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2017年2月15日 平成28年度第3回医師臨床研修部会 議事録
医政局医事課医師臨床研修推進室
○議事
平成28年度第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 <第1部>
日時 平成29年2月15日 ( 水 )
13:00~
場所 厚生労働省専用第21会議室
○桑原臨床研修指導官 定刻よりやや早いのですが、委員の先生方、皆さん、おそろいになっておられますので、これより、平成 28 年度第 3 回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。本日は先生方には御多忙のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。本日、山下委員から御欠席との連絡を受けております。文部科学省からオブザーバーとして参加の佐々木企画官ですが、若干遅れてまいります。
また、本日は議題 1 、医師臨床研修制度の到達目標、評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告を御報告いただくため、同ワーキンググループの座長で聖路加国際病院長の福井次矢先生に参考人としてお越しいただいております。以降の議事運営については、部会長にお願いいたします。また、撮影はここまでとさせていただきます。桐野先生、よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 それでは、まず、資料の確認をお願いします。
○桑原臨床研修指導官 では、お手元の資料を御覧ください。左上をゼムクリップで留めた資料と、それ以外の留めていない分厚い束があると思います。本日、ゼムクリップで留めた部分を公開の会議として到達目標や募集定員の話を行います。その後の分厚い資料は、個別審査を非公開で行いますので、先にゼムクリップの部分だけを御覧ください。
クリップを外していただくと、次第、座席表とあり、右上に資料 1-1 、 1-2 とあります。見た目がよく似ているのですが、この後福井先生から御説明いただく到達目標に関するものが資料 1-1 、その目標を達成するための方略、評価に関するものが資料 1-2 です。資料 1-3 は、その目標の卒前、卒後の関係性を示したもの。資料 2-1 、 2-2 、 2-3 とそれぞれ 1 枚ずつ、最後にあるものは都道府県の募集定員の資料ですので、こちらは後ほど説明いたします。不足資料がある場合は事務局にお申し付けください。それでは、部会長、引き続きお願いいたします。
○桐野部会長 それでは、議事に入ります。本日の議題は 2 部に分かれております。第 1 部として、議題 1 「医師臨床研修制度の到達目標評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告」ということで、これは福井先生からお願いいたします。 2 番目の議題、「平成 30 年度都道府県別募集定員」という議題を審議していただきます。第 2 部は、臨床研修病院の新規指定申請等の審議を行っていただきます。
それでは、医師臨床研修制度の到達目標評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告について、福井先生、よろしくお願いいたします。
○福井参考人 それでは、よろしくお願いいたします。先ほど事務局から御説明がありました資料 1-1 、 1-2 、 1-3 を用いて大枠のお話をいたします。 1-1 が「研修目標」です。この言葉も、これまでは「到達目標」とされておりましたが、現在のところ、原案作成グループでは、「研修目標」としたほうがいいのではないかという意見があり、「研修目標」としております。1が「研修目標」で、資料 1-2 の2は主として、「実務研修に関する方略」です。
ページをめくっていただき、その裏の下の 3 分の 1 ぐらいの所の3は「研修目標の達成度評価」です。 4 ページの一番最後は、まだ細かく検討しておりませんが、差し当たって現行の4「修了基準」です。したがって、目標、方略、評価、修了基準という大きな 4 つの項目からなる案を作る予定です。本日の資料 1-1 の研修目標について、現在、かなりファイナルバージョンに近づいていると思っております。御意見を伺うことができればと思います。
1 ページです。1の「研修目標」、前文が「医師は、病める人の尊厳と公衆衛生に関わる職業の重大性を深く認識し、望ましい医師としての基本的価値観 ( プロフェッショナリズム ) 及び医師としての指命の遂行に必要な資質・能力を身に付けなくてはならない。医師としての基盤形成の段階にある研修医は、医師としての基本的価値観を自らのものとし、基本的診療業務を遂行できる横断的な資質能力を修得する」。
その下は 3 つのカテゴリーに分かれております。 A が「医師としての基本的価値観 ( プロフェッショナリズム ) 」、医師の行動規範となるような基本的な態度、ものの考え方を 4 項目挙げております。 B が「資質・能力」で、ここに主として知識や技能に相当するものを挙げており、 3 ページの中ほどまで 9 項目あります。その下は C 「基本的診療業務」です。基本的診療業務として、 2 年の研修が終わる時点でいつでもコンサルテーションできる状況下で、ほぼ単独での診療を任せることができるような診療業務を挙げております。
