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2019年2月6日 第10回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 議事録

医薬・生活衛生局水道課

○日時

平成31年2月6日(水) 10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室(中央合同庁舎第5号館18階)


○出席者

委員(50音順)

相田俊一委員 浅見真理委員 石井晴夫委員 浦上拓也委員 岡部洋委員
川原良一委員 滝沢智委員長 中谷知樹委員 二階堂健男委員 藤野珠枝委員
望月美穂委員 山口由紀子委員 吉田永委員 渡辺皓委員
 

厚生労働省

宮嵜審議官 日置室長 黒木補佐 林補佐 水野補佐
   

○議題

(1)水道法の改正について
(2)水道の基盤を強化するための基本的な方針について
(3)その他

○議事

○林補佐 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「第10回水道事業の維持・向上に関する専門委員会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。開催に当たりまして、宮嵜生活衛生・食品安全審議官より御挨拶申し上げます。
 
○宮嵜生活衛生・食品安全審議官 生活衛生・食品安全審議官の宮嵜でございます。開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。委員の皆様におかれましては御多用のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃から水道行政の推進にお力添えを賜っておりますことを、この場をお借りして御礼申し上げる次第でございます。
 本専門委員会を最後に開催いたしましたのは、平成28年11月でした。そのときにお取りまとめいただきました報告書をもとに、その後、水道法の改正案を国会に提出して、昨年12月の臨時国会で水道法の改正法が公布されたところでございます。御審議いただきました結果が、17年ぶりとなります水道法の大きな改正という結果に結び付いたことを御報告いたしますとともに、改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 さて、御案内のとおりでございますが、水道事業を取り巻く状況は大変厳しく、今回の水道法の改正の目的である水道事業の基盤強化というのは待ったなしでございます。改正水道法の施行に向けまして、現在、政省令などの準備を進めているところでございますが、今回の専門委員会では、改正水道法に基づき、国が定めることとされております水道事業の基盤を強化するための基本方針について御議論いただきたいと考えております。まず、初回の本日は、基本方針案の策定に向けた視点について御議論をいただければと思っております。委員の皆様には活発な御審議をお願い申し上げまして、簡単ではございますが私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○林補佐 続いて、委員の皆様を御紹介させていただきます。本日は、委員15名中14名の委員に御出席いただいております。前回の専門委員会から2年以上が経過しており、新任の委員もいらっしゃいますので、本日は委員の皆様を全員、お手元に配布している委員名簿に沿って御紹介いたします。
 北海道環境生活部の相田委員です。
 国立保健医療科学院の浅見委員です。
 東洋大学の石井委員です。
 近畿大学の浦上委員です。
 一般社団法人日本水道工業団体連合会の岡部委員です。
 松江市上下水道局の川原委員です。
 東京大学大学院の滝沢委員です。
 神奈川県政策局政策部の中谷委員です。
 全日本水道労働組合の二階堂委員です。
 明治学院大学の西村委員は本日御欠席です。
 主婦連合会の藤野委員です。
 株式会社日本経済研究所の望月委員です。
 相模女子大学の山口委員です。
 公益社団法人日本水道協会の吉田委員です。
 全国管工事業協同組合連合会の渡辺委員です。
 次に、事務局の紹介をさせていただきます。先ほど御挨拶を申し上げました審議官の宮嵜です。
 水道計画指導室長の日置です。
 水道課課長補佐、総活の黒木です。
 水道課課長補佐の水野です。
 私は水道課課長補佐の林です。以上、どうぞよろしくお願いします。
 本日は、審議会等のペーパーレス化の取組として、資料についてはタブレットを操作して御覧いただくことになりますので、操作で御不明な点がありましたら、随時、事務局までお申し付けいただきますようお願いいたします。
 タブレット以外の配布物を確認させていただきます。お手元には、議事次第、委員名簿、座席表、資料4、タブレットの操作説明書を配布しておりますので、不足等がありましたらお知らせいただければと思います。
 傍聴の皆様にお願いですが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
 前回の専門委員会以降、全ての委員の皆様に、再任又は新任の手続をさせていただきましたので、改めて委員長を指名させていただきたいと思います。委員長については、厚生科学審議会生活環境水道部会運営細則第3条に基づき、委員会委員の中から部会長が指名することとされております。生活環境部会の古米部会長に相談したところ、これまで委員長を務めていただいた滝沢委員に引き続き委員長をお願いしたいとのことでしたので、滝沢先生、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、これ以降の議事進行は、滝沢委員長にお願いします。よろしくお願いいたします。
 
○滝沢委員長 皆様、改めまして、滝沢です。先ほど御紹介がありましたが、前回、第9回の専門委員会が開催されてから2年3か月経過しておりますが、この間、懸案でした水道法改正案が皆様の御尽力により、昨年12月に無事国会を通過したということです。それに関連して、本専門委員会も再稼動ということで、皆様の御意見、御指導により、より強靱な、しっかりとした基盤を持った水道にするために、どうしていこうかということを、これから議論していきたいと思います。限られた時間ではありますが、皆様、活発なる御意見をお願いしたいと思います。それでは、ここからは着座にて進めさせていただきます。
 まず初めに、委員長代理を指名させていただきたいと思います。厚生科学審議会生活環境水道部会運営細則第4条第4項において、委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が指名した者がその職務を行うと規定されております。私が出席できないときに、職務を代行していただく委員として、引き続き東洋大学の石井先生にお願いしたいと思いますが、石井先生、よろしいでしょうか。
 
○石井委員 分かりました。
 
○滝沢委員長 皆様も御了解いただいてよろしいでしょうか。
  
                                   (了解)
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。それでは、石井先生に委員長代理をお願いしたいと思います。議事に入る前に、この専門委員会で何を審議するのかという点と、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いします。
 
○林補佐 タブレットに保存されております資料1をお開きください。1番の審議事項ですが、水道法の一部を改正する法律において、国は水道の基盤を強化するための基本的な方針、基本方針を定めるものとされたところです。基本方針に定める事項は、①~⑥のとおりであり、本専門委員会ではこの基本方針の内容について御審議いただきたいと考えております。
 2番のスケジュールです。本日は2月6日ですが、次回は3月に次の専門委員会を予定しております。基本方針案については、次回にこちらのほうで作成して提出したいと考えております。本日は、私どもが基本方針案を作るに当たり、念頭に置いておくべきといいますか、基本方針の策定に向けた視点という資料を出しておりますので、それについて御議論いただき、本日の御議論を踏まえて基本方針案を作って、次回、御提出という流れになります。4月にもう1回、基本方針案について御議論いただき、5月にパブリックコメントを開始、6月頃に基本方針の公表という段取りで考えております。説明は以上です。
 
○滝沢委員長 どうもありがとうございます。ただいま御説明いただいた審議の内容、審議事項、並びにスケジュールについて、御質問はありますか。よろしいですか。
 それでは、議事に入ります。議題1ですが、水道法の改正について、資料2に基づいて事務局より御説明をお願いします。
 
○林補佐 こちらもタブレットの中の資料2を御覧ください。2ページをお開きください。前回の専門委員会は平成28年11月が最後ということで、その際に報告書を取りまとめていただき、その後の経過ということですが、平成29年3月に法律案を国会に提出いたしました。その後、衆議院の解散があり、平成30年3月に再度、改正案を国会に提出し、昨年12月6日に衆議院本会議で可決・成立、12日に公布という経過をたどっております。
 3ページを御覧ください。水道を取り巻く状況といたしまして、老朽化の進行、耐震化の遅れ、多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱、計画的な更新のための備えが不足ということで、こうした課題に対応していくということで水道の基盤の強化を図ることが必要だと。併せて、所在確認の取れない指定給水装置工事事業者の排除、無届工事や不良工事の解消も課題であるという背景があり、改正案を提出させていただいたところです。
 4ページが法律の概要ですが、改正の概要を御覧ください。水道の基盤強化を図るということで、まず関係者の責務を明確化するとともに、特に都道府県においては、広域連携の推進役を担っていただきたいということで、1.の②ですが、都道府県は広域的な連携を推進するよう務めなければならないこととすると。
 2.ですが、国は広域連携の推進を含む水道の基盤の強化のための基本方針を定めること。都道府県は基本方針に基づき、水道基盤強化計画を定めることができるということ。都道府県は水道基盤強化計画を定める検討組織として協議会を設けることができるという規定を創設したところです。
 3.適切な資産管理の推進ということで、水道事業者等は、施設の維持・修善をしなければならないこととすると。水道施設の台帳の作成・保管をしなければならないということ。さらに、長期的な観点から水道施設の計画的な更新に務めなければならない、あるいは、収支の見通しを作成し、公表するように務めなければならないという規定を創設したところです。
 4.官民連携の推進ということで、地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権、これはPFIの一類型ですが、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民営事業者に設定する方式ということで、こういったことができるようにしたという内容です。
 5.は、指定給水装置工事事業者制度の改善ということで、5年の更新制を新たに導入するといったことが内容になっております。施行期日については、公布の日、昨年12月12日から1年以内ということです。ただし、3.②の水道施設台帳の作成・保管という部分については、公布の日から3年を超えない範囲内で施行ということになっております。
 5ページですが、法律の目的ということで、改正前と改正後ということで、「水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成する」ということが、「水道の基盤を強化する」という内容に変わっております。
 6ページ以降は、それぞれの項目別の少し詳細な説明になっておりますが、重複する部分がありますので飛ばします。次に、7ページが基本方針についてです。これは先ほど資料1でも申し上げましたが、この基本方針に基づいて都道府県が水道基盤強化計画を定めることができるということになっております。
 8ページは、広域連携の推進ということで、事業統合など、こういった形態があるというもので参考までにお示しております。9ページ、適切な資産管理の推進です。こちらも施設の維持・修繕の義務付けなどということです。
 10ページですが、点検を含む維持・修繕ということで、具体的にどういった維持・修繕をしなければいけないのかを今後、省令で定める予定としており、まだ内容は確定しておりませんが、今の段階で私どもが考えている内容ということで御紹介させていただいております。
 11ページも省令事項です。水道施設台帳の整備ということで、どういった情報を台帳に整理しなければいけないのかというのを省令で定める予定です。
 12ページも一部、省令事項ということで、水道施設の計画的な更新等。例えば、収支の見通しの作成がありますが、どういった考え方で作成するのかとか、公表の見直しに関する規定を省令で設ける予定です。
 13ページが官民連携の推進です。下から2つ目のマルですが、平成23年のPFI法の改正に基づき、コンセッション方式と言われるものは導入できるようになっていたわけですが、水道事業が認可を返上しないといけないという形である必要があったということです。今回、それを改めて、水道事業の認可を残したまま運営権の設定を可能とするという形のものを新しく作ったということです。
 14ページです。事業計画の確実性・合理性ですが、自治体は実施方針や要求水準書を作成して、それらを満たす提案をした民間事業者を選定するということで、例えば水質の管理レベルとか、設備投資の内容とか、災害等の非常時の対応を、あらかじめ決めた上でやっていただくと。そういったものについては議会での決定が必要だということです。料金の設定、モニタリングについても、PFI法、水道法で必要な規定が盛り込まれているということです。
 15ページですが、指定給水装置工事事業者制度の改善ということで、新たに5年の更新制を導入したということです。所在不明な事業者がたくさんいるということ、違反工事や苦情も多いということで、資質の向上などを図っていきたいということです。
 16ページですが、こちらは政令事項です。更新制を導入するということで、既に指定を受けている事業者の更新を今後、水道事業者のほうでやっていかないといけないのですが、一度に更新時期が集中しないように指定を受けた年月日別に指定の有効期限を設け、平準化を図ることを考えております。
 17ページですが、指定の更新に合わせて確認することが望ましい事項ということで、こういったものを確認しつつ、18ページですが、業者への指導、住民への情報発信につなげていけるのではないかということを考えております。
 19ページは、その他の改正事項ということで、事業の休止及び廃止、供給規程、災害時の関係者の連携といった規程を設けたり、あるいは追加などをしております。
 20ページからは附帯決議ということで、衆議院と参議院の附帯決議を参考までにお示しております。
 23ページが今後のスケジュールです。今年の夏頃までに政令、省令、告示、ガイドラインを全部作り、夏頃には自治体に説明できるようにして説明会を開催し、施行までに間に合わせるというようなスケジュールを考えております。説明は以上です。
 
