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2016年8月19日 第61回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成28年8月19日(金)13:00~16:00


○場所

東海大学校友会館 阿蘇・朝日の間


○出席者

遠藤、石本(代理:中野参考人)、伊藤、井上(隆)、井上(由)、大西、岡(代理:大井川参考人)、
黒岩(代理:小島参考人)、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鈴木(隆)、
鷲見、陶山、武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、藤原、桝田の各委員
(岩村委員は欠席)

○議題

1 利用者負担
2 費用負担(総報酬割・調整交付金等)

○議事

○尾崎企画官 定刻となりましたので、ただいまから第61回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 報道機関の方に御連絡をいたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、まず本日の御出席の状況につきまして御説明いたしたいと思います。

 岩村委員、石本委員、岡委員、黒岩委員が御欠席です。

 また、石本委員の代理として中野参考人(日本介護福祉士会副会長)、岡委員の代理として大井川参考人(日本商工会議所企画調査部担当部長)、黒岩委員の代理として小島参考人(神奈川県保健福祉局福祉部長)が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、これより議事に移りたいと思います。本日の資料につきまして、事務局より確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 それでは、資料の確認をさせていただければと思います。

 お手元に資料1として「利用者負担」。

 資料2「費用負担(総報酬割・調整交付金等)」と2種類の資料がございます。

 それぞれに対応する形で参考資料1、参考資料2と、この4つの資料を配付させていただいております。こちらにつきましては事務局より御説明をさせていただきます。

 なお、参考資料3として配付をさせていただいています資料は、8月2日に閣議決定をされました「未来への投資を実現する経済対策」の関係資料でございます。本日は説明は行わず、御参考としてお配りするものでございます。

 皆様、不備等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 まず、資料1につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 最初の議題、利用者負担につきまして資料1、それから、後ろのほうに参考資料1という分厚い資料がございますが、この2つの資料に沿いまして御説明をさせていただきます。

 まず最初に資料1、おめくりいただきまして1ページ目でございます。皆様御案内のとおり、1つ目の○でございますが、介護保険制度創設から16年がたち、利用者も創設時の3倍を超えております。また、2つ目の○でございますが、費用の総額も創設時から約3倍の10兆円なり、第1号保険料の全国平均は現在5,000円を超えており、2025年度には8,000を超えることが見込まれる状況にございます。

 3つ目の○ですが、こうした状況の中で制度の理念を堅持し、必要なサービスを提供していく上で給付と負担のバランスを図ること。そして、保険料、公費及び利用者負担の適切な組み合わせを図ること。こうしたことによって制度の持続可能性を高めていくことが重要な課題になっていると思っております。

 続きまして「2.利用者負担割合・高額介護サービス費」でございますけれども、利用者負担割合につきましては、制度創設以来1割ということでございましたが、前回の改正におきまして、一定以上の所得がある方につきましては負担割合は2割としておりまして、昨年8月から施行されております。

 2ページ、この2割負担の対象者につきましては、第1号被保険者全体の上位20%に該当する方ということで、合計所得金額160万円。これは年金収入のみの方の場合、年収280万円に相当しますけれども、それ以上ということで設定をされております。この導入に当たりましては、2つ目の○の3行目でございますけれども、保険料で応能負担をしているのだから、利用者負担は一律1割でいいんだという御意見もありましたし、また、この負担の引き上げによりまして、サービスの利用控えが起きることを懸念する御意見もございました。

 こういったことでございますので、制度施行後の実績ということで参考資料1の6ページ目をあけていただきたいと思いますけれども、6ページ目の上の表でございますが、サービスの種別ごとの受給者に占める2割負担をされている方の割合でございます。先ほど申し上げましたとおり、被保険者全体の上位2割に該当するものとして対象者が決まっておりますけれども、実際のサービスの受給者は75とか80の方が多いということもあって、被保険者全体の集団よりは少し所得の低い層と考えられます。このため在宅サービス受給者については1割弱。特養の入所者については約4%、老健施設については6.2%という方が実際に2割負担の対象になっているということでございます。

 さらにその下の表でございますけれども、受給者数の対前年度の同月比、つまり伸び率を見ておるところでございます。表では約半年ごとに対前年同月比がどうなっているかというのを整理しておりまして、一番下の黒枠でくくっておりますサービス合計をごらんいただきますと、半年ごとの伸び率は近年低下する傾向にございます。そして28年8月からの網かけをしておる部分でございますが、2割負担導入後の対前年同月比の伸び率は約3.4%となっております。近年少しずつ伸び率が低下する傾向にある範囲内かなと思っておりまして、個別の事例で見ればさまざまな利用者負担の2割負担の導入の影響はあったのだと思いますけれども、大きなマクロ的な傾向で言えば、顕著な差は見られないという状況ではないかと思っております。

 もう一ページ、参考資料をおくくりいただきまして7ページ目でございますけれども、介護保険におきましては1割負担、2割負担をしていただいた上で、一定の上限を超えた方については高額介護サービス費ということで償還をする制度がございます。ですので実質的な負担率という意味では1割に達しておりません。

 平成18年度からの推移を見ますと、平成18年度では実質的な負担率が約7.7%となっておりました。その後、平成20年度から高額医療合算介護、医療と介護を通じた上限の仕組みが入って、それが浸透するに従って実質的な負担率は少し低下をし、平成22年度ごろからは約7.2%というところで安定をしておりました。今回27年8月から2割負担が導入されたことによって、下の段の表になりますけれども、少し月によってもばらつきがありますが、この半年の平均ですと約7.7%となっております。18年度の水準に戻っているような状況でございます。

 一番下に非常に粗い推計でございますけれども、2割負担者に限って実質負担率がどれぐらいになっているかというのを推計いたしますと、約12.6%ということでございますので、2割負担の方が全員実質2割を払っているわけではない。この償還の制度によって負担が緩和されていることが言えるかと思っております。

 また資料1に戻っていただきまして、2ページ目の一番下の○でございますけれども、今、申し上げたとおり介護保険制度においては利用者負担額に一定の条件を設けて、これを超えると償還されるという高額介護サービス費の制度がございます。

 3ページ、この高額介護サービス費の過去の経緯等について、参考資料1の8ページ目をお開きいただきたいと思いますけれども、こちらの上のほうの図として介護保険制度の過去の経緯が書いてございます。制度創設時には高齢者の医療制度とあわせまして、生活保護の方は1万5,000円、非課税世帯は2万4,600円、課税世帯は3万7,200円という3段階からスタートしております。その後、平成1710月に食費、居住費を保険給付から外すタイミングで、年収80万円以下の方については1万5,000円に引き下げており、さらに前回の制度改正で高齢者医療制度における現役並み所得の方については、この上限額を4万4,400円に引き上げているという経緯がございます。

 この引き上げた後の施行後の実績につきまして、この参考資料1の11ページをお開きいただきたいと思いますけれども、左側が制度改正直前の状況、右側が直近の状況でございます。前回の制度改正で新設された第5段階、現役並み所得の方につきましては、約5万2,000件の対象者がおられまして、給付費としては約7億円となっております。ちなみに高額介護サービス費全体で見ますと、制度改正直前は左側の一番下の合計欄でございますけれども、約133万件の方に対して約135億円の給付を出しておりました。直近では約167万件に対して182億円の給付が出ております。このように制度改正によってかなり高額介護サービス費がふえているのは、2割負担を導入したことによって従前よりも上限に該当する方がふえて、その分、償還もふえているということを意味しておりまして、こういう面から見ても2割負担の導入は間違いなく利用者の方の負担をふやしていますが、ふやした分の一部はこの制度によって償還。この制度によってさらに負担の緩和もさせていただいているところでございます。

 それでは、本文の資料1の4ページ目以降でございますが、この利用者負担の問題につきましては、さまざまな政府でどのような約束になっているかということの御紹介でございますけれども、4ページにありますような昨年6月に閣議決定されました骨太の方針2015あるいは去年12月にまとめられました経済・財政再生アクション・プログラムの中でも検討事項とされております。

 5ページ、昨年12月に取りまとめられました改革工程表が描いてございますけれども、ここに2つの矢印を載せておりますが、上が高額介護サービス費制度のあり方、下が介護保険における利用者負担のあり方ということで、いずれも矢印の中の後ろのほうに書いてございますけれども、関係審議会等において具体的内容を検討し、2016年末までに結論とされております。また、このページの一番下のことしの6月に閣議決定されました骨太の方針2016におきましても、一番下の部分でございますけれども、改革工程表に沿って着実に改革を実行していくというふうにされているところでございます。

 おめくりいただきまして6ページ目になります。医療保険制度における利用者負担、患者負担の状況について整備をしております。こちらも参考資料1の3ページをごらんいただきたいと思いますけれども、医療保険制度における利用者負担割合の推移をまとめております。真ん中の表に70歳以上の高齢者に対する患者負担が書いてございます。平成13年度に1割負担だったものが、14年から現役並み所得の方については2割負担となり、さらに1810月には3割負担となっております。また、それ以外の方につきましても、平成20年4月から7074歳の方については2割負担となるように法律が変えられ、しばらく予算措置で凍結されておりましたけれども、平成26年4月2日以降に70歳の誕生日を迎える方から順次2割負担となっているところでございます。

 同じく参考資料1の先ほど見ていただいた8ページの資料をごらんいただきたいと思いますけれども、この8ページの資料の下のほうには医療保険の高額療養費の上限額が書いてございます。介護保険ができたころはそろっておりましたけれども、その後、医療保険のほうがいろいろこの上限額の引き上げが行われております。前回の介護保険制度の改革で現役並み所得者につきましては4万4,400円ということで、医療保険の中の年4回以上利用する場合の多数回該当の数字に合っておりますけれども、その下の介護保険のところで言えば課税世帯、医療保険のほうでは一般と書かれているところにつきましては、介護保険が3万7,200円、医療保険は4万4,400円ということで、この部分だけが少し差がついているところでございます。

 また資料1に戻りますけれども、6ページの中ほど、補足給付の話でございます。補足給付につきましては、制度発足時、介護保険三施設とショートステイについては居住費と食費が給付に含まれておりました。平成17年の制度改正で在宅の方との公平性という観点から食費、居住費は給付の対象外とされましたが、住民税の非課税世帯については特定入所者、介護サービス費、いわゆる補足給付として引き続き補助を行っているところでございます。

 7ページ、前回の制度改正では在宅の方あるいは保険料を負担する方との公平性という観点から3つの見直しを行っております。1つは単身1,000万円超、夫婦世帯2,000万円超の預貯金がある場合には対象外とする。2つ目には、施設入所に際して通常、住民票を移すために世帯分離が行われますけれども、配偶者の所得については世帯分離後も勘案するということで、入所されていない配偶者が課税されている場合には補足給付の対象外とすること。この2つにつきましては昨年の8月から施行されております。

 また、3点目は補足給付の2段階目と3段階目の判定に当たりまして、非課税の遺族年金や障害年金もその判定に勘案するということで、これはことし8月から施行されたばかりでございます。

 2つ目の○にありますように、預貯金の勘案につきましては今、預貯金の額を自治体が自動的に把握する仕組みはございませんので、本人から御申告をいただくことと、金融機関に照会をしていただくことでやっていただいているところでございます。また、非課税年金についても市町村には自動的に情報がありませんので、日本年金機構や共済組合からこの情報を受け取っている。ただ、住所地特例などがあって年金保険者の把握している住所と実際の保険者が一致しないケースもございますので、本人から私は障害年金、遺族年金を受けていますという申告と組み合わせて、突合して回していただいているということで、相当の執行コストをかけて丁寧に対応していただいているところだと承知をしております。

 この施行後の状況でございますが、参考資料1の17ページをお開きいただきたいと思いますけれども、この補足給付の認定件数の推移を書いてございます。生活保護受給世帯の方、第1段階につきましては約3%の減となっておりますが、第2段階、第3段階につきましてはそれぞれ19%、21%の減ということで、所得段階が高くなるにつれて制度見直しの影響が大きく出ているというふうに考えております。

 また資料1に戻りまして、今度は8ページ目でございます。不動産の勘案ということで、これは前回の制度改正時の宿題でございます。前回の制度改正を介護保険部会で議論していただいた際に、先ほど申し上げましたように補足給付について預貯金の勘案をするのであれば、不動産についても一定額以上の宅地を保有している場合には何らか勘案すべきだ。具体的には補足給付の対象外として食費や居住費は御自分で払っていただくこととする。そのために宅地を担保にして金融機関から貸しつけを受けて、それで食費や居住費を払っていただく。このような仕組みができないかという御提案がありました。その時点では貸しつけの対象者、資産の評価のあり方、受給者が亡くなった後の債権回収の方法あるいは外部の受託機関をどうやって確保するのか、さまざまな課題がありまして、引き続き検討を続けるというふうに整理をされております。

 そこで2つ目の○でございますけれども、厚生労働省では平成26年度と27年度におきまして、野村総合研究所にお願いをしましてさまざまな研究を行ったところでございますが、以下に述べるような指摘を受けているところです。

 まず1つ目には、補足給付の受給者につきまして、この不動産活用の対象となる方がどのぐらいいらっしゃるかという推計をしていただくと、全国的に見ても約2,600人から7,800人ぐらい。最も多い東京都でも年間140人から540人ぐらいではないかということで、金融機関にとって魅力的とは言いがたい市場規模である。ですからやるのであればもっと対象者を広げて考える必要があるということでございます。

 また、このページの一番下のポツでございますけれども、補足給付の対象者は非課税世帯ですので低所得者層に限られていますが、民間金融機関が資金を貸しつけたい層というのは資金需要もあるし、また、収入があって返済能力がある層だということなので、そこも少しギャップがあるのではないかということでございます。

 9ページ、東京都内の不動産の取引価格の分布を見ますと、半数以上の取引が総額3,000万以上となっておりますが、例えば秋田県では3,000万以上の取引は約8%ということで、非常に地域差が大きい。あるいは民間のリバースモーゲージ、一部の地域では金融機関で取引をされておりますけれども、11の都道府県ではリバースモーゲージを供給する金融機関がない状況にあるということでございます。

 また、今、既にあるリバースモーゲージでは、契約可能年齢に上限が設けられているようなケースもございます。また、担保設定をいたしますので相続人とのトラブルみたいなものも考えられるところでございます。もし民民契約ならこういった場合、契約しなければいいということだと思いますが、公的な制度とするのであれば認知症の方も含めてこういうトラブルを避けるような支援の仕組みというものが必要だと思われます。

