ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 新たな社会的養育の在り方に関する検討会> 第5回 新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2016年11月18日)




2016年11月18日 第5回 新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成28年11月18日(金)10:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員
加賀美構成員 上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員
西澤構成員 林構成員 藤林構成員 山縣構成員

事務局

吉田雇用均等・児童家庭局長 山本内閣官房内閣審議官 川又総務課長
川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

○議題

(1)各検討会・ワーキンググループの開催状況の報告及び法改正後の進捗状況の報告
(2)本検討会の成果としてまとめるべき事項
(3)論点の中の社会的養護に関する議論
  1)「家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」に関する定義とそのあり方
  2)「できる限り良好な家庭的環境」の定義とそれを利用する場合の条件
  3)里親支援事業体制の在り方
  4)子どもの立場にたった継続性を重視したソーシャルワークのあり方
(4)その他

○議事

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、西澤構成員から、11時過ぎに御到着されるということで伺っております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付させていただきました資料は、右上に番号を付してございますけれども、議事次第の次に資料1で、検討会の開催状況等についてという横長の資料。

 資料2で、法改正後の進捗状況の11月1日現在、横長の資料。

 資料3で、議論のポイントの縦長の資料。

 資料4で、奥山座長から御提出いただきました、本検討会の成果として必要な事項の資料。

 資料5としまして、これも奥山座長から御提出いただきました縦長の資料。

 資料6で、相澤構成員から御提出いただきました資料。

 あと、参考資料でございますけれども、参考資料1で、第3回と第4回に御議論いただいた内容の主な御意見を事務局で書き出したものでございます。

 参考資料2で、前回と同じ資料ですけれども、個別の論点の議事に関連する資料、横長の資料です。

 参考資料3で、これも個別の論点に関連する資料の追加ということで、前回もお出ししておりますけれども、これに9番と10番ということで、里親委託ガイドラインの通知と、あと、里親支援機関事業の実施要綱の通知を追加しております。

 参考資料4で、前回のヒアリングでお越しいただいた日本ファミリーホーム協議会から意見書ということで御提出いただいたものを添付しております。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 よろしいでしょうか。

 それでは、これより先の議事は、奥山座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 この間、構成員の皆様には事務局のほうからいろいろとお願いをして、事務局のほうでまとめてくださって、現在、里親支援専門相談員とファミリーソーシャルワーカーに関して、各県を通して、施設のほうでどういう形で、どういう形態でお仕事をされているのかという調査をしていただいております。本当に事務局の御努力に感謝したいと思いますし、それが出てくると、また私たちにとっていろいろな示唆が出てくるのではないかなと思っております。

 では、資料1に基づきまして、検討会及びワーキンググループの開催状況等について御説明いただけますでしょうか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 事務局でございます。

 資料1でございます。各検討会・ワーキンググループの開催状況等ということで、左から2番目の欄でございます。「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」でございます。前回からその後、第5回ということで1031日に開催しております。

 司法関与につきまして、児童相談所に対する調査の最終結果を御提示いたしまして、司法関与に関する論点等につきまして、各構成員による議論を行っていただいております。

 その次に、第6回ということで1114日に開催しておりまして、この日につきましても司法関与につきまして、引き続き論点等について御議論いただいたということでございます。

 論点につきましては、3ページ以降に司法関与に関する論点と、あと、特別養子縁組制度についての論点について11ページ以降に、お出しした資料を添付させていただいております。

 第7回につきましては1128日に開催予定でございまして、司法関与につきまして引き続き取りまとめに向けた議論をしていただくことにしております。

 特別養子縁組制度につきましては、児童相談所と民間のあっせん団体に対します実態調査を行っておりまして、その結果も、途中経過を前回、第6回のときにお示しする予定でしたけれども、これにつきましてはお出しするまでに至っていなくて、第6回のときには提示を見送りさせていただいております。第7回のときに調査の結果を集計したものをお示しする予定としております。

 続きまして、その次の「子ども家庭福祉人材の専門性確保WG」については、前回以降、開催がございません。次回は11月の下旬に研修カリキュラム(案)等について御議論いただく予定としております。

 一番右側の欄で「市区町村の支援業務のあり方に関する検討WG」でございます。1021日に開催いたしました第3回におきましては、市区町村支援拠点の運営指針の素案のたたき台の案というものをお示しいたしまして、その内容につきまして御議論をいただいたところでございます。

 第4回につきましては1130日に開催する予定にしておりまして、市区町村支援拠点の運営指針の素案及び市区町村が虐待対応の具体的な支援業務を行うために必要なガイドラインのたたき台をお示しして、御議論をいただく予定にしております。

 各検討会・ワーキンググループの開催状況等についての説明は以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 どなたか御質問はございますでしょうか。

 2番目の司法関与は秋までという話だったのですけれども、どのような形になっていくのか、何か見通しはありますでしょうか。この会に吉田座長がおられないので、藤林先生、何かありますか。

 

○藤林構成員 

事務局の方からも説明があると思うのですが、まだ議論は終わらないのではないかなと思います。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○山本内閣官房審議官 

では事務局からでございますが、司法関与の検討会は大きく2つのテーマを抱えてございまして、1点目は今、一番焦点になっております司法関与のあり方ということで、一時保護とか裁判所命令等を中心に議論しているところでございます。これについては、特に集中的に1031日の回と1114日の回にやりましたけれども、引き続き、この取りまとめに向けまして1128日に議論いたしまして、それでまだ足りない場合は12月にかかるかもしれませんが、議論をお願いしたいと思っております。

 また、特別養子縁組のほうは、調査結果が次回、多分、完成形に近いものとしてまとまると思いますので、それをお示しさせていただこうかと思っております。特別養子縁組のほうの議論というのはこれからがまさに集中的な議論になりますので、検討会は引き続き開催をしていくことになると考えてございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 そのほか、皆様もほかのワーキングにも出ておられると思うのですけれども、何か進捗について御意見とか聞きたいこととかはございますでしょうか。

 よろしいですか。

 ちょっと私が気になっているのは、研修カリキュラムのほうが少しゆっくりになってしまっているので、児相の機能に関する議論が本来は11月か12月からというお話だったのですけれども、そこに入っていけていない実情があって、そちらも少し考えていかなければならないかなと思っていますが、事務局のほう、いかがですか。

 

○山本内閣官房審議官 

研修カリキュラムにつきましては、このワーキンググループの公式の場で議論していただく会のほかに非公式会合というものを累次積み重ねで議論していただいております。それで、到達目標でございますとか、カリキュラム、時間数、また、どのような実施方法にするのかというのを、今、年内では集中的に詰めておりまして、児童相談所の専門職でございますとか、あと、要対協調整機関の専門職の養成のあり方について議論しています。

 ここらは、もうタイムリミットがありまして、年内には各自治体のほうに大体こういうものだということをお示ししないと計画が立たないということなので、今、集中的に議論させていただいております。なるべく早くこちらのほうを終わらせて、もう少し中長期の課題のほうの議論に入っていけるように事務局としても努力をしていきたいと思っています。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、引き続きまして、法改正後の進捗状況について、資料2ですけれども、御説明いただけますでしょうか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

事務局でございます。

 資料2でございます。11月1日現在ということで法改正後の進捗状況の資料を更新させていただいております。赤字で書かせていただいている部分が更新した部分でございます。

 1ページ目で「1.理念」の1)で、上のほうは政府広報で理念の規定を含めました法改正後の内容について周知・広報を行いましたということで書いてございます。

 同じく1.の4)のところも同様で、しつけを名目としました体罰の禁止を含めた今回の法改正の内容についての周知というものを政府広報でさせていただいてございます。

 一番下の3.の「2)アセスメントツールの開発状況」ということで、これは年内を目途に通知文を発出できるようにということで、少し目途を書かせていただいてございます。

 2ページ目は、赤字で書いてあります検討会を開催しておりますということです。

 3ページ目の一番下で、5.の「(5)通所・在宅措置」の部分でございます。これにつきましては、市町村児童家庭相談援助指針につきまして、基本的な部分の改定をしまして、1029日に通知を発出しております。具体的な内容については、今後、改定に向けて検討を進めているところでございます。

 4ページ目は、修正はございません。

 5ページ目も、司法関与のほうの検討会を開催したということで、開催の回数の更新をしております。

 6ページ目でございます。7.の「(3)特別養子縁組制度」で、赤字で1)のところを追記しております。これにつきましては、司府関与のほうの検討会で先ほど少しお話のありました、特別養子縁組制度の利用促進のあり方に関する調査ということで、児童相談所と民間のあっせん団体に対しましてのアンケート調査を実施しておりますので、またこれの結果についても参考にしてまいりたいと思っております。

 最後の7ページで「8.統計」の3)のところでございます。CDRに関しますモデル事業の実施というところで、この調査研究につきましては公募をしたということで、前回は「検討」と書いてございましたものを「予定」ということで修正をさせていただいております。

 法改正後の進捗状況の説明は以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 どなたか、御質問はございますでしょうか。

 今、お配りいただきました新しい資料でございますけれども、これはセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン等から「体罰を伴わないしつけのあり方」というものをもう少し議論してほしいという要望でございます。

 ここの進捗状況のところにも「1.理念」の4)のところに、これは参議院の附帯決議のところで、体罰を伴わないしつけのあり方を提示するようにということが加わったということがございましたので、その辺のところをどのように提示していくかということで進捗状況を右側のほうに、政府広報等で広報しているという形なのですけれども、こちらの要望書ではいろんな、もっと身近な場、両親教室とか、そういうことが書かれていたと思います。そういう母子保健とか身近な場でもう少し体罰を伴わない養育のあり方というか、しつけのあり方。しつけという言い方がいいのかどうか、わからないですけれども、体罰を伴わない養育のあり方ということに関して、もう少し議論を深めてほしいという御要望でございます。

 一応、御要望が出ているということを認識していただければと思いますけれども、どなたか、ほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

3ページの「(5)通所・在宅措置」のところなのですけれども、ちょっと私の記憶が曖昧なのですが、この点については、児童相談所運営指針にも余り細かく具体的な進め方とか要綱が書いていなかったように記憶しているのです。今後、ここについては何かガイドラインとか要綱とか詳しいものが出る予定はあるのでしょうか。

 

○山本内閣官房審議官 

では、事務局からお答えします。

 児童相談所運営指針と市町村の相談所援助指針は、とりあえず今、第1弾の改定を行ったばかりでございます。この在宅支援のあり方については、市町村ワーキンググループのほうでもこれから集中的に御議論いただくところでございますので、これらの議論を踏まえて、第2弾改定の中でより詳細な記載を書き込んでいきたいと思っています。

 

○奥山座長 

そちらのほうは、市町村ワーキング等で何か御議論される予定はありますでしょうか。

 

○山本内閣官房審議官 

これは松本座長とも御相談しているところでございますけれども、これからの議論のステップの中で、今は支援拠点を中心に議論してございますが、次は在宅支援のあり方で、最終的にはこれをガイドラインにどうまとめるかという御議論をしていただきます。

 

○松本座長代理 

重要な課題だと認識しています。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますでしょうか。

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員 

先ほどの広報のことなのですけれども、外国で見ておりますと、例えば日本でNHKとかと同じような形で、随時ばっと、今度はこういうふうになりましたというような、法律でこの体罰はいけませんとか、そういうものが繰り返し報道されることによって、それに対する周知が図られているように思っております。ですので、今回の法改正はかなり本格的なものでしたので、そのことを含めて、そういった活動もしていただけると助かると思います。どうぞ、御検討をよろしくお願いいたします。

 

○奥山座長 

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 また何かありましたら、次回も含めて、あるいはそれまでの間でも御意見を寄せていただければと思います。

 では、議論のほうに入っていきたいと思います。

 最初に、議論のポイントというものを書いたのですけれども、どうも、やはりどこへ向かっていくのかというのがわからないとなかなか議論が収束していきませんし、何が近々に必要なのかということをみんなで考えておいたほうが後々いいのではないかと思いまして、一応、資料4ということで、私自身が皆さんのお話を伺いながら思いつくままに、この検討会のアウトカムとして、少なくとも、こんなものは必要なのではないかなということを書かせていただきました。

 この中で、例えばガイドラインであるとか、あり方の提言であるとか、そういったことが結構、必要になってくるだろうなと思って書かせていただいております。そういうものをここで全部議論して、一字一句、ここでやっていたらとても大変になってきますので、こういうところに関してはどこでどのようにつくり上げていったらいいのかということを含めて議論をしていただければと考えてつくっております。

 これは大まかな私たちの目標という形で考えておいていただければと思っているのですけれども、ほかにもきっとあると思うのです。これを入れろということとか、ここは必要ないのではないかということもあると思いますので、今、お時間を、皆さん、どっちにしろ、新幹線の中で読んだ方もおられるかもしれませんけれども、送られたものを読んでいらっしゃらない方が多いと思いますので、2~3分、目を通していただいて御議論いただければと思いますが、ちょっとお時間を。

 どうぞ。

 

○松本座長代理 

今、奥山先生から、これに目を通して意見を述べよということですけれども、これは大変、今後の議論を方向づける大事な枠組みだと思いますので、目を通した後に少し、奥山先生のほうからも全体の、どういうお考えでこういう構成をとられたかということについてはお話しいただいた上で議論をしたほうが生産的かと思います。

 

○奥山座長 

了解いたしました。確かにそうです。

 実際、この検討会の目標というのは、鳥瞰するとか、割と漠とした言い方だったので、アウトカムとしてどうしたらいいのだという目標があったほうがいいと思ってつくりました。

 それで、キーワードとして前回、一番最初のころから出ていたのが「社会的養護の課題と将来像」の全面見直しというのは国会でもかなり、大臣のほうからもご発言があって、そこを全面見直しといっても、次の目標がなければできないということで、今回「新たな社会的養育の構築」ということを掲げさせていただいたわけで、そういうキーワードのもとに考えていかなければならないということでございます。

 もう一つは、皆さんの中から一番出てきた御意見として、子どもを中心に考えましょうという、これは皆さんの合意部分ではないかと思います。それをキーワードとして考えた上で、1つは法改正がなされて、それが実際、現場でどのように実装されていくのかというところを見ていかなければいけない。それが一つ、私たちの大きな役割としてあるのだろう。それで、この会がいつまで続くのか、よくわからないのですけれども、ある程度のところで取りまとめるとしたら、そこまでの評価をしていく必要はあるだろうと思います。

 それから、社会的養育の基準。これは「社会的養護の課題と将来像」から「新たな社会的養育の構築」ということですので、社会的養育というものをどう考えるのかということが1つと、その基準みたいなものをやはり考えていかないとシステムが動いていかないだろう。それで、これまではどうしても物理的に人が何人いる必要があるとか、何畳必要というか、一人に何平米必要とか、そういう基準が最低基準でも多く入れられているわけですけれども、やはりケアの質ということを重視した基準を考えていかなければならないのではないかと思います。

 これは社会的養護だけではなくて、保育園という補完的養育といいますか、社会的養育の一つである保育園あるいは家庭養育のほうに関しましても、支援をするときにどういう基準で見ていくのかということがあったり、それから、家庭からどういう基準で分離していくのかというところも含めて、細かい基準という意味ではなくて、理念的にどういうことを考えて家庭養育がこれでいいと考えるのか、それとも、本当に新たな社会的養育が必要となってくるのか。「分離しなければならない」というのは言い方が悪いですね。社会的養育が必要となってくる基準みたいなところを考えたほうがいいのではないかという提案です。

 それから、社会的養育の全体像を考える必要があるだろうと思って、これまで皆様からの御意見を伺ったものをざっと例として挙げました。「継続性」「永続性」を考えた社会的養育全体の図を考えていく。これは、例としてこんな感じになるのかなという頭で考えたものですので、これもにたたき台と考えていただければと思います。

 まず1つは、最初はポピュレーションアプローチとして全家庭の支援があって、その中でニーズが捉えられて、ニーズに応じた支援がなされる。それには家事援助もあるでしょうし、補完的養育もあるでしょうし、いろいろな形で家庭支援がなされる。そこで、やはりもっと親子で通所して、ケアが必要とか、あるいは産前産後の母子ホームのような一時的な入所が考えられないかということが出てくるのかなと思います。

 その後といいますか、そんないろんな支援をしていても、あるいは支援をする間もなく一時保護が必要になる場合もあるでしょうし、そうすると一時保護ということになるわけです。今回、一時保護の機能に関して法律に初めてきちんと書き込まれたわけです。評価と安全の確保です。そういうことに関して、一時保護所のあり方とか基準とかということがあるでしょう。そして、そこの中で家庭復帰もあるでしょうし、それから、社会的養護が必要になるお子さんもいます。

 社会的養護というと子どものほうばかりになりますけれども、実家庭支援があって、そして、その中から「継続性」「永続性」を考えたソーシャルワークの中で、これは全体がそうなのですけれども「継続性」「永続性」というものは全体に係るわけですが、実家庭の復帰支援もあって、復帰する子どもたちもいれば、復帰困難例をどう、なるべく早く「永続性」を考えた環境に置いてあげるのかということ。

 そして、自立にどう結びついていくのかということで、最終的にはといいますか、家庭に復帰した場合も、それから、養子縁組の場合もですけれども、その家庭のニーズに合った支援というものは行われていかなければならないので、下から上への矢印があるということになってくるのかしらと思って、私、余り絵を描くのが得意ではないので、とりあえず例として骨組みだけ書いてみましたというところでございます。

 今度は細かいところに戻りまして、家庭への支援に関しましては、これは市町村ワーキングのほうでほとんどでき上がっていくのではないかと思っているのですけれども、それに関して、こちらでも少し考えていく。並行して考える、あるいはワーキングの成果を検討して、こちらの中の提言に組み込むこともあるのではないか。

 1つは、在宅措置も含めた在宅支援サービスのあり方、要支援・要保護、家庭のニーズに応じた支援がどうあるべきかということです。

 それから、先ほど出てきた通所措置というものが新しい形ですので、通所をどうしていくのか。

 次に、児童家庭支援センターというものが今まで装置としてつくられてきたわけですけれども、そこをどう考えるのかというのはここで議論しなければいけないことかと思いました。

 それから、特定妊婦のケアと産前産後母子ホームという提言が出ておりますので、そこのあり方ということになると思います。

 児童相談所の改革というのは人材育成ワーキングのほうでお話し合いがなされることになっていると思うのですが、やはり永続的家庭という育ちの場の保障を見据えたソーシャルワークをどうするのか。

 それを可能にする人材育成、専門性の向上、資格化の可能性。今、人材育成のほうのワーキングで話し合われているのはこの研修のあり方だと思うのですけれども、その先、前の専門委員会では資格化が必要ではないかという話があった。資格と言っていいのか、そこは議論が必要だと思うのですが、研修のやりっ放しというのはまずいので、本当に人材が育っている、この人は大丈夫だということをわかるようにしていかなければいけないのではないか。

 それから、児童相談所の機能分化に関する提言。

 もう一つ、非常に大きいなと最近、感じているのですけれども、政令市・中核市・特別区等の児童設置の問題です。政令市は今まであったわけですが、やはり政令市の中でも新しくできた政令市の中で県の児相をそのままをコピーしたような児相がつくられて、いろんな問題を起こしているということがあります。せっかく市と同じ立場の、区市町村と同じ自治体で児相を持つわけですから、都道府県の児相と同じではもったいないといいますか、まずいのではないかと思っています。

 そうやって考えていくと、この間も山田不二子先生が別のワーキングで御指摘いただいたのですけれども、例えば区市町村で福祉にずっと携わって、家庭支援をずっとやってきたにもかかわらず、児童福祉主事としてみなされないために児童福祉司になるランクに行けないという問題点がありました。そういう細かい制度の問題も恐らく出てくるのだろうと思います。

 例えば中核市・特別区で、ゼロからのスタートで児相をつくろうとしたときに、今のスーパーバイザーの数を充足しなければならないとなると、結局、県の児相からスーパーバイザーを呼んでくる以外にないのです。児相に5年いなければならないので、そうすると結局、県と同じ児相をつくっていくことになってしまうのです。そこが本当にそれでいいのかというところに、疑問を感じたりということもあって、制度的にもどう考えていくのかというのは、かなり議論しなければいけない問題ではないかなと思っています。

 それから、社会的養護。一番本丸なのかもしれないのですけれども、今、なるべく早く決めてほしいと全養協にも言われておりました、家庭同様の養育環境、できるだけ良好な家庭的環境というものは何を指すのかというところを今、これまで御議論もいただいてきて、これをなるべく早く出していきたいとは思っています。

 それから、それに基づく社会的養護のあり方への提言。

 それから、少し議論に入ってはいますけれども、fostering agencyをどうするのか。そして、やはりこれは議論だけではなくて、最終的にはガイドラインが必要になってくる問題ではないかなと思います。

 あと、ちょっと細かい点なのですけれども、里親名称変更の提言。これは前の専門委員会から随分議論されたのですが、結局盛り込まれなかった。この辺も考えていかなければならない。

 それから「永続性」「継続性」を担保するソーシャルワークとはというところを提言しなければならない。

 もう一つは「自立支援計画」で、この「自立支援計画」という名前が本当にいいのか。例えば乳児さんが入所したときから「自立支援計画」なわけですね。だから、ある意味、ケア計画なのかなとは思いますけれども、こういった計画をどう考えるのかというのは「8.リービング・ケア」ともかかわるのですが、リービング・ケアというものを考えたら、入所からのケアというものが必ず出てくるのです。これは海外のリービング・ケア法や何かの話を聞いていても、やはりリービング・ケアは考え出したら最初からのケアだという話になってきますので、そこの全体像を、ケアということを考えなければならない。

 それから、社会的養育全体像に基づく施設のあり方をどうしていくのか。これは1つ、3条の2の解釈に基づく社会的養護というほうでも挙げさせていただいていますけれども、社会的養護の、今、いろんな施設、里親さん、ファミリーホーム、いろいろあるのですが、全体が小規模化していかなければならないのか。それから、治療的な部分があるのだったら、それは治療を優先させるのかとか、いろいろな問題があるのだろうと思うのです。その辺を議論していかなければならないかと思います。

 それから、養子縁組制度に関する提言。この間も御意見が出ていましたように、里親さんは例えば費用的な支援があるけれども、養子縁組になるとそれがないとか、その辺をどう考えるのかとかという問題もあるかもしれませんし、それから、やはり養子縁組になった後の養育支援が薄いというのはかなりありますし、もっと言えば特別養子縁組なんかも、縁組前からの適格性の判断はほとんどなされていない。カウンセリングがなされていない。それでぽんと預けられて、がたがたと崩れてしまうような家庭も中にはあるわけで、やはりそこをどう支援していくのかというのを入れ込んでいかなければならないかなと思います。

 ちょっと順番が下に来てしまってはいるのですけれども、一時保護、とその委託です。最近、施設の一時保護委託ということはかなり制度として提案されてきておりますので、その辺も見ながら一時保護里親といった制度をつくるのか、つくらないのか。あるいは施設への委託を中心にしていくのか。つまり一時保護所と委託一時保護の役割といったところですね。実際、施設にしても里親さんにしても、ぽんと一時保護されてもそれはすごく大変なのだろうと思うので、一時保護所を1日、2日通ってから来るとか、何かそういう形も必要ではないかと思いながら見ているのですけれども、その辺のところはまだ整理されていないのではないかと思いました。

 それから、リービング・ケア。これは非常に重要なところで、リービング・ケアの自立保障、前回、自律・自立と2つある、その両方が必要だというお話が出ていましたし、それから、継続的支援。リービングから継続して、どう支援していくのか。それで、そのマネジメントを行うのが一体どこなのか。今は施設に任せられてしまっているようなところもありますけれども、やはり福祉としてどう考えていくのか。それから、地域生活支援はどのような形でなされていくべきか。いろんなことを考えることがあると思うので、ここも一つの大きな固まりですので、ガイドラインというか、これだけで一つの提案・提言書みたいなものが出てくるのかなと思います。

 そんな形で、これを見ているとやることが多くて、何だか気が遠くなりそうな、書いていながら、どうしたらいいのだと思っているのですけれども、皆さんの御意見を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 どうぞ。

 

○林構成員 

2点ほどよろしいですか。

 1つは、子どもを中心としてということを座長として強調されたということで、それを例えば2.の3)のところで、分離する基準の明確化ということを挙げられているのですけれども、実際に市町村のサービス度の充実との相関でもって考えるとか、あるいは施設の空き定員の相関でもって考えざるを得ない、地域格差というものがあると思うのです。

 そういうものが生じてくる背景として、このポピュレーションアプローチの家庭支援ということを強調されているのですけれども、ここに及び子どもを中心とした支援というものを加えていただいてはいかがでしょうか。要するに家庭が脆弱で、なかなか家庭が機能していないネグレクト家庭がある中で、家庭を中心としたとか保護者の第一義的責任という云々では片づけられない子どもたちの存在というものを見きわめて、そこに特化した支援の充実が必要かと思います。 2点目として、裏のほうですけれども「リービング・ケア」と書かれているのですが、もう一つ、アフターケアを加えていただいて、養子縁組後の支援、家庭復帰後の支援、退所後のケアというあたりも含めて、継続的というあたりを具体化していただけたらと思います。

 以上です。

 

○奥山座長 

林先生、確認ですけれども、アフターケアとリービング・ケアの違いなのですけれども、アフターケアは家庭復帰した後のケアとか、そういう意味ですか。

 

○林構成員 

いろんな捉え方はあるかと思うのですけれども、およそ、恐らくここでは退所して6カ月ぐらいを想定して、できることというふうな捉え方を私はしたのですが、アフターケアはもうちょっと長期的というか。

 

○奥山座長 

私のほうでのリービング・ケアのイメージは、最低2526歳ぐらいまでは面倒を見ようというイメージだったのです。

 

○林構成員 

これは多分、その辺の捉え方の違いはあるかと思うのですけれども、社会的養護のお子さんに特化した部分だと思うのですが、縁組後の支援とか、あるいは家庭復帰後の支援なんかも視野に入れたアフターケアという大きなくくりがあってもいいのかなと思ったわけです。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 そう考えると、やはり一つ一つ定義が、ある程度、どう考えるかということが必要かもしれないですね。

 この辺に詳しい松本先生、いかがですか。

 

○松本座長代理 

リービング・ケアは林さんとかが、多分リービング・ケアは離れていく前後のところで言葉を使って、施設から離れる前と後というふうに使われてきたので、それで今、林さんの御質問だったと思いますので、もうちょっと広い意味での、退所後きちっと社会生活を営んでいく上でどのようなところが支援が必要かというところもきちっと組もうという御趣旨だったと思います。それはこれまでの専門委員会の議論とも重なると思うのです。

 

○奥山座長 

すみません。ここで自分の意見を言うのも変なのですけれども、リービング・ケアを離れるときだけのケアというふうに考えると、やはり再生産をとめるところにまで行き着かないのではないか。かなり長い間フォローしなければならないでしょうし、それから、それが全部、児童福祉の中でやっていく問題なのかどうかというのはいろいろ考えなければいけない問題はあると思うのですけれども、私たち、18歳の壁が今まであって、少し今、延びましたが、18歳までは児童福祉法で守られている。しかし、その先、急に何もなくなるという形があったと思うのです。

