ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第7回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2016年11月14日)
2016年11月14日 第7回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録
社会・援護局総務課
○日時
平成28年11月14日(月)10:00~12:00
○場所
東海大学校友会館 「阿蘇の間」
東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビル35階
○出席者
田中 滋 (委員長) |
阿比留 志郎 (委員) |
石本 淳也 (委員) |
井之上 芳雄 (委員) |
上野谷 加代子 (委員) |
鎌倉 克英 (委員) |
川井 太加子 (委員) |
(代理:小島誉寿参考人) |
武居 敏 (委員) |
平川 則男 (委員) |
堀田 聰子 (委員) |
森脇 由夏 (委員) |
○議題
介護人材の機能に応じた育成のあり方について
○議事
○田中委員長 皆さん、おはようございます。
定刻となりましたので、ただいまから第7回「福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、事務局より本日の委員の出席状況について報告をお願いします。
○川部福祉人材確保対策室長補佐 おはようございます。
委員の出席状況について報告させていただきます。
本日は、黒岩委員、高橋委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、黒岩委員の代理として小島参考人に出席いただいております。
あと、堀田委員より20分程度遅れるとの御連絡をいただいております。
それから、中井川審議官が欠席となります。
よろしくお願いします。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま紹介がありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様方の承認をお願いします。いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長 ありがとうございました。
続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。
○川部福祉人材確保対策室長補佐 それでは引き続き、お手元の資料について確認させていただきます。
本日は、配付資料といたしまして、上から座席表、議事次第、委員名簿、それから右上に書いてありますとおり、「資料 介護人材の機能に応じた育成のあり方について」。
それから、もう一つが「参考資料 介護福祉士の養成カリキュラム等について」。
また、全国老人福祉施設協議会の阿比留委員、日本介護福祉士会の石本委員から提出された資料を配付させていただいております。
御確認をお願いいたします。
○田中委員長 よろしいでしょうか。
ここから議事に入ります。
資料について事務局より説明をお願いします。
○榎本福祉人材確保対策室長 おはようございます。
それでは私から、今確認いただきました資料の中から「介護人材の機能に応じた育成のあり方について」という横長の資料に基づきまして、内容を御説明させていただきたいと思います。
1ページからですけれども、前回の「福祉人材確保専門委員会」での主な意見についてまとめさせていただいております。前回、幾つかの論点について御議論をいただきました。「チームリーダーが担うべき役割と必要な能力について」「介護人材のすそ野の拡大(入門的研修の導入)について」「介護人材のキャリアパスについて」「医療との役割分担について」というのが主な論点であったと思います。それぞれにつきまして、主な意見をまとめさせていただきました。
まず1ページ。「チームリーダーが担うべき役割と必要な能力について」ということにつきましては、
・ チームリーダーは重要なキーパーソン。その役割には、介護過程のマネジメントも
含めたOJT機能と労務管理も含めたマネジメント機能がある。
・ チームリーダーが担うべき役割は、「障害を持つ方の状況に応じた対応」あるいは
「障害の程度に応じた対応」とすべき。また、立場に応じて一定水準の介護技術を
指導・伝達する役割がある(したがって、「自らが持っている介護技術」の指導・
伝達では意味合いが異なるため、「チーム内の介護職に対する介護技術の指導・伝
達」という表現にすべき)。
・ 効果的かつ効率的なケアが提供されているかどうかという観点で役割分担を整理
する場合、基本的なケア、介護過程のマネジメント、チームマネジメント、事業マ
ネジメントといった4つのレベルで議論を整理してはどうか。
・ 介護以外にも、利用者に寄り添い、コミュニケーションを図り、生活歴まで含めた
支援を行うことも必要。専門性の向上にあたっては、このような支援も含めた上で
検討する必要がある。
といった意見が出されました。
次に、「介護人材のすそ野の拡大(入門的研修の導入)について」ですが、
・ すそ野の拡大について、質の向上を目的として簡素な入門的研修を導入するという
ことであれば、非常によい取組である。
・ ヘルパー3級研修がなくなって残念という声が多かった。入門的研修として、ある
程度全国標準的なものは必要。導入にあたっては、修了証を発行することや、実務
者研修や初任者研修の一部科目免除につながるという仕組みにすると有効ではな
いか。
という御意見が出されました。
次に、2ページに移りまして「介護人材のキャリアパスについて」ですが、
・ 「入りやすく昇りやすい」という表現について、介護の仕事は誰でもできる手軽な
仕事と捉えられてしまわないよう工夫が必要。
・ 介護福祉士の役割を明確にすることは重要であるが、それが介護報酬や配置基準に
反映されるといったインセンティブも必要。
・ 介護福祉士のキャリアパスには、介護実践の専門職、マネジメント職に加えて、教
育者・研究者というのもある。
・ 医療や看護の専門性が高いのは、その方法や技術が研究に裏打ちされたものだから
である。そのような方法や技術があって初めてキャリアパスが実現することから、
養成課程における教材開発や教育方法など、言わば教員養成も重要ではないか。
・ すそ野を拡げるといった場合には、資格を取得せずにケアの一部を担い続ける方も
いるため、全ての介護人材が介護福祉士の資格を取得してキャリアアップを目指す
わけではないという方向を明確にする必要があるのではないか。
・ 離職防止には、処遇改善が最も取り組むべき課題。キャリアパスを明確にし、客観
的な評価と処遇を結びつけていくということが必要。
・ 地域全体のケアのリソースを有効活用するには、1つの事業所にとどまるのではな
く、地域全体で、泊まり、通所、訪問といった様々なサービスを循環するキャリア
の仕組みを考えることが重要ではないか。
・ 介護福祉士の位置づけを明確化することは重要であり、介護福祉士の業務上の位置
づけを明確化し、一部業務独占ということを導入していくことも必要。
といった意見が出されました。
最後に「医療との役割分担について」ですが、
・ 医療的ケアについて、専門性の向上や質の高いケアの提供という観点から、日常生
活を支援する中で必要なものについては担っていかなければならない。
・ 医療的ケアについて、日常生活に関わるもので、継続的に行う必要があるものにつ
いては、介護職が支援することについて検討の余地があるのではないか。
・ 医療的ケアについて、関係者の意見を聞きつつ丁寧な検討が必要。
といった意見が出されました。
こういった、前回の専門委員会での議論を踏まえまして、今回の専門委員会では、次のような論点について議論をしてはどうかと思います。
まず、3ページですけれども、1点目の論点としては、「チームリーダーの育成について」でございます。
論点としては「チームリーダーがその役割を適切に担えるよう必要な能力を身につけるにあたっては、どのような育成が考えられるか」ということでございます。方向性の案といたしましては、
・ チームリーダーは、介護職としてチームケアを推進していく者であり、その役割に
は、「高度な技術を有する介護の実践者としての役割」「介護技術の指導者としての
役割」「介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割」があり、こうした役割
を担うにあたっては、観察力、判断力、業務遂行力、多職種連携力、指導力、マネジ
メント力、改善力など多様な能力が必要となる。こうした能力については、理論的な
知識・技術の修得に加えて、現場の実践の中でそれらを深化させることによって修得
すべきものである。
・ このため、資格取得の過程において理論的な知識・技術を修得する介護福祉士がチ
ームリーダーを担うことが適当であり、介護福祉士がその役割を適切に担えるように
するためには、現場での実践を通じて育成していくことが必要である。
