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2016年11月24日 第62回がん対策推進協議会(議事録)
健康局がん・疾病対策課
○日時
平成28年11月24日(木)14:00~17:00
○場所
厚生労働省 18階 専用第22会議室
○議題
(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
・がんに関する相談支援と情報提供について
・がんの教育・普及啓発について
・がんの予防、がん検診について
(2)その他
○議事
○門田会長 定刻になりましたので、本日の第62回「がん対策推進協議会」をただいまより始めたいと思います。
記録的な寒さの中、大変な足元の中、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、委員の出席状況について、事務局より御報告をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
本日の委員の出席状況について御報告いたします。本日は、川本委員、北川委員、宮園委員、湯澤委員より御欠席の連絡をいただいております。なお、現時点で委員総数14名の皆様に御出席いただいておりますので、協議会開催の定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、本日は、がん検診のあり方に関する検討会座長、東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座腫瘍外科学分野教授、大内憲明参考人に御参加いただいております。
また、国立がん研究センター社会と健康研究センターセンター長、津金昌一郎参考人に御出席いただいております。
以上をもちまして、傍聴される方におかれましては、撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。
また、携帯電話等、音の出る機器につきましては、電源を切るかマナーモードに設定いただく等、会議の妨げとならないように静粛にいただけますようお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○門田会長 それでは、引き続き資料の確認を事務局からお願いいたします。
○事務局 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1 がん対策推進協議会委員名簿
資料2 各検討会の検討状況について
資料3 第61回がん対策推進協議会での主な御意見
資料4 がんに関する相談支援と情報提供について~議論の背景~
資料5-1 京都府がん総合相談支援センターについて
~地域統括がん相談支援センターの必要性~(松村委員提出資料)
資料5-2 病院以外での相談支援の試み
~「がんとともに生きる」を支える~(秋山委員提出資料)
資料5-3 患者にとって必要な相談支援を考える
-相談支援(ピア・サポート)の現状と課題-
(桜井委員、勢井委員、難波委員、馬上委員、若尾委員提出資料)
資料6 がんの教育・普及啓発について~議論の背景~
資料7-1 がん予防~がんにならずに健康寿命を延ばす!~(津金参考人提出資料)
資料7-2 がんの予防・早期発見について~議論の背景~
資料8 がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理概要
また、お手元の委員提出資料を確認させていただきます。
桜井委員、勢井委員、難波委員、馬上委員、若尾委員提出資料
・がんに関する情報提供、普及啓発について
・がんの予防、がん検診について
また、お手元には机上資料ファイルと参考資料をそれぞれ御用意しております。
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○ 門田会長 ありがとうございました。
何か資料に問題はありませんでしょうか。よろしいですか。
ないようでしたら、本日のまず最初、報告から進めたいと思います。
報告事項(1)「都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会からの提案と報告について」ということで、事務局からお願いいたします。
○事務局 平成28年11月1日に、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会議長である、国立がん研究センター中釜理事長から、健康局長に対して「第3期がん対策推進基本計画の策定に向けたがん診療連携拠点病院に求められる機能の充実に関する提案」と「がん相談支援センターからみたがん対策上の課題と必要と考えられる対応についてのご報告」を御提出いただきました。
お手元の資料に、第61回がん対策推進協議会の参考資料をお配りしておりますが、提出いただいた資料と同じ内容と伺っておりますので、本日、机上配付させていただいております。
以上でございます。
○門田会長 この件に関して、中釜委員、お願いいたします。
○中釜委員 2ページ目の「第3期がん対策推進基本計画の策定に向けたがん診療連携拠点病院に求められる機能の充実に関する提案」では、連携拠点病院が果たしてきた役割は非常に大きいということで、引き続き、その充実を図るべくということで御提案をしています。診療連携拠点の今後のより一層の機能充実は、絶対的に必要であるということと、ゲノム医療や希少がんに対して、その医療提供体制においては、従来の均てん化に加えて、一部集約化というところのバランスを考慮しながら取り組むべきであろうということをお願いしたいという内容であります。項目としては1から15に分けて書いてありますので、読んでいただければと思います。これまで議論されたものが整理された形になっております。
私からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
よろしゅうございますか。
それでは、報告事項の(2)「各検討会の検討状況について」に移りたいと思います。
事務局から御説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 がん対策推進官でございます。
資料2「各検討会の検討状況について」、御説明申し上げます。
がん診療提供体制のあり方に関する検討会につきましては、本年5月以降4回にわたりまして御議論いただき、第61回、前回の当協議会において、がん診療提供体制のあり方に関する検討会における議論の整理を御報告いただいたところであります。
また、がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会につきましては、本年5月以降、現在4回にわたって御議論いただいており、次回、第5回でこの検討会における議論の整理案の取りまとめに向けた議論を行う予定でございます。
裏のページをごらんください。
がん検診のあり方に関する検討会につきましては、同じく本年5月以降、4回の検討会、また、3回のワーキンググループを開催して検討を進めてまいりました。本協議会、今回の協議会においてがん検診のあり方に関する検討会における議論の整理を報告することとなっております。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
ただいまの御報告、何か御意見はございますか。よろしゅうございますか。
よろしいですね。
それでは、ないようでしたら、本日の議題に入りたいと思います。
前回の協議会で皆さん、御意見を出していただいておりますが、この要約について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○がん対策推進官 資料3「第61回がん対策推進協議会での主な御意見」をごらんください。
前回いただきました主な御意見につきまして、次期基本計画の全体目標とがん対策の指標について、また、がん医療の充実についてということで、がん診療提供体制のあり方に関する検討会における議論の整理について、がん対策における歯科医師の取り組みについて、がん診療ガイドラインの運用等について御意見をいただきましたので、項目ごとに記載をしております。
以上です。
○門田会長 前回、桜井委員から参考資料を出していただきましたが、説明をしてほしいという話があってきょうになっていますが、そのあたりの説明をしていただけますか。
○桜井委員 ありがとうございます。
前回欠席をいたしましたが、その際、提出させていただいた資料で情報提供のあり方というところで、HONコードというものについて御紹介をさせていただいております。HONコードは主にアメリカで行われているものなのですけれども、いわゆるNPO法人の認定団体が行っておりまして、アメリカでも情報がかなり混乱している、特に医学情報が混乱しているというところから、ルールを決めて、審査を行って、認定されるとHONコードというマークを配付して、ホームページに掲載することになっています。これがかなり信用性が高いということで、例えば海外のいわゆるがんセンターの主なところは全てこのロゴマークが貼られているかと思います。
こういうものが日本でもできるのではないかという提案を含めてさせていただきます。例えば日本でこのHONコードの審査基準、8つ項目があるのですけれども、これに基づいて、とある大手検索サイトで、例えば「がん 治療」という一番検索しやすい言葉で入れたときにどのような結果になっているのかというところが、この表になります。1、2、3、4、5、6、7、8、これはHONコードのほうで、それぞれ英語を日本語に訳していただいております。主だったところは、専門の資格がなくても見られるような客観的な項目になっています。例えば出典がちゃんと明記されているかとか、論文が載っていれば、それの引用先がちゃんと書いてあるのかとか、更新日が書いてあるのかとか、主催者が何なのかとか、お金の流れはどうなっているのか、そういう誰でも見れば調べられる8つの項目で行われています。
これで検索いたしますと、7月19日に行ったのですけれども、この言葉で検索すると0.39秒でこれだけの件数が出てくるのです。このうちの上位10位に当たってくるものを調査しました。一般的にインターネットは、上位順、上がってきた順、上からあけていくのがホームページの見方になっています。これをみていくと、上位第1位になっていたところはバツ、バツ、バツ、バツと。これは全然対象外になります。HONコードが認められない。第2位もそうです。バツがあるものはもうだめです。第3位、第4位、だめです。5番目にようやく全部丸がつくものが出てくるのです。ただ、これは製薬企業のホームページでした。それから、次の6位はニュースサイトが上がってくるのです。だから、これもバツです。7位が実は国立がん研究センターになっていて、これはもうHONコードをとれることになっています。全部丸がつきます。上位10位の中で、HONコードがとれる、このHONコードの審査基準に合っているところは2つしかないのが日本の現状です。アメリカだと、これは全然逆転していきます。HONコードをとっているところが上位に上がっていきます。このがん研究センターの情報サイトは非常に優秀なサイトですので、できれば、私はこれが上位1位に上がるぐらいにならないとまずいのではないかと思っています。患者になる前の方、一般の方たちは上からあけていったときに、どうしてもバツが多いところからあけていくのが現状ですので、混乱した状態にならないためにも、ロゴマークのようなものをつくって、学会で共同で発表するとか、そういう取り組みも今後必要なのではないかということで、つけさせていただきました。
少し長くなりました。申しわけないです。
○門田会長 ありがとうございました。
以前からこの件については何とかならぬかという御意見があったところですが、こういう方法でやられているという御報告でございました。
それでは、この全体の事務局から御報告いたしました前回の主な意見について、何か御質問あるいは御意見はございますか。よろしゅうございますか。特にないですか。
それでは、その次に「がんに関する相談支援と情報提供について」というところに進みたいと思います。
まず、事務局よりこの資料4の説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 がん対策推進官でございます。
資料4「がんに関する相談支援と情報提供について~議論の背景~」、こちらを御説明申し上げます。
まず、相談支援センターの設置に係る経緯でございます。
平成17年8月にがん対策推進アクションプラン2005が出されまして、この中で、がん対策に係るがん情報提供ネットワークの構築を推進するとされました。
その後、平成18年2月にがん診療連携拠点病院制度が開始されまして、その中で相談支援センターの設置が、その指定要件となっております。
その後、国立がんセンターにがん対策情報センターが開設され、がん情報サービスが開始されております。
以降、がん対策推進計画の策定に伴いまして、情報提供、相談支援体制が充実されてきたところでございます。
次のページ、第2期のがん対策推進基本計画の中で、分野別施策及びその成果や達成度をはかるための個別目標2の中で、がんに関する相談支援と情報提供が位置づけられておりまして、その具体的な内容については、以下、3ページにございますとおりでございました。
また、情報の収集提供体制につきまして、地域がん診療連携拠点病院の指定要件の中に相談支援センターの体制として、4ページにございます1から6までが示されております。
また、その相談支援センターの業務として、5ページにありますとおり、がんの病態、標準的治療などの一般的な情報提供のほかにも、がん患者の療養上の相談ですとか、相談支援センター自身の広報・周知活動といったところで、さまざまな業務が示されているところでございます。
6ページ、こちらはがん対策推進基本計画の中間評価におけるがんに関する相談支援と情報提供に関する記載でございます。こちらにあるとおり、さまざまな指標でがんの相談支援や情報提供についての評価がなされているわけですが、下線が引かれているところ、拠点病院のがん患者のうち、がん相談支援センターを利用している者の割合は7.7%と、残念ながらまだ少ない状況であります。
こうしたことから、8ページ、9ページをごらんいただきますと、がん対策加速化プランの記載がございます。こちらの現状と課題にございますとおり、まずは内閣府の調査ですと、がんの治療や病院についての情報源として、医師や看護師、相談窓口を上げた者が60.3%ある中で、インターネットを情報源として利用している方が35.6%、また、政府に対する要望も、がんに関する情報提供ということで、37%の方が挙げておられる状況です。
まだ、がんに関する情報提供についても、国立がん研究センターのがん情報サービスや、その他、関係学会や患者団体からも多くの有用ながんに関する情報が提供されているという記載もございます。
9ページ、こちら、内閣府の世論調査の結果でございますが、ごらんのとおり、病院、診療所の医師、看護師といったものがもちろん最も多い情報の入手先でございますが、一方で、インターネットも今、第3位ということで、かなりの部分を占めている状況です。
10ページ、具体的にがんに関する情報提供として、国立がん研究センターのがん情報サービス以外にも、先ほど述べましたとおり、こちらには癌治療学会のホームページを挙げさせていただいておりますが、こうした医療関係者向けとともに、患者や市民に向けての情報も提供されているという現状もございます。
一方で、11ページ、がん対策加速化プランの提言において、次期計画策定時に検討された事項におきまして申し上げますと、さらに相談支援のためにピアサポーターあるいは患者会との協力体制を構築するですとか、意思決定、グリーフケア等の充実を図ることとされております。
また、情報提供関連につきましては、先ほど桜井委員からも御意見をいただきましたとおり、HONコードと正しい医療情報に対する認定制度などの導入を検討してはどうかという内容がございます。
12ページ、こちらは現在、国で実施されている事業でございます。地域統括相談支援センターとして、患者家族らががんに関する情報について、心理、医療や生活・介護などさまざまな分野に関する相談をワンストップで提供する体制を支援するものでございます。
また、平成23年から平成25年までではありますが、ピアサポート研修の研修プログラムということで、がん総合相談に携わるものに対する研修プログラムの策定事業というものを実施し、こちらにあるとおり、研修プログラムを策定したところでございます。
14ページ、相談支援の現状でございます。がん相談支援センターの相談件数につきましては、こちらの表、また、グラフをごらんいただければと思いますが、平成20年から23年、26年にわたって相談件数、それから、またその平均や中央値も確実に伸びている状況です。
また、その相談内容につきましては、15ページ目のスライドをごらんいただきますと、がんの治療を初め、在宅医療ですとか、介護・看護・療育に関すること、また医療費や生活費、漠然とした不安と、さまざまな相談内容が多岐にわたって相談されている現状でございます。
そういった中、16ページ、そのがん相談支援センターに配置されている相談員の状況ですが、例えば社会福祉士や精神保健福祉士、また、右のグラフでございますが、看護師といった専門的な相談に乗れる専従もしくは専任の人数は残念ながら0人あるいは1人と、まだ充実しているとは言いがたい状況であります。
また、17ページ、在院日数も平成14年から平成26年にかけて半減し、また、入院患者、外来患者の数も逆転をしている状況の中で、だんだんがん医療に対する状況も変わってきたという背景がございます。
18ページ目、このような中、相談支援に関する課題と今後の方向性としまして、まとめました。現状と課題については、がん相談支援センターの利用率は低いこと。在院日数は短縮し、相談支援は入院のみならず、外来でも必要となっていること。また、相談件数は年々増加し、がん患者や家族の相談支援に関するニーズは多岐にわたっていますが、そうした状況に対応できるバランスのとれた職種配置になっていないといった課題がございます。
こうした課題に対して、今後の方向性として、相談を必要とする患者及び家族をがん相談支援センターに確実に行くための仕組みの構築が必要ではないか。
また、外来において、多岐にわたる患者と家族のニーズに対応するために、がん相談支援センターの体制や連携のあり方について見直しをすべきではないかといったことが挙げられるかと思います。
また、情報提供に関する課題と今後の方向性につきましては、まず、政府に対するがん対策の要望として、情報提供を挙げた方が37%おられる。また、35.6%の人がインターネットを情報源として利用している。また、そうした中で、残念ながらまだ正確な情報、必要な情報にたどりつくことが難しいといったことがございます。
こうしたことから、今後の方向性として、患者や家族が必要とする情報を簡単に検索できるシステムの開発と広報・周知が必要ではないか。
また、国立がん研究センターのがん情報サービスを広く広報することが必要ではないか。
また、インターネット上の情報に対して、エビデンスに基づいて情報を提供する方策を検討すべきではないかということが挙げられるかと存じます。
御説明は以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
