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2016年11月16日 第68回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成28年11月16日(水)13:00~16:00


○場所

ベルサール半蔵門 ホールA


○出席者

遠藤、石本、伊藤、井上(隆)、井上(由)、岩村、岡、小林、
黒岩(代理:小島参考人)、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鈴木(隆)、
鷲見、陶山、武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、桝田の各委員
(大西、藤原委員は欠席)

○議題

1 在宅医療・介護の連携等の推進

○議事

○尾崎企画官 定刻となりましたので、ただいまから第68回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 報道関係の方に御連絡をいたします。冒頭のカメラ撮影はここまでとなりますので、御退席をお願いいたします。

(カメラ退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 皆さん、こんにちは。

 それでは、議事に入る前に本日の出欠状況について御報告をいたします。

 本日は大西委員、黒岩委員、藤原委員が御欠席でございます。

 また、黒岩委員の代理として小島参考人(神奈川県保健福祉局福祉部長)が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移ります。本日の資料につきまして、事務局よりまず確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 資料1「在宅医療・介護の連携等の推進」。

 それに対応する参考資料1を配付してございます。

 参考資料2は、1026日に開催されました第4回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会の資料でございます。

 また、末尾に栃本委員から提出いただいた資料をお配りしてございます。

 不備等はございませんでしょうか。よろしければ、座長よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、資料について事務局から説明をお願いしたいと思います。

○鈴木老人保健課長 老人保健課長でございます。

 それでは、資料につきまして、資料1と参考資料1をもとに御説明をさせていただきます。

 今回は在宅医療・介護の連携等の推進ということで議題にさせていただいております。

 資料1をあけていただきまして2ページのところでございますが、現状と課題でございます。

 ローマ数字1に医療と介護の連携に係る取り組みについてということで、まず1で書かせていただいておりますが、サービスを利用する国民の視点に立って急性期の医療から在宅医療、介護までの一連のサービスを切れ目なく提供することが求められているところでございます。2のところにありますが、今後より一層、医療と介護の連携を推進していくためには、スムーズな連携が行われることが重要であると考えております。

 参考資料1の2ページをごらんいただければと思います。実際の医療サービスと介護サービスの連携ということで、どのようなものがあるのかというのを簡単に整理したものでございますが、上のほうのブルーで囲ってある部分、ここがいわゆる現場におきまして実際に関係者が連携をする場面ということで考えておりまして、医療と介護の連携につきましては、例えば入退院時の連携ですとか、生活の場での連携におきましては在宅において医療と介護もしくは介護保険の中の医療系サービスと介護保険サービス、福祉系サービスが連携する場合。それから、施設においての連携が行われる場合。こういったところで実際のサービスの現場で医療・介護の連携が必要な部分と、それから、それを支えるという意味で、その下にあります介護保険事業計画ですとか、医療計画もしくは今回議題に挙げさせていただいております地域支援事業におけます在宅医療・介護連携推進事業の関係。それから、上の実際の場面の連携をスムーズにするために、その裏打ちという観点からいわゆる介護報酬改定、診療報酬改定といったものできちんと手当をしながら、医療系サービスと介護系サービスの連携を進めていく必要があると考えております。

 戻っていただきまして資料1の2ページでございますが、ローマ数字2にあります在宅医療・介護連携推進事業についてということでございます。当事業におきましては、多職種協働により在宅医療・介護を一体的に提供できる体制を構築するということで、実施主体につきましては市町村が実施主体となり、都道府県、関係団体等と連携をしながら、平成30年4月までに全ての市町村で実施することとしております。

 3ページ、2番の上のほうでございますが、今回、平成30年4月までに実施することとされている当該事業でございますが、全部で8つの事業項目がございます。それの進捗でございますが、参考資料の5ページをごらんいただければと思います。進捗について実施状況調査を行ったところ、28年度の速報値、右側でございますが、8つの事業全てを実施している市町村は174市町村で全体の10%、まだ事業を実施していない市町村は98市町村、全体の5.6%となっております。

 また、事業別で見ますと次のページになりますが、やはり進捗については差があるところでございまして、最も多く行われているのが(ア)の地域医療・介護資源の把握の実施。これが全体の8割で行われております。最も少ない項目につきましては、(オ)の在宅医療・介護連携に関する相談支援事業で、これが全体の5割弱となっております。

 戻っていただきまして、本体資料の3になりますが、今回の在宅医療・在宅介護連携推進事業の実施方法につきましては、さまざまなことが皆さんから言われておりまして、事業項目の(ア)~(ク)を実施することにこだわり、本来の目的が見えないまま取り組みの一部だけを切り取り、実施している自治体も少なくないという御指摘ですとか、市町村の課題を把握・分析した上で、課題解決に資する対応策を実施するよう市町村に強く促すべきとの意見もあるところでございます。

 4ページ、引き続き現状・課題の4でございますが、また、国におきましては事業の実施方法の取り組み例につきましては、在宅医療・介護連携推進事業の手引きの中で示させていただいておるところでございます。一部の自治体におきましては、この事例にない取組ではありますが、医療介護連携に資する地域の実情に応じた取り組みを行っている事例がございます。これにつきましては参考資料の9ページ、10ページに載せておりますので、後でごらんいただければと思います。

 5になります。市町村の規模別の取り組み状況にも差があると見られておりまして、これにつきましての関連資料が11ページ、12ページになります。

11ページを見ていただきまして、人口規模別の在宅医療・介護連携推進事業の実施状況ということで、それぞれ8項目、(ア)~(ク)の項目におきまして人口規模を5分割させていただきまして、それぞれの取り組み状況をグラフ化しておるところでございます。全体的には比較的小規模な市町村における取り組みがまだ実施していないところが多くなっております。特に実施していないところで多いところにつきましては、(ウ)の切れ目ない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進ですとか、次のページにあります在宅医療・介護に関する相談支援、また、(ク)の在宅医療・介護連携に関する関係市町村の連携、そういったものが挙げられているところでございます。

 お戻りいただきまして6でございますが、これは今、市町村で見ましたが、都道府県別の取り組み状況におきましても、地域によってばらつきが見られているところでございます。

 これの関連資料につきましては15ページ、16ページにありますが、特に16ページを見ていただきたいのですが、今回、取り組みが多い市町村が多い県と少ない県、上位5県、下位5県で比較をさせていただいたところでございます。そうしますと、取り組みの多い都道府県の市町村に比べて、取り組みが少ない市町村におきましては、事業実施のためのノウハウが不足しているですとか、関係機関、特に病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会等との連携体制の構築、広域調整というものが、課題として挙げている割合が非常に多かったという結果になっております。

 また、それらについて市町村から都道府県への支援を希望する内容といたしましては、参考資料の17ページ、下のほうになりますけれども、当該市町村に対する在宅医療や介護資源のデータの提供、それから、事業、特に先進事例等に関します研修ですとか情報提供、医師会等、関係団体との調整ですとか、広域的な医療介護連携に関する協議など、いわゆる広域的な問題に関して都道府県からの支援を希望するということが非常に多い結果となっております。

 なお、都道府県別の取り組み状況におきまして、取り組み件数が比較的多い滋賀県ですとか福井県につきましては、市町村では比較的実施が困難な取り組みについて、県が積極的な支援を実施しているというような結果も出ているところでございます。

 戻っていただきまして、本編資料の5ページのところになりますが、介護保険事業(支援)計画と医療計画における記載についてということでございます。現在におきましては、医療と介護の連携に係る取り組み、特に今回の在宅医療・介護連携推進事業につきましては、市町村が介護保険事業計画の中で、都道府県は介護保険事業支援計画において市町村支援に取り組むよう位置づけられているところでございます。一方で都道府県が作成する医療計画におきましては、今回の在宅医療・介護連携推進事業に対する市町村支援は位置づけられていないというのが現状でございます。この点につきましては、現在、医療計画の見直し等に関する検討会において、次期医療計画において議論がされているところであり、在宅医療・介護連携推進事業を担う市町村と都道府県との連携、地域の医療に精通した医師会等との連携や、保健所の活用による市町村支援等が必要であるとの意見も同検討会においてあったところでございます。

