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2016年12月13日 第8回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成28年12月13日(火)10:00~12:00


○場所

東海大学校友会館 「阿蘇の間」
東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビル35階


○出席者

田中 滋 (委員長)
阿比留 志郎 (委員)
石本 淳也 (委員)
井之上 芳雄 (委員)
上野谷 加代子 (委員)
鎌倉 克英 (委員)
川井 太加子 (委員)
(代理:小島誉寿参考人)
(代理:関口美栄子参考人)
武居 敏 (委員)
平川 則男 (委員)
堀田 聰子 (委員)
森脇 由夏 (委員)

○議題

介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けて
社会福祉士のあり方について

○議事

 

 

○田中委員長 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、第8回「福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただき、まことにありがとうございました。

 初めに、事務局より本日の委員の出席状況について説明をお願いします。

○菊池福祉人材確保対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。

 本日は、黒岩委員、高橋委員より御欠席の連絡をいただいております。

また、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部長小島誉寿参考人、高橋委員の代理として、全国福祉高等学校長会副理事長関口美栄子参考人に御出席をいただいております。

 また、堀田委員におかれましては、10分程度遅遅れるとの連絡をいただいております。

 なお、中井川審議官は、公務のため、欠席をいたします。

 また、藤原総務課長は、公務のため、遅れて到着する予定でございます。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ただいま紹介のありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様の御承認を頂戴しなければなりません。いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 ありがとうございます。

 カメラはここまでとさせていただきます。

 続いて、資料の確認を事務局からお願いします。

○菊池福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして、資料1「介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けて」、資料2「社会福祉士のあり方について」、参考資料といたしまして、「社会福祉士の現状と各種制度の動向」を配付しております。

 また、井之上委員、武居委員から提出された資料を配付させていただいておりますので、御確認をお願いいたします。

○田中委員長 では早速、ここから議事に入ります。本日は、議題が2つございます。

 まず、前回の委員会で、複数の委員から御意見のあった「チームリーダーの定義付け」に関する事柄について、事務局から説明を受けます。その後、委員の皆様から御意見をいただきます。さらにその後、社会福祉士のあり方について、委員の皆様から同じく意見を頂戴します。

 最初に、資料1について、事務局より説明をお願いします。

○榎本福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長の榎本でございます。

 それでは、資料1に基づきまして、「介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けて」ということで御説明させていただければと思います。

 それではまず、資料1ページおめくりいただければと思います。1ページ以降で、「福祉人材確保専門委員会での主な意見」についてまとめさせていただいております。前回も同様の資料を提出させていただいておりますが、今回、内容的には赤く枠で囲った部分が追加となってございます。

 まず、論点、「チームリーダーの育成について」ということでございますが、委員会におきまして、

・ チームリーダーの育成にあたっては、どのレベルのリーダーを考えるのか、定義付けをした上で必要な知識や技術を議論することが必要。

・ チームリーダーについて、養成課程で素養を身につけるとともに、養成後の学びや気づきといった訓練が重要ではないか。

・ チームリーダーの育成には、実践を振り返ってより良い実践につなげていくような、省察的実践のための対話やファシリテーションのようなものが重要ではないか。

 という御意見をいただきました。

 次に2ページに参りまして、論点といたしましては「介護福祉士に必要な資質について」というところでございますが、御意見といたしましては、

・ 現行カリキュラムの教育の中で不足しているのは、学んだ知識を統合化し、実践に活かすためのトレーニングではないか。

・ 多職種連携を意識した事例検討を積み重ね、介護実習の際に、実際のケアカンファレンスの場で確認するということが必要ではないか。

・ 地域包括ケアシステムの構築ということを見据えた場合、介護福祉士も地域社会でしっかりと役割を担っていくということを考えると、スーパービジョン等の相談・援助的な教育もカリキュラムに含めていく必要があるのではないか。

・ 家族の介護負担の軽減に資する助言ということでは、介護休業制度に関する知識や家族支援に係る知識なども必要。また、介護保険制度だけでなく、生活保護制度など社会保障制度全般についてある程度の知識が必要。

・ 高齢者に対する介護だけでなく、家族全体が抱える複合的な課題への対応ができるよう、ソーシャルワークの基礎も必要ではないか。

・ コミュニティ・ディベロップメントの力を展開していくことについても、介護福祉士の今後の資質として検討してもいいのではないか。

・ 介護福祉士の役割を担うにあたり、自立支援や介護予防という視点が足りなかったのではないか。

 という御意見をいただきました。

 次に、「介護人材のすそ野の拡大(入門的研修の導入)について」の論点につきましては、

・ 介護の質にこだわるならば、研修時間は、単に介護職員初任者研修の半分でいいとはならない。担うべき役割に対して必要な知識・技術を担保することが重要であり、まずは何を担ってもらうのかということを議論すべき。

・ 高齢者支援だけではなく、全ての住民を対象として対応できるような生活支援を学べるようなものとしてもいいのではないか。既に各地で実施されているものについて、効果や課題を調査してみてはどうか。

 という御意見をいただきました。

 そして、おめくりいただきまして3ページでございます。「介護人材のキャリアパスについて」という論点につきましては、

・ 実務経験や継続的な学習を通じて、高度な専門性を身につけていくことが必要であり、チームリーダーとしての素養を育てるにあたっても、資格取得後の学びが重要。

・ 介護の専門職というものを確立していくにあたっては、例えばドイツのような働きながら学ぶシステムを確立しレベルを上げていくなど、養成全体のシステムを変えていくことも必要。

 という御意見をいただきました。

 今回の委員会につきましては、こういったこれまでの御意見も踏まえまして、もう一回チームリーダーについて御議論をいただくのが適当ではないかと考えてございます。

 資料、4ページでございます。論点といたしましては、

・ 介護現場におけるチームリーダーには、どのような者を位置付けるべきか。また、チームリーダーは、どれくらいの介護職あるいは利用者を単位とすることが適当か。

というものでございます。

方向性といたしましては、

・ チームリーダーは、介護職としてチームケアを推進していく者であり、その役割として「高度な技術を有する介護の実践者としての役割」「介護技術の指導者としての役割」「介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割」を果たすことが求められる。

・ このため、事業所や施設に配置された介護職員の中で介護現場の中核を担うこととなることから、介護の専門職である介護福祉士をチームリーダーとして位置付けるべきであり、介護福祉士の中でも業務経験年数が一定程度あるなど、一定のキャリアを積んだ(知識・技術を修得した)介護福祉士を位置付けるべきである。

・ なお、チームリーダーとして介護福祉士を位置付ける場合、必要な介護福祉士としての業務経験年数については5年を目安とすることが考えられる。

参考として、

・ 介護分野において、ケアマネジメントを担い、ケアプランの作成等を行う介護支援専門員については、保健・医療・福祉の資格に係る業務経験等が5年以上必要。

・ 障害分野において、個別支援計画の作成を担うサービス管理責任者については、保健・医療・福祉の資格に係る業務経験が5年以上かつ相談支援や直接支援の業務経験が3年以上必要。

・ 一定期間以上の継続的な実習を行う実習施設・事業等における実習指導者については、介護福祉士としての実務経験が3年以上必要。

・ また、介護福祉士の業務実施状況を見ると、業務経験5年未満と5年以上で介護計画等への関わりに差が生じており、5年以上の者のほうがより中心的に関わっている状況にある。

 この最後の項目を数字としてあらわしましたのが、この資料、5ページ、6ページとなってございます。

 それでは、私からの説明は以上とさせていただきます。

○田中委員長 ありがとうございました。

事務局から、5年程度のキャリアを積んだ介護福祉士をチームリーダーとして位置づけてはどうかとの論点が示されました。5年程度のキャリアを積んだ介護福祉士をチームリーダーとして育成していくという提案ですが、この点につて御意見をお願いします。また、チームリーダーが担当する介護職員、あるいは利用者は何人程度が適当なのかについても御意見をお願いいたします。

 では、武居委員、お願いします。

○武居委員 資料を用意させていただきましたので、チームリーダーということについての関連した説明をさせていただきたいと思います。全体像の資料が多いので、少し余分にお時間いただくことを事前に御理解いただきたいと思います。

 私のほうから提案させていただきました資料、「福祉職員キャリアパス対応生涯研修課程について」という資料でございます。

 この研修課程については、介護、または介護職種というような専門性に着目したものではなくて、福祉人材全体の階層に注目して実行されていますキャリアパス研修についての内容の説明であります。この中でチームリーダーという概念を説明するのに必要だと思いまして用意させていただきました。現在、実際に行われている内容でありますが、順に説明させていただきたいと思います。

 まず、1ページ目の下、「福祉職員キャリアパス対応生涯研修課程の開発の経緯」が書いてあります。平成19年、人材確保指針で、「福祉・介護人材を安定的に確保していくための措置」として、「キャリアアップの仕組みの構築」が挙げられました。そして、福祉・介護サービス分野におけるキャリアパスに対応した生涯を通じた研修体系の構築を図るとともに、施設長や従事者に対する研修等の充実を図るという提言がなされました。

 そして、この提言を受けて、全社協を中心にしまして、平成2022年度、「福祉・介護サービス従事者のキャリアパスに対応した生涯を通じた研修体系の構築」を目指して事業を行ってきました。

 この事業の結果を踏まえて、平成24年度、福祉・介護サービス従事者が自らのキャリアアップの道筋を描いて、それぞれのキャリアパスの段階に応じて共通に求められる能力を段階的・体系的に習得することを支援するという目的で、「福祉職員キャリアパス対応生涯研修課程」が開発されたという経緯がございます。