全体的なお話をいただいたところでございますけれども、きょうは3人の委員の皆様から、それぞれの立場で、相談支援について携わっておられますので、その御発言をお聞きして、あわせて討論に進みたいと思います。
それでは、まず最初に松村委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○松村委員 それでは、資料5-1で「京都府がん総合相談支援センターについて~地域統括がん相談支援センターの必要性~」ということで、資料を簡単ですけれども、取りまとめをさせていただきました。
相談支援センターの状況を御説明する前に、京都府の状況を簡単に御説明させていただきたいと思います。
京都府のがん診療連携拠点病院等につきましては、6つの医療圏のところに、都道府県型が2カ所、地域がん診療連携拠点病院が6カ所、地域がん診療病院が4カ所、それ以外に、京都府独自といたしまして、京都府のがん診療連携病院、また、京都府がん診療推進病院という、がんに係る病院を合計で21カ所持たせていただいております。この21カ所それぞれに相談窓口をつくっていただきまして、病院の中でがん患者に対しての相談支援を行っている現状がございます。
2ページ、その中で、相談体制そのものについて、一定の水準を保つためにということもありまして、京都府がん医療戦略推進会議を持つ中で、相談支援部会を設けておりまして、その支援部会の中で、相談支援マニュアルの作成でありますとか、相談員に対しての研修会でありますとか、あるいは患者さんに対します、がん情報ガイドなどの作成をする中で、一定府内の相談体制の均てん化を図らせていただいているところでございます。
これらの拠点病院とそれ以外に、いわゆる統括型といいますか、統括相談支援センターを京都府は1カ所持たせていただいております。これにつきましては、そこに書いてありますように、私ども京都府におけますがん対策推進条例でありますとか、計画をつくる中で、基本コンセプトとして寄り添い型の支援というものを掲げまして、病院とは別に相談体制を持たせていただいているところでございます。
4ページ、この京都府がん総合相談支援センターの体制についてです。センター長につきましては、京都府の本庁にございます、健康対策課のがん総合相談担当課長のほうがセンター長になりまして、事務担当、また、相談員としては3名、シフト体制で常時3名が相談に対応できる形をとらせていただいております。看護師、保健師がそれぞれ2名、ピアサポーターが3名で、平日だけになるのですけれども、午前9時から午後4時までの相談をしております。
ただ、場所としては、京都府内、京都市内に設けておりまして、普通のマンションのようなところで設けております。相談の中に就労支援もありますので、私ども、京都府のところでジョブパークという総合的就労支援をする場所がありますが、その近くの本当に住宅街の中に相談場所を設けております。その分、府内7カ所にあります保健所ですとか、いろいろなイベントと連携する中で、府下の相談も対応している状態でございます。
この地域統括相談支援センターとしての位置づけは、先ほど御紹介させていただきました21拠点病院等の連携調整でありますとか、戦略会議の相談支援部門の、事務局を担当させていただきまして、部会のところで御紹介させていただいたマニュアル等の作成も担わせていただいております。
ここでお話をさせていただきたいのは、拠点病院と統括、地域のところで持っています相談支援内容の違いについて御紹介をさせていただきたいと思っております。
6ページ、設置しましてから、これまでの間の相談実績の数字を掲げています。御本人からの御相談が約7割、家族の方が約2割という状況でございます。
内容ですけれども、まず、7ページのところの右側に、都道府県型になるのですが、約3,000件の相談件数の内容を出しています。がんの治療を含めました医療情報に係るものが6割を占めるのが現状です。もちろん、医療機関ですので、医療に係るもの、治療に係るもの、投薬に係るもの、その他もろもろの御相談を受ける状態なのですけれども、なかなかそこで相談しにくい、あるいは日常生活的な問題、特に、日常的な経済的な問題、人間関係の問題、それから、精神的な問題、こういう本当に病院ではなかなか相談しづらいもの、こういうものが総合支援センター、地域統括として約6割強の相談をお受けしている状態になっております。そういう意味では、私どもとして、拠点病院の相談だけではなくて、今、全国的に14府県という御紹介がありましたけれども、病院以外のところできちんとがんに係る相談支援が必要ではないかと思っております。とりわけ、がんということについて、社会と共生しながら、自立していくためにもそういう相談機能が要るのではないかと思っております。
そういう意味では、8ページ、9ページに、利用者目線での地域統括相談支援センターの設置意義でありますとか、あるいは行政的な視点での設置意義を取りまとめをさせていただいております。特に、利用者目線では、先ほど申しましたように総合的な部分であるとか病院以外の生活の部分を身近に相談できるという観点、それから、行政的な部分でしたら、情報をいろいろ提供する中で、あるいは関係団体と連携する中で、適切に関係機関につないでいくことができる。そういう利点が持てるのではないかと思っております。そういう意味では、統括相談支援センターの地域での相談支援センター部分の必要性についてしっかりと位置づけていただきたいと思っております。
私からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
引き続きまして、秋山委員からお願いできますか。よろしくお願いします。
○秋山委員 資料5-2をごらんください。
「病院以外での相談支援の試み~「がんとともに生きる」を支える~」ということで、御紹介させていただきます。
英国発祥のマギーズキャンサーケアリングセンターを、この10月10日、豊洲にマギーズ東京としてオープンしました。スコットランド在住の乳がん患者マギーさん自身が考えたことから、これがスタートしています。
次のページ、第1号でできたエジンバラセンターです。1996年の写真が載っていますが、これは病院の売店を少し改装したもので、ウエスタンジェネラルという大きな病院のオンコロジーセンターの真横に建っているという特徴がございます。この建物は外側はこうですが、中が非常にリラックスできるように、キッチンがあってリビングがあってというつくりになっていまして、環境にかなり配慮をした形でつくられているのが特徴です。
私は、2008年11月に国際がん看護セミナーでマギーズセンターのことを初めて知りまして、是非日本にもつくりたいと思い今日に至っています。私自身は、在宅の訪問看護分野で長年仕事をしてきまして、その中で出会うがん患者さんたちの様子がここ10年来非常に変わってきている。治療経過は、外来が中心となって最後の最後だけ訪問看護につながってくる、その間に何らかの相談支援が行われてもよかったのではないかという思いがする方に出会ってきました。今、京都府での取り組みでもお話しされたように、日常生活のこと、家族関係のこと、ちょっとしたもやもやした不安というものは、なかなか病院の中では言えないという状況の中で、それをずっとため込んでおられた、それを訪問看護として伺うと、沢山沢山聞くという状況が続いていました。
そのマギーズセンターを日本にという思いですが、なかなかこれが実現できないので、非常に身近なところでがん以外の方もあわせて相談に乗れるという町の中にできたよろず相談所という意味で、「暮らしの保健室」を2011年に開設しております。その暮らしの保健室を開設して、実験的にこのマギーズセンターの相談支援のありよう、つまり、予約がないということ、相談料が無料であるということ、そして、がんのどの時期でもいいということ、がんにかかわる全ての人を受け入れることをやってみました。このよろず相談所はがん以外の方も受けましたけれども、本式にがんに関係した方々のための相談支援をつくるべきという思いで、2014年、がん患者である鈴木美穂共同代表と出会ったことがきっかけで加速がつきまして、このマギーズセンターを東京にという運動が実現するところとなりました。
8ページ、9ページは、今までさんざんここでもお話をされていますので、詳しくは述べませんが、バッドニュースを聞くときの瞬間、十分に説明を受けているのだけれども、最初の説明だけで後は頭が真っ白という状態の方がたくさんいらっしゃいまして、そのストレスフルな状況で、すぐに病院の相談支援センターにつながるのかというと、なかなかそうはいかない、そういう状態の中で、実際は10ページ目ですが、苦痛の種類が変わってきまして、身体的な抗がん剤による影響はかなり軽減されているにもかかわらず、心理・社会的な面でのフォローが十分ではないということがわかってきています。そのような中で、それを受けとめるところがどこか。さまざまな試みがなされているのですけれども、どうも病院の中だけでは十分に患者さんたちが本音が言えない、こういうことを聞いていいかわからないというような悩みを抱えながら日々過ごしておられる、そういう実態が見えてきます。そこで、幸運にもさまざまな機会に恵まれ、2020年までの限定ということで少し制限がついておりますけれども、がんセンター中央病院、がん研有明病院のちょうど真ん中辺にあります豊洲の土地に、10月10日オープンにこぎつけました。全てチャリティーで行っております。家庭的で居心地のいい空間を用意し、木をふんだんに使っておりまして、14ページまで進んでいただきますと、支える、支えられるが循環する場、このつくるプロセスのところにがん患者さん当事者の皆さんにたくさん関心をお寄せいただき、このつくる作業を一緒にしていただけているという、場所になっています。治療中の当事者の方が自分も何かできることがあるのではないかといって、この壁塗りの作業に参加をしてくださいました。
15ページ目、マギーズセンターの2つの柱は、1つ目は建築・環境と、2つ目がヒューマンサポート、つまり、ただ部屋があればいいということではなく、環境に十分に配慮して、それをつくるということと、そこに確かな人がいるという、2つの2大柱です。
そして、16ページ、17ページで見ていただきましたらですが、マギーズセンターが特に大切にしていることは、がん種・進行度にかかわらず、がんによる影響を受ける全ての人に支援を提供することであり、情報提供も多少はしますけれども、一番の目的は、御本人が自分の力を取り戻し、自分自身で自己決定ができる、そこを支えるという、そういう寄り添い型です。
18ページ、1カ月弱ですが、その結果を少し数字にしてお見せしております。マギーズ東京開設後、イベントを含む来場者数として、10月10日、オープンイベントでした。1,100名の方がお見えくださっております。塩崎厚労大臣も御臨席いただきました。そして、次の日、イギリスからのスピーカーを招いて記念講演会、その後、オープン見学会等をしまして、来所443名という状態です。
開設1カ月後の来所者の属性は、本人が6割弱という状況で、御本人が訪れることが多いです。それから、御家族、そして、友人という順になっています。男女比は女性が多いということ、がん種は乳腺が多いのですけれども、決して乳腺だけに限らず多くの方々が訪れているということです。1カ月しかたっていませんので、再来の方は少ないのですけれども、2度、3度という方もふえています。
最後のページ、21ページは、自立を支援するということが最も大事なところで、情報提供をしつつ、その方が自分で決定ができるように、情報を探すにしても、一緒に探していくという、寄り添い型が大事かなと思っているのと、あと、たくさん活躍している患者会の皆さんは本当によい働きをされている、そして、その方たちがピアサポーターにもなっておられるということを重々承知の上で、そこにたどりつかない診断直後の方が3割ぐらい訪れておられます。その辺のところも含めて病院以外での相談支援の場所の設置も一つ、今後考えていただければということで、情報提供をいたしました。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
長年をかけてやっとスタートということで、よかったですね。
それでは、引き続きまして、難波委員よりお願いしたいと思います。
○難波委員 難波でございます。
我々、桜井委員、勢井委員、難波、馬上委員、若尾委員から、「患者にとって必要な相談支援を考える-相談支援(ピア・サポート)の現状と課題-」ということをテーマに発言をさせていただきたいと思います。資料5-3をごらんいただければと思います。
まず、現状の認識としまして、平成23年度より3年間、厚労省委託事業として、がん総合相談に携わる者に対する研修プログラム策定事業が行われました。このプログラムの内容ですとかスケジュール、目的に関しては別で机上配付として、第37回がん対策推進協議会の天野委員からの資料をごらんいただければと思います。
前回、総務省の勧告からもうかがい知れるように、実際行われた研修が現場で患者の不安や悩みに寄り添えているのかどうか、現状認識が共有されているのか、運用がきちんとなされているのかというところが問われたと思いますので、改めまして、患者の立場からの意見を共有したいと思います。
ページをおめくりいただきまして、2番、患者・経験者などによる報告としまして、3名の委員より順番に報告させていただきたいと思います。
まずは、若尾委員、お願いします。
○若尾委員 山梨の若尾と申します。よろしくお願いいたします。
山梨県の報告としてさせていただきます。山梨県は山梨県の事業としてがんのピアサポート研修を行っているのですが、その背景を、若尾提出資料として、1枚の表にいたしました。
2006年にがん対策基本法が成立し、2007年に山梨県でもそれに基づいてがん対策推進計画が策定されたわけですけれども、そのときに、策定の中で情報提供と相談支援に対する充実が必要だということが出ましたので、翌年、がん情報提供と相談支援の在り方検討会を1年間開きました。
その結果やはり必要だということになりまして、では、どういう必要性があるのかということを2009年、1年間、当時者、患者や患者家族を含めて、患者交流会を開きました。そのときに体験した者がピアサポーターとして相談に乗れるような体制が必要だろうということになって、翌年、山梨県は山梨県の事業として、山梨県ピアサポート研修会をプログラムを策定して研修会を開きました。それから今に至っているわけですけれども、ことしで7回目のピアサポーターの研修会になります。そして、県の事業として行っていますので、山梨県県知事名義の修了書を渡され、がんのピアサポートをするときには、山梨県としては県の研修を受けた人が来てくださいというような形で進めています。
第1回目のピアサポートの研修会を終了した者たちが、自主的に山梨がんピアサポート希望(のぞみ)の会というものを開いて、ピアサポーターとしての活動をしているわけですけれども、その中で、がん診療連携拠点病院やがん診療病院が受け入れという形に進んでいきまして、病院の事業というか、病院の経費としてピアサポーターを有償で雇う形になって、私ども山梨県のピアサポート研修会を受けた者が「山梨県」がつくがん診療連携拠点病院と、山梨県のがん診療病院の中で定期的にピアサポートを行っています。ここの中では、がん相談室の相談員や主治医からの紹介というものもありますので、病院との連携というものも行いながら、ピアサポートをしています。そして、定期的なスキルアップと事例検討を共有して、偏りがないようにということも含めた上で進めてきています。今、2016年なのですれども、第7回の山梨県ピアサポート研修会開催中という状況です。
以上になります。
○勢井委員 引き続いて、徳島の勢井ですけれども、徳島の実情から、現在のピアサポート体制では今、患者が必要としておりません。ただし、必要性があるということも、相談の実情からよくわかっております。ですから、体制を一から見直し、早急に立て直しを図る必要があるかと思います。
総務省勧告にある拠点病院におけるピアサポーター受け入れ不十分という指摘は、拠点病院側に問題があるのではなく、ピアサポート体制、考え方に問題があります。
さて、徳島の実情ですけれども、がん診療連携拠点病院の1施設で、ピアサポーターとして2名登録されましたが、患者さんからの相談を受けた件数は2年間でたったの4件でした。何でこんなに少ないのかというと、患者さんが必要としていない体制だからです。患者がピアサポーターに求める相談は、単にがん患者ということだけではなく、同様の病気を経験した方との話です。ピアサポート研修を受け、相談スキルを身につけた方ではありません。ピアサポーターに必要なのは、相談スキルよりも、患者と同じ経験者かなと思っております。
ことし9月に患者会主催で相談支援について県民対象のシンポジウムを行ったところ、ある乳がん患者さんが同じ病気を経験した方と話をしたいということで、相談支援センターから県内の乳がん患者会を紹介してもらいましたけれども、ありきたりな返事しかいただけず、相談自体無意味ということで連絡がありました。その相談相手はピアサポート研修を受けた方でした。私自身も経験からですが、余り言葉は交わさなかったけれども、今、振り返ると、私にとってのピアサポーターという方がいました。当時、私はS状結腸がん、ステージ4でした。診断後、進められるまま手術を受けましたが、肝臓のがんは取り切れず、その後の治療を確認すると、その方と同じでした。退院後、しばらくして新聞の死亡欄にその方の名前があり、友人のお父さんだったのですけれども、私の先もこうかなということで見えました。それで、主治医ともよく相談の上、病院、それから治療を変えました。紹介状はもちろん書いてもらっています。現在、こうやって元気に仕事ができているのも、そのおかげかなと思っております。大切なことは、患者目線で見ることができる方とともに、ピアサポート体制を再構築して、早急に患者に希望と力を与える体制とすることです。学会、医療者のほうばかりに目が向き、患者さんに寄り添うという本来の目的を後回しにするようなピアサポートではだめだと思います。
一案として、若尾さんの後のところに参考資料をつけました。患者と相談支援センター、それから、相談支援センターと全国の登録患者、全国の登録患者と患者、そして、再度、これが重要なのですけれども、患者と相談支援センターによるきちんとしたフォローがあれば、相談支援センター自体も有意義なものにもなるかなと思っております。全国の登録患者さんに必要なのは、何よりも患者さんに寄り添う心かと思っております。
さらに、当然全国的に展開するとなると、費用が必要になりますけれども、今、徳島県で行っているピアサポート研修が20万円ほどあるのです。そういうものをかき集めていくと、結構そうしたものができるのではないかなということで、考えております。
以上、徳島からの報告です。
○馬上委員 次に、小児がんのピアサポートについて。
小児がんのピアサポートは子ども本人というより、子どもの親や家族が長期の苛酷な治療、入院、教育、後遺症、晩期合併症など、心理・社会的な問題をたくさん抱えて支え合う必要性から、数十年前から病院内でさまざまに活動していたことから始まっています。がんの子供を守る会、院内親の会、地域の会、疾病別の会、亡くされた親の会などさまざまな患者会、40余りがネットワークをつくっておりますが、成人では公費で研修があったのですけれども、小児がんにはなかったことから、2013年、ピアサポート推進協議会を設立しまして、医療関係者などとともに、養成研修プログラムを作成いたしました。主に民間の助成金を得て、手を挙げてくださった小児がん拠点病院で医療関係者に助けていただきながら、2日間の研修を年に2回行っております。実績については、2番、3番にあるとおりでございます。
