ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会)> 第44回社会保障審議会児童部会議事録(2017年10月6日) - (1)

 
 

2017年10月6日 第44回社会保障審議会児童部会議事録

子ども家庭局

○日時

平成29年10月6日(金)15時00分~17時00分

 

○場所

TKRガーデンシティ竹橋 ホール7E

○出席者

委員

秋田委員 小國委員 大塚委員 小川委員
草間委員 久保野委員 新保委員 松田委員
松田委員 山野委員
 

事務局

吉田子ども家庭局長 山本内閣官房内閣審議官 成田大臣官房審議官
八神大臣官房審議官 長田総務課長 巽保育課長
唐沢保育課企画官 川鍋子育て支援課長 鈴木子育て支援課健全育成推進室長
成松家庭福祉課長 度会家庭福祉課母子家庭等自立支援室長 北澤母子保健課長
原口総務課少子化総合対策室長 宮腰家庭福祉課虐待防止対策室長  

○議 題

(1)  部会長及び部会長代理の選出について
(2)  社会保障審議会児童部会専門委員会について
(3)  最近の児童行政の動向について

○配布資料

資料1 社会保障審議会児童部会名簿
資料2-1 社会保障審議会児童部会専門委員会について
資料2-2 社会保障審議会児童部会専門委員会の議論の状況について
資料3-1 児童福祉法の改正等について
資料3-2 「新しい社会的養育ビジョン」について(概要)
資料3-3 新しい社会的養育ビジョン
資料4 子育て安心プラン及び待機児童の解消に向けた取組の状況について
資料5 平成30年度概算要求の概要(子ども家庭局)
資料6 平成30年度税制改正要望の概要(子ども家庭局)
参考資料1 社会保障審議会関係法令
参考資料2 最近の少子化対策に関する状況について
 

