ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(遊びのプログラム等に関する専門委員会)> 社会保障審議会児童部会第4回遊びのプログラム等に関する専門委員会(2016年1月29日)




2016年1月29日 社会保障審議会児童部会第4回遊びのプログラム等に関する専門委員会

雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室

○日時

平成28年1月29日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員

植木 信一 (新潟県立大学人間生活学部子ども学科准教授)
北島 尚志 (NPO法人あそび環境Museumアフタフ・バーバン理事長)
佐野 真一 (港区立麻布子ども中高生プラザ館長)
鈴木 一光 (一般財団法人児童健全育成推進財団理事長)
高松 絵里子 (北海道中標津町役場町民生活部子育て支援室長)
中川 一良 (社会福祉法人健光園 京都市北白川児童館館長)
羽崎 泰男 (城西国際大学福祉総合学部福祉総合学科特任教授)
松田 妙子 (NPO法人せたがや子育てネット代表)
吉村 温子 (玉川大学非常勤講師)

事務局

野村少子化総合対策室長
竹中少子化総合対策室長補佐
齋藤少子化総合対策室長補佐

○議題

(1)実践状況調査結果の分析及び評価のとりまとめについて
(2)好実践事例等の普及啓発について
(3)遊びのプログラムの改定、開発に向けた検討について
(4)その他

○配布資料

資料1 第3回遊びのプログラム等に関する専門委員会主な指摘事項等
資料2 実践状況調査結果の主な分析及び評価のとりまとめ(案)
資料3 「こどもの城」が開発又は普及に携わってきた遊びのプログラム及び地域の児童館で行われている活動プログラムの実践状況調査結果《概要版》
資料4 「こどもの城」が開発又は普及に携わってきた遊びのプログラム及び地域の児童館で行われている活動プログラムの実践状況調査結果【全体詳細版】
資料5 好実践事例の普及啓発について
参考資料1 平成28年度予算案の概要(雇用均等・児童家庭局)
参考資料2 児童健全育成対策関係・平成27年度補正予算及び平成28年度予算案の概要
参考資料3 平成27 年度全国子どもの健全育成リーダー養成セミナー-子どもの視点から考える地域の居場所づくり- 開催要綱

