ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会> 第3回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会 議事録(2016年11月30日)




2016年11月30日 第3回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会 議事録

社会・援護局

○日時

平成28年11月30日(水)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第12会議室(12階)


○出席者

尾形 裕也 (座長)
小田 真智子 (委員)
小枝 恵美子 (委員)
津下 一代 (委員)
中板 育美 (委員)
松本 吉郎 (委員代理(松本純一委員の代理))
(岡山 明(委員)は欠席)
(藤内 修二(委員)は欠席)

○議題

・第2回検討会における指摘事項について
・健康管理支援の実施方法
・健康管理支援の評価方法

○議事

 

(挨拶)

○尾形座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第3回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会」を開催いたします。

 皆様、大変御多用な中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 まず、本日の委員の出欠状況につきまして、事務局から御報告をお願いします。

 

○生沼保護課長補佐 本日の委員の御出席でございますが、岡山委員、藤内委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 また、松本委員より御欠席の御連絡をいただいておりますが、代理で日本医師会常任理事の松本吉郎様に御出席いただいております。

 

○尾形座長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

 まず、事務局より配付資料についての御説明をお願いします。

 

(議事)

○市川保護課医療専門官 それでは、資料1より説明いたします。「第2回検討会における指摘事項について」でございます。

 ページをめくっていただきまして、第2回でいただいた御意見の中で、健診データを活用して健康支援を行っている自治体とそうでない自治体の差が激しかったということで、健診データを活用している自治体に聞き取り調査を行うようにと御指摘いただきましたので、アンケートを見まして、自治体5つにヒアリングを行いました。

 健診データを活用して健康支援を実施している自治体は102自治体ありまして、その中で健康管理支援のマニュアルを作成し公開している自治体や、アンケートから独自の取り組みが行われていると想定される自治体に対し、聞き取り調査を行いました。

 表の右側を見ていただければと思いますけれども、健康支援を始めるきっかけや、その基盤についてですけれども、健康管理支援に取り組んだ動機としましては、平成27年の国の重点課題として健康支援を打ち出しておりましたので、それに対応したという形で始められた自治体、また、自治体として以前から医療扶助の適正化を意識していたということで始められた自治体が多くありました。また、京都市などは、以前から心理的ケアということで事業を始めておられたそうで、既存の事業を拡大したというような自治体もおられました。

 また、それぞれ自治体の特徴をまとめたものですけれども、東京都の東大和市などは、保健センターとの連携と健康支援を一般の民間企業に業務委託されておりました。

 神奈川県の横須賀市などは、保健所との連携を進めておられました。

 京都市ですと、以前から7人の保健センターのOBを雇われておりまして、そのOBの方が健康支援を行う形になっておりました。

 山口県宇部市は、川崎市や上尾市など先行して健康支援を行われているところに視察に行かれたそうで、そこのモデルを使いまして、看護師、管理栄養士を雇って多職種による支援を行われておりました。

 沖縄県那覇市は、データに基づいた対象者の絞り込みと支援という形で支援を行われておりました。

 それぞれさまざまな取り組みをなされており、対象者も重症化予防から未受診の方までターゲットもそれぞれという形になっておりました。

 次のページは、第2回の委員の先生からの御意見をまとめたものになります。

 資料1は、以上になります。

 

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料1の御説明につきまして、御意見・御質問等がございましたら、お願いいたします。

 津下委員どうぞ。

 

○津下委員 今の御説明で、既存の事業の活用や他部局との連携ということが十分なされた上での事業だということがわかりました。その点についてですが、部局が分かれているわけですから、どのように意思決定がされているのかなという点が1点。

 それから、このような事業の対象者の選定方法について、健診データやケースワーカーさんからのスクリーニングということだったのですけれども、何か一定の対象者選定ルールがあったかどうかということ。

 それから、効果評価については健診データや生活習慣改善ということだったのですけれども、生活保護受給者という観点で何か特別な指標を意識してとっているようなことはなかったか、そのあたりを教えていただければと思います。

 

○市川保護課医療専門官 ありがとうございます。まず、最後の効果の評価に関してですけれども、ほとんどの自治体が平成27年度から事業を行われておりまして、まだ効果については評価していないという御返答がほとんどでした。やはり自治体としてもどういったものを効果の指標にしていいか迷うところで、国に示してもらえると助かるというような御意見もいただいています。

 生活保護受給者の特徴をとらえた効果の指標ですけれども、沖縄は、もともと就労支援の事業の拡大として健康支援をされているところもあり、一つの指標としては自立であるとか、保護の脱却というところをアウトカムに定めておられるそうです。

 次に、対象者の選定ルールですけれども、5つヒアリングを行いましたが、選定のルールはある程度絞り込みをされていますが、その後、優先順位をつけるというやり方は、ケースワーカーさんのケースワークの中で判断されることがほとんどでした。

 対象者の抽出方法というのは、特定健診のように医療機関にかかられていないハイリスクの方と絞り込まれている自治体もあれば、レセプトを使って絞り込んでいる自治体は既に医療機関にかかられている方を対象者にするということで、各自治体で問題意識があるところにターゲットを絞られているというような印象でした。

 優先順位のつけ方は、沖縄の那覇市がランキングをつけて優先順位を決めているとおっしゃっていました。

 あと、保健センターと連携されているところは属人的ではあるのですが、保健センターにおられた方が福祉事務所に異動されたといったつながりで、保健センターとやりとりが可能になったという御意見をいただいています。

 既存の事業の拡大というのは、ケースワーカーのケースワーク業務以外に自立支援部門であるとか、就労支援部門を立てられているようなところは、そこが集中してこういった事業を行われているという印象を受けております。

 

○尾形座長 よろしいですか。

 関連してなのですけれども、優先順位のつけ方で、京都市とか宇部市は総合的に判断と書いてありますけれども、これは具体的にはどういうことなのでしょうか。

 

○市川保護課医療専門官 具体的には、ケースワーカーさんがふだんのケースワークの中で、かなり生活習慣が乱れている方を紹介されたりであるとか、あとは、医療機関の医療要否意見書とかそういうところでコントロールが悪いと書かれた方を抽出して支援されているとか、さまざまな方法で見つかった事例を保健師等に支援を依頼するというようなやり方をとられているので、一定の基準があるというものではないとおっしゃっていました。

 

○尾形座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。松本委員代理どうぞ。

 