○滝沢委員長 それでは、ただいま御説明いただきました水道法の改正に関する事項ですが、御質問がありましたら、挙手して御発言いただきたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
 
○浅見委員 ありがとうございます。この度の水道法の改正について、非常に大変だったというふうにお伺いしておりますが、うまくいってよかったと思っております。前回の委員会と今回の改正において、ここの所は思ったようにいかなかったというところがありましたら、お教えいただけると、今後の議論のときに助けになるかと思うのです。当初、広域連携に関してもっと推進をしたいというところがあり、今回の中にも、理念として入っていると思うのですが義務にはなかなか難しかったかというところがあると思います。その辺りで、今後の議論に何か足しになるところを教えていただければと思いますが、いかがですか。
 
○滝沢委員長 いかがですか。
 
○林補佐 広域連携について、今後の議論のポイントですね。水道基盤強化計画については、確かに義務ではなくて、できる規定ということですが、私どもとしては、全部の都道府県に作っていただきたいと考えております。事業統合など、なかなか難しいものから、共同発注みたいなものまで、地域で、いろいろな形態があり得ると思いますので、そういった優良事例等を、私どもも積極的に情報発信させていただいて、できるだけ基盤強化に向けた取組が進むように支援させていただきたいと思っております。
 
○滝沢委員長 ほかに御意見、御質問はいかがですか、特にありませんか、よろしいですか。
特に御意見はありませんので、次の議題に移ります。
 議題(2)水道の基盤を強化するための基本的な方針についてです。資料3により、水道の現状について、全般的な状況を説明していただき、その後、資料4により、基本方針案を作成する上での視点について御説明をお願いします。資料4に整理されている視点は、事務局が今後、基本方針案を作成する際に念頭に置いてもらうべき内容ということで、本日の主要な議題となっています。順番に、資料3について御説明をいただき、質疑していただきたいと思います。では、資料3を御説明ください。
 
○林補佐 資料3、量は多いのですがポイントだけを主なスライドについて御説明させていただきます。まず、3ページの右側のグラフは水道事業数の推移です。縦の棒グラフが上水道事業の数、これは縦軸の表題が書かれていませんが左側の縦軸で数を読みます。赤い線が簡易水道事業の数で、右側の縦軸で読みます。全国にまだ6,000以上の水道事業が存在しており、小規模のものが非常に多いという現状です。
 続いて、1枚飛ばして5ページ、人口減少社会の水道事業です。線グラフの有収水量は、左側の縦軸で読みます。有収水量については、ピークが2000年で、19年前から減少し続けて、それに伴って料金収入も減少しており、水道事業の経営は厳しくなっているということです。
 また1枚飛びまして7ページです。全国の水道施設の更新費の推計結果ですが、平成28年度時点で現有している資産についての取得額です。これは水道事業者から聞き取り、それを年度別に数字を積み上げたもので、左側の過去の部分の4色になっている所です。過去のものについては現有資産の取得額を年度別に積み上げたものになります。それに対して適切な維持・修繕を実施した場合に想定される更新年数を設定します。8ページに設定の考え方を書いています。中ほどに、更新基準年数がありますが、土木施設が73年、建築が70年、設備が25年です。その上に、管路について書いておりますが、最初40年から段階的に56年に上げていくような形で、更新するタイミングをこういう形で設定し、将来どれぐらいのお金が必要になるのかを積み上げたものになります。御覧のとおり、過去10年間の年間平均値が大体1兆7,000億円かかっていたものが、今後20年間の年間平均で約1兆9,000億円の試算になりました。年間大体2,000億円ぐらいの差があるということです。いろいろな設定条件により変わるものですので、1つの参考としてお示ししております。
 次に災害への対応として、10ページを御覧ください。耐震化の状況ですが、左側は基幹管路の耐震適合率です。平成29年度で39.3%、大体4割ぐらいの適合ですので、まだまだ引き上げていく必要があります。浄水施設、配水施設については御覧のとおりの数字となっています。
 11ページが耐震化計画の策定状況です。特に中小の水道事業体を中心に計画の策定率が低いということです。ですので、これも作っていただくようにしていかないといけないということです。
 12ページが災害の状況です。特に昨年は災害が非常に多くありました。13ページは、大阪北部地震の状況です。右下に、送水管の写真がありますが、破裂し、水道用水供給事業の水道管ということで広範囲にわたって断水が生じたということです。その関連で14ページのグラフですが、大阪北部地震で1,000㎞当たり何箇所破損したのかを、管路の年代別にデータで示しています。1,000㎞当たりの破損箇所数は赤い折れ線ですが、一番古いもので昭和40年までに作ったものは3.2か所という数字になります。段々新しくなってくるとこの割合も減っていきますので、古い管路ほど破損割合が高いことが、この結果から分かります。
 15ページは7月豪雨の状況です。大変広い範囲で、18道府県80市町村まで被害が及び、土砂災害や洪水等といった被害による断水というのが特徴でした。16ページのグラフは、縦軸が断水戸数です。7月7日~8月13日まで、断水を解消するのに38日間の日数がかかっています。17ページは北海道胆振東部地震の状況です。こちらは全道的な停電が発生し、もちろん水道管も壊れましたし、写真にあるように、土砂崩れによって浄水場の一部が破損したという被害が発生しています。こちらも断水戸数をグラフに示していますが、34日間の断水が続いたという状況です。
 次に、水質の関係です。19ページの右側に水道水質基準適合率のグラフがあります。水道水質基準適合率自体は高い数字を維持しているのですが、例えば水質事故などがありますので、20ページにあるように、水道水質に悪影響を及ぼすような可能性のある要因をあらかじめ分析して対応方法を定めておくということで水安全計画の策定をお願いしています。特に中小の水道事業者を念頭に、21ページのような作成支援ツールを公表し、策定率の向上に努めているところです。
 次に、23ページ、資産管理の状況です。左側のグラフが管路の経年化率で、全管路延長約67万㎞のうち、法定耐用年数40年を超えた延長の割合ですが、平成28年度時点で14.8%で、年々これが上昇しています。右側のグラフが管路の更新率で、管路総延長に対して更新された管路延長は平成28年度で大体5,000㎞ぐらいありますけれども、その割合を取ると0.75%ですので、この引き上げが必要になってくるということです。
 飛びまして、25ページからはアセットマネジメントです。アセットマネジメントについては、グラフがありますが、更新需要と財政収支の見通しと、いろいろ精度が、詳細度が違いますので、標準精度はタイプ3のCにしていますけれども、策定していても標準型の詳細度を段々上げていく必要があるということ。もちろん策定していない水道事業者については策定をしていただく必要があるということです。
 28ページは水道施設の台帳の整備状況です。当然これは水道施設の更新の計画、災害への対応などで必要になってくるものです。左側の円グラフが台帳の整理の状況で、「整理している」と「概ね整理している」が全体で約6割です。
 30ページは水道事業の経営状況です。供給単価を給水原価で割った値、つまり水道料金でどれだけ回収できているのかという指標です。棒グラフの一番右ですが、全体の約3分の1が原価割れしている状態です。水道料金の見直し等も必要に応じてやっていかなければいけないということで、31ページがその状況です。平成29年度、一番右側の料金の改定を行ったのは大体68事業者で、割合にすると5.3%になります。
 33ページですが、人材の確保・育成については右上のグラフで、職員数はピーク時と比べて3割程度減少しています。下のグラフは、給水人口別に見ても、平均職員数は1人とか3人の少ない人数でやっているということです。研修等の実施状況は、国立保健医療科学院、あるいは日本水道協会などで、こういう形で水道事業者の職員などを対象とした研修が行われているところです。
 36ページからは広域連携の推進です。先ほどと同じ図ですが、こうした事業統合などの形態があるということを参考までにお示しています。
 また少し飛びまして、38ページが広域連携の事例です。給水人口5万人未満の小規模の事業者がまだまだ多くあります。39ページは都道府県が中心となって広域連携を検討している事例です。40ページが水道事業の広域化が進まない要因についてです。2つ目のマルのように、事業者間の水道料金や財政状況の格差、施設整備水準の格差等が挙げられています。
 41ページは最近の話題になりますけれども、「水道広域化推進プラン」というものを、先月、1月25日付けで、総務省と厚生労働省の連名の通知で、各都道府県にお願いの通知を発出させていただいています。広域化の取組を進めていただくということで、平成34年度までに策定をしていただきたいというものです。一方で、今回の法改正で水道の基盤強化計画ができましたけれども、その関係を42ページの図で整理しております。左上に「水道広域化推進プラン」とあります。これは広域化の推進方針及び当面の具体的取組内容という性格です。その下に、水道基盤強化計画の策定を見据え、多様な広域化のシミュレーションを実施し、その具体的効果を比較した上で広域化の推進方針及び、これに基づく当面の具体的取組の内容やスケジュールを記載することとしています。平成34年度までに策定・公表をお願いしており、最終的には水道基盤強化計画に引き継がれることを想定しています。ですので、まず、プランで、当面の取組を進めていただき、その後、具体的な実施計画という位置付けになる水道基盤強化計画に具体的な連携の内容とか具体的な施設の整備内容等を記載したものを作っていただくというような関係になっています。
 44ページは官民連携です。現状でもいろいろな形で一般的な業務委託から第三者委託などといった形で既に民間事業者に御協力いただいているということです。一番下がコンセッション方式で、今回の法改正では水道事業の認可を返上しない形のコンセッションを導入しています。
 46ページは、コンセッション方式の導入に伴う懸念への対応についてです。最後のマルですが、あくまでも官民連携の選択肢の1つということで、メリットがある場合に、自治体が議会の議決を経て、自治体の判断で導入するものという位置付け、性格のものです。1番目として、水の供給責任については従来通り市町村が負う。2番目として、事前の対応として、PFI法に基づき条例で内容を決め、議会の議決が必要である。料金についても上限を決め、その範囲でしか事業者は設定できない。実施方針や民間事業者との実施契約の中で、どういった業務内容になるのかをあらかじめ明確に定める。災害等の非常時における対応も含めて明確に定める。これを厚生労働大臣が確認をして許可をするという流れになります。事後の対応においても、モニタリングを自治体がしっかり行うとともに、厚生労働大臣が直接、民間事業者への報告徴収・立入検査を実施していくということになります。
 47ページが官民連携推進協議会です。主に水道事業者等と民間事業者との連携、マッチングを促進することを目的とし、平成22年度から経済産業省と連携して、こうした協議会を開催しています。
 給水装置の関係については、先ほどの説明と重複しますので省略させていただきます。
 予算についてですが、右下のページで、51ページが2つ出てきますけれども、後の51ページを御覧いただきたいと思います。水道施設整備事業のメニュー一覧で、大きく2本立てになっております。まず、水道施設整備費補助金、公共事業としては簡易水道の整備補助、水源開発などを内容としています。もう1つは、交付金、非公共の予算になりますが、耐震化・広域化にかかる予算です。53ページが予算の年度別推移です。一番右の棒グラフで、来年度平成31年度予算案では、30年度の補正予算案と合わせて920億円ということで、過去を見ても充実した予算案になっています。
 54ページ、昨年、災害が多く発生した関係もあり、政府全体として重要インフラの緊急点検を行うということになりました。これは水道だけではなく政府全体でやっている中で、水道については例えば、停電・土砂災害・浸水災害などへの対応ができているのかどうかを調べ、できていない箇所については、3年間で集中的に対策を行っていくということです。55ページは、台帳の電子化について、今年度からのものですが、一定の要件はありますけれども台帳整備への支援をさせていただいています。56ページはIoTの活用です。こちらはモデル事業ですので一定の要件はありますが、IoTを活用した事業も支援させていただいているということです。簡単ですが説明は以上です。
 
