ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 水質基準逐次改正検討会> 平成28年度第2回水質基準逐次改正検討会(2016年12月20日)




2016年12月20日 平成28年度第2回水質基準逐次改正検討会

○日時

平成28年12月20日(火) 14:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2、中央合同庁舎5号館12階)


○出席者

松井座長、浅見委員、泉山委員、伊藤委員、亀屋委員、小林委員、西村委員、広瀬委員

○議題

(1) 水質基準等の改正方針について
(2) 最新の水質基準項目等の検出状況について
(3) その他

○議事

 

○鈴木室長補佐

 ただいまより平成 28 年度第 2 回水質基準逐次改正検討会を開催します。委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきありがとうございます。本検討会の開催に当たり、事務局を代表しまして、厚生労働省水道課水道水質管理官の東より御挨拶申し上げます。

 

○東水道水質管理官

 水道水質管理官の東です。本日は年末のお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、日頃より水道行政の推進に御協力いただき、感謝申し上げます。

 御案内のとおり、水道水質基準及び管理目標の設定項目等の考え方については、本検討会において実質上の議論を頂き、その結果を基に、厚生科学審議会の部会に報告することとなっています。本日は農薬類の目標案を提示させていただきますので、先生方におかれましては、忌憚のない御意見を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

○鈴木室長補佐

 本日の出席状況ですが、委員 8 名全員の方に御出席いただいています。マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただきますので、御協力をお願いします。それでは、以降の議事進行については、松井座長にお願いしたいと思います。

 

○松井座長

 松井です。よろしくお願いします。それでは、議題に入る前に本日の配布資料について、まず確認したいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中係長

 それでは、配布資料の確認をします。まず 1 枚目が議事次第となっています。こちらは両面の 1 枚となっています。続いて 2 枚目が、こちらは平成 28 年度第 2 回水質基準逐次改正検討会の座席表となっています。こちらは片面で 1 枚となっています。続いて資料 1 、題名は「水道水中における農薬類の目標値等見直しについて ( ) 」ということで、こちらが計 5 ページでホチキス留めの資料となっています。続いて資料 2 、「今後の水質基準等の見直しについて ( ) 」ということで、こちらは 2 ページのものに、資料 2 参考というものが 1 9 ページまで、横向きの表が付いたもの、こちらがホチキス留めで一部となっています。続いて資料 3 、「最近の水質基準項目等の検出状況について」、こちらが本文は合計 11 ページとなっていまして、その後ろに資料 3 参考として、 1 17 ページまでの横向きの表が付いたもの、こちらがホチキス留めで 1 部となっています。そして最後が参考資料 1 、こちらが検討会委員の名簿となっています。資料については以上となります。過不足等がありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。

 

○松井座長

 ありがとうございました。それでは、議題に入りたいと思います。まず議題 (1) の「水質基準等の改正方針について」です。事務局から資料 1 について御説明をお願いします。

 

○田中係長

 それでは資料 1 を用いて、「水道水中における農薬類の目標値等見直しについて ( ) 」の御説明をさせていただきます。こちらの概要としては、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価及び第 17 回厚生科学審議会生活環境水道部会、こちらは平成 28 2 17 日に開催されましたが、こちらにおける審議に基づきまして、局長通知の別添 2 の対象農薬リストに掲げる農薬類 4 物質及び課長通知の別表第 5 に掲げる要検討農薬類 2 物質について、パブリックコメント手続を経て目標値等を見直すものです。

 今回の対象としては、 (1)(2) に記載していますが、まず (1) の局長通知、別添 2 の対象農薬リストの関係として、ピロキロンの目標値を現行の 0.04mg/L から 0.05mg/L に改める。そして、ベンゾフェナップの目標値を現行の 0.004mg/L から 0.005mg/L に改めるというものです。そして、 (2) として、同じく局長通知の別添 2 の対象農薬リスト及び課長通知の別表第 5 の要検討農薬、こちらの関係として、ダゾメット、メタム ( カーバム ) 及びメチルイソチオシアネート (MITC) の関係として、これらの 3 つの項目を統合しまして、対象農薬リスト掲載農薬類、名称としてはダゾメット、メタム ( カーバム ) 及びメチルイソチオシアネートとする。そして、目標値はメチルイソチオシアネートとして 0.01mg/L とする。そして、検査法についてはパージ・トラップ - ガスクロマトグラフ - 質量分析法とする、というものになります。

