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2017年1月31日 第17回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課訓練企画室

○日時

平成29年1月31日(火) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室


○議事

○今野浩一郎教授 それでは、連合の村上さんがいらしていないのですが、遅れられるということですので、始めたいと思います。

 今日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の出席者の方については、座席表と参考資料1に名簿が付いていますので、それを見ていただきたいと思います。

 なお、今日欠席されています日本商工会議所小林産業政策第二部長の代理として、高野産業政策第二部課長に御出席をいただいております。また、京都府兒島商工労働観光部長と厚生労働省の大西職業安定局次長は御欠席でございます。

 それでは、議事に入りたいと思います。お手元に議事次第がありますので見ていただきたいと思うのですが、今回は平成29年度全国職業訓練実施計画()と平成30年度の公的職業訓練の実施規模を中心に議論をしていただければと思います。

 まず、議題1の「平成28年度の公的職業訓練の実施状況について」、事務局から説明をお願いします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 それでは平成28年度公共職業訓練の実施状況ということで、資料1を御覧になっていただきたいと思います。

 まず、離職者訓練ですが、これも今年度末までの実積ではなくて、平成2811月末までの実積ですが、昨年と同様な傾向です。離職者訓練から申し上げますと、合計92,538人という数字が立っていますが、昨年度の同期については、97,500程の数字ですので、約5,000人ほど受講者が減っているといった傾向です。

 高障求機構、都道府県におけるそれぞれの離職者訓練の数につきましても、同様な推移で減になっているというような状況です。また、施設内訓練と委託訓練がありますが、受講者の数の傾向は同様でございますが、1つ就職率について、施設内訓練については84.1%と合計の欄にありますが、昨年の数字が83.7%ですので、就職率が若干上っている傾向があります。これは、次ページを御覧になっていただきますと、分野別の離職者訓練の人数と就職率を掲載してありますが、施設内訓練では、受講者のシェアが最大のところである製造系について、機構の就職率が製造系で84.0%、都道府県が88.5%とあります。特に都道府県の88.5%が、昨年の83.6%から随分と伸びていると。こういったものが大きな要因として全体を押し上げているということが言えると思います。

 また、委託訓練については、先ほどの1ページ目に戻っていただきますと、72.4%とあります。昨年は74.0%でして、若干委託訓練については就職率が落ちているといった状況がありますが、これも下の表の分野別の委託訓練のところを見ていただきますと、一番受講者数が多い事務系について、都道府県で71.1%と右の欄に出ていますが、昨年は73.2%でした。この事務系というのはどういった訓練かと申しますと、経理事務や秘書事務といった訓練ですが、全体的な数は多いわけですが、こういった部分の就職率が少し減になったことが全体としての委託訓練の就職率を押し下げているといった状況が続いているのが離職者訓練の状況です。

 また、この2ページの分野別の表ですが、事前に委員の皆様方に御説明した際に建設系の就職率が非常に落ちていると御説明申し上げたわけでございますが、大変恐縮ですが、データの都道府県の報告書にミスがありまして、建設系が60%を切っていた数字で御説明申し上げていたところ、実は最終的には就職率は62.9%となりまして、昨年は67.9%ですので、委託訓練における建設系におけるものについては、少し就職率が落ち込んだと。ただ、全体として委託訓練のほうは先ほど申し上げたように、全体的に就職率は落ち込んで、施設内訓練のほうは上がってきているという状況が続いています。

 また、2ページの2つ目、在職者訓練ですが、これは合計数が89,735人となっていますが、昨年の数字が83,600人ほどの数字でしたので、約6,000人近く在職者訓練は伸びている状況です。これも昨年からと同じような状況で、全体の職業訓練の中で受講者数は右肩下がりと減ずる中、在職者訓練だけは、逆に伸びてきているといった傾向が続いているという状況です。

 また、4ページ目を開いていただきますと、学卒者訓練が続きます。学卒者訓練については、在学者の数については、ほぼ昨年と同様ですので、全体の定員の枠の中での移動ぐらいの話でして、全体的には同様な在学者数、受講者数となっています。就職率についても、96.8%となっていますが、昨年の数字が96.5%ですので、これについても、機構、都道府県とも同様な数字を維持している傾向です。

5ページ目で障害者訓練ですが、障害者訓練についても同様です。受講者数7,000人という数字が出ていますが、昨年は7,100人ほどでした。これも、傾向としては同様な数字でして、就職率についても同様な傾向として推移しています。

 次のページですが、求職者支援訓練です。求職者支援訓練については、少し違う傾向が出ました。全体的な合計の受講数が21,595人ですが、昨年は28,000ほどの数字ですので、22.9%ほど減っています。こういった右肩下がりの傾向は同じで、昨年は25%以上の減でした。何が少し違う傾向が出たかと申しますと、基礎コースと実践コースの受講者数に違いが発生しまして、昨年4月から基礎コースと実践コースを55の枠に広げ、つまり基礎コースを37から2割ほど増したので、その分、基礎コースへの受講指示がうまくいきまして、昨年の目減り感であった25%以上の減ではなくて、今回は9.8%ぐらいの減です。昨年は8,000ぐらいの数字が、今回は7,258という数字でとどまっております。実践コースは、全体的に枠も減ったことも影響していることもあるかもしれませんが、過去からの傾向として25%以上の減で例年度減ってきているところ、昨年の同期の数字が19,900ぐらいですが、今回は14,337です。28%を超えて減の数字になっております。就職率については、求職者支援訓練については、基礎コースも実践コースも59.5%と63.5%とありますが、昨年の数字が58.1%と実践が60.9%ですので、両コースとも就職率はアップしています。

また、分野別に見てみますと、ITのコースが12コースとなっています。昨年20コースの認定がありましたが、かなり大きくコース数としては減っているという形になっているのと、もう1つが介護福祉のコースが52から48というように、人手不足と言われる分野が減っていることについては、今後の課題ということになろうかと思います。逆に営業・販売・事務については、52コースから62コースと10コースほど増えて全体のシェアも一番大きくなってきていると。以上が求職者支援訓練の状況です。

