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2016年11月24日 第2回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 議事録

○議事

 

 

 

 

 

 

 

             平成28年度第2回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会

 

 

 

                                           日時   平成28年11月24日 ( )

                                                 15:00~17:00

                                           場所 厚生労働省 省議室

 


 

○桑原臨床研修指導官 若干定刻より早いですが、ただいまから、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。本日は先生方には御多忙の所、また足下の悪い中御出席を賜り、誠にありがとうございます。

 本日、河野委員から御欠席との連絡を頂いております。また山下委員からは所用により、若干遅れての御出席との連絡を頂いております。

 また本日は議題 1 、医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告を御報告いただくため、同ワーキンググループの座長で、聖路加国際病院院長の福井次矢先生に参考人としてお越しいただいております。文部科学省医学教育課からは、佐々木企画官にオブザーバーとしてお越しいただいております。以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。また、撮影はここまでとさせていただきます。桐野先生よろしくお願いいたします。

○桐野部会長 よろしくお願いいたします。まず、資料の確認をお願いいたします。

○桑原臨床研修指導官 資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、委員名簿に続きまして、右上に資料 1-1 「到達目標に関する資料」、資料 1-2 A3 を三つ折りにしておりますが、こちらも到達目標に関する資料です。その次、表紙に棒グラフが並んでおりますが、「臨床研修病院群」についての資料 2 です。 3 つ目のテーマが資料 3 の枝番が付いておりますが、臨床研修の「修了者アンケート調査の結果」が、資料 3-1 3-2 3-3 3-4 です。参考資料 1 はワーキンググループの既存の資料です。後ほど使うかもしれない参考資料が参考資料 2-1 と、参考資料 2-2 がありまして、福井先生から御報告いただきます到達目標の関連で、文部科学省の医学教育モデル・コア・カリキュラムとの関係を参考資料に付けておりますので、こちらも御参照いただくことになるかと思います。あと参考資料 3 は先日公表しましたマッチング結果です。不足資料等がありましたら事務局にお申しつけください。部会長、引き続きよろしくお願いいたします。

○桐野部会長 議事に入ります。本日の議題は 3 つありまして、第 1 番目は、医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告を頂く。 2 番目は、臨床研修病院群の構成等について。 3 番目は、平成 28 3 月臨床研修修了者アンケート結果についてです。それでは、医師臨床研修制度の到達目標、評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告について、福井先生からよろしくお願いいたします。

○福井参考人 資料 1-1 、これは 9 7 日に開催されました第 11 回医師臨床研修制度の到達目標、評価の在り方に関するワーキンググループに提出しました資料です。このワーキンググループでも幾つかの御意見を頂きましたし、その後、原案作成の研究班でも更に幾つか意見が出ており、何箇所か今後も変更になる可能性はありますけれども、かなりファイナルに近いものになってきております。まず、この資料 1-1 の内容について説明させていただきます。省令の下に、1臨床研修の到達目標、医師は病める人の尊厳と公衆衛生に関わる職業の重大性を深く認識し、望ましい医師としての基本的な価値観と必要な資質・能力を身につけなくてはならない。医師としての基盤を作る臨床研修においては、医師としての基本的な価値観を内面化し、一般診療に対応する横断的な資質・能力を修得するものとする。

 「医師としての基本的価値観」には 5 項目あります。第 1. 社会的使命と公正性。医師としての社会的使命を自覚し、社会のニーズとその変化に目を向け、信頼に値する誠実さや公正性を示す。 2. 公衆衛生の向上への寄与。人の集団や地域を対象に、健康や疾病予防の課題に取り組む。 3. 人関性の尊重。患者と家族に誠実に向き合い、個々人の有する知識や感情、意向、また社会的・文化的な背景に配慮し、信頼関係を醸成する。 4 、チームの成果を重視。組織やチームの一員として共働して、医療の質の向上や患者安全に貢献する。 5 、自らを高める姿勢。自身の心身の状況と周囲の状況に適切に対応し、生涯にわたり、自らを振り返り、向上を図る。

 「資質・能力」は 9 項目あります。 1. 医療における倫理性。医療医学研究、医学教育に関連する倫理的な問題を認識し対応する。丸で囲った番号の項目については省略させていただきます。 2. 医学知識と問題対応能力。発展し続ける医学の中で必要な知識を身に付け、根拠に基づいた医療 (EBM) を基盤に、経験も踏まえながら、幅広い症候・病態・疾患に対応する。 3. 診療技術と患者ケア。臨床技能を磨くとともに、それらを用いて患者の苦痛や不安感に配慮しながら、診療を実践する。 4. コミュニケーション能力。患者の心理・社会的背景を踏まえながら、患者およびその家族や医療従事者間と良好な関係性を築く。 5. チーム医療の実践。医療従事者を始め、患者に関わる全ての人々の役割を理解し、連携する。 6. 医療の質と安全の管理。患者及び医療従事者にとって良質かつ安全な医療を提供する。 7. 社会における医療の実践。医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会と国際社会に貢献する。 8. 科学的探求力。医学と医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学医療の発展に寄与する。 9. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢。医療の質の向上のために絶えず省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。

 研修の方略以下につきましては、まだ原案が固まっておりません。ただいまお読みしました医師としての基本的価値観 5 項目と資質・能力 9 項目に関して、卒前教育のモデル・コア・カリキュラムの改定も並行して行われております。参考資料 2-2 を御覧ください。 11 16 日の会議で提出されましたモデル・コア・カリキュラムの案です。ただいまお読みした資質・能力の 1 番目だけが異なっておりまして、 2 番目以下、資料をめくった裏側に 9 項目目がありますが、 2 番目から 9 番目についてはほぼ同じものとするように擦り合わせを行っているところです。ただ、一番目だけが異なっていて、参考資料 2-1 を御覧いただきたいと思います、ここに現在資料 1-1 でお読みしました医師としての基本的価値観 5 項目と、資質・能力の 1 に相当する医療における倫理性の所をほぼ包含する形で、モデル・コア・カリキュラムのほうでプロフェッショナリズムという項目にしております。ワーキンググループでもいろいろディスカッションをしていただいておりまして、私たち、原案を出したグループの考え方としましては、プロフェッショナリズムという言葉の定義が学問的にも一般的にも確定していないということを踏まえ、 9 7 日に開かれました第 11 回のワーキンググループまでは、あえて片仮名のプロフェッショナリズムという言葉を一切出さず、内容を個別に表記するという方針でやってまいりました。ただ、ワーキンググループでもプロフェッショナリズムという言葉を出したほうがいいのではないかという御意見もありますし、もう 1 回案をもんでいるところです。もし出すとしたらどういう形で出すのか。そして基本的価値観の 5 項目の所、この項目だけでそのままプロフェッショナリズムとできるのか、資質・能力の所の倫理性の所は、モデル・コア・カリキュラムではプロフェッショナリズムに包含しておりますけれども、この部分をどうするのかということも含め、主としてプロフェッショナリズムという言葉を出すか出さないか、出すとなったらどのような形にするのかも最終的に決めていく必要があると思っております。そしてこの資質・能力の部分については、現在卒前教育のモデル・コア・カリキュラムと、卒後臨床研修制度の到達目標との擦り合わせをかなり密接に行ってきておりますが、将来、できることなら専門医のカリキュラム、そして日本医師会が作られている生涯教育のカリキュラムとも整合性が取れるように、話し合いを今後とも続けていきたいと思っております。

 もう 1 点、今回の到達目標の見直しで、大きな特徴があります。資料 1-2 を御覧ください。現在の到達目標の経験目標の所に、疾病や症状、症候などが列挙されております。今回の見直しに当たり多くの委員の賛同が得られておりますのが、「症候」を今まで以上に、メインとした形にしたいということであります。イメージとして、一番上の列に、 1 から 35 まで「症候」が挙げられておりまして、それぞれの症候について下に向かっていろいろな病気が挙げられています。 11 番のめまいについて、病気の可能性として、鉄欠乏性貧血から始まって、△で印されているのがたくさん下に付いております。したがって最初の 2 年間の臨床研修では、どちらかというと一つ一つの病気を詳しく勉強してもらうというよりも、患者さんの呈する様々な症候から鑑別診断を主として、疾患についてはあるレベルに留めてもいいのではないかと考えています。このようなイメージでもって、それぞれの症候についてどれぐらいの種類の病気を勉強できるのか、などを含めてディスカッションを続けていきたいと思っております。以上です。

○桐野部会長 どうもありがとうございました。議題の 1 番、医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループからの中間報告に関して、御意見や御質問があればお願いいたします。

