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2017年1月13日 第43回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成29年1月13日(金)16時00分~18時00分


○場所

中央合同庁舎4号館全省庁共用1208特別会議室


○出席者

委員

大日向部会長 秋田委員 小國委員 奥山委員
権丈委員 新保委員 松田委員 宮島委員
矢藤委員 山縣委員

事務局

吉田雇用均等・児童家庭局長 吉本大臣官房審議官 山本内閣官房内閣審議官
川又総務課長 川鍋家庭福祉課長 巽保育課長
神ノ田母子保健課長 野村少子化総合対策室長 竹内虐待防止対策推進室長
林母子家庭等自立支援推進官 楠目保育課企画官 平岩難病対策課長

○議題

(1) 最近の児童行政の動向について
(2) その他

○配布資料

資料1 小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果について
資料2-1 最近の子育て支援をめぐる状況
資料2-2 社会的養育関係の議論の状況
資料3 保育専門委員会における議論の状況(保育所保育指針)
資料4 遊びのプログラム等に関する専門委員会における議論の状況
資料5 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会(子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告))
参考資料1 平成29年度予算案の概要について(雇用均等・児童家庭局)
参考資料2 平成29年度税制改正大綱について(雇用均等・児童家庭局)

○議事

○大日向部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第43回「社会保障審議会児童部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりくださいまして、ありがとうございます。

 会議に先立ちまして、前回の児童部会(昨年の3月)以降に事務局に異動がありましたので、その御紹介をお願いしたいと思います。また、委員の皆様の出欠状況についてもあわせて御報告をお願いいたします。


○川又総務課長 事務局でございます。私、総務課長の川又と申します。よろしくお願いいたします。

 事務局に人事異動がございましたので、課長以上の者を御紹介させていただきます。

 雇用均等児童家庭局長、吉田でございます。

 それから、審議官、山本という者が着任しておりますが、本日、公務により遅れての出席となります。

 家庭福祉課長の川鍋でございます。

 保育課長、巽でございます。

 母子保健課長、神ノ田でございます。

 それから、本日、小児慢性特定疾病の関係がございます。平岩難病対策課長でございます。

 以上、よろしくお願いいたします。

 続きまして、本日の委員の皆様の出欠状況でございますけれども、本日は、大塚委員、松原委員の2名の方が所用により御欠席と伺っております。

 また、秋田委員におかれては、所用によりややおくれて御到着ということでお伺いしております。よろしくお願いいたします。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、ここから議事に入りたいと思います。

 最初の議題といたしまして、小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)の追加につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。


○平岩難病対策課長 難病対策課長の平岩でございます。

 まず初めにでございますけれども、平成27年の10月から、小児慢性特定疾病児童等に関しては、難病対策と一体的に取り組むべきということで、もともと雇用均等・児童家庭局の母子保健課のほうで所管しておりました小慢の関係が健康局の難病対策課に所管が移ってきております。本日は、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会で検討いただきました小児慢性特定疾病の追加についての検討結果を踏まえまして、追加の案につきまして御意見をお聞きするということでございます。

 まず、お手元の資料1について説明させていただきたいと思います。資料のほうを御確認いただければと思います。

 こちらの資料は、昨年の末に、先ほど申し上げた専門委員会のほうでとりまとめを行っていただいた検討結果でございます。1番が、「はじめに」とございますが、趣旨が書いてございます。児童福祉法の規定に基づきまして、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞いて、小児慢性特定疾病、我々、小慢とよく言っておりますけれども、こちらの小慢とすべき疾病の案、それから、その疾病の状態の程度に係る案、これを以下のとおりとりまとめていただいたということでございます。

 それから、2番目でございますけれども、検討の進め方が書いてあります。検討のプロセスでございますけれども、まず最初に、日本小児科学会のほうからトランジションの観点で指定難病への追加の要望があった104疾病のうち16疾病がまだ小児慢性特定疾病の対象になっていなかったものですから、その追加の検討を行ったと書いてございます。

 ちょっとわかりづらいかと思いますけれども、小児慢性特定疾病のほうは子どもの難病、それから指定難病は大人の難病でございます。その子どもから大人への移行が、小児期から成年期への移行をスムーズに行うという観点から、指定難病として追加すべきものを要望していたところ、その中に、16疾病についてはそもそも小児慢性特定疾病としても指定されてないものが含まれていたので、それをまず小慢にすべきかどうかということで検討を行ったということでございます。

 次の○でございますけれども、4つの要件について確認したということでございます。4つの要件といいますのは、慢性かどうか、生命を長期にわたって脅かすかどうか、それから、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させるかどうか、あるいは長期にわたって高額な医療費の負担が続くかどうか、こういった要件をそれぞれの疾病ごとに確認させていただいたということであります。

 あわせまして、これまで他の小児慢性特定疾病に含まれていると整理されていた疾病について、特出しをしたほうがいいのではないかというものがございました。それは4疾病あったのですけれども、それについてあわせて検討を行った次第でございます。

 3番目ですが、こちらが小慢として追加すべき疾病の案、それから、それぞれについてその状態の程度の案ということであります。

 1つ目の○は、結論がまず最初に書いてございまして、先ほど申し上げた16の疾病を検討の対象といたしましたけれども、そのうち14疾病について各要件を満たすということで判断をいたしました。残る2疾病のうち1疾病については、既存の小児慢性特定疾病に含まれるということで判断いたしたのとともに、残る最後の1疾病につきましては、4つの要件のうち、生命を長期にわたって脅かす疾病であることという要件を満たさないということで判断をいたしました。

 次のページへ行っていただきまして、他の小児慢性特定疾病に含まれると整理されていた4疾病についても、疾病の性質を考えて、4疾病とも疾病名を明示化すべきであろうと、これまで他に含まれていたものから特出しをして個別に独立したほうがよいであろうという判断がなされております。

 これらをまとめますと、既存の小児慢性特定疾病、これは704疾病ございましたけれども、別添の18疾病を追加するということを委員会の結論として定め、それぞれの疾病につきましても、疾病の状態の程度を別添2ということで定めてございます。

 7ページをごらんいただきたいと思います。別添2ということで横長の表が書いてございます。一番上の第何とか表と書いてあるのが疾患群でございます。その下に区分というのがありまして、これが疾病の大分類で、それから、疾病名、各疾病の状態の程度ということで書いてございます。

 7ページ目につきましては、慢性呼吸器疾患ということで、1つ疾病を追加させていただいております。

 次のページが神経・筋疾患ということで、大分類、幾つかに分かれておりますけれども、こちらでごらんのとおり13疾病について追加させていただいております。

 さらにその次のページ、第十三表ですが、染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群ということで、こちらに書いてございます4疾病について追加させていただいておるということでございます。

 それぞれの疾病につきまして、疾病の状態の程度ということで、重症度を書いておりますけれども、例えば8ページ目の一番上の偽性軟骨無形成症であります。こちらは骨の端っこに異常が生じまして低身長などの症状をあらわす疾病でございますけれども、ただ単に低身長というだけでは小児慢性特定疾病の対象にはならずに、疾病の状態の程度のところに書いてございますように、例えば骨折とか脱臼が続くとか、あるいは、ウのところにありますように、呼吸管理が必要になってくる。そのようなある程度重症なものについて対象とするという判断がされてございます。

 もとのページにお戻りください。4番の「今後の検討の進め方」でございます。こちらにつきましては、既存の疾病が704疾病ということでございましたので、18疾病を追加いたしまして、合計722疾病について小児慢性特定疾病として判断されたということでございます。

 それから、今回、そもそも検討の対象とならなかった疾病もございますし、検討はしたものの要件を満たさないとされた疾病もございました。こういったものについては、厚労科研費の難治性疾患政策研究事業等で研究を支援いたしまして、要件に関する情報が得られた段階で、改めて専門委員会のほうで議論してフォローしていきたいということで考えてございます。その際には、検討対象となる疾病について、慢性特定疾病の検討やその状態の程度に係る検討を行うとともに、その後、医学の進歩に合わせまして適宜必要な見直しを行っていきたいと考えてございます。

10ページをごらんいただきたいと思います。別紙参考ということでございます。真ん中あたりの43回児童部会というのが本日の分でございます。ここに至るまで専門委員会のほうで議論をし、それからパブリックコメントを実施しながらとりまとめを行っていただきました。こちらで意見を聴取させていただきまして了承がいただければ、予算成立後速やかに告示等の手続を行いまして、29年4月から、追加分につきましても医療費の助成を開始していきたいと考えてございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

 

○大日向部会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。


○小國委員 小國と申します。

 私は、小児科医といたしましてこの委員会に出席させていただいておりました。この新たに加えられました14疾病、また、一つの分類の中に含まれていた疾患の中で、疾患名が新たに分類の外に出された4疾病に関しましては、患者様団体と、それからまた医療者側の研究を綿密に検討いたしまして、認定するに値するという結果が出たものでございます。日常生活にかなり支障を来しまして、また、医療との連携が不可欠であります疾病ばかりでありまして、ぜひこの会でも認めていただきたいと思っております。

 今回、四肢形成不全という疾患が認められなかったわけですけれども、これはただ症例報告が少なく、研究が十分でありませんで、小児慢性疾病の中で「生命を長期にわたって脅かす疾病である」という部分がはっきりしていませんでした。ただし、これは今後の研究によって、あるいは患者様の状態を調査した研究と報告によって、今後検討していきましょうという前向きな状態での、今回は認定不可というような形になったものであります。今後の研究を支援していきたいという思いでクローズトしたような会でございました。

 以上です。


○大日向部会長 この専門委員会の委員をお務めくださいました小國委員から追加の御説明をいただきました。ありがとうございました。

 ほかの皆様からいかがでしょうか。

 特段ないということでよろしゅうございますか。

 それでは、資料1、小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果、別添2の18疾病及びこれらの疾病の状態の程度にあります小児慢性特定疾病の指定案について、御了承ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大日向部会長 ありがとうございます。それでは、本日のこの部会の意見を踏まえまして、新たな小児慢性特定疾病と疾病の状態の程度について、厚生労働大臣による追加の手続を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に「最近の子育て支援をめぐる状況と社会的養育関係の議論の状況について」、こちらも事務局から御説明をお願いいたします。