○松本委員代理 途中からの出席で、これまでのことがわからないので申しわけないのですけれども、生活保護を受けている方というのは、各自治体が健診結果からと話していますけれども、私も主治医、かかりつけ医の立場でもあるわけですが、健診を受けていらっしゃる方は本当に一握りの方であって、実際に治療として行かれる方のほうが多いので、沖縄県でやっておられるようなレセプトデータから糖尿病のハイリスクの方を抽出するというのはできることかもしれませんけれども、健診データからとなると本当にわずかの方で、その方は生活保護の中では割と健康意識の強い方だと思いますので、健診結果を利用するというのは効率的にはいかがなものかという感じはちょっと持っております。

 

○尾形座長 事務局いかがでしょうか。

 

○市川保護課医療専門官 それにつきましては、今回第3回の資料2で検討したいと考えております。

 

○尾形座長 資料2で議論するということですね。

 ほかにいかがでしょうか。

 これは、5つ聞いていただいて結構特色も出ているのかなと思うのですが、ここに挙げた項目で全体としてすぐれているというのではないけれども、項目ごとに特色のある、とがった対応をしているところはあるのでしょうか。あるいは、それはまだ聞いていないのでしょうか。

 

○市川保護課医療専門官 各自治体の特色ということでしょうか。

 

○尾形座長 全体がすぐれているというのではなくて、例えば、個別の項目ではなかなかおもしろい対応をしているとか、参考になるというのがあったらという意味です。

 

○市川保護課医療専門官 上から申しますと、こちらの印象にはなるのですけれども、東大和市などは民間委託をうまく使って支援されているという特徴が見られたと思います。

 神奈川県横須賀市は、既存の保健所と福祉事務所がうまく連携されているなという印象で、役割分担もケースワーカーは何をして、保健所は何をするということを明確にして、連携をとられているという印象でした。

 京都市は、保健センターから来られた保健師さんというのがたくさん雇われていて、京都市全体として取り組まれているというのが大きな特徴かと思いました。心理支援につながる延長線としてやられるので、心理支援のノウハウも生かせているのではないかと感じました。

 山口県宇部市は、もともと特にそういった基盤はなかったそうですが、モデルになるような、ほかでやられている自治体を参考にされて、マニュアルも入手されて、同じような支援をされているところで、基盤のないところでも多職種での支援が可能ということを示していただいたかと思います。

 沖縄県那覇市は、データを客観的に抽出して客観的に絞り込んで支援の優先順位をつけてやるというやり方は、第2回でお示しさせていただいたやり方とかなり近いような印象がありました。あと、医療機関と連携がうまくされているなという印象がありました。

 それぞれいいところがあるというのが印象です。

 

○尾形座長 松本委員代理どうぞ。

 

○松本委員代理 保健センターを利用されて保健師さんとか看護師さん、管理栄養士さんを活用するのは非常にいいことだと思います。一方、普通の特定保健指導の対象の方とはちょっと状況が違うのが生活保護の方のような感じも持っておりますので、先ほどちょっと触れましたけれども、かかりつけ医を利用して、かかりつけ医の連携のもとに対応していくという方法が良いと思います。特定保健指導とはちょっと趣きが違うのかなという印象を持っております。

 

○尾形座長 それでは、資料2の話にも少し入ってきているかと思うので、また後で戻っていただいても結構ですけれども、引き続き資料2について御説明をお願いして、さらに議論を深めたいと思います。

 それでは、資料2の説明をお願いします。

 

○市川保護課医療専門官 では、資料2を説明させていただきます。健康管理支援の具体的な実施方法について示させていただいております。

 1枚めくっていただきますと、第2回にもお示ししました図になります。今回は、右のデータの絞り込みと個別支援の計画の立て方をステップ1,,3と順番に追って詳細に記載させていただきました。

 3ページ目になりますけれども、繰り返しになってしまいますが、第2回でお示ししましたとおり、階層化の方法としまして生活保護受給者の健康管理支援のプランとしましては、まず、特定保健指導、特定健診と同じように、検査値で生活習慣病のリスクを階層化しまして、さらに、本人の自己管理能力や社会的背景因子も考慮に入れまして、健康支援を行うと考えております。

 さらに追加事項になりますけれども、第2回でも子どもや若年者に対して健康支援をどうしたらいいかという御指摘をいただきましたので、今回、下線部にありますように、生活習慣が将来の健康大きく影響すると考えられる子どもや若年者に対する健康的な生活習慣の確立のための支援のあり方についても、今後この検討会の中で考えていきたいと思っております。今回は詳細をお示しできませんが、今後考えていきたいと考えております。

 次をめくっていただきまして、階層化のためのステップ1としまして、個別支援計画を立てる対象者を絞り込むということで、まず、検査値を基準に対象者を絞り込んでいくという考え方になります。先ほどの表の横軸になるのですけれども、生活習慣病のハイリスク者、要医療機関受診者の抽出ということになります。そこで入手する検査としまして、先ほども御指摘いただいたように、生活保護受給者は健診データだけではなかなか入手しにくいということで、「検査値の入手方法」で、ほかにいろいろな手段を使って入手していくというものを示しております。

 まず、1.健康増進法による健康診査を福祉事務所が利用するというものです。

 2.健診未受診かつ医療機関に受診中の受給者の検査値のデータの入手になります。まず、生活習慣病で既に治療中の方は病状調査等で検査値を入手します。また、治療に当たって血液検査を行っている方、ほかの病気でかかられている場合でも血糖値等がありましたら、本人や医療機関から入手していくというものです。

 3.健診未受診かつ医療機関も受診していないという方に関しては、まず健診の受診勧奨を行う。さらに、かなり生活習慣が乱れているとか、外見上受診したほうがよろしいという方に関しては、医療機関の受診勧奨を行うというものになります。そのように検査値によって、まず階層化します。

 5ページは具体的なフローになりますけれども、まず、右側で生活習慣病の治療中の方でコントロールがかなり悪いという方を、今回の健康管理支援の計画の対象者としてはどうかと考えております。また、一番左になりますが、生活習慣病にかかわる検査値が不明の方は、健診の受診もしくは医療機関への受診勧奨を行うと考えております。

