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2016年2月16日 第47回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成28年2月16日(火)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1 造血幹細胞移植推進拠点病院事業の方向性について
2 臍帯血の利用・提供基準について
3 骨髄バンクドナー新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼について
4 その他

○議事

○小澤委員長 定刻になりましたので、ただいまから第47回「厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。まず、事務局から本日の委員の出欠状況の報告、資料の確認等をお願いします。

○山口室長補佐 本日は、浅野委員、今村委員、武藤委員、山口委員、吉村委員から欠席との御連絡を頂いております。また、本日は参考人として、日本赤十字社から血液事業本部副本部長の高梨美乃子様、公益財団法人日本骨髄バンクから広報渉外部長の大久保英彦様に御参加いただいております。

 資料の確認をさせていただきます。議事次第にある資料一覧を御参照ください。資料1「造血幹細胞移植推進拠点病院事業の方向性について」、資料2「臍帯血の利用・提供基準について」、資料3「骨髄バンクドナー新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼について」、資料4「平成28年度造血幹細胞移植対策関係予算案の概要」です。

 また梅田委員より、千葉県赤十字血液センターにおける骨髄バンク普及啓発への取組を紹介した資料を配布したいとのことでしたので、机上に置かせていただきました。最後に御説明いただきます。資料の不備等がありましたら、事務局までお申し付けください。以降の議事進行は小澤委員長にお願いいたします。報道のカメラは御退室ください。

○小澤委員長 議事に入ります。前回第46回の委員会では、拠点病院について、研究目的での臍帯血の利用・提供基準について、そして非血縁者間末梢血幹細胞提供の際の条件の変更の議論をしていただきました。本日は、まず拠点病院事業について、今後の方向性について、より具体的に議論していただきます。2番目は臍帯血の利用・提供基準について、前回の議論の確認と、研究を超えた範囲へ臍帯血バンクから直接提供ができるか、という点について事務局から説明していただきます。3番目は、骨髄バンクドナー新規登録時に、iPS細胞研究への協力のお願いを検討しているようですので、その報告となります。以上について議論をしていただきます。

 最初の議事は、(1)造血幹細胞移植推進拠点病院の今後の方向性についてです。事務局から資料1に基づいて説明をお願いします。

○山口室長補佐 造血幹細胞移植推進拠点病院事業の今後の方向性についてということで、資料1に基づいて御説明いたします。2ページは、前回第46回造血幹細胞移植委員会で、委員の皆様から頂いた御意見をまとめたものです。拠点病院が何に取り組んでいくべきか、という部分についての御意見を、オレンジの枠にある『事業内容に関すること』という部分にまとめました。拠点病院間の連携体制の必要性や、人材育成について、造血細胞移植学会との連携が重要であること。造血細胞移植コーディネーター、いわゆるHCTCについては、普及啓発活動も重要で、将来的な雇用体制の整備なども検討していく必要があること。そして、コーディネート期間短縮に向けて、日本骨髄バンクとの連携体制構築が必要などの御意見を頂きました。

 その下に青枠で囲んでいる、『拠点病院の配置に関すること』の部分では、枠で囲んでいるような御意見を頂きました。地域ブロックそのものの必要性や、適正化についての御意見もありました。本事業については、まずは拠点病院が何を目指し、そして何に取り組んでいくのかという部分を明確にしていくことが重要と考えております。その上で、拠点病院がそれらの役割に取り組んでいくための適正な配置やブロックについての議論につながっていくものと考えております。

 したがって、一番下の今後のスケジュール案にあるように、まずは今回の第47回委員会で、拠点病院の事業内容に関することについて御議論いただき、その方向性をなるべく明確な形にして、次回以降の委員会で、必要に応じて拠点病院の配置に関することなどを議論していくことを考えております。

3ページでは少し細かくなっていますが、この事業の全体像を示しております。一番上に「事業の目的」があります。ここの枠の中の1つ目のポツで、移植が必要な患者さんに適切な時期に、適切な種類の移植医療を提供できる体制づくり。2つ目のポツで、どこの地域の患者さんであっても、同様に移植医療を受けることができる体制づくり。3つ目のポツで、移植後の長期のフォローが必要な領域でもありますので、そのための体制づくりを目標とし、これらを通じて、最終的に造血幹細胞移植患者さん、更には血液疾患患者全体の生存率の向上へとつなげていくことを目的として書かせていただきました。

 その下に「事業の内容」として、今までも設定していた人材育成事業、コーディネート支援事業、地域連携事業について、それぞれの主なイメージやポイントを示しております。5ページ以降で、それぞれの事業の中で何に取り組んでいくかを、より具体的に御説明させていただきます。

 またこの部分の右下に「拠点病院連絡会議」とあります。より良い事業に進めていくためにも、拠点病院間での横のつながりの重要性について、前回の委員会でも御意見を頂きました。そこで先月125日に第1回拠点病院連絡会議を開催し、9つの拠点病院を中心に、造血細胞移植学会、そしてこの時には地区事務局との連携の話もありましたので、日本骨髄バンクも含め、今後の方向性について議論させていただきました。

 繰り返しになりますが、これらの事業を通じて、一番下にあるように、最終的に造血幹細胞移植成績の更なる向上へとつなげていければと考えております。

4ページは、拠点病院と行政、そして日本造血細胞移植学会との連携体制を示したものです。前回の委員会でも議論していただきましたが、拠点病院事業を進めていくためには、学会との連携が重要であるという御指摘を踏まえつつ、それぞれの関係性を模式的に示しました。重なる部分が多いのですが、それぞれの目指すべき点を、それぞれの下の四角の枠の中に書かせていただきました。拠点病院も学会も、移植医療の質の向上・均てん化を目指すわけですが、拠点病院は特に地域連携の視点を重視し、学会ではより全体的な視点を重視していくことになるであろうと考えております。行政のほうは、拠点病院や学会とも連携しながら、より良い移植医療体制をつくっていくことを目指していくことになります。それぞれの間にあるグレーの囲み部分では、具体的にどのような部分で連携していくのかというものについて、現時点の案を示しております。

5ページ以降は、人材育成事業、コーディネート支援事業、地域連携事業のそれぞれで何を行っていくかという部分について、少し細かく御説明いたします。まずは人材育成事業について、拠点病院が取り組んでいく内容についてです。医療従事者の人材育成については、もちろん今までも取り組んできていただいた部分ですが、拠点病院には特に地域への還元という部分を重視していただきたいと考えています。また人材育成の方法には大きく、オン・ジョブ・トレーニングとしての研修と、多くの方を対象とした研修会やセミナーというものがあります。特に後者において、全体的な質の均てん化を図るためにも、学会と連携して、研修やセミナー自体の方向性の共通化を検討していただければと考えております。この共通化については、マニュアルなど資料そのものを統一するのか、それとも全体的な方向性をある程度統一するというものなのかについては、これからも連絡会議などを通じて話し合いながら決めていく部分になります。

2番目に、「骨髄採取医師の育成と診療支援」とあります。これは他の事業の部分と重なる点ですが、地域によっては骨髄採取に際し、マンパワーが不足しているために、採取件数の増加に取り組むことがなかなか難しいというケースもあります。もう既に取り組んでいただいている拠点病院もありますが、この部分の診療支援を行うとともに、その地域の骨髄採取医師の育成も重要と考えております。これらの部分を、拠点病院として取り組んでいただければと考えております。

 最後に、HCTCの人材育成とあります。HCTCについては、まだ十分にその必要性や存在そのものが周知されていない部分もあります。これも、既に各拠点病院において取り組んでいただいている面もありますが、研修やセミナーを通じ、引き続きHCTCを育成していただくとともに、HCTCの有用性についてのデータ収集・解析や、普及啓発の推進も進めていただき、HCTCの人員の増加にもつなげていければと考えております。今後も詰めていく必要がある部分もありますが、拠点病院として人材育成という部分については、特にこの3つの部分に取り組んでいただきたいと考えております。

6ページは、「コーディネート支援事業」についてまとめております。この部分で拠点病院に取り組んでいただきたい事項の1つ目は、各地域の日本骨髄バンク(地区事務局)との連携体制の強化を進めていただきたいと考えております。今まで、日本骨髄バンクの各地区事務局において、どこの施設と連携していくべきかというのが分かりにくい地域もあったようです。そこで、拠点病院にとってはかなり負担が大きい部分でもありますが、各拠点病院と日本骨髄バンク(地区事務局)との連携体制を構築していただき、それぞれの地域特有の課題もあると思いますので、それらを把握し、対応していっていただければと考えております。例えば、ここにはコーディネート状況の把握体制構築や、地域内での採取曜日の調整などを書かせていただきました。その他に対応策があれば、いろいろ取り組んでいっていただきたいと考えております。

