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2015年12月18日 歯科医療の専門性に関するワーキンググループ(第3回) 議事録

医政局歯科保健課

○日時

平成27年12月18日(金)10:00~12:00


○場所

省議室(9階)


○議題

1.歯科医療の専門性の在り方について
2.歯科医師の生涯研修等の実施状況について
3.その他

○議事

○川畑歯科保健課長補佐 定刻よりも少し時間が早いのですが、全ての委員の方がおそろいになりましたので、ただいまから「歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医療の専門性に関するワーキンググループ」第3回を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の会議でございますが、高梨構成員及び南構成員より、御都合により11時半過ぎに御退席される旨、伺っております。

 また、小森構成員におかれましても、次の予定のために、閉会の直前に退席される御都合があるということも伺っております。

 今回のワーキンググループは公開になっております。

 カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

 お手元の資料でございます。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料は1から3まで、参考資料は1から5までをお配りしております。資料6につきましては、お手元の青いファイルの中にございます。これまでの検討会及びワーキンググループの資料をまとめてございますので、ごらんいただければと思っております。

 乱丁・落丁等ございましたら、お知らせいただければと思います。大丈夫でしょうか。

 それであれば、以降は西原座長にお願いいたします。

○西原座長 おはようございます。12月ももう半ばになり、慌ただしいところではございますけれども、構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

 この会議も、歯科医師の資質の向上を検討する会議の下で、専門性のワーキンググループとして第3回目を迎えることとなりましたが、これに先立ちまして、先ほど申し上げた親会議での議論も踏まえまして、今回準備してきたものを見ていただきながら議論を展開してまいります。一方で、私たちのこのワーキンググループも限りがある中で、今回から次回にかけてコンパクトにまとめていきたいと思っておりますので、その点も含めて今日の議事進行をつつがなくやってまいります。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議事に移らせていただきます。第2回までの議論で小森先生に医科のお話をいただきました。そのようなことも含めて、今回、歯科と医科との相違点等々も総論的なところで議論すべきこととして整理して臨んでおります。

 さらに、事務局の方から日本歯科医学会と日本歯科医師会に、それぞれ研修事業についての御案内をした上で、資料を提供していただいていますので、順次資料に従って進行を進めてまいります。

 まず、事務局から資料1の説明をお願いいたします。

○高田歯科口腔保健専門官 私のほうから資料1について説明させていただきます。

資料1とあわせまして参考1を主に使って説明をしていきます。また、参考2、参考3についても途中で触れさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 資料1につきましては、これまでいただいた先生方からの発言を中心にまとめさせていただいております。論点は大きくローマ数字で分けており、1つ目が「国民が求める専門性について」、2つ目が「既存の専門医制度について」、3つ目が「広告を含めた情報提供について」ということで構成をしております。

 まず、論点1といたしまして「国民が求める歯科医療の多様化に対応しつつ、安心・安全な歯科医療を提供するための専門性について」ということです。

 1)の○の1つ目、歯科医師は、大学、診療所、病院等の勤務形態にかかわらず、全ての歯科医師が能動的に研さんを積むことが重要であるという論点でございます。

 本検討会は、歯科医師の資質向上を目的として設置されているということが大前提の論点であり、しかも、当然のことながら最も重要なものと考えられます。

 ○の2つ目といたしまして、「参考1(1)-参考」と書かせていただいている資料にもありますが、医師での新たな専門医制度においても、医療安全対策などは必須項目として重要視されております。これについては歯科医師についても同様であると考えられます。

 ○の3つ目として、歯科医師は専門職として自律性を持つこと。この重要性が寄せられております。

 「2)歯科医療の提供体制について」でございます。こちらの論点は、参考資料で説明をさせていただければと思います。

 参考資料の(2)-1(2)-2について説明いたします。帯グラフは、左から順に病院で勤務する方、医育機関で勤務する方、診療所の管理者、診療所で雇用されている方の順となっております。歯科医師は、診療所を開設している方が約6割、雇用されている方が約3割ということで、約9割は診療所で勤務されており、歯科医療は、いわゆる一般歯科医を中心に提供されております。

 また、(2)-2では、歯科医師、医師の専門医の取得の割合を示しております。日本歯科医学会専門分科会、認定分科会の専門医、認定医などを持つ者は、合計15.2%となっております。なお、例えば1人の方が口腔外科専門医であり、かつ歯科麻酔専門医であった場合などについては、「2人」とカウントされておりますので、申し添えます。

 勤務先別の歯科医師の割合につきましては、本資料、医師・歯科医師・薬剤師調査の結果をもとに作成させていただいているものですが、昨日、平成26年度の医師・歯科医師・薬剤師調査が公表されておりますので、参考資料3について簡単に御紹介をいたします。

 医師・歯科医師・薬剤師調査は、2年に一度、歯科医師法第6条3項によって届けられた歯科医師届出票をもとに集計をしているものです。

 2枚めくっていただきまして、歯科医師届出票をつけさせていただいております。主に従事している施設、主な業務内容、主な診療科、広告できる専門医の保有状況などを届け出ることとなっております。

 以降、結果の概要を抜粋した資料を添付しておりますが、主だったったものとして、16ページの表9に歯科医師の従事する施設などの結果を示してございます。平成24年に比べまして、医育機関で勤務する方が微減、診療所で勤務されている方が増加しております。

 また、20ページの表13といたしまして診療科別の歯科医師数を示しております。専門に特化せず、一般診療に従事する方がますますふえている状況でございます。

 続いて、21ページの表14、広告可能な専門医の取得状況でございますが、約5%の方が広告可能な専門医を取得しているということでございます。

 それでは、参考資料1に戻っていただきまして、パワーポイントの左上に(3)と書かれているものをご覧ください。こちらは専門性の保有状況と当該歯科医師が提供する歯科医療の内容を示したイメージ図となっております。縦の点線で3つに区分をさせていただいておりますが、左側は、何らかの専門性を持っており、その専門領域に特化した歯科医療を提供している場合を示しております。真ん中は、何らかの専門性資格は保有しているものの、その専門以外の領域を含めて一般診療所も行っている場合。右側は、一般歯科診療に従事している場合を示しております。

 歯科につきましては、イメージ図の真ん中に示したように、たとえ専門性を有している歯科医師であっても、多くはみずからの専門性にかかわらず一般歯科について広く診療に従事している方が多いというのが特徴の一つと言えます。

 また、歯科医療には、矯正、補綴といったようにいわゆる自費診療の多い領域がありまして、イメージ図の左側に示したような当該領域に専念し、診療している場合というのは、このように自費診療を中心に提供しているということも考えられます。

 続きまして、資料1の論点に戻っていただき、「3)歯科医師の研鑚の場について」でございますが、参考資料1の(4)に新しい資料を添付してございます。こちらは、歯科医師の研さんの場を大きく4つに分けて示している図でございます。学会、歯科医師会、大学、民間団体主催の講習会など複数の方法が考えられます。

 まず、学会の活動内容といたしましては、研究・調査、学術雑誌の発行などいろいろ挙げられるわけですが、領域の専門性、特殊性、学会の構成員、例えば開業医さんが主体となっているもの、医育機関の関係者が主体となっているものなどによって、学術的な活動に主体を置くのか、臨床技術の研さんに主体を置くのかなどといったように、学会活動の比重の置き方もさまざまとなっております。

 また、歯科医師会では、歯科保健医療に関する総合的な研修事業が活発に行われております。

 大学におきましては、主に同窓会において研修事業が行われております。

 そして、歯科に特徴的なものとして、その他の団体主催の講習会が非常に多いということが挙げられます。これらは、いわゆるセミナーとかスタディーグループと呼ばれるもので、主に診療所に勤務する方に対して行われているものです。その研修の内容、研修の方法は多岐にわたって展開されておりまして、玉石混交とも言えます。

 資料1の2ページに戻ってください。

 1つ目の○といたしまして、歯科診療所は小規模なものが多いことから、研修に関する情報が乏しい傾向にある。

 2つ目の○として、このことから、医局、学会、歯科医師会、いずれにも属さない歯科医師は、新たな歯科医療に関する知識、技術、これらの修得方法等について懸念されるといったような意見も出されております。

 1つ○を飛ばしまして、○の4つ目といたしましては、生涯を通じて研さんを続けるためには、歯科医師が働きながら研修を続けやすい環境整備が重要であるという意見もございました。 続きまして、「4)医師における総合診療医に相当する歯科医師の必要性について」でございます。

 まず、1つ目の○に書かせていただいておりますが、医師における総合診療医に相当する歯科医師がそもそも必要であるか否かという議論がまず必要であると言えます。仮に必要であるならば、どのような枠組み、どのような歯科医師像で、どのような歯科医師のイメージなのかということを議論する必要があるというものでございます。

 この点につきましては、2つ目の○、3つ目の○ですが、「国民が求めているのは専門性の細分化ではなく、医師で作られた総合診療医のような歯科医師である」という意見がある一方で、歯科医療は、これまでもいわゆる一般歯科医を中心として提供されているので、医師と同様な制度はなじまないというような意見もございます。

 また、4つ目の○として、超高齢社会における歯科医療の提供のあり方を鑑み、訪問診療、多職種連携、より高い医療安全管理体制の整備を満たし、生涯を通じてかかりつけ歯科医として、安全な歯科医療を提供することが重要であるという意見も出されております。

 これは、医師の制度におけるコアコンピテンシー、また、総合診療専門医が必要だと考えられる分野として設定されているものも非常に参考になるところです。

 また、本日、参考資料2といたしまして中央社会保険医療協議会で提出された資料を添付してございます。

 この資料のパワーポイントの45ページ目「かかりつけ歯科医機能の評価のイメージ」として提案がなされているところでございます。このかかりつけ歯科医機能の評価の考え方、または具備すべき要件などについても非常に参考になるのではないかということで、今回添付をさせていただいております。

 さて、参考資料1に戻っていただきまして、もし仮に医師における総合診療医に相当する歯科医師をイメージするとしたら、例えば既存の専門医や一般歯科医との関係、この位置づけを考えたときに、どのようになるのか。

 また、続いて既存の専門医と一般歯科医の関係のイメージ図として、あくまで一例ではございますが、提示をさせていただいております。

 続きまして、論点2になります。まず、歯科医療における専門性は、参考資料1の(8)に示すような、患者の歯科受診に際して参考とすべく学会から提出されているもの、いわゆる広告できる専門性と言われているものと、参考資料1の(9)に示すような歯科医師間で難しい症例、難症例の紹介や、自己研さんの手段として活用されているもの、臨床系の学会によって設定されているものとで、2つに大きく分けられると思います。

 論点の2では、広告できない専門性資格も含め、学会等で認定されている全ての専門性資格についての論点として挙げさせていただいております。

 1)各学会において認定されている専門医につきましては、1つ目の○といたしまして、専門医制度を運用する学会が乱立しており、専門医の認定基準は学会が独自に設定していること。

 2つ目といたしまして、専門医として求められる知識・技能の認定基準が統一されておらず、国民のみならず歯科医師にとってもわかりにくいということ。

 3つ目として、専門医は、難症例の紹介などを歯科医師間で行うことを目的の一つとしているとされておりますが、紹介の状況を含めた各専門医間の活躍の実態はどうなっているのかということも御指摘をいただいているところです。