そして、右下の表のように、ピアサポートの専門性へのニーズというものは、確かにあります。机上資料でお配りしておりますけれども、研修のテキスト内容、パンフレットについても後ほどごらんください。
研修のポイントとしましては、傾聴、共感に重点を置くこと、医療情報など専門的な情報については専門家へつなぐ姿勢、そして、実技の演習です。各小児がん拠点病院で、今、ピアサポーターが活躍しておりますが、残念ながら、全ての病院で受け入れが十分ということは、今、言えない状況になっております。また、AYA世代の患者会も近年大変多くなってきておりまして、研修の重要性は増していると考えております。また、意思決定や代諾など、介護する家族として高齢者のがん患者を持つ家族のピアとの共通性も少しあるのではと試験では考えております。
以上です。
○難波委員 ありがとうございます。
続きまして、桜井委員から海外でのピアサポートの現状、事例の共有、調査報告をお願いいたします。
○桜井委員 ありがとうございます。
時間も押していますので、簡単に御説明します。
もともとこのピアサポーターのがん相談の研修プログラム策定事業がスタートした背景とは、患者が心の寄り添いが本当に必要だという多くの声があったからです。その上で、質を担保するために研修会が必要なのではないかということから、机上配付になっておりますけれども、第37回にがん対策推進協議会の中で天野委員から提出されておりましたが、この3年間のプログラムが行われております。
この背景としても、関連するのですけれども、私のほうで海外のピアサポートの現状ということで簡単にまとめました。海外では、ピアサポーターの研修会プログラムを修了することが前提となっています。相談を受ける上での前提となっています。この相談の研修プログラムを受けられて修了された方が、共通のユニホームを着たり、あるいは下に写真があるのですけれども、バッジ、こういうものをつける。それから、おもしろいと思ったのは、エレベーターですとか、カフェテリアですとか、こういう患者さんが見る場所に今日のピアサポーターはこの人たちですというのはちゃんと掲示されているのです。こういう取組をしたことによって、海外では、例えば苦情の件数が減ったですとか、通院の頻度が減ったですとか、あるいは診察も非常に効率化されたという、こういうエビデンスがちゃんと出ています。それから患者さんの不安などの感情も非常によくなったということ、好転したという、こういうエビデンスもちゃんと出されています。
重要な点としては、価値観を押しつけない、医療への介入はしない、マッチング、こういうものを重視しておりまして、いろいろな活動が行われております。患者としては心の寄り添いということは非常に重要だと思っております。せっかくのこの3年間のプログラムを実施して、一通りできたわけなのですけれども、現状、どうなっているのかといいますと、終わったらそのままということが現状になっておりますので、これはもう一度きちんと広めていくことを検討していただきたいと思っております。今、現状としては自治体がやったり、病院がやったり、患者会がやったりと、ばらばらになっていて、このプログラム策定委員会ができる前の状態と全く同じに逆戻りしているのではないかと思っております。
以上です。
○難波委員 ありがとうございます。
委員の意見も踏まえまして3ページ、4番に、第3期がん対策基本計画の策定への意見としてまとめさせていただきました。読み上げます。
研修プログラムの実施主体の一本化を検討。
ピアサポートの認知及び導入拡大を推進する。
関連学会及び地方自治体と連携し、質の担保を初めとするサポート体制の強化を行う。
医療関係者に対して、必要な講義を義務づける。
全国での実態把握並びに効果検証及び改善策の検討を患者の意見を踏まえ、定期的に実施する。
3期に向けての意見もそうなのですが、このピアサポートに関しては、長期的に議論を継続していかなくてはいけない課題だと認識してございまして、患者の意見を入れた早期改善を目指す議論の場を我々としては求めていきたいと思います。
報告は以上です。ありがとうございます。
○門田会長 ありがとうございました。
ただいま事務局から全体的なこと、それから、3人の委員と、関係する委員の皆さんから、それぞれの立場での御報告をいただいたわけですが、ここで皆さんの御意見を頂戴したいと思います。挙手をお願いします。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。
2つにテーマを分けたいと思います。
まず、情報提供のほうなのですけれども、こちらは入り口にもたどりつけていないということが現状だと思っているのです。今、言い方は悪いのですけれども、科学的根拠に基づいていない医療に関する情報ですとか、ここに間違って入っていってしまう患者さんが非常に多いです。多いのが現状ですので、私は学会なのか、それとも国立がん研究センターなのかわかりませんけれども、一定の認証コードのようなものをつくって、ぱっと見てすぐわかる状態をつくっていくことが大切だと思います。
もう一点は、規制強化です。法律なりなんなりで広告規制法のほうでもいいのですけれども、科学的根拠に基づかない部分に対して規制をもっと強化していくというような取り組みというものが私は必要だと思っております。
相談支援に関してなのですけれども、今回、いろいろな院内、院外に関する相談支援のあり方、こういうものが提示されて、患者としては、自分の生活スタイルやニーズに応じた相談先があるのは非常にいいことかとは思います。ただ、一番大切にしなければいけないのは、私はサイレントペイシェントをどうするのかという問題だと思っています。要は、物を言わない患者さんたちです。
その上では、3つほど提案をしたいと思いますけれども、1点目は、相談支援センターをきっちり機能させていくということは大前提だと思っております。ここは公費が投入されているものですし、患者は必ず病院には行きますので、その上で、地域の情報も含めて公平に提供していっていただきたいと思います。せっかく相談支援センターの研修をたくさんやっていますけれども、このスキルをもっともっと活用していくような方法を私は考えていただきたいと思います。
2つ目としては、地域の活動と連携させていくということです。これは、アメリカの相談支援センターですと、自分の地元の患者会が検索できたり、どのようなサポートグループがあるのかということ、そのような情報が全て検索できたり、パネルにファイルされていたりするのです。こういう地域の情報をきっちり提供していくということ、これをもっともっと充実させていっていただきたいと思います。
3つ目は、ピアサポートの育成と普及を行うことということをお願いしたいと思います。院内、院外でさまざまなサービスが行われておりますけれども、結局は医療者中心でサポートが進んでいるのが気になる部分です。医療者中心に偏るのではなくて、心の共感とか、当事者が最も必要とする寄り添うという体験共有、このあたりについてもっともっと私は進めていっていただきたいということを今回提案させていただきたいと思います。
学会としては、サイコオンコロジー学会という心の専門家が集まる学会がございますので、こういったところと連携をしながら、しっかり質の担保も図っていくことが重要なのではないかと思います。
以上になります。
○門田会長 ありがとうございました。
事務局、何かありますか。特に情報提供などはよろしいですか。
これは前にディスカッションして、規制はなかなか難しかろうと、たしか前のときに話題になったと思うのです。しかし、今回説明されたように、どこかがオーソライズするという別の見方であれば十分可能性はあるのかなという気もしました。
何か、よろしいですか。
では、委員の皆さん、どうぞ。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 私どもは研修を先生方と一緒に行っているのですけれども、病院によってはピアサポーターの受け入れに消極的なところもあるかなと思うのですが、先生方、お医者様や医療関係者にとってピアサポーターというものは今、どのような存在であるのかを少しお伺いしたいと思っております。
○門田会長 先生方、いかがでしょうか。
大江委員、どうですか。
○大江委員 済みません。正直、余り身近でなくて、国立がん研究センターの中には多分余りピアサポートはまだ入ってきていないと思うのです。ピアサポーターというよりも、患者さんごとに、例えば膵がん教室だとか、患者さんたちが同じ病気の方と集まって医療者が何らか介入して、そこで何かコミュニケーションをとるというようなものはあります。けれども、ピアサポーターが直接相談に乗る体制が余りとれていないので、私はそこら辺の理解は余りできていません。
○門田会長 では、もう一人、細川委員、お願いします。
○細川委員 先日、ピアサポーターの方々への研修会「京都2016年度がんサロン・ピアサポーター養成講座」で、緩和ケアについての講義をさせていただきました。緩和ケアの臨床的なことは、実際に患者さんを診た経験や看取りを経験していない方にお話しするのは、難しいところがあります。しかし、ピアサポートに関係される方は、がんを体験されてきた方がほとんどです。こういった方が緩和ケアの話を聞きたいというケースは非常に多いようです。京都でも本当にそう感じますが、非常に熱心に様々な研修や勉強をされています。私の講演の一つ前に、ピアサポーターになるための実際の研修と勉強法のようなことを先輩の方が話されていましたが、患者ももっと勉強しなければいけないということをおっしゃってました。つまり、一方的に教えてもらうだけではなく、自分たちから様々なソースにアクセスして、情報を多く集めて、その勉強プロセスの中で同じ経験をされている方の情報に触れたり、人との繋がりを作っていくことが大事であると。患者は何もしてもらえない、何も聞いてもらえないと愚痴るだけでなく、自分からも動くべきだと。でもこれはその講師御本人ががんの体験者の方だから言えることで、また聞く方も聞けるのでもあると思います。ピアサポート、ピアサポーターの存在は極めて重要です。この活動を少しでもお手伝いできる活動は続けていただきたいと思っています。
○門田会長 中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 今の御意見に引き続き、私自身ももっと勉強しなければいけないという立場での発言になりますが、確かにお話をお伺いしているピアサポートという体制が重要だということは私も認識しています。同時に、今、お聞きして思うのは、情報提供と相談支援は非常にリンクして密に連携している。そのタイミングは診断を受けてから治療に入るまでの時期、あるいは治療を受けて治療が終わった直後の病院と非常に近いところでのタイミング、それから、その病院を離れて、社会に入っていくとき、それは大きく3つのフェーズがあるかなと思ってお聞きしていました。そのいずれにおいても情報提供の制度とかありようは非常に重要ではないかと思います。
冒頭の桜井委員からご指摘のがん研究センターの情報がトップに来ていないということも含めて、今、さまざまな専門的な情報がいろいろなところであると思うのですけれども、それが瞬時に見てとれるような体制にはなっていない。そのあたりは我々がん研究センターとしても、積極的に構築しなければいけないわけです。もう少し違った切り口で、例えば、人工知能を導入して、情報を的確に集められるような仕組みをつくっていくとか。情報があってこそ支援体制も構築できると思うので、そのために必要な体制が求められます。冒頭にがん診療連携拠点の中から門田先生や健康局長にお渡しした資料の中でも、相談支援のあり方と書いてあるのですけれども、病院周辺の情報提供と相談支援は、あくまで病院が中心と思っていて、病院を離れた後の社会の中でのピアサポートのことが積極的に触れられていないところは反省点としてあるのですが、そこでも、社会に出ても情報提供が的確につかめるような仕組みがあると、少し変わってくるのかなと思います。そこで、なおかつ患者さん、疾患を経験した方々が、情報提供の場を社会の中でどのように設けるのか。病院の中に設けるのか、あるいはその周辺で構築していくことになるのかというのは、もう少し積極的な議論が必要かなと思うのです。
話が雑駁になりましたけれども、必要なのは、情報をきちんと整理するところからまず始めていって、必要な体制がどういうものかというところを議論していく必要があるのかと感じました。我々も勉強しなければならないという立場からの発言です。
○門田会長 ほかに、お願いします。
ドクターはもういいですね。
では、檜山委員、お願いします。
○檜山委員 観点が違うかもないですけれども、我々は医療側とはチューマーボードでいろいろな専門家が入ってきて、どういう医療がいいのかという話はいつもしているわけですが、もう一つ私がアメリカに行ったときに思ったのは、それとは違って、もう一つ違うチューマーボードのようなものがあって、実はそれはソーシャルワーカーがヘッドであったり、この前はチャイルドスペシャリストがヘッドであったりするわけです。医療で、今、この子にはこういう医療を提供すべきだということになると、では、在宅ではどういうことが可能なのかとか、その子に対してどういうICをするべきなのかというディスカッションを医学生も含めてやってしまうというようなシステムがあって、そこでいろいろな専門家がいろいろな意見を言って、医学生はそれを聞きながら自分の医学知識をぶつけていくようなところがあるのです。そういうところをある意味で逆のピアサポートのチューマーボードのようなものがあって、そこで非常に患者さんにどういう医療を支援すべきか、情報提供も含めて、どういう情報を集めてどういう支援をしていって、この子はどういう外来治療に継続すべきかディスカッションしているわけです。非常に人的な医療資源も含めて投入しているのはアメリカのすごさかなと思って、それを目標に我々学会としては頑張っているというところです。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、患者サイドからお願いします。
○若尾委員 若尾です。ありがとうございます。
がんに対する情報提供に関しては、先ほど檜山委員のお話にもICという言葉が出てきましたけれども、まずは患者自身が主治医との間でICをどれだけ理解するのかというところから始めなければいけないと思うのです。ICをしたつもりであるけれども、患者は真っ白になって何もわからなかったというところからスタートしているのが現実だと思います。
そこで、医療情報のギャップがすごく大きい医療者と患者をつなぐ役割が必要なのではないか。医療者のほうは、ICに対して、もう少し患者目線で多分理解していないだろうなということを視野に入れた上で、次の外来のときにもう一回前回のものを理解していますかという呼びかけをするような体制が必要なのかなということを思います。そこががん患者に対する情報提供のまずスタートではないかと思っています。
あと、この相談支援と情報提供を普及啓発するという視点でもう一点だけ言わせていただきますと、事務局から配付してもらった表の評価の中で、相談支援センターを利用しているというのは7.7%しかなくて、だけれども、その下の満足度を見ると、相談してよかったという結果が出ているわけです。81.4%の人が相談してよかったという結果になっているわけなので、病院の相談支援にしても、ピアサポートにしても、それを普通の人にもっと知ってもらえるような取り組み、それから、一般の患者や家族が家に来てくれたら話すけれども、自分から、みずから行くのはちょっとという考え方を直すといったらおかしい、そうではなくて、自分が積極的に情報が欲しいのだ、積極的に相談したいのだというような普及啓発の取り組みというようなものを今後はしていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 松村委員に質問です。京都府のがん総合相談支援センター、趣旨もすごくいいし、体制もいいなと話を聞きながら思いました。この相談体制の中で、看護師2名、保健師2名、そして、ピア3名ということになっていますね。どういった方がピアをされているのか。そのピアの方々の活動状況はどうなのかということをお伺いしたいのです。
○松村委員 済みません。今、資料を持ち合わせていないので、どういう方がというのはわからないのです。先ほど言いました21の協力病院の中から、どのような相談体制が必要かという検討を踏まえやってきていますので、先ほど出ているピア研修であるとかということを受けられた方々と思っています。同じピアのような形で、後ほど出てくる教育のほうにもがんの方には登場いただいていますので、そういう形の方かなと思っています。資料を持っておりませんので、実際どういう活動をされていた方がなっていただいているのかは申しわけございません。持ち合わせていません。
○勢井委員 現状、例えば相談というか、ピアの方がしたような、そういった実績は出ていないのですか。こちら全体の数は次ページに載っておるのですけれども、相談件数で25年度423件とかとあるのですけれども、この中で例えばピアの方が何件ぐらい受けたとか、そういうものはわからないですか。
○松村委員 今、手元にはないです。また次回なり、資料を後ほど厚労省に提出させていただいて、お送りさせていただく形をとらせていただければと思います。申しわけございません。
○勢井委員 ぜひお願いします。
○門田会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 私どもの経験を少しお話しした上で、3つほど申し上げたいと思います。この相談支援センター、静岡がんセンターのよろず相談がモデルになって、全拠点に広がった経緯があります。始めた以上、一生懸命やっていまして、今、年間の相談件数が1万2,000件ぐらい、自院の患者さんで5,000件ぐらいになっているのです。私自身は、別途それを評価して、拠点としてふさわしいかどうかを決定する委員会を動かせていただいているので、いろいろなところでチャンスがあるたびに、全国の拠点病院の相談支援センターを特に注意深く見せていただいています。
第一に、地域の方々にとって、拠点病院に相談支援センターがあるのはすばらしいことだと思うのです。今までそのような場所はありませんでしたから、相談支援センターを訪れれば何とかなるかもしれないという旗は立った。一方で、次のステップとしてセンターのクオリティーを追求しなければいけないのだろうと思うのです。一病院一病院の相談支援センターのクオリティーを高めていかなければいけないと思います。これが課題なのですが、これに関連して、事務局説明資料の業務内容の表が、5という番号が振ってあるスライドに、相談支援センターの業務ということで、アからシまで書かれています。これはもう少しきっちり整理をし、できるだけ負担にならないように書いていただく必要があるのではないかと思います。全てのことを言っている項目がある一方で、アスベストとかATLだけ規定したものもあります。ここは本来の行政資料としての要件ですので、整理をしていただいたほうがいいと思うのです。むしろ大切なのは、地域を見ていく中で本来この相談支援センターをしっかり動かすためには病院全体がそのセンターに協力しないと動かないのは間違いないのですが、それを怠っている病院がかなりあります。「相談支援センターに任せてあるのだから、苦情も何もみんな自分たちで解決しなさい」といった誤った状況が生まれていることもあるし、「相談には乗りますけれども、苦情は一切受け付けません」という病院も現状ではあります。ですから、そういう点も含めてクオリティの追求が大切ではないかと思っています。