○議 事

○長田総務課長 それでは、定刻より少し早いのですが、委員の先生方、おそろいになられましたので、ただいまより第44回「社会保障審議会児童部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多用のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、前回まで部会長として御尽力をいただいておりました大日向雅美部会長が、このたび、任期満了で御退任となっておられます。
 したがいまして、部会長選出までの間、事務局で、暫時、議事進行をさせていただきます。
 私、事務局の子ども家庭局総務課長の長田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 同じく本部会の臨時委員のうち、林委員、松原委員、宮島委員、矢藤委員、奥山委員の5名が任期満了となり、これに従いまして改選の手続が行われまして、新たに6名の臨時委員の方に御就任をいただいております。
 このたび、委員のお引き受けをいただきました先生方におかれましては、大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、新しい委員の任命や事務局にも異動がございましたので、改めまして委員の皆様と事務局のメンバーを御紹介させていただきます。
 お手元の資料1に名簿を配らせていただいておりますので、この名簿に沿いまして、私から御紹介を申し上げさせていただきたいと思います。
 大分大学教授の相澤仁様、本日は所用により御欠席でございます。
 東京大学教授の秋田委員でございます。
 鎌倉女子大学の教授でいらっしゃいます小國委員でございます。
 上智大学の教授でいらっしゃいます大塚委員でございます。
 東京都市大学名誉教授でいらっしゃいます小川委員でございます。
 東北福祉大学特任教授でいらっしゃいます草間委員でございます。
 東北大学大学院教授でいらっしゃいます久保野委員でございます。
 本日は御欠席でございますが、亜細亜大学副学長でいらっしゃいます権丈委員でございます。
 神奈川県立保健福祉大学教授でいらっしゃいます新保委員でございます。
 中京大学教授でいらっしゃいます松田茂樹委員でございます。
 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事の松田妙子委員でございます。
 本日は御欠席でございますが、関西大学人間健康学部教授でいらっしゃいます山縣委員でございます。
 最後になりますが、大阪府立大学教授でいらっしゃいます山野委員でございます。
 続きまして、事務局を代表いたしまして、子ども家庭局長の吉田から一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
○吉田子ども家庭局長 改めまして、子ども家庭局の吉田でございます。
 本日はお集まりの委員の皆様方、大変お忙しい中を御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 先ほどもお話がございましたように、今回、委員の皆様方、新たにお願いを申し上げた方、今日御欠席の相澤委員を初め6人の方々でございますが、改めまして、今後、いろいろと御審議いただくに当たりましてお世話になります。よろしくお願い申し上げたいと思っております。
 この児童部会は、前回が先ほどお話がありました大日向前部会長のもとで、今年の1月に開催をさせていただいております。今が10月ですので、ちょっと間があきましたが、この間、我が国の子どもあるいは子育てをめぐってはいろいろなことが、第一線でも起きておりますが、行政の分野、事業、施策の分野でもございました。
 一つには、6月14日に成立しておりますけれども、児童福祉法の改正を、平成28年に続いて2年連続の改正をさせていただきました。平成28年の法改正とあわせて、子ども子どもの権利をより強める、そして、家庭養育原則というものをしっかりと打ち立てた上で、特に虐待など困難な状況に置かれておられますお子さんたちの適切な処遇を確保するという意味で、いろいろな手続における司法関与を強めるなど、全会一致の法律を踏まえた上で、今、その施行に向けての準備をさせていただいているところでございます。
 同じく6月には、現下、待機児童問題がいろいろなところで取り上げられておりますし、現場においてはいろいろな厳しいお声を伺っているところではございますが、今後の待機児童の解消を確実なものにする、そしてさらに、そこから先の女性の皆さん方の社会進出、活躍というものを踏まえても対応できるような形で「子育て安心プラン」というものをつくらせていただきました。
 困難な状況を抱えるお子さんたちに対する、いわゆる社会的養育の分野につきましては、平成28年の法改正を踏まえた上で、有識者の方々にいろいろな御議論をいただきまして、「新しい社会的養育ビジョン」という形で、今年の8月には一つのレポートを出していただきまして、これをいかに今後、現場において、そして、行政において実装していくかということを関係者の方々ともきちんとお話し合いをさせていただきながら着実なものにする。そして、それを進めていくというような状況に至っております。
 このほかにも後ほど御報告の中にありますように、この児童部会の下にございます専門委員会におかれましては、子ども虐待に関する死亡事例の、いわゆる第13次報告というものを出しておりますし、保育の分野においては平成30年4月からの改定をにらんだ保育所保育指針も3月には告示をさせていただきました。
 などなど、いろいろな動きが、この分野において生じております。
 直近の話で申し上げれば、現安倍内閣において人生100年を構想した会議ということで、人づくり革命という改革の中で、全世代型の社会保障というものを掲げて、今、まさにこれからいろいろな議論を踏まえた上で、より施策を具体化するというタイミングになってございます。
 こういう中において、我々はこれまで児童の分野、子育ての分野において取り組んでいただいて、あるいは知見をお持ちの委員の皆様方にお集まりをいただきましたので、それぞれの分野、御専門のほうからの専門的な御意見を頂戴しながら、そして、それぞれこの下に置かれております専門委員会での御議論もこちらにフィードバックさせていただきながら、全体として次世代を担う子どもさん方が、より健やかに明るくなるような取り組みを我々行政としても邁進させていただきたいと思っております。これからこの部会において忌憚のない御意見をいただき、また御理解をいただいた上で、この分野が1歩でも2歩でも進むようにお力添えをいただければということをお願い申し上げまして、私からの御挨拶にさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○長田総務課長 その他の事務局のメンバーにつきましては、今、御挨拶申し上げました吉田局長以下、担当審議官、担当課室長も出席をさせていただいておりますが、時間の関係上、座席表の配付をもって紹介にかえさせていただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 資料の確認でございますが、議事次第記載のとおり、資料1~6、参考資料1、2ということで御用意をさせていただいておりますが、御確認をいただきまして、もし不足等がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
 冒頭申し上げましたとおり、大日向前部会長が御退任をされましたので、改めて部会長の改選の手続に入らせていただければと思います。
 お配りをしている資料で、参考資料1で社会保障審議会のさまざまな手続、ルールを定めました社会保障審議会令をお配りしておりますが、その中の第6条第3項におきまして「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により専任する」と規定をされております。
 つきましては、委員の皆様の中から互選で部会長の選出をお願いできればと思っておりますが、どなたか御推薦がございましたらお願いをいたします。
 小國委員、よろしくお願いいたします。
○小國委員 鎌倉女子大学の小國でございます。
 これまで長く児童福祉分野で御活躍され、この分野に関して幅広い見識をお持ちの秋田委員を推薦いたしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○長田総務課長 ありがとうございます。
 ただいま秋田委員との御推薦をいただきましたが、皆様、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○長田総務課長 ありがとうございます。
 それでは、部会長を秋田委員にお願いをしたいと思いますので、秋田先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 恐縮ではございますが、部会長席に御移動いただきまして、以後の議事につきまして秋田部会長にお願いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(秋田委員、部会長席へ移動)
○秋田部会長 ただいま部会長を拝命いたしました秋田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、吉田局長からお話がありましたように、さまざまな問題を取り上げ、それぞれ専門の先生方のお話を伺いながら審議を進めていきたいと思っております。
 児童福祉、子どもの権利ということを中心に据えながら議論ができるといいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、これから議事進行を務めさせていただきます。
 部会長代理の選出に移らせていただきますけれども、お手元の参考資料1にございますように、社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という規定がございます。
 つきましては、私のほうから部会長代理を指名させていただきたいと存じます。
 部会長代理は、新保委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、新保委員にはこちらの部会長代理席に御移動をお願いいたします。
(新保委員、部会長代理席へ移動)
○秋田部会長 それでは、次の議事へ移らせていただきます。
 社会保障審議会児童部会専門委員会について、事務局から御説明をお願いいたします。
○長田総務課長 お手元、議事次第3「社会保障審議会児童部会専門委員会について」という部分でございますが、大きく2つの内容がございまして、一つは当部会にお諮りをしたい内容につきまして、資料2-1に基づきまして、私から御説明を申し上げまして、その後、その専門委員会の議論の状況についての御報告を、資料2-2を用いまして担当課室長のほうから御報告を申し上げたいと思います。
 資料2-1でございますが、表紙をおめくりいただきまして、「児童部会」という中に、最初にございます「保育専門委員会」から一番下の「小児慢性特定疾患児への支援施策の在り方に関する専門委員会」まで、児童部会のもとには非常に多岐にわたる専門委員会を設置させていただいております。それだけ子どもの分野に関しては、さまざま、多岐にわたる課題があり、それぞれ専門的な見地から御議論いただく必要があるということで、その都度の課題、課題に応じて専門委員会を開催して、議論をいただいているという状況になってございます。
 本日お諮りしたいと思っておりますのが、この表にございます中で赤字で書いております「社会的養護専門委員会」、下ほどにございます「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」、これらの専門委員会につきまして、専門委員会の名称変更等も含めました今後の運営についてお諮りをしたいというものでございます。
 次のページ「社会保障審議会児童部会『社会的養育専門委員会』について」と書いておりますが、現在設置をしております「社会的養護専門委員会」を「社会的養育専門委員会」に名称を変更した上で御議論をお願いしていきたいというものでございます。趣旨につきましては、後ほど御説明させていただきたいと思っておりますが、平成28年の児童福祉法改正の中で、子どもが権利の主体であること、家庭への養育支援から代替養育に至るまでの社会的養育の充実とともに、家庭養育優先の原則、そういった理念が明確化されたところでございます。
 この改正法の理念の具体化に向けた新たな社会的養育のあり方につきまして、有識者による検討会におきまして、去る8月2日に新しい社会的養育ビジョンが取りまとめられたところでございます。
 この新ビジョンの具体的内容につきましても、後ほど詳細に御説明を申し上げさせていただく予定でございますけれども、この新ビジョンを踏まえました具体的な施策の検討でございますとか、その実務を担っていただきます各都道府県における推進計画の見直しの方針につきまして、専門委員会において検討を進めることとしたいと考えているところでございます。
 なお、この新ビジョンにおきましては、改正児童福祉法の理念に基づきまして、従来、「社会的養護」という言葉がよく使われていたかと思いますが、代替養育を中心とした従来の「社会的養護」というものに対しまして、家庭への養育支援から代替養育までを含む幅広い概念として「社会的養育」という言葉を用い、そのあり方が幅広く示されているということがございます。
 そういったことを踏まえまして、専門委員会の名称につきましても、従来の「社会的養護専門委員会」から「社会的養育専門委員会」と改称した上で議論をいただきたいと思っております。
 「3.主な検討課題」につきましても、この新ビジョンにおいて、今後、取り組むべきとされた課題に則して掲げた整理ということでございます。
 最後のページ「社会保障審議会児童部会『放課後児童対策に関する専門委員会』について」でございます。
 従来、放課後児童クラブにかかわる専門委員会といたしましては、このページの右側の「現在の設置要綱」のところに書いてございますように「社会保障審議会児童部会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」というものが設けられておりました。
 その趣旨は「1.設置の趣旨」に書いてございますとおり、平成27年4月に施行をスタートいたしました子ども・子育て支援新制度に基づきまして、従来、ガイドラインベースでしかなかった放課後児童クラブの設備・運営に関する基準を、法令に基づく基準としてしっかりと策定をし、質を確保していこうということになったわけでございますけれども、その際に具体的な基準づくりを御議論いただくために設置をしたものでございます。
