ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第120回議事録(2016年11月16日)




2016年11月16日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第120回議事録

○日時

平成28年11月16日(水)9:58~10:33


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

西村万里子部会長 野口晴子部会長代理 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
中川俊男委員 松原謙二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 上出厚志専門委員 吉村恭彰専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 高額な薬剤への対応について

○議事

○西村部会長

 それでは、おそろいのようですので始めさせていただきます。

 ただいまより、第120回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、印南委員が御欠席です。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 今回は「高額な薬剤への対応について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 中山薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 それでは、説明させていただきます。お手元の資料、薬-1をごらんください。

 薬価に係る緊急的な対応について(案)ということでございます。まず、背景といたしまして、近年、一部の抗がん剤など、革新的ではあるが単価が高く、市場規模の極めて大きな薬剤が登場しているという状況がございます。これらの中には効能・効果の追加などによりまして、当初の想定を超え、大幅に市場が拡大するような薬剤が見られているという状況がございます。

 一方で、薬価改定につきましては、御承知のとおりでございますが、薬価調査に基づく2年に1度の実施というものを基本的なルールとしております。こうしたルールを突然大きく変更するということは、製薬企業における経営の予見性を大きく損なうということから、平成30年度薬価改定に向けて、このような事態にも対処し得る制度を構築するということが基本となるということかと思います。

 ただ、当初の想定を超えて既に大幅に市場が拡大している薬剤につきましては、やはり平成30年度薬価改定までこの薬価を維持するということは医療保険財政への影響が極めて大きいことから、緊急的に対応を講ずることとする、ということでございます。

 論点及び具体的対応ということで、まず、薬剤の対象範囲の考え方でございます。今回の緊急的な対応は、これまでの薬価改定のルール外の対応ということでございます。したがいまして、こうした緊急的な対応につきましては、1つ目としましては、市場が拡大してから次期改定までの期間が長期にわたるもの。さらに2つ目として、市場拡大の程度が極めて突出した薬剤を対象としてはどうかということでございます。

 具体的に申し上げますと、次期改定までの期間が2年を超えることとなるものということで、昨年の薬価調査の実施月の翌月から薬価改定が行われるまでということですので、ことしの3月までに効能追加等がなされた薬剤を対象とするということであります。さらに、その中でも、平成28年度年間販売額が1,000億円を超え、かつ薬価収載された時点における予想年間販売額に対して10倍以上となるような薬剤を対象とするということを案としてお示ししております。

 さらに、その市場規模の確認については、薬価調査を実施していないという状況がありますので、各企業による予想販売額を用いることとしております。

 次のページでございます。以上についてまとめた、平成28年度緊急薬価改定の基準が四角の中であります。今述べたとおりでございます。

 (2)といたしまして、算定方法についてでございます。ここについては、できる限り既存の考え方を活用していくということを基本として対応することが合理的であり、現行の薬価算定ルールにおける市場拡大再算定の考え方を適用することとしております。

 この場合の算式における販売額については、企業の自主公表額と平成28年度予想販売額等を最大限活用することとする、ということでございます。

 以上を踏まえまして四角の中でありますけれども、薬価改定の基準としましては、薬価は「薬価算定の基準について」という、平成28年2月10日の中医協了解の別表6の2に定める算式により算定される額に改定する。これにつきましては参考として「中医協 薬-1参考2」としておつけしておりますけれども、これが別表6であります。その別表6の2に、特例拡大再算定対象品及び特例拡大再算定類似品に係る計算方法というところがございますが、ここに定める算式により算定される額に改定することとしております。

 なお、この算定式の中にあるα(補正加算率)につきましては、小児もしくは希少疾患などに係る効能・効果が追加された場合などに関しては、補正加算率ということで5%以上10%以下の割合で引き上げるというようなことを再算定のときに実施していますけれども、今回につきましては、医療保険財政への影響を踏まえた緊急的な対応であること、また、平成30年度において再度薬価の見直しを実施することを踏まえて、αについては適用しないこととしております。

