ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第64回社会保障審議会介護保険部会 議事録(2016年9月7日)




2016年9月23日 第64回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成28年9月23日(金)15:00~18:00


○場所

厚生労働省 講堂


○出席者

遠藤、石本、伊藤、井上(隆)、井上(由)、岩村、大西、岡、
小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鷲見、陶山、
武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、藤原、桝田の各委員
(黒岩、鈴木(隆)委員は欠席)

○議題

1 保険者等による地域分析と対応
2 介護保険総合データベースの活用
3 サービス供給への関与のあり方
4 ケアマネジメントのあり方

○議事

○尾崎企画官 定刻となりましたので、ただいまから第64回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。

 報道機関の方に御連絡をいたします。冒頭の撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

○遠藤部会長 皆様、こんにちは。

 本日の出席状況についてでございますが、黒岩委員、鈴木隆雄委員が御欠席です。

 それでは、議事に移りたいと思います。

 本日の資料につきまして、事務局より、まず確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 では、資料の確認をさせていただきます。

 お手元に資料1「保険者等による地域分析と対応」、資料2「介護保険総合データベースの活用」、そして資料3「サービス供給への関与のあり方」、資料4「ケアマネジメントのあり方」、この4つの資料と、それぞれに対応いたします参考資料1、2、3、4をお配りしてございます。

 また、末尾に鷲見委員より資料を提出いただいておりますので、配付をさせていただいております。

 不備等はございませんでしょうか。

 それでは、遠藤部会長、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、ただいま説明ありました資料1から4までありますが、まずは議題の1、2、3と対応します資料1、2、3について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 それでは、最初に健康保険計画課長でございます。

 私からは資料1について御説明させていただきます。後ろのほうにございます参考資料1とあわせて御説明をお聞きいただければと思います。

 それでは、おめくりいただきまして、資料1の1ページ目でございますけれども、現状と課題ということで、地域包括ケアシステムの進化、高齢者の自立支援、あるいは要介護状態の予防、軽減・悪化の防止といった制度の理念を堅持し、必要なサービスを提供していくためにも、制度の持続可能性を確保していくことが重要な課題になっていると考えております。

 今後、75歳以上人口で見ますれば、都市部では急速に増加する一方、地方では緩やかに増加することが予想されております。団塊の世代の方が75歳になられる2025年、あるいは団塊ジュニアの方が65歳以上になる2040年といった節目の年に向けて、大都市、その周辺都市、地方都市、中山間地域等、地域によって、高齢化の状況、あるいはそれに伴う介護の需要は異なってくることが想定されておりますので、保険者が地域の実情に合わせた地域包括ケアシステムを進化させていくことが必要と考えております。

 また、現在、要介護認定率、1人当たりの介護費用、施設等在宅サービスのバランス、あるいは在宅サービスの中でのさまざまなバランスなど、地域差が存在している状況にございます。介護保険制度の中には、全国一律基準による要介護認定、区分支給限度額のように、もともと保険者間の差を抑制して適正化を図る仕組みもあれば、高齢化の状況でありますとか、都市部、山間部といった地理的条件、あるいは独居が多い、少ないといった家族構成などの地域の実情があって、当然に差が生じるべき部分もございますので、地域差があるから問題ということではなくて、それがその地域の特性やニーズに合ったものとなっているかどうか、多角的な地域分析が必要と考えております。

 全国見渡しますと、自立支援、介護予防等につきましては、さまざまな好事例がございます。そういった好事例の分析をいたしますと、保険者がしっかりしたリーダーシップをとっておられること、あるいは地域の実態把握・分析・課題抽出をしっかりされていること、職員の方のノウハウの共有、人材育成をしっかりされていること、専門職能団体との連携、あるいは住民の意識向上といったポイントがあるかと思っておりまして、今後、こういったものを踏まえて全国展開をしていく必要があると考えております。

 一方で、現在のところ、多くの市町村、県では、必ずしもPDCAサイクルが十分回っておらず、その理由として、ノウハウや人員不足を挙げておられるところが多くなっております。

 2ページに行きまして、論点でございます。最初に総論的なところでございますけれども、今後、地域の実態把握、課題分析を通じて、その地域における共通の目標を設定、関係者で共有するというプロセス、そして、その達成に向けた具体的な計画を作成、実行し、そして、その評価を繰り返し行っていくという取り組みとして、「地域マネジメント」と名づけて、これを推進し、保険者機能を強化していくことが必要ではないかと考えております。

 これにより、「自助・互助・共助・公助」に基づく地域の介護資源の発掘、基盤整備、あるいは多職種連携の促進、効率的なサービスの提供等に取り組み、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを構築していくことが重要ではないかと考えております。

 この場合、市町村が保険者機能を果たすことはもちろんでございますが、国、県がその役割を発揮し、市町村を具体的に支援していくことが必要ではないかと考えております。

 参考資料1の3ページもあわせてごらんいただきたいと思いますけれども、今みたいなことを踏まえまして、具体的にどのように進めていったらいいかという御提案でございます。

 最初に、3ページのフローチャートのようになっているところの一番左のオレンジのところでございますけれども、データに基づく地域課題の分析ということで、本文2ページ目の最後の○でございますけれども、最初にこういう計画づくり、あるいは広く国民の実情把握に資するために、マル1として、市町村が国に対して介護給付費や要介護認定に関するデータの提出を法律上位置づけるとともに、マル2として、国は提供いただいたデータを集計・分析し、地域包括ケア「見える化」システムを通じてデータを提供すると、このようなこととしてはどうかということでございます。

 おめくりいただきまして3ページ目でございますけれども、市町村、都道府県が計画を策定する際には、この提供されたデータを利用して地域課題を分析するよう努めることとしてはどうか。県においては、市町村が行う分析を支援するよう努めることとしてはどうかということでございます。また、国においても、ガイドラインの策定等による支援を実施してはどうか。

 2つ目の○でございますが、参考資料1の3ページで言うと、2つ目の段階に入ってまいりますけれども、こういった取組内容と目標の計画への記載ということで、まず、市町村の介護保険事業計画に、これまでのようなサービス料の見込みだけではなく、自立支援や介護の重度化防止に向けた具体的な取組内容と、その目標を記載することとしてはどうかということでございます。

 それから、フロー図のほうで言えば下のオレンジになりますけれども、都道府県におかれては、現在、介護保険法では抽象的な責務の規定があるだけでございますけれども、都道府県が努めるべき具体的な保険者支援について、法律上明確化した上で、都道府県の介護保険事業支援計画の中でも、市町村への支援の具体的な内容及びその目標を記載することとしてはどうかということでございます。

 参考資料で言いますと、次は黄色いほうに進んでまいりますけれども、こうした取り組みに関する事項を初めとして、アウトカム指標、あるいはアウトプット指標を国が設定し、PDCAの一環として、市町村及び都道府県が自己評価をするとともに、国に報告してもらう仕組みにしてはどうかということでございます。

 4ページ目でございますけれども、このうちアウトカム指標につきましては、例えば、要介護状態等の維持・改善の度合い、健康な高齢者の増加など、保険者の取り組みの成果を反映する指標を設定してはどうか。

 なお、前回の部会でも御議論ございましたけれども、要介護認定等が過度に抑制されることのないように、十分留意する必要があると思っております。また、アウトプット指標につきましては、例えば、「見える化」システムの活用状況も含む分析の実施状況でありますとか、地域ケア会議の実施状況、生活支援コーディネーターの活動状況、あるいは包括センターにおけるケアマネジメント支援等の実施状況、介護予防の取組状況等を指標とする方向で検討してはどうかと考えております。

 2つ目の○でございますけれども、都道府県、市町村の取り組みのインセンティブとして、この評価については、住民も含めて公開することとする。他の地域と比較することにより、PDCAサイクルを活用してはどうかとしております。

 最後の○でございますが、フローチャートで言うと一番右の赤のところまでまいりましたが、さらに財政面においても、市町村や都道府県に対するインセンティブづけについて検討していくべきではないか。

 以上でございます。

○鈴木老人保健課長 続きまして、老人保健課長ですが、介護保険総合データベースの活用について、資料2をもとに御説明させていただきます。

 あけていただいて1ページでございます。現在、介護保険法第197条第1項の規定に基づきまして、平成25年度から厚生労働省が管理するサーバーの中へ介護保険給付に関するデータを収集しているところでございます。

 その下の※印で、保管されている主なデータとありますが、大きく2つありまして、1つは、介護給付費請求書、いわゆる介護レセプトのデータ。これは国民健康保険団体連合会を経由しまして、現在、平成24年4月から平成2710月分で約5.2億件ございます。また、もう一つは要介護認定データで、これにつきましては、約4,058件ですが、収集自治体につきましては、全自治体ではなく、今、1,362保険者からデータをいただいているところでございまして、現在、この2つについては名寄せが可能となっております。

 3ポツ目にありますが、介護保険データベースにつきましては、現行ですと行政のみが利用しておりまして、国民を含めて広く共有するための地域包括ケアの「見える化」システムにおいて、現在、介護保険データベースのデータの分析結果を活用しているという状況でございます。

 また、次のポツですが、介護DBのデータを第三者、大学ですとか、研究機関等からの依頼に応じて集計・提供した実績は今のところございません。

 続きまして、2ページでございます。一方、介護だけではなくて、もう一つ、厚生労働省が持っているものとしましては、レセプト情報特定健診等情報データベース、いわゆる「NDB」というものがございます。NDBにつきましては、「高齢者の医療の確保に関する法律」等に基づきまして、一定の要件のもとで第三者提供を行っているところでございます。

 現在、「経済財政運営と改革の基本方針2016」におきましても、医療と介護の総合的な対策を推進するためには、双方のデータを連結した分析や「見える化」を推進していくとされております。これを踏まえまして、現在、「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」において議論が行われているところでございます。

 あけていただきまして、4ページになりますが、論点といたしましては3つ挙げております。

 1つ目は先ほどの再掲になりますが、保険者による地域の実態把握・課題分析のための基盤を整備し、都道府県・市町村の介護保険事業計画の作成、実施及び評価、並びに国民の介護保険事業の運営に関する実情の把握に資するため、マル1として、市町村による国に対する介護給付費や要介護認定等に関するデータの提出を法律上位置づけること。それから、2点目、国は、市町村から提供されるデータを収集・分析し、地域包括ケア「見える化」システムを通じて、各都道府県・市町村の地域分析に資するようなデータを提供することとしてはどうかということでございます。

 2点目が、NDBの取り組みを踏まえ、今回、データの利用目的が公益性の高い場合には、第三者提供を可能としてはどうか。その場合の、データを提供する対象、データ利用にかかる手続等については、別途検討の場を設けて検討することとしてはどうかということでございます。

 3点目が、医療と介護のデータを合わせた分析・利活用につきましては、現在検討されております「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」の議論の状況を踏まえつつ、今後検討していくこととしてはどうかということでございます。

 以上でございます。

○三浦振興課長 続きまして、振興課長の三浦でございます。

 お手元に資料3を御用意いただけますでしょうか。サービス供給への関与のあり方を続いて御説明申し上げたいと思います。

 まず、1ページおめくりいただきまして、現状・課題でございますが、御案内のとおり、介護サービスの供給にかかわる事業者指定につきましては、居宅サービスは都道府県が、また地域密着型サービスは市町村が実施をしておるところでございます。

 また、指定におきましては、いわゆる規則行為ということで、基準を満たせば指定等がなされるのが原則になっておりますが、施設、あるいは居住系サービスにつきましては、定員が計画値を上回る場合には拒否をすることができるという、いわゆる総量規制の仕組みが設けられているところでございます。

 また、3つ目の○でありますが、在宅サービスに関しましては、さまざまな事業主体の参入を認め、利用者の選択と事業者間の競争によりサービスの質を確保することが原則、あるいは前提としておりますけれども、その一方で、24時間365日の在宅生活を支援する定期巡回・随時対応型訪問介護看護などにつきましては、これの普及を図る観点から、市町村協議制が導入されているところでございます。これによって一定の居宅サービスに関する参入の障壁と申しましょうか、規制が設けられているという実情にございます。

 その供給量に関する現状でございますけれども、介護保険制度では、基本的には在宅ケアを推進してきた結果、在宅サービスの供給量は拡大をしてきた傾向がございます。その一方で、訪問介護、あるいは通所介護につきましては、供給量が多いと判断をしている保険者も一定数あるといったデータもございます。このために、地域マネジメントを推進する観点から、在宅サービスの供給にかかわる事業者指定について、保険者、市町村の関与を強化していく必要があるのではないかということでございます。

 2ページ目にお進みいただければと思います。関与の現状でございます。先ほど簡単に申し上げました市町村協議制であります。(1)でございますけれども、これはこういう場合に発動するというルールがございます。ポツが3つほどございますが、順次御紹介いたしますと、市町村に指定権限のある定期巡回・随時対応型訪問介護看護、それから、看護、あるいは看護がない場合も含めてですけれども、小規模多機能型居宅介護が当該市町村の区域内にある場合が発動要件の1でございます。また、その区域内の訪問介護・通所介護の量が、市町村の介護計画に定める見込量を上回るか、または計画の達成に当たり支障があると判断された場合。この場合において市町村は、都道府県の行う訪問介護・通所介護の指定につきましては、都道府県に対して協議を求めることができると法律上位置づけられてございます。この場合ということで、都道府県はその求めに応じなければならない。

 また、下の矢印でありますが、その結果を踏まえて、訪問介護・通所介護の指定を拒否、あるいは指定に当たって条件を付すことができる。このような仕組みが市町村協議制と呼んでいるものでございます。

 あわせまして(2)でございます。地域密着型サービス、市町村が指定をするサービスに関してでございますが、マル2に書いてありますとおり、必要と認める条件を付すことができると、現在、法律上位置づけております。

 ここに例がございますが、市町村からの問い合わせに対して、こういう場合は条件をつけても構いませんと、過去、お答えをしたものとして1つ御紹介いたしますと、他の市町村から転入して利用する場合に一定の制限をするといった条件を付すことは構いませんとお返しをした記録が残っています。

 1ページお進みいただければと思います。「在宅サービス供給への市町村の関与のあり方に関する課題」でございます。

 まず、市町村協議制、先ほど制度としては御紹介いたしましたけれども、実際に協議がスタートしたのが3つの保険者、これは平成26年度であります。また、その結果として、実際に指定をしないという結果に至りましたものが1保険者、これは通所介護でございますけれども、このような状況でございました。

 かように使用されない理由として私どもが聞きましたあたりでは、このような意見をいただいております。

 市町村からは、市町村が、地域における訪問介護・通所介護の供給量(事業所数)がニーズに対して過多であるか、あるいは過少であるかについて、判断をしかねる。あるいは、その供給量が計画に定める見込量を超えた場合であっても、直ちに供給過多に当たるかどうかということが¥疑問なしとしない。それによって、ニーズに応じたサービス提供がなされている場合もあるのではないかといった疑念があるというのが市町村のお立場でありました。

 一方、都道府県から見ますと、実際の処分、すなわち指定拒否処分を行いますのは都道府県であります。その結果、拒否をしても必要なサービス量が確保されることなどにつきまして、被保険者、あるいは事業者に対する説明責任は直接負うことになります。その結果といたしまして、消極的な対応にならざるを得ない側面がある。

 また、2つ目のポツでありますが、具体的な判断基準、あるいは判断過程について、もう少し明らかにしていただきたい、こんな意見をいただいているところでございます。

 このような状況を踏まえますれば、現行の市町村協議制の実効性を高めるということは、課題としては考えなければいけないと思っております。

 また、一番下のところでありますが、ショートステイ、短期入所生活介護につきましては、小規模多機能型居宅介護などの泊まりサービスと機能としては類似をしておりますが、現在は市町村協議制の対象とはなっていない現状もございます。

 1ページお進みいただければと思います。都道府県による居宅サービスの事業者指定への市町村の関与についてでございます。現在は、先ほどから御紹介しております市町村協議制以外のルールは設けられていないところでありますが、市町村が都道府県の行う居宅サービス事業者の指定に何らかの形で関与する仕組みは、地域マネジメントの観点から必要ではないかといった課題があろうと御紹介させていただきたいと思います。

 また1ページおめくりいただければと思います。地域密着型の通所介護などについてであります。通所介護、御案内のとおり費用は急増しておるという状況、あるいは特に小規模の通所介護事業所については、実際に参入事業所数の増加が顕著であるといった状況を踏まえまして、前回の法改正におきまして、地域密着型サービスに移行したところでございます。地域密着型通所介護、いわゆる小規模デイは市町村に指定権限が今年度より変更されているということでございます。

 地域密着型通所介護につきましては、市町村自身が指定権者となります。したがいまして、市町村協議制といった手続の対象とはなりません。その一方で、小規模多機能型居宅介護などの見込量の確保の観点から拒否をするといった仕組みも今はないといった状況になっておるところでございます。

 このことを考えますれば、一番下の○でありますが、小規模多機能型居宅介護の普及をさらに進める必要があることを踏まえれば、競合サービスとなり得るような地域密着型通所介護の指定を拒否できるようにすることも考えなければならないことが、課題としてもう一つ挙げられるかと思います。