 6ページはハイリスク者、検査値がハイリスク、要医療機関受診、治療を要する方は個別支援計画を立てるとなるのですけれども、支援計画の作成手順としまして、下の段に書いてありますけれども、1.通常のケースワーク業務の中にあります保護の実施に当たって作成する援助計画というものに、まずは検査値が悪い方に関しては健康支援の対象者であるということを明記していただきます。

 2.としまして、その中で検査値が悪いにもかかわらず医療機関にかかっていない方や治療を中断された方は、まず医療機関への受診勧奨を行うというものです。

 3.で個別支援計画になりますけれども、上記に書いております入手する情報をケースワークや医療機関から聴取しまして、アセスメントシートを作成してはどうかと考えております。

 入手する情報としましては、まず生活習慣病の治療歴と医療機関への受診状況。これを入手するもととしましては、医療機関などから入手してはどうかと思っております。

 また、生活習慣や本人の生活能力といったものは、ケースワークの中や家庭訪問によって把握してはどうかと思っております。

 また、本人の日常生活能力の参考としましては、国際生活機能分類や介護認定等に使う評価指標を使ってはどうかと考えております。

 また、ケース記録等により、本人の家庭環境や社会環境、これまでの生活歴、社会経験なども入手してはどうかと考えております。

 そういった情報を入手しまして、個別支援計画を作成するという下の段に戻りますけれども、入手した情報に基づき、本人の生活自己管理能力や精神や介護などを受けられている方は医療福祉サービスが既にありますので、そういったサービスを利用しまして、本人の自立を促すような支援から介護、福祉といった生活支援の方まで、さまざまな手法を用いて、数年単位での支援計画を作成してはどうかと考えております。また、支援計画の作成方法等は、今後マニュアル化してはどうかと思っております。

 7ページは、アセスメントシートと支援計画を立てるとなっておりますが、受給者の方はかなりたくさん対象者になるかと思われますので、限られた支援を有効活用するために取り組みの支援の順番の考え方をお示しさせていただきます。

 まず、1.数年単位の期間で対象者全員を支援できるように、福祉事務所として事業戦略を作成し、個別支援をする方に関しては取り組みの順位をつけて支援を行ってはどうか。

 2.取り組みの順位のつけ方に関しては、有効性の観点から全国で共通して取り組むべきものと、地域の特性に応じて福祉事務所の判断に委ねるべきものの両者があると考えられており、今回の議論などで深めた上で、一定のルールを定めてはどうかと考えております。

 3.取り組みの順位のつけ方の例になりますが、まず、就労可能年齢にある者、生活保護歴が短く社会経験がある方であるとか、主治医やかかりつけ薬局との連携がスムーズな方、利用できる福祉サービスや支援者が多い方、本人の改善意欲が高い方、また子どもがいる世帯で御本人の生活習慣を変えれば、お子さんにも影響を与えられるような生活習慣の鍵を握っている方など、こういった一定のルールを定めて優先順位をつけてはどうかと考えております。また、ほかにこういったものがというものがあれば御議論いただければと思います。

 4.数年単位でこの計画を作成し、長期目標・短期目標を立てた上で、年度ごとに中間評価を行ってはどうかと考えております。また、早期に改善した事例に関しては、支援計画を経過観察に変更するなど、年度ごとに重点的に支援するものを見直してはどうかというものになります。

 8ページですけれども、先ほど説明させていただいたものをイメージしたものになります。まず、一定のルールを定めて順次支援を行うものになります。仮に3年としておりますが、この期間に関しても御議論いただけたらと思っております。数年単位で支援計画を作成して、中間評価、最終評価をすることで支援の濃淡を決定することでどうかというものになります。

 9ページは、福祉事務所で行うPDCAサイクルとしての支援計画の立て方になります。繰り返しになるかと思いますが、受給者全体の特性を把握して、地域の支援を生かした福祉事務所全体の集団としての戦略をまず立てていただく。

 経済リスクの低い方に関しては、ポピュレーションアプローチを中心とした支援を行う。

 また、数年間の間に個別支援の対象者全員にかかわりの濃い支援ができるように、取り組みの順位をつけながら順次支援を行うという考え方。

 また、1年ごとに中間評価を行い、数年後に最終評価を行うという数年単位の長い単位という考え方。

 また、生活保護受給者はかなり入れかわりがありますので、新規に受給者になった方に関しては、早目に健康状態をアセスメントして、支援対象者に該当する場合は、その中の取り組み順位のルールに従って対応してはどうかと考えております。

 また、こういった支援はまだ全国的にもなかなかされておりませんので、さまざま試しながらどういった性質の対象者にはどういった支援が効果的かなど、支援の効果評価を行った上で、今後の支援計画に生かしてはどうかと考えております。

10ページになりますが、繰り返しになりますけれども、こういった情報を入手して支援計画を立ててはどうかというものになります。

11ページは、データを入手する機関の例になります。レセプト等は支払基金から入手しまして、ケース面談から生活情報、ケース記録を使って、本人の社会的背景要因を調査します。また、医療機関や市町村の保健部門から病状や検査値などを入手して、それをもってデータの集約と分析を行うというイメージになります。

12ページは参考としまして、医療扶助実態調査と被保護者調査を用いて、おおよそどれくらいの方が健康情報があるかという推計になります。4074歳で123万人の方がおられまして、その中で全く医療機関にかかっていない方が17万人、外来治療の方が97万人おられます。97万人の中で、既に糖尿病・高血圧として治療されている方が推計として38万人おられます。下の点線で囲ったところは、現在、健康増進法によって健診を受けられている方は10.8万人おられて、その中で医療機関に既に生活習慣病でかかられている方が2.2万人、医療機関にかかられていない方が8.6万人おられます。そういったおおよその推計を示させていただきました。

 以上になります。

 

○尾形座長 ありがとうございました。

 健康管理支援の実施方法ということで、かなり幅広い内容ですけれども、相互に関連していると思いますので、一括して検討したいと思います。どなたからでも御意見・御質問をお願いします。

 松本委員代理どうぞ。

 

○松本委員代理 もう議論されていらっしゃることだとは思いますけれども、医療機関に福祉事務所がデータの提出を求めることに関して、何か具体的に効率のいいやり方とか、しっかりしたやり方があるのかお考えがおありでしたら、教えていただきたいと思います。

 

○鈴木保護課長 まだ決まったものはありませんけれども、まず、基本的には特定健診と同じようなデータをいただくことを考えていますので、そういう意味ではできるだけ独自のものではなくて、医療機関でもインフラの基盤を共通できるような情報のいただき方をこれから考えていきたいなと思っております。