2つ目は、HCTCについてです。ここは人材育成の部分とも重なる所ですが、特に移植を専門としない医療従事者の先生方へも、HCTCの存在を知ってもらえるような普及啓発活動に取り組んでいただきたいと考えております。

 最後に研究の推進です。こちらは本事業で行う部分ではありませんが、厚生労働科学研究のほうでも、このコーディネート期間短縮を目指すための研究を公募しました。拠点病院も是非連携していっていただければと考えております。

7ページは、「地域連携事業」についてです。1番目の地域内の移植医療連携体制の整備についてです。今回こちらについては、例えばテレビ会議システムの導入をイメージさせていただきました。地域によっては、個々の臨床経過の中で、対応に苦慮している症例などについて、距離的な問題などでなかなかタイムリーに相談するのが難しいケースもあります。そこで、できれば拠点病院と複数の施設で、画像所見や病理所見も併せてその症例を検討することにより、個々の症例での治療内容の質の向上を図っていくことを目指すものです。拠点病院が事務局的な役割を担っていただき、連携する病院と必要に応じて開催できるような体制ができればと考えております。また、これが更に円滑な患者紹介や、セカンドオピニオンの実施にもつなげていければと考えております。

2番目は、移植後患者手帳についてです。これは、既に学会とも連携して進めていただいている部分ですが、ご存知のとおり造血幹細胞移植では、移植後もGVHDやその他の臓器合併症、そして二次がんのリスクなどにより、長期のフォローが必要となります。しかし、長期になると通院の利便性や、転居などへの配慮も必要になってきます。その点も意識して、一般病院や開業医など、移植を専門としない医療従事者の先生方や、その他の医療従事者の方々にとっても、今後何をすべきかという点や、困ったときの連絡先などが分かりやすく書いてあるような手帳になるのが望ましいと考えております。そして、全国的に統一したものであることが望ましいとも考えております。

3番目に、これはまだ今後の検討課題ですが、「造血幹細胞移植相談支援センターの設置と運営」をあげております。これについて次の8ページで御説明いたします。

これは、先ほどの患者手帳ともつながる部分もあります。このセンターを利用する対象として、移植を予定している患者さんや、主治医の先生だけではなく、移植後の患者さんや、長期フォローに御協力いただいている移植を専門としない医療従事者の方々、その方々にとっても相談しやすい窓口のような役割をまず1つイメージしています。それだけではなく、医療従事者の人材育成についての窓口という役割も、この右のほうで書かせていただきましたが、そちらもイメージしたものとして絵を描いております。そのような機能を持った相談支援センター的なものを、拠点病院に設置することを案として考えておりました。これについて今後の検討課題の部分ですが、御意見等を頂ければと考えております。

9ページ、10ページは参考資料になります。現在の9病院の配置などについて示したものです。説明は以上です。

○小澤委員長 事務局から、造血幹細胞移植推進拠点病院の今後の方向性についての全体的な部分と、人材育成、コーディネート支援、地域連携のそれぞれにおいて取り組むべき具体的事項についての説明がありました。資料11枚目の裏表にあるように、今回はまず拠点病院の事業内容について議論をしていただきます。最初に、事業の全体的な方向性や、学会との連携などについての、資料11枚目の裏表のところまでについて、事務局から説明がありましたが、これについて御意見などはありますか。

 これまでも、こういう拠点病院については、その意義、在り方等については、必ずしもそのコンセンサスがきれいに取れてはいなかったようなところもあり、そういうことで問題にもなっておりましたので、改めてそういう在り方、推進拠点病院の意義等についてまず確認をして、具体的な活動内容について皆様の御意見を頂きたいと考えておりますが、いかがでしょうか。特に1枚目の裏に、具体的な大筋の活動内容が書かれていますが、御意見がありましたらお願いいたします。

○宮村委員 先回のこの委員会でいろいろ意見を申し上げたのですけれども、1年ぐらい前までは、我々がどのように活動していったらいいかを個々で考えて、横とのつながりに対する事業費の使い方はなかなかできませんでした。そういう中でこの1年間の間に、学会を中心に、学会がやっていくことの方向性に合った形で自分たちがやっていくということで、何をやったらいいかということでは、この1年間すごく進歩しました。各施設も安心してやれるようになりました。

 この中には書いてありませんけれども、今後は定期的に年4回ぐらい、学会と拠点病院全体でそういう会議もできるようになりました。この間の厚生労働省の御指導に対して感謝いたします。前回申し上げた部分が非常によく解決されているので御礼申し上げます。

○小澤委員長 先ほども、拠点病院連絡会議が125日に開催されたというお話がありましたが、その具体的内容を御説明いただけますか。

○山口室長補佐 拠点病院は、平成27年で9病院選定されているわけですが、125日にその9病院の先生方に皆さんお集まりいただき、学会からは岡本委員にも御出席いただきました。また、先ほど申しましたように、日本骨髄バンクからも御出席していただきました。今回、5ページ以降で、各事業についてそれぞれ細かく書かせていただきましたが、それをさらに細かい形で、こういうことをやってほしい、こういうことに取り組んでいくことをイメージしている、というのを私のほうから示させていただきました。拠点病院の先生方から、ちょっとここはというような御意見や、これを進めていきたいという御意見などを頂きながらまとめていきました。ただ、1回では難しいところもありますので、今後も話をしていきたいと思います。

○鈴木移植医療対策推進室長 ちょっと説明になっていないような感じなのでお話させていただきます。具体的に申しますと、宮村委員からお話がありましたとおり、大分頑張って作らせていただきました。その作らせていただくのに、ちょっと気合いが入りすぎたのか、なかなかこれは一気にはいけないかなという意見を正直なところ頂きました。やはり病院によっては置かれている立場などがいろいろあります。宮村委員とか、坂巻委員がいらっしゃるような病院というのは、もうバリバリやっていける所なのですが、場所によってはそこまではなかなか行けないというような問題があるということが見えてまいりました。

 ですから、連携をしていく中で、恐らく一番大事なのは、地域の連携という言葉で、これは非常にマクロな意味とミクロな意味があります。小さい意味のミクロということも含めてということです。特にブロックでやりますので、都道府県をまたぐというような話もあります。今後、こういうところを、私たちも都道府県等にお話をしたりしながら、どうやっていくかというところはまだ不安材料で残っているように感じました。非常にミクロなところでいけば、今後私どもはしっかりと医師会等とも話をしていくことになるのですけれども、やはり開業の先生などは、この分野はなかなか難しい分野ですので、私も学生時代に真面目にやらなかった分野などと言ったら怒られますけれども、そんなところがあります。

 そういうところを、いかに開業の先生が、しっかりと普通に病気を診ながら、こういうところも気にしながらできるかというようなところのサポート体制を敷いていくことも大きな課題として残るのかなという話が出てまいりました。

 参考までにですが、2月上旬に都道府県の課長会議というのがありましたので、拠点病院の話も都道府県のほうには説明をしております。今後、我々のほうもそういう所に働きかけをしながらやらなければいけないことがあるのかというところが、ちょうどその連絡会議と都道府県の会議とであらわになってきたかと思います。本日は、そういうところの御意見も中心に頂ければと考えております。

○小澤委員長 学会からも参加していただいたということですが、岡本先生から何か御発言はありますか。

○岡本委員 特に追加することはありませんけれども、学会はこれまでに様々なガイドライン等を作り、それから研修等のコースを作ってまいりました。年に1回か2回、初版として、それからホームページに上げることはやるわけです。その後、実際にどのようにそういうものが活用されるかというところまでは、なかなか私たちは入り込むことができませんでした。

 そういう中で、この拠点病院の活動というのが出てまいりました。学会としては、そういうものを是非うまく活用していただいて、そういうものを地域のグループの中で普及していくことについて、お互いにバイディレクショナルに大きなメリットがあるのではないかと感じました。

 そのときに具体的な話はまだ進めておりませんけれども、本日の委員会でこの方向性を確認していただければ、来月に宮村先生が学会をなさいます。そこに理事会がありますので、どういう関連ができるかという議論を共有し、そしてそれを各関連委員会に落としていって、具体的に移植推進拠点病院の先生方と、どういうサポートが必要かということを議論をして進めていきたいと思います。

 私個人的には、本当に完璧に統一ということは考えておりません。枠組み、資材の共有。教育の人材に関しては、むしろ地域の先生方の育成ということを考え、その中で頑張ってやっていただくということも視野に入れていっていいのではないかと思います。

