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2016年10月12日 第66回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成28年10月12日(水)15:00~18:00


○場所

ベルサール半蔵門 ホールA


○出席者

遠藤、石本(代理:及川参考人)、伊藤、井上(隆)、井上(由)、岩村、岡、
小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鈴木(隆)、鷲見、陶山、
武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、藤原(代理:河村参考人)、桝田の各委員
(大西、黒岩委員は欠席)

○議題

1 軽度者への支援のあり方
2 福祉用具・住宅改修

○議事

○尾崎企画官 失礼をいたします。定刻となりましたので、ただいまから第66回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 報道関係の方に御連絡をいたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、審議に入ります前に、本日の出席状況について御報告いたします。

 石本委員、大西委員、黒岩委員、藤原委員が御欠席です。

 また、井上隆委員がおくれて御到着の予定でございます。

 石本委員の代理として及川参考人(日本介護福祉士会副会長)、藤原委員の代理として河村参考人(奥多摩町町長)が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移りたいと思います。

 本日は「軽度者への支援のあり方」「福祉用具・住宅改修」及び「その他」が議題でございます。

 資料が事務局より出されておりますので、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 お手元に、資料1として「軽度者への支援のあり方。

 資料2として「福祉用具・住宅改修」。

 この2つの資料に加えまして、それぞれに対応する形で参考資料1、参考資料2をおります配りいたしております。

 また、参考資料3でございますが、10月5日に開催されました「第3回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会資料」を参考として配付させていただいております。

 不備等ございませんでしょうか。

 よろしければ、遠藤部会長、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、議題1「軽度者への支援のあり方」について、審議をお願いしたいと思いますが、まず、事務局から資料が出ております。資料1について説明をお願いしたいと思います。

○三浦振興課長 振興課長でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 お手元に資料1と参考資料1を御用意いただけますでしょうか。資料1に従いまして、御説明申し上げたいと思います。

 ページナンバー1、「現状と課題」「これまでの議論と次期介護保険制度改正に向けた検討」と書いてあるところでございます。要支援・要介護度に応じた支援のあり方につきましては、介護保険制度の創設時を初め、制度改正時などにおいて議論されてきたところでございます。予防給付の創設や介護報酬改定など給付の見直しを行って北という状況でございます。

 次期介護保険制度改正に向けましては「経済財政運営と改革の基本方針2015」昨年6月30日の閣議決定でございますけれども、こちらにおきまして、以下のような検討を行うこととされているところでございます。一番上の箱でありますけれども、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨や制度改正の施行状況を踏まえつつ、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う」。

 そして、昨年末には経済・財政再生アクション・プログラムというところで、同様に、軽度者に対する生活支援サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行、負担のあり方を含め、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を要するものに係る2017年通常国会への法案提出を含む)」とされております。

 2ページには、ことしの経済財政運営と改革の基本方針が掲載されております。これでも同様に「改革工程表に沿って着実に改革を実行していく」と規定されているところでございます。

 1ページ進んでいただきまして「現状と課題」の2番になります「給付の見直しや地域支援事業への移行について」でございます。

 まず、「訪問介護における生活援助」でございます。訪問介護とは、御案内のとおり、訪問介護員等が、利用者の居宅を訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯、掃除等の家事を提供するものとされております。介護報酬上は、身体介護が中心である場合、生活援助が中心である場合と分かれているところでございます。

 このうち、生活援助につきましては、これまでの介護報酬改定において、訪問介護の利用の実態などを踏まえ、次のような対応を実施しているということで、18年と24年の改定を紹介しております。18年におきましては、将来的な報酬体系の機能別再編を視野に入れつつ、当面は現行の身体介護・生活援助の区分を維持し、生活援助の60分以上の利用について適正化を行ったというものでございます。また、24年度改定におきましては、限られた人材の有効活用を図り、より多くの利用者に対し、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から、45分での区分を基本とした見直しを行いました。

 なお、要介護度別に訪問介護の利用者1人1カ月当たりの生活援助、これは身体介護と組み合わせて提供される場合を含むものでございますけれども、その平均利用時間を見ると、平均では要介護度の軽重に関わらず生活援助が利用されている実態がうかがえるところでございます。

 こちらは参考資料の10ページをお開きいただければと思います。こちらに今、口頭で申し上げました訪問介護の利用者1人1カ月当たりの生活援助、身体介護の平均利用時間を私どもで計算したものがございます。ごらんのとおり、黄色部分が生活援助利用時間、こちら、少しでこぼこがございますけれども、要介護1から5にわたりまして、一定のボリュームが提供されているという実態がうかがえようかと思います。

 資料1に戻ります。3ページ、一番下の○であります、介護サービスを提供する人材不足が喫緊の課題である中で、特に、訪問介護員の平均年齢は他の介護関係職種と比較しても高いという実情がございます。60歳以上の構成割合が3割を超えているという調査結果もあることから、介護人材の専門性などに応じた有効活用の観点も踏まえた対応を検討する必要があるというところでございます。

 こちらの年齢階級別の職種別というものを参考資料の13ページに掲載してありますので、ごらんいただければと思います。

 続きまして、資料の4ページ、その他の給付、すなわち訪問介護における生活援助以外の介護給付及び予防給付でございます。その他の給付についても、重度化の防止あるいは本人の自立を支援するという観点を踏まえながら、保険給付の効率化・重点化を検討する必要がございます。

 一方で、介護予防訪問介護と介護予防通所介護については、平成27年4月から平成29年3月にかけて総合事業への移行が進められているところでございます。この点に関しましては、先日の当部会におきましても御議論をお願いしたところでございます。地域における「多様な主体」による「多様なサービス」の展開を促進するためには、市町村は生活支援コーディネーターの配置等の取り組みを進める必要があるという状況でありますが、その実施状況については、引き続き把握・検証を行う必要があるという御指摘を先日も賜ったところでございます。

 1ページお進みいただければと思います。「3.負担のあり方について」でございます。利用者負担については、平成26年の介護保険法改正におきまして、一定以上所得のある方について2割の負担を導入したところでございます。所得に応じた負担割合の設定はなされているという状況でございますが、一方、要支援・要介護度に応じて負担のあり方に違いを設けるということはしてございません。

 要支援・要介護度に応じて負担のあり方に違いを設けることについては、これまでの介護保険部会等で議論が行われてきたところでございます。

 また、特に、訪問介護における生活援助につきまして、民間家事代行サービスの利用者との公平性という観点から、保険給付の割合を大幅に引き下げるべきとの意見があると御紹介をしております。

 こちらに関しまして、参考資料27ページ、28ページをごらんいただければと思います。去る10月4日に財政制度等審議会財政制度分科会というところで提出をされました資料を簡単に御紹介したいと思います。

27ページ「軽度者に関する生活援助サービスの在り方」と題しまして、上のところの「論点」に書いてございますけれども、訪問看護、特に訪問介護につきまして、生活援助のみの利用回数の比率が、要介護5は3%程度であるが、軽度者、要介護1・2と定義してございますが、こちらが40%から50%超となっており、基本報酬の実績でも軽度者が全体の70%超を占めている。

 2つ目のでありますが、生活援助のみの1回当たり利用者負担額は、平均187円程度(各種加算込み)である一方で、民間家事代行サービスを利用する場合、安くても1時間925円(交通費別)であることに比べ、著しく割安だと表現しております。

 これを踏まえまして、資料の中で、27ページの一番下の「改革の方向性」というところをごらんいただければと思いますが、2つほど指摘をしております。軽度者に対する生活援助については、介護保険の適用事業者に限らず、多様な主体が、利用者のニーズに柔軟に対応してサービスを提供していくことも可能と考えられることから、地域支援事業に移行すべき。

 2つ目のであります。また、移行の前提として、以下の見直しを行い、制度趣旨に沿った適正利用を徹底すべきということで、さらに2点ほど挙げております。民間家事代行サービスの利用者との公平性や中重度者への給付の重点化の観点から、保険給付の割合を大幅に引き下げる。生活援助により、どのように重度化の防止や自立支援につながるのかをケアプランに明記することを義務づける。

 次の28ページ「軽度者に対するその他給付の在り方」としまして、ここは少し説明をはしょりまして、「改革の方向性」だけ御紹介したいと思います。

 大きくは、地域支援事業にこうすべきというのが上の○でございます。また、2つ目でございますが、移行の前提として、機能訓練がほとんど行われていないなど、サービスの実態が、重度化の防止や自立支援ではなく、利用者の居場所づくりにとどまっていると認められる場合には、減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき、こんな形で通所介護について指摘をしているというのがこの資料でございました。

 資料1に戻りまして、以上のような状況、あるいは現状、課題を踏まえまして、私どもで「論点」をおしめししたいと思います。6ページでございます。

 一番上のであります、軽度者に対する訪問介護における生活援助やその他の給付の地域支援事業(総合事業)への移行に関しては、まずは介護予防訪問介護と介護予防通所介護の総合事業への移行や、「多様な主体」による「多様なサービス」の展開を着実に進め、事業の把握・検証を行った上で、その状況を踏まえて検討を行うべきではないか。

 2つ目のであります。軽度者に対する訪問介護における生活援助やその他の給付について、利用の実態などを踏まえつつ、自立支援や重度化防止といった介護保険の理念や制度の持続可能性の観点から、どのような方策が考えられるか。例えば、次回介護報酬改定におきまして、訪問介護における生活援助については、要介護度にかかわらず、生活援助を中心にサービス提供を行う場合の人員基準の見直し、多少の緩和を考えられますが、こういったことを行うことも考えられるか。

 3つ目、訪問介護における生活援助やその他の給付についての負担のあり方に関しては、要支援・要介護度に応じて違いを設けることについて、どのように考えるかでございます。

 こちらの過去の議論を少し調べまして、紹介をしております。4点ほど挙げております。「軽度者の利用者負担に関する主な議論の内容」というところでございますけれども、生活援助などは軽度者の生活に必要なものであり、重度化防止の観点からも給付の削減は反対。

 早期発見を通じた重度化防止が重要であり、利用抑制により重度化が進みかえって費用がかかる。

 一方、要介護の程度によって自己負担の引き上げや新たな利用者負担の導入を検討する時期に来ている。

 給付の内容に応じて自己負担の割合に差をつけることも検討すべき。

 このような議論を、参考資料の後半ふふん、23ページから26ページにかけまして、もう少し長い形で引用したものがございますので、御参照いただければと思います。

 説明は以上になります。

○遠藤部会長 それでは、議論に移りたいと思いますけれども、本日の議題は両方とも既に一度議論しておりまして、2巡目でございますので、余り議論を拡散させたくはございませんので、できれば論点に沿った形で御発言いただければと思います。また、できるだけ多くの方に御発言いただきたいので、簡潔にお話しいただくことをお願いしたいと思います。御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、いかがでございましょうか。

 鈴木邦彦委員、どうぞ

○鈴木(邦)委員 それでは、6ページの論点に沿ってお話をさせていただきます。

 まず、最初の○でございます。現在、要支援1・2の総合事業への移行が平成27年度から3年をかけて行われており、多様な主体による多様なサービスが多くの地域で始められつつありますが、特に住民主体のサービスはまだほとんど行われていないと考えられるため、まず、事業が着実に展開されているかどうかの把握と検証が必要であると思います。

 2つ目のにつきましては、訪問介護における生活援助の人員基準を緩和すれば、それに伴って介護報酬も下がることが考えられますが、その場合、若い人がやりたがらない訪問介護がさらに人材不足になる可能性がある上に、介護人材の処遇改善に逆行することになるのではないかと考えられます。

 3つ目のについては、要支援・要介護度に応じた違いを論じる前に、そもそも生活援助が自立支援の視点で提供されていないことが多いために、生活動作が自立することなく何年もだらだらと提供され続けているという状況があります。訪問リハビリや通所リハビリを利用していない場合でも、リハビリ専門職が訪問介護に同行して、生活動作が自立するためのアセスメントや目標設定を行えるようにするなどの見直しが必要だと考えます。

 また、生活援助のうち、調理に関しては、生命維持としての役割もあるため、他の掃除、洗濯、買い物と、一律に論じて同じ扱いにしてよいのかという疑問もあります。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどお手を挙げた陶山委員、どうぞ。

陶山委員 ありがとうございます。

 最初の論点ですが、前回の改正で介護予防訪問介護と通所介護が地域支援事業に移行される前に、私どもで行った調査では、約500名ですが、対象者51.9%の介護職がこの見直しに大きな懸念を持っていたことを申し上げたいと思います。理由は、「要介護と要支援の差異はほとんどない場合も多く、加えて、要介護認定が不安定な中で、認定調査次第で結果に差が生じる」。あるいは、「要介護認定が地域によって違いがある。どう考えても要介護なのに要支援になってしまう人もいる」。また「要支援といっても元気な方、重い方、さまざまであり、一くくりにできない」。こういう理由でございます。その懸念が地域支援事業でしっかりとした予防給付として受けられているか否かの検証がいまだできていない現状では、軽度者の生活援助を見直すことは時期尚早であると改めて表明したいと思います。

 また、3分の2自治体が体制準備が整わない環境の中で、新たに軽度者を受けとめられる状態なのかどうかも懸念するところであります。体制準備とは担い手も含めた準備ができていることが必要条件であると思います。

 2つ目の論点ですが、介護は医療と違いまして、状態が劇的に回復するのではないと考えます。となれば、尊厳を保ちながら、生活援助により地域で生活を送れるように自立を助け、重度化を防止することが最善のことだと考えます。生活援助の給付制限によって、施設に入らなくて済んでいる利用者の行き場をなくしてはならないと考えます。

 次に、例として挙げている人員基準の見直しが何を指すかでございますが、支える側の確保として、生活援助だけを請け負う新たな資格を創設し、現在のヘルパー職から生活援助を切り離すことを描いているとすれば、「人材確保」と「質の担保・向上」の安易な妥協につながり、アブハチとらずになる危険性があると御指摘しなければなりません。かつて厚労省は、3級ヘルパーを廃止し、2006年の基礎研修を経て、2013年には資格制度を一新し、介護職員初任者研修・実務者研修をスタートさせましたが、これは介護職をイコール介護福祉士とするために「質の担保、向上」を第一に考えていたからだと考えております。そこに、家事援助業務のみの職群を考えているとすれば、報酬上は低く設定され、結果として労働条件に悪影響を与え、一層介護の担い手を減少させることにつながり、同時に、これまで培ってきた「質の担保、向上」にも黄色信号をともすことにつながると危惧いたします。

 人材の確保と介護の「質の担保、向上」の両方を満たす道を目指すのであれば、また、これから迎える超高齢社会を乗り越えるためには、安易な近道を見つけるのではなく、「急がば回れ」の考え方が重要だと思います。