1 ページの A に戻ります。「医師としての行動規範となる基本的価値観」に 4 項目挙げております。 1 は社会的使命と公衆衛生への寄与です。これは社会との関係性における行動規範ということになります。医師としての社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、変化する社会と限りある資源に配慮した公正な医療の提供と公衆衛生の向上に努める。 2 は利他的な態度です。患者の意向や自己決定権を尊重しつつ、患者の苦悩・苦痛の軽減と福利の改善を最優先の務めと考え行動する。 3 は人間性の尊重です。個々人の多様な価値観、感情、知識に配慮し尊敬の念と思いやりの心を持って患者や家族に接する。 4 は自らを高める姿勢です。医師としての自らの言動を常に省察し資質・能力の向上に努める。
B の「資質・能力」の所は、 1 は医学、医療における倫理性。診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。この中に 5 項目挙げております。この部分は読むのを省きます。 2 は医学知識と問題対応能力です。発展し続ける医学の中で必要な知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題について、科学的根拠に経験を加味して解決を図る、この中に 3 項目あります。
3 は診療技能と患者ケアです。臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、意向に配慮した診療を実践する。この中に 3 項目あります。 4 はコミュニケーション能力です。患者の心理・社会的背景を踏まえながら、患者や家族と良好な関係性を築く。この中に 3 項目あります。 5 はチーム医療の実践です。医療従事者を始め患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し連携を図る、この中に 3 項目あります。
6 は医療の質と安全の管理です。患者にとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する、この中に 5 項目あります。 7 は社会における医療の実践です。医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会と国際社会に貢献する、この中に 6 項目あります。 8 は科学的探究です。医学と医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学医療の発展に寄与する。この中に 3 項目あります。 9 は生涯にわたって共に学ぶ姿勢です。医療の質の向上のために常に省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。この中に 3 項目あります。
C の「基本的診療業務」です。必要時のコンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独での診療を任せることができる。 1 は一般外来における診療です。症候などの臨床問題を適切な認知プロセスを経て解決に導き、頻度の高い慢性疾患のフォローアップができる。 2 は病棟における患者ケアです。入院患者の一般的・全身的なケアができる。 3 は初期救急への対応です。頻度の高い症候と疾患、緊急性の高い病態に対応できる。 4 は地域医療連携です。地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保険に関わる種々の施設や組織を活用できる。
最後に資料 1-3 を御覧いただきたいと思います。現在、文部科学省で医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂作業が進んでいて、その委員会とのすり合わせになります。左側がモデル・コア・カリキュラム、右側が今説明させていただいている研修目標です。ここでは、研修目標のプロフェッショナリズムに関わる 4 項目と、「資質・能力」の1「医学・医療における倫理性」を合わせて 5 項目が、モデル・コア・カリキュラムでは「プロフェッショナリズム」という扱いになっております。
「資質・能力」の 2 ~ 9 番目の項目については全く同じ文言で、整合性を確保できました。モデル・コア・カリキュラムのプロフェッショナリズムと、研修目標の案と、どちらがいいのか、どちらかに統一すべきなのかという議論は何度か出てまいりましたが、現在のところ、別々の形でいく方針になっております。
と言いますのは、「プロフェッショナリズム」の定義が研究者によって異なりますので、私としては、どちらかというと倫理の知識には、一部、技量的なところがありますので、プロフェッショナリズムの 4 項目をコアとなるプロフェッショナリズムとしてこのような形で前面に出したほうがいいのではないかと考えて、ワーキングでも現在までのところ、これで了承を得ている状況です。以上です。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。ただいまの議題 1 「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告」に関して、御意見ございましたらお願いいたします。