○山下委員 途中ですみません、遅参いたしました。入って来たときに、福井先生がプロフェッショナリズムについてディスカッションしておられて、非常にインプレッシブだったのですが、 2 つ質問と、それからお願い込みですけれども。今、現場で臨床研修医を教育しているときに、一番欠けているのがプロフェッショナリズムなのです。要するに免許を持っているにもかかわらず、君たちは本当に医者としての腹の座り方はどうなのですかと。それをどのようにして教育するかというのは、なかなか非常に難しいと思うのです。これをカリキュラムの上に乗っけるのは難しいですし、昔は制度の中で、お師匠さんがいて、大学の医局とかで、揉まれて育ってプロフェッショナリズムをたたき込まれるということをやっていたわけで、制度の中にどのように入れていくかというのは非常にそれぞれで考えなければいけないことだと思いますけれども、是非その辺に関して、プロフェッショナリズムを教えるというのは、医師としてプロフェッショナルになってくださいと言われても、そんなものは分かっていますと言われるので、現場で毎日のパフォーマンスでたたき込んでいくしかないと思いますので、その辺ちょっと御検討いただきたいということ。

 それから 1-2 で非常に分かりやすい表を出していただいたわけですが、もちろんこれはモデル・コア・カリキュラムとか国家試験とかそういうレベルでもう十分にこの辺は勉強しているわけで、改めてこういうのは新しく学ぶわけではないので、初期臨床研修をどのように、次に前と今モデル・コア・カリキュラムを十分な検討をするということがあります。あと専門医研修も始まります。どのように位置付けるのかということに関しての根本的な方針というか、戦略について教えていただければと思います。

○福井参考人 プロフェッショナリズムにつきましては、そもそも何を教えるかということが分かっていないと駄目だと思います。文章として明示することが第一段階で、指導者も、それをこれから身に付けていこうとする研修医も共通の認識をもつ必要があると思います。第二に、最も有効な教育方法であるオンザジョブトレーニングで、指導医がプロフェッショナリズムを実践することが教育上は非常に重要です。

 第三に、プロフェッショナリズムにもとるような態度、行動が研修医に認められたときには、その芽が小さい時点で確実にフィードバックをして、そのようなを変えるよう伝える必要があります。医学教育学的には、教え方も提唱されていますので、必要であればそのようなことも含めてガイダンス的なものも将来的には作れるのではないかと思います。

 それから症候につきましては、卒前教育で十分できるのではないか、又は専門医教育などとの関連でとおっしゃったように思いますが、卒前教育でも確かに教科書的にはこのようなマトリックス的なものも含めて知識としては頭に入れることはできるかもしれません。しかし、実際に患者さんを自分で責任を持って診るという場面を経験することは現在の卒前教育では十分行われているわけではないと思いますので、症候からのアプローチも十分やる価値があるのではないかと思います。

○山下委員 先生、是非、卒前の教育に関しては岡村先生も確かこの検討委員会に入っておられたと思いますので、是非、今はものすごく進化していまして、チーム医療で診療参加型実習をやって、今、先生がおっしゃったような講義を受けてとか、クルズスを受けてというのではなくて、実際の患者で学ぶということをやっていますので、ある程度やっているのだという前提の下にお考えいただきたいのです。奈良先生がやっておられる国際認証というのは、正にそれをやると、現場で教えるのだと、それをちゃんとやってくださいといって、全ての医科大学で国際認証を受けるということをやっているわけですから、是非その辺のところも含め込んだ形で御検討いただければと思います。

○福井参考人 そのことにつきましても、ワーキングで何度か話題になりました。委員の中に、文章としてそういうことをやろうということは十分書かれるようになってきたのですが、現場で、全ての大学で十分行われているかどうかというと、まだそれは難しいのではないかとの意見を述べられる委員もおられ、現在の状況になっているということです。

○桐野部会長 ほかにいかがでしょうか。

○岡村委員 今の山下先生と福井先生の会話を聞いていて思うのですが、参考資料 2-2 の医師として求められる基本的な資質・能力という所に、プロフェッショナリズムからずっと 9 番の生涯にわたって共に学ぶ姿勢とありますが、先ほどからの例えば資料 1-2 の経験が求められる病態のように、要は資質・能力の中で医学知識と問題対応能力とか、診療技能と患者ケアという所に何となく重点が置かれていて、それ以外の先ほどから問題になっているプロフェッショナリズムとかコミュニケーション能力とか、チーム医療の実践とか、科学的探求こういったところを評価する何か項目があまりないように思いますがいかがでしょうか。

○福井参考人 資質・能力の 1 から 9 の各項目についてはこれから作るところでして、それが EPA という形になるのか、従来のような形を踏襲するのかなど、まだ具体的な文章をお見せできませんけれども、資質・能力のそれぞれの項目につきましては、これから深掘りした項目を作っていきます。現在、先ほどお話した資料 1-2 についてはあくまでも資質・能力の 2 3 に関わる症候を全面に出したもので、そのほかの項目につきましてはまだ案をお出しできる状況ではありません。説明が不足でした。

○桐野部会長 これは中間報告ですので、今後の予定を委員の先生方は御存じかもしれないけれど、概略を少し教えていただけますか。

○福井参考人 今年度中には目標を確定したいと思っています。来年度に入って更に細かいところを作り上げるというスケジュールと聞いております。

○桐野部会長 そのほか。

○神野委員 卒前のモデル・コア・カリキュラムは医学教育に係る審議会で検討されていると思いますけれども、今回、モデル・コア・カリキュラムで一番のプロフェッショナリズムが取る方によっていろいろな解釈ができるものを、より因数分解して、細かく分けていただいたことは、私はとても評価というか、分かりやすくなってよかったなと思います。恐らくプロフェッショナリズムだけでいくとこれだけの因数分解はできなくて、いろいろな教える側の価値観で医師のプロフェッショナリズムというものを教えていると思いますので、私はこの因数分解したことに対して非常に評価するということだけ言わせていただきたいと思います。

○桐野部会長 そのほかは御意見や御質問はありますか。以前からときどきこの問題についてはこの部会でも議論されていたと思うのですが、学部教育もいろいろと変化しつつあるし、一方で、疾病構造も変わっているし、いろいろなものが変わっているので、お互いに連携を取って平仄を合わせながら作っていこうということが基本的な趣旨だったように思います。概略このように進んでいくと思いますけれども、部会としてそれでよしということでしょうか。プロフェッショナリズムという言葉について、ちょっと若干の意見の違いがあるように伺っておりましたけれども、これについては幾つか御意見があれば伺っておけばいいかなと思います。モデル・コア・カリキュラムは用語としてのプロフェッショナリズムというものがこういう文章に使いますから、ほとんど自明の用語であるという前提かと思います。福井先生の委員会ではまだちょっとそこまで熟してないのではないかという御意見があったのだろうと私は思います。

○佐々木文科学省医学教育課企画官 文部科学省の佐々木です。すみません、オブザーバーですけれども、補足説明いたします。先ほど来ありましたように、プロフェッショナリズムをどう解釈するのか、先ほど神野委員の表現で因数分解という非常によい用語がありましたので、それを使わせていただきます。モデル・コア・カリキュラムの検討の中でもやはりプロフェッショナリズムを学生の教育の中で何を教えどう評価するのかというのが、参考資料 2-2 1 ページのままだと不十分ではないかというのがありました。それを踏まえて、何を工夫したかと申しますと、同じく参考資料 2-2 3 ページを御覧ください。従前のモデル・コア・カリキュラムですと、資質・能力に相当するものは正にこの 1 枚ペラだけだったものを、 3 ページにありますとおり、従前の基本事項としていたものを題を換えまして、資質・能力をここでは何を求めているのか、卒前教育では何を求めているのかという形にしようとなりまして、そこで卒前教育では、プロフェッショナリズムは A-1-1)2 の倫理と生命倫理。 A-1-2) 患者中心の視点。 A-1-3) 医師としての責務と裁量権に因数分解して、その上で福井先生方が検討されているワーキンググループとの整合性を図ろうという検討経過、経緯があったことを御紹介いたします。

桐野部会長 恐らく、学部教育と卒後の初期臨床研修との間が連続性を持って行われるということは、比較的似たような項目を掲げながらそれが螺旋状に上がっていくように上昇していくというそういう基本的考え方だろうと思います。したがって同じことが 2 度あるいは 3 度出てくるということもあるし、当然臨床医である以上は、ある徴候を何度も経験するということはあるわけですので、そういうお考えかなと聞いてて伺ったのですが。