○滝沢委員長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの資料3に基づいて御説明いただいた水道の現状について、幅広い視点から御説明を頂きましたけれども、これについて御質問、あるいは御意見がございましたら、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 
○二階堂委員 今、御丁寧に説明を頂きました。私も実はこの委員会の出席に当たって、今日の資料に入っていますけれども、平成25年3月に出された新水道ビジョン。この検討会の資料を少し見てきました。この検討会も滝沢委員長が座長をお務めになられたということで資料が残っていたのですが。そのときの資料を見ても然りなのですが、恐らく水道事業の分析ということに関して言えば、資料のベースはほぼ同じような内容であったのです。その後、この新水道ビジョンを受けて、それぞれ事業体が積極的にアセットマネジメントや管路の更新、財政基盤の確立ということで尽力された事業体もあります。ただ、その資料と今日のもの全てを詳細に確認しているわけではないですけれども、水道課で恐らく法案策定に当たって、資料を分析された中で、新水道ビジョンから、今回の平成28年から検証されてきたと思うのですけれども、このビジョンで、水道事業が基盤強化でどの程度進んできたのかという認識があれば、お伺いしたいと思います。
 
○滝沢委員長 はい、よろしくお願いします。
 
○林補佐 そうですね、なかなかそういうところまで分析できておりません。まだまだビジョン策定率というのは、それほど高くないということで、まだ十分に浸透していないのかなと。特に中小事業者においては、まだ策定率は低いということです。例えば資料には出ていませんが、平成25年度ぐらいから全国で、地域懇談会というものを開催しておりますが、その中で、全国の水道事業者に水道ビジョンの内容が広まるように努めていきたいと思います。すみません、答えになっていないかもしれませんけれども。
 
○事務局(岩倉)  新水道ビジョンを受けて、各自治体でもアセットマネジメントや広域連携の取組などをいろいろ進めてきていただいた部分があります。実際、アセットマネジメントを実施していただいた率というのは、7割ぐらいに増えてきたということもあります。ただ、実際、現場の水道事業者、立入検査など、そういった現場にいる事業体の皆さんの所に行ってみますと、結局、補助金の申請のためだけにアセットをやって、その後はしっかりとした更新計画を作っていないなど、そういった事例も非常に多くあります。特に中小の小さい規模の事業体などですと、そういうことがよく見られます。ですので、アセットマネジメント、これは名ばかりやってもらっても仕方がないので、水道法改正も踏まえていただいた上で、さらに進めていく必要があると。
 広域化の検討についても、協議会的なものは各県で作っていただいている所は結構多いということで、ほとんどの県で作っていただいています。ただ、実質的な議論がまだ進んでいないということもありますので、ビジョンは当然、今後も作っていただきますが、広域連携の検討やアセットなどをしっかりやっていただいて、基盤強化をさらに進めていただく必要があるというのが、今、我々の方でも考えているところです。
 
○滝沢委員長 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますか。
 
○二階堂委員 ちょうど、今、御認識ということでいただきました。私も資料を比較したというか、冒頭に申し上げたとおり全部を分析したわけではないのですけれども、恐らく同じような状況だと思います。特に、中小を含めたところでは、財政基盤、あるいは人的基盤、技術的基盤がぜい弱だというところについては、なかなか深化していないと思っています。後の基本方針の中の議論で、また意見を申し上げたいと思いますけれども、その点はしっかりと受け止めながら水道基盤の強化を進めていかなければいけないと、そのように認識していますので、是非、基本方針の議論の中でもよろしくお願い申し上げたいと思います。
 
○滝沢委員長 また後ほど、御発言ください。ほかに御意見は。
 
○浦上委員 近畿大学の浦上です。事務局の現状認識の確認をさせていただきたいのですが、スライドの7ページの更新費の推計結果として、2016年までがデータとしてあり、その後に将来の推計値がありますが、既に、2017年のところでギャップが生じています。これが年平均で、全体で1兆7,000億円。つまり、この金額が既に過少投資であると。これはあくまでも推計との差ですので、推計値は恐らく管路の更新年数が最大56年になるようにと計算されているかと思うのです。事業体では60年や80年など、あとはアセットで更新を先送りしていることもあります。実際の額は、推計値をオレンジ色の棒グラフで出されているものよりは、大分減ってきている。かつ、2067年まで示されていて、さらに将来に投資が先送りされている状況が出てきていると思います。まず、現状の認識として、過少投資であるということを認識されているかどうかということです。
 スライドの23、管路の経年化の現状と課題という所です。現在の管路更新率が、0.75%と出ています。これはもともとの経年化率から40年を超えたものについて計算されていて、その分の更新率ということで、0.75%。先ほどの御発言では、この数字を引き上げていく必要があるということでしたけれども、実際の問題として、この数字は引き上げられない。それはなぜかと言いますと、職員数が大きく削減されて、更新投資に従事する職員数が既にいないという問題や、もちろんお金がないという問題など。そういうことを考えると、これを引き上げる方向に、厚生労働省として努力されるのか。あるいは最低この現状を維持していくことを目指されるのか。その辺は、この0.75%という数字を引き上げることに、いったいどれだけの労力が必要なのかというのもありますので、現状認識として、やはり引き上げていかなければならないのかというのは、全国の事業体に対して大きなメッセージになると思います。そこをもう一度、検討いただきたいということです。
 もう1点、28ページの簡易水道事業者における台帳整備の割合など書いてありますけれども、このデータも私が気になるのは、簡易水道を持っている自治体が同じく上水道を持っている場合と簡易水道だけを持っている場合、つまり簡易水道だけを持っている場合というのは、さらに小規模な自治体になるかと思いますけれども、そこをちょっと分けて割合を出されると、またかなり違ったインパクトのあるデータが出せるのではないかと思います。要するに、上水道事業を持っていて、山間に簡水を持っているような所は、上水道事業を持っているので、恐らくノウハウなどをお持ちで、簡易水道の台帳整備まで進んでおられるということがあるかもしれませんが、簡易水道しか持っておられない自治体というのは、恐らく、そもそも規模が小さいのでそこに職員さんの手が回らないという事情があれば、恐らく簡水しか持っていない自治体の台帳整備率というのは、かなりまた深刻なものとして出てくるのではないかと思うのです。その辺の御認識を持っておられるのかを確認したいのです。よろしくお願いします。
 