提供体制の議論で、相談件数を少し規定するかとかという議論は出ていましたので、多分、ここでもそういう議論が進んでいくのではないかと思います。
第二は、利用頻度の問題です。先ほど、7.7%が低いというお話がありましたが、ちょうどあす講演のため静岡がんセンターの状況を確認してきましたが、初診の患者さんがその1カ月以内によろず相談に訪れる頻度は大体3割程度と思われます。よろず相談あるいは相談支援センターは困ったときでないと行かないので、私は7.7%は決してそんなに低くないだろうと思います。患者さんは相談することで精神的に楽になりますから、もう少し高めてもいいかもしれません。
3番目、今度は情報提供の中で、科学的根拠に基づく情報提供という言葉が錦の御旗のようにいわれます。科学的根拠は大変大切な概念ですが、エビデンスが実際にある医療行為はそれほど多くないということを認識しておかねばなりません。特にエビデンスベースト、EBMとナラティブベースト、NBMのことが良く語られると思うのですが、病状が悪化するにつれ、エビデンスが少なくなり、経験に基づいた医療を実施せざるを得ないというのが医療の真実です。ところが、実際に情報提供を求める患者さんの多くは、病状が悪化するにつれて情報を必要と感じるものです。最初は医療スタッフに任せておいていいかなと思うのだけれども、病状が悪化するにつれてこれは任せておけないと思い、情報を求め出す。しかし、多くの場合、悪化した病状においては科学的根拠が十分な治療やケアが知られておらず、エビデンスのない世界で非常に苦しむ患者さんがおられるのです。私はエビデンスベーストメディシンが存在する場合には、その情報をしっかり伝えるべきだと思いますが、エビデンスがないような場面でも患者さんが求めているものをどう伝えていくか。これはしっかり議論しなければいけないだろうと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
田中委員、どうぞ。
○田中委員 この資料にもありますとおり、がんの情報提供をもっと進めてほしいという要望が非常に強いということで、その手段として、インターネットは非常に大きな地位を占めているわけです。でも、先ほど桜井委員の御提示のように、インターネット情報は極めて玉石混交で、石のほうが多いかもしれません。その中にあって、国立がん研究センターのサイトは非常に充実していると思いますけれども、ただ、この病気はどういうものであるとか、治療法がこういうものがありますということについてはいいけれども、患者が知りたいのはどこの病院がいいのですかとか、どこの病院がどれぐらい実績があるのかとか、あるいはこういうことを相談したいのだけれども、どこに相談すればいいのかということですが、そういう点については、やはり弱いです。これは研究機関だからしようがないかもしれませんけれども、そういう患者が知りたい情報に総合的にアクセスできるサイトはちゃんと構築していかなければいけないと思います。それはがんセンターのサイトを充実させるのか、あるいはもっと別のものを新たにつくるのかはいろいろなやり方があると思いますが、そういうネットの情報について、もう少しオーソライズしたものを構築していく必要があると感じています。
○門田会長 ありがとうございました。
中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 今の田中委員の質問と、先ほどの山口委員の御発表に関係するのですけれども、がん研究センターの情報が非常に重要であるというところで、そこで提供し切れていないものがあるかどうかという問題だと認識しています。先ほどの相談支援の中で、情報提供の場の広さ、扱う情報の広さや深度は重要なファクターかなと個人的には思っているのです。プラス、人と人とのパーソナルな接点というものもあるかと思うのですが、そのときにも情報の深度に加えて、利活用のやりやすさというものが非常に重要なファクターになるかと個人的には思っていました。そこをどう充実するかは今の田中委員の質問で、恐らく現状の情報でまだ散らばっているので、例えばどういう病院がいいのかというところも、そこにダイレクトに答える情報へと導くのは難しいかもしれませんけれども、例えば日本の中でこういう治療が行われているという情報は、客観的なデータを示せる仕組みはつくれるのかなと思うのです。そうすることで、ある程度の要望はカバーできるのか、或いはやはり情報自体がそもそも不足しているのか、それらを集約する体制になっていないのか、あるいはそれ以外のところが本当に大きいのかということに関して、山口委員のこれまでの経験を踏まえて御意見をいただければと思うのです。
○山口委員 現在の国立がん研究センターのがん情報サービスに、私は創生期にかかわっていたものですから、よくぞここまで充実したなと思っています。初期のころは何を情報として提供するか、右も左も分からないまま医療スタッフと議論をしながらやってきたものです。現在、私たちも含めて医療現場では病気の説明には国立がん研究センターの冊子を使い、あるいはそのウェブサイトを見てくださいという形で説明をしています。病気の説明等には国立がん研究センターの情報を使う一方で、静岡がんセンターとしては、エビデンスが十分な情報とともに、少しコツのようなもの、要するに、科学的エビデンスが十分でないこともあるが、患者さんにとって助けになるような情報を提供する様にしています。たとえば、抗がん剤の副作用への対処法というような冊子や患者さんの悩みや負担に対する支援につながる情報をウェブサイトでも提供し、かなりのアクセスがあります。
困っている患者さんには、そういう一般論として提供できる情報は必要だと思うのですが、一方で、患者さんの個別的な状況についての相談、これはネットの世界では一般化できませんので、ここが、相談支援センターの人対人あるいは医療スタッフの人対人の対象ではないかと思います。すなわち、ウェブサイトでの一般的な情報提供と相談支援センターなどでの個別的な対話の組み合わせが望ましい形だと思います。また、根拠がなければ情報提供はしないという姿勢は患者さんにとっては受け入れがたいものがあると思いますので、どのレベルの情報までを出すか、なかなか難しいと思います。
○門田会長 よろしいですか。
ありがとうございました。
秋山委員の御発表で結構開いて間なしだけれども、治療を開始して間もなくの人たちが結構多く来られたという感じで、今、全体的に利用者が少ないのかなという雰囲気の中で違った感じを受けたのですけれども、その方々は何か特色はあったのですか。
○秋山委員 場所柄ですね。大きながん拠点病院の真ん中にあるというだけではなくて、オープンと同時にさまざまなニュースソースに流していただいたので、実を言いますと、京都府の山の中から御夫婦で訪ねてこられたり、周りには一切言っていない、診断されて治療が始まるかなというところなのだけれども、周りに言ったら住んでいられなくなるような気持ちになって、わらをもすがる思いで、とにかく聞いてほしいから出てきたという方もいらっしゃるのです。
だから、気持ちの中でもやもやしていると、相談支援センターがあることはわかっていても、何を聞いていいのかがわからない。つまり、まだ問題を自分の中で整理がつかない状態でも受けとめてくれるのかという形で、きのう、すぐ近くの病院で診断を受けました、実を言うと治療のサインもしてきました、サインをしたけれども、自分の中では整理がつかない、すごくもやもやしたものがあって、それを家族にも友達にも言うと心配をするから、自分で抱え込んでいると。それを誰かに聞いてもらいたい。ここはがんということを隠さずに話せる場所で、全て聞いてもらえるのですねと。何か決めてくれということではなく、自分の気持ちを整理するのを助けてほしいという、そういうニーズです。3割近くいます。
○門田会長 そうすると、今、我々がディスカッションしている、病院に付随したような支援センター的なことでないほうがいいかもしれないということにつながりますか。
○秋山委員 拠点病院の中の相談支援センターは、十分に機能していただきたいと思っています。だけれども、外にもこういうものがあるという情報が見えているということで、大分救いがあるのではないかと思うのです。
それと、そこの病院にかかわらずに、病院の中では話せないと思っている方がたくさんいらっしゃいますので、できれば診断と同時に、先生たちもとてもお忙しい中で説明を十分にされているので、こういうところに相談支援センターがあるよという小さなカードでも本当に渡していただければと。何年も通っているけれども、おたくの病院のすぐ入って右肩に相談支援があるのですけれどもねと言うと、そんなものあるの、知りませんでしたと言われる方は結構いらっしゃるので、周知していないのではなくて、目に入っていないと思うので、何かわかるような形で示していただければ。それプラス、外にもあることが大事かなと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 今のに補足してなのですけれども、リファー先があることがすごく重要だと思っています。リソース、人員のことを考えても、院内だけでは全てのニーズに対応できないと思うのです。そう考えたときに、私たち患者会などもいろいろなチラシをつくって送っているのですけれども、ほとんど置かれていなかったりなどするのです。できれば地域の情報、状況に合わせた相談支援をやるための拠点として、情報の拠点としての相談支援なのだから、もっと外にも情報を出していくということを私はやっていっていただきたいと思っています。
以前、ピアサポートとかサロンを世界で一番最初に入れた病院だと思うのですけれども、そこの担当が言っていたのは、化学療法の過剰投与事件があったのです。そのときに生死が分かれたのです。何で分かれたか。情報だったのです。情報がある患者さんたちは、これはおかしいなと自分から言ったのです。なかった人たちはそのままおかしい、おかしい、おかしいで終わってしまったのです。そういうところから、エデュケーションとか情報はものすごく重要だとわかってから情報提供やサポートを始めているのです。日本は今、そういう状況が起きてしまっているのかなと思いますので、ぜひ拠点病院が中心になって、院内にはこういうことがある。でも、私たちはできないから、院外にはこういうところがあるのだよというところをもっともっと提供していただきたいと思っています。
○門田会長 難波委員、どうぞ。
○難波委員 私も補足してなのです、このピアサポートに関する事業を一元化していただいて、民間やNPOなどと協業していくためにも役割を明確にして、これまでは提供体制を整えることが課題だったと思うのですが、3期以降は参画体制を整えることも重点的に話し合っていったら良いと考えます。
○門田会長 勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 これは12年、13年前の私の実例なのですけれども、先ほど言ったように、ステージ4で、このままではだめだろうということで、国立がん研究センターに場所をかえました。そこで一番よかったのはセカンドオピニオンというか、3人の先生方が相談に乗ってくれました。大腸、それから、化学療法、そして、肝胆膵の外科の先生方一人一人と、自分の聞きたいことを全て聞けました。そういった情報提供があったからこそ今があるのではないかと思っています。全ての拠点病院において患者の知りたいことをおおらかに受けてくれるというか、相談し易い環境を整えてください。
○門田会長 ありがとうございました。
まだほかにもあろうかと思うのですが、ここでこの件について置きたいと思います。
いつものように、まだ発言できなかったものにつきましては、来週の金曜日までに事務局に届けるようにしていただきたいと思います。
それでは、3時間の予定でございますので、ここで10分の休憩をとりたいと思います。真ん中の時計で35分まで休憩をしたいと思います。
では、よろしくお願いします。
(休 憩)
○門田会長 それでは、時間でございますので、着席をお願いしたいと思います。
再開したいと思いますが、その前に事務局から連絡事項をお願いします。
○事務局 会の前半でマイクがハウリングするなどの事象が多発しておりまして、マイクを御自身のもとに曲げていただきますと、音量を自然に下げることができますので、ハウリングも避けられるかもしれません。御発言の際に、マイクを近づけていただくようにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○門田会長 それでは、再開いたしたいと思います。
議題(1)の2番目「がんの教育・普及啓発について」ということに入りたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○がん対策推進官 がん対策推進官です。
資料6「がんの教育・普及啓発について~議論の背景~」をごらんください。
がん教育・普及啓発につきましては、第2期のがん対策推進基本計画の個別目標の8に位置づけられております。
2ページ、その中で、具体的な記載については2ページ、3ページにあるとおりでございます。
また、中間評価の中で、拠点病院のがん患者のうち、治療中に社会からのがんに対する偏見を感じたものの割合が10.6%であるということでございました。引き続き、現場のニーズを確かめながら、相談支援、情報提供機能を充実させていくことになっております。
また、次のページ、学校におけるがん教育でございます。こちらにつきましては、文部科学省の担当官から少し御説明をいただきたいと思います。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 では、学校におけるがん教育について、文科省より説明をさせていただきます。
まず、6ページ目、こちらはがん教育に関する政府と文部科学省のスケジュールを示したものになっております。学校でのがんに関する教育というのは、今までは教科としては主に体育科及び保健体育科の保健の授業の中で、例えば喫煙、飲酒、薬物乱用と健康といった項目の中で扱われてきたところでございます。
一方で、国全体のがん対策としては、今も御説明がございましたように、がん対策推進基本計画に基づく対策が展開をされております。資料の中では、水色の矢印で示されておりますが、平成24年度からの政府としての第2期がん対策推進基本計画を受けまして、文科省では黄色の四角のところにございますように、平成25年度から補助金事業として、日本学校保健会主催で検討委員会を開催いたしました。しかしながら、さらなる検討が必要ということで、平成26年度からはがんの教育総合支援事業として、ピンク色と緑色の四角で示しているところにございますが、文科省主催で、「がん教育」の在り方に関する検討会を設置いたしまして、また、地域の実情を踏まえた形でのモデル事業を実施しております。
次年度、平成29年度からは全国展開する方向で、現在準備を進めているところでございます。こちらのピンク色と緑色で示された内容につきましては、次のスライドをごらんいただきたいと思います。
7ページ目、学校におけるがん教育2というスライドになりますが、今も申し上げましたように、平成26年度から本年度までの3カ年の事業としてがんの教育総合支援事業を実施しております。このうち、「がん教育」の在り方に関する検討会では、構成員として、教育委員会及び学校関係者、日本医師会、がん経験者、大学教授等、また、こちらにいらっしゃる道永先生、中川先生にも委員として御参画をいただきました。
検討会の中では、検討内容というところにも記載しておりますように、学校におけるがん教育の基本的な考え方として、がん教育の定義、目標、具体的な内容等を示すとともに、今後の検討課題といたしましては、がんに関する教材や指導参考資料の作成、外部講師の確保、研修について提言をされております。
このうち、外部講師を用いたがん教育については、ガイドラインが作成されておりまして、がん教育の在り方の報告書とあわせて、左下にお示ししたウエブサイト上からもごらんいただけるようになっております。
また、スライド中ほど下部に示しておりますが、がん教育の具体的な内容について検討するため、がん教育教材ワーキンググループを設置いたしまして、こちら「がん教育推進のための教材」を作成し、公表しております。本日、事務局より、この「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」と「がん教育推進のための教材」につきましては、机上配付をいただいておりますので、ぜひ御参照いただければと思います。
また、スライド右上にお示ししておりますモデル事業につきましては、全国の都道府県、政令市教育委員会を対象に実施をしておりまして、実施した学校数は記載のとおりとなっております。事業内容といたしましては、地域の中に協議会を設置するとともに、外部講師の確保、派遣、研修会の開催、また、文科省作成の「がん教育推進のための教材」をもとにして、地域の教材を作成いただいたりですとか、地域全体にがんに対する取り組みを広めたりといったことを行っていただいております。
以上です。
○がん対策推進官 続いて、国民に対するがんの普及啓発について御説明をいたします。
8ページ目、国では、がん対策推進企業等連携事業として、推進パートナー企業2,150社と提携して、企業や団体へのパートナー参画への呼びかけですとか、コンテンツ作成、ウエブ運営などによる情報発信を行っています。
また、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業ということで、これは医師向けではありますけれども、緩和ケア研修会等の実施や指導者の育成、また、普及啓発として、街頭イベントや市民公開講座といったものも行っております。
また、がん相談支援センターでは、全てのがん診療連携拠点病院に設置されておりまして、そこでは各がんの病態や標準的治療法等の情報提供を行っておりますし、国立がん研究センターでは、何度も御説明を申し上げたとおりでございますけれども、がん情報サービスとして、各がんの解説、情報提供を行っているところでございます。
10ページ、こうしたがん教育・普及啓発に関する現状と課題でございます。
学校におけるがん教育につきましては、先ほど文部科学省より御説明がありましたけれども、有識者会議を開いて検討をいただき、がん教育の教材あるいは外部講師の確保におけるガイドライン等を取りまとめていただきましたが、教員のがんについての正しい知識の理解が不十分であったり、外部講師への学校での指導方法等について研修等が不十分、また、教材や外部講師を活用した指導のあり方・方法の充実についての課題があるということでした。
また、国民に対するがんの普及啓発につきましては、がん対策推進企業等連携事業や緩和ケア研修等事業の中で推進をしてきたところでございますが、がんに関する一般的な知識を広く社会で広めるための方策、民間団体により実施されている普及啓発活動への支援、がんの普及啓発について、その効果の測定方法といった課題がございます。