 そして、もう 1 点ありまして、裏のページに行きますが、テフリルトリオン関係として、課長通知に記載の要検討農薬類、テフリルトリオンについてです。こちらは局長通知の対象農薬リスト掲載農薬類のテフリルトリオンとして、目標値は現行の 0.002mg/L から変更なしとする。そして、検査法を液体クロマトグラフ - 質量分析計による一斉分析法とする。こちらの目標値等の見直しについて、平成 28 9 5 日~ 10 7 日の期間、意見募集を行いました。

 その結果、 3 件の意見を頂きまして、そちらが 3 ページ以降に示してあります。こちらの表の左側が頂いた御意見。そして右側が、その御意見に対する厚生労働省の考え方を示しています。まず 1 件目の意見として、総農薬方式に反対であるという御意見を頂いています。理由としては、複合毒性の観点から、個別農薬の基準だけでは対処できないということ。また、設定された ADI 以下での相互作用による影響が不明であるということ。また、神経系に影響を与える農薬について、複数種の摂取でどのような影響を及ぼすか不明であるということ。また、総和が現在 1 未満とされていることに対する反対、こういった御意見を頂いています。これに対して、「現行の評価方法は、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価等に基づき、毒性の程度も勘案した評価方法であり、水道水の安全管理方法として適切であると考えています」という考え方をお示ししています。

 続いて 2 件目の御意見としまして、こちらは 2 点、 2-1 2-2 があるのですが、まず 2-1 としては、ダゾメット、メタム ( カーバム ) 及びメチルイソチオシアネート (MITC) 、こちらを統合して管理することには賛成であるが、目標値の案、 0.01mg/L に反対であるという御意見です。その理由として、塩素処理によってどのように変化するかの検討がなされていないということ。また、代謝物の 1 つ、二硫化炭素についての御意見。あと、個々の目標値で一番低いダゾメットの値を採用しなかった理由が不明であるという御意見を頂いています。これについて、厚生労働省の考え方としましては、「平成 27 3 24 日付けで通知された内閣府食品安全委員会における食品健康影響評価においては、ダゾメット及びメタムは農薬として散布された後、土壌中で MITC に分解され、植物体内ではおおむね MITC として残留すると考えられることから、ダゾメット、メタム及び MITC における農産物中の暴露評価対象物質を MITC と設定しています。また、これら 3 物質の総合的な評価は、活性成分である MITC に基づく評価を適用するのが適当であると判断しています。今回の目標値の見直しは、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価に基づき行うものであり、水道水の安全管理の目標値として妥当な値であると考えます」という考え方をお示ししています。

 そして、同じ御意見の中の 2-2 として、テフリルトリオンについて、対象農薬にしたことは賛成であるが、目標値の 0.002mg/L に反対であるという御意見が示されており、理由としては水系汚染が報告されていることや、塩素処理で分解物が生成され、それの人への影響評価が十分ではないということ。また、トリケトン系のメソトリオンですとかフェンキノトリオンといったものについての御意見を頂いています。これに対しては、「今回の目標値の見直しは、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価に基づき、水道からの摂取量を考慮の上、行うものであり、水道水の安全管理の目標値として妥当な値であると考えます。また、テフリルトリオンの分解物はテフリルトリオンと同様の毒性を有さないと考えられることから、対象はテフリルトリオン原体のみとしているものです。また、メソトリオンを含む他の農薬については、逐次検討を行うこととしています。今後も内閣府食品安全委員会の評価等の最新の科学的知見を踏まえ、逐次、目標値の見直しを行うこととしています」という考え方をお示ししています。

 そして、 3 件目の御意見については、 3-1 3-2 3-3 ということで、「その他の農薬について」ということで、クロルピクリンについて、また、 3-2 では現在対象農薬ではないイミダクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン、チフルザミド、テブコナゾール、ピリミノバックメチル、フラメトピルに対する御意見、そして、 3-3 としてフェニトロチオンに対する御意見を頂いています。これらについては、「今回の意見募集の対象外ですが、今後も内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価等の最新の科学的知見を踏まえ、逐次、目標値の見直しを行うこととしています」といった考え方をお示ししています。資料 1 については以上となります。

 

○松井座長

 ありがとうございました。それでは御意見、御質問をお願いします。

 