 

○松本委員代理 ということは、特定健診に準じたデータのやりとりをするということですか。

 

○鈴木保護課長 まだデータの流れの方法とか、治療上の検査データは基本的には特定の仕組みの外にありますので、治療上の検査データついて事務上効率的にいただけるようなやり方は、今後関係する方々と十分相談しながら検討したいと考えております。

 

○尾形座長 よろしいですか。

 中板委員どうぞ。

 

○中板委員 データのやりとりのところで1点質問です。保健指導を開始して一定期間継続していくということですが、生保受給者の中には、途中で仕事に就いたりして生保を抜ける方もいると考えます。保健指導は生保脱却と同時に切れてしまわない仕組みも必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。

 

○鈴木保護課長 そうしますと生活保護の対象者でなくなってしまいますので、被保険者としてないしは地域の住民としてという位置づけに戻られるわけですので、その際にどういう引継ぎをするかとか、また支援が一定継続するようにするかというのは今後議論しながら考えたいと思います。

 

○中板委員 就労再開されたり、生保から抜けた時は、また生活のパターンが変わったり、ストレスもかかったりする時期でもあります。丁寧に引継がれ、新たな生活の中での行動変容につながるように支援できるよう、御検討願いたいと思います。

 

○尾形座長 津下委員どうぞ。

 

○津下委員 今の引継ぎということに関連して、出入りという言葉を使われることなのかもしれませんが、また生活保護に戻ってこられることを防止するという意味も非常に重要だと思います。そこで記録ファイルをきちんと整備しておくことは非常に重要だと思うのです。どういうアセスメントの項目でどうだったのかと、どういう対象者にどういう働きかけをして、どういう効果があったのかをきちんと分析する。次につながるような優先順位の方法を知る上で重要と思います。まずは実施者の基準で優先順位を立ててやるのですけれども、実際のところはどうなのだという効果等を検証しながら、支援計画の見直しにつなげていただく必要があると思います。そこでできるだけ標準的なフォーマットで入っていくといいのかなと思います。

 それから、数年単位で必要な対象者全員に支援が回るということはすごく大事だと思います。実は重症化予防の例ですが、うちの町は10人やりましたと、では、対象者は何人で、そのうちの10人はどう選んだのですかと。そうしたら、該当した人で前から10人ということを決めている場合がある。全体像を把握しないでやっている自治体も少なからずあります。もちろん年度途中でも出入りするので、固まった数字というのは難しいかもしれませんが、およそ何人ぐらいいて、そのうちの何人ぐらいができるから、こういう順序でやろうかということをしっかり議論できるような形になっていくといいのかなと。最初はまず始めてみることが重要ですが、数年後には、全体像は大体支援の必要な人が何人ぐらいいて、それを3年でやるのだったら年間で何人ぐらいやらなければいけなくて、そうすると、濃淡をどうしようかみたいな話をしていけるかなと。目についた人だけ行って、目についていない人は放置になってしまうといけませんので、そのあたりの計画の策定は非常に重要かなと思いました。

 

○尾形座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。小枝委員どうぞ。

 

○小枝委員 小枝と申します、今回から参加になります。欠席していたのですが、前回からの報告もいただきまして、生活保護受給者の背景、なぜ健康診断を受けないのか、健康意識が低いのかというのが、報告書を見させてもらって理論的にすごく落ちて、私としてはとても参考になりました。私は保健師職なのですが、入職した当時は、市役所の生活保護担当者と保健所という所属の違う者が、当然のように生活保護受給の方を訪問して、アルコール依存の方ですとか、いろいろな方を支援したりしたのを思い出したのですが、いつの間にか縦割りになって、お互いの交流がなくなってしまっているのだなということを今、思い出しました。

 質問ですけれども、個別支援計画を福祉事務所の方たちに立てていただくというところで、それは業務量ですとか、ワーカーさんたちの優先順位からして可能なのかというのがちょっと心配なのと、協力するときに健康部門の保健師さんがいる課の協力もあったほうがいいと思うのですが、その辺の協力体制もあわせて一緒にアプローチされるのでしょうか。

 

○尾形座長 2点御質問です。

 

○市川保護課医療専門官 ありがとうございます。個別支援計画が立てられるかどうかというところなのですけれども、それは本当に自治体によって、今現在はできるところとできないところがさまざまというのがお答えになるかと思います。

 資料3で後で述べさせていただくかと思いますけれども、そういった個別支援計画が自ら立てられないような福祉事務所に関しては、委託といったものも含めて考えていきたいと考えています。

 あとは健康部門との協力体制ですけれども、これも本当に自治体によって全然体制が違うというところがありまして、先ほど資料1でお示ししましたような横須賀市などはスムーズにされているのですけれども、自治体によってはどちらが生活保護の人の健康を支援するのかというのは、ちゃんと話し合われていないところはあると思います。

 

○尾形座長 よろしいですか。

 松本委員代理どうぞ。

 

○松本委員代理 私も小枝委員と同じ懸念を持っております。今の福祉事務所はマンパワーの面において市町村どこの福祉事務所も、いわゆる子どものいじめの問題とか、家庭内の問題とか、あるいは重症心身障害児の問題とかたくさんありますので、なかなか余裕がないというのがほとんどのところではないかと思います。この事業は大変な事業なので、果たしてそれだけの余裕が社会福祉事務所にあるのかどうか。

 それから、この事業は先ほども何回か言っておりますように、保健師さん等の支援体制と主治医の連携、これは生活習慣病に伴う慢性疾患だけではない疾患をたくさん抱えていらっしゃいますので、そういった面で委託にしてしまうと連携が十分にとれないということもありますので、その辺はしっかり考えていかないと、やることは非常にいいことなのだけれども、なかなか進んでいきにくいのかなという印象を私も持ちました。

 

○尾形座長 事務局から何かございますか。

 

○鈴木保護課長 やはり福祉事務所できちんとできる仕事の形にしないといけないと思っていますので、特に生活面と健康面と全部見てプランニングをするようなイメージですので、そうしますと、一定のいろいろな幅広い知識があるスタッフがプランニングにかかわらないと、いいプランはできないと思っておりまして、そういう意味でも現有の福祉事務所の体制では難しいところが結構多いのではないかと思っています。