 その他、このページの一番下のポツにありますように、さまざまな実務上の解決すべき課題があるということの御指摘を受けているところでございます。

 さらに10ページをごらんいただきたいと思いますが、以上を踏まえまして論点の整理をしております。

 1つ目の○は総論的なものでございますが、今後高齢化の進展に伴い、2号被保険者、1号被保険者の保険料の水準の上昇が見込まれる中で、世代間・世代内の公平性を確保しつつ、制度の持続可能性を高める観点からサービスを利用する方の負担のあり方についてどう考えるか。さらに利用者負担割合につきまして、昨年8月から一定以上所得者について2割負担を導入したところですが、こうした制度の施行状況あるいは医療保険における患者負担割合を踏まえ、そのあり方についてどのように考えるかということでございます。

 次に高額介護サービス費につきましては、2割負担の導入に伴い、特に所得の高い層のみ上限の引き上げを行ったところでありますが、こうした制度の施行状況あるいは医療保険における自己負担の上限額を踏まえ、どのように考えるかということでございます。

 補足給付につきましては、経過的かつ低所得者対策としての性格を持つ補足給付に対して見直す点はあるか。2点目でございますが、特に前回から宿題となっております不動産の勘案につきましては、試算を預貯金の形で持つ方との公平性の観点、一方で地域的な格差、民間金融機関の参入の困難性、認知症の方への対応等、さまざまな実務上の課題等があることを踏まえ、どのように考えるかということでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、皆様から御意見を承りたいと思いますけれども、できるだけ多くの委員の方々からお話を承りたいと思いますので、お一人お一人の御発言は要領よくお願いできればと思います。

 それでは、いかがでございましょうか。大西委員、どうぞ。

○大西委員 利用者負担のあり方ということでございますけれども、最初の1ページに書いておりますように介護保険制度はもう16年がたつわけでございます。だんだん保険給付費等が重くなってまいりまして、保険財政自体が非常に厳しい財政状況を行わざるを得ないということでございます。これは市町村が保険者ということでございますので、我々は今後の保険財政をどうやっていくのか、かなり厳しい状況にございます。

 大まかに公費半分、保険料半分で賄われているわけですが、あわせて保険料の負担もどんどん大きくなってきており、高齢者の経済的負担増もかなり限界に近いところに来ているのではないかということでございます。そういう中で制度をどうやって持続可能な制度として持っていくかということでございますが、基本的には国費の裏づけについてきちんと拡充を行ってやっていただく必要があろうかと思っております。

 特に消費税の10%への引き上げを、ちょうどその時期として1,400億円をこの介護保険財政に入れて低所得者の負担軽減を図るという話でございましたけれども、消費税の引き上げが2年半、延期になった。かといって介護保険財政が楽になっているわけでもない。給付費がそれで減るわけでもないわけでございますので、この辺についてきちんと国費を確保して、約束していただいている裏づけぐらいは必要なのではないか。それ以上にきちんと国費の拡充といったものもいろいろと検討していただく必要があろうかなと思っております。その上で介護保険財政をどうやっていくか。医療保険との制度間のバランスも考慮しながら利用者負担割合、また、高額介護サービス費のあり方、きょう問題提起されておりますこれらの課題について丁寧に議論を行いながら、実証的な検証を経てあるべき姿を見出していく必要があると思っておるところでございます。

 補足給付の問題でございます。これにつきましても、この補足給付の特に預貯金の調査でありますとか、あるいは不動産の勘案につきまして、実際に実務を行っております我々市町村は苦慮しておるというのが現状でございます。

 まず補足給付の見直しで、本人や家族から預貯金等の資産状況の個人情報を提出していただくということでございますが、これ自体を求めることに対して苦情はかなり多く寄せられています。市町村、自治体の中にはこれは改正前の基準に戻してくれといったような声、意見も寄せられておるところでございます。預貯金の調査は自己申告が基本ではございますが、疑いのある場合は金融機関への照会が必要である。これもかなり金融機関側も個人情報等々ですので慎重にならざるを得ないということで、事務手続に非常に負担がかかっておるようなところでございます。自治体の負担としてかなり大きくなっておるという現状を御認識いただきたいと思います。

 また、不動産の勘案につきましては、個々の自治体の事務負担、民間金融機関等の参入の担保等について現状を先ほども問題点を指摘させていただいておりましたけれども、きちんと把握していただいた上で十分に議論をして、実務的に本当に円滑な実施が可能なような制度運用をぜひとも確立するように、お互い自治体の現状等もお話し合いをさせていただきながら改善をしていく必要があるのではないかと思っておるところでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木邦彦委員、お願いいたします。

○鈴木(邦)委員 まず利用者の負担割合ですが、今後の高齢化の進展に伴って介護の需要が大幅に増加するため、介護保険制度を持続可能性のあるものにする必要性があります。そのためには利用者負担割合を医療保険と整合性をとって年齢別に細分化したり、負担割合に幅を持たせることを検討することも必要です。特に現役世代並みの収入や高額な預貯金がある高齢者には、さらに負担をしていただく必要があります。

 次に高額介護サービス費についてですが、今後需要が大幅に増加する介護保険制度の持続可能性を考えれば、高額介護サービス費についても医療保険制度と整合性をとっていくことも検討していく必要があります。特にやはり現役世代並みの収入や高額な預貯金がある高齢者に対しては、高額介護サービス費の自己負担限度額を引き上げる必要があると考えます。

 補足給付についてですが、介護保険制度の持続可能性を高めるためには、補足給付を受けている方の所得要件や預貯金等の資産要件の見直しは妥当であったと考えます。不動産の勘案については課題も多いようですが、今後高齢化率が上昇し、高齢者数が大幅に増加する大都市部においては、対象となる方の大幅な増加も考えられますので、リバースモーゲージなどについて実現に向けて引き続き検討を重ねるべきであると思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 齊藤秀樹委員、お願いします。

○齊藤(秀)委員 利用者負担割合の論点の中に、医療保険における患者負担割合を踏まえという表現がありますが、介護は全体として長期化、重度化するという特性を持っているわけであります。利用者の負担感は医療以上に大きいのではないかと思っております。そのため医療と同列で負担割合を求めることには、慎重な検討が必要ではないかということを申し上げたいと思います。

 短期的な施行状況では利用控えはないということの説明でありましたが、2割負担も今後対象拡大があった場合には、利用者に過度な負担となり、必要なサービスの利用を遠ざける、重度化を招く、さらには在宅生活を難しくさせる。結果的には介護離職をふやすことにつながるというデメリットの要素も少なくないと思っております。

 今後の改正の方向を見ますと、さらに所得、年齢、要介護度別に新たな負担区分を設ける。そして、できるだけ早い機会に9割給付を原則8割給付にしたい。そのような布石が次々に打たれているのではないかと感じられてなりません。余裕がある人、また、ゆとりのある人はこの年齢にかかわらず、負担増を今後お願いしなければならないと考えますけれども、生活保護の受給世帯が高齢者を中心にふえているというのが現状であります。医療や介護といういわば命と尊厳を守る制度の負担増によって負担能力の限界を超える状況を新たにつくり出すということがないように、慎重な検討が必要ではないかと申し上げたいと思います。

 次に、高額介護サービス費の制度であります。利用者にとってはセーフティーネットと言えるようなもので、過大な負担とならない安心を担保するという仕組みとして重要な意味を持っている制度だと思っております。医療とは異なる長期重度化する介護の特性に配慮していただいて、そういう上限設定が必要であろうと思っておりますし、これも高額療養費と同水準で考えるということには慎重でなければならないのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、栃本委員、お願いします。

○栃本委員 3点ありまして、前提としてきょうの議論で利用者負担であるとか、費用負担の議論がこれから2号被保険者を含めてあるわけなので、やはり先ほど来お話がありますように、この会議は2月に始まったと思うのですけれども、その際の今後の財政的な見通しとか、利用者の増加であるとか、費用の見通しがありました。この2月の基礎的なデータに基づいて議論はすべきなのであって、その場合、やはり利用者の負担、第1号被保険者の負担、第2号被保険者の負担というもののバランスといいますか、痛み分けといいますか、誰でもが負担は少ないほうがいいに決まっているわけですけれども、そのバランスを欠くというのが一番制度に対する不信感を呼ぶと思います。痛み分けと申し上げましたけれども、必要なサービスが受けられるための制度のためにという意味での痛み分けということです。

 3点あるのですけれども、1点は先ほどの参考資料の7ページ目の部分で、事務局から1割負担となっているが、ないしは2割負担の導入をしたがということなのですけれども、実際に平成18年から平成27年に至る実質的な自己負担率は、8%台弱にとどまっているということです。あと、大々的に2割負担を導入したということを言っているわけですけれども、7ページのところにありますように、一割負担の割合は具体的には9.4%で、かつ、2割負担の実質的な負担率というのは粗い試算という断りがありますけれども、12.6%にとどまっているということなわけです。

 これをどのように評価するかというのはすごく重要な問題で、昭和48年に高額療養費支給制度が医療保険においてできて我が国の医療制度の中で極めて重要なものとなりましたし、介護保険制度の導入に当たって高額介護サービス費が導入されました。これは48年に始まった医療の部分に合わせて導入されたわけで、これは最も重要な制度の1つだと思うのです。この制度が安定装置としてある意味ではショックを緩和するというか、そういうものとしてあるわけですので、この制度が先ほど第2のセーフティーネットというお話がありましたけれども、この部分は極めて大切なので、この部分をしっかり守って、なおかつ先ほど来ありましたように、実質的な負担というものが1割にきちんとなるような形、ないしは2割の方々に対して先ほど医療と介護とは異なる、長期化するということはあるのですけれども、医療も人の命にかかわるものでありまして、にもかかわらず、2割負担、3割負担となっているわけです。そういう実態を踏まえて応分の負担というものを引き上げることが必要だと思います。

 あと2点、簡単に。先ほどリバースモーゲージについてシンクタンクの報告書の概要の御説明がありました。私は全文拝見しましたけれども、これはメガバンクとか銀行にとって勝機があるかという観点からの分析というものです。

 今、地方銀行とか地方の金融機関、信用金庫とか、そういう地域に根差した金融機関というのはさまざまな取り組みをしています。そういうことから、この研究の前提となっている部分というのが従来の金融機関における勝機として、ビジネスとして、そういうものとして成り立つかどうかという観点からのみといいますか、そういう観点から行われているものなのです。私は全文見ましたので。したがって、先ほど他の先生からも指摘がありましたけれども、これをこれでもって終わりとするのではなくて、地域の金融機関、地域住民にとって身近な金融機関ができる限り地域の中で生活できて、自宅で生活できるというものを保持するための1つの装置、社会貢献といいますか、シェアバリューという観点から行うという理解も必要ではないかということです。

 最後に、きょうの議論にはないのですけれども、1割負担、2割負担という議論がありますが、介護サービス費の中で自己負担が行われていないのはケアマネジメントに関するものです。これについてはこの審議会で従来から何度となくケアマネジメントについての負担については制度の要である、合議の要であるということ。また、ケアマネジメント機能からそれは不適切である、適当ではないという議論はありますけれども、やはりこの議論というのは避けて通れない。4,500億円以上の給付費が支出されているわけで、しかも利用者や家族からすれば、このケアマネジメント料が一体どこからお金が支出されているかわからないということが多いのです。利用者の中には、むしろ一定の負担というものをして使っているという自覚を持ったほうがいいのではないかという方もいらっしゃいます。そういうことで、これについては従来から議論があったというのは承知しておりますけれども、それだけを聖域にすることは不適切であると思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、陶山委員、お願いいたします。

○陶山委員 私ども平成26年の改正において、一定以上の所得のある方について負担割合を2割としたことについて、現場の皆さんからのアンケートを実施しています。その結果、アンケートに答えていただいた455名の介護職のうち、84.7%が2割対象者の介護に携わっておりました。

 対象者の反応ですが、「プラン変更は特になかったというのが51.1%」、「利用回数などの変更があったというのが25%」、となり一定の理解は得られていると思いましたが、一方で「負担の見直しについて知らなかったというのが11.2%」、「利用者の負担が大きくなり、不安や不満を言われたというのが36.7%」、「家族への説得に苦労したというのが10.1%」、こういう意見もありまして、「行政から2割負担対象者への説明が十分ではない」との意見も34%に達しておりました。今後さまざまな改正を進めていく中で行政のしっかりした対応を願いたいと思います。

 さらに、介護職に2割負担の意見を聞いたところ、「介護費用の増大などに対応するためには負担能力に応じた見直しはやむを得ない」。このように思っている現場の方は50.1%と、応能負担に理解を示す声が半数に上りました。反面、「利用控えが拡大し、家族介護の負担が増大するのではないか」と懸念する声も18.6%ございました。介護保険制度では制度創設時において、負担について国民の理解を得やすい社会保険方式を導入して、公平性の観点から所得に応じた負担を基本としてきました。そういう意味では現状の保険財政から勘案して、利用者負担割合については応能負担を原則にすべきと考えます。

 また、高額介護サービスの見直しですが、そもそもの医療保険と介護保険の前提が違うことを考慮しなければならないと考えています。具体的には医療は一部の治療を除けば治癒するものですが、要介護状態は長く続き、限度額に張りつくことが多く発生されると思います。26年の改正でも考慮された部分だと思いますが、引き続き医療との区分は必要だと思います。

 また、忘れてはならないことは、現役世代と違いまして高齢世帯の暮らし向きはさまざまでございます。利用者負担を一律に見直すことは課題があると考えます。給付のところでも御指摘をさせていただきましたが、生活困窮者に配慮したセーフティーネットを同時にしっかりと構築することを前提としていただきたいと思います。

 次に補足給付ですが、世帯分離していても配偶者が課税されている場合は対象外ということですが、一気に進めたことから問題が起こっていると思います。後ほど教えていただきたいのですが、最近、特養の待機者が減少し、厚生労働省も実態調査を始めていますが、お亡くなりになったケースを除く特養の退所者調査というのはされる予定があるのか、しているのか教えてください。実は補足給付の対象外とされたことから特養の利用料が倍にふえ、自己負担に耐え切れず特養を退所したというケースも見受けられるようであります。

 年金のみの御家庭では、費用を極力抑えた中にも大変な努力をして生活を維持している家庭も多く、特に配偶者の健康がすぐれない家庭では、子供に負担がのしかかる現状となります。政府の推進する「介護離職ゼロ」、そして「一億総活躍社会」にも逆行することになるのではないでしょうか。在宅で暮らす方や保険料を負担する方との公平性の確保の観点から行われた補足給付の制限ですが、昨年の8月に一気に補足給付をなくしたことで苦労されている御家庭は多いと思います。補足給付の制限が真に介護を必要とする人まで利用できなくなったのでは本末転倒だと思います。一定の緩和措置を工夫することによって今からでもしっかりと調査していただき、対応を求めたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それは事務局に対する御要望でよろしいですか。先ほど質問のように承ったのですが。

