ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2016年12月20日)




2016年12月20日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年12月20日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

出席委員(10名)五十音順

石郷岡   純、  遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、 ◎鈴 木   勉、
関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、  花 尻 瑠 理、
宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)

妹 尾 栄 一

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
伊 澤 知 法 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、妹尾委員から欠席の御連絡を頂いております。また、関野委員と桐井委員が所用でちょっと遅れていらっしゃるようですが、御出席との御連絡を頂いておりますので、現在のところ、当部会の委員数11名のうち御出席予定を含めまして10名ですので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 それでは、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、資料が1~3まで、参考文献が1~21まで、参考資料が1~3までとなっております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい5物質につきましては、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~5まで、それぞれ、記載しております。これらの物質について指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思っております。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 まず、資料2を説明させていただければと思います。詳細は、後ほど、資料3を用いて御説明いたします。資料2には、審議物質及び構造が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。

 まず、資料2-1です。審議物質1.のAMB-CHMICAに構造が類似する指定薬物や麻薬について自発運動への影響やカンナビノイド受容体に対するデータをまとめております。審議物質は、自発運動を抑制し、カンナビノイド受容体への活性を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-2には、審議物質2.Escalineに構造が類似する指定薬物や麻薬について、症状観察、自発運動への影響、セロトニン受容体のアゴニスト活性のデータなどをまとめてございます。審議物質は動物実験において自発運動量を増加させており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 続きまして、資料2-3です。審議物質3.Furanylfentanylと審議物質4.Carfentanilに構造が類似する指定薬物や麻薬について、症状観察、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する親和性、マイクロダイアリシスのデータをまとめております。審議物質は、過去に指定した麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 最後に、資料2-4です。審議物質5.-47700に構造が類似する麻薬について、オピオイド受容体に対する親和性をまとめております。審議物質は、過去に指定した麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 では、資料3に入らせていただきます。まず、資料3-1のAMB-CHMICAを説明させていただきます。

 1ページ目を御覧ください。通称AMB-CHMICAですが、指定薬物であるMDMB-CHMINACAと構造が類似する化合物です。まずは、()行動・中枢神経症状の観察といたしましては、マウスにAMB-CHMICA(15mg)を添加したマーシュマローリーフをタバコ両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼終了15分、30分、60分後の行動及び中枢・自律神経症状の観察を行いました。

 2ページ目を御覧ください。AMB-CHMICAをばく露したマウスは、陰性対照であるマーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、痛反応、耳介反射、角膜反射及び払いのけ動作の亢進、立ち上がり動作、自発運動、筋緊張度及び懸垂力の抑制、異常歩行及び異常姿勢が確認されたと報告を受けております。表1には、AMB-CHMICAの吸入ばく露時の行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値の抜粋を載せております。

 次に、3ページの()には、カタレプシー試験の実施結果を記載しております。AMB-CHMICAばく露後15分で、5匹中2匹が陽性となり、30分、1時間後は、全て陰性であったとの報告を受けております。

 続きまして()に、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。AMB-CHMICAについては、S体とR体、それぞれ、アゴニスト活性を確認しており、S体については、CB1受容体の値が1.43×10の-8乗(mol/)、CB2受容体は7.83×10の-6乗(mol/)であり、R体については、CB1受容体の値が6.20×10の-8乗(mol/)、CB2受容体は1.78×10の-6乗(mol/)でした。参考として他の文献ではありますが、麻薬であるJWH-018のヒトカンナビノイド受容体親和性に関する報告値も載せております。S体、R体ともに、過去に指定した指定薬物と同等以上の作用を有していると考えております。以上から、AMB-CHMICAは中枢神経に作用する物質と考えております。

 最後、3ページの下段()海外での流通状況ですが2015年にスロベニア、トルコにおいて、2016年にウクライナ、イギリス、スウェーデンにおいて流通が確認されております。

 以上の1物質につきまして、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。最初に、□□委員から流通実態について御報告をお願いいたします。

□□委員 □□□□における分析調査の結果、本化合物は検出していないことを御報告いたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ただいま事務局より説明のありました物質について委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。これまでの報告と非常に類似した結果になっておりますのでよろしいでしょうか。それでは、御質問がないということですので、まとめさせていただきたいと思います。

 ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料3-2のEscalineについて御説明いたします。資料3の4ページを御覧ください。

 通称Escalineですが、麻薬であるメスカリン、指定薬物であるAllylescalineや3C-Eと構造が類似する化合物です。まずは、行動・中枢神経症状観察に対する影響についてです。マウスにEscaline(mg/kg20mg/kg100mg/kg)を経口投与し、投与後30分、60分、120分の神経症状を観察したところ、2mg/kg投与群では、対照群と比較して、立ち上がり動作のやや亢進と瞳孔の散瞳が確認されたと報告を受けております。20mg/kg投与群では、攻撃性、触反応、痛反応、耳介反射、角膜反射、払いのけ動作の亢進、反復動作、外界反応、立ち上がり動作、自発運動のやや亢進、また懸垂力の抑制が確認されたと報告を受けております。100mg/kg投与群では、攻撃性、反復動作、触反応、痛反応、耳解反射、角膜反射、払いのけ動作の亢進、立ち上がり動作、自発運動のやや亢進、また懸垂力の抑制、洗顔運動のやや抑制が確認され、さらに、体勢が傾く異常姿勢も確認されたと報告を受けております。

 5ページの上段の表2には、Escalineに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値の抜粋を載せております。5ページの下段から、()として運動活性に対する影響につきまして、マウスにEscaline(20mg/kg)を経口投与して、投与後3時間までの10分毎の自発運動量を測定した結果を示しております。6ページのFig.1と合わせて御覧いただければと思います。

 まず総運動量は、投与後30分~140分でコントロール群(蒸留水)と比べて多い傾向があり、特に投与後40分~60分、80分~90分、110分~140分で有意な差を示しております。1回の運動量が3cm以上の大きな運動量についても、投与後30分~140分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後30分~90分、110分~140分、180分で有意な差を示しております。立ち上がり回数は、投与後40分~80分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後50分~60分、80分で有意な差を示しております。

 最後に総移動距離ですが、投与後30分~140分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後40分~60分、80分~90分、110分~140分で有意な差を示しております。

 続いて、6ページの中段()として、セロトニン受容体のアゴニスト活性のデータをまとめてございます。これまでに指定した指定薬物と同等の活性が認められております。以上から、Escalineは中枢神経に作用する物質と考えております。

 最後、6ページの下段の()海外での流通状況ですが、2013年にスウェーデン、スペイン、ドイツ、フィンランド、フランス、2014年にルーマニアで流通が確認されております。

 以上の1物質につきまして、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、また同様に、□□委員から流通実態をお願いいたします。

□□委員 □□□□における分析調査の結果、本化合物は、粉末試料1製品から検出を認めております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ただいま事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。自発運動の活性、セロトニン2A、2Cへの結合等が見られておりますので、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、審議をまとめさせていただきます。

 ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料3-3のFuranylfentanyl、7ページを御覧ください。そのあとに、資料3-4といたしまして、Carfentanilがあります。同じFentanyl系の薬物ということで、2物質続けて御説明させていただければと思います。まずは、資料3-3のFuranylfentanylについて御説明いたします。7ページを御覧ください。

 通称Furanylfentanylですが、麻薬であるfentanyl、指定薬物であるOcfentanilと構造が類似する化合物です。

 まずは、行動・中枢神経症状観察に関する影響につきまして、マウスにFuranylfentanyl(mg/kg20mg/kg100mg/kg)を経口投与し、投与後30分、60分、120分の神経症状を観察したところ、2mg/kg投与群では、対照群と比較して、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制、消極性、払いのけ動作のやや抑制。また、攻撃性、外界反応、挙尾反応のやや亢進と、瞳孔の散瞳が確認されたとの報告を受けております。20mg/kgの投与群では、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制、痛反応、払いのけ動作、懸垂力のやや抑制。また、挙尾反応の亢進、攻撃性、反復動作、外界反応、触反応、自発運動のやや亢進と、強い瞳孔の散瞳が確認されたと報告を受けております。100mg/kg投与群では、洗顔運動、触反応、痛反応、立ち上がり動作、耳介反射、角膜反射、払いのけ動作の抑制、消極性、懸垂力のやや抑制。また、反復動作、挙尾反応の亢進、攻撃性、自発運動のやや亢進と、体温のやや低下。さらに、異常姿勢、異常歩行、より強い瞳孔の散瞳も確認されたと報告を受けております。

