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2017年1月12日 第1回全国在宅医療会議ワーキンググループ

医政局

○日時

平成29年1月12日(木)16:00~18:00


○場所

主婦会館プラザエフ カトレア


○議事

○桑木室長補佐 定刻より少し早いですが、構成員の皆様おそろいになりましたので、ただいまから第1回「全国在宅医療会議ワーキンググループ」を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中ご参集いただき、まことにありがとうございます。

 本来であれば、構成員の皆様のご紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿の配付をもって紹介にかえさせていただきます。

 また、本日は、名古屋大学の葛谷雅文教授、横須賀市の川名理惠子地域医療推進課長を参考人としてお呼びしております。

 なお、私ども医政局の伯野につきましては、都合により欠席となります。

 座長が選出されるまでの間、事務局のほうで議事の進行をさせていただきます。

 初めに、お手元の資料を確認させていただきます。

 議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~5、参考資料1~4、また机上配付資料としまして、横浜市より講演会のリーフレット、横須賀市より在宅医療ガイドブックを配付しております。不足がございましたらお知らせください。

 次に、座長の選出に移ります。

 あらかじめ構成員の皆様に御相談させていただきましたところ、新田構成員にお願いしてはどうかとのご意見がございましたが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桑木室長補佐 ありがとうございます。

 それでは、新田構成員に座長をお願いすることとし、以後の議事運営は新田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(新田委員、座長席へ移動)

○新田座長 新田でございます。それでは、よろしくお願いいたします。指名でございますので、座長を務めさせていただきます。皆様の協力、よろしくお願いいたします。

 引き続いて、構成員が欠席した場合の代理出席のルールについて確認いたします。

 団体を代表して参加している構成員が欠席し、代理出席を希望する場合には、事前に事務局を通じて座長の了承を得た上で、当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言することを認めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○新田座長 ありがとうございます。

 それでは、カメラ撮りをされている方はここまででよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○新田座長 では、早速ですが、議事に入りたいと思います。事務局の資料と、それに関連する参考人及び城構成員の提出資料に基づき議論を行いたいと思います。

 まず、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○桑木室長補佐 事務局です。

 事務局のほうでは、資料1、資料2に基づいて説明させていただきます。

 全国在宅医療会議ワーキンググループの開催要綱ですが、昨年7月に開催しました全国在宅医療会議におきまして、在宅医療に係る現状を踏まえ、特に重点的な検討が必要な事項について対応するため、ワーキンググループを設置することとしました。

 検討事項の例としましては、重点分野(案)の策定、重点分野を実施していく上で必要な事項の検討などです。

 構成員のほうは別紙のとおりになっております。

 続きまして、資料2をごらんください。重点分野の策定等に当たりましてご議論いただきたい論点をまとめております。

 1つ目の○に第1回全国在宅医療会議での議論などをまとめております。四角囲みにありますように、第1回全国在宅医療会議におきまして、基本的な考え方に沿って実効的に活動していくために、在宅医療の推進に向けて重点的に対応すべき分野等を定めた「重点分野」を策定することとされております。

 その主な3つの考え方ですが、1つ目が、必要な協力体制を関係者が一体となって対策を展開する。2つ目が、国民目線に立った在宅医療の普及・啓発を図る。3つ目が、エビデンスに基づいた在宅医療を推進するために関係者でエビデンスの蓄積を推進するとされました。

 なお、そのときの構成員からの重点分野の内容に関しましては、2つ目の○になりますが、アウトカム指標といった在宅医療の効果、また経管栄養等の人工的な水分・栄養補給法の妥当性といった在宅医療の標準的な手法などの研究の充実が重要との意見がございました。

 普及・啓発のあり方に関しましては、3つ目の○にありますように、全国一律の普及・啓発のあり方ではなく、地域の医療資源を踏まえた手法が必要である、また、伝えるべき情報を具体的かつ確実に伝えていく手段の検討が必要との意見がございました。

 一方で利用者の視点としましては、看取りまで対応できる医療提供体制や安定的な訪問看護の提供体制といった地域の医療提供体制そのものがしっかりしていなければ、利用者は安心できないとの意見がございました。

 以上のことを踏まえまして、本日ご議論していただきたい論点が2ページの「2.論点」になっております。こうした意見があったことを踏まえ、重点的に対応すべき分野として、例えば以下のとおり設定することについてどのように考えるかをご議論いただきたいと思います。1ポツ目の「在宅医療に関するエビデンスの蓄積」、2ポツ目の「在宅医療に関する医療連携、普及啓発モデルの蓄積」です。また、2つ目の○にありますように、上記について全国在宅医療会議における関係者の協力体制などを明確にするとともに、それぞれの関係者がどのような役割を担えるのか、根拠や実例に基づき具体化し、取りまとめて共有することとしてはどうか。

 本ワーキンググループで取りまとめた意見の親会への報告のイメージを3ページに記しております。こういった点で本日はご議論いただければと考えております。

 事務局からは以上です。

○新田座長 ありがとうございます。

 なお、本日、葛谷参考人、城構成員、川名参考人の3人より説明いただきます。議論が熱中して最後までできないとまずいので、まず全体の説明をしていただいた後に皆さんの議論をお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、葛谷参考人、資料説明をよろしくお願いいたします。

○葛谷参考人 名古屋大学の葛谷でございます。きょうは、お呼びいただきましてありがとうございます。

 私に求められているのが、在宅医療に関するエビデンスの問題と在宅医療の指標としてのQOL評価、この2つのテーマについて提示をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、資料に沿って始めます。

 初めに「在宅医療に関するエビデンス 在宅医療診療ガイドラインの作成に向けて」ということであります。私が知っている限り、在宅医療に関するシステマティックレビューを行われているのが、初めにめくっていただいた2ページ目、厚生労働省の科学研究費をもとにして実施された、いわゆる大島班の中での分担研究で、東京大学の秋下教授が請け負っておられる「在宅医療に関するエビデンス:系統的レビュー」、これしかないのではないかと思います。

 この内容については、もう御存じの方がおられるかもわかりませんが、3ページ目に、概要、どういう形でレビューをされたかということが書いてあります。恐らくエビデンスは余りないだろうということを想定して、あえてCQ(クリニカルクエスチョン)を立てずに、下に書いてあります疾病・病態の12項目。いずれも在宅医療で大変重要な病態の名前が列記してありますが、この12個の疾病・病態並びに介入方法。ここに書いてあります訪問診療、訪問歯科診療、訪問看護等々でありますが、こういう介入方法。さらにアウトカムとして、救急外来受診、入院、在宅死・看取り、在宅療養期間等々でありますが、こういうものを投入して検索をしておられます。

 この中でターゲットとしているのは、小児ももちろん在宅医療は大変大事でありますが、とりあえずこのレビューでは「高齢者」をキーワードとして検索をしておられます。検索は、MedlineCochrane、医中誌を2000年から2013年にかけてレビューをしておられます。量がありますので全てを御説明することはとてもできませんが、私の中で重立ったものを列挙いたしましたのがページ4と5であります。

 エビデンスレベルはいろいろあるわけですが、エビデンスレベルが比較的高いと思われるI並びにIIについて各項目を列記いたしました。例えば認知症に関しては、レベルIIで在宅医療のほうが一般入院に比べて認知症の行動障害が少なくて抗精神病薬の使用も少ない。また、認知症患者の家族介護者に対するサポート介入は認知症患者のQOLを改善する。これはレベルIであります。赤字で書いてあるのがレベルI、すなわちシステマティックレビューまたはRCTのメタ解析が行われている証拠、エビデンスになります。

 一方、5ページ目にあります嚥下障害、肺炎、外傷、発熱・熱中症、急性疾患等に関しては、エビデンスレベルが高いものが見つからなかったという御報告であります。

 次の6ページ目です。その系統レビューは画期的なレビューだったことは間違いないわけですが、やはりリミテーションはありまして、必ずしも列挙されている検索に挙がっているものが在宅医療を受けている高齢者というわけではなかった。中には、地域高齢者に関するレビューが多数含まれているということ。

 あとは、検索の方法でありますが、クリニカルクエスチョンをあえて初めから構築せずに検索をしたというリミテーションもあるのかなと思いますので、今後、できるだけ日本の在宅医療(訪問診療並びに介護保険下で実施される居宅系のサービスを含む)のエビデンスを構築することが必要だろうと思われまして、この系統レビューを参考にして、あえてクリニカルクエスチョンをもう一度構築し直して検索したらどうだということで、次のページにありますガイドライン作成を始めたという経緯がございます。

 系統レビューのバージョンアップ並びにクリニカルクエスチョンを構築して、マインズにのっとった検索方式で、検索期間を1990年から2016年までさらに拡大するという方針で計画を進めました。

 このガイドラインの目的は、資料にはたくさん並べてありますが、下の4行が重要だと思います。このガイドラインの目的というのは、在宅の現場での医療並びにさまざまなサービスに関して、どこまでその有効性が明らかにされているのか、または明らかにされていないのかを浮き彫りにすることによって、今後の在宅医療の指針となり、さらには今後求められる在宅医療の臨床研究課題を浮き彫りにすることを目指すということであります。

 次のページ、このガイドライン作成のスコープであります。当該ガイドラインは個々の疾病の治療方法にターゲットしたものではなくて、在宅医療の中で行われる治療並びにさまざまな地域で展開されるサービスの効果について明らかにしたいということであります。

 それから、本来、在宅医療は小児から高齢者まで幅広い対象者がターゲットになりますが、対象者を広げることによって膨大なCQが想定されることがあって、今回の調査ターゲットは65歳以上の高齢者に限りました。

 それから、ガイドラインをカバーする範囲は、対象は高齢者であり、かつ、地域で元気に生活している高齢者ではなくて自宅で療養している高齢者を対象としております。一部、施設が入っているのですが、ほとんどが在宅医療の現場であって、病院とか施設というのは除きます。在宅医療の定義は、自宅で医療並びに介護サービスなどの介入がされているものとします。ただ、一部、ワクチン接種であるとか投薬などは医療機関でなされているというものも含まざるを得ないだろうということであります。

 9ページは在宅医療診療ガイドラインの組織であります。これはマインズにのっとっておりますが、この日本老年医学会、日本在宅医学会の2つの学会、さらに国立長寿医療研究センターがこのガイドライン作成の主体であります。ガイドライン統括委員、ガイドライン作成事務局、ガイドライン作成グループ、システマティックレビューチームという形で分けておりまして、さらに外部委員の方にも入っていただいて、市民の目も重要視をしております。

10ページ、重要課題としては6つ挙げました。先ほど言いましたように、このガイドラインのCQは先ほどの系統的レビューの結果をもとに構築しました。さらに、そのCQを2学会、それから長寿医療研究センターのメンバーが議論しまして、以下の6つの重要臨床課題を決定して、その上でCQを集約しました。重要課題はここに挙げてあるもので、慢性期医療に関するもの、急性期医療に関するもの、機能障害、これは摂食・嚥下並びに排せつ障害です。4番目が臓器不全、悪性腫瘍に対する在宅医療の効果、5番目はエンドオブライフケアに対する在宅医療の効果、最後はその他重要な病態に対する在宅医療の効果。この6つの重要課題を設定いたしました。

11ページです。その重要課題ごとのCQを並べてあります。合計33CQを構築いたしました。これはざっと見ていただければ結構かなと思います。クリニカルクエスチョンがたくさんある中で、完璧なものではないのはもちろん重々承知をしておりますが、そこのメンバーの中で重要視したものがピックアップされているというふうに御理解ください。

13ページは、例えばCQ1は「認知症患者に、在宅医療、訪問診療、訪問看護サービス、訪問リハビリ、通所リハビリ、通所介護、多職種介入は有効か」というクリニカルクエスチョンでありますが、これのキーワードを1つのCQの例として列挙いたしました。上のほうが日本語で、下のほうが英語のキーワードが入っています。アウトカムを検索式に多くは入れておりません。ただ、アウトカムとしてはこういうアウトカムを重要視してくれということで、アウトカムのキーワードは列挙してあります。

