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2017年3月2日 第16回健やか親子21推進協議会総会(議事録)

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成29年3月2日(木)14:00~16:00


○場所

中央区立日本橋社会教育会館 8Fホール


○議題

(1)「健やか親子21」シンボルマーク愛称発表
(2)「第5回健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)」受賞者からの発表
(3)厚生労働省 雇用均等・児童家庭局の発表 「最近の母子保健行政の動き」
(4)「健やか親子21」各テーマグループの活動報告
(5)その他

○議事

○健やか親子21(第2次)事務局 

本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただ今より、第16回健やか親子21推進協議会総会を開催させていただきます。

 本日の司会を務めさせていただきます、健やか親子21(第2次)運営事務局の尾崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、開会にあたりまして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、吉田学より御挨拶申し上げます。

 

○雇用均等・児童家庭局長 

こんにちは。御紹介いただきました、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局長をしております吉田と申します。

 健やか親子21推進協議会平成28年度の総会の開会にあたりまして、主催者として一言ご挨拶申し上げたいと思います。

 まず、平素から五十嵐会長をはじめ、本日御参集いただいておりますそれぞれの学会、団体、そして企業の皆様方におかれましては、健やか親子21というこの活動に対して御理解、御協力をいただき、また、且つそれぞれの場面において実際の取組や、実践をしていただいておりますことを、まずもって御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。健やか親子、あらためて申し上げるまでもなく平成13年から始まり、平成2年から第2次が開始しています。

 御参集いただいております団体も、当初は50団体程度でありましたものが、この間、多少の出入りはありましたけれども、本日ここに88団体の方々の御理解、御参画を得て、息長くそして着実に進歩しており、うれしく思っております。

 そのような中で、本日このような形で総会、この後にはそれぞれ実践をしていただいている方からの御報告もいただけるという会でございます。私からは、大きく二つについて、健やか親子21が平成13に開始してからの16年間にわたる健やか親子の参加団体の方々の取組を踏まえて、新たに動いている最近の行政の動きを簡単に御報告申し上げます。

 まず一つは、マタニティマークでございます。この3月10日でちょうど11周年ということでございます。ちょうど昨年、平成26年に内閣府で実施をした世論調査で、このマタニティマークの認知度というものを新たに確認することができました。全体としては53.6パーセントということでございますので、電車等いろいろな所でお見掛けいただいて、マークの認識は高まっているとは思いますが、一方で50代の男性は44パーセント。60代になりますと38パーセント。70歳以上の男の方で言うと、3割を切るという結果です。もちろん、それぞれ御関心の度合いは強弱ありましょうけれども、我々としてはまた、こういう世代、特に男性に対しても、このマタニティマークというものの普及、あるいは御認識いただくような取組が必要ではないかと思っておりますので、今回、新たに得られましたこのデータを基に、皆さま方の御協力を得ながら、我々も取り組んでまいりたいと思います。

 それから、二つ目の話題といたしましては、昨年の8月に10年ぶりに乳幼児の栄養調査の結果をまとめさせていただきました。御案内のような乳幼児栄養調査、歴史のある調査でありますが、今回の調査結果の中であえて一つだけ申し上げるとすると、母乳栄養の割合が増加をしておりました。この間における、出産施設での母乳育児に関する支援に、色々とお取組いただいたことが、こういう結果につながっているのではないかというふうに思っております。これもひとえに、母子保健関係者の方々の、平素からの取組の成果というふうに私ども受け止めております。

さて、このように健やか親子21が開始してから16年経って新しい動き、それぞれの団体、学会の方々のお取組の上にある動きと同時に、私ども行政としても最近の話として、二つほどご報告を申し上げたいと思います。

 一つは、子育て世代包括支援センターというものであります。これまで、先行して色々な取組をしていただき、昨年の法改正で、これを法律上の事業として位置付けることにいたしました。今、全国で720カ所、296の市区町村に設置をしていただいておりますけれども、今後、我々としては全国展開をしていただきたいと思っております。今年度、調査研究という形で、この子育て世代包括支援センターの業務に関するガイドラインというものも、整理をさせていただいておりまして、春先までには多くの方に御覧いただけるような形にしたいと思っております。

 さらに厚生労働省としましては、この健やか親子の分野における子育て包括支援センター、このいわば切れ目ない支援をする受け皿としての拠点、そして、母子保健を始めとする子どもに着目した視点というものを、もう少し視野を広げますと、例えば地域には、最近の動きで言いますと子ども食堂ですとか、あるいは子育てのひろばという、色々な地域の子育てを支える地域活動、あるいは集まりもございます。そういう所でどういう風につながっていくか、あるいは、子ども世帯だけではなくて、高齢者、介護の分野には地域包括支援センター、あるいは障害分野についての色々なセンター、それぞれのセンターがともすれば縦割りになりがちではありますけれども、これだけメニューがだんだん広がってまいりましたので、地域によってそれぞれの特徴があるので一律というわけにはまいりませんが、なるべく縦割りを排した丸ごとで、そして行政からだけではなくて、なるべくこの地域の方々の自主的な参画も入れた、いわば丸ごと我が事として、地域における色々な取組を横につながっていけないだろうか、我々行政としても、応援する仕組みを作っていこうということで取り組んでまいります。そういう意味では、もちろん母子保健だけに限らず虐待、残念ながら地域でも虐待が増えておりますけれども、その虐待を含めた子どもについていろいろお取組いただく分野の中で、この健やか親子21を推進されている方々にも、さらなる御理解と御協力をお願いしたいと思います。

 また、今、国会では29年度の予算案を御審議いただいておりますが、その中のトピックの一つとして、私ども今回、産後、要するに産婦健診事業というものを盛り込ませていただきました。御専門の方々が多い中で改めて申し上げるまでもなく、産後うつという問題については、専門家の方々が長らく警鐘を鳴らされ、そして今、ある意味で広く認識されるというところまで至ったかと思います。そういう中で私どもとしては、これをきちっとそれぞれ必要な方にお届けできるような健診を、基本的には2回分という形になりますが、出産をされた後2週間、1カ月という辺りのところで受けていただけるような、事業を組ませていただいております。こういう新しい動き、細かいところは、後ほど私どもの母子保健課長が御報告をさせていただくお時間をいただいていると思いますので、また御紹介させていただくことになろうと思います。

前段で申し上げましたようにこの16年間、それぞれの学会、団体、企業の方々の取組を、我々はもっと育てていく、そしてその発展を我々としても支援していくと。そして、もう一つは行政としても新しいことをきちっと、着実に取組ながら、皆さま方の御意見を伺って進めさせていただきたいということ。大きく二つを御報告させていただきながら、本日のこの総会を通じて、また健やか親子21に集っていただいております関係者の方々が、さらに積極的にこの活動を進めていだくことを心からお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶にさせていただきたいと思います。本日は、よろしくお願いいたします。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。なお、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長吉田学は、公務のためここで退席をさせていただきます。御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 本日は、63団体の皆さまにご出席をいただく予定となっております。健やか親子21推進協議会規約第6条に、総会は過半数の出席により成立とされており、本会が成立していることをご報告申し上げます。傍聴される皆さまにおかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

それでは、議題に進ませていただきますので、配布資料の確認をさせていただきます。配布資料は3点ございます。まず、「平成28年度第16回健やか親子21推進協議会総会」  の冊子、緑の表紙の冊子となります。それから、「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)受賞プロジェクト事例」の紹介冊子。それから、「母子保健情報誌02」、以上の3点でございます。不足しているものがございましたら、お手数ですが受付にてお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それではこれより、議題1、健やか親子21シンボルマーク愛称発表に移らせていただきます。健やか親子21のシンボルマークは、子どもがのびのびと健やかに夢と希望を持って光り輝く星のようにという願いを込めた、星形のマークとなっております。

 今年度、平成2810月3日から1130日の期間において、このマークの愛称を公募したところ、282件の応募作品が集まりました。本総会の幹事による審査委員会で審査、選出をし、最も優秀と認められた愛称が決定いたしましたので発表をいたします。

 このシンボルマークの愛称は、「すこりん」です。作品を応募いただきましたのは、佐賀県にお住まいの今田拓磨様でございます。健やかにリンリンと輝く星をイメージして名付けられたとのことです。今田様には後日、記念の盾をお贈りさせていただきたいと思います。こちらが記念の盾となります。今後この「すこりん」を、長く親しまれるシンボルマークとして普及啓発活動に活用してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議題2、第5回健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)受賞者からの発表に移らせていただきます。一昨年に、健康寿命をのばそう!アワードに母子保健分野が創設されましたが、2年目となる今年度は34件の御応募をいただきました。母子の健康増進を目的とする優れた取組を、有識者による評価委員会で審査、選出し、厚生労働大臣賞、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長賞を決定いたしました。受賞者の取り組み内容につきましては、本日配布しております「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)受賞プロジェクト事例」の紹介冊子をご参照いただければと思います。本日は、厚生労働大臣最優秀賞を受賞された特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパンの森田圭子様と、厚生労働大臣優秀賞を受賞された日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会の高村寿子様より、受賞された取り組みについて発表をいただきます。発表時間はそれぞれ10分程度。その後5分程度の、質疑応答の時間を取らせていただきます。また、スクリーンに映るスライドにつきましては、お手元の資料、こちらの緑色の表紙の資料に掲載されておりますので、併せて御覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それではまず初めに、厚生労働大臣最優秀賞を受賞された特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパン「訪問型子育て支援ホームスタートで、すべての子どもに幸せなスタートを」の取組について、森田様より発表をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパン 森田氏

皆さま、こんにちは。私は、特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパンの副代表理事森田圭子でございます。この度は大変、身に余る光栄な賞を賜ることができましたことに、心より御礼申し上げます。

 全国で地道に活動に取り組んでおります、支援団体や支援活動をしている支援者とともに、深く感謝申し上げたいと思っております。またこのような、皆さんに活動を紹介する機会をいただけたことについても、深く感謝申し上げております。どうもありがとうございます。

