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2016年12月21日 第9回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会

○日時

平成28年12月21日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 17階 専用第21会議室


○議題

(1)新たに設定が必要な受診勧奨判定値及び保健指導判定値等について
(2)特定保健指導等について
  ○ ポイントと指導効果との関係性について
  ○ 効果的な保健指導について
  ○ その他

○議事

 

○青木健康課長補佐 定刻になりましたので、ただ今より「特定健康審査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。

 まず、本日の出欠状況について御報告いたします。本日は寺本構成員から欠席の御連絡をいただいております。また、本日の検討に当たり、参考人として合同会社生活習慣病予防研究センター代表、岡山明参考人に御出席いただいております。

 配布資料につきましては、座席図と構成員名簿のほか、議事次第の裏に配布資料の一覧がありますので、こちらで御確認を願います。構成員の先生方には参考資料として、前回までの検討会資料と標準的な健診・保健指導プログラムの【改訂版】をパイプファイルで配布させていただいております。また、宿泊型新保健指導 ( スマート・ライフ・ステイ ) プログラム事例集 2015 を配布しております。もし、お手元に配られていないもの、あるいは落丁等ありましたら事務局までお申し付けください。

 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。以降の進行は永井座長にお願いしたいと思います、よろしくお願いいたします。

○永井座長 議事に入ります。最初の議題は、新たに設定が必要な受診勧奨判定値及び保健指導判定値等についてです。随時血糖の判定値について、追加で議論が必要となりましたので、事務局から説明をいただいた後、門脇構成員から発表をお願いいたします。

○青木健康課長補佐 事務局でございます。前回の検討会で、随時血糖の判定値及び食直後の除外時間に関する案を門脇先生より御発表いただきました。机上にあります第 8 回検討会の資料 4 にありますように、保健指導判定値は食直後の 4 時間を除外した上で 100mg/dL 、受診勧奨判定値は食直後の除外時間を設けずに 200mg/dL という御提案を頂きましたが、特定健診の運用上、食直後の除外時間を避けて受診していただくということになりますので、随時血糖の保健指導判定値及び受診勧奨判定値には、ともに同じ除外時間を設けていただきたいという点がありました。

 また、血糖検査は原則、空腹時血糖、若しくは HbA1c を測定いたしますが、特に労働安全衛生法に基づく定期健康診断などで、やむを得ず随時血糖を用いる場合には、より多くの特定健診受診者を確保するという観点から、食直後の除外時間についても科学的な根拠が担保できる範囲で、より短いほうが望ましいという点もありました。この 2 点を踏まえた上で、門脇先生に改めて判定値案を御検討いただいております。

○永井座長 それでは、門脇先生から資料 1 について発表をお願いいたします。

○門脇構成員 数分でプレゼンテーションさせていただきます。資料 1 、保健指導対象者の選定と階層化における随時血糖値の判定基準について - 食後 3.5 時間以降に着目した場合 - です。

 まず 1 ページ、現行の保健指導対象者の選定と階層化における血糖関連検査の判定基準です。これは復習です。空腹時血糖についての保健指導判定値は 100mg/dL 、また受診勧奨判定値は 126mg/dL となっています。ちなみに、 HbA1c におきましては、それぞれ 5.6 %、 6.5 %となっています。

3 ページを御覧ください。随時血糖値に関する基本的な考え方です。日本糖尿病学会編・著の『糖尿病治療ガイド 2016-2017 』において、 75g/OGTT における「空腹」とは、「朝まで 10 時間以上絶食」とされています。一方、随時血糖値とは食事と採血時間との時間関係を問わないで測定された血糖値 ( 糖負荷後の血糖値は除く ) とされています。空腹時血糖値と随時血糖値は医学的に同一のものではないという理解を前提として、空腹時血糖値 100mg/dL ないしは 126mg/dL に対応する随時血糖値について検討を行いました。

4 ページを御覧ください。方法 1 は、健診受診者の空腹時血糖値の分布並びに食後時間帯別の随時血糖値の分布に着目する。方法 2 は、健診受診者の耐糖能別の食後血糖値の推移に着目する。この方法については前回の検討会で述べたものと同じ方法です。

 まず、方法 1 は、広島の伊藤千賀子先生らが雑誌『糖尿病』に掲載されたもので、健診受診者における随時血糖値の分布を食後時間帯別に見たデータです。対象は糖尿病治療中の者を除いた尿糖陰性の健診受診者です。右上にありますように、まず時間帯をいわゆる空腹時、あるいは食後 6 時間以上、食後 0.5 から 1.0 時間、 1.5 から 2.0 時間、 2.5 から 3.0 時間、 3.5 から 5.5 時間と刻んで、その分布 ( 上に男性、下に女性 ) を示したものです。男性と女性の N が書かれていますけれども、十分な多数のものでの血糖だと理解をしています。そうしてみると、男女とも食後 3.5 から 5.5 時間の場合に血糖値の分布は空腹時のものに最も近づく。逆に言いますと、 0.5 から 1.0 時間、 1.5 から 2.0 時間、 2.5 から 3.0 時間の場合には空腹時に比べて右にシフトしており、 3.5 から 5.5 時間たつと元にほぼ戻るという解釈になります。

6 ページを御覧ください。実際にこのデータを用いて、平均値と、ばらつきを標準編差値 (SD) で示したものです。空腹時が男性は 84.4 、女性は 82.5 ですが、食後 3.5 から 5.5 時間は平均値で男女それぞれ 84.4 82.5 と、ピッタリと元に戻ると思います。ただ、ばらつきを見ていただきますと、ばらつきがやや大きいということをデータの解釈の上で頭に置く必要があります。

 方法 2 は、 1999 年に中島弘子先生らが発表したデータです。職場健診を受診した男性 491 名を対象にした 75g/OGTT 2 時間値別の随時血糖平均値です。これは耐糖能別の食後血糖値の推移です。

 まず、正常型が GroupD GroupE になります。その場合、空腹時血糖値の所を見ると 100 前後ですが、横軸は食後時間、縦軸が随時血糖平均値ですが、 3.5 時間から 5 時間はほぼベースライン 100mg/dL のレベルに戻っていることが分かるかと思います。

8 ページです。今度は GroupA の赤で囲んだブドウ糖負荷試験の糖尿病型を呈したものの食後の随時血糖値を食後時間別に推移を見たものです。そうすると、この赤で丸く囲んだ所を御覧いただきたいのですが、食後 3.5 から 5 時間は、ほぼベースラインの 120mg/dL に戻っていて、 120mg/dL を若干下回っているとなっています。

 そこで、これらのデータから「結語と私案」について述べたいと思います。まず前提として、特定健診における血糖関連検査では、これまでどおり空腹での採血を原則とし、血糖値と HbA1c を同時に測定することを強く推奨したいと思います。やむを得ず、随時の採血となり、かつ HbA1c が測定できない場合がこれまで少なからず認められていました。これまではその時をどう解釈するのか、実際には随時を用いるという基準がありませんでした。

 なお、空腹時血糖値と随時血糖値は医学的に同一のものではなく、随時血糖値のほうがばらつきが大きいため、空腹時血糖値のほうが耐糖能の判定において、より正確性が高いことに十分留意する必要があるという前置きを置いた上で、保健指導判定値と受診勧奨判定値について、次のような提案をいたします。食後 3.5 時間以上経過した場合には、随時血糖値を保健指導判定値に用いることができ、その基準値は空腹時血糖値と同じく 100mg/dL とする。保健指導に当たっては、糖尿病の発症リスクが高い可能性を想定する。また空腹での血糖値再検査と HbA1c の測定を考慮する。

 受診勧奨判定値につきましては、同じく食後 3.5 時間以上経過した場合には、随時血糖値を受診勧奨判定値に用いることができ、その基準は空腹時血糖値と同じく 126mg/dL とする。空腹での血糖値再検査と HbA1c 測定を考慮するとともに、糖尿病精査目的に医療機関の確実な受診を促す。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。ただ今の御発表を踏まえて、受診勧奨判定値及び保健指導判定値について事務局より御説明をお願いいたします。

○青木健康課長補佐 新たに設定が必要な受診勧奨判定値及び保健指導判定値に関し、事務局案を資料 2 より御説明いたします。

 まず、 non-HDL に関してです。前回の検討会の際、 LDL non-HDL がそれぞれどのような場面で使用されるのかという御質問をいただきました。これについては保険局、また労働基準局の検討会の整理から、 non-HDL を用いて評価を行うのは、中性脂肪が 400mg/dL 以上や食後採血の場合と考えられます。これを踏まえて判定値は、前回の岡村先生の発表から、日本動脈硬化学会の 2017 年版『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』において、同じ中性脂肪 400mg/dL 以上や食後採血の場合に non-HDL のスクリーニングのための診断基準を、現行の LDL 30mg/dL を足した数値に設定する方向と御発表いただいております。よって、同様に特定健診の判定値についても、現行の LDL の判定値にそれぞれ 30mg/dL を足した数値として、受診勧奨判定値は 170mg/dL 、及び保健指導判定値は 150mg/dL という案を提示しております。

 続いて随時血糖ですが、先ほど門脇先生に御発表いただきました案を基に、食直後の除外時間を 3.5 時間に設定した上で、受診勧奨判定値を空腹時と同じ 126mg/dL 、保健指導判定値も空腹時と同じ 100mg/dL としております。

 最後に、尿腎機能検査ですが、前回の検討会では渡辺参考人に、第 8 回検討会の資料 5 29 ページにありますが、 eGFR と尿蛋白を合わせた表で、判定値や対応表を御提案いただきました。ただ、第 3 期の特定健康審査では、 eGFR は詳細な健診項目として、血圧若しくは血糖が保健指導判定値以上で医師が必要と認める方が対象となる一方、尿蛋白検査は基本的な項目として全ての受診者に検査が行われる予定です。 eGFR とは尿蛋白検査との位置づけが異なりますため、同じ表で扱うのは誤解が生じると考え、今回事務局案は eGFR と尿蛋白検査を分けて御提案しております。

 まず eGFR です。前回の渡辺先生の御提案を踏まえ、受診勧奨判定値が 45 、保健指導判定値は 60 としております。

 次に、尿蛋白検査の判定と対応です。尿蛋白が±の場合には、生活習慣の改善を、+以上であれば医療機関の受診を対応案としております。標準的な健診・保健指導プログラム ( 改訂版 ) で、高血糖や高血圧などの併存リスクに応じた生活習慣の改善方法などをフィードバック分例集の中に例示したいと考えております。事務局案の説明は以上です。

○永井座長 ありがとうございました。それでは、これまでの御説明につきまして構成員の方々から御質問・御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○津下構成員 随時血糖については経過時間によって異なる判定値となることを避けたいことや、食後経過時間をできるだけ短くしたいという現場の要請と検査精度の関係から、門脇先生の御説明にありましたように、食後 3.5 時間においてそれぞれ 100 126 、このあたりが妥当なのかなという印象を持ちました。

 質問なのですが、前回の御説明では、 non-HDL について LDL non-HDL にはおよそ 30 の差があるということで、 non-HDL の受診勧奨判定値 170 という設定になりました。今回 non-HDL が推奨される中性脂肪が 400 以上の場合を考えると、 5 分の 400 というと 80 の差が想定されるわけです。その結果、中性脂肪が高い人にとっては、 non-HDL の受診勧奨判定値がやや低すぎることになりませんでしょうか。多くの方が受診勧奨になってしまう可能性もあると思います。

受診勧奨の意味合いとして、空腹時で採血しなおす必要があるとか、 LDL を実測する、生活習慣を見直して再検査する必要があることなどが正しく伝わる必要があると思います。受診勧奨されてお医者さんにかかったけれども、薬が出ないから行っても無駄だったという声を受診者から聞くことがあります。そこで、もう一度空腹時で採血するなど条件を整えて測定することも含めた受診勧奨なのだと丁寧に御説明しないといけないのかなと思います。

