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2016年12月14日 第12回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するWG 議事録

○議事

 

 

 

 

 

 

 

   第12回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

 

 

 

                                      日時   平成28年12月14日 ( )

                                            13:00~

                                      場所   厚生労働省専用第22会議室 ( 18階 )


 

○櫻本医師臨床研修専門官 定刻になりましたので、第 12 回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループを開催いたします。本日は先生方には御多忙のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。

 ここでカメラは御退室をお願いいたします。

 続きまして、本日の出欠について御連絡させていただきます。神野構成員から御欠席との御連絡を頂いております。また、前野構成員からは所用により遅れて御出席との御連絡を頂いております。古谷委員と羽鳥構成員に関しまして、今いらっしゃっておりませんが、すぐに来られるかと思います。また、文部科学省医学教育課から佐々木企画官にお越しいただいております。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 どうぞよろしくお願いいたします。

○櫻本医師臨床研修専門官 以降の議事運営につきましては、福井座長にお願いいたします。

○福井座長 年末が近づき大変お忙しいところ、御参集いただきありがとうございます。議事を進めていきたいと思います。最初に事務局より、資料の確認をお願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 資料の確認をいたします。第 12 回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ議事次第というものが 1 枚目で、議事等が書いております。次に座席表、続いて資料 1 が臨床研修の到達目標、方略及び評価 ( 素案 ) 、こちらが全部で 6 ページです。資料 2-1 は、平成 28 年臨床研修修了者アンケート調査結果概要のパワーポイントです。これが全部で 54 ページあります。資料 2-2 は、臨床研修の指導医のアンケート結果。資料 2-3 は、各都道府県における若手医師の動向について。参考資料 1 は、医師臨床研修の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ。参考資料 2-1 は、初期臨床研修到達目標と医学教育モデル・コア・カリキュラムの関係について ( ) 。参考資料 2-2 は、卒前のモデル・コア・カリキュラムの抜粋となっております。参考資料 3 以降は前回までに提出させていただいた資料ですので、適宜御参照いただけたらと思います。乱丁、落丁がございましたら事務局にお申しつけください。

○福井座長 よろしいですか。本ワーキンググループでは、研究班による目標案についての議論をしていただいてきております。資料 1 の臨床研修の到達目標、方略及び評価についての説明をさせていただきます。実は、研究班のとして、一字一句班員の先生方の御了解を得ているものではありません。そして、部分的には私の試案の部分が入っておりますので御了承いただきたいと思います。研究班として、さらに検討を段階の案です。本日はこの目標・方略・評価の全体像をプレゼンテーションしたいと思います。

 資料 1 1 ページ目の最初の記載は省令の基本理念です。その下に全体の枠組みを示し、研修目標と実務研修の方略、研修目標の達成度評価、修了基準となっていて、目標に 3 つの項目があります。医師としての基本的価値観 ( プロフェッショナリズム ) 、資質・能力、遂行診療業務です。これらの言葉もまだコンセンサスが得られているものではありません。実務研修の方略の中に施設と研修医がローテーションする診療科、そして症候・疾病です。経験してほしい症候・疾病、実際に経験してほしい診察・検査・治療手技などの項目からなっています。

 次に研修の到達目標・方略・評価の1研修目標です。これは以前の会議でも出していましたが、文言が微妙に変わってきておりますので、じっくり目を通していただきたいと思っています。最初に前文で、医師としての基盤形成の段階にある研修医に、基本的な価値観をこの 2 年間で身につけてもらいたいこと、一般診療に対応する横断的な資質・能力を修得してほしいという事柄を書いています。

 医師としての基本的価値観 ( プロフェッショナリズム ) の所に 4 項目あります。 1. 社会的使命と公正性。 2. 公衆衛生の向上への寄与。 3. 人間性の尊重。 4. 自らを高める姿勢。この 4 項目をここで言うプロフェッショナリズムと捉えています。

 資質・能力の所が 9 項目です。 1. 医学・医療における倫理性。診療、医療分野の研究や教育に関する倫理的な問題を認識し、対応する。下位項目に 5 項目挙げています。 2. 医学知識と問題対応能力。発展し続ける医学の中で必要な知識を獲得し、根拠に基づいた医療を基盤に、経験も踏まえて、幅広い症候・病態・疾患に対応する。 3. 診療技能と患者ケア。臨床技能を磨くとともに、それらを用いて患者の苦痛や不安感、意向に配慮しながら診療を実践する。 4. コミュニケーション能力。患者の心理・社会的背景を踏まえながら、患者や家族と良好な関係性を築く。下位項目に 3 項目あります。 5. チーム医療の実践。医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々を理解し、連携する。 6. 医療の質と安全の管理。患者及び医療従事者にとって、良質かつ安全な医療を提供する。下位項目に 5 項目あります。 7. 社会における医療の実践。医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会と国際社会に貢献する。下位項目に 6 項目です。 8. 科学的探求。医学と医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学医療の発展に寄与する。下位項目に 3 項目あります。 9. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢。医療の質の向上のために絶えず省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。この中に 3 項目です。

 文部科学省のモデル・コア・カリキュラムの改定との整合性については、参考資料 2-2 を御覧ください。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 参考資料 2-1 と参考資料 2-2 がよろしいかと思います。

○福井座長 御発言がありましたので、佐々木企画官から少しお話しいただければと思います。一応目標についてモデル・コア・カリキュラムと整合性を持たせる方向でやってきておりますので、こちらのほうもお願いします。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 参考資料 2-1 と参考資料 2-2 ですが、これは厚労省から用意いただいた資料です。まず、参考資料 2-2 が、先月 11 16 日に開催いたしました会議資料で、この内容で本日からパブリックコメントを行っているところです。参考資料 2-1 が厚労省が用意くださった資料ですけれども、結論から申し上げますと、卒後のこのワーキンググループで検討いただいている内容と事実上全て整合性を取っています。もちろんそれぞれのステージが違うわけですので、医師免許を持っている、いない、それを踏まえた項目の下の説明文書が多少違うものがありますけれども、それは内容が違うというよりは、それぞれのステージを受けてという内容になっているものと理解をしております。こちらのワーキンググループでも、また文部科学省の委員会でもプロフェッショナリズムをどう扱うかということですけれども、これについては 11 16 日も幾つか意見はありました。基本的には、先ほど申し上げたステージが違う中で、特に臨床研修は既に医師免許を持った、医行為を行なえる医師であることを鑑みると、福井先生が中心となってまとめていらっしゃるワーキンググループのこの方向については、文部科学省の委員会としてもそれを尊重すべきだろうというような状況です。

 参考資料 2-2 でもう 1 点だけ補足説明いたしますと、従前医学教育モデル・コア・カリキュラムでは参考資料 2-2 1 ページに相当するものはありました。ただし、 3 ページを御覧ください。逆に言うと、今までのは 1 ページでこれが書かれているだけで、具体的に何を求めているのか、何ができるようになることを求めているのかということが必ずしも明確にはなっておりませんでした。そこで今回は 3 ページのように、従前基本項目としていたものを、基本的な資質と能力を具体的に説明するものということで、 3 ページから 7 ページまでのページを割いて、プロフェッショナリズムから一番最後の生涯にわたって共に学ぶ姿勢というのが、具体的に何を学生の段階でできるように教育すべきかということを記載しているというのが、今回の改定の特徴であることを併せて補足説明いたします。

○福井座長 ありがとうございます。御質問がありましたらどうぞいつでも発言をお願いします。今の参考資料 2-2 1 ページ目の 5 ですが、チーム医療の実践でモデル・コア・カリキュラムのほうは、「医療・保健・福祉ならびに患者に関わる全ての人々の役割を理解し、連携する」となっています。それが資料 1 3 ページ、上から 2 つ目の 5. のチーム医療の実践では、かなり違っています。「医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々を理解し、連携する」となっていて、こういうところも最終的には詰めて、より良い文章にしていければと思っています。

○高橋構成員 プロフェッショナリズムのことについて、いろいろな定義があるので、考え方がいろいろあるとは思いますけれども、利他主義が全面と言いますか、含まれる定義が多くて、それが今回の到達目標では 3. の所の「患者や家族の利得最大化に努める」という文言が入っているぐらいで、余り出てこないのですが、何かそういったことについての研究班でのディスカッションがあったのでしょうか。