 6ページ、今度は医療サービスと介護サービスの連携についてということで、いわゆる現場におけますサービスの具体的な連携のことでございます。

 1に医療サービスと介護サービスの連携は、入退院時における入院医療機関と在宅介護の連携のほか、生活の場における多職種連携ですとか、介護保険と医療機関との連携、特に医療機関と中間施設である老健、さらには老健と在宅医療の連携など、さまざまな連携があると考えております。その中の1つとして入退院時の連携の関係でございますが、入院医療機関の職員と介護職員の情報共有により、医療サービスと介護サービスが切れ目なく提供できることが重要である。しかしながら、現時点ではその情報共有が不十分な場合ですとか、退院直前の急な連絡でサービス調整に困難を来すなど、シームレスなサービスが提供できていないとの指摘もございます。なお、福井県におきましては県内共通の入退院ルールを作成することで、シームレスなサービスを提供しているというような事例もございます。

 さらに4にありますが、これまでの介護保険部会におきましても特別養護老人ホームにおける医療ニーズ、看取りへの対応ですとか、地域包括支援センターや在宅介護支援事業所と医療機関との連携、リハビリテーションや認知症に関する医療介護連携の重要性について既に議論がされておりまして、その結果、介護報酬改定の際にあわせて検討することが適当というような意見もあったところでございます。

 これらを踏まえまして、論点といたしまして5つ挙げさせていただいております。

 まず第1に、在宅医療・介護連携推進事業につきましては、市町村におけます取り組みの実施数のみ着目するのではなく、実際の連携が必要とされるさまざまな場面において連携が推進されるかについて評価を行うという視点が不可欠だと考えております。このため、地域の医療介護連携の実態把握、課題の検討、課題に応じた施策立案に至る方法について国が具体化し、市町村にその実施を求めることとしてはどうか。言うなればPDCAサイクルをきちんと回していただくことを、きちんと市町村に対して提示してはどうかということが第1点でございます。

 2点目が、市町村では取り組みが困難ないわゆる医療介護に関するデータの収集ですとか、在宅医療に対する体制整備、特に広域的な入退院連携等、都道府県が実施すべき市町村支援の取り組みについて、国がきちんと明確化し、地域の医療に精通した医師会等との連携ですとか、保健所の活用により市町村支援の充実を図ることとしてはどうかというのが2点目でございます。

 3点目が今回の在宅医療・介護連携推進事業の推進に向けまして、手引きの中で事例で挙がっていないものもさまざま現在行われておりますので、そういったものにつきまして取り組みを収集し、市町村や市町村支援を担う都道府県に示していくことはどうかということでございます。

 4点目が計画の関係でございますが、平成30年度に都道府県が策定します介護保険事業支援計画に、在宅医療・介護連携推進事業に関する医療部局との連携を含め、より実効的な市町村支援の内容を盛り込むなど、都道府県の介護部局及び医療部局の双方が市町村支援に取り組むこととしてはどうか。なお、医療計画におけます市町村支援につきましては、医療計画の見直し等に関する検討会において現在、議論がされているところでございます。

 最後になりますが、これまで介護保険部会においてリハビリテーション等ニーズに応じたサービスの提供については、最終的には介護報酬改定の際に検討することが適当との意見がございました。同様に今回の入退院時における入院医療機関と在宅介護の連携等、医療と介護の連携のさらなる充実に向けて、平成30年度介護報酬改定及び診療報酬改定の同時改定に合わせて検討してはどうかということで、最後の論点とさせていただいております。

 なお、医療介護連携につきましてはもう一つ、大きな問題といたしまして、療養病床の問題がございます。療養病床につきましては先ほど冒頭で説明させていただきましたが、現在、社会保障審議会の療養病床の在り方等に関する特別部会、これはいわゆる当介護保険部会と医療保険部会との合同部会になりますけれども、ここで今、議論されているところもございますので、その議論の結果を尊重することとしたいと考えているところでございます。

 説明は以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 これから皆様の御意見、御質問等を承りたいと思いますけれども、まずは論点が7ページに示されておりますので、論点に沿って御意見をいただければと思います。また、できるだけ多くの方に御発言をいただきたいと思いますので、要領よく御発言いただければと思います。

 それでは、いかがでございましょうか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 それでは、7ページの論点についてお話させていただきたいと思います。在宅医療・介護連携推進事業は8つあるわけですけれども、これは全て医師会等に委託が可能となっておりまして、これまでも郡市区医師会に対して積極的に行政と連携しながら取り組みを進めるようにお話をさせていただいております。医師会の分析によりましても、例えば1医師会が1自治体とか、大きな自治体における医師会、あるいは大きな医師会の周辺にある市町村、そうしたところは取り組みが進みやすいのですが、小規模な市町村が集まっているような地域、あるいは医師会的に言えば1つの郡市医師会に複数の市町村があるような場合に課題が多いと感じておりますので、そうしたところへの対策が重要になると思います。

 この論点については、いずれももっともな話だと思いますので結構だと思いますが、4番目について、ここには介護部局と医療部局とあるのですけれども、介護保険事業計画や介護保険事業支援計画だけではサービス付き高齢者向け住宅が抜けてしまいます。地域でサ高住が急にできて、在宅医療の資源がそこにとられることが起きております。私の地元でも山奥のゴルフ場の跡地に非常に大規模なサ高住をつくる計画が出まして、誰があんなところに行くのだろうと言っているのですが、市に話しても、県に話しても、皆さん賛成している人はいないのですけれども、止められないということで、それは問題ではないかと思いますので、介護部局と医療部局だけではなくて、住宅部局との連携及びサ高住の計画的な整備も必要だと思います。

 いずれにしても、そうした課題の多い地域に対しては、まず医師会などの職能団体、医療機関、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなどが協働する体制を整備することが前提となると思います。各都道府県は事業が進んでいないそれらの市町村の根本的な問題を抽出し、都道府県医師会と一緒に介護部局、医療部局、住宅部局が連携して支援することが必要だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。それでは、武久委員、どうぞ。

○武久委員 今回の提言というか提案は非常にもっともなことで、時宜を得てこのように進んでいくことがどうしても必須だと思いますけれども、2008年から人口が減り出しましたが、これは一部の都会では余り減っていないのですが、田舎へ行くと限界集落とか消滅集落とかいっぱい出てきておりまして、私は前のときにもお話したのですけれども、国民健康保険と介護保険と非常によく似た性格のものがございまして、小さな集落だと消滅集落がいっぱい出てきて、実際に介護保険が保険者としての対応ができなくなっているところが現実に出てきております。

 そういう意味では都道府県や国が重層的に支えるという今回の提案は、非常に的を射るものだと思っておりますし、現実問題として国民健康保険も近々保険者が都道府県になるということでも、実際の末端の事務は市町村がすることになっておりますから、国保の保険者の移行の後、数年たって様子を見てから国保と介護保険というのは同じようにしたほうがスムーズにいくのではないか。

 今、医療と介護の連携とか接点という話になっていますけれども、もともと医療と介護の中を同じ患者さんが行き来しているわけです。当然そのパスウエイは連続していないといけないわけですから、部局も介護保険の部局と医療の部局が分かれていたのが医療介護連携推進課というものができてきたり、非常に的を射た対応をされておりますので、私はこのような方向で3層構造というか、重層的に支援していかないとうまくいかない。過疎に行くほど人間も少ないし、事業所も少ないし、スタッフも少なくなる。アクセスが長くなって非常にコストがかかるのに点数、要するに収入が全然上がらないというと、民間事業者はみんな撤退する。こういう悪い循環を何とかしてお考えいただいて、カバーできて、その住みなれた地域で住むことが継続できるようなシステムをぜひ検討していただきたいと思います。ありがとうございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。それでは、岡委員、どうぞ。