○陶山委員 もし今度やる調査で、その中身が入っているのだったらば結構なのですが、できればそういうこともやってほしいということです。

○遠藤部会長 事務局として何かコメントはございますか。なければ御意見として承るだけにしておきます。それでは、よろしくお願いします。

 先ほど手を挙げておられましたので、土居委員。それから、先ほどケアマネジャーの話も出たものですから鷲見委員、そういう順番でお願いします。

○土居委員 ケアマネジャーの話がありましたので、私も平成2512月にこの介護保険部会で「介護保険制度の見直しに関する意見」という取りまとめをしたときにかかわった人間として、今回の議論でケアマネジメントの利用負担について何も議論しないことはいかがなものかなと思っておりますので、積極的に議論を俎上に載せていただきたいと一言申し上げたいと思います。

 あと2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。利用者負担については基本的に経済力のある高齢者、利用者の方には適切に御負担をお願いしたいと思います。特に第2号被保険者で基本的に介護サービスが受けられない方も、介護保険のための財源を支えているということとの対応関係を考えると、今後経済力のある利用者には負担割合の引き上げとか、さらには年齢に応じたきめ細かな負担割合の設定などを考える必要があるのではないかと思います。

 補足給付の資産勘案についてです。今のところ第6期で導入されている仕組みはいい仕組みであろうと思いますが、まだまだ改善の余地があろうと思います。当然ながら今の資産勘案といっても自己申告ですので、今後マイナンバーを活用してできるだけ保険者の事務負担を軽減するような方向で制度的に担保するべきだと思います。もちろんマイナンバーは預金について付番するところまでは大分時間がかかるかもしれません。しかし、介護保険制度の中でマイナンバーを活用して事務負担を軽減できるように第7期から準備を整えていく必要があると思います。直ちに資産勘案のところでマイナンバーが使えないかもしれませんけれども、ほかの事務手続でマイナンバーを活用するというようなことだとかを積極的に第7期で始めて、その後、預金に付番されたならば、それが直ちに利用できるようにスタンバイをしておくことは重要だと思います。

 最後に、不動産に関するところであります。不動産のところは確かに制度的にはリバースモーゲージなどの仕組みを全国的に整えておくことは必要だと思いますが、資産の地域的な分布がそもそもばらつきが大きい、地域差が大きいということは、それは制度として全国的に整えておくこととは別の問題として捉えるべきではないかと思います。

 参考資料の26ページに不動産の地域的な分布が示されております。確かに都市部では当然ながら資産価値の高い不動産が多くある。だけれども、農村部では必ずしもそうではないということです。そもそも資産勘案というのは持っている資産額に応じて負担をお願いするという話ですから、そもそもお住まいになっておられる地域の地価が低くて、それほど資産価値がないという不動産をお持ちならば、当然ながら高齢者はそれほどたくさん資産をお持ちではない。それだけ経済力はないと判断するということなので、地域的に不動産の分布に地域差があって、それが仕組みの上で支障があるかというと、リバースモーゲージを活用すべきなのにしていないというのは問題ですけれども、そもそも資産価値が低くてリバースモーゲージを活用するほどの資産価値でなく、かつ、補足給付で資産勘案する上でもそれほど高い価値の不動産ではないというふうに見なされれば、そもそもリバースモーゲージを利用するまでもなく、補足給付は受けられるということにはなろうかと思います。そこの資産の価値の地域的な偏在と、仕組みとしてリバースモーゲージが使えるならば全国的に使えるという話とは、少し切り離して議論をすべきかなと思います。

 参考資料の25ページも、これは確かに不動産の取引の実態として地域的に差があるということを示しているものですけれども、あくまでもこれは取引が実際に行われたものについての統計でありますので、本来、議論の俎上の載せるべきであるものは、むしろ市町村の固定資産税の調書を調べて、その地域にどういう価値の資産、不動産が存在するか。つまり取引として表だって出てきていないけれども、資産価値として高い資産をお持ちの方がどれぐらい、ないしはそういう不動産がどれぐらいあるかということを把握するというほうが、むしろリバースモーゲージの議論をするときには実態としては重要なのかなと思いますので、もし今年度の老健事業でまた別途委託調査をされるときには、むしろそういうデータは市町村が持っている固定資産税の調書に基づいた分析をされるといいのかなと思います。

 そういう意味ではリバースモーゲージと不動産の活用ということではまだ課題が多いと思いますけれども、決して諦めることなく、これを今後の議論につなげるべく調査分析をし続けていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、鷲見委員、お願いします。

○鷲見委員 まず本日の論点について、利用者負担につきましては基本的に負担能力のある方々に適切に負担していただく方向でよいと考えています。現状は2割負担になった認定者の多くは在宅サービスの利用者でありまして、在宅においては介護保険サービスの負担に加え、医療費もかかってまいります。また、現在検討されています生活援助、福祉用具などについても現状では、利用者はますます不安が大きくなるばかりだと感じております。

 現場では今回2割負担になった状況で支出を減らすなどの相談であるとか、家庭内の経済の支援についての相談をかなり受けている現状がございます。また、同じサービスを受けても支給額に差が出るという説明は、ほとんどケアマネジャーがすることになっておりまして、既にちょっとシビアな状況にもあるところです。もちろん既に2割負担になっている方々と1割負担の方々と費用に対する認識はもちろん違いが今回、当協会がアンケートをとりました結果も出ているところではありますが、いずれにしても納得いく説明が必要だと思います。制度一つ一つの範疇ではなく、在宅で暮らす方々の日常生活の負担する費用を具体的にきちんと見ていく必要があるのではないかと思っています。

 補足給付につきましては、基本的には介護保険の範疇で行われるものではないと思っておりますし、また、市町村での確認手続等の状況も含めて、先ほど陶山委員からもありましたが、補足給付から除外された方々への追跡調査が必要だろうと感じているところです。

 最後にケアマネジャーの一部負担導入につきましてですが、介護支援専門員の役割はケアマネジメントを通して多面的で自由度のある適切なケアを提供し、その方にとっての自立を支援することにあると思っています。ですからどのような環境にいらっしゃる方であっても、24サービス52事業ある介護保険制度が適切に活用できるように、制度の理念に基づく考え方であり、聖域とかいうお話ではないと思います。特に財政面と一緒に考えるのは不適切であり、今後も我々は地域を熟知している職業として、今までの経験を生かして保険者と一緒に力を合わせて地域に合った包括ケアシステムをつくっていきたいと考えています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 少しこちら側に行きたいと思います。それでは花俣委員、お願いいたします。

○花俣委員 直接の利用者の立場なので、家族の会からの意見を述べさせていただきたいと思います。

 家族の会では実は4月22日に提出いたしました要望書にも明記いたしましたとおり、前年度、2015年度の介護保険制度改定については撤回を求めているところでございます。前回の改定について利用者家族への影響調査アンケートを実施した結果、費用負担やサービス利用について重大な影響が起きていることが明らかになりました。財政が厳しいからといっても改正後の費用負担の増加は余りにも過酷であり、その中でさらなる利用者2割負担の拡大についての検討がなされていること自体、大変受け入れがたいところです。

 そのアンケートなのですけれども、アンケートの中で介護負担割合が2割になった方の実際の声なのですが、月5.4万円の負担増。これまで何とか年金と少しの収入でやっていけたのが2割負担になり、貯蓄を取り崩さなければならなくなった。貯金は後々入院するようになったときの費用に充てるつもりだったが、それもできなくなった。グループホームの費用の支払いができなくなったら親2人を引き取ることも考えている。少しの所得オーバーで2割になるのはつらい。自分たちも家族も年金世帯。これからどうなるやら不安ということで、これは62歳の方で3人の親御さんを特養やグループホームに入所して介護されている方です。

 もう一方、負担増の4万円分を息子が補填してくれている。今は蓄えもあり、デイを5回から3回に、訪問看護と訪問リハビリを半分にするなど、利用回数も減らしたので何とかやっていけるが、いつまでこんなことが続くのか先が見えないので不安。年金が下がるのに介護保険料が上がり納得がいかない。これは要介護5の御主人を在宅で介護されている方です。

 ほかにもサービスの利用を控えているであるとか、毎月の生活や家計に影響が出ており、先行きの不安を訴える方の声が大半を占めております。2017年度からの総合事業の実施状況、現状などについての十分な検証もできていない状況の中で、同様に昨年度の改正の余波についても、その実態が本日示された資料だけではなかなか見えてこないのではないかと感じております。

 利用者負担のあり方を議論するには、もっと具体的な資料が欲しいと思っております。資料1の現状・課題、2ページ3番目の○ですが、サービスごとの受給者数を見ると、2割負担の施行前後において対前年同月比の傾向に顕著な差は見られないとあります。参考資料1の6ページに直近のサービス受給者の推移とあり、介護保険事業状況報告に基づく対前年度同月比の伸び率の数字が出ています。伸び率に余り変化がなければ2割負担の課題はないという意味なのでしょうか。ここのところを教えていただきたいと思います。

 なお、ことし4月分の介護保険事業状況報告では認定者622万人のうち、2割負担の認定者は585,389人で全体の約1割にもなっています。しかし、これはあくまでも認定者であって、利用者の数はわからないと思います。在宅サービスで最も利用されているのはデイサービス、福祉用具レンタル、ホームヘルプサービスで、施設サービスでは特別養護老人ホームであると思います。少なくともこの4つのサービスの利用者について、昨年8月以降、2割負担になった人が何人いるのかということをお示しいただきたいと思います。さらに昨年8月以降、2割負担になってもサービスの利用を継続している人は何人なのか。サービス量を減らしたり、利用そのものを中止した人がどのぐらいいるのか。そういった資料の提供が可能であれば、ぜひ先ほどのデータとあわせてお示しいただきたいてと思います。

 次に、参考資料1の7ページには、介護保険における実質的な自己負担率のデータが示されていますが、費用額に補足給付が組み込まれています。補足給付は認定者全体あるいは利用者全体の何割が利用しているのかを知りたいと思います。また、費用額から補足給付を除いた自己負担率、そして在宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスに分けた自己負担率もお示しいただきたいと思います。

 あと一点、利用料の問題を考えるときに認定者の負担能力の問題を抜きにすることはできません。現在、認定を受けてもサービスを利用していない人は100万人を超えており、国民生活基礎調査の概況ではサービスを利用しない理由として、経済的な負担を挙げる人は2%程度と報告されていますが、全国消費者実態調査を見ると、ひとり暮らしで認定を受けている人の介護サービス支出は月平均1万2,000円、夫婦世帯でも1万1,000円程度となっています。高齢者の中で1割負担でも利用できない人と、2割負担では利用できない人がどのぐらいいるのか。厚生労働省にはさまざまなデータがあると思いますので、今後合理的な議論をするためにもこういった資料が欲しいなと思っています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。いろいろな御要望があったわけでありますが、したがって、包括的にこのような状況のものが欲しいということでありますので、これは今すぐということではなくて、御要望として承ればよろしいですね。当然できるもの、できないものがあるかと思いますので、何か事務局からコメントはございますか。

○竹林介護保険計画課長 とりあえず、きょうの資料で載っているもののみお答えさせていただいて、それ以外のものについては何ができるかどうか、もう一回よく検討させていただいて、次回以降どこかでまた御報告したいと思います。

 今の時点でお答えできるものは1つだけございまして、参考資料1の6ページの上の表をごらんいただきたいのですけれども、先ほど2割負担になった方が認定者の中の9.4%であるけれども、実際のそのサービスごとでは何人になっているかがわからないというお話がありまして、それにつきましては6ページの上の表でありますように、ここではとりあえず在宅サービス受給者と特養と老健という3つの区分で書いておりますけれども、それぞれ在宅サービス受給者であれば、全体の受給者の中の9.7%が2割負担の方、残りが1割負担です。特養の方であれば全体の4.1%が2割負担の方、残りが1割。老健施設であれば6.2%でございます。在宅サービスの中はさらに細かく分かれるわけでございますけれども、一応そのような形で、確かに認定者数と事業者数の割合は一致しませんが、サービス受給ごとにこのようなデータはございますので、それはとりあえず御紹介いたします。それ以外のことにつきましては多分、全てのデータはわからないと思いますけれども、できるものにつきましてはさらに準備を進めたいと思っております。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 ほかにいかがでしょうか。藤原委員、井上由美子委員、井上隆委員の順番でお願いしたいと思います。どうぞ。

○藤原委員 住民、また、被保険者に最も身近な市町村の保険者の立場から意見を述べさせていただきます。

 まず保険料が今や全国平均で5,000円を超えております。資料にも示されているように、2025年度には8,000円を超えるというような試算も出されております。現行の第6期計画に向けて制度改正の議論を行った平成25年度の介護保険部会においては、全国の町村長等の意見も聞きまして、今後の介護保険給付費の増大に伴う保険料の高額化を考えると、一定以上の所得者の2割負担についてはやむを得ないとの意見を述べさせた経緯もあります。しかし、利用者負担割合を1割から2割にするということは単純に負担が2倍になるということでありまして、実際、施設に入所している方で5万円から10万円に負担が増えてしまったという例も聞いております。利用者負担のさらなる見直しについては、慎重に議論を進めていく必要があると思っています。

 また、平成25年度の介護保険部会で引き続き検討が必要とされた補足給付における不動産の資産勘案ですけれども、これについて当時の議論に際しまして、農山村では売却できない不動産が多くあることや現行の職員体制で実効性が担保できるのかなど、非常に複雑な問題があり、実行するには大きな問題があるという懸念を述べさせていただきました。

 また、今回、平成26年度に実施した厚生労働省の保証事業における調査研究結果を示していただいておりますが、先ほど述べましたような懸念のほか、認知症の方を含む高齢者との契約支援の仕組みなど、さまざまな点が指摘されておりますので、このような状況を踏まえれば、今後も丁寧な検討をしていかなければいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、井上由美子委員、お願いいたします。

○井上(由)委員 私からは2点お話させてください。

 まず第1点、利用者負担のあり方として医療保険と介護保険との整合性ということが語られておりますけれども、それについて医療保険と介護保険では性格が異なるので、違ってもいいのではないかというのが私の考えです。もし一緒でなければこうした弊害が起こるということがありましたら、それをぜひ例示としてでも結構ですのでお示しいただければありがたいです。これが1点です。

 2点目は、今後ますます高齢化が進んでいく状況の中で介護保険制度を維持していくためには、支払い能力のある人が相応の負担をすることはやむを得ないことだと思っています。ただし、今いろいろな意見が出ましたように、負担のところでサービスを控えるとか、いろいろな問題が起きている事実というのも一方にあって、それをマクロな視点だけで見ないで、それも個別にミクロの視点でも見ていくということは、花俣委員もおっしゃったようにとても大事なことだと思います。

