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2016年9月26日 第19回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成28年9月26日(月)15時~17時


○場所

東海大学校友会館 「阿蘇の間」
東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビル35階


○出席者

田中 滋 (部会長)
阿比留 志郎 (委員)
石本 淳也 (委員)
井之上 芳雄 (委員)
猪熊 律子 (委員)
上野谷 加代子 (委員)
鎌倉 克英 (委員)
関川 芳孝 (委員)
高橋 英治 (委員)
高橋 福太郎 (委員)
武居 敏 (委員)
(代理:菊地達美参考人)
対馬 徳昭 (委員)
平川 則男 (委員)
藤井 賢一郎 (委員)
松山 幸弘 (委員)
武藤 素明 (委員)
森脇 由夏 (委員)

○議題

改正社会福祉法の施行に向けた検討事項について
今後の福祉人材確保専門委員会について

○議事

○田中部会長 皆さん、こんにちは。ただいまより第19回「福祉部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれては、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

 初めに、事務局より新たな委員の紹介と本日の委員の出席状況について説明をお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 それでは、福祉部会委員の異動につきまして御紹介をさせていただきます。

 石橋委員、小林委員、藤野委員、柳川委員が退任をされております。

 新たに、日本介護福祉士会会長の石本淳也委員。

 日本介護福祉士養成施設協会副会長の井之上芳雄委員。

 日本社会福祉士養成校協会副会長の上野谷加代子委員。

 全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会副会長の武藤素明委員。

 日本商工会議所社会保障専門委員会委員の森脇由夏委員。

 以上の委員が新たに就任をされております。

 また、同じく今般8月に任期が来られました委員の方々、猪熊委員、鎌倉委員、川井委員、関川委員、高橋英治委員、高橋福太郎委員、武居委員、対馬委員、藤井委員、松原委員、松山委員、三好委員の皆様方につきましては、再任をいただいております。

 これに伴いまして、福祉部会の下に置かれております福祉人材確保専門委員会委員につきましても異動がございますので、御紹介させていただきます。

 新たに阿比留委員、石本委員、井之上委員、上野谷委員、平川委員、森脇委員に御就任をいただいております。

 委嘱状につきまして机の上に置かせていただいておりますので、御確認をいただければと思います。

 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は黒岩委員、川井委員、橘委員、堀田委員、松原委員、宮本委員、三好委員から御欠席の御連絡を頂戴しております。なお、猪熊委員につきましては30分ほどおくれていらっしゃると御連絡を頂戴しております。

 また、橘委員の代理といたしまして、日本知的障害者福祉協会副会長の菊地達美参考人に本日、お越しをいただいております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま御紹介がありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様に承認をいただく必要がございます。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がありました。紹介をお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 事務局の人事異動を御紹介いたします。

 大臣官房審議官、社会・援護担当の中井川でございます。

 なお、大変恐縮でございますが、定塚社会・援護局長と石垣福祉基盤課長につきましては、急な公務により欠席する見通しです。

○田中部会長 ありがとうございました。

 カメラはここまでといたします。

 続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。事務局からよろしくお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 それでは、お手元の資料につきまして御確認をお願いしたいと思います。

 本日、座席表に続きまして次第の紙と委員名簿があるかと思います。その後ろに資料があります。

 資料1「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う主な政省令事項について(案)」

 資料2「『社会福祉充実残額』及び『社会福祉充実計画』について」

 資料3「今後の社会福祉法人改革の施行スケジュール等について」

 資料4「今後の福祉人材確保専門委員会について」

 その後ろに参考資料1と2ということで少し分厚いものになりますけれども、関係の政令案の概要ですとか、省令案がついているかと思います。

 また、武居委員から資料が提出されております。御確認のほどよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ここから議事に入ります。まず資料1について事務局より説明をお願いいたします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 それでは、資料1につきまして御説明を申し上げます。お手元「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う主な政省令事項について(案)」という資料をご覧になっていただければと存じます。

 御案内のとおり社会福祉法の改正につきましては、この3月31日に成立をして、4月以降この福祉部会においても、その実施に当たっての詳細について御議論を重ねてきていただきまして、おおむね政省令事項につきましては方向性も出つつあるということで、政省令のほうをそろそろ公布ということで準備を進めているところでございます。

 一部、まだ細かな通知事項、控除対象財産の計算方法等につきましては通知になりますので、もう少し検討が必要になろうかというところがありますが、政令及び省令につきましては、なるべく速やかに公布をしていきたいと考えております。

 まず資料の1ページをご覧になっていただければと思います。会計監査人の設置義務法人の範囲でございます。これにつきましても、この福祉部会でいろいろな御議論を頂戴いたしましたが、このたび事務局として考え方を整理したものについて御説明をさせていただきたいと考えております。

 幾つか記載がございます。まず1つ目の○、改正法では一定の事業規模を超える法人に対して、会計監査人による監査を義務づけることとしたということで、2つ目の○でございますが、この社会保障審議会福祉部会の報告書におきましては、収益が10億円以上の法人または負債が20億円以上の法人とすることが適当とされたことでございます。

 3つ目の○でございますが、会計監査人の導入につきましては、今回の改革の柱の1つでございまして、しっかりとした監査体制を構築して、社会福祉法人への信頼を確立するとともに、法人の経営力強化、効率的な経営の観点からも、一定の規模を超える社会福祉法人に会計監査人による監査を義務づけ、ガバナンスの強化、財務規律の強化を図ることが重要ということでございます。

 4つ目の○でございますが、会計監査人の導入につきましては、選任までに予備調査を含めて一定の期間が必要であるほか、監査を受ける社会福祉法人及び監査を実施する公認会計士等の双方において会計監査人制度・社会福祉法人制度等への理解及び体制整備などの準備が必要ということで、こういった状況を踏まえますと、会計監査人制度を円滑に導入し、より多くの社会福祉法人に安定的に根づかせていくためには、段階的に制度を導入していくことが適当と考えるということで、ここまで以前の福祉部会で御案内させていただいたところでございますが、具体案といたしましては一番下にございますが、平成29年度、平成30年度は収益30億円を超える法人、または負債60億円を超える法人。平成31年度、32年度は、収益20億円を超える法人または負債40億円を超える法人。平成33年度以降は収益10億円を超える法人または負債20億円を超える法人ということで、ここが福祉部会で御提言をいただいた収益10億円ということでございますが、段階的に対象の範囲を拡大していきたいと考えております。

 ただ、段階施行の具体的な時期と基準でございますが、平成29年度以降の会計監査の実施状況等を踏まえ、必要に応じて見直しを検討するということで、何せ今回初めて社会福祉法人に対して会計監査人が導入されるということでございますので、最終的な目標としましては福祉部会で御提言いただきました10億円を目標としても、30億円で導入したときにどういった課題があるのか、また、20億円としたときはどうであったのか、その時点時点で実施状況をよく確認して政令を改正していく。そういう手続を経てきちんと段階的に導入をして、ここに書いてありますとおり制度を根づかせていくことが必要だと考えております。

 次に評議員の員数に係る経過措置、資料の2ページでございます。これも福祉部会で御議論をいただいたところでございますが、1つ目の○でございます。これも繰り返しになりますが、評議員会、必置の議決機関としたところでございますが、2つ目の○でございますが、小規模法人への配慮という観点から、一定の事業規模を超えない法人につきましては評議員の員数について本来、理事の員数を6人以上を超える数とするところ、施行から3年間、4人以上ということで定めております。これは法律の経過措置でこういう規定がございます。

 これにつきまして法律の施行前においては、1施設1法人ということも議論としてあったわけですが、経営規模は特養とか保育所では違うということもあって、必ずしも適当ではないではないか、1法人1施設という考え方ではなく、サービス活動収益とすることが適当ではないかというところまで御議論いただきましたが、今般、ではどういった収益の額にするかということで検討いたしましたところ、法人が経営する施設の数にかかわらず、平成27年度決算の事業活動計算書におけるサービス活動収益を基準として、当該収益の額については全法人の収益の平均額である4億円を超えない法人としてはどうかということでございます。これは法人全体の収益の平均額でございます、下に注で書いてありますが、法人数に置きかえますとこの基準で大体7割の法人が該当するということで、7割の法人につきましては3年間、評議員が4人ということですが、3年間でございますから、それ以降は全ての社会福祉法人におかれましては、7人以上の評議員を設置していただくということでございます。

 3ページ、今、御説明申し上げましたのは福祉部会でこれまで御議論していただいたものについて改めて報告ということでございますが、重複いたしますが、政省令の主な事項ということで資料を整理させていただきましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。

 まず、今ほど申し上げました会計監査人設置の基準でございますが、最終会計年度の収益30億円、負債60億円を超える法人と政令で規定をいたします。これにつきまして実施状況を踏まえつつ、2年おきに見直しをしていくことを考えているところでございます。

 あわせて※にございます一定の基準を満たす法人は、理事の適正な職務執行を確保するための体制を整備するため、理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制について理事会で決定する必要があるということについて、これも基準を政令で定めることで法律上、規定をしておるところでございますが、これはほかの法人形態、株式会社、公益法人と同様に会計監査人の設置の基準と同じ基準ということで、収益30億円、負債60億円以上ということで規定することを予定しているところでございます。

 2つ目、評議員に関する経過措置については、今ほど御説明を申し上げましたとおり、収益4億円を超えない法人ということで規定をさせていただきたいと思っております。

 3つ目、今回、社会福祉法の政令とあわせて、組合等登記令につきまして社会福祉法人等の資産の総額に係る登記の期限の変更ということで、登記の期限につきまして社会福祉法の改正にそろえまして、登記の期限につきまして会計年度の終了後「二月以内」としているものを「三月以内」ということで改正をさせていただくことを考えています。

 4ページが省令の規定でございます。(1)が評議員等と特殊の関係を有する者ということで、評議員等と特殊の関係があることによって評議員等になることが制限される方につきまして、※にございますとおり法律では特殊の関係を有する方ということで、配偶者及び三親等以内の親族が規定されておりますが、その他、厚生労働省令で定めるところという規定がございまして、これにつきましては公益認定法の規定に準拠して事実婚の関係にある者、評議員等の使用人となっている者、支配している他の法人の役員である者等を規定するということで考えております。

 2つ目、控除対象財産額ということでございます。省令で「控除対象財産額とは」ということを規定することとなっておりまして、これにつきましては事業の継続に必要な財産、社会福祉事業等の実施に必要な財産、2つ目として当該財産のうち固定資産の再取得等に必要な額に相当する財産、3つ目としましては最低限必要な運転資金、これを省令で規定するということでございます。前回御紹介させていただいたような詳細な係数等につきましては、通知でお示しすることで考えております。