○小林委員

1 ページのダゾメット、メタム、 MITC ですが、これの3の「注 8 を改める」という文章なのですが、「ダゾメット、メタム、メチルイソチオシアネートの濃度は、メチルイソチオシアネートとして測定し」とあり、その後に「合計して算出すること」と続いているのですが、「合計して算出すること」というのは不要ではないかなと思います。測定値はメチルイソチオシアネートとしての値なので、合計するという操作はやらないので、この文章は要らないと思います。現状の注 8 は「原体に換算すること」と書かれていると思うのですが、その部分が必要なくなるので、「メチルイソチオシアネートとして測定すること」と書けばよいと思います。

 

○松井座長

 そうですね。読み方によっては合計するという意味が、「 MITC として測定し」で。

 

○小林委員

 測定するということ自体が、合計した濃度を求めています。

 

○松井座長

 そういう意味もありますし、メチルイソチオシアネートとして、別個にそれぞれ測定されるというような受け取られ方もあり、何かちょっと曖昧さもあるので、そこを小林先生の意見を踏まえて、もっとすっきり明確に分かるように文言を変えたほうがいいですね。

 

○田中係長

 はい、そうですね。

 

○松井座長

 ありがとうございます。そのほかはありますか。

 

○浅見委員

 農薬に関しては、非常に項目数も多いところを、パブコメに関して、皆さんから丁寧な御指摘を頂いたものと思います。ここにも御指摘がありますように、新しい農薬ですとか、皆さんの関心の高い農薬もありまして、測れるものは測って、情報収集して、必要なものに関しては対策を取るようにということで進めていきたいと思いますので、これから後も、例えばトリケトン系の農薬で増えてきたり、ネオニコチノイド系の農薬というのも使用量がそれなりにあるということですので、情報収集に努めたほうがいいかなと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 

○広瀬委員

 私の記憶ではありますが、たぶん毎回、総農薬方式に対して批判というか、そういう意見が出ているということで、確かに複合影響が不明であるということが確実に分かっているかと言われれば、確かにそうではあるのですが、一部、有機リン系、カーバメート系の複合ばく露みたいなものは、 EPA でもやっていますし、厚生科学研究でも一部やっていて、そこで毒性を個々に評価したものを足し算したのよりは、今の総農薬方式のほうが安全側であるというような感じも出ているというのもありますので、答えとして単に安全であると言い切るよりは、それを更に確保するための研究は続けていますみたいなことも入れたほうがいいのかなと、回答としてそういう、全然大丈夫だと言い切るのではなくてという、そんな意味で、実はまだまだ分からないことはあるので、それに向けた研究は、いろいろな研究班で検討しているということもアピールしたほうがいいのではないかと思います。

 

○松井座長

 評価法についても常に検討が進んでいるので、将来的には、最新の知見が出てくれば、それに基づいてまた改正することもあるだろうと意味で、ただ、現時点の最新の知見では、この方法が非常に安全側に立った方法であるということですね。

WHO のほうでも総農薬というか複合ばく露について、何か検討は進んでいると思うのですが。

 

○浅見委員

 松井先生も御出席だと思うのですが、 WHO のガイドラインの改訂と、関連文書といいまして、関連の知見についてまとめるような作業の中で、化学物質の複合ばく露について、幾つかのケーススタディですとか最近の状況を整理したものを準備していると伺っていまして、その中に日本の取組というのも入れていただけるのではないかというのを、検討してくださっていると思うのです。すみません、最新のが分からないのですが、検討しているところだと思いますので、日本の方法もそういう中での 1 つのケーススタディとして取り上げられる可能性があるのではないかと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。そのほかはありますか。よろしいですか。それでは、資料 1 についてはお認めいただいたことにしたいと思います。先ほどのメチルイソチオシアネートの合算の所は、もう少し分かりやすい表現にしていただくということにしたいと思います。ありがとうございました。それでは、続きまして資料 2 の同じ議題ですが、御説明をお願いします。

 

○田中係長

 それでは、続いて資料 2 「今後の水質基準等の見直しについて ( ) 」について御説明させていただきます。まず、最初の 1 ページ目については、逐次改正に関する概要が書いてあるので、説明は省略させていただきます。

 続いて裏面の 2 ページ目から、こちらが食品健康影響評価の結果を踏まえた見直し ( ) となります。内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果が既に示されているものの中で、厚生科学審議会生活環境水道部会において未検討のものが、こちらの表に示しているものとなります。こちらは 12 種類ありまして、いずれも農薬類となっています。そして、この表の中において網掛けの部分、今回は 3 物質ありますが、こちらが現行の評価値と異なる評価値が得られたことから、見直しを実施すべき項目となっています。この 12 物質の詳細な食品安全委員会の評価内容については、資料 2 の参考に、それぞれ評価結果の評価書を基に当課で作成したものが抜粋として載っているので、御参考いただければと思います。