 下に書いてありますが、検索するアウトカムは財政的メリットというのはもちろん大事でありますが、むしろ生命予後であったり、入院、施設入所、QOL、要介護度、ADL、日常生活動作、介護者の健康、介護者のQOL、介護負担などをアウトカムとしては重視するようにレビューチームにはお願いをしてあります。

 実際の文献検索は、特定非営利活動法人日本医学図書館協会に依頼をいたしました。これはもちろん有料であります。検索期間は1990年から2016年8月31日まで。検索データベースはPubMed、医中誌、Cochrane。検索式は初めRCTをターゲットとして実施して、抽出された論文が不十分な場合は、非ランダム化比較試験、コホート研究まで広げるということで検索をお願いいたしました。

15ページ目は検索式の一例で、CQ1の検索式であります。青い矢印が下のほうに3つ並んでおりますが、メタアナリシス、システマティックレビュー、診療ガイドライン、♯21で挙がってきたのは104の論文。あと、RCT研究、♯23228の論文。その他の臨床研究、♯2568という形で挙がっております。これをもとに第1次スクリーニングを実施いたします。

 この検索式の結果が出てきたときに、私なりに大変なことがいろいろあるなと思ったのが16ページに書いてあります。

 まず、在宅診療、在宅医療。英語で言うと、いろいろな訳があると思うのですが、例えばHomemedicalcareHome care serviceなどで検索すると、必ずしも論文は多くありません。在宅で療養し、訪問診療医療や介護サービスを受けている対象者をターゲットとはしておりますが、中には、本当の意味での在宅医療を受けている人なのか、いわゆる在宅・在住の高齢者かという区別がつきにくいことがあります。例えばさまざまな医療行為を入院医療と比較する際に、必ずしも在宅医療を受けている対象者に絞る必要はないのではないかという議論もありました。すなわち、外来医療と入院医療と比較せざるを得ない部分もあるのではないかという意見も出ていました。それらの対象者を入れないとヒットしないという現実もあります。それから、自宅での医療行為は、必ずしも訪問診療を受けている対象者とは限らない。例えばワクチンの効果であったり、在宅酸素療法、在宅透析、これらは必ずしも訪問診療を受けている対象者ばかりではないので、これらの人たちを入れるべきかどうか、というような議論もございます。

 とりあえず今のところ、レビュー(案)には、在宅医療を受けている人たちをまずは対象としてほしいということをお願いしています。ただ、余りにもそこでヒットする論文がなければ、対象を外来まで広げても構わないでしょうという話を今はしております。

17ページは、この在宅医療診療ガイドラインの作成スケジュールであります。この作業は平成27年度の8月から、2学会、途中で国立長寿医療研究センターが参画していただいて議論をしてまいりました。

 現在は、検索は終わっておりまして、1次スクリーニングを実施している、または終わって、そのスクリーニングでヒットした論文の収集作業を行っているはずであります。その後は、2次スクリーニングです。実際に収集した論文を全部読んでいただいて、本当にそれが適当な論文かどうかということを確認して、構造化抄録を作成しまして、推奨作成・診療ガイドラインの草案を作成し、外部評価・パブリックコメントの募集等を計画しております。この予定ですと、ことしの8月、9月に公開できればいいなというふうに期待をしておりますが、若干おくれる可能性はあるかなというふうに危惧しているところであります。

 今のガイドラインについては以上でありますが、よろしいでしょうか。

○新田座長 はい。

○葛谷参考人 続けてよろしいでしょうか。

○新田座長 続けてお願いします。

○葛谷参考人 次、在宅医療の指標、特にQOL評価表の開発についてであります。

 実はこのテーマは、先ほどの大島班で私が担当したテーマであったと記憶しています。在宅医療のQOLというのはないからつくれないだろうかということで、私が担当した部門だったような気がします。

 2ページ目。在宅患者のQOLを維持・向上することは重要であるということは御同意いただけると思いますが、残念ながら在宅患者全体を評価し得るQOL評価法はないのは現状です。それを何とか構築したいということで、3ページ目、在宅患者のQOL評価の問題点を挙げております。

 普通、QOLといいますと、例えば身体機能、社会的役割、あと、健康度、こういうものが評価のターゲットとなります。ただ、在宅医療を受けている患者さんはこれらの項目はいずれも低下をしていることは明らかでありますので、既存の評価法ではどうしてもQOLは下がってしまいます。それから、在宅患者の背景疾患は、がん、胃ろう、COPD、認知症、脳卒中であったり、神経変性疾患であったり、さまざまであります。

 認知症というのは大変大きな問題で、認知症患者さんで自己評価ができないケースはQOLをどうやって評価するのだということで、そういう場合には、介護者による客観的評価というのも必要なのではないかという議論がございます。

 4ページ目です。この在宅患者のQOL評価票開発の目的は、多様な背景疾患を持つ在宅患者さんのためのQOL評価票を作成するということです。主観的な自己評価ができない場合には客観的評価で代用できるようなものがあるといいなということであります。

 私たちが取り込んだ方法は、まず、既存の複数のQOL評価法から適当と思われるものをピックアップいたしました。あとは、私たちの周りにいる在宅医療を専門にやっている先生方の意見を聴取いたしまして、まず、基本的に22の質問項目をピックアップいたしました。複数のケアマネジャーにそのピックアップした項目を見ていただき、質問項目の重要度を点数化していただきました。そこの中で上位18項目に絞って、さらに在宅医の意見を聴取して、最終的に14項目をつくりました。14項目は次のページにございます。

 その14項目の質問票を実際の在宅患者に調査いたしました。QOL評価結果を統計学的に検証しまして、複数の項目を削除し、14項目から思い切って4項目にいたしました。この4項目から成るQOL評価票を作成して、その後、妥当性を検証しております。

 まず、6ページ目が選択された14項目の質問票です。(1)番から(14)番まで。「(1)穏やかな気持ちで過ごせている」「(2)人として大切に扱われていると感じている」「(3)充実した人生だったと感じている」等々で、最後「(14)介護サービスや在宅診療(看護)に満足している」という内容です。この14項目を1から5までの点数化をしております。

 名大病院の私どもの科が持っております在宅医療のコホートがございますので、このコホートに登録された患者並びに介護者さんにお願いをして、実際にこの質問票にチェックをしていただきました。お示ししている14項目は患者さん用でありますから、介護者用のQOLというのは、あなたが介護している患者さんが今どのように感じていますかという形でお聞きしています。

 8ページ目。調査した患者さんが124名でありますが、このうち67組が介護者もアンケートに答えていただいたペアです。X軸が患者さん本人、Y軸が介護者であって、点数がプロットしてあります。一部、外れ値がございますが、信頼性は、Cronbachのα係数は比較的高くて、内部の整合性はとれているとは思いました。介護者と本人との相関も0.4。これを高いと見るか、低いと見るかですが、有意差をもって相関はしておりました。

 9ページ目であります。先ほど言いましたように、在宅医療の患者さんのQOLを評価するときには、認知症の程度であったり、嚥下機能であったり、聴力、コミュニケーション能力、あとは障害高齢者自立度(ADL)などが問題となり、こういうものにかかわらずQOLが測定できることが必要です。この14項目の合計点をQOL総合評価として、この総合評価と関連の強い質問項目を、年齢、あと、上に挙げた認知症の度合い、嚥下機能、聴力、コミュニケーション能力、ADLで調整して偏相関係数を求めています。

 次のページです。偏相関係数0.6以上のものをピックアップしたのがこの4項目であります。「1)穏やかな気持ちで過ごしている」「3)充実した人生だったと感じている」「7)思い出やこれからの事を話す相手がいる」「14)介護サービスや在宅診療(看護)に満足している」、思い切ってこの4つの項目にしておりますが、Chronbachのα係数は0.7ということで、質問項目間の内的整合性は比較的高いものでありました。

 これをもとに11ページ。これが4項目のもので、初めは5つのスケールで分けていましたが、5つは多分大変だということで3つのスケールにしています。「はい」「どちらともいえない」「いいえ」というふうにより単純化をして、2、1、0で点数化をしております。これは患者さん用で、同様に介護者用の質問票もございます。

 これに何か名前がないとまずいかなということで、Quality-of-life Scale for elderly patients Receiving professional home careということで、QOLHCと命名いたしております。

 このバリデーションをするために、13ページをスキップしていただいて14ページです。SF16というのはQOL評価として大変有名でありますが、余りにも質問項目が多くてとてもできないだろうということで、その簡易版のSF‐8をバリデーションスタディに使っています。ただ、14ページにあるSF‐8でも、バリデーションスダディを40名やっていただいたのですけれども、9名は回答できませんでした。

15ページ目は、SF‐8とQOLHCとの相関を見ています。外れ値もございますが、相関係数0.52、有意に相関が認められました。

 最後のほうですが、16ページ目、以上より、私どもは年齢とか認知症、嚥下障害、コミュニケーションによらずQOLを何とか評価するものを作成しました。4項目で、余りにも簡単ではないかという御批判はあると思いますが、時間もかからず簡単に評価できるメリットは大きいと思います。できる限り本人の主観的QOLを評価するのですが、できない場合には介護者による客観的評価もこの評価法は対応できると思います。現在、我々はこのQOLHCを使って、在宅医療の現場でQOLが患者さんのどういう背景と関係しているのだろうかということを検討中でございます。

 雑駁な発表でございましたが、以上です。ありがとうございました。

○新田座長 ありがとうございました。

 皆様への質問、御意見は後で伺います。

 まず、構成員の飯島先生がレビュー、ガイドラインにかかわっていると思いますので、コメントを少しいただいて次へ移りたいと思います。よろしくお願いします。

○飯島構成員 ありがとうございました。東京大学の飯島と言います。

 葛谷先生から幅広く御提示ありましたので、私、このガイドライン作成の構成員の1人として特に補足することはないのですけれども、大学も含めていわゆる研究者側と、特に在宅医学会の先生方のいわゆる現場で働いていらっしゃる方のところのタイアップで編成されているメンバー構成であるということと、あと、葛谷先生も先ほどお話しされましたように、クリニカルクエスチョンは挙げれば切りがないのですけれども、まずはこれぞというものをみんなで厳選してということでスタートさせていただいたという側面があります。

 私もあるテーマを与えられて、今、それこそ第1スクリーニングをオンゴーイングでやっている最中なのです。エビデンスというのを科学的な視点から、それこそ経験、そして御利用者様の満足度とか、いろいろ多面的な側面を持っていると思うのですけれども、そういうところもまだまだ足りない分野だろうなということが当然イメージとして推測できるのです。それを改めてみんなで一回ここでクリアに、それでみんなで納得してみて、次なるステップに入るに当たってということで、ちょっとした起爆剤にでもなれればということで話し合って、今、進めている最中でございます。

 そのぐらいで、また後ほどコメントしたいと思います。

○新田座長 ありがとうございます。

 それでは、次に移りたいと思います。

 城構成員より資料説明をよろしくお願いいたします。

○城構成員 横浜市の城と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 横浜市の取り組みを御説明させていただく時間をいただきまして、ありがとうございます。資料に基づいて御説明いたします。

 まず、今回御説明したいのは、2ページ目ですが、横浜市の状況を簡単に御説明した後、市民啓発の考え方、それから事業内容・成果、今後の方向性という形で御説明をさせていただきます。

 3ページですが、横浜市は人口3732,000人ということで、基礎自治体としては最大の人口を抱える都市ということでございます。65歳以上の方は86万人で23.4%の高齢化率。18区の行政区で構成されております。

 4ページ目、横浜市の将来人口推計ですけれども、総人口についてはほぼ横ばいで推移をするだろうと推計をしております。一方で、2015年と比べ2025年には、下から2行目のところですけれども、65歳以上の人口は1.1倍で87万人から97万人に、75歳以上の人口は1.4倍ということで、団塊の世代が75歳以上になるときに1.4倍になるという形になっています。