 3つ目の社会福祉充実計画でございます。これについては記載事項と軽微な変更事項を省令で定めることとしておりますが、計画への記載事項につきましては、法人の基本情報ですとか資金計画を規定することを予定しております。

 ポツ2つ目の計画の変更に当たって所轄庁の承認を要さず、届け出のみで足りる軽微な変更事項につきましては、事業の種類、実施地域、実施期間など社会福祉充実計画に係る重要事項以外のものということで、これ以外の軽微なものを届出事項といたします。この詳細につきましては通知でお示しすることを考えております。

 そのほか幾つか改正事項がございまして、これはお手元の資料、参考資料1が政令の新旧、参考資料2が省令の新旧となっておりまして、後ほどご覧になっていただければと思いますが、これらにつきましては今週中にはパブリックコメントということで、ホームページで公表して意見の募集を開始して、それが終了次第、本年10月下旬から11月上旬を目途に政省令を公布したいと考えております。

 説明につきましては以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 資料1について御質問、御意見があればお願いいたします。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 今回の改定に関しましては、対象である社会福祉法人に大変さまざまな対応の必要があるということでございます。それに関連をして会計監査人の設置義務法人の範囲について、お話をさせていただきたいと思います。

 前回、さまざまな対応をしなければいけない中では、この問題は非常に大きな問題であるので、段階に応じてぜひお願いをしたいという御提案をさせていただいた経緯がございます。今回このような内容の御提示をいただきましたこと、大変ありがたいと思っております。会員のほうからもぜひという意見がありましたので、そのことも申し添えたいと思います。

 あわせて1点ですが、会計監査人の監査の内容について1つだけお願いをしたいと思います。これは以前の今審議会の資料の中にもございましたが、通常の営利法人とは異なる点があるので、社会福祉法人の特性を生かした内容にしていただきたいということでございまして、重点化の方法として以前に図示されたものがございましたので、ぜひそのような点を考慮し、特性を生かしたものにしていただきたいということのお願いでございます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 高橋英治委員、お願いします。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 最近、評議員のこと等で聞かれるケースが非常に多いのですけれども、評議員のことのみならず、4ページなのですが、特殊な関係を有する者ということで配偶者及び三親等以内という、三親等以内というのは随分頭に残ってはいて、あるところから現在もそうなのですが、今回社会福祉法の改正がそうでありましたが、当初、例えば理事定数は法律上は3人以上ということでしたが、審査基準です。租税特別措置法を受けるために6人以上、いわゆる下線が引っ張ってあるところはクリアしないと租税特別措置法は受けられませんよということで、3人以上の理事が6人以上ということには1つの事例としてなっていたわけですが、今回それは6人以上となったということなのですが、親族要件なのですけれども、これは今、多分6親等以内となっている。民法上、親族の概念が6親等以内の血族、配偶者、三親等以内の姻族となっているかと思うのですけれども、これも多分もしかすると租税特別措置法の関係で6親等以内となっていると思うのですが、ここは確認なのですけれども、租特法の関係でそこは変わらないという意識でよろしいでしょうか。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 租税特別措置法の取り扱いは、変更ございません。

○田中部会長 関川委員、どうぞ。

○関川委員 1点、教えていただきたい点がございます。小規模法人に対する評議員数の経過措置の取り扱いでございます。

 私は1法人1施設で保育所あるいは介護事業のみをやる法人においては、評議員会未設置のところが多いので、それについては当面の間、配慮して施行から3年間は4人でよいと理解しておりました。ただ、事務局からのお話を改めて伺うと、新たに評議員を設置する法人に限らず、評議員会が既に設置しているところも、この3年間については4人でよいという趣旨で説明いただいたのでしょうか。その点、教えていただければと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 私が御説明したのはまさに先生おっしゃったとおりでして、仮にですけれども、評議員を設置しているところがあって、そこの規模が4億円以下だったら人数が減る場合もあるのではないかということを多分、御指摘いただいていると思うのですが、それはそのとおりでございます。そこは法律の技術的な問題でございまして、一律に今、設置しているところは規模にかかわらず7人ということも考えられないわけではないのですが、全法人、一定の規模で分けて、一定規模以上であれば7人置く、一定規模以下であれば3年間4人で置くという法律の構成になっておりますので、そういった事例がもしかしたら生ずるかもしれませんけれども、それは一定程度はやむを得ないと考えております。

○田中部会長 よろしいですか。

 武藤委員、藤井委員の順でお願いします。

○武藤委員 全養協の武藤です。

 会計監査人の設置義務法人の範囲ということで、1ページのところに2年ごとに30億、20億、10億ということで見直しを行うという方向性はいいのではないかと思うのですけれども、先ほど室長からは、状況をよく確認しながら進めるということだったのです。確認というのがどのようなことを確認していくのか。多分、5年後はこの委員のメンバーはずっといるということにならないと思いますし、所管の役も変わるかもしれないということなので、あえてお聞きしているところなのですけれども、10億にいったときにどういうことを基準にしながら、それ以降の分を検討していくのかというのが見えないので、あえて質問をしたいと思います。

 以上です。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 率直に申し上げますと、どういったことを確認するかということも実施してみないとつぶさにはわからない点もございますが、まず1つ言えるのは、今回そもそもの趣旨として1ページの資料に書いてありますとおり、改革の柱の1つであって、しっかりとした監査体制を構築し、社会福祉法人の信頼を確立するとともに、法人の経営力強化、効率的な経営の観点から導入ということでございますので、まずそういった本来的な趣旨がしっかりとできているのかどうかということを確認させていただきたいというのが1つでございます。

 もう一点は費用面のお話、法人の皆さんからいろいろお伺いしていますが、それは確かに収益10億円程度の法人の皆さんにとって非常に御負担になるということがあるのであれば、それはそれで1つ要素として考えなければならないということでございますが、いずれにせよ費用の面は繰り返しになりますが、民民の話でございまして、そこは我々がどういう価格がと申し上げるべきことでもありませんし、冒頭に申し上げました経営力の強化とか効率的な経営といったことも、まず導入をして実施をしてから検証すべき問題だと思っておりますが、いずれにせよこうした点について私どもとしても検証して20億、10億ということで拡大をしていきたいと考えております。

○藤井委員 同様の趣旨の確認なのですけれども、段階的に、確実にやっていただけるようにという方向性は非常に賛成なのですが、このように段階を追いますと話が複雑になるということで、所轄庁の段階までいきますと少し混乱をするとか、さまざまな関係者がおりますから民民の契約でもありますし、混乱するとか間違えるということも2万法人ではないですけれども、多くの法人にすると起こり得ると思うのですが、この期限までにこれをクリアしたかどうかというのは、まずは所轄庁がチェックする、確認することになるのではないかと思うのですが、まずその確認です。

 それが何らかの理由で、何の理由かわかりませんが、さまざまな事務体制があるかもしれませんけれども、予備調査等々のプロセスが何かうまくいかなかったとかいったようなことで、法人は決して責められないというようなことから、法人が責められるということまでいろいろなケースが想定されると思うのですけれども、何せよ期限どおりにできなかったということが生じた場合に、まずは所轄庁が行政処分の手前のことをいろいろやられて、余り悪質だったら行政処分に行くといったようなプロセスを今からこんな細かいことを心配してもしようがないのですが、ただ、やはりこれは現場の法人の方から一番このあたりが心配ではないかと思いますので、御想定の範囲で結構ですのでお教えいただければと思うのですが。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 会計監査人の設置でございます。そういった不安の声は既に私どものほうにも寄せられておりまして、前回、御紹介させていただきました7月の担当者説明会の資料でも法人の責めによらない理由で会計監査人の監査報告を所轄庁に届け出ることができない場合についての取り扱いもここに記載させていただいておりまして、法人側に責任がない場合に所轄庁が指導監査とか、あるいは改善命令とか、そこまではしないように私どもも所轄庁にお願いしているということでございます。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 今のお話との関連ですけれども、後で御説明があると思いますが、法律で全国の社会福祉法人の財務諸表のデータベースができます。それを整備するときに監査がちゃんと行われているかどうかということも含めてデータベースをつくっていくことにすれば、恐らく御懸念のことは相互に牽制ができるのではないかと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 データベースの件は後ほど資料で御説明申し上げますけれども、いろいろな活用方法は考えられると思いますので、またデータベースを構築する中で検討してまいりたいと考えております。

○田中部会長 ほかはよろしゅうございますか。

 では、続いて資料2に移ります。説明を事務局からお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 引き続きまして資料2「『社会福祉充実残額』及び『社会福祉充実計画』について」を御説明させていただきたいと思います。これにつきましては前回の福祉部会で私どもの案を御提出させていただきましたが、それにつきまして幾つか御意見が寄せられておりますので、それに対する考え方を本日、御紹介させていただきたいと思います。

 9ページになりますが、2ページ、3ページは前回、御説明させていただいた資料で、2ページが今回の社会福祉充実残額の有効活用ということの全体像でございます。3ページが控除対象財産算定のイメージということで、先ほど申し上げました省令事項につきましては、1.社会福祉法に基づく事業に活用している不動産、2.再生産に必要な財産、3.必要な運転資金ということで、多少、法令的な文言は変わっておりますが、これについて控除対象財産として位置づけるということでございます。

 4ページは前回の資料にはございませんでして、今の1.2.3.が多少わかりにくいのではないかという御意見もあったので、少し具体例を付記した資料でございます。前回もそれぞれ資料を1枚ごとに御説明したものを少し簡単にしたものでございますが、社会福祉法に基づく事業に活用している不動産というものは何かということで、これは前回、御説明申し上げましたが、法人が実施する社会福祉事業等に供与されている財産であって、当該財産がなければ事業の実施に直ちに影響を及ぼし得るものを控除ということで、具体的には現事業に活用している土地、建物、設備あるいは職員の福利厚生のための土地等、サービス提供に必要な送迎車両、介護機器、生活機器等ということでございます。一方、控除対象財産に該当しない、ここの1.では該当しないものという意味では現預金、有価証券、各種積立資産、遊休不動産、美術品といった、これは例でございますが、こういったところでございます。

2.でございます。再生産に必要な財産ということで、法人が所有する施設・設備を再取得すると仮定して、法人が建てかえ等に必要と見込まれる費用を算出して控除ということで、算出方法ということで式が書いてあります。