○議事

○竹中少子化総合対策室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「遊びのプログラム等に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お足元が悪い中、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 委員の出欠についてでございますけれども、本日は大塚委員が所用により御欠席、松田委員から少々遅れるとの御連絡がありました。
 それでは、議事に入りたいと思います。鈴木委員長、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 早いもので「遊びのプログラム等に関する専門委員会」も年を越しまして第4回目を迎えることになりました。本日も委員の皆様には、よろしくお願い申し上げます。
 さて、早速ですけれども、おととい27日、大田区で3歳の男の子が虐待死しました。加害者は20歳で、身長195cmと報じられていますが、もうこれは殺人だなと私は感じながら、痛ましいニュースだなと思っていたのですけれども、無抵抗な3歳のかわいい盛りの男の子ですよね。ちょっと御想像していただきたいのは、自分の母親がこの男性と知り合ってから、どんなつもりで毎日過ごしてきたのかなと思うと、1日1時間1分が大変過酷な時だったのではないかと心が騒ぎます。
 行動から見ると、この加害者も全く心の育っていない子どものままですよね。3歳の子に「ガンつけられた」という発想自体が子どもというか、人間を知らないとしか言いようがない感じなのですけれども、ただ、この男性も非常にひどい育てられ方をしたのだろうなということは推測できると考えました。
 この虐待もそうですし、それから、貧困もそうなのですけれども、恐らく一番の問題は日本における子育ての文化、それから、生活をする上で私たちが教えてこられた努力とか忍耐とか勤勉というような、日本の伝統的な文化が代々親世代から伝承されていないのだなと、このことが一番大変なことなのかなと近頃は、考えています。この負の連鎖を断ち切る支援が急務であり、喫緊の課題なのだろうなと思います。
 このかなめになる文化ですけれども、文化というのは遊びを通して一番伝達されやすい、伝授されやすいというのが、恐らく福祉施設としての児童館が方法論として採用した哲学ではなかったのかなと思います。先人たちは多分、子ども期によく遊ぶと諸問題の発生予防になると経験的にしっていたのです。そして、大人になってもそうですけれども、人生というのは時間が取り戻せません。しかし、やり直しはいつからでもできますよね。このやり直しのときにも遊びの効果というのは絶大だということを信じて、児童館活動を進めてきたと考えております。
 本日は、実践状況調査の結果の報告・分析、それから、好実践事例の普及啓発についても議論が予定されています。遊びの本質的部分というものを根底に据えて、支援を必要としている家庭や子どもたちにも手の届く児童館の遊びのプログラムであるということを実証するためにも、たくさんの御意見をお願いしたいと思います。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、まず初めに、事務局から資料の確認についてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○竹中少子化総合対策室長補佐 それでは、本日も多くの資料をお手元に配らせていただいております。その確認でございます。
 まず、資料1が、前回第3回の専門委員会の主な指摘事項等ということで、A4縦の2枚紙でございます。
 資料2が、本日のメインテーマになりますけれども、「実践状況調査結果の主な分析及び評価のとりまとめ(案)」というパワーポイント横の資料でございます。
 資料3が、その実践状況調査結果の概要版ということで、第2回のときに配らせていただいたものと同じでございます。
 資料4が、実践状況調査結果の全体版詳細ということで、これについても後ほど説明させていただきます。
 資料5が、議事の2つ目に関連しますけれども、「好実践事例等の普及啓発について」ということで、パワーポイントの1枚紙でございます。
 あと参考資料といたしまして、参考資料1「平成28年度予算案の概要」、これは雇用均等・児童家庭局の予算案の概要でございます。2種類あります。文章編と資料編ということで分けてお配りしております。
 参考資料2が、児童健全育成対策関係の予算案の概要でございます。これはパワーポイント横の資料になります。
 最後に、参考資料3としまして、今年度国で主催させていただいて実施いたします全国子どもの健全育成リーダー養成セミナーの開催要綱、縦の資料でございます。