 少し時間はかかると思いますけれども、地域で移植医の限られた所では、やはり後方での支援をする開業医であるとか、長期のフォローアップをされる方が育成されれば、より医師の負担が減ります。言葉を換えて言うと、より急性期の移植医療に特化でき、そしてそれがひいてはより効率よく、迅速に対処ができるというほうにもつながると思います。そのステップは少し時間がかかるかもしれませんけれども、そういう長期的な目標も踏まえて、是非この協力体制は、このチームの中で進めていきたいと考えています。

○小澤委員長 今のお話でも、この推進拠点病院スタート時には、どういう方向に行こうかというのはベクトルが必ずしもはっきりしていなかったところもあります。学会との連携も模索段階だったような気がします。だんだんそういう連携が取れてきたような感じがしました。その他に、全般的なところで御発言はありますか。

 岡本委員からは、具体的な事項のコメントを頂きましたので、2枚目以降の人材育成事業、コーディネート支援事業及び地域連携事業といった個別の課題、具体的な取り組むべき事項についても、既に事務局から説明をしていただいておりますので、こういうことについての御意見はいかがでしょうか。

○坂巻委員長代理 日本骨髄バンクの地区事務局との連携の点なのです。今まで、この地区事務局は各地域の地区代表調整医師がメンバーになって、事務局のサポート、コーディネート状況の把握や採取日の調整など、採取工程期間の改善のためにも取り組んできたと思うのですが、今後そういう現在の事務局の体制と新たな拠点病院の役割というのは、どのように考えればいいのでしょうか。

○小澤委員長 事務局からでしょうか。

○山口室長補佐 その地域によっては、地区事務局との連携が十分でなかった地域もあったとお伺いしていました。日本骨髄バンクの地区代表医師との個別の連携などはあったのだと思うのですが、もう少し大きな枠で、各病院をつなぐような感じで拠点病院がひとつ役割を担っていただければ、と考えています。

 今までそこの地域内の連絡会議なども十分にできていなかった面もあったと聞いていましたので、そこをまず活性化していただいて、各地域の課題をまず吸い上げてもらってというところをイメージしていたところです。

○小澤委員長 そのほかはいかがでしょうか。以前から度々出ておりますが、1つの推進拠点病院がカバーする範囲が、すごく広いということもあり、そういったことに関して、連絡会議のときには困ったとか、十分に行き届かなかったとか、何か具体的な意見は出ましたでしょうか。

○山口室長補佐 地域ブロックごとに拠点病院をやっていただいているのですが、実際には隣の県とか、ブロックの範囲を超えて連携したほうが、現場としては重要な場合もある、というようなご意見を各拠点病院の先生方から頂いていました。

 そこは今後も検討しながらですが、現実に合うような形で進めていったほうがいいのではないかと考えておりますので、今後も拠点病院連絡会議などで話し合いながらですが、そこをすり合わせていければと思っています。

○小澤委員長 拠点病院間の連携という意味合いでは、地域連携事業の所に「テレビ会議システムの導入」といったような文言もありますが、この辺は既に具体的なイメージで動きはあるのでしょうか。

○山口室長補佐 地域連携事業の所で「テレビ会議システム」という名前に、ここではさせていただいたのですが、症例を相談するような体制ということでイメージしたものです。これについては、事業の中で読み込めるような感じで平成28年度以降は作っていますので、そのシステムを導入する際に個別に御相談いただければ対応していこうと考えております。

○坂巻委員長代理 このテレビ会議システムなのですが、実際にこれを導入するとなると、それなりのインフラが必要になってくると思うのです。この間の拠点病院会議の中では、余り高価でないシステムで入れるという話もあったのですが、実際にテレビ会議という格好で、例えば定期的に会議をするとか、そういうことを前提にしているのだとなかなか厳しいかなと思っております。

 実際に全がん協が、がんの拠点病院のカンファレンスをやっているのですが、それは非常に負担なだけでなく、余り参加も多くないということですので、拠点病院が中心になって関連する病院と定期的な会議というのは、実際問題としてはかなり無理なのではないかと思います。

 ただ、実際に相談を受けるときに、電話ではなくて顔が見えて、データも見えて、場合によると画像も見えてというようなことになれば、相談をする上では非常に有効なので、これは非常に必要だと思いますし、相談支援センターというのはとてもいいシステムだと思うのですが、いわゆる会議となると、これは厳しいかなと思っています。

○山口室長補佐 ありがとうございます。御指摘いただきましたように、ネーミングの問題かもしれませんが、坂巻委員長代理がおっしゃったように、定期的というよりも、個別の症例についてタイムリーに困ったときに相談し合えるというシステムをイメージしていました。

 できれば、拠点病院とその施設間だけではなくて、ほかのサポートするような病院も含めて、経験を共有できるような、こういう症例であればこれを調べたほうがいいとか、そういうサポートをする。できれば複数の病院で成り立つようなシステム、これは地域によってもやり方は変わってくると思いますが、そういうものをイメージしておりました。

○小澤委員長 そういうものを使うときに2種類の目的で、1つは相談に活用するということです。それから、拠点病院連絡会議をするのに全国から1か所に集まって来なくても、テレビ会議を使ってやるということもあり得るかなと思います。目的が2種類あってもいいような感じはします。またその辺は検討していただければと思います。

 相談のほうは、関連の個々の病院との話とか、あるいは患者から直接くる場合もあるかもしれませんが、その辺もインフラというか、ハードのほうをどのように具体的に整えるかも検討していただければと思います。何か御意見はいかがでしょうか。

○岡本委員 先ほどと関連することで、HCTCのことがあるのです。HCTCは臓器移植のHCTCと随分違うところがあります。造血幹細胞移植のHCTCというのが実際どういうことをやるのかということのパブリシティはすごく低くて、今、実際にHCTCを増やしましょうということで、今あるHCTCの型が、施設などで声を掛けてキャンディデイトを集めていくと、そこのところは私たちも余り力を入れていなかったところです。

 何が言いたいかというと、先ほどのセミナーなどの中でも、レベルは共有するというセミナーもあると同時に、レベルを違えて、むしろ地域の中で、こういう職種だというアピール、説明をする、その可能性を持っている人たちをなるべく集めてきて、興味をそそるようなセミナーをし、そしてそれをしっかりと教育するセミナーを学会と共有して更にその上に作りという形の役割分担も、MIHCがいい例だと思うのですが、今後の移植拠点病院と学会との重要な、具体的な連携の形ではないかなと思います。

 そういった中で裾野が広がってくれば、だんだんにそこの中で人が増えていく。学会としては、決して今HCTCに国家資格を求めているわけではなく、看護資格を求めているわけではないので、いろいろな方が入りやすい状況にはあるのですが、それがなかなか進んでいないところに、是非この連携をいかしてHCTCをなるべく早く数を増やし、トレーニングをし、実績を出し、最終目標としてはしっかりと雇用できるような診療報酬との関連のところまで持っていくというパスを考えていきたいと思います。

○小澤委員長 学会としては、一応HCTC普及に向けた活動はだんだん上向きになってきているという理解でよろしいですか。

○岡本委員 はい。どこまでの資格を求めればというところで、多少学会の中でも温度差があるのですが、レベルはともかくとして、学会の認定というレベルと、実際に公的な資格というところまでの間にある程度幅があってというように私たちは考えております。

○宮村委員 先ほど「相談支援センター」ということがあったので、今回の学会の中の私の発表のことで、今から20年先にどのぐらいの患者が外来にいるのかという試算をしてみました。その話をいたします。

 現在、ロングタームフォローアップということで5年以上生存されて、基本的には治療が必要がなく、きちんと病院に通っている人が約7,000人います。これが2035年には4万人まで増えます。先ほど岡本先生が言われたように、我々が4万人に対して現実に対応していると、急性期などができなくなるので、これをどうしていくかということが大きな問題であり、この事業の中に「手帳というものの役割」が言われていることは非常にうれしく思います。

 あと、既に通院終了している患者が8,000人ぐらいいるのです。その人たちの中には、自分は治ったからいいと思っている人がいるのですが、いつかは病気になります。そのときにどうしたらいいかはなかなか私は分からなかったのですが、今回の提案の中の公的な支援センター、その中に患者がそこに行けるという、そういった所が各地方にいろいろとできるということが広報の中でも出てくると、今は全く病院とは縁がない人たちが将来的に助かるので、そういった2点から、これもこの半年間の大きな違いが、どうしてこのように急に素晴らしいことが出てくるのかなというのは併せて思うと同時に、ここの支援センターについての役割も今後とも予算を付けて、そういう人の専門など、いろいろお願いしたいと思います。

