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2021年10月13日 第3回第8次医療計画等に関する検討会

医政局

○日時

令和3年10月13日(水) 16:00~18:00

 

○場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 7階 カトレア
東京都千代田区六番町15

○議事

○鷲見地域医療計画課長 それでは、お時間になりましたので、ただいまから第3回「第8次医療計画等に関する検討会」を開会させていただきたいと思います。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とさせていただいております。また、傍聴は報道関係者のみとさせていただいておりますので、御承知おきいただければと思います。
 まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきたいと思います。
 本検討会の構成員におかれましては、発言の際には、「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、発言をするようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、再度マイクをミュートにするようお願いいたします。
 また、座長から、議題などに賛成かどうか、異議がないか等を確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨の確認をさせていただきたいと思います。
 また、本日は、参考人として、社会医療法人ペガサス馬場記念病院、西尾俊嗣副院長。
 社会医療法人財団慈泉会相澤病院、田内克典院長。
 医療法人平成博愛会世田谷記念病院、武久敬洋院長。
 岡山県精神科医療センター、来住由樹院長。
 医療法人卯の会新垣病院、新垣元理事長。
 一般社団法人日本集中治療医学会、西田修理事長、土井研人理事。
 NPO法人日本ECMOnet、竹田晋浩理事長、藤野裕士副理事長、橋本悟理事、小倉崇以理事。
 大阪市消防局救急課、前田達也課長。
 千葉市消防局警防部救急課、亀山俊一課長の13名の方をお呼びしております。
 参考人におかれましては、発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、オブザーバーとして、厚生科学審議会感染症部会の委員、本検討会の各ワーキンググループの構成員の方に御出席いただいております。
 画面表示の都合上、オブザーバーの方におかれましては、会議中はビデオをオフ、マイクをミュートにしていただき、御参加いただきますようお願いいたします。
 オブザーバー参加の方につきましては、会議の終盤に質問や意見をいただく時間を別途設けておりますので、その時間に「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからビデオをオン、マイクのミュートを解除して発言をお願いいたします。発言終了後は「手を挙げる」状態をオフ(「手を下ろす」ボタンをクリック)にしていただくとともに、再度ビデオをオフ、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 次に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 事前に、議事次第、構成員名簿、オブザーバー一覧、厚労省出席者名簿のほか、資料1~9を配付させていただいておりますので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 オブザーバーの出席につきましては、配付させていただいたオブザーバー一覧により御報告させていただきます。
 また、前回の検討会以降、事務局におきまして異動がございましたので、配付の厚生労働省出席者名簿に代えて御報告させていただきます。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。
 それでは早速、議事に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は「今般の新型コロナウイルス感染症対応について(事例発表)」という1つの課題でございます。入院体制について5つの医療機関、患者搬送に関して4つの機関から御説明をいただくということになっております。
 本日の流れでございますけれども、まずは参加いただいております各参考人より順次御説明をいただきまして、まとめて質疑応答をしたいと思います。
 また、大変恐縮ですけれども、時間の関係上、御説明は1機関当たり6分以内を目安にお願いいたしたいと思います。5分を経過しましたらば一度合図をしまして、6分経過しましたら再度合図をさせていただきます。学会のようで恐縮ですけれども、そのようによろしくお願いいたします。
 それでは早速、馬場記念病院、西尾参考人からお願い申し上げます。よろしくお願います。
○西尾参考人 馬場記念病院は、大阪の堺にある仁徳さんの近くにある病院です。民間病院ですので、ここで大阪府の感染症情報センターのグラフを示しておりますが、大阪の民間病院でどういうふうに受入れをしていたか大ざっぱにお示ししたいと思います。
 次をお願いします。
 これは軽症から中等症なのですけれども、赤い線が民間病院で、グレーが自治体病院になると思いますが、2021年になってから、1月か2月頃で担当する患者数は逆転しております。だんだん民間病院の準備ができてきて担当するようになったのだろうと思います。
 次をお願いします。
 これは重症ですけれども、やはり大学病院だとか自治体病院にずっとお願いしておるわけですが、一番左端が第1波の終わり頃の尻尾が見えております。2波、3波、4波のときに、民間病院の赤い線が自治体ほどではないですけれども少し上がっております。これは準備ができてどうこうという病院もあるだろうとは思うのですけれども、恐らく3波までは重症になったら転送先が見つかったのですけれども、見つからずに自院で対応したというような状況だろうと。我々の病院がそうでしたのでそうだろうと類推しております。
 次をお願いします。
 我々のところは、昨年1月に春節で中国に帰っておられる中国人の看護師さんたちが日本に戻ってこられるかどうかというところで、日本に戻ってきて、我々はどういうふうに対処したらいいかという臨時の感染症委員会から始まっております。去年の1月の終わり頃だったと思います。
 次をお願いします。
 これは救急外来ですけれども、発熱がなかったり、原因が明らかな発熱がある人は全然関係なく通常の受入れをしておりました。原因不明の発熱の人は最初の数か月間は受入れをしておりませんでした。発熱外来ができた4月か5月頃から受入れを始めております。
 次をお願いします。
 これは救急の活動を見てみたのですけれども、私の手元にあるデータを引っ張り出したのですが、我々の病院は堺市で脳卒中の医療をかなり積極的に行っております。これは堺市の医師会の脳卒中の地域連携パスの我々の病院での導入数です。上にオレンジ、下の緑の線がありますけれども、これは2015年から19年までの間のそれぞれの月の導入数の最高と最低を示しております。赤い線が去年の1月から9月までを示しておりますが、最初の2か月は少し低めなのですが、その後はあまり救急系に関しては数の上では問題はなかったように思います。
 次をお願いします。
 5月に発熱外来、これは外来ですけれども、最初は体温を申告してもらっていたのですが、そのうち非接触で体温の測定を始めております。発熱のない人は通常診療なのですが、発熱があった人は、最初は外来の個室を探してそこで診療しておったのですけれども、なかなか追いつかないということで、下の写真にありますように小屋を建てて、そこで動線を分離して診療を始めております。
 次をお願いします。
 同じ頃に、堺市の保健所からPCRの検査の依頼を受けております。そこのグラフにありますように、月に数百件ですけれども、青いのが件数で赤い折れ線が陽性率です。大体COVIDの波と一致しております。
 次をお願いします。
 我々の病院でも定量抗原迅速検査の機器を導入いたしまして、検査を始めております。陰性であれば、これはPCRもそうなのですけれども、感度が低くてスクリーニングにはなかなか使いにくいところがあるということで、陰性であっても呼吸器内科の医者と相談しながら3週間ぐらいまでは隔離を継続するというような方針でいっております。陽性であればフォローアップセンターと相談する。これでベッドコントロールが非常に迅速、容易になりました。
 次をお願いします。
 これは我々の定量抗原検査の実績ですけれども、大体保健所の依頼の倍ぐらいの件数になっております。その代わり、陽性率は半分くらい。事前確率が低くなっておるということだろうと思います。
 次をお願いします。
 これはコロナの病床、病棟を確保しました。我々の病院は十字の形になっておるのですが、その一角を協力医療機関として4床から6床で始めております。エレベーターがあって、トイレがありませんでしたので、トイレを設置しております。あとはフォローアップセンターと協議をしながら入院患者を選定しております。
 次をお願いします。
 入院は、発熱なしは通常受入れなのですが、原因不明の発熱の人は個室隔離をしております。その後、陰性、陽性でいろいろ変わっていくのですが、それが一つと、面会制限を最初からしておりましたけれども、5月頃から病棟の立入りを禁止して面会も禁止としております。
 次をお願いします。
 そうこうしている間に、3波の中頃で無症候の人でPolypectomyで入院された方がおられました。血液検査で軽度の炎症反応があるということで、胸部CTをしたら「ん?」ということで、よく聞くと家人にCOVIDの人がおられたということで、それまでは定量検査は感度が低いのでスクリーニングには向かないということで、あるいは逆に陰性が出たら油断してしまうということでしていなかったのですけれども、赤い十字のところから、入院前あるいは手術前に全部COVIDの検査をするようになりました。
 星のほうは、S状結腸軸捻転で救急入院されてきたのですが、施設から来られました。後々聞くと、その施設でクラスターがあったということで、この患者さんを中心に看護師1名と入院患者さん3名に感染してしまいました。これがちょうどいいアラートになったというのですか、それ以来みんな非常に慎重になったこともあり、院内感染でCOVIDがうつったということはありません。
 次をお願いします。
 重症4、中・軽症10と書いてあるのが4波のときです。これは大阪が大変なときです。転送先も見つからずに、どうしても重症が増えてしまってというような状況でした。
 次をお願いします。
 5波は活動は多いのですけれども、割合扱いやすくというのですか、あまり支障はなく経過しております。
 次をお願いします。
 カクテル療法の外来を、コロナハットと同じようにトイレまでつけて救急外来の横に設置しております。
 次をお願いします。
 職員はずっと行動指針というので最初からいろいろしておりますし、健康チェックは1日1回を途中から1日2回ということで、ICTは毎朝ミーティングをしておりまして、そこは職員のコロナの相談窓口にもなっております。
 次をお願いします。
 これはコロナの行動指針ですけれども、ネットでもメールでもどこでもすぐアクセスできるようにしております。これで30回近いリビジョンを行っております。
 次をお願いします。
 これは今言ったことの大体まとめになります。
 終わりです。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、相澤病院、田内参考人からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田内参考人 よろしくお願いします。
 まず、ゾーニングに関する取組ですけれども、我々の病院は県から重点医療機関として重症用の透析患者さんの病床を3床用意しろという指示が出ておりましたので、HCUユニットの中で3床を用意いたしました。ここに書いてありますAとFというベッドが陰圧が両方できる部屋なのですけれども、ゾーニング上、G、H、Iという3部屋をコロナに使おうということで、ここはちょうど壁で区切れるようになっていましたので、4床を潰して3床を重症用のコロナ病床にいたしました。既存の病室の前に前室をつくって陰圧化して使用しております。
 職員に関しては、そのままスタッフをコロナ用の病床に振り分けるというような形で運用しています。制限に関しては特に行っていませんけれども、10床のHCUが6床になりますので、必然的に入室の患者さんは減っていくという格好になっています。
 次をお願いします。
 あと、中等症の即応病床15床と疑似症用の病床25床の運用を委託されていましたので、まず中等症用即応病床15床を用意いたしました。ちょうど画面の左側の17床、そこは区画がゾーニングできましたので、その中に陰圧室が2つありましたけれども、ほかの病床は陰圧室でなかったですけれども、そこの17床を15床にゾーニングをかけて中等症用の病床として運用しています。右側は疑似症用の病床として最初25床で運用を始めております。
 開始当初、私どもの病院は抗原の定量検査の機械とPCRが入っていませんでしたので、取りあえず救急外来で熱発で来られて怪しい方はこの病棟に入っていただいたという流れになります。機械が整備された以降は、コロナの感染症を明けて転院、退院できない人が移っていただいて観察する病棟として使っております。
 次をお願いします。
 帰国者・接触者外来というのを2020年の3月16日から動かしておりますけれども、後で名前が変わって、10月23日からは発熱外来という流れになっています。最初の帰国者・接触者外来は、救命救急センターに感染症用の診察室がありましたので、そこで対応して、あと、CTの一つを対応用のCTに確保いたしました。発熱外来に関しては、先ほどの先生と同じように、救命救急センターの前にプレハブをつくってそこで対応するという格好で対応しております。御覧のとおり、8月が一番ピークで9月が減ってきているという状況です。抗原定量検査は、9月は検査数が大体900件ぐらいで、陽性率が1%。8月が3%ぐらいでしたので、大分陽性が減ってきているという状況です。
 次をお願いします。
 入院患者の延べ数ですけれども、HCUに入った重症の患者さんが延べ9名、3A病棟で入院した患者さんが58名いらっしゃいます。HCU3床のうちに1回だけ3人で満床になってしまった時期がありまして、そのときはその中の1名を大学病院のほうに転院して取っていただいています。相澤病院みたいに救命救急センターを併設している病院ですと、やはり救急車で重症患者がどんと来て、検査をするとコロナ陽性、即入院という患者さんもいらっしゃるわけで、そういう患者さんに対応するためには、やはり重症用の病床を必ず1床は空けておかなければいけないというような運用を行っています。
 ほかの医療機関との役割の調整ですけれども、昨年の1月、コロナが発生した時点で、私ども、松本広域圏救急・災害医療協議会という協議会を定期的に行っていまして、その下に新型コロナウイルス感染症病院長会議というものを開いております。各ステージステージで開いて、各病院の役割とか受入病床の調整を行ってまいりました。一番最初は昨年の2月6日に、そのディスカッションに関して、相澤病院の立ち位置はこういう位置だということで職員に説明をしています。2月28日に具体的に相澤病院の受入体制、時期について説明をして、職員の協力をお願いしたところです。
 あと、院内感染発生時の対応ですけれども、長野県のコロナの対策チームというものがございまして、その対策チームに連絡を取って病院に来ていただいてどうするかという対応をしています。入院患者さんが陽性になった病棟は一時的に入退院を全部閉鎖ということで2週間ぐらい全部閉鎖して、全ての入院患者さんの陰性を確認してから再開するというようなことで、病棟で患者さんが陽性になるとその病棟が全然使えなくなるということで、その間はやはりある程度の入院を制限せざるを得なかったような状況です。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、世田谷記念病院、武久参考人からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○武久参考人 よろしくお願いします。
 世田谷記念病院は、世田谷区にある地域包括ケア病棟と回リハ病棟のいわゆるポストアキュートを受けるような病院として運営しています。
 今回は、ポストコロナを受ける病院として今の状況を御報告させていただきます。
 次をお願いします。
 当院の感染対策として、まずPCR検査等に関してどういう状況だったかということを簡単にお話しします。2020年5月から、新規の入院患者さんの中で発熱とか呼吸器症状があるような疑わしい患者さんに関しては、外注の会社を使ったPCRを実施していました。昨年11月から全新規入院患者さんに対して外注のPCR検査をやるように変更しています。今年5月から簡易なPCR検査の機器を導入して、全新規患者さんを院内でPCRをするというような体制を整えています。結果判明までの時間が外注だと1~2日かかるところが1~2時間になったというところで、かなりやりやすくなっています。