○滝沢委員長 3点ありますけれども、御回答ください。
 
○林補佐 まず7ページですが、現状で過小投資かどうかということですけれども、なかなか一概に現状の投資が適切かどうかは、施設の状況などを見ながらでなければ評価等は難しいのかなとは思います。ただ計算上は、明確に書いていないのですけれども、2016年時点で既に更新の基準年数を超えた施設というのがあり、それを将来、積み上げる段階でどのように配分して積み上げるのか。全部、2019年に、ぽんと積み上げると、突発的なデータになるので、一定の考え方で平準化したような形で後年度に積み上げているというのもあります。いずれにしても耐震化や老朽管の更新というのは必要になってきますので、実際に震災等での事故件数も年間約2万件ということですので、十分足りているかというと、どうなのかなという感じはします。なかなか分析は難しいのかなと、そこまで至っていないというところが現状です。
 更新率が、23ページ、管路の更新率が0.75%ということですが、引き上げていく必要があるのかということ。ここにも書かせていただいていますが、説明しませんでしたけれども、今後20年間で更新が必要な管路は、現状で大体40年超のものと想定した場合、これを将来的に20年間掛けて更新していく設定をした場合に、1980年以前に整備されたものを更新していくことになります。これが153,700kmということです。これを今後20年間、更新していくとすれば、年間1.14%程度の更新率が必要になるのではないかという計算をしています。どこまで引き上げればいいかというのも、なかなか難しいところですけれども、私どもとしては耐震化も含めて、昨年、緊急点検という形で予算も使わせていただいて耐震化のペースアップを図っていくということもさせていただきました。予算を確保して引き上げに努めたいとは思っています。
 最後に、28ページです。確かにおっしゃるような分析というのは面白いのかなとは思います。データの取り方上、できるのかどうかというのはあるのですけれども、そういった御指摘のような形での分析というのも、テータ上で可能であれば検討をしてみたいと思います。
 
○滝沢委員長 よろしいでしょうか。
 
○浦上委員 はい。
 
○滝沢委員長 ほかに御意見はございますか。よろしいですか。
 それでは、資料4に移りたいと思います。事務局から御説明ください。
 
○水野補佐 資料4について、御説明します。資料4については、先ほど委員長から冒頭、御説明していただきましたが、基本方針を策定するに当たっての視点ということで御用意をさせていただいています。資料4を御覧いただきたいと思います。御案内のとおり、水道法の一部を改正する法律の中で、水道の基盤を強化するための基本的な方針が法令上で規定されることになります。この基本方針については、既に法律に記載すべき事項が規定されています。今回、視点として法律上に規定された事項ごとに、既に本委員会で取りまとめられた「国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策」や、先ほど二階堂委員からもお話がありました新水道ビジョン、こういったものを踏まえまして、今回、事務局として、策定するに当たって念頭に置いてはいかがかと思う点について整理しています。
 資料については、1ページの四角囲みの所が、今、申し上げた法律上の中で既に規定されているところです。1つ目の水道の基盤の強化に関する基本的事項については、視点として3つの大きな柱で整理してはどうかということで御用意しています。1つは現状と課題ということで、現状と課題については先ほど現状の所で説明したような内容を書いています。2つ目が水道の基盤強化に向けた基本的な考え方ということで、法律の目的にしっかり寄与できるようなことが必要ですということや、新水道ビジョンの理念が重要であることを確認した上で、後で2番以降のところで触れさせていたただく中身をある意味まとめたような形で基本的な考え方を記載してはどうかということで提示をさせていただいています。
 2ページ目、(3)関係者の役割という視点で整理しています。国の責務、都道府県の責務、そして水道事業者等の責務、最後に水道の需要者である住民の責務、役割について記載してはどうかということで整理をしています。
 次に、2番の水道施設の維持管理及び計画的な更新に関する事項です。こちらも法律上、この四角囲みの所が記載をされているわけです。こちらについても3つの大きな項目で整理してはどうかと考えています。(1)水道の強靱化ということです。近年、大規模な災害が起こっているということで御説明させていただきました。1つ目のマルにありますように、大規模の災害が起こった場合であっても必要最低限の水の供給は可能になるように、水道施設の強靱化が重要であるということを述べた上で、耐震化計画の策定や対策のマニュアルなどが有効であるという中身について記載してはどうかということで、視点を整理しています。
 (2)安全な水道の確保という項目を立てて記載をしています。記載内容としては、安全な水、水道の確保ということの位置付けについては、(2)の3つ目のマルにありますように、水道の基盤の強化を図り、将来にわたって水道の持続性を維持する観点から、安全な水の確保はその前提であって、原水から給水に至るまでの一貫した水質の管理は必要不可欠ということを整理して記載しています。
 (3)適切な資産管理です。先ほど、水道施設台帳の議論や施設の老朽化の御説明などもありました。こういった老朽化が進んでいる中で、維持管理が重要であるということを記載した上で、2番目のマルにあるように、事業の収支の見通しの作成やアセットマネジメントを推進するということ。また、3つ目のマルにありますように、施設規模の適正化を図るということも記載しています。以上のような内容を2番の所に整理しています。
 4ページ目を御覧ください。3番として、水道事業及び水道用水供給事業の健全な経営の確保に関する事項が法律上の規定として書かれています。下のマルにありますように、水道事業を安定的かつ持続的に運営するためには財政基盤の強化が必要ということ、適切な水道料金設定等を通じた健全な経営が重要であるということを記載するとともに、水道料金に関して定期的な検証及び見直しが必要ということを記載してはどうかということで整理しています。
 4つ目の法律上の規定としては、水道事業等の運営に必要な人材の確保及び育成に関する事項ということで基本方針の中で盛り込むことになっています。整理させていただいた中身としては、当然この人材の確保及び育成が不可欠であるとした上で、人材確保及び育成に当たっては、水道事業等を経営する都道府県や市町村が、どういった形で取り組んでいくかということを整理しています。
 次は、5番は、水道事業者等の連携等の推進に関する事項です。いわゆる広域連携について記載しています。広域連携については、整理の仕方として3つの項目を立てています。1つ目が、広域連携の意義で、2番目が広域連携の形態です。様々な事業統合や経営の一体化、管理の一体化など様々な形態があるということに触れた上で、最後に(3)広域連携の推進の所で、広域連携を推進していくに当たっては、どういった考えでやっていくのかということを整理してはどうかということを記載しています。
 6ページになりますけれども、法律上の規定の中では、その他という分類がなされています。6番として、その他水道の基盤強化に関する重要事項です。法律上で規定されている「その他の事項」として大きく4つに整理して提案を御用意させていただいます。1つ目が、官民連携の推進です。官民連携の推進については、1つ目のマルに意義、2つ目のマルとして関係者の役割という大きな2つの項目に沿って、官民連携の推進に当たっての考え方を視点として整理をさせていただいています。
 次に7ページ、水道事業の基盤強化に当たっては連携をしっかり図っていくことが重要だということで、(2)水道関係者間における連携の深化ということで、2つの項目を視点として整理しています。(3)水道事業に関する理解向上です。いわゆる情報発信、広報の周知や、需要者の皆さんに対する情報発信を通じた意識の醸成に努めるなど、そういった内容を視点として整理しています。
 最後に、基盤強化に当たってのまさに基盤になるようなものですけれども、(4)として、技術開発、調査・研究の推進ということで視点を整理させていただいています。技術開発に当たっての基本的な考え方を視点として整理させていただいています。
 限られた時間でしたので、御用意した視点の骨格だけでしたけれども、説明は以上です。
 
○滝沢委員長 御説明ありがとうございました。四角囲みの所が法律に記載された事項でありまして、その中身について皆様から御意見を頂戴したいということです。本日、初回でありまして、皆様の御意見を基に、これから具体化していくということですので、できれば御出席の委員皆さんから御意見を頂戴したく思います。恐らく事前に御発言の内容を考えてきていただいているかと思います。たくさんの委員さんがいらっしゃいますので、お一人当たりの発言時間を区切るのは大変恐縮ですけれども、大体3分以内ぐらいで御意見を頂いて、もし御質問等があれば合わせて御発言いただければと考えておりますけれども、そのような進め方でよろしいですか。では、恐縮ですけれども、五十音順ということで相田委員からお願いします。
 
○相田委員 北海道の相田です。今回、各都府県のほうに、どういったことを基本方針のほうに盛り込むべきなのかというようなアンケートをさせていただきまして、そのアンケートも基に、今回、要望というか意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、基本的事項につきましては、関係者の役割が非常に弱いということもあり、水道事業の基盤強化の主体が水道事業者にあること、これをまず強く明示をしていただきたいという意見がありました。あと、事業基盤の脆弱な中小規模の水道事業者における基盤強化の取組の方向性、これを示す必要があると考えているということで、その辺りもちょっと考えてくださいと。あと、単独での基盤強化が困難な中小規模の水道事業者の在り方についても、その方向性を示していく必要があるのではないかということで、特に本道は中小規模の水道事業者が多いので、なかなか厳しい状況にあるものですから、そういうところの取組の方向性というのを見せていただければと思います。
 あと、都道府県における具体的な役割、これは特に本道は厚労省のほうから水道の権限というのを頂いて、いろいろと水道事業者と密に連携をさせていただいている状況ではあるのですけれども、他県におきましては、厚労権限の水道事業については、余り情報を持っていないということであり、例示しますと今回の胆振東部地震があった際には、北海道においては、一般の大きな水道事業者、特に札幌市とは技術的な連携も非常に密に取れているということもあったわけなのですけれども、これがほかの県ではどうかなというところもあるものですから、都道府県における具体的な役割とか、具体的な取組についてはガイドラインでお示しになるというようなお話も伺いましたけれども、手引き等で丁寧に説明していただきたいということです。
 続きまして、水道施設ですけれども、水道事業者が計画的に水道施設の整備を進めるためには、ある一定レベルのアセットマネジメントの実践が重要であり、不可欠であるということを強調していただきたいということです。このレベルというのは、一定水準以上のアセットマネジメントが要求されるということを事業者に明示的に書いていただければ幸いだなと。特に耐震化に関する目標なども必要だと考えておりますので、水準の設定をする必要があるのではないかというお話がありました。
 先ほどもお話がありましたけれども、国は、耐震化とか台帳整備などについて適切な資産管理の推進に関しては、広域化を前提としたということもさておきですけれども、本道の場合については、以前に市町村合併して小さな町がくっ付いてということもあります。ですので、そのような時、既に一事業者がかなり大きなエリアを広域的に面倒をみているという状況にあり、そういうことを踏まえると、そういう事業者の基盤の強化ということになると、更に広域化をするということになると、ちょっと県の面積を超えるぐらいの広域化が必要になってくるということになるものですから、その辺りの配慮も必要になってくるものと思われます。
 健全な経営の関係はちょっと飛ばさせていただいて、人材確保ですが、水道事業者は必要不可欠な一定の水準の人材・人員の確保に努めるというようなことを明示的に書いていただければよろしいかなと思うのですが、これは一定水準というのが肝になってまいりまして、研修などと言って研鑚を積まれるのもいいのですけれども、何かなかなか人材が集まらないというのが地方の実情であり、その辺りの術が明示的に書かれているということは有り難いと考えているところです。あと、人材支援の在り方というのも方針に盛り込んでいただければ幸いという考えです。
 連携については先ほど言いましたけれども、広域連携でメリットがどうなっているかというのが、実際には現場で働いている水道職員が明示的に分かっていないということがありまして、その辺りのメリットを算出するための手法や指標など、判断基準を明確化していただければ有り難いということです。
 それから、広域連携を進めるための大規模水道事業者とか地域や中核水道事業者の役割については、大体大きな所と中小の事業者が広域連携を組んでいくような形になると思うのですけれども、実際に広域連携の肝になるこれら事業者の役割がどうなっているのか、何かいいことがあるのかというような、そういうインセンティブの提示があれば大変分かりやすいということで、気持ちも動くのではないかというようなお話がありました。それから、広域連携を誘導するための国の財政支援というものも、しっかりと書いていただきたいということです。
 地理的条件などで広域連携のできない水道事業者の在り方についても、先ほども言いましたけれども、そういうこともあるものですから、広域連携できないような水道事業者の在り方についても示していく必要があるのではないでしょうかということです。あとは水道基盤強化計画というのと、地域の水道ビジョンとか広域化推進プランとのすみ分けをしっかりと書いていただければ幸いであると。
 最後になりますが、大臣認可の水道事業者に対する国の関与というのが求められているところであり、この在り方についても考え方を整理して明示していただければ幸いということです。以上、長くなりまして恐縮でございました。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。浅見委員、お願いします。
 
○浅見委員 たくさん挙げていただいたので、一部重なるところはあるかと思うのですけれども、3つお願いさせていただきたいと思います。1つ目は技術者の技術的な基盤を強化していただけるような工夫です。例えば資格など、関連する民間会社の技術力担保、水道事業体の技術力アップはもちろん、そういったことが客観的に、ある程度分かるようなことが必要なのではないかと思います。また、いろいろな契約形態が出てきておりますので、そういったものについての周知というものが1つ目かと思います。
 2番目が、研修や、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、事務的なサポートというのは非常に重要で、特に県や市町村で非常に人が少ない所で、今回、いろいろな広域化等の事務を行っていくことや、広域化の推進と基盤強化の計画を両方考えていかなければいけないというところを、うまくサポートできるようなシステムというのが重要かと思います。
 3番目が特に小規模の水道の現地の調査等をさせていただいているのですけれども、非常に厳しい中で住民の方々が管理したり、水道の定義から外れているような所もあります。今回、法改正のときに給水区域の縮小をしなければならなくなってしまった所というのは、どのように考えていくのかというようなことが、いろいろ議論があったのですけれども、そういったところで、どのようにやっていくのがいいのかということも示していただけると有り難いと思います。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。石井委員、お願いします。
 
○石井委員 基本方針の策定に向けた視点をしっかり明記していただきましたので、非常によく分かります。特に今回の法改正の中で、関係者の役割というのを明記していただき、これは画期的なことで、それぞれの立場で責任をしっかり果たしていくということが非常に重要であると思います。
 2ページの(3)の最後の所ですが、要するにユーザーの責任、やはりこれも避けては通れないし、最終的には利用者である地域住民がしっかり水道の重要性というのを認識する。これらの啓蒙・啓発活動というのは、もう少しどこかに強く出したほうがいいのではないかと思います。ヨーロッパなどではこういう公益事業、公共交通などでは利用者の責任というのを前面に出しています。ですから、余り当たり障りのない所のみですと、やはり利用者の方は断水して初めて水道の有難味が分かるので、そういうことにならないように、しっかり対策をしますということを理解していただきたいということです。そのためには、ここにも書いてあるのですが、しっかり経営に参加しているという「マイ水道」の意識と同時に、そのためには、必要とされるお金はかかりますということを、どこかにもっと明記したほうがいいのではないかと思います。
 それから、適切な資産管理の中で、今回やはり非常に感銘を受けたのは、事業の収支見通しをしっかり作成して、「見える化」を果たすということです。これは極めて重要なことで、やはり地域住民の方、利用者の方も実態が分かれば、それに対して積極的に、自分たちもどうしたらいいのかということを考えるチャンスになります。従って、供給側の視点での法律改正が多いのですが、やはりディマンドサイドというか、需要側の観点というものをもう少ししっかりと基本的な考え方・方針のところに出していただけると、過疎化が進行している条件不利地域の水道の在り方などを考える際に有益ではないかと考えます。
 広域連携のところでもよく言われるのですが、大きい所が小さい所を守ってあげる。これについてはどこでも全国的にいろいろ問題があって、自分の所だって厳しいのに、なぜそういう条件不利地域の所を守るのかという問題意識が常に出てきてしまうのです。そうすると、市町村域という縦割り行政の弊害がますます大きくなってしまいます。それを低くするためには、先ほど来、北海道のケースもありましたが、みんながもっとメリットが出せるような形で、こういう水平的な管理や施設の、要するに統合化、あるいは共同化をする際に、メリットが出せるようなことを具体的に考えていかなければならないと思います。まず第一歩は、とにかく水平の部分で市町村域を超えたようなところの共同化です。統合というのは最高に難しくハードルが高いので、共同化のところでお互いにメリットが出せるようなところを、皆で提案できたらよいと思います。地方では、広域化のスケールメリットと言っても、なかなか難しいので、私はいろいろな場面で申し上げていますが、範囲の経済性という視点から考慮する必要性があるものと考えています。つまり、お互いに水道事業をやっているわけですから、そういうスコープ的な範囲というものをしっかり捉え、相乗効果が発揮できる仕組みを考えなければならないと思います。それから、ネットワークの経済性という、管路でつながっている水道事業の強みを打ち出さなければなりません。そして、施設台帳の整備の中で、IoTやCPSなどのツールも活用して、技術的なところも連携しつつ、ハードとソフトの両面から強靭化を図ることが必要であると思います。そういったところも含めて、各論を是非、2回目以降で議論させていただければと思います。ありがとうございました。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。続きまして浦上委員、お願いします。
 
○浦上委員 私もできるだけ少なく発言したいと思います。まず、4ページの3の2番目のマルになります。この文章なのですが、ちょっとよく私の頭の中になじまないのですけれども、まず1行目で水道料金が低廉であることを前提とうたっておきながら、その後に、将来の更新需要等を考慮した中で、適切な料金設定等と、これは少し矛盾している内容ではないかなと思います。やはり、ここに「低廉であることを前提」と書くと、適切な料金というのは将来と過去の投資から算出されるレベルですので、必ずしも低廉でない可能性もあり得るということを考えれば、ここにまず、低廉であることを前提とうたうということは、かなり安いまま経営を厳しくしていくということにならないかなという懸念があります。
 次に5ページの一番上のマルになります。「長期的な視野に立って、自ら人材の確保及び育成ができる組織となること」と書いてありますけれども、市町村という枠組みでは、水道事業者に人事権がありませんので、私の知る限り、多くの水道に限らず下水道事業体も職員がどんどん減らされています。人材確保は非常に難しいという状況です。そのために今回の水道法改正によって広域連携・官民連携という方向性を示しておりますので、今回、示された方向性と、ここに書かれている内容とが少し矛盾しないかというところが少し問題意識としてあります。
 あともう1つは、7ページから8ページにかけての「調査・研究の推進」という所ですが、技術を提案しているということですけれども、私と石井先生がここに呼ばれているように、やはりマネジメントということが、この21世紀の人口減少社会において非常に重要であるという認識は骨太の方針でもうたわれていますし、先ほど北海道の相田委員からも指摘されましたように、広域化のメリットは何だと、それはどうすれば評価できるのかというところは、やはりこういった技術に関する研究だけでなく、マネジメントに関する研究も積極的に推進していただいて、そこから何らか、インプリケーションなり政策提言的なものが引き出せるのではないかという期待がありますので、そこは是非、御支援いただければと思います。
 すみません、最後にもう一点、骨太の方針に書いてありました簡水の法適用化ということについては今回入っていないのですけれども、これはここには入れないものなのですか。それとも書いていくものなのですか。「簡水を法適用化することが事業の持続可能性を確保する」と骨太の方針にも書いてありましたけれども、今回はここの中には入ってこないのかなということを少し、また御検討いただければと思います。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございました。幾つか質問がありましたが、一通り御意見を頂いて、最後に時間があれば、まとめて御回答いただく形でもよろしいですか。では、メモだけ取っていただきまして、それでは岡部委員、お願いします。
 
○岡部委員 まず1の1番の現状についてですが、水道事業の市場の縮小は、民間でいえば工場が老朽化したり、耐震性がないとか、職員が減っていくというのは、非常事態の状態と認識しております。それらを水道使用者に広く、もっと周知していただきたいという話があります。
 あと、水道事業というのは確かに水道事業体が中心に行われているのですけれども、私たち民間企業も、昔から歴史を振り返ってみると本当に100年ぐらい前からいろいろな役割を演じてきたと思っています。やはり、水道施設の建設に重要な資機材や工事など民間企業の役割といったものも、もう少し書き込んでいただければ有り難いのかなと思っています。
 それと、2番の今回の水道法改正が基盤強化が目的ですけれども、やはり基盤強化というのは、ちょっと漠としているところもありまして、やはりその定義というのですか、基盤強化とは何ぞやとか、できれば重要業務指標などみたいな、何か指標みたいなものがあって、いろいろな施策が、これは基盤強化につながるのか、場合によったら、本当に全てが基盤強化になるとも限らない場合もあると思いますので、そういったところについても整理していただければなと思っております。
 あと、2の1番目ですけれども、強靱化については、やはり重要施設の耐震化、これが最優先だと思いますので、その辺りについて、明記してほしいと思います。
 それから、2の3番の台帳整備に関しましては、これは台帳整備するのが目的ではなく、やはりアセットなどにつながるものだと思いますので、アセットもタイプAからタイプDとか、レベルがありますけれども、台帳整備も一応、3か年という猶予があるみたいですが、やはり最低限のものと、あとは将来目指すべきもの、やはりレベル分けというのが必要なのかなと思います。その辺りも示していただければと思います。実際、先ほどから出ていますが、台帳整備ができていない、5万人以下とか1~2万の事業体というのは、やはり技術職員は本当に1人、2人というオーダーですので、その辺りを実際にやっていくためには、先ほど石井先生のほうからもありましたけれども、やはりシステムを統一していくとか、データ整備の仕様を統一していくとか、委託を共同化していくとか、そういったことが非常に必要だと考えております。
 それから、点検とか維持管理・修繕をやりなさいということですが、私がよく知っている管路に関しては実際には余りやられていないのが現状と思いますので、この辺りを実際にやっていくに当たっては、やはりハンディターミナルとか遠隔監視とか、ICTとかIoTといったものを活用していくことを明記するとか、場合によったら民間も十分に活用していただくような省力化を図らない限りは、これも現実的ではないのかなと思っていますので、その辺りの実施に対する補完的な施策といったものについても明記していただければなと思います。
 あと、計画的な更新については、将来的な事故リスクを低減するというのが一番の目的で、災害対応もありますけれども、コスト的にも計画的に更新していくことが有利なのだと。要するに場当たり的な対応よりも計画的更新がいいのですよということを、仮想評価法などを用いて明確に示す必要があるのではないかと考えています。そういった中の概念としまして、最近は海外でもかなり当たり前になってきていますけれども、やはりライフサイクルコストというものを非常に重視するべきと考えております。
 4の人材の育成と確保ですけれども、これにつきましても水道事業体の職員の方々が現状でも大変ですし、今後とも大変というのは分かりますが、正直、民間もやはり高齢化し、やはり人が少なくなっていく中で技術継承が難しくなっているのが現状です。ですから、今後、広域化とか官民連携を図るためには、官民連携が1つの手段というような形で書かれているのですけれども、実際やはり民間の人材育成を、今、いろいろな各種研修会とか講座とかいっぱいあるのですけれども、主に水道事業体向けが非常に多くて、なかなか民間企業が参加できるものも少なくなっておりますので、今後そういったことを考えますと、民間の人材育成も重要だと、必要だということで、水道事業体の方々のいろいろな経験ノウハウも含めて、勉強させていただければなと思っています。また、それに伴って、もちろんオン・ザ・ジョブでやればいいのですが、なかなかオン・ザ・ジョブが難しいこともありますので、そういった標準的なマニュアルといったものも非常に必要なのかなと考えています。
 これは民間企業かもしれませんけれども、先ほど事業体でもなかなか人が集まらないという話がありましたが、民間企業、それから工事会社などでも人集めでは、特に若い人がなかなか来てくれない現状があります。こういったことを考えますと、やはり水道事業の労働環境の改善というのも、これから必要になるのではないかと思っています。
 それから人材育成の中で、昔、昭和36年ぐらいに、アドバイザー制度みたいなものがあったという話を聞いているのですけれども、これから事業体のOBの方、それから民間企業のOBでも、経験や技術を持っていらっしゃる方がおられますので、そういった方々を、先ほど出ています簡易水道ではないのですが、小さな水道事業体のアドバイザーとして派遣できるような制度、また、そこに何らかの補助金なりが付くような制度、そういったものができてくると、これから中小の事業体も頑張れるのではないかなと思っております。
 あと、5の広域連携については、IT化、先ほどのICT、IoTもそうなのですけれども、そういった省力化というのは非常に大切だと思いますし、2年前の報告書にも書いてあったと思うのですけれども、基本的な方針の中に、ICT、IoTを活用していくということは、広く明記していただき、省力化していかないと絶対できないと思います。そのための1つの大きなツールになると思います。
 それから、最後になりますけれども、6の1番、官民連携については、やはり日本型コンセッションというのが必要だと考えています。破綻するとか、公営に戻るとか、いろいろな話もありますけれども、やはりやるのであれば、日本流のいいコンセッションを作っていくべきで、そのためには、リスク分担のガイドラインとか第三者評価の仕組みといったものも必要ではないかと思います。また、災害対策につきましても、今まで水道一家は協力してやってきましたけれども、仮に、民がコンセッションをやる場合にも、そういった災害対応の一つとして、お互い助けてもらえるような制度といったものも固めていく必要があるのかなと考えています。今後はこの官民連携につきましては、コンセッションも含めて、広い意味ではこれから広がってくると思いますので、民間としては適正な料金設定がなされた魅力的なコンセッションを期待し、いろいろな技術、人材で協力していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 
○滝沢委員長 続きまして、川原委員、お願いします。
 
○川原委員 松江市の上下水道局の川原です。発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。私は3点について意見、一部要望をお願いしたいと思っております。まず1点目は、浦上先生のお話にもありましたけれども、簡易水道の問題です。簡易水道につきましては、福祉水道という位置付けで、長年にわたって国の手厚い支援の下に経営を営んでまいったわけです。厚生労働省の施設設備の更新改築に関わる補助金、そしてなかなか最初から収支が合わないということが前提であって、総務省による、いわゆる高料金対策と申しまして一定の交付税措置を行っていただき、それを前提にして一般会計が繰出金を出していくという形で経営をしてまいりました。平成19年に上水道との統合方針ができたわけで、これが平成28年度末、そして平成31年度末、3年間の延長ということもあったわけです。私ども松江市ですけれども、平成29年度の決算を行ったわけですが、全体の給水収益は42~43億という団体でありますけれどもこの簡易水道を統合したことにより、経常収支が2億3,000万円程度の減になっております。そして、総務省の高料金対策につきましては、統合後5年間が現行どおり、6年目以降がおおむね2割低減してまいりまして11年目からなくなるということになっております。そこを見込みますと、さらに2億4,000~5,000万円程度の減収になっていくという現状にあるわけです。
 そこで簡易水道が全国的にどうなっているかということなのですが、島根県の平成28年度末の時点での簡易水道の比率というものが21%、これが全国で断トツの1位です。15%以上の県が島根県と山梨県、高知県、長崎県といったところで5県ありました。それから10%以上の所が鳥取県、鹿児島県、熊本県、それから10%未満5%以上の県が14道県、そして5%未満の所が全国的に見ますと26都府県、東京、千葉、埼玉が0.1%、大阪は0%、こういった状況になっているわけですけれども、なかなか簡水の問題を全国的な課題として取り上げていただいていないのではないかなという気持ちがするわけです。
 広域化というものも、進めていくわけですけれども、最終的には、この簡水部分というものが広域化の中で取り残されていくのではないかと、私どもは認識いたしております。是非とも、この簡易水道の問題について、基盤強化の立場でお取り上げいただき、更に国の支援というものについても、平成29年度の決算の状況というものを踏まえていただき、従前どおりの厚労省、あるいは総務省の支援というものを頂戴できないかと思っているところです。
 それから2点目、これは岡部委員の御意見にもありましたけれども、やはり重要施設の耐震化、管路の耐震化というものを、選択と集中によって進めていくということが、非常に重要だと思っております。これは災害拠点病院である総合病院、そして震災等を想定いたしますと学校施設等々が挙がると思うわけですが、これにつきましても現状では、4分の1の補助率ということで取り扱っていただいておりまして、補助金の裏の財源につきましては起債を充てるわけですが、交付税措置等はないという現状になっております。全ての管路の耐震化率というものを高めていくということは、なかなか至難の業だと思いますけれども、震災の対策というものが非常に急がれる今日ですので、この重要施設への管路の耐震化というものを、是非、お取り上げいただきたいと、このように思っているところです。
 それから3点目ですが、人材育成の関係です。これは、いわゆる包括業務委託、あるいはPFI、さらにコンセッションという形で、私ども事業体としてもいろいろな選択肢が増えたということで認識・理解をいたしているわけです。ただ一方で、業務の丸投げといいますか、そういった格好になりやすいということがあるわけで、職員のいろいろな業務のノウハウが経年していく中でなくなっていくということがあるわけです。
 もう一方で、技術の継承ということが言われているわけですけれども、やはり継承する技術というものはどういった技術なのか。私どもも事業体の中でいろいろな議論もいたしておりますが、つまるところ、これは危機管理といいますか、防災、災害が起きた場合に、では実際に、どこのバルブを調整して、どこから水の融通をつけて、被災された地区に給水していくことを実現するのかどうなのか、そういった技術、知識、ノウハウ、知見ではないかと思っているわけです。
 少し、この委託なり、PFIというものとの整合も含め、災害の対応につきましては、災害対策基本法により市町村長の責務とされているわけですし、その市町村の一部というものが私ども水道事業体ですので、このことも含めての整理なり、あるいは新たな取組というものを御検討いただきたいと思っております。少し長くなりまして申し訳ございませんでした。
 
○滝沢委員長 続きまして中谷委員から御発言いただきたいと思いますが、少し時間のほうが押してきていますので、具体的な事例につきましては、また次回以降、御発言いただく機会があろうかと思いますので、できましたら、その要点項目だけ、お話いただければと思います。恐縮です。よろしくお願いします。
 
○中谷委員 神奈川県の政策部長の中谷です。では、私から視点につきまして御意見させていただきます。私のいる部局は政策部局ですが、神奈川県は、広域連携につきましては水道法の所管部局ではなく、政策局があえて政策的な観点から取り組んでいるのですけれども、私の目から見ても、なかなかそういう専門部隊を持っていても、広域連携、官民連携の進みは遅いと感じているところです。
 その中で、何が要因なのかということですが、初めは市町村の危機意識の認識不足というところが大きな要因と感じていたのですけれども、いろいろと業務に携わる中で、根本的な要因として考えられるのは、やはりマンパワー不足なのかなと感じています。先ほど浦上委員からもお話がありましたように、神奈川県も小規模の事業体がかなりあるのですけれども、5万人以下の水道事業者は職員10人以下、少ない所は3~4人でやっているような事業体もあり、日々の業務に追われて広域連携や官民連携などが進まないという背景があります。そういった背景から見ると、資料4の1の(1)の所に、水道事業の現状と課題として、「水道事業を担う職員数減少・高齢化(小規模事業者で特に深刻)。」という記載があるのは、いいことなのかなと考えております。
 そこで、そういった現状を踏まえてポイントとなるのは、広域連携を進める上で、やはり都道府県の存在なのかなとも思っています。今回も水道法の改正で都道府県は広域連携、官民連携等の推進役という位置付けがされています。そういう意味で、的を射た改正と思っております。
 私どもは、広域連携をどのように進めているかと言いますと、先ほど言ったように現実的に市町村の職員数が非常に少ない中にあって、やはり都道府県が旗振り役をしていかなければいけないということで、例えばですが、本県には県西地域2市8町というエリアがありますけれども、今年度、検討を重ねて事務の共同化のめどが立ったところです。そのときにどうやったかというと、やはり職員が少ないので、県のほうが共同連携の事務のアンケートを取って、何がやりたいのかというところを聞き取って検討会の場で、今年は水質検査をやるということにしました。
 その後、実際に業者を選定する作業、そして業者から見積書を取る作業、そういったところは全部、県が面倒をみて、3社から見積ってもらったのですけれども、一番安い所の安値を市町村のほうに提供して、自分の現状の価格と見比べて低いと分かって共同事務に手を挙げる、というような作業を進めてまいりました。何が言いたいかといいますと、広域連携を進める上で、そういった事務の共同化を図る上でも、マンパワーが足りないということで、そこまで手取り足取り御膳立てをしないと進まないということです。
 そういった意味で今回の視点ですが、広域連携を進める上で、今回の水道法の改正を一つの弾みとして積極的に取り入れたいと考えています。ただ、そういう立場から見ると、先ほどから何回もお話がありますが、広域連携のところにメリットがなかなか見えてこないように思います。市町村の了解が得られればですが、私どもは特に検討会を法定の協議会に早々に変えていきたいと思っているのですけれども、その協議会に移行したときにどういったメリットがあるとか、計画を作ればどういったメリットがあるのかといったところの観点がちょっと見えないので、是非明らかにしていただけたらと思っています。
 あとは、水道基盤強化計画を、先ほど事務局のほうから、できる規定だけれども、できれば全都道府県に作っていただきたいというお話がありました。いろいろ作業を進めていく中で、かつては水道ビジョン、そして直近では水道広域化推進プラン、そしてその先に、水道基盤強化計画があります。その一方で、総務省から経営戦略の策定も求められておりまして、その辺の役割分担、すみ分けがどうなっているのかというところを明示していただけたらと思っております。私のほうからは以上です。
 
○滝沢委員長 二階堂委員、お願いします。
 
○二階堂委員 私はそれぞれ、委員長からもお話がありましたとおり、重複する課題についてはできるだけ避けまして、基盤強化という総論的部分で言えば、先ほどから説明があるとおり、昨年は自然災害が大変頻発しました。今後も南海トラフ地震ですとか、あるいは首都直下型ということで大規模災害、これに対するリスクが高まっています。したがいまして、こういう観点も含めて、この強化策が立てられるということ、そして災害というものは定量的に判断をして汲み取るというのは非常に難しいといわれていますから、もちろん自治体間の連携ですとか事業体間の連携も重要なのですけれども、この基本方針の中で、いわゆる事業体自らが主体的に事業基盤を作れるように、改めて申し上げたいと思います。
 その上で3つあります。1つはこの間、それぞれ委員の皆様からお話ありましたとおり、広域連携ということですけれども、それぞれお話があったとおりで、私からは、もちろん都道府県における協議会の設置も然りなのですが、いわゆる流域ですとか、あるいは水環境ですとか、水源といったことも含めて、効果的あるいは効率的な広域連携を模索できるような手段も是非、この基本方針の中で検討すべきだと思っています。
 もう1つはコンセッション、官民連携そのものを否定しませんけれども、法案審議の中でも、かなり厳しいやり取りがありました。あるいは報道でも国民からの関心も大変高いという事実もあります。したがいましてコンセッション方式の導入によって基盤が強化されるとは私自身も認識しておりませんけれども、資料2の水道法の一部を改正する法律についての最後の所に、「コンセッション方式導入の許可・申請等に関わるガイドライン」ということで、今後、検討会の開催、あるいはパブコメというような記載がありますけれども、それについては繰り返しになりますが、是非、慎重には慎重を重ねて、かつ災害対策についても、これは国民の命の水に関わる課題ですから、水道事業の社会的使命と役割、そうしたことを踏まえて検討をお願い申し上げたいと思います。
 人材についても、それぞれ委員の皆様からお話がありました。私は特に中小の事業体、確かに人的基盤や、あるいは技術的な基盤が確保できていないというのは事実だと思います。先ほど、新水道ビジョンの話もしましたけれども、実は新水道ビジョンのときにも、この方針は、ほぼ出されております。しかしながら、なかなか実効性がないという中で、恐らく中小の自治体では、特に自治体の首長さんが、人が少ない中で技術者を育成すると、そういう観点が非常に薄い。分かりやすく言うと、市町村部局間の異動が頻繁に行われるということで、実際に人はいるのですけれども、なかなか技術継承や技術基盤が確立されないという事実もありますので、そういう視点で、人材確保、あるいは技術基盤の確立というようなところを対応いただきたいと思います。
 いずれにしましても、この水道事業も私が申し上げるまでもなく、国民の大切な財産ですから、先ほど石井先生からもお話がありましたが、しっかりと報道によって、水道に対する国民の関心が高まっています。幅広く、国民、市民、そして社会と合意形成を図れるように審議、そして基本方針が出されることを強く申し上げたいと思います。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。藤野委員、お願いします。
 
○藤野委員 主婦連合会の藤野です。この度の水道法改正でメディアが取り上げたこともあり、多くの国民、消費者の関心が水道に向いたことは非常に良かったと私は思っております。いろいろ言われていますが、今回の改正が国民、利用者のためだと評価されるものとなるよう願っております。
 その上で1点申し上げたいことは、今回いろいろ言われていますが、民間事業者の参入があろうがなかろうが、水道事業に対して第三者評価や監視が常にあるような、そこに市民も関わって第三者評価ができて、今の自分たちの水道がどうなっているか分かるような、そういう仕組みを是非つくっていただきたいと、そういう方向で進めていただきたいと考えております。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。望月委員、お願いします。
 
○望月委員 手短に、4点述べさせていただければと思っております。まず、資料4の4ページ、3番の上から4つ目のマルに、事業収支の見通しを作成して公表するということを書いています。これは非常に画期的で良いかなと思っておりますが、さらっと収支見通しと書いてあるのですけれども、これはどういうものを出していくのかで随分違ってくるのかなと思いました。ここに書いてありますように、関係者の理解を増進するようにということで、現状の課題的なものを理解できるようなものを含めて出していくのか、あるいは将来的な目標値みたいなものを出していくのか、その目標値みたいなものを出していくと、どうしても良く見せたいというようなところもありまして、ちょっと変なバイアスが掛かるというようなことも懸念されますので、そういったことはないように、きちんとしたものが公表されるようにあるべきです。収支見通しというのはそもそも何なのか、何のために作成して何のために公表しているのかというところを、これはガイドラインとかでの表記になるのかもしれないのですが、明確にしていただきたいということです。
 あとは、やはり開示に当たって分かりやすい内容というのが、前回の委員会のときにも御意見があったかと思いますので、そういった点を盛り込んでいただきたいと思います。
 あとは5ページ、人材確保、人材育成の点ですが、最後から2つ目のマルに、「人材確保及び育成に当たって」ということで、研修の共同実施とか人材の共用化を進めていくということが示されており、それに合わせて、都道府県の役割ですとか、国における支援ということが書いてあります。ここに当然、官民連携というものも有効であると書いていただいているのですが、最後のマルの中にも、官民間の人材交流みたいなものが制度としてきちんと捉えてもらえるような取組なども明示していただけると、業界全体で人材育成・確保をしていくというような目線が入ってくるのではないかと思っております。
 あとは6ページの「その他」の中に、官民連携の推進があります。ここも非常に細かく書いていただいているのですが、②の関係者の役割の中の2つ目のマルに、「水道事業者等は地域の実情を踏まえつつ、水道の基盤強化を図る上で適切な形態を選択すべき」とありますが、適切な形態というのは何なのかということですが、その上に書いてあるような第三者委託とかDBO、PFI、コンセッションというスキームの名称なのですけれども、これはちょっとミスリードしやすい部分かなと思うのです。PFIやコンセッションを入れるためというよりも、そもそも何のための官民連携なのかという目標・目的を明確にした上で、どういう施策が必要なのかを検討し、結果としてどんな手法になるのかという、そういう流れになるべきと思います。
 やはり議論していく中で、だんだんPFIを入れるのか入れないのかとか、コンセッションを入れるのか入れないのかみたいな議論になりやすいのですが、そこは極端に言えば呼び方の問題であって、具体的な官民連携の方法とはどういうものが適切なのかという点に視点をあてていただきたい。そういう意味では、ここの書きぶりを手法ありきのような形でミスリードしないように書いていただければと思っております。
 最後に、IoT、ICT関係の幾つかの御意見がありましたが、これは私もどんどん進めていっていただきたいと思いますし、進めていく必要があるかと思いますが、御指摘ありましたように技術的な部分での先進技術というのもありますけれども、やはり事業全体のマネジメントにおけるITの効果というものをきちんと導入できるように、あるいはそういった目線が入るような記載をしていただくといいのかなと思っております。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。続きまして山口委員、お願いします。
 