こうした課題に対しまして、今後の方向性として、学校におけるがん教育では、教員や外部講師を対象とした研究会等を実施し、教員には、がんについての正しい知識や理解を促すとともに、外部講師には学校でがん教育を実施する上での留意点や指導方法を伝える必要があるのではないか。また、外部講師を活用した指導のあり方、方法について検討する必要があるのではないかとされております。
また、国民に対するがんの普及啓発につきましては、がんに関する一般的な知識を広く社会で広めるための方策を検討する必要があるのではないか。また、引き続き、がん検診や緩和ケアなどの普及啓発を進める必要があるのではないかといったことがございます。
説明は以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
ただいま厚労省、文科省から御説明いただきましたけれども、委員の皆様、何か御発言はございますか。
では、若尾委員から、どうぞ。
○若尾委員 ありがとうございます。
「がんの教育・普及啓発ついて」というこの題名なのですけれども、これは一般の人、つまり、健常者がおおむね対象になっているような気がするのです。それで、机上配付で急に事務局にお願いして、このピンクの袋の中に入っている乳がんのしこりの体験キットというのか、これはまだ試作品なのですけれども、これを机上配付にさせてもらったのです。もう少しユニバーサルに、もう少し一般の全ての人が積極的にがんにかかわるという願いを込めて、点字の部分を入れて、これを教育でするのか、普及啓発でするのかはまだ私どものほうでもしっかり考えていないのですけれども、これは私も乳がんを体験したので、乳がんに限っているのですが、若いうちから自分のこととして全ての女性、男性もでいいのですけれども、がんに対する意識啓発をしていくということで、ユニバーサルデザインでこういったものをつくって、皆さんに見ていただきたいと思ったわけです。
この教育にしても、普及啓発にしても、普通に一般の人だけというニュアンスの文言にするよりも、全ての国民に対する普及啓発ということで、視覚障害者、聴覚障害者、車椅子の方、そういういろいろな障害を持った方に対しても、教育や普及啓発ができるような、そういうあり方を3期の中では検討していただきたいなと思いまして、この資料を皆さんに見ていただきたく配付しました。その視点をぜひお願いしたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
この視点という形ですね。こういうものを身近なところに配ることによって、単に耳から学問として入るのではなくてということですね。ありがとうございました。
では、桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。
今の若尾委員の御意見、自分の体に関心を持っていくという啓発はすごく大切だなと思います。その上で一点補足なのですけれども、科学的根拠に基づいて啓発していくことは大切かと思っています。一般的に、これはパーツになってしまいますけれども、自己触診に関してはエビデンスがないので、こういうことはやめられたほうがいいかなとは思っています。
私は啓発ですとかがん教育に関しては、これが逆に新たな偏見を生むようなことにつながらないようにしなくてはいけないのではないかと思っています。そうした上で、生活習慣病だけではなくて、がんになったらどうするのか、がんになっている人に対して何ができるのかという、そういう、考えるような学習もこれからがん患者さんがふえていくことを考えると、避けて通れない課題なのではないかと思っています。
その上で、3つほど文部科学省の方がせっかくいらっしゃっているので確認をしたいことがございます。
1点目なのですけれども、私もがん教育の現場に伺わせていただくことがありますが、不登校の方ですとか、保健室登校の生徒さんは非常に増えているのです。こういう方ですとか、あるいは御家族とか、おばあちゃんがとか、おじいちゃんがとかという形で、身近にがんの患者さんがいるような、少し配慮が必要だというケースがあると思っています。例えばがんサポートかごしまの調査では、小学生で32%、中学生で41%が身近にがん患者さんがいると答えられているのです。このあたりに対する、いわゆる配慮が必要な生徒に対しては、どのようにこの教育をやっていくのかを考えられているのかということが1点です。
2つ目は、今回机上配付もいただいておりますけれども、私は現場に行っていて思うのは、教師の先生方のがんに対する知識は一般の方と余り変わらないのではないかと感じることがあります。外部講師になるがん患者についても、エビデンスのない体験談を話してしまうケースもあります。こういうところが、教師側、それから、外部講師双方について研修も必要だと思っているのですが、この点についてどう御検討されているのかをお聞きしたいです。
3つ目は、私は福島のことを忘れてはいけないと思っています。教育の目的は予防も含むのであれば、環境が及ぼす影響ですとか、これを科学的に今、伝えられる範囲の中で、親はかなり感情的にもなっていますので、こういうところを配慮しながらどう展開していくかが非常に重要だと思っています。先日も、横浜のほうでいじめの問題等々がありました。ばい菌だと扱われたことは放射能だと思ったというような、このようなことを言われているのです。このがん教育の検討自体が平成25年から開始されているということであれば、東日本大震災が起きた平成23年、もう検討はおきていますので、このあたりの福島でどう進めていくのかという問題、福島に対する配慮というところも検討されていると思うのですけれども、ここはどうお考えなのかを教えていただければと思っています。私自身は、福島でがん教育をこれから進めていく上では、スタンダードではいかないのではないかと思っています。
以上です。
○門田会長 お願いします。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 文科省より回答いたします。
御質問、ありがとうございます。
まず、1つ目のがん教育に関して、配慮が必要なケースというところで御指摘をいただいたところなのですが、本日、机上配付をいただいております、この「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」という資料の12ページにございます。既にこのがん教育で配慮が必要な事項ということで、御本人ですとか、あと家族にがん患者さんがいる人に対してはどのようにするのかというところで、こちらは一つ留意点として既に有識者会議の中でも意見が出ております。2つ目とも関係をしてくるのですが、一つは教材をしっかりつくるということと、あとは、そういった配慮が必要な事例に関しては周囲が配慮をして、積極的に声かけをしていくなどのケースが出ております。
また、今年度教材を用いて実際にモデル事業、各地で行っておりますので、実際にそういったところの声も踏まえて、また次年度に反映をさせていきたいと考えております。
また、2つ目の教師とか講師の質ということなのですが、こちらに関しましても、今、事務局配付資料6の一番最後にもございますように、11ページ、今後の方向性というところで、教員や外部講師を対象とした研修会等の実施というところで、また次年度以降の課題と考えております。
3つ目の福島、放射能の話ですけれども、こちらに関しては、まだ一定の見解が得られていないと認識をしておりますので、まだこちらのがん教育の中で具体的にどうするのかといったところまでは話は詰められていない状況でございます。
以上です。
○門田会長 桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 配慮が必要な事項として、不登校の方とか、保健室登校の方たちはどのようにお考えでしょうか。
それから、福島のこともこれから考えていかれるということでよろしいのでしょうか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 ありがとうございます。
こちらに関しましては、まだ不登校ですとか保健室登校といったところに対して具体的にどうする、すなわちがん教育のみの問題ではないと考えておりますので、がん教育の中でどのようにするといったことはこの中では議論はされていない状況でございます。
また、福島の件につきましても、知見に基づいて対応を行っていきたいと考えております。
以上です。
○門田会長 中川委員、どうぞ。
○中川委員 幾つかあります。桜井委員が御指摘の教員の方の知識については、私も神奈川県のがん教育の協議会の座長をする中で、神奈川県内の中学校の保健体育の先生方に関するアンケート調査をしたことがありまして、この中で、男性の保健体育の先生の4割が喫煙している、女性で15%というデータが出ております。私は全国80カ所以上で、主に中学生を対象に授業をしてまいりましたけれども、現場の先生方の知識は非常に限られていて、桜井委員が御指摘の一般の国民とほとんど同じレベル。これは仕方がないです。そういう意味では、私もこの教材の作成ワーキングの一員ではありましたが、まだまだこれでも難しいのです。そういう点で、日本対がん協会さんの資金で「よくわかる!がんの授業」というアニメを、この教材に即したものをつくりました。幸いにも文部科学省の選定をいただいていて、ぜひこういったものを活用していく必要があって、そういったものを授業の中で先生方に上映していただければ、実はそれだけで十分な効果が出ると思っています。
福島の問題についても、私も福島支援等をずっと続けてまいりまして、2012年からはほぼ毎年福島の子供たちに授業をしてまいりました。飯舘村はまだ全村避難を続けていますが、中学校自体が避難していまして、そこでも継続的に授業をしています。これは配慮は十分必要なのですが、子供たちは十分、福島の生徒さんも十分聞けると思います。ですから、もちろん配慮は大変重要なのですが、福島以外でも確かに多くの生徒が近しい方のがんの罹患、あるいはがんの死亡という経験があるのですけれども、やっぱり聞けるのです。ちゃんと聞く力はありますので、配慮とともに、そのことで教育の機会を失うことがないようにしていくことも必要かと思います。
最後に、大人に対するがんの普及という問題、これは今後の方向性に4つ項目が出ていますが、一般市民に対する啓発も私もかなりしてまいりました。よく自治体に呼ばれるのです。毎年呼ばれますと、参加者と顔見知りになります。つまり、もう来る人は決まっているのです。土曜日、日曜日にがんのことを聞きに来る方は、基本的にオタクでございます。したがって、たばこを吸う方などはいませんし、また、必要以上とは言いませんけれども、85、90歳になってもバリウムを飲むような方も多いのです。そういう方々ではなくて、自分だけはがんにかからないと思っている、あるいは喫煙する、あるいは検診を受けない方々に、学校の教育と同じように、一定の強制力を持って聞いてもらうためには、会社の中でやるしかないと思っています。会社であれば、これは組織あるいは上長からの指示があるわけですので、ですから、学校でのがん教育と、これに呼応した形の職域でのがん教育が不可欠だと思っています。
かつて、がんに関する普及啓発懇談会というものがあったのです。これは恐らく局長の下にあった会だと思いますが、まさに今、学校でがんの教育が実施される。これは全国津々浦々、これは総理も言われておりましたが、かなり重厚な教育が始まる中で、がんに直面しつつある大人たちが実は無防備な形で知識を持っていないということ、これを考えると、大人に対するがん教育をどうしていくのか、例えば普及啓発懇談会の再開などを含めて、よく考えていく必要があると思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 少し確認なのですけれども、平成29年度から全国展開ということで、この対象の学校は、小学校、中学校という義務教育ということでよろしいでしょうか。その中に、先ほど若尾委員からありましたように、障害のある方へも公平な支援をということで、特別支援学校についてのがん教育について、どうなっているのかをお伺いしたいと思います。
もう一点、教材、小児がんに対してすごく配慮していただいてありがたいのですけれども、この学習指導要領改訂の必要性について検討というところがありまして、以前も少しお伺いしたと思うのですけれども、教科書の中に載る可能性というところ、あと、この副読本というか、この教材をずっと全国に配付していくのかどうかというところをお伺いしたいです。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 ありがとうございます。
まず、1番目の対象となる学校ですが、基本的には小中高ということで考えておりますが、一つ、発達の段階を踏まえるということは重要なポイントでして、具体的に、このお配りしております教材を用いた話は、中高を対象としております。小学校におきましては、命の大切さといったことをもっと重点的に教えるということで考えております。
特別支援のところに関しましては、障害といってもさまざまですので、その障害に応じてといった形になると思います。
3番目、この学習指導要領改訂ということですが、学習指導要領につきましては、私たちの課だけということではございませんでして、文部科学省の中の中央教育審議会といった中で議論されているところでございますので、またそちらでの議論を踏まえた形で反映されていくものと考えております。
○門田会長 勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 がん教育の中でも、子供に対して教育されるわけですけれども、いつも思うのですが、文科省と厚労省、この連携はどうなっているのか。教育は物すごくいいと思うのです。その中で、次の議題になっていますけれども、がん検診、早期発見というところにまず向けて、そういったことも一応入っておるのですが、一番最初の子供の教育の中にがんの早期発見につながるような言葉、例えばお子さんからお父さん、お母さんに対してそういったことをきちんと説明、また、文書で送るとか、そういったことは前聞いたところでは、多分入っていないと思うのです。どうしても連携がないと、このがん対策そのものが進まないと思うのです。そこはどうなっているのか、もう一回お伺いしたいのですが、お願いします。
○門田会長 文科省、厚労省どちらからいきますか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 ありがとうございます。
連携というところに関しましては、非常に厚労省の担当部局とも密に連携をとらせていただいておりまして、あとは今、検診のお話がございましたが、皆様のお手元にもお配りしておりますこの「がん教育推進のための教材」の8ページをごらんいただきますと、がんの早期発見とがん検診ということで、検診についても紹介をしている状況でございます。
また、モデル事業を26年から実施しておりますが、その中でアンケートをとった回答といたしまして、例えば学んだことを持って帰って親に伝えたいですとか、また、父親がたばこを吸っているのをやめたいといった形で学んだことを家に持って帰って広めたいといったアンケート結果も得られているところでございます。
○門田会長 よろしいですか。
それでは、檜山委員、どうぞ。
○檜山委員 ありがとうございます。
福島の問題が出たので、今から対策をされるというお話だったのですが、実はがん対策推進計画の2期の見直しのときに小児の拠点病院のディスカッションをしているときに福島の震災が起きて、既にそのときに被曝の問題が出て、将来的には偏見あるいは子供のがんの問題ということで、多分拠点病院をつくるときの我々の専門委員会でディスカッションをした経緯があると思います。今回の報道、特に福島から転校された方のいじめの話を聞いて残念だったのが、全く教育がなされていないのだなということが実感されたので。この問題に関してはこういう被曝を受けた方々が偏見を受けないような教育をぜひ文科省では早急に検討していただきたいと思います。
以上です。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 ありがとうございます。
正しい知識ということが一番重要だと思いますので、がん教育もそのような観点から取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○門田会長 私からも1点、文科省側の考え方として、今、一つ一つ、がんとかあるいはそのほかのいわゆる知識の教育という、教育は知識を得るということでいいのかもわらないですけれども、ただ、今、話題にも出ていました不登校、そのほか、今の社会全体の中にいろいろな問題が物すごくふえてきていますね。ですから、個々の教育もさることながら、全体的な人間教育がどうなっていっているのか。極端に言うと、このごろのニュースを見ていますと、言い過ぎかもわかりませんけれども、少し崩壊に向かっているのではないかと思ったりすることがあります。そういうことについて、文科省サイドで教育という立場から何かお考えか、検討か何かされておられるのでしょうか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 ありがとうございます。
少しがん教育の範疇を超えているように思いますので、私の回答は困難でございますが、今、学習指導要領の改訂作業がまさに進んでいるところでございまして、10年ぶりの改訂ということになるのですが、その中で、今後の子供たちが身につけていくべき資質はどのようなものかということで、単純に持っている知識や技術をどういうものを身につけるかということだけではなくて、そういったものをどのように生かしていくかですとか、世界とどのようにかかわっていくかですとか、そういったところが今、まさに話し合われていると認識をしております。
○門田会長 難しい問題を言って申しわけないのですが、でも、教育というのは人間の教育ですから、がん教育だから云々という発想は捨てていただきたいと思うのです。ぜひ全体的に今の状況を検討していただきたい。
一方では、これもまた言い過ぎなるかもわからないけれども、いろいろな成長戦略につながるような教育のことが出ていますね。これも非常に疑問を感じているところがありますので、ぜひトータルな人間教育を検討していただきたいという気持ちでございます。
学校の教育とは違うことになってしまったかもわかりませんけれども、よろしくお願いします。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 先ほど、勢井委員から子供と保護者とのことが出ておりましたが、香川県宇多津町という町がありまして、そこでは平成25年から私は毎年中学校で授業をしています。小さな町なので、公立中学校は一つしかないのです。ですから、中学生はほぼ全員聞いてくださっています。そうすると、平成25年から親世代の受診率が非常に上がっていまして、それまで例えば乳がん検診の受診率が22%だったのが、27年度は45%、23%増、子宮頸がんが31%から50%ということで19%増、やはり子供たちは必ず親に話すのです。そういう点では、勢井委員御指摘の検診受診率の改善にも、実はがん教育は具体的に成果が出ているということをお伝えしたいと思います。
○門田会長 松村委員、どうぞ。これで最後させてください。
○松村委員 お時間がない中で済みません。