 一方で、その際に当然、主治医の先生方との協力体制や治療と、日常生活面の支援が同じ目標に向かって進むようにできることが大事だと思っておりますので、そういうふうに仕事が進むように、これからよく考えていきたいと思います。

 

○尾形座長 小田委員どうぞ。

 

○小田委員 8ページの個別支援計画のスケジュールですけれども、生活保護を受けられている方の中には長期にわたる方もいらして、生活自体は大きな変化がないような方は年単位で計画を立てていくということも必要だと思うのですけれども、中には短い期間しか生活保護を受けられないというも方もいらっしゃいますし、就労その他、例えばお引っ越しも含めて結構生活環境が変わっていく方もいらっしゃいますので、評価の期間として特に最初の年度については1年と決めてしまわずに、もう少し短いことも念頭に入れて評価の期間を設定していいとしたほうがいいのではないかと思います。

 あと、質問ですけれども、この表の中の改善した場合の経過観察というのがあるのですけれども、これについては具体的にどのようなもので経過観察をしていくというイメージでしょうか。何かデータを見ていくとか、日常のケースワーカーさんが得る情報に変化があったときに何か教えてもらうというイメージですか。

 

○市川保護課医療専門官 8ページの2の方のケースということになると思いますけれども、中間評価、最終評価は、恐らく健診データであるとか病院の検査データになるかと思いますけれども、まずはそこで悪くなっていないかどうかを評価すると。あとは、ふだんのケースワークの中で健康支援の対象者と援助計画に書いてあるので、その後、生活の乱れはないかといったものを注意して見ていただくというイメージになろうかと思います。

 

○尾形座長 よろしいですか。

 津下委員どうぞ。

 

○津下委員 8ページの1の場合、改善していない場合は経過観察となっています。健康支援をダラダラするのではなくて、ある程度一定の期間集中的にということはあるのですけれども、改善しない場合に、例えば環境の問題やポピュレーションアプローチ的なほかの受け皿への移行など、濃度高く介入するのではない方法での経過観察が必要かと思います。改善した場合の経過観察とはちょっとイメージが違っているかもしれない。また、例えば、かかりつけ医の先生に、悪いながらも安定している状態というのがあって、そこからまた一段階悪化した時には早目にアラートといいますか情報が来るような形でできるだけすぐに対応できるようにする必要があるかと思います。支援により改善していない場合についての対応というのは気をつける必要があるのかなと思いますが、いかがでしょうか。

 もう一点ですけれども、部局間連携で一番エネルギーがかかるのは、窓口を一緒にやりましょうという最初の段階でエネルギーがすごくかかるのと、枠組みがないとなかなか動きにくいということがあります。例えば、福祉事務所が保健センターと一緒に組みやすいようなルールや仕掛けがあったら、スムーズに進みやすいので、手続きや意識合わせにかかるエネルギーの省力化、情報の一元化が必要と思います。階層化のルールも全て一から考えると非常に大変なので、ある程度ひな形的なもので負担を減らすことで、実際の健康支援にかけるエネルギーのほうに回すことを考えることが重要かと思うのですけれども、そういう考え方でガイドラインを示すということでよろしいでしょうか。

 

○市川保護課医療専門官 おっしゃるとおりで、そういったひな形を示していけたらなと考えております。連携したときのパターンといったものです。

 あと、御意見をいただいた、よくなっていない方をどう見守るかというのは、おっしゃるとおりポピュレーションのほうに委託するというか地域のものにつなげるとか、拒否される方も結構おられると思うので、そういった方に関しては、タイミングを見計らってというところも考えていくべきかなと考えております。

 

○尾形座長 中板委員どうぞ。

 

○中板委員 今、津下委員におっしゃっていただいたので、私も全くそのとおり、枠組みをしっかりつくっていただいて、できれば保健センターにも関与していただけるとか、可能ならばというあいまいな言い方ではなく、きちんと保健指導の医療者がかかわるということを明記していただいたほうがよいのかなと思います。生活保護を受給されている方は、いろいろな病気を複数抱えながらの生活を維持していく方も多く、保健センターないし医療者がかかわることで主治医とのいろいろな情報交換もスムーズなのかなとも思います。どう考えても、生活保護受給者のかかりつけ医との連携というのはとても重要になると思いますし、橋渡しや情報共有がスムーズにいくことを考えても、看護職の明記が必要だと思います。

 それともう一点確認があります。生保を受給されている方の子どもさんの今後の生活習慣が予防という観念から重要なことだと思います。肥満傾向の子や虚弱児などは医療にかかる機会も多く、それらは医療援助で把握できます。このデータの可能な活用範囲を教えていただければと思います。

 

○鈴木保護課長 お子さんの場合は健康に関するデータが、そういう意味では血液検査とかそういうものでは標準的には存在しないわけですので、特に学齢期であれば学校保健の中で肥満であるとか痩せであるとか、あるいは歯の未治療とか、そういう危険な注意を要する人たちを何らかの形で情報を受け渡せないかということを今考えている最中でして、まだ文部科学省さんとも相談しなければいけないので、今の時点でどういう形があるかということはまだ検討中ですけれども、何らかの形で健康の注意信号をどうやって掌握するかということから検討して、介入のほうはお子さん本人というわけにはいかないので、世帯の主たる役割を果たす方とセットにして介入できるような方法をこれから考えて、できたら次回に大きな枠組みなりでも提案したいなと思っております。

 

○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。

 小枝委員どうぞ。

 

○小枝委員 意見だけなのですけれども、戻って済みませんが、先ほど個別支援計画の委託も場合によっては検討されるということだったのですが、ケースによると思いますが、生保の方々は信頼関係のない方からの指導はとても受け入れられないと思いますので、その辺を委託する場合には十分慎重にしたほうがいいかなと思います。生活保護を受けている方の学齢期のお子さんたちに、指導員さんを使って勉強を教えていますよね。あのようなイメージで、やんわりとその方の生活に入った形での計画づくりができればいいかなというのが意見です。

 それから、保健部門との連携なのですが、恐らく保健部門の保健師たちも自分の地域の対象者としては、生活保護課であろうと何であろうと全部対象にして一緒にやりたいと思っていると思いますので、生活保護課から協力してほしいということがあれば、恐らく喜んで協力すると思いますので、その辺の役割分担をしっかりつくって提案されると、きっと協力は喜んですると思います。意見だけです。