○小澤委員長 この相談支援センター(仮称)の取組について、もう少し具体的に事務局から御説明はいただけますか。予算が付くかということも含めてお願いいたします。

○鈴木移植医療対策推進室長 この相談支援センターというのは、事業でこれからどうしていくかということの中身だけの説明という形になります。これは私どもがどう考えているかというと、これはいろいろな肝炎の拠点病院でも、がんのほうでも、相談センターというのを大体作るのです。この相談センターというものを作ると、大体イメージするのは患者からの相談だけで作って投資してしまいます。

 そうするとどういうことが起こるかというと、肝炎なども非常に患者は多いわけですが、相談の数を全国でおしなべていくと、1施設当たり年間何十人ぐらいで終わってしまうのです。病院になかなか相談というのはしないということです。

 当然、我々どもは行政でもありますので、保健所等の相談というのもあります。そういった所の相談も入れると、患者の相談だけをやっていてもしようがないだろうというのが、根底の思想です。

 このため、この中にありましたとおり、路地部隊というか、開業の先生などは困ったとき、あるいは患者の周り以外でも、行政などが分からないときの相談とか、こういったものを一手に引き受けるような、KPAを作るならそういったような相談件数のトータルが相談になるのかなと。いわゆる治療をしているからとか、治療に派生するからにとどまらない形で、疾病全体を見ていくような形で、相談をできるようなのがブロックごとに拠点病院で受けてもらえる窓口があれば、おそらくこの領域というのは非常に限られているところがありますので、それをどうにか支えてくれる所があると非常に助かるのかなというのが、基本的な考え方のコンセプトです。

 これをどこまでできるかというのは、正しくこれから議論と実践を重ねながら、トライアルアンドエラーしていかなければいけないのかなと思っておりますので、要望等を含めて、今日はいろいろと頂けると、これからの議論にまた弾みが付くのかなと思います。考え方としては、そのような考え方で進めているというものです。

○小澤委員長 拠点病院もだんだん仕事が増えてきて非常に大変かなと思いますが、こういった所にもマンパワーを付けていただかないと動かないような感じはしますが、何か御意見はございますか。

○坂巻委員長代理 正に小澤先生のおっしゃるとおりで、私も今の宮村先生とか室長の話の中で、まだ相談支援センターの実際のものが、お互いに完全に固まってないなという感じはあるのですが、私は基本的に相談支援センターというのは重要だろうと思っています。

 先ほど私が申し上げた中には、非移植病院からの相談というのが実際には相当多いのではないのかな、そういう所がどこに連絡すればいいのか、それが拠点病院の相談窓口という所があれば、そこに連絡があって、それから担当の者へ橋渡しをしてくれるというのがあるだけで、随分違うだろうなと思いますし、それから宮村先生が考えておられるような、患者からのアクセスのポイント、もちろん行政などもあってもいいのですが、それを一手に引き受ける窓口があるというだけで、私は随分違うと思うのです。そのためには、どうしてもそこに人を付ける必要があります。

 そのための人員の予算というものが、うまくここで使えるようになると、私は随分いいものができていくのではないのかなと個人的には思っております。

○小澤委員長 そのほか、どうぞ。

○野村委員 外から見ると、いわゆる拠点病院の先生方というのは、ほとんど学会にも所属されていて、それぞれ日本骨髄バンクの方たちとも長年交流を持たれながら治療を進めていらっしゃるので、そのレベルの方たちは当然横の連携は取れているのかなという思いもありつつ、すぐに連絡を取ってできているのかなと思ったら、宮村先生のお話のように、そのレベルですら、まだその連携というのはやっと取れ始めたところだというのはびっくりしていて、それ以降に書かれているのを見ると、情報をどう共有していくかという、拠点連絡協議会の情報というのは、どこまでリアルタイムで即座に治療に関わる医療機関に情報が降りていくのか、どのぐらいという辺りのことも伺いたいと思っていました。

 あとは、先ほどの相談支援センターのほうと、会議のときにデータベースの構築ということで、全ての情報が集まるデータベースを構築していくというのも、最初の法令のときに出ていたような気がしていたのですが、それとの関係はどうなっているのかなというのが知りたかったことです。

 あと意見としては、これほどたくさんのお仕事をずっと回していらっしゃるということで、私も見ているだけでやることがたくさんありすぎて、頭がおかしくなるぐらいの情報の中で、それでも関わる医療の関係の方たちや患者というのは、考えてみると全部ワンストップで情報が得られるということが全てだと思うのです。自分が必要な情報が、たらい回しされないで得られる、という情報があると思うので、相談支援センターなども非常にたくさんのことが集まってくるので、例えば全国共通して捌けるような相談みたいなものは、全国の全ての拠点病院にスペシャリストの知識を持った人がいる必要は全くないと思ったりするので、例えばそういうものは電話なりメールなりでも、必ず一定の人の所で相談が受けられるというようになるとか。でも、必ず顔を突き合わせて相談を受けなければいけないケースというのもあると思うので、患者に含めてという形で、相談の整理をしていかないと皆さんが大変になるのかなと思うのです。

 お聞きしたかったのはもう1つありまして、名古屋はぎりぎり交通がいいのかとか、関東ならあれなのですが、東北などで、どこまでこういった情報共有や、すぐのやり取りができるのかというところで、困っている所に、どういう課題や問題があるのかがお聞きしたいことです。

○小澤委員長 それでは張替委員から少し。

○張替委員 先ほど室長がおっしゃった地域の話で、東北は6つの県でブロックを組んでいますので、かなり遠いのは間違いないです。ただ、そこでテレビ電話ができるかというと、それもなかなか難しいと思うので、エリアの中のエリア、隣県同士で組むのをコーディネートするようなものを我々はやる必要があるのだろうと思っています。

 このセンターに関して言うと、確かにバーチャルには作れると思うのですが、実質的に何をやるかというのは、大変だと思います。東北6県の相談センターを、全部ここでやるのかというと、それはドナーとか患者の行き来で、現実的かというと難しいところはあると思いますし、実際に移植だけではなくて、これは血液疾患の患者が移植を受けるわけで、血液疾患の相談をまずどこでやって、それから移植の相談をどうやるかという流れもきちんと整理しておかないと、作ったはいいけれども、実質働くかどうかというのは疑問になってしまう可能性もあるので、作りのところはよく考えたほうがいいと思います。

 あとエリアの動きとはまた別に、少し離れますが、移植の採取を増やすという意味では、特に地域性はあるかもしれませんが、我々は外科の麻酔枠を取るのが非常に大変で、医師も足りないのですが、手術室を取れないというところもあります。それはここからは抜けていたので、その辺の対策をどうするかというのも。今度の診療報酬改定で、看護必要度で外科手術後のポイントもあるということと、診療報酬的にもどの病院も外科手術をどんどんやろうという方向になっていますので、その中で骨髄の採取枠を取るというのは、相当みんな苦労しているので、そこを解決しないと採取件数の最終的な増にはならないのではないかと思っています。

○小澤委員長 今日は結論を出すというところまではもちろんいきませんので、とりあえずいろいろな意見を出していただけると有り難いと思いますが、いかがでしょうか。

○鎌田委員 移植後の長期生存の患者が増えてきている現在、私も患者の立場からこういった相談支援センターのようなものの存在の必要性というのは、日頃から強く感じておりましたので、こういったものを考えてくださっているということは、すごく有り難く思いますし、非常に期待したいところです。

 実際には、今お話にもいろいろ出ましたように、課題もたくさんあるとは思うのですが、いろいろな形で、移植した患者のみならず、前後の患者も含めたり、あるいは血液疾患広くという面も含めて、いろいろな形で連携を取ったり、地域連携も含めてですが、そういった工夫をされていくことで、より広い情報が集まれば、またそれは患者にとっても有意義なものになっていくと思いますし、具体的な課題はあるとは思いますが、非常に強く期待したいと思います。

○小澤委員長 そのほかにはいかがでしょうか。

○岡本委員 この相談支援センターというイメージが、今一つ湧かないのですが、相談というのはいろいろな所に行くわけです。患者はいろいろなサイトを知っていて、ここだけではなくてバンクにもありますし、患者の会にもありますし、学会にもありますし、いろいろな所にあるわけです。それを皆さん利用されて、アクセスされてくるのではないかと思うのです。

 むしろ、もしも拠点病院がするとすると、例えば開業医から移植を受けた後の患者のフォローということであれば、むしろそこにフォローアップできる先生方、あるいは移植をやってもうリタイアされた方といった方のリストを作っておいて、そこにアクセスしてくださいとか、そういう形でホームページを作っておくとか、それだけでも十分に足りると思いますし、そこに人がずっといて、順番を決めて相談するというよりも、むしろ効率的に動かせるところもあると思うので、これはもう少しどういう目標というか、むしろ移植拠点病院ならではの相談というのは何でしょうかということで考えられたほうがいいのではないかと思います。