 続きまして、「3)歯科医療の専門性・専門領域について」でございます。

 1つ目の○として、国民が求める専門性と歯科医師が求める専門性は分けて議論すべきであり、歯科医師の間で活用するような専門性のあり方として、

 2つ目の○に設定しておりますが、近接・類似する領域の専門性のあり方については、関連する諸学会や歯科医師間で成熟した議論をされるべきではないかという意見もいただいているところでございます。

 続いて、「4)専門医の養成・認定・更新について」でございます。

 1つ目の○といたしまして、歯科医師は、病院または医育機関で勤務される方は約1割程度となっておりますが、歯科における専門医は大学院等に進学しなければ、なかなか取得が難しいというものも多くございます。歯科医師の勤務の実態と専門医の取得に必要なキャリアパスとの間に大きなギャップがあるのではないかという意見も踏まえた上で、4つ目の○にありますけれども、専門医の養成のあり方、学会の相互認定のあり方などについても検討されるべきではないかという意見をいただいているところです。

 続きまして、論点「3 専門性についての情報の在り方について」でございます。これは第1回のワーキングで多くの意見をいただいております。

1)の5つ目の○、広告ガイドラインを明らかに逸脱した状況が見受けられること。

 または、6つ目の○として、歯科医師は、広告できない学会で専門医を取得したり、または民間団体の講習会を修了した際に、それが広告できるものなのか否か、ということをあらかじめ理解せずに受講しているのではないかということ。また、こういうことに付随しまして、たとえ今回の検討会で専門性に対する制度を議論し、有益な内容に見直したとしても、広告が遵守されなければ無意味ではないかというような御指摘もいただいているところでございます。

 「3)その他、歯科医療の専門性にかかる情報提供について」ということで、いただいている御意見です。国民がまさに知りたい情報である医療安全対策が徹底されているところ、自己研さんをきちんと行っているところ、信頼に値する専門性資格等を有しているところなどについて、情報が不足しており、知るすべも少ないというような御意見をいただいております。

 ざっとですけれども、私のほうからの資料1の説明とさせていただきます。

○西原座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に質問をいただく予定でいますけれども、私の方から、参考1の見開きをあけていただいて、左上に「(1)-1 すべての歯科医師に求められるもの」というところで、キャリアパスを積んでいく中で、全ての歯科医師が生涯にわたり能動的に研修を積むことが重要であるということを改めて指摘させていただきます。親委員会である歯科医師の資質向上の検討部会で大前提としてこれを掲げられた上で、需給問題であれ、女性歯科医師問題であれ、専門性の問題であれ、それぞれのワーキンググループが各論としてかかわってくるという基本的な考え方で行われております。

 これまでの会議で、構成員の方々から議論いただいて、今、事務局が3つにアラビア数字で整理してお示ししたところではありますが、その意見交換の中でも、少しこの辺のとり方の違いを思わせるようなところもございましたので、私、座長として改めてここを確認させていただきたいと思っております。

 さらに、論点1のところでは専門性という意味で、医科のことを少し横目で見させていただきながら、歯科における専門医制度、どうあるべきかという中で、特に総合医という視点からのまとめがありましたし、論点2では、既存の専門医制度を設けている制度設計について意見が出てきているということの案内だと思っております。

 論点の3番目は、もう一つ、社会に混乱を起こしている標榜と専門の問題等々の整理について、どのような方向性を導けるかということのまとめであったかと思っております。

 ただ、ここにいらっしゃる構成員の方々は、歯科における既存の専門医制度がどのように動いているかということの情報については、今回団体からの説明をいただいて議論を展開することとしておりますので、今の高田専門官からの発言を少し耳に残していただきながら、次にそれぞれの代表からの説明をお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○西原座長 それでは、事務局から事前にお願いをしていたかとは思いますが、構成員の方々から出された資料、ちょっと煩雑に積み上げられておりますので、御発表のときに、何番目の、右肩に書かれている資料、何々ですというところから、まことに御足労をおかけしますけれども、始めていただければと思っております。よろしいでしょうか。

 それでは、資料2ということで、日本歯科医師会の研修事業について、日本歯科医師会の小林構成員より説明をいただくということで、よろしくお願いいたします。


○小林構成員 それでは、日本歯科医師会の学術・生涯研修担当常務理事でございます。小林のほうから御説明をさせていただきます。

 資料2をごらんください。日本歯科医師会では、今回の論点1の1)求められる歯科医師像ということで、「すべての歯科医師が能動的に研修を積むことが重要である」という観点に立って、6万5,000人の日本歯科医師会会員に対してさまざまな事業を行っております。

 こちらの資料は、平成24年から26年の内容についての抜粋でございますけれども、冒頭に書いてありますように、「国民の健康維持・増進に責任を持つ専門職として、生涯にわたり自ら学び、知識を広げ、診療の技術、研鑚を積む責務を負っている」という観点に立ち、「会員が積極的に生涯研修に取り組むことは、結果的に国民に還元されることばかりでなく、本会が学術団体としての位置を確立し、広く認知されるための必須条件である」ということを念頭に行っております。

 歯科医師会としての研修事業としましては、昭和39年から開始しております。こちらの内容のような生涯研修事業が始まりましたのは昭和63年から。さらに、全国的に展開するようになったのは平成2年からということで、25年の歴史がございます。このように、生涯研修セミナー、生涯研修ライブラリー、日本歯科医師会雑誌という3本の矢で動いているところでございます。

 まず、生涯研修セミナーをごらんください。こちらは講演形式で、全国の歯科医師会の地区を7ブロックに分けておりまして、その中から、一昨年度までは15カ所で開催しておりましたけれども、開催形式や講師の関係で現在は10カ所で行っております。平成24年につきましては、「生きるよろこびを支える歯科医療」というメインテーマで、6つの演題について行いました。講師6名で全国15カ所、累計2,085名が参加しました。

DVD形式といいますのは、開催地区が限られてございますので、全国の会員が見るためにDVDを作成しております。DVDによる研修は32都道府県で行っておりまして、累計7,448名が視聴しているということになっております。

DVDの有料頒布ですが、これは個人で買うこともできますので、それについては、1,500名ほどの方が買い求めて見ているということです。

 また、昨今のIT化の促進でEシステムという、日本歯科医師会の会員専用ページがありまして、そちらのほうからオンデマンド配信にてこのセミナーを受講することができます。それについては累計1万8,766名が受講しているというデータ結果が出ております。

 めくっていただきますと、平成25年、26年についての内容を書いてあります。25年は「『健やかに生きるための歯科医療』~人をみる生活をみる口腔をみる~」という観点で6演題。

26年は、「健やかに生きるための歯科医療」の継続として、「~歯をまもる、咬合をまもる~」という観点から4演題で講演を行いました。

 トータルしますと、(1)から(4)の受講形式を含めますと大体2万人以上の会員が常に受講しているということです。これは年度ごとの集計でございますけれども、過去のものを見返すという受講形式からみますと、多分もっと多くの会員が受講しているのではないかと思っております。

 また、日歯生涯研修ライブラリーでは、1本当たり約20分程度のDVDを毎年6~8本作製しております。例えば平成24年度ではこのような8演題でつくりました。

 これは、配布形式というわけではなくて、有料で購入していただいたものを会員が見ていただくというシステムと、先ほどお話ししましたEシステムで、平成元年から26年度分についてはいつでも無料で会員が見られるようになってございます。そちらのほうで、自分の興味のあること、あるいは臨床で疑問に思ったことをいつでも見られるような形でシステム化しております。

 続きまして、日本歯科医師会雑誌につきましては、発行部数6万6,800部という部数で、会員全員あるいは関連の大学病院等にも配布しております。こちらのほうは、日本歯科医師会としての会務的な内容の部分もございますけれども、基本的には学術雑誌として、トピックも含めた最新の情報あるいは臨床的な新しい術式、知見等について、会員が常に診療に反映できるようなものを中心に情報提供を行っているところでございます。

 日本歯科医師会としましては、会員に向けてはできるだけ手厚く学術情報を発信する考えから、この雑誌につきましても、Eシステムで過去の文献を検索でき、PDFファイルとして自分でプリントアウトや保存することも可能な形になっておりますので、情報を提供する体制は十分に整いつつありますし、今後もさらにその内容を煮詰めバージョンアップしていく意向でおります。

 従いまして、会員に対してのある程度の提供はできていると思うのですが、先ほど専門官がおっしゃっていましたように、歯科医師会にも学会にも医局にもどこにも属していない歯科医師に対して、日本歯科医師会としてどのように情報を提供していくかというのがこれからの一つの課題となっております。国民が安心・安全な歯科医療を受けることができる体制をどのようにつくっていくかという観点では、生涯研修は、歯科医師会としてもさらに充実させていきますし、歯科医師会会員以外で、どこにも属さない方をどうやってうまく取り込んで医療の質の向上を進めていくかということを課題にして、事業をさらに進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 説明は以上でございます。


○西原座長 ありがとうございました。

 今、小林構成員のほうから日本歯科医師会の研修事業について、日本歯科医師会の立場からお話しいただいたところですけれども、内容について御質問。どうぞ。


○山口構成員 御説明ありがとうございました。

 2点質問をさせていただきたいと思います。今、所属していない歯科医師にどう届けるかというお話がございましたが、この研修を受けている方というのは、全歯科医師から見ると全体の何%ぐらいに当たるのかということ。

 それから、こういう研修を受けた歯科医師を患者さんが知る手段、ちゃんとこういう研修を受けていますよということがわかる方法はあるものなのでしょうか。現状で結構ですから、お願いします。


○西原座長 よろしくお願いします。


○小林構成員 どこにも属さない方に対する体制なのですけれども、歯科医師会としましては、このようなセミナーを開催するに当たっては、歯科医師会に入っていない方も一応受け入れる体制はつくっているということ。それの広報活動についてはなかなか難しいところがございますが、各都道府県あるいは郡市区歯科医師会が会に入っていらっしゃらない先生方にも一応御案内を出すということを進めてゆきたいと考えます。

 それから、一つの方策として考えられていることは、臨床研修医を日本歯科医師会の6種会員という区分にしまして、登録時に約5,000円ほど負担していただいて、3年間Eシステムの研修を受けられるような制度をつくっております。ですから、現時点で既に臨床で御活躍の会に属さない先生方についてはなかなか難しいかもしれませんけれども、これから卒業される先生方については、研修医の時代からそのシステムを理解していただき、それに乗っていただくようなことをできるだけ進めていきたいと考えております。

 それから、参加についての履修状況というか、研修状況については、本日の資料に入っておりませんが、ある程度の単位を取得した会員には、修了証あるいは認定証を日本歯科医師会で発行しております。また、修了証ととともにそれを標榜できるようなステッカーを配付しております。会員の診療室においては、それを診療室の入り口あるいは受付に表示するよう会員にお話ししておりますので、歯科を受診される際は注意して見ていただくとわかると思います。


○山口構成員 ありがとうございます。

 今の研修医ですけれども、いつからお始めになって、現在もう始まっているとしたら、一応5,000円を支払っている人というのは、研修医の方のどれぐらいシェアがあるのでしょうか。


