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2016年11月24日 第4回 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会

○日時

平成28年11月24日(木)10時00分~12時00分


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール 14A


○議題

構成員によるプレゼンテーション
  - 今後の検討の全体構造「専門性の追求と人生の選択の両立」、
    「生産性と質の向上」、「経済活力(イノベ・国際化)への貢献」について -

○議事

(議事概要)


2~4つ目のビジョン「専門性の追求と人生の選択の両立」、「生産性と質の向上」及び「経済活力(イノベ・国際化)への貢献」について、構成員から発表後、自由討議。(主な発言概要は以下のとおり)

 

1.医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査について

○ 医療施設調査票で、在宅患者数についても調査すべき。

 

2.今後の検討の全体構造(案)「地域で市民と患者の生活を支える」に基づく議論について

【医療従事者のプライマリ・ケア能力の醸成】

○ 日本型のイノベーティブなプライマリ・ケアの専門性の確立が重要。

○ 地域で総合診療医と共に活躍するプライマリ・ケア・エキスパートナースの育成が必要。

○ 短期間で密度の濃い医療を提供することが求められており、看護職員一人当たりの仕事量が増えているため、教育カリキュラムの時間や修学年数を延長すべき。

○ 専門医の更新も検討すべき。

 

【医療従事者の役割分担・連携等の促進】

○ PA( Physician Assistant )やNP( Nurse Practitioner )等の新しい医療職種の導入や、看護師によるプライマリ・ケアの実施等の医療の担い手の見直しが必要。

○ PAやNPを含む医療従事者が、医師と連携しながら遠隔診療を提供することで、患者の満足度の向上や医療費の削減につながる。

○ いきなり新しいものを作ろうとするのではなく、現行の施策の取組み状況を勘案しながら、どのような仕組みが必要だ、という議論につながるように検討していくべき。

○ 看護師の特定行為研修制度は、看護師のキャリアパスを広げるだけでなく、地域の診療所における役割分担の促進につながる。

○ 地域医療の中で、専門職種が連携しながら実現していく価値をベースにしながらお互いの役割を考えることが必要。

○ 今までのチーム医療は個の総和の傾向が強かったため、これからは集団の相乗効果を出していけるよう、マネジメント技術の向上が必要。

○ チーム医療の推進のため、専門医や特定看護師等の上級資格を取得する際に、人材マネジメント技術の取得を要件にすべき。

○ 周麻酔期看護師は、麻酔科医の業務負担の軽減に有効ではないか。

 

【患者、住民の治療・予防への参画の推進】

○ オンライン問診や遠隔診療のツールを充実させることにより、患者の積極参加型医療を促進することで患者の行動様式を能動的な状態へと行動変容し、医師の量的負担を抑制すべき。

○ 患者への教育に加えて、患者・住民の医療参加の環境整備、情報を活用した自己決定等の体系的なサポートを行っていくことにより、患者の医療への参画意識が高まり、より良い医療を患者と医療従事者が協働で実現することができるのではないか。

 

【地域全体を巻き込んだ医療提供・政策展開】

○ ICT基盤を活用し、地域で医療機能の集約化と連携を図ることで、医療の質の向上につながるのではないか。また、当直負荷の分散や、救急患者対応の集約化につながり、地域の医療を支えることが可能となるのではないか。

○ 医療に対してお金を使うことに対して、国民的な理解を得られていないため、限られた資源の中で医療を行う、という視点が重要。

 

3.今後の検討の全体構造(案)「専門性の追求と人生の選択の両立」に基づく議論について

【医療機関における人材マネジメントシステムの確立】

○ 医師の働き方については、女性だけの問題として捉えがちだが、男性・女性や子どもの有無の区別なく、介護や病気になったときに就労と両立できるような取組が必要。

○ 医療提供者の苦労が報われて、将来に明るい展望を持つことの出来る働き方が重要。

○ 看護職員が生涯仕事を継続するためには、主として、仕事を継続するモチベーションが続かないこと、途中で離職する者の割合が減らないこと、が問題ではないか。

○ 外科医が事務仕事を行ったり、当直後に通常業務を行ったりしている場合は治療成績が悪いことから、労働環境の改善は医療従事者だけでなく患者にとっても重要。

○ キャリアデザインのためには、教育や経営者の意識改革をはじめとしたマネジメント技術など技術的環境の整備とともに、時系列に応じて本人の意志の明確化することが重要。

○ 人事考課制度の整備が不十分であるなど、病院経営層・管理職の医療職の労務環境やキャリアプランへの理解不足がある。

○ 病院経営管理者の要件として労務管理知識の習得を設けるとともに、「病院労務管理者」(仮)を配置すべき。

○ 医療職の勤務環境の改善のため、経営者はさまざまな対応策を実施しているが、それぞれの対策が十分であるかを検討すべき。また、女性医師、男性医師など多様な人材に対して適したアプローチを検討すべき。