 次をお願いします。
 発熱外来があるような急性期側とは違って、検体採取はピロティー、室外の空間でやることが多いです。Smart Geneでやっております。
 次をお願いします。
 こういうふうに、当然のことなのですが、院内の感染対策としていろいろなポスターを作って職員に対して徹底をさせていました。
 次をお願いします。
 家族への面会です。急性期病院と異なるのは、我々回復期では在院日数が長いので、やはり面会のことに関しては急性期病院様よりかなり問題になっております。去年の9月から、この写真のように、完全にアクリル板で区切った、感染が面会によって起きることはないというような状況の面会室をつくって、こちらで面会をしております。
 次をお願いします。
 当院のポストコロナの患者さんの受入れの実績になります。昨年6月から受入れを開始して、大体コンスタントに来ておりまして、波に応じて増えたり減ったりしているという形ですが、今回の第5波に関しては意外と少ないというような状況です。合計で今まで34人の受入れをしています。
 次をお願いします。
 ポストコロナの患者さんは、基本的には感染のリスクというのはない及び低いと思うのですが、一応動線を分けて受入れをしています。地下の入り口から入って専用のエレベーターで病棟のほうに行きます。
 次をお願いします。
 院内にアナウンスを行って、職員の動線分けをして、空間的な隔離をしながら病室に向かいます。
 次をお願いします。
 同じです。
 次をお願いします。
 当院の場合は結構特徴的でして、146床のうち130床が個室になっていますので、特段ポストコロナの患者さんにおいてゾーニングをすることはなく、各個室をレッドゾーンというような形で対応します。
 次をお願いします。
 大体のフローですが、入院時のPCR検査をして、完全に陰性化している場合は普通の対応になります。退院基準をクリアしているものの、陽性になる方は一定数います。現在のところ、発症後20日を経過していれば、値的にはまだ陽性と出る値であっても標準予防策で対応するというような形にしています。ただ、20日未満の場合は念のためレッドゾーン対応として、20日経過する、もしくはPCR再検査で陰性化を確認するまではレッドゾーン対応フルPPEをやっております。
 次をお願いします。
 レッドゾーン対応中もリハビリスタッフはフルPPEでリハ対応をするということを意識してやっております。
 次をお願いします。
 簡単に今回のコロナのことで感じたこととして、今回かなり東京都でも病床逼迫と言われていましたが、ポストコロナ病院側の我々としては通常営業というような形で、あまり逼迫を感じることができなかったということです。急性期側からポストコロナの紹介もあまり多くなかったです。もちろん患者さんが若かったとかということがあって、第5波以前のときに比べて対象者が減っていたのかなと思うのですが、この辺のネットワークがもうちょっとできていたらさらに受入れはできたかなと思っています。
 次をお願いします。
 さらにもう一つ、病床が逼迫していて我々としてもすごく心苦しかったのですが、我々、ポストコロナを受けているということは、たまにPCRで陽性になってレッドゾーン対応をしたりすることもあります。つまり、ポストコロナを受ける病院としてもレッドゾーン対応は可能でした。なので、そういう逼迫の状況においては、退院基準を満たしていなかったとしても、コロナ治療病棟で落ち着いた患者さんに対しては受入れをできたと思っています。ただ、我々だけが自主的に受け入れるということはいろいろな面で困難を伴うということがありましたので、自治体や行政から明確に指示をいただければ対応できたかなと感じています。
 以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、岡山県精神科医療センター、来住参考人、中島参考人よりお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○来住参考人 どうぞよろしくお願いいたします。岡山県精神科医療センターの来住でございます。
 まず私からお話をいたします。
 私どもの施設では、自治体病院として、また、人員をしっかり確保している病院として、今回のコロナにミッションとして取り組んでまいりました。岡山県は人口が約200万人、精神科病院が18あり、5,200床あります。総合病院の中に精神病床はわずかしかなく、当院を精神科病院での拠点として対応することを、行政、関係機関と当初から調整決定して行ってまいりました。これまでに当院で受けたコロナ患者さんは60名、精神科病院でのクラスターで封じ込め対応をした患者が35名となります。
 次のスライドをお願いします。
 これが、県内のコロナ発生約1万5000人の推移とともに、当院で受け入れた患者推移です。受け入れ病床数をフェーズに応じて増減させ対応してまいりました。新型コロナ入院者は、第1波から4波に関してはほぼ高齢者、認知症。第5波では10代から90代まで年齢層は広く、精神科病名は多岐にわたっていました。精神科入院には精神保健福祉法による入院手続が必要ですが、精神症状だけでは入院の必要性はないが、精神症状故に離院等の可能性があるので、精神保健福祉法の医療保護入院とするケースが約3割ありました。隔離を感染症法で行うのか精神保健福祉法で行うのかについて整理が必要と考えられます。
 次をお願いします。
 これが精神科病院クラスターへの対応です。県内18病院のうちの3病院でクラスターが発生しました。県クラスター班から専門職の派遣がなされ、全ての病院で1病棟内で封じ込めるということができました。また、トリアージにより、当院に5人、総合病院に15人、転院し対応をしました。
 次をお願いいたします。
 当院での新型コロナへの対応経過です。まず、ふだんから精神医療の質を何とか追求するために、人員を可能な限り確保していた。その人員を集約して投入することで新型コロナの入院対応を実施しました。スライド真ん中にありますように、フェーズに応じて、新型コロナ受け入れ病棟で、精神科で用いる病床数を減らし、コロナ対応を増やす。これを繰り返すことを続けました。また内科医1、麻酔科医1の常勤医がいるということ、看護師とコメディの数が多いということが新型コロナ対応を可能としました。また民間病院は当院の新型コロナ病床確保のために転院支援をしてくださいました。
 次をお願いします。
 これは当院で受け入れた60人の転帰となりますが、1名認知症の方の看取りをしています。それ以外の方は全て回復されています。免疫療法、抗ウイルス療法、ヘパリン、抗体カクテルなど標準的な治療を実施する体制を整えました。総合病院との連携で、相互に精神疾患の軽重、身体状態の軽重によってタイムリーな転院が可能となりました。
 次をお願いします。
 これが岡山県調整本部で作成された病院ごとの役割分担についてスライドです。横軸がCOVID-19の重症度、縦軸が精神科対応の必要度です。この精神科的対応の必要度が大きく、気管挿管は要らないまでの身体重症度のケースをみることが、当院の役割でした。県調整本部に当院精神科医師を配置しトリアージ等に24時間対応したことにより、臨床像に即したトリアージが可能となり、精神科と身体科との調整をタイムリーに行うことができました。調整本部と常にコミュニケーションがとれるので、どこの病院にどんな患者さんがどれくらいの数いるのかということを相互に把握することができました。
 次のスライドをお願いします。総合病院と精神科病院の円滑な連携が可能となった理由は以下の3つと考えます。県調整本部との信頼関係、総合病院と県精神科医療センターの信頼関係、そして24時間精神科医が調整本部に関与したことです。また情報連携は、ICUを持つ重点医療施設10と当院(協力型としては唯一)の11病院が参加するZoomミーティングが毎週1回行われました。県、市の調整本部、保健所長が参加され行政積極的な関与があり、足並みを合わせる場となりました。精神障害が重症のときには、県調整本部、総合病院のハブとなる病院、当院との間で、常に患者受け入れ調整が行われました。
 次をお願いします。
 これが県クラスター班の仕組みです。3つの精神科病院でクラスターが発生しましたが、全てでの病院で1病棟で封じ込めができました。これは県クラスター班から現地医療チーム、感染症看護師が派遣され、現地医療提供体制が確保できたからだと思います。
 次をお願いいたします。
 これは、宿泊療養者のトリアージの手順です。精神疾患の悪化には精神科救急システムで対応し、24時間オンコール、必要時にはオンライン診療により対応しました。
 次をお願いいたします。
 これが在宅療養の方の酸素化悪化時への対応する一時療養待機所の仕組みです。当院としては、ミッションとして当院倉庫を用いて、酸素投与センター、限定的な薬剤投与センターの場所を提供し、、岡山大学病院救急科、岡山赤十字病院ほか多くの総合病院からの専門職派遣を受けて運営がなされました。
 次をお願いします。
 精神科での新型コロナの対応についてまとめますが、人口200万の自治体においては、1か所単科精神科病院に拠点施設を置くということが有効であると考えます。また、感染症対応に関する医療計画において、現時点では小児科、産婦人科、透析に関しては調整本部に専門領域の医師の配置が書かれていますが、精神科においても調整本部で24時間関与できる体制整備が有効であると考えます。
 新型コロナへ標準的な治療を対応しつつ関与するためには、人的なゆとりが必要で、ふだんから精神科治療に前向きに取り組み、医師、看護師の確保をしている病院を各県で拠点として定めていく必要があると思われます。
 また、岡山県のクラスター班の活動は、クラスターの封じ込めにおいて有効であったと思います。
 この全体の事業を通じまして、県保健福祉部長の西嶋先生、そして、保健医療統括監の則安先生、行政内での医療職に多くの支援とリーダーシップをいただきました。
 以上、報告いたします。
 理事長に交代いたします。
○中島参考人 理事長の中島豊爾でございます。
 最も大切なのは、行政が主導していても、現実に主導するのは医療者であることを忘れないことです。これがきちんとやれている地域はうまくいっています。あくまで行政が俺だ俺だと言っているところは駄目です。
 もう一点は、普段からの連携です。顔の見える関係をどれだけ総合病院との間でつくれているかということがとても大切になります。
 しかし、よく考えてみると、感染発生の当初、半年ぐらいは感染の専門家が必要でした。しかしながら、今の感染状況では、普通の医者なら誰でも大学の医学部を卒業していれば当然できないと困ることなのです。ただ、問題は、精神科だけが社会・援護局に置かれている。ほかのところはみんな医政局ですよね。これで常に精神科はのけもの扱いされて、公には書き込まれもしない。どんなに書かれなくても、あらゆるルートを通じてしっかり出させていただく。でないと、精神科のよさが必要性が全然伝わらない。そのことをよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 引き続きまして、新垣病院の新垣参考人からお話を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○新垣参考人 よろしくお願いします。
 では、スライドをお願いします。
 このグラフですけれども、沖縄県内で精神科の病院なのですけれども、同時に複数感染者が出た病院を示しています。うちの新垣病院が一番上にあるのですけれども、赤で書いていますが、第2波で発生しました。その後ずるずるっといって、この7月、8月にはちょっと有名になったところもあるのですけれども、かなりのクラスターというか、複数の入院患者さんが発生したというところです。
 しかしながら、うちの病院が2月、第2波で出たときですが、その時点ではワクチン接種などが行われていなくて、また、重点もゆっくりなのですけれども、ある程度中等症、酸素需要が出たところで転院することができていました。そういうのにならってやってきたのですけれども、7月のデルタのところでは6つの病院が同時多発的に複数人出て、かなり大変なことになっていました。ただ、7月はワクチン接種があったり、抗体カクテル療法があったり、ある程度治療法も分かっているという意味ではまた違うのかなというところではありました。
 次のスライドをお願いします。
 うちの病院では認知症治療病棟という別棟でクラスターが起きたものですから、本館とか自立訓練、デイケア棟とかというところは起きなかったです。ただ、当院の認知症病棟というのは寝たきりではない人を主にケアするということでは、なかなか封じ込めは難しいところでした。
 次のスライドをお願いします。
 これは表にまとめましたけれども、一番上の棒グラフですが、新型コロナの陽性確定者数です。最初、職員で1人出ました。2日置いて1人出ました。それから、入院患者さんで1人出て、3人出てということで、1人出た時点で院内の新型コロナ対策本部を立ち上げましたが、ぽつぽつと発生していって、感染拡大が全然抑制できなかったのです。
 当院のほうでコロナ本部を立ち上げて感染対策をするとか、臨時で精神科の病院機能を落として当該病棟に職員を回していくというようなことを行っていたのですけれども、どうにも感染が止まらないというようなことで、専門家も来てもらったのですがどうにもならないということで、沖縄県にDPATの先遣隊というのを動かしてもらって、当院の院内のコロナ対策本部にDPAT隊が来るという形で常駐してもらいました。毎日いました。そこで初めてきちんとしたゾーニングとか、これまで精神科の治療というのはどうしてもケア、介護とか直接タッチするようなことだったのですけれども、それを諦めて、感染症対策の治療に切り替わるというようなことは、これまでやってきたことは急に変えられない。その中で、外部から専門のところに入ってもらって、対策本部に常駐することで変わったというような感じでした。
 それでゾーニングを行って、病棟内で詰め所、グリーンエリアを確保するとか、PPE着脱の指導、感染物資の衛生ということがきちんと行われまして、青い線の右側なのですけれども、外部支援により対応が本格化というところで、ある程度感染を抑制できたのかなと。最初のうちは転院できるのですけれども、2段目の茶色い重なったグラフは院内にステイしている新型コロナ陽性の患者さんの数なのですが、結局、当院では24名の患者さんが出たので、全部が転院できるわけでもなく、中で治療をするというようなことがありました。
 第2波の2月だったので、よその病院からも応援の看護師が来てもらって、うちの病院のスタッフが当該病棟に行って、空いた病棟を応援看護師さんにサポートしてもらうとか、また、県の精神科病院支援班とか施設支援班と毎日ウェブでミーティングなどして、感染状況とかアドバイスとかPP、その他物品の補充などをしてもらいました。
 一番下のほうですが、メンタルサポートと書いてあります。外部支援とか、意見箱を置いたり、精神科の病院なので心理士さんもたくさんおりますので、そういう方、ストレスチェックをずっとして、必要であれば心理士さんの面接を行うとか、ほかにも全職員の災害時の心理教育を行いました。
 次をお願いします。
 これは認知症疾患治療病棟で起きたことなのですけれども、寝たきりでないという人たちだったのですが、結局、この方々を各病室から出すことができなくなったのです。基本歩き回っていて、寝たきりにさせないというのが基本だったところが出せないと。それで、食事、排泄も全て病室内、入浴もさせられずに清拭だけということで、精神科の治療を諦めて感染症の治療に変わったということで、認知症の症状は悪化した。集団でケアするという体制だったのができなくなって、スタッフが倍になって、それだけではなくて、環境整備とかいろいろなものを出すとかというところではさらに人が必要。そんなことが起きました。
 次をお願いします。
 うちの沖縄県では、去年の秋に県立の精神科病院が新型コロナ対応ということで5床確保しました。ところがこの5床、市中の方や外来の方などはよかったのですけれども、精神科病院でクラスターが発生すると5床では全く足りない状態です。現在は14床になっています。また、国立のほうの琉球病院ももう8床やるということで、今回、6波に向けて22床用意しているのですけれども、それにしても、今回みたいに6つの施設でクラスターが起きると全く足りないということで、結局、今、沖縄の精神科病院ではある程度の治療は自前でやらないといけないのだなというようなことです。
 当院では、最初1人出た、2人出たというときは、外部からの支援が入らない、要するに院内のスイッチがなかなか入らない状態だったので、私たちの病院とその次の病院、有名になった病院なのですけれども、そこの2つの経験から、1人出たらすぐにDPATの先遣隊が入る。それが入るということは、県庁のコロナ本部にもDPAT調整本部を立ち上げるというようなことをして、取りあえずスイッチを入れてやっていく。そうでないと、感染が止まらないし、それだけではなくて、転院できない人たちのサポートがなかなかできないということで、そういうスイッチの入れ方があるのではないかなというようなことでした。
 院内ステイも、さすがに皆さん経験があるのですけれども、そうは言っても基本的には精神科病院なので、感染症の専門家のサポートが必要ということでした。