○山下委員 今の桐野先生のお話で非常にクリアになって、大賛成でありますけれども、要するにカリキュラムというのは、それは出てきたからそれで全部できるわけではもちろんなくて、それを何度も何度もいろいろな形を変えて出てくるから身についていくものだと思います。ただ、 1 つ御検討いただきたいのは、ここの参考資料 2-2 とか、モデル・コア・カリキュラムに書いてあるプロフェッショナリズムというのはずうっと前から書いてあるのです。問題なのは、なんでそれなのに今突然出てきた言葉ではないのです。それがうまくいかなかったのはなんですかという、そこを神野先生は因数分解して、検証しろというように私は理解しました。要するに、きちんとしたことを教えている、こっちはつもりだけれど、学生には伝わっていなかったということです、はっきり言うと。だから医師需給分科会でもまとめの中に 1 つ書いてありますけれども、フリーランスの医者がたくさん出てきたと。これは医者としての現場、できれば地域医療に行って、一生懸命患者の求めに応じてくださいと、そういう医者をたくさんつくりたいと、それがプロフェッショナリズムでしょうと書いてあるわけですから、それがどうしてできなかったのかという検証をしないと、結局、文言をいくら換えても全然駄目なのです。システムとしてどういう場でどのようにして教育をしていくか、はっきり言うとプロフェッショナリズムというのは一生かかると思います。けれども何でもそうですけれども、最初が肝腎なので、今の制度で言うと免許をもらった最初の 1 2 年というのは後になって 1 2 年と違うぐらいものすごい大事な 1 2 年だという発想でもう一度考え直してくださいと。そのためには何が欠けていたのかというのが神野先生がおっしゃった因数分解という考え方ではないかなと私は思いますので、是非そういう観点、福井先生の委員会でも、何が欠けていたから、これはできているのだではなくて、やるためにはこうすればいいということではなくて、現状を是非把握して、問題点から課題を抽出していただければと思います。これはお願いです。

○中島委員 山下先生のお話は何を言われているのかよく分からないのですが、もっと分かりやすく話して下さい。プロフェッショナリズムは昔から言っているのにどうしてうまく教育できないのか、それは教育者がだらしないからですよ。

○山下委員 その教育者がどういう教育をすればいいかということを今議論しているわけですよね。だけれども、少なくとも前と。

○中島委員 もちろんカリキュラムも一緒でしょう。

○山下委員 カリキュラムの中に入れるのはいいのです。カリキュラムを悪いと言っているわけではなくて、だけれども、少なくとも初期臨床研修を通り過ぎたときから日本の医療の在り方というのは相当変わってきたことは確かですから。要するにプロフェッショナリズムを教えるということを換えてくださいと言っているわけではなくて、昔からあるはずなので、なぜ今問題になるのですかということを私はむしろ聞きたいわけです。

○中島委員 同じプロフェッショナリズムという言葉を使う必要は別にないでしょう。今のこちらの文章としては福井先生が出されたものでいいわけですよね。

○山下委員 いいです。

○中島委員 だから WG が何をしたらいいのかが分からなかったのです、先生に言われても。

○山下委員 分かりました、すみません。変わったから換えてくれと言っているのではなくて、これは昔からあるはずですと。みんなそれを教えていたはずでしょと、そういうことを言いたいわけです。だけれども、今の若い人たちがプロフェッショナリズムに燃えている人ばっかりかというとそうではないから、それをどうやって教育するかという問題点に関して是非検討して、できているというのだったらそこでもう検討は止まるはずですから。ここに書いてあることは、前とそんなに大きく変わったことが書いてあるわけではないと思います、ということを言いたかったのです。これでは駄目だから新しくしろと言っているのではなくて、むしろ、前からあるのだったら、なぜできなくなったのですかと、プロフェッショナリズムをあえて問題にしなければならないような状況があったのはなぜですかということを分析してくださいとお願いしたのです。

○福井参考人 コメントですけれども、プロフェッショナリズムという言葉自体の定義が学問的にも世界的に決まっているわけではないということも非常に大きな問題です。教える者にとっても学ぶ者にとっても、具体的に何を意味しているかというコンセンサスがなかったということが、山下先生がおっしゃった状況を作った最大の原因ではないかと思っています。

○桐野部会長 その他にいかがでしょうか。金丸先生どうぞ。

○金丸委員 今の議論の重なりで申し訳ありません。山下先生が言っている、具体的なプロフェッショナリズムが分かりにくかった、あるいは教えたつもりが教えていなかったかもしれない。伝えたつもりが伝わっていなかったかもしれない、というのがプロフェッショナリズムという言葉の 1 つの概念があった姿としてうまく教育ができなかったかもしれない。今回は、先ほどの因数分解で具体的に、細やかに出してみて、整合性を持ってできないかという 1 つの提案としてここに出てきているのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○桐野部会長 山下先生どうぞ。

○山下委員 全然それに反論するものではありません。私が言いたいのは、プロフェッショナリズムというのは皆さんちょっとずつ違うかもしれないけれども、医者としてのプロというのはどういうものだというイメージを持っているでしょう。それをディスカッションするのではなくて、中島先生にちょっと分かりにくいと言われたので、もう一回分かりやすく言います。

○中島委員 もういいですよ。

○山下委員 それが変わったのではなくて制度が変わったので、それを伝えにくくなっていますよと。そこをきちんとやってくださいということです。初期臨床研修というのが入ったときに、それが本当にうまく動くようにちゃんとなっていたのでしょうかということを、もう一度検証してくださいということです。良い悪いは別として御議論があるのは分かりますけれども、もう少しはっきり言うと、昔は医局に入って、そこで上の先生が付いて、こういうときにはこうするのだというのを、マン・ツー・マンでずうっと何年間も叩き込まれたわけです。

 そういう中でプロフェッショナリズム、桐野先生がおっしゃったように、何年もかかって、 1 回失敗しても「お前、駄目だってあの時に言っただろう」と、 2 回目言われる、 3 回目を言われる、そのうちに身に付いてくるということをやっていたのです。だけど、スーパーローテートでグルグル回るようなシステムの中で、どうやってプロフェッショナリズムを植え付けていくのですか、最初の 2 年間ですよ。一番大事な、鉄は熱いうちに打てという、そういうこととどうやって整合性を取るのですかという議論をしないと、プロフェッショナリズムが悪いとか、これが間違っていたということは一切ないのです。

 むしろ皆が持っているのです。少なくともここにいらっしゃる人たちはみんな分かっているのです。どうやって伝えていくかというのをやらないと、制度が変わったのだったら、それに合わせた考え方というか、伝え方をしないと、やはりローテートでグルグル回るというのはリスクがあるのです。いろいろな技術をちゃんと勉強できるという意味でのメリットはありますけれども。そういうことも、せっかくこういう議論になったのだったら考えていただきたいということです。

○桐野部会長 今の問題は、かなり大きな問題ではあります。ただ、グルグル回ったら駄目な医者しかできないというのは、本当かどうかはまだ分からないということだろうと思います。

○山下委員 だけど、工夫は必要です。

○桐野部会長 何か御意見はありますか。今後の福井先生の委員会でも議論の参考にしていただくために、今言えることであれば、なるべくお願いいたします。金丸先生どうぞ。

○金丸委員 私は、この議論に関しては相当発言させていただいた 1 人です。阿部先生がおっしゃっている、医師としての根幹の根っこの中の根っこ、そこをどうしたら具体的に伝えて、これが正に行動変容として染み込んでいくかというところが一番大事だったので、幹なら幹、根っこなら根っこを分かりやすく表現して、あとはできればという思いでこの文言は出来上がったということを補足しておきます。

○桐野部会長 これは確かに難しくて、例えば医学部の中に、私の家族は医師とは何の関係もなかったけれども、うちの家族が命を失いそうになったときに奮闘してくれたお医者さんの姿が忘れられなくて、それで医者になったというようなことがスタートになっている人とか、いろいろなタイプがあります。ですから、一言でどう教えるかと言われても、上の先生方の背中を見て教わるのだという考え方もあるし難しいです。ただ、きちっと教えるべきことは、文言にできるものはきちっと文言にしておきましょうという趣旨だろうと思うのです。

○岡村委員 福井先生のワーキングには今注文しておけばいいということですのでお願いです。現在の臨床研修制度が始まって、個々のモデル・コア・カリキュラムに代表されるいろいろな手技だとか、そういうことの平均点としては、研修制度が始まるときより良くなっているというのはいつも出てきます。一方で、前には今の臨床研修制度が個々のそういう技術だとか知識を高めることはできたというのは確かだと思うのです。

 一方で今問題にしているのは、そういう社会全体の中へどういう形で貢献するかといったことの教育が欠けているというか、足りないことを感じています。医師としてだけではなくて、例えば研究者になる人が少ないだとか、いろいろなことが問題になっている。その辺のことも含めて、できればワーキングのほうで、先ほどの症候・疾病の経験とか、それ以外のほうに今度は力を注いでいただきたいという気がしています。

○福井参考人 難しいですけれども、相談したいと思います。

○桐野部会長 清水先生どうぞ。

○清水委員 これもコメントだけなのですけれども、先ほどの、今まで医局考査制の中で、上級医の先生が背中で見せてきたことを、新しい制度の中でどのように制度的に担保しているのかというのが、プログラム責任者という立場だと思います。プログラム責任者がちゃんと機能しているかどうか、それは難しいかもしれませんけれども、制度上はそうであるということ。それから、そのために新しくプログラム責任者という仕組みを作ったわけです。プログラム責任者講習会でそういうことをちゃんとお伝えしているつもりですので、それだけコメントさせていただきます。