まず一番上からいきますと、対象農薬であるイソキサチオンについては、現行評価値が 0.008mg/L に対して、新評価値の案が 0.005mg/L となっており、対応方針としては強化となっています。続いて、対象農薬リスト掲載農薬類であるグリホサートについて、こちらは現行評価値が 2mg/L に対して、新評価値の案は 2.5mg/L ということで、こちらは緩和となっています。そしてもう 1 つ、要検討農薬類であるブロマシルについては、現在は現行評価値が設定されていませんが、こちらは新評価値の案として 0.05mg/L となっていまして、こちらは評価値の新規設定となっています。

 このうち要検討農薬類のブロマシルについては、次回の厚生科学審議会生活環境水道部会における審議をもって新目標値を設定し、平成 29 4 1 日からの適用を予定しています。対象農薬類であるイソキサチオンとグリホサートについては、次回の厚生科学審議会生活環境水道部会における審議の後、パブリックコメントの手続を経まして新目標値を設定し、平成 30 4 1 日からの適用を予定しています。資料 2 の説明は以上となります。

 

○松井座長

 ありがとうございます。それでは御質問、御意見をお願いします。ブロマシルが ADI が設定されて、評価値が新たに算定されたということなので、これについてはまた出荷量や ADI に基づいて、検出の恐れを算定して、非常に高い場合にはまた要対象リスト農薬等への格上げも視野に入れつつ、検討していく必要があるかなと思っています。

 

○小林委員

 今のブロマシルについての補足ですが、既に検査法としては GC-MS (別添方法 5 2 )と LC-MS (別添方法 20 2 )の検査法が設定されていまして、この 0.05mg/L の目標値の 1/100 まで検査できる方法になっています。

 

○松井座長

 ありがとうございます。それでは、検査法自体も問題はなく設定されているということです。ほかにありますか。よろしいですか。それでは、本件についても御意見は一部ありましたが、このまま更に検討していただくことにしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、続いて議題 (2) 「最近の水質基準項目の検出状況について」です。資料 3 について御説明をお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 それでは資料 3 を用いて、最近の水質基準項目等の検出状況について御説明いたします。現在の水質基準項目と水質管理目標設定項目は、平成 15 4 月の厚生科学審議会の答申に基づいて設定されたものですが、浄水中の検出状況から物質ごとのリスクレベルの評価結果等を踏まえて、水質基準項目と水質管理目標設定項目に分類されているところです。その後、平成 22 年の第 8 回厚生科学審議会生活環境水道部会で了承された、「水質基準評価と水質管理目標設定項目の分類に関する考え方」に従って、今般、分類の見直しを検討いたしました。

1. です。水質基準等の超過状況として、水質基準評価及び水質管理目標設定項目について、水道統計水質編の過去 5 年分の結果を対象として、以下に掲げる 2 つの観点から、それぞれ 100 %値、 50 %値、 10 %値のそれぞれの超過傾向を整理しました。

 整理したものが、 2 ページの表 1 が農薬を除くもの、 3 ページの表 2 が農薬類です。細かいのですが、左側が過去 5 年経年の超過状況です。また、その右側に、対 10 %値の直近の超過割合が整理されており、上のほうからリスク順位が高いという表になっています。具体的には、例えば、ジクロロ酢酸やトリクロロ酢酸などがよく検出されているという状況になっています。

 ○や△、※などは冒頭の 1 ページの1にありますが、直近 3 ヶ年以上継続で超過地点数が 1 地点以上あるかないかの○です。△は、継続ではないのですが直近 3 ヶ年のいずれかで超過地点数が 1 地点以上存在するというもの、※については、 3 ヶ年では超過地点数はないのですが、 4 5 年前に超過地点数が 1 地点以上存在するもの、-は 5 ヶ年継続で超過地点数が 0 地点であったという形で整理したものになっています。同じように農薬についても整理しています。

続いて 4 ページの分類結果です。このように、浄水中の検出状況を用いて整理した超過状況に対して、表 3 に示した分類要件を適用し分類しました。過去 5 年間に基準値や目標値が変更になった項目については、現行の基準値・目標値により集計を行いました。

