ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 国際課が実施する検討会等> ILO懇談会> 第26回ILO懇談会議事要旨(2016年4月22日)




2016年4月22日  第26回ILO懇談会議事要旨

厚生労働省大臣官房国際課

○日時

2016年4月22日(金) 13:30~16:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○出席者

日本労働組合総連合会

桜田 高明 (国際顧問)
村上 陽子 (総合労働局長)
吉田 昌哉 (総合国際局長)

日本経済団体連合会

松井 博志 (国際協力本部参事)
野村 良寿 (国際協力本部主幹)

厚生労働省

勝田 智明 (官房総括審議官(国際担当))
大鶴 知之 (大臣官房国際課長)
山田 雅彦 (大臣官房国際課統括調整官)
蒔苗 浩司 (雇用均等児童家庭局職業家庭両立課長)
西川 誠明 (大臣官房国際課長補佐)
安藤 卓也 (大臣官房国際課国際労働機関第一係長)

○議題

○報告案件
 議題1 第326回ILO理事会について
  1) 政府からの報告
  2) 意見交換

○協議案件
 議題2 未批准条約について
  1 第111号条約(差別待遇(雇用及び職業))
   1) 政府からの説明
   2) 意見交換

2 第183号条約(母性保護)
   1) 政府からの説明
   2) 意見交換

○議事

議事要旨

 議題1:第326回ILO理事会について

  勝田総括審議官(国際担当)からの挨拶、山田統括調整官からの出席者紹介に引き続き、政府側より第326回理事会の概要報告がなされた。

 

 (労働者側)

ミャンマーにおける強制労働廃止に向けた取組のフォローアップに関する議論では、労働者側は、特にミャンマー国内における結社の自由が整っていないと考え、結論文書案に強制労働廃止だけでなく、結社の自由の促進についても盛り込むよう修正案を提出し、審議の結果、当該修正案に基づき採択された。

(使用者側)

個別案件のうち、今回終結となったフィジー案件について、審査委員会が設置されなかったことは良い結果であった。しかし、今回のミャンマー案件のように、案件終結後に追加の指摘がなされる場合もある。ILOは、フィジー案件の実質的な解決に向けて、今後も監視の体制を継続する必要があると考えており、本件は完全には終結していないと感じている。

 

 議題2-1 第111号条約

  政府側から資料に基づき、説明を行い、その後意見交換が行われた。

 

(労働者側)

・ 「第4次男女共同参画基本計画」でも、ILO条約は、第111号条約を含め第175号、第183号、第189号について具体的な検討に着手することとされている。検討状況についてお聞かせ願いたい。

・ (母体保護のための規定である)妊産婦の就業制限の規定もこの条約における「差別」に該当するのか。条約内容と抵触すると考えられる法令について具体的な精査を進めていかなければ批准できないままである。

・ この条約については、まず批准してから国内法制を担保してもよいのではないか。

 

(使用者側)

・ 韓国でも小中学校の教員について政治的行為を禁止しているが、ILOから条約違反であると指摘されている。この点について、ILOは、厳しく対応していると感じている。

・ ILOは職場内での政治活動を含め、労働者に広範な政治活動の自由を認めており、日本としては批准に向けてのハードルが高い。

・ ILOは、この条約に関して、政府が職場における差別解消に向けての方針を決定し、その整備に向けた政策等の措置を講じることにより、批准は専門家委員会からの指摘を受け可能であると述べている。しかし現実は制度が未整備の状態で批准したことにより、その後の対応に苦慮している国々が多くあることを認識してもらいたい。

 

(政府側)

・ ILO第111号条約の検討状況については、具体的にいつまでに何をするかということは決まっていないが、条約の構成、問題点について再整理しているところ。ただし、公務員等の政治的見解に対する制限については、重い課題となっている。我々としては、批准した後で、色々と言われることのないようにしなければならない。

・ ILOは、母性保護についても拡大解釈してはならないと述べており、日本の国内法における母性保護規定が、このILO条約における「性差別」に該当する可能性がある。

・ 昭和28年の閣議決定により、日本は、他国以上に条約の批准にかかる国内法制の整備という点が強く求められている。  

 

  議題2-2 第183号条約

 政府側から資料に基づき、説明を行った後に後意見交換が行われた。

(労働者側)

・ ILO第183号条約では、第10条において、「哺育のための休憩又は一日の労働時間の短縮が認められている期間、当該哺育のための休憩の回数、当該哺育のための休憩の長さ及び一日の労働時間を短縮する手続は、国内法及び国内慣行によって定められる。当該休憩又は一日の労働時間から短縮された時間は労働時間として算定され、また、その算定に従って報酬を与えられる。」と規定しているが、哺育のための休憩又は一日の労働時間の短縮が認められている時間のいずれかが保障されていれば、条約が求める内容を担保できると考えて良いのか。また、労働基準法上の育児時間の規定を改正して、有給とすれば、条約を批准できるのか。

    直近ではスイスが批准しており、哺育時間の有給化については法律より下のレベルで規定しクリアしたと聞いている。研究を進めるべき。

・ 批准に向けての障害はまだあるが、政労使3者が批准に向けて合意しやすい条約だと考えており、懇談会やそれ以外の場所でも協議を継続して頂きたい。

 

 (使用者側)

 ・ ILO第183号条約第10条に規定されている、哺育時間を有給とする改正さえ行えば、この条約を批准できるかという点について、使用者側としては検討をしたこともないので、分かりかねる。

 ・ 既批准国には、いわゆる先進国が少ないが、何か理由があるのか。

 

(政府側)

・ 育児介護休業法の賃金保障及び哺育のための休憩について、どちらかをカバーすれば足りるのかどうかについては、この条約が2000年にできた比較的新しい条約ということもあり、ILOからの見解が示されていない。

・ 労働基準法上の育児時間について、有給にするという改正が行われれば、担保できる可能性はあるが、ノーワーク・ノーペイの原則と齟齬が生じてくる可能性がある。

・ イタリア、オランダ、スイス批准しているが、イギリス、フランス、スウェーデン、スペインは批准していない。その理由については、調べてみたい。

 

 


厚生労働省大臣官房国際課

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 国際課が実施する検討会等> ILO懇談会> 第26回ILO懇談会議事要旨(2016年4月22日)

ページの先頭へ戻る