 以上を踏まえまして、論点でございます。6ページでございます。

 まず1点目、市町村協議制の実効性の確保・対象サービスの拡大であります。市町村の地域分析により介護保険事業計画に定めるサービスの見込量が精緻化されるということがございます。これを踏まえますれば、都道府県及び市町村がより市町村協議制を活用できるようにするために、例えば、技術的な支援(ガイドラインの発出等)を行うべきではないか。

 2つ目でありますが、市町村協議制の対象サービスについて、拡大してはどうか。

 大きな2つ目であります都道府県による居宅サービス事業者の指定への市町村の関与の仕組みでありますが、地域マネジメントを推進するために、都道府県が行う居宅サービス事業者の指定につきまして、介護保険事業計画との調整を図る見地から、市町村が一定程度関与できますよう、市町村が都道府県に対して意見をする、さらに都道府県が指定を行うに際しての条件を付すことができるといった条件を整備してはどうかということが2つ目であります。

 3点目、市町村による地域密着型サービスの事業者指定に関する見直し等であります。地域密着型通所介護につきまして、小規模多機能型居宅介護等の普及のために必要がある場合は、市町村が地域密着型通所介護サービス事業所の指定をしないことができる仕組みを導入してはどうか。また、地域密着型サービス事業者の指定を行うに当たって、事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を付すという、現行もある仕組みでありますけれども、このことにつきまして、市町村に再周知などをすべきではないか。

 説明は以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 資料1につきましては、エビデンスに基づいて地域における介護の状態をどう評価していくのかという話で、資料2につきましては、そのためのデータベースの整備をどのようにしていくのかということで、3番目の話では、サービスの供給量へのコントロールはどうあるべきか、こういう話だったと思います。それぞれ重要な課題ではありますけれども、相互に関連しているところもありますので、議論の効率化のために、ただいまの1から3までのアジェンダを全て含めた形で、御意見、御質問等をいただければと思います。いかがでございましょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 まず、資料1の「論点」の2ページでございますが、制度見直しの方向性とあります。市町村が地域マネジメントを推進するために保険者機能を強化していき、それを国や都道府県が支援していくことは必要であると思いますが、なぜ要介護者がふえていくのか、あるいはなぜ要介護度の改善が見られないのかといった把握ができている市町村は少ないのが現状であると思われますので、その前に、市町村において、さまざまなデータから現状分析ができ、対策が立てられるような人材を育成するなり、体制を整えることが必要だと思います。また、行政が、その結果、強権的、一方的にならないように、医師会など地域の関係者と医療との整合性やまちづくりの方向性などを含めて、十分に協議をして合意を得る仕組みの構築が必要だと思います。

 参考資料1の2~3ページを見ますと、介護予防の話がありますが、介護予防だけを取り上げればいいというものではなくて、フレイルやロコモ、サルコペニアの予防や、医療で言えば疾病予防、2次予防、保健で言えば健康寿命の延伸など、それらとの整合性をとって進める必要がありますので、介護だけの話ではないと思います。

 それから、2ページの下の「具体的な見直しに向けた論点」でございます。3ページに入ったところですが、市町村によっては、担当者が3年程度で異動するために、次の担当者に遠慮して、高い目標の設定や具体的な数値目標を避ける傾向も見られます。市町村の介護保険事業計画の精度を上げていくためには、国がガイドラインを示し、都道府県が市町村を指導する必要があります。その際には必ず高齢者の自立支援と重度化防止に向けた具体的な取組内容と具体的な数値目標を記載するようにすべきだと思います。さらに、全体が着実に進むようにするために、PDCAサイクルの仕組みを導入することも必要だと思います。

 4ページについてでございますが、アウトカム指標の設定はよいと思いますけれども、目標達成のために要介護認定が過度に抑制されないようにする必要があります。アウトプット指標としては、地域分析、地域ケア会議、生活支援コーディネーター、ケアマネジメント支援、介護予防でよいと思いますが、その評価を公開し、成果を他と比較することでPDCAサイクルに活用することもよいと思います。

 ここで1つ質問ですが、最後に財政面のインセンティブとありますけれども、これは一部の報道によりますと、総報酬割で浮いた国費の一部や調整交付金を充てるとあるのですが、これはどういう意味なのか、この報道が事実なのか、御回答いただきたいと思います。

 続きまして、資料2の「論点」、4ページでございます。市町村から国へデータ提出を義務化することは必要だと思います。国が得られたデータを集計・分析して、地域包括ケア「見える化」システムを通じて都道府県や市町村に提供することにより、市町村の介護保険事業計画がより具体的になると考えられます。この介護DBを医療のNDBに合わせて、利用目的が公益性が高い場合は第三者提供を可能にすることもよいと思います。その具体的な内容を別途検討の場で検討することや、医療と介護のデータをあわせた分析・利活用について、既存の検討会の議論を踏まえて検討していくこともよいと思います。

 それから、資料3のサービス供給への関与のあり方でございますが、「論点」の6ページ、まず、「市町村協議制の実効性の確保・対象サービスの拡大」というところでございます。参考資料3の8ページにありますように、居宅サービスの過多・過少の判断ができない保険者が40%以上あるというデータがございます。それが現状であるということです。まず、市町村のサービス見込み、地域ニーズの把握を通して、介護保険事業計画を精緻化することが先決であり、その上で市町村協議制の活用を考えるべきだと思いますが、これも行政主導になり過ぎて民間の活力を失わせてはいけないと思います。

 それから、マル2とマル3についてでございます。総量規制が目的と思われますが、サービスは総量だけではありません。例えば、土日・祝日を休む訪問介護事業しかない場合には、総量としては過剰であっても、365日休まない訪問介護事業所の参入が必要となると思います。制限する場合だけでなく、参入する場合にも、条件つきで参入を認めることも必要だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局、質問がありましたので、お答えをお願いします。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 鈴木委員からの御質問の点につきましては、資料1の4ページの最後の○の関係と承知をしておりますけれども、まさに、この介護保険部会におきまして、財政面においてもインセンティブづけについて検討していくべきではないかという論点を御提示して、皆様の御議論をいただいているところでございますので、その報道内容につきましては、どのようにしてそういう記事になったのか、詳細はこちらとしては承知をしていないところでございます。

 1つ、昨年、財務省の財政制度審議会、いわゆる財政審で、保険者の取り組みに対するインセンティブづけとして、調整交付金を活用してはどうかという御提案があったことは、財政制度審議会の議論としては承知をしておりますけれども、まさに今後、この部会において議論を深めていただきたいと考えているところでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 まだ決まっていないということですね。介護納付金の総報酬割はこれから議論するので、その結果をどうこうするなどという話まで出ているわけがないと思うのですが、それは少なくとも厚生労働省から出たものではないと理解してよろしいということですね。ありがとうございました。

○遠藤部会長 では、佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 まず、資料1についてですけれども、ここに書いてありますような地域目標の設定ですとか、具体的な計画の作成、評価の見直しという、いわゆるPDCAによる地域マネジメントの推進、保険者機能の強化はマストだと思うので、賛成でございます。強力かつスピード感を持って取り組んでいくべきだろうと思っています。その際に留意したほうがいいと思う点が3つございます。

 1点目は、目標の「見える化」、数値化はマストだろうと思います。都道府県や市町村が具体的な目標を持って、チャレンジしやすい環境をつくるというのは大変重要だと思いますし、また住民、特に高齢者から見て、わかりやすい形で、自立支援、介護度の改善が測定できるような手法を設定すべきだと思います。

 2点目は、当然ながら国の関与も極めて重要だろうと思います。全保険者にデータベースを求める、また市町村の介護保険事業計画に具体的な内容の目標を記載する、さらに都道府県が行う具体的な支援内容、そういった目標を明確にする。これを法制化して、より実効性を高めることが重要だと思います。進捗管理も含めて、国が関与すべきだと思います。今は地方分権の時代だからということで地方任せにするのではなくて、ばらつきがあるときには、その解消のために国が関与しなければ、制度全体の健全な運営、発展にはつながらないのではないかと考えております。

 3点目は、取組評価の公開も活用すべきだと思います。被保険者にとって、自分の住む地域が、全国もしくは県内でどういう位置づけにあるのかについては、関心が高いと思います。取組内容ですとか、結果をオープンにすることでもって、次の施策に生かす、また、さらに取り組みのスピードアップにもつながると考えます。

 それから、もう一点、最後の論点にかかわっていますけれども、インセンティブ、特に財政面でのインセンティブについて意見を申し上げます。本来、インセンティブというものは、集団の中の上位層に対してメリットを与える仕組みと理解をしております。インセンティブというのは、全体の中でもトップランナーをつくるための施策ではないかと思っています。そういう面で、そのもの自体を否定するつもりはないですけれども、今回の課題、特に地域間のばらつきをいかに解消するのかという点においては、全体としてのレベルアップ、いわばボトムアップが求められると思います。この場合においては、インセンティブだけでは不十分であって、逆インセンティブ、ある面でペナルティーということになりますが、これとセットで行うほうが有効だと思います。もちろん逆インセンティブを導入する場合、やり方とか、内容については留意しなければいけないと思いますけれども、要は先行しているところにも、逆に少し取り組みが遅れているところにも、両方に励みとなるようなものを目指すべきだろうと思います。

 いずれにしても、インセンティブとか逆インセンティブというのは、地域間のばらつきをなくすために入れるという観点で言えば、できるだけ早い段階で全ての保険者が一定以上のレベルに達する、これを目的とするものだと思いますので、達成できれば、その段階でインセンティブも逆インセンティブもやめるべきだと思います。早くやめたほうがベストという仕組みだと思います。したがって、インセンティブ、逆インセンティブを早くやめるためにどうするのかということが重要なのだろうと思います。

 また、早くなくしたほうがいいという制度である以上、財政的な手当ては基本的にはかけるべきではない。要は、いずれなくなることを前提に考えた場合に、財政的にはファンドイーブン、要はインセンティブ、逆インセンティブ、同じようなものを基本として考えていけばいいと思っております。

 以上が資料1のほうです。

 次に、資料2のほうなのですけれども、介護保険データベースの活用については、前回も申し上げましたけれども、個人情報ですとか、目的外利用ですとか、ここについては当然、禁止を担保した上で第三者提供を可能にすべき、これに賛成でございます。将来的には、医療、介護、両方の予防ですとか、適正化に向けた分析ができるようにすべきと思います。これは医療、介護、両方の費用の伸びを防ぐには極めて重要なファクターだと思いますので、よりスピードアップするための施策を目指すべきだろうと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大西委員、どうぞ。

○大西委員 ありがとうございます。市町村、保険者に関する論点がほとんどでございますので、少し長くなりますけれども、1つずつ意見を言わせていただきたいと思います。

 まず、資料1の関係でございますけれども、総論的には全く問題なしでございます。賛成でございます。

 まず、データの提出でございますけれども、現在も、資料2のほうでも出てきましたように、介護給付費、あるいは要介護認定等に関するデータにつきましては全て報告しておるところでございます。ただ、報告が、介護給付費のほうは全市町村、ほぼ100%になっておりますけれども、要介護認定の状況等につきましては8割強の市町村になっておるということで、一部提出をされていないということでございます。全保険者の状況を適切に比較・分析するために、全ての保険者からデータ提出が必要であるというのはわかるわけでございますが、提出していないところは、個人情報保護条例とか、その辺の関係で判断をして提出していないということでございまして、それをきちっと説得できるような説明が必要かなと思っております。そして、法律上きちっと明確化して、義務づけをするというのであれば、その辺の目的とか、効果をより明確にしていただきたいと思うところでございます。

 それから、「見える化」システムを通じたデータ提供等でございますけれども、保険者といたしましても、地域課題の分析等につきまして、「見える化」等によりまして、より客観的に判断をしていくということは我々としてもやっていかなければならないと思っております。そのときに、保険者単独では保有していないようなデータについて、国のほうからも提供していただきたいと思っています。

 また、広域的な水準の確保という意味で、都道府県による保険者の市町村に対する分析能力の向上等に向けた支援といったものも、ぜひお願いをしたいと思っております。

 ただ、1つだけ、今の地域包括ケア「見える化」システムがございますけれども、市町村によりましては、とても使いづらいといった意見も出ておりますので、その点につきましては、改良等につきましても御留意いただけたらと思っております。

 それから、国によるガイドラインの策定でございますが、国がガイドラインを策定して支援をしていただくことは必要であると考えております。ただ、一部、保険者の独自性といったものはきちっと残していただくように、認めていただくようにお願いをいたしたいと存じます。

 それから、高齢者の自立支援と介護の重度化防止についてということでございます。高齢者の自立支援と介護の重度化防止というのは、介護保険の最重要課題の一つであります。具体的な取り組みを介護保険事業計画において記載し、推進することは、事業の適正な運営について重要であることは言うまでもないと思っております。したがいまして、ガイドライン等を定めるほか、効果的な先進事例等の情報提供等によって、その策定に向けた支援を行っていく必要があると思っております。ただ、計画期間が3年間でございますので、どうしても社会情勢の変化等がございます。保険者が柔軟に対応できることが可能になるような仕組みが必要であると思っております。

 それから、都道府県による保険者支援の明確化ということでございます。これは賛成でございます。ぜひ、そのような実効性のあるような取り組みを、支援を実施していただきたいと思っております。

 それから、都道府県計画への支援内容等の記載でございます。都道府県による支援の実効性を高めるために、具体的な内容及び目標の記載は有効であると考えております。しかしながら、同じ都道府県であっても、地域事情は市町村によってさまざまでございます。画一的な支援みたいな形にならないように、きめ細やかな支援、対応が必要であると思っております。

 また、支援におきましては、単に先進事例を横展開するということではなくて、やはり個別の市町村の実情に応じた指導、支援をお願いいたしたいと思っております。

 それから、アウトカム指標、アウトプット指標等についてでございます。今、地域包括ケアシステムの取り組みにつきましては、国が全国一律の指標を設定し、PDCAサイクルの一環として、市町村が自己評価をして国に報告した後、公開をするという流れが示されておるところでございます。こうなりますと、市町村は自己評価をして国に報告して、それをまたバックして分析をする。もちろんPDCAサイクルを有効に働かせるためにはそれは必要なのですけれども、どうしても事務負担が出てきてしまいますので、その辺について過度にならないような流れといいますか、事務処理体制といいますか、そういうものをぜひお願いをいたしたいと思っております。

 また、この指標の設定ですね。抽象的に言うのは簡単なのですけれども、具体的にアウトカム指標、アウトプット指標、特にアウトカム指標はどういう指標が最も適切な指標であるのか、あるいは複数の市町村にまたがって適切な指標を設定するというのは非常に困難が予想されます。その辺につきまして、我々保険者でありますとか、あるいは関係者の意見を丁寧に聞いた上で、議論を尽くして、本当に適切なアウトカム指標、アウトプット指標を設定していかなければならないのではないかと思っておるところでございます。

 それから、財政面でのインセンティブづけでございます。先ほども御質問出ておりましたけれども、基本的な考え方として、財政面でのインセンティブという限りにおいては、やはりプラスアルファ的なインセンティブ、より正の方向に対するインセンティブ。ペナルティーとか、あるいは調整交付金のように、どこかを減らして、どこかへ持っていくという形でのインセンティブにならないように、ぜひともこれはお願いしたい。積極的にいい施策をやったらインセンティブが働くよという形で、プラスのほうのインセンティブが働くような、財政面におけるインセンティブづけをお願いいたしたいと言っておきます。

 それから、国、都道府県の役割でございます。これは論点の設定はございませんけれども、先ほども言いましたように、我々市町村、保険者は、制度運営の具体的な実務を担っております。3年ごとに介護保険事業計画が変わっていくわけでございますが、そのたびに事務が複雑化してきておりまして、かなり事務負担がふえてきておるのが現状でございます。このような中で、地域分析で地域マネジメントをやっていく必要性は理解をしておるところでございますけれども、人員、事務量の問題、またノウハウとか、分析能力の不足等が課題でございます。これらを考慮した上で、国と都道府県と我々保険者の役割を明確化して、過度の国や都道府県の関与をすることなく、実質的な支援が強化されるといった方向で制度改正を考えていただきたいというのがお願いでございます。

 次に、資料3のサービス供給への関与のあり方の関係でございます。6ページに論点が出ておりますけれども、まず、市町村協議制の実効性の確保の関係でございます。市町村協議制が今は十分機能していないということでございますけれども、まずはその実効性を高める必要があるということでございまして、ガイドライン策定によりまして具体的な判断基準や判断過程を示すなど、国による技術的支援をぜひお願いをいたしたい、必要であると考えるところでございます。

 それから、対象サービスの範囲拡大でございますが、これにつきましては、市町村の関与を強化する必要があるということで、賛成する保険者が割と多いということでございます。ただ、市町村協議制が進まないから、すぐに事業者指定に関する市町村の関与を強化するということではなくて、まず進まない理由の分析とか、あるいは協議のハードルを下げることをもう少し検討する必要があるのではないかといった意見がアンケートなどでは出てきておるというのは申し添えたいと思います。

 それから、市町村の都道府県への意見具申の制度でございますけれども、現行制度におきましては、事業者の視点に対して市町村が関与できる仕組みは市町村協議制のみでございますけれども、市町村がみずからの介護保険事業計画を進行管理するに当たって、事業者について市町村の意向を反映できる仕組みづくりは必要であると考えます。したがいまして、市町村が都道府県に対して意見できる等の関与を可能とすべきであると思っております。