 以上をお配りしております。もし、過不足等がございましたら、事務局のほうまでお伝えいただければと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。皆様大丈夫ですか。お手持ちございますか。
 それでは、ちょっと振り返ってみたいと思いますが、前回の第3回におきましては事務局より、こどもの城が開発または普及に携わってきた遊びのプログラム、地域の児童館で行われている活動プログラムの実践状況調査の主な分析及び評価の視点について御説明をいただきました。その分析及び評価の内容につきまして、委員の皆様からさまざまな御意見をいただいたところでございます。その調査結果に関連して、好実践事例の普及啓発の方法などにつきましても御意見をいただきました。
 今回はそれを踏まえまして、まずは本専門委員会の論点の1つであります実践状況調査結果の分析及び評価のとりまとめをさせていただきたいと考えています。
 それでは、まず、前回の概要である資料1を含めて資料2~4までについて、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○竹中少子化総合対策室長補佐 それでは、資料をお配りしているものの御説明をさせていただきたいと思います。前回に引き続きちょっと長い説明になってしまうかもしれませんけれども、ポイントを絞ってお話しさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、資料1をご覧いただきたいと思います。本日の議事に全て関わってくるものでございますので、前回の振り返りということで簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、1つ目のポイントとして、実践状況調査結果の分析及び評価に関することでございますけれども、これまでこどもの城が果たしてきた機能及び役割についてということでの御意見でございます。児童館巡回事業のときに、遊びを伝えることが非常に効果的だったと。そういった巡回を通じて地域差というものも縮小できて、直接伝えていたことが大切だったのではないかということ。
 あと、運営主体別では、いわゆる民営の人のほうが熱心であると経験上感じたことがあるけれども、運営形態よりもどちらかというと職員の姿勢が影響しているのではないかということ。
 それに関連して、公設公営から指定管理になったところでは、フレックスさがないのではないかといったことで、うまくいっていないところも多いのではないかというようなこと。
 逆に、指定管理のところは数年に1回、いわゆる更新があるので、活動内容や運営について、よりよいものを目指していくということで、危機感を持っていらっしゃるところも結構あるのではないかというようなこと。
 何よりも人材育成が大事ではないかと。そういった意味で、県立等の大型児童館が今後中心になって、館長研修などで実践に即した研修を実施していくことが望ましいのではないかというような御意見。
 やはり人から人に直接伝えることが効果的だったと。今後そういった効果的な伝達方法、ホームページ等直接的ではないものも含めて考えていく必要があるのではないかということ。
 人が人を育てることを一番に考えていくべきではないかというような御意見がございました。
 2番目としまして、障害のある児童などが参加しやすいよう配慮しているプログラムに関してでございますけれども、これは非常に実施率が低かったわけですが、それは設問の仕方にちょっと問題があったのではないかということで、実際には障害のある子どもたちも参加しやすいような工夫は、現場ではもうなされているのではないかというようなことです。
 また、障害児を受け入れていくためには質と量の両方の担保が重要なのではないか。
 あと、障害者差別解消法が来年度から施行されるわけですけれども、児童館も合理的配慮が努力義務となるので、障害児の特性を理解した上でのアセスメントというものも必要になってくるのではないかという御意見もございました。
 次に、児童館ガイドラインに関してでございます。昨今の喫緊の課題である、いわゆる子どもの貧困への対応というものも非常に重要で、児童館も例外ではないのではないか。
 さらに、児童館の役割を整理して、ガイドラインを通じて方向性を示していく必要があるのではないか。
 それに関連して、児童館の機能、役割、理念を再確認した上で、今後議論をしていく必要があるということでございます。
 さらに、利用者調査に関しましては、ここでもやはり実践できる人材の育成が必要なのではないかということ。
 2つ目の○では、分析のところで小学校低学年、高学年、中学生、高校生などのくくりをもうちょっと明確にして分析をしたほうがいいのではないかということがありました。これについては、また後ほど説明させていただきます。