 この開発に至る内容については、3枚目のところから、ページが15と振ってあります。これは平成22年の3月、上のほうに小さい字で書いてございまして恐縮ですが、「福祉・介護サービス従事者のキャリアパスに対応した生涯研修体系構築検討委員会」という、山崎美貴子委員長のもとで検討されました内容の報告書の一部をコピーさせていただきました。専門性に着目しない福祉業界といいますか、福祉職員全体を、ここの15ページに書いてありますような5つの階層に分化して、それぞれの育成を図るという内容のものでございます。

 下から順番に、新任職員、一般職員、それからチームリーダーの主任クラス、マネジメントリーダーやマネージャー、そしてトップマネジメントというような階層化をするということでございます。

 それぞれの定義について、次の1617ページにございまして、16ページの下から、チームリーダーの定義づけがついております。少し簡単に見てみますと、現場において実務をすすめる単位において「チームリーダー」あるいは「リーダー」として、指導的立場を担う職員層について、いわゆるチームリーダー層という段階と考える。

この段階の職員というのは、ユニットリーダーやクラス主担任等、小規模な職員集団におけるリーダーとなることから、メンバー間の信頼関係の構築を基本として、日常の業務課題の解決に取り組む役割を担う。いわばマネージャー的な役割の意味。

それから、(ウ)は、また、自らが当該分野の業務に従事すると同時に、現場における実務の推進役として、上位者の補佐・支援的役割と同僚・後輩に対する指導的役割が求められる。いわばプレーヤーとしての役割とプレイングマネージャー的な役割が求められると書いております。

(エ)は、内容について、同僚や後輩職員のモデルとして高い倫理観、実践能力、知識・技術が要求されるので、社会福祉士や介護福祉士等、当該職種に対応する国家資格は必要であると考えるべきである。そして、専門職団体への加入等により専門性を磨く機会の確保や、実践をベースにした研究活動等によって自ら研鑚に励む姿勢を示すことが大切である。

一方、自組織だけでなく地域の福祉課題への意識と関心を持ち、地域への働きかけを行うなどの役割が期待される。

福祉・介護現場における役職名称としては「係長」とか「主任」と称される場合が多いけれども、この段階は、いわゆる「管理職」とは区別して考えられるべきである。

これがチームリーダーの一応定義というふうにここに書いてあります。ほかの部分は読みませんけれども、最後のページに、各階層、1段階から5段階まで、一応ここには5階層書いてありますが、それぞれの階層と、いわゆる専門性に着目したものではない、福祉業界、福祉職全体に着目した必要な研修内容が整理されておりまして、それぞれの整理内容に基づいて、各階層でどういう内容のものを研修、育成していくのかという構造になっている、これが報告書でございます。

戻りまして、では具体的に今行われている内容について、2ページ目、1枚目の後ろ側について説明させていただきたいと思います。

「福祉職員キャリアパス対応生涯研修課程の目的と特徴」と書いてありまして、福祉・介護職員が、自らのキャリアアップの道筋を描くことができ、それぞれのキャリアパスの段階に応じて共通に求められる能力の向上を段階的・体系的に習得することを支援するのがこの目的であると。いわゆる専門職も含めた、専門職の専門性に着目せずに、福祉や介護に務めている職員が自分のキャリアアップの道筋、つまり、個人のキャリアアップという点に注目をして、それの支援をするという目的が1つ。

もう一つは、2番目、各法人や事業所が主体的に職員のキャリアパスを構築し、これに沿った職員育成施策を確立・実施することを支援する。つまり、組織側としてどのように位置づけ、どのように支援するか。個人への着目と組織の着目、実際に働いている職場ですが、この2つに着目しているということでございます。

特徴としましては、福祉・介護職員のキャリアパスに応じた資質向上を段階的・体系的に、先ほどお話をしました5階層というのが入っています。

2番目は、あらゆる事業種別・職種を横断した福祉・介護職員全般を対象といたします。いわゆる専門性をどう上げるかというところは直接的な対象とは考えずに、あらゆる事業種別や職種を、いわば保育、栄養士、福祉人材として就業する以上はこの対象と考える。

そして、その内容の標準化を図って、全国共通の基礎的研修とする。1冊だけ持ってきましたが、テキストの標準化。それから、研修プログラムを標準化し、さらには、それを指導する指導者の養成も毎年行うということで現在継続的に行われております。

そして、主として、都道府県・指定都市社会福祉協議会や福祉人材センターが主体の事務局となって、さまざまな研修実施機関・団体が連携して実施することになっております。

このページの下のところは少し飛ばさせていただきまして、次のページ、「福祉職員キャリアパスのイメージ」というのが書いてありまして、ここには、いわゆる階層化された縦軸の部分と、専門性というところに着目した横軸の部分が書いてあって、それぞれのキャリアパスのイメージが書いてあります。

これがちょっとわかりやすいかどうかですが、福祉専門職としてのキャリアパスを上げていくというのは右側の方向に向かっていくこと。それから、チームケアの一員としてのキャリアパスを上げて階層化し、階層が上がっていくというのが縦軸の上のほうに向かっていくことというようなことが書いてあります。したがって、上のほうに行って施設長というところになれば、いわば各職種の専門性というところは非常に役割としては少なくなっていくことになるだろうと思います。

そして、この研修内容の概念化がそのページの一番下。さらには、具体的に行われている内容が次のページに書いてありまして、研修プログラムの構築ということで、自己学習が16時間程度、それから、それに基づいて面接授業が2日間、6時間+6時間というような内容の研修プログラムが構築されているということでございます。

少し長くなって恐縮でしたが、チームリーダーという点に着目すると、今まで議論されていることはどちらかといいますと専門性というところに着目しているので、極端な言い方をしますと、専門性が上がっていっていることで、それが本当にチームリーダーとしての必要な資質かどうかというのは少し役割が違うというような感じがいたします。

したがいまして、もう少し先に進めようとしますと、専門性については養成校等がそれぞれに基礎的なところを教育し、御参加の各専門職団体がさらにその養成をしていくという専門性の向上の部分と、一方で、福祉の実践現場や福祉人材センターが協力をして、今お話をしたようなキャリアパスの対応や、特にOJTの推進というようなことをやっていく。両方合わせて全体の人材を上げていくというようなことが必要ではないか。その中のチームリーダーの位置づけというのを考えていくべきではないか。そのように思いました。

○田中委員長 専門性だけでなく、別な軸もあるとの御指摘と、生涯研修課程についての詳細な説明、ありがとうございました。

 井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 きょうは介養協のほうから資料を提出させていただきました。もっと早く出せばよかったのですが、この3年間、介養協のほうで、養成教育、あるいは養成施設のあり方検討会というのを開きまして、厚労省から補助をいただきながら3年検討を重ねてきた結果といいますか、まだ途中なのですが、その報告書を、ちょっと重たくて申しわけございませんが、2冊出させていただきました。

私たちが検討していますのは、(仮称)管理介護福祉士という部分なのですが、これから、まんじゅう型から富士山型へ行くということで、我々が今養成している介護福祉士のまだその上のレベルを、今回のそのチームリーダー含めての検討だと思いますが、それの御参考になればと思い、提出させていただきました。

 きょう提出した資料の中には、いかに養成校卒業生の離職率が低いであるとか、我々、養成校がどれだけ今学生が減っているかというような資料も入っているかと思います。

ただ、きょう御説明したいのはこの管理介護福祉士についてなのですが、平成19年に、厚生労働省が従来の科目別教育から領域別教育に介護福祉士の養成課程を変えられました。領域別に教育していきますと、これは専門職の教育の基本だと思いますが、ただ、7~8年たちまして、いまだに科目別教育が抜け切れてない部分があるかと思うのですね。この領域別教育というものをもう少し進めていくにはどうしたらいいかということで、それで教育内容の見直しということがあるかと思いますが、前回も少し出たと思いますが、その仕事の生産性を上げることが重要であると。専門職の仕事の効率化を進めていきますと、どうしても仕事が非常に細分化していきますし、それに適応するような知識と技術も持っていかなければならない、持たなければいけないということになるかと思います。

 そして、その基本的なステップを通って包括的な介護福祉士の職業能力というのが芽生えてくるのではないかなと思います。こういう専門職が必要ではないかということで、私たちのこの研究調査の検討会のテーマであったわけですが、ただ、この二十数年の間には、その仕事の細分化と職業の専門化が十分に押さえられていないように見受けられるかと思います。

そこで、きょうの資料の18ページを見ていただきたいのですが、ヨーロッパで2006年からEQFというフレームワークがあるかと思いますが、これは専門職を育てるフレームワークですね。レベル1からレベル8までの部分でありますが、この中で、今、介護福祉士の養成課程というのはレベル4に相当するかと思います。これをできればレベル6に引き上げていきたいというのが一つの願いでありますが、ヨーロッパのこれを一つのヒントとしまして、コンピテンスに基づく養成教育ということを提案しております。

14ページにちょっと戻ってください。「コンピテンス 責任と自律性」という部分でございます。専門職としての責任、そして自律性を身につけていくために、このコンピテンスというものを出口とする教育体系をつくっていく必要があると考えました。

 コンピテンスというのは専門的な知識と技術が基盤になっております。しかし、知識と技術だけではなく、個人の価値観、あるいは社会的な価値観を伝えていく技術、あるいは職業的能力が必要になってくるかと思います。

次の15のところをごらんください。これがそのコンピテンスということを介護福祉士に当てはめた場合につくったものであります。まず介護過程のところでありますが、学校卒業時に、ベーシックというところからスタンダード、アドバンスと積み上げていく教育体系というものが必要ではないかというふうにつくりました。

