ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2016年10月31日)




2016年10月31日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年10月31日(月)16:00~


○場所

新橋5A会議室


○出席者

出席委員(11名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、
花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(0名)

行政機関出席者

伊 澤 知 法(監視指導・麻薬対策課長) 他

○議事

○伊澤監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。

 本日は、お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、まことにありがとうございます。

 本日は、全ての先生に御出席いただいておりますけれども、関野委員が少しおくれているようでございます。

 当部会委員数11名のうち、関野委員も含めますと11名御出席ということでございますので、定足数に達しておりますことを、まず御報告いたします。

 それでは、本部会の公開・非公開の取り扱いについて御説明いたします。

 総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されましたことから、非公開とさせていただいております。

 また、会議の議事録の公開につきましては、発言者の氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただければと存じます。

 それでは、以後の議事進行につきまして、鈴木部会長にお願い申し上げます。

○鈴木部会長 それでは、最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料ですが、資料が1~3まで。また、参考文献は1~14まで。そして、参考資料が1~3となってございます。

 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合にはお知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい3物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。

 資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~3まで、それぞれ記載しております。これらの物質について指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて御審議をいただきたいと思っております。

 資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものでございます。

 資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果などについて、中枢神経系への影響を中心にとりまとめたものでございます。

 では、まず、物質1について御説明いたします。資料2を説明させていただきます。後ほど詳細につきましては、資料3を用いて御説明いたしますが、資料2には、審議物質及び構造が類似する物質や作用が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できましたデータをとりまとめております。

 資料2-1には、審議物質1.のオクフェンタニルに構造が類似する指定薬物や麻薬について、症状観察、自発運動量への影響、オピオイド受容体に対するデータやマイクロダイアリシス試験のデータをまとめております。

 審議物質は、オピオイド受容体活性への活性を有し、また、マイクロダイアリシス試験においてもドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン量を増加させる作用を有しております。過去に指定した指定薬物や麻薬と同様の作用を有することを確認しております。

 資料2-2には、審議物質2.のエフェニジンに構造が類似する指定薬物や麻薬について、自発運動量への影響、NMDA受容体におけるPCP結合部位との親和性のデータをまとめております。審議物質は、動物実験において自発運動量を増加させており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 審議物質2.の自発運動への影響欄が空欄となってございますが、ここは「増加」となります。大変失礼いたしました。

 資料2-3には、審議物質3.のO-デスメチルトラマドールに構造が類似する麻薬について、オピオイド受容体に対する親和性のデータをまとめております。審議物質は、過去に指定した麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 続きまして、資料3-1のオクフェンタニルを説明させていただきます。資料3の1ページをごらんいただけますでしょうか。

 通称オクフェンタニルですが、指定薬物である4-FBFや麻薬であるフェンタニルと構造が類似する化合物です。

 まずは()行動・中枢神経症状の観察といたしまして、マウスにオクフェンタニル(2mg/kg20mg/kg100mg/kg)を経口投与いたしまして、投与後30分、60分、120分の神経症状を観察したところ、2mg/kg投与群では対照群と比較して、瞳孔の散瞳とやや強い挙尾反応が確認されたと報告を受けております。

20mg/kg投与群では、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作及び角膜反射の抑制、強い挙尾反応、攻撃性がやや亢進、瞳孔の散瞳が確認されたと報告を受けております。

100mg/kg投与群では、攻撃性及び角膜反射の亢進、洗顔運動、痛反応及び立ち上がり動作の抑制、そして強い挙尾反応、瞳孔の散瞳が確認され、さらに全ての動物で一方向に旋回歩行するという異常行動が確認されたと報告を受けております。

 2ページの上段に、主な観察項目の結果を表の形で載せさせていただいております。また、オピオイド受容体に作用する薬物を投与することで、特徴的な挙尾反応を示したマウスの写真を載せさせていただいております。

