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2016年10月21日 第5回社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成28年10月21日(金)


○議事

 

第5回社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会

 

 

日 時:平成281021日(金)9:5611:46

場 所:航空会館B101会議室

 

議事

  (1)「控除対象財産」について

  (2)「社会福祉充実計画」について

  (3) 社会福祉法人における「契約ルール」及び「調査研究」について

 

 

○田中室長 これから第5回「社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会」を始めさせていただきます。

 それでは会議に先立ちまして、社会・援護局長の定塚から一言御挨拶を申し上げます。

○定塚局長 

 本日、5回目の会議ということで、いろいろ細部について委員の皆様から御意見をいただきまして深く感謝申し上げます。この会でいただいた議論を踏まえまして、8月と9月の2回、社会保障審議会福祉部会を開催させていただきました。そこでは、4月施行に伴う政省令事項や本日の議題である社会福祉充実残額の算定の考え方などについての大筋を議論いただき、了承いただいたところでございます。

 現在、政省令などについてはパブリックコメントをかけております。さらに細部についてこの会議で詰めていただきまして、一つは社会福祉充実残額の算定などに係る運用の詳細、それから今回法人改革に合わせて既存の規制の見直しを幾つか行っております。その一環で、法人の契約ルールの取り扱いについてということで、本日議題とさせていただいております。

 この運用の詳細につきましては、本日御議論いただきましたら、その意見も踏まえながら、11月上旬には全国の自治体法人に対して素案を示して、年内には最終的な通知を発出し、4月の施行をしっかり御準備いただける環境を整えてまいりたいと思っております。それでは、どうぞいろいろと御意見をいただきたく、よろしくお願いしたいと思います。

○田中室長 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。

 配布資料

 資料1 「控除対象財産」について

 資料2 「社会福祉充実計画」について

 資料3 社会福祉法人における「契約ルール」及び「調査研究」について

 参考資料1 会計監査人の設置義務法人の範囲について

 参考資料2 事業継続に必要な建設費と大規模改修費に関する調査研究事業(調査票)

 よろしいでしょうか。

 それでは、これから議事に入らせていただきますが、議事に入ります前に、私から参考資料1について簡単に御紹介させていただきたいと思います。

 会計監査人につきましても、この検討会の第1回、第2回で御議論をいろいろといただきましたが、並行して会計監査人の対象法人の基準について福祉部会で議論をいただきまして、9月26日の福祉部会で一定の考え方をお示しさせていただきました。本日はこれを参考までに配付させていただいたということでございます。

 それでは議題に入りたいと思います。本日は「控除対象財産」、「社会福祉充実計画」と「契約ルール」でございます。

 「控除対象財産」につきましては、6月21日に第3回検討会、7月13日に第4回検討会ということで、いずれも具体的な法人情報を用いて議論を行うことから非公開で開催させていただきましたが、御議論いただきました案につきましては、8月2日の第18回福祉部会、9月26日の第19回福祉部会で御説明をさせていただいて、大枠につきましては福祉部会で御理解、御了承いただいたと考えております。その上で、幾つかさらに詳細な項目について御議論いただきたい点があるのと、福祉部会で御意見があったことについて少し修正した点もございますので、それについて本日は御議論いただければと考えております。

 先ほど局長の定塚から御挨拶申し上げたとおり、私どもとしましてもこれをもって通知の案を、来月上旬には自治体、所轄庁及び法人にお示しして、そろそろ来年4月の実施に向けた本格的な準備に入りたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは議事に入ります。

 まず、「控除対象財産」と「社会福祉充実計画」について、まとめて事務局から御説明させていただいた上で、幾つか項目がございますので、区切って御議論いただきたいと考えています。説明については、資料1と資料2について、少しお時間を頂戴すると思いますが、御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○塩野課長補佐 それでは資料1と2につきまして説明させていただきます。

 まず、資料1「控除対象財産」についてです。1ページからでございます。

 再投下対象財産(社会福祉充実財産)の有効活用についてでございます。

 法律上の名称は「社会福祉充実残額」と書いておりますが、これまでの御意見なども、各方面からの御意見も踏まえまして、説明資料としては「社会福祉充実財産」ということで書かせていただいております。

 こちらの説明書きにありますように「社会福祉法人が所有する財産については、事業継続に必要な財産(控除対象財産)を控除した上で、再投下財産を明確にする」ということでございます。また、社会福祉充実残額が生じる場合には、社会福祉充実計画に基づいて既存事業の充実など新しい事業の取り組みに活用していただく仕組みをつくるということでございます。

 下の絵がございますけれども、いま一度説明させていただきます。

 【活用可能な財産】というものがございます。会計の用語になりますけれども、算式がございまして、法人全体の資産から負債、基本金、国庫補助等特別積立金を引くことを行います。

 その後、3つのものが控除の対象でございます。

 丸1の第1段階として【事業用不動産等】です。これは、法人の財産目録上、事業用の不動産等の活用されているものを算出して控除するということです。

 丸2の第2段階【将来の建替費用等】です。社会福祉施設の建替など事業継続に必要なものを一定の算式で算定するということでございます。

 丸3が第3段階【運転資金】です。年間の支出の3月分を控除するということです。この点につきましてはまた後ほど説明いたします。その結果、社会福祉充実財産が生じた場合に計画をつくっていただくということでございます。

 2ページに参ります。これまでさまざまな各方面の御意見なども踏まえまして、わかりやすく表現したつもりでございます。社会福祉充実財産は、その計画を策定することによりその使途を「見える化」するということでございます。法人の自主的な経営判断のもと、以下の事業に活用が可能ということでございます。

 下に、第1順位、第2順位、第3順位とございます。

 第1順位が、法律上も位置づけられておりますが、社会福祉事業、第2順位が地域公益事業、第3順位が公益事業で、この優先順位のもとに法人が検討していただくということでございます。

 下の矢印で出していますが、丸1から丸3で考え方を整理させていただいています。

 社会福祉充実計画は、丸1では、既存事業の充実または新規事業の開設などのいずれにも充てることが可能。丸2としまして、社会福祉充実財産に加えまして控除された財産も合わせて、これまでと同様にその事業を実施することも可能ということです。丸3は、社会福祉充実財産は毎年度見直しを行うなど、財産額の変更に応じて使途の変更が可能ということで書かせていただいております。

 3ページに参ります。「社会福祉充実財産」の算定及び「社会福祉充実計画」のポイントです。

 こちらはフロー図になっておりますが、法律上の手続の順に並べております。社会福祉充実財産の算定、2番目に法人で原案を作成いただく。事業内容によりましては、地域協議会などのニーズの意見聴取などを行う。4番目として公認会計士・税理士等からの意見聴取。評議員会の承認、所轄庁への申請、事業計画に基づく事業実施でございます。

 4ページに参ります。これも冒頭に申し上げました算式をさらに細かくしたものでございます。この資料にあります※1、※2までは類似しておりますが、※3の[再生産に必要な財産]というところです。さらに3つの内訳によって構成されておりまして、社会福祉施設の建替の算定式ですが、個々の施設の減価償却の累計額に建築単価などの上昇率を掛けるということです。その価額にさらに一般的な自己資金比率、これは調査中の数値がございますが、これを乗じることで算定するということです。

 その次は【建替までの間の大規模修繕に必要な費用】です。こちらもそれぞれの施設の減価償却累計額に一般的な大規模費用割合20%、これは仮置きの数字でございまして、こちらも調査中ですが、これを乗じた上で、過去の当該施設の修繕額を引いた上で、これを控除対象財産とするということです。

 一番下になりますが、【設備・車両など更新に必要な費用】です。減価償却対象資産となる固定資産の減価償却をした減価累計額を控除対象財産にするということでございます。

 その下が運転資金3月分です。

 一番下の※書きが2つございます。こうした算定式による処理方法は、今回改正によります整備を予定しています「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」において簡易に計算を行うための入力シートを組み込む予定としております。

