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2016年11月15日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・伝達性海綿状脳症対策部会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課

○日時

平成28年11月15日(火)16:00~18:00


○場所

航空会館 701+702会議室
(東京都港区新橋1丁目18番1号 航空会館2階)


○出席者

伝達性海綿状脳症対策部会員(敬称略)

佐藤 克也
福田 晋
毛利 資郎 (部会長)
山本 茂貴

事務局

橋本 泰宏 (大臣官房審議官)
道野 英司 (監視安全課長)
梅田 浩史 (輸入食品安全対策室長)
蟹江 誠 (HACCP企画推進室長)
海老 敬子 (法令担当補佐)
東良 俊孝 (監視安全課長補佐)

○議題

議題
(1)BSE対策の現状について
(2)その他

○議事

○東良補佐 それでは、定刻前ではございますけれども、きょう御出席予定の委員が既に席についておられますので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会伝達性海綿状脳症対策部会」を開催いたします。

  私は、本日の司会を務めさせていただきます厚生労働省生活衛生・食品安全部監視安全課の東良と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

  それでは、開会に当たりまして、部を代表いたしまして、橋本大臣官房審議官から御挨拶を申し上げます。


○橋本審議官 橋本でございます。

 本日は大変お忙しい中、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会伝達性海綿状脳症対策部会」に御参集を賜りまして、まことにありがとうございます。また、日ごろより、私ども厚生労働省の食品衛生行政に対しまして、特別のお力添えをいただいておりますことに対しまして、改めてこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

 さて、BSEにつきまして、近年、世界的にもBSE発生のリスクが減少している状況でございます。国際的に見ますと、OIE、国際獣疫事務局によりまして、無視できるリスクというふうに評価できる国が欧州を中心に46カ国という状況になってきております。我が国も平成25年に無視できるリスクの国という評価をいただいております。

 こういう中で私ども厚生労働省といたしましては、平成21年以来、国内でBSEが発生していないこと等を踏まえまして、昨年12月に国内の健康と畜牛のBSE検査の廃止、特定危険部位の範囲の変更、これにつきまして、食品安全委員会のほうに評価を依頼いたしまして、ことしの8月に食品安全委員会からの評価結果の通知がございました。また、輸入牛肉対策につきましても、リスクの低下を踏まえまして、EU諸国等、BSE発生国から輸出される牛肉に対する食品安全委員会の評価に基づきまして、輸入条件を定めて輸入規制の見直しを行っております。

 本日の部会におきましては、BSEに関する国内対策及び輸入対策の現状につきまして、御報告をさせていただくこととしておりますので、委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門のお立場から、どうか忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げたいと思います。簡単ではございますが、冒頭に当たりまして、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。


○東良補佐 ありがとうございました。

 それでは、冒頭カメラ撮影をされている方は、ここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○東良補佐 続きまして、この部会は委員改選後、初めての部会となりますので、委員の御紹介をさせていただきます。私から座って隣の委員から御紹介させていただきます。

 東海大学の山本先生です。

○山本委員 山本です。どうぞよろしくお願いします。

○東良補佐 続いて、お隣が東北大学の毛利先生です。

○毛利部会長 毛利でございます。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 毛利先生には、部会長をお願いしております。

 続きまして、九州大学の福田先生です。

○福田委員 福田でございます。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 続きまして、長崎大学の佐藤先生です。

○佐藤委員 佐藤です。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 本日、部会の委員でいらっしゃいます、雨宮委員、橋本委員、堀内委員から欠席との御連絡をいただいておりますけれども、部会委員の過半数4名に達しておりますので、本部会が成立することを御報告させていただきます。

 続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。先ほど御挨拶申し上げた大臣官房審議官の橋本でございます。

 続きまして、監視安全課長の道野でございます。

○道野課長 道野です。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 続きまして、輸入食品安全対策室長の梅田でございます。

○梅田室長 梅田です。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 続きまして、HACCP企画推進室長の蟹江でございます。

○蟹江室長 蟹江です。よろしくお願いいたします。

○東良補佐 それでは、橋本審議官は別の用務がございますので、ここで退席させていただきます。

(橋本審議官退室)

○東良補佐 それでは、続きまして、部会の進行を毛利部会長にお願いしたいと思います。

○毛利部会長 部会長の毛利でございます。座って進めさせていただきたいと思います。

 本日は、委員の先生方には、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。先ほど橋本審議官のほうからもありましたように、BSEの発生が減ってきて、中にはすっかりなくなったかのように思われている方もいらっしゃるようです。しかしながら、世界的には発生がゼロというわけではなく、まだまだ不明な点が多く残されております。本日はBSEのリスク管理の現状について、これからの方向性も含めて解説いただきまして、委員会の共通の認識を持てればと考えております。委員の先生方におかれましては、どうぞ闊達な御意見、御質問を投げていただき、議論を深めていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、配布資料の確認をしていただきたいと思います。事務局からお願いいたします。

○東良補佐 配布資料の確認をさせていただきます。お手元に配布させていただいている資料についてですけれども、まず、議事次第がございます。

 続きまして、「BSE対策の現状について」としている資料がございます。

 残りは参考資料となります。参考資料は4つございます。

 参考資料1がカラーの資料でして「BSE対策の現状」と名づけられている資料。

 参考資料2が「BSE対策に関する調査結果」。

 参考資料3が「食品健康影響評価について」。

 参考資料4が「食品健康影響評価の結果の通知について」とする資料。

 合計5つ配布させていただいておりますので、御確認ください。もし手元に資料がない場合は事務局にお申しつけください。


○毛利部会長 過不足はありませんでしょうか。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、資料について事務局より御説明をお願いいたします。


○道野課長 それでは、「BSE対策の現状について」、順を追って説明させていただきたいと思います。長くなるので、国内対策と輸入対策と分けて御説明をして、いろいろと御意見をいただければと思います。「資料」と書いている細かい字の資料がございますけれども、これの内容を参考資料1のパワーポイントの資料に落としてありますので、こちらに基づいて御説明をしたいと思います。

 「国内対策の概要」ということで1枚めくっていただきますと、「BSE対策の経緯」ということで、国内と輸入と両方がこの3ページの資料にはございますけれども、まず国内のほうについて御説明をしたいと思います。