 それから、指定に当たる条件でございますけれども、都道府県が指定するに当たって、市町村の意見をもとに条件を付すことが可能になれば、市町村の介護保険事業計画との調整が一定程度図られるということで、その方向でよろしいのではないかと思っております。

 それから、市町村による地域密着型サービスの事業者指定に関しまして、地域密着型通所介護サービスの事業者を指定しないことができる仕組みの導入でございますけれども、これにつきましては、若干違和感があって、不要であるとする意見がございましたが、一方では導入に賛成する、あるいは仕組みづくりに賛成するという意見もございました。アンケートでは意見が分かれたところでございます。

 また、小規模多機能型居宅介護等の普及が進まない理由や、その必要性を先に分析・提示すべき、あるいは小規模多機能型居宅介護の普及についての積極的なPRをする必要があるのではないか、そちらのほうにも力を入れるべきではないかという意見もアンケートではあったところでございます。

 それから、必要と認める条件を市町村が付すことについてでございますけれども、地域密着型サービス事業者の指定に当たりまして、必要と認める条件を付すことが可能となることを市町村に十分に周知をしていただきたい。その再周知をすることによって、適正なサービスの質の向上につながるのではないかと考えるところでございます。その際に、必要と認める条件の具体例、こういう条件なら、付したら有効に機能するのではないか、あるいは手続等につきまして、技術的な情報提供をぜひ国等から行っていただきたいということでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、保険者ということで、藤原委員、お願いいたします。

○藤原委員 今、大西委員から市町村の考え方も大分述べられましたが、まず、保険者による地域分析と対応ということでありますが、今後ますます高齢者が増加しまして、地域によって介護の需要が異なってくることを踏まえれば、市町村が地域の実情に応じて、自主的に、主体的に、具体的な取組内容や目標を掲げることは本当に必要なことだろうと思っております。

 今回の論点で、取り組みについて計画し、実行するだけではなくて、アウトカム指標やアウトプット指標を設定してはどうかということになっておりますが、これは相当難しいものが内在していると思います。私の今まで取り組んできた経験から言いますと、介護分野において成果を評価することは非常に難しい面があります。要介護状態は加齢とともに自然に悪化していく面もありますので、その維持・改善に効果的な支援は高齢者によってさまざまなであります。また、その取り組みの効果と要介護状態の維持や改善の度合いが必ずしも一致しないということもありますので、これは相当慎重に研究をして検討する必要があると思います。

 また、こうした取り組みの評価に応じて、財政面でのインセンティブを与えたらどうかという論点でありますが、今も申し上げましたアウトカム指標のこと以外にも、自治体間では、人的・物的・地理的条件が大きく異なっておりますので、そのような中で、各自治体のそれぞれの取り組みを正しく評価してインセンティブをつけることは非常に難しい面があります。これによって、もしかすると、より地域格差や福祉の取り組み格差が出る可能性がありますので、そこをしっかりと研究し、検討をしていただきたいと思います。相当に地域格差があるというが現実でありますので、そういう中で、共通点を出して、そこに向けて取り組めば効果が出るような仕組みにしていただきたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 先ほど手を挙げておられた齋藤訓子委員、お願いいたします。

○齋藤(訓)委員 資料1から資料3の事務局提案につきましては、特段異論はございません。特に資料1の保険者機能強化、地域分析対応については、データ等の整備を国が支援をして、分析しやすい形で市町村に提案する、そのこと自体は大いに賛成です。参考資料の中では、和光市とか大分市の好事例が出てくるわけですが、そういった好事例の横展開も重要ですけれども、一方で全国どこの市町村でも、最低限、一定のデータを活用して自分自身の地域を分析できる基盤整備が非常に重要だと思っていますので、今回の提案には賛成いたします。

 ただ、1点、懸念されることとして、資料の1ページの現状と課題のところに、人員不足とかノウハウの問題が挙げられているのですが、地域分析等に携わる有能な人材の確保、あるいは育成も、今後、鍵になるのではないかと思います。なので、保険者が人材確保や育成をどう進めていくのか、そういった点についても情報提供が必要になるのではないかと思います。例えば、前々回からもずっと言われておりますけれども、自治体は職員が短期間で異動になるということもありますので、その配属の期間や異動に関して、どのような工夫をしているとか、あるいは小規模な自治体では、有能な人材を確保するといっても、なかなか難しい状況もありますので、そういった小規模の自治体同士で専門職を共同雇用する、あるいは外部の有識者のコンサルテーションを共同で受ける、そういったさまざまなヒントが国から提示されてもよいのではないかと思っています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、小林委員、どうぞ。

○小林委員 介護保険制度については、制度創設から15年以上経過して、市町村ごとの要介護認定率や、1人当たりの介護費用等に差が生じております。このため、資料1で御説明ありましたように、地域ごとの現状分析や課題抽出による「見える化」を速やかに行うべきであり、その際、市町村ごとの差異が合理的なものであるか否かを確認するため、市町村格差の要因分析も確実に行う必要があると思います。

 また、こうした市町村ごとの「見える化」を的確に行うためには、資料2で御説明がありましたような、データベースの整備が必要不可欠であり、個人情報の取り扱いルールの明確化を図りながら、国と地方自治体が連携して基盤整備に取り組んでいただきたいと思います。

 さらに、そうした現状把握を踏まえ、地域マネジメントに係るPDCAサイクルを着実に実行し、制度の持続可能性を維持していくためには、制度の適正化につながるような、定量的かつ実効性のある指標を設定していくべきだと考えます。

 最後に、指標に係る取り組みに応じて付与する地方自治体への財政的インセンティブについては、先ほど事務局からも御説明ありましたように、その財源は今後検討していくことになるものと思いますが、既に負担の限界にある現役世代の負担水準を考えれば、財政中立であって、現役世代に新たな負担を求めるものではないものとなるように要望いたします。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほど手を挙げられていた井上隆委員。

○井上(隆)委員 ありがとうございます。まず、資料1でございますけれども、2ページに説明ございます制度の見直しの方向性につきましては、基本的に賛同をいたします。その上で、具体的な論点について何点か申し上げたいのですけれども、2ページの一番下にあります、市町村から国へのデータの提出、国によるデータの集計・分析、自治体へのフィードバックと、こういうものは当然のことながら、エビデンスに基づく制度の精緻化・効率化に資するものであり、ぜひ積極的に推し進めていただきたいと思います。その点からいきますと、ページ3の一番上で、各自治体が分析に努める、あるいは分析を支援するよう努めるとありますけれども、努めるではなくて、もう少し前に一歩踏み込んでもいいのではないかと考えます。

 最後の○のインセンティブのところでございますけれども、財政面におけるインセンティブということですが、現在、この部会で給付の効率化・重点化、あるいは負担の増大といった議論をしておりますので、財政面のインセンティブというのは極めて唐突感、違和感があるところでございます。この内容や規模がまだ不明なので意見しにくいわけですけれども、基本的には、インセンティブをつけなくても、当然やるべきことではないかとも思われますし、つけるにしても、財政中立ということで、効率化、あるいは適正化によって捻出する財源を回すのが原則となるのではないかと、今の時点では考えております。

 次に、資料2でございますけれども、データベースの活用につきましては、言うまでもなく、行政のビッグデータの利活用というのは、制度の効率化・精緻化、あるいは国民への透明性、納得性の向上等々に資するものであります。情報のセキュリティや、個人情報保護などに十分留意しながら、積極的に進めていただきたいと思います。また、医療データベースとの連結ということも大変有用だと思いますので、進めていただきたいと思います。

 資料3のサービス供給に関してですが、保険者たる市町村が供給体制に対しまして一定のコントロールを与える仕組みは重要であり、方向性は賛同いたします。ただ、一点、これまでありましたように、新規事業者の参入が不当に抑制、阻害をされてしまうと、公正な競争、サービス、あるいは効率性の向上に悪影響が出かねませんので、そこの点だけは十分に留意をしながら検討を進めていただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、岡委員、お待たせしました。

○岡委員 ありがとうございます。資料1の保険者等による地域分析と対応について一言申し上げたいと思います。

 まず初めに、論点である保険給付の適正化の取り組みに対する都道府県や市町村へのインセンティブの意味合いについて、これが努力した保険者に対する何らかの財政的な追加の手当てを行うことを意味しているのであれば、いささか疑問なしとは言えません。逼迫する保険財政の中にあって、本来、給付の適正化や効率化の努力は保険者としての当然の責務であり、そこに努力を報償するような新たなインセンティブをお金で与えるというのは矛盾しているのではないかと思っております。

 また、仮に保険者の取り組みに対するインセンティブに調整交付金を活用し、努力する保険者や、結果を出した保険者への分配に厚みをつけるといった方法を検討しているとすれば、確かにそうした方法はあるかもしれないと思っております。ただし、その場合でも、保険給付における地域差がどのようにして生じているのか、また、その中で住民の高齢化率など、各保険者の効率化努力に左右されない要因を排除した上で、保険者の適正化、効率化努力によって解消できる割合はどの程度なのかといった分析が必要であり、その上で評価指標やインセンティブの内容を検討すべきであると思っております。

 また、評価指標を検討するに際し、なるべく多くの自治体からデータを集めて精度を高めることも重要ではありますが、今、収集されているデータだけでは分析できないものかと思ってもおります。地域差が生じている要因は、一定程度のデータがあれば分析できるのではないかと考えております。評価指標の設定やインセンティブの付与は、こうした分析結果を踏まえた上で、その具体的な検討は本部会ではなく、別途専門部会などの関与を設けて綿密に検討すべき事項と考えております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 少しサービス提供側の御意見はいかがでしょうか。それでは、馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 ありがとうございます。それでは、資料1の保険者による地域分析と対応について、あと、データの活用について、そして最後に供給の関与について意見いたします。まず、保険者の地域分析との対応ですけれども、事業者として各保険者の方とおつき合いをさせていただく中で、保険者の、地域分析、または計画立案をされる部署の人材、またはその力量について格差があるのは否めないところです。そのような格差について、県と国が支援をして、組織、人材を確保し、育成、支援するというところについては、ぜひ強力に進めていただきたいと思います。

 特に分析の中で、アウトカムも非常に大切なのですけれども、これから第7期の準備に入る中において、データの活用について、現状の分析が余りにも弱いのかなと思います。例えば、サービス供給量の内容においても、事業者に対してもアンケート等、調査等されるのですけれども、具体的なサービス量と、それに見合う人材の確保及びそういう供給に関する資源の確保に対してまでの調査がそこに行き着いていないということは、見込みであって、確定ではないわけですね。すなわち、その地域におけるサービス量の事業計画をつくるにしても、人材確保の見通し、内容の調査データがないのに、供給計画をつくっても、不確実で事業者は参入もできませんし、拡大もできません。現状分析があってPDCAを回すということは、確実に対応できるように、現状分析の手法については、国のほうからも整理の仕方をお示し下さい。

 それから、特に比較・検証するときに大切なのは、今、市町村の地域密着とかの内容について、数字を比較するときに、サービスの標準とか内容がローカルルールでばらばらなものを比較・検証するときに、その妥当性はあるのでしょうか。すなわち、今後、数値を比較するためにも、サービスの標準、標識のルール、例えば、ローカルルールによる変更がないような基準があって数値があり、比較・検証しなければ、やり方の違うものを比較検証して、それを見ることについては、いささか疑問がありますので、標準化が急務であると思います。

 それから、比較・検証した場合に、すばらしい事例があるのですけれども、いつも思うのは、トップ10とかが出ても、なぜそれがそのようになっているのかという経過と構造とか、例えば、ここに提案されている市とか県がどうだったのかという経過と分析内容がお示しされないと、地域の現場の方々は、差があるだけではなくて、取り組みに何をしていって変化したということについて、データ等の説明がないと、使えないと思います。それは今後の取り組みに対する自分たちの計画につながらないということになると思いますデータ比較・検証、アウトプットについて、なぜそれがそのようにできたのかという経過と分析が大切だと思います。

 最後に、「見える化」のシステムですが、私も「見える化」を使わせていただいておりますが、やはりこれは少し慣れないと、また知らないと使いづらいですので、「見える化」を広く国民に見えるための具体的な広報をぜひお願いをしたい。そこには当然、各地域、住民の取り組み、または豊かな生活、いい意味の健康な生活をされている事例を広く広報されることとあわせてお願いをしたいと思います。

 すみません、長くなりますが、参入と供給制限の件について。もともと参入については、自由競争の中で、サービスの質によって淘汰をされるべきというのが原則だったと思います。供給については一定の範囲についてコントロールするというのはわかるのですが、特に地域密着において、計画は市町村単位でやりますけれども、住んでいる方々は、市境の方とか、もともと地域で言う生活する圏域など分離があるわけです。その場合は、地域密着でも市境などお互い市町村協議で使えるようにしてほしいというのがあるのですか、市町村の何かの理由によって、A市とB市はなかなか関係が難しく対応不可で、B市とC市は良好で対応が可能とか、そういったことが現実に行われていますので、ぜひ市町村協議の有効性は、すなわち、協議に資する、または拒否をすることの具体的な根拠、内容が示されなければ、事業者も、または利用者も不信になります。何をもって拒否をするのかという一定のルール、内容、第三者的な判断も含めて、妥当なものを提供していただきたいと思います。私たちもサービスの質を上げて、選ばれる事業者として参入をし、地域に貢献したいと思っていますので、一方的に新規だけをもって参入拒否をされることについては、事業者の多様な地域貢献を阻害されるようなことだけはないように、よろしくお願いします。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 まず、地域分析、データベースの件なのですけれども、要介護認定等に関するデータの問題で、2次判定、認定審査会におけます要介護度の変更率であったり、変更状況、それと、どのようなケースが変更されたか、そのようなものを入れていただけたらと思っています。1次判定自体がコンピューターによって標準化されています。2次判定については、1次判定で見えないものを、そこで修正するという形になっていますけれども、標準化とか、「見える化」というのが今できていませんので、そうすると、そこも要るのかなと。

 それと、認定審査員の先生方についても、自分たちのチームが変更する場合に、ほかではどうしているかが、その数値等で見えるようになるかもしれません。

 それと、変更ケースの中身の分析というのは、現在、要介護認定、基本調査の74項目と医師の意見書5項目でコンピューター判定していますけれども、それで本当にいいのというのは、この数年間、検討されていません。変更するケースが、よく似たケースがいっぱいあるのだったら、そこに注目した修正が必要と思います。多分、何らかの形は分析すれば出てくると思いますので、そこのあたりをお願いしたいと思っています。

 それと、サービス供給の関与の問題ですけれども、本来、介護サービスというのは自由競争で、利用者のニーズとサービスの質を上げるというのが本旨なのですけれども、例えば、通所介護の例を挙げますと、乱立している地域になってくると、本来の介護サービスの質で競争するのではなくて、例えば、安い値段ですごく豪華な食事を出したり、遠足等の行事によって利用者を引っ張ってくるという、介護保険サービス以外のサービスで顧客を取り込んでいくという実態が出てきています。そこらは、ある意味では乱立することによって起こっている弊害というのもあります。

 今回、通所介護が、定員18人というラインで、地域密着であるか、広域の通所介護かに分かれました。地域密着になったほうが、非常に単価は高い。そのかわり、運営推進会議等の、完全に地域のために行うサービスですというのをつくっていかなければいけない。そうしますと、市町村が定めています日常生活圏域よりももう少し小さい範囲で地域密着の通所介護というものはつくっていくべきだろうと思います。そうすると、同じところに2つは要りません、でも、ない地域にはつくったほうがいいというのが、やはり市町村計画の中に出てくると思います。そうしますと、地域の特定であったり、場合によったら、多過ぎる地域の指定拒否という、それが地域密着の通所介護でもできる形が必要になるかと思います。

 ただ、今の市町村の協議制の問題は実効性が全くありません。少し内容を検討しなければいけないのではないかと思っています。短期入所の件なのですけれども、大部分の短期入所施設は、3カ月前に申し込みをしないと使えないと一般的に言われています。でも、地域によりますと、いつでも使える地域も存在してきています。そうしますと、いつでも使える地域のほうが土地の値段が安いとか、いろいろな問題で施設整備がしやすい。だから、そこにつくられる可能性が逆に高いという問題が起こってきています。そうすると、その市町村は過多なショートステイのベッド数を持ちますと、やはり需要は掘り起こしていきますので、介護保険財政にも影響することもありますので、地域によったら、指定拒否というのも必要になるかと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、井上由美子委員、お願いします。

○井上(由)委員 ありがとうございます。資料1については、この方向性に対して、皆様からすばらしい意見が出たこともあり、賛成しております。そういうものを取り入れて現実化していただければありがたいと、利用者としてまた保険料を負担する立場から、発言させていただきます。

 1つ、この部分で質問なのですけれども、参考資料1の5ページに、「把握、分析が可能となる事項」というところがございます。それの4番目の真ん中ぐらいに「受給者の単価やサービスの利用頻度が高いかどうか」というのがあるのですけれども、受給者の単価が違うということは地域によってあるのでしょうか。それを伺いたいと思っています。単価は決まっているのではなかったでしょうか。地域によって違うことはありますね。サービスの利用頻度が高いかどうかというのは、多分、地域差で出てくると思うのですけれども、単価のことについて、もうちょっと教えていただきたいと思います。質問がこの1点です。