 それで、内閣府のほうでの子若の会議の議論でもいつも、18歳以降の問題というものが議論になっていたわけですけれども、やはりそこのところの充実というものも、これは児童福祉の中でやっていくのかどうかは別問題ですが、連続性ですね。継続性、連続性で、お子さんたちが大きくなって社会生活を営んでいく。中にはできるだけ多くの方々が家庭を持ち、子どもを持ちという形になっていくところの支援というものが非常に薄いのではないかなと思っています。その辺のところも、できれば議論していければなと思います。

 では、相澤先生。

 

○相澤構成員 

実際問題、今日私が出した図で、1つは2ページ目にライフサイクル支援という絵を出させていただいたのですけれども、この図は児童福祉のテキストとか、奥山座長の講演の資料などで使われていますが、そういうものも参考にしてライフサイクルの支援をイメージしたものをつくったのです。

 社会的養護の施設運営指針と里親及びファミリーホーム養育指針の総論の部分に社会的養護の理念と原理が書かれておりまして、原理の第6番目にライフサイクルを見通した支援が書かれているわけです。その中に、社会的養護には育てられる側であって、子どもが親となり、今後は子どもを育てる側になっていくという、世代をつないで繰り返されていく子育てのライフサイクルを、支援が求められているというように書かれているわけでございます。

 やはりそういう意味では、家族の構造的問題として取り組むべき、虐待などの連鎖を防ぐためには、子から親への世代をつないで繰り返されていく子育てサイクルを考慮した、家族全体を対象にした、もちろん、子ども中心ということですけれども、そういう支援システムを構築するという意味で、このリービング・ケアというところの意味の中にはライフサイクルを見通した支援ということが含まれているのだと、聞いて思いましたので、ちょっと発言させていただきました。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

加賀美でございます。

 今、相澤構成員からの話ともかぶるところになったので、今の自立の問題と、それから、リービング・ケアの話とつながる話で考えると、そもそもリービング・ケアということについて、長いこと社会的養護の分野でいろんな議論もあって、実際にやっているというところはあるのですが、実際にはほとんど出口のところでの生活訓練みたいなものはリービング・ケアみたいな議論になってきているところに、これは一つ問題があったと考えるわけです。

 本質的には、この自立支援計画なるものとも絡む話ではあると思うのですけれども、自立という言葉の裏にパラドッキシカルな意味の依存というものがあるのだという意味での自立だという議論はちゃんと明確にしておいたほうがいいような気がするのです。というのは、自立という言葉がひとり歩きして、1人、生活的な、あるいは経済的な自立ができることみたいな、そんなところへ向かって「自立支援計画」なるものが理解をされてきたという側面もあったので、これは養育支援計画あるいは養育支援というものは、名称はどうでもいいのですが、ただ、自立という言葉についての正しい理解ができていない中で自立という言葉がひとり歩きしてきたことの事実も我々はちゃんと理解しておかなければいけないということ。

 それから、そもそも論みたいな話になるのですが、今回の社会的養護から社会的養育へという流れの背景の中に、長いこと戦後の状況の中で保護を中心とした仕組みをつくってきた、児童福祉法に定める仕組みそのものを改めて、保護から養育へというテーマでさきの専門委員会は議論をしたと思います。そこで、保護から養育へという概念から考えていくときに、社会的養護から社会的養育へという言葉のイメージチェンジを図ってきたのだ。つまり、日本の全ての子どもたちの養育が危うくなっているということから、未来の子育て、日本のマクロな意味での子育てという意味で社会的養育という言葉を提起してきたと私は認識していますということを改めて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 では、まずは山縣先生。

 

○山縣構成員 

山縣です。

 いくつか、今、リービング・ケアに関して、まず1つですけれども、これは私も少し興味を持って勉強してきた領域なので若干の補足をしますと、特にイギリスの方々が主に使われるリービング・ケア法というものをつくられた背景でいうと、奥山座長の認識よりもっと狭いのです。アフターケアという言葉があって、いわゆる退所前後、日本でいうと措置解除前後の支援の弱さというところをきっちりつくろうという法律をつくられた。ただ、その後、もう既に20年たっていますから、むしろ長期的な視点で見ていこうという方向に来ていることは間違いないのです。

 初期の意味合いで日本は今から20年前ぐらいにこの言葉を導入して、実はその後、日本は余り考え方が変わっていない。だから、さっき言われたような、非常に限定的に捉えられてしまうというところの課題が恐らく出てくるのではないかなと思っています。

 もう一点、当時、日本には結局、私は紹介してみたのですが、ほとんど現場でも受け入れられなかったのがアドミッション・ケアという、アドミッションへの入り口部分のケアがやはり弱いですねという、それは結果として現場へ出ても、子どもはどんどん入ってきますから、やっているという認識になってしまって、退所部分については確かに退所後にいろんな混乱が起こるから意識をしようと努力したけれども、アドミッション部分について、もう入ってきていますから、インケアとすぐつながってしまうということを、自分たちの責任の中に全てあるから、そこの意識は若干弱かったかもしれない。

 だから、20年前の状況とかなり違うのは、今、小学校高学年、中学生という、かなり大きく、長期的に心が傷ついた中で入ってくる子どもたちが非常に増えてきている。そこに対する取り組みがやはり弱いかなと思います。にもかかわらず、一方で年齢制限がありますから、ほぼ同時にリービング・ケアを意識しながら、アドミッションとリービングが同時に起こっているみたいな、それが恐らく現場のもとだし、子どもからいうと、落ちついていいのか、出ていいのかという、ケアの中身によって、自分たちが安心できる居場所にしていいのかどうかという確認さえ今は非常にしづらい状況になっているというのが、この領域の課題ではないかなと思います。

 ほかのところもいくつかいいですか。

 

○奥山座長 

はい。

 

○山縣構成員 

座長の提案はなるほどなと思いつつ、一方でうわあっというのが正直なところで、私はいつ、この検討会からリービングできるのだろうか。まだアドミッションのあたりにいそうな気がするという、何か大変なことを背負っているのだなというのが正直なところなのですが、その中で論点を整理していただいて、どこまで、この検討会がやり切れるかは別にして、非常にいいポイントを出していただきましたので、2~3、私のコメントと言ったら非常に失礼なのですが、こういうところもどうだろうというものを、意見を言わせていただきたいと思います。

 1つは、権利条約とか国連のガイドラインをベースに今回の問題点は来ていると私は意識していますので、そうすると、社会的養護について言うと、次の資料で座長が提案されている話と、もう一つは考え方として「一時的」で「短期的」であるべきだというのが私はキーワードの一つだと思っているのです。「永続性」「継続性」はここに書いてありますけれども、もう一方で「一時的」「短期的」で「一時的」はショートステイという言葉がどこかに入って、その辺が若干当たるのかなと思うのですが、一方で「短期的」な部分について言うと家庭復帰の支援というところになると思うのですけれども、その部分が今、現場では非常に重要な課題になっている。

 今、ぱっと表面的に見ると、満期的な形の措置解除イメージのところが非常にたくさん書いてあるけれども、家庭復帰の部分についての短期的な成果を出すための支援がもう少し前面に出してもいいのかな。枠組みとしては十分入っていますけれども、そういうふうに思いました。それはとりわけ、ここ数年といいますか、私がいろんな形でかかわらせてもらったりコメントさせてもらった事例で言うと、措置解除の途中、今度の大阪の事件もそうですけれども、亡くなられたお子さんというものが何か目立つ気がするのですよ。その辺のことをしっかり意識した枠組みを持つ必要があるのではないか。自立というだけでなく、一方で早く解除しないといけないという社会的な権利条約の要求があるとするならば、そのことに対する責任をしっかり明示するような仕掛けも必要かなというのが1点です。

 もう一点は、これはそこまでやったほうがいいのかどうかという、各構成員の意見にもよると思うのですが、社会的養護、社会的養育という言葉に置きかえたときに、私の中で家庭があって、第2段階で地域社会があって、それから、保育所のようなものがあって、社会的養護のようなものがある。そういう連続性といいますか、それをイメージして、その中の家庭を除いた社会的部分というものを意識して、この言葉を使われているのかなと思って一方的に理解しているのです。

 でも結果としては、これはやはり社会的養護中心の流れになっていて、そこまで何もかもやったら大変だからというのはよくわかるのですけれども、入り口あたりにはもうちょっと書いてもいいのかな。それが保育園等の補完的養育というふうになっているのです。1つ、そういう表現をされていると思うのですが、保育園を補完的養育と位置づけるのが今の時代かどうかというのも含めて、保育園・保育所を位置づけるのは全く私は問題ないと思うのですが、その意味合いを社会的養育の中でどう位置づけるかというあたりも非常に興味深いところです。

 3点目、最後になりますけれども、これは是非ということなのですが「7.一時保護」です。これも私のずっと研究課題といいますか、課題意識の一つで、前々回でしたか、全乳協のヒアリングのところでも出てきていましたが、一時保護があって、委託一時保護があるという構造に基本的にはなっているわけです。でも乳児について言うと、一時保護というものがもともとなくて、入り口から委託一時保護であるという状況に今はなってしまっている。ここに対してどう考えていくのか。

 最初から委託一時保護しかないという状況で、しかも乳児さんという非常に入り口の重要な段階だと思うのです。ですから、それが委託一時保護で他機関に任せた状態で責任を果たしているのだろうかというところで、ここは是非積極的に私は書いたほうがいいのではないかなと思いました。

 ちょっと長くなりましたが、以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

今の時間帯の議論は、この奥山先生の全体像についての意見であって、各論はまた後からという理解でよろしいのですね。

 

○奥山座長 

はい。

 

○藤林構成員 

先ほど林先生の前半の部分、2.の3)の家庭から分離しなければならない基準というものは、これは重要なキーワードになっていくのかなと思っていたのですけれども、改めて今回の改正児童福祉法の一時保護要件を見ますと、児童の安全を迅速に確保し、適切な保護を図るためと書かれていまして、やはり基本は安全確保というものがキーワードなのですけれども、長いネグレクトケースの場合には、とりあえず安全は確保されていて、食事も十分であれば一時保護の要件を満たさないという解釈もあり得るのではないかと思うのです。

 そうはいっても、なかなか家庭環境が変わらない場合には、やはりどこかで一旦、家庭環境から離れて、それぞれがケアを受け、家族自身も支援を受けることが必要になってくるのではないかと考えるわけなのです。そうすると、その分離していく条件は、今回の児童福祉法の第1条にある、「子どもの健やかな成長・発達が図れるかどうか。もう少し長期的なスパンで見ていく基準もあるのかなと思います。つまり、そういった状態に対して真っ先に保護するのではなくて、やはり十分な在宅支援、ベストエフォート、十分な支援を行っていくのが基本にあって、それでもなおかつ改善しない場合、またはそういった支援を活用できない場合に保護・分離というものがあるのかなという考え方になっていくのかなと思っています。

 そう考えると、2ページの「4.家庭への支援」というところが、これは実は市町村のワーキンググループとかぶるかもしれませんけれども、ここをどう考えていくのかというのは非常に重要なところです。前回の検討会で、たしか障害児支援のやりとりだったと思うのですけれども、今、在宅障害児支援は非常に充実してきているわけなのです。基本は契約でできるわけなのですけれども、障害児の場合にはケアプランをつくったり、高齢者も同様なものがあるわけなのですが、要保護児童または要支援児童に対するケアプランを考えていくとか、その仕組みをやはり根本から考えていく必要があるのかな。その場合に、全てが契約でできない場合もあるわけなので、そこに通所措置、在宅措置という考え方が入っていくのかなと思っています。

 それから、6.の6)の「自立支援計画」については、いろんな議論があるわけなのですけれども、今回の児童福祉法改正で、今の山縣先生のお話にありましたように、この言葉が持っているイメージというのは長期入所で、18歳になった後も自立できていくというイメージが、結果的にはひとり歩きしている。このことを考えると、児童福祉法3条の2にあるように、やはり家庭に帰っていけるような取り組みも入所中に必要なことを考えると「自立支援計画」ではなくて家庭復帰計画も含めた、もっとトータルな名称にしていく必要があるのかなと思っています。

 人材育成のWGで、今、出されているガイドラインを見ますと、やはり「自立支援計画」という言葉が残っていて、相澤さんなんかも長年この分野には関わられていると思うのですけれども、現代にふさわしい計画名が必要かなと思っています。

 最後、前回、前々回でしたか、元社会的養護にいらっしゃった方のヒアリングを聞く中で、なかなか十分な説明とかケアがなかった。自分の意見がなかなか表明する機会がなかった、というのが非常に印象的で、それは児童相談所長としても非常に反省するべき点があるのかなと思うのです。そう考えると、入所中の子どものアドボケートの仕組みが現状のままで十分機能しているのかどうか。機能していないのであれば、アドボケートとしてどのような仕組みが重要なのかということも再度考えていく必要があるのかなということ。

 それと、子どもの意見表明権をどのように保障していくのか。措置する、されるに当たって、子どもの意見をどのように聞いていくのかが重要であり、また、乳幼児の場合には子どもの意見、自分の意見を言うことができないわけですから、乳幼児の場合には子どもの側に立ったアドボケーターを選任していくことも必要なのかなと思っていまして、そういった部分がこの骨子の中に含まれていくほうがいいのかなと思いました。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 今、藤林先生のほうから御意見を伺っていて、私が1つ説明が足りなかったかなと思うのは「4.家庭への支援」の中の1)で、在宅支援サービスのあり方、要支援・要保護の、家庭の、これは子どもも入れたほうがいいと思うのですけれども、子ども家庭のニーズに応じた支援というところです。今、どういう支援をつくろうというのはあるのですけれども、どういう子どもにどういう支援をというのが余りないような気がします。

 要介護みたいに、要支援1、要支援2とつくるのか、つくらないのかは別なのですが、こういうお子さんがいたらこういうレベルの支援という、支援の中身というより、ある程度、レベルの支援ということが少しわかるようなものがあるといいのかなというところで少し挙げさせていただいております。

 林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

今の藤林構成員と、先の山縣構成員からのコメントと、それから、今の奥山座長が言われたこと、3人の方に関連した御提案として、アドミッション・ケアというあたりの不十分さを認識して、子どもの積み重ねられる喪失感に対する配慮とか、あるいは子ども自身の意向が十分に反映されていないとか、支援計画の作成過程を含めて、入り口段階でのパーソナル・アドボケートの配置の必要性というものはヒアリングのユースの中から出ていたことだと思います。そういう中でアメリカのカーサとか、あるいはイギリスのインディペンデント・アドボケートとか、そういう海外の状況を踏まえながら、本来的には児童相談所の児童福祉司がそのアドボケート的な役割をとるところなのでしょうけれども、そういうものを市民参加型のものを含めて考えていくというアドミッション・ケアというものを1つ立てて、パーソナル・アドボケートというものの検討ができないかということが1つ。

 それから、どういう子どもにどういうサービスが必要かという分散化した、断片的というか、そういうものではなくて、恐らく子ども版包括支援センターみたいな、要するに危機的な、私が申し上げた子ども支援の必要性があるというのは、今、ここにニーズがあるということに即応的に対応できるという、そうした家庭支援プラス子ども支援、包括支援センターみたいなものが、例えば今ある大阪市のファミリーホームがそういう役割を担っていたりという先駆的な実践があるわけで、そういうものを含めて、子どもを中心とした包括支援センター的な役割を、既存の施設を含めて考えていく視点を持てないかという御提案です。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

先ほどの藤林構成員のお話を聞いていて、私、誤解していたと思ったのです。それは2.の3)で、家庭から分離しなければならないときに、私のイメージは措置なのです。藤林構成員が言われたのは一時保護だったのです。そういう意味では、これは2つ基準が要るのかなという、一時保護という意味の、これも当然、分離では間違いなくあるわけで、でも、そこでは長期分離がまだわからない。安全の確保が法律にも児童相談所運営指針にも書いてある。第1がそれだというのははっきり書いてあるのですが、もう一つの目的はアセスメントなのです。

 だから、安全が確保されていても、親の日常の支配から離れた状態で観察、情報収集したほうがより子どもの様子がよくわかる。そういう意味合いでも一時保護では当然やられているはずなので、分離した状態でアセスメントが必要である状況の分離基準と措置という、少なくとも完全に切り離すときの基準はきっと違うのだろうなと思って、これはひょっとしたら2つに分けて、この基準を考える必要があるのかなというのをちょっと反省しました。

 

○奥山座長 

すみません。余り深く考えずに書いてしまったので、家庭から分離しなければならない基準というのは良くないと思いました。この括弧を外そうかなとさっきから思っていたのですけれども、というのは、家庭養育への支援をしていて、そこにかなり強い介入をしなければならない。子どもを一時的に引き上げたり、あるいはもう少し長く、本当に社会的養護にという、強い介入をしなければならないというのはどういうことなのかなというところがはっきりしたほうがいいのかなと思いました。

 ただ、これは議論になってしまうところだとは思うのですけれども、安全確保といったときに、やはり今は命の安全だけを考えているのではないか。その後の精神発達の危険というところを考えたらば、実はこの時期に一時的にでも親から離さなければいけないという時期もあるはずなので、心身の安全とは一体、何なのだということから考えなければいけないのかなというふうに皆さんの御意見を伺っていて思いました。

 ほかにございますか。

 上鹿渡先生、どうぞ。

 

○上鹿渡構成員 

ありがとうございます。

 先ほど、この説明を奥山先生がしてくださって、本当にたくさん検討しなければならないことがあるとのお話で、私もそう思います。。

 ただ、これは期限のある検討会ということで、その後に及ぼす影響や、新たな社会的養育を構築する現場の方々実際にそれを具現化していくことに十分留意して進める必要があると思います。 その影響を考えると、先ほどの6の4)里親名称変更の提言や、全乳協のヒアリングで提言された乳児院の名称変更(乳幼児総合支援センター(仮称))、さらに先ほど加賀美先生がおっしゃってくださった「新たな社会的養育」という言葉、この言葉が使われるようになっていろいろなところでその議論がなされるようになってきていると思うのですが、このような名称やことばを整理していくことはとても重要だと思います。

 その言葉一つに込められたいろいろんな思いとか新しい考え方といったものが様々な影響を及ぼしていくのではないかと思います。名称変更につきましては、実際にこの検討会で議論するところまで行くかわからないですが、もう少し突っ込んで、こういった言葉の検討をする必要もあると思います。

 それと、検討会が終わった後に、本当に新しいものに変わっていけるかどうかについては、このような考え方のほかに、実際、お金のことがかかわってくると思います。これも全乳協のヒアリングの中で暫定定員の制度見直しについてや、新しいシステムの中でショートステイを活用する場合、市町村からどういった形で安定的に受けるかなど、経済面の課題について言われていました。

 また、これも新たな社会的養育を構築する上でとても重要と思われる里親支援事業を担っていくと考えられるキーアセットからのヒアリングの中でも、事業費について、成果ベースにしてほしいという意見をいただきました。このような考えは現在の児童福祉の中ではなかなか取り入れにくいものだと思いますが、新しくきちんとしたシステムをつくっていく上ではこういうものが必要だという意見をいただいたのだと思います。

 さらに、成果を追求するに見合う事業費をしっかりとつけてもらいたいということで、改正児童福祉法が示している理念を実現しようと思ったら、このようなお金が必要だということが具体的にあると思います。そのような議論まで踏み込めないとおそらく、その後に続いていかないのかと思いますので、そのあたりをしっかり議論できたらと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 先ほどのパーソナル・アドボケーターに関しても、そういう部分もきちんと担保されなければ何もならないので、どういう養育が必要なのかという中にかなりそういう経済的な部分といいますか、入ってくると思いますので、確かにおっしゃるとおり、決して理念だけで突き進まないほうがいいのかなと思いました。

 ほかに。

 相澤先生、どうぞ。

 

○相澤構成員 

先ほど社会的養育の意味を聞いたということでしたけれども、私はどうしても養育というと養い育てるという意味で、主体はやはり保護者というか、養育者という感じで、育てという印象を受けてしまいまして、自分がお配りしたペーパーに「養育環境づくりから生育(成育)環境づくりへ」というふうに書いたのですけれども、やはり生育というと生み育てることと生まれ育つことという意味で、子どもの能動的権利が含まれているということで、そういう意味では養育という言葉よりも生育という言葉のほうがいいと個人的は思うわけです。

 この養育という定義をする上で、やはり養育環境のみならず生育環境まできちっと、項目からすると胎児期からのそういうものも含まれていますので、そういうこともきちっと含まれているのだということを定義していただいて議論をしていくほうが私は望ましいのではないかと思いました。

 私の意見です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 今、上鹿渡先生がおっしゃっていた、言葉に込められた思いみたいなところの御発言と思いますが、ほかに。

 今、いろいろ御意見をいただいたのですけれども、また御意見にあれしてつくり直しますが、これは大まかな、こんなところに向かうという。

 どうぞ。

 

○加賀美構成員 

先ほど新たな社会的養育と言いつつ、ポピュレーションアプローチと言いつつ、実はこの枠組みが社会的養護ではないかという山縣先生の御発言がずっと気になっているのです。確かにそういう見方をすればそうなのですが、違うところは子どもの養育ということに、全体として社会的養護の分野のあり方についても養育という観点から見直そうということがかなり明確に表現されているという点は考えなければいけないと考えます。

 それから、先ほどの保育園等の補完的養育についての養育の質の基準に関する提言で、これはどういうふうに考えるかですが、0~6歳という時期の子どもたちの保育・養育というところは、実は一般子育て群という言い方があるかどうかはわかりませんが、全ての子ども家庭という観点から言うと、今、そこにかかわる子どもたちが我が国は圧倒的な数を占めている現実を考えたときに、ここは一つのポピュレーションアプローチとしての重要なツールだと思っているのです。だから、ここはもうちょっと明確に我々としてはまとめていかなければいけないのではないかと考えます。

 そのときに、先ほど補完的養育という言葉が山縣先生からひっかかるというお話もあったのですが、あるいはこれは協働的養育というニュアンスで、補完的というと何か保護的な意味合いが強くあるので、むしろ言葉としては家庭と協働していく養育というイメージで捉えていったほうがいいかなと思ったところです。

 以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 山縣先生、いかがでしょうか。

 

○山縣構成員 

もとの補完よりはずっといいと思います。

 

○奥山座長 

私、たしか何かの英語をぼんと訳してしまったと記憶していますので、修正いたします。よろしいでしょうか。ひとまず、これを置いて、まだまだ御意見はあると思うのですけれども、こんなことをいっぱいやらなければならないのだというのを提示させていただいて。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

中身ではなくて、2時間ぐらいの会議だったら何となく議事を見たら日程感がわかるのですが、今日は16時までで、この時間の流れが、大体、我々はどの辺までしゃべっていいのか。

 

○奥山座長 

実は、これまでヒアリングがかなり多くて、議論が非常に短かったということがありますので、議論を深めるために時間を多くとったということと、遠くから忙しい先生方が来ていただいておりますものですから、余りばらばらやるよりは一気にやったほうがいいのではないかということで時間を長くとらせていただいております。

 今日の目的としては、1つはこの前、早くやらなければいけないと言っていた3条の2の解釈というところ。それから、包括的な里親支援事業に関しても少し御議論いただいた上で、最終的にはこれをどういう形でガイドライン等をつくっていくかという形が必要になるのではないかと思いますので、その辺の御議論をいただければと思っております。

 あとは、この全体像を見ていただき、ガイドラインが必要なところ、ここは提言として皆で議論して部分などがピックアップできればいいと思っていることと、それから、今日相澤先生からも資料を御提出いただいているのですけれども、理念的なところを余り話す余裕が今までなかったものですから、きっとたまっておられる先生も多くおられるのではないかというところで、少し理念的なところも皆さんからお話しいただければと思っております。

 よろしいでしょうか。

 

○山縣構成員 

はい。了解しました。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○松本座長代理 

中身に入る前に、この成果として必要な事項(案)というもので、これは奥山先生のほうでもう一度整理されて、また出されるということでよろしいのでしょうか。やはり全体の議論のフレームワークなので、ここがどうなっているかがすごく大きいと思うのです。

 その際になのですけれども、1つ、やはり子どものアドボケートということを何人かが出されて、どういう制度をつくるにしても、それは全体の軸の一つだと思います。なので、これは1つ大きな項目として立てて議論をする。それで、具体的な制度設計ということもどういうことがあり得るのかも含めて議論するのはすべきかなと思ったことが1つ。

 もう一つは、退所後の支援ということも含めて在宅の支援。単に子どもさんが大きくなって自立するということを念頭ではなくて、在宅の支援ということも含めて考えると、この「4.家庭への支援」をもうちょっと、例えば家庭復帰した後の在宅支援というところでもう少し強い、在宅措置のようなことも含めて議論するのだというふうに私は理解したのですけれども、そのあたりはもうちょっと全体としても強調していただけると、市町村ワーキングのほうでも、そことの関係で市町村としてどういう仕事が、制度的枠組みが必要かという議論ができると思いますので、そこも全体を組みかえていくときに念頭に置いていただければと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 私がやるのですねと言われてしまったので、仕方ないのかなと思いつつ、誰かやってくれないかなと内心では思ったのですけれども。

 

○松本座長代理 

御相談しながら。

 

○奥山座長 

松本先生にもお手伝いいただきながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では続きまして、時間的に少しその中に入っていただいてしまったので、相澤先生のほうから資料をお出しいただいているので、そこの御説明をまずしていただいてよろしいですか。

 

○相澤構成員 

私は先ほどのライフサイクル支援で、今回は特に生育環境づくりというものを、生育ということを先ほど話したわけでございますけれども、とりあえず胎児期の、妊娠期の問題について少し自分の考えを述べさせてもらおうかなと思ったわけです。

 条文でも、3ページですけれども、権利条約の中でも「児童は、身体的及び精神的未熟であるため、その出生の前後において、適応な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、とあり、今回の法改正で「児童が良好な環境で生まれ」と規定され、良好な環境ということについて、我々はきちっと考えていかなければいけないのかなと思ったわけです。

 市町村の役割とか都道府県の役割においても、児童及び妊産婦の福祉ということが規定されておりまして、妊産婦の福祉、胎児期の子どもの福祉の充実・強化については検討すべき重要な課題だろうということで、そこで考えた発生予防という観点からポピュレーションアプローチとして、4ページでございますけれども、身体的健康の側面を中心になっている母子健康手帳の内容にメンタルヘルスとか生育環境についての中身を加味して、アセスメントして、支援が必要な家庭には支援を行えるようにするということも考えられるのではないか。

 また、こういう手帳の内容をデータベース化することによって子育て支援のあり方などに対する有意義な検討が可能になるだろう。将来的には母子だけを対象にするのではなくて、養育者である父親を含めた父子、、あるいは家族全体のヘルスチェックができて、必要な支援ができるように母子保健法を改正して、子ども家庭保健法(仮称)といった法律を制定していく必要があるのではないか。やはり新しい時代に対応した福祉提供ビジョンを考えると、包括的なことを考えるのであれば、保健もやはり包括的なものになっていくのではないかと考えたわけでございます。

 次に、早期発見・対応という観点から、ハイリスクアプローチとしての特定妊婦に対する支援策の充実強化ということで、ここ10年間ぐらいに、本当に皆様の努力によって子育て世代包括支援センターの創設など、妊産婦に対する支援策は手厚くなっていると思うのです。そのことについては本当に感謝を申し上げたいと思います。

 ここまで来ましたので、やはり次の困難な課題にも取り組むことができるようになったかなと私としては思いまして、社会的養護にずっと多年にわたって携わってきた者からすると、今ある施策では把握できないような、思いがけない妊娠をしてしまった方から産まれたお子さんが社会的養護のもとで生活するということになるケースは少なくないなと考えているわけでございます。