○岡村委員 今、福井先生から、「到達目標」と「研修目標」という言葉で、これまで「到達目標」という言葉だったのだけれども、資料 1-1 の 1 ページに今回は「研修目標」にしようという案だということをお聞きしました。ほかの所でも全部、「臨床研修到達目標」という言葉が使われているということが 1 つ。もう 1 つは、「到達」という言葉を省いてしまうと、トーンダウンしているような印象を受けるのですが、いかがでしょうか。
○福井参考人 あまり深い議論が行われたわけではないのですが、医学教育関係のワークショップでは、一般的に、「研修目標」という言葉を使うことが多いものですから、「到達目標」よりも「研修目標」のほうが普遍性があるのではないかと考えました。案を作っている研究班のメンバーからこのような意見が出ましたが、あくまでも案で、絶対にこちらでなくてはならないというものではありません。
○岡村委員 資料 1-1 の一番上のタイトルも「臨床研修の到達目標」となっていて、例えば資料 1-3 も「臨床研修到達目標と医学教育モデル・コア・カリキュラムの関係について」と、大きなテーマに「到達目標」という言葉が出てくるので、一緒にしたほうがいいように思います。
○福井参考人 一貫性は確保したいと思います。統一が取れていない資料になってしまい恐縮です。もう一言です。資料 1-2 の「方略・評価」は、まだ深く議論されておりませんので、このような枠組みで、これから 1 年間かけて、「方略と評価」についてはファイナルなものを作っていこうというところで、まだ、これについてここで議論いただくような精緻なものにはなっておりませんので、恐縮ですが、御理解いただければと思います。
○桐野部会長 まずは資料 1-1 の「研修目標」と書いてある所をよく議論いただきたいということだと思います。ただいま「到達目標」「研修目標」という言葉の問題は出ましたので、そういう意見が出たということはお願いいたします。そのほかに何かございますか。
○神野委員 直接、今の研修目標、到達目標の話ではないのですが、この中の「資質・能力」の所のチーム医療、安全管理、今、まさに求められているところかと思います。そうすると、それが、今度は方略になってくると、「特定の医療現場の経験」という所を見ると、チーム医療や安全が必要とされている、ここで言うのも何ですが、外科系が少ないのかと。今後、検討の中で、「特定の医療現場の経験」ということで、少し外科系の考え方を何か入れたほうがいいのかということを御検討くださいというお願いです。
○桐野部会長 いかがでしょうか。
○福井参考人 実は「実務研修に関する方略」の所には、勧められるローテーションの診療科なり、分野も案として出す予定にしておりますが、微妙な問題もあり、もうしばらく議論を尽して、ワーキングを通した上でこちらの会議で検討していただきたいと思います。
○桐野部会長 ほかにいかがでしょうか。
○羽鳥委員 医学教育のモデル・コア・カリキュラムの中でも、今度、 OSCE が終わってスチューデントドクターが議論されており、その議論と初期研修医の議論は結構重なる部分が多いと思います。全く並行していくと考えていいのですか。それとも、両方とも単独ではできないわけですよね。そうすると、スチューデントドクターと初期臨床研修医の違いとか、その辺りについてはいかがですか。
○福井参考人 資料 1-1 の「資質・能力」の 1 ~ 9 項目が共通であっても、学生と研修医では求められる深さが全然異なります。そういう意味で、医学生の場合には、医学知識と診療技能、つまり「資質・能力」の 2 番目と 3 番目の勉強に大部分の時間を費やして、研修医とは随分深さも違うということになります。 9 項目それぞれについて卒前教育で求められる深さと研修医に求められる深さ、日本医師会の生涯教育で求められる深さがそれぞれ違うので、項目が同じでも「方略・評価」の内容はかなり違ってくるということになると思います。
○羽鳥委員 初期臨床研修は、独立して医行為ができるのみではありませんが、医学生も POST OSCE の時はスチューデントドクターとして、同じように指導医のもとで、点滴、採血などの医行為を行ってもよいとなります。そうすると、実際に初期臨床と行動としてやることに差が出ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○福井参考人 いわゆるスチューデント・ドクター、医学生ができることと研修医ができることは全く違うと考えております。医師免許証があるかないかで全然違ってきますし、どれくらいスーパーバイズする必要があるのかも全然違ってくると思います。
○桐野部会長 今のは学部の教育と初期臨床研修の基本的な考え方に関わることで、非常に重要なポイントだと思います。それは、多分、かなり繰り返し議論されてこれが出てきたのだろうと思います。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体、かなり熟してきたというか、こういう形に沿って作られていくだろうということで、あと細かい文言の問題などは、よく御検討いただいて最終的な段階に入っていただければと思います。よろしいでしょうか。
( 異議なし )
○桐野部会長 どうもありがとうございました。続いて、事務局から議題 2 「平成 30 年度都道府県別募集定員」の説明をお願いいたします。