 次に、もう一つの論点として、好実践事例の普及啓発の方法についてでございますけれども、ここで館長の役割が非常に大事で、国がしっかりと研修をしていく機会を設ける必要があるのではないかということ。
 さらに、モデル児童館に関して、新しい方向性を実現するためにモデルを全国的に実施することは非常に意味があるのではないかということ。
 子どもの変化だけではなくて、保護者や学校、さらに地域との関係性なども含めた観点で考えていく必要があるのではないかということ。
 さらに、最近、児童館も全国的にはほぼ横ばい、もしくは若干縮小、減少傾向にある状況なのですけれども、児童センターが対前年20館増加していると。どのような意図でそういった児童館を新たに建設したのか、設置したのかを直接行政担当者に確認してみることも必要ではないかといったこと、モデルを指定していく方法論もあるのではないかという御意見をいただきました。
 今回こういった御意見も踏まえまして、まとめさせていただきましたのが、資料2~4の実践状況調査結果のとりまとめの一連の資料でございます。
 まず、資料4から説明させていただきたいと思いますけれども、前回提出させていただいたものから追加もしくは修正した箇所が何カ所かございますので、そこを御紹介させていただきたいと思います。
 資料4の表紙裏でございますが、「今回の調査結果で新たに示した集計について」。
 まず、(1)前回の専門委員会で御指摘いただいたところ、先ほど言いましたとおり、いわゆる小学校低学年、高学年、中学生、高校生の集計作業を行って、さらなる分析を行ってはどうかということで、それをさせていただいています。136ページ以降が、いわゆる子ども向けに調査した結果の詳細版になります。
 例えば136ページでいうと、学年別ということで書いてあるわけですけれども、小学校1~3年生をまとめた小学校低学年と、小学校4~6年生をまとめた小学校高学年を新たに設けまして、その数字を出させていただいたと。さらに、これらの状況について分析を行ったものを書かせていただいております。
 137ページ以降も、全て学年別については、そういう分析表記をしているということでございますので、ご覧いただきたいと思います。
 また、先ほどの表紙裏に戻っていただきまして、今回新たに集計した関係でございますけれども、まず、運営主体向けの調査につきましては、問D-1、4、7、10の回答についてプログラムの類型化を行ったということです。73ページ以降が該当部分になります。
 まず、73ページは、プログラムの実践が児童館に与えた影響について聞いたもので、いわゆるB-1のプログラム、これはこどもの城が開発普及に携わったプログラムのことですけれども、それが児童館の運営自体に与えた影響があるかないかという質問で、これまでプログラム種別の集計はしていなかったのですが、今回7つのカテゴリーに分けてこれまで実施してきましたので、そのカテゴリーごとに、要は、どのカテゴリーに影響があったのか、なかったのかを割合を示して出させていただいています。
 運営自体に影響があったということでは、ありと回答したところでは、運動遊びが1番、その後親子遊び・子育て支援、3つ目が交流・仲間づくりというようなことです。逆に、影響がなかったというものでも、順番としては運動遊び、親子遊び・子育て支援、造形遊びという順番を今回お示しさせていただいています。
 次に、80ページをご覧いただきたいと思います。D-4でございます。これについては、児童館と地域との関係に与えた影響がありますかという問です。それについてもプログラム種別に分類したものを掲載させていただきました。これも結果としては先ほどと同じで、影響があったというものでは運動遊び、親子遊び・子育て支援、交流・仲間づくり。ないというものでは、運動遊び、親子遊び・子育て支援、造形遊びという順番になっているということでございます。
 次に、88ページでございます。いわゆるB-3のプログラム、地域の児童館で実施されてきた活動プログラムになりますけれども、そのプログラムが児童館の運営自体に与えた影響ということで、ここについては、こどもの城の7つのカテゴリーごとに聞いているのではなくて、具体的なプログラム名を書いてくださいという投げかけをさせていただいたので、それをあえて事務局で名称に沿って類型化するよりも、都道府県別に実際のプログラム名称を出してお示しさせていただいたほうが、イメージが湧くのではないかと思いまして、まず、影響ありのところでは都道府県ごとに並べさせていただいて、その中でプログラムをある程度多い順に並べさせていただいたものをリスト化したものでございます。多いところではたくさんあるので、それぞれ都道府県では最大5つのプログラム名について、ここで出させていただいたということです。