○福井座長 先生がおっしゃったように、この部分に利他主義的な文言を入れたため、あえて独立させなくてもいいのではないかと考えて、元々 5 項目あったものを 1 項目減らして 4 項目にしたといういきさつがあります。

○高橋構成員 なぜこういうことを御質問したかと言いますと、やはり利他主義は結構大きなインパクトがあるので、どういうディスカッションだったのかをお伺いしたかったのです。

○福井座長  1 ページの 1. の下から 3 行目に、「患者の福利を最優先とし」という文言があって、さらに 3. の人間性の尊重の所にも組み入れたからという議論はいたしました。別個立てにしたほうがよければ、それはまた考えたいと思います。

 それでは、残りの説明をさせていただきます。この研修目標の中に、の医師としての基本的価値観 4 項目、資質・能力 9 項目、それに加えていわゆる EPA に相当する部分を考えています。言葉の統一が不十分ですが、遂行業務なり、遂行診療業務というタイトルで、 1. が適切な認知行動プロセスを経て臨床問題を解決できる。 2. 頻度の高い疾患、緊急性の高い病態に関する初期救急ができる。 3. 一般外来および入院患者の管理ができる。 4. 地域医療連携地域医療のローテーションが必修とされておりますので、そのことにより、研修医ができるようになることを書き出したいのですが、取りあえずは、地域医療連携の必要性を考えて、それができるという意味の項目にしました。 5. が資質・能力の 8 9 辺りに相当するところになりますが、診療上の疑問を解決し、その手順と結果を提示できる。

 2が実務研修に関する方略で、ここはまだまだ不完全ではありますが、 4 つの部分に分かれています。研修の方略として、まず施設について。不完全な書き方ですけれども、現在の体制では 8 か月以上の期間、基幹型の所で研修することが求められております。それ以外に協力型臨床研修病院、臨床研修協力施設。これら 3 つの種類の所で研修を行う。

 研修を行う診療科、ローテーション科については、現行ではここに書いたような体制になっています。「必修科目」として、内科、救急、地域医療。「選択必修科目」が外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科になっています。このワーキンググループでは、最終的に同じローテーションでいくのか、又は変えるのかというディスカッションをどこかの時点でお願いしたいと思っています。研究班のほうではまだこの部分についてのディスカッションはしておりませんので、現在のローテーションを参考として記載しております。

 経験すべき症候・疾病を挙げました。一つ一つの説明は省かせていただきます。疾病は、現行の A 疾患とされているものに加えて、班員の先生方から頂いた御意見などに配慮して挙げています。

 診察・検査・治療手技としては、医療面接、身体診察、基本的臨床検査、基本的手技などをここに記載していきたいと思っています。

 3の評価については、研修目標の達成度評価ということで、医師としての基本的価値観については、次回以降、詳しい資料を出していきたいと思いますけれども、いわゆる 360 度評価になるのかと思っています。それから資質・能力については、今まで何度もディスカッションで出てきましたマイルストーンを用いた評価を行っていきたい。遂行診療業務についても観察記録での評価になると思います。

 最後の4の修了基準は現在のもので、 2 年間のうち休止期間が 90 日以内であること、ローテーション診療科が最低限、内科 6 か月、救急 3 か月、地域医療 1 か月が求められていますので、それを満たしている必要があります。それから研修目標を達成していること、臨床医としての適性があることなどが、現行の修了基準となります。これをこのままいくのか、改正する必要があるのかについては、後日、御議論いただきたいと思います。

 方略と評価についてはまだまだ詳細なものが作れておりません。資質・能力について、他のグループとの突き合わせに、思っている以上に時間をとってきたというのが実情ではあります。

 以上です。参考資料につきましては、今までに示してきたものが主ですけれども、参考資料 4 が、症候・疾患のマトリックスで、作成には大変な時間を掛けて作っていただいております。参考資料 5 が診察法・検査・手技についてのものです。参考資料 6 がいろいろな症候について、これは大滝先生につくっていただいたもので、臨床研修のものと、モデル・コア・カリキュラム・国試・日本医師会生涯教育など表にしていただいたものです。大滝先生、何か付けくわえることはありますでしょうか。

○大滝構成員  8 30 日版と書いてありますように、この時点ではまだ医学教育モデル・コア・カリキュラムが確定しておりませんでしたので、その時点のものになっております。ここから若干変更になった所がありますので、その点はご注意ください。

○福井座長 資料 1 5 ページに症候・疾病をいろいろ挙げていますけれども、これももっと詳細に、参考資料と突き合わせをしながら、もっと詰めた案を次回以降出したいと思います。全体としてはこのようなフレームの臨床研修の到達目標、方略及び評価を作っていきたいということです。どのようなことでも結構です、何か御意見はありますか。

○田中構成員 症候と疾病の所で、前の議論では症候に絞ってというような議論もあったかと思いますけれど、それについてはいかがでしょうか。

○福井座長 現在の到達目標の中の A 疾患に相当するものは、やはり出したほうがいいのではないかという御意見も研究班の中であったため、一応案としてここに出しました。これを全くなくすかどうかということも含めて御議論いただければと思います。

○金丸構成員 前段の部分の研修目標の所まで、先ほど佐々木企画官の説明もあったように、非常に労力を割いて見事に整合性をつけていただいて、一貫したシームレスということで、学部そして臨床研修、非常に分かりやすく、そして大切な姿になったのかなと思って感謝しているのですが、 1 点だけ、中身ではなくて、順番のところで気になるところがありました。プロフェッショナリズムが学部で、そして基本的資質で整合性で、基本的価値観の所はいいのですが、資質・能力の順番ですが、 1. が医学・医療における倫理性、 2. が医学知識と問題対応能力の順番になっています。やはり 1 番最初のとき、私が発言したことを思い出すのですが、根っこ中の根っこがプロフェッショナリズムだと、その幹たるものはコミュニケーションだという発言をしたのを思い出しながら、根っこがプロフェッショナリズムで、しっかりと根をはやし、幹になる所にコミュニケーション、これは全人格がコミュニケーションが出てくるわけだと思うのです。全人格を学部教育でしっかりと人間としてのあるいは人格としての寛容もここで礎を築きつつ、更に臨床研修でもそれを両輪の 1 つとして、両輪になるか幹になるかその辺が悩ましいのですが、それをして、枝葉のところは大変恐縮ですけれども、しっかりと医学知識、問題対応能力と。だから結局 1. の後の所、倫理性の後の所にそのコミュニケーションでどうなのかなと。そうするとあとはこの 1. 2. が両輪で更に幹なる姿になり、枝葉と言ったら大変恐縮ですけれども、大切な枝葉ですが、医学教育、臨床技能以下続いていく姿となると分かりやすいのかなと思ったものですので。今、パブリックコメント中だとお聞きしたものですから、検討の余地があるのかどうか、ちょっと気になったので、そこの順番だけで大変申し訳ないのですが。

○福井座長 このことについて何か御意見ありますか。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 メンバーでいらっしゃる大滝先生もいる中であれですけれども、一応、中で話をしたときというか、調査研究チームの先生方で話をしていただいたときには、より自身で簡潔するものから、同心円的に外に広げていったとき、そして最後に時間軸で広げていったときにどの順番になるのかなということで整理をしたのがこの順番です。事実関係としてなぜこの順番になったかということだけ説明をいたします。この後のことは当然ながらパブリックコメント、そして並行して各学会、大学に意見照会をしておりますので、それを踏まえてまた文部科学省の委員会調査研究チームで御議論いただいた上で、最終的には決めたいと思います。御指摘どうもありがとうございます。

○金丸構成員 どうしてもそこにコミュニケーションができるためには、人間としての深みとか人格が形成されているとか、そこの姿があってコミュニケーションの能力として、育つのかなと思ったものですから、すみません、発言させていただきました。