○岡村構成員 今の部分に関してちょっと補足なのですが、プラス 30 という値が結局、動脈硬化学会の立て付けでどうなっているかという説明をいたします。基本的には、まず LDL ファースト、 LDL がきちんと管理されて、それでも non-HDL が高い人に対しては non-HDL を見ろという立て付けになっています。 LDL が下がっていて non-HDL が高い方というのは、ほぼトリグリセリドが高い人ということになります。多分、先生も言われたように文例集のほうできちんと説明しておかないと混乱するだろうということがあります。

400 と言うよりは、どちらかと言うと食後採血が入ってくる可能性もあります。ただ、基本的には LDL non-HDL を使う場合はこうだという説明のほうはきちんとしたいと思います。基本はそういう二層構造になっているので、そういう値の差になっているというように御理解いただければと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか、ほかにいかがでしょうか。

○岡村構成員 門脇先生に教えていただきたいのですが、大体 3.5 時間が過ぎると元に戻るということでした。伊藤先生の対象者は年齢構成が分からないのですが、企業の対象者というのは働き盛りなので年齢構成もそれなりに若いと思います。例えば、年齢構成が前期高齢者ぐらいの集団までが特定健診に入ってくるのですが、そこで例えば OGTT をやって、食後高血糖からの戻りは、高齢者のほうが悪くなるという現象はあるのでしょうか。

○門脇構成員 伊藤先生のデータを見ましても、それから中島先生のデータを見ましても、 3.5 時間以上で戻るということでした。特に、伊藤先生のデータの中には比較的高齢者も含まれていて、これまでの高齢者の検討でも、ブドウ糖負荷試験のような強い刺激では食後血糖値が多少高いということで、食後血糖値では 30 分とか 1 時間、 2 時間までは高いということでした。その後、 3 時間を越えるとブドウ糖負荷試験でもほぼ戻るとなっていますので、より低い刺激の随時血糖値の場合にはそのように戻るというように理解されます。

○岡村構成員 ありがとうございました。企業を想定なので余り問題はないのですが、万一、国保で随時血糖を使った場合にどうなるかというのがちょっと気になったのでお聞きしました。安心いたしました、ありがとうございます。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。

○杉田構成員 杉田です、先生方の御説明を聞いて、よりクリアに分かってきました。表現の違いなのか、中身の違いなのかを教えていただきたいと思います。例えば、 non-HDL に関しての受診勧奨判定値ですが、先ほど津下委員から受診勧奨判定というのはどういう意味なのかを文例集で丁寧に説明したほうがいいのではないかという御発言がありました。本当に賛成です。もう 1 つのほうの保健指導判定値なのですが、 non-HDL は保健指導判定値、随時血糖のほうも保健指導判定値、 eGFR が保健指導判定値、これは同じですね。蛋白になりますと、±のところに示されている人は生活習慣の改善となっているので、これは保健指導をしていっていただきたいというメッセージが入っていると解釈してよろしいでしょうか。

○青木健康課長補佐 事務局です。まず尿蛋白検査ですが、基本的に判定値という言葉がそぐわないため、今回、受診勧奨や保健指導判定値という言葉は使っておりません。尿蛋白が±以上は生活習慣の改善というのが、イコール保健指導をしなくてはいけないということかと申しますと、尿蛋白が±であったからといって特定保健指導の対象になるわけではありませんし、何か義務付けられた保健指導もありません。なので、必ずしも保健指導していただきたい、やらなくてはいけないというようなメッセージにはなっておりません。

 今回、この「尿蛋白検査の判定と対応について」という部分は、フィードバック文例集に載せることを想定して作成したものになります。フィードバック文例集は、情報提供の際に使っていただければという位置づけになっておりますので、保健指導をしていただきたい、しなくてはいけないというわけではなくて、健診結果をフィードバックする際や情報提供する際に、こういうような形で情報提供していただければというものになります。

○永井座長 よろしいでしょうか、ほかに御発言はいかがでしょうか。よろしいでしょうか、よろしければこの件についてはこのように進めさせていただきたいと思います。

 議題の 2 番目の特定保健指導等についてです。これはファイルの前回の「第 8 回検討会」の資料 6 を御覧いただきたいと思います。前回の検討会では 3 つの論点を確認したところです。

 今回は論点 2 3 について御議論をいただきたいと思います。論点 2 というのは、特定保健指導の積極的支援における支援ポイント数と効果との関係性を踏まえ、より効果が見込める保健指導の実施方法を提示してはどうかというものです。論点 3 については、繰返し特定保健指導の対象となる者に対してどのような保健指導を行うべきか、これらの論点に関係して、岡山参考人と津下構成員からまず御発表いただき、議論を行いたいと思います。質疑はお二人の発表後にまとめて行いたいと思います。岡山参考人から資料 3 に基づいて 10 分程度で御説明をお願いいたします。

○岡山参考人 現在、 AMED の研究費で 3 年目に入る研究班の活動結果について報告させていただきます。タイトルは「実践情報の解析による効果的な保健指導の開発と評価に関する研究」です。次を御覧ください。

 この研究班は第 3 期の計画に向け、特定保健指導の現状を明らかにするとともに効果要因に関する検討を行うということです。特徴は、国保・被用者保険の医療保険者・保健指導機関の協力を得て、特定保健指導データに特定健診の結果を突合したデータセットを作成し、各医療保険者の協力体制のもとに各保険者の調査結果をくっ付けてデータ分析を行ったということです。特定保健指導に関しては今日、全て報告するわけではありませんが、利用率に寄与する要因、終了割合に寄与する要因、検査結果に寄与する要因という 3 つの分析を行っています。要因としては対象者特性、指導体制、指導者種別などを効果要因として分析しております。

 研究のスキームについてはそこにまとめておりますが、特定健診のデータを用いて特定保健指導の効果分析を行い、 1 年の効果をみる、 2 年の効果をみる、またリピーターの効果をみるという形で分析をしております。次を御覧ください。

 収集データですが、そこにありますように、平成 23 年度、 24 年度、 25 年度の特定健診結果及び特定保健指導のデータを収集いたしました。全部で 155 の保険者及び指導機関から協力をいただいて集めることができましたので大変大きなデータセットになりました。これを積極的支援、動機付け支援の要因について解析をしております。次を御覧ください。

 特定保健指導後の体重変化・検査値の変化について平均値で示しています。これは開始時を 0 とし、そこからの変化量を基準として分類をしたものです。比較対照としているのは階層化結果が同じで、かつ指導を受けなかった人です。中断は、保健指導期間中に最終面接を行われなかった方としております。最終終了は、 6 か月面接の結果があったものです。そこにお示ししていますように、最終終了された方が最も効果があった。中断の場合は効果が薄かった。比較対照であっても、平成 24 年、 25 年と継続的に低下しているのが特徴です。

 血液検査に関しては、 HbA1c の結果をお示しております。平成 24 年度には明確な差があったものの、平成 25 年度には差が消滅しておりました。

 動機付け支援ですが、積極的支援に比べると効果が少ないというデータになっております。 2 年目についても、体重に関しては差が見られておりますが、積極的支援と同様に動機付け支援の 2 年目については効果が見られておりません。このように長期の効果という点で、だんだん消滅していくということが観察されております。次を御覧ください。

 次に、効果要因を対象者要因として分析したものです。終了割合の所に矢印が下向きに書いてあるものは、例えば男性は女性よりも終了割合が低いというように見ていきます。そうすると、喫煙あり、朝食を食べない、多量飲酒の有無が、非常に特徴的で終了割合も低くて翌年の体重の低下量も少ないということで、効果の出にくい人たちがいることが分類可能なことが明らかになっております。次を御覧ください。

 次に、指導効果ということで分類しますと、今お話しましたように、 3 つの共通した点が出ました。また、中断率が高くても効果要因に余り差がないという場合があります。なお、体重低下要因として使った理由は、腹囲は体重との関係が低いということ、それからメタボの指標との関連が低いということで、体重のほうが代表的であろうということで使っております。特徴的だったのは、運動習慣があり、身体活動があるとか、生活改善の実践の良い方というのは終了割合は高かったのですが、むしろ体重の低下は低かったということで、こういった実践者に対する指導が今後の課題と考えられました。次を御覧ください。

 次に、特定保健指導積極的支援のリピーターの方はどのような方かを分析いたしました。これは保険者によって指導割合の高い保険者、例えば実施率が 60 %や 70 %に及ぶ保険者もありますし、 5 %とか 10 %ということもありますので保険者要因が大きく効いてくるのですが、今回はそこの分析までは至っておりません。非リピーターとリピーターの差を対象者の違いということで見ました。単変量で差のあったものをリストアップしております。最終的に重回帰分析を行ったところ、年齢が若いこと、 BMI が大きいこと、太っていらっしゃる方は 2 回目の指導がしやすいということになります。男性の割合が高いこと、そして喫煙習慣があり、就寝前に食事をとる、それから特定保健指導を希望せずに指導を受けた方というのがリピーターになりやすいという結果になっております。次にリピーター特性と翌年度の実施人数ということで、データについて示しております。

 リピーターと単純に言っても、ここにありますように初年度に特定保健指導だったものが引き続いて積極的支援を行う場合、積極的支援から動機付け支援に行く場合、また逆の場合というように様々に分かれ、どこに焦点を置いてリピーターとして分析するかについては、非常に大きな課題があることが分かってきました。

 全体としてリピーターの変化を計算して、求めたものが 10 ページになります。積極的リピーター、つまり積極的支援を 2 年連続して受けた方については、初年度の実施効果が「支援なし」とほぼ同様、その翌年の効果も「支援なし」とほぼ同様であったということです。積極的支援を 1 年だけ行った人では平均 2kg 以上の体重減が見られましたが、この方々は翌年の体重はやや増加したということです。動機付け支援でも、ほぼ同様な形で出てきました。つまり積極的支援、動機付け支援のリピーターというのは、ともに効果の出にくい人の割合が高い可能性があり、その方々への特性に応じた対策が必要であるということが見えてきました。

 次に、積極的支援のポイント別の解析というものを行っております。積極的支援に関して分析を行いましたところ、 11 ページにあるように、実施ポイントが 180 ポイントで鋭いピークを持つ形の分布をしております。実施ポイントが記載されていない、 0 ポイントというのもあるのですが、こういったものは、実際に外注しない場合に発生する頻度が非常に高いということがデータとして見えてまいりました。

 次に、 180 ポイント以上を 5 区分に分けて、平均ポイントと体重変化との関連をお示ししたのが、 12 ページの図となります。指導ポイント区分が平均で 250 ポイント未満のところでは、平均で大体 1.2kg 前後となりますが、それ以上になりますと、ここにありますように有意に指導効果が高くなると出ました。5群になると更に高くなるのですが、有意差はなかった。少なくとも、 180 ポイントよりも多いポイントで行うと効果が高くなるということが、このデータから読み取れるのではないかと思っております。

 次に、保健指導効果の施設要因ということで様々な分析をいたしました。施設調査と翌年度の体重低下量との関係を示しております。そこにお示ししましたように、初任者の保健指導技術到達度を評価するような仕組みがある所はない所に比べ、有意に低下量が大きかった。それから、保健指導実施者の事例検討会等、技術向上に関する研修を行っている所は、定期的に行っている所、不定期に行っている所は共に、未実施よりも指導効果が高かったということで、施設に対して実施した質問のうちで関連があったものをお示ししました。技術到達度の評価や事例検討など、また保健指導者の育成を行うことが後輩に結びついているという結論でした。

 最後にまとめをしております。保健指導効果の分析では、積極的支援を受けた人では階層化結果は同じで指導を受けなかった人に比べて体重低下効果が大きかった。最終支援を受けた人では更に大きく低下していたということです。動機付け支援も同様でしたが、比較対照との差は積極的支援と比較して少なかった。対象者要因では、喫煙あり、多量飲酒あり、朝食を食べない人は終了割合が低く、体重が低下しにくかった。男性であること、年齢が若いこと、夕食後に間食をとる生活が脱落の要因でしたが、体重低下量とは関係なかった。また、運動習慣のある方等は終了割合が高かったのですが、体重低下はむしろ少なかったということです。