それでは、私どもの取組を御紹介させていただきます。私どもの家庭訪問型子育て支援ホームスタートというのは、もともとは「すべての子どもに幸せな人生のスタートを」と、その辺りから来ている名前だそうです。というのは、このホームスタート事業というのは、もともとはイギリスで始まったものであるということがございます。私どもがこの活動を始めた頃、子育て支援拠点、子育て支援広場のような親子が集う場所、親子がやってきて子育て中の悩みを相談したり、仲間づくりをするような場所の支援に当たっている人たちが多かったのですけれども、そういう場所ができたことは、とても重要なことだと思っていました。しかし、そこで支援に当たるうちに、だんだん待つ支援だけでなく、一人一人のニーズに合った届ける支援が必要であるということを実感してきました。出てこない人が問題、出てくる人はいいよねということが、よく話に出ます。出てこない人が課題を抱えやすいというようなことが、いろいろな日頃のニュースや、様々なことから感じられました。こんな方々に、私たちは訪問型で子育て支援をしたいという時、訪問はいろいろ難しいことがありますが、そういうことを安心に行える仕組みとしてホームスタートが導入されました。2008年から始めましたので、実際の支援は2009年からです。7、8年経ちますが、その間にホームスタートを使っていた人たちはどんな人かといいますと、地域に引っ越してきて親戚も誰も知っている人がいない、気軽に相談できる人がいない、それから、地域のことが全く分からない、広場に何かがあることは分かっているけれども、子どもが負担で荷物を持って出掛けられないとか、場所が遠くてちょっと移動手段がない方、ちょっと人がいっぱいいる所だと不安だなと思って、なかなか足がそちらに向かなかったり、初めての子育てで、全く情報も何もどこにあるか分からなくて、近くにあってもその存在を知らないというような方であるとか、いろんな方がいます。必ずしもハイリスクというわけではないけれども、分からないで孤立しているときは、誰でも引きこもって、子どもとずっと過ごしながら、誰とも大人とも喋らないでいます。そういうようなときは、すぐ子育てが煮詰まって危機的状況になったりするようなことがあるというのは、私たちみんな体験したことでもあって、非常に理解できることです。

それから、最近よく出会うお母さんたち、親御さんは、自分の実親とか親戚が遠いというだけではなく、心理的に距離があったり、もう亡くなられていたりします。その方自身に子育てする力はもともとあるのだけど、手伝ってくれる人や、最初にちょっと気軽に聞ける人がいないというところで、煮詰まり具合が、非常に危機的な状況になってしまうというようなことによく出会います。子どもを産む前は、ばりばり働いていたり、自分でしっかり生活をしていて、力のある親御さんだったりするような方も大勢いらっしゃいます。そんな方々がホームスタートを使われるのですが、ホームスタートは14項目で、ニーズを聞いて評価しながら進んでいくという、きちんと支援が届けられる仕組みを持っています。この14項目の中で、一番多くニーズとして上がってくるのは、やはり孤立感の解消というところです。それからもう一つは、子どもの成長発達を促す機会をつくるというところです。この二つがとても多く、ホームスタートを、自ら使いたいと言ってこられます。

 ホームスタートの特徴の一つに、自分が使いたいという意思があること、それが前提ということがあります。お母さん方は子どものために何とか、親として自分がうまくいかないことを、何とか助けてほしいという気持ちがあります。

 それを、どうしようもなくなる前に、地域の気軽に使える訪問があったらいいよねというのが、私たちが始めたきっかけでもあります。では、ホームスタートとは実際にはどのようなものかと言いますと、地域の子育てをしたことがある人が研修を受けて、週に1回、2時間ぐらい定期的にそのお家を訪問するという活動です。訪問するのは決して専門家ではなくて、子育て経験のある女性が「そうなのよ」とか「私もそうだったわ」みたいな話をしに行くのです。それから、お母さんの「子育てが大変なんです」というような話を、「そうよね」と聞きます。お出掛けで子どもたちを連れていくのが大変なときに、一緒に出掛けたりしながら、一緒に子育てをするようなことをします。

 活動の内容は、傾聴と協働にまとめています。ボランティア活動です。実はこの、ボランティアの訪問支援者のことをホームビジターさんと呼んでいますけれども、このホームビジターさんたちは本当にボランティアです。有償ボランティアではなくて、無償のボランティアです。どんな方々がこのホームビジターになられるかというと、自分も子どもを育てて大変なときに地域に助けてもらった経験を持っている方や、今は少し時間があるから、空いている時間で何か地域にお返ししたいという方、今は社会がとても子育てしにくい社会だから、何か私もそういうことに役に立って、社会を変えていきたいと思うけれども、1人でできることは大して大きなことではないので、身の回りで私ができることをやって、社会を変えていく活動に携わりたい方がいます。いろいろなボランティアさんのモチベーションがあり、いろいろな動機がありますけれども、そういう方々が、このホームビジターさんという活動をされています。実は今、全国どなたでもご覧になれるインターネットテレビの厚生労働省のページで、もう間もなく実際のホームスタートの支援の様子、取材をしていただいておりまして、アップされる予定です。ぜひ、御覧いただければいいなと思っています。

 ホームスタートは、さっきのホームビジターさんが、申し込みがあったらどんと行くというような形ではなくて、その仕組みについては、このアワードという冊子の7ページを御覧いただければと思います。ホームスタートは、実際の家庭の中に入るのはビジターさんが入りますけれども、そもそも最初にその家庭に伺ってニーズを把握して、どんな風にこのホームスタートを使いますかということを調整する役割の、オーガナイザーというコーディネーターがいます。このオーガナイザーは訪問のマネジメントもしますし、実際にはこういうホームスタートがありますよということを、拠点に出てこないような、お家の中にいらっしゃる方に周知をします。お家の中に入ってみたら案外ケースが重かったというようなときなど、行政の保健師さんなどと連絡を取ったり、連携を取ったりするような体制を作っていくことを、このオーガナイザーが一手に引き受けています。ホームスタートは一対一ではなくて、ビジターさんと一緒に組織で支えるという安心な体制があります。このビジターさんがお家の中に入って、傾聴と協働で支えるわけですけれども、それが何にどんな効き目があるかと言いますと、本当にささいなことですが、「よくやっているじゃない、このままで、あなたよくやっている」と言われて、お母さんが少し自信を回復させて、地域の中に自分のことや自分の子どものことを気に掛けてくれる人がいることが、孤立感の解消につながっています。大人と喋り、ビジターさんの様子を見たりすることで、お母さんの育児への取り組みや、やる気が少しエンパワーメントされる、力が引き出されるということが、ホームスタートの大きな効き目としてあります。

 ホームスタートは、利用者さんと一緒に、自分がどう変化したかということを自己評価しながら、自分がちょっと上向きになってきたことを、きちんと気づきながらやっていく仕組みもあります。その仕組みを見ると、平均ニーズの改善率は90パーセントというデータが、これまでにも出ています。このような、市民の支え合いの訪問が、なぜ私たちには必要かと思いますと、支援拠点に出てこない親がいたり、赤ちゃん訪問、乳幼児全戸訪問など、専門職の方や民生委員さんが、気になる家庭を発見しても、とてもヘビーな家庭は公的な支援が入りますが、気になるけどなかなかつなぎ先がない方がいることを私たちの拠点でも感じているからです。

 それから、養育支援訪問というのは、これまではリスクがあるようなところで使われることが多くて、大丈夫そうという人にはなかなか対応できなかった。そういう方は、子どもを預かることも必要かもしれないけれども、むしろ自分の話を聞いてほしい、親子でいる所で気持ちを聞いてほしいというニーズがあったりします。そのような支援が、今まで隙間になっていたということで、私たちはこのホームスタートを導入してきたわけです。この養育支援訪問については、次年度から大きく、この事業自体の考え方が児童福祉法改正で変わっていきます。今後はこの養育支援訪問事業が、ホームスタートの枠組みとして制度に活用できるということに、流れが変わりつつありますが、始めた頃はこのような状況でした。気になる家庭の人たちは、力があるけれども孤立している。孤立しているということは、いろいろ悪いほうに考えたりして、時々、行ったり来たりするわけです。子育てのときは、それが本当に孤立していて、誰も相談できる人がいないと、「私だけかしら」「うちの子がこんなに駄目なのは私のせいかしら」と、自分を責めたり、子どもにいらいらしたりします。どの家族も、どの親子もここを上がったり下がったりしているわけですけど、そんなときにちょっと近所に相談できる方がいたり、気に掛けてくれる人がいるということがあれば、この上がったり下がったりが、より白いほうに近い所で、子育てのいろんな荒波を乗り越えていける力になるということを感じています。

 先ほど申し上げたとおりオーガナイザーがいて、評価して、資質をちゃんと担保できるためのシステムがあります。また、独自の評価シートがあり、子育て経験がある人たちがそのまま行くわけではなくて、37時間の養成講座があり、訪問中にオーガナイザーがフォローして、きちんと素人が入っていく、当事者同士の支援が上手に入っていけるようなシステムを持っています。今、利用者の申し込みが、保健師さんからの連携でとても増えています。母子保健の分野とのつながりはずっと深くやってまいりました。そんな中、イギリスで広がって、日本で広がって、今は日本国内90カ所で取り組まれています。うち49カ所は、もう市町村事業となっています。

 現在、ビジターさんは1700名。累計で4000家庭の支援を行ってきました。そんなホームスタートが、子育て世代包括支援の中でもきちんと位置付けられて、運用が始まっています。産前からの支援も始まりました。伏線のような形で、ここはもっと市町村の中で制度の中にも入っていき、ホームスタートができていくといいなと思っています。これでホームスタートの紹介を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは、発表内容についてご質問がございます方は、挙手の上、所属団体名とお名前を仰っていただき、簡潔にご質問いただければと思います。御質問ございます方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは森田様、ありがとうございました。

それでは続きまして、厚生労働大臣優秀賞を受賞された日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会、「若者が思春期の若者を支えるピアカウンセリング活動の取り組み」について、高村様、発表をよろしくお願いいたします。

 

○日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会 高村氏 

皆さんこんにちは。御紹介いただきました、日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会の代表をしております高村と申します。

 私たちが思春期の若者が若者を支えるという活動を始めて、もう20数年になりますが、このたびの「健康長寿をのばそう!アワード」、母子保健分野で本当に素晴らしい賞を頂けて、全国で活動している思春期ピアカウンセラーたちが大喜びでした。「自分たちの活動が認められた、これからも自分たちができることを地道に活動していきたい」と言っています。そういう意味で、今回の受賞はこれからの活動をますます大きくさせていく後押しをしてくださったことに、深く御礼申し上げます。