 これは5ページの資料をご覧になってください。これも前回お配りしたものと変わっておりませんが、再取得に必要な財産とは、減価償却累計額に建設単価等上昇率を掛けて、さらに一般的な自己資金比率を掛けたものに修繕費を加えたものでございます。ただ、数字が入っていないのでなかなか具体的にわかりにくいということもありまして、具体例ということで10億円の施設、減価償却期間40年、築20年の施設を保有している場合にどれくらいの再生産に必要な財産が出るかということを計算したものでございますが、減価償却累計額が半分程度5億円ということで、建設単価等上昇率は1.2倍と仮置きをしております。5ページの資料は1.1倍となっていて数字が違って恐縮なのですが、大体これくらいになるだろうで1.11.2ということで1.2としています。

 一般的な自己資金比率15%とあります。これも仮置きでございますが、右下にございますとおり大体全体の平均は15%なのですが、90%点の上限値ということでは9割方を平均すると35%ということで、大体この幅になるのかどうかということでございます。これは仮置きでございます。修繕費20%も仮置きでございます。いろいろ数字は精査中ということで仮置きになりますが、こうしたことを掛け合わせると1億9,000万ということで、10億円の施設、減価償却期間40年、築20年の施設の場合については大体1億9,000万、2億円程度の再生産が必要な財産額が計上されるということでございます。

3.が必要な運転資金ということで、これは事業活動に必要な運転資金として年間事業活動支出の1カ月分プラス事業未収金。具体的には介護報酬の施設については精算払いということで事業未収金が2カ月発生するので、実質的に3カ月分が控除対象。一方、措置費、保育所運営費の施設については原則として事業未収金が計上されないため、実質1カ月分が控除対象ということで前回、御紹介をさせていただきました。基本的なところではそれほど御異論はないと考えていますが、幾つか御意見があったので後ほど御紹介させていただきます。

 6~8ページは、前回御紹介させていただいた社会福祉充実計画についての案と変更は全くございませんので、説明は省略させていただきます。

 9ページ、前回8月2日の福祉部会で我々の素案を御紹介させていただいた後、いろいろな方からいろいろな御意見をいただいておりますので、その主な意見と私どもの検討の方向性をお話させていただきたいと思います。

 9ページの一番下にございますとおり、来月中に財務規律検討会を開催し、結論を得るということで考えておりまして、それに先立ってさらに御意見があれば御提案をいただきたいということでございます。

 まず一番上の○、意見の概要ということで、1つ目は基本財産に組み入れた剰余金、これは控除対象財産とすべきではないかということで、基本財産なのでそううまく活用ができないという御趣旨だと思いますが、これにつきまして右側になりますが、法人の裁量で計上することが可能ということですので、客観的に事業継続に必要な財産と判断できませんから、これを控除対象財産とはしない方向ということで考えております。

 次に2つ目の○でございます。先ほど申し上げました平均的な自己資金比率、これは1530%と申し上げましたが、福祉医療機構の融資を利用した施設のデータであって、当該施設の融資を利用しない施設は含まれていない。したがって、自己資金比率は低目で出ていることが想定されることから、比率を高目に設定する必要があるのではないかという御意見がございます。

 これは確かに私どもが使ったデータは、それしか使えるデータがないという面もあるのですが、福祉医療機構の融資データを使っておりますので、当然、前提として福祉医療機構から借り入れをしているということで、例えば自己資金比率100%という法人は、このデータから漏れております。したがいまして、右側に書いてございますが、御指摘のとおり福祉医療機構の融資を受けていない施設もあることから、現在、調査研究事業ということで10ページに資料をつけさせていただいております。調査研究ということでこれも前回、御案内をさせていただきましたが、今、6,500法人の皆さんを対象に事業種別、建物種別、用途地域、建設費等に関する調査を行っておりますので、このデータが集まれば、おのずと福祉医療機構の融資を行っていない施設も含めた比率が出ますので、これに基づいて自己資金比率を設定するということで考えております。

 3つ目でございますが、再生産に必要な資金として法人が計上した積立金(人権費積立金を含む)を全額控除対象財産とすべきではないかという御意見でございます。各種積立金でございますが、これにつきまして法人の裁量で計上が可能でございますので、必ずしも事業継続に必要な最低限の財産とは言えませんので、控除対象財産とはしない方向でございます。ただ、先ほど御説明申し上げましたとおり、当然、将来必要だと私どもで算定した式に該当する場合は対象になるということでございます。

 4つ目でございますが、減価償却期間よりも早く施設の建てかえを行う場合も想定されるので、社会福祉充実残額はこれに充てるためできる限り留保することを容認すべきではないかという御意見もございますが、定量かつ公平的な再生産費用の算定ということで会計基準、これは大蔵省令を引用しているわけですが、この減価償却期間を基準として建てかえの算定をせざるを得ないことは御理解いただきたいと思いますが、ただ、これは別に減価償却期間の前だからといって施設の建てかえを行ってはいけないということではございませんでして、あくまでも算定に当たっては客観的に基準を用いるということで、会計基準に定められた減価償却期間を基準として算定を行うということでございます。

 5つ目は運転資金でございますが、先ほど申し上げましたとおり介護報酬は精算払いで、措置費とか運営費は概算払いということもあって、そこの差を見込んで運転資金については1カ月分プラス事業未収金ということで、実質、介護報酬、障害報酬の施設については3カ月分、措置費・運営費の施設については1カ月分ということで御説明申し上げたのですが、これにつきまして措置施設であっても補助金・委託費の入金と支払いにタイムラグがあったり、緊急的に必要な支出がある場合も考えられることから、年間事業活動支出金の1カ月分では少ないのではないかという御意見を頂戴いたしました。

 運転資金についてはサンプル調査を私どもでいたしまして、それを踏まえて年度末時点で1カ月程度の運転資金を保有していれば活動に支障がないということで、年間事業活動支出金プラス事業未収金としたところでございますが、確かに御指摘のような緊急に支払う必要が生じるということもございますし、実はサンプルもそれなりに大規模な法人のサンプルということもございましたので、そういう小さなところも含めて少しこの期間については考えたいと思っておりますので、また検討委員会で議論をいただいて、結論を得たいと考えております。

 大体以上でございまして、前回、御説明させていただいた案について大きく根幹から変更をという御意見はなかったと思いますが、主な意見はこういったことでございまして、また方向性についても今ほど御説明させていただいたとおりでございます。

 資料の説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました資料2について御質問、御意見があればお願いいたします。菊地参考人、どうぞ。

○菊地参考人 2点あるのですけれども、まず1点は控除対象財産についての考え方です。そもそも社会福祉法人を設立するときに最低限、1億円以上の運用財産を保有することと、土地を確保することがあり、その資金により、施設を整備していくことになりますけれども、そのときの施設整備補助金の考え方は、2分の1は国庫補助、4分の1が都道府県補助で、残り4分の1は法人が自前で用意するわけですが、実際に建物はそれで建たないということがあるので、WAMから借り入れるなどして事業を実施するというそもそもの考え方があります。しかし、今回の説明では今後も国庫補助が出るという前提で考えられていますが、今後は縮小されていくことが想定されます。介護保険の事業所などはだんだんと縮小されていって、居住部分は自己負担になってきていることを考えると、そもそも減価償却の考え方が違うのではないかと思います。

 そうすると、4分の3は減価償却できるようにしていかなければ再生産はできないと思うのです。

また、例えば行政から建物を譲り受けて事業を実施しているところや、あるいは障害のグループホーム、そういったところは全額法人の自己資金で建てているところもかなり多くあります。そうなると多様性が出てくるので、例えば建物の4分の3は減価償却で見て、4分の1は借り入れるなどの考え方にするのかということも含めて、検討する必要性があるのではないかと思います。

 もう1点は、運転資金の考え方になります。運転資金は例えば介護保険の場合だと最低2カ月分の現金がなければ事業運営というのはできないと言われています。しかし、実際に行政の指導では約1年をかけて利用者を満床にして、そこで運営できるようにということになると、2カ月分では実際には足りません。ですから最低3カ月分の運転資金がなければ事業はできないということになると思うのです。

 今回の説明の中では、介護報酬や障害の報酬などを未収金として取り扱っています。未収金と言えば未収金なのですが、実際に入る予定が明確でありながら、それを未収金にすると、別に本人負担金が払えない人たちの未収金というものも発生しているわけですので、その未収金の区分けがつきにくくなってくると思います。ですから、その2カ月分というのは未収金ということではなくて、実際に入ってくるお金で、支出されるお金となるので、それが運用できるお金ではないということです。ですから、その辺の考え方をもう一度整理する必要性があると思います。

 以上です。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 きちんと委員のご質問の趣旨を捉えているかわかりませんが、今回の控除対象財産の考え方ですが、幾つか当然おっしゃるように、控除対象財産をどう見るかということはいろいろな考え方があって、繰り返しになりますが、施設の建て方も多様ですし、自己資金比率も当然法人によってさまざまです。当然、借り入れができるできない、いろいろ条件がある中で、これも前回の繰り返しになって恐縮ですが、客観的な基準を私どもとしては何らかつくらなければいけない。言葉は悪いですが、ひねり出さなければいけない。

 この議論を振り返ってみると、何年か前にいわゆる内部留保が社会福祉法人には非常に多く蓄積されているのではないかという御指摘があったことに対して、私どもとして社会福祉法人の内部留保と言っても、こことこことここの部分は本来必要な資産であって、それ以外についてはきちんと社会福祉事業に充てていきますよということを説明することで今回、法律改正をさせていただいて、その上で、ではその控除対象財産とは何ぞやということで今、議論を重ねているところでして、そうした中、幾つか考え方があって、当然その法人の実態に合わせてそういった対象財産、当然、今お話があった多様性ということも認めなければならない一方で、2万の法人に計算をしていただくことを考えると、きちんと実態を反映しつつも簡便なやり方が必要ではないかということで、1つ減価償却というものを活用しつつ、国庫補助については当然これもいろいろな形があるわけで、今、委員から御指摘があったような全額自己負担のものもあるという中で、割り切って平均的な自己負担を出すということで、先ほど申し上げた福祉医療機構のデータなんかも使いながら数字を出しているということでございますので、確かに皆さん方に全て御納得できる指標にはならないかもしれませんが、一方、ある程度割り切りというか計算のしやすい方法にしなければならないということで、今の案を御提示していることを御理解いただければと考えています。

 国庫補助割合については毎年、数字が変わっていきますので、国庫補助割合が実際に下がっていけば、それに伴ってそこの数字も下がっていくということですから、実態にすぐタイムリーに整合するわけではないのですが、それは若干タイムラグはありながらも、実態に合わせた仕組みになっていると考えております。