○桑原臨床研修指導官 続いて、右上に資料 2-1 と書いてある 1 枚ものと、その次の横長のグラフが資料 2-2 です。併せて御覧いただければと思います。資料 2-2 の横長のグラフを御覧いただくと、左から右に流れてまいりますが、一番右端に「 1.14 倍」と書いてあります。下の矢印が 9,940 から出発しており、平成 30 年度の臨床研修の希望者数は 9,940 人と推計しております。
これに募集定員 1.14 倍を掛けて、都道府県によっては募集定員の上限を設定しても、病院でその分として十分受け入れ切れない部分もありますので、それも加味して 11,759 を平成 30 年度、日本全体での募集定員の上限として設定してはどうかと考えております。その 1.14 倍を左に遡っていただくと、その前が 1.16 倍、 1.17 倍、 1.22 倍ということで、こちらは平成 27 年度から、最初は 1.22 倍から始めて 0.02 倍ずつ下げていくという方針が決まっておりますので、それに従って平成 30 年度は 1.14 倍に設定するということです。
特徴として、一番上の 11,759 という数字なのですが、過去、その線を左に行っていただくと、 11,583 から 11,685 、 11,817 と少しずつ上がってきました。これは研修希望者数の入学定員が増えておりますので、倍率は下げるのですが、掛け算をした結果としては全体の上限が微増してきたということです。来年度は、研修希望者数はまだ入学定員増が続いておりますので増えるのですが、倍率を 1.14 倍まで縮小して掛け算をした結果、トータルの数も 58 なのですが、来年度から少し減ります。恐らく、この傾向が平成 31 年度、平成 32 年度と少しずつ全体の上限を下げていく時期に差し掛かっている。もちろん、今後の希望者数の推計次第ですが、きていると見ております。
資料 2-1 の 1 に書いてあるのが、今、説明の「平成 30 年度は 1.14 倍になるように設定する」ということです。 2 番目は、念のために申し添える必要があるのは、千葉県に平成 29 年度から国際医療福祉大学の医学部が新設されて、入学定員を 140 名予定しております。全体の数は先ほど申し上げた倍率で決めるのですが、各都道府県の入学定員の上限は、その都道府県内の人口、又は県内にある大学の入学定員で決めることになっております。人口を用いるのか、入学定員を用いるのかは多いほうです。要は人口に比べて入学定員が多い県であれば入学定員を採用する。入学定員と比較して、人口が相対的に多い県は人口で決めます。
千葉県は圧倒的に人口のほうが多いのです。国際医療福祉大学の 140 名を足したとしても、千葉県はまだまだ計算をする上では人口のほうが効いてくるという県です。 2 番目に、「 140 名を 6 年間で割って 23 名又は 24 名ずつ計算する」と書いてあるのですが、結局、千葉県は県の人口で上限を決めるので、結果として影響はないということです。
資料 2-3 を御覧ください。右から 2 番目に「平成 29 年度上限との差」という列があります。▲が並んでいるのは、今年の 4 月からの募集定員と比較して、各都道府県の上限がどのなるのかというもので、御覧いただくと、全体的に▲が付いているのは、先ほども申した平成 30 年度は全体の定員を少し抑える時期にきているので、県によってかなり減る所が増えているということです。
※ 6 の所を御覧ください。千葉は 1 増えているのですが、国際医療福祉大学を計算したことによって増えるというよりも、大学の影響はなく、ほぼ前年同ということです。逆に都市部の東京、愛知、まだ試算の段階なので最終的な数字は少し前後しますが、全体の上限を抑える影響が特に都市部に出てくるということです。「平成 30 年度研修 都道府県別募集定員の上限」については、以上です。
○桐野部会長 今、資料 2-1 に従って、平成 30 年度の募集定員上限、あるいは国際医療福祉大学の医学部新設に係る千葉県の募集定員の上限ということで説明がありました。これは、平成 30 年度の全体の募集定員については、これまでやってきたとおり、募集倍率を 1.10 倍まで徐々に下げていくというやり方で、これまでどおりとした場合、平成 30 年には、この定員数をやや下げなければならない県が相当数出てくるということです。ただ、京都府を除いては、まだ多少余裕がある状態ですので、大きな問題になることはないのかと思います。
2 番目の国際医療福祉大学の取扱いについても、前年度の東北医科薬科大学の取扱いと同じということです。これについて、いかがでしょうか。
○小川委員 少し説明を求めます。 11,332 とグラフの一番右側の 11,759 という、募集定員上限と募集定員は何が違うのでしょうか。
○桑原臨床研修指導官 まず、先生がおっしゃった 2 つの数字の違いです。単純に 9,940 に 1.14 倍を掛け算したものが、 11,332 です。この 11,332 を各都道府県に分けて、都道府県の上限とすると何が起こるのかというと、県によっては、その県の上限を「何名ですよ」と設定しても、受け入れる側の病院が「そんなに受け入れることができません」ということで、県の上限どおりの募集定員設定ができない県が出てきます。