 最終的な知識の到着点は、この赤い、きょう皆さんの手元にあります報告書の50ページにありますのでちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは介護過程のところの到達目標という形に書いているわけですが、介護過程が一番の介護福祉士の専門性の基本であると思っております。ただ、新たな動きとして、社会に受け入れられるような知識や技術やコンピテンスを打ち出していくということが専門職にとって大変大事ですので、品質、リスクを全て含めたサービス管理が重要であるかと思います。最低限必要な資格は、旧ヘルパー2級ではなくて、やはり事業者責任を果たせる能力を持った人を置くべきではないかと我々は考えております。

16ページのところが、その後、サービス管理や、その下、地域包括ケア、これも大きなテーマでございますので、このようなものをつくりました。

 そして、20ページをちょっとごらんいただきたいのですが、これもドイツからヒントを得たものであります。デュアルシステムという部分です。前回も少し申し上げましたが、やはり働きながら学べるというものをつくっていくことが大事かと思っています。実証的職業能力をつくるためには、理論と実践が連携する教育が必要かと思います。やはり現場を肌で感じながらやらなければならないかなと思います。このドイツのシステムは、週2日学校へ行き、そして3日働くというシステムなのですね。授業料は無料で、1年生は10万ほど、2年生は12万、3年生は15万というふうに手当が出るというシステムがあります。これも副次的な効果としては人材確保につながっていくのではないかと思っています。

 そして、その上の19のところを見ていただきたいのですが、他の専門職と肩を並べられるようになるということが大事かと思うのですね。そのためにも、長期の教育訓練というものを通して、理論的、あるいは体系化された知識と技術を身につけるべきだと思っています。現在の2年制をこれは4年制に積み上げるという形でありますが、実際には実習が長く、正味1年プラスする形での勉強が大事であると想定しております。

 そして、22ページ、「課題と展望」というところですが、受けてきた教育、あるいは取得した学位や資格が職場のコストにリンクしていくことが重要かと思っています。ドイツでは、このアルテンフレーゲ、次の段階として、専門職から4年制の大学へ行って、大学院の修士号を取得し、施設マネージャーになるという形になっているかと思います。

 一方、研修を受けて地域の責任者、あるいは職場の指導者にもなるということであります。研修を受けて、先ほどもあったかと思いますが、さまざまな資格をとっていく。その資格をとってからの継続教育が非常にドイツは整備されているということでありますが、こういうものがこれからもっと必要になると思います。やはり学位、職位、資格が職場のポストにリンクしていくような教育の設計図というのを確立していかなければならないかなというのが我々の考えであります。

 以上です。ありがとうございました。

○田中委員長 ありがとうございました。介養協の御意見とその背景にある分析を丁寧に説明していただきました。

 石本委員、どうぞ。

○石本委員 ありがとうございます。

 私ども介護福祉士会としては、前回、人材のあり方についての意見書を提出させていただいたところでございます。今回につきましては、特段、提出資料はございませんが、前回提出したものを踏まえながら、今回の論点についての私どもとしての意見を述べさせていただきたいと思います。

 私どもが目指しておりますのは、まずは自立支援の視点から行う根拠に基づいたPDCAサイクル、これを繰り返しながら行う介護福祉の実践であると考えております。これを通常、私どもは、介護プロセス、介護過程の展開と呼んでおりますが、資料の4ページに、いわゆるリーダーの役割というのが3つほど書いてございます。この介護過程の展開、これをマネジメントするというのが、まさにお示しいただいております3番目のチーム内のサービスをマネジメントする役割に当たるのではないかと理解しております。

 1つ目の高度な技術を有する介護の実践者、または介護技術の指導者としてということも極めて重要であると思いますが、リーダーとしてということで考えますと、このサービスマネジメントを果たすというところが非常に重要であろうと考えております。

 全体像で申し上げますと、根拠に基づいた介護福祉の実践を介護福祉士が中心となって担うことになる。その介護過程の展開を直接的に指導・教育するのが、5人から10人程度のスタッフを対象とした小規模チームのリーダーであろうと思いますが、この幾つかの小規模チームのリーダーに対し、さらにその介護過程の展開に係るスーパーバイズ等を実施するのが、ここで言うところのリーダーではなかろうかというイメージでございます。

 なお、小規模チームのリーダーを束ねるに当たっては、例えばですが、地域密着型介護老人福祉施設、いわゆる小規模型の特養で言いますと、3ユニット、29名以下という規模がございますが、これを束ねるぐらいのイメージのところが妥当ではなかろうかと思っております。

 そのように考えた際に、チームリーダーとして位置づけるものとしては、やはり介護過程の展開を適切に実践できる力をまず備えるということ。それと、指導・教育する力を備える介護福祉士が必要。さらには、多職種間での連携を適切に行うことのできる力や、今後、地域包括ケアシステムというものが進められていく中におきましては、やはり御家族や地域とのかかわりにおいてきちんとした一定の役割を担える力をこのリーダーというのは備えておくことが必要ではないかと考えております。

 小規模の介護職チームのリーダーとして妥当であろうと思われる人材としては、やはり個別援助計画等を作成した経験が一定程度ある介護福祉士が該当すると思われますので、私どもの現場感覚で申し上げますと、先ほど事務局のほうからも御説明がありましたが、実務経験としてはおおよそ5年程度というのが妥当ではないかと思います。

 ただし、先ほども申し上げた地域包括ケアを推進する役割を担うということを考えますと、例えば入所なら入所だけとか、在宅であれば在宅だけという偏った経験よりは、できればどちらも経験があるということにしたほうが望ましいのではないかなと思います。

 先ほど井之上委員のほうからも養成校の役割としての御説明がありましたが、やはり教育課程において高度な介護福祉士を養成するということ、それに基づくカリキュラムを充実させていくというのは大変重要なことだと私どもも思っておりますし、やはり2年間ではなかなか厳しかろうというのが率直に思うところでございます。

 とはいえ、学生さんを高度な教育の中で育てていくということも大事でございますが、既に現任者が、登録者数だけで約150万人、介護福祉士はもう既におります。実働者が約半分と考えても約80万人が現場におりますので、まずやるとなりますと、実際現場にいる人たちのバージョンアップといいますか、グレードアップをどう図っていくかということも非常に大事なことではなかろうかと思うところでございますし、やはり資格取得後の現任研修が極めて重要であろうと考えます。

 もともと、2007年の法律改正の附帯決議を受けて検討されてきた資格取得後の継続教育であります認定介護福祉士についてはもう既に機構が立ち上がり動き出しておりますし、できますれば、国としては、この認定介護福祉士の研修の活用というのをぜひぜひ推進していただければと思うところでございます。

 質の高い介護福祉の実践を担保しようとするならば、今後、各施設、事業所で行うべき介護のあり方についてしっかりと周知を図るということと、施設や事業所に対して、その中核となる介護福祉士の、根拠に基づいた介護福祉の実践力、これを高めるための研修会等への参画というものも今後より一層促していく必要があるのではなかろうかと思います。

 最後になりますが、我が国におきましては、介護福祉士や介護職の高度化の議論というのはなされておりますが、いわゆる専門職業としての枠組の議論になっているとは言いがたいのではなかろうかという印象。

諸外国の現状を見てみますと、先ほども出ておりましたドイツということで参考にさせていただきますと、現在、専門職業としていかに確立させるかという議論になっていると承知しております。我が国におきましても、国家資格として、また専門職業として強く認識した議論が必要ではなかろうかと思います。

中核的役割として、富士山の頂きに位置する介護福祉士を目指すということであれば、その介護福祉士が明確な職業化というものがなされなければ、いわゆるまんじゅう型の中で混在している曖昧な介護職として脱却するというのはなかなか難しかろうと思いますし、介護福祉士としてのアイデンティティというのはなかなか確立しにくいのではなかろうかということを申し添えて、御意見とさせていただきたいと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 認定介護福祉士、介護福祉士会がされていますし、先ほどの武居さんのところもそうですが、やはりこれは国がきちっと責任を持って、そういう新たな資格なり職位といいますか、ものをつくっていかないといけないと思うのですね。民間に任せているだけで果たしていいのかどうかということはすごく感じます。

 意見です。

○田中委員長 この資料1に対しての御意見、あるいは御質問、きょうのところはこれでよろしゅうございますか。

 川井委員、お願いします。

○川井委員 先ほどから介養協のほうからも新たな教育システムのようなお話も出てきているのですけれども、その中で、現在のカリキュラムの改正を行いまして、介護福祉士教育の中で、科目という壁を超えて、領域という考え方で、介護と、それをバックアップする人間と社会と心と体という3つの領域で設定されて、教育、新たなカリキュラムで進んできたわけですけれども、今回、この中で、チームリーダーとしての素養としても、こういうものがもっと必要ではないかとか、いろんなものが出てきているわけですけれども、1,850時間の中で、領域になりましたから、それぞれの学校に委ねられているカリキュラムの中身は、学校の中できちんと目指すべき介護福祉士像に向けて養成してくださいというようなところがありましたので、学校単位で濃淡があるのではないかと思っています。

 ですから、これから新たなものを考えていくときに、もう一度、今のカリキュラムと、それから、それまでは積み上げ式で、先ほどソーシャルワークとか援助技術とかいう言葉が出てまいりましたけれども、そういうものが以前のカリキュラムの中で科目として立ち上がっていましたので、そのときの教育から今のカリキュラムに変わって、どのような点が不足しているのか、足りているのかというあたりをもう一度検証していただいて、新たなカリキュラムに進めるような形にしていただければいいのかなあと思っています。そうしますと、チームリーダーについても、今の教育の中で不足している部分がもっと明確に出てくるのではないかと思っています。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 では、小島参考人、関口参考人の順でお願いします。