○川又総務課長 総務課長の川又でございます。

 資料2-1をお願いいたします。「最近の子育て支援をめぐる状況」ということで御報告させていただきます。めくっていただきまして、目次がございますけれども、一億プラン、保育の関係を中心に御説明させていただきます。

 スライドの右下のページ、1ページでございますけれども、昨年来、政府としては「ニッポン一億総活躍プラン」ということで取組を進めてきております。第1の矢、希望を生み出す強い経済、第2の矢、夢をつむぐ子育て支援、第3の矢、社会保障、介護離職ゼロなどということで、特に子育ての分野におきましては、第2の矢というところで、希望出生率1.8の実現を目指すということでございますので、待機児童の解消、保育人材の確保、女性や若者の活躍支援、総合的な子育て支援といったことを中心に特に取組を強化しているところでございます。

 めくっていただきまして2ページでございますが、ニッポン一億総活躍プランの一部抜粋でございます。ここは保育を中心に部分を抜粋しておりますけれども、保育の受け皿として待機児童の解消を目指して、受け皿の40万人分から50万人分に上積みする。あるいは保育士の処遇改善を行う等々の取組が盛り込まれたところでございます。これに基づいて補正予算、あるいは来年度の予算案の中で具体的な処遇改善等の予算を盛り込んでいるところでございます。後ほど御説明いたします。

 3ページをお願いいたします。保育の待機児童の状況でございます。右側に待機児童、利用児童とございますけれども、待機児童の欄の一番下、28年の4月時点での待機児童が2万3,553名ということで、依然として2万人を上回る水準となっているところでございます。

 この背景というか要因の一つとして、左側にグラフがございますけれども、折れ線のグラフは保育の利用率でございます。その年齢の層の児童の中でどれぐらいの割合の児童が保育を利用しているかということでございます。特に、緑の三角の折れ線がございますが、これは1歳、2歳児の保育所の利用率ということでございますが、平成21年時点では28.5%でありましたけれども、28年では41.1%ということで非常に急激に保育の利用率が上がっていることがわかるということでございます。

 その右側の図にありますように、待機児童のうち7割、71.1%は1~2歳児ということが特徴として挙げられるところでございます。

 4ページをお願いいたします。待機児童の地域別の状況でございますけれども、全国の市区町村のうち8割におきましては待機児童がゼロということでございますが、特に都市部、首都圏、近畿圏の7都府県と政令市、中核市等々で全体の74.3%、7割以上の待機児童がそこに集中しているという状況でございます。掲載されております表は、左側の上が、待機児童が27年と比べて100人以上減少した市区ということでございます。その下が、逆に100人以上増加した市区ということで、順番に並べておりますけれども、100人減少した市区の右側、どれくらい保育の定員数をふやしたかというところを見ると、上位の減少自治体におきましては定員をかなりの割合でふやしていると、努力されているということがわかると思います。

 右側の表は、待機児童が200人以上の自治体でございます。

 5ページでございますけれども、こうした状況を踏まえて、「待機児童解消加速化プランの更なる展開」ということで、平成29年度、来年度の予算案に必要な予算を盛り込んでおります。

 1つは保育園の整備の推進、保育園等改修の支援ということで、来年度、平成29年度末に必要となる保育の受け皿の整備に必要な予算、それから左の下ですが、多様な保育サービスの推進ということで、育休終了後の入園予約制、あるいは3歳未満対象のサテライト型の小規模保育等々の多様なサービス、それから、きめ細かな工夫をするということ。それから、右側ですが、保育人材の確保ということで、宿舎の借り上げ支援、潜在保育士の再就職支援等々に取り組むということ。それから、右側の下ですが、安心かつ安全な保育ということで、事故防止の推進、あるいはICT化による効率化等々に必要な予算を盛り込んでおります。

 6ページをお願いいたします。保育士の処遇改善でございますけれども、マル1のところが「保育士の処遇改善」ということで、1,000億近くの公費を措置しております。1つは、勤務する全ての職員についての2%相当、月額にして6,000円程度の処遇改善。これは全職員の方について行う。そうした上で、技能・経験を積んだ職員については上乗せするということで、経験年数がおおむね7年以上で、必要な研修を経た中堅職員に対して月額4万円、それから、経験年数がおおむね3年以上で研修を経た職員について月額5,000円といった追加的な処遇改善を行うことにしております。

 研修ということですけれども、来年度は初年度ですので、そのあたりは必要な経過措置を置きつつ、保育所の保育士、あるいは職員の処遇改善を行うということでございます。

 マル2は放課後の児童支援員の処遇改善、マル3は民間の児童養護施設の処遇改善ということですけれども、保育に合わせて、そこに記載のような処遇改善をそれぞれ行うこととしております。

 7ページですけれども、ここ最近、保育士の処遇改善はかなり取組を進めてきております。24年度末に比べまして、柱が立っておりますが、29年度のところを見ていただきますと、処遇改善の取組、あるいは人事院勧告に合わせた公定価格のアップによりまして、+10%、それから、最大4万円の先ほどの技能・経験を積んだ職員への上乗せということで、10%+4万円といった形で処遇改善を進めているところでございます。

 8ページをお願いいたします。ここからは児童虐待等の取組でございますけれども、これまでの児童相談所におきます虐待対応件数の推移を折れ線グラフで示しておりますが、一番右側、平成27年度におきましては103,286件ということで、初めて10万人を超えたということがマスコミ等でも報道されていたところでございます。

 その中身を見ますと、その下の表ですが、身体的虐待が27.7%、特に多いのが心理的虐待ということで47.2%、半数弱が心理的虐待になっております。相談の経路につきましては、特に警察等というところが37%となっておりまして、心理的虐待、特に面前DVと言われておりますケースについて、警察を経由して通報されるケースが非常に多くなっているという状況でございます。

 9ページでございますけれども、これらに対する予算案における取組ということで、児童相談所の設置の促進、中核市や特別区においても設置を促進するための補助、あるいは法的対応を進めるということで、弁護士の配置に対する補助、あるいは市町村の相談体制の整備ということで、拠点の整備、あるいは研修に必要な予算を整備しております。

 また、一番下ですが、全国共通ダイヤル「189」を平成27年7月から進めておりますけれども、来年度はコールセンター方式ということで、音声ガイダンスにかわるものを、特に携帯電話ですと発信が特定できないということで、コールセンターなどの取組を進めることとしております。

10ページですが、「社会的養護の推進」ということで、家庭養護の里親支援事業の創設、あるいは自立援助ホームの援助の年齢を22歳の年度末までと。大学就学中の支援等々にまで延長するということに必要な予算を確保しております。

11ページですけれども、子育て世代包括支援センターということで、これは平成32年度末までに全国展開を目指そうという、ワンストップで妊娠期から子育て期にわたる支援を行うというものでございますが、こうしたセンターの整備も進めております。

 また、12ページをお願いいたします。厚労省全体として、我が事・丸ごとということで、高齢者、障害者、子ども、縦割りを廃して、地域を中心にサポート体制、相談支援の体制をつくっていこうということで議論を進めております。12ページはそのイメージの図でございますけれども、そうした取組も進めているということを御報告させていただきます。

13ページ、最後ですけれども、児童扶養手当法の一部改正ということで、これは昨年の5月に既に成立している法律でございますが、児童扶養手当の加算額を倍にするということで昨年の8月から施行されておりまして、昨年の12月から実際に増額した加算額での支給が開始されているという状況でございます。

 この2-1は以上ですが、その他、資料の中で参考資料ということで、一番下に参考資料1としてより詳しい雇用均等児童家庭局の予算の概要がついておりますが、参考資料2ということで、一番下になるかと思いますけれども、税制改正について、特に企業主導型の保育での固定資産税の減免など、税制改正についての資料が添付されておりますが、説明は省略させていただきます。

 資料2-2につきまして、川鍋家庭福祉課長のほうから説明します。


○川鍋家庭福祉課長 それでは、資料2-2をご覧頂きたいと思います。

 1ページですけれども、昨年6月に公布されました改正児童福祉法の概要でございます。大きく4点ございます。一番右の括弧書きの数字は施行期日ということです。

 1つ目ですけれども、児童の権利についての明確化ということで(1)です。それから(2)ですけれども、国・地方公共団体は、保護者を支援するとともに、家庭と同様の環境における児童の養育を推進するということを明確化されております。それと一緒に、国、自治体、市町村それぞれの役割の明確化。それから、(4)ですけれども、親権者について、必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならないという旨が明記されております。

 2つ目の柱ですけれども、虐待の発生予防でございます。市町村は、切れ目のない支援を行うための母子健康包括支援センターの設置に努めるとされております。(2)ですけれども、支援が必要な妊婦について、把握した医療機関、あるいは学校などは、その旨をきちんと市町村に情報提供するよう努めるということになっております。それから(3)ですけれども、母子保健施策が児童虐待の発生予防・早期発見に資することに留意すべきことが明確化されております。

 それから3つ目の柱ですけれども、虐待が発生したときの迅速・的確な対応というところで、(1)ですが、市町村は、必要な支援を行うための拠点の整備に努めることになっております。(2)ですけれども、市町村が設置している要保護児童対策地域協議会に調整機関がございます。コーディネーター機関ですが、そこに専門職を配置するものとする。(3)ですが、政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとするということで、児相設置の拡大が図られます。(4)ですが、児童相談所に児童心理司、あるいは医師・保健師といった職員を置くとともに、ここで今回、弁護士の配置、あるいはこれに準ずる措置を行うものとするということにされております。(5)ですが、児童相談所から求められた場合には、医療機関や学校等は資料等の提供ができるということにされております。

 最後、4つ目の柱ですけれども、児童の自立支援ということで、まず(1)、親子関係再構築支援について、施設、里親、市町村、児童相談所の関係機関が連携して行うべきということが明確化されております。(2)ですけれども、児童相談所の業務として、里親の開拓、それから児童の自立支援までの一貫した里親支援というものを位置づけております。(3)ですが、これまでなかったのですけれども、養子縁組里親を法定化するとともに、児相の業務として、養子縁組に関する相談支援を位置づけております。(4)ですが、自立援助ホームについて、22歳の年度末まで、大学等、等というのは専門学校ですけれども、就学中の者を対象に追加されております。