○ 看護職員の離職の要因として、休みにくい職場の雰囲気、努力をして認定看護師の資格を取っても待遇に反映されない、などが挙げられる。

○ 働き方・休み方の改善等の雇用の質の向上は、患者に提供される医療の質の向上に直結すると考えられるが、雇用の質の見える化や、医療の質と雇用の質との関係性の分析が不十分ではないか。

○ 勤務時間のみで仕事を評価するのではなく、仕事の内容を定義し、成果により評価する体制を整えていくことが必要。

○ 医療従事者の勤務における臨床・研究・教育のバランスを明確化すべき。

○ 医療職の役職ごとに、分野別に求められる役割を明確化すべき。

○ キャリアと給与・昇格を連動させる仕組みが必要。

○ 看護職員が本来の業務に専念できるようにする、管理職の考え方が全てのスタッフに伝える場を確保する、等の取組みが、看護職員の離職防止に有効。

 

【柔軟で無理のない働き方を可能とする制度・環境の枠組み整備】

○ 労務環境改善について、先進的なグッドプラクティスをデータベース化し、展開していけるような方法論も含めて専門家がアドバイスするような取組みを推進していくべき。

○ 勤務環境改善支援センターは、働き方の改善方法についての方法論を現場にさらに還元すべき。

○ 勤務環境改善の公的な認証制度を国の制度として創設し、インセンティブを付与すべき。

○ 医療施設の労働環境が、生産性や医療の質、患者のアウトカムの低下にどれだけつながっているのか見えるようにすべき。

○ 医療経営の状態を標準的なものや理想的なものと比較するための指標が必要。

○ 医療経営者がどのような問題を持ち、どのような考えを持っているのかを見える化し、継続的にデータベースを構築しながら、病院経営やキャリアパスの確立を実施していくことが重要。

○ 現場で必要とされている男性看護師の勤務環境を整備するため、男性看護師の認知度を高めるよう行政が啓発活動を行う、バランスの取れた男女の看護師の配置や夜勤への男性看護師の配置、男性看護師の育児休業取得を医療機関が推進する、等の取組みが必要。

○ 個人による診療所の開業は継続性という点で問題があるため、継続性があり休みも取りやすい働き方として、グループ診療を推進していくべき。

○ 開業後も医師が将来にわたって専門性を追求しつつ、医師の質を保証できるようにするため、診療所医師が連携病院で診療を実施できる仕組み( Hospital Privilege )など、多様な働き方を検討すべき。

○ 看護職員がどうしたら働き続けられるかについて検討するため、臨床をやりながらどのようにキャリア形成を行っているのか、労働の原則がない中での働き方等について、実態調査を実施すべき

○ 看護職員へのキャリア支援として、助産師出向支援導入事業を参考にして、都市部の看護職員がへき地に応援に行き、経験を積めるような制度を導入すべき。

○ 研修の質や患者の安全を保証した上で、医療従事者の労働時間の基準を設定することが必要。

○ 働く人のための環境づくりをより加速させるような診療報酬はどのようなものか、現在導入されている項目は有効に機能しているか、という視点が重要ではないか。

 

4.今後の検討の全体構造(案)「生産性と質の向上」に基づく議論について

【情報技術の活用等による医療従事者の生産性の向上】

○ 医師や医療専門職の専門的知見や技術を要さないものを、他の医療職やAIへシフトし、医師や医療専門職の能力を最大限発揮し、医療全体の生産性を高める。

○ ICTを活用することで、クラウドにあるエビデンスを利用可能となり、患者のマネジメント・サポートなど複雑な仕事に対する専門性を高めることができるようになるのではないか。

○ クラウドを活用して病理診断を分担することで、診断までの時間の短縮化や効率化が可能ではないか。

○ クラウドの活用により、退院後、在宅でヘルパーが褥瘡管理に必要な支援を受けることが出来るようになるのではないか。

○ オンライン問診や遠隔診療のツールを充実させることにより、患者の積極参加型医療を促進することで患者の行動様式を能動的な状態へと行動変容し、医師の量的負担を抑制すべき。【再掲】

○ ICTを活用することで、潜在人材が医療に参画する機会を広げたり、専門家からサポートを得たり、他領域からの医療・介護への参画を可能にすることで、生産性を質・量ともに拡大できるのではないか。