○小島参考人 私も、都道府県の立場で現場を見させていただいているのですが、先ほど小規模特養さんの例でされたのですけれども、我々とちょっと感覚が違うと思っています。それぞれユニットにはユニットリーダーというのを設置しなければいけないわけなので、この5年程度という職域を見ると、やはりその程度なのかなと。もう少し高みのリーダーという意味であれば、小規模事業者の管理者を意識した意味でもいいと思うので、チームリーダーの方向性がどっちなのか。先ほどの富士山型の頂きの部分を指しているのか、そうでなくて、やはり中堅リーダーということを意識するのか、その差によって違うと思いますので、その認識が皆さんの中でちょっとぶれてしまうと、リーダーの求めるものがちょっとぶれてしまう。今回事務局のほうでまとめていただいている方向性は、私は間違ってないと思います。

 私たちが現場を見ていて思うのは、障害福祉の分野、高齢福祉の分野、小規模というと、5人ぐらいの利用者さんを相手にしているところもあるわけなので、そういう意味で言うと、サービスによって全て、ユニットなりその単位というのは違ってくる。それをまとめてくれているのがリーダーであり、この5年というのは確かに当たるのではないかと思います。

 あと、先ほど武居委員からお示しいただいた資料の中のキャリアパスのイメージが5ページにありますけれども、まさにこのようなキャリアパスを経て人材育成をしていくのかと。前回の会議でも申し上げましたけれども、教育課程にも当然素養を入れていくのは大事なのですけれども、やはり現場へ出てからのジョブローテーションの中でどうやって人材を高みに引き上げていくかということが大事だと思いますので、やはりOJTも必要ですし、または、ある程度になりましたら実践教育というのが必要になってくると思います。

 神奈川県でも、保健福祉大学の内部組織の中に実践教育センターというのを持っていまして、そこで働いている方を中心に、看護職、福祉職のキャリアを上げるような取組をしているのですけれども、現場の実践教育センターの知人に聞きますと、やはり仕事が忙しいので、継続的に参加していただけるような環境になってない。そのため、今回このように福祉人材を育成するという大きな目的の中で、こういうキャリアパスが必要なのだということをもう少し植えつけて、実践教育をきちんとこういう場でやっていく必要がある。それが、例えば先ほどもどなたか言われましたけれども、認定介護福祉士とか、きちんとした職位をつくって、それを例えば実践で教育するときに、単位を取得して、それを積み上げれば、それで認定がとれるとか、そのような教育の受けやすさというのも少し考えたほうがいいのではないかと思っています。

 先ほどの武居委員の資料に戻りますけれども、これは単純に、キャリアステージの1から5まで伸びているのではなくて、最終的には経営に参加するマネジメントのコースと、当然、スペシャル、ソーシャルワークを担うそういったスキルを担う人ということで、途中でコース選択をするというのは大事だと思います。

私どもも福祉職員という職がありますけれども、その中には、ケースワークをやっている職員もいれば、行政と同じことをやっている職員もいます。心理もやっていたり、施設で直接処遇職員というのもいます。そういう中で、私たちは、10年から15年ぐらいは、ジョブローテーションということで、いろんなことをまず経験させようと。そういう中で、15年ぐらいたったら、どういう方向にその職員が行きたいのかということを、意向申告していただいて、分野を選択していただくのですね。もちろん、管理職のほうへ行くのであれば、そのまま行政の管理能力を上げていただく。やはり直接処遇のほうでいきたいのだということであれば、施設の中でのチームリーダーなり、またソーシャルワークの道を目指してもらう。そのようなこともやっていますので、そういうのが福祉職員全体の中でイメージできるような、武居委員が書かれたような大きなイメージがあって人材育成を図られるのが一番いいのではないかと思っているところです。

 以上です。

○田中委員長 神奈川県での実践を踏まえた発言、ありがとうございました。

 お待たせしました。関口参考人、どうぞ。

○関口参考人 高校における福祉教育におきましては、福祉系の指定高校100校以上ございまして、その中で定員の充足率も7割以上、8割に近い定員の充足率で、非常に福祉を学びたいという高校生が多くいます。いろいろなレベルの、管理職に必要なものであるとか、リーダーに必要なものであるとか、そういったものを養成機関の中で全てを教えるというのは非常に難しいことでありますし、今までも出てきておりますように、現場へ出て働くことによって身についてくる資質、伸びてくる資質というのもあると思います。国家試験というのは、介護の一般職員として働く上で最低必要なレベルのものを持っている資格として国家試験があるのかなと思っておりますので、そういった意味では、福祉高校の国家試験の合格率は非常に高い値を持っていますので、その最低レベルのものを持った上で、卒後教育という意味で、先ほど武居委員からもお話がありましたように、いろいろな必要に応じて卒後の教育を充実させていく、それが全国的に標準化されていくというのはよい方向ではないかと思っております。

 福祉系の高等学校を出た職員も、3年後、5年後、10年後ということで、それぞれ主任レベルであったり課長レベルの職について頑張っておりますので、現場で身についていく力というのを大切にしていきたいと思っております。

 また、個人レベルのスキルアップ、それから、組織としてのレベルアップという意味では、非常に目的意識高く入学した高校生が、資格をとった後、個人のレベルアップを図っていくという意味でも、そういった研修が保障されているというのは、福祉を学んだ高校生にとってもいい方向性になっていくのではないかと思います。

 チームリーダーというそのチームの構成員は、どういった構成員になるかによって、そのリーダーが果たすべき役割は異なってくるかと思いますので、その組織の大きさであったり施設の果たす役割であったりということで異なってくるのではないかという、チームリーダーという意味ではそのように感じました。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

鎌倉委員、お願いします。

○鎌倉委員 前回のときも少し話させていただいたのですけれども、介護福祉士のところを極めていくということであれば、これはケアワーカーということです。ケアのところを極めていくというふうに考えられます。そして、今示されているところを見ますと、ソーシャルワーカーを育てると。ケアワーカーとソーシャルワーカー、2つ混ぜ合わせた、広い意味でのソーシャルワーカーを育てていくというふうに感じます。

 そうしますと、社会福祉士というのは相談・援助というところに特化した形で制度としてできました。そして、介護福祉士のほうは介護というところに特化してできたというところであるとすれば、このチームリーダーというところに社会福祉士の相談援助技術のようなものをつけ加えていくということであれば、介護福祉士のところから社会福祉士のほうへ渡りがつくというような、そういうのも考えていけばよろしいのではないかと思います。

 それから、武居委員が出された、先ほどの5ページ目の「福祉職員キャリアパスのイメージ」のところで、マネジメント職コースということで、上のキャリアステージの5のところに出ていますけれども、そこのところは社会福祉士にも、それから介護福祉士にもそういうものは十分できていないというところですので、ソーシャルワーカーがマネジメントのところに行くとすれば、アドミニストレータトレーニングなんかを含めて、また別途の道筋というのは考えられると思っています。

 ですから、介護福祉士が目指すチームリーダーというところであれば、やはり介護のところのまとめができる、そして、社会福祉士のいろんなことが知識としてあるとすれば、社会福祉士のようなものとの連携をつけていただければということを、社会福祉士の立場とすればそのように感じます。

○田中委員長 平川委員、お願いします。

○平川委員 ありがとうございます。

事務局へ質問です。介護現場におけるチームリーダーという具体的な職場のイメージをお持ちなのかどうかお聞きしたいと思います。以前もお聞きしたかもしれませんが、よろしくお願いします。

○田中委員長 お答えください。

○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。

 まさにそのあたり、少し皆様で意識統一というようなこともあって、きょう御発言いただいた委員の先生方の中からその関係の御発言を抜き取りますと、まず石本委員からは、3ユニットぐらいをまとめるぐらいの人というのがチームリーダーではないかというような御発言があったと私は認識しております。それから、小島参考人からは、いや、もう少し小さい、ユニットリーダーぐらいではないかというような御意見があったところでございます。

私どもの何となくの想定というのは、どちらかといえば小島参考人のほうに近い感じですね。大体ユニットリーダーぐらいではないかと。ですから、利用者の方10人くらいというところですね。そういったところを想定すると。石本委員のおっしゃられた富士山の頂点となりますと、これは恐らくチームリーダーではなくて、もっと、最初のほうに私どものほうでも示させていただきました、本当にケアワーカーとしてのトップといいますか、そういうところを目指されている方なのかなという印象でございます。

 ただ、今、ユニットリーダーと申し上げたのですが、これはあくまで高齢者の施設の話でございまして、当然、障害者の施設、それから、入所ではなくて在宅のサービスとなると、また、恐らく形態は違ってくるのではないかと思います。ただ、一応非常に絞って、入所、かつ高齢者対応ということで言うと、恐らくはユニットリーダーぐらいかなというのが私どもの当初の想定と考えてございます。

○平川委員 ありがとうございます。例えば武居委員のキャリアパスのイメージを見てみますと、キャリアステージ3か4ぐらいと思われます。そう考えると介護ケアとしてのスキルだけではなく、より幅広いスキルもさらに求められ始める段階の方々をどうしていくのか、というイメージなのかなと思いました。

 今、社会全体を見回してみますと、地域包括ケアに向けて取組が進められていますが、医療との連携であるとか、医療職とのコミュニケーション能力であるとか、先ほど言ったケアワークにプラスして、さまざまな困難を抱える事例、低所得者、独居の高齢者が多くなってくる中でのさまざまな困難を抱える方に対しての支援としての、ソーシャルワークの能力など、これらをどうしていくのかという重点的な議論の方法があるのではないかと思っています。

 この武居委員のイメージは、私も、単なるスキルの向上だけでなくリーダーとしての資質が求められる、その二面性という考え方については、1つの考え方として受けとめられるのかなと思います。しかし、求められるチームリーダーとは何か、社会的背景としてどういうものがあるのかという観点で議論する必要もあると思います。