 表 3 を用いて具体的に整理したものが 6 ページと 7 ページにあります。分類要件 1 2 をそれぞれ紹介したいと思います。分類要件 1 は最近 3 ヶ年継続で評価値の 10 %超過地点が 1 地点以上存在するということ。分類要件 2 は、最近 3 ヶ年継続で、評価値の 50 %超過地点が 1 地点以上存在する、又は最近 5 ヶ年の間に評価値超過地点が 1 地点以上存在するということです。見直し時点で、水質基準項目であるか水質管理目標設定項目であるかということで、分類要件それぞれ 1 2 に照らして水質基準にするのが適切ではないかとか、水質管理目標設定項目にするのが適切ではないかというのを分類するのがこの表 3 です。

6 ページの表 4 と表 5 が、今回検討を行った分類結果です。やや太い枠で囲ったところが見直しを行うべきではないかというものです。上の行で見直し時点で水質基準評価の行にあるもので、分類要件 1 、最近 3 ヶ年継続で評価値の 10 %超過地点が 1 地点以上存在するというもので「 NO 」になったものが 3 つあり、ベンゼンと陰イオン界面活性剤、フェノール類が該当しています。また、下の行で、今、水質管理目標設定項目で、先ほどの分類要件 1 と分類要件 2 ということで、最近 3 ヶ年継続で評価値の 50 %超過地点が 1 地点以上存在する、又は最近 5 ヶ年の間に評価値超過地点が 1 地点以上存在するものが「 YES 」になっているものとして、ニッケル及びその化合物というものが挙げられています。

 次の 7 ページの表 5 は、対象農薬リスト掲載農薬類について整理したものですが、こちらについては、見直しするべきものということで挙がっているものはありませんでした。

4 ページに戻ります。先ほどの 1) の分類要件の続きですが、表 3 の要件に基づいて見直しを検討することにはなっていますが、真ん中にあるただし書に、個々の項目の水質基準項目及び水質管理目標設定項目への分類については、当該項目の浄水における検出状況に加えて、環境汚染状況の推移や生成メカニズム、浄水処理における除去性等を総合的に評価して判断すべきであり、分類要件のみによって当てはめるべきものではないとされています。

 それでは、 2) 集計結果について説明いたします。先ほど表 4 5 で紹介しましたが、ベンゼン、陰イオン界面活性剤、フェノール類と、ニッケル及びその化合物が検討すべき項目に該当しています。 1 つずつ紹介します。ベンゼンについては、今、水質基準項目で、具体的な検出状況については、この資料の後半部分にあります。参考の 2 ページの基準の 20 がベンゼンです。平成 26 年度、直近の検出状況が 10 %値を超過している所が 0 地点であり、分類要件 1 が「 NO 」に該当しています。このため水質管理目標設定項目に分類するのが適当ではないかということになるのですが、少し遡った検出状況としては、平成 24 年に 10 %超過地点があること、また、平成 25 年度は 10 %超過地点と 50 %超過地点もあるということで、検出されない状況が継続するかどうかまだ不明と考え、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいと考えています。

 続いて、 2 つ目の陰イオン界面活性剤です。先ほどの参考の 3 ページに具体的な検出状況の表を付けています。基準の 41 にありますが、平成 25 年と平成 26 年、継続して 10 %超過地点が 0 ですので、分類要件 1 が「 NO 」に該当していますが、その前の平成 24 年については 50 %超過地点が 1 地点ですが確認されているので、ベンゼンと同じく検出されない状況が継続するかどうかはまだ不明かと考えています。引き続き、水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいと考えています。

3 点目のフェノール類の具体的な検出状況は、先ほどの陰イオン界面活性剤と同じ参考の 3 ページの基準 45 にあります。直近の平成 26 年において 10 %超過地点が 0 地点でしたので、分類要件 1 が「 NO 」になります。フェノール類については、水道法第 4 条に提示されている物質であること、また、検出状況としては、平成 24 年度に 10 %超過地点と 50 %超過地点、平成 25 年度に 50 %超過地点が確認されているところで、これも同様に検出されない状況が継続されるかどうか不明な状況ですので、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいと考えている次第です。以上が、今、水質基準項目で分類見直しを検討するべきではないかというところに該当した 3 物質についての考え方です。

 続いて、今、水質管理目標設定項目であるニッケル及びその化合物について説明いたします。 5 ページの 4 行目以降になりますが、ニッケル及びその化合物については、平成 27 年度の検討において 3 ヶ年、このときは平成 23 年度から平成 25 年度ですけれども、継続で目標値の 50 %超過地点が 1 地点以上存在し、かつ平成 25 年度には目標超過地点も 1 地点確認されたため、分類要件 2 が「 YES 」ということで、水質基準に分類するか検討すべき項目に該当している状況と、昨年度、平成 27 年度のこの検討会で判断されたところです。