 調整は県コロナ本部の中でやってもらいました。精神科の病院でクラスターが起きると、県庁の中にDPATの調整本部ができる。精神病院のクラスターがなくなると、精神科のリエゾンというか調整ということで、DPATではないのですけれども、入院についての相談を受けるところがあるということで、常に24時間県のコロナ本部と関わりをつくっていました。
 中~重症を、酸素需要からもう少しひどくなったときには重点医療機関。この入院調整も県コロナ対策本部の医療班でお願いしました。
 最後ですけれども、新型コロナで、要するに、専門病床で入れていて、アフターコロナというかポストコロナの人は精神科病院協会のほうで取りあえず受けるというような約束をして、県立の専門の病床は極力空けていくというようなことをやりましたが、これは精神科病院の相談室のライングループというところでもすぐに受けるような形にしていました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、日本集中治療医学会、西田参考人、土井参考人からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土井参考人 よろしくお願いいたします。日本集中治療医学会からは、理事長の西田と、私、東京大学の土井から御報告させていただこうと思います。
 スライドをお願いいたします。
 本学会の新型コロナウイルス感染症に対する取組を御報告いたします。
 まず、COVID-19における医療崩壊を避けるために一番重要なことは何か。その答えは、集中治療の提供体制を確保すること、維持することであると我々は考えました。左側の円グラフ、第1波のデータではありますが、日本とニューヨークで人工呼吸、集中治療が必要になった患者さんの生存率と死亡率をお示ししています。さほど医療水準が変わらないはずなのに生存と死亡の率が全くもって逆転しております。これは何をもって説明できるかといいますと、ニューヨークにおいては集中治療の提供体制のキャパシティーを超えてしまったということを示すものだと考えました。したがいまして、ヒト、ハコ、モノと右下に書かせていただきましたが、こういった観点から集中治療の提供体制を本学会は考えて取り組んでまいっております。
 その前に、集中治療とはということで、簡単に1枚のスライドで説明させていただきます。左側の真ん中、集中治療室、ICUがございます。ICUには救急車で搬送される救急患者に加えて、手術室で大きな手術を受けた後の術後の患者さん、そして、左の下、入院中の重症患者さんの急変等、全ての重症患者さんを収容する場所であります。したがいまして、医療の最後の砦として機能すべき場所であります。
 右側の上のほう、集中治療は臓器横断的なアプローチを行います。今回のCOVID-19は呼吸不全と凝固異常が前面に出てまいりましたが、集中治療は全ての臓器異常に対して対応するということが求められております。右の下、集中治療はチーム医療であります。集中治療の専門医のみならず、各診療科の先生方、看護師、臨床工学技士等とチームを組んで診療に当たるというところも大きな特徴の一つでございます。
 まず医師について申し上げます。集中治療科の専門医が専従すると、治療成績が向上し、医療費が削減されるということは左側にお示しした数多くのエビデンスで報告されております。右のグラフは2017年にJAMA誌に報告されたものなのですけれども、ICUの患者さん7.5人当たりに1人専門医がいれば死亡率が一番低くなるなんていう報告もございます。
 左側半分のほうに、ちょうど1か月前に本学会ホームページで公開させていただきました我が国の集中治療の提供体制を強靭化するための提言を示しております。ぜひ御覧いただければと思います。この提言の中で、平時に日本で必要なICUベッドの数を算出しますと9,000ベッド、そして、7.5人に1人専門医を配置するには専門医の数は7,200人必要だということが算出されました。しかし、学会の認定の集中治療医の専門医の数はいまだ少なく、2,100人であります。したがいまして、これは何を意味するかといいますと、第1波では幸い免れましたが、パンデミックの感染爆発が欧米、ニューヨーク並みに発生した場合には、実は臨界点は極めて近いということ。こういったことを避けるべく、日本専門医機構等で専門医を認めていただきたいという要望も行ってまいりました。
 もう一つ、このような集中治療の担い手、集中治療専門医について、数・実態を把握することは国家の危機管理として極めて重要であると考えます。左側の2つの用紙は医師届出票と医療施設調査票になります。この2つの調査において、集中治療科が選択肢として含まれておりません。医師の働き方改革に関する検討会の実態調査でも含まれておりませんでした。こういったことも鑑みまして、本学会では集中治療科をこのような調査に加えていただくよう、先日厚生労働省のほうにも要望させていただいております。
 医師のみならず、集中治療を提供できるような看護師も当然必要であります。米国のクリティカルケア認定ナースは9万人以上おります。しかしながら、我が国の集中ケア認定ナース等は合計でも1,500人程度でございます。こういった状況を鑑みまして、本学会と日本看護協会のほうで連携いたしまして、集中治療の認定看護師制度の制度設計を現在行って、早期に始められるよう準備を進めております。ICUで特別な集中治療を提供できるようなスキルを身につけた看護師さんが、一度一般病床に戻っても、有事の際には再びICUに集まり、専門性の高い看護ができるような認定制度を現在構築しております。
 臨床工学技士も同様であります。ECMOや人工呼吸器といった生命維持管理装置の操作、そして、保守点検を行うという意味においては、彼らの重要性は非常に高いものであります。こちらも日本臨床工学技士会のほうで既にあった認定制度に上乗せする2階建ての形で、日臨工の協力の下、本学会が集中治療専門臨床工学技士の認定制度を今つくっておりまして、2022年度には認定が開始できるような状況となっております。
 このような人材を派遣することも重要であります。本学会は厚生労働省から委託させていただいている重症者治療搬送調整等支援事業を既に行い、次に発表されますECMOnetの沖縄、東京への活動を学会としても支援させていただきました。
 次のパンデミックに備えまして、ICYSという集中治療支援システムを現在構築しております。学会ホームページのこのようなアイコン、もしくは専用の電話回線に電話をいただけると、適材適所の人材をそちらに派遣するようなシステムを現在構築しております。
 次に、ハコであります。平時と有事で迅速に病床機能を切り替えることが非常に肝要であります。左側の下、青い四角が平時のICUのキャパシティー、右側の下、赤い四角が有事の重症患者さんに対するキャパシティーになります。この迅速な切替えこそが医療崩壊を防ぐ有効な手立てである。そして、厚生労働省のほうでは、既に診療報酬等でいろいろな御配慮をいただきました。また、本学会におきましても、空気清浄度や陰圧個室管理等についての集中治療部設置のための指針の改訂を行いました。
 さらなる集中治療提供体制への取組としまして、広域搬送についても取り組んでまいっております。集中治療を必要とする患者さんを集中治療しながら搬送する必要がある。それは、陸路のECMOカーにとどまらず、ヘリコプターや航空機による輸送も視野に入れております。そして、現在、本学会では集中治療を要する重症患者広域搬送(Mobile ICU)ガイドラインを作成し、その委員長に、集中治療の専門医でもあります、現役の防衛省一等空佐である山口大介先生にお願いしておるところでございます。
 以上、本学会が取り組んでおります、人材(ヒト)、病床の運用(ハコ)、そして、新たな運用としての広域搬送(モノ)について御報告申し上げました。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 引き続きまして、日本ECMOnet、竹田参考人、藤野参考人、橋本参考人、小倉参考人よりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○竹田参考人 よろしくお願いいたします。ECMOnetの竹田でございます。
 スライドをお願いいたします。
 私どもは、今回のコロナウイルス感染症におきまして、ECMOなどの重症治療におきまして支援活動を行ったことの報告をさせていただきます。
 次をお願いいたします。
 過去20年間におきまして、新興感染症というのはSARS、H1N1の新型インフルエンザ、MERS、そして、今回の新型コロナと4度発生しております。これらの全ての感染症で重症呼吸不全が病態として現れまして、大きな死因の一つとなっております。これらウイルス性の感染症に関しましては、ECMOは従来の治療方法よりもはるかに多くの方を救命できるということが分かってきておりまして、今回のコロナでもかなり多くの方々の救命をすることができました。
 次のスライドをお願いいたします。
 我々は、今回、コロナウイルス感染症の拡大が始まろうとしているとき、2020年、昨年1月の時点でこの活動を計画いたしました。ECMO、そして、人工呼吸治療に精通した医師が学会の垣根を越えて集まり、昨年の2月16日から活動を開始いたしました。まさにオールジャパンでの活動の開始でございました。この活動には、今お話がありました集中治療医学会、そして、救急医学会、呼吸療法医学会、呼吸器学会、感染症学会、PCPS/ECMO研究会等、多くの関係学会、研究会に協力をいただきまして、活動の維持が行われました。
 実際の重症患者の治療の支援でございますが、24時間365日電話対応で重症の治療相談を行いました。3交代制で8時間おきに交代いたしまして、各単位が2人ずつ、1日計6名の人間が電話で当番をいたしまして、重症の治療の相談を受けました。実際に電話等でお話が済む場合はそれで終わりましたが、かなり重症であった場合には、連絡をいただいた施設へ直接伺って治療の対応をいたしました。
 例えば、電話を受けた人間が東京で受けました。でも、実際に患者さんがいたのは北海道であった場合には、ECMOnetの中で各地域に担当者がおりまして、北海道の担当者に連絡が行きます。その北海道の者が道内で連絡をいただいた施設の先生と直接お話をさせていただいて対応する。現地に行って治療する、もしくは、これはかなり重症なので、そこの施設では対応が難しいということであれば、受入施設へのECMOへの治療を搬送するとかという形も行いました。
 実際に医師の派遣、それから、ECMOのチームとしての派遣、それに加えて広域搬送も行いました。特に今年度は6月に沖縄県、そして、8月から9月の第5波で東京へ集中的に支援を行いまして、両方とも約1か月間行ったのですが、延べ300名の医師らを現地へ派遣して行いました。特に東京都に関しましては、かなり重症ベッドが逼迫した状態でございましたので、中等症受入施設で人工呼吸治療等をせざるを得ないという状況があったのですが、そういった施設に直接医師が複数名入って、慣れていらっしゃらない人工呼吸治療に対して直接治療参加、指導を行わせていただいて、かなり多くの方を救命できたのではないかと思っています。
 同時に、ECMOに関しても同じでございまして、ふだん心臓へのECMOは慣れていらっしゃるのですが、肺へのECMOは慣れていないという施設におきましても、患者さんの搬送ができないという状態になってしまっておりましたので、現地でECMOの治療を一緒に支援させていただきました。
 また、ECMOチームの養成講習会というのを昨年度は47都道府県全てで行わせていただきまして、こういったECMOの治療が多くのところで行えるような形をとって、今回の第5波でも医療崩壊を起こすことなく対応ができました。
 次をお願いいたします。
 今後におきましては、今の状況を発展させていただいて、ECMOができる医師のさらなる育成、そして、コーディネーターですね。パンデミック時の対応を行う人間の育成が必要だと考えております。
 次のスライドをお願いいたします。
 次の有事に緊急事態宣言等が出た場合、支援チームの派遣等でさらに活用ができると思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 最後のスライドですが、ECMOnetはこういった支援活動と同時にデータベースも構築しておりまして、このことに関しましては担当の理事の橋本から説明させていただきます。
○橋本参考人 橋本でございます。
 これは見られた方もあると思いますけれども、ECMOnetでは重症患者、すなわちECMO、そして、人工呼吸をされたコロナの患者さんについて全例調査をしております。この結果は、日本集中治療医学会、日本救急医学会の専門医認定病院に呼びかけまして、ほぼ日本の9割の施設からデータをいただいております。このデータをHER-SYS、G-MIS等と流用することによって今後の治療計画、新薬開発等に役立てるのではないかと考えておりまして、こういった活動が、よりNPO法人として学会の壁を乗り越えた、また、大学、その他の病院の壁を乗り越えた形でのデータベースとして歴史にも残ると我々は考えていますので、ここで非常によい成績をお示しできたということで、今後もこういった仕組みをつくることによって、例えばほかの災害とかにもこのCRISISというデータベースは利用していただけると考えています。
 以上です。これでECMOnetからの発表は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、大阪市消防局救急課、前田参考人より御説明をお願いいたします。
○前田参考人 大阪市消防局救急課長の前田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まず、当局の救急体制について簡単に御紹介させていただきます。右側に大阪市の地図を記載しておりますけれども、24の行政区がございます。その中に本署、出張所、それと本部に合わせて70隊の救急隊を配備しているところでございます。
 次をお願いします。
 続いて、平成元年からの救急件数と搬送人員の推移を示させていただきました。見ていただいて分かるように、全体的に右肩上がりとなっております。ただし、昨年令和2年については大幅に減少しておりますが、これは新型コロナの影響で人々の生活様式が変容したことに起因しているものと考えられます。
 次をお願いします。
 これは今年1月からの新型コロナ陽性者の救急対応件数を示したグラフになります。御覧のとおり、4波、5波が今年初めの第3波と比べて大きく増加しているということが見てとれます。それと、5波のほうが4波を上回っておりますけれども、1件の事案に長時間を要する救急の件数は第4波のほうがはるかに上回っておりました。このことは、コロナ以外の救急事案に影響を与えるということになりました。
 どのような部分に影響を与えるかといいますと、次のスライドをお願いします。
 この折れ線グラフを見ていただくと分かりますけれども、救急隊が署所を出発して現場に到着する平均時間の推移を表したものでございます。御覧のとおり、4波のピーク時、これは4月19日の週になりますが、7.2分ということで、大阪市の平均の時間が例年5分というところを考えますと、2.2分も遅くなっているということになります。このことは明らかにコロナ以外の救急事案に影響を与えたということが言えると思います。
 下の2つの棒グラフにつきましては、現場滞在時間の件数の推移と60分以上の件数の推移を示したものでございます。参考としてください。
 次をお願いします。
 このような背景のある中で、第4波では救急隊を69隊から最大75隊に増隊しまして、1隊当たりの負担を少しでも軽減するようにいたしました。それと、入院患者待機ステーションという長時間受入れの医療機関が見つからないときのために、大阪府が設置しました施設に当局の職員を派遣して協力体制をとったということでございます。あわせて、大阪府あるいは大阪市の健康部局に対しまして、ここに記載しているようなことを強く申入れをさせていただいたところでございます。
 また、5波での対応といたしまして、この4波での対応に加えまして、長時間かかりそうなコロナ陽性者の対応事案については、救急隊以外に消火隊を出動させて、隊員1人にかかる感染リスクや負担を少しでも軽減させるような対応をとったところでございます。
 次をお願いします。
 6月に当局の救急隊員がコロナに感染して死亡するというような痛ましい事案が発生しました。これを受けまして、感染防止資器材として、記載しているようにアイソレーター、ビニールカーテン、感染防止衣などを追加配備いたしております。さらに、感染防止に関する研修にも力を入れておりまして、継続して繰り返し必要な研修を計画しております。
 次をお願いします。
 こちらの資料でございますけれども、大阪府におけるコロナ陽性者の搬送連絡体制を示しております。救急隊が陽性者を確認してから、保健所、それから、大阪府、大阪府から保健所、保健所から救急隊というような非常に手間のかかるスキームになっております。
 次をお願いします。
 これは先ほど少し出てまいりましたけれども、大阪府と連携して運営いたしました入院患者待機ステーションの概要になります。これは見ていただいて参考としてください。実績といたしまして、第4波時には81名、5波で75名の陽性者の患者さんを収容いたしたところでございます。