 例えば行政からの質問があったといっても、それは地域の今の現状はどうであるかとか、そういったところは学会に振られるので、ずっとそれは有意義な情報が得られると思いますし、もう少し特化した情報を、拠点病院が集める情報として何が最も役に立つというか、何が許点病院らしいものかというのは、もう少しディスカッションして決められたほうがいいのではないかと思います。

○小澤委員長 いかがでしょうか。

○鎌田委員 もう1点です。移植後長期たった患者というのは、問題を抱えていたり、自分からは定期的にその病院に行ったりという患者の場合は、先ほど宮村先生もおっしゃっていたように問題を把握しやすいと思うのですが、時間がたって病院とも離れてしまった患者で、注意喚起が必要な場合というのも、これから出てくると思いますので、そういうのにも役立てるような、相談を受けるだけではなくて、情報発信の基というか、それはほかにも情報共有の手段というのは、今回もいろいろな形で整えられてきているので、ここが何をするかというものの整理が必要だということも含めて、今、拠点病院などは特にフォローアップ外来なども充実していらっしゃいますが、そういったものとも連携を取れることがあるのかもしれないし、いろいろと整理は必要かもしれませんが、注意喚起が必要な患者への役割も果たせるものでもあってくれたらと思います。

○野村委員 次にいく前に、1つだけ手帳の話です。これも疎覚えの情報で、ここは気安く話せる会議なので前に取材したことをお伝えしようと思います。

 もっとミクロの話なのですが、三重大病院か何かで乳がんの治療のことの取材をしたときに、そこはすごく小さな所だったのですが、乳がん検診で、何年も前に別のクリニックで受けたデータがあるのだけれども、引っ越したり、職場が変わったりして、数年後は別の病院で受けているという患者は結構いると思います。それで、それぞれ連携している地域のクリニックと本人たちが同意していることが前提ですが、三重大病院などに小さな端末があって、患者が登録していた番号なり何なりを打つと、過去の乳がんのマンモの記録などを全部自分が見ることができるというシステムを始めていたというのを取材したことがあります。それが本当にうまく進んでいて、今もあるのかどうかは、67年前の取材だったのですが。

 患者手帳の過去の長期というのには、手帳というのは本当に素晴らしくて、私はアナログなので、一覧できたり、持っているというのはすごく安心できるのですが、患者主体で考えると、患者が自らOKを出したときに、過去の資料を持ってほかに行けるという情報共有の在り方もあるのかなと思って、御意見として言わせてもらいました。

○小澤委員長 その延長線上には電子カルテの共有という話も出てくるかもしれませんが、ほかにいかがでしょうか。まだ、今日何かコメントしておきたいというようなことはよろしいでしょうか。

 そうしますと、大分時間も過ぎてきましたので、今日のところは拠点病院の事業内容について、いろいろな意見を出していただきましたが、事務局で次回までに整理していただけたらと考えております。そして、次回以降は、それ以外の点も含めて、再度拠点病院の全体的な方向性について議論を進めていきたいと思います。

 次に、議事2「臍帯血の利用・提供基準について」に移ります。事務局から資料2に基づいて説明をお願いいたします。

○上村室長補佐 資料2、「臍帯血の利用・提供基準について」を御用意ください。2ページです。始めに報告をいたします。前回、第46回の造血幹細胞移植委員会において研究目的での臍帯血の利用・提供基準について、1~4について御議論いただき了承いただきました。

 これを踏まえ、昨年1224日付で「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の運用に関する指針」を、ガイドラインと呼んでおりますが、これについて必要な改正を行い、各公的臍帯血バンク宛てに通知いたしました。現在、各公的臍帯血バンクでは、医療機関、研究機関からの申請に基づく研究目的での臍帯血の提供を円滑に行えるよう手続、体制等を整備しております。

3ページです。ガイドラインの一部改正の内容について、その概要を参考として記載しております。上の大きく黒い四角囲いの中が造血幹細胞移植法の施行時に定めた仕組みで、この中の1~5までの流れについて、それぞれ黒い四角囲いの下に記載している内容の改正を行っております。

 具体的には、一番左の1について、まず、研究機関等の中の倫理審査委員会で研究内容について、臍帯血提供者の同意を得る必要性についても審査していただくことになりました。2について、研究機関等から公的臍帯血バンクに申請をする際の標準的な様式をガイドラインで定めております。3について、公的臍帯血バンク内に設置される倫理審査委員会等で審査する項目等を明確にする改正を行いました。

 4について、研究の実施に必要となる個人情報を臍帯血バンクが提供するに当たっては、公的臍帯血バンクが臍帯血提供者から同意を得ること、及び研究の実施に当たりその内容について同意が必要な場合は、研究機関等が臍帯血提供者の同意を得たことを確認した上で、バンクから研究機関等へ臍帯血を提供するという手続を明確にする改正を行っております。

 5について、研究機関等の研究実施後に残った臍帯血の残余検体については、遡及調査に用いる量を除いて適切に廃棄することを定めました。また、研究機関等が臍帯血を研究した成果については、企業を含む他の機関等に提供、譲渡又は販売等をすることは、造血幹細胞移植法上は何ら妨げられないこと、なお、その成果の提供等を受けた企業を含む他の機関が、その成果を研究等に用いる場合には研究等に関する法令等が適用されることについて留意することをガイドラインにおいて明確にする改正を行っております。以上がガイドラインの一部改正の内容の報告です。

4ページです。前回の造血幹細胞移植委員会での議論において、移植及び研究目的以外での臍帯血の提供についても議論していただきました。「移植及び研究目的以外での臍帯血の提供」とは、1つ目の○の下に※で記載しております。一般診療として行われる再生医療等や製造販売の承認を受けた医薬品等の原料等とすることを目的とする場合としており、実用化されたものに対して臍帯血の提供が現行法上可能かどうかということについて御意見を頂きました。

 その際の前回の委員会の資料を8ページに載せております。前回の委員会では、臍帯血について再生医療や創薬等の臨床応用に対する期待も高いと考えられることや、今後、研究目的での提供が進められても破棄される臍帯血が出てくると考えられることを踏まえ、実用化されたものに対して臍帯血を公的臍帯血バンクが提供することの法的整理をしておりました。

 その法的整理については下の点線の欄に記載しております。ここでは、造血幹細胞移植法には、移植及び研究目的以外での利用又は提供について禁止する規定は設けられていないため、移植及び研究目的での提供に支障のない範囲内の臍帯血については、公的臍帯血バンクが移植及び研究目的以外で提供することは、法令上禁止されるものではないと整理しておりました。

4ページに戻ります。先ほどの8ページでお示しした法的整理について、前回の委員会で議論していただきました。その際に4ページに記載しておりますが、委員から御意見を頂いております。その中に臍帯血の提供者の同意を取る必要性や臍帯血の提供そのものに影響が出てくるのではないかという御意見を頂いております。

 更に法的整理の考え方については、辰井委員より、臍帯血バンクの規制としてはバンクがそれ以外に提供できるかというと、やはり禁止されているのではないか。研究に使ったものがそのまま企業で使われるという研究に提供ということの延長線上にあるという説明ができて初めて、バンクがそこに対して提供していくことができるようになるのではないかという御意見を頂きました。

5ページです。特に辰井先生から頂いた御意見や、その後さらにお考えを聞かせていただき、事務局としても再度、造血幹細胞移植法の立法趣旨や構成について検討して改めて法的整理をいたしました。法的整理()と書いておりますが、3つ目のポツまで読み上げます。

 造血幹細胞移植法は、臍帯血供給事業等について必要な規制を行うこと等により、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資することを目的としており、当該事業等を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならないこととされております。臍帯血供給事業者(公的臍帯血バンク)とは、大臣の許可を受けて「移植に用いる臍帯血の提供について、その採取、調整、保存、検査及び引渡しを行う事業」を行うとされております。

 法第35条の規定は、臍帯血供給事業者に対し、許可を受けた臍帯血供給事業のほか、研究目的での臍帯血の利用及び提供を行うこともできることを定めるもの、権能を与えたものである。このように公的臍帯血バンクができることは、制限されていると考えられます。

 また、4つ目のポツですが、一定の行為及び罰則規定を設けず規制を行うことは他法に立法例があるのですが、事業規制を行う法律であって、事業者に対し法の規定を越えて一定の行為を行うことを認めている立法例はありません。

この説明については、つまり造血幹細胞移植法では移植及び研究目的以外の臍帯血の提供について禁止する規定はありません。しかし、禁止する規定がないから、移植及び研究目的以外の臍帯血の提供が可能であると解釈できるという他の立法例がありません。また、公的臍帯血バンクが厚生労働大臣の許可を受けて臍帯血事業を行うものとされていることを踏まえれば、禁止規定がなくとも臍帯血供給事業と法第35条で認められた研究目的での利用又は提供以外は行うことができないと解釈ができるのではないか。以上のように法的に整理すると、公的臍帯血バンクから臍帯血の提供が認められる範囲については、次のページのとおり整理できると考えております。