○桐野部会長 その他に何か御意見はありますか。よろしいですか。もしよろしければ、本日各委員から出された意見も参考にして、今後の最終報告に向けて是非よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 次に、資料 2 の臨床研修病院群の構成等についての説明を事務局からお願いします。

○桑原臨床研修指導官 次の議題は、臨床研修病院群の構成等についてです。こちらの議題については、今年の 8 月に臨床研修病院の新規指定を御議論いただく際に、新規を指定する際にその臨床研修病院群が果たしていいだろうかというチェックはできるのだけれども、既存の既に認められている臨床研修病院群というのが、果たして臨床研修の考え方、具体的にはできるだけその地域の連携に基づいた臨床研修病院群になっているべきである、ということに沿っているかどうかを、既存の研修病院群についてどうなっているかをしっかり見るべきではないか、見直していくべきではないかという御指摘がありましたので、事務局のほうで集計できる範囲でまとめたものが資料 2 です。

 表紙の棒グラフは、来年度から始まる臨床研修で、基幹型病院の数が上に「 n=1030 」とありますが、 1030 の基幹型病院があります。その 1030 が幾つの協力型病院と組んでいるかをそれぞれ分けたものです。左のほうからいくと、 0 1 5 まで、 6 10 まで、これぐらいまでの中が圧倒的に多い。ですから、 10 以下の協力型病院と組んでいる基幹型病院が圧倒的です。これを 1030 の中で足すと、 8 割強がこの 10 以下です。 11 以上と組んでいる基幹型病院も、残りの 2 割弱あります。グラフが余り出ていないのですけれども、それこそ 70 80 の協力型病院を持っている基幹型病院もあります。

 具体的に言うと、 11 以上持っている基幹型病院が 179 あります。 2 ページで、協力型病院の数を、多いほうから基幹型病院を並べたものです。一番上に東北大学病院があります。列の説明をすると、東北大学病院は、協力型病院が 81 あります。その 81 の中で、東北大学がある宮城県内の協力型病院の数が 32 、宮城県以外の都道府県にある協力型病院の数が 49 、合わせて 81 という表です。並べ方は、協力型病院の数が多い順、協力型病院の数が同じであれば、かつ同一都道府県内にある協力型病院の数が少ない順に並んでおります。一つ一つは御説明できませんが、パッと見ていただくと、上のほうに大学病院の位置付けから考えても、大学病院がたくさん並んでいる。特に歴史ある大学病院の数が多いというものです。

 ずうっと見ていただきまして、大学病院以外で一番最初に出てくるのが、 18 番の三重県立志摩病院で、 44 の協力型病院を持っていて、三重県内が 25 、それ以外が 19 です。その下もずうっと大学が続いて、 41 番に三重県の三重中央医療センターで 30 あります。それから 44 番に三重県の桑名東医療センター、 45 番に三県の松阪総合病院。三重県の大学病院以外の臨床研修病院が出てくるのですけれども、三重県は非常に特徴的な臨床研修病院群を組んでいます。県内の大学病院以外の市中病院がみんな一緒に参加して、たくさんある研修病院の中から、なるべく幅広い選択肢ができるようにという組み方をしているようです。恐らくそれの影響で、大学病院以外の臨床研修病院がたくさん組んでいるという結果が出ているのではないかと思います。 40 番、 50 番辺りから大学病院以外の臨床研修病院が出てきて、 3 ページ、 4 ページとあります。

 前回御指摘を頂いた中で、臨床研修病院群が、果たしてしっかり地域の医療機関同士の連携をベースにした研修病院かどうか、あるいは研修医の数に見合った研修病院群になっているかどうかという観点からのチェックが必要だという御指摘を頂きました。いわゆる事務局の手元にある資料で分析できるということで申しますと、このぐらいかというものです。これを見ても何ともという感じはあるかと思いますが、御報告できる内容として御紹介いたしました。以上です。

○桐野部会長 この件について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。小川先生どうぞ。

○小川委員 協力病院の数だけを分析しても、中身が出てこないということは、これで明確になったと思います。今は三重県のことが話題になりましたけれども、いろいろな所でどういうシステムでやっているかということを、もうちょっときちっとした形で分析をしないと、この数だけでは出てこない。今までいろいろ問題になってきたのは、例えば徳洲会病院等々だったのですけれども、その他に問題になっている病院もあります。そういうのは協力型病院とどういう連携を組んでいるかということを分析しないと、きちんとした形で数では出てこないということが明確になったのだと思います。

○桐野部会長 具体的には、上のほうにある大きな大学病院はやむを得ないかなという感じがするのです。どういうことを調べることが、小川先生が言われたような問題意識を少し明瞭にすることになるというのはどうなのですか。

○小川委員 例えば岩手県でも、イハ東部臨床研修病院群ということで、ほとんど岩手県内の臨床研修をやるような病院は全部連携を取ってやっています。そういう所はそういう所でいいと思うのです。結局その連携の中身です。どういう連携をしているのか。東北大学、岡山大学を見ても、いかがなものかという所は多少あります。 80 も病院がある中で、臨床研修医が来て、 80 の病院を全て回れるかといったらそれはできないわけです。どういうプログラムの下で 80 が必要なのだという、その理由が必要なのではないかと思うのです。

○桐野部会長 羽鳥先生どうぞ。

○羽鳥委員 私も問題提起した 1 人だったと思うのです。 2 ページで徳洲会は別にして、三重県が 10 何個も出てくること自体が、統計の作り方としておかしいのではないかという問題意識を役人は持っていただきたいと思います。もしやるのだとしたら、一人一人の人間がどういう動き方をして、臨床研修を終えたのか。東北大学の 81 個のうち 10 とか 15 か所を回ったというのだったら、その 2 年間に、例えば 1 か月、 2 か月、あるいは 1 日で回ったとか、そういう具体的な数字を示してもらわないと、これでは駄目なのではないですか。何か公平なデータの取り方ができていないのではないかと思いますので、もう少し指標をしっかり作って、統計を取り直すことが必要なのではないかと思いました。

○桐野部会長 どういうことをチェックすれば、より良い基幹病院と連携病院の関係が樹立して、指導体制が良くなるかということを考えていますか。山下先生どうぞ。

○山下委員 具体的には、これを作ったときに小川彰先生がおっしゃったのですけれども、患者のやり取りをする範囲の中で病院群を原則として作ってくださいということがコンセプトにあったはずなのです。ですから、沖縄の病院が北海道の病院を関連病院にしていても、やり取りをすることを実際問題としては担保できないでしょうと。たまにはいるかもしれませんけれども、要するに患者のやり取りで送る側と受け取る側の両方を経験するようにして、幅広い診療能力を上げてください、というのがコンセプトだったはずなのです。それをチェックしていただければと思うのです。

 実名を言って恐縮なのですけれども、 165 番に鹿児島県の大隅鹿屋病院というのがあります。これは県内に 1 つだけなのです。他の 10 の連携病院は全部県外なのです。私は鹿児島県出身だから分かっていますけれども、大隅半島のど真ん中にあります。そうすると、県外というと宮崎と熊本は相当つらいと思うのです。相当遠いはずなのです。都城に行こうと思えば行けないことはないのですけれども、患者が頻繁に行き来している範囲に本当にあるのですかという話なのです。

 それから市立大村病院は、県内が 4 20 。これは大村市というのが更に近いので、佐賀県の病院と、二次医療圏として重なっている可能性があると思います。ですから、具体的に患者がどう動いているかということ。患者統計を取るのは大変ですけれども、病院に聞いてみれば分かるわけですから、そこをチェックしていただければと思います。要するに患者のやり取りがあるような所で病院群を形成すれば、こっちへ行ったときと、こっちへ行ったときで、多面的に立体的に研修ができるのではないですか、というのが基本的なコンセプトだったと思いますので、是非。桐野部会長からの御質問で言うと、そういうことを我々は知りたいということです。

○桐野部会長 岡村先生どうぞ。

○岡村委員 山下先生は患者の移動のことを言われましたけれども、もう 1 つは研修医の移動。都会の病院にあって、そういう地域医療が僻地医療とか、その辺のことができないから、他府県のそういう所を選ぶというのはあります。

○山下委員 あります。必ずしも同じ県でなくてもいいですと言ったのは、できる同じ医療圏だと、もちろん研修医が移動するのですけれども、極端な話をすると、沖縄の病院と北海道の病院で研修医が動いたとしても、そこで一体どういうことを勉強するのか。もちろん、こういう症例で、こういうことを学んでくださいという到達目標は全部クリアしていると思います。それに関して私は疑義は挟みません。

 そのときの議論として言うのは、患者をやり取りしている所、例えば送り出す側と受け取る側で、あの患者はどうなったのかがきちんと分かるような、できれば同じ医療圏のほうがいいですよというのがどこかに書いてあるはずなのです。それをやってほしいということです。