○小林構成員 一昨年から始まったと思うのですが、現実的には大学のほうへの御案内等も含めて進めて、なかなか認知度が上がらず、登録者数は少なかったようです。昨年は、積極的に大学に働きかけたところ200人ほど登録がありまして、今年度はまだ90人程度の状態です。現時点での登録者数は、300人ほどの研修医だと認知しております。


○山口構成員 ありがとうございます。


○小林構成員 参加状況につきましては、日本歯科医師会の会員のセミナーが始まったころは、大体7080%の参加率でございました。修了証を取った方がそのうちの40%、認定証が40%のうちの40%になりますから、トータルで言うと2割弱の方が認定証まで取っているという状況でございます。


○西原座長 ありがとうございました。

 次に、柴田構成員、お願いいたします。


○柴田構成員 臨床研修医については、先ほどの参加費の5,000円ということに関してですが、今、検討していまして、カードのシステムに必要なものだけにしようかなというふうに検討しているところでございます。そうすると、2,000円弱ぐらいになるかと考えております。なるべく参加率をアップするためにということを検討しています。


○西原座長 ありがとうございました。

 ほかにどなたかいらっしゃいますか。高梨構成員、お願いします。


○高梨構成員 高梨でございます。

 これは基本的に講義スタイルの研修で、質疑応答、議論をするということではないという理解でよろしいのですか。


○西原座長 お願いいたします。


○小林構成員 講演形式のセミナー、ライブに参加される方は、まず質疑応答の時間、それから2名の講師がペアで回っていらっしゃるのですけれども、講演終了後、総合ディスカッション、講師を交えたテーマに対するディスカッション等を行っております。

DVDにつきましては、郡市区歯科医師会である程度会員を集めて、それをみんなで見るという方式もあり、その場合は、各地区の学術担当理事や委員の方が、そのセッションに対してディスカッションをするようにお願いしております。DVDを視聴する形式だけという場合ではないというふうにお願いしております。


○高梨構成員 その点は弁護士会の研修より優れているなと思いました。


○西原座長 ありがとうございます。

 ほかに。

 私から1点よろしいでしょうか。先ほど高田専門官のほうからあったポンチ絵の(4)にもあるのですが、歯科医師会の場合は、日本歯科医師会から都道府県あるいは郡市区にそれぞれ分かれていて、興味深い企画を立てられているのですけれども、そもそもオーガナイズしているのは日本歯科医師会であって、こんなのがあるよという形でそれぞれの下部組織に広めていっているという理解でよろしいのでしょうか。


○小林構成員 基本的に日本歯科医師会の委員会で議論された必要なものということを中心に進めております。

 ただ、先生方も御存じだと思いますが、郡市区歯科医師会でもそれぞれ、地元の問題とか医療に必要なことについては、講習会、講演会を多分同じぐらいの回数やっているのではないかと思いますので、そういう意味では、会員の方は、日本歯科医師会がやっているものと地元で企画開催しているものをバランスよく受講されているのではないかと認識しております。


○西原座長 両方受けて、修了証等の整合性、あるいは国民にとってわかりやすいような開示方法とかも話し合われているのですか。


○小林構成員 はい。先ほどステッカー、認定証の話もございましたけれども、それ以外では、日本歯科医師会のホームページを見ていただきますと、全国の歯科医師という紹介のページがございまして、そちらのほうには日本歯科医師会の会員が全員掲載されておりまして、認定証や修了証を受けた会員はどの会員か表示される形になっています。このような形で国民に一応わかるような表示はしているということでございます。


○西原座長 ありがとうございました。

 あと、歯科医師としては、歯科医療の場合、技術のスキルということも卒後5年ぐらいの間は興味を持つところでしょうし、あるいは国民にとっても、腕を上げてもらうという意味では大事な時期だと思うのですが、その辺で歯科医師会の立場とかお考えはどういう。


○小林構成員 そのあたりが一番難しいところでございます。基本的には、講演、DVDあるいはEシステムというものでしか学術的情報を提供していないのですが、一つの試みとして、ライブラリーの中に、深いところの歯石を取るような研修ライブラリーをつくりまして、受講される方は、内容に合った模型を買っていただきますと、DVDを見ながら実技もできるようなものを制作したことがあります。ただし、実習をやった後、どれだけ技術的に上がったかということを評価するということが今後の課題ではないかと思っています。そのあたりをどうしていくかということも日本歯科医師会としては考えていかなければいけないことだと思っております。


○西原座長 柴田構成員、お願いいたします。


○柴田構成員 そういうスキルアップについては、都道府県歯科医師会で対応しているところはたくさんございますし、例えばうちの県などですと、手技を含めた研修といったものも行っておりますので、日本歯科医師会よりも、手技を伴うような研修については都道府県歯科医師会が多く行っていると思います。


○西原座長 ありがとうございました。

 これから日本歯科医学会からお話を伺うのですが、それぞれの組織が、事前に拝見した限りでは、いろんないいことをされている。ただ、助け合う作業がまだできていない。いわんや、私ども大学人が、どのようなことをされているかもわかっていないという状況をいち早く打破していくことも大事なのだろうなという気持ちで話を伺い、少し突っ込んだ御質問をしたにも関わらずお答えいただいてありがとうございました。

 ほかにどなたかいらっしゃいますか。

 よろしければ、次に、日本歯科医学会の研修事業ということで、日本歯科医学会の井上先生からよろしいでしょうか。資料3ということですので、皆さん、お手元にお持ちください。

 よろしくお願いいたします。


○井上構成員 よろしくお願いいたします。歯科医学会の総務理事をしております井上でございます。

 右上に「資料3」、左上には「日本歯科医学会提供資料」と書いてございます。

 まず、日本歯科医学会がどのようなものかというお話を少しさせていただきますと、一番上の4行に書いてありますように、「日本歯科医学会は、歯科医学に係る様々な専門領域を所轄する各学会(分科会)で構成される学術研究組織であり、43の分科会(21の専門分科会及び22の認定分科会)を擁する」。これがどういうものかという疑問をお持ちになる方もおられるかと思います。それは今、説明いたします。

 現在の会員数は、日本歯科医師会会員が6万5,198名。これは、今、小林常務理事からお話がありました日本歯科医師会の会員の中で6万5,198名が歯科医学会に入っているということです。

 専門・認定分科会の会員数3万5,512名を合わせますと10710名。平成27年9月末日現在ということでございます。ですから、歯科医師会に入っていない会員の方がおられる。しかし、その方々は歯科医学会、いわゆる学術的な学会に入っている方がおられるということでございます。もちろん、我々は日本歯科医師会にも入っておりますし、たくさんの学会に入っているということになります。

 先ほど高田専門官が御説明した参考資料1の17ページ、上がオレンジで、下が黄色い専門分科会、認定分科会というところをごらんいただきますと、ここに基準がございます。

 日本歯科医師会の分科会で専門と認定は何が違うのかというと、条件は両方とも一緒なのです。例えば上に書いてございます。両方とも同じところで、「歯科医学の発展に寄与する独自の研究分野、複数の領域にまたがる複合的な研究分野および社会的要請の強い研究分野などを含む代表的な専門学会」。基準として構成員が500名以上の場合、さらに原著論文に関して、関連論文が年間に20編以上あるといったような基準を認めた場合は専門分科会にします。

 下に書いてありますように、会員数が300名以上ですが、これは専門的な学会であろうと。しかも、論文数は20に満たないという段階で、言葉は悪いですが、専門分科会の下位に位置するものが認定分科会とお考えいただければよろしいかと思います。

 本年度も黄色の認定分科会が22あるのですが、この中から条件を満たした学会が専門分科会に上げてくれという申請をいくつかの学会が出しています。また、先ほど来高田専門官がおっしゃっておりますように、歯科には数多くの研究会、数多くのスタディーグループ、学会と称したものがありますが、そういうものは、ここに上げるためには、ここにある条件を満たして審査を受けて、オーケーであれば上がってくるということで、これ以外の学会が認定する専門医というのもたくさんあるということになります。

 資料3に戻っていただきますと、「目的」ということがございますが、「歯科医学を振興することによって歯科医療を向上し、国民及び人類の福祉に貢献することをもって目的とする」。

 では、何で歯科医学会に入らなければいけないかというと、「活動」というところがございまして、例えば3番などを見ていただきますと、専門分科会および認定分科会への助成を行ったり、4番、専門分科会と認定分科会の緊密な連携をとらせていただいたり、日本歯科医師会会長の諮問がおりてきたときに、それに対して歯科医学会が代表して、それを答申していくといったことをやっております。

 これに必要なこととして、一番下の段に7行がございますが、簡単に述べますと、調査研究活動。これは学術研究事業、歯科学術用語の検討等。それから、学術講演会。また、機関誌として日本歯科医学会誌。これは我々の執行部がオンラインに変えましたが、機関紙を出しております。また、世界に発信するための英文誌、オンラインジャーナルを年間4編出しております。

 さらに、日本歯科医学会総会、来年度ありますが、昭和28年から38年までは隔年で開催されてきましたが、44年からは原則4年に1回といった形で、来年度は第23回ということで、こちらのほうも人を集めるという意味で、山中伸弥先生、向井千秋先生をお呼びして特別講演、開会講演等を組んでいるということです。

 1枚めくっていただきますと、ここに日本歯科医学会の組織図が出ております。日本歯科医学会では主に何をやっているのかというところを見ていただきますと、日本歯科医師会の中にこういった学術として存在しているわけでございますが、さまざまな会がございまして、一番右のほうを見ていただきますと、常置委員会、また、臨時委員会ということで、上から常置委員会で言いますと、学会誌をつくったり、英文誌をつくったり、用語を統一したり、学術の研究をどうするか、学術の講演会はどうしようか。それから、臨時委員会として、これはその年に大体新しく入れていったりするのもあるのですが、診療ガイドラインをどうするのだ、それから研究倫理、利益相反、こういったものをどうするのだ。下のほうに行っていただきますと、歯科医療技術革新推進として、どういったものを歯科医療に提供していけばいいのだろうか。こういったことが毎年小委員会として話し合われているという形になります。

 3ページ目は、先ほど見ていただきました色がついているもののただ単に学会が並んでいるものでございます。この中で専門医を持っているものというのは、臨床系というふうに言うとわかりやすいかと思いますが、専門分科会の中で、例えば一番上に歯科基礎医学会というのがありますが、これは専門医は持っておりません。

 中ほどにございます日本歯科理工学会というのは、聞きなれないお言葉かもしれませんが、歯科で使う材料であるとか、金属であるとか、レジン系、プラスチック系の材料、こういったものを研究する学会である。

 中ほどにあります日本歯科医史学会、歴史を検討していく学会がありますが、この辺では当然のことながら専門医というのはついていない。

 しかしながら、認定分科会の中でもさまざまな専門医が存在するという形になってまいります。

 先ほどの参考の色がついているもの1枚前の16ページ「(8)広告が可能な医師等の専門性に関する資格名等について」でございますが、ここに所属しているものは全て専門分科会でございます。そして、この専門分科会が提出してきて、外形基準であるとか、学会が認定している専門医の基準をクリアした人が、こちらのような5つ、現在、口腔外科専門医、歯周病専門医、歯科麻酔専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医が広告可能になっているという形になっています。