 例えば、北海道でいうと、こどもまつり、児童館まつり、てんか、かたビー、工作というものが151の児童館の中で比較的多く影響があったと回答が出されてきたところでございます。
 次の89ページは、逆に影響なしと答えられたプログラムだったのですけれども、これについては児童館数も125館と少なかったので、その児童館が答えてきたプログラム名を全てリスト化しております。88ページと89ページのプログラムを見比べていただくと結構重複する部分もありますので、それぞれの児童館でやり方なり子どもたちの反応などが違ったということで、こういった影響に関しても違った結果が出ているのではないかと考えられます。
 次に、98ページ、99ページも今と同じで、これは児童館と地域との関係に与えた影響がありますかということで、影響ありと影響なしをリスト化させていただいたということです。
 あと、Dではそれ以外でも、これまで分析ができなかった、例えば111ページの都道府県別でのクロス集計ですとか、112ページの人口規模別という集計ができていなかった項目がいくつかありましたので、こういったものを今回集計させていただいて分析を書かせていただいたものになります。
 これが前回からさらに深掘りをさせていただいて、全体版詳細としてまとめさせていただいたものでございます。一応、御承知おきいただきたいと思います。
 それでは、資料2「実践状況調査結果の主な分析及び評価のとりまとめ(案)」に移らせていただきたいと思います。
 これは、前回第3回委員会のときにも分析及び評価の視点ということで、そのときには事項として4つ出させていただきました。1つが、こどもの城が果たしてきた機能及び役割について、2つ目が障害児のプログラムに関して、3つ目が児童館のガイドラインに関して、4つ目が利用者調査についてということで分類してお出ししておりましたけれども、今回とりまとめ案ということで、さらに先ほどの全体版詳細の中から、いわゆるプログラム関連の効果ですとか、影響に関するものも分析及び評価をさせていただいて、中に入れさせていただいております。
 事項として新しいのが、7ページにあります「2.地域の児童館で行われている活動プログラムの効果及び影響について」と、12ページにあります「4.プログラム実践における課題等について」で、新たに分析評価を入れているものでございます。
 それでは、簡単にポイントだけ説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページが「1.「こどもの城」が果たしてきた機能及び役割について」ということで、調査結果概要はアのところ、これは前回もお示しさせていただいていますので、2ページのこどもの城が開発または普及に携わってきたプログラムの効果についてということで、これは前回こちらの資料にはお出ししていなかったので、今回新たに追加させていただいたということになります。
 資料4で言いますと、Cの48ページ以降が効果に関する内容ということで、前回、前々回において一通り説明させていただきましたので、かいつまんで説明させていただきたいと思います。
 2ページのイの1つ目、プログラムを実践した効果で、効果的だったプログラムがあると回答した児童館が76.1%ございました。
 2つ目で、理由では「参加者同士の交流が図られた」「年齢等に関係なく全員が楽しめた」「プログラム参加者が増加し、定着した」という順で高くなっていると。また、その中で「利用者の違った一面が発見できた」という項目があって、それについては具体的に記載していただいたわけですけれども、その中には「相手を気遣い、協力する一面を見ることができた」「自己中心的行動の子どもがルールを守って遊ぼうとする姿勢が見られた」などの個別の評価も出てまいりました。
 また、3番目として、効果が得られた要因としては「子どもに受け入れやすかったため」「プログラムに柔軟性があったため」の順で高く、その他の個別では「参加者のニーズに沿った内容を実践することができたため」「普段経験(体験)できない非日常のプログラムであったため」ということが見られました。
 逆に、効果的でなかったプログラムがあると回答した児童館は10.6%という状況でした。その理由では、「参加者が増加せず、定着しなかった」「年齢等によりグループ化してしまった」「参加の前後で、子どもに特に大きな変化は見られなかった」などの順となっているということです。
 その効果が得られなかった要因としましては、「子どもに受け入れにくかったため」「プログラムに柔軟性がなかったため」という順番。その他の個別回答の中には、「保護者に共感するプログラムを選べなかったため」「プログラムを子どもに任せたことで参加者が決まってきて広がらなかったため」という御意見も見られました。