 もう一点が運転資金でございます。これもある意味、実際に何カ月あるかというよりは、その何カ月とするか、何カ月と決めるかという話で、私ども先ほど申し上げましたサンプル調査を余り多くはないのですが、いたしたところ、一番資金がショートするのが6月で、その時点で大体1カ月分ショートすることもございましたので、最低1カ月分あれば十分ではないかという一方、その報酬については繰り返しになりますが、精算払いということもあって、そこの部分は事業未収金ということで2カ月分プラスしたということで、考え方としては結局3カ月分ということでございますが、これも施設によってはもっと必要とか、そういうところもあろうかと思いますが、サンプルデータに基づいてある程度平均的な数字をということで、現在の1カ月分プラス事業未収金ということで、おおむね3カ月程度ということで御説明をさせていただいているということでございます。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今ほどの御回答の中で、言ってみれば一般的な自己資金比率というものを全法人に当てはめるわけですから、むしろ自己資金だけで建てた法人が、充実残額が非常に多く出るという御意見はあり得ると思うのですけれども、今、補助金をたくさんもらっているところにとってみれば、むしろ充実残額が残らないように出るということでございますので、その点、話が逆かなと思って聞いておったのですけれども、1点は今後補助金等が少なくなっていくのではないかと誰もがそう思っているわけですが、厚労省も思っておりますし、関係者もみんな思っているわけでございますが、下がらないほうがいいのですけれども、下がっていく際に一般的な自己資金比率というものも洗いかえていくんだということがどこで担保されて、どのようにやっていくかという点も1つは気になる点ではないかと思います。もしそれがどういったところに位置づけて、どのようにやっていくんだというのがあれば教えていただきたいという点で1点。

 それから、先ほどの3カ月の議論に関しては、御質問の趣旨は恐らく制度上、読み込まれておりますので、多分、書き方が少しわかりにくいといいますか、未収金のほうには実際に自己負担分でもらえなかった分、取り残している部分が入っているわけですし、1カ月分が丸々入っているわけですから、つまりがっつり読んでいるということでございますから、この表現を不安がないようにばっちり入っておりますよと、これ以上どう乗せるといいんですかというぐらいわかるように書いていただければ、御不安はなくなるのではないかと思います。後半は質問ではありませんので、前半もしわかればお教えください。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 控除対象財産のいろいろな数値の取り扱いということで、どこでどう担保ということで御指摘があって、特にどこでどうということでもないのですが、やはり毎年当然数値が変わってきまして、先ほど申し上げました調査をした上で、後ほど御説明します財務諸表のシステムで把握できるというふうにしたいと思っておりますので、そこの数値は毎年私どものほうで収集して、それによって比率を客観的に出して、毎年数字は変えていくということで考えております。

○藤井委員 この数字は通知に書かれるということで、その通知は毎年変わりますという理解でいいですか。ありがとうございました。

○田中部会長 高橋委員、お願いします。

○高橋英治委員 前回の福祉部会でも、保育等に関しまして補助金の支払いが広範になってくるということを申し上げましたが、保育所は補助金は残るものではないからということではあったのですけれども、例えば社会福祉法人が経営する認定こども園においては、いわゆる保育料の部分は翌月に入ってきますし、もしくは保育料の徴収代行業者を利用していると、決済日によっては翌々月の保育料の入金ということも現実的に起こっておるようでございますので、そのあたりもぜひ考慮をしていただければと思っております。

 以上です。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 資料の4ページ、控除対象財産の具体的な算定方式の2.です。再生産に必要な財産というところの算定方法と書いてある部分についてでございます。

 確かに前回の資料、2ページでありますとか5ページには、例えば5ページは算出方法のイメージというような確定的な表現ではない形で例示されているように思ったのですが、今回の4ページのところには算出方法として再取得に必要な財産というところで、いわば確定した公式であるかのように表現をされておりますので、これに関連をして御質問といいますか、お願いをしたいと思います。

 私自身は会計の専門家ではないので、いま一つ理屈がよくわかりにくいところもございますが、専門家の意見としてお聞きしたところ、減価償却によって回収した当初の施設整備での法人の自己負担分、これが控除対象財産にならないケースが起こり得るのではないかという御指摘をいただいております。したがいまして、きょう参加をされております会計の専門家の方などに御意見を伺いたいなと思っていたところでありますが、この内容については社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会という財政、会計に関する専門家の集まりがございますので、ぜひそこで精査をしていただきたいということを要望したいと思います。

 以上です。

○田中部会長 御要望ですね。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 2点ほど質問がございます。資料2の4ページの「再生産に必要な財産」について、5ページの自己資金比率の割合ですが、これだけを絶対的に積み立てておかなければならない、ということではないと確認をさせていただければと思います。ここまでの自己資金がないので、あわてて逆に資金を積み立てざるを得ないという誤解をする法人が出てくるかもしれませんので、その辺を確認させていただければと思います。

 もう一つ、6ページの社会福祉充実計画に位置づける事業の種類ですが、括弧の中に職員の処遇改善がございます。日常的な事業運営の中でまずは職員の処遇改善を行うのは当然のことだと思いますので、その上に立ってもし残額があったら、それについても優先的に職員の処遇改善に使いなさいという意味だと思いますので、その辺はどうなのかということ。また、その下も第1順位、第2順位、第3順位がありますが、この中で第1順位は社会福祉事業または公益事業となっておりますが、できればこの中にもしつこくなるかもしれませんが、処遇改善も入れていただくことができないかという要望でございます。

○田中部会長 質問が2点と御要望が1点でした。質問にお答えください。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 まず資料の5ページの自己資金比率ということですが、これは御指摘のとおり、この割合を15%なり35%積まなければならないということではございません。あくまでもこれは控除対象財産としての額を計算する場合のあくまでも当てはめでの積立金ということでございますので、当然その施設によって非常に多くの積立金を積んでいただくこと自体は全く差し支えはありませんし、当然この額よりも小さな積立金しか積まないということで全く差し支えございません。

 ただ、非常に多くの積立金を積んでいる法人の方がいらっしゃって、そこの部分が内部留保だという御指摘を受けていることもあって、ここで計算した必要額以上は控除対象財産に認めませんよと、あくまでもそういうことでございますので、この額を積まなければいけないとか、積んではならないとか、そういったことでは全くないということでございます。よくそこら辺は法人の皆さんにわかりやすいように説明をしなければいけないなと考えております。

 6ページの社会福祉充実計画に位置づける事業の種類の中で、事業内容について職員の処遇改善を含む人材の投資等と書いてございまして、これは当然、平川委員御指摘のように人材の処遇改善というのは、日常的に当然その施設ごとに行っていただくべきものでございますが、ここで充実残額が出た場合の使途の例ということで、当然それに上乗せすることもありましょうし、日常そういった処遇改善を余りしてこなかったところについては、追加的に人材投資をしていただくこともあろうかと思います。いずれにせよ職員の処遇改善を含む人材の投資とか、サービスの質の向上につながる建物、設備の充実といったことに使っていただきたいということでございます。

 ただ、御質問ではなくて御要望ではあったのですが、第1順位、第2順位、第3順位とこれは法律で定められた順位づけということで、第1順位は社会福祉事業、第2順位は地域公益事業ということで規定されているものでございますので、どういったところに法人の皆さんが投資をいただくかということは法人の任意になるかと思いますが、私どもとしては一応、事業内容について人材の投資を一番最初に書かせていただいたということで、気持ちをあらわしているということでご理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 気持ちは十分受けとめさせていただきました。また、第1順位に入っていないから例えば指導監査のときに指摘を受けるということではなく、逆に積極的にそういう方向で使ってもいいということについて、各法人の皆さんの御理解で入れるということで御努力をお願いできればと思います。

 以上です。

○田中部会長 関川委員、お願いします。

○関川委員 大きく2点、質問がございます。

 まず4ページの控除対象財産の具体的な算定方法で、1.社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等とございます。法人が実施する社会福祉事業等に供与されている財産というくくりなのですが、これは公益事業や収益事業も法人が実施する事業の中に含まれるのでしょうか。等の範囲が気になるのですが、これがまず第1点でございます。

 第2点は、先ほども室長から説明がありましたように、固定資産の再取得に必要な財産の計算に当たっては、いろいろな事例、状況があって個別に考慮していると計算式として成り立たなくなってしまうので、ここは1つ基本的な考えを踏まえた計算式を作成し、事業規模が比較的小さな法人でも、確実に算定できる仕組みづくりが大切と考えています。最終的には、社会福祉法人の内部留保は、多くの法人において存在しないことを証明することが、ポイントだと思います。

ただ、いろいろお話を社会福祉法人の方々から伺うと、少し例外的な個別事情への対応は一体どうなっているのかと聞かれるケースがございます。今回は4ページで具体例として出していただいておりますけれども、もう少し個別事例の取り扱いがどうなるのかわかるようなQ&Aをつけ加えていただければと思います。

 例えば、先ほど菊地参考人からも1つの例として示されておりましたが、自治体から施設の無償譲渡を受けた場合、例えば10億の建物の無償譲渡を受けた場合、そして4~5年で建てかえたい。その場合の算定はこの一般のケースだとどうなるのか。あるいは、老朽化した社員寮などの民間施設を土地の代金で購入したが、当面改修して使いたいが、4~5年は高齢者住宅として建てかえたい。この場合の最終的な再取得に必要な財産の計算は、いずれも10億ということであれば幾ら控除対象財産として認められるのかなど、少し想定されるような個別事例のQ&Aをお示しいただけたらと思います。そして、今の2点につきましてもし検討会で個別事例の検討をされておられるのであれば、基本的な考え方で結構ですから、この2点の取り扱いなどどのようにお考えなのか教えていただければと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 最初の御質問は公益事業、収益事業はどうなるのかということでございますが、それについては入るということでございます。

 2点目、個別事例は当然いろいろな具体例で4ページに限らず、少し基本的な方向性が定まってまいりましたので、具体的にどういった法人あるいはどういった事業、どういった事業規模の法人については、例えば当てはめをするとこれぐらい余りが出るとか、これぐらいの法人が余りが出ないとか、当然、私ども事務的にはある程度計算はしているわけですが、それについておっしゃられたとおり次回の検討会でも少しお示ししたいと思っておりますし、もっと言えば委員おっしゃったようなかなりの個別事例といいますか、そういう無償譲渡などの場合も含めていろいろなパターンが想定されると思いますので、それについてFAQという形できちんと作成をして、年内にはお示しをさせていただきたいと考えております。