 それでは、資料3にお戻りいただきますと、この5つの学会がどのような研修を行っているかというものを挙げていただいておりますので、資料3の通しページの4ページ「歯科医学会における各種研修制度について 平成271218日」は、先ほどの資料のほうで言いますと口腔外科専門医を取得するため、あるいはキャリアアップのためにどのようなことが行われているかということで、教育研修会、歯科臨床医リフレッシュセミナー、かなりの回数が行われております。

 6ページ、7ページと進んでいただきますと、7ページには「総会・学術集会」とありまして、総会を行った際にこういった場所でも認定医研修であるとか、こういったものを受けなければいけない。

 それから、各支部に分かれておりまして、北日本支部であるとか関東支部といったところ。7ページの下を見ていただきますと、関東支部では第198回と書いてございますが、かなりの回数を行っているという形になっています。これは年度別に書いておりまして、参加人数等も書いてございますので、お目通しいただければと思います。

 「19」となっていますが、これは10ページ目になります。小さい字で表になっているものは、ある学会の専門医を取るための条件という形になります。一番上に「専門医制度委員会」というのがありまして、縦軸に「申請資格」と書いてございます。この申請資格の1つ中側の縦軸を見ていただきますと、「研修等期間条件」、2番目が「研修実績」、3番目が「診療実績」、4番目が「論文実績」、そして認定方法はいかがなものかといいますと、試験があったり、実際の手術の実施といったことをこの学会では行っているという形になっています。

 これも一つずつは御説明できませんが、この学会は非常によく整備された認定医制度を持っている学会であろうと思いますが、この専門分科会、認定分科会に入っていない学会では、こんなことを言わないほうがいいかもしれませんが、オフレコードでいけば、学会に入れば認定を与えるなどというところもございます。ですから、この程度は、ここに書いてある広告に載っかっている学会に関してはかなりしっかりやられていると見ていただいてよろしいかと思います。

10ページ目が日本小児歯科学会。これも小児歯科専門医というのがございます。10ページから12ページに研修会が書いてございます。

14ページは、日本歯科麻酔学会。こちらは認定基準ではございませんので、どういった研修が行われているかということで、リフレッシュコース、教育講座、年次総会、学術集会、支部学術集会というふうに行われている。

17ページ、18ページを見ていただきますと、表になっていて、今までの書式と違って申しわけございません。日本歯周病学会。この学会は1万名ぐらいを有しておりますが、左のほうから開催日時、場所、対象者、研修テーマ、このように書いてありますが、このようにメーンテーマがあり、学術大会が春と秋、2回行われているということが記載されております。

 一番最後のページにページ数がついておりませんが、NPO法人日本歯科放射線学会の学会認定セミナーの一覧、少しページを送っていっていただきますと、総会、学術総会、こういった形でかなり開催されているという形になっております。

 少なからずこちらに書いてあります専門分科会のほうで認定医を出しているところはこのような形で、程度の差は多少ありますが、かなり綿密な専門医の認定コースが設けられていると御理解いただきたいと思います。

 では、認定分科会のほうはそうでもないのかというと、それに準ずるとお考えいただいて、そのほかにも多々存在しているという形になってまいります。

 これが日本歯科医学会のほうの活動、認定医養成といったような形になっているということでございます。

 以上でございます。


○西原座長 ありがとうございました。

 どなたか御質問ございますか。どうぞ。


○山口構成員 ありがとうございました。

 学会というふうに聞きますと、一般的にはとても信頼できると思ってしまいます。専門家の方にとって必要な学会が組織されるということはいいと思うのですけれども、それが患者向けに発信されると、非常に戸惑う方も多くいらっしゃるのではないかなということを日々感じております。

 今の御説明の中に広告できる専門医については、かなりしっかりした一定の基準が設けられているというお話があったのですが、例えば専門性を広告できるということで何か定められている、この要件を満たさないといけませんよというような基準というものはあるのでしょうか。


○井上構成員 学会が定めている認定医を受けている際に、外形基準というのがありまして、例えばその学会は何名以上いますよとか、こういった研修機関がありますというのが出ています。

 ただし、今、医科でやっているような第三者機構による認定制度はございません。各学会が認定しているという形になっています。それを国のほうに上げて、それを広告してよろしいというふうなことでおりてきています。


○山口構成員 今、外形基準とおっしゃっているのは、専門分科会とか認定分科会で判断されるのですか。


○井上構成員 一応、歯科医学会のほうでこれは上げていいだろうという意見を出します。


○山口構成員 そこの部分ではなくて、その1つ前の広告可能な専門医のところは、かなりしっかりした。


○井上構成員 そうなのですが、このほかに、歯科医学会のほうでも、名前は出しませんが、オレンジの中で幾つかは、これは広告してもよろしいでしょうという承認を得ているのがあるのです。これはまだ時期尚早であろうというふうにして歯科医師会のほうと話し合いをしながら、現在はペンディングになっているという学会もあるのです。できれば医科のように、だんだんふえていくのであろうと思っています。


○山口構成員 ありがとうございました。


○西原座長 高田専門官、どうぞ。


○高田歯科口腔保健専門官 広告できる専門性を届け出するスキームについては、医療法広告ガイドライン等で定められてございます。また、専門性の資格を認定する団体の基準は、厚生労働省の大臣告示で規定しておりまして、例えば学術団体は法人格を有していること、会員数や活動内容等、いわゆる外形基準と呼ばれている学会の要件を定めております。その要件をクリアしたものについて、各学会から厚労省に届け出があれば、厚労省では、広告ガイドラインの規定にのっとって、こちらは医政局長通知になりますけれども、届け出があった場合には受理をする際に、関係団体、学術団体等の意見を聴取しております。歯科の団体であれば、歯科医学会、歯科医師会、または近接する領域であれば医学会ということで、御意見を伺っているということでございます。


○西原座長 追加でしたが、よろしいですか。山口構成員。


○山口構成員 はい。


○井上構成員 ですから、その中で、医学会ではいいでしょうと言っても、ほかの学会がちょっと待ってほしいといったようなことも現実的には起こってしまうということです。


○高田歯科口腔保健専門官 全ての団体から適当であるという返事が来たものについて受理しております。


○山口構成員 関係団体に意見を聞いたときに、基準というのは、本当に話し合いしかないということですか。


○高田歯科口腔保健専門官 恐らく各団体でお持ちなのではなかろうかと思いますが、厚労省ではその内規の内容については掌握しておりません。


○山口構成員 どういう理由で認められたとか、どういう理由で却下されたとか、そういうものは表に出てくるのでしょうか。出てこないのですか。


○井上構成員 出てこないですね。一応、どういう意見で。例えば認定分科会に上げるときにもかなり厳しい審査があるのですけれども、こういうものはだめだとか、国民に云々だとかいうことで、これはちょっと待ってくださいという学会もたくさんございます。ですから、専門分科会に入っていただくと、少なくとも今の外形基準という話で、500名以上いますよ、認定施設がしっかりしていますよということで、では、こうこうこうでということで話し合って、これだったらいいだろうと。


○山口構成員 そのあたりが、こういう理由で待ってくれというふうになっているとか、こういう理由で認められたというものが表に出てくると患者としても安心できるのかなと、今のお話を伺っていて思いました。


○西原座長 ありがとうございました。

 現状を踏まえてこうしていただけたらというところだと思うのですが、もう少し踏み込んだところでどなたかございませんか。

 私からちょっとお聞きしたいのですが、2ページ、3ページのところを開いて、今、山口構成員からもあったように、専門医、あるいは専門性、あるいは標榜というのは、国民にとって非常に大事な情報ですし、興味のあるところで、今、井上構成員から説明があった専門部会のアカデミア、研究ということがまず一面大事なファクターとしてこの学会を支えるものという理解をしております。それはよろしいでしょうか。

 その一方で、オレンジとイエローの表を見させていただきますと、一番下に※で「日本歯科医学会に所属する専門分科会」云々ということで、専門性に関してもかかわっているよということが付言されているのですけれども、こうなったときに、この学会がオートノミーをきかせて審査するということであるとしたならば、組織図で言うと、歯科医学教育・生涯研修協議会等々で議論されるのですか。あるいは専門医は専門医で常置委員会とかでやられるのですか。申請が出てきたときの委員会活動というのは。


○井上構成員 委員会のほうで、そこが専門医をつくりたいどうのということに対しては、今のところこちらからは何も言わないです。各学会の中で。


○西原座長 外形が整っていればよいということで理解していいですか。


○井上構成員 もちろん、そういったようなことを申請すると。


○西原座長 その程度で審査されているということですか。


○井上構成員 そうですね。ですから、日本歯科医学会でこういう基準をつくってくださいとか、そういうことはまだ言っていないです。


○西原座長 そうすると、申請が上がって、語弊があるかもしれませんが、形が整っていれば、とりあえずは先ほどの高田専門官が言っていたところまで上がると。


○井上構成員 はい。


○西原座長 そういう意味では、少しオートノミーが少し緩いかなという思いを私としては今、感じたのですが、それをどうするかというのは、我々、少し提言という形でも今回提案していいのかなと感じたところでございます。

 山口委員、よろしいでしょうか。


○山口構成員 はい。


○西原座長 それでは、今、あまたある学会の活動の報告をいただいたのですが、ちなみに、専門部会の中で専門医を持たない学術団体が幾つかある中で、基礎研究をしているグループの存在なのですけれども、これに関しては、余り専門性、専門性と言うと離れていってしまいましょうし、日本歯科医学会として、歯科医学の向上・発展に資する、そして国民の福祉・健康に資するという姿勢で貫かれる中で、専門性は重要な案件だと思うのですが、組織体としてはどのように。相矛盾するとは言いませんが、構成員の中で肌合いが違う構成員がヘテロジニアスに入っている中で、どういう運営をされていく予定なのでしょうか。専門性について少し軸を絞ってきょうはお伺いするようになるのですが。


○井上構成員 現状では、歯科医学会の中ではここに書いてある業務を行っているという形で、今、先生が言ったように、我々歯科医学会が踏み込めるというところまでは成熟していないと思います。

 先ほどお見せしたような専門医の基準というのは、その学会がつくり上げておりますので、そこにもっとこうしろとか、ああしろということは一切言っていません。ただし、情報としては把握していて、ある学会はこの専門性がかなり弱いねというのは把握しておりますが、言葉としては振り込んではいないです。


○西原座長 もう一方で、今回専門性ですが、歯科医師の資質向上ということで、今日、5つの学会のテーマをいただいたのですが、相互乗り入れは、日本歯科医学会に入っている人たちは受講できるのですね。そのような仕組みと考えてよろしいですか。


