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2016年9月16日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

○日時

平成28年9月16日(金)15:00~


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

荒 川 義 弘、 小野寺 雅 史、 小 幡 純 子、◎川 西   徹、
○神 田 忠 仁、 楠 岡 英 雄、 斎 藤   泉、 坂 本 研 一、
佐 藤 陽 治、 鈴 木 邦 彦、 森 尾 友 宏、 森 川 裕 子、
横 田 恭 子
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順

杉 山   肇、 中 岡 竜 介、 中 島 美砂子、 俣 野 哲 朗

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森  和  彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医療機器審査管理課長 それでは、鈴木先生が少し遅れていらっしゃいますが、多分もうすぐお見えになると思います。定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催します。委員の先生方は大変御多忙の中、御出席いただきありがとうございます。現時点で本部会の委員17名のうち12名の御出席をいただいております。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを、まずは御報告します。

 なお、小幡委員は、後ほど議事の進捗により、所用にて御退席されると伺っておりますので、お知らせしておきます。今回から新たに御参加いただく委員の先生を御紹介します。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、動物衛生研究部門長の坂本研一委員です。よろしくお願いいたします。

○坂本委員 坂本です。どうぞよろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。次に、厚生労働省は6月に幹部人事がありましたが、その直前に前回の本部会は行われました。私ども厚生労働省の人事異動があってからは初めての開催でもありますので、その御紹介をしたいと思います。最初に、医薬・生活衛生局長が交替し、武田です。続いて安全対策課長も交替し、佐藤です。それから、機構のほうですが、宇津安全管理監です。それから、近澤再生医療製品等審査部長です。そのほか本日欠席ですが、審査マネジメント部長に野村が着任しております。

 それから、私どものほうも若干、組織の名前が変わり、私のほうが大臣官房参事官でしたが、今回新たに医療機器審査管理課ができ、私どもの課のほうで再生医療等製品の審査も担当しますので、御報告をさせていただきます。

○事務局 続いて、本日の議題の公開、非公開について説明します。本日の議題は再生医療等製品の承認審査等に関する議題ですので、企業情報に関する内容等が含まれます。そのため、平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき非公開とします。

 それでは、ただいまより議事に入ります。以後の進行は川西部会長、よろしくお願いします。

○川西部会長 それでは最初に配布資料の確認と、審議事項に関与された委員と利益相反に関する申し出状況について、事務局から報告をお願いします。

○事務局 配布資料の確認です。本日、席上に議事次第、両面印刷の座席表・当部会委員の名簿、配布資料一覧をお配りしております。また、配布資料として、資料1をあらかじめお送りしております。このほか、当日配布資料として、資料2「ジェイス専門委員リスト」、資料3「競合品目・競合企業リスト」、参考資料「薬事分科会審議参加規程」を配布しております。資料に不足等があれば、事務局までお申し付けください。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告いたします。資料3を御覧ください。議題1の「ジェイス」ですが、同様の使用目的等で製品を開発中又は製造販売中の企業はないため、競合品目は「なし」としております。

 委員の先生方から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程に基づき、審議、議決に参加いただけない委員はいらっしゃいません。以上です。

○川西部会長 今の事務局からの説明について、特段の御意見等ありますでしょうか。では、よろしいでしょうか。

 それでは、議題に入りたいと思います。まず、一つ目の議題、再生医療等製品「ジェイス」の製造販売承認事項一部変更承認の可否、当該製造販売承認事項一部変更承認に係る条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についてです。ではまず、機構のほうから説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 説明させていただきます。資料1ジェイスの効能・効果又は性能の追加を目的とした製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。先ほどの当日配布資料2に示したとおり、本品の専門協議には4名の専門委員に御参加いただきました。

 まず、品目の概要について御説明いたします。資料1ですが、1番目のタブ、審査報告書の6ページ上段を御覧ください。1.1「審査品目の概要」です。ジェイス(以下、「本品」)は、患者自身の健常な皮膚組織から採取した切手大の皮膚片に由来する表皮細胞をマウス胚由来の3T3-J2細胞をフィーダーとして共培養・増殖させ、シート状に形成したものであり、保存液に浸した状態で出荷されるヒト(自己)表皮由来細胞シートを一次容器にパッケージしたものを主構成体とし、また、患者から採取した皮膚組織を製造所へ輸送するために用いる容器(組織運搬液を含む)を副構成体とする、コンビネーション製品です。

 先ほど、参考までに製品サンプルを回覧しました。こちらはシートのみですが、もう一つは病院から製造所に組織を運ぶためのキット等もあります。ほかの容器等も含めて、パッケージにある製品写真等については、資料1の四つ目のタブ、添付資料概要の160ページに添付文書案があります。そちらに製品イメージ等があるので、適宜、御参照いただければと存じます。