 死亡事例検証の結果からも、特定妊婦などの虐待のリスクなどについては指摘されているところで、このようなハイリスクなケースに対してソーシャルワークによる十分なケアが必要ですけれども、妊娠の届け出がない妊婦は把握と支援が困難であり、できるだけ相談や支援につなげるための施策が必要であり、私としては次のような施策について検討できないかと考えてみたわけです。

 それは、例えば市町村やその相談機関、今、検討されておりますけれども、児童相談所は「24時間365日相談援助体制」という体制をとっておりますが、市町村分野、例えば子育て世代包括支援センターなどにおいても、そういう相談体制を整備して、保健と福祉の専門家による、同行支援などによるソーシャルワークの実施ができないか。

 情報保護されたメールなどによる妊娠SOS相談。このような相談は今、全国で展開されつつあるわけでございますけれども、こういうものに対する広報啓発をして、思いがけない妊娠をした方からの相談を受け付けられるような、しやすい状況をつくっていく。

 子育て支援事業で、例えば乳児家庭全戸訪問事業などについては妊婦や胎児まで拡充できないか。3歳児健診、1歳児・6歳児健診、そして新生児健診というところまで来ましたので、次は妊婦への全戸訪問かなということを考えたわけです。

 それから、経済的理由での未受診者などに対しては、やはり妊娠検査健診助成事業みたいなものをきちっとつくって、なかなか医療機関にかかれず届け出ができないような貧困な妊婦の方への助成をすべきではないかと考えたということです。

 最後に保護・支援という観点から、妊娠期から自立まで切れ目ない、親子が可能な限り一緒に生活できる生育環境づくりということで、短期的対策ということで、助産機能と母子生活支援機能のある社会的養護の体制づくりということを考えていました。

 若年妊娠した特定妊婦である児童が出産した場合で、家庭で生活することが困難である場合には、家庭と同様の生育環境として、例えば里親の職業化。今も、里親制度でもできないことはないわけですけれども、助産師などの活用などによって、里親及びファミリーホームで特定妊婦である児童の委託を受けて、出産を支援するとともに、産まれてきた乳児についても委託を受けて、児童である母親とその子どもが一緒に生活しながら母子の成長・発達や自立支援を行うことができる新たな体制整備はできないのか。

 これによって母子が一緒に生活することができるようになりますし、母親が職場適応や社会的自立をした後に母子が地域で一緒に生活できる環境を整えることができるという、スモールステップによる支援が可能になると思ったわけです。

 また、家庭的な生育環境の整備としては、妊産婦も対象にした地域小規模母子ホームなどを創設。または産前産後ホームというものが今、検討されておりますけれども、産前産後だけではなくて、私としては先ほど言ったように、母子の自立まで、母親の自立まで預かっていくことのほうがいいのかなと思いまして、あるいは母子生活支援施設の機能強化をして、母親の出産・育児支援や自立支援を行うとともに、子どもの成長・発達及び自立支援を行うことのできる新たな体制整備ができないかなということで考えてみましたので、ここに御提案させていただいていたところでございます。

 以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 御質問はありますでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

まさしく各論の産前産後のケアのあり方について提案があったわけなのですけれども、私も全く同意見で、特定妊婦さんが出産した後、非常に難しい場合には、完全に分離してしまうしか方法がない、というのも前から矛盾を持っていたわけなのです。先ほど言いましたように、なるだけ在宅支援で親子分離をしない、十分なベストエフォートを尽くした上で、難しい場合には分離という考え方からいけば、出産後、親子が一緒にケアを受けるという環境をつくっていくのが当たり前ではないかなと思います。それは、子どものケアと親にペアレンティングを教えていく、また、ある意味で子どもの安全を確保することもあると思いますし、親子関係、また、親の養育機能をアセスメントする機能もあるのかなと思います。

 そういった場合に、その器として、イギリスのように里親制度を使う方法もあるかもしれませんし、母子生活支援施設のより小規模な母子ホームでやっていく方法もあれば、NPO、乳児院を使っていく方法もあって、いろんな器があり得るのではないかなと思っています。

 もう一つ、重要と思うのは、これを契約制度にするのか、措置制度にするのかというのもあるのではないかと思うのです。今、母子生活支援施設は契約制度になってしまったわけなのですが、この部分は契約制度と措置制度と両立かなという気がしています。なかなかこういうサービスを受けることに対して、同意が十分できない、また、不安定な場合には措置制度として児童相談所が措置を行い、このような母子ケアを行っていくことも重要かなと思います。

 もう一言、言いますと、母だけではなくて、やはり親子ケアかなと思うので、場合によれば父子でもいいし、両親と子どもというものもあるのかなと思います。

 もう一つ、このような産後の親子ケアを行っても、なおかつその後、自立した生活ができない場合も多分あるので、そうした場合にはより長期的な、母子ホームというか、親子ホームがあることによって分離も防げるのではないかなと思います。

 そんな精神的なハンディを持っている方を今の既存の母子生活支援施設ではなかなか難しいのではないかと思っていまして、そうなれば、相澤さんが提案するような地域小規模母子ホーム、産前産後とまた別の、より中長期的な母子ホームというものも考えていっていいのではないかなと思います。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 伊達先生、どうぞ。

 

○伊達構成員 

奥山座長の図は大変そのとおりだろうなと思うのですけれども、結局、理念的なところから全体の像をまとめる作業は必要だろうと思うのですが、私は立場的に、やはり理念的なことよりも現実の問題が非常に気にかかっていまして、私の言い方をすれば、介入後に始まる一連の流れが何でこんなに行き詰まってしまうのかなということをどういうふうに抜け出すことができるかを考えないと理念的な像に行けないのではないかなという思いがとてもします。

 そして、その一番大きな問題というのは、今、社会的養護の中で起こりつつある問題として、年齢が高い子どもたちの行き場所がなくなっている。それから、年齢の高い子どもを里親さん施設で抱え切れなくなっているという混乱が起こっているように思います。その問題をどうするのかというのはやはり緊急に考えて、このことに対して手を打たなければいけないのではないかと思います。

 そういうことから考えると、介入後の一連の流れということの中で、パーマネンシー保障をどうやっていったらいいかということを考えるわけですけれども、このパーマネンシー保障の段階として、今、我々にできるのは、予防的な意味でのパーマネンシー保障というよりも、むしろ現実に出会っている子どもをつなぎとめ続けていくという形の役割としてのパーマネンシーというのがあるのではないかと思っているのです。

 このところをどう強化してやっていくことができるかを考えると、子どもたちの生活の場所のあり方の問題というのは非常に大きいわけですけれども、そのことと同時に、その子どもたちの見えないプロセスを一緒に歩んでくれるソーシャルワーカーの要素といいますか、これを恐らくゲートキーパーというのだろうと思うのですけれども、この人たちがいて、その次のステップをどうしてやっていったらいいか。その都度、考えていくような仕組みのあり方をつくっていく必要があるのではないかなという気がしていますので、そこら辺の検討をしていただければありがたいなと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。非常に現実のところからのソーシャルワークに関する御意見だったと思うのです。それも何とかどこかに「継続性」「永続性」を考えたソーシャルワークという中に少し組み込んでいければなと思いました。

 ちょっとどうしようかなと思っているのが、相澤先生からの養育環境づくりから生育環境づくりで、養育から生育ということは確かに大切なのですが、、「養育」とは基本的に適切な生育環境を提供することなのだということを明記して、ここで言う「養育支援」というのは親をどうするかということだけではなくて、子どもを中心とした生育環境をきちんと社会的な養育として提供できるかどうかということを考えることが大切であり、何か取りまとめるときには意識しながら取りまとめていくという、つまり、常に子どもの生育環境という視点で考えていくのだということを明確にしていくことが必要だと考えます。 ほかにいかがでしょうか。ほかの御意見はありますでしょうか。

 

○林構成員 

相澤先生が言われているのは、子どもが生育する環境を養育環境により保障するということを言われているのですね。だから、養育が即、生育には結びつくわけではない。その一定の質の担保が養育に保障されなかったら、子どもの主体的な生育環境も保障されないという、その基準の一定の担保が必要だと理解したのです。

 

○奥山座長

養育と生育は相対するものではなくて、適切に生育できていく環境を常に念頭に置きながら私たちが社会的養育を考えていくのだということを明確にしていくということかなと思ったのですけれども、いかがですか。○西澤構成員 参考になるかもしれないのですが、日本語にはもともと養育という言葉はなくて、子育てという言葉は江戸期にはないです。子育ちはあります。それは要するに、環境を整備することで子どもは親がなくても育った。そういう理念の反映です。

 養育というのは、積極的に子どもにかかわるというキリスト教文化圏のスタイルが入ってきて、そこで子育てという新たな概念が明治期に生まれていくのです。なので、それが生育と養育という言葉だと思うのですが、今日は環境整備すれば子どもが健康的に育つはずがないので、別にそれは養育という概念の中に両方込めていいと思います。だから、一方的に養育というのは親のことでしょうということではないと思います。

 

○奥山座長 

ということで、皆さん、思っていることはそれほど違わないと思うので、「養育」に関して、私たちは子どもの生育環境ということを非常に重視して考えているのだということをどこかで述べていく形にしていければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

相澤構成員の整理でまた啓発されたのですけれども、特に最後にある地域小規模母子ホームを制度的につくるという話で、今、現実には産後ケアセンターという言い方で、全国で恐らく140150は少なくとも公然とそれを名乗っておられるのではないか。そこに名乗っていない人たちも含めると、もっとありそうな気がして、それは今、病院とか助産院の完全な民間活動としてやっておられるのですけれども、それを制度化するという、それはなかなかおもしろいなと思って、ただ、今、使われているのは社会的養護として使われているわけではなくて、恐らく入院期間が短い話とか、家庭に帰っても母中心でやるのが難しい状況という、人の部分の状況で利用しておられる方が多いはずなのです。

 というのは、お金が結構高いですから、経済的に低所得者は基本的に余り利用できないというふうになっていると思うので、違いますか。

 

○奥山座長 

場所によって、補助が出ているところは非常に安く入れるのです。

 

○山縣構成員 

ですから、そういうふうに補助をしっかり出すような、国レベルで制度化したらどうかというアイデアに私は非常に共感をしたということです。

 これも私、15年前ぐらいでしたか。韓国で産後調理院というものを少し勉強しに行ったことがあって、日本では導入できないだろうと思っていたのですけれども、こんな形で展開しているのは非常におもしろかったです。韓国のほうはいろんな規制もあって厳しそうですけれども、実は日本の利用者が意外といる。日本からそちらに利用に行く人たちが意外といるという話もびっくりして聞いていたことがあります。

 もう一点、これはもともと、私もどうしたらいいのかなと考えあぐねていたのが、助産師さんとかお医者さんとか、医療関係者が立ち会わない出産、いわゆる一般に自宅出産と呼んでいるものですけれども、これが2,0003,000人いる。たしか0.2%ぐらい、厚労省の統計に出ていましたから、100万人をベースに考えたら2,000人で、その中でいろんな形で、自宅出産するということは社会的につながりを持ちにくい状況にある人たちのはずですから、そういうところの支援がどうすればできるのかなというのが相澤構成員の言われた部分です。

 必要だというのははっきりわかるのだけれども、では、そこにどうやればたどり着けるのかというところのアイデアを我々が出せるかどうかです。その辺もちょっと気になって聞いていました。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 1つ、相澤先生に確認したいのですけれども、ここで言う産前産後ホーム、地域小規模母子ホームと書かれているものに関してです。いわゆる産後ケアセンターはポピュレーションというか、どちらかというと実家に普通戻って産んでいったような、休むところがない方々が中心なのかもしれないのですけれども、そこでケアを受けたい方が自分から入るところですね。そうではなくて、恐らく相澤先生がおっしゃっておられるのは、どちらかというと特定妊婦さんとか社会的養護に近い形なので、藤林先生のほうが措置なのか、契約なのかという話になる対象なのかなと思っているのですけれども、いわゆる産後ケアセンターとは違う概念かなと。

 

○山縣構成員 

だから、そういう施設を社会的養護の一環としてつくるという発想に共感したという意味です。

 

○奥山座長 

わかりました。ありがとうございます。

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員 

今、山縣先生のほうから質問がありました、私どものところでは自然派と呼ばれるのですけれども、そういう方たちの場合も、その地域にそういう方たちがおられるのは、自治委員の方とか、それから、市町村の保健師さんは御存じなのです。以前はその方たちを病院に結びつけなければいけない、予防接種をさせなければいけない、チェックをしなければいけない。そんな対応をしていたときは全くうまくいかなかったのですけれども、私たちがなぜ、彼ら・彼女たちがそういう考え方でやっていくのかというお話を一回お聞きして、その方たちとのいい関係が一度できると、その辺、私どものところに、何かコロニーみたいになっていて、都市部からどんどん入ってこられるのですけれども、そういう方たち同士の連携はまたすごく強いものがあって、あっという間にそのエリアが落ちついてきた状態があるわけです。

 実際にそこで自宅出産されていて、途中で分娩がとまってしまいまして、困ったときに保健師さんにちゃんと電話をかけてきたのです。ですから、その辺の連携をつくっておいて、その地域の基幹病院の産婦人科のほうがほとんどそういう方たちのケアをするようになっておりますので、そことの連携も一緒にやるという形にすると、とりあえず、その方たちをまず知ることができるし、それから救うときの、いざとなったときのケアができる。そういうふうに考えております。

 あと、ついでに、若年妊婦さんと精神のところもそうなのですけれども、その辺もなかなか見つからないということで話題になって、私たちのところでもあったのですが、まず私立の高校の養護教諭の先生方と市町村の保健師さんたちが一緒に会合をするようになりまして、以前は高校で妊娠されるとそのまま退学という形になっていて終わりになっていた。それで、今回の第12次の報告でもありましたように、家庭の、その子のお母さん、おじいちゃんたちがかなりケアをしていても、どこにどう相談していいかわからないまま出産に至ってそうなっているという報告があったのですが、全くそのとおりで、そういう方たちの場合、おじいちゃん、おばあちゃんたちが妊娠している娘に対して妊娠の話を持ち出せないで、わかっているのですけれども、持ち出せないで事故になっているのが非常に多いというのがわかりました。

 その辺のところも今、一緒にケアをするようになりました結果、退学にはなるのですが、その時点で養護教諭の先生たちが市町村の保健師さん、保健所の保健師さんのほうに連絡があって、そこから、おじいちゃん、おばあちゃんたちの困りを聞いた上で、どのように娘さんと接したらいいのかというところから入っていくことによって、90%以上の方たちがはっきりわかる状況になっています。ですから、やり方でいろんなことができるのではないかなと思います。

 すみません。以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 塩田先生、どうぞ。

 

○塩田構成員 

相澤先生に質問なのですけれども、この地域小規模母子ホームは、例えば社会的養護の子どもたちや、施設の子どもたちが退所後に望まぬ妊娠をして、中絶もかなわなくて、出産しなくてはいけないときに、私は新宿の慈愛寮さんを紹介して、そことつながるということはあるのですけれども、そこをもう少し長期で利用できて、支援を厚くした感じのイメージなのでしょうか。

 

○相澤構成員 

そうです。そういうイメージを持っています。

 

○塩田構成員 

ありがとうございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員 

それに重なるのですけれども、女性のシェルターのほうで出産もやってくれるところは結構ありますね。そういう今の女性のほうの支援の枠でどんなことが実際にやられているのかということをちゃんと整理して、そこからここにつないでいくみたいな、そんな発想がまず現実、我々は子どものことはやっているので、なかなか女性支援のほうの知識とか現状がわかっていないので、その辺のことが知れればと思ったのが1点です。

 それから、さっきのいわゆる3,000出産で、これは多分、日本産婦人科学会も同じようなデータを出していて、3,000出産ぐらいが自宅分娩であろうということで、これに対して、どう対応するのかというのはとても重要な課題だというのはお互い認識としては一致していると思うのです。

 それで、さっき井上先生が言われた前者の部分というのは、どちらかというと価値観の問題で、要は自然に分娩する。分娩の医療化に対して反対する勢力ですね。そういう人たちとまたちょっと違う層で、後者で言われた、そこは私も市町村のスーパーバイザーをやっていて、そこのアンテナを市町村の相談員等がかなり張るようになってくると、妊娠だけで結構つかまえることができるような気はします。

 全てをつかまえることはできないのですけれども、そこから特定妊婦へとかがかつてよりも増えているなというのが実感ですので、やはりそういった市町村のアンテナをどうやって、それが専門性の強化なのだと思うのですけれども、その部分と学校との連携というのは結構重要かなとは思います。

 もちろん、100%は拾えないですけれども、そういうことでした。

 

○奥山座長 

そういうピックアップできないところに関して、いろんなメニューがあったほうがいいと思うのです。

 山縣先生は、こうのとりのゆりかごにかなりかかわっておられて、妊娠等への支援という立場から結構拾っておられると思うのですが、その辺で何か御意見はありますでしょうか。

 

○山縣構成員 

ゆりかごの本体といいますか、預けられたお子さんよりも、むしろ今、慈恵病院さん本体がやっておられる相談活動。こちらのほうが今、座長が言われたところの機能を相当果たしている。しかも全国規模の利用者で、かなり有効な活動にはなっていると思うのですが、限界なのですよ。1カ所でそれをやるということが非常に非現実的で、病院様の負担になっておられますし、そういうものを少なくとも都道府県レベルで支援できる仕組みをつくっていかないと、きめ細かな対応はできないだろう。

 今、慈恵病院さんでも、例えば札幌で今、緊急状況にある。もう出産直前ですと、破水しましたという連絡が入ったときに、当然、こちらに来てくださいというわけには、あり得ないわけですよ。そうすると、札幌のネットワークの中で必死になって探して受け入れてくださる。未受診で、全く妊婦さんも子どもの様子も全くわからない状況で出産を引き受けてくれる病院を探すだけで相当苦労しておられるのです。正直、なかなか医療機関としてもそういう状況の親子を積極的に出産にどうぞというのは、現状の中でいかないだろう。

 そういう仕掛けを、私はやはり都道府県単位ぐらいでつくる必要があるというのがこうのとりのゆりかごが示している社会的な提案の一つではないかなという感じで受けとめています。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 あと、匿名出産とか、その辺に関しては。

 

○山縣構成員 

こちらについては、まさに子どもの権利条約との関係で、賛成、反対が分かれたままでひたすら進んでいる状況なのですが、事実上、ベッドがある限りにおいて、利用されるお子さんが年間平均10前後、10年間で大体120130ですから、年間で10前後という感じになります。

 その中で、病院さんとしては匿名を前提にしておられますけれども、入り口段階では匿名の方も結構いらっしゃるのですが、当然、児童相談所につながった時点で匿名ではあり得ない。保護者の社会調査をしないといけないという形の中で、6割から7割は見つかる状況になっています。

 

○奥山座長 

それは預け入れのほうですね。

 

○山縣構成員 

そうです。

 

○奥山座長 

そちらではなくて、匿名出産制度を紹介されておられるかなと思うのです。

 

○山縣構成員 

慈恵病院さんは、匿名出産までは積極的には言っておられないのですけれども、今、ゆりかごのところの検証委員会で課題になっていることの一つは、こうのとりのゆりかごがつくられたベースのドイツが子どもの権利委員会等からの指摘も踏まえて、ドイツとしては新しいゆりかごは認めないという決断を国の方針として決定された。

 では、そういう状況なのはどう支援するのだというので、内密出産という形の非常に限られた範囲においてのみ名前を明らかにして、子どもが大きくなると子どもも知る権利があるのだけれども、そのプロセスにおいては内密性を非常に保って、しかも安全性もある程度確保しながら、それで全てうまくいくとは思っていませんが、今までよりは一歩進歩したもので、我々の検証委員会のほうも、日本においても内密出産という考え方ができるのではないかということを考えているということです。

 

○奥山座長 

お聞きした理由は、やはりピックアップがなかなか難しい方々なので、そういういろんな制度があることによって支援を受けに来る可能性があるかなと思って、少し御発言をお願いしました。ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

今、内密出産のことが出ましたが、我々も養子縁組の国際調査をしたときに、そこでは秘匿出産という訳し方をしていたと思うのですけれども、要は匿名出産と秘匿出産の違いというのは、要するに匿名出産というのはそもそも個人情報、あらゆるものを把握しないということが前提だと思うのです。秘匿出産というのは、やはり子どもの出自の知る権利との両立を考えたときに出てきた一つのあり方だったと思います。

 そのことは関係ないのですけれども、相澤構成員が書かれている、特定妊婦が児童期だった場合の里親の委託という、妊婦措置という、これも里親に関する国際調査の中で、私自身もフランスに行く機会があって、そこを、フランスなんかはやはりそういったことをしているのです。ただ、やはり8割方の児童が行方不明になってしまう。そこで赤ちゃんだけが残された場合は別の里親さんに委託される。

 つまり、特定妊婦を児童と対象として措置しているのであってというところで、連続性が失われるということを言われていたのですけれども、要するに、そこに適応する特定妊婦ももちろん2割ぐらいはいるわけです。それで、里親にするのか、あるいは地域小規模ホームのようなものを考えるのか、それとも、それ以外の選択肢を考えるかという、いろんな場が、バラエティーに富んだ場が必要だと思うのです。そういうことを考えたときに、先ほど伊達構成員が、ある程度の年齢の行った子どもの場がないのだということを言われたのですけれども、ヒアリングの中でも中村さんとかが、やはり住宅施策の貧困性ということを言われていたと思うのです。つまり、住機能と支援機能をちょっと分けて考えることも必要と思うのです。

 やはり住宅というところは生活基盤として必要である。妊婦によって束縛感みたいなものを非常に嫌う人もおれば、そういうところに居心地のよさを感じる人もいるわけで、まず住宅機能をきちっと確保するということの前提の上で、やはり貸し部屋状態のような形から、非常にきめの細かい丸抱え型の支援までを含めて、住というところを保証しつつ、その支援機能をグラデーションを持って考えるような施策づくりが必要なのかなとか、あるいは養子縁組の調査をしたときに、やはり妊娠相談機能というものを民間の養子縁組のあっせん機関が丸抱えで担っておられる実態もあって、でも、こうのとりのゆりかごみたいにそういう縁組に関しては別の機関に委ねられる連携の仕方でもって中立的な意思決定を支えることをされているということで言えば、養子縁組と妊娠相談を必ずしも連続性で捉えないで、そうした中立的な意思決定を支えるような妊娠相談機関とあっせん機関との連携とかを含めて考えることも一つかなと思いました。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 ほかに、このあたりの議論で何か言っておきたいとか、こう考えるとかというのはありますでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

せっかくの流れなので、伊達構成員が言われた高齢児童の問題について少しコメントしたいと思うのです。

 実際、施設で、そして、里親で不調になった、10代後半の子どもの措置先というのはなかなかなくて、結局、最後の受け皿は一時保護所になってしまうところがあります。、一時保護所に長くいながら、どこにも持っていき場がないということがあって、最終的には自立援助ホームに行ってもうまくいかない。里親さん、ファミリーホームはもうないとか、児童養護施設の小規模ホームもどこにもないという現状の中で、最後の受け皿は生活保護、単身生活保護なのです。

 こうなると何のケアもないわけなので、この子はどう考えても生活が成り立たないと思うわけなのです。そう考えると、先ほどの林先生のお話にあるように、単なる住居を確保するだけでなくて、そこには何らかの訪問型のケアがついているものが必要ではないかなと思います。

 これは英米のシステムに詳しい人に教えて欲しいのですけれども、国連のガイドラインには監督つきの独立居住体制という、スーパーバイザー・インディペンデント・リビングという選択肢があるわけなので、そういうものなのかなと思うのですけれども、どうしても集団生活が難しい高齢児童の方のための、ケアつきひとり暮らし、みたいなものも考えていければと思っています。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 そのケアつきというのは、老人の施設みたいに、そこにケアつき住宅なのですか。それとも、住宅を与えてケアを手厚く入れていくみたいなイメージなのですか。

 

○藤林構成員 

何年か前の津崎哲雄先生の論文なんかを読むと、松本先生が詳しいのではないかと思うのですけれども、いわゆるケアする人もいる下宿みたいなものと、それと、純粋にひとり暮らしで週に何時間、そこに訪問するものと、いくつもタイプがあるみたいです。

 要するに、子どものニーズに合わせてさまざまなグラデーションのケアが準備されていくといいのかなと思っていまして、そんなイメージです。もうちょっと調べたいと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員 

それに関してちょっとつけ加えますと、できていった過程で初めから少し小さいホームみたいな形のところで、そこは宗教がベースだったのですけれども、そこに集まってこられる方たちがいたところと、それから、子どもたちがいるところにホームビジティングするというやり方で進んでいった地域とがあって、今、見てみるといろんなタイプがあるというふうに見えているだけで、最初はそれぞれの思いがあった人たちがつくり始めたので、その辺があるのだと思います。

 

○奥山座長 

さっきから考えていると、やはり老人の施策のほうが進んでいるのかなと思いました。ケアつき住宅はありますね。何かそれにヒントを得て、いろいろ考えてもいいのかなと思いました。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

先ほどのゆりかごの話で、1つだけ追加をさせてください。

 慈恵病院さんに提案をさせてもらって、答えがまだ出ていないのですけれども、制度上は、児童家庭支援センターは数年前に独立できて、設置できる。施設併設型でなくていいのだということで、実際は独立型というものは進んでいないのです。児童家庭支援センターは、今、いくつかの機能類型を設けることによって、例えば母子保健等に特化した児童家庭支援センターで、全てやる必要はない。母子保健に特化して、それを医療機関併設型でやると、この問題は少し行くのではないか。

 医療機関の方は恐らく、児童福祉施設のこんな仕組みを御存じないのだろうと思うのです。ですから、そういうところの情報提供をして、産科等をお持ちのところに、こういう形で相談員を置けますと。それで、その部分の費用は制度が見てくれるのですということをやると、医療ソーシャルワーカーとの連携をしながら、もう少し進む可能性があるということを考えていました。

 

○奥山座長 

その辺は、この成果物リストというところの家庭支援の中に、児童家庭支援センターの改革と書いたのは、その辺りのところを何とかやりようがあるのではないかなと思っているのもあります。もう少し児童家庭支援センターという枠組みを考え直す、もしくは広げるのか、多機能にするのかとかというあたりのところの議論が必要かなと思っていますので、またもう一度、その辺、考えていければと思います。

 いかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○松本座長代理 

この産前産後母子ホームなりというのは、前の専門委員会のところでもこういうものを設置すべきだという話に、提言の中であるのですよ。そのときの議論で、やはりこれは特定妊婦さん、あるいは妊娠をしている女性に対する社会的養護の文脈からの積極的な支援、制度の構築ということはずっと議論になっていると思いますので、ここは是非、この検討会でも引き継いで、もう少し具体的な案を出すべきだと強く思ったことが1つ。

 もう一つは、前の議論のときにいろいろ話に出ていて、報告の中にはちょっと立ち消えになったことで母子生活支援施設は、児童福祉法なので、子どもが生まれてから実際にきちっと利用できるようになるけれども、あれは妊婦さんもきちっと本来の利用者の中に位置づけていくという議論があったと思うのです。今はいろんな形で実質的には利用されている方がいらっしゃると思いますけれども、本来の利用の対象というふうに位置づけていくというのは法制度の問題としてそうすべきだという議論があったと思いますが、それはちょっと立ち消えになっていると思うのです。そういう議論ももう一度してみる必要があるのではないかと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 あのときの議論としては、産前産後母子ホームのような制度を設計して、母子生活支援施設もそれができるという形にすることによって産前もかかわれるのではないかというイメージだったような記憶があります。