 それは私どもが従前申し上げております、「処遇改善が唯一の処方箋」であると思います。処遇改善加算で手当していただいておりますが、それでもなお、介護従事者の処遇は全産業と比較しても低い環境は継続をしておりまして、確かに賃金だけが全てではないという意見もありますが、(賃金が)結婚し、子供を育てていく再生産費用とすれば、処遇はまだまだ追いついていません。高齢者の増加に対応して介護従事者をふやすためには、さらなる処遇改善を通して介護職の魅力を上げていく必要があります。

 ほかに、潜在介護人材の呼び戻し策に一層知恵を絞る必要もあります。現在も離職した介護人材のうち、一定の経験を有する者に対して、再就職準備のメニューを提示され、呼び戻しが始まっていると聞いていますが、原職復帰に伴う不安の解消、例えば介護職員初任者研修の受講などにより最新の知識と技術を習得していただくことや、離職に至った原因相談などにより、再就職後も長く勤めていただけるような環境整備など、きめの細かい対応が必要であると思います。

 論点3です。要支援・要介護度に応じて違いを設けるということであれば、応益負担になってしまいますが、そもそも要介護状態になる方はさまざまなハンディキャップを背負っており、所得も低いことを前提とすれば、利用者の必要なサービスの抑制につながり、自己負担にも限界が出てくると思われます。となれば、基本は応能負担ということになりますが、行き過ぎれば高所得者についてもばからしくて払わなくなるということもございますので、一定の限度が必要であり、現在も標準報酬の上下枠をつけていますが、このことも含め、制度設計の見直しが必要であるかと思います。

 それから、財政審の資料が入っていましたが、2点ほど意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 1つ目は、参考資料1の27ページですが、生活援助の利用者負担についてですが、民間家事代行サービスを引き合いに出し、27ページ下の「改革の方向性」として民間家事代行サービスの利用者との公平性を、保険給付の自己負担割合の引き上げの根拠にしていますが、そもそも公的介護保険の中で要介護認定のプロセスを経て、ケアマネジメントを受けて行うサービスと、そうでないものを単純に比較するということは問題があると思います。最安値925円とありますが、これは最低賃金に近くて、事業者として果たして採算性がとれるのかということも疑問であります。

 加えて、民間家事代行サービスは家事代行でありまして、あえて言葉を選ばなければ、家政婦ということになりますが、そのサービスと比較することはヘルパーを家政婦であると言っていることと同じように聞こえます。大変遺憾に思います。

 2つ目、財政審の資料でその他の給付のあり方につきまして、通所のサービス実態が「重度化の防止や自立支援ではなく、利用者の居場所づくりにとどまっていると認められる場合には」という記述がございますが、居場所づくりにも価値があります。通所の役割は機能訓練だけでなく、孤独感の解消や入浴サービスの代替、御家族の精神的、肉体的負担を軽減するレスパイトケアということを忘れてはならないと思います。そして、レスパイトケアは、介護と仕事を両立させる意味では、介護離職ゼロにも通じる重要なサービスでありまして、減算の対象とすることは大変認識違いであると思います。

 以上です。ありがとうございます。

遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、及川参考人、花俣委員という形でいきます。

及川参考人 ありがとうございます。

 まず、論点の2つ目についてでございますが、訪問介護に限らず、自立支援や重度化防止というものは極めて重要なことでございます。ただし、そのためには利用者の心身の状況に応じた支援だけでなく、利用者を家族や仲間、地域など、社会の中で生活する個として捉え、その方の生活全体を支える視点を持った支援を担保することが重要と考えます。

 しかし、このような支援は誰もができるわけではありません。介護福祉の専門性を備えた人材が、それ以外の介護人材に対して指導的役割を果たし、協働して、このような介護福祉の実践を行っていくべきだと考えます。地域共生社会の実現を目指す今、このような人材の効果的な活用を図っていくことが必要だと考えております。

 次に、論点の3つ目でございますが、介護保険サービスは本人の生活を継続させるため、自立支援や重度化予防等の観点を踏まえ、必要なサービスを提供するものであります。生活を継続させるために必要とされるサービスを要介護度等によらず、必要とされる分だけ必要なタイミングで適切に提供されることが重要と考えます。

 この意味において、必要性のある方に対するサービスについては、要介護等により負担割合を変え、サービスの利用を阻害する対応は適切でないと考えております。

 あわせて、先ほどもお話がありましたが、参考資料の27ページと28ページの記述について、私のほうからも意見を申し上げたいと思います。

 参考資料1の27ページで、民間の家事代行サービスと生活援助のサービスの価格が比較されていることについてでございますが、介護保険サービスは本人の生活を継続させるため、先ほど申し上げました自立支援や重度化予防等の視点を踏まえて、必要なサービスを提供するものでございますので、家事代行を目的とする民間家事代行サービスと単純に比較することについては違和感を強く覚えます。また、28ページの、先ほどと同じ件になりますが、改革の方向性の2つ目の○についてですけれども、機能訓練がほとんど行われていない、居場所づくりにとどまっているとあります。機能訓練は極めて重要ではありますが、自立には身体的自立のほか、心理的な自立や社会的自立などの考え方があります。この視点から言うと、居場所の提供は極めて重要な機能であると考えております。利用者は地域社会の中で生活する存在であることを踏まえ、改めてそれぞれのサービスが担っている機能を評価すべきと考えます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では、花俣委員、どうぞ。

○花俣委員 ありがとうございます。

 資料1の表題に「軽度者」という言葉がありますが、7月20日の部会では、介護保険制度では軽度者の定義は設けていないと事務局から説明がありました。それにもかかわらず、この間の新聞報道では要介護1に向け生活援助という表現が繰り返し登場します。今回の論点における軽度者とは、要支援、要介護認定でいえば一体どこに当たる人たちを指すのか。また、軽度者というわからない呼び方が繰り返されているのか。軽度という表現から来る印象というのは、軽いとか、あるいはさほど支援を要しないなどという誤解が生じているとしか思えないのですが、この点についてはいかがでしょうか。

 それから、私は部会の委員であるにもかかわらず、生活援助を継続するかわりに介護報酬単価を引き下げるという抑制策が検討されているということを新聞報道が先行する形で知りました。今回の論点では、1、人員基準の見直しという介護報酬改定、2、認定ランクに応じた負担のあり方という利用者負担の2つが出ています。これは結果的には、生活援助は継続でも、介護報酬改定で生活援助を提供しない事業者が出であるとか、利用者負担がふえて利用できない人が出るという提案であるということなのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

 また、部会の議論だけでなく、財政審の審議会では、利用者負担の引き上げの提言がいくつも出ています。介護保険は在宅サービスを利用する一が8割にもなりますが、生活援助を含むホームヘルプサービス、福祉用具、デイサービスは在宅三大サービスとして利用者のニーズが非常に高いものです。介護保険は介護のある暮らしを支えるサービスとして利用者や介護者に指示されてきました。にもかかわらず、制度の持続性を考えるときに、これらのサービスか真っ先に切り捨て対象となるのは介護の実態を熟知していると当事者の立場からは、あるいは、税金や医療、介護保険料をきちんと払い続けている被保険者として、到底納得できるものではありません。これでは介護保険の理念は一体どこへと言わざるを得ないのではないでしょうか。8月31日に配付させていただきました当時視野の声の資料や新聞報道では、暮らしていけない、死ねということなのかという不安な気持ちを抱えて暮らしている利用者、介護家族がたくさんいます。利用者家族としては、利用者の負担の引き上げは払える一、支払い能力のある人を対象とするものでなければ譲ることはできないラインです。昨年8月からの利用者負担の引き上げで基準となった一定以上の所得未満の一、また、補足給付の厳格化の基準となった非課税年金や預貯金についても、基準に届かない認定者、利用者は、少なくともこの2つの基準未満の人たちについて、負担を引き上げても利用可能なレベルについて、きめ細かいシミュレーションが必要不可欠です。

 そこで質問ですが、そうした調査や分析があるのかどうか、もしないとしたら、その予定があるかどうかについて、お教えいただきたいと思います。繰り返しになりますが、利用者負担の引き上げ検討については、被保険者の支払い能力に関する合理的な根拠がない限り、賛同することなど到底できないことを強く申し上げたいと思います。

 以上です。

遠藤部会長 事務局に幾つか御質問がありましたので、申しわけありません、花俣委員、もう一度整理していただけますか。何を質問されたのか。

○花俣委員 軽度者という表現がどこを指すのかということと、財務省の提案について、こういうことが、利用者負担がふえて利用できない人が来るとか、あるいは生活援助は継続でも介護報酬で生活援助を提供しない自動車が出るといった提案になるのですかとお聞きしました。

 もう一つは、補足給付の厳格化の基準になった非課税年金や預貯金について、基準に届かない認定者、利用者、この2つについて負担を引き上げても利用可能なレベルにあるのかどうか。そうした調査分析があるかどうかということをお聞きしました。

遠藤部会長 事務局、コメントをお願いいたします。

三浦振興課長 ありがとうございます。振興課長でございます。

 まず、1点目の軽度者につきましては、私はことしの2月でしょうか、この部会におきまして、この1年間議論をお願いするというテーマの中であった表題を引き続き使わせていただいているところであります。その定義につきまして、7月20日に私が申し上げましたとおり、一定のものがルールとしてあるわけではないということは重ねて御説明させていただければと思います。

 2点目は、財政審の資料の結果、どのようなことになるのかというところまで、私どもがつくった案でございませんので、明快にこういうシミュレーションができているという状況にないということは、御容赦いただければと思います。

 自己負担割合を引き上げたら何が起きるのかというところも、私ども、先日、負担の議論の中でも幾つかの資料をお示ししたかと思うのですけれども、この文脈で何か特別な調査というのはしておりませんで、今、お答えする数字は手元にございません。

遠藤部会長 花俣委員、よろしいでしょうか。

 では、土居委員、お待たせしました。

土居委員 まず、資料1の6ページの論点の最初ですけれども、今、各保険者でこの事業を進めているということですから、当然この事業の把握、検証はしっかりしていただくということだと思います。その上で検討を行うことなのですけれども、やはり遅滞なくということをしっかり、いずれまとまる意見書では書き込んでいただきたいと思います。つまり、いつまでも検証して、今後どうするかを検討するという段階にとどまっていて、全くアクションを起こさないということでは何のための地域支援事業なのかと思います。それが1点目であります。

 2点目ですけれども、確かに介護人材を確保するという観点から、介護報酬をどのようにつけていくかということは重要なポイントであるとは思います。ただ、人員基準の見直しということで、事務局提案がありますけれども、こういう基準は当然、サービス内容に連動させて検討見直しを図っていくということは重要なことだと思います。

 3点目ですけれども、私も生活援助を十把一からげに皆これを家事代行みたいなものだと言ってしまうのは言い過ぎではあると思います。しかし、自立支援につながらないような生活援助をだらだらとやっているのではないかという疑念があるということは、しっかり受けとめていただかなければならない。これは第6期の議論をするときも全く同じ話だったし、第5期のときもそうだった。いつまでも生活援助にまつわる、多少誤解もあるかもしれませんけれども、そういう自立支援につながっていないようなものまで含んでいるのではないかという疑念をいつまでたって払拭できないということでは、いつまでたってもこの生活援助に対する給付のあり方を見直せという声はやまないということだと思います。

 参考資料の27ページの民間家事代行サービスと生活援助の比較ということですけれども、もちろん、直接金額を比較するとこういう差があるということですが、一番重要なポイントは、1割負担で幾らであるというところなのであって、そもそもの報酬額だとか、実際人件費として幾ら払っているかということの問題ではない。つまり、要介護認定を受けて、サービスが利用できる人は原則1割負担になるのであって、そうでない方は全額自己負担でやっているということの不公平をどう考えるか。健常な人は当然全額自己負担でよいかどうかということがまさに今、問われていることですから、まさに生活援助サービスの内容自体もきちんと今後さらに精査していただかなければならないと思います。

 要介護度に応じて、利用者負担の負担率を変えるという議論は、なかなか難しいところがあると私自身も思っております。と申しますのは、例えばこれは頭の体操、思考実験ですが、要支援の方の負担率を3割にする、要介護1以上の方は1割のままにするということになれば、当然要支援2の人は要介護1にしてもらったほうが負担率が下がるからそうしてくれと、要介護認定のときに誘導されてしまう可能性があるので、要介護度別に負担率を変えるというのは別の副作用が生じる可能性があると思います。そこはしっかり要介護認定の客観化も含めてきちんと対応していかなければいけません。

一つ私が思うのは、区分支給限度基準額に関してのことであります。事務局にもお調べいただいたのですけれども、今の法律、介護保険法では、サービスの種類別に支給限度額を決めることは認められていて、市町村が支給限度基準額を定めることができるということになっている。ただ、訪問介護の中の生活援助だけを別立てで取り出して限度額を定めるということは、現行法では認められていないということであります。

 もし、生活援助について、利用者負担のあり方を考えるとすれば、一つの方向性としてはこの生活援助の部分だけ取り出して支給限度額を定めるということを法律でも認められるようにするということにしてはどうか。つまり、何が言いたいかというと、その限度額までは当然負担割合が1割とかで済むのですけれども、その限度額を超えると全額自己負担していただく。その限度額を定めるときには、通常の要支援の方ならばこれぐらいの生活援助の給付は受けてもおかしくない。ただ、外れ値的に生活援助に多用しておられる方がおられたとすれば、多用するのは別に個人の判断として、ないしはケアプランの組み立て方としてやむを得ないとしても、ある一定の限度額以上の部分については御負担をお願いするという組み立て方ができる。つまり、要介護度別に負担率が変わるという話の弊害は、こういう形で一部取り除くこともあり得るのかなと思います。

 基本的に、当然生活援助については、やるべきことはやるということは私も認めますけれども、かといって、あれもこれも、生活援助は上から下まで全部必要なものであって、それを一切給付を認めないというのは許せないということであれば、負担がふえる、つまり、保険料の引き上げとか税負担増にも通じてくる。これから高齢者がふえる中で、負担増にも限りがあるわけですから、より重度な方に給付をシフトさせていく、重点化していくということも必要だと考えれば、より軽度な方への給付についてのあり方をしっかり見直していただかなければならないと思います。

遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、岩村座長代理、佐野委員、井上由美子委員、その順番でお願いします。

岩村委員 途中で退席しなければいけないので、ちょっと発言させていただきたいと思います。

 論点でありますけれども、第1点の1つ目ののところでありますが、ここに書かれているとおりで、現在、生活援助その他のものを一部地域支援事業に移していっているという段階でありますので、ほかのものまでさらにその段階で移すというのは必ずしも適切ではないと思っております。そういう意味では、現在、移しつつあるものについての検証とか、実態の把握といったものをした上で、それをもとにほかの事業が移せるのかどうかということを検討していくべきだろうと思っております。