 健やか親子21が始まりましたときに、その課題1.思春期の保健対策の強化と健康教育の推進の提示は、今までスポットライトを浴びていなかった思春期という時期に焦点が置かれ、何か新しい手法はないだろうかと希求されました。平成14年と15年、16年に厚生労働科学研究をいただきまして、この新しい手法の一つとしてのピアカウンセリング、ピアエデュケーションを全国に広めていくためには、継続のシステムを作り上げ、マニュアルを作成し、教材を作っていくことが必要であろうと、3年かけてシステムづくり、マニュアルづくり、教材作りの研究をさせていただきました。その結果、ヘルスプロモーションの理念を踏まえた健康教育手法である、ピアカウンセリング・ピアエデュケーションの実践と普及に関する研究成果を踏まえて、平成17年の5月に本会を立ち上げて、全国展開をし始めました。

具体的な活動といたしましては、先ず全国で開催される思春期ピアカウンセリング養成講座の実施です。思春期ピアカウンセラーが全国でレベルが違っては評価に値しないと考え、上記研究で作成した統一養成プログラムに準拠して行っております。また1年ごとに若者のニーズは変わってきますし、若者気質も変わってきておりますから、実際にそれで養成するのに妥当性があるかどうか定期的な評価と改定をして実施しております。

 それから思春期ピアカウンセラーを養成しても彼らはだんだん大人になって卒業していきますので、毎年新しいピアカウンセラーを養成していく必要があります、当然養成する認定講師が必要になってきます。そこで、養成するための認定講師の継続育成も行っております。思春期ピアカウンセラーや認定講師は養成したままでなく、ブラッシュアップを積み重ねていくことが必要ですので、フォローアップ講座等も行っております。

 また具体的にピアカウンセリング、ピアエデュケーションの手法による健康教育や相談活動は、地域で様々な関係職種、関係機関・組織や団体が連携していかないと継続されていきませんので、ピアカウンセリング活動をコーディネートするピアコーディネーターの養成も大きな柱として実施しております。さらには実施するだけでは継続・定着が保てないということもありまして、実施結果を分析研究していこうということで、ピアカウンセリング、ピアエデュケーションに関する多面的研究も合わせて行っております。

従いまして本会の特徴とは、厚生労働科学研究成果に基づき構築した人材育成研修プログラムを用いて、思春期ピアカウンセラー、ピアコーディネーター、認定講師を養成システムに則って養成することと、養成されたピアコーディネーターと認定講師が連携して、思春期ピアカウンセラーとその活動の資質を担保し、ピア活動が継続、定着していくために構築したピアシステムに準拠している活動であるということです。

 実はピアカウンセリング、ピアエデュケーション活動のベースは、世界的に行われている主体的な若者活動ですが、残念ながら日本は1歩、2歩、3歩遅れていました。しかしこの健やか親子の課題1で取り上げられてピア活動が展開されていく中で、今この活動が国際協力機構JICAの協力・支援を得て、メキシコとかニカラグア、ホンジュラス等の思春期保健強化プロジェクトとして実践されました。現在はモンゴルでこのピア活動を展開しています。その最大のポイントは、本会の大きな特徴である、地域で持続・継続・定着するためのシステム化が構築されていることです。

これまでの成果ですけれども、残念ながら全国で47都道府県展開できているのではありませんが、今まで27都道府県で展開されています。本会の結成から11年間に60名の思春期ピアカウンセラー養成者認定講師が誕生し、彼らたちによって思春期ピアカウンセラー養成講座を185回開催し、毎年350名余の思春期ピアカウンセラーが育ち、今まで約3000名余の思春期ピアカウンセラーが活動をしているということです。

活動内容といたしましては、大きく三つに分かれまして、まず全国各地で中学生、高校生、大学生を対象として、仲間意識を高め信頼関係を築き、自己効力感や自尊感情を回復し、他者との人間関係づくりのためのコミュニケーション能力を高め、将来望んだときに幸せな妊娠、出産ができるための人生設計の構築・実現を目指して、性()とこころの健康教育や相談活動を実施して、未来に向けた母子保健の向上に寄与していると思います。最近では望まない妊娠や性感染症予防だけでなく、若者の新しい課題もぜひ取り上げて欲しいという要望があります。例えば危険薬物使用の予防、心の健康教育、不登校、SNS,デートDVなどの問題です。既に不登校生徒の通学施設にもこの手法での活動実践例が出てきました。

 それから思春期の若者向けや彼らに寄り添う支援者向けの教材を自作刊行し、健やかな母子の健康増進活動に貢献しています。さらに研究成果を日本思春期学会など関連学会に多数発表して、質のレベルを保っています。

最後に具体的な活動として27年度(28年度はフォローアップ講座等が終わっていない)の活動を紹介します。思春期ピアカウンセラー養成講座ですが、全国で北海道から鹿児島まで21カ所、373名の思春期ピアカウンセラーが養成されました。ピアカウンセラー養成講座の風景(栃木県の例)ですが、自治医科大学の看護学部の教室を借り上げ高校生から1・2年生の思春期ピアカウンセラーを養成しております。県保健福祉部が予算化し、とちぎ思春期研究会ピア部門に委託し、養成講座が実施されます。教育委員会と連携をとり、県の教育委員会に来てごあいさつをいただき、スタートします。

アイス・ブレイクやエンカウンターを入れながら仲間意識の高揚と共に、ピアカウンセリングの理念、具体的な守り事である8つの誓約、それから、具体的なアクティブリスニングスキルを習得していきます。そしてもちろん、性:セクシュアリティに関することを正しく学びます。展開の方法としては、性:セクシュアリティは、認定講師の担当部分と、先輩ピアカウンセラーの担当部分をすみ分けして展開していることです。特に先輩ピアカウンセラーは若者から若者へという視点で性の問題を身近に捕らえさせるために、その存在を欠かすことはできません。先輩ピアカウンセラーの動きをしっかり見聞きすることによって、受講生達が自分たちは具体的にどういうふうに関わったらいいのかが分かってくるからです。

本会における思春期ピアカウンセリング活動として最も大きな特徴とは、思春期の若者が主体的に実現したい人生の夢を基軸にしての人生設計(文科省などではライフプランという言い方で、高校生などに授業を展開しています)を1本の線で表していくのです。横軸に年齢、縦軸に幸せ度・幸福度のパーセンテージをプロットして、その時期に起こってくる人生の出来事の幸せ度・幸福度線を線で表すという方法を採って、過去と現在と未来をしっかりと見つめていくという手法です。そしてその実現に向かって、自己効力感や自尊感情を回復・向上させ、自己決定できる能力を育て、支えるのです。

主役である思春期ピアカウンセラーを養成し、養成後は活動に寄り添って支えるピアカウンセラー養成者、それから活動の場を連携調整するピアコーディネーター、それから彼らの身近な生活レベルから自然発生的に誕生する彼らを支える例えば親御さん、地区組織のおじちゃん、おばちゃん達、学校の担任の先生等々のピアサポーターも含めて、地域、学校、保健、医療、福祉の領域で緊密な連携を図りながら、全国展開をしているということです。

ここで具体的に中学校に行って行う、性()の健康教育を紹介します。現在は、クラスに5人くらいの思春期ピアカウンセラーが入って進行し、例えば5クラスあれば2回に分けて、最初に3クラス同時進行で実施し、後で2クラス同時に行うスタイルで展開しています。内容(タイムテーブル)は、仲間意識を感じ合うアイス・ブレイクや自分や他者を知るエンカウンターを行い、みんなに夢を話してみようということで人生設計:ライフラインについて取り組み、その人生設計を支えてくれる大切な人へ、ありがとうという感謝の言葉を贈ろうということで、ハートの紙にそのメッセージを書きます。高校の性()の健康教育は人生設計までは同じように進めますが、性:セクシュアリティの問題に取り組み、今、妊娠しないためにできること、それから性感染症の予防などについてじっくりと展開します。

 次の活動は街頭に出てのキャンペーン・イベントです。HIVエイズ予防啓発活動です。オリオン通りという繁華街などで世代を超えてやりました。また県青少年年課と共同して若者の若者による、若者のための未来づくりプロジェクトのイベントをしました。それから、県や市と連携して薬物防止キャンペーンを行いました。町のど真ん中で行ったイベントでしたが、ピアプレッシャーで先輩に薬物を迫られたときにどういうふうに断るか、交渉するスキル:ネゴシエイトの劇をやって、参集者に聞いてもらうというような活動でした。

 それからここ5年間の大きな活動は、平成23年3月に発生した東日本大震災の復興支援活動です。24年度から東日本大震災の復興支援に思春期ピアボランティア活動をしています。最初、福島の心のケアセンターの臨床心理士さんをお呼びして、どのようなアプローチをしたらいいかを学ぶ学習会を行い、「特別なことはしなくていい、心に寄り添うことが大切、被災を受けない子どもたちと同じような人生設計を一緒に考えていく活動をしていけばいい」との結論に至って、中学校、高校(この高校はもうすぐ廃校になる女川高校で、最後の学年の方たちに実施)でやりましたが、見失いかけた人生設計をしっかり考えてくれました。大槌町の公民館でグループピアカウンセリング活動を行いました。震災により失いかけていた夢を、ここでもう一度しっかり実現していこうという気持ちを取り戻してもらえていました。

 2年に1回思春期ピアカウンセリング全国大会を開催しています。前回は一昨年被災地復興支援も兼ねて福島で開催しました。今年は鳥取県大山で9月の16-17日に行います。昨年の10月に終りましたが、日本家族計画協会と共催でした。若者の主張を政策提言したいと、第1回ジャパンユースフォーラムを開催しました。その提言の成果をまとめた資料が、出口にありますのでお読みください。政策提言のテーマはLGBTQ・児童虐待・十代の自殺・十代人工妊娠中絶についてでした。政策としてこういうことを提案したいと若者目線で、四つの宣言を取りまとめました。