 国内につきましては、平成13年9月に国内で1頭目のBSE感染牛が確認をされたということで、翌10月から全頭検査がスタートし、並行してSRMの除去もあわせて義務づけをして進めてきたというようなことでございます。その時々のリスクに合わせたリスク評価に基づいたリスク管理措置の見直しを継続してやってきております。

 例えば、と畜場での検査対象、左端でございます。当初は全頭検査という形でスタートしたわけですけれども、17年にはその対象を21カ月齢以上に見直し、25年4月に30カ月齢を超える牛、25年7月には48カ月齢を超えるものと、順次見直しを行ってきております。ただ、48カ月齢超に見直した25年7月まで実質的に現場では全頭検査が続いていたというような状況でございます。

 一方、SRMの除去に関しましては、当初、舌と頬肉を除いた頭部、せき髄、扁桃、回腸遠位部というようなことで4つの部位について定めておりましたけれども、せき柱についても16年2月に、これはと畜場外で食肉処理業、食肉販売業等の営業施設で、肉を外していって、せき柱は残るわけですけれども、こういったものを食用に使用するのを禁止するという措置をとっておるわけであります。

 その後、25年2月に今度は月齢要件を入れています。検査対象を30カ月齢超に見直す際に合わせて、こういった異常プリオンの牛の体内での分布ということから、あわせてSRMに関しても30カ月齢を超えるものに範囲を狭めて規制をするということで見直したわけであります。

 4ページでございます。「国産牛のBSE対策の概要」ということで、皆様は御承知であると思いますけれども、厚生労働省、農林水産省、それぞれ生産段階と食肉の流通段階ということで役割分担をして対応をとっております。今、申し上げたBSE検査につきましては、従来から、と畜場法に基づき食用に供される獣畜の疾病検査、異常の検査ということでやっているわけでありますけれども、その中でBSE検査も対応しております。あわせて、BSE発生後、牛海綿状脳症対策特別措置法という法律ができまして、こういった特別措置法とあわせて対応している状況でございます。

 特定危険部位の除去、せき柱の規制につきましても、と畜場内についてはと畜場法と牛海綿状脳症対策特別措置法、食肉の流通段階、と畜場の外になった場合には食品衛生法において規制をするというような仕組みをとっております。

 5ページでございます。BSE検査の通算の検査頭数は1,500万頭、先ほど申し上げたとおり、平成25年7月から全頭検査を見直して、48カ月を超える牛に対象を狭めて検査をしてきたというようなことでございます。それまでは、と畜場で食肉処理される牛について、すべからく検査をやってきたというのが、この数値でございます。

 一方で、BSEの確認頭数につきましては、ちょうど真ん中のカラムになりますけれども、36頭というようなことであります。括弧内がと畜場で確認された数で、その差の15頭については、死亡牛の検査で確認されたものというようなことであります。

 6ページでございます。世界的に見て、BSEのリスクが減少してきたという場合に、このデータをよく用いて御説明をさせていただいておるところでありますけれども、ピーク時が1992年ということでございまして、その後ずっと減少をしてきています。もちろん最も多いイギリスの数字にかなり引っ張られているところがあるわけですけれども、イギリスの発生のしばらく後に、ヨーロッパの国や日本でもBSEの発生が報告され、それぞれ対策をとってBSEリスクを減らして、結果として、こういった状況になってきているということであります。

 7ページが、世界のBSE発生頭数と1996年にWHO等々で指摘をされたBSEが人の病気、vCJDの原因になっているのではないかということで、こういった公衆衛生対策が進んできたわけでございますけれども、vCJDの発生者数についてもここではプロットしてございます。BSEの発生と少し、おおよそ8年くらいおくれてピークがありますけれども、その後、順次発生は減ってきているというような状況でございます。

 8ページでございます。これは世界のBSE発生頭数とvCJD患者数ということで、実際の数字が入っているものであります。

 9ページでございます。前回、平成25年、現行の検査体制になったときの状況でございます。先ほど1ページ目で御説明しましたとおり、順次こういった形で48カ月齢を超える牛というところまで検査体制を見直してきております。また、SRMについては、25年に月齢要件、特に中枢神経系のSRM、頭部、せき髄、せき柱に関しまして、30カ月という要件を追加しているというようなことであります。

10ページでございます。実際のと畜場における生体検査とBSEの検査ということで申しますと、基本的にBSEの発生があってもなくても、食用に供する牛については、と畜場法に基づく検査ということをやっておるわけでございます。そういう中でBSEについては、まずは生体検査の段階でBSEに罹患していると判断した場合は、と殺解体禁止という措置がとられます。

 一方で、生体検査をクリアした場合であっても、BSEのスリクーニング検査の実施ということが48カ月齢を超える牛については現在実施。以前は全部の牛について、このスクリーニング検査にかかっていたということになります。合格をすれば、出荷ということになります。

 一方で、現状としては48カ月齢を超える牛と、生体検査で異常があった疾病鑑別の観点から、と畜検査が必要と認める場合には、BSEのスクリーニング検査の対象に現在もなっておるわけでございます。対象としては黄色の色のついた右下のところにあるようなことになっていまして、24カ月齢以上の牛で以下の症状を呈するものということで、運動障害、知覚障害、反射または意識障害等の神経症状が疑われた牛、全身症状を呈する牛というような形で検査をすることにしております。

11ページでございます。と畜場・食肉処理場におけるSRMの除去の仕組みでございます。今、申し上げたとおり、生体検査、月齢確認が、最初にBSEの検査対象がどうかということの区分でやられているわけでございます。

 実際の区分のやり方については後ほど御説明いたしますけれども、ここでと殺解体のプロセスに入っていくわけでございまして、剥皮、頭部除去、内臓摘出、せき髄除去・背割り、枝肉検査、枝肉冷却・保管という形でと畜処理が進んでいくわけでございますけれども、頭部を除去した段階で、頭部にくっついている舌を除くときに扁桃の除去をやる。内臓摘出の段階で回腸遠位部についても除去していく。枝肉になった段階でせき柱の中にあるせき髄の除去をしていくという形で処理が進んでいくわけであります。

 と畜場から出荷されたせき柱についても、これは食肉処理施設で、せき柱については食用禁止というようなことが食品衛生法で規制されているということでございまして、月齢としては30カ月齢を超えるものについては、せき柱を食用用途には使わないという規制がかかっているということであります。

