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2017年2月22日 第3回「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」策定に向けた研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成29年2月22日(水) 16:00~18:00


○場所

中央労働委員会講堂(7階)


○出席者

委員

佐藤委員、池田委員、武石委員、平野委員、山中委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本大臣官房審議官、六本総務課調査官、大塚労働関係法課調査官

○議題

「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」について

○配布資料

1 報告書とりまとめに向けてのたたき台
参考資料1 コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針(平成二十五年厚生労働省告示第三百八十四号)

○議事

 

○佐藤座長 

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」策定に向けた研究会を始めさせていただきます。

 お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 本日は議事次第にあるように、転勤に関する雇用管理のポイントの取りまとめに向けて皆さんの御意見を伺って、できれば最終の方向が決められればと思います。

 まず意見交換に入る前に、配付資料について事務局から御説明をいただけたらと思います。

 

○六本調査官 

資料について御説明させていただきます。

 まずきょうの配付資料の中に参考資料というものがありまして、コース別雇用管理の指針をつけておりますが、これはたたき台の中で引用しておりますけれども、第1回では提出していなかったものなので追加的に提出しております。

 では、たたき台をごらんいただきたいと思います。まずこのたたき台の性格ですけれども、第1回の研究会で、主な論点についてある程度意見交換をしていただきました。また、2月4日に第2回を開催しまして、非公開で企業ヒアリングを行って、その議事要旨はまだホームページにアップできていないのですけれども、ヒアリングの残り時間で報告書に向けた議論も少ししていただきました。こうした議論や、その他の打ち合わせの際に各委員から御指摘いただいた内容を踏まえて、事務局で仮に整理したものがこのたたき台です。ですので、ある部分については事実上、何度か意見のやりとりをしていただいたと言える部分もありますが、そうでもない部分もあるかもしれません。ですので全体を通して本日、議論していただければと思います。

 議論していただきやすいように、各段落に通し番号を振っております。

 まず1ページ、目次をごらんください。全体の構成は第1回に提出した論点ペーパーに沿っております。ローマ数字3が雇用管理のポイントの内容に関する部分になります。その中の3.で転勤について考える場合の手順を示しておりまして、(1)から(3)と順を追って、(4)で3つの場合分けをして具体的なメニューを示すという構成になっております。

 2ページをお開きください。「ローマ数字1.はじめに」は、今回策定する雇用管理のポイントの趣旨を明確にする部分となります。パラの4、5、6あたりで、転勤の雇用管理について考えてみたいという企業が出てきているという状況を捉えて、そのような企業の参考にしていただくために雇用管理のポイントを整理するとしております。

 パラ5のところに★がついておりますが、参考というのでどういう意味で参考になるのか、もう少し書き込む余地があるかどうか。大くくりの話としては、パラ6で書いているようなワーク・ライフ・バランスを通じた人材の確保等があると思いますけれども、ほかにも考えられるかもしれません。

 この「はじめに」では注1も御確認いただきたいのですけれども、「転勤」というと転居を伴う異動を指す場合と、就業場所が違えば「転勤」と呼ぶ場合と両方見受けられます。今回は生活の本拠が変わることの影響に着目して、転居を伴う異動を取り上げる、ということを書いております。

 3ページ「ローマ数字2.現状と課題」、1ポツでは日本の転勤の状況について概括する部分で、第1回のJILPTのプレゼンの内容などをもとにまとめたいと思っております。

 2ポツは課題の提示です。パラ9、パラ10で労働者と企業それぞれの課題を挙げております。

 めくっていただいて11パラ、12パラでより具体的な課題を挙げまして、1つは転勤の時期や期間がルール化されていないので、労働者が生活設計を立てにくい。もう一つは、転勤の有無で雇用区分を分ける場合に、処遇差の納得感の課題があるとしております。

 ローマ数字3が雇用管理のポイントの内容に当たる部分です。パラ13では配転命令権の法理についてごく簡単にまとめております。

 パラ1416では、育介法や均等法などの関係法令をおさらいしております。

 5ページ、パラ1821で転勤の雇用管理を考える場合の基本的視点について記述しております。★がありますが、後ほど御説明いたします。

 6ページ、23以下が具体的な手順について述べる部分です。(1)のパラ23で異動の状況や社内制度について現状を把握する。(2)で転勤の目的・効果の検証。特にパラ24で転勤の目的には適正配置、人材育成、昇進管理、組織活性化などさまざまな要素があるけれども、自社では主にどのような要素があるか確認するといったことを書いております。

 7ページ、(3)では転勤の基本方針という見出しでございますけれども、ここで言っていますのは、特にパラ2829で持続可能な人事管理とするためには、単に転勤が難しい労働者に対応するというものではなく、そもそも転勤の必要性そのものについて再考してみるのがよいのではないか。転勤が実際に果たしている機能は幾つかあるけれども、それぞれ本当に転勤でなければならないのかという問いかけでございます。

 (1)から(3)まで、ざっとこういった流れでございますけれども、先ほどの★の話に戻りますと、池田委員から事前にコメントをいただいて、ちょうど7ページのパラ28とか29に書いているようなことを、もっと前の5ページの2ポツあたり、例えばパラ19あたりかもしれませんけれども、前のほうに書いておいたほうが6ページの現状把握などもわかりやすいのではないかという提案をいただいております。

 もう一つ★がありまして、パラ23の前の★ですけれども、これは書き方の順番について、別案として15ページの御提案をいただいております。この別案の内容というのは原案の(1)と(2)を統合して、その中でまず○1として転勤の目的の確認を行う。○2、○3で現状を確認して、○4で効果の検証という流れでどうかという案をいただいております。

 7ページに戻っていただきまして、下のほう(4)です。★がついております。(4)ではア、イ、ウという場合分けをしておりますけれども、これは雇用管理で無数のバリエーションがあるものを緩やかに分類すると、3つに分けられるということだと思いますけれども、それらの相互関係といったようなことが今のたたき台には書いておりませんので、(4)の冒頭で概括的な記述をしてはどうかという論点でございます。

 8ページを見ていただきますと、アは勤務地を特に限定せずに転勤させることを原則とする場合について書いている部分です。パラ32の★は文言の適正化の御提案をいただいたものです。

 パラ33あたりをごらんいただきますと、アの中でのポイントは、1つには、転勤の時期や期間などの目安を示せるかどうかというところで、パラ33で一般的な目安について書いております。

 飛びますが、パラ44で個別の労働者についての目安について記述をしております。

 8ページに戻っていただきまして35からですけれども、アでのそのほかのポイントとして、個別の情報収集や調整の検討が大事ということで、パラ3536あるいは39以降で記述をしております。

10ページでございます。アの最後のところで、この中でアに関してほかに記述すべき事項があるかどうか。例えば処遇の関係についてどうかといったことを★で書いております。

 イはいわゆる勤務地限定正社員についてまとめた部分です。なお、注10にありますように、この報告書では、もっぱら勤務地の変更の範囲によって雇用区分を分ける場合について記述する、としております。職務なども違うという場合については詳しく述べないということでございます。

10ページの上のほうでパラ45の下の★がありますが、これは例えば勤務地限定正社員制度について、例えば採用の現地化との関係など、補完的な記述を行うかどうかという論点がございます。

11ページ、イの中身としましてパラ48ですが、イについては勤務地を限定する人としない人がいるわけですけれども、勤務地を限定しない人についても、前のアで見たような個別の情報収集や検討が大事、ということを言っております。

 下のほうに行きまして、イのより具体的なポイントとして、1つは処遇の均衡ということで5053で賃金について、その後、5455あたりで昇進・昇格について記述しております。

 その先ですけれども、さらにもう一つのポイントとして、雇用区分間の転換について56以下で記載をしております。

 以上がイの部分です。

 次、13ページのウですけれども、これは日本では実例が少ないかもしれないですが、労働者が決定に関与するというか、これは個別の労働者が個別の同意をするような場合を想定しておりますが、そのような形もあり得るという形で書いております。

 以上が内容に関する記述です。

 最後に「おわりに」ということで6162では、今後の周知などについて記述しております。

 以上がたたき台の大体の概要と論点でございます。よろしくお願いします。

 

○佐藤座長 

それでは、目次を見ていただくと具体的な雇用管理のポイントはローマ数字3以降になります。ここは勤務地限定しない場合、する場合、最後は本人が基本的同意原則みたいな、そういう意味では会社が人事権を持つというよりかは、調整というか本人にというのがローマ数字3です。