 次に、ウでは、プログラムの実施が児童館の運営や地域との関係性に与えた影響に関してでございます。これは資料4のDの73ページ以降に入れているものでございます。
 まず、運営自体に影響を与えたと答えた児童館が80.3%。一方、影響を与えていないと回答したのが14.8%でございました。その影響を与えた理由としましては、「プログラムの実施を恒常的に行うようになった」「プログラムを充実したことにより、これまで利用が少なかった年代の利用が増加した」「職員の志気が高まり、一体感が強くなった」という順で高い割合になっています。さらに、その他の個別意見の中では「子ども達の新しい体験の一つとなり、子どもがまた友達を誘ってきてくれるようになった」などが見られたということです。
 逆に、影響を与えていない理由としましては、「プログラムの実施頻度に変化がみられなかった」ですとか、「プログラムは充実したが、利用する年代の広がりがみられなかった」ということが高く出てまいりました。
 次に、地域に影響を与えた児童館は61.5%、与えていないのが31.7%という状況でございました。
 4ページですけれども、地域に影響を与えた理由としましては、「地域での認知度が高まり、児童館に関心をもつ地域住民が増加した」「地域の関係機関との連携がより図られた」「地域の行事に積極的に参加するなど、重要な役割を担うようになった」という順番になっております。また、個別のその他の中には「地域の方々が子ども達のことを皆で見守り、助けてくれるようになった」などの意見もございます。
 また、影響を受けていないという理由では、「地域の関係機関との関係に特に変化はみられなかった」「地域の中での役割に特に変化はみられなかった」などの答えがございました。
 この調査結果に関しての評価、検証、今後の方向性ということで書かせていただいたのが、5ページのイでございます。
 まず、効果についてですけれども、今回効果的だったプログラムがあると回答した児童館76.1%、2,038館あったわけですけれども、これと同じ調査、後で説明しますが、地域の児童館で行われている活動プログラムに関する同じ調査では54.5%、1,459館という状況でした。こういったプログラムの内容に関しても、こどもの城が開発または普及に携わってきたプログラムの一定の評価が示されたのではないかと考えられると分析しています。
 さらに、都道府県別で島根県や滋賀県、高知県が比較的低い状況だったわけですけれども、これは前回御説明しましたが、これらの都道府県はこどもの城から影響を受けた割合も低くなっていた地域でもあったため、そういった意味でプログラムの効果にもこどもの城の関わりが少なからず影響したのではないかということを検証・分析しております。
 さらに、効果的だったプログラムがあると回答した理由の中で、「子どもが日常生活において基本的なルールを守れるようになった」が15.5%。「子どもが困っている仲間に手を差し伸べられるようになった」も15.5%ありまして、これらはそれほど高い割合ではなかったのですが、こういった回答がありました。さらに個別の回答では、「相手を気遣い、協力する一面を見ることができた」「自己中心的行動の子どもがルールを持って遊ぼうとする姿勢が見られた」などの回答がありまして、こういったプログラムの実践を通じて、子どもが日常生活の中で刻々と変化していく様子を捉えて評価をしている児童館も見られるということで、今後プログラムの実施に当たっては、子どもの成長発達に資するものという観点で、プログラムの内容も検討していく必要があるのではないかということです。
 また、さらに、効果が得られた要因では、「子どもに受け入れられやすかったため」「参加者のニーズに沿った内容を実施することができたため」などの割合が高かったということで、今後プログラムの実施に当たっては、子どもの視点ですとか、意見を生かすということがまず必要ではないかということと、保護者を含む参加者のニーズを十分くみ取って、プログラムの内容を検討していく必要があるのではないかということを書かせていただいております。
 6ページは、プログラムの実施が児童館の運営や地域との関係性に与えた影響です。
 まず、運営自体に影響を与えたと回答した児童館が80.3%、1,782館ございました。都道府県別では、滋賀県、新潟県、福井県が比較的低い県だったわけですけれども、これらの都道府県は、こどもの城から影響を受けた割合が一概に低いとは言えないということで、こどもの城との関わりとはここでは関連性が薄かったと考えられるということです。