 (3)の緊急的な対応における薬価改定の実施時期についてですが、医療保険財政への影響を踏まえて、可能な限り速やかに薬価の改定を実施する必要があるという立場であります。ただ、一方で、医療機関などにおける在庫管理等、医療現場における円滑実施の観点から、薬価改定の告示から適用までの間は、2カ月以上の期間を設ける必要があるということです。

 したがいまして、薬価の改定は平成2811月中に告示し、平成29年2月1日から適用することとしたいということでございます。

 その他といたしましては、算定された薬価については企業に対し不服意見を提出する機会を付与する必要があるということです。

 なお、所定の算式に年間販売額を当てはめるだけのものであることから、薬価算定組織での検討は実施しないこととする、としております。

 ということで、企業は不服意見を提出できることとする、という四角内の文言を設けております。

 最後に、平成30年度改定との関係を申し上げます。平成30年度改定につきましては、薬価制度を医療保険の持続可能性を維持しつつ、イノベーションに対応できるものとし、効能・効果の追加等により大幅に市場規模が拡大するような事態にも対応し得るよう見直すこととします。

 さらに、今回の緊急対応の対象となった医薬品については、平成30年度改定においては平成29年度薬価調査に基づき、今回の引き下げを行わなかったと仮定した販売額を算出の上、平成30年度薬価制度改革に基づく再算定を改めて実施することとしております。

 以上が案についての説明です。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問等がありましたらお願いいたします。

○中川委員

 薬-1について、今、管理官から説明がありましたが、緊急的な対応をするということで、3ページの(4)その他の「なお」以下に、「今回の緊急的対応における薬価の算定は、所定の算式に年間販売額を当てはめるだけのものであることから、薬価算定組織での検討は実施しないこととする」とありますが、これはどういうことですか。事務局で勝手に決めるということですか。

○西村部会長

 管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 お答えします。通常の再算定のときにはαの補正加算率の部分につきまして、専門的な観点からどうしなければいけないかという議論を行うために薬価算定組織における議論を入れることになっております。今回の場合は先ほど御説明したとおり、αは適用しないということがございます。したがって、薬価算定組織による検討は実施しないという意味であります。

 さらに申し上げますと、今回、算定した額につきましては、この基準が薬価専門部会で御了承いただければ、総会にお諮りさせていただいて、そこで御了承いただけるかどうかということを経て決めさせていただきたいということでございます。

○中川委員

 その下に「企業は不服意見を提出できる」とあります。これについて企業の提出期限も決めたのですね。まだですか。これは総会でやるのですか。

○中山薬剤管理官

 そこについては総会でやらせていただきたいと思います。

○中川委員

 企業の不服意見はどこに言うのですか。薬価算定組織ではないのですか。

○中山薬剤管理官

 それについては、もし提出されましたら、総会のほうで受けとめることになろうかと思います。

○中川委員

 当てはめるだけのもので、薬価算定組織で検討せずに事務局が決めて、その決めた薬価に対して不服は中医協総会に提出されるのですか。

○中山薬剤管理官

 あくまで厚労省に対して提出していただくということですけれども、それに対してこちらとしてどうするかということを、案を出させていただいた上で中医協にお諮りして最終決定したいという意味でございます。

○中川委員

 中医協に報告ですか。審議ですか。

○西村部会長

 課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 中川委員の御指摘、御質問は多分、2種類ありまして、事務手続上、例えば書面で出していただく、それをどこに届けてもらうか。そういう事務手続上のお話と、それから、それを実質審議、手続上どう処理するかという、2つのパートがあると。

 事務手続上はもちろん霞が関1-2-2の厚生労働省に宛てて、あるいは持参していただくということかもしれません。ですが、それを実質的に処理をするという意味では、審議をいただくのはあくまで中医協総会ということになるということでございます。