 2つ目のですけれども、特に生活援助2つについて言いますと、私も今の土居委員のご発言と同じように、生活援助そのものは必要なものがあると思っています。特に軽度の段階で、必要なものをしないと、例えば調理がうまくできなくて、食事ができず、結局栄養不足になってということにもなるでしょうし、掃除についても家の衛生状態が悪くなって、場合によってはごみ屋敷があちこちにできるということにもなりかねないので、そういう意味でも生活援助の必要性というのがあるだろうと思います。

 ただ、やはり自立に向けて、あるいは重症化をどうやって予防するかという観点からのケアマネジャーとの連携とか、そういったものはどうしても必要で、先ほど鈴木委員もおっしゃいましたし、土居委員も触れられましたように、だらだらと生活援助が続くというのは解消していくべきだろうと思っております。

 かねて議論がありますけれども、私は生活援助を中心にサービス提供を行う場合については、人員基準を見直すということによって、介護の専門職の人たちと、生活援助を中心にやる人たちというものの分化を図っていったほうが今後はいいのではないかと考えます。

 3番目の論点のところですけれども、要支援と要介護度に応じて負担割合を変えると、利用者の行動が変わってしまって、要支援のときはむしろ受けずに要介護になってコストが下がってから受けようというおかしな行動が誘導される可能性があるので、それは適切ではないだろうと思っています。いずれにしろ、どうしても、前にも御指摘しましたけれども、データがなかなかないので、その中で議論するのが非常に難しいというのが非常に歯がゆいところでありますので、前にもお願いしましたけれども、非常に集めるのが難しいというのは重々承知しているのですが、何とか客観的なデータが集まるようになお尽力していただければと思います。

 もう出なくてはいけないので、2点目のほうだけちょっと触れたいと思います。福祉用具と住宅改修について先走って申し上げますと、きょうの論点にありますように、福祉用具については、マーケット機能をできるだけうまく機能させることによって、価格の拡散をできるだけ収束させていくことが一番現状では望ましいやり方だろうと思っています。住宅改修については、高齢者の場合ですと、どうしても業者の言いなりになってしまうとか、そういうことが発生しがちでありますので、客観的な第三者による事前のアセスメントとか、そういったものを介在させることが必要かなと思っております。

 長くなりまして申しわけございません。

遠藤部会長 ありがとうございました。

 では、佐野委員、お待たせしました。

佐野委員 

 まず、1点目に関連するところですけれども、全体的なところとして、制度持続性を考えた場合、給付及び保険料負担の上昇をどう抑制するのかというのは言わずもがなの大きなポイントです。そういう中で言うと、生活援助等の軽度者支援が自立支援や重症化予防にどれだけ役立っているのかをデータで示していただきたいと思います。

 ほかのテーマでもそうですけれども、今回の論点の1番に挙がっています、総合事業への移行状況の検証、これが完全にキーワードになっている印象を受けるのですけれども、制度の持続可能性、特に2025年対応ということを考えた場合、時間との闘いという部分も大変大きい。そういう意味で、先ほどから出ていますように、じっくりやっていって間に合わなかったというのでは許されないと思います。そういう点で、総合事業を早く推進するためにどういう施策を打つのか、国や都道府県のサポート、さらにはその検証というのはぜひ早期にやっていただきたいと思います。 

 2点目ですけれども、そういう状況を考えた場合、生活支援サービスの自己負担引き上げ、あるいは地域支援事業への移行というのは検討すべきだと思います。また、生活支援サービスの人員基準の緩和も必要だと思います。規制改革会議で提案されていますけれども、混合介護などもぜひ検討すべきだと思います。民間の競争原理を導入して、給付費の抑制につながるような部分が期待できるのではないかと思います。

 論点3番目の負担のあり方については、要支援・要介護度に応じて違いを設けるということですけれども、大変難しい問題でして、苦しい選択であると思います。先ほどの土居委員のお話も参考になると思っているのですけれども、給付を抑制するということを考えた場合、検討せざるを得ないのだろうと思います。少なくとも今、給付の抑制をやらずに、結果的に現役世代の負担増ですとか、さらには次世代への負担先送りというものは、絶対に避けるべきだろうと思います。

遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、お待たせいたしました。井上由美子委員、どうぞ。

○井上(由)委員 ありがとうございます。

 まず、論点の1つ目の○の総合事業への移行については、地域にその力がついていることが大前提になっていくと思います。地域の力を高めていくためにはそれなりの準備や時間が必要です。論点にも書かれていますとおり、検証ばかりしてどうするという御意見もありましたけれども、まずは総合事業の実態を把握することが先決だと思っております。

 論点の2つ目のですけれども、私もちょっと要介護であったり、要支援であったり、サービスを受けましたけれども、やはり身体介護に求められる専門性と、生活援助に求められる専門性とは必ずしも全く同じものではないように思います。また、働く側のほうも体力的な問題とか、それぞれの事情で、身体介護はできないけれども、生活援助ならできるという方もおられると思います。その辺のところは、花俣さんがおっしゃったように、根拠を明らかにする必要があるだろうと思っています。そういう中で、人員基準の見直しにつきましても、実態を把握することが先決だと思っております。

の3つ目、利用者負担の引き上げについては基本的に反対です。負担能力のある方に負担をお願いするという2割負担についても、逆進性や利用控えなど問題のあることが指摘されたばかりです。そういうときに、要介護度に応じ利用限度額も決まっているわけですから、その負担に違いを設けるということについては、全く理解ができません。反対いたします。

 以上でございます。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 引き続き、井上隆委員、伊藤委員、まずお願いいたします。それからこちら側に行きたいと思います。

井上(隆)委員 ありがとうございます。

 今後、介護給付費が増加することは確実に見込まれておりますので、とにかく制度を持続させていくことが最も重要な課題だと思っています。そのためには、重点化を進めていかざるを得ません。本日、ここに挙げられている軽度者の方々への支援のあり方につきましても、地域支援事業への移行を急ぐとか、あるいは給付率の引き下げ等を考えることが重要だと思います。もちろん今、自治体への移行段階にあるため、検証は必要だと思いますけれども、検証しても、高齢者の割合というのはどんどんふえていくのは確実で、給付費がどんどんふえていくといきますので、検証結果を待って何もしないということは絶対ないのだと思います。何か対策を講じていかなくては、ますます持続可能性に疑義が生じるということだと思いますので、一歩でも前に進めるということが絶対に必要だと思います。

 生活援助サービスへの対応につきまして、いろいろな御意見があるのは承知でございますけれども、給付の重点化という観点で進めていかざるを得ないと思います。

 利用者負担のところにつきましては、要介護度別に差を設けるというのは予期せぬインセンティブが働くという御指摘もございまして、難しいのかもしれませんけれども、このあたりは自己負担を1割から2割へ引き上げていくという、全体的な議論の中で検討を進めていくべきではないかと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 生活援助は、単に調理や洗濯や掃除といった家事援助ではないという認識を、まず持つ必要があると思います。生活援助サービスを通じて、利用者の健康状態や家の状態、悩み事の相談といった、いわば精神的に利用者を支えるという重要な機能を果たしていると思います。

 そういった前提で、論点の1つ目の○ですけれども、介護予防・日常生活支援総合事業の検証を待たずして生活援助を地域支援事業に切りかえていくという検討をするなど到底考えられないと思います。地方ほど人口が少なくなっている中で、介護サービスは不可欠になっている中で、生活への影響は深刻だと思います。

 介護予防・日常生活支援総合事業への移行を行い、直ちに検証していくのだというお話もありましたけれども、こちらも今、非常にうまくいっていないというか、順調に進んでいるとは到底言えないと思っています。多様な主体、多様なサービスの展開ということが着実に進んでいるということを確認する必要があると思いますので、直ちに検証ということも早計だと思います。

 2つ目のですが、生活援助を利用者の実態を踏まえつつ、人員基準を見直すという話まで出てまいります。軽度者ということを、要介護1・2で切るという財務省の資料がありますけれども、ここについては先ほどから指摘もありますが、不適切だと思います。認知症のある方にとって、単に要介護1・2だから必要でないとは言えないと思います。人員基準の見直しを行うとなった場合には、サービスの質が低下するという懸念がありますし、報酬の引き下げになるのであれば、事業者がちゃんと担ってくれる保証があるのか。ひいては、労働者を確保できるのかということで、サービスの安定的な提供、利用ができないということになっていくと、介護離職ゼロに反するという心配を非常にしておりますので、そういった観点からも慎重に検討する必要があると思います。

 最後に、負担のあり方についてですけれども、これは何人もの方から御指摘があるように、要介護度の低い人の負担割合を高くするということは重度化予防の機能を損なうということで、到底これも考えられません。また、それに加えて、要支援と要介護1・2というところは、要介護度の変化が生じやすいという指摘もありまして、そんな行き来をする方について、家族や介護サービス現場での混乱を招くという点も十分考えていく必要があると思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、こちらからいきましょう。

 小林委員、鈴木隆雄委員、武久委員、齊藤秀樹委員、岡委員の順番でいきたいと思います。お願いします。

○小林委員 ありがとうございます。

 軽度者への支援のあり方については、論点にありますとおり、前回改正による介護予防訪問介護と介護予防通所介護の総合事業への移行状況を踏まえる必要はあると思いますが、経過措置期間が平成27年度から始まっている一方で、いまだ十分に移行が進んでいないという課題があります。このため、残り半年程度となる経過措置期間において、総合事業への移行が確実かつ迅速に進むよう、市町村に対して働きかけを行っていく必要があると思います。

 加えて、介護保険制度の持続可能性を維持するという課題も待ったなしであり、前回改正による総合事業への移行が十分評価されるまで何もしないということではなく、財政審からの提案等も踏まえ、軽度者に対する生活援助の地域支援事業への移行など、制度の理念や趣旨に照らしてどのような方策が考えられるか、検討していくべきであると考えます。

 以上です。

遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木隆雄委員、どうぞ。

○鈴木(隆)委員 ありがとうございます。

 私、論点の1番目のについて、質問が1つと、質問に関連する御提案をしたいと思います。

 1つは、先ほど土居委員、あるいは岩村員からも御指摘があったように、私も現在行われている介護予防通所あるいは訪問事業の総合事業への移行の、事業の把握・検証を行った上でと書いているのですけれども、実際にどのような具体的な検証の方法を今、考えておられるのか。これをしっかりまず承りたいと思います。

 というのは、これは効果の判定ですから、当然科学的な根拠が必要になるだろうと思います。私も軽度者というのがどのぐらいの方をいうのか正確に理解はできていないのですけれども、予防というのは非常に重要な入り口だと思います。もし予防対策をしっかりしなければ、いわゆる中等度者だけに重点化していきますと、そこで中重度化してくる高齢者を待っているだけの施策になってしまいますので、いかに軽度者の段階で中重度へ移行しないかということを、根拠のある方策で対応するべきだろうと思います。

 一つ、そういう意味では、たまたまということなのでしょうけれども、現在、総合事業に移行した自治体が3分の1、移行していない自治体が3分の2という状況の中で、果たして先発で移行した自治体が、ただその中で特にインフラが最初から整っているところは除外するなりして、その移行した自治体が、例えば2年間でどう効果があったのか。効果があるかどうかというのは、実は前回の議論の中でどういう効果指標を用いるかという議論とも関係すると思いますけれども、プライマリーのエンドポイントをきちんと決めた上で、先行したグループといまだに実施されていないところが実際この2年間で有意な効果の差があったのかということをきちんと検証されたほうがよろしいのではないかと思います。

2006年に予防給付で特定高齢者という施策が地域支援事業として実施されていましたけれども、その運用の方法についていろいろと御批判もあるし、実際に必ずしも初期に思った成果が得られなかったというのは事実ですけれども、ハイリスクのやり方というものの本当の有効性とか、あるいは費用対効果というのは結局不明のままです。なぜ不明かというと、いたし方ない部分もあるのですけれども、コントロールを置かずにして一斉に事業を実施してしまった。そのために比較対象がないということが最大の欠陥だったということを言わざるを得ないと思います。

 今回、たまたま、もちろんこれはランダム化された二群ではありませんけれども、そういった実際に事業を実施したところとしなかったところの間に、1年あるいは2年間で本来国が望むと思われるプライマリーのエンドポイントが本当に大きく変わっているのかどうかというところは、ぜひデータとしてお出しいただければと思います。そのことが、多分先ほどから問題になっている、生活援助を含めたときの自立支援が本当に機能しているかどうかということも含めて、ある程度の検証ができるのではないかと思っておりますので、最初の質問のように、どのように検証されようとしているのかということを具体的に。それから、実際にやろうとすれば、私の愚見ですけれども、今、申し上げたような方法も多分あるのではないかと思いまして、コメントさせていただきました。

○遠藤部会長 それでは、前半部分の質問について、お答えいただきたいと思います。

三浦振興課長 どうもありがとうございます。振興課長でございます。

 非常に重要な御指摘をいただいたと思います。

 先生も御案内のとおりの9月30日に総合事業の関係で、比較というとあれなのですけれども、移行時期というのは平成27年から今年度末までになっております。その中で、平成27年4月に移行した一定のグループは78の自治体なのですけれども、その自治体の中で、担い手の状況ですとか、直前と比べて要支援の状況からどのように改善したか、あるいは同様の状況だったのかといったようなデータは少しお示ししたところでございます。

 私どもは、これは一種のトライアルという観点で行った部分もございまして、これを踏まえた上で、さらに全体としてどういった形のインデックスと申しましょうか、指標を用いながら実施状況を見ていくべきかという調査研究をまさに本年度しておるというところは、そのときの資料でお示しをしたところだと思います。

 ちょっと雑駁にはなりますけれども、本日の参考資料1の22ページ、こんな感じに今、ロードマップを書いておりまして、まさに28年度の半ばから、下の「取組事項」というところで「検証手法の開発」と書いてございますけれども、研究班を今、回しているという状況であります。

○遠藤部会長 鈴木隆雄委員、どうぞ。

鈴木(隆)委員 大変結構な取り組みだと思うのですが、例えば27年にスタートした自治体というのは、その時点で相当インフラが恐らく進んでいたと考えられると思うのです。ですから、少しバイアスというか、そこは御考慮いただいて、フェアに、すなわちベースラインのさまざまな指標がほぼ等しい自治体を選択したうえで、実際の事業というものの効果があったのかどうかというところをしっかり見ていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、武久委員、どうぞ。

○武久委員 両鈴木委員もおっしゃっていましたけれども、ちょっと基本に返ると、介護支援というのは要支援・要介護状態の改善に資するものだったと私は記憶しているのですけれども、評価の方法というよりも、要介護認定を受けて、重かった、例えば要介護2だったのが、今、どう見ても要支援1だと思っても、変更申請はほとんどしないのです。要介護2になったって、要介護4ぐらいだったら必ず変更申請するのです。この土壌というのを何とか変えないと、よくなったというのを余り手を挙げて言いたくないという風潮はまずいかなと思うのです。