 おさらいですが、そのときの判断としては、一方で、目標値の再検討が必要であることと、給水措置からのニッケルの浸出に対する対応が困難であるという課題があることから、水道原水及び浄水におけるニッケルの存在状況、環境汚染状況の推移、水道用資機材等を含めた水道における制御方法等について調査検討を引き続き行い、水質基準に分類するかどうかについての検討を継続することとされたところです。

 この課題のうち目標値の再検討については、第 1 回目の検討会のときにも御紹介しましたが、厚生労働科学研究で広瀬委員を中心として、ニッケルの飲料水あるいは食品からの摂取量とアレルギー等の健康影響が生じる量との相関性を示す公表文献情報等について調査を行っていただきましたが、特に新たな知見は現時点で得られていないという状況です。また、食品経由によるニッケル摂取量は、単純に加算した場合に TDI を上回っている状況で、これまでの定法に従い飲料水の評価値を設定することが困難であることに加え、 TDI の設定根拠となった空腹時の飲水投与試験における胃の飲料水由来のニッケル吸収率は、食物からの吸収率の 10 40 倍であるという報告もあることから、飲料水の評価値の設定方法については引き続き検討を行う必要があると考えています。

 また、平成 23 年度から平成 25 年度に浄水においてニッケルが検出された地点における状況について紹介いたします。平成 23 年度に目標値の 50 %超過となった 1 地点がありますが、そこではそれ以降、最新の平成 26 年度の状況を含めて、検出は確認されていません。

2 点目ですが、当時、平成 25 年度に目標値の 50% 超過となった地点がありますが、平成 26 年度にも引き続き、この地点では目標値を超過しています。しかし、この地点については平成 27 年度に水源が既に廃止され、今後は浄水として検出されることがありません。

3 点目ですが、平成 25 年度に目標値を超過した地点が 1 地点ありましたが、当該水道事業者とニッケルの存在や検出の状況について情報交換を行いました。その結果、高濃度のニッケルが検出された日に、同一の採水地点で採水した別試料では、ニッケルが 0.002mg/L と低濃度であったことが判明しました。原因が特定できてはいないのですが、目標値を超過した試料については、給水栓の材質にニッケルが含まれていることから、採水時に微細な破片等が混入した可能性が考えられています。また一方で、この取水地点の上流にある事業者においては排出抑制対策の実施が検討されているところです。

 この 3 点目については、検査の信頼性が疑わしいということで、水質基準にするかどうかの判断の根拠としてはやや適切ではないと考えています。また、 2 点目についても、水源が既に廃止されているので、今後、検出される状況ではないことに照らし、最後の文章ですが、以上を踏まえ、ニッケル及びその化合物については、分類要件のほうに照らしても水質管理目標設定項目に据え置いて、浄水中の検出状況等を注視していくことが望ましいと考えているのが事務局の案です。資料 3 の説明は以上です。

 

○松井座長

 それでは、御意見、御質問をお願いします。

 

○浅見委員

 ベンゼンとか陰イオン界面活性剤、フェノール類等について、最近の検出事例がないので、基準に残しておくかどうかという議論もあるのですけれども、実際、水源の事故等を見てみますと、ベンゼンを含む油の事故が非常に多く、いまだに検出事例が後を絶たない状況です。

 フェノール類につきましては、今の検査法に含まれていない項目についても、洗浄剤等の中に含まれているものも出てきているような場合があるというのを、事業者さんのほうからも伺っておりますので、この辺のものはちゃんと基準の中に入れてしっかり監視していく必要があるのではないかなと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。分類要件の下にあるただし書で、環境汚染の状況の推移、それから浄水処理における除去性等を勘案して評価すべきということなので、そういった意味で、いまだベンゼンやフェノール類は汚染の状況等や除去性を見ても、水質基準に据え置くべきであるということと理解しましたが、それでよろしいでしょうか。

 

○浅見委員

 はい。

 

○松井座長

 ありがとうございます。界面活性剤も同じと考えてよろしいですか。

 

○浅見委員

 陰イオン界面活性剤についても、まだ使用量もあると思いますので、引き続き、もうしばらくは監視の必要があるのではないかなと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。そのほか御意見ありますでしょうか。

 