 放課後児童クラブのあり方に関しましては、一番上の箱にございますように、今、保育の需要は非常に伸びているわけでございますが、その年齢進行とともに放課後児童クラブのニーズもさらに高まっていくことが予想されますし、質の確保といった課題にも的確に対応していく必要があるだろうと考えております。
 そういったことから、従来は基準ということにフォーカスして議論をしていた専門委員会でございますが、より幅広い観点から、今後の放課後児童クラブのあり方について御議論をいただく受け皿といたしまして、従来の基準の専門委員会を改称して「放課後児童対策に関する専門委員会」として、今後、御議論をお願いしたいということで、それぞれ設置要綱の改正についてお諮りをするものでございます。
 説明としては以上でございます。
○秋田部会長 どうもありがとうございました。
 ただいま社会保障審議会児童部会の2つの専門委員会の各委員会の改称につきまして御説明をいただきましたので、委員の皆様から御質問や御意見がありましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますか。
 大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 上智大学の大塚と申します。
 「放課後児童対策に関する専門委員会」への名称変更ですけれども、障害のある放課後等デイサービスの利用者が非常に増加しております。持続可能性という観点からも課題になっているところでございます。
 そういう意味では、一般の放課後児童クラブの利用ということも含めて「放課後児童対策に関する専門委員会」という名称については、まさにぴったりというか、適合していると思いますので、こういう中において議論をしていただきたいと思っています。
 以上です。
○秋田部会長 大塚委員、貴重の御意見ありがとうございます。
 ほかにいかがでございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、各委員会の改称につきましては、本日これで御了承いただいたということでよろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 次に、社会保障審議会児童部会専門委員会の議論の状況について、事務局から御説明をお願いいたします。
○川鍋子育て支援課長 それでは、資料2-2をご覧になっていただきたいと思いますが、「社会保障審議会児童部会専門委員会の議論の状況について」ということで、表紙をめくっていただくと、最初に「遊びのプログラム等に関する専門委員会について」とございます。この専門委員会は平成27年6月に設置をされまして、これまで議論をしていただいております。
 平成29年度の取り組みですけれども、今年度は『児童館等における「遊びのプログラム」の開発・普及に係る調査研究業務』をやっております。民間団体に業務委託をしております。具体的にいうと、児童健全育成推進財団にお願いをしてプログラムの開発と普及をやっているということと、もう一つ、下の○に書いてありますが、児童館のあり方、今後、果たしていくべき役割や機能は何かということを、ワーキンググループを設置をし、この専門委員会と同時並行で動かしていくこととしております。
 ワーキンググループについては、4ページに概要の資料がございますが、これと並行して、進めることとしています。
 以上です。
○唐沢企画官 引き続きまして、私のほうから保育専門委員会について御説明申し上げます。
 6ページ、保育専門委員会におきましては、保育所保育指針の改定について御審議をいただきました。
 上段にございますように、保育所における保育の内容につきましては厚生労働大臣が定める指針(保育所保育指針)に従うこととされており、この保育所保育指針につきましては、おおむね約10年に一度改定されてきております。
 下段にございますように、平成30年改定に向けましては、この児童部会のもとに保育専門委員会、委員長には汐見白梅学園大学長に御就任いただき、この専門委員会を平成27年12月に設置し、計10回にわたり精力的な御議論をいただき、昨年12月21日に議論の取りまとめを公表いたしました。
 その後、本年3月31日には、この議論の取りまとめを受けまして、改定された保育所保育指針を厚生労働大臣告示いたしまして、現在、1年間の周知期間を経て、来年4月からの適用を目指しているところでございます。
 なお、一番下の2行にございますけれども、現在は改訂後の保育所保育指針等、保育を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、今後、保育所における保育の内容が変わるとともに、保育士に求められる専門的知識や技術も変わるということになりますので、今後、保育士養成課程等で養成すべき内容等を見直すべく、現在、有識者から成る保育士養成課程等検討会において検討を行っているところでございます。
 なお、この検討会の座長には保育専門委員会の委員長である汐見先生に引き続き御就任いただくとともに、この検討会の副座長、さらにはこの検討会のもとで実質的な御審議をいただいておりますワーキンググループの座長には、本部会の小川委員に御就任いただき、御尽力いただいているところでございます。
 7ページ、昨年12月におまとめいただきました保育専門委員会における議論のまとめでございます。
 「背景」にございますように、平成27年の子ども・子育て支援新制度の施行、さらには0~2歳児、低年齢児の保育利用率の増加等の社会的な背景のもと、ここに示された5点の改定の方向性を示していただきました。
 詳細は割愛いたしますが、「○乳児・3歳未満児保育の記載の充実」、さらには幼稚園、認定こども園との整合性を図るべき「○幼児教育の積極的な位置づけ」等々の方向性を示していただきました。
 8ページに記載のとおり、この議論の取りまとめを踏まえ、改訂後の保育所保育指針は全体5章立てで構成し、先ほど申しましたように本年3月31日に告示をし、来年4月1日から適用という運びになっております。
 私からの説明は以上でございます。
○宮腰虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長でございます。
 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会について御説明をいたします。
 10ページをお開きいただければと思います。
 本委員会の委員長は、本日御欠席でございますけれども、本部会の委員でもある山縣委員に委員長をしていただいております。
 子どもども虐待による死亡事例につきましては、平成15年7月より検証を実施してきておりますけれども、今般、平成27年度における事例についての検証が行われまして、8月に第13次報告として取りまとめをいただいております。
 第13次報告では、72例84人を検証の対象として検証していただいております。
 11ページ、死亡事例についての分析をしてございますけれども、心中以外の虐待による死亡した子どもの年齢については0歳が最も多く、虐待の種類は身体的虐待が多く、次いでネグレクトということになってございます。
 主たる加害者は「実母」が最も多く、実母が抱える問題としては「予期しない妊娠/計画していない妊娠」が多くなってございます。また、実母の心理的・精神的問題等では「養育能力の低さ」なども挙げられているところでございます。
 傾向としては、例年と大きな違いはございません。
 12ページ、重症事例ということで、平成27年4~6月の間で死亡には至っておりませんけれども、重症となった子どもについての分析を行っております。詳細はごらんいただければと思います。
 13ページ、先ほど72例84人を検証の対象としたというように御説明いたしましたが、そのうち、特徴的で、かつ特に重大であると考えられる事例を5事例取り上げまして、自治体へのヒアリングなどの調査を行ったものをまとめてございます。
 「事例の概要」が(1)にございまして、(2)として、それぞれ各事例が抱える問題点とその対応策をまとめてございます。時間の都合で割愛をさせていただきますけれども、ごらんいただければと思います。
 14ページ、今回の第13次報告の中で初めて行った取り組みになるのですけれども、都道府県などが虐待による死亡と断定できなかった事例についても今回挙げていただきまして、それを検証して12事例が挙がってきたのですけれども、そのうち、本委員会では8例を虐待死として検証すべきというように判断してございます。
 具体的な事例はごらんいただければと思うのですけれども、例えば自宅などで出産したケースで、子どもが死亡していた事例について、死産だったか生産だったかということで判断が明確でなかったものについてなのですけれども、死産ではなかったという可能性も否定できないということで、検証する必要があるということで挙げております。
 こうした事例につきましては、自治体において、なぜ虐待だと気づけなかったのか、どのタイミングでかかわっていけばよかったのか、そういったことについて検証していただくのに非常に重要な事例だということで今回から始めたものでございます。
 最後に15ページ、地方公共団体と国への課題と提言を整理してございます。こちらもごらんいただければと思います。
 私からの説明は以上です。
○秋田部会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明につきまして、委員の皆様から御質問や御意見がありましたらお願いいたします。
 松田茂樹委員、お願いします
○松田茂樹委員 中京大の松田です。
 虐待の報告についてなのですけれども、非常に詳細な分析をされて、こうした結果が公表されるということは、虐待防止にさらにつながるかと思います。
 その上でお伺いしたいことがありまして、加害者の多くは実母であり、今回の分析でわかったことが、育児不安などもあるのですけれども、養育能力の低さというものが一つのキーとして挙げられているということが少し目にとまりました。
 そこについての質問ですけれども、これは恐らく委員長のリーダーシップのもと、最後の15ページの提言、包括的でございますけれども、「2 保護者の養育能力が低いと判断される事例への対応」としまして「・育児に関する知識や啓発及び指導」とありますけれども、もう少し具体的に、では、どうしたらいいのかということがもし示されていたら教えていただければと思います。
 疑問としては、学校教育でやるのか、病院でやるのか、保育所でやるのか、あるいはそれ以外に全国的な啓発活動が必要なのか、いろいろな方法がありますが、それぞれにもできるかどうか課題もあるかと思いましたのでちょっと質問したいと思います。
○秋田部会長 松田茂樹委員、ありがとうございます。
 事務局のほうからお願いいたします。
○宮腰虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長でございます。
 ここのまとめの中では、確かに啓発ですとか、そういったことも大事だということで書かせていただいておりまして、厚生労働省でも育児に関する知識を広めるためのDVDを作成したり、そういった取り組みをやってございますが、この検証の中では、個々の事例について養育者の養育能力が低いということに、例えば保健師であったり、あるいはかかわっている保育所の方であったり、そういった方が気づいて、そういったことに対するアドバイスをしたり、支援をしたりですとか、そういったことをしていくこともすごく大事だということを指摘いただいておりまして、全体として、そういう普及啓発をやっていくこととあわせて、養育能力の低さだけに限らないのだと思いますけれども、個々の養育者に対して、気づいてかかわっていくことの大事さも引き続き御指摘をいただいているところです。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ほかにいかがでございますか。
 山野委員、お願いいたします。
○山野委員 大阪府立大学の山野です。
 今、御質問があったところにもちょっと関連するのですけれども、この結果から10代の妊娠、予期しない妊娠というところがかなりのパーセントを占めていて、私も初めてここに座らせていただいているので、そういう意味でも質問なのですけれども、例えば、今、委員の先生がおっしゃられた学校でやるのかとか、教育部分なのかという御質問があったのですが、これは直結して中学生や高校生がすぐ親になっていくという意味では、子どもたちへの教育面であったり、あるいは教師になる人たちの教職課程の中でこういったことが現状は教えられていないと思っているのです。
 もちろん個別に教師の方が、そのことを取り扱って、思春期の子どもどもたちに赤ちゃんとの触れ合いということを家庭科の時間とか、いろいろなところで工夫されているということはあるのですが、個別の努力なので、その辺、厚生労働省から、こういう結果に基づいて、文部科学省の教育課程であるとか、カリキュラムのことに関して、何か物を言える場面があるのかという質問です。この提言に基づいて、文部科学省の教育の部分に意見を申し入れていただけたらなと思いました。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 宮腰室長、どうぞお願いします。
○宮腰虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長でございます。
 虐待対策に関しては関係省庁で連絡会議をつくってございまして、先月も幹事会ということで会議を開いておりまして、その場でもこの死亡事例の御報告をさせていただいております。
 その中で個別にカリキュラムの話が出たというわけではございませんけれども、そういった場で共有もしておりますので、また引き続き関係省庁にはお願いする機会もございますので話をさせていただければと思います。
○秋田部会長 よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 北澤課長、お願いします。
○北澤母子保健課長 母子保健課長でございます。
 思春期の世代の方に対する普及啓発というか、教育というのは、確かに学校における教育もありますし、私ども母子保健課としては、各自治体で女性健康支援センターという事業もございます。