 もう一つポイントは、そのようなチームリーダーを生むために何が必要なのかと、どういう基盤が必要なのかを考えていくことです。足元を見てみますと、処遇の問題や人材不足の問題という当然解決していくべき課題でありますが、それらも踏まえて、当面何ができるのかが重要ではないかなと思います。

 あと、今議論されている中のもう一つの観点で言いますと、私は連合の立場で出ておりますので、働き改革ということで政府のほうで議論されておりますが、一方で労働法制の遵守という課題も重要と思っています。社会福祉も、医療の世界も労働法令遵守ということで言うと、労働基準監督署から、超期の未払いなどよく指摘を受ける環境にございます。特に医療はそういう状況であり、労働法令遵守という観点が重要ではないかという意見を申し上げたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○田中委員長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 今のチームリーダーについてというページを読みながら思うのですけれども、介護現場におけるチームリーダーというときのチーム、これはまだ混乱があるように思うのですね。それは、介護の無資格者、有資格者という介護のチームの中のチームリーダーという話なのか、いや、現場に行けば、そうではなくて、介護職ではなくて、介護も看護もほかの職種もいる中で、チームで仕事をしていく中で、その部分のチームリーダーと考えるのか、そこをもう一度整理をし直さないとポイントがずれているような気がしますが、いかがでしょうか。

○田中委員長 室長、どうぞ。

○榎本福祉人材確保対策室長 私どものほうで、今回のシリーズということで言えば、3回目の委員会になりますが、その中で提示されているチームリーダーというのは、まさに介護職のチームリーダー。ですから、介護の未経験者から介護福祉士までの多様な介護人材がいる中でのチームリーダーというふうに捉えております。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 すみません。ちょっと遅刻がちで、全部とられてない可能性もあるのですけれども、そもそもこのチームリーダーの議論をここで、何で始まって、どこに出口をやっているんだったっけというのがだんだんわからなくなってきたというのがまず第1点で、その上で、もう既にチームリーダーに期待する機能ということについても、ここの専門委員会でやる前に、きょう御報告いただいたように、さまざまな切り口からそれぞれのお立場で検討が進められているように改めて思われましたので、この会議でどこまで、なぜこのチームリーダーについてと何度も議論しているのか明確にした上で、それぞれの御立場でもう既に進められているチームリーダーに期待する機能で、恐らく前回までのこの場での議論で、そして、今日御報告いただいたことをお聞きしながらも、その機能を発揮するために、それを果たすために必要なコンピテンシーとして、例えばソーシャルワークの基礎とかコミュニティ・ディベロップメントかわからないですけれども、まだ足りないものが既に議論されているものの中にもあったのかもしれないということはある程度共有されたのではないかなと思うので、でも、多分、この場でこれを繰り返していくというのは余り生産的でないような気がしていて、それは作業部会を組むなり何なりということを、目的によってはやったほうがいいのではないかなと。

 そして、どなたかが先ほどおっしゃいましたけれども、期待する機能があって、それを果たすためのコンピテンシーというものを、ある程度既存の御報告いただいたものも、ここまでの議論もあわせてがちゃっと棚卸をした上で、どう身につけるかというときに、それも既にいろいろな研修のプログラムを組まれているようですので、それをモジュール化していくというようなことは、そのコンピテンシーの学びやすさ、身につけていきやすさという意味では、どこかのパッケージを一気にまとめて受けなければというと、神奈川県の方からもお話がありましたけれども、なかなか難しいということになるのだと思いますので、機能と、それが発揮できるコンピテンシーの議論、棚卸の後で身につけやすさということを考えた上で、モジュール化をしていくという視点は非常に重要ではないかなと思います。

以上です。

○田中委員長 そもそも論は御質問ですか。

○堀田委員 できれば。すみません。

○田中委員長 お願いします。

○榎本福祉人材確保対策室長 ここでチームリーダーの議論をしている意義ということでございますけれども、もちろん、これまでさまざまな御提言、実践があるというのは認識しております。ただ、先ほどちょっと井之上委員からも御指摘ございましたけれども、こういうのを厚生労働省の委員会の場で一括で議論してみるというのは1つ意義があるのかなということもございますし、それから、当然ながら、これはここで議論して終わりということではなくて、来るべき介護福祉士の養成カリキュラムの改定等にも反映させるということを考えてございますので、決してこの場で議論して、それでそのままということではないということは御理解いただければと思います。

 ただ、もちろん、委員会の中での議論の進め方とか段取りというのもございますので、そのあたり、余り組織的といいますか、段階を立てたものではないのかなということは、すみません、率直に反省させていただければと思います。

 以上でございます。

○田中委員長 堀田委員に厳しく追及されましたが、よろしいですか。

 川井委員、どうぞ。

○川井委員 私の認識では、中核的役割を担う人材を養成するというような話があったろうと思うのですけれども、そういう中で、今回アンケートしてみたら、役割を明確化していくという中で、見てみたら、余り役割がはっきり分かれてはいなくて、チームとして動いているということがわかりましたみたいな話だったろうと思うのですね。それで、ではチームリーダーが必要ではないか、ではリーダーとしての素養はどういうものかという、そんな流れでここまで来たような気がするのですけれども、それはそれとしまして、追加で、それ以外の発言を1つさせていただきたいのです。

2枚目の、これまでにでました意見についての取りまとめをしていただいていまして、介護福祉士に必要な資質についてというところで、私が、介護福祉士の役割は自立支援や介護予防という視点が足りなかったのではないかというような発言、確かにしたのですけれども、これを思ったのは、いわば地域包括ケアシステムのこれから構築という、今、動いていく中で、介護福祉士が役割を担うとしたときに、やはりミクロ、メゾ、そういうあたりの役割の中で、予防という視点をこれからもっと意識化して、地域包括ケアの中で介護福祉士が役割を担えるのではないかというような意味合いがありましたので、その発言は、ですから、もしこれで意見として整理していただくならば、地域包括ケアシステムの次にでも入れていただくとわかりやすいかなと思いました。

というのが、この一番下にあると、教育の中では、1,850時間の中で自立支援とか介護予防とかいう言葉はいっぱい出てきていて、やっているのですね。ですから、それが実践の現場とつながっていないということが課題だろうと思いますので、地域包括ケアシステムの中でどう役割を担うかということを、教育と実践の場と連携して学んでいく必要があるのではないかなと思っています。

 それともう一つ、今回この整理していただいたものを見ているときに、これ、わかりやすいのではないかなと思いましたのは、もしかしたら、介護福祉士に必要な資質があって、2ページがあって、3ページの介護人材のキャリアパスがあって、そしてその次に、1枚目にあるチームリーダーが担うべき役割、必要な能力があって、その後、4ページが来て、チームリーダーとはどういうものだというふうに並んでいると、より流れがスムーズにわかるかなと思いました。すみません。

○田中委員長 御指摘ありがとうございました。時間が半分たちましたので、次の議題に移ってもよろしゅうございますか。

 次の議題は、社会福祉士のあり方でございます。資料2について、事務局から説明をお願いします。

○榎本福祉人材確保対策室長 それでは、資料2に従いまして、社会福祉士のあり方について御説明を申し上げたいと思います。

 今回の資料につきましては、現在の社会福祉士の状況につきまして御説明をさせていただく資料でございます。ですので、今回につきましては、この資料をもとに、自由に委員の先生方の間で御議論をいただければという趣旨でございます。

 まず、1ページ目でございます。「社会福祉士の活動実態」ということでございますが、「社会福祉士の就労及び業務の現状」ということで、

・ 社会福祉士の活躍の場は、高齢分野や障害分野、児童分野、司法領域、学校など、広い範囲にわたっており、対象者が抱える課題やニーズの違いに応じて、養成課程で修得したソーシャルワークの技法を用いて相談援助を中心に実践に取り組んでいる。

・ また、社会福祉士が就労している分野は、高齢者福祉関係の割合が最も高く43.7%となっている。次いで、障害福祉関係17.3%、医療関係14.7%、地域福祉関係7.4%、児童・母子福祉関係4.8%、行政相談所3.4%となっており、様々な分野で就労している。

・ 就労先での職種としては、相談員・指導員の割合が高く34.0%となっている。次いで、介護支援専門員13.8%、施設長・管理者13.3%、事務職員8.6%、生活支援員6.6%、介護職員(ホームヘルパーを含む)6.3%となっており、多様な職種に従事している。

・ (公社)日本社会福祉士会の会員を対象に実施した調査では、社会福祉士の勤務先としては、社会福祉施設等が40.8%を占めている。次いで、医療機関、地域包括支援センター、社会福祉協議会、行政機関と続いている。

 今、口頭で申し上げました統計数字につきましては、円グラフの形で、2ページ、それから3ページに示させていただいております。

 引き続きまして、4ページでございます。「社会福祉士及び社会福祉主事の任用の状況」についてまとめさせていただきました。現在、社会福祉士を置かなければならない必置規定となっておりますのは地域包括支援センターです。その他、さまざまな分野や施設において、社会福祉士は任用しなければならない者又は配置する者の一つとされております。

具体的には4ページの図をごらんいただければと思います。

次に5ページに参りまして、社会福祉士に関する「福祉人材確保対策検討会での議論について」まとめさせていただいております。

・ 福祉人材確保対策検討会での取りまとめ(平成261022日)においては、社会福祉士の活用の基本的な考え方として、「社会福祉士については、多様化・複雑化する地域の福祉課題に対応できる能力をさらに開発し活用していくために、具体的な役割の明確化や実践力の強化等のための教育体系の充実に向けた再検証等が必要」とされている。