 

○尾形座長 貴重な御意見をありがとうございます。よろしいでしょうか。

 それでは、私も一委員として発言させていただきます。質問とコメントです。

 質問は、7ページの4で「長期・短期目標をたてた上、中間評価は年度ごとに行ってはどうか」ということですが、8ページの図で見ると、確かに中間評価は毎年、先ほど少し短くしてもどうかという御意見もありましたが、一応これでは毎年やっているのですが、ここで言っている長期・短期というのはどう考えたらいいですか。3年間というのは長期なのでしょうか。以上、まず質問です。

 

○市川保護課医療専門官 長期・短期目標というのは数年単位での長期目標、例えば、そういった方が就労可能そうであれば最終目標は自立といったものになるかと思いますけれども、中間評価としては、そのステップを踏むために必要な生活習慣の確立であるとか、自炊能力であるといったものを中間に立ててはどうかということで、これは中間評価のときに中期目標があるとかそういったものではなく、スモールステップで踏んでいって長期的な目標を達成するための短期目標を立てるというイメージになります。

 

○尾形座長 以下は意見ですが、9ページでPDCAサイクルを回すというのは非常に重要なことだと思いますが、PDCAサイクルを回していく場合に1つポイントになるのはチェックだと思います。医療計画の見直しなどでもPDCAサイクルを回そうということで、今5疾病5事業についてそれぞれ目標値を設定しているのですが、そういう意味ではチェックが重要だと思います。ここで挙がっている指標として「検査値の変化」と書いてあるのですが、それはそれで重要なのでしょうけれども、それだけで十分なのかなという気がします。つまり、生活保護あるいは医療扶助という話だと、生活の自立度や、もう少しほかの指標も考慮すべきではないかというのが1つです。

 それから、「改善の要因分析を行う」と書いてあるのですけれども、改善だけではなくてうまくいかなかった場合、なぜうまくいかなかったのかというのはPDCAサイクルを回していくときには非常に大事だと思うので、その点は補足的に考えていただければと思います。

 それから、もう一つ10ページですが、これは先ほどほかの委員の方からも出された意見と同じですが、11ページの図を見ると医療機関というのが明示されているのですけれども、10ページの表には全然入っていないので、何らかの形で医療機関というのは明示したほうがいいのではないかと思います。これは意見です。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、先に進ませていただきます。次は資料3でございますけれども、まず資料3について御説明をお願いします。それから、事務局からの説明の後、資料3に関連しまして津下委員から机上配付資料ということで資料5が提出されておりますので、引き続き説明をお願いしたいと思います。

 それでは、まず事務局から資料3の説明をお願いいたします。

 

○市川保護課医療専門官 資料3の説明をさせていただきます。健康管理支援の評価の方法と、各自治体の特性に応じた役割分担のあり方について、述べさせていただきます。

 2ページですが、これは特定健診でまとめられております標準的な健診・保健指導プログラムを抜粋しております。その中では、効果の評価の立て方としまして、ストラクチャー、プロセス、アウトプット、アウトカムで評価してはどうかという具体的な評価指標を示されております。

 3ページになりますけれども、生活保護受給者に関しても同様のストラクチャー、プロセス、アウトカムを用いて効果の評価をしてはどうかと考えております。

 また、個人単位でのプロセス、アウトカム評価もあれば、集団単位としまして、例えばアウトカムを見ていただきますと、ハイリスク者・要医療者の割合の減少であるとか、集団としての効果を評価してはどうかと考えております。また、プロセスに関しましても、現在とても低い健診受診率がどれくらい向上したかとか、医療機関にかかられていない方がどれくらい受診したであるとか、そういったプロセスに関しても評価してはどうかと考えております。

 また、事業単位に関しても、ストラクチャー、プロセス、アウトカム指標としまして、そういったデータを用いた健康の戦略を立てているかどうか、そういったインフラ関係機関との連携を調整しているか。そういったものを効果の一つの指標としまして、また、ほかにプロセスとしましては支援計画をどれくらい立てたであるとか、そういった支援のために家庭訪問をどれくらい行ったであるといった中間的なプロセスも評価してはどうかと考えております。

 また、事業のアウトカムとしまして、医療費の適正化効果等も一つの指標としてはどうかと考えております。

 こういった評価を年度ごと、中間ごとに行いまして、最終評価をしてはどうかと思っております。また、支援対象者によってはかなり個別性がありますので、まず共通の基本的評価項目を定めるとともに、福祉事務所の判断によって追加的な評価項目と評価時期を定める。また、個々のものに関しても具体的な評価項目を定めてはどうかと考えております。

 4ページですけれども、こういった健康管理支援をどのような形で行うかといったものになります。まず、福祉事務所内で行う場合、こういったモデルとして考えられるのは、福祉事務所の中に保健師等の医療専門職がおられるであるとか、重症化予防等の事業で保健師さんを雇っておられるようなところが可能なモデルかと思います。そういった福祉事務所の場合は、ケースワーカーや医療専門職が受給者の必要な医療、健康情報を収集します。

 また、そういった情報を用いて保健師等の医療専門職がデータの分析に基づいた集団としての健康戦略を作成し、順次個別支援計画を作成します。

 そして、福祉事務所の専門職、ケースワーカー等の多職種が、保健センター等の関係機関と連携して支援を行い、支援後、福祉事務所として効果の評価を行うといったモデルになります。

 5ページは、事業委託する場合になります。まず、ケースワーカーが受給者の必要な医療、健康情報を収集するというのは、ケースワーカーしかできない仕事かと思いますので、そういったものをやっていただき、そういった情報を集めた上で外部の事業者に委託して、マニュアルに基づいた支援対象者の抽出や個別支援計画を行います。ある程度の支援計画の立て方であるとか優先順位等は、マニュアル化してお示しすることになっておりますので、それを用いたものになります。

 個別支援計画に基づいて、健康管理支援の外部の事業者や重症化予防等で雇いました保健師等が支援を行いまして、支援の効果評価を外部事業者が行い、福祉事務所に報告する。福祉事務所として事業の評価を行うといったモデルを想定しております。

 資料3は以上となります。

 

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、引き続き津下委員から資料の説明をお願いいたします。

 