 これが、全体、大きなポイントになりますが、下に(検討規定等)とございまして、一番最初の○ですが、要保護児童の保護措置に係る手続における裁判所の関与の在り方、あるいは特別養子縁組制度の利用促進の在り方を検討するという検討規定がございます。その他、2つ目、3つ目の○、このような検討規定がございます。

 それで、2ページを見ていただきたいのですが、今申し上げた改正児童福祉法を円滑に施行を行うとともに、検討規定でもございましたが、法案提出までに結論が出なかった課題というものがございましたので、現在、ここに書かれているような4つの検討会とWGを開催しております。

 若干ポイントを申し上げると、2ページの一番左の下の青字の部分から申し上げますが、1つは、児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会ということで、これは昨年の夏から、法務省、最高裁の協力を得て検討しております。

 右側の上ですが、子ども家庭福祉人材の専門性確保WG、これも同様に検討を開始しております。

 その下の市区町村の支援業務のあり方に関するWG、これも同様に、今、WGとして開催しております。

 一番左の上の赤で書いてある部分ですが、もう一つ、新たな社会的養育の在り方に関する検討会というのがございますが、この検討会だけは、ほかの3つの検討会、WGと位置付けが違いまして、改正法の進捗状況を把握しながら、新たな子ども家庭福祉の実現に向けた制度改革全体を鳥瞰するということで、ほかの検討会とWGの進捗状況も踏まえて全体を鳥瞰する位置づけとなっており、大臣のもとで開催するという位置づけになっております。

3ページ、4ページにそれぞれの検討会、WGの開催状況が書かれております。例えば、本日午前中に、一番左ですが、新たな社会的養育の在り方に関する検討会というのを開催しております。その他、それぞれの検討会のテーマ、課題に沿って、特に本年4月から施行するものがございますので、それに向けて、今、鋭意検討を進めておるという状況であります。

 これが今回の改正児童福祉法の関係、検討状況ですが、各検討会のそれぞれ細かい開催の趣旨なり検討事項、あるいは検討会のメンバーについては、この5ページ以降にそれぞれ資料をつけさせていただいておりますので、ご覧になっていただければと思います。

 それともう一つですが、13ページを見ていただくと、昨年の1216日に、これは議員立法ですが、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律というのが公布されました。それで、ポイントを申し上げますが、現在、民間あっせん事業者については、まず、第二の「民間あっせん機関の許可等」というところを見ていただくと、これまで、第二種社会福祉事業の届出でありました。これを今回の法律で、都道府県知事の許可が必要ということで許可制度を導入しております。これについては、「第一 総則」の「一 目的」に書いてありますが、事業所の所在地の都道府県知事の許可が必要になります。これを義務付けております。

 許可された場合には、都道府県知事は許可証を交付することになっている。許可証の有効期間は3年で、これを更新する必要がある場合はまた手続をとっていただく。更新の期間は5年。このような形で、許可制度が今回導入されたというのが一つの大きなところです。

 もう一つ、このあっせんを行うに当たって、「児童の最善の利益等」というところで、総則の3つ目ですけれども、「児童の最善の利益を最大限考慮し、これに適合するように行わなければならない」とされています。また、「可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう、行わなければならない」と法律上書かれております。

 今の第二の「民間あっせん機関の許可等」の許可制度の中で、従来いろいろ問題になっておりましたけれども、手数料については厚生労働省令で定める種類の手数料に限定されておりまして、それ以外についてはとれない、とってはいけないというような形に書かれております。あっせん事業者については帳簿の備付け・保存・引継ぎ、自己評価とともに第三者評価が必要であるということ、こういったことが今回の法律で定められております。

 第三のところですが、ではそのあっせん事業者が行う業務は何かというのが、これも法律上、一から十三までの点についてそれぞれ書かれております。例えば「相談支援」については、児童の父母、実父母、それから養親希望者について、面会の方法で相談に応じと、規定がされています。

 それから、幾つかポイントを申し上げると、3つ目に「養子縁組のあっせんを受けることができない養親希望者(研修の修了の義務付け等)」と書いてありますが、これは法律でどのように規定されているかと申しますと、あっせんを受けることができない養親希望者というのは、これはそれぞれ条文で書かれていますが、成年被後見人とか、被保佐人とか、禁固以上の刑に処せられている者とか、その中で厚生労働省令で定める研修を受けることが義務づけられていまして、研修の受講が修了してない養親希望者についてはあっせんを受けることができないとされています。こういった形で、それぞれ、業務についてはここに書かれているような事項について書かれております。

 厚生労働省が行う点について、雑則のところに一と書いてありますが、厚生労働大臣は、このあっせんに係る指針を作成して公表しなければならないということになっておりますので、こういう点が国のほうの役割としてあるということです。

 「罰則」は、幾つか幅がありますが、無許可でこういうあっせんをした場合には、一番重いのが懲役1年以下で、一番下が罰金30万円以下という規定の仕方がされています。

 「施行期日」ですけれども、公布の日から2年以内という形で施行期日は決まっていますが、具体的にいつからというのは今まだ決まっておりません。今後、その点も含めた政省令の作業はこれから行うということでございます。

 今申し上げた点について、民間あっせん機関と、例えば都道府県、あるいは児童相談所とのかかわり、あるいは実親、養親希望者とのかかわりというものを一応イメージすると14ページのような形になるということでございます。上段が、今申し上げた許可とか、あるいは児相との連携とかいうもので、それぞれ矢印が入っておりますけれども、実際に民間あっせん機関が親御さんとかかわるのが、左側は実親さんとの手続的な関係はどういうものがあるかということと、右側が養親希望者さんとの関係でどういうものがあるか。最終的な話としては、一番下に家庭裁判所と書いてありますけれども、家裁の審判で特別養子縁組が成立するということになるわけですが、今回の法律では、特別養子縁組が成立した後も養子縁組成立後6カ月間の看護状況の確認というのが最終的にマル9で入っておりますが、そういった一連の手続をこの形でやっていくというようなイメージになるということです。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。事務局から、最近の子育て支援をめぐる状況、そして社会的養護関係の議論の状況について御説明をいただきました。

 ただいま事務局からいただきました報告を含めまして、委員の皆様に、最近の児童行政の状況について御意見などをいただきたいと思います。お一人お一人、順番にいただければと思いますが、よろしいでしょうか。大体3分程度ということを考えております。順番、どういたしましょうか。

 時計回りで、山縣委員からこうでもよろしいですか。

 では、お願いいたします。


○山縣委員 意見を言う、感想を言うという形でしょうか。


○大日向部会長 今の御報告に関してでもいいし、全般的なことで、児童行政全般に関して委員の皆様が今考えていらっしゃることをお聞かせいただければということでございます。


○山縣委員 わかりました。では、2~3分ということですので。

 私は、今幾つかあった会議体の複数に所属して検討に参加させていただいているのですけれども、それについてはもうかなりいろんな形で周知されていますので、特に追加することはないのですが、日本として考えなければならない大きな課題は、少子化だけではなくて、少子化のバランスが崩れているということではないかと思っています。いわゆる過疎地ということですけれども、その地域において子どもが減少していることにより、子どもの育つ環境にかかわる社会資源、例えば、代表的なもので言うと幼稚園そのものがもう既にほぼ完全撤退に近い状況にあると。一方で、にもかかわらず、保育所の認定こども園化が必ずしも進んでいないということは、制度を厳密に維持するならば、いわゆる1号認定と称している子どもたちの行き場所がなくなってしまうという大きな課題。

 それから、そのことが結果として地域そのものが継続していく、いわゆる子どもが減るということはその親世代が減っているということになりますので、結果としてその地域そのものの活力が下がり住みにくい環境になっていくという、そのトータルな視点が、少子化、子ども視点だけでなくて、地域そのものの存続という視点から検討していく必要がある。このことに関して、今、省を超えた議論が一部されているというのはよく承知しておるのですけれども、もっとそれを積極的にしなければ、これは議事録的には非常に難しい表現になりますけれども、全ての市町村を今までのように残していくという戦略を最早維持できない事情に地方はなってきているのではないだろうかと。そういうところの検討が必要だと思っています。私自身が待機児の定義等にかかわりながら、待機児以上に、実はそちらのほうが日本においては今深刻なのではないかなあという認識をしています。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 矢藤委員、お願いいたします。


○矢藤委員 矢藤と申します。私は保育・教育が専門なので、その観点からお話をしたいと思います。

 1つは、先ほども御案内がありましたとおり、児童福祉法が児童の権利に関する条約の理念を明確に盛り込んだものになったことを機に、保育や幼児教育の提供についても、量の確保のために最低限の安全の確保といったようなところにとどまらず、全ての子どもに質の高い保育・教育を提供することを推進するということを進めていく必要があるのではないかと思っています。つまり、児童福祉もターゲット型からユニバーサル型に転換するということを明確に進めていく必要があるのではないかと考えています。

 その際、質の確保のところで、保育、幼児教育にかかわる専門職等の養成について大きな課題があると理解しています。福祉系の資格の基礎的な部分を統合するといったような方向性も聞こえてくる中で、一方で、先ほど申し上げたような観点から、乳幼児期の質の高い保育教育を全ての子どもに提供するために、専門家の質の向上が求められると考えています。これについて、先ほども御案内があったとおり、キャリアパスですとか処遇の向上といったような政策という次元での対応がありますけれども、恒久的な制度として法定化するなどして、量も確保しつつ質を高めるために、幼稚園教諭との整合性等にも鑑みて、子どもにかかわる専門性の養成の体系的なグランドデザイン、これを文科省と内閣府と一緒になってやる必要があると思うのですが、そういうことによって、例えば広く福祉の専門職が必要になってきますが、一方で、例えば保育資格を階層化するなどして、より専門性の高い人たちも養成していかなければいけないと考えています。

 もう一点だけつけ加えると、山縣委員のお話にも重なるのですが、各地域で子育て等の制度の運用がさまざまニーズも違っていまして、地域ごとにカスタマイズしていくということが今般の子ども子育て支援の制度の趣旨でもあるかと思いますが、実際に柔軟に効果的に制度を運用されているかということについては疑問を持たざるを得ないようなこともありますので、子ども子育て会議の運用等も一層効果的なものとして促すように求めたいなと思っています。