 今後の課題は、性に限らずドラッグであるとか、不登校とか、自殺とか、SNSとかそういったところにも広げていこうと思っております。また、新しい取り組みですけれども、この3月に「考えよう一人一人の輝く未来、キャリアプランとファミリープラン」と題して、高校生から大学生を対象にして、キャリアを積み上げながら、将来望んだときに幸せな妊娠ができる事を目指して、イベントを行おうと思っています。それが成功したら、各地でピアを活動している仲間と共に全国展開をめざします。受賞に恥じないように,全国の思春期ピアカウンセラーと共に 邁進していきたいと考えております。御静聴ありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

高村様、ありがとうございました。お時間の関係上、大変恐縮でございますが、質疑応答のほう、ちょっと割愛をさせていただきたいと思います。どうぞ御了承ください。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、議題3、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の発表に移らせていただきます。厚生労働省雇用均等・児童家庭局、母子保健課長神ノ田様より、最近の母子保健行政について公表させていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○雇用均等・児童家庭局母子保健課長 神ノ田氏

どうも、皆さまこんにちは。御紹介をいただきました厚生労働省母子保健課長の神ノ田でございます。本日は五十嵐会長をはじめ、母子保健のサポーター、たくさんお集まりでございます。今日、20分ほどお時間いただいておりますので、最近の母子保健行政の動きについて、また今後の課題、方向性等について皆さんと共有したいと思っております。早速ではありますけど、始めさせていただきます。話題はこちらのスライドのとおり3点用意させていただきましたけど、時間の関係で場合によったら最後、割愛させていただくかもしれません。

 まず、政府全体の動きでございます。これは御案内かと思いますけれども、子ども子育て支援新制度、既に27年度からスタートしております。これは自公民3党合意で法律ができて、それが施行されたということで、消費税の財源をしっかりこの子育ての分野に充てていこうということでスタートしております。また、「アベノミクス新・三本の矢」、これも御案内かと思います。その「第二の矢」が、「夢をつむぐ子育て支援」ということで、これによって希望出生率1.8を目指すということでございます。これは、「一億総活躍プラン」にも盛り込まれているところでございます。こちらのスライドが体系図ですけれども、「働き方改革・両立支援」と、「総合的子育て支援」。これを車の両輪として取り組むことによって、先ほど申し上げた希望出生率1.8、これを達成するということで取り組んでいるわけでございます。

この赤字の所、これが当課で担当している所です。不妊治療の助成ですとか、あるいは子育て世代包括支援センター、この全国展開ということで取り組みを行っております。

 続きまして、健やか親子21でございます。これは、ちょっとおさらいになりますけれども、第1次については13年から26年まで、14年間にわたって実施されました。大変多くの成果を挙げまして、74項目の指標のうち8割が改善しているということでありますけれども、指標が変わらなかったというのが8項目。悪くなっているというのが2項目ございます。この10項目を、こちらのスライドで整理していますけれども、この赤字にしている項目、これがいずれも心の問題ということで、心の問題が改善しなかったということを、しっかりと踏まえて第2次の計画を展開していかなければいけないと思っております。中には児童虐待による死亡数ですとか、10代の自殺率といった大変深刻な指標もございます。これを何とか改善しなきゃいけないということであります。そういうこともあって、第2次の健やか親子21では、重点課題二つ設定されております。一つが、育てにくさを感じる親に寄り添う支援。二つ目が、妊娠期からの児童虐待防止対策と、二つございますけど、いずれも心の問題に関連した課題となっています。具体的にしっかりと成果を挙げられるように、取り組んでいかなければいけないと、そういうような問題意識を持っております。健やか親子ということで13年から展開してきたわけでございますけれども、「健やかな親子って何なのか」ということが、うまく整理できてないのではないかと思っております。この健やかな親子ということに、しっかりと答えを出してそれに向けて取り組むようなことを、これを第二次の中で取り組み、また成果を挙げていきたいと考えております。これは俗語っていうことですが、「毒親」とか「アダルトチルドレン」というような言葉が知られています。毒親については、「毒になる親」という本が基になったということですけれども。この本で紹介されている親としては、義務を果たさない親とか、コントロールばかりする親とか。残酷な言葉で傷付ける親、暴力を振るう親と。こういうような親のケースが紹介をされ、またそれによって、心に傷を負った子どもが成人した後も非常に心の問題で悩んでいると、そういうようなケースがたくさん紹介されています。そういう、アダルトチルドレンの問題にもつながっているということで、何を申し上げたいかっていうと、この心の問題については家庭、家族の在り方と、これが大きく関与しているだろうということでございます。これは永光先生に、非常に大規模な調査をつい最近実施していただいて、非常にいいデータが得られております。思春期に関する意識調査ということで、4000人を超える高校生に回答していただいています。「今の家族で育ったことを、良かったと思いますか」という質問と、「あなたは死にたいと思ったことがありますか」という、この2つの質問。非常に強い相関がございます。「とても良かったと思う」という高校生は、死にたいと思ったことがありますかということについて「いいえ」という回答が非常に多いと。非常にクリアです。「全く良かったとは思わない」というこの赤い所は、過去に試みたというような、これが2割弱ございます。こういったことで、非常に家族の関係というのが、心の問題に非常に強く関係しているのだろうということです。

 あと探してみますと、米国の保健福祉省が1990年にこういった、この訳がいいかどうかあれですが、「成功している家族の識別法」みたいなレポートを出しておりまして、そのイントロダクションに非常に面白いことが書かれています。これまで、研究者や政策立案者、マスメディア、家族の問題点ばかりに注目してきたということが書かれています。健康的な家族には、注意を払ってこなかったということが記載されていまして、今後はこういう健康な家族というのをしっかり提示して、それに向けて全体を変えていくような、ハイリスクアプローチは当然必要なのですけれども、もう一つポピュレーションアプローチも組み合わせた、そういう取り組みが必要なんじゃないかと、そのように私は解釈しております。これ、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ。これまで厚生労働省は、公衆衛生活動により、非常に大きな成果を挙げてまいりました。塩分摂取量についてもぐっと下がりましたし、喫煙率についても、男性については相当低くなってきています。これは、ハイリスクアプローチでは成し得なかった成果だと思っています。広く国民全体に、塩分の取り過ぎの問題、あるいは喫煙が及ぼす健康影響、こういったことを広く普及啓発することで、こういった成果を上げることができたのだろうということです。この健やかな親子という問題についても、しっかりと普及啓発する。それは、虐待予備軍だけに着目するのではなくて、全ての家庭にこういった健やかな親子について考えていただくような、そういった取り組みを展開できないかと思っているところです。先ほどのこのレポートの中、いろいろ書いてございます。ちょっと時間の関係で割愛させていただきますけれども、こういったことについて、今、研究班の中でエビデンスに基づいて整理をしていただき、また、ゆくゆくは啓発資材というような形で広く国民に提示できるような形で、整理したいと思っております。これ、日本の育児文化って、かつては非常に良かったということで、鎖国中にふらっとやってきた欧米人が、いっぱい書き残しています。これは古いですね。オランダ商館長を務めたような人ですけれども、非常に注意深くまた柔和に養育しますと、ぶったりしないというようなことを書き残していますし、スウェーデンの医学者だそうですけども、むち打つことはほとんどないと。もっと教養があって、洗練されたはずの民族、これはスウェーデン人のことを言っていると思いますが、そういった行為がよく見られるということで嘆いているわけです。スウェーデンと当時の日本と比べて、何て日本人はすごい、いい子育てをしているのかということで、本に書き残しているわけです。あと、モース博士は、親切に扱っているよと。あまり親切にすると甘やかされて増長してしまうんじゃないかと思うけれども、世界中で両親を敬愛し、老年者を尊敬すること、日本の子どもにしくものはないと。そのようなことを書いております。「長幼の序」という考え方が、当時の日本には定着していたのだろうと思います。年少者は年長者を敬い、年長者は年少者を慈しむと。そういう双方向の関係です。それが今ちょっと、くずれているんじゃないかと思っています。年長者を敬わなきゃいけないでしょうと、怒鳴り付けたり、たたいたりして言うことを聞かせるというようなことが、巷ではよく見られるところです。これは、日本の民法、親権を行う者は必要な範囲内でその子を懲戒することができると。また、学校教育法では、同様に校長および教員は懲戒を加えることができるとされていて、ただし体罰を加えることはできないと書かれています。これを裏返すと、民法上親権を行う者には、体罰も認められているのだろうと、そういうふうに解釈できるのだろうと思いますけれども、こういう法律が現にあり、また意識調査の結果で見ますと、6割強を超える人が体罰について容認するような考えを持っているというのが、今の日本の現状かと思います。体罰が育児に効果があるんだったらいいんですけれども、いろんな論文見てみますと、いい影響ないですね。ネガティブな影響ばかりです。親子関係もくずれるし、精神的な問題を成人後も、幼児期も抱えるケースが多いと。また、反社会的な行動に走ったり、強い攻撃性を持つようなケースがあると。これ、16万人規模のメタアナリシスをした分析の結果を論文化したものから引っ張ったデータです。こういった悪影響があるということを、しっかりと啓発をしていく必要があるんだろうと思っているところです。

 あとこれは、福井大学の友田先生からお借りしたスライドですけれども、脳にも器質的な変化をもたらすというのが確かめられています。こういう強い体罰を受けたような子ども、内側前頭皮質です、容積が2割ぐらい減っているというのを報告しております。また同様に、体罰で前頭葉が萎縮したりとか、暴言で聴覚野がちょっと変形したりとか。あと、親のDVを見聞きすると視覚野がちょっと縮小したりと。そのような影響があるということが、報告されているところです。器質的な変化も、また機能的な変化もあるということが、脳科学の分野でも分かってきているということです。スウェーデンでは、先ほどの嘆いていた国ですが、体罰について取組が進められてきました。学校での体罰を禁止したのが58年。66年には親子法という法律の中で、日本の民法と同じようにたたく権利というのが保障されていたんですが、それが66年に削除をされ、79年にはそれを明確に禁止しています。こういうようなことが規定されているわけです。「体罰にも、その他いかなる屈辱的な取扱いにも、遭わされてはならない」とされています。これはスウェーデンだけではなくて、50カ国を超える国で体罰についてはゼロトラレンスと、一切認めないという考え方の国が、それだけ出てきているということです。その結果どうなったか。スウェーデンでは、40年ぐらいの経過の中で、実際に体罰を使用するっていうのが9割を超えていたのが、今では1割強ぐらいということで、9分の1ぐらいに減っているわけです。これと同じようなことを、ポピュレーションアプローチでしっかりと取り組み、また成果を上げることができれば、日本のこの虐待の問題、大きく変えることができるんじゃないかなと。今の段階では、期待として申し上げますけれども、ぜひこの第2次計画の中でしっかりと成果を上げて、この児童虐待相談対応件数のグラフが下がるというようなところを10年後、20年後に見たいなということを強く願っているところです。