 一番下の※書きでございますけれども、各係数については現時点では仮置きで、別途行う調査研究などを踏まえて最終的に決定するということでございます。

 資料の5ページ、「1.『丸1社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等」のメルクマール』でございます。

 これは先ほど申し上げました第1段階で事業に活用している財産を控除対象財産として特定することになりますが、6ページ以降で現在の社会福祉法人の会計基準上の科目のレベルで、それぞれ控除対象となり得るもの、あるいは個別の具体的な控除対象の財産の中身によってなり得るものが混在するものや、原則として控除対象とならないものを3つのレベルに分けております。原則的な考え方でありますので、実際にその財産については、個々の法人の事業に活用しているかどうかはさらに詳細に個別に判断していく必要がありますが、原則的な考え方をお示ししております。

 6~11ページまでの中で、「◎」、「○」、「-」で一つの原則的考え方をお示ししております。

12ページ、「2.財産目録様式の見直しについて」でございます。

 こちらは、これも第1段階で事業に活用している財産を特定する作業に必要なものでございまして、現在、社会福祉法人の会計にあります財産目録を1314ページの形で見直しを行いまして、社会福祉充実財産算定のために見直すということでございます。

 赤く囲っているところが変更点でございますが、使用目的などをそれぞれの財産について書いていただくということです。特に固定資産に関しましては、取得年度、取得価額、減価償却累計額を記載していただく様式に見直しをするということでございます。

 右側に縦に点線が入っておりますが、これは左側までが財産目録です。右側に個別の財産、控除対象財産になり得るかどうかを○・×でつけていただくということでございますけれども、これは別途作成いたします算定シートにおきまして記入いただくフォーマットを準備することで考えております。

15ページ、財産目録に関する(記載上の留意事項)でございます。科目ごとに分けるとか2番目のポツのところですが、同一の科目について控除対象財産に該当し得るものと、該当し得ないものが含まれる場合には、分けて記載するといったことをしていただくことが必要になるということでございます。

 次の16ページ、「3.対応負債の計算方法について」でございます。

1718ページでございます。これまで第1段階でそれぞれの事業に活用している財産を特定し、控除するわけですが、最初の計算式で資産全体から負債全体を引いておりますので、例えば社会福祉施設の価額を控除した場合に、その中に負債によって賄われている価額がありますので、それを最初に引いた負債と二重に控除しないような調整をするということでございます。

 これまで公益法人制度に倣いまして、2つの方法、個別対応方式、簡便方式で行うことを考えておりましたけれども、18ページ、公益法人の会計の「負債の部」と社会福祉法人の「負債の部」を比べますと、公益法人よりも社会福祉法人の方が、科目が細かく設定されておりまして、おおむね社会福祉施設などに対応する負債の科目が特定されるという特徴があり、なるべく各法人で簡便に算定ができることを配慮いたしまして、18ページの赤字で書いてありますところ、設備資金借入金、リース債務などの科目の合計額をそのまま対応負債として位置づけて調整を行うこととしてはどうかということでございます。

19ページは前回の7月の社会福祉法人の財務規律の検討に係る検討会に提出した資料です。対応負債の考え方の例示でございます。

20ページ、「4.建設時の自己資金比率が高い施設の取扱いについて」になります。

21ページ、最初の「控除対象財産」の第2段階で、施設の建替などに必要な財産を算定する際のルールでございます。

 これまで減価償却の累計額に一般的な自己資金比率、仮置きで15%としておりますが、この減価償却累計額に乗じた額を上限とし、さらにデータのもととしております福祉医療機構の融資実績に基づきまして、90%点をさらに上限として設け、施設の建設費の15%を超える施設についてはその上限を設定するということでございましたが、2つ目の○にございますように、近年、施設整備補助金の減少傾向などを踏まえまして、当初の案としておりました福祉医療機構貸付融資に基づく90%点を上限とする案がある一方、施設建設時の法人の経営努力を適切に反映する観点から、各施設の自己資金比率をそのまま再生産に必要な財産の算定式として適用することも考えられるということで、案1、案2でお示しさせていただいております。

 その下の表が福祉医療機構融資データにおける補助金比率(入所施設の平均)などです。建物を建てる際に、自己資金、借入金、補助金という3つの要素で構成されておりますが、平成11年度と一番直近で把握しております平成26年度を比較しますと、補助金の比率は低下し、自己資金比率あるいは借入金の比率が高くなっているということでございます。

 次に22ページ、「5.建設費・建物仕様の向上について」です。

 これも第2段階、施設の再生産に必要な財産の算定の際に用いる計算式の率の設定でございます。

2324ページ、前回までの検討会で上昇率、仕様向上の分を見込む考え方として、案1、案2の中でさらに案2‐丸1、案2‐丸2としております。

 案1は、国土交通省が統計資料として出しております建設工事費デフレーターを活用しまして、それぞれの施設の建設時と直近の数値で上昇率を出しまして、減価償却累計額に乗じることが案1です。

 案2は、定員当たりあるいは施設の1平方メートル当たりの建設時の単価と、直近の例えば福祉医療機構融資データなどを比較して、各施設でどれぐらいの単価の上昇率があるかを算定していただくという考え方がこれまでの案でございました。

 次の24ページで、福祉医療機構融資データをもとに分析した資料でございます。下の折れ線グラフがございますが、定員当たり、面積当たり、建設工事デフレーターを用いたものの比較でございます。1998年度を100とした場合に、それ以降の2014年度までを比較したものでございますが、見ていただきますと、建設工事デフレーターは、あるいは面積当たりは、ある程度の一定の傾向が見られますけれども、定員当たりで過去と直近を比較しますと、大きなぶれがあるのがわかるかと思います。

 めくっていただきまして、これをさらに入所施設別、通所施設別で分けてデータを分析したものでございます。

 こうした数値も踏まえまして、27ページでございます。

 定員1人当たりの建設単価につきましては、共有スペースなども含めて構成されますので、その大小によって大きな影響を受けるということで、各年度の単価のばらつきが大きく、法人間で不公平が生じるおそれがあるのではないかということです。また、1平方メートル当たりの建設単価につきましては、定員当たりの単価と比べると比較的ばらつきが少ないということでございます。したがいまして、「再生産に必要な費用」の算定に当たりましては、建設費・建物の向上などを見込むに当たりまして建設工事費デフレーターを用いることを基本としながらも、各法人施設の1平方メートル当たりの単価と直近5年の1平方メートル当たりの単価を比較した伸び率のいずれかの高い方を適用することとしてはどうかということでございます。また、その下にありますが、入所施設・通所施設で区別せず、全施設共通のものとして指標としてはどうかということでございます。

2829ページは、国土交通省が定めているデフレーターの概要を御紹介しております。

 次に30ページ、「6.『必要な運転資金」の範囲について』です。

31ページは「控除対象財産」の第3段階のところになりますが、運転資金、これまでは厚生労働省のサンプル調査によりまして、最低限1月程度あれば事業継続の運転資金としてよいのではないかということと、加えまして、介護報酬など、年度末時点で事業未収金が計上されますので、これは経常的な経費に必要なものということで、合わせて3月程度、1月分プラス2月で実質3月、あわせて措置事業などを行っている場合には未収金が基本的には出てまいりませんので、1月分としておりました。矢印で下に書いてございますが、丸1としまして、小規模法人の場合、緊急的な支出を考慮しますと、1月で必ずしもこれが賄えない場合が生じるのではないかということです。

 また、措置費等対象施設につきましても、自治体の交付の運用状況によっては未収金が発生するなど、2~3月の運転資金が発生する場合があるということなどです。また、丸3は、それぞれ、報酬で行っている施設、措置で行っている施設などが混在する法人につきましては、それぞれの施設ごとの算定をする必要が生じ、事務が煩雑になる可能性があるということでございます。