・ また、当該取りまとめにおいては、社会福祉士の活用の方向性として、

1.社会福祉士のさらなる活躍の場の創出として、様々な福祉ニーズに対応するために必要なソーシャルワーク技術を持つ社会福祉士の能力は重要な社会資源であることから、様々な福祉領域等における任用拡大を含めた活用促進を図る。

2.専門性の高い社会福祉士の養成として、より一層多様化・複雑化する地域課題に対応できる社会福祉士の養成に向け、養成施設・大学等と職能団体の連携による実践を重視した教育内容の充実について、さらなる検討を進め確立していく。併せて、継続的に資質を向上させるためのシステム(認定社会福祉士等)の普及・推進を図る。

3.社会福祉士に対する理解促進として、職能団体、養成施設・大学等、事業者団体が連携し、国や地方自治体の必要な協力を得て、社会福祉士の能力や果たしうる役割についての理解促進を図る。

 といったことが示されております。

 6ページに参りまして、「社会福祉士を取り巻く状況について」ということでございますが、

・ 社会福祉士については、社会状況の変化による福祉ニーズの変化に伴い、様々な分野での活躍が期待されている。

・ 例えば、国会や審議会等において、以下の指摘がある。

 まず、「生活困窮者自立支援法に対する附帯決議」、こちらは衆議院の厚生労働委員会において平成2512月4日に行われたものでございますが、その中では、自立相談支援事業の相談員については、その責務の一環として訪問支援にも積極的に取り組むこととし、ケースワーカーや民生委員等、関係者間の連携と協力の下、生活困窮者に対し漏れのない支援を行うこと。また、そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置することを検討し、適切な措置を講ずること。

 とされております。

 また、厚生労働省新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現~新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン~」、これは平成27年9月17日に出されていますが、この中では、

・ 専門的知識及び技術をもって、福祉に関する相談に応じ、助言、指導、関係者との連絡・調整その他の援助を行う者として位置づけられている社会福祉士については、複合的な課題を抱える者の支援においてその知識・技能を発揮することが期待されることから、新しい地域包括支援体制におけるコーディネート人材としての活用を含め、そのあり方や機能を明確化する。

とされております。

次に、平成27年8月28日の「社会保障審議会児童部会児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書」では、

・ 支援が必要な子どもを早期に発見して関係機関につなぐために、スクールソーシャルワーカー(社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉に関する専門的な資格を有する者から、実施主体が選考する)の役割が重要であり、スクールソーシャルワーカーの活用と配置充実が必要。

とされております。

おめくりいただきまして、7ページでございます。こちらは文部科学省でございます。中央教育審議会「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」でございますが、平成271221日に出されております。

・ 国は、スクールソーシャルワーカーを学校等において必要とされる標準的な職として、職務内容等を法令上、明確化することを検討する。国は、将来的には学校教育法等において正規の職員として規定するとともに、義務標準法において教職員定数として算定し、国庫負担の対象とすることを検討する。

とされております。

・ 平成28年6月2日に閣議決定されました「ニッポン一億総活躍プラン」においても、「育児、介護、障害、貧困、さらには育児と介護に同時に直面する家庭など、世帯全体の複合化・複雑化した課題を受け止める、市町村における総合的な相談支援体制作りを進め、2020年~2025年を目途に全国展開を図る。」として、相談支援の必要性について言及している。

・ また、改正社会福祉法において、社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ、「地域における公益的な取組」の実施に関する責務規定が創設されており、今後、社会福祉法人には、他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められることから、多様化・複雑化する地域の福祉ニーズを把握し、対応することができる人材が必要とされている。

・ さらに、厚生労働省では、「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部(平成28年7月設置)」の下に設置した地域力強化ワーキンググループにおいて、「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」(地域力強化検討会)が開催され、住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりのあり方や市町村による包括的相談支援体制の整備のあり方等について検討を行っている。

 おめくりいただきまして、8ページでございますが、

・ これまで社会福祉士は、様々な職場で働いており、各種制度において、それぞれの制度趣旨を達成するために配置され、各職種の義務や役割を果たしてきたといえる。

・ しかしながら、国会や審議会等で指摘された事項を踏まえると、社会福祉士には地域社会の実情に応じて、分野横断的・包括的な支援を担う機能と役割を果たすことが期待されている。

・ こうしたことを踏まえると、今後、社会福祉士には、幅広い分野での活用が期待されているが、具体的にはどのような分野においてどのような活用の仕方が考えられるか検討する必要があるのではないか。

 と思ってございます。

 それでは、私からの資料の説明は以上とさせていただきます。

○田中委員長 ありがとうございました。

事務局からは、社会福祉の勤労状況や社会福祉士を取り巻く状況を受けて、さまざまな分野で社会福祉士の活用について御指摘があるとの説明がありました。今回はフリートーキングの回ですので、委員の皆様から自由な御意見を頂戴したいと存じます。

 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 社会福祉士のあり方について検討いただけることで、感謝いたします。

私たち公益社団法人日本社会福祉士会の内部では、先ほど説明にありましたようなニーズの変化、国が求めているとともに国民が求めていると感じておりますけれども、そういう変化に基づいて、どのように社会福祉があったらいいのだろうかということは常に議論されているところです。

今回、社会福祉士のあり方について議論を始めるに当たりまして、ソーシャルワーク機能を必要とする全ての国民のため、ソーシャルワーク専門職としてさらなる活用の促進が必要であると考えておりますので、必要な事項について、次のとおり提示させていただければと思います。

まず1つ目です。社会福祉士の活躍の場の拡大の必要性というところですけれども、平成19年、社会福祉士及び介護福祉士法の改正から10年近くが経過しております。さまざまな課題が顕在化しているところであります。複合的課題を抱える事例に対して、分野横断的に支援を必要とする人々を取り巻く環境や地域社会に働きかけ、多様な社会資源を活用・開発していくソーシャルワークの機能がますます必要になってきているところです。

今、説明にもありましたけれども、地域包括支援センターに社会福祉士が必置されております。ソーシャルワーク機能を必要とする既存の機関や部署を初め、新たに設置される機関や部署等に社会福祉士を必置し、効果的、効率的な人材の活用が必要になってきていると感じております。

社会福祉士の任用、活用の拡大と司法、教育、労働、保健、医療等の分野における職域の拡大は、前回の改正における衆議院及び参議院厚生労働委員会の附帯決議でも、適切な措置を講ずるべきであるとされています。複雑・多様化する国民のニーズに応えていくため、さらなる活用の場の拡大が必要と考えております。

具体的に項目を挙げさせていただきます。項目としては6つありますけれども、1つ目、丸ごとの相談支援の実現について。11月2日に衆議院厚生労働委員会において、「我が事・丸ごと」の支援の実現に向けて社会福祉士のあり方や機能などを検討すると、ここにおられます定塚社会・援護局長が答弁されております。ソーシャルワーク技術を持つ社会福祉士の配置を「我が事・丸ごと」の支援に明確にしていただくことが地域共生社会の実現につながります。

2番目、成年後見制度利用促進における社会福祉士の必要性。現在、内閣府では、成年後見制度利用促進に関する議論が行われております。各委員から、財産管理に偏重した運用から、意思決定支援を踏まえ、ソーシャルワークの手法を用いた心情看護を中心とした新たな運用への転換が求められています。さらに、市町村に成年後見等実施機関を設置する議論が行われています。それを担う人材として、社会福祉士を必置することが利用促進につながります。

3番目、附帯決議の完全履行について。前回の改正における附帯決議において、都道府県及び市町村の福祉に関する事務職員への社会福祉士の登用の促進策のあり方について、十分検討すること、とあります。いまだに登用が進まない現状を踏まえ、保健センター、福祉事務所、児童相談所等に登用の促進を図るとともに、社会福祉士施設の長、生活指導員も同様に任用の促進を図る必要があると考えます。

4番目、介護保険による加算等について。医療機関では、社会福祉士は配置基準には含まれていませんが、診療報酬上の加算で、社会福祉士という位置づけがなされております。社会福祉士を採用しているというところであります。社会福祉士に関する加算を設けることで、結果的に配置が進んでおります。介護報酬も同様に、加算等を設けることで活躍の場の拡大を図る方法が考えられます。

5番目、認定社会福祉士についてです。前回の改正における附帯決議を踏まえて、検討と協議を踏まえた上で、今日、認定社会福祉士制度を創設するに至っております。2025年には7,000人を目標に掲げ、推進を図っているところです。認定介護福祉士と同様に、認定社会福祉士の活用が必要と考えます。

6番目、独立社会福祉士について。ちょっと皆さん聞き慣れないかもわかりません。独立型社会福祉士です。前回の改正から、既存の制度やサービスでは対応が困難な課題に対して、組織から独立・開業して、地域を基盤にソーシャルワークを行う社会福祉士の実践が広がりを見せているところです。こうした社会福祉士の新しい取組を評価していただきたい。

大きな項目の2番目です。社会福祉士の雇用の安定化について提示させていただきます。雇用の安定化は、活躍の場の拡大と同時に一体的に進める必要があります。なぜなら、活躍の場の拡大が非正規雇用の不安定な雇用によって成り立っている場合があるからです。司法や教育では職域が拡大されたものの、非正規雇用が多く見られます。教育を充実しても、活躍の場がなければ学生は集まらない。活躍の場があっても、非正規雇用を中心とした不安定な雇用では人材は集まりません。しっかりとした教育、多様な活躍の場と雇用の安定、さらにはキャリア形成を推し進めていくことが必要です。

社会福祉の社会的評価に見合う処遇の確保についても、前回の改正における厚生労働委員会の附帯決議において、適切な措置を講ずるべきとされています。雇用の安定化を図ることは、あらゆる分野で活躍できる人材としての可能性を高め、活用の促進につながります。国民のニーズに安定的、継続的に応えるために雇用の安定化を図ることが必要です。