 それから、資料2についてなのですけれども、データベースの「見える化」というのは、本当に今の時代の有効な武器だと思っています。ただし、これが全部データ化されるというのが、読んでいて、ここまでテクノロジーは来ているのかと思いつつ、やはりちょっと怖いなと思うところがあります。それがどう怖いのか、では、どうすればいいのかというのは、私の中でアイデアはございませんけれども、人とデータベースの「見える化」というような、そのデータベースの中に人が浮き上がってくるような、人が見えるような、単なるグラフとか数字だけではなくて、人が見えるということをまず前提に置いて取り組んでいただきたいと思います。これは抽象的かつ余計な意見だと思いますが、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、質問がありましたので、事務局、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 どうもありがとうございます。介護保険計画課長でございます。

 参考資料1の5ページ目の表の把握、分析が可能となる事項の4つ目のポツの受給者の単価というところの違いが、単価というのは決まっているのではないかという御指摘だと思いますけれども、申しわけございません、これは私たちの表現がやや不十分でございまして、同じ表の上の欄に「『見える化』システムの搭載内容」と書いている欄があると思います。この欄の1.5次リリースと書いてあるところは、平成28年2月26日と書いてあるところの2つ目のポツに書いてある内容、受給者1人当たりの給付費で利用回数、こういったものを平成28年2月から御提供しているわけですが、これと同じことを言いたかったところの表現が、単価と。単価といっても、制度的に決まっている報酬の単価ではなくて、実態として、例えば、支給限度額を皆さんが全部使い切っているわけではありませんので、受給者1人当たりに直したところの単価でなくて、1人当たりの受給額がわかるようになりましたと。それを「単価」という、やや誤解を招く表現で書かせていただいたところですので、次に使うところから、誤解を招かないように直したいと思います。申しわけございませんでした。

○遠藤部会長 重要な御指摘ありがとうございました。

 それでは、陶山委員、お願いします。

○陶山委員 ありがとうございます。1番の保険者などによる地域分析の対応と、それから、データベースの活用につきましては、さまざまな委員の方がおっしゃっているように、基本的に賛成でございますが、地域は特性だとか格差がさまざまでございますので、先ほどもお話ありましたように、職員の異動について、連絡の問題だとか、人員不足によるノウハウの蓄積の問題だとか、その辺を、特に国や都道府県がこれから保険者を支援していくときに、人材育成を含めた一層の整備が必要であると思います。

 留意することは、これもさまざまお話ございましたが、特にデータベースでございますが、NBDも配慮されていると思いますけれども、年齢要件などにとっては、個人情報が特定されるリスクが非常に高いこともありますので、第三者への提供は一段と厳しいルールを策定していただきたいと思います。

 それから、サービス供給への関与のあり方でございますが、市町村協議制の実効性の確保、対象サービスに関する課題でございますけれども、これも参考資料8ページにございますように、会計検査院の結果として、供給能力とニーズの関係で、ニーズに対して供給能力が判断できないとしている保険者が、訪問介護、通所介護ともに4割となっております。このあたりの理由を明確にしていかないと、市町村協議制による総量規制をやっても、明確な理由がなく規制される、そういうふうに事業者の納得性を得られない可能性が高いと思われます。また、質の管理に課題がある中で、量との関係だけで単純に規制は困難ではないかと思います。

 加えまして、小規模多機能と地域密着型通所介護サービスはニーズがそもそも違いますので、利用者の選択を無視した総量規制は問題が多いと思います。市町村の地域分析の中で、サービスの見込量が精緻化されることを踏まえ、市町村協議制の活用の中で、サービスの特性を含めてガイドラインをつくるべきであろうと思います。

 さらに、将来に向かって需要がどの程度継続するのかを見込むことが大切だと思います。事業者とはこのあたりも情報共有して、この後供給側として経営的にどうなっていくかということも含めて検討いただくことも必要ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 資料1と2について、意見と質問をさせていただきます。

 まず、1のほうですけれども、客観的なデータに基づいて課題を分析して、保険者がみずからの判断で事業を運営していく。そのためのインフラとしてのデータ整備は非常に重要なことだと思っています。しかし、資料1の4ページの「論点」の部分ですけれども、アウトカム指標というところ、要介護認定の改善度合いをメルクマールにするということが、生活保護で非常に問題になった水際作戦的な運用を促進しかねないのではないかということについて、422日の部会で指摘させてもらいました。その点についても非常に気になっておりまして、4ページの2行目に「その際」ということで書いていただいてはいますが、これは逆に読みますと、過度でない限りにおいては抑制的な対応を行うことを求めると読むことも可能でして、この点については非常に心配をしております。ですので、きょう、たくさん議論がありましたけれども、指標の検討に当たって、多面的に、慎重に検討していただきたいと思います。

 一つ考えられるのが、要介護認定の認定控えみたいなことをすることによって、医療のほうに出していくようなことがあってはなりませんので、参考資料2の2ページに骨太の方針が引用されていますけれども、医療と介護の双方のデータを連結した分析ということで、後期高齢者の1人当たり給付費が変わっているかとか、連結した分析の仕方もあり得るのかなと思っております。

 それから、インセンティブということで、先ほど事務局から、これは予断を持ったものではないという趣旨の御説明がありましたけれども、非常に違和感を持っております。たくさん課題があって、給付抑制の議論まであって、人材確保が極めて重要だという認識も共有されている中で、早速、お金の使い道をこのインセンティブに充てるかのような議論を提起してくることについては、そういうことでないと理解しますけれども、そういうことでない前提に立っての議論を進めていければと思っております。

 それから、資料2のほうですけれども、データベースの活用ということで、要介護認定データが提供されていないところが200保険者ぐらいあるというお話でしたけれども、この200保険者がなぜ提出をできていないのかということについて、御説明いただければと思います。先ほど大西市長から、個人情報保護条例ということもあったかと思うのですけれども、どのような課題があるのかを教えていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局、お願いします。

○鈴木老人保健課長 老人保健課長です。

 先ほどの提出されていない保険者の提出していない理由でございますが、幾つかの保険者にヒアリングしたところ、先ほどありました個人情報保護法の関係の条例の関係で出せないというところもございますし、あと、職員の方が提出できることについての認識がなかったということ、それからあとは、システムの問題で、システムのバージョンが低いためにそういったことができないということが提出されていない理由として挙げられていると聞いております。

○遠藤部会長 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 わかりました。そういった課題を克服するべく、個人情報などのところはきちんと対応が必要だと思いますし、体制の問題もあるかと思いますが、そういうことを対応した上で、ぜひ進めていただければと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。それでは、武久委員、どうぞ。

○武久委員 資料3つとも関係しますけれども、厚生労働省の皆さんがいろいろお考えになって、こういうふうにしたいというのであれば、大きな問題がなければ、それでいいと思うのですが、ちょっと心配事がありまして、市町村が介護保険にはふさわしいと思うのですけれども、国民健康保険が平成30年度から保険者が都道府県になると。ちょっと見てみますと、10年か20年後には、現在の人口が30%減から50%減になる市町村が予想として結構あるのですね。そうすると、減るのは若い人。市役所の職員とか、町役場の職員とか、いなくなるのではないか。それが予想で、10年後か、20年以内にわかっているのに、あくまでも介護保険は市町村が主催してやるのだという、この決め方について、ちょっと危惧を持っています。それでは、関係当局は、人口何万人以上の市であれば可能と考えているかをお聞かせ願いたいのです。

 もう一つは、幾つかの市町村が一緒になって事務協同組合みたいなものをつくるような制度がありますけれども、これがどうもなかなかうまくいっていないように思います。近未来に非常に心配をしております。

 それから、介護保険というのは要介護状態をよくすることと思うのですけれども、人間には寿命がありまして、60歳で亡くなる方もおれば、100歳以上の方が7万人近くになるという状態でもありますので、70歳の人が要介護状態で入ってきたときに、状態をよくしていくというのが介護保険の本旨と思うのですね。いわゆるアウトカム評価というのは、診療報酬ではリハビリに入りましたけれども、要介護状態がかなりよくなって、いろいろなことが自分でできるようになるということは非常にありがたい、いいことだと私は思いますし、要介護認定のときに判定されて、それが軽くなった、よくなったのだというと、要介護認定のロジックの中には、単純にADLがよくなること以外の要素が余りにも多過ぎて、しかも、今度、3年間の猶予期間があるとなってくると、3年もたってアウトカムを評価するのはどうかと思いますので、各事業所のインセンティブを高めるためにも、要介護状態がよくなったら収入が減るという、逆に何らかの仕組みを皆さんに考えていただいたらいいのではないかと思っているわけです。そういうこともありまして、これから人口が地方ではますます減っていく、この状態を国も我々もどうすることもできないので、確定的未来に対してのスペキュレーションを持った計画をしていただいたほうがありがたいかなと思っている次第であります。

 1つ質問ですけれども、小規模多機能と通所介護のことが出てきました。ショートステイも出てきましたが、小規模多機能は通所、訪問、ショートと3つありますが、地域によっては小規模多機能に登録していても、通所と訪問は受けているけれども、ショートのときには病院併設の施設のほうが安心だと言って、そっちに行きたいともしなった場合、ケアマネジャーは2人、小規模の人と居宅の人と2つ要るのか。というのは、小規模のショートがかなり高い場合もありますので、そういった場合には可能なのか。私、個別ではわからないので教えていただけますか。2つ質問をお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 では、事務局、よろしいですか。

○竹林介護保険計画課長 まず、介護保険計画課長でございます。

 1点目の、介護保険の保険者として、人口が何万人あればいいと考えているのかというところでございますけれども、皆様御承知のとおり、介護保険の保険者を誰にするかということは、制度創設時の最大の争点の一つでありまして、結果として住民に一番身近な市町村にお願いすることが一番いいだろうと。しかし、例えば、財政面でありますれば、御承知のとおり、公費と保険料の分担の仕組みでありますとか、その中での国、都道府県の支援の話でありますとか等々によりまして、市町村が保険者としてやっていけるような、いろいろな手だてがされているところでございます。

 さらに、御指摘の趣旨は、財政面のことというよりは、事務の執行体制のことが問題意識の中心だったかと思いますけれども、事務の執行体制につきましても、委員から御指摘のあったような、広域連合でありますとか、あるいは認定調査会の共同実施というふうな、広域的な事務の実施体制というものもやっているところでございまして、その結果、今、藤原委員の地元の川上村は人口4,000人台でありますけれども、私も先日、視察に行かせていただきましたけれども、大変先進的な取り組みを意欲的にされておりますし、一概に人口規模によって、職員の絶対数が少なくなること自体は間違いないと思うのですけれども、介護保険の保険者として適切な役割を果たせるかどうかというのは、それとは次元の違う話なのかなと。いずれにしても、都道府県や国による支援は、これまで以上にしっかりといろいろな仕組みをつくったり、事実上のところは強化していかなければいけないのかなと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、続けて振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 小規模多機能に登録されている方が別のショートステイなどを利用したいという話ですが、今、手元に条文がないものですから、確認をしてお返事したいと思います。

○遠藤部会長 かなり細かい話でありますので、また。

 それでは、齊藤委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。資料1に関してですが、3ページの一番下の○であります。アウトカム指標とアウトプット指標について、国が設定すること、そして、それを地方自治体の自己評価に役立てるという基本的な考え方については賛成をいたしますが、私は一定の地域差があることを前提にした上で、国が必要以上の関与とならないように、自治体の自主性が尊重されるような仕組みがなければいけないと申し上げたいと思います。

 次に、関連して、アウトプット指標については、自治体の努力の「見える化」としての意義が大きいと思いますけれども、アウトカム指標の使い方については、これを誤ると、プロセスが軽視されて、資料に出ているように、例えば、要介護認定が過度に抑制されるのではないかという、結果ありきになってしまう危険性があることについては、十分留意してこれを使っていくことが重要ではないかと思います。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、土居委員、お待たせいたしました。

○土居委員 まず、保険者等による地域分析の対応ですけれども、私自身もこれは非常に重要なポイントだと思っています。特に市町村は、保険者として人材を確保するのが難しいとか、地域分析をする上での悩みもいろいろあるとは思いますけれども、積極的にアウトソーシングをする、ほかの分析可能な機関とか、研究者とかをうまく活用して地域分析をすることも一つの方法だろうと思います。この分析した結果をどう活用するかは、当然、介護保険事業計画に反映していくことは言うまでもないわけですけれども、地域ケア会議などを通じて、地域の介護関係者とも情報共有して、こういう取り組みをすると介護保険がよりよくなるとかと地域分析の結果から得られたならば、関係者に協力を求めることも含めて、情報提供、それから、分析結果を浸透させることが必要だと思います。

 そして、これをインセンティブづけにどう利用するかは、私も必ずしも財政面でインセンティブをつけることがマストだとは思いませんけれども、一つのインセンティブづけとしては、財政面からの支援というのはあり得るとは思います。その際に幾つか気をつけなければならないと思う点があるのは、佐野委員もおっしゃっていましたけれども、御褒美だけでは、お金を出すほうだけしかインセンティブづけに使えないことになりますから、逆インセンティブもあわせて、収支中立で公費負担の増加につながらないようにインセンティブづけをやるべきだと。ファンドイーブンと佐野委員がおっしゃいましたけれども、私も全くそのとおりだと思います。

 そうすると、インセンティブをどう活用するかですけれども、前回の介護保険部会でもそうですし、きょうも武久委員からも少し話が出ていましたけれども、区分変更を、特に軽度化したほうの区分変更をより積極的に取り入れていく、そのインセンティブに活用することで、区分変更は36カ月待たなくてもできますから、かつ、前回の介護保険部会でもそうでしたけれども、軽度変更はインセンティブがないという話もありましたから、このインセンティブを活用しながら、軽度変更を促しつつ、そういう成果をアウトカム指標で捉えていくことが望まれているわけです。アウトカム指標を設定するときには、ほかのいろいろな介護関係の変数との相関関係、それから、経年変化という意味での時系列的な因果関係を分析した上でアウトカム指標を設定することが一つ考えられるのかなと思います。かといって、アウトカム指標がどしどし出てくるわけでもないという可能性は当然考えられますので、そうするとアウトプット指標である程度、インセンティブづけに対して評価のインセンティブを与えることにせざるを得ませんが、アウトプット指標ばかりに偏ると、アウトプット指標をよくしようと、形ばかりに走るという可能性もありますので、そうならないようにアウトプット指標は設定をする必要があると思います。

 2つ目の介護保険総合データベースの活用ですけれども、データの提供は義務化すべきだと思います。それから、このデータをより広く、公益的な目的であれば、第三者の利用を認めることは、医療での例にもならいながら進めていくべきだと思います。その際に、医療でのデータ提供でも見られることなのですが、第三者がちゃんと情報管理をしてくれるのかと政府が過度に心配するあまり、データの提供にちゅうちょするということもままあるということであります。

 諸外国の例にならえば、データを使用する者の情報漏えいに対する罰則をしっかりつける。そうすると、情報漏えいをすれば、政府が渡したから悪いのではなくて、情報を使うことを認められた者が悪いのだと。私も研究者で、分析する側にいるので、自分で自分の首を締めるみたいなところもなくはないのですが、やはり罰則を強化することで信頼を高める。情報漏えいをしてはいけない、こういうきつい個人的な罰則があるのだから、情報漏えいはしないように徹底しようと使用者に意識させることでもって、よりデータが活用されることになるだろうと思います。

 先ほど武久委員が、私も非常に関心を寄せている介護保険の保険者の話をされたので、少しその話と関連づけて申し上げたいと思うのですが、確かにいずれ市町村単体で保険者として運営していくのは難しいという市町村が出てくるだろうとは思いますが、今回の地域分析の取り組みは、まず、広域化する前にやるべきことだろうと思います。確かに単体の市町村で地域分析をするマンパワー、いろいろなリソースを含めて難しいという声があるのは承知していますけれども、まずは給付の面で地域差があるとされていて、給付の地域差を残したまま、単体の保険者ではやっていけないので共同実施だとか、広域化するという話になると、どういう組織体でやるかは別として、広域化すると、広域化された中では、第1号保険料をいずれ統一化していかなければならなくなる。だけれども、実は、統一化する前の、単体で営んでいたときの市町村で給付に地域差があるとして、それで保険料を統一するとなると、当然、より手厚く給付をしていた地域にお住まいの人はラッキーという話になるのですけれども、抑制的に使っていた地域が、広域化して同じ保険料を取るとなれば、何のために我々は一生懸命効率化していたのだという話になりますから、広域化はいずれ課題にはなるとは思いますけれども、まずは資料1にあるような地域分析を進めた上で、今の保険者でもってなくせる地域差を縮める努力をしていただくことから入って、いずれ大きく人口が減る地域で保険者のあり方を考えると、そういうステージに入っていくのかなと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 最初に、サービス供給への関与のあり方というので、資料3の1ページ目の3ポツで、在宅サービスについては、さまざまな事業主体の参入を認め、利用者の選択や事業者間の競争によりサービスの質を確保することを前提としつつも、24時間365日ということで、定期巡回・随時対応型訪問看護等については、市町村協議制を導入して、参入規制を設けているという部分なのですけれども、介護保険制度は効率的に、効果的に、全体的に運用していくということから見て、いわゆる参入規制であるとか、政策誘導というのは欠かせないものだと思うのですね。したがって、それは非常に重要なのですけれども、一方で、今、読み上げた部分の、利用者の選択や事業者間の競争によりサービスの質を確保するということになっているわけですけれども実現しているのか疑問です。一般の市場経済というか、市場におけるサービスと異なりますので、いわゆる準市場と言われる領域なので、なかなかこの部分が働きにくいですね。