 最後に別の分析をした結果、 220 ポイント以上の群で有意に効果が高かったということです。また、施設要因も効果の要因として関連していると考えられました。以上です。

○永井座長 ありがとうございます。続いて、津下構成員から資料 4 について御説明をお願いいたします。

○津下構成員 よろしくお願いいたします。資料 4 、宿泊型新保健指導プログラム ( スマート・ライフ・ステイ ) と言っておりますが、これについて御説明いたします。これは AMED の研究事業で行ったものです。

2 ページです。このプログラムは、「日本再興戦略」の戦略市場創造プランの中に位置付けられている事業です。 3 ページにありますように、糖尿病の方、糖尿病が疑われる方など予備群以上の方々を対象に保健指導プログラムと、スポーツ、観光などの宿泊を伴う体験型の学習をするということで、より効果の高い保健指導を行うということを狙ったものです。更に、このような取組により、地域の健康環境の創出などが期待されるということで実施しました。

4 ページです。スマート・ライフ・ステイの要件等についてです。糖尿病が疑われる者等を対象として、ホテル・宿泊施設等を活用するということ。それから、医師、保健師、管理栄養士、健康運動指導士等の多職種が連携して行うということ。それから専門職種が宿泊地に同行し、保健指導を行うということ。宿泊時には、座学、グループ学習、体験学習、相談を通じて行動目標を立てます。特にこの相談というのが重要で、参加者のいろいろな疑問に答えて、実現可能な行動目標を立てるということが重要なポイントとなっています。

 さらに、宿泊終了後に、継続的な支援を行います。今回のプログラムでは、 2 週間以内、 1 か月、 3 か月、 6 か月後などをメドに継続的な支援を行います。宿泊時にすぐに効果を出すというよりも、宿泊の体験が、その後の行動変容につながるということを実証することを目的としました。

5 ページが、その例です。専門職による保健指導と宿泊施設による体験ということで、右側を見てください。黄色が保健指導としての要件ですが、検査結果の振り返りとか、体調確認、また行動目標の設定をします。運動や食事のプログラムを入れることによって本人に合った目標を立てると。そして、最後の日に行動目標をしっかり立てるということで、継続率を高めるということを狙っています。

 この参加の対象者としては、保険者のニーズとしては、先ほど岡山先生のお話にもあったリピーター、保健指導を何度繰り返してもなかなか効果が出にくい対象者を中心に、対象者を選定しようということで行っております。

6 ページ、平成 26 年度にプロトタイプを作りまして、平成 27 年度に、全国 23 の実証機関と一緒に試行事業を行い、平成 28 年度に効果測定を行っています。昨年度に実証したものについては、こちらの事例集に具体的なプログラムの内容と、 23 機関を全て掲載しています。

 試行事業については、 8 ページにありますように、研修会を行ったり、それから、 9 ページの進捗管理シートで、どの段階まで進んでいるかということを確認しながら進めました。また、 10 ページについては、運営マニュアル・教材等の提供を研究班より行いました。本日の資料、事例集の 78 ページ以降に、このような評価シートや、運営マニュアル等を例示するという形で、どこでも実施しやすいような体制づくりを行いました。

 資料 11 ページ、全国 23 の分布になっております。 1 2 日型が 63 %、 2 3 日型が 35 %でしたが、鹿児島県伊仙町では 6 7 日型という長期にわたったプログラムがありました。それから、自治体が主体となって行ったもの、医療機関、そして健康保険組合が保険保養所を活用したものや、特定保健指導の実施機関が、更に発展させる形で参加するなど、様々な実施機関が参加しました。

12 ページです。宿泊施設との調整が非常に重要ですが、食事の調整と運動の場所、それから受動喫煙防止、それからアクティビティについて十分な調整を行ったということです。 13 ページには、 1 例として、蒲郡市の例ですが、準備段階からどのような打合せをしたか、そして、 14 ページには、実施の雰囲気の絵が載っています。

15 ページです。先ほど言いました自治体・観光型は、従来、観光資源が豊富だったり、ヘルスツーリズムを実施しているような所が、その資源を活用して、更にこの保健指導の要素を強化して、参加するというようなものです。

 特定保健指導発展型は、健康保険組合が保養所を活用したり、又は保健指導のアウトソーシング機関が保険者と組み、宿泊施設と組んで行ったもの。そして、医療機関が宿泊施設と組んで行ったもの等、多施設がコラボして実施しているというのが特徴です。

16 ページはプログラム評価です。 17 ページにあるように、 815 人に参加していただきました。平均年齢は 53.9 歳です。男性の 76 %が肥満ですが、女性は 41.6 %で、非肥満の高血糖や高脂質の方が参加されています。

18 ページ、宿泊終了時のアンケートです。それぞれのプログラムについては、「非常に役に立った」「役に立った」が 99 %を占めるということで、熱心に参加していただいたと思います。

19 ページを見ると、まず左側の食習慣の改善意欲ですが、宿泊前にはクリーム色 ( 感心期 ) で、興味はあるが難しいと感じている人が約半数でしたが、宿泊終了時には、「関心期」「無関心期」が減り、「準備期」の方が増えました。そして 3 か月の調査では、 57.4 %と書いてあるのは「実行期」であり、宿泊での体験で実行に移している人が増え、 6 か月後には、濃い緑の所の「維持期」の方が増えるということで、食習慣の改善意欲が順番に高まっているということが分かります。

20 ページは、なかなか生活改善が困難な人の事例です。今回宿泊して、ほかの人とのコミュニケーションや、いろいろ考える時間があるということで、行動変容につながったという事例です。実際に保健指導者も十分な時間をかけて説明ができたり、参加者のことを分かって指導できるということで、指導側の満足度も高かったということが調査で分かっております。

21 ページは、その効果です。健診・宿泊前の体重、そして 3 か月後の体重は、全員で見ても落ちておりますが、肥満者では、特に大きく落ちています。その後、 6 か月まで緩やかな低下ということで、肥満者では 2.9kg 、非肥満者では 0.6kg の減量でした。

22 ページ、 HbA1c については、全体では緩やかな低下傾向ですが、 HbA1c 6.5 %以上で区切って見ますと、全体では 7.24 %から 6.91 %へと有意に低下しています。

 インスリン抵抗性 HOMA-R 指数は、一部で測っていますが、肥満者では有意に低下しています。

23 ページ、これは平成 28 年度の健診データが取得途中なので途中段階のデータになりますが、保健指導を挟んだ前後のデータで、宿泊型に参加した介入群と対照群で比較したものです。体重、腹囲、血圧等の検査値等についても、血糖や HbA1c 等についても介入群での有意な低下が見られています。

24 ページは参加施設へのアンケートです。アクティビティの調整とか、宿泊環境の整備については、やりながらの修正が必要だったようですが、ほぼ段取りよくできたということと、それから次年度事業化の予定としては、昨年度は国の補助があって実施しましたけれども今年度は補助がなくて実施機関の 7 割が継続しているという状況になっています。

25 ページは、まとめです。参加者にとっては知識と技術を同時に学ぶことができ、今まで行動変容が難しかった対象者に対しても、行動変容を起こすチャンスが増えたと思っております。支援者にとっても、指導の幅が広がったと言っております。

26 ページ、特定保健指導との比較です。今回は非肥満者も入ったプログラムなので、より個別性に合った支援をしたということ。それから、体験ということで言うと、特定保健指導ではなかなか体験学習の時間がないのですが、宿泊型で体験学習の中で、本人でつかんでいただいたものがあると思います。費用については、今、積算中ですが、もちろん特定保健指導より費用が掛かるわけですが、費用対効果を高めるためには、定常的に運用すると。立ち上げにはかなり費用が、調整のための打合せの人件費等が掛かっていますし、準備にも掛かっていますが、今年は去年の成果をそのまま使って実施できるということで、コストが下がっているということを聞いています。

27 ページはまとめですが、実証事業では、こういう効果のほか、健康な町づくりや、地域振興などの観点で評価がありました。また、マニュアルを整備しましたので、取り組みやすくなったという声を頂きました。効果については、報告のとおりです。

 継続実施については、 7 割が実施していますが、特に保険者が主体となったものでは、 83 %が継続しているということで、医療機関については、保険者とのコラボがないと集客はなかなか難しいという課題が見付かりました。今後に向けて、こういうようなプログラムを必要のある人に提供をできればと考えております。以上です。

○永井座長 ありがとうございます。それでは、先ほどの岡山参考人と、ただいまの津下構成員からの説明内容について御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。あるいは、追加の御意見等がありましたらお願いいたします。

○藤内構成員 岡山参考人の資料の 10 ページになりますが、先ほども御紹介いただいたように、積極的支援のリピーターは、 23 年の初年度の効果も、それから 2 年目の 24 年度の効果も、非実施分と余り差がなかったということは、 1 度積極的支援をして効果がなかった群については、次の 2 回目も同じようにやっても効果が期待しづらい。そういう意味では、やり方を変えるなり、より工夫が要るという指摘もあるし、逆に、この人たちの優先度をどうするかといった議論もあるのかと思いますが、いかがでしょうか。

○岡山参考人 このデータ分析から見えることは、 1 回目にうまくいかなかった方は、 2 回目も効果が出にくいという、それ以上のことは言えませんが、こういった対象者を続けて指導するというやり方を今後もやっていくか、やっていかないかというのは大きな問題かと思います。やはり受ける側の気持ちというのは、また捕まったというような気持ちになったときに、この方々は、もともと余り意欲がなくて参加していると。もう一回捕まるということは、もっと意欲がなくなっている可能性もあるということですので、先ほどの津下先生がおっしゃったようなやり方も含めて、指導の仕方を変えるとか、 1 回、間隔をおくというのも 1 つの考え方だと思いますし、その辺のところを、やはりこれから、しっかりいろいろな仮説を立てて、介入モデルを作らないといけないと思います。

○永井座長 はい。門脇構成員、どうぞ。

○門脇構成員 同じデータについて質問です。まず、このブルーの波線で書いた群は、それぞれ左が積極的支援、非実施群。右は、動機付け支援、非実施群ですが、これに比べて緑の積極的リピーター、動機付けリピーターの変化がないということを議論しているのですけれども、そもそもこのブルーの群で体重変化がこのように得られている原因は何でしょうか。

○岡山参考人 このデータからは分からないのですが、やはりメタボ健診という表現で健診が行われている中で、肥満者といった方々に対して非常に強い社会的なプレッシャーがかかっているからではないかと思います。 1 年目のところは、平均への回帰で説明できますが、 2 年目以降も継続的に下がっているということは、やはりこの制度全体が及ぼす、これも 1 つのポピュレーションの効果と見ていいのではないかと思います。

○門脇構成員 よろしいですか。やはりそこは大事だと思います。通常、このような特定健診・保健指導の枠組みがないときには、体重がこのように経年的に減少する事象は認められませんので、これは 1 つの効果と見るべきだと思います。それで、積極的リピーターについては、その一般的な特定健診・保健指導で情報提供などを受けているわけですから、それ以上の効果がなかったというように表現すべきだと思います。全く効果がなかったわけではなくて。

 もう 1 つは、赤の群ですが、積極的支援群で体重が随分下がったのですけれども、これがややリバウンドの傾向が出てきています。そうして見ると、積極的リピーターの緑と比べて見ると、 1 年目は大きな差が開いていたのですが、 2 年目は、むしろ差が縮まっているということも言えるので、平成 24 年にもう一度積極的支援をやったり、あるいは動機付け支援をやったりしたことが全く無駄だったとは私は言えないようにも思いますが、いかがでしょうか。

○岡山参考人 もちろんそういう見方もできると思います。

○門脇構成員 はい。

○永井座長 武見構成員、どうぞ。

○武見構成員 岡山先生、ありがとうございました。終了割合とか、リピーターの要因ということについて,実は私も 1 つ、今日、資料を入れさせていただきました。資料 7 になりますが、この説明を少ししてもよろしいでしょうか。