繰り返しになりますけれども、特に司法や教育での場の活躍の場の拡大が図られておりますけれども、正規職員ではなく、非正規職員である社会福祉士も少なくありません。不安定な雇用環境にあると言えます。12月6日の働き方改革に関する総理と現場との意見交換会においても、非正規という言葉はなくしていきたいと述べられております。社会福祉士も同様に取組が必要だと考えます。

それから、大きな3番目です。社会福祉士の法人、これもちょっと新しい提案ですけれども、社会福祉士の新しい取組に対しまして、例えば弁護士法人や司法書士法人と同じように、社会福祉士の法人の設立が可能になれば、継続性の担保や経済的基盤の強化を図ることができます。新たな活躍と雇用の場の創出にもつながることから、今後の検討としていただければと思います。

大きな4番目、災害におけるソーシャルワークの必要性と派遣体制の構築について。大規模災害が多発しております。災害後に生活環境は一変します。災害後から段階ごとに生活ニーズは絶えず変化しております。困難を抱えた人々に寄り添いながら、きめ細やかに復興を支援していくために、ソーシャルワークの機能がより一層求められています。本会の自己資金による派遣には持続性に限界があり、各段階における社会福祉士の恒久的な派遣体制の構築が急務であります。

大きな5番目、対日外国人に対する支援の充実について。対日外国人に対する支援では、言葉や文化の相違や制度のはざまの問題があります。それらの支援では、困難を伴う場合が多く見られます。グローバル化の流れの中で、介護人材を含む対日外国人の増加が予想されます。そして、対日外国人に対する支援の充実が必要になっていくという状況であります。教育分野でも実践現場でも切望されており、実践及び教育ともに強化が必要と考えています。

雑駁ですけれども、社会福祉士会のほうが考えております社会福祉士の活用をいかに促進していくかというところで、さまざまな分野があるということを今説明させていただきました。御議論の中でぜひこういう部分に触れていただけばということで提示させていただきます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 上野谷委員、お願いします。

○上野谷委員 まず、この丁寧な、社会福祉士を取り巻く状況、まとめていただきました。参考資料もとてもよくまとまっておりまして、これを土台に議論をするという確認、これはとてもいいと思うのですね。

1つは、あり方を考えますときに、一般的には規範といいますか、理念、それから政策、それから実態、実践ということを考えましたときに、理念、規範は、田中座長がおっしゃる地域包括ケアシステム、地域包括支援体制、これに向けてどうあるべきかを考えている。政策に関しては、今るる御説明ございましたように、これで出尽くしていると言ったら失礼な言い方ですけれども、これをとにかくどうするのかという。そうしますと、3番目、普通、あり方を考えるときの実践方法であるとか、特に人材の養成方法を今回はっきりさせようよということだという確認でよろしいでしょうかということが1つ。

 そして、その際、私ども、社養協、上野谷でございますけれども、今一番大切なのは、地域包括支援体制に資する人材、これは士師法にまつわるものだけではなしに、さまざまな職種の方が現に働いておられる。この現に働いている方に何が求められるかといいますと、やはりずっと出てきておりますコーディネート力であるとか、連携力であるとか、開発力であるとか、コミュニティ・ディベロップメント力であるとか、要するに、それぞれの専門職、看護、医療、福祉含めた地域の力と、それから、民生委員やボランティアさん初め住民の方たちが、相互が力を発揮できるように、スパイラルアップと言いますけれども、そういう開発力が求められており、2007年、2009年段階の法改正にも同じことを、コーディネート力と言ったのですが、その求められているコーディネート力であるとか包括力は数段変わったものといいましょうか、課題が非常に多様になってきていることがあって、言われたことは当然そのままだったのですが、実現しなかったと。これは養成側の責任もございます。私ども、養成側の教員が、職員が、誰が何を、中身ですね、どのように教育、研修するのかというあたりが成熟していない部分もあったのではないか。このように反省しているわけであります。

そういう意味では、今回、こういう整理をしていただき、先ほどの介護福祉士とも関係いたしますけれども、指導者、教育者養成のあり方と、それから教材開発ですね。これは新たな教材開発をしていただかないと、従前のやり方では、求められている専門職としての資質が向上するのはかなり難しいのではないか。そして、教育方法や開発ですね。これは文科省もサービスラーニングやワークショップ含めて、小中学校からも教育方法変えろと言っている時代に、なかなか社会福祉士の養成校並びに大学がそれに伴う開発ができていないのではないか。これはまだ推論のあれでございまして、エビデンスをとるべく、平成24年ぐらいからですが、とりわけ今回、社養協としては、これは厚労省の福祉推進事業の補助金をいただいてやっております事業でございますけれども、2つの研究事業と、そして1つの事業をさせていただいております。

時間ございませんので、1つだけ、少し御紹介しますと、全国の地域包括支援センター4,729カ所、全数でございます。また、市区町村社会福祉協議会、1,846カ所、全数でございます。この職員さんに対して、今、地域包括支援センターからは6,530票、そして社会福祉協議会からは2,926票返ってきておりまして、分析作業中でございます。次回、ないしは次々回に、今申し上げましたエビデンスですね、何が足りなくて何が求められているのか。これは地域包括を進めるに当たってこの最新のデータが出てまいりますので、それに基づいて、今、私申し上げました専門職の力だけではなく、地域力アップや住民の方々と協働しながら、専門職を生かし得る力の開発、これがなければ地域包括支援体制はつくれないと思っておりますので、そのあたりは、次回、次々回、一定程度のエビデンスが出ました段階でペーパーで出させていただきたいと思っております。

きょうは、感想と、そしてあと1つ、この取り巻く状況で追加していただきたいことがあるとすれば、やはり災害ソーシャルワークですね。このあたりの現場の方々の活躍、これは、特養を初め、障害者施設を初め、社会福祉法人施設が非常に頑張っていただきましたし、介養協も含めて、介護福祉士会、本当に頑張っていただきました。ですから、ちょっとそういうことを踏まえて、どう養成し、災害時こそ地域包括系が大事でございますので、そのあたり、少し追加していただければ、もうこの状況についてかなり完璧な段階ではないかなと思っております。

意見とお願いを申し上げました。以上でございます。

○田中委員長 前段に御質問が1つ含まれていました。お願いします。

○榎本福祉人材確保対策室長 今、上野谷委員から御指摘いただきました。要は、この委員会での議論の進め方ということかと思います。まさに委員おっしゃるとおりで、まず私どもの社会福祉士の現状認識というのは今回お示しさせていただきました資料のとおりでございますが、ただ、今最後に御指摘いただきました災害の関係ですね。確かに、今年も熊本の地震等ございました。そのときに、社会福祉士さん、それから、石本会長もそうですが、介護福祉士の方々、いろいろと活躍をされておられます。そういうことも当然ながら、こういった現状に含まれるものと思います。

議論の進め方として、まず、理念、規範というものがあり、これは地域包括ケアシステム等、既に出ていますと。それに基づいた政策というのも考えられていますと。この専門委員会で議論するのは、それを踏まえた実践。特にこの委員会は人材の専門委員会でございますので、今後そういった理念、規範、それから政策を生かしていくためにどういう人材が必要か、そして、どういった人材養成のあり方が必要かというのを議論するのがまさにこの福祉人材確保専門委員会の役割であるということで捉えさせていただいておりますので、基本的に上野谷委員のおっしゃるとおりかと考えてございます。

○田中委員長 では、小島参考人、堀田委員の順でお願いします。

○小島参考人 再度発言させていただきます。

社会福祉士を取り巻く状況について6ページ以降でるるまとめていただいているのはまさにこのとおりでありまして、先ほど団体の方からもいろんな意見が出たのですが、確かに社会福祉士は潜在的にいっぱいいらっしゃると思うのです。ところが、地域包括支援センターの3職種で足りないのは保健師と言われているのですけれども、現実に社会福祉士の方も足りないということが現場の声として上がってきております。介護保険部会の中でも、先ほどの「我が事・丸ごと」の中で、これからのソーシャルワーク、地域包括ケアというのは、高齢だけではなくて、あらゆる分野にも精通してということで、モデル的に各市町村が地域包括支援センターで、よろず相談的なことをしようという取組も一部では始まっています。

ただ、今の四千幾つある包括支援センターに全てそれを求めるとなると、そういった人材がいるのかという議論が常にわき起こってきます。そういった意味では、社会福祉士の活用、ソーシャルワーク、これはすごく大切なことで、これだけニーズがあるのだなということは、もうこのとおりだと思います。ただ、問題はメソッドとしてどうしたら活用できるのか、どうしたら登用できるのか、やはり財源とかそういったところの保障がないとできないのかなと思っています。

一例を挙げれば、昨年4月にスタートした生活困窮者自立支援についても、私ども、神奈川県下でも200人を超える相談員がいるのです。ところが、国が養成していただけるのは、神奈川県の枠で6人。それでは相談員の資質が担保できるわけがないということで、私ども、県独自で、ソーシャルワークに求められることというのは、生活困窮ですから、単なる生活保護の制度だけではない、税の問題もあれば多重債務の問題もあり、いろんなスキルを身につけなければいけないということで、専門研修的なことを始めています。

またさらに、子供の貧困についても、学校のソーシャルワーカーだけでできるのかということもあります。ところが、なかなか学校から情報が出てこないとか、そういったこともあって、今までも縦割り行政のそういった問題がかなり指摘されていまして、地域丸ごとをやるためには、縦割りでなくて、横軸に刺していくことが必要です。そういった意味では、社会福祉士という職域というのはまさにそれに適した人材なのかなと思っておりますが、なかなか活躍をしていただいている場面に遭遇しない、そのような思いもあります。