 5ページ目、18区別の将来人口推計ですが、18区の中で左側に■の印をつけたところは、もう既に人口がピークアウトしているところでございます。ピークアウトしているのが9区ございまして、●印は2020年ごろに人口がピークとなるもので1区、▲印、2025年ごろに人口がピークという区もございます。

 6ページ目、在宅医療等の必要量です。2025年1年間のレセプトデータから推計をしておりますけれども、要介護認定者は1.5倍、在宅医療等の対象者は1.8倍、認知症高齢者は1.4倍になるというふうに想定しております。

 7ページ目、横浜市の死亡者数の将来推計と死亡場所です。これは、26年度に横浜市で実施した在宅看取りニーズの分析結果で、異常死を除いた死亡診断書ベースで推計をしております。2011年から2013年までの実績値でございますが、仮に病床がふえず、若干の稼働率向上のみを見込んだ場合、今後、在宅、自宅あるいは施設でみとらなければいけない死亡者数は1万1,576人になると推計をしています。こういった地域でみとらなければならない方々が今後ふえるということを認識しながら、私ども、施策を進めているところでございます。

 現在、一番下に書いておりますが、全死亡個票に関するデータ分析を国立社会保障・人口問題研究所とIOGなどとともに共同で実施させていただいているところでございます。

 1枚おめくりいただきまして、横浜市の高齢者の実態調査でアンケートをしたところ、介護サービスを利用している要介護者の7割の方が「在宅介護サービスを使い自宅で暮らし続けたい」ということで、市民の要望は在宅での生活を希望しているということでございます。

 横浜市の主な医療資源と介護資源の状況ですが、真ん中の「6 在宅医療連携拠点 18か所」。これが今回、医師会、区医師会の協力を得まして在宅医療連携拠点を18カ所に整備したものでございます。その他の医療資源を人口10万人単位で見ますと、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所については全国に比べて少ない。訪問看護ステーションは全国並みですが、介護老人福祉施設、介護老人保健施設等はいずれも全国に比べて少ない。

 それから、1ページおめくりいただきまして10ページ、医療介護人材についても、医師、看護師、保健師、助産師の数は全国平均を下回っている状況です。こうした少ない資源の中で大きな人口の高齢化に対応していかなければならないということになります。

11ページは、先ほど御説明した横浜市在宅医療連携拠点でございます。市民の皆様が安心して継続的な在宅医療・介護を受けることができるように、医療と介護の橋渡し役として18区に整備いたしました。平成28年5月に全行政区の拠点整備が完了しております。在宅医療・介護連携の充実・強化に取り組んでいるところでございますが、ケアマネジャーの資格を持つ看護師2名と事務1名を相談員として配置していること、それから、包括エリアごとに配置した区医師会リーダー医師と緊密に連携をさせていただいているといったことが特色となります。

 その実績でございますが、12ページ。相談・支援の状況については、在宅介護を担うケアマネジャーなどに対する相談・支援を行っていまして、18区では2,336人。1カ月で1区当たり13.8人の新規相談者を受けているという状況で、支援・対応回数は延べ7,747回となっています。

 1枚おめくりいただきまして、在宅医の支援もこの拠点の1つの役割でございます。医師間の支え合いネットワークの構築、あるいはかかりつけ医に対する研修等によって在宅医を支援する。ネットワークの構築は各区で進んでおりまして、平成28年には18区で完了する予定でございます。また、かかりつけ医向け研修18回、595人と書いてありますが、これは区レベルで在宅医の理解をふやしていくという取り組みです。それを今度は28年から同行訪問研修ということで、市レベルで、新規に在宅医療に取り組む医師を100名確保しようといった取り組みも始まっております。また、緊急一時入院への協力体制の構築も、病院協会の協力を得まして、市内病院の54%である73病院がこの連携を構築していただいていることになります。

 また、この在宅医療連携拠点の中で多職種連携会議あるいは事例検討会議というものをやっています。医師、歯科医師、薬剤師、包括、ケアマネジャー、訪問看護師、デイサービスの担い手等、あるいは施設の方々、こういった方々が集まって、顔の見える関係を構築するために、連携会議99回、3,700人の参加をいただいております。また、特に医療にかかわる事例を取り上げて、事例検討会議ということをやっておりまして、これも152回という形で実積を重ねているところでございます。

 また、市民啓発については、在宅医療に関する市民向け講演会もこの在宅医療連携拠点で行っていただいておりまして、講演会、講座等をやっているところでございます。

15ページ、市民啓発の考え方でございます。大都市ならではの状況ですが、さまざまな団体と連携しなくては行政だけではなかなか推進できないということもございます。そのため、直接市民に働きかける啓発と、市民と接する機会のある医療介護関係者に働きかける、この2方向で整理をしてございます。

 働きかけるレベルは、市のレベルは我々行政が中心になっている。それから区役所のレベルは、区役所、あるいは先ほど申し上げた1区に1カ所設置しました連携拠点といった区レベルの普及・啓発。それから日常生活圏域レベルということで、横浜市にある139カ所の地域包括支援センターのレベルで広報に取り組んでいただくという形になります。

 直接市民に働きかける啓発は、市民が在宅医療について知るということ。それから、市民に近い区レベル、包括レベルでの取り組み内容は、市民により近い取り組みで、具体的なアプローチといった形になります。また、医療介護関係者への働きかけについては、専門職としての知識・技術の習得に加え、市民啓発についても情報共有する。

 課題として、病院の勤務医師あるいは看護師に対する働きかけというのがなかなか届かないというのが正直なところでございます。最近は、退院支援加算をとり、地域とのつながりを強化している病院がふえてきていることもありまして、今後さらに強化していく必要があると認識しているところでございます。

 事業内容は16ページにまとめたところでございまして、例として、市民啓発ですとか、メディアを活用した広報、民生委員を対象とした講演会、あるいはエンディングノートの書き方講座、あるいは医療介護関係者への働きかけとしては、在宅医養成研修、あるいは在宅におけるチーム医療を担う人材育成研修といった取り組みをしているところでございます。

 その例を17ページで簡単に御説明いたします。例えば市レベルでやっているものは市民啓発講演会ということになりますが、「最期まで自分らしく生きるためには」ということで、金子さんという方に講師をお願いしたところでございます。この中で「自身が病気になったとき最期まで自宅で過ごしたいか」という問いに対して会場でアンケートをとりましたら、61%の方が「そう思う」と言っていただいております。

 それから、市レベルの広報としては、全戸に配付している「広報よこはま」という広報誌ですとか、ホームページ、フェイスブックも始めまして、いろいろな講演会について少しでも多くの方に知っていただこうという形で始めております。

 また、区レベルは、19ページですが、民生委員を対象とした講演会になります。これは西区の取り組みですが、参加者91名ということで、民生委員の方で「在宅医療にかかわったことがある」と答えた方は23%でした。もう少しかかわったことがあるのかなと認識していましたが、4分の1ぐらいだったということです。西区の民生委員の117人中91人に出ていただきましたので、相当効果があったのかなと思っています。

20ページは、地域包括支援センターで行っているエンディングノートの書き方講座ということです。これは磯子区の例ですが、市民の方を集めて、エンディングノートについての書き込みの仕方とか、エンディングノートを題材にして、医療、終末期について考えようという形でやっています。

 成果としては21ページですけれども、24年度から始めまして、27年度には1,435部の配付をしているところでございます。

22ページは医療介護関係者への働きかけです。28年度から市の医師会と一緒になりまして、在宅医養成研修というのを始めています。連携拠点のスタッフから聞きますと、やはり在宅医が足りないというのが一番の悩みだということで、在宅医療に取り組んでくれる医師を1人でも多くふやしていきたいということで、独自にマニュアルをつくりまして、座学で5回、その後、実際に同行訪問研修をやるということで、全部終わったドクターに対しては修了証を出すというような取り組みでございます。これを毎年続けて、在宅医療に取り組んでいただく医師を少しでもふやしていこうということです。

 それから、同じような形ですが、区レベルでは、在宅におけるチーム医療を担う人材育成研修をやっています。これはもともと国のリーダー研修からスタートしている事業でございますが、横浜市として進化・発展をさせておりまして、医師会、歯科医師会、薬剤師会の方々の参加が多くて、グループワークとして実施しておりますが、年々増加をしている状況でございます。

24ページは、簡単にですが、今後の方向性ということで3点ほど挙げさせていただきました。

 1つ目は、看取り。病院、在宅での看取りは大変という固定観念をなくしていく必要があるなということを強く感じています。この辺のイメージを変えていくには文化を変えていくという要素ですので、多方面から繰り返し啓発を行っていくかもしれませんが、具体的にインパクトのあるメッセージをどう伝えていくかということを考えております。また、受け手の状況によって捉え方が非常に異なるため、市民啓発の評価が現時点ではどうしてもアウトカム的にははかれずに、何回やったかとかというようなレベルにとどまってしまっていることも問題で、今後、アウトカム指標としてここら辺の市民に対する啓発の効果をどう測定していくかということを考えていく必要があります。

 2つ目は、市民の関心度に応じた情報発信が必要ということで、民生委員を対象に講演会を実施したのは、ターゲット層を地域に埋もれているひとり暮らしの高齢者などと考え、民生委員に情報を発信したところですが、こうした取り組みは有効であったなと考えています。

 それから、医療機関への働きかけが必要だと。病院勤務の医師、特に若い医師、看護師については在宅医療についてまだまだ理解が進んでいないところもあるのかなと思っています。また、医療側と福祉側では、例えば医療依存度の理解が違う。医療側が考える医療依存度のイメージと福祉・介護側が捉える医療依存のイメージというのは全く違う局面だということもわかってきました。

 こうしたことを課題として挙げていますが、今後も広報・啓発、普及・啓発に取り組んでいきたいと考えております。

 以上でございます。

○新田座長 ありがとうございました。

 なお、横浜市で研究を行われている川越先生、コメントをお願いしたいと思います。

○川越構成員 前回の親委員会で、在宅医療関連の市町村別データが厚生労働省から開示され、自宅死の割合が12.8%と報告されたかと思います。この自宅死には、死亡診断書と死体検案書の両方が含まれています。今、横浜市と行っているのは、死亡診断書と死体検案書を死因などをもとに分類し、死亡診断書ベースで自宅死の割合を出していこうというものです。

○新田座長 ありがとうございます。

 引き続いて、川名参考人、よろしくお願いいたします。

○川名参考人 横須賀市健康部地域医療推進課の川名と申します。きょうは、お話しする機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。構成員の皆様のお役に立つお話ができますかどうか甚だ不安ではございますが、横須賀市の事例をお話しさせていただきます。

 なお、今回、医政局の方から私に課せられましたのは、啓発事業ということにポイントを絞ってというオーダーをいただきましたので、横須賀市もさまざまな在宅医療・介護連携事業に取り組んでおりますが、啓発事業を中心にお話をさせていただきたいと思います。

 表紙は、私が勤めております職場から見える景色。米軍と自衛隊が見えるようなところで仕事をしております。

 では、おめくりくださいませ。2ページ目ですが、横須賀市基本情報。ここにいろいろ情報がございますが、一番重要なのは、高齢化率。横浜市さんと違って既にもう30%に到達しております。

 その下、3ページは横須賀市の人口の変化予測です。横須賀市は、残念ながら人口がどんどん減るということを想定しておりまして、「選ばれるまち横須賀」という取り組みを一生懸命やっているところですが、2040年には約10万人の人口減少を見るだろうと。しかしながら、老年人口の規模感としてはそう大きく変わらない。したがって、高齢化率はどんどん高くなることがわかっております。ちなみに後期高齢者人口は2026年に向かって徐々にふえてまいります。

 もう1枚おめくりいただきますと、横須賀市の死亡数の推計です。現在は4,600人ぐらいですけれども、ピークを迎えるのは2035年という推計を出しておりまして、現在よりも年間で2,000人ぐらい多くの方が亡くなっていくことになるだろうと考えております。亡くなる直前にはどうしても医療と介護のお世話になる方が多いのが現実です。