 8ページの上段の表3には、Furanylfentanylに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値の抜粋を載せてございます。8ページの下段に()として、運動活性に対する影響について、マウスにFuranylfentanyl(20mg/kg)を経口投与し、投与後3時間までの10分毎の自発運動量を測定した結果を示しております。9ページのFig.2と合わせて御覧いただければと思います。

 まず、総運動量は、投与直後から110分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後60分で有意な差を示しております。1回の運動量が3cm以上の大きな運動量についても、投与直後から110分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後60分で有意な差を示しております。立ち上がり回数は、投与直後から50分でコントロール群と比べて少ない傾向を示しましたが、有意な差は認められておりません。総移動距離は、投与直後から110分でコントロール群と比べて多い傾向があり、特に投与後60分で有意な差を示しております。

 9ページ下段から10ページにかけまして、()にマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化についての報告を記載しております。10ページのFig.3のとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれも、有意に増加することが確認されています。

 続いて、11ページ()にヒトオピオイド受容体(μ及びκ)に対するアゴニスト活性(EC50)を測定した結果を載せてございます。Furanylfentanylのμ受容体のEC50が、6.45×10の-10(mol/)、κ受容体のEC50が、1×10の-5乗(mol/)を上回る結果となっております。参考として、他の文献に麻薬であるFentanyl及びMorphineのオピオイド受容体活性のデータを示しております。Fentanylのμ受容体のEC50が、2.88×10の-8乗(mol/)Morphineのμ受容体のEC50が、2.06×10の-7乗(mol/)となっております。以上から、Furanylfentanylは、中枢神経に作用する物質と考えております。

 最後に、11ページの中段の()海外での流通状況ですが、2015年にカナダ、フィンランド、2016年にアメリカにおいて流通が確認されております。また、()死亡事例ですが、2015年から2016年初めにかけて、アメリカで8例の死亡事例が、また、カナダにおいても1名の死亡事例の報告がありました。

 続きまして、資料3-4のCarfentanilについて説明させていただきます。12ページを御覧ください。通称Carfentanilですが、こちらも、麻薬であるFentanyl、指定薬物であるOcfentanilと構造が類似する化合物となります。

 まず、()にオピオイド受容体(μ、δ及びκ)に対する受容体親和性に関する報告がありましたので載せております。Carfentanilのμ受容体のKi値が2.4×10の-8乗(mol/)Morphineのμ受容体のKi値が1.45×10の-6乗(mol/)と、麻薬であるMorphineよりオピオイド受容体への親和性が強い結果となっております。参考として、他の文献に麻薬であるFentanyl及びMorphineのオピオイド受容体活性のデータを13ページに示しております。

 続きまして、13ページの()の鎮痛作用に関する報告についてですが、この中でラットにCarfentanilを静注投与して、tail-flickテストなどを用いまして鎮痛効果やCarfentanilのLD50を検討した報告を確認しております。ここでは、CarfentanilMorphineを比較した表をお示ししております。Carfentanilは強力な鎮痛作用を有していることが、この表からも分かります。中央のカラムにMorphineを1とした際のCarfentanilの鎮痛作用の効力比が10,031と示されており、このことから、Carfentanilの鎮痛作用はMorphineの約1万倍と非常に強力であることが確認されております。以上から、Carfentanilは中枢神経に作用する物質として考えております。

13ページの中段()海外での流通状況ですが、2013年にラトビアにおいて流通が確認されております。

()死亡事例です。2002年にロシアの特殊部隊がテロの現場でCarfentanilを含んだエアロゾルを使用し、125名の死者を出しています。また、()ですが、米国麻薬取締局は、Carfentanilの危険性について報道発表を行うとともに、捜査官に対しても、取扱い等について注意喚起が行われているところです。

 以上の2物質につきまして、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、□□委員から日本での流通実態をお願いいたします。

□□委員 はい。□□□□における分析調査の結果、この2化合物については、今までに特に検出事例はありません。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、ただいま事務局より説明のありました2物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