 あと、これは昨年、児童福祉法等が改正されました。そのときの附帯決議ですけれども、「体罰によらない子育てを啓発すること」、これ、国会のほうからもわれわれ注文を受けているところです。また、「親権を行う者の懲戒権の行使の在り方について検討すること」。これが附帯決議として、参議院の厚生労働委員会だったと思いますけれども、こういう注文が付いていまして。これは宿題事項ですから、しっかりと取り組まなければならないと思いますし、母子保健の課題としてしっかり成果を上げていきたいと思っています。

 あともう1点、先ほどの保健福祉省のレポートの中で、ソシアル・コネクティッドネスという社会的なつながりっていうのが大事だということが言われております。これ、虐待死の家庭です。地域のとのつながりを見ますと、「ほとんどない」というのが42パーセント。「乏しい」というのが28.8パーセント。非常に、虐待してまた死に至らしめてしまっているような家庭っていうのは、孤立しているっていうのが明らかになっております。活発だっていうのは、5例1.6パーセントしかありません。こういう、育児の孤立っていうのは、非常にハイリスクな状態にあるということがいえるかと思います。これまでの地域づくりの考え方、一部の熱心な方が各地域にいて、愛育班員とかあるいは民生委員とか、食生活改善推進委員とか、非常に熱心な一部のボランティアが地域づくりの担い手だったということで。ただ、支え手側と受け手側が分離してしまっていたのかなというようなことが、いえるかと思います。

今後の目指すべき姿ですけれども、各家庭が外に開かれたような形に変わってもらうと。そういう外に開かれた健康な家族、家庭の集合体である地域が、健康な地域になるというような考え方で、あらゆる住民が役割を持ち支え合うような、そういう地域共生社会をつくっていこうということで、この地域づくりのパラダイム転換を図っていこうということ。これ、政府全体で取り組んでいるところです。何がしてほしいですかではなくて、地域のために何ができますか。大小があってもいいんです。小さなことでもいいから、何かやってくださいと。各家庭を、外に開かれたようなものにするというような、活動ができないかなと思っています。これ、「一億総活躍プラン」の中にも書かれておりまして。「全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる地域共生社会を実現する」と。「支え手側と受け手側に分かれるのではなくて、地域のあらゆる住民が役割を持ち支え合う」、そういうことが書かれています。そういった、先ほど申し上げたこういうパラダイム転換、みんなに活躍してもらうような、そういう形での地域づくりということを進めていく必要があると思っております。あと、先ほど冒頭、局長からの挨拶にもありましたけれども、「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」というのが、塩崎厚生労働大臣の指示で設置されています。他人事になりがちな地域づくりを、地域住民が我が事として主体的に取り組んでいただく仕組み、これをつくっていこうということで、今、厚生労働省でも取り組んでいます。あと、丸ごとというのは、母子保健だけではなくて介護とかいろんなもの、全て総合的に支えるような体制づくり、これをつくっていこうということで、大臣の号令一下、今、検討しているところであります。

 あと、子育て世代包括支援センター、これ、うちの課の最重要課題の一つです。32年度末までに全国展開ということで、今、まだ一部自治体にしか設置されていませんけど、これを全国に展開していこうということで取り組みをしております。何をする機関かということですけども、一言で言うと、母子保健サービスと子育て支援サービス、その二つについてケアマネジメントをしっかりやっていこうということです。切れ目なくサービスを提供していくような、そういう、介護保険でいう地域包括支援センター、それと同じような機能を持たせていこうということです。現状は、母子保健、いろんな機関が関わっています。それぞれ、ある意味分業みたいな形で、サービスが提供されているために、必ずしも切れ目なく提供できていない。また、お母さんのほうもいろんな機関があって、困ってしまっていると。どこに相談したらいいか分からないということですけども、この子育て世代包括支援センターができることによって、ここに相談すれば適切なサービスにつないでもらえると。そういう体制に持っていこうということです。フィンランドのネウボラをモデルにしていると言われていますけど、ネウボラは、妊婦健診も乳幼児健診も、また予防接種もネウボラでやっています。何度も通ってきてくれるので、継続的な状況の把握っていうのがやりやすいのですけど、日本の場合、分業の体制の中でいかに連携させるかと。だから、妊婦健診のときに医療機関に来たら、そこで包括的に医療のことだけじゃなくて、子育ての状況等もしっかりと聞き取ってもらって、それを包括支援センターにフィードバックし、必要があれば必要なサービスにつなぐと。そういうような体制を組めないかなと思っております。

 これ最後ですが、子育て世代包括支援センターだけじゃなくて、児童福祉法のほうも改正されていまして、「児童等に対する必要な支援を行うための拠点」というのが、4月以降立ち上がります。児童および妊産婦の福祉に関する支援ということです。この両者は、一体的に支援を実施していくということになっていますので、密に連携をして、母子保健、子育て支援、またこういう福祉も含めて、ちゃんと包括的にお母さんがた、あるいは乳幼児を支えるような体制を、今後つくっていこうということでございますので、ぜひこういった行政の動きも御理解いただきながら、皆さんと一緒に取り組みを進めていけたらと思っております。御清聴どうもありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは続きまして、議題4、健やか親子21、各テーマグループの活動報告に移らせていただきます。テーマグループの幹事団体の代表より、今年度の活動報告を発表していただきます。発表時間は各グループ10分程度、その後質疑応答を予定しておりますけれども、お時間の関係上、調整をさせていただく場合がございますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。

 それではまず初めに、テーマ1、「国民への普及啓発・情報発信等」について、幹事団体、公益社団法人日本産科婦人科学会の梶山広明先生より御報告いただきます。それでは梶山先生、よろしくお願いいたします。

 

公益社団法人日本産科婦人科学会  梶山氏

皆さまこんにちは。私は健やか親子21のテーマグループ1の幹事団体、日本産科婦人科学会から参りました梶山と申します。

 副幹事団体は、日本小児科学会の齋藤伸治先生がおられまして、本日ここに私の名前だけ載っておりますが、齋藤先生には本当にいろいろアドバイスをいただきました。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

 ならびに今回の活動報告の中で、さまざまな、ホームページにコンテンツをいただいた各種団体の皆さまには、本当にこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。それでは、始めさせていただきます。

 我々のテーマは、国民への普及啓発、情報発信ということで、母子保健に関する様々な皆さまの取り組みを、国民の方にいかに適切に発信していくかということでございました。

 そこで、やはり今年度の取り組みといたしましては、公式ホームページ、これがリニューアルされるということがございまして、そこで各種団体様のコンテンツを募りまして、そこで効率的にそれらをアップしていったということでございます。

 これが、今後、各種団体様のコラボ事業に発展すればいいかなと思っております。健やか親子21の取り組みに、どんどん発展していけばいいかなと思っております。現状としては立ち上げということでしたので、将来的にはもう少し発展すればQ&Aなどを盛り込んでいけたらなと思います。

 今回、ホームページのリニューアルに際しまして、大体、昨年の6月あるいは7月ぐらいに、さまざまな素晴らしい取り組みに関する紹介のコンテンツ依頼を、皆様のお手元にございますような資料の2枚目、テーマグループ1の55団体の皆さまに差し上げた次第でございます。

 9月を締め切りといたしまして、12月の所で少し修正を行い、1月にホームページのアップデートを行いました。中身に関しては、この後少し御紹介したいと思いますが、どのぐらいのコンテンツが集まったかと申しますと、実際には55団体の皆さまに対して、現状としては約3分の1の団体様からコンテンツをいただきました。

 今回のコンテンツに関しましては、大体A4、1枚程度、あるいは場合によっては2枚程度にまとめていただけたらということで、やらせていただきました。少しその内容を紹介させていただこうと思います。

 まず、これがホームページリニューアルをした内容で、こちらのバナーに少し各種団体様とリンクするコーナーがございます。ここにお役立ち情報という所があって、ここにコンテンツが掲載されております。

 例えば各種団体様とのリンク、これはNPO法人SIDS家族の会のホームページになりますけれども、ここの健やか親子21のホームページから、こちらの所にリンクします。

 推進協議会参加団体、こういう所をクリックすると相互にリンクするということがございます。これは日本産科婦人科学会、私の団体になりますけど、相互リンクということでございまして、やはり各種団体様のホームページの中からも健やか親子21にリンクします。相互リンクして、お互いにこの運動を高めようということでございます。

 ちょっと戻りますけれども、そこで先ほどのお役立ち情報という所に行きますと、ここの所に各種団体様のコンテンツに飛ぶような感じになっております。

 たくさんいただきまして、この場で全てご紹介したいのですけど、時間の関係でかいつまんで、どのような感じかということだけご紹介したいと思います。

 例えばこれ、日本薬剤師会のコンテンツになります。このキーワードに関してはかかりつけ薬剤師を持ちましょうということで、いろいろな薬がいろいろな医療機関でだぶってくることを、統一することによって、余分な薬の処方を避けたり、情報を共有することを、こちらのコンテンツに掲げていただきました。

 さらに、これは電気安全環境研究所様のものになります。電磁波が妊産婦に与える影響を、Q&A形式で詳しく説明していただいて、いろいろな電気器具から発せられるものが、大丈夫だということを紹介していただきました。

 あとは、日本小児歯科学会のコンテンツになります。妊娠中は、口の中の環境が非常に変わりやすいこと、つわりのときの口腔ケアのこと、歯周病自体がそういう早産のリスクになるということを御紹介いただいております。非常に、妊産婦の口腔ケアに関して、詳しくご紹介いただいております。