○井上構成員 そうです。


○西原座長 そのときにはどういう案内が。


○井上構成員 口腔外科学会の学術大会に小児歯科学会の人が参加できるかということですか。


○西原座長 そうです。今、開かれている。


○井上構成員 口腔外科学会にも入っていれば入れます。


○西原座長 当該学会人以外は、日本歯科医学会の会員であっても入れないわけですか。相互乗り入れがない。


○井上構成員 ほかの学会に、ですか。


○西原座長 はい。


○井上構成員 そういう意味での相互乗り入れを行う場合もありますが、多くの場合は、その学会員でなければ聴講できないという形になっています。


○西原座長 ということは、相互乗り入れの制度設計はまだできていないと。


○井上構成員 まだできていないと思います。個別にやる場合はあります。例えばAという学会とBという学会が共催とか併催とか、こういうのはかなりやられてきています。


○西原座長 先ほど申し上げたように、各組織が良い試みをされているのですけれども、それを周知して歯科医師の全ての素養アップにつながるためには、乗り入れはどうなのかな、そういう素朴な疑問とおとりいただければ。


○井上構成員 形としては、ここの中を見ていただくと、例えば検査学会とか診断学会とか、本当に似たようなものがあるので、その辺はまとまっていったほうがいいだろうという意見もありますが、やはり学術団体ですので、研究を対象としていることで言うと、分けている。専門医のときには、それが1個になって何とかという専門医にしたほうがいいのかなという討論はあります。


○西原座長 ありがとうございます。

 南構成員、お願いいたします。


○南構成員 御質問をさせていただきたいことが1つと、あとは、思ったことを1点申し上げたいと思います。先ほどの御説明の中で、専門分科会の中で専門医ということになじまない、例えば基礎医学会、理工学会、医史の学会とかおっしゃいましたけれども、専門医をこの中で持たないのはその3つだけなのかどうかということをちょっと教えていただきたいと思います。


○井上構成員 歯科医学教育学会がそうです。


○南構成員 歯科医学教育も専門医という形では認めていないということですね。


○井上構成員 右から5つ目です。


○南構成員 専門性は特に認めないと。


○井上構成員 持っていないですね。


○南構成員 その4つということですか。


○井上構成員 そうですね。


○高田歯科口腔保健専門官 私のほうからお答えさせていただきます。

専門分科会は、基礎医学会と理工学会と歯科医史学会と教育学会、この4つだけです。


○井上構成員 そうですね。


○西原座長 医療管理学会はどうなりますか。


○高田歯科口腔保健専門官 管理学会は、認定医制度がございます。


○西原座長 はい。複雑ですが、4つですね。


○井上構成員 歯科医学会のほうでは、認定医だとか専門医というところまでは管理していないのです。


○南構成員 わかりました。

 率直な印象なのですが、前にも申し上げたように、専門分科会とか認定分科会とかを厳密に審査をして格を上げていくということもしておられるので、その点について研修会や何かもよくやっておられるということは理解いたします。ただ、今のお話を伺うと、例えば歴史とか教育というのは、この学会をなしているだけで十分専門家であると。社会的にはそういう認識だと思うので、確かにその専門医と言われてもなじまないというのは、そのとおりかなという気もするのですね。

 これは学会ですから、学問の自由とか学問を追求する、学問というものの本来あるべき姿としてどんどん深めていただくということは、国民として一向に問題はないのですが、問題は、先ほど山口委員が言われた社会に対してどういうものを専門家というふうに示すかということです。こういった場での議論となりますと、そこに尽きるのかなと思います。

 先ほどの医療法で認めるところの5つの専門家集団と、この専門分科会の間のギャップというものが、まさしく、国民にわかる専門医ということと、歯科医学、学術としての専門性というところのちがい、西原座長の言葉をかりればギャップでもあり、オートノミーというのか、ちょっとわかりませんけれども、医療法の認めるところとのギャップなのかなという印象を持つのです。

 ですから、これがいいとか悪いではなくて、これはこれで学問として深めていただきたいとは思うのですけれども、今、国民が必要としている歯科の専門家というところについて、こういう場できちんと申し合わせというか、歯科関係の方にも認識を深めていただきたいなと思うのですが。


○西原座長 井上構成員、どうぞ。


○井上構成員 今、南先生がおっしゃったように、国民に示す専門医なのかというのは、学会の中では検討されていないです。例えば歯科放射線専門医は、患者さんには理解しにくい内向きの考え方かもしれません。

 自分たちはこういう専門医だ。例えば先ほど申しました歯科基礎医学専門医があるとすると、自分たちの仲間で、私はその中でも生理の専門医だとか言っているのと同じような形になってしまっているということです。それは先ほど言った外形基準が設置されていて云々だから認めましょうという話になっているだけです。ただ、実際的に国民がこれでわかるかといったら、多分わからない。では、歯科麻酔はどうかと言ったら、もしかしたら同じかもしれないということなのではないでしょうか。


○南構成員 わかりました。


○西原座長 山口構成員、どうぞ。


○山口構成員 今おっしゃったことは本当にそうだと思います。広告という以上は、国民に広告するはずなのに、広告できる5種類のものが、見て、では、これが患者にとってわかりやすいかとか、役に立っているかというと、以前にも申し上げたかと思いますが、私は非常に疑問だと思っています。

 ですので、患者から見れば総合診療医に該当するような歯科の方が大半だと思うのですね。その中で、この人はこういう専門性を持っているというのを知りたいというのは、例えば矯正であったり、インプラントであったり、ある程度専門性をきちんと担保されているものが表に出てきたら安心して受けられるのに、そのあたりが広告と整合性がないところに一つ問題があるのではないかなと私も思います。


○井上構成員 そうですね。○○小児歯科、○○口腔外科とは標榜が出せるのですけれども、そのほかは矯正と歯科、その4つが標榜できるということになりますので、そういう意味から言うと合っていないのですね。

 今おっしゃるとおりなのですが、その辺で、この43団体がどういう専門医を出せば、広告したときに患者さんがよくわかるかというのは、ものすごく難しい問題であり、これはこれからのすごい重要な検討項目だろうと思います。


○西原座長 高梨構成員、どうぞ。


○高梨構成員 専門医を患者、国民に対して表示するということに関して申しますと、今、井上委員より御説明いただいきました学会などが真摯に活動なさっていることは分かりましたが、ここらに書かれている医学会の分科会なり専門分科会なりと似たようなお名前の学会がございますね。


○井上構成員 あります。


○高梨構成員 患者、国民からみると学会という名前がついているとそれはアカデミックな団体なのであり、その学会が専門医と認定しているとその歯科医はあるジャンルについてエクスパートなのだというように理解します。しかし、残念ながら私が関わった幾つかの紛争は、ある実体が明らかでない学会の専門医が起こしています。また、歯周病と矯正は「臨床」という名前がついている学会とそうでない学会がある。それらの学会は、国民から見るとどう違うのかは全く分かりません。このように学会等の専門医資格を国民、患者に対して表示するときは、その学会等がどのようなものなのか、信頼に値するものなのかを国民、患者に表示しないと国民、患者はどの専門医を信頼してよいのかが分からないという問題が生じることを指摘しておきたいと思います。


○西原座長 ありがとうございます。

 高梨委員の最後の部分を拾わせていただきたいのですが、あくまでここは専門性について、前向きに今後どうしようかというのを考える会議体で、今、幾つか事例が挙がった学会専門医も含めて、そういう国民の声があるということを日本歯科医学会は捉えて、その学会の取り扱いについても今後取り組んでいかれると思いますし、法人格を取ろうという組織ですから、それは考えていただくしかないかなと思っております。


○井上構成員 先週だったのですけれども、患者さんから直接電話を受けまして、名前は言いませんが、ある業者が主体の認定医というのが歯科医院に張り出してあって、そこの人は信じてよろしいでしょうかという問い合わせが来たのです。それは私の友達なのですけれども。もちろん、日本歯科医学会はそんなのは認定していないですよ。だけども、幾つあるかわからないのが現状で、その辺は我々がやる範囲ではないのかもしれませんが、そうなってくると、やはり第三者機構が必要で、機構認定何とかとやっていかないといけないのかどうかわからないですけれども、ただ、現状とめることができないぐらいの感じになっているかと思います。


○高梨構成員 それとプラスして、前から申し上げていますが、広告とインターネットの表示というものを峻別していること自体が非現実的なので、それを含めて規制をかけていくことによって、国民にとって真面目に切磋琢磨なさっている歯科医の先生のところに患者さんがアクセスできるシステムをつくるというのが必要なのだと理解しています。


○西原座長 南構成員、どうぞ。


○南構成員 医療法のほうなのですが、放射線だけはすごく内向きでと先ほどおっしゃったのですけれども、その点だけ確認したいのです。歯科治療に放射線を使っている、ということではないわけですか。


○井上構成員 学問としての専門医であって、放射線を当てて虫歯を治すとか、そういうことではないのですが、患者さんはそういうふうに思ってしまうので、この専門医の先生方は、私は広告しませんと言う先生もいるのではないでしょうか。


○南構成員 なるほど。そうなのですか。


○井上構成員 ですから、がんは当てますが、がん以外のことで放射線を治療に使うということは、特に一般の歯科ではあり得ないです。診断のためだけということです。それを読む専門医ということになります。


○山口構成員 読むというのは、GPの方は読んでいらっしゃいますけれども、そうでなくて、もっと専門的ということでしょうか。


○井上構成員 一般の診療所には置いていないMRIであるとか、CTであるとか、エコーであるとか、より専門的なのですが、一般の歯科には余り必要ないみたいなもの。

 例えば一般の歯科医院を考えていただいて、そこにMRIがあるかといったら、まずないです。CTは少しずつふえてきていますが、それでもそんなにはない。柴田先生も小林先生も自分の診療所である程度診られますので、その人たちに対して御相談を申し上げるとか、その専門医の先生のところへ送って診断してというのは、そんなにないのではないでしょうか。


○西原座長 今井構成員、どうぞ。


○今井構成員 各委員の我々に対する厳しい目というものをひしひしと感じております。すなわち、社会に示す方策に対して、我々がやや怠慢であるという御批判だろうと理解致しました。1点、歯科医学会が主導をもってそういうものについてある程度是正をしてほしいという御要望がありましたが、これは、もちろん我々は努力いたしますけれども、限界があるということも御理解いただきたい。

 すなわち、歯科医学会は合衆国と同様な形態で、各分科会はそれぞれが独立した組織であります。したがって、例えば口腔外科学会は公益社団法人という法人格を持った一つの組織でそのような緩やかな集合体ですので、強制力を持ってこうしろという指導はなかなか難しいということは、現状の社会情勢から御理解をいただきたいという点は、ひとつお願いいたしたいと思います。

 それから、ただ今頂戴いたしました御批判については、我々も襟を正してこれから何とかしていく努力をしますけれども、そればかり言っていても余り成果が上がりませんので、では、どうしようかという意見を先生方からいただければ、むしろありがたいなと思います。

 以上です。


○西原座長 ありがとうございます。

 これはきょうの議論の途中ですので、今井構成員からの話も含めて、最後の取りまとめに知恵を出したいと思います。

 ほかに。どうぞ。


○伊東構成員 今、高梨委員のほうから歯周病学会と臨床歯周病学会の話が出ましたが、歯周病学会というのは、大体大学関係者が中心になる。臨床歯周病学会は、臨床家が中心になってグループをつくっていたのですが、専門医制度になったとき、2つの学会が専門医制度では1つになろうと。いわゆる学会は幾つかに分かれても、専門医としては幾つかが共通の基準を設けて1つになってやろうと。それのほうが国民にとっては非常にわかりやすいという形の事例がありましたので、オートノミーがうまく機能した例で御報告しておきます。