 特に、政策誘導でこういうことを実現するということは国も都道府県も熱心というか、するわけですけれども、その一方で、準市場という限界というか、制約はあるのですけれども、市場というものの良さを最大化させることも重要で利用者の選択や事業所間の競争によりサービスの質を確保するという部分についても、バランスよくと言うとあれなのですけれども、その部分についても、よく心してないと、どうしてもこの部分が弱くなっていってしまうというのは、相当気をつけなければいけないことす。市場のメカニズムを使いつつというところが、下手すると、国は一生懸命、いろいろな検討で、これを直さなければというのはよくわかるのですよ。そのためにこれをしなければいけないというのはあるのだけれども、それが結果的に、神の見えざる手に導かれてという部分が弱くなってしまって、本当の意味で効率的・効果的に結びつかないということがあります。今、申し上げた選択ということと、競争による質の確保というものの一方で、ある種の指標であるとか、指標って難しいかもしれないけれども、どの程度市場化がなされているのかということをチェックするそういうことを検討するなりしなればいけない。それが必要ではないかと思います。これが1点です。

 もう一つは、先ほど来の保険者等による地域分析と対応ということなのですけれども、誰もこれを否定する人はいないと思うのですね。ただ、市町村の行政でそれが担え得るかということで、国はガイドラインの策定ということを書かれています。これもパターナリズムではないのですけれども、必要なことだと思います。ただし、いわゆる参酌標準的なものの設定というのは、相当きちっとした形での検討をしないとまずくなる。つまり、国はよかれと思って行うのですけれども、統計だけ見て、臨床場面というか、そういうことを関係なしに机上の論で組み立てたりすることがあってはならないということで、項目の設定とか、これは当然のことながら評価の項目になりますので、よく言われますように、イギリスのNHSであるとか、そういうことで、医療サービスの評価という場合に、必ず評価の誤謬とか、評価の陥りやすいわながありますね。そういうことについてきちっと留意して、評価項目を工夫していただきたい。それをうまくやらないと、さっき申し上げたように、変な形で誘導するというか、これをやっていればいいのだとか間違ったメッセージとなる、あと、もう一つは、結果としての数字を上げるために、これを維持するためにというかたちで逆転した話になりますね。評価としてとりやすいものだけがボリュームがふえてしまって、取りにくいものは少なくなるとか、そういうことが現場に対して、ある種のメッセージになってしまいますので、それについて留意していただきたい。

 あと、これも先ほどの3の部分と関係あるのですけれども、好ましいばらつきというのもあるわけですね。好ましくないばらつきというのは、要するに、財政に関係することとか、金目に関係する部分で、それはそれで是正しないといけないと思うのですけれども、全国の千数百の市町村が、前も議論でありましたように、地域包括ケアシステムが千数百のタイプがあってしかるべきで、全く同じような、金太郎あめみたいなことはあり得ないわけです。したがって、こういう試みとか、参酌標準であるとか、必要なことだと思いますけれども、ばらつきというものが、どの部分が是正すべきものであるのかを限定し、どの部分は許容されるものだということを考えなければいけない。

 あと、もう一つは、市町村が自覚的に自分たちの保険者としての地域分析を行うというのが基本で、上のほうから評価されるとか、そういうことだと本当に改善になりませんので、そういう意味では、ちょっと細かいことですけれども、例えば、それぞれの市町村が自分たちのところでウエートづけができるようにする。一律の参酌標準はあっていいのだけれども、それのウエートづけができるとか、自治体による幅を設けられたらいいのではないかと思います。

 ちょっと長くなりましたけれども、以上です。

 

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、東委員、お願いします。

○東委員 ありがとうございます。今回の資料1(保険者等による地域分析と対応)、資料2(介護保険総合データベースの活用)、資料3(サービス供給への関与のあり方)に関して、1点だけ問題提起をしたいと思います。先ほどから他の委員の御意見を聞いていますと、過度な介護サービスの規制は競争原理が働くなるため良くないという御意見のほうが多かったように思います。しかし、この介護保険部会においては、介護保険制度がいかに持続できるか、それから、介護保険料がこれ以上上がらないようにどう工夫していくかというのが、大変重要な課題だと思っています。

 そこで、参考資料3(サービス供給への関与のあり方)の1ページ「サービス供給への関与の仕組み(全体像)」をご覧下さい。介護サービス供給への関与の仕組みとして「総量規制」「市町村協議制による指定拒否・条件付加」等があります。もちろん必要な介護サービスは増えてほしいので、それを規制する必要はないと思いますが、例えば、この中で、通所介護などは急激な勢いで増えております。果たして本当に必要な量以上に整備されていないでしょうか。過度に不必要な介護サービスを提供することのないよう、市町村、都道府県によるサービス供給への関与の仕組みを強めていく必要が出てくると思います。そのために、資料1や2にあるように、国は地域包括ケア「見える化」システムをつくっているので、このシステムをきちっと活用すれば、妥当なサービス供給への関与が、市町村、都道府県においてできるのではないかと考えております。今回の論点では、わずかなサービス供給への関与の仕組みの変更が提案されていましたが、今後は、過度に不必要なサービスの提供については、少し規制を強める方向も必要ではないかと考えております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、花俣委員、お願いします。

○花俣委員 ありがとうございます。もう、ほとんどの議論が出尽くしたような印象がありまして、利用者の立場から、大変シンプルな疑問と思いということで意見を述べさせていただきます。

 最初の現状と課題のところで、地域差の多角的な分析ということが盛んに言われておりますけれども、参考資料1の4ページの地域包括ケア「見える化」システムのリリースと、5ページ目にあります市町村等による利活用スケジュールを見ると、認定率が高いかどうか、あるいは1人当たりの給付費が高いかどうか、サービス利用の偏りといった項目が並んでおり、認定率や給付費の高さ、在宅、施設の利用の割合、それから、在宅サービスのうち、利用が多いものへの偏り、こういったものを是正するために行うのが保険者等による地域分析と理解してもよろしいのでしょうか。

 それから、もう多くの委員からも御指摘がありましたように、インセンティブづけの件なのですけれども、これもやはり認定率の低下であるとか、保険料の上昇抑制効果を求める余りに利用者に不利が生じることのないようにということで、ここの項目にあります要介護認定等が過度に抑制されることのないように留意するという、ここを大事にしていただきたいと思っております。

 それから、資料2の介護保険データベースについても、こちらで費用を抑制しましょうと言っていて、このデータベース構築のための費用というのは、やはり介護保険の財源から出ているのでしょうか。その辺、教えていただければと思います。できれば平成25年度からのデータベースの費用が一体幾らかかっているのかなというところもちょっと気になるところです。

 それから、参考資料では、利用者に関する情報もデータベースに入っているのですけれども、個人情報が関係者で共有されることには、情報流出への不安というのはつきまとうところです。特殊詐欺など、高齢者を狙う被害がふえている中で、個人情報保護の法律もありますけれども、介護保険相互データベースと個人情報保護、これらについては慎重に取り組んでいただきたいと思います。

 そして最後に、サービス供給の関与のあり方ですが、サービスがあるかどうかは、利用者、介護者にとって重要な課題です。住んでいる市区町村によって、利用したいサービスがない、あるいは利用したいサービスがあってもお金が払えないなど、利用できない理由がたくさんあります。供給量が少ないためにサービスが利用できないというケースについても、ぜひ勘案、検討していただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 栃本委員。

○栃本委員 1点だけ言うのを忘れてしまって、済みません。先ほどのサービス供給の関与のあり方と保険者による地域分析に関係あるのですけれども、市町村の介護保険事業計画の策定の際、これの透明性を高めるというか、もちろん議論が公開されたり、所定の人が入っているというのは、規定上はあるとは思うのですけれども、地域の中のいろいろなサービス提供、民間企業含めて、事業者がいろいろなプロセスを経てこうなったということが納得いくことが必要です。私は規制というのは必要だと思っておりますが、その規制のつくり方を、どういう形で地域で落とし込んでいくかというのはとても必要だと思うのですね。それと同じで、介護保険を支える事業者として民間企業も重要ですし、先ほどの質を高める選択であるとか、そういうもののために欠かせないのが民間営利事業者です。したがって、そのような事業者の参加、ないし事業計画の策定の際の透明性というものをしっかり図ることも故真中ことですが、むしろ非常に重要なポイントだと思うのですね。専門家とか学者たちだけではなくて、今、申し上げたような人が入ることです。

 ちなみに、ドイツでは介護保険が導入されて、地域ごとの契約金額の協定作りに初めて民間の営利企業が入りました。ということで、ステークホルダーの中で重要ですからね。もちろん非営利とか社会福祉も重要ですけれども、市町村の事業計画の透明性の確保のための心配りというのをきちっとしていただくことが必要だと思います。

 以上です。○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかに、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 今の御発言もそうなのですけれども、土居委員がさきほど、気軽にアウトソーシングしたらいいのではないですかとお話されましたけれども、それではいつまでも市町村の職員の人材が育成されないので、そこをどうするかが課題で、安易にアウトソーシングすべきではないと私は思うのです。全国みんな金太郎あめみたいな計画になってしまうのはそれが原因だとも言われていますので、そこは地域のいろいろな声を聞いてきちんとやっていただきたい。さきほど私がしっかりと言ったのも、そういうことも含めて、地域の現場でやらずに、アウトソーシングしてしまうと形式的になってしまうのです。一応、意見は聞くのですけれども、どうしても、そこを是正していかないと、地域の力がついていかないと思うので、そこは大変でもやっていただくことを促すような仕組みにしていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。ありがとうございます。ただいま、議題の1、2、3について御審議をいただきましたけれども、基本的には事務局提案について、原則としては賛成であるという御意見がほとんどだったと思いますけれども、重要な課題が幾つか出されているのも事実でございます。実は、ここにある1、2、3とも、ある意味、医療のほうが少し先行しているというところがあるかなと思いまして、例えば、アウトカム評価などというのも、実は医療保険のほうで、診療報酬で、平成18年だったか、平成20年だったかに入れているのですね。これはリハビリテーションで入れたのですけれども、そのときも同じような議論、要するに、治ったならば加算を出すのですけれども、そうすると、余り重病ではない人を入れるのではないかという議論も随分されました。したがって、入院している患者の重症度がある水準より高くなければ加算は出さないとか、そういう仕組みを入れたりしています。やはりアウトカム評価はインセンティブがいろいろな方向に働きますから、その辺は慎重な議論をして、合理性のあるものにしていくことは重要かなと思いました。

 データベースについても、むしろ医療のほうが先行している。まだまだ不十分とはいえ、NDBもありますし、KDBもあります。今度、DPCがそろそろ使えるようになるということもありますので、そういう事例を見ながら、有効活用できるような方向性で進めていくということではないかなということだったと思います。

 それから、供給量のコントロールの話も、医療においては医療計画による基準病床であるとか、最近で言うと地域医療計画による必要病床数ということをいろいろ議論して、いろいろ課題もありますけれども、慎重な議論をしながら適正な数を出しているわけなので、介護保険においてもそれなりの議論が必要であると思います。もちろん参入規制はするべきではないという議論も一方でありますけれども、その辺も含めた十分な検討が必要なのだろうと思いますので、ぜひ、今後また議論を進めていきたいと思います。ありがとうございました。

 では、次に4番目でございますが、「ケアマネジメントのあり方」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○三浦振興課長 それでは、資料4をお手元に御用意いただけますでしょうか。「ケアマネジメントのあり方」と書いてある資料でございます。

 1ページおめくりいただきまして、現状と課題でございます。「ケアマネジャーの資質向上について」、まず議論したいと思います。ケアマネジャーは御案内のとおり、市町村や各サービス事業等との連絡調整等をやっていただいております。

 ただ、ケアマネジメントにおきましては、利用者の状況、あるいは課題に応じた適切なアセスメント、モニタリング・評価が重要である。このため、資質の向上を図ることを目的に、国といたしましても、研修カリキュラムの見直し、あるいは多職種協働を促すなどの取り組みを行ってきたところであり、まさに研修などはことしから大きく切りかえて実施を図っているところでございます。また、ケアマネジメントの手法につきましては、標準化といったことが求められておりまして、現在、適切なケアマネジメント手法の策定に向けた検討を進めているところでございます。

 ただ、市町村、あるいは地域包括センターにおきましては、ケアプラン点検、あるいは地域会議ケアといった場を通じまして、ケアプランの内容が利用者の自立支援に資する適切なものになっているかについて確認をしたり、あるいはケアマネジャーに対して適切な支援、助言を行うといった取り組みを行ってきております。こうした取り組みを充実していくことも必要だろうと思っております。

 ケアマネジャーの資質の向上のためには、個々の居宅介護支援事業者における人材育成の取り組みが重要でございます。また、管理者の中には、人材育成やケアマネジャーの業務の実施状況の把握に課題を抱えているような話も伺っておりますし、また、1人のみのケアマネジャーの事業所もあるといったあたりは、今後検討していかなければいけないというあたりを課題として受けとめております。

 次のページでございます。「公正・中立の確保について」でございます。ケアマネジャーは担当する要介護者等の人格を尊重して、常にその立場に立って要介護者等に提供される各サービスが特定の種類、あるいは特定の事業者等に不当に偏ることのないよう、公正かつ誠実に業務を行わなければならないという形で法律上義務づけられております。

 そのための取り組みの一つといたしまして、居宅介護支援事業所がその事業所の利用者に対して作成をいたしますケアプランにつきまして、特定のサービス事業所への集中割合が80%を超える場合には報酬を減算する仕組みが設けられております。特定事業所集中減算でございます。

 一方、この仕組みに関しましては、本年の3月に会計検査院より、ケアマネジメントの公正・中立を確保するという所期の目的から見て、必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられない、また、ケアマネジメントの公正・中立を確保するための合理的で有効な施策のあり方などについて、特定事業所集中減算の見直しも含め、十分に検討することという指摘をいただいておるところでございます。

 続きまして、「医療・介護連携の推進について」でございます。今後、重度者や医療の必要性の高い利用者がふえていくことは容易に想像されるわけでございまして、ケアマネジメントを行う際の医療との連携は重要、必須でございます。

 一方で、医療機関に入院した人が退院後に円滑に在宅生活に戻ってきていただくためには、入退院時にケアマネジャーが関与し、医療機関と連携を図ることが重要となります。その一方で、その取り組みが必ずしも十分ではないという指摘をいただいているところでございます。

 1ページ進んでいただければと思います。「ケアマネジャーに対する指導権限について」、お話ししたいと思います。現在、都道府県は、居宅介護支援事業所の指定権限、それから、ケアマネジャーに対する報告徴収、指示・研修受講命令等の指導権限を有しております。すなわち事業体と有資格者の指導権限を一括して都道府県が持っておるというのが現状でございます。

 一方、平成30年度におきましては、居宅介護支援事業所の指定権限が都道府県から市町村へ移譲されることになっております。市町村は、保険者としての立場からケアマネジメントに適切にかかわることが必要になります。

 なお、政令指定都市及び中核市につきましては、大都市特例によりまして、既に居宅介護支援事業所の指定権限が移譲をされております。

 市町村は、現在、ケアマネジャーに対する指導権限を有しておりません。この点に関しまして、平成27年の地方分権改革に関する自治体からの提案がございまして、居宅介護支援事業所と、その事業所に勤務するケアマネジャーの不正事案に対し迅速に対応するためには、居宅介護支援事業所に対する指導権限とケアマネジャーに対する指導権限を一体的に行使することが適切であるとの意見が付されているところでございます。すなわち、中核市や政令指定都市におきましては、ケアマネジメント事業所に対する指導権限は既に移譲を受けている一方、ケアマネジャーに対する報告徴収等の権限は都道府県に残ったままだというあたりが少し問題ではないかといった見解ではないかと思います。

 これに対しまして、一番下の○でありますが、「平成27年の地方からの提案等に関する対応方針」、閣議決定、昨年の12月でありますけれども、こちらでケアマネジャーに対する報告徴収などに係る事務・権限について、地方公共団体から意見聴取を行った上で、市町村への付与、または移譲を検討することとされております。

 また、4ページ目でございます。「ケアマネジメントに関する利用者負担について」でございます。現在、御案内のとおり、居宅介護支援、あるいは介護予防支援のいわゆるケアマネジメントサービスにつきましては、利用者負担は設けられておりません。この利用者負担の導入に関しましては、これまでの介護保険部会等において議論が交わされてきたところでございます。

 また、去る8月19日の当部会におきましても、利用者負担のあり方の議論が行われ、その際にもケアマネジメントに関する利用者負担について議論を行うべきとの意見を出したところでございます。

 以上を踏まえまして「論点」に移らせていただきたいと思います。5ページ目でございます。ケアマネジャーの資質向上を図る観点から、適切なケアマネジメント手法の策定に着手しているところでありますけれども、今後、ケアマネジメント手法の標準化に向けた取り組みを順次進めていくべきではないか。