○岡委員 在宅医療・介護連携推進事業については、取り組みがおくれている市町村においても確実に事業を実施できるよう、国や県が必要に応じてサポートをしていくべきという点で、論点に示されている取り組みの方向性には賛同いたします。

 ただ、取り組みの度合いに関して市町村ごとの格差が大きいのであれば、これも論点にあるように各現場レベルでの実態と要因を深く掘り下げ、より地域ごとの具体的な対応策を検討していく必要性があります。国や県が一定の枠組みや指標を示すだけでは実効性に乏しく、連携推進事業を通じて実現すべきゴールを明示し、その達成を市町村に課すなどの取り組みも必要と考えます。

 いずれにしても保険者であれ地域ケア会議であれ、医療と介護との連携においては、その要となる調整役の機能強化が大きな課題であると考えております。

 加えて医療・介護の連携事業の実施状況だけでなく、大切なのはその具体的な成果であります。8つの事業を通じて何を実現させるか。市町村に対する目標設定を義務づけ、その達成状況を国や県が事後評価していく仕組みを検討すべきと考えます。

 論点の5番目に医療と介護の連携のさらなる充実に向けて、平成30年の介護報酬及び診療報酬の同時改定に合わせて検討することとしてはどうかとの記述がありますが、これが連携を行った保険者に対するインセンティブの検討を意味しているのであれば、いささか疑問だと思います。医療・介護の連携は、保険者が行うべき当然の責務でありますので、逼迫する保険財政の中、あらゆる施策をインセンティブで実現しようとするのは、問題の先延ばしにすぎないと考えております。

 以上です。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 それでは、桝田委員、陶山委員、伊藤委員の順番でお願いします。

○桝田委員 まず論点のほうなのですけれども、この5つ、必要項目ということで進めていくには絶対的に必要な部分と思いますが、少し視点を広げまして、例えば参考資料の11ページで書いてございますけれども、連携推進事業の実施状況、人口5万人未満という1つのくくりになっておりますが、現実問題としてこの中で一番進んでいないところ、進められないところというのは多分人口が1万人未満とか、5,000人とか、すごく小規模なところだと思うのです。そこの地域には病院もなくて、医療が非常に弱い地域。どうしても周辺の市町村に医療を依存しているという地域がございますので、そこらの地域については市町村単位というのではなくて、もう少し広い単位で医療介護の連携を考えざるを得ないと思うのです。

 そこから言いますと、医師会単位で1つのこのような連携をつくったほうがいいのではないか。医師会が1つの市に1つの医師会というのではなくて、郡単位であったりいろいろな形で医師会は構成されていますので、そこの医師会単位ぐらいの規模で考えていかなければいけない地域が存在している。少し検討して、都道府県もそういう支援をしていただけたらと思います。

 もう一つ、参考資料28ページの医療と介護の連携の図式なのですけれども、病院、有床診療所があって、老健、特養云々と順番に並んでいますけれども、医療と介護の連携の部分で今、一番重要な役割をするのは地域包括支援センターであり、居宅介護支援事業所だと思うのです。ケアマネジャー単独で個人には当然そういう支援をしますが、事業所単位で考えると、そこの部分が中心となって医療と介護の連携は進めるべきなのであって、個別で云々ではないということを考えますと、1つは居宅介護支援事業所の報酬問題があります。医療のほうが介護と連携すると今回、少し厚いものが、いろいろなメニューが出ましたけれども、介護側のほうでも少し考えてあげなければいけないのではないかと。

 今ありますのは、入院時の情報提供加算がありますけれども、7日という制限があったりして非常に使いづらくて、あまり実際に使われていないという問題もありますし、1カ月間、介護サービスを全く使わないとケアマネジャーの収入にはならないということもございます。そうすると、どうしても例えば病院に入院したら、あとは病院のほうにお任せしますよというスタンスでケアマネさんもいる。その1つの原因の中にケアマネさんにとって医療機関、病院というのは非常に敷居が高いと思っている方が結構おられます。もうお任せするしかない。特にケアマネさんのもともとの職種が医療系でない方の場合は特にそういう感覚を持たれていますので、そこをちゃんと払拭するような研修体系とか、連携体制が要るのではないか。そこを少しケアマネさんの部分の補強をしていくことによって、医療介護の連携でもっと進めていく部分が別の面で存在するのではないかと思っています。

 もう一つ、参考資料の37ページに特養のお話がちょっと出ているのですけれども、今、武久先生が言われた山間部の過疎地域という部分で、市町村という部分の捉え方と、もう一つは合併する以前の旧市町村という捉え方をしますと、医療がほとんどない地域が点在されて、限界集落云々の問題から始まって、超過疎化が進んできている。そういう地域になりますと、医療と介護の連携どころか、あるのは特養1つだけ。特養にある介護サービスが、例えばデイサービスがあり、ヘルパーステーションがあれば、それだけのいわゆるサービス機能しか持っていないという地域が出てきています。

 そこの部分になってきますと、今回の平成27年度から始まりました特養、要介護3以上という部分が1つの足かせとなって非常に進みづらい。地域包括ケアを進める上で特養が中心とならないような地域にとって足かせになっていますので、地域特例という形で将来的にはそういう地域においては、要介護3以上という部分も再検討せざるを得ないような実態があるというのを少し御承知おきいただきたいと思っています。

 論点につきましては、この部分を進めていって、医療と介護の連携というものは進めざるを得ない。進めていかないと地域包括ケアは成り立たないと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 では次は陶山委員、お願いします。

○陶山委員 論点全体につきましては、大分整理をされてきたと感じておりますが、私のほうでは在宅医療・介護連携推進事業の推進の進捗について、一言、お話をさせていただきたいと思います。

 途中で資料の4ページの4にあります在宅医療・介護推進事業の手引きについて、その改訂版の有無につい御質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 現在の進捗ですが、資料1の3ページ、5ページにあるように、なかなか実情は進め方が非常に大変だなという感じに見えますが、課題は13ページ、14ページに記載されていますけれども、先ほど来、話のある小規模市町村の進捗にあることは分析からも大体明らかになってきていると思いますし、5万人未満の市町村については特に大変だなということでございます。

 中でも重要項目について共通しているのが、市町村外の医療機関への受診が近隣市町村との調整に手間取っているだとか、市町村内の医師会など関係機関との連携が不足している。また、有資格者を含む人材確保の困難性がある。そのようなことかと思いますが、その根底に潜むのが14ページの最後の自由記載欄にありますが、「介護予防日常生活支援総合事業を優先せざるを得ず、後回しになっている」とありますけれども、それが優先順位の調整の難しさだと感じています。

 対策としては論点にもありますように、滋賀県や福井県の好事例などを広く紹介するとともに、その地域の実情に応じた取り組みを支援していくことを、市町村や市町村の支援を担う都道府県に示していくことが必要だと思います。

 先ほどの質問ですが、在宅医療・介護連携推進事業の手引きの初版が27年3月に出ていますが、これはその後で改訂版というのは出ているのでしょうか。御質問でございます。

○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。

○鈴木老人保健課長 済みません、まだ改訂版は出ていません。

○陶山委員 そうですか。であればこの手引きの1ページに記載されている最後のところなのですが、「本事業が普及されるに従い、多くの取り組みが実施されることになるが、今後、全国の取り組み事例を収集・整理することによって、より効果的に本事業が実施できるよう手引きを改訂する予定である」と挙げられておりますので、先ほど手引き以外でもしっかりとさまざまなことをやられているという話がございましたけれども、ぜひそれを含めて改訂版をつくっていただきたいと思います。

 そして、総合事業、包括的支援事業全体のかかわりについて、どのような連携や優先順位をつけるか。必要であればガイドラインを整え、交通整理をしていただいた上で、市町村や都道府県のバックアップを行うことが大切かと思います。