6ページです。公的臍帯血バンクから医療機関及び研究機関に矢印が伸びている1(A)については、法第35条の規定に基づき、研究目的での臍帯血となりますので提供が可能です。次に臍帯血の提供を受けた医療機関等では、想定される研究内容例を記載しておりますが、こういった研究が行われることが考えられます。その臍帯血を用いて研究した成果として、例えば臍帯血由来のiPS細胞のようにモノが残るのであるば、それを実用化・商業化段階となる次の営利企業へ提供等をすることは可能で、これが2(B)の矢印です。

 しかしながら、3(C)の矢印のように公的臍帯血バンクから実用化・商業化段階となる営利企業へ臍帯血を提供することは移植でも研究目的でもありませんので、できないと整理されます。2(B)の研究成果としてモノが残る場合には、営利企業等にお渡しすることができるということについては前回の委員会で御了承いただいております。

7ページです。今後の課題としてまとめております。先ほどの説明のように整理されるため、研究段階では公的臍帯血バンクからの臍帯血の提供が可能である一方で、当該研究の成果として実用化・商業化段階となった場合には、その原料等として同バンクから新たに臍帯血の提供を行うことはできないこととなります。そのため、公的臍帯血バンクが実用化・商業化されたものに対して、その原料等として臍帯血を提供することができることとするためには、法の見直しが必要となります。その見直しについては、臍帯血に関する今後の研究の進捗状況や要望等を踏まえ、法附則第5条の検討規定に基づき検討することとしてはどうかと考えております。以上、駆け足となりましたが説明を終わります。

○小澤委員長 事務局から前回の委員会における議論の整理と研究を越えた目的での臍帯血の利用や提供について説明がありました。特に現在の造血幹細胞移植法では、研究を越えた部分で臍帯血バンクから直接企業などに提供することはできないということでありますが、何か御質問はございますか。

 辰井委員のコメントが詳しく書かれておりますが、何か追加のコメント、あるいは追加の説明はありますか。

○辰井委員 私も今伺っていて、そのとき自分が何を考えていたのかも今一つはっきり思い出せないところがあり、また、すごく難しい話に聞こえましたが、恐らく中身はそれほど難しい話ではなくて、前回の資料にありましたように、8ページですかね、禁止規定は設けられていないということがありますが、その行為主体を特定しない行為自体の禁止ということではやはり禁止されていないだろうと思います。

 ただ、それをバンクのような形で事業として臍帯血を取り扱うということに関しては、今許可制になっていて、許可制というのは法的な考え方では、基本的には禁止されているということなのです。前提として、業としてそういうことを行うことは禁止されている。だから、許可を受けた場合に初めてできるという立て付けだと考えます。

 それが非常に限定的な目的でのみ許されているということが現行法の規定なので、その法律を普通に読むと業として行うという、バンクとして行うということに関しては法律にはっきり書かれた目的以外では認められていないと考えざるを得ないだろうということだと思います。すみません。分かりやすく説明しようと思ったのですが、できたかどうか分かりません。

○小澤委員長 ありがとうございました。この辺が少し分かりにくい等、何か御質問はございますか。

○野村委員 この数字が、たくさん丸の数字が出てくるのですが、これは、真ん中の研究段階の青い角丸、四角の中に入っている1234が下の文字の中の文末にある1234ということで、その丸四角の中に入っている上2つはOKだけど、下の2つは営利企業に渡すことは駄目だということですか。

○上村室長補佐 下の想定する研究内容例の1~4まで書いておりますが、3と4は研究の結果、モノが残るような研究ではないと考えられます。そうすると3と4の研究の結果、3については創薬という薬の関係なので製造販売の承認が得られました。4については、再生医療が一般医療として認められたときに、次の段階にいったときに3と4の場合には研究成果としてモノが残っていないので、新たに原料として臍帯血を供給しなければならない。

 ただ、それは直接、実用化されたものに対してお渡しすることになるので現行法上は研究目的とは言えないので難しいということになります。1という記号が一緒になってしまったので誤解を招いてしまい、申し訳ございませんでした。

○小澤委員長 この部分を今、訂正したほうがいいのではないでしょうか。

○上村室長補佐 分かりやすく訂正いたします。臍帯血供給事業者から医療機関等に渡るものを1と書いてありますが、これを例えばAとすると、一番下の123と書いている一番左の1のAの公的臍帯血バンクは、法第35条の規定に基づき、研究目的での臍帯血の提供は可能。研究段階から実用化・商業化段階にいく赤い文字の2についてはBとして、同バンクから提供された臍帯血を医療機関・研究機関が研究して成果(例えばiPS細胞)を実用化等を目的として他の機関(企業を含む)に提供することは可能。最後に、臍帯血供給事業者から営利企業に直接伸びる3をCとして、同バンクから提供された臍帯血を医療機関・研究機関が研究し、再生医療等製品の製造販売の承認を受けた場合や再生医療等を一般医療として提供する場合、その原料等として、新たに同バンクが臍帯血を提供することは不可能。とさせていただきます。

○小澤委員長 いかがでしょうか。クリアでしょうか。微妙な話としては、2の臍帯血に加工を加えた再生医療等製品ですが、例えば遺伝子操作を加えて、それを更に企業に売って培養、増幅してどうのこうのという場合は、かなり下のほうに近いのですが、説明の仕方によってはワンステップ置いたとか何か言ったりとか、大丈夫でしょうか。

○上村室長補佐 臍帯血に加工を加えた再生医療等製品の場合は、薬事法の規制の対象となり臍帯血ではなくなりますので、造血幹細胞移植法は及びません。ただ、遺伝子に加工を加えたものを営利企業として販売する場合には、必ず提供者の同意が必要となってきますので、現行法では細胞提供者の同意が得られるのであれば、それを営利企業でどのように扱うかということは、こちらが制限できるものではないと考えております。

○小澤委員長 では、薬事法は別として移植法と再生医療等新法はどちらが上位に位置付けられるのですか。

○上村室長補佐 関係上は並列といいますか、お互いにすみ分けをしておりますので造血幹細胞移植法上は臍帯血の提供について規制を行っており、臍帯血の研究の成果が出るので、その成果は研究機関に帰属しますので、その帰属した成果をどのように扱おうが研究機関の自由です。その研究成果として知的財産権だけなのか、今回のようにモノが残るのであれば、それについて造血幹細胞移植法が規制するということは現行上できない、できていないことになりますので、それを薬を作りますということで治験に回すのであれば、今度は薬機法が出てきたり、臨床研究をしますということであれば再生新法が出てきたり、その次のステップとして違う法律の枠内に入っていくという形です。

○小澤委員長 そのほか何かございますか。

○張替委員 この解釈を基に、例えば、この場合は提供していただけるとか使っていいとかという判断は、臍帯血バンク側が医療機関、研究機関から申請があった上で、そこで判断するのですか。研究機関が判断するものではない。

○上村室長補佐 もちろん研究機関内の倫理審査委員会の中で臍帯血を使う研究について審査をしていただいて、承認が得られたものについて臍帯血バンクに提供していただき、臍帯血バンクの中に設置される倫理審査委員会の中で審査項目が決まっておりますので、それに基づいて審査して臍帯血バンクが決めます。

○張替委員 臍帯血バンクは、この法の定義を理解したと考えていいわけですか。私はいろいろ細かいところが分かっていないので、実際、研究機関がこれを投げられても、これが適用なのかどうか多分、分からないので、それはあくまで申請した臍帯血バンクが研究なり法にのっとった研究であると判断した上で提供するということになりますか。

○上村室長補佐 前回もなかなか研究機関の方には分かりづらいのではないかという御指摘もいただきましたので、臍帯血バンクが研究機関から相談がきた場合には、きちんと説明できるようにということで関連のガイドラインの中にも情報提供できるように参考資料を付けております。

○樽見大臣官房審議官 もし、さらにこういう運用で細かなところでいろいろ実際やってみて、疑問があるようであれば御相談いただいて、統一的に解釈ができるようにという形で私ども用いていきたいと思います。

○小澤委員長 4のスライドの宮村委員のコメントもありますが、余りややこしい難しい説明をされてしまうと、提供者が嫌になってしまって悪影響が出ることも懸念されますので、説明の仕方をうまく考えていただくのは必要かと思います。何かほかに御意見はございますか。