 説明を続けます。審査品目の概要に戻ります。本品は平成1910月に重症熱症を適応として、製造販売承認を取得しております。今般は、先天性巨大色素性母斑患者の切除後の創部への適応に対する効能・効果又は性能の追加を目的として、製造販売承認事項一部変更承認申請されました。本品は平成2611月に先天性巨大色素性母斑を対象として、希少疾病用の再生医療等製品に指定されております。

 6ページ中段です。1.2「開発の経緯等」の項を御覧ください。2段落目の後ろのほうに記載のとおり、本品の類似品であるGreen型自家培養表皮は熱症を対象に、米国、韓国等で承認を取得しておりますが、先天性巨大色素性母斑の適応については、いずれの国又は地域においても承認実績はありません。

 それでは、本申請に関する審査の概要について説明します。今回は、効能・効果又は性能の追加を目的とした製造販売承認事項一部変更承認申請であることから、臨床試験成績を中心とする資料が提出されております。

 臨床試験成績について説明します。審査報告書の8ページ中頃の「臨床試験等の成績に関する資料及び機構における審査の概略」を御覧ください。本品の臨床に関する評価資料として、先天性巨大色素性母斑のうち体表面積の5%以上の面積を有する既存の治療方法で治療できない、又は治療が著しく困難な患者8例を対象に、母斑切除部位に本品を移植した際の有効性及び安全性の評価を目的とした、多施設共同非盲検非対照の国内医師主導治験(以下、「国内医師主導治験」)で本品が移植された症例を対象としたフォローアップ試験(以下、「フォローアップ試験」)の2試験の成績が提出されました。

 次に、有効性について説明します。審査報告書の14ページ下段から15ページにかけてです。7.R.2.2「有効性の評価項目について」を御覧ください。こちらの2、3段落目、国内医師主導治験における主要評価項目は、95%以上の上皮化を有効と定義しております。この設定について審査報告書15ページ最上段にあるとおり、機構は文献等において母斑切除後の切除創に自家培養表皮を移植した場合、上皮化までの期間が短縮され、母斑切除後の上皮化が遷延した場合の肥厚性瘢痕や感染のリスク等を減少させることが報告されていることを踏まえると、本品の臨床的意義を反映した評価項目であり、妥当であると判断いたしました。

 次に、審査報告書の9ページ目から10ページ目にかけての表7-2を御覧ください。各症例の本品初回移植後12週までにおける上皮化率等を示しております。こちらの表の中央の列、最終上皮化率を御覧ください。本品を移植した8例全てにおいて、上皮化率が95%以上を示したことから、有効率は100%との結果が得られております。

 さらに、審査報告書15ページ中頃より16ページにかけて、7.R.2.3「有効性の評価結果について」を御覧ください。審査報告書16ページ上段の2段落目以降ですが、本品が移植された症例の患者背景や母斑切除面積が一様でなかったことから、副次評価項目である本品移植後の上皮化率、上皮化完了までの期間など、ほかの結果も踏まえて有効性について検討しました。その結果、機構は8例全例に臨床的意義のある上皮化完了が認められ、本品は一定の有効性は示されたと判断しました。

 続いて、安全性について説明します。審査報告書の16ページの最下段、7.R.3「本品の安全性について」を御覧ください。17ページにあるとおり、本品移植後の有害事象として、潰瘍、掻痒、表皮剥離、移植部位のびらん、未上皮化部位の拡大が認められていますが、いずれも軽度でした。

 また、フォローアップ試験において観察された長期安全性として、18ページの2段落目にあるとおり、肥厚性瘢痕、植皮瘢痕拘縮が認められましたが、観察期間中に処置を行うことで軽快しており、安全性上の大きな問題にはならないと判断しました。治験で認められた本品の安全性情報を踏まえて、医療現場において本品を適切に使用するために必要な医師及び施設の要件について検討しました。

 審査報告書の25ページの一番下を御覧ください。本品は希少疾病用再生医療等製品に指定されており、使用が可能な施設は先天性巨大色素性母斑の既存治療の施行等の実績があり、治療に深い経験を有する医療機関に限られることが想定される。また、そのような施設に所属する十分な治療実績を有する形成外科の専門医又は皮膚科の専門医により本品が使用され、術後の創管理を含めた患者の経過観察を十分に行うことが可能であると考えられることから、当該適応に対して新たな適正使用に関するガイドラインを設定せずとも、本品の適正な使用環境は担保されると判断しております。

 続いて、製造販売後の使用成績調査計画について、御説明申し上げます。審査報告書29ページを御覧ください。表8に本品の製造販売後の使用成績調査計画の骨子()を示しております。治験症例数は極めて限られていることから、製造販売後には再審査期間中の全症例を対象とし、本品の安全性情報等の収集を目的とする使用成績調査を実施することとしております。なお、調査期間については、本調査への症例組入れ状況及び一定期間ごとに実施する本品の安全性等に関する中間調査結果を踏まえ、見直しの要否について適宜検討することが適切と判断しております。