 2ページの下段から3ページにかけまして、()といたしまして運動活性に対する影響につきまして、マウスにオクフェンタニル20mg/kgを経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定した結果をお示ししております。総運動量は投与直後から180分までコントロール群と比べて増加傾向にあり、特に投与後60分、また80130分、150180分では有意な差を示しております。

 1回の運動量が3cm以上の大きい運動量についても、投与直後から180分までコントロール群に比べ増加傾向があり、特に投与後60130分、150180分では有意な差を示しております。

 立ち上がり回数は、投与直後から40分でコントロール群と比べ減少傾向があり、特に投与後1030分、そして180分では有意な差を示しております。

 最後に、総移動距離は、投与直後から180分でコントロール群と比べて増加傾向があり、特に投与後60分、80130分、150180分で有意な差を示しております。

 3ページの中段から4ページにかけまして、()にマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化について報告を記載させていただいております。

 4ページをごらんください。Fig.2のとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンいずれも有意に増加することが確認されております。

 続いて、5ページ()に、ヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性EC50 を測定した結果を載せております。オクフェンタニルのμ受容体のEC50 1.77×10-9mol/L、κ受容体のEC50 は1×10-5mol/Lを上回るような結果となっております。

 参考といたしまして、ほかの文献に麻薬であるフェンタニル及びモルヒネのオピオイド受容体活性のデータを示しておす。フェンタニルのμ受容体のEC50 2.88×10-8mol/L、モルヒネのμ受容体のEC50 2.06×10-7mol/Lとなっております。

 以上から、オクフェンタニルは、中枢神経に作用する物質と考えております。

 最後5ページの下段ですけれども、()に海外での流通状況をお示ししています。2013年にオランダ、2015年にドイツ、フランス、ベルギーにおいて流通が確認されております。

 また、()の死亡事例でございますけれども、ベルギーとスイスにおいて薬物が原因と思われる死亡者の血液などからオクフェンタニルが検出された事例の報告がございました。

 以上の1物質について、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、最初に、□□委員から流通実態について御報告をいただければと思います。

□□委員 最初の化合物、オクフェンタニルにつきましては、我々、□□□□の分析調査におきましては検出しておりませんが、ただ、フェンタニル系に関しましては近年欧米で、特に米国で非常に流通が問題となっておりまして、いずれもフェンタニルアナログにつきましては、オピオイド受容体アゴニスト活性も強く、また死亡事例も報告されていることから、指定薬物として指定するべき化合物だと考えております。

 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、ただいま事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員どうぞ。

□□委員 指定薬物に指定することに何の異論もないのですが、個人的にはこれは麻薬そのものではないかという気がしないでもないのですけれども、いかがなものでしょうか。

○鈴木部会長 事務局からお願いいたします。

○事務局 現時点で麻薬足り得るデータが不足している状況もございますので、あと、それ以外にも、日本国内でも問題になっているといった状況がなかったり、指定薬物にすれば鎮静化もするような状況でございますので、現時点で急いで麻薬にする必要はないのではないかとは思っております。

○鈴木部会長 よろしいですか。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続きまして、物質2について御説明をさせていただきます。資料3-2のエフェニジンについて御説明いたしますので、6ページをごらんください。

 通称エフェニジンですが、指定薬物であるジフェニジンに構造が類似する化合物でございます。

 下表にNMDA型グルタミン酸受容体におけるPCP結合部位との親和性に関する報告結果をお示ししております。

 エフェニジンのKi値が6.64×10-8mol/L、麻薬であるケタミンのKi値が3.239×10-7mol/Lとなってございます。

 参考といたしまして、8ページに構造が類似する化合物のNMDA型グルタミン酸受容体におけるPCP結合部位との親和性に関する報告が幾つかありましたので、こちらに載せさせていただいております。

 これらの結果より、NMDA型グルタミン酸受容体に対するPCP結合部位との親和性を有していて、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 続きまして、戻りまして7ページ、()に運動活性に対する影響につきまして、マウスにエフェニジン5mg/kg50mg/kgを腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定した結果をFig.3Fig.4に示しております。