 これは、ヘルパーの現場を私も見ていますけれども、ヘルパーが来たらお掃除して、お風呂を沸かして、てきぱきと食事の支度をして、要介護者及び軽度の人は座ってテレビを見ながらじっと待っている。そこで、本当は何回かした上で、一緒にやって、朝は来てくれるけれども、昼、夜は自分でできるとしていくのが本来のサービスなのに、そういうことをヘルパーが言うと、あの人は不親切なヘルパーだ、私を手伝わせようとしていると、こういう土壌を変えていきませんか。このマインドが変わらないと、やってもらわなければ損だと、これは自分がよくなることなんか余り望んでいないように見えるのです。

 論点のの最初の2つにかかわるのですけれども、小さい町村の場合に、経済状態がよくないので、総合事業に移行したときに点数を今の点数より下げてお願いできませんかと事業者に委託した場合に、事業者は、小さい町村ですから、余り利用者もいないので、それではやっていけませんと撤退した場合には、そこにサービスがなくなるのです。そういう状態になるまで町村を小さい単位で保険者にしておくかというと、やはり県なり国なりが重層的に支えないとまずいし、田舎ほど人はいないし、サービスを受ける人も少ないし、単価が高くないと資本主義社会としては成り立たないのに、そういう仕組みになっていない。このままで総合事業に移行したら、多分小さな町村は非常に混乱に陥るのではないかと思っています。

 よくなったら何かという、先ほど鈴木委員もおっしゃったように、皆さんでインセンティブを考えていただけませんか。そこのところをお願いしたいということであります。

 それと、ヘルパーさんが手伝わせようとすると嫌がるけれども、訪リハの人が、例えばヘルパーさんと同じ時間帯に、9時から10時に行って、食事をつくっているところで訪リハの人がこのようにしゃもじを持ちなさいとか、同時に同じ時間帯に複数のサービスを受けるのは、多分、介護保険はだめなのでしょう。だけれども、そうでもしないとヘルパーさんは食事をつくって、掃除をしてくれる人で、まさか私に手伝わせようとする人ではないなという感覚があるから、何とかここ16年やってきましたけれども、そろそろマインドを変えていく時期かなと思っている次第でございます。

 以上です。

○遠藤部会長 お待たせしました。齊藤秀樹委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 最初の論点ですが、軽度者の支援のあり方の中で、地域支援事業への移行ということが出ているわけでありますけれども、何人かの委員からお話がありましたように、保険者の取り組みがまだ行われていない、実施しているところが少ない段階で論ずることは、いささか拙速に過ぎるのではないかと、まず思っております。

 既に前回の審議会で示されたわけでありますけれども、取り組まれている自治体の数の少ないデータを見ましても、大体が事業者頼みになっています。多様な主体、多様なサービスの進捗というのは、これからの状況でありますので、まず、総合事業の現段階を考えますと、地域住民への啓発と参加機会の拡大に努めるという段階にありますから、その上で地域力にどの程度を期待できるのかということをしっかり検証していくということが現実的な対応ではないかと思います。

 人員基準の見直しでありますけれども、利用者の状態変化を見逃さないという早期発見の課題ということを共有することは大前提になりますが、これも前回示された総合事業等の実施状況におきまして、生活支援サービスの担い手の部分については、介護専門職が担っているというのが1割に満たない、その専門職以外の方々が圧倒的に担い手となっているというのが示されたのが前回の調査結果でありました。

 これは今後にこの状況がどうなっていくのかということを注目してみていかなければいけないものではないかと思います。これは、専門職がなかなか求められない現況において、専門職の有効活用という観点でどのように考えるかということと関連してくるわけでありますから、このことは今後、検証や点検をしていく必要があろうかと思います。

 要介護別に費用負担について違いを設けることについては、要介護度が改善をすると自己負担がふえるという仕組みは、自立の意欲をそぐことにつながるものでありますので、これは賛成できません。また、地域差もあります要介護認定への信頼性とも深くかかわることになると考えますので、要介護別の負担見直しは行うべきではないと考えております。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 岡委員、どうぞ。

○岡委員 利用者負担について、一言意見を申し上げたいと思います。

 制度の持続性や公平性の観点から、軽度者への生活援助サービスを原則自己負担に近づけていくことはやむを得ないと思っております。ただし、自己負担割合を高めることによって、介護保険制度に頼らざるを得ない利用者の負担が過大になる点については、高額介護サービス費で、所得に応じてきめ細やかなフォローをしていくべきではないかと思っております。

 また、複数の委員もおっしゃっていましたとおり、こうした生活援助サービスがどの程度重度化予防に効果をもたらしているのか、費用を負担する側が納得できるようなエビデンスをデータとして示すべきだと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、こちら側で先に手を挙げておられましたので、馬袋委員、栃本委員、齋藤訓子委員という形でいきたいと思います。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 まず、今回の論点というのは、初めに軽度者と書いてあるのですけれども、先ほど花俣委員から事務局のほうにお問い合わせをされたように、軽度者の定義がそもそもない中で、軽度者と書いて論議をすることはおかしいと思います。私たちは制度の中における介護保険部会ですので、まず、そこを1点、明確な内容がない中で、そもそも軽度者ということを言い切ることについては違和感がありますので、制度においては要支援・要介護1から5と言われる7区分が現在あるわけですので、その内容において整理をしていくということが大切だろうと、まず、ここのところが1点です。

 そして、その中で、きょう議論されているのは、訪問介護なのか、生活援助なのかというところの論点なのですけれども、訪問介護のみ生活援助という行為を切り出して分離されています。しかし、生活援助というのは施設に入られていても、当然生活を維持するための生活援助行為は行われているわけです。在宅で提供する訪問介護が生活機能を維持向上するために提供している中で、たまたま制度上の区分における報酬上の区分で、生活援助と身体介護というのを分けたというのがスタートです。よって、そのことを裏づけるのが、きょうの参考資料1の10ページの資料です。これは前回7月20日の介護保険部会で私のほうから御説明した、要介護1から要介護5まで生活援助は一定程度同じ時間が含まれて、要介護度が変わるごとに身体介護の時間が変わっていきます。これが訪問介護のケアあり、まさにこのとおりなのです。ですから、身体介護と生活援助が一体的に行われているというサービスが訪問介護だから、重度の要介護5で身体が多くなりますが、生活援助機能がしっかりあった上で身体介護が提供されているということをまずこのグラフは表していると思います。よって、財政審等でお出しになっている、生活援助の割合が多いというグラフは、訪問介護のサービスと内容を議論するには値しない比較であります。まず、このことを明確に整理しておきたいと思います。

 そして、次の論点のところでいきますけれども、地域の総合事業への移行ですけれども、これはほかの委員もおっしゃっているとおり、まだまだ総合事業の進捗は進んでおりません。ただ、今、進捗しているというところも、実は現在提供している訪問介護、通所介護の事業者がみなしとして受けているというのが実態なのです。ということは、何とか受けているから移行が進んでいるというのが実態です。そのような現状において軽度者と想定される方々の総合事業への移行への議論は無理があります。そのような現状において訪問介護の生活援助分野を仮にいじったとしたら、制度があって、サービスなしというように、介護利用者自体が非常にここについては困窮する状態もありますので、ぜひどのように進んでいるかという検証とともに、事業継続できる状態で委託または移行が行われているかとあわせて検証していただきたいと思います。そうでないと、介護人材を確保しつつサービス事業者が事業や人材、サービスを開発、継続できなければ、制度あってサービスなしということになりますので、そこの点を踏まえながら検証をお願いしたい。

 その後、持続可能性のところについては、先ほど申し上げましたとおりです。

 生活援助中心に行う人員基準の見直しでありますけれども、このことについて、報酬改定等に直接影響するものです。私たちも、介護人材の確保ということが今、一番急務でありますので、人材確保に対して課題、問題になるような人員基準については、より介護人材の供給に不足を感じることになりますので、そこのところについては十分配慮の上、どのようにするのかというところはまず利用者、介護人材を中心に考えていただきたいと思います。

 最後に、介護度別の要支援・要介護度に応じての違いについては反対です。なぜならば、改善した場合について負担が重くなるということについてはおかしい原理であります。やはり応能負担ということで、払える方に払っていただくような負担の割合などは検討していかないと思います。最後に、現在でも給付限度額及び適切なケアマネジメント、ケアプランにおいて、これらは判断されるべきものだと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、栃本委員、どうぞ。

栃本委員 6ページ目の論点の2つ目に係るものと、3つ目に係るものなのですけれども、まず、参考資料1の10ページに、訪問介護の利用者一人一月当たりの生活援助と身体介護の平均利用時間という一覧があります。要支援1から要介護5までで、9ページで見ますと生活援助の部分の比率が低いのだけれども、実際には平均利用時間ということで言うと、要介護1・2・3・4、ちょっと要介護だと下るのですけれども、こういう実態があると書いてあります。

 問題は、非常に雑な議論とかロジックに合わない議論があって、生活支援イコール家事援助だとか、家事代行ではないとか、そういう議論がありますけれども、要するに、家事代行、事援助という部分と、それプラスソフトの部分であるとか、支援性とか、そういうものが加わって、一つの行為が幾つかのファンクションを持ってやっているというものが生活支援なのです。事実、今日の生活支援サービスについて、かつて厚生省でいろいろな分析を行って、見守りも入っているとか、今で言う認知症に対するコミュニケーションを図っているとか、そういうのも入れて分析したことがあるのです。施設と違って時間分析が非常に難しかったということがあって、在宅における時間分析だと膨大なお金がかかるので、それはできなかったので、補足的にそれにかわり得る手段として、訪問介護について分析した。つまり、何を言いたいかというと、家事代行とか家事援助の部分は確実に生活支援にはあります。つまり純然たる家事代行、家政婦的ものがあるのです。これは健常者も使う。プラスソフトの部分、支援性と、そこの部分が生活支援の専門性専門性と言われている部分なのです。

 その上での話なのですけれども、10ページ目のところで要介護1・2・3・4・5とあります。前もお話ししましたけれども、これは要介護1から始まっていますけれども、要支援1とか2というのも含めていいますと、軽度者の場合利用の実態はいわゆる純然たる家政、家事援助の部分が便利だからとか、それがあると助かるというレベルの部分がかなりあります。認定審査の審査書の大判の部分1群から5群までありますけれども、それをみていくと1群だけレ点がついて、2群がつかなくて、5群は必ずインストルメンタルADLですから、幾つかつくような状態像です。このような場合は、要するに便利だからそれで利用するのであって家事援助、家事代行です。これをなぜ介護保険でしなければいけないのか。もちろん、すべてを否定しているわけではないですよ。

 何が言いたいかというと、一見、黄色になっている部分、このように並んでいるのですけれども、実は要介護3とか4の場合、必要性指数といいますか、要するに、生存するために、そこで生きていくためには絶対必要な部分として黄色い部分というのは実はあるのです。ということで、生活支援といって十把一からげにおっしゃいますけれども、こういう形で分析的に見ていくと、実は要介護1・2・3・4というものの中は、いわゆる家事援助、家事代行的な部分が非常に濃厚にあるものと、そうでないものがあります。その部分をよく踏まえた上で議論しないといけないということです。

 繰り返しになりますけれども、介護保険ですから、限られた財源です。生存、つまり生きていくために在宅での生活をするための必須の家事というのはあることは確かですね。それがなかったら生きていけないから、病院におけるいろんな医療行為以外の部分があって初めて入院できるのと全く同じです。その部分と、軽度の方々による、あったら助かるなという、いわゆる家事代行、家事援助的な部分がありますから、必要度指数は低い、そこら辺についてももう少しきめ細かな議論が必要であると思います。

 もう一点、先ほど財務省の資料ということで、いろいろ議論がありましたけれども、27ページのところで、いわゆる民間家事代行サービスの価格との比較で、生活援助と民間家事代行サービスとの比較で高い、低いという議論がありますが、そもそもが生活援助と身体介護でいうと、介護保険が始まる前からそしてそれを踏襲して、家事援助と身体介護でかなりめり張りをつけなければいけないということで、両者の価格を大分変えたわけです。トータルの財源は一緒なのだけれども、階段状にしてかなり身体介護は専門性があるからというのでつけて、家事援助についてはそうではないということで、めり張りをつけた。それが、介護保険のする場合にも引きずったということがあって、それが根本的なというか、今に至るまで続いているかなりの問題点なのです。

 ということで、実は、これは生活援助が高い、低いということでいうと、高いのか、低いのかと書いてありますけれども、各種加算込みなので、それを省いたときに本当に高いのか、もしくは低いのではないかという議論さえ成り立つと思います。というので、もともと家事援助と身体介護というのを区分けして、介護保険の前にそういう設定をしたのをずっと引きずっている部分があるので、そこのところに実は大きな本当に根本的な問題点があるということです。生活支援を全然否定しているわけでもないし、身体介護のほうが重要だとわかっているのですけれども、その上で、もうちょっときめの細かい形で見ていく必要があります。

 最後に、生活援助の部分で、平均1,874円、これを前からお話ししていますように、ドイツのように、ドイツがいいというわけではないのだけれども、7割給付にして、直払い、直接ケアラーとか、専門性を持っているひとに直接依頼する。それでもいいのですよ。そういう形に渡せれば、今日問題になっているかなりの部分は解消します。自由に直接事業者を通さずに専門性のある方、また、さまざまな形で曜日を変えて援助をしたい人について、介護報酬の減額というとあれだけれども、3掛けとか2掛けとか、そういう形で給付することによって、かなり広範な介護力が見込まれるものです。そういうことも本来議論するべきだろうと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大分時間もなくなってまいりましたので、できるだけ簡潔にお願いできればと思います。

 齋藤訓子委員、お願いいたします。

○齋藤(訓)委員 介護保険はやはり、皆さんおっしゃっているように、自立支援という理念ですので、そういった制度の趣旨に照らし合わせて、生活機能や身体機能の維持、改善に寄与しないサービスを漫然とだらだらやっていくということは、この先もあってはいけないと思います。一方で、今回、論点に挙がっている予防の訪問介護や通所介護につきましては、総合事業に移行したことによって、メリットやデメリットはどうだったのか、本当に自立支援に資するものになっているのか、そこもよく検証していかないと、現時点で他のサービスも総合事業に移行しましょうという判断にはならないのではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 こちら側で、東委員、河村参考人、桝田委員の順番でお願いいたしたいと思います。