○宮村委員 一般的な質問なのですが、これは、もしプライベートの臍帯血バンクとの場合はどのようになるのですか。

○上村室長補佐 プライベートバンクについては、移植を目的として臍帯血を採取等する場合ですが、採取された御本人やその家族に移植する場合だけ法の規制対象外にしますと法律上なっており、もしプライベートバンクが研究を実施する、実用化目的で臍帯血を採取する場合には、移植でない限りはこの法律でプライベートバンクは規制対象外になっております。ですのでプライベートバンクが御本人やその家族に対して移植をする目的で採取した臍帯血を違う目的で使うという場合には、その提供者との関係だけになりますので、特段問題ないと考えています。

○宮村委員 再生医療新法のほうでは。

○上村室長補佐 もちろん、造血幹細胞移植法では関係ないのですが、再生新法や薬機法の規制対象にはなっていくと思います。

○小澤委員長 そのほかによろしいでしょうか。書いたものだけで理解できるかどうかというところもありますが、もう少し誤解のないように分かりやすくしていただくということで、よろしくお願いいたします。よろしいですか。

 議題2に関してはこの辺りとして、最後の議事3「骨髄バンクドナー新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼について」です。事務局から資料3に基づいて報告をお願いします。

○山口室長補佐 骨髄バンクドナー新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼についてということで、資料3に基づいて報告いたします。

2ページです。今回の経緯についてです。1つ目の○にありますように京都大学iPS細胞研究所以下CiRAと呼ばせていただきますが、そのCiRAと日本赤十字社、日本骨髄バンクより、今後、骨髄バンクドナー登録に新規登録される方を対象として、iPS細胞ストック構築に対する協力のお願いをすることについて、私ども厚生労働省に御確認がありました。

2つ目の○にありますが、これまでもCiRAにおいては、旧東海大バンクから提供された臍帯血や血小板献血者の方の末梢血、既に骨髄等を提供いただいたドナーの末梢血、京都大学病院にて採取した健常者の方の末梢血などを用いて再生医療用iPS細胞ストック構築を進めておりますが、3つ目の○にも書いておりますように、まだまだ多くのドナーが必要な状況です。また、骨髄バンクドナー登録の場合は、献血時よりもより詳細なHLA検査を行っているという点もあり、より迅速かつ効率的にストック構築を進められると考えられることから、この度、三者間で新たな取組を行うという内容でした。

3ページです。ここでは、既に御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、再生医療用iPS細胞ストックについて簡単に説明しております。iPS細胞の製造には非常に多くの時間を要することもあり、必要なときにより速やかにiPS細胞を使用することができるようにHLAホモ接合型のiPS細胞を作成し、凍結保存、いわゆるストックしておくというものが、このストック構想です。

 造血幹細胞移植の場合、移植後の免疫反応、いわゆるGVHDも考えなければいけませんが、臓器移植の場合は生着の方が重要であるという点もあって、その点で拒絶反応が低いHLAホモ接合型のiPS細胞を様々なハプロタイプと呼ばれるHLAの組合せで作成し、ストックするというものです。

 しかし、下の使用する細胞の条件の3つ目の○の所にもありますが、より多くの日本人に対応するためには、より多くの種類のハプロタイプを持ったiPS細胞のストックが必要であり、日本人に頻度の高い上位100種のハプロタイプを持ったHLAホモドナーを集めるためには、10万人のスクリーニングが必要と試算されております。このため、無作為にボランティアを募っていては莫大な時間や費用を要すると考えられます。

4ページです。現在、日本赤十字社において血小板献血ドナーでも同様の取組を行っており、実際にそれらのドナーから末梢血を提供いただいております。血小板ドナーの場合、HLAはクラス1ABC座までしか調べていないため、HLA再検査を行った後に実際はホモドナーでなかったということが判明することもあったと聞いております。骨髄バンクドナー新規登録者の方は、現在、年間3万人の御登録を頂いております。先ほども述べましたようにHLAをより詳細に検査しているという面もあり、有効な手段であると考えられることから、今回、骨髄バンクの新規ドナーに協力をお願いしたいというものです。

 具体的な取組内容については、4ページの下のほうにも書いておりますが、5ページの概要図も御参照いただければと思います。流れとしては、78ページにありますが、骨髄バンクドナー登録のしおり「チャンス」の改訂版を作ろうと考えております。こちらを用いて説明させていただき、再生医療用iPS細胞ストック構築の協力のために個人情報を利用し、日本赤十字社より協力依頼文を送付することの可否についてお伺いします。

 この際に同意を得た場合でも、個人情報は日本赤十字社が協力依頼文を送付するための利用にとどめておりますので、CiRAに直接個人情報が渡るということはありません。そして、日本赤十字社から協力依頼文を送付されてもいいですよという同意が得られた方で、特定のHLAホモ接合体を持つドナー登録者の方へ日本赤十字社よりiPS細胞ストックの協力依頼文をお送りさせていただきます。

 その後は、協力依頼文を受け取り、対象となった方の意思で直接CiRAに御連絡していただき、説明を受けた上で同意が得られればiPS細胞ストック構築への協力に進んでいただくという流れです。この一連の流れは、既に血小板献血ドナーで行われているものと同様の流れで、骨髄バンクのドナー新規登録者の方に御協力をお願いするということを考えております。

6ページ以降は参考資料ですが、先ほども御覧いただきましたが「チャンス」の改訂案を示しております。お手元には、まだ改訂前の「チャンス」が置かれておりますので、御参照していただければと思います。先ほどもお伝えしましたが、個人情報利用についての文面を追加しておりますが、その他、iPS細胞ストック構築の概要についても1ページに簡単に示しております。また、CiRAの連絡先もここの下の所に明記する予定ですので御不明な点があれば問合せもしやすいようにと考えております。9ページ以降には、参考2としてiPS細胞ストック構築の概要を示しておりますので、適宜、御参照していただければと思います。以上です。

○小澤委員長 今回は、骨髄バンク登録時に京都大学iPS細胞研究所CiRAへの御協力を案内するために個人情報の利用の可否について確認し、その後、対象者からCiRAへ連絡してiPS細胞ストック協力に進むというスキームの報告でしたが、何か御質問はございますか。

○梅田委員 iPS細胞が治療に使われるという方向になるということで非常に心強く感じております。「チャンス」が今回改訂されるということなのですが、今はもう2月の半ばということですので、この「チャンス」の改訂をやった後、津々浦々、私はドナーでありながらボランティアの立場でもありますので、登録会という所で説明員の立場でもボランティアの仲間といろいろと連絡を取り合って活動しております。

 まず、「チャンス」の配布を期間内に間に合うようにお願いしたい。もう一つは今言いました登録会で説明員がドナーになる方に説明するということで、説明用の資料がありますけれども、その中にここの新たな説明の所のiPS細胞のストック関係の、協力の文章をイラスト等も入れて分かりやすいような改訂も合わせてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小澤委員長 そのほかいかがでしょうか。

○岡本委員 今の梅田委員の御意見に全く私も同感で、「チャンス」を見るとずっとイラスト等があって非常に分かりやすく書いている中にいきなり19ページが出てくるというのは、やはり見る人は引くのではないかと思います。細かいところが送られてくるということであれば、むしろ、最初の門戸を広げるためにここも何か。アイディアはありませんけれども、ここにイラストみたいな形で、難しさのレベルが同じで進んでいって次に少し難しい話がくるというふうにしないと、引っ掛かる方は少ないかと思いますが、やはりプライマリーの目的はドナーをリクルートすることでありますので、iPSは将来このバンクに取って変わるかもしれませんが、現時点ではバンクが大切なので説明の方の負担を減らし、そしてドナーの方にもしっかり、言い方は悪いですが、ある程度の短い期間で趣旨が簡潔に分かってリクルートするということが、やはりそういうテンポはすごく大切だと思うので、それをよく踏まえていきたいと思うのです。ここの所で、この文章は少しハードルが高いのではないかと私は思いました。

○小澤委員長 血小板ドナーの方の場合は、その辺は特に問題なかったのかどうかということと、どのくらいの方がOKしてくださっているのでしょうか。

○高梨副本部長 実際のデータを持っておりませんが、まずは説明文を限られた献血ルームの2か所だけで配布して掲示し皆様の御理解を頂いて、そこでいやとはお申出いただかなかった方の中から、ホモ接合の方に対してのお手紙をお送りするという手順を踏みました。

○小澤委員長 イラスト付きで、もっと分かりやすいパンフレット何かもあるのですか。

○高梨副本部長 余りイラストは付いていなかったと思うのですが。

○小澤委員長 それで何割くらいの方が、大雑把に言って印象としてOKしてくださっているのですか。

○高梨副本部長 対象者は少ないです。特に京都大学に行かなければいけないので、本当に限られた地域だけで広報をいたしましたので、非常に対象者は少なく、非常にHLAの頻度の高いほうの方が数名いらっしゃって、その方々にお手紙を出し、しかしながら、HLADRまで検査をしたら対象から外れると、そのような手順で進んでまいりました。ほんの数名です。