 さて、5ページですが、これは横須賀市の死亡場所別構成比の推移でございます。平成17年のデータをごらんいただきますと、病院で亡くなる方が約8割、御自宅が12.3%でした。今、この差をだんだん縮めておりまして、病院では60.4%、御自宅での死亡は22.9%です。先ほど川越先生からお話がありましたように、この22.9%、もちろん死亡診断書と死体検案書を合計した数の割合でございます。いわゆる人口動態の自宅の死亡率でございます。

 おめくりいただきまして、現在の死亡場所別の構成比を円グラフで見ますと、人生の最期を病院で迎える方が6割以上です。

 次、7ページです。では、市民はどこで最期を過ごしたいのかというグラフです。これも25年度に実施いたしました市民アンケートの結果です。「あなたが病気などで人生の最期を迎えるときが来た場合、最期はどこで過ごしたいと思いますか」という問いに対して、「最期まで自宅で過ごしたい」という方は14.7%、「自宅で療養して、必要になれば医療機関に入院したい」という方は45.3%、合わせて6割の方が「人生の最期を自宅で過ごしたい」とお答えくださいました。これは65歳以上の介護認定を受けていない方を対象に、つまり、元気な高齢者を対象に伺ったものでございます。

 次、おめくりくださいませ。これらのデータをもとに、横須賀市ではこう考えて目指す方向を示しております。住みなれた我が家で療養したいという方が、在宅での療養、さらには看取りという選択ができるように地域医療の体制づくりを進めましょう。病院もいっぱいいっぱいだし、施設もなかなかふえないから、みんな御自宅に帰って御自宅で死んでねと言っているわけでは決してございません。もし6割の方が自宅で過ごしたいと言っているのであれば、自宅で過ごせるような体制をつくりたいということで、平成23年度から在宅療養の体制づくりに着手いたしました。とは言うものの、当時、私どもは「地域包括ケアシステム」という言葉さえ知らなかった中で始めたことでございます。

 9ページですが、最初にいたしましたのは在宅療養連携会議。医療関係者、介護関係者、そして行政職員を含めたメンバーを集めまして会議を開きました。基本的には、関係多職種のネットワークを構築すること、課題を抽出して解決していくこと、そして連携システムを構築していくことを検討するために置いた会議です。

 最初の年は、現場における課題の抽出と検討策の方向性を検討いたしましたが、翌年度24年度、その解決策の具体化をしていこうということで、3つの部会にメンバーを分けました。その1つに、広報啓発専門部会というワーキングチームを置きまして、5、6名のメンバーで市民啓発事業を検討し、具体化していくという作業をしたわけです。

 次をおめくりください。最初の年に課題抽出したと申しました。抽出された課題はさまざまある中で、赤字で書いておりますが、在宅療養についての市民の理解が必要だということが課題として大きくクローズアップされました。

11ページをごらんいただきますと「市民の理解を得るための啓発事業」と書いてありますが、なぜ市民啓発が必要なのか。ポツにございます。これは委員の皆様から出てきたお言葉ですが、病院を退院して御自宅に帰ってきて、さて、医療関係者、介護関係者がサポートに入る。ところが、御本人も家族も病院に見捨てられたという気持ちで在宅に戻ってくる。そこでサポートしようとしても、支える多職種もなかなかやりにくいのですよと。それが課題ではないか。まず、市民に知ってもらうことが大事でしょう。多くの市民は在宅療養という選択肢を知らないのです。多職種の専門職が実際に在宅療養、在宅看取りをして、御本人にとっても、御家族にとってもよかったなという例をたくさん知っていらっしゃる。これについて市民の皆さんに知らせたいなという思いを持っていらっしゃいました。そこで目的としましては、市民に在宅療養という選択肢についてまずは知ってもらう、理解してもらうことが重要だろうということで、啓発事業を検討してまいりました。

 次、おめくりくださいませ。検討されたのは幾つかございますが、今まで実施してきた啓発事業を類型にしますと、1番は、著名人を講師に迎えた大きなイベント。在宅療養シンポジウムというのを23年度から毎年開催しています。2番目は、啓発資料の作成と配布。在宅療養ガイドブック。きょう、構成員の皆様にはお手元にお配りさせていただきましたが、『最期までおうちで暮らそう』という冊子をつくりました。あるいは「広報よこすか」を使ったりする資料の作成です。3番目には、市民に直接語りかける啓発というのがございます。私ども職員が地域へ出かけていって、町内会や老人会、学習グループに直接お話をする。あるいは、横須賀市医師会の先生方が直接お話をするというようなことです。4番目には、市民への情報提供というのもございます。

 さて、13ページをごらんくださいませ。今、申し上げた在宅療養シンポジウム。今までずっとやってまいりまして、これまでの延べ参加者数は2,450人。今年度も実はあさって横須賀で開催いたします。

 次、おめくりいただきますと、啓発資料。これが「最期までおうちで暮らそう」というガイドブックでございます。横須賀市のホームページからもダウンロードできますので、もしよろしければ傍聴の方もごらんくださいませ。今までの発行部数。これだけの発行をしております。

 その次のページは「広報よこすか」。全戸配布の特集号を使って、「最期のとき、あなたはどこで療養したいですか」というような広報をしています。

16ページをごらんください。今現在、横須賀版リビングウィルというものも作成していこうということで作成中でございます。今、私が出てくるときに、たまたま案の印刷が仕上がって担当が持っていましたので、1部頂戴と言って持ってきたのですけれども、今、素案の段階で、あさってシンポジウムでお配りしようかと考えております。でき上がりましたら、これも出前トークや社会教育施設などでも使っていただこうかと考えています。

17ページ、市民に直接語りかける啓発です。まちづくり出前トーク。私ども行政職員が市民に直接お話をさせていただきます。24年度から始めまして、この実積、59団体、2,484名の方にお話をさせていただいています。この写真は私が写っているのですけれども、厚労省の老健局さんでもこの写真を使っていただいています。私どもが一人一人に語りかけるようにお話しさせていただく手法というのは、目と目、顔と顔を合わせてお話ししますので、相手に響いて効果も大きいかなと思います。人数は多くはありませんけれども、質疑も活発ですし、在宅療養という選択肢についての理解も深まる。そして、参加者から近所の人への口コミというのも期待しております。

18ページは在宅医療街角出前講座です。こちらは行政ではなくて横須賀市医師会に委託している事業です。これは、在宅医の先生方が地域町内会や民生委員協議会といったところに出かけていって市民に直接語っていただきます。私ども行政は、在宅医療というのはこういうものですよという結構アウトライン的なお話をしますけれども、医師ですから、実際の患者さんの写真を見せたりして、こんなふうに在宅医療というのはできるのだということを直接お話ししていただきます。

 最後の行にありますように、行政は人生の最期を考えるきっかけづくりをお話ししますが、医師会の先生方は在宅医療の具体的な内容を中心にお話しする。この2つのルートで実施しているのがみそです。

19ページ。私どもも民生委員さんにもお話しさせていただきます。横須賀市の在宅医療・介護連携推進事業について、大きな会場で2回、横須賀市全域の民生委員さんと社会福祉推進員さんを対象に講演会をしております。昨年度でしたが、民生委員さんは全560人中441人、78%の御出席をいただいております。民生委員さんは地域の皆さんからの御相談を受ける立場でございますので、この方たちにまず知ってもらうというのもとても重要なことと考えております。

20ページは、市民への情報提供ということ。直接市民の皆さんにお話ししますと、わかったけれども、在宅医療をやってくれる先生というのはどこにいるのかと聞かれるので、私どもが行政情報を載せている全戸配布の冊子「市民便利帳」に横須賀市医師会のページというのがございまして、ここに医師会さんの中で在宅医療をやっている診療所にマークをつけました。それが21ページです。

 同様に、横須賀市のホームページでも在宅医療をやってくださっている診療所を御紹介しております。それが22ページでございます。

 さて、23ページからの5枚は、横須賀市が実際に事業としてやっているものを項目別に並べたものです。この中で、26ページに市民啓発事業を掲載しておりますけれども、全31項目ある中で7項目を挙げております。今は老健局さんのほうで医療・介護連携推進はアからクの8項目をやることになっておりますけれども、横須賀市は23年度からやっておりますので、独自の分類方法を持っております。これが31項目の分類です。

28ページをごらんくださいませ。では、さまざまやってきた市民啓発事業の効果でございますけれども、私ども啓発事業の効果というのはどこの部署にいても大変難しいと考えます。自治体職員は異動すると転職と同じですから、私も過去には環境政策の担当をしていたりしました。地球温暖化の啓発事業をどんどんやっても、さて、横須賀市内のCO2 が減ったかどうか、あるいはCO2 が減ったとしたら、それが啓発の効果かどうか、それを調べるすべというのはどこの部署に行っても難しゅうございます。

 この啓発事業もまた同じで、どんな事業でも啓発の効果、アウトカム測定はとても難しいと感じております。この場合、私どもは、シンポジウムの参加者は2,450人、出前トークの参加者は4,200人、啓発冊子の配布数は2万5,000部、「広報よこすか」は16万世帯に配布などアウトプットとしては出せますけれども、アウトカム指標としては難しいと感じています。アウトプット指標が明確でなくても継続すべきは、市民一人一人に情報を届ける努力をしていくべきと考えておりますし、在宅療養・在宅看取りという選択肢について少しずつ少しずつでも浸透していくと信じて事業展開をしております。なぜなら、もし何もしなければ誰にも届かないからです。

 次の29ページは先ほどお示ししたグラフですが、もし効果が測れるとしたら、先ほどお示しした「最期まで自宅で過ごしたい」という数字は意外と少のうございます。これは、もしかすると、最期までおうちにいられるということを知らない方が多いせいなのかもしれないなと思います。例えばこの啓発冊子は2万5,000部も出ておりますけれども、作成にあたって苦労したところは、イメージとして在宅医療はどういうものかということがわかりやすいように、トピック、お話を交えながら説明するように作り込んだということです。こういったことが浸透してきたら、最期まで自宅にいることができると多くの市民が知ったならば、「最期まで自宅で過ごしたい」というこの14.7%、この選択肢の割合が大きくなっていくのではないかなと思っています。

 そういった啓発事業が浸透してまいりましたら、現在は患者さんと家族を支える多くの人々がいるわけですが、医療と介護の専門職、ただそれだけではなくて、地域の方々、民生委員さんはじめ、町内会の方、地区社協、社会福祉推進員さん、ボランティアさん、そして隣近所の皆様方のお力も必要になってくる。次に必要なのは地域住民を巻き込むことではないかと考えております。

 ずっと、この街で暮らしたい。横須賀市民は定住意識が高うございまして、アンケートによりますと、8割以上の方がずっと住み続けたいとお答えいただいています。この街で最期まで暮らしたい。今、元気な私たちもやがて支えを必要とするときが来ます。この街で暮らしたいのであれば、在宅看取りというのを地域の文化にまで高めていく必要があるかなと、今、私はそのように感じております。

 御清聴ありがとうございました。

○新田座長 ありがとうございました。

 それでは、これから事務局から出された資料2に沿って議論したいと思うのですが、きょう3人の参考人の方が出ていました。恐らくその中身も含めて質問、意見等もあると思います。非常に重なり合いますので、同時に議論していきたいと思っております。どこからというのはなかなか難しい話だと思いますが、基本的には、きょうは資料2を進めるつもりでございますので、よろしくお願いいたします。

 では、遠慮なく、質問の方は挙手をお願いします。

 鈴木先生、どうぞ。

○鈴木構成員 非常に立派な実積や研究計画の御発表をいただいたと思います。

 在宅医療は推進をしなくてはいけないということは当然なのですが、どういうものを在宅医療と言うのか、それをある程度はっきりしておかないと、いろいろなものが含まれてしまったものが在宅医療として、在宅医療ありきという形にならないようにしていただきたいということがあります。