 次をお願いします。
 こちらは、先ほどスキームということで搬送連絡の説明をいたしましたけれども、その連絡工程での根詰まりとか時間のロスを少しでも解消するために、当局から、待機ステーションは先に入れているのですが、府のフォローアップセンターと保健所にロジ担当を派遣しまして、そこで救急隊と直接やり取りをすることで、1件当たりの時間を少しでも短縮するということで成果が出た取組でございます。
 次をお願いします。
 最後、今後の新型コロナ対応への課題ということで、8点ばかり挙げさせていただきました。
 感染防止資器材の確保ということで、これは当然しっかりと取り組んでいく必要がある課題であります。
 それから、関係行政機関や医療機関等との連携を強化していくということも取り組んでいく必要があると考えております。
 これ以降、保健所の機能強化や搬送先医療機関の選定を都道府県による一元化、往診体制の強化、あるいは宿泊療養施設の設置、臨時医療施設等の設置、民間搬送事業者の積極的な活用ということがありますけれども、これは我々消防でテコ入れできるような施策ではございませんので、引き続きしっかりと取り組んでいただきますよう、大阪府あるいは大阪市の保健所等に対して都度強く申入れをしていこうと考えていることでございます。
 簡単ではございますが、私からは以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になります、千葉市消防局救急課、亀山参考人よりお願いいたします。
○亀山参考人 千葉市消防局の救急課長の亀山でございます。 
 それでは、スライドをよろしくお願いします。
 こちらが、当局の新型コロナウイルスに対する対応の全容でございます。1から6までありますが、感染対策の徹底、救急隊員の教育、そして、当局が保健所へ救急救命士をリエゾンとして派遣したという内容、それと救急隊の増隊運用。特に、第5波、この8月の32週、33週辺りが急激に搬送件数が増えており、陽性患者は、昨年71人、今年は9月19日現在で1,224人の搬送となっております。
 次のページスライドをお願いします。
 こちらが当局の救急隊員の感染防止対策です。昨年当初は、新型コロナウイルスの猛威、感染能力がよく分からない時期であったため、ゴーグルと化学防護服を着て完全装備で活動していたのですが、令和2年4月9日から現在においての全出動に対して、ゴーグル、マスク、手袋、リユーザブルタイプの感染防護衣で対応しております。
 次のスライドをお願いします。
 新型コロナウイルスの陽性患者の搬送については、県内でも長距離搬送がありましたので、航空隊のヘリでの搬送と、陸送による搬送の2つの手段で対応しました。ヘリ搬送についてですが、特養でクラスターが発生した時に8人を搬送しており、このほか転院搬送で2人を搬送しております。なお、ヘリの運用は日の出から日没までの間になります。
 次のスライドをお願いします。
 まず、救急隊員への集合教育をなぜ行ったかといいますと救急隊員が新型コロナウイルスの感染経路や、その対策等というところを正確に理解できていない、徹底されていなかったので、当局に千葉大学医学部附属病院の感染症内科の先生に講義をお願いしまして、97人の救急隊員が受講しました。なお、その他職員に対しましては、先生の講義資料を局内で共有して全救急隊員に周知しました。
 次のスライドをお願いします。
 こちらのほうは、ピーク時に重症者を収容する際、三次救急医療機関、これは千葉大学医学部附属病院となっておりますが、重症者を対応するベッドがあっという間に埋まってしまいました。特に重症度、緊急性の高い患者、これは一般救急を含めた患者ではありますが、収容が非常に困難になってしまったことで、千葉大学医学部附属病院の病院長と当局の局長との連名の依頼文を市内29の主要医療機関に直接お持ちして現状を説明するとともに、特に新型コロナウイルスの治療を受けて、回復期に向かっている方の転院搬送の受入れをお願いしました。
 また、当局の主要な対策の一つとして、千葉市の保健所に救急救命士を派遣しました。この目的は、スライドに書いてあるとおりで今年の1月18日から開始し、途中一時休止しましたが、その後に再派遣をしています。そして、この取り組みの大きな特徴は、保健所で把握している陽性患者やPCR検査結果の共有です。陽性患者が119番通報した際、受電した指令センターの管制員から保健所リエゾンに通報内容が伝えられ、保健所リエゾンが保健所職員とこの情報を共有することで、陽性患者の情報が正確かつ迅速に伝わりました。また、救急隊員が患者の観察情報を保健所リエゾンへ伝えることで、保健所職員がこの情報を入手し、搬送先を探すのに役立ちました。それぞれにおいて、大きな利点があったものと思っています。
 次のスライドをお願いします。
 こちらが当局の保健所リエゾン派遣の事案取扱数ですが、合計が612件、そして、パルスオキシメーターは保健所の職員が配布しておりましたが、配布できていない自宅療養者に対して救急隊からも不搬送になった際、61個配布させていただきました。
 次のスライドをお願いします。
 こちらが高齢福祉施設、特養で起きたクラスターの対応ですが、令和2年11月17日から24日の間です。陽性者が入居者51人、さらに職員42人が発生しました。我々としては、この状況が把握できなかったので、速やかに当局の救急課職員を現地に派遣し、その状況を逐一こちらに報告するようにしました。そして、隊を増やし、特別な救急隊としてこのクラスターに対応する救急隊4隊、これは非常招集というものをかけて職員を集めました。結果、救急隊の編成状況としては、延べ18隊54人、搬送者数が27人、うち航空隊によるヘリ搬送が8人、陸送が19人となりました。
 次のスライドをお願いします。
 こちらが当局の月ごとの出動件数ですが、この赤く囲ったところ、例年ですと8月は熱中症で、200件以上というのが2日ないし3日ぐらいですが、今年は新型コロナウイルスの影響により、特に8月の32週、33週にかけて200件以上の日が多発するという急激な出動増となりました。先ほど大阪市消防局さんからも御案内がありましたとおり、全体的には出動件数は減っておりますが、一挙に持ち上がったというのは、やはり新型コロナウイルスの第5波の影響による出動の増ということが言えます。当局の市内救急隊は26隊なのですが、救急隊全隊出動という状況が多発しました。
 次のスライドをお願いします。
 当局の増隊対応の概要です。通常時の救急車は26隊で非常用救急車6隊含めて32隊の救急車を運用していますが、出動可能な救急隊数が5未満になった時、さらに水槽車に乗る人間を救急隊と兼務させて2隊を増やすことで、最大34隊の運用を可能としました。
 次のスライドをお願いします。
 入院待機ステーションの県と市の連携についてです。こちらは今年の9月5日から市内に県が運営する入院待機ステーションが設置され、さらに、9月7日から、宿泊療養施設内に、市が運営する酸素ステーションが設置されたことから、当局としては、両施設に対する搬入搬出について情報を共有し調整しました。県の入院待機ステーションでは、幾つかの保険医療圏の患者を千葉市内の当該ステーションに収容するのですが、そこへ収容するのはその管轄の救急隊となります。一方、本ステーションから収容先医療機関に搬送するのは千葉市の救急隊で行うこととしました。幸いにも入院待機ステーションからの搬送は2人にとどまったところです。この入院待機ステーションについては、一時休止ということですが、第6波が来たら早めに立ち上げるということになっております。
 次のスライドをお願いします。
 これが最後ですが、新型コロナウイルスのワクチン接種への協力です。当市では、主にクリニック等の一次医療機関337施設、プラス集団接種会場3施設で接種を行っております。また、救急救命士によるワクチン接種業務に従事するための研修については、厚生労働省及び消防庁からも通知が出たのですが、集団接種会場においてこのような研修を受けた救急救命士が市長からの命により打ち手になることが可能ということから、現在10人の救急救命士が研修を修了しております。なお、現在のところ、対応はありません。
 以上が当局の対応となります。課題として、今回の新型コロナウイルス感染症については、集団災害といっても過言では無い状況であり、その際に関係機関との「連携」を図ることとの指示が発せられますが、非常に重要なことであり、特に迅速性、確実性が求められます。
従いまして、関係機関同士が事前に、どの時点でどこに連絡し、どう動くかを理解していなければなりませんが、県・市・消防等、各関係機関の担当がどこの部署なのか、どの時点でどう動くかが不透明でありましたことから、有事即応できる体制を組むためにも、県、市の垣根を超えた即効性のある「連携」ができる体制を構築することが課題であると思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 短い時間でプレゼンテーションをしていただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、これから質疑に移りたいと思いますけれども、若干時間がオーバーしておりますので、できるだけ多くの方の御意見を承りたいと思いますので、御発言は簡潔に。もし質問等があれば、どなたに対する質問なのか明確にお話しいただければと思います。それと、まず最初に構成員の方から御質問、御意見をいただきまして、その後、オブザーバーの方からの御意見の時間も確保したいと考えております。
 それでは、構成員の皆様、御意見、御質問等あれば「手を挙げる」を押していただければと思います。
 それでは、お手を挙げられた順番で、櫻木構成員、お願いいたします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
 貴重な御報告をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 岡山の来住先生から、単科の精神科病院に拠点を置くということが、重度の精神疾患をお持ちの患者さんの治療に非常に有効であったと。ただ、平時から人材を確保した精神科医療機関が必要だというお話がありました。
 それから、新垣先生のほうからも、沖縄では5床から始まって今22床まで積み増しをしているというお話がありました。
 お二人にお伺いしたいと思いますのは、平時の対応として、そういった対応ができる精神科病床が大体どのぐらいの規模必要かということをお伺いしたいと思います。
 それから、第2点、県の入院調整本部に精神科医が常駐するということが連携をとる上で非常に有効であったというお話がありました。特に来住先生の岡山のケースでいうと、24時間対応をされたというようなことなのですけれども、どういった体制で入院調整本部に精神科医を派遣できたのかということについて、これもお二人の先生にお伺いしたいと思います。
 もう一点、来住先生から感染病法と精神保健福祉法の整理が必要だというお話がありました。私も、例えば非同意的な入院の適用であるとか、あるいは入院後の隔離とか身体的拘束といった行動制限について、これはやはり整理をしておかないと現場が非常に混乱すると考えるわけですけれども、これについて、例えばどういう点でどういうふうに整理を考えておられるかをお聞かせください。
 最後に、新垣先生にですけれども、DPATの先遣隊を派遣していただくということで、外部支援が非常に役に立ったということがありましたが、DPATはもともとは災害に対応するということなのですけれども、DPATの研修あるいは訓練にそういった感染症に対する対策が必要かどうかというようなことについてお伺いします。よろしくお願いします。
○遠藤座長 一言言っておけばよかったですね。今、10人ぐらいお手を挙げているのですが、あまり質問が多過ぎますと後の方が当たらなくなりますので、簡潔に行きたいと思います。
 それでは、今、精神科に絡みまして、2つの病院の来住先生と新垣先生に対する御質問がありましたので、お答えできる範囲で簡潔にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○来住参考人 岡山県精神科医療センターの来住です。
 人口200万に、20病床ぐらいで大丈夫ではないか。これは第5波までの経験からです。クラスターを封じ込める患者数の拡大を防ぐために県クラスター班の活動と両輪となって対応することが必要だと思います。
 調整本部の常駐ですが、これは県庁調整本部にいる必要はありません。24時間携帯電話で連絡が取れ判断ができればいい。私、来住が対応いたしました。病院の院長業務を維持しつつ、同時に調整本部業務を行うことは可能でした。総合病院でも、窓口になられている先生は、前半戦は1人の先生がなさっていました。
 あと、隔離を感染症法で行うのか、精神保健福祉法で行うのかの件です。、精神症状はあるが、同意能力は保たれている。本来は精神保健福祉法上は本人の意思による入院(任意入院)となるが、精神症状故に病院から出て行ってしまう患者さんがいる。その時の行動制限(隔離)を感染症法でやるべきなのか、精神保健福祉法でやるべきなのか、ここが論点だと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、新垣先生、お願いいたします。
○新垣参考人 新垣です。
 まず、平時に何床必要かというところでしたが、やはり今、来住先生もおっしゃったみたいに20ぐらいあって、ただ、起きてしまった分については、今回実際に同時多発のクラスターを経験すると、やはり民間の精神科病院の中でもステイする。ただ、いっぱいいっぱいで満床のときにゾーニングは難しいので、ある一定数を引き受けられる数があれば対応できるのではないかというところでは20あればどうにかなるのではないかというところです。
 夜間なのですけれども、夜間対応はやはり同じで、基本的には電話でやってきました。ただ、うちのところは、昨年から5つの病院のドクターが持ち回りでやっていましたが、この夏からはクラスターを経験している精神科病院の医師も入って、今、15名ぐらいが電話を持って回っているような感じです。
 DPATなのですけれども、去年、クイーン・エリザベスのときに出動したDPATの経験者が沖縄に数名おったものですから、そのまま対応できたのですけれども、基本的には、実際に今求められているというところでは感染制御の知識が必要ではあると思いますが、今、何となく皆さん経験してそれができるようになってきたというところではあります。
 そんなところです。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 櫻木構成員、何かございますか。
○櫻木構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 続きまして、吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 発表ありがとうございました。
 今回の新型コロナウイルス感染症患者の受入れに際しましては、看護師の確保が大きな課題となりましたので、看護師の確保について馬場記念病院様、相澤病院様、世田谷記念病院様、精神科医療センター様、日本集中治療医学会様に質問させていただきます。
 馬場記念病院様と相澤病院様、世田谷記念病院様は様々な状況に合わせ、病棟の体制整備等をされたと思いますが、具体的に看護職の異動や配置等の調整をどのようにされたのかを教えてください。
 岡山県精神科医療センター様には2点質問があります。まず、看護職員を通常の施設基準以上に配置されていますが、これは全ての病棟で平時からされているのでしょうか。
 次に、岡山県のクラスター対策班について、資料の中に感染管理認定看護師が含まれていますが、岡山県では県や構想区域ごとに感染管理認定看護師の数や所属先、配置人数等を把握されているのでしょうか。構想区域における、これらの情報把握が地域で連携していく上で非常に重要だと思いますので、その状況を教えてください。
 日本集中治療医学会様には、2点質問があります。1点目は、集中治療の担い手について、数・実態を把握すること、そのような人材を育成することは非常に重要であると考えております。具体的に集中治療室の看護職配置がどの程度必要と考えられているか教えていただきたいと思います。
 2点目は、日本集中治療医学会の認証看護師制度について、日本看護協会としてお話はお伺いしておりますが、資料に記載されております「連携」とは受け止めておりませんので、この点についてのお考えを教えていただければと思います。
 以上です。多くの質問となりまして申し訳ございません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、看護関連は全部まとめてということになると思います。
 最初に、3つの病院について御質問がありましたので、それぞれ御回答いただけますでしょうか。
○田中参考人 では、馬場記念病院です。
 人員配置の件に関しては、第4波のときは3日後、こういうコロナの状況だからということで急遽人員を移動させて配置しました。第4波から第5波にかけて準備期間がありましたので、Bチームという形で新しいチームを結成しまして、第4波のメンバープラス第5波は各部署から1人ずつ平等に出してもらったチームで結成して乗り越えました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 相澤病院、いかがでしょうか。