 ですので一応このように、まず最初にブロックごとに御意見を伺いながら、また全体ということですけれども、大きく「ローマ数字1.はじめに」と「ローマ数字2.現状と課題」、ページで言うと4ページの上のところまででお気づきの点があれば。多分2ページの4番のデータなんかで言うと、JILPTの調査ですと転勤についてどのような課題がありますというものの企業調査で配慮が必要な人がふえているとか、配偶者の転勤でそれへの対応があるとかいろいろ出ていたと思います。あるいはこのような取り組みをしているというものがあると思います。そういうものをデータで示すことになると思います。

 山中委員、どうぞ。

 

○山中委員 

まず、今回とりまとめる文書の位置づけについて確認をさせてください。今回の文書は

企業にとって参考になることを期待してとりまとめたものということになりますが、そこで対象としている転居を伴う転勤というのは、主に定期異動を念頭において、その検証や見直しを行っていく際のポイントをまとめたものという位置づけになるのでしょうか。

 と申しますのも、転居を伴う転勤というのは、既存の業務や事業所を前提として行われる定期異動だけでなく、事業所の閉鎖や業務の廃止などのいわゆる経営合理化策の一環として行われることもあるわけですが、そのようなケースにおける異動については今回のとりまとめ文書としては対象とはしていないという理解でよろしいのでしょうかというのが私からの確認です。

 

○佐藤座長 

これは御意見を伺いますけれども、まずいわゆる転勤とは別に定期異動と、もう一つは不定期異動がありますね。この不定期異動は事業上の必要だけでなく、組織活性化とかそういうことも含めたりとか、あるいは適正配置みたいな退職者が途中で出たからみたいなものもありますね。ですから定期異動だけで全部やれないので、そういう意味で異動自体は定期異動をメーンにやっていると言っても、100%定期異動ということだけはないので、そういう意味では不定期異動も入ってくると思います。

 そういう意味で広い全体の異動の中で居住地変更を伴うようなものは転勤です。それは一応ここでは全部議論の対象にはなると思っています。ですから事業上の必要も含めて、ただ、そのときにどこかで欠員が生じてというときに誰をどこから動かすかというときに、できれば近くから動かそうとするのか、転勤が必要な人を動かすかどうかということも含めて、一応、全部入るという趣旨では考えています。

 

○山中委員 

そうしますと、先ほど申し上げた経営合理化策の一環としての転居を伴う転勤についても念頭に置いているということになるのですか。

 

○佐藤座長 

店舗を閉めるとか、例えばなくなったときに、この人をどこかに持っていかないといけないですね。そのときに当然近くにあれば近くに持っていくほうがいいわけです。遠くに行くと転勤になるかもわかりませんけれども、そういうときにどこに異動させるか考慮するという点で入ってくるのではないかという気がするのです。目的ごとに動かさざるを得ないのは間違いないですね。ほかで代替措置というのはそういう場合は難しいと思うのです。

 

○山中委員 

経営合理化策の一環としての転居を伴う転勤を行う場合には、定期異動などと比較した場合には企業側の業務上の必要性が高くなるといえます。そのような業務上の必要性の程度の違いによって検討すべきポイントは変わってくるのかどうか、そのあたりは今回のとりまとめ文書ではあまり突っ込んでは触れていません。

 

○佐藤座長 

例えば組織活性化とか不正防止と言うと、異動させなくてもほかのやり方があるでしょうみたいなものがあると思うのですけれども、今、言った事業閉鎖なんかで言うと異動は不可避だと思うのです。その限りにおいては。ただ、そのときにどういう考え方で異動させるかというのは、ここに書かれていることが当てはまるのではないかと思います。

 6ページの下から目的に照らしてというところの目的で、例えば事業上の必要みたいで、そういう場合、動かさざるを得ないというものがあると思うのです。他方で人材育成と言うと、その事業所の中で動かせば人材育成できるのではないかみたいなことは入ってくると思うのです。

 

○山中委員 

7ページの30番の2行目では、その他事業運営上の機能ないし都合で転勤によらざるを得ない場合もあるというくだりもあるため、目的に応じた検討という意味では、経営合理化策の一環としての転居を伴う転勤を行う場合についても対象になっているということですね。

 

○佐藤座長 

ですから目的に応じて異動すること自体を減らせないのもありますね。他方で例えば人材育成とか不正防止は別のやり方があるというようなこともあり得る。ですから事業所の閉鎖なんていったら動かさざるを得ないので、そういう意味で目的に応じてそれぞれ異動の合理性を考えるというのはそういう趣旨です。ですから入っていると考えています。

 

○六本調査官 

補足で、このたたき台の中で6ページのパラ24の中で、2行目の最後のところに「自社の通常の異動の目的が」という「通常の」という単語が入っているのですが、ここは今のお話ですとどうなるかというのがあるかと思います。

 

○山中委員 

「通常の異動」というのが、主に定期異動を念頭においているかなと受け止めてしまった次第です。

 

○佐藤座長 

だから私は通常というのは、そういう経済危機みたいな状況は通常と言わないと思うのですけれども、ただ、定期異動だけではカバーできないのではないかというだけなのです。

 

○山中委員 

6ページのパラ23のパラグラフのなお書きでも、事業所の拡大とともに、縮小、事業の多角化などという事情についても指摘されています。転勤をめぐる事情が変化するという意味では、そういうあらゆる事情を考慮に入れて検討すべきポイントをまとめたものということですかね。

 

○佐藤座長 

ただ、実際上、現状を把握するとなると通常と言うと変ですけれども、そんな余り大きな変動がないという意味では、通常の状況を把握することになると思うのです。実態としては。

 

○池田委員 

ですから多分、山中委員が想定しているような、いきなり店舗が丸々閉鎖するとか、工場が丸々閉鎖するとか、逆に新規出店でどこか遠方にぼんとつくるという、当然そのときにどうするかという話もあるでしょうけれども、もう少し日々の退職者が出たとか、病休者が出たとか、あるいは事業所の中でも部門ぐらいの改廃での小さな事業の対応のときにという、そのぐらいのレベルまでではないですか。

 

○山中委員 

そうですね。

○池田委員 

大規模なことになると結局、動くかやめるかという二者択一になってしまうところもある。

 

○佐藤座長 

現状でもそうですね。雇用調整が必要なところというのはまた違ってくる。全体的に変わってくると思う。

 

○山中委員 全体の問題を検討の上、1つの参考というか。

 

○佐藤座長 

もちろん事業所の拡大みたいな、基本的には平時における対応と考えていただいてもいいと思います。

 ただ、私がこだわったのは平時も定期異動だけではない。平野先生、いかがですか。

 

○平野委員 

多分、定期異動という概念があるのは日本固有だと思うのです。定期異動を重視するのは、要するにポストと人材の需給調整のときに母集団をお互いに大きくして、そうするとマッチングがしやすいので、だから定期というのは便利だからというのがあると思うのです。ですから不定期も結構企業はしょっちゅうありますし、あるいは定期異動がない会社も、つまり不定期だけの会社もありますので、そこは定期、不定期は余り厳密に分けなくていいのではないか。ただ、事業所の閉鎖とかいうときには違うメカニズムがあります。

 

○佐藤座長 

それを確かにどう書くかは難しいのですけれども、趣旨はよくわかりますので、全体を後で見て考えさせてください。確かに大事な点だと思います。

 

○山中委員 

そうですね。

 

 

3ページのパラ10なのですけれども、配偶者の転勤を背景に退職する労働者が出ていることなどに対処しようとする企業もあるとの指摘があります。転勤を理由として離職していくのを避け、持続的に人材を確保していくという観点から、先進的な取組を行っている企業もあります。今後、労働力人口の減少が予測されることを視野に入れた場合には、企業としても取り組むべき重要課題の1つになっているといえます。

 とはいいながら、具体的にどういった点を検討すべきなのか、何から手をつけていくべきなのかということに関して、現状ではあまり多くの情報がありません。そのような状況下で今後この課題に取り組もうと考えている企業のニーズに応えていく必要があるという点を、別の箇所で引用しているところもありますが、現状と課題の中でも、もっと明確にしたらどうかなと思いました。

 

 

○佐藤座長 

「はじめに」の2ページのところの3番にも書かれているのです。ここはややその課題だけを特出しして書いてある感じのところなのです。ですから個別企業だけでなく転勤がある企業全体で見直してもらわないと解決しにくいような課題になってきているということで、10のところの後ろは書いていただいたのだと思います。そういう意味ではこういうガイドラインを見ると、課題があるみんなで取り組んで、1社だけではなかなか解決しないということだと思います。趣旨は御指摘のとおりです。