 ということで、今、電気が消えて、早く終われということなのだと思いますので、1時間ぐらいお昼休みをとって、次に前回から議論しております3条の2の部分、そして、里親支援の包括的な支援センターの支援事業に関して少し議論を深めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、13時から再開したいと思いますので、また御参集ください。よろしくお願いいたします。

 

(休  憩)

 

○奥山座長 

よろしいでしょうか。時間が来ましたので、午後の部をスタートさせたいと思うのですが、今、資料をお配りいただきました、産前産後母子支援事業というのが厚労省のほうで始められているのですけれども、実はさっき、次回までにその資料をお願いしますと言おうと思ったら、しっかりとお昼休みに資料を御用意いただけておりましたので、ちょっと御説明いただいてよろしいでしょうか。

 

○川鍋家庭福祉課長 

先ほど産前産後母子ホームのお話がございましたので、今、お配りした資料は来年度の概算要求で予算要求をしているモデル事業でございます。今年の3月の専門委員会の報告書において、特定妊婦への支援ということで御指摘がございましたので、来年度の概算要求ではモデル事業という形で、どういう展開をこれからやっていったらいいかということも含めて課題整理をすることを考えております。モデル事業を念頭に10カ所ぐらいということで考えております。

 2枚目にイメージ図がありますが、これはあくまでイメージでございまして、実際にこのモデル事業をやるときにどういうところから協議が上がっているかということもまだわかりませんけれども、イメージとして左右の絵の違いは、1つはコーディネーターを産婦人科の医療機関に置くケースと、母子生活支援施設等の児童福祉施設に置くケースということで、イメージとして描いたものでございます。

 これについては、今年12月末の予算編成の中で予算がセットされれば、来年度、具体的に事業の詳しいところを整理して、通知をしてという段取りで考えております。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 御質問はいかがでしょうか。

 上鹿渡先生、どうぞ。

 

○上鹿渡構成員 

すみません。モデル事業で10件ほどということですが、既に実施する場所は決まっている状況ですか。

 

○川鍋家庭福祉課長 

まだ決まっておりません。予算案ができない限りはまだ動けませんので、これはまだ具体的に動いているわけでもございませんし、どういうところから申請が上がるということも含めて決まっておりません。

 

○上鹿渡構成員 

これからということですね。

 

○川鍋家庭福祉課長 

はい。これからです。

 

○上鹿渡構成員 

ありがとうございます。

 

○奥山座長 

いかがでしょうか。

 私のほうから、これをもし予算が通った場合なのですけれども、自治体として申請するような形になるのですか。

 

○川鍋家庭福祉課長 

この補助の流れなのですが、これはあくまでも都道府県、指定都市、児童相談所設置市が実施主体になるものなので、そこの自治体から上げていただくことになります。ただ、実際に行うところは産婦人科の医療機関であったり、あるいは母子生活支援施設であったり、そういう施設のイメージで考えております。なので、そこは自治体から委託される形で行うことになると思います。

 

○奥山座長 

国庫全額ですか。

 

○川鍋家庭福祉課長 

補助率は10分の10です。

 

○奥山座長 

ほかにいかがでしょうか。

 御質問がなければ、こういう事業も考えられている。予算が通るか通らないかで、その先、また国会が通るか通らないかもあるのかもしれないのですけれども、それが決まったら、きっと要綱とかがつくられて事業に入るという形になるのだと思います。それで、皆様の関係の都道府県とかでやってくれそうなところにはお声をかけるということでもいいのかもしれないですね。そういうことで、よろしくお願いいたします。

 何かほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 では資料5です。前回は失礼いたしました。私が児童福祉法3条の2というのを、手が滑って、3条の3と書いてあったみたいで、事務局のほうで今回お直しをいただきました。

 さて、皆様からの御意見を伺っていろいろ考えました。これについても簡単に御説明をさせていただきますと、前回は家庭とは何ぞやとか、そういうかなり高いところからの理念を書いたほうがいいのではないかと言っていたのですけれども、家庭とは何ぞやというと余りに難しいという話も出ておりましたので、ここは割り切って、ここでいう「家庭における養育環境と同様の養育環境」はどういう機能、そして、どういう要件を考える必要があるのかということを書き出してみました。そのときに、要件のほうは林先生が出してくださった5つの要件に少し肉づけをさせていただいたものです。

 それから、本日は卜蔵さんのほうからの資料をいただいておりますが、似たような形で要件を考えておりました。

 その次のページに行っていただいて、では「家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合」はどんな場合があるのかというのを3つぐらいあるかということで挙げさせていただきました。本来は1及び2なのでしょうけれども、現状を考えますと、とても全ての子どもに提供できるとは考えにくいところがあって3を入れてみました。

 それから「できる限り良好な家庭的環境」というものはどういうものかということで、2.のところの「家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合」ということの中身を見ていただくと、かなり難しいお子さんということになってきますので「できる限り良好な家庭的環境」というのは、その子どもに合った、ある意味の治療的なものがなされる、そういうケアがなされるところというふうに考えて、機能と要件を挙げさせていただきました。

 そして、今度は現在の社会的養護システムとどこがどう合ってくるのかというのが恐らく皆さんの非常に関心の高いところと思っております。ここは後で皆さんから御意見を伺って、変える必要があると思いますが、現在の中でということで「家庭環境と同様の養育環境」というのはこういうものではないか。それ以外が「できる限り良好な家庭的環境」ということになるのでしょうけれども、その「できる限り良好な家庭的環境」の要件ということを少し議論したほうがいいかなと思っています。

 それで、現在の社会的養護システムでなるべく早く、こういう3条の2を実現するためにやらなければならないことということで少し書かせていただきました。

 ほかにも沢山あると思いますので、御意見をいただければと思います。

 以上です。

 それで、どこから始めようかと思っているのですけれども、まずは上から行きますか。一般の家庭の機能と「社会的養護としての家庭同様の養育環境の機能」として少し分けて2つほど、社会的養護であるからこそ、例えば里親さん、養子縁組であっても、ここの部分は必要ですと考えられますというところを入れてみました。

 ここの「家庭における養育環境と同様の養育環境」というところで何か御意見はございますでしょうか。といいますか、全体の枠組みでもいいです。

 どうぞ。

 

○松本座長代理 

最初の「家庭における養育環境と同様の養育環境」というところの「1)機能」の「(1)一般の家族の機能」なのですけれども、これは家庭でもどちらでも、1から8までというのはこうあるべきというふうな、むしろ規範的なことでしょうかということが1点。

 それと、ここを書くときに少し、私もいろいろな意見があるのですけれども、子どもの養育に関してということでかなり限定的に書いたほうが、逆にここがひとり歩きして、家族とはこうあるべきというふうにミスリードされていくような読まれ方をすることもあると思いますので、そこはちょっと、もしこれを出すのであれば丁寧に議論したほうがいいかなと思いました。

 例えば「4共有される価値がある」というのは具体的にどういうことかとか、かなり親と子で価値観が違っても、それはむしろ全然構わないし、それは兄弟でいろいろ大事にするものが違っても、それはむしろ健全ではないかということもあると思いますので、ちょっとここの中身が、例えば具体的に言うと「共有される価値がある」というふうになると、家族というものは何か価値を共有していないといけないのだという理解のされ方になっていくような、多分、それはお書きになった奥山先生の意図とは違うのだろうと思うのです。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 これはあくまでも「家庭における養育環境と同様の養育環境」というのを考える基盤なので、養育環境としての機能というふうに考えてみましたので、「機能」を「養育環境としての機能」に直したほうがいいかもしれないです。

 今のところなのですけれども「4共有される価値がある」というのは、要するに教育を、本来、家庭の中で教育がなされるべきだと思うのですが、全く放置、全くバリューシステムがない、文化がないというところはまずいですという意味で入れさせてもらったところです。

 

○松本座長代理 

ただ、それは価値というときには両義的なところがあって、別に子どもをどついて何が悪いのかという価値を共有している場合もあるわけですので、もしお書きになるのだったら、もうちょっと具体的にお書きになるか、私も何か結論を持っているわけではないのですけれども、ここの書き方は難しいなと思いました。

 

○奥山座長 

何かいい文章があったら。

 7のところで社会化のことは書いているので、そこに組み込んでもいいとは思います。

 

○松本座長代理 

今、奥山先生がおっしゃったようなことであれば、これは機能ですので、むしろ7の中に組み込んで、4をあえて独立させないということもあるかと思います。

 

○奥山座長 

わかりました。

 ほかはいかがでしょうか。

 塩田先生、どうぞ。

 

○塩田構成員 

1.の「(2)社会的養護としての家庭同様の養育環境の機能」のところに、9、10のほかに「発達が促されて、生活課題の修復が意図的に行われる場」。それは正しいアセスメントがされたもとでということなのですけれども、必要ではないかなと思ったのです。

 

○奥山座長 

もう少し、その意図を説明していただいていいですか。

 

○塩田構成員 

やはり社会的養護の子どもたちは家族関係においていろいろな、さまざまな生活課題とか発達課題を抱えて社会的養護につながるので、そこをきちっと意図的に修復していくことが社会的養護として必要だろうという意図です。そのためにはもちろん、アセスメントが正しくなされないといけないという前提があります。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

3点です。

 先ほどの「4共有される価値がある」という部分ですけれども、松本先生の修正の提案に私は賛同します。ここだけが機能となかなか読みづらい中身だと思うのです。1~8はそれに保たれる場とかというふうにするのだったら機能的な意味合いが出てくるけれども、4だけが機能という表現とはちょっと違うかな。それは中に組み込むという、それでも対応できるのではないかと思いました。

 2点目ですけれども(2)で、これは私もうーんと思いつつも「社会的養護としての家庭同様の養育環境の機能」。「家庭同様の」は要らないのではないか。家庭の機能があって、一般の家庭の機能が上に書いてあって、プラス社会的養護の場としての養育という特性が出てくるのではないか。だからあえて、そこを「家庭同様の」と言う必要はないのではないかと思いました。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 

○山縣構成員 

それから、3点目ですけれども、そう考えたときに、この9、10はなるほどというのは当然だと思うのですが、一方でよく言う、現場の人たちが時々使われる、育て直しとか育ち直しとかというふうに言われる、上で書いてあるのは、今、衣食住にしても既にそういうものをやっています。でも、ベースのものをつくり直していくという機能がこの回復の場とかというところにあるのか、生活そのものをつくり直す。そういうものがここに表現されてもいいのかなと思いました。

 以上です。

 

○奥山座長 

何かいい文章はありますか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

それは今、塩田先生が言われた、要するに社会的養護に来る子どもは発達にでこぼこがあったり、スキルが獲得できていなかったりするわけなので、それを獲得したり、または修正したりという場ということと思うので、いいのではないかと思うのです。

 

○奥山座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○西澤構成員 

やはり、ある程度、文言の整理をしたほうがいいかなと思うのは、さっき話題になっている「4共有される価値がある」という部分とか「8病んだ時の癒しの場」というのは何かトーンが違う感じがして、温泉の宣伝かみたいな、だから、これは一応、家族社会学では情緒的回復という言い方をしているのですけれども、情緒的な安定の回復とか、パーソンズの定義ですが、そういうふうになっているので、そういう言葉のほうがいいのかなとは思います。

 それで、さっき言われていた社会的養護で、これは家庭同様の養育環境というものを、上の文脈で言えばそのものを使われているわけなので、だから、上記のことを前提にしながら社会的養護の養育環境としての特定的な機能とかという形にするのかなと思うので、修正をここもかける必要があるかなと思います。

 9、10プラス、塩田さんの言っておられたものを入れると、育て直しとか育ち直しという部分にも該当するというのは私もそう思いますし、そもそも育て直しとか育ち直しというものが何のことをいっているのかよくわからぬということもあるので、だから、そういう意味では育て直しとして関係性の構築とか発達の促進とかという、あるいは生活課題という、これはソーシャルワークの考え方ですけれども、生活課題の修復とか解決とかといったことで育ち直しになるのではないかなと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 実は「8病んだ時の癒しの場」というのは、風邪を引いて寝ているときも考えています。病気のときこそ家庭が大切なのだろうと思うので。

 

○西澤構成員 

それは病気というと心細くなりますけれども、それは全体に含まれているのではないですか。

 

○奥山座長 

そうなのですけれども、家族機能というものをいろいろ読んでみると、病気のときに守られるとかということは非常に重要な機能になっているところもあったので、そこは入れておいたほうがいいのかなと思いました。

 では、相澤先生。

 

○相澤構成員 

基本的に、やはり家族の中には治療的機能はあるので、そういうものは入れておいても私はいいかなと思いますし、あと、慰安的機能というところがきちっと読めるのか。あと、問題解決機能みたいなものについてはどこかに入れておいたほうがいいのかなと思いました。

 

○奥山座長 

すみません。問題解決機能とはどういうことでしょうか。

 

○相澤構成員 

だから、いろいろトラブルとか、いろんな思いがけないものが、アクシデントとか、家族の中にはいろいろありますね。問題解決機能についても、やはりきちっと家族は持っているのではないかと私は思うのです。

 

○加賀美構成員 

社会化の機能の中に含まれます。

 

○西澤構成員 

ちょっといいですか。こんなところで原理主義者になる必要はないと思うのですけれども、ちゃんと家族社会学でいろいろ議論されてきて、タルコット・パーソンズの三原則とかバージェスの四原則などの家族の定義があって、それをベースにしたほうがやはりいいのではないか。何でもかんでも広がっていってというのは余りにも、いわゆるそういう学問領域からは批判の対象になるかもしれないなとは思います。

 

○奥山座長 

林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

基本的に私自身としては、先ほど松本座長代理の言われたこととも関連してくるのですけれども、家族社会学で言われている、確かに機能論というものを踏まえて考える必要もあるかもしれないです。

 ただ、やはりそこを脱却して、今、機能論に対するアンチテーゼみたいなものが出てきているわけで、先ほど言われたあるべき家族論で、それを家族というものだけに限定せず、地域との関係とか、その他の機能を使いつつ回復していくとか、そういう考え方でもって考えるならば、要件というところに絞り込んで、そこを深めていく。こういう奥山座長の家族に対する熱い思いはすごく一つ一つの文言の中から伝わってはくるのですけれども、それを家族の機能というふうに本当に捉えていいのだろうかということに非常に疑問に思う点です。

 以上です。

 

○奥山座長 

そうすると、要件だけでもいいのではないかということですか。

 

○林構成員 

私はできるだけシンプルに、それで結局、家族の機能というものを地域との関係で考えていくのがこの社会的養育そのものの意味だと思いますので、そもそも家庭自体が連携していくとか、もうちょっと開かれた生活の場として、たしか閉ざされた、明確な境界があり、安全が保たれているということと、非常にパラドッキシカルというか、一方で開かれた家庭の必要性ということも言われるわけで、そこの両立をどう考えていくかということも一つの大きなテーマになるかなと思うのです。

 

○奥山座長 

我々が関わる家庭を見ていると、開かれ過ぎていて子どもの安全が守られていない家庭が結構多いので、そこを入れたというのがあるのですけれども、それは開かれているという意味ではないのです。

 

○松本座長代理 

私は多分、林さんと同じような観点だと思うのですけれども、もうちょっと絞り込んでシンプルにして、むしろ養育ということに、例えば養育機能とか、そこに絞って、どういうことが大事かというように一般的に書いたほうがいいのかなという気がするのです。

 子どもの養育だけではなくて、例えば病気の話だったら、大人もそうだとか、そうすると今度はほかのいろんなケア機能みたいなことをどう考えるのかとか、何かいろいろなことが入ってくるようにも思いますので、子どもの養育ということに関して、むしろどういうことが原則的に大事かという観点で書いて、あと、具体的な条件とか要件ということでもう少し具体的に広げていくというほうが、社会的養護のあり方としてどういうことが、あるいは社会的養育のあり方としてどういうことが求められるかというときに何か議論がしやすいような気がするのです。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○西澤構成員 

今、古典的な立場から発言して林先生から批判されてしまいましたけれども、確かに機能論は多分、結構難しくて、家庭の定義すら今はもうできない状況にはなってきているのですが、ただ、やはり現実を踏まえて考えると、ある程度のことは、養育機能に関して書いてもいいのかな。

 だから、子どもの養育に関してもっとシンプルに、情緒的で特定的な人間関係とか生活の基盤であるとか、それで発育や発達の保障であるとか、情緒的な回復の場みたいな、その程度ぐらいだったら、これは大丈夫ですか。それぐらいシンプルにしておいたほうがいいのかなとは思ったのです。

 

○奥山座長 

今のですと、情緒的。

 

○西澤構成員 

だから、継続的な人間関係、安定した人間関係と子どもにとっての生活の基盤であるということと、発育、心身の発達の保障。それはイコールではないけれども、発展する社会化の保障で、その上で情緒的な安定性の回復の場とか、何かそういうことぐらいに集約させておいたほうがいいのかなと思ったのです。

 

○奥山座長 

いかがでしょうか。

 林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

考え方として、先ほどの養育環境ということと生育環境、要するに要件として書かれているのは一定の養育環境だと思うのです。今、西澤構成員が言われたようなことは、そこで結果的に起こってくる生育の保障ということかなと思うのです。

 ここで取り上げなければならないのは、むしろベースとして、この要件に当たる部分という、今、継続的な人間関係とか生活基盤の共有というものは要件の中に含まれているわけです。結局、そういう環境が保障されることによって心身の発達とか、そういう癒しの機能というものが遂行されるということであって、その目的がありきではなくて、まずミニマムの要件というあたりに絞るほうがわかりやすいのかなと思ったのです。

 

○西澤構成員 

任せます。

 

○山縣構成員 

西澤構成員に質問なのですけれども、先ほどの修正の提案をしたときに(2)は残るのですか。

 

○西澤構成員 

(2)は社会的養護ですか。

 

○山縣構成員 

はい。

 

○西澤構成員 

もちろん、社会的養護は、それにプラスアルファで。

 

○山縣構成員 

そうですね。それで、私は要件だけにすると、その部分が少し弱まるのではないだろうか。やはり社会的養護の特性をきっちり位置づけたほうがいいのかなと思うのですが、それを要件の中に組み込んでしまうと、何か特性が非常に見えづらくなるような気がしていました。

 

○林構成員 

要するに、これは社会的養護の普遍的なテーマでもあるかと思うのです。家庭養護の固有のテーマでもないかなと思うのです。

 

○西澤構成員 

そうではなくて、家庭養育の機能を明確にした上で社会的養育の機能をというのを出す形になっているので、これをなくして要件だけにしてしまうと、社会的養育の機能という部分はまた別建てで何か書くかという意味だと思います。

 

○山縣構成員 

それはどっちでもいいと思います。

 

○西澤構成員 

でも、いずれにしろ、この社会的養育の養育環境の機能という部分については、どこかできちっと書いておかないと、確かにまずいかもしれないですね。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○藤林構成員 

場外乱闘みたいな意見を言うのですけれども、ここで書かれている機能・要件というのは、家庭における養育環境だけでなくて、家庭的養育環境にも共通する部分があると思うのです。やはり家庭的と家庭はどこが違うのかというところもやはり明確にする必要があるのかなと思っていまして、では、家庭的でなくて家庭ならではのところというのは多分、1つは継続的で特定な人間関係で、ずっと一緒にいるということが1つ。

 もう一つ重要なのは、もう一回、最初の話に戻るのですけれども、共有される価値でなくて、共有される生活体験みたいなものなのかなとは思っていたのですが、要するに家族は親の生活体験も子どもは経験していくわけなのです。家族全体が一つの生活体験を経験していくというのが家庭なので、これは住み込みでは、家庭とは違う。住み込みの家庭と、もともと住んでいる家庭の違いというのはそこなのかなと思って聞いていたのですけれども、ややこしいですか。

 里親家庭の子どもなんかの話を聞いていると、やはり家族が病気をしたとか入院したとか、おばあちゃんが認知症になってグループホームへ行ったとかというのを全部ひっくるめて経験するわけなのです。それが家族なので、中には、里親さんが通ってくるファミリーホームなんかがあるのですけれども、そういうところでは、そんなものは全然経験しないのです。そんなことが、うまく言葉であらわせないのですけれども、そんなイメージがあるといいかな。

 だから、冠婚葬祭を全部経験するわけですよ。冠婚葬祭の場なのです。おじいちゃんが死んだり、病気になったり、上の実子さんが結婚したり、その結婚式に参加するということを含めて家庭生活が経験できるかどうか、というのは大事なことかなと思いました。

 うまくまとまらなくてすみません。

 

○奥山座長 

今のお話をまとめるのは難しいのですけれども、機能というものを残すか残さないか。残すとしたらシンプルに、もし残すとしたら、シンプルにするとしたら、どちらかというと文章的に書いて、社会的養護はプラスこういうことが付加された機能と言うとおかしいですけれども、達成されるような場になっていかなければいけないという形で、何か文章でここはまとめておいたほうが、箇条書きにするとかえって難しくなるのかなと、今、はたと思って、全体の家庭というものに対してのことはそういう、要件だけはきちんとしておいて、少し漠としたところを、機能と書いてあるところをもうちょっと漠と文章で書いておいて要件というものを出してきたほうがいいのかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

 ただ、これは本当を言うと、林先生あたりにその辺の機能的なところを含めたことを書いてもらったほうがいいのかなと思うのです。

 

○林構成員 

一緒に共同して、それぞれ貢献できる部分は協力させていただきます。

 

○奥山座長 

よろしくお願いします。

 

○林構成員 

あと、養子縁組は、基本的に社会的養護の範疇で捉えるものではないかもしれないのですけれども、今、藤林構成員が言われたような冠婚葬祭の体験ができない、そこから排除されているとか、そういうことはやはり里親委託の中でかなり多くあったり、実子との差別化とか、いろんな問題を含んでいるテーマで、だから、ここはちょっと、養子縁組もここの中で話し合うということだったので、リーガルパーマネンシーの意義なんかを踏まえたことも含めて、ただ、これは条文の中には入っていないから、養子縁組の意義までは必要ないということですね。

 

○奥山座長 

いや、養子縁組はこの中に含まれている。「家庭環境と同様の養育環境」という中に入っていると判断していたのです。

 

○林構成員 

だから、そこは多分、もうちょっと差別化して、要するに長期里親が代替的な活用のされ方をしているところをどう考えるのかとか、たしか前回。

 

○奥山座長 

それは最終的に必要だとは思いますけれども、今、この大きく2つに分けたときには多分、前者のほうには養子縁組と里親と、両方入ってしまうのではないかと思うのですよ。

 

○林構成員 

そうですね。法律上の親子関係以外はですね。

 

○奥山座長 

ただ、最終的にはその中でも機能として永続性ということを考えたときに、やはり養子縁組の方向をきちんと打ち出さなければいけないねというところは中にまた後のほうで入れていかなければいけないのかなとは思います。

 では、すみません。そういうことで、機能はコンパクトにしてしまうということで、機能という書き方ではなくて、機能を含めて家庭ということを書いて、社会的養護の場合の機能もそこに、文章の中に入れ込んだ形で書いて、要件というものについてちょっと御議論いただければと思うのです。

 

○林構成員 

これは恐らく、私が提案させていただいた養育指針の五本柱の例えば1ですと、一貫かつ継続した関係、養育者の存在というところに、奥山座長のほうから「養育能力のある、密な関係性を形成して」とか、あるいは6、7、8、9というのは完全に奥山先生のほうから足していただいたところだと思うのです。

 だから、この1~5の「養育能力のある、密な関係性」とか、6~10というのは非常に抽象度が1~5と違うというか、先ほどの機能論に絡んでくるようなところだと思うのです。そこをどう捉えるかというのが一つの議論のターゲットになるかなと思うのです。

 

○奥山座長 

要件というものを考えるときに、適格性の判断みたいなところに利用できるような形でと思って入れ込んでいったところなのです。

 お願いします。

 

○井上構成員 

井上です。

 今、お話を聞いていて、要件があって、これを満たされる状態の結果、こういう機能を持つことができるようになるという考え方にしたらどうかと思うのです。機能という言葉を使うかどうかは別として、子どもさんたちが実際にほっとする環境というものはどういうものが必要かというところの意味で要件を整理していって、それで要件が整った結果、下にあるような「子どものニーズに合った適切なケアを提供できる」という機能をそこが持ちましたという考え方で整理するのはどうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○加賀美構成員 

1)と2)を入れかえるということですか。

 

○井上構成員 

はい。

 

○加賀美構成員 

そういう考え方もありますね。

 

○林構成員 

以前、そういう論理展開で考えていくということだったのですけれども、ただ、私が先ほど山縣構成員とかが言われていたように、例えば6~9というのは社会的養護全般の一つの価値観であり、理念であり、そして機能であると思うのです。だから、社会的養護の普遍的な機能なりというところと、1~5とか、あるいは8あたりというのは家庭養護に特化したところの要件だと思うのです。

 だから、そこを最初の段階で社会的養護の、要するに奥山座長のもので言えば(2)のところに当たるようなことも含めて書いた上で、家庭養護にしぼめて要件を絞る形の書き方ではどうでしょうか。

 

○奥山座長 

2)ですか。

 

○林構成員 

(2)です。10はアタッチメントの考え方にもよるかと思うのですけれども、9、10とか2)の8とか9とか6というのは社会的養護の普遍的な一つの要件だと思うのです。

 

○西澤構成員 

わからない。混乱して、頭がぐちゃぐちゃになってしまいます。

 

○藤林構成員 

要するに項目の立て方として、社会的養育共通部分が最初にあって、家庭養育、家庭的養育の機能を並べていったほうがわかりやすいのではないかというのは林先生の意見であり、私もそのほうがわかりやすいかなと思っています。

 

○奥山座長 

私の考え方としては、ベースにある家庭養育というものをきちっとしていて「的」と言うからにはそれに準じたものがなければいけない。だから、家庭養育というものを、家庭と同様の養育環境というものを第一に考えなければいけないのではないか。それに対して、家庭的とは何かというのを考えればいいのではないかと思ったのです。

 

○林構成員 

では、後に社会的養護全体の普遍的な機能を、狭めた上で広げていくみたいなイメージなのですか。

 

○奥山座長 

家庭と同様の養育環境にまず子どもを置きましょうねというのがあるのだから、それは何ぞやというものを言って、それがだめなときに家庭的養育というのは、それは何か。準じたものとしてどう考えたらいいのかという考え方です。

 

○藤林構成員 

だから、思考経路ですね。

 

○西澤構成員 

そもそも、それをやろうとするのは、今、ようやくわかったのですけれども、これだけ要件をびっしり書くのは何か審査をするとか、そういう目的があればわかるのですが、それは余りうかがえないような気がするのです。

 だから、もうちょっと漠としておいて、現行とのところでいえば、これは「家庭環境と同様の養育環境」という部分の定義に関係してくるのでしょう。違うのですか。

 

○奥山座長 

そうです。

 

○西澤構成員 

では、特別養子縁組、普通養子縁組、親族里親と書いていけばそれでいいのと違うかなと思うのですけれども、余りここを細かく議論する目的が見えない。

 だから、機能なんかは家庭の機能としてはゲマインシャフトの機能を果たすとか、1個だけでいいのと違うかなと思うぐらいで、ここでエネルギーを費やす理屈が余りよくわからないのです。