○永井座長 どうぞ。

○武見構成員 正に、そのリピーターの要因は何かということに関連すると思って、今日お出ししました。

2 ページです。平成 21 年から平成 23 年まで、この制度がスタートした直後に食生活の支援方法をどうするのだということで、研究を 3 年間やらせていただきました。

 上のほうに細かいことが書いてありますが、最初のページの下半分には、最初、私たちも量的な検討というか、いろいろな要因、岡山先生が今回なさったようなことで、何がうまく体重減少をさせたり、効果となるのだろうかと検討したのですが、なかなか答えが出てこなかったのです。

 ということで、 3 ページですが、既存の問診票では把握できない要因の検討が必要と考えて、質的な検討をやりました。 6 か月間でうまく体重減少した方、これは津下先生たちの基準で、その当時 4 %というのを使わせていただいて、できた方と、ほとんど変わらなかった方ということをやった結果、右の上にありますが、うまく成功する、 6 か月時評価まで成功したフローを整理するということをやりました。

 やはり一番大事なポイントは、初回面接直後の気持ちというか、赤字で書いてあるのですが、自分のこととして危機感を感じて取組んだかどうか。「価値づけ」と書いたのは、自分の生活や仕事のために必要かという価値づけですね、そういうことがしっかりできているかということと、何となく義務感とか、言われたからやったとか、多分、先ほど岡山先生が希望なしとか、やる気がないというところに、正に合うと思いますが、やる気はなかったのだけれども、取りあえずやったというような人たちがここに入ってくるのですが、このいずれのタイプかによって取組み方が違ってくるということが分かってきました。

 その後のフローは、青字の濃い矢印が成功の流れです。取組み始めれば、それなりに取組んでくださって工夫もあったりして、その後のもう 1 つのポイントが、良い変化の実感ということで、比較的早い段階で、自分で良い変化を実感すると、うまく進んでいく。更に言うと、その取組んだことに対して、肯定的な認知をしているかどうか。つまり、楽しかったとか、効果が実感できたとか、自信がついたとか、ポジティブなことを語ってくれた人と、いや、つらかったですとか、仕方なくやりましたとかというネガティブな発言が出る人では、かなり違って、その後のリバウンドの状況が変わるということが分かりました。そういうことを整理して、 3 ページの右下に、減量成功のポイントを 5 点ぐらいに整理しました。私たちは質的な検討だったので、これでもって、全体として言っていいかどうかということはあると思いますが、今日、岡山先生が報告してくださいましたが、例えば喫煙や飲酒の問題というのはやはり、かなり阻害要因になっていることがこの質的な検討の中からも分かってきて、今日の量的な大きなデータでも出てきたので、同じだなと思いました。

 それと、「良い変化の実感」ということがすごく重要だということで、そういうことをうまくやるためにということで、 4 ページに図を 3 枚ほど載せておりますが、いわゆる比較的経験のない初心者の方でも、うまく初回面接から継続支援 6 か月後評価までできるような、アルゴリズム ( 流れ図 ) を作りました。本当に価値づけをして、動機付けをして、うまく成功する流れに持っていけないかということでやりました。

5 ページは実際にこれを使ってもらった 1 つの健診機関での検証結果です。そこで、この流れ図を使った場合と、それ以前の使わなかった人たちを、性・年齢・初回面接時 BMI 、喫煙状況でマッチングさせて、比較してみました。

 その結果、 5 ページの下の段ですが、初回面接から翌年健診までの体重の変化を見ると、まず、 1 つは、約 1 か月後の変化量というのが、この流れ図に沿って、つまり、きちんと動機付けができた人は減るのですね。そうすると実感もできているということがあります。ただし、 6 か月評価では差がなかったのです。恐らく体重だけで見ると、腹囲も実は差がなかったのですけれども、やはり自分で、直前に調整しやすい所。この施設は全て実測をやっていますので、そういう意味ではデータは確かです。ただ、 6 か月で支援が終わってからの動きがかなり違うということが、赤い丸印の所で分かりました。

 また、各時点における体重の変化、右側、最後の図ですが、見ていっても、一番ポイントは、 6 か月までは支援があるからうまくいきますが、そこから先を自力で、どう自分のこととしてセルフケアをやってくれるかということが大事で、きちんと動機付けができて、先ほど言ったように、途中で早めに実感ができて、かつ自分にとって、ポジティブな受け止め方ということができてくれば、そのグラフの青い線の人たちのようになっていけるのかなという結果が得られました。ここは体重だけ示していますけれども、腹囲も全く同様の結果でしたし、あと、検査結果で言えば、翌年の中性脂肪と HbA1c は介入群のみで有意に減少し続けました。体重がこれだけ下がっていますから、当然なのですけれども。

 ということを思うと、先ほど岡山先生のところで、喫煙と飲酒というあたりは、私たちの研究でもすごく大きな要因だったのと、「保健指導の希望なし」というのが要因に入っていたと思います。この問診票は検査のときの問診ですよね。だから、そこから保健指導までに時間がありますし、そういう意味で、保健指導のやる気があるかないのかみたいなことも、実は保健指導を受けるときとか、あるいは受けた直後の気持ちが大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○岡山参考人 もちろん、先生のおっしゃるとおりです。今回、私たちが扱っているデータというのは、法定報告に入っている項目だけですので。

○武見構成員 ええ。

○岡山参考人 法定報告に入らないものは評価できないということと、特定健診に含まれていないものは評価できないということになるので、例えばシステムに入れないにしても、保健指導の際に取るべき標準的な質問リストのようなものがあれば、先生のおっしゃるようなところも留意して、指導ができるようになるのではないかと思います。そのときに大事なポイントは、開始時と終了時に、必ず同じ質問票で評価をするというフレームをしっかり提唱していただくと、後々、非常に質の高い保健指導の効果評価ができるようになるのではないかと思います。

○武見構成員 ありがとうございます。

○永井座長 ありがとうございます。それでは、福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 岡山先生の非常に貴重なデータを私も拝見させていただきまして、ありがとうございます。

2 点あるのですが、先ほど門脇先生もおっしゃっていましたけれども、 10 ページのリピーターの所のグラフで、何で、非実施者も下がっているのだということなのですが、データの扱い上の確認させていただきたいのですが、平成 24 年度に積極的支援を受けたという方は入っているのでしょうか。

○岡山参考人 入っていないです。

○福田構成員 入っていないのですね。

○岡山参考人 はい。

○福田構成員 そうすると、やはり解釈をしていただいたとおり、 1 年になったことの影響があると。

○岡山参考人 はい。

○福田構成員 これは 5 ページでやられている全体の分析のところでも、同じですか。

○岡山参考人 全体の分析の際には、初年度の割付けでやっております。

○福田構成員 なるほど。ということは、例えば HbA1c などはむしろ、 24 年度か、 25 年度のほうが下がっているように見えるのですが。これは 23 年度は受けなかったけれども、平成 24 年度に受けている人は入っている可能性があるということですか。

○岡山参考人 受けている可能性があります。

○福田構成員 分かりました。もう一点は、 13 ページの施設要因のところで、大変興味深いと思うのですが、技術達成度を評価している仕組みは、やはり事例検討を行っているということですが、これは、この体重減少が多かったというのは、やはりこのような仕組みを持っている施設のほうが終了率とかが高くて、こういう結果なのか、それとも同じように終了しても内容がやはり違っては減少率が大きいとかということは分かりますでしょうか。

○岡山参考人 終了率に関しての検討というのは、私がやっていたかどうかは記憶にありません。申し訳ありません。これは全部終了した人について、かつ翌年の検査成績がある人という条件のみです。

○福田構成員 なるほど、終了者のみ。では、やはり内容は違っておりますね。

○岡山参考人 国保の場合は、翌年の健診を受けている人が、大体 3 分の 2 しかいないのですね。ですから、全体の分析の中から、実際、翌年の効果を見られる人というのは、その 3 分の 2 2 年後のデータがある人というのは更に減りますので、そういう意味では、厳密に言うと比較の仕方というのは非常に難しいということです。

○福田構成員 分かりました。ありがとうございます。

 もう一点は、津下先生にですが、 26 枚目の宿泊型との比較ですが、確かに費用対効果的になるところです。お尋ねしたいのは、費用について先ほど定常的な運用をすることによってと。立ち上げ時はいろいろプログラムを作ったりとか、費用が掛かるという話でしたが、その左側にある費用のところには、そのプログラム開発というものが入っているかどうかという点です。もう一点は、今、ここに当てている費用というのは、誰が負担しているものでしょうか。

○津下構成員 この費用は、昨年度は国の補助の事業で行われていました。今年度については、保険者が補助する形です。自治体型でも、国保の加入者については、何パーセントかを補助するとか、交通費は持ってもらうけれども保健指導のプログラムについては保険者が持つとか、それぞれが費用負担については相談しながらやっているということです。

 この費用については、今、精査中でして、人件費を全て含めているものや、準備の経費まで含めているもの、また実際の運用の経費だけのものが混じっています。本年度で終了になりますので、精査の上、ランニングコストと言うか、定常的に運用している場合に、どのぐらい掛かっているかということをしっかり検証していきたいと思います。今は少し荒い数字で、大変恐縮でございます。

○永井座長 岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 岡山先生の資料の 6 ページの指導効果のところの分析というのは、非常に大事だろうと思いますけれども、そこでやはり、いつでもそうなのですが、喫煙と飲酒がどこでもすごいノイズになって出てきて、実は、非肥満の保健指導のほうでもこの 2 つがすごい問題だと。

 それから、これは門脇先生の分析で、非肥満の死亡と、発症とかに非常に貢献しているのが喫煙ということがあるので、実は飲酒と喫煙に対する対策というのが、非常に大事だろうと。場合によっては、もしかすると、体重うんぬんよりも、まずそこの 2 つをチェックして、そこから指導したほうがいいぐらいではないかと思うのです。恐らく、そこの重要性について、今後もう少しきちんと書き込んでいったほうがいいのかというのがあります。これは、肥満者の特定健診ですが、ただ、非肥満者でも全く同じ状況で、かなり何か重要な要素として乗っている感じがするので、また依存性もあるというところもありますから、先生の御意見を。

○岡山参考人 研究班としてではありませんが、実際に保健指導のプログラムとかをやっていますと、喫煙と飲酒に関しては、おっかなびっくりみたいな形で余り熟練度がほかの運動とか食事に比べると、支援者の熟練度を上げる仕組みというのが余りうまくいっていないのかなと思います。やはりそういった動機付けとか、先ほどおっしゃったように動機付けの仕組みとか、それから面談するときの、その相手との距離の置き方とか、そういった基本的な面接技術の中で、どう喫煙者に対して接するかとか、喫煙習慣に対してどう接するかというところを、もう少し具体的にするのと同時に、そういうところの技術向上というのをしっかりしたほうがいいのではないかと思いました。

○岡村構成員 標準プログラムの改訂版についても、今でも、飲酒と喫煙について記載しているところがあるのです。ところが、恐ろしいことに、聞くと、記載されていることを知らないとか、見たことがないとかと言う方が現場の方でもかなりいて、そこに多分、誘導していく仕組みがないので、一般の指導とリンクしていない可能性があるのではないかというのは、ちょっと問題があるかなと思いました。

○岡山参考人 本来ですと、喫煙率の変化も見ないといけないのですが、見て、また報告させていただきます。効果があればいいと思いますが、やはりその辺のところの効果を特定保健指導における喫煙者への禁煙支援が実際に効果があるというデータが出れば、また非常に勇気づけられるのではないかと思います。