親との会話の中で、私ども京都府で取り組んでいるのが、例えば修学旅行の説明会、これだとどうしても親御さんは来られますので、そのときに、子供と一緒にがん教育をする。そういう意味では、子供だけ聞いてではなくて、家に帰っても親子でコミュニケーションがとれる。それが先ほどの教育のところにつながるのかもしれないのですけれども、そういう取り組みを一つふやしていただけたらと思っているのが1点です。
これは厚労省側に確認をさせていただきたいのですけれども、説明資料の8ページのところで、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業という中で、国民に対するがんの普及事業の中に医師側に対しても入っている状況なのです。実際に見ておりまして、確かに緩和医療については大分進んで、開業医の先生方もあるいは病院の先生方もお受けいただくところかと思っているのですけれども、在宅の医療を進めていこう、がんに対しての医療、療養を進めていこうと思うと、地域の医師会、いわゆる開業医の先生方のがんに対する知識を上げていかなければいけないのかなと実感しておりまして、教育啓発というところの部分から少し外れてしまうのかもしれないですけれども、そういう視点も盛り込んでいただけたらありがたいと思います。いわゆる専門外のところの部分が、内科の先生のところで、例えば循環器の先生が消化器系のがんの専門的なことを御存じかというと、なかなかそうではないということもありますので、そういう視点も入れていただけたらと思います。
以上です。
○門田会長 それでは、この件につきましてはここで置かせていただいて、さらに追加の発言をしたいことがあったものについては、事務局のほうにいただきたいと思います。
では、次に参ります。
次は「がんの予防、がん検診について」ということで、きょうは津金参考人に来てもらっています。津金参考人、よろしくお願いします。
○津金参考人 資料7-1で進めさせていただきます。
まず、がん予防に関しまして、ここで取り上げていただく機会を与えていただきましたことを感謝申し上げます。
本日、私は予防研究の研究者として、がん予防の現状と課題というものに関して、御紹介させていただきたいと考えています。
まず、がん予防はがん対策の第1のとりでであって、全ての国民にとって、最も望ましい対応策であるということ、これはがん患者さんにとっても例外ではなくて、次のがんを防ぐことはとても重要なことであろうと思います。エビデンスからは、がんは予防可能であるということと、近年、日本人のエビデンスについても蓄積され、確かながんの原因と予防法が提言されているという現状があります。
3ページ目、これは個別のコホート研究からのエビデンスを示していますが、放射線、先ほども話題に出ましたけれども、被曝者を50年追跡した結果としての放射線のがんリスクというものが明らかになっていますし、受動喫煙なのですが、最近、改めてまた話題になりましたが、1981年、実は最初のレポートが世界で初めて日本から出ているということがあって、そこから50年でようやく日本人における確かなエビデンスになったということかと思います。
4ページ目、個別の研究はやはりパズルの一つのピースで、全てを物語ることはできないということで、パズルのピースを組み立てる作業が必要で、我々、そこはがん予防のトランスレーショナルリサーチと言っていますけれども、エビデンスを系統的にきちんと評価して、足りないエビデンスを補足しながら因果関係を評価して、がん予防法を提言して、原因としてどういう割合があるのかを推計することです。これは第3次対がんのときから始めさせていただいている活動です。
5ページ目、より確かなエビデンスにするために、90年代から始まっているコホート研究、10コホート約52万分のデータ、あるいはアジア全体で29コホート約167万人のデータというよりかたいデータを分析することによって、いろいろなリスクというものがだんだんはっきりとわかってきています。
右はBMIとがん死亡リスクとの関係ですが、欧米ではほとんどは25以上の人なのですが、日本の場合は、まだ25以下の人がたくさんいるので、痩せにおけるがんのリスクの上昇が確認されるということです。
6ページ目、複数のエビデンスに基づいて因果関係を評価する作業が行われていて、確かな因果関係があるものに関しては、それを予防対策につなげることが重要であるということであります。
ただ、この青い部分でデータが不十分といって、まだ日本人の疫学研究は十分でなくて、因果関係がまだわからない、特に食事についてまだよくわからないという部分が多く残っているということは申し添えておきます。
7ページ目、そのようなエビデンスに基づいて、私どもが日本人のための予防法として提言しているもので、喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、そして、感染というものが日本人においては大事であると。これはがん対策情報センターのがん情報サービスでも情報提供しています。特に感染以外の5つの健康習慣に関しては、全く守っていない人に比べて、5つ守ると半分ぐらいリスクが低いことが示されています。
8ページ目、これは日本人のためのがん予防法を推奨するステップをお示ししたものなのですが、世界中のデータ、あるいは事故や職業暴露のデータからハザードが評価されて、日本人の暴露状況から日本人のリスクというものが評価されて、それに基づいて推奨を決める。推奨を決めるときには、ほかのいろいろなリスクやあるいは規制されているのかどうかということで判断して推奨するのですが、受動喫煙に関しては、規制されていればあえて避けろと言う必要はないのですが、規制されていない現状においては避けるということを入れている。加工肉、赤肉は、国際的には確かな大腸がんの発がん因子なのですが、日本人の摂取量においては、リスクはあっても小さいあるいはほかの病気のことを考えると、今は特に言及する必要はないという判断で、こういう日本人のためのがん予防法を策定しています。
9ページ目、日本人のがんの原因で、これは推計なのですけれども、たばこ対策と感染対策が重要で、たばこと感染で男性が53%、女性では24%の原因を占めるということで、そこが最優先課題であると。それから、次はアルコール対策で、過体重、肥満とか食事が寄与する割合は、欧米とは異なり小さいのですけれども、まだまだわからない部分が残っている。男性では約50%、女性では約30%は原因が明らかであるということ、裏返すと、まだ男性では50%は不明で、女性では70%不明というところに更なる原因究明研究の必要性が残っています。
10ページ目、がん以外の循環器疾患とか糖尿病とか、その他の感染疾患、呼吸器疾患、外因ですね。これはいわゆる非感染性疾患と言われているものは全て原因が共通している部分があって、がんの予防に重要な要因は、ほかの多くの重要な疾患の原因でもあるということを示しています。感染に関するものは、がん単独の原因になるということであります。
11ページ目、それを数字としてあらわしたものなのですけれども、日本人のがんの原因として、感染が起因するがんでの死亡が7万人なのですが、ほかの生活習慣に起因するものが13万人、これらの生活習慣改善によりさらにプラス14万人の死亡を防げるということで、全死因としては27万人となり、年間96万の死亡のうち26万を防ぐことができるという大きな効果を持つことをお示ししています。
12ページ目、がん予防における現在の課題なのですけれども、まだエビデンス・プラクティスギャップがあるということで、先ほどからも議論されているように、正しい知識の普及啓発が十分ではないのではないかという状況です。
それから、実践に向けた個人の行動変容と社会としての環境整備、それから、これは研究に該当しますけれども、がんの原因のさらなる解明と、正確なリスク予測に基づいた個別化予防というものが今後の課題であろうということを私としては考えています。
13ページ目、エビデンス・プラクティスギャップが存在しているということを示したもので、まだまだ過剰飲酒者もいるし、食塩の摂取量が高いということが日本の現状、受動喫煙もそうですし、喫煙率も高い。
14ページ目、世帯所得による生活習慣ですけれども、青いところ、野菜とか、歩くとか、望ましい生活習慣は所得が高いところの人たちがちゃんと実行しているのですが、運動習慣がないとか、喫煙をするとか、健診を受けないとか、肥満者というのは、低所得の人に多いという、こういう格差が生じているわけです。同時に、これはまだ改善が十分可能であるということを意味していることと我々は考えています。
15ページ目、私どもとしては、個人の行動変容を支援するツールという形で、がんリスクチェックというものをホームページで提供しています。今のところ、脳卒中もあるのですけれども、5つのリスクチェックを公開していて、16ページ目のように、喫煙しているかとか、身長体重とか、飲酒の状況とか、運動状況など5つの健康習慣を入力することによって、あなたの10年後にがんになる確率は15%ですよと提示します。ほかの健康習慣をちゃんと実践すれば、それは10%に減りますということで、行動変容を促すツールを作成しています。
17ページ目、まだ公開はしていませんが、肝がんのリスクチェックです。肝がんに関して、これはもう感染に係るがんに関しては、ほとんど非感染者ではがんになるのはまれで、感染者において高い確率で予測できると。C型肝炎ウイルスに同じく感染していても、0.1%から99.9%までということで、肝機能やウイルスの遺伝子型でさらなる予測ができるということもわかっています。
18ページ目、胃がんに関して言えば、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染してなくて萎縮がない人が10年後に胃がんになる確率が1%もないという状況であるというようなことがわかります。感染者で専ら胃がんが起こってくるということがわかります。
19ページ目、大腸がんですけれども、大腸がんは残念ながら運動とか肥満とか飲酒とか、かかわりがあることはわかっているのですが、まだ年齢の影響が大きくて、年齢が現時点では最大の予測因子です。ほかのものに関しては、感染しているかどうかがそこを覆すような大きなリスク因子になります。ですから、今後、こういうものに関しては、もうちょっといわゆるプレシジョンメディシンということで、精密な個人のリスク予測ができるようにということが課題かと思います。
それから、20ページ目ですが、こうやってリスク層別ができると何につながるかというと、がん検診の効果を最大化して、不利益を最小化できるということがあります。これはアメリカで行われた肺CT検診の有効性を評価したランダム化比較試験ですけれども、多くの有効性が証明されている検診はそのがんの死亡率は減るのですが、総死亡率を減らすエビデンスはほとんど出ないのです。多くの人はほかの病気で死ぬ確率が高くて、そのがんの死亡率を20%減らしても、総死亡率の減少にはつながりにくいのです。ただ、このようなハイリスクの人、すごく肺がんになる確率が高い人を対象にすると、総死亡率の低下につながることが示されているということです。
そして、検診の効果も、青いところは、肺がん死亡率減少効果20%低下というのはどのリスクでもほぼ同じなのですけれども、検診の効果としての1万人当たりで救える肺がんの死亡数は、リスクに比例して増加する。リスクが低い人は1万人検診しても0.2人しか救えませんが、リスクが高い人は1万人検診すると12人救えるということです。
同時に、下のほうにありますけれども、偽陽性の数もリスクに比例してずっと減ってくるということが示されています。
21ページ目、がん予防を阻む意外な落とし穴ということで、過剰診断という問題が実はあります。この過剰診断というのは、寿命前に症状をもたらしたり、死因になることがないようながんを診断することです。我が国の年齢調整死亡率を見ても、90年代から減少傾向にあるのに、罹患率は増加し続けているという現象が起こっています。これは前立腺がんを除けば減少傾向にあるわけです。
90年代に減っているのは、明らかに感染に関連する、胃がん、肝臓がんが減っている。70年代からのたばこ消費量の減少を反映して肺がんなどのがんが減っているということなどを反映していることだろうと思います。大事なことは、がんの過剰診断は普通にあるということをみんな認識しなければいけなくて、甲状腺、前立腺、肺、乳がん、メラノーマに関しては間違いなくあるということは国際的に認識されています。
日本では、医療従事者も含めて、この過剰診断に関する認識が正しく理解されていない部分があって、日本の週刊誌で取り上げられることはたまにありますけれども、欧米では、「The New England Journal of Medicine」とか「JAMA」とか「The Lancet」とか、そういう医学系の週刊誌で毎週のように取り上げられている話題であるということを共有する必要があるのではないかと思ってあえて出させていただきました。
22ページ目、前立腺がんもすごい勢いで今、罹患率が上がっているとか、特に女性の肺がんの罹患率がすごく上がっているという問題とか、甲状腺がんも死亡率は下がっているのだけれども、罹患率だけが上がっているという現象が日本においても起こっています。
23ページ目、がん予防とがんの早期発見・検診の関係ですが、無症状者に対するがんの早期発見・検診は、概してがんの診断リスクを高めます。その中には、一定程度の過剰診断が含まれている可能性があるので、従って、そのがんの死亡リスクの減少に帰結することは未知であったり、不利益が利益を上回る可能性のある推奨されていないがんの早期発見・検診、これはかなり今、かなりやられていますけれども、これを提供しない、受けないということも、がんの予防のためには重要です。
前立腺がんに関しても、米国の政府作業部会ではPSA検査をしないことを推奨していますし、甲状腺がんのためのエコー検査、韓国で大規模にやった結果として、女性最頻のがんとなって、医療費を圧迫しています。最近の推計では、韓国の女性の甲状腺がんは90%が過剰診断と推計されています。
肺がんに関しては、ランダム化比較試験においては大体20%ぐらい、いわゆるBACというものに関しては、女性に多いがんですけれども、約80%が過剰診断と推計されています。乳がんに関しても30%程度あるのではないかという推計も示されています。
ですから、今、欧米などですごくディスカッションされているのは、なるべくがんという名前はつけないようにする。上皮内がんとか、あるいは悪性ではないことが予測されるようながんに対しては、がんという名前を用いないようにしようということが国際的に議論されています。
やはりちゃんとリスク予測ができると、リスクの高い人への予防と検診を徹底することが出来て、リスクが低い人に検診の頻度を下げるとか、そういうようなことによって個別化していくということが大事だと思います。ただし、多くの疾病の予防につながる生活習慣改善などの予防に関しては、そのがんのリスクがたとえ低くても、それはやらなければいけないことです。
この過剰診断というのは、医療資源の浪費だけではなくて、国民の幸せな生活を奪う可能性があるということも認識しなければいけないのではないかと思っています。
では、最後、まとめです。
国民の健康寿命の延伸につなげるためにも、たばこや感染対策及びがん検診だけではなくて、生活習慣・生活環境の改善によるはっきりわかっている予防法を徹底的に普及・実践してもらうことによって、がん予防を推進した結果が、健康寿命の延伸につながる効果をもたらすのだということを再度強調させて頂いて、私の話題提供を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局から御報告をいただいて、あわせて討論したいと思います。
事務局、お願いします。
○がん対策推進官 事務局です。
それでは、資料7-2に基づきまして、国の取り組みについて、簡単に御説明をさせていただければと思います。
「がんの予防・早期発見について~議論の背景~」でございます。
2ページ、まず、がん予防につきましては、がん対策推進基本計画第2期の中で個別目標の4番目、がんの予防として挙げられております。この記載内容については、以下、お示しのとおりです。中間評価についても、喫煙率、それから、B型、C型肝炎ウイルス感染率について報告がされています。
8ページ、がん対策加速化プランにおきましても、予防、避けられるがんを防ぐということで、たばこ対策、禁煙対策と受動喫煙対策、肝炎対策、学校におけるがん教育というものが示されておりますし、がん対策加速化プランの提言においても、たばこ対策とあわせて感染症に起因するがんの対策についても挙げられております。
たばこ対策につきましては、がんの予防の現状と課題においては、喫煙率、これが今18.2%、この10年間では減少傾向でありますが、目標とする成人喫煙12%、ここまでを目標に引き続き対策が必要ということでございました。
肝炎対策につきましては、C型肝炎ウイルスに対しては、インターフェロンフリー治療、B型肝炎についても、核酸アナログ製剤治療などが見つかるところですが、まだ根治までには至っていないという状況です。
そのほかにつきましても、飲酒している者の割合や野菜類の摂取量、運動習慣と、主にこの10年は横ばいで推移しているといった状況でございます。
こうしたことから、今後の方向性として、たばこ対策としては引き続き健康影響についてのさらなる啓発と、受動喫煙の防止等たばこ対策を推進していく必要があるということ。また、肝炎対策につきましても、肝炎ウイルス検査を受けられるような促し、また、その他、感染や生活習慣に起因するがんについては、がん教育やスマート・ライフ・プロジェクトといった取り組みをさらに推進していく必要があると考えています。
14ページ目、また、がんの早期発見につきましては、基本計画の中の5番目、個別目標として位置づけられておりまして、記載内容は以下のとおりでございます。
また、中間評価でも同じくさまざまな指標が発表されておりまして、19ページ目ですが、がん検診の受診率につきましては、平成22年度で20%から30%、平成25年度で30%後半から40%という現状でございました。
加速化プランにおきましても、「予防~避けられるがんを防ぐ~」ということで、がん検診の受診率対策が進められております。
また、職域におきましても、職域のがん検診ということで、インセンティブ策を導入するなどの記載がございます。
加速化プランへの提言につきましても、さまざまな指摘があるところでございます。
がんの早期発見に関する現状と課題につきましては、まずは受診率の目標値と受診率の向上施策、普及啓発といったことで、基本計画で目標とされた受診率50%ですけれども、これを目指して、さまざまな普及啓発を行ってきたところですが、まだ目標の50%に達していない、受診率は上昇傾向でありますが、目標には達していない現状でございます。
また、エビデンスに基づいたがん検診の実施と精度管理につきましても、まだ市町村が行っている例えば精密検査の受診率等は十分に高いとは言えないといった状況がございます。
また、職域におけるがん検診につきましても、保険者や事業主が任意で実施しているといった状況でございまして、検査項目や対象年齢がさまざまであったり、統一的なデータフォーマットがない状況でございます。
こうした中、今後の方向性として、受診率の目標値につきましては、現在の50%よりも高い値とするべきではないか。また、さらに受診勧奨や受診率向上施策を推進するべきではないか。学校におけるがん教育や職域に対するがん検診の普及啓発に努めるべきではないかといったことがございます。