 審査報告書の4ページ目を御覧ください。以上の審査の結果、機構はこちらに示している承認条件を付した上で、本品を承認して差し支えないと判断し、本再生医療等製品・生物由来技術部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、本品は本申請に係る効能・効果又は性能で、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、本適応に係る再審査期間は10年間と設定することが適切と考えております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 これは製品側の変更は一切ないと。適応拡大だけだと。

○医薬品医療機器総合機構 今回の申請に関しては、製品の変更はありません。

○川西部会長 では、委員の先生方から、御質問、御意見ありますでしょうか。この先天性巨大色素性母斑というのは、余りなじみがなくて、ただ私などもこういう小さい斑点はあるのですが、相当大きいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。添付資料概要の39ページを開けていただければと思います。こちらに、先天性巨大色素性母斑がどういった病気であるか、写真で図示されておりますので、見ていただければと思います。こういったメラノサイトが皮ふ表面に大きく展開したような状態です。

○川西部会長 何か先生方から御意見、御質問、特にはありませんか、医師主導型治験で症例数は8例ですが、それが主な評価資料ですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○川西部会長 ただ、非常によく効いているということになるかと思います。

○楠岡委員 一番最後の所にある添付資料概要の173ページに、効能・効果又は性能に関する使用上の注意の一番上ですが、「例えば、体表面積に占める母斑面積の割合が5%以上の患者の治療など、既存の標準的な治療法では母斑の切除に対応し切れない場合に適用すること」と書かれているのですが、これは5%以上なければ絶対駄目なのか。その「など」というようなところで、ある程度そこは許容されているのか。

 というのは、成人の場合は、相当大きな所というのは対象になると思うのですが、小児とか、特に生まれたての赤ちゃんの場合は5%ほどなくても、治療効果を考えると、これを使うほうがいいと判断されるケースも多いと思われるので、5%というものがどれぐらいの縛りになるのかお聞かせいただきたい。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。正に楠岡委員のおっしゃったとおり、こちらについてはあくまで例示ですので、やはり我々の意図といたしましては、ほかに既存の治療法があるのであれば、そちらを使っていただきたいですが、5%以下であったとしても、ほかの治療法よりも本品のほうが明らかに有用だろうと思われるものについては、使っても差し支えないと考え、こういった記載になっております。

○川西部会長 よろしいでしょうか。

○楠岡委員 この製品の場合、ほかの治療だと治療期間が長引いたり、後で瘢痕が残ったりするのに対して、これだとかなりそこが変わるところがあるので、特に小児などの場合には、予想以上にかなり広い範囲で使われる可能性があるのではないかと思います。それが悪いという話ではないのですが、今も適応拡大したとたんに、すごく使用量が増えるという問題があるので、そこを懸念してお伺いしているのですが。

○医療機器審査管理課長 その点は確かに両面あると思います。実は機構と我々で大分その議論をして、逆に全くなくて、5%の話も書かないほうがいいのではないかという話と、逆にちゃんと書いたほうがいいのではないかと、両面あろうかと思います。

 この先天性母斑の判断基準もどこまで、例えば何%以上のものをそういうのかというのもはっきりしていないことを考えると、確かにこれだけ成績がいいと、かなり小さい母斑でも本品を使用するケースがあるのではないかと。

 そうすると、本来は本当に、確かに非常に手間の掛かる、製品としても非常に高額なものでもありますが、やはりきちんと使ってもらいたいという趣旨から言うと、外れた使い方もあり得るだろうということも考えて、5%をギリギリ右か左かということまで言わないけれども、一定の目安はあったほうが、適切な使用になるだろうということで、このような記載にしたという次第です。

○楠岡委員 分かりました。ありがとうございます。

○川西部会長 では、これはこのままの表現でよろしいでしょうか。ほかに何か御質問ありますか。特にないようでしたら、議題1の議決に入りたいと思います。それでは、この再生医療等製品「ジェイス」について、本部会として一部変更承認を与えて差し支えないものとし、また条件及び期限付き承認に該当せずに、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいかという議決にしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 御異議は特にありませんね。ありがとうございます。では、そのように議決させていただきます。それで先ほど機構からありましたが、この審議結果については次の薬事分科会において報告することとします。ありがとうございます。

 これで議題1を終了するのですが、本日の議題は以上なのです。事務局のほうから何か連絡事項はありますか。

○事務局 次回の部会については、日程調整をした上で御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 議題が少なくて申し訳ありません。幾つもあればよかったのですが、ただ、これは承認審査に関わる事項です。そういうこともありましたので、先生方にきちんと見ていただいて本当にありがとうございました。

○川西部会長 臨床の結果が非常にクリアなので、余りこれでどうのこうのと言わなくてもいいものだと思います。わざわざ来ていただいて本当にありがとうございます。それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会します。ありがとうございます。

○医療機器審査管理課長 どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室 再生医療等製品審査管理室長 柳沼(内線4226)

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