○東委員 参考資料1(軽度者への支援のあり方)の2728ページに財政制度等審議会財政制度分科会からの提案がございます。もちろん介護保険制度の持続性は非常に重要だと認識しておりますが、この財政制度等審議会財政制度分科会の方は、恐らく現場の方ではないと思います。例えば地域支援事業にどんどん移行すればいいとか、資料1(軽度者への支援のあり方)の論点の3つ目にあるように要支援・要介護度に応じて負担を変えればいいのではないかという考え方は、恐らく介護予防の見地とか、現場に携わっている方からすると、必ずしもそれで介護保険財政が改善するとは限らず、むしろ悪化する可能性もあると考えるかもしれません。そういうことを現場に携わっている委員がいるこの介護保険部会で発信していくべきだと思います。

 ただ、参考資料1(軽度者への支援のあり方)の28ページ、【改革の方向性】(案)の2つ目のに「移行の前提として、機能訓練がほとんど行われていないなど、サービスの実態が、重度化の防止や自立支援ではなく」云々とございます。レスパイトの重要性や利用者の居場所づくりの重要性は認めますが、齋藤委員や武久委員も発言されていましたが、少なくとも改善、もしくは機能の維持というものは当然求められるべきものと考えます。したがって、レスパイトとか利用者の居場所づくりということを理由に、漫然としたサービス、しかもアセスメントやリハビリが適切に入っていないサービスが行われているようなところは、サービス内容の見直しをさせるよう規制すべきだと思います。恐らく以前の社会保障審議会でも、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)のサービスの状況を見ますと、全くリハビリが入っていないというデータが出ておりました。今回の参考資料1(軽度者への支援のあり方)の28ページ【「改革の方向性】(案)」にも、サービスの実態が、重度化の防止や自立支援ではないところには減算ということも書いてあります。今後はそのようなところは適正化するとか、あるいは先ほど武久委員がおっしゃったように、良くなったらインセンティブをつけるという形で、厳しく規制をしていかないといけないと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 河村参考人、お待たせしました。

○河村参考人 今月4日の財政制度等審議会で、軽度者に対する生活援助については地域支援事業に移行すべきであると示されておりますけれども、私たち市町村としては時期尚早ではないかと思っております。

 なぜかと言いますと、今、地域支援事業については、平成26年の制度改正によりまして、来年3月末までを期限とし、予防給付の一部を移行することが決まっておりまして、新たな総合事業を開始することになっております。しかしながら、参考資料1にもあるとおり、多くの市町村が期限である来年4月に向かいまして、総合事業の開始をするために準備をし、予定をしています。私どもの町でも4月から事業の開始を予定している状況でございます。

 これまで、全国一律のサービス内容や報酬が決まっていた予防給付からの転換という大きな改革でありますので、多くの市町村がその対応に今、苦慮しているというのが実態でございます。これは大きい市もあれば、小さな町村もあり、それを一律的にやっていくわけですから、そういう点で移行期間があって、今、出発しようという時期ですから、そのことは御理解いただきたいと思っております。

 したがいまして、現時点では当初の目的としていた給付の抑制や新たな担い手の創出につながっているのかを検証できる段階ではございません。総合事業への移行による具体的な影響や課題も十分に見えていないのが現況でありますので、こうした状況を踏まえまして、この論点の1つ目で示してありますように、まずは事業の検証を行い、その影響や課題といったことを整理していただくことが先決ではないかと思っております。

 また、今日は全国市長会の大西秀人高松市長がご欠席でありますが、お聞きしたところ私が今、お話したような意見を市長もお持ちだということでございますので、申し添えをさせていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 お待たせしました。桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 まず、参考資料の27ページですけれども、民間家事代行サービスと比較表が載っています。本来、この比較というのはナンセンスなものでなければいけないけれども、比較できてしまうというのが、いわゆる生活援助の部分、清掃とか洗濯とか、切り分けていくとそういう比較になる。ただ、本当の意味で違う部分というのは、いわゆる介護保険の清掃なり洗濯なりという部分は、自立支援、重度化予防に資するものでなければいけない。それによって報酬が出されるわけであって、単にお掃除をするだけでは、それは自分の世界でお願いしますというのが介護保険の世界のはずなのです。そうすると、ここでいわゆる議論すべきなのは、ケアマネジメントのあり方、要するに、家事援助と言われる部分をどうちゃんとした介護保険の世界のプランにして、必要な部分を切り取っていくのか。漫然としたサービス提供にならないようにするかというのは、そちら側をまずちゃんとすべきではないのか。

 もう一つの問題点と、人員基準の見直しという部分を書いています。論点の中のの2つ目、人員基準の見直しのここの部分というのは、一段下げるという考え方の議論になります。ところが、ヘルパーさんの場合というのは現在ですと、ランクを分けていきますと、介護福祉士があって、実務者研修があって、初任者研修がある。初任者研修というのはヘルパー2級ですね。過去に3級ヘルパーさんがあって、そこで報酬を何割分かという形で支給していたのを廃止して、いわゆる専門職化をしていっている。そこで、もう一段下の部分をつくるというのは、民間で行われている家事代行部分を介護保険の中に入れてしまいなさいという議論になってくると思います。ですから、人員基準の見直しは非常に難しいのかな。

 ただ、報酬改定というのがついてまわると思います。報酬を一段と下げると一番困るのはいわゆる山間部であったり、離島であったり、そこらのいわゆるヘルパーさん、事業者、いわゆる民間事業者ではなくて、社会福祉協議会なり社会福祉法人が担っているところが、今でも赤字のところが、報酬がもう一段と下がるとやっていけないということが起こってきます。そこらの部分を配慮した報酬体系をつくっていかないと、ある程度競争しているところはいわゆる生活援助中心の部分を縮小して、介護のほうにスライドさせていく手法をとりますけれども、それをとれない地域というのが存在して、その地域で生活を続けていくために一番必要な項目というのがそこに存在しますので、それを考えた部分で議論をお願いできたらと思います。

以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 御発言をまだされていない方。

 鷲見委員、どうぞ。

○鷲見委員 生活援助についてでございますが、要支援1・2、要介護1・2の生活援助は、例えば認知機能の低下によって片づけがうまくいかないその結果、転倒のリスクがあるとか、行為が持続できないとか、アレルギーやぜんそくで体調を崩したり、または食材の調達ができずに低栄養を引き起こす、清潔が保てない方などに、ちょうどそんな支障が起こり始めたとき、それができなくなってきたときに、身体機能を上げていく支援とともに位置づけられて、本来の機能を果たす、いわゆる自立支援を目指すサービスだと認識しております。

 参考資料27ページのケアプランの位置づけについてでございますが、ケアマネジメントの専門職であるケアマネジャーが必要として、その意味で位置づけたサービスであるということを踏まえますと、屋上屋を架すというように感じてしまいます。つまり、生活支援ということは、単なる家事援助ということではないと認識しています。

 また、参考資料1の9ページ、訪問介護の内容類型別受給者数の構成割合の実態調査は、介護支援専門員が適切なアセスメントのもとに行っている状況を示していると思います。実際には、身体的に重度な方が家事援助という意味合いを使われる方のほうが多く、いわゆる環境整備のほうに力が入っていくのも当然でございます。だからこそ、軽度者ほど適切に生活支援を位置づける必要があると思います。

 ケアプランに利用を位置づける件につきましては、本体給付におきましては、第1表に既に生活援助中心の理由を記載する欄がございます。ですが、個別の中身につきましては、サービス担当者会議でその目的を有し、モニタリングの精度を上げる必要から、しっかりと共有されるべき事項だろうと思っています。

 介護支援専門員は生活支援を位置づけた意図を短期目標に必ずきちんと位置づけ、目標終了時にはモニタリングの結果を踏まえ、効果を担当者会議で共有し、期間管理をしっかりして、次回のプランに反映していくことを徹底していきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 一通り御意見承りました。よろしゅうございますか。

 ありがとうございます。それでは、引き続き2番目の議題に移り対と思います。「福祉用具・住宅改修」でございます。資料2が該当いたします。事務局から資料2について御説明をお願いしたいと思います。

○佐藤高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 お手元に資料2と参考資料2に基づきまして、福祉用具・住宅改修について御説明させていただきます。

 資料2のほうでございますけれども、1ページ、福祉用具についてでございます。

 「現状と課題」でございますが、まず1点目に、福祉用具の価格についてでございます。

 福祉用具価格は、事業者が運営規程において定めておりますけれども、価格の設定に当たっては、通常、製品価格のほか、計画書の作成や保守点検などの諸経費が含まれております。

 しかしながら、貸与・販売価格の設定が事業者の裁量によることから、同じ製品であっても、平均的な価格と比べて非常に高価な価格請求が行われているケースが存在しているとの指摘がございます。このため、これまで貸与価格につきましては、平成21年度より、保険者が国保連合会のデータを活用しまして、同一製品の貸与価格幅等が記載された介護給付費通知を発出することを可能としたほか、平成26年3月より、テクノエイド協会が国保連合会から、種目別の全国平均価格と全国最頻価格の提供を受け、製品情報と合わせてホームページ上で公開する運用を開始し、あわせまして、平成27年度より、複数の福祉用具を貸与する場合において、事業者は一定のルールの下、届け出ている価格よりも減額して貸与することを可能とするという取り組みを行ってきたところでございます。これらは参考資料2の9ページから11ページまででございまして、前回の部会で御案内申し上げたところでございます。

 また、一部の自治体においては、適正化のため、独自に価格を公表するなどの取り組みを行って来ていただいておりまして、これも参考資料2の12ページに前回御紹介を申し上げたところでございます。

 以上が前回までの御議論が前提でございまして、以下、2つほど今回御説明いたします。

 しかしながら、適正な価格・サービス競争の促進、地域差の是正などの観点から、製品の希望小売価格や耐用年数を考慮して算定される価格と、搬出入や保守点検のサービス等に要する価格に区分して、価格形成について利用者・保険者への情報開示を進めるべきとの意見がございます。

 参考資料2の21ページをお開きいただければと思います。10月4日に開催された財政制度等審議会におきましては、上から2つ目のでございますけれども、1カ月当たりの貸与額について、要支援1・2を中心に地域差があるということ、また、全く同一製品でも平均価格を大きく超える高価格で取引されている例があるということでございまして、その右の表に例が掲示されてございます。

 そして、下の「改革の方向性」(案)の4つあるのうちの上の2つでございますけれども、貸与価格の内訳を明確に区分するという中身が書かれております。

 本体にお戻りいただきまして、1ページの一番下、一方、一般社団法人日本福祉用具供給協会、事業者団体からは、利用者の重度化を防ぎ、介護離職ゼロを進め、介護費用を抑制するために軽度者に対する福祉用具サービス等については継続するよう要望が出されるとともに、レンタル価格及びサービスの適正化に向けて「価格の見える化」や「外れ値」対策等を協会においても行うとの提案がなされたところでございます。

 これにつきましては、参考資料の22ページ以下27ページまでにわたってございますので、御紹介申し上げます。

22ページ、6行目以下、今、申し上げた部分が書いてございます。

 そして、具体的な提案の中身につきましては、24ページの6ポツに括弧が6つございます。例えば(1)下の3行をごらんいただきますと、各事業者がレンタルを提案するときに、全国平均価格及び最頻価格、事業者自身の提案する価格を比較提示するなど、利用者等への価格の見えるかを推進する。また、(4)におきましては、定期的なモニタリング、利用者の福祉用具サービス計画の実施状況の把握が重要であるということで、提案がございます。こういった提案を受けておるということでございます。

 本体に戻っていただきまして、続きまして2つ目の論点でございます、適切な利用についてございます。

 福祉用具の利用に当たりましては、介護支援専門員(ケアマネジャー)がケアプランに記載するだけでなく、福祉用具専門相談員が専門的知識に基づき利用者またはその家族に助言をしながら利用開始時に適切なアセスメントを行うとともに、利用者の状態を考慮した定期的なマネジメントを適切に行い、利用すべき福祉用具が決定される必要がある。

 そのため、以下の対応を行っているところでございます。

 平成24年度より、専門相談員に対し、福祉用具貸与計画の策定を義務化したということでございます。また、計画に基づき、目録等の文書を示し、福祉用具の機能、使用方法、利用料などの情報を提供して、利用者に説明して、利用者の同意を得ることが義務づけられているところでございます。

 また、平成27年度より、専門相談員の指定講習カリキュラムの見直し、40時間から50時間ということでございます。あわせて、自己研さんの努力義務化を行うことによりまして、専門相談員の質の向上に努めているところでございます。

 以上が福祉用具の関係の部分でございます。

 3ページ、住宅改修についてでございます。住宅改修については、価格及び適切な利用というのを一体で御説明申し上げます。

 市町村は、被保険者等が住宅改修を行ったときは、当該被保険者等に対し、支給限度基準額である20万円を上限に、改修費を支給することとなってございます。住宅改修に係る工事価格の設定は、住宅改修を行う事業者の裁量によるということでございます。

 しかしながら、平成24年度に実施したアンケート調査によりますれば、約6割の保険者が「事業者により技術・施工水準のバラツキが大きい」という回答がございました。

 また、償還払いという方式でございますことから、国保連のほうに給付データの蓄積がないなど、工事価格等の取引実態の把握がなかなか進んでいないという状況にございます。

 こうしたことを踏まえまして、住宅改修の質の向上に向けた対応として、平成27年3月に住宅改修事業者や関係職種向けのテキストの編集、都道府県を通じた市町村への周知を行ったところでございます。

 なお、一部の自治体におきましては、建築の専門職が事前に申請内容を確認する、PTOT・その他住宅改修に関する知見を備えた方が関与するなど、利用者にとって適切な住宅改修の利用につなげているというところもあると承知してございます。

 続きまして、4ページ、福祉用具・住宅改修に共通する「現状と課題」でございます。保険給付の範囲及び利用者負担についてでございます。

 まず、福祉用具につきましては、利用者が可能な限り居宅において自立した日常生活を営めるよう、生活機能の維持又は改善を図り、状態の悪化の防止に資するとともに、介護者の負担の軽減を図る役割を担っております。

 その保険給付の範囲については、平成10年の審議会に提出させていただいた範囲の関羽方、参考資料2についてございますけれども、それを考慮しつつ、検討会において議論を行い、給付を行うことが適当と判断されたものに限り保険給付の対象種目としております。

 一方、住宅改修につきましては、段差の解消や手すりの設置などを通じて、高齢者の自立を支援する役割を担っており、その保険給付の範囲につきましては「個人資産の形成につながる面があり、また、持ち家の居住者と改修の自由度の低い借家の居住者との受益の均衡を考慮」して、小規模なものに限定されているということでございます。