 適切なケアマネジメントを推進するため、居宅介護支援事業所における管理者の役割の強化、特定事業所集中減算の見直しも含めた公正・中立なケアマネジメントの確保、入退院時における医療・介護連携の強化等の観点から、居宅介護支援事業所の運営基準等の見直しを介護報酬改定の際にあわせて検討することとしてはどうか。

 ケアマネジャーに対する報告徴収、指示・研修受講命令等の事務・権限の付与・移譲の検討に際しては、市町村の事務負担面に十分に配慮した上で、ケアマネジャーの業務の適正な遂行を確保するための方策を考えるべきではないか。

 6ページ目でございます。ケアマネジメントの利用者負担導入につきまして、これまでの介護保険部会等における議論を踏まえ、どのように考えるかということでございます。これは下の点線のところで、平成8年以降、何度も表舞台で議論されております。参考資料にもそのサマリーをつけていただいております。

 最後でございます。市町村や地域包括支援センターによる適切なケアマネジメントを推進するための支援の充実について、地域支援事業の議論の中で検討をお願いしてはどうか。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、御意見、御質問等ございますか。鷲見委員、どうぞ。

○鷲見委員 ありがとうございます。私たちの責務は、利用者の代弁であり、今後は医療との連携をさらに強化、また多様な課題に対して適切な支援ができるよう、責任を持ってこれまでの実践、蓄積をもとに、地域包括ケアシステムの構築を担っていくことであると考えています。そのためには、まず、保険者との連携が必要です。介護支援専門員は、市町村や地域包括支援センターがともに地域づくりに積極的に取り組まなければならないと考えています。そして、介護支援専門員が作成するケアプランは、利用者の意向を反映した、非常に重要なものでございます。ただ、利用者自身も気がついていないという課題もありますので、根気よい支援と技術が必要となります。多職種連携のもとに介護支援専門員が作成したケアプランは自立支援への道筋であり、これこそが公正・中立を示すものであるので、特定事業所集中減算は現場に混乱を招き、有効ではないと考えています。

 みずからのケアマネジメントの質の確保につきましては、私どもも努力いたしますが、私たちだけでは難しい場合、例えば、小規模の事業所などについては仕組みづくりが必要かと思います。そして、重要なのは医療との連携でございます。適切な情報交換ができるかどうかにかかります。入退院時、重点的にかかりつけ医、医療機関と有機的に機能させる工夫をしていかなければならないと考えています。

 ケアマネジメントの書式につきましては、書類の作成の効率化に向けて、ケアマネジメントプロセスにおける記録、様式について、標準化をした上で統一できるよう検討し、作成及び保管については、ICT化による業務効率化を図る必要があると思います。あらゆる利用者が公平にケアマネジメントを活用し、自立した日常生活の実現に資する支援が受けられるよう、居宅介護支援、介護予防支援の利用者負担導入には反対でございます。

 最後に、介護支援専門員は、困難事例の対応や認知症、独居高齢者への成年後見制度がなかなか機能していない中で、専門職としてさまざまな役割を果たしており、現行制度にはなくてはならない存在になっています。適切な支援を実現するために、公正・中立なケアマネジメントが行える環境が整えられることを切に願っています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 まず、「論点」の5ページからでございますけれども、ケアマネジメントがなぜ標準化できないのかをまず考えるべきです。適切なケアマネジメントを推進するためには、5年に1度の更新研修だけでは不十分であり、居宅介護支援事業所の管理者が自立支援のケアマネジメントや医療・介護の連携強化の必要性を理解し、職員の教育体制の構築を進める必要があります。

 それから、特定事業所集中減算ですが、これは以前から何度も発言させていただいておりますけれども、現場に混乱を与えながら実効性に乏しい、非常に不合理な仕組みであり、ケアマネジャーの85%を含めるあらゆる関係者が反対している制度でございますので、これは廃止すべきだと考えます。

 それから、6ページについてでございますけれども、ケアマネジメントの利用者負担導入については、聖域とはせずに、財源の確保も踏まえた今後の議論の中で引き続き検討を行うべきと考えます。市町村や地域包括支援センターによる適切なケアマネジメントの推進のための支援の充実については、地域支援事業の議論の中で検討するということでよいと思いますが、適切な指導ができる人材がいないことが問題となっています。それを担保するためには、主任ケアマネジャーに指導経験や研修実績などの要件をつけることが必要であると思います。

 さらに、ケアマネジメントのあり方については、不適切なケアプランを作成し続けるようなケアマネジャーを排除できるかどうかも非常に重要な課題であると思います。

 最後に質問ですけれども、ケアマネジャーに対する指導・監督の実態はどのようになっているのか、教えていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局、どうぞ。指導室長、どうぞ。

○遠藤介護保険指導室長 介護保険指導室長でございます。

 まず、御質問の居宅介護支援事業所の実地指導の状況でございますが、対象事業所は約4万、平成26年度に関しましては、そのうち約6,000の事業所に対して実地指導を実施しています。概ね6年に1度、指導に入っているというのが現状でございます。6,000のうち、約半数の事業所について、サービス担当者会議が十分に開催されていない、モニタリングの内容が不明瞭などの指摘がなされているところでございます。

 指導監査に関しましては、指導監査担当職員の資質の向上並びに質の確保のために、指導・監査指針、またマニュアル等を作成しておりますが、都道府県、指定都市、中核市の指導監査担当職員に対しましては、有識者や実際に事業を実践されている方からの講義及びグループワークなどをカリキュラム内容とした研修を現在実施しております。さらに、本年度から新たに市町村の指導監査担当職員の方々に対しても、同様の研修会の開催を予定しております。

 特に御指摘のケアマネジメントの指導に関しましては、いわゆる運営基準の法令上の知識以外に専門的な知識も必要であることから、ケアマネジメントに対する理解を深めるための講義や、またケアマネジメントの目的、役割、本質を理解いただけるような内容も盛り込んでおります。また、昨年度より当室の指導官が都道府県等に対する事務ヒアリングや介護サービス事業所に対する実地指導を行う際には、自治体の担当者や現地の事業者の方々と意見交換をさせていただき、現場での課題等を伺って、それらを局内にフィードバックするようなこともしております。引き続きこれらの研修なども活用し、利用者本位の適切な支援が行われるよう、指導の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 非常に温情的な感じがするのですが、不適切なとか、悪質なケアマネジャーに対してです。それは自分の意思ではなくても、悪質な事業者に雇用されて言うなりになっているケアマネジャーも含めてですけれども、そういう方が排除できる仕組みや、処分を受ける仕組みはないと理解してよろしいのですか。

○遠藤介護保険指導室長 いわゆる運営基準違反、人員基準違反及び不正請求などの不正を行った事業者に関しましては、行政処分の対象になっております。何が不適切なケアプランかというところに関しては、そこまで十分に踏み込んでいないのが現状でありますので、現状においては、明らかに運営基準違反、人員基準違反等の不正に対しての処分ということになります。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 不正請求をし処分を受けたとして、そのケアマネジャーがすぐに試験を受け直して再びケアマネジャーの資格を取ることは可能ですか。

○遠藤部会長 事務局、どうぞ。

○遠藤介護保険指導室長 一度消除された場合は、5年間は試験を受けられませんが、5年間を経過した後、再び試験を受け、研修を受講すれば、またケアマネジャーとして従事することは可能です。

○鈴木(邦)委員 ケアマネジャーのあり方については、もう少し厳しい対応が必要な場合もあるのではないかと思いますので、今後、さらに議論を続けていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ありがとうございます。最初の論点と最後の論点についてですが、私は処遇改善の視点でちょっと申し上げたいと思います。

 「現状・課題」の1番目に、ケアマネジャーの資質の向上に向けたさまざまな改善、支援の提供が記載されていますが、その中に勤務上の悩みについても紹介され、適切なケアマネジメント推進のための支援を地域支援事業の中で検討するとの課題もあります。

 また、ケアマネジメント手法の策定では、医療資源に限界がある中で、利用者の状況や、その課題に応じたアセスメント及びモニタリングプロセスの標準化を通して、利用者に寄り添い、判断まで行わないとしても、今以上に医療につながるサポートを求められていることがかいま見えてくると思います。

 このようになってくると、ケアマネジャーの業務は忙しさの上にますます高度化に向かうというか、求められる力量はますます高くなってきます。今、鈴木先生から、悪質な事業者に雇われる悪質なケアマネジャーみたいな話がありましたが、ほとんどの方々は一生懸命やられていると私は思っておりますので、となれば、質の向上に見合った報酬も同時に考えなければいけないと思います。

 参考資料の8ページですが、ケアマネジャーの勤務上の悩みでは、賃金が低いというのも高い数字になっています。ケアマネジャーの報酬は、利用者の要介護度や特定事業所加算などによって差はありますが、全体的には決して高いものではありません。知識、スキルを持った人材が不足しているなどと言われますが、またケアマネジャーだけに限ったことではありませんけれども、優秀な人材の確保には適切な報酬が不可欠だと思います。一度紹介させていただきましたが、私どもの調査では、2015年、ケアマネジャーの平均報酬が255,191円ということで、介護報酬処遇改善加算のあった介護職員と比べても増加額は低く、全産業の平均賃金と比較しても7万円以上の格差がついております。処遇の満足度調査でも少し不満、また大いに不満にプラスして、月給者で73.6%、時給についても40%の方が不満に感じているという結果でございました。一億総活躍プランの中で介護従事者の処遇改善が予定されていますが、ぜひケアマネジャーなども含めて検討いただきたいと思います。また、介護給付費分科会とも連携していただきまして、見合った報酬改善を求めたいと思います。報酬の見直しは、公平性、独立性の担保の観点からも、先ほどの話にもかかわりますが、重要かと思います。

 さらにつけ加えさせていただければ、関係書類の増大はケアマネジャーについても以前から指摘をされているところであり、業務簡素化の方向性としてICT化は必要であり、質の向上における業務の高度化を推進していくとなれば、この部分についても、これまで以上に適切な支援関係を構築していただきたいと思います。

 最後に、ケアマネジャーの利用者負担の導入についてでありますが、この導入が行われれば、実際に350万人を超える利用者に負担を求めるということで、大変な話になります。ケアプランは介護保険の制度の根幹として、サービスの入り口として、気兼ねなく相談ができるよう、原則、税で行ってきたと考えています。財源のかかわりもあろうかと思いますが、別途論議中の利用者負担、高額療養サービス費の見直しなどの論議だけでなくて、補足給付についても課題が多く、見直しの必要が取り沙汰される中で、今、導入の時期か否かを冷静に見る必要があると考えます。さらに一段の利用者負担の増大は、介護離職ゼロに影響が及ぶことも懸念されます。また、加えて、「論点」の中には、6ページの記載の両論内容からも、導入の困難さが伝わってきます。今回の議論から外したほうがいいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 2点あるのですけれども、ケアマネジャーが介護保険制度にとって非常に重要で、特に利用者本人と家族にとって、これからますます重要だと思うのですね。前回も申し上げたように、例えば、要介護認定が3年に延びたりした場合、誰が常に状態を見ているのかということになると、もちろん事業者が見ていますけれども、それは事業者であって、一方で介護支援専門員、ケアマネジャーがしっかり把握しているというのがとても大事だと思います。それが大前提ですので、その上での話なのですけれども、先ほど悪質なケアマネジャーをこらしめるみたいな話がある一方、みんなそれぞれケアマネジャーは頑張っている、努力しているのだと、そういう議論もあります。

 問題は、努力しても、結果が、ケアマネジメントの質、サービスの組み合わせとか、そういうのが良質なものになっているかどうかが重要です。私は、要介護認定の部会に出ていて、実際に給付されているサービスを見ますと、主治医意見書等、特記事項とか、全部総合的に、それぞれのお医者さんとか、みんなで見ますので、そうすると、どう考えても変なケアプランだ、どうなっているのだということがあるのですね。つまり、悪質なケアマネジャーだけではなくて、至らないケアマネジャーというか、その部分がすごくありまして、それは単に資質の向上のための研修とか、そういうのをしたからといってできるものではないと思います。

 そのために2点ありまして、1点は先ほどケアマネジメントのあり方の部分で、ケアマネジメントの手法について標準化が求められており、現在、適切なケアマネジメント手法の策定に向けて着手しているところなのだということなのですけれども、そもそもが、それぞれの委員の方々も御記憶だと思いますけれども、介護保険制度を導入する前に、MDS-RAPsとか、MDS-HCとか、そういうものを検討したわけですね。それで、ある状態像に対してどういうサービスが適切かということを検討したわけですけれども、我が国では、要介護認定というものと状態像に適したサービスという組み合わせは、ある部分は遮断されたというか、その連動というのが、遮断ではないのだけれども、区分けしてしまったわけですね。その上で、個々のケアプランについては、今、申し上げましたように、介護保険を導入する前にいろいろなことが勘案されたのだけれども、実際には厚生労働省で標準的なというか、ケアプランのある種の様式というものを簡便化した形で設定したのですけれども、それはある意味ではレ点をつける、チェックをするということで、それから実際にケアプランをつくるというロジックがリープ、飛んでしまっている、飛躍しているのですね。その間には、エイヤッということになっているわけですよ。

 だから、本来であれば、ケアマネジャー学会とか、そういうのがあるわけですから、その部分について、介護保険制度で保険給付の上限額とか、サービスの中身と標準仕上げがそれぞれ決まっているわけですから、その中でケアマネジメントないしはケアプランを策定しようというのが開発されるべきだったのですね。それが非常におくれていることが問題であると思います。

 ということで、標準化ということについてはいろいろ議論があると思いますけれども、いま一度、最初の出発点に立ち返って、状態像に対して、どういうサービスをという組み立てのロジックを、特に当時は医療との関係が十分関係づけられていなかったので、きょうの議論でも部会長もお話しされていますように、医療との関係でも組み立てられていますので、よりしやすいというとあれなのだけれども、科学化がしやすい部分がありますね。だから、その部分をぜひ進めていただきたいということ。

 もう一つは、これはいろいろな意見があると思いますけれども、先ほど、そうでない人に対してもということで、利用者負担についてです。参考資料4の16ページの「ケアマネジメントの利用者負担に関する議論について」というところで、当初、ケアマネジメントについては、高齢者からケアマネジメントサービスを積極的に利用できるように、利用者負担については十分配慮するということが書かれています。これは要するに、介護保険が始まったときの出発点なのですね。これはあくまで出発点の議論であると思います。

 その次の17ページですけれども、ここに書いてある利用者負担の導入についての、なぜ10割給付にしたかという議論について、平成22年の意見が書かれています。その一方で、最後のところにありますように、例えば、小規模多機能であるとか、その他もろもろ、現在のケアマネジャーのスキームというか、そういうものではない形でサービスが提供されてうまくいっているということもあるでしょう。それと、そもそもが、先ほどのケアプランとかケアマネジメント、ないしはケアマネジャーの資質、組み立ての適正さということで言うと、果たして自立支援型のケアプランを本当につくっているかどうかということですね。これについても、それが本当につくられているかどうかを実際にチェックするのはなかなか難しいということがあります。

 そういう意味も含めて、1人1万5,000円ぐらい支払い、全体の額として4,500億円の介護サービスのための支出が出ているわけですね。特に問題だと思いますのは、家族とか利用者がケアマネジメントのための費用が実はどこから出ているかとか、経費がかかっているのだとか、介護報酬から出ているのだということを知っている人はほとんどいませんよ。それが非常に問題なので、介護サービス給付費から出ている、1人1万5,000円の費用がかかっているということを利用者自身も自覚すべきだと思うのですね。ということを含めて、ケアマネジメントの質というものをきちっと担保するためにも、自己負担、一定の負担は、どの時点になるかというのはいろいろあるかもしれませんよ、ただ、やはり検討しなければいけないことだと私は思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 藤原委員、お待たせしました。

○藤原委員 ケアマネジャーに対する指導権限を市町村に付与する、あるいは移譲するという点についてでありますが、各自治体の置かれている状況がさまざまでありますので、閣議決定にありますように、まずは意見を聴取して検討を進めていただきたいと思います。

 もう一つは、都市と地方のケアマネジャーの充足状況を示していただきたいです。特に地方の自治体では、ケアマネジャーの人材確保に非常に苦慮しているということであります。そのためにケアプランの作成の遅れや医師との連絡調整ができなかったことにより、その間に介護度が上がってしまうという状況があります。また、ケアプランの作成途中で介護ではなく医療で対応することになったケースもありますので、ぜひ、しっかりした人材育成の制度を確立していただきたいと思います。

 

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、大西委員、どうぞ。

○大西委員 今、藤原委員からお話が出ましたのとほぼ一緒なのですけれども、「論点」の5ページの3つ目のポツでございます。ケアマネジャーに係る指導・監査事務の都道府県から市町村への移譲についてでございます。市町村の状況も一律にはいきませんし、人材とか、そういう問題もございますので、一律には難しいかと思います。手挙げ方式みたいなものも検討すべきではないかと思いますが、いずれにいたしましても、この対応方針に書かれておりますように、地方公共団体からの意見聴取を行った上で決定をするということですので、十分、地方の実情等について、意見等も踏まえて聞いていただいて、その上で決定をしていただきたい。当然のことではございますが、実際移譲することになりますと、人員体制、整備のための十分かつ確実な財政措置とあわせまして、これまでやってきた都道府県の実績による具体的な指導・支援といったものが必要になってくるということでございますので、その辺をしっかり確保していただいた上で検討結果を出していただきたいと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、石本委員、お願いします。