 続いて、資料2の訓練規模予算案について、全体の県も含めての訓練について御説明申し上げます。公共職業訓練については、全体で960億円、昨年の907億円から53億円ほど増額しています。これは表の右にある訓練規模で、297,000人から32万人ほどということで、訓練規模も増やしております。先ほど実施状況を申し上げたように、減ずる中で何が増えているのかということについては、離職者訓練の委託訓練を見ていただきますと、111,000人から132,000人と訓練規模を増やしています。これは後ほど御説明申し上げますが、働き方改革関連でリカレント教育であったり、長期の訓練について訓練枠を確保した関係で、訓練規模も予算額も増枠、増額という形になっています。よって公共職業訓練のうち在職者訓練、学卒者訓練というのは、ほぼ同様な規模ですので、委託訓練の増が大きな要因として公共訓練の予算規模を増やしているという状況です。

 障害者訓練につきましては、昨年と同様な予算規模を確保していますが、これも全く新規なものもございますので、後ほど少し説明させていただきたいと思います。

 求職者支援訓練については、先ほどの実施状況も鑑みまして、53,000人から4万人と訓練規模を減らさせていただいております。よって、予算規模についても、120億円から88億円と100を切ってしまう規模になっていまして、公共職業訓練と求職者支援訓練を合わせた公的職業訓練と言われている訓練規模については、昨年は20万人としていますが、今回は208,000人と、先ほどの働き方改革で訓練規模を伸ばした分について、少し伸びているという形です。

3ページ目になりますが、働き方改革関連で少し御説明申し上げたい部分があります。先ほど申し上げた委託訓練の増枠、訓練規模の増をさせていただいた部分についてです。子育て中の女性のためのリカレント教育の拡充といったことで、短時間コースと託児サービスについては、従来から行ってまいりましたが、更に離職した保育士や看護師の職場復帰を支援するための訓練コース、これらのものについて特化していきながら枠を広げて重点的にやっていきたいという考えです。

4ページですが、非正規労働者の正社員化実現コースの創設です。従来原則3か月から6か月の短期の訓練で委託訓練を行っていますが、これを資格を取得しながら長期にわたっての離職者訓練、委託訓練を行うことを重点的に行っていこうということで、新しくこれを拡充させてもらったものです。

5ページです。先ほど在職者訓練で、ほぼ同規模だと申し上げましたが、若干増とした部分があります。これは、従来あったポリテクセンター等の職業能力開発促進センターを生産性向上人材育成支援センターとして、これは新しく箱物を作るわけではなくて、従来からあるポリテクセンター等を活用するわけですが、ここで行っている在職者訓練に民間人材等を活用して中小企業等が在職者訓練としてどういったニーズがあるのか、こういったことをいろいろとニーズ調査を行って、いろいろなオーダーメード型の訓練を開発していこうと。また、ポリテクが在職者訓練のコーディネートをしっかりとやっていこうと、こういった部分についての予算を取っているものです。

6ページ、先ほど障害者訓練で申し上げたのが、全体的に予算規模については、63.9億から81.8億と大きく増えています。その一部として、一番目に載っていますが、先の訓練協議会でも説明申し上げましたが、一般校の職業能力開発校に精神保健福祉士を配置して、その訓練生や訓練指導員に対する相談体制の確保を行うということについて、全くゼロベースだったものを、平成29年度については1.3億円ほど確保させていただいて、これを配置してしっかりそれをやっていきたいということです。先ほど申し上げた予算額の増額の大きな要因としては、東京障害者校の建て替えが含まれているので、その分として大きく膨らんでいるというところです。簡単ですが、資料12について説明しました。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問がありましたらどうぞ。

○関口正雄常任理事総務委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 資料24ページの非正規雇用労働者の正社員化実現コースの創設について、予算の「拡充後」という右下に「就職後の定着指導、フォローアップの支援を行う」と書かれてありまして、大変重要なことだと思います。つまり、訓練の学習成果、ラーニングアウトカムについて、就職率だけで見るのではなくて、その後の初期キャリアの形成状況や定着率という視点も含めて、学習成果として見ていくという大変重要な視点の導入ということになる。12年という訓練期間の長期化が、定着率だとか、その後のキャリア形成に貢献するのかどうかということを、実施後も見て行きつつ、成果があるようだったら、是非これも継続的、かつ、更に拡充ということを検討していただいたらよろしいのではと考えています。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次の2つ目の議題に入りたいと思います。「平成29年度の全国職業訓練実施計画()について」です。まず、事務局からお願いします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 それでは資料3に即して、平成29年度における全国職業訓練実施計画()につきまして説明申し上げます。昨年、平成28年度の計画との変更点を主立って御説明申し上げます。第1総則の計画の狙いについては、昨年度、公共職業訓練と求職者訓練の全体の訓練計画として一本化したものとして訓練計画を策定いたしましたので、この部分について変更はございません。

 第2の労働市場の動向と課題等の1の動向と課題の部分ですが、1ページ目の下から4行目から、「「働き方改革」の推進等を通じた」という文言を入れておりますが、この4行目から2ページ目の1行目まで、今回、訓練における働き方改革に政府の方針を踏まえた形での訓練を重点的に行っていくためのものとして、今申し上げた「「働き方改革」の推進等を通じた非正規雇用労働者の待遇改善、長時間労働の是正、人材育成の強化・人材確保対策の推進、地方創生の推進及び労働者が安全で健康に働くことができる職場づくりなどにより、労働環境の整備・生産性の向上を図ることが喫緊の課題である」。こういった課題を明記しました。「このためこれらの課題や」ということで、「能力開発の機会を確保・提供することが重要である」とつなげております。この部分が昨年度より追記している部分です。その後の動向と課題等については変更しておりません。

3ページ目の2の部分について、公的職業訓練をめぐる状況ということで、先ほど資料1に即した形で御説明いたしましたが、最近の状況について数字の変更をしております。よって求職者支援法第2条に規定する特定求職者の数ですが、昨年の177万人から平成2811月末現在でということで、1629,968人と変更しております。よって特定求職者の数も減ってきております。そうした中でということで、先ほど申し上げた11月末までの公共職業訓練のそれぞれの実績である離職者訓練は92,538人、求職者支援訓練が21,595人と変更しております。またそれぞれの就職率は公共職業訓練の施設内訓練については84.1%、委託訓練が72.4%、求職者支援訓練の基礎コースが59.5%、実践コースが63.5%という数字に変更しております。またその下、在職者訓練の受講者数は平成2811月末現在の数字に変更しており、48,954人。また、学卒者訓練についても平成284月末現在で5,655人に変更しています。