○田内参考人 相澤病院です。
 HCUの病棟は通常だと4対1だと思いますけれども、うちはそれよりも厚く配置しています。3A病棟というのは救急の病棟ですので、7対1よりも通常より厚く看護配置をしていますので、通常の配置の中でコロナ病床受け持ちとそれ以外に振っていますので、特別な増員配置はしていません。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 では、世田谷記念病院、お願いいたします。
○武久参考人 世田谷記念病院はポストコロナですので、ポストコロナでレッドゾーン対応が必要な人に対してなのですが、担当を決めるだけで特に増員はなく、一部徘徊をする患者さんがいましたので、その場合は室内にいてもらうためにリハスタッフを夜勤で置いたり、看護ではなくてもできることを他職種で代行するということをやっていました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、あと残りの2つの病院、岡山県精神科医療センター、いかがでしょうか。
○来住参考人 看護配置の問題ですが、ふだんから全ての病棟で7対1に近い10対1配置をしています。あと、在宅医療部門に多く人材を配置しています。新型コロナには、人員を傾斜配置し、病床を一部ダウンサイジングして対応いたしました。
 御質問の感染管理ナースの件ですが、これは県看護協会、そして、岡山県庁ともに把握しておられます。感染管理看護師については、クラスター班の活動に賛同した方について、所属病院に対して、県から派遣承認をあらかじめ取り名簿を作成されていました。クラスター発生時には、その名簿に基づき、県の依頼によりクラスター班で活動するという立てつけでした。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、病院は以上で、日本集中治療医学会のほうからお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○西田参考人 日本集中治療医学会の理事長を仰せつかっております西田です。
 御質問ありがとうございます。
 2ついただいたと思いますけれども、まず後のICUに従事する看護師に関しましては、私どもはICUに勤務する看護師は現在2万3000人程度と認識しているところでございます。実際に2対1看護が診療報酬管理加算を取るために必要な要件とされておりますが、この2対1看護というのは約40年以上前に設定された制度のままでございまして、40年前の集中治療と今と比べると雲泥の差がありますし、それから、カルテ記載だとかいろいろな安全対策の面からも看護師の仕事は増えていることは目に見えております。
 それで、我々は今、厚生労働省のほうにも診療報酬の改定を要望しておりまして、この1.5対1をまずは申請しているところでございます。その根拠といたしましては、既に2対1看護でやられていないところが多うございますから、約8割ぐらいの病院で実質1.5対1を引かれているというところでございます。本来なら1対1ぐらいで要望したいところではございますが、そうするとハードルが高くなるということを考えまして1.5対1。ただ、その中で、昼間は1対1、夜は2対1でも、看護単位としての人数を1.5対1で満たせればいいようにということで診療報酬の改定を要望しているところでございまして、それに伴い、質を担保しながら徐々に集中治療に従事することのできる看護師さんの数を増やしていきたいなと我々としては考えているところでございます。
 それから、連携という言葉ですけれども、我々の資料には連携と書いてございませんでしたので、大変失礼いたしました。土井研人理事のほうからは連携という言葉は口では出ましたけれども、正確に言いますと、御相談いただきまして、趣旨は説明させていただきまして、福井トシ子会長に御賛同というか、制度としては大きな反対なくお話しいただけたものと受け止めてございます。
 実際にはその後、木澤理事の御指導の下、我々の看護担当の理事が看護協会様と少し意見交換をしながら、今、制度設計を進めているところでございますが、あくまでも日看協様の進められている認定看護師制度と競合するものではなく、アメリカではクリティカルケア看護師が9万2000人くらいいて、非常に実践的にできる看護師がいます。福井会長のお話も含めまして、看護師はやはりジェネラリストを目指しているというところで、一般病床にいても重症患者が診られるような看護師を育成するということに関しては福井会長の賛同を得ております。
 ですので、かつてICUで働いていたことがある看護師が、年数がたつうちにそれぞれ知識、技術とも遠ざかっていくところをリフレッシュしながら、我々がお手伝いさせていただくというような体制の中で今制度設計を模索しているところでございましたが、来年にはできるだけ早く始めたいと思っているところでございますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 吉川構成員、いかがですか。
○吉川構成員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。佐藤構成員、お願いいたします。
○佐藤構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の佐藤でございます。
 本日は、参考人の皆様、それから、関連する皆様、すばらしい御発表をいただきまして、心から敬意を表するものでございます。ありがとうございました。
 いわゆるコロナ罹患者における歯科治療に関しましては、先般、国のほうから、例えば人工呼吸器における口腔粘膜に関する処置、それから、罹患者の在宅医療に関する処置等について、インセンティブ等が示されたところであります。しかしながら、現時点では、それらの患者さんたちに対する現状の把握が、それら以外の項目についてはなかなか分からないという現状がございます。
 本日、お二人の方に質問をしたいと思います。
 お一人目は相澤病院様にお伺いしたいのですが、相澤病院様は病院歯科を有していると伺っております。今回の様々な取組の中で、特に軽症者に関して、病院歯科の中でこの役割、特に歯科医療の役割等について御検討もしくは役割分担等が検討されたかどうかという点が1点目でございます。
 もう一点は、世田谷記念病院様にお伺いしたいと思っております。ここは病院歯科がないと伺っておりますが、地域の連携が非常に優れているとも伺っております。今回、いわゆるポストコロナに関しまして、地域での医療連携、特に医科歯科連携についてお取組があったか、もしくはそういう検討があったか。
 この2点についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、相澤病院、いかがでしょうか。
○田内参考人 相澤病院には歯科口腔外科がございまして、主にそこで患者さんの口腔ケアを実施しております。コロナの患者さん及びアフターコロナの患者さんに関しては、感染に留意しながら通常の口腔ケアを実施しているところであります。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、世田谷記念病院、いかがでしょうか。
○武久参考人 歯科連携は、地域の幾つかの歯科クリニックさんから定期的に往診に来てもらったりしているのですが、当院はポストコロナであって、レッドゾーン対応が必要な時期が比較的短いので、今のところ、そういうレッドゾーンの方に対する対応というのはしていただいていません。
 以上でよろしいでしょうか。
○佐藤構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせしました。加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 本日は参考人の方々、御報告ありがとうございました。
 4点聞きたいのですが、まず大阪市、千葉市の消防局の方にお聞きしたいのですが、まず千葉市の方の資料の2ページの折れ線と棒グラフの図を見ますと、赤い棒がコロナの患者さんで、これを右枠の数でカウントしますと、第5波の一番多いときで大体1割ちょいの方がコロナの搬送患者さんだったと。ふだんの状況、グラフの左を見ますと、第3波、4波ぐらいですが、2%ぐらいになるでしょうか。ということは、コロナ以外の患者さんがほとんどこの青いラインのところであったのかどうかということを一点お聞きしたい。
 もう一点は、大阪市消防局さんに関しまして、5ページですか。先ほど現場到着時間が7.2分となったということがあるのですが、これは確かに私、大阪ですので、コロナの患者さんの搬送に時間がかかったという大変さは分かります。あのとき、本当にイレギュラー的にすごく長い時間のコロナの患者さんや、発熱等がありコロナの疑いがある患者さんの搬送に時間がかかったと思うのですが、コロナ以外の患者さんの搬送はどうであったかということをお聞きしたいと思っております。大阪市内において、私ども二次救はかなり頑張ったというのをイメージ的に持っておりますので、その点も含めてお聞きしたいということが2つ目であります。
 次に、日本ECMOnet様にお聞きしたいのは、最後の表で、右の人工呼吸器、左のECMOに関しましては、いわゆる救命センター、三次救急等であったかと思うのですが、人工呼吸の第5波の7,545名、このうち二次救急の割合というものが分かっていましたら教えていただきたいというのが質問でございます。
 最後に、集中治療医学会のほうにお聞きしたいのですが、資料でいきますと最初の2ページ目であります。ニューヨークの死亡率が非常に高かったということですが、私、ニューヨークの先生にお聞きしたとき、本当にあのときは集約化された病院にコロナの患者さんから一般の患者さんまで全て入っていったということで、日本と違って感染拡大が急激に起こったと聞いております。そういう影響もこの死亡の多いところにあるのではないかと思いますが、どうでしょうかということでございます。
 最後に、一番気になったのは、もう一つ、10ページの有事の場合にICU、HCU等がどんと増えたこの三角形なのですが、確かに高度急性期のHCU、ICUの役割は非常に大きかったと思うのですけれども、それ以外については先ほどから申しています二次救の割合は非常に大きかったのではないかなと私は思っております。冒頭の馬場記念病院のお話を聞きますと、ふだんどおりしっかりと二次救がこのコロナ禍でも脳卒中なり全てやってきたという御報告があったかと思いますし、我々、実態としましては、本当に二次救はコロナ禍で頑張ったなということがこういった数字で逆に出ているのではないかなと思っております。そういうことを含めた4点についてお答え願えたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、最初は消防局関係ということで、千葉市消防局、いかがでしょうか。
○亀山参考人 千葉市消防局の亀山でございます。
 折れ線グラフが全体の出動件数、棒グラフが陽性患者の数ですので、先生がおっしゃるとおりです。
 ちなみに、令和元年の出動件数が6万84件、これはコロナウイルスの搬送ではなかった時で、コロナ搬送があった令和2年は5万3641件ですので、出動件数としてはマイナス6,443件となっている状況です。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、大阪市消防局、お願いいたします。
○前田参考人 大阪市消防局の救急課長、前田でございます。
 御質問の件でございますが、第4波につきましては、御承知のとおり、長時間の救急が増えておりました。1件に46時間以上かかるというような事案もございました。そういった事案が市内でたくさん発生しますと、どうしても1隊の拘束時間が長くなって、出動可能な救急隊が少なくなるということで、現場到着の時間が遠い救急隊を拾ってくるようなことにもなって影響を与えたということでございます。
 御質問の二次病院等一般のコロナ以外の傷病者に対する影響はなかったかということでございますが、陽性患者についてはフォローアップセンターが選定するということで、これについてはほとんど影響がなかったのですけれども、陽性患者以外の疑似症例、コロナかも分からない、キーワードで発熱とかというのがあるのですが、そういう方の搬送先がなかなか決まらなかったというような声を救急隊から生の声として聴いております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、ECMOnet、お願いいたします。
○橋本参考人 最後のスライドをお見せした橋本でございます。
 二次救急に関しては、当初700近い病院にお声がけしたときに、その中にも二次救急は入っておりましたけれども、特に大阪、そして、8月の東京では、ふだん人工呼吸されていない病院が行きどころがないということで、そのとき、大阪府では急遽そういう二次救急病院をこのCRISISという病院群に登録してデータを入れていただいたのですが、私が思いますに、かなりの患者さんの数が抜けていると思います。ですので、実態としては分からないということが正直なお答えになろうかと思います。どこの自治体も、今日何人人工呼吸をしたかというデータはお持ちなのですけれども、その一人一人の患者さんがどういうふうな形で転帰を迎えられたかということは我々のデータベース以外にないということで、できればレトロスペクティブにもデータは集めたいところでございますが、かなり限界がございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、日本集中治療医学会、お願いいたします。
○西田参考人 理事長の西田でございます。
 御質問ありがとうございます。
 スライドの2ページ目につきましては、我々が強調したかったのは、まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、ニューヨークの第1波は本当に大変な状況でございました。息ができなくなった人に気管挿管をして人工呼吸器をつないでも、ふだん人工呼吸器をあまり使い慣れていない先生方及びスタッフが管理すると、延命はできても、例えば残っている肺がほとんどないような状況、通常と同じ換気をすると残っている肺まで悪くなる。そういうようなことも相まって、なかなか救命としての成績が上がらなかったということで、日本の集中治療が世界でトップであるということを言いたいわけではなくて、キャパを超えるとアメリカのような医療レベルの高いところでもこういうことが起きるので、人工呼吸を含めた重症患者さんの管理ができるキャパをしっかりと支えていただきたいというお話でございます。特に第1波は感染者数はそれほど多くなくて、重症の数も多いといっても第5波のときの2,000人を超えるような状況ではございませんでしたので、最初の頃は集中治療の専門医がたくさん見たのではないかと思います。
 先生の御指摘のとおり、第4波、第5波に至りましては、本当に二次救急も含めたところで御活躍いただきまして、そのおかげで感染者に比べて日本の成績が保たれた、壊滅的な医療崩壊には至らなかったというのも二次の先生方の御尽力によるものと我々も認識しているところでございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 加納構成員、まだ御質問はございましたか。これでよろしゅうございますか。
○加納構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 COMLの山口でございます。
 今日御発表いただいた参考人の皆さん、どうもありがとうございました。
 その中で、世田谷記念病院の武久参考人と、日本集中治療医学会に2点ずつ質問をしたいと思います。
 まず、世田谷記念病院の武久参考人にですけれども、実は私たち、電話相談を日々受けておりますけれども、このコロナ禍になって一番継続して多い相談が、入院患者との面会ができないことに対しての様々な不安や不満などでございます。その中で、今日、面会家族の方への対策ということで、2種類から選べるということで、ゆったりと面会できる面会室を1つつくっていらっしゃることはすばらしいなと思いました。やはり直接会って安心できるということはとても大きなことではないかなと思っています。
 もう一つの選択肢のオンライン面会なのですけれども、御高齢の方の中にはオンライン面会と言われても理解できなかったり、あるいは自分で操作ができなくて、スタッフの方に手伝ってもらわないといけなかったりする場合があります。そうなると、家族だけの話合いができないというようなことで、いろいろと本音の話ができないというような声もあるのですけれども、そういったことに対して何か工夫をされていることがあれば教えていただきたいということが一つ。
 そして、もう一つが、ポストコロナということで、もっと受入れができたと思うという話がございました。そのためには行政が必要だというようなお話をされたのですけれども、もう少し具体的に、行政の何があればスムーズに受入れが進んだのかということをお聞きしたいというのが2点目です。