○西原座長 わかりました。

 ここで少し整理させていただくと、専門性という問題を学会という1つの単体で考えていくとすれば、おのずと、色々な事例があり、問題を複雑にしている感じがある。一方で、社会という観点で考えると色々な問題点がある。では、それをどう解決するかということになると、第三者機関を置いて、きれいに開示性を伴ったものをつくらねばならないという思いを抱きました。既存の学会活動をしていく限り、なかなか払拭できない根深いものがあるということだけは確かなようでございます。

 それを正すとしたときにどうしたらいいか。このワーキンググループに与えられた時間が短いので、必ず次につながるような提言をするということをお約束します。今回は、まだ事例紹介の段階ですが、これを終えさせていただいて、次の議論に進めさせていただきたいと思います。

 それでは、論点が先ほど高田専門官のほうから幾つか分けられて議論が進められていたところですが、南構成員と高梨構成員は11時半までということですので、まず、専門性についての議論を一つ区切らせていただけたらなと思っています。

 この後、医学系における総合専門医という専門医が歯科にどのような位置づけで置かれるかという議論を予定していたところですけれども、まず、私のほうから先ほどの資料1にある論点1のまとめ、方向性を示したいと思っています。

 まず、歯科医療の多様化に対応して、国民が大前提として求めている安心・安全な歯科医療を提供するために、全ての歯科医師が求められる専門性については、生涯研修がきわめて大事ということについては、参考資料の1枚目のポンチ絵からも、皆さん、納得していただいたと思っております。

 その上で、今日、研修の事例をお話しいただいたのですけれども、歯科医師の研鑽・研修の場としては、歯科医師会も歯科医学会もされている。幾つか懸念される問題点はありますが、一生懸命いろんなことをされています。

 さらに、資料1の8ページになります。そして、パワーポイントの原稿の(4)になります。私が前回のこのワーキンググループでもお話ししたように、歯科においては、それ以外に大学を支えるというか、両輪として活動している同窓会等が開催する研修事業もあります。さらに、民間主催のセミナーもある。これがいろいろな意味で質的、クオリティーの担保がとれているのかということで申し上げますと、これまでの指摘された問題点の温床になっている可能性は否定できないと思われます。

 そうした場合に、生涯研修という観点で卒後5年、10年、15年、そして歯科医業を務めている間にどのようなパートナーシップで行われているかが問題で。私は、大学も貢献すべきだと思っています、歯科医師会、歯科医学会と大学とが協議しながら建設的なものをつくり上げていく過程で、国民にとってわかりやすいものを早急にしていく作業ではないかと思っております。

 大学サイドの話をさせていただきますと、29大学がさまざまな問題点を有機的に検討する会議もまだ脆弱なところがあるという状況ですので、文部科学省、厚生労働省の会議体で問題点が提出されている今をある部分、チャンスとして、一丸となって検討する時期なのだろうなという思いがあります。例えば、医学界で行われている四者懇的な活動をして、国家試験の問題も踏まえて、良質な歯科医師を世の中に出して、一生涯良質なまま、汚れることなく歯科医業を進めていくにはどうしたらいいかということを、歯科医師会の先生方、歯科医学会の先生方、大学人が顔を合わせて議論をする必要があると思っております。

 ですが、これは3回目にまた御議論いただいて、まとめのところでどのような表現にするかも含めて考えていくことになろうかと思っております。

 ここまでのところで歯科医の特異性についていろいろな意見が出されていたところですけれども、前回、医科のところの経緯を含めて、小森先生には専門性について語っていただいたところですが、ここで一つ御意見をいただいて、この専門性のところを終えたいと思うのですが、いかがでしょうか。


○小森構成員 私は医科の人間ですし、歯科には歯科の長い歴史がおありですから、軽々に意見を申し述べるということでなくて、この前も随分たくさんお話をさせていただきましたので、医科ではどうですかというような御質問があれば、お答えするということなのだと思ってここに座っております。

 聞いていて1点違和感があって、恐らく説明が足りなかったというか、聞く耳がなかったのだろうと思っておりますけれども、日本歯科医師会の研修会は、座学のほうが比較的少ないという感じがしていましたが、例えば日本医師会ではつい最近全国集計をしたのですが、都道府県医師会、郡市区医師会主催分、日本医師会のものを合わせますと、座学講義形式が3万5,000回なのです。ですので、今日、お出しになられたのは桁が随分違うので、都道府県歯科医師会、郡市区歯科医師会、さまざまなものを集計なさっていらっしゃらないのかなと思いまして、全国的な集計をされるという仕組みがもしもあったら、教えていただきたいなということが1点。

 国民の目から見てという意味でも、標準化をしているということ等が必要でございますので、私どもは、長い歴史の中で、現在使っているのは2009年版ということで、今、2016を改訂中ですが、いわゆるシラバス、最近の医学教育の発展等を踏まえまして、ねらい、到達目標、そして方略、さらには評価ということを明確にしてお見せした形で、そこで一定の定性的な評価、あるいはアウトカムでもいいですが、それを取られた方に対して単位を付与するということ。

 もう一つは、今度新しいシステムを稼働させて、認証も使えますので、開業医の先生、病院の先生、院長はこの1年間でこういう研修会に出ましたというもの。行ったけれども玄関に行ってすぐ帰ったということでなくて、それをちゃんと受けましたよというもの。これは日本医師会も認証という仕組みをつくって、日本国がその出席を認めているというレベルで、来年の4月1日に稼働しようということでおります。

 先ほどありましたように、私的なことで恐縮ですけれども、娘の夫が歯科医師でございまして、いろいろ聞くと、ハーバード大学へ行って1週間勉強してきたと言うのですが、つまり、そのレベルがどうであるのかというのは、実は皆さん、余りよくわからなくて、私も歯医者さんに行くと、英文のサーティフィケーションがあるのですが、それがどういう意味があるのか。英語で書いてあるから立派そうに見えるわけですが、そのことに対する質保証がなされていない。

 今の議論と違って、私が一般の国民というか、ユーザー、患者として求めるのは、いわゆる口腔インプラント学会というのは、あの中で一番会員数も多くて、上の学会の中に入っていらっしゃるのですけれども、そこの会員であって、そこの専門医を維持するためにはこういう条件であるということが明示されて、広く行き渡ると、国民の方々は、この先生はインプラントが上手なのだなとわかると思うのですが、ネット上で調べると、その専門医を持っていらっしゃる方がすごく少なくて、ところが、インターネットでの宣伝の世界では膨大な数のインプラントの専門だという方がしていらっしゃって、それは歯科医師会と歯科医学会で、このレベルはインプラントが上手というか、一定のレベルを持っていらっしゃるよと。

 それから、歯周病の話もありました。国民は、インプラントと歯周病ですね。オートノミーというのは、まさに律するということなので、厳しく律するということに。何でもあるよというのはオートノミーではないので、そこは何かやっていただければ。

 今回あるいはこれに続く議論の成果として、インプラントと歯周病の標準的な医療をなさる方は、日本歯科医師会、日本歯科医学会が連携して、あるレベルだと認めるというようなことがあると、私は患者の一人として福音だなと思って聞いておりました。

 それと、そういう医師会のレベルでの全国的なシラバス。医学会でもそういうシラバスというか、この条件でこうだということ、もう決めておられるのだと思いますけれども、そういうことが少し公表されて、少なくともそれをクリアされた方ですよということを明示されるということであれば、何か意味が高くというか、一般の方もわかりやすいので、そういうことに対して努力しておいでだと思いますが、また格段の御尽力を賜れればいいのではないかなと。勝手なことを申し上げまして、済みません。


○西原座長 両組織から何かございますか。どうぞ。


○小林構成員 御指摘ありがとうございます。

 日本歯科医師会としましては、今回は日本歯科医師会としての内容ということで御説明させていただきましたけれども、都道府県歯科医師会あるいは郡市区歯科医師会でやっている内容については、今後ちゃんと内容を確認してゆく必要があると考えております。そしてお話がありましたように、シラバスも含めて、歯科医師会の臨床医に求める、コア・カリキュラムのようなものをこれからつくっていくということが必要だと思っております。

 参加状況の把握については、平成20年からICカード化をしまして、会員が参加したときのみ登録できるようなシステムにしました。ちょっと行って帰ってしまうということはできないように、始まる前と終わったときにタッチしないとカウントされないとか、そういうことを含めて、自律的、能動的にちゃんと研修するようなことは考えております。

 それから、インプラント、歯周病の専門医については、国民からの要望が非常にあるということは十分理解しておりますが、現実的に、インプラント学会の専門医とか指導医を取っていない方で以前からかなり実績のある方とか、いわゆる名医と言っては失礼なのですけれども、そういう方もいらっしゃいまして、そのあたりの整合性を図るのが難しいと考えているところです。そういう部分も含め国民にどういうふうに伝えるかという点について日本歯科医師会として責任を感じております。単純にこのレベル、この技術ができれば上手、下手というふうには言えないところもございます。

 また、先ほど標榜科で補綴専門医となっても、国民の方はわかりにくいと思います。補綴というのは、入れ歯とか、歯がないところをどうやって補うかということの専門医ですが、「補綴」という表現がいいのか、あるいは保存学会で、「保存」と言っても、同様に一般の方は多分おわかりにならないと思います。虫歯の治療なのか、充填なのかという部分で、わかりやすい表現も含めたことを今、日本歯科医師会としても考えておりますので、御理解いただければと思います。

 以上でございます。


○西原座長 ありがとうございました。

 伊東構成員、どうぞ。


○伊東構成員 私もインプラント学会の会員の一人ですので、今日は小森先生にこういった場で患者さんの立場からインプラントの専門性についてお話しいただいて、ありがとうございました。

 また、日本歯科医師会のほうもその必要性については考えているというお話でした。

 今、一番トラブルが多いのはインプラント関連だと聞いております。インプラント学会で今、認めている専門医は1,000人ぐらいです。会員は1万2,000人とか3,000人いるのですけれども、だからといって、今、インプラント学会の姿勢は、むやみやたらにふやすのではなくて、質を担保して、少しずつふやしていこうと考えております。

 インターネットを調べると、インプラントの専門医は何千人も何万人もいるのではないかと思われてしまいますけれども、公益社団法人としての日本口腔インプラント学会が今、認めている専門医は、やっと1,000人になったぐらいです。指導医に関しては100人から200人の間ぐらいで、インプラント学会としては、質を担保しながら、指導医、専門医、そしてその下の入門編として専修医制度というのをつくっておりますが、それが今、やっと500600人ぐらいになったという程度です。

 ですから、こういうことがその学会のきちんとした姿、そういった資格が表に出るのは、ある程度専門医制度の中で公にならないと、かえって国際何とかとか、ほかのものが目立ってしまって、国民はそれに惑わされてしまう。非常に逆効果になっているのではないかと思うのです。