11,332 と 11,759 の差というのは、今までのペースでいくと、全国の病院側で受け入れられない数が予測できます。あらかじめ、それを上乗せしておいて、 11,759 で各都道府県に上限を設定すると、最終的には実際の募集定員が 11,332 に落ち着いて、希望者数に対して 1.14 倍でちょうどよくなるであろうという設定です。
○桐野部会長 少し分かりにくい数字ですよね。結局、最終的にピタッと、これから始めますよというときは、例えば平成 30 年ならば 1.14 になるように調整しているということだと思うのです。
○桑原臨床研修指導官 おっしゃるとおりです。
○桐野部会長 ここで始めたのではなくて、過去 5 年間ぐらいやっている操作みたいなものですけれども。
○桑原臨床研修指導官 ちなみに平成 29 年度も、その隣に 11,817 とありますが、 11,817 を各都道府県の上限に割り振り、実際の募集定員は 11,390 名でした。この 11,390 名という募集定員が、その下の 9,826 名の希望者に対して、 1.16 倍に合うようになったというのが平成 29 年度の結果です。
○桐野部会長 小川先生、今の説明でよろしいですか。
○小川委員 理解がまだ十分ではないです。
○桐野部会長 前にその説明を書いたものがあったように思います。
○桑原臨床研修指導官 すみません、説明がうまくできておりません。現在手元にありませんが、もともとルールを定めた資料があります。
○桐野部会長 後で説明の紙を先生にお送りするということで、よろしいですか。
○小川委員 お願いします。もう一点です。平成 26 ~ 27 年にかけて都道府県の募集定員の上限が急に上がっているのはなぜですか。
○桑原臨床研修指導官 そもそも都道府県の上限の考え方が平成 26 ~ 27 年度で大きく変わりました。平成 26 年度までは、それぞれの都道府県に上限を決めるのですが、上限の中に必ず入っていなければいけないというものではなかった。むしろ、その上に平成 26 年度、 10,703 というものがあります。これは何かというと、平成 26 年度の都道府県の上限は 9,838 にしていたのですが、実際の募集定員は 10,703 で上回っておりました。
というのは、都道府県の上限を平成 22 年度から設けたのですが、それまでの募集定員は、それまでの実績をベースにいきなり上限の中に収めなさいということではなくて、経過措置的に今までの実績をベースにした募集定員を設けるということで、平成 22 ~ 26 年度まで続けていた。それを平成 27 年度から、目標数のような上限ではなくて、厳密に都道府県ごとに上限のうちに収めるという見直しをしました。逆に完全にその中に収めるのであれば、それまでの実績に見合った都道府県ごとの募集定員を決める必要があるということで、平成 27 年度とは全く違う考え方で都道府県別の募集定員を設定した。
それが今、御覧いただいている、急に跳ね上がっている 11,583 ということで、ここを点線にしているのは上限を増やしたということではなくて、そもそも上限の考え方を変えて平成 27 年度から設定したというものです。
○桐野部会長 実際は、少し黒めに書いてある上のずうっとあるカーブが実施された募集定員であるということですか。
○桑原臨床研修指導官 おっしゃるとおりです。
○桐野部会長 今のこともよろしいでしょうか。少し分かりづらい。
○桑原臨床研修指導官 分かりづらくて申し訳ありません。
○小川委員 11,332 というものが最終的な上限であるということですか。
○桑原臨床研修指導官 おっしゃるとおりです。
○小川委員 そうなると、資料 2-3 の「平成 30 年度研修 都道府県別募集定員の上限 ( 試算 ) 」で、右から 3 項目の所が 11,759 となっておりますが、資料 2-3 の表の中で 11,332 はどこに出てくるのですか。
○桑原臨床研修指導官 資料 2-3 の表には出てまいりません。個別の県名を挙げるのはあれですが、例えば一番上に 462 と上限を設定している県があります。県によっては県の上限が 462 であっても、実際の募集定員が 450 や 440 という県が出てきます。そういう県を全部足し合わせると、 11,332 になるであろうという考え方です。
○小川委員 分かりました。
○桐野部会長 これも前に説明があったように思うのですが、余りに分かりにくいのではみんなが理解するのはどうでしょうか。
○桑原臨床研修指導官 資料と説明の仕方を少し工夫させていただきます。
○桐野部会長 これはホームページ等に算定方法の計算式が書いてあったと思います。それをチェックして、必要ならば補足していただければいいのではないかと思います。そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。第 2 部に移ってよろしいですか。
ただいまの「平成 30 年度都道府県別募集定員」に関しては以上で審議を終了し、第 2 部の「臨床研修病院の新規指定等」の審議を行います。事務局は資料の準備をお願いします。
○桑原臨床研修指導官 では、これより非公開で、「臨床研修病院の新規指定等の審議等」を行いますので、恐縮ですが、メディアの方、一般傍聴の方におかれましたは御退室いただきますようお願いいたします。準備をいたしますので、しばらくお待ちください。それから、資料は先ほどのゼムクリップ以降の分厚い資料を順次説明いたしますので、厚いほうを取り出してください。
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