 1割負担と2割負担の線引きについて、例えばざっとした算数なのですけれども、1割負担の方が279万円で、2割負担の方が280万円になるわけです。そのとき同じ3万円のサービスを受けたとしたら、279万の方が36万円、280万の方が72万円、年額サービス費用がかかります。そうすると残額が279万円の方で243万円、280万円の方が208万円という逆転現象が起こってしまう。これはよく線引きをしたときに起こる問題だと聞いておりますが、その辺のところはそうした逆転現象が起こらないようにグラデーションをかけるなど、段階的に細かくすると厄介でしょうが、逆転現象が起こらないような対応策をぜひ考えていただければありがたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 井上隆委員、お願いします。

○井上(隆)委員 今後の高齢化の進展の中で、介護保険制度の持続可能性を向上させるためにはさまざまな改革が必要ですけれども、負担能力のある受益者、利用者の方々の負担の見直しをしていただくことは、改革の大きな柱の1つだと思います。その際、負担能力があるかないかの判断については、1つの有力な選択肢として医療保険との整合性というのはあると思います。その観点からは、医療保険との整合性でいきますと6574歳以下の方の原則2割負担や、あるいは高額介護サービス費の上限を4万4,400円まで引き上げることが考えられると思います。

 また、今回の論点ではございませんが、先ほども出ましたケアマネジメントにつきましては、自己負担、利用者負担を導入することも必要だと思います。

 資産の把握について、マイナンバーを使っても時間がかかるというのは確かに御意見があったとおりですが、次の段階では必ず必要になってくる施策だと思いますので、マイナンバーを使った資産の把握に対応できるような準備をするとともに、年金機構からの情報提供は比較的簡単にできるのではないかと思いますし、あるいは制度が違いますが、成年後見を使っている方々は資産の把握がされていますので、そういう情報と連携することなども考えられるのではないかと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では中野参考人、どうぞ。

○中野参考人 介護福祉士会の中野と申します。

 介護福祉士会としましては、質の高い介護サービスを提供することで、真にサービスを必要とする方が適切にサービスを利用できることが必要だと考えております。よって利用者負担を定める際には、利用者負担の見直しをすることで本当にサービスが必要な方がサービス利用を控えることにならないようにすることが必要と考えております。

 今回の論点の1つ、高額介護サービス費に関しまして、高額介護サービス費の該当者全員が申請しているかというと、どうもそうではないということがあります。10年ほど前に毎月の申請ではなくて、1回申請したらずっとそのままだというような制度に変わったり、ことし3月に介護保険の最新情報として、厚労省のほうから県を通じて市町村に制度の周知についての協力依頼をかけたというお話も聞いておりますが、それでも老老介護とかひとり暮らしの高齢者、認知症の高齢者のところに郵送されたもので、ほかの郵便物と紛れてしまって、申請をしないままにいるという方が一定数いると認識しております。そのさらなる制度の周知が図れるように、あえて申請しないという人がいるかどうかわからないのですけれども、申請が必要な方は漏れなく申請できるような制度の周知というものを、厚労省として工夫をお願いしたいと思っております。

 介護福祉士会としては、その周知の過程で何らかお手伝いができることがあれば、協力していきたいなと考えております。 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 お待たせしました。佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 まず全体的なところでお話をしたいと思うのですけれども、介護費用の財源というのはいわずもがなですが、公費と保険料と利用者負担の3つしかないわけですから、ここの全体の中で捉えるしかないだろうと思います。したがって、単に利用者負担の引き上げが是か非かという議論はすべきではないだろうと思います。

 特に保険料と利用者負担というのは、いわば被保険者全員で負担するのか、もしくは当該サービスの利用者が負担するのかという話なので、仮に利用者負担を変えなければ保険料を上げるということしかないことになるわけで、この利用者負担の問題というのは制度の維持可能性を考える中では保険料、すなわち現役世代への過大な負担も求めないで、かつ、世代内での負担の公平化を図るという意味で大変重要だと思いますし、そういう意味で自己負担額の引き上げについては保険料水準とセットで、具体的な数字に基づく議論を進めていただきたいと思います。

 個別の内容についてですが、これは何人かの方がおっしゃっていましたが、私も医療との整合性というのはポイントだと思います。例えば自己負担割合2割導入の効果把握についても、要介護認定者の中での2割負担者の割合が9.4%というのは低いと感じます。また、実質負担率は7.7%というのも、医療保険との比較においては重くはないのという感じがいたします。

 保険料引き上げを抑えるという観点からは、低所得者への配慮はもちろん必要でしょうけれども、自己負担割合の引き上げ、例えば軽度者の自己負担率の引き上げということも検討すべきではないかと思います。

 また、高額介護サービス費についても、一定以上所得者の上限が3万7,200円というのは、今の医療保険の一般の4万4,400円に引き上げるべきではないかと思います。

 補足給付の見直しについては、全体認定件数が減少している等、一定程度効果があると思いますけれども、不正防止も含めてさらなる周知徹底というのは必要だろうと思います。

 また、市町村ごとのばらつきをなくすという観点では、比較できるようなデータも示していただければと思います。

 不動産担保の問題については大変難しい問題だと思います。マイナンバー制度の定着を見据えて、引き続きの検討課題ではないかと考えております。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、小林委員、お願いいたします。

○小林委員 介護保険制度の利用者の自己負担限度額については、参考資料1の8ページにありますとおり、制度創設時は医療保険の高額療養費の多数該当の金額に合わせて設定されておりましたが、現状では医療保険の一般所得者に相当する方の介護保険の負担限度額は、より低い額に据え置かれている状況にあります。医療に比べて介護のほうがより長期的なサービス利用が必要となるという事情も理解しますが、医療保険とのバランスや現役世代との負担の公平性の観点からは、医療保険部会で議論している高額療養費のあり方と併せて見直しを検討していくべきだろうと考えております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、このラインで小島参考人、大井川参考人の順でお願いします。

○小島参考人 私も都道府県の立場からお話をさせていただきますが、総じて申し上げれば、利用者負担につきましては今、小林委員も申し上げたように、負担のほかの制度との均衡を考えながらやるべきだろうなと思っております。もちろん齊藤委員がおっしゃったように、介護が長期化するというような事情がございますので、そうしたものを勘案しながら他の制度あるいは世代間の公平というものを検討すべきだと思います。

 また、栃本委員や土居委員がおっしゃったように、今回、見直しに当たっては全ての分野を見直すべきだと思っております。従いまして、ケアマネジメントの負担、あるいは利用者については、社会福祉法人による負担の軽減制度がございます。ただ、これは今、介護保険事業は民間の参入を促進しているわけでございますので、運営主体が社会福祉法人の場合には減免が受けられ、民間企業の場合には受けられないといった差があります。そういった差がないようにすることが必要だと思っておりますので、特に負担の引き上げをするときには低所得者に対する配慮は当然のごとく必要だと思いますので、そういった低所得者に対する制度については、恒久的な措置として別に設けるべきではないかと思っております。

 以上、簡単でございますけれども、都道府県の立場で申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大井川参考人、お願いします。

○大井川参考人 まず利用者負担割合に関しまして、基本的なことを申し上げたいと思います。

 現状の利用者負担は1割ですが、一定以上の所得者は2割に引き上げられました。この負担割合については、先ほど他の委員の方からもご意見があったかと思うのですが、より多段階的に負担率を設定していくことはあり得るのではないかと考えております。

 例えば、当初1割負担が導入されたときに、1割という数字は、さまざまなデータの裏づけに基づいて決まったものと理解しておりますけれども、制度発足後16年が経った今、1.2割や1.5割ではどうなのか、1割から急に2割に引き上げるのではなく、その間で細かく設定する方法も当然あり得るのではないかと考えております。今までにこのようなご意見がなかったことについて、何か理由があればお示しいただきたいと考えております。

 また、多段階的に細かく引き上げるのが、制度的に厳しいということであれば、介護サービスメニューごとに負担割合を変えていく方法もあり得るのではないかと思っております。要支援段階の方々については、介護保険サービスから外すべきではないかというご意見もあったかと思いますが、必ずしも外さなくても、負担割合を少しずつ上げていくといった考え方もあるのではないかと思っております。

 高齢者の負担余力については、複数の委員の方々がおっしゃっておられますので、高齢者にとっては、大変厳しい問題であることは重々理解しております。ただ、これも先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、実態をどれだけ正確に把握されているのか、現状提示されているデータではまだよく理解できない部分がある。特に、介護サービスの利用を手控えている方がいるのではないかという意見もありましたけれども、それではどうして介護サービスの利用率に地域間格差が生じているのかということも、あわせて説明できるようなデータがあればよろしいのではないかと考えております。

 高額介護サービスにつきましては、これはやはり私どもは医療保険との整合性を図って、限度額を引き上げることには賛成でございます。

 資産勘案につきましては、先ほど土居委員がおっしゃられたとおり、全く同感、賛成でございます。特にリバースモーゲージの考え方については、世界的な基準に近づけていくことが必要だと思っております。これも土居委員がおっしゃられていたように、制度を整備していくことと、現状、資産価値が全国的にばらついているという問題は全く別の問題です。なるべく早い時期にこれを普及させていく措置が必要ではないかと考えております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 初めての方を優先させていただきたいと思います。武久委員、どうぞ。

○武久委員 介護保険制度を持続可能な制度とするために、いろいろ担当の方も努力されているわけでございますけれども、先ほど井上委員や鈴木委員もおっしゃっていたように、自己負担を医療保険とパラレルにしていくというのは、所得が多い人に対しては私もそのとおりだと思うのですけれども、医療と介護の連続性といいますか、医療保険を使っている間は介護保険を使わないとか、介護保険を使っている間は医療保険を使わないということは現状ありませんで、厚労省のほうでも医療介護の連携の課もできたことですから、私は高額サービスについては、医療と介護のトータルの負担金に対しての高額支給の限度額を還元するようなことを考えていかないと、どうにもならない状況。両方ともたくさん使っているような人の場合は大変なことになるのではないかと思います。

 もう一つ、栃本さんがおっしゃったように、ケアマネジメントにお金を導入というお話ですけれども、ケアマネジメントというのは公平中立ということがうたわれておりまして、実はこの公平中立を阻害する因子が2つあるのです。

 1つは独立ケアマネジャー、独立居宅というものが今、運営できるような状況でないわけでして、誰か雇用主がいる。私も雇用主ですけれども、結局、自分のところのサービスを優先的にそれとなく入れるようにというプレッシャーがかかってきますから、そのサービスがよければいいわけですけれども、よくないとそのケアマネジャーが思っていたら、それは公平中立に現実になっていないわけです。

 もう一つはケアマネジメント、ケアプランのときに、例えばケアマネジャーがケアマネジメントの結果、医療系サービスがこの人には必要だといっていろいろなプランを入れていっても、家族が見て医療系は高いから全部ヘルパーで結構です。生活支援にしてくださいと言われたときに、いやいやそれはこちらがいいんですと言っても、じゃあもう結構ですというふうに、利用者の家族のほうからシャットアウトされる。これがお金が要るようになると、もっとこの抵抗が強くなるのではないか。やはり利用者の家族のために介護保険があるわけでなく、要介護者に必要だから介護保険があるのですから、この辺のところをもう少しきちんとしないと、まさにケアマネジメントしても、それがそのとおり順調にサービスに結びついていかないという現状があることを認識していただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 介護保険サービスは仕事と介護の両立のために欠かせないということで、この間ずっと強調しているのですけれども、消費税の引き上げの先送りがされてしまったことで、利用者や介護労働者や特定の被保険者にしわ寄せがあるようなことになってはならないと思っています。政府の一億総活躍プランでも介護離職ゼロという強い大きな目標を掲げて、安心につながる社会保障という矢を放つと言っているわけですから、その介護離職防止の重要性については、ぜひ今回の2つの議題にもそれぞれ明記していただきたかったと思っています。

 資料1の今、議論している中にはそのことは入っていませんが、資料2の費用負担にはそのことが入っています。政府の大方針に反しないように検討をしていきたいと思っています。

 利用料負担、高額介護サービス費についてですけれども、この間、多くの方から意見があったように、介護と医療は給付の期間が違う。疾病のように治るということは多くないというところの違いから、利用者負担の家計への影響を丁寧に検討していくことが必要だと思っています。

 総務省の家計調査を見てみたのですけれども、2015年平均で見ると保険医療費の支出は前年に比べて高齢夫婦無職世帯で実質4.4%ふえています。高齢単身無職世帯で8.8%ふえています。その中でもし自己負担額を3万7,200円から4万4,400円にするとなれば7,200円増。これは先ほど申し上げた高齢単身無職世帯の保健医療費の月額に近いので、自己負担が2倍ぐらいになってしまうのではないか。負担増については家計ベースでぜひ検討できるような資料を用意していただきたいと思います。

 医療と介護の負担の考え方をそろえていくという提起をするのであれば、医療のほうでは7074歳の利用者に対する2割負担への引き上げがあって、こういう中で家計がどのように影響を受けているのかということを示していただきたいと思っております。

 補足給付とリバースモーゲージですけれども、これについても補足給付は私どもの組合員が自治体で実務をやっているものですから聞いてみたところ、やはり非常に負担が大きいという声が届いております。預金通帳のコピーの提出を求めたりして確認書類がふえているわけですけれども、国民の理解がなかなか進んでいないので、資産チェックに対する不信感がやはりあってトラブルになるということとか、有形、無形の手間がふえているということを聞いています。また、自己申告ベースですので、公平性の確保という観点からも困難な声があり、悩ましいという声が上がっています。実務上の課題も含めて十分検証するのが先でありまして、さらなる拡大というのは時期尚早だと考えております。

 リバースモーゲージについては民間で進んでいないという話は以前から聞いていましたし、きょうのこの報告では自治体が行うにしてもなかなか課題が多いということはわかりましたが、資産の有効活用の観点からもぜひこの制度の拡大、普及に向けて省横断的にさらに検討を進めていってもらいたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 東委員、桝田委員、鈴木委員、お願いします。

○東委員 今、伊藤委員からもありましたが、補足給付に関して預貯金等の勘案など、現場において、実務上、大変負担が大きいという声は以前から聞いております。さらに、今回不動産の勘案等も論点にあげられておりますが、私は以前から申し上げているように、補足給付の制度自体が制度として疲労化しているのではないかと思っております。

