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2016年12月5日 第5回 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会

○日時

平成28年12月5日(月)18時00分~20時00分


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

中間的な議論の整理に向けた検討

○議事

(議事概要)

・ 構成員から「医師の地理的偏在、診療科偏在についての提案」「総合診療に関する医師の呼称」について発表。

・ 中間的な議論の整理に向けて、自由討議。

(主な発言概要は以下のとおり)

 

1.検討の進め方について

○ 将来の在るべき姿は、人口動態、モータリゼーション等に応じて変化するため、本検討会で検討するビジョンの時間軸を定め、ビジョンを見直す時期についても報告書に盛り込むべき。

○ エビデンスに基づいて実行改革するためには、問題の急所を絞り込んで、その急所を注視しながら追っていくことによって改革の循環ができることから、時間軸にあまりこだわりすぎる必要はない。

○ 現場感覚を得るためにヒアリングを実施する。ヒアリングの対象は職能団体だけではなく、現場の若手医師や、国際的な分野、あるいは子育てをしながら現場で頑張っている女性医師など、幅広にすべき。

 

2.中間的な議論の整理について

(1)  問題意識について

○ 薬の長期処方による初診や再診回数の減少、予約制の推進といった医療の状況が大きく変化してきているので、3時間待ちの3分診療や、2名の小児科医で救急や NICU 対応をしている、といった問題が現在も続いているのか、検証が必要。

○ 地方の病院で医師が減っている一番の原因は夜の急患で、医師は自分の専門外の患者を一人で診ることにストレスを感じており、医療の質の安全性という観点からも問題。

○ 地方の救急は、たらい回しどころか誰も診る人がいないため、他の地域に運ばざるを得ないという深刻な状況であり、今後救急をどうするのか、という視点が重要。

 

(2)  基本哲学について

○ 過去とは異なり、9時5時で働くことは普通と考える医師が多い中で、その働き方の中で実力をつけ、生きがい、やりがいを感じられるようにしていくべき。

○ 交代制等の医療従事者が疲弊しない体制を作ることで、指導体制が整い相談ができるなど働きやすい職場となり、へき地等での働く意欲にも繋がっていく。

○ 将来の人口減少により医療需要が低下し、医師や看護師が過剰になったときの対処まで含めて議論することが重要。こうした議論がないまま医師・看護師の数の増や権限委譲を行っていけば、医師免許を持った者がタクシー運転手をするような事態になる。

○ 時代の流れでプライマリ・ケアが必要とされていることから、プライマリ・ケアには専門性が必要であり、プライマリ・ケアにこそ力量のある医師を配置することが必要。

 

(3)  目指すべきビジョンについて

一 地域主導による医療・介護と生活の支援に関する議論について

【地域主体の医療の確保】

○ 地域の医師不足を全て一緒に取扱うのではなく、地域ごとの医師不足の要因、改善手法の効果、成功・失敗事例等の分析が必要。

○ 医師不足と言っても、近隣病院の過当競争が原因の本来は医師不足とは言えないケースと、本当に医師が不足しているケースとがある。また県内でへき地派遣が可能な県、県外の大都市と連携してでしか困難な県をなど様々であり、地域ごとの実情に応じた国・地域それぞれの取組みが重要。

○ 国は、地域医療を地域に任せて終わりとするのではなく、DPCの活用などによる地域内でデータの見える化を通じて、医療資源自体が地域内で完結しないところを把握し、支援・解決していくことが重要。

○ 都道府県ごとの力と金と意欲と意識は相当異なるので、地域医療の方針を国が示したら、あとは都道府県に任せて実現可能という幻想から離れるべき。

○ 住民ニーズは、過度に現状価値を最大化して持続可能性が損ねられ、将来世代に質の悪い医療を残す可能性がある。最高の医療を万遍なく提供するのは不可能であるため、ある程度集約化して地域全体としていい医療を実現していくのか、一定程度の質にしてアクセスを重視するのか、のように何を捨てて、何を取るかという判断を住民の中で考えることが必要。