○岡村委員 基幹型病院の条件のときには、研修医が 2 年の間に何箇月というのが条件になりますけれども、基幹型ではない病院で、こういう病院群に入っていて、実質が余りないという、その辺の調査はあるのですか。結局この協力型病院の中に名前を連ねることで、私たちの病院は、臨床研修制度の一翼を担っていますという宣伝効果をねらっている。だから、実態がないものに関しては、それは何かしないといけないのではないかと思います。

○桐野部会長 今のはポイントですね。

○桑原臨床研修指導官 今の御指摘は、参加している協力型病院に研修医が実際にどれぐらい行っているのか、というデータがあるのかということだと思うのです。厚生労働省のほうで調べているデータは、基幹型病院に毎年何名採用されて、あるいは現実に何名いるかというデータはあるのですけれども、その採用された研修医が 2 年間のうち、どこの病院に何箇月行っているかという実績までは集めていません。

 ただ、この点については前回の臨床研修部会の報告書の中でも、そういう実績のない協力型病院がずうっと加わっていることについての問題点の指摘は既に頂いております。そういう点についての見直しが必要だということも報告書に記載はされております。前からの宿題になっている状況です。

○桐野部会長 これは、これまで山下先生がおっしゃったことなども、精神としては多分あると思うのです。ただ、そういうものを文言として、患者のやり取りがない所を入れてはならないというようなことを明瞭に明示しているわけではないので、現状でそういうことはノーチェックで、それぞれの基幹施設の判断に委ねているところがあります。だから、もしそこを各委員の先生方から言われたようなことまで含めて、基幹施設と連携施設の関係を見るとすれば、制度の変更というか改善というか、そういうことになるのだろうと思うのですが、これについてはいかがですか。

 ただ、一方で連携施設になっている所で、しばらくの間研修医が来なかったからといって、それで「お宅はなし」と簡単にしていいかどうかという問題もあるのです。だから、その辺のところはよく考えて、もしやるのであれば考えないといけないのですが、何か御意見はありますか。

 それが、具体的にそのチェックの結果良かったからどうするとか、悪かったからどうするということではなくて、実情だけを何か調べる方策があるかどうかということについて、事務局側で考えてみていただけますか。恐らく基幹施設と連携施設の関係は、初期臨床研修の内容を上げていくためには、ある程度どこかで考えないといけないことなのだろうと思います。難しい問題もあるので、余り闇雲にやるとまずいかもしれません。

○山下委員 先生がおっしゃったとおりなのです。今あるデータですぐに検証できないということは分かりました。要するに、このように連携病院を作ってくださいと言ったのは、地域の病院にも研修医を送ってくださいということが主だったのです、それは目的なのです。そうすると同じ医療圏の中で、送る側と送られる側というのが、地域医療と言っても若い人たちが後で出てくるかもしれませんけれども不安定な、自分がどうやってサポートされているかというのはいつも若い人は考えているのです。地域の病院に行ってもいいと。だけど、それは年限を区切ってくれということと、地域の病院でも勉強できるような体制を作ってくれと言っているわけです。

 そのためには、どうやって連携しているか。循環型の教育ということもそうですけれども、医療のネットワークをどうやって実感させるかということがポイントなのですよというのが議論の最初だったと思うのです。要するに連携していて、正に桐野先生が今おっしゃったように、足りない所を補う。うちには何とか科がないからそれを入れて、これでいいでしょうという外形基準を満たすためにこのルールを使っているような所はないのですかということを、やはり進化していかなければいけないのではないでしょうかということを私は申し上げているのです。本当に必要なことやりたいことというのは、地域の医療をちゃんと経験させて、基幹型病院で高度な医療もやるけれども、それは地域から送られてきたこういう患者さんを、こうやって解決したのだよというのが基幹型です。

 地域の病院で連携している所に回って、協力型の病院に回ったときに何をして送ればいいのか、自分は何ができるかというのをちゃんと考えてくださいという、そういう連携の中で考えてくださいというのが味噌だったはずなのです。外形基準を満たすためにネットワークを作りましょうとは誰も言っていないわけですから、桐野先生がおっしゃったように、もし必要であれば文言を我々が誘導したい方向に検討していただくのは必要ではないかと思います。

○桐野部会長 協力型病院の数だけではなくて質の評価、余り立ち入って調べることは難しいかもしれないけれども、どういうことができるかということを考えていただくということは必要でしょう。もし良いやり方があれば、次の見直しのときから、協力型病院についてはこういうことの情報を出してくださいということを新たに含めることは可能ですよね。

○中島委員 よく分からないのですけれども、この協力型病院というのは、派遣された地域の医療を経験してもらうというのが、そもそもの基本だったというのは本当なのですか。

○山下委員 前の制度で言うと、そうではなかったです。だけれども平成 27 年からの改定に対して、医療の連携をしている二次医療圏で、できるだけ組んでくださいという議論があったときには、そういう観点からも。桐野先生がおっしゃったように、そういうのが文言には入っていませんけれども、医療連携の中で地域医療を考えてもらう、その 1 つのよすがにしてくださいという議論はあったと思います。それが改定の要点の中に入っていたと思います。そのためだけにとは言いませんけれども、基幹型が例えば CPC とかできないから、それをここに頼みますというのはオッケーなのですけれども、そういうことだけではなくて、できればそういうネットワークを作って、病院群をせっかく作るときにはという文言があったはずなので、そういう議論があったと私は記憶しています。

○桐野部会長 神野先生どうぞ。

○神野委員 平成 27 年度の見直しでで「望ましい」規定があったような気もします。あくまでも望ましいのではないかと思うのです。各研修病院の特徴を出すためにいろいろ組んでいるというのが実態だと思います。私の所も田舎ですけれども、東京の大学、 2 つの大学から研修医が地域医療枠で来ます。これは地域医療を経験させたいと。東京の大学にとってみれば、能登のど田舎へ行って地域医療をやりたい、 1 か月、 2 か月経験してきてもいいのではないのかというので、私たちはウエルカムで受け入れるということです。

 我々の病院の研修医は研修医で、コモンディディーズは幾らでも研修できますけれども、高度なことをやりたいという思いを持った研修医に対して、私たちは叶えてあげるために、医療圏では賄いきれない高度な医療を提供する協力型の病院を作るというのは、当然研修病院の戦略と言いますか考え方です。したがって、全てを医療圏内でやれとか、患者のやり取りの範囲だけでやれということに対しては、研修病院の事情に合った考え方というのは入れるべきなのかと思います。

○桐野部会長 桑原指導官どうぞ。

○桑原臨床研修指導官 制度上、この臨床研修病院群についてどのような規定になっているかということです。先ほどありましたように、平成 27 年度の見直しの際に、研修病院群の在り方はこうあるべきであるという報告書に基づいて、今の通知上は、臨床研修病院群について、地域医療のシステム化を図り、研修病院群における緊密な連携を保つため、研修病院群を構成する施設は、原則同一の二次医療圏内又は同一の都道府県内にあることを基本とする、ただし、その地域を越える場合の理由として、例えば僻地・離島など医師不足地域で地域医療研修を行う場合とか、あるいは県を越えていても生活圏が同じであるという場合とか、その他基幹型病院と、地域医療の上で連携が強くて、十分な指導体制のもとでいろいろなバリエーションの経験、能力形成が可能であり、一般的な疾病に対応できるような基本的な診療能力を身に付けることができる場合については例外ということで、原則は都道府県内であるけれども、それ以外にもこういう場合は、それを越える研修施設の組み方もできるという規定になっています。

○桐野部会長 それなりに明瞭になっている。分かりやすく言うと、この協力施設はどういう役割ですかと聞くことは十分できますよね。これは、すぐにここでこのようにやりますとは決められないので少し考えていただいて、そのうちに必ず議題にしていただきたいと思います。山下委員どうぞ。

○山下委員 私は、神野先生の考え方はすごく素晴らしいと思うのです。それは、もし必要であれば入れておけばいいわけです。考え方として、要するに意味が分かればいいという話なのです。なぜこことここがつながっているの、というのが分からないのはやめてちょうだいと言っているだけの話なのです。 1 つのよすがが地域で連携しているというのだったら、それは立体的にいろいろなことが経験できるでしょうなのですけれども、先生がおっしゃったことは非常に魅力的なプログラムだと思うのです。それは、ここでちゃんと勉強しておきなさいという、きちんとした到達目標があって送り出すのだと、これは素晴しい見識だと思いますので、それを入れればいいだけの話だと私は思います。

○桐野部会長 それでは、次の資料 3 「平成 28 3 月臨床研修修了者アンケート結果について」の説明をお願いいたします。

○櫻本医師臨床専門官 資料 3-1 3-4 は臨床研修修了者アンケートの評価結果の概要の中間報告となりますので、続けて御説明いたします。資料 3-1 から右下のページ番号に沿って御説明いたします。