○永井座長 津下構成員、どうぞ。

○津下構成員 今の点ですが、喫煙と飲酒に関しては、宿泊型保健指導を行うと、本当に生活の場でその人がどういう行動を取るかが見えるので、より効果的な指導ができるように思います。最初の目標設定のときにはアルコールが問題だと分かっているのだけれどということを言っていても、結局、夜になるとビールを買って飲みたくなるとか。では、どうすればいいのだという話ですが、保健指導者も喫煙と飲酒の問題に立ち向かわないといけない状況が実感できたようです。宿泊型保健指導を体験した保健師、管理栄養士は、その辺りの指導技術がないと十分な効果が上がらないということが分かってきたというのは体験的に良かったかなと思います。

 参加事例でもありますように、困難事例の中では、かなり喫煙者が多いということについて、禁煙体験をしていただく、ほかの人の話を聞くなどの体験学習も有効でした。相手が聞く耳を持たない場合、保健指導を単に 20 分面接するだけで終わってしまっては、聞き流されるだけになってしまう場合があるので、しっかり相手の意欲に届いているかどうか、そこが確認できる仕組みが必要かなと思います。今回これをやってみて、そこは実感したところです。

○永井座長 その際、泊まりがけで、アルコールは禁止。

○津下構成員 いや、一般的に言って禁止はせずに、節度ある飲酒についての保健指導はするのですが、そのときに、本当に飲まれるかどうかは観察させていただきます。最終日の行動目標設定のときに、どのぐらい実現可能性の高い目標につなげられたかというのが重要で、禁酒にしてしまうというのは非日常になってしまうので、できるだけ日常に近い形で実施しています。

○永井座長 磯構成員、どうぞ。

○磯構成員 岡山先生に、 2 点の質問とコメントがあります。 1 点目は、 10 ページの所です。赤の線で、最初に 1 年目に体重が大きく下がって、 2 年目に点線でやや体重が増加したというコメントがあるのですが、これは統計的な有意差はあるのでしょうか。

○岡山参考人 サンプル数が大きいので、有意だと思います。

○磯構成員 やや増加したということですが、それほど大きなリバウンドではないというように見えますね。

○岡山参考人 そうですね。

○磯構成員 分かりました。もう一点は、既に先生からコメントがあったのですが、腹囲については、 2 年目に意識して、お腹を引っ込めてしまう場合もあることなどから、測定のばらつきがあるという限界を踏まえながらも、腹囲の結果やメタボリックスファクター ( 血圧、脂質、血糖 ) への影響についても是非、御報告いただければと思います。

 もう一点は、津下先生の発表内容についてですが、宿泊型の好事例が 20 ページにありましたが、それ以外に全体としての宿泊型の効果については、今後、報告される予定でしょうか。

○津下構成員 ありがとうございます。今回は参加者の半分が関心期までということと、保険者がリピーターを中心に勧奨されたということ。それから、旅行があるから行ったらという、保健指導参加目的ではなく旅行目的で参加されて保健指導をされてしまったみたいな方もあったように思います。保健指導について必ずしもポジティブではない方がどう変化したかを丁寧に見ていきたいと思います。先ほどお話しましたように、グループディスカッションやほかの人の話を聞いて、それから、体験で、このぐらいのことだったらできそうだと実感されたことが非常に大きかったので、その辺りを分析したいと思います。

○磯構成員 よろしくお願いします。通常の保健指導でうまくいかなかった人が、宿泊型で何割がうまくできたかを確認することが重要です。あと、細かい点ですが、 22 ページの HbA1c の低下のグラフがありますが、これには平均値への回帰現象が一部入ってくると思いますので、結果の解釈に留意ください。

○津下構成員 ありがとうございます。これは中間的な評価で、最終的には保健指導を挟んだ健診データでの比較ということで、 23 ページにあるような分析を丁寧に行って、結果を出していきたいと思います。

○武見構成員 津下先生の報告、大変興味深く、また、感心を持って聞かせていただきました。まず 1 つ、すごく単純な質問ですが、先ほどの岡山先生のお話の中で、ポイント数と効果との話がありましたが、ポイントに換算すると、どのぐらいのポイントになるのか、わかれば教えていただきたいです。それから、とてもいい取組だと思いますが、果たして本当にいろいろなところの保険者がみんなできるのか,ということで、先ほど福田先生がおっしゃった費用の問題、それから、準備のセットアップですね。確かに 1 年目は大変ですが、 2 年目に何も準備がないわけではないと思いますので。実際、公衆衛生学会で取り組まれた方が発表されていて、最初はすごく大変だったとおっしゃっていて、自治体などは人が変わっていったりする中で果たしてそれがうまくできるのかということが気になります。質問としては、資料の地図中に、取り組まれている自治体と健保と医療機関がありましたね。その中で多分、大手の健保は恐らくこういうことができるし、費用負担なども健保で、ある程度できてくると思いますが、それ以外の協会けんぽとかいう辺りがどうなのかということと、自治体などでの継続性について、今、先生が取り組まれていて、どんな感じかという辺りを教えていただきたいと思います。

○津下構成員 ありがとうございます。まず、ポイントですが、終了後、保健指導の初回の部分はポイントに入っておりませんので、 2 週間、 1 か月、 3 か月、 6 か月について、同じ問診で評価をすることでやっております。これでいくと、 4 回で通信でいけば 1 40 ポイント程度になりますので、 160 ポイントです。これに面談が入ったり、オフ会ではないですが、また集まりたいということで、 6 か月後に集まってグループ支援をやった所が結構多くありましたので、そこを入れるともう少し上がるという程度です。継続支援の部分については非常に多いということはないです。特定保健指導対象者については 180 を超えるようにセットされた所が多いです。

 それから、おっしゃられたように、健保組合の保養所とか、保健指導と宿泊とアクティビティ、これら 3 つがうまくコラボできることがすごく大事で、この事業を実施するために地域の連携が深まったという副産物もありました。最初は立上げが大変だけど動き始めれば動き出す。仕組み化できるように運用マニュアル等もできておりますので、 2 年目、 3 年目、保健師や担当者をいろいろ経験させたいということで、どんどん入れている機関が多いように思いました。

 観光地でなくても、大阪で町を歩いたというプランもありまして、意外と余り気張らなくても可能かもしれません。遠隔地に行くのは、それだけで時間がかかることもありますので、遠隔地で本当にゆったりしたいというプログラムと、体験を重視して、簡単にやりたいというような性格づけをして、どちらを狙っていくかという観点で、継続性も意識してやっていただいたと思います。 7 8 割が継続しています。地域で成功事例が出ているので、真似してやりたいという声は多く聞いておりますので、何とかこういう体験型を広げていければと思います。

○門脇構成員 先ほどから議論になっている 10 ページ、これは非常に大事だと思いますが、 1 つ大事な観点は、 9 ページに、実際に N が載っているのですね。この N と合わせて考えなくてはいけないと思います。そうしないと、 10 ページの図が一人歩きすると誤解につながるのではないかと。岡山先生に確かめたいのですが、積極的支援で、赤字になっているものは、 N 6,555 と考えていいですか。

○岡山参考人 そうですね。

○門脇構成員 そして、緑字になっているものは 1,679 でしょうか。

○岡山参考人 そうですね。

○門脇構成員 青字は 22,281 ですよね。

○岡山参考人 はい。

○門脇構成員 同じように、動機付けのほうについては、赤が 20,062 、緑が 5,798 でしょうか。

○岡山参考人 そうですね。

○門脇構成員 結局、赤のほうが緑に比べて、積極的支援では 4 倍、それから、動機付け支援では 3.5 倍の N があります。ということは、平成 23 年の積極的支援や、平成 23 年の動機付け支援を全体として見ると、体重の減少はかなり緑と赤の中で、赤のほうに上から 3 1 ぐらいで、平均としてはかなり効果がある所にあったのですね。

○岡山参考人 そうですね。

○門脇構成員 そのことはやはり非常に重要で、全体として、ブルーが仕組みの中に入っただけでも体重減少効果があるのですが、そこで積極的支援を行ったり、動機付け支援をやったりすると、全体の平均としては、体重変化が大きく減少して、かつ、それが次の年まで、基本的には、 1 回やっただけでも保たれる対象者が全体の 7 8 割を占めていることが一番大事で、それに対して、あとの緑は非常にレジスタントなものですね。全体の 4 分の 1 とか 5 分の 1 を抜き出して、ここに書いてありまして、これに対しては津下先生も提唱されたような、新たな介入のフレームが重要で、 10 ページの図が一人歩きをすると、何か、やっても効果のない人がずい分いると思われてしまうとまずいと思うのです。 N のことをしっかり考えて、この図は解釈しなければいけないので、できれば N もここに、同じ図の中に加えていただいてもいいのではないかと思います。

○岡山参考人 全体の効果というのは 5 ページの所に出ておりまして、全体の効果と、それから、この効果に含まれないものを区別して出しました。この 2 つを比較しながら見ていただいくわけなので、そこに数字を入れて、こんな感じの人数ですよと。確かに、こんな形のほうが分かりやすい気がします。

○藤内構成員 改めて、 10 ページの青で書かれた群も、先ほど改善しているということでしたが、これは、平成 23 24 25 年と、 3 年間連続して特定健診を受けた方ということになるのでしょうか。

○岡山参考人 そうです。全てそうです。

○藤内構成員 特に市町村国保で 3 年続けて特定健診を受ける方は、またそれなりに健康に感心がある方というバイアスが入っているので、その点はいかがですか。

○岡山参考人 それは、このデザインではこれ以上はできないということです。例えば、健康保険組合のデータを使って行えば、こういったときには、本人に関しては受診率がある程度高いので、その辺の変化を見ることはできるのではないかと思いますが、今回の場合は健康保険組合で協力をいただいた所の件数が少なかったので、職域だけで分析することはできませんでした。

 ついでに少し情報提供させていただくと、特定保健指導を受けた人も、それから、特定保健指導の階層化を受けた人も、正常な人も、みんな 3 分の 1 が翌年は受けないのです。ですから、ちゃんと健診を受けるように、特定保健指導の場で受診者の方にしっかり説明しなければいけないし、受診勧奨をする際も、前年度にハイリスクの人をつかまえたのに、翌年に全く何もしないことがハイリスク対策にとってマイナスであることも、今後のマニュアルの中でしっかりと。何のために健診しているかというと、管理するためなので、管理する対象者がつかまったのに、翌年健診を受ける率はみんな一緒というのは少しもったいないなというデータが出ております。

○磯構成員 御質問に関連して、 10 ページの青い点線のグラフの解釈ですが、先ほど門脇先生がおっしゃった解釈に加えて、もう 1 つ確かめておく必要のある点として、平成 23 年度に特定健診を受診したが、平成 24 年度には受診しなかった人の平成 23 年度の体重があります。要は、翌年に健診を受けなかった人は体重がちょっと重い人で、健診で体重のことや腹囲のことを言われるから受けなかったことがないかを翌年の健診の受診の有無別に前年の体重を確認していただきたいと思います。

○福田構成員 しつこくてすみません。ちょっと解釈を間違えたかもしれません。これはやはり平成 23 年度に特定健診を受けて、積極的支援になって、平成 24 年も積極的支援になった方なのですよね。ではないのですか。

○岡山参考人 どなたですか。何のことですか。

○福田構成員 緑の所とか、赤の所というのは。

○岡山参考人 赤は、平成 24 年度の結果は問わない。

○福田構成員 緑もですか。

○岡山参考人 緑は、特定保健指導の対象になって、かつ、指導を受けた人です。

○福田構成員 平成 24 年度もなっている方。

○岡山参考人  2 年間続けて指導を受けた方です。

○福田構成員 分かりました。であれば、この緑と赤は、結果で 2 群に分けているのと同じなので、差が出るのは当然で、やむを得ないことですね。

○岡山参考人 そうです。当然です。

○福田構成員 分かりました。

○岡村構成員 宿泊型の件なのですが、立て付けが、 AMED などの、例えば、ヘルスケア産業となる民間業者の育成だったらそのとおりなのですね。ただ、その中身を見て、例えば非正規雇用とか、高齢者が半数を超えるような国で、これを全部に行きわたらせるというのは結構難しいのですが、基本的には、とりあえずはできるところから走ってくださいという位置づけでしょうか。これは先生に聞くのがいいのか、事務局に聞くのがよいかがよく分からないのですが、とりあえずの立て付けとはどういう位置づけになっているのでしょうか。要するに衆生救済というか、皆に行きわたるものにはならないのではないかと、見ていて一番思うのですけれども。