 また、一巡目の議論のときにも出ておりましたが、今回もノウハウが乏しいという表現がまだ払拭されていない現実もあることから、特に医介連携の課題抽出や関係者の研修に重点を置いて取り組んでいただきたいと思います。

 地域支援事業の論議の中でも御指摘をさせていただきましたが、現場は予防プランの報酬低下による引き受け手の不在、的の絞れない会議体の開催、付属する業務量の増加等で、予防介護への安定したサービスの提供が困難になりつつある地域もあると考えます。今は特に総合事業との課題を早急に改善する方向と、総合事業と医療介護連携をいかに利用者にとってストレスなく導入できるよう全力を注ぐことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 医療介護連携は、今後の高齢化に当たって地域での資源を含め必要な対応だと思っておりますので、この論点で掲げられた各取り組みは進めていくことが必要だと考えております。

 参考資料1の16ページでこの取り組みが進んでいる県と進んでいない県について、私は3月の分科会で、とりわけ取り組みが進んでいないところの課題を見ていく必要があるというように申し上げたことを踏まえてかと思いますが、このような資料をつくっていただきましてありがとうございます。改めて見てみますと、それほど取り組みが進んでいるか進んでいないかにかかわらず、共通の課題の認識がされているとともに、多少の濃淡があるように見えます。その中でもやはり4つ目に挙がっています行政と関係機関、医療関係との協力関係の構築というのは、いずれにしても高いところがありますので、その調整に当たっては国、都道府県の支援を進めていく必要があると思っています。

 そして、体制を組んでいくというときに、多少県によって濃淡があるということは、県のほうにまだなかなか進められない事情があるのだろうと思いますので、職員の研修体制などを含めて人的、財政的な支援も必要になってくると思います。市町村については先ほども指摘がありましたけれども、非常に規模に差がありますので、特に医療に関して取り組んでいくことはハードルが高いところもあると思いますから、特段の支援が必要だと思っております。

 1つお聞きしたいことがありまして、15ページの都道府県別の平均実施数、これを前回、私は別の会議の資料でこれを見て、そのことを発言したのですが、今回は新たに28年度の調査結果が示されたのだと思います。前回の調査結果と比べ和歌山県が大幅に上がっているような気がするのですけれども、なぜ進んだのか。前回は、低いところはどういう課題を抱えているのかと申し上げましたが、急激に改善しているというのは頑張ったのだろうと思うのですけれども、何か事情といいましょうか、よい取り組みが進んだのかということを御報告いただければありがたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では事務局、お願いします。

○鈴木老人保健課長 済みません、なぜ進んだかというところの詳細まで私のほうでまだ分析していませんというのが答えになります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では今度はこちら側にいきましょう。佐野委員、小林委員、井上由美子委員、お願いします。

○佐野委員 医療介護の連携の重要さは今さら言うまでもないと思うのですけれども、今回、論点に挙がっている項目を見ますと、いずれも連携推進のための体制整備が中心で、いわば入り口部分に当たることだろうと思っています。これまでほかのテーマでも申し上げていますけれども、市町村中心の展開には限界があり、そういう面で国、都道府県は関与すべきだと思っていますので、その点では今回の提案は評価できますし、また、体制整備というのは制度のインフラ基盤として極めて重要だということも理解はしております。

 ただ、一方で医療介護全体としての給付抑制という大きな課題に向けては、限られた時間の中で成果に結びつけることが求められると思います。そういう面では次のステップとしての具体的な目標設定ですとか、スピードアップのための施策も進めるべきだと思いますし、また、連携のための取り組みの効果を見える化することも重要だろうと思います。

 若干、各項目について補足的にコメントしますと、論点1、2については今も申し上げましたが、市町村の底上げを図るためにも都道府県が主体になって広域化の促進ですとか、人材派遣を含めて制度的に都道府県が関与する仕組みが必要だと思います。

 論点3については、もちろん好事例の横展開は必要だと思いますけれども、同時に取り組みが進んでいない自治体に対しては期限を設けて、さらには何らかのペナルティーみたいなものも検討したらどうかと思います。

 論点5については、リハビリ等のニーズに応じたサービス提供について、30年度の同時改定で検討することは賛成いたします。同時改定においては医療と介護で重複しているサービスの無駄の是正とか、もしくは医療介護連携による重度化予防なども、検討の観点として必要ではないかと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では続いて小林委員、どうぞ。

○小林委員 在宅医療や在宅介護の連携については、これから新たにそうした取り組みを行おうとする市町村にとって、どのような手順で、どのような関係者と調整を行えばよいかの一般的な手法が示されているということは重要だと思います。このため、論点にありますように、そうした手順を国が示す必要があり、さらに連携が推進されていることを評価する手法についても確立していく必要があると思います。

 また、一定程度そうした連携が定着したタイミングでは、連携によって要介護度や介護給付費にどのような影響を及ぼしたかなどのアウトカム評価についても、ぜひ評価いただけるような体系にすべきであると考えます。

 さらに中長期的には都道府県や市町村といった行政の組織体制としても、医療と介護を別の部局で担当するのではなくて、両者を担当する部署を創設していくべきだと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 井上由美子委員、お願いします。

○井上(由)委員 今後、当たり前のことですが、高齢化が進んでいくことを考えますと、医療と介護の両方が必要となる人はますますふえていくと思います。その方たちが、完璧とは言えなくても、望む暮らしができるようにするためには、医療と介護が連携して、利用者一人一人の状態に合った安心できるサービスを提供していただけると、ありがたいと思います。そういう意味でこのテーマは、とてもありがたいテーマだと思っております。

 ところが、参考資料の14ページを見ますと、この連携事業にはさまざまな課題が列記されておりまして、そういうところがあるのだなと知らされました。

 そこでポイントになるのは、これを見て御批判を覚悟で申し上げますと、医療側の対応ではないかと私は思っております。医療の側も介護の側も、それぞれが連携に努めていただいていると思いますが、介護の側から見ると参考資料の30ページを見ますと、医療機関はどうしても畏れ多く敷居が高いと感じてしまうような結果が出ております。そういう意味ではぜひ医療の側も在宅生活をイメージする。欲を言えば具体的に想定して対応いただけるとありがたいと思います。そのためには忙しいドクター、診断して治療をするドクターに全ての指示を仰ぐのではなくて、連携のプロが医療側にもついてくださるとありがたいと思っております。

 論点では、医療と介護の連携事業について今後は市町村が実施することとされていますが、これまで医療は都道府県が所管してきたこともあり、市町村に御努力いただくにしてもかなり難しい、限界もあるのではないかと危惧しております。そういう観点からは、論点4が非常に大切になると思います。事務局から提示のあった案では、介護計画に医療部局と連携しながら市町村支援に取り組む旨の記載をすべしということが書いてございます。そうであれば、ぜひ医療計画の側にも介護部局との連携を盛り込んでいただきたいというのがお願いでございます。

 そういうことを踏まえて、先ほど住宅部局という御意見もございましたけれども、介護部局と医療部局とがよく連携して、市町村の支援に取り組んでいただきたいと思っております。

 とはいえ制度がありましても、実際に仕事をするのは専門職、人ですから、医療機関には医療ソーシャルワーカーが例えばオンコールなどで夜中でも対応できる仕組みをつくるとか、ケアマネジャーとの実際的、現実的連携を充実させる必要があると思います。

 論点5については質問となりますが、医療と介護連携の充実に向けて、平成30年の同時報酬改定に合わせて検討してはどうかとございますが、そうすることによってどのようなメリットがあるのでしょうか。そうしない場合のデメリットはどういうものが想定できるのか。その辺のところを私にお教えいただければありがたいと存じます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 質問がありましたので、何かコメントありますか。事務局お願いします。