 例えば保育等の質の確保について、小規模保育のような事業について役場の指導等が全く追いついてないで放置されているような状況も聞き及んでいますので、全ての子どもの最善の利益が保障されるような形が地域レベルでしっかり推進されることを求めたいと思います。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、宮島委員、お願いいたします。


○宮島委員 機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 児童福祉法も改正されて、子どもの家庭福祉が前進、本格的になっていることを本当に期待しております。その中で、私のほうからは、本当に具体的なことですけれども、3点申し上げたいと思います。

 1つは、市町村に子どもと家庭を支援する拠点を整備するということになっていますが、これには非常に期待しているところですけれども、現在、WGで示されている職員配置基準は極めて低い基準にとどまっていると。小規模型と標準型と大規模型に分かれておりますけれども、そして、小規模型はさらにA、B、Cと分かれておりますが、実際に市町村の実態を見ると、多くの都道府県においては、標準型は余りない。大規模型なんてほとんどない。小規模型のAとBばかりが多い。人口の少ない市町村が多くなっていますので、この配置基準で言いますと、相当大きなところでも常勤が1人、非常勤3人でやっていいよということになる。そこで要対協も持ってもいいよと。

 今、大変な中ですけれども、ほとんど全ての市町村に要対協がある状態が確保されています。しかし、かえってこれが、共同設置などが緩やかに行われますと現状より水準が下がってしまうことだってあり得る。この共同設置等は地域の実情に応じて必要だと思いますけれども、相当程度の要件等を決めないと、市町村は財政状況が厳しいですから、拠点整備でお金がもらえて、共同設置をして民間に業務を委託できるとなれば、市町村から当事者性が失われるということになる。そうしますと、かえって子どもと家庭に対する支援を自分のところできちんとやらなければいけない、母子保健と共同して力を合わせてやらなければいけない、この体制が後退しかねないという面もあるのではないかと心配しております。これが1点目です。本当に努力されている中だと思うのですけれども、やはり気をつけないといけないのではないかと、さらなる努力をお願いしたいと思います。

 あと、児童相談所の設置促進なのですけれども、これが中核市とか東京23区のほうではある程度実施されるかもしれませんけれども、かえって、先ほどの1つ目と同じですけれども、人口規模が非常に偏っておりますので、しかも、20万人程度のところとか40万人程度のところで児相ができると、その他は過疎地域や小さい市ばかりということになってしまう。こうなると、相当の格差が生じる可能性がある。これを踏まえると、都道府県による児童相談所の設置促進もあわせて考えていく必要があるのではないかと思います。

 あともう一点だけ、済みません。児童相談所については、一時保護所の状態が本当に厳しい状態で、報道もされておりますけれども、子どもたちがせっかく救い出されたのに制限が非常に多くて、管理的にならざるを得ない、子どもも職員も疲弊している、こういった状況が一時保護所にあります。これらに対して続けて改善の努力をお願いしたいと思います。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、松田委員、お願いいたします。


○松田委員 松田です。よろしくお願いします。

 私は少子化を研究しておりまして、その観点から保育などを見たりしております。今回の資料を拝見させていただきましても、保育にかかわらず、児童福祉及び関連分野において対応すべき課題は余りに多数であるということを改めて感じました。ですから、着実に、総合的にやはり進める必要があるだろうと思います。その上で、特に保育に関しての視点から申し上げたいのですけれども。申し上げたいことは1つです。で、関連する話を加えます。

 申し上げたいことは、保育の量的拡大をここまで進めてきました。これは必要な政策だったと思います。しかし、そろそろターニングポイントに来ていると思います。量的拡充をできるだけ抑制し、質的な転換に結びつけていく時期に来ているのではないでしょうか。また、量的拡充にものすごい費用が投入されております。今回、予算を見ても、そこにかなり大きいのですけれども、大事ではあるのですが、そこばかりで児童福祉の行政は動いているものではないですから、そこの分野をできるだけ効率化して、ほかのさまざまな、今日説明された社会的養護を含め、そちらのほうに振り向けて、バランスよく行政を進める必要があると思います。

 その背景をもう少し細かく申し上げます。量的拡充なのですけれども、これはまず、今日説明あったとおり、保育に関しては、全国的にはもう待機児童というのはほとんど解消されている部分がある。私、愛知から来ておりますが、愛知はほとんど議論になっておりません。愛知で保育園に入っている方というのは、東京では入れない基準の方ももう入れているような状態になっていると。ですので、やはり首都圏を中心とした視点であると思います。また、量的拡充が今かなりのあつれきを生んでいるというのはニュースでも取り上げられるところでして、保育園を新しく設置するということに反対の声が起きるというのは、もうかなり無理なところまで動いてきているというところもあるかと思います。

 そして、あと2つ申し上げますと、人口減少の流れがこれからものすごい急速に襲います。子ども数が出生100万人を割ったということが出ましたけれども、これから加速して減っていく中で量的拡充に頼るというのはちょっと危険だと思います。

 以上を踏まえまして、どうしたらいいかですけれども、量ではなく、さまざまな方法で待機児ですとか保育事業に対応することが可能だと思います。それは、つまり、保育需要をさまざまなもので対応していくということを促してはどうかと。これは既に政府でもやられている方針です。育休を延長するなどして対応していく。そこに0歳児保育にかなりのコストがかかっております。スウェーデンでは0歳児保育はないのですけれども、そうしたものを育休などで代替していく方法ができるとうまく活用できると思いますし、また、認定こども園や幼稚園という既存の施設の活用や小規模保育などが必要だと思います。

 また、私がかかわっている調査の一部ですけれども、既に保育園、待機児童がいる園、地域におきましても、定員があいている園が発生している。ですから、そうしたものをやはり活用していくということの視点が必要ではないかと思います。これが1つです。

 待機児対策に関してもう一つだけ、ちょっと細かな話を申し上げると、本日の資料に待機児の数はあるのですけれども、どのような方が待機児になっているかというデータがない。これは各市区町がデータ化しておりません。それはやはり厚生労働省のほうから吸い上げるという仕組みがあっていいのかと思います。

 最後ですけれども、量的拡充を全面否定しているわけでは決してないです。ただ、そこでのコストというものをもう少し幅広い施策に振り向けて総合的に社会福祉、それを拡充していく時期に来ているのではないかというのが私の意見です。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、次に新保委員、お願いいたします。


○新保委員 ありがとうございます。私からは3つお話しさせていただきたいと思います。

 1つは、改正児童福祉法を受けた児童相談所の在り方についてのこと。2つ目が、保育所の職員配置について、ソーシャルワーカーについてどうなのだろうかということ。3つ目が、給付型奨学金。中でも社会的養護分野の施設に入所している子どもたちが給付型奨学金を受けられるようになるわけですけれども、そのことについての厚生労働省としての役割ということについてお話をさせていただければと思います。

 1つ目の児童相談所の在り方ですけれども、今般の改正児童福祉法というのはかなりいいものとしてつくっていただいたとまず思います。その上で、児童相談所の役割というのが物すごく多くなってくると思います。まだ見えにくいかもしれませんが、養子縁組里親に関すること、これは真剣にやり始めるととても手間暇がかかりますし、児童相談所の業務量というのは大幅に増大するということが考えられます。ですから、この点については、量的な面においてまず、児童相談所の職員の配置ということについて、児童部会として職員を確保するということについて前向きに検討したいと思います。

 と同時に、養子縁組里親のことをやるとすると、民間あっせん団体がかなりかかわってくる、かなり重要な役割を果たすと同時に、民間参加医療機関の立場から言うと、行政機関たる児童相談所も民間のあっせん団体とともにかかわってほしいという思いがあるようです。民間のあっせん団体とだけ関係を持つよりも、児童相談所が間に入ってかかわってほしいという意見を持っていらっしゃった参加の医療機関の方はとても多かったなと感じています。この点も御考慮に入れていただきたいと思います。

 2点目は、保育所とソーシャルワーカー、ちょっと奇異な感じがあるかもしれませんが、学校教育の現場にスクールソーシャルワーカーが、少しずつですが、導入されています。一方で、保育士と保育所のことを所管する厚生労働省の社会保障審議会というこの部会において、保育所の保育士を確保することが大変だという時代において、保育所における地域支援の役割をソーシャルワーカーにお願いするということも、人材確保策としてもよいのではないかなという感じがします。

 と同時に、地域への支援、今度、子育て世代包括支援センターというのができてきますが、そことつなげるという役割、それから、学校のスクールソーシャルワーカーとつながっていくという役割などを考えると、保育所にソーシャルワーカーを置くという発想があってもいいのではないかなあと思います。これが2点目です。

 3点目が、文部科学省が多分中心となって給付型奨学金の仕組みをつくっていただいています。とてもありがたいことですし、ぜひ進めていただきたいと思います。ただ、現状では、社会的養護分野の子どもたちが、最初、比較的優先的にこの給付型奨学金を受けられるようになる、とてもありがたいことですが、さて、本当に児童養護施設に入所している子どもたちが優先的に採用していただけるのか。そのときに必要な内申点などを確保することができるのだろうかという思いを持っています。

 その点を考えると、厚生労働省が本件について、給付型奨学金についてもう少し意見を言ってもいいのではないかなという気を持っています。そうすることによって、社会的養護分野の子どもたちが奨学金を実質的に受けられるという状況を確保しやすくなるのではないかなあと考えております。

 以上、ありがとうございました。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、秋田委員、お願いいたします。


○秋田委員 ありがとうございます。

 まず、本当に厚労省のほうの御尽力でいろいろな予算的な措置を含め子どもたちのためにいろいろなことをやってくださっており、有難く思っております。児童福祉法の改正においても、より子どもの人権を保障するという最善の利益というようなところがより強められたということは非常に望まれることだと思っております。

 児童家庭局であり子ども家庭福祉なのですが、例えばきょうの資料の2-1を見ると、なぜか、最近の子育て支援というので、子ども子育てということを私たちは議論してきたのですが、いつの間にか、量の拡充とともに、行政の言葉も「子育て支援」だけになって、「子ども」の語が消えているんだなあと思いました。事前に資料を送っていただいたときに、こういうことが恐らく量的拡充のあらわれになってきていないだろうかと若干危惧しながら見せていただきました。

 保育に関しましては、先ほどから何名もの委員の方が言われているように、量と質の問題というところから、私はもう少し、平等と卓越性というところに、量に関しても、入れる子、入れない子とか、地域の問題だけではなくて、それが本当に全ての子どもたちに等しく保障されているのだろうかというようなことを疑問に思ったりしております。そのあたりを今後さらに貧困の問題とともに考えていくことが、課題大国日本と海外からは言われておりますので、考える必要があるのではないかと思っております。

 例えば私もかかわらせていただいた、保育士等の処遇改善等に関して、技能や経験を積んだ職員にということで研修体系等も考えられ、放課後児童、民間児童養護施設等でもこうした研修体系の議論が進んでいます。けれども、実はここの保育士等は認可の保育所が対象になっています。

 しかし、もっと小規模保育や認可外保育施設などの施設にも目を向け、そうしたところの保育士さんも研修を受けられ、その質をあげるためにも、どの子どももいろいろな研修を受けた人から保育を受けられることが必要だろうと考えております。また、こうした予算的措置だけではなく、そろそろ私どもは、児童福祉や保育にかかわる人の研修については、保育教諭や文科省の幼稚園教諭は研修の権利を持ってございますが、実際には保育士は研修をキャリアアップ等で準備はしているのですが、研修の権利が法的には保障されていません。法的な措置と予算とが一体化して恒久化していくことが今後、目前のことだけではなく、長期的に考えていくと非常に重要な問題になるのではないかと思います。都市の問題と過疎の問題においても、平等に本当に進んでいるかということと同時に、それぞれの地域の園の予算を確認できるような形というのが今後求められるのではないかと考えております。

 もう一点ですけれども、きょうの資料の中でも、資料2-1のほうで、地域における住民主体の課題解決力強化、包括的な相談支援体制のイメージということで、地域を中核にしながら、福祉という問題について全体として取り組むイメージ図が出されています。このことは、今後、子どもを中核にしながら、まちづくりであるとか、子育て支援もそうですけれども、人の輪をつくっていくためのアイデアを出してくださったと感じ、非常に重要であると思います。

 先ほどソーシャルワーカーという話がありましたけれども、ソーシャルワーカーであったり、それから、今、コミュニティコーディネーターのような職を先進的につくっている自治体もございます。今後、そうした形で、保育の専門家と同時に、福祉の専門家が地域の中で、子どもの福祉も含め地域全体をつないでいくような専門家の育成も考えていくことが必要であろうと思います。

 そのときにも、長期的な視点が必要であろうと思います。なぜ長期的と申し上げるかというと、OECDのデータで保育士の年代別比率に関する世界比較があります。20代が6割を超えるというのは我が国だけでありまして、日本と韓国とトルコだけが20代が圧倒的に多い。要するに、離職率が極めて高い。それに対してほかの世界各国を見ると、20代、30代と各年代がバランスよくいる。要するに、バランスよくいるということは、雇用が続いていて、専門家がずうっと働き続けるサイクルをうまくつくってやっていることを意味します。この比率は急に変えられるものではありませんので、やはり長期的な形で今後の福祉を地域でどのようにつくっていくかという視点が重要かと思っております。

 以上でございます。


○大日向部会長 ありがとうございました。

それでは、小國委員、お願いいたします。


○小國委員 私は、発達障害の支援という観点についてお話しさせていただきたいと思います。

 厚生省の取組で、児童発達支援センターでありますとか児童発達支援事業というのが2012年から非常によく取り組まれておりまして、受け入れ体制が整いつつあるところであるとともに、子育て支援のほうも非常に充実してくださっている観点から、親も相談しやすく、それで、発達障害児のことを支援する体制が整いつつあるということは非常に喜ばしいことでして、本当にありがたいことだと思っております。

 一つ一つを見ていきますと、すごく充実して従事している療育の先生方も非常によく取り組んでくださっていて、内容もとてもいいことをやってくださっているのですが、その療育の状況が全く外部にわからないために、その療育園がどういう取り組みをしているかという事を知ることが難しいのです。障害者の方たちというのはいろんな幅広いニーズがあるわけで、特に高機能の方などを考えてみますと、とても療育園に受け入れられないのではないかというような親の先入観がありましたり、あるいは医療者側もどこへ紹介していいかわからないというような状況が今起きています。いわゆる一つ一つはいいのだけれども、それが何をしていて、どういう人たちが行くところなのかというところに関してわかりづらいのです。知的障害のある方に関しては、療育センターへの連携がとれているのですけれども、今拡充してくださっている高機能の発達障害に関しては、なかなか連携が取れないという問題がある。親にしてみれば、どこへ行っていいかわからない。医療側はどこに紹介していいかわからないという事が起きています。

 そして、一方、療育園、発達支援の事業所のほうでは空きがあるというような状況が出てきているのですね。空きがあるのだけれども、それをどうやってアピールしていいかわからないというような、ちょっとアンバランスが起きておりまして、何かもったいない状況があります。事業所のリストはホームページに厚生省から(各自治体から)しっかりと出ているのですが、場所と名前しかないのです。

 そうしますと、空きがあるのかないのかという事を一件一件電話しないとわからなくて、内容も、一件一件電話しなければわからないという実情があります。地域に、近くにある事業所であればある程度わかるかもしれませんけれども、ちょっと離れますと全くわからないという状況になってきます。今、医療の現場では、お母様に、自分の地域の事業所に一件一件電話をかけていただいて確かめていただくというような形をとらざるを得ない状況になっている現状でして、本当にそこが歯がゆい感じがあります。もし厚生省とか国或いは地方自治体で、ホームページに事業所の連絡先、場所に加えて簡単でいいから、内容、それから、空きがあるのかないのか、そういう情報をそこに入れていただくと、医療者側にとっては非常にやりやすいと思います。それから、今、医療側も療育との連携を非常に強く必要性を感じておりまして、この次の日本小児神経学会でもそういうディスカッションが組まれております。連携の必要性に対する思いは医療、療育、利用者それぞれにあるのに、それがつながらないというところが、やはり情報の共有化がうまくいっていない結果ではないかと思うので、ぜひ情報をそういう一つのところで出していただいて、みんなが利用できるような環境を国が整備していただけると本当に連携がとりやすくなると思いますのでお願いしたいところでございます。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、奥山委員、お願いいたします。


○奥山委員 3点ほどお話ししたいと思います。

 今、小國先生がおっしゃってくださったような発達支援センターですとか、それから放課後児童、デイですね。この辺も非常に地域にふえている中で、私たち自身も保護者に説明するときに、数の把握というのでしょうか、新しくどんどんできてきているものですから、それをリスト化して、行政のほうも追い切れてないぐらいの勢いで今ふえているかなあと感じております。

 実はそういった地域のいろんな社会資源の部分について、このたび、地域子ども子育て支援事業に位置づけられました利用者支援事業ですね。こちらがスタートして2年になりますけれども、そういった地域の情報をキャッチして、リスト化して、それで保護者に対応できる環境が、取り入れてくださったところでは少しずつ普及してきているかなあと思っておりまして、より利用者の現状に応じて、お話を聞きながら、相談を受けながら一緒に考えて、ふさわしいところをつないでいくような役割がより求められているなあというのを実感してきております。

 その中で出てきているのは、私たち側から見ますと、就労に限らず、お子さんを預かってくださる機能なのですね。一時預かり、一時保育、それから、ファミリーサポートセンター事業のようなものですが、この都市部においては待機児童問題があって、例えば、今、少子化の関係で言えば、お一人目、お二人目を産むときに、上の子の預け先が見つからないということですね。少なくとも2週間ぐらいは上の子を預かってもらわないと、お母さん、産後のケアができないという中なのですが、これは本当に受け入れが厳しいのですね。そのようなこともあって、何も働く人たちだけの問題ではないということを今感じております。2人目のことを考えたら、どうしたらいいかわからない。1人だったら、まだ夫婦で何とかできるけれども、2人になりますと、本当にあらゆる手段、インフォーマルなサポートですとか地域のいろんな資源を使ってやらないともう無理なのですね。そこが間に合っていないという感じを持っております。

 そういった意味では、地域版、地方版子ども子育て会議ですね。今どうしても年に2回か3回ぐらいです。そうではなくて、もっと本当の、今の真の地域のニーズというものを把握して、足りない部分についてはしっかりとどうするのかということを検討するようなアクティブな会議にしていただきたいと思っております。

 それから2つ目ですが、私も、今回、児童福祉法の一部を改正する法律に基づいた市町村の支援業務の在り方に関するWGにも所属させていただいております。例えば東京都にある子ども家庭支援センターのような、もう少し児童相談所と連携した形の拠点ということについて、宮島委員からも御指摘がありましたが、期待感があるわけですけれども、一方では、本当にいろんな拠点が地域にあって、例えば子育て世代包括支援センターもそうですが、新しい機能のものがどんどん出てくる中で、地域の中でどのように連携していくのかというグランドデザインをつくっていかなくてはいけないでしょうし、また、小さな市町村が多いという中では、どのように位置づけをしたらいいのかと、多分困っていらっしゃる自治体も多いのではないかという気がいたします。そういった意味で、自治体を支援するようなサポート機能がきっと必要なのではないかなあと感じているところです。

 3つ目ですけれども、今、秋田先生からもありました地域における住民主体の課題解決力強化、包括的な相談支援体制のイメージ、これは将来に向けてということだと思います。私も、この委員、子育てのところで入れさせていただいておりますけれども、困窮者支援ですとか、それから高齢者の支援ですけれども、今、家族を見ていますと、本当にダブルケアということもあったりして、家族の問題が子育てだけではないという御家族も多いのですね。

 それと、もうちょっと規模の小さい、中学校区、小学校区に、顔の見える関係性の中で、我が事・丸ごとというような機能がありませんと、多分、保育園を建てるにしても反対運動があったり、それから、私たちから見れば、子どもを預かってくださるようなファミリーサポートセンターの担い手、こういったのも身近で採用していきませんと、担っていただきませんと間に合わないというところがあるので、やはり両輪だと思うのですね。施設型をしっかりやって必要な方をつないでいくという部分と、地域の中での支え合いの環境をつくっていく。それを果たしていく役割、コミュニティソーシャルワーカーのような方たちも含め、地域で活動している人たちがしっかりと手を組んでいけるような体制をしっかり地域の中に構築していく必要があると感じております。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、林委員、お願いいたします。


○林委員 私自身も幾つかの検討会に入れていただいて感じていること1つ2つです。

 1つは、新たな社会的養育という、従来の市区町村を中心とした子育て支援、あるいは子ども子育て支援、そういうものと、都道府県が提供してきた社会的養護のその橋渡しというか、その溝をどう埋めていくかという視点から、市区町村レベルでの支援体制も含めて、社会的養育という新たな概念を用いて、その連続性を持って考えるという趣旨でこの委員会があると認識しております。

 そういう中で、市区町村の相談支援体制ということは非常に強調されてきたわけですけれども、もう一方で、子どもへの直接的な支援ですね。子育て支援という親支援というか、社会が親の子育てを支えるという考え方ではなくて、社会が子どもを育てるという、その社会の中に市区町村も入って、子どもへの直接的な支援体制をどう整えていくかという視点も非常に重要かなあと思います。

 そういうことを考えたときに、市区町村体制で相談支援体制のみならず、一時保護的な機能を含めて、宿泊を伴う、無料で利用できる、そういう機能を市区町村レベルで持っていかないと、その溝というのはなかなか埋められない。かといって、社会的養護という場に措置するには無理があるという中で、家庭に放置されているお子さんの保護や支援を市区町村レベルで具体化することの必要性が1点目です。

 それから2点目は、先ほど、住民主体の活動を含めて、民間の力、あるいは民間の機関というものを措置業務体制の過程を含めてどのように入れ込んでいくか。今、里親支援事業を中心に、措置業務というか、従来、児相が担っていた機能も含めて行えるような民間機関をつくっていこうという動きがあるわけですけれども、そういう、児童相談所体制が不十分だから、あるいは児童相談所で対応できないから民間に任せるという考え方だけではなくて、子育てというものを住民も含めて、NPOを中心にしてすそ野を広げていくために、そうした民間機関をつくっていくことが必要なのだという問題意識に基づいてどうやっていくかということが非常に重要なところで、だから、措置権と措置業務というものを分けて、その措置業務をどのように民間に委ねていくか、あるいは共有していくか。そして、行政として、その措置業務が滞りなく行われているかというモニタリング機能を、そうした力をどのようにつけていくかというところが非常に重要なところかなと。

 里親や養親さん、養子縁組に関して、これまで文化論で片づけられていた、日本文化ではなかなか広まらないのだと言われてきたわけですけれども、文化とか国民の意識というのはやはり政策の在り方とか情報提供の在り方によって大きく変わっていくと思います。そういう文化論を超えて、どのように政策がそういう里親さんや養親の候補者さんのすそ野を広げていくかということを考えたときに、そうした民間のかかわりであるとか、あるいはそういう意識を促すような政策の在り方というものも考える必要があるかと思っております。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、最後になりましたが、権丈委員、お願いいたします。


○権丈委員 権丈でございます。私からは、保育と労働にかかわる点につきまして、大きく2点、お話ししたいと思います。

 1つは、女性の労働市場での活躍推進との関係でございます。従来、第一子出産前後に6割の女性が退職するということでございましたが、最新データでは、女性の継続就業率が過半数を超えたということです。また、就学前児童の母親の就業率も上昇傾向にありますので、保育サービスへの需要が急激に増えて待機児童が発生している状況はある程度予測された結果であると考えております。

 先ほど、保育サービスの充実、量の拡大というところのお話、議論がございましたけれども、喫緊の問題として、やはり保育サービスの充実を必要としているところがあるわけです。若い世代では、夫婦で働かないと生活が苦しい状況にもなってきておりますので、こうした傾向はまだ続いていくと考えております。

 そして、待機児童解消のための一つの方策として育児休業期間を延長することにつきましては、本日は局長がいらっしゃいますけれども、雇用均等分科会におきまして育児介護休業法の改正についての議論をしております。保育所に入れない等の場合に、従来、育休期間を最長1歳6カ月まで延長できたところを、最長2年にすることなどを内容にした法律案要綱がまとまったとところでございます。

 これによって保育所の待機児童が解消する方向に向かい、より多くの女性が継続就業しやすくなることが期待されておりますが、一方で、雇用均等分科会での審議においては、公労使いずれからも、育休取得が女性に偏っている現状では、休業期間の長期化は女性のキャリア形成にマイナスになること、また性別役割分業の固定化につながりやすいことなどが危惧されており、待機児童解消のための保育サービスの整備の必要性が確認されております。今後については、保育のほか、育児休業や働き方の柔軟性を高めることで、よい方向性を見出していくということも必要だと思います。

 それから、もう一点は保育の人材確保に関する問題でございます。保育人材の確保のための取組がされてきたところですけれども、実際にどの程度賃金が上がっているのかということを、民間事業所を対象とした「賃金センサス」から確認しますと、平成25年度から27年度にかけて、保育士の増加とともに、年収が上昇しているという結果が出ております。政策効果が出てきているように見えるわけですが、ただ、他の職種や女性全般の賃金との比較からも判断する必要があります。

 よく比較対象となる女性の一般労働者の平均年収は、実のところ、女性活躍推進による役職登用等の動きもあって、実額でもパーセントでも保育士以上に上昇しております。保育士が、平均で見て勤続年数が短いことや、年齢も若いといったことから平均賃金が低いということもあるのですけれども、保育士の賃金上昇が十分に行われたとまではまだ言えないように思います。そういう中で、引き続き、保育士の賃金を高める施策は重要であり、今回ご紹介があった技能経験を積んだ職員等の処遇改善を図る取組も適切に運用し進めていっていただきたいと思います。

 先ほど対象となる保育士が、認可保育所の保育士等に限定されていることについてのご指摘がありましたが、非正規の保育士の賃金や雇用の安定といった問題もありますので、より幅広いといいますか、包括的な待遇改善の検討も必要ではないかと考えております。

 以上でございます。


○大日向部会長 ありがとうございました。以上、委員の皆様から大変貴重な御意見をいただきました。

 事務局のほうから何か御発言等ありますか。


○川又総務課長 総務課長ですけれども、皆様方からの貴重ないろんな御意見、あと、我々が目の前のことに追われて気がつかなかったようなことも含めて御意見いただいたと思います。個々についていろいろ御説明する時間はございませんけれども、大きなカテゴリーとして地域の問題ということで、地域差の問題から、地域での包括的なサービス提供、あるいはソーシャルワーカーの活用、ほか、住民を含めた対応、地域という観点、それから、質の問題と人材確保ということで、これは保育もそうですが、保育に限らず、質の問題と人材をどう育てていくのか、研修の権利というようなお話もございました。それから、県とか市町村の体制整備の問題ということで、児童相談所、市町村の拠点の在り方などについても御意見をいただきました。

 私どもとしても、児童相談所強化プランとか、拠点をつくるとかいう形で体制整備を進めているところですけれども、引き続き、そうした点を充実していきたいと思います。

 また、情報の話、利用者の視点等も踏まえた情報公開と情報共有、情報を共有しながら、それを活用して、ニーズに合ったサービスにどうつなげていったらいいのかというような御指摘もございました。

 また、大きな視点として、少子化が進む中で、中長期的な展望の中でどういった政策的な方向性を目指していくのか、ユニバーサル型というお話もございましたし、目先の保育だけではなくて、働き方といった根本の部分まで含めて、社会、世の中の仕組みというものを変えていかなければいけないという御提言もあったのではないかと受けとめております。

 ほかにもいろいろ御指摘いただきましたけれども、本日いただいた御意見を踏まえて、私どももまた行政の中で生かしていきたいと思いますし、また、この会議の機会だけではなくて、メール等でも結構ですので、いろんなお気づきの点等ありましたら、いつでも私どものほうに寄せていただければと考えております。ありがとうございました。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 それでは、議事の4、専門委員会の議論の状況ということで、保育専門委員会、遊びのプログラム等に関する専門委員会、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会、この3つの専門委員会の議論の状況につきまして、事務局から続けて御説明をお願いいたします。


○巽保育課長 保育課長の巽でございます。

 まず、保育専門委員会議論のとりまとめということで、お手元の資料3、「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめの概要」というものを用意しております。また、参考資料としまして、机に、保育所の本改定に関する議論のとりまとめの本体も配付させていただいておりますので、御参照ください。

 まず、とりまとめの概要についてでございますが、「背景」につきまして、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定める保育所保育指針については、これまでおおむね10年に1度、内容の見直しを行ってきたところでございます。前回の改定は平成20年でございまして、平成30年の改定・施行に向けて、社会保障審議会児童部会の下に、汐見白梅学園大学長を委員長とする保育専門委員会を設けまして、指針改定の方向性について検討を行ってきました。

 資料3は、その保育専門委員会で昨年12月末に行われました議論の最終的なとりまとめの概要についてでございます。具体的な指針改定の方向性としましては、まず、「1.保育所保育指針の改定の方向性」をごらんいただければと思いますが、以下の5点にとりまとめをさせていただいております。

 まず、(1)として、乳児・1歳以上3歳未満児の保育の記述を充実すること。(2)としまして、保育所の教育機能を踏まえた記述を充実すること。(3)健康、安全に関して、食育や事故、災害対策などの充実を図ること。(4)子育て支援についての章を新たに設けること。(5)保育士のキャリアパスを見据えた研修機能充実を図ること。これに伴いまして、2の「改定の方向性を踏まえた構成の見直し」のとおり、章の構成についても見直すこととしております。

 また、3の「幼保連携型認定こども園の保育に関する事項」及び4の「その他の課題」にあるとおり、幼保連携型認定こども園の保育に関する事項や、あるいは小規模保育、家庭的保育等への対応、その他の課題についても見直しを行うこととしております。

 今後、本とりまとめの内容を踏まえまして、本年度中に保育指針を改定、これは告示改定でございますが、する予定でございます。来年度1年間は周知期間としておりまして、今回の指針改定の趣旨を保育現場に丁寧に伝えていくことに努め、保育の質の向上につなげたいと考えております。

 以上でございます。


○野村少子化総合対策室長 続きまして、少子化対策総合室長の野村でございますけれども、遊びのプログラムに関する専門委員会の状況につきまして御報告申し上げたいと思います。

 この専門委員会でございますけれども、そもそもは27年の3月に閉館いたしましたこどもの城のほうで、子どもたちの遊びのプログラムというのを開発し、実践し、さらには全国の児童館に情報発信し、指導しということをやっておりましたけれども、閉館されるということで、その機能を引き継ぐ形で、この専門委員会を設置させていただいて、この遊びのプログラムといったものの開発・普及の在り方であるとか、あるいは遊びのプログラムが実践される場である児童館、こういったものの在り方などについて議論していただくためにこの専門委員会を設置して議論を始めていただいたところでございます。

 昨年度27年度につきましては、このこどもの城で開発したプログラムについて、現場の児童館でどのように活用されているか、どう評価されているのか、あるいは児童館のガイドラインという運営指針のようなものがございますけれども、こちらについてどのように認知されているかといったことについて調査を行いました。

 結果、この1枚目の下に書いてございますように、こどもの城から情報発信されたプログラムについてやってみたところ、なかなか効果的であったという答えが8割弱ということでありますので、一定のこういったものについての評価がなされたと考えております。一方でまた、このガイドラインというものを踏まえて運営しているところが9割を超える状況になっているという状態でございます。

 そういった状況を踏まえて、今年はどういうことをやっているかというのが1枚めくっていただいたところの上でございますけれども、今年、この遊びのプログラムにつきましては、調査研究事業というのを本年度28年度予算の中に盛り込んでおりまして、遊びのプログラムといったものを地域の中で子どもの参画なども得ながら企画し、そして実践し、さらにはその実践した結果について分析して、場合によってはプログラムの中身を改善するとか、あるいはより、こうすればうまくいくのではないかという方法の見直しとかいったものをしてもらうということを今やっております。

 具体的には、3枚目にございます全国16カ所に散らばってやっていただいているわけでございますけれども、こういったそれぞれの現場には専門委員の方にも、事前の準備段階であったり、あるいは当日であったり、あるいは事後の反省会といいましょうか、総括会といいましょうか、そういった場に赴いていただいて、助言、アドバイスなどをしていただいているという状態でございます。

 今後、こちらにつきましては、それぞれの現場でこういった遊びのプログラム、PDCAを回してみて、プログラムそのものがどうだったか、あるいは子どもとのかかわりがどうだったか、地域住民とのかかわりがどうだったかなどなど、そういったところについて報告をまとめていただいて、この遊びのプログラムの開発・実践、さらには改善、どういったところを気をつけていけばいいのかといった点についての議論をさらに深めていきたいと考えております。さらに、児童館の果たすべき役割などについてもまた議論を深めていって、今後につきましても、来年度29年度でも引き続きこの調査研究事業を継続するとともに、この専門委員会のほうでも、児童館のガイドライン、必要に応じて改定もあり得べしということで議論を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。


○竹内虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長の竹内でございます。続きまして、お手元の資料5につきまして、私から御説明させていただきます。

 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告)ということでございますが、まず最初に、資料の一番上、「概要」の箱書きの2行目でございますけれども、平成16年の10月に、この児童部会のもとに児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会が設置されております。山縣委員のほうに委員長を今現在お願いしておる状況でございます。

 これまで11次にわたって報告をとりまとめてまいりましたけれども、昨年の9月、第12次報告をとりまとめたところでございますので、御報告をさせていただきます。報告書の本体につきましては、別途机上に配付させていただいておりますので、御参照いただければと思います。

 検証・分析の結果についてでございますが、まず、死亡事例につきまして、平成26年4月1日から平成27年3月31日の1年間に発生し、または表面化した子どもの虐待死事例について検証を行ってございます。件数で申し上げますと、心中以外の虐待死事例が43例・44人ということで、ちなみに、心中による虐待死事例が21例・27人ということでございますので、合計64例・71人について検証を行ってございます。

 中身でございますけれども、まず子どもの年齢については0歳児が最も多く、ただ、例年以上に0歳児の割合が高い割合でございました。例年ですと大体4割程度ということですが、今回は6割となっております。また、主な虐待の類型につきましては身体的な虐待が最も多いということでございますけれども、今回初めて、心理的虐待による死亡事例が発生したということがございます。

 その下、(2)の重症事例につきましては、平成26年4月1日から6月30日の3カ月間に児童相談所が受理した生命の危険にかかわる受傷、衰弱死の危険がある等の事例について検証を行ってございます。重症事例は10例・10人についての検証を行いました。

 ページをおめくりいただきまして2ページでございますけれども、「個別ヒアリング調査結果」ということでございます。検証対象となっております事例のうち、特徴的で、かつ、特に重大であると考えられる死亡事例の4例につきまして、都道府県、市町村及び関係機関等を対象にヒアリング調査を実施してございます。先ほど、心理的虐待による死亡事例が初めて発生したと申し上げましたけれども、ここに各4つの事例について概要を記載してございますが、事例4というのが初めて発生した心理的虐待による死亡事例についてでございます。

 これら4例についてのヒアリングの結果、対応策についておとりまとめをいただいておりまして、(3)でございますけれども、「頭部外傷を繰り返す養育者への対応」、あるいは(4)「精神疾患のある養育者等の支援を必要としている家庭への対応」、(5)として「きょうだいの虐待死をうけて、虐待の再発を防止するための対応」等についておとりまとめをいただいております。

 また、3ページでございますが、毎回、特集を組んでございますけれども、今回は「施設入所等の経験のある子どもの死亡事例」について特集を組んでございます。第10次報告から第12次報告までの心中以外の虐待死事例の中で、施設入所等の経験のある事例14例・14人を対象に検証を行いました。子どもの年齢については、3歳以下が6割を占めるということで、乳幼児期、特に3歳以下の子どもの家庭復帰については慎重に検討する必要があるといったようなこと。あるいは、(4)にございますけれども、「家庭復帰から死亡事例発生までの期間」を見てみますと、半年未満に死亡している事例が9人ということで6割を超えておりまして、家庭復帰から少なくとも6カ月程度はとりわけリスクが高まる期間として、養育状況の把握と必要な援助の実施が必要であるというおとりまとめをいただいております。

 最後でございますが、4の「課題と提言」ということで、専門委員会としてヒアリング等の検証作業を通じまして、地方公共団体、あるいは国に対して課題とその対応策、対応等の提言をまとめていただいております。提言の中には、昨年の児童福祉法改正でもう既に対応させていただいた内容も含まれてございますけれども、例えば国への提言といたしましては、右側にございますけれども、(1)として「虐待の発生予防及び発生時の迅速・的確な対応」として、医療機関、学校等が支援対象者を適切に把握するための支援対象者の特徴をまとめて周知するといったようなこと。あるいは、(3)にございますが、「児童相談所及び市町村職員の人員体制の強化及び専門性の確保と資質の向上」といったような内容について提言をいただいたところでございます。

 簡単でございますが、御説明は以上でございます。


○大日向部会長 ありがとうございました。

 以上、事務局から御説明いただきましたことにつきまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

 秋田委員、お願いいたします。


○秋田委員 1点だけ、質問ではありません。個人的意見になります。資料4でございますけれども、遊びのプログラムということで、こどもの城が閉館された後も、せっかくの先駆的な遊びのプログラムを普及するというようなことで、ソフトを残してきたわけですが、こどもの城というところは閉館しているのですけれども、まだ建物等残ったままであります。ぜひ国や都が、子どものために児童館という機能が今あそこに必要かどうかということは別としても、もう少し広く子どものための場所として、あそこを今後再開発なり、お考えをいただくというようなことが、ソフト面の維持だけではなくて、どこかにやはりハード的な面で遊びを中心として国がそういうネットワークをつくる拠点というのは中心のセンターは必要ではないかと思いますので、あくまでも個人的意見ですけれども、ちょっとお話しさせていただきました。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。ほかはいかがですか。

 松田委員、どうぞ。


○松田委員 質問してよろしいですか。

 最後に御説明のあった資料5ですね。子どもの虐待による死亡事例等の検証結果等ですけれども、非常に考えさせられることが多い資料ですけれども、この中で、虐待をした父母、あるいはその御家庭の状況の分析というのはもう少しなされていたりしますか。例えば経済的な余裕。これは、今、貧困問題もありますので、あるいは社会的な孤立ですとかそうしたものがあると、情報発信として、予防という視点、何かもう少し別の視点をつなげることができると思いました。質問です。


○大日向部会長 事務局から、いかがでしょうか。


○竹内虐待防止対策推進室長 加害の動機については調査を行ってございまして、例えばこの冊子がお手元のほうにあるかと思います。23ページをごらんいただきますと、加害の動機について、心中以外の虐待死のケースについて、さまざま、区分に応じて該当する人数を把握してございます。

 この中で一番多い動機としては、子どもの存在の拒否・否定というのが高い割合を占めるわけでございますけれども、さまざま、それ以外の加害の動機についても、こうした分類に基づいて、それぞれのケースがどの区分に該当するのかというのを把握させていただいたというようなことでございます。


○大日向部会長 よろしいですか。


○山縣委員 委員長をさせていただいているという立場で若干補足させていただきますと、今、量的部分については室長のお話のとおりなのですが、ヒアリング等で質的な部分についてある程度深めているというつもりです。今回は特に、先ほど説明にもありましたが、施設入所等の経験のある子どもの死亡事例、社会的養護のもとにあって、機関がかかわりながらも措置解除後に亡くなったお子さんたちというあたりもある程度踏み込んだ分析をしているつもりです。