 そういった中で、妊娠に関する相談に応じる事業もありまして、現在、全国で70カ所ございますけれども、そういったセンター事業なども引き続き行いながら、必要に応じて文部科学省さんとも連携していくということをやっていきたいと思います。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 草間委員、どうぞ。
○草間委員 先ほど山野委員から教職課程という話がありました。国民の休日には、こどもの日が、5月5日に設定されてあります。9月には、敬老の日があります。例えば、親の日というのを休日として設定するのはいかがでしょうか。それが叶わない場合は、厚生労働省として、親の日を省公認の日として設定するのはどうでしょうか。子育てや社会的養育を国民各層に啓発していくというねらいを込めて、親の日を設定し、全国キャンペーンをしていくことを考えられます。親の日の設定を提案したいと思います。
 と言いますのは、不特定多数のところから虐待は行われている、発生している。特定の人だけれども、どこから起こるかわからないという不確実性があるわけです。全子育て世帯がそういうリスクというか、そういう可能性を持っているということを、例えば親の日のキャンペーンを通して啓発普及していけば、若い方々を含めて、全国民の子育てや親子関係に対する意識を高める揚きっかけになるのではないかと思います。
○秋田部会長 ありがとうございます。                                       
 大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 松田委員から、養育能力の低さ、低いということで言葉がありましたけれども、どういう文脈で使われているかはちょっとわからないのでこれはこれでいいと思うのですけれども、客観的な状況としての養育能力の低さということがあるかもしれません。
 ただ、家族支援の観点からいうと、養育能力が低いと本当に言っていいのかどうか。むしろ養育することに困難を抱えていて、さまざまな支援が必要だと、専門的あるいは地域のいろいろな支援が必要だというように理解したりと、この言葉がひとり歩きすると、行政あるいは末端の人たちが能力の低さということで捉えることによって、本当に適切な、家族に寄り添って支援することができるかどうかという課題があると思います。
 もう少し言葉も含めた、どういうスタンスでやっていくかということを考えることが必要だと思っています。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 松田妙子委員、お願いします。
○松田妙子委員 地域で活動しているNPOです。
 まさに中学3年生の家庭科の授業に赤ちゃんを連れていっているのですけれども、どうしても学校の場では、カリキュラム的には幼児になっているそうで、乳児ではないということで、乳児をやる必要がないという意見もあって、なかなか教育系の壁の高さを感じています。
 でも、実際にこの数字を見てしまうと、命の大切さも含め、保護者とセットでやっていますので、安全性が保たれるのであれば、そういう機会をきちんとつなげていっていただけたらいいなといつも感じています。
 それは世田谷区の要対協(要保護児童対策地域協議会)の中からもすごく大きな声で湧き起こっているので、多分全国でやっている人たちがいると思いますので、そういう後押しをいただきたい。
 大塚委員がおっしゃったように、その人たちの未熟はその人のせいではないので、啓発も当事者に向けてだけでなく、社会や手を差し伸べる側の人をふやす啓発のほうに働きかけていただけるといいかなと思います。
 以上です。
○秋田部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、次に進ませていただきたいと思います。
 最近の児童行政の動向について、事務局から御説明をお願いいたします。
○成松家庭福祉課長 家庭福祉課長でございます。
 資料3-1から3-3を御説明させていただければと思います。
 資料3-1「児童福祉法の改正等について」ということで、2ページでございます。
 平成28年の児童福祉法等の一部を改正する法律、これは今までの児童部会でも御報告させていただいたというように承知しておりますが、この法律自体がいろいろな検討あるいはその後の法案の発端になっておりますので、重ねてになりますけれども、御説明をさせていただければと思います。
 この法案は、先ほど総務課長から申し上げたように、まずは改正の概要のところで見ていきますと、児童福祉法の理念の明確化を図ったということになっております。
 その中身は、児童の権利を有することを明確化、あるいは(2)の後段にございますけれども、家庭と同様の環境における児童の養育の推進というものが、主に理念の明確化として規定をされました。
 「2.児童虐待の発生予防」ということで、先ほども御議論がございましたけれども、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うための方策などを児童虐待の発生予防として規定をさせていただいております。
 「3.児童虐待発生時の迅速・的確な対応」ということで、いわゆる要対協と言っております要保護児童対策地域協議会の調整機関について専門職を配置する、あるいは都道府県の児童相談所に専門職を置くことを明確化するとともに、弁護士の配置、またはこれに準ずる措置を行うという形などを規定させていただいております。
 「4.被虐待児童への自立支援」ということで、各機関の自立支援策について、ここで規定させていただいているところでございます。
 この法律には検討規定がございまして、1つ目の○ですが、保護児童の保護措置に係る、いわゆる裁判所の関与のあり方、あるいは特別養子縁組の利用促進のあり方について検討するというようなことでいただいております。これは前段のほうです。後ほど御説明しますけれども、司法関与のほうは既に法律が平成29年に成立しております。特別養子縁組制度の利用促進あるいはその制度自体のあり方については、現在、法務省の研究会において研究をいただいている状況でございます。また、2年以内あるいは5年以内ということで、それぞれの検討規定が置かれているというものが平成28年の改正法の概要でございます。
 3ページ、こちらはいわゆる司法関与の強化という法律が、ことしの6月14日に成立をしております。
 その改正の概要でございますが、「1.虐待を受けている児童等の保護者に対する指導への司法関与」ということで、保護者への指導への実効性を担保する、確保する、実効性を高めるという観点から司法の関与を規定するものになっております。
 「2.家庭裁判所による一時保護の審査の導入」ということで、今、児童相談所長が親権者の意に反して一時保護を2カ月以上行う場合は、今は県の児童福祉審議会の承認が要るのですけれども、それを家庭裁判所、司法のほうの承認を得なければならないというようなものにしております。
 「3.接近禁止命令を行うことができる場合の拡大」ということで、それも規定させていただいているということでございます。そういった法律が平成29年6月14日に成立をしておるということになっております。
 4ページ目「児童相談所での児童虐待相談対応件数とその推移」ということで、これは先日発表したものでございますが、見ていただいたらおわかりになるとおり、平成28年度の児童虐待相談件数が約2万件ふえておりまして、過去最高の12万2,578件という数字が速報値として出ているものでございます。
 その要因といたしましては「3.主な増加要因」に書いてございますけれども、「○心理的虐待に係る相談対応件数の増加」あるいは「○警察等からの通告の増加」が数字として見てとれる。
 自治体に聞き取ったところ、いわゆる面前DVについて警察からの通告が増加したこと、あるいは後ほど申し上げますけれども、「189(いちはやく)」やマスコミ報道等により、国民とか関係機関の皆様の児童虐待への意識が高まったことによって通告がふえてきているのではないかという要因が聞き取りによって示されております。
 5ページ目は各自治体の増減の状況、6ページ目がどういった虐待の通告が多いかというところでございますが、先ほど申し上げたとおり、右から2つ目の「心理的虐待」が大きくふえている、あるいは件数としても多いという状況になっております。
 7ページ目「児童相談所での虐待相談の経路別件数の推移」でございますが、これも右から4つ目、警察等を通じた相談が件数としても多くなっていますし、また、増加としても多くなっていることが見てとれると思います。
 先ほど申し上げた「189(いちはやく)」という短縮ダイヤルが8ページになりますけれども、これを平成27年7月に導入させていただきました。
 いわゆる接続率という言い方をしていますけれども、電話がかかってきて管轄の児童相談所にちゃんとつながっているかというような率でございます。
 最初のほうはかかってくる件数も多くて、率が10%台でございましたけれども、平成28年4月にガイダンスの短縮とか、そういうものを行った結果、今のところ、いわゆる接続率が2割台を前後しているところでございます。まだまだ足りないというところでございますので、これを上げるべく、今年度も改善をしようとしております。そういったことを含めて、接続率をできるだけ上げていきたいと考えているところでございます。
 資料3-1については以上でございます。
 資料3-2につきまして「『新しい社会的養育ビジョン』について」ということで、資料3-2と資料3-3が新しい社会的養育ビジョンの資料で、資料3-3がいただいた報告書そのものになっております。
 資料3-3そのものが大部なものをいただいておりますので、時間の都合上、ここでは資料3-2を使って概要について御説明させていただければと思います。
 2ページ目、先ほども申し上げたとおり「1.新しい社会的養育ビジョンの意義」ということで、このビジョンの意義を書かせていただいております。
 順番が逆になって恐縮ですが、このビジョンは先ほど御説明がありましたけれども、ことしの8月2日に取りまとめて公表したものでございまして、この有識者会議のメンバーは、最後の6ページの右下のほうに記載されている構成員の方々で作成し、8月2日にいただいたものでございます。
 順番が前後しまして、済みません。
 2ページ目に戻っていただければと思いますが、このビジョンの最初に書いております意義としましては、先ほどの平成28年児童福祉法の改正の中で子どもが権利の主体であることを明確化する。家庭への養育支援から代替養育までの社会的養育を充実させるとともに、その中では家庭養育優先の理念を規定しております。
 まずは実親による養育を支えるというものでございますが、実親による養育が困難であれば特別養子縁組や里親による養育を推進すること、できるだけ家庭的な家庭養育を推進していくのだということを児童福祉法改正で明確化をしたというようなことになっております。
 この改正法の理念をさらに具体化していく、具体的に進めるという視点から新しい社会的養育ビジョンを示すという形になっております。
 後ほど申し上げる改革項目が全て緊密につながっておるということで、一体的かつ全体として改革を進めることが必要ですということで、このビジョンの意義でございます。
 「2.新しい社会的養育ビジョンの骨格」でございます。
 1つ目と2つ目のポツの一部が、いわゆる家庭での養育です。保護者や家庭による養育での支援を行うために何をやっていくかということでございます。
 下線の部分ですけれども、身近な市区町村によるソーシャルワーク体制の構築と支援メニューの充実を図るということ、あるいは虐待の危険が高い家庭に対しても在宅での社会的養育としての支援を構築する。できるだけ分離しないケアの充実を図るということが書かれております。
 ただ、親子分離が必要な代替養育については、その次のポツになりますけれども、代替養育は家庭での養育を原則とする。高度に専門的な治療的なケアが一時的に必要な場合は、子どもへの個別対応を基盤とした「できる限り良好な家庭的な家庭養育」を提供して、短期の入所を原則とするということで、いわゆる代替養育の性質を明らかにしているというようなものになっております。
 次のポツになりますけれども、里親の増加が特に求められておりますし、質の高い養育を実現するために、里親に対する包括的業務、いわゆるフォスタリング業務を強化する、あるいは民間団体によるフォスタリング機関事業を創設すべしということで規定がされております。また、代替養育に関して家庭への復帰とか、それが不適当の場合には養子縁組を選択するなど、永続的な解決を目指したソーシャルワークが児童相談所で行われるように徹底する。これがビジョンの骨格でございます。
 3ページ目以降が、このビジョンを実現するための工程という形でいただいておるものでございます。
 2つ目のポツにございますとおり「これらの改革は子どもの権利保障のために最大限のスピードをもって実現する必要がある。その改革の工程において、子どもが不利益を被ることがないよう、十分な配慮を行う」ということが最初の柱書きに書かせていただいております。
 工程表の「(1)市区町村の子ども家庭支援体制の構築」でございますけれども、市区町村においては子どものニーズに合ったソーシャルワークをできる体制を5年以内に確保する、あるいは市町村の支援メニューの充実を図るなどが記載されているところでございます。
 「(2)児童相談所・一時保護改革」ということで、児童相談所職員への各種研修の実施あるいは効果検証、中核市・特別区による児童相談所設置への計画的支援を行うということ、あるいは児童相談所における各種業務の機能分離を計画的に進める。
 一時保護に関しては、閉鎖空間での緊急一時保護は数日以内とする。一時保護時の養育体制を強化する。
 5年以内に、そういった一時保護を実現する。
 パーマネンシー保障のためのソーシャルワークを行える十分な人材確保を5年以内に実現するというのが、児童相談所・一時保護改革でございます。
 「(3)里親への包括的支援体制(フォスタリング機関)の抜本的強化と里親制度改革」ということで、先ほど申し上げたフォスタリング機関による里親養育体制の確立を最大のスピードでやっていくということで、平成32年度までには全ての都道府県で行う体制とする。
 そのために平成29年度中に国でプロジェクトチームを発足し、ガイドラインの作成あるいは自治体への支援をしっかり進めていくということです。
 ファミリーホームについても、事業者を里親登録者に限定する、あるいは新しい里親類型を平成33年度をめどに創設することなどが書かれております。
 4ページ「(4)永続的解決(パーマネンシー保障)としての特別養子縁組の推進」ということで、特別養子縁組というのが有力、有効な選択肢として位置づけて、そういった中で、こういったものを広げていくというのが(4)でございます。