 

○奥山座長 

井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員 

井上です。

 西澤先生はそう言われたのですが、やはり施設の職員の皆さんにお話を聞くと、例えば3歳とか4歳の子どもさんが熱を出したりとか、予防接種で来られたりします。それで注射をしますといったときに、怖がって泣くとします。そうすると、普通の家庭だったらお母さんが抱きしめて、大丈夫よ、お母さんもおるからね、ここにおるから、痛いの飛んでけとかと言って、そんな声かけをするのです。ところが、ある施設では3歳の子どもさんで、何々ちゃんは1人でできるのだから、1人で頑張りなさいとぽんと言い切って、子どもが必死になって助けてと言っているのに関しても、それをそのまま押し切ろうとされるわけです。私どもはそこで見ていて、先生、まだこの子どもさんは無理だと思うので、抱っこして、こうしてくださいと言って初めて、はあという感じで話をされるところがあります。

 もう一点は、日々の生活のことに関しても、その子どもさんは日ごろどうですかとお話を聞いたら、今日は私は連れてきただけだからわかりません。熱の経過も何もわからないまま連れてこられる方がおられるわけです。だから、その方たちが家庭的なケアをしているかどうかという形で聞き直したら、それはしていないでしょうと私は思うのです。

 

○西澤構成員 

ということは、それは先生がそういうことを明確にしておきたいのは、社会的養護の職員のための教育という意味ですか。そうでないと、実際の家庭の人に対して、養子縁組をしているところもぶれがあるかもしれませんけれども、その人たちに向かってこの要件を出しても余り仕方がないわけですよ。だから、社会的養護がどうあるべきかというところにそれは意味があると考えていいのでしょうか。

 

○井上構成員 

井上です。

 私は、子どもはどういうことを欲しがっているのか、どういうふうにしてもらいたいと思っているのかということをよく考えましょうということを前に出したいのです。

 

○西澤構成員 

それをこれでやらなければいけないぐらい情けない状態なのだなということをもう一度確認しました。

 

○奥山座長 

適格性の判断はなかなか難しいかもしれないのですけれども、例えば養子縁組にしても特別養子縁組にしても、前のカンファレンスなり評価なりというところで、この要件を満たせるような家庭にしていく。そして、養子縁組がなされるということを考えられるようなことをここに書き込んでおきたいというのはあります。

 どうぞ。

 

○藤林構成員 

よくわかりました。そういう思考回路、要するに家庭における養育というのはこういうものだというベースをまずしっかり出して、ここから里親なり養子縁組の適格性を判断していく。また、家庭的養育とは何なのかというときに、この家庭の要件をしっかり明確にしながら、なるだけこれに近づけましょうということを、この後、展開していくというイメージですね。

 

○奥山座長 

はい。

 

○藤林構成員 

納得しました。

 

○奥山座長 

すみません。説明が悪くて申しわけありません。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

どう表現していいか、ちょっとわかりづらいのですけれども、今、やっている作業とこの検討会の成果である報告書というものをリンクさせたときに、プロセスを見せることに力点を置くのか、こういう形で検討していって、社会的養護はこういうふうに書かれるのですというところを見せていくのか。

 プロセスはこうやってきて、結果が出ました。そうすると報告書、あるいは社会的にはまず体系とか全体像があって、そこの構造として枝分かれしたものを示していく。そうすると、共通部分は林構成員が言われたように、総論的なところで全部書き込むことができる。その中で家庭における養育環境と同様の環境について抜き出した部分がここですとかという形で示すのか、それの違いだけではないかと思って、今、聞いていたのです。我々はどっちを見せたいのだろうか。でき上がったものを見せたいのか、でき上がるプロセスを見せたいのか。

 奥山先生の話を聞いていたら、プロセスをきっちり見せたいねというふうに受けとめています。でも、その後、使い勝手というと、やはり全体像が先に見えたほうが理解しやすいかなと思ったのです。

 

○奥山座長 

先生がおっしゃるのは、家庭と同様の養育環境も家庭的養育環境に共通の全体像をまず見せるということですか。

 

○山縣構成員 

はい。極端な言い方をすると、家庭があってとか、そこは今回要らないと思うのですけれども、家庭があって、さらにその次に社会的養護があってとか、そこの中に「家庭における養育環境と同様の養育環境」と家庭的な養育環境と2つに分かれておりましてという構造です。全体構造が見える形で入り口から入ってくるのかどうかということです。

 

○奥山座長 

全体像が見えて、こっちが優先ですという書き方のほうがいいということなのですね。

 

○山縣構成員 

読み方としてで、優先かどうかというのは。

 

○奥山座長 

要するに、家庭と同様の養育環境に置きなさい。それがだめなときはこっちですよと法律に書いてあるわけですね。

 

○山縣構成員 

はい。そうです。

 

○奥山座長 

だから、まず1番の優先は家庭と同様のということですね。

 

○山縣構成員 

そうです。それは法律の大前提なので、

 

○奥山座長 

優先になるのはこっちですよといった書き方になるということですか。

 

○山縣構成員 

はい。それは児童福祉法の第3条の2を書いた段階で、優先順位という議論はもう全て終わってしまう。だからそこに、私もこの法改正を説明するときに自分でも悩んでいるのは、養子縁組を制度としては、児童福祉法は正式には取り込んでいない。しかし、児童の権利に関する条約の理念・精神にのっとりという第1条を書いた段階で、今度は養子縁組は入ってくるわけですね。だから、総論か総則に書いてあるから、私の中では養子縁組はここに入っていてもいいのではないかと思いつつも、児童福祉法上の説明をしていくと、養子縁組はなかなか入りづらいという部分があります。

 

○奥山座長 

この条文自体が3条なので、かなり理念的なところに含まれていると思います。

 

○山縣構成員 

そうです。そこに入っているから、総則に入っているから、権利条約の精神にのっとりで養子縁組が入っていると解釈してもいいのではないかということなのです。

 

○奥山座長 

ほかに御意見はありますか。

 全体像を見せて、分けていくということなのですけれども、正直言って、私が家庭をまず出したいかという、順番もあるのですが、家庭的というのが今、決めてしまっていいのかというのもあるのです。

 

○山縣構成員 

それは児童福祉法の第3条の2が動かないのではないですか。一定、今後修正するにしても、法律に「家庭的」と書いているのだから、これはある程度説明しないと、児童養護施設等の現場の人たちは何ですかということになってしまいます。

 

○奥山座長 

では、加賀美先生。

 

○加賀美構成員 

まさにそのとおりで、法律にこういうふうに明示されているわけですから、これは必ずきちっと説明をしておかないと、ひとり歩きをしてばらばらになる。だから、そこはある程度、明確に家庭の機能も含めて示すのは今回のこのワーキングの重要な役割だと私は思っているわけです。

 だから、基本的な議論はきちっとしておくべきだろう。もちろん、ざくっと家庭という捉え方で、家庭そのものがなくなってしまったというか、明確な、健康的な家庭とは何かといっても、その規定そのものがなかなかしにくい状況にある中で、やはり家庭という言葉を中心にして今回の法律は明確に家庭のあり方も、求められる家庭のあり方を示さざるを得ないというイメージを私は持っているので、ましてや社会的養護のところで家庭的という言葉を使っている以上は、家庭的養育環境が何ぞやというのはやはり明確にしていかないといけないと私は思っています。

 

○奥山座長 

つまり、バウンダリーとして社会的養育はこういうものです。その中を2つに分けます。家庭と同様のものと、それから、こっちの家庭的というものもこういうものですと明確に出してしまうということですか。

 

○山縣構成員 

「できる限り良好な」だから、明確かどうか。

 

○奥山座長 

そうなのです。私はそこがあるので「できる限り良好な」ということは、家庭があって、家庭に入ることが難しい場合にどういうものがあるかという、それはいろんなことがあると思うので、それをかちっと、そことそこを全く別物として考えて条件づけするのは難しいのではないかと私は思ったのです。

 

○山縣構成員 

そのばちっとした境界というものは、私は難しいと思いますけれども、この趣旨、ニュアンスがどの程度のことまでをイメージしているかというのはやはり伝える必要があるのではないか。

 社会的養護の施設の関係者の方々が悩んでおられるのは「できる限り良好な家庭的環境」でないもの。自分のところがそれに当たるのかどうか、どっちなのかというところだと思うのです。そのバウンダリーな、このよくわからないグレーのあたりなのか、黒なのか、白なのかという、その辺ぐらいの緩やかさは、ある程度示さないと、非常に将来を考えたときに、四十何条でしたか。施設長は良好な家庭的環境に行くようにしなければならないか何か、努力ではなくて義務づけの表現になっていますね。努めなければならないではなくて、ということは、これがどこになれば少なくともグレーまで行けるのかというぐらいはわからないとちょっと困るのではないかという感じがしています。

 

○奥山座長 

では、藤林先生、伊達先生の順番で。

 

○藤林構成員 

ですから、この1.の家庭環境、家庭養育というものはどういうものなのかを明確に出した上で、多分、この3.の「できる限り良好な家庭的環境」とは何かという定義をしっかり書くということで、ここにはないけれども「できる限り良好な家庭的環境」でもない環境とはどういうものなのかを明確に書くことが大事なのかなと思いました。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 では、伊達先生。

 

○伊達構成員 

そこが一番悩ましいところなのですけれども、私は議論の中に、社会的養護の課題と将来像の3分割をやったときの、あのランクづけがそのまま残ったものを維持して、この3条の2を解釈すべきではないと思っているのです。もう一度、そこに戻るのではなくて、これは児童の代替的養護に関する指針の目的のところで、どういう手続をしながら子どもの一番いい社会的養護を見出していくかというところに立つことが必要なのだろう。

 そのときに、この目的の中では2つの原則がありますと説明されていますね。最初は、これは必要の場合もあるけれども、できることなら最大限いろいろな努力をして、まず家族の養護が受けられるようにするということを優先する。それから、一旦は短い時間、家族から引き離したとしても戻せるような仕組みを考える。それがどうしてもだめな場合に初めて養子縁組とか、そういう永続的解決策を考える。これが最初に出てくることで、その次に、それもいろいろやってみて、それが実現不可能であったり、あるいはそのことができない場合に、今度、その子どもの個々のニーズに応じて最大限望める、適切性のある代替的養護を提供するのだというのがその次に来ると思うのです。

 このことの流れをやっていく部署なり、流れをコントロールしていくところをつくらないと、場所の定義だけで場所のランクづけをするのは、私は不可能なのだろうと思うものですから、今の議論はどうしても課題と将来像に、ああいう形で場所のランクづけをやってしまったものですから、それはなしで、もう一度、指針のところに戻って、それをどうやって、どこで決めて、どういうふうにつくり出していこうかという議論に移ったほうがいいのではないかと思うのですが、そういう考え方をしています。

 

○奥山座長 

ということは、家庭と同様の環境とか家庭的というのは定義をせずに、どこが決める場所といいますか。

 

○伊達構成員 

その子どもの状態像とニーズにとって最適なものということでいいと思います。

 

○奥山座長 

それをどこが決めるかを決めればいいということですか。

 

○伊達構成員 

はい。そうです。

 

○奥山座長 

加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

とはいえ、法律に明記されている以上、これはこれでどうしても基準にしなければいけない。これは事実だから、改めて家庭的養育環境というものについての定義を施設養護あるいは社会的養護という枠組みで議論をして、つくらなければいけないだろう。その場合に邪魔をするのは家庭という言葉なのです。

 だから、それがある以上は、今、藤林先生のおっしゃるように、家庭を基本的には議論して、家庭の持つ子どもへの養育機能。その機能の部分を取り出して、家庭的養育環境というところで説明をしなければいけないだろうという意味だと思います。だから、そういう意味で家庭的養育環境を新しく定義する作業が必要だろうと私は思っているのです。

 

○奥山座長 

定義をするかしないかでも、なかなか難しいところがという話になっていますが。

 

○加賀美構成員 

定義というか、そういう方向性を明確にしなければいけないだろう。だから、それは課題と将来像で家庭的養育という、家庭的養護という言葉が出てきた段階で我々は家庭的養護とは何ぞやということを求めたのですが、その回答はもちろん、当然、その時点で得られなかったし、それは無理がある言葉だというふうに私自身は思っていた。

 でも、今回の法律の中でこういう家庭的養育環境という言葉が法律用語として使われてしまっているということは事実ですから、そうなると新しく、この家庭的養育環境というものがいわゆる従来の社会的養護とか施設養護の言葉として当てはまるような機能を明確にここで位置づけることの作業は必要になるのではないですか。

 

○奥山座長 

西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員 

もうわけがわからなくなったので、考えてみれば家庭ということを定義しようとしているのだけれども、みんなそれを定義すると多分、皆さんの家庭は崩壊していることになるので、そこの定義はもうやめる。

 それで「家庭における養育環境と同様の養育環境」というのは、さっきも言ったみたいに養子縁組とかそういうことになるわけだけれども、その前段階として、家族が生活をする、そういった家庭。営まれている家庭に子どもの養育を委託するのだという形で大ざっぱな、抽象的な書き方をして、現状でこういうものが挙げられるとしておいて、一番重要なのは、児童が「できる限り良好な家庭的環境」という部分をどう定義するかで、だから、これは家庭に依拠していると考えると今みたいな議論になるけれども、ここでこれはこういうものですというふうに操作的定義をしてしまう。

 例えば、小規模化、個別化ということを軸にすれば、その集団は小規模であり、6名程度の小規模を超えることはなく、集団の構成員は比較的安定したものであって、そこで比較的、継続的な対人関係をベースに養育が営まれる。そして、個別化ですから、集団生活ではなく、子ども一人一人のニーズに応じた生活支援が提供され、地域化ですから、その子たちのニーズに応じた社会資源を活用しながら、安定したグループとしての生活を営むものとするみたいな、文章はいろいろ考えなければいけないのですけれども、そういった形でここで操作的に定義することにしたほうがいいのではないか。家庭の定義から始まると多分、話がわけがわからぬようになってしまうような気がします。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○松本座長代理 

多分、今の西澤さんの意見にちょっと、ちゃんと理解していないですけれども、結論的には近いかもしれないのですが、つまり望ましい家庭というものをここで考えてしまうとやはり間違う。ただ、子ども虐待のことで、特に社会的養護のことを、養育のあり方からすると、その中で望ましい子育てはあるでしょう。子どもにとって望ましい養育というものは、一定の幅を持ちながらもあるでしょう。それはきっと考えなければいけませんねということには立っていると思うのです。

 そうすると、現行の家庭が仮に正常に、子どもの望ましい養育という観点から見たときに機能しているとすればどういうことであるかということを整理することが多分大事で、全ての家庭がそれを持っているわけでもないし、あるいは全ての家庭はこうしなければならないというふうに言うのも変な話なので、むしろ望ましい子育てというものがあるのだという前提にここの議論は立っているのだと思うのです。

 なので、その中身は今、多分、西澤さんがおっしゃったようなこと、あるいはこれまでの人も言ったようなことだと思うのですけれども、それとの関係で、現在の家族あるいは家庭が子育てをしている主要な場であるとしたら、そこが正常にというか、一定の幅を持って正常に機能しているとしたら、こんなことが与えられているでしょうねということの整理で、それとの関係で実際に家庭的、家庭のことを定義しようとしているのではなくて、家庭的養育というものをどう考えるかという話だと思いますので、それを提供できるようなユニットなり中身はどういうことかというふうにして書いていくしかないのかなと。

 

○奥山座長 

そういえばお答えしていないのですけれども、最初の機能というのは、これはこれがなければ虐待と言えるねという機能を書いたつもりです。一番いい家庭を想像して書いたのではありません。最低限ということです。

 

○加賀美構成員 

だから、私はこれは肯定したのです。これは肯定できると思っているのです。だから、そこを基準にして機能を少し整理していくことの中で。

 

○西澤構成員 

ごめんなさい。まだわかっていないのです。家庭と機能を定義する必要がどこにあるのかが私はわからないのです。家庭的を定義したほうがいいと思うのです。

 

○奥山座長 

よくわからないのですけれども、家庭抜きで家庭的を定義するのですか。

 

○西澤構成員 

だから、家庭的という言葉を家庭に依拠しないで使う。なので操作的定義と言ったわけで、そうやらないと家庭というものを、最低限のレベルにしろ何にしろ、定義するのは我々には不可能なのではないかということなのです。

 

○奥山座長 

だから、定義ではなくて要件ではないのかというのが林先生の意見ですね。

 

○山縣構成員 

場外乱闘に参戦します。

 今の西澤構成員のものですけれども、やはり法律に、家庭における養育環境と書いているのです。だから、何らかそこを示さないと、一般家庭との関係からどうかというよりも、この法律が何を意味しているかということを、ある程度示さないといけないのではないかとは思います。

 

○西澤構成員 

わかりました。そうだとしたら「家庭における養育環境と同様の養育環境」の定義をすればいいのであって、これは「家庭における養育環境と同様の養育環境」と書きながら、一般の家庭の機能から入っているのでということです。

 

○奥山座長 

わかりました。

 これは「家庭における養育環境と同様の養育環境」の中で、一般の家庭にも見られる機能という意味で書いたので、一般の家庭を定義したわけではないのですけれども、書き方が悪いので、一般の家庭にも見られる同様の養育環境の機能という意味で書いています。

 

○藤林構成員 

確かに、ここは「家庭における養育環境と同様の養育環境」をやはり明確に定義することが里親または養親候補者の認定にも役立つわけですし、登録された里親さんを抹消していくプロセスも非常に重要なので、最低限、これが重要なのですということを示していくことは必須と思うのです。

 だから、これは一般家庭のことではなくて、同様の養育環境の要件としてこれである。ただ、そうはいいながらも、一般家庭もこれなのです、一般家庭と同じことをやってくださいということなのです。どうかすると、里親さんの中にはとても施設的な里親さんもあったりするわけなので、それは家庭と同様の養育環境ではありませんということを言うためにもこれが重要と私は思っています。

 

○奥山座長 

林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

ちょっと確認させていただきたいのですけれども、良好な家庭的環境イコール家庭的養護ではないということですか。つまり、国が一応、代替的養育の養育指針のファミリーライクケアとかファミリーベースドケアという翻訳上、操作的に定義された中でいえば、家庭的養護というのはグループホームであり、ユニットケアである。そこの規定というものは、物理的な規定というものは既になされているわけで、私が思うのは藤林構成員が言われたように、家庭のあり方ではなくて、家庭養護のあり方として最低限の要件は明確にしておくことが必要である。

 それで、良好な家庭的環境というのはもうちょっと要件をグラデーションでもって考えてもいいのではないか。あるいは努力目標として、その要件に近づけさせる。それで、物理的な環境としてグループホームやユニットケアというものは法令等で規定されているわけですから、そこをある程度の努力目標、あるいはどういうところに近づけさせていくのが家庭的養護なのかという基準を、むしろ家庭養護の要件から考えることはどうかなと思ったのです。

 

○奥山座長 

家庭養護の要件から家庭的養護の基準を考えるということですか。

 

○林構成員 

そうです。「的」というのはグラデーションでもって考えるべきことで、物理的な環境としては法令等で規定されているわけですから、それ以外の養育的なところというのはもうちょっとグラデーションとか、あるいは養育観の多様化ということも含めて考えるべきではないかなと思うのです。

 

○奥山座長 

ただ、グラデーションで考えるというときに、家庭養護の要件だけをグラデーションで考えてしまうと、家庭養護に入れない子どもたちのケアを考えなければならないので、プラスもあると思うのです。そこも議論したいなと思うのです。

 

○林構成員 

だから、その辺の意思統一というか、私は大舎制の施設養護で家庭的環境はあり得ないかなと思っていたのです。

 

○奥山座長 

そこは最終的にみんなで相当議論しなければいけないところだと思うので、私もできるだけ大舎制はよくないと思っているのですけれども、そうすると、情短はみんな潰れてしまう。潰れてもいいのかもしれないのですが、要するに子どものニーズに合わせて、一部分はおっしゃるとおり、家庭養護の要件を少しグラデーションとして制限がかかってしまう。家庭養護と同じ条件・要件にはなり得ない部分はある。でも、それは子どものニーズに合わせてどう考えるのかということになってくるのだろうと思うのです。

 

○林構成員 

そこは前回、たしか家庭養護が望ましくない子どもといいますか、施設養護を考えたほうがいいような対象論を話し合っているときに、その辺がちょっと意見が分かれたと思います。治療的機能なのか、当たり前の生活保障なのかということです。 その専門的な機能ということでいえば施設養護、家庭養護ではない、家庭的養護ではない、独自の生活のあり方があるのではないかという考え方もその延長線上では考えられ、一方で当たり前の生活を提供すること自体が子どもにとってのケアであるという延長線上では、今、言われた一つの家庭に近づけさせるというあり方が望ましいのだという考え方が成り立つと思うのですけれども、その根本的なところがまだちょっと統一されていないと思うのです。

 

○奥山座長 

加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

今、御発言されたときのイメージがどちらかというと児童養護施設、乳児院等、つまり、今回の課題と将来像はほとんどそこに収れんするところで家庭的養護の推進という構造で議論していったと思うのです。もちろん、今回のこの法律の第3条の2は全ての児童福祉施設が該当するということにならざるを得ないわけでしょう。

 つまり、情緒障害児短期治療施設であるとか、母子生活支援施設とか、あるいは児童自立支援施設。これらも要件の中に入れながら考えなければいけないから、そういう意味ではさっき西澤構成員の言ったような意味での、漠とした社会的、良好な家庭的養育環境なるものについての言い方にまとめていかざるを得ないだろうとは思っています。だから、そこも踏まえて我々は議論しておかなければいけないのだと思います。

 ちょっと話の腰を折るような話ですみません。

 

○奥山座長 

伊達構成員、どうぞ。

 

○伊達構成員 

恐らく年齢のところを押さえておくのも必要で、赤ちゃんのところでいえば集団なんて考えられないことだと思いますし、ティーンあたりと、それから、本当に15あたりの子どもたち、15以降の子どもたちをどうしていくかというあたりの年齢要件の中でこの問題もやはりあわせて考えていかなくてはいけないことだろうと思います。そうすると、同じユニットなり同じケア単位がつくれるかどうかというのは、それはまた本当に難しいところがあると思います。

 

○奥山座長 

そうなってくると、かなり難しい議論に入ってくるのですけれども、細かいところで、そこを年齢も含めて子どものニーズと考えて、ここではこれを書いたのです。

 

○藤林構成員 

もうちょっと、1番の同様の養育環境は大分議論が出尽くしたので、少し2番と3番と進める中で全体像を話し合って。

 

○奥山座長 

もう進んでいるのだと思っているのです。

 

○藤林構成員 

そうなのですけれども、私が司会みたいに仕切ってしまったのですが。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 では、2番も3番もまとめて。

 この例というのは単なる例なので、イメージをつけるために書いただけなので、これは重要ではないのですけれども、余り親のことは考えなくていいのではないかという御意見も個人的にはいただいているのです。そうかなとも思います。子どもの側の条件だけということですね。

 

○藤林構成員 

個人的に奥山先生が出た意見は、この例の中に、実親の攻撃が激しくて守り切れない危険性がある場合は接近禁止命令をつければいいわけなので、これは司法関与検討会の中で、28条ケース以外にも接近禁止命令が必要なのだという意見を言っているので、もしそれが実現すれば、この部分、親のファクターはなくなっていくかなと思います。ですから、子どものニーズに合わせたケースで考えていいかなと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 ただ、怖い親で、とても里親さんが怖くて、里親さんが見つからないというのもあるかなと。

 

○藤林構成員 

それも実際あるわけなので、そういう場合には怖い里親さんではなくて、経験豊かな里親さんで大丈夫な方もいらっしゃるわけで、それは絶対条件にならないと思います。

 

○奥山座長 

意味がわかりました。そこが条件にはならないということですね。

 

○藤林構成員 

そうです。

 

○奥山座長 

ほかに。

 どうぞ。

 

○山縣構成員 

山縣です。

 これも細かい話なのですが、今のところと関連して、理念としては親のことは考えずに子どもでいくというのは当たり前の話で、それでいいのですけれども、実務上のことを、現場の方々、特に児童相談所の方々の話を聞くと、子ども本人が抵抗感が強いのではなくて、保護者本人が抵抗感が強いというのが意外とある。里親に行くのはやめてとか、施設だったらオーケーという、それは理念としては当然関係ないのだけれども、実務上の手だてを講じておいてあげないと。

 

○奥山座長 

恐らく、それをこの法律ではだめと。

 

○山縣構成員 

理念としてはわかっています。実務上の手だてを一方で講じてあげないと動かないということなのです。

 

○藤林構成員 

それは、我々は親に対して、児童福祉法が改正されてこうなりましたというふうに児童相談所がきっぱり言うだけのことだと思うのです。それが手だてではないかと思うのですよ。

 

○山縣構成員 

言うだけでいけますか。

 

○藤林構成員 

言うだけで、もしそれに従わない場合には次の手当てを考えていくしかないのだと思います。

 具体的に言えば、施設に入所するのであれば、それは短期間が条件です。それで、短期間で引き取れなければ里親委託にしますみたいなことを言いながら、親が引き取れるように2号措置をつけて、在宅支援を使ってという手当てを、我々、児童相談所側は今後考えていかないといけないなと思います。

 

○奥山座長 

その辺のマニュアルをつくれということですか。

 

○山縣構成員 

マニュアルというか、今、藤林構成員は現場の方として言われたから、では、大丈夫だと信じるしかない。

 

○奥山座長 

西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員 

ちょっと確認です。

 今の法律では、今の児童福祉法では親が選べることが基本的に可能になっているわけですね。今回のこの改正によって、その部分も改正されるのですか。ということは、矛盾したことに。

 

○山縣構成員 

同意をとるのが原則だから、施設に入りますという同意ではなくて、どこどこに行きますという同意なのです。

 

○西澤構成員 

今はそのシステムでしょう。

 

○山縣構成員 

はい。だから、今、藤林構成員が言われた分で現場が対応できるのだったらいいけれども、かなり難しいのではないかと個人的には思って。

 

○西澤構成員 

そこは、法的には矛盾しないのですか。

 

○藤林構成員 

かなり難しい。基本的には、28条の申し立てというのは虐待、ネグレクトがベースにあるわけなので、虐待、ネグレクトの事実がない同意ベースの方に対して、里親は同意が反対の場合には、現状はどうしようもないわけなのですよ。

 でも、どうしようもないのままでいいのかという問題意識も我々は持っています。私だけかもしれないけれども、福岡市は持っているわけなので、その場合に、今回法律が改正されたということを保護者に示しながら、先ほど言ったように、どうしても里親には私は同意しない、施設なのだという方には、では、施設というのは基本的には短期間で引き取りを条件にしながら、その後、ケースワークを進めていって、場合によれば28条の申し立てなり親権停止を使っていくということではないかなと思います。

 

○西澤構成員 

いや、それはもちろん、私はそこに賛成しているのです。賛成していて、親が選べるという今の状況がよくないけれども、そういうふうにしてソーシャルワーク的にそれを展開するのだというのはいいのだとしても、法律的には問題はないのですかという、聞いたのはそっちの質問なのです。今の児童福祉法の、親がどこに行くことを同意するというシステムになっているときに、こっちの法律の条文がこうなったから、それで誘導していくということ自体は、法的には問題ないのですねという確認なのです。