 資料1の10ページの下から2個目の○「補足給付」の「論点」にございますが、「補足給付」は、「経過的かつ低所得者対策としての性格」となっております。もともと「補足給付」はそういう経過的措置として作られたものであり、他の委員からもございましたが、低所得者対策を介護保険の財政の中でやること自体にも少し疑問を感じております。低所得者対策は介護保険以外の財源できちんと対応すべきものと考えます。介護保険財政の中で「補足給付(低所得者対策)」をやっているので、このような煩雑な事務作業等が発生していると思われます。ぜひ「補足給付」自体の制度の見直しを検討していただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 今、補足給付の見直しの件のお話がありましたけれども、では補足給付を介護保険制度から外した場合、どういうものに作りかえるかという問題が起こってきます。例えば生活保護制度のほうに持っていく。何かの手当をしなければ低所得者対策、補足給付は外せないという実態があって、それをどうしていくのか。今の制度を変えるのであったら別の制度をつくる。生活保護制度に持っていきますと、多分費用対効果の面を考えると非常に莫大な手間と費用がかかります。それと利用者にとってもう一段使いづらい制度に変わってしまうという恐れがあります。ある意味では介護保険制度の中でいわゆる低所得者対策というものは本当は別のものだけれども、その中で賄っていくのが一番、費用対効果を考えるといいのではないかと考えられます。社会保障全体の枠内で考えると、これも1つの形として残しておくべきものだと思います。

 もう一つ、やはり介護と医療はいろいろな部分、別の部分もあり、トータルで見なければいけない部分とありますけれども、利用者負担につきまして1割負担、2割負担という問題よりも、やはりトータルで考えた場合に高額介護サービス費のあり方、それから、高額医療合算介護サービス費、この両方の設定によっていわゆる利用者が受ける生活の上で、それこそ生活の困難性が出てくるというのは、この制度によって変わってしまうと思うのです。

 例えば特別養護老人ホームに入所されている方、1割負担の方が2割負担になって幾ら金額がふえたか。それよりも預貯金が1,000万を超えているために補足給付がなくなって利用者負担が増えた金額、そちらのほうが金額増は大きかったわけなのです。でも、それは預貯金があるからそれで支払いができるというので、そのまま特別養護老人ホームの入所が続けられていきます。でもこの高額介護サービス費とかトータルで考えた場合に、そちらの制度がきっちりしていないと、いわゆるサービスが使えないということが起こってまいります。ですから、ここの部分で、負担のあり方の部分で一番重要なのは、高額になったときにどこまで利用者の方に負担していただくのか。それはその方の収入なり預貯金なりいろいろな部分に応じて、細かな設定が必要になると思います。

 もう一つ、リバースモーゲージ等の不動産勘案の部分というのは、しなければいけない当然のことなのですが、今、導入するためには費用対効果の面、実効性の面で可能かとなると甚だ疑問です。そこでいつ導入できるかという道筋をつけていく、それに対する対応策を進めていく。しかし、今すぐできる問題ではないと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木邦彦委員、お願いします。

○鈴木(邦)委員 何人かの方から医療と介護は違うという話があり、医療は短期で介護は長期だというお話もあったのですが、従来は確かに急性期医療だけ見れば短期で介護は長期なのかもしれませんけれども、超高齢社会では医療も長期になってきて、慢性期の医療がずっと続きながら介護サービスもずっと一緒に続く。そういう意味での整合性を考える必要があるのではないかという意味も含めて私は先ほど発言をさせていただきましたので、追加させていただきます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、栃本委員、馬袋委員、お願いします。

○栃本委員 先ほどのリバースモーゲージのことなのですけれども、これは低所得者の人が持っている資産活用ということなど介護保険とは別にも議論がされるわけです。生活保護などがそうです。もう一つは、ここの介護保険制度の中で議論をしているのは、要するにフローは少なく見えるのだけれども、実際にはその資産、これは地方都市で土地とか農村地で、土地価格は低くても実際には資産を持っているというのはあるわけです。そういう意味でもともと資産のない人に資産活用という話は起きません。だから農村地域でそれは適用できないかどうかといえば適用できないわけではないのです。土居委員がそういう意味で話されたのではないのですけれども。

ボリュームゾーンというか、それは考えればおのずとわかることでして、資産活用すべき資産を持っている人たちに対して仮に全国的なスキームとして、介護保険制度に係るスキームとして組み立てるのは難しいかもしれないけれども、そもそも預貯金や資産というものを活用しながらサービスを受けるという常識というか、そういうものを形成することが非常に重要だと思うのです。そういう意味では民・民関係で資産活用を考えていけばよい訳です。

 先ほど申し上げたように、地域の地域金融いうか、そういうものがこれから非常に重要です。生活支援サービスも重要だと言われているぐらいなので、地域密着型の金融機関というのが重要になる。今回の2015年度だったかの調査研究ではああいう形でしたけれども、繰り返しになりますが、あれは商機、マーケットという観点からみているのと、もう一つは議論の組み立てが低所得者に対する資産活用というものと多少ごっちゃになっているのです。そういう意味で本文を読むとそういうところが実はあるのであの報告をもって、あきらめてはだめですということで細かく申し上げた。

 もう一つは、ケアマネジメントについて先ほど来お話がありましたように、今回、議題として出ていなかったので、負担の問題を議論してもらいたい。それと介護支援専門員についてはこの審議会でも何回か取り上げて資質の向上であるとか、本来であればケアマネジャーが指示するぐらいのことをすればよいのにそれができない。利用者と協力しながら、家族と協力しながら、よりいいケアプランを作成して、予後がわかって、今後こうなっていくという説明が望ましいわけですから。ところがそれができていない。その中でやはり1つは利用者さんや家族も、このケアマネジメントという制度自身もお金がかかっているということを理解することが実は重要なのです。そういう意味でいろいろな課題というのは今までも議論されたのは承知しておりますが、回数があるのかどうかわからないですけれども、取り上げていただきたいということを思った次第です。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 私は武久委員もおっしゃいましたけれども、医療と介護の高額のサービス費用のあり方というのは、生活者視点からすれば医療と介護のサービス費用と限度がどこぐらいまでなっているのかを一体的に考えると思います。費用負担の高額費の上限を医療と介護を一体的に考えるというのが、生活者視点からすれば理解しやすいと思いますので、ぜひ高額介護サービス費の内容は医療と介護を合わせた費用のあり方を踏まえて、一体的に考えるべきではないかと思います。

 それから、利用者の負担については、負担いただける方に負担いただくという方向でいいと思います。大切なことは、負担をしていただくとき、利用者の2割負担費用の徴収については事業者が徴収するという役割を持っております。すなわちここについては十分な説明をして、その必要性と内容が、利用される方々がなぜ1割から2割になったのか。この費用を負担していただくのかということについての説明と確認は事業者が行います。当然そこにはケアマネジャーが介在していますが、制度改正による負担の変更などについて、理解していただけるように説明し、制度としてのサービスが持続し、継続して受けられる体制のためということを理解していただけるためにも十分な準備と配慮が必要であることを踏まえて議論するべきではないかと思います。

 不動産を担保にしたリバースモーゲージの活用なのですけれども、この活用と相続の問題というものが常にかかわっておりますので、税制の問題も含めてリバースモーゲージの活用については今回で諦めるのではなくて、継続して検討すべき事項だと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにまだ御発言がない方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。利用者の御負担の問題は非常に難しい問題も抱えております。きょうは非常に忌憚のない御意見を承りましたので、事務局におかれましては本日の議論をまた整理して、今後の議論に貢献するようなものをつくっていただきたいと思います。引き続きこの問題については、いずれ議論したいと思います。

 もう一つ、今回はアジェンダがございまして、費用負担でございますが、これについて議論を進めたいと思います。資料2の「費用負担(総報酬割・調整交付金等)」について資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 2つ目の議題、費用負担(総報酬割・調整交付金等)につきまして、資料2と参考資料2あわせて御説明をさせていただきたいと思います。

 資料2をおめくりいただきまして、1ページ目は総論的なことをまとめさせていただいております。

 2ページ目から14ページまでが介護納付金に関する現状と課題と論点。15ページから17ページまでは、調整交付金に関する現状と課題と論点というふうになっています。

 まず最初に介護納付金の関係でございますが、2ページでございますけれども、介護保険制度におきましては40歳以上になれば、1つにはみずからの介護ニーズの発生の可能性が高くなる。2つ目には、みずからの親も介護を要する状態になる可能性が高くなって、介護保険制度によって家族としての負担が軽減されるというメリットがある。このような考え方から社会的扶養あるいは世代間連帯の考え方にも立って、40歳以上の方について第2号被保険者として保険料を負担していただいております。

 2つ目の○ですが、この第2号被保険者の保険料につきましては、介護納付金として医療保険者に賦課しております。そして医療保険者は医療保険料とあわせて徴収をしていただいております。

 3行目から4行目にかけてですが、これは制度創設時に確実かつ効率的な徴収を確保することに加えまして、制度ができたことによって従来、医療保険の老人保健制度の給付対象であったもの、例えば老健施設でありますとか、今で言う介護療養型医療施設でありますとか、こういったものが介護保険制度に移行することによって、老健拠出金として負担していた分が減少することなどを踏まえたものでございます。

 また、1号保険料と2号保険料の負担割合でございますけれども、2号被保険者の方についてはみずからの要介護リスクは低いものの、先ほど申し上げましたように家族としての介護負担が軽減されること、あるいは世代間連帯の観点なども含めまして、同一の保険料水準となるように被保険者数に応じて案分されております。現在では1号保険料が全体の22%、2号保険料が全体の28%となっております。

 3ページ、さらにこの2号保険料につきましては世代間扶養の意味合いを持つことを踏まえまして、各医療保険者の負担はその加入者数に応じて負担する、いわゆる加入者割になっております。このあたりまでが創設時の経緯でございます。

 それから、現在、高齢化の進展に伴いまして、2号保険料につきましても増加をしております。制度創設時は2,000円強であったのに対しまして、足元では約2.6倍の5,352円となっております。

 また、参考資料2の10ページぐらいからごらんいただきたいと思いますけれども、こちらで協会けんぽと健保組合の報酬水準の推移を書いてございます。主として中小企業の被用者の方が加入されています協会けんぽと、健保組合や共済組合の負担能力の差は拡大をしておりまして、このグラフにもございますように、1つは平成15年度にボーナスも賦課対象に加わったということで少し差が広がっております。その後もこのような推移をとっているところでございます。

 参考資料おめくりいただきまして11ページになりますけれども、このような報酬水準の差も反映して、協会けんぽのほうが介護保険料率が高い状態で推移をしております。

 さらに参考資料をおめくりいただきまして12ページになりますけれども、協会けんぽと健保組合の年齢別の平均報酬の比率ということで、どの年齢層でも健保組合のほうが高くなっておりますが、特に介護保険の第2号被保険者に該当する、網かけをしておりますが、40歳から64歳までの年齢層におきましては、この差が大きくなっておりまして、50代では大体1.7倍近いぐらいの差がついております。

 また、2ページをおめくりいただきまして参考資料の14ページになりますけれども、健保組合の中でも1人当たりの介護保険料の負担割合が高い10の健保組合の平均と低い10の健保組合の平均では、それぞれ青と赤の折れ線グラフにありますように大体3倍ぐらいの報酬の水準の差がついており、少し差が広がっているような状況でございます。ただ、ここにつきましては参考資料1つおめくりいただきまして13ページになりますけれども、こちらは健康保険料率の推移でございますが、近年この3、4年を見ますとグレーの協会けんぽに対しまして、健保組合の保険料率のほうが上がっておりまして、その差は縮小傾向にあることについても留意が必要かと思っています。

 資料2の3ページの4つ目の○の関係でございますが、こちらにつきましては自治体に介護保険事業計画あるいは事業支援計画をつくっていただく際のガイドラインとなる基本指針の中で、計画づくりに当たって学識経験者とか保険医療の関係者のみならず、例えば被保険者の代表者あるいは費用負担の関係者も参加をしていただいて、そういう計画作成委員会のようなものをつくっていただくことが重要だということをお示ししているところですが、この点につきまして参考資料の16ページになりますけれども、このたび各都道府県のほうに計画の作成委員会でこういった関係者を入れていただいているかどうかを聞いてみましたところ、この16ページの表のようになっております。第2号の被保険者の代表として誰かを参加させているかどうか。この表の右のマル7にありますように、代表を出していないという県が約16ありました。残りの31県につきましては労働組合の代表者の方や公募された個人の方など、左にあるような分布になっております。また、第2号保険料の負担関係者としてどなたか参加しているかということにつきましては、26の県でマル7にありますように、その選出をしていないということでありました。選出をされている県についてはまた左のほうにありますように、労働組合でありますとか経済団体の方が参加されているといったお声がございます。

 資料2の4ページをごらんいただきたいと思いますけれども、まず最初に総報酬割とはそもそも何なのかということを整理させていただいておりますが、先ほど申し上げましたように現在の2号保険料につきましては加入者割ということですので、2号被保険者1人当たりの保険料の負担額は、医療保険者を通じて同額となっています。このため報酬額を例えば分母として保険料負担額を分子というふうにしてその割合を見ましたら、総体的に報酬が高い、お給料の高い被保険者、つまり分母が大きくなりますので、高額の負担割合という意味では低くなり、逆に報酬の低い被保険者では負担割合という意味では高くなります。協会けんぽにつきましては、ほかの保険者に比べまして相対的に所得水準が低いこと、あるいは被用者保険のセーフティーネットとしての役割があることに鑑みて国庫補助が行われているところでございます。

 これに対しまして本日の議題の総報酬割でございますけれども、これは各保険者の総報酬額に応じて御負担いただく仕組みでございますので、報酬額に対する保険料の負担額の割合も、これは相対的に報酬の高い保険者でも低い保険者でも同一となります。すなわち各保険者の中ではこれは報酬に比例して今、一般的に保険料をとっていただいていますので、労働者ベースで見ても同じ報酬であれば、同じ保険料負担となるということでございます。

 参考資料2の18ページをごらんいただきたいと思います。これはとりあえず粗いイメージをつくってみたものでございますが、左のほうが現行でございますけれども、現行におきまして健保組合、協会けんぽ、共済組合、それぞれ2号被保険者1人当たりの負担額が5,125円というふうに負担額で統一されております。ただし、2号被保険者1人当たりの報酬額が健保組合、協会けんぽ、共済組合でそれぞれ異なりますので、給料の中でどれだけのものを保険料として負担していただいているかという比率で見ますと、健保組合が1.35%であるのに対し、協会けんぽはこの計算では1.95%、ただし、国庫補助が行われておりますので、実際には1.6%の負担になっているというものでございます。