○石本委員 ありがとうございます。では、2点申し上げます。

 まず、集中減算についてでございますが、参考資料の8ページのケアマネジャーの悩みのアンケートに、数字は低いのですが、ノルマや営業目標が厳しいとあります。これには、併設の自事業所のサービスにつなぎなさいというのも多分、含まれているのだろうと思うのです。こういった実態がある中で公正・中立を保ちなさいということ自体がちぐはぐなことであるのだろうと思うのですが、そもそも利用者本位という中でサービスや事業所を選べるという介護保険の理念の中において、この集中減算という存在が非常に現場の混乱を招いている実態がある。あそこを利用したいのですがという申し入れに対して、済みません、そこを使わずに、よそのところでだめでしょうかなどという話をしなければいけない現場の実態があることを考えますと、今の集中減算のあり方については、悪質な囲い込みに対する抑止力としては一定の効果があることを否定するわけではないのですが、大幅な見直しが必要であろうというのが1点。

 それと、利用者負担についてですが、先ほどから各先生方から出ておりますように、今なのかというところは非常にひっかかるところでございます。これを導入することによって、利用する側が受ける不利益が恐らくたくさんあるだろうと思います。そういったものを十分、丁寧に議論をして、方向性をつけることが大事であろうと思いますので、拙速に利用者負担を導入することを求めるのは非常に危険であると思うところでございます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 ありがとうございます。資料4の5ページ、6ページの「論点」に即して申し上げます。

 1つ目の○の標準化のところですけれども、標準化というのは、次の○のところにあります公正・中立の確保という意味からも必要だと思いますが、それを余りにも強調し過ぎると、介護保険法7条で定められている、それぞれ個々の状態に即したマネジメントを行うというところが損なわれないようにしないといけないと考えております。

 それから、5ページの3つ目の指導権限のところですけれども、こちらについては、先ほど既に議論あった今後の人口減少下の保険者の姿を見据えながら検討していくことが適当だと思います。

 それから、6ページの利用者負担のほうですけれども、こちらについては質問をしたいと思っております。利用者への影響が大きいとは思っておりまして、今の10割給付としている理由について、きょうお示しいただいている参考資料4では入っていないのですけれども、16ページのところは老人保健福祉審議会で、次が平成22年まで飛ぶのですけれども、今はまだ有効ですケアマネジャーの基準省令通知の基本方針というところに、「居宅介護支援の重要性に鑑み、特に10割給付としている」と書いてあるので、10割給付でなくなると、それは重要でなくなるのかなと考えざるを得ないので、今の10割給付としている理由をもう一度確認させていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 それは質問ということですね。では、事務局、よろしくお願いします。

○三浦振興課長 振興課長でございます。

 お手元の平成8年の資料を少し御紹介いただいた方もいらっしゃいましたけれども、当時の議論としては、このような議論をした結果ということでありまして、明示的にこれだからこうみたいな記録自体は、私どもも探したのですけれども、はっきりはなかったというところでありまして、16ページの平成8年の老人保健福祉審議会のものを読み解きますと、ケアプランを作成して、総合的、一体的に介護サービスが受けられる、そういうことを確保するのが重要であるということ、それを積極的に利用できるような機会を確保していくということから、利用者負担を導入しなかったということかと思います。

○遠藤部会長 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 もう少しきちんと調べていただければと思います。「だと思います」とかいうのだと心もとないので、きちんと数値で書いているところですので、理由があったと思います。

○遠藤部会長 振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 いずれにしても、通知などがございましたら、後ほどでも御紹介したいと思います。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 では、佐野委員、お待たせしました。

○佐野委員 1点だけコメントしたいと思います。利用者負担のところでございますけれども、利用者の自立支援に資するということであるならば、ケアマネジャーの専門性を評価するという観点からも、利用者負担を導入していいのではないかと思います。ただ、その場合、現行あるセルフケアプランについては廃止する方向で考えないと、整合性がとれないのではないかという気がいたします。いわば公平・中立なケアマネジメントを確保するためにも、利用者負担はあったほうが適正化につながるのではないかと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、桝田委員、お願いします。

○桝田委員 まず、特定事業所集中減算ですけれども、制度的には確かに必要なものなのです。公平性の担保の観点とか、いろいろ考えますと。ただ、このシステム自体が全くうまく動いていない。逆に利用者側にとって不利益なことが起こってくる。それと、表面上、とんでもないことによって修正をして、実効性がない。何らかの変更をする、もしくは廃止したほうがいいと思います。

 それと、もう一つ、医療・介護の連携の問題ですけれども、なかなか難しい問題というのは、医療を受けているとき、特に利用者の方が入院しているとき、1カ月間、介護サービスの利用が全くないとき、居宅介護支援費はゼロになりますね。その間にケアマネジャーは何もしないかといったら、そうではなくて、医療機関等のほうに行って、いろいろな活動をしている。今、医療のほうでは、退院時の問題について、診療報酬の裏打ちができてきました。介護側も、居宅介護支援の中にそのような評価という分を入れるべきだろうと思います。そうしないと、目に見えて医療・介護の連携という、居宅介護の支援の面では出てこないと思いますので、そこらの検討をお願いしたいと思います。

 それと、自己負担の問題です。先ほど石本委員から、今ではないでしょうと言われましたけれども、私は逆に今ではないのですかと言いたいと思います。経緯の部分を書いています。でも、介護保険制度ができたときに、居宅介護支援、ケアマネジメント、非常に重要だと。ですから、これをうまく定着させなければいけない。でも、なかなか難しい問題というのは、目に見えるサービス、体でわかるサービスについては対価は支払いやすいけれども、目に見えないもの、姿のないものに対するお金を支払うというのはなかなか難しい。使わない可能性が強くなるというので、介護サービスを普及する上では、そううまくいかないから、無償にしましょうというのが、私は一つの基本的な部分ではなかったかと思っています。

 今は、時代が変わってきて、ある程度の部分が国民に理解されてきたと思います。しかも財政費用問題が起こってきた。スタートしたときに、悪く言えば、施設サービスはケアマネジメントが内包している、施設サービスの費用の中に入っているから、目に見えたお金ではないから、ケアマネジャーが必須になっていても1割負担はお願いしましょう、居宅介護支援はケアマネジメントに特化している、だからお金が非常にもらいづらいから無料にしましょうという形になってしまった。では、施設のケアマネジメントはただですかというと、そうではないですね。それなりのことをしている。ちょっと内容差はありますけれども。そうすると、費用対効果の関係を言いますと、その部分も、負担というのを考えていくべきではないか。逆に、今、ケアマネジメントを受けている方は、ケアプラン料は幾らか、全く知りませんね。どれだけのお金がかかっているかわからない。それがかえってよくないのではないかと思います。そこの部分について、費用対効果の問題をちゃんと理解してもらう、いいケアプランにつないでいく必要性があると思います。

 ただ、費用負担を導入する場合に、1割負担というのは非常になじみにくいのかなと思っています。定額負担からスタートすべきなのかなと。例えば、居宅介護支援、わかりやすく言ったら1,000円、介護予防支援は400円とか、1カ月の決まった負担にして、場合によったら低所得者の負担の金額を変えるとかいう方法はあると思います。何らかの形で、やはり費用がこれだけかかっているというのをみんなに知ってもらうというのが今の時代ではないのかなと思います。

 1つ問題になってくるのは、セルフケアプランが増えるであろうとの課題。この問題も、逆に言うと、セルフケアプランであっても、費用はかかります。地域包括支援センターは支援をする。いろいろな指導もしなければいけませんし、給付管理は市町村がすることになっています。ですから、その方が全部するわけではないですので、先ほどの費用、利用者負担が定額になるのだったら、その半額ぐらいは負担してくださいねという制度にすればいいと思います。

 ただ、問題は、利用者とケアマネジャーの間のいわゆる情報の非対称性と思います。無料から有料化することによって、お金を払っているから言うことを聞きなさいと言う利用者に対する問題を一つは指摘されます。御用聞きケアプラン、ケアマネジャーにならないようにという部分の対策をかなり考えていくべきと思っています。介護保険サービスというのは日常生活のサービスと接点が完全に交わっています。自立支援のサービスが介護保険サービスであって、日常生活のサービスは介護保険から外すべき、別のものなのですけれども、利用者にとったら、日常生活上の支援も一緒にしてもらったほうが得だという部分が出てきますので、そこをきっちり理解してもらう施策も要るのかなと思っています。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、井上隆委員。

○井上(隆)委員 ありがとうございます。まず、ケアマネジメント手法の標準化でありますけれども、皆様から御指摘があるとおり、とにかく質の確保ということを前提に、この標準化を進めていただきたいと思います。

 それと、利用者負担につきまして、これまでも申し上げてきたとおり、これは利用者自身のケアプランに対する関心を高めるという効果もあり、また金額も大きいこともありますので、一定の負担を認めるという方向で検討いただきたいと思っております。

 それと、特定事業所集中減算なのですけれども、確かにこれが機能しているか、機能していないかという問題はあると思うのですけれども、聞くところによると、減算を前提に事業運営を行っているというケースがあるそうで、それを単純に廃止してしまいますと、そういう事業者にとっては、単に増収になってしまうという結果になりかねません。そのあたりの問題をよく協議しながら解決をしていただきたいと思います。

 以上でございます。

 

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、井上由美子委員、どうぞ。

○井上(由)委員 ありがとうございます。私は、利用者の立場からというと、もうさんざん出ましたように、お金を取られるというと、じゃあサービス受けるのやめようというような利用抑制につながってくる危険性があると思います。これは6ページの「論点」の1番目に書いてありますけれども、そういう危険性をすごく感じます。

 もう一つ、「公正中立なケアマネジメントを受けられることが重要である」というのが4番目にあります。かなり議論でも出ましたように、これをまず絶対にやることだと思うのです。そうでないと、実際には払われているのだよと見えないところでいわれてもやはり説得力がないと思います。公正・中立な機関にお金を払うということであれば、できると思うのです。ただ、それが今なのか、公正・中立な機関をつくってから、しばらく動かしてからやるのかというのは、見きわめがすごく大事だと思いますが、まずは事務所づきではない、公正・中立の機関にすべきだと思います。

 もう一つ、調べていただきたいと思うのですけれども、もうわかっていらっしゃるのかもしれませんが、施設についていても、施設では丸めで取られますね。施設の中から払われている。事業所から払われている。そういうのを全部あわせて、独立機関にした場合、どの程度、介護保険は負担がふえるのか。それをぜひ数字で出していただきたいと思うのです。そうしましたら比較検討ができる。費用がかかると言われても、どれくらい費用が介護保険からだされるのかもわからないし、その費用を知りたいです。そうしましたら、自己負担をやはりやるべきだ、これだけ大事な機関なのだから、まず公正・中立の機関にすることによって、その大切さをわからせる。それで費用をそのときに同時に計算しておくということではないかと思います。それをやらないで今の状況の中で自己負担を取るというのは反対です。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局に対する要望でしたけれども、何かコメントありますか、今の話に。特段なければ結構ですが。振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 振興課長です。

 いずれにしましても、前提条件をもう少し教えていただいて、前提が決まれば、試算自体は簡単にできると思います。今のお話を伺う限りですと、施設で提供されているケアマネジメント自体、一回外に外してということでございましたので、そうすると、施設のほうの給付費をどうするのか、実は調整対象となる話が二、三発生するかなと思いますので、いずれにしても確認をした上で、今後の対応を考えたいと思います。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 それでは、花俣委員。

○花俣委員 恐れ入ります。ありがとうございます。特定集中減算の話と今のケアマネジメントの利用者負担の2点に絞りたいと思います。

 2ページ目にありますように、ことし3月に会計検査院から介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果の報告書が出されて、ケアマネジメントの特定事業所集中減算には効果がないという指摘があったという、この点について、実は家族の会に31日に提出いたしました要望書4の3、居宅介護支援のところなのですけれども、ここで、2015年の介護報酬改定で拡大・強化された特定事業所集中減算制度では、利用者の意向に沿ったサービス事業所の選択に支障が出ており、早急に制度を見直し、居宅介護支援事業所、ケアマネジャーの公正・中立の担保は別の仕組みで行うことということで要望させていただいております。2015年の改定で、それまで3つのサービス、訪問介護、通所介護、それから、福祉用具貸与が対象だったのが、全サービスに拡大され、集中の基準も90%から80%に下げられました。このことによって、利用者が希望する事業所を利用できないといった事態も発生しております。これについては早急に御検討いただきたいと思います。

 あと、もう一点、ケアマネジメントの利用者負担なのですが、いろいろな意見が出ております。参考資料4の17ページに導入の根拠とおぼしきものが、○が3つあります。例えば、利用料を払う、つまり自己負担をすることでケアプランの内容に対する関心が高まるであるとか、あるいは自立支援型のケアマネジメントが推進される。それから、1つ目のところには、要介護等の相談に応じ、その心身の状態等に応じた適切なサービスを利用できるよう、支援に対する新しいサービスの導入に当たり、要介護者等が積極的に本サービスが利用できるように、創設時10割給付のサービスと位置づけたと書いてありますが、これがかなり浸透してきたから普及、定着していると考えられると書かれていますが、一回使った人はそうなると思うのですけれども、初めて使う人にとっては、やはり物すごくわかりにくい制度、今も変わらずというか、今はもっとわかりにくい制度になっているので、ここはやはりケアマネジャーのサポートがないと、なかなかサービスの利用にはつながらないし、ここのところで利用者負担が発生してしまうというと、ここで足踏み状態が起きてくると思います。基本的には利用者負担には反対いたします。そして、その理由については、鷲見委員がおっしゃった意見に賛同したいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、東委員。

○東委員 ありがとうございます。2点申し上げます。

 まず、ケアマネジメントの利用者負担導入についてですが、現状でも、ケアマネジャーが自立支援型のケアマネジメントをつくりたいと思っても、本人だけではなくて御家族の意向で、どうしてもそうではないケアプランをつくらざるを得ないことがままあります。このような現状において、ケアマネジメントの利用者負担を導入しますと、ますます家族は、お金を払っているのだからこうしてくれよという意見が強くなって、逆に介護保険の費用がさらに膨らむ可能性があると思います。そういう理由から、ケアマネジメントの利用者負担導入は反対でございます。

 2点目でございます。資料4の5ページ(ケアマネジメントのあり方)の「論点」の一番上にケアマネジメント手法の標準化があげられております。この件につきましては、先ほど栃本委員から示唆的な御意見がございましたし、伊藤委員からもケアマネジメント手法の標準化をちょっと危惧するような御意見がございました。私はケアマネジメント手法の標準化ついては、「アセスメントの標準化」とアセスメントを行った上で「ケアプランをつくるときの標準化」の2つに分けて考えるべきだと思います。そのうえで「ケアプランをつくるときの標準化」は、ケアマネジャーの裁量によるところですので、標準化すべきではないと思います。一方、「アセスメントの標準化」に関しては、ぜひ標準化すべきだと思います。現状では、アセスメントの段階で余りに多くのアセスメントツールが使われており、データとして比較活用出来ません。従って、様々なアセスメントに基づき立てられたプランが、公正・中立なのか、自立支援を反映しているのか等判断出来にくい状況が問題であると考えています。

 そこで、1つ御質問申し上げます。ケアマネジャーが使っているアセスメントツールは、どのような種類がどれぐらい使われているのかを厚生労働省は把握しておいででしょうか。

○遠藤部会長 振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 ありがとうございます。まず、冒頭、今、おっしゃっていただきましたアセスメントの標準化、プランの標準化の関係でございますけれども、今、私どもで着手をしておるものが、アセスメントについての標準化がどうなっているか、もう少しお時間いただきまして、例えば、一定の疾患の予後予測がつきやすいようなものの類型においてどういったモニタリングが必要かといったことは標準化をしていかなければいけないという話かと思います。そのようなことにまず着手しているのが現状でございます。

 それから、アセスメントの項目でございますけれども、御案内のとおり、23項目をお示ししております。それが具体的にどのような形で、何パターンぐらいあるかというお尋ねかとは思うのですけれども、その全体像については、今、手元にございません。

○東委員 23項目についてではなく、今、現場では、MDSを使ってみたり、ICFに基づいたものを使ってみたり、いろいろなアセスメントツールが使われております。そこのところを把握しておかないと、今後アセスメントを標準化するのは厳しいと考えております。

○三浦振興課長 そこは改定検証の中で、昨年度の調査の中に項目があるのは承知しています。結果自体は今、手元にないものですから、また後ほど先生に御紹介したいと思います。

○東委員 ぜひ、その「アセスメントの標準化」を行って頂きたいと思います。それを行うことで、結局は、どのようなケアマネジメントをしたから、その利用者の状態像がどうなったかというのがきちっとデータで「見える化」がされます。ぜひそれをやっていただきたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、齊藤秀樹委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 私も東委員と同じ点について触れたいと思います。5ページの一番上のマネジメント手法の標準化については、お話がありましたように、アセスメント重視で進めていただくことが大原則だと思いますので、これは難しい問題だと思いますけれども、早めて進めていただければと思います。

 次に、利用者負担の導入についてでありますが、私は慎重であるべきだという立場から意見を申し上げたいと思います。介護保険制度は、皆さんおっしゃられているように、自立支援の理念を掲げているわけであります。この自立支援につながるマネジメントは、少なくとも自己負担を気にせずに受ける必要があるということで負担を求めてこなかったと承知をしております。自立支援ケアマネジメント自己負担ゼロというのが制度の基本理念を象徴する仕組みだと私は理解をしております。