 

○奥山座長 

どうぞ。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長 

法律上の問題ということなので事務局が答えるべき話だと思いますが、ちょっとついていけないかもしれないおそれを感じながら申し上げれば、手続的に、先ほど来、藤林先生がおっしゃっておられるように、親の同意というものが一方に厳然として、仕組みとして残っている。もう一方で、今回の法改正において追加された条文として、今、議論いただいているような、いわば今後の養育に当たっての基本的な理念、あるいは社会的養育というものにつなげていくための方向性、哲学というものが考え方、まさに3条の2において盛り込まれた。

 具体的にどっちが、ある程度、まさに現象においてバッティングした場合に、法律上、そのバッティングするような事態が生じることを、今、現行法というか、改正後の法律においては生じ得るのだと思いますが、それに対して、そんなことが起こっていて、あるいはそういう手続上のこれまでの仕組みと、新たに設けられた理念の規定で、藤林先生がおっしゃったのは、今のある仕組みを最大限活用しながらといいますか、ルールの中に置きながら、この理念を最大限実現するために工夫しますとおっしゃっていること自身は、西澤先生の御質問に答えれば、法的には問題ありません。

 もうちょっと言うと、片一方で理念を入れながら、親の同意が残っているという仕組み。これは議論として、まさに一歩一歩、この事態を動かしていく中での今回の法改正による到達点ということでありますので、それも含めて、まだまだいろんな議論は、余地としては残ると思うので、先ほど来、山縣先生がおっしゃっておられるように、現場においては非常に苦労される部分があるというお話については、我々、制度・法律を担当する部局として真摯に受けとめますが、今、制度を運営させていただく、あるいはこれから改正法を運用する中において、先ほど来、議論になっているような藤林先生のケースは法律的に問題があるというふうには我々は思いません。

 

○西澤構成員 

では、そういう意味で親が今の手続法を盾にとって訴えることはないということですね。訴えられないということですね。

 

○藤林構成員 

そこを私なりに解釈すると、今、局長が言われたバッティングする場面というのは多分、児童相談所が28条の申し立てをしたときに、裁判所がこのバッティングでどう判断するのかというところで判例なり判断なりが出てくるのではないかなと思います。

 

○西澤構成員 

わかりました。

 

○奥山座長 

福岡はそれでいいのかもしれないのですけれども、ほかのところでできるのかというあたりも考えなくてはいけないかなとは思いますので、山縣先生がおっしゃっているように、もう少しほかのところでもできるようなガイドライン的なところをやはり出していかないといけないのかもしれないと思います。

 

○山縣構成員 

これも現実にはそこまでやってはいけないのではないかと思いつつも、対応する方法は28条の中にそこまで含めるというのはあり得ると思います。そんなところで28条を家庭裁判所に持ち込んでいいのかという感じはするので、いかがなものかと思いつつも、そういうものが要るのではないかというのが私の意見です。

 

○奥山座長 

要するに、家庭養護を拒否したときに、28条をやると。

 

○山縣構成員 

そうです。そんなことはあり得ないけれども、それぐらいのものがないと。

 

○西澤構成員 

実際には、そういう例はあります。ただし、ほとんどは家庭裁判所から取り下げ勧告をされます。こんなもので上げてくるなというのが基本的には現実です。

 

○山縣構成員 

ただ、28条の考え方がそうだから、28条そのものの条文を変えなければ恐らく家裁ではとらないだろう。しかし、子どもの立場に立って、分離することが必要である。それを貫徹するには。

 

○西澤構成員 

だから、今の手続方法を変えたほうがいいと思うのです。

 

○山縣構成員 

そういうぐらいのものがあるのかなと思ったわけです。

 

○奥山座長 

多分、裁判所の命令の中で、どこどこへ入れなさいというのがやめになりましたね。それと同じように、親は社会的養護を同意したらば、一番、子どもにとって適切な場所を児相は考えるという形にするのが一番すっきりはするなとは思います。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

今の関連で、局長がおっしゃった話にかぶるわけですが、そのための環境整備ということをやはり考えなければいけない。多分に、里親にということを拒否する親は大分、心理的な意味合いが強いですね。そこで里親会も、あるいはファミリーホーム協議会も言っておられた、里親なる名称をどうするかという議論。そういう環境を整備していくことも重要な意味があるだろうと私は思っています。

 

○奥山座長 

林先生、どうぞ。

 

○林構成員 

今後、里親委託ガイドラインも改正されるのでしょうが、その中に里親へ委託することが難しい子どもとして5点挙げられているのです。それで、ここに大事なところが、奥山座長も(一時的)と書かれていると思うのです。このガイドラインにも、当面、施設措置を検討するという、当面という言葉が入っているのです。この一時的とか当面ということを、以前の藤林構成員の報告の中で3年、親子分離していた場合、8割以上は家庭復帰の可能性がないというデータがあったと思うのですけれども、それが私は以前、2年というデータを見たことがあるのです。

 だから、この当面とか一時的とか、要するに藤林構成員から私が得た一つの施設措置期間の監査的な機能みたいなものを含めて、そういう子どものリストアップ化につなげていくような、一時的とか当面ということに対する、もうちょっと配慮というものが必要かなと思ったのです。

 

○奥山座長 

ということは、もう少し具体的に、上限何カ月とかということですか。

 

○林構成員 

はい。

 それで、この委託の原則の中には、もちろん、この(6)の2のところで、保護者が里親に明確に反対している場合(28条措置を除く)という規定があるのですけれども、次に保護者の理解を促すための説明という事項があって、そこで里親の誤解を解くような説明の仕方が具体的に記述されています。

 

○奥山座長 

そういうものを利用してうまくやってくださいねということですね。

 

○林構成員 

基本はそういうことです。

 

○奥山座長 

ただ、さっきからどうしても、頑張る児童相談所と逆を行く児童相談所が出てきそうな不安があって、里親に行きたくなければ28条ではなくて同意しなさいというようなことをやってしまう児相が出てきたらどうしようかとか。

 

○西澤構成員 

施設入所に同意してということですか。

 

○奥山座長 

そうです。

 

○林構成員 

それも一つの大きな使い方ではないですか。

 

○藤林構成員 

そこは、児童相談所が持っている法的権限を適正に使っていくのは、もう一つの人材育成のほうのワーキンググループでしっかりつくっていただいて、ここはやはり基本は子どものニードに限定して、あるべき論を書くべきではないかなと思うのです。

 

○奥山座長 

すみません。2004年の法改正のときの嫌な思い出があって、頑張ってパーマネンシーをつくるためにと言って28条の2年間というものを決めたのですけれども、結局、最終的には児相は、その2年間で同意をとるということを頑張ってしまって、2年の間に親の支援をして、どっちに行くのか決めてパーマネンシーを保ちましょうという方向に流れなかったというとても嫌な思い出があるので、そこのところがまた頭をよぎってしまいました。

 いかがでしょうか。

 そうすると、今、お話が出ましたように、そこのどう決めるか。先ほどの伊達構成員のほうからの御意見もありましたように、どこでどう決めていって、どうするのかというところは非常に重要な問題なので、それはまた最終的にどこまでを私たちとして提案という形で出していくことを考えていきたいと思うのですけれども、ここは3つだけ出しているのですが、それ以外「家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合」というのが何か入れたほうがいいのではないかということはございますでしょうか。

 家族が抵抗している場合というのは2番のところで話が出てきたのですね。それはここでは置いておいて、子ども中心に考えるというお話が藤林先生のほうから出たと思うので、今、ここではそうしたいと思います。

 先ほどの林先生のは、3.に付随して、一時的というあたりのところをもう少し書き込むという御提案と考えていいですか。

 

○林構成員 

そうですね。当面とか、福岡で行われた調査結果とかを参考に、恐らく英米とかもどんなに長くても2年でしょうという感じだと思うのですよ。

 

○藤林構成員 

それは3.の定義ですね。できる限り良好な家庭環境を使う場合は長期間にならないようにしましょうというのが3.の定義だと思います。

 

○奥山座長 

ということは、3.の2)の一番下が「養育が可能になれば」と書いてあるのですけれども、そこが原則が短期であるということですか。

 ただ、これはかなり大変な、すごい大改革なのですけれども。

 

○西澤構成員 

今のは違うのではないですか。2.のほうの(一時的)というのは、本来は里親家庭に行くほうがいいねという子がないという場合でしょう。だから、それはそういう家庭養育の提供の努力をしつつ、一時的にここにいるという、その年限だと思うので、話は違うと思います。

 

○奥山座長 

そうですね。よかった。

 それで、2.の3のところの一時的であって、1、2は2年というふうに限ってしまうことができるかどうかというのはちょっと難しい分があるかもしれないということでいいですか。

 

○西澤構成員 

これは供給側の問題ということだから。

 

○山縣構成員 

そういう意味では、タイトルと合っていないのです。適当でないわけではないのです。

 

○奥山座長 

ただ、今の段階で3を抜いてしまうと、相当大変なことになってしまうのです。

 2.だけではなくて3.のほうも含めて、何か御意見を。

 

○西澤構成員 

だから、この2.の3を3.に移せばいいのではないですか。本来は家庭養育が望まれる子どもで供給がない場合に、一時的にその養育を提供するみたいな。

 ごめんなさい。混乱させましたね。

 要は、2.のほうは養育することが適当でない場合だけを書いて、でも、適当である子どもでも時にはこっちに「できる限り良好な家庭的環境」に来ることもあるのだというスタイルに。

 別にどっちでもいいです。すみません。だんだん疲れてきました。

 

○奥山座長 

では、3の扱いを一つ、1、2とは違うというあたりを明確にするということですね。

 

○西澤構成員 

はい。

 

○山縣構成員 

山縣です。

 正確に覚えていないのですけれども、国連のガイドラインのほうだったと思うのですが、適当でない場合と困難な場合で何かそういう表現がどこかに入っているのです。日本でしたか。

 

○西澤構成員 

ありましたか。

 

○山縣構成員 

はい。確かに困難な場合というのがどこかにあったような気がするのです。違いましたか。3は困難な場合なのです。

 

○奥山座長 

そうなのですけれども、今の日本ではきっと、これが非常に多くなるのかなと。

 

○山縣構成員 

現実にはそうです。

 

○奥山座長 

上鹿渡先生、どうぞ。

 

○上鹿渡構成員 

今のところですけれども、これをどこに入れるかはさらに検討が必要だと思いますが、いずれはこの状況を解消しなければならないということを明確に入れておいたほうがいいのではないかと思います。そうしないとずっと、この一時的もいろんな意味で解釈されて、これがあるから許されるという状態になるかもしれないので、この点を明確に入れていただければと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。そのとおりだと思いますが、解消するようにfostering agencyの役割が非常に大きいということになってくるのだと思うのです。

 3.に関して御議論いただけますでしょうか。

 ここも機能は要らないということだったら要らないということになるのですけれども、さっきも家庭も機能が要る要らない、両側の意見があったと思うので、ここでも御議論いただければと思います。

 

○山縣構成員 

ごめんなさい。国内のガイドラインでした。何かガイドラインのイメージが、里親委託ガイドラインの中に、たしかそういう表現がありました。

 

○伊達構成員 

一番大ざっぱな、つかむための素材ですけれども、社会的養護の課題と将来像が出たときに、やはりこれはおかしいなと私が感じていたのは、欧米のほうでいわゆる家庭養護ないし家庭的養護を中心にした養護をやっているから、それを取り入れていく。特に里親養護を取り入れていくという形で進んだと思うのですけれども、私が知っている限りでは、やはり向こうのほうはそれにもかかわらず家庭を離れている状態にある社会的養護の子どもの児童人口に占める割合というのは非常に高いのですよ。

 それだけやはり難しい状況になって、我々が求める家庭養護みたいなものを提供する条件がつくれていないのではないかということもあるわけですし、里親不足という話も聞いていますし、そこら辺をどういうふうに本当に供給していけるのかということを同時に考えないと、その理念の枠組みも現実の問題についえ去ることになるのだろうと思うので、そこら辺のつながりは検討したいと思います。

 

○奥山座長 

それは、いわゆる社会的養護を・・・

 

○伊達構成員 

現実に判断をした人たちが社会的養護を増やさざるを得ないということで、あそこまでのニーズが必要になっているということだろうと思うのです。もちろん、向こうのほうの流れとすれば当然、パーマネンシーを考えているはずなのですけれども、それでもあれだけの人数が出てしまうということなのだろうと思うのです。

 

○奥山座長 

ということは、日本でもそれだけ数としても考えておかなければいけないということですね。社会的養護の予防策みたいなものをもう少し充実しなければいけないということもあるかもしれないですし、先ほど来、出ている在宅措置、通所措置みたいなところを使って、もっと社会的養護を必要とする子どもを減らす対策も必要なのだろうとは思うのですけれども、ただ、やはりそれにしても社会的養護の子ども数が少ないというのは多分あるのだろうと思います。

 

○伊達構成員 

一連の流れをやっていると、やはりそういうことになっていくのだろうと思うのです。なるべく介入した後にパーマネンシーが保障されるような方向に持っていきたいのだけれども、現実問題とすればそうなるということなのだろうと思うのです。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

この3.の「2)要件」のところなのですけれども、原則として家庭に近い規模というか、原則として多分、1番の、まとまらなかったのですが、一般の家族の機能とか要件に近づけましょうというのが理念としてあると思うのです。全部一致はしないけれども、その中で、前も言いましたが、地域社会に存在するという要件をここに入れるのはどうなのでしょうか。

 

○奥山座長 

先ほど来、お話ししたように、まず家庭同様の養育環境というものを考えて、原則としてできるだけ家庭と同様の機能を有するというふうに考えていたので、原則として全てのことがそこに組み込まれると考えていました。地域とかかわるということもです。

 要件の中にそれが全部入って書かなければいけないとすれば、確かにそうですが、先ほどお話ししたように、例えば行動化が激しい場合、やはり地域の中に本当にオープンに組み込めるのかという話も出てきてしまうので、そこはニーズによって考えていくしかないのではないかと思ったのです。

 

○藤林構成員 

私の頭の、これは仮の考え方なのですけれども「できる限り良好な家庭的環境」はやはり地域社会の中にある小規模なものと思っているのです。もう一つ、その例外というものがあるのではないか。できる限り家庭的な養育環境ではやはり難しいという子どもさんもいて、そういった場合に地域社会の中からちょっと離れたところであるとか、6人とか8人では難しい、やはり情短とか児童自立支援施設も今後も続いていくと仮に仮定すれば、20人というのもあるのかなと思いますと、4番として「できる限り良好な家庭的環境」の例外規定をつくるのかつくらないのか、ということになってくるのですけれども、そこはどうなのでしょうか。

 

○奥山座長 

西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員 

私はそれは、ここは情短も今、児童心理治療施設でしたか。名前が変わりましたね。情短も児童自立もやはり社会的養護で、これが基準だと思うのです。やはり小規模で、ただ、小規模というのも、皆さん多分、頭がばらばらになっていると思うのです。中身がばらばらというか、みんなの理解がばらばらというか、私なんかの理解では、小舎制施設はオーケーなのではないかと思っているのですけれども、今のでしたら、それもいけないという話になりませんか。

 もう一つは、地域社会の定義というものがないので、どこにあったら地域社会にあって、どこにあったらないのか。

 

○藤林構成員 

いけないのではなくて、それを認める規定をつくるということなのです。言っていることは同じだと思うのです。

 

○西澤構成員 

いや、若干ずれていると思っているのは、例えば小舎制の児童養護施設というものがありますね。これも基本的にはなしになる。

 

○藤林構成員 

いや、なしにはしないのです。

 

○西澤構成員 

しないのですか。

 

○藤林構成員 

だから、例えば私がイメージしているのは情短なのですけれども、20人とか30人とか40人の情短であるとか、児童自立支援施設というものは大抵、非常に遠いところにあるわけなのですけれども、それはどう考えても児童自立支援施設や40人の情短は家庭環境とは言えない。でも、やはりそれは、どの辺までだったら家庭的環境でない、社会的養護施設として認めるのかというところは明確にしたほうがいいのではないか。

 

○西澤構成員 

いや、それは今の情短とか児童自立の扱いをどうするかという議論ですね。

 

○藤林構成員 

そうです。

 

○西澤構成員 

そうすると、今、先生が言っていたような、地域社会の中にあるのですということをイメージすると、むしろやはりグループホームというか、地域小規模が一つの基準になるのかな。

 

○藤林構成員 

私は、それがベースと思っているのです。

 

○西澤構成員 

そうすると、小舎制の施設というものはどう扱うのかなというのが疑問なのです。

 

○藤林構成員 

それは、また議論していただいて、12人、17人の小舎制児童養護施設も地域社会の中にあって十分交流していればそれはオーケーというふうに。

 

○西澤構成員 

先生の言っている小舎制と私が言っている小舎制がずれるのですが、小舎制は大体、50人ぐらいの定員で、それが10個ぐらいの建物に分かれて生活しているのが小舎制なので、だから、理解はばらばらでしょう。

 

○奥山座長 

加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

話が戻るのですけれども、良好な家庭的環境を機能として、まず明確にしておくということが必要になってくるのだろう。その上で、その中に家庭が本来持っているであろう健康的なというものがあって議論をしてきたわけですから、その機能が、子どもの発達にとって必要な機能があるということを条件にして、まず議論をしておかないと、形態論の中だけで発してしまうと現実的でなくなってしまうだろうと思うわけです。

 だから、そこのところは、さっき西澤構成員が言われように、ざくっとした表現で機能論的にまとめたほうがいいのではないか。形態論がそこに余りにも、ただ、もちろん、狙いとしては、基本的な形としてはそういうものを、藤林構成員の言うように目指すということは当然あっていいと思いますが、そういったものも出てくるから、例外規定という言い方をするのがいいかどうかわかりませんけれども、まずは機能論をきちっとしよう。子ども一人一人が発達する保障機能としての良好な家庭的環境とは何だということ。そういう意味で固めたほうがいいと思います。

 

○奥山座長 

そういうことで、まず機能のところは、これはこれでいいのですか。

 

○加賀美構成員 

いや、これではちょっと、「1)機能」の5で「長期的なものではなく、ここからの自立は例外的」と表現してあるのですが、この自立というのは社会的自立という意味ですね。

 

○奥山座長 

社会的自立です。

 相澤先生、どうぞ。

 

○相澤構成員 

できる限り良好な家庭的環境というところで、奥山座長が前の、同様の養育環境の要件は含まれているということでしたけれども、それならそれでいいのですが、生活の柔軟性というものはすごく私は大切だなと思っていて、生活というものは創意工夫の上に成り立っているので、そういうことがきちっと機能としてあるということはやはり本質的には必要だろう。

 伊達先生が言ったように、子どものニーズとか、今まで育ってきた生活状況とか、育ってきた環境とどういうふうにマッチしたような生活を提供するかということが家庭と同様、もしくは家庭的環境ということに私はなろうと思うので、そういう意味の柔軟性というものはやはり私は中心的な課題として打ち出してほしいなと思います。

 以上です。

 

○奥山座長

 塩田先生、どうぞ。

 

○塩田構成員

 この3.の1)に入るのか、2)に入るのか、もしかすると、この大きな2とかに入るのかもしれないのですけれども、私はやはり施設がソーシャルワーク機能を有していることが大事で、個別化とか、そういうものは全部、ソーシャルワーク機能に入るのではないかなと思っています。

 やはり適切なプランニングがあって、ケアというか介入があって、そして、子どもたちや親の状況の変化を試みるとか促す仕組みがあってこそ、長期的なケアではなく、施設からの自立は例外的であるというふうにはなっていかないと思うのです。ケースを動かしていかなくてはいけないのだったら、余計にソーシャルワーク機能を有しているということを要件の中に入れておいてほしいなと思います。

 

○奥山座長

 その後のことと絡むのですけれども、現在のファミリーホームが全て家庭同様の養育環境と言えるのかどうかという、この間からの議論があって、そうすると、一部のファミリーホームはこっちの家庭的なほうに入っていくのかなと思ったりもしたのです。そこがソーシャルワーク機能まで持つのかなというのもあります。それで後ろのほうで、施設の機能として家庭的な養育機能に加えてファミリーソーシャルワークとか一時委託・一時保護委託を受ける機能であるとかというのを3ページのほうにまとめて書いてみているのです。

 ここではあくまでも養育環境としてどういう条件かということだけを考えてみたということで、その他の機能を後ろにまとめました。

 家庭同様の養育環境の機能というところを全く書かない状態になってしまうと、さっきの柔軟性とかなんとかが突然ここに出てきてもおかしな話になるのではないのかなという気はしているのですけれども、どうでしょうか。。

 もう一つは、ここでさっきからの御議論の中で1つ、いろんな意見があっていいと思うのですけれども、明確にしておきたいのは、ちょっと後ろに先走る形にはなるかもしれないのですが、今、いろいろな施設体系がある中で、情短とか大舎制の児童自立、夫婦小舎制のところは生活単位としては小さいわけですけれども、そのようなところを今後、小舎に向けるべきと考えるのか、それとも、違うのかあたりのところをもう少し御意見をいただけますか。

 相澤先生、どうぞ。

 

○相澤構成員

 小舎夫婦制は、やはりここでできるだけ家庭環境に「できる限り良好な家庭的環境」というふうに私は位置づけるべきだとは思いますけれども、子どものニーズとか、そういうことにマッチした一つの形態だと思っています。

 

○奥山座長

 逆に、児童自立支援施設でも大舎制は結構ありますね。それは、例えば私が思うのは、夫婦小舎制でもやれていることを大舎でやっているのだから、やはり生活環境としては小舎制にしたほうがよいというイメージはあります。

 それから、情短施設にしても、全く入院治療施設と似たような形でやっているところがあって、入院というのはあくまで家庭があって一時的に入院するところですね。それが、家庭がなくて入院施設にだけいるみたいな形の情短でいいのだろうかという疑問を感じるところなのですけれども、皆さんの御意見を伺いたいなと思っています。

 西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員

 基本的には私は、私自身も情短の職員を、それから、心理士、ケアワーカーを経験しましたから思いますけれども、やはり先生が言うような医療的モデルというものは、情短が子どもの福祉施設であることを考えると、なじまないと思います。なので、基本的には情短も生活支援ベースに戻すというふうに考えると、やはり小規模化だろうと思います。

 情短の中にも小舎制でやっている施設はあるので、現にできている。だから、ある意味、児童養護施設等の、社会的養護の施設の中で心理士が豊富にいて、ある程度、そういった心理療法を自前で全ての子どもに提供できるタイプの施設として位置づければいいと思うのです。だから、ベースは生活支援だというような、それで小規模である。それでいいと思います。

 ただ、児童自立がいまいちよくわからない。児童自立に関しては、いろいろ話を関係者から聞いていると、やはり隔離ができるところが一番大きな利点だというふうに、隔離というのは個人の隔離ではなくて、地域社会から隔離するのが一番の利点なのだという話はよく聞きます。

 つまり、自己完結的である。自分たちのところで全て済むのでという特徴を持った施設として位置づけてということになるのかなと思っていますが、私は児童自立の経験がないので、そこはわからないです。

 

○奥山座長

 そうすると西澤先生の御意見としては、情短は地域社会に開かれた小舎であるべきと。

 

○西澤構成員

 もう一つ、特徴があるとしては、多くの施設が院内学級を持っているので、その院内学級が活用できるという利点はあるのかなとは思っています。地域に開かれると同時に、必要に応じて子どもたちが施設の中で教育をも完結できるという特徴を持った施設として位置づけることは可能かなと思っているということです。

 

○奥山座長

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 私も大体、西澤先生と同じイメージで、情短はやはり、一つのユニットは小規模のほうでなければなかなか難しいのではないか。6人とか8人が限界ではないかなと思うのですけれども、ただ、私の頭の中では、基本的に施設ケアは地域社会の中にまじっているのが本来あるべきと思うのです。ですが、情短については6人、8人のユニットがばらばらにあるととても大変というのと、職員のバックアップも非常に難しいということと、院内学級のことを考えると、情短については6人、8人のユニットが固まった施設のあり方というのは十分あり得るかな。

 児童自立支援施設も同じで、やはり基本は6人とか8人、6人ぐらいが限界ではないかと思うのですけれども、これがまた地域社会にばらばらにあると、それはなかなか収拾がつかないので、固まったところで院内学級があって、お互いにバックアップしていくという体制があり方として妥当ではないかなと思っています。

 

○奥山座長

 どちらかというと、児童自立支援施設はどちらかというと行動化の激しいお子さんを対象にしています。ですので、さっきの西澤先生がおっしゃるように、境界線があるという中に守られているということになるのだと思うのですけれども、情短は性虐待の被害のお子さんなども結構おられて、その子たちが逆に社会に出ることの不安さといったなところもあるので、そういう意味で地域の中に必ずしも全部が開かれているのではなくて、子どものニーズに合わせて、閉じられた中に一時的にいて回復するということもあるのだろうとは思います。でも、基本的に生活単位は小さくしていくべきということは皆さん一致と考えていいでしょうか。

(首肯する構成員あり)

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○藤林構成員

 これは情短の団体からそういう意見が出てこなかったのですけれども、生活単位を6人、8人にして、そのユニットが8つも10個もある情短は物すごく運営が大変ではないかな。せいぜい6人ユニット、8人ユニットが集まって、3~4カ所とか5カ所という、施設全体の規模が大きくなると、その辺が40人、50人の子どもが、ユニットは別々であっても、1カ所に集まっていると、そこでいろんな問題行動が発生してくるということを考えると、やはり施設全体の規模というものは小サイズがいいのではないかなとは思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 施設全体としても小さいほうがいいということですね。ただ、さっきから私が気になっているのは、先生が6人、8人とおっしゃっているのですけれども、8人はありなのですか。

 

○藤林構成員

 6人でもいいです。そこは例えばということなのですが、皆さんで議論していただいて、6人というのだったら。

 

○西澤構成員

 絶対6人です。

 

○奥山座長

 最大6人ではないのかなと。

 

○藤林構成員

 私もそう思います。6人以下でも、4人でもいいです。

 

○奥山座長

 そうなのです。本当はできる限り家庭に近いとなったら、今、6人の子どもがいる家庭はほとんどないのですけれども、今までのことを考えると6人ぐらいなのかなとは思いますが、いかがでしょうか。

 

○伊達構成員

 はっきりと6人以下という明示は必要だろうと思います。要するに、どこかで今まで戦後、昔は下限設定というものがあって、30人以上でないと認めないという児童福祉施設のそういうあれがあって、それがどんどん、大き過ぎるということで小規模化してきたわけですから、いつの時代か、6人以上8人以下という縛りができてきてしまったので、やはりこれは、まず単位というのは6人以下に絶対直すべきだと思います。

 

○奥山座長

 では、加賀美先生と相澤先生と上鹿渡先生の順番で。

 

○加賀美構成員

 藤林先生、全体の規模として、どのぐらいの最大規模というイメージを持っていらっしゃるのですか。

 

○藤林構成員

 情短ですか。

 

○加賀美構成員

 はい。

 

○藤林構成員

 いや、私は情短を運営したことがないのでわからないので、6人掛ける5の30が限界ではないですか。

 

○加賀美構成員

 ありがとうございました。

 

○奥山座長

 ほかには何か。情短にいた方は。

 