 次に計画期間中の公的職業訓練の対象者数を明記することになっていますが、4ページ目です。離職者訓練における対象者数と就職率に係る目標を(1)で明記しております。1行目、先ほど申し上げた対象者数についても全体的に最近の実績に合わせた形で数字を変更しております。よって「計画期間中に実施する離職者訓練の対象者数は155,151人」としており、「離職者訓練の対象者数のうち25,500人については施設内訓練」と明記しております。施設内訓練のうち3,000人については日本版デュアルシステムで実施としており、離職者訓練の対象者のうち129,651人については委託訓練として、これは先ほど働き方改革でありましたように、昨年は108,000人ほどだったところ、ここで大きく増やしている形です。ここで一番重要なのが(1)の一番最後の行の先ほど申し上げた就職率に係る目標です。「就職率は施設内訓練で80%、委託訓練で75%を目指す」と明記しました。

 これについて資料6です。先の協議会でこの離職者訓練の委託訓練における目標就職率の見直しについて御意見を頂戴しました。資料61ページ目にありますが、委員の皆様の御意見としては、目標値がずいぶん実績より上回っていることについて、やはり低いのではなかろうかというのが大きく意見として出ましたが、ただ全体的に当初65%から設定していたものを70%と上げたのがつい最近であるので、まだ時期尚早ではないかという御意見も頂きました。少し実績を見たところ、括弧内が前年度の数字ですが、平成27年度は最終的に75%でしたが、6月末時点では73.8%でした。これが今回73%で0.8%ぐらいの差であったので、もしかすると一昨年同様に75%近くまでいくかと思いきや、7月末時点で74%という一昨年の数字が、今回の数字が72.5%と少し開きが見受けられたことから、最終的な今年度末の数字については、75%よりは少し落ちる74%ほどではなかろうかという予測が立ちます。

 そこで、資料62ページ目です。目標値の設定は平成22年度に65%、4年後の平成26年度には70%といたしましたが、平成22年度の目標値を設定したときには就職率が65%より低い60.9%でした。しかし、翌年度からこの65%を3年連続上回りまして、平成25年度には72%と70%越えもしてしまったということです。こういう中で平成26年度には、一旦70%に上げましたが、その後においても70%を4年連続上回ることがほぼ確実視されており、先の65%から70%に上げた動向を見ても、3年、4年と見た中で上げさせてもらいましたので、今回、先の協議会での委員の皆様の御意見も踏まえながら、なおかつ資料3にある訓練計画では「目指す」ということで、きちんと明言しておりますので、目指すかぎりは一度、75%を就職率の目標値として設定させていただければということで、資料34ページ目の委託訓練の目指す数値としては75%と明記いたしました。

 資料34ページに戻ります。(2)離職者訓練の内容です。これも4ページ目の中段以降、先ほど申し上げた働き方改革関連でリカレント教育であったり、非正規から正規への長期訓練であったりということを課題として、これに特化して行う訓練も増枠した形のものをこの訓練計画の中にもきちんと明記しようということで、「出産・育児を理由とする離職者については、育児と職業訓練の両立を支援するため、短時間の訓練コース及び託児サービス付き訓練コースの設定を推進する。また多様な民間訓練機関等を活用し、育児中の女性等のリカレント教育に資する職業訓練を実施し、早期就職を支援する。さらに、これまで能力開発機会に恵まれなかった非正規雇用労働者を対象として、国家資格の取得等を目指す長期の訓練コースを新設・拡充し、正社員就職に導くことができる充実した訓練を実施するものとする」という文言を追記いたしました。

5ページ目に移ります。次は二で公共職業訓練の在職者訓練の部分で、対象者数を今回59,000人としております。ここの中にも先ほど(2)で在職者訓練の内容が出てまいりますが、先ほど働き方改革で少し申し上げた5ページ目の(2)4行目、「さらに」の部分です。「さらに民間人材等を活用した在職者訓練を拡充するとともに、全国の能開法第15条の74号に基づく職業能力開発促進センター等に「生産性向上人材育成支援センター」を設置して、在職者訓練のコーディネート等を行うことにより、中小企業等の労働生産性向上に向けた人材育成を支援する」と、この文言を追記しました。

 次に三、公共職業訓練の学卒者訓練です。対象者数は5,800人で、対象者のうち専門課程が4,000人、応用課程が1,700人、普通課程が100人と対象者数を明記しております。また専門課程のうち300人についてはデュアルシステムで実施することについても数字を明記しております。

 次は6ページ目、障害者訓練です。対象者数は8,510人で、公共職業訓練の対象者のうち5,530人については委託訓練で行うということで数字を明記しております。就職率については施設内訓練については65%と昨年同様ですが、委託訓練については昨年度の53%から55%に引き上げております。これは平成25年度に閣議決定された障害者基本計画の内容に即して、今回最終年度になる平成29年度は、委託訓練の就職率を2ポイント増の55%としております。また障害者訓練については、(3)障害者に対する効果的な公共就職訓練の実施のための取組の「また」以下ですが、「また、地域における雇用、福祉、教育等の関係機関と連携を図りながら、職業訓練を推進するとともに、平成287月に取りまとめた「職業能力開発施設における障害者に対する職業訓練の在り方について」(障害者職業能力開発校の在り方に関する検討報告書)を踏まえた取組を推進する」と、ここの部分について、在り方検報告書に即した取組をするという部分を追記いたしました。

6ページ目の五、求職者支援訓練に係る部分です。これも対象数を39,700人程度と訓練認定規模を63,950人程度とすることで数字を変更しておりますが、基礎コース、実践コースの雇用保険の適用就職率は変更しておりません。昨年と同様55%と60%です。求職者支援訓練の内容ですが、御案内のとおり昨年10月から求職者支援訓練においても、女性の活用のために託児サービス付きの訓練、短時間訓練コースを施行しておりますが、先の年度当初の訓練計画にはその部分については年度途中であったために明記しておりませんでした。今回は全体の課題としても働き方改革の部分として、女性のリカレント教育を含めた教育を特化することを明記した関係もあり、五の求職者支援訓練の部分についても、7ページ目の上から5行目の所で、「育児中の女性等で再就職を目指す者」、「出産・育児を理由とする離職者について、育児と職業訓練の両立を支援するため、短時間の訓練コース及び宅児サービス付き訓練コースの設定を推進する」といった部分について追記しております。訓練認定規模については、基礎、実践は昨年と同様50%で変更ございません。