・ このチームリーダーの育成内容については、認知症の症状や障害の特性などを踏ま
えたケアや支援の提供にかかる知識・技術、医療の必要性が高い方や終末期の方に対
する医療職と連携した対応、人材育成にかかるコミュニケーション技術や人材アセス
メントの方法、サービスのマネジメントだけでなくチーム内の介護職の力量に応じて
業務を割り振るなどの人材のマネジメントなどの内容とすべきであり、こうした専門
分野の知識・技術を個別に修得できるようなものとすべきである。
・ なお、チームリーダーとして必要な能力を修得した後も継続的に資質を高めていく
ことにより、高い専門性を持ってケアを提供する介護の実践者、管理職や施設長とい
ったマネジメント職、介護分野における教育者や研究者といったキャリアパスを進ん
でいくことが考えられる。
というものでございます。
4ページですが、こちらでチームリーダーの育成につきまして、考えられる3つの役割、「高度な技術を有する介護の実践者としての役割」「介護技術の指導者としての役割」「介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割」ごとに、「担うべき役割」「求められる能力」「育成内容」についてまとめております。こちらにつきましては、前回も同じような資料を提出しておりますので詳細の説明は省略いたしますが、前回の資料から少し修正・追加した部分がございます。
まず「高度な技術を有する介護の実践者としての役割」として、「障害の特性に応じた対応」。
「介護技術の指導者としての役割」として、「チーム内の介護職に対する介護技術の指導・伝達」、「チーム内の介護職の能力を引き出す支援」。
さらに「求められる能力」として、「個々の介護職員の能力に応じた指導力」というものを前回の資料から修正・追加させていただいております。
次に5ページで2番目の論点といたしまして、「介護福祉士に必要な資質について」ということで御議論いただければと思います。
論点といたしましては、「専門職としての社会的評価と資質を高めるため、今後の介護福祉士に必要な資質はどのようなものか」ということでございます。方向性の案といたしましては、
・ 介護福祉の専門職である介護福祉士には、現場のケアの提供者の中で中核的な役割
を果たすことが求められるとともに、認知症高齢者の増加や高齢単身世帯・高齢夫婦
のみの世帯の増加、世帯構成の変化、障害者の社会参加や地域移行の推進による地域
で暮らす障害者の増加などに伴う生活支援も含めた介護ニーズの多様化・高度化・複
雑化に対応できる必要がある。
また、介護福祉士が、日常生活を営むのに支障がある方に対する介護の提供や、本
人及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者であることを
踏まえると、本人の尊厳ある自立した生活の支援はもとより、本人のエンパワメント
を意識した支援や家族の介護負担の軽減に資する助言も必要である。
さらに、介護予防の観点から、利用者が元気で居続けられるような支援も介護福祉
士の役割である。
・ 一方、介護福祉士が主に関わる介護分野や障害分野においては、逐次、制度改正
が行われている状況である。
例えば、介護分野においては、介護保険制度改正により、24時間対応の新たなサー
ビスや看護職との連携がより強く求められるサービスの新設などを行うとともに、介
護保険法において、地域包括ケアシステムの構築を推進していくことが明らかにされ
ている。また、障害分野においても、障害者自立支援法から障害者総合支援法に変わ
り、基本理念として、日常生活及び社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社
会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総
合的かつ計画的に行われることを新たに規定するなど、高齢者や障害者などを取り巻
く社会状況の変化に対応した制度改正が行われている。
6ページに行きまして、
・ こうしたことを踏まえると、介護福祉士に必要な資質として求められるのは、介
護職チームの一員として中核的な役割を担うケアの提供者としての素養や各種制度
における制度改正を踏まえたケアの提供者としての素養である。こうした素養につい
ては、介護福祉士の資格取得の過程において学んでおくべきものであるが、現在の養
成課程におけるカリキュラムでは十分に対応できないものがある。
・ 例えば、チームリーダーになる前の介護福祉士が介護職チームの中でチームリー
ダーの下に専門職としての役割を発揮していくためには、リーダーシップやフォロ
ワーシップといった内容を学んでおく必要があるものの、現行のカリキュラムでは
十分に学べるようなものになっていない。
・ また、今後、認知症高齢者の増加に伴い、認知症の方への支援のあり方も本人の
意思(思い)や地域とのつながりなどを重視する支援へと変わってきており、認知
症ケアの重要性がますます高くなってきていることから、認知症に関する学習内容
の充実が必要である。
・ さらに、介護ニーズの多様化・高度化・複雑化の対応を踏まえると、適切に利用
者等のニーズ・課題を捉えた上で支援を行っていく必要があることから、介護過程
の学習内容の充実も必要である。介護過程については、個別ケアの実践が適切に行
われるようアセスメント力を高めることが重要であり、利用者本人の心身の状況に
かかるアセスメントだけでなく、本人の生活の場である地域や集団との関わりとい
った社会との関係性も含めたアセスメントについても十分に学んでおく必要があ
る。
なお、こうした能力は、通常の日常生活における支援だけでなく、災害時の支援
にも有効なものであり、非常時における専門職としての役割の発揮も期待される。
7ページでございます。
・ また、利用者の生活を地域で支えていくため、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新しいサービスが創設されるなど、介護分野や障害分野における制度改正等の内容を踏まえると、利用者の生活を地域で支えていくためには、これまで以上に医療職やリハ職など様々な職種と連携しつつケアを提供していく必要がある。こうした多職種連携やチームケアなどの重要性については、以前から言われているものの、十分に実践できているとは必ずしも言えない状況がある。
・ 以上のことから、今後、介護福祉士に求められる資質について、養成課程で修得
することができるよう、現行のカリキュラムの見直しを検討すべきである。
なお、見直しにあたっては、既存のカリキュラムにおける教育内容も見直し、内
容の統廃合を行うなど、養成施設等や学生に過度な負担とならないよう留意すべき
である。
次に8ページですが、今、御説明した部分の中で、介護分野と障害分野において最近、制度改正があったということを申し上げましたけれども、その制度改正について具体的にまとめております。
まず、介護分野ですけれども、平成24年4月に改正介護保険法が施行され、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が創設され、「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」の創設等がなされております。
また、同じ年の9月には「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」が公表されております。
平成27年1月には、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」が公表されております。
また、4月には改正介護保険法が施行され、「在宅医療・介護連携の推進」「生活支援サービスの充実・強化」等が行われております。
障害分野におきましては、平成25年4月に障害者総合支援法が施行され、新たな基本理念が創設され、ケアホームのグループホームへの一元化等が規定をされました。
また、平成28年には障害者総合支援法が改正され、「本人が望む地域生活の実現」「高齢の障害者の円滑なサービス利用」「障害者の社会参加の促進」等に沿った制度改正が行われたところでございます。
9ページでございます。こちらにつきましては、前回、介護福祉士の養成課程における教育内容等の見直しをしたときの資料でございます。
左側に「資格取得時の到達目標」が書かれております。これが資格取得時の到達目標ということでございますが、さらに、資格取得後も研さんを積んだ上で、右側に書かれているような「求められる介護福祉士像」に近づいていくということが想定をされているところでございます。細かい説明につきましては省略をさせていただきます。
10ページですが、3番目の論点として「入門的研修について」を御議論いただければと思います。
論点といたしましては、「介護未経験者の介護分野への参入を促進するため、そのきっかけ作りとして介護に関する基礎的な知識・技術を学ぶことができる入門的研修は、どのような内容とすべきか」というものでございます。