 といいますのは、例えば横須賀市のデータを見ても、厚労省もよく使うのですけれども、最期をどこで過ごしたいかというところです。その場合に、在宅が6割と言われますが、厚労省のデータでもそうなのですけれども、よく見ると、最初から最期までずっと在宅というのは10%ぐらいで、何かあれば最期は病院という人も含まれているのです。それははしょって、自宅を希望する人が6割というと誤解を招きます。しかも、厚労省の場合は、治らない病気と診断された場合という前提がついているのです。その辺を全部はしょって、自宅で過ごしたい方が6割としてしまうのは少し乱暴だと思いますので、在宅医療とは何を意味するのかということははっきりさせておく必要があると思います。

 その観点で、葛谷先生のお話を聞きますと、要するに居住系施設を含めないということなのですが、現在の定義ですと、最も広い定義は、入院以外は全部在宅等というのがありますから、介護保険3施設も在宅になってしまうわけですが、それは外すとしても、居住系施設を入れないとなると、それは現状の在宅の定義ともずれてしまうのではないかと思います。

 それと、在宅介護も含めるという話ですが、在宅医療と在宅介護を受けている方のレベルが違っていると思います。在宅医療は基本的には寝たきりやそれに近い方が受けることになっておりますので、一つはこれを軽度者が受けていることはよく調べていただいて、効率化していかなければいけないと思います。一方、在宅介護は要支援1から受けられるわけですから、かなりお元気な方もいらっしゃるわけで、そういった方々はほとんどの方が外来に通っていらっしゃるし、ぐあいが悪くなれば入院されることもあるし、在宅医療を受けられている方もぐあいが悪ければ入院される方もいらっしゃるわけです。そういう意味では、横浜市や横須賀市を見ても、入院医療とセットで考えられているのは妥当だと思います。入院が必要な場合も、救急車で遠くの急性期の大病院の救命センターに行くのではなく、地域の中の中小病院や有床診療所のベッドを使って行う。在宅医療を入院医療や外来医療とセットで考えていくのが我々の考える在宅医療なので、そういう方向に行くのかどうか。在宅医療で何でも診るのだという方向に行くと、多くの先生方にとっては違和感を感じるのではないかと思いますので、そこをはっきりさせていただく必要があると思います。

 それから、家族の負担です。独居や老老世帯がだんだんとふえているので、その場合の家族の負担も考えないといけないだろうと思います。在宅医療の中に在宅介護サービスのみを受けていらっしゃる方も含める場合はとくに慎重にすべきであり、その場合は、外来医療や入院医療も受けられている中での在宅医療というのがほとんどであると考える必要があるのではないかと思います。

 1つ質問があります。横浜市も横須賀市もそうなのですけれども、自宅死が12%と22%で、横須賀市の方が高いわけですが、今、お話がありましたけれども、検案の場合を含むということで、横浜はこれから調べるという川越さんのお話ですが、横須賀の場合は、その中の検案の割合がどうなのか。データが出ていると聞いておりますので、それがわかれば教えていただきたいと思います。

 とりあえずそこまでお願いします。

○新田座長 ありがとうございます。

 まず、質問に対して、城構成員、よろしくお願いします。

○城構成員 在宅の看取りの分析ですけれども、死亡診断書ベースで出しております。異常死を除くということで、検案書のケースを入れますとデータとしてちょっとわかりづらいものになりますので、今、そこを作業しているところでございます。

○新田座長 これは川越構成員にちょっと聞きたいと思うのですが、どうぞ。

○川越構成員 2011年から13年のデータを分析された報告がありますが、そのデータでは、死亡診断書と検案書の割合はほぼ半々であったという報告がされています。

○新田座長 まず、横浜に関してそれでよろしいでしょうか。

 それでは、横須賀で、川名参考人、よろしくお願いいたします。

○川名参考人 横須賀の場合は委託料がそんなにたくさんございませんので、委託で死亡診断書を1件ずつ調べるということはできないのですけれども、実は参考資料として、神奈川県警の捜査一課に死体検案の数を伺いました。過去には、場所別のデータは出ないというふうに言われていたのですけれども、26年のデータをお願いしましたところ、場所別に出せるようになりましたということで、場所別に頂戴いたしました。そうしましたら、やはり死体検案数がかなり多い。ごめんなさい、きょうはデータを持ってこなかったのですが、横須賀市内、22.9%のうち54%ぐらいが死体検案でございました。ただ、それも全てが自宅の死亡とリンクしているかというのは1件ずつ見ないとやはりわかりません。これが多いのか少ないのかというのが判断できませんでしたので、神奈川県全域の数を教えてくださいというお願いをしました。神奈川県全域の数を拝見しましたら、神奈川県全域の自宅死亡数に対する検案数の割合が78%ぐらいだったのですね。

○新田座長 検案書がですか。

○川名参考人 はい。

 ごめんなさい、正確な数字を持ってこなかったので。それはとても驚きまして、横須賀市の54%は結構ショックだったのですけれども、そんなでもなかったのだなと思いました。

 ありがとうございます。

○新田座長 どうぞ。

○鈴木構成員 在宅での看取りは必要だと思うのですけれども、市民の方、利用者の方をそこに追い込むことは避けなければいけない。その中には検案や、孤独死がかなり含まれていることは地方でも言われてきておりまして、そこはしっかり分けていかなければならない。地方では、在宅の場合、恵まれた在宅と追い込まれた在宅と2通りありまして、施設への入所ができないので、最低限のサービスを受けて在宅という場合もあります。都市部でも恐らく貧困層の方も多いと思いますので、そうした点には十分注意する必要があると思います。

○新田座長 ありがとうございます。

 最初のほうで葛谷先生にちょっと質問があったと思いますが、よろしくお願いします。

○葛谷参考人 鈴木先生がおっしゃるとおりで、在宅というのが、家でだけではなくて、例えばサ高住であったり、そういうところの人たちも含めるべきではないかという議論はあるのですが、例えば、これは外国の論文を探るときにその区別が無理なのですね。外国によってそういうシステムが違いますので。ですから、御指摘は全くそのとおりなのですが、今回はとりあえず、まずは自宅での訪問診療であるということをターゲットにしたということであります。恐らく、施設介護を扱ったデータは、今後、日本の論文などで多分ふえてくると思いますので、今後はそこまで広げていく必要はあると思いますが、今回に限ってはまずは自宅でという形で考えております。

 ただ、先ほども言いましたけれども、一部、そういう論文を拾わざるを得ないであるとか、外来診療を拾わざるを得ないというケースが今回のケースでも出てくると思いますので、その解釈は慎重にさせていただきたいなと思います。

 御指摘どうもありがとうございました。

○新田座長 どうぞ。

○鈴木構成員 ふだん在宅で過ごしていて、介護サービスを受けながら外来に通われたり、いざというときには入院されたりということは通常にあるわけで、在宅医療を受けられる方は、本来かなり寝たきりに近いような方ですから、対象が限定されることを前提に考えないと、偏った結論が出るのではないかと思います。本当に差を見るのでしたら、入院が必要とされた場合に在宅で見続けるのか、入院治療を受けるのか、そこまで見ないと差が出ないと思いますが。でも、そこまでやる必要があるのかということですね。それは選択肢なので、どちらか1つに縛るものでもないと思いますし、選択できるような選択肢を用意することが必要ではないのかと思います。そういう意味では、通常、在宅で過ごすほうがいいとおっしゃるのは当たり前で、特殊な場合には一時的に入院することを否定する必要は全くないと思います。そこまで含めた仕組みをつくっていくことが必要だと思います。

○新田座長 本日の論点のポツの2番目に「在宅医療に関する医療連携」というのがありますね。医療連携というのは、縦という表現をしていいかどうかわかりませんが、いわゆる病診。在宅も含めて、病院も含めてという連携も含まれるだろうなと思っていますので、鈴木先生の話はそういう中で議論していくということでいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○山口構成員 論点に対しての意見と、その後で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、資料2の2ページの「論点」の2つ目の○のところに「全国在宅医療会議における関係者の協力体制等を明確にするとともに、それぞれの関係者がどのような役割を担えるのか、根拠や実例に基づき具体化し」と書いてあるのですけれども、これは、この会議に集まっておられるいろいろな専門職の方に対して、今、それぞれどういう現状で、今後どんな役割を担っていけるのかということを具体的に発表していただくというふうに受けとめているのです。それでいいのかどうかということをまず事務局に確認させていただいた上で、私、今回、住民の立場というか患者の立場でたった1人入っておりますが、在宅医療について、例えば2025年までに、全国どこでもとてもすばらしい充実した在宅医療が普及できるというのは無理だと思っています。だとすれば、どういうところだったらここまでのことができるとか、そういったことをある程度きちんと国民に伝えていく必要があるのではないかなと思います。その中で、どのような役割を担えるのか、根拠や実例に基づいて具体的に御発表いただけるとしたら、先ほどの御発表は横浜市、横須賀市というある程度都市部というか、在宅をするときにも動きやすい地域だと思うのです。

 そういうことからしますと、各団体の方がいろいろと調べていただくときに、地域差。どんな地域であればどういう現状があって、今後できるのかどうかということも、地域によってどういうふうな違いがあるのかということを調べていただいて、具体化していただくということをぜひお願いしたいと思っております。

 資料2の3ページ「1.重点分野」「2.関係者の役割及び連携・協力」とございますけれども、先ほど横須賀市の川名参考人の御発表の中で、やはり市民への啓発が大事ということに私も非常に共感してお聞きいたしました。市民が理解しないと在宅医療は利用できないと本当に痛切に感じています。そういうことからしますと、ここの「2.関係者の役割及び連携・協力」に、学術関係者の役割、医療提供者の役割、行政の役割とありますけれども、国民の役割という言い方をするかどうかは別として、どういうことを理解してもらわないといけないのかということがこの中に抜けているのではないかと感じました。この会議は、国民の視点が大事ということを親会議でも言われている中で、そこを明確に書き込まないと意味がないのではないかなと思いましたので、そこもぜひ御検討いただきたいなと思います。

 その上で、城構成員と川名参考人に少し質問をさせていただきたいのですが、まず、横浜の取り組みの中で、在宅医療連携拠点というのが平成24年から置かれたとご説明をいただきました。成果が平成24年からと書いてあったので、そこからなのかなと思ったのですが、こういったことを数年やってこられて、例えば在宅医療の普及ということに具体的につながった手ごたえが出てきているのかどうかということと、会議の数が書いてありましたけれども、これが18地域それぞれで行われている会議なのか、合同で行われているのかというようなことをまず城構成員にお聞きしたいと思っています。

 それから、川名参考人ですけれども、平成23年から連携会議を開かれているということですが、資料を拝見しますと、平成18年から、死体検案書も含めて実際に在宅死の数はふえてきている。その取り組みの前からふえてきていて、先ほどアウトカムは難しいというお話でしたけれども、私、これは非常に大きなアウトカムではないかなと思います。

 今、既に全国平均より10%多いということについて、どんな取り組みがあってこういう数字の増加につながっているのでしょうか。また、先ほど始まる前にこのガイドブックをざっと拝見したのですけれども、参考書籍まで書いてあるような、非常に行き届いた、わかりやすい冊子をすばらしいなと思って拝見していたのです。これを確実に市民の方に届ける工夫はどのようなことをされているのかということと、こういう活発な活動のお取り組みにつながった秘訣みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。

 済みません。長くなりましたが、以上です。

○新田座長 さまざまな論点を出されました。

 まず、城構成員と川名参考人にそこの質問をよろしいでしょうか。

○城構成員 在宅医療連携拠点は2511月から横浜市の西区から立ち上がり始めまして、昨年の5月に18区目の戸塚区と、段階的に設置されているという状況でございます。

 それから、会議の数は、それぞれの連携拠点で開催されている会議を合計したものです。

 何が変わったかということですけれども、この連携拠点の取り組みは、市医師会、区医師会が相当前向きにかかわっていただきまして、診療される先生方の在宅医療そのものに関する意識が非常に変わってきたなと。正直申し上げると、在宅医療を熱心にやられた方というのは前もいらっしゃったのですけれども、それ以外の方は余り関心がなかった。それが、在宅医療というのはこれから極めて重要であるという意識はかなり広がってきた。