○福井座長 ほかにはありますか。

○伊野構成員 すみません、蒸し返して大変恐縮ですけれども、参考資料 2-1 を見まして、医学教育モデル・コア・カリキュラムはパブメドになっていて、この 9 つのコンピテンシーが出ている。一番にプロフェッショナリズムがあって、この対比表があると医師としての基本的価値観というのが上位にあって、それも含めて資質のほうの 1 も含んで、 1 のプロフェッショナリズムで言っていることは同じで、レベルはありますけれども、というのは分かるのですが。逆に言えば、ここまでしないと同じだということが分からないという、すみません、失礼な言い方をして。ということは、少なくとも私がずっと考えてきたシームレス、それの伝わりやすさというのが、これだけ文部科学省の方と厚生労働省の方と皆様方が考えてきて、中身は同じだけれども、一般の多分医学部の学生とかそうした人たちにシームレスということが伝わりにくいかもしれない、広がりにくいかもしれないと。 ACGME のコンピテンシーなどは外国人の私たちですら言えるのですね。前に大滝先生も卒後になってから臨床研修の目標は、と言っても誰も研修医は覚えていないと。やはり卒前からシームレスでこの 9 つの、 9 つかどうかこれから分かりませんが、 9 つのコンピテンシーはとっても大切だというのを言い続けるというところには、私は、今回すごく価値のあることだと思っていたのです。福井先生から御説明をいただいたときに、学術的、アカデミックにでしょうか、とても分かりやすくて、この構造、とてもプロフェッショナリズムを上位に上げるということ、私はそれを気に入っていたのですが、やはりその広がりやすさとか、シームレスであるということの、そうした理解のしやすさを考えると、卒前でプロフェッショナリズム、卒後では医師としての基本的価値観という文言も違うしという所もあって、ちょっと残念に思って。例えばプロフェッショナリズムと謳うのであれば、卒後もプロフェッショナリズムとしたほうが分かりやすいのではないかと。すみません、あんなに御議論なさったのに、今さらですけれども、これを見てそう思いました。

○福井座長 今の点についていかがですか。参考資料 2-2 を見ると、モデル・コア・カリキュラムでいうプロフェッショナリズムは、参考資料 2-2 3 ページになります。ここに挙げた事柄とイコールに関してなのです。いかがでしょうか。これは、 100 %の人がこうだという回答のない世界です。

○田中構成員 医学教育学会の改正委員会でも随分議論したところでもあります。国家試験の出題基準のところは決まっていて、そこには「プロフェッショナリズム」という言葉が入っています。ここで議論されていて、プロフェッショナリズムというのはいろいろ広い概念を含んでいるので、みんなが同じイメージを持つことはないだろう、というコンセンサスもここではあったように思うのです。パブリックコメントをやっている段階だから改定はできるのだとも言えるかもしれないのですけれども、国家試験の出題基準という縛りもあるので、今の段階では卒後の基本的価値観とか、資質・能力とぴったり合わせた形に持っていくのは時間的に無理なのではないかというのが、私たちの委員会での議論です。今回は、例えばモデル・コア・カリキュラムの中にステートメントみたいな形で、卒後の話を反映させてもらって、次回の時に完全に一致するような、先生がおっしゃるように一致するような形に持っていけたらという議論になっていることを御紹介いたします。

○中島構成員 どうもよく分からないのです。参考資料 2-1 、参考資料 2-2 は文部科学省が作ったのですか。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 参考資料 2-2 は文部科学省です。

○櫻本医師臨床研修専門官 参考資料 2-1 は厚生労働省です。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 うちが作っても同じものができます。

○中島構成員 これを作ったのだから、これでいいでしょう。そんなにゴチャゴチャ言う必要はないと思います。言葉の使い方がずれようがどうしようが、そんなことは問題ではないのです。大きく違って、中身が違ったら大変ですけれども。学生の時はプロフェッショナリズムで習ってきた。卒後の臨床研修ではそういう言葉ではなくて、もっと細かい言葉がきちっと入っていると。これでいいと思います。こういうのが、学生時代のプロフェッショナリズムが 5 つに分かれたらしいと、これでいいのではないのですか。別段何もこだわる必要はないと思います。

○福井座長 今のことについてでも結構ですし、伴先生何かありますか。

○伴構成員 中島先生はそうおっしゃいますけれども、分かりやすさから言えば、今の考え方は臨床・能力という大きな塊は 6 つであったり、 8 つであったり、 10 ぐらいに分けて、それを卒前も卒後臨床研修も、専門研修も一貫して、より内容が深まっていく。一部いろいろなものが付け加わっていくという考え方だと思うのです。今まで学生時代に何もやっていないことを、いきなり卒後研修にやったりということはないという考え方なのです。学ぶほうにとっては、大きな塊はこういう 8 つの塊なのだというような理解になっている。そうすると、今の中島先生の発言を引用すると、ちょっとくくったプロフェッショナリズムがよりこういう下位概念の少し細かな記載になっているというのが入ったらいいのかという感じはします。

○福井座長 つまり、資質・能力の所の 1 番をプロフェッショナリズムにして、こういうのが全部入るような形にしたらどうかということでしょうか。

○伴構成員 医師としての基本的価値観プラス倫理を含めているという捉え方ですよね。

○高橋構成員 今までの討論の記憶では、プロフェッショナリズムはいろいろな部分と重なって、全てを包含している。資質・能力の上位のものとしてまずは掲げて、ここで言うと医師としての基本的価値観。その下に資質・能力としていろいろな項目を入れるというディスカッションになっていたように記憶していますので、基本的な構造はこれでいいと思います。ただ、伊野先生がおっしゃったように、卒前と卒後で余りにも文言とか分類が違っていると、言っていることは同じであっても、一貫性が欠けるのかな、理解しにくいのかなと思います。今回は分かりませんが、将来的には統一したものになっていくことが望ましいと思います。

○中島構成員 今の時代に、全てを統一してしまうのは時期尚早だと思うのです。中間的なものをまずは作って走ってみて、 5 年後か 10 年後にまた合わせていくということで十分いいと思います。その基本的な方向性はちゃんと出ていますし、分かるようになっているので、このままでと言っているのではないのですけれども、おおよそこれで走られたらどうかなと。ここでオッケーしないと、他の所の議論ができなくなってしまう。そういうことでは、このワーキンググループとしての役割を果たせないということになるのではないかと思います。今まで議論したところは取りあえず置いて、次に進まなければいけない時期に来ていると思います。

○福井座長 いかがでしょうか。

○古谷構成員 今おっしゃったとおりだと思います。今、現状として内容に漏れがないということが第一です。最終的に分類がどうなるかというところは、例えばこれから評価のことを決めていったり、どのようにその研修を動かしていくのかということを決めていった上で、多分もう一度見直しをやって、統合を図っていかないといけない部分だと思います。議論の過程ではこのままで、もう一度最後に見直していくことが必要なのではないかと思います。

○福井座長 それでは、このまま進みたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○片岡構成員 細かい点なのですけども、参考資料 2-1 だと、右側の医師としての基本的価値観の所に、プロフェッショナリズムの文言が入っていないので、余計に分かりにくいのでは。資料 1 だと、括弧して ( プロフェッショナリズム ) の文言が明記してあるので、そういう形であれば少し分かりやすいのではないかと思います。

 自分の意見としては、高橋先生が利他主義はキーワードではないかとおっしゃったのですが、私もそれに賛成です。また、卒前教育には入っているのですけれども、共感的にとか共感性もキーワードであり、エンパシーという単語は少なくともアメリカでははっきり書いてあるので、共感性についてはもし入る余地があれば入れていただければ有り難いと思います。

○福井座長 その言葉は人間性の尊重の所に入れようとしたのですけれども、確かにその言葉が前面には出ていない。

○片岡構成員 もし可能であれば。

○福井座長 あえて言うと、プロフェッショナリズムの 1 番と 2 番は少しオーバーラップしているかもしれないと思っています。人間性の尊重に、エンパシーも含めて、それは独立させて、利他主義を別立てにして、それから自らを高める姿勢というようにしたほうがいいのではないかと思っています。もう一度研究班で相談したいと思います。

 特に本日御意見を伺いたいのは、遂行診療業務の所と、方略・評価の所について、このような枠組みで進めて、更に詳細なものを次回に出すという方針でよろしいかどうかです。御意見を頂ければと思います。