 結論としましては、案2で、年間の事業活動施設の3カ月分ということで、あらゆる法人が3月分の運転資金を「控除対象財産」として算定していただくことでどうかということでございます。

32ページは、社会保障審議会福祉部会で8月2日にお示ししている資料を参考につけさせていただいております。

33ページ、「7.『控除対象財産』の算定例」を御紹介させていただきます。

34ページに「控除対象財産」の算定例の前提を書いております。

 事業用不動産等につきましては個別に特定する必要がございますが、現在、私どもで算定例を示す場合は貸借対照表の科目のレベルで判断しております。建替に必要な財産は、基本財産として減価償却しているものの累計額をそのまま使っているという条件です。建設費の上昇分については、20年経過と仮定を置きまして、建設費上昇分は建設工事費デフレーターを活用しております。一般的な建替の際の自己資金比率は15%、これも仮定として置いております。大規模修繕については20%という数値で仮定しています。

 おめくりいただきまして、「控除対象財産」の算定例の丸1‐1です。

 高齢者の入所施設7カ所とその他在宅サービスを運営している法人の例でございます

 比較的、中規模、大規模に近い法人でございますが、資産の部の合計額が200億円、負債の部の合計額が2億円、基本金が1億円、国庫補助金等特別積立金が15億円で182億円が出ます。その182億円から事業用不動産等として認められる89億円、これは計算上出しますが、再生産に必要な財産19億円、必要な運転資金6億円、これを差し引きますと、こちらの法人の場合は約68億円の充実財産が出るという一例でございます。

36ページは、それらの第1段階から第3段階の内訳を書いております。

37ページ、もう一つの例でございます。算定例丸2です。こちらの法人も高齢者施設7カ所、病院を1カ所、その他在宅福祉サービスを行っている法人の例でございます。資産の額の総計が185億円、そこから負債50億円、基本金15億円、国庫補助金等特別積立金60億円を差し引きまして60億円という数字が出ます。その60億円から事業に活用している不動産で19億円、再生産に必要な財産で54億円、必要な運転資金18億円、これを差し引きした結果がマイナスの31億円になりますので、こちらの法人は充実残額が生じないことになります。

 同様に38ページは、それぞれの第1段階、第3段階の内訳でございます。

 もう一つの例、39ページです。保育園1カ所を運営している法人。社会福祉法人の中で数多くある経営形態の一つでございますが、こちらの法人の例でございます。資産の部の合計額が3億円、負債が1億円、基本金0.2億円、国庫補助金等特別積立金1億円ですので、0.8億円が出るということです。こちらの0.8億円から事業用不動産等0.3億円、再生産に必要な財産0.2億円、必要な運転資金0.2億円を差し引きますと、約0.1億円が充実財産として出る一例でございます。

 数値はいろいろな仮定を置いておりますので、実際は異なると思いますが、一つの大まかな例としてお示しさせていただいております。

41ページ、「8.控除対象財産等に係る今後の検討課題」でございます。

42ページでございます。さらにさまざまな詳細に検討する必要な事項でございますが、総論関係でございます。

 充実計画を策定しなければならない算定額の最低規模ということです。計算の結果、充実財産が極めて少額にとどまる場合、実質的に計画作成をして事業実施が困難である場合も考えられるということでございまして、具体的にどの程度の財産が生じた場合に計画作成を義務づけるかでございます。

 その下が事業用不動産の関係でございます。「遊休不動産などの取扱い」でございます。遊休不動産につきましては、原則として控除対象財産にならないこととなりますが、新たな建設用地用の土地など活用方策が決まっている場合には例外的な取り扱いが必要ではないかということでございます。

 その下、「施設を所有していない法人の取扱い」です。連絡、助成事業を行っている法人や将来に建替、建物の自己所有を計画している場合など、第1段階、第2段階の控除の額が少ないということでございますので、一定の配慮が必要ではないかということでございます。

 下に矢印で書いておりますが、これらに加えまして、施行後、各法人におきまして充実残額の保有状況などの実態を踏まえながら、建替に必要な自己資金比率の水準などにつきまして検証を加え、必要な見直しを行うこととさせていただければということで考えております。

 長々と恐縮でございます。こちらが資料1でございます。

 続きまして、資料2の「社会福祉充実計画」の資料につきまして御説明させていただきます。

 資料2は「社会福祉充実計画」、これまで社会保障審議会福祉部会などにもお出ししている資料でございます。

 最初の説明書きで書いておりますが、「社会福祉法人が保有する財産のうち、事業継続に必要な『控除対象財産』を控除してもなお一定額が生じる場合に、『社会福祉財産』を明らかにした上で社会福祉事業等に計画的な再投資を促すとともに、公益性の高い法人としての説明責任の強化を図るため」のものということでございます。

 下の○でございますが、この充実計画は法人が自主的に判断し作成することとなりますが、その事業区域の需要と供給に照らして適切でない点がないか、括弧書きでございますが、著しく合理性を欠くものではないかといった観点から所轄庁が審査を行うということです。

 丸1、丸2で書いておりますが、行政の福祉サービスの計画がございます。

 短期(3年程度)であれば整合性の確認、長期の場合は人口の動態などを踏まえて著しく合理性を欠くものではないか確認するということでございます。

 その下が、計画上の位置づける優先順位です。先ほどの「控除対象財産」でもございましたとおりでございます。

 社会福祉充実計画の作成手続です。計画の作成を法人にしていただくわけですが、そのプロセスとして公認会計士、税理士等への意見聴取、また理事会・評議員会の承認が必要ということです。また、地域公益事業を行う場合には、事業区域の意見を聞くことが必要になるということでございます。

 その下、3.計画の記載内容です。下に表の形で示させていただいておりますが、法律事項として左側に丸1から丸6の記載が必要です。さらに省令で定める事項として右側に示させていただいております。

 3ページ、計画の実施期間等ですが、これまでにも審議会などでお示しさせていただいておりますが、この計画の実施期間は原則として5年の範囲で実施していただくということです。ただし、5年で計画を終了することが困難であることにつきまして、合理的な理由がある場合は、その理由を計画上に明記した上で、計画期間を10年まで延長可能にするということでございます。

 さらにその下に※書きで書いてございますが、例外的な取り扱いとしていまして、充実財産全額を計画期間内に活用することが困難という場合につきましては、例外的に全額ではなく一定割合を活用する事業計画を策定することができるという取り扱いにしてはどうかということでございます。

 その下ですが、計画の実施期間の範囲で、開始時期、終期、各年度の事業費は法人が任意で設定することができることでどうかということです。

 4ページ、5.計画の変更手続でございます。

 社会福祉法人が社会福祉充実計画を作成した後に変更を行う場合には、もう一度、所轄庁の承認手続が必要になります。また、軽微な変更を行う場合には所轄庁への届出で足りるということでございます。

 下の表は、軽微な変更の範囲について事務手続が円滑となるよう、事業内容に大きな変更を及ぼさないことを前提に、以下の整理としてはどうかということでございます。

 左側が変更承認事項ということでまとめております。右側の赤く囲っているところでございますが、変更届出事項としてはどうかというところでございます。事業内容に大きな変更がない場合や、事業の区域が同一市町村内で変更、同一年度内で実施の期間が変更、また残額、充実財産が一定の割合で増減した場合には、軽微なものとして届出事項としてはどうかということです。

 右側に注書きで書いてございますが、考え方です。一般的な補助金の取り扱いとしては20%の増減の範囲内であれば自由に事業間の流用が可能でございますので、こうしたルールも参考にしてはどうかということでございます。

 その他法人の基本事項を変更する場合、こちらも軽微でよいのではないかということでございます。

 5ページ目以降は、社会福祉充実計画のイメージで私どもが作成しているものでございます。こちらはあくまで一例でございますので、5年間で一定の事業を行っていくパターンの計画の例でございます。当然、こうした事業計画でなければいけないということではございませんので、それぞれの法人あるいは地域のニーズに応じて単年度で行うものもあるかと思いますし、2年、3年で行うこともあるということでございます。あくまで一例として示させていただいております。