12ページでございます。前回の25年7月に見直して以降の検査結果でございまして、右下にありますように、合計で627,759頭の検査をして、陽性はなかったというようなことでありました。

13ページでございます。昨年のちょうど12月にBSE対策の再評価の依頼ということで、食品安全委員会にリスク評価について依頼をしております。これは経緯を申しますと、平成25年5月、この直前の食品安全委員会の食品健康影響評価がございます。この中で20092015年にBSE摘発頭数はほぼゼロになるということで、日本において飼料等を介してBSEが発生する可能性は極めて低くなるというような記述があるわけでございます。

 一方で、先ほど申し上げたとおり、2013年7月以降、BSE感染牛は発見をされていないということで、リスク管理機関としても、日本のBSEリスクは相当低くなっていると。そういったことを前提に現行のリスクに応じたリスク管理措置について、食品安全委員会にリスク評価をお願いしたという経緯でございます。具体的には、要するに検査を継続した場合とやめた場合のリスクに違いがあるのかどうかということを端的にお伺いしたということであります。山本先生がいらっしゃるので説明をするのは恐縮ですけれども、食品健康影響評価の概要ということで簡単に説明させていただきます。

 まず、評価の基本的な考え方として、3つのグループに分けて評価をしていただいています。1点目は、日本でBSE感染牛と診断された中で最も後に生まれた牛が2002年1月でございまして、2002年1月以降に生まれた牛がコホートになるわけです。それ以前に生まれた牛のコホートであります。もう一つは、ここで考えなければいけないのは、肉骨粉といいますか、飼料由来のクラシカルなBSEと、もう一つは非定型のBSEが一部少数であるけれども、見つかっているということがありまして、そういったものリスク。この3つに分けて評価をされております。

15ページでございます。2002年1月より後に出生した牛についての評価ということでありまして、このグラフの横軸が年月であります。下のゼロのところは、要するに生まれた年にプロットしていくことになりますし、それが月齢が進んでいくと右斜めにずっと上がっていく。ですから、この赤い点々はBSEと診断された牛なわけです。

 それで言いますと、2つのグループがあって、19951997年に生まれた牛が2000年以降になってBSEと診断されたもの。19992001年の間に生まれたものが20042008年、2009年にかけて診断された。2002年1月より後に出生した牛のグループは上のほうに出てくるわけですが、2016年5月現在で出生後11年を迎えたコホートはここにありますが、この赤の四角のところですね。この赤の四角のところで言うと、それまでの検査結果としては111,907頭を検査しているということでありました。

16ページを見ていただくと、こういった2013年5月以降、現在までに11年を超えた、11歳を超えた、132カ月齢を超えたコホートに属する牛111,907頭には、陽性牛は確認されなかったということであります。

 こういった牛はここの真ん中にありますように、日本でBSE検査陽性牛が比較的多く確認された時期に出生したものである。ただし、出生後11年が経過してもBSEの発生が確認されず、これらのコホートにおいて飼料規制が有効に働いてきたのだというようなことであります。これは2013年の評価書にもありますけれども、現行の飼料規制等のBSE対策の実効性が維持される限り、定型BSEが発生する可能性は極めて低いというのが2002年1月以降に生まれた牛についての評価であります。

17ページがマル2でありまして、これが2002年1月以前、その前ということであります。表の見方はさっきと同じでございます。ここの上の赤の部分の評価になるわけでございます。2013年5月より2016年5月現在までにと畜された、または死亡した牛の検査結果としては6万4,126頭になるわけです。

 もともとこのコホートには、これまでにBSEと診断されたグループ、ちょうど表の真ん中辺にいるわけであります。ポイントとしては、生後11年以内にBSEに感染した牛は97%くらいBSEを発症することがわかっているということで、このグループでの発症の時期は過ぎているのではないかというようなことで評価をしていくということだと思います。

18ページでございます。2013年5月~2016年5月までに6万4,126頭、陽性牛が確認されていなかった。日本では、2009年1月を最後に現在までの7年間について、BSE検査陽性牛は確認されていません。そういったことで、これらの事実を踏まえると、2002年1月以前に出生した牛について、今後、定型BSEが発生する可能性は極めて低いということであります。

19ページで、非定型BSEについての評価であります。非定型BSEとは、この真ん中にありますように、ウエスタンブロットの電気泳動法の泳動パターンが通常のBSEと少し位置が違ったり、濃淡が違ったりするわけであります。少し上に出るのがH型、少し下に出るのがL型と、泳動像から名前がついております。

 ここにありますように、日本では過去15年間に1,610万頭を検査して、2頭のL型が確認されているということであります。ただ、うち、23カ月齢で確認された1頭は、ウシ型マウスへの脳内接種により、感染性は認められなかったというような検査結果もあるわけであります。

20ページ、非定型BSEについての評価ということで、飼料由来のBSEとはタイプが異なるということ。疫学的に非定型BSEと人のプリオン病との関連を示唆する報告はないということ。発生頻度は、2歳以上の牛100万頭当たりで、Hが0.07/年、L型が0.09/年ということで、極めて低い。H型に関しては人への感染性は確認できない。L型感染牛の脳組織によりサルに感染したとの実験例がある。ただ、一方で、現行のSRM以外の組織の人への感染性は極めて低い。分布が今の定型BSEと似ているというようなことであります。さらに牛と人の間には種間バリアというものも存在している。

 そういったことで21ページにございますけれども、結論といたしましては、牛肉等の摂取に由来するBSEプリオンによるvCJDを含むプリオン病発症の可能性は極めて低いということが結論になるわけです。非定型BSEに関しては上の黄色の四角にあるような、こういった理由、今、申し上げた理由が整理をされておるわけでございますけれども、結論としては下の四角の内容ということになったわけであります。

22ページでございます。結論としては先ほど申し上げたとおり、検査を継続した場合としていない場合のリスクの差ということであります。48カ月超の健康牛のBSEの検査について、現行の基準を継続した場合、廃止した場合とのリスクの差は非常に小さく、人への健康影響は無視できるというような結論でありました。