○鈴木老人保健課長 最後の御質問で、介護報酬改定で行った場合、もしくは行わなかった場合のメリット・デメリットというお話でございますが、これまでも実は医療と介護の連携に関する報酬の設定というのは中医協の医療保険側もしておりますし、介護保険側でもしているところがあります。一定程度の促進はされておりますが、その促進をさらに加速させるという意味も踏まえまして、きちんとしたデータ分析に基づいて、そういったことを検討してはどうかということで、そういったことを行うことによって我々の意図とすれば、さらに現場におけます医療介護連携が進めばということで考えているところでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、花俣委員、馬袋委員、井上隆委員、石本委員、お願いします。

○花俣委員 本日のテーマにつきましては、私どもの立場からはなかなか具体的な提案は難しいところでもございますが、先ほど来の議論をお聞きしていますと、介護と医療の専門職の連携というのが論点かと思います。ここではなかなか利用者や介護者との連携というあたりは、見えてこないような思いがいたしております。

 7ページの論点に関してなのですけれども、陶山委員の意見とかぶってしまうのですが、在宅医療・介護連携推進事業の実施に関して参考資料の13ページ、14ページの事業を実施していない理由や課題を見ると、例えば(イ)では文末に足並みがそろわない。あるいは医師会とのつながりが乏しいため連携しにくい。医師への働きかけがわからず連携調整がとれていない。また、(ウ)(エ)については、特に患者本人や介護家族にとって最も重要な点であるにもかかわらず、ここではどのように取り組めばいいかわからない。(ア)(イ)が先であり、その後に取り組むと考えている。あるいは(エ)に至ってはわからない、難航している、定まらないなどと、そういったことが列挙されています。かつ、それ以降の(オ)~(ク)についても同様に文末には「いない」「いない」との記載がされています。

 これでどのように課題解決の方向や道筋を見いだせるのか、私たち利用者や家族の立場からは不安ばかりが募るところです。ましてやその他、全体にかかわる自由記載に至っては、総合事業を優先せざるを得ず、手が回らない。これでは介護度が軽い利用者の多様な支援もままならず、ましてや介護度3~5の利用者の重点を置いた支援も、十分に機能しないのではないかと不安を持っております。

 当事者としては、実は本当は信頼できるかかりつけ医の存在というのは大変心強いものがあります。参考資料の3ページ目にある訪問診療を行っているような医療機関がそれに当たるのかと思うのですが、先だって集いの10周年記念を家族の会である地区で記念事業を行いました。そこに御出席くださったドクターから、ともに歩む家族とかかりつけ医、医師の立場からということで、かかりつけ医の認知症医療と家族会はともに歩む関係が重要で、その交流の場としての集いは主治医、主治医がこのとき3名のドクターが参加してくださった、そのドクター参加の場合は患者、家族の家庭での様子、状況、薬の効果と副作用など、診察の補助的情報が家族から提供される場合もある。医師側からは受け持ちでない患者さんの様子や家族の気持ちなど、自分のお気持ち以外の家族の情報も知らされる。この先生は大変そういうところが学びの場になるとおっしゃってくださいました。こういうかかりつけ医の先生と入院、退院の時点で病院ともドクター主導で連携していただけると大変ありがたいなと思っています。また、論点に示されましたそれぞれの取り組みには、大いに期待したいと思っております。

 もし後ほどお時間がありましたら、参考資料の36ページ、37ページにも論点が示されていますので、これについても幾つか質問したいことがございます。これはお時間がございましたらで結構ですので、お願いしたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 質問と意見があります。

 まず質問なのですけれども、参考資料で連携の取り組みについて(ア)から順番に書かれております、ページ数でいきますと参考資料の11から12までにあります内容なのですが、ここの人口5万未満から50万以上と切られている中で実施しているという数のパーセントは、例えば5万人未満の自治体が500あって、そのうちの30%が実施していないという見方になるのでしょうか。それとも全体の数の5万人の自治体の数に対してなのか、全部の自治体の平均値なのか、ここの統計の取り方について教えていただきたい。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○鈴木老人保健課長 前者のほうでございまして、5万人未満の自治体の数でやっている自治体で割り戻しております。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 意見ですが、たしか人口の中で1万人以下の市町村というのは多分500程度と思います。医療介護連携などができないと言われている要因が人口数なのだとしたら、明らかにどこの人口数から急激にできないという分布について分析し、特に一番多くある人口5万人未満の市町村について着目するべきだと思います。そこの人口ゾーンの数でどこの人口時点から突然にできないという数が上がるのかというところに着目しないと、全体の数の多いところの人口の区分をより精査調整、確認されないと、一方的に割り戻すというのはわかりづらいのではないかというのは提案です。

 そのことが、この参考資料の12ページの(オ)に、市町村になってくると特に在宅医療・介護に関する相談支援というところは、全国の内容を見てもここはなかなか実施が少ないという状態になっています。

 では、その内容はどのようなところかということを14ページ目に見ますと、在宅医療・介護連携に関する相談支援のところで人材だとか、医師会等も含めた連携などがとりづらいということが出ています。すなわち、これは人口の少ないところで担当される市の担当者の方の内容が非常にいろいろな仕事を多岐にされている中で、これもやらない、あれもやらないといけないという中で、かつ地域の市町村を超えた他の郡・市医師会の方々とも連携をすることに、かなり困難な状況が見られるのではないかと思います。

 その面では、今回、論点1にあります国が具体化して、市町村にその実施を求めることのちょうど間に、県が仲介、例えば支援して、市町村にその実施を求めるということを具体的に書かれないと、多分、分析とか内容だとか調査を国から指示を受けたとしても、それを郡市の医師会などとかと内容を調整して書いていくのは、なかなか難しいのだろうと思います。ですからぜひそこには県の関与について具体的にお示しされることで、国、県、市それぞれの役割をもって地域の中で、市町村ではできない単位のところ、地域の中で郡単位だとか、二次医療圏だとかいう内容など広域について、そこに県が入っていただかないと、なかなかその連携について提案するのは難しいのではないかと思います。ぜひそのような内容をお願いしたいと思います。

 最後なのですが、参考資料の33ページに福井県で運用される退院支援ルール。非常にこれは読んでいてよく連携されていらっしゃるなと。その中で特に私はこの33ページの退院の見込みのサービス調整に必要な日数を考慮して、ケアマネジャーに退院見込み日を連絡。これはすごく大切なことですが、退院日を決め、これで退院ができるということを指示して、あと患者家族、またはケアマネジャーだけがその後の対応を受けて、突然にどうしようということではなくて、ここに書いてあるケアマネジャーが患者の退院準備に必要な期間を想定して退院を出すという、ここの連携が多分、医療介護連携の中の重要な1つのポイントになるのではないかと思います。その面では福井県のこの取組みを、具体的にどのようにされているかということを広く公表されることが必要ではないかと思います。

 最後に1点ですが、医療介護連携と言われるときに、よく介護のメンバーは医療の専門性をもっと勉強すべきだということは、確かにそのように勉強しないといけないと思うのですが、介護は介護の専門として入院も退院もそうなのですが、利用者の視点に立った生活の状況の報告、状態を専門的見地から報告する、意見を提示することの介護の専門性を強化することも忘れてはいけないことだと思います。特に退院されるときだとか、調整するときに御本人そのものの御自宅または住まれる環境の本人の生活の機能です。家族のことであったり、住居のことであったり、独居なのか、または経済的配慮、そしてサービスの提供の内容ということで、地域を知っているメンバーの介護だからこそ医療側に伝えて、入院期間中に退院できる状況において何を継続してやるかという、継続した入院時から在宅までのケアパスというものも、そういった意味で提供する側の介護側の情報提供もルール化して、専門性を高めることが医療にとっても専門性を高めていただく重要なものだと思いますので、1点そのことについてもぜひどこかに記載していただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ではお待たせしました。井上隆委員、どうぞ。