 長々と恐縮でございます。私からの説明は以上でございます。

○田中室長 長くなりましたが、資料1と資料2の説明は以上でございます。

 それでは、3つぐらいに分けて議論いただきたいたいと思います。最初に資料1の19ページまで、次に20ページの4から最後まで、最後に資料2の「社会福祉充実計画」と、3つに区切らせていただいて、それぞれ御意見を頂戴したいと思います。

 まず、資料1の1~19ページまでです。最初の数ページは概要ですので、特段ないかもしれませんが、5ページのメルクマール、12ページからの財産目録の様式の見直し、16ページからの対応負債の計算方法、これらについて御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○千葉構成員 ちょっと区分けにうまく馴染むかどうかはあるのですが、全体の動きとして、今後、年度末にかけていろいろと細かい通知とかが出たり、法人の実際の作業とか、こういう計画をつくったりということがあるので、非常に待ったなしのタイトな現状ではないかと思うのです。実施に向けたスケジュールは、部会の資料でも見たことがあるのですが、ほぼ年内ぐらいから着手しないと遅いのかなというところでいうと、今回の結論が、もうここで終わりというか、ここである程度の本当に見込みをつけなければいけないのかという感じはしております。

 さはさりながら、幾つか感じたところや所感を申し上げておきたいところがあって、その前提ということなので、あくまで将来何かを変えるときの改善の一つの着眼点というぐらいの言い方も入ってきてしまうかもしれません。その部分もちょっと含まれることをまず前提で御了承ください。

 今、区切っていただいた19ページまでのところですと、一、二質問があるのですが、これはちょっと今さら聞くことでもないのかもしれないのですけれども、例えば6ページからスタートするメルクマールで判定する判別の欄のところで、横棒があったり◎があったり○があるものと、斜め線が書いてあるのですが、この2つ、-と斜め線の違いは何だろうというのが1点です。

 それから、財産目録の様式についてはこういうものなのかと。今までの固定資産に関する附属明細表などのデータもありますから、多分、法人がつくれないことはないのだろうと思うのですが、ただこれをつくるためには、今、一定程度、会計のソフトウエアが進んでいる中で、ソフトの置きかえ等も必要になってくるのだろうということで、これはソフトができるかどうかにかかってくるのかもしれません。

 ただし、使用目的等々を一個ずつに書いていくのは、これだけの範囲の幅で例示してあるので大したことはないかもしれませんが、大法人になるとこの事項だけでも数ページにわたる財産目録が出てくる中で、それを一個一個使用目的等を書いて、毎年、特に後ほど出てくる遊休土地みたいなものが用途が変わった場合などに、抜け、漏れなくちゃんと反映できるのかは、結構、注意深く法人の側でもやらないと、負担としては重たいのではないか。

 特に社会福祉充実残額を計算するのは、大法人のみならず中小法人、零細法人まで含めて全部がやらなければいけないわけですから、その辺の事務負担で、財産目録の様式が悪いと言っているわけではないのですが、相当程度簡略にというか負担を考慮したものが必要ではないかという気がしました。

17ページ、対応負債の計算方法で、当初、個別対応方式と簡便方式で提示されていたのですが、私は先ほどの説明を聞いた中で、結論としては勘定科目の設定が18ページにあるように細かくなっているので、簡便方式でいいという見方ですか。要は、こういう勘定科目が細かくなっているということで見てしまうと、もう個別対応も簡便も余りないのかなと思ってしまったりして、その差は何なのだろうというのがいま一つ御説明の中では理解ができなかったので、その辺の、特に最後のところは質問ですが、御説明いただければと思います。

○塩野課長補佐 まず、最初の質問にありました5~12ページまでの控除対象の判別のところでございます。-と斜線の違いですが、-は原則として控除対象にならないということでございます。斜線は、会計基準の科目として出ておりますが、事業区分間、社福事業、公益事業、収益事業でそれぞれの区分間で貸し付けをしたものの科目になりますので、拠点区分間も出てきますが、法人全体の財務諸表としては出てこないということでございますので、これはあり得ないということで斜線を引いております。

 また、9ページの徴収不能引当金など引当金と11ページの退職給付引当金につきましては、これは負債としてもう既に控除されていますので、これはこの段階で控除対象にはならないという整理でございます。

○谷川専門官 対応負債の件に関して、公益法人の個別対応方式と簡便方式の比較で御質問がありましたが、どちらかというと公益法人の個別対応方式に近い形ですが、共通負債についての按分計算をやることなく、社会福祉法人の場合は勘定科目がこのように細分化されており、個別に把握できることを踏まえての、簡便性を重視した方法と考えております。

○千葉構成員 結論はどちらなのですか。個別なのか簡便なのかと分けると。どちらでもないということですか。

○谷川専門官 どちらでもないです。新しい方法をつくるということでございます。

○田中室長 よろしいでしょうか。柴構成員、お願いします。

○柴構成員 今回の見直しにつきましては、全体的に簡便性を取り入れることで、ある程度の理屈の上で簡便的なものを入れることについては同意の方向でございます。

 1点、これは質問なのですけれども、2ページの左下に「丸1既存事業の充実又は新規事業の開設のいずれにも充てることが可能」と記載されているのですけれども、充実残額の計算自体は、多分、法人全体で算定して出てきた財源がどこの施設から出ているかについては特に特定していないのだと思うのです。

 例えば、介護と障害と保育をやっている。実態としては介護から出ているけれども、法人としては障害を充実させたい話も起こり得ると思うのですが、それを容認しているとまで読めるのか、それとも計画上はそう書いても実際には資金の移動は制限されてできない場合も想定されるときに、それをこの社会福祉充実計画の中でオーバーライドできるのかできないのかまで言っているのかについて、1つだけ確認させてください。

○田中室長 結論から申し上げると、残額がどこで出たからそこに使わなければいけないということではなくて、全体として枠として残額を出しますので、それは例えば介護から出たものが障害に充てられるとか別に充てられるのは、私どもの仕組み上は全く問題なく使えることになっています。

 ただ、実際問題、各個別制度の中で、例えば措置費であればそこに一定程度使わなければいけないという制限はございますから、そういう各法での制限は当然かかるわけですが、そこで制限がない限りは、特にその使途について制限があるものではございません。

○千葉構成員 関連してなのですが、そういう意味では、今これをあくまで法人としての計算はするけれども、例えば個別の保育運営費とか措置費についての使途制限と言われているものについては、今後、適宜見直しが必要なら見ていくことも入れながらということですか。

 例えば、保育なら保育、児童福祉施設の範囲にしか使えないとかいろいろな使途がかかっているところもあると思うので、多分、法人としては計算するとかなりの額が出てくるのだけれども、実際、ほかの地域の公益活動をしたいけれども、実は保育の元手のお金なので使えないということが起きてくると、結局、法人さんが股裂きになってしまうこともこの制度のためにあるので、かなり私もいろいろな法人の方から心配している声を聞いたので、その辺はどんな状態なのかをお伺いできますでしょうか。

○田中室長 今ほどの繰り返しになりましょうが、この仕組みの中では制限がなくて、各法の中では、おっしゃられたような措置費のように使途制限があるものがございます。

 この仕組みと関連して、措置費について使い勝手が悪いという指摘があります。例えば、会計監査人の制度が入るに当たって、なかなか措置費という枠内でそれを手当てするのが難しいという声もございまして、措置費のあり方について、関係団体と、今議論をしているところです。幾つか課題があって、確かに使い勝手が悪いこともあるわけですが、一方で税金の使い道として措置という形で実施しているわけですから、目的どおりに使われる、要は保育でいえば保育に使われる必要があるということで資金が出ているわけです。