○田中部会長 森脇委員、お願いします。

○森脇委員 1点、質問をさせていただきます。6ページの社会福祉充実計画についてです。こちらは、計画を申請して、承認されたものを実行するということなのですが、正しく実行されたのか、監督といいますか、執行を確認する仕組みは何か検討されておりますでしょうか。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 この計画の実施状況を個別に確認をするということかどうかあれなのですが、所轄庁に法人は当然毎年書類を提出しなければいけませんので、その時点時点で所轄庁のほうで進捗状況を御確認いただくということで考えております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 4点ございます。

 2つは先ほど平川委員から大変大事なことが出たので、私から繰り返しになるのですが、1点、6ページに厚労省としてのお気持ちが入っているということなのですが、指導監査する所轄庁にもその気持ちが伝わるように、1位、2位、3位の後に星でもいいですから、これに人材の投資とかそういったものもちゃんと入るんだということは、何らかの形で入れてほしいというのが1点目でございます。

 2点目なのですが、これも平川委員がおっしゃられた純資産高がプラスにする必要がないといいますか、これも私、以前ここで申し上げたのですが、純資産高というのは経営指標になってはならない。なぜならこれは全法人統一の数字としてパーセントを設けるわけですから、資金調達のやり方によって何を目指すかで全く変わってくる。ですからマイナスでも全く構わない。適正に運営していてマイナス。利益をゼロとして運営してもマイナスになるところとプラスになるところがあるわけでございますから、マイナスになるということが経営が悪いことにはならないということはFAQでも何でも書いていただきたいとともに、そもそも内部留保が課題であることが問題ではないかというところからスタートしたわけでございますが、今回のこのやり方を通じまして自己資金比率が平均的に多く、自己資金多く自分のところで調達した場合には、利益ゼロでも純資産高があるかのように出てしまいます。そうですよね。それをもって内部留保がこの法人にあるから問題であると言われるのは大変困ったことになると思いますので、この点を誤解がないようにきちんと役所のほうでやっていただきたい。積極的に地域のニーズに応えて、特に高齢系ですと補助金も減ってきておりますので、自分たちで投資をしてというところが多いわけですけれども、それが悪いかのように言われてしまうことになってはいけないと思いますので、御留意いただきたいというのが2点目でございます。

 3点目で、これは技術的な点なのでぜひ検討会でお諮りいただきたい点なのですが、4ページと5ページでございますが、細かいことから言いますと説明のところでおっしゃいましたけれども、4ページと5ページで違う数字になっている。減価償却期間も40年と39年になっていますが、こういう細かい資料を結構現場の経営者は見ておりますので、これで混乱されたくはないので、ぜひ同じ数字にしていただきたい。細かい点でございます。

 もう一点ですが、これは本当に技術的なことなのですが、1.2倍あるいは1.1倍になるという単価上昇率でございますが、これは例えば39年なり40年を通じて1.1倍あるいは1.2倍になるということでございますから、4ページに書いてある具体例の場合、半分の年しかたっていないわけですから、1.2掛ける必要ないではないかという考え方もあると思います。ですからこれは決め打ちで1.2としないで、検討していただいて1.2がいいのか、それとも半分の20年分の上昇率を掛けるのかという部分、面倒くさいか面倒くさくないかというと40年後、決め打ちしておいたほうがいいと思うのですが、この倍数というのをどのようにデータをとってどうするかによって何が適正かというのはあると思いますから、決め打ちにならないようにしていただきたいというのが3点目でございます。

 4点目は9ページにかかわることなのですが、ここに書いておられることはまさにこのとおりというふうに思いますので、何か特別にということではないのですが、ただ、これまで検討してきた立場の人間から見ますと、余りにもレベルの違うものが入り過ぎているという感じがいたします。

 1番目と3番目は、今回の改定の趣旨あるいは会計の構造というものがおわかりになっていないという御質問ですので、分けていただくとかできないか。2番目と4番目はさまざまな考え方があって、その考え方を厚労省として整理したものですから、2番目と4番目はこういう考え方でやった。異論はあり得る話だろうと思います。

 3番目の話でございますが、これはもう少し丁寧に書いていただくと、FAQでもいいかなと思うのですけれども、要はこれは充実残額というものを早目に老朽化等で建て直しをしなくてはならないといった場合に、右側の検討の方向性で減価償却期間前に施設の建てかえを行えないということではないとお書きになっているわけでございますが、充実残額というものがこの時点で積んでいたもので建てかえをしなければいけないというものでもないので、むしろこれはFAQに持って行っていただいて、考え方がこういうことですというふうに丁寧に御説明いただければいいのではないか。

 つまりここに並んでいるものは、いろいろな団体からの御意見だとは思いますけれども、余りにも玉石混合なものですから、整理していただいたほうが混乱がなく、意見と方向性というふうに明確にしていただきたいのは2番目と4番目ぐらいではないか。せめて順番を2番目と4番目を先に持って行ってとか、そのようにしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 幾つか御意見、御質問がございましたので、順番にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず6ページでございます。人材の投資ということを優先的にという御意見でございまして、非常に多くの方からそういう御意見をいただいておりますので、私どもで法人の皆さんに対してどこにどう使えということを個別に指導する立場にはございませんが、政府全体として人材の処遇改善というのは非常に重要な柱でございますので、そういったことを含めて所轄庁、法人の皆さんには丁寧に説明をしていきたいと考えております。

 2点目でございます。同じ数字を使うということにつきましては大変申しわけございません。

 充実残額がゼロだとかプラスだからといって、それはおっしゃるとおり必ずしもマイナスだから悪いとかプラスだからいいとか、あるいはその逆ということは全くございませんでして、確かにプラスが非常に大きいというのは何らかもう少し投資先があるのではないかとかあると思いますが、マイナスが大きいことに関しては当然施設に新しく投資をしている法人につきましては、借入金が多くなりますからマイナスが出るということがありますので、果たしてそれをもってよろしくないのかといったら全くそんなことはない。熱心に経営をされているところがマイナスが出るということでございますから、そういったことで誤解がないように丁寧に説明をしていきたいと考えております。

○藤井委員 プラスになるから悪いということではない。内部留保があってけしからん社会福祉法人ということでもないということも重要だと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 そこも見方によるのです。経営をきちんと効率的にやっていらっしゃるところであれば、ある程度プラスになることもあるかもしれませんし、あるいはずっと過去に施設を建てて借入金もないという状態で蓄積していって、新しく投資をしないというところもあるかもしれません。

○藤井委員 それはそうなのですけれども、例えば自己資金100%で始めますと、自己資本比率を引いて充実残額を出しますね。これを100%減価償却していくわけですから、利益ゼロでも充実残額がプラスに見えるということをもって、この法人に内部留保があるではないかと言われたらたまらないという話ですね。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 別に言っていることはそごがないと思いまして、いずれにせよプラスであろうとマイナスであろうと、それをもっていいとか悪いとか、そういう判断をすべきものではないということでございます。いろいろな事例があると思いますので。

○藤井委員 でも、外に向かってプラスというものが必ずしも悪いことではない。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 ただ、プラスといってもいろいろな法人がございますので、プラスの内容をよく見てみないと、それが必ずしもいいということも申し上げられませんので、いろいろな形態があるということしかこの場では申し上げられませんが、いずれにせよいろいろなパターンがあるということでございます。

 あと、数字が違ったりしているところはもう少し気をつけたいと思います。

1.1とか1.2という数字は40年ということではなくて、例えば建設デフレーターでしたらこういう表がございますので、その年ごとに見ていく。建てた年と今の年を比較するということですから、必ずしも40年ということではなくて、その年のものを使ってやっていくということでございますから、もしかしたらそれは煩雑かもしれませんけれども、今のところはそういうところで考えております。

 最後、資料の9ページについてレベルの違うものなので順序を整理してほしいという御意見もございましたが、私どもとしてはいろいろな意見が、その意見について当否を申し上げるということではなくて、いろいろな意見があって、それなりに多い意見を並列的に並べさせていただいて、それに対する考え方をお示しさせていただいたということでございますので、あくまでもこの検討会で御説明させていただくために、こういった順序で並べさせていただいたということでございます。

 以上です。

○藤井委員 よく理解しました。

 4ページ、5ページで対比で言いますと、そうすると4ページの1.2はデフレーターであるということを明示していただきたいことと、5ページの1.1と4ページの1.2の違いを説明されたので、40年で1.11.2というふうに私も勘違いいたしましたので、その点ここにどう書かれるかということを注意していただいて、誤解のないようにしていただければと思います。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 今の意見交換に関するコメントです。基本的に余裕財産があるかないかという評価の問題ですけれども、これは前回もたしか申し上げたと思うのですが、福祉ニーズが物すごく高まっている中で、国民から見てすぐれた社会福祉の経営者というのは、自己資金がなくても積極的に借金までしてニーズに応えている方々です。その上で、業界平均並みの利益率を出している社福経営者は非常に経営能力が高いと私は思います。

 それから、余裕財産が幾らあってもそれは全然構わないのです。しかし、実際に全国データベースができれば明らかになりますが、社会福祉法人の中には総資産の半分以上がキャッシュというところも結構あるのです。もともと内部留保の問題を問題提起したときは、私はそのような社会福祉法人を念頭に置いていたわけです。いずれにせよ全国データベースができれば皆さんも固有名詞レベルでどこが幾ら持っているかというのはわかりますので、そこで相当議論が深まるのではないかと思っております。

もう一つ、藤井委員からの御指摘で、9ページの3番目に再生産に必要な資金として法人が計上した積立金というものがありますけれども、実は2015年度の財務諸表から自分で勝手に名前をつけた積立金を積んでいるところがあります。とくに余裕資金の大きな社福にその傾向が見られます。2015年の財務諸表を所轄庁に出すに当たって当然、前年度の数字もついてきているわけですけれども、中には2014年度分を所轄庁に出した後、2015年度の財務諸表を作成するにあたり前年度2014年度分の数字を大幅に書きかえている社福があります。このように財務諸表が勝手に作り変えられる社会福祉法人とは一体何だろうというのが私の印象です。そういうところもあるので多分、事務局の方が3番目を書いているのではないかと私は理解しております。