 続きまして、利用者負担につきましては、用具、住宅改修ともに、ほかのサービスと同様に、現在、原則1割負担となっておるところでございます。

 ここまでが前回までの御議論の前提でございます。

 最後の、これらに関して、要介護区分ごとに標準的な貸与対象品目を定めることや、軽度者に対する保険給付の割合を引き下げるべきなどの意見がございます。

 これは、参考資料の21ページ、先ほど御紹介いたしました財政制度等審議会の一番下の2つのポツの記載でございます。

 続きまして、本体に戻りまして、5ページでございます。この議論の大前提となっております「経済財政運営と改革の基本方針等における記載内容」でございまして、先ほど前半で軽度者における政府としての要検討事項と同様でございます。

 6ページ、御議論いただきたい「論点」でございます。

 まず、福祉用具についてでございます。

 財政制度等審議会や事業者団体等からの提案も踏まえて、以下の3つの対応をしていければどうかと考えてございます。

 まず、1点目は、福祉用具貸与の価格につきましては、現在、国保連にあります個々の貸与品の給付費請求データを活用いたしまして、全ての福祉用具の貸与価格情報を把握し、全国レベルでホームページにおいて公表する仕組みをつくってはどうかということでございます。

 先ほど参考資料2の12ページで、自治体独自の取り組みがあると御紹介申し上げましたけれども、これを国のほうで主導して、あらかじめ利用者を初めまして、広く一般の方々に貸与価格情報を提供するという全国共通の仕組みをつくってはどうかという考え方でございます。

 2点目に、利用者が、自立支援や状態の悪化の防止に資する適切な福祉用具を選択できるよう、福祉用具専門相談員が、貸与価格情報等を用いて貸与しようとする製品の価格や特徴などを利用者に説明すること、及び複数の製品を提示することを義務づけてはどうか。あわせて、利用者に交付しなければならない福祉用具貸与計画書を介護支援専門員にも交付することとしてはどうか。

 これにつきましては、先ほど御説明の中で、現在でも福祉用具専門相談員には利用者に対して貸与品の中身あるいは利用料などを説明する義務がございますけれども、その義務に、個々に書いてある中身を追加してはどうか。あわせて、ケアマネジャーさんにチェックをしていただくということも含めてはどうかということでございます。

 3点目でございますが、福祉用具貸与価格に、極端な価格差が生じないようにするため、同一製品の平均的な貸与価格と比べて極端に高い額を貸与価格とする場合には、あらかじめ製品ごとに保険者の了解を必要とすることとしてはどうかということでございます。これらの全ての取り組みの前提として、そもそも貸与事業者が介護給付費請求書を記載するときに、誤記等があるという話もございますので、適切な記載方法の徹底を図る必要があるのではないかと考えてございます。

 保険者の了解ということについては、今回、新たに導入してはどうかということでございまして、これは給付管理を行っている保険者の目で、合理的なチェックをいただきたいという考えに基づくものでございますけれども、事務負担をできるだけ少なくするための実務的な方法を今後考えてまいりたいと思います。

 なお、先ほど御紹介いたしました財政制度等審議会の指摘事項につきましては、前半御議論いただきました軽度者の議論と重複するというものもございますので、省略いたす部分もございますけれども、1点だけ、福祉用具に特有の価格の内訳を明示すべきという意見について申し上げたいと考えております。

 利用者の状態の変化に応じて、貸与品を変更していくといったような、貸与サービスの性質、貸与期間も変動していくという性質がございます。それから、利用者の手元に貸与品が届くまでの事業者における調達手法、あるいは管理手法などがまちまちであるということがございまして、一つ一つの製品単位で一律に細かく内訳を算出するとなりますと、実務上の課題が多々あるということで、なかなか難しい面があると考えてございます。

 ただ、利用者の選択の利便、価格の一層の適正化という観点からは、昨年度より、厚生労働省におきまして、一部の取引実績をもとに価格構造の実態や事例の把握を開始したところでございまして、こうした観点から、引き続き調査研究を進めてまいりたい。いずれにしましても、まずは価格の徹底した見える化を図りたいというのがこの論点の提示でございます。

 続きまして、住宅改修についてでございます。

 住宅改修の内容や価格を、保険者が適切に把握・確認できるようにするとともに、利用者の適切な選択に資するため、事前申請時に利用者が保険者に提出する見積書類の様式、改修内容、材料費、施工費の内訳が明確に把握できるものを、国が新たに示すこととしてはどうかということ。

 あわせまして、複数の事業者から見積もりをとるように、介護支援専門員が利用者に対し説明することとしてはどうか。

 また、質を担保するという観点からは、建築の専門職やOTPT・福祉住環境コーディネーターなどの専門職者が適切に関与している事例や、事業者への研修会を行っている事例など、保険者の取り組みの好事例を広く紹介し、横展開してはどうかと考えてございます。

 なお、前回の部会におきましては、登録制を導入することについての御意見を複数いただいておりましたけれども、これにつきましては、まず、質の担保ということにつきましては、2つあるのうちの下のほう、専門職の関与をできるだけ事前に進めていくということを保険者がするということで、個々のケースに細かく対応できるようにしていくということ。

 あわせまして、価格等につきましては、上のにございますような見積書で様式を示していくということで、さらに適正化を図るということで対応していきたいと考えてございまして、実は、登録制の中身いかんということになりますと、現在、被保険者のほうから改修事業者への受領委任払い、支払い方を委任している方式について、これまでも自治体のほうで取り組みが進んできておりますけれども、昨年平成27年4月現在、872の保険者、約55%が受領委任払いを導入しているというデータが調査によればございます。5年前は、平成22年4月は470ということで、3割弱だったわけでございまして、進んできているということで、この受領委任払いをとっている保険者、自治体につきましては、おおむね一つの形態として、保険者サイドで専門家が事前に関与したりすることとあわせまして、研修を受講した事業者、すなわち一定の資質があると考えられる事業者を、保険者が把握をして、そこについては支払い方を1回でいいとするという運用が進んできているということか判明いたしまして、私どもとしては、実は一部市町村については事務負担がかなりあったり、コストがあるということから、なかなか全ての市町村に対して制度として義務づけることが現時点では難しいと考えておりますものの、引き続きそういった受領委任払いというようなものを好事例の一つとして、横展開をしていきたいと考えてございます。

 資料に書いておりませんで申しわけございません。

 最後、共通事項でございますけれども、その他、福祉用具や住宅改修が、利用者の自立支援、状態の悪化の防止、介護者の負担軽減等の役割を果たしていることも考慮した上で、価格設定や保険給付の対象範囲、利用者負担のあり方などについて、どのように考えるか。

 以上、御議論いただきたい論点でございます。よろしくお願い申し上げます。

○遠藤部会長 資料にないことを口頭でこの場で言われるというのは非常に困りますので、もし重要なことであれば、ちゃんと資料として提出するようにしてください。十分理解できませんでした。ということですので、今後、よろしくお願いいたします。

 それでは、先ほどと同じように、論点に沿って御発言いただければと思います。いかがでございましょうか。

 では、鈴木邦彦委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 6ページの論点、3つほどマークがありますので、それについてお話しさせていただきます。

 まず、福祉用具貸与のところですが、これについて書いてあることはそれでいいと思います。ある意味当然という気もする内容でございますし、公表制度などはよろしいのではないかと思います。

 その次の住宅改修についても、書いてあることは当たり前というか、当然ということで結構だと思いますけれども、ケアマネジャーは住宅の専門家ではないために、必要な改修の提案はできても、工事の適正価格が幾らであるかはわかりませんし、専門的な判断もできませんので、適正な改修内容と価格がわかるような価格設定と範囲が決められていることがよいのではないかと思います。

 その後の、共通事項についてですが、ここに書かれていることはある意味当然で、結構なことではあると思うのですけれども、それだけでは不十分で、前回の議論の反映がなされていない、口頭ではお話になっても、文章にされていないという感じがいたします。福祉用具の価格設定については、外れ値が出ないように基準価格を設定することが必要だと思います。保険給付の対象範囲や利用者負担については、現行どおりでいいと思います。

 また、住宅改修の事業者についても、登録制度は必要だと思いますし、その上で人員配置の基準を決めて、一定以上の施工水準を確保するようにすべきであると思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、鷲見委員、お願いいたします。

○鷲見委員 福祉用具についてです。

 要介護区分ではなく、状態像に応じた用具を活用すべきであり、貸与というサービスだからこそこれはできる話だと思います。その判断はケアマネジメントプロセスにのっとり、モニタリング評価のもとに行われるべきです。居宅サービス計画書と個別サービス計画書の連動は作成されるものですので、本来、報告、計画を受け取ることは当たり前だという認識でございます。

 住宅改修については、利用者の状態が変化していく中で、いつの時点でどのような改修が最も適切かとか、またはどの材料がその住宅の改修には必要なのかという判断は非常に難しいところでございます。見積もりをとっても、保険者が何を基準にして判断するのか、単に安価であることを基準とすれば、アセスメントの結果、良識のある事業者が排除される可能性が出てくると思いますので、ここは慎重にすべきだと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、及川参考人、どうぞ。

○及川参考人 ありがとうございます。

 論点についてでございますが、介護保険サービスでは、本人の生活を継続させるため、自立支援や重度化予防の観点を踏まえて、必要なサービスを提供するものであるのですが、生活を継続させるために必要とされるサービスについては、要介護度によらず、必要とされる分だけ必要なタイミングで適切に提供されることが重要であります。

 この視点から考えれば、福祉用具や住宅改修についても、そのサービスが真に必要であるかを見きわめる仕組みと、適切に使用されているかを確認する仕組みが重要であります。また、あわせて、適正な価格であることと、利用者がみずから選択できる仕組みというものも担保されることが重要であると考えます。

 また、介護チームとしてかかわる者は、アセスメント情報や計画書の内容、また、モニタリング結果等についての情報をチームメンバーとして共有することは当然のことであります。これらのことから、論点の2つ目に記載されています計画書のケアマネジャーへの交付等の義務づけは必要だと考えます。

 また、4つ目に記載されている住宅改修の見積もり合わせの点についても、ごくごく当たり前のことであると考えるべきであると思います。

 以上でございます。○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 それでは、佐野委員、岡委員でお願いします。

○佐野委員 

 全体的な部分になってしまうのですけれども、福祉用具については、今までも一定の効果を上げてきたことは間違いないと思うのですけれども、これだけのコストを全体で年間2,900億円弱とか、さらに200億円ぐらいふえているというものがかかっている中で、制度持続性を考えた場合に、本当に今後とも介護保険の給付対象として見ていくのかという、本質的な議論も必要なのではないでしょうか。これは住宅改修のほうも含めてそんな感じがいたします。

 そういう中で、今回、提出された中身は、福祉用具についていいますと、今よりは価格の面を見える化して、新たな視点で練られたと思うのですけれども、実際にこれによって給付費がどれだけ抑制できるのかという部分と、さらに、それにかかる事務コストの面との比較というのは必要だと思います。

 また、この論点の2番目のところが、恐らく今回、仕組みがうまくワークするためのフォローということで書かれていると思うのですけれども、実際の中身を見たら、専門相談員が利用者に説明をするとか、もしくは複数製品を提示することを義務づけるというのは、本当に実行性は持てるのでしょうか。余り無理なものをつくってしまうと、結局のところ、仕組み自体が複雑化をしたり、形骸化をしたりというリスクがあるのではないかという気がします。

 そういう点でいうと、複雑な仕組みをつくるというよりは、自己負担の引き上げですとか、公定価格の設定のほうがシンプルでわかりやすいかもしれないという気がいたします。

 住宅改修についても、同じような観点から、利用者負担の引き上げというのは検討すべきだと思います。事前確認の徹底等の不正請求対策というのも当然検討すべきだろうと思います。 

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 岡委員、どうぞ。

○岡委員 福祉用具貸与に関しまして、いわゆる外れ値等の不適切な価格差は、利用者にも保険財政にも負担を強いるものでありますので、今後の取り組みの成果をしっかり注視しつつ、適正化に向けた対策を徹底していただきたいと思っております。

 加えて、財政審の提案の中にもありましたが、保守点検費用が価格差に影響を与えているとすれば、貸与価格の透明性を高めるためにも、福祉用具本体と保守点検費用を分離して取り扱うように義務づけることも一案であると考えております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 齋藤訓子委員、小林委員の順番でお願いします。

○齋藤(訓)委員 福祉用具につきましては、ここの論点に挙がっていることにつきましては、ぜひ進めていただきたいと思います。基本的に、市場競争であるとはいえ、極端に高い外れ値、あるいは不合理な地域差は解消していくという方向性にあると思いますので、まずは利用者さんに適切な情報提供のできる仕組みをきちんとつくっていくことが基本だと思います。

 また、価格情報の公表の際には、製品本体の価格と、メンテナンス等のサービスに要する価格を分けて提示していくと、単に価格が高い、低いだけではなくて、この価格でどんなサポートがついてくるのかということも情報提供ができますので、安全安心の面でも比較検討ができ、利用者やケアマネジャーにとって有用な情報になると考えますので、まずはこの情報公表の仕組みをつくっていくということが重要だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 では、小林委員、お願いいたします。

○小林委員 今回、事務局から具体的かつ適正化に向けた提案が示されたことについては歓迎したいと思います。

 その上で、今回、提案いただいた仕組みがいかに適切に機能し、制度の適正化や効率化に資するか、そういった観点も含めた実行性の担保が最大の課題だと考えております。

 このため、福祉用具については、福祉用具については、福祉用具専門相談員が複数の製品を提示する際には、価格帯が類似するものだけではなく、可能な限り異なる価格帯のものも含めるような取り扱いにすべきではないかと思っております。

 また、これは長期的な課題かもしれませんが、国レベルで貸与価格情報が集積された後には、これに基づき、標準的な貸与価格の設定を行っていくべきだと考えます。

 さらに、住宅改修については、利用者が保険者に見積書類を提出する際に、相見積もりの種類もあわせて提出することとして、利用者が明らかに金額の高いほうの見積もりで工事をする場合には、保険者において、その内容を精査するようなことも検討いただけたらと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、馬袋委員、河村参考人の順でお願いします。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 福祉用具の論点について、おおむねここに記載されている内容で良いと思います。今回、参考資料24ページに日本福祉用具供給協会からお出しされているTAISコードはじめ商品コード等での価格情報について業界団体としてしっかり見える をするという方向で動かれることというのは、市場競争の原理がある中で、業界団体が明示をして、改善をして、価格帯だとか、さまざまな機種の新しい提案等も公表にしながら価格帯も表示をしていくということについては、一定の効果があると思います。この取り組みについてはぜひ全国レベルで公表する仕組みとあわせて進んでいただければと思います。