○津下構成員 まず私が回答して、あとをお願いします。確かに、これは今のところ、できるところから始めていただくことしかないと思いますが。結局、これをやってみると、分かることは、今まで 2,000 キロカロリーの夕食を出していた旅館が 1,000 キロカロリーを切るぐらいでメニューを出してくれるようになると。狙いとしては、そこの料理長と、やり取りがかなりできたので、健康な食事を出す旅館づくりといった視点や、ウォーキングの視点で地域を見るとか、が可能となります。健康な町づくりの観点で見ると、 SLS の体験が波及効果として、誰でも享受できるものにつながっていく可能性があると思います。直接的な対象者(つまり参加者)と間接的な対象者というふうに整理しながら、私はこの取組みを進めていました。

○岡村構成員 これだけ見ると、この省庁ではなくて、別の省庁の会議でよくやっている内容に近いのかなと、見ていて思ったのですけども。経済のパイが大きくなったら皆が豊かになるという理解でいいのですが、これで産業育成ができて。

○津下構成員 もう 1 つは、保健指導者の育成や、リピーター対策という研究的な必要性は強く感じていましたので、より効果を上げるための方策が必要と思います。今回はこの方法でやりましたが、よりスリム化して、何ができるかという観点で整理するのも 1 点だろうと思います。それから、専門職でないとできないことと、専門職以外でもやっていただけることはいろいろあると思いました。どこまでスリム化できるかを、今回、最終的な報告の中では、その辺りも少し検討して加えたいと思います。

○島田保健指導室長 事務局からも説明させていただきます。津下先生に多くを御説明いただいたので、それでかなりですけれども。津下先生の今日の指導、 2 ページにありますように、宿泊型支援保健取得プログラムを御検討いただいたスタートが、日本再興戦略の中で、ヘルスケア産業を担う民間企業の工夫を推進するという文脈の中で、こういった形でのプログラムができないかということでスタートしたわけです。

 民間企業、あと、宿泊施設とか、いろいろな事業体がヘルスケアに関心が高く、いろいろな取組みをなされていく中で、私どもとしても、効果のある保健指導をやっていただくことが必要ではないかということで、この枠組みで効果の検証を研究班でお願いしたという立て付けになっています。特定保健指導との関係で申しますと、岡村構成員のおっしゃるとおり、全ての所でこれをできるわけではありませんし、全てに目指していただきたいということでもなく、皆さんがやっている中の 1 つのタイプとして、様々な工夫を取り組んでいただくことを位置づけと思って、いろいろなメリットがあることを津下先生におっしゃっていただきましたが、そういったメリットも示しながら、これでやるとよいのではないかと思われる保険者さんだったり、いろいろな主体が取り組んでいただけるのではないかと事務局でも考えています。以上でございます。

○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では最後、杉田構成員。

○杉田構成員 津下先生のプレゼンいただいたスマート・ライフ・ステイについて教えていただきたいと思います。結局、このプログラムのターゲットが誰なのか、ターゲット像というのですか、スライドによって微妙に表現が違うので教えていただきたいのですけども。日本再興戦略の 2 枚目のスライドでは、「糖尿病が疑われる者等を対象として」というふうに四角に入っていて、 4 枚目になると、「糖尿病が疑われる者等」というのが本文の 1 行目にあったり、「特定保健指導対象者及び予備軍に対して」という表現があったり、下から 3 行目になると「非肥満の糖尿病予備軍」となっているので、結局、どういう方を対象に、このプログラムを考案されているのかを確認したいのです。

○津下構成員 このプログラムは、もともとの立て付けが、糖尿病が疑われる者等となっておりまして、「等」の中に、特定保健指導の対象で、これまで効果が出にくかった人が若干含まれているのが 1 つです。それから、特定保健指導でも、 HbA1c が保健指導判定値以上の人を第一の選択にしています。ただ、これは HbA1c で基準値以上ということだったので、特定保健指導対象外の人が多く入っています。女性の場合は 6 割が非肥満で、男性も 3 割が非肥満なので、このくくりとしては、これまで対象にならなかった非肥満の方も対象に含めるプログラムとして実証しています。

○杉田構成員 対象別に示していただけると、成果がもっとクリアにキャッチできると思います。ありがとうございました。

○永井座長 まだいろいろ御議論があるかと思いますが、次にまいりたいと思います。先ほどの 3 つの論点に追加する論点を事務局で整理していただきました。資料 5 について、事務局から御説明をお願いします。

○右田保健指導専門官 資料 5 を御覧ください。前回の検討会で、特定保健指導等に係る論点について御議論いただきましたが、その際、特定保健指導の対象者の中でも高齢者の方の中には、改善の程度が少ない方や、あるいは、減量のみの保健指導では健康状態を悪化させてしまう可能性のある方がおりますので、それらの方に対する対応を整理すべきではないかという御意見を頂きました。また、肥満でない方で、リスクを有する方への保健指導についても御議論いただきましたが、特定保健指導の対象とならない方の保健指導では、 40 歳未満の肥満者への保健指導も重要ではないかという御意見を頂きました。

 以上を踏まえまして、前回で提示した 3 つの論点に加えて、論点 4 として、年齢を考慮に入れた特定保健指導の在り方についても提示してはどうか。論点 5 として、特定保健指導の対象ではないが、 40 歳未満の肥満者に対する保健指導も重要ではないか、という点を追加したいと考えております。また、事務局としては、今日これから御議論いただく内容や科学的知見を踏まえまして、標準的な保健指導プログラムに反映させたいと考えております。事務局からは以上でございます。

○永井座長 ありがとうございます。ただいまの追加した論点に関して、津下構成員から資料 6 について御説明願います。

○津下構成員 この資料 6 は、年齢層を考慮した情報提供、保健指導の在り方について、です。特定保健指導だけではなく、情報提供も含めて御提案したいということで作成しております。

3 ページ目ですが、まず、性・年齢階級別平均値や有所見率がどうなっているか、また、特定保健指導の対象者が性・年齢別にどうなっているかを外観した上で、 65 歳以上における課題、そして、 40 歳未満における保健指導、肥満対策の必要性についてお話したいと思います。

4 5 ページが、ナショナルデータベースから公表されているものをグラフにしたもので、性・年齢別の平均値です。赤いバーで保健指導判定値を示しております。例えば、腹囲を見ていただくと男性は平均が 85 ぐらいですが、 BMI については年齢とともに低下します、 40 代がピークで、 60 代になると下がってくる、筋肉量が減ってくることが推察されます。また、保健指導判定値と言いましても、空腹時血糖や収縮期血圧など、平均値がその数字を上回る状況になっております。

6 7 ページが、肥満と痩せで、どうなっているかです。 7 ページの下の左の図ですが、痩せについては、 BMI18.5 未満の割合は、男性では 60 代以降で増加する傾向にあること。それから、 8 9 ページは、愛知県の特定健診 (100 万人のデータ ) で見ておりますが、血圧高値者について見ていくと、加齢とともに服薬者が非常に増加します。青が服薬者で、黄色が受診勧奨判定値で非服薬、ピンクが保健指導判定値で非服薬なのですが、治療中の方が増えてくるので、実はそれほど悪くない方が保健指導対象になる可能性があるのがこの図で分かります。 9 ページにあるように、年齢とともに、高血圧、高血糖、脂質異常のリスクを 2 個以上持つ人が増えます。肥満者がピンクで、非肥満者 (BMI 又は腹囲が基準値以上の方 ) はブルーですが、年齢とともに増えていきます。非肥満者に比べると、リスクを 2 個以上持つ割合は肥満者のほうが高いのですが、高齢者になるほど非肥満でもリスクを持つ人が増えるということです。

10 11 ページは、特定保健指導の対象者の特徴で、ベースラインです。平成 20 年度と 21 年度、特定保健指導を受けた人の前後のデータが出ていますが、ベースラインの左側のポイントに着目して見ていただきたいと思います。 BMI については、保健指導対象者の BMI は徐々に下がる傾向にあります。若い人のほうが、肥満度が高い人が参加している。これは女性のほうで、より著明に出ております。 12 ページが男性で、 13 ページが女性ですが、中性脂肪については、若い人のほうが高い人が参加しているのに対し、年齢とともに収縮期血圧や空腹時血糖が上がっています。言い換えますと、高齢期になると、肥満度はそれほど大きくはないものの、検査値異常で、より軽い肥満の人が対象になっているのが現状です。そういう現状がある中で、サルコペニア肥満に注意すべきということです。加齢に伴って筋肉量が減少し、脂肪量は余り変化しない方が増えてきて、例えば、急激に減量すると筋肉量を失うためにサルコペニアを引き起こす、つまり筋肉量が減るということです。

15 ページの右側に、サルコペニアの分類を書いてあります。四肢の筋肉量と握力、歩行速度からサルコペニアの分類を行っておりますが、前期高齢者では、普通の体重でも約 3 割は、ややサルコペニア傾向が出ています。肥満者ではさすがに少ないのですが、それでも若干含まれますので、保健指導の場合には BMI は減らなくてもいいので腹囲だけ若干減らすというような保健指導や、緩やかな指導を意識すべきということになります。これまでも積極的支援は行わないということにはなっておりましたが、健診のときの情報提供についても十分に配慮する必要があるので、保健指導の部分で、この記述を加えていただくのはどうかと思います。

17 ページに、まとめを書いてあります。高齢期では BMI が低下し、腹囲はそのまま、又は、基準値以上になってくる。こういう方々が増えてくることに留意する必要があるので、保健指導対象者においても十分に配慮して指導を行う必要があると思います。

2 点目は、 40 歳未満についてです。先ほどの特定健診のナショナルデータベースでも、男性では、 40 代前半が BMI のピークだったわけです。ということは、肥満はその前から出ているわけです。 18 19 ページは、 20 歳代の男性の肥満度別に、 40 歳代における高血圧・糖尿病の有病率及び医療費を見たものです。 20 歳代で BMI 25 以上の方で、更に体重が増加した方は、 20 歳前後の方と比べると、有病率や医療費については、 1.6 1.7 倍程度になっています。 20 歳代、 30 歳代は特定保健指導の対象になっていませんが、体重を増やさないように、また、肥満に対する十分なアラームを出していく必要があると考えております。

 ちなみに 21 ページですが、 20 30 代の男性で、 BMI 25 以上の方に対する動機付け支援型保健指導を実施して、その効果を見たというものです。注目していただきたいのは、この世代ですと、収縮期血圧や空腹時血糖、糖代謝の異常は余り出ておらず、中性脂肪、一番多いのが GPT で、 ALT 74.2 %、それから、尿酸はたまたま測っていますが、肝機能や脂質系で有所見になっていて、血糖、血圧には、まだ異常が出ていないです。これは、 23 ページのメタボリックドミノの図で見ますと、血糖、脂質異常が出る前のアプローチということになりますが、この辺りからスタートしていくことが、 40 代以降の特定保健指導対象者を減らす意味でも非常に重要なことではないかと考えております。

24 ページがまとめになります。 40 歳未満の肥満については、特定保健指導の対象者の分母を減らす意味からも十分なアラームを出すということです。特に 35 歳で労働安全衛生法の健診等も行われておりますので、その際に早めのアラームを出していくことが重要ではないかという観点を十分に書き込んでいただければと考えております。以上です。

○永井座長 それでは、ただいまの御説明に御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

○門脇構成員 津下先生の論点の 4 と論点の 5 は、両方とも非常に重要だと思います。論点の 4 で言いますと、これは最近の欧米の成績ですから、我が国ではまだそういう成績は出ていないと思いますが、高齢者では BMI25 付近を一番底の値として、 BMI が減れば減るほど総脂肪率が高くなるというデータが出されています。これはサルコペニアを反映したものと考えられていますので、高齢者の場合には単に BMI だけではなく、内臓脂肪や筋肉量なども考慮に入れた保健指導が求められると思います。