○ 医師偏在是正策の即効性のある打ち手が全て成功することは困難だが、対策の効果を、働き方調査等を通じて継続的に把握し、打ち手を改善していけるような仕組みが重要。

○ 我が国の医療や医師養成には多額の公費が投入されていることから、医師には公共の福祉、地域のニーズに貢献する社会的責務を果たすことが求められている。強制的ではなく可能な範囲で、プロフェッショナルとして医師不足地域の医療ニーズに対して協力していくべき。

○ 保険医療機関の責任者になるための条件として、専門研修を終えた後、一定期間、医師不足地域に勤務することを求めてはどうか。早期に効果的な地理的偏在の是正が図られること、医師の視野が広がること、若手医師により地域医療が活性すること、教育をする指導医の質が向上すること、一部の人だけで地域医療を担う状態が改善すること、などの効果が期待される。

○ 医師不足地域での勤務については、強制ではなく医師の事情に応じてフレキシブルに運営し、適切な指導医や勤務体制の下で、若手の医師の納得が得られ、自分に何が求められているか明確となるようなものにすべき。

○ 地域医療においては、徴兵制のような仕組みにより短期的に勤務する医師を確保するということではなく、地域に根付いて住民の顔が分かる医師の確保が必要であり、短期的な確保策と長期的なビジョンの組み合わせが重要。

○ 医師が多い地域から、指導医と研修を受ける医師がグループで医師不足地域に来て、その地域に勤務する医師も含めて一緒に学べるような取組みもセットで検討すべき。

○ 医師不足地域の勤務を保険医登録の要件とするといっても、地域で求められる医師の役割・質、プライマリ・ケアなどは均一ではなく、地域で必要とされる医療の質が地域ごとに異なるので、導入は困難ではないか。また、女性医師への配慮も必要。

○ 人口動態・疾病構造の変化、交通利便性等を踏まえた二次医療圏ごと・診療科ごとのニーズを基に、医療界、行政、一般市民、専門家などによる国民的なコンセンサスの下、一定程度の幅を持った専門医の研修枠を設定・修正していくべき。若い医学生、医師が、我が国の将来の医療ニーズを理解し、自分らが選ぶ地域・診療科を選択する上でも参考となる。

○ 研修枠という考え方は、地域のニーズに応えるという社会的責務があるという考えの下、多くの先進諸国で既に実施されているほか、我が国でも既に臨床研修において導入されていることから、若い学生にとって驚きを持って受けられることはない。

○ 専門医の仕組みと需給偏在の関係の検討に当たっては、どこで誰が手術しているかだけではなく、その結果どれぐらいの治療成績かという視点が重要。

○ 医師不足の解決には、医師の役割分担やITの活用による隙間時間の利用や遠隔でのサポートという視点が重要。

○ 医療従事者がある程度グループ化することでへき地のサポートなども可能となることから、連携をして機能強化や効率化できるような働き方が重要。

○ フランスにおいて、国レベルと地方レベルで、保健医療政策上の課題の優先付け・解決策を議論する仕組みがある。日本でも同様に、地方で政策の優先度の設定ができるよう、分析できる人材の育成が必要。

○ 大学で社会医学を専攻している者が地域医療の分析にコミットし、地域に何が必要なのかについて、臨床医や医師会とも丁寧に議論していくことが必要。

○ 地域医療構想の中で、自分の病院の立ち位置・行っている医療について考えた病院の経営者は大きな成果を上げており、そうでない病院の経営者は失敗している。個々の医療機関の役割の観点から、病院や地域の医療マネジメントができる人材の養成が急務。

○ 保健所の所長は都道府県の地域における健康や医療のマネジメントを行うことから、公衆衛生など社会医学を適切に理解している医師が就くべき。

○ 近隣の病院と連携して、転院させることを目的とした連携パスではなく、例えば肺炎に焦点を当ててどの病院に行っても同じ肺炎のパスで診られるようにする連携パスを作ることで、地域の中で医療を完結できるようになる。

 

【プライマリ・ケア人材の養成・確保】

○ プライマリ・ケアの専門性を認める領域を確立することで、臓器別専門医に流れていた医師を確保でき、この領域を志向する医師のアイデンティティーの確立に繋がる。ひとりでに総合診療能力を持つ医師が養成されなくなっている点からも、総合診療医を養成することが必要。