 

○平野委員 

1点、細かいところなのですけれども、2ページのたたき台の1番です。配置の変更(異動)を通じて企業内の人材の需給調整や人材育成が行われてきたという、目的は2つ書いているのですけれども、ところが、あとで6ページの24番に、また異動の目的ということで、適正配置、人材育成、昇進管理、組織活性化と拡張しているのです。すなわち前のところは人材育成と需給調整に限定していますが、24番で拡張しますので、そろえておいたほうがいいかなという気がしました。

 

○佐藤座長 

前半は「など」が入れてあったのではないかと思うのです。2ページの3番ですよね。

 

○平野委員 

2ページの1番です。

 

○佐藤座長 

3番は「など」を入れたのです。

 

○平野委員 

細かい話ですけれども、組織の活性化というのは性格の違う話なので。

 

○佐藤座長 

「など」を入れるかどうか。後ろのほうがある意味で正しい。

 ほかには。

 

○池田委員 

2ページの「はじめに」の5番に「転勤は、異動の一形態であるため、転勤に関する雇用管理を見直す際に、人事異動全般のあり方の見直しが必要となる場合もある」とあります。確かに最後の類型のウは全般的に見直すということですけれども、そこまで最初に言っていいのでしょうか。つまり、報告書のスタンスとして、転勤制度を見直しましょうねというときの見直す深さの度合いを大体どの辺のところに置くのかという問題です。現状社員が何らかの事情を抱えているという、その状況に対して企業としてどういうリアクションをするのかという話と、もう少しそれを織り込んだ人事制度、転勤制度を考えていくというのと、異動そのものまでも見直しましょうという幾つかのレベルがあると思います。いきなり最初の5に人事異動全般のあり方を見直すとか書いてあると、かなり踏み込んだ印象を与えるのかなと思います。そういうこともありますぐらいのニュアンスだったら、ここにはこういう記述がなくてもいいのかなという気もしました

 

 

○六本調査官 

ちなみにパラ1931にも同様のフレーズが入っております。

 

○佐藤座長 

だから前を落とすというのはあるかもわからないのですけれども、趣旨は異動があるわけですね。異動の中で居住変更を伴うのが転勤になるわけです。そうすると転勤になる人のところだけ見直すというやり方がありますね。そうではなくて、ですから転勤の経験回数を減らすというときに、転勤が当たるのを減らすというやり方もあるし、異動のスパンを変えれば当然、転勤のスパンが変わるわけです。やり方は2つあるのだけれども、だからこれはどちらも企業の選択ではあるのですけれども、転勤だけ取り出してやるのではなく、異動全体のあり方を見直すことによって転勤が減るという趣旨ですね。だからそうしろという意味ではないですけれども、転勤だけ取り出してやるというほうが、逆に言えばややそうかなと思っただけの話なのですが、いかがですか。

 

○平野委員 

このくらい踏み込んでいいと思います。転勤と異動の施策、後で書いてあることは相当踏み込んで、いわゆる企業の今までの異動、割と企業都合でやっていたことをかなりきめ細かくということですので、これは転勤に限らず、異動全般にかかわる話ですので、ですからむしろこれはきちんと書いておいたほうがいいと思いました。

 

○佐藤座長 

わかりやすく言えば異動のスパンが2年ごとだったのを3年ごとにすれば自動的に転勤も減るわけで、そういう趣旨なのです。だから人事制度を見直せということではない。

 どうぞ。

 

○武石委員 

4ページの12番目のパラグラフなのですが、勤務地変更の有無や範囲により雇用区分を分ける場合なのですけれども、ここに書いてあるのが狭過ぎるかなと感じました。勤務地を限定しない雇用区分であるが、実際には転勤を経験しない労働者が多い場合にという、この場合だけを限定してしまうと、もっとこの雇用区分を分けている企業はいろいろな問題があって、そもそもの処遇の適正の格差であったり、後ろに出てくる転換の問題があるので、この書き方だと限定し過ぎているかなという気がしたので、もう少し広く書いておいたほうがいいと思います。

 

○佐藤座長 

例えばとか、これだけではないような書き方ということですね。後ろのほうでは実際上、どういう雇用区分間なり区分内の処遇のことも書いてあります。

 ほかにはいいですか。ではローマ数字3はまず法律のところが1で、次は基本的な先ほどの見直しのところがずっと来て、7ページ以降が具体的なメニューごとですので、7ページの上ぐらいまで、法律の説明と基本的な考え方とまず現状把握してくださいというのがあって、実際に異動がどうなっていて、その中の転勤がどのくらいで、目的別にどうなっているか、ルールはどうなっているか見て、それを踏まえた上で課題が何かで自社の見直しをやってください。だから現状把握をまずやれというのが書かれています。ですから7ページの(4)の上ぐらいまでで。

 

○池田委員 

事務局から別案の話が出たのですけれども、この報告書でどこまで転勤問題に踏み込むかということで言うと、自社の現状把握のところでかなりはっきりとした問題意識を持って見てもらうか、どういう問題が起きているかぐらいのぼやっとしたところにとどめるか、今の書き方だと、読み手が読んだときにどのレベルの問題意識を持ってほしいのかがはっきりしないところがあるように思います。それでそもそも転勤が自社でどういう目的でやっているのかとか、それに対して必要な、どういう目的で人を動かしているのかということを振り返ってもらうようなほうが、何を把握して、どう点検しなければいけないのか割とはっきりするのではないかというお話を昨日事務局にしたのです。そういう意味では絞った問題意識を持ってもらうことになります。いかがでしょうか。

 

○佐藤座長 

15ページが提案で、基本的に6ページの現状把握と異動の目的、検証のところを一緒にするということですね。

 

○池田委員 

そうした方が問題意識が鮮明になるのではないか。

 

○佐藤座長 

中身としては一緒ですね。並びかえてということになっています。まず目的が何かを考えてもらい、できれば目的ごとにどのぐらいの異動があって、その中の転勤がどのぐらいか。転勤だけ取り出したときのルールが何かというのを見てもらう。その上でどこに課題があるか考えてもらうということです。いかがでしょうか。私は新しい別案の○2と○3は逆のほうがいいかなと思ったのです。

 

○池田委員 

それでも大丈夫だと思います。仮説、分析、検証みたいな感じの流れになります。

 

○佐藤座長 

ここは今回の女性活躍新法でもまず現状を把握しなさい、その上で課題を見て、その課題を解消するための取り組みをしなさいみたいなもので、まず現状把握。意外に何のために異動させているか余り考えていない場合もあるので、育成なのかとか、あるいは組織活性化なのか考えてもらった上で、現状把握をしてもらおうという趣旨です。いかがでしょうか。

 

○山中委員 

特に異論はございません。

 

○佐藤座長 

一応、入れかえる方向でいいですか。

 もう一つ言っていたのはどこですか。入れかわるのはここだけですか。

 

○六本調査官 

もう一つ★が5ページのパラ18の上にあって、2ポツの項で、今の28番に書いてあるようなことを先に書いたほうがいいかどうか。

 

○池田委員 

それもこの報告書でどこまで踏み込むかという問題で、そもそも転勤が必要なのですかという問いかけをどのぐらいするか、もし先ほど言った効果検証みたいなものが、転勤そのものの見直しにつながるようなところまで踏み込むのであれば、そういう必要性を考え直してみましょう、みたいなことをもう少し先のほうに書いてあってもいいのではないかという話です。先のほうに書くにつれて先鋭化していくので、そこまで強く言う必要がないとすれば、中のほうに入れておいたほうが良い。メッセージの置き場所の問題です。

 

○佐藤座長 

私は(4)につながるのでここでもいいかなと思うのです。いかがですか。

 

○山中委員 

まさに運用メニュー例を述べるに当たっての基本方針を(3)で述べているということですね。

 

○佐藤座長 

だから私はここでもいいかなと思ったのです。

 

○池田委員 

ここから移すというよりも、もう少し前のほうに転勤の必要性を再考するという問題提起を書くかという、それだけですね。現状把握するに当たって効果を検証したりするというのは、そもそもなぜかというと、本当にその転勤は必要なのですかという問題提起につながる。それを最初に入れた上で、本来それほど育成効果のない人を育成目的で動かしていませんかとか、動いたからといって活性化してなくないですかみたいな、そのようなニュアンスを含むのであれば、もう少し前のほうに必要性という言葉が載っていると、より強いトーンになるということです。