方向性の案でございますが、
・ 入門的研修の内容については、できるだけ基本的な内容とするとともに、介護未
経験者が介護分野への参入の障壁となっていることを払拭できるような内容とす
ることが重要であり、介護分野への参入にあたり課題と感じている、介護保険等の
制度に関する内容や、トイレへの誘導等の移動や衣服の着脱などの基本的な介護の
方法、認知症に関する基本的な理解、緊急時の対応方法などを学ぶことができる内
容とすべきである。
・ また、研修内容の検討にあたっては、介護分野に参入した者がステップアップし
やすいよう、介護職員初任者研修等の既存の研修内容も踏まえ、受講科目の読み替
えが可能となるような配慮も必要である。この場合、受講科目の読み替えを可能と
するためにも、研修の修了証を発行する取扱いとすることが考えられる。
研修の時間数については、介護職員初任者研修(研修時間数130時間)の半分程
度を目安として検討することが考えられる。
・ なお、入門的研修の位置づけについては、介護分野に参入する際の必須の研修と
するのではなく、あくまで介護分野に参入するきっかけとするものであることから、
任意の研修という位置づけにすべきである。
というところでございます。
最後に11ページですけれども、こちらにつきましては、前回の専門委員会で提出をさせていただきました資料を再掲しております。今、入門的研修の内容について御説明を申し上げましたが、これにつきましては「高齢者が介護分野に参入する際の課題や必要な支援策」ということで、<介護分野への参入にあたり高齢者自身が感じる課題>から、課題に基づいたものということにしております。具体的には、「非常時等への対応」「健康面・安全面」「介護保険制度等の理解」「ケアの適切性」ということについて、高齢者自身が課題を感じておりますので、そういったものに対応した研修とすべきではないかというところでございます。
資料といたしましてはもう一つ、参考資料ということで「介護福祉士の養成カリキュラム等について」というものをつけさせていただいております。現在の介護福祉士のカリキュラム、教育内容等、介護職員初任者研修の概要についてまとめさせていただいておりますが、こちらにつきましては詳細な説明は省略させていただきたいと思います。
それでは、私からの資料の説明は以上とさせていただきます。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から示された論点及び方向性について、御質問・御意見がありましたらお願いいたします。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 介護福祉士会の石本でございます。
委員長、本資料に対する意見プラス提出している意見書についての説明をあわせてさせていただいてもよろしいかどうか伺いたいのですが。
○田中委員長 もちろん、どうぞお願いします。
○石本委員 よろしゅうございますか。では、少々お時間をいただきますがよろしくお願いいたします。
それでは、まず本資料についての意見をそれぞれの論点に対して申し上げたいと思います。
まず1つ目の論点でございます「チームリーダーの育成について」というところについて、おおむね方向性としては異論はございません。ただし、2つ目の○のところに資格取得のプロセスにおいて知識等の修得を行うということを書いてございますね。もちろん、それも大事なのですが、取得された後にしっかりと実務経験や継続的な学習というものを通じ、高度な専門性を身につけていくことが必要でありまして、チームリーダーとしての素養を育てるという部分についても、やはり取得後にしっかりやるということが大事ではなかろうかと考えます。
それにつきましては、私ども職能団体でも介護福祉士の質を高めるための生涯研修というものを行っておりますが、さらに広く事業者団体や教育団体、また学識経験者の方等の参画を経て検討されてきた、認定介護福祉士というものを活用し、真のリーダーを育てるということでの方向づけをすべきではないかと考える、ということを申し上げます。
2つ目は「介護福祉士に必要な資質について」でございますが、こちらも特段異論はございません。おおむね方向性としてはそうであると思います。特に今般、6ページの一番下でございますが、「災害時の」というのが一文加えられたことは、私どもとしても非常に重要であると捉えております。私自身も地元・熊本で被災し、被災しながらも支援で回らせていただく中で、生活を支えるというところでの本領発揮をできたのはまさに介護福祉士であったという自負がございますので、ここのところを介護福祉士が担うべき役割として一文入るということが非常に重要という印象を持っております。
さらに養成カリキュラムについて7ページ等に記載されておりますが、こちらに関しても職能団体として、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
現行のカリキュラムは、参考資料でもございますが、こちらのほうで行われている教育の中で不足していると思われるものというのが、やはり学んだ知識を統合化させ、実践で生かすためのトレーニングが少し不足しているのではないかなと思います。
これにつきまして、私どものほうで認定介護福祉士のモデル研修を行った際に、その受講者にヒアリングやアンケートをとらせていただいた中でも、そういった意見が出されたところでございます。
それをクリアしていくためには、日ごろの授業の中で介護福祉の実践のために、特に「多職種連携」というキーワードが出てきておりますので、多職種連携を意識したような事例検討といったものをしっかり積み重ね、介護実習でその事例検討の内容等を実際のケアカンファレンスの場で確認できる機会と位置づける必要があるのではないかということ。
それと、3ページで示されておりますチームリーダーの育成につきましても、資格取得のプロセスで一定の知識を取得することが必要であるということから、あわせて養成カリキュラムの中にそのチームリーダーとしての素養を身につける要素というのを入れる必要があるのではないかなと思います。
さらには、いわゆる今後の地域包括ケアシステムというのを見据えて、介護福祉士があるべき姿というのを考えたときに、その地域社会で担うべき役割や主導的な役割を担っていくということを考えますと、その中には当然、スーパービジョン等の相談援助的な教育も養成カリキュラムの中に含めて考えていく必要があるのではないかと思うところでございます。
続きまして、3つ目の論点「入門的研修について」ですが、前回、「入りやすく昇りやすい」というのはどうにか訂正してほしいと申し上げたところでした。
入りやすくということを考えますと、内容的には妥当だろうと思うのですが、私ども質にこだわる職能団体としましては、130時間の半分で十分ですとはなかなか言い切れない。単純に時間が半分で妥当ですよとはなかなか言いづらいところがございます。やはり、担うべき役割に対して本当に必要な知識・技術というものをきちんと担保していくということが大事であり、では何を担わせていくのかというのをもう少ししっかり見据えた上で議論されるべきではないのかなと思います。それが事前のいわゆる裾野研修の中なのか、その後も継続的に研修を受けていただくというような仕組みを考えるのかというところも含めて、今後検討していただければと思います。
以上が、本資料に関しての意見でございます。
では、私どものほうから提出させていただいております意見書について、少しかいつまんで御説明させていただきます。
「介護人材における介護福祉士の役割に係る意見書」ということで提出させていただいております。特段、何か斬新なことを盛り込んでいるわけではありません。しかしながら、専門職団体であります介護福祉士会として、今後しっかりやるべきことをするのだという意思表示。そういった思いで整理をさせていただいているということを事前に申し上げさせていただきたいと思います。
まず、1ページの「1 介護職チームの在り方」というところで申し述べておりますのは、やはり有資格者と資格がない方の役割を整理すべき。そこで、本来専門的知識や技術といったものをしっかり発揮できる職場環境、それと、とはいえ片方で担うべき人材が不足しているという部分に関しては、多様な人材を受け入れていく。しかし、そこに関しては介護福祉士がしっかりとマネジメントしながら、サービスの質というものが担保されることにこだわっていきたいということを1つ目の「介護職チームの在り方」というところで述べさせていただいております。
2ページ目でございますが、求められる役割というところでございますけれども、こちらに関しましては、特に今般、医療的ニーズを抱えた方々がやはり在宅で暮らすという場面が多くなってきている中におきましては、生活の場面において必要とされる医療的なニーズにも応えられるような専門性を身につけていくことが必要ではなかろうか。また、その中で多職種としっかり連携が図れる高度な人材を養成していく必要があるということをこちらのほうには記させていただいております。
