ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会(2016年12月16日)




2016年12月16日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部

○日時

平成28年12月16日(金) 14:00~16:30


○場所

厚生労働省3階 共用第6会議室


○出席者

食品衛生分科会員(敬称略)

安藤 言枝 大澤 真木子 大野 泰雄
川西 徹 岸 玲子 栗山 真理子
古野 純典 西内 岳 二村 睦子
松本 吉郎 村田 勝敬 毛利 資郎
山本 茂貴 若林 啓二

事務局(12月16日時点)

北島 智子 (生活衛生・食品安全部長)
橋本 泰宏 (大臣官房審議官)
長田 浩志 (企画情報課長)
山本 史 (基準審査課長)
道野 英司 (監視安全課長)
森田 剛史 (基準審査課新開発食品保健対策室長、監視安全課食中毒被害情報管理室長)
黒羽 真吾 (基準審査課残留農薬等基準審査室長)
梅田 浩史 (監視安全課輸入食品安全対策室長)
蟹江 誠 (監視安全課HACCP企画推進室長)
海老名 英治 (企画情報課長補佐)

○議題

1 開会
2 議題
 (1)審議事項
 (2)報告事項
 (3)文書による報告事項等
 (4)その他の報告事項
・食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況につて
・BSE対策の現状について

○議事

○海老名補佐 それでは、委員の先生方はおそろいでございますので、ただいまより開催させていただきたいと思います。着座にて失礼いたします。

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催させていただきます。

 最初に分科会委員の異動がございましたので、御報告をさせていただきます。先生方には分科会の名簿をお配りしておりますけれども、本年11月2日付で河野委員が退任をされまして、新たに全国消費者団体連絡会理事の橋本恵美子氏が本分科会委員に着任をされております。名簿で申し上げますと15番目の方でいらっしゃいますが、本日は所用によりまして、御欠席との御連絡を頂戴しております。

 続きまして、本日の分科会委員の出席状況の御報告をさせていただきます。本日は、大前委員、春日委員、岸田委員、倉根委員、寺本委員、西委員、西内委員、橋本委員から御欠席との御連絡をいただいております。現在、分科会員総数21名のうち、現時点で13名の先生方が御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。

 次に、本日の議題でございますが、お手元に配布しておりますクリップどめの資料に議事次第がございますが、そちらの議事次第を御参照いただきますと、最初に「(1)審議事項」といたしまして、「食品中の農薬等の残留基準の設定について」を御審議いただきます。その後、「(2)報告事項」といたしまして、何点か事務局から御報告を申し上げさせていただきます。

 なお、審議事項に関する利益相反の確認対象となる案件がございますが、退出が必要または議決に参加できない委員がいないことは確認をさせていただいております。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。委員の皆様には、今、申し上げましたクリップどめの資料で最初に議事次第がございます。その後に、右上に資料番号を振ってございますが、資料1といたしまして「審議事項に関する資料」、資料2といたしまして「報告事項に関する資料」、資料3といたしまして「その他の報告事項に関する資料」、資料4といたしまして「その他の報告事項に関する資料」をお配りしております。

 また、いつもどおりでございますけれども、紙ファイルのほうは食品安全委員会の健康影響評価等の資料でございますので、必要に応じて審議の際にお使いいただければと思っております。

 資料の不足や落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただけますようにお願いいたします。

 それでは、報道の方の頭撮りはここまでとさせていただきますので、以降のカメラ撮影については御遠慮願います。

 以後の進行につきましては、岸分科会長、どうぞお願いいたします。

○岸分科会長 それでは、始めさせていただきます。議題「(1)審議事項」の「食品中の農薬等の残留基準の設定について」の審議を行います。

 最初に事務局から説明をお願いいたします。

○説明者 それでは、説明をさせていただきます。資料1の1ページ目をお開き願います。審議事項は今回3剤ございます。いずれも初めて基準値を定めるということで御審議をお願いいただくものでございます。

 それでは、1ページ目、農薬ピカルブトラゾクスでございます。こちらは国内の新規の登録申請に伴い、農林水産省より基準値の設定要請を受けたものでございます。

 用途といたしましては、殺菌剤で、適用作物は稲の苗立枯病等となっております。我が国の登録状況については新規のため、ございません。

 諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価は行われておらず、国際基準もございません。また、主要国においても基準値の設定はされておりません。

 食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、ADIが設定されております。

ADIは2年間慢性毒性/発がん性併合試験を根拠に0.023mg/kg体重/dayでございます。こちらは慢性毒性/発がん性併合試験において、甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度が有意に増加をいたしましたが、腫瘍の発生メカニズムによるものとは考えにくく、評価に当たって閾値を設定することは可能と考えられております。

 また、ARfDにつきまして議論をされましたが、今回は単回経口投与等により生じる毒性影響は認められなかったことから、ARfDの設定は必要なしと判断されております。

 続きまして、基準値案でございます。今回、規制対象は親化合物のピカルブトラゾクスと下のほうに示させていただいております代謝物Bとしております。

 基準値案は3ページ目でございます。別紙1をごらんいただければと思います。今回、全くの新規の登録ということでございまして、真ん中の登録の列でございますが、登録有無のところに「申」と漢字を入れております。

 戻りまして、2ページ目、暴露評価でございます。今回、ADIが設定されておりますので、長期暴露評価を行いました。TMDIADI比で比較したところ、最も高い幼少児において66.5%ということで、健康に影響はないと考えております。

 今後の予定でございますが、意見聴取の状況のところでございますが、今後、パブリックコメントを実施する予定でございます。

 最後に答申案でございますが、4ページの別紙2となっております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 議論に入ります前に、部会での審議の状況について御報告を特段いただくようなことがあったかどうかも含めまして、部会長の大野先生、お願いいたします。


○大野委員 部会長を務めている大野でございます。

これについては農作物の代謝試験では、ほかの代謝物も比較的多く検出されているのですけれども、作物残留試験をやってみたら、親とこの代謝物Bが多く残っていたと。ほかのものについてはほとんど検出されなかったということで、この2つだけでいいのではないかということになりました。分析、その他については、特にございませんでした。


○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御意見とか御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。全くの新規でございますけれども、問題ないということでありましたら、よろしいでしょうか。

 それでは、分科会として、これで了承いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局には答申に向けた手続を進めていただきます。パブリックコメントの結果につきましては、分科会の皆様に御確認をいただきますので、よろしくお願いいたします。そのほかの経過につきましては、次回以降、本分科会で御報告いたします。

 それでは、続きまして、2剤目のフルエンスルホンにつきまして、御説明をお願いいたします。

○説明者 それでは、5ページ目をお開き願います。農薬フルエンスルホンでございます。こちらは、国内の新規の登録申請に基づく、農林水産省より基準値設定の要請がございました。また、同時にインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請があり、あわせて基準値設定を行うといったものでございます。

 用途といたしましては、殺虫剤でございます。

 適用はかんしょのネコブセンチュウ等となっております。

 国内での新規の登録でございますので、我が国の登録状況はございません。

 諸外国におけます状況でございますが、2013年と2014年にJMPRにおいて毒性評価がされ、ADIARfDが設定されております。国際基準はうり科野菜、果菜類などに設定されております。主要国におきましては、米国においてうり科野菜、果菜類等、カナダにおいてトマト、オクラ等、豪州においてうり科野菜、果菜類等に基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、ADIARfDが設定されております。

ADIにつきましては、2年間慢性毒性/発がん性併合試験を根拠に0.014mg/kg体重/dayが設定されております。こちらはマウスの発がん性試験において、雌の肺胞の細気管支腺腫の発生頻度の増加が認められましたが、腫瘍の発生機序は遺伝毒性メカニズムによるものとは考えにくく、評価に当たって閾値が設定することは可能であると考えられております。

 また、ARfDにつきましては、急性神経毒性を根拠に0.33mg/kg体重とされております。こちらは最小毒性量を用いておりますことから、安全係数は追加の3を掛け、300としております。

 続きまして、基準値案でございます。このフルエンスルホンの規制対象でございますが、資料の下に示しました代謝物BSAとしております。こちらは残留試験において、親化合物であるフルエンスルホンの残留性は極めて低く、そのかわり代謝物BSAが残留していることが確認されたといったことから、代謝物BSAを規制対象としております。

 基準値案でございますが、7ページ、8ページ目の別紙1でございます。登録有無のところでございます。「申」と書いてあるものは国内の登録申請があったものであり、「IT」としているものはIT申請があったものということになっております。

 戻りまして、6ページ目でございます。暴露評価です。今回、規制対象を代謝物BSAとしていることから、ADIの比較、ARfDの比較はそれぞれ食品安全委員会が示した値が、親化合物で示されていることから、代謝物BSAに換算したもので比較しております。長期暴露評価につきましては、EDIADIの比較をしており、最も高い幼少児において30.4%となっております。また、短期暴露評価につきましても、一般及び幼少児の各食品の短期推定摂取量がARfDを超えるものはございませんでしたので、暴露評は問題ないと考えております。

 意見聴取につきましては、本年10月に本剤の基準値案について、在京大使館への説明を行っております。また、パブリックコメントを現在実施しているといったところでございます。

 最後に答申案でございますが、9ページ目の別紙2となっております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、分科会での議論に入る前に、部会での審議の状況について、部会長の大野先生、いかがでしたでしょうか。

○大野委員 これについては特に議論になったというわけでもないのですけれども、説明させていただきたいと思ったのは、これは親化合物を測定対象物質とするのではなくて、代謝物を測定対象物質としています。この代謝物BSAは親化合物と比べると、かなり毒性が弱いのです。それは急性毒性ではなくて、慢性毒性をやっていても、そういう結果が出ています。普通は毒性の弱いものは測定対象物質とはしないのですけれども、親化合物の残留が非常に少なくて検出できなかったということで、適正に使われたかどうかを確認するためには代謝物BSAを使うより仕方がないということを説明いただいて、委員の皆さんが納得したと思っています。