 一方で、介護、障害については、その枠を取っ払って、報酬という形でどこに使ってもいい形になっているわけで、そういった基本的に体系の違いがございますので、そこをどうしていくかは一つ大きな議論をしなければならないところです。いずれにせよ、関係団体との意見交換はしておりますので、そこを踏まえて、またこの制度を実際に動かしてみて、どの程度そういった支障が生ずるのかもよく検証して、またさらに議論していきたいと考えております。

19ページまではよろしいでしょうか。

 引き続きまして、20ページ「建設時の自己資金比率について」で、ここは少し福祉部会に御提出したものと変更しておりますが、これについての御意見を頂戴したいということです。

22ページは建設費・建物仕様の向上です。これはいろいろな要素を反映したいのですけれども、なかなかうまく数字も出てこないこともあって、とりあえず建設工事費デフレーターを基本として、1平方メートル当たりの単価との比較で高い割合を比較してはどうかをいうことでございますが、これについていかがかということ。

30ページ、必要な運転資金については、少しまた見直しを行いましたので、これについてです。

33ページから、これは算定例でございます。要すれば、それなりの規模が大きい法人でも残額が出たり出なかったりすることがあったり、小さい法人でも残額が出ることはあり得るということで、これはそういった例を示させていただいたということです。

41ページからは今後の検討課題です。いろいろと多分この仕組みは、また細かい点で取り扱いについて技術的なことで疑問が出てくると思いますけれども、現時点で、私どもで聞き及んでいる範囲では、こうした42ページのような御質問、御懸念があるということなので、これを列挙させていただいたということでございまして、どうしていくかというのは、さらに私どもでも考えていくつもりでございます。もし、こうした論点についてこういう方向性がいいのではないか、あるいはこれ以外にもこういう点について議論する必要があるのではないかということがあれば、御指摘いただきたいと考えております。

 それでは、まとめてで恐縮ですが、ここまで御質問、御意見がございましたらお願いします。松原構成員。

○松原構成員 全体の話として最初に御提示いただいている「控除対象財産」とか「社会福祉充実残額」の計算式は、そもそも社会福祉法人のような事業性のある事業でこうした取り組みを初めて行うことですので、42ページに検討事項がありますように、まだ検討事項はあるとはいえ、この時点でまだパーフェクトを求めるのは困難であると思いますので、今回はこれでいいと思います。

 ただ、今後の課題として二、三指摘させていただきますと、1つ目は施設建替時の自己資金比率を今調査中で、調査結果を適用すると伺っておりますけれども、今のところWAMの融資先の平均値として15%と設定していらっしゃいます。恐らく調査結果もこれとそう大きく変わることはないだろうと想定されるのですけれども、この自己資金比率15%、現状の数値を使うということなのですが、従来、補助金比率が高かった時代の自己資金比率1割近くと、実は現在の1割近くは全く意味が異なると思います。

 補助金比率が昔は75%もあった。この時代にはこれと合わせた自己資金比率は90%となって、借入比率はわずか10%程度。しかし、先ほど表を見せていただいたとおり、補助金比率は減少の一途をたどっておりまして、現在は2025%程度にまで落ち込んでいます。この間、狭義の自己資金比率は大体1割前後、15%ぐらいでほぼ一定なのですけれども、補助金減少分がそっくり借入金に転換していますので、借入比率は現状60%を超える状況になっています。これは相当の借り入れ過多の状況と認識する必要があります。

 今後、予想される規制緩和とか営利組織との競合、そうした経営環境の変化の中で社会福祉法人の経営基盤の強化、経営の自主性の確保は非常に大切なことだと思います。いつまでも、おんぶにだっこでいいのかということです。また、現在はマイナス金利の時代ですので余り注目されておりませんけれども、コスト面からも金利負担のことも考えておかなければならないです。

 さらに重要なことは、自己資金比率を15%とすることは減価償却費を法人外に流出させることになりますけれども、そもそも減価償却費は会計学上から言っても費用として計上して法人内に留保されることが認められている金額ですから、これを法人外に強制的に流出させることには違和感を覚えます。また、せっかく法人内に留保した減価償却費を吐き出させることは、次回建替時にはその分が不足することを意味しますけれども、その不足分は民間金融機関からの借り入れもありますけれども、大宗は補助金とWAMの融資で賄われるわけですから、結局、財政資金で埋めることになって、ここは釈然としません。

 もう一つ、社会福祉充実残高の取り扱い方法についてです。今回の内部留保の管理のあり方に関する改革のポイントといいますか、狙いは、内部留保を必要な部分と必要を超える部分とに峻別して、必要を超える部分、すなわち社会福祉充実残高とされる部分についての活用先、活用期限及びそれらの決め方を明確にすることであると思います。余り抜け道が幾らでもある印象を与えないように。そうすると、また社会の批判が考えられますので、何らかの規律の設定は要すると思われます。現在5年以内とありますので、また合理的な理由があれば10年ということで、そこに規律があると思いますけれども、そうした用途、期間、規律は何らか必要だと決めて、ここを逃げないでいる必要があるだろう。最後1点です。

 以上です。

○田中室長 自己資金比率については、21ページにございますとおり、また御議論をいただければと考えています。前回90%点を上限35%としておりましたが、ご指摘のように法人の経営努力をより適切に反映する観点から各施設の建設時の自己資金比率をそのまま適用することも考えております。そうしたことで実施してみて、また必要があれば修正していきたいと考えております。

○柴構成員 42ページの今後の検討課題についての意見です。

 1つ目の○の最低規模について、これは行政の決めごとなのだろうと思っています。

 それから遊休不動産の取り扱いです。現状、遊休であることで、今後何かするのだということで控除を認めていいかという話なのですけれども、これはそうではなくて、計画に織り込むべきなのだろう。施設を有していない法人についても、まだ何も持っていないわけですので、これも今後の計画の話になるということで、こうした2つを控除対象資産に入れると、多分制度が不安定になってくるのを一番危惧しますので、これは計画で織り込んでいただければいいのではないかと考えております。

○塩野課長補佐 御意見ありがとうございます。

 「控除対象財産」に入れるか計画に入れるかは非常に難しいところでございますので、御意見を踏まえて検討いたします。

 計画側に行くと、イメージとして余裕なものとみなされる可能性もございますので、事業を継続していくことがどこまでの範囲かどうかは、またさらに御意見も踏まえまして検討させていただきたいと思います。

○千葉構成員 私も先ほど松原さんのおっしゃったことと非常に同感でありまして、基本的に投下資産を自分で事業として回収して、また次の再投資で使うという、どちらかというと事業性のある公益法人に分類される社会福祉法人ですから、もともとそれが前提となって、会計基準としても、平成12年以降、損益計算を入れて投下資金を回収してくるメカニズムができていたことがまず前提にあると思います。

 例えば、先ほどの21ページに、これまでも何度か議論がありました自己資金割合ですけれども、これとて本当は2つに分けて考えるべきであって、1つは減価償却に落として自動的に回収できている部分。これは別にことさら何か内部留保を調整していじる必要は本来なかったはずだと思うのですけれども、自然体で減価償却で回収できた額を把握して、それを反映させればよかったはずなので、今回の計算方式だとそれが全部まぜこぜになることから、こういうみなしをしなければいけないことが生じていたのではないかということで言うと、減価償却の自己金融機能を、先ほど松原さんもおっしゃいましたけれども、充実残額で強制的に使わせるのは違和感があるのは私も同感でございました。

 それはともかくとして、いずれにしても前提として、先ほど申し上げたとおり、もう時間もない中で、しかも新たな公益法人としての前例のない中での取り組みで、今後、必要な修正、見直しをぜひ期待したいところがございました。