 ただ、あくまでも事例のみですから、平均的にどうかということを言われると、ちょっとそこまでは入り込んでいないということになると思います。

 ついでにちょっと、質問ではなくて、委員の方々にお願いしたいと思います。もう既に第13次検証に向けての委員会、来週もまた2回目を開くことになっておるのですが、私たちが気づかないような視点とかあるかと思います。結構膨大な報告書をつくっておりますので、それを含めさまざまな御意見なり御感想をいただきましたら非常にありがたいと思っています。特に、今回、私自身もいろんな現場を回りながら経験した、あるいは意見をいただいたものとして、虐待というと、子どものケア、その後のケアということについて、そのアセスメントも含めて、子ども領域の児童精神科、小児精神科ということに関心が行きがちだけれども、指摘を受けたのは、大人の、保護者の育ちも含めた評価できる人たちが現場にいないと、単純な今の親の状況だけを見て評価をしてしまうのですが、育ちの背景までしっかり見ないと、虐待に関する支援は非常に難しいのだということの指摘を、報告書の中にも入っておりますが、それ以外も含めて、課題と提言等に13次報告で盛り込んでおく必要がある、検討課題として御指摘をいただけたらありがたいと思っています。

 以上です。


○大日向部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。


○宮島委員 保育指針のことでちょっとお聞きしたいと思います。新保先生も、さっき、保育ソーシャルワーカーということを触れてくださいましたし、山縣先生がたしか御発言を既にされていたという報道を見たのですけれども、保育指針のほうにも虐待対策としてソーシャルワーク機能というのが明記されておりますけれども、保育所は地域の包括的な支援とか、本当に歩いていけるところ、あるいは自転車で行けるところの児童福祉の拠点として十分期待されると思っていますので、こういった機能を高めていってほしいなあと、ぜひとも必要だと感じております。けれども、ただ、やってくださいというだけではなかなか実際の配置は進まない。実際にソーシャルワーカー等を配置するということを実現するためには、例えば保育士の処遇改善等に社会福祉士の資格を持っている人等を置いた場合には、これも例えばプラスアルファで処遇を厚くしますよというようなインセンティブを与えていくことなどが考えられるのではないかと思います。この辺のことの議論の中身を少しだけ補足して聞かせていただけたらということ、また、ぜひともこういったことを要望として申し上げたいと思います。


○大日向部会長 こちらはいかがでしょうか。保育課長、あるいはこの委員会の委員をお務めくださいました秋田委員もおいでくださいますが。


○巽保育課長 先ほどの指針の本体のほうの9ページのところに、虐待対策ということで、保育所におけるソーシャルワーカーの機能について、今後の調査研究等によって具体的な検討を行うことが期待されるということで書かれているところでございます。実際、今回の処遇改善につきましては、別に職種関係なく、保育士以外の者についても処遇改善を対象にしているところでございますが、実際、公定価格上は、ソーシャルワーカーが特別、公定価格に乗せているというわけではございません。当然、その公定価格を乗せるに当たってはまた財源の確保とか必要になってきますので、今後の検討課題だとは思いますけれども、今回の4万円とか5,000円につきましては特に保育士だけに限ったものではなくて、全職員を対象にしているというところでございます。


○大日向部会長 よろしゅうございますか。


○山縣委員 ちょっとしゃべり過ぎますけれども、この委員会にも若干かかわって、このパートに関する意見を幾つか言ったものですから。

 ここは明確には書いてないのですけれども、この委員会での議論では、保育所にソーシャルワークの機能が要るということについてはほぼ全員合意と私は受けとめました。一方で誰が担うかということについては、一部の委員は、保育士が一定の研修等を積んでソーシャルワーカーになるのだという意見と、いや、あくまでも社会福祉士等をベースにした保育士以外のソーシャルワーカー、いわゆる専任のソーシャルワーカーが要るのだというところの両方の議論があって、それがこういう具体的な検討が調査研究等によって行われるというところに反映している。

 その際には、この委員会の直接の課題ではないですけれども、利用者支援事業とか拠点事業等においてもソーシャルワーク機能という言葉が使われていますので、その辺も含めて、恐らく最終的な結論を出す、研究結果を出す必要があるのではないかなという個人的な受けとめをしています。


○秋田委員 この委員でありましたので、今、山縣委員が話してくださったり課長が御説明くださったように、ソーシャルワーク機能は重要である。でも、保育所内でソーシャルワーク機能をでは誰が担うかというところと、地域の拠点やそのコミュニティ全体で考えるべきところ。今、そうでなくても保育士自体がもうかなり労働負担が大きくなっている中でどのようにというところがこの案分になっていると御理解いただきつつ、今後具体的にというのが、ですので、書かれているという理解であります。


○大日向部会長 ありがとうございました。ほかはいかがですか。


○新保委員 虐待、死亡事例の検証の内容に関することです。幾つかの自治体で死亡事例の検証という作業をやらせていただいてきました。国ではないですけれども、自治体レベルでやらせていただいてきました。そのときに、実親の方から情報を聞いてみたいとか、親族の方からお聞きしないとわからないなあということがたくさんあったのです。現実にはお会いできないという状況にあります。もし真剣に検証をやるのだったら、実親からの情報をもう少し得られるような仕組みをつくる必要があるのではないかなあという感じを持ちます。イギリスの報告書などには出ていることが多いので、私が最初にこの虐待検証というものを聞いたときに、多分、実親までいくのかなあと思ったけれども、そこまでは現実にはいってない。本気でやるのだったら、実親のところまでいかなければいけないのではないかなあと思います。

 それから、もう二つ。苦労したのが、自治体を超える検証です。ある自治体の検証のまとめをやらせていただいても、他の自治体の職員に対するインタビューをするというのが少しハードルが高かったり、またそこの幾つかの施設の方にお会いするというのはもっとハードルが高かったりというので、なかなか検証ができない。これも自治体をまたいだ場合についてはもう少し国が積極的にかかわってもいいのではないかなという感じがします。今回はそういう事例が取り上げられておられないようなので、今後考えていただければと思いました。

 それからもう一つは、学校からの情報も得にくかったという気がします。公立学校は比較的協力してくださることが多かったですが、私立学校は、特に情報を出すということについてやはり慎重になるのだろうと思います。これは子どもたちを守るという物すごく大事なことがあるので、そういう意味があるのかなあと思いますが、この検証を真剣にやって、そしてこれを積み上げていくということをやるのだったら、もう少し検証の現場の方々に権限がある、もしくは検証する自治体の方に調べるという役割を与えていただくということも有効なのかなあと思います。これは多分、山縣委員長を初め検証委員会の中では何度か議論されているだろうなと思いますけれども、私からも、現場というか、自治体レベルでやらせていただいている立場から言っても、そのようなことを考えております。

 以上でございます。


○大日向部会長 ありがとうございました。ほかはよろしいですか。

 特段このほかはないようでございましたら、皆様から大変活発に貴重な御意見をいただきまして、本日予定しておりました議事は無事全て終了いたしましたので、本日はこれで閉会としたいと思います。

 事務局から何か連絡事項がございましたら。


○川又総務課長 総務課長、川又でございます。

 事務局から御報告がございます。大日向部会長におかれましては、この部会の部会長、平成19年から御尽力をいただきました。今月で任期10年が経過するということになります。実は厚労省におきます審議会に関する規定がございまして、10年を超えて任期の再任ができないということになっております。したがいまして、残念ながら、本日が大日向部会長の最後の児童部会ということになってしまいました。

 最後に、御自身のふだんお考えになっていることも含めて御挨拶をいただければ幸いでございます。


○大日向部会長 今、川又総務課長からもお話いただきましたように、10年の長きにわたりましてかかわらせていただきましたことをまず、本当に厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 この10年、子どもをめぐって社会的にも非常に大きな流れがあったと思いまして、その流れに即してさまざまに重要な施策の構築がなされたと思います。とりわけ、私にとりましては、子ども子育て支援新制度が社会保障制度改革と一体で構築されたということは大変意義が大きかったと思います。それも、厚生労働省、文部科学省、内閣府、3省合同で御議論いただき、成立に向けて御尽力いただいたということは、本当に後から振り返っても歴史に残る大きなことだったと思います。とりわけ厚労省の皆様の御尽力には常々大変深い敬意と感謝を申し上げておりましたが、改めてここで御礼申し上げたいと思います。

 先ほど、委員の皆様のお話を伺いましても、子どもと子育て支援をめぐっては課題が数多く山積しているということが改めて思われるところでございます。委員の皆様の御活躍、そして事務局の皆様の御尽力をあわせまして、ますますこの児童部会の御発展をお祈りしたいと思います。本当にありがとうございました。

(拍  手)

○吉田局長 一言よろしゅうございましょうか。

 今、大日向部会長からの御挨拶をいただきました。本当にありがとうございました。順番がどうかと思いますけれども、事務局として一言、私どもからも御礼を申し上げたいと思います。

 先ほど総務課長から話を申し上げましたように、大日向先生、19年の1月29日からおかかわりをいただきまして、部会長にその年の8月21日に御就任いただいたと。10年ということでございます。改めて申し上げるまでもなく、子ども子育て支援、そして児童福祉分野の研究者としてはもとよりでありますが、何よりも私が存じ上げている大日向さんは実践家でもございますし、子どもの分野を超える我が国女性の活躍されているリーダーのお一人としても、私ども、いろいろとこれまで御指導をいただいてまいりました。特にこの児童部会、今お話しございましたように、いろんなことのあった10年の舵取りをしていただきました。本当にありがとうございました。

 そして、今お話ございましたように、まだまだ課題がございますので、今後引き続き委員としてお願いをいたします先生方ともども、できれば大所高所から、また違った御立場で、私ども事務方に対しても御指導いただければと思っております。

 なお、本日は御欠席ではありますけれども、同じく部会長代理をお務めいただきました松原先生におきましても、同じような形で、今回御退任をいただくということで、私ども、あわせて事務局として御礼を申し上げたいと思います。

 重ねてではありますが、大日向先生の益々の御健勝をお祈りするとともに、引き続きの御指導をお願い申し上げまして、一言、事務局としての思いの一端を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうも本当にありがとうございました。


○川又総務課長 ありがとうございました。

 なお、新たな部会長、部会長代理の選出につきましては、次回の新メンバーでの児童部会の開催の際に行われるということになりますので、よろしくお願いいたします。

 また、次回日程等につきましては改めて御案内させていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。


(了)

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