 急性参照用量のところで最小毒性量が100mg/kg体重ということで、安全係数を300としていますけれども、毒性が強い場合には必ずしも安全係数は300でなくて、1,000とかにする場合もあるかと思いますが、この根拠とした急性神経毒性試験であらわれたものは正向反射が若干低下したとか、活動性が低下したとか、その程度でそんなに強いものではないので、300でいいだろうということです。

 そういうことで、親化合物のADIをもとに比較していますけれども、先ほど申し上げましたように、代謝物BSAの毒性は親化合物よりずっと弱いのです。具体的に申し上げれば、親化合物のNOAELは雄で8.26mg/kgということですけれども、BSA850 mg/kg100倍くらい違うのです。ですから、EDI比で20とか30.4とか、そういう値が出ていますが、実際に残留するBSAと比較すると、もっと安全を確保されていると理解をしていただいてよろしいのではないかと思っています。

 以上です。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、分科会の委員の先生方の御意見あるいは御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。

 先生、どうぞ。

○若林委員 大野先生に質問なのですけれども、この化合物の暴露評価はADI分のEDIですね。多くの場合はADI分のTMDIがよく用いられると思うのですけれども、この化合物がEDIを用いている理由というのは、先ほど先生が説明されたような理由ですか。

○大野委員 最初にADITMDIで比較し、たしか80%を超える場合はより詳細な比較をしなくてはいけないということで、EDI比で比較しています。EDIの説明を間違えるといけないので、事務局からEDI比とTMDI比の比較を説明していただけたらと思います。

○岸分科会長 お願いします。

○説明者 まず、TMDIは基準値を用いて、基準に食品の摂取量をかけ合わせたものを積算して求める量というものでございますので、実際に摂取する農薬量と比較すると、かなり過剰な量となります。それがADIと比較して80%を超える場合は、より正確な摂取量で比較するべきということで、EDIでの比較を行っております。

EDIにつきましては、作物残留試験で求められました残留量を用いて、算出していますので、実際に摂取する量に近い値となります。

○大野委員 ありがとうございます。

○岸分科会長 ほかによろしゅうございますか。

 どうぞ。

○毛利委員 このインポートトレランスですけれども、基準値案が国際基準とか外国基準値よりも若干緩い作物が幾つかございますが、もちろん安全性の観点からは安全であるという今の大野先生のお話とかでよく理解はできるのですが、少し緩い値を出してあるところの理由はどういうことなのでしょうか。

○岸分科会長 事務局、御説明をお願いできますか。

○説明者 若干緩いというと、例えば、はくさいのところの米国が1.5となっているのですけれども、我が国の基準値案が2となっているといったところでしょうか。

○毛利委員 そうです。あと、トマトとか、きゅうりとかも含めまして。

○説明者 わかりました。まず、米国の基準値が1.5となっているものについては、分析の煩雑さを避けるためもありまして、日本においては有効数字が1桁で定めています。1.5を丸め、2とさせていただいています。

 先ほどのトマトにつきましては、国際基準としては0.3がつけられております。こちらは登録の有無のところに「申」とついており、日本でも使われる予定ですので、右のほうに作物残留試験等と書いておりますが、これは日本で作物残留試験が行われた結果を記載しております。こちらを用いて基準値案を求めたところ、0.7となりましたので、トマトは日本において0.7を基準値としたいと考えているといったところでございます。

○毛利委員 実際に日本で使われる場合、このくらい残ってしまうと考えてよろしいでしょうか。

○説明者 そうでございます。

○毛利委員 ありがとうございました。

○黒羽室長 補足させていただいてよろしいでしょうか。農薬の残留基準値を設定するときは作物残留データに基づいて設定するのですが、実際に農場でまかれた環境とか、雨が降ったり、日が当ったり、作物の陰になっているところとか、いろいろな状況によって、ばらつきがあるということがございますので、そのばらつきの一番大きいところをとっても違反にならないような数値を基準値として設定しております。したがって、基準値ぎりぎりになる可能性は少なく、実際の値は中間くらいの値に確率的に多くなると考えられますので、基準値ぎりぎりまで残留するのは確率的に非常に少ないと御理解をいただければと思います。

○岸分科会長 よろしいでしょうか。時々議論になるところですよね。作物残留試験の成績が例えば、nが6とか8とかですと、もうちょっと絞れると思うのですけれども、3とか極端に2などというのはもともと分散、値が出てこないという、これは食品衛生分科会としては、このnの数をふやして安全側に少しでも近づけていただくようにたびたび申し上げているところでございますので、御質問の趣旨も結局そこが解決しませんと、できれば国際基準にしたいですよね。そういう意味では、ぜひお願いしたいと改めて、私個人的には思う次第ですが、何か委員の皆様から、ほかに意見とか御質問はございますか。どうぞ。

○若林委員 もう一つ、戻って大変失礼なのですけれども、1番目のピカルブトラゾクスの構造式が1ページにあるのですが、基準値案の一番下の代謝物Bの構造式がわからなくなってしまったのですが、これだとひっくり返したものですよね。それが代謝物Bなのですか。何か見ようによっては同じ構造式です。

○岸分科会長 どうぞ。

○説明者 ピカルブトラゾクスの代謝物Bの構造式でございますが、ベンゼン環とNの五員環の上の二重結合においてE体とZ体の違いがあるということでございます。

○若林委員 立体異性体ですね。わかりました。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 そのほかの御意見、御質問等がないようでしたら、分科会として了承ということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○岸分科会長 それでは、3つ目の農薬に移らせていただきます。ベンゾビンジフルピルでございます。お願いします。

○説明者 ベンゾビンジフルピルでございます。10ページ目をお開き願います。こちらはインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請があり、基準値を設定するものでございます。

 用途といたしましては殺菌剤で、適用は大麦、小麦等となっております。

 我が国の登録はございません。

 諸外国の状況でございますが、2013年にJMPRにおいて毒性評価がされており、ADI及びARfDが設定されております。国際基準は大豆、鶏などに設定されております。また、主要国におきましては、カナダにおいてとうもろこし、大豆等に基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、ADIARfDが設定されております。

ADIは、2年間慢性毒性/発がん性併合試験を根拠に0.012mg/kg体重/dayとなっております。ラットの甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度の増加がございましたが、腫瘍の発生機序が遺伝毒性メカニズムによるものとは考えにくく、評価に当たって閾値を設定することは可能と考えられております。

 また、ARfDは、急性神経毒性試験を根拠に0.1mg/kg体重とされております。

 続きまして、基準値案でございますが、規制対象は親化合物のベンゾビンジフルピルのみとなっております。

 基準値案は、12ページ、13ページの別紙1をごらんください。こちらは全てインポートトレランスのみとなっておりますので、登録の有無は「IT」と記載しております。

12ページの最後のところの牛の筋肉から13ページまで、畜産物に対しては国際基準が設定されておりますので、国際基準を参考に基準値案を設定させていただいております。

 戻りまして、10ページ目の暴露評価でございます。長期暴露評価について、TMDIADIの比を比べたところ、最も高い幼少児において47.3%となっております。また、短期暴露評価につきまして、一般及び幼少児の各食品の短期推定摂取量がARfDを超えるものはございませんでした。

 こちらの品目の意見聴取の状況でございますが、先ほどのフルエンスルホンと同じく、本年10月に在京大使館への説明を行っております。また、現在、パブリックコメントを実施中でございます。

 最後に答申案でございますが、9ページ目の別紙2となっております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 こちらの農薬につきましても、部会の審議の御様子を少しお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。

○大野委員 これについては安全性とか、そういった面では問題はほとんどなかったのですけれども、測定対象物質に関して、体内運命試験だと代謝物Vが出たのですが、作物残留試験では、親と代謝物Cという別の代謝物がほとんどでしたのですが、体内運命試験で出たVは出てこなかったということです。そうすると、親とCと両方をはかるということになるのですけれども、代謝物Cは親と比べて、かなり毒性が弱かったのです。そういうことで、親だけでいいだろうと考えました。

 これについては部会としての報告書にいつも分析法の概要が書かれていますけれども、それについて分析の専門家の先生方がかなり検討してくださりまして、それが変更になりました。具体的にどういうふうに変更されたかということまで、私はこの場で申し上げられないのですけれども、部会には分析を専門とする先生が多いので、常に検討してくださって、その辺を適切なものに変えてくださっています。

 以上です。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 それでは、この3剤目のベンゾビンジフルピルに関しまして、分科会の皆様方の御意見、質問等を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。もし格段の御意見がないようでしたら、分科会として了承ということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○岸分科会長 ありがとうございました。

それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。また、パブリックコメントの結果につきましては、分科会の皆様に送付して御確認をいただきますので、よろしくお願いいたします。経過につきましては、次回以降、本分科会で御報告いたします。

 きょうは審議事項はこの3剤ですので、続きまして、事務局からの報告事項になりますが、こちらのほうはたくさんありまして、「食品中の農薬等の残留基準の設定について」、23品目ございます。報告をよろしくお願いいたします。

○説明者 それでは、報告品目に移らせていただきたいと思います。

 資料2の1ページ目をお開き願います。1つ目、農薬のイソウロンでございます。こちらはポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うものでございます。

 用途としては除草剤でございまして、適用作物はさとうきびのみとなっております。

 我が国におきましては、さとうきびに農薬登録がされております。

 諸外国におきましては、毒性評価は行われておらず、国際基準もございません。主要国においても基準値が置かれているところはございません。

 食品安全委員会における評価の結果ですが、ADIARfDはこのように設定されております。

 基準値案でございますが、規制対象はイソウロン親化合物のみということで、案は3ページ目の別紙1のとおりということで、暫定基準がたくさんついてきたのですが、登録があるさとうきびのみとなっております。

 1ページ目に戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価につきましては、TMDI試算で最も高い幼少児で0.6ということでございます。短期暴露評価でございますが、ARfDは設定されているのですが、今回さとうきびに対しての摂取量は十分比較できるほどの情報量が足らなかったと。最小データ数が足りていないので暴露評価はできておりません。