○伴構成員 遂行業務は EPA を念頭に置いて作られたと言われていますので、どういう方向で行くかです。アメリカの医科大学協会のコア IPA というような考えに沿ってやるとすると、それぞれの EPA がいろいろなコンピテンスを含んでと。もう 1 つ別のストラクチャーを作るというようなところまで考えると、結構大変な作業になると思うのです。今のコンピテンス、コンピテンシー的な今の作りは、ここに基本的にあるので、 EPA はある程度参考みたいな形にとどめて、今後そのように。アメリカのあれも 2014 年に出て、今はトライアルをやっている最中です。あれがあのまま EPA で、それぞれのドメインの組合せとか何かでどうなるかというのは分からないと思うのです。

○福井座長 あれはトライアルですか。

○伴構成員 トライアルを 11 大学ぐらいでやっています。

○福井座長 ひも付けをやるとなったら、大変な作業だと思います。

○伴構成員 そうです。

○福井座長 大雑把に、最初の 9 項目を頭に置いて、ここに実際に書き表したぐらいなものです。いかがでしょうか。

○古谷構成員 評価のことなのですけれども、評価をするのは評価する側、される側もそうなのですけれども、かなり時間と労力が必要になります。ここに例えば 360 度評価とかいろいろ書かれてはいるのですが、各研修病院での実行可能性ということを鑑みた上で決めていかないと、過重な評価体系になってしまう可能性があります。これだけだと、どこまで何をということがよく分からないので、是非この辺を検討した上で出していっていただければと思います。

○福井座長 資質・能力についてマイルストーンを用いた評価は、前野先生に案を出していただいております。本日はここには出しておりませんが、どのぐらいの労力が必要になりますか。

○前野構成員 マイルストーンは、文章になるので評価自体は感覚的には付けやすいと思いますが、項目数ですよね。実際に大項目辺り 1 つに付くのか、それとも小項目に全部付くのか。今までだと十分できる、できるの 3 段階だからバーッと付けられるのですけれども、文章を全部読まないといけないので、そういう意味ではある程度まとめた形にしないと、労力よりも簡素化という方向に反する部分もあると思います。そこはどのような建て付けにするかだと思います。

○福井座長 資質・能力の大きな番号の 1. から 9. それぞれのマルの番号をつけた項目ごとの評価をマイルストーンでというイメージでいいのですか。

○前野構成員 これの小さいマルまでマイルストーンにあると、多分今より数的には大変になると思います。ただ、今は行動目標はこれより少ないですけれども、経験目標がすごく多いので、トータルで見る必要があると思います。

○古谷構成員 評価なのですけれども、一体誰のための、何を評価しているものなのかというのが、現状ではよく分からないのです。今の評価体系が研修医のためになっているのかというと、研修医に十分なフィードバックができないので、研修医のためにはなっていない。指導医のためになっているのかというと、指導医のためにも当然なっていないです。患者のためにもなっていないです。それに対して時間を費やすというのは非常に無駄なように思います。もし評価を計画するのであれば、研修医にとってプラスになる。 3 段階で、できる、できな、まあまあできるという評価結果があったところで、研修医は次にどういう行動を取ればいいのかということは、その評価からは見えてこないのです。そうすると、その評価を付けた、付けられたけれども役に立たないのであれば、評価の時間を無駄にしているにすぎないのです。そこは評価すればいいのではなくて、評価をどうしていくのかをちゃんと検討しないといけないのではないかと思います。

○福井座長 少なくとも研修目標については、修了基準がある限り、何らかの形で達成しているかどうかを評価する必要はあるのではないでしょうか。

○古谷構成員 もちろんそうです。もちろんそのとおりだと思いますけれども、本当に今のやり方でそれがちゃんとできているのかというと、できていないと思います。実効性のあるもの、誰かのためになる。修了基準を満たすためにマルを付けていきましょうということでは、実際本当に修了基準を満たして終えているということが、担保できるのかというと、私はとても現状ではできないと考えています。ただマルを付けるだけのものは、無駄に時間を費やしていく形だけのものになってしまう。現状もそうですよね、できる、できないとやっても、結局そのできる、できないかということに関しての詳細なフィードバックがない。できていない、まあまあできるというときに、研修医は何を改善すれば次のステップに行けるのかが誰も分からないのです。本当にできているのかどうかの評価がされているのかさえ分からないのが現状だと思うのです。

 評価しなければいけないから評価するのではなくて、その評価をどのように研修の中で活用していくのか。各病院が、若しくは各個人が活用していくのかということを、もう少し考える必要があるのかと感じています。難しいお話だと思うのですけれども、何となく形骸化している評価が、現状としてあると私は思っています。

○清水構成員 古谷先生のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、でも、そこは各病院の指導医とかプログラム責任者が運用すべきところなのです。このワーキンググループでは、その修了基準に達した、要するに研修病院が研修医を修了させたと責任を負える評価を作るところまでがこのワーキンググループの仕事ではないのかと思うのです。おっしゃるとおり形骸化しないような、実効性のある評価表を、なるべく皆さんに負担にならないように作ることは大事だと思うのです。それをどのように使うかというのは、その次の段階のような気がしますが、いかがでしょうか。

○福井座長 先生がおっしゃるのは、研修にフィードバックをしていないということですね。そういう病院もあるということですね。

○古谷構成員 そういう病院が結構多いと思います。後で資料を見ると分かると思うのです。例えばレポートを書かなければならない幾つかの項目を経験していないというのが非常に多いのです。別の資料 2 とか資料 3 に多分あったと思います。例えば、リンパ節腫脹というのは、 100 %レポートを書かなければいけない症候であるにもかかわらず、 100 %経験させていないどころか、 8 割とか、他の項目ではもっともっと低い経験率のものがあるわけです。これは評価していないから経験されていない。それを評価されるということを誰も自覚はしていませんし、それを評価しなければいけないという指導医側の感覚もないということになってくる。

○高橋構成員 私は清水先生の意見に賛成です。研修管理委員会で行う修了認定のときに、その研修病院として委員会が責任を持って総括評価をするべきもの。古谷先生がおっしゃっていた、形成的な評価は、このワーキンググループでお話をして、このような形成的評価をしましょうというものではなくて、個々の病院が行うべきものと理解しています。実際に形成的な評価の中身は、その病院のレベルを示すものだと私は思います。総括的評価を満たしていないのに修了認定を与えるということは、その病院の在り方の問題だと思いますので、ここで審議することではないと思います。

○古谷構成員 ここに、 360 度評価という評価方法というか評価スタイルが書かれていますけれども、そこに括弧して書いてあるということは、その評価方法をしなさいということにしか取れないです。それは評価方法の限定ということになります。それは違うのではないかということになります。それは各病院が必要だと思った評価方法を用いるべきだということにはならないのでしょうか。

○福井座長 ここに書いてあるのは、義務的にやらなければならないものと、進めるぐらいの意味のところと、まだ仕分けをしておりませんので、より望ましい書き方になればと思います。またディスカッションしていきたいと思います。

○田中構成員 私は大学にいて、試験がないとなかなか勉強しない学生を相手にしているので、評価をするというのが、評価をするというメッセージだけで、そこへ向かって頑張る人たちがいるので、それは意味があるだろうと思っています。ただ、現状本当は必修のはずなのに、このアンケートを見ると 80 %も 70 %いかないみたいなのもあることは事実なのです。だからこそ、先ほどもちょっと触れましたけれども、症候とか疾病というところの絞り込みをやる必要があるのではないかと思うのです。今は多すぎるので、あれもやらなければいけない、これもやらなければいけない、だからできないものが出てくるという形になっているのではないかと思います。

○福井座長 先ほど田中先生が指摘された、疾病の所をどうするのか、方針についても御意見を伺えればと思います。疾病の所は、研究班で前野先生とお話をしたときに、 A が付いている病気を主として挙げていったらどうかという御意見でした。それらに、班員の先生方の御意見を入れたものが、 5 ページの真ん中辺りの疾病の欄です。疾病・症候を前面に出すという方針については、構成員の先生方から賛同していただいたと思っています。疾病をどういう形にするのか、ゼロでいくのか、少数に絞り込んだものを書き出すのかということの大きな方針についての御意見を頂ければと思います。