○ 大学病院は、特定機能病院・DPC病院であるため地域医療教育には向かないが、豊富なネットワーク・ステークホルダーを持っているという特徴もあるため、総合診療医に特化した部門を設け、養成・研究の場、地域の医師とのハブとして大いに生かすべき。

○ 総合診療専門医だけでなく、かかりつけ医、内科総合医、外科のキャリア転向組などにも地域包括ケアに関する診療報酬のインセンティブをつけるべき。

○ 家庭医が適切に医療提供しようとしても診療報酬の問題で黒字にならない。家庭医の普及のためには投資が必要であるが、全体としては医療費が下がる。ほとんどの家庭医はグループ診療をしていることから、グループ診療の診療報酬を充実させるべき。

 

【柔軟なタスクシフティング】

○ 医師の権限を見直し、現在の医師の業務のうち、相談業務や意思決定支援など医師以外に任せられる仕事を分担して、チームを作っていくことができれば、3時間待ちの3分診療という外来診療も満足度が変わってくる。

○ 在宅での看取りが進めば、中核病院のスタッフは治療に専念できるようになり、医師のやりがいが増し、入院期間の短縮や医療費の削減につながり、患者やご家族の望む自然な看取りが選択肢として提示できるようになる。

○ 医療職と介護職との役割分担について、介護職による医療的ケアの現行の仕組みを丁寧に評価し、これを進めていくべきか等について議論していくことが必要。

 

【患者・住民の医療への参画】

○ 限られた医療資源を適切に消費するという観点や在宅看取りを進める観点から、地域が主導して、またメディアやインターネットを活用して住民を巻き込み、医療の利用の在り方・メディカルリテラシーに関する住民の教育・啓発・意識改革を行うことが重要。

○ 手術の症例数が多いところは合併症が少ないというデータを踏まえれば、地域医療は集約化可能なところは集約すべきであり、一方、予防医療などは地域で実施する、という地域医療の在り方を住民に理解してもらうことが必要。

○ 少子高齢化で子供が少なくなっていく中で、医療従事者に優秀な人材が集中しないように、患者や住民を、ボランティアという形で医療の担い手として活用することが重要。

 

【医療とまちづくり】

○ 子供を産むということ、あるいは育てていくことは、町づくりの非常に大きなエッセンス。医療従事者が子育てを楽しんでいることを発信することで、子育ての手本・安心感を地域にもたらし、子育ての価値を住民がさらに見つけられるようにすべき。

 

二 個人のキャリアと働き方に関する議論について

○ 臨床研修の導入後、9時5時勤務や当直翌日の休暇ができる楽な病院に医師が集中し、寝る間も惜しんで病院に泊まり込む医師の数は減ってきていると考えられるが、このような意識の変化を、働き方調査により確認して議論していくべき。

○ 看護職員の数の増加に従って、多様な背景や価値観を持つ看護職員が増えてきたため、量的には満たされても、看護職員が少ない地方や、大病院志向で単科の病院になかなか行かない、などの偏在がある。

○ 看護職員が継続して勤務してやめない病院は、マグネットファクターをきちんと持っている。

○ 今後医療の対象者が大きく変化することから、医療提供側の柔軟なシフトが必要。育成した専門医が投資に見合う役割を担えず、将来的に無駄になることも考える必要がある。

○ 認知症患者の増加や多死社会を迎える中で、入院した認知症患者を抑制しながら診療しており、看護学生や若い看護師、介護士等にとってつらい状況であるため、彼らのモチベーションをどのように維持するかが重要。

○ 老衰の方や認知症の方がどうやって自然に死んでいくか、どのように看取ることができるのかについて、今後、医師や看護師、介護士への教育が必要。

 

三 医療の生産性に関する議論について

○ 地域の医療分析を踏まえ、病院の治療成績の比較や、地域医療改善のための方策の提示が行われることで、病院も地域貢献が可能となり、医師のやる気も向上する。

○ 地域のデータ分析から、介護サービス受給者から急性期医療を受けている人の多くが出ていることなどが判明しており、介護と医療をつなげてネットワークで議論していくことが必要。この議論の中で、医師養成や医療計画に反映していくことが重要。

○ 地域でのデータ分析、分析に基づく議論ができていれば、地域の関係者にフィードバックされ、それをアクションプランに繋げていくことができる。

 