 これは、日本栄養士会様のものになりますけど、食育という面から、3歳頃までの子どもの食事が非常に大事ですよということを啓発していただきました。

 全部を紹介できませんが、これ最後のスライドになります。今後、先ほどの3分の1の団体の協力を、もう少し割合を増やしていきたいと思います。また、一つ一つのコンテンツをもう少し、拡大していくということをやっていきたいと思います。

 さらに、願わくばそういったことを通じて、団体同士の情報交換の場として一役を担うことができればと思っております。以上でございます。どうもありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは、発表内容について、御質問がございます方は挙手の上、所属団体とお名前をおっしゃっていただき、簡潔にご質問いただければと思います。御質問ございます方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは梶山先生、ありがとうございました。

 続きましてテーマ2、「育児支援等」について、幹事団体、公益社団法人日本小児保健協会の加藤則子先生よりご報告をいただきます。それでは加藤先生、よろしくお願いいたします。

 

○公益社団法人日本小児保健協会 加藤氏

テーマグループ2「育児支援等」の幹事団体、公益社団法人日本小児保健協会から参りました加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、平成28年度に向けた活動方針、すなわち今年度に向けて何をやろうとしてきたかというテーマグループになっております。39団体の参加がございまして、1年間大変御協力賜りました。大変ありがとうございました。国民に分かりやすい、ワンストップのホームページですとか、子どもだけではなく親の心身の健康にも留意というところで始めてまいりましたが、特に力を入れましたのが、傘下団体間の連携を活性化するために、お互いを知る目的での調査、こちらのところを最も力を入れてきたところでございます。小児保健協会、幹事団体の中でのサポート体制、すなわち幹事団体としてきちんと機能していくための体制を整備いたしました。健やか親子21対策委員会というものを設置いたしまして、担当理事、副担当理事、スーパーバイザー委員により編成されました。6月に年次集会がありまして、そこでキックオフミーティングが行われまして、その後随所でメール会議を開いております。

第2グループでテーマグループミーティングを行いましたのは、昨年8月になります。21団体、半数以上の団体が出席されました。大変お忙しい21名の先生方が、一堂に会するという、めったにないチャンスだということで、なるべく充実した議論がしたいというところでした。まず、39団体連携していくために、情報を共有しようというところで、調査票を検討しました。調査票の内容ですけれども、改善に特に貢献できると思う指標、これを3つ選んでいただきまして、これを二重丸とし、そして、それを付けた項目に関する活動内容について聞きましょうということにしました。そしてまた、特に貢献できる3つ以外の項目でも、何か活動していないかということで、理由を記載していただくとことにしました。それ以外にも、せっかく集まったからということで、研究事業に何か積極的に関われないかということを議論した他、こちらが今でも有効に機能しているのですけれども、参加団体間でイベント情報などを共有して、より多くの参加者の間で問題意識の共有につなげていくこと、すなわち、それぞれの団体が行うシンポジウムなどを共有して、各団体の間で協力することにより、参加者を増やしていこうということにして、集客の役割を果たしました。これは大変人気で、現在も活用されています。

 そして、共有調査ですが、こちらは9月いっぱいで行いましたが、各団体、理事会の承認を得ないと回答できないということで、9月いっぱいの期間が困難でした。年内もしくは、年を越えてもさらに回収が進んでいる状況です。これからも団体の数は増えていくものと思われます。

 早速ですが、この連携のための調査結果となります。まず、この二重丸の付いた項目、重点課題の1、「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」、そして基盤課題のA、「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」、こちらの所が多く付けられていました。これは、育児支援等というテーマグループの特性と深く関わっています。一方で丸、すなわち上位3つというわけではないけれども、何か貢献できているのではないかというところを見ますと、5つの課題に満遍なくたくさん付いているということが分かりました。従いまして、育児支援というテーマグループですけれども、多岐にわたって丸が付いていました。妊産婦、乳幼児が多かった。そして、貢献できる指標は、次からのスライドにお見せしますが、各課題の中でも集積性がありました。あとは、職能団体などの機能と密接に関連する二重丸が、よく付いていました。取り組み内容は、調査研究、研修会、すなわち資質向上です。それから普及啓発、こちらは、親御さんに向けての啓発。そして地域実践という取り組みなどが主な取り組みでした。

重点課題1の、育てにくさを感じる親ですが、「ゆったりとした気分で子どもと過ごせる時間がある母親の割合」、こちらが最もよく回答されていました。取り組み内容としましては支援者の資質向上、そして親御さんへの普及啓発となります。そして、仕組みの充実や、自信を育てるような地域活動や取り組みの内容は、多岐にわたっていました。その他、対処できる親の割合や、支援体制など、それぞれの取り組みが行われていました。あとは心が診られる、心のケアができる小児科医が増加するというところでは、自らがクリニックを開設しているという団体もありました。児童虐待防止は、テーマグループ3がメインなので、育児支援のグループとしては二重丸がそれほどありませんでしたが、虐待をしていると思われる親の割合は、こちらも支援者の資質向上、そして、親への対応という地域活動が主でした。その他乳幼児健診の受診率、揺さぶられ症候群、アンケートを実施するなど、そういったところでも支援者の資質向上が行われていました。基盤課題Aの、切れ目ない妊産婦、乳幼児、こちらが一番メインに行われていた活動でありまして、まず妊娠出産について満足している者の割合、これが一つ大きくカウントされている部分です。こちらも多岐にわたりまして調査研究や院内助産などの支援者の資質向上、もしくは親への普及啓発が盛んに行われていました。それから、歯ですけれども、虫歯のことですとか、仕上げ磨き、かかりつけ医、こちらは歯に関する職能団体から多く回答がありまして、普及啓発が最も多かったです。そして多く見られましたのが母乳育児です。これも母乳に関する団体が、多く回答していました。学会の団体が多いので、調査研究というのも大きな活動になりましたけれども、その他親への啓発の他、BFH、ベビー・フレンドリー・ホスピタルを増やすことによって母乳を啓発していくという、社会地域活動もございました。これが、一番たくさんいろいろ活動している基盤課題Aになります。

 基盤課題Bは、学童期、思春期で、あまり数としてはありませんが、歯に関する職能団体が学校健診をずっとやっているということと、家族など誰かと食事をする子ども、これ、子ども食堂、先般ご説明もありました、格差に伴うさまざまな問題の有効な解決法として話題になっていますけれども、こちらも学童保育、児童センターを調整している団体から、連携しているという報告がありました。

 基盤課題のCですけれども、こちらは地域づくりになっております。こちらも二重丸としては少ないですけれども、それ以外としてはたくさん付いていました。最も地域づくりで最たるものは、この地域で子育てしたいと思う親の割合です。こちらは、やはり親向けのサロンを開いたり、産前産後ケアをしたりなど、支援者の資質向上と、親の普及啓発、3本全てそろって取り組まれておりました。その他、積極的に育児をしている父親の割合や、地方公共団体としてこういったことに携わっている人材育成ですとか、こういった多岐にわたる活動が認められました。二重丸以外にもたくさんの活動が見られまして、まず、すくすく子育てさんは地道な活動をされていました。母子保健推進管理さん、妊娠期からの切れ目のない支援シンポジウム、こちら記憶に新しいところでございます。歯科に関する職能団体さんは、児童虐待の早期発見が大変注目されている他、摂食に関するさまざまな取り組みに関しても独自にされていました。助産に関する職能団体さんにつきましては、やはり安全な助産というところで、ガイドラインなどを熱心にされていた他、支援、サロンなどの活動も見られました。日本小児看護協会さんは、看護師さんの子育ての支援力というところを重要視されていました。病児保育協議会さんは、資格制度を検討されている他、子どもに関する法制定については複数の団体さまからご回答がありました。連携のための調査で、既に連携されていることがいろいろと分かってきたという、大変意味のある調査結果となりました。

 これが最後から二つ目のスライドですが、日本看護協会様は、支援センターの整備に大変力を入れていらっしゃると同時に資質の向上、そして政策の要望をされていらっしゃいました。日本小児科医会様は、もともと心が診られる小児科医の研修というのがメインでいらっしゃるのですけれども、その他、救急体制に対する家庭看護力についてのご活動が注目されました。SIDSの学会様は、調査研究が主体です。母乳に関しては、もちろん母乳育児の推進ですが、その他に生後2週間健診等のご活動も注目されました。こちら児童健全育成推進財団様は、児童センター、学童保育などとも連携されていまして、こちらも政策要望、自殺予防というメンタルなところで力を入れられていました。保育保健協議会様は、主に予防接種や健診などについての啓発をされていました。ちょっと、いろいろと散漫な概要となってしまいましたけれども、3つまでに絞って、特に改善に貢献できるものは重点課題の1、基盤課題のAでございました。

 しかし3つに限らなければ、たくさんの課題から活動の御報告がございました。御活動は調査研究、資質の向上、普及啓発、地域活動、そして政策提言など、多様な活動が確認できました。こちらを十分共有することによって、今後テーマグループ、団体間の連携の活性化につなげていきたいと思いますと同時に、既に多く連携されているというところも確認できましたので、今後、資質向上の研修会や、親向けの普及啓発など、せっかくですから一緒にやって、効率的に力を合わせてやっていきたいと感じました。

 以上で、ご報告を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは、発表につきましてご質問がございます方、挙手の上、所属団体名とお名前をおっしゃっていただき、簡潔に御質問をお願いできればと思います。ご質問ございます方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、加藤先生ありがとうございました。

 では、続きましてテーマ3、「児童虐待防止・対応強化」について、幹事団体一般社団法人日本小児救急医学会の松裏裕行先生より御報告をいただきます。それでは松裏先生、よろしくお願いいたします。

 

○一般社団法人日本小児救急医学会 松裏氏

テーマグループ3の幹事団体である日本小児救急医学会より、「児童虐待防止・対応強化」について、御報告申し上げます。本日は市川光太郎理事長に代わりまして、私、東邦大学の松裏が御報告を申し上げます。

 第3グループの基本活動骨子は、スライドにありますように多職種、機関、団体の協働による健全育成のための家族力醸成への支援、また、児童虐待防止における医療機関同士の連携強化、さらに児童虐待対応における、関係機関との連携強化と医療機関のリーダーシップ向上を掲げて、各団体の活動を促してまいりました。