3つ目の「介護人材の業務分担」というところにつきましても種々書いてございますが、特に2つ目の○のところに「『介護福祉士』は、質の高い介護福祉の実践を担保するため、次の業務を担う人材として位置付ける必要がある」ということで、5つほど項目を挙げさせていただいております。
本来、今でも担わなければならないのですが、そこに関して明確に示すということを職能としては今まで少し発信が弱かったという自分たちの反省もありますので、ここで改めてしっかり発信をするという意味でここに記載しております。
それをしていくに当たっては、先ほども申し述べましたが、認定介護福祉士というものについてしっかり自分たちの高みの目指すべきところに位置づけて、全体的な介護福祉士の質の底上げを図りたいということで記載をさせていただいております。
さらには、介護福祉士ではない介護職の方々については、上か下かという関係性どうこうというよりは、一緒にそのチームを担う仲間としてやっていくのだというところで、2ページの一番下にございますが、「介護福祉士以外の介護職」については、「介護福祉士」等の専門職による教育・指導のもとで、ともに質の高い福祉を実践する人材として位置づけますということを書かせていただいております。
続きまして3ページでございますが、ここからはそういった方向性を我々としてはしっかり目指していきたいということに関しまして、私たち職能団体としてはさまざまな取り組みを行っていきますということでの意見表明ということで書かせていただいておりまして、まずは介護過程を適切に展開できる介護福祉士をしっかり養成するということ。
2つ目が、多職種と適切に連携できる介護福祉士を育成するということ。
3つ目に、介護職チームのマネジメントが担える介護福祉士を養成したいということを書いております。
さらに、カリキュラムの見直しにつきましては、4ページ目に言及しておりますが、1つ目が、体系的な医学またはリハビリテーション等々について新たに盛り込む必要性があるのではないでしょうかということや、多職種連携を意識した事例検討等の機会を設けるべきではないかということなどを盛り込ませていただいております。
今後、養成カリキュラムについて検討されていくことだろうと思いますので、それに関しましては、やはり養成施設協会や事業者団体、また私ども等広く参画を得た議論を積み重ねることで、現場の要請に応えられる内容にしていただきたいということをここでお願い申し上げたいと思います。
5ページ以降は参考資料として、現在、検討が進められ、実際に動き出しております認定介護福祉士並びに私ども職能団体の生涯研修についての仕組みを抜粋したものを掲載させていただいております。
私ども職能団体の一番の課題は組織率が低いというところで、いろいろな実効性や発信力が弱いということが今までも御指摘を受けてきておりますが、今後はそこに関しましては、しっかり私たちも取り組みながら、やはり国民の生活・福祉が向上するために介護福祉士がどうあるべきだということをしっかり捉まえながら取り組んでまいりたいということで、この場で意見書を提出させていただきました。
以上でございます。ありがとうございました。
○田中委員長 意見書の説明も含めてありがとうございました。
平川委員、お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。
きょう出されました論点について、何点か意見をさせていただきたいと思います。
最初に、チームリーダーの育成のところであります。方向性についてはこの方向でいいとは思うのですけれども、やはり現場の、例えば訪問介護におけるチームリーダー、いわゆるサービス提供責任者の業務実態を見ますと、なかなかこのチームリーダーとしての力を発揮するに当たっては多くの課題があるのかなと思っているところであります。
ほかの職種で申しわけないのですけれども、例えば、病院の病棟における看護師長の役割。私は目指すべきはその辺なのかなというイメージを持っておりますけれども、それを見てみますと、やはり病棟の看護師長においては、夜勤をしないとか、その一方でしっかりと病棟における患者さんの状態を把握していくということが使命としてあるわけですけれども、現状のサービス提供責任者の状況を見ますと、サービスに穴があいたらそこに穴埋めをしていく、応援に行くということなども含めて、なかなかそのチームリーダーとしての役割が発揮できるような職場実態にはなかなかなっていないのかなと思いますので、可能でありましたら、やり方はいろいろありますけれども、本当にサービス提供責任者としてのある意味で専任化ができるような対応ということが本来あるべきなのではないかなと思います。それに向けてはなかなかハードルが高いと思いますけれども、その辺の方向も検討が必要かと思います。
また、それに伴いましての研修も重要でありますので、しっかりと研修を行っていくことや、職場実態からいうと研修にもなかなか参加できないという声はありますので、その辺についても研修の代替であるとか、研修の費用については今、医療介護総合確保基金がございますので、その基金の活用もさらに検討しながら進めていく必要があるのかなと考えているところであります。
また、このチームリーダーの育成の方向性の一番最後の○のところですけれども、「介護の実践者、管理職や施設長といったマネジメント職」等々含めてありまして、4ページのほうに行って、それぞれ3つの役割が明記されております。これはそれぞれの方向を目指していくということなのか。質問ですけれども、これを全て役割として持つべきなのか、それとも、これはそれぞれの役割を分担して目指すべきものなのかということについて、質問としてお聞きしたいと思います。
5ページの「介護福祉士に必要な資質について」であります。特に、私たち連合の中でも問題になっていますのは、介護による離職です。親が介護が必要になった、それによってさまざまな理由で職場をやめざるを得ないという、介護による離職が大きく問題となっているということであります。ここに「家族の介護負担の軽減」ということで記載はされております。介護福祉士が家族の介護の負担の軽減、もちろんその中においても介護による離職を防いでいく。そのためにさまざまな助言ができるような資質というのも必要ではないのかなと思っています。
育児介護休業法が来年の1月1日から改正されて施行されるわけでありますけれども、その介護休業に関する知識であるとか、もしくは家族に対する支援ということに対しての知識なども重要ではないかなと考えているところであります。
また、この中で「生活支援」ということも記載されております。これから高齢の独居の方もしくは低年金者・無年金者の方がどんどんふえていくということも想定をされているところであります。そういった意味で、介護制度以外のほかの制度、例えば生活保護とかです。全てを知っている必要はないのですけれども、そういう制度につなげていけるような資質ということも重要かと思いますので、介護福祉士の養成カリキュラムの中においても、その社会保障制度についてのある程度の知識が得られるような仕組みというのが重要ではないかと考えているところであります。
最後に、入門的研修のところであります。10ページですけれども、きっかけづくりという位置づけにおいて入門的研修を受けていくというのは、考え方の一つなのかなと思いますが、一方でこれが例えば、介護保険上におけます職員配置の要件であるとか、そういうものになるのであれば、これは問題ではないかなと思います。あくまでもきっかけづくりであって、それがある意味、例えば、ほかの初任者研修修了者の代替になってしまうようなことになっては、これは専門性の問題や安心して介護を受けるという立場からすれば問題ではないかなと思いますので、そうならないような対応ということを求めていきたいなと考えているところであります。
以上、意見とあと質問が1個ありますので、それについて答えていただければと思います。
○田中委員長 意見ありがとうございました。質問にお答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。
御質問いただいた内容は、チームリーダーの役割として3つ書かれているけれども、それは1人が全てやらなければいけないのか、あるいは分担して対応すべきものなのかということなのですけれども、これについては私どもとしては、チームリーダーとして必要な役割がこの3つであると考えておりますので、当然ながら1人のチームリーダーがこの3つの役割をその場面場面に応じて発揮していくということであると考えております。
○平川委員 ありがとうございます。
私はこの3つ全てを備えるというのはなかなか厳しいと思いますけれども、そういうことでありますと、チームリーダーがこういう役割を果たしていくのだということのその先について、例えば介護福祉士会さんが提言をしている認定介護福祉士さんとか、そういうこともある意味展望しているのかどうかということについても、ちょっとお聞きしたいと思います。