○中川委員

 なぜ、こういうことをしつこく言うのかというと、蒸し返すわけですけれども、トルツの件です。8月24日に中医協で条件つきながら承認をされて、勝手にメーカーが薬価基準収載希望を取り下げた。それはどこに提出したのですか。取り下げ希望書は。

○中山薬剤管理官

 厚生労働省に対してということになります。

○中川委員

 厚生労働大臣ですか。

○中山薬剤管理官

 そういうことになります。

○中川委員

 事務局はどこですか。

○中山薬剤管理官

 経済課に提出、大臣宛てに提出されるということでございます。

○中川委員

 経済課長に提出したのですか。

○中山薬剤管理官

 窓口として経済課に提出されるということです。宛名は大臣です。

○中川委員

 今、薬価の算定を抜本的に見直すのですから、こういう形式的な手続というのは極めて大事だと私は思いますよ。だから、「当てはめるだけのものであることから、薬価算定組織での検討は実施しないこととする」というのは、余りにもお役所的ですよ。悪い意味で。

 不服申し立てはやはり薬価算定組織で出した結論に対して不服を言うのではないのですか。違いますか。

○中山薬剤管理官

 先ほどの繰り返しになってしまうのですが、薬価算定組織においては、やはり補正加算率の部分の専門的な判断を求めるということで実施するという、これまでも同様の立場でやってきておりますので、今回の場合、αを適用しないという立場でありますので、公表されている別表6の算式に当てはめる、この算式自体は中医協で了承いただいているということになりますけれども、そこに当てはめて、その結果については中医協の総会にお諮りするという立場をとらせていただきたいということでございます。

○中川委員

 確認ですが、αを適用しないというのは、いつ、どこで決めたのですか。

○中山薬剤管理官

 今回、この場で案としてお諮りしているということでございます。

○中川委員

 今ですか。

○中山薬剤管理官

 はい。

○中川委員

 αを適用するかしないかは、これは薬価算定組織も関係あるのではないですか。

○西村部会長

 医療課長、お願いします。

○迫井医療課長

 少し議論を整理させていただきたいと思います。あくまで、薬価も含めて診療報酬は厚生労働大臣が告示をするというプロセスですが、その中には、これは法律で決まっておりまして、中医協の御意見を聞くというプロセスがあります。

 薬価については中医協の総会で基本的にはお諮りをして御意見を聞くというプロセスを経ておりますので、基本的にはここの薬価も含めて、それから改定時も含めて、中医協を経て行うというのが大原則です。

 では、薬価算定組織は一体どういうことをやっているかというと、個々の医薬品の薬価を設定するに当たって、企業のさまざまな置かれている状況や情報を前提として算定するケースがあり、それは全て公開情報にすることができませんので、薬価専門組織の中で基本的には取り扱いを行うということでございます。

 今回のこのケースについて申し上げますと、個別の薬価の算定という当てはめの議論の部分と、それからルールを運用するに当たって、つまりこの場合、特例の拡大再算定を当てはめるに当たって、技術的な御意見を伺う必要があるので、そこの部分については薬価算定組織の御意見を聞くという運用をしているということでございます。これは従前から、薬価のルールの運用として、総会でも基本的に御了解いただいてやっているものです。

 今回、きょうお諮りしている内容は基本的に全て、今回適用のルールとして、今、お諮りをして、御了解を得ようとしているものですので、決まっているわけではありません。しかしながら、もともとの特例拡大再算定の運用自体がそうなっておりますので、同じような形でやらせていただいてはどうでしょうかという御提案であります。

○中川委員

 では、この3ページの(4)も提案ですか。薬価算定組織で検討したほうがいいのではないですかと言えば、そうなるのですか。

○迫井医療課長

 基本的には御提案です。ただ、薬価算定組織にお諮りをすべき内容とそうではない内容については、考え方として整理ができておりますので、従来の取り扱いからしますと、薬価算定組織を経て総会に上げていただく必要はないのではないかということでございます。基本的に、薬価も含めまして診療報酬は総会での御了解を前提としておりますので、総会で御審議いただくこと自体は変わりません。その前さばきとして、薬価算定組織の御専門の意見をいただくかどうかということになりますが、そこで、ここに書かせていただいておりますように、日本語の書き方については少し問題があったかもしれませんが、あくまで客観的な数字でもって判断ができますので、薬価算定組織の有識者の御意見をいただくまでもなく、客観的に判断できるのではないかということで御提案をしているということでございます。