 最後に、8ページ目です。これも先の協議会で議論いただき、御承認いただきました求職者支援訓練の新規参入枠の上限の関係です。これは認定単位期間内で定員に余剰があった場合は新規参入枠の20%を越えても、有効に活用すべきではないかということで、委員全員に御承認いただきましたので、8ページ、上から5行目ですが、「また」以下で「ある認定単位期間で実績枠に余剰定員が発生した場合は、枠の活用のために同一認定単位期間内で新規参入枠へ振り替えることも可能とする」と追記しております。第四の留意すべき事項について変更点はございません。これが全体の訓練計画です。

 また資料4についてですが、併せて少し御説明いたします。先の中央訓練協議会以降、全国の地域的に行った地域訓練協議会で出されたご意見を1ページ目に代表的なものを少し書かせていただきました。2ページ目以降で全都道府県の名称が入っておりますが、多岐に渡る御意見を頂戴しております。1ページ目の制度周知、訓練コースの設定についてなど少し代表的な御意見を紹介します。制度周知については皆様御承知のとおり、後ほど御説明申し上げますが、公的職業訓練についての愛称・キャッチフレーズが決定しました。こういう決定があったら、テレビコマーシャルなどで全国挙げてのPRをしていくべきではないか。また訓練説明会の参加者が昨年に比較して増加していることから、興味がある者はある程度いると思われ、どのように取り組むかが重要、つまりは広報をもっと展開すべきではないのかとの御意見も承っております。こういった部分については、1130日に制定されて以降、大々的にマスコミ等をお呼びして発表もさせていただきました。記者の皆様に対する勉強会であったり、厚労省における広報委員会での第4四半期の大きなテーマの1つにもなっているなど、今後の展開をどうしていくのかについて、いろいろな検討会を重ねております。更に言えばギリギリのタイミングでしたが、平成29年度のポリテク等の施設や県の施設を紹介する等の年間を通してのパンフレットにおいて、「ハロートレーニング」という名前の印字も間に合ったと聞いておりますので、平成29年度のいろいろなパンフレットには、そういった名前が躍り出ることとなりました。全てをご紹介できませんが、この地域訓練協議会でのご意見について、そのほかの部分についても御覧になっていただき、今日、御意見を頂くものについては頂きたいと思っております。私からは雑駁でございますが、資料346について御説明申し上げました。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。

 ただいまの説明について、御質問、御意見を頂ければと思います、どうぞ。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 資料3の最後のページに「公的職業訓練の実施に当たり留意すべき事項」ということで、関連機関との連携、これはもう大変重要なことであり、どれだけ言っても言い足りないぐらいの内容かと思っています。お尋ねしたいことは、雇用失業情勢は3%前半、場合によっては3%を割るような状況下にある中、職業訓練を受けた後、連携しながら就職支援をするというのは理解できるのですが、入口の受講指示について、現下の雇用情勢下にあって従来とは違う形で工夫されていることはあるのでしょうか。もしあるのであればお聞きしたいというのが1点目です。

2つ目に、今日頂いた資料の中に、公共職業訓練の倍率が出ていて、一方で充足率が出ている資料があったかと思います。その充足率の部分について、最近のものを比較すると年々数字自体は減少し、その充足率が減少する一方で、一定の倍率があるということは、それぞれコースによって引きのあるものないものがあっての平均値だとは理解します。例えば当該コースが満杯であったとしても、近隣で同種のコースがある場合、受講指示して広域という形のものが取られていくことが現にあるのかないのかということも併せてお聞きしたいと思います。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 職業安定局訓練受講者支援室の松原でございます。今、御質問を頂いたことについてお答えさせていただきます。まず1つ目の、今の雇用情勢の中での受講指示上、何か工夫していることがあるか、ということかと思いますが、今は確かに雇用失業情勢が極めていいですので、ハローワークにいらっしゃる求職者数そのものが減少している状況があります。かつ、有効求人倍率も非常に高い水準になっておりますので、就職を優先される方がやはり通常の状況下、あるいは雇用失業情勢が悪いときよりは多いと、現場感覚では持っているというのが事実あります。ただ一方で、雇用情勢と関係なく、やはり安定した就職、特に今はこういう時期ですから安定就職ができるというチャンスでもあるので、そういうときに知識・技能をつけていただいて、訓練が有効な方々というのは一定数はハローワークに来ていると私どもは思っていますので、特にそうした方々については、訓練という道筋もある、選択肢もあることをできるだけ情報発信していこうということで、28年度に集中的にやっていることとしては、訓練コースの説明会を実施しています。いろいろなコースの訓練実施機関から説明に来ていただいて、ハローワークで職業訓練という選択肢もあって、そこから安定就職に行くことができることを発信しております。それからハローワークの職員、誘導をする人たちが職業訓練の有効性をきちんと理解しなければいけないので、職業相談を担当する職員に、訓練施設の見学会などを実施するようにと指示をしております。相談担当者が、雇用情勢がいいからといって急ぐよりは、今回のキャッチフレーズではないですが、「急がば学べ」ということで、むしろもう少し訓練を受けてから行ったほうが、安定就職になじむ方については、訓練情報を職員からも発信できるように、そんな取組をしているところです。このように、訓練説明会を実施する、的確なあっせんのため職員のほうも施設見学をして、訓練について知識を付ける、そのようなことに力を入れております。

 それからコースごとで、確かに人気のコースは偏っていて、競争率もそれなりになると落ちる方がいて、落ちる方がいたときに多少時期がずれたり、あるいは地域がずれた場合に、同じような御希望のコースに御案内することはやっております。それが例えばもともとハローワークは全国組織ですので、県の境目であれば他県への受講あっせんもできますので、もし残念ながら落ちてしまった場合に、これから同じような内容、地域でもう一回頑張るコースがないかを探させていただいて対応するようなことはやっております。