○津下委員 これは、今回の生活保護受給者の健康管理支援ではなくて、今、全国で進めております糖尿病性腎症重症化予防の取り組みについて、前回1115日のワーキングで報告した研究班の内容でございます。この方法ですと、比較的多くの市町村でさまざまな実施方法をとっておられるのですが、共通項としてプロセス評価、アウトプット評価、アウトカム評価ができる方法を模索しておりますので、参考までに見ていただければと思っております。

 最初の数ページについては、重症化予防プログラムを今90自治体で進めておりまして、それぞれがそれぞれのやり方、対象者の抽出基準でやっておりますので、重症化予防で効果がどの程度進捗しているのかということを一元的に把握するために研究班を立てていることを説明しております。

 6ページをごらんいただきますと、まず、業務フローをしっかり整理していただいたらどうかということで、これは庁内でどのように進めるかという体制整備や健診・レセプトデータでどういう対象者がどのくらいいるのかを把握し、医師会と地域の関係者と重要性・必要性について協議をして、方針についてこのような取り組みを進めていくことについての合意を行い、事業計画を立てる。ここの段階で、対象者がこの町に大体どのくらいいるのかという概数把握、さらにはどのような対象者を優先順位を高くして持っていくかを検討します。実際に1年でやれる対象者数としてはこのぐらいなので、このような優先順位づけをすればいいのではないかというような計画を立て、そしてマニュアルに沿って事業を進捗させます。評価の項目は最初からこの時期に何をとっておくというようなことを標準化しておくことで、複数の自治体やさまざまな実施方法でも共通化できるのではないかと思っております。

 次のページをごらんいただきますと、前のページのフローを進捗管理シートに落としたものでございまして、A31枚になるわけですけれども、対象者の概数を把握できているかとか、優先順位を検討しているかということについて、どこの段階までできているかをチェックしながら進めていく。また、アンケートについても、ある程度標準的なものを示しておくことで、市町村を横断的に見ていくこともできると思います。

 それから、データの登録シートを定めているというのは研究班の中でのやり方です。

 8ページを見ていただきますと、どういう人をターゲットにしているのかということを明らかにするために、今、健診受診の有無とレセプトのありなしで、例えば1は糖尿病性腎症だけれども治療していない、2は健診データで腎症と判断できるけれども受診している、そのように、どういうところの人たちを対象にするのかを可視化する。

 一番右上の5ですけれども、健診データもレセプトもない人のうち、過去に受診歴がある治療中断者についてはハイリスク者と扱うということで、各市町村の事業がどこの対象者をターゲットにしているかを意識する意味で、こういう表をつくっています。この中の数字は、今回90自治体のうち取り組まれている自治体の数になっています。

 9ページ、10ページにつきましては、それぞれについてどういうフローで仕事を進めるかということについて、これは例示なのですけれども、各自治体でフローを整理してくだいということをやっています。

 その次と次はどのように情報提供するかとか、医師会とのやりとりについての書式を決めておく、データのやりとりについては糖尿病の場合は連携手帳を使ってやりとりをするというような連携の仕方について示しています。

 評価についてですけれども、20ページにございますように、どの段階でどういうデータをとっていくのか。先ほどお話がありましたように、支援の最初のところは比較的細かく、その後は自然にとれるデータで健診・レセプトデータだけで負担なくとれるとか、そういうことでやっています。

 それから、保健指導の介入があるところでは、アンケートを標準化して最初の6カ月だけはとるというような流れで、どこのタイミングでどうしていくかをやっています。

21ページにありますように、こういうデータをKDBなどの医療保険者が持つデータからどうやって抽出するかという抽出ルートも明示しておくと、非常に作業がしやすくなります。まだ始めたばかりですけれども、今データは800ぐらい集まってきています。全国標準化してデータを集め、ステージごとの、例えば、集まってきた人で腎症の3期が382人とか、どういう対象者に対して保健事業をやろうとしているのかということも把握できることと、介入で効果がどうなっているかも見ることができます。これは一つの事例ではございますが、業務フローを可視化することや、データを標準化しておくことが現場への負担を軽減できると思います。現場に大きな負担をかけてはいけないので、より簡便にできる方法について御検討いただくのが望ましいのではないかと思っています。

 ついでに、先ほどの表の中でアウトプット評価がプロセスの中に入ってしまっているように思うのですけれども、対象とした人の中で何パーセント実施できたかとか、実施できていない人はどのくらいいるかをちゃんと見ることはすごく大事だと思うので、そこはアウトプット評価としてしっかり位置づけていただいたほうがいいのかなと思います。

 以上です。

 

○尾形座長 ありがとうございました。対象は異なりますけれども、非常に参考になるお話かと思います。

 それでは、資料3とこちらの参考資料も一括して、御質問・御意見を受けたいと思います。

 松本委員代理どうぞ。

 

○松本委員代理 津下委員、本当にありがとうございました。私、実は地元が埼玉県でございまして、ここに書いてあるとおり40市町村、一番最多が参加していると思いますけれども、埼玉方式といって、埼玉県と埼玉県医師会と国保連合会の合同の協力事業ということで、比較的全国でも熱心に進めさせていただいているところだと思います。

 資料の4ページにもありますけれども、結局こういった事業をやっていくためには、本人や医療機関からいかに血液検査等のデータをいただいてくるかということがとても重要なことだと思っております。それに関して1つ、日本医師会でも日本医師会の健診標準フォーマットの運用とか、かかりつけ医による糖尿病の効果的治療に向けたデータベースの研究事業もやっておりますので、もし、次回以降お時間がちょうだいできましたら、少しプレゼンテーションさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○尾形座長 それは、よろしくお願いします。

 ほかにいかがでしょうか。それでは私から。

 資料3の4ページ、5ページで、福祉事務所内で行う場合と事業委託する場合と分けて示していただいていて、これはこれでいいと思いますが、先ほど小枝委員の御指摘にもあったように、事業委託する場合はどういう事項に配慮すべきかをもう少し前に出しておいたほうがいいのかなと思います。これだと割と平板に福祉事務所でやる場合、事業委託する場合と2つに分けていますけれども、事業委託する場合の配慮事項のようなことは少し加えたほうがいいのではないかと思います。

 津下委員どうぞ。

 

○津下委員 その件は非常に重要なことだと思いまして、この絵でいくと、委託してそこが対象者を階層化して、そのまま支援に入ってしまうという流れになっていると思うので、一度そこで福祉事務所と協議するなりして、優先順位や支援方針について確認ができるといいのかなと。委託先がどういうところかということもあると思いますけれども、委託先の選定についても、どの部分をお願いし、どの部分は自前でやらないとできないことなのかという整理をしていかないと、通り一遍の指導をして相手が変わらなかったのはしようがないで終わってしまってもいけないので。