また、エビデンスに基づいたがん検診の実施及び精度管理につきましても、引き続き取り組みを進めるとともに、目標値、これを90%に定めるべきではないか。あるいは、不利益が利益を上回るような可能性のある検診につきましては、指針にそのように明記すべきではないかといったことがございます。
また、職域におけるがん検診につきましても、がん検診関係者の御意見を踏まえつつ、ガイドラインといったものを作成して、任意で受診する際にこれを参考としてはどうかといったことですとか、インセンティブを導入するための方策について検討すべきではないかといったことがございます。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどの津金先生の御発表と、ただいまの主にがんの予防ということについて、皆さんの御意見をいただきたいと思います。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。
津金先生にお聞きしたいことがあります。津金先生のほうの資料の4ページ「「(がん)研究」から「(がん)予防」へ」というタイトルで起きてきていると思います。既に御存じかもしれないのですけれども、アメリカのAACRから今年のキャンサープログレスレポートが出てきて、この中で、50%のがんは予防できるぞということが書いてありました。そういった中で、早期発見というものも大切ではあるのですけれども、予防を考える上では、がんの発症のメカニズムとか、あるいは転移や薬物耐性とか、病態解明のような部分、いわゆる基礎研究のようなものと連携した予防対策はものすごく重要かなと思っているのです。このパワーポイントにある「研究から」という意味は、そういうことをベースとされているのかどうなのかというところを確認させていただきたいと思います。
○津金参考人 予防というものを実践するにおいては、要するに、研究において総力戦で臨まなければいけない。疫学研究だけではなく、動物実験とかメカニズムの研究とか、そういうものを全て含めて、それによって因果関係がはっきりするし、それによって本当に予防可能かどうかがきちんとした科学的根拠に基づいて示せるというようなことです。要するに、論文を書くこと、これは、エビデンスの一つをつくることなのですけれども、それを含めた既存の利用可能な科学的根拠を集約して評価して、予防戦略やリコメンデーションを出すという過程を経ることが大事であるということをここではお示ししています。
○門田会長 桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。
そうしますと、これからの予防医学の考え方として、いわゆるアメリカでプレシジョンメディシンということをやって、今回のオーバーダイアグノーシスの話もそうなのですけれども、プレシジョンプリベンションのような、そういう方向性も、これからの予防であったり、検診であったりに物すごく重要になってくるかと思っているのですが、先生のほうはこのあたりはどのようにお考えでしょうか。
あと、これは中釜先生にもお聞きしたいところではあります。
○津金参考人 ありがとうございます。
研究としては、今、そこの部分が十分ではなくて、まだプレシジョンでこの人ががんになるかならないかを完全に予測することが難しいので、今後さらなるもうちょっとゲノムの情報も含めて取り入れることによって、ただ、大事なことはゲノムだけではだめであって、生活習慣とか、環境とか、場合によっては、ソーシャルネットワークというか、社会的なつながりとか、そういうような少しソフトな要因もがんになるかならないかに関しては極めて重要なので、そういうようなものを取り入れた研究が必要だということで、私が12枚目でがん予防における課題として2番目に挙げていることです。ここを進めることによって、なるべく本当に予防が必要な人に予防を提供し、例えば検診とか先制医療と言われるものに関しては、必要ではない人に提供しないことがすごく大事なのです。そこら辺をきちんと把握できるというようなことが必要で、研究が必要なのですが、ただ、今、日本の研究は治療研究に物すごく向かっていて、ここら辺の研究に関しては、ほとんど十分な研究費とか、そういう研究ができる基盤が日本においてはないという現状も改善して欲しいことでもあります。
○門田会長 中釜委員、お願いします。
○中釜委員 がんに関しては、治療に加えて予防が重要であることは間違いない事実であって、このまま行けば20年後にはがんの患者さんでは1.5倍ふえるわけですから、予防は重要です。今、米国ではプレシジョンメディシンイニシアチブというプロジェクトが勧められています。このプレシジョンメディシンの中には、個々人の遺伝的な状況に加えて、ライフスタイルであるとか環境要因、それらをトータルで含めて個人の治療に当たる、あるいはその予防に当たるということが書かれていると理解しています。
ただ、どのようにしてプレシジョン、個人の予防を最適化して進めていくのかということになってくると、津金先生のお話にありましたように、個人のリスクをどれほど正確に表現できるか、客観的に表現できるのかということだろうと思うのです。その中の一つの指標として、例えば喫煙であるとか、さまざまな環境要因の暴露であるというところをどのように客観的な数値として具体的なものとして出していくのか。それで、リスクの高い集団に対してより効率的な、リスクの低い人に対しては、さらに高い人に比べると、少し緩やかなプリベンション(予防)の方法を考えていく。早期診断ということも一つ重要な目標だと思うのですけれども、津金先生の話で、オーバーダイアグノーシスに関しては恐らく早期診断というマーカーが適切に提供されていない。要するに、そこで拾われた方々の中で、本当にリスクの高い人をどうやって振り分けていくのかということが重要になります。今、言われているオーバーダイアグノーシスのマーカーの指標に加えて、もう一つ、それをリスクに応じて層別化するものが必要だと、そういう研究も必要だということをおっしゃりたかったと思うのです。かなりリスクの高い人に対して、適切で至適な予防戦略をする。これがプレシジョンプリベンションだと理解しています。
○門田会長 よろしいですか。
勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 前回の協議会のときに、中川委員からたしか小さい冊子をいただいたのですけれども、事務局にもお尋ねしたいのですが、今、がん検診受診促進事業所ということで、全国で今、たしか2,500しかないのですね。徳島県を調べてみますと、36社です。弊社はこの36社のうちの一つには入っているのですけれども、まだまだ桁が全然違うぐらい企業としてはあると思うのです。それを今後どのように進めるのか、何が足りないのかというところを伺いたいなと。何せ企業からトップが検診を受けろと従業員に話をしますと、これは受けてくれるので、そういうことでも非常に大きいかと思うのですが、いかがですか。
○門田会長 今は予防のということで、今度、検診のところでもう一度。
難波委員、どうぞ。
○難波委員 難波でございます。
我々患者の委員のがんに関する情報提供、普及啓発の意見書で書かせていただいているのですが、これはなぜかというと、厚労省でいつまでたっても見解は明らかにされないので、あえてこちらのほうで言及させていただいたのです。何をかというと、子宮頸がんの予防ワクチンに関してです。ヒトパピローマウイルスの感染予防ということで、私自身、子宮頸がんの患者でもございますし、子宮頸がんの予防啓発を行っている立場として、日本人のためのがんの予防法、この感染のところで、ヒトパピローマウイルスの感染予防が記載されていないのは、非常に違和感なのです。これは国として、明確な立場を明らかにしていないということが理由だと見受けられるのですけれども、今、これから5年先、10年先のがん予防を考えるに当たって、ここは、まず国として立場を明らかにしてほしいことがまず一つです。
あと、津金先生を初め、委員の皆様方はどういうようにこの状況を見られているのかということを、ぜひ御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
○津金参考人 ここの情報を提供しているサイトには、ヒトパピローマウイルスのことに関しても書いているのですけれども、今、国がこういう立場をとっている状況の中で、あえて特だししてはいないということであって、私は研究者としては、当然感染に関連するがんに関しては感染予防が極めて重要であって、昨今ではいろいろな国際学会などに行っても、ワクチンの結果によって子宮頸部異形成が減っているとか、そういう報告をたくさん聞くのにつれて、日本はこのままで大丈夫なのかということは、研究者として非常にじくじたる思いでいつも国際学会では聞いています。
○門田会長 桜井委員、追加でお願いします。
○桜井委員 全くもって同感です。津金先生も一緒に出られていたのですが、世界がん会議でも名指しで日本の状況は言われていました。たしかHPVの話は事務局のほうの資料でも、ずっと前のページではHPVについていろいろ出てきているのですが、最後の12ページ目ではごっそり落ちているのです。今、出ているのはたばこ対策と肝炎とその他、その他にもHPVは入っていない。ここはちょっと方向性を協議会として出していったほうがいいのではないかということを思います。
それから、もう一点、禁煙の部分です。喫煙ががんの発症メカニズムに関連しているということも明らかになっていますので、このたばこ対策のところも受動喫煙防止等々ではなくて、禁煙を推進していくことを私はゴールにしていっていただきたいと思います。先日、ニュースを聞いていて、厚生労働省も分煙だったのだと、結構ショックだったのです。厚生労働省もぜひ禁煙を進めていただきたいと思っています。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
田中委員、どうぞ。
○田中委員 今の喫煙の話に関連するのですが、厚生労働省資料の4ページ目に、基本計画に関する個別目標で、受動喫煙の機会を平成34年、2022年度までに家庭3%、飲食店15%を目標とするとあります。でも、日本は東京オリンピックが2020年に予定されていて、国際オリンピック委員会が「たばこのない五輪」を求めているので、オリンピックが開催される国では飲食店や公共の場ではたばこを吸えないのは常識なわけです。日本も当然2020年度を目標にそういう政策を進めるべきだと思いますけれども、これではそういうことを全く想定していない書き方になっています。ですから、もし受動喫煙に関する目標値を書くのであれば、2020年までにゼロとするのが当然だと思いますし、ぜひそういう方向を目指していただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
この禁煙のことについては、本当に第1回から10年以上前からずっと同じディスカッションをしているのです。そろそろ死亡率が全然予定どおりに下がっていないということを考えて、しっかりとこれを改めてディスカッションいたしましょう。相当事務局とのディスカッションになるかもわかりませんが、ぜひやりたいと思います。
時間も押してきましたが、中川委員、よろしくどうぞ。
○中川委員 津金参考人がおっしゃった中で、がん予防は健康寿命の延伸につながる。それは非常に重要なことで、多くの国民ががんは非常に特殊な病気と思っているわけです。ところが、例えば日本でがん死亡率が一番高いのは青森ですし、また、一番平均寿命が短いのも青森です。その逆に、一番がん死亡が少ないのが長野で、長野が一番平均寿命が長いという、そういったことを常識化していくべきだと思います。
研究メカニズムという話も出ていましたが、子宮頸がんについては論外で、これはぜひ協議会としても書き入れるべきだと思いますが、もう一つ胃がんのピロリ菌の問題にも触れられましたけれども、これはリスクとしては非常に巨大なリスクです。そこの部分が検診のプログラムの中に組み入れられていないという点があって、たばこについては、喀たん細胞診をやるかどうか、ヘビースモーカーの方はやるということになっていますから、これについては津金参考人はどう思われますか。
○津金参考人 私は基本的には検診というものは利益ばかりではなくて、不利益も与えるので、リスクの高い人に主に集中的に行うべきであって、肺がんなどにおいては重度喫煙者、これは明らかに重度喫煙者とそうではない人では違って、たばこを吸わない女性の肺がんがふえていることが本当なのか、それは診断とかそういうことに関係しているのではないか。胃がんに関しても当然リスクが低い人にはなるべくやらないとか、あるいは間隔を長くするという、こういう戦略が今後のがん検診においては絶対に必要だと思います。だから、軒並み全員に対して受診率50%とかは理想ではなく、十分な科学的根拠がないので今はしようがないと思うのですけれども、将来の姿としては、リスクが高い人に対して集中的に検診をやるとか、そういう方向にぜひ持っていくべきであると私は考えています。
○門田会長 ありがとうございました。
申しわけないのですが、そのほかの御意見はまた事務局に寄せていただいて、次の検診のほうに移りたいと思います。
それでは、本日は大内参考人にお願いしておりますので、検診についての御説明をお願いいたします。
○大内参考人 ただいま、がん予防についてかなり踏み込まれておりますので、重なる部分もあろうかと思います。
資料8、1枚紙がございます。資料2の裏側に、がん検診のあり方に関する検討会の開催状況が書き込まれております。
これは、第2次までのがん対策基本計画に基づいて行ってきて、そして、このたびの第3期の基本計画に向けた取り組みと御理解ください。資料としまして、番号はないのですけれども、「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理」が後ろのほうに入っております。これが本検討会の報告となりますので、適宜、これをごらんになっていただきたいと思います。
9月30日付で総務省からの指摘事項、勧告もあったとおり、幾つかの問題点が指摘されております。資料8の左側にあるのは、この問題点でございます。我が国におけるがん検診の受診率、それから、科学的根拠に基づくがん検診の実施及び精度管理、市町村におけるがん検診の受診率の算定方法、さらには、職域におけるがん検診の質の向上等でございます。
これは指摘事項のとおりでございまして、右側に今後の方向性ということで、4項目についてそれぞれ書いてございます。
第1項目の検診受診率についてですが、本邦において、受診率向上につながる対策を講じて、一層の向上に努める必要があるということを書きました。第2期では、50%を目標とするとなっておりますが、現状でそれが届いていないということですが、第3期においては、それを50%としてまた書き込むのかどうかは、この本協議会の検討に委ねたいと思いますけれども、現在の50%よりも高い目標を設定すべきであるということを書き込みました。
その理由としましては、この議論の整理の4ページの右上に「OECD Health at a Glance 2015」という加盟国の中での子宮頸がん受診率と乳がんの受診率の、世界の平均がございます。これが約6割です。そういったことを踏まえて御議論願いたいと思います。
次に、科学的根拠に基づくがん検診の実施並びに精度管理です。これは総務省からの指摘もございましたように、市町村ごとに検診方法にばらつきがある。特に、健康局長通達で示されているがん検診の指針に基づかない検診を行っている自治体が多数認められる事実を確認いたしました。したがいまして、右のように、都道府県や市町村はこの根拠に基づいたがん検診の実施と、精度管理に取り組むべきと。
それから、精度管理についても大変重要でございます。これについては、今まで精度指標がございませんでしたが、平成20年に行われたがん検診事業の評価に関する委員会の中では、一応調べておりました。現状では、例えば大腸がん検診については、精検受診率は60%台と非常に低い。乳がん検診については、90%から80%以内なのですが、これも目標としては、90%とすべきであるということにいたしました。
それから、市町村におけるがん検診、これは対策型です。いわゆる健康増進法に基づくものですが、これが老健局長の通達の中に入っているがん検診の指針です。これに基づいた検診を行うこと、それに対しては、受診率を上げるために普及啓発の工夫、コール・リコールの問題、これは効果があることはわかっておりますので、そういったことに取り組む。
この受診勧奨の仕方及び他の検診との同時実施等について取り組む。
それから、総務省からも指摘されていますように、市町村間での比較可能な指標、これはがん検診の受診率そのものです。それは議論の整理の5ページをごらんください。今まで全国民を対象として調べる手法は日本にはございません。なぜかといいますと、対策型がん検診は、健康増進法に基づいて市町村事業となっております。一方では、職域に関しては、労働安全衛生法の中に、がん検診の項目はございません。ですから、それを両方、全体を見ることは不可能です。今、確実に見られるのが国民健康保険の被保険者数、これを分母として受診した者を分子とするものを第1指標とする。
しかしながら、これだけでは抜ける可能性がございますので、次の段に、第2指標としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率算定を行うということを明記しました。
ということで、市町村ごとに比較可能となるように対策を講じました。
最後に職域におけるがん検診ですが、これが後に中川委員からも報告があるかと思いますが、職域におけるがん検診は非常に多いです。この検討会においては、この1年間、健保連、協会けんぽを含めて委員として加わっていただき、十分な議論を重ねてまいりました。そこで浮かび上がったのは、職域におけるがん検診の実施方法、それから、精度管理が不十分である、あるいはガイドラインが統一されていないといったこともございますので、これも対策型の市町村事業におけるがん検診と照らし合わせながら、検診の方法も統一化、それから、精度管理についても同じくすべきだという意見がございます。これについて、今後策定していきます。
職域も含めたがん検診のあり方について、さらに踏み込んで、日本医師会を中心としまして、日本医学健康管理評価協議会というものを発足して、健診データ標準フォーマットというものが策定されております。これは11月8日開催の第20回のがん検診のあり方に関する検討会で、道永委員より提案をいただきました。こういったことを参考にしながら、全国民のがん検診受診率、それから、精度指標がわかる形で行っていきたいと考えております。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
先ほど紹介がございましたけれども、中川委員から御発言はございますか。
○中川委員 机上配付資料として、私の提出参考資料がございます。それをごらんいただきたいと思います。
がん対策推進企業等連携事業というものがございます。ロゴがありますが「がん対策推進企業アクション」という名前で知られてございます。これは平成21年から取り組まれたものですけれども、まず、大内参考人がおっしゃいましたが、実は2枚目、職域検診は非常に大きいのです。5がんに関してここにありますように、男女のがん、胃がん、肺がん、大腸がんについては、6割から7割が職域で行われております。子宮頸がん、乳がんは、これは主婦の方も多いということもあって半分程度、4割、5割ということであります。