 もう一つは、医療関係者と介護関係者の言葉の壁みたいなものが昔からあったわけですけれども、なかなか言葉が通じない。多職種で顔を見合わせる関係というのをかなり多くつくっておりますので、その部分は急速に溶けているなというふうに感じています。

 以上です。

○新田座長 もう一つ、ついでに。

 先ほど、2025年まで全国どこでもなかなか大変だろう、都市部はいいけれども、全国ではどうなのという質問があったのですが、横浜は都市部なのだけれども、横浜でも結構田舎の部分がありますよね。ということも含めてどのようなことを思っていらっしゃるか。

○城構成員 横浜も、南部、海側と、北部、東京に近い側では、人口構成はかなり違います。どちらかというと、南部のほうが高齢化が早く進んでいる。北部のほうはこれからも人口がふえる傾向があるのですが、先ほど言った在宅医療に対する関心を医療側が持つかどうかというと、在宅医療でなくても外来患者が来るというようなところでは、どちらかというと、関心を持つお医者さんが少ないのではないか、そういう懸念を私は感じています。

○新田座長 ありがとうございました。

 それでは、川名参考人、よろしくお願いいたします。

○川名参考人 平成18年度以降、自宅死亡率のポイントが上がってきた理由ですが、正直なことを申しますと、23年以前のことは私どもはよくわかっておりません。ただ、横須賀市医師会さんが医師会として在宅医療の推進というのをやっていらっしゃる先生が何人かいらっしゃいまして、取り組みを進めていたのは事実です。私どもはそれも全く存じ上げずに、23年度から突然、横須賀市がこういうことをやりたいと医師会さんにお話をして、一生懸命取り組んでいらっしゃった先生にお目にかかって、では、一緒にやろうと言っていただいたので、この取り組みが飛躍的に伸びたというのがございます。なので、かねてからの医師会さんの取り組みがだんだんと功を奏してきたというのもあるかもしれません。

 もう一つには、きょうは死亡場所別の構成比のグラフしか御用意いたしませんでしたけれども、数にいたしますと、病院で亡くなる方というのがここ十数年は横ばいだったのです。2,700から3,000の間を行ったり来たりしていて、その分ふえているのが御自宅で死亡する数だったので、病院での看取りというのが結構いっぱいいっぱいになってきて、先ほど恵まれた在宅と追い込まれた在宅というお話がありましたけれども、そういったこともあるのかもしれないなと感じているだけでございます。これを裏づける資料は何もございません。ということで、申しわけございません。その程度なのです。

 あと、この広報誌を確実に届ける工夫というのは、正直言って、横須賀は40万人の市民がいる中で、今まで2万5,000部しか印刷しておりませんから、確実に届けてはおりません。ただ、みんなに知っていただくために、26年度に「広報よこすか」という全戸配布の広報誌の特集号、横須賀市も特集号は年間4回しか予算を持っておりませんで、そのうち2回は財政課が使うと決まっているのです。残り2回のうちの1回を、年度の初めから広報課に、ちょうだい、ちょうだい、ちょうだいとずっと言い続けて特集ページを頂戴して、全戸に配布するというようなこと。それが工夫といえば工夫でございますし、全戸配布できないこの冊子のかわりにやった取り組みでございます。

 それから、取り組みの秘訣ということですけれども、今思いますと、私ども行政だけでこれをやろうとしたら、私どもは素人です。専門職でもございません。実は私は保健師でも何でもなくて事務職なのですけれども、なかなかできません。医師会さんにお話をして、一緒にやろうと言っていただいた。やはり横須賀市医師会さんと一緒に取り組み、しかも、それだけではなくて、多くの関係職種の団体を巻き込んで一緒に取り組んでこられた。そのためには横須賀市はおざなりでやるのではない、本気でこの事業をやるのだということを皆さんに訴えて、行政としての思いを皆さんにもお届けした。皆さん自身も、現場での課題というのをそれぞれの職種が抱えていらっしゃいましたので、では一緒にやろうということで目標を共有できたと思います。それが、私ども横須賀市で先進的取り組みに発展した1つの秘訣かなと思います。

 ただ、私ども、特別なことはやっておりません。よその自治体さんにもよく言うのですけれども、できることしかやっていませんから。できることをたくさん積み重ねてきてここまで来たと考えております。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○西澤構成員 きょうの発表の中で葛谷先生の在宅医療の指標ですが、資料を集めるのに非常な努力を経てここまでやったのはすばらしいと思っています。ただ、これだけ集めてみても、信頼性があるのがなかなか出てこないのが残念だなと思います。正直言いまして、まだまだこれからだろうと思いますが、ここにいる方々が一緒になってこのような指標をつくっていければと思います。

 また、当然のことながら、きちっとしたエビデンスのあるものが集まってこそ新たなエビデンスができると思いますので、これも早急につくっていかなければならないなと思っています。

 また、在宅医療という事で、今、行政の方々の発表がありました。例えば入院と在宅を切り離して考えられまして、医者も、病院の医者、あるいは診療所の医者、あるいは在宅医みたいに定義づけしていますが、実際は、病院の医者も、実は中小病院では訪問診療をやっていますし、診療所の先生方も来ている患者を診るだけではなくて在宅もやっている。それから、当然、在宅だけやっている先生もいるということで、いろいろな医療機関の先生全てが絡んでいるのに、資料を見るとちょっと対立的に見えてしまうので、そうではないということでぜひやっていただければと思います。

 それから、医療と介護の断絶。これは我々もいつも感じているのですが、病院を運営している医療法人ですと、実は医療・介護サービスのほとんどをやっています。その法人の中では連携はうまくできていると。そういう例もこれから手本にしていただければと思います。どこかで発表もと思っています。ただ、行政において医療と介護が縦割りなので、我々もやりづらいという事実はあると思います。

 もう一つ、ここの横須賀の事例でも自宅の死亡というのが非常にふえています。御存じのように、死亡診断書の「自宅」には、グループホーム、サ高住が入っています。その数がふえている。それは我々はわかるのですが、いろいろなアンケートをとったときに、住民の方がわかっているのかと。「あなたは自宅で死にたいですか」と聞いたときに、サ高住とかグループホームをイメージしながら答えているのかなと。そうではなくて、今、自分が住んでいるところというイメージがあるのではないかと思います。そのあたりは、これからアンケート等をするときに考えていく必要があるのではないかと思います。特に家族がそばにいてくれるのが自宅というようになってしまいますと、サ高住、グループホームというのは決してそうではないと思います。私はそういう施設も評価しているのですが、そのあたりの情報もきちっと出していただいて、対応を考えていく必要があると思っています。

 以上です。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○佐藤構成員 ありがとうございます。葛谷参考人、城構成員、川名参考人、非常にすばらしいお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 また、鈴木構成員から、在宅医療の中身を十分検討する必要があるとのご発言、西澤構成員もお話しのとおり、在宅とか入院とか変化する実態と、その変化も含めた対応が必要だという御指摘、本当に共感するものがございます。

 私どもも、本日のテーマであるエビデンスを蓄積して、これを医療提供側としてどう進めていくか、くるか、きたかという点から少しお話しさせていただきますと、在宅歯科医療は特に在宅療養支援歯科診療所というのを中心に動いていました。というのは、1つは、病院歯科というものの数が少ないものですから、歯科の担い手はどうしても歯科診療所に頼るという実情があります。

 平成20年の段階でおよそ3,000の在宅療養支援歯科診療所があって、その5年後に約5,00028年の段階で8,000を超えて、これは全くアウトカムではないのですが、アウトプットとして1つの目標は、最低1万は全国にないと受け皿になり得ないのではないかという目標を立ててました。そのロードマップから言えば、およそ順調には来ているのですが、ふやしていく中で幾つかの御指摘もあったのも事実。その数、受け皿からふえたことが本当に受け皿として役に立っているのでしょうかというような御指摘もあったし、それがどういうほかの根拠につながっているか、どういうエビデンスの蓄積につながっているかという御指摘もありました。

 今回、中医協にも出た資料によれば、一方で、医療計画の見直し検討会の中で指標の1つとして、在宅歯科医療を受けた方の数を指標にするということが提案されています。今までは受け皿の数だったのですが、今度はそれを受けた方の数になってまいりますので、そういう意味では、我々はその蓄積をしていく過程では、受け皿とそれを受けた方、実際、もう少し踏み込んでいくと、中身を十分検討しようかという話になってくるときに、今、要件要綱、研修のあり方を踏まえていきますと、さまざまなシビアなケースも在宅では歯科医師も経験しますし、こういう軽いケースであれば歯科医師はどんどん出ていくべきだというケースもまさに経験するわけです。その中身の議論と、鈴木構成員から御指摘いただいたことの中には、まさに議論の中身というものも提供側としては十分検討していかなければいけない課題だと思っております。今後、さまざまな研修でもそういうあり方は常に視点として持っていくべきではないかと思っております。

 以上です。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○鷲見構成員 今回、葛谷先生のこのQOLに関する指標というのは、非常に興味深く、そして非常に大事なお話だったと受けとめております。ケアマネジャーもこのあたりは非常に指標にしにくいところでございまして、ぜひ御一緒に今後も検討させていただければと思うのです。

 お伺いしたいのは、5ページで「まず22の質問項目を選択」というふうに最初に質問をおつくりになっていらっしゃるのですが、この背景といいますか、それはどのようにお考えになったのか。簡単で結構ですので、お伺いできたらと思います。

○葛谷参考人 これはがんの緩和で使うようなQOLの指標でありますとか、実際に日本で使われているQOLの指標を取りまとめまして、在宅でどの指標が使えるだろうかということを考えてピックアップして、さらに、それだけではなくて、私どもがピックアップしたものプラス、在宅医療をしている複数の医師にお伺いを立てて、足りないもの、追加すべきものというのを提示いただいて、とりあえずまず初めに22問をつくったということです。したがって、オリジナルでつくったものというのはほとんどなくて、既に地域で実際に使われているものをピックアップし作成しております。

○新田座長 よろしいでしょうか。

○鷲見構成員 どうもありがとうございます。

 そうなりますと、最終的に4つ出されたものがどんなところに関係してきているのかということがひもづけられると、我々も非常にわかりやすくなると思います。例えば、最初は現状、2つ目には生きがい、3番目は人とのかかわり、最後は専門職の質という意味合いが含まれるように思います。どこに重点的な指標を持っていくかということもとても重要なことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思いました。ありがとうございます。

○葛谷参考人 ありがとうございます。実際、現場で本当にこれを使ってみて、先生がおっしゃるように、この4つの項目の個々が実際に何とつなげることができるだろうかということを調査していかなければいけないと思っています。現在、またオンゴーイングですので、また結果が出ましたら供覧したいと思います。

○新田座長 どうぞ。

○飯島構成員 前半戦のプレゼンテーションである葛谷先生からのお話で、ガイドラインのお話と今のQOLHC。いかにシンプルに鋭敏なものをというコンセプトではないかと思います。メッセージ性として非常に高くて、現場に落とし込みやすいものではないかなと思っています。とはいえ、在宅療養を視野に入れた在宅医療推進の評価、そしてQOL評価は他面的な視点が必須であります。満足度が一番優先されるものであることは言うまでもないですが、現場から収集しやすく、同時に多面的な視点をカバーできるものを皆で構築する必要があります。

 その上で、エビデンスというのが今回の目的の話し合う題材の1つではあるので、そのエビデンスというところでお話しすると、その手前に、研究を仕掛けていくというところが必要になるので、私は、医師、研究者、そして大学にいる立場ということで、研究への視点でもう少しコメントさせていただければと思います。