○榎本福祉人材確保対策室長 チームリーダーの先の話ですけれども、今、私どもが考えておりますのは、この3つの役割を果たすのですけれども、委員も御指摘のとおり、この中では恐らくその方その方によって得意不得意があるのだと思います。ですから、この中で例えば介護の実践者としての役割といったところが得意な方についてはそちらのほうを集中的に高めていただいて、高い専門性を持ってケアを提供する介護の実践者としての道を進んでいただくということもあると思いますし、それからサービスをマネジメントする役割について能力を発揮しやすいという方については、将来的には管理職とか施設長といったマネジメント職に進んでいただく。指導者あるいは人材育成ということに御関心のある方については、介護分野における教育者や研究者といった方面に進んでいただくというようなことが考えられます。
今のところ、私どもとして考えているような道というのはそのあたりと考えています。
○田中委員長 はい。井之上委員、武居委員の順でよろしいですか。お願いします。
○井之上委員 介養協の井之上でございます。
我々、介護福祉士養成施設協会も、今これからの介護教育のあり方について、検討会議をずっとしておりまして、実は先週その会議があった中でひとつ御紹介したいと思いますが、大変印象深いお話が出たのですけれども、横浜のある施設長さんがこの夏に台湾に参られまして、幾つかの施設を訪問されてきました。そのときに彼女が気になって質問された中で、人材登用のあり方といいますか、例えば管理職、施設長や主任と言われる方々はどういう方を採用されているのですかと聞いたときに、ほとんど皆さん福祉関係の大学を出られたり、そういう学位を持った方々がついている。では、現場からたたき上げで経験を十分積んだ方がなることはあるのですかと聞いたら、そういうことは一切ないとおっしゃったのです。経験だけで管理職につくというのはやはり限界があるということで、そういうきちんと体系的な教育を受けた者が管理・監督職になるべきだということをおっしゃって物すごく驚かれたといいますか、すばらしいなということで、そういう話を紹介されました。実際、今、日本の施設はどうかといったときには、その辺はごちゃごちゃではないかなと思っているのです。
今回、チームリーダーを養成するということで、確かにここに書かれているところは我々も研究している中でほぼ変わらない、異論はないわけですが、ただこのチームリーダーの人たちが本当に思う存分能力を発揮できているかどうか、これからもできるのかとしたときに、やはりその上に立つ管理職のあり方というのがすごく問われてくるかと思うのです。
正直に言いまして、かつて2万5,000人の卒業生を出して、前も言いましたけれども、今は本当に養成校はぺっちゃんこでありまして、どこの学校も1学年80人を毎年輩出していたときが7~8年前までだったわけですけれども、今はそれが半分になる40人でして、ましてやその40人も半分ぐらいになっている状況でありますから、我々養成校はどうしているかといいますと、就職させるあるいは実習に出すときに、本当に施設を選ばせていただいているのです。本当に施設の代表の方の前では大変申しわけないですけれども、本当に施設間の優劣というのが物すごくあります。やはり、我々の卒業生の話とかあるいは我々の専任教員が実習先を回ってその施設の状況を見たときに、本当に施設のよしあしというのがすごくわかります。いい施設は本当に今はすごくふえてきたと思いますし、職員が定着していますし、研修制度も労務管理もしっかりされているところもいっぱい出てきましたが、いかんせんまだそれになっていないところも多いかと思うのです。それは、一つには管理職がどういう経営理念・経営方針を持ってやっているのか等々がやはり問われているのではないかなと思います。
先ほどの台湾の話ではないですけれども、管理・監督する立場にある者は、そういう教育をきちっとした者をつけるべきだろうと思いますし、今回の3ページの方向性のところを見ますと、「現場の実践の中でそれらを深化させる」等々、あるいは「現場での実践を通じて育成していく」というふうになっておりますが、我々とすればやはり一つのきちっとした教育体系の中で身につけて学んでいくべきものだろうと思っておりますので、ぜひ学位あるいは資格あるいはその処遇がワンセットになったものが大事ではないかなと思っています。
厚労省以外の各省庁も日本の介護を世界に売ろうというときに、専門職あるいは専門性の確立というのがすごく大事ではないかなと思っていますし、一番簡単なのは大学院までつくることだと私なんかは思うのですが、そうすることで、世界は今、日本のこの介護を虎視眈々と見ているわけですけれども、そのときに介護福祉士というのがどのレベルであるかというのをやはり見るかと思うのです。学位とかそういうものを照らし合わせたときに、介護福祉士のレベルがどの程度であるかということを一目瞭然でわかるような形に持っていくということが、これから求められているのではないかなと思います。
意見でございます。
○田中委員長 ありがとうございました。
○武居委員 今、3人の方のお話を伺いながら思ったのですが、チームリーダーの定義づけというのが非常に不明確ではないかなと思われます。どのレベルのチームのリーダーというのを考えるのかというところが少し大事なのではないかと思います。
今、お話があったように、例えば、その知識や技術を、いわゆる基本的な介護の知識や技術を学ぶときにあわせて学ぶべきものなのか。それとも、もう少し現業について実際の対応をする必要が生じたときに、卒後教育といいますか、現場の現任教育のような形で段階的にその知識や技術を得ていくのかということも含めて考えないといけないのではないかなと思います。
例えば、大学の学生ないしは介護福祉士の教育を受けている学生に対して、介護の技術や知識はもちろん教育するべき内容ですし、それは学生にも関心があるものだろうと思うのですが、マネジメントの話をしてもなかなか基本的な知識として身につくかどうかの問題も含めて、基礎的な知識や技術の中に入れるべきものというのはある程度考えなければならないのではないかと思われます。
したがって、チームリーダーの定義づけをし、そこで必要な知識や技術をどのレベルにするのか。このあたりの議論が必要なのではないかなと思います。
○田中委員長 ありがとうございました。
鎌倉委員、お願いします。
○鎌倉委員 社会福祉会の鎌倉です。
「チームリーダーの育成について」という箇所ですけれども、1987年に社会福祉士及び介護福祉士法が制定された。ここのところの原典をもう一度確認していただければと思うのですけれども、ここの介護に関して、世界で初めて介護福祉士、ケアワーカーというものをつくった。これは日本が誇るべきことだと思います。
そして、それとともにソーシャルワーカーというか、社会福祉士というのもあわせてつくっているのは、それこそこのキャリアラダーの例ですけれども、ソーシャルワークにおけるケアの重要さと、それからソーシャルワーク自身の重要性をうまく分けた形で資格をつくったと読めると思います。
そうしますと、ここの「チームリーダーの育成について」というところで、「高度な技術を有する介護の実践者としての役割」というところは、これはケアワーカーとしての非常に大事なところだろうと思います。
それから「介護技術の指導者としての役割」で「チームリーダー」という言葉が出てきましたけれども、これは先ほど平川委員も言われたように、看護職なんかも同じなのですけれども、ケアにおけるリーダーですから、いろいろな事業所におけるケアリーダーというような表現であればより明確であるのではないかと思います。
そして「介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割」ということになりますと、これは実はソーシャルワーカーの役割です。そうしますと、介護福祉士の方たちで今いろいろ役割が重要であるというポイントの中に、このマネジメントのレベルになってくると、これは社会福祉会の立場からすると専門職ソーシャルワーカーを目指してもらいたい。ということで、ぜひ社会福祉士の資格を取っていただければというようなことで、そういう道筋というものを示したほうがよろしいのではないかと、社会福祉会の立場としてはそのように感じました。
これは意見です。
○田中委員長 小島参考人、お願いいたします。
○小島参考人 ありがとうございます。
私も行政の立場で常日ごろ見ている話としてちょっとお話をさせていただければと思います。
まず、チームリーダーの話ですが、まず養成の過程でそういった素養を身につけるという今回の方向性は、私も間違ってはいないと思うのですが、やはり養成後の学び、気づき、こういったものの訓練が常に重要なのかなと思っております。
そうした意味では、一つの事例として、認知症介護については実践研修があったりリーダー研修があったり、または指導者研修があるというような体系的なものがありまして、その中で行われているものはまさに気づきをどう修得するかだと思うのです。認知症の分野では常に進歩をしておりますので、今までの介護が必ずしも正しいものではないということを、グループワークとか演習を通じて話し合って、それぞれの技術を磨いているというようなやり方をしていますので、単に職場でのOJTにとどまらない取り組みというのをやっているのだと思うのです。そうしたものが今後のリーダーの育成には求められてくるのかなということですから、先ほど武居さんが言われたように、このチームリーダーの定義というのをどこに置くのかですね。それによってそういう学びの仕方というのも研修の体系としてはつくっていっていただきたいなと思っております。
確かに私どもとしては人材の確保というのがかなり喫緊の課題でありまして、裾野を広げるというのは大事な話でありますので、この裾野を広げるときに、初任者研修よりもレベルを下げた研修というのも確かに必要なのかもしれないです。そういった意味では、前回の専門委員会で紹介されているような介護助手の導入。こういった部分も、私も神奈川県でもモデル的に取り組みをさせていただいております。そのときに、やはりまずきっかけづくりということで、先ほどもどなたかが言われたように、私たちは人員基準の中にそこを入れるのではなくて、あくまでも外に入れて、逆に今までで言う介護福祉士等の方の専門性を生かせるような仕組みとして、助手を導入したいなとは思っておりますので、そうした方々に対する裾野を広げる研修、これについても前回の専門委員会の資料でも、各都道府県が入門研修をいろいろとさまざまにやっておりますので、そうした分野にこの介護の基金が活用できるような、こういう柔軟な対応ができるようなことを継続していただければ、私どもとしてはいろいろな意味で必要な研修を考えていきたいと思っています。
そのようなことでありますので、キャリア形成の中で一つ一つのパスの中で、最終的には認定介護福祉士というような制度も私はおかしくはないと思っておりますが、先ほども言いましたように、それを単純にみんなが目指すのではなくて、やはり介護の現場というのは介護福祉士の養成校を出てもお掃除一つできない、お米のとぎ方一つわからない。本当に常識的なところから生活の支援ができない。そのようなこともよく取り沙汰されていますので、資格だけではないのかなと。特に施設介護なんか見ていると、そういった面はあるのかなとは思っておりますので、そうした方々が今後とも介護の現場で仕事を続けられるようなスキルアップも必要なのかなと思っていますので、前に意見がありましたが、全ての方が介護福祉士の取得を目指すのではないという部分も視野に入れた教育のあり方というのが必要なのかなと思っております。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございました。
上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 社養協の上野谷でございます。
このチームリーダーの育成を含めて、全体の方向性はまあまあいいのではないかなと思っております。ただし、今おっしゃったように、定義づけをはっきりして、どの段階のリーダーなのか、これはちょっと明確にしていただきたい。
そして、社会福祉士の養成のお話もまた次回、次々回で出てくるのであろうと思いますが、養成の場合、現在の人材をどうするのかという問題と、これから教育体系を、カリキュラムを変えて、これからの人の養成をどうするのかという2つの議論があると思うのです。
今、介護の場合は2035年までの間に、いかに今の人たちを上手に現在求められているニーズに合うように早く変えないといけないという問題と、さっき学位の話も出ましたけれども、これからの人は大体、社会福祉系の大学に来られて、介護の方は同志社大学などで学位を取られてかなりキャリアアップされていくという実態がございます。介護も看護もそもそもそういう状況があって今や看護として独立して学位を出されている。ですから、それはぼちぼちやっていくだろうと思うのですが、そういう意味ではこのカリキュラムを今のリーダーの育成、求めているものでおやりになる場合は、ちょっと時間数をふやしていただかないと多分できないのではないか。これは介護のほうの専門の方たちはお考えになることですが、何かそういう感じがひとついたします。
それと同時に、社会福祉士と介護福祉士は今、鎌倉委員もおっしゃったように、共通する部分もございますので、読みかえですね。双方がキャリアアップできるような、読みかえるためにはカリキュラム改定のときには慎重に両者の意見をすり合わせていただいて、より人材が効果的・効率的という言葉は適切ではないかもわかりませんけれども、非常に緊急を要しますので、この10年間の改正には少し柔軟な対応ができるようにぜひお願いしたいと思っております。
意見としてでございます。
○田中委員長 ありがとうございます。
堀田委員、お願いします。
○堀田委員 3点申し上げます。今までのお話を伺っていて、1つ目はチームリーダーの定義というか、ここでの何を話しているかということの議論が必要だと思うのですが、多分ここで出されている範囲ですと、現場管理者レベルなのかなと想像します。施設だと主任リーダーとか、訪問系だとサービス提供責任者なりといったようなレベルなのかなと思いますが、ちょっと一定整理が必要かなと思います。
その上でなのですが、このチームリーダーの役割というところでいきますと、先ほど石本委員のほうからは、知識を実践に展開する力がやや欠けているというようなお話が介護福祉士についても出たところだったと思うのですが、知識を実践に展開するという意味でも、どちらかというとチームリーダーという意味でいうと、実践を振り返ってよりいい実践にしていくというような、省察的実践のための対話あるいはファシリテーションみたいなものがしっかりとなされることというのは重要ではないかなと思います。
それから、2番目の論点については、今までの委員の皆様からの御意見も伺いながらも、介護福祉士に必要な資質として考えていくのがいいのか、それとも、たしか前回のどなたかからの質問で、共通基礎課程の話は今回は別という話もあったような気がするのですが、医療や福祉の関連する基礎資格の共通化というようなところで議論すべきことかもしれないのですけれども、改めて介護福祉士にということを軸に考えたとしても、いかに本人のベストインタレストを追求するかということに立った展開を考えていく必要があるのではないかなと思っています。
その上で、入り口として相談の基礎というお話がありましたけれども、やはり共通基礎として考えるのか、介護福祉の次と考えるのかは別としても、ソーシャルワークの基礎のようなものは介護福祉にいずれというか、本当は全職種に持っておいてほしい、あるいは持っているものが発揮されるようにしてほしいなと思います。これが入り口に関連するもので、そのときに既にさまざまな制度改正のところも書かれているところですけれども、どうしてもまだまだ高齢者の介護については強いけれども、家族全体として見ると複合的な課題を抱えていることに対して対応が十分でないと言われることもありますので、それも見据えた形でのソーシャルワークの基礎ということが入り口に必要かなと。
さらに、出口としてのコミュニティー・デベロップメントの力というものも、本当は基礎として展開されてほしいし、それが一気には難しいのであれば、介護福祉士の今後の資質としても位置づけを検討していいのではないかなと思っています。
最後に、論点3の入門のところなのですけれども、これは何かこれまでの長い議論の過程からすると、行ったり来たりで何だかどうだかなと思いながらなのですけれども、これもただ今の10ページのところでいきますと、まだまだ高齢者の介護が想定されていると思うのですけれども、既に先ほど小島参考人のほうからも、都道府県や自治体などでもこういった基礎的なものを独自に入れているところがあるというお話がありました。
そうしたものの一部でも、それから北海道当別町の社会福祉法人の「ゆうゆう」さんとかあるいは東京中心にやっている「ふるさとの会」さんなどがやっている生活支援の基礎にかかわる研修などもそうですけれども、既にこの入門的な研修は高齢者だけではなくて、全ての住民を対象として生活支援の基礎といったような形でつくられている研修も多くありますので、任意の研修を必須でなくというのは私は非常に賛成しています。
ただ、ある程度、国として標準的なものを参考としてつくっていくのであれば、既にある各地でつくられている、とりわけ高齢者のみならず全対象・対応の生活支援の基礎といったものの研修がどういったものがあって、どのような効果あるいは課題があるのかといったものを、ちょっと一度棚卸ししていただけるといいのではないかなと思います。
私が見る限りでは、これは研修時間数130時間の半分程度を目安というのは、実習と座学とかを含んでいる時間なのかなと想像しますけれども、少なくとも座学に関しては30時間ぐらいでおさめているようなところが多くあるなと思いますので、その時間数の妥当性という意味でも、そもそも既にどなたかがおっしゃったように、この入門的研修はどこを狙いとするのか。その狙いによっては、既にさまざまなものが、それも高齢者のみならずつくられているので、それを参照しながらといったような検討が現実的ではないかなと思います。
以上です。
○田中委員長 情報を含めた意見をありがとうございます。
川井委員、お願いします。
○川井委員 チームリーダーからお願いいたします。
「チームリーダーの育成について」ですけれども、先ほどからチームリーダーの定義というお話が出ていますが、きょうの資料の9ページを見ていただきましたら、これは養成課程の左が「資格取得時の到達目標」ですから、養成校を卒業時にはこういう人になっているということです。
右に行きますと、国家試験を受けた後「求められる介護福祉士像」とありますけれども、今のチームリーダーの中身というのは、認知症という言葉は出ていませんが、ほかはほぼこれに当たると思います。ですから、先ほど石本委員からもありましたけれども、介護福祉士資格を取得してからは、ファーストステップ研修とかいろいろやられていると思いますが、こういうものがリーダー育成になっていくのかなと思っています。それが一点です。
それで、そこのチームリーダーのところでお伺いしたいことが1点あります。もう一度3ページに戻りますけれども、一番下の○のところで「高い専門性を持ってケアを提供する介護の実践者、管理職や施設長といったマネジメント職、介護分野における教育者や研究者といったキャリアパスを進んでいくことが考えられる」と書いてくださっているのですけれども、こういう教育者・研究者をどのような形で育成していこうとお考えなのかということを、一点お伺いしたいと思います。
チームリーダーにつきましてはそれだけです。
それから、介護福祉士に必要な資質についてですけれども、ここに本当に網羅されていて十分かと思うのですが、ただ、今の地域包括ケアシステム、そして今まで足りなかったものは何かと言ったときに、重度化していくものについては、ケアの質は上がってきていると思いますが、自立支援、介護予防について十分でなかったように感じています。その理由は、要支援1~2の方々が使っておられるサービスは、通所サービスと訪問介護、の家事援助ですが、この利用者の人たちの要介護度の改善率が低いことが課題になっていると思います。こういうところにもっと力を入れていかなければいけないかなと思います。
それから「入門的研修について」ですが、これまでの初任者研修と、それから実務者研修ができた時の話でいきますと、1,800時間をもとに、入門としてどれだけ初任者研修でやっておけばいいのかということを考えて出てきたものが、130時間の今の研修です。ですから、寄せ集めてきてなったというとりも1,800時間という中身があって、その中から必要なものを導き出したということです。実務者研修も、そういう考え方から、初めは600時間ということで作られましたが、もっと時間をコンパクトにしたほうがいいのではないかとかいう御意見とかいろいろあったと思うのですが、結局は450時間。そして、初任者研修をとっていれば読みかえるということで、実質的には320時間というような流れがあったろうと思います。
ですから、今回の入門的研修は、介護福祉士資格取得を目指すことを想定したものというよりも先ほどから、皆さんからも出ていたと思うのですけれども、やはり介護現場への参入のきっかけづくりということだとすれば、取りやすい形にして、それが自分に合っていると思えば初任者研修に進んでいただくというような形で、読みかえ等を余り考えないでいけるようなものにしたほうが現実的なのではないかと思います。
そのように考えていきましたときに、先ほども出ていましたが、地域包括ケアシステムの介護予防・総合支援事業などの中で、生活支援を担うような方々の2日研修というようなものも今は市町村で検討されています。ですから、そういう物とリンクしていけるような仕組みにするということもあると思います。
以上で一旦終わります。
○田中委員長 質問の部分にお答えください。
○榎本福祉人材確保対策室長 今、御質問いただきましたのは、介護福祉士の方が将来的に研究者とか教育者になられる道筋についてということなのですけれども、基本的にはそうやって介護について研究あるいは教育といったようなことに御関心のある方については、みずから大学・大学院等で学んでいただいて、その中で研究者あるいは養成施設における教育者といったような方向を目指していただくということかと認識しております。
○川井委員 ありがとうございます。
ただ、今のチームリーダーだとか、介護福祉士の中核的な役割を担う人を誰が、どのように教育していくのかという、前回もそういうお話をさせていただきましたけれども、そういう役割を担える人をきちんと養成していかないといけないのではないかということを考えています。
ありがとうございます。
○田中委員長 重要な御指摘ですね。
森脇委員、どうぞ。
○森脇委員 日本商工会議所から参っております森脇です。
今回の各論点の方向性につきましては、特に異論はございません。
「チームリーダーの育成について」というところでございますが、民間企業においてもリーダーに求められる役割としては、こちらの資料にあります実務力とか指導力、マネジメント力という点ではほぼ同じかなと感じております。
各企業においての育成方法といたしましては、実務力は日々の業務を通じてOJTという形の中から身につけさせますし、指導力やマネジメント力につきましては、仕事ができる上司のもとに配置をして、上司の行動や言動から学ばせたりとか、あとは外部のマネジメント研修の受講などで、OFF JTの形で学ばせたりしております。
また、先日のこちらの議論の中でも、例えば泊まり、通所訪問など、サービスを循環するキャリアの仕組みで育成、キャリアパスを広げていくという話がありましたが、民間企業につきましても、リーダーやマネジメント層の育成におきましては、社内のジョブ・ローテーションで複数の部署を経験させて、幅広い視点で物事を判断できるように育成をしたりであるとか、将来の幹部候補につきましては、早期の選抜などを行って、経営者のかばん持ちみたいな形で経営者と一定期間行動をともにさせて、経営者の視点を学ばせたりとか、またジュニアボードのような形で経営会議のような公式の場に参加させたりして育成を行っております。
介護の現場においては、例えば十分に人材を抱えている施設でしたら、意識して人材育成やマネジメントについてじっくり考えられるかもしれませんが、もしかしたら目の前の利用者さんのケアでいっぱいいっぱいになっているというのが現実なのではないかと感じております。
鶏が先か、卵が先かということかもしれませんが、人材の裾野の拡大とリーダーの育成は両輪で進めていくことが大事ではないかと感じております。
また、今回、施設型の人材育成が中心になっているように見受けられますので、在宅介護を担う訪問型の人材の確保と育成につきましても、引き続き検討を進めていただきたいと感じております。
以上でございます。
○田中委員長 ありがとうございます。
阿比留委員、どうぞ。
○阿比留委員 全老施協の阿比留でございます。
前回、今回は2ページのところにもありますが、論点の中で「医療との役割分担」ということで、医療的ケアについて介護職が今後どう取り組んでいくかという検討も必要だということで意見等も出されておりました。
その中で、本会の中でアンケートをとらせていただきまして、10月25日~11月7日にかけまして、特別養護老人ホームの簡易施設に対して899件無作為抽出でアンケートをとらせていただきまして、今回の意見の中で2ページもので出させていただいているものでございます。
この中で「介護職員が行うことのできる『医行為』の拡大について」ということで、その結果をつけさせていただきました。現在、特養の中でも重度化また医療ニーズへの対応が求められているということで、特養の介護職員に対しては、「はい(拡大すべき)」という意見、また「一定の要件のもとに拡大していくべき」という部分が合計で9割相当、正確に言いますと8割強の84%の回答が入っております。また、実態に応じた「医行為」の範囲を拡大を急務で取り扱っていただきたいという意見が出されております。
その行為の内容につきましても、利用者の重度化という背景を踏まえつつですが、家庭において家族等でも行えるような行為、また、“生活“を支えるために必要な行為であることから、その下につけておりますように、
・浣腸、摘便
・インシュリン注射の補助
・人工肛門(ストーマ)
・創傷処理(程度による)
・在宅酸素療法
・褥瘡処置(程度による)
など、程度であったりとかそういったものも勘案しないといけない案件はございますが、こういったものにつきまして、一定の研修等を修了した介護職員等については、実施を認めていただきたいと。また、その際ですが、現に存する喀痰吸引といった研修と二分するのではなく、あくまでも「医行為に関する研修」の枠組みの中で統合していくことが望ましいというようなアンケート結果が出ております。
また、この喀痰吸引等における研修に関してですが、「シフト調整が困難なため研修に行くことが難しい」という理由でなかなか困難な施設が7割に達しているというようなアンケート結果が出ました。このようなことから、座学で済む課程については、ウエブによる研修等を今後、検討していただけたらいいのではないかと提案させていただきたいと思っております。