 それから、価格の中で、先ほど価格とサービスの中身の内訳を細かくというのはあるのですけれども、個々の利用者によって、例えば頻回にお伺いしながら調整していかないといけない利用者もいますし、当然、機種の切りかえという内容もありますので、おのおのの中でどれぐらいの調整価格と人件費というのは、詳細につくるというのは、事務の手間と内容のことを考えれば、一定の単位で平均化された状態での単価、多い方もあれば、少しで対応できる方もいらっしゃる。そういうものを平均化しながら事業というのは運営しておりますので、余り細かく提示する事務作業または過度な内容の負担を負って、結果として価格帯の中にその作業コストが乗ってくるようなことになってはいけませんので、明細の内容の義務づけというものは一定以上整理、理解できる範囲の中で、余り過度なものを要求するのというのは負担を強いるだけで効果はないのではないのかと思います。

 それから、住宅改修について、ここに記載されているとおりなのですが、一点、ケアマネジャーにということに説明ということはあるのですが、ケアマネジャーはこれだけでいろいろなものをされるというのも非常に大変なので、ここのあり方については専門職としてのPTOTさんとか、医療関連の専門職の方々のアドバイス等をもってそれにかえるということもしないと、ケアマネジャーへ過度な負担を与えたり、ケアマネジャー自身がそこの専門性について深めることはなかなか難しいと思いますので、そういった専門職の人たちも含めた上で、考えるとしていただければと思います。

 それから、広く市町村からの登録制についてですが、これは当然その方向で進むべきだと思いますが、市町村においてはなかなかそういう主導される方とか、調整する方がいらっしゃらないということですので、ぜひ県レベルで、登録事業のための研修とか実施し研修を受講して登録事業者という形で、市町村ができるまでの間を支援していくことも必要ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、河村参考人、お願いいたします。

○河村参考人 まず、同一製品がこのように大きな幅がある価格帯で貸与が行われているということについて、非常に驚いています。国で標準的な価格を設定するなどしてもらいたいと思います。そのことによって、基本的な部分だけは、大きい市であれ、町村であれ、一定の貸与ができるのではないかと思っております。

 また、論点の中で、高価格で貸与する際は、保険者の了解を必要としてはどうかということがありますけれども、それはなかなか難しいと思います。自治体職員が専門的に内容を理解しているわけではないですから、まず、そういう意味では、標準的な判断基準などをまずきちっとつくっていただきたい。

 それから、住宅改修も同じです。大きな市には建築課があり、そこに一級建築士がいたりしますけれども、私の町のような小さな町ではそうした専門職も少ないですから、一つのモデルというか、標準価格帯というものも、国がつくって示していただきたいと私たちは思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、利用者のお立場ということで、齊藤秀樹委員、井上由美子委員にお聞きしたいと思います。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

論点で示されております価格の見える化は大賛成であります。また、ケアマネの計画書の提出というものも、外れ値を一定抑止するという意味では、意味があるのだろうと思います。

 3点目の極端な価格差に対する保険者の了解を必要とするというのは、今、河村参考人からお話がありましたように、果たして実行性が担保できるのかどうか。担保できるとすれば大変外れ値がなくなるという意味では重要な部分ではありますけれども、何か成算をお持ちなのかどうか、もう少し詳しく事務局で説明いただければありがたいと思います。

 住宅改修につきましては、鈴木委員からの前回もお話があり、今、馬袋委員からもお話があったように、事業者の登録制ということを考える段階ではないかと、参考資料の18ページに住宅改修全般についての課題を、保険者に対してのアンケートをしております。その筆頭に、登録制ではないので事業者に対する指導が難しいと出ているわけでありますので、適切な研修や配慮をして、ばらつきを小さくすることは大事だろうと思います。これはぜひ検討していただきたいと思います。

 共通事項でありますけれども、私は軽度者から福祉用具を利用することができるようにしたというのは、介護保険制度の功績の一つだと思っております。しかも、貸与を前提としているというところも、利用者の状態像の変化に合わせて適時適切な用具を提供する仕組みにしていくんだという視点も大変大事でありまして、そのような目的の中で、身体機能を補う福祉用具の活用によって、よりアクティブな生活でありますとか、社会参加を促していく。そして、要介護度の維持、改善につなげるというのが制度の目的でありますので、利用者負担のあり方については現行の負担を継続維持していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、井上由美子委員、どうぞ。

○井上(由)委員 ありがとうございます。

 この資料2の1ページの一番最後にありますように、事業者の方々がケアプランに基づいてきちんと福祉用具のモニタリングとか計画をつくっていらっしゃることを知って、本当にこれは明るい材料だと思っています。これをただ提案だけではなくて、最後に、提案がなされているということですが、もう実際にやっていらっしゃるところもあるようですので、ぜひ促進していっていただきたいとまず思います。

 その上で、論点のほうですけれども、このマル2のところ、価格とか特徴などを利用者に説明すること、及び複数の製品を提示することを義務づけてはどうかというのがございますが、これは大変でしょうけれども、あわせて利用者に交付しなければならない福祉用具貸与計画書を介護支援専門員にも交付することとしてはどうかと。介護支援専門員の方、やたら忙しくなるなということを心配しながらも、やはりここに関与していただいたほうが、より利用者にとっては安心でございます。

 そういうことを踏まえて、福祉用具を利用する立場からしますと、所得に余裕のある人ばかりではありません。同じ製品ならより安い値段で利用したいと思います。それは介護保険の費用の節約にもつながりますので、利用者個人にとってだけでなく、国民全員にとってもよいことだと思います。

 そういう論点から見ると、福祉用具を利用使用する際に、その製品が平均的に幾らで利用されているのか、その製品を自分は幾らで利用できるのか、こういったことをきちんと説明いただくというのは大切なことだと思います。

 また、複数の製品を比べられるのも大事なことだと思います。このような取り組みを進めていけば、いわゆる外れ値とか言われるような価格で貸与しようする事業者もいなくなると思います。

 しかし、一方で、例えば利用者が離島に住んでいて、特別な搬送費が必要になるので、どうしても高額になってしまうケースもあるのかもしれません。そのための対応策には、市町村の体力もあると思いますけれども、県や市町村の個人利用者への了解も含めた支援がお願いできないかと思います。県、市町村も大変だとは思いますが、不運にもそういう離島で高くなってしまった場合のことはやはり考えていただきたいと思います。

 論点の3ですけれども、利用者負担の件ですが、介護度に応じた自己負担をするということについては、極端に高い額を貸与価格とするなどの場合とか、そういうことが書いてございますけれども、要介護度に応じて自己負担をするということについては確認ですが、要介護度に応じてという意味ではないのですね。価格に応じた負担なのですね。極端に高い額を貸与価格とする場合には、あらかじめ保険者の了解を必要とすることとしてはどうかというのは、私がよく理解できませんので、この辺のところは御説明いただければありがたいです。

 私からは以上でございます。

○遠藤部会長 それでは、それの解説をということと、実は先ほど齊藤秀樹委員から質問をされておりましたね。齊藤委員、もう一度質問の趣旨をおっしゃっていただけますでしょうか。

○齊藤(秀)委員 論点の3つ目ののところで、極端な価格差が生じないように、あらかじめ保険者の了解を必要とするとしてはどうかということの担保、実行性をどの程度お考えなのか、先ほど河村参考人からもその疑問が呈されておりますので、事務局として、現段階でお考えのポイントをさらにつけ加えていただく部分がありましたら、御説明いただきたい。

○遠藤部会長 失礼いたしました。

 ということで、お二方から質問といいますか、解説依頼が出ておりますので、御担当の方、よろしくお願いいたします。

○佐藤高齢者支援課長 今の御質問につきましては、これからどのような形で実行性の担保、あるいは保険者負担の軽減をできるかということを実務的に考えてまいりたいということでございますけれども、元となる給付費請求データがございますので、それを分析等することによりまして、平均的な全国の価格からどのぐらい高いのかというのがある意味わかってくるのではないかと思っております。そういったことも、国のほうで考え方をお示しできるように検討してまいりたいと考えてございます。

 詳細は今後の検討でございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 齊藤委員。よろしいですか。

○齊藤(秀)委員 現段階では、実行可能性について期待はいたしますけれども、内容的なものをぜひ詰めていただきまして、また改めてお聞かせいただければと思います。

○遠藤部会長 井上由美子委員、よろしいですか。

 それでは、次にいきたいと思いますけれども、栃本委員、土居委員、桝田委員の順番でとりあえずお願いしたいと思います。

 栃本委員、どうぞ。

栃本委員 まず、参考資料のほうの3ページ目、福祉用具専門相談員の部分に赤字で「利用者ごとに個別サービス計画(福祉用具サービス計画)を作成することとしている」と書かれています。

 前回も申し上げましたように、福祉用具専門相談員がいわゆる営業マンにとどまらずに、本当の専門性を発揮するということでは、個別サービス計画を作成するだけではだめなので、アセスメントをすることが必須ですね。前々回、リハビリマネジメントというものが新しくできて、それがこれから非常に重要だということを申し上げたのだけれども、実は、住宅改修とか福祉用具というのは人の手を介さないリハビリなのですよ。リハビット。そういう議論は全然行われていないと思うのだけれども。人の手を介さない、人の手を借りないリハビリは重要で、住宅改修や福祉用具はそうならなければだめなのです。そういう意味では、OTPTとか、リハビリ関係職とともに住宅改修や福祉用具というものが一体になる形で運用がなされなければいけない。その意味から、福祉用具専門相談員というのは、単に計画を立てて、価格が書いていますよみたいことではなくて、その後のアセスメントをして、こういう形でやったら生活しやすいよとか、右回りになっているけれどもこうしたらああなるとか、ソフトの部分ですよ。そういうこともやらないと、単なるものと建物を変えましたみたいなことではだめなのですね。そこら辺をちゃんと議論しなければいけないし、そういう議論になってもらいたいということです。

 要するに、住宅改修と福祉用具というのは、ある意味では人の手をかりないリハビリなのですよ。そう思ってもらいたいということが1点。

 もう一つが、資料2の価格のことですね。「現状・課題」で先ほどから外れ値がどうこうとか、極端に高いのがあるということですが、企業にとって、また、サービス業にとっては価格の設定というのは会社の中で非常に重要なポイントだから、物としての価格と、それ以外のいろんなものを込み込みで入れた形で価格というものは形成、つくるわけだから、その部分をどの程度明らかにさせるかというのはなかなか難しいということは確かですね。先ほどお話ししたような、モニタリングとか、そういうものを濃厚にやる、そういうのも入っていますよというのもあると思うのです。その妥当性です。そこら辺、非常に重要なのは。あと、先ほどすごく高い価格があるという話でした。通常のサービス業とか製造業というか、物の販売業だったら淘汰されるか、買いませんよ。法外な値段であれば。

なぜ買うか。つまり、それは説明する人が、まともなところがアドバイスしないから、購入にあたって本来であれば働くべき部分が実は機能していないということなのだ。普通だとそういう高いものがあったりしたら、利用はしない。周りもアドバイスする人もこれはやめたほうがいいですよというのがアドバイスとしても働くわけだ。消費者側に立った立場であるひとの説明力というか、説明というものが適切に行われていないと考えますね。

 もちろん、外れ値を排除してしまうというやり方もありますよ。ただ、それと同時にも、コンシューマーからすると、コンシューマーが全部わかるわけではないからそれに対する説明ですね。その場合、どういう説明をするかということについても考えていただく必要があるということですね。

 価格設定というのは、単純に一概に言ったら難しいけれども、それらについて、きちっと利用に当たって説明する人が、それはケアマネかもしれないし、リハビリマネジメントをするヒトかもしれないし、そういうものをきちっと徹底するべきだと思います。

 あと、最後に、4ページ目、これは前にも申し上げたことなのですけれども、保険給付の範囲というのは個人資産の形成につながる面があるから、持ち家の居住者と非常に低所得者であってなかなか生活が大変な方々で障害を持ったりされている方々は、借家であるとか、アパートとかそういうところに住まわれているのです。そうすると、一戸建てとかの人は住宅改修とかができるのだけれども、低所得者や障害者はなかなか難しいのです。そこら辺をよく業者とかも考えて、取り外し可能なものとか、そういう工夫をきちっとしなければいけないと思うし、もう一つは、どうしても一定価格でないと保険給付にならないということなのだけれども、実はもっとすごく安い費用で幾らでも生活の利便性を図ったり、先ほどの人を介さないリハができるものもありますから、そういう意味で、教育をもう少しきちっとやるということと、低所得者に対してもいろいろ考えていただきたいということです。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 土居委員、お願いいたします。

○土居委員 意見を述べる前に、1つ事務局に質問なのですけれども、住宅改修で支給限度額が、先ほど事務局の御説明、例えば参考資料2の14ページだと20万円ということがあるのですが、これに該当している受給者の割合というのがもし数字があるならば教えていただきたい。

 もし、正確な数字がぱっとすぐに出てこないならば、限度額いっぱい使っている利用者が多いのか、それとも、少ないのかというぐらいでも結構ですけれども、その点をお伺いいたします。

○佐藤高齢者支援課長 申しわけありません。今、手元にデータがないので、調べたいと思います。一般的な20万限度に対する実際の額は10万前後である。ただ、それは平均でございますので、御指摘のところを調べたいと思います。

○土居委員 わかりました。次回以降で結構ですので、もし数字がわかれば教えていただければと思います。

 意見を述べたいと思います。まず、福祉用具の貸与ですけれども、何人の委員もおっしゃっておられるように、情報開示は極めて重要だと思います。特に、保険者の了解を必要とすることにするという事務局の案に私は賛成です。

 さらにそれに加えて、この論点にもありますけれども貸与事業者に対して、介護給付費請求書の適切な記載方法を徹底すると、この論点で書かれているのですが、徹底ではなくて、こういう形で記載せよと義務化すべきであります。特にどういう内容を記載する必要があるかというと、まず、本体の貸与価格を分離させるということを請求書の中で明記していただかなければならない。本体の貸与価格が購入するよりも高いような値段をつけているということであれば、明らかにその貸与価格は不当なものであると思いますから、そういう意味では、まず極端な価格差をつまびらかにする大きな第一歩になると思います。それとともに、搬出入料とか、保守点検料とか、より細かく記載できるものについては請求書の中で記載することを義務づけることにするべきだと思います。そうすることで、貸与事業者に説明責任を果たしていただく。

 先ほど井上委員の御指摘もありました。離島とか、条件不利地域で当然搬出入料が高くつくとか、そういうことは私は別に否定はしません。ですが、そういう金額を別立てに請求書の中でしていただくことを通じて貸与事業者が説明責任を果たしていただきたいと思います。

 それから、住宅改修のほうですけれども、複数の事業者から見積もりをとるということは私も賛成であります。それとともに、先ほど少し支給限度額についての説明をさせていただきましたけれども、状況を見きわめながら、場合によっては所得ないしは要介護度に応じた支給限度額のめり張りづけをする必要があるのではないかと思います。特に、住宅改修に必要なものというのは、状態によって異なってくると思いますから、その金額も支給限度額に反映させることは一つのアイデアではないかと思います。