 研究を立ち上げて、それを維持して、症例を積み重ねていくというのは、実は私自身も在宅でないもう一つの側面の大規模コホート研究をやっている立場からすると、とても大変なのです。しかし、地域に存在する財産とも言うべき貴重なデータがどんどん積み重なってくる訳ですので、今まさにこの時期に仕掛けるべきだろうと改めて思っています。現場で見ていらっしゃるより多くの先生方から、薄紙を1枚ずつ重ねるように皆で積み重ねていく、そのような視点のものが実現できればなと願っております。さらに、先ほどのQOLHCのご発表にありましたように、学術的な裏づけをされているもので、しかもよりシンプルで現場からデータの提出をしやすいものも求められるのであろうと思います。とはいえ、QOL指標は非常に多岐に渡ると思われますので、それらをどうにか吟味して、セットとしてしっかりと収集できればと思います。いわゆる全国を視野に入れた研究のための基盤、すなわち「プラットフォーム」が求められると思います。それこそ、これが医師だけではなくていろいろな職種から、どういうふうに積み重ねるのか、そういうプラットフォームというのが何か。実は、言うは易しであり最初の立ち上げは非常に難しいと予想しますが、小さく産んで大きく育てるという価値観が求められると思います。そして、このタイミングでそれをどうにか構築したいと思います。

 また、研究の中の興味ある視点としては、先ほど言ったように、みんなで症例を積み重ねて継続的に追跡して行ってどうなのかという1つ目の視点と、クリニカルクエスチョンの視点にフォーカスを合わせた研究デザインで前向き追跡でどうなのかという、この2つの研究デザインの視点(ツーアーム)は外せないと思ったりします。

 資料2の真ん中に「経管栄養等の人工的な水分・栄養補給法の妥当性」と書いてありますが、この分野にメスを入れれば、必然的に「食にこだわる」という方向にも当然発展していきます。さらに、最後の最後までどうやって食べてもらおうかという活動と同時に、そこの研究も必要であります。そうすると、必然的に、我々医科だけでは無理で、歯科の先生、栄養の先生、などを代表として、幅広い視点でスタッフみんなでやらなければいけません。あと、看取りの質の視点も重要ですし、一方で、在宅療養継続が一旦ストップしやすい場面としては、発熱や骨折などのちょっとしたイベントがありますので、そういうところで。

 先ほど鈴木先生からも、病院と在宅でどちらがと。確かに、連動しているとか、やりとりしながらというお話があるので、その中でそういうちょっとしたフォーカスを合わせたクリニカルクエスチョンに対しても答えを出していく。みんなで集めていくというプラットフォームという研究基盤をどういうふうに構築すればいいのかというところを、我々大学人も一プレーヤーとして仲間に入れさせていただきながら、現場からの症例で積み重ねていくという研究を徐々に皆さんで考えていければなと思っています。

 有難うございました。

○新田座長 ありがとうございます。

 葛谷先生、どうぞ。

○葛谷参考人 補足になるかもわかりませんが、本来、ガイドラインは、実際に診療する上での指標ということで、指針となるようなものが本当だと思います。ただ、今回私が思ったのは、もちろん最終的にはそうならなければいけないのですけれども、まずは何がわかって何がわからないかということがわからないと、それこそ飯島先生がおっしゃったように、アカデミアとして研究テーマが立ち上がらないというのがあります。ですから、今回このガイドラインで、もちろんこういうことがわかっていますよね、はいいと思うのですが、逆に、こういうことがわかっていないのだよね、ということが明らかになることによって、このテーマにアカデミアが食いつくということを期待しています。

 もう一つは、実は今後この在宅医療であるとか、地域包括ケアに関する研究というのは、実地の下支えになる大変重要なテーマだと思うのですが、何せこのテーマをやるアカデミアが少な過ぎます。本来、ここの場は、実際に実装して地域でどうなるというテーマだと思うのですが、それを支える研究者が余りにも少ないので、今後、この研究者をどうやってリクルートしてくるかという点も本当は大事なことなのかなと思いました。

 済みません。私的な発言で申しわけないです。

○新田座長 ありがとうございます。

 川越先生、どうぞ。

○川越構成員 「論点」の1つ目の○に「エビデンスの蓄積」というのがあります。エビデンスというのは、効果があるかどうか、有効かどうかを評価した上で、サービス提供内容や方法の標準化を最終的に目指すという点に焦点が当たるかと思います。このことは重要ですが、これとは別に、在宅医療・介護連携推進事業を自治体が展開する上で、地域別のデータベースをきちっと構築していくことも重要かと思っています。

 前回の親委員会で提出されたデータが非常に注目を浴びたかと思いますが、公表データの中を見ていくと、看取りに関する項目としては、在宅療養支援診療所(在支診)の届け出の有無別にみた看取り件数、1医療機関当たりの看取り件数、自宅死の割合、老人ホーム死の割合の4項目です。ただ、実際に看取りを行っている医療機関には病院もありますし、在支診もあります。この在支診の中には、単独型・連携型・従来型といった3つの区分もあります。在支診以外の一般診療所でも当然行われています。したがって、どの種類の医療機関がどれくらいの自宅看取りを行っているのかといった全体像が見える形でデータを見せていくことが必要ではないかと思います。この割合は、恐らく、地域別、人口規模別でみていくと様相が大きく異なるのではないかと思います。病院主導で頑張っている地域、在支診が頑張っている地域、一般診療所が頑張っている地域など、まずは各地域の特性、看取り提供の実態を自治体や関係者がきちっと把握できるようなデータベースづくりを行っていくべきであることを意見として出させていただきたいと思います。

 また、自宅の看取り件数を出すときの元データは9月分になるので、調査月に看取りを行っていないと件数としてカウントされないということが生じます。年間数件しか看取りを行っていない医療機関の実態が漏れてしまっている可能性がある。年度別で見ていくためには、地方厚生局が毎年実施している在支診の7月1日の実態調査データを活用することも考えられるかと思います。また、死亡診断書のデータをきちっとデータベース化できるような形でデータ登録システムやデータ登録様式を見直すこともあわせて行うべきではないかと思います。

 以上です。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○鈴木構成員 話が「論点」のほうに移っているようですので、その辺について少し話をさせていただきたいと思います。

 ポツが2つありますけれども、まずエビデンスの蓄積ということです。これは必要だと思いますけれども、いわゆるメリットだけではない、デメリットについてもエビデンスを構築する必要があると思います。

 それから、医療連携というのは、先ほどおっしゃいましたけれども、入院や外来医療との対立構造ではないということです。そういう連携をぜひ前提にする必要があります。それが最も普遍的な通常のモデルにならないとおかしい。在宅医療で最期まで全部診ますという先生はごく一部でございますので、少なくとも医師会として在宅医療を推進する場合には、いざというときにはそうした中小病院、有床診療所の入院も使うというモデルがメーンになる必要があります。

 この普及啓発モデルがどういうことを意味しているのかもいま一つ漠然としております。地域包括ケアシステムの構築ということであれば、これは医師会としても最重要課題として取り組んでいるところでございますので、その意味では、それは医師会としての活動の大きなテーマにもなるわけでございます。

 2つ目の○でございますけれども、「関係者の協力体制等を明確にする」とあります。この「関係者」とは何かということでございます。次の3ページを見ますと、学術関係者、医療提供者、行政とあるのですけれども、医師会はどこに入るのかという気がいたします。前回、飯島先生に御質問いたしましたけれども、学術と医療提供者の中間かなみたいなお話でした。「行政の役割」とありますけれども、行政と交渉できるのは医師会でございますので、その医師会の役割が明確でないという感じがいたします。

 前回の資料を見ますと、医療提供者のところに日本在宅ケアアライアンスが設立されている文章、名前が入っておりますし、学術経験者のところには東京大学の研究機構の名前が書いてありますけれども、そういうものを指しているのでしょうか。そうした全体像が見えない中で了解してくださいと言われても、我々としては全体像が見えませんので、医師会としでどういう役割を果たしていったらいいかわかりません。この枠組みというのはあくまでも研究のための枠組みなのか、今後、在宅を推進していく上で永続的にずっと続く枠組みなのかもわからない。永続するものであれば、医師会の役割はもっと重要になってくるのではないのかと、きょうの横浜や横須賀の話を聞いても思いますし、そこをもう少し明らかにしていただく必要があると思います。

 それと、具体的な取り組みですけれども、そのプラットフォームをつくるのだという飯島先生のお話がそういう流れになっているのかとは思うのです。具体的に言えば、この研究はどこがするのか、協力する場合に、例えば具体的に費用の負担などはどうなるのか、あるいは成果物の所属はどうなるのかといったことも聞かせていただかないと、医師会の中では非公式の役員会で了解されないと話が進められないという状況もございますので、もう少し詳しく教えていただかないと、きょうこの場でとは申しませんけれども、きょうは余りにも漠然としていて、我々としては結論を出せない状況ではないと思います。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○平原構成員 済みません。2点ございます。

 エビデンスの件で私自身が感じるのは、確かに医師の行動を変えていくようなエビデンスというのはたくさん必要で、これは学術団体がやっていくべきことで、オールジャパンでやっていくことが何なのかという議論をちゃんとしたほうがいいかなとは思っています。

 私自身は、多分、全体で、オールジャパンでやっていくエビデンスというのは、国民が主体的に在宅医療を選択できるようないろいろなエビデンスというか、そういうものをつくっていくことがすごく大事。先ほど川越構成員が言われました。人生の終末期だけではないですけれども、セカンドライフをどういうふうに人が過ごしていって、どういうところでどういうふうにケアを受けてやっていくのかということがまだわかりやすく提示されていないと思うのですね。

 死というのは、死に場所だけではない。実際は私たちの有床診療所で最期の時間を過ごして、看取りのために家に帰る方もいらっしゃいますし、逆に、最期の最期まで頑張って、看取りだけ病院という方もいらっしゃるので、死に場所だけが問題ではなくて、それまでどのような経過でケアされたかというところのデータをいろいろなデータベースを使って明らかにしていくことと、今、こういう状態のときにこういうふうな選択肢があるよということを国民にわかりやすく示していく。イケガミ先生もおっしゃっていましたけれども、認知症だと最期まで家でという人は1桁しかいないわけで、がんだと上がるわけですから、個別のケースによってどういう選択肢があるかというのは当然違うわけです。そういうのを国民とか市民にわかりやすく提示できるようなもとになるようなエビデンスがすごく大事かなと1つは思います。

 もう一つは、葛谷先生の研究ともすごく関係するのですけれども、家にいることが幸せなのかどうかということについてのエビデンスをどうつくっていくか。私どもがなぜ家を推進しているかというと、やはり家が回復環境だからです。その人の魂だったり健康を回復させる環境があるからで、それは先ほどのQOLとも通じるのです。でも、昨今、家が必ずしも回復環境と言えない方々もたくさんいらっしゃって、施設とか病院のほうが幸せだと客観的に見て思う方がたくさんふえていらっしゃるので、どういう条件があったら家が回復環境として機能するのか、では、どのような条件を整えていったらいいのかということをメッセージとして送るための研究。この2つが、全体、オールジャパンで取り組むべき研究なのかなと思っています。

 もう一つは、先ほどの国民主体の視点に立ったということなのですけれども、この間、供給側にかなりシフトしてきて医療政策をやってきたと思いますし、2012年以前は診療報酬を通じて、そして2012年以降はいろいろな方策を駆使してやっていますけれども、供給体制を何とか変えていって在宅医療を普及させていこうというところをずっと来ていたと思うのです。多分、そこはかなり限界にきていて、国民が主体的に在宅医療を選択できるようなムーブメントを起こしていかないと難しいなと。最期まで確信的に在宅という人は10%後半だというのが大体の意見だと思います。北区の調査では、最期は病院か施設で過ごしたい人をあわせると25%ぐらいが希望しているのですけれども、半分ぐらいの方がわからない、選択できないという回答を示しています。だから、決められない方々がすごくふえているという現状に対して、それをどうするかということが一番大きな課題。主体的に決めていくためにどういうふうな運動をつくっていくかというところがすごく大きいのかなと思っています。

 そこの国民視点というところでは、国民の行動を変えていける根拠となるような研究と結びつけて、市民が在宅医療をどう主体的に選べるかという論点で考えていけるといいかなと思っています。