 論点の 5 も、厚生労働省の国民健康栄養調査のデータから分析しますと、これは 25 歳が真ん中ですが、 BMI 20 歳代の平均は 22.3 程度です。ところが 30 代、これは 35 歳が真ん中ですが、その平均の BMI 23.7 とか 23.8 ぐらいになっています。そして御紹介があったように、 40 代からの BMI 24 ということで、 40 歳になった時点でほぼ肥満が完成しています。ですから本当の介入は、 25 40 歳ぐらいに介入のポイントがあると思いますので、 40 歳未満の肥満者への対応が極めて重要だと思います。

○永井座長 特定健診は 40 歳以降ですけれども、そこは今後どういうようになるのですか。法的に対応できるのですか。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 法律上は 40 歳以上ですけれども、 40 歳未満からの健康教育や保健指導などは、保険者においても重要であるということは、これまでもうったえております。例えば、加算減算制度というものがあります。共済と健保組合に対して後期高齢者支援金の加算率にペナルティーとインセンティブがありますが、インセンティブのほうで 40 歳未満からの健康教育を、 30 年度から新たに入れたいと考えておりますので、そうした面での取組を進めることが、併せてできると思っております。

○岡村構成員 今のインセンティブについてお聞きしたいのです。これは多分、国保と企業とで違っています。企業は労安法でオートマチックに、例えば血液が入るのは 35 歳と 40 歳以上ですが、身体測定は入社したときから測りますよね。しかし測る場がある所と、市町村になって国保になると、そもそも 40 歳未満への健診を担保するというのは、独自でやらない限り、ないのです。それも同じように加算・減算されるのか。その辺はどういうお考えなのかを教えていただきたいのです。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 私が今申し上げたのは、健保組合と共済のインセンティブの関係です。国保についても同様に議論はしておりますけれども、それについては検討中です。

○門脇構成員 先ほどの永井先生からの、 40 歳未満の者への対応のことです。それぞれの先生の机上にある、「標準的な健診・保健指導プログラム」の改訂版の 46 ページを御覧いただければと思います。既に、これまでの仕組みとしても、 40 歳未満の者に対する健診・保健指導の在り方ということで、メタボリックシンドロームの該当者・予備群は 30 歳代以前に比較して、 40 歳代から増加する。そこで私が申し上げたのは、肥満自身はもう 30 歳代でほぼ完成して、 40 歳からは増えないのです。ただ、血糖や血圧や脂質が上がる段階が 40 歳ぐらいだというのは正しいかと思います。しかし肥満や内臓脂肪蓄積がベースですので、そこに対する前もった介入、先制的な予防というのが非常に重要だと思います。

 既にそういった問題意識で、ここに節目健診が 30 歳、 35 歳時等々のことも書いてありますし、 20 歳以降の体重増加と生活習慣病の発症との関連も極めて明瞭に示してありますので、これまでもこういった光は当たっていました。これが、より重点をもって何らかの方策で現実に多くの所で実施されるように、今後検討していただければと思います。

○岡村構成員 高齢者の部分は、ここで議論して見ている分には、もちろんよく分かるのですけれども、いきなりプログラムなどにポンと書くと、よほど慎重に書かないと、現場が大混乱するのではないかという危惧を持っているのです。まだ研究途上とか論争中のものも入っていたり、実際に研究でもうちょっと詰めなければいけない所も幾つかあるような気がするので、分かっている範囲のミニマムを現場が混乱のないように、現段階では書くぐらいかな、と聞いていて思いました。

○永井座長 なかなか難しい問題がいろいろあります。先ほど門脇先生が言われたオベシティパラドックスというのは、日本でも同じです。疫学調査では、体重が太っておられる方のほうが、かえって心疾患が少ないのです。若い方の場合はかなり危険因子として作用しているわけですから、年齢に応じた指導というのが、これからますます重要になってくると思います。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの御議論を踏まえ、標準的健診・保健指導プログラムの作業班において、改訂を進めていただくことにしたいと思います。

 次に、保険者による健診・保健指導等に関する検討会における検討状況について、保険局から御説明をお願いいたします。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 参考資料 1 が一昨日の月曜日、保険者による健診・保健指導等に関する検討会がありましたので、その資料です。第 3 期における特定保健指導の運用等の見直しについて、現在、保険局の検討会で議論をしております。 9 月から議論を始めて、平成 29 年度のシステム改修に間に合うようにする必要があるため、年度内を目途に保健指導の運用等の見直しについて、一定の整理をする必要があるということで議論をしています。

2 ページですが、各保険者の特定健診・保健指導の実施率について公表することとしております。平成 29 年度の実績から各保険者別に特定健診と保健指導の実施率を公表することとしております。特定健診の実施率については、平成 26 年度実績で約 50 %です。目標は 70 %です。約 5,300 万人の対象者に対して、 2,600 万人の方々が受けております。毎年 100 万人増えておりますけれども、実施率 70 %の目標には、まだ達していません。また、保健指導の実施率についても 45 %が目標ですけれども、平成 26 年度実績はまだ約 18 %です。そうした中で、各保険者の責任を明確化し取組を促すという観点からも、それぞれ保険者別の特定健診・保健指導の実施率を、平成 29 年度実績から公表することとします。

3 ページですが、保健指導の実施率の向上のためには、きちんと保健指導を実施することが重要ということです。下のプログラムの所にも書いておりますが、代謝等の身体のメカニズムについて、本人がきちんと理解自ら生活習慣の改善に結び付くようにしてやることが重要であることを、まずピン止めした上で、 4 ページ以降に、今回の見直しの中身について議論をいただいております。 1 つは今、積極的支援については、 3 か月以上の継続的な支援の後に中間評価を行った上で、 6 か月後にその評価を行っておりますが、厳しい保険財政の中で保健指導の質を確保しつつ、利用者の負担の軽減も図りながら対象者の拡充に対応するという観点から、実績評価について 6 か月後の評価を見直して、 3 か月経過後でも可能としてはどうかということを論点として出しております。こうしたことより、毎年 11 1 日が保険指導の実施報告の期限になっており、これに間に合わない、ないし途中脱落などでできていない部分がありますけれども、こうしたものも報告が得られるのではないかということで、実績の評価にも資するものと考えております。

 もう 1 つは、今まで同一機関要件というものがありましたけれども、保険者と委託先との間で情報共有がきちんとされている場合には、初回面接と 6 か月後評価についても同一機関要件を撤廃してはどうかと考えております。こうしたことによって、保険者のマネジメントの強化も図りたいと考えております。

5 ページは、やり方はそれぞれあると思いますけれども、 3 か月後と 6 か月後のそれぞれの保健指導の実績について、 3 か月で効果が出ている例をお示ししたものです。

6 ページは、受診当日の特定保健指導の実施についてです。本人の健康意欲が高まっている健診当日に、保健指導を実施することが重要であるということで議論をいただいており、集合契約でもできるように工夫していくということです。

7 ページは、健診受診当日の本人の意欲が高まっているときに、特定保健指導の初回面接に着手することにより、産業医、産業保健師との連携を図っていきたいと考えております。今までは結果が全て分かった後で、その階層化をやっていましたけれども、受診当日のデータから特定保健指導の対象と見込まれる方については把握できる情報をもとに、医師、保健師、管理栄養士が初回面接を行い、暫定的に計画を作った上で、後日、全ての項目の結果から、医師が総合的な判断を行い、専門職が電話やメール等で相談しつつ計画を作成することができるようにする。この場合もデータの管理を保険者できちんとやっている場合には、同一機関要件でなくてもいいという形にします。これによって、健康意識が高まっている段階で、保健指導に着手できる、産業医・産業保健師との連携が進むというメリットがあると考えております。

8 ページは、現行の運用の改善ですので、省略いたします。 10 ページは事業主から市町村国保への実施委託が、より進められるように保険者間での再委託をできるようにするという内容です。 11 ページは、その例として、滋賀県でやっている例です。 12 ページも、保険者と医療機関との連携ということで、医療機関から特定健診に代えて検診のデータを取得することについて、きちんとそのルールを作るというものです。

13 ページは、積極的支援について、今の 180 ポイントの要件は引き続き用いることとしてはどうかとしております。ただし、 180 ポイント以下でもデータを取れるようにして、きちんと内容を検証し、どのポイント数だとどれくらいの効果が出ているかというのを検証した上で、 180 ポイントをもう少し弾力化できないかという議論がされております。併せて、 2 年連続して積極的支援に該当した方々については、 2 年目の状態が改善している場合には、 2 年目は動機付け支援相当で実施した場合でも、特定保健指導を実施したというように位置付けてはどうかと。 2 年目は 180 ポイントでなくても、弾力的なやり方で現場での運用を認めるというものです。

15 ページは、今は大体どれくらい保険者で投入量があるかというものです。平均的に国保で言うと 250 ポイント程度、健保組合では 200 ポイント程度投入しています。

16 ページは、繰り返して積極的支援になった方々について、 NDB のデータで分析したもので、その改善の効果を見たものです。 2 年連続してやった場合のほうが、その効果はあるというものです。

17 ページは、遠隔面接についてです。遠隔面接については現在、事前に計画書の提出を求めておりますが、この提出を、平成 29 年度以降は求めないこととし、実績の事後報告のみという形にしたいと考えております。現状のデータが真ん中にありますが、平成 26 年度については事前に計画の届出があったのが 2,683 人で、実際にやったのが 116 人でした。時間は掛かるけれども、既存のテレビ会議システム等を用いて、効率的に、かつ質も維持したままでの保健指導ができるといった声が出ております。以上が、特定保健指導の見直しの運用についての議論です。

 続いて資料 2-1 として、特定保健指導の効果等の検証のための中間報告の概要を付けております。これは 2,600 万人のデータについての質問票で、いわゆる問診データのようなものです。この質問票のデータの、平成 26 年度の 2,600 万人分について分析した結果です。

2 ページですが、主に 2 点御報告申し上げます。 1 つは、メタボリックシンドロームとの関係で申し上げますと、 20 歳から体重の変化が 10kg 以上だったという方が、メタボの該当者では約 6 8 割であったと。つまり、二十歳のときにはメタボではなかったということで、先ほど御議論いただいた 40 歳以前からの保健指導ないし健康教育が重要であるということです。もう 1 つは喫煙の関係です。 40 歳以上の方々のデータで、喫煙率は平均 23 %です。ただし 40 44 歳の男性の喫煙率は 41.1 %、更に共済組合は約 30 %ですが、協会けんぽは 50 %近くです。色で分けておりますけれども、このように保険者でも差があります。

 もう 1 つは 3 ページです。喫煙については、積極的支援に該当した方々については年齢によってですけれども、 40 60 %の方々が喫煙していたということです。積極的支援に該当した方々を集めて「喫煙していますか」と聞いたら、 40 60 %が喫煙していたということです。他方で、動機付け支援の方々は喫煙が 5 %程度であったということで、喫煙によって動機付けから積極的支援になっている割合が高いということです。積極的支援と動機付け支援とでは、保険者にとっても保健指導に掛かる費用も異なります。国庫補助の単価で言うと、 3 倍程度違います。そういう意味でも、きちんと保健指導の中で喫煙対策するべきです。保険指導は対象者の生活に入っていくわけですから、生活習慣できちんと喫煙者を減らすということを、特定保健指導の対象者にやっていくこと、特に積極的支援の該当の方々についてやっていくことが重要です。

 その他、ポピュレーションアプローチも含めて活用いただけるような内容があるかと思います。血圧とか、服薬しているかどうかとか、貧血の関係とか、体重がどうなっているかとか、歩いていますかとか、それぞれの質問に対して分析したものを載せております。これらはホームページに出しておりますので、積極的に保健指導の現場で御活用いただけるようにしていきたいと考えております。