 住宅改修は、もちろん限度額は今、20万ですけれども、高所得の高齢者の方々は、別に自腹で自宅を改修することもできるわけですから、場合によっては所得制限をしながら住宅改修に対する償還払いを今後していくということにしてはどうかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 参考資料2の4ページ、5ページの部分で、いわゆる要介護2以下の者が6割、7割という数字が出ているのですけれども、なぜかこの表を見ると、軽度な方は福祉用具をたくさん借りすぎているのではないのという形が見えてくる。でも、実際問題として、例えば要介護3・4・5の方というのは特養の入所の該当者になりますね。老人保健施設もあります。施設に入所されている方の福祉用具というのは、施設の介護報酬の中に含まれています。電動ベッドを使われたらその分は個人負担ではございませんので、そうすると、介護度に応じて施設入所者の人数を足し込んでいって、全体のどの程度の方が福祉用具を使っているかという比率を出してくると、この図式というのはかなり動いてくる。当然、要介護5の方になると、ほとんどの方が何らかの福祉用具を使っているという形にはなると思うのです。軽度の方は必要な方と必要でない方が分かれてくるという、品目別も同じだと思いますけれども、そういう見方も必要ではないのかと思います。

 論点の3番目のですけれども、基本的には、要するに、市町村の了解という部分は標準価格設定と同じ考え方になると思います。ただ、ルールをどうつくるかというのが一番の問題で、市町村が勝手に判断するというのは不可能ですので、その極端に高い部分をどのように算出するかというのが、これからデータを集めた分でルール化が必要なのかと思います。

 住宅改修の部分で、登録制の問題のお話が出ていますけれども、ぜひ必要だと思います。ただ、問題点は、全ての市町村で登録制がとれるかというと、逆に、業者さんがそんなにいない地域とか、いろんなことが考えられます。見積もりも複数見積もりと言われても、簡単になかなかとれない地域も存在してきます。ですから、ここはある程度ルールをつくって、市町村判断にしていかないと、円滑な部分として動いていかないと思います。特に住宅改修の部分というのは、非常に微妙ですので、極端に言うと、この分に関しては介護保険のルールからいうと、資産要件を入れてもいいだろうし、いろんなことが考えられると思います。極端に言うと、介護保険の中で、1つちょっと特別なものが入っているという感覚で私のほうは捉えています。というのは、例えば借家でおられる方、大家さんのオーケーがなかったら給付が受けられないというのは、介護保険の世界からいうとなじまないというのがありますので、別の扱いをしてちょっと制限をかけてもいいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、順番で、井上隆委員、伊藤委員、東委員でお願いしたいと思います。

○井上(隆)委員 ありがとうございます。

 福祉用具の貸与価格につきましては、外れ値とか相当程度の価格差が出ているということで、これは早急に是正する必要がありますので、この論点にあるような取り組みというのはぜひ積極的に進めていっていただきたいと思います。

 ただ、貸与の保険給付自体が前年比7%増というペースで伸びており、これが外れ値を修正するだけで抑制を止めることができるのか非常に大きな問題です。

 そうした観点から、基準価格のようなものを設定して、それを超える部分は自己負担にするなど、もう一歩踏み込んだ取り組みが必要になってくるのではないかと思います。

 いずれにしても、本来、自助でやるべきところが公助になってしまっていないのかどうかということを、もう一度検証して進めていく必要があると思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 以前にも申し上げましたが、公的介護保険で給付をするという以上は、外れ値はやはり是正していかなければいけないと思っています。

 その方法として価格の適正化を進めないといけないと思っているわけですが、そのためには標準価格化なり公定価格化なりを進めていくことが必要だと思います。ただ、それが直ちにできないのだとすれば、本日事務局から提案された公表の仕組みということも役に立つということであればいいと思っております。

 その際、一つは、教えていただきたいのは、今でも介護サービスの情報公表制度がありますけれども、どのぐらい利用されているのかなという疑問もありまして、762保険者で行われている介護給付費通知が具体的にどう活用されているのかを、わかる範囲で教えていただきたい。例えばこれによって事業者の見直しが進んだとか、そういう利用者の行動変容につながっているのかということがわかりましたら、教えていただきたいと思います。

 ケアマネへの情報共有という案が出ていますけれども、適正な価格の福祉用具を選択する判断を支援する人がいないと、価格の適正化にかかる情報も十分活用されないのではないかと思いますので、ケアマネさんが忙しいのであればほかの方というのもあるのだと思うのですけれども、誰かとなってしまうと誰もやらなくなってしまうという心配があります。

 あと、住宅改修のほうですけれども、こちらも標準化というのは価格と施工内容両方の標準化が必要だと思いますが、今回、見積もりの様式を国が示すという話がありますが、これによって効果があればいいとは思います。ただ、施工業者もさまざまありますので、余り難しくすると、引き受けてもらえなくなるという心配もするところであります。私どもとしても、登録制というのを全国的に普及とさせていく、制度化していくということを視野に、ぜひやっていただきたいと思います。

そこで、もう一つ質問なのですけれども、参考資料2の16ページのところに事後申請の場合が出ているのですけれども、今回の、複数から見積もりをとるように説明するということが事後申請の場合どのようにするのかというイメージを教えていただきたいと思います。負担のことなのですけれども、要介護者の自立した生活に必要なものだと思っておりますし、介護者の負担軽減にもつながるということで、給付については現状を維持するということで考えていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 2つ質問が出ましたけれども、今すぐお答えできないものもあるかもしれませんけれども、事務局、準備ができましたらコメントをお願いしたいと思います。

佐藤高齢者支援課長 まず、1点目の介護給付費通知の取り組みが実際に行動変容にどれだけつながっているのかということにつきましては、そういったデータがあるかないか含めて、申しわけありませんが、手元にないので、させていただきたいと思います。

 右のようなモデル様式、またはそれ以外の形で、福祉用具についてこれぐらいの現状になっているという事実がございます。

 2点目につきましては、参考資料2の16ページでございますけれども、現在、住宅改修につきましては、事前と事後両方に保険者に連絡いただくということを原則としておりますので、基本的に、事前申請の段階でという理解で提示をさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 伊藤委員、いかがですか。

○伊藤委員 事後申請は今後は認めないという意味なのでしょうか。

佐藤高齢者支援課長 要は、これらの事前申請及び事後申請、一連の手続として住宅改修を行う場合には必要という形で、今、運用させていただいておりますので、事前申請をすれば事後申請はしなくていいですとか、あるいは、事前申請をしなくても事後申請だけでいいという形ではないので、いずれにしても事前申請の段階で見積書をとるというのが手続としてはあるという理解でございます。

遠藤部会長 伊藤委員、いいですか。

○伊藤委員 はい。

○遠藤部会長 お待たせしました。東委員、どうぞ。

○東委員 ありがとうございます。

 介護保険制度というのは自立支援をモットーとしておりますし、一方、国は今、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが出来るよう地域包括ケアシステムを進めようとしているわけです。そのことを踏まえますと、資料2(福祉用具・住宅改修)の論点の共通事項にあります福祉用具、住宅改修について利用者負担を増やすということは、自立支援や地域包括ケアシステムの考え方に逆行すると思いますので、反対をいたします。

 それから提案でございますが、老人保健施設の場合、入所者が在宅に帰られる場合に、住宅改修や福祉用具の活用を検討しますが、退所前カンファレンスにおいて、住宅改修にしても、福祉用具にしても、必ずPTOT等のリハビリ専門職がかかわった上で決めるというのが常識でございます。ところが、資料2(福祉用具・住宅改修)の住宅改修の論点には、OTPTの関与ということが入っておりますが、福祉用具にはリハビリ専門職の関与に関する記載がありません。先ほど栃本委員が福祉用具・住宅改修もリハビリの一環だと言われたのは私も賛成でございます。そういう意味では、今すぐとは言いませんが、福祉用具・住宅改修に関しては、PTOT等のリハビリ専門職が必ず何らかの形でかかわるということを将来的には担保すべきだと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 それでは、武久委員、陶山委員の順番でお願いします。

○武久委員 この論点はいずれも適切と思います。まず、ちまたに言われておりました、福祉用具が要介護2は外れるのではないかというのを側聞しておりましたけれども、これが論点に入っていないというのが一番の評価かなと思いますけれども、骨太とか基本方針を財務省を中心に言ってきても、要介護3とか要介護2とかでばさっとディスカウントするというのは余りに芸がないと思っておりましたけれども、厚労省の幹部の方は賢明な判断をよくしていただいたと思います。

 というのは、EBMが要るのです。福祉用具を要介護から外したらどうなるかということの検討がないままにざばっというわけにはいかないでしょう。福祉用具の一番簡単なのはつえですね。つえは何のためにあるか。これは転ばぬ先のつえですね。転ばないようにつえがあるのですよ。それから、歩行器は、つえで歩行するのは危ないけれども、歩行器に乗ってあるけばかなり歩けて、筋肉がついて、歩行能力が高くなる。ベッドも車椅子もそうですね。それを、要介護2を外した場合に一体どうなるかというスペキュレーションを全く持たないままに、あのように言うのだから、要介護2を外してしまったらこれだけお金が浮いてくるから楽になるなという単純な考えにはいってくれていないので、非常に評価しているということです。ただし、次の次のにまた出てくるかもわかりませんけれども、それは別として、そういう意味ではITとか福祉用具、ロボットですね。どんどん開発されていきますね。基本的に、ロボットとか、こういうIT機器をたくさん購入したところは評価するというところが一部出ておりましたけれども、この評価を、どんどん日本の得意分野ですから、やっていただきたいし、そのことによって要介護度がよくなるというなら非常にありがたいことです。

 何しろ、先ほどもリハビリ担当にさせるということももちろん重要ですけれども、ケアマネというのは介護保険のコーディネーターなのです。だから、いろんなことを薄く広く知っていないと、福祉用具のことは全く知らないとか、住宅改修は知らないと言っても、何回か経験して、同じようなことをして、勉強をすれば、大体こんなのではないかというメルクマールはつくわけですね。ケアマネジャーは細切れになってしまっているのですけれども、居宅のケアマネジャーで親しくなった場合には、小規模に行こうが、施設に行こうが、ケアマネを外れているのに、利用者及び家族からケアマネにしょっちゅう相談の電話がかかってくると、これが本物のケアマネジャーだと思うのです。そういう、主事ケアマネジャー的なケアマネジャーにならないと、この介護保険とはうまく回らないと思うのです。馬袋さんなどはケアマネジャーにそこまで言うのは気の毒だと非常に温情ある発言でございましたけれども、そこまでやらないと。医療のこともある程度知らないと、薬のこともある程度知らないと、コーディネーターはできませんね。そうなると、居宅のケアマネジャーはめちゃくちゃ忙しいけれども、評価されてしかるべきかなと私は思うのです。そういう意味では、福祉用具がどれだけ役に立っているかということは、今後、どんどん役に立ってきて、例えば介護の人が患者さん4人に1人とか、6人に1人とか言っているのに、そういうデバイスがどんどん入ってきたら、その人は減らしてもいいとか、そんなふうにも将来なっていかないと、職員の数がどんどん若い人が減ってきますので、そういう意味での期待もありますので、福祉用具等については重要だと思います。

 また、住宅改修は非常に大切です。トイレまで行くアクセスとか、動く距離の問題とか、できるだけ家でおられるようにするということが非常に重要ですので、きょうの後半の2つのことについては、私は重要視しておりますので、皆さんもぜひよろしくお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 陶山委員、お願いします。

○陶山委員 ほとんど出尽くしていますが、福祉用具の論点1のところですが、福祉用具の価格を全国レベルでホームページにおいて公表するという仕組みは大賛成であります。ただし、ケアマネや専門職の方だけが見てわかるようなことではなくて、一般の方々が利用者も含めて非常にわかりやすい、そのようなホームページにしていただきたいと思います。

 そうなれば、先ほどいろんな提案がございましたけれども、外れ値のような価格は淘汰されていくのではないかと思います。

 それから、疑問が1つありまして、21ページの軽度者に対する財政審の資料なのですが、真ん中の福祉用具に係る1カ月当たりの貸与額の地域差で、新潟県が全ての要支援から要介護5まで、最低値を出しています。もしかしたら、これは何か特別なことをやられているのか、もしくはすばらしい何かがあるのか。財政的にももしかしたら軽減できるようなものであるかもしれませんので、多分、財政審に出した資料なので、厚生労働省としては調べられているかどうかわかりませんが、ぜひ分析をしていただいて、例えば要支援1でも2,783円が4,833円と、半分もいきませんけれども、非常に軽減できるという感じがいたしますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 厚労省の資料のような、出典にはそのように書いてあるようなので、もし、いずれおわかりになれば、今でなくて結構ですので、コメントがあればお聞きしたいと思います。出所は厚生労働省という形になっておりますので、そうですね。

 何かあれば。

○佐藤高齢者支援課長 今、御指摘の点については、なかなか分析ができておりません。県庁のほうに確認してみたのですけれども、県のほうでは当然、もともと周りと比較するという発想がないのが一般的でございますので、今後、いただいた御指摘を生かしてまいりたいと思っております。

○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。

 花俣委員、どうぞ。

○花俣委員 もう議論が出尽くしたと思いますし、おおむね各委員の皆様方との御意見と事務局の御提案には異論がないところです。

 論点の、住宅改修の2つ目の、建築の専門職やPTOTその他という専門職の方が、住宅改修の時点で絡んでいただけるというのは利用者にとってもとても安心なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、共通事項のところで、利用者の負担のあり方等については、現行どおりの保険給付の継続を求めたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木邦彦委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 きょうの議論を全体的に聞いておりますと、私も参加した一人ですが、厚労省の示した視点についてではなく、何となく財務省の資料をもとに議論が行われたような感じがしています。財務省の作成した資料に対して質問してもうちでつくったのではないからわからないと言うのなら、では、財務省の方を呼んできて直接答えてもらったらどうですかということにもなりかねないので、ぜひ厚労省の方々は、もっと現場については財務省の方より詳しいわけですから、もう少し現場に即した論点が出せないのかという気もしましたので、最後に少しお話しさせていただきました。よろしくお願いします。

○遠藤部会長 という御意見もありますので、御検討いただければと思います。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 ありがとうございました。皆様の御協力のおかげで、予定していた時間に若干余裕があるという珍しい状況でございます。

 それでは、本日はここまでにしたいと思います。

 次回の日程につきまして、事務局から連絡をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 次回の日程でございます。次回の本部会は1019日水曜日、来週の水曜日14時から17時で、ベルサール半蔵門で開催いたします。

 以上でございます。

○遠藤部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了したいと思います。どうも御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

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