○西澤構成員

 一応、現行の情短は、もともとのモデルは50人定員で、うち15人が通所枠で、35人が入所枠というのが最初のモデルなのです。それを生かす、この枠に関係ないと思うのですけれども、やはりせいぜい30人でしょうか。20人台のほうが望ましいと思うのですけれども、24人とかのほうが望ましいとは思います。

 

○奥山座長

 ほかにいかがでしょうか。

 確かに相当な、例えば児童の病棟のことを考えても、30人の病棟というのはもう目が点になるような感じがするので、やはり20人台のほうがいいだろうなとは思います。

 上鹿渡先生、どうぞ。

 

○上鹿渡構成員

 私も以前、情短施設で働いていたことがあるのですけれども、ただ、この人数、1つにおいて何人かというのは、今、8人とか6人とか出ていましたが、そこは最初、完全に決めてしまわないで、少なければ少ないのがいいというのであれば、ある程度、何人かというのは検討をつけつつも、本当に決めるのは1度試行的に実施してみて、それでその効果をみてどういう形にしていくのがよいかを決めていくのがよいのではないかと思います。

 ファミリーホームの6人という人数が決められて、実際に運営される中で、ファミリーホーム協議会からのヒアリングでも人数の問題が言われていました。やはり6人は多過ぎるのではないかというお話でした。ファミリーホームの定員についていろいろ考えられて5人~6人ということで決まったと思うのですが、実際始めるとやはりいろいろな問題が出てきて、本当はそうではない方がよかったのではないかということも生じると思いますので、そこは完全に決めずに、でも、人数は今より少なくするというのは少なくする方向でやってみて、もう一度、再評価する時期を設けて実施していくということができないかと思います。

 

○奥山座長

 要するに、上鹿渡先生としては6人より多いのもありかなというイメージですか。

 

○上鹿渡構成員

 そこが私も、実際にかかわっていた時期が少し前なので今の状況はわからないですけれども、この前の、情短施設のヒアリングでも人数のことで質問されたときに際に、必ずしも小さいものだけではなく治療的な効果を考えると、余り小さくないところも要るのではということもおっしゃってはいらっしゃいました。情短のニーズも地域によって様々で、医療機関があるところとないところで全然違う子どもたちが入所していたりしますので、もしかしたらある程度の幅も要るのかもしれませんし、一律にここの人数で決めてというのはいろんな無理が生じるのかもしれないとヒアリングでのお話からは思います。ただ、私、個人としましては人数はより少なく「家庭的な」というところは守っていけたらと思っています。

 

○奥山座長

 そうすると、原則として6人以下を目指すというイメージですか。

 

○上鹿渡構成員

 そうです。少なくてやれるところは少なくやって、効果が確認できればそれがよいと思います。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○藤林構成員

 その点について、何人かの情短関係者と話したのですけれども、やはり6人よりも大舎制、もっと大勢のほうがいいという意見を持っている方もいらっしゃって、よくよく聞いてみると、それはやはり職員の問題なのです。今の配置基準では、6人では到底無理なのだ。6人のユニットと6人のユニットを合わせて12人の1つのチームでないとケアできないという前提があるのかなというのが最近、気がついたのですけれども、本来、6人にするためには6人に最適な職員数を置くことによって6人が可能になっていくのではないかなと思います。

 

○西澤構成員

 それにつけ足しです。

 私も同じ意見で、大人数のほうが治療効果が出るというのは多分うそだと思います。むしろ治療効果というよりは職員の配置数とのバランスとか、そういう問題だと思いますし、私はやはり6人というのは、最大6人というふうに考えるのは、実際、地域小規模で現行の職員配置数で、それにプラスアルファの部分をつけてやっていてもぎりぎり6人しか見られないという現状があるので、だから、最大を6人にするという、これは原則というと、たしかもともと小規模ユニットが6人だったのが、東京都の場合ですけれども、どこかの施設の都合で8人になったという力動が働いてしまうのです。

 例えば8人まで認められるのだったら、ある施設の需要であったということになって、なし崩しになる可能性があるので、やはり最大6人ですと。もっと少ないほうがいいに決まっているのですけれどもという意味で、最大6人としたほうがいいように思います。

 

○奥山座長

 相澤先生、どうぞ。

 

○相澤構成員

 6人というのは妥当だと思いますが、それはやはり制度上6人というふうに決めてしまうよりも、私は原則というふうにしておいたほうがいいなと思います。

 例えば福岡市から、この子は是非児童自立でないともたないので入れてくださいと私が施設長をやったときは来るわけですよ。それで、うちでこれを受けたら限界だなと思いながらも、だとするならば、例えば退所する時期が間もない子がいるので、そこでお願いできないかなという運用みたいなことが、やはり現場というのはそういうものですから、ある程度、子どもの最善の利益を考慮しながらもそういう運用が可能な制度はつくっておくべきかなと私は思います。

 

○奥山座長

 ただ、それでなし崩しというのはやはりまずいのではないでしょうか。。そういう例外的な運用ということとなし崩しになれる書きぶりとはちょっと違うと思うので、そこは工夫して、6人というのを決めておいて、それは細かい、細則を決めるところなのでしょうけれども、よく病棟の定員なんかでもそういうものがあるのですが、通常はならすと6人だけれども、一時的、瞬間的には7人、8人まであっても、それは許されるみたいな形にしておけば問題はないのではないかなと思いました。それを原則で6人という形で、それ以上にできるということになってしまう、全体として6人、7人、8人入れる状況になってしまうのはやはりまずいのではないかなと思いますので、何かそこは工夫かなと思いました。

 どうぞ。

 

○山縣構成員

 児童自立支援施設の話になったので、途中で相澤構成員が夫婦小舎制、小舎夫婦制は良好な家庭的環境でいいのではないかとおっしゃいましたね。私もそのとおりだと思うのですけれども、ところが現実はそういう児童養護施設とかとは違って、児童養護施設のところは大舎から小舎のほうにどんどん時代が流れていっているわけですけれども、児童自立の場合はむしろ小舎夫婦から交代制になり、一部はさらに大舎制にまで戻ってきている状況下で、これをどう考えていくのか。

 例えば今、相澤先生に対するわかりやすい具体的な質問は、例えば交代制勤務のところ。大舎制はきっと無理だと思うのですが、交代制勤務のところについて言うと、やはり良好な家庭的環境とは読まないというイメージになります。これは今、交代制勤務が結構ありますね。この部分は先生のイメージでいうと、3のさらに外にある、改善すべきものなのか。でも、時代はそっちのほうに行っていますと。では、戻すにはどうすればいいのですかというところが次の政策課題にはなってくると思いますけれども、とりあえず、その位置づけはどのように考えておられるのですか。

 

○相澤構成員

 ですから、ここでいう、本来ならばできるだけ良好な家庭環境の2)の「3養育者は複数となってもそのケアの在り方は一貫している」というところでは、交代制であっても小舎であって、この機能要件を満たせば私はそれでいいと思います。

 

○山縣構成員

 だから、大舎のみがだめというイメージになるという理解でいいですね。

 

○相澤構成員

 はい。そうです。

 

○山縣構成員

 わかりました。ありがとうございます。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○伊達構成員

 そこは悩ましいところなのですけれども、オーケーという意味ではなくて、逆に私なんかは夫婦でやっているタイプでやると、住み込みというのは労働条件を無視しているからという話でできなくなってしまうという現実があることを議論しておくべきだと思います。

 最近読んだ本で、イギリスもやはりそこら辺は本当にシフトで、ただ交代していればいいのかという、もう一回、問い直しをやっているみたいですから、やはり特定の養育者というふうに言うのであれば、その養育者がちゃんと資格を持っていて、そして、その人がちゃんと尊敬をされた上で労働基準から外すぐらいな、何かそういうものを考えていかないと、気がつくとみんな、だらっとしたシフト制に変わって、みんな通勤の中でしか子どもとの関係性を考えないということになると、さっき井上先生がおっしゃってくれたみたいな、私は今日担当ではないですからわかりませんという話になってしまうのだろうと思うのです。そこのところの大事さを恐らく、今、一番ポイントにしなくてはいけないのではないかと思うのです。

 

○相澤構成員

 おっしゃるとおりで、一貫性とか継続性とかというものについてはどう担保するかということがやはり極めて重要だと思うのです。昔は並立制というものがありまして、1人の方が住み込まれていて、ほかの職員の方が交代で勤務されるみたいな形態がありまして、今はなくなってしまいましたけれども、そういうこともありました。やはり夫婦を確保することがなかなか難しくなってきている。やはり小舎夫婦制の中でも夫婦プラス1という感じで、3人制で運営をしているような施設もございますので、やはりいろんな小舎夫婦制をやっている施設でも維持確保のためにどういう体制を組んだらいいかということについては検討していますので、そういう意味で、できるだけここでいう良好な家庭的環境に近づけることについて、それを中心に置いて条件整備をしていくことが大事だと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 労働基準法にも話が及んでいるのですけれども、藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 先ほどの情短と同じで、児童自立支援施設も基本6人とするのであれば、やはりそれが本当に機能するためには6人というサイズに見合った職員体制が十分必要ではないかなと思うのです。

 現状、児童自立支援施設は定員があるわけですけれども、全然、定員よりも半分か3分の1とか、物すごく少ない入所児童数でやっているのは、現実、そうでなければ回らないというのがあるわけなのですよ、と相澤さんに言うのもあれなのですけれども、やはりここは実態に即した職員配置のあり方を国レベルで位置づける。、都道府県レベルで予算を獲得というのもなかなか難しいのではないか

なと思うのです。

 この前、児童自立支援施設の代表の方もそう言われていらっしゃったわけなのですが、そこの職員配置の考え方は相澤さん、いかがでしょうか。足らないものは足らないということで言っていいのではないかと思うのです。

 

○相澤構成員

 ですから、児童自立支援施設はほとんど公立が多いですので、恐らく今の最低基準の配置以上の職員はもう配置されているところが多いと思うのです。それは定員を下げるとそれだけ職員が減らされてしまうというところで、定員を減らさずに、恐らく今の職員体制で扱える子どもを扱っているのが実態だと思います。

 

○藤林構成員

 実態と実際の職員配置数の乖離はそのままにしておいていいということですか。

 

○相澤構成員

 それについては要望として全児協から職員、今、予算上、3対1になっているのかな。それで、実際には恐らく2対1とか、そういう内容が要求されていると思いますけれども、子どもの本当に個別のニーズにきちっと適した対応をするのであれば、実際に例えば今の児童自立で扱っている人数からすれば、1点何対1ぐらいの割合にはなっているのではないかと思いますけれども、そのぐらいの水準まで職員配置がなされることは必要かと思います。

 

○奥山座長

 西澤先生、どうぞ。

 

○西澤構成員

 ただ、そういうことであっても、充足率というか、定員の3分の1、3040%ぐらいしか充足していなくて、やれているということなのですよ。そこが私はよくわかっていなくて、つまり、そういうふうにもともと決められた定員があっても、そのぐらい定員数が少なくても社会的養護全体はそれでオーケーなのかなというのがあるのです。

 つまり、何が言いたいかというと、果たして子どもたちの抱えているニーズに児童自立施設は応じているのですかというのは思うのです。私は非常に少ない経験なのですけれども、例えば私のいる山梨の場合は、児童自立は要らない。あっても邪魔です。実際、現にたった1人しか子どもがいない時期もありました。もう使えない施設で、別に誰とは言いませんけれども、東京都のある施設のソーシャルワーカーに、東京都は児童自立が2カ所あるけれども、必要かと聞いたら要らないと即答されました。なので、使えない施設というものも実際にあるわけですよ。この問題をどう扱うのかというのがいつも気になっているところなのです。

 

○奥山座長

 それは今のこの3条の2とは話がずれていったのですけれども、児童自立支援施設に関して、情短も含めてなのかもしれませんが、どのように考えるかが問題ですね。それから、この3条の2の大きなところは、実を言うと2番のところで、養育が困難ではないお子さんたちはほとんどが家庭同様のほうに行くことになります。そうすると、施設に来る方というのはかなり大変なお子さんということになるので、今の施設のあり方だけで本当に対応し切れるのかという問題が1つあると思います。

 それから、今、出てきたように、児童自立支援施設が要らないと言われてしまうのは、やはり養育の問題が昔ながらの養育のあり方をしてしまっているがために、今の問題に追いついていない部分は多分にあるのだろうなと思いますし、そういう意味でも養育の内容も考えていかなければいけない。

ここの3条の2で大きく変わった部分に対応していくだけのシステムをつくるのは非常に大きな話なのです。お金の問題も大変になると思いますし、そういう意味でもこれは本当は、だから、この先のところはかなり議論しなければならないと思うのですけれども、原則、この条文をどう解釈するかということに関して、まず一定の理解を得ておいて先に進みたいと思っています。

 少し戻っていただいて「できる限り良好な家庭的環境」は大分見えてきたのですけれども、要するに大舎制はどの施設においてももう入りませんということでいいですか。

 本当にいいですか。

 

○西澤構成員

 はい。

 

○奥山座長

 わかりました。

 では、そういう方向で考えていく。ただ、藤林先生が強調されている、地域の中にということに関しては、子どもたちの質に必要なケアの中で、ある一時期は地域等に100%オープンでないという場合もあり得ると考えてもいいですか。

 それから、最大6人。突風で少しオーバーするのはともかくとして、最大6人という規模を考える。できるだけ家庭の機能を有するという意味では生活の基盤、それから、子どもの権利の保障はもちろんとして、養育者が複数となってもできるだけ一貫した養育がなされるということと同時に、例えば柔軟な養育であるとか、そういう家庭の持つ機能はできるだけ有することを原則とするというふうに考えてもいいでしょうか。よろしいでしょうか。

 

○西澤構成員

 だから、そこで個別性というか、子どもの個別のニーズに個々に応じるケアという、この個別化というところを前面に出していただきたい。いまだに集団生活だからという、子どもたちを十把一からげに扱っている施設が何と多いことかということなので。

 

○奥山座長

 数年前も芋洗い理論というものを聞いてびっくりした覚えがあります。御存じでしょうか。

 

○西澤構成員

 もちろんです。

 

○奥山座長

 そのときに私が思ったのは、クルミとトマトとを一緒に洗ったらどうなるのかと思ったのですけれども、それは置いておいて。

 

○西澤構成員

 意味が皆さんに共有されていないと思うので。

 

○奥山座長

 皆さん、芋洗い理論は御存じですね。

 

○松本座長代理

 想像はつきます。

 

○西澤構成員

 集団主義養育理論の説明です。

 

○奥山座長

 なので、1人、2人しか養育対象がいないと養育にならない。集団の中で切磋琢磨されていかなければ養育にならないという理論なのだそうです。

 

○西澤構成員

 だから、お芋をがらがらといっぱい回しているうちにだんだんきれいになっていく。

 

○奥山座長

 皮がむけるということです。

 

○西澤構成員

 施設養育とはそういうものだという集団養育理論というものが言われた時代があって、その話です。

 

○松本座長代理

 芋洗いの例えにしていましたか。

 

○西澤構成員

 芋洗いの例えにしています。それは別のある話で出てきたときに。

 

○松本座長代理

 そうですか、芋洗いという言葉を使っていましたか。

 

○奥山座長

 すみません。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 芋洗い論は、まさに圧倒的な人手不足という条件の中であった児童養護施設で、その長い歴史の中で出てきた話であると私は理解しているのですが、そういう考え方でいくと、個別化ということをどれだけ担保できるかということになると、先ほど良好な家庭的環境というものが24時間、子どもたちと一緒に暮らす人が存在するという意味をどこまで担保するか。

 私のところは、基本的には住み込みということを基本原則にはしてやっているのですが、現実的に住み込みという形態でどれだけの人が今、確保できるか。大変難しくなっている。単純に労基法を変えただけの条件では無理だと私は思っているのです。そのときに、やはり人の数の問題も適切な数、個別化が図られる数というときに考えると、6人のところにどれだけの職員がいるかということをきちんと計算しないと、少なくとも1人で常に6人見なければいけないみたいなことが実際に起こって、そうすると個別化どころではない。やはり芋を洗うというのがまた継続されてしまう。

 そういうことを考えながら、そこの人の手当ての問題は一人一人の個別的な発達する権利を保障するという法改正になったわけですから、そこは明らかにこれからの良好な家庭的養育環境を担保するための人の問題。住み込みという形はできないということは多分、かなり現実的な話だと私は思っているので、あとは機能レベルを高めるということと、ケアの連続性ということを担保できるだけのプログラム、良質なプログラムを持って、なおかつ適切な人が配置されている状況が要件としてついてくるだろうと思います。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○相澤構成員

 この議論はこの議論でいいのですけれども、私がちょっと心配なのは、小規模化すると社会的養護のキャパが小さくなるわけですね。結局、ただでさえ虐待が増えている中で社会的養護を必要とするお子さんがいっぱいいるわけで、この小規模化することによって、全然それは反対しないのですけれども、その必要としているお子さんを今度はどういうふうにケアしていくのかという、そちらの議論もやはりもう一方できちっと、この後、しておかないと、恐らくまずいのだろう。それだけは触れておきたいと思います。

 

○奥山座長

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 今、相澤さんの言われる、小規模化することによって実際に施設ケアを受ける子どもさんは今よりももっと少なくなっていくわけで、では、大分コストは浮くのかもしれませんけれども、それはやはり十分、里親またはファミリーホームという同等の家庭環境のほうと、あとは在宅支援に十分回していくという、またはそれ以上に必要ではないかなと私は思います。

 もう一つ言いたかったのは、今、奥山先生がまとめた、基本は小規模化なのだと。それで、特殊な子どものニードによっては小規模ユニットが集まった地域社会からちょっと離れた環境もあるのだという、今、まとまった原則というものは一時保護にも当てはまるというふうに確認しておきたいのです。

 それで、一時保護に来る子どもが全てそういう地域社会から隔絶されたところが必要な子どもばかりではないので、一時保護に来る子どもの中には家庭と同様の養育環境でいい子どもさんもあれば、グループホームでいい子どもさんもあるし、中には地域社会から隔絶された環境が適している子どもさんもあるというふうに考えながら、子どものニードに応じた一時保護環境というものを考えていく。一時保護所ありきではないということを確認したいのと、中には一時保護所みたいなところが必要な子どもさんもあるかもしれないけれども、その場合であっても基本は小規模化であるということでいいでしょうか。

 

○奥山座長

 一時保護のことはまた後で考えようと思っていたのですけれども、一時保護の場合、今、ほとんど小規模で6人といったときに、地域小規模を見ているとおおむね個室になってきてはいるとは思うのですよ。一時保護所で、個室でないところはまだ時々あったりするのですが、やはりその辺の生活単位は小さくというのはわかるのですけれども、一時保護所への条件というものは小規模に加えてプラスアルファあるのではないか。

 

○藤林構成員

 だから、私が言いたかったのは、今、ここでまとめた「できる限り良好な家庭的環境」である原則論は一時保護にも当てはまるのだということを確認したかったのですよ。

 

○奥山座長

 わかりました。了解です。

 何か、ほかに御意見を、こんな場合もあるとか、それは無理なのではないかとか、何かありますでしょうか。

 若干、私が気にしているのは、一時保護は本当にどんな子が来るかわからない。警察からの身柄つき通告でとんでもなく大変なお子さんが来たときに、やはり6人は同じ家庭的環境なのですと言って入れなければいけないのか。ちょっと1人だけ違ったところにということもありかなと思ったりして、全部カバーし切れるのかなといったあたりが心配になったのです。

 

○藤林構成員

 ですから、子どものニードに応じて身柄つきで来る学齢児さんなんかは、イメージとしては情短と同じぐらいの配置基準のある小規模一時保護所みたいな感じかなとは思うのです。

 それで、今、都市部の一時保護所は混在ですし、20人、30人、70人という、あれはもうやめていくべきではないかということを言いたかったわけなのです。

 

○奥山座長

 基本的にはそうなのだろうと思うのですけれども、一時保護所は一時保護所でもう一回議論をして、生活環境は小さくというのはいいと思うのですが、私はやはり、あそこに2カ月、3カ月いること自体が大変なので、もっと短くして、一時保護委託をもっと増やしていかなければいけないのではないかとも思いますし、そういうところをもう少し、一時保護は一時保護で議論をしていきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 あと40分になってしまったので、このまま行っていいでしょうか。お手洗い休憩は必要でしょうか。

 

○松本座長代理

 行きましょう。

 

○奥山座長

 それでは、行きます。

 では、今、皆さんの御意見をまとめて、林先生や松本先生のお助けも得ながら、また前のほうはまとめて改善案を出していきたいとは思うのですけれども、この先のところで、先ほど来、出ていました養子縁組、里親というものの「家庭環境と同様の養育環境」というふうに私は入れてしまっているのですが、その辺は皆さん、ここは分けて何か考えるべきとか、御意見はありますでしょうか。

 それと、家庭型ファミリーホームという名称が出てきていますが、これはこの間、私が書いたものをそのまま持ってきてしまったので、こういう名前がないので、ここは削っていただいて、5)はファミリーホームの中で以下のものを含むという形にしてください。

 前回ヒアリングに来ていただいたファミリーホーム協議会の卜蔵さんのほうから提案が出ておりますので、そちらもできれば目を通していただいて、いろいろな問題点とかいろいろ書いてあるのですけれども、2ページのほうに、ファミリーホームとしてこういう条件を、少なくとも新たに開設するところでは課したほうがいいのではないでしょうかということが書かれています。

 交代制勤務でも当然なのですけれども、養育者が固定されている。24時間365日ファミリーホームに住んでいて、ファミリーホームが養育者の家庭であること。日々の生活が管理された生活ではなくて、柔軟で相互コミュニケーションに富む暮らしができている。それで、法人型の場合は人事異動がないこと。それから、ファミリーホームが本体施設から離れて、地域の中に存在し、独立して運営されていること。養育者は里親登録をすることと書かれているのです。

 これをファミリーホームとすれば、ファミリーホーム全部がこっちの家庭養護でもいいのかもしれないと思います。ただ、ファミリーホームの定義を変えるということになります。実際動いてしまっているファミリーホームがあるので、どのように考えるべきでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 多分、この1)、2)、3)、3)、4)となっているのですけれども、4)の里親登録するというのは非常に大事な視点ではないかなと思うので、これは現在、里親登録されていない方は研修を受けて認定登録のプロセスを踏めば今からでもできるのではないかなと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 それで、ちょっと気がかりなのは、前回議論が出ていました、ファミリーホームをつくれば分園型がいくつか持てるという、条件に使われているというのがまだ生きているのです。今の段階でも、分園型のホームを持ちたい場合には、ファミリーホームをつくるのを支援するか、自分たちでファミリーホームを持つかをしなければならないわけで、今もそれは続いているのですけれども、そこのところを大きく変えないとこれは難しいのではないかなと思うのですが、塩田先生、いかがですか。

 

○塩田構成員

 東京都も、家庭的養護推進計画においてユニットケアを増やしても構わないのです。ただ、ユニットケアを増やすと職員の加算配置、職員を1加算してくれるのですけれども、それは今、既存にあるユニットに増やすためには、その加算を増やすためにはファミリーホームを計画化してくださいという条件がついているのです。

 

○奥山座長

 ファミリーホームが施設の何かの条件になること自体がおかしい。ファミリーホームはもともとが、里親さんが集まって大きな家族で見ていきましょうということなので、施設の条件にしてしまっているところが問題ではないかと思うのです。

 

○西澤構成員

 それは大いに問題だと思いますし、その条件は撤廃すべきだと思いますが、一方で施設型ファミリーホームというものは、基本的に私は歴史をよく知らないので、何で施設がファミリーホームを開設するという文脈ができたのですか。

 

○奥山座長

 御存じの方は。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 その小規模グループケアを認定する条件の中に、ファミリーホームを設置するという計画を持つことを条件にして小規模グループケアを認定する。

 

○西澤構成員

 そうではなくて、施設型ファミリーホームという非常に変わった存在が出てきた歴史的経過とか文脈を知りたいのです。

 

○加賀美構成員

 いや、それがそうなのです。それを契機にできたのです。

 

○西澤構成員

 そうではなくて、誰が考えたのかということなのです。つまり、何のためにできたものなのかということです。

 

○奥山座長

 すみません。事務局、わかりますか。

 

○加賀美構成員

 では、ついでに、伊達先生のところは同じ法人の中で里親ホームを経営していた時期があったでしょう。そういうものはモデルにはなったのかな。

 

○伊達構成員

 だけれども、施設の人数の中には全然入っていないです。

 

○加賀美構成員

 もちろん、そうです。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 加賀美先生がおっしゃっていただいた経過で、施設を小規模化する際にもファミリーホームを増やしていただきたいということで、小規模化するに当たってはファミリーホームを開設する又は開設を支援することを条件にして、法人型という形態をつくっていったという経緯があります。我々が意図しているものではないのですけれども、そのときに先生方がおっしゃるような、なぜか職員が交代するような形態のものが実態上入ってきたということだと思います。

 

○奥山座長

 法人型を認めてくれというのは、どこかそういうファミリーホームから上がってきた要望だったのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 詳細の経緯はわかりません。恐らく施設でやる場合というのは法人のほうで建物を用意してもらう形態をつくらないと、ということでできたものだと思いますので、どこからの要望でできたかということはわからないです。

 

○奥山座長

 ファミリーホームという形態自体が、私のイメージとして、これは私の感覚なのですけれども、里親さんが大人数を一緒にやっていくなどというのは割と特別な、例外的なものとしてあり、そこに補助が必要となったところで一つの形になったけれども、そこを家庭養護として推進してしまったところが問題なのかもしれません。家庭養護推進の中で、これはいい形ですという流れができたのという理由は私もよく覚えていない部分があるのですけれども、事務局としても何かありますか。

 ちょっとうがった考え方をすると、家庭養護に入る子どもたちというのを数字上増やそうとしたら、里親さん1人を開拓するより、ファミリーホームを1つ開拓したほうが人数は増えるというところで何かそっちに流れてしまったのかもしれないという、推測はしてしまうのですけれども、そうではないのですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 今、座長がおっしゃった、推測かもしれませんがという部分はあると思っています。

 それと、現場の経営サイドから見ると、ファミリーホームの公費の入れ方というのは施設の措置費の入れ方と一緒なので、現場感覚から、要するにお金の面からいっても、いわゆる在宅というか、家庭というよりは、むしろ施設の一類型のような形のイメージでとらわれているのがいくつか話をした中で感じます。

 

○西澤構成員

 わかりました。

 何でそういう話を聞いたかというと、前もこの検討会で言ったのですが、里親型ファミリーホームというものも欧米にはない、日本の独自の例外的なシステムだと私は思っています。その上で今度、施設型、法人型のファミリーホームというものがそこから派生したものとしてあるのだったら、それはもう要らないでしょうと思うので、ただ、1つ気になったのは、施設小規模化の一つの方法論として法人型ファミリーホームというものがあるとしたら、それはむげに否定できないなと思ったので、だから、そこを確かめたかったのです。それを知りたかったということで、今の話だと要らないなということになると思います。

 

○奥山座長

 いかがでしょうか。何か。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 これは多分、私、ファミリーホームは持っていないですが、ファミリーホームにかかる費用と小規模グループケアの分園型等の費用負担の割合というのは、小規模グループケアのほうが多いのですね。

 

○川鍋家庭福祉課長

 はい。

 

○加賀美構成員

 そういう実態はあるだろうと思います。

 だから、施設にとってわざわざ、今、言うように、ファミリーホームをする必要はなくて、小規模グループケアをすればいいのである。こういうことになります。

 