 それから、日本集中治療医学会の御発表の中で、臨床工学技士のお話がございました。既存の臨床工学技士の方であれば、コロナの重症患者に対して行われているECMOの操作は可能だったのか、それとも新たに研修が必要だったのかということを教えていただきたいのが1点目。
 2点目として、これから未知の新興感染症ということを考えたときに、高度な生命維持装置の管理というのはとても重要になると思うのですが、そういったときに臨床工学技士の人数が全国的に今足りているのか、もっと必要なのか、その辺りを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それではまず、世田谷記念病院からお願いいたします。
○武久参考人 ありがとうございます。
 面会室の件ですが、昨年9月ぐらいから、どうせ長くなるだろうと思っていましたので、思い切ってああいう形でつくっています。オンライン面会は、高齢の方は自分で操作できないので、スタッフがiPadを持っていって、御家族とつないで、ベッドのテーブルのところに置いて、それだけで会話できる人に関しては、そのままスタッフは前で待っているというような形で対応しています。それなりの認知症がある方でも、ただ画面を置いておくだけであれば、意外と早めに慣れて対応できることが多かったかなと思っています。
 ポストコロナを受ける病院として、具体的に行政から何かがあればもっと受けられたというような話なのですけれども、ポストコロナに関しては、コロナの治療をされている病院からの紹介で成り立っていますので、例えば地域を越えるような紹介であっても全く問題なく対応できましたので、そういうネットワークがあればいいかなということがあったのと、今回、我々、ポストコロナを受ける病院としてある意味登録していましたが、先ほどスライドでも言いましたが、ポストコロナを受ける以上に、コロナの治療病院で治療はされて、もう軽快していくだろうという人、退院の規定をクリアしていないような方、10日未満のような患者さんであっても、そういう方に関しては受け入れようと思ったら受け入れられたかなと思っています。それは、都の中で軽症患者を受ける病院としての登録をするか、ポストコロナを受ける病院とするか、どちらかしか選べなかったということがあって、その中間があればよかったなと思っています。その中間としてちゃんと登録するなり、そこをやってくれと言われると対応できたなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、日本集中治療医学会、お願いいたします。
○西田参考人 先ほど来言っておりますことは、強靭化するための提言に書いていますので、それも含めてぜひ御覧いただければと思います。
 臨床工学技士についてですけれども、臨床工学技士は集中治療室とかだけでなくて血液浄化センターや手術室など、技士の方の活躍する範囲というのは非常に広うございます。ですので、ECMOというある程度特殊な装置に関しましては、それなりの経験と教育がないと実際には知識があっても回せないというようなところでございます。それに向けて、我々は臨床工学技士会と2段階で認定制度をつくっているところでございます。
 数に関しまして、我々の把握しているところでは、病院に従事している臨床工学技士は常勤換算で2万3741名となっております。100床当たりの臨床工学技士を見ますと、医療法人レベルでは3.6人でございますが、国公立大学病院は3.0、私立大学の本院で2.9、自治体で2.7、国立病院機構2.2と公的な病院になればなるほど配置が少なくなっている現状を我々は把握しております。集中治療室においても、昼間臨床工学技士が常駐していないところが40%、夜間に至っては60%の数字を把握しておりますので、これはまだまだ臨床工学技士の活躍する部分がしっかり残されていて、補充が必要であると。タスクシェアの観点、医師の働き方の観点からも、ぜひとも臨床工学技士の数を増やしつつ、ECMOや人工呼吸ができる、集中治療に従事する技士の数を質を担保しながら増やすために我々の学会としても貢献していきたいと考えている次第でございます。よろしくお願いいたします。
○山口構成員 どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、尾形構成員、お願いいたします。
○尾形構成員 ありがとうございます。尾形です。
 参考人の方々、いずれも大変参考になる御発表、どうもありがとうございました。
 時間が押しているようですので、私からは1点だけに絞って質問をさせてください。
 資料1の馬場記念病院の西尾先生にお伺いしたいと思います。御説明いただいた資料1で、大阪府における開設主体別のコロナ患者の入院実数の推移が示されています。これを見ると、第3波あるいは第4波以降、特に民間病院における軽症、中等症の入院実数が急増していると見えるわけですが、この増加の要因としては何が一番効いているとお考えでしょうか。例えば大阪府から要請があったとか受入体制の整備に少し時間がかかった、あるいは診療報酬や補助金等の経済的な支援が効いたなど、いろいろ考えられるかと思うのですが、この辺、どのようにお考えでしょうか。お考えをお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、西尾参考人、よろしくお願いいたします。
○西尾参考人 私はノーアイデアです。よく分かりません。いろいろなものが複合的な要因です。
 加納先生に聞いていただいたほうがいいかもしれないです。
○遠藤座長 加納構成員、コメントをお願いします。
○加納構成員 最初の頃はPPEもありませんでしたので、受けていたら欧米と同じように病院ごとクラスターを起こして医療崩壊していたと思うのですが、順次支援金等の補助金が整い、民間病院は経営ありきがひとつありますので、しっかりと経営判断をしながら参加ができるようになってきたということが大きな要因ではないかなと思っております。
 特に大阪の場合、知事がおっしゃったからどうこうということはなくて、これは私立病院協会が非常にしっかりしておりまして、我々、病院として一生懸命対応するように指導をしておりましたし、これ以外に宿泊療養に関しましては1年半かけてずっと私立病院協会と医師会とでしっかり守っていったという自負もございます。そういったことでは、先ほどお返事にありましたようにいろいろな要因が重なったのだとは思うのですが、やはり民間病院、大阪の場合、9割が民間病院、精神科とか慢性期も入れましてですけれども、そういう体制の中で頑張った結果ではないかなと思っております。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 よろしくお願いします。
○田中参考人 馬場記念病院の事務長の田中でございます。
 先ほどの御質問に関してなのですけれども、私ども馬場記念病院におきましては、この大阪は、救急医療の受入れについては民間病院が8割以上受けている地域でございます。ですので、救急の受入れに関しまして、やはり断らずに受け入れるという風土が馬場記念病院をはじめとした民間病院では根付いている病院が多くて、その中で、救急を受けましたが、コロナではなかったと思ったらコロナでしたというような患者様もたくさんいらっしゃる中で、私どもの病院の中でもコロナの確保病床を上回るコロナの入院患者様が一時いらっしゃるぐらいに救急の中にも二次救の中にもコロナの方がたくさんいらっしゃる。それを断らずに受けたという努力があったこともございますので、そういう状況が反映されているのではないかと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 尾形構成員、よろしゅうございますか。
○尾形構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。今村構成員、どうぞ。
○今村(知)構成員 今村です。
 すばらしい発表をありがとうございました。
 時間も押しているので、たくさん質問はあるのですけれども、1点だけに絞らせてもらいます。
 集中治療医学会にお願いしたいのですけれども、私、このコロナの対策って、結局、集中治療をどれだけ確保できるかというのが一番のコアだと思っています。初動で救急治療、特にICUを確保するときに、うちの病院でも一番困ったのが、集中治療医学会からは2対1看護ではなくて1対2看護が望ましいということが出てきているのです。すると、通常のICUの4倍の看護師さんを確保しなければいけない。これを7対1に換算すると、ICUを10床空けようと思うと150床閉めないとICUが確保できないという事態があって、すると、そこが非常にボトルネックになって、なかなかICUの人確保ができなくなったという状況があります。多いほうが望ましいのは言うまでもないことなのですけれども、初動の段階でそれを確保しようとすると、一番最初に確保しなければいけないICUの数が確保しづらくなるという現状があって、そこら辺を初動の段階や後々余力が出てきた段階とに分けて考えるというようなことはできないものでしょうか。そこら辺のところ、お考えを教えていただければと思います。
○西田参考人 理事長の西田でございます。
 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、我々も1対1看護にしろと言ったわけではなくて、せざるを得ないということを広く皆様に認識していただいたということで、今回、2類相当の感染症に指定されておりますし、実際に未知のウイルスで何も有効な手立てが見当たらない中、やはり感染防御をいかにしっかりするかということは非常に重要なことでございました。
 ですので、通常、一人の看護師で2人重症患者さんを診るって、例えば隣の患者さんがベッドから落ちそうになっていると慌てて走っていくことができますけれども、これが全てコロナで埋めてしまえば可能なところがあるかもしれませんが、個人防護服を着たり脱いだりするだけでも非常に時間がかかる。それで、PPEが不足しているときに、例えば薬がなくなったから薬を詰めてくるといって、ナースセンターに行って帰ってくる。そういうことがなかなかできないので、ガーゼがなくなったから持ってきてくださいということを外回りの看護師さんに伝えたりするとなると、一人のコロナの患者さんを診るのにどう考えても2対1看護ではやれないだろうと。そのことをまず認識してくださいと。ですので、マンパワーが最も大切ですよということを、私、去年の4月に集中治療医学会の理事長声明でお伝えしたところでございます。
 ですから、ICUの(コロナ重症患者)1,000床はマンパワー換算すると4,000床に相当するので、日本の集中治療のベッド数が6,500、7,000あったとしても、1,000人も(コロナの)重症患者さんが出ると、このままの状態では無理ですよということをお伝えしたわけです。1対1看護にしろと言ったわけではなくて、そうせざるを得なくなる臨床で働く現場の人間としてそこのところを強く訴えました。その苦い経験を基に、我々はその後いつでも集中治療ができる看護師さんを養成する手はずを整えたいと思い、いざというときにほかの病床も人工呼吸を並べるようなハコの体制はどうすればいいかということで、ハコ、ヒト、モノにつきまして、集中治療体制を強靭化するための提言をしっかりとデータに基づいて書かせていただいております。
 ですから、先生のおっしゃるマンパワーの問題をいかに迅速にやるかというところは非常に重要なことでして、例えばアメリカのクオモ知事がニューヨークを助けてくれと叫ぶと、全米からバスに乗って看護師さんが駆けつけた様子が報道されましたけれども、吉村知事が集中治療センターをつくられても看護師確保に苦労されたというのは、やはり集中治療という特殊な環境の中ですぐ手を挙げるような知識と技術を持ち合わせている看護師さんの絶対数としては、まだ日本はそういう整備がされていなかったのではないかという反省の下に、我々はそういう制度設計の提案を出しているところでございます。今後の第8次医療計画であれば、そこのところは、先生がおっしゃるところは、ヒトの問題というのは最も重要だと思いますので、我々も強調したいところでございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 今村構成員、いかがでしょうか。
○今村(知)構成員 ありがとうございます。
 1対1まではうちも確保したのですけれども、1対2と最初におっしゃったのが一番効いていまして、そこら辺の初動の段階で1対1であればまだもう少したくさんICUがつくれたのですけれども、1対2で出てきたのが。
○西田参考人 それは我々も1対2ぐらい要る可能性があるということで、その後我々も調査をしました。ECMOに至っては1対2に近い場合もありますけれども、通常の人工呼吸では1対1等でできるというアンケート調査も含めた実態調査も含んでございますので、今、ある程度慣れてきましたので、今は1対1で診られるのではないかと我々も思っております。当時はそう(1対2が必要な状況)でした。
○今村(知)構成員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、お待たせしました。城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 ありがとうございます。
 御報告いただきました皆様方、本当にありがとうございます。
 時間の関係上、2点お伺いしたいと思います。
 まず、病床を確保するという点において、この医療計画を今後策定していくのに感染拡大時の速やかな病床確保というのが非常に重要になってきます。本日のいろいろな御報告でも、その要因としていろいろ御報告していただいていますけれども、特にあえてこれが一番重要ではないかという点があれば、馬場記念病院の先生と相澤病院の先生方にお教えいただきたいのが1点。
 同じく両病院に、一般医療との両立というのも非常に難しかったと思うのですが、この点に関してはどのようにされたのか。
 この2点、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それではまず、馬場記念病院からお願いいたします。
○田中参考人 馬場記念病院の事務長をしております田中でございます。
 御質問ありがとうございます。
 まず、地域医療計画の中でということでございますけれども、今回、私どもは、地域医療計画の中では高度急性期、急性期の分野のコロナ病床を担当させていただきました。もちろんポストコロナのところにつきましては、療養のところでも担当させていただいたというグループの中の病院はございます。いずれにしても、地域医療計画の中で今回は急性期をさせていただいたという数字になっております。
 次に、一般医療との両立につきましては、やはり私どものほうは脳卒中をはじめとした地域医療支援病院として地域の重症な患者様を担当する病院でございます。ですので、やはりコロナのところだけで全ての医療が終わるわけではございませんので、また、それぞれ働いている医師や看護師、コメディカルのモチベーションというところもございますので、やはりコロナに対して力を尽くしたいと思う職員とそれ以外の分野で力を尽くしたいと思う職員との両立が非常に重要かと思いまして、特に人員確保につきましては、それぞれの職員のモチベーション、そして、地域からのニーズに対して対応をするという形でバランスをとっていくということが病床の確保においても人員配置についても非常に重要ではなかったかと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 では、相澤病院、お願いいたします。
○田内参考人 コロナ用の病床の確保ですけれども、ほかの病床に余裕があれば、例えば15床に入っている患者さんをすぐずらしてコロナ用に転換すればいいのでしょうけれども、それが病院全体で稼働がすごく高い状況で、例えば九十何%の病床利用率のときに、15すぐ空けろと言われても、やはり空けるまで数日、下手をすると1週間かかります。偶然状況で空いているときであればいいと思うのですけれども、今回も10月1日付で確保病床を解除しなさいというような命令が来て、今、うちは一般病床で動いていますので、ここで冬場の満床の時期に15すぐ空けろと言われても、確保は困難になると思います。
 一般診療に関する影響ですけれども、やはりコロナ用の病床を確保する上においては、当然ほかの病床に負担がかかります。どうしても確保できない場合は、うちは救急救命センター併設ですので、救急の患者さんの病床も確保しなければいけないので、やはり不急の予定入院の患者さんにちょっと待っていただくという対応を取らざるを得ない。本年も1月、2月はそういう対応を取りましたけれども、不急、ちょっと待っていただける入院の予約の患者さんにはお待ちいただくという対応が必要になると思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 城守構成員、いかがでしょうか。
○城守構成員 ありがとうございました。
 大変難しい問題だろうと思いますし、またよろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、織田構成員、お願いします。
○織田構成員 ありがとうございます。