 別のやり方ということで、正式ではないのですけれども、仮に体重50kgの人が0.02の基準値が含まれているさとうきびを500kg摂取した場合にARfDに達するという試算ができたということでございます。500kgのさとうきびを短期間で摂取するということは考えられないということで、さとうきび中に残留するイソウロンを摂取することによる健康に悪影響が出る可能性は低いと考えているといったところでございます。

最後に答申案ですが、6ページの別紙2をさとうきびにつけるとしております。

 数も多いので、連続でどんどん進めさせていただきたいと思います。

 続きまして、農薬のクロルプロファムでございます。7ページ目でございます。こちらもポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うといったものでございます。

 用途としては除草剤と植物成長調整剤となっております。

 我が国の登録状況でございますが、てんさい、ほうれんそう等に農薬登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、ADIARfDが設定され、ばれいしょと畜産物に国際基準が設定されております。主要国におきましても、このようにばれいしょや畜産物に設定されているといった状況でございます。

 食品安全委員会における健康影響評価の結果につきまして、ADIARfDがこのように設定されております。

 基準値案で別紙1は9~11ページでございますが、このように基準値を設定しようと考えております。暫定基準があったものと基準値があったもののうち、登録がされていないものであったり、国際基準がないものについては削除されるといったものでございます。

 7ページ目に戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価でEDIADIの比較をしましたところ、最も高い幼少児においても45.7%でございました。短期暴露評価におきましても、一般及び幼少児でARfDを超えるものはないとされております。

 最後に答申案として、12ページの別紙2のようにさせていただきたいと考えております。

 続きまして、13ページ目、3剤目のシメコナゾールでございます。こちらは国内の適用拡大申請に伴う設定の要請があったので、基準値を設定するといったものでございます。

 用途としては殺菌剤でございまして、我が国の登録としては、りんご、なしなどに登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRの毒性評価はされておらず、国際基準はございません。主要国においても基準値の設定はされていないといったものでございます。

 食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、ADIARfDがこのように設定されております。

 基準値案につきましては別紙1のとおりということで、15ページ目をごらんいただければと思います。このように設定させていただいております。

13ページ目に戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はTMDIADIの比較で、幼少児においても72.9%でございます。短期暴露評価におきまして、今回、食品安全委員会のARfDで妊婦または妊娠している可能性のある女性に対してもARfDを設定されておりますので、短期暴露評価は一般、幼少児、妊婦または妊娠している可能性のある女性のそれぞれで比較をしております。いずれにいたしましても、ARfDを超えるものはございませんでした。

 最後に答申案は16ページ目の別紙2のとおりとしております。

 続きまして、17ページ目、シモキサニルでございます。シモキサニルは国内の適用拡大申請に伴い基準値の設定を行うものでございます。

 用途といたしましては殺菌剤でございます。

 我が国における登録状況は、きゅうり、すいか等に登録がされております。

 諸外国における状況でございますが、JMPRでの評価はされておらず、国際基準もございません。主要国における状況ですが、米国においてピーマン、ホップ等に、カナダにおいてばれいしょ、ラズベリー等に、EU、ニュージーランド等にそれぞれ基準値が設定されているといったところでございます。

 食品安全委員会における評価でございますが、ADIARfDがこのようにつけられております。

 基準値案でございますが、別紙1ということで19ページ、20ページをごらんいただければと思いますが、このように設定をさせていただくということでございます。

 それに基づきまして、暴露評価を行ったところ、長期暴露評価でTMDIでのADIとの比較をしましたところ、最も高い幼少児においても29.9%となっております。短期暴露評価におきましても、一般と幼少児のそれぞれにおいて、ARfDを超えるものはございませんでした。

 答申案といたしましては、21ページの別紙2のとおりとさせていただきたいと考えております。

 続きまして、22ページ、スピロテトラマトでございます。こちらは国内での適用拡大とインポートトレランスの申請がございましたので、基準値の設定を行うといったものでございます。

 用途といたしましては、殺虫剤でございまして、我が国での登録状況は、ばれいしょ、ズッキーニ等に登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRにおいて毒性評価が行われておりまして、ADIARfDが設定されております。国際基準はばれいしょ、トマト等に設定されております。また、主要国における基準値の設定状況ですが、米国でバナナ、パイナップル等に、カナダでとうもろこし、たまねぎ等に、それぞれの主要国で設定されているといったところでございます。

 食品安全委員会におきます評価でございますが、このようにADIARfDが設定されております。

 基準値案でございますが、別紙1のとおりということで、2427ページまでございますが、このとおりに基準値を設定しようと考えているといったところでございます。

 これに基づきまして、23ページの暴露評価でございます。長期暴露評価でTMDIでの比較をしたところ、最も高い幼少児でも42.6%となっております。また、短期暴露評価でございますが、一般と幼少児のそれぞれにおいてARfDを超えるものはございませんでした。

 答申案といたしまして、別紙2が2830ページまでございますが、このとおりとしたいと考えております。

 続きまして、31ページ、ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネートでございます。こちらは国内での適用拡大に伴う基準値設定の要請を受けたものでございます。また、ポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うといったものでございます。

 こちらは構造式を見ていただければと思うのですけれども、ダゾメットとメタムはメタムアンモニウム、メタムナトリウム、メタムカリウムがございます。メチルイソチオシアネートの化合物としては5つあるものがございます。

 用途といたしましては、いずれも土壌くん蒸剤でございまして、ダゾメットとメタムにつきましては土壌中で代謝を受けまして、メチルイソチオシアネートに変わり、そこで薬効を示すといったようなものでございます。

 こちらは適用作物はきゃべつ等でございまして、諸外国の状況についてですが、JMPRにおける評価はされておりません。また、国際基準もございません。主要国において調査をした結果、EUにおいて果菜類、葉菜類等に設定されているといったものでございます。

 続きまして、食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございます。先ほど申し上げたとおり、こちらは土壌中で全てメチルイソチオシアネートに分解されて活性成分となるといったところから、メチルイソチオシアネートを総合的な評価対象物質として評価をされております。したがいまして、ダゾメット、メタム、メチルイソチオシアネートのグループADIとグループARfDがつけられておりまして、それはメチルイソチオシアネートのADIARfDを用いております。それぞれグループADI0.004mg/kg体重/dayARfD0.1mg/kg体重となっております。

 こちらに基づきまして、基準値案を検討いたしました。3335ページの別紙1となっております。こちらの3つの農薬ですが、同時に使われることがない、重複して使われることがないよう指導していくと言っていることから、いずれかの農薬を使ったときの残留データを用いて、それをもとに基準値を設定するという基準値案を設定しているといったところでございます。

 それに基づいて、基準値案を設定させていただきまして、暴露評価を行いました。長期暴露評価につきましては、TMDIADIと比較したところ、幼少児において最も高くなり、42.6%でございます。また、短期暴露評価におきましては、一般及び幼少児おいて摂取量がARfDを超えるものはございませんでした。

これに基づき、答申案は別紙2のとおりとさせていただきたいと思っております。別紙3は36ページでございます。

 続きまして、38ページのチフェンスルフロンメチルにまいります。こちらはインポートトレランス制度に基づき基準設定の要請を受けたものと、ポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うといったものでございます。

 用途といたしましては除草剤でございます。

 我が国における登録状況は、小麦、大麦等に登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRにおける毒性評価はされておらず、国際基準の設定はございません。主要国におきましては、米国において米、大豆等、カナダにおいて大豆、トマト等に基準値が設定されております。

 食品安全委員会における評価ですが、このようにADIARfDが設定されております。

 基準値案につきましては、40ページの別紙1でございます。このとおり設定をさせていただきたいと考えております。

 これに基づき暴露評価をいたしましたところ、長期暴露評価はTMDIでの試算をさせていただきまして、最も高い幼少児でも3.9%でございます。また、短期暴露評価でございますが、一般と幼少児のそれぞれにおいてARfDを超えるものはございませんでした。

 したがいまして、答申案として、42ページの別紙2とさせていただきたいと考えております。

 続きまして、42ページ、チフルザミドでございます。こちらは国内の適用拡大申請に伴う基準値設定を行うといったものでございます。

 用途といたしましては殺菌剤でございます。

 我が国の登録状況については、稲に登録がされております。

 諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価はされておらず、国際基準を設定されておりません。また、主要国において調査をしたところ、いずれの国においても基準値の設定はございません。

 食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、このとおり、ADIARfDが設定されております。

 基準値案でございますが、44ページの別紙1をごらんいただきたいと思います。このとおり設定をしようと考えております。

 これに基づきまして、暴露評価を行いました。長期暴露評価につきましては、TMDIADIの比較をしておりまして、幼少児において最も高く58.3%となっております。また、短期暴露評価につきましても、一般と幼少児においてARfDを超えるものはございませんでした。

 答申案としては、45ページの別紙2のとおりとさせていだたきたいと考えております。

 続きまして、46ページ、テブフェノジドでございます。こちらは国内の適用拡大申請がございましたので、それに伴い基準値設定を行うものでございます。

 用途といたしましては、殺虫剤でございます。

 我が国の登録状況は、稲、そば等に登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRにおいてADIが設定されており、国際基準はブロッコリー、クランベリー等に設定がされております。主要国におきましては、米国においてナッツ類、かぶ等、EUにおいて仁果類、核果類、カナダにおいてスグリ、コケモモ等、豪州、ニュージーランドにそれぞれ基準値が設定されているといったものでございます。

 食品安全委員会における評価でございますが、ADIが設定されております。また、ARfDについては設定の必要なしという評価がされております。

 基準値案でございますが、4749ページの別紙1をごらんいただければと思いますが、このように設定をさせていただきたいと考えております。

 これに基づきまして、暴露評価を行いましたところ、EDIADIの比較をしております。最も高い幼少児において56.5%となっております。

 これに基づいて、答申案でございますが、5052ページにあります別紙2のとおりとさせていただきたいと考えております。

53ページ、トリフルミゾールでございます。こちらは国内の適用拡大申請に伴い基準値設定を行うというものでございます。

 用途といたしましては殺菌剤で、我が国の登録状況は、りんご、なしなどに登録がされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRにおける毒性評価が行われておりまして、ADIARfDが設定されております。国際基準はおうとう、ぶどう等に設定されております。主要国におきましては、米国においてキャベツ、リンゴ等、カナダ、EU、豪州において、りんご、ぶどう等に基準値が設定されているといったものでございます。