 ただ、ここにありますように、引き続き、全てのと畜される牛に対すると畜前の生体検査が適切に行わなければならない。24カ月齢以上の牛のうち、生体検査において、運動障害、知覚障害、反射異常または意識障害等の神経症状が疑われたもの及び全身症状を呈するものを対象とするBSE検査が行われる必要があるというような結論でございました。

 そういったことで23ページでありますけれども、48カ月齢を超えるという現行の検査基準を見直して、健康牛については廃止をしていくということで、私どもは関係の規則の改正等を現在準備しているところでございます。

24ページ、そのスケジュールでございまして、先ほどの食品安全委員会からの答申が8月30日。本日、本部会で御報告をさせていただいて、12月に入りましたら、リスクコミュニケーション、パブリックコメント、食品衛生分科会への報告等を予定しております。来年の2月上旬をめどに関係省令の改正。地方自治体には検査費に関して補助金を出しておりますので、補助金の見直し。4月1日には見直しについて施行していくというような予定でおります。

 参考資料2は「BSE対策に関する調査結果」ということで、毎年この調査をしております。タイミングを見て食品安全委員会にも情報提供をしておるわけでございますけれども、実際にそのBSE対策、特に検査は厚労省のホームページで結果を月に1回公表しているところではありますけれども、その他のSRMの取扱い、と畜場での管理、そういったことについて年に1回調査をして、管理措置の実施状況について公表をしているという資料であります。

 参考資料3につきましては、昨年、厚生労働省から食品安全委員会に向けて、BSEの対策の見直しについての評価依頼。

 参考資料4につきましては、先ほど御説明をした健康牛の検査の見直しに関する食品安全委員会のリスク評価結果答申でございます。

 国内対策については以上でございます。

○毛利部会長 ただいまの国内のBSEの現状とリスク管理、国内対策について、今後の対応まで含めて御説明いただきましたけれども、皆さまに御意見をお伺いする前に、本日欠席の委員の中から意見が出ていると連絡を受けておりますので、事務局からお願いいたします。

○東良補佐 ここで本日御欠席の委員の中から、消費科学センターの雨宮委員から書面にて御意見をいただいておりますので、御紹介させていただきます。

 「BSEに関して、消費者の健康への影響は飼料の安全性の徹底が重要と思います。検査を廃止することで飼料規制の抑止力のようなものがなくなることは考えられないでしょうか。今部会の議題とは趣旨が異なるかもしれませんが、BSE対策と大きく捉えての感想です。」

 以上のコメントをいただいております。

○毛利部会長 今のコメントに対する事務局のお答えはいかがですか。

○道野課長 BSE対策の中で飼料規制が最も重要ということは当然の御指摘だと思いますし、飼料規制がきちんとなされていれば、BSEのリスクは、先ほど御説明したとおり、順次下がっていくというようなものであります。ただ、一方で検査をすることで抑止力というのは、またそれはちょっと違うのではないかなと。もちろん飼料規制の制度というのは、そういったBSEの検査があってもなくても、やはり規制として機能していくということが重要ですし、そういったことは所管官庁でしっかりやられています。だから、そういった意味で抑止力という評価は、我々とは受けとめが違う部分があるのかなと思っております。

 また、実際にこういった規制ですので、やはり現行のリスクに応じた規制ということも重要ですし、そういった観点からも現在の日本のBSEリスクということを考えると、科学的知見に基づいて、こういった管理措置というのは見直すというようなことで御理解をいただければと思います。

○毛利部会長 ただいまの道野課長の御回答について、委員の先生方から御意見や御質問はありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、先ほど説明いただきました国内対策、国内におけるBSEの現状、今後の対応も含めて、何か委員の先生方、疑問な点、御意見はありませんでしょうか。ざっくばらんに御発言いただけるとありがたいと思います。

 山本先生、どうぞ。

○山本委員 私は両方に入っているものですから、なかなか意見は言いにくいところもあるのですけれども、23ページのところで細かいことで申しわけないのですが、これで見直し後は、健康牛については検査がなくなると。24カ月齢以上の牛で、以下の症状を呈する牛については検査をするということなのですけれども、現行それ以外のその他の牛が入っていたのですが、このその他の牛はどういう牛を言っていましたか。


○毛利部会長 御回答をよろしくお願いいたします。

○道野課長 BSEのスクリーニング検査については毎月その結果を公表していまして、その区分としては症状を呈する牛、48カ月を超える牛というカテゴリーとその他の牛というのがあるので、その他の牛をそのまま持ってきたのだと思います。例えば、モニタリング検査として実施しているという自治体が実は2カ所ありまして、それで、こういう数字が出てきているというようなことであります。25年7月に見直したときに全都道府県市のと畜検査をやっているところに御理解を得て、全頭検査は見直したわけでありますけれども、2自治体でその後も検査対象になっていない牛について、一部モニタリング的に検査をするという御意向がありまして、この部分については、制度上は、検査自体は自治事務で、私どもとしては自治体の御理解を得ながら同じ方向に進んでいくということではあるのですけれども、一部そういう自治体があって、その部分の分類がその他の牛というところに入ったということであります。

○毛利部会長 どうぞ。

○東良補佐 もう一点、補足をさせていただきます。24カ月齢未満の牛もその他の牛のカテゴリーに入って、スクリーニング検査のカウントに計上されております。


○毛利部会長 今の御回答に対して、何か。

○山本委員 基本的には、検査という意味では必要ないところに安心を込めてやっておられるところがあると、そういう理解でよろしいですか。今後はこれは必要ないということでいくと思うのですけれども、今後のこととしては、やはり飼料規制が続いているということは大事なことかなということと、もう一点は今までのスクリーニング検査的な意味合いから、サーベイランスとしての意味合いを持ってくるのだろうと思います。

 ですから、これはOIEが無視できるリスクの国として認めていくためのポイントがありますので、これまでは全頭検査をやっていましたから、48カ月齢超になってからは数がかなり、その健康牛のポイントは減っていると思うのですけれども、それを維持するためのポイントは必要になるのかどうかということ。その辺も含めて、検査の対象をしっかりと検査できるような体制というのは今後も維持するべきだと思っております。