 以上、追加させていただきました。


○西原座長 井上構成員、お願いいたします。


○井上構成員 小森先生に医科のほうの話で聞きたいことがあるのですけれども、インプラントに関しては、歯科の領域ではほとんどが自費診療なのです。皆保険制度の中で高度医療として使えるものを除くと、ほとんどが自費である。自費を主体としている医科の先生というのは少ないのではないかと思うのですが、そういう方に対しての専門医というのは、どのようにお考えになりますか。

 というのは、歯科の場合も皆保険制度の中で動いているのですけれども、インプラントがちょっと特殊な感じで、今、伊東先生がおっしゃったように、私は世界で一番うまいのだというふうに広告している人もいますし、一昨日会った人は、私は日本で一番うまいと言っていましたし、何を称して言っているのかわからない。ただ、その人は専門医を持っていませんでした。


○小森構成員 医科の場合は、歯科と違いまして、全てと申し上げてもいいと思うのですが、保険制度の中での医療でございます。

 もちろん、保険外のほうで国民の方が広く使えるものとしては、当然予防接種であるとかあるわけですが、これは別の話だと思います。

 つまり、美容外科の中でも、例えば乳がんの手術の後に乳房再建をするとか、そういうことではなくて、何の説明も要らないと思いますが、さらに美しくという領域のことについては、基本的に野放しです。そういう方々がそれぞれの学会をつくられて、そして相当なレベルの論文を出されて世界に問うということも余りしていらっしゃらない。したがって、日本医学会の中にも入っておりませんし、我々としては異端児のような扱いをしています。

 とはいえ、日本医師会も公益社団法人でございますので、公益社団法人たるものは会員のためにということではありませんので、広くお呼びかけをして、まさに美容外科としての顔面の整容であるというようなこと以外の、医師として最低限備えていただかないといけないこと等については、広くお呼びかけをしている。そのときは会員、非会員も問いませんし、何科であるということもお問いかけをしておりません。ただ、そういった医科の世界での美容とインプラントというのはいろいろ違います。インプラントは、まさに美しくということとは違うレベルのことだと思っています。

 たまたま保険診療、自由診療というくくりでは、確かにインプラントはこちらに入っていますが、もっと美しくありたいということとインプラントは全く違うレベルのことだと思っております。余りお答えになっておりませんが。

 つまり、我々の場合は、非常に特殊な方々の医師集団に対しては、大変恐縮ですが、そういうことに対するオートノミーは働いておりません。


○井上構成員 今おっしゃっていただいたように、インプラント自体は、もちろん美しさを戻すものもあるのですが、ファンクションを戻すというほうが大きいのだろうと思います。ただし、それが自費、1本40万円、50万円という高額医療であり、高梨先生、今、御退室されましたけれども、一番問題になるところという形になるので、そこのところはむしろしっかり締めて、専門医ということをつくっていかなければいけないのだろうと思っています。


○小森構成員 そうですね。

 今、乳がん手術後の乳房再建術は、長い歴史を踏まえた上で保険適用されていますが、国民の方々どなたから見てもいわゆるファンクションということについて、同じような名前ですけれども、日本形成外科学会がそういうお仕事をしております。そういう先生方は、先進医療として評価療養の対象になっているお仕事をしておられますし、それから一部自由診療もしておられます。それは美しくなりたいということと別レベルのお仕事をしていらっしゃいまして、基本領域の一つとして私どもも認め、その専門性については評価し、また、そういう御専門の先生から我々も学んでいるという立場です。


○井上構成員 まさにおっしゃるとおりで、インプラント学会というのは、私も入っていますけれども、今、1万人以上いるのです。それに対して、先ほどの図の下の顎顔面インプラント学会は何が違うのかということになると、下のほうはほぼ研究者、大学が主体になっていて、上のほうは、我々も入っていますけれども、開業医の先生が主体になっているということで、教科書的に言うと、もしかしたら逆なのかもしれないのですね。先ほど今井副会長に言っていただいたように、各学会一つ一つが結構成熟してしまっておりまして、なかなかそれを取り締まれないというところも問題の一つかなというのは、勉強させていただいております。


○西原座長 南構成員、お願いします。


○南構成員 先に失礼させていただくので、今井先生が先ほどどうしたらいいかということも言ってほしいというお話でしたので、一言だけ申し上げたいと思います。

 今のような、歴史もおありになって、いろいろ事情もおありになると思うので、これは専門家の集団、歯科医師会なり歯科医学会の中で十分な議論をしていただきませんと、こうしたらいいのではないかというような思いつきではなかなか解決することではないと思います。

 ですから、私が申し上げられるのは、先ほど歯周病学会の例をおっしゃいましたけれども、学会の中でまず十分に議論をされてはいかがかと。医科の場合も今、専門医制度の中で総合医というのが入っておりますが、過去長い年月にわたって総合診療機能を営むような医療の分野に関して、プライマリ・ケア学会と家庭医療学会と総合診療医学会、さらにほかにもいっぱいありましたけれども、長いこと話し合いをして「連合」という名前の学会に集約するという、かなり画期的な作業を先生方がされたりしているのを見てまいりました。

 ですから、対国民に対して集約できる部分もきっとあろうかと思いますので、その辺のお話し合いはぜひ専門家の中でしていただきたいなと思っております。いろいろ言いたいことを申しました。済みません。


○西原座長 既存の専門医あるいは専門性については、今、南構成員が言っていただいたことで、ひとまとまりがつくのだと思います。

 ただ、歯科医学会と歯科医師会が、いろいろな専門性がある中で、カリキュラムという小森先生の話がありましたが、それも踏まえて、コンピテンス、領域、あるいは修了時のコンピテンシーを定めることから、総論から入っていかないと、全てのレベルでそろわないということになってきます。各論で何例とかそういうものではなくて、その医療人がどこまで修了時に修めていたら許されるのか。そこにはもちろん倫理的な問題も、院内感染の問題も、先ほどのスライドで言えば、医科で一番最初に大事なもの、具備すべきものとして挙げていたものもコンピテンシーの最上位に上がってくるものです。そのような作業から始めていって、各論対応に入っていく。やはり血みどろの作業になるのですが、方略的にやられないと、系統立ったものにならないような気がします。そういう表現で小森先生、よろしいでしょうか。


○小森構成員 そんな生意気なことは申し上げられません。先生方のオートノミーの世界でございますので、私どもは軽々に申し上げることはできません。ただ、お尋ねがあれば、私どもの作業の中の悩み、苦しみについて、御参考になるところがあれば、ぜひお使いいただきたい。まさにその立場でございます。

 ただ、概念的に申し上げて、どうぞお怒りにならないでいただきたいのですが、歯科医師会と歯科医学会との関係というのが、医科に比べますと若干距離感がある印象がちょっとございます。そこはこれからいろんな作業を積み重ねられて、歯科医師会と歯科医学会、それぞれの分野がそれぞれにおありだと思いますけれども、いろいろ議論をしていかれれば、きっと何らかの成果が生まれるだろうという印象を持っています。

 生意気なことを申し上げて済みません。


○西原座長 ありがとうございました。

 山口構成員、どうぞ。


○山口構成員 先ほどからインプラントの問題が出ているのですが、私たちは電話相談を受けていて、インプラントの問題というのは、やはり相談が多いです。そういうことからしますと、特に広告で言うと、ホームページの広告にかなり惑わされている方が多いので、今回も広告という問題が出ていますけれども、そこをどういうふうに基準づくりをしていくのかということが一つ大事ではないかなと思います。

 先ほど生涯学習の話が出ていたと思うのですが、今日、御発表いただいたように、いろんなところで研修の場というのが提供されているわけですが、実際に全歯科医師を対象にしているのかというと、そうではない。先ほど小森委員からございましたけれども、標準化した内容になっているかというと、そこもなされていないということからしますと、標準化した内容で、どこに所属しているということに関係なく生涯学習をしていただくということを、特に一般歯科医の方に対して、国民側として求めていきたいところかなと思います。

 これから時代がどんどん変化していく中で、複数の慢性疾患を持った高齢の方がふえてくるということからすると、そういう方にどう対応するかとか、在宅に対してどこまで歯科医の方が出ていかれるかという問題もあると思うのです。

 先ほど認定証、ステッカーというものがあるという話なのですけれども、例えば一つの認定証が国民から見たときに、あ、これはこの認定証だから、きっちり研修をされている歯科医師なのだなと周知されたものにならないと、せっかく認定証を発行していても、その価値がわからない。いっぱい貼ってある一つということになると、先ほどから臨床何とか、国際何とかと出ているような、少し怪しげな内容のものも含めて、区別がつかないと思うのです。なので、国民的認知を得られるような、先ほどの小森委員のお話にもあったような、これだったら大丈夫と思えるようなもの、例えば国からそういうものを国民に周知していただくことの必要性もあるかもしれませんけれども、そういう形で国レベルで認めたきちんとした生涯学習をやっている一般歯科医なのだということが、多くの患者の人にとっては必要な情報なのではないかなと思いますので、ぜひそういうつくり方をしていただければと思います。


○西原座長 小林構成員、お願いいたします。


○小林構成員 御意見ありがとうございます。

 日本歯科医師会としまして、確かに国民への周知、お知らせするという意味ではまだ足りないことと思います。これまでは歯科医師会でしたが、今回、公益社団法人としての歯科医師会という立場になった意味では、広く国民に告知する立場にはなったと思います。ただ、第三者機関、評価機構云々についても議論されておりますけれども、それがもし設立された場合は、そちらのほうで認定するというのが、国民にはより明確だと考えております。

 議論が戻ってしまって申しわけございませんが、インプラントについて、日本歯科医師会の立場を一つ申し上げますと、歯がなくなったときに、インプラントがファーストチョイスとは限りません。入れ歯もありますし、ブリッジという形もあります。最良の医療がどれかというと、それは難しい判断になります。先ほど乳がんの再建の話がございましたけれども、クオリティーを上げるという部分ではインプラントはよろしいと思いますが、自費診療であるということと、ほかの代替医療が幾らでもございますので、それについての認識というものも国民に理解していただいたほうがいいかと思っております。


○山口構成員 私はこういう場に出ているので、そういうお話をいろいろ聞くわけです。でも、一般の人たちが例えばインプラントというのは「一生もの」だと信じて広告を見ていたりしますので、そこをどこがどのような形で発信していくのか。多くの方にとって判断基準となる、これが考える基準なのですという基礎知識のところがまだまだ一般化されていないことに非常に問題があると私は思っていますので、ぜひそこも公益性を持って発信していただきたいと思います。


○西原座長 今井構成員、どうぞ。


○今井構成員 我々の努力不足をひしひしと感じておるのですけれども、若干エクスキューズさせていただきます。少なくとも我々の学会等では、ホームページを通じて国民の皆様にというような形でかなりインフォメーションを出しております。それはある一定のところで国民が知りたければ、そこにアクセスして知る手段を我々は講じておりますので、そういう点で、一般の方々も一定の努力はしていただかなければいけないかなということが、我々の立場からすると、あります。何も出さない、情報を発信していない