 食品安全委員会における評価ですが、ADIARfDがこのように設定されております。

 基準値案につきましては、5556ページの別紙1をごらんいただければと思います。それぞれこのように設定をさせていただきたいと考えております。55ページの下に、おうとう、ぶどう、パパイヤがございます。ここに星印をつけておりますが、参考としたのは、国際基準を引用しておりますが、規制対象に国内と違いがあるといったところで、換算係数を用いて国内の基準値を出し直しているといったところでございます。これにつきましては、56ページの最後のところに書いてあるので、そちらをごらんいただければと思います。

54ページに戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はEDIADIの比較をしておりまして、最も高い幼少児において25.6%となっております。短期暴露評価でございますが、一般と幼少児のそれぞれの摂取量についてはARfDを超えるものはございませんでした。

 これに基づきまして、答申案として、5758ページの別紙2のとおりとさせていただきたいと考えております。

 ここで交代いたします。

○説明者 では、説明を交代いたします。

59ページのピリオフェノンでございます。こちらは農取法に基づく国内のピーマンやかぼちゃなどの適用拡大申請に伴う基準値設定の要請があったものでございます。

 用途は殺菌剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国においては小麦、きゅうり等に農薬登録がされております。

 諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価はされておらず、国際基準も設定されておりません。主要国地域において調査した結果、米国において、ぶどう、EUにおいて大麦、小麦等に基準値が設定されています。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果は記載のとおりで、ARfDは設定の必要なしと結論いただいております。

 基準値案ですが、残留の規制対象物質を親化合物のピリオフェノンとし、基準値案は60ページの別紙1のとおりとなっております。

 ページを戻りまして、暴露評価でございます。TMDIで試算を行っておりまして、一番高い幼少児で9.1%のADI占有率となっております。

 この答申案が61ページの別紙2でございます。

 続きまして、62ページのフルオピコリドでございます。こちらは農取法に基づく国内のみかん、かんきつなどの適用拡大申請に伴う基準値設定の要請があったものでございます。

 用途は殺菌剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、日本においては、ばれいしょ、たまねぎ等に登録がございます。

 諸外国の状況ですが、2009年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIARfDが設定されており、国際基準はたまねぎ、ぶどうなどにございます。主要国地域においては、米国において、ぶどう、はくさいなど、カナダにおいて、ほうれんそう、トマトなど、EUにおいて、かぼちゃ、ねぎ、ニュージーランドにおいて、ばれいしょなどにそれぞれ基準が設定されています。

 食品安全委員会における食品健康影響評価は記載のとおりでございます。

 基準値案ですが、残留の規制対象物質を親化合物のフルオピコリドとし、64ページ、65ページ、66ページのような案としてございます。

 ページを戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はEDIで試算を行っております。一番高い幼少児で25.1%のADI占有率となってございます。短期暴露評価については、いずれもARfDを超えるものはございませんでした。

 こちらの答申案が67ページ、68ページの別紙2でございます。

 続きまして、69ページのプロチオコナゾールでございます。こちらはインポートトレランス制度に基づく、きゅうり、かぼちゃの基準値設定の要請を受けたものでございます。

 用途は殺菌剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国においても小麦、大麦等に農薬登録がされております。

 諸外国の状況です。2008年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIARfDが設定されています。国際基準は小麦、大豆、牛などに設定されています。主要国地域は米国、カナダ、EUにおいて小麦、大豆、牛等に、豪州においても米、大豆、牛、ニュージーランドにおいて小麦等に基準が設定されています。

 食品安全委員会における食品健康影響評価は記載のとおりでございます。ARfDは一般と妊婦または妊娠している可能性のある女性とそれぞれ設定されています。

 基準値案でございます。残留の規制対象物質を農産物にあっては親化合物のプロチオコナゾール及び代謝物M17とし、代謝物M17については70ページに構造がございます。畜産物にあっては代謝物M17とする(ただし、畜産物においては抱合体も含む。)としていて、71ページが基準値案でございます。

70ページに戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はTMDI試算を行っておりまして、一番高い幼少児でも26.0%のADI占有率となっております。短期の暴露評価ですが、いずれもARfDを超えるものはございませんでした。こちらの答申案が72ページでございます。

 続きまして、73ページのプロヒドロジャスモンでございます。こちらは農薬取締法に基づく国内のかんきつなどの適用拡大申請に伴う基準値設定の要請があったものでございます。

 用途は植物成長調整剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国においても、りんごやぶどう等に農薬登録がございます。

 諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。主要国地域においては、米国において、りんご、ぶどうに対して適正に使用している場合は基準値を示す必要がないとされております。

 食品安全委員会における評価結果は記載のとおりでございます。

 基準値案は残留の規制対象物質をプロヒドロジャスモンのcis体とtrans体の和とし、75ページの別紙1のような案としてございます。

73ページに戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はTMDIで試算を行っております。一番高い幼少児でも0.03%のADI占有率でございます。短期暴露評価においてもARfDを超えるものはございませんでした。

 こちらの答申案が76ページとなっております。

 続きまして、77ページのプロフェノホスでございます。こちらはインポートトレランス制度に基づくコーヒー豆に基準値設定の要請があったことと、暫定の基準を見直したものでございます。

 用途は殺虫剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国においては、ばれいしょ、かんしょ等に農薬の登録がされております。

 諸外国の状況です。2007年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIARfDが設定されていて、国際基準はトマト、綿実、牛などに設定されています。主要国地域において調査した結果、米国において綿実、牛など、EUにおいてトマト、綿実、豪州において綿実、牛などにそれぞれ基準が設定されています。

食品安全委員会における食品健康影響評価の結果は記載のとおりでございます。

 基準値案は残留の規制対象物質を親化合物であるプロフェノホスとし、79ページ、80ページ、81ページ、82ページの案としてございます。ここで79ページの一番下にあるトマトの基準ですが、こちらは国際基準を採用していません。国際基準を採用しなかったのは、残留基準値が高く、食品安全委員会で評価したADIで暴露評価を行うと許容範囲を超えてしまうためです。

77ページの暴露評価でございます。長期暴露評価はADIで試算を行っております。大体は幼少児が高くなるのですけれども、一番高いのが高齢者で20.0%の占有率になっております。短期暴露評価においては、いずれもARfDを超えているものはございませんでした。

 こちらの答申案が83ページの別紙2でございます。

 続きまして、84ページのブロマシルでございます。こちらはボジリス制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うものでございます。

 用途は除草剤。作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国においては温州みかん、パイナップル等に農薬登録がございます。

 諸外国の状況です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。主要国地域においては、米国において、かんきつ類、パイナップル、豪州においてアスパラガス、かんきつ類等に基準が設定されています。

 食品安全委員会における食品健康影響評価は記載のとおりでございます。

 基準値案ですが、残留の規制対象物質を親化合物のブロマシルとし、86ページと87ページの別紙1の案としてございます。

 ページを戻りまして、暴露評価です。長期暴露評価はTMDIで試算を行っておりまして、一番高い幼少児で1.0%のADI占有率でございます。短期暴露評価はいずれもARfDを超過するものはございませんでした。

 こちらの答申案は88ページの別紙2でございます。

 続きまして、89ページのプロメトリンでございます。こちらはポジリス制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うものでございます。

 用途は除草剤。構造式、作用機構、適用作物等は記載のとおりで、我が国おいては大豆、らっかせい等に農薬の登録がされております。

 諸外国における状況です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。主要国地域において調査した結果、米国においてパセリ、オクラなど、豪州において、らっかせい、綿実など、カナダにおいてセロリに基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価は記載のとおりでございます。

 基準値案ですが、残留の規制対象物質を親化合物のプロメトリンとし、91ページ、92ページの案のとおりとなってございます。

 ページを戻りまして、暴露評価でございます。長期暴露評価はTMDIで試算を行っておりまして、一番高い幼少児で5.1%のADI占有率でございます。短期暴露評価についてはARfDを超えるものはございませんでした。

 こちらの答申案が93ページとなっております。

○説明者 続きまして、94ページ、ヘキサコナゾールでございます。こちらは殺菌剤でございまして、わが国では、りんご、なし等に農薬登録がなされております。

 諸外国の状況でございますが、1990年にJMPRにおける毒性評価が行われておりまして、ADIが設定されております。国際基準は設定されておりません。オーストラリアにおいて、りんご、なし、ぶどうに基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございます。ADIARfDが記載のとおり設定されております。

 基準値案でございますが、残留の規制対象物をヘキサコナゾール親化合物として、別紙1にお示しするとおり設定する案としております。暫定基準の見直しでございますので、国内登録のある作物に基準値を設定いたしまして、それ以外の国内登録がない作物については基準値を削除する案としております。

 暴露評価の結果、94ページにお戻りいただきたいと思いますが、長期暴露評価の結果です。TMDI試算で最も高いADI比となった幼少児で23.4%となっております。短期暴露評価の結果でございますが、ARfDを超える食品はございませんでした。

 答申案を99ページの別紙2にお示ししております。

 続きまして、100ページ、農薬ヘキシチアゾクスでございます。こちらもポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うものでございます。殺ダニ剤であり、我が国では、かんきつ、りんご等に農薬登録がなされております。

 諸外国の状況ですが、2009年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIが設定されております。ARfDは設定の必要なしとされております。国際基準は、りんご、いちごなどに設定されており、米国、EU及び豪州において、りんご、いちごなど、ニュージーランドにおいて、もも、マンダリンに基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございますが、ADIが記載のとおり設定されておりまして、ARfDは設定の必要なしとされております。

 残留基準の案でございますが、残留の規制対象物質ですが、農産物にあっては親化合物であるヘキシチアゾクスのみとし、畜産物にあっては親化合物のヘキシチアゾクスと代謝物、塩基性条件下の加水分解により、PT-1-3に変換される代謝物としております。具体的な基準値につきましては、102ページ、103ページ、104ページにお示ししております。