 あるいは、非常に充足が低くなっている中で、中止コースというのも出てしまうのです。今徹底してやっているのは、中止コースに応募していた受講者について、必ず同じような訓練がその時期、あるいはその地域近くでやっていないかを確認して、そのコースに誘導するという取組も徹底してやるようにしております。少しでも訓練に興味を持っていただいた方は、できるだけ送り込みをきっちりやると、それについては徹底を図っているところです。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 御説明ありがとうございました。ただ今お話にありましたように、柔軟な御対応をされているということですので、今後も引続きニーズをくみ取るような窓口での御誘導が求められているかと思います。そうした中でこれは考え方次第ではメリットだけではなくて、デメリットもあるのですが、所定給付日数の終わりになりかけた状況下で、受講指示をしてしまうと、モラルハザードの問題が起きてしまうようなことがあって、窓口では一定のルールがあると聞いております。ただし、若者に関して言えば、就職にためらいの部分も相当程度あるということで、多少柔軟に見ているのではないかと、運用上は聞いています。今後、求職活動が長期にわたる方など場合によっては所定給付日数がぎりぎりの状況下でも、受講指示が適切な場合も出てくるかと思っておりますので、そういうことも含めて御検討いただければと思っております。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○森信介専務理事(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 資料6で御説明がありましたが、委託訓練の目標就職率の見直しについてのお願いですけれども、今回の目標の引上げにつきましては、私どもとしましては加盟事業者に周知徹底して目標達成に全力を尽くしたいと思いますけれども、目標引上げの初年度の目標達成が非常に重要だと思いますので、この目標就職率の達成においては、私ども事業者、ハローワーク、受講者それぞれ共通の意識を持つことが非常に重要ではないかと思います。この目標の引上げについての周知徹底、そもそも訓練を活用して就職するという重要性、4人のうち3人が就職しないと実現しないわけですから、そのような目標引上げの背景とか目的等の周知徹底を是非関係者にお願いしたいと考えております。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○小林信労働・人材政策本部長(全国中小企業団体中央会) 全国の訓練実施計画について概ね賛成でございます。少し内容の確認ですけれども、4ページの「離職者訓練」、求職者訓練の中で「出産・育児を理由とする離職者について、育児と職業訓練の両立を支援するため、短時間の訓練コース及び託児サービス付き訓練コースを推進する」と、これは大変いいことだと思うのですが、現状の託児サービス付きの訓練とはどういう状況になっているのかも含めて、今後どのような方針を持っているのかお伺いしたいと思います。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 求職者支援訓練における託児付きコースは、平成28年度第3四半期から実施させていただいているところです。第3四半期は全体が1,100ほどのコース設定の中で38コース、第4四半期は1,200の設定コースの中で52コースと、約4%ほどが設定されております。委託訓練につきましては、平成21年度から実施されておりますが、平成21年度当初2ケタの60強のコース設定でしたが、毎年大体倍々ほどに増えており、平成27年度においては600、平成28年度の途中ですが、現在630ほどのコース設定です。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○村上陽子総合労働局長(日本労働組合総連合会) 資料3の次年度の計画についてです。6ページに記載されている障害者の公共職業訓練については予算を増額させるという方向性は大変重要だと思っておりますが、1点、運用について教えていただきたいと思います。障害者手帳を持たない方、発達障害などの方々についても障害者の能力開発校などにおいて、受入れているのでしょうか。ハローワークで、「実は、あなたは対象ではない」と言われたというような話も聞きましたので、そうしたことについて教えていただきたいと思います。

○福岡職業能力開発局能力開発課主任職業能力開発指導官 職業能力開発指導官の福岡と申します。ただいまのお話ですけれども、まず、障害者訓練につきましては、全国19の障害者能力開発校で、まず施設内での実施をしております。また委託訓練は全国47都道府県で実施しております。今の御指摘はいわゆる障害者の手帳を持たない方、もしくは障害であることを自らのカミングアウトされない方の対応だと思うのですが、それにつきましては、一般の能力開発校であるとか、ポリテクセンターにおいても実際、かなり増えてきていると認識しております。また、先ほどありましたとおり、昨年の在り方検討会の報告書において、カミングアウトされない方の訓練をどうするかという議論がありまして、障害者訓練となるとなかなか訓練は多分望まないと。そういう方につきましては、一般の比較的短期の職業訓練、若者を対象とした短期の訓練をこれからはどんどん作っていくべきではないかという御議論がありました。そうしたことを踏まえ検討を進めたいと考えております。

○今野浩一郎教授 ちょっと私の理解ですけれども、そうすると現状は少なくても障害者校は手帳がないと入れないということですね。

○福岡職業能力開発局能力開発課主任職業能力開発指導官 手帳と医師の診断で、障害者を対象とした訓練ということで銘打ってやっています。これは障害者校だけではなくて、全国150の一般の能力開発校のうち、約30校では知的障害者が中心になるのですが、そうした障害者の訓練を一般校でも行っております。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 先ほどの託児付き訓練のご質問について、平成21年度から数字を申し上げましたけれども、昔の全体のコースが分からないのですが、平成27年度におけるコース設定では、全体5,900ほどのうち、650ほどの託児付コースが設定されておりますので、11%強ぐらいの託児付きのコースが現行としては走っている状況です。

 よって、過去の数字の二桁の際は、当然受講者数がまだ多い時代でしたので、恐らくコースももっと多いと。多くて分子が小さいのでかなり小さい数字から、今11%を越えるほどの数字になってきている状況だと思っております。

○小林信労働・人材政策本部長 時代の要請もあるので、是非とも充実していただいて、推進していただきたいというお願いです。

 関東のポリテクセンターに伺いました。あそこは相鉄線の沿線で住宅街の中で比較的駅から近い所に立地していて、かなりゆったりした土地になっています。入口を入った所に駐車場がかなりあって、裏側には県立高校があったと記憶しております。公的施設ポリテクセンターで実験していただきたいのですが、保育施設を作ってみるのも一ついかがかと。これは高障求機構でやってくれという話ではなくて、民間に委託してもいいと思います。箱物施設を作るというのを実験的に行い、訓練を受講されている方々のお子様をお預かりする。もしくは、それなりの施設ができるのであれば、地域の住民に開放するというのも1つの手だと思うのです。子育て支援という意味で、厚労省として推進するべきだと思いますし、全てのポリテクセンターでやれと言っているわけではなくて、住宅街に隣接する所で、実験的に実施して頂ければと思っています。御検討をお願いします。