 これが総報酬割というものが全面的に導入されますと、比率のほうが1.54%で統一されることになります。逆に言いますと保険料の負担額という意味では健保組合のほうはお給料が高い分、5,852円になるということで、現状よりも700円以上上がり、逆に協会けんぽにつきましては4,043円になりますので、国庫補助を考慮した部分からもさらに240円ほどの減少になるということでございます。また、健保組合の中でも組合によって実際はさまざまな報酬水準がございますので、下の表にありますように上位10組合と下位10組合でこれを見ますと、同じ5,125円の負担の負担率が現状では約3倍の差がある。これを総報酬割にした場合は、負担割合は同じになりますが、上位の組合の方でありますと負担額としては現状より約2倍になる。下位の組合の方々は逆に3,400円ぐらいになるということでございます。

19ページは少しマクロの数字の変化を試しに試算してみたものでございますけれども、一番上が現行の状況でございまして、協会けんぽからは8,840億円の納付をいただいております。ここに国庫補助額1,450億円が入っておりますので、実質的な御負担額は7,390億円。健保組合7,000億円、共済組合2,150億円となっております。これが仮に全面的に総報酬割が入った場合には、下のほうの欄になりますので、それぞれ協会けんぽの負担額が減り、国庫補助がなくなりということになりまして、赤字で書いてあるのが実質的な変化額であります。国庫補助につきましては1,450億円がなくなり、協会けんぽの実質的な負担額も420億円減る反面、その分は健保組合と共済組合がそれぞれ980億円、890億円負担増になる。これは試みの試算でございますけれども、26年度決算ベースでありますとこのような数字の動きになるということでございます。

 本文の資料2に戻っていただきたいと思いますが、4ページ以降にさらにこれまでの経緯など整理をしております。

 まず後期高齢者医療制度における総報酬割の導入ということで、平成22年度から3分の1の総報酬割が入りまして、おめくりいただきまして5ページですけれども、いわゆるプログラム法等を踏まえまして、さらにこの総報酬割の部分につきまして27年度2分の1、28年度3分の2を経て、29年度から全面総報酬割が実施されることになっております。あわせて拠出金負担の重い被用者保険者への支援を実施することとされております。なお、総報酬割につきましては、報酬に基づく保険料負担をしていただいている被用者の保険者間で導入されておりますので、医療の世界でも国民健康保険との間では引き続き加入者割による案分とされているところでございます。

 (3)で一体改革における議論の御紹介をさせていただいております。このページの一番下の丸のところに社会保障制度改革国民会議の報告書の抜粋が載っております。これは直近の社会保障改革の基本的考え方をまとめた文書でございますけれども、下線を引いておりますが、負担可能なものは応分の負担を行うことによって社会保障の財源を積極的に生み出すという考え方が提示されております。

 6ページ、社会保険制度における公費投入の理由について整理されておりまして、1つは無職者の方あるいは低所得の方も保険に加入できるようにするということで、もう一つは、保険制度が分立していることによる給付と負担の不均衡を是正することと2つ整理されていますが、3段落目でございますけれども、そのうち保険制度の分立の問題につきましては、基本的に保険制度の中での調整が求められ、原則としては公費投入に頼るべきではないという整理がされております。

 7ページ、医療保険制度改革についても提言されておりまして、下のほうの段落ですが、後期高齢者支援金に対する負担方法について、下から4行目ですけれども、全面的に総報酬割として負担の平準化を目指すべきだと書かれてあり、これが先ほどの制度改革につながっております。

 8ページ、同じ報告書では介護交付金制度改革についても触れられておりまして、下線を引いておりますが、負担の公平化の観点から被保険者の総報酬額に応じたものとしていくべき。ただ、後期高齢者支援金の状況を踏まえつつ検討すべきとされておりまして、これを踏まえて下にありますプログラム法がつくられているところでございます。

 さらにおめくりをいただきまして9ページでございますけれども、前回の改正時の議論におきましても、この問題は議題となっておりまして、前回の介護保険部会の意見書を抜粋しておりますけれども、最初にここに4つのポツに掲げてあるような理由によりまして、総報酬割導入に賛成する意見が多かった。一方でということで、今度は次のページにかけて6つほどポツを掲げておりますけれども、こういった6つの理由によりまして10ページをおめくりいただきまして、このポツの後の部分ですが、「など、強い反対意見があった」というものが前回の経緯でございます。

 その後、この問題につきましてはやはり骨太方針等でもいろいろ記載がされておりまして、11ページになりますけれども、昨年12月の改革工程表におきましても矢印が書かれておりまして、介護納付金の総報酬割について関係審議会等において検討し、2016年末までに結論とされているところでございまして、本年6月の骨太方針2016でも、一番最後の部分ですが、改革工程表に沿って着実に改革を実行していくとされているところでございます。

12ページ、制度創設時の整理につきましては冒頭で御説明いたしましたが、その後の状況の変化ということで、1つは介護保険制度における応能負担の強化という問題がございます。先ほど御紹介いたしましたように、負担能力に応じて応分の負担を求めるという考え方が現在の社会保障改革を貫く基本路線になっておりますが、介護保険につきましても例えば1号保険料につきましては、ここで表で掲げておりますけれども、制度の創設時は5段階となっておりまして、基準額に対して掛ける0.5から掛ける1.5までとなっておりましたが、現行制度ではこれが9段階の設定になっておりまして、消費税の財源が投入された後には、掛ける0.3から掛ける1.7まで応能の要素を強めております。また、先ほど御議論いただいた2割負担の話、高額介護サービス費の引き上げの話がございます。

 2点目といたしまして、介護離職防止の重要性がございます。制度創設時におきましても事業主拠出を求める理由の1つとして介護サービスができたことで、従業員の離職の防止が期待できるといった要素もございましたけれども、おめくりいただきまして13ページの1つ目の○ですが、今後、労働力人口がさらに減少していくこと、あるいは介護離職者のうち8割が女性であるという現実がある一方で、女性の管理職比率は徐々に上昇しており、今後2020年度までには指導的地位に占める女性の割合を30%にしていくという政府の目標もございまして、今後、事業主にとっても介護離職を防止することの重要性はますます高まっているのだろうと考えます。御案内のように政府では一億総活躍の実現という文脈で、2020年度初頭までにやむを得ず離職する方をなくすということも目指しているところでございます。

14ページ、このような点を踏まえて論点を整理しております。今後、高齢化に伴いましてさらに2号被保険者の保険料負担が増大していく中で、各被用者保険者の負担する介護納付金について応能負担の必要性をどのように考えるか。その際の考慮要素として6つほど事務局のほうで整理をしております。

 1つには、負担能力に応じて応分の負担を求めるという考え方が現在の社会保障制度の基本的な路線となっていること。

 2つ目に、介護保険制度の中でもこれまで1号保険料や利用者負担において応能負担の要素を強めてきたこと。

 3つ目に、今後労働力人口の減少が見込まれること。あるいは女性の活躍が推進する中で、事業主にとっても介護離職を防止する介護サービスの充実が必要であることなど。

 一方で、次のポツですが、制度創設時には公平な仕組みという考え方で被保険者数に応じた負担としていたこと。また、費用負担者である第2号被保険者の納得感、そして最後に医療保険制度において27年度から順次総報酬割が拡大されており、全面総報酬割が29年度から導入されることとの関係を整理しております。

 2つ目の○でございますけれども、仮に介護納付金に総報酬割を導入することになる場合には、その具体的内容や給付の適正化など、現役世代の負担を軽減していく取り組みについてどのように考えるかということでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、皆様の御意見を承りたいと思います。佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 最初のときに申し上げたのですけれども、健康保険組合連合会としては、介護納付金における総報酬割については絶対反対という立場でございます。その理由について3つ述べたいと思います。

 1点目は、現役世代に対してより過大で急激な負担増を求めるものであるという点です。今後とも介護費用が大きく伸びると予想される中で、総報酬割をやった場合に被用者保険全体としては先ほども試算がありましたが、約1,500億の負担増ということで、これが現役世代の負担を相対的に高めるという部分でございます。かつ、今回の総報酬割というのは現役世代の被用者保険だけを対象としていますので、いわば受益を伴わない一方的な負担増になっていると考えています。

 先ほど説明がありましたが、医療保険においても平成29年度から後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入が決まっていまして、介護納付金でも総報酬割が実施されれば一気に現役世代の大幅な負担増になっていく。後期高齢者支援金の総報酬割導入に当たっては、昨年の通常国会、参議院の附帯決議においても、被用者保険の保険財政の影響の評価及び検証を行うという旨の決議がされています。そういう意味で医療保険制度、介護保険制度の維持可能性の観点からも、慎重に検討すべきであると考えます。

 2点目は、介護保険制度創設時の理念を逸脱するものであると考えます。第2号被保険者というのはもともと給付を受ける可能性が低いという中で、老いた親の介護が必要となる家族の立場も踏まえて費用負担を求められたと思っております。その上で介護保険料については第1号被保険者と第2号被保険者が、いわば1人当たりの負担額が同じになるように設計をされた経緯があります。そうした考え方に基づいて、第2号被保険者についても全国の共通ルールとして加入者割の考え等をとってきたと思っております。そういう中で、被用者保険だけに総報酬割を適用するというのは、これまでのルールの考え方に反するものであって、制度の根幹にかかわるものであると思っております。

 3点目は、今回、総報酬割によって協会けんぽへの国庫補助財源が浮く、その分、国庫補助の肩がわりになってしまう。健保組合や共済組合に肩がわりを求めるものであるという点が問題だと思っています。いわば介護納付金の総報酬割は財源を捻出する狙いがあると思います。現役世代である第2号被保険者の保険料負担をさらに増大させて、財源を捻出するというのはいわば本来の税の役割の後退であって、本末転倒だと思います。財源を何に転用しようとしているのかも含めて明確にすべきであると思います。このことについては昨年6月に被用者保険関係団体5団体として厚労省をはじめ、関係省庁に意見書を出させていただいていることも申し添えさせていただきます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、井上隆委員、お願いします。

○井上(隆)委員 ありがとうございます。

 今、御意見がありましたけれども、総報酬割の導入に関しましては反対ということで、3点、述べさせていただきたいと思います。

 第1に、現下の我が国の最重要課題、デフレ脱却、とりわけ現役世代の所得の拡大を通じ、消費の拡大をして経済の好循環を実現しようということで、官民一体となって取り組んでいるところでございます。経団連でも呼びかけを行い、各社の必死の努力の結果、3年連続となる賃上げという状況になっております。こういう流れの中で総報酬割が導入されますと、賃上げをすればするほど負担が拡大してしまうことになり、当然のことながら従業員の可処分所得も増加が抑制される結果となります。

 先般の経済対策でも、例えば雇用保険料の引き下げをはじめさまざまな対応が盛り込まれ、官民一体となって所得の手取りの拡充を図ろうという中で、総報酬割の導入は余りにもタイミングが悪いのではないかと考えます。

 第2に、総報酬割は国の負担を健保組合へ単につけかえる結果にしかならず、制度の持続可能性確保には何らつながらない施策であると考えられます。まずは改革の本丸である給付の効率化や適正化に注力すべきであると考えます。

 第3に、健保組合自体を今後どう考えるかということでございます。健保の財政は、後期高齢者支援金の全面総報酬割も予定されており、非常に厳しい状況にございます。高齢者への拠出金の保険料収入に対する割合が4割を超えている状況で、健保が幾ら独自の工夫をしても健保自体の努力では制御できない負担が増加するばかりであります。今後データヘルス計画や、企業の健康経営に向けて健保というのはますます重要になってくる中で、これ以上、健保組合員の負担が増大し続けますと、健保の存続自体がどういうものなのかというふうに疑念を持たざるを得ないようなことになってしまいかねないということでございます。

 以上の3つから反対をさせていただきます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。大井川参考人、どうぞ。

○大井川参考人 私どもも介護納付金の総報酬割に関しましては、原則反対という立場でございます。

 被用者保険関係5団体が、共同で意見書を提出したことは、先ほど佐野委員からのご発言があった通りで、内容はほぼ同等でございます。

 先ほど事務局のご説明にございましたとおり、プログラム法においては、応能負担の考え方が改革の軸として据えられました。これは十分よくわかる話ですが、一方では、応能負担の考え方や理念の背景には、世代間不公平の解消のほうが、より色濃かったのではないかと記憶しております。もちろん所得の多寡によって負担割合を変えていくことは、非常に合理的な考え方であると思っておりますけれども、少しマクロ的な言い方をすれば、幾分かは法案が可決されて、効率化の取組みは徐々に進んではいるものの、社会保障改革によって、一体どれだけ持続性が高まったのか、ということが国民に理解されておらず、国全体として見れば、中長期的に社会保障改革の行く末が不透明なままである。こういった中で被用者保険の負担だけがふえていくことには賛成できません。

 一方で総報酬割りが完全導入になりますと、協会けんぽの支出は確かに減るかもしれません。しかし、協会けんぽへの国庫補助がゼロになることにつきまして、現在でも介護保険制度では5割を超える公費が投入されているわけで、これが果たして保険制度と言えるのか、というのは意見がこれまでもあったかと思っておりますが、ただ、現状の日本は、高齢化率が26%と、世界第一位になっており、これを保険制度の保険料頼みで維持していくのは非常に厳しい状況だということは目に見えていることです。

 先ほども他の委員の方からご意見がございましたけれども、経済の好循環を目指して、事業者がせっかく賃上げに取り組もうとしても、一方で社会保険料がどんどん上がっており、賃上げの動きを阻害してしまっている状況です。

 超高齢化が進展していく中では、公費のうちでも、とりわけ国費の役割を相対的に高めていかざるを得ないだろうと思っております。総報酬割導入の議論は、今年度末までに結論を出すということになっていますが、順番としては重点化、効率化を徹底することによって財政に与える影響はどれほどなのか、社会保障改革全体を通じて、将来の国民負担率はどのようになっていくのかというビジョンと予測を明確にした上で、やはりどうしても保険料負担の引き上げが必要であれば、この介護納付金についても事業者あるいは現役世代の負担増は考えざるを得ないと思いますが、現時点では、重点化・効率化がまだまだ不十分であると言わざるを得ません。繰り返しになりますが、総報酬割の導入については、現状では反対という立場で発言させていただきたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 私のほうから若干議事運営上の御説明をさせていただきたいと思いますけれども、実は2番目のアジェンダとしましては総報酬割と調整交付金の2つございますが、総報酬割で相当いろいろな意見が出るだろうと思われますので、とりあえず総報酬割の議論を今、進めております。本日もしその議論がある程度収束するようであれば、引き続き調整交付金についても事務局から説明をいただいて、また議論を続けても構わないと思いますけれども、場合によっては総報酬割だけで終わるかなという印象でございますので、とりあえず総報酬割について御意見を承りたいと思いますので、場合によっては調整交付金の話は次回という形になるかと思います。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 協会けんぽと健保組合や共済組合の平均総報酬額には大きな違いがあるにもかかわらず、現行の介護納付金制度では同額の負担をしており、不合理な仕組みとなっています。後期高齢者医療制度における後期高齢者支援金に総報酬割が導入されたように、介護保険制度の持続可能性を高めるためにも、介護納付金にも総報酬割を導入すべきです。