 また、各団体の特性を考慮いたしまして、虐待防止活動を中心とする団体と、対応を中心とする団体とに分けて、活動状況を把握、共有することを目標とし、診断、保護、事後の対応から生じる課題の抽出と、それによる予防策への応用を検討するとともに、救急隊、警察、検察等の関係機関との連携強化を目指してまいりました。その上で電子媒体などを利用したグループ内団体の活動状況の報告体制を構築し、各団体の活動目標、指標の設定とその形成評価を基に、柔軟な目標設定と現実的プロダクト生産を行う方針といたしました。これらの方針に基づき、各団体の現在までの活動状況と、今後の具体的な活動方針を調査いたしました。これらの調査に対して回答いただいたのは、スライドにお示しします、児童虐待防止協会をはじめとする6団体で、以下にその内容をお示しします。

 まず、特定非営利活動法人児童虐待防止協会では、大阪を中心とした活動が活発になされています。具体的には、電話相談の実施、冊子を利用した高校生へのアプローチ、虐待傾向を持つ母親と子どもへのグループケアなどに加え、チャイルドアビュース研究会を開催して、公開講座やセミナーの実施、関係諸機関との懇話会開催、自治体への事業提案と事業受託、機関誌を発行しての広報啓発活動などです。今後の活動方針としては、御紹介した活動をさらに推進するとともに、子ども虐待予防に関わるNPO間の交流、自治体とNPOの交流を図り、今後、子育て支援から虐待防止についての総合的なプランの下に、自治体とNPOとのコラボレーションを目指していきたいというような御報告をいただきました。

 次いで、公益社団法人日本助産師会の活動をご報告いたします。日本助産師会では、平成27年度子ども子育て支援推進研究事業により事業に参加し、産後母子と家族へのケアの必要性を研究するとともに、臨床面では産後母子の受け入れ、育児不安、母乳支援等に努力していただきました。さらに、妊産褥期を通した助産師による保健指導の充実、保健師と関係職種との連携に努力するとともに、妊娠前からの活動として、思春期世代に対する命の教育などを通じて、生命の大切さを伝える活動を行っていただきました。今後の活動目標としては、妊産褥期における母親のメンタルヘルスケア介入、育児支援の強化および産後ケアの充実推進のための研修等を企画しているとのことでした。

 続いて、日本歯科医師会についてご報告いたします。都道府県歯科医師会に対し、虐待に対する取り組みとして、アンケート調査を実施しました。その内容は、虐待に対するパンフレットなどを作成しているか、虐待通告令の把握をしているか、児童相談発、家庭支援センターとの家庭支援の連携はあるか、都道府県における児童虐待に関する協議会に、歯科医師会は参加しているかなどです。各都道府県単位の詳細な結果については、お手元の冊子に掲載されておりますので、後ほど御覧ください。また、今後の方針については、各地区における児童虐待の対応の実態を把握し、取り組みに対する資料提供、研修会実施を行うための企画、具体的運営方法を含めた事業提案を例示するなどの支援を行う予定と回答をいただきました。

 次に、日本家族協会の活動について御報告いたします。多職種を対象として、効果的な児童虐待防止を念頭に置いた避妊と性感染症予防セミナーを開催されています。セミナーは、スライドにお示ししますように、札幌から沖縄まで全国8カ所で行われ、その参加者は総計1050名を数えました。さらに、電話や臨床現場の相談の場を積極的に設け、虐待の一因とされる望まない妊娠の防止に努めてくださっていました。今後の活動予定、目標としては、従来より行ってきた電話相談、思春期外来の実施、パンフレットや冊子の作成、配布、各種セミナーの実施を、いっそう充実させていく計画とのことでした。

 次に、児童相談所所長会では、全国の児童相談所関連の相互の連携を図るための情報提供と、児童相談の機能強化のための国への要請などについて、実績として御報告をいただきました。児童相談所の特性から、日常業務一つ一つが虐待防止対策に直結していることと思われます。

 最後に、日本小児歯科学会では、これまでも子ども虐待防止対応ガイドラインを作成し、ホームページに掲載し、学会員の意識、知識の統一化を図り、ガイドラインにのっとって対応できるようにされているとのことでした。しかしながら実際には、歯科健康調査において、虐待が疑われるケースの通報をためらう小児歯科専門医が多いことが、アンケートの結果から分かったそうです。その一因として、歯学部での虐待に関する教育の不足を懸念され、虐待に関する講義の実態調査を行うだけでなく、学会の教育問題検討委員会において、歯学部教育における虐待についての講義を要請されたとのことです。そして、日常診療の場においても、歯科健康調査における知識の向上が虐待の防止と早期発見につながるので、各歯科医師会単位でのセミナー開催を企画していらっしゃるということでした。特に、地域の小児歯科専門医が他団体と連携して、子ども虐待の防止対応に取り組んでいる実例を紹介して、啓発活動を今後もさらに活発に行いたいと計画されています。

以上、まとめですが、駆け足で第3グループの活動をご紹介してまいりました。活動調査にご協力いただいた団体は、基幹団体を含む38団体中7団体と、一見わずかではありますが、回答をいただけなかった団体も地に足の着いた地道な努力を続けてくださっているようです。

 今後も継続的に活動調査を行い、協力を求めていきたいと思いますが、そもそも活動調査自体が啓発活動になり得るものと私どもでは考えております。基幹団体としての責務としては、本日御提示した活動内容を、所属団体全体で共有する体制を構築していくことを目指したいと考えています。御清聴ありがとうございました。

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは、ただ今の発表内容について、御質問がございます方は挙手の上、所属団体と名前をおっしゃっていただき、御質問をお願いしたいと思います。御質問ございます方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、松裏先生、ありがとうございました。

 それでは続きまして、テーマ4、「調査研究やカウンセリング体制の充実・ガイドラインの作成等」について。幹事団体、公益社団法人日本小児科学会の永光信一郎先生より御報告をいただきます。それでは永光先生、よろしくお願いいたします。

 

公益社団法人日本小児科学会 永光氏

こんにちは。テーマ4の幹事団体の、日本小児科学会の永光です。私たちに与えられたテーマは調査研究、そしてカウンセリング、ガイドラインの整備であります。

 今年1年間で、下のオレンジにあります2つの団体さんが、加入してくださいました。トータルで32団体になります。そして、1番、2番、3番に書かれている内容に関して主に従事を私たちのこの32団体はしております。これは昨年最後のスライドですけれども、昨年の総会での目標として、円滑な活動に向けて28年度にすることということで、まずは互いの学会を理解し合って、この運動を盛り上げていきたいと考え、学会に講師を招き、理解し合っていこうということでしたけれども、残念ながら行われたのは1つだけでした。これはやはり、運営費をどうするかというところが問題かと思います。

 そして、二つ目はそれぞれ手法が違うかと思います。不登校に対しても、いろいろな団体さんは、手法が違うけれども、目的は一緒でございます。その目的達成のために、公的資金を獲得して、協力し合って調査研究を行っていこうということです。これに関しましては、厚生労働省様から資金を支援していただきまして、思春期の母子保健に関して、保健指導の在り方に関する調査研究を実施いたしました。これにつきましては、後で少し御報告させていただきたいと思います。これら、基盤課題3つ、重点課題2つに関して、この1年間の活動について16の団体様からご報告をいただきました。一つずつお話ししますと、基盤課題Aに関してはかなり、先ほど加藤先生のお話でもありましたように、多くのグループがこのように調査研究、あるいはシンポジウム等を開催してくださっております。

 やはり皆さま、妊産婦と乳幼児のこの一貫した保健指導が大切であろうと考えおられます。そして、学童期あるいは思春期の保健ですけども、先ほどの妊産婦の問題に関しましても、妊産婦から指導を始めるわけではなく、思春期から始めなくてはいけないという理念の下、皆さまたくさん、このような形で調査研究、あるいはシンポジウムを開催されておられました。ところが、この基盤課題Cになりますと、ややと申しますか、減っております。もしかしたら健やかな成長、あるいは地域づくりという概念が少し抽象的なものであるのかもしれません。だから、自分たちの活動が当てはまるかどうかというところで、躊躇されたのかもしれません。ただ、先ほどの課長さんのお話等で、地域づくりというものがどういうものか、少しアイデアをいただいたと思います。ただ、重点課題になりますと、このように当てはまりますかと質問したら、こんなふうに少ない形になりました。これも、もしかしたら育てにくさという、この定義が何なのか、団体の中でも十分把握できていないためかもしれません。

重点課題の2番のほう、妊娠期からの虐待防止ですけれども、これは先ほどの重点課題1に比べると増えますが、やはり小児科と産婦人科の連携が必要ですし、さらには精神科の先生が入ってきていただかないと、なかなか充実したものができないのかもしれません。これは、今年加入された京都大学の方の報告ですけれども、学校健診をデータベース化して、そこからいろんな疾病の予防、そして病気の抑制、少子化に何かデータを得ることができないかという、大変興味深い研究をされておられます。このたび、日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会様が賞を受賞されたこと、大変おめでとうございます。そして、このようなテーマでも、進歩がなされておりますけれども、子どもの貧困がマスコミで報道されておりますけれども、私たち調査研究チームが、子どもの貧困が及ぼす子どもへの心身の影響を、今後、調査していかなければいけないのではないかと思っております。