 「(5)乳幼児の家庭養育原則の徹底と、年限を明確にした取組目標」でございます。
 特に就学前の子どもどもは家庭養育原則を実現するため、原則として施設への新規入所を停止。そのために、先ほど申し上げたように平成32年度までにフォスタリング機関の事業の整備を確実に完了するということが書かれております。
 特に愛着形成に大事な時期である3歳未満については5年以内、それ以外の就学前の子どもについては7年以内に里親委託率75%を実現し、学童期以降はおおむね10年以内に里親委託率50%を実現する。
 ケアニーズが高くて、施設等のケアが十分な場合には、小規模化・地域分散化された養育環境を整えて、その滞在期間については、原則として乳幼児は数カ月、学童期以降は1年以内とする。特別なケアが必要な学童期以降の子どもであっても3年以内を原則とする。
 代替養育を受ける子どもたちに対して、将来の見通しが持てるように、しっかりと説明とか、子どもの意向を尊重するということでございます。
 そういった家庭養育原則を実現するために、乳児院はこれまで培ってきた経験とか能力を基盤として、多機能化・機能転換をしていくということが書かれております。
 「(6)子どものニーズに応じた養育の提供と施設の抜本改革」でございますが、個別的ケアができるよう、ケアニーズに応じた、いわゆる加算制度をしっかりと創設する。
 全ての施設は10年以内をめどに小規模化・分散化あるいは職員配置の充実を行うということが下のポツで示されております。
 こういったことは乳児院から始めて、養護施設あるいは児童心理治療施設などでも行うということでございます。
 「(7)自立支援(リービングケア、アフターケア)」につきましては、社会的養護経験者の実態把握を行うとともに、最後のポツになりますけれども、自立支援方策を具体的に検討する場を設けるということになっております。
 「(8)担う人材の専門性の向上など」ということで、人材の基盤とか、あるいは統計の関係とか、そういうものの見直しというか、あり方を御提言いただいております。
 「(9)都道府県計画の見直し、国による支援」ということで、これは先ほどの専門委員会の設置でも御説明しましたけれども、このビジョンを踏まえた都道府県計画の見直しについて、平成30年度末までに行っていただくことを前提として、これから進めていくというようなことが書かれてございます。
 ビジョン関係の説明としては以上でございます。
○秋田部会長 ありがとうございました。
 ただいまの資料3-1から3-3に対しまして、事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問や御意見がありましたらお願いいたします。
 草間委員、お願いいたします。
○草間委員 8月2日に出されたこのビジョンについては、かなり大きなインパクトを持って現場の方は受けとめているようです。そのときに感じたのは、現場が非常に不安感を持っている印象を持ちました。このことを踏まえると、工程表の周知が肝心になります。どのように具体的に推進していくかという周知等が、いろいろな場を通じて何度も何度も丁寧に行っていくことが、不安の軽減に一つ役立つということを感じました。
 2つ目は、これからになります。それは、ソーシャルワークの担保ということです。いろいろなことが養育ビジョンには書いてありますが、ここをきちんと担保されていないと社会的養育の質がなかなか上がっていかないと思います。
 ソーシャルワークやサービスの質を上げていくには、駅伝方式で推進するような形になると思います。その時に大切なのは、ソーシャルワークの強化は論を待たない。特に市町村においては専門外の人が対応してやいることが多いのが実態です。国や県については、専門職的な方が担っていますが、市町村の実際は、土木をやっていた人が要対協の事務局になるとか、こういったことが常態化している。
 このような現状を鑑みると、研修制度も工夫をしながら、彼らのスキルとか見識が高まるような形で推進していくことが非常に必要だと感じています。
○秋田部会長 草間委員、ありがとうございました。
 ほかにいかがでございますか。
 山野委員、お願いします。
○山野委員 ありがとうございます。
 非常に斬新な改革ですごいなと思いながら、もちろんほかからも、ここに座る前にも聞いておりましたけれども、まず、そんな感想を持っています。
 そんな中で、今のお話にもちょっと関係するのかもしれませんが、「(8)担う人材の専門性の向上など」というところがあって、「情報共有のためのデータベース構築」とあるのですけれども、私も大学で学生を養成していて、児童相談所の児童福祉司になっていく学生が非常に多いのですね。なので、大変な児童相談所の課題は大変身近な話題です。なので、今の話題でいうと、たくさん募集がかかるので、合格のラインが広がり、教員間で、質の低下が心配されています
 そのことを考えると、ここの人材の専門性の向上というところが非常に課題かなと思って、それにこのデータベースのところではちょっと書いてあるのですけれども、例えばAIをもっと使っていくようなことがいるのではないか。今回の拡充がここまで斬新なプランとして明確に書いてくださっているので、人材育成がなかなか追いつかないのではないかという危惧をしています。
 非常に力のあるワーカーに出会った子どもは救われますけれどもということが起きてくるので、そういう調査研究費だったり、何年後にはそういう機械を導入するような形でベースラインを、もちろん人と人との支援だから人間あってこそなのですけれども、最低ラインのところがちゃんと伝わっていき、訓練されていくような、そんなシステム開発が必要ではないか。それの予算とか、研究開発費ということも検討が要るのではないかと思いました。
 以上です。
○秋田部会長 どうもありがとうございます。
 大塚委員、お願いします。
○大塚委員 新しい社会的養育ビジョンはなかなかすばらしいものではありますけれども、どのように実現していくかということが一番大切だと思います。
 1点、従来の社会的養護も施設も里親もそうなのですけれども、その中で、なるたけ小規模であるとか、家庭的ということになるということは、ある意味で御本人の権利をどのように擁護していくかという仕組みがないと、非常に個人的なところに入っていきますので、そこへのウオッチだとか評価だとかということを、どのようにしていくか。
 権利擁護システムを構築していかなければならないと思いますけれども、特にそれは第三者的な目がきちんと入るかどうか、そういう仕組みづくりはどのようにお考えになっていますかということを聞きたいです。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 御質問ですので、事務局のほうでお願いいたします。
○成松家庭福祉課長 ありがとうございます。
 御質問のほうからお答えせていただきますと、そういった小規模とか、あるいは地域分散化をしてしまうと、いい意味で小規模化された過程というか、施設の色が出るという側面がある一方で、それがゆえに少し閉鎖的というか、デメリットというと変ですけれども、悪い側面も出ると考えております。
 今でも第三者評価とか、いろいろな形でほかの目を入れている、あるいは本体施設がいろいろとバックアップをしているということがありますけれども、地域分散化とか、小規模化がさらに進むようになってくると、外の目がより大事になってくると思いますので、そういったこともあわせて考えていければと思っております。
 質問に対しては、そういうお答えになります。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 松田妙子委員、お願いします。
○松田妙子委員 ありがとうございます。
 かなりのスピード感を感じていて、本当にできるのかなみたいなところと、里親さんのところがすごく肝なのかなと思っていて、実際にマッチング率とかを見ていると、とても難しいというのを伺っているので、誰がこの里親ができるのかというところでは、もっとさまざまな、全ての家庭の支援が要るのかなと思います。
 子育ての家庭が支援されて、そこの地域の中で育っているから、その人たちが次の里親さんになっていってくれるのかなと思うと、一部分だけをぎゅっとやる、もちろんすぐさま守られなければいけない子どもはいるのですけれども、地域の中で里親さんたちが個別に健闘してしまうのではなくて、もう少しバックアップされるような仕組みとか、その人たちが堂々とほかの親たちと一緒に子育てできるような環境づくりがセットでないと、この数を具体的にマッチングして実現していくというのはとても難しいということです。
 ファミリーホームに関しては、本当にこれからという様子が世田谷の中でも聞かれていまして、ここが実現するときのボトルネックが、結構さまざまな手続であったりするようなので、具体的なところの支援がもう少しここから進んでいくときに、そこに十分に予算や人が割けるといいのかなと感じました。
 もう一点、ここまで来たら、日本もようやくといったら変なのですけれども、もう少し子どもの声をきちんと聞くという仕組みを早くつくっていただけたらいいのではないかと思います。
 それは日々の暮らしのことだけではなくて、私たちがこうやって決めていくような、子どもに関することとか、社会に関することについても、子どもの意見表明というか、そういう仕組みと、それが文化としてきちんと位置づけられるというところに、とても必要性を感じます。
○秋田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、次に進ませていただきたいと思います。
 残りの部分につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○唐沢企画官 私のほうから、資料4に基づきまして、子育て安心プラン及び待機児童の解消に向けた取組の状況について御説明を申し上げます。
 2ページ「待機児童の解消に向けた取組の状況について」でございますけれども、下段の図をごらんいただければと思いますが、黄緑色の棒グラフが保育の受け皿量の推移でございます。
 年々増加していることがわかるかと思いますが、平成25年4月の段階での受け皿量が240万に対して、今回、平成29年9月1日に公表した結果でございますけれども、平成29年度末での受け皿の見込み量としては約300万という状況になっておりまして、この5年間での受け皿拡大量は約59.3万人という状況になっております。
 なお、この数の中には、昨年度から始まりました、企業が主体となって従業員の福利厚生の一環として実施しております企業主導型保育事業による7万人の分も含まれているものでございます。
 一方、保育の受け皿量に対して、保育の申込者のニーズでございますけれども、青の棒グラフが保育の申込者数の推移でございます。こちらも非常に増加してきていることがわかるかと思いますけれども、とりわけ平成28年4月と平成29年4月の1年間の推移をごらんいただければと思いますが、青の棒グラフでございますけれども、平成28年4月の約256万という数字から、平成29年4月では265万ということで、この1年間で約9.1万人の増というような形で申込者数も非常に増加してきている状況にございます。
 この背景には、ピンクの折れ線グラフがございますように、こちらは25~44歳の女性の就業率を示したものでございますが、女性の就業率が年々約1ポイントずつ増加しているというようなことを背景といたしまして、保育のニーズも非常に増加してきているということで、各自治体の取り組みで受け皿も拡大しているけれども、それを超えるぐらいの勢いで非常に保育のニーズもふえている。
 そういう中、待機児童の状況につきましては、この棒グラフの下段にございます赤の棒グラフでございますけれども、平成29年4月時点での待機児童数は2万6,000という数が出ております。
 3ページは、今、御説明申し上げましたものを少し数字化したものでございますけれども、下段をごらんいただければと思いますが、保育の受け皿がだんだんふえてきているという状況で、下段の一番左にございますように、一番大きな受け皿となっているのは認可保育所が223万人分ということでありますけれども、多様な保育の受け皿として、昨今は認定こども園による保育の受け皿といったもの、さらには平成27年からの子ども・子育て支援新制度に基づきました小規模保育事業等による受け皿等もふえてきているという状況もございます。
 4ページ、先ほど申しました「認定こども園の概要」について参考資料をつけております。
 御承知の委員の方々もおられるかと思いますが、認定こども園制度は平成27年4月の新制度で少し改善されたものでございますけれども、その趣旨は教育・保育を一体的に行う施設ということで、幼稚園と保育所の両方のよさをあわせ持っている施設ということです。
 左下にございますように、類型としては4つの類型がございます。地域の実情や保護者のニーズに応じて多様な選択が可能になるようなタイプが4つ用意されており、「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」となっております。
 なお、認定こども園数の推移でございますが、右上にございますが、ことし4月1日現在の認定こども園数は全体で約5,000ということで、昨年4月現在が約4,000ということで、約1,000増加しているという状況です。
 ちなみに平成27年4月1日、この新制度が発足した時点での認定こども園数は約2,800という状況でございますので、毎年約1,000の認定こども園がふえているという形になっております。
 各都道府県別の状況については、右側をごらんいただければと思います。
 5ページ、先ほど待機児童の数は平成29年4月1日現在で2万6,000と申し上げましたが、この市区町村ごとの状況等でございます。
 上段にございますように、実は全国市区町村の中での約8割の市区町村では待機児童はゼロという状況になっておりまして、実際に待機児童がいる約2割の自治体のうち、その約7割を占めます地域が、都市部において待機児童がいるという状況になっております。
 詳しい説明は割愛させていただきますが、中段以降には、この1年間で待機児童数が100人以上減少した市区、また、100人以上増加した市区というのがございますけれども、いずれの市区町村においても保育の受け皿拡大に向けて取り組みを進めておりますが、それ以上にニーズが上がった自治体においては待機児童が増加したということが見てとれるかと思います。
 6ページ「待機児童の状況(年齢別)」でございます。