 5mg/kg投与群では、対照群と比較いたしまして投与後1時間後までマウスの自発運動量が有意に増加することが確認されました。

50mg/kg投与群では、対照群と比較いたしまして投与後2時間後及び4~5時間後までマウスの自発運動量が有意に増加することが確認されました。

Fig.5につきましては、陽性対象物質d-メタンフェタミンの結果として参考に載せさせていただいております。

Fig.6につきましては、投与後0~6時間における累積の自発運動量を示したもので、点線で囲んだものがエフェニジンの結果となります。溶媒のみを投与した対照群を100%といたしまして、それに対し比較したところ有意に増加することが確認されております。

 これらの結果より、エフェニジンは中枢神経に作用する物質と考えております。

 8ページの()ですけれども、最後に海外の流通状況でございますが、2014年にドイツ、2015年にスペインにおいて流通が確認されております。

 以上、1物質につきまして指定物質として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは同様に、□□委員から流通実態について御報告をお願いいたします。

□□委員 □□□□の分析調査におきまして、エフェニジンは粉末の形態で国内に流入を認めております。

 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、ただいま説明のありました物質について、委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員、お願いします。

□□委員 これは、中枢神経系の作用についてのKi値だけ文献から引っ張ってきておられるのですけれども、この文献は非常によく中枢神経の作用を調べているので、Ki値だけではなくて電気生理学的にきちんと直接の作用が出ているところとか、非常によく調べられているのがわかりますので、ただのバインディングのデータだけではなくて、もう少し詳細に参考データを入れておいたほうがよいかと思います。これはケタミンと同等の非常に強い作用があるものであることが、よく調べられていると思いました。

○事務局 □□委員どうもありがとうございます。以後、こういった文献に対しましては、御指摘のとおり参考にさせていただきまして、よりデータがしっかりと組み込まれたような形で資料を作成させていただこうと思います。御意見ありがとうございました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、意見が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。

 ただいま御意見いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続きまして、物質3について御説明いたします。資料3-3の9ページからとなります。O-デスメチルトラマドールについて説明させていただきます。

 通称、O-デスメチルトラマドールですが、医薬品として承認されているトラマドールの活性代謝物となります。

 まず、()にオピオイド受容体に対する受容体親和性に関する報告がありましたので、載せさせていただいております。

 (±)O-デスメチルトラマドールのμ受容体のKi値が1.21×10-8mol/L。(+)O-デスメチルトラマドールのμ受容体のKi値が6.02×10-9mol/L。(-)O-デスメチルトラマドールのμ受容体のKi値が4.28×10-7mol/Lとなります。

 この表ですけれども10ページに続いておりまして、麻薬でありますコデインのμ受容体のKi値が1.06×10-7mol/L。麻薬でありますモルヒネのμ受容体のKi値が3.45×10-10mol/Lとなっております。麻薬でありますコデインよりもオピオイド受容体への親和性が強いという結果になってございます。

()では、ラットの脳を用いてO-デスメチルトラマドール、トラマドール、コデイン、モルヒネ、これらによるモノアミン再取り組み阻害作用に関する報告がありました。その結果、O-デスメチルトラマドールには、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り組み阻害が認められております。

()では、てんかん誘発ラットにO-デスメチルトラマドールを投与することで、抗けいれん作用、けいれん誘発作用を観察している報告がございました。てんかん誘発ラットにO-デスメチルトラマドールを2.5mg/kg腹腔内投与したところ、挙尾反応と中等度の鎮静作用が確認されております。5mg/kgの投与では、重度の呼吸抑制が確認されております。

 また、通常のラットにO-デスメチルトラマドールを10mg/kg、また30mg/kg同じように腹腔内投与したところ、いずれも重度の呼吸抑制が認められ、そのうち高用量の30mg/kgを投与したラットにつきましては、1匹が死亡したという報告がございました。

()では、O-デスメチルトラマドールとトラマドールにつきまして、CPP法を用いて報酬効果を確認した結果を載せさせていただいております。ともに用量依存的に報酬効果の発現が確認されたという報告となっております。トラマドールよりO-デスメチルトラマドールのほうが低投与量から報酬効果の発現が確認されております。