○中川委員

 専門家の専門的な意見を聞かなくても今回はできると、どうしてそんなことが言えるのでしょうか。どのぐらい、この高額な医薬品を引き下げるか、再算定するかということが、意見を聞かなくて済むという、その手続的な省略は納得できないものがありますね。次の質問をします。

 3ページの3、平成30年度改定との関係についての最初の丸のところで「平成30年度改定に向けては、薬価制度を医療保険の持続可能性を維持しつつ、イノベーションに対応できるものとし、効能・効果の追加等により大幅に市場規模が拡大するような事態にも対応し得るよう見直すこととする」とあります。私は、薬価算定の類似薬効比較方式、原価計算方式、両方式とも、抜本的に見直すべきだとずっと主張して、それは一定程度了解を得てきたと思いますが、この書きぶりだと、イノベーションに対応できるものにすること、それと大幅に市場規模が拡大するものの対応だけに限定するような書きぶりにしか見えないのです。これがもし違うのだったら大幅に直してください、ここを。どうなのですか。

○西村部会長

 中山管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 今、中川委員から御指摘の点につきましては、既に8月末の総会、さらにはその後の薬価専門部会において、原価計算方式、類似薬効比較方式なども含めて、全体として抜本的に見直すということを御説明しているわけでありまして、そのスタンスは全く変わっておりません。

 今回、こうした書きぶりになったのは、あくまでこの薬価に係る緊急的な対応についてという中で、こうした中での文章として、その中で効能・効果の追加等により大幅に拡大したというような事態にも対応し得るように見直すという文章になったということでございます。

○中川委員

 抜本的に見直すという言葉をどこかに入れてください。

○中山薬剤管理官

 対応し得るよう抜本的に見直す、ということにしたいと思います。

○中川委員

 具体的にいろいろ申し上げたいのですが、きょう、総会のときのほうがいいですか。今のほうがいいですか。抜本的に見直すことについて。

○中山薬剤管理官

 この場で言っていただいたほうがよろしいかと思います。今回はこの基準についてということでお諮りしておりますので。

○中川委員

 緊急的なことではないですよ。総会のほうがいいですか。

○西村部会長

 この文章についてであれば、今のところで。

○中川委員

 文章のことではありません。

○西村部会長

 内容の。

○中川委員

 抜本的見直しのことだから、総会のほうがいいですね。

○西村部会長

 ルールの見直しですから。中山管理官、この場でですかね。

○中山薬剤管理官

 今回の緊急的な対応についてというところの文章としてはここで承りますが、これ以外に全般的な話としては総会のほうで御指摘をお願いしたいと思います。

○西村部会長

 では、そのように。

○中川委員

 もう一つ、2ページの一番上の枠内です。「(1)次に掲げる薬剤について、薬価の改定を行うこととする」で、この緊急的なものの関連ですけれども、「平成2710月から平成28年3月までに効能・効果又は用法・用量の一部変更が承認された既収載品」となっています。市場拡大の程度が「極めて」ではないけれども、一定程度拡大すると予想されるものの効能・効果の追加は企業から見ると改定前年の10月から改定の年の3月まで、直前の3月までに効能・効果、用法・用量の変更を申請したほうが、そのように承認を求めたほうが有利だということになりますよね。どうですか。企業戦略として普通に考えると。こういうことは見直さなければならないのではないですか。効能・効果を追加してから2年以上を超えるのですよ。「極めて」ではないけれども市場規模が拡大されると見込まれる医薬品について。これは高額な、極端に、極めて市場規模が拡大されるものに限定するべきことではないと思いますが、どうでしょうか。

○西村部会長

 医療課長、お願いします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 私の理解、受けとめですけれども、中川委員が御指摘の点は前回あるいはこれまでもこの場でいろいろ御指摘をいただきました。今回こういう事態に至った経緯の中で、タイミングあるいは薬価調査との関係で結果的にそのような企業の申請の仕方がこういう薬価につながったのではないかということ、事後的に見ますと特にそのように見えます。あるいは我々として、決してそれを意図したわけではないという理解ではおりますけれども、ルールに問題がある、だから見直すべきだという問題提起の部分があろうかと思います。

 その話と、平成30年に向けて将来見直す、あるいは今後運用するであろうルールとは別だろうと私どもは受けとめておりまして、今後運用するルールには、まさに今、中川委員が御指摘のとおり、そういったことが生じないようなルールにしていくことが必要だという御指摘でありまして、それはもう120%そのように受けとめておりますし、そのような御議論をいただきたいというのが事務局の認識でございます。

○西村部会長

 ありがとうございます。

 今回の対応でこのように決めていくのでと。

○中川委員

 ですから、極めて市場規模が拡大するものはもちろんわかりますけれども、「極めて」でないものも対象にすべきと思います。2年以上同じ薬価で行ってしまうわけですからね。

○西村部会長

 その点の御指摘は議事録に残させていただいて、検討の課題にしてまいりたいと思います。

 ほかにございますか。

○吉森委員

 今回の緊急的対応のプランについての意見です。高額薬剤への対応について今までの議論の整理がなされ、緊急的、かつ、期中改定での対応をしたいという提案、これは私は歓迎いたします。

 まず、改定時期ですが、類似薬効が開発されるというような今の環境を勘案しますと、やはりベンチマークとなるような高額薬剤についてはできる限り速やかに薬価の引き下げを行うべきであると思います。現実的には流通や在庫などの医療現場への対応は必要だという御提案ですので、経過期間2カ月、この期間が2カ月でいいかどうかということは議論があるところではあると思いますが、この提案も理解できます。11月中に告示し、来年2月適用開始という提案については妥当性があると考えます。

 一方、今回の臨時的処置の、対象薬剤の引き下げの算定方法ですが、10月5日の薬価専門部会でも私から申し上げましたように、新たな考え方、ルールをつくり対応するということは、やはり薬価制度の混乱、信頼感を大きく損なうということを踏まえますと、できる限り既存の考え方を準用し対応するということが現時点では合理的であると考えておりまして、市場拡大再算定における最も厳格な適用要件、1,000億超かつ当初予想の10倍以上という対象範囲の絞り方、また、市場拡大再算定の特例を準用して年間売り上げ1,0001,500億は最大25%、1,500億超は50%というような適用、これも理解はできるところでございます。また、緊急的対応ということで、薬価調査を今回はなしで企業の販売予想額に基づかざるを得ないという状況を勘案しますと、次回平成30年度に調整をしたい、薬価調査の上、調整をかけるという考え方も一定の納得感があると思います。

 ただし、現行の薬価算定の仕組みでは、今回のような期中効能追加により大幅な適用拡大が行われ、その販売額が当初の予想額と大幅に乖離するというような事態への対応というのは、中川先生から今お話がありましたように、この制度にははっきり限界があるということが示されたと思っておりまして、次回薬価改定に向けては、製薬企業のイノベーション評価、これは当然ながら担保し、国民皆保険制度の持続可能性の維持と両立するように、ここ数回、この場でも議論になっておりますし、今、中川先生からもお話がありましたように、原価計算方式や類似薬効方式、外国価格との調整のあり方、こういうものを含めて薬価制度の抜本的な見直しについては早急に検討を開始すべきだと。やりますではなく、早急に開始すべきだと思っております。