103ページのその他のうり科野菜の基準をごらんいただきたいのですけれども、こちらの作物残留試験成績のところに「きゅうりの残留値の5倍にて緊急登録」と記載しております。こちらにつきましては、農薬取締法の改正の際に農薬登録をその他のうり科野菜、具体的にはにがうりですけれども、こちらの作物残留試験がなかったものの、実際は農薬登録をされておりまして、農薬として使用されています、作物残留試験の結果がないために農薬登録を削除してしまうと、現場が困ってしまうということで、当時その農薬取締法の改正の際に農薬登録を維持するために、似たような作物であるきゅうりから推定される残留試験の結果の値を用いて残留基準を設定しているものでございます。具体的には、きゅうりの残留試験の結果が0.06であり、この5倍の値にて残留することを想定いたしまして、その結果に基づいて残留基準を設定しているものでございます。

101ページにお戻りいただきまして、暴露評価の結果でございます。TMDI試算で最も高い幼少児でADI比は40.9%となっております。また、ARfDについては設定する必要はございませんので、短期暴露評価は行っておりません。

 答申案を105ページ、106ページの別紙2にお示ししております。

 続きまして、レピメクチン。こちらは殺菌剤でございまして、我が国では、かんきつ、大豆などに農薬登録がなされております。

 諸外国の状況でございますが、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、主要国の状況でございますが、いずれの国及び地域においても基準値が設定されておりません。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございますが、ADIARfDが記載のとおり設定されております。

 基準値案でございますが、残留の規制対象物質をレピメクチンとして、別紙1のとおり基準値を設定する案としております。説明がおくれましたが、レピメクチンについてはレピメクチンA3とレピメクチンA4という2つの物質の混合物になっておりまして、A320%以下、A480%以上というものになっております。規制対象物質については、これらの物質の和ということで、両方の物質を対象とするものでございます。

 具体的な基準値を109ページ、110ページにお示ししておりますが、国内で農薬登録がなされているもの、その他に水系に流出した際に魚介に一律基準を超えて残留することが想定されるということで、魚介類にも残留基準を設定するものでございます。

 暴露評価の結果を107ページにお示しております。長期暴露評価の結果、TMDI試算で最も高いADI比となったのは幼少児の14.6%でございました。短期暴露評価の結果でございますが、ARfDを超える食品はございませんでした。

 答申案を111ページにお示しております。

 続きまして、113ページ、エトキサゾールでございます。こちらは農薬及び動物用医薬品でございまして、今回は農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴い基準値を設定するものでございます。

 我が国では、農薬として、かんきつ、りんご等に登録がなされておりまして、動物用医薬品としても牛、鶏を対象動物として承認されているものでございます。用途は殺虫・殺ダニ剤です。

 諸外国の状況ですが、2010年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIが設定されております。ARfDは設定の必要なしとされており、国際基準はりんご、きゅうり及び乳等に設定されております。JECFAにおける毒性評価はなされておりません。諸外国でございますが、米国においてマンゴー、ホップ、牛の脂肪等、カナダにおいて、ぶどう、いちご等、EUにおいて、りんご、オレンジ等、豪州においてバナナ、綿実等、ニュージーランドにおいてアボカドに基準値が設定されております。

食品健康影響評価の結果でございますが、ADIが記載のとおり設定されておりまして、ARfDについては設定の必要はなしとされております。

 残留基準の案でございますが、残留の規制対象物質を親化合物エトキサゾールといたしまして、別紙1のとおり設定する案としております。こちらにつきましても、農薬登録がなされているものについて基準値を設定するとともに、ぎんなん、くり等の国際基準が設定されているものに対して、国際基準で基準を設定する案としております。

 暴露評価の結果でございますが、113ページ、TMDI試算で最も高い高齢者で18.8%となっております。ARfDは設定されておりませんので、短期暴露評価は行っておりません。

 答申案につきまして、117ページにお示しております。

 続きまして、119ページ、アルベンダゾールでございます。こちらは動物用医薬品の食品中の残留基準の設定を行うものでございまして、ポジティブリスト制度導入前に設定された本基準とポジティブリスト制度導入時に設定した暫定基準の見直しを行うものでございます。

 寄生虫駆除剤でございまして、わが国では動物用医薬品として承認されてはおりません。海外で動物用医薬品及びヒト用医薬品として承認されております。

 諸外国の状況でございますが、JECFAにおける毒性評価がなされておりまして、ADIが設定されております。国際基準は牛、豚などに設定されております。また、米国及び豪州において牛、羊、山羊、カナダにおいて牛、EUにおいて反芻動物、ニュージーランドにおいて羊に基準値が設定されております。

 食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございますが、ADI0.01mg/kg体重/dayと設定されております。アルベンダゾールについては、生体内でアルベンダゾールスルホキシドに速やかに代謝されるということが明らかになっております。そのアルベンダゾールスルホキシドという代謝物自体も動物用医薬品として、海外において使用されておりまして、アルベンダゾールのADIにつきましては、アルベンダゾールスルホキシドの影響を考慮して、アルベンダゾールとアルベンダゾールスルホキシドのグループADIとして設定されております。

 アルベンダゾールとアルベンダゾールスルホキシドの両方とも基準値案のところに示しております代謝物Iに動物の体内において代謝されることから、その他の代謝物も含めて、こちらの代謝物Iに変換される化合物を規制対象としております。基準値案でございますけれども、121ページにお示しております。牛とその他の陸生哺乳類に属する動物に暫定基準を設定する案としております。

 なお、国際基準と比較して基準値案が違う値となっておりますけれども、こちらにつきまして、国際基準はアルベンダゾール親化合物として基準値が設定されているのに対しまして、わが国では代謝物Iの残留濃度として残留基準を設定するものです。そのため、基準値が国際基準と比べて低い基準値になっておりますが、国際基準を参照して、代謝物Iに変換されるものの割合を勘案した上で設定しているものになります。

 暴露評価の結果を120ページにお示しております。最も高い幼少児でTMDI試算で21.0%となっております。

 答申案を123ページの別紙2にお示ししております。

 続きまして、最後の物質となりますけれども、トルフェナム酸。こちらにつきましては、動物用医薬品の抗炎症剤でございます。

 わが国では、動物用医薬品として承認されておらず、ヒト用医薬品としても使用されておりません。

JECFAにおいて毒性評価はなされておりません。国際基準も設定されておりません。EU、オーストラリアにおいて牛、豚、乳に基準値が設定されております。

 食品健康影響評価の結果でございますが、ADIが記載のとおり設定されております。

 残留の基準案でございますが、残留の規制対象物質をトルフェナム酸といたしまして、125ページにお示しするとおり、基準値を設定する案としております。こちらについては暫定基準を見直すものでございまして、豪州、EUの残留基準を参照に基準値を設定するものでございます。

 暴露評価の結果でございますが、124ページ、TMDI試算で最も高い幼少児で35.3%というADI比になっております。

 答申案を126ページの別紙2のとおり、お示ししております。

 以上でございます。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 一括して説明を受けましたので、委員の皆様、それぞれ個々につきまして、あるいは全体で御質問ですとか御意見はございますでしょうか。

○大澤委員 大澤でございます。教えていただきたいのですけれども、84ページのブロマシルと89ページのプロメトリンというのは除草剤ということだったのですが、実際に食品の中の量ということではないのですが、除草剤が使われていった場合に土壌そのものに蓄積されていくとか、ここで話し合うべきことではないのかもしれないのですけれども、そのあたりのところは特に検討の必要はないのでしょうか。

○説明者 御質問をありがとうございます。農薬登録をする際に、農林水産省において、例えば、作物を栽培するときに1回使って、次の年に土壌中に残留するものの影響がどのくらいあるのかを評価して確認しております。したがって、蓄積されてどんどん残留濃度が高くなってしまうということについては、農林水産省において適切な判断がなされているという前提で残留基準を設定しております。

○大澤委員 ありがとうございました。

○岸分科会長 そのほかはいかがですか。どうぞお願いします。

○栗山委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、今までもそうだったのかもしれないのですが、発がん性の試験のときに例えば、雄ラットの混餌とかラットの強制経口とか、ラットではなくて動物が違ったりするのはどういう意味があるのでしょうか。ここのところのあれとは違いますよね、済みません。いろいろなものが書いてあったので、何が理由でそういう方法が違うのかなと。

○岸分科会長 非常に大事な発がん性等の試験のことですので、事務局にお答えいただくのかいいか、あるいは各専門家もおられるので、お願いいたします。

○大野委員 そんなに詳しいわけでもないのですけれども、発がん性実験をやっているときは大体2年間という長期間にわたって投与しますが、強制経口投与では胃に直接入れるので、技術が下手だったりすると、食道を傷めたりとか、胃を傷めたりすることがあります。また、手間も非常にかかるということで、餌に混ぜて実験することが大部分だと思います。

 ただ、餌に混ぜた場合にどれだけ摂取したかがわからないといけないので、餌の中に混ぜた量と実際に存在する量をはかって、それと餌の摂取量とをかけ算をして、実際に1日当たりにどのくらい摂取したかを計算して、どういう投与量のときにどのくらいの影響が出たかということを計算しています。ということで、強制経口投与をすることもないわけではないのですけれども、まれです。

 これは私の感覚ですけれども、投与に非常に自信があるところとか、強制経口投与してもラットが嫌がらない被験物質とか、中には強制経口投与される場合もあるのです。逆に餌に混ぜると餌を食べなくなってしまうこともあるので、そういう事情に応じて強制経口投与することもあると思いますけれども、大体が混餌で投与です。

○栗山委員 例えば、69ページで、一般の確認と妊婦または妊娠している可能性のある者が違う方法で確認されているようなので、そういうのに何か違いがあるのかなと思ったけど、そうではなくて、ただ単に餌の与え方とか確認の仕方のしやすさというだけと考えていいのでしょうか。