○前野構成員 私から追加で説明させていただきます。経験を、例えば胸痛を例に取ると、初期研修の目標は、何々病を診たというのを細かく聞くことではなくて、胸痛をきちんと鑑別を考えたというような能力だと。その方向性は確かに大体コンセンサスを得たのかと思っています。

 そこで心筋梗塞を鑑別に考えたことはあるのだけれども、 2 年間心筋梗塞を全く診ないまま研修を修了していいのだろうかということです。つまり、症候ベースでいくと、当然疾患としては心筋梗塞に出会わなくても一応研修は修了できてしまうわけです。症候ベースであるから、それでいいというのが 1 つの考え方です。

 そうは言っても、やはり 2 年間で心筋梗塞を 1 例は見てほしいのだというのであれば、その症候とは別に疾病というカテゴリーを立てて、そこに研修のミニマムリクワイアメントを課していかなければいけない。実際に研修をコーディネートしている立場から言うと、この A 疾患と呼んでいるもののレポートを書くというのは、この研修内容をかなりドライブする内容になっているので、インパクトは非常に大きいと思います。ですから症候ベースでいくのか、疾患も加えるのか、二本立てでいくのか。今、疾患は A 疾患と B 疾患と分かれていますけれども、研究班としては、 B は症候に統一してもいいだろうと。だから A だけマストにするのか、それとも症候でまとめてしまうのか。それは、このワーキンググループで皆さんの意見を伺ってからという議論になっています。

○高橋構成員 御意見をということなのでお話します。 A 疾患だけでいいと思います。ただ、 A 疾患をなくして、症状ベースのみにするというのは反対です。その根拠は、現場で研修医を指導している身からして、疾患が全てなくなってしまうと、本当に経験症例が少なくなってしまう可能性を危惧します。最低限 A 疾患に載っているものは経験しなければならないのではないかと思います。

10 疾患がどうしても必要かと言われると、 10 でいいか、 20 がいいかは分かりませんけれども、今まで 88 疾患あって、 A 疾患が 10 個あるのだから、今回の見直しでは、 A に絞ってみたらどうでしょうか、疾患の選択は次にまた検討したらいかがでしょうかというのが私の意見です。

○前野構成員 まず、疾患というスキームを立てるかどうかが 1 つです。もちろんそのときは現在の必須項目である A 項目が、議論のベースになると思います。ただ、この疾患の出し入れはなくてもいいのかと。そういうスキームでいくなら、残す残さないを議論すべきだろうと思います。

○高橋構成員 それに対してですが、 A 疾患の中の出し入れというと、その評価・判断が難しいので、現在の流れの中で、取りあえず今回は A を選ぶというのではどうでしょうか。

○前野構成員  A の中に挙がっているもの、例えば B を全部落とすのだったら、これは A に挙げておこうとか、あるいは A に非常に似たような領域が多いという領域がありますよね。

○高橋構成員 はい。

○前野構成員 その領域はこんなに全部要るのだろうかということを見直してみるということです。

○高橋構成員 よく分かります。そのことを考えた上で、なかなかその加減と言いますか、疾患選定の上での綱引きと言いますか、それが非常に難しいだろうと判断しての発言です。

○福井座長 絞り込んだ疾病名挙げるという御意見だと思います。それから症候もこんな多数でいくのかどうか。症候によっては、外来での研修の期間をどうするのかということも絡んできます。

○前野構成員 同じように症候も、これをマストとできればに分けるのか、それとも、例えば 1 つでも診なかったら研修を修了できないのかという議論も必要になります。今のところ症候は全部リストに挙がっていますよね。

○福井座長 ええ。

○前野構成員 ですから、それを今から仕分けるということでよろしいですか。

○福井座長 本日の資料の症候は、日本医師会の生涯教育の 55 をメインにして、御意見を頂いた 3 4 項目を付け加えるたものです。

○前野構成員 現行の研修目標にはもう 1 つカテゴリーがあって、特定の場の経験というカテゴリーがあります。もし経験目標としているのであればここに入れなければいけない。例えば人の死とか、そういう項目もマストにするのならばそういうところもこのカテゴリーに挙げないといけないことになってくると思います。

○福井座長 人の死について、経験の所にでしょうか。

○前野構成員 要するにこのコンピテンシーと、 EPA を入れるかどうかは伴先生から御意見がありましたように議論になると思います。現時点では、何らかの条件を盛り込むとすれば、ここに入れるか、あとは方略に入れるという話です。

○田中構成員 この資料の 153 ページに、前野先生がおっしゃっている、場の経験というのが具体的に書かれています。

○福井座長 特定の医療現場の経験を別立てにしたほうがよろしいですか。

○前野構成員 要するに新しく変えるとすれば、これがどこに行くかという議論が必要だと思います。作るなら作る、やらないのならやらない。この前の研究班の意見では、ここを方略に入れる。目標というよりは、必ずこういう場を回るということで、方略に入れるという意見も出ていました。

○福井座長 かなりの部分が目標の資質・能力の所に組み込まれているのではなかったですか。

○前野構成員 人の死を理解することと、人の死に立ち会うこと。要するに人の死に思いを致すというコンピテンシーがあれば、現実に臨終の場面に立ち会わなくてもいいのかという議論が必要だと思います。全てのコンピテンシーを厳密に測れば、場というものはマストではないのかもしれませんけれども、実際に研修をコーディネートしていく中では、ある程度明示的な、経験した、しないというチェックはある程度明確なほうがやりやすいとこは事実です。確実に全ての研修医がそこを経験する。そういう評価が結局はローテーションをかなり変えていくので、そこをどうするのか。実質的にはかなり大きなポイントになるかと思います。

○福井座長 経験症候、疾病、あとは何を書けばいいですか。

○前野構成員 特定の場でも、例えば救急はローテーションもあるので、みんなが到達できると思うのです。これで言うと議論として一番分かりやすいのは、臨終の立会いの経験です。これを、何らかの形で明示して義務付けるかどうか。

○田中構成員 決めたことから下りていったほうがいいと思うのです。研修目標はコンセンサスが得られたという理解で正しければ、それを実現するために必要な場は何なのかということになるだろうと思うのです。実際に研修をマネージする立場からすると、場がはっきりしているほうがやりやすいというのは前野先生がおっしゃるとおりです。この目標をベースにして、こういう場が必要だというのを、もう一遍 153 ページに書かれているような場が本当に新しく設定された目標で必要なのかどうかをワーキンググループで検討していただいたらいいのではないかと思います。

○福井座長 研修診療科の所を変えて、そういう研修の場に。

○田中構成員 例えば、救急医療の現場を経験するというのは、こちらの目標から考えても、どうしても必要な感じがします。チーム医療の実践で書かれている以上は、地域医療の現場で研修するというのは現実には必要なことになるのではないでしょうか。

○清水構成員 私も同じです。これを 1 つずつ医療現場の経験というように別仕立てをするのは大変だろうと思うのです。福井先生がおっしゃったように、目標の所で資質・能力などで触れられているものについてはここでやることにして、前野先生がおっしゃった、終末期の医療などについては、参考資料 4 の緊急を要する症状・病態のような所に組み込んだらいいのかと思います。せっかく卒前から卒後、生涯学習に至るまで一貫性を保とうとして目標を作っているのであれば、頻度の高い症状・症候については、一定のどのレベルでも共通のものにしておいたほうが今後のためにはいいのかと思います。

○伴構成員 今の日本で臨床研修をやっているのは、欧米の医学部の最終学年ないしはその 1 年前とほぼイコールということをやっています。そうすると、向こうのクリニカルクラークシップでは、特に何科何科ではなくて、ある程度地域で長期的に科を、ブロックで回るのではなくてという考え方がだんだん浸透してきています。福井先生がちょっと言いかけていた診療科というのが、大きな病院で各科があって回るという概念にとらわれている。それをほんの少し広いような、救急が経験できる場とか、そのような言い方をしたほうがいいのかもしれません。