 さて、ここからは先ほどのアンケートでありますけれども、お手元にあるのは中間報告になりますので、こちらが最終報告になります。中学生、高校生で、質問紙が異なるのは、高校生のほうに1問、性体験がありますかという質問を、高校生のほうで載せております。そして全国で中学生1万3000人、そして高校生が9000人。トータル2万2000人でアンケートをすることができました。そして、公立私立の学校別、大都市、中都市、小都市でやっております。今日、来る途中、飛行機の中で少しデータを見ておりましたところ、驚いたことは、地域によって全くデータが違うところがあります。地域格差がかなり出ているところがありました。またこれは、報告書でご報告させていただきたいと思います。皆さんが気になっている少子化というところで、「将来、結婚したいと思いますか」、中学生、高校生に聞いております。中1は約6割の子が結婚したいと思うとなっています。まだイメージがつかないだろうと思いますけれども、徐々に中2、中3と、少しずつ増えていっております。そして、高校生になっても72パーセント、高2で74パーセントとなっています。ただ、少し高3で、下がってきているのかもしれません。73パーセントになっております 一方、 子どもが欲しいかに関しては、少しずつ増えていき、ここでも、高校3年生で、横ばいになってきているという状況になります。 一方で、こういうデータもあります。結婚したいと思いますか。思う人は、ほとんど9割の人が、子どもを欲しいと思っておられます。一方で、結婚はしたくはない、けれども子どもは欲しいという方が10パーセントいるというデータになっております。これが高校生となりますが、中学生はどうかといいますと、5パーセントぐらいそういうお子さんたちがおられるということで、少し年代とともに増えていくのかもしれません。では、いつ頃結婚したいですか、ということですけれども、中学生では2つのピーク、23歳のピークと25歳のピークがあるかと思います。高校生では、25歳と28歳のピークがあるかと思います。ただここで見ますと、25歳のところに注目しますと、中学生では中1、中2、中3と25歳の割合が高くなってきます。一方で高校生は、高1、高2、高3という形で徐々に25歳希望が減っていっております。一方でこの28歳のところがこのように上がってきているという現状であります。子どもが欲しいと思う方にお聞きして、何人子どもが欲しいですかと聞きますと、多くの方が2人もしくは3人というふうに、1.8よりかなり大きな数字を希望されておられるようです。その家庭で育って良かったと思いますか。とても良かった、大体良かった、あまり良くなかった、全く良くなかった。これで見ますと、やはり良い家庭で育つと、早く結婚したいという感じになります。これ中学生ではイメージが湧かないけれど、このグレーの率が高校生では減ってくるという現状であります。

 では中学生1万3000人に、君の悩みは何だろうと聞いております。体のこと、友達やいじめのこと、両親兄弟、異性のこと、性に関すること、結婚、それから喫煙やそういう周辺のこと。皆さん想像してください。どれでしょう。実は彼らがこの中で悩むのは、成績のこと、そして進路のことでありました。思春期だから性のことに関することの悩みが多いのかと思ったら、彼らは成績のことを悩んでおられる。では、それをどこに相談しましたか。両親、学校、友達、インターネット。青が両親です。家族です。黄色がインターネットであります。非常に、例えば両親の悩みについてもインターネットで5割の子が調べるという現状であります。では、これが高校生になったらどうなのか。こちらの左のほうは大体同じかと思いますけども、実はここが逆転しております。進路のことの悩みが増えております。そして、見て分かるように、この黄色の率がぐんと増えております。もう一度、中学生出します。これが中学生で、高校生。こういうふうに、インターネットのところがぐんと伸びてきている状況であります。

 では、健やか親子第一次で悪化した指標、子どもの自殺率の上昇です。先ほど課長さんからもデータを提示していただきましたけれども、内閣府のデータで自殺の原因として多いのは進路のこと、それから成績のことというデータが出ております。では、成績のことで悩みが、ない、あり。ありのほうが多いわけですけれども、黄色が、過去に試みた、です。でもその差はわずかであるかもしれません。進路に関しても、やはり友達の悩みがある方、あるいはいじめに関して悩みがある方は、死を考えたことがある率がすごく増えております。

 そして、もう一つは性に関する悩み。自分の性、あるいは他人の性に関する悩みがある方も、このように増えております。

 そして、最後は両親です。両親に関する悩みがある方も、このように増えております。ここでちょっと特記すべきことは、両親の関係の悩みのない人も、死を考えたことがある。リストカットかもしれません。あるいは首にひもを巻いたかもしれません。あるいは自殺のホームページを見たのかもしれません。どこを見ても、この黄色の所に5パーセントという数字が出てきます。そして、ネットでいじめを受けると、やはりそういうふうに思う方は多くなります。そして、友達が多いと少ないですけど、やはり少ないとこのように自殺のことを考えることが多くなります。そしてここは、家族との会話です。家族といつも会話する方。全く会話しない方。やはり、全く会話しない方に、そういうふうな自殺のことを考えることが増えてきているようであります。では今度、親子ということで、親子と家族は家の中でよく会話をしますか。いつもする、しばしばする、時々、たまに、全くない。やはり、家族、よく会話をするほうが友達も多くなりますし、幸せと感じている率も高くなります。そして、1人と感じる、全く感じないという率が増えてきます。では、家族の中でよく会話をする、では付き合っている人はどうですかというのは、あまりこれは出ておりません。ただ、性交の経験はあるかどうかといいますと、家族の中で会話が少ない方が、少し性交の経験がある率が2倍ぐらいに増えております。そういう子たちが、早く家庭を持ちたいのか、あるいは寂しいと思っているのか、16歳から20歳の間に結婚したいというブルーの率も増えております。別の質問で、今の家族の中で育って良かったと思いますか。とても良かった、全く良くなかった。これも同じように、とても良かった所では、友達も多いし幸せと感じる人も多いです。そして、1人ぼっちと考えない、全くない、という方は多くなります。こちらのほうでは、あまり性交とかあるいは結婚の年齢等は、少し飛び出しておりますけれども、そのようなデータが取れます。

 最後のほうですけれども、あなたは両親のことで悩みがありますか。あり、なしでしておりますけれども、両親のことで悩みがないほうが友達も多く、幸せと感じ、1人と感じないという人が多くなっております。

 最後に、付き合っている人、性交、それから、何歳ぐらいで結婚したいですか。両親に関しての悩みがある人、ない人を比べますと、両親のことで悩みがある人に関して、性交が2倍以上になっております。そして、早期に結婚をしたいというデータが出ております。

 最後のスライドです。アンケートの結果のまとめですけれども、まず健やか親子第一次での悪化した指標、この自殺の上昇ですけれども、今回のデータでもいろんな因子が絡んでいることが分かったかと思います。だから、私たちはどのような対策を講じることができるのか、この健やかの中で考えていかなくてはいけないと思っております。

 そして、親子。アンケートの調査で、親子関係の重要性をあらためて認識したと思います。しかし、初めにありましたように、健やか親子という定義は何であろうかと。そして、われわれはどのようにその親子関係を啓発していけばいいのか、支援していけばいいのかということを考えていかなければならないと思っております。御清聴ありがとうございました。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。それでは、発表内容について、御質問ございます方、所属団体名とお名前をおっしゃって御質問をお願いいたします。御質問ございます方、いらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。それでは永光先生、ありがとうございました。

 以上、テーマグループの活動報告でございました。発表いただきました先生方、ありがとうございました。引き続き、平成29年度もよろしくお願いいたします。

 なお、平成29年度より、テーマグループ3の幹事サブ団体に、公益社団法人日本小児科学会が加わることになりましたことを、この場で御報告申し上げます。

 それでは、閉会の挨拶に移らせていただきます。御挨拶いただきますのは、健やか親子21推進協議会会長、五十嵐隆先生です。五十嵐先生、よろしくお願いいたします。

 

○健やか親子21推進協議会会長 五十嵐氏

2時間にわたりまして、第16回の健やか親子21推進協議会総会に、ご出席いただきましてありがとうございました。今日は天気も悪いのでどうなるかと思いましたけども、昨年よりもご出席が増え、大変うれしく思っております。

 今年度で本事業は2年目が終わろうとしております。一昨年より国民運動「健やか親子21」を盛り上げるために様々な事業を始めました。その事業の一つである『健康寿命をのばそう!アワード』には今年もたくさんの応募があり、非常にユニークな活動が表彰されました。誠におめでとうございます。また、シンボルマークに初めて名前が付きまして、かわいい名前が選ばれましたことは喜ばしいことだと思います。

 今日の総会では、88の団体がいろいろな取り組みをされていることの情報共有がされ、大変良かったと思います。皆さん、よくまとめていただきまして、ありがとうございました。それから、調査研究なども行っていただきまして、本当にありがとうございました。

 なぜこの国民運動「健やか親子21」が必要かについて、少し考えてみました。現状では日本の子どもたちが、バイオサイコソーシャルな存在として捉えられてないためではないかと思います。バイオロジカル、すなわち身体の病気の治療や予防について日本はすごくいいのではないかと思います。しかしながら、サイコソーシャルには、子どもたちが十分に対応されていないのではないかと思います。先ほど、神ノ田課長も御指摘されましたが、第一次の運動で達成できなかったことの多くは、心の問題でした。さらに、健やか親子の定義について質問がありました。私は、家族全体がバイオサイコソーシャルに健康である状態が健やかな親子であると考えます。バイオサイコソーシャルに健康である親子を目指して、様々な問題を解決すべく、努力したいと考えている次第です。

 母子保健という言葉は、母親と、周産期から6歳ぐらいまでの子どもを対象とするものと考えることがこれまで多かったと思います。しかしながら、6歳までではなく子どもが大人になるまでと考えるべきだと思います。欧米では成人になるまでの子どもが小児科の守備範囲で、アメリカでは21歳までが小児科医が担当します。神ノ田課長もこの考えに同意されておられます。日本が今までやってきた医療や保健が対象年齢の延長とサイコソーシャルな面での対応が今後必要であり、しばらくの間はそれを補てんするためにこの活動があると考えている次第です。

 第一次と第二次の運動の間で大きく違っているのは、社会情勢です。子どもの相対的貧困率がふえていますが、忘れてはいけないのは20歳から25歳までの年齢のグループが一番貧困であるという事実です。東京都が2月13日に生活情報調査の中間報告を出しております。東京都のホームページに出ております。こうした新しい難しい問題が母子保健の領域でもでていることを十分に理解して、この活動を、さらに皆さんと一緒になって頑張っていきたいと思います。ぜひご協力をいただきたいと思います。

 今日は雨の中ご出席いただきまして、本当にありがとうございました。また来年度も、よろしくお願いいたします。

 

○健やか親子21(第2次)事務局 

ありがとうございました。これをもちまして、平成28年度、第16回健やか親子21推進協議会総会を閉会とさせていただきます。

 会場出口にて、各団体さまからお持ちいただきました、資料を御用意しております。どうぞ御自由に、お持ち帰りください。お持ち帰り用の紙袋等もお配りしておりますので、どうぞご利用ください。また、本日、傘などお忘れ物のないよう、お気を付けてお帰りください。本日は誠にありがとうございました。これにて終了とさせていただきます。


(了)

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