○大野委員 69ページのARfDを決めたときの試験結果ですね。それについては通常の場合には、急性毒性試験とか短期の試験で、どのくらいの用量で毒性が出るかを調べ結果を採用するのですけれども、妊婦への影響を見る場合は妊娠動物を使った実験結果を考慮します。そういうことで、一般の人の場合には一般毒性実験の結果に基づいて、何ら毒性の出なかった用量、無毒性量を基準にして急性参照用量を決めるのですけれども、妊婦とか妊娠している可能性のある人に対する基準を決める場合には、生殖毒性試験、繁殖毒性試験とか催奇形性試験とか、そういう試験を実施ときに急性的にあらわれる症状をもって値を設定しています。通常はそんなに差がないのですけれども、この場合には、これは生殖毒性試験の無毒性量の方が小さかったので、それに基づいて設定したということだったと思います。

○栗山委員 理解が悪くて済みません。ほかのものではその必要がない、余り分けて違うものでやられているというようなのがないみたいなのですけれども。

○大野委員 ほかの場合にこれを分けて書かれていないときには、一般的な急性毒性試験なり短期の毒性試験での無毒性量が生殖毒性試験のときの値よりも低かったというときです。

○栗山委員 ありがとうございました。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○二村委員 ありがとうございます。残留基準について、魚介類の基準を決めているものとそうでないものがあるのですけれども、魚介類の残留基準を決める場合とそうでない場合の違いについて教えていただければと思います。

○岸分科会長 これは事務局のほうからお願いします。

○説明者 ありがとうございます。魚介類の基準を設定する場合ですけれども、当然、動物用医薬品であれば、魚介類に直接使うようなものについては基準を設定いたします。農薬については、例えば、米などに使うようなものは水田に使われる農薬ということで水系に流出して、そこで魚が間接的に農薬に暴露されて、魚に蓄積して、魚から農薬が検出されることがあります。その影響については農林水産省において評価をしておりまして、その結果、一律基準を超えて残留してしまうようなものについては厚生労働省に残留基準の設定依頼がなされて、残留基準を設定しております。超えないものについては一律基準で管理すれば十分ということで、設定依頼がなされません。

○岸分科会長 よろしゅうございますか。

 そのほかに質問、御意見をどうぞ。

○松本委員 私も同じような質問ですけれども、動物の種によって違うのを使うのと、大体ラットで2年とか、イヌなら1年とか出ていますが、こういうのは2年間で完全に打ち切ってしまって、あとは動物の寿命もあるでしょうけれども、その後の追跡はさらに3年、4年とすることはないのかどうか。特に2年くらいで多少がんがふえたとかいうことがあって、そういうのも中に入っていますけれども、例えば、もう少しそれを追跡するようなことはされていらっしゃるのかどうか。その辺は2年を区切れば、普通は全く問題ないのかどうか。教えていただければと思います。

○大野委員 発がん性試験については、私よりも若林先生に説明してもらったほうがいいのではないかと思います。

○岸分科会長 お願いします。

○若林委員 やはり動物の寿命がありますので、長く飼っておりますと、何も与えないでも自然発生がんというようなものが出てきますので、大体寿命のところで2年間で切るというのが通常用いられています。なおかつ生きているものをずっとフォローアップするというようなことは、しないのが通常かと思います。

○岸分科会長 ありがとうございました。

○大野委員 私から補足させていただいてよろしいでしょうか。動物種にはラットとかイヌが多いということですけれども、以前はもっといろいろな動物を使って実験をしていたのですが、以前というか、何十年か前はマウスを使ったりとか、そういうのが多かったのですけれども、マウスだと薬物を投与しなくともスポンテイニアスにがんが比較的多く出てきますので、薬物の影響かどうか見にくいということで、ラットを使うことが多くなったと聞いています。

 発がん性試験に関してはバックグラウンドのデータとも比較しないときちんとした判断ができませんので、バックグラウンドのデータがあるマウスとラットが多く使われていたのですけれども、マウスではバックグラウンドでがん多く出てきてしまうということで、医薬品などの分野ではラットに絞られてきました。同じような考え方で農薬とか化学物質についてもやられているのではないかと思っています。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 そのほかはいかがでしょうか。私はちょっと気になったので教えていただくというか、基準値案を現行と比較しながら考えるときに、国際基準とか外国基準値はある意味やはり参考になると思うのですけれども、参考基準値で外国基準値が余り書かれていないものが、具体的にそれぞれの別紙1のところにないのが、例えば、プロチオコナゾールの69ページです。諸外国の状況のところでは「米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、米国、カナダ、EUにおいて小麦、大豆、牛等に、欧州において米、大豆、牛等に、ニュージーランドにおいて小麦等に」と書かれているのですが、71ページを見ますと、外国基準のところは0.35の米国だけです。

EUとか、本文を読みますと、カナダと米国は似ているかもしれませんが、EUでも小麦で基準値が決められているようですし、ニュージーランドも、外国基準値は本当は違っていても、もちろんそれぞれの国の考えもあると思うのですが、これは以前にも一度お願いしたかと思うのですけれども、米国の基準値だけというのは標準としてはまずいのではないかと思うのですが、何かお考えとかはあるのでしょうか。きょうお話を聞いていたら、同じことが何剤か、基準値があると言いながら、米国も出ていない表もありましたし、何か事務局のほうで選んでおられるのかとか、お聞きしたいです。


○説明者 御指摘をありがとうございます。こちらの別紙1の作物残留試験成績のところに記載しているのは、基準値案を設定するときに参照したもののみでございます。国際基準があるものについては、国際基準の欄は参照の有無にかかわらず記載をするようにしているのですけれども、例えば、先ほど御指摘をいただきましたプロチオコナゾールの71ページであれば、小麦は米国の0.35を参照して、有効数字1桁ということで0.4という基準を設定しているものでございます。

 その際、外国のどの基準を参照するのかという点については、基本的にはインポートトレランス申請があれば、インポートトレランス申請のあった対象の国の残留基準を設定するということで、申請に伴って提出されたデータに基づいて、その基準を置けるという判断であれば、それを置くということをしております。その場合は基本的にその国の残留基準を記載した上で、その国の残留基準を設定するものでございます。

 例えば、71ページのきゅうり、かぼちゃ、しろうり、その他うり科野菜は今回IT申請がなされて、米国の基準を参照しているものでございます。今後、プロチオコナゾールの別の作物について残留基準を設定してほしいとITで申請があった場合には、一番上の小麦とか大麦のように、今回のきゅうり、かぼちゃ、しろうりについても米国の基準と国際基準と米国の作物残留試験の成績を載せた上で、そのときのIT申請ではないのでITの記載がなくなるということで、こういった上の形のような記載になります。

 一方で一部、IT申請と関係なく外国の基準を参照して設定するときがございます。どういうときかと言いますと、暫定基準を見直すときでございます。ポジティブリスト制度導入時には国際基準があれば、国際基準を参照して暫定基準を設定しておりますけれども、ない場合は諸外国の残留基準を参照して基準値を設定しているものでございます。実際にその物質が例えば、農薬であったり動物用医薬品が外国で使用されているけれども、国際基準がない場合には、残留基準を設定しないと貿易障壁になってしまって食の流通に問題が生じる場合があるので、基準をできる限り設定するということをしております。

 具体的な例としては、125ページのトルフェナム酸という動物用医薬品でございますが、こちらは国際基準が設定されておりませんが、暫定基準の見直しということでオーストラリアとEUにおいて、牛と豚に残留基準が設定されているということから、牛と豚の残留基準、欧州とEUの残留基準を参照して、暫定基準を見直すということを行っております。こういった場合には参照した国の残留基準を記載しております。このときに例えば、EUにおいても当然、牛に残留基準は設定されておりますけれども、より高いオーストラリアの基準、高い、もしくは外国でその基準を置いた根拠の残留試験の結果が確認できるもの、そちらをこの基準値を設定する際に採用いたしますので、その採用した残留試験の結果を記載するようにしております。

○岸分科会長 参考にした基準というのは厚労省の側で参考にしたということですよね。私ども委員からしますと、複数の国である場合には、やはり最終的にそれが妥当かどうかということをある意味で参考にしたいわけですから、複数の国で出ているのだったら、資料は複数あるいは3カ国で出しているのなら3カ国をお示しいただくほうが、こういう審議会ではいいのではないかと思うのですけれども。

○説明者 一応、部会で審議する際には、部会の委員の先生にはその辺の情報も含めてお知らせした上で御審議いただいております。我々は諸外国の状況としてお示ししているものについては参考として、当然確認はしているのですけれども、それをどういった形でお示しできるかというところについては検討させていただければと思います。

○岸分科会長 結局、最終的に分科会で審議するのでしたら、分科会にもそこの部分を、やはり気になりますのは外国基準値が高かったほうの米国ばかり出されているのだと、ここでの審議が十分かどうかということにもかかわりますので、むしろ示していただくのは全てあるほうが、私たちも時間をかけて審議する意味もあるのではないかと思います。

○山本課長 御指摘をありがとうございます。分科会のところでどういう形で資料を御提供できるかを考えて、次回以降で対応したいと思います。

○岸分科会長 よろしくお願いします。

 いかがでしょうか。どうぞ。

○大野委員 部会で報告書をつくっているときに、今回の資料から大きく変わったところが一つございます。それは化学物質の化学名です。それを記載する方法が変わりました。それはCAS名です。今までもその記載が問題ないかということを委員の先生が見てくださっているのですけれども、今回これを見ていただくと、資料1の一番最初のところを見ていただくとわかると思いますが、CASの表記の仕方が最近変わって、骨格になる構造を先に書いていて、それから付随しているところを書くようになっています。

 前はIUPACと大体類似した形で書いていたのですけれども、委員の先生からCASがこうなっているよという形で指摘を受けて、このCASの化学名の書き方が変わりました。それと合わせて誤解を与えるといけないので、CASナンバーも載せておくようにいたしました。そこが大きく変わりましたので、報告させていただきます。