 時間が迫っていますので、1点だけお聞きしたいと思います。
 大阪市消防局の前田参考人にお聞きしたいのですけれども、今回、皆さんのお話を聞いて、やはり患者情報の一元化、共有化がかなり遅れているのではないかという感じがしました。そういう中で、最後の11ページにまとめてある新型コロナ対応への課題というのは、重要な問題提起になるのだろうと思います。そういう中で、4番目に都道府県による情報の一元化、共有化ができないということで、保健所の管轄地域外の医療機関の空床数など詳細な情報の入手が困難であり長期間現場滞在となる要因の一つということで出ていますけれども、これはやはりデジタル化の遅れというのが基本にあるのではないかと思いますが、そこら辺、大阪市消防局の前田参考人、いかがでしょうか。
○遠藤座長 では、大阪市消防局、いかがでございましょうか。
○前田参考人 ありがとうございます。
 一元化ということを言わせていただいたのですが、これは既に入院調整としては大阪府のフォローアップセンターがやっていただいていて、保健所が疫学調査あるいは入院の要否等を決めた上でフォローアップに上げるというような流れになっております。デジタル化という御意見がございましたけれども、確かに今、保健所で行っている発生届であるとか、あるいはフォローアップセンターに送る情報内容については、手書きのペーパーを使って、しかも、PDF化したものをメールで送るというような作業を行っているところでございまして、我々がそれをどうこうと言うことはできないのですけれども、そちらのほうのデジタル化による効率化によって、情報の伝達自体がもっとスムーズにいくことは確かに考えられると思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 織田構成員、どうでしょうか。
○織田構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、お待たせしました。大屋構成員、どうぞ。
○大屋構成員 大屋でございます。
 今日、私、全国医学部長病院長会議の代表で出ていますけれども、通常、大学病院長をして、また、沖縄県医師会の理事をしていますので、今日の参考人の皆様方の本当に最前線で御苦労されているということ、それから、御尽力されていることに敬意を表したいと思います。
 本当に手短に、2つだけ質問をさせてください。
 両方とも集中治療医学会とECMOnetにお聞きしたいことなのですけれども、専門医が少ないということで、現在の専門医制度の中では、複数あるような専門医というのは以前に比べて人が集まりにくくなってきているというような状況があって、いろいろ苦労されている学会が多いと思うのですが、実際問題、最近集中治療専門医を希望する方たちは減っているのか。それでいろいろ御苦労があれば、そこのところ、こうしてやっていけばいいのではないかというようなことがあれば教えていただきたいということが一つです。
 もう一つは、ヒト、ハコ、モノというお話があり、しかしながら、全国津々浦々、ヒト、ハコ、モノというのがそろっていないというところで、沖縄県はしっかりECMOnetに助けていただいたりして、特に災害対応で救急、集中治療、また、それに関連する皆様には、県を越えて来ていただいたり、ほかの地域だったら重症患者さんの搬送が行われていたと思うのですけれども、これが本当に災害対応であれば、本当に災害だったのですが、ほぼボランティアに近い形で皆さんいろいろ行動されていて、私どももDMATを派遣するとか言っても、なかなか人をたくさんは出せないという中、本当に皆さん救急として、集中治療の皆さんは喜んでというのはおかしいのですけれども、遠くまで来ていろいろ仕事をしていただいたと。そういう面で、もっと人が増えれば大丈夫ということなのですけれども、遠くへ人を出すことについての御苦労とか、こういうふうなことを国に対して要望したいということがあれば教えてください。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、初めに日本集中治療医学会からお願いいたします。
○西田参考人 日本集中治療医学会の理事長の西田です。
 御質問ありがとうございます。
 集中治療の専門医に関しましては、増えてきてはおります。毎年200名程度増えてきておりますが、ただ、昨今、専門医機構の枠組みの中で、やはり今後、専門医機構が認めている専門医とそうでない専門医というのは、今後、若い人たちがどこを目指すかというところに大きく影響すると思っているところでございますので、ぜひともサブスペで認めていただきたいと思っているところでございます。
 それから、(集中治療専門医の基本として領域としては)救急医学会と麻酔科学会が多うございますが、ここにいる土井は腎臓内科出身ですし、内科の先生をはじめ、幅広い領域から集中治療を目指していただくことによって、いろいろな基本領域のところで重症患者管理を一定程度学んでいただくことによって、いざというときの予備役として働ける可能性もあるので、それは機構のほうにお願いしているところでございます。
 ハコ、ヒト、モノに関しましてですけれども、我々、昨年よりずっと厚労省のほうには依頼しているところでございますが、そもそも医師届出票にも、それから、施設調査として行われている静的調査、動的調査にも集中治療科が入ってございませんので、集中治療の担い手がどこにどのように分布してどのように動いているかということは、現在、国の統計としてはございません。今後、第8次医療計画を考えるときに、これ(統計を取り実態を把握すること)は根本中の根本だと思っておりますので、この点に関しましてはぜひともお願いしたいと思っているところでございます。その上でどこが足りないのかと考えたときに、誘導しながら集中治療をやる担い手を増やしていくことが重要だと思ってございます。
 それから、人の派遣に関しましては、先生がおっしゃるとおり、各地区で充足すれば、我々が遠くまで出かけていってやらなくても、今は遠隔ということもございますので、ある程度の重症患者さんが診られるドクターたちとほかのスタッフがいれば、わざわざ行かなくてもお話ししながら質を担保するということは可能になるかと思いますので、我々は遠隔ICUということに関しましても非常に力を入れているところでございまして、外郭団体としてNPO法人を立ち上げたところでございます。
 今回、厚生労働省様の多大なるバックアップをいただきまして、(委託)事業の中で人材派遣から搬送調整ができましたこと、本当にこの場を借りて御礼申し上げますが、今後足りない中でこの体制を続けるというのは、今回はやはり非常的な方法だと思っております。ただ、全国津々浦々、非常に高いレベルの集中治療提供体制を整える必要はないと思うので、ある程度集約化する中で重症患者さんを集中治療を施しながら搬送する。DMATとは違う枠組みで少し考えていきたいなと思います。むしろDMATでは黒タグを貼られるような患者さんが搬送になる可能性も十分ありまして、人工呼吸やECMOをやりながら患者を搬送する、あるいはほかの循環のデバイスをつけながら搬送するというのは、集中治療医がそこにいて看護スタッフもいて、技士もいて、動くICUが必要となるというところで、これは、保険局医療課のほうにも、集中治療加算の亜型としてモバイルのICUの加算をお願いしているところでございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ECMOnet、いかがでしょうか。
○竹田参考人 沖縄に実際に1か月間派遣させていただいたときの統括をしております理事の小倉から話をさせていただきます。
○小倉参考人 ECMOnet理事の小倉と申します。
 6月に沖縄のほうに入りまして、現場で統括指揮をさせていただきました。その経験から、大枠をお話しさせていただきますけれども、私自身は救急の専門医であり、かつ集中治療の専門医であります。そして、ECMOのスペシャリストであり、かつ、災害も統括DMATとしてやる人間でございます。
 そういった様々な知見をフル投入して、沖縄の対応に当たりましたけれども、まず一つ大事なのは、平時からしっかりとそういった専門医の育成も通して下地をつくっておくこと。人工呼吸をやる環境、そして、ECMOをやる環境を地域医療計画の中でしっかりとまずやらなければならない(整備しなければ)と考えております。この下地がないと、いくら機械を持ち込んでも、そこで重症の管理は絶対にできないと思うのです。(ECMOを必要とする重症呼吸不全患者は、各医療機関で平均で1-2件/年しか発生しませんので、そのような環境を野放しにしては、人材育成が永遠と進まないのではないかと危惧しています。)
 DMATは、先ほど西田理事長からもお話がありましたけれども、助かりそうな患者さんは基本的には広域搬送する。かつ、赤タグが貼られた患者さんはある程度の人数に関してはその場で耐える。そして、なかなか助かりそうにない人は黒タグを貼るといった一定のルールの下、活動しますけれども、感染症対応は1か月とか2か月とかかかりますので、やはり考え方が少し違う(発生後72時間以内に発生する防ぎ得た災害死亡を減らすことを目的としたDMAT対応と、数ヶ月単位で医療コーディネートを考える感染症Pandemic対応とでは、考え方やその対応の方略が全く異なる)のかなということで、現場に入りました。
 そして、現場の有事対応ですけれども、やはり箱物(医療危機管理センター(仮称)等の重症診療拠点)をしっかりと用意することと、人(重症患者の管理に精通した多職種の医療チーム)をしっかりと投入すること。これは、県ではなかなか対応はできないと感じました。ですので、ここは国なのです。有事対応というのは、DMATを動かすのもそうですけれども、国の対応なので、私どもは沖縄県から要請を受けまして、もうちょっと詳しく説明すると、沖縄県から厚労省に要請がありまして、厚労省から我々のところに指令が下って、国のお金でしっかりと動くことができた。この点に関しては非常にいいモデルケースができたなと感じておりまして、ぜひともこのシステムを今後生かしていきたいと考えております。
 最後に、国の指令によって動くときに大事なのは、やはりコマンドシステムになります。ECMOもしくは人工呼吸、その両方の診療がしっかりとコーディネートできる、有事対応としてどこに拠点をつくり、その拠点からあぶれ出た人をどういうふうにフォローアップするか。こういった医療を全体的にコーディネートする人間が必ず必要なのです。ですので、そういった人間をDMATと同じように国として育てていかないと、誰でもいいからそこに入って助けてやってくれとやったとしても、恐らく助けられる命は減ってしまうと感じます。
 ですので、まとめますと、まず地域医療計画の中で人工呼吸、ECMOができる環境の下地づくりをしっかりやっていきましょう。もう一点は、有事対応として人を投入するのであれば、そのコマンドが取れる人間を国として育成し、適切な時期に国が緊急チームを派遣する。この2点をやりきることによって、ECMOなり人工呼吸なり重症管理をするキャパシティーを短期間で急速に広げることができると感じております。
 私からは以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 大屋構成員、いかがでしょうか。
○大屋構成員 どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、構成員の皆さんからの御質問は大体終了いたしましたので、大変時間も押しておりますけれども、これからオブザーバーの方からの御意見、御質問等を承りたいと思います。オブザーバーの方で御意見、御質問等がおありになる方は、発言ボタンを押していただければと思います。
 それでは、谷口先生、お願いいたします。
○谷口オブザーバー 時間も押していますので、1点だけお願いしたいと思います。
 これまでのお話で、マンパワーが非常に大事だと。日頃からそれを育てることが非常に大事だというお話がずっとあったと思うのですが、病院というのは収益というものに縛られているところが結構ございまして、看護師さん、検査技師さん、臨床工学技士といった方、医師も含めてですけれども、収益の見込めない増員はなかなか認めていただけないということがあります。そうすると、今回も急性期の病院の先生方、スタッフへの負荷がかなり大きかったのではないかなと思いますし、それによって他の疾患への対応も削がれたのではないかなと思います。
 先ほど日頃の人的なゆとりというのもあったと思うのですが、病院というのは本来医療だけではなくて危機管理の組織でもあると僕はずっと思っています。そのことを考えると、ふだんから人的なゆとりというのが確保できればもう少し対応ができたのではないかなとも思うのですが、急性疾患の先生方、2つあったと思うのですけれども、これは医師も看護師も全てそうですが、日頃からのゆとりがどのぐらいあればよりよいことができたと思われましたでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、急性期病院ということで馬場記念病院と相澤病院にお話を承りたいと思います。平時からの余裕の話ですけれども、では、馬場記念病院、何かコメントはございますか。
○田中参考人 ありがとうございます。
 医師につきましても、看護師につきましても、特に医師については必要人員の算出というのは非常に難しいかと思うのですけれども、看護師の場合、法定人員から考えますと、従来はおおむね7対1看護の中では1.4倍ぐらいの人員配置をしておりました。ただ、今回のコロナの非常に厳しかった時期には、いわばその余裕を使い切ったという状況でございます。でも、やはり二次救急を守らなければいけないという状況の中では、それぞれの職員が持っている能力を最大限に出し切って乗り切ったというのが正直なところで、そういうモチベーションをもたせるためには経営の安定というところがひとつポイントになったのではないかと考えております。
 結論から言いますと、1.4倍あっても出し切ってしまったというのが今回の状況で、今後は、コロナのことを考えますと、それ以上の人員の余裕を持っておかなければいけないのかなと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 相澤病院、いかがでしょうか。
○田内参考人 相澤病院は460床で、常勤医師が150、常勤看護師が500人以上いますけれども、足りているかというと、足りてはいないと思います。そういう場合、今回みたいな緊急事態にどう対応するか。それは、その病院の置かれた立場、地域における立ち位置を職員がきちんと理解していただいて、こういう事態だからみんなで少しオーバーでも頑張ろうということで協力して対応できる。変な言い方ですけれども、職員の心意気で何とか乗り切ったという状況ですので、人的には全然足りないです。田舎の病院ですので、募集をかけても十分な人員が集まるような時代ではないので、それはお金を出すから何とかしろと言われても、人はすぐ集められませんので、なかなか難しいところではないかなと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 谷口先生、どうですか。
○谷口オブザーバー ありがとうございます。
 本当に人材はお金だけではどうしようもない、やはり経験とトレーニングのある人材をすぐにというのはなかなか難しいものですから、ここはやはり日頃から危機管理として医療機関をどういうふうに計画していくかというのを考えていただければと思います。
 以上、ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、手を挙げられておられます岩本先生、お願いいたします。
○岩本オブザーバー オブザーバーの岩本と申します。
 今日は現場からの様々な御意見を伺うことができて、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 1点だけ、ECMOnetの竹田先生に伺いたいのですが、ECMOは機械として国産の機械なのか、全部海外製なのかということと、それから、人数を少しでも減らすために、かなりまだ機械の向上によって人手を減らせる可能性というのはあるものなのか、この1点だけ伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ECMOnet、お願いします。
○竹田参考人 ありがとうございます。ECMOnetの竹田でございます。
 ECMOの機械は、現状はほとんど国産です。ECMOというのは心臓とか心肺蘇生にも使われるのですが、今回は呼吸不全で肺に使われたのですが、機械自体はもともと心肺蘇生用に救命センター等で非常に普及しております。ただ、管理の仕方が少し違うというところはあるので、ECMOnetがそういったことを支援したのですが、機材自体は国産品がほとんど全てです。ですから、今回も国のほうから機材の提供支援は非常にスムーズに進んだと思います。この機械も、昔は確かに海外製品と比べると少し劣っているところがあったのは事実なのですが、現状ではほぼ遜色ないような状況にまで改善しておりますし、最近はもっとさらに進化したような形で開発を進められているようですので、十分な期待が持てます。これも国産品で十分賄えると思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 岩本先生、いかがでしょうか。