 あとは細かい点です。例えば自己資金割合なども、結局これはとりあえず今後、調査研究で出てくることなので、それはいいのですけれども、差し当たり今のところWAMのデータを使っていることもあって、それは非常にWAMの人間としてはありがたいと思うのですが、逆に言うとWAMのデータは、借り入れを前提というか、借り入れをしている事業体の決算であって、例えば完済後の状態はデータとしては余りつかみにくいところもあるし、そもそも借りていない、自己資金だけで頑張ってしまっているところの実態は我々はつかみ切れていないところもございますので、そういうデータの特性からしても、今後の調査研究の事業を活用されることが一つ重要なのかと思います。

 また、将来的に単時点で調査研究をするだけではなくて、例えば、今回、財務情報等を全国の全法人に対して回収できるわけですから、そういうデータを使いながらいろいろな状況、パラメータ等を検討していくことも必要なのだろうという気がしておりました。そういう意味では、WAMデータは一定のバイアスがあることは前提にしておくべきかと思います。

 それから意見です。23ページで、建築費の動向、建築物価の話が出ているのですけれども、これまでもこういう算式がこの場に出たり、さらには部会に示されたりしたこともあってなのか、ではこういうのをやってみようかとやっていらっしゃる法人さんも結構見受けられます。それらで結構苦慮されているのが、過去に自分たちが、本当はこういうことがあっていいのかどうか疑問なのですけれども、幾らで整備したのかが今となってはわからないというところが結構あったりして、その辺は全ての法人に網をかけることから考えていったときには、きめ細やかにできる個別の事情としての案2もありますが、案1で押さえておくことも必要だという意味では、デフレーターを基本にしつつ個別のデータをというこの取り扱いが私は適切なのではないかと思いました。

 それから、31ページの矢印の下、運転資金についてです。

 措置費などについての交付の運用がまちまちなので、ここでは事業未収金ということでおっしゃっています。これは二通りの考え方があると思うのですが、決算時点での事業未収金があるのかと、期中の試算表上に出てくる事業未収金が想定されているのかで随分様相が変わってきます。決算の段階だと、決算期を超えて旧年度中のものを年度明けに交付されるものに対してどうするのかという話が出ますけれども、よくあるのが、法律上は自治体が負担しなければいけない額について、ほとんど年度末に一括執行される場合がある。そうすると、期中はずっと法人が立てかえして、最後にがらっとひっくり返されるみたいなことがあると、結局、期中のトライアルバランス上の未収金のマックスの額としておかないと、実は資金的には回らないのではないかという気もして、その辺をどう今回加味するのか。逆に言うと「事業未収金」とぽろっと書いてあるのは、単に決算事業未収金なのか、試算表上で言う未収金まで視野に入れているのかは視野に入れておいたほうがいいのかなと思いました。

 最後、算定例の話についていろいろ例をお出しになって計算されていらっしゃいました。これはこれで、なるほどという形でございました。こういう計算にされるのだというのが非常によくわかりました。

 私も別途、非常に簡単な設例で計算した結果も御紹介したいと思います。今御紹介いただいているのは、ある一時点の貸借対照表について計算するとこんなことが出てくるということなのですが、実は同じ法人でも、ライフステージごとというか、例えば建てて間もなくの借金の返済に相当追われている時期とか、もう借金がほぼめどが立ってそろそろ完済する時期とか、借金を返し終わっていよいよ次に向かって取り組まなければいけない時期、その間には多分大規模修繕などが入ってきたりというものが今回の計算の中にも入ってきているわけですが、こういうステージごとに充実残額の出方が相当大きく変動することを私は発見しました。そういう意味では、今後、実施しながら見直していく余地もおっしゃっていましたので、ぜひそういうライフステージごとの財務内容の構造というか、そういうものもよく注視していただきながらやっていただくのがいいのかな。

 具体的に言えば、例えば36ページの算定例丸1‐2と書いてあるところですが、一番左側の【事業用不動産等】は、シミュレーションで計算してみるとマイナスに出るケースがかなり出てくるわけです。事業に活用している不動産は、これがマイナスというのは説明しづらい要素もあったり、会計学的には説明可能なのですけれども、ただそれをこういう形で表示して、しかも説明責任は場合によっては法人が果たさなければならないとなると、この仕組みそのものが難しい。逆に、ライフサイクル上発生している利益額はほとんど変わらない2つのケースの間でも、当初の自己資金割合ごとに計算すると、はじき出される充実残額の額が変わる。もともと利益の中身を確認しようといたのに、なぜそこに充実残額の差が出てくるのかが、ある意味、法人間の不公平を招いている部分があるのではないかというのに危惧を感じたりもしました。

 そういうこと等々を含めて、今回の仕組みそのものは一つの考え方としてで、決してこれが間違いだと言うつもりもありませんから、今後の施行とか実際のデータを当てはめてみて、どんな状況になるのか、運用をよく見ながらよりよい制度にしていくことを続けていただけたらと期待しております。

 以上です。

○塩野課長補佐 幾つか御指摘などをいただきました。まず1点目の建替に必要な自己資金比率のところでございますけれども、15%、福祉医療機構データ仮置きとなっておりますが、おっしゃるとおり、あくまでも福祉医療機構の融資を受けた法人がデータの対象になっております。別途、調査を現在行っておりますが、施行後は財務諸表等の情報を集約するシステムを構築することとしております。社会福祉法人の現況報告書の中に書いていただくことで、そこに施設の建替、建設の状況を記述いただいて、私どもも全国の社会福祉法人の状況を把握して、また次の見直しにつなげていくことをしようとしております。その中には、福祉医療機構融資対象の建物も入りますし、それ以外の施設も入ることになるということでございます。

 あとは運転資金のところです。おっしゃるとおりでございまして、年度の前半に事業を行い、年度の後半に補助金などが入金されることもございますが、今回の3カ月分といいますのは、基本的な社会福祉法人の事業形態としまして、介護報酬ですとか措置費が毎月入金される、資金が回転していく前提でつくっております。社会福祉法人全体から見ますと、少数のところではあると思いますが、補助金などの入金が年度後半になって社会福祉法人が立てかえているところも一部ございますので、そうした法人の運転資金については、別途手当てを検討したいと思っております。

 最後のところは、先ほどのとおりでございます。

 以上です。

○田中室長 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、資料2の「社会福祉充実計画」について御意見を頂戴できればと思います。

 特に、3~4ページが今回新しく提示というか、3ページについては原則5年、合理的な理由がある場合は10年なのですが、この計画は、来年度から始めるものでございますので、例えば、社会福祉充実残額が相当額生じて、なかなか一遍に、5年、10年という計画をつくり切れない場合もあるのではないかという御意見もございました。そうした場合には、新しい建物でなかなか10年の計画期間では有効に活用できないとか、そういう事例もございましょうから、そうしたときにはそこを配慮することをつけ加えさせていただいたものでございます。

 4ページは承認事項で、もう少し詳細に整理して、これは私どもで通知を出すときに、所轄庁にお示しするということでございますが、この辺について御意見はいかがでしょうか。

○千葉構成員 基本的には想定していたこういう問題がありそうだというのは、今回の特に計画変更のところなんかは対応が書かれていて、これはいいと思いました。

 これは老婆心ながらの話なのかもしれないのですが、1ページの「社会福祉充実計画について」と書いてある上のところに枠取りがあります。2つ目の○のところに、自主的に判断して作成するけれども、事業からとんちんかんに離れたことをしていないかという点で所轄庁がチェックしますと書かれているかと思います。そのときに、丸1のとき、「短期の計画の場合であれば自治体計画との整合性の確認」とか「長期の計画については」云々と書いてあるのですが、特にあるのは、充実事業として実施する際に、例えば施設整備、新たにもう一個新しい施設をつくりますみたいなのが多分ここに入ってくるのだろうと思うのですが、その際に例えばあり得るのが、介護保険の事業支援計画とか、そういう地域の参酌標準の枠とここの間という関係になってくると思います。

 特に最近ですと、そういう事業を実施する際は、多くの場合、地方公共団体がいわゆる公募という形をとって競争させる中で、本当にこの法人がとれるかどうかもわからないけれども計画には書く形になる。