3ページ目、簡単に言いますと、この事業は職域におけるがん対策を進めましょうということです。厚生労働省がん・疾病対策課の事業で、委託事業になっております。毎年公募によって受託先が変わるわけですが、がん検診の受診率を高めることから出発しました。当初はがん検診企業アクションと言われておりましたが、今は、そのほか就労あるいは職域での教育ということを含めて総合的ながん対策を職域で行っていこうと。
3ページ目、パートナー企業と呼んでおります、この取り組みに賛同していただける企業、現在、ごらんいただきますように2,162社、従業員数としては550万人を超える規模になってございます。
4ページ目、これはふえてきているということであります。
5ページ目、6ページ目には実際にパートナー企業になられた企業もリストされております。
3ページ目ですけれども、実はこの従業員の数です。100人未満の企業さんが45%約半数を占めているということも触れておきたいと思います。
7ページ目、就労に関しても実は取り組んでおりまして、生稲晃子さん、乳がん経験者の方ですが、この方にも企業アクションのイベントに何回か登場していただいて、この生稲さんが働き方改革会議に民間議員として参加されております。それに関しての生稲さんの発言もございましたが、主治医、会社、産業医等のトライアングル型のサポートが重要と。これは、安倍総理も重要だと答えているのですが、これは非常に重要なことで、産業医が実は私傷病であるがんというものにコミットしていく可能性が示唆されたのかと、そのように思っております。
8ページ目、この企業アクションの中で表彰事業もしておりまして、株式会社古川、あるいはアシックスさんなどのような方に関してはメディアでも取り上げられていて、とりわけ検診は仕事とありますけれども、検診を就労時間として認めてもらう、そういう取り組みが始まってございます。
傍聴の方々には、小冊子「がん検診のススメ」を配付していただいたと伺っております。委員あるいは関連のこちらにおられる皆さんには前回お配りをいたしました。まだ少し余っているようなので、なくしてしまった委員の方はまたお持ちいただきたいのですが、10ページ目、これも大内委員がおっしゃった健保連と厚生労働省の健康局と保険局が合同で、いわゆる大企業です。健保組合に対して有効回答率が88%ぐらいの精度の高い調査ですけれども、この中で検診受診率、精検受診率が出されてございます。
検診受診率については、いわゆる子宮頸がん、乳がんという女性のがんに関する受診率が大企業においても3割程度ということです。薄いグレーが被扶養者です。一方、精検受診率を見ますと、ごらんのように被扶養者のほうが高いのです。働いている本人の精検受診率よりも被扶養者が高い。恐らく会社の中ではなかなか精検を受けたいと思っても、受ける機会がない可能性があるのではないかと思います。
また、いわゆる協会けんぽさんにおいても、がん検診受診率が11ページのように出されておりますが、これは企業規模が小さくなってくると受診率が低くなる問題が浮き彫りになってございます。
12ページ以降は、この推進パートナー企業を対象にしたアンケートの結果ですが、時間の関係でここはかなりはしょらせていただきますが、例えば14ページです。パートナー企業で、かつ、この調査に答えてくれる方ですから、かなり意識が高い企業さんなのですが、大企業と中小企業で男女のがんについて9割程度、あるいは9割以上行われている。中小企業において子宮頸がん、乳がんの受診率がまだ低いという問題があって、乳がん、子宮頸がんをどうしていくのかという問題がございます。
15ページは、このパートナー企業の各5がんに関する受診率の伸びがまとめられてございます。
17ページ、まだまだ科学的根拠がある以外の方法も行われているということが胃がん、18ページの肺がんで、特に肺がんに関しては喀たん細胞診が行われておりません。これは非常に大きな問題だと思います。19ページが大腸がん、20ページが乳がんということでありますが、少なからず科学的な根拠がまだ確立されていない検診が行われているということでございます。
23ページ、これは検診受診率の把握をしている企業さん、さらに、要精検者の把握をしている企業さん、要精検者の受診勧奨をしている、要精検者の受診の有無を確認している、あるいはそれに対して勧奨している、こういう点ではだんだん下がっていくのです。ここにおいて問題となるのは、企業の社員の方の個人情報の扱いということなのです。これが非常に大きな壁になっていて、実はコンプライアンスを重視する大企業のほうが、この辺は受診勧奨しにくいという問題もあって、この辺は、ぜひ大内参考人が御指摘になったガイドラインの中に、個人情報をどのように位置づけるのかということもお願いしたいと思います。
就労については24ページにまとめておりますが、これはまたごらんいただいて、ただ、言えるのは、この茶色の中小企業が大企業よりもいいという例もあって、この辺はさっき申し上げた個人情報に対する立場がこういったことに影響している可能性がございます。
25ページがまとめでありまして、このパートナー企業については8割を超える企業はがん検診を行っている。中小企業においては、女性のがん検診が問題だということです。
それから、おおむね科学的な根拠がある検診が行われていますが、そうでないものもあるし、また、例えば腫瘍マーカー検診のような過剰診断につながるような、あるいはいたずらに不安をあおるようなことも行われているのも事実であります。
ざっと申し上げましたけれども、ホームページで「企業アクション」と引いていただくと、企業アクションの概要が閲覧可能です。大変詳しいデータが載ってございます。職域のがん検診、あるいは学校でのがん教育に呼応する職域でのがん教育という中で、ぜひ次回の基本計画の中にもこのがん対策推進企業アクションをきちんと位置づけていただければと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお二方の発表に対してのディスカッションをしたいと思います。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 がん検診のまとめ方は非常に難しいと思うのですけれども、3点、大内参考人に確認をさせていただきたいと思います。この議論の中で、最初に出てくる50%という数字です。これはがん対策推進計画が始まるときに数字がなくて困り、やっと50%という数字が決まった経緯があったと思います。全国民におけるがん検診受診率について、より精度の高いデータや算出方法を確立しなければならないという議論はなかったのかどうか、これが第1点です。
2点目、科学的根拠に基づかない検診は具体的にどのような検診項目を指しているのか。
3点目、高齢者のがん検診についての議論はなかったのか。
この3点について教えてください。
○大内参考人 最初の50%という到達目標については本協議会からの提案でして、がん検診のあり方に関する検討会では、何らその意見を求められたこともございませんでした。ただし、国際標準、先ほどOECDが平均6割を超えているということからすれば当然かなと思っていましたし、今回、総務省の評価局から指摘があったように、市町村間での比較ができないようでは困るということで、ここは踏み込んで、ワーキンググループもつくって、その算出根拠については今回提示しましたので、今後は明らかになっていくと思っています。
○山口委員 50%という数字ではなく、その計算方法という意味だったのですが。
○大内参考人 計算方法は、厚労省のほうの事務局から言っていただいたほうがいいのですが、今までは国民生活基礎調査を使っていたと思います。
○事務局 事務局からです。山口委員がおっしゃった50%の算出方法の根拠となりますのは、国民生活基礎調査です。こちらは毎年行っておりますが、3年に一度がん検診に対する調査を行っており、現時点では平成25年のものが最新であり、平成28年のものは現在集計しております。結果が出るのは、来年の夏ごろかと思われます。
○大内参考人 第2点の科学的根拠については、これは世界的にも当該がんの死亡率が減ることをRCT等によって証明されている検診ということになります。それをもって科学的根拠ということで、今、区別しております。それ以外はある意味、アディショナルな検査方法、あるいは任意型等でして、対策型としては、やはりEBMを重視しております。それは死亡率減少効果でございます。
3点目については、議論しております。欧米諸国においては、上限を64歳とか69歳が一般的です。本協議会でがん死亡率の減少20%は74歳以下とされたと伺っております。したがいまして、このがん検診に関しての対象者としては、できれば踏み込んで例えば5歳下の69歳としたいのですが、先ほどから過剰診断の問題もございますので、これは肺がんにしても、大腸がんについても、胃がんついてもそうですけれども、的確な年齢を絞って、それは開始年齢と終わる年齢というものをきちんと示すべきだと思います。このことは議論されておりまして、この検討会報告書で幾つかのところに書いてありますが、適正な受診者対象ということで、受診間隔も含めて検討中でございます。まだ結論は出ておりません。
○門田会長 若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 2点あります。
1点目は、先ほど山口委員がおっしゃった死亡率、科学的根拠に基づかない検診というものに対する扱いなのですけれども、山梨県などの場合は、肝臓がんで亡くなる方が比較的多いので、各市町村、がん検診の中に肝がん検診を入れたりするのです。そこに対する県や市町村がどう扱ったらいいのかというのはとても戸惑っていて、これを集団検診とするか、住民サービスとするかというようなところ、すごく悩んでいる部分があります。その辺に対する指針が一つ必要なのかなと思うのが1点目です。
2点目は、先ほど私が机上配付したものに対する反応の中で、視触診はエビデンスに基づかないから、それを推奨するのはどうかというものがあったのですけれども、がん検診ではもちろんそうだと思います。それを個人のセルフメディケーションとしても推奨するべきではないのか、どなたに伺ったらいいのかわからないのですけれども、その辺に対して教えてください。
○大内参考人 まず、対策型がん検診についての対象臓器ですが、5大がん検診になっておりまして、肝がんは入っておりません。これ以上については、事務局からお願いいたします。
○事務局 お答えいたします。
現在、がん検診の指針におきましては、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針で定められており、5つのがん、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんとなっています。これらは国内外のエビデンスに基づいた検診ということで、その検査の間隔、対象とする年齢などについて決められております。国としては、指針を示した上でその指針に基づいた検診を実施するよう推奨しております。実施主体は市町村となりますので、市町村が指針を踏まえた上で検診の内容などの判断をするとしております。
○大内参考人 乳がん検診の触診に関しては世界中に死亡率減少の効果があったという根拠はございません。
それから、自己検査についても大きな上海スタディーがございましたが、これでも証拠がはっきりしておりません。ただし、月1回ごとに定期的に自己検査をすることはお勧めしております。それは書き込んでおります。
○門田会長 桜井委員、それから、難波委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。
大内参考人にお聞きしたいのは、1つ目は人材育成の部分、2つ目が上限年齢の部分と3つ目が家族性腫瘍に関する検診の部分です。この3つについてお聞きしたいと思います。
1つ目は、私は意見書のほうにも書いていますけれども、昨今デンスブレストの話ですとか、あるいは検診の見逃しの話等々も出ているかと思います。検診の受診率は上がってもこういうことが起きると、受ける方は非常に残念な気持ちになりますので、このあたりの人材育成の部分はこの検討会の中で話し合われているのかということ。
2つ目の上限年齢について。上限年齢を上に設けることで、ほかの例えば肝炎対策とか、地域の実情に応じて必要な部分に対して予算を配分できていけるのかなと思っています。検診はいわゆる一般会計の中で他の予算と取り合いになっていると思うのです。上限年齢を設けることで、離島のがん医療だったり、そういう地域の課題に充てていくとか、そういうことができるのかなと思うので、この上限年齢については、世界の水準と合わせていただきたいと思います。
3つ目が、家族性腫瘍に関することで、これは発症のリスクが非常に高いということはエビデンスで出てきております。これからゲノム医療がどんどん進歩していくことを前提にすれば、このあたりもあり方検討の中で考えていくべきなのではないかと思っておりますが、いかがでしょうかということです。
○大内参考人 第1点目の人材育成といいますのは、これは桜井委員に確認したいのですが、マンモ上のデンスブレスト対策としての超音波検査のことでしょうか。
○桜井委員 ありがとうございます。
それもあります。例えば検診の研修会を受講することも義務づけますなどという言葉があるのかということ。それは乳腺に関してのみならず、肺がんとか、ほかもあると思うのです。そちらに関しても検討がされているのかということもあわせてお聞きしたいと思います。
○大内参考人 がん検診の指針の別添の中に、例えば乳がん検診については、医師や技師については、そういった講習会を受講することということが書き込まれております。そういったことを胃がんや他のがん検診についても全て書き込むことが本来の姿だと思っております。
上限については、これは議論が今、深まっておりまして、今後さらに詰めていきます。本協議会からこれがあるべきだというお墨つきをいただければ、もっと進めることが可能かと思います。それは資源の適正な配分という意味からすれば、まさしくそのとおりでして、私からもぜひ推進していただければと思います。
家族性腫瘍については、今まで本検討会で行っておりません。これは今後がん検診の検討会においての項目とすべきかどうかについて、事務局と相談させていただきます。
第1点目のデンスブレスト対策につきましては、既に事務局で次回の検討会からこの件については議論することを協議中でございます。
○門田会長 よろしいですか。
では、最後に難波委員、どうぞ。
○難波委員 難波でございます。
桜井委員に関連して補足なのですが、今、御回答を大内参考人から得られたのですが、先月10月28日に全国の乳がん患者団体から、デンスブレストに関して、アジア人の約5割から8割が高濃度乳腺であって、マンモグラフィーでは見えづらいゆえに、今の告知方法というものがしかるべきものではないのではないかという要望だったと思うのです。これに対して大内参考人はどう受けとめていらっしゃるのかということと、かなりマスコミで取り上げられたこともあって、国民全体が不安に思っているのです。ですから、早急にがん検診のあり方に関する検討会なりで議論が深められるのかどうかというところをぜひお聞かせください。
○大内参考人 先ほど申しましたように、次回の検討会になると思いますが、デンスブレストについての議論を深めます。マスコミ等で大変大きな話題になっておりますが、まず、米国においてマンモグラフィー上の「Breast Density Notification Laws」というのは、27州で施行されております。ただし、米国は任意型検診でして、対策型ではございません。対策型検診のヨーロッパあるいは韓国とかアジア系、全てで今、乳腺濃度を通知しておりません。その大きな問題は、体制ができていないからです。受け皿がありません。MRIにしろ、超音波にしても全く装備されておりませんので、この点も含めて、桜井委員が言われたように、あるいはこの要望にありますように、実施体制を急ぐべきだと思います。人材育成等を急ぐべきだと思っております。この点については、先ほど申しましたように、事務局と協議しながら検討してまいりますので、事務局からもよろしくお願いします。
○門田会長 よろしいですか。
○がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。
今、大内先生からお話があったとおりで、次回以降の検診検討会でこの議論もしていきたいと思ってございます。
学会がこのことも検討されていると聞いてございますので、学会さんの御意向等々も勘案しながら議論をしていきたいと思ってございます。
以上です。
○門田会長 桜井委員、簡単にお願いします。
○桜井委員 今のことに追加してなのですけれども、検診は本当に紙切れ1枚で結果が来てしまうのです。デンスブレストと書いてあると、一般の人は本当にパニック状態になってしまう。今、現場に何が起きているかといったら、不安に思った患者さんたちがみんな拠点病院の乳腺に駆け込んでいるのです。本来、時間をかけて診るべき患者さんが本当に時間が薄くなってしまっていると悲鳴が上がっています。ですから、そのあたりをきちんと吟味をして、現場に応じた体制整備と、先ほどから議論に出ている的確な検診をきちんと進めていただきたいと思っています。それは大内先生の言われたように私は体制の整備だと思っています。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
既に15分オーバーしていますので、このあたりで締めたいと思うのですが、ただ、私はこの協議会を最初から10年間関係していて、検診も予防も最初からずっと出て、10年間たってほとんど進展がない状態で、非常に責任を感じさせられているのです。中川委員もそうだと思います。
そこでお願いしたいと思うことは、ここまで10年間やってきたものが、なぜこれにとどまっているのか、どこに問題があって次にどうするべきなのかというところを知りたいと思うのです。ですから、できない、できた、今度は何%ということもそれなりに目標とすれば立てるべきだと思うのですけれども、だけれども、10年やってきたことについては、その反省、検証が必要だという気がいたしております。ぜひ、検討会ではそれを早急にお願いしたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
ということで、一方的にお願いしただけで終わりになってしまったのですけれども、委員の皆さん、まだ御意見が足りないことがあれば、来週の金曜日までに事務局に届けていただくことにしていただいて、本日はこれで終わりたいと思います。
事務局から、連絡事項をお願いします。
○事務局 本日は長時間にわたり御議論をいただき、まことにありがとうございました。
次回の協議会につきましては、12月21日の14時からを予定しておりますので、また後日御連絡等を差し上げます。参考資料のファイルにつきましては、事務局で回収いたしますので、お持ちにならないようお願いいたします。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
これで終わります。
健康局がん・疾病対策課
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