ということではないということは御理解いただきたい。

 もう一点、これは我々にはどうにもならないところがあります。すなわち、広告をしてはいけないというものが野方図にされている実態をどういうふうに社会が捉え、あるいは国が捉え、そこにどういう対応をするかということを議論していただかないと、我々が幾ら努力しても全く焼け石に水というところがあります。ぜひそういう点も議論の中に入れていただければと思います。


○西原座長 山口構成員、どうぞ。


○山口構成員 先ほどから言っている一般的な情報を出していただきたいというのは、学会とか医師会というよりは国のなさるお仕事ではないかなと思っています。

 今おっしゃっているように、患者側も努力しないといけないということは、もちろんそうですけれども、今もおっしゃったように、よくホームページで出しているというお話があるのですね。例えば日本歯科医師会という存在は、国民にはある程度周知されているかもしれないですが、「日本歯科医学会」というワードを知っているかというと、それは専門家の方の中では当たり前かもしれませんけれども、一国民ということで、「日本歯科医学会」と検索できるかというと、そこはなかなか難しいと思うのです。

 ですので、いろんなところが発信していただく必要があるのですが、まずは国が国民に対してというところは責任を負っていただくことと、ホームページに出したら、みんながそこを見るかというと、なかなかそうでない、難しいところがあると思いますので、そこは一言申し上げておこうと思いました。


○今井構成員 今、山口委員が言われたことは重々承知しております。しかし、一方的に我々が何もしていないという評価では、いささか我々も立場が苦しゅうございますので、多少のエクスキューズはさせていただきたい。そんなふうに思います。


○山口構成員 わかりました。


○西原座長 これはこの辺で切らせていただきますけれども、いずれにしても、国民の歯科医療に対する意識の向上という意味では、厚生労働省の置かれている立場もあるかと思いますので、それはまた別の議論として進めていく必要があろうかと思います。

 本日、既存の専門性以外に、これから先、医科における総合医的なものを歯科に置くことを想定して少し議論をいただく予定でいたところではございますが、もう限られた時間になってまいりましたので、私としては、お手元にパワーポイント原稿の資料をもう一度開いていただいて、7ページ、(3)に目を通してください。専門性と歯科医療の現状を示していますが、縦軸は「業務内容に占める専門性の割合」としているのですが、6年間の歯科医師養成教育、その後、義務化された研修医制度があります。その後、いろいろなキャリアパスを歩んでいくわけです。

 そこで、今、申し上げたように、研修医があるわけですけれども、鴨志田先生に一つ御意見をいただきたいと思っています。次回のこの会議体で歯科における専門医が必要かというところから入らせていただきたいと考えているのですが、例えば研修医教育のあり方とその後の専門性とのつなぎという意味で、先生が今、研修医のいろいろなお仕事をされていて考えるところと、さらに、総合医というのは、一般歯科医から見ると、この辺の領域が求められるのではないかというような御意見をいただいて、きょうのまとめとしたいのですが、いかがでしょうか。


○鴨志田構成員 西原先生、ありがとうございます。

 私は専門医を持っておりませんから、今日はずっと黙って専門医の話を聞いておりましたが、専門医は領域が狭いところを深めていくというイメージでずっと話し合って、インプラントも歯周病も矯正も、そういうところがたくさんあろうかと思うのです。

 今回、パワーポイントの資料、1ページめくった(2)-1というところをもとにお話をさせていただきたいのですが、「勤務先別の歯科医師、医師の割合」ということで、上の棒グラフが歯科医師になっております。先ほど高田専門官の御説明にもあったように、90%ぐらいが診療所の管理者と勤務者でございますので、このたびこの検討会でお考えいただくのは、専門のベクトルが、左のほうの狭い専門を目指す、そちら向きでなくて、9割方のほうの、私のような一般の診療所の開業医、勤務医を対象にしたときの専門医というふうに考えていただいた方が、私としてはありがたい。

 いつかの会議でも発言させていただきましたが、今、国民が求めているのは、9割を占める一般の開業医、勤務医がいかにボトムアップをしていくか、向上していくかというところで、ここに総合専門医という制度がうまくてことして働かないかというふうに私は認識しているので、狭い範囲のアカデミア的なところを突き詰めるのは一番大事ですが、それとは少しベクトルが違うような気がしているので、この検討会でそちらの方向で総合診療専門医ということを考えていただけると大変ありがたいと一開業医としては考えております。

 以上です。


○西原座長 ありがとうございました。

 井上先生にお伺いしたいのですけれども、今のような視点に立って考えると、学会活動として歯科医療管理学会とか、あるいはかかりつけ歯科医、あるいはプライマリ歯科医、そのような感覚での学会というのは、今の傘下の中にはあるのでしょうか。


○井上構成員 現状ではないですね。口腔リハビリテーション学会というのが一つあるのですが、これは専門分科会ではない。それから、医科と介護士と看護師と衛生士と歯科医が構成しているものはどこに入れないような段階になっているかと思います。

 今、鴨志田先生がおっしゃったように、確かに8割、9割の人たちを対象にする。では、どこでそれを養成するのかというのは次なる大きな問題であり、総合歯科専門医は、まさにケアをするような人のことを言うのか、または介護でそういった人の専門医のことを言うのかということで、今おっしゃったように、ベクトルが違うものを入れていかなければいけないのかなと思っています。


○西原座長 そして、一般診療医6万5,000を抱えている歯科医師会として、総合医というのを今、専門医の議論の中で出てきた色合いとどう識別していくか。今までの議論を踏まえて御案内いただけると次への参考になろうかと思うのですが。


○鴨志田構成員 一つ言い忘れたのですが、隣に小林先生がいるのに恐縮なのですが、山口先生の御懸念のところで、我々は研修カードを持たされていまして、ICが入っておりまして、これでどのくらい研修したかというのをコンピュータではじいて、2年に一遍、40単位を取るということになっているので、システムとしてはできています。その中で質の問題で、先ほど小林先生が言ったように、研修の内容、質を上げていく。それから、前後でこれでちゃんとチェックしていく。質を上げると、かなりの部分で僕が申し上げた一般歯科医として、歯科医師会の会員のボトムアップにつながるような気がするので、小林先生が隣にいて申しわけないですが、その辺を少し改定していただくと、我々はつらいですけれども、いいかなと思っています。

 済みません、追加させていただきました。


○西原座長 柴田委員いかがでしょうか。


○柴田構成員 もうちょっとEシステムにインセンティブがあると受講者がアップするのではないかなと考えています。

 それから考えると、やはりEシステムをうまく利用して、歯科の総合医をつくることによって生涯を通しての研修につながっていくのかなと考えます。

 特に在宅を国が進めているという中で、地域の包括ケア的な総合医というものも考えればいいのかなと考えます。


○西原座長 小林先生、よろしいですか。


○小林構成員 今、鴨志田先生から御指摘がありましたけれども、Eシステムの中ではガイダンス項目というのを決めておりまして、医療倫理の項からいわゆる手技的なものを含めて、いろんなガイダンス項目があります。それを一応満遍なく修得するというのが目的で、Eシステムを応用して、会員の先生がどういう項目を受けているか、どういうところに集中しているかということを分析し、漏れがないように進めていることが一つであります。

 それから、専門医についてでございますけれども、先ほど学会のほうからお話がありましたが、専門医というものを認定するのであれば、かなり厳しい基準で研修を受け、なおかつ実技も上げるということが附帯してきませんと、国民は絶対に専門医ということを理解されないと思っております。日本歯科医師会の会員全員がその方向で動くということは、開業している中でなかなか難しいという現実もございますから、その辺をどうやって整合性をとるかということは、今、非常に議論のあるところでございます。今後はやはり新しいシステムをつくる方向である程度進めていきたいと考えております。


○西原座長 今の発言で山口委員、よろしいですか。


○山口構成員 結構です。


○西原座長 今井構成員、どうぞ。


○今井構成員 もう時間があれですので簡単にお話ししますが、今の社会のニーズということで、厚労も言われていますが、いわゆる包括歯科医療、あるいは超少子高齢社会の中でどのような歯科医師を育てるかということが観点だと思うので、今、言われたことは非常に重要なので、ぜひ議論を深めていただきたい。

 そこには2点問題があって、1点は既存の歯科医師の教育のあり方。もう一点は、これから新しく出てくる若い先生方です。それは、すなわち学部教育、そして卒後研修から含めて連続したキャリアパス形成という議論が必要だということもちょっとお含みいただければと思います。


○西原座長 ありがとうございます。

 最後にまとめようとしたのはそのところでございまして、歯科医学教育における、あるいは卒後研修、生涯研修までのシームレスなシステムもなければ、ガイドラインもなければ、コンセンサスもない。これも教育界を交えた歯科医師会と歯科医学会の三者懇でとことん議論していかないと、国民が納得して、国民に益するものはできないと思っています。そこを仕組みとしてどうつくるかというのは我々の域を超えるのですが、求めていかなければいけないところだと思っております。


○今井構成員 本日文科省の方もいらっしゃっていますけれども、その点もぜひ御理解をしていただければなと思っています。


○西原座長 私は文部科学省の会議体にも出ておりますが、29の国公私立大学は今の教育体制を良くしていくという視点で、サイトビジット調査等を通じて、さらなる改革をしているということだけは文部科学省もお認めいただけると思います。よろしいでしょうか。

 一言あれば、どうぞ。


○佐々木企画官(文部科学省オブザーバー) 本日、さまざま御指摘をいただきました。

まず、西原座長が今おっしゃってくださったように、クロスでサイトビジットをして教育の質の確認を歯科の先生方にしてくださっていることにまずお礼を申し上げたいと思います。

その上で、学生がどの方向に伸びていこうとするのか、その芽が発芽するところまでが学部教育で、発芽した後どのように伸びていくかということが、このワーキンググループ、また、全体の検討会で検討されるという分担になろうと思います。

学部教育では現在モデル・コア・カリキュラムがあって、各大学が約6割をこれに基づいて教育を行うことにより、質の確保を図っております。現行のコアカリが平成23年3月策定ですので、近く改訂に取り組むことになると思いますが、本検討会での指摘の反映も検討の遡上に乗せ、卒前から卒後で一気通貫に歯科医師が育つような、そういう第一歩を歯学教育の中でも反映させていきたいと考えています。


○西原座長 ありがとうございました。

 今井委員、よろしいでしょうか。


○今井構成員 はい。


○西原座長 今、歯科がまさに一丸となって、先ほどピンチをチャンスにと申し上げましたけれども、いろんな意味で社会に認められるような存在感を示すことによって、需給問題もおのずと良化してくるものだということで、親会議にもフィードバックできる議論ができたのではないかと思っております。

 今日、少し時間を超過しましたが、いろんな意見をいただいたことに対して感謝申し上げまして、この会議を終わらせていただきます。ありがとうございました。


○川畑歯科保健課長補佐 先生方に事務局から一言連絡事項を申し上げます。先生方の机の上に今後の日程表というものをお配りしております。もし可能であれば、本日この日程表に御記入いただきまして、置いてお帰りいただければ幸いでございます。

 なお、この後、事務局のほうから各先生方にはメールでも日程表を送らせていただきますので、その際、そちらに記入して後日回答いただく方法もございますので、あわせて御検討いただければと思います。

 以上、事務局からの連絡でございます。


○西原座長 今の件、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。


(了)

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