 また、μ受容体拮抗薬であるβ-FNAを前処置したところ、O-デスメチルトラマドール、トラマドールともに報酬効果の発現が抑制されたことも確認されております。

11ページの中段()には、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化についての報告を記載させていただいております。Fig.9ですけれども、ドパミンの遊離が有意に促進されることが確認されております。

 続きまして、12ページになりますけれども、()にはトラマドールの代謝に関して情報を載せさせていただいております。トラマドール自体は主に肝臓において、CYP2D6によりO-デスメチルトラマドールへ代謝されるとの報告がございます。

()の海外での流通状況につきましては、2009年にドイツ、2011年にノルウェー、フィンランド、2013年にポーランド、カナダ、スウェーデンにおいて流通が確認されております。

()スウェーデンにおいて、9件の死亡事例でO-デスメチルトラマドールが検出され、9件いずれもトラマドール自体を服用している形跡がないとの報告がなされております。

 また、参考ではございますけれども、トラマドールの海外承認状況といたしましては、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、その他世界70カ国の国と地域で医薬品として承認されているということでございます。最新の情報では、70を超えて100カ国以上となっているということでございました。

 以上から、O-デスメチルトラマドールも中枢神経系への作用を有する物質と考えております。

 以上、1物質につきまして、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、□□委員から流通実態をお願いいたします。

□□委員 本化合物O-デスメチルトラマドールですが、この化合物は粉末の形で日本に流入していることを検出して認めております。

 また、先ほども少し説明がありましたけれども、2009年にスウェーデンにおきまして、3月に指定薬物になりましたミトラガイナスペシオーサという植物に本化合物をまぶしたような、いわゆる乾燥植物細片の製品において死亡事例が出ています。

 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、ただいま御説明のありました物質に関しまして、御質疑をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員、お願いします。

□□委員 教えていただきたいのですけれども、この物質はトラマドール服用者ではどれくらい体内に出現しているのかわかっていますか。

○事務局 服用者の体内でどのくらい発生するかですか。

□□委員 ペアレント物質との比でもいいのですけれども。

○事務局 少々お時間をください。

○鈴木部会長 量的なことはわからないのですけれども、2D6で代謝されるものですから、遺伝子多型があって、日本人の場合大体2~4割ぐらいがIMタイプなんです。通常の半分くらいしか代謝されない人が2~4割ぐらいおります。そうすると、その人たちはM1の量が半分ぐらいしかできないということになります。あとはEMが通常の代謝活性で、UMPMがそれぞれ1%ぐらいです。

□□委員 ということは、トラマドール服用者の臨床効果のどれくらいがM1で説明できるのですか。

○鈴木部会長 鎮痛効果に関しては、ほとんどがM1、一部トラマドール自身のノルアドレナリンとセロトニンの再取り込み阻害作用によって、それを増強しているという形になっていると思います。

○事務局 今回つけさせていただいております文献の中で言いますと、文献10が医薬品のインタビューフォームという形になってございます。この中で言いますと、31ページの排泄の部分では尿中排泄率が示されておりまして、20%ぐらいが排出されているようなことが書かれております。

□□委員 補足ですけれども、血中濃度の推移に関しましては、文献101618ページに詳細が載っておりまして、活性代謝物M1とトラマドールのCmaxTmaxAUCt1/2が記載されています。

□□委員 そうすると、レギュレーション上トラマドールは医薬品であり、仮にこれが指定薬物になったときのレギュレーション上の考え方というのはどうなるのでしょうか。

○事務局 医薬品として承認されているものがトラマドールでございまして、こちらについては医師の指示に基づいて患者さんに投与されるものでございます。今回、指定薬物で議論いただいているものについてはO-デスメチルトラマドール。こちらは、トラマドールを飲んだときに体の中で活性代謝物としてはなりますけれども、治療において医師も患者様においても、そのもの自体を単体として持つことはございませんので、もし、そういうものが持たれるということであれば不適切な乱用的な使い方になりますので、こちらについては、今回O-デスメチルトラマドールを規制対象としたといたしましても、医療現場に与える影響や患者様に与える影響はないものと考えております。