 具体的には、後期高齢者支援金のように段階的に導入することが考えられます。現役世代の負担軽減という話もありましたが、所得の少ない現役世代の負担軽減にも加入者割から総報酬割に変更することが有効であると考えます。また、賃金を上げても保険料にとられるという話もありましたけれども、なぜ賃金が上がっても消費が伸びないのでしょうか。それは医療や介護に対する不安があるからだと思います。社会保障の安定があってこその経済成長、消費だと思いますので、ぜひ御協力いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 高齢化の進展により、介護保険の利用ニーズもより一層増加する中で、高齢者の方が安心して暮らしていく社会をつくっていくためには、社会全体で高齢者の方を支えていくということが基本的な考え方だと思いますが、その際、費用の分担については、各自の負担能力に十分に配慮しながら検討していくべきだと考えております。

 今回、議題となっております介護納付金の総報酬割については、被用者保険間における負担割合は変更されますが、それに伴い削減されることとなる協会けんぽへの国庫補助相当額の使途が明らかではなく、引き続き現役世代に負担が重くのしかかる状況は改善されないのではないかと考えます。

 とりわけ、私ども協会けんぽの平均保険料率が既に10%に達している中で、介護保険料率が今後上昇する影響は深刻であると考えております。このため、むしろ制度全体として効率化を進めることによって被用者保険間の費用負担だけでなく、制度としての持続可能性を高めていくべきだと考えております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 1つは、現在の費用負担の部分というのは、利用者に対しては負担能力に応じて負担をしていただく。もともと制度がつくられたときに保険料というのは負担能力に応じて保険料設定がされた。1号被保険者も2号被保険者も年金や給与に応じて一定率の分の保険料を払ってきた。その中で2号被保険者の枠組みの中でいわば医療保険を使っていますから協会けんぽ、健保組合、共済組合のそれぞれの人頭割によって保険料率が違っていた。だから一人一人の方、その中の加入されている職員さんは給与に応じて払っているのですけれども、いわば協会けんぽの企業に勤めている方と健保組合の企業に勤めている方というのは、同じ給与額でも払っている保険料が異なっている。協会けんぽに加入されている事業者の職員さんは給料が平均的に低いということで、国庫補助金が出されていた。約1,500億という金額が出されて、それが拠出金の原資になっていた。

 でも、ここの部分というのは逆に考えてみると、この国庫補助金というのは、いわば健保組合なり共済組合に勤めている方の保険料を下げる、安い保険料で済んでいるもとがここの国庫補助金ではなかったのかとも考えられます。そうすると、この補助金をなくすことによってみんなが同じ金額負担をするのであれば、国民としたら納得する線になるのではないか。この協会けんぽに対する国庫補助の考え方というのは、裏から見るとそのように見える部分があります。

 ただ、この国庫補助金がなくなることによって、その財源をどう使うのかという議論は必要と思いますけれども、今回はいわゆる利用者負担の能力に応じて全ての面で負担しましょうという考えになったとき、今なりつつありますので、ここの総報酬制という部分も同じ勤めている人が40歳なり45歳の方が保険料負担をしていくのは、自分の給与に見合う金額を同じだけ払っていくというのが公平な形になっていくのではないか。そのように思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 総報酬割については後期高齢者医療制度で移行中ですけれども、これに当たっては国の財政責任を一部の保険者に肩がわりさせるものであって、被保険者の理解が得られないと反対してきました。来年度から全面総報酬割に移行するという段階ですし、介護納付金の総報酬割化については、きょうの資料の8ページの真ん中にありますけれども、社会保障制度改革国民会議で、状況を踏まえつつ検討すべきだと言われているとおりで、時期尚早だと考えております。

 1つお聞きしたいのですけれども、13ページのところ、先ほども少し触れましたが、介護離職防止の重要性というところで一番上ですが、介護離職防止の重要性の認識のベースとして、「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%にすることが政府の目標とされていることを踏まえれば」と書いてあります。労政審の雇用均等分科会で、仕事と家庭の両立支援の対策の充実についての建議も出ていますけれども、女性の活躍推進と介護離職防止というのを結びつけた議論は余り聞いたことがなかったのですが、そこについてもう少し御説明いただければと思います。

○遠藤部会長 では事務局、何かコメントはございますか。ここに書いてある内容についてのお尋ねということですけれども。

○竹林介護保険計画課長 こちらの資料2の13ページに書いておりますように、指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%にする。このこと自体は日本再興戦略2014に書かれています。今の伊藤委員の御質問は、それと介護離職を絡めた議論があったのかということだと思うのですけれども、介護離職との関係については、このペーパーで改めてこのような問題意識を整理させていただいたということであって、これまでの政府の公式の文書の中でこういった記述はあるのかという御質問であれば、これまでのところはございません。このペーパーが初めてでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 伊藤委員、よろしゅうございますか。

○伊藤委員 わかりましたが、介護離職というのは別に女性だけの問題ではないし、むしろ介護は女性がやるものだというように固定的な観念を強いるかのように受け取られると余りよろしくないと思いますので、そういう意味ではないということだと思いました。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 土居委員、どうぞ。

○土居委員 私もこれまでも申し上げてまいりましたけれども、第2号被保険者の保険料負担がどんどんふえていく一方、第2号の方々は基本的に介護サービスを利用しないという観点。それから、世代間の公平という観点からも、負担増をできるだけ抑えていくということは必要だと思います。

 ただ、世代間の公平も重要ですけれども、世代内の公平ということにも視野を広げると、我が国の社会保険料負担の逆進性は、もはや無視できない問題だと思います。消費税のときによく逆進性が取り沙汰されるのですけれども、私からすれば社会保険料負担の逆進性は、消費税の話の比ではないと思います。これは当然ながら定額負担という部分が社会保険料にはいろいろな形で入り込んでいるということであります。もちろん医療のところの国民健康保険の定額負担というのも、その逆進性を助長していますし、さらには介護納付金の加入者割も残念ながら定額負担という形になっていて、この逆進性を助長することに加担してしまっている。この問題は避けて通れない。この逆進性をできるだけ緩和するには、加入者割のままずっと維持し続けていて本当によいのだろうかと思うわけであります。

 その意味では、確かに後期高齢者医療制度の中で参考資料2の20ページの右下のグラフがイメージとしてはわかりやすいイメージだと思いますけれども、横軸が報酬額で縦軸が負担率というものに相当する保険料率ということでして、これが高所得者ほど負担率が低いというのは、いわゆる逆進性。これが加入者割だとそうなっているけれども、全面報酬割になるとフラットになるという形で逆進性が緩和されていく。こういう構図だと思います。これはあくまでも後期高齢者支援金のものですので、事務局にはこの逆進性の度合いについて、特に介護保険料でそういうことが起こったかどうかというのは、特に第2号被保険者においてこの逆進性がどのぐらいの度合いであるかというところのデータをぜひ出していただきたい。

 既に参考資料2の中にも、事実上それを意図していることは織り込まれてはいるのですけれども、保険者単位になっているということですので、横軸は保険者単位ではなくて世帯所得単位で所得階級別といいますか、10階級ないしは5階級、幾つかあると思いますけれども、所得階級別に横軸世帯所得をとって、縦軸に負担率というものでとったときにどのようになるかということをデータとして御提供いただければ幸いです。

 もう一点は、賃上げに対してネガティブなのではないかということは、私もそこは大変懸念をするところで、企業活動の制約、雇用の制約において第2号被保険者の保険料、なかんずく事業主負担が悪影響を及ぼしているのではないかという可能性は大変懸念をするところであります。

 ただ、参考資料2の18ページで事務局が試算をされている総報酬割にした場合の保険料率ですけれども、これが1.54%ということで、単純にこの1.54%ありきということで、これに賃上げをしたとすれば当然報酬比例ですから、その分だけ負担がふえることにはなるのですけれども、あくまでもこれは総報酬割なので、総報酬額が全体として大きくなった場合には、これは分母が大きくなる。だけれども、介護納付金の総額は賃上げがあったからといって介護納付金の額が直ちにそれと比例してふえるわけでは必ずしもない。あくまでも介護納付金の総額は介護保険の給付の中で決まってくる。ないしは予算ベースということで言えば、あらかじめ各保険者が見込んでいる介護給付費から割り出される形で介護納付金の総額が決まってくるということですので、介護納付金があらかじめ想定されている金額で固定されているという言い方は変ですけれども、あらかじめ与えられた金額であった場合に、もしオールジャパンの総報酬総額が1%ふえたならば、この保険料率が何%になるのかという計算が恐らく簡単にできるのかなと思いますが、私も手元に数字がないものですから、賃上げがあった場合に保険料率がどうなるのかということについてもデータを提供していただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局いかがでしょうか。少し検討していただくということで。

○竹林介護保険計画課長 きょうは間に合いませんけれども、次の議論のときまでに作業をさせていただきたいと思います。

○遠藤部会長 可能な範囲でよろしくお願いします。

 ほかに総報酬割で何か御意見ございますか。栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 まず最初に、介護保険制度が成立する際、当初から医療と介護の連携とか、中身のサービスの面もそうなのですけれども、医療保険者の果たした役割というのは極めて重要だと思うのです。その上での話なのですけれども、介護保険制度をつくる際の保険料の徴収の仕方という際に、医療保険者に協力していただくということで、できるだけとりやすいと言うとあれなのだけれども、やりやすい形で何とか御協力いただいて、今日に至っているということがまず基本的なことだと思います。これからも引き続きそうだと思うのです。

 その上での話なのですけれども、我が国の介護保険制度というのは半分税金なわけで、これが社会保険制度かどうかというのはありますけれども、仮に第1号被保険者と第2号被保険者の保険料のみで介護保険制度を行うとしたら、きょうの前半の議論のような生易しい議論にはなっていないと思うのです。利用者負担であるとか、資産の活用であるとか、預貯金をどうするかもっとシビアな議論になるはずです。その点、我が国ではプラスの部分も多いのですけれども、矛盾点とかいろいろなものについて、税金を投入することによって何とかしのいでいくという時代があったと思うのです。

 ただ、これは今まで成長ベースというか、拡大基調の場合にはそういう形で矛盾点と言ったらあれなのだけれども、それを何とか制度の維持のために、これは重要なポイントですので、必要であるからこそ税金を投入してきたということであるのですけれども、制度の維持のために税金を投入するということがいつまでもその形で今後も続けられるか、さらにこれから費用が増大するわけですから、そういう視点も必要だと思います。

 もう一つは非常に教科書的というか、歴史的に言うと非常に古い言い方ですけれども、総資本は税金か社会保険かと言えば税金でという議論になるわけです。コレクティビストも税金か保険料かと言えば税金ということになるわけです。先ほどの参考資料の18ページの部分で、組合健保と協会けんぽと共済組合ということで、総報酬制割合とした場合には、先ほどの説明にもありましたけれども、1.351.951.11が横並びでというか、1.54になるということで、要するにここでは報酬額に対する負担割合という言い方をしていますけれども、料率という言い方は正確ではないかもしれないけれども、料率は一本化するという形になるわけです。そういう意味ではこの形というのは非常に正当性というか妥当性が高いということだと思います。また、医療保険制度においてもそのような形になっているわけですから、これは総報酬制とすることが、横並びで1.54ということですから妥当ではないか。

 もう一つは、資料2の先ほどの事務局から説明がありました9ページと10ページ目に、前回、総報酬割導入に賛成する意見もあったけれども、一方では先ほど来、きょうの委員の方々もお話になったように、9ページ目で3ポツ、また、その次のページで3ポツで6つの点から、総報酬制についてはいかがなものかということがあります。ただし、先ほど来、きょうお話していますように、10ページ目の2つ目のところで現役世帯の負担を相対的に減らしていくことは必要であるのだけれども、制度全体の財政負担構造を見直すということが先に来なければいけないだろうということがありました。そういう意味では先ほどの利用者負担とか、第1号被保険者の負担というものが相応になされる中で、この医療の応能負担という形での形態というものは堅持されるべきではないかということだと思います。

 そして、先ほど利用者負担のことがありましたけれども、今まで利用者負担についても応能負担、応能負担というので能力に応じたということがあります。狭い意味での旧来の社会福祉だと費用徴収であるとか、そういう意味で応能負担ということがあったのですけれども、また、医療保険ではもともと応能という形が医療サービスの特質から言ってそうだと思うのですけれども、介護サービスというのはもちろん医療的な部分もありますし、かなり幅広いものです。そういう意味では今回、余りそういう議論はされませんでしたけれども、介護サービスというサービス性に着目すると、応能負担という観点と同時に応益負担という観点からの議論も大切だと思います。

 ということで、最初の部分の総報酬制については、先ほどの18ページにありますように1.54で統一するということですから妥当ではないかということです。

 以上です。

○遠藤部会長 大体総報酬割については御意見を承ったということでよろしゅうございますかね。もしそれでよろしければ、もちろんこの議論はまた今後も続きますけれども、調整交付金についても説明をいただいて、意見を御用意してきた方もいらっしゃると思いますので、可能であれば本日対応してもいいかなと思いますが、では事務局よろしいですか。調整交付金についても説明をお願いします。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 先ほどは頭が真っ白になって、段取りを間違えてしまいまして申しわけございませんでした。

 先ほどの資料2と参考資料2の後半の部分でございます。引き続いて御説明させていただきます。

 資料2の15ページ、費用負担のあり方(調整交付金)でございます。最初の○でございますけれども、現行の調整交付金は、保険者の責めによらない要因による1号保険料の水準の格差を、給付費全体の5%に相当する国庫負担金をいわば傾斜配分して平準化するための仕組みでございます。その責めによらない要因でございますけれども、今の制度では2つ見ておりまして、ここにマル1、マル2と書いてございますが、1つは1号被保険者に占める要介護リスクの高い後期高齢者の加入割合の違いです。ここで言う後期高齢者は75歳以上ですけれども、75歳以上の方が多い自治体は当然その分、給付費も膨れるだろうということで、そこを調整するもの。もう一つ、マル2でございますけれども、1号被保険者の所得の状況の違い。所得の高い自治体、低い自治体で負担能力が変わってくるということでございます。

 この点につきまして参考資料2の32ページをごらんいただきたいと思いますけれども、ここにグラフを載せております。X軸に後期高齢者の加入割合、Y軸に保険者数を載せておりますけれども、現状は青い折れ線グラフになっておりまして、後期高齢者加入割合の低い自治体も高い自治体も万遍なく分散しているような状態でございますが、これがあと十数年たちますと、後期高齢者加入割合が55%ないし60%というところに保険者の数が集中してまいりまして、その分、調整交付金の調整機能についても低下することが見込まれているところでございます。