□□委員 9ページの行動解析の結果について、考え方を見ていただきたいのですが、例えば、倍以上の差がある、立ち上がり回数とか総移動量。確かに大雑把に見ると、倍近いくらいの出だしがあるのです。これに有意差が付いていないということ。この有意差検定の制度というか、この行動解析の制度が非常に心配になってきたのですが、ほかの先生方、どう御覧になるかと思って教えていただきたいと思います。

○鈴木部会長 まず、どうですか、最初に事務局からお願いいたします。

○事務局 先生が御指摘の所は、9ページの4つある中の左下の立ち上がり回数のグラフで、投与10分後の所に開きがあるにもかかわらず、エラーバーがかさなっていることについてでしょうか。

□□委員 そうではなくて、かぶさっている所は有意差がないのはいいのですが、立ち上がり回数の一番最初の出だしの所の10分の所はエラーバーが3,000の所、最初の10分はすごくエラーバーが小さくて、コントロールの所が。それで。

○事務局 なるほど。最初の所を見ていくと小さいですね。

□□委員 そう、それを見ると、最初の所は有意差があっても、別にいいという気がするのですが、このグラフだけのバーの感じからいきますと。ここに有意差がないのはどうしてかなということが気になりまして。最初の、要するにコントロールのほうのエラーバーはすごく小さいのです。全体として、全体の試験を幾つか組み合わせて、これを指定することに対しては全く異議はないのですが、この行動解析のデータの統計的な解析のところに少しだけ疑問があるので、行動解析の制度はどうなっているのかということで、文献の7番を見たのですが、そういう所についての現象がない、何検定をしましたとかいうことが見当たらないのです。試験を担当している所で、動物数とか、どういう処理をしてこのエラーバーができているのかというところが、もう少し明記したほうがいいかと思って。

○事務局 確かに途中のエラーバーの変動の部分も含めて、そこの部分を注意して見ていきたいと思います。

□□委員 そうですね。特に10分の所は、コントロールのエラーバーがすごく小さいですから、それで倍近い平均値があるのに、全く有意差が付いていないのは、あらっと思って。その下はエラーバーは大きいので、有意差がなしというのは当然、理解できるのですが、どういうのがコントロール値になっているのだろうかというのをしっかり明記してもらいたいと思いました。

○事務局 分かりました。生のデータを見ていきまして、どういう現象が起きたのか分析してみたいと思います。

○鈴木部会長 では、□□委員からお願いいたします。

□□委員 これはあくまでも統計、検定の問題でして、平均値の差の検定ですよね。ですから、どういう検定法を使ったかを明記したほうがいいと思います。見た目に倍も違うということですが、視覚で決めるわけにはいきませんから。

□□委員 そうです。そこで、きっかけとして、気になって見たら、比較的あまり明記されていないことに気が付いたので、そこをよろしくお願いいたします。

○事務局 次回、このような試験については、動物数やどのような検定法を用いているか、表を見て分かる形で表記させていただければと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただいま審議いただきました2物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料3-5、U-47700について御説明いたします。資料3の14ページを御覧ください。通称U-47700ですが、麻薬であるAH-7921に構造が類似する化合物です。()にオピオイド受容体(μ及びκ)に対する受容体の親和性に関する報告がありましたので載せています。

 U-47700のμ受容体のIC50値が9×10の-9乗(mol/L)、AH-7921のμ受容体のIC502.5×10の-8乗(mol/L)と、麻薬であるAH-7921と同等のオピオイド受容体への親和性を有しているという結果が確認されています。

()では、マウスにU-47700を皮下注射し、鎮痛作用を評価する試験の中で行動観察をしております。その行動観察において、U-47700を投与したマウスで、モルヒネと同様の挙尾反応や運動量の増加が確認されています。以上のことから、U-47700も中枢神経系への作用を有する物質と考えております。

 下段の()海外における流通状況ですが、2015年にカナダ、スウェーデン、2016年にアメリカ、イギリス、スペインにおいて、流通が確認されております。

 また、15ページの()死亡事例は、2015年から2016年始めにかけてアメリカで、U-47700を摂取したことによる16名の死亡事例が確認されております。また、2016年、ベルギー、イギリスにおいても、U-47700の接種による男性2名の死亡事例も確認されております。以上の1物質について、指定薬物として差し支えないと考えておりますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、□□委員から流通実態をお願いいたします。