○田中部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 もう一点、お願いがございます。今いろいろな議論があり、控除対象財産の算定方法がこれから具体的にどう動いていくのかによって、社会福祉法人の中でいろいろな動きが出てくると思いますが、これを監督する所轄庁がこれに対してしっかりと理解をしていかないとだめではないかと思っています。所轄庁も大体人事異動が2年か3年ぐらいで異動があるという状況からすれば、所轄庁の方々が職員がしっかりと理解できるようなわかりやすい資料なども含めてつくり、しっかりとこれに対応していくことが重要だと思いますので、意見として言わせていただきます。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。そのとおりですね。

 武藤委員、お願いします。

○武藤委員 先ほども説明があったかもしれませんけれども、6ページの社会福祉充実計画の案の真ん中のところに第1順位、第2順位、第3順位とありますけれども、第1順位のところにも公益事業が入っていて、第3事業のところにも公益事業が入っているということで、これはどうしてなのか、単純な質問です。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 ここの社会福祉事業に類する小規模事業というのは、正式的には社会福祉事業なのですけれども、規模的に社会福祉事業に該当しないので公益事業として整理をしているということなので、この充実計画では第1順位として位置づけているということでございます。

○田中部会長 また後で戻っていただいても結構ですが、時間の都合もありますので資料3について説明をお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 お手元の資料3「今後の社会福祉法人改革の施行スケジュール等について」ということで御説明をさせていただきたいと思います。

 いろいろな御議論をいただきまして、4月以降、細かな基準を含めて御議論をいただきまして、おおむね方向性も定まってきて、あとは来年4月に向けてより詳細な検討を進めるとともに、法人の皆さん、所轄庁の皆さんには御準備を進めていただきたいということでございますが、今回そのスケジュールと、今まで福祉部会で法律の議論をされるときに御議論があったもので、この場で御説明していなかったものの進捗及び今後の進め方について御報告をさせていただきたいと思います。

 まず1ページでございます。これは全体のスケジュールということで、これはほとんど前回お示ししていただいたものと少し時点修正をしたものでございますが、関係法令改正等、一番上でございます。これにつきまして今週中にもパブリックコメント、政省令改正をして、10月下旬あるいは11月上旬に政省令を公布したいと思っております。あわせて定款例・審査基準につきましても同日付で通知を発出することで考えております。したがいまして法人の欄の一番上、評議員会関係についてでございますが、それが出たら速やかに定款変更の手続をしていただくということですが、パブコメをした段階で改めて法人の皆さんあるいは所轄庁の皆さんには準備を、選任の準備はそれぞれ法人で進められているかと思いますが、もう一度そういった周知をしてまいりたいと考えております。

 真ん中の会計監査人のところでございますが、対象法人につきまして基準を決めれば、法人の皆さんで会計監査人の候補者の選定あるいは予備調査の実施をしていただいて、来年4月の施行に向けて準備をしていただくということがございます。

 社会福祉充実計画につきましては、少しまだ先ほど委員の皆さんからも御指摘のあったような細かな論点がございます。これにつきまして検討会で御議論していただいた上で、関係通知案ということで10月末か11月には提示させていただいた上で、年末までには正式な通知を発出させていただきたいと考えております。

 いろいろ周知の御心配、先ほど平川委員からも自治体の職員がわかっていないと困るのではないかということもございましたが、次の2ページに周知の状況をつけさせていただきました。法律の成立前から内々ブロック単位で説明会をしたり、実はこの8月、9月にかけても各ブロック別に私どもの職員が行って、その自治体関係者の皆さんに御説明を申し上げているところでございます。また改めて政省令を公布いたしましたら、11月中には全国の担当者の説明会もしてまいりたいと思っております。いずれにせよある程度方向性も定まってきたことでございますので、これから少しきめ細かな周知ということに重点を置いて、施行に向けて準備を進めていきたいと考えております。

 次に、所轄庁の欄に指導監査とございます。この監査につきましていろいろな御意見をいただいたことについてでございますが、資料の3ページと4ページをご覧になっていただければと思います。社会福祉法人に対する指導監督見直しということでございまして、3ページの左上、現状と課題ということでございます。時間の関係もございますので簡潔に御説明させていただきますと、いわゆるローカルルールが非常に厳しい規制となって存在しているのではないかとか、あと今回いろいろなガバナンスの強化をしたのでそれとの関係、特に会計監査人の監査の導入と所轄庁監査の関係をどう整理するか。そういったことがございます。

 また、加えて規制改革会議で法律の附帯決議で指導・監督、指導監査に関してはいろいろな御指摘をいただいているところでございますので、右側にあります見直しの方向性というところでございますが、ガバナンスを強化したことによって法人の自主性・自律性を前提とした上で国の基準を明確化してローカルルールを是正するということで、指導監督の効率化・重点化を図ってまいりたいということで、具体的には指導監査要綱の見直し、監査ガイドラインの作成・周知ですとか、会計監査人監査導入に伴う行政監査の省略・重点化あるいは監査周期の見直しあるいは監査を担う人材の育成、これはまさに先ほど平川委員から御指摘があった所轄庁職員の育成ということを含めて、少し具体的に案を作成していきたいと思っております。

 4ページをご覧になっていただければと思いますが、一番下にございますが、こうしたことにつきましては関係団体の皆さんからよく御意見を聞かなければいけないと思っておりますし、一方で所轄庁である自治体の皆さんからもよく意見を聞かなければいけないと考えておりますので、まず来月から11月にかけてそういった関係団体からのヒアリング、自治体との意見交換を各2回程度実施して、見直しを進めていきたい。年明けぐらいには素案を示させていただきたいということで考えております。これが1点でございます。

 次に戻っていただきまして、1ページの一番下に財務諸表等電子開示システムというものがございます。これは先ほど来から松山委員から何度か言及がございましたが、この福祉部会でも情報の集約ですとか情報の公開ということで、全国的なデータベースを構築することが必要だという御提言をいただいているところでございます。

 これにつきまして、具体的に5ページをご覧になっていただければと考えております。社会福祉法人の財務諸表等開示システムの機能等についてということでございます。これは規制改革実施計画やこの福祉部会だけではなくて、改正社会福祉法においても厚生労働大臣が社会福祉法人に関する情報に係るデータベースの整備を図って、国民にインターネット等を通じて迅速に情報を提供できるよう必要な施策を実施するということで定められておりますので、それに基づいてシステムの開発、構築をしているところでございます。

 システムの内容につきましては、その図をご覧のとおり社会福祉法人の皆様に現況報告書等の記載事項を入力いただいて、これを所轄庁に提供していただく。所轄庁から必要に応じて都道府県に送られて、それが国あるいは福祉医療機構に提供されて、私どものほうでそれを集計・分析した上で公開処理をしていく。それを公表していくということでございます。

 スケジュールでございます。5ページの一番下にございますが、今まさに設計・開発をしている途中でございまして、試行運用を始めようかということに先駆けまして、自治体職員向けに操作説明会を実施することを予定しております。それを踏まえまして1月、2月に試行運用をした上で4月、5月に本格稼働ということで稼働させていたいということでございますので、福祉部会で御指摘いただいた情報システムということにつきましても今、着々と準備を進めているということの御報告でございます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 最後の点はとても重要な変化ですね。ただいまの説明について御質問、御意見があればお願いいたします。武居委員、どうぞ。

○武居委員 最後につけてあります資料、私どもから提出させていただいている資料に関連しまして、今のスケジュールのところについての要望をさせていただきたいと思います。

 私ども社会福祉法人の団体といたしまして、今回の改定を前向きに、そして積極的に捉えて、個々の法人がその内容をよく理解して、制度改正に対応してほしいと思っておりまして、説明会を開いてまいりました。これは前回も口頭でお話をしましたが、具体的にどういうことをやったのかというのは詳しい資料を用意いたしましたので、参考に見ていただければと思います。

 その中でこの資料の真ん中より少し下ぐらいのところに、セミナー参加者のアンケート結果というものがございます。そして、そのところの一番下に所轄庁の対応と制度改革に対する理解不足というものが受講者から挙がってきているところがございます。確かに所轄庁の方の中には、私どもが各都道府県でやるこの説明会等に多数出席をしていただいたような熱心な所轄庁の方もいらっしゃいます。一方で指導する立場にある所轄庁なのですが、説明会で社会福祉法人から質問をしたのだけれども、よくわからないという御返事をいただいたような所轄庁もありまして、なかなか十分各所轄庁に情報が伝わっていないといいますか、勉強不足の部分もあるのではないかと思われる部分がありますので、各法人を指導する立場にある所轄庁の担当の方々が、十分な対応ができるような取り組みをしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 松山委員、どうぞ。

○松山委員 財務諸表等の開示システムについて2点、コメントをさせていただきたいと思います。まず1点目は目的です。確かにこれで2万法人の財務諸表の全体像がわかるわけですけれども、それを何のためにやるかということです。これから社会福祉ニーズというのは非常に高まってくる、本来だったらそこに財源をもっと投入しないといけないのだが、財政危機が高まる中でそれも非常に厳しい状況にある。しかし、財務諸表の全国データベースがでると、頑張っている社福を特定できるわけです。私は、そういうところに財源が流れるインフラに財務諸表データベースがなるのではないかという期待を持っております。

 2点目ですけれども、より頑張っているところにお金を流すという意味で言うと、財務諸表を2万集めて都道府県別に集計するだけではだめだと思います。主たる事業種類別に各社福法人を分類して集計、社福の財務構造の特徴を国民に開示して頂きたい。というのは2014年度の財務諸表5,500を集計しましたけれども、それによって出てきたデータというのは、例えば障害者施設を主たる事業としている社会福祉法人の3法人に1つは黒字率が10%を超えている。それから、保育所中心の社会福祉法人よりも、高齢者施設の法人のほうが黒字率は総じて低い。児童福祉施設は財源不足というようなことが事業施設種類別に集計すると顕著に出てくるのです。せっかく2万法人のデータベースをつくるのであれば、それもぜひやっていただきたい。

 ただし、これは大変な作業です。実際に私がやったのは7,000法人の名前を特定してホームページがあるかどうかを調べて、ホームページにアクセスして財務諸表を開示しているかどうかを見て、それが集計に使えるかどうかを精査して判断、結局7,000のうち1,500法人は開示していないから使えないということで5,500集計したのです。学生のアルバイトを3人使って2カ月半かかりました。しかし、厚労省さんがシステムをつくるときはアルバイトが10人いれば多分3カ月でできるのではないか。それから、前回やった経験でノウハウがありますので、もし御希望であればノウハウを提供します。そうすればかなり効率的にできるのではないかと思います。

 いずれにせよ全国データベースができることの意義というのは非常に大きくて、これを使って私は業界の方がもっと補助金というか公費を投入する理屈を考えてくれればいいと思っています