○毛利部会長 よろしいですか。


○道野課長 それで仮に見直した場合であっても、無視できるリスクの国を維持できる頭数はこういう症状を呈する牛を継続していくということも含めて、維持可能ということで農林水産省からは御回答をいただいております。ただ、一方で難しいところは、と畜場法という法律自体が公衆衛生法規ということもあって、そういうサーベイランス目的かと言われると、ちょっと微妙なところがあるわけです。ただ、検査の結果をそういったことに活用していくという観点では、それは食品安全全体のことを考えた場合に必要なことでありますし、今後もそのように対応していきたいと考えております。

 ただ、やはり先々どうするのかというのは、実はいろいろなところで聞かれるのですけれども、BSEの対策そのものに関しては、今後、リスクに応じて見直していくところは変わらないところではあるのですけれども、いつ何をするということについては、なかなか予断をもってはお答えできないのかなと、御質問を受けるときにはお答えしているという状況でございます。


○毛利部会長 理解としては、現状では、そもそもOIEの基準とは別物だと思われましたが、現況は入っているのですか。


○山本委員 入れてあると思います。


○道野課長 要するに死亡牛の検査結果と一緒に足して、出しています。


○毛利部会長 そうすると、今後はどうするかと言ったときに、厚生労働省のお考えとしては続けていく方向に行くのか。それとも、それはOIEのサーベイランスとは関係ないのでという方向で行くのか。それについてはいかがでしょうか。


○道野課長 先ほども申し上げたとおり、サーベイランスだけの目的となると制度的に辛いのかなとは思っています。と畜場法、食品衛生法で検査しなければいけない疾病が別表にされているわけです。その中にBSEが入っているわけですので、それの検査ということで、そのデータがOIEに提出される際に活用されるというのは、それはそれでいいことではないかと思います。実際に、国際的な取り引きも含めて、BSEのリスクに応じて、今お話があったような無視できるリスク管理されているとか、そういうステータスをもって輸入・輸出条件が現実に定められているということもありますので、当面はやはり継続をしていくということだと考えています。


○毛利部会長 目的ではないけれども、結果をそのように使うことについてはやぶさかではないという考え方ですね。ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。


○福田委員 ただいまの説明の中身というよりも、参考資料2にございましたBSE対策に関する調査結果ということで、私はこの調査の詳細、調査方法と言ったほうがいいかもしれませんが、その詳細を存じ上げませんので、これは27年9月末現在と26年9月末現在のデータが出ておりますが、先ほど年1回という言い方をされたかなと思っているのですが、実態調査と書かれているわけですけれども、どういう調査方法をとられているかということ。もちろんこれは全施設でやられているのだと思いますが、その辺について教えていただけますでしょうか。


○道野課長 これはもともと、今は禁止をしたのですが、ピッシングと言いまして、ちょうどスタンニングした気絶させた後にそこの穴からワイヤーを突っ込んで、中枢神経を破壊して反射運動を止めるということを日本の多くのと畜場でやられていた。それ自体が脳のたんぱく質とか組織成分を血流に移行させるのではないかということが指摘されいました。一方でピッシング自体は反射運動を止めるということなので労働安全上の問題もあって、それの両方の問題があったわけですけれども、全国のと畜場の御理解を得て、実施するのを中止したということになったわけです。

 その際にも、食品安全委員会で議論がありまして、毎年いろいろな形で働きかけをやりながら、ピッシングを実施している施設をどんどん減らしていくということについてチェックをしていく。もともとはそういう目的で年に1回、状況を調べてきた。その中であわせてBSE対策についても調べようということで、実際に全国のと畜場には、各自治体のと畜検査員、獣医師でありますけれども、自治体職員が配置されていますので、BSEの対策、管理措置について、どのような対応をしているかということについて、継続的に調べているというようなことであります。これは日々とか月単位で変わるような話では余りないので、年一度の調査ということでやっておるわけでございます。

 例えば、通常のスタンニングによる方法、この辺の中にはピッシングとの関係もあって、こういったものが入っているわけでございますし、とさつ時の不動化の方法についても、そういうピッシングをやめて、どうやって不動化するかと、反射運動をなくすためにどうするかということで、こういった方法を確認したりとか、検査月齢が48カ月になったときに検査対象とそうでないものをどうやって区分していくのかということで、この区分の実態を聞いたり、5番目のところは、ちょうど発生当初に背割りをするときにせき髄片が飛ぶではないかという議論があって、どういうような飛散防止措置をとっているかというようなことも、もちろん管理措置そのものもありますし、その時その時であった懸念について、現場でどのように対処しているかということを含めて調査してきたと、そういう経緯がございます。


○毛利部会長 よろしいでしょうか。


○福田委員 現地確認をしてヒアリングをしているということですね。わかりました。


○毛利部会長 今のものに関連して確認したいのですけれども、3の(3)の(1)、(2)以外の不動化法というのは、具体的にどういう方法が使われているのでしょうか。電流パルスとか強力スタンナーによる不動化以外の方法と書いてありますが。


○道野課長 済みません。手元に資料がないのですが、この年かどうかは別にして、スタンナーというと通常は穴を開けるものが多いのですけれども、穴を開けないというものもあって、それはなかなか気絶しないので、効果については疑問があるという指摘もあったのです。けれども、割とそういう同じスタンガンを使っても、ある程度、穴を開けてしまうようなものもあれば、そうでないようなものも使用した、不動化措置は余りせずに、むしろ手早く放血に進んでいくというのが主流ではあります。ただ、そういう違った方法をとるところが幾つかあるという中で、その他ということですが、この年のその他の不動化方法が個別に何かというのは、ちょっと今は。


○毛利部会長 申しわけありません。ピッシングでないというのだけ確認できれば、それで。


○道野課長 ピッシングはやっていません。ゼロにしたというところで調査の項目としては落としましたけれども、そのときに省令を改正して、ピッシングは禁止ということにしたわけであります。


○毛利部会長 ありがとうございました。

 そのほかにありませんか。どうぞ。


○佐藤委員 教えていただきたいのですけれども、資料の21ページの非定型BSEのL型については、SRM以外は組織への感染性は極めて低い。極めて低いというのは、科学的にはどれくらいの率のことが極めて低いという定義なのでしょうか。例えば、10の何乗とか、そういう計算とか、それが実際に行われているのかということと、その前の文章で、非定型BSEは疫学的にvCJD、人への感染の報告はないのですけれども、発生頻度も極めて低い。多分、率としては1億頭に対して7頭か9頭だったと思うのですが、それを極めて低いと計算上は言っているのか、その具体的な根拠を教えていただきたいです。