また、介護職員の医行為に関しまして、「医行為が可能な介護職員への手当(加算等)」「介護福祉士の上位資格を位置付け、更なる評価の拡大」といった期待感、こういった部分を含めまして、今後、関連審議会等で議論していただきまして、医行為が可能な介護職員等に対する加算の充実、また医行為が可能な介護福祉士については准看護師相当とするなど、さらなる高みを目指せるような対応をお願いしたいと思っております。
いずれにしましても、カリキュラムの中に医行為の枠の整理についてぜひお願いしたいということと、これを研修プログラムの中に組み込んでいただきたいということで、これは意見ですが、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田中委員長 医行為についてありがとうございました。
ひとわたり意見を伺いました。さらにという方はいらっしゃいますか。
川井委員、どうぞ。
○川井委員 今の医行為の件ですけれども、喀痰吸引等における研修に関して、シフトの調整が困難なために研修に行くことが難しいからもう少し楽にしてもらえないかということのようですけれども、研修をやっている立場からしますと、やはり喀痰吸引というのは生命に直結する技術ということで、そこは正しい技術をきちんと身につけていただくということが必要だったかと思うのです。ですから、「webによる研修の提供等を検討されたい」ということで、ウエブで可能なのかどうかというところがどうでしょうと思いました。
意見です。
○阿比留委員 確かに研修関係というのは現場に行ってというものが必要だと思いますが、この文については、座学で済む範疇の部分についてできる範囲で検討をいただきたいという部分で、一応、提案事項で通していただいておりますので、その必要性というのは十分勘案した上での提案事項として出させていただいております。
○田中委員長 3つの論点についてそれぞれ何を深めるべきか、皆さんからいい意見をいただきましたものの、まだどこか不明確なので、もう少しきちんとしたほうがいいというところもありました。ただ、方向として反対という方はなかったと感じます。やっと整理できますね。
ただし、まだ不明確な部分はもっとはっきり書く。それから、対象の掘り下げも幾つか御意見をいただきました。
よろしゅうございますか。井之上委員、どうぞ。
○井之上委員 現場で働きながら学ぶということは、本当に大変な苦労でもありますし、なかなか難しい。実際に、実務者研修で450時間受けておられる方々の講習会を私どもはやっておりますが、本当に時間を割いて、そしてその費用をかけてやるということが本当に大変だなとは思うのです。
ただ、将来、介護職、介護というものの専門性を本当に確立していくということであれば、やはりきちっとしたそういう教育体系のもとで学ぶ、そういう教育機関をつくるとかしていかないといけないかなというのは、すごく実感として思っています。どうしても働く現場の人のことを思えば、半年や1年職場を離れて学ぶということなんて考えられないことかもしれませんが、実際に世界を見たときに、例えばドイツなんかでもそういうシステムをちゃんと持っているので。デュアルシステムといいますか、働きながら学び合う。例えば、3日働いて2日学校に行くというようなシステムを持っていたりとか、そうやって本当にレベルを上げていき、介護の専門職としての確立をしていこうとしている。そういうものもこれからは本当に必要ではないかなと思っております。
これから、チームリーダーをつくるということを機会にカリキュラムを変え、この養成全体のシステムを変えていくのであれば、ぜひそういうことも検討していただきたい。これは本当に日本の介護を世界に売ろうというときには、やはりそれぐらいの覚悟といいますか、それぐらいの力を入れてやるべきではないかなと思います。
意見です。済みません。
○田中委員長 石本委員、どうぞ。
○石本委員 いろいろな議論と、今後もまたさらに整理されていくことと思うのですが、前回も申し上げましたけれども、特に介護人材、介護福祉士の人が集まらないとか、なかなか評価が上がらないということの一因に、名称独占であり続けることは大きなネックになるのかなと思うのです。
とはいえ、生活場面にかかわる業務を独占するということの難しさというか、そこも重々理解しているのですが、少なくとも先ほど阿比留委員からありましたように、例えばこういった技能を身につけた介護福祉士に関しては、別途加算で評価する。もしくは、人員配置基準、特に今回は管理者やリーダーというような文言が出ておりますので、例えばですけれども、訪問介護や通所介護、現在、管理者要件、資格要件が定まっていない福祉系のサービスについては、そこはやはり国家資格を持った介護福祉士とか、そういった人員配置上で介護福祉士というものを位置づけるなどの方向性も見据えて検討していただければ、いわゆる介護領域の唯一の国家資格でございますので、そこのところがきちんとはまるように望みたいと思います。
以上です。
○田中委員長 老健局に伝えなくてはならないですね。
上野谷委員、どうぞ。
○上野谷委員 時間が少しあるようですから、全然別の観点からでもよろしゅうございますか。
今はソーシャルワークが展開できる基盤とは何か。介護が展開できる基盤とは何か。今、業務独占のお話が出ましたけれども、これもひとつ法律による裏づけ、予算、これはとても大事なことだと思います。これはお国の予算もあるでしょうし事情もあるでしょうから、粛々とやっていただきたいなと思うのは希望でございます。
ただし、やはり介護の問題を考えていますと、国民の理解のようなものがやや乏しい。もちろんこれは社会的介護をしようということで、社会的ケアということで介護保険をつくり、東南アジアを含めて日本の介護保険を真似し、介護福祉士、社会福祉士というのを真似している国のほうが発展していっているという現状で、台湾もそうでございまして韓国も中国もそうですけれども、この間もちょっと韓国も行ってまいりましたが、やはりそういう状況はあるのだけれども、私は日本のよさというのは、やはり地域福祉型だと思っているのです。
地域福祉という言葉は日本がつくり出した言葉でございまして、欧米から学びながらつくったわけで、公民民の協働を、すなわち田中先生がおっしゃっている地域包括ケアシステムというのは、民民共同プラス公民協働があるからできるわけで、そういう意味では地域を基盤にという考え方です。そして、ボランティアさんやら入門をお受けになるような方々。だから、下手に言いますと婦人にまた家庭に帰れとなるのではないかというので、私もいつも言葉を恐る恐るしか言えないのでありますが、そういう意味ではなくて介護保険という趣旨をきちっと守りながら、しかし男も女も多くの国民に協力してもらう。そのためには、やはり地域福祉型なるものの言葉です。これはキーワードが全然出てこないのです。地域に根差してとか、コミュニティーと出てきますが、せっかく日本がつくり出した民民共同と公民協働をうまく、そのかわり難しいですけれども、しようというボランタリズムもそこに入れながらという、生活支援もそうですけれども、何かそこをもうちょっと入れていただきながら、先ほど井之上先生もおっしゃったような、やはり高度なものはつくっていくという、言わば国民の世論を高めていくような、私たちの代表だみたいなことがないと、私も一人の女性として、これから介護されるであろう国民の一人としても、やや何か不安があって、どこの市町に行くのが一番いいのだろうかとか、よその国に行ったほうがこれからはいいのだろうかとかいうような話が出るような情けないことではいけないと思いますので、ちょっと感想ですけれども、その辺がちょっと下敷きにありますと。もちろん別の委員会でやっていらっしゃるとお聞きしておりますけれども、その辺の関連があれば、より物が言いやすかったという気がしております。
済みません。意見で。
○田中委員長 地域を基盤とする考え方は、地域包括ケア概念の中心で、英語では「Community-based integrated care」と称しています。
○上野谷委員 そうですね。
○田中委員長 「地域包括」ではなく、「地域を基盤とした」と英語表記では入れていますので、おっしゃるとおりです。
○上野谷委員 そうですね。もちろんそうでございます。
○田中委員長 ありがとうございます。
特にほかに御意見がなければ、やや時間より早いようですが、ここまでといたしましょうか。
本日の皆様方からの意見は非常に貴重な御意見でした。それらをまとめて、さらに次回の議論につなげてまいります。
事務局から連絡があればお願いします。
○川部福祉人材確保対策室長補佐 次回につきましては、12月13日、火曜日の午前10時より、場所は東海大学校友会館での開催を予定しております。また改めてお知らせをさせていただきます。
○田中委員長 これにて、本日の委員会を終了いたします。皆様、お忙しい中、お集まりいただき、大変内容のある議論をどうもありがとうございました。
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