施設から脳卒中で搬送されて、実は以前から心房細動があったと後で気づかれることもあります。また、全国の急性病院の肺炎のうち、DPCデータで見ますと半数近くを誤嚥性肺炎が占めている現実もあります。これらについては、日頃からのかかりつけ医あるいは協力医療機関の対応で改善できる余地があると思います。例えば協力医療機関や特養の配置医師に加えて、地域包括ケア病棟・病床を有する医療機関が連携することが重要と考えています。今年の診療報酬改定では地域包括ケア病棟・病床には二次救急医療等の要件も加わり、さらに在宅・介護施設等からの急患の受入れの役割がより期待されていることとなっています。平素から地域包括ケア病棟・病床が協力医療機関等と連携することによって、必ずしも三次救急の医療機関に搬送されなくても対応できる軽症、中等症を地域包括ケア病棟等で受け入れる対応が可能となると考えています。また、日頃からそういったネットワークを構築している場合は、介護施設からの搬送を介護職員が利用者さんを連れてこられるケースが多く、救急車の搬送要請が減ることも期待されます。
 また、そういった場合に極めて重要なのは、本人の意思決定支援であると思います。ACPの記載がございますが、例えば肺炎も軽症のものから致命的なものまで様々でございますので、事前の話合いは当然必要といたしましても、いざそのときになると状況がケース・バイ・ケースでまちまちだと思いますので、頻回に医療・ケアチームとの話合いが非常に重要になります。特に介護施設等においては認知症の方も多く、既に意思表示ができない方も結構いらっしゃるので、ACPが実施困難な場合も多いです。そういう場合には人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン、これを活用するケースが多いのですけれども、そういった中で御本人の意思決定支援を、救急搬送においてACPの話合いはすぐ使えるわけでもないし、非常に慎重に大事に、そして、頻回に御本人のことに対して何が意思として一番ふさわしいのかをみんなで考えていくことが重要だと思います。
 続きまして、コロナの件が少し出ておりますけれども、コロナにおきましては、第2波の前から保健所は自宅療養者の健康管理を医師会に委託できるという趣旨の通知が国から発出されています。したがいまして、そういった委託も利用しながら医師会、かかりつけ医と連携して少しでも救急搬送の事例を減らすあるいは重症化を防止することも可能だと考えておりますので、今後の検討課題だと思います。
 続きまして、周産期医療につきましてでございます。90ページに周産期医療体制の資料が掲載されております。オープンシステム・セミオープンシステムの推進は必要と考えますが、現状、低リスク分娩を扱う一般病院、診療所は、大学病院等からの医師の派遣によって成り立っています。これらの一次医療機関が助産師とも連携して宿日直許可を取得することが重要ですけれども、こういった一次医療機関をしっかりと支える周産期医療提供体制を構築すべきと考えます。
 最後に、小児医療について申し上げます。医療の発達によりこれからますます医療的ケア児は増えてくる見込みであります。障害福祉サービスの利用も増えているわけですけれども、なかなか医療ケアの対応が困難な施設も多々あるのが現実であります。最近では学校に看護師さんを配置して一般の学校に通学される医療的ケア児も少しずつではありますが増えてきていて、学校医と主治医の連携の必要性も出てきております。したがいまして、障害サービスをはじめとする地域の社会資源と連携して、地域の面で医療的ケア児を支える体制も検討課題と思っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。重要な御指摘だと受け止めました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。今回この5事業につきましては、まとめた議論は初めてでありましたので、まだまだ御発言されたい方はいらっしゃったかと思いますけれども、議事運営に御協力いただきまして、大変感謝申し上げます。最初から3時間バージョンみたいな話だったかという感じはいたしますけれども、今後も引き続きこの種の議論はいたしますので、そのときによろしくお願いいたします。
 また、参考人の先生方には大変貴重な資料を御提示いただきまして、今後の議論に有益なものでありましたので、改めて感謝申し上げたいと思います。
 それでは、これをもちまして本日の議論は終了したいと思いますけれども、事務局から何かございますか。
○松本補佐 本日は会場での一般傍聴の制限をさせていただいておりまして、議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙とは存じますが、御協力いただきますよう何とぞお願い申し上げます。
 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日の検討会は終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 






(了)

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