□□委員 □□□□の分析調査の結果、本化合物は、粉末1試料から他の化合物との混合物として検出されております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

□□委員 ()の文献19の情報が不足、孫引き、オリジナルの文献がないようなので、データの真偽を確認することができないのではないかという懸念があるのです。ただ、死亡事例もありますので、指定薬物にすることについては問題ないと思っておりますが、ここの中枢神経の作用観察は、せっかく項目を出してこうなっているのに、オリジナルのデータが足りないかなと。文献19番だと、合成で、多分。これはオリジナルの文献を参考に探して付けていただけたら有り難いと思いますので、お願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。JMCということで、余り効果に関する報告は少ないようですね。ほかにいかがですか。

□□委員 構造に関してですが、シクロヘキサン環に二つの置換基が付いていますので、理論的には4種類の立体異性体の混合物です。この部会のルールではこの結論で良いと思うのですが、流通実態はどうなっているかについて、何か情報があったら教えてください。

□□委員 分析の結果、それがトレオ体かエリトロ体かというのは確認しておりませんが、製品中からは基本的には1ピークで検出されていますので、どちらかの立体構造を有する薬物が主に流通していると考えられます。

□□委員 オピオイド受容体に作用する化合物なので立体特異性は非常に高いと思います。文献19に合成法が書かれていて、それを見ましても、この合成法ですと、多分ほとんどトランス体ができます。逆にシス体を作るのは非常にテクニックが要るので、別の方法で作らなくてはならない。ですから、多分、シス体の光学異性体は混じっていないと思うのですが、それは標品としてはお持ちではないのですか。

□□委員 先ほど申しましたとおり、我々が分析した製品中薬物は、基本的にはクロマトグラム上、1ピークで検出されており、もう片方の立体異性がそれなりの量混入している製品は所有していません。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、ありがとうございます。発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめさせていただきます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。

 ありがとうございます。では、引き続き説明をお願いいたします。

 はい。どうぞ。

□□委員 審議結果は全て了承しているのですが、記録に残すためにコメントさせてください。今回、五つの化合物があって、構造的にそのうちの三つにphenethyl構造が入っていて、化合物1はphenethylamine誘導体ですし、化合物3と化合物4はFentanyl系の化合物です。それに対して、資料1を御覧になっていただくと分かるのですが、化合物2は「フェニルエタン」という形で、化学名を付けていて、化合物3と化合物4は「フェネチル」と命名しています。

 これはどうしてこのようなことになったかと言うと、この両方の化合物、phenethylamine系もFentanyl系も、類似の化合物はいっぱい前例があり、その前例がこういう名前の付け方をしているということで、今回もそれに従って名前を付けました。それで結構だと思います。

 ただ、今後どうするのか。こういうのは統一性をとる必要がないというのでしたら構いませんが、もしも全体の整合性をとることを考えるとすれば、今、世の中がどうなっているかと言いますと、フェネチルはIUPACで認められた置換基名で、ベンゼン環の部分に置換基を付けるのは無制限に許可されています。ですから、今回のこの三つの化合物は、本来は全てphenethylで命名するのが、IUPACのルールには合っていると思います。だから、どうしてこうなったのか分かりませんが、phenethylamineが、なぜか過去にfenylethanamineと、付けてしまっているということ、コメントとしてだけ記録に残しておいてください。お願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。

○事務局 事務局です。今後のスケジュール等について、御説明をさせていただきます。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告をさせていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、正規用途について、審議物質の4番のCarfentanilについては、病態解析や薬効評価等の試験研究の用途で必要な物質であるとの情報を確認しております。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来たさないように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。事務局から、その他の連絡事項があれば、お願いいたします。

○事務局 次回の部会の日程については、正式に決まり次第、御連絡をさせていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。さらに、来年の1月に薬事・食品衛生審議会の改選があります。そのため、このメンバーでの指定薬物部会は本日が最後となります。武田医薬・生活衛生局長から一言、お礼の御挨拶を申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 医薬・生活衛生局長の武田でございます。今、事務局から話がございましたように、本年最後の指定薬物部会で、かつ、このメンバーで開催するのは本日が最後ということでございます。一言、私から御礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。