○福井座長 話を伺っていると、ここにうまく書き込めれば、場所的にはいいのではないかと思います。

○片岡構成員 現場で理解して活用できないと、いくら良いものを作っても、結果としては変わらないということになってしまう。私も現場の意見としては、「場の設定」というのは、ローテーションを組むとか、研修内容を考えるときに非常にやりやすいので、どこに入れるかは別として、あったほうがいいという皆さんの意見に賛成です。

 症候に関してはブラッシュアップが必要だと思うのです。整合性を持たせるという意見に賛成ではあるのですが、先ほど御指摘がありましたように、 100 %経験すべきはずのものが、 6 割だったり 7 割だったりと実際には経験できていないという現状があるわけです。その中で、これから取捨選択する中で特に経験割合が低いところ、例えば結膜の充血なのですが、低いから要らないのか、低いけれども要るのかという議論が必要だと思います。

○中島構成員 参考資料 4 というのは、今回作られた表ですか、前回も出ていましたか。

○福井座長 前回出していただいたものです。

○櫻本医師臨床研修専門官 前回出させていただいてものを、更にブラッシュアップしたものです。

○中島構成員 それにしてはブラッシュアップできていない。緊急を要する症状・病態でしょう。精神科領域の救急というのは、病態でも症状でもありません。

○福井座長 すみません、変更しておりませんでした。今回の資料 1 のほうは変更しておりますので、これに合わせて作業をお願いします。

○前野構成員 この参考資料は、現行の研修制度で試しにマトリックスを作ってみたものです。この項目は、現行が変わらない限り、ここの精神科領域の救急は変わらないと思います。これは、あくまで今のマトリックスに当てはめたらこうなるというシミュレーションとお考えいただければと思います。

○中島構成員 精神科領域には、救急というのがマトリックスの 1 つの事項で入っているのですか。だけれども、それは症候でも病態でもないから違うよと言っているのです。

○前野構成員 分厚い資料の 149 ページを御覧ください。現行これで入っております。

○福井座長 これがけしからんと、先生はずっとおっしゃっています。

○前野構成員 はい。それなので、これを基にシミュレーションしているので、ここが変わらないのが。

○中島構成員 これが間違っているのね。

○前野構成員 はい、すみません。

○中島構成員 そこに気が付かなかった。

○大滝構成員 関連して意見と、情報提供です。意見は、御存じのように専門医制度が見直しになって、特に内科はかなり前倒しになります。それに関係して、初期研修の経験症例が、臓器別の専門の経験症例としてもある程度利用できる方向で、ほぼ決まったと伺っています。私は内科学会の専門医制度の認定専門医の試験の書類審査を 10 年以上やっています。ある臓器別の科に回りながら、こじつけて全ての領域の疾患を経験したとして症例報告を出す人が後を断たないのです。そのような動きが今度は初期研修にも及んでくるのではないかという危惧を持っています。

 経験すべき症例を症候だけで縛ると、心筋梗塞で入院した人の眼が赤かったとか、ピロリの除菌で入院した人が眠れなかったとか、そういう形で経験症例を提出する状況になる可能性も若干あるのではないか危惧しています。「この症候はこういう疾患で経験することが望ましい」程度の指針はあったほうがいいと思っています。これが意見です。

 それに関連して情報提供です。先ほど来話題になっている、モデル・コア・カリキュラムがパブリックコメント募集の段階に入りました。その中に、コア・カリキュラムのほうも症候をどのように学ぶかということをある程度入れようと、かなりユニークなものですが、例示という形です。間違っていたら企画官からご指摘ください。 37 項目の症候それぞれに対して病態、それから臨床推論を学ぶのに望ましいと思われる疾患を例示してあります。

 具体例を読み上げると、もの忘れですと、病態としては血管性、変性、精神疾患、免疫膠原病、腫瘍などが入っています。精神疾患には、鬱病、双極性障害など、それから変性疾患では認知症、パーキンソンなどが挙げられてます。これらは、必ず全部をやりなさいということではなくて、この症候について学ぶのに望ましいとして、この範囲の中でどれで学んだかをチェックするリストを、例として挙げてあります。パブリックコメントの結果などで、ここを全部削れということになるかもしれませんが、御紹介しました。

○福井座長 よろしいでしょうか。頂いた意見をベースに、研究班のほうで検討して、次のワーキンググループに提出したいと思います。資料 1 についてはここまでということにします。続いて資料 2 の、臨床研修修了者アンケート結果について事務局より説明をお願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 資料 2-1 、資料 2-2 、資料 2-3 の説明をさせていただきます。まず、資料 2-1 を御覧ください。こちらは臨床研修修了者アンケートがまとまり、基本的には聞いている内容を全て資料に入れておりますので、御参考にしていただけたらと思います。ただ、事前にも御覧いただいているかと思いますので、大まかな点だけを読み上げさせていただきます。

 まず、 2 ページ目です。この調査は回収数 6,034 の回収率は 77.7 です。臨床研修を行った病院は大学病院が 40.8 %、臨床研修病院が 55.8 %です。右側には、出身大学と臨床研修病院での移り変わりのブロック別の動きが書かれておりますので、御参照いただけたらと思います。

4 ページです。医学部進学と同時に出身地を離れて、そのまま戻らないケースが最も多いということで、ずっと出身地以外にいる方が 39.2 %です。 4 ページ、 5 ページは男女別と年齢別です。 6 ページを見ていただくと、 3 分の 1 が出身地の医学部に進学しています。 2 分の 1 が出身地で臨床研修を受けています。 7 ページを見ていただくと、 2 分の 1 が出身地での勤務を希望、 2 分の 1 が医学部の所在地で臨床研修を受けています。 8 ページ目は、 2 分の 1 が医学部所在地での勤務を希望。これが一番多いのですが、 4 分の 3 が臨床研修地での勤務を希望していることから、臨床研修地が一番働く場所との関係性が強いことが分かります。

9 ページ以降は、例年出させていただいているものですが、 10 ページ目の研修前と研修後で、希望している診療科名の動きを見ています。麻酔科、精神科、皮膚科、眼科、泌尿器科、放射線科、形成外科等は増加傾向にあります。逆に、内科、外科、小児科、産婦人科などは減少傾向にあります。 12 ページは男女比ですが、産婦人科、麻酔科、皮膚科は女性の割合が研修前後とも 5 割を超えています。また、外科等でも、最近では女性の割合が 2 割を超えている状況です。 13 ページ以降は研修前後の動きを絵にしたものですので、御参照いただけたらと思います。

20 ページ目以降にはいろいろとマトリックスを書いていますが、 22 ページ目を御覧ください。縦軸に研修前の希望、横軸に研修後の希望を書いています。例えば内科で言えば、研修前に内科を希望していて研修後も内科を希望したのが 77.5 %、横軸を見ていただきますと、例えば麻酔科ですと 3 %で、研修前に内科を希望していた方でも 3 %は研修後に麻酔科に移っています。このような見方ができると思います。

23 ページ目は見方を変えたもので、縦軸が 100 %ですが、どういうことかと申しますと、横軸の研修後を見ていただくと、最終的に内科系に入った人の全員のうち、もともと内科希望だったのが 82.7 %、もともと外科を希望していたのが 3.2 %というような見方をしていただけたらと思います。

25 ページ目は臨床研修後に勤務する病院です。大学病院が 51.5 %、大学病院以外が 42.9 %です。 26 ページが入局予定で、入局は全体の約 7 割、大学病院では約 9 割で、臨床研修病院では約 6 割が入局を予定しています。 27 ページは PhD の取得を希望する方で、全体の約 4 割です。大学の病院のほうが臨床研修病院と比べて若干多い傾向があります。

28 ページ目は進学の時期です。臨床研修病院と比べると大学病院のほうが、より早く大学院の進学を希望されております。 29 ページは、医学博士の取得希望を有する方に聞いたのですが、研究分野を聞くと、臨床が 5 割、基礎が 2 割、社会医学は 2 %程度です。 30 ページは、専門医資格の取得の希望を見ると 9 割以上が取得を希望しており、領域別の希望者数は下のグラフです。