○田中部会長 貴重な御指摘ありがとうございました。藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 2点ございます。3ページ目の社会福祉法人に対する指導監督の見直しというのは、これは本当に双方の意見を聞かれるというのは大変なことだと思いますが、ぜひよろしくお願いしますということともに、確かにローカルルールの存在があって現場の経営者がお困りになっている点も多いのですが、よくよく聞くと勘違いなさっているケースも非常に多いように思います。

 それから、コミュニケーション不足といいますか、所轄庁のおっしゃっている話をそんなふうに聞いたのかというようなこともございまして、双方の意見をきちんと聞くというのは結構難しいことではないかと思うのです。

 1つは武居委員がこちらを見ておられるので言うわけではないのですけれども、例えば経営協のようなところで、これはこれでやっていただくとして、今後継続的にきちんと現場の経営者の方々が何を困っておられるかということを自主的に集約していただいて、ピアレビューではないですけれども、行政の言っていることは正しいですよとか、これはこういうことではないかとか、そういったようなものもぜひ武居委員あるいは高橋委員等々のところでつくっていただいて、それを厚労省として吸い上げるとか、連携するとかいう仕組みをつくっていただければ、私の考え方で言うと8割ぐらいは双方の誤解というか、特に経営者の方の誤解があるのではないかと思いますので、それを少し御検討いただけないかなというのが1点でございます。

 5ページに関してなのですが、私も松山委員のおっしゃるようにこれの仕組みには非常に期待をしておりまして、左上の国民の閲覧に供すると、株式会社で言えばこれは株主とか投資家が一生懸命見るのですけれども、社会福祉法人というものを、これからの我々の時代の非常に重要な社会資源としてきちんと見守っていこうということで国民、地域住民であるとか、我々のような研究者も含めてだと思うのですけれども、どうこのデータベースを使うかということなると思うのですが、1つはこれに登録される、提供される社会福祉法人のほうにも何かいろいろなデータを出さなければいけないというよりは、積極的に活用していただけるようなものがないだろうかということで、例えば今、いついつまでに段階的に実施しますよとか、あるいは株式会社の世界ではソフトローみたいなことで言われる2014年に会社法が変わったときに、コンプライ・オア・エクスプレインという形で守らなければいけないものと、守れないものに関してはエクスプレインするといったような流れになってきていると思うのですけれども、例えば今回ソフトローと言えますのは、会計監査人を置かない法人について会計の仕組みというものの御提案があったと思います。そういったものについてこのように取り組んでいるとか、あるいは今のところうちではこれは会計監査人を置かなくてもいいのだけれども、このように取り組んでいるとか、守らなければいけないことを何とか頑張ってやっていますという法人ばかりではなくて、積極的にコンプライアンスあるいはガバナンスをつくっていこうという法人がこんなふうにやっているんだというものを宣言できるような、1カ所に入力できるところがあればいいのかもしれませんけれども、ただ、どういったものを入れていただくかということになると、私はソフトローみたいなものを、今回守っていただかなければいけないルールばかりではなくて、会計監査人を入れないところにおける会計の仕組みをどうするかといったような御提案があったような、ああいったものを例えば経営協さんから御提案をいただいてもいいと思うのですけれども、単なるハードコードみたいなものだけではなくて、ソフトローをたくさんつくっていっていただくということで、非常にリッチな非営利法人経営というものができ上がっていくのだと思いますので、武居委員、よろしくお願いしますと言うとともに、厚労省のほうにもそういったものを推進していただけるようなことを、せっかくこういうデータベースができましたので、これの活用という意味ではそういったものがあってもいいかなと思います。

 以上です。

○田中部会長 今までの幾つかの御発言に対して特にないですか。御要望として承るということでよろしいですか。

 関川委員、どうぞ。

○関川委員 1ページの施行スケジュールで少しお尋ねしたいことがございます。

 一番最初の御説明で関係政省令、通知、遅くとも11月上旬までにはという話があったと思います。この図の書き方とすれば11月ぐらいに政省令、通知が発出されるぐらいの位置づけをしていただいたほうがいいのかなとか思っています。

 それから、所轄庁の定款変更、認可の矢印と法人で評議員関係で定款変更の申請をする時期が少しずれているのが気になって、むしろ理事会でどのタイミングで定款変更の審議をするべきなのか。審議をしないで定款変更の申請というのはあり得ませんので、そのタイミングが少しわかるような書きぶりをしていただくとすると、11月で定款変更の理事会を臨時もしくは補正で開くというイメージでいいのでしょうか。

 それから、所轄庁の方にお話を伺いますと、その自治体の所轄する法人全てが定款変更の申請をしてきたという例は今まで実績としてないので、11月から12月、ことし中には認可を終えろという話のように読める図になっていますので、11月に全国担当者会議で説明して、所轄庁がその後、法人について定款変更例の説明、指導をして、それから法人の理事会が御自身のところの定款変更の審議をする。

 御案内のとおり定款例を見れば新評議員の選任方法だけではなく、幅広に今回、変更箇所が課題として挙がってきますので、そういったことなども踏まえて少しこの図を精査していただければありがたいなと思います。

 それから、既に定款例は案として出されておりますが、その案をもとに理事会で定款変更を審議しても基本的には大きな違いがないとすれば、今からでもやれるものなのか、それとももう少し基本的な内容に変更があるので、やはり最終的に関係通知発出で定款例審査基準が示されてから理事会を開いたほうがいいのか、その見通しを少し教えていただければと思います。いかがでしょうか。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 幾つか御質問をいただきましたが、すみません、資料につきましてはおっしゃるとおり、確かに一つ一つ突き合わせてみると若干矛盾めいたところがありますので、それは精緻にもう一回見直しをしたいと考えております。

 通知の発出等についての手続での御質問でございますが、基本的にはあくまでも今のは準備を円滑に進めていっていただくための案ということでお示しをしているものでございますから、正式な理事会などの手続は、ここにございます関係通知の発出後ということで開催していただくことを考えておりますが、当然、事前に準備を進めてくれということで私どもお願いしておりまして、そこで当然評議員の選定委員会の人選ですとか、どういった形でやるのか含めて余り私が申し上げることでもないと思いますが、当然、理事の皆さんの内諾をいただくとか、所轄庁さんとも事前審査ということで内容的にすり合わせをしていくとか、そういったことはこの関係通知の発出を待つまでもなくできる準備だと考えておりますので、そうした事実上の準備を進めていただいた上で、その関係通知が発出された際には、理事会等については円滑に実施していただきたい。そういう形で準備を進めていただければと考えております。

○田中部会長 一通りよろしいですか。大変大きな制度改革である今回の社会福祉法人制度改革については、思い起こすと平成26年度、改正法案の国会提出前から福祉部会で議論してまいりました。皆様方の大変熱心な御意見のおかげで、今回の福祉部会で主要課題は一通り御議論いただけたと考えております。もちろん今後の不安感をなくすためのFAQを含めて作業は残っています。厚生労働省は関係団体やその他の関係者の方々の意見も聞きながら、来年4月の施行に向けて準備を進めていただくようお願いいたします。御議論ありがとうございました。

 続いて、福祉人材確保について資料4の説明をお願いします。

○榎本福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。

 資料4「今後の福祉人材確保専門委員会について」を御説明させていただきます。

 1ページ、こちらには福祉人材確保専門委員会での前回議論の取りまとめについてまとめさせていただいております。平成27年2月25日に福祉人材確保専門委員会で取りまとめられた「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」において介護人材の類型化、機能分化については実態を把握、検証し、具体的な検討、整理を進めるべきとされ、平成28年度を目途に一定の方向性を示すべきであるとされております。

 具体的には1ページの後半にありますように、大きな視点、2つを基本に据えつつ介護人材を類型化し、機能分化を図ることについて検討を進めるということで、視点1ということで介護を担う人材層ごとの機能・役割、人材像及び量的な比重などのあり方はどのようなものか。視点2として、それぞれの人材層ごとに求められる能力、それを裏づける教育・養成のあり方、キャリアパスはどのようなものかということでございます。

 また、類型化と機能分化の検討に当たっては、次の観点を含め、介護現場において介護人材がどのように配置され、どのように業務を行っているかといった実態を把握・検証の上、サービス種別や現場の実情等に十分に留意しつつ、具体的な検討・整理を進めるべきであるということでございまして、具体的に人材層の区分についてさまざまな切り口が考えられること、必要な能力について、こちらもさまざまな力が考えられることといったようなことを含めて、検討・整理を進めるべきであるとされたところでございます。

 次に2ページにまいります。これらの御指摘を踏まえまして、今般の福祉人材確保専門委員会において検討事項として考えております事項を挙げさせていただいております。

 まず検討課題として、介護人材が担う機能というものがございます。具体的な検討内容といたしましては、介護人材の業務実態等の把握・検証について、多様な人材が携わる介護現場における目指すべき姿について、介護人材(特に介護福祉士)が担うべき役割と求められる能力について検討するということでございます。

 さらに検討課題としては、介護人材のキャリアパスがございます。具体的な検討内容といたしましては、介護福祉士の担うべき役割を踏まえたキャリアパス、介護人材の裾野の拡大に向けた入門的研修の導入について、そして介護分野に参入した介護人材のキャリアパスの全体像についてが検討内容となります。

 また、検討課題といたしまして、社会福祉士のあり方についても検討を加えるべきであると考えております。具体的には社会福祉士のさらなる活躍の場の創出について、専門性の高い社会福祉士の養成について、社会福祉士に対する理解の促進について検討してはどうかと考えております。

 なお、これらの検討課題、検討内容につきましては現段階のものでございますので、今後、追加・変更があり得ることを御承知おきいただければと思います。

 最後、3ページでございます。今後のスケジュールについて挙げさせていただいております。福祉人材確保専門委員会、具体的には来月10月から検討を開始いたしまして、まずは介護人材が担う機能やキャリアパス等について調査研究事業の報告、議論等、3回程度の議論を想定しております。それから、年が変わりまして1月には社会福祉士のあり方について2回程度の議論を予定しております。そして、年度末、3月までに報告書の取りまとめ。報告書の議論等2回程度を想定しておるということでございます。こういった形で今後、福祉人材確保専門委員会において議論を進めていければと考えてございます。

 資料の説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。社会福祉法人制度も大切ですが、福祉人材確保も大切です。役に立つ議論をしてまいりたいと存じますが、この資料4につきまして御質問、御意見があればお願いいたします。