 

○山中委員 

そこは企業が検討して、どう捉えるかで委ねてもいいのかなと私は思います。

 

○池田委員 

そこはその辺のさじ加減。

 

○佐藤座長 

若干気をつけなければいけないのは、必要な転勤はいいのです。そこなのです。だから今あるもの全てが必要性があるかで、転勤は必要なのかと言ってしまうのはやや誤解も招く。だから私はこれでいいかなという趣旨なのですけれども、いいですか。

 

○武石委員 

池田委員の言うことも何となくよくわかるのです。例えば18番に転勤に関する雇用管理を検証し、必要に応じて見直しを行うとする場合にと何となく引いてしまっている感じがして、転勤に関する雇用管理を検証するに当たって、これまでの延長に当たり前にあるものではなく、もう一回、立ちどまって考えてみませんかみたいな投げかけが1つあってもいいのかなという感じはするのです。相手に委ね過ぎという感じですよね。もう少し投げかけがあってもいいような気もします。

 

○池田委員 

転勤制度そのものを見直すというよりも、個別の転勤政策を見直すというトーンは私も同じです。その問題をどこまで踏み込むかだと思うのです。遠くにやる必要がない人をやっていないかという目線を先に持つ。

 

○佐藤座長 

でも(3)は基本方針でしょう。だからここに大事なことが書いてあるということでいいのではないかと考えたのです。

 

○平野委員 

基本方針との関連で考えたときに、28番というのは、要するに現状の転勤というのは基本的にはやり過ぎである。もっと吟味して絞り込めよということですね。それを「2」の基本方針で書くかどうか。要するに転勤をもっと絞り込むというのを基本方針にということですね。そうすると20番は要するに労働者に見通しを立てることが望ましいと言っています。21番で納得感を得ることが望ましいと言っているのです。あと転勤は少数に絞ることが望ましいと言うかどうか。現状やり過ぎである。その上で28番があればということなのでしょうか。

 

○佐藤座長 

難しいのは、やり過ぎの企業もあるし、そうでない企業もあるだろうということで言うと、一律に絞り込むのも変かなという気もするのです。そういう意味ではやや初めから転勤に絞り込めというのは、実態、絞り込む必要があるものは絞り込んでねということかなという気はするのです。見直してみて、うちは今のままでいいというのは、それはそれでいいということなので、そこまで絞り込めるかどうかという話はあるのですけれども、いかがでしょうか。両方意見があるみたいで。

28の位置についてはちょっとね。ただ、こういう趣旨は大事だということで。

 ほかには、どうぞ。

 

○武石委員 

1つは6ページの23パラグラフの○2の2つ目の自社が負担している費用のところなのですけれども、勤務地を限定しない人に対してプレミアムを払っているコストがここに入らないかなというのが1つです。直接的な費用だけなのですが、実はいわゆる転勤をするというスタンバイをしている人にプラスの手当、お給料を払っていて、実際に転勤していない人のコストになっているので、それを注意喚起するという趣旨で、言葉がうまく見つからないのですけれども、そのコストを入れてはどうかということです。また、7ページの25のパラグラフの上から2行なのですが、労働者の職業能力の向上において転勤が実際にどの程度貢献しているのか。細かいのですけれども、「客観的に」を入れたほうが良いと思います。人事の皆さんは転勤は能力開発に貢献しているとおっしゃるので、「客観的に」という言葉を入れたほうがいいかなと思いました。

 

○池田委員 

プレミアムというのは、具体的に言うと勤務地限定正社員と総合職の間の基本給の差とか、月給の違いとか、そういうことですか。

 

○武石委員 

それも実はコストなのではないですかということです。項目を挙げておいて、それをどう検証するかはお任せだと思うので、それもコストなんですよということを言ってはどうかという趣旨です。計算するのは実際には難しいと思うのですけれども。

 

○佐藤座長 

ただ、逆に言えばコストではないかもしれなくて、もちろん転勤しない人がいるのだけれども、常に転勤させられる状況で異動なんか組めているから、それでプラスの分が逆にあるから、本来そちらも計算しろという話になってくる。ちょっと難しいのではないか。変だけれども、定期異動のときに1カ月ぐらいかかったりするわけです。その規模を小さくすると、もしかしたら2週間でやれればコストが浮いているかもしれない。だから特に勤務地限定みたいなものをつくった場合、後ろのほうに出てくるのだけれども、プレミアムをつけている部分と、でもつけたことによって人事管理が円滑化している部分のプラス部分もあるかもしれないので、結構難しいかもしれない。

 平野先生、いかがですか。

 

○平野委員 

注意喚起という意味ではいいかなと思います。コストと表現するのかというのもありますけれども、うまく入ったらいいなとは思います。

 

○佐藤座長 

23の○2の中でですね。

 

○池田委員 

企業の感覚として、どちらがリファレンスなのですか。つまり総合職で転勤がある人の賃金設計がベースで、それに対して勤務地限定の人は少し下げているという感じなのか。武石先生の感じだと勤務地限定の人に比べて払っているというニュアンスですけれども、読み手の受けとめ方はどうでしょうか。

 

○平野委員 

現状で言うと基本給の中にこのプレミアム部分が組み込まれていて、不可分になっていて、すごく曖昧な状況だと思うのです。今後は同一労働同一賃金の議論との兼ね合いで、ジョブの概念が発展しますので、総合職と地域限定職に関しては、同じ仕事をしたら職務給は同じになるように修正されてくと思うのです。その上でなお転居転勤をするリスクに対しては、プレミアムとして手当で支給するというように、多分、多くの企業が変えてくると思うのです。現状は職務に対する対価と転勤リスクに対するプレミアムがすごく曖昧なのです。

 そういう意味で言うと、実は総合職に転居転勤を前提として手当というか基本給に組み込んでいる企業は、実はコストであるという考え方も当然できるので、そういう意味では武石先生おっしゃったような注意喚起というか、そういう考え方を出しておくのもいいかなと思うのです。

 

○佐藤座長 

もしやるなら後ろの制度設計のほうに書くほうがいいのではないかという気がするのです。つくり方によってはコストを高くしてしまう場合もあるよというものはあるかもしれない。後ろのほうでね。もしやるとしたらイの○2の転勤と処遇の関係のところです。だからそこでどう書くか。

 もしかすると、23の○2の転勤と処遇のところで言うと、もし勤務地限定みたいなものを入れている場合、全国転勤型があるのだけれども、実は異動している人は1割ぐらいと言うと、残りの9割はプレミアをつけたら持ち出しになるという話ですね。ただ、それをここで書くか、後ろで設計のときにという、わかりやすさで言うと後ろのほうがいいかなという気がするのです。

 

○佐藤座長 

もし武石委員、平野委員が言われた趣旨で言うと、もしやるなら6ページの23の○2の転勤と処遇のところの関係で、もしかしたら勤務地限定、雇用区分をつくっている場合、特に全国転勤型ですね。ほかよりプレミアムがある場合、多くは転勤しない人がいるとするとコストですよという書き方。もしやるならね。丁寧に書かないとわからないのではないか。それはもしやるならこちらだと思う。いわゆる赴任旅費みたいな話ではないか。

 7ページの上まででは、どうぞ。

 

○山中委員 

形式的なことなのですが、パラ24の異動を行う目的としてさまざまな要素を指摘していますが、東亜ペイント事件の最高裁判決が、企業の合理的運営に寄与する点として、労働力の適正配置と業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化を例示として挙げているということについても、脚注などで説明を入れておいてもいいかなと思います。

 

○佐藤座長 

要素を例としてということですね。

 いいですか。それでは、7ページ以降でここは後ろまで行けるかな。まず7ページのところで区分しない部分です。それが10ページの上のところです。勤務地限定型にしない場合の運用です。一応、7ページの(4)の下のところからア、イ、ウと3つになるのです。なのでア、イ、ウが何かというのがちょっとあったほうがいいかなという気がしたのです。突然アが出てくるのだけれども、次にイ、ウというのがよくわからない。