□□委員 所有という点がポイントであるという理解でよろしいのですね。

○事務局 実際に乱用される方は、代謝物として効果が100倍ぐらい強くなったこのもの自体を直接投与するという事例で亡くなられている方が多数おりますので、こちらについては治療とは一切関係ございませんので、しっかりと規制しなければいけないものと考えております。

○鈴木部会長 また、後で出てくるのかもしれませんが、私どもも実際に研究用で持っていますが、どのように対応すればよいでしょうか。

○事務局 こちらにつきましては、研究開発、また疼痛の治療薬の開発等、既に承認されている医薬品の品質管理や医薬品の製造メーカーさん、研究開発メーカーさんから意見が出ておりまして、医療等の用途につきましては、適切な用途として組み込んだ形で支障のないように取り扱いをさせていただこうと考えております。

○鈴木部会長 薬物の動態などを調べるのにやはり必要なので、その辺も支障のないように十分御検討いただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。□□委員どうぞ。

□□委員 物質3の○-デスメチルトラマドールです。まず、構造式についてですが、O-デスメチルトラマドールには不斉炭素が2つあります。構造式は、4種類の異性体すべてを包括するように記載してあり、これは指定薬物部会のルートにのっとっていますので全然問題はありません。お聞きしたいのは、1つは現場で流通している見つかったものの構造はどのようになっていたかという点です。情報はお持ちでしょうか。

 もう一つは、先ほども9ページ下の文献10を参考にされましたが、文献10には表が載っていますが、ここに書いてある(±)O-デスメチルトラマドールと(+)O-デスメチルトラマドールと(-)O-デスメチルトラマドールというのは、具体的にどういう立体構造の化合物なのかというのは、わかっているのでしょうか。私は文献10を読んだのですが、このインタビューフォームにはその点について何も書かれていません。トラマドールそのものは水酸基とジメチルアミノメチル基はトランスに出ていますので、多分彼らが使っているのは、トランス体のトラマドールの(±)(+)(-)、あとO-デスメチル体のプラス体、マイナス体だろうと思うのですが、構造式には不斉が表記されていないので、おわかりでしたら教えてください。

○事務局 インタビューフォームの2ページに化学名が記載されておりまして、そこに表記されております。ほかの文献などもいろいろ調べさせていただいたのですけれども、基本的にトランスの形で。5番に化学名が記載されております。

□□委員 (±)-transですね。

○事務局 基本的にはトランスで流通しているようです。

□□委員 そうすると、この化合物の合成はそんなに難しくないのですが、合成するとしたら多分トラマドールから脱メチル化して合成し、それが流通していると思うので、世の中にはトランス体しか出ていないのではないかと思います。わかりました、文献10の2ページに化学名が載っていることは気がつきませんでした。

 もう一つは、O-デスメチルトラマドールの化学名ですが、今回私も名前をつけるのを担当しましたが、2-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-(3-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノール、これはこれでいいと思います。なぜいいかという理由が2つあって、1つは、トラマドールという医薬品がメチルのデスメチル体ですので、この形で名前をつけるとトラマドールの名前のつけ方と全く同じになり、今のO-デスメチルトラマドールの「3-ヒドロキシ」が「3-メトキシ」に変わるだけなので、非常に整合性が良いです。

 もう一つ、トラマドールの医薬品の化学名を調べますと、この形で命名してありますのでこれで良いのですが、多分この化学名のつけ方はIUPACのルールからいうと正しく。ありません。どういうことかといいますと、構造式を見ていただくと官能基が水酸基が2つとアミノ基が1つあって、官能基の優先順位からいって水酸基が優先されます。そのときに、フェノールが優先されるのか、アルコールが優先されるのかということで、この名前のつけ方はアルコールを主基として名前をつけて、フェノールのほうは置換基として命名しています。ですが、諸外国を見ますとこのような名前のつけ方はしてません。医薬品(トラマドール)の名前をつける委員にもコメントをしておきましたが、医薬品(トラマドール)の化学名が変更になればこの名前のつけ方は、正しい名前のつけ方ではなくなります。将来、O-デスメチルトラマドールの化学名の変更が必要かもしれません。