 参考資料の36ページをごらんいただきたいと思っておりますけれども、ここに年齢階級別の要介護認定率の状況が書かれております。65歳以上の中でも年齢が高くなるほど認定率が高まっておりまして、現在の調整交付金の基準は75歳以上でラインを引いておりますが、これ以上は32.7%ということでございますけれども、さらに85歳以上で線を引きますと85歳以上の方の認定率は60%で、今までは85歳以上の人口が人口の規模として少なかったわけですけれども、今後はこの85歳以上の人口層がふえてくるというような状況でございます。

 資料2に戻らせていただきまして16ページをごらんいただきたいと思いますけれども、一昨年、昨年とまち・ひと・しごと創生本部ができて、日本版CCRCという議論もございました。元気なうちに高齢者の方に地方に移住をしていただくということが推進されるようになってきておりますけれども、その場合に元気なときに来ていただくのはいいけれども、15年、20年、30年たって、その方々の医療や介護の負担が重くなった場合にどうしたらいいのかという心配が寄せられているところでございます。こういったこともございまして昨年12月、地方からの提案に対する対応方針というものが閣議決定されておりますけれども、この中で枠囲いの中の文章、3行目ぐらいでございますが、特に年齢が高い高齢者が多い地方公共団体によりきめ細かく配分するなど、調整交付金のあり方について検討し、28年中に結論を得るというふうな宿題をいただいているところでございます。

 こういった状況を踏まえまして、資料2の17ページになりますけれども、論点ということで2つ掲げさせていただいております。

 先ほどごらんいただきましたように、現行の2区分の年齢調整のままでは財政調整機能が縮小することが予想されておりますが、年齢区分の見直しについて年齢階級ごとの要介護認定率あるいは執行事務における対応を踏まえてどのように考えるかということでございます。例えば要介護認定率が半数を超えているような85歳以上の加入割合にも着目をして、これまでの2区分から6574に加えて、75歳以上のところをさらに758485歳以上というふうに基準を3つの区分に細分化するというようなことで調整機能を強化してはどうか。その場合に現行の調整交付金と比べますと、交付額がふえる自治体と減る自治体が出てくることが予想されますので、その激変緩和についてどう考えるかというところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 いかがでしょう。御質問、御意見等あれば。それでは、藤原委員、どうぞ。

○藤原委員 調整交付金については、17ページに示されているように、現行の年齢調整方式では財政調整機能が縮小する可能性が示されております。調整交付金は保険料への影響を及ぼすもののうち、市町村保険者の責に帰すべきでない要因による影響を調整するものでありまして、今後ともその機能が十分発揮できるような仕組みをぜひつくっていただきたいと思っています。

 全国の町村長の意見は、前々からですが、各保険者への国庫負担が25%となるよう配分した上で、別枠で調整交付金を交付していただきたいと要望しております。ぜひそのことも御理解をお願いします。

 以上です。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。鈴木委員の次に小島参考人。

○鈴木(邦)委員 今後の超高齢化を考えれば、現行の2区分から要介護認定率が過半数を超える85歳以上を入れた3区分に細分化して、財政調整機能を維持する必要があると考えます。現行からの激変緩和については段階的な実施が考えられると思います。それにしても参考資料の36ページの図を見ると、年齢とともにどんどん要介護認定率が上がっていって、90代になりますと70%以上、さらに95歳以上になると80%以上、こういう方々にどうやって介護サービスを提供していくか、本当に考えていかなければなりません。みんなで負担を分かち合うことが大事ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では小島参考人。

○小島参考人 参考資料2の1ページをごらんいただきたいと思うのですが、こちらの中では公費の部分の国庫負担金のうち、5%が調整交付金であるというような表記がされているのですが、実際のところは運用上は29ページをごらんいただきたいのですが、29ページをごらんいただきますと、ここにも円グラフがございます。上の部分でございますが、第1号被保険者の保険料は2号被保険者の人数の割合に応じてということですから、制度発足当時は18%程度であったものが現時点では22%であります。ただ、この調整交付金の部分がございますので、例えば調整交付金の交付を受けない団体、これは27%負担をしているわけでございます。また、調整交付金の交付を受ける団体となりますと、平均は5%でありますけれども、多いところでは十数%の交付を受けている。実際には調整交付金の役割というものが、藤原委員も言っておられましたが、保険者の給付水準が同じであれば、同じ収入の被保険者が同一の負担水準になるように調整をするんだと言っているわけなのですが、現実のところ第4段階の方の保険料というのは各市町村ばらつきがございます。ほとんどがサービスの水準というのは今、よっぽどの地方でない限り何のサービスはないということはなくて、大体万遍なくサービスというのは供給しているわけでありますが、保険料についてはばらつきがある。

 そのばらつきの一因の中に、この調整交付金が先ほど藤原委員がおっしゃったように、国庫負担金は25%必ずいただいた上で別の枠で調整をいただくのであれば、こういった負担がないのですが、逆に5%を下回る自治体、特に神奈川県なんかの場合ですと所得の高い自治体もございまして、33市町村の平均は2.5%でございますので、逆に私どもの保険者は2425%の負担を強いられている。そうすると本来あるべき負担から比べれば1割ないし非交付の団体ですと2割も高い保険料を払わされている。そういった自治体は当然のことながら若い方が多い。したがって、要介護認定者も少ないということでこういったことの調整になるわけですが、保険料を負担する側から見れば若くて元気で要介護のお世話になっていないのに、何でほかの団体さんと比べて保険料が高くならなければいけないのか。このような批判もありますので、そこをおくみ取りいただいて、こういった財政調整の仕組みは大事だと思いますので、2025年以降の人口構成を考えるならば、細分化することについても都道府県としても賛成ではありますが、その負担のもととなるものについては国庫負担金の25%を堅持していただいて、それ以外で例えば都道府県負担、市町村負担も含めて全体で公費の負担のところにも負担を分かち合えるような、1号被保険者のみにかぶせるような仕組みでない方式を考えていただきたいなと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 きょうの資料というのは、調整交付金の係数のうち、主として32ページなどにもあるように75歳以上の人たちの年齢に関するものの議論が中心なのですけれども、もう一つの調整係数というのは要するに担税力というか、負担能力、厚生年金をもらっている人が多いのか、国民年金なのかというのがあって、もちろんこれは皆さん委員の方は御存じのことではあるのですけれども、改めて申し上げますが、その2つの要素でもって調整係数がかけられて、5%分が少ないところもあれば高いところもあるということが出てくるわけです。これは極めて重要な介護保険制度の非常に大きなポイントなわけなので、この年齢区分がこういう形で係数の持つ意味がきいてこないということであれば、これは普通の議論で直していくということでしかないということだと思うのです。

25%+8分の1+8分の1+で、それ以外にと言ったらそもそも成り立たない。オールジャパンで言えば100%の中で行って、それぞれの市町村の中では、なるほど1号被保険者の介護サービス給付費総額のうちの分担分といいますか、そういうものがかかる。そのような仕組みなわけですから、その中でやるというのは当然だと思うのです。その上で調整交付金で5%部分はもちろん財政力というか、かかるサービス料とかそういうものを勘案して調整しているものなのだけれども、調整交付金を出すときに、単に財政力とか高齢者が多いから大変ですねみたいなものでお金が出るということだけではなくて、もう少し調整交付金の使い方というか、そこら辺の工夫というものが必要だと思うのです。

 先ほど事務局のほうで、私は先ほどの説明だけだと不勉強だったからわからなかったのですが、資料2の16ページ、創生総合戦略2015年改訂版で地方移住の何とかとかそういうこともありましたけれども、これは最近のことがあるのでこういう形でこういうものもあるぞみたいな形で出されたというのはよくわかるのだけれども、それ以外で厚生労働省として貴重な調整交付金の機能というものを単にお金の部分だけではなくて、2月以降いろいろな議論の中で行われた部分です。そういうものにも活用するというか、政策ツールと言うとあれだけれども、そのような工夫も必要であると思います。

 長くなりました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。事務局が負担のあり方として御提示していることについての御意見もありましたけれども、むしろそれ以外のところの御要望であったり、新たな提案も多々されているわけでありますが、いかがでございましょうか。それでは、鈴木隆雄委員、お願いします。

○鈴木(隆)委員 最初の資料1とかも少し含めてのお話で1つコメントさせていただきたいのですが、利用者負担は今後所得に応じて負担をふやしていく事を原則としてそれは今後のあり方とか、あるいは持続可能性という点からは仕方のないことだということは理解できるのですが、国民の方々が一番不安に思っている大きな原因というのは、例えば先ほどから幾つかのポイントでは2025年とか、2030年にどのようになっているというグラフなどが出てきておりますけれども、このような中・長期的な視点で利用者負担というものがどのようにふえていくのかということだと思います。非常に難しい注文を言っていることは自分で理解しております。パラメーターが非常に多過ぎて簡単には描けないというものもあるかもしれないのですけれども、今後、今の第6期とか第7期とかそういうだけではなくて、恐らく介護保険あるいは介護サービスがピークになってくる2025年、2030年の姿というものが一体どういうものなのか。そういった時期での利用者負担であるとか、あるいは納付金のあたりがもっとも知りたいわけです。

 今ある条件の中で、少なくとも人口の推移はわかっているわけです。それから、要介護認定の割合も各年齢層でわかっているわけです。それを担っていく例えば生産人口の推移もわかっているわけです。いろいろなそういったパラメーターがわかっている中で、多分そのままいくと介護保険料は10兆円、15兆円というふうにふえていくだろう。そのときの介護保険料というのは、先ほどの利用者負担のときにやったように5,000円から8,000円に、8,000円から恐らく1万円になっていくだろう。そういったときに今のようなあり方をしていたときに、例えば利用者負担というのは平均でどのぐらい、上位推計でどのぐらい、下位推計でどのぐらいというふうに、ある程度のざっくりした姿というものが出せるものなのかどうか。もし出せるものであればお示しいただければ、非常に今後のありようというのはこんなに厳しいものなんだ。だとすればどうするのが良いのだというような、もう少し根拠というのでしょうか、そういう根拠に基づく議論が出てくればありがたいなと思っております。これはかなり無理な注文なのでしょうか。その点も含めてもしお答えいただければと思います。

○遠藤部会長 今、医療費の長期推計とか昔からいろいろ議論されているわけですけれども、そういうことをやったらどうかというお話ですが、何かコメントがあればお聞きしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 また検討してみたいと思いますけれども、費用の推計というものはある程度はできるわけです。それを先ほどから話があるように公費と保険料、そして利用者負担にどう分けていくかということですけれども、例えば利用者負担というのはかなり政策的な議論がすごく必要で、まさに26年の制度改正でもあれだけ議論を重ねて今の形に落ち着いているし、次の29年の改正をどうするかということをまだこれから議論していくような段階なので、推計として出せるような、全体の費用額がどうなるかということはある程度推計できるわけですけれども、それをもとに利用者負担をどうするのかというのはまさに政策的に議論を重ねて決めていくような性格のものであって、自然派的な推計になじむようなものでは一般論としてはないと思っているのです。その中で一体、今の先生の御要望を受けてどのような作業ができるかは考えてみたいと思っております。

○遠藤部会長 栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 鈴木先生のお話もよくわかるのですけれども、既に出されている資料からでもかなりの憶測というか、それはできると思うのです。前の議論でも、きょう1号被保険者、2号被保険者の保険料の話がありましたけれども、2035年ぐらいになったら1号被保険者と2号被保険者の比率というのは逆転しますね。そのときに2035年のときの年金審議会で年金制度は一体どうなっているのか。65歳から支給開始です。それを徐々に延ばしていきましょう。給付というものを現役世代との関係で下げていくという中にあって、2035年に1号被保険者と2号被保険者、当初17%と33%で発足したのが徐々に1号被保険者の比率が高くなって、2035年ごろになったら要するに逆転するわけです。その中で1号被保険者は年金の水準、そして支給開始年齢が2035年ですのでわかりませんけれども、変わっていくわけです。そのようなある種の定性的なというか、ロジカルなというか、そういうことはわかるわけです。

 毎回申し上げているのですけれども、ボリュームが膨れ上がってから変えるというのはなかなか難しいことがある。ボリュームが膨れ上がって該当者がふえていくと、なかなかそれを変えるのが難しくなるというのが政策的にありますね。要するに鈴木委員が話されたのは、将来から見て今日何をやっておかなければいけないかということを理解するというプロジェクトで投影するということですので、そういう観点からすると現状の改善とか現状を糊塗するか。現状を上から塗るみたいな形ではなくて、今のうちに手を打つべきものは打っていく。あとは先ほど資産とか預貯金というものは今、特段そこで確保できるものはそれほどないかもしれないけれども、これからすごく大きな問題になります。したがって、政策というのはあらかじめ気がつかないうちにというのは変だけれども、なるべく早く手を打つことがとても大事なことだと思うのです。そのための審議会だと思いますので、私はそのような気持ちで臨んでいますし、そういう観点からの議論が行われることを期待しています。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 長期的な話、議論もいいのですけれども、まずは2025年までの社会保障・税の一体改革で、消費税の引き上げは再延期になりましたが改革は続いているわけですから、まず超高齢社会を乗り切る体制をつくるという目的がありますので、ぜひ今度こそ消費税を上げていただきたいと思いますけれども、財源を確保した上でどうするか道筋は社会保障制度改革国民会議の報告書で決まっております。これが今、着々と進行されておりますから、我々は特に公的な会議の場では、2年後の同時改定が非常に重要なことはわかっているわけですので、それについて議論をしていかなければいけないし、そこに集中すべきだろうと思います。恐らく同時改定が過ぎると次の2040年をどうするかとか、そのような議論が始まってくるかもしれませんが、まずこの2年間は2025年に向けた改革を完遂することに全力を注ぐべきだと思いますので、公式の会議では余り長期的な議論よりも現実的な話をして方針を決めていくことが大事ではないでしょうか。それが我々に求められているのではないかと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。今後の当部会のあり方についてまで議論が進んでおりますので、本日は大体これで既にお話は出そろったかなと思いますから、若干時間が残っておりますけれども、本日はここまでにしたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

 次回の日程について、事務局から連絡をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 次回の日程でございます。次回の本部会は8月31日水曜日、14時から17時でベルサール九段3階ホールで開催いたします。

 また、次々回も日程が近いものですから御紹介をさせていただきます。9月7日水曜日でございます。こちらの場所等については追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 非常に短いインターバルで、しかも1回3時間という非常に御負担をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はどうもありがとうございました。


(了)

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