○ IoTを活用することで、宅配業者など既存のネットワークを、見守り等のためのサポート資源に活用することができる。

○ 患者が、医師や病院にお任せの状態から、ICT等を活用し積極的に連携することで、より良い治療を共に作ることができるのではないか。

○ ICTを活用したかかりつけ機能を充実強化するため、十分なインセンティブを設計すべき。

 

【情報技術の活用等による新たな医療基盤の構築】

○ ビッグデータの活用により、これまでのエビデンスをさらに高めて、目の前の患者に応じた治療を行うことができるようになるのではないか。

○ 患者、国民の基本的な保健医療データを統合することにより、個人の疾病・健康状況に合わせた最適な保健医療が受けられる仕組み「PeOPLe」(仮称)の提言。

○ 在宅医療・介護におけるICTの活用拡大のため、住民同士のつながりなど、既存の資源を活用した課題解決を実現するための規制緩和や特区の構築が必要。

○ IoTを活用して行動の一部を測定することで、本人がどんなことができるかに基づいて、介護保険の認定が可能になるのではないか。これにより、評価のコストを下げ、良いサービスを提供することへのインセンティブ設計が可能になるのではないか。

○ 遠隔診療については、全体としてエビデンスが不足しており有効性・安全性が保証されているわけではないが、心不全のように確立したプロトコールに基づく分野についてはエビデンスがあり、期待が高い。

○ 技術進展に即応した「医行為」「遠隔診療」等の範囲の予見可能性の確保のため、技術進展が進む中、イノベーション進展を萎縮させないよう、関連規制における解釈等の予見性を確保すべき。

○ ICT基盤を活用し、地域で医療機能の集約化と連携を図ることで、医療の質の向上につながるのではないか。また、当直負荷の分散や、救急患者対応の集約化につながり、地域の医療を支えることが可能となるのではないか。【再掲】

○ ICTを適切に活用することで、財源を未来の投資に回すことができるのではないか。

 

5.今後の検討の全体構造(案)「経済活力(イノベ・国際化)への貢献」」に基づく議論について

○ 個人を軸に情報をつなぐことによって、国同士の連携や国境をまたいだ対策、国境を越えて人々に直接アプローチする取組みを構成することができ、また、個人から個人へのサービスや組織間の連携についても、オープンな開発基盤を用いることで弾力的に対応が可能となる。

○ 個人の同意に基づき、データを開きながら新しい産業を創出していくことが今後ますます価値を持ってくる。

○ ICT技術の活用により、今まで日本の中で閉じていた医師の働き方が世界に広がっていき、将来の日本の社会保障を支えることもできるようになるのではないか。

○ 医療の国際展開については、データベースを用いて、継続的に質を管理しつつ継続的なサポートを通して現地に根付く取り組みとしていくことや、体系的に効果評価を行い現地政府からの認証を得ることが重要。

○ 異なる省庁において個別に展開している国際展開事業について、一貫した戦略を持って体系的に支援していくべき。

○ 学会、医師会といったプロフェッショナル集団が、患者・社会の価値、医療の質に基づいて、世界に誇るプロフェッショナリズムを更に高めることが重要。

 

6.医師偏在対策に関する議論について

○ 偏在の解決はプロセスの1つ。地域で患者がより良いサービスが受けられること、高度な医療のニーズがあったときに最善のサポートを受けられることが必要であり、外国では、プライマリ・ケア医やGPと、専門医の2つの職種を分けずにアクセシビリティの確保を進めようとしたため、うまくいかなかったケースがある。

○ ICTを活用して患者を専門性のある医師とつなげることで、地域で患者を支えることができるようになるのではないか。

○ 地域における医療の偏在是正の解決において、制度として実施されていても制度設計に問題があり効果が出ていない可能性もあるのではないか。

○ 偏在に対する取組みとしては、地域に愛着を感じるように地元出身者を教育したり、他地域出身者に地域に愛着を持てるようにしたりすることが一つの手段。

○ 偏在への打ち手としては、過疎部の医師への負担軽減サポートに対して、診療報酬上の加算の設定や都道府県知事が独自に設定できる地域枠の権限付与、都道府県基金の優先配分、資源配分の最適化に向けた都道府県知事の権限の強化(標ぼう、保険医配置等)といった対策を検討すべき。また、これらの実効性を高めるため、地域医療支援センターの独立性と権限の強化を行うとともに、人材育成を行うべき。見える化を通じて、都道府県が偏在をモニタリングできるようにすべき。

○ 地域における医療の偏在是正の解決には、見える化や都道府県の司令塔機能の強化、経済的誘導、規制的手段の組み合わせが重要。

○ 現在の医師当たりの手術数ではなく、将来の人口構成や医療機関の集約化を踏まえて専門診療科のニーズを明らかにし、専門科ごとの枠を設定し、医師の診療科偏在を是正すべき。


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