○道野課長 間違いがあったら、山本先生、お願いします。発生頻度については20ページに、H型、L型でそれぞれ、御指摘のとおり、100万頭当たりで年間0.07頭と0.09頭ということであります。L型についてSRMの組織への感染性が極めて低いというのは、私どもの理解としては、要は定型とほぼ同様の分布をしているという意味だと。定型のコントロールのためにはSRMの管理ということですから、そういうふうに受けとめているのですけれども、それでよろしかったでしょうか。


○毛利部会長 これは論文がありまして、ただし、L型についての論文も、具体的な名前は忘れましたけれども、末梢から検出された報告がありましたが、それによると感染性は随分低いと記憶しています。動衛研のグループがL型でやっているデータでもPMCAでないと検出できないというレベルのものでSRMの感染性は低いようです。Cでも同じようにSRM以外の組織についてはかなり低いとされています。H型はちょっと別で末梢からの感染そのものが困難であると私は理解しています。

 もう一つ、御質問の中であった100万頭当たりの頭数を単純に人と比較することは、できないと思います。というのは、人は寿命まできちんとケアされて、ずっと追跡できますが、家畜の場合は早いうちに肉になったりとかという人為的な要素が入ります。ひょっとしたら、寿命まで飼えば、人と同じくらいの100万頭に1頭とか2頭の可能性もあるかもしれません。要するに比較そのものができないだろうと考えています。

 ほかにございませんでしょうか。1つだけ私のほうから確認させていただきたいのですが、最近になっても、ことしとか去年とかで、この図表「世界のBSE発生件数の推移」の6ページを見るとBSEが出ておりますけれども、日本ではなくて国外です。これから国外措置について議論されていくようですが、その前にどういう状況なのかというのを具体的に、もし情報があれば、教えていただければと思います。


○道野課長 資料の6ページであります。フランスの例は定型例で、後ほどお話ししますけれども、これが見つかったということで、フランスが無視できるリスクの国から管理されたリスクの国に評価が変更されたというようなことになっています。昨年のアイルランドに関しても定型例ということだったと思います。現在、アイルランドについても管理されたリスクの国というような状況になっています。


○毛利部会長 ありがとうございました。C-BSEが相変わらず出ているということですよね。

 それでは、国内対策について、ほかに御意見はありませんでしょうか。ないようでしたら、続きまして、25ページからの輸入対策の概要について御説明をいただきたいと思います。


○道野課長 それでは、続きは26ページからです。BSE発生国への対応ということで御説明をさせていただきます。BSEの外国での発生ということになりますと、それまでに発生をしていなかった国で発生した場合には、さまざまな管理措置がとられていないということもあるので、一旦輸入を中止するという措置を現在までとってきております。そういったことで、この26ページの表にある国については、いずれも過去にBSEが発生をしたということで、一旦その輸入をストップしたというような対応をとったところです。この中には、以前、実際に輸入実績があった国、わずかだけれども、あった国とか、それぞれあるわけでございますけれども、一旦、BSEが発生した後、食品安全委員会にリスク評価を依頼しまして、その結果に基づいて、輸入条件というものを定めて、輸入を再開するという措置をとってきているわけであります。

 米国とカナダにつきましては、平成17年に当時、国内と同じ20カ月齢というところを線引きにして輸入条件を設定しました。SRMについても、あわせて設定をして輸入を再開しています。フランス、オランダにつきましては、平成24年に米国、カナダとあわせて30カ月齢。

 オランダについては、当初、子牛肉の貿易を希望していたということで12カ月齢だったのですけれども、その後は30ということで、いずれも30カ月ということで現状は輸入条件を設定しています。SRMについても国内と同様のSRMということで対応してきているところです。

 以後、アイルランドからスイス・リヒテンシュタインまで、同様な食品安全委員会の評価結果に基づいて、一定条件は基本的には30カ月齢以下ということで、SRMは国内と同様のものを指定して、そういったものの輸入、相手国から言えば輸出をしないという措置をとって、輸入を認めているという経緯であります。

27ページであります。「各国のBSE検査体制」ということで、先ほど国内については御説明をしたところですけれども、輸出国内においては、こういったような食肉検査、サーベイランスについて、それぞれこの表にあるような基準を定めています。米国、カナダについては、と畜場での検査は基本的には行っていない。もちろん異常を示すものについてはサーベイランスという形で実施しておりますが、健康牛の検査はやっておりません。

EUに関しては72カ月超となっていますけれども、注3のところにあるように、2013年以降、各国の判断で健康と畜牛のBSE検査の廃止ということができるようになっております。それが右側の地図でそれぞれの国の継続しているところについては数字が入っていますし、そうでないところは黄色というようなことであります。

 発生状況調査については、下のカラムに入っているような状況であります。

28ページですけれども、SRMに関しても各国の基準を比較したものであります。米国につきましては、日本の現在とほぼ同様であります。カナダもほぼ同様ということであります。EUにつきましては、無視できるリスクの国については範囲がもう少し狭まっているということになっています。管理されたまたは不明のリスクの国については、従来のEUの基準のままということになっています。OIEの基準は貿易条件を書いているものでありますけれども、こういった形でSRMというものを基準として設定をしているというような内容であります。

29ページは参考までですけれども、飼料規制であります。日本と米国・カナダ、EUの比較ということであります。

30ページで「OIE(国際獣疫事務局)におけるBSEステータスの分類と貿易条件」となっています。無視できるリスクの国は注1にありますように、いろいろな条件はあるのですけれども、代表的なものとして、最も遅く生まれたBSE牛の生後11年が経過していることが、結局11年がかかってしまうということがあるので、一番最後にどこの国も満たされる条件。逆に言うと、これがフランス過去11年に生まれた牛でBSEが発生してしまうと、この無視できるリスクの国の条件が満たせなくなってしまうことになるわけです。

 無視できるリスクの国は今46カ国ございます。管理されたリスクの国については現在8カ国であります。不明のリスクの国はその他の国ということでありまして、この右側にあるように、それぞれのリスクに即した貿易条件が設定されているというのがOIEの基準であります。