○伊藤委員

4 ページの分類結果のところですが、集計結果として 4 種類挙がっていますが、健康項目と、いわゆる性状項目とが混じっていますね。上の表のただし書の最後に、「総合的に評価して判断すべきであり、分類要件のみによって当てはめるべきものではない」と書いてあるので、それで読めることは読めるのですが、やはり健康項目と性状項目について、同等の見方をする必要性は必ずしもないと思うのです。つまりここでは、陰イオン界面活性剤とフェノール類は、それぞれ発泡性、臭気に関する項目ですので、ある閾値があって、それを超えてはじめて発泡したり臭いがしたり、あるいは他の性状項目であれば、味がするということが起きるわけです。こここでは健康項目と全く同様の記述になっているのですが、 10 %を超えることがあったかどうかというシビアな見方は、健康項目と同等にする必要性は少し低くしてもいいのではないかと思います。

 

○松井座長

 今の伊藤委員の意見に対して、何か事務局からコメントはありますか。

 

○鈴木室長補佐

 健康項目と性状項目で性質が違うというところは、おっしゃっていただいたとおりかなと思います。性状項目を健康項目ほど厳しく見なくてもいいのではないかということと、閾値があるというお話の関係について、もう少し説明を頂けたらと思います。

 

○伊藤委員

 性状項目の場合、その基準値とは、ある事象が起きるかどうか、すなわち発泡するか、臭いがするか、味がするかというクライテリアとして設定されています。ですから、水質や検出状況を見る場合に、実際にそういう問題になるような性状、つまり泡立ちが起きそうか、臭気が発生しそうかという状況を重視するのが望ましいだろうという意見です。ですから、 10 %超えたら基準項目にすべき、 10 %以下であれば即基準項目から外して良いという扱いではなく、本当にある問題事象が起きそうかというところを見るのが適当だろうということですね。

 

○鈴木室長補佐

 そうすると、今、 10 %のところで切っていますが、例えば 50 %で判断するなど、それぞれによって少し判断基準を考えていく必要があるのではないかということですか。

 

○伊藤委員

 現在のルールでは、表 3 にあるようなルールで分類見直しを行っているので、それで結構なのですが、最終的にどうするかという総合判断をするときに、今、申し上げたような各項目の性格についても配慮するのが望ましいだろうということです。

 

○鈴木室長補佐

 御説明いただきありがとうございます。項目によって様々な背景があるとは思いますので、先ほど、浅見委員からも今ある項目をまだ落とすべきではないと御意見いただいたと思うのですが、今後も同じように様々な物質について見直しをしなければならないときに、浅見委員から頂いた視点と、伊藤委員から御提案いただいたような視点も含めて検討したいと思います。

 

○浅見委員

 統合的判断のもう 1 つなのですが、この性状項目、もともと基準ではなかったものが基準になったときに、やはり水道で基準にすることによって排水基準や工場排水の排出に気を付けていただけるのではないかというような意図もあって、特に陰イオン界面活性剤などはそういう意図があって入ったようなところもありますので、今後の利用状況や薬品の使用状況等も踏まえて、考えていけるといいのではないかと思います。

 片や、測定が結構面倒臭いというのもありますので、そこはいい方法があれば、また入れつつという見直しは随時していく必要があるかなと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございました。それではほかに、ニッケルについてありますか。

 

○広瀬委員

 ニッケルについては事務局から説明があったとおり、研究班では情報収集を続けているところではありますけれども、吸収率に関する文献というのはほとんどなく、ここで引用しているような確かな文献というのは 1 つぐらいがあるだけで、実際には余り行われていないという現状ではあります。引き続き検討することは間違いないのですが、現状、何か手を打つところまでは至っていないというところではあります。

 ただ、今回、 1 地点は別容器で測ると低かったというのは、測定方法とか測定回数といったことを検討する必要があるのでしょうか。そういうのも含めて、ちょっと想像するに、確かに上流の事業者等の注意喚起もあるのですが、測定に関して言うと、ここでは給水栓とかの問題が、汚染ではないですけれども、実測値の影響になったということは、リスクとしてはひょっとしたら、水道のリスクではないかもしれないですが、そういったリスクも今後、検討しておいたほうがいいのかなとは感じましたけれども。

 

○松井座長

 資料 3 5 ページの下に、目標値を超過した試料の理由について、「給水栓の材質にニッケルが含まれるため」うんぬんということもありますので、上のほうにある給水装置など水道用資機材を含めた水道における制御方法については、今後とも引き続き検討していく必要があるかなと、実は思っています。

 