 もう一つは、特にうまくいかない場合に、環境調整やほかの手段がないかということまでフィードバックしていかないといけないという部分もありますので、やりながら調整していくというような流れも必要なのではないかと思います。

 

○尾形座長 大変貴重な御意見ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 きょう津下委員からお示しいただいた資料で、業務フローだとかあるいはチェックリスト、セグメント化といった大変参考になるお話だったと思いますので、その辺を踏まえてこちらも標準化というかマニュアル化のツールとして参考にしていただければと思います。

 ほかに特にございませんか。前のほうに戻っていただいても結構です。資料1、資料2も含めて。

 中板委員どうぞ。

 

○中板委員 私がわかっていないだけかもしれないですけれども、今の話も委託のときのきめ細かくオーダーできる部分と、自治体が責任を持ってという部分といろいろあると思いますけれども、そういったことの配慮点やその流れも含めて、今後どのような形になっていくのかというスケジュール感みたいなことと、体制みたいなことを教えていただけるとありがたいなと思いました。

 

○尾形座長 どうぞ。

 

○鈴木保護課長 まず、時間軸ですが、福祉事務所で一定のルールに従ってきちんと体系的に取り組まれるようにするためには、今は大きな枠組みだけしか議論しておりませんが、実際の支援のやり方のツール、先ほど津下委員にお示しいただいたようなものも取り込んだ形での福祉事務所としての支援戦略の立て方から、個別の介入をどういうプログラムにしていくかとか、そのときにどういう主体にどういう役割を果たしていくかとか、そういうものはかなりきめ細かにパターン分けをして、一定程度の標準化したものを示していく必要があると考えております。

 その上で、それ以外にも、そもそもデータインフラの基盤が今はないものですから、次回の本検討会にどういう感じかということを提案できるように、今準備しているところなのですが、データヘルス相当の抽出を健康データとレセプトデータを主として使って抽出する仕組みを考えないといけないですし、さらに、介入の部分は特定保健指導と既に違う中身ですから、この部分に関しては、介入と評価の標準化も仕事のやり方としてもやる必要がありますし、データフォーマットとしてもやる必要がありまして、そういうものをたくさんやっていきますと、時間軸としては、やると決めてから恐らくまた数年単位の準備期間が要るのだと思っておりまして、先ほどの委託事業者との関係あるいは保健センター、そのほかの衛生部門の方々との連携というものも、仕事のやり方をその時間の中で整理していく必要があると思っていますので、そこは丁寧に。生活保護の場合は、そういう意味で一応全国的に標準化したことで、いろいろな扶助の給付から自立支援までやっておりますので、そこは私どものほうで地方団体とも相談しながら標準化をきちんとしていかなければいけないと思っておりますので、その過程の中で、またいろいろな方々の意見を聞く機会も当然要ると思っておりますので、そういう感じで整理していきたいと現時点では思っております。

 

○尾形座長 経済財政諮問会議の改革工程表では、あり方を検討するということになっていすけれども、その後いつぐらいまでにやるかという縛りは特にないのですか。

 

○鈴木保護課長 あり方によって時間軸が決まってしまうと思いますので、そういう意味でデータソースから整備するとなると、当然先ほどの検査データをいただくフローとかそういうことも含めて整備しないといけないということになれば、そういうものにも当然時間がかかりますので、そこは幅のある概念だと理解しております。

 

○尾形座長 津下委員どうぞ。

 

○津下委員 今回、重症化予防のプログラムをつくるときに、4ページ、5ページにありますように、実際に参加自治体の人たちとワークショップを行ったり、使っている帳票類を集めたり、今回の枠組みで走ってもらってうまくはまるかということをやっていただいたり、ページはないのですけれども、1021日のワークショップでは事例発表で、どのような業務フローになっていてどういう評価をしているかをヒアリングしながら進めています。案を投げては出してもらってというやりとりをして、無理なくできるところはどこかとか、KDBから出してくださいと言ってもKDBで出しにくいところはどこで、どこをどう見るといいのかとか、いろいろそういうやりとりをやりながら、走りながらつくっているところです。また、福祉事務所さんが持っている電子的な情報などはどんなものがあって、具体的にどういうふうに使えるのかということはやりながらトライしないと、これでやってくださいと言ってもなかなか動かないのではないかと思います。一方の情報を出す、出さないという話と、現場でどう動けるのかということの既に実施しているところの公約数を整理するとか、共通にこの枠組みでどうだろうというやりとりをしばらくしていただかないと、作っても動かない危険性があるので、そのあたり丁寧にお願いしたいと思っています。

 

○尾形座長 どうぞ。

 

○鈴木保護課長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っておりまして、今現在は電子化されたレセプトデータの処理システムのみ保有していると。その電子レセプトのシステムに関しても、十分活用できている自治体もあれば、いろいろな薬剤コードの入力が難しいとか、なかなか活用が進んでいない自治体もあります。今はそこまでで、それ以外にもちろん民間事業者に一部健診データも含めて分析を頼んでいるような自治体もございますが、一般には健康データは自分で電子化されたものを持っていないところが大部分だという足元から、ゆくゆくは先ほど御紹介いただいたような重症化予防で今やっていただいていますけれども、自治体に、いろいろな取り組み状況の差はあれ、取り組んでいただけるような形を目指していかなければいけないので、そこは準備することがたくさんあると思いますので、十分現場の方々とも過程で一緒に考えていく必要があると思っております。

 

○尾形座長 ある意味では、別に工程が縛られているわけではないとすれば、今お話があったように、机上で考えるだけではなくて、実際にパイロット的なことも含めてフィードバックしながら段階的に実施していくのが現実的なのかなと思いますので、ぜひ、その辺はお考えいただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、少し早いですけれども、ほかに特に御意見がないようですので、きょうの審議はこれまでとしたいと思います。

 次回の開催につきまして、事務局から御連絡をお願いします。

 

○生沼保護課長補佐 次回につきましては1月中旬を予定しておりますが、日程が決まり次第、また各委員に御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○尾形座長 それでは、本日の検討会は以上とさせていただきます。

 長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。

 


(了)

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