 ただ、ウが13ページを見ていただくと、59のア、イはと説明してあるのです。だからこれを持っていくようなイメージだと、ここに残るのはほんのちょっとというのはあるかもわからないのだけれども、ただ、一応ア、イは会社が人事権を持っている中でどうするという話で、もちろん働く人の希望は聞くのですけれども、最終的には会社が決めますよという。ウは基本的に同意型に近いということなのですが、どうですか。両方に書いてあってもいいですね。59みたいなことを前にも入れ、後ろにも入れる。では、そういう上でアについて御意見を伺えればと思います。

 

○武石委員 

1つは9ページの[]のタイトルが中身と合わないのではないかと思うのです。[c]は転勤が難しい場合に対応する仕組みとか、そのようにしないと見出しと中身が合っていないかなというのが1つです。

 もう一つは、山中先生にお聞きしたいのですけれども、33であらかじめ共有しておくとか、44であらかじめ労働者に説明をしておくというのは望ましいのは望ましいのですが、例えばあらかじめ社内で共有しておいて、でもそのとおりいかなかったときに、法的にはどうなのですかというのが企業の方の心配する点だと思うのです。ルールどおりなかなかならないので、法的な考え方について何か書いておかなくて大丈夫かなというのが懸念点なのですが。

 

○佐藤座長 

例えば転勤の場合は、基本は3年ですとか言っていたときにということですね。あとは実際はできるだけそうしますということで4年の場合もあるし、あるいは個別に原則3年だけれども、この場合は4年でお願いしますという場合もあるかもわかりませんし、その場合、問題になるかどうかという話ですね。

 

○山中委員 

まさにそのような将来の事情の変化が十分に想定されるため、企業としては確定的なことはいえないということなのだと思います。パラ44では、なお、その後の状況の変化等により転勤の期間等が目安に沿ったものとならないと見込まれる場合には、できる限り早い段階で改めて労働者に説明等を行うことが望ましいと考えられるとの指摘があります。しかし、将来どうなるか分からないのであれば、企業としては、曖昧な説明をすることで、かえって何らかの約束があったかなかったかということについて将来トラブルとならないように期待を持たせるような説明は行わないという判断を行うのが通常かと思います。

 

○佐藤座長 

例えば就業規則に書いているわけではなくて、基本的な考え方みたいで、もちろん個別には事情によって変わる場合もありますと書いておけば、そんな問題にならない。多分そこは企業の方は気にしますね。

 

○山中委員 

非常に難しい問題ですね。説明をする以上は、それは現時点での目処であり、方針であって、その後の状況の変化によっては変わることはありますよということを、併せて伝えておかないと、かえって将来的にトラブルになってしまいますからね。

○佐藤座長 

ただ、ここは難しいのは、ほかの人事管理は全て当てはまるので、ただ、そのように明示したほうがもちろん個別ケースで何か問題が出てくるかもしれないのですけれども、全体としては円滑な人事管理をやれる場合もありますね。そうやらないほうが逆にコストがかかるかもわからないので、そこは企業の選択かなという気もしないでもない。そこをどうするかですね。

 

○武石委員 

企業の方がおっしゃるように、これで縛られるのが嫌なので今まで何の約束もしていなかったところで、この提案をしたときの留意点とか、あとは選択肢がある、今、佐藤先生がおっしゃったみたいなことを丁寧に書いておかないと、これでやったらもめてしまいましたということになるとまずいと思います。そこをきっちり詰めておいたほうがいいかなというのが私の意見なのですが、どう詰めるのかは山中先生に教えていただこうと思ったのですけれども。

 

○山中委員 

考えてみます。

 

○佐藤座長 

ただ、例えば入社6年までに異なる部門を2カ所経験させる方針ですとやっていても、全員にやっているわけではないですね。例えばそういう話と同じです。それを訴えるか。そういう人がいるかわからないけれども、だからそういうものは人事管理上、実はたくさんあるのです。だから私はそれと同じかなという感じもある。

 

○池田委員 

大体、経験則で先ほど言った定期異動に限らず、人事異動は全くランダムなタイミングでやっているわけではないので、大体の目安というのは何となくわかっていると思うのです。JILPTの調査でも海外赴任についてはかなりはっきりとした期間がある。国内に関してはあまりやっていないけど、大体2年とかの期間で異動のタイミングが来ると、そろそろだなとみんな覚悟し始める。そういう意味で言うとどういう形の明示の仕方があり得るか。

 

○佐藤座長 

確かに海外赴任なんかは全部ではないけれども、ある程度4年ですとか5年と書いているというか、就業規則にありますね。だからそういう感じです。運用上は延びてしまう場合も実際にある。ただ、初めから言わないのではなくて、言って変更があるほうが私は望ましいと思うのです。ただ、そのようにすると、後で調整が嫌だと言う人が出てくるのが困るのではないかという話です。

 山中委員に少し考えてもらう。確かに企業の方は一番関心があるところかもわからない。

 

○池田委員 

どちらが嫌なのですか。予定よりも延びるほうが嫌ですか。でも家族にとっては予定よりも長くなった方が定住期間は長くなるから転校とかはしなくて済む。2年のつもりが1年というほうが家族にとっては振り回される度合いは高くなるので。

 

○山中委員 

生活の本拠地の定まっている転勤なのかどうかによっても変わるのでしょうね。既に本拠地が定まっている方ということになると、一時的にその場所を離れるということであれば、短いほうがいいという方は、当然いらっしゃるでしょうし。

 

○佐藤座長 

ただ、3年を原則とするが、変更はあり得るという決め方はないのですか。

 

○池田委員 

どちらがトラブルのもとになるのかなと思って。

 

○山中委員 

出向などの規定では就業規則上あります。

 

○佐藤座長 

出向は明示しなければいけないのでしたっけ。

 

○山中委員 

就業規則に基づく出向命令権を客観的に担保するという意味で、ある程度具体的な出向条件を規定化しているケースは多いですね。

 

 

○佐藤座長 

そこは少し大事な点なので、丁寧に書くかやりましょう。

 ほかには。

 

○山中委員 

8ページのパラ33の関係になるのですけれども、「イ」の場合が、勤務地の変更の有無や範囲により区分を設けて体系的に行うという方法ということになると思いますが、そうではない場合でも、例えば、研究開発とか本社の総務とか、そういった職種みたいなものから転勤可能性の有無も考えてみるのも、1つ検討の視点として指摘してみるのもどうかなと思いました。

 

○佐藤座長 

実際上、基礎的な研究をやっているなんて言うと研究所は1カ所、もう初めからキャリア展開の範囲がそこに限定されてしまっている。ですから多分キャリア転換の範囲が職種ごとに違う場合は当然、職種ごとになることがわかるように。

 

○山中委員 

職種から考えていくという視点も、会社によって当てはまるケースはあるのではないかと思いました。

 

○佐藤座長 

ちょっと考えます。

 ほかにはいいですか。10ページの44の下の★のアは、ここは書くかどうなのですが、つまり区分を設けない場合、転勤する人にインセンティブをつけるようなことをやるかどうかみたいな話なのです。だからそこを議論するかどうかで。

 

○池田委員 

先ほどの転勤プレミアムの話ですが、特段の事情がない限り動かさないことがベースと考えると、全員総合職として雇用されていても動く人と動かない人とで待遇が同じというのは、不満の対象になり得ることはありますね。ですので、平野先生が言ったように留意事項として書いてはどうでしょうか。

 

○佐藤座長 

45として追加で書くかどうかです。実際上、ほぼ大多数の人が同じように動けばいいのだけれども、そうでない場合、区分は分けていないのだけれども、実態として動く人と動かない人がいる場合ですね。もう一つは動きたい人が会社が必要なほど多くなければ、インセンティブをつくることになりますね。実際はね。

 

○池田委員 

例えば内勤の事務の人はあまり転勤がなく、営業の人は転勤がある、でもみんな総合職で雇われているとなると、雇用区分が同じ場合は事務職の人に払っている転勤プレミアムは一体何ですかということになりますし、ただ、そういう意識を企業が持っているかどうかということもあると思うのです。区分していない場合は。

 

○佐藤座長 

でも現状で勤務地限定にしないで言うと、現状で言えば動きにくい人がふえているので、ある時期動くという人にプレミアをつけるというのは出てくる可能性はある。ただ、それをどう書くかというと、ここに書く必要があるかどうかということもあるのです。

 

○池田委員

プレミアム分を下げるという話にもなりかねない。もともと動くほうがプレミアムだとなると、賃金を払い過ぎていたから下げますみたいな話も出てくると複雑になります。組合が納得するかという話もあります。

○佐藤座長 

ここはちょっと書きにくいかなと思っていて、それはあり得ると思うのです。書く必要があるかどうか。

 