○井上(隆)委員 この医療と介護の連携につきましては、非常に重要な論点が幾つも掲げられておりますけれども、いずれも賛同いたします。ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 その際、連携によってどういう成果が出たのか。既に成果を出している自治体もありますので、そうした好事例の横展開とともに成果が出ていないところの評価などについてもあわせて検討をお願いしたいということでございます。

 それから、連携を図る上で重要となってくるのは情報の共有です。このあたりにつきましては可能な限りデータの統一化、ICT化を図って、全体の事務コストの低減とともに、介護予防につなげていく努力も行っていただきたいと思います。

 連携を進める上で重要になってくるのは、地域包括支援センターやケアマネジャーの機能だと思います。地域包括支援センターの認知度がまだ必ずしも高くないのではないかと思っております。

 もう一つは、例えば東京の大企業に勤めているような従業員で、地方に親を残したまま介護が始まってしまったというような場合には、自治体を超えた連携などが非常に重要になってきますので、その点もぜひ御検討いただければと思います。ありがとうございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、石本委員、どうぞ。

○石本委員 論点についてはぜひ進めるべきと思いますが、連携を進めます。仕組みをつくりました。いろいろ実施しました。その結果、それがよかったのか悪かったのかという評価は、その恩恵を受けるべきである患者さんや利用者さんの視点で行われるべきだろうと思うのです。ですので、そこのあたりを今後もきっちり各自治体において検証していただくなり、また、国のほうで情報を集めていただくなりということを、ぜひしていただいて、また、さらに次の改正等にきちんとつなげていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほど手を挙げておられた齋藤訓子委員、齊藤秀樹委員の順番でお願いします。

○齋藤(訓)委員 7ページにあります論点につきましては、従来から市町村にノウハウがない、人材がいないという困難要因があり、そのあたりも県がしっかり支援をしていくことが、この論点で読み取れると思いますので、ぜひ人材がいない市町村に対し、保健師等の専門職の人材確保や研修整備に関しての都道府県による支援をしっかり明記していただきたいなと思います。

 それから、在宅医療と介護の連携推進事業について、仕組みをつくっていくというのは当然なのですが、実働するのは各現場で働く介護職、ナース、ケアマネジャー等になると思うのですけれども、地域で連携していこうと考えたときに、現場で働いている人たちは意外に自分の現場しか知らない、自分の組織しか知らないのです。連携先をよく知らないために、次にケアを託していく人たちにどのような情報が必要で、何を注意していけばいいのかという情報が途切れていくような状況があるのではないかと思っています。

 その点では(エ)の事業をしっかりやっていただくことは大事だと思いますが、連携というのは仕組みをつくればできるわけではなく、さまざまな定例会議や事例の共同検討等の関わりを通じて、結果としてシームレスな関係ができるということだと思います。ですので、例えば医療介護従事者向けの研修に、地域の他職種の業務内容について体験できるような事業を組み込んでいくと、かなりお互いの職種や現場の違いを認識した上で、連携相手にどういう情報があればケアがつながっていくのかということを想定した情報提供ができると思います。そういった人事交流のような事業を研修の中に組み入れていったほうがいいのではないかと思いますので、手引きの改定に合わせて、内容の追加をお願いしたいと思っております。

7ページの5点目の論点ですけれども、確かに入退院時における医療機関と在宅、介護の連携については、まだまだ十分ではないということは十分理解をしておりますが、それ以外にも参考資料の1ページにありますように、施設間連携あるいは通所系と訪問系といった居宅サービス間の連携も、課題はあると思っております。

 生活の場に近い介護サービスの場で医療をどのように届けるのかということについては、さまざまな制度間の齟齬による使いにくさがまだ残っている状況でもあり、現場レベルで利用者の生活に即した穴のない仕組みを目指していくべきではないかと思いますので、医療保険、介護保険の制度の齟齬を整理し、すき間を埋めていくような、整合性を図っていくような作業が今後、30年度の同時改定に向けての検討事項として必要になってくるのではないかと思っています。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では齊藤秀樹委員、お願いいたします。

○齊藤(秀)委員 論点で示されました国や都道府県の関与ということは、大事なポイントだろうと思います。しかし、一方でこれは市町村にとってみると、やらされているというようなことでは困るわけではありますし、その成果も期待できない。

 なぜこのような懸念をするかといいますと、参考資料の7ページに研究事業報告にあり、また、今回の現状でも指摘されておりますように、手引きが示されると事業内容の一つ一つにこだわって、本来の目的が見えないままこの事業が進行する。これは形は整うのでありましょうが、中身が非常に薄いものになる。これは利用者にとっては余りプラスになるとは思えない。このようなことになっては困る。

 この研究事業の中で地域マネジメントの大事さを指摘して、医介連携の目的が最終的にどのような地域社会をつくりたいのかということを共有する。そのための目標であり、指標の設定をするんだということが非常に大事なポイントとして指摘されておりますけれども、手引きを求めれば求めるほど、それに依拠して、それに頼るということになれば、どのような地域社会をつくりたいのかという本質的な議論が薄れ、国がつくりたい地域のようになってしまうのでありまして、本末転倒になりかねない。このような危惧を持たざるを得ないので、市町村の独自性というものをしっかりと御認識いただいた上で、手引き等々を活用していただかないと、余り意味のないものになる。

 今回の8つの事業の中の1つに、住民への啓発ということが出ております。この中で特に人口50万以上のところは約8割の自治体で住民啓発はしております、実施しておりますというグラフになっております。私は人口50万以上のところに住んでいる者として、なかなかこれと実感が伴わないというのが正直なところでありまして、始まって非常に短い時間の中で例えば「パンフレットをつくっていろいろな広報をした」では住民への啓発ができているという評価にはなりにくいわけでありまして、継続的にそのことを示し、また、目標や指標が場合によっては変化をしていくわけでありますから、そういったものがウオッチできるような仕組みにしていかないと、これは医介連携の部分の専門職だけの連携に終わってしまう。利用者や住民が外にいるという関係では、なかなか思うようにはいかないのではないか。その点はぜひ今後、特に専門的な方々に関してはそのことに留意いただきまして、この事業の進み方を厳しく見つめていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほど来、手を挙げておられる方も含めて東委員、土居委員、鷲見委員の順番でお願いいたします。

○東委員 参考資料1の7ページ「市町村における在宅医療・介護連携推進事業の各取組(ア)~(ク)毎の実施状況」をご覧ください。この(ア)~(ク)の事業は、本来ならば(ア)と(イ)を先にやってから、順番に(ウ)(エ)と行くものだと思っておりました。しかし、当初この事業の実施にあたっては、どこから始めてもいいということで、その結果、ばらばらの実施状況になってしまったことが問題だと思っています。

 その点について、資料1の6ページ「論点」の1で、きちんと(ア)と(イ)をやってからということが書いてございます。(ア)と(イ)が一丁目一番地だということで、それは評価をしたいと思います。参考資料1の7ページに戻っていただきますと、(ア)(イ)どちらも平成27年度に比べて平成28年度に随分進捗をしております。それに関しては、各市町村が(ア)(イ)に取り組んでいるということでよろしいかと思います。先ほど(オ)が一番少ないとおっしゃっていましたが、(ウ)を実施しているのが38.1%と実は(ウ)のほうが少ないのです。(ア)と(イ)をきちんと実施し資源を把握し、課題を抽出した上で具体的に対策を講じるのが(ウ)でございます。

 実はこの(ウ)「切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」が一番できていないことが問題でございます。この(ア)と(イ)の資源の把握、課題の抽出のところで、医療に関しては恐らくどのような医療機関等がどのような機能を持っているかというのは、比較的はっきりしていて、わりと把握できている。ところが、介護に関しましては、例えば老健施設を例に挙げますと、ひと言で老健施設といっても、在宅強化型や在宅支援加算型、従来型というように機能が分かれている。それからデイケアについても、その機能まできちんと把握したうえでの資源の把握、課題の抽出が行われているのかが、少し疑問でございます。