○小澤委員長 それで骨髄バンクに広げてくるという感じなのですね。

○野村委員 血小板のほうは地域、近畿の限定とありましたが、これは全国ということですよね。個人情報を守るために自分からCiRAに連絡するという方法はありだと思います。恐らく、私なども毎日忙しいと「何か来たな」と思って読んで協力する気持ちがあっても、連絡し損なうということが結構あるので、本当にこれを負担なく集めたい思いがあるなら、例えば、費用のこともありますが、日本骨髄バンクから連絡しなければいけないわけですよね。

 メールアドレスで、例えば、数か月後にお送りしましたが、いかがでしょうかみたいなことをやっていく必要もあるのかな、それについては日本骨髄バンクも転居されて住所が分からなくなって、その後実際のときに困られているということなので、メールアドレスの確保にもつながるのかと思ったりします。

 本当に集めたいのであれば、その辺少し、きめ細やかにしないと、多分1回資料を送ってその善意だけに期待していると、善意はあってもという人はたくさんいらっしゃる気がします。すみません。細かい話。

○宮村委員 これを読むと10万人に1人ぐらいが見つかるという可能性ですよね。その割には説明がやはり先ほどから出ているようにかなり大きいので、ここはさらっと場合によってはまたそういうことで連絡があるかもしれませんとか、やはり10万人に1回の人を集めるために対しては少しこれが重い感じがします。

○小澤委員長 今の10万人の理解はいいですか。

○山口室長補佐 日本人に多い上位100種のハプロタイプをそろえるという場合、そのホモのiPS細胞をそろえるという場合に10万人ぐらいの規模のドナーが必要であるということです。一つのものを探すのに10万人にというわけではありません。

○宮村委員 ただ、逆に言うと10万人やって初めてそういう100種類のものがそろうということで、対象となる人は1人なり2人いればいいのでしょうか。

○山口室長補佐 その特定のハプロタイプの人が1人いれば、末梢血を頂いて1つのiPS細胞を作ります。

○宮村委員 ですので、やはり1人一つ、100種類だったら100人なのだけど、100人見つけるにしては、やはりかなり大きい作業だという感覚を受けます。

○小澤委員長 そのほかの御意見はいかがでしょうか。実際のところ本当に役に立つことになるのかどうかということも不透明なところはあることはあります。

○岡本委員 ここの登録の所はイエスかノーかではなくて、上と同じように同意するということではいけないのですか。

○上村室長補佐 8ページの骨髄バンクドナー登録申込書についてですか。

○岡本委員 はい、いいえの所です。

○上村室長補佐 御指摘だと思うのですが、万が一iPS細胞ストックには協力したくないけれども、骨髄バンクのドナーにはなりたいという方がいらっしゃると思いましたので、全てについて同意いただくということにしないほうがいいのかと思っております。

○岡本委員 ただ、その後きっともう1回同意を取るわけですよね。違うのですか。ここが最初の同意になってしまうのですか。

○上村室長補佐 ここが最初の同意です。案内を送ることの同意になっております。日本赤十字社で個人情報は全て管理しており、もし、対象となるようなホモドナーの方がいらっしゃいましたら、その方に連絡をしてもいいですかということの同意を取るということになります。

○岡本委員 その同意が来て、次にそのiPSを作ってもいいですかというところは、もう1回同意を取るのですか。

○上村室長補佐 そうです、はい。

○岡本委員 要するに手紙が来るか来ないかということをいいですか、悪いですかと言っているだけですよね。

○上村室長補佐 そうです、はい。

○岡本委員 来てもいいのではないですか、手紙ぐらいだったら。

○鈴木移植医療対策推進室長 非常に積極的な意見をありがとうございます。これは個人情報で、やはりいろいろこれから進めていく上で先生が言っていただいている意見は進める上である意味非常に有り難いところなのですが、やはり紙が届くということに対していろいろ考える方々もいらっしゃるというところがありますので、特に始まりのところなので、こういう形の同意を二度取るという形を取らせていただいております。

 それから先生が先ほど言った、不釣合いだというところは日本赤十字社と日本骨髄バンクとも相談しながら、また対応させていただきながら、できるだけ変な障害は残らないような形にはしたいと考えております。

○小澤委員長 そのほかはよろしいでしょうか。

○岡本委員 個人情報の所ですが、確かにこういういろいろな事業はインディペンデントに動いていって、こちらが全く予想しないような形でどんどん規制が掛かってくるということは、これだけではなくていろいろ気を付けなくてはいけないことだと思います。個人情報だけに集中していってる、やっぱりバンクも大切ですしiPSも将来的には非常に可能性を持っているわけですから、そういうところもよく、今の水面下の中で情報を共有していただいていくという方向性もやはりすごく大切ではないかと思います。コメントです。

○小澤委員長 そのほかは、よろしいですか。なかなか内容的には難しい説明文も入ってくるようではありますけれども、できるだけその辺を分かりやすくしていただくということで御対応をよろしくお願いいたします。

○鈴木移植医療対策推進室長 いろいろ御意見を頂いたので、現状こういう形でこれからいろいろなやり方等々があるかもしれませんから、そういうことを考えながら進めて報告すると、了解いただいたと理解してよろしいでしょうか。

○小澤委員長 では、そのようによろしくお願いします。本日の議事は以上です。最後に事務局からお願いします。

○山口室長補佐 本日は、いろいろと活発な御議論をいただきありがとうございました。事務局においては3つの課題、今回それぞれ頂いた御意見がありますので、それらも踏まえ必要であれば修正等も行っていきながら今後も推進を図ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、資料4については平成28年度の造血幹細胞移植対策関係予算案の内容をまとめた概要を配布しておりますので、こちらについても御覧いただければ幸いです。また、本日は梅田委員から千葉県赤十字血液センターにおける骨髄バンク普及啓発への取組を御紹介した資料を配布させていただいております。梅田委員から資料の御説明をお願いいたします。

○梅田委員 お手元にビスケット、クッキーがあると思います。それとA4版の資料が1枚あると思います。このクッキーについて説明したいと思います。千葉県では、今ここの所に書いてありますが、千葉骨髄バンク推進連絡会は私がボランティアで会長をやっている会なのですが、千葉県の赤十字血液センター、日本骨髄バンクと協同でいろいろな活動をしております。

 ここの中の血液センターの所では、特に津田沼の血液センターといろいろイベントをやっており、白血病で亡くなったお子さんが残した絵画展や昨年は高校生が病気でお亡くなりになっているのですが、病室で書いた遺作のメッセージ展、MAMO展というのですが、こういうものも開いております。こういう活動の中の一環で、この真ん中の所なのですが津田沼の献血ルームでは、ビスケットにQRコードを食紅で印刷したものを作っております。

 このビスケットは、今までは献血ルームに来られた方にさらに複数回献血クラブに入っていただきたいということで、このビスケットの所にQRコードがあって、そこをポンといくとクラブ紹介の所に飛ぶように工夫されたビスケットです。23倍にこれが増えたというお話を聞いて、これは素晴らしいと思い、津田沼の所長と相談して財団と是非とも相談いただいて骨髄バンクのクッキーが作れませんかと相談して、実際にOKになって今お手元にあるクッキーができました。

 このQRコードは、今若者は非常にこういうものに長けていますのでスマートフォンからこれを読むと日本赤十字社の造血幹細胞移植情報サービス、ここのポータルサイトに飛びます。ポータルサイトに行くと、いろいろ骨髄バンク関係の情報をかなり詳しく見られて、若者を勧誘する、普及啓発するという意味では非常に大きなツールになるのではないかと思います。

 今回これを献血ルームでは津田沼ルーム、それから我々がボランティアでやる登録会で配布する形で取りあえずは、ある限られた数なのですが、これが効果があるということであれば更にこれがまた広がることを期待しております。そういうことで今回、委員の皆様に紹介させていただいて、これが広がることを望んでおります。以上です。

○樽見大臣官房審議官 私は若者ではありませんが、今やりましたら見られました。

○梅田委員 簡単にポンと飛びます。かなりの情報の所を見られる形になっておりますので、かなり効果があると期待しております。

○山口室長補佐 ありがとうございました。是非、お試ししていただければと思います。本日は本当に活発な御議論を頂き、ありがとうございました。次回の開催については、また別途調整したいと思いますので、また合わせてよろしくお願いいたします。以上です。

○小澤委員長 それでは、第47回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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