31 ページは、研修医の基本的な診療能力についての経年的評価で、例年出させていただいているものですが、大体右肩上がりに上がっている状況です。 32 ページは、子育てと勤務を両立するために必要なものという、いわゆる男女共同参画にも関係するものですが、子育てをしながら勤務を続ける上で必要と考えられるものということでは、職場の雰囲気と理解が一番高い傾向にあります。 33 ページは、臨床研修の満足度を 5 段階で聞いていますが、 5 が満足しているとなります。全体を見ると、おおむね 5 から 4 を選択している方が 6 7 割以上あります。比較すると、左下の処遇がほかと比べると 3 以下が多い傾向があります。また、大学病院と臨床研修病院を比較しますと、臨床研修病院のほうが若干満足度が高い傾向にあります。

 続いて、 35 ページ以降が、地域枠と奨学金受給者の割合です。人数を書いてあって、 36 ページは奨学金の支給元、 37 ページ、 38 ページは、要するに義務年限はあるかというような話を聞いています。 39 ページの 5 番目は、義務年限というよりは、特定の診療科への義務があるかを聞いていまして、 39 ページが少しポイントとなりますが、免除要件というのは、いわゆる義務年限で 9 年間働くといったようなものですが、その義務年限、免除要件を満たしている中で、いわゆる専門医や学位を取得するためのプログラムが受けられるかどうかを聞いております。御覧いただきたいのは緑の所の 10.9 %の所です。これは、専門医や学位の取得の希望はあるのですが、免除要件に定められた期間中は研修を受けられないので取ることができないといった方が、 1 割ぐらいあるということがデータから分かります。

40 ページ目は、医師不足地域で従事することへの考え方で、非地域枠入学者かつ非奨学金受給者に聞いてみると、積極的に医師不足地域て従事したいと考えている方は 5 %弱、条件が合えば従事したいという方が大体 6 割弱、条件にかかわらず希望しない方が 1 割強いるという状況です。

41 ページが、臨床研修で身に付いた能力を上から順番に、「確実にできる、自信がある」「だいたいできる、たぶんできる」ものを、 n 6,000 程度で出しています。これは非常に項目が多いので、御覧いただけたらと思います。

46 ページ目以降は、これをクロス集計しておりまして、大学病院のほうが特に身に付いたといったものが 46 ページで、「確実にできる、自信がある」「だいたいできる、たぶんできる」の合計値が 3 %以上ポイントに差があったものです。大学病院では、例えば眼底所見、甲状腺の触診、尿沈査が多いとなっており、 47 ページについては、臨床研修病院のほうが特に身に付いたものが多いというものです。 48 ページは経験者症例数で、先ほどこれについていろいろと御議論いただきましたが、これは単純に例数を聞いておりまして、 48 ページが症状・病態、 49 ページと 50 ページが疾患です。 51 ページ、 52 ページも、先ほどと同じように大学病院と臨床研修病院での特に経験した症例というものを出しておりまして、 51 ページの大学病院では不眠と緑内障が特に多かったです。 52 ページについては、ほかのいろいろな症候等を書いていますが、 52 ページが症状と病態、 53 ページが疾患です。 54 ページが、作成した医療記録数です。以上が臨床研修医に聞いたものです。

 資料 2-2 は指導医に聞いたものです。 n 数が 2 2,349 です。 3 ページから 6 ページ目までは、答えた方の属性等が書いてありますので、御覧いただけたらと思います。

7 ページ目以降ですが、こちらは青と赤の線がありますが、青は臨床研修が必修化される前で、平成 15 年以前に臨床研修を修了されて、今指導医をされている方です。赤が平成 16 年以降、必修化が始まった後に研修を受けられて、今指導医をされている方に、「臨床知識等を修得する機会は今までにありましたか」という聞き方をしておりまして、そのクロスを取ったものです。これを御覧いただきますと、ほぼ全ての項目で、平成 16 年以降の臨床研修修了者の方のほうが高いという結果が出ています。

11 ページ目以降は、実際に習得した方に「役立ちましたか」ということを聞いていて、青と赤の「役立っている」「少し役立っている」という方が多い項目が多いのですが、例えば 11 ページですと、上から 2 番目の眼底所見、下から 4 番目の女性附属器の腫脹の触知等、一部ほかと比べると「余り役立っていない」と答えられている方が多いものがあります。これが 16 ページまで続いています。

 資料 2-3 を御覧ください。こちらは例年出しているもので、日本地図で各都道府県における若手医師の動向についてです。 2 枚目を見ていただくと、例えば北海道です。これの見方は、北海道は医学部が 3 個ありますが、そのうち北海道の出身者が 54.2 %、医師 1 年目の臨床研修について、北海道の大学の出身者で北海道に残った方が 68.7 %、 3 年目以降の将来の希望では 62.7 %が残ったということになりまして、全ての都道府県でデータを出しております。

 全体的な傾向としては、一番左の、いわゆる地元から入ってこられた方が多い都道府県ほど、医師 1 年目あるいは将来の希望で、大学出身者が残る割合が一般的に高い傾向があります。幾つか例外はありますが、各都道府県を御覧いただけたらと思います。アンケートの説明は以上です。

○福井座長 御意見、御質問はございますか。かなり急いで説明していただきましたが、内容はかなり重要なものを含んでいます。

○大滝構成員 これは本当に素晴らしい資料だと思いますし、お金も結構かかっているのではないかと思いますので、毎年やってくださいとは言いませんが、こういったデータを数年置きぐらいでもきちんと出していただけると、こういったものに基づいていろいろな検討ができるので、とても有り難いと思いました。

○福井座長 資料 2-2 の指導医について、臨床研修が必修化された後に卒業した指導医と、それ以前の指導医との差がかなり明確なのですが、義務化される前の先生方は相対的には年長者ですので、記憶に関する交絡因子、が心配です。全体的に見ますと、これだけはっきりしていますので、随分バックグラウンドが違うということになります。非常に impressive なデータだと思います。

○田中構成員 質問です。例えば 11 ページなどの「役に立ったもの何だったか」という興味深いデータがあるので、これは先ほどから議論になる症候や疾病の絞り込みにも参考になるデータだと思いますが、この対象の医師というのは、平成 15 年以前の人と平成 16 年以降の人と、両方が含まれているのでしょうか。

○櫻本医師臨床研修専門官 はい、両方を含んでおります。聞き方としては、一覧のうち、修得したかしないかに○を付けていただいて、○を付けた所にのみ「役に立ちましたか」という聞き方で全員に聞いております。これはクロス集計で出していないのですが、全体での結果がこれになります。

○田中構成員 分かりました。経験しなければ、役に立つとか役に立たないとか言えないので。

○金丸構成員 資料 2-3 で改めて実感したのですが、どれだけ地元の人が地元の大学に行くかということ、もちろんその後の定着にもつながるというのは分かるのですが、それ以上に初期臨床研修医でどれだけの数が県内で初期臨床をしたかが、 3 年目以降に数字として出るということを、改めてこの調査で理解を深めることができました。そこに対する努力が、我々の現場では足りないのか、必要だということを実感したところです。

○古谷構成員 私は少し意見が違います。まず、できるというレベルを自分で評価するときの閾値が、ある程度年齢がくるとどんどん上がってくるのではないかと思うのです。例えば若い人は、甲状腺の位置が分かって触れれば、それで「できる」ということになるかもしれませんが、の年齢があがると、きちんと触れて、例えばバセドウ病が判別できるとか、臨床的に意味のある結果を得ることができてはじめて「できる」ということになって、年齢とともに「できる」というものの閾値が変わってくることが集計の結果に出ているということです。

 もう 1 つは、 OSCE をやったために「できる」とおもっている。 OSCE はできることを前提にしているわけではなくて、例えば頸部リンパ節の触診では、そこに手が行くかどうかということを評価しているのです。頸部の適切な位置に手が行っているかです。そうではなくて、ちゃんと「できる」ということは、例えばこれが反応性リンパ節腫脹であるとか、がんのリンパ節転移であるということを評価できるかとかということなのです。

 このように見てみると、一つ一つの身体診察の項目であるとか、一つ一つの経験項目の「できる」という数値が高すぎますので、私はとてもこのデータを信用できないというのが正直な感想です。