○新田座長 では、辻先生。

○辻構成員 鈴木先生の御指摘などについて、私は柏プロジェクトなどで在宅医療関係一筋、7年ぐらいやってきた印象から、そういう立場からコメントさせていただきたい。

 在宅というのは何かということです。私は基本的には、在宅というのは自宅だけでなく、生活の場という意味でいいと思うのですけれども、そこで亡くなりたい、あるいはそこにずっといたいということを満たすということに意義がある。したがって、生活者として生活し続けることを支えるメニューを用意する必要がある。したがって、あくまでもその人が特に終末期に向けてこうありたいと思うことを支える体制をつくるために在宅医療が必要だということだと思います。在宅医療のために在宅医療があるわけではない、そのように思います。したがって、どの地域でも最終的にはそういう選択肢をきっちり用意するということだと思います。

 ただ、私の経験では、川名さんがおっしゃったように、そういう選択肢があるということを知らないところではその選択肢を望まない。要するに、おいしいものを食べたことがない人はおいしいものを求めないわけです。したがって、そういうものがあるということを知ることによって、それを選択するという方向は各地の実践からみて明らかです。いわゆる地域啓発というのでしょうか、地域を啓発すれば必ず在宅はふえていっています。そして、我々自身もこれから終末期をどうするのかというのを決めていかなければいけないわけです。その選択は自然現象ではないのです。我々が決めていくことなのです。そういうことをこれからやらなければいかんということ。あくまでも私は論理的にお答えすれば、在宅は何かというのは、選択肢としての在宅を整えるということだと考えております。これが1点。

 2点目はスキーム論です。基本的に在宅医療介護連携推進事業を推進するというのは行政の立場ですね。それはどういうことかというと、連携を推進するのは行政で、やってくださるのは医師であり、歯科医師、薬剤師、看護師といった多くの職種です。多くの職種がやってくださるのを推進するのが行政ですね。ですから、あえて言いますけれども、供給体制側から言えば、プレーヤーの主役は医師であり、多くの職種なのです。それを連携してもらうように行政が何とか場をつくるという非常に難しい仕事に私達はトライアルしていて、これは大いなる改革というか新しいシステムの改革だと思います。

 そうなりますと、理屈を言うようですけれども、まず行政が舞台をきちっと設定しないと、連携する舞台をつくらないと連携しないです。一方において、プレーヤーは、特に医師が動かなければ雪のないスキー場と一緒です。したがって、医師が動いてくださる。しかも、それはかかりつけ医が基本である。そうなると、ここでも私も鈴木先生と同じように気になったのですけれども、関係者というので医療提供者になっているのですが、関係団体というのが抜けていると思います。したがって、医師会を初め、関係団体というのがしっかりした役割を持たなければ、実はメーンプレーヤーの役割を取り仕切る方が動かなければ、これはうまくいかない。

 山口さんの御意見で、私、非常に印象的だったのですけれども、このままでは、2025年は無理だと。それは本当にそうだと思います。要するに、そこの土台をつくる行政の役割とプレーヤーの代表といいましょうか、おまとめになる団体がタッグを組むということをきちっとシステム整備しないと、各地域でものすごい格差が出る。もしこの超高齢社会、できる限り自分らしく生きて、可能なら生活の場で最期までいたいという人がいるとすれば、どの地域でもそれができるような環境を整えるというのがあるべき姿であって、ここの地域だけはよかった、あの地域は無理というのは違うと思うのです。

 となりますと、都道府県行政は広域行政として最終的には事業を行う市町村に対してきちっとした情報を伝達して、等しく県下のレベルをつくる必要があるということなのですけれども、私の知る限りでは、医師会はやりますと言っていることに甘えて、地域によっては率直に言って医師会に丸投げのところがあるのですね。行政も医師会にお願いした以上、それはそれで多職種をコーディネートしたり、特に大きいのは住民啓発ですね。これは行政の非常に大きな仕事です。したがって、行政は行政でここまでやるというその役割をきちっと明らかにしていく必要がある。これはまだまだ各地域ばらばらです。在宅医療連携拠点の成り立ちから見ても、ばらばらから入ったわけですから。それはいい悪いではないです、ばらばらから入ったわけです。しかし、これから全国あまねくのシステムに整えていくということになりますと、行政は行政の責任を果たす。一方において各団体は各団体の責任を果たすという関係性を明らかにしていく必要があると思います。そういう中で連携というものが生じる。そういうところをしっかりとしないといけない。私自身も鈴木先生のおっしゃるとおりであるということで、そこの議論を。団体が入っていないのは非常に気になっていたというのが私の意見でございます。

 それから、最後に1つ議論していただきたいということですけれども、行政の受け皿組織は、市町村が各団体との間合い、特に医師会との間合いですね。医師会に何でもお願いというのはある意味ではやり過ぎなのですね。そこはやはり自分で事務局としても汗をかくところはかく。川名さんが言ったように、一生懸命汗をかくという体制であるべきだし、医師会は医師会で、恐れ入りますけれども、メーンバッターとしての医師会を初めとする各団体の自覚ですね。自覚した受け皿組織がなければシステムにならないわけです。ですから、医師会が基礎組織というか地区医師会で、もちろん歯科医師会もです。プレーヤーの団体はどういう受け皿組織を持っているかということを確認いただいて、そして行政は行政で情報を伝達し、各団体は各団体で内部で情報を伝達し、議論する。地域のことは地域が決めていったらいいわけですけれども、都道府県行政がモデル的な良質な情報をどんどん提供して地域に考えていってもらう。このようなシステムをつくらなければ、皆一生懸命やるのだけれども地域が動かない。その結果恐ろしいことは、余りにも大きな格差になるということです。したがって、私としては、各団体も少なくとも基礎組織、地区組織の受け皿体制について調べていただいて、伝達した情報がどういうふうに地域で伝わるのかというところは、私、誰にお願いしたらいいかわからないのですけれども、そのような組織体制を確認しながら、1つの血の流れといいましょうか、非常にソフトなものですけれども、全国的な1つのシステムの流れを構築するように、これは行政だけの問題ではない、各団体だけの問題ではないのですけれども、何とかやっていただきたい。それが在宅医療会議という多くのメンバーが一堂に会する意義ではないかと思います。

 ちょっとしゃべり過ぎましたけれども、私、鈴木先生の指摘のとおりだということで発言させていただきました。

○新田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○吉田構成員 今の御意見をお伺いしてまさにそうかなと思うのが、例えばある県の中で市町の仕組みに格差があるということで見に行きますと、やれている市の中でも、プレーヤー側のほうが一生懸命やっている、医師会の先生方もやっている、ただ行政のほうが余り乗り気ではないということになると、同じ市町の中でも格差ができてしまっているというところも見受けられます。ですから、そこの連携というのは、先ほどから出ている関係団体と行政と、ここに挙がっている全てのところの連携が必要になってくる。それは国のレベルであり、県のレベルであり、市町のレベルでありと。縦と横のつながりをしっかり構築していかないとうまく進んでいかないのではないかと思います。

○新田座長 ありがとうございました。

 ほかに意見ありますか。

 齋藤委員、お願いします。

○齋藤構成員 横浜市の城構成員から、市民啓発の考え方は2つのベクトルで行っており、直接市民に働きかけるバージョンと実際にプレーヤーである医療介護関係者の方々への働きかけの御説明がありました中で触れていたのですが、若年層が在宅医療のイメージがなかなかつかないとかいう御指摘がありました。

 看護の教育からすると、実は在宅看護は平成8年から導入されておりますので、若い人のほうがイメージがつくのかなと思っていましたが、先ほどの御指摘は私としては大変意外な気がしました。さりとて、学んだからといって、しばらく病院の中に身を置いてしまうと、やはり在宅医療のイメージがつかなくなります。ですので、これから在宅医療を推進していこうというときに、医療機関の中で働く人たちの意識も在宅医療に及ばないというのが印象としてあります。この普及モデルや連携においては、医療機関で働く人たちの価値や、考え方にも変化が求められているのだと思っております。

 私ども日本看護協会では、県協会の地区支部単位で在宅医療をすすめ、人々の暮らしを支えていくのだといったときに、同じ患者さんを診ても、在宅医療の視点と、医療機関の中で治療を中心としたケアの視点はかなり違っているということがあります。これから病院に勤務していても介護保険等のサービスを使って患者さん本人の思いをかなえていくのだというアプローチが必要です。入院中の状況だけで在宅療養は無理だと判断をしてしまい、他の医療機関に転院させてしまうといった事例なども聞いております。患者さんや利用者さんへのケアをつなげていけるような職場を超えた関係性を地域の中でつくっていく場が必要になりますので、基礎自治体の行政の方々に汗をかいていただきたいなと思ってます。

 それから、意識を変えていく方法の1つとしてもう一つ日本看護協会がやっておりますのは、医療機関で働くナースたちが、一定期間、訪問看護ステーションで働いてみるということをいくつかの自治体で試行しています。このような事業も医療連携の事業の中に入れていただきますと、在宅医療の可能性とか、先ほど出ていました回復に至る環境の要因になることが肌でわかって実感します。そうなると地域の資源に病院からつなげていくことが起きてまいりますので、地域の中で職場を超えて関係者がネットワークをつくっていく体制をつくっていただきたいと思っております。

○新田座長 ありがとうございます。

 最後、どうぞ。

○鈴木構成員 今、辻構成員に御理解いただいたのはよかったと思うのですけれども、先生のお話の中で事務局というお話をされたのですが、これは具体的にはどういうものをイメージされているのか、そこを教えていただきたいと思います。

○辻構成員 一言で言えば、私はいろいろなところを回っていますけれども、大体、在宅医療担当理事というのがいらっしゃいますよね。あるいは介護保険担当理事。そういう組織、団体としての医師会の担当ラインがあって、通常そこで在宅医療を推進するためのいわゆる委員会的なものができていて、その組織としての委員会が会長のもとの理事の責任のもとで行政とタッグを組むという形を全国普及するというのは基本型だと思います。そういうものがあるところとないところがある。そういう行政とのしっかりした取組み組織がないところは、本当に気の毒なぐらい医師会がすべてをしょってやっているわけです。そういうところは医師会として過不足のない組織を整えていく必要があると思います。

○新田座長 どうぞ。

○鈴木構成員 わかりました。医師会を評価していただいてありがとうございます。地域差もあると思いますけれども、もう少しお話を聞かせていただいてから医師会としての取り組みを検討させていただきたいと思います。

○新田座長 そうですね。

 受け皿としての医師会等の役割はとても重要な話でございますので、今後そこをどのように検討していくかということも改めて相談をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 時間になりました。本日、重点分野、エビデンス等も含めてありましたが、それに関してもさまざまな意見がありました。エビデンスというと、どうもそこに画一化するとか、在宅医療に特化するとかというような誤解もあるような感じですが、西澤構成員が言われましたが、病院も含めてトータルで、国民がその選択として最適な場所を選んで、先ほど辻先生も言われたように、在宅を国民が選択する権利をきちっと持つ。そういうトータルな感じでエビデンス構築をやるということ。同時に、葛谷参考人が言われた個別性ということも含めてやっていかなければいけないだろうなと思っております。

 もう一つは、関係者の役割・連携等。これはちょっと議論ができませんでした。山口構成員から事務局に質問があったのですけれども、結局、事務局には当てませんでした。それぞれ学術関係等々のここに対して国民の理解とか、国民の役割はどうなのかという話とか、関係団体とか、これはもう少し整理しないとちょっといけないかなと思いまして、あえて事務局には振りませんでした。

 ということで、きょうのさまざまな御発言を踏まえまして、御意見を整理して、さらに検討して、次回にこの議論をしていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 何か御質問ありますでしょうか。山口構成員の課題提供も、ちょっと中途半端で、解決だとは思っていませんが、その後、西澤構成員が話していただいたいろいろで、ある程度答えも含めてあるような気がしております。またよろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程について事務局から連絡をお願いいたします。

○桑木室長補佐 事務局です。

 次回の会議につきましては追って連絡させていただきます。

○新田座長 追ってですね。了解しました。

 それでは、2月ということでよろしいでしょうね。2月に第2回のワーキングをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、第1回「全国在宅医療会議ワーキンググループ」を終了いたします。ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課 在宅医療推進室
TEL:03-5253-1111(内線2662)

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