 一方、計画に書いて、自治体で、まだ枠とかは勝手におまえらの判断で使うなみたいな、ローカルルールというか、変な指導につながりはしないかがちょっと気になっておりまして、あくまで法人の実情としては、そういうものを視野に入れて財産的な準備をしておかないと、いつ公募が来ても対応できるようにはできないでしょうという意味で書くスタンスになると思うのですけれども、そこを曲解して地方公共団体が捉えて、この社会福祉充実計画で新規施設を誰の許可も得ずに盛り込むのはけしからんなんていう変な言い方にならないように、その辺は重々運用に気をつけていただくよう御指導いただけるといいかと、その点だけ1点気になりましたので指摘させていただければと思います。

○塩野課長補佐 ありがとうございます。

 自治体の介護保険の計画などとの整合性でございますが、計画承認の際には著しく整合性を欠くものではないかを確認するということでございまして、社会福祉法人として将来実施しようとしているものを明らかにしてもらうということです。

 行政側からしますと、例えば特別養護老人ホームを全く将来整備する予定がないところに法人側がつくることになりますと、難しいことにはなると思いますし、仮に計画を予定している地域にある法人が施設をつくることになった場合、計画を承認した場合、行政側が例えば施設の認可とか指定を確約することにならないように、それはあくまで計画上の中で承認するのだということは気をつけてやってまいりたいと思います。行政側、所轄庁、地方公共団体に対しましても、あくまでこれは計画でありまして、ある特定の法人に将来の施設の許可とか指定を保証するまでのものではないということで周知していきたいと思っております。

○田中室長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、資料1「控除対象財産」、資料2「社会福祉充実計画」については大体御議論がいただけたということでございまして、第3回から非公開という形で実施させていただきましたが、「控除対象財産」あるいは「社会福祉充実計画」について御議論いただきまして、先ほど申し上げたとおり、今後、事務連絡等にしていくことを考えています。

 いろいろ本日も御意見をいただきまして、繰り返しになりますけれども、この仕組みは来年度から初めて導入する仕組みでございまして、まず法律の目的としては、透明性の確保ということで、内部留保が社会福祉法人に過剰に蓄積しているのではないかということからこの議論が始まって、今回、法律の枠組みが決まった中で、それを実際にどう運用していくかということで御議論いただいたわけです。

 本日に至るまで3回御議論いただいて、私どもとして申し上げてきたのは、まず当然透明性を確保するという趣旨から、客観性が保たれていなければいけない、そういう基準をつくらなければいけないということで議論をお願いして、一方で実態に応じた基準にもしなければいけないということで、振り返りますと、最初の第3回で施設類型ごとの区分で、先ほどの自己資金割合のものも15%と今申し上げていますが、13%とか22%とか施設ごとでその割合も違ってきております。ですから、そういった実情をきちっと踏まえるとなると、そういったことも個別に判断をしていかなければならない。

 実態としては、2万法人のそれぞれの施設ごとに蓄積している財産は間違いなく異なってくるとは思うわけですが、一方で対外的にわかりやすい仕組みにしなければならないということと、2万法人の皆さん全てに計算をしていただかなければならないということがございますので、最初に柴委員がおっしゃった簡便性という点についても重視しながら御議論いただきました。

 ですから、実際にこれが実情に合っているかというと、制度を施行するための仕組みでございますので、必ずしもこれで十分ということは決してないと思っておりますし、

 時間もない中で、現在並行して実施している調査事業の結果など、データをそろえて十分な御議論がもしかしたらいただけなかった面もあろうかと思います。

 いずれにせよ来年4月から施行するということでございます。当然実施してみていろいろな課題は出てこようかと思いますので、その時々でそれを検証してよりよい仕組みにしていくということで、またその際には皆様方の御協力もいただくことがあろうかと思いますが、本日の時点ではこうした形で進めさせていただければと考えております。

 最後に、もう一つ議題がございまして、資料3でございます。

 社会福祉法人における「契約ルール」及び「調査研究」で、内容についてはまた担当から説明させます。

 趣旨としましては、今回、ガバナンスの強化、会計監査人制度を含めてしてまいりましたが、これは、社会福祉法人に対して厳しく指導、監査するということではなく、そういった仕組みを導入することによって、社会福祉法人が自律性、自主性を持って経営管理をしていただきたいという趣旨でございます。

 そういった意味で、今回、会計監査人制度を始めとしたいろいろな仕組みが導入される中で、その自律性、自主性がそういった仕組みによって担保されることを前提に、一方でこれまで事後的に非常に厳しい契約ルールや規制がございましたので、今回そういう仕組みを導入したことによって、さらに社会福祉法人の経営に柔軟性を持たせるというか、前向きに取り組んでいただける体制を構築するということで、幾つか見直しを考えております。それについても、本日御議論いただきたいということでございます。

 それでは、資料について担当から説明させます。

○塩野課長補佐 資料3について御説明いたします。

 まず1ページ目、「1.社会福祉法人における契約ルールについて」でございます。

 今回の社会福祉法人制度改革によりまして、ガバナンスの強化など、適正な支出管理が自律的に確保される法人体制となることを前提としまして、手続面の整備(事前チェック)、事後チェックにより適正な契約を担保することとし、随意契約が可能な金額について緩和してはどうかということでございます。現在の社会福祉法人の契約につきましては、通知によりまして規制をしているわけでございます。

 2ページ目をご覧下さい。随意契約ですが、国、地方公共団体、独立行政法人で、社会福祉法人は国、地方公共団体と準じた形で、通知によりまして契約事務、契約の範囲の規制があったということでございます。

 1ページ目に戻っていただきまして、右側に表がございます。

 随意契約のこれまでの範囲を会計監査人未設置法人と会計監査人設置法人と分けまして、こうした額、会計監査人未設置法人では1,000万円以下につきまして3社以上の相見積などをとった上で随意契約を可能ということで、規制の見直しをしてはどうかということでございます。下は、会計監査人設置法人の場合は、さらに随意契約の要件を上げるということでございます。

 3ページ、現在の通知によります契約ルールの説明でございます。

 4ページは、入札随意契約について説明した参考資料でございます。

 

 資料5ページ、「2.社会福祉法人における調査研究について」でございます。

 「現状・考え方」でございますが、現在も社会福祉法人は公益事業として社会福祉に関する調査研究を行うことができることになっております。また、社会福祉法人の財産につきましては、基本財産以外について資産運用の一つとして株式の保有が認められております。

 2つ目の下のところですが、安全・確実な運用を原則としておりますが、事業の安定性を阻害しない範囲で、社会福祉法人の役割として社会福祉に関する調査研究のために不可欠であれば、株式などの保有の制限を見直してはどうかということでございます。

 その下の「今後の方向性」で要件を示させていただいております。以下の要件を満たす場合に、当該会社の株式の保有割合の2分の1を超えない範囲で、未公開株を保有することとしてはどうかということです。

 1つ目として社会福祉に関する調査研究を行う企業の未公開株、2つ目としまして法人において企業と連携などをしまして実証実験の場を提供するなど調査研究に参画していること、3つ目として事業経営に与える影響が少ないことについて会計士また税理士による確認を受けていることを要件としてはどうかということです。

 その下に、8月8日の経済財政諮問会議での厚生労働大臣の発言を参考として書かせていただいております。

 次の6ページが現状でございます。社会福祉法人審査基準におきまして基本財産以外の財産の運用の規制を書かせていただいております。

 資料3の説明は以上でございます。

○田中室長 それでは、これについて御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○千葉構成員 この中には2点の話があって、一つは随意契約と競争入札等々の区分のところというか、そこの範囲を大幅に緩和して、要は自由にというか、機動性のある契約行為につないでいこうと。ただ、当然それを前提としては、今回、社会福祉法人制度でいろいろガバナンスの強化の仕組みが入ったからだということで、そう認識しています。