31ページであります。平成25年2月に米国とカナダについては20カ月齢を30カ月齢に貿易条件を見直し、フランス、オランダ、アイルランド、ポーランドは順次、平成25年2月以降に貿易を再開しているわけでありますけれども、これまでの輸入量ということで御参考までにつけさせていただいております。

32ページであります。こういった輸入条件不適合事案は時々発生しているのが現状であります。ただ、これは通常は不適合のものがどっさり入ってくることは余りなくて、1箱、2箱、ちょっと違うものが入っているというので調査をしていくと、トレーサビリティーを見ていくと、トレースしていくと、これは30カ月齢以下ということが保証できない、そういうようなものというようなケースがございます。米国の例えば1番目のケースなどはそういうケースであります。

 ヨーロッパの場合、扁桃の除去に関して、日本と基準が異なるところがありまして、要するに日本のほうが舌を短く切らなければいけないのです。要は細かく言うと、最前位の有郭乳頭のところで切りましょうというのが日本のルールになっているわけですが、ヨーロッパについては特段細かい要件が決められていない。こういった事情があって不適合事例が何回か報告がされています。

34ページ以降は、本日御説明をした国産牛、輸入牛肉それぞれのBSE対策の経緯について、クロノロジーを詳細に整理した資料をつけさせていただいております。

 説明は以上になります。


○毛利部会長 ありがとうございました。

 皆さまからの御意見を伺う前に、先ほどの私の不用意な発言で、Lで末梢にPMCAという話をしましたけれども、ちょっと記憶があやふやで、ひょっとしたらオーバーエクスプレッションのトランスジェニックマウスでポジティブがあったような気もしますので、申しわけありません。先ほどの私の発言のうち、具体的な感染性のところだけを取り下げさせていただければと思います。申しわけありません。

 それでは、輸入対策についての御説明に関して、御意見、御質問はありませんでしょうか。どんなことでも結構です。どうぞ。


○山本委員 これまでリスク評価に基づいて、こういう各国を開けてきたわけですけれども、今後もさらに続く可能性も十分あるわけですよね。そういった再開するに当たっては、各国全て厚生労働省や農林水産省は見にいくとか、そういうことはやっておられて、その上で安全対策ができているということを確認しておられるということでよろしいでしょうか。


○道野課長 具体的には、輸出を希望する国に関しては検討の要請がまず来ます。必要な資料を提出してもらった上で、食品安全委員会に諮問する前に現地の調査を行う。食品安全委員会の評価後に、再開に当たって輸入条件を定める。現地の対応について確認をするということで、もう一度、現地に調査に行くということをやっています。定期的にというわけにはいかないのですけれども、輸入量とか問題の発生状況を見て、輸入再開後、輸入開始後についても不定期ですけれども、実施状況の調査ということもやっております。


○毛利部会長 よろしいでしょうか。この輸入対策に関しましては、国別にやっておられて、しかも再開とか輸入を開始する前に1度現状を調査し、規則を作って食安委にかけて、食品安全委員会の評価が出たら、もう一度、現地を確認に行くというような二重のチェックをやっておられるということですね。わかりました。

 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。


○福田委員 輸入条件に不適合の事案がということで、幾つかの施設について事例が出されておるわけですが、当然こういった不適合の事案があった場合には、当該施設に対する何らかの対応措置があって、ここに解除日と書かれているものがあるのですけれども、例えば、オランダの2つ目の事例などはかなり前の事案ですが、これは解除されていないという理解ですか。判明日と解除日の関係がよく理解できないのですが、その辺のところを教えていただけますか。


○道野課長 不適合事案が確認されると、一旦その施設からの輸入をストップします。それで原因を調査してもらって、再発防止措置をとった上で輸入の再開というようなプロセスを踏んでいくわけであります。その中で例えば、まだ原因調査が進んでいないとか再発防止措置について十分整理がされていないという場合には、輸出国側から再開したいというような要請が当然来ないわけですので、そうすると判明したときに止めたままというような状況の施設がどうしても存在してしまうことになります。


○毛利部会長 よろしいでしょうか。今のお話だと、解除してほしいという輸出国側の要請がないと理解されます。


○道野課長 輸入食品対策に限らず、食品の安全対策は基本的には生産とか製造段階できちんと管理するということが、輸入であれ、国産であれ、必要になってくるわけですけれども、そういった意味で輸入食品の場合には、輸出国政府に一定の責任を持って管理してもらうことが重要です。それは二国間の協力ということになってくるわけですけれども、そういう意味で輸出国政府が改善して、輸出条件をしっかり守っていけるということがないと、私どもとしても再開というプロセスに向かうという判断をするのは難しいわけです。


○毛利部会長 ありがとうございました。

 ほかに委員の先生方から何か。佐藤先生、どうぞ。


○佐藤委員 確認させていただきたいのですけれども、OIEBSEの無視できる、管理された、3つの分類ですが、2015年にノルウェーでC-BSEの発生があったと思うのですが、それでも無視できるリスクの国に、OIEとしてはなっていると解釈してよろしいのでしょうか。ノルウェーは多分2015年にBSEの発生があったと思うのですけれども、どこかの資料に載っていたと思いますが、違っていたら申しわけないです。


○道野課長 6ページの資料にノルウェーも入っています。


○佐藤委員 ノルウェーも入っていますよね。これは確認ですけれども、それでも無視できるリスク国の中に入っているという形でよろしいのですか。例えば、アイルランドは2015年で、フランスは2016年で両方とも管理された国に分類されているのですけれども。


○道野課長 御指摘のとおりで、フランスとアイルランドはこの発生で管理されたリスクの国になった、もしくはアイルランドはもともとそうだったかもしれないです。私も記憶がちょっとないです。恐らくノルウェーに関しては、正確な施設は調べられるなら調べますけれども、先ほど申し上げたような条件に要は当たるか当たらないかということで判断されているのだと私どもとしては理解しています。

 例の11年という一つのメルクマールに発生があっても、それが11年よりも前に生まれた牛であれば、ステータスに影響しない。逆に11年たっていないというようなことであれば、無視できるリスクの国であっても管理されたリスクの国にグレードダウンするということになるのだと受けとめています。したがって、要するにC型のBSE牛が出たということにプラス、その牛がいつ生まれたのかということも含めて判断をされているのだと受けとめております。