2 ページは結果の概要で、 n=6034 で回収率 77.7 %です。男女差は男性が 65.4 %、女性が 31 %、研修を行った病院に関しては、大学病院が 40.8 %、臨床研修病院が 55.8 %です。

 右側は出身大学と臨床研修を行った主たる病院の所在地域として、左側に出身大学、右側に臨床研修の病院ということでブロック別に出しており、左と右に構成割合を出しております。右側の括弧で± 0 とか、 -1.2 となっているのが出身大学と臨床研修を行った病院の差です。例えば北海道は差が 0 %で、東北は -1.2 %となっており、全体の傾向としては東北と中国、四国、九州が減少傾向で、関東信越、東海北陸、近畿が上昇傾向となっています。

4 ページは出身者キャリアパスの関係です。こちらは表が細かくあり、上の段を見ますと、医学部、臨床研修、希望勤務地となっていて、それぞれ出身地、出身地以外となっております。出身地は高校卒業までに最も長く過ごした都道府県を指して、出身地以外はそれ以外の都道府県ということです。

 このデータは、上が絶対値で、下が割合です。下の段を見ますと、一番下の出身地以外で全て医学部、臨床研修、希望勤務地を過ごしている方が 39.2 %で、最も多くおります。一番上の全部出身地、例えば東京出身でしたら、医学部も臨床研修も希望勤務地も全て東京で行われるという方が 24.8 %となっており、次が医学部だけは出身地以外に行って、臨床研修で出身地に戻ってくるパターンが 17 %で、これは男性・女性で、傾向に特に差はありません。

5 ページです。先ほどのものが男女別で、こちらが年齢別です。こちらも合計の数字自体は一緒ですが、年代別を見ますと若干差があって、 20 代の方は出身地以外、出身地以外、出身地以外や、ずっと出身地でやるパターンが多いのですが、 30 歳、 40 歳になっていきますと、特に出身地以外でずっと過ごす方の割合が多くなったり、ずっと出身地よりも、医学部で出身地以外に行ってから臨床研修後に戻ってくるというパターンが若干多くなっているという傾向があります。 

6 ページは出身地と医学部所在地、又は出身地と臨床研修地が同じかどうかを見ている表です。 1/3 が出身地の医学部に進学、逆を言えば 2/3 は出身地以外の医学部に進学しております。そして 1/2 が出身地で臨床研修を受けているというデータです。

7 ページは、 1/2 が出身地での勤務を希望しており、半分の 1/2 が医学部所在地で臨床研修を受けているというデータです。

8 ページですが、半分が医学部所在地での勤務を希望しております。最後は一番数字が大きくなり、 3/4 が臨床研修地での勤務を希望しているということで、この中では臨床研修地が将来的な勤務の希望地と、最も関係があるということが、これで見て取れるかと思います。

9 10 ページは定例のもので、臨床研修前後での将来希望する診療科の変化を、研修前に希望している所と、研修後に希望している所を絶対値と構成比で示したものです。これを見ますと、研修の前後で希望する診療科の変化が見られ、増加傾向があるのが麻酔科、精神科、 11 ページを見ますと、ほかに皮膚科、眼科、泌尿器科、放射線科、形成外科が増加傾向です。逆に、研修前と研修後で減少傾向にある所を調べますと、主なものは内科、外科、小児科、産婦人科、脳神経外科なども若干減っている傾向があります。

12 ページは男女比を見ています。特に産婦人科、麻酔科、皮膚科は、既に研修前後とも 5 割を超えている状況です。それと同時に、例えば以前は一般的には少ないと言われていた外科も、既に研修後で女性の割合は 20 %を超えている状況です。

13 ページですが、これは先ほどの研修後に他科へ移行したか、あるいは他科から移行してきたか、あるいは研修前後で診療科に変科がなかったかをベン図で表したもので、 13 ページの内科系だけ説明しますと、真ん中の重なっている部分が前後で変化がなかった人たちで、左側が研修後に移行した方、右側が研修後に逆に他科から入ってきた人です。左のほうが多い内科に関しては、結果的には希望者が減っているということになります。これが 13 19 ページまでそれぞれの科の傾向を示しています。

20 ページ以降の非常に細かい数字が並んでいるものですが、こちらは臨床研修前後の希望診療科の組合せを網羅的に示したものの絶対値です。縦軸が研修前に希望していた科で、横軸が研修後に希望している診療科です。

 見方としては、例えば内科研修前に希望していて、研修後にも内科系を希望している方が 1,706 名、逆に研修前に内科系だったが、外科系を最終的に希望したのが 41 名といった見方をしていただければと思います。

 一番分かりやすいのは構成比等の割合で示しているものですが、 22 ページを見ますと、臨床研修前の当該診療科希望者を 100 %として割合を出したもので、例えば研修前が内科系で、研修後にも内科系になる方は、研修前の全体を 100 とした場合に 77.5 %が行くのですが、 1.9 %の方が外科系に行ったり、例えば多い所ですと、麻酔科系に 3.0 %移ったりということが見て取れます。

 次の外科になりますと、研修前に外科を目指していて、研修後も外科を目指す方は 67.4 %と内科と比べると、若干低い数字になりますし、例えば放射線科やリハビリテーションなどは研修前と研修後で同じ所を考えている方の割合が、ほかと比べて相対的に多いといったデータが見て取れるかと思います。 23 ページはその見せ方を変えたもので、臨床研修後を 100 %としたものです。

24 ページ以降ですが、 25 ページを御覧ください。こちらは研修修了後に勤務する病院です。臨床研修の修了後の勤務の希望病院は大学病院が 51.5 %、大学病院以外が 42.9 %となっています。

26 ページは入局予定です。入局を予定している方は全体の約 7 割で、臨床研修実施場所で見ますと、大学病院が約 9 割、臨床研修病院が約 6 割という傾向になっています。これは平成 27 年度と特に大きな傾向の差はありません。

27 ページは医学博士、 PhD の取得希望ですが、全体の 4 割が希望しており、大学病院と臨床研修病院別に見ると、大学病院で臨床研修をしている方のほうが希望者は多くある傾向にあります。

28 ページが大学院への進学の時期ですが、理想的な大学院進学の時期は臨床研修修了後、一定程度経験を積んだ後の進学が約 7 割で一番多い一方で、臨床研修期間中に研修と並行した進学あるいは臨床研修修了後、すぐの進学も約 1/4 が理想としております。平成 28 年度を見ますと、これも大学病院と臨床研修病院で若干傾向に差がありまして、特に大学病院のほうが、なるべく早めに大学院に進学をすることを希望する方が多く、臨床研修病院は、一定程度経験を積んだ後の進学を希望しているという、色で言うと紫の方が多い傾向があります。

29 ページですが、大学院での研究分野を医学博士の取得希望を有する方に聞いたところ、基礎が大体 2 割弱、臨床が 5 割強、社会医学系は大体 2 %程度となっています。

30 ページは専門医資格の取得希望を聞いており、男女ともに 9 割以上が専門医資格の取得を希望しております。具体的には下に書いてあるとおり、 92.6 %が専門医を取得したいと考えているということです。下の棒グラフはそれぞれのどの科の専門医資格を取得したいかを、平成 27 年度と平成 28 年度を比較して示しております。

31 ページですが、これは非常に項目が多いので、代表的なものを 4 つ選びましたが、基本的な臨床知識・技術等について自信を持ってできると答えた研修医の割合は、全体的に年々上昇しているということで、 4 項目を挙げています。

32 ページは子育てと勤務を両立するために必要なもので、先ほど女性医師の割合が非常に増えているというデータも出しましたが、子育てとの両立に必要なもののアンケートを 3 つまで選択可ということで聞いてみますと、一番多かったのが職場の雰囲気・理解、 2 番目が宅児施設、子どもの急病等の際に休暇が取りやすい、当直や時間外勤務の免除、配偶者・家族の支援といったものが多く、下のグラフを見ますと、男女別で見ていますが、大体上位に挙がっているのは女性が挙げるパターンが多い傾向がありました。また、割合が少ないほうの、例えば男性医師を含めた職場全体の勤務環境の改善、フレックスタイム制度などは、逆に男性医師から必要なものとして挙げられている割合が多い傾向があります。

33 ページは臨床研修の満足度ということで、満足しているが 5 で、満足していないを 1 としたときに、 5 段階評価で、下の 8 項目について聞いています。おおむね傾向としては 5 4 の満足している方が多い傾向があります。一つ一つ見ていきますと、若干の差として、大学病院よりも臨床研修病院のほうが相対的に満足度が高い傾向にあることが見られるということと、処遇に関しては、ほかと比べると若干 3 2 1 の割合が多くなっています。

34 ページが地域枠の状況等ですが、毎年を見ますと、これは地域枠の方に聞いているもので、地域枠での入学者は 333 人、全体の 5.5 %、奨学金の受給者に関しては 11.8 %の 709 人ということで、真ん中の重っている所の 184 名は地域枠での入学者であり、かつ奨学金を受給している者を示しております。

36 ページは臨床研修中における地域等への従事ということで、奨学金の受給者の 709 名に聞いています。地域等へ臨床研修中に求められているかということで青い部分が「必ず求められている」、赤い部分が「臨床期間中、含まれているが必須ではない」といった方が、全体の 63.6 %で、この方に場所を聞いてみますと、「都道府県内の複数医療機関から選択」という方が 70.5 %で最も多いということです。

37 ページです。こちらは臨床研修修了後における地域等への従事で、これは求められていたり、あるいは一部求められているのが 84.4 %、都道府県内の複数医療機関から選択が 70.4 %となっております。

 次が臨床研修修了後における特定の診療科への従事が求められているかどうかで、必ず求められているのが約 2 割、求められているが全体の期間の一部であるが 14 %で、合わせて 1/3 程度入っております。「求められていない」と答えた方が 57.5 %と一番多いです。

38 ページの下の 5 番目の「免除要件と今後の進路の関係」ということで、いわゆる免除要件というのは、義務年限中に専門医が取れるかとか、学位が取れますかといったことを聞いているものですが、まず免除要件、例えば義務年限が 9 年だったら、その 9 年の中で専門医を取得するための研修を受ける予定という方が、青色で 57.3 %、その間で学位を取得する大学院に進学する予定が 8.5 %で、緑色の部分が希望はあるが、免除要件に定められた期間中は取得するための研修等を受けることはできないと答えた方が 10.9 %、そもそも専門医や学位の取得等の希望もないと答えた方が 7.2 %となっています。以上が臨床研修の修了者の資料 3-1 です。

 続いて資料 3-2 を御覧ください。こちらは指導医に聞いたアンケート調査結果です。 2 ページを見ますと、こちらの回収状況は 22,349 です。回答者の割合は男性が 84.4 %、女性が 11.9 %です。下に新しい臨床研修制度が始まる前に臨床研修を受けたか、平成 16 年以降の新しい臨床研修制度を受けた後に指導医になった方の割合が書かれています。

3 ページですが、こちらに所在地域、指導を行った病院の種別、専門医を取っているかどうかといった割合を示しています。

4 ページは、これまでの勤務経験の医療施設ということで、特定機能病院や地域医療支援病院、 200 床以上の病院等々の割合を出しています。

5 番の臨床研修の指導を行った場所も大学病院、臨床研修病院、基幹型、基幹型と協力型病院を兼ねるか、基幹型のみの所でやっているかというところを示しています。

6 ページが院内体制の役割で、プログラム責任者、研修管理委員長あるいは研修管理委員、院内の臨床研修センター等の所属、その他ということで出しております。一般に平成 16 年以降の方のほうが年齢が若い方が多いので、それも踏まえた結果になっているかと思います。

7 10 ページが今回新しく取ったデータです。こちらは臨床知識・技術・態度を今まで修得する機会があったかどうかを聞いているもので、青と赤の横棒のグラフがありますが、青いほうが平成 15 年以前の臨床研修の修了者で、今指導されている方と、赤いほうは平成 16 年度以降に臨床研修を終わった方で、今、指導医をやっている方が「修得した機会がありましたか」と聞いています。これは皮膚の所見とを記述できるといったところですと、 49.2 %が 15 年以前の方で、平成 16 年以降の方は 66.1 %ということで、 7 10 ページを見ますと、おおむね平成 16 年度以降に臨床研修を行った方のほうが修得する機会が多い傾向があります。細かくは省略させていただきます。

11 16 ページも新しく取ったデータで、先ほどのものを項目別に修得した方に「それが役立ちましたか」という聞き方をしておりまして、青色が「役立っている」、赤色が「少し役立っている」ということで左に寄るほど役立っている方が多く、緑や紫が多いほど、「余り役立っていない」という割合が多いもので、これを見ますと、「おおむね役立っている」というもののほうが多い項目が多いのですが、例えば、上から 2 番目の眼底所見とか、下から 4 番目の女性附属器の腫脹を触知できるとか、こういったものに関しては相対的に余り役立っていないという回答が多く見られます。

これが 16 ページまで続きますので、御参考にしていただけたらと思います。

 資料 3-3 を御覧ください。資料 3-3 3-4 は資料 3-3 が平成 28 年度版で、資料 3-4 が平成 27 年度版ですので、本日は平成 28 年度版のみで説明したいと思います。

 資料 3-3 の定例物の日本地図に書いてあるものですが、これは「各都道府県における若手医師の動向」ということで、臨床研修修了者について、卒業の医学部、いわゆる大学ごとに出身都道府県と、臨床研修を行った基幹型病院が所在している都道府県、すなわち医師 1 2 年目にいる都道府県と、医師 3 年目、臨床研修が終わった後で従事する予定の都道府県がどこかを集計して取っているものです。

 例えば、 2 枚目の北海道について説明しますと、大学は黒で 100 %となっていますが、左の大学入学前 54.2 %というのが北海道に書いてあります。見方としては北海道内にある大学の人たちのうち、北海道出身者が 54.2 %と見ていただけたらと思います。医師 1 年目の所で、大学の 100 %いる人たちのうち、 68.7 %が北海道に残って、東京には 5.5 %移って、ほかは多少色が付いている所に移っています。一番右側の将来の希望の所を見ますと、大学の 62.7 %が大学出身者が残って、東京には 10 %移るという傾向です。これが北海道から沖縄までずらっと出ておりまして、幾つか都道府県別に例外があるので、一概に傾向は言えないのですが、 1 つ言えるのは、 2 枚目の北海道と青森、岩手等を比べると、例えば地元出身者、すなわち一番左のパーセンテージが多いほうが、医師 1 年目、あるいは将来の希望を見ますと、大学出身者が、大学の所在する都道府県に残っている割合が高いという傾向が見て取れます。例えば、大学出身者が 20 %ぐらいですと、医師 1 年目、 2 年目が 30 %、 40 %だったりするのですが、地元出身者が 50 %を超えていると、医師 1 年目、将来の希望が 5 割、 6 割となっているといった傾向です。

 また、特殊な例としては、例えば東京都などは 14 枚目を見ますと、地元の出身者が 39.6 %ですが、医師 1 年目で 54.2 %で、将来の希望が 64.8 %ということで、将来というか、時間がたてばたつほど大学出身者がより残っていく傾向があります。ほかの所は、おおむね大学卒業後、例えば東京などに移って、自分の大学の所在地からは若干減少していくという傾向かと思います。資料 3-3 3-4 は以上です。○桐野部会長 かなり多岐にわたり調査していただいたわけですが、御意見、御質問はありますか。

○岡村委員 これはよく調査していただいているとは言え、逆にアンケートの回収率が 80 %を切っているということで、特に北海道の医学部卒業生の動向を見ても、北海道で医師 1 年目の研修をしたのが 68.7 %と出てきます。アンケートに答えていない人というのは、結構北海道外に出ている人が多いような印象です。初期研修の費用というのは全部国から出ているのですよね。

○桑原臨床研修指導官 初期研修で研修本人ではなくて、その指導医が指導する分、通常の診療ができませんので、ほかの医師に来てもらうとか、教える側に対する費用の補助をしております。研修費用が全て出るというのは、少し違うかもしれません。

○岡村委員 でも、実質的にはそれに使っているわけですよね。やはりこれはもっと強制力を持たせたほうがいいのでないかという気がします。

○桐野部会長 研修修了者を医籍に登録するときに、いろいろ調査をするとか、何か行政力というか、もう少し回収率を上げる。これもそう悪くはないかもしれませんが、ないですかね。ものすごく重要な情報だと思います。何か御意見がありますか。

○山下委員 中間報告なので、これから集計されるのかもしれませんが、前の統計だと、終わった人が地域医療に従事する意向があるかどうかというのが、あったはずです。平成 25 年とか 26 年だったら、 2/3 から 7 割の人が地域医療をやってもいい、その代わりこういう条件が必要ですよと。要するに、代わりの人が来るとか、地域に行っても勉強できるようなサポート体制が必要といった項目があったのですが、それも今回はあえてまだ集計していないということですか、項目としては入っているのですか。地域医療を我々が考えるときに、若い人たちの動向を見ながら、こういうことをサポートしてあげれば地域へ行ってくれるのだなというのは非常に参考になったものですから、もし集計の中に入っているのでしたら、是非、ファイナルレポートに入れていただきたいと思います。

○櫻本医師臨床専門官 今、御指摘いただいた点については、アンケートの項目としては入っておりまして、地域枠ではない方に、「医師不足地域の医療に従事することについてどのように考えていますか、積極的に従事したいですか」ということは例年どおり取っているのですが、今回出さなかったのはデータクリーニングの段階で出せる状況ではなかったので、もう少し精査をした上で検討させていただきたいと思います。