 右側に、平成29年度待機児童26,081人で100%でございますが、年齢別の状況を見ますと、低年齢児の1、2歳児が約7割を占めているという状況でございます。
 左側の図にございますように、黄緑色の折れ線グラフが1、2歳児の保育利用率でございますけれども、保育利用率は平成22年には約30%という状況ですが、平成29年には45%という状況で非常にニーズがふえてきている。
 さらにニーズもふえるとともに、それに対する受け皿も整備しておりますが、なかなか追いつかず、先ほど申しましたように1、2歳児の保育待機児童が全体の中でもかなり多く占めているという状況になります。
 7ページは、待機児童の全国的なマップでございます。先ほど市区町村別と申しましたが、これは47都道府県別の状況でございます。
 白の部分等々、いろいろな色がありますけれども、2万6,000の中で東京都が8,586ということで約3分の1を占めている状況にございます。
 8ページは、それに対する費用の状況でございます。
 9ページは待機児童ではなく、保育の利用児童数の推移を都道府県別に示したものでございます。
 先ほど待機児童のいる自治体は限られていると申しましたが、保育のニーズは特定の地域だけでなく全国的にふえている状況にあります。
 左側は【保育の利用児童数の推移(25年4月-29年4月)】でございますが、各都道府県とも、保育の利用児童数、これは少子化で子どもの数が減っている中でも保育の利用ニーズがふえてきている。それに対して、公的にも費用を投入して受け皿整備を進めているという状況にございます。
 10ページ、こうした中、待機児童の解消に向けた取り組みでございますけれども、本日の冒頭の局長からの説明にもございましたが、ことしの6月2日に子育て安心プランという新たなプランを公表いたしました。
 左下をごらんいただければと思いますけれども、今年度までは平成25年4月に策定いたしました「待機児童解消加速化プラン」に基づきまして、この5年間で50万人の保育の受け皿を確保すべく取り組みを進めているところでございますが、実績としてはこの53万人というのは、ことしの6月に公表した時点での数字ですので、平成28年4月1日ベースの受け皿でございます。
 先ほど御紹介申し上げましたように、平成29年4月1日現在ではこちらが59万人という状況で、当初のこの5年間で50万人の受け皿を整備するというのを上回るような形で受け皿を整備する状況でございます。
 一方で、先ほど御紹介しましたように、女性の就業率が年々1ポイントずつ増加をしている、いわゆる受け皿整備以上にニーズが増加している状況もございまして、6月2日に公表いたしました子育て安心プランにおきましては、国として今後も女性の就業率が上昇し、保育の申込者数が増加していくということを前提にいたしまして、東京都を初めとする意欲的な自治体を支援するために、待機児童解消に必要な受け皿約22万人分を、来年度と再来年度の2年間が確保し、遅くとも平成32年度末までの3年間で全国の待機児童を解消しようということです。
 ただ、一方で女性就業率が増加しているという状況がございますので、スウェーデン等の女性の活躍の先進国といわれるような、いわゆるM字カーブ解消の一つのラインといわれます女性就業率が80%となった場合でも、待機児童ゼロが維持できるよう、さらに10万人分の保育の受け皿を整備すべく、この子育て安心プランでは、合計で約32万人分の保育の受け皿を整備するということが示されたところでございます。
 11ページ、子育て安心プランにおきましては、保育の受け皿拡大ということだけではなくて、当然のことながら保育の場を整備するだけではなくて、それを担う人材の確保等々のさまざまな取り組みが必要となります。
 子育て安心プランに基づきましては、この6つの支援パッケージということで待機児童解消に向けまして、保育の受け皿拡大のみらならず、保育人材の確保等々の取り組みを総合的に推進していくこととしております。
 12ページ「(参考)『子育て安心プラン』の支援施策のポイント」ということで、先ほども御紹介しましたが、待機児童の現状としては1、2歳児の待機児童が全体の中で過半数を占めている、また、都市部に非常に多いという状況等も踏まえまして、子育て安心プランの中ではそういった事情を考慮したような形での取り組みを進めていくこととしております。
 厚生労働省といたしましては、各自治体が直面している課題に対してきめ細かく対応すべく、関係府省とも連携し、こうした取り組みを着実に、もう既に推進しているものもございますけれども、今後とも必要な予算の確保等を進めまして、取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
○秋田部会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御意見や御質問がございましたらお願いいたします。
 小國委員、お願いします。
○小國委員 鎌倉女子大学の小國と申します。
 待機児童の解消の取り組みは、厚生労働省が主導して、非常に精力的に行われていて、私もすばらしいものができていると感心しておりまして、頼もしいなと思っているところではございます。
 その中で、2つほど懸念する事がありますので、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 一つは、最後の12ページにもございましたが、1、2歳児の受け皿ということで、各企業が多くの保育所を設けておりまして、それで待機児童解消となっております。それは非常にいい取り組みではあると思うのですが、実態は若い保育士だけによる運営になっていると聞きます。以前からある保育所ですと、ベテランの方がいらっしゃるのですが、企業のところでは若い方だけになってしまうという問題点があるようです。
 ベテランの方がいらっしゃいますと経験が豊富ですので、いろいろなことを若い方に教えることができるのですが、若い方だけですと、学校で教えてもらったことしか知識がないというような状況です。
 保育所保育指針は非常にまとまっていてすばらしいと思うのですけれども、私は医学的な立場から懸念することがございます。それは、健康及び安全というところで、医学的内容がかなり削減されているという事です。卒業生は、病気に対する知識が不足している状況で保育現場に行くことになり、特に感染症の拡大につながるということが非常に懸念されます。指針の中の健康及び安全というところで、医学的用語などを理解するのは難しいし、職務外の事ということで敬遠されてしまう傾向にありますけれども、医学的な基礎知識は絶対に私は必要だと思います。
 今、子どもたちが保育所でいろいろな事故に遭っている。特に、若い方たちが起こす事故が多いですので、やはり保育士の知識不足ということがあると思います。そういう事故につながることを懸念しますので、できるだけ知識を大学の中で、短大、4大ともに身につけていただいて、幼稚園教諭及び保育園の保育士さん、その両方がしっかりとした知識を持つような教育指針を打ち出していただきたいと思います。
 もう一つ、1、2歳児の受け皿を拡大したいというお話なのですけれども、小児科的な立場で言いますと、0歳はもとより2歳ぐらいまでは母子が一緒に過ごしてほしいという時期でございます。
 育児休暇でありますとか、女性が育児で休職したとしても、また復帰できるような取り組みなどを検討していただきたいと思います。ある企業などでは時間をうまく使いながら数人の女性が交代で休むというようなことも取り組んでいるようで、取り組み方次第だと思います。
 働く女性の希望としては、ただ保育園をふやしてほしいということだけではなくて、企業の中での働き方をしっかりと改革していただいて、働きやすい企業、即ち特に子育て世代の女性が働きやすい環境状況、そしてまた、復帰しやすい状況、休職しやすい環境を整備していただければ、このような1、2歳児の、特に1歳児の保育園待機児童の増加が防げるのではないかと思います。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます
 唐沢企画官、どうぞ。
○唐沢企画官 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 11ページのプランの中にございますように、今回、保育の受け皿拡大とともに、保育人材の確保という中で、当然、保育の量を確保するだけではなく保育士の質も大事になっていきます。
 先ほど保育所保育指針の改定とあわせて、現在、保育士になる方が学ぶ内容もあわせて改善すべく検討を進めていると申しましたけれども、実は今年度から処遇改善を踏まえたキャリアアップの仕組みの構築ということで、保育士になった方がさらにスキルアップを図るべく研修の仕組みもつくっているという状況でございます。
 御指摘等も踏まえながら、保育の質の確保にも引き続き努めてまいりたいと考えております。
 6番にもありますけれども、働き方改革ということも、この一つのパッケージの中に入れておりますので、今後は受け皿拡大あるいは人材確保のみならず、先ほど申しました関係府省とも連携をしながら、こうした取り組みも引き続き推進してまいりたいと考えております。
 御指摘ありがとうございました。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 松田茂樹委員、どうぞ。
○松田茂樹委員 中京大の松田です。
 私も小國先生の意見に共感します。
 その上で待機児の話で、私は少子化対策のほうから見ていますけれども、私の認識は1月に配付されたここでの議論の資料のとおりですが、もう一歩踏み込んだ意見を言わせてください。
 待機児対策は非常に重要でして、これはやはり大事な政策課題だと思います。それを強力に推進されてきたと思います。その上で、そろそろ量的拡大一辺倒ではなくて、質的拡大にもっと軸足を置くべき時期に来ていると私は思います。
 具体的な理由としましては、先ほど御説明がありましたとおり、80%の自治体に待機児がいないですね。7ページのマップを見ていただきますと、これが首都圏の人と名古屋の人の温度差なのですけれども、愛知ではほとんど問題になっていないのです。むしろあいているところが出ていることが問題になっているぐらいですので、人口比を考えて見ていただければそれがわかると思います。
 見ていただくと、首都圏の極めて大きな問題と、それから、政令市、これは全てではありません。横浜だとちょっと違います。そうした部分が、この問題を引っ張っていると思います。
 そこでの提案なのですけれども、資料の作成や今後の議論として、地域を例えば3つくらいに区分して議論されてはどうかなと思います。
 一つは、保育が量的に明らかに足りなくて、どんどんつくらないといけないのだと、東京ですとか、大阪の中心部も多分そうだと思います。
 一方、待機児はいますけれども、ある程度需給のバランスがとれていて、むしろ質的な対応のほうにもう少し目を向けたほうがいい地域があると思います。ひょっとしたら愛知もここに入るような気がします。多くの自治体が入ります。
 もう一つは、あいている自治体があると思うのです。これは特に待機児ゼロ、具体的な名前、白いところがいっぱいありますので、これは待機児がいないのではなくて大幅にあいている。そこの課題としては、質の向上も課題であるとともに、恐らく統廃合をどうするかということですね。首都圏も恐らくそうなっていきますので、統廃合は全国的な先進事例になると思います。
 大きく3つくらいに分けて、こうした資料をつくり、政策を詰めていくターニングポイントに来ているのではないかというのが私の意見です。
 具体的な話をもう一つ言います。
 質向上がこの国は少しおろそかになっていないのかということを、いろいろな方が御指摘されているところで、今の日本保育学会長さんも口酸っぱくおっしゃっているところですね。
 量的拡大も大切ですが、保育の研修ですとか、質の向上、保育士の能力の向上や、保育士はそもそも働き過ぎていますので、これは秋田先生がいる前で言うのは恐縮ですけれども、そうしたことの改善に予算面もつけてあげる必要があるのではないかということです。
 最後に1点だけ。
 衆議院選の動きが読めないのですけれども、恐らく中でも御議論されていると思いますが、消費増税凍結ですとか、増税の使途が変わってしまうですとか何かあるので、その影響が保育対策に悪影響を及ぼさないようにというのはどこかのタイミングで申し上げておいたほうでいいような気がしました。
 以上です。
○秋田部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
 久保野委員、お願いします。
○久保野委員 東北大学の久保野と申します。
 質問と、それに関連してお答えを待たずに意見なのですけれども、今、保育のお話をいただきまして、先ほど新しい形での社会的養育のお話をいただきまして、新しい社会的養育というのは、一つは家庭での養育支援と代替養育をセットでというか、組み合わせて見ていくというお話でしたけれども、それとの関連で、保育というのは女性の就労あるいは養育者の就労を可能にするという側面を持つとともに、養育自体の間接的な社会的な支援の側面も持っているかと思いますので、保育のほうの、例えば11ページに「保護者への『寄り添う支援』の普及促進」ですとか、保護者支援の話が出ていまして、保育施策の中での保護者あるいは家庭ないし養育支援というものと、新しい社会的養育の枠組みの中での施策といいますか、そういうものの関係性といいますか、そういうものについて、どのように整理されているかというのが質問です。
 そのような質問をさせていただく問題意識としましては、先ほど松田委員から里親について特別なバックアップというような考え方よりは、地域で子育ての一般的支援がされる中で自然と組み込まれていくというのが適切だという御意見を伺いまして、なるほどと思って伺っておりましたけれども、そのような方向といいますか、つまり保育というものも、就労したい女性のための特殊な支援であってという切り分けよりは、地域での子育ての一般的な支援と関連づけていくことが望ましいのではないかという意見を持っているものですから、その観点からの質問です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 成松課長、どうぞ。
○成松家庭福祉課長 家庭的養育と保育の関係についての御質問でございます。
 先ほど家庭的養育の整理というか、定義みたいなのは総務課長から申し上げたところでございますが、資料3-3の13ページ「3)保育所等の協働養育についての養育の質の確保」ということが、新しい社会的養育ビジョンの観点から、保育所も、当然、女性の就労支援という視点だけでなくて御家庭での養育支援という位置づけを持っているということで、この中には位置づけられているところでございます。