○毛利部会長 少しわかりにくいのですが。


○道野課長 済みません、資料が出てきましたので御説明をいたしますと、2015年にアイルランドとフランスが無視できるリスクの国から見直しがありました。ノルウェーに関しては非定型だったということで、要はステータスに影響しなかったということのようであります。ブラジルも多分そうだったと思います。近年の状況としては、そういうような状況であります。


○毛利部会長
OIEの基準の問題ですよね。8ページにもノルウェーは載っていないのです。8ページにありますか。


○道野課長
 ちょうど真ん中辺で見にくいのですけれども、もともとこの資料は細かくて申しわけないです。


○毛利部会長 何番ですか。


○道野課長 6ページのちょうど真ん中辺です。デンマークの上。8ページはないです。


○毛利部会長 8ページの世界のBSE発生は1頭のところまで載っているけれども。


○道野課長 済みません、通算でノルウェーはそもそも1頭なのですけれども、2015年に非定型が出ている状況です。


○毛利部会長 OIEのカウントだと、非定型はC-BSEとは違うという概念で捉えていると。


○道野課長 そうです。飼料由来でないということになっています。


○毛利部会長 佐藤先生、よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。どんなことでも結構です。厚生労働省はリスク管理の機関ですから、実際にどんなふうにリスク軽減をやっているかみたいな話でも、そういうことも含めて、ありませんか。

 佐藤先生、どうぞ。

 

○佐藤委員 もう一つ確認で、輸入条件不適合事案で先生がさっき御質問されたのですけれども、解除日について、もう少し教えてほしいのですが、解除日は具体的にどんなふうにして決定しているのでしょうか。実はそこは重要なポイントではないかと個人的には思っています。


○道野課長 手続の面から申しますと、輸出国政府から原因究明の結果と再発防止措置が出てくるわけです。それが適切だと判断されれば、行政措置としては、要は輸入検査をしている全国の検疫所に通知をするというのが、行政措置としてはそういう形になっていて、こういった条件不適合の事例が出た場合には、輸入手続をステップしてくださいという指示を検疫所に出すわけです。解除はその指示を解除するということになるわけでして、それ以降に輸入されるものについては、検査の頻度は上げるわけですけれども、輸入自体は問題がなければ認めていくという形になります。ですから、解除日以降のものについては、おおむね問題ないだろうということですけれども、それについても検証をしていって、輸入を見ていくと、そういうような対応をとっています。


○毛利部会長 今のことに関連してですけれども、不適合であった内容によりけりだと思うのですが、輸入再開のとき、すなわち、解除するときに現地でその確認とか、そういうことはされているのでしょうか。


○道野課長 ケース・バイ・ケースです。特に原因がはっきりしているようなものとか、割と単純な事例についてはその都度、現地を見に行くということはしません。例えば、ヨーロッパとの基準の違いという話を先ほど申し上げましたけれども、そういうケースに関しては、定期、不定期があるのですが、次の査察の優先順位を上げて、現地に査察の際に確認をしていくということもしますし、平成10年代には米国で、不適合事案はかなり多発したので、その際には一旦輸入を止めたりとか、再開に向けて全施設を見ていったりとか、そういった措置も当時はやりました。米国側も体制ができてきて、その後は現在も続いているのですけれども、米国については輸入量も多いということで、毎年査察に行く。一切にそういった輸入量の多いところとか、過去に不適合事例があったところを中心にチェックをしてくるというような対応をとっています。


○毛利部会長 ありがとうございました。

 ほかに委員の先生方、どうぞ。


○佐藤委員 そのことでもう少し教えてください。平成27年度の段階でアイルランドはC-BSEが見つかっていますよね。その段階で、実はこれで一番重要なのは、扁桃体の除去が不十分な舌を輸入したということで判明して、その後に解除がまだできていないという現状だと思うのですけれども、C-BSEが見つかった国に対して、実はきちんと危険部位が除去できなかったという状況が非常に重要な問題ではないかと、私は個人的に思っているのです。だからこそ現地調査とか、そういうところが必要ではないかという感じはするのですけれども、それはいかがでしょうか。


○道野課長 御指摘のとおりだと思います。2つの種類があって、向こうの国内規制も守れていないというものと、対日輸出条件が守れていないというものと、2つあるのだと思います。ヨーロッパに関して言うと、要はこの扁桃の除去は舌の部分に、先ほど申し上げたようなカットの位置が日本では決まっていて、あちらでは決まっていないということがあって、ばらつきが発生するというのが原因なわけです。そういった意味では、対日輸出条件をきっちり守れていないという評価になるわけです。

 アイルランドについても、再開後も現地調査が必要な優先順位の高い国だと思っていますし、先般、ポーランドに関しても発生したということで、ポーランドについても優先順位が高いところということで、現地調査の優先順位を上げていくというような対応をしております。


○毛利部会長 佐藤先生、よろしいでしょうか。それは大事なことで、C-BSEの場合は環境が汚染されていたりとか、飼料で感染ということがパーセンテージとして高いわけですから、そのときには恐らく見つかった1頭だけが食べたのだとか、1頭だけが汚染されたということはあり得ないので、そういった意味も含めて、ぜひ審査というか、調査も強めていただくと、より安全な方向に行くのではないかと思います。

 ほかにありませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、少し時間が早いかもしれませんけれども、この部会としては一定のコンセンサスが得られたと考えたいと思います。

 本日は議論がいろいろとありましたけれども、これらを踏まえて、厚生労働省においては人員の問題とか、現地に行ったりとかは大変だと思いますが、ぜひBSEのリスク管理措置を引き続き実施していただきたいと思いますし、今後も必要に応じて本部会にもぜひ報告をお願いしたいと思います。

 そのほかに関して、事務局のほうからありませんでしょうか。


○東良補佐 その他に関してはございません。


○毛利部会長 それでは、本日の部会をこれで終了とさせていただきたいと思います。本日は、委員の先生、事務局を含めまして、お忙しいところをいろいろと議論をいただき、どうもありがとうございました。

 

 

 


(了)

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課
課長補佐 東良 俊孝(内線:2440)
係長 川越 匡洋(内線:2476)
(代表電話番号) 03(5253)1111
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