○池田委員

理論的には多分あると思うので。

 

○佐藤座長

 書かなくても平気かなと思っているのです。勤務地限定の人と明らかに動く人たち、という場合だと、動く人たちにどうしますかなのです。こちらのほうは、区分をしないのだけれども、実態として動く人と動かない人がいたときにどうするという話なのです。

 

○池田委員

ただ、賃金だけではなくてキャリアの展開であるとか、事前に事務局ともお話をしたのですけれども、労働者から見えている仕事の種類とキャリアの範囲と、企業の人事の方が考える仕事の種類とキャリアの範囲というのは多分違うと思うので、例えば行きたくない赴任地だけれども、そこに行って経験することが実質的な人材育成になるのだとすれば、そういうことを示すというか、納得を引き出すところの一部に入るのかもしれないのですけれども、でもどうなのですか。平野先生に聞いてもいいですが、実質的にはそういうものは社員の共同主観みたいなものでありそうな気がするのです。あそこに行くのはきついけれども、結構後々いいぞみたいな話とか、いかがですか。

 

○平野委員

 一番難しいところだと思うのです。今まで総合職と地域限定職というコース区分を分けて、賃金にそこでそれなりに格差をつけているということは、会社にとっては総合職を選択しているのは、あなたの責任なわけで、したがって、会社が人事権を発動することに関して事後的に文句を言うことは許さない。むしろ文句を言うのであれば、拒否するのであれば解雇するということですね。

 ただ、地域限定職はそうではなくてあらかじめ配慮しますよということなのだけれども、現実、会社で問題として起こるのは、総合職であっても転勤する人はしょっちゅうする。とくに営業職はよく異動がかかる。一方、研究開発職と生産職は割とファンクショナルキャリアで、基本的には動かない。非常にそこら辺が不公平ではないかということの問題が1つあるということと、あとはコース転換の問題です。例えば女性が結婚して夫と一緒に東京で暮らすことを望んだとします。するとその女性社員は転勤したくないので総合職から地域限定職にコース変更をします。ところが正直にコース変更して賃金の低下を受け入れる人もいる一方で、どうせ会社は夫婦離れ離れにする転勤をさせることはないだろうとたかをくくって総合職のままでいる場合も現実にはあるのです。ある意味モラルハザードが起こるのです。会社は非常に悩ましいですね。

 だから理想論で言うと、転居転勤するからといって総合職に一律にプレミアムをつけないというオプションも検討する必要がある。この前、事務局が調べてきた例みたいに、地域限定職の雇用区分をあえて設けないで、みんなが総合職。そのうえで個別に丁寧に異動をかけていくというのがひとつの理想形なのです。それに対して地域限定賞などコースを設けて集団管理していくというオプションもある。全員総合職の個別管理と地域限定職を設けた集団管理の間にいろいろなバリエーションがありうる。そのなかでどれを選択していくのかという問題である。会社個別のいろいろな事情があるし、歴史もありますから、一概にこれがいいとも言い切れないところがあります。

○佐藤座長

 実際上、アについて考えた場合でも、もちろん個別の今、動けないとか動けるみたいなことだけではなく、大変だけれども動いてもらう人には多少何か早目に昇進させるとかいろいろあるわけです。だからそういうことを書くかどうかです。私は書かないでもいいと思います。ここの趣旨はそういうことです。

 先に行かせていただきます。次は雇用区分を分けるほうです。ここはいかがでしょうか。ここの注10のところ、10ページの下のところは、ここの説明でわかるかどうかは別ですけれども、総合職、一般職みたいに業務範囲で区別するわけではない。もちろん結果として勤務地限定にすると、全国転勤では全国の業務があるのですけれども、通勤圏のみの雇用区分では業務が違いますね。ただ、通勤圏みたいに一番狭い雇用区分のところに全国転勤型の人が来ても、そこでは一応、資格等級が一緒であれば同じ仕事をしているという雇用区分についてここでは議論するという趣旨で、だから仕事を分けてしまっているのはまた別の論点が入ってくるので、ここでは落としているということです。結果として仕事は違うということはありうるのだけれども。

 

○池田委員

 先ほどの平野先生の御発言と関連するのですけれども、45のアとイの違いというか、一人一人個別対応で丁寧に見ていくのは、ある程度非常に今、手間がふえているから区分けして集団的にしたほうが管理しやすいというニュアンスがあるように思います。今ここで書いている内容は労働者目線がちょっと強い、予見性が高まるとか、事情の折り合いをつけやすいとかあるのですけれども、単純にそういう一人一人の事情を聞いて一々判断するのが非常に手間になってきている中でのイのような類型なんですということは、後の関連づけを45のところに書き込んだほうが読み手にとって親切かどうかというのは気になったところなのですけれども。

 

○佐藤座長

 労使双方と書いてあるから。企業側にすれば個別管理よりも、判断で、ある程度グループで分けたほうが、人事管理上のコストは低いという選択ですね。

 

○武石委員

 この45の書き方を見ると、雇用区分をつけることがより体系的な方法なので、こちらがお勧めに読めてしまう。先ほど平野先生がおっしゃるように、本当はみんな総合職で個別にやっていくのが1つのやり方としてあるのですけれども、何となくこの45を読んでしまうと、雇用区分を分けるほうがいいですよと読めてしまわないかというのが感想です。

 

○佐藤座長

 アを選ぶかイを選ぶかというところが、平野先生が言われたみたいにアのほうでやれるというのはある程度全員が総合職をやれるようなところですね。例えば商社か何かで、最近で言えば事務もかなりのところが全部派遣で、直傭は全部総合職みたいなところだとやれるのかもわからないけれども、だからどちらがいい悪いではなく、アを選ぶかイを選ぶかの選択なのです。そのことがどこか初めのほうにあるといいかもわからないです。

 

○平野委員

 業種とか会社の戦略、歴史もありますので、一概にどちらがいいとは言えないですね。

 

○佐藤座長

 最初のア、イ、ウを説明するときに、アとイというのも1つの選択ということがわかるように書くということですね。だから逆に言えばイみたいに分けないほうがいい場合もある。うちは一本でやったほうがいいという会社があるので、だからお勧めみたいにならないほうがいいのは武石さん御指摘のとおりだと思うので、アとイというのも1つのそれぞれの業態とか職種の構成とか社員構成から選ぶことがわかるように書くようにさせていただけますか。

 

○池田委員

 書き方としてア、イ、ウについて価値判断を含むかどうかということに多分なると思うのです。

 

○佐藤座長

 そうではなく、それぞれの企業の考え方で選べるようにします。ですから分けることがいろいろな意味で合理性ですね。両方の、企業の人事管理上のコストを下げるとかあるいは働く人のニーズに合っているとか、その場合は合理性によって選ぶということですね。基本的にはね。

 いかがでしょうか。あと12ページの54の書き方なのです。いわゆる昇進の上限の話で、事前に明らかに職務の範囲が違って、勤務地限定だと能力形成ができないことが明らか、というわけでない場合は、合理的ではないという書き方にしてもらったのです。昇進のスピードや上限について差を設けるときは、その設けることが合理的でなければいけないという書き方にしたのです。他方、習得する能力に相違があることが明らかである場合で、昇進のスピードや上限について差を設ける場合には、これを合理的なものとすることが望ましいという、ここはいかがですか。ですからこの「スピード」を議論する必要があるのかも私はわからなかったのですけれども、基本的に設けなくても結果的に、事後的に能力の伸長が違えば昇進スピードが違うというのはいいですね。当たり前で、どこでもあるわけなので。事前にスピードの差をつけるというのはあるのかな。昇進できるけれども、時間がかかる。

 

○池田委員

 等級の幅を変えるとか。そこは先ほどの一般職とかの話もそうですが、経験する仕事の範囲によっておのずと決まるというニュアンスでもいいような気がする。

 

○佐藤座長

 私のお勧めは前半なのです。だから明らかでない場合は設けるなというのがお勧めなのですけれども、明らかだと言われてしまったときはということで後半。

 

○池田委員

 最近、課長職ぐらいだと割りかし昔一般職だった雇用区分の人でも昇進するようにしたりとか出ています。

 

○佐藤座長

 ですから勤務地限定でも役員になったりという会社も出てきているのです。だからすごい優秀な人がいれば、基本的には能力で昇進・昇格は見る。ですから勤務地限定とは関係ない。でも結果的に勤務地限定型のほうが出現率は低くなる。それは構わないですよねという趣旨なのですけれども、ここはいかがですか。

 

○池田委員

 考え方としては佐藤先生の御意見に賛成です。

○山中委員

 スピードと上限とありますけれども、スピードというのは具体的にどのようなケースを念頭においているのでしょうか。

 

○佐藤座長

 私は「スピード」を落としてしまっていいのではないかと思っているのだけれども。

 

○池田委員

 「スピード」はいわゆる昇進までの勤続要件みたいなものがある場合に、その増減がということで。

 

○山中委員

 例えば、その地位で通算3年間勤務したことを次の昇進要件とするとか、そのような昇進要件の充足期間を遅らせるとか、そういう意味でのスピードですね。

 

○池田委員

 そういうものは考えられますね。

 

○佐藤座長

 上限や等級ごとの滞留年数とか丁寧に書きますか。それはあり得る。滞留年数が勤務地限定だと3年なのか、普通は3年で5年いなければいけないみたいなことですね。滞留年数のほうがいいかもわからない。

 

○池田委員

 多分そちらが現実的だと思うのです。いわゆる選抜が始まった後の早い遅いというのは言ってもしようがないことなので。

 

○佐藤座長

 それは普通にある話だから。

 

○佐藤座長

 では昇進の上限や昇進に必要な滞留年数に差を設ける場合とかにしたらどうですか。

 

○池田委員

 小売業とかのいわゆるいろいろな社員区分で少しずつ違いを設けていますね。高卒で入った人と、大卒で入った人と。

 

○佐藤座長

 学科で決めていますね。そういう感じですね。

 ほかには。

 

○武石委員

 文章の頭がちょっとおかしくて、勤務地を限定する雇用区分についてではなくて、勤務地限定の有無によりとか、そういうことですね。

 

○佐藤座長

 そうですね。

 ほかにはいかがですか。ウのところをもう少し書くか。これはいわゆる社内公募とか本人同意条件みたいなものなのだけれども、これはこれで。こうしてしまえば1つの転勤は本人が希望しなければあり得ないから、まあいいのかなと。ウはね。アンケートでも1割ぐらいはありましたか。本人同意は5%ぐらいだったかな。だからないわけではない。もちろん同意をもらえるようないろいろな取り組みをやっているのだと思うのです。もしかしたらアみたいな運用のずっとこちらのほうにウが入っている可能性がある。すごく丁寧にやっている。いかがでしょうか。いいですか。

 

○平野委員

 別の視点でもいいですか。8ページの36なのですけれども、皆さんの御意見も伺いたいのですが、いわゆる個別の事情やキャリア希望の情報の収集のルートなのですけれども、自己申告書というものと上司のキャリア面談です。こういうときは人事部が聞かないでいいのかということなのです。いわゆる日本企業では人事部が社員個別の人事情報をかなり集約するのです。一元的に管理する。一方、アメリカの人事部はそういったことをやりません。日本企業では人事部が異動に関与するという日本らしい特徴ないし考え方を踏襲するのかどうかということなのです。この前、事務局が調べてきた例では相当人事部が収集しています。

 

○佐藤座長

 要は基本的にアとイは会社が人事権を持ってやるということですから、人事部がかなり情報収集してということだと思うのです。それをわかるように書いたほうがいいということですね。

 

○平野委員

 そうですね。私の考えとしては、人事部は情報をかなりコストをかけて収集するというのが日本企業の強みだと。

 

○佐藤座長

 人事セクションとしてというのをどこかに入れますかね。

 基本的に異動の計画をつくるのは人事セクションという趣旨で、あるいは最終的に決めるのはもちろん事業部なんかで言うと事業部でつくるのだけれども。

 ほかには、全体で結構です。

 

○平野委員

 これに関連してなのですけれども、例えば今、厚生労働省でセルフ・キャリアドックとかありますね。キャリアコンサルタントとのキャリア面談を通して本人のキャリア意識の醸成を図り、自律的に本人から異動希望をどんどん発信していく。そういう観点を入れておいたほうがいいのではないか。

 

○佐藤座長

 「おわりに」に書きますか。

 

○平野委員

 どこかで。同じ厚生労働省で取り組んでいるので。

 

○佐藤座長

 キャリアを考える。逆に言えばどの時期だったら転勤してもいいとか、自分に海外勤務が必要だといえば、ではどの時期ならいいとか考えてもらうことも大事ですね。

 

○平野委員

 企業ではよく5年とか10年のサイクルで定期的にキャリア研修やキャリアコンサルタントによる定期面談を行って、本人の自律的キャリア意識の醸成を図ります。本人にみずからキャリアの希望を発信させていくという取り組みが重要です。つまり一方的に会社が情報収集するだけではなくて、本人から言わせていく。

 

○佐藤座長 

どうするかな。どこら辺がいいですか。全体にかかわるわけですね。

 

○平野委員 

結構重要だと思うのです。

 

○佐藤座長 

ある面ではア、イ、ウの全部にかかわるのです。「おわりに」に書きますか。会社がいろいろな、アであれイであれそのようにある程度見直して、でもどうしてもこの時期は東京だけではなくて大阪も勤務。もちろん個人的な事情を配慮します。そのときに本人はやはりこの会社で営業の管理職になろうと思うと異動が必要だなと思ったら、先ほど言ったみたいにいつごろならできるかなとか、こういうことを考えてもらうことが必要ですね。そうすると「おわりに」ですか。

 

○六本調査官 

8ページの36番の最後のところに、少しだけキャリアの展望を明確にする観点というものが入っております。

 

○佐藤座長 

ではキャリアコンサルタントみたいなものもここに入れますか。あるいは37を立てるか。社員の側も考えていくということを立てるか。

 

○池田委員 

少し早い段階に例えば基本方針みたいなところで、そういう社員自身にキャリアを考えてもらうという視点を入れておくのもいいかもしれません。今の書き方だと社員は動きたくないのに使用者が動かすというニュアンスがありますけれども、動かないほうをフォーカスしすぎると逆にマミー・トラックみたいな話とも近づいていくので。

 

○佐藤座長 

自分のキャリアを考えれば、ちょっと大変でも転勤しようかなと思ってもらうことも大事ですね。

 

○武石委員 

5ページの2021の間ぐらいはどうなのですか。労働者のライフイベントとかがあって。

 

○佐藤座長 

そうすると働く労働者側も自分のキャリア希望と、それを実現するために必要なとか書きますか。まずキャリアをちゃんと考えてということですね。2021の間がいいかもしれないですね。平野委員が言われたことはすごく大事なので。目の前のことだけではなくて、少し先のことを考えてもらうと、もう一つは期間が決まっていれば行くとか、そのようになってくるとかも。

 

○山中委員 

第1回の調査報告のご指摘でもありましたが、従業員としては、喜んで転勤する人は余りいないわけで、むしろ、なければないにこしたことはないと思っているのが多くの方の本音ではないでしょうか。でも、ただ「やらされている」感で仕事をしているだけでは、その人自身の職業人としての成長も十分には望めません。転勤しろと言われて、唯々諾々と従うだけではなく、転勤というものを、その後の社内での自身キャリアプランを主体性に考えてもらうためのきっかけとしてもらう、そのための労使間の定期的かつ双方向的なコミュニケーションがあると、それはトラブルを防止するということにも資するのではないでしょうか。

 

○佐藤座長 

ほかには。

 あと一つ、これは書くか書かないかなのですけれども、3ページの7番にまち・ひと・しごと創生があります。これで何で転勤なのということなのですが、これはわかりません。私の個人的なあれで言うと、これはどうなるかわからないですけれども、いわゆる勤務地限定型が入ってくると、企業の採用が勤務地限定型は基本的にはその地域で採用するようになってくる。全国一本で採用ではなくて、九州ブロックの人は九州で採用する。その人は東京から行くのでもいいのですけれども、あるいは四国出身で今、東京の大学に行く人もいるかわからないけれども、四国で勤務するというので大手企業でもそこに全国転勤型ではなくて、そこにエントリーするのがふえてくるのではないかということがあって、わからないですよ、多分地域創生のほうで出てきたのかもしれない。なので、いいか、そのことは触れなくても。わかりました。

 

○池田委員 

初任配属をどこに行かせてもいいという前提ですね。そこで定住すれば。

 