(4)  医師偏在に関する議論について【意見は (3)一 の再掲のみ】

○ 地域の医師不足を全て一緒に取扱うのではなく、地域ごとの医師不足の要因、改善手法の効果、成功・失敗事例等の分析が必要。

○ 医師不足と言っても、近隣病院の過当競争が原因の本来は医師不足とは言えないケースと、本当に医師が不足しているケースとがある。また県内でへき地派遣が可能な県、県外の大都市と連携してでしか困難な県をなど様々であり、地域ごとの実情に応じた国・地域それぞれの取組みが重要。

○ 国は、地域医療を地域に任せて終わりとするのではなく、DPCの活用などによる地域内でデータの見える化を通じて、医療資源自体が地域内で完結しないところを把握し、支援・解決していくことが重要。

○ 都道府県ごとの力と金と意欲と意識は相当異なるので、地域医療の方針を国が示したら、あとは都道府県に任せて実現可能という幻想から離れるべき。

○ 住民ニーズは、過度に現状価値を最大化して持続可能性が損ねられ、将来世代に質の悪い医療を残す可能性がある。最高の医療を万遍なく提供するのは不可能であるため、ある程度集約化して地域全体としていい医療を実現していくのか、一定程度の質にしてアクセスを重視するのか、のように何を捨てて、何を取るかという判断を住民の中で考えることが必要。

○ 医師偏在是正策の即効性のある打ち手が全て成功することは困難だが、対策の効果を、働き方調査等を通じて継続的に把握し、打ち手を改善していけるような仕組みが重要。

○ 我が国の医療や医師養成には多額の公費が投入されていることから、医師には公共の福祉、地域のニーズに貢献する社会的責務を果たすことが求められている。強制的ではなく可能な範囲で、プロフェッショナルとして医師不足地域の医療ニーズに対して協力していくべき。

○ 保険医療機関の責任者になるための条件として、専門研修を終えた後、一定期間、医師不足地域に勤務することを求めてはどうか。早期に効果的な地理的偏在の是正が図られること、医師の視野が広がること、若手医師により地域医療が活性すること、教育をする指導医の質が向上すること、一部の人だけで地域医療を担う状態が改善すること、などの効果が期待される。

○ 医師不足地域での勤務については、強制ではなく医師の事情に応じてフレキシブルに運営し、適切な指導医や勤務体制の下で、若手の医師の納得が得られ、自分に何が求められているか明確となるようなものにすべき。

○ 地域医療においては、徴兵制のような仕組みにより短期的に勤務する医師を確保するということではなく、地域に根付いて住民の顔が分かる医師の確保が必要であり、短期的な確保策と長期的なビジョンの組み合わせが重要。

○ 医師が多い地域から、指導医と研修を受ける医師がグループで医師不足地域に来て、その地域に勤務する医師も含めて一緒に学べるような取組みもセットで検討すべき。

○ 医師不足地域の勤務を保険医登録の要件とするといっても、地域で求められる医師の役割・質、プライマリ・ケアなどは均一ではなく、地域で必要とされる医療の質が地域ごとに異なるので、導入は困難ではないか。また、女性医師への配慮も必要。

○ 人口動態・疾病構造の変化、交通利便性等を踏まえた二次医療圏ごと・診療科ごとのニーズを基に、医療界、行政、一般市民、専門家などによる国民的なコンセンサスの下、一定程度の幅を持った専門医の研修枠を設定・修正していくべき。若い医学生、医師が、我が国の将来の医療ニーズを理解し、自分らが選ぶ地域・診療科を選択する上でも参考となる。

○ 研修枠という考え方は、地域のニーズに応えるという社会的責務があるという考えの下、多くの先進諸国で既に実施されているほか、我が国でも既に臨床研修において導入されていることから、若い学生にとって驚きを持って受けられることはない。

○ 専門医の仕組みと需給偏在の関係の検討に当たっては、どこで誰が手術しているかだけではなく、その結果どれぐらいの治療成績かという視点が重要。

○ 医師不足の解決には、医師の役割分担やITの活用による隙間時間の利用や遠隔でのサポートという視点が重要。

○ 医療従事者がある程度グループ化することでへき地のサポートなども可能となることから、連携をして機能強化や効率化できるような働き方が重要。


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