○西澤構成員

 もちろん、それが正道ですよ。

 

○奥山座長

 ただ、もしファミリーホームが家庭同様の環境というふうに考える方向にあります。そこで、施設さんのほうで家庭養護に入るということが難しい子どもたちだけを扱うのは嫌だ、そうではないお子さんたちも扱いたいと考えて、夫婦の職員さんでファミリーホームをつくりたいということがもしあるとしたら、それはどうしますか。

 

○西澤構成員

 ちょっと意味がいまいち、普通の、そうではないというのはどういう意味なのか、よくわからないのです。

 

○奥山座長

 つまり、今の私たちの考え方としては「できる限り良好な家庭的環境」に入るお子さんたちというのは、家庭と同様の環境に入ることができないぐらい大変な養育の問題を持っているとか、そういうお子さんたちだけという話になっているわけですね。

 

○西澤構成員

 いや、それが国際的に見ても施設の存在価値なのです。

 

○奥山座長

 そうなのですけれども、施設の職員さんのなかには、・・・。

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員

 私たちのところの経験を追加しますと、施設の皆さんも大変な子ばかりだったら疲弊してしまって苦しくなると皆さん言われるのです。それで、かかわって3カ月とか6カ月でぐっとよくなってくる子どもさんがおると、自分たちが役に立っているなという気持ちがするので、そういう子どもさんたちも一緒に見ていきたいというのがあって、ひどい子どもさんばかり来出したら、みんなやめてしまうかもしれないというのがディスカッションの中では本当に毎年出てきます。

 

○西澤構成員

 では、重篤な課題を抱えるお子さんを見ている塩田先生、そのあたりはどうですか。でも、すごく回復しますね。

 

○塩田構成員

 私は施設養育の中で、本当によりよく丁寧なケアをしていけば、それは本当にどのお子さんもいろんな重篤な課題を持っているので、出会ったときは大変ですけれども、丁寧なケアを積み重ねていけばそれなりの回復とか修復はできていくものと信じているのです。うちから措置変更で児童自立支援施設に、少なくとも私が世光寮に来てから6~7年というのはしていないですし、諦めずにケアし続けることで子どもは変わっていくと信じています。

 どのお子さんも絶対大変に決まっているという大前提で見ているので、でも、それは絶対、子どものせいではないので、家族もあわせて支援していかなくてはいけないのだと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 今後、児童福祉施設に長期入所している子どもさんが里親に移行していくにしても、例えば中学生とか高校生の子どもを受け入れる養育里親さんというのはなかなか見つからないし、とても大変な経験もいっぱいしているわけなのですけれども、そう考えると、施設職員さんが独立してファミリーホームを開設するとか、またはその法人の中にいてファミリーホームを開設するのも選択肢として残していてもいいのではないかなと私は思うのです。

 ただ、その場合に、この議論の発端になった、施設を運営している法人がファミリーホームを開設する、支援することが「小規模化」とリンクしているというところがおかしいわけなので、施設のあり方として、「我々の施設は里親ファミリーホームを支援する施設なのだ」というところもあってもいいし、自分のところはソーシャルワーク機能を持った小規模施設を運営していくのだというところもあっていいわけなので、一つの方向性に縛られない制度設計が重要なのかなと思います。

 もう一つ、これは私、よくわからないのですけれども、今の地域小規模児童養護施設、グループホームの持ち方というのはいっぱい条件があって、これをクリアしないと3カ所目、4カ所目に移行できない仕組みがたしかあるのかなと思うのですけれども、ないのですか。

 

○西澤構成員

 これは地域小規模の縛りだけと違いますか。グループホームは別に問題ないですね。

 

○奥山座長

 分園型ではないのですか。

 

○西澤構成員

 いや、地域小規模に関しては、だから、定員の外出しなので、いろんな条件をクリアしなければ開設できないけれども、今は何カ所でしたか。昔は2カ所でしたね。

 

○加賀美構成員

 地域小規模も今、定員からの外出しではなくてもいいようにはなっているのです。

 

○西澤構成員

 でも一応、縛りがありましたね。

 

○加賀美構成員

 はい。だから、分園型小規模グループケアと地域小規模とどう違うかというと、今のところは、地域小規模は6人と決まっているのです。ところが、小規模グループケアは8人以下という条件がくっついていることは確かです。

 

○西澤構成員

 すみません。余計な話をしました。

 

○奥山座長

 すみません。素人の立場として事務局に伺いたいのですけれども、大舎制を廃止するとなるのですが、現在、施設が小規模の、地域に開かれたグループケアを持とうとしたらいくつでも持てるのですか。

 

○加賀美構成員

 いや、今のところはまだ制限があります。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 地域小規模児童養護施設につきましては、2カ所を超えて指定する場合には事前に協議をしてくださいというふうになっています。つくれないということではないのですけれども、予算上の関係等でそういった規定を設けています。

 小規模グループケアにつきましては、先ほどおっしゃっていただいたように、通知自体は残っていますので、もともとファミリーホームのほうがより家庭に近いということで、そっちを進めていきたいという思いが当時もあったと思います。ファミリーホームを施設にも設置等していただくということを前提に、たしか3カ所以上つくる場合にはそういった計画もあわせてつくってくださいと通知に書いています。

 

○西澤構成員

 今のはファミリーホームではないですね。グループホームも6カ所なのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 小規模グループケアです。小規模グループケアは、6カ所までは指定ができることになっています。

 

○奥山座長

 それは、小規模グループケアというものは分園の形なのですか。

 

○加賀美構成員

 いや、ユニットでも同じなのです。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 はい。そこは特に。

 

○加賀美構成員

 ユニットでも分園でも、含めて6カ所です。

 

○奥山座長

 それで、ユニットでも分園でも職員数とかは同じなのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 同じです。プラス一人加算をするというのは同じになります。

 

○伊達構成員

 そこのところはもうちょっと議論してほしいと思うのです。要するにユニット型で済む問題なのか、家庭的養護を目指すということが、さっきの地域の基盤ということを考えると、やはり地域の中に出ているという意味で分散地域化を施設が進めるということにして、その中でその課題をもうちょっと消化していきましょうねということなのか、あるいは単位ごとで考えて、それがあればいいというのは全然、意味が違うような感じがするのです。

 

○奥山座長

 何か大きく変えなければいけなくて、非常に大変な部分が見えてきました。

ユニットケアの場合、皆で集まって大食堂で食べていたりするところもあるとも聞きますが。

 

○西澤構成員

 でも、ユニットケアは原則としては、それぞれが独立していなければいけない。ただ、そんなものは、だから原則という言葉が怖いので、朝はみんなそろって一家団らん、50人にしたほうがいいねみたいな発想でやっているところもあります。

 

○奥山座長

 わかりました。

 ということは、かなり矛盾が、規則の中にありそうだというのは大分わかってきたのですけれども、先ほどのファミリーホームに関してなのですが、ファミリーホームの定義自体を変えるべきなのか。それとも、今あるファミリーホームを考えて分類していくのか。どちらですか。

 

○西澤構成員

 要するに、法人型をどうするかということでしょう。

 藤林先生は、法人型というものがあってもいいのではないかという。

 

○藤林構成員

 原則里親ですけれどもね。

 

○西澤構成員

 法人型が出てくる理由がなくなるような気がしてしまって。

 

○藤林構成員

 別に大したメリットがないので、しないかもしれません。

 

○西澤構成員

 デメリットのほうが多いような気がするのです。

 

○藤林構成員

 例えばファミリーホームを複数持つ法人がいて、ファミリーホームのバックアップを行うというふうな、SOS子どもの村なんかもそうなのですけれども、そういう法人はあるかもしれない。

 

○西澤構成員

 1法人のために制度を残すということですね。

 

○藤林構成員

 今の児童養護施設のあり方を変えて、里親ファミリーホームを支援する形態に変わっていくところもあるかもしれないということを考えると、残しておいてもいいのかなと。

 

○西澤構成員

 私が知っている例は、ある施設がグループホームを運営していて、そのグループホームは夫婦住み込みでやっていて、それを切り離して、独立したファミリーホームにして、法人が持っているけれどもということを考えたときに、それは児相側からできないと言われたのです。里親は子どもを選べないから、既におる子どもたちを里親養育に切りかえることはできなかったので、結局、意味がなかったのです。10年ぐらい前の話です。

 ですから、法人型ファミリーホームはあってもいいと思うのですけれども、誰も使わないのと違うかなという気はちょっとしたのです。

 

○奥山座長

 あと、この間の卜蔵さんのお話では、法人型という中に里親さんがNPO法人を立ち上げるというのもあるというお話でした。それはオーケーなのかなと思うのです。

 

○藤林構成員

NPOもあれば一般社団法人もあるので、今、議論しているのは社会福祉法人のことを議論しているわけですけれども、法人型もあり得るわけなのです。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○林構成員

 ちょっとお聞きしたいのです。施設職員の中に、やはり矛盾を感じながらも家庭養護のあり方を求めつつ施設養護で長い間、勤務していて、例えば里親をなりわいにすることはできないし、独身で長い間、働いていた、独立開業的にファミリーホームを運営し、それでバックアップ体制として児童養護施設なんかをレスパイトケアとして連携しながら使うというあり方は、そういう思考を持った職員さんは中にはおられないのですか。

 

○加賀美構成員

 そういう希望を持つ人もいるやに聞いたことはあります。だから、施設養護を長くやっていて、最後は自分がファミリーホームをやりたいなという意向を持っている人が時々おられることは事実です。最近の話であります。

 もう一つ、もともとはファミリーホームを施設型という形で出てきた背景は、さっきの話のように、里親全体の量をふやしたい意向も働いたということでありますけれども、これからの形としては基本的には卜蔵さんのこういう規定のような形で一応、基本ラインを決めて、なおかつ法人型のものにしても何にしても、それにならって里親の資格、それから、夫婦型とかということを、ある程度規定しないと、もとのもくあみになりそうなので、そこは方向を決めていく必要があるのではないかなと私は思いました。

 

○奥山座長

 そうすると、皆様の御意見を考えると、ファミリーホームの定義自体を狭いものとしてしまう。施設からの法人型というのはなしにして、今度は施設にそういうものをやりたい方は夫婦でファミリーホームを新たに別に立ち上げていただければいいと考えればいいということですね。

 

○林構成員

 そうではなくて、里親登録を原則として、だから、職員の中にそういうことを見越して考える独身者がいてもいいのではないかなと思います。

 

○奥山座長

 独身でもいいのだろうとは思うのですけれども、後のほうで私が、ほかの方からも意見があったのですが、職業里親というものを考えるとすれば、例えばさっきの話で、ずっと施設養育をなりわいにしてきてやってきたから、ほかの職業に今さらつけませんけれども、里親をやりたい場合には何か職業里親みたいな形もあってもいいのかなと思うのです。

 

○藤林構成員

 それが今、言われたような、法人組織に属しながら、法人からのバックアップを受けながら、里親なりファミリーホームをする形態もあっていいのではないか。

 

○奥山座長

 その形態は残しますか。

 

○藤林構成員

 だから、そのかわり、里親登録を原則とする。もし、ファミリーホームと呼ぶのであればです。

 

○奥山座長

 それがなし崩しにならないかという不安なのですが。

 

○西澤構成員

 なし崩しにはしませんと書いておいたらいいですね。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○山縣構成員

 自分自身の頭が混乱しているので、もう一回確認させてほしいのですけれども、ここで法人型というものは児童養護施設等を抱えているものに限定して法人型をということでいいのですね。全ての法人ではないということですね。

 

○奥山座長

 はい。

 

○山縣構成員

 もう一点、前回、私は出席できていませんので、卜蔵会長がどういうことを言われたか、よくわかっていない部分もありますが、今日新たにいただいた提案の中の2ページの3)がダブっている部分の下側の3)です。だから、これはなくなるかもしれないという前提なのですけれども、ファミリーホームは夫婦型を原則とする、前提とするという考え方も、これは法人型だからあえて規制しようということは、ただ、ほかはどうなっているのか。むしろ、そうでない形は基本的に認めていますね。

 

○奥山座長

 認めています。

 

○山縣構成員

 だから、あえてここで法人型に協会が夫婦というものを限定しようとした意図というのが、今、十分理解できていないのです。

 

○奥山座長

 多分、前回、私がいろいろ書いてしまったのが参考になってしまったのかもしれないと思うのですけれども、私が考えたのは、法人の中で1人だけ単身者がほかの方の、通いの方の助けを得てファミリーホームを開きましたというのが本当に家族なのかというイメージだったのです。それで外の、1人の里親さんが1人の子どもを預かりながらやっていったら、私、もっと養育したいと思って、里親としてファミリーホームにしたいとやっていくのと、やはり違うだろう。そうすると、1人での住み込みにほかの通いの人がいる地域小規模児童養護施設とどこが違うのかという形になってしまうので、原則、夫婦の家庭ということをもうちょっと強調した形なのではないかなと考えたのです。

 

○山縣構成員

 それでその背景がわかったとして、そうすると、私はそんなに、これは林先生のほうがよく御存じだと思うので教えてほしい部分があるのですけれども、NPO法人とか一般財団のところもそのような形が結構あるのではないか。まず、基本的に単身でやっているところが多いですね。知っているところは大体、いくつかはそのパターンです。だから、ここで社会福祉法人の部分だけをバツにする理由がなくなってきそうな気がするというふうに今は思っているのです。だから、全てだめなのか、やはりこれは残しておこうという話なのか。

 

○奥山座長

 ややこしくなってしまいましたね。

 

○山縣構成員

 そういう気がしているのです。

 

○藤林構成員

 実際にシングルの里親さんで、ずっとシングルで里親さんを長くやっていてファミリーホームという方は何人もいらっしゃるので、そのとおりだと思います。ただ、奥山先生が言われるなし崩しを防ぐためには、では、どうするのかという妙案はないのですけれども。

 

○奥山座長

 それより今の話ですと、要するにもともと里親さんとしてやっている形ではなくて、施設を持っている法人ではないけれども、どこかの法人がファミリーホームをやってみたいと言って、1人の人が住んでいればいいのでしょうと言って始めてしまう。

 

○山縣構成員

 核になる人がそこに住んでいます。でも、法人スタッフが応援に来ています。

 

○奥山座長

 もともと、里親としてやっていた人ではない。

 

○山縣構成員

 ではないパターンも私の中にはあります。

 

○西澤構成員

 それで、里親登録はされているのですか。

 

○奥山座長

 それはしているのでしょうね。

 

○西澤構成員

 していないのではないですか。

 

○奥山座長

 していないのですか。

 

○山縣構成員

 だって、要らないですね。

 

○林構成員

 3年でできます。

 

○加賀美構成員

 それも含めて、この条件を、文脈を入れたほうがいいのではないですか。

 

○藤林構成員

 だから最低限、福岡市の場合にはそういう方であってもちゃんと里親登録をしていただいて、まず1人、養育里親で経験を積んで、4人たまったところでファミリーホームというふうに条件をつけているのですけれども、そういうものをやっているのは福岡市、大分県だけなのです。

 

○奥山座長

 それを踏襲したほうが良さそうですね。里親登録をしていただいて、1人預かっていただいて、それからファミリーホームへ転換する方は転換していただく。その流れが良いのかもしれないですね。

 

○山縣構成員

 その場合は、独自の法人をつくっても単身でもいいという考え方で了解しようということですね。それであれば、少し現実には近づいているような気がします。

 

○伊達構成員

 発展形として、その段階から始めてもらって進んでいくという意味ですね。

 

○奥山座長

 そうです。それで、今の里親登録というときには当然、里親さんとしての調査も入るし、カウンセリングも入るし、それから、マッチングということが入ってくるので。

 

○伊達構成員

 だけれども、そのフォローアップとか一緒にソーシャルワークとして動くとか、そういう部分をどういうふうにつくり出しますか。私はファミリーホームをそのままでは維持できないはずで、やはりレスパイトも含めてかなりのソーシャルワーク力が要ると思うのです。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○林構成員

 今、ファミリーホームは制度上、レスパイトを使えないのです。だから、家庭養護というのに、なぜ使えないのか、そのあたりはわからないのですけれども、今、協議会としてそういう声明文を出しておられたと思うのです。

 

○奥山座長

 加えて、一時保護委託が多過ぎるというのが書いてあるのですよ。

 

○藤林構成員

 そういうところもあるという感じですね。

 

○西澤構成員

 わからなくなってしまった。全体像が見えなくなってしまった。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 5時間に及ぶ御議論をいただいておりますので、議論の流れとして私どももずっとフォローさせていただきますし、いろいろ学ばせていただいておりますが、だんだん個別のファミリーホームを、今日は意見書が出たということでもあるので、御議論いただいていること自身は一つ一つ受けとめさせていただきますけれども、家庭的養育とは、あるいは家庭の機能をどうするかという議論からの流れですので、今日の議論は私どもずっと受けとめさせていただいていますが、個別にファミリーホームをどうするかという御議論は、議論をいただくことはもちろん、流れとして私どもはいいのですが、一つ一つどう結論づけるかという意味で言うと、もうちょっとファクトであるとか、関係のところを個別にということであります。

 余分なことを、老婆心ながらかもしれませんが、今日御議論いただいた中での特にファミリーホームについて、個別制度論としての御議論をいただきましたけれども、それを最終的にどうするかという点ではまた改めての機会をいただいて、事務局としても先ほど来、いくつか御議論いただいているところで少し我々の、事務方としてきちっと、現行はこうなっていますということをお伝えした上で御議論いただくべきところもあるのかなと私どもは思っておりますので、今日の議論は今日の議論として、また個別論については機会がいただければ、そのときにも事務方として説明をさせていただけるとありがたいなと思います。

 

○奥山座長

 是非、ファミリーホームの制度、それから、先ほど議論になっていました小規模グループケアもそうなのですけれども、様々な制度とその現実に関してご説明いただければと思います。もう一つ、ご説明いただきたい制度とその運用が頭に上りかけているのですが、出てきません。 ただ、いろんな制度に関してお願いをして御説明いただいたり議論をしたりというのはあるのですが、こちらとしても最終的にはこれで決めるという意味ではなくて、提言としてこうあるべきというのを出していく形になると思いますので、それはそれでまた議論をしていきたいと思っております。

 

○西澤構成員

 今、奥山先生が言いかけたのは婦人保護制度の中において妊婦の、それは制度的にどうなのかというのは、我々はちょっと疎いので、女性保護制度の中で妊婦さんの支援をしてくれている施設が時々あるという、あれはボランタリーなものなのか、それとも制度上、何かそういうものの裏づけがあるのかというのは知りたいなと思っているのです。

 

○奥山座長

 そうですね。先ほど、今後やっていく事業については御説明いただいたのですけれども、今、実際にどういうふうになっているのかということですね。そこのところを少し御説明いただくような何か資料があればと思います。

 どうぞ。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 すみません。私個人は午前の部の最後のところで欠けてしまいましたので欠落しているのかもしれませんが、私ども事務局として、ここでどうこうという議論を縛るつもりは全然なくて、議論を進めていただくときに総論から入り、個別にも当然議論が及ぶのはありだとした上で、個別について御議論いただくならば、出てくる個別の話ではなくて、例えばある程度まとめて、何とか制度についてという形で一回といいますか、1回の検討会分全部ということではありませんが、そういう機会だという形でまた座長と相談させていただいて、そのたてつけをさせていただければ、そのときにある程度まとめて関係資料も用意させていただいて御議論に供したいというつもりでございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 ただ、ファミリーホームは家庭同様と家庭的の境界線上にあるものですから、そこをどちらに入れるのかというところがあって、ここに議論が集中しました。私がさっき言いたかったのは、是非現状に関しての資料がもう一つ欲しいのは、児童家庭支援センターです。そこに関していろいろ私たちが考える上での何か資料があったら御提示いただけるとありがたいかなと思いました。

 そういうところで、ちょうど局長のほうがうまく切っていただいたので、時間がぴったりという形になりましたので、ここで今日の議論は終わりにしたいと思います。

 松本先生、どうぞ。いいですか。

 それで、林先生や松本先生と一緒に今までのご意見を纏めて、今日出させていただいた資料を修正して、もう一度、御提示をしたいということと、それから次回は、少し議論は短くなるのですけれども、里親支援のところのガイドラインをどういう形でつくっていくべきか、何か御意見があったら事前に少しお送りいただければ幸いだと思います。

 どうぞ。

 

○松本座長代理

 これは奥山先生が、あなたも含めて考えなさいということかもしれませんけれども、今日議論をして、途中で終わっていると思うのですよ。特に、この3ページの2.の上のほうまで行って「できる限り良好な家庭的環境」というところの条件なり要件が、ここはどういうことかということと、あと、早急に行うべきことというふうに先生がIIIで出されたところの議論がまるっと残っているようにも思うのです。いくつかは個別に出たと思いますけれども、ここは継続して議論をしていくという方針で考えてよろしいのですか。

 

○奥山座長

 それしかないと思います。

 

○松本座長代理

 わかりました。

 というのは、今、どういうスケジュールでというときに、再来週、これがありますけれども、それはヒアリングが入って、限られた時間で、かつほかのことも、里親支援等々のことも出ましたので、次回はヒアリングの後、どちらの議論が優先されるのかなと思ったので、そこも含めて相談ということになりますか。

 

○奥山座長

 里親支援事業に関しては、藤林先生が出してくださった資料もあるので、ここで大枠は話せると思うのですけれども、ガイドライン全部の中身を話す段階ではないと思います。どういう形でガイドラインを作成するのか、この中でつくるのか、あるいは外に委託するのかも含めて議論していただければと思っております。。

 

○松本座長代理

 では、次回はこの続きも含めてがまず話されるという理解でよろしいですか。

 

○奥山座長

 はい。

 

○松本座長代理

 わかりました。

 

○西澤構成員

 1つだけお願いで、次は来られないのでちょっとあれなのですが、こうやって箇条書きにするのはポイントが絞れていいと思うのですけれども、一方で全体像が損なわれる感じがして、だから、何かこういう機能とか、そういうものをまとめるときに、ちゃんと一回、文章でまとめたもので、その下に箇条書きの項目を起こすという形をとったほうが全体像がわかるかなというふうに、何か分散化されるというか、私の理解力がないからかもしれませんけれども、そう思いました。

 

○奥山座長

 では、文章をつくっていただけますでしょうか。

 

○西澤構成員

 いや、だから、それはみんなでつくれば、方向性としてそっちの確認ができればなと。箇条書きで全部いくのではないみたいな、そうしたらそういうふうに文章もつくれるではないですか。

 

○奥山座長

 文章があったほうがいいですか。文章を読んでいると発散しそうな気がして、箇条書きのほうがまとまりやすいかなと。

 

○西澤構成員

 でも、それは部分化してしまうので、だから1個、しっかりした文章があって、それを補う形で個別の頭出しがあったほうが私はわかりやすいと思います。私の意見です。

 

○奥山座長

 私はそれがとても苦手なのです。文章にすると漠としてしまうので。

 

○西澤構成員

 だから、その下に個別に書いて、こういうものを出していけばいいのではないですか。

 いいです。とにかく次回は来ないので、言っておこうと思いました。

 

○奥山座長

 よろしいでしょうか。

 では、事務局のほうにお返しいたします。

 

○山本内閣官房審議官

 ちょっと1分ほどお時間をいただきまして、14時台に議論が紛糾した話だけ一言答えておきます。週末に入りますので、そこはすっきりしたほうがいいだろうと思いまして。

 1つは、施設入所か、里親委託かといったときに、今回の法改正で家庭養育原則という理念が出てきている中で、親が措置先について選べるのかどうかという議論が何度か行き来されていたと思います。それについては里親委託ガイドラインというものを出していますので、ちょっと御紹介させていただきますと、施設入所は承諾するけれども、里親委託に親が反対する場合にはこういうガイドラインを出しています。本来、子どもの最善の利益を優先し、児童相談所が措置先を決定する仕組みであり、里親か施設かを保護者が選ぶ仕組みになっていないことについて説明するというガイドラインになっております。

 最終的に理解を得られない場合は、家庭裁判所の承認を得て行う法28条措置を除き、27条4項によると、親権者の意に反してはこの措置をとることはできないので、里親委託はできないことになるのですけれども、28条による措置ということで家裁に申し立てをする際に、里親委託をすることを明記して申し立てていただくことになるかと思います。

 このときに、これから先は家裁の判断ということになるのですが、いろいろ審判をするときの事情をしんしゃくする際に、親が里親はだめと言っているけれども、施設入所はいいのだということについて、家裁がどう判断していくのかということにかかわってくるかなと思っています。

 もちろん、そのときに施設というものが、地域の施設というのはこういう状態で、とてもではないですけれども、子どもを良好な環境の中で育てられないのだという、これは個々の事情なども多分、そこは説明されることになるのだろうと思いますけれども、一応、ガイドライン上はそうなっておりますので、先ほど藤林構成員のほうからありましたように、基本的には保護者が選ぶ仕組みになっていないのですということを現場では説明していただいて進めていただいているということで御理解いただければと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。保護者を選ぶ仕組みにはなっていないけれども、里親だったら預けない、施設なら預けると言われたらどうするかというところが一番問題なのだろうと思います。

 

○西澤構成員

 それと28条は、さっき言ったように、これは家裁側の問題ですけれども、それで28条を出しても何例か取り下げ勧告を受けた実例はあります。どことは言いませんが、そういうことがあったというのと、それから、28条は虐待、ネグレクトをバックグラウンドにしているので、それがないというか、虐待、ネグレクトといいがたい場合には28条は使えないということも現時点では問題点かなと思います。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○松本座長代理

 今の点で、結局、子どもの最善の利益に沿ったケアプランがどう実行されるかという点だと思うのです。そのときに親権者の同意が得られない。しかし、子どもの最善の利益に沿ったときに、こちらのほうがいいだろうというときにどうするかという中の一環だと思います。

 これはやはり、もう一つはもちろん、説得して同意していただくということが基本だということと同時に、司法関与のあり方が、分離とかそういうものではなくて、ケアプランの執行なり、そこにもう少し強い何か枠組みが入れられるかどうかということも大きなことだと考えております。それはほかの検討会でどういうふうにそこが受けとめられるのかわかりませんけれども、28条の問題と特別養子縁組の問題だけではなくて、子どもの権利に沿った適切なケアプランの執行という観点からも御議論いただければというふうに、そちらの検討会でというふうに思います。

 以上です。これは意見です。

 

○奥山座長

 先ほど西澤先生が、今までの28条はそういうことで却下されたとおっしゃいました。ただ、今回法改正があったわけで、こういう法文(第3条)が出ていますということをきちんと言って28条に持っていく。そこのやり方もまた児相のほうでうまくやる方向で人材育成をする。といったことが必要になるのかもしれません。

 

○西澤構成員

 条文を変えればよかったのです。何個か削除すればよかっただけの話で。

 

○奥山座長

 そういう意味でも3条の2は非常に大きい部分だと思います。ここについての、できればガイドライン的なものを事務局にお考えいただくと同時に、こちらもそこの議論をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、今日はこれで終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。事務局のほうは何かありますか。次回のこととかはよろしいですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 次回は1130日水曜日、午前10時から午後12時まで、厚生労働省12階の専用第12会議室を予定しております。関係団体等からのヒアリングと、個別の論点に関する御議論をお願いしたいと思っております。

 以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 長い間、御苦労さまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 新たな社会的養育の在り方に関する検討会> 第5回 新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2016年11月18日)

ページの先頭へ戻る