○東水道水質管理官

 ニッケルにつきましては、実は給水栓のメーカーさんの団体とは定期的に接点があり、ディスカッションする場もあります。今回、水質管理目標設定項目に据え置くということで、水質基準にはしないということですが、一方で給水栓からニッケルが出ているという事実も結果もありますので、今日の御議論を踏まえて、今日の検討会では基準項目にはしないが、引き続き注視していかなければいけないという議論があったということを工業会さんのほうにもお伝えして、できれば自主的に何らかの対策を取っていただくようにお願いしていきたいと思っております。

 

○松井座長

 是非ともよろしくお願いします。ほかにありますでしょうか。

 

○広瀬委員

 ちょっと話が戻って、先ほど伊藤委員から健康項目と性状項目で分類するときの判断基準を総合的にと言われたところで、確かにアウトプットのインパクトは、性状と健康では、何か健康のほうが少し重そうには思えるのですけれど、一方、超えるか超えないかという因子は、インパクトの結果ではなくて、物質の性状だったり排出源の問題なので、そういう観点から見ると、健康と性状で扱いを分けるというよりは、もっと総合的なことでやらないといけないのかなと。単に健康、性状だけで区別できるものではないのではないかという気がしたので、ちょっとコメントだけ。

 

○松井座長

 私も実は同じように思っていました。健康だから厳しくて、性状だから緩く扱うというのはちょっと何か考えが、もうちょっと根本に立ち返って考える必要があるのかなと思いました。そういう意味も含めて、基準値というものが設定されているとすれば、 1 つの考え方として、設定後の次の扱いは、同等レベルというのも 1 つの考えかなと思いますので、表 3 を作られたときの議論をレビューして、もう一度表 3 の運用について我々も勉強していく必要があるのかなと思いました。

 

○東水道水質管理官

1 点だけ、機械的に分類すると表 3 のやり方になるのですが、 4 ページの表 3 の下のただし書の 4 行にありますとおり、正しくこの部分についてはこの場で議論いただくということですので、今後も一応は機械的にはこのように案を示しますが、この場で適宜、御議論いただければと思いました。

 

○松井座長

 ほかにありますでしょうか。

 

○伊藤委員

 ご指摘の点は、私も十分認識しているつもりで、自分の授業でも話していることなのです。基準項目は 51 ありますが、その分類、つまりどの項目が健康、性状といった右の列は正式の表にはないんですね。 2003 年の基準改正のときに、そういうただし書に相当する、ここからここまでは健康、ここからここまでは性状という、そういう列は作らないほうがいいという議論をした記憶があります。

 健康項目はもちろん飲み水としての安全性に関する項目ですが、一方、性状項目とは水道水に対する信頼性に関わる項目と考えることができます。これからの日本の水道水を考えた場合、これからは安全性と信頼性の両者を同等に扱っていくことにしようという議論をしたことがあります。したがって、ここは健康項目、ここは性状項目という、そういう区分はむしろないほうがいいというわけです。このように、現行の基準体系の中には、 1 番から 51 番まで同等の重さで見るのだというコンセプトが入っていることは承知しております。先ほどの私の発言は、その上でなお、という趣旨であると見ていただけると有り難いと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。そのほかありますでしょうか。よろしいですか。それでは、事務局の御提案のとおり、ベンゼン、陰イオン界面活性剤、フェノール類につきましては、このまま基準項目に据え置くということ。それから、ニッケル及びその化合物については、水質管理目標設定項目にそのまま据え置くということでまとめたいと思います。ありがとうございました。

 用意しました議題は (2) まで終わったのですが、「その他」ということですけれども、事務局、何かありますか。

 

○鈴木室長補佐

 御意見を頂きありがとうございます。先ほどの資料 3 につきましては、この方向で御了解いただいたということで、今年度開催される水道部会に報告したいと考えています。

 その他の連絡事項として、本日の議事録ですけれども、後日、事務局より送付いたしますので、御確認をお願いします。最後に、水道水質管理官の東より御挨拶申し上げます。

 

○東水道水質管理官

 本日は活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。先ほど鈴木のほうから申し上げましたとおり、次回の厚生科学審議会の部会を来月に開催する予定です。そちらのほうで今日の結果について御報告させていただいた上で、来年の 4 1 日付けで、あと、再来年の話はまたその後ですけれども、改正させていただくということになります。どうも今日は長時間、ありがとうございました。

 

○松井座長

 では、以上で本日の会議を終了したいと思います。お疲れさまでした。

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 水質基準逐次改正検討会> 平成28年度第2回水質基準逐次改正検討会(2016年12月20日)

ページの先頭へ戻る