○金丸委員 このデータの延長線上になるかもしれませんが、これを見ると、先ほど御説明があったように、臨床研修で残った数が、その後にインパクトが大きいのだなと改めて思いました。しかし、一部の県では相当少ないにもかかわらず、ものすごい努力をして、例外と言えば例外かもしれませんが、たくさんの研修医が残って、それがつながっている所も散見されます。だから、実態がそうだということと、現場で何か工夫があれば、この辺がその方向につながる可能性ももしかしてあるのかなということが 1 点です。

 もう一点は、宮崎という県だけなのかもしれませんが、平成 16 年以降、医師の従事調査という意味で、 20 代、 30 代が右肩下がりで限りなく減ってきているのです。結果的に 60 歳前後、 50 代後半からが右肩上がりで上がっています。この動きと、その先の姿として非常に気になる姿かなと思いました。

○桐野部会長 一方で地域枠の学生諸君がだんだん増えてきますので、その影響の調査も頭に入れて今後フォローアップしないといけないわけですから、これも余りにも変えてしまうと定点観測的なものがどうしても必要かと思いますが、その辺もちゃんとずっと調査をしていって、この制度がどのように生きていくかということも分かるように工夫が必要かと思います。

○岡村委員 今、地域枠の話が出ましたので、是非とも調査をしていただきたいのが、地域枠で誓約書を書いて入学してきた者が、卒業の時点で、その誓約どおりにしない傾向が結構出てきています。

 それに対して、例えばこれまでも医学部長病院長会議と厚労省、文科省との話合いなどでも出てきていますし、みんなが問題意識は持っているにもかかわらず、「なかなか難しいよね」という所で常に終わっています。ほとんどの大学の学長とか医学部長の先生方と話をすると、うちもそれは問題になっているということがありますので、それに是非ともメスを入れていただきたいと思います。

○桐野部会長 そのほか御意見はありますか。

○羽鳥委員 資料 3-2 のスライド 7 10 ぐらいを見ますと、平成 15 年の前と平成 16 年以降で、上の先生の評価はやはり素晴らしいと思います。この初期臨床研修の良かった所だと思います。

 その一方で特に日本医師会で感じていることは、地域医療の崩壊が、この初期臨床研修が始まったために起きたと言われる先生たちもいらっしゃるのですが、こんなにみんなが良い評価だと思っているのに、どうしてうまく回らないのでしょうか。単純な原因かもしれませんが。

○桐野部会長 この件についてはいろいろ議論があるだろうと思いますが、いかがですか。

○羽鳥委員 そんなに評価が高いものだとは思わなかったので、前より新しい、それが良くなったのだなというのが分かるのですが、これはもう一歩改善していかないと本当に大変なことになると思いますし、初期臨床研修そのものも考えていかなければいけないのかなということです。

○桐野部会長 何か御意見はありますか。大変立派な調査だと思いますが、今いろいろ言われたことも参考にして、今回のものについては是非まとめ上げていただきたいと思います。今後のことについては参考にしていただければと思います。そのほかにありますか。

○金丸委員 先ほど話題になった地域枠の関係ですが、かなりの割合になってます。 1 学年 1,300 人ぐらいです。その先生が卒業した動向というのは、非常に大きな枡として影響力が出てくるとすれば、先ほど言われたように、誓約が誓約でなくなってしまっている、あるいはその誓約もなかなか難しくて誓約を入れにくい、いろいろな事情があるのかもしれませんが、これだけいい研修の制度としての評価は羽鳥先生がおっしゃったように、本人にとってはすごく身に付いているという部分があるとすれば、入口の所と、そこから後がいい形で結び付くような議論を今後していただけると有り難いと思いました。

○桐野部会長 はい、地域枠の制約に対するバイオレーションと言いますか、これは本当は相当由々しい問題で、入るときと、卒業するときは考え方が違ったということはあるかもしれませんが、それはそれなりの責任を感じてもらいたいと思うのです。法令的・法律的にやり始めると、どのぐらい縛れるかとか、なかなか難しいのです。

○岡村委員 例えばマッチングはまた機構がやっているから、あれなのですが、その人が地域枠の人か、一般枠かということはもちろん分かっているわけです。その地域枠で誓約をしている以外の所にマッチングを出していれば、それはおかしいということは分かるのではないかと思いますが、そういうのはどうしているのですか。

○桑原臨床研修指導官 地域枠の方のマッチングについては、その地域枠が出始めるときに臨床研修部会でも議題になりまして、現状としてはお願いベースで地域枠の方本人に対してはマッチングを受けるときに自分が地域枠であるということを、ちゃんと病院のほうになるべく伝えてくださいと。

 それから病院のほうに対しては、全て必ず問い質してくださいということまではさすがに言えないので、来た学生に対して、今、手元に文言がないのですが、地域枠であるかどうかということについても、受ける病院に配慮をしてくださいというお願いをしているところです。

○岡村委員 もっと最近巧妙というか、アンマッチという手があります。わざと出さない。一応卒業してから潜り込む。いろいろ考えられる人はいます。

○桐野部会長 今のことは相当由々しい問題で、それが裏道として大きく開いてしまえば、マッチング制度自体が。マッチング制度というのは紳士協定でやっているわけです。それで研修を受ける者はマッチングで行きましょう。そういうずるをしては駄目よという一応の紳士協定でやっているのですが、それを分かっていながら、その学生が欲しいので裏ルートで採りますということを意図的にやっている病院があれば、それは相当大きな問題です。それは都道府県でちゃんとチェックしていただいて、もしそういうことが明らかであれば、都道府県としてパニッシュメントを考えていただかないと、ここでできるかどうかはちょっと難しいのです。

○神野委員 正にその話は、最初の議論のプロフェッショナリズムの医の倫理みたいな話ではないですか。これはモデルカリキュラムで、学部教育でそういう考えを排除するような教育をまずしていただかないと駄目なのではないかと思います。

○清水委員 臨床研修病院でマッチングをやっていた立場から言うと、地域枠にどのような種類があって、例えば奨学金をもらえるとか、もらえないといういろいろな種類があるとか、たまたま私はこういう立場にいるので分かっていましたが、御存じのない臨床研修病院がたくさんあるのではないかと思います。例えば県の努力とかで、県からこういう制度があるからマッチング者には十分気を付けるようにということを病院側が登録するときに考えることができるわけですから、もう少しアナウンスメントとか、公知の方法を考えてもいいかと思いました。

○桐野部会長 例えば奨学金の枠とか、地域枠で入った方というのは、お金の問題というのではありません。特に地域枠で他の受験生とは別枠で入った方がいます。その人は当然マッチングのときに、私はそういう地域枠の学生ですということを申告しなければおかしいと思うのですが、その義務条項は全くないのですか。

○桑原臨床研修指導官 今は義務ではない。マッチングに参加するときに病院に申し出てくださいというお願いをしています。

○桐野部会長 地域枠でありながら、その病院にそれを隠して申請して通った場合でも、それは虚偽の情報によって入ったのだから、入学試験の不正と同じで相当問題ですよね。そういうことをした医師を立派な医師にすることは私は不可能だと思います。だって嘘をついたほうが得をするという話になってしまうから。地域枠の問題をやる以上はこの辺をきちっと実施していかなければいけないので、もちろん余りすごいことはできないにしても、ある程度のことは考えておかないとまずいかなと思います。特にマッチングで裏道ルートが開いているというのが全国情報で分かっていると思いますが、それが堂々と通っていくということだと、何だか普通の道を歩まないほうがいいのだという話になりかねませんね。

○岡村委員 ですから、本当に医学部の定員が、ここ 10 何年で一気に増えて、本来医師がもっと地域で活躍するはずなのに、よく言われる地域間偏在、診療科間偏在、それだけではなくて、しかも研究者も少なくなっていて、先ほど山口先生が言われたフリーの医者が多いとか、そういう今の地域枠の抜け道といい、この辺をもっとしっかりとした制度にしないと、単に初期臨床研修で、こういった能力ができましたということばかりで、今の制度はいいですねというので終わっては困るということを強調したいのです。

○桐野部会長 地域枠の問題は医師の地域の偏在の問題を何とか解決しようというぎりぎりの所で作られた制度ですので、これをどうでもいいというわけにはいかないと思います。初期臨床研修の問題の中にも、もちろん法令の範囲内、人権を損なうことはできないのですが、その範囲内でやれることは考えたほうがいいのかなとは思います。この辺はこれも次回のいろいろなシステムのモデフィケーションというか、改善のときの項目の 1 つで、今、岡村先生が言われた問題については考えていただきたいと思います。よろしいでしょうか。そのほかにありますか。

 よろしいですか、それでは、本日予定をしておりました議題はこれで終了いたしました。そのほか何か御意見がありましたらお願いします。ないようですので、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

○桑原臨床研修指導官 本日いただきました御意見、御指摘を踏まえまして、宿題事項についても検討してまいります。次回の部会開催日程について、また改めて調整させていただきます。どうもありがとうございました。

○桐野部会長 どうも長時間ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。


(了)

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