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 ちなみに、我々もトラマドールからM1デスメチル体をつくってもらいました。比較的簡単につくれるようです。

 ほかにいかがでしょうか。□□委員どうぞ。

□□委員 質問なのですけれども、この物質が指定薬物になった場合に、鈴木部会長も研究でお持ちということですが、どのような対応をされるのかを具体的に教えてほしいのですが。

○事務局 参考資料2を見ていただきたいのですけれども、指定薬物を指定するほか、指定薬物を指定する際に医療等の用途という形で、指定薬物省令の第2条第5項で指定を主にしておりまして、原則参考資料2の最初のページに載っている人のみが指定薬物として使用できると。ものとしては、学術研究または試験検査の用途、国の機関等参考資料2に列挙されている団体が使用できる。

 また、試験の用途や検査の用途、犯罪鑑識の用途、指定薬物に指定されたら、この用途に限り使用できるという状況はあるのですけれども、例外的に第2条5項で決めておりまして、それは次のページを見ていただければと思いますが、こういう形で例外的な措置として、学術研究または試験検査の用途を認めることによって、民間企業などでもO-デスメチルトラマドールにおいては、これを使用する目的であれば使用が可能になるという措置をとる予定でございます。

□□委員 それは何か許可証みたいなものは。

○事務局 特に発行はしないです。省令に入れ込むことで、企業も特段問題なく使用できると。

□□委員 届け出しなくてもいいのですか。

○事務局 はい。

○鈴木部会長 こういう場合には、何も届け出等は必要ないということですね。

○事務局 そうです。また別の用途で使用する場合にあっては、厚生労働大臣が認める用途を申請していただく必要はございます。

○鈴木部会長 それはどういう場合ですか。

○事務局 例えば、特に医療等の用途を認めていない物質において、試験検査で企業が使いたいとこちらに要請してきた場合、適正に管理できているかといったことを審査した上で、医療等の用途として認めるという形で厚生労働省から企業に出しております。

○鈴木部会長 わかりました。ありがとうございます。□□先生よろしいですか。

□□委員 実際に、そのように適切に使われているかどうかを確認するすべはないわけですね。

○事務局 確認するすべとしては、麻薬取締官か麻薬取締員であれば立入検査の実施は可能ですので、例えば、トラマドールをつくっている業者であれば、こういうものは当然持ち合わせていると思いますので、それをもって検査をしにいくということは法律上は可能です。

□□委員 わかりました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが妥当であると決議してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○鈴木部会長 ありがとうございます。

 それでは、引き続き、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュールにつきまして御説明させていただきます。

 本件の結果につきましては、次回開催の薬事分科会で報告をさせていただく予定でございます。本日の結果を受けまして、指定薬物を指定するための省令改正の手続を別途進めさせていただく予定でございます。

 また、先ほどからO-デスメチルトラマドールが出ていますけれども、正規用途につきまして、審議物質3のO-デスメチルトラマドールにつきましては、創薬研究の用途等々の情報を事務局で確認しておりますので、いずれにつきましても可能な限り適正使用に支障を来さないように対応をする所存でございます。

 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。

 本日の議題は以上です。

 それでは、事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会の日程につきましては、追ってこちらから先生方にお知らせいたしますが、今のところ12月中の開催を予定しております。正式に決まり次第、御連絡をさせていただこうと考えております。

 また、本部会の資料につきましては、従前のとおり回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。

 以上でございます。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。

 以上をもちまして、「平成28年度第4回指定薬物部会」を閉会いたします。ありがとうございました。

○事務局 どうもありがとうございました。

 


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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