 以上です。

○西村部会長

 ありがとうございました。

○加茂谷専門委員

 今回の緊急的な対応につきまして、専門委員の立場で一言意見を述べさせていただきたいと思います。

 今回の対応につきましては、効能・効果の追加等によって当初の想定を超え大幅に市場が拡大する薬剤に対して、やむを得ず例外的に実施するものと認識しております。背景にも記載がございましたけれども、企業経営の予見性の観点からは、薬価改定がない年、いわゆる期中に企業の売上高予測に基づいて薬価を引き下げるようなことは今後あってはならないと、私どもとしては強く主張をさせていただきたいと思います。

 医療保険の持続可能性の維持ということにつきましては、もちろん業界としても重要な課題として認識しております。その一方で、近年、後発品の使用が進む中、国内市場において新薬から十分な収益が得られなければ、次の新薬開発への投資が非常に困難になっているという実態につきましても、ぜひ、御理解をいただきたいと思います。吉森委員からお話がございましたように、薬価制度におけるイノベーションの評価は極めて重要であるということを、各委員の皆様方にも御認識を賜りたいと思っているところであります。

 平成30年度の薬価制度改革に向けての議論につきましては、業界としても積極的に参画をさせていただきたいと思っております。

○西村部会長

 御意見、ありがとうございました。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 専門委員の御意見をせっかくいただいたので。

 むしろ、期中にこのような緊急的な引き下げを行うような効能・効果の追加をしないようにしていただきたいと思います。これも何十回もここで皆さんがおっしゃっているのですけれども、対象疾患の少ないものから出して、次にどんと2桁も対象患者が多いものを出す、そういうことをやるからこんなことになるのではないですか。その辺のところは、企業の、公的医療保険下の製薬メーカーの立ち回り方としては、余りよろしくないと思いますよ、何回も言いますけれども。予見性がないと困るというのは、そのとおりです。それはそうですよ。しかし、予見性がないように立ち振る舞ったのはメーカーではないですか。私はそう思うのですが、どうでしょうか。

○加茂谷専門委員

 この議論につきましては、中川先生とこの場でも何度かやりとりをさせていただいたところであります。これは私個人の意見かもしれませんけれども、効能のとり方等につきましては、薬価戦略まで視野に入れているかどうかという点につきましては、私は先生のお考えに異論があります。先ほど、例えば10月から3月までの間に効能を追加することによって2年以上薬価が維持されるという状況を踏まえているのかというお話もございましたけれども、例えば9月に承認が得られるものを、あえて2カ月、3カ月、承認を遅らせて、そのタイミングに合わせて効能追加をするという企業行動は、患者さんのことを考え、そして企業の機会と利益も考えたときに、私自身はそういう戦略はとらないのではないかと認識しております。そこはちょっと見解が違うところかもしれません。

○中川委員

 専門委員、それは違うでしょう。そうしたら、トルツのあの為替レートを見て、薬価基準収載希望を1回取り下げて再度出したというのは、あれはどうなるのですか。そんなことは言えないのではないですか。加茂谷専門委員の個人的な見解というようには受けとりますけれども、多田会長がおっしゃったじゃないですか。企業戦略など当たり前だと。それはそう思いますよ。思いますけれども、公的医療保険下の同じプレーヤーとしては、仲間としては、それはいかがなものかと思うということを申し上げているのです。

○加茂谷専門委員

 もし、中川先生の御指摘のような企業戦略があって、そしてそれが医療保険制度の持続性に大きな影響を与えるものであれば、今後の議論の中で、ルールの見直しについて我々専門委員の立場でも参画をしていきたいということを、繰り返しになりますが述べさせていただきます。

○西村部会長

 今の御意見のやりとりを踏まえて、また検討を続けてまいりたいと思います。

 今回の御提案につきまして、ほかに御意見、御質問などはございませんか。

 よろしいでしょうか。十分に御審議いただきまして、ありがとうございます。

 御審議いただきました案については、当部会で同意を得られたものとしまして、私のほうから総会に報告することとしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日の予定された議題は以上でございます。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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