○今野浩一郎教授 御希望ですので。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 小林委員、大変貴重な御意見、ありがとうございます。託児サービス付きについて、今ポリテクセンター内というようなお話もございましたが、確かに関東ポリテクのようなそうした住居地にあるポリテクについては、もしかすると効果が出るかもしれませんが、資料1に即して御説明申し上げましたが、ポリテクの入校者、施設内訓練等における女性の割合は非常にまだまだ少ないわけです。全体の機構の施設内訓練における女性の入校者の割合は全体のまだ2割ぐらい、年間4,000人ほどですが、民間教育訓練で行われている求職者支援訓練であるとか、県の委託訓練とかこういった所については、入校者の約8割が女性だというようなことで、年間6万人ほどです。そうした人たちにできるだけ託児所付きサービスの訓練を受講していただきたいというのが数字からも伺えるのかと思っております。よってこの1月に求職活動関係役務利用費、雇用保険の関係ですが、こうした役務利用費も活用しながら、どういった託児サービスの提供があり得るか、コース設定をしてもそれを利用していただけないのなら、今回の増額のリカレント教育に関してもなかなかうまくいかないのではなかろうかと思っております。特に民間教育訓練機関の方々にもお伺いして、また機構の皆様にもお伺いしていますが、訓練期間中だけの託児で訓練が終わると元の保育園に戻れないとか、こうしたことが非常に大きな足かせになっているというお話も聞きますが、全体の保育園の契約の在り方が各自治体で広範囲で契約を行う方式ができないのか、関係機関とどのような連携ができるのかを、御指摘も踏まえた中で、検討してまいりたいと思っております。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。今回の計画で幾つか変更点があるのですが、一番大きな変更点の1つは、委託訓練の目標値を75にするということなのですが、この点についても何かありましたらお願いします。

 目標値ですから、目標値というのは頑張れば届くというのと、政策的な工夫をすれば届くというぐらいに設定するのが一番いいわけです。それを超えて無理矢理設定すると、単なるノルマになってしまうので、そうすると柔軟に設定しなければいけないということが本来の趣旨だと思いますが、今回は先ほどあったような状況を踏まえて75%に上げるということですが、この点について御意見があればお願いいたします。これは前回の協議会の意見を踏まえてそういうことになったので、何かコメントしていただけるといいです。「よくやった」でもいいですよ。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 前回、私は「数値そのものは目指すべき数値を出す」という発言をしましたので、この数値を置いていただけたということは有り難く思っています。

 ただし、この数値を置くだけで、次は下がったら見直せばいいのかということではないと思っており、知見がなくてお恥ずかしいのですが、資料1に改めて戻ってみますと、3ページ目に各コースごとの受講者数と就職率があり、委託訓練の数字がある程度ばらけていて、例えばサービス系の部分でいうと、機構で行う場合は83.3%ある一方で、都道府県の場合が59.9%となっています。これは単に規模が大きくなることによって一定程度低下してしまうということであり、過去に繰り返し行われている状況なのかというのが1点目の質問です。

2つ目として、委託訓練が低下する要因、背景を分析しているのであれば、教えていただきたいと思います。

○今野浩一郎教授 いかがでしょうか。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 資料1の分野別の離職者訓練の委託訓練の特にサービス系ですが、確かに59.9%という就職率については、昨年は60%を優に越えて66.5%でした。これが60%を切ってしまったということです。

 このサービス系の内容ですが、サービス系の中にはCADとか宅建コースであったり、理美容関係といったコースも設定されています。委託訓練ですので、前回申し上げたとおり、78割が女性が受けられているコースですが、こういった中で民間教育訓練機関等にお聞きしたところにつきましては、求人状況については全体的にはまだ多いといった中で、女性の受講者においては御自身の就職したいところとミスマッチが起こっていないか、慎重に検討する傾向があるようなことも聞いております。

 それと、理美容系は特に被保険者にならないような部分もありますので、こういったところが就職率として下がってきているという状況だと分析しているところです。

 2点目の委託訓練の就職率が低下する要因ですが、施設内訓練は主にものづくり系でもあり、また、公的訓練機関でもあることから、就職支援については、しっかりとした体制をとっておりますので、そういった部分での差異が見受けられるのではないかと思っております。

○関口正雄常任理事総務委員長 前回議論したことを踏まえての目標値の設定については、私は適切ではないかと感じています。就職率を上げることについてどういう余地があるのかを考えると、あとは就職指導体制というところに行き着くのかなと。そうすると、施設内訓練あるいは民間委託訓練の現場においての就職指導活動の実情において改善の余地があるのかどうかの認識が共有できれば、正しい目標設定について、また別な観点からの議論ができるのではないかと思います。

○今野浩一郎教授 一般論で言うと、ただ目標を設定しても余り意味がないですよね。そこに向けて何をするかということの整理のほうがすごく重要だと思います。ということは、その前に何が原因かを考えて、そういうことを適宜やりながら柔軟にと。今回は75にしましたが、情勢によっては70ということもあり得るかもしれないし、80というのもあり得るかもしれないし、そういう点では今言ったようなことを踏まえて柔軟に、ここで検討していくわけですが、適宜検討していけばいいかなと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、いろいろ御意見を頂いたので、それについては参考にしていただくということにして、この計画案については本協議会としては了承するということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 引き続きまして、3つ目の議題の「平成30年度の公的職業訓練の実施規模について」に入ります。事務局から説明をお願いします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 資料5に即して御説明いたします。先ほどから、資料1、資料2に即して、今の実施状況や平成29年度の予算規模を申し上げましたが、資料5は、公的職業訓練の平成25年度以降の予算規模を明記しております。平成25年度から申し上げますと、離職者訓練については、約15万という計画数から、実績見合いで徐々に計画数を減らしてきております。平成29年度は、働き方改革関連の委託訓練の枠を増やした関係で、増となっております。

 就職率についても、大体86.5%が施設内訓練ですが、こういった傾向はほぼ同様な傾向で、委託訓練は75%前後という傾向が続いています。

 次に、求職者支援訓練です。これは平成23年度下半期から設定していますが、特に平成24年度の年間ベースで言えば、予算上の定員は24万から今回の平成29年度は39,654と、実績に見合った形でグッと予算上の定員も減らしてきているという状況です。右の開講率、中止率の傾向もありますが、開講率が上の71.8%、平成24年度は76%、よって80%前後をずっと推移してきているという状況は大きくは変わっていませんが、中止率については、ここ最近は17%、18%、21%と、少しずつ上がってきている傾向が見受けられるところです。

 次のページは在職者訓練です。従前の57,000人から平成29年度は59,000人ほどで、2,000人ほど増させていただいています。資料1に即して説明した際にも、在職者訓練の受講者実績は毎年右肩上がりの傾向と申し上げましたが、平成29年度については、生産性向上支援センター等の働き方改革も含めまして、増計画となっております。

 次に学卒者訓練です。これもほぼ従前どおり、5,800ほどの訓練規模としているところです。

6ページ目は障害者訓練です。これについても従前どおりの訓練規模でありますが、平成29年度において、精神保健福祉士の配置、一般校の活用を図るなど体制整備を行った上で、平成30年度に向けた、訓練規模、訓練枠の設定を検討してまいります。