 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 前回のときには介護人材ということで、社会福祉士のところが十分な議論がされなかったところであります。社会福祉法の一部改正によって社会福祉法人が地域貢献をするというところの、当然、社会福祉法人ですから理事長を初め役員の人たちが中心に動き出すのですけれども、現場であればこれは社会福祉士というソーシャルワーカーが最先端で動くことも考えられるところなので、ぜひとも今、厚労省で「我が事・丸ごと」ということで地域共生社会を目指しているというところですので、ソーシャルワーカーの国家資格である社会福祉士のより一層の活躍の場をぜひ議論していただいて、社会的認知をしていただきたいと思っておりますので、2回程度、先ほど2回以上と言っていただいたので、ぜひとも2回以上、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 石本委員、どうぞ。

○石本委員 介護福祉士会の石本でございます。

 コメントといいますか、この専門委員会のほうで介護人材につきましては、特に介護福祉士ということで「特に」と書いていただいておりますので、私ども職能団体としても介護福祉士のスタンスや求められているものに対してどうあるべきかというのを明確に今回の議論の中で打ち出せればと思っております。各委員の皆様方のそれぞれ御意見を伺いながらいい方向で議論してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 上野谷委員、どうぞ。

○上野谷委員 士士法創設30周年を来年度迎えます。そういう意味からいたしましても、この福祉人材確保、この専門委員会で議論を取りまとめるという本当に時宜を得たことでございますし、地域包括ケアシステムの深化、広がりという意味においても、会議福祉士及び社会福祉士そして精神保健福祉士を含めまして人材をどのように確保し、養成、配置していくかということはとても大事なことだと思っております。

 ここからはちょっと確認でございますけれども、専門性の高い社会福祉士の養成を考えますときに、精神保健福祉士との相乗りといいますか、国家試験も相乗りしておりますので、そこも含めて考えさせていただいてよろしゅうございますか。そのあたりの確認を私どもも準備の仕方が変わってまいりますので、お願いいたします。

○榎本福祉人材確保対策室長 実際に委員会で具体的に議論するテーマにつきましては、今後提示させていただきますが、そのときには今いただきました御指摘も踏まえまして提示をさせていただければと思います。

○田中部会長 菊地参考人、お願いします。

○菊地参考人 非常に重要なものだと思いますが、1つ福祉関係の分野以外の人たちが福祉分野に入りやすくする。例えば今回の動きの中でも医療関係はもちろんですが、経営学や、あるいはその他司法関係、法律などさまざまなものがあると思うのです。そういう人たちが福祉分野に入ってくるための道筋を少し検討していただく、あるいは表に出していただければありがたいと思います。これは意見としてお願いしたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございます。

 松山委員、どうぞ。

○松山委員 事務局に質問なのですけれども、この人材の検討をするときに、医療職と介護士、社会福祉士の給与の比較のデータなどで、例えば海外がどうなっているかとか、そういう情報はお持ちなのですか。

○榎本福祉人材確保対策室長 今のところはそのデータは私ども持ち合わせておりませんが、どういった形でそういうものが入手可能なのか、少し事務局のほうで研究をさせていただければと思います。

○松山委員 というのは、2005年ごろに私はアメリカに行ったときにミズーリ州政府の公務員である社会福祉士の方に会いました。この方は日本人だったのですけれども、いわゆる州政府のソーシャルワーカーになるには、大学院を出ていて学位を持っている必要がある。しかも上級職というか公務員の中でもレベルの高い位で採用されて給与も高かったのです。米国ではそれだけ重視されている職種なのです。

 米国の場合、年間収入規模が数千億円の地域包括ケア事業体が500ぐらいあります。そこでは医療職と介護職の方が一体となって動いていて、介護福祉士もマネジメントに昇格していくのです。彼らの給与体系などに関して詳細な情報があれば、日本での議論に役立つのではないか。オーストラリアとかヨーロッパがどうなっているか私はデータを持っていないのですけれども、もしそういうデータが入手できるのであれば、ぜひお願いしたいと思います。

○田中部会長 御要望ですね。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 この人材のあり方を検討する場合、労働者であるという位置づけを明確にしていくのが重要だと思います。どうしてもこの福祉の世界ではボランティアと労働の違いが曖昧な議論が進みがちなため、その辺をしっかりと明確にしていくことが必要かと思います。

 また、介護福祉士を初めとして、介護労働者の社会的地位や社会的評価が高まるという方向が必要かと思います。裾野の拡大というのもやり方はそうですが、それによって逆に専門性が損なわれ、結果として利用者に対する処遇が低下してはいけないと思います。その辺は裾野を拡大しつつも、一方でしっかりと専門性を確保していく。これは大変難しいと思いますが、そのような方向の議論も重要と思います。

 社会福祉士の関係ですが、貧困、格差の拡大によって困難事例が大変多くなっている状況の中で、社会福祉士の知見は大変重要になっていると思います。これが医療の場や、行政の場、例えばNPOや社会福祉施設であったり、それぞれの立場の中で社会福祉士の位置づけというのがばらばらになっている。要するに医療であれば、診療報酬点数の評価の中において社会福祉士というものが位置づけられているところもあれば、全くそうではないところもある。一方で行政の場においては行政執行を行うことから、公務員であることが必要ということなど、社会福祉士の位置づけが定まりづらいという課題があります。多様な問題が山積をしておりますので、さらなる活躍の場の創出となっておりますが、もう少し具体的な検討内容の中身についてかみ砕いて議論できるような材料を提供していただくと助かります。

 最後に質問ですが、今後のスケジュールで平成29年3月に報告書を取りまとめるという形になりますが、これについてはそれ以降、法案改正も想定をして取りまとめていくのかどうなのかということについて、質問をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○榎本福祉人材確保対策室長 今、御指摘いただきました3月以降どうするかという話なのですが、今のところ私どもで考えておりますのは、来年度1年間をかけまして社会福祉士と介護福祉士の養成カリキュラムの改訂の作業をしたいと考えておりますので、基本的には今回の御議論の結果というのは、そちらに反映をさせるということで考えてございます。

○田中部会長 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 前任の藤野より何度かこの福祉部会でもお願いをしたいのではないかと思いますけれども、今回、介護人材を中心に検討するということなのですが、とりわけ児童福祉分野のところで保育士確保については今、結構国を挙げて検討しているということなのですけれども、特に私たちのところの社会的養護の部門、児童福祉分野の部門に対しての人材確保は厳しいという状況で、困難をきたしている状況なので、今回はいずれにしろ介護人材を中心にということなのですけれども、ぜひ国を挙げて児童分野についても検討をどこかのところでお願いをしたいと思っています。

 とりわけ社会福祉士のところについても、児童福祉分野で結構働いている人たちもいるので、この部分に入れるのかどうかは別として、ぜひ忘れないようにお願いをしたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋英治委員 時間が経過しておりますのに大変申しわけございません。関連してというか、少し違うのですが、平成29年度末までに検討するとなっております保育についてのいわゆる社会福祉施設職員等退職手当共済制度でございますけれども、今回の改正社会福祉法の議論は一旦これでということではありますが、以降、どこでどのような議論がなされるのかはわかりませんが、人材確保等々、処遇改善の充実などの観点から、この場で言うのが適切ではないと思いますけれども、公費助成については今後ともぜひ維持継続していただきたいと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 高橋委員、どうぞ。

○高橋福太郎委員 今、福祉人材確保対策室長さんから介護福祉の人材とか、社会福祉の人材の養成に参考にしたいというように先ほどお答えしたように私は聞いたのですが、というのはもしかして2年ぐらいしてこの社会福祉あるいは介護福祉を養成するというのは、今と違ってまた福祉系高校あるいは専門学校、短大等において単位数で大きな変革が起こる可能性があると解釈してよろしゅうございますか。その辺まで念頭にあって、この人材を介護福祉士あるいは社会福祉士を養成することを検討するということですか。

○榎本福祉人材確保対策室長 まだ具体的な養成する時間数についてまで、私どものほうで案を持っているわけではございません。ですからそこはまさにこれから専門委員会の中で議論をした上で方向性が決まっていくと思いますので、今の段階で大幅に変えるとか変えないとかいうことが決まっているわけではございません。

○高橋福太郎委員 可能性はあると。正直申し上げます。時間オーバーしていて申しわけないのですが、例えば福祉系高校においては現在1,850時間専門教科を取り入れて、そして合格率も非常に高いのです。御存じでしょうけれども。それをさらに1,850では足りないから2,050時間やれということも念頭にあるとすれば、これは例えば介護福祉士を養成するにおいて、福祉系高校は消滅しなさいということに恐らくつながるのではないかと思うのです。それで私はなるべく物をしゃべらないように一生懸命努めてきたのですが、今、室長さんがちょっとおっしゃったので、これはやばいなと。こういうふうに感じたものですから質問をさせていただいたのですが、この話し合いをしていく中においては、それもあり得るということですね。

○榎本福祉人材確保対策室長 少なくとも今の段階で具体的なアイデアがあるわけではありませんので、その点は御安心いただければと思います。もちろん今後の専門委員会の議論がどうなるかというのは、今の段階で私も予断をすることはできませんので、その意味ではどのような議論になるかということについて、今は確定的なお答えはできないのですけれども、もちろん今、委員がおっしゃられた意見があるということについてはただいま私も強く認識をいたしましたので、そういった御意見も踏まえながら今後考えていく必要があると思います。

○田中部会長 このメンバーの何人かの方々で議論することになります。10月以降、よろしくお願いいたします。

 ほかに質問はございますでしょうか。猪熊委員、どうぞ。

○猪熊委員 質問ではないのですけれども、福祉人材の確保に関して申し上げます。福祉分野の方はもちろんですが、一般の国民も非常に関心が高く、どうなるのだろうと思っています。

 この件は専門委員会でまず議論されると思いますけれども、今年5月だったと思いますが、経済財政諮問会議にも厚労省の資料が出ていて、看護や介護、保育の養成課程の見直しの案が出ていたと思います。そちらの案との関係がどうなってくるのかということも気になりますので、専門委員会ではぜひ幅広にご議論いただくと同時に、議論の進捗状況なども可能な範囲で聞かせていただけたらありがたいと思っております。

 以上です。

○田中部会長 よろしゅうございますか。皆さんの御要望を踏まえてまた準備をしてください。

 では、本日の審議についてはここで終了いたします。次回の開催については追って事務局より連絡するようお願いします。

 本日は御多忙の折、お集まりいただき、また、とても前向きな議論をしていただきました。感謝いたします。ありがとうございました。

 


(了)

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