 医療に比べて介護は非常に種類も多く、機能に着目をしてこの(ア)と(イ)をやらなければ、なかなか(ウ)につながってこないのではないかと考えております。「論点」の1に「課題に応じた施策立案に至る方法について、国が具体化し、市町村にその実施を求めることとしてはどうか。」とございますので、(ア)と(イ)に関しましても、ただどういう事業所があるというだけではなく、その事業所がどのような機能を持っているのかもきちんと把握して、課題を抽出する。それを踏まえた上で切れ目のない提供体制を構築するという具体的な例を市町村にお示しすべきです。恐らく市町村も介護サービスがどのような機能を持っているのか。医療とそれをリンクしたときに、どういうことを構築していったらいいのかがわからない状況ではないでしょうか。これがまさしく7ページの(ア)と(イ)、それから(ウ)の実施状況に大きな差が出ている原因と思いますので、よろしくお願いします。

 それから、老健施設に関しまして言いますと、参考資料1の29ページ「医療と介護の連携」に、上の病院、有床診療所と居宅の間に老健施設が位置づけられております。この絵では、老健施設が中間施設として、病院からの退院及び在宅支援という機能を発揮してくださいということがよくわかり、大変ありがたい絵でございます。ところが、参考資料1の3ページ「医療サービスと介護サービスの連携」に戻って頂いて、「主な医療と介護の連携の場面」の「入退院時の連携」のところを読みますと、老健施設の言葉が出てきておりません。「生活の場での連携」の「施設における連携」のところに老健施設が出てきますが、この絵を今後お使いになる場合は、「入退院時の連携」にも老健施設の文言を、ぜひ入れていただきたいと思います。診療報酬においても急性期病院から在宅への受け皿として、老健施設(在宅強化型、在宅支援加算型)が示されておりますので、「入退院時の連携」にも老健施設を入れていただくとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 土居委員、お願いいたします。

○土居委員 医療介護の連携は当然皆さん御主張のとおりだと思いますし、特に平成30年の診療報酬、介護報酬同時改定という6年に一度の同時改定があって、2025年の地域包括ケアシステムの構築を考えると、事実上、同時改定が2025年まで実効的なものとしては最後の同時改定になるというぐらいの意気込みで、平成30年までに医療介護の連携をさらに進められるような枠組みをつくっていただきたいと思っております。

 特に市町村におかれては、当然その市町村の中でそれぞれの地域包括ケアシステムを構築していく重要な時期でありますから、人口規模の小さい市町村では、十分に市町村での取り組みが進んでいないという現状は確かにあるのですけれども、遅れることなく取り組んでいただくように望みたいですし、それをまた県なり国なりが支援をすることは重要なことだと思います。

 資料1の7ページの論点に沿いながら続けさせていただきます。まず1と2に関連するところでは、先ほど陶山委員も御指摘がありましたが、在宅医療・介護連携推進事業の手引きをブラッシュアップしていただいて、これが利用する関係者にとって使い勝手のよいものに、さらには連携が推進するような内容を含むようなものにアップデートしていただきたいと思います。

 その中でこれは論点2と関連するところでありますけれども、市町村が介護保険の保険者として、医療に関連するデータを積極的に活用できるような仕組みないしは活用の仕方について、分析手法について、これを手引きの中でも明記していただくといいのかなと思います。

 市町村は必ずしもデータは十分に持っていないというほど疎遠な状態では私はないと思っております。まず国民健康保険の保険者でありますから、当然、自らの市町村にお住まいの国民健康保険の被保険者で65歳以上の方となると、当然これは第1号被保険者でもありますから、その方々がどういう受診行動をしているかということは、レセプトデータなどから分析できる。ただ、どう分析すればいいかがおわかりにならないという可能性も現時点ではあるでしょうから、そういうものをどのように受診行動を分析すれば医療と介護の連携が進むのかについても、いろいろそのデータを活用することができるだろう。

 さらには75歳以上になりますと後期高齢者医療制度ですけれども、広域連合に通常、市町村はそのメンバーとして加わっているということですから、市町村が広域連合の一員として、後期高齢者医療制度の中で自分の市町村に住んでおられる75歳以上の方々がどういう受診行動をしておられるか。特に市町村を越えた入退院が行われるというところは、過去のデータからレセプトデータなどを分析することを通じて傾向がつかめるということでありましょう。そうするとみずからの市町村にいる第1号被保険者がどちらの病院に入院をされておられるかということだとか、そういうことも傾向としてつかめるということでありますので、そういうデータの活用方法。さらには県も既に地域医療構想を策定する段階で二次医療圏を越えた、圏域を越えた患者の流出入をデータとして把握しておられるというわけでありますから、その部分も県として市町村にデータ提供するなどのことは可能だと。

 これは既に参考資料の18ページ、19ページに滋賀県の例がありますから、この滋賀県の例を全国展開していくこと。さらにもう少し滋賀県でもまだ必ずしもお使いになっておられないデータで、市町村でも容易にアクセスできるデータをうまく活用して、医療と介護の連携をさらに深めることが望まれて、これをできれば手引きに明記していただいて、こういう形で活用すれば医療介護の連携がさらに深まることをやっていただくことがいいのではないかと思います。

 そういう意味では入院時の情報提供とか、退院時の退院調整というところで、現場の多職種連携が基本ではあるのですけれども、市町村が多職種連携を支援するような形での情報の活用も、十分に考えられるのではないかと思います。

 論点3と4でありますけれども、当然これは私もそのように進めるべきだと思っておりますが、資料1の5ページに介護保険法の条文が引用されておりますけれども、ここは、都道府県は必要な協力をすることができるとか、努めるものとするという形で、どちらかというと任意的な選択というようなニュアンスが強いのですが、もっと積極的に県がかかわる、特に介護保険事業支援計画をバックグラウンドとして、都道府県の市町村への支援をより強化するというような形の法改正も、今回はしていただくとよいのかなと思います。

 最後に論点5ですけれども、これは冒頭申し上げましたように診療報酬、介護報酬同時改定は、2025年までを考えると実効的に機能する同時改定というのは今回が最後だというぐらいの心構えで、よりこの医療と介護が連携するような報酬体系を考えていただくことが重要だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、鷲見委員、鈴木隆雄委員の順でお願いしたいと思います。

○鷲見委員 病院施設から在宅にお戻りになっても、その方にふさわしい医療が提供できるようになることが重要だと、どなたもお感じになっているところだと思いますが、そのためには早期からの情報交換が必要なのだと思います。特に現在、退院時カンファレンスは頻繁に行われるようになりましたし、我々も参加できる回数が非常にふえています。そして入院時、退院時、在宅に行ってから、そのそれぞれのポイントできちんとした医療との連携ができることが重要だと思います。

 利用者さんや御家族は、居宅に連絡するだとか、どことかにこの先にどうなるのだろうかというイメージを持たずに突然病院に入院なさるわけですから、このときに例えば包括支援センターにきちんと連絡が行くであるとか、居宅に連絡が行くであるとかいう仕組み又は流れができることが必要ですし、それを利用者御家族がなさるということになれば、利用者家族にも連絡できるという流れをつくっていくことが必要だと思います。

 そこでの情報共有をするためにも、我々が病院に行きやすい体制というものが必要になってくると思います。

また、ここでは入院先から、おうちに帰ってきて病院と同様な体制や処置が難しい場合など、在宅生活に向けての工夫も入院中に実施していくという流れも必要になります。そこで退院時には治療を行って退院するが、在宅にむけてのまだ残っている医療的な課題が共有されないと、その先がうまくいきません。そこに今度はかかりつけ医の先生方と我々がしっかり連携、共有していくという流れをつくっていくことなのだと感じています。

 ですから入院した当初から利用者家族と一緒に考えて、在宅で最終的にはきちんと看取りのところまでいけるという流れをともに共有していくという流れがつくということは、とても重要なことだと認識しています。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員、お願いします。