 次のページです。先ほど充足率と応募倍率の関係の話も委員から出ましたが、8ページは公共訓練についての傾向です。特に委託訓練ですが、応募倍率と定員充足率については、応募倍率は相変わらず1倍を超えていますが、定員の充足率については、徐々に減ってきているといった状況が委託訓練の状況として見受けられます。

 また、この中で公共訓練の折線グラフの部分ですが、実績を反映させて、予算の設定上と実績が近付いている状況を示しております。セーフティネットとして機能させるためには、少しの乖離は必要なものと考えておりますが、徐々に近付いてきているという状況です。 9ページの求職者支援訓練についての充足率と応募倍率については、60%前後というのが定員充足率の状況で、応募倍率が0.75前後という状況も、過去から大体同様です。かつ、この折線グラフも公共訓練と同様で、実績を反映させて、予算と実績の推移が狭まってきているという状況が見受けられます。

10ページ目は公共訓練と求職者訓練の対象者となる者の推移です。相変わらず、雇用保険の受給者数は平成28年度に入っても、前年同月で平均すると▼6.7%ほどというところです。また、求職者支援訓練の対象者である特定求職者についても、平均すると▼8.9%で、それぞれの対象者として平成28年に入ってからも減じてきているという傾向が続いている状況で、平成30年度の予算の規模についても、こういった推移の中で要求していく所存であることを説明いたしました。以上です。

○今野浩一郎教授 御意見、御質問を頂けますか。平成30年度の訓練規模は上手に設定してほしいということなのですが、皆さんから「こういう点は気を付けたほうがいい」ということがあったら御意見を頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。

○堀有喜衣主任研究員(労働政策研究・研修機構) 求職者支援訓練についてお尋ねします。資料5-3によると、非常に受講者数が減少してしまっているわけですが、これは単に量的な減少と考えていいのか、質的な変容も伴っているのか、そうした質的な変化についてお教えいただけないでしょうか。

○今野浩一郎教授 多分、訓練内容の構成の変化とか、そういうことも含めた質的な変化だと思いますが、どうですか。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 先ほど御説明申し上げたとおり、特定求職者の数としては減少傾向にあるということなのですが、訓練内容については、例えば求職者支援訓練は昨年10月から短時間コースや託児付きコースを設定したりということで、利用しやすい工夫等はさせていただいているところです。

 そういった中で、受講者生が集まりにくくなっているのは絶対数が減ってきている、つまり民間の機関が行っている求職者支援訓練ですので、中止率も徐々に上がってきていると申し上げましたが、会社として有益にならないものについては撤退する方向の企業が出てきているのが現実で、なおかつ偏在的になってきていると。そういった意味では、本当に必要な民間教育訓練機関があってほしい所にはなかったり、逆のことがあったりというところで、全国に整斉的な配置というのが国の主導型では難しくなっているのかなというところもあるという、地域性に即した形での変動はあろうかと認識しています。

○堀有喜衣主任研究員 要望ですが、いざというときのセーフティネットとして機能していただくために、教育訓練プロバイダーが撤退することによって、恐らく様々なノウハウも失われていると推測しますので、何かしら求職者支援訓練を支えるような総合的な検討をお考えいただけると有り難いです。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 以前の中央訓練協議会でも御紹介いたしましたように、昨年10月から欠格要件の緩和であったり、基礎コースではバラエティに富むコースが設定できるようになったりと制度を改善いたしましたが、まだ数値上は昨年10月からの制度の効果が十分に反映されておりません。

 いずれにしても、我々も以前の中央訓練協議会で御説明しましたように、プロバイダーの減少はすごく危機感を持っておりまして、それを踏まえた見直しはやったのですが、その効果が出るかどうかを見定めるのは、またこれからの推移を見てからということになります。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 一連の御回答を聞いていて、次回からということで是非お願いしたいと思います。堀委員がおっしゃったこともこういうことではないかと思うのですが、ニーズがあり、多様化している、だからバラエティに富んだ内容にしてくださいということを申し上げているのではなくて、雇用労働分野でどういう現象が起きているのか、どういう形で教育訓練に関わる部分や、セーフティネットが手を差し延べているのかというところを知りたいのではないかと思います。

 どういうことかと言うと、本来は正社員になりたいのだけれども、不本意ながら非正規で働いている。例えば、その人たちを対象とする形で非正規雇用から正規雇用への転換コースを拡充するということになるのですが、どこまで吸い上げて、効果的な数値が出てきたのか、是非そういうものも出していただきたいです。更には、既卒3年の早期離職の方々がどうやって動いているのか、セーフティネットでどう拾い上げて、どういう形でいい方向に向けているのかといった資料が出てくると、議論もその先に進んでいくと思います。

 繰り返しになりますが、いろいろな雇用労働分野の現象は、過去に言われてはいるのですが、それに対する政策の効果があったのかなかったのか、データ的な裏付けみたいなものをお示しいただけるようなことがあれば、この協議会で建設的な議論ができるのではないかと思っておりますので、ご苦労を掛けるかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

○今野浩一郎教授 先ほどの資料58ページ目に折線グラフがあります。求職者に対する訓練規模とか、求職者に対する受講者とありまして、その比率が全体規模を設定する上で非常に重要な指標になっていると思うのです。比較的、これは安定的に推移しています。

 ただ、このときに先ほど少しおっしゃられていましたが、受講規模と受講者の比率がグッと接近してきて、それが少し問題かなというような御趣旨がありましたが、これはセーフティネットだから、何か起きたときに対応できるバッファーを持っていなければいけませんよね。

 平成25年度から平成27年度ぐらいの実績を見ると、大体1.5%ぐらいの幅を持たせていたのですが、これがどのぐらいになったらまずいのでしょうかとか、そういう経験測があるといいかなと思ったのです。

 回答は要りませんが、感想とか御意見があれば、いかがでしょうか。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 これは中央訓練協議会という仕組みが、求職者支援制度とともに始まりまして、そのときに委員の御指導を受けて、訓練規模をお諮りする1つの材料として、この折線グラフを設定させてもらいました。今のところは平成24年度からの推移しか取れておりませんので、この折線グラフを踏まえてどういったことが言えるかというのは、経験値がまだ蓄積されていない状況ですが、御指摘のとおり、職業訓練はセーフティネットを担っているものですので、いざというときにも大丈夫なように、財務当局と折衝する際に一定のバッファーを確保させてもらっているところです。ただ、これについては、引き続き研究させてもらいたいと思います。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、この協議会としては、ここで求められているのは平成30年度の訓練実施規模についてどうかということですので、これまでの訓練実績を踏まえつつ、今日頂いた意見も参考にして、訓練規模を考えていただきたいという形でまとめる以外にないかなと思うのですが、よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。