○佐藤座長 

それもありますね。だから採用とかそういうものが変わってくるかどうかなのです。だからそこまで今回は触れなくていいのです。議論としてはそういうことがあったのかなと思っているだけで、注ぐらいに書くかどうかの話です。本文に書くような話ではないです。

 

○池田委員 

ただ、転勤の先ほどの見通しとか期間という話で言うと、地域という話で言うと、1人の人がなるべく長くそこの地域にいて定住してもらいたいというニュアンスはあるのではないかと思うので、例えば東京に住んでいる人が地方のA県に1年で行って帰ってこられる。それがいいというよりは、3年、5年住んで地域で活躍してもらいたいというニュアンスがあるのではないかという気はするのです。それは個別企業の事情によるところですから、そこまで面倒を見る必要はないような気もしますけれども。

 

○佐藤座長 

勤務地限定型を入れると採用のほうはどうなのですか。かなり入り口で分けて採るとなると、例えばブロックで言うとそのブロックで最終的には生活したい人もそこにエントリーすることになってきているということですか。採用の入り口のところで言うと。

 

○平野委員 

転勤しないという前提での区分になると思うのです。だから企業のそこに対するニーズというのは非正規からだと思います。非正規の、改正労働契約法の問題から、その受け皿は新設しないといけないということだと思います。

 

○佐藤座長 

それは書いていただきましたね。

では、これは触れないことにしましょう。

 全体を見ていかがでしょうか。6ページの(1)(2)を整理するというふうにさせていただきます。

 7ページのところで言うと、先ほど労働者側にも自分のキャリア、異動、転勤を含めてキャリアをきちんと考えてもらう。そうしないと社員側も要望を出せないです。すり合わせということで言えば、それを入れる。それと7ページの下の(4)でア、イ、ウの位置づけ。特にア、イ、ウの選択というのは、それぞれ企業の置かれた状況と戦略で決まってくるんですよということがわかるように書くぐらいが大きいところですか。

 あと方針の共有のところをどう書くかですね。今まで平野委員も山中委員も言っていたけれども、会社としてそれに縛られるのではないかというのは確かにあるのも事実で、そこをそんなに高いハードルではないと思ってもらうということで、越えないと大変なことになるという感じかな。結構難しくなった時代だと。今は越えざるを得なくなってきているというふうに言うかどうか。ジャンプしてもらう。そこは一番難しいですね。一番気にしているところです。

 

○池田委員 

現実には予定よりも長くなるほうが多いのですか。

 

○平野委員 

何とも言えないですね。よくあるのはおっしゃられたように出向の場合とか海外の場合は、労働協約を結んで3年とか期間を決めておくというのもあります。それ以外の国内の転勤の場合は、年限を設けるというのは非常にリスクがあるといいますか、不確実性に富んでいるの事前に年限を言明しにくい。もう一つ、3年で帰すと異動を言い渡した人が3年経ったらそこにいないという、例えば上司がおまえ3年で帰すからと言っても、3年経ったらその上司が異動していない。誰が約束を守るんだという問題があるわけです。出向の場合だと人事部と労働組合の双方が約束する。かつ、きめ細かく面談に入ります。少なくとも年に1回は面談すると思うのです。だから先ほど言わなかったのですけれども、約束するという、予見可能性を高めて3年で帰すということももちろん大事なのですが、その間、結構事情がどんどん変わっていくということをお互いに情報共有しておくのが大事かなと思います。

 

○佐藤座長 

なかなか難しいのは、ある程度ルールを決めて情報共有することが、逆に言えばそれをやらないほうがコストが高いということを理解してもらえるかどうかです。

 

○平野委員

 コストがかかるけれども、むしろコストをベネフィットに変えていくということだと思います。

 

○池田委員

 多分、単身赴任するかどうかとか、そういうのは長いか短いかは結構効きますね。ですから短いのだったら夫一人で行ってくるけれども、長くなるのだったらというのが出てくるので。

 

○佐藤座長

 今みたいな話で3年とわかるのであれば単身赴任でもいいけれども、わからないのだったらどうしようか、できれば行きたくないみたいな話になるのは事実です。

 

○平野委員

 例えば単身赴任で3年と言っていたけれども、1年で仕事のミッションを達成してしまう場合もあります。だったら早めに帰すとか、状況が刻々と変わりますね。また、われわれは全員、働く人はみな3年なら3年で帰りたいはずだということを前提にして議論していますけれども、むしろ3年で帰りたくないという人もいるのです。非常にそこが気に入って、もっと長くいたい。アメリカへの転勤の発令時は3年で帰すと言われていたけれども、その後アメリカでの仕事や環境が気に入って結局20年もいたとか、いろいろなケースがあるので、そこもすり合わせをしていく。

 

○佐藤座長

 ただ、初めに何もルールがない、調整していっていいのだと思うのだけれども、初め何もないところでというのを変えていこうということなのだけれども、それがどう働く人が受けとめるかということもあるので、なかなか難しい。

 

○池田委員

 異動のパターンは社員の方皆さん、大体は何となく理解しているわけですね。1回行ったら大体何年ぐらい行って、次、戻ってくるか、またもう一カ所行くかとか。

 

○平野委員

 何とも言えないですね。会社によるし、ポストによると思います。はっきりしているのは出向と海外。労働協約がありますからね。それ以外の国内の場合は何とも言えないですね。

 

○山中委員

 具体的にその人に辞令を出すに当たっては、大体の目安は目処としてであれば言えるものなのでしょうか。

 

○平野委員

 言えなくはないです。当然異動する、そこで新しい任務地で期待する役割を言わないといけないわけです。課題を言って、その課題の達成に対する大まかなスケジュール感も言うわけですから、言えないことはないのです。ただ、それがそのとおり進捗するかどうかというのは全くわからないです。

 

○佐藤座長

 一番大きな問題が残りました。そこは考えさせていただきます。

 それでは、大きなところについて御意見を伺ったということでよろしいでしょうか。そうすると、この後の進め方について事務局から御説明をいただけますか。

 

○六本調査官

 本日も意見交換をいただきまして、年度末で大変お忙しい時期ということもありまして、会合としては本日が最後ということで、今日いただいた御意見も踏まえて事務局で雇用管理のポイント案を修正いたしまして、さらに参考資料なども第1回の資料なども含めて全体を整理したり、文言を整理したり、若干細かい作業も発生してお時間をいただくかと思います。その上で委員の皆様と個別に打ち合わせをさせていただいて、それを最後に座長にごらんいただくという形で取りまとめに持っていきたい。3月末までに雇用管理のポイントを策定するという命題になっておりますので、3月のうちには取りまとめられるようにしたいと考えております。

 

○佐藤座長

 今、御説明をいただきましたように、本当はもう一回開ければいいのですけれども、年度末ということもありますので、きょうの御意見でまずはもう一度リバイスした案をつくって、また皆さんに個別に御意見を伺わせていただいて、最終調整を私にお任せいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。

 それでは、熱心に御議論をいただいて、どうもありがとうございました。まだ少し宿題がありますけれども、よろしくお願いします。

 きょうは最後ですので、局長から御挨拶をいただけるということで、よろしくお願いいたします。

 

○吉田局長

 どうもお疲れさまでございました。私はこの会議に出たり入ったりしておりまして、完全にフォローし切れていない部分もございますけれども、担当の事務方としてきちんと今まとめていただきましたような方針に沿って進めさせていただきたいと思います。

 何よりもこれはなかなか転勤、私もお話を伺っておりましたり、今回の議論の一番初めの材料にもありましたように、資料にも入っておりましたようにJILPTの調査とか中央大学のプロジェクトとかございますけれども、なかなかテーマが多いといいましょうか、突っ込みどころが多い話でありまして、佐藤座長に適切に捌いていただいた中で、先生方の御議論でこういう形で今日までやらせていただいたかと思います。

 今、座長からもおっしゃっていただいたように、本当はもう一回かもしれませんが、そもそも1月から3回立て続けに先生方のお忙しいお時間をいただきまして、ここまでまいりましたし、ヒアリングという形でいろいろな形のお声も聞いていただいたということでございますので、今、座長からおっしゃっていただいたような形の取りまとめで私どももう一汗書かせていただいて、年度末を迎えたいと思います。

 いずれにしてもこういう形で雇用管理のポイントという、企業の方々に対して御参考いただくようなものを先生方のおかげでまとめさせていただくところに道がついたと思っておりますので、もう一息、御指導いただきますとともに、この間のいろいろといただきました御尽力に御礼申し上げて、一言の区切りとさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

○佐藤座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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