 ガバナンスという形で締めつけるばかりでなく、その成果という形で出てくるものをこういう形で反映するのは一つの考え方かということで、特段大きな違和感はなかったところであります。

 2点目の調査研究のことなのです。多分これは想定するに、5ページの下の大臣の発言も勘案すると、結局、昨今ICTとかロボットの開発を、もちろんそれはベンチャーとかそういうところがやっているわけですが、実際に福祉の現場で実証実験等々をやっている、結構動きがあることは承知しています。

 そういう中で言えば、当然、実証実験の場を提供する、協力する立場のみならず、みずから社会福祉法人も現場で見出された解決したいソリューションをそういうベンチャー企業と一緒になって開発していくところで言えば、そんな動きも今後多分踏まえての御発言だったのだろうと拝察します。

 そうなってくると、ベンチャー企業は一般的に未公開という中で、なかなかそういう資本の調達とかも難しい中で、一定の先取った先行投資をしなければいけないという、資金的に厳しい中での事業を強いられるわけでありますから、そういう意味で社会福祉法人と一緒になって二人三脚で、それこそ社会福祉法人とベンチャーをやる道筋を開くものなのだろうと感じました。

 今までは、そういうことをやろうとすると、どうしても未公開株は市場の相場のない有価証券という形で、当然そういう投資ができなかったわけでありますが、こういう「今後の方向性」にある一定の条件が満たされた場合、この要件で十分なのかは、特に税理士、会計士とここに書いてあるので、先生方の御所見はいただきたいところではありますが、事情として、総論としては今後の時宜にかなったものですし、社会福祉法人は一般にイノベーションがないとよく言われて、揶揄されるところがあり、非常に私は残念に思ってきたところで言えば、こういうことが一つのきっかけになって、今後より効率的なというか、社会的な生産性の上がるものに社会福祉法人が寄与していくことはとてもすばらしいことではないかと感じました。

 以上です。

○田中室長 ほかはいかがでしょうか。柴構成員、お願いします。

○柴構成員 私も千葉構成員と全く同感でして、1番につきましてはガバナンスの強化の成果として、こういったところまで認めてもよろしいのではないかと思っています。

 2番目の調査研究ですけれども、人材不足の中で、どうしてもロボットとかAIとかというところに頼らざるを得ない。外国人労働者の話もありますけれども、そういった中でそういった道を開くことについては、私は当然あってしかるべきなのだろうと思っております。

 ただ、丸3の「影響が少ないことについて公認会計士又は税理士による確認を受けていること」と書かれても、何の判断基準もない中で、これをどうするのですかと我々に聞かれても困る話なので、この辺は今後こういう制度が必要になってくることは理解しておりますので、税理士会と厚生労働省と、どういったことであれば認められるかどうかについては今度詰めていく必要があるのかなと理解しております。

 以上でございます。

○田中室長 ありがとうございました。瀬上構成員、お願いします。

○瀬上構成員 今の公認会計士、税理士の確認、ここはちょっと気になるところでございますけれども、これも厚生労働省や会計士会と協議しながら詰めていきたいと思います。

○田中室長 もちろん詳細については皆様方と今後検討していきたいと思います。

 ほかはいかがでしょうか。

 よろしいですか。この議題に限らず全体として何かございましたら。

 よろしいでしょうか。どうぞ。

○千葉構成員 本当に全体として、特に社会福祉充実計画、社会福祉充実残額と、この辺の話が一番濃かった話なのですが、これまでも何度か発言はしてきたところなのですが、先ほど充実残額の計算ルールは、今後も引き続き運用してみたところでいろいろ検討が必要な部分は対応していかれるというお話もありました。

 一方で、今回パブリックコメントを拝見していますと、会計基準省令についても、一部、勘定科目の細分化みたいなところでの改正案が盛り込まれていて、会計基準などについても手当てがされている。これは別に控除対象財産等と関係ないのですけれども、この際なので、今後いつのタイミングになるかは別としても、会計として幾つか押さえておかなければいけない点、例えば、本部会計の経費の取り扱いがいまだに利益処分状態になっている。余剰が残ったときのみ本部会計に行くとか、ああいうルールは、ガバナンスを強化しなければいけないような今後の法人の仕組みを考えるときの会計ルールとしては、ちょっとおかしいのではないか。企業であれば共通経費として配賦するべきものを利益処分型に残すのは、それぞれ措置費とかいろいろな事情があるのでしょうけれども、積極的にできれば見直していただければ。

 それに限らず、この場でも私も何度か申し上げましたけれども、例えば充実残額が残ったとき、それを実際に計画どおりに使った際の充実事業の支出顛末、これを例えばP/Lの期間損益の中に入れるのか、利益処分といってはおかしいですけれども、そういうものとして別途経理するのか、その辺は管理会計上も経営者として何をメルクマールに経営していくのか、意思判断にも影響する要素なので、今回こういうのが入ってくることで言うと、すぐに解決はできないかもしれませんが、こういうことを含めて会計処理のルールも必要に応じて見直していくことが必要なのではないかと感じました。

 以上です。

○松原構成員 先ほども申し上げたことなのですけれども、もしかしたら誤解されたかと思います。念のため、もう一度確認、念押しで言わせていただきます。

 控除対象財産の件について、先ほど自己資金比率の話をさせていただきました。例えば、当初の自己資金調達の内訳が、自己資金比率が15%以上の人は、もっと上限、当時の比率を用いればいいということを言っている、それもいいのですけれども、そのことだけではなくて、15%未満だった人が15%で頭打ちになることによって、今後予想される規制緩和とかの中で、社福の経営基盤の強化、経営の自主性確保、自立性確保の面で、ここはもっと上げていかないといけない。また、15%だと減価償却費を法人外に流出してしまうことになるので、この面からも今後これからまだ施行してみて様子を見ていく。適宜、検証を加えて必要な見直しを行うとありますので、その際にぜひこの点も御検討いただければという趣旨でございます。

 以上です。

○田中室長 ほかはよろしいでしょうか。

 この検討会は4月に設置をしまして、検討課題ということで振り返りますと、会計監査に関することと、もう一つ控除対象財産で、これについては3回目以降で御議論いただきまして、おおむね方向性は出たと思いますので、私どもも4月の実施に向けて準備を進めてまいりたいと思います。

 あえて1つつけ加えると、開催要綱に会計監査人非設置法人に対する専門家の活用方法というのがあって、ここはまだ議論が十分出尽くしていないところがあるので、これはまた「会計監査人円滑実施協議会」などの場を活用して、また柴構成員、瀬上構成員には御協力いただきながら、引き続き議論したいと考えております。

 いずれにせよ、基本的にはこの検討会で種々御議論いただきまして、方向性は示していただいたと考えておりますので、私どもとしては4月に向けて、なるべく速やかに円滑に事務を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、本日は他の公務で出席が遅くなりましたけれども、福祉基盤課長の石垣から一言御挨拶を申し上げます。

○石垣課長 福祉基盤課長の石垣でございます。

 本日は、皆様大変お忙しいところをお集まりいただきまして、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。

 前の会議が長引きました関係で、途中からの出席となり恐縮なのですけれども、本日の会議の中では「控除対象財産」や「社会福祉充実計画」、それから今回の法改正を踏まえた契約ルールの見直しや調査研究の関係など、実務の関係では非常に重要になってくるところにつきまして、専門家の先生方からそれぞれ御意見をいただいたと思っております。

 今、最後でもお話しいただきましたが、私どもも初めて施行する制度でもありますので、実際に実施してみまして、状況をよく見ながら、あるいは専門家の先生方の理論的な御意見も伺いながら、見直していくべきところは見直していく必要があると考えております。これからもいろいろ御意見をいただきまして、実務を踏まえた仕組みにしていけるようよろしくお願いしたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

○田中室長 それでは以上でございます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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