 次に移りたいと思いますが、事務局からお願いできますか。

○波積職業能力開発局能力開発課長 参考資料3を御覧ください。昨年のこの中央訓練協議会での御議論を踏まえ、昨年1130日に、公的職業訓練の愛称・キャッチフレーズが「ハロートレーニング 急がば学べ」に決定、プレスリリースさせていただきました。今野座長にも選考委員に入っていただき、御議論いただいております。ごく簡単に、経緯と報道状況を報告致します。

3ページを御覧ください。これは、今回の愛称とキャッチフレーズの選定について、まとめております。公的職業訓練は公共職業訓練と求職者支援訓練の総称でございます。離職者訓練はもちろん、それ以外の在職者向けの訓練、学卒者向けの訓練、更に障害者への訓練を合わせた総称ともなっております。

 実際のイメージは真ん中の欄にありますとおり、年間30万人が受ける、それこそ働く方全てが対象という、非常に大きなセーフティネットになっております。また、中心の欄に記載されているような形で、多種多様な訓練分野を網羅しております。また、一番右の欄にあるとおり、常にバージョンアップし、時代のニーズに即したものを創設、国民の働くニーズにも対応しているところでございます。ただ、左下の欄の課題にもございますように、そもそも知られていない。あるいは知っている方も、非常につらくて厳しいのではないかというイメージを持たれています。昨年公開されたオダギリジョーさんが主演されていた「オーバー・フェンス」という映画を見られた方もおられるかと思いますが、人によっては刑務所のような印象を受けてしまう方もおられるかと思います。実際には新しいニーズに即して、非常に多様な訓練がセットされており、現場ではかなり明るく訓練を行っているわけですので、そういう意味で「公的職業訓練」という古い名前と新しい訓練の中身が見合っていないのではないかというところです。

 ハローワークは、国民に広く周知されており、追加の説明も不要なわけですが、我々が公的職業訓練を説明しようとすると、それは公共と求職者とありますねという形で細々と長く説明を行う必要があり、説明を受けた相手が途中から若干うんざりされてしまうこともございます。正に時代に見合った名前に変え、しっかりと周知を行っていきたいということで、今回公募した次第です。

 公募そのものは昨年の6月と7月の2か月行いました。愛称とキャッチフレーズをそれぞれ1,400前後、合計3,000弱の応募を頂きました。選定委員には今野先生はもちろんですが、それ以外にも前のページにあるように、秋元康先生、神野紗希先生、三遊亭円楽先生という4人の先生方に御議論いただき、プレスリリースした1030日に発表会も行ったところです。その際、我々もかなり積極的にプレスに宣伝し、多数の方に取材していただいております。

 その結果、資料には添付しておりませんが、新聞ですと、今野先生や秋元先生がハロートレーニングの看板を持った写真が朝日、毎日などの主要紙にも取り上げられておりましたし、テレビでもNHK、ネットを含めてテレビ朝日、TBSなどで取り上げていただきました。当日は取り上げていただかなかった日経新聞でも後日の一面の記事に、我々のハロートレーニングの写真を使っていただいでもおり、プレスそのものの受け止め方はかなりよかったのかなと思っています。

 ただ、もちろん一過性の取組として終わらせてしまってはいけないわけでございまして、正にこのハロートレーニングをしっかりと世の中に定着させていきたいと考えております。

 先ほど室長からも説明がございましたが、記者の勉強会もしております。その際には、私が講師として説明をしたのですが、私も気が付くと「職業訓練」としゃべってしまい、記者の方からは、ハロートレーニングを広く周知していくのであれば、説明にあたっては資料でも課長の発言でもしっかりハロートレーニングを使うべきとの手厳しいご指摘も頂きました。改めて、我々も自分たちの気持ちも変えていかなければいけないと思っております。

 いずれにしましても、一億総活躍、働き方改革、従来の雇用のセーフティネットとしての機能以外にも、実際に生産性を上げることに貢献するためにも役立つツールとして、「ハロートレーニング」、この愛称を使いながら、しっかりと対外的にアピールを進めたいと考えております。

 できるところからという意味では、私共、名刺に「ハロートレーニング 急がば学べ」と必ず書くようにしております。このようなことも含め日常的にも宣伝活動を進めているところです。以上です。

○今野浩一郎教授 何か御質問はございますか。

○森信介専務理事 この名称は非常にいいものができたのではないかと思うのですが、事業者のほうで様々な製作物に使っていっていいわけですよね。委託訓練をやっている事業者のパンフレットとか、様々な製作物に使っていいという案内もしていただければ、どんどん使われていくのではないかと思います。これで訓練を受ける方の裾野がどんどん広がっていくのではないかと期待しておりますので、愛称とキャッチフレーズをどういう形で、事業者でも使うかというところも御案内していただけると、より進むかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○波積職業能力開発局能力開発課長 御指摘ありがとうございます。私どもも、「ハロートレーニング」「急がば学べ」をそれぞれ商標登録を取るような形で動いておりますが、基本的に間違った使用をしない限りは特段のクレームを付けるつもりはありません。むしろ積極的に利用していただいて、パンフレット等で使っていただければと思います。

 ただ、その際に、これはトレーニングの総称ですので、施設の名前ではありません。その辺は誤解のないようにしていただければと思います。必要であれば通知なり何なりを考えたいと思いますので、是非とも御協力よろしくお願いいたします。

○今野浩一郎教授 これは来年の、ここの職業訓練実施計画の中にも「ハロートレーニング」と入るのですか。

○波積職業能力開発局能力開発課長 類似の指摘を記者勉強会でも受けたところです。ありがとうございます。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがですか。全体を通して何かございますか、よろしいでしょうか。

 それでは、事務局からほかにございますか。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 参考資料2に中央訓練協議会の開催要綱を添付しております。この中で、次回の訓練協議会が開催される頃には、厚生労働省の組織替えがあります。よって、開催要綱の中に厚生労働省職業職業能力開発局であったり、職業能力開発局長という文言か出ていますが、ここを改正する予定であることを御承知置きいただければと思います。以上です。

○今野浩一郎教授 よろしいでしょうか。それでは終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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