○岸分科会長 ありがとうございます。

 そのほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 ありがとうございました。それでは、次に進ませていただきます。「(3)文書による報告事項等」ですが、この文書による報告事項は事前に委員の皆様のところに郵送で配布されているものでございますので、この場で特段の意見がなければ、次へ移らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 それでは、「(4)その他の報告事項」でございます。「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○黒羽室長 資料4をごらんください。1ページ目をおめくりいただければと思います。前回、平成28年9月14日に開催されました食品衛生分科会におきまして、審議もしくは報告をいたしました農薬及び動物用医薬品の処理状況について御報告させていただきます。

 農薬・動物用医薬品につきましては全部で11品目ございます。このうち審議品目につきましては上から2つまで、ロメフロキサシンとクマホス試験法でございました。パブリックコメントの状況につきましては、手続中のクマホス試験法以外は実施されておりまして、御意見をいただきましたものもございましたが、基準値の変更がそれによって必要となったものはございませんでした。

 また、WTO通報につきましては、基準値が厳しくなった場合に実施することとなっておりますが、本資料では時点の修正が間に合っておらず、実施中と記載されておりますが、今月12日まで実施していたものでございます。真ん中より少し下のプロヘキサジオンカルシウム塩と下から3つ目のアバメクチンにつきましては意見がまいりましたので、これについては現在、対応を検討中でございます。それ以外の品目につきましては、基準値の変更は必要ないと考えてございます。

 また、パブリックコメントを予定している品目につきましては、その意見を確認しまして、今後どのような対応が必要かどうかを検討してまいりたいと思っております。

 この項目の説明は以上でございます。

○岸分科会長 どうもありがとうございました。

 委員の皆様から御意見ですとか御質問はございますでしょうか。よろしいですか。

 ありがとうございました。

 それでは、次に移らせていただきます。次は「BSE対策の現状について」でございます。事務局より御説明をお願いいたします。

○道野課長 それでは、資料4の2ページ目からの「BSE対策の現状について」ということで御報告いたします。本日御報告する趣旨は、平成13年以降、国内のBSE対策ということで食用に供される牛を処理する段階で、いわゆると畜場でと畜する際にBSEのスクリーニング検査を継続してまいりましたけれども、先般8月に食品安全委員会からリスク評価結果が出まして、来年の4月から特に健康牛のBSEのスクリーニング検査を廃止するというような対応をとる予定で現在パブリックコメントを実施しているという状況でございますので、BSE対策の現状について一旦御報告をさせていただきたいということであります。本件につきましては、1115日に開催されました伝染性海綿状脳症対策部会でも御報告をした内容でございます。

 それでは、資料の5ページで御説明したいと思います。BSE対策につきましては、先ほど申し上げたとおり、平成13年9月に国内で1頭目のBSE感染牛が確認をされて以降、5ページの下側の資料でございますけれども、と畜場での食用に供される牛につきまして、スクリーニング検査を実施しておりました。最初は全頭検査ということで実施しておりましたけれども、その後、科学的知見の進展とか、国内でBSEに関しては本質的に飼料対策が重要なわけでありますけれども、飼料対策が進んで国内の清浄化が進んでリスクが下がってきたということを踏まえて、検査の対象の見直しを順次いたしてきたわけでございます。平成25年7月から現行の48カ月を超える牛についてスクリーニング検査を行うという体制になっております。そのほか、SRM、特定危険部位の除去であるとか、脊柱の規制ということも食肉処理の段階で行っております。

 続きまして、6ページの上の段の資料でございます。BSEのリスクが低下してきたと先ほど申しましたけれども、これは日本だけではなくて、国際的にもそういった状況にございます。この表を見ていただきますと、下から2番目に日本は黄色で書いていますけれども、2010年以降、国内ではBSEにかかった牛は発見されていない。ヨーロッパにおいても、先ほど申し上げたように飼料規制が進展してリスクが下がってきたということで、同様の状況にございます。

 そこで昨年の12月に厚生労働省から食品安全委員会に対して、この健康牛のスクリーニング検査、ヨーロッパでも日本のように、一旦BSEが発生したけれども、対策が進んで、国際機関から、無視できるリスクの国と認定されたヨーロッパの国がとっている管理措置と同様の措置でいいかどうかということについて、食品安全委員会に諮問をいたしました。先ほど申し上げた8月に答申を受けたのは、BSEの検査のほうだけです。検査のほうについて答申がございました。その評価の内容が4ページの下の段でございます。1、2、3と3つの視点から評価をしたという内容でございます。

 1が2002年1月より後の出生コホート。これはどういうことかと申しますと、日本国内で見つかった定型BSEの牛のうち、一番最後に生まれた牛、それ以降は飼料規制が機能しているかどうかと。かなり機能しているだろうという評価ができるという意味で、そこの部分についての評価をまずしております。ほぼBSEが発生する可能性はほとんどないということでございます。

 2の2002年1月以前の出生コホート。これは過去に日本で36頭のBSEの感染牛が見つかっていますけれども、その多くがこのグループに入るわけでありますが、このグループも高齢になってきていて、実際にこれから発症するようなものはほとんど考えにくいということであります。

 3が非定型のBSEということでございます。非定型BSEに関しては、ヒトへの直接の感染性というのは確認をされていない。一部その実験動物のサルで感染が見られたというものがあるわけですけれども、発生する頻度は非常に低いということや、SRMは継続して除去するというような観点から、これについても問題ないのではないかということで、この3点から総合的に評価をしたというものでございます。

 7ページでございます。こういった観点で評価をした結果として、牛肉等の摂取に由来するBSEプリオンによるvCJDを含むヒトのプリオン病発生の可能性は極めて低いという結論になったわけでございます。

 7ページの下側に評価結果といたしまして、現在と畜場において実施されている食用にと畜される48カ月齢超の健康牛のBSE検査について現行基準を継続した場合と廃止した場合のリスクの差は非常に小さく、人の健康影響は無視できるという結論でございました。

 ただ、引き続き、全てのと畜される牛に対する、と畜前の生体検査が適切に行わなければならない。24カ月以上の牛のうち、生体検査において運動障害、知覚障害、反射異常または意識障害等の神経症状を疑われたもの及び全身症状を呈するものを対象とするBSE検査が行われる必要があるというような結論でございました。

 8ページでございます。そういったことで現在、私どもとして予定しておりますのは、現在のスクリーニング検査について、健康牛については廃止をするということでございます。

 今後のスケジュールということで、現在パブリックコメントを実施しているところでございますけれども、2月上旬をめどに関係省令の改正、地方自治体に検査に必要なキットの補助金を出しておりますので、その関係の要綱の改正。4月1日に関係省令の施行、要綱の施行ということを予定してございます。

 次のページでございます。今まで国内の対応について御説明したところですけれども、輸入の牛肉に関しての対応について、簡単に御説明いたします。輸入に関しては、まずそのBSEが発生した国からの牛肉の輸入というのは、一旦その発生が確認された時点でストップする。輸出国においてBSE対策がとられた後に輸入を再開する。こういったような手続をとっています。その輸入を再開する際には、輸出国の対策について食品安全委員会の評価を受ける。そういった手続を経てございます。

 この資料にございますように、現在は12カ国、米国以下、かつてBSEが発生した国に関して、食品安全委員会の評価結果に基づいて一定の条件での輸入を認めております。一定の条件というのは、基本的には月齢は30カ月齢以下のものでSRMを除いたというものについて輸入を認めるという対応をとってございます。

BSEの対策の現状について御報告をいたしました。以上です。

○岸分科会長 どうもありがとうございました。

 何か委員の皆様から御意見ですとか御質問がございますでしょうか。どうぞ。

○二村委員 ありがとうございます。基本的な内容としてはよろしいかと思いますけれども、健康牛については検査をしないということは、裏を返せば、症状が出たものについては検査をするということだと思います。そのときに1つは、基本的にBSEがだんだんなくなってきているということで、症状を見て、ちゃんと見逃さないような、獣医さんとかがごらんになるのだと思いますけれども、見たことのない症状というものをちゃんと見逃さないということが難しくなってくるのではないかと思います。獣医さんの教育や情報提供というようなところでの工夫なり対策なりがあれば、お伺いしたい。

 もう一つは、そういうふうに疑わしいと思ったときに、詳細な検査をすることを躊躇するような何らかの障害があってはいけないと思います。疑わしい症状があったときにすぐにちゃんと検査に回せるというような、例えば、予算的なものであったり、手続的なものであったりするかと思うのですけれども、障壁にならないような担保をしていただきたいと思います。その2点です。

○岸分科会長 お願いいたします。

○道野課長 それでは、まず最初の御指摘の生体検査につきましてです。症状があるかどうかということの判断でありますけれども、13年に最初の牛が見つかったときも、なかなかそういうものはわかりにくいということがあって、ヨーロッパで使っていたビデオだとか、そういったものを入手して全国の食肉衛生検査所、これは都道府県の機関でございまして、と畜検査員である獣医師がこういった検査に当たっているわけですけれども、そういった獣医師が確認をするのにそういった視聴覚資料なども提供をしております。その後、動物衛生研究所などでも感染実験をされて、そういった資料が大分ふえてきていると思います。そういったものへのアクセスが現場の獣医師のほうでできるようになっていると思いますので、そういった意味で全然見たことがないので、ということではないと考えております。

 それから、躊躇するということに関しては、と畜場法で検査に合格しないと出荷できないとルールが決められておりまして、もちろんと畜場において健康牛がたくさん入ってくるところと、そうでないところ、異常があるものが結構入ってくるようなと畜場もあるわけですけれども、いずれも場合もそれは疾病の診断ができるまで、と畜検査が終了するまではとめ置くということは、法律においても基づいて担保しておりますので、現場でそういった健康牛を適切に実施して、確実に検査をやっていくという対応をとることができます。

 以上です。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○毛利委員 この件については海綿状脳症対策部会でも結構議論になりましたけれども、最終的には、今、事務局がおっしゃったように、いろいろなところのビデオ等々で教育すると。それについては単に教育するという言い回しだけではなくて、何か講習会みたいな、全国のと畜検査員の講習会のような、そういう場でも教育するのだというお話を伺いました。補足させていただきます。