最後に、上野谷委員から言われた大規模災害のときには、確かにどういうところに支援が必要かということで、ソーシャルワークのときには、社会福祉士さんやケアマネージャーさんがまず先遣隊として行って、そういったウォッチをしてくる。ところが、実際に必要なのは、施設の職員が出勤できないから人が足りないのだという、そういう介護職員のマンパワーの問題であったり、水をくみに来るのに給水車が来るけれども、それのバケツリレーができないとか、本当にマンパワーの問題であったりするときがあります。地域の大規模の災害のときの支援のあり方というのは、それぞれの団体さんの持ち味で今までやってこられたと思うのですけれども、そういったところを結集して、どういう対応ができるのか、私どもも昨年あたりから勉強会を各団体さんと始めて、その中にも社会福祉士会の方にも入っていただいており、ソーシャルワークも大事だけれども、やはりマンパワーとしての直接支援も大事なのだというような両極のような意見が出て、毎回まとめるのが大変だというような状況があります。

そうした意味で、申し上げたいのは、このようにニーズはあるわけですので、どうしたら活躍できるか、財源問題も含めて国には積極的なアプローチをしていただきたい。市町村にと言われますけれども、市町村は今回ここにはいらっしゃらないのですけれども、かなり疲弊している状況がありますので、そこは配慮いただきたいなと思います。

以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。県庁の方から、縦割りはいかんと、実感がこもっていて、大変結構ですね。

 堀田委員。

○堀田委員 ありがとうございます。

 先ほどの鎌倉委員と上野谷委員の御意見をお伺いしながら、改めて、この部会での議論の方向性として、明らかにソーシャルワークという機能がこの国でもっと発揮されてほしい、ソーシャルワークという機能が充実してほしいという方向性は多分異論はないところだと思うのですね。

そのときに、この部会の議論として、社会福祉士なるものの活用の場を広げるとか、その雇用の安定化ということそのものを議論するというよりも、いかにしてソーシャルワークという機能がより発揮されるか、充実するかというような方向性のほうが議論しやすいかなあというのが1つ思わされたところです。

 それは実は上野谷委員がおっしゃったところにもつながっていると思いまして、なので、社会福祉士という人の活用の場を広げましょう、雇用の安定化しましょうと言うとちょっと、それはそちらで結果的に頑張っていただければいいのではないかなというような感じで、社会全体のソーシャルワーク機能の充実というときには、上野谷委員が後半御指摘くださった、あるいは、今、小島参考人もおっしゃったところにつながると思うのですけれども、あるいは、もう一つ前の介護福祉士にかかわる議論のところにもつながることではないかと思うのですが、社会福祉士の方々が発揮していただきたいソーシャルワークの機能も、もしかするとこれまでよりもより高度化していただきたいところもあるだろうと思いますし、他方で、ソーシャルワークの力って、ナチュラルソーシャルワーカーというか、住民の全ての人たちの中にもともと備わっているようなものもあるわけで、それをソーシャルワークという機能を分散化していくというか、それぞれが持っている力を引き出せるような社会福祉というものがソーシャルワークを全部担いますというのではなくて、それは資格を超えて、あるいは専門職種だけでなくて、専門職でない方々が持っているようなソーシャルワークの基礎的な機能みたいなものを引き出すというところにより社会福祉のほうは上がっていっていただくことを通じて、トータル社会全体としてはその機能が浸透していくというような考え方もあるのではないかなと、後半おっしゃったように思いますので、そういった視点も含めながらの議論になっていくといいのではないかなと思います。

 このことは、多分、このラウンドの大分前のほうに、どなたかの御質問、あるいは私自身もお聞きしたことになるのではないかと思いますけれども、参考資料のほうの17ページでも改めて出されていますように、先ほど来お話の出ている「我が事・丸ごと」なり、地域共生社会の実現ということに向けて、きょう議論されている介護や社会福祉のみならず、さまざまな専門資格の共通の基礎課程の議論なんていうことも、来年度以降より本格化していこうというところであれば、先ほどのようなソーシャルワークの基礎みたいなものは、もしかするとこういった共通の基礎課程の中でも位置づけていっていいものなのかもしれないというような議論の目だしもしておける場になるといいのではないかなと期待するところです。

 以上です。

○田中委員長 議論の方向について整理いただき、ありがとうございました。

 上野谷委員、お願いします。

○上野谷委員 確認をさせていただきたいのですが、私が申し上げたのは、もちろん、住民が持ちます、むしろボランタリズムなのですね。住民がボランタリズムを発揮していただくように、ソーシャルワークを使って、ソーシャルワークが展開される基盤、これをつくっていくということを考えませんと、ソーシャルワークの単なる拡散、堀田委員はそういう意味で言っていらっしゃらない、わかった上で言っているのですが、拡散になってしまいますと、中核的に担うところがぼやけてしまう。これは医療や看護は業務独占でやっておられるのでそれでよろしいのですけれども、家庭看護があってもいいのですけれども、介護も福祉も、ソーシャルワークも、ある意味、今きちんと専門職養成をしないといけないという状態プラス、ソーシャルワークが、ケアワークが展開される基盤をどうつくっていくか。違う議論としてありますので、連続しておりますけれども、そこをちょっと曖昧にいたしますと、国民みんなで助け合いましょう運動になってしまいますので、そこだけ、堀田委員、そういう意味ですよね。私の2つ目をとっていただきましたのはお礼申し上げますけれども、確認です。

○堀田委員 それは齟齬はないと思います。ありがとうございます。

○田中委員長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 社会福祉士の現状と役割で、参考資料10ページの「診療報酬における社会福祉士に関する主な評価」ですが、さまざまな専門職とのチームを組むことも含めて、社会福祉士を配置することによって、例えば退院支援がより効果があるのではないかという想定でこの診療報酬上で評価されているということだと思います。私は中医協委員をしており、社会福祉士の配置は当然評価すべきだろうとは思っておりますが、社会福祉士を配置してどのような効果があるのかというエビデンスがなかなか出てきてないのかと思っています。

例えば精神保健福祉士は、精神保健福祉士を配置することによって、精神障害者の地域移行がさらに促進されるという効果もエビデンスとして出されておりますし、ほかの職種であれば、例えばリハビリはOTPTが配置されることによって患者さんの機能の回復に大きな効果があらわれることもエビデンスで示されております。なぜ社会福祉士を配置することについては、当然専門性が高いため、社会福祉士が配置されればより効果的な退院支援が行われるだろうと考えられますが、それが「だろう」で終わっていることが厳しいところがあると思っております。

 当然、病院における社会福祉士、MSWが求められるのは、単に平均在院日数を短縮するために患者をどんどん外に出すということではなく、患者が置かれている社会的な背景や家庭の状況、家族の状況を含めてどのような支援が必要なのかというのを個別に計画策定にかかわっていくことが重要であります。社会福祉士がかかわることで効果的な援助ができるのが重要ですので、エビデンスは難しいと思いますが、そういう取組が重要ではないかと思っております。

 また行政機関において社会福祉士の資格を持っている方の配置が増えていないという課題があります。以前意見として言った記憶がありますが、行政の人事のあり方から考えていく必要があると思います。特に市町村ですと、例えば水道課の人には大変悪いのですが、水道課から突然介護の職場に来ましたという人事異動も多くありますし、また、政令市や都道府県庁においても、人事異動が激しいがために、なかなか専門性が保てないという問題があります。

 児童相談所などについては、この間の深刻度合いから見て、かなり配慮された人事異動がされていると思われますが、例えば福祉事務所においては新規採用者ばかりが配置されてしまっているという状況もお聞きしております。特に生活保護は他法活用ということで、生活保護制度だけでなくて、あらゆる制度を知っていなければならないという高い

専門性が求められているにもかかわらず、そういう実態があることをまずはどう考えていくのかが必要です。その中で、行政の中で社会福祉専門職を採用していくなり、社会福祉士の資格をとってもらうことも含めて、どのような方向で考えていくべきかを進めていく必要があると思っています。

 今、社会ではさまざまな社会的な支援が必要な方が大変多くなっております。社会福祉士の活躍や社会福祉士の能力を持った方々は極めて重要ではないかと思いますので、問題意識として言わせていただきました。

 最後に、多職種の連携についてです。いろんな職種がございますので、社会福祉士がそのいろんな職種の連携のつなぎ役ということも重要ではないかと思っていますので、意見として言わせていただきます。

 以上です。

○田中委員長 川井委員、お願いします。

○川井委員 今の御意見に対してなのですけれども、同じようなことを思っていまして、医療の中では、例えばMSWは、先日もこういう事例がございまして、調整会議をして退院したけれども、状態が悪くなった。でも、先生に直にダイレクトにケアマネから電話するにはとてもハードルが高い。なかなか先生と調整がとれないと。そういう場で必ずかかってきますのが、MSWのところにかかってきて、それを病院内で調整するというような、先ほどおっしゃいましたような調整役割というのは非常に重要な役割を担っているのだと自負しておりますけれども、そういう中で、チームとして動くということが、ソーシャルワーカー、社会福祉士のベースになっているのかなと思いますので、アウトカムの社会福祉士がいて、どう評価できるかという、そこを出すのが非常に難しい役割を担っているのかなということを感じております。

 以上です。

○田中委員長 時間になってまいりましたが、よろしゅうございますか。

 それでは、本日の審議はこれにて終了といたします。次回の開催については追って事務局より連絡するようお願いいたします。

 本日は、御多忙の折お集まりいただき、また活発な御議論、ありがとうございました。

 

 


(了)

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