○永井座長 大きな変更点があります。 4 ページの評価です。これまで 6 か月後評価で話が進んできたのですが、 3 か月後評価でよろしいのではないかという御提案です。津下先生は保険者の検討会にも参加しておられますけれども、これはどういう経緯だったのか御説明いただけますか。

○津下構成員 健診が終わってから積極的支援が始まり、 6 か月たつ頃には翌年度に回るということで、年度またぎの事業になっています。 6 か月後評価ができない脱落の理由として、保険者異動や喪失が多いということもあります。また、積極的支援については 3 か月以上の継続的な支援が要件になっておりますので、評価が 3 か月で行われることについて、保険者からの要望がかなり強いということで検証いたしました。

5 ページに、 3 か月実測で評価したものについては、 0 3 か月で効果が出ていて、その後は緩やかに減少しています。維持のためにはこの継続的支援が重要かもしれず、もしやらなかったらリバウンドしている可能性がないかどうかというのは分かりませんが、 3 か月で一応の効果があると。その後はリバウンドしないような、保健指導以外の仕組みの活用が非常に重要だとは思いますが、実施率を高めるという意味で、 3 か月でどうだろうかという保険者のご意見、御要望が非常に強いと受けとめています。

○永井座長 はい。

○岡村構成員 結局、今まで半年と言っていたものを 3 か月に変えるので、科学的なエビデンスがあるかどうかということです。 5 ページにデータがありますけれども、サブ解析でワンアームですから、 3 か月ぐらいで効果が出ている既存の研究がどれぐらいあるかは、きちんと検証しておく必要があるかと思います。多分ないことはないと思うのです。しかも、実施運用面からの都合もすごくよく分かるのです。ただ一応、効果があるということを、 5 ページ以外のものについてどんなものがあるかは、きちんと見ておく必要があるだろうと思います。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 補足します。これは保険者がそうした判断でできるということで、引き続きやりたい保険者は、 6 か月で評価することも現場の判断で認めるということです。 3 か月以上のところで積極的支援で介入した後で評価し、それを報告するというやり方を認めるということで、ここはより弾力的に保険者の判断に委ねるところを作ろうというものです。

○津下構成員 先ほどのお話ですけれども、今回、 3 か月後の評価を実測できちんと評価できるものとなると、かなり限定されます。保険者を当たりましたけれども、記録の中でデータがきちんとそろっているものがなかなか出てこなかったということが今回の実態でもありますので、引き続き 3 か月後に評価されているものについては、保険者の協力を得て分析をすることが必要だと思っています。

○岡村構成員 再解析をしなくても、多分、保健指導をするような研究班でパブリケーションされているものだと、 6 か月のものでも 3 か月のものでも、普通は中間評価をやっていると思うので、引っ張ってきたらないことはないと思います。これから再解析をしたら大変なことになるので、レビューは一応しておいたほうがよろしいのではないかというのが思った印象です。

○杉田構成員 今の御説明の中では、期間を短縮するということと、ポイントの柔軟性ということを別に御説明いただいたと思うのですけれども、現場はそれが合わさって実施されているので、そのことについてはどういう検討がされたのでしょうか。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長  180 ポイントの話は、 3 か月の話とは別です。こちらについても、もっと弾力化できないかという意見が保険者のみならず、医療関係者からもありました。他方で、エビデンスも重要ですので、直ちに平成 30 年度の実施からではなく、まずは 180 ポイント以下でやった場合にどういった効果が出ているかというのを、まずきちんと取ってお示しした上で、また御議論いただくという形で整理されるようになるのではないかと思います。

3 か月で見直すということについては、医療関係者、保険者、先生方による検討会の意見では、 3 か月で見直しをしてもいいのではないかという意見がかなり多かったです。ただし、それ以降のフォローが保険者によって委ねられてしまうところがあるので、そこについてはやれるところはもうちょっとやるとか、できるところもきちんと考えてほしいという意見もありました。

○武見構成員 このことは、 3 か月までにどれだけ効果が出ているかということに加え、今は 6 か月がセルフケアに任されるところが 9 か月になるわけですから、そういう状態になったときに、果たしてどのくらいセルフケアがきちんとできるかということとも絡むのです。そういう検証をどうやってやるかも難しいと思うのですが、それと関係するのではないかと思います。私たちもやってきたことから言うと、やはり初回面接をしっかりやれて自分が動機付けされれば、 3 か月までうまくいった人は、その後もうまくいくと思うのです。もしこういう形にするのであれば、なおさら改めて初回面接の重要さも、もう一度プログラムに強調していただきたいと思います。

○岡山参考人 保健指導の効果は当然ですけれども、介入期間によって継続効果というのが非常に自然なので、評価の時期はともかくとして、全体としてプログラムとしてどこまでフォローするのか。そこを大きく変えると、制度全体に相当強い影響が出て、先ほどの 1 年後に効果があったか、なかったかという話にも強い影響があるので、都合だけで決めるのはいかがなものかと思いました。これはコメントです。

○藤内構成員  3 か月で評価を行い、今行っている 4 か月目、 5 か月目の支援が、なしになったら、今までの積極的保健指導そのものが大きく変わるわけですけれども、その点まで保険局では容認しようということなのでしょうか。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 きちんと 3 か月やっているところで出していただくということを、保険者において認めるということです。まず、実施率が今は 18 %程度であり、対象となる方々に対してできていないところについて、今の厳しい保険財政の中できちんと保険指導を経験していただくということです。そこをエビデンスとしてどう評価するかというのはありますけれども、 100 点ではなく、 80 点、 90 点でもいいから、まず保健指導というものを、現場でもっと手が回ってない方々についてもやっていくことが先ではないかと。そういう問題意識、危機意識のあらわれだと認識しております。

津下構成員  2 点あります。 1 つは、今までの保健指導プログラムを見ると、どちらかと言うと前半にポイントが偏っているものが多く、 3 か月以降はフォローで 1 2 回の電話やメールで確認をしているところが多いということになります。ポイント数で言うと 1 2 回分が減るというイメージで、どちらかと言うと前半になっているというのが 1 点あります。 20 40 ポイント分ぐらいが後半に入っていると思います。

2 点目は、武見先生がおっしゃったように、 3 か月以降の自立期間が長いのです。今は階層化して保健指導し、どうかしていると次の健診まで来るので、本当に自立して生活習慣を改善して継続している期間は短いのですが、今後は長くなるとすれば、 3 か月後の評価のときに次に向けた作戦をきちんと立てるとか、環境アプローチや ICT を使ったフォローとか、何か入れていただかないと 1 年後まで続かない危険性が十分あるかなと思います。ただ、これを特定保健指導の枠組みでするのか、ポピュレーションアプローチ的な対策と組み合わせてするのかという、新たなチャレンジになるのかなというように受けとめております。一方では、実施率を上げる、多くの人に保健指導をしていただくことの重要性を優先する判断も考慮すべきかなとは受けとめています。

○永井座長 それはやはりエビデンスがあっての話です。エビデンスに基づく検討会ですので、エビデンスを出してからそういう大きな変更をすべきだろうとこの検討会では考えておりますので、そこはきちんと踏まえていただきたいと思うのです。それがないままに制度全体に大きな影響が出る可能性のある変更というのは、いかがなものかと私は思います。ですから、きちんと今後もエビデンスを出していただくことが極めて重要だと思います。制度全体に影響が出るというのは、標準的健診・保健指導プログラムにも影響が出てくるわけで、この改訂をどうするかということです。そうすると、この検討会でエビデンスがないままで、そこまではできないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。それはむしろ保険局のほうでおこなっていただくことになるのでしょうか。その辺を高木さんにお聞きしたいのです。

○高木データヘルス・医療費適正化対策推進室長 まず整理として、健康局と保険局の間では、プログラムについては本検討会において議論をいただいていると認識しております。他方、制度の枠組みについては、先ほど申し上げたとおり 3 か月以上に見直すというのは、かなり大きな内容だと思います。現場にも、かなり大きな影響のある部分があると思います。また、 3 か月以降の 6 か月までのところは、例えば ICT を使ってフォローするとか、加入者全体に対してやっていくとか、そういういろいろなやり方があります。例えば、 3 か月できちんと、初回面接のところに重点的に置いて、その後の効果が出るようなところについては、専門家の御議論をいただきながら、そうしたプログラムを現場で作っていただき、活用できるようなものを御用意いただけるとありがたいと考えております。

○島田保健指導室長 標準的な保健指導プログラムの改訂作業は、この検討会の下に設置する作業班で改訂作業をしていただくということを、前回御了解いただいたところです。これまでの様々な根拠に基づくものについては、作業班のほうで標準プログラムの改訂作業で反映させていくということを予定しております。一方で、この検討会で御議論いただいていないものについては、どのような形で作業班で作業をしていただくことができるかということについては、事務局では検討会での御判断というところもあろうかと思いますので、それをお引受けいただけるかどうかということになろうかと思うのです。座長の御見解はいかがでしょうか。

○永井座長 要するに、エビデンスがあればよいけれども、ない場合にどうするか。それが保険局から運用上の都合ということで話が出てきたときに、どう整理するかということですね。いかがでしょうか。むしろ保険局でやっていただくのが筋ではないかと思います。つまり、こちらでは検討対象になっていない課題だったわけです。いかがでしょうか。

○島田保健指導室長 では、座長のそういった御意向を踏まえて事務局のほうで整理をして、進め方をまた御相談させていただきたいと思います。

○永井座長 ちょっと調整していただければと思います。やはり余り大きな変更が唐突に出てくるのはまずいと思うのです。それなりのエビデンスを踏まえてならよいのですけれども、運用上の都合ということになると、制度全体の有効性、システムも影響を受ける懸念があると思います。何らかのパイロットスタディーが必要になると思います。

○武見構成員 この検討会で以前に標準的な問診票の議論などをしたときも、ここでは研究班に基づいて、エビデンスをいろいろ整理していったということがあります。そのときの結果としては、実際のいろいろな運用上、制度は大きく変えにくいという保険局のほうの意向もあったのです。確かに実施を考えればそういうこともあるだろうということで、ある意味で私たちはそこを飲んだところがあると思うのです。それに対して今、こんなに大きなことが突然出てきて、それをこれだけの資料と短時間での室長の報告だけで納得しろと言われても、全体的な進め方について、やはりやや疑問を感じざるを得ないという状況ではないかと思うのです。

○永井座長  2 つの検討会があるものですから、これまでもいろいろなところで行き違いが起こってきているのです。それは事務局のほうで引き取って、少し調整していただけますか。

 時間が押してきましたので、最後に標準的健診・保健指導プログラム改訂作業班について、事務局から御説明をお願いします。

○右田保健指導専門官 参考資料 2 を御覧ください。前回の検討会において、本検討会の下に標準的なプログラムの改訂作業班の設置について、御了承を頂きました。作業班は健診作業班と保健指導作業班のいずれも、まだ開催されておりませんが、作業班の構成員が決まりましたので御報告いたします。参考資料の 3 枚目に、構成員の名簿を添付させていただいております。健診作業班は 4 名の先生方、保健指導作業班は 12 名の先生方にお願いしております。なお、保健指導作業班については、これから行われる作業班の会議において、該当する会議でアルコールの専門家とたばこ対策の専門家をお招きして御議論していただく予定としております。あと、それぞれの健診作業班の座長の先生を御報告いたします。健診作業班は、本検討会の構成員でもある岡村先生にお願いしたいと考えております。保健指導作業班は杉田先生にお願いしたいと考えております。

○永井座長 本日の議題は以上です。今後のスケジュール等、事務局からお願いいたします。

○青木健康課長補佐 現在の予定としては、本検討会におけるこれまでの御議論を踏まえ、ただいま御報告した作業班において、標準的な健診・保健指導プログラムの改訂作業を進めて、改訂案を検討会に報告する予定にしております。次回の検討会の開催日程については別途調整した上、各構成員に御連絡させていただきます。

○永井座長 長時間ありがとうございました。本日はこれで終了いたします。


(了)

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