○岸分科会長 ありがとうございます。

○川西委員 基本的には、この方針は全く妥当と思っているのですけれども、これは厚労省の問題というよりは食品安全委員会あるいは農水省の問題かもしれないですが、表を見ていると例えば、米国でもしばらくなくなったようでいて、1頭がぽんと出たり、ブラジルなども突如出たり、ノルウェーに至っては最近になって報告されたりとかいうような数字が見られるのですけれども、これというのは今後の問題を考えたときに原因とか、そういうことを含めた解析の情報についてもしわかっているなら、教えていただきたいです。

○岸分科会長 お願いいたします。

○道野課長 国によって実は内容が少し違っていて、アイルランドとフランスにつきましてはクラシカルタイプのBSEということで、飼料規制について、どうも飼料由来のものが残っていて見つかったということがわかっています。ノルウェーについては実はこれは非定型で、非定型というのは割と飼料とは関係なく、高齢の牛でスポラディックに確認されるものでございます。ただ、これはOIEのデータなのですが、それを分けずに集計しているので、両方のものが出てくる。そういった意味でノルウェーについては非定型のもので飼料規制に問題があったとか、そういったことが原因で報告されたものではございません。

 結果として、アイルランドやフランスについては現在、国際的な評価も無視できるリスクの国の1つ下の「管理されたリスクの国」となっています。そういったこともあって、食品安全委員会の評価結果の中には、飼料規制については引き続きしっかりやっていく必要があるということも触れられているわけでございます。

○岸分科会長 どうぞ。

○若林委員 川西先生と関連した質問ですけれども、イギリスの場合も完全にゼロにならないのですが、これはどのような原因なのでしょうか。

○岸分科会長 どうぞ。

○道野課長 私のほうで十分にお答えできるかどうかはわかりませんが、イギリスの場合には、6ページの上の段の資料を見ていただきますと、ほかの国と比べると桁違いの発生があったということもあって、清浄化に時間を要するということではないかと受けとめております。特にイギリスに関してはそういったことで、先ほど申し上げたようなOIEの国のステータスもまだ管理されたリスクの国という位置づけにされております。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○安藤委員 先ほど、現場のと畜検査員が躊躇なくBSE検査ができるような形で研修等のお話がありましたが、現場の獣医さんが診断するに当たって、この7番の資料にある出荷元の獣医さんの診断書は結構重要なことで、家畜の獣医さんが適切な診断書をつけていただければ、と畜検査員がそういう情報を見ながら、これを疑ったほうがいいのかなとかいうような事ができるので、と畜検査員の研修も大切だと思いますが、飼育現場の獣医さん対象にBSEが出たら、こういう症状が出るよということや、こういう症状のあるものには、必ず診断書をつけてと畜場に送ってくださいという研修を実施するなどして、ぜひ農林水産省さんサイドのほうにも働きかけて、家畜の飼育現場と畜場が連携して、全体で診断がきちんとできるような形の体制をつくっていただければと思いますので、お願いいたします。

○岸分科会長 よろしくお願いします。そのほかによろしゅうございますか。

 非常にたくさんいろいろな質疑ができまして、ありがとうございました。これで議題は終わったかと思います。ありがとうございます。

 以上で審議事項と報告事項の議事が終わりましたが、最後に事務局から連絡事項をお願いいします。

○海老名補佐 長時間の御審議をまことにありがとうございました。本日は最後に生活衛生・食品安全部長の北島より一言御挨拶を申し上げさせていただきます。

○北島部長 北島でございます。本日は長時間にわたり熱心な御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 さて、この委員構成での食品衛生分科会は本日が最後となります。委員の皆様におかれましては、2年間、本当に熱心な御審議をいただきまして、ありがとうございました。この間、多数の農薬等や添加物の規格基準の設定のほか、平成27年5月には豚の食肉等に係る規格基準、生食の禁止ですとか、アフラトキシンM1の規制値及び清涼飲料水の規格基準、保存基準でございましたけれども、また、平成28年3月にはポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装の規格基準等に関しまして、貴重な御意見をいただき、適時適切な基準を設定することができました。

 国の審議会に関する共通ルールにおきまして、委員の通算の任期が10年までとされておりますため、長年にわたり御尽力をいただきました岸分科会長、大野委員、山本委員には大変残念ではございますけれども、今期で御退任いただくこととなりました。また、本日御欠席ではございますが、春日委員、西委員からは御都合により、今期で御退任との御意向をいただいております。改めまして、この場をお借りし、長年の委員の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 さきの臨時国会ではTPP協定の承認に向けた国会審議において繰り返し、食の安全が取り上げられました。TPP協定は先生方は御案内のとおり、締約国に対しまして、現行の国際ルールであるSPS協定に基づく各国の権利・義務を認めておりますので、我が国の食の安全に関する制度の変更を求められるものではございませんが、輸入食品に対する国民の皆様の不安や関心の高さが根底にあり、いろいろな御質問をいただいたものと考えております。食の安全確保のために引き続き、この分科会の先生方には、科学的根拠に基づく厳正な審議をお願いしたいと考えておりますし、私どもといたしましては、食の安全に関する国民の皆様とのリスクコミュニケーションや正確な情報発信の充実に努めてまいりたいと考えております。

 今後とも科学的な知見に基づき、公衆衛生の見地から国民の健康を守るため、食品安全行政の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、さまざまなお立場から引き続き御指導いただければとお願いを申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。本日はまことにありがとうございました。

○岸分科会長 北島部長、どうもありがとうございました。

 今おっしゃられましたように、私もそうですが、農薬・動物用医薬品部会長の大野先生は、器具・容器包装部会長でもあられました。山本茂貴委員は食中毒部会長、乳肉水産食品部会長、放射線物質対策部会長ということで、大変重要な部会をやっていただいて、ありがとうございました。私も一言と思っておりますが、まず先に先生方、どうぞ。

○大野委員 それでは、時間もありませんので、簡単にさせていただきます。長い間お世話になり、ありがとうございました。退任するに当たって一言申し上げなくてはいけないのは、私はどちらかと言うと安全性が専門なのですが、部会では分析とか、その他のところについての議論も随分ありました。それらについて詳しく申し上げられなかったのですけれども、部会の委員の先生方、薬理の先生、分析の先生、その他の先生方が一生懸命に資料を見て、報告書をまとめてくださってきました。そのことだけを申し上げたいと思います。今後ともご理解をよろしくお願いします。

○岸分科会長 ありがとうございました。

○山本委員 私は3つの部会の部会長をやらせていただいたのですけれども、乳肉水産食品のほうでは、やはり生食に絡んだ問題を何とかしなければいけないということで、禁止という形が本当にいいのかどうかというのも議論の対象になったとは思いますけれども、そうせざるを得ない面もあったということで、このような形の部分があります。ユッケについては食べられる規格になっておりますので、非常に苦労をいたしました。

 アフラトキシンも規格ができましたし、放射性物質につきましては、私自身が本当の意味では専門家ではございませんでしたが、毒性の考え方からいくのかどうかというのもいろいろな議論の上で決まってきたわけですけれども、非常に安全よりも安心の部分に偏った形で規格をつくっている部分があります。ですから、混乱されるところがあるかと思うのですけれども、乳幼児の食品についての規格は全ての食品において安全な上に、さらに安心を上乗せしているというような観点だと思っております。

 そのような形で、さまざまな規格基準の設定にかかわらせていただきまして、毎度いろいろな経験をさせていただきまして、どうもありがとうございました。これで10年ということで終わりますけれども、実はまた食品安全委員会のほうでもやらなければならないということになっておりますので、今後ともいろいろな形でかかわってくるかと思いますが、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○岸分科会長 ありがとうございました。

 本当に私自身、10年は非常に勉強させていただいたと心から思っております。途中から審議会の分科会と部会との関係が変わりまして、特に各部会の部会長の先生方にいろいろ詳しい御説明や何かをいただいたので、10年間滞りなくできたのも、かなりその先生方のお陰もあって、改めてお礼を申し上げたいと思います。

 いろいろなたくさんの経験をさせていただきましたけれども、特に放射線の基準値のときには、たくさんのパブコメが食品安全委員会に寄せられておりましたし、本当に報道の方も大勢来られているような状況で、厚労省の担当の皆様方がかなり時間をかけて、短い時間に仕事をされたのが非常に印象深く思っております。

BSEはきょうも御報告されましたけれども、ちょうど私の任期中に獣医さんが発生を見逃したというわけではないはずですが、非常にそれを気にされて自殺されたというようなことがありまして、いいシステムをつくっていかないと、せっかく一生懸命にやっていらっしゃる方が犠牲と言ったらあれですが、そんなふうに自死されるというようなこともありまして、ある意味でこの分科会が重要というよりも、食品安全衛生の仕組みが非常に重要なのだということを勉強させてもらいました。

 最近ではネオニコチノイドで、これもたくさんの意見が食品安全委員会にも厚労省のほうも来ていましたけれども、あのときは農水省の担当の方を呼んでいただきまして、非常にありがたかったと思っております。やはり国民から見ますと、どこで何が決められているのかわからないことでありますので、国全体として見て意見を出させていただきたいわけです。特に農水省では、ここの審議会のように学識経験者に加えて普通の国民目線、国民のいろいろな立場、消費者サイドの方、生産側の方、いろいろな方が入っている審議会が定期的には開催がございません。ですので、そういうところで国の中でリスク・コミュニケーションの問題ですとか、いろいろなことを率直に意見が出せる、そういう審議会が厚労省にはあって、そこにわざわざ農水省の方も来ていただいたというような機会ができました。そこで、その時その時の問題に応じまして、開かれた国民とのやり取りができる場は大切なのではないかと改めて思った次第でございます。

 私も10年間、本当に勉強させていただいて、皆さんのお力添えをいただいて、何とかつつがなく終えることができまして、感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 それでは、きょうは時間内に少し短く終わることができまして、いつも長くかかったりして委員の皆様には御迷惑をかけていたので、最後は短く終わってよかったと思っています。どうもありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会(2016年12月16日)

ページの先頭へ戻る