○鈴木(隆)委員 きょうも在宅医療と介護連携ということで、市町村あるいは都道府県の取り組みも体制整備とか制度のことですので、きょうの論点について特に私は意見はないのですけれども、ただ、実際に自治体の進め方を見ていると、まだ必ずしも十分ではないというか、どこかに何かもどかしさが見えるなという気がいたします。

 多分、どなたにとっても、あるいは関係者にとっても在宅医療がなぜ必要であるかとか、在宅医療と介護連携というものがなぜ必要なのかというのは十分理解されていると思うのですけれども、実際に具体的な場で例えば在宅医療というもののすぐれた面であるとかいうことで、いいケースとして患者さんや家族に実際に自信を持って勧められるようになっているかというと、そこの部分がまだ十分ではないのかなと思っています。

 自治体にも在宅医療の重要性とか介護連携の重要性というのはわかっているのでしょうけれども、しかし、こういう事業が進まない1つとして、多分、在宅医療というものが例えば入院治療、医療に比べて、ある面で結構すぐれたアウトカムが実際に出ているということを、言ってみれば科学的なエビデンスがきちんと出ているかどうかということに対する信頼性といいますか、そういうものが必ずしも十分に浸透していないのではないか。それが1つの理由ではないかと思っております。

 ただ最近そういった在宅医療あるいは在宅医療と介護連携を推進することによって、例えばがんの終末期にある方の在宅医療と入院治療の生命予後の比較であるとか、あるいは肺炎を疑わせるような急な発熱後の在宅継続あるいは在宅を中断した入院治療との間で、その後の生活機能や認知機能、QOLがどのように変化していったのかとか、かなりのエビデンスというものが出ていて、必ずしも在宅医療というものは入院治療に対して劣っているわけではない。かなりすぐれた有意な点も多々あるということがわかってきておりますので、ぜひ国がこういったことを進める際には例えば研修などの場でも、もちろん国民の方一般にももちろんそうですけれども、自治体に対してそういった在宅と医療連携のすぐれた面というもののエビデンスがここまで構築されてきているといったようなことを知らせていただきたい。そういうことが今後の展開により一層プラスになるのではないかと考えております。

 コメントです。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 今の鈴木先生のお話とも関係があるのですけれども、先ほどお二人の齊藤委員が話されたことに関係があります。非常に重要な指摘をされたと思うのですね。改めて申し上げますと、1つは先ほどの看護協会のお話なのですが、最近、長崎大学医学部と県内の私立大学で医学部の1年生とか2年生が共修という取り組みをしているのです。先ほど看護協会の齊藤先生からは、研修とか実際に現場で仕事をしている人にとってともにやるというお話がありましたけれども、医学部の新しい人材育成なんかでも、文科省が取り組んでいる人材養成拠点事業などで学部学年のかなり下のところから共修みたいな形を取り組んでいます。これはすぐに効果が出るということではないのだけれども、非常に重要なことだと思うのです。共修、同じ教室で医学の人と看護の人と福祉の人が修める機会が長崎の医学部なんかで取り組んでいますし、いろいろなところでやり始めていると思うのです。そういう意味でこれからのことを考えると重要な指摘だと思いました。

 もう一点は齊藤先生からのお話なのですけれども、専門職の連携、インタープロフェッショナルワークとか、インタープロフェッショナルエデュケーションとか、それは重要ですし、今回の議論というのもそれの介護保険制度における本当に医療と介護の連携を果たしていかなければいけないということで、それは重要です。ただ、なかなかうまく進んでいない部分もあると思うのです。したがって、今の時点でこれから申し上げることが適切かどうかなかなか難しいのだけれども、あえて言いますと、東日本の震災関係であるとか、その他、もろもろ見ますと、そして先ほどの鈴木先生のお話はがんの関係、がんの終末期、緩和期ですね。そういうものを考えますとインタープロフェッショナルワーク、専門職連携というのも重要なのだけれどもそれだけですとQualityを維持できない。その中に本人とか家族とか地域の住民というものが入っていることが、Quality of LifeとかQuality of Death and dyingにとっては生命線なのです。現状の議論というのはまだその前段階としてやらなければいけないことがあるから、それをやらなければいけないと思うのだけれども、いずれそういう視点もないとIPWの外枠としての専門家だけの連携で良しとして市民とか本人家族というのを除くというのではなくてそれらを含めないとQualityは維持できない、そのようなことを検討していくことも今後必要だと思います。

 あと2つは質問なのですけれども、先ほど参考資料の6ページ目のところで先ほど東先生からもお話がありましたが、平成27年から平成28年度にかけてかなり進捗している部分があるなということなのですけれども、そういうお話がありました。それは非常にいいことではあるのですが、ただ、具体的な中身となるとかなりどうかなという部分もありまして、これらについて本当の中身はどうかということについての精査というか、それが重要だと思うのです。

 ちなみに(エ)で情報共有の支援というものがあります。これは重要なのだけれども、具体的に情報共有の支援と言った場合に、この参考資料の19ページ、先進事例で滋賀県の市町へのデータの提供というような、左側に書かれている提供データとかそういうものがありますね。あとは21ページの同じく滋賀県の左側の地域連携、クリティカルパスの活用促進とか、そういう意味での情報共有の支援とかありますね。それらをどのレベルというか、どのぐらいのものかというのを見ないと、なかなか漠とした話でして、情報共有でその支援だと言っても、それを具体的にうまい形で生かすためには、まだ不足している部分があるので、そこら辺も今後調査研究というか、そういうものを進められて、滋賀県で先進事例として挙げられている19ページ、20ページ、21ページなど、そういうものを含めたものなのかどうかということを具体的に示していくことが必要だと思うのです。

 特にこの審議会では見える化についてかなり議論をされたと思います。事務局から説明がありました。私は先週の金曜日、行革秋のレビューに出ていたのですけれども、そのときにNDBとかオープンデータの活用とか、そういう議論というのはいろいろな省庁から一般的に御指摘を受けたり、評価委員から言われるのですけれども、厚生省でもかなり見える化とかそういう作業をしていますね。20ページの部分とか、後ろのほうの先進事例を合わせた形でうまく見える化であるとか、市町村に対する支援みたいなことをやっているとかそのようことをもう少し説明していくと具体の話になると思いました。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。大体御意見は承ったということでよろしゅうございますか。

 それでは、本件については十分な議論ができたかと思います。

 本日、予定しております議題は以上でございます。本日の御検討で全ての項目につきまして、それぞれ2回ずつ御議論をいただいたということになります。現在11月の半ばということもありますので、そろそろ取りまとめに向けた議論を行う必要がございます。

 したがいまして、事務局におかれましては報告書のたたき台になるような資料を今後つくっていただいて、それをもとに議論をしていこうと考えております。

 ただ、議論の中ではまだ意見の隔たりが大変大きいようなものもございますので、そのあたりはこのたたき台に書けないということもあるかと思いますので、そういうものにつきましては表題だけを書いておくという形で、議論を詰めていくことをやっていかなければいけませんけれども、そういう形で次回以降は、報告書の取りまとめという方向でたたき台を議論するという形でやっていきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。では、そのように対応させていただきたいと思います。事務局はそういう準備のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。次回の日程について事務局から連絡をお願いします。

○尾崎企画官 次回の日程でございます。

 次回の本部会におきましては1125日金曜日、16時から19時でベルサール秋葉原で開催をいたします。

 以上でございます。

○遠藤部会長 秋葉原ですね。初めてのところかもしれません。ぜひ地図を見て迷わないように来ていただきたいと思います。

 皆様の御協力をいただきまして、まだ1時間半ぐらい予定している時間が早いのですけれども、介護保険部会としてはこれだけ時間が早いのは初めてでございます。どうも御協力ありがとうございました。

 それでは、これをもちまして本日は終了したいと思います。御多忙の中ありがとうございました。


(了)

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