 本日、1220日ということで、年も押し迫っておりまして、年末の御多忙のところ御出席を賜りましたことに、まずは厚く御礼を申し上げたいと思います。委員の皆様方の現在の任期でございますが、来年1月までとなっております。一部の委員におかれましては、審議会の規定によりまして御退任ということでございます。□□委員、□□委員におかれましては、10年の長きにわたり委員をお務めいただきました。我々、医薬行政に対して、大変御支援・御協力を頂いたことにつきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。本日、御欠席の□□委員におかれましても、長きにわたり委員をお務めいただきました。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。

 指定薬物部会、本部会につきましては、危険ドラッグによる生命・身体に対する危害の発生の防止、国民の健康安全を守るために、指定薬物の迅速かつ効果的な指定に向けて、委員の皆様方の高い御識見に基づき審議を進めてまいります。委員の皆様方には、今後とも危険ドラッグ等の濫用を根絶させる取組に、引き続き御指導・御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。

 最後になりますが、委員の皆様方の御健康と、ますますの御活躍、また、新しい年が良い年となりますようお祈り申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。会長、本当にありがとうございました。

○事務局 事務局です。御退任されます□□先生、□□先生、よろしければですが、一言頂ければと思います。

□□委員 それでは御挨拶をという機会を頂いたもので、御挨拶させていただきます。私は、もともとは中枢刺激剤とか、オピオイドの基礎研究をやっておりましたが、4年ほど前から臨床の教室に移って、こういう行政に、より少し深く関わる立場になったもので、この指定薬物の審議に、このようにいろいろな委員の先生方と大変重要な役目を仰せつかったことは、大変光栄に思っております。

 指定薬物の指定は、十分なデータがそろわない中で、リスクをどの程度まで評価していくかという、かなり難しい作業が課せられているわけですが、専門外の先生からの審議のコメントとかを聞かせていただいて、私としては大変貴重な経験をさせていただいたものと思っております。本当にありがとうございました。また、事務局の方々にはいろいろとお世話になって、改めてこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

□□委員 □□でございます。10年、本当に短いのか長いのか全然実感がありません。とにかく今の危険ドラッグが出始めて、その当初からいろいろな分野で個人的に関わってきました。まず東京都の委員会が立ち上がりました。その後に指定薬物部会ができたわけですが、ずっと携わってきて、私は当初からこれはエンドレス的で厄介な問題だと思いました。どこかで何らかの意味での包括指定が必要だということを言い張っていたのですが、それも何とか形ができたわけです。

 ただ、包括指定は行政的に必要ですが、いざというときには個別指定をできる力を持った包括指定と言うか・・・。これは私の個人的な意見ですが、日本は薬物問題を甘く考えているように思います。世界的には大変な問題だと思います。日本はこの実感が全然ないのです。

 審議会で検討するのは非常に結構だし、どんどんやるべきですが、そのデータをどうやって作るかが重要だと私は考えています。ヨーロッパには、EMCDDAという各国の状況を集約する施設があって、今回もそこでのデータを参考資料として使っているわけですが、アメリカには、そういう組織をも含めた、もっと大きな、NIDAがあるわけです。日本もそういうものを持たないといけないと思っています。私の経験ではアジア諸国はそれを日本に期待していると見ているのです。そういう意味では、こういう審議会を、あるいは部会を支える基礎データ作りを、これまで以上にがっちりと固める必要があるというのが、私が前から言っている考え方です。

 日本の薬物濫用状況は先進諸国の中では本当に奇跡と言ってもいいくらい少ないです。桁違い少ないので、これを維持するためにも、特に厚生労働省の皆さんのお力をお借りして、そういう力をどんどん付けていくことをお願いできればと思います。是非、よろしくお願いいたします。

○事務局 □□先生、□□先生、どうもありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、□□先生、□□先生、そして本日は御欠席ですが□□先生、10年間、お疲れさまでした。ありがとうございました。それでは、これで平成28年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。委員の先生方、本日は御審議をありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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