 一方、この仕組みが過剰サービスを抑制するという役割も担っていると解すべきであろうと思います。介護支援専門員は適切なケアマネジメントの遂行が求められているわけでありますが、自立支援に必要な最小限のサービス提供というのは、利用者からしますと、給付抑制とも受け取られかねない一面があるわけであります。これを給付抑制ではなくて、自立支援のためのケアプランづくりをするのだということを制度の理念として伝えることがケアマネジャーの大事な役割でありますし、それによって利用者と対等な関係を保ってこれを進める必要があると思います。言いなりプランにせず、適切なケアプランを行うためにも、利用者負担がないことは大きな意味を持っていると言えるだろうと思います。

 最後ですが、施設サービス等との公平性の観点でありますけれども、施設等では包括払いのためにケアマネジメント相当分を抜き出せないということで、やむなく自己負担分が含まれる仕組みになっていると私は理解しております。しかし、現在では、食費やホテルコストが抜き出されているわけでありますから、公平性の観点からいたしますと、施設等におけるケアマネジメント相当分を介護報酬から抜き出すというのが公平性の本来のあり方であろうと思います。ただし、今、財源論の問題がありますから、これをしろということではなくて、公平性の観点で考えると、そういう考え方に立つべきだろうということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 土居委員、お待たせしました。

○土居委員 介護保険において、ケアマネジメント、それから、ケアマネジャーの役割は、もはや不可欠なものだということは言うまでもないわけです。けれども、ここで議論している中で、特にきょう話題になっている特定事業所集中減算の話、それから、自己負担の話、基本的には同じ根っこがあると思っております。私は基本的に、ケアマネジメントの利用者負担を1割求めることをきっかけにして、これを打開することができるのではないかと思います。

 そもそも特定事業所集中減算があるというのは、特定の事業所にサービスが不当に偏ることを恐れている。それは、別の言い方をすれば、事業所誘発需要が介護において出ることを懸念して、こういう減算という仕組みでそれが断ち切れるのではないかと思ったけれども、必ずしも十分にその役割を果たしていないということで、今、議論になっているのだと思います。当然ながら、この問題を解決するには、ケアマネジャー、ケアマネジメントの役割が重要で、公平・中立を確保していただく、それから、ケアマネジメント手法の標準化もしっかりやっていただくことでもって、そういう疑念を晴らすことができるわけですが、ケアマネジャーの資質向上という話は長年言い続けて、私も期待をしていて、向上はしているのだろうと思いますけれども、引き続き議論の遡上に乗っているということは、まだ十分に皆さんが満足できるほど資質向上という話が完結していないということなのだろうと思います。

 そういう意味で言うと、先ほど来、1割負担を求めると利用者の御用聞きになるのでないかと、まさにその可能性はあると思いますけれども、コスト意識のない利用者が自分の都合のいいケアプランをつくってほしいと頼むことになってはいけませんし、それをきちんと断れるケアマネジャーの資質も必要だし、そして事業所誘発需要みたいな話にならないように適切にサービスを提供する事業者の姿勢も求められるということを考えると、いつまでもケアマネジメントが全額給付でなされるということでは突破口が開けないのではないかと思います。

 そういう意味では、第7期からでいいので、ケアマネジメントの自己負担をきっちりしていただいて、そのかわり、1割も負担するのだから、利用者負担があるのだから、自分の言うとおりにケアプランをつくれと言う利用者に対しては、そうではなくて、きちんとケアプラン、ないしはケアマネジメント手法の標準化というものに着手をする。そのときに、これはケアマネジャーの業務効率の向上にもつながるICT化をしっかりケアマネジメントプロセスでやっていただく。それと、レセプトデータも電子化されているわけですから、そこでしっかりデータを分析して、ケアマネジメント手法の標準化をきちんと担保する、客観的なデータに裏付けられた標準化をしっかり同時に進めていくことで、こういう状況を打開できて、より少ない負担でQOLを高めることができるのではないかと思います。

 私は、利用者負担を求めることになっても、必ずしもサービス利用が抑制されるとはならないのではないかと思います。極端に言えば、もしケアプランをつくらないで、要介護認定を受けないで、自分で介護サービス類似のサービスを利用しようと思えば、全額自己負担でやらなければいけない。だけれども、1割のケアプランをつくるための自己負担さえ払えば、全部の介護サービスが、一定以上の所得の方を除けば1割負担で利用できるとなれば、それぐらい、ケアプランのためにお金を払ったって、全額自己負担で介護サービスを受けるぐらいだったら、1割負担で済むではないかという計算ぐらいは成り立つわけなので、そうすると、結局のところ、サービス抑制という話にはならなくて、いかに御用聞きケアプランみたいな話を断ち切るか、そこに問題を解決する力点を置くべきではないかと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、馬袋委員、お待たせしました。

○馬袋委員 ありがとうございます。議論のケアマネジメントという言葉で、あり方が書いてあるのですが、整理をしておかないといけないことは、ケアマネジメントと、管理者と居宅介護支援(ケアマネジメント)事業所、そして業務を担当しているケアマネジャー、この3つのことについて、ちゃんと論点を整理しながら議論しないといけないと思います。

 1つは、現場では、ケアマネジメントはケアマネジャーだけが担当しているという認識ではありません。まず、地域でやっている地域ケア会議そのものは、まさに地域におけるケアマネジメントそのものです。それから、サービスのチームで行うサービス調整会議等のケアプランから全体をどのようにしていくかという内容の会議そのものも、チームによるケアマネジメントです。そして、各々の事業者がアセスメントや、ケアマネジメントサービスをいかに提供するかということもケアマネジメント。そういった意味で、ケアマネジャーイコールケアマネジメントという考え方はまず整理をしながら、何がケアマネジメントで、何がケアマネジャーの仕事で、事業所管理者の仕事かを整理した上で、この問題を整理していただきたいと思います。

 それから、集中減算の件についてでありますけれども、これも各委員から出ておりますとおり、会計検査院等から出ました内容を踏まえ、現場では、この集中減算の対応として行われている相互の関係、連携、調整、本当にこのことの意味についてどうなのだという問題認識があります。質を良くしようとしても、集中減算の対象となれば選ばれないという問題も起きていますので、ぜひこれは見直しを検討していただきたいと思います。

 本当に適正なケアプランであるか、ないのかについては、適正化事業での指導があります。その適正化事業を生かしたり、地域のケア会議にケアプランを挙げて、みんなで見ていくということ等が効果的ではあります。地域ケア会議などの機会で、ケアマネジャーから提示させることによるケアマネジメントの適正化、または質を向上させるというのも効果があると思います。

 東委員が申されたように、当たり前のことですけれども、アセスメントから標準化をすべきだと思います。この標準化から医療との連携、このアセスメントを行ってどういうサービスを提供し、変化が見られたのかなどわかるわけですので、標準化の基本として、アセスメントとプロセスについては確実な標準化と、ICTを含めて導入を推進するべきだと思います。

 最後に、自己負担の問題については、ケアマネジャーは、鷲見委員もおっしゃっていましたけれども、医療連携の場面等において、医療機関が退院後の今後のことを全てケアマネジャーに依存していっている現実もあります。そういった場面での調査や支援などのケアマネジメントの費用について、どこから算定するのかという問題もありながら、自己負担もない、1割負担でない中で、ケアマネジメント事業者のケアマネジャーたちが、制度のことを鑑みて、費用負担だけの考えでなく動いているという認識であります。

 ただ、将来的には、自己負担を含めて、利用者も制度を利用することへの公正・中立であること。介護保険サービスを使うのに対しての利用者(自分たち)の意思は、どこまではできるけれども、できない範囲もあること、要するに、サービスを使う以上、利用者(自分)にも責任もあり、利用する権利も要求するけれども、自立への責任もあるのだということを醸成しながら、自己負担とか、内容については議論していくべきだろうと思っています。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、齋藤訓子委員、お願いします。

○齋藤(訓)委員 ケアマネジメント手法の標準化につきましては、先ほど事務局から、主な疾患ごとのアセスメント項目のようなものを標準化するという御説明があったかと思います。そちらについてはぜひ取り組んでいくべきだと思いますが、今後、医療機関から地域へ退院する要介護者は単に1つの病気で療養するというより、複数の病気をもっていて、かつ複雑にそれが絡んだ状態で地域に帰ってくるという状況を考えたときに、果たしてケアマネジメントの標準化だけで対応が可能なのか、いささか不安を感じるところもあります。

 ですので、1つ提案したいのは、医療的なニーズのアセスメントにつきましては、ケアマネジャーがもっと医師や看護職からの助言や支援を受けられるような仕組みを制度上で担保していくべきではないかと思います。ケアマネジャーの研修体系が非常に今、整備され、充実されつつありますけれども、16万人のケアマネジャー全てにこの研修が行き渡るには、まだ時間がかかりますし、また、保険者による支援も大変重要であり、地域ケア会議でもぜひケアプランを検討していただきたいですけれども、やはりそれも検討できる事例は限られてくるのではないかと考えます。ですので、ケアマネジャーが個々のケアプランを立案し、適切なケアプランに持っていくためには、最初の利用者の状態のアセスメントの部分、特に医療ニーズの把握と対応について、相談や助言を受けられる体制を介護報酬上で評価をしていくことによって、参考資料で挙げられているような医療機関との連携の困難については、かなり改善されていく可能性があるのではないかと思っているところです。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 最初のころに発言したのですが、皆さんが利用者負担と集中減算の話をされましたので、少し追加させていただきたいと思います。

 利用者負担については、東委員から、介護保険をむしろ膨らませるのではないかという話もあったのですが、前にも言いましたけれども、要介護認定率の高い県と低い県の違いなのかもしれせんけれども、我々のところで言うと、例えば、自分で作成するプランがふえるのではないかという意見に対しては、作成の手間を考えると、ふえることはないだろうと思いますし、利用者の希望のみのプラン、いわゆる御用聞きプランがふえるのではないかという意見に対しては、他の介護サービスは自己負担がありますし、ケアプランはそもそも利用者の希望のみを考えてつくっているわけではないはずだと思います。

 それから、公平なプラン作成ができないという意見に対しては、自己負担が導入されたぐらいでケアマネジャーの専門性が発揮できないのですかと言いたいと思います。むしろ、自己負担によって、利用者自身がケアプランの内容に関心を高めるとか、ケアマネジャーと利用者のコミュニケーションが促進されるというプラスの部分もありますので、これはきょう決めることはせず、先でまた議論をしていただきたいと思います。

 それと、公正・中立な独立機関をという井上由美子委員の意見もありましたけれども、これはある意味で永遠のテーマということなのでしょうが、現実的な議論として、少しでも改善を図ることを考えなければいけないと思いますので、その意味で集中減算は見直しが必要だと考えています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、鷲見委員。

○鷲見委員 先ほど来、ケアマネジャーの状況についてのお話を皆様から受けておりますが、理念どおりに行われている状況と、それに伴う懸念について少しお話ししたいと思います。

 「まずはケアマネジャーさん、かかわって」というようなケースです。セルフネグレクトや虐待のケース、または痰などの吸引支援が必要なケース、独居、認知ケースなどは、必要なサービスの抑制によって重度化につながりかねないという懸念を持っています。

 また、特定事業所加算取得事業所や、入院時情報連携加算など、お金がかかることを理由にサービスを拒んだり、または居宅支援費の一部負担の滞納が続く場合。このような場合には一時的にサービスが拒否されるケースも出てくることから、所得の額にかかわらず、公正・中立なケアマネジメントを受けられることが重要だと思っています。

 また、利用者との対等な関係性が崩れる要因になるということであれば、公平な中立支援、公平で自立支援に資するケアプラン作成を阻害することにつながると思います。

 また、プランが増加すれば専門職の配置が難しい市町村では、さらに事務処理負担が増大することも懸念されるところでございます。

 以上、やはり制度の根幹でありますケアマネジメント、ここに我々も一生懸命、今までどおりやってまいりたいと思っていますし、また、今までもやってきた自負もございます。利用者負担の導入には強く反対するものでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、武久委員、お待たせしました。

○武久委員 済みません、遅くなりまして。

 鈴木委員がおっしゃった、悪徳とか、悪質とかいうケアマネジャーの件ですけれども、私は今まで悪質なケアマネジャーには会ったことがないのですね。悪いことをするのであれば、やってもいないケアプランをやったとする方法が幾らでもありますが、当然、事業所が取り消し例も多いので、事業所が、そういうふうに法の網をくぐっていろいろするというのは難しいかなと思います。

 それより、主任ケアマネジャーがいる事業所とか、ケアマネジメントの費用、居宅介護支援も1万円前後から2万円近くもあると思うのですけれども、一生懸命ケアマネジメントをして、例えば、医療的な要素も入れて、5つも6つもケアプランの事業を入れても、東委員がおっしゃったように、生活支援ヘルパーだけでいいのだと言う家族もいます。

 確かに、私、介護保険施設とか、病院とか、やっておりますと、病院でも、入院をさせてくれと言って、治療は一切要らないとか、そういうことを言う家族がいるのですね。聞くと、その家族はえらい正直で、この人は年金が少ないので、長く生きていると大変なのですと。非常にフランクな方だと思うのです。その逆が前にありましたね。年金が高いから、140歳で生きているというのがありましたね。

 私たちは、要介護者なり患者を見ているのであって、家族を見ているわけではないので、私は患者の味方ですから、この方はよくなってほしいのか、中途半端によくなるとうろうろして困るから、家族の言うように生活ヘルパーだけにしてあげるのかというのは、ちゃんとやっているケアマネジャーは非常に悩むと思うのですね。

 先ほど井上委員がおっしゃったように、ケアプランの中に4つも5つもサービス入れたらケアプランの費用が上がるかと言ったら、上がらないですね。給付管理業務だけふえるわけです。だから、単純にヘルパーだけぽんと入れるケアプランのほうが非常に楽なわけです。家族との関係をそろそろ整理するころに来ているのではないか。病院で、治りそうだから、ちゃんと治すと言っている医師が、そんな治療をしてもらったら困ると言われると、非常に困るので、非常によく似た根本的なベースが、貧困ということもあります。残念なことですけれども、あるのです。

 それから、集中減算ですけれども、例えば、見に行って、よそのデイサービスよりここのデイサービスがいいと思っても、集中減算になるから、例えば、7割の人しか入れられない。もう一つは、ケアマネジャーが自由にいろいろな事業所を見て回れるような制度にしてほしい。できればランクづけをしてくれないとわからないです。そこがいいか悪いかわからないのに、とりあえず集中減算を避けるために、全然知らないところに一回行くかと、これは要介護者本人にとってプラスにはなりませんね。私たちは、病院では患者のため、介護では要介護者のために一生懸命尽くすというのが我々の使命と思っていますので、そういう理念が通るような制度にしていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかに。それでは、岩村会長代行、お願いします。

○岩村委員 もう終わりでしょうから申しわけないですが、利用者負担についてだけ一言申し上げたいと思います。この問題は、御承知のように、介護保険部会でも何回も議論されている問題でありまして、いずれにしろ、どこかの時点で踏み切って解決しなければいけない問題だろうと私は思っています。基本的に私は、先ほど土居委員がおっしゃったように、やはり1割負担を導入したほうがいいと考えています。それだと、先ほども言及がありましたけれども、所得が低い人はどうするのだという問題はありますが、これは当然、介護保険の中で、高額介護費であるとか、高額医療合算といった仕組みが入っているので、それによって解決が図られる問題だと思いますし、それでも足りないというのであれば、アクセスを阻害しないような仕組みを何か考えるということかなと思っております。

 それから、例えば、弁護士は報酬をもらっているからクライアントの言いなりで仕事をするかというと、決してそんなことはないのですね。クライアントのためにならないのであれば、それをどうやって説得するのかが、まさに弁護士の弁護士たる仕事なのですね。ですから、介護支援専門員、ケアマネジャーという職業について、もし専門性ということを考えるのであれば、まさに家族をどうやって説得するか、そのことこそがまさにケアマネジャーの専門性の問題だと私は思っております。

 そういう意味で、1割なら1割のコストを払っても、それだけいいサービスを提供してもらえる、そういうケアマネジャーのサービスに対する信頼感をどうやって築くのか、そこが一番のポイントだと思いますし、逆に言うと、10割負担の給付というのはそこのところが抜けてしまう恐れがある。多くのケアマネジャーはちゃんとやっていらっしゃるとは思いますけれども、そこが抜けてしまう恐れがどうしても否定できないところがあるというのは問題なのではないかと思っていまして、そういう意味で、一部負担を導入することを検討していくべきだと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。それでは、予定の時間も過ぎておりますので、本日はここまでにしたいと思います。

 事務局におかれましては、本日、各委員からの御意見を踏まえて、次回以降の審議に対しまして有益な資料、試案の作成等々をお願いしたいと思います。

 では、次回の日程について、事務局から報告をお願いします。

○尾崎企画官 次回の日程でございます。次回の本部会は9月30日の金曜日9時から12時で、ベルサール半蔵門で開催をいたします。

 以上でございます。

○遠藤部会長 インターバルが短くて申しわけございません。

 それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

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