 逆に、影響を与えていないと回答した理由の中には、「地域が関わりにくいプログラムだったから」「プログラムの実施は、館内のみであり、地域まで声かけはしていない」なども見られたということで、これはプログラムの内容にもよりますけれども、地域の方々に児童館を身近に感じていただくと。児童館が地域の中で重要な役割を担っていただくということを考えますと、今後プログラムの実施に当たっては、地域との連携・協力というものを常に念頭に入れながら、プログラムの内容を検討していく必要があるのではないかということを方向性として書かせていただいております。
 以上が、こどもの城が開発・普及に携わってきたプログラムに関連する効果と影響に関することです。
 7ページ以降が、「2.地域の児童館で行われている活動プログラムの効果及び評価について」ということで、設問内容としては同じものを聞いているということですので、結果としても結構同じような状況が出ています。
 アで効果についてですけれども、効果的だったプログラムがあると回答した児童館は54.5%ということで、ここは比較的低かった数字になっています。その効果があるとした理由では、B-1と全て同様の順番になっています。個別のところでは、「活動を通して、日常生活では見られない子ども達のコミュニケーション力や問題解決力、忍耐力、個性を発見できた」「控え目な子どもができるようになり、自信を持って他の子どもに教えている姿が見られた」などがあったということです。
 効果が得られた要因も、先ほどのB-1こどもの城の結果と同じようになっています。個別の意見の中では、「企画の段階から子どもの意見を主体に、プログラム作りに参加して進めていったため」「地域住民が参加しやすい(受け入れられやすい)プログラムだったため」という御意見がございました。
 さらに、実践した際の効果について、効果的ではなかったプログラムがあると回答した児童館は5.9%ということで、先ほどのこどもの城のほうが10.6%でしたので、低い数字が出ています。その理由では「参加者同士が互いに交流することがなかった」というものが挙げられているということです。ほかはB-1の回答と一緒になっています。
 8ページでは、効果が得られなかった要因も、B-1こどもの城の結果と同じになっています。個別の回答の中では「指導者の力量不足、プログラムの進行がスムーズにいかなかった」「プログラムが施設の大きさに合っていなかった」などがありました。
 次に、児童館の運営や地域との関係性に与えた影響です。これは資料4でいいますと88ページ以降になります。
 運営自体に影響を与えた児童館の割合が88.6%。影響を与えていない児童館が7.0%という状況です。都道府県別で見ても、100%の都道府県が11府県あったということで、非常に高い評価をしているという状況が見られました。その影響を与えた理由としましては、先ほどのB-1と同様の順番になっていまして、個別のところでは「子ども達が普段の遊びに取り入れて、自主的に活動するようになった」などが見られたところです。
 影響を与えていないと回答した理由でも、先ほどのこどもの城の回答と同じ傾向になっているところです。
 次に、地域に影響を与えたと回答した児童館は78.0%。影響を与えていないというものが15.7%ございました。
 影響を与えた理由としましては、こどもの城と同様の回答になっています。個別の中では「地域の方々の中・高校生のイメージが変化した」などが見られたということです。
 また、影響を与えていない理由は、これもこどもの城の回答と同様となっています。
 9ページで、その効果・影響に関する評価・検証、今後の方向性です。
 まず、アの効果についてですが、効果的だったプログラムがあると回答した児童館が54.5%、1,459館ということで、数字自体はそれほど高い割合とは言えない状況だったと。でも、都道府県別に見たときに、ここでは高知県は87.5%、島根県は83.3%と非常に高く出ておりました。これらの児童館は、こどもの城から影響を受けた割合が低く出ていた都道府県でしたので、独自で取り組んだ活動プログラムを高く評価しているという結果が出たのではないかということです。
 さらに、評価等に関する全般的なことは、この調査結果から見て、こどもの城が開発または普及に携わってきたプログラムと同じようなことが言えるのではないかということで、ここでは省略させていただいております。
 イ、児童館の運営や地域との関係性に与えた影響についてですけれども、児童館の運営自体に影響を与えたと回答した児童館が88.6%、1,590館ということで非常に高かった。この数字が100%のところが先ほど言ったように11府県あったということで、独自で取り組んだ活動プログラムが運営に大きく影響を与えていると考えた児童館が多かったのではないかということです。
 さらに、児童館と地域に影響を与えたと回答した児童館も78.0%、1,399館と非常に高い割合になっています。
 影響を与えていないという理由では、こどもの城の回答と同じでしたので、今後プログラムの実施に当たっては、地域との連携・協力を常に念頭に入れながらