ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 周産期医療体制のあり方に関する検討会> 第7回 周産期医療体制のあり方に関する検討会(2016年11月17日)




2016年11月17日 第7回 周産期医療体制のあり方に関する検討会

○日時

平成28年11月17日(木) 10:00~12:00


○場所

合同庁舎第5号館 専用第22会議室 (18階)


○議事

 

 

○坂上救急・周産期医療等対策室長 それでは、定刻になりましたので、第7回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の御出欠ですが、飯田構成員が御欠席のため、代理として山脇参考人に出席いただいております。よろしくお願いします。

 また、峯構成員からも御欠席の連絡をいただいております。

 なお、事務局につきましてですけれども、申しわけございませんが、本日は国会対応のため、医政局長を初め、事務局のほうが欠席、遅刻がございますが、御容赦いただければと思います。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元の資料として、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1と2をお配りしております。

 資料1が横紙の「助産所における妊婦への安全確保の方策について」でございまして、資料2が縦紙の「意見の取りまとめ(案)」でございます。

 参考資料は1と2がございまして、参考資料2のほうは「意見の取りまとめ(案)」に関連した、本検討会でもこれまでに使用した関連のデータになりますので、適宜御参照いただければと思います。

 また、前回までの検討会の資料などをファイリングしておりますので、御参考にしていただければと思います。

 それでは、もし報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○坂上救急・周産期医療等対策室長 では、事務局からは以上でございますので、以降の進行は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 皆さん、おはようございます。これから、議事に入ります。

 初めに、資料1の「助産所における妊婦への安全確保の方策について」を事務局から御説明をお願いいたします。

○岩澤看護課長 看護課長でございます。

 それでは、資料1の1枚目をお開きください。

 これは、1950年からの出生場所別の推移を示した図でございます。2015年直近の数字では、一番右にございますように、医療機関、病院、診療所、助産所での分娩がほとんどになり、助産所ではうち約7,000という数字でございます。

 そして、その分娩を取り扱う助産所の数が次のページにございますけれども、約400台ということで、徐々に減少してきている状況にあります。

 それらの中で、助産所が妊産婦に対しての説明について調べたデータが4ページにございます。助産師会では、妊産婦に対して医療安全上留意すべき事項として、妊産婦への口頭、文書での説明を望ましいとしているところですけれども、実際にどのような状況であるのかを助産師会が調べたデータでございます。

 文書の作成や説明について、表にございますように、マル1~6番について、実際の状況を尋ねた結果です。「文書の作成、説明の実施の両方、あるいはいずれかを実施」というのが上の段、次に「文書の作成」と「説明の実施」をそれぞれで見たときにどのようなパーセントなのかでございます。「両方、あるいはいずれかを実施」というのは全項目90%以上実施されているところでございますが、「文書の作成」あるいは「説明の実施」というところで見てまいりますと、赤で囲んでおります「妊娠中に起こりうる異常、合併症について」、そして6番の「医療機関との連携について(転院、搬送の可能性等)」というところでは5070%台というような回答状況でございました。

 そこで「母子の安全性の確保のため、妊婦の状態が急変した場合の適切な対応等について、妊婦への事前の説明が十分に行われるよう徹底することが必要ではないか」と考えているところでございます。

 以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 もう一つ、本日は山本委員から資料を御提出いただいておりますので、それを御説明いただいて、両方につきまして後で御意見などをいただきたいと思います。

 山本委員、よろしくお願いします。

○山本構成員 日本助産師会の山本でございます。

 この「周産期医療体制のあり方に関する検討会」が始まりましてから、周産期医療ネットワーク及び周産期医療協議会へ全国でまだ10カ所、それから協議会のほうは11カ所参加できていない現状があります。妊婦がどこでどのようなお産をしたとしても、妊産婦の安全は確保されなければいけないというもとに、次のページをごらんいただきますと、助産所から高次医療機関への母体・新生児搬送の状況でございます。

 一番最初に書いてありますのは、厚生労働省から出されたものですけれども、嘱託医師と分娩時の異常への対応に万全を期するために定めるものであって、必ず嘱託医を経由しなければいけないという趣旨ではないという文言が出ておりますけれども、実際は嘱託医を通して高次医療機関へ搬送をということがルールとして決められている箇所が数カ所あります。それによって、母児の搬送におくれが生じているという現状がありますので、それを打開するためにも、この協議会ネットワークへの参入は必須であろうと思っております。

 母体搬送状況、それから新生児の搬送状況については、このアンケートに示すものでありまして、限りなく100%に近く安全に搬送されているという状況を構築してまいりたいと思います。

 以上です。

○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。

 それでは、お二方からの御説明をいただきましたので、それについて御意見、御質問をいただきたいと思います。

 どうぞ。

○海野構成員 厚労省のほうからお示しいただきました、助産所における説明の内容の状況に関しましては、ガイドラインにも書いてあることですので、それをさらに充実させていただくということで、とにかくお産される方々が、自分がどういう環境でこれからお産に臨むのかということに関して、しっかり御理解いただいた上で分娩場所も選択していただいてという、そこのところの自己決定権をしっかり確保できるような体制の整備を進めていただきたいと心から思います。

 2点目の山本先生から御指摘いただいたこの資料ですが、これは質問事項を見ますと、上記の通知がこのまま実施されているかどうかということについての、されているかされていないかということで、実際にこれによって適宜適切な病院等に搬送ができているかできていないかということの調査ではないようですね。そうすると、実際にそういう問題が発生しているのかどうかというのがまず問題としてあり得ると思います。

 それから、それが実際にこういう地域のいろいろな御事情でこういうルールをつくっていられるのかなと思いますけれども、その嘱託医師を通じて搬送するというシステムにしているところと直接どう関係しているのかをお示しいただかないと、本当にこのデータで全国的にそういうことが必要になるのかどうかわからないと思うのです。なので、そこはどうなのでしょうか。

○山本構成員 まず、説明の件に関してなのですけれども、皆様のお手元の資料にありますように、文書あるいは口頭で説明ができているのが92%、97%。100%ではないので、できていなかった4名に関しては、このアンケート調査が出まして直ちに対応をとりました。そして、助産師会からも既に電話それから文書等で、口頭説明あるいは文書説明も含め実施するようにということで、助産院の院長より了解を得ているところです。これは助産師会の自助努力で改善はできることですので、100%になるように私たちは実施に向けて今後も努力していきます。

 しかしながら、搬送体制に関しては、助産所からの搬送のおくれと、搬送をスムーズに受けてもらえなかったという全国からの意見が出されている中で、助産師会の自助努力はもちろん当然ながら続けていきますけれども、体制整備の中に助産所からの搬送もスムーズに受けるということを念頭に置いた上で、この「周産期医療体制のあり方に関する検討会」でさらに議論を進めていただければと思っております。そして、実際に数字は正確には出していないのですけれども、搬送を受けてもらえかった、嘱託医を通すようにということで緊急の中でもストップがかかった症例というのは、具体的に症例として各県から挙がっております

○温泉川構成員 よろしいでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○温泉川構成員 済みません。この資料1の2ページにですが、ここで助産所でのお産の数が2015年で6,885となっているのですけれども、これは助産所でのお産ということで、搬送された数というのは。

○山本構成員 違います。搬送の数ではなくて、これは分娩の数です。

○温泉川構成員 いや、分娩の数なのですけれども、搬送された数というのはこれには入っていないのでしょう。

○山本構成員 搬送された数は入っていません。ただ、新生児搬送の場合は分娩数としてここにはカウントされています。生まれてから搬送という場合と。

○温泉川構成員 いや、母体の搬送。

○山本構成員 母体あるいは新生児が、それから母児とも母体の搬送ということが両面ありますので、これは助産所で生まれた数を示しています。

○温泉川構成員 いえ、ですから搬送された数というのはどれくらいなのでしょうか。それは載っていないですよね。

○山本構成員 1.2%(注)程度。

○温泉川構成員 1.2%ですか。ということは70くらいあるということですか。

○山本構成員 はい。それも統計を示したものがあるので。

○温泉川構成員 資料があったのですか。済みません。

○山本構成員 今ここの資料には載っていないですが。

○温泉川構成員 わかりました。では、それくらいの数はあるということなのですね。

○山本構成員 はい、あります。

○温泉川構成員 わかりました。

○海野構成員 その数字は本当に正確ですか。厚労省でデータをお持ちならばお示しいただきたいのですが。うちの病院だけでも年間でもう何件も受けているので、とてもそんな全体で数十件なんてことはあり得ないと思うので、ちょっと御検討をお願いします。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 具体的に出生数のデータはわかるのですけれども、実際にどれぐらいが搬送されて医療機関で出産されたかとか、海野先生がおっしゃられたように、搬送に悪影響が生じたというデータが現在はございませんので、まずそのあたりのデータも含めて調査することは必要なのかなと事務局では考えております。

○山本構成員 済みません。日本助産師会では、助産所で分娩した方のデータをITによって管理しておりまして、IT管理が80%ぐらいできています。手入力の場合は事務局が手入力をしていますので、おおよそ正確な数字が出ていまして、搬送も緊急性のあるもの、非緊急のもの全て出ております。本日は参考資料では出ておりませんけれども、後日提出することは可能です。

○五十嵐座長 一番大事なことは、助産所と病院側の間で本当に連携がとれているかどうかという実態を示すものが必要だと考えます。きょうの段階でもそれが示されておりませんが、これは助産所側から見ると、もう少し病院との連携を深めたいという御要望と理解したいと思います。それでよろしいですか。

○山本構成員 はい。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうぞ。

○岡井構成員 お示しいただいたデータの、実施されていないというのは、上の何を実施されていないのか。まず、ここで言われているのは嘱託医師を介さなくてもいいのだと言っていることが実施されていないという意味ですか。

○山本構成員 いえ、違います。

○岡井構成員 適切に対応されたいという対応ができていないというので実施されていないという意味ですか。

○山本構成員 この参考資料のですね。

○岡井構成員 そうです。実施とは何のことですか。

○山本構成員 この母体搬送、それから新生児搬送もそうなのですけれども、この設問が今回のアンケート調査のときに、上記通知が実施されていると感じますかという設問にしてしまったのが、そもそも私たちの認識が甘かった。実施されていますかと設問すればよかったのですが、実施されていると感じますかという表現にしてしまったがゆえに、これが正確な統計ではないというような受け取り方になってしまったわけなのですけれども、実施されていると感じているかという、本当にこの数字のままでございます。実施されている高次医療機関にすぐに搬送できているということをここに表現しているわけです。この受け取りこのままの表現なのですが。

○岡井構成員 そうすると、問題は80%もある嘱託医師を通じて搬送しなければならないためというのは、この「ならない」というのはどこが決めているのですか。

○山本構成員 県によって違います。

○岡井構成員 県が決めているということですか。

○山本構成員 はい。上に表記してあるのは、厚生労働省から平成19年に通達として出されたものなのですけれども、一部各県によってはルールを決めていて、例えば緊急の胎児心拍の低下があっても嘱託医を通すようにと。一刻を争う状況でも嘱託医を通すようにと指導されることがあって。

○岡井構成員 そうすると、どこが指導するのですか。

○山本構成員 病院がです。

○岡井構成員 病院がですか。

○山本構成員 はい。

○岡井構成員 普通はその県の周産期医療協議会とか、そういう組織で体制というのは考えたりするのだと思うのですけれども、そういうことを言っている病院があるということですね。

○山本構成員 そうです。

○岡井構成員 母体搬送等を受け入れるような立場にある病院がそう言っていると。

○山本構成員 そうです。出血している状況でも嘱託医を通せというのは、同義的に搬送のおくれは否めないわけなので、緊急性のあるものに関しては助産所からの直接搬送を、ぜひともこれは体制として整備をしていただきたいと思っております。

○岡井構成員 それは患者さんのためにはできるだけ搬送できるようにするべきであると思いますが。

○山本構成員 はい、そうです。

○海野構成員 済みません。この問題は別に今回初めて出てきた話ではなくて、これまでも各県、それぞれの地域でもそういう議論をずっと積み上げていてきていて、その中でそれぞれの県の状況がこうであるというのが、今回の助産師会でお示しいただいたデータだと思うのです。その中で、それぞれの地域の御事情がいろいろあるわけです。

 ですから、それをこれからこの地域でまた検討して進めていただくという流れなのではないかなと思うのですが。

○山本構成員 この件に関しては、助産所からの緊急性のあるものの直接搬送をぜひともお願いしたい。嘱託医と嘱託医療機関という法的な縛りがあるもので、どうしても嘱託医を一度通しなさいとかたくなに言われる先生方も多いものですから、緊急性のあるものでもワンクッションを置いて、それから高次医療機関にというような場合があるので、ぜひとも助産所から直接高次医療に搬送できるような流れをつくっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 岡井先生、よろしいですか。

 これは、こういうことがあるということを地域の医師会なり御連絡しておくということでしょうか。

○岡井構成員 そうですね。改まって地域の周産期医療協議会でしっかりディスカッションして、やり方を決めてもらうことだと思います。

○五十嵐座長 そうですね。こういう実態があるということを御理解いただきたいという程度でよろしいですか。

○山本構成員 はい。

○岡井構成員 医政局では、もうそのことは通知を出しているわけですね。

○五十嵐座長 そうですね。ありがとうございます。情報の共有化ということができたと思います。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、山本委員の御意見につきましては、こちらで考えさせていただいて、医師会なりに御連絡するというようなことも含めて対応したいと考えております。

 では、次の議題に移りたいと思います。

 資料2「意見の取りまとめ(案)」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 それでは、資料2をごらんいただければと思います。「周産期医療体制のあり方に関する検討会 意見の取りまとめ(案)」という資料になります。

 昨年の8月から、6回にわたり議論をいただきまして、その議論の中で先生方の意見をさまざま頂戴しまして、おおむね合意が得られているという形のものを事務局のほうで整理されたものになりますので、説明させていただきます。

 まず「1 はじめに」ということで、これまでの検討の経緯等を示させております。やはり周産期医療というものが、国民が安心して出産に臨める医療環境の整備に向けて非常に重要なものであるということで、さまざまな議論がなされてきたということを記載しておりまして、中ほどになりますけれども、平成22年に「周産期医療体制整備指針」が取りまとめられまして、これを発出して周産期医療の整備を進めてきたというような経緯を書いております。

 一方で、近年、医師の不足ですとか、災害への対応等々さまざまな課題が生じましたので、昨年よりこの検討会で御議論いただいたという内容にさせていただいております。

 2ページ目になりますけれども、「2 医師不足等に対応した地域における周産期医療の確保について」ということで項目を設けております。(1)で「現状と課題」ということで、(2)で「必要と考えられる対応等」についてまとめております。

 まず「(1)現状と課題」でございますが、やはり医師の不足ですとか、助産師の不足等を指摘されたところでございます。また、3番目としまして、全体の出生数は減少傾向にあるものの、ハイリスク分娩等の高度な診療体制を必要とされるような事例がふえているということを記載しております。

 また、全体の半数近くの分娩が診療所で行われておりますので、診療所の果たす役割は大きいという意見をいただきましたので、記載しております。

 「(2)必要と考えられる対応等」ですけれども、まず地域における継続的な診療体制の確保ということで、地域の分娩を取り扱う診療所の新設等を支援するために、財政的な支援が必要ではないかということで記載しております。

 また、NICUの長期入院児が小児在宅医療へ移行するような支援も必要ということで記載しております。

 ハイリスク分娩を扱う医療機関については、重点化・集約化が必要ではないかということで記載しております。

 3ページ目になりますけれども、近年、周産期にかかわる医師の間では女性医師がふえておりますので、そういったものも踏まえまして多様な勤務形態の導入が必要ではないかということで記載しております。

 また、医師以外の他職種の活用ということで、ローリスク分娩に対する院内助産の活用ですとか、そういったものを推進していく必要があるのではないかということを記載しております。あわせて住民への更なる普及啓発が必要ではないかということを記載しております。

 続きまして、「3 周産期に係る医療圏の設定と広域搬送の充実等について」ということで、内容を記載しております。

 まず「(1)現状と課題」でございますけれども、近年、分娩施設の減少に伴いまして施設のアクセスの悪化が懸念されているということと、周産期の救急搬送は近年、横ばい状になっておりますけれども、その理由としましては、空床不足ですとか医師不足が挙げられている。

 妊産婦死亡率は近年、分娩10万当たり4前後で推移しておりますけれども、さらなる改善の余地が期待できるのではないか。

NICU等の全国的な整備が進んできた一方で、新生児医療を担当する医師等の負担が増加しているというような意見をいただきましたので記載しております。また、NICUですとかMFICUの配置医師数の目安は、これまで設定がなされていないというような現状を記載しております。

 4ページ目になりますけれども、「(2)必要と考えられる対応等」ということですが、周産期医療に係る医療圏の設定が必要ではないか。その際「出生数、地理的状況、周産期医療を提供する医療施設の数と規模、カバーエリア」等を考慮して医療圏は設定することが必要ではないか。あわせて、都道府県はアクセスの確保を図る必要があるということと、広域搬送、やはり近年、都道府県ですとか医療圏の境界を越えて搬送する事例も見られますので、広域搬送の充実と、平時からの近隣都道府県との連携が必要ではないかということを記載しております。

NICUおよびMFICUの整備についてですけれども、さらに周産期医療体制の整備を進めるために、配置医師数の目安等を設けてはどうかという意見もございましたが、近年の医師の不足の状況とかを考えますと、時期尚早ではないかという意見もありましたので、引き続き地域における新生児担当医師の確保を含めて、関係者で継続的に検討していく必要があるだろうということで記載をしております。

 4番目としまして「合併症を有する妊産婦への対応について」ということでまとめております。

 「(1)現状と課題」でございますが、重篤な合併症の妊産婦は一定程度存在しておりまして、身体合併症に対応する診療体制は、比較的整備が進んできているところなのですけれども、精神疾患を合併する妊産婦への対応がまだ十分検討されていないというような課題が指摘されたところでございます。

 それを踏まえまして5ページですけれども、「(2)必要と考えられる対応等」としまして、総合周産期母子医療センターにおいては、精神疾患を合併した妊産婦への対応ができるよう、近隣の医療機関と連携を含めた体制整備が必要ではないかという御指摘をいただいたところでございます。

 次に「5 災害時の周産期医療体制について」ということでまとめております。

 まず「(1)現状と課題」ですけれども、東日本大震災以降、周産期分野においても災害対応の課題が指摘されているところでございます。それを踏まえまして、学会を中心としていろいろな体制を整備していただいていたところなのですけれども、平成28年、ことしの4月に起きました熊本地震におきましては、平時から訓練等を行っていただいていたおかげでスムーズな患者搬送等、有効に活動していただいた。

 また、災害対策本部においても、周産期関係の連携の調整などをいただいた人材を活用していただいたというような実績もあることを御意見としていただいたところでございます。

 これを踏まえて「(2)必要と考えられる対応等」ということでございまして、まずは災害時を見据えて平時から情報伝達の方法を含めて、あらかじめ都道府県内、また近隣都道府県含めて、事前に情報伝達の方法を定めておく必要があるのではないかということで記載させていただいております。

 2番目としまして、小児・周産期医療に関する情報収集、関係機関との調整等を行います「災害時小児周産期リエゾン」の養成を進めることが必要ではないかということで記載させております。

 6ページ目でございますが、医療機関としましても災害に備えた体制の確保は必要ではないかということでございまして、地域の核となる周産期母子医療センターにつきましては、今、御説明しましたリエゾン等とも連携して、訓練ですとか体制の確保は必要である。

 また、地域におきましては、いわゆる分娩を取り扱う一次施設も含めて、地域全体で災害時の対応を図る必要があるのではないかということで記載させていただいております。

 続いて「6 『周産期医療体制整備指針』と『医療計画』の一体化について」ということでまとめております。

 まず「(1)現状と課題」でございますが、これまで冒頭御説明しましたとおり、平成22年に「周産期医療体制整備指針」が策定されまして、それをもとに周産期医療体制の整備は進められてきたという経緯がございます。一方で、近年は救急医療ですとか災害医療、今、御説明したとおりなのですけれども、これらのほかの関連事業と連携して取り組みを進める必要がありますことから、周産期単独の計画をつくることが困難となってきているという現状を指摘させていただいております。

 「(2)必要と考えられる対応等」ということで、周産期医療の体制整備をさらに進めるために「医療計画」に一体化して進めることが必要ではないかということを記載しております。その際には、これまで周産期医療にかかわる役割を担っていただきました「周産期医療協議会」を引き続きその機能が維持されるようにしっかりと位置づけることで、医療計画に一体化した上でも、周産期医療の取り組みが脆弱化しないように取り組みを進めることが必要ではないかと御意見をいただきましたので、記載しております。

 7ページでございますが、「7 助産所における安全確保の方策等について」ということでございまして「(1)現状と課題」でございますが、1つ目の議題として御議論いただきました、助産所での説明等について記載させていただいております。

 2つ目ですけれども、これも前々回の検討会で御議論いただきました。入所施設を有する助産所につきましては、分娩室を設けることがその要件となっておりますが、近年、助産所において分娩を取り扱わない産後ケア等のニーズがふえてきているというような状況でございます。

 これを踏まえまして「(2)必要と考えられる対応等」でございますけれども、まず助産所において妊婦への事前の説明を十分に行われるように徹底することが必要ではないか。2つ目としまして、分娩を取り扱わない助産所については、分娩室の設置を要求しないこととして、今後、多様なニーズに対応できるようにするべきではないかというような御意見をいただきましたので、まとめさせていただいております。

 「8 おわりに」ということで最後になりますけれども、これまでの議論の経過と、周産期医療体制を今後より一層強化しなければならないということで、救急医療、災害医療、精神医療等々連携して、しっかりとして進める。また、医療計画に一体化した上で、さらなる取り組みを進めることを求めるという御意見もいただきましたので、最後はそういった形でまとめさせていただいております。

 事務局にからは以上になります。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、この「意見の取りまとめ(案)」につきまして、皆様から御意見をいただきたいと思います。

 どうぞ。

○田村構成員 新生児部門から田村が少し意見を述べさせていただきます。

 非常によくおまとめいただきまして、ほぼ我々がいろいろ主張していたことは、この中に語られていると思うのですけれども、基本的に周産期医療の特殊性に配慮して、周産期医療協議会を基本的には続けるということが書かれているのは有り難いと思います。それと同時に、私は何度かここでも申し上げておるのですが、搬送と災害時の対策というようなことを考えると、今の都道府県単位の周産期医療協議会だけではきちんとした連携ができる保障がないものですから、広域周産期医療協議会を、先ほどの災害のところもそうでございますし、搬送のところもそうでございますけれども、そういったことを各関連都道府県が一堂に会して協議するための広域周産期医療協議会を検討すべきだということを、できれば国の立場から言っていただきたいと思います。我々もそれぞれの都道府県に働きかけやすくなりますので、できれば「広域周産期医療協議会ということについて、各都道府県が検討する。検討する項目としては、広域搬送と災害対策というのが一つの柱になる。」といった言葉を入れていただくと、よりこういったことが都道府県の連携を実現しやすくなるのではないかと思いますので、できればそういう文面もつけ加えていただければと思います。

○五十嵐座長 いかがでしょうか。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。

 先生の御意見、検討会で何度も御指摘いただきまして、非常に重要な案件として受けとめているところでございます。それを踏まえまして、搬送のところにも、4ページ目に近隣都道府県としっかり調整を行うことは必要というのを書かせていただいておりますし、災害時のところも、5ページ目の下のほうに、近隣都道府県を調整するというようなことも必要だと書かせていただいております。

 ただ、広域の協議会となりますと、どういった形でどこまでの県を含めるとか、ブロック単位でやるのか、それが今後、議論が必要かなということを考えておりますので、現時点ではやはり近隣でしっかり連携するというような形で取りまとめさせていただいているというような現状でございます。先生の御指摘は非常に重要という認識はしておりますので、今後詳細を詰めていく上でしっかりと考えていきたいと思っております。

○田村構成員 よろしくお願いいたします。

○海野構成員 よろしいでしょうか。

 その件に関してなのですけれども、この4ページの広域搬送の充実と近隣都道府県との連携の最初のパラグラフの最後のところで、「近隣都道府県との調整を行う」という書きぶりです。これはどうしてもそれぞれの県の行政担当者が調整すると読めると思うのです。ですから、田村先生が恐らくおっしゃっているのは、それぞれの地域の周産期医療関係者も参加しているのが周産期医療協議会であるので、そこのそれぞれの実情を交換しないと、なかなか本当の調整というのが難しいのではないか。その辺のところをより効率的、実質的に行うためには、広域の協議会のような会議大綱の設置も検討すべきなのではないかということだと思うのです。

 ですから、それもやれという話ではなくても、広域の機能の協議をすることも含めてみたいな形の文言を入れていただけたら、少しそれぞれの県での対応がやりやすくなるかもしれないと思いますが、いかがでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 ここで先生方の御同意が得られれば、そういった行政だけではなくて関係者の意見も踏まえて連携を進めるというような文言を入れさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。

○五十嵐座長 いかがですか。よろしいですね。

 では、4ページの(2)の2つ目ののところの、行政と医療関係者が一体となったというような、そういう協議会を文言として入れてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 「広域周産期医療協議会」という言葉にしなくてもよろしいですか。

○田村構成員 調整の中に周産期医療関係者が必ず入るということが保障されていれば、必ずしもそういう言葉には私は固執はいたしません。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○温泉川構成員 済みません。私はこれは2回目くらいなので余りわからないのですが、3ページの2つ目ののところですけれども、「医師の負担軽減や助産師の効果的な活用の観点から」というところがありまして、一番下のほうに「また、専門性の高い看護師や臨床心理」というふうにあります。この「専門性の高い看護師」というところで、産婦人科以外のおかしな話を持ち出すのは何なのですか。日母産科学院というのがありまして、看護師の内診問題で一遍にだめになったのですが、そういう看護師をまた養成しようということなのでしょうか。岩澤課長さんでしょうか。

○岩澤課長 ここはそういう意味ではなくて、既に看護師の資格を持っている者の中で、より専門性を高める周産期領域についてということです。

○温泉川構成員 岡井先生、あれは日母産科看護学院でしたよね。私もこれは県単位の分でやっていたのですけれども、私も授業に行っていました。それはそれできちっとした、看護師さんに対しての教育だったのです。だから、そういうことをまた再度始めようということなのでしょうか。もうかなりあれも崩壊してしまっているのですが。

○岡井構成員 日母は昔言っていた産科看護師とは全然別の話だと思いますよ。

○温泉川構成員 これはまた別の話なのですか。

○岡井構成員 全然別の話です。

○温泉川構成員 でも専門性の高い看護師を3人といったら。

○岡井構成員 看護師の中で、さらに何か専門性のある人を、例えば今、精神科の連携の話もありましたけれども、周産期のメンタルヘルスのケアをすることに対して、それなりの研修を積んだり、勉強した人に専門性の高い看護師として活動してもらっています。

 看護師という資格は持っていて、その上にということです。産科看護師というのは、看護師さんの基本的な資格ではなくて、産科だけなのです。

○温泉川構成員 いえ、そうなのですけれども、あれはただの普通の人に対してできたわけではないですから。産科に勤めている看護師さんに対してです。先生が言われているのは准看という意味ですか。

○岡井構成員 いや、知らないです。昔、産科看護師と言っていたのはちょっと特別でしたよね。

○温泉川構成員 特別なのです。

 どうぞ。こういうのは私が言ってはいけませんね。済みません。

○福井構成員 看護協会の福井でございます。

 ここで言われている専門性の高い看護師というのは、精神看護の専門看護師の資格を持っています。

○温泉川構成員 専門なのですか。「医師の負担軽減や」とか「助産師の」と書いてあるから、ここは他職種の活用というのはお産に対することではないのですか。

○福井構成員 お産にまつわる周辺の妊産婦さんの心身、それから社会支援が必要な特定妊婦さん、そういう方たちへの介入を看護職が担っていく、他職種が担っていくという意味合いではないでしょうか。

○温泉川構成員 でも、書き方が分娩取扱のスキルアップ等を図るシステムの推進の取り組みが必要である。また、専門性の高い看護師と並んだら、決してこれが精神的なものへのという感じにはとれないのです。

○福井構成員 そうですね。少し言葉を補っていただけたらよいのでしょうか。精神看護の専門看護師とか、母性看護の専門看護師、看護師の資格を持っていて、大学院で教育を受けた看護職がいるので、そういう方たちの活用というふうに看護協会としては理解しておりました。

○海野構成員 私の理解は、ここは全体の医師不足もあって、その中での仕事の分担とか、医師のサポートだのということがあるわけですから、これは助産師のクリニカルラダー、レベル3の話ですとか、あるいはそれこそ母性看護専門看護師ですとか、新生児集中治療認定看護師ですとか、そういうような専門性の高い看護師がほかにもいろいろな分野での養成が行われていると思いますけれども、そういう人たちをさらに活用していくという必要性が指摘されているのではないかと思います。

○温泉川構成員 では、それは認定看護師という意味なのでしょうか。ただ専門性の高い看護師というところで、私がきょう2回目なのでわからないのですが、誰にもわかる表現を。

○五十嵐座長 では、事務局から。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 ここの文章の趣旨ですけれども、今、看護課長に発言していただいたように、岡井先生、海野先生から補足していただいたとおり、新たに何か職種をつくるというわけではなくて、周産期の分野が例えばの話でメンタルヘルス部分ですとか、NICU部分ですとか、さまざまな分野で多様化しておりますので、そういう部分に対応ができるような専門性のスキルアップという面で「専門性の高い看護師」というような記載をさせていただいておりますが、わかりにくいようであれば書き分けるなどして工夫してみたいと思います。

○五十嵐座長 よろしいですか。

 例えば、周産期医療全般とかそういうことですね。非常に広い概念と御理解いただいて、先生がおっしゃったような、内診をもう一回させるとか、そういうようなことはこの委員会では今まで議論は出ていませんでした。

 どうぞ。

○海野構成員 4ページの周産期に係る医療圏の設定のところですが、この間も御指摘をした気がするのですけれども、「現行の二次医療圏を原則としつつ」という文言ですが、二次医療圏にいろいろな医療が展開されている中で、二次医療圏で一くくりにして物事を進めることで、いろいろな限界がそれぞれの領域で出ているのが現実かと思います。

 周産期の中では、どちらかというとかなり限定された地域を除けば、二次医療圏ではなかなか完結できなくて、少し広域の医療圏を設定したほうがいいのではないかというニュアンスが含まれていると議論してきたつもりなのですけれども、そういうことを考えますと、この文言には二次医療圏は国で決めていることなのでしようがないのかもしれないですけれども、現行の二次医療圏を原則としつつも、いろいろなカバーエリアなどの地域の実情を考慮した医療圏を設けることが必要というような感じで、要はこの文章をそのまま読むと、二次医療圏が原則なのだったら二次医療圏ごとに考えると受けとめてしまう可能性があると思って、それはここでの議論とは少し違うのではないかと思いますので、その辺を少し書きぶりを御検討いただけるとありがたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 4ページ目に「周産期医療に係る医療圏」という言葉があります。先生が今おっしゃったことは、ここにより広域な医療圏を設けることが必要であるという内容でよろしいですか。

○海野構成員 はい。二次医療圏もいろいろありまして、名古屋とか物すごく巨大な二次医療圏があったりするので、より広域かどうかはちょっと微妙なのですが、その地域の実情を反映したというところが非常に重要で、特にアクセスの議論がございましたよね。そのアクセスに関することも含めて、ここで考えなければならないと思いますので、そこは御検討いただければと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 今いただいた御意見ですけれども、海野先生からこの検討会の中で何度も御指摘いただいていますので、ちょっと表現を工夫してみたいと思います。

 ただ、この二次医療圏の話なのですけれども、周産期の計画も今後、同意が得られれば医療計画の中に一体化するという方向になっておりますが、医療計画の検討会のほうでもそもそも二次医療圏の設定が適切でないのではないかという議論もされておりますし、それに伴いまして、二次医療圏を適切に見直すことが必要だろうという議論もされております。また、医療計画の中にあります5疾病・5事業ごとにそれぞれ単独化して医療圏を求めることも可能であるというような議論もされておりますので、そういった中で周産期も適切に地域の中で実情を反映して医療圏を設定されるような方向にしたいと思いますので、そういった中で先生が御指摘いただいている内容は反映できるのかなと考えております。

 以上です。

○五十嵐座長 どうぞ。

○岡井構成員 別件のことでもよろしいですか。

○五十嵐座長 はい。

○岡井構成員 まず、最初にある、医師不足等に対応したという話で、「(1)現状と課題」のところでは「産科・産婦人科を専攻する医師が減少していること」「小児科医師でも新生児医療を専攻する医師が少ないこと」、それから地域の偏在があるということを書かれていて、対応のところはそれを前提とした中でどのようにやっていくかというようなことに話は絞られているのです。でも、偏在だとか医師不足に対して、これは医政局だから私らは関係ありませんよという感じがするので、診療体制を考える上ではまず足らない人材をふやすということにも何らかの働きかけというか、力を出していくような姿勢を書いていただきたいというのが私の希望です。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 先生が御指摘の点は、重々重要な課題として認識しております。ただ、全体の数をふやすとかそういう話になりますと、また大きな話にもなりますし、今の医政局のほうで別に「医師需給に関する検討会」とか、そちらでも議論されておりますので、そちらの議論も見ながらということにはなるのですけれども、そういったものがありますので、まずは周産期の分野でできるような対策ということで、今まで御議論いただいた中の意見をまとめさせていただいていることですので、御理解いただければと思うのです。

○五十嵐座長 どうぞ。

○海野構成員 たびたび申しわけないですけれども、産科の医者の問題もあるのですが、この周産期の分野で今、本当に深刻なのは新生児科医の数の問題だと思います。

 私は周産期・新生児医学会でその周産期専門医の養成ということにもかかわっておるのですけれども、周産期の新生児領域での周産期専門医の研修を開始する医師がすごく減っているという状況になっていまして、現状もすごく少ないのですけれども、それを今後、現状を確保できる状況というのが、今はめどが立っていないのが正直な状況であります。それは学会の問題でもあると思いますし、この検討会とはちょっと違うかもしれないのですが、4ページのNICUおよびMFICUの整備のところで、最後に「地域における新生児担当の医師の確保を含めて、関係者による継続的な検討が必要である」という文なのですが、この「関係者」というのが何を指しているのかが不明確だと思うのです。都道府県の立場になるとこれはせっぱ詰まった問題で、実際にNICUを維持できる、病床を維持できるかとか、どちらにしても現場は過重労働の問題を抱えておりますので、そういう問題をそのまま放置していいのかということになります。

 ですから、そういう意味でこの「関係者」というのは、都道府県が主体的にこれを進めてくださいということなのか、それとも国、学会、その他のところでもっと大まかな話なのかということで、大分意味合いが違うと思うのです。ですので、できれば今後、この検討会としては地域が本当に困っているのですというお話だったと思うので、そこは都道府県で具体的な検討というか、具体策がなかなかここでも出せなくて、はっきりした話が出ていないかもしれないですけれども、検討をお願いするような文言にしていただいたほうがよろしいかと私は感じております。

○五十嵐座長 そうすると、これは「関係者」の前に都道府県あるいは学会とか、そういう固有名詞を出すということですか。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 御指摘ありがとうございます。先生が御指摘の点は、非常に重要な課題と考えております。

 ここの「関係者」なのですけれども、いろいろな立場の方が入っていただくことは重要という意味で書かせていただいておりまして、もちろん先ほど申しましたとおり、国のほうでも検討は進めておりますし、学会ですとか委員会を初め、医療関係の先生方の御尽力なくしてはなし得ないものだと思いますし、一方で提供主体であります地方自治体である都道府県の御協力も必要だと思いますので、さまざまな関係者という意味でこれは書かせていただいているのですけれども、もうちょっと明確になるような工夫はさせていただこうかなと考えております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○鶴田構成員 この検討会は、厚生労働省が課題だと思ったことに対する意見をまとめたから、この形になっていると思います。周産期医療をめぐる状況とか、全体の記載がないものだからいろいろな議論が出ていると思います。ある程度、周産期医療をめぐるいろいろな課題を、2の医師不足等に対応した地域における周産期医療の確保についての前にあったほうがいいのかなと思います。

 1点だけ言うと、医師不足や偏在には「等の複数の要因が関連している」とありますが、例えば国民のいろいろな医療をめぐる考え方は「等」があるから、書いてあるのかどうかよくわかりませんけれども、それがあることを前提に3ページの住民への更なる普及啓発が書かれているのでしょうか。現状をどう認識して、医師不足が起きているのか。ここに記載されているのは医師の立場からの記載だけで、周産期医療に携わる人がなぜ少ないのかについて国民のいろいろな視点(受診の仕方、訴訟が多い等)が書いていないけれども、そうした視点が3ページの住民への更なる普及啓発につながるのかなという気もしますが如何ですか。

 公衆衛生的には、医療の川上論とか川下論とか言います。どちらかというと周産期医療の新生児の部分は、ある意味川下の議論かもしれない。川上で、例えば出産の適切な時期とか出産の過程とか、そのあたりの普及啓発活動をしないと、高齢者出産でいろいろな未熟児とか障害児がたくさん出てくるようなこともあるので、これらを全く無視して川下論の議論をしても、周産期医療の全体はよくならないだろうと思います。3ページの住民への更なる普及啓発は、どちらかというと川上論的な観点からの普及啓発が必要かなと思います。

 とりあえずは、その点だけ。

○五十嵐座長 具体的に伺いますが、どのように文章等を変更したほうがいいということでしょうか。

○鶴田構成員 この検討会でテーマとして議論していないので書きにくいと思うのですが、「2 医師不足等に対応した地域における周産期医療の確保について」の前に、周産期医療をめぐる状況、どういう理由で医師不足が起こっているかについては記載された以外の理由があって、そこに対する国民への普及啓発の問題とかがあってもいいのかなと思います。ただ、3ページに住民への更なる普及啓発が、理由が前に書いていなくて唐突に出てきている。

 その他の所でもいいのですけれども、そういうものを課題として列記するかです。例えば、周産期医療をめぐる状況の中には、周産期医療と児童虐待の問題とか、いろいろと課題があるので、連携してそういうものを今後の課題として列記するかです。今の周産期医療、ここで協議した内容は、厚労省が課題だと思っている分野だけを議論したので、こういう形かなと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 そういう意味で周産期を取り巻く環境というか、国民の関心も高いという状況も踏まえまして、「1 はじめに」というところでそういった内容を一応まとめているつもりでございます。この「1 はじめに」にも今までこの検討会でさまざまな観点からの周産期医療は重要だというような御指摘をいただきましたので、そういったものは「1 はじめに」としてまとめておりますので、これよりさらにというような御指摘でしょうか。

○鶴田構成員 「1 はじめに」のところに、例えば医師不足の原因となっている「何故、医師が産婦人科に行かないのか」「周産期医療分野に医師が行かないのか」。そこの記載は報告書にないですよね。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 それでしたら、2の「(1)現状と課題」のところにもう少し背景というものを追加したほうがいいというような御指摘という認識でよろしいでしょうか。

○鶴田構成員 文章全体の整合性から見て、書く場所はお任せします。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 それでは、委員の先生方の御了解を得られましたら、そういった形で書きぶりは工夫してみたいと思います。

○五十嵐座長 なかなか書きにくいことが多いのではないかとも思いますが。

 どうぞ。

○阿真構成員 普及啓発のところで私からもお伝えしたいのですけれども、確かにこの2番の(2)の最後の○が適切かどうかというのは、ちょっと私も疑問に思うところであるのですが、もう一つ「住民の理解を進め、適切な受診行動をとってもらうための普及啓発をより進めることが必要」というのは本当に必要だと思うのですけれども、これはどこがやるかということが明確にはなっていないので、いつも大体このように「普及啓発は必要である」と書いてくださるのですけれども、どこがやるかということがないと、なかなかちゃんと実施してくれているという状況にはなっていないと思うのですが、病院がやることなのか、自治体の両親学級とかで、母子保健の中でやることなのか。どこが実際にやるかということを入れていただきたいと思います。

 特に、妊婦さんとその家族にきちんと届けるというこの周産期の医療提供体制について、きちんと伝えている場所は今、現状ゼロだと思うので、時々やっている場所があるとは思いますけれども全体的に見たらすごく少ないと思うので、それでその内容をきちんと含めると意識を持っていってもらうためには、どこがやるということは明記していただきたいなと思います。

○五十嵐座長 阿真構成員としては、どこがやるべきだと考えていますか。

○阿真構成員 いつもしつこく言ってばかりで済みませんけれども、私は自治体の両親学級で、どこでもほとんどの自治体で両親学級、母親学級はやっていますので、そこでプログラムの中の大体4日とか5日とか集めて、親御さんは赤ちゃんの沐浴とかを習うのですけれども、その中の本当に30分とか20分でもいいので、こういう医療の話とか病気の話とか、そういうことを少しでもいいので盛り込んでと願っております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○山本構成員 助産師会の山本です。

 7ページの「7 助産所における安全確保の方策等について」のところで。

○五十嵐座長 ちょっと待ってください。今の阿真構成員のこととは関係ないですよね。

○山本構成員 済みません。関係ないです。

○五十嵐座長 では、先にこれを対応したいと思いますが、事務局はどうですか。これはそうすると「都道府県」と書くべきですか。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 「市町村」。

○五十嵐座長 「市町村」ですね。では、そういうことでよろしいですか。

○鶴田構成員 いいですか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○鶴田構成員 「適切な受診行動」というのはいろいろなとり方があると思います。今、各地域においては機能分化とか言っているので、機能分化を踏まえた適切な受診のことなのか。例えば小児科におけるコンビニ受診とかそういうことを言っているのかですか。産婦人科は余りコンビニ受診はないような気もするのでもう少し具体的な普及啓発活動の中身を書いたほうがわかりやすいのかもしれません。

○五十嵐座長 では、これも事務局として考えていただくということでよろしいですか。

○鶴田構成員 はい。

○五十嵐座長 では、これについてはよろしいですね。

○海野構成員 ちょっといいですか。

○五十嵐座長 まだありますか。どうぞ。

○海野構成員 ぜひ、そういう両親学級で私も話したいと思うのですけれども、ただ、何を話すのかというのは、パッケージをある程度、このシステムをつくる中でお示ししないと、なかなか市町村の立場だとそこを対応するのが難しいかもしれないと思うのです。そういう意味では、この機会にもしお願いできれば、これは母子保健課なのかちょっとわからないですけれども、そういう社会啓発、要するにこのシステムを理解していただいた上で、それを活用していただけるようにという意味合いのプログラムといいますか、そういうパッケージみたいなものを開発していただいて、その自治体に届けていただけるようなことができれば、大変すばらしいのではないかと思いました。

 済みません。ちょっと申し上げました。

○五十嵐座長 どうぞ。

○山脇参考人 今の件に関連して、私も同じように「適切な受診行動」という意味が非常にわかりにくいという印象を受けました。それで、両親学級でという阿真先生のお話も私はすごく大事だと思うのですけれども、それはあくまできちんと妊婦さんで検診を受けていらっしゃって、そこからの受診行動ということになるかと思うのですが、検診を受けない女性たちにどのようにアプローチしていくかですとか、あるいは先ほどおっしゃったよ小児科のコンビニ受診の問題ですとか、幅広い層にどのようにアプローチするのかというのは、市町村の方たちだけではなかなかわからない可能性もあって、普及啓発の方法を少しさまざまな立場の先生方で御議論いただいたほうがいいかもしれないなという気はします。

 「適切な受診行動」をちょっと書き加えていただくとともに、さまざまな関係者で普及啓発を進めていくということを考えていただいたほうがいいかなと気がしました。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局です。よろしいでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 今、さまざまな御意見をいただきましたので、書き方を工夫してみたいと思います。

 妊婦健診の普及啓発となりますと、この検討会の議論を外れて、海野先生もおっしゃりましたように、母子保健課の案件とも重なる部分が出てきますので、関係局とも調整してみたいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本構成員 済みません。助産師会の山本ですけれども、7ページの「7 助産所における安全確保の方策等について」というところで、ぜひとも追加していただきたいところがあるのですが、この周産期のあり方検討会が始まった当初から、私のほうからお伝えしている内容でもありまして、まず「(1)現状と課題」のところの追加として、分娩を取り扱う助産所において、緊急時、母体・新生児搬送の必要が生じた際に、助産所から高次医療機関への適時適切な搬送が実施されていないと感じている助産所管理者が一定程度存在する。これはアンケート調査からです。その必要と考えられる対応策としては、母子の安全性の確保のため、緊急時における助産所と高次医療機関との連携について医療計画に位置づけ、嘱託医療機関を含む高次医療機関の助産所からの搬送受け入れ体制を強化する必要がある。このように追加をお願いしたいと思います。

○五十嵐座長 いかがでしょうか。

○海野構成員 先ほども出ていましたように、本件についてもう少しデータをそろえなければならないという話もありましたよね。ですから、もう少し御検討を進めていただくということでいかがでしょうか。

○山本構成員 ぜひとも、これは「(1)現状と課題」として既にアンケート調査が出ていますので、このことに関しての必要と考えられる対応策として、助産所からの緊急搬送体制を強化してほしいというのが、助産師会からのお願いでございます。

○五十嵐座長 どうぞ。

○福井構成員 ただいまの件についてですが、データが不足している、データを積み重ねることが必要だ、というのは理解できます。ですが、緊急搬送体制に課題があるということは、実態として示されていると思います。日本助産師会が持っているデータベースで数字を示すことが可能だということでもありますので、データを積み重ねていくこととして、山本構成員の提案内容そのものが、まだ早いのではないかということであれば、周産期医療ネットワークに開業助産所が必ず入るようにすることとか、周産期医療協議会の構成員として助産師会が必ず入るというのはどうでしょうか。そこで議論を深めていただき、搬送体制を強化していくという方向に持っていくような書きぶりにしていただけたならば、現時点での対応になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 今、助産所に関するいろいろな意見をいただいたところでございます。

 現時点ではデータがなかなかないというような御意見もございましたので、まずは実際把握を努めるというようなことが重要かなと思いますので、そのあたりを書き込むのかなというのと、助産所も含めてさまざまな関係機関の連携は重要と感じておりますので、そのあたりをまずは書き込むのかなと事務局としては考えておりますが、いかがでしょうか。

○山本構成員 いいですか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○山本構成員 各県から、搬送体制がスムーズではなかったという意見が寄せられている中、助産師会でも何としても対応していかなければいけないという思いがありますので、ぜひとも緊急搬送を助産所からスムーズにできるようなシステムづくりに、お力をいただきたいと思います。

○五十嵐座長 そうしますと、現状の中に、助産所と病院とのネットワークが必ずしもスムーズではない状況があるということと、それに対して今後、連携を深める対応が必要であるとの文言を加えていただきたいと理解してよろしいですね。

 ほかの先生方はいかがですか。

○岡井構成員 さっきの助産所から高次医療機関に搬送するときにスムーズに行かないという話なのですけれども、なぜスムーズに行かないかということをきちんと調査されましたか。ふだんからそういうところでいつもいろいろな研修会があったら、そこでみんなと一緒に検討しているとか、安全のためにはこのようにしてくださいというような話をちゃんとみんなと一緒にやっているとか、そういうことができていないと、どうしてもおたくと余りつき合いがないからという話になってしまう現状もあるように聞いていますので、そこで搬送がうまくいかないというのは、受け入れる側もありますけれども、送る側も受け入れ施設との関係をふだんからきちんととっておくことも必要なのではないかと思いますが。

○山本構成員 それは当然のこととして、今後も日本助産師会としても連携強化のために、嘱託医や嘱託医療機関と連携関係を密にするように努力をしたいと思います。自助努力ではいかんとも先に進まないということがありまして、私は助産所を守るために緊急搬送をスムーズにしてくださいというお願いをしているのではありません。多様化の中、少ない人数でありますけれども、助産所やあるいは自宅で産みたいというお母様方の願い、希望があるわけで、どこでどのようなお産をしたとしても、母児の安全は確保し、守っていかなければいけないという観点に立ってお考えをいただきたいと思います。

○五十嵐座長 今の点につきまして、ほかはいかがですか。どうぞ。

○阿真構成員 今のお話はとてもよくわかるのですけれども、素朴な疑問というか、多分その周産期医療ネットワークとか協議会側もきっとそのように思ってくださっていると思うのです。子どもたちの命を守ろうと、母親と母子を両方守ろうと思ってくださっていて、助産所側もそのように思っていて、これにあえて加えていないのだとしたら、やはり理由があるのかなと思いますし、そうでなくて、このこと自体が必ず加えなくてはいけないものだという理解が不足しているのであれば、その情報がきちんと行き渡らなければいけないのかなと思いますし、ちょっと疑問というか、わざと嫌なことをしているわけではないと思うので、何かしらの理由はきちんとあると思うので、そこをうまくいっている例とうまくいっていない例をそれぞれ出して、何が違うのかというところを助産師会さんの場で検討していただけるとよいのではないかと思います。

○山本構成員 わかりました。ありがとうございます。

 好事例も含め、問題となっている県も明らかにしつつ、後ほど参考資料として提出できればと思います。ありがとうございます。

○五十嵐座長 この「7 助産所における安全確保の方策等について」に追記をしていただきたいという御要望です。これにつきましては、現状で助産所と病院との連携が必ずしもうまくいっていない状況もあるようですので、両者の連携を深めることの努力が必要だという文言を入れるかどうか、事務局と相談して考えたいと思います。それでよろしいですか。

○山本構成員 はい。

○五十嵐座長 事務局もよろしいですか。

○坂上救急・周産期医療等対策室 はい。ありがとうございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかは。どうぞ。

○鶴田構成員 この報告書の取り扱いなのですが、この中に法改正の部分と指針で対応する部分があるか、ないのかを伺います。それに関連して、静岡県の場合は医療審議会は医療法に基づいて設置されており、医療法施行令に部会を設けることができるとありますので、静岡県周産期医療協議会は医療審議会の部会という位置づけをしています。

 この周産期医療協議会は皆さんが必要だと言われるので、現在の各県の協議会の位置づけはどうなっていますか。この協議会が残るためには医療審議会の医療法施行令における部会の位置づけをするという形で指針を出されるのか、どのように位置づけようとされているのかお聞きしたいと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 まず現状なのですけれども、都道府県にアンケートをとったことがございまして、現在の周産期医療協議会の位置づけなのですけれども、周産期医療協議会として個別に位置づけているところもあれば、医療計画の中の一部として既に部会として位置づけているところもありまして、都道府県、地域によってさまざまというような状況でございました。今後は、医療計画の中に一体化するということですので、医療計画の中の指針の中で書き込むというような位置づけになってくるかと思います。

 ただ、そのような位置づけをするのであれば、現状では法改正等の必要まではないのかなと。指針等で位置づけることで可能かなと考えております。

○鶴田構成員 医療審議会での扱いはそれでいいと思うのですが、本報告書にはいろいろなテーマがあるので、改定の内容は全部指針対応とみていいですか。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 報告書の全ての内容がということですか。

○鶴田構成員 ここでテーマとした、例えば「5 災害時の周産期医療体制について」、「4 合併症を有する妊産婦への対応について」等の大きな項目ごとに法改正する項目はないですねということです。

○佐藤医療政策企画官 「7 助産所における安全確保の方策等について」のように、医療法の施行規則を改正する項目は一部存在します。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○福井構成員 2ページの「(1)現状と課題」のところで、3つ目の○の次にぜひ入れていただきたいことがございます。それは、産科混合病棟の現状と課題です。総合周産期、地域周産期、それから一般病院、診療所、助産所で分娩が行われていますが、一般病院では、25万人ぐらいの赤ちゃんが生まれています。その一般病院の機能整理がされていないという課題や問題について、この検討会でも何度か発言させていただいてきました。一般病院でお産される場所が産科混合病棟になっている。認知症の患者さんもおられるし、ターミナルの患者もおられて、その中で分娩が行われている。分娩の集約化がなかなか進みにくい状況にあって、ベッドの稼働率も上げなければいけないという経営等の諸事情もあり、そういう中でのやむなき対応なのだろうとは思いますけれども、一般病棟のお産の場がよりよくなっていかなければ、生む側の心理社会的状況や、それから赤ちゃんの状況も踏まえると、例えば、産後うつや、虐待のリスクなどが問題視される中で、このようなお産が行われる環境では、変化の早期発見や早期対応を行うことが難しく、育児面への影響も大きいのではないかと思います。いずれ総合周産期や地域周産期にお産が集約されていくにしても、まだまだしばらくの間は、この一般病院の産科混合病棟が機能しなければいけないのだと思うのです。

 本日、示されている参考資料の中で「医療機能と受診アクセス(運転時間)」のところを見ると、まだまだ受診アクセスが長いところがあるので、この一般病院でお産は確保されていかなければならない、この環境をどのように整えていくのかというのは、非常に重要だと思います。

 ですので、この「現状と課題」のところに、一般病院の産科混合病棟で行われる分娩の取り扱いや産後のケアなどをどのように行うか、機能整理をして体制を整える必要があるということを、ぜひ書き込んでいただきたいと思います。そして、「必要と考えられる対応等」のところには、第6回の医療計画の見直しで事務局の発言によりますと、指標についても検討したいとのことですから、医療計画に正常分娩の取り扱いと、分娩取扱施設の機能整理、そして体制整備の推進、さらには関連する指標についても、この周産期医療体制整備指針の中にぜひ盛り込んでいただきたいと思います。

 いかがでしょうか。

○五十嵐座長 産科の混合病棟のことですが、いかがでしょうか。どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 産科の混合病棟の件なのですけれども、福井委員からこの検討会の中で御指摘していただいていることは認識しております。

 ただ、全国で今、混合病棟が8割以上ございますので、混合病棟になっているところはやはり中小病院ですとか地方もありますので、そこの混合病棟を単一の産科病棟にするとなると、現場にかなりの混乱が生じるのではないかというので、なかなか難しいのではないかというような御意見もこの検討会の中でございましたので、この報告書の資料には盛り込んでいないというのが現状です。そのあたりをどこまで書き込むのかは、御議論いただければと考えているのですが。

○五十嵐座長 どうぞ。

○福井構成員 その8割の産科混合病棟が、今どういう状況で運営されているのかというのは深く理解しています。ですので、産科単科にしてほしいと言っているのではなくて、例えばユニット化するとか、ゾーニングするとか、母子の環境はどういう環境であるべきだとか、指導と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことは現場にも方針を示していくことが必要なのではないかなと思うのです。現場の運用に任せていれば、経営効率を考える視点が優先にならざるを得ない状況にあるので、母子の安全という環境がぜひ優先になるような方向性を示していただきたいと思います。

 産科単科にしていただきたいのはやまやまですけれども、それはもう難しいということは承知しています。

○五十嵐座長 どうぞ。

○海野構成員 この論点として、質を上げていくという部分と、今、我々が直面しているのは、分娩施設が減少していて、それでその地域での分娩環境の確保ができるのかできないのか。できない地域のことを懸念している部分があると思うのです。

 それで、その周産期の医療圏のお話がありましたけれども、その中でそれぞれ産科病床がどれだけあるのか。それに対して、どれだけのスタッフが配置されているのかというところが、現状ではまだほとんど把握ができていない部分がある。要するに、分娩施設はここにあります、このぐらいお産をやっていますというのはわかるとしても、どのぐらいそこに周産期医療に係る資源があるのかということに関して、十分把握できていない部分があると思うのです。その辺は今後の医療計画の中で、その地域の実情をそれぞれの医療圏の中でしっかり把握してもらって、その上で福井先生がおっしゃられるように、具体的にこの機能がこの医療圏には十分でないというようなところを可視化した上で、その施策をそれぞれの都道府県で進めていただけるように、この文章の中になかなか入れ込めないかもしれないのですけれども、医療計画のほうのガイドラインのところではお示しいただければと思いますが。

○五十嵐座長 どうぞ。

○福井構成員 海野委員の発言を受けてですけれども、そうしましたら「現状と課題」のところに、機能整理がされていない一般病院で行われている分娩の取り扱いについて、現状を把握する必要があるということを入れていただくことは可能でしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 先ほどの助産所の御議論でもありましたし、海野先生からも御指摘いただいたとおりでございまして、地域の周産期に係る資源を実態把握するのは非常に重要と考えておりますので、まずは実態把握をしっかりやるというような文言は、今の御議論の中で配置をさせていただいて盛り込めるというのは考えておりますので、よろしければそういう形で追加をしていきたいと考えておりますが。

○福井構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 それでは「現状と課題」のところで、それを追記することを考えさせていただきたいと思います。

 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○山脇参考人 5~6ページの「5 災害時の周産期医療体制について」なのですが、熊本市民病院の川瀬先生から御報告いただいた際に、近隣の県と協力なさって非常にソフトの面では大変奮闘されてすばらしい医療をされたと思うのですが、NICUが被災したということにショックを受けましたし、全国でまだほかのNICUがきちんと耐震化が進んでいないということも指摘していただきましたので、6ページの一番上のの「周産期母子医療センターを有する医療機関については」というところに、基幹施設の耐震化の推進も含めてというようなことを入れていただけると、それぞれの施設でまた問題意識を持っていただけるのかなと思ったのですが、御検討をお願いできないでしょうか。

○五十嵐座長 いかがですか。どうぞ。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 現在、国のほうでも病院の耐震化を進める上で、耐震化の補助金等を使って耐震化を進めていただいておりますので、そういうのを進めることは非常に重要と考えておりまして、もし先生方の御了解を得られれば、耐震化も含めてというような文言は入れることは可能と考えておりますが、よろしいでしょうか。

○五十嵐座長 これはよろしいですね。御指摘ありがとうございました。

 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、さまざまな意見を反映し、修正させていただきたいと思います。ただし、基本的にこの取りまとめに対しましては、この委員会の構成員の先生方から御了解いただけるでしょうか。よろしいですか。

 それでは、きょう御指摘いただいたことにつきましては、事務局と相談しまして、これから修正等をいたしたいと思います。修正・加筆につきましては、私座長に預からせていただいてよろしいですか。ありがとうございます。

 では、事務局と相談して、修正・加筆等をいたしましたものを、再度取りまとめとして委員の構成員の先生方にもう一度お返しして、それで御了解いただきましたら公表したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に事務局から何かございますでしょうか。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。

 五十嵐座長、まことにありがとうございました。また、構成員の皆様におかれましては今回、意見の取りまとめに御協力いただきまして、本当にありがとうございました。

 今後のことでございますが、今、座長からもありましたとおり、座長と御相談しまして加筆・修正させていただきたいと思います。また、本取りまとめが取りまとめられましたら公表の予定でございますが、本取りまとめを踏まえまして、今後、医療計画の検討会にも報告しまして、5事業の中の一つとして、周産期にかかわる意見も伺った上で医療計画の中でしっかり位置づけていきたいと考えておりますので、今後、医療計画の検討会のほうでも継続的に議論をさせていただきたいと考えております。

 それでは、最後に事務局を代表しまして、椎葉審議官より最後の御挨拶を申し上げたいと思います。

○椎葉審議官 審議官の椎葉でございます。

 本来であれば、神田局長から御挨拶を申し上げるところでございますが、現在、国会対応中でございまして、私のほうから感謝の言葉を申し上げたいと思います。

 昨年の8月31日に第1回が開催されたと聞いております。今回で7回目ということで、約1年3カ月の間、検討会での議論に精力的に御参加をいただきまして本当にありがとうございました。

 成果といたしまして、将来の周産期医療体制の方向性につきまして、医療資源の配置、他事業との関係のあり方について、お示しをいただいたと感じております。また、直近の熊本の地震を踏まえた、身をもって体験したことなども踏まえた対応につきましても、御示唆をいただいたと認識しております。

 私は、昔「健やか親子21」というのをつくったときの課長補佐でございまして、それからすると十数年ぶりの母子保健、周産期医療体制についての議論に参加したわけでございまして、本当に懐かしいといいますか、より「健やか親子21」の方向が進むかなという感じでございます。

 今後でございますけれども「ニッポン一億総活躍プラン」でも周産期医療体制の強化が政策として取り上げられておりまして、今後とも実効性のある取り組みを進めていきたいと考えております。また、30年度からの第7次の医療計画でございますが、これも策定に向けた検討を今行っているところでございまして、そちらのほうの議論にきょうの検討会のエネルギーをつなげていきたいと考えているところでございます。

 今後とも、いろいろと御指導・御鞭撻いただければと思います。本当にありがとうございました。

○坂上救急・周産期医療等対策室長 それでは、これで「周産期医療体制のあり方に関する検討会」を閉会させていただきたいと思います。

 長い間にわたりまして、活発な御議論をありがとうございました。

 

(注)後日、山本構成員より訂正の申出があり、助産所から医療機関へ転院・搬送された母体の割合は、神奈川県内に限ったデータではありますが、7.2%とのことでした。(事務局注釈)

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 周産期医療体制のあり方に関する検討会> 第7回 周産期医療体制のあり方に関する検討会(2016年11月17日)

ページの先頭へ戻る