 そういった視点でも、質の向上とか、保育の内容の向上とか、そういうところは図るべしということで御提言をいただいているというのが、一応、社会的養育の立場からのお話というか、見方でございます。
 先ほどおっしゃっていただいた家庭の支援です。里親を支援するために、まず一般的な家庭支援というか、市区町村における家庭の支援がまず大事だということで、それは先生のおっしゃるとおりでございます。
 そういった一般への家庭支援というのがベースとしてあって、さらに里親特有の支援のニーズが恐らくあると思いますので、そういったところは先ほど申し上げたフォスタリングのところで支援をしていく形になると思います。二重というか、二層というか、そういうのを組み合わせて、里親家庭の支援を考えていくというのが、恐らくこれからの形というように考えております。
 以上でございます。
○秋田部会長 長田課長、お願いします。
○長田総務課長 保育制度の側からの位置づけということで若干補足をさせていただければと思います。待機児童解消が目下の最大の課題の一つでありますので、その文脈で保育について語られることがどうしても多くなるということがございますけれども、平成27年4月にスタートした子ども・子育て支援新制度、その際に児童福祉法の規定も変わっておりまして、従来、保育所は「保育に欠ける児童」を対象とするということになっておりましたけれども、「保育を必要とする児童」を対象とする施設ということで規定の文言が変わっておりまして、「保育を必要とする」ケースの中に、明示的に虐待やDVのおそれがある場合だとか、そういった養育困難というケースも含めて、幅広く保育対象を捉えておりますので、保育制度の側としても、当然そういったところを支える受け皿として保育が位置づけられているということを補足させていただきます。
○秋田部会長 どうもありがとうございます。
 資料をいろいろと個別に御説明いただきましたが、このあたりから、全体の保育行政も含めながら御意見をいただけたらと思います。
 草間委員が最初で、あとお一人、1、2分程度、いろいろな御意見も含めていただけたらと思います。
○草間委員 今、量的拡大の実現が国家的に大きな課題になっている中、松田先生の区分は大変勉強になりました。このような大きな課題における量的拡大を図る上で、保育の供給に特に力を入れていくところですが、さらに規制緩和を行い、量的拡大を進めなければいけないということで、現在国でやられている。
 私は、11ページの6つのパッケージの「1 保育の受け皿の拡大」、供給拡大の施策として一つは、大規模マンションの活用です。今朝もNHKで放送されていましたが、大規模マンション建設時に、当該自治体が活用するスペースだけを買い取る、30年後にニーズを満たした時点で売却をするスキームが事例としてあれば、量的拡大を加速化されるのではないかと思っています。
 もう一点述べます。国有地や都市公園等、関係省庁と連携を取り、連絡を取り合って情報共有を図り、事案があった際には、その事案を当該自治体、つまり待機児童の多い自治体に情報提供をして利活用を促進していくスキームが求められます。既に実施されているかもしれませんが、このような情報共有・提供する連携スキームをさらに強化されたらどうでしょうか。情報提供を活発にして、事案を当該自治体へ提供していく。特に量的拡大が必要とされる当該自治体には積極的に提供して、スキームの共有と事例の共有をしていくことにより、量的拡大を加速させていく必要があるのではないかと感じました。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 それでは、皆様、ぜひ御意見をいただきたいと思いますので、1人1、2分で恐縮ですがお願いいたします。
 山野委員、どうぞ。
○山野委員 私も松田委員の区分はとてもわかりやすくて、そうすべきではないかと思いました。
 この日本地図を見て、白いところという、私は逆に白いところの話になりますが、例えば地域共生社会の丸ごとのほうで議論されていることと、どうコミットしていかれるつもりなのかなというのは、もともときょう聞きたいと思っていたところでした。
 その話と、この白いところですね。要は待機児がいなくて統廃合になるのではないかというお話があったところなのですけれども、子どもの貧困対策検討委員会の委員もしていますけれども、学校プラットフォームという、学校をプラットフォームにして広げていこうだとか、こども食堂や学習支援をどんどんふやしていこうという流れが、あります。イギリスのブレア首相の貧困対策などでも早期教育の導入や場として保育所とかサロンというようなところを活用しているわけですが、日本の今の地域創生というイメージもあって、場所としてどんどん活用していくという案もあっていいのではないかと思いました。それは松田先生の3つの区分の3つ目の話なので、きょうのメインではないかもしれません。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 どうでしょうか。ぜひ皆様、順に。
 大塚委員、お願いします。
○大塚委員 保育ということであれば、幅広い保育ということをおっしゃっていただいて共感しますし、それから、共生社会論のことも含めて特別に配慮された子どもと、当然、障害のある子どもたちということになるのだと思いますけれども、そういう方たちがどのような子どもの時期を過ごすかということになると、これからはやはり保育所であるとか、あるいは放課後児童クラブ、そういう一般施策の中でやることが一番理想だと考えております。
 そのために障害分野においては、例えば児童発達支援センターを早くアセスメントして、一般の施策につなげて、そこできちんとしていただく、こういう施策が必要だと思っています。そういう意味では施策との連携であるとか、そういう一般施策の中でなるたけ行っていただくことを希望しております。
 もう一つ、社会的養護もそうなのですね。例えば児童養護施設と施設入所支援、昔の知的障害児施設というのは内容的には全く同じような方が入っている。こういうものを分けていってやって本当にいいのかどうかということも含めて、子どもにとっての一番いい形ということであれば、そういうことも含めて再編や、あるいは本人の状況の中からどんな支援が受けられるような施設体系ではなくて、そういうことがまさに共生社会論の話だと思っていますので御検討お願いします。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 小國委員、お願いします。
○小國委員 今、いろいろな取り組みがされておりますけれども、ここに来て、現場で働く方たちの意見といいますか、新しい取り組みの状況を見直していくべき時期に来ているのではないかと感じております。
 一つは、例えば認定こども園ができて、非常に幅広く、乳児から幼児期まで預かるという、現代のニーズに合った取り組みがされているのですが、そこで働く人たちの状況として、保育園保育士と幼稚園教諭では、考え方の違いがあるというようなことも、全部ではないでしょうけれども、聞こえてきますので、そういった現場の声を踏まえた上で現場の状況を変えていく、改善していくということもこれから必要になってくるのではないかと思います。
 子育て支援もすごくいい取り組みでして、とても助かっているお母さん方が多いと思うのですが、そこでも現場の支援者の方たちが困っていること、すなわちかなり重症なケースを相談されるというようなことも聞きますので、現場の声をもう一回聞いて改善していくという時期になっていると思います。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 小川委員、お願いします。
○小川委員 私は、先ほど企画官がおっしゃっていたように、保育所保育指針が改定されて、それに伴う保育士養成課程をつくっている立場ですので、皆様の声を本当に重く受けとめて、保育士養成課程は今の学生さんたちに、どのようにしたら子どものために最もいい保育が行われ、保護者を支援できるような、どういう教育をしたら、そういう保育者になっていけるのかということをメーンでやっております。
 それと同時に、実際の現場の方たちがキャリアアップというところで研修を受けられるようにということもつくられたのですが、まだまだこのキャリアアップのほうは、具体的には現場の方たちが自由にその研修に出られるような施設はなかなかないです。というのは、保育士不足ですので、研修に出たくても、かわりになる保育士さんがなかなかいない。
 ですから、いいことを国がいろいろ考えても、それを具体化していくところの困難さは確かにありますので、それがどうしたら、どの現場もスムーズに、現場ごとで研修ができないと困りますので、そうでないと質が担保できませんから、そういうことを考えながら、この保育士養成課程等検討会のメンバーであるということは非常に責任が重いなと思っていろいろ考えたいと思います。
 今後のいろいろな課題もたくさんあるなと思って、ここに今、座っています。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 松田茂樹委員、お願いします。
○松田茂樹委員 最後に一つ、社会的養護のところで意見を述べさせていただきます。
 私自身の専門の分野ではありませんということをお断りします。
 家族社会学の研究の中では別の意見もあるということをお知らせいたします。
 今の方向性は、私は正しいと思います。方向性として、つまり、できるだけ家庭、里親、代替養育という方向なのですけれども、ただ、一方で、この方向に対する懸念も学者の中にあります。それは家族というものはブラックボックスになってしまうということで、結局、そこでまた虐待ですとか、あるいは虐待までいかなくてもそこに権力関係が起きてしまうということを懸念する声もあります。
 もう一つ別の意見としては、こうした小規模型や里親だけではなく、ある程度の人数のいる大規模の社会的養護施設におきましても、その運営の仕方によりましては十分適切な養育ができるとする研究結果もあります。
 ですので、この方向性自身、私は賛成しますけれども、無理にどんどんと、誰でもいいから里親をという方向にはならないようなことを懸念しております。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 草間委員、どうぞ。
○草間委員 児童福祉の推進の具体的な実施主体は、多くは市町村、自治体、地方公共団体になるということです。ビジョンの実現には、この方々に頑張っていただくしかないということになるわけです。けれども、実際は意識の差があることを、私は首長経験者として、周りの市町村長を見て感じています。
 どのようにボトムアップしていくかという仕掛け、それは行動計画に縛りを持たせれば、ある程度推進されるということですが、実際にやっている方々は専門職や専門家でないということです。ですから、専門性を担保しつつ推進やっていく仕掛け、この辺の強化策みたいなものを、この部会等で考えていければいいと思っています。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 松田妙子委員、お願いします。
○松田妙子委員 今、委員がおっしゃったようなことでいえば、努力義務ですけれども、市町村の中に子ども・子育て会議があって、そこの上手な活用というのをすごく感じています。
 世田谷もほとんど保育の話で終わってしまって、子育て支援が年間20分ぐらいかなという感じなので、実は裏版をつくって区民版子ども・子育て会議というのをやって、そこにステークホルダーを呼んで一緒にわいわいやるワークショップをやっているのですけれども、自治体の職員の方たちが熱心に参加してくださるのですね。
 そこはルールに従って、確認とかいろいろやらなければいけないことはやっているのだけれども、気になっている、こういった個別のテーマのところを自治体自体も考えていく機会を子ども・子育て会議をきっかけにつくっていらっしゃって、それはたとえ事務屋さんであっても、地域の中の熱意とか空気があると、一緒になって取り組んでくださる優秀な行政の方はたくさんいらっしゃるので、子ども・子育て会議をうまくやっている事例みたいなのが発信されるといいのかな、などというのをいつも感じます。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 久保野委員、お願いします。
○久保野委員 東北大学の久保野と申します。
 私の専門としましては、法学のうち、家族にかかわる私人間関係の民法という法律をやっていまして、親権が入りますのでその延長で虐待対応ということに少しかかわってきております。
 どうしてもその観点からになるのですけれども、一番感じておりますことは、一方で子どもの利益が害されているような最もひどいケースに、しっかり家庭の壁を壊して入っていくことが足りなかったという歴史、日本の経緯があって、それが大分対応されていっているわけですが、それができていないことへの反省に力点が置かれるばかりにというとちょっと言い方が強過ぎるかもしれませんが、今、特別養子がかなり注目されて、活用していこうという動きなども出ていて、それ自体に反対ということではなくて、とても大事なことが動いていっていると思っているのですけれども、他面で、従来から大事だと言われてきていた再統合とか、もともと生まれ育った家庭をどのように支援していくかといったようなことが、どうなっていくのかということに大変注目しています。
 その両者のバランスがとても重要だと考えていまして、今日いただいた「新しい社会的養育ビジョン」の中でも13ページあたりに在宅の支援がこれまでどのぐらい有効にできていたかというと実は課題があるのだといったような御紹介もありますので、先ほどの発言も同じような問題意識からではございましたけれども、もともとの、里親を含めた家庭的養育ではなく、生まれた家庭というものに対する支援とのバランスということを重視しながら、いろいろな施策について見ていきたいと思っております。
 それとの関連で、家族法の観点でその問題を見たときに、家族といったときに、成育した家庭がさまざま多様になっているというのは最近また言われていることでございますので、多様な家庭の状況に応じた福祉的な対応といったもの、これが離婚している場合にどうかとか、親権者が1人だったらどうかとか、ひとり親のときはどうかとか、困ることもあると伺っていますので多様性に応じた対応も重要だろうと思います。
 先ほど養育能力の関係で、個人の養育能力といってしまうことに対する慎重さを求める御意見がありましたけれども、経済社会的な要因がどうかといったようなこと、あるいは経済社会的要因とのかかわりの中で、子育て支援というものに対応していくことも重要だろうと考えています。例えば、先ほど労働法制の話も出ましたけれども、もちろん女性が主たる養育者であることが多くて、どうしても女性という話になるのはそれ自体はそうだと思うのですけれども、男性も含めた社会経済的な仕組みの中で家庭における子育てもされているというところを見つつ、一般的な養育支援についても考えていけたらなと思います。
 以上になります。
○秋田部会長 どうもありがとうございます。
 山野委員、お願いいたします。
○山野委員 簡単に。最後に済みません。
 先ほどの人材養成のことなのですけれども、保育士も人材が不足していますし、児童福祉司も不足していますし、市役所の中で、今、専門職がいなくてというところもそうですし、すごく人材に課題がある。
 もう一つ、児童福祉、子ども家庭福祉ということで考えると、私はスクールソーシャルワークの研究者でもあるのですけれども、学校の中に入っていっている福祉の人がいますが、実はすごく切り離されていて、中身でいったらソーシャルワークをしている人たちなので、うまく人材育成、人材養成というくくりで、こういったソーシャルワーカーの質をどうやって担保して、量をふやしていくのか。保育士も入れていったらいいと思うのですけれども、そういう仕組みを抱き合わせて、向こうは学校だから文部科学省だということではなくて、たまたま保育所で働いている、たまたま病院で働いている、たまたま学校で働いているというように考えていただいたら、ソーシャルワークというのは厚生労働省管轄のマターではないかと思うので、同じように働き方というところで、人材養成というところで含められないのかなと思いました。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 新保部会長代理、お願いします。
○新保部会長代理 私からも2つ発言させてください。
 一つは、今回いろいろなプランが出ている中で、妊娠期から子育て期まで一貫した仕組みで対応しましょうという動きはとても必要なことで、これからぜひ充実していっていただきたいと思います。
 これは背景として、児童の権利に関する条約、そして平成28年、平成29年の法改正、新しい社会的養育ビジョンという流れを見ていくと、家庭養育優先という考え方の中で、妊娠期から子育て期のかけ橋のところがとても大事なのではないかというように思います。
 制度上も、女性健康支援センターだとか、産前産後母子ホームという仕組みが整いつつあるということで、ぜひこれを充実していただきたいと思います。
 それをやる上で特に鍵になると思われるのが、母と子、母だけではなくて父と子という組み合わせもあるかもしれませんが、特に母と子の一体での一時保護のような仕組みがどうしても必要になってくるのではないかと思います。
 母と子が一緒になって産前産後母子ホームとか、乳児院だとか、母子生活支援施設だとか、そういう施設の中で一定期間一緒に暮らしていて、御自身が母と子でこれからも一緒に暮らしていくのか、場合によれば母と子が分かれて、子どもは別の施設に行くのかを判断していくことについて、一緒に暮らすということ、つまり家庭養育優先であるならば、母と子というペアで一つの施設の中で生活できるということについて、一定の措置を行って状況を見守ることがどうしても必要になってくる。
 それができれば家庭養育優先を前提として、それが無理な場合に、例えば特別養子縁組という選択肢が出てくるのではないかと思うので、この部分、特に母と子を一体とした一時保護のところに少しお金をかけていただけないかというように思います。特に入退所のときには、施設現場としてはかなりの手間暇がかかると思いますので、そのあたりを充実していただきたいというのが1点目でございます。
 2点目、新しい社会的養育ビジョンについては、きょういろいろな委員からも意見が出ました。考え方は権利条約から法改正という流れの中で、こういう考え方はとても大事なことであろうと思いますし、ぜひ推進すべきだろうと思います。
 一方で、このビジョンが出た後、施設現場の方々の中にかなり落ち込んだ気持ちになっていらっしゃる方がおられると感じます。今までかなりの思いを持って、自分の人生をかけてこの仕事をやってこられた方たちです。自分のプライベートの時間も子どもと一緒に過ごすということをやってこられ、そして、自分の心を込めて仕事をやってこられた方が、場合によれば、感じ方として自分たちの仕事は不要なのではないかと言われたのではないかと感じてしまっている。これはどうにかして、ここにいる皆で取り戻していかなければいけない。
 そうではないのだと、この仕事はとても大事なことで、それにプラスしてほかのこともやっていただきたい。だから、母と子が一体となってとか、妊娠期から子育て期とか、子育て支援とか、自立のことも含めて施設現場の方も一緒になって考えてやっていっていただけないだろうかという思いを共有できるような場をつくることが、今はとても必要なのではないかという気がします。
 施設現場の方々の思いを大切にしながら、協力をして先に進んでいくような道筋を考えていきたいと思います。
 以上です。
○秋田部会長 ありがとうございます。
 私も個人的に2点だけお話をさせていただきたいと思います。
 さまざまな施策が打たれ、非常に有効な政策が喫緊の課題を解決するために組まれていることは大変ありがたいと思っています。
 一方で、OECDや世界的に見ると、日本というのはモニタリングとか、政策評価が弱く、例えば私がかかわらせていただいた保育所保育指針なら、つくって告示すればいいのか。本当に実践の現場がどういうように実施しているのか、それによって本当に質の向上が図られているのかを評価していく機能も大事と考えております。
 今回も、例えば新しい社会的養育ビジョンによって、里親制度のほうにむかっているわけですけれども、そこにおいて本当にこの制度が、子どもや親にとってよいものとして実施されているのかの検証が必要と考えます。その検証もなく、次々進んでいくことがあると、喫緊は重要だと思うのですけれども、やはり3年とか5年とか、どこかで中間見直しとしてモニタリングをしながら、もう一度、不足部分は見直していくというような政策の見通しを持った形でやっていただけると、さらにこうした打たれた政策が、功を結ぶのではないかと思います。
 もう一点は、先ほど松田委員からも地域の問題が出ておりましたが、私も都市部の待機児童の問題が大きく報道されることによって、多くの、しかも、今後、地域によっては、統合するなど経済的に運営が厳しくなっている保育所がたくさんあるということも感じております。ですので、そうしたところも含めた議論を手厚くやっていただくことで、全国を見たときに、いわゆる量の議論だけではなくて、どこの地域に住んでいても、子どもを中心に、家庭も含め支援される体制をつくっていくための政策という見方が必要ではないかと感じております。このあたり、今後、資料を出すときにどうするのかを考えていくことが必要と思います。
 私は内閣府の子ども・子育て会議では申し上げているのですが、いつも質の確保だけではなくて、質の向上がない限り実際にはよくならない。ところが、きょうの資料を見ると、全部「質の確保」と言う表記になってしまって、確保・向上から、もう向上の字は抜けている。これでよいのだろうかと、個人的にはちょっと忸怩たる感じもいたしました。
 今、各委員から発言等、御意見や御質問がありましたので、それに対して事務局のほうから御返答があればいただければと思います。
 八神審議官、よろしくお願いいたします。
○八神大臣官房審議官 先ほど山野先生から地域共生との関係であったり、人材の関係で御質問があったと思います。
 ちゃんとした答えになるかどうかはわかりませんが、地域共生に関しましては、高齢者対策あるいは介護、障害者対策とか、子育ての支援であったり、あるいは生活者困窮の支援の制度とか、いろいろな制度がそれぞれに充実してきておりますが、そういうところから漏れ落ちる、いろいろな地域の課題であったり、あるいは一つの世帯、お一人の方が幾つかの課題、複雑な課題を抱えてしまっているというようなこともだんだん出てきている中で、それを地域ぐるみで、何とかそういう対策を連携させながら対応していく、あるいは総合的、包括的に取り扱えるような相談支援機関を設けるとかというようなやり方があろうかと思います。
 そういったやり方をしながら、地域の力を、住民の方々の力をうまく引き出し、伸ばしていきながら対応していこうと、こんなことを進めていこうということで、今年の介護保険法改正の中でも、地域生活課題に対応してというような形で法律的な位置づけもしたりしております。
 待機児童の空白のところと直接の関係というのは、具体的に私もわからないのですが、例えば先ほどの社会的養育、虐待の問題なども地域共生と大いにかかわってくると思いますので、そういうところもぜひ御意見をいただきながら、地域共生社会の実現に向けて頑張っていきたいと思っています。
 人材の関係で、ソーシャルワークの質の向上、これも大変重要な課題だと思っております。
 先ほどの共生との関係でいいますと、社会的な資源、高齢化が進み、人口もだんだん減りつつあるような中で、いろいろな専門性を持った方をどのような形で養成していくかということはまた大きな課題で、高齢者の専門であったり、子どもの専門であったり、こういう方々の養成についても、一緒にできる部分がないかという問題提起も平成27年の新たな時代に対応した福祉の提供ビジョンの中で出ておりますので、そういう検討を進めていく中でまた考えさせていただければと思っています。
 ぜひまた御意見をいただければと思います。
 以上です。
○秋田部会長 どうもありがとうございます。
 吉田局長、よろしくお願いします。
○吉田子ども家庭局長 子ども家庭局長でございます。
 新たなメンバーを迎えての部会という形で、積極的かつ非常に有意義な御意見をいただきありがとうございます。
 重なるところも含めて、今日の御議論を拝聴させていただいて5点ほど感じたことを簡単に申し上げます。
 1つ目は、今の地域共生の話あるいは今日の議論の中でも、制度を超えて、あるいは従来、保育と社会的養護みたいなものが、別のように思っているものも実は地続きであるという、ある意味で当たり前ではありますけれども、我々、制度をどうしても縦割りに見がちな人間にとって、改めて心しなければいけない問題などなど幾つか頂戴いたしました。
 我々としても地域共生という旗を旗にするだけではなくて、それぞれの分野の共通する部分について、あるいは障害をはじめとするいろいろな、隣接といいましょうか、中に入っている部分も含めて丁寧に見ていくべきではないかという御指摘についても受けとめさせていただきたい、これが1点です。
 2つ目はそれと重なりますが、何よりも人材というのがこの分野は大きな問題だと我々は思っております。
 従来やれていたことをやり続けるにしても、新しい課題に取り組むにしても、人材を確保するという部分と、先ほど部会長からおっしゃっていただきましたように、質を上げるといいましょうか、それをよりスキルフルに向上させていくという意味でもなかなか難儀であって、かつそれを養成するというところまで行くわけでありますので、人の問題については、我々はこれからも丁寧に、かつ積極的に取り組ませていただきたいと思います。
 3つ目は、地域差といいましょうか、地域の違いという御指摘もいただきました。
 どうしても子育てというのがそれぞれの地域の社会資源の有無あるいはそこが置かれている環境の違いによって随分違うということに、この福祉といいましょうか、生活支援の分野というのは長らく地域差をなるべくきめ細かく対応するように、行政でいえば市町村の皆様方を中心に組み立てる。
 一方で、専門性ということでいえば、児童福祉の分野は児童相談所という都道府県レベルが中核となるという形でやってまいりましたけれども、そのあたりを含めて、どういう形で地域のそれぞれのところできめ細かく対応できるか。そのためには基礎自治体自体や、基礎自治体の職員の方々の状況をいろいろ整えながら進める。
 一方で、全国ベースで進めなければいけないこと、守らなければいけないこと、あるいは底上げをしなければいけないことというのを両にらみで進めさせていただきたい。これが3点目であります。
 4つ目は、これも部会長から御指摘いただきましたPDCA、モニタリングの問題であります。実際にきちんとやれていること、やりっ放しにならないように、その意味からも現場の皆さん方の声をきちんと聞く耳を持つ、それを受けとめるということを丁寧にやらせていただきたいと思います。
 最後に、例えばで申し上げれば新しい社会的養育ビジョンについて部会長代理からコメントをいただきました。
 我々としては新しい社会的養育ビジョンについても、いただいたこのビジョンを着実に、できるだけ早く、かつビジョンの中の言葉にもありますように、実際のお子さんに問題が起こらないようにというか、丁寧にはやりますけれども、スピードを持って着実に地域に対応するということを基本にしていきたいと思います。そのためにも現場の方々との間で丁寧なコミュニケーションが必要だと思いますし、部会長代理からおっしゃっていただいたように、そこに私どもの説明なり、発信の仕方に不十分さがあって、一生懸命これまで取り組んできた方々が、いろいろな思いを、複雑な思いを持たれているとする、そういうことを私どもも伺いますので、そこは丁寧に、私どもがその方々と向き合うと同時に、社会に対してきちんとそういうことではない、先ほどおっしゃっていただいたように、従来やるべきものをきちんとやりながら現在の状況の変化の中で何を足すのか、何を変えるのかということを我々は一緒に考えたいというメッセージを発していって、全体として、まさに平成28年、平成29年の児童福祉法の改正を踏まえた流れを着実なものにするという形で取り組ませていただきたいと思っております。この部会の皆様方あるいは部会のもとに置かれる専門委員会という形で、また、委員の皆様方にもいろいろと御指導いただくと思いますので、引き続き私どものほうに御助言いただければと事務局として思いましたので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
○秋田部会長 まことにありがとうございました。
 ちょうどの時間の終了ではなく、2、3分過ぎてしまって申しわけありません。
 これで本日は閉会にいたします。
 どうもありがとうございました。
 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会)> 第44回社会保障審議会児童部会議事録(2017年10月6日) - (1)

ページの先頭へ戻る