○山口委員 2点お伝えさせていただきます。1点目は、2ページの関係者の役割と、それから3ページの適切な資産管理に関わる部分ですが、これから広域連携ですとか長期的視点に立って水道事業を見直していこうというところです。特に広域化して水道事業の基盤を強化するということなのですけれども、それぞれの地域にとっての水道事業の必要性が前提にあると考えます。その際に、これから各地域の状況も大きく変わっていくと考えられますので、各自治体の道路であるとかインフラの整備計画との整合性ということを担保していくということが必要になってくるかと思います。今までの水道事業をダウンサイジングするとか、まちづくりをどのように考えていくかといったようなことと整合的に平行して考えていく必要もあると思いますので、その辺りの整合性を図るということを方針の中でも押さえておく必要があるのではないかと考えます。それが1点目です。
 もう一点が、7ページの水道事業に関する理解向上について、水道事業も今までと同じようにはいかない、大変な状況にあり、これからどうしていきたいのかということを住民・利用者にも考えてもらいたいということです。今までの議論の中でも出てきていますけれども、住民・利用者にとって、水道は蛇口を捻れば出てくるものといいますか、どのように作られて、どのように供給されるかというのが、一般的には余り知られていないのではないかなと思います。最初のマルの所で、必要な情報を需要者に対して広報・周知するとありますけれども、例えば水質で、先ほど基準に関する御説明がありましたが、どんな所で取水されて、それが供給されるのかといったような、食品であれば食品の産地とか中身の表示というのがありますけれども、どんな水なのかということを示すとか、おいしいとか安全であるということを項目に挙げて説明できるような、そういったことを考えていくといいのではないかと思います。
 それから、先ほど浦上委員もおっしゃいましたけれども、広域化は規模の経済性とはいいますが、メリットがなかなか事業体として実感されづらいということもあります。利用者である住民にとっても、どういうサービスがどういう料金で提供されるのかということをよく分かりやすく示していくという意味で、それを評価する参考指標になるようなものなどを開発していただいて、経営改善の努力などを含めて判断し、評価していけるようになればと思います。広域化すると、例えば今の自治体の中では1人しか技術職員がいないのだけれども、広域化することによって人的なネットワークが厚みを増して危機的な状況のときに迅速に対応できるとか、災害対応が適切に行えるといったところも含めたサービスであると思いますので、その辺りを指標として見えるようにし、示していただくことをお考えいただければと思います。以上です。
 
○滝沢委員長 続きまして、吉田委員お願いします。
 
○吉田委員 次回、基本方針案が厚労省から示されるということで、資料4に沿ってお話をさせていただきたいと思います。まず、1ページの水道の基盤の強化に関する基本的事項についてです。(2)の基本的な考え方の3つ目のマルに、「人材の確保及び育成等により、基盤強化を図るための各種取組を推進」と記載されていることは評価するものですが、一方、水道事業に関わる民間事業者、例えば計画、設計、施工、運転管理などに関わる民間事業者についても、人材不足が強く懸念されているところです。こうした中、官民ともに計画的な人材確保が不可欠であり、そのためには、やはり安定的な事業、そして事業量の確保が必要になると考えるところです。事業量の増減が大きい場合、水道事業体はもとより、民間事業者も安定した人材の確保、具体的には雇用や育成が困難であり、ひいては、必要な各種取組を安定的に推進することがおぼつかなくなる可能性があります。こうしたことを含めて、2ページ(3)の国の責務のところには、水道事業者等に対する技術的・財政的援助ということが書かれておりますが、是非とも、方針の中には「持続的かつ安定した技術的・財政的援助」という形で示していただくようお願いします。
 次に、大きな2番です。4点ほど発言させていただきます。1点目は、2ページの(1)の水道の強靱化の記載です。2ページの最後のマルに、要約しますと、「計画やマニュアル、事業継続計画の策定が重要」、また3ページの上段には、「災害に備えて、訓練の実施等、準備が必要」であると、主にソフト施策に注目した強靱化についての記載がなされております。3ページの上から2行目に記載の自家発電設備の整備ももちろん重要な課題ですが、それに加え老朽化した施設や耐震性の劣る施設の計画的かつ着実な更新というハード面の強靱化についても2ページの(1)の項に記載することが必要だと考えます。
 2点目は、3ページの最初のマルで、先ほどもお話がありましたけれども、災害に備え、自らの組織で対応できる準備も必要ということで、これは必要なことだと思います。ただ一方で、災害発生時には、水道事業者等の相互援助の取組が重要な役割や効果を発揮してきた実績もあります。こうしたことも踏まえ、「水道事業者間における相互支援関係の維持が重要」との記載が必要と考えます。
 3点目は、4ページの上から1つ目のマルについてです。「過疎が進行している等、極端に事業効率が低下している地区については、住民の理解を得つつ、地域の実情を考慮した供給のあり方の検討も必要」と書かれておりますが、検討の主体については書かれていません。現在の「水道」の制度を外れた形での水の供給の検討ということになりますので、一義的な検討主体は国、都道府県と捉えています。そのことが分かるよう明示することが必要だと考えます。
 4点目は、これは確認も含めてですが、4ページの上から2つ目のマルについてです。正確かつ効率的な台帳整備は重要で、その電子化は有効な一手法であると認識しております。国においても平成30年度から補助事業化されており、是非とも交付要件等の拡大をしていただきたいと思います。一方で、ここの記述に、「水道施設台帳の電子化と固定資産台帳の相互連動を推奨」という文言が入っております。基本方針に書かれた事項がどのくらいの強制力があるかが分からないのですが、実際に3年間で作り込む台帳を全て固定資産台帳と連動させるのは物理的に難しく、また小さい事業体では紙ベースのほうが効率的ということもあり、記載されたものとは異なる形態となることが想定されます。そうした他の手法でもよいと捉えていますが、そのあたりの確認をさせていただきたいと思います。
 最後に、6ページ以降の「6.その他水道の基盤強化に関する重要事項」について2点。1点目は、「(1)官民連携の推進」のことですが、官民連携において、災害時などの不測の事態への対応は非常に重要であるとともに、この間の議論でも関心の高いところでした。基本方針においても、しっかりと記載することが求められると考えております。例えば、6ページの最終行に、「…具体的かつ確実な対応方策の検討が必要。」という記載がありますが、検討はもちろんのこと、「その方策を実施する体制の確保が必要」などと明記することが必要と考えます。
 最後は、これは表現上の意見です。水道事業には様々な民間事業者が関わっております。7ページ記載の指定給水装置工事事業者はもとより、その他にも配管の新設・更新工事を請負う事業者、運転管理に携わる事業者、水道の資機材・浄水薬品メーカー等々多くおりますので、その辺を包含した形での表現にされたほうがよいと思います。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。渡辺委員、お願いします。
 
○渡辺委員 全管連の渡辺です。6ページの6の所の、その他水道の基盤の強化に関する事項の所で、2点ほどお願いしたいと思います。官民連携の推進の中に、地域の事情に精通した民間事業者との連携を記載していただき、感謝しているところですけれども、更に付け加えていただきたいのは、1点目、中小企業の振興方策として、中小企業庁が認定する官公需適格組合という制度がありますが、これは官公需の受注に関して、熱心でしかも能力のある協同組合を証明する制度であります。水道の業務等の受注に関して、この制度も活用していただくべきであると考えております。
 もう一点目は、7ページに水道関係者間における連携の深化の所で、「指定給水装置工事事業者は、需要者との直接的な接点があり」と、水道事業者等との密接な連携が必要とうたってありますけれども、利用者の信頼を確保するためにも工事事業者の資質の向上、また技能者の研修による技術力向上が必要である。そうしたことから、悪質業者を排除するためにも、指定の取消などと合わせて、優良工事業者、優良工事の表彰など、レベルアップのインセンティブが必要ということも盛り込んでほしいと考えております。
 最後に4ページの4の所に、人材育成のことが記載されておりますが、岡部委員さん、吉田委員さんの意見にもありましたけれども、水道事業体の職員の育成だけでなく、水道に関わる民間事業者のレベルアップも必要であると思います。建設業の各分野では、技術者の継続能力開発、CPDが進められており、水道の分野でも検討すべきではないかと考えております。以上です。
 
○滝沢委員長 ありがとうございました。非常にたくさんの御意見を頂きまして、質問点としては、浦上委員の低廉と適切の表現が合わないという話と、簡易水道はどうするのかという話。それから、吉田委員からは、台帳については電子化等々に限らず、いろいろな他の方法もあるという理解でいいかということですが、もし簡単に御回答いただけるようであれば、御回答願いたいと思いますが。
 
○水野補佐 どうも御指摘ありがとうございます。基本方針に関する様々な記載ぶりの御指摘については、改めて次回に案を提示させていただく際に対応させていただきたいと思います。また、今回の基本方針については、あくまでも告示ということで出させていただきます。先ほどから様々な御指摘を頂いたのですが、必ずしも基本方針に全部入れられるものと、そうでないものとがあろうかと思いますので、その辺りを含めて整理させていただいた上で、次回に御提示させていただきたいと思います。あとは、記載ぶりについては、あくまで基本方針に載ったからといって、全部義務的にやらなければならないようなものではありません。例えば、望ましいとか、こういうことはすべきとか、記載ぶりを工夫することによって、それが義務なのか、全部やらないといけないものではないこと等を明示する形で、しっかり分かるような形にしたいと思います。いずれにしても、今回頂いた御意見を踏まえて次回に案を提示させていただければと思います。
 
○滝沢委員長 どうもありがとうございました。大変時間が限られておりまして、委員の皆様の発言時間をこちらで少し制限させていただきまして大変恐縮でございました。次回以降、改めまして皆様の御意見をお伺いする機会があればと思っております。事務局におかれましては、本日頂いた御意見も踏まえて、基本方針案を作成いただきまして、次回の専門委員会で御提示いただければと思います。
 議題の最後に、その他がございますが、事務局から何かございますか。
 
○林補佐 特にございません。
 
○滝沢委員長 ありがとうございます。それでは、本日の議事は、これにて終了いたします。御協力ありがとうございました。
 
○林補佐 次回の専門委員会は、3月19日の13時30分からとなります。会場が決まりましたら、改めて御案内させていただきます。それでは、これをもちまして、閉会とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
 

                                                                             (以上)

 

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