 例えば心尖拍動をこれだけの多くの研修医が触診できると思っているのかというと、ちょっと違うのではないか。実際に私の周りにいる研修医で、心尖拍動の触診がきちんとできるというか、若しくはきちんと位置が分かっていて触知できる研修医も余り多いわけではないです。それはうちの病院のレベルが低いのかもしれませんが、そうではないと私は思っていますので、その実情に合わない部分があると思います。したがって、アンケートだからこう答えたということ、年齢による閾値の変化が大きく関わってきているということなどが大きく影響していると考えられ、信頼できるデータとしての価値は低いと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 全体についてはいかがでしょうか。到達目標、特に方略・評価をこのように更に進めるようにとか、そういう御意見がありましたら、是非伺いたいと思います。

○金丸構成員 先ほどの発言に言葉が足りなかったので、誤解があったらと思いましたので、確認です。参考資料 2-1 です。中島先生がおっしゃったように、文言、姿、このとおりにいろいろな努力と結果で整理されたもので、それをどうこうではなくて、本当によくできて整合性もあると。

 ただ、後半の下のほうです。コア・カリキュラム、卒前と卒後の 4 番目にあるコミュニケーション能力は、同じ並列でするには、全てに関わる、これがあることが医学知識、技能、患者ケア、チーム医療、全てに安全に関わっていく幹なる幹ではないかと思ったものですから、 4 2 に上げて、 2 3 に繰り下げるという捉え方はどうなのかなという発言です。

 先ほどの説明で、佐々木企画官が順序も相当練っていただいたというのも理解はしていて、私自身も分かるのですが、こういう捉え方でいくと、コミュニケーションは 2 に上げてはどうかという 1 つの提案ということです。どれも正しいし、大事だし、大切だという認識は変わりませんので、誤解がないようにと思いまして、そういう内容です。

○高橋構成員 失念しているかもしれませんが、このワーキングの最初の頃のタイムスケジュールに比較して、遅れが出ていると感じていまして。

○福井座長 大分遅れています。

○高橋構成員 それで、今後の修正のタイムスケジュールの方針、もちろんそのときどきで変わると思うのですが、今の段階でどのように予定しているのでしょうか。

○福井座長 事務局からお願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 今後の予定も含めて御説明させていただきます。まず、本日ワーキングで頂いた御議論を踏まえまして、研究班で修正案に進めさせていただきます。

 当座の目標としては、年度内を目途に、今頂いた目標案等を、ある程度は固めさせていただいて、その方略と評価についても、引き続き議論を進めさせていただきます。

 最終的なゴールは平成 32 年が改定になりますが、もちろん平成 32 3 月に終わらせるという意味ではなくて、平成 32 4 月を目途に、それから逆算しておきますと、例えば平成 31 年には準備の期間、あるいはマッチングが始まりますので、今後の平成 29 年と平成 30 年、少なくとも平成 29 年度中には、一定の取りまとめが必要と考えております。

 中長期的にはそのように考えていまして、近々では来年の 1 月、 2 月を目途に、もう一度ワーキング等のスケジュールを取らせていただいて、そちらでまた新しい案を出させていただいた後に、この上にある臨床研修部会でも御議論いただくことになるかと考えております。

○清水構成員 事務局に質問です。当初は平成 28 年度末で仕上げて、来年 4 月には部会に上げて審議を始めると伺っていたと思うのですが、このワーキンググループの報告書が平成 29 4 月以降になることもあり得るという意味でしょうか。

○櫻本医師臨床研修専門官 それは議論の進め方に応じては、そういったスケジュールもあり得るかと思います。

○清水構成員 何を申し上げたいのかと言いますと、あと 3 か月でまとめるには厳しいのではないかと思うので、もし進めるとしたら何らかの工夫が要るのではないかと思います。

○福井座長 次回の会議には、今回の資料 1 をブラッシュアップしたものを出しますが、そこで最終案を決めることは無理だと思います。平成 29 年度に入ってからも、もうしばらく、更に精緻なものにする作業を、このワーキングでお願いしたいと思います。それが平成 29 年度丸々 1 年かかるかどうかはよく分かりませんが、できることなら平成 29 年度中のどこかで、上の臨床研修部会に上げられればと思っています。

○櫻本医師臨床研修専門官 今、座長から御説明いただいた御指摘のとおりで、今回のこの議論をする際に、目標という部分と方略という部分と評価という部分の 3 段階があります。例えば評価の仕方について、どこに何をして、評価のマニュアルと言うか、フォーマットはこうでということを、全部ガチガチに来年の 3 月までに固めるということは難しいのではないかと考えています。

 一方で、今は目標の部分については御議論してかなり詰まっているところもあると思いますので、そういった段階に応じて臨床部会に上げつつ、ワーキングでも御検討いただきながら、最終的には平成 29 年度末かどうかは別として、平成 29 年度以降も引き続き御議論いただいて、一定のところで取りまとめを頂くというスケジュールと考えております。

○福井座長 ほかにいかがでしょうか。

○田中構成員 資料 1 の最後の修了基準ですが、先生の所の作業チームで御検討いただいたらどうかと思うことが 1 つあります。修了は上限が設定されていないのです。要するに、 10 年やっても大丈夫となっているのです。例えば大学でも在学年限というのが 10 年とかあるのですが、全くないので、例えばいろいろな事情で途中休止する期間があるのはあってもいいと思いますが、 10 年前に経験した病気が、そのままカウントされていいのかとか、そういう議論はあってもいいのではないかと思うので、御検討いただけたらと思います。

○福井座長 例えば 4 年以内に修了することとか、そういうことでしょうか。

○田中構成員 そうですね。休止期間は病気とかいろいろ事情があってしようがないと思うのですが、実質的な臨床研修の期間は上限がある程度縛られてもいいのではないかと思うのです。

○中島構成員 休止期間は、子育てとかいろいろなものを入れると結構長くなりますから、実質的に研修している期間と。

○福井座長 ほかにはいかがですか。

○中島構成員 それを言う前に、先ほど妙な怒り方をして大変申し訳ごたさいませんでした。緊急を要する症状・病態、これが間違いなのです。だから、前の人が間違っていたわけです。先生の間違いはございません。本当に申し訳ございませんでした。

 それから、具体的な評価を見たことはないのです、私の病院は協力病院ですから。評価は 3 段階でしたか。どういう評価なのですか。マルかバツか。

○前野構成員 何段階にするかはまだ決めてはおりません。それもこれからの議論になります。

○中島構成員 自由なのですか。

○前野構成員 自由というか、ある程度の構造化は必要だろうと思っていますが、今のように、 3 段階で「十分できる」「できる」「不十分」というのは、余りに大雑把なのではないかということです。

 あと、十分とは何かということで、段階も判断基準も今は非常に曖煤なので、今はそこを見直そうというところが一番大きな議論です。

○中島構成員 これは私の個人的な感想なのですが、できるだけ四段階、要するに偶数評価にしてもらいたいのです。そうしないと、日本人は真ん中に付ける癖があるのです。これは諸外国に比べて圧倒的に多いです。そうなると評価にならないと思いますので、よろしくお願いいたします。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、予定より 15 分ほど早いですが、本日の議論はここまでとしたいと思います。事務局から、今後の予定等について連絡がありましたらお願いいたします。

○櫻本医師臨床研修専門官 先ほどの補足に近いものになりますが、参考資料 1 を御覧いただきますと、 2 ページ目に今後の予定を出しています。これに書いてあるように、平成 29 1 月か 2 月に、ワーキンググループを開催させていただいて、 3 月には到達目標のほうの一定の取りまとめ、方略・評価方法については、必要に応じ引き続き検討ということで示しています。以上です。

○福井座長 文科省の佐々木企画官からは何かございますか。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 先ほどパブリックコメントのことを御紹介いたしましたが、来月の 12 日まで取っておりますので、別途様々な形で伝わるようにいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋構成員 次回は 2 22 日に決定ではないのですか。

○櫻本医師臨床研修専門官 また連絡をさせていただきます。

○福井座長 本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

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