○岩本オブザーバー ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、猪口先生、お願いいたします。
○猪口オブザーバー オブザーバーの猪口でございます。
 私は東京で中等症の重点医療機関ということで、第5波のときには相当診たのですけれども、その中で重症を診ざるを得なくなったというところで、ECMOnetの竹田先生には御指導をいただいたりして、非常に助かったところではあるのですが、東京では多くの患者さん、8割ぐらいは救命救急センターが診て、コロナの受入れの病院は二次救急病院、それから、救命救急センターの病院の救急の病院が中心として診ている印象があります。
 今日、お話の中で、救急病院という視点で三次救急の病院だとか二次救急という視点はなかったのですが、ECMOnetの先生、それから、集中治療学会の先生方のお話だと、集中治療学会と救命救急センターはかなりオーバーラップしていると思うのです。技術的には集中治療学会のおっしゃっていることは非常によく分かるのですが、この感染症のパンデミックの受入れというのは、救急の視点でいくほうがいいのか、それとも集中治療という重症治療の治療方法の視点でいくのがいいのか、ここのオーバーラップをどう解決して考えたらいいのかというのは、集中治療の先生、もしくはECMOnetの先生に御意見を聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、お二方からお聞きしたいと思います。
 まず、集中治療医学会のほうから。
○西田参考人 集中治療医学会の西田です。
 東京は確かにそうでございますが、全国的に見ると必ずしもそうではないと思っております、私は藤田医科大学でございますが、ECMOを回しているのは、救命センターのICUではなく、我々が別なところで診ているICUで、愛知県のかなりの部分のECMOを診させていただいております。
 救急と集中治療というのは非常に連携しながら完結するものであると認識しておりますが、(救急は)フェーズの短さとか、短期間で、あるいは、集中治療というのは本当に長いと1か月以上かかるようなところで、いろいろな専門的な知識を救急と違う専門的な知識も含めてやるところでございます。
 私が感じましたのは、救急搬送等を含めて、感染症がバッティングするところがあったりして、その後ろに集中治療もあるとなると、救命センターと集中治療が完全に一致してしまうと、パンデミックのときにはむしろ弱いのではないかなという印象を持っているところでございます。これは十分な制度設計が私の頭の中にあるわけではございませんが、例えば集中治療センターみたいなものも各都道府県に1つずつあって、そういうところで集中治療を必要とする患者さんをそれほど広域でない搬送をしながら、そこに集約化して重症化した患者さんを診るというようなところも含めて、うまくすみ分け的なことをすれば、救命センターが本来の救急業務の部分も含めて、何か方策があると思っているところでございます。
○遠藤座長 では、土井先生。
○土井参考人 理事の土井です。
 1点だけ補足させていただきます。
 救命救急センターでコロナを診ている救急科の先生は、同時に集中治療科の専門医でもいらっしゃる方が圧倒的に多いです。先ほど発言された小倉先生もそうですし、私もそうであります。ですので、重複してというか、連携して事に当たるという意味では、救命救急センターにいる集中治療医というところで理解ができればいいかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ECMOnetからもし御意見があればお願いいたします。
○竹田参考人 では、簡単に補足させていただきます。
 集中治療室というのは各病院によってかなり差がありまして、例えば術後の患者しか受けていないというようなところもございまして、各施設によって大分差がありますので、何とも言えないというのが正直なところです。東京都は非常に病院システムがしっかりしておりますので、今回26救命センターが全てコロナの重症を受け入れるという形をとられましたので、重症患者の治療としては非常にすばらしくうまくいったと思います。現実的に、外部からの患者の受入れということに関しては、やはり救命センターの形というのがしっかりできているというのが現状ではシステムとして出来上がっているのではないかなと感じております。
 以上でございます。
○藤野参考人 追加してよろしいでしょうか。ECMOnet副理事長で大阪大学の藤野でございます。
 当院は救命センターはございますが、ICUのほうは麻酔科が診ております。ICUは30床であるのですけれども、第4波のときに、ICUの30床を全てコロナ用に一時的にしました。その代わり、救命センターはトリアージだけして、実際の診療はICUに回るということなので、大阪でほかの施設はコロナで手いっぱいになって、通常の三次救急を受けられない状態になっておりましたので、その分の三次救急を阪大病院に取るということで、何とか乗り切ったという経緯がございます。ですので、救命センター全てにその役を回すと逆に破綻するのではないかと思いますので、いろいろなタイプのICUを混ぜたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○小倉参考人 補足で、ECMOnet理事の小倉です。
 私は救命救急センター長です。一つ言えることは、やはり救命救急センターというのは社会システムとして非常に機能している部分なのだと思います。ここの強みは、救急搬送というシステムがありますので、患者さんが発生して、その患者さんを重症を診る医療機関に搬送すると。救急隊の連携等も含めて、行政との連携もDMAT等でやっていますから、そういった社会システムを応用して感染症患者さんの搬送調整を行うという面では、救命救急センターがある意味機能すべくして機能したと思っています。しかし、救命センターの中にも、集中治療室、ICUというものがございますので、そういった意味では、救命救急センターの中のICUのできるドクターが今回コロナでいっぱい仕事をしたといった構造になっていると思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 猪口先生、いかがでしょうか。
○猪口オブザーバー 今お聞きになったように、病院ごとのいろいろな特性によって窓口が変わってきたりしているのです。ここで将来的に感染症ということで制度をしっかりつくっていくとすると、この辺のところをしっかり考えないといけない。二次救急の中にも少なからず幾つかありますので、こういったところの整理というのは大事なのかなと思っているところです。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 お待たせいたしました。大友先生、よろしくお願いします。
○大友オブザーバー 日本災害医学会の大友でございます。
 先ほど今村構成員からも質問がございました関連ですけれども、コロナの人工呼吸を要する重症患者さんを診られる病床数というのは、集中治療の専門医というよりも、医者よりも、実は看護師の数で規定されているのだと思います。全国で集中治療室で勤務可能な看護師数を調査すれば、1対1看護の場合、2対1看護の場合それぞれの場合の使用可能な重症コロナ対応病床数を計算できると思います。
 その中で、当然、術後ICUとか救命救急センターのICUの看護師も割かなければいけないので、その分を差し引いてコロナICUのMAXの病床数というのは計算できます。重症コロナ患者が急増する時に、しっかりと病床あたり十二分な看護師の量を確保して、1対1もしくは患者1に対して看護師2というような体制でいくとすると、第5波の時のように、集中治療室に収容出来ない重症コロナ患者が大量に発生し、普段は集中治療をやっていない二次病院でも人工呼吸の患者さんを診ざるを得なくなります。そうではなくて、重症コロナ患者急増時には、ICUでの看護師が診る患者数を増やす、つまりは通常の2対1も許容して、ICUに収容しきれない重症コロナ患者を極力減らす、と言った対応もしていくべきです。その辺、試算して、人工呼吸が必要な患者数に合わせてどのような看護師の配置にするのかというのを今から計算して準備しておくべきなのではないかなと思っています。
○遠藤座長 御意見ということでありますけれども、例えば今の御意見について何かコメントがあれば。
○大友オブザーバー これはぜひ集中治療医学会の西田理事長に。
○遠藤座長 失礼しました。
 それでは、集中治療医学会、お願いいたします。
○西田参考人 先生のおっしゃるとおりで、マンパワーというのは、ハコだけ増やしても、そこで運営できなければそれは無駄になります。かといって、今回のパンデミックは100年に1度、でも、次のパンデミックが現代のグローバル社会においてはいつ来るか分かりませんが、次の(パンデミックの)規模も分からない段階で、有事に備えて、平時のときに過剰になるぐらいマンパワーとかハコを増やすということも非現実的ではございますので、基本的には平時のときに過不足なく有効活用されながら、いかにしなやかに有事になったときにマンパワーも含めた補填をするかというところが重要になってくるのではないかと思います。
 そういう意味で、看護師の数自体は、OECDの中で見ても決して日本は少ないほうではなくて、平均より少し多いぐらいではございますので、むやみやたらと数を増やすというのではなく、我々が言っているようにタスクシェアとかタスクシフトができるような形で、とんでもない医療負荷がかかったときには、今後もある程度通常診療を縮小せざるを得なくなると思います。そういう中で、通常診療をやっている看護師さんたちが集中治療もできますよというような、あるいは二次救急とか二次のところでの人工呼吸管理は手伝いますよというような人たちをいかに増やすかということが非常に重要になってくると思います。
 それから、ドクターに関しましても、機構のほうには少しお話ししましたけれども、我々は予備役として専門医制度以外に認定制度をつくる。通常の診療科をやっていただいている内科、外科、いろいろな先生の中でもある程度の重症患者さんを実際に診られていますので、そういう中で人工呼吸の設定だとか使い方等、一定程度の研修を積んでいただくことによって、認定医として認証する。その上で、集中治療の専門医が一緒になってやれば、多分ゼロが1つ違うぐらいの重症患者さんを診るだけのマンパワーを生み出すことができるのではないかなと思ってございます。
 例えばハコに関しましても、我々は平時のときに、今7,000床ぐらいあるICUをどこまで増やせばいいのかというのは、欧米並みに増やす必要があるとは我々は思っていません。ただ、DPCデータをつぶさに観察しますと、コロナ以前のところで、一般病棟で管理されているが、本来なら集中治療室で診るべき患者さんを洗いだし、これをICU収容するにはどれぐらいあればいいかということを計算しましたら、あと2,000床、合計で9,000床あれば平時に過不足なく使えるということが分かってきましたので、9,000床までは増やしていただいて、それ以上はハイケアユニットを、今後、診療報酬を今回やっていただく中の対応したことに有効に活用する。もしくは、病院のほんの数%を酸素のパイピングだとか電気のインフラを少し整備しておいて、通常の病棟を使いながら、いざというときにはそこを重症患者さんを診られるハコとして用意しておく。そういうしなやかに姿を変えるようなハコ、ヒト、モノの措置を計画の中にしっかりと入れていくということが重要ではないかと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 大友先生、よろしゅうございますか。
○大友オブザーバー 質問が十分うまく伝わっていなかったかもしれません。すみません。
 例えば医科歯科大学で、集中治療の経験がある、つまりは集中治療室に勤務したことがある方をかき集めて、大学の中で全部で何人いるかというのを計算して、その人数から2対1看護であると何床、コロナでは1対1でやるので何床というのがおのずと出てくるわけです。ですから、これを全国でそういう対応可能な看護師の数を把握すれば、1対1だったら何人分診られるのか。そういう試算をまずして、いざ感染爆発して集中治療の必要な患者さんが増えたときに、どのように看護を配置するのかを今の段階で試算しておく必要があるのではないかなという質問でございました。
○西田参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。私も去年の3月の段階で、災害訓練を皆さんやるように、各病院においていざというときに集中治療室にどの病棟からどの看護師さんを回せるのか。人工呼吸を触れるドクターがどれぐらいいるのか。あるいは、ECMOを回せる臨床工学技士さんは何人いるのかというものを把握して、机上のトレーニングでいいから各病院でのタスクシェア、タスクシフトということを今から始めてくださいということを私、去年の3月31日に学会のホームページで伝えています。それをやはり全国規模でやることが非常に重要で、そういう視点から、先生のおっしゃるような観点で医療計画を立てていく中でどこで何が足りないのかということを見ていく必要があると私も同感です。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、最後に角野先生、お願いいたします。
○角野オブザーバー 滋賀県の角野です。
 滋賀県もコロナ対応を知事の下でやっているわけですけれども、大阪市と千葉の消防の方にお伺いしたいと思います。
 医療体制をつくる上において、病院についてもいろいろお願いしてきて、それなりに受け入れていただいているのですが、消防の場合、特に搬送についてお願いしたときに、気持ちよく受けていただける消防本部と、非常にハードルの高いところがありました。搬送するときには保健所の職員が1人つかなければ駄目であるとか、あるいは、搬送の後の消毒を保健所でやってくれとか、非常に困難なところがあったわけですが、それぞれの皆さん方のところはどうであったのかということと、こういった場合、コロナ対応において指揮命令系統を、もちろん各消防での指揮命令系統はあるかと思うのですが、都道府県全体としての指揮命令系統の中にどの程度消防というのが入っておられたのか教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 それでは、大阪市消防局、お答えいただけますでしょうか。
○前田参考人 大阪市消防でございます。
 搬送に関して、これは移送業務ということになるのですけれども、保健所に1名つけてくれであるとか、あるいは搬送後の消毒について保健所で担ってほしいとかというような注文をつけたようなことは一切ございません。他の保健所についてどのような対応をしているかということまでは把握しておりませんけれども、大阪につきましては丁寧に対応して、単独でしっかりと搬送しているというのが現実でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 角野先生、どうでしょうか。
○角野オブザーバー ありがとうございます。
 あと、指揮命令系統というか、その辺りはどうなのですか。何か常に本部とやり取りがあるとか。
○遠藤座長 大阪市消防局、いかがでしょうか。
○前田参考人 指揮命令系統につきましては、一般の救急事案と同じように対応しているところでございますので、情報のやり取り等については指令センターにも入りますし、一般の事案と同じような対応をしているところでございます。
 以上です。
○角野オブザーバー ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、大体御意見等は出尽くしたかと思いますので、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 時間を大幅にオーバーしておりまして、ひとえに座長の責任でございますが、非常に重要なお話をされておりますので、座長の一存で延長させていただきました。御迷惑をおかけした方もいらっしゃると思いますけれども、ここで改めて申し訳なく思います。
 ただいま非常にすばらしい御意見もいただきましたので、これらを踏まえて当検討会では今後議論させていただきたいと思います。
 それでは、本日の議論はこのぐらいにしたいと思いますけれども、事務局、何かありますか。
○鷲見地域医療計画課長 本日は一般傍聴の制限をさせていただいておりまして、議事録につきまして可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙のところ、申し訳ございませんが、御協力いただきますようお願いいたします。
 次回の検討会につきましては、詳細が決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 私からも本当に長時間どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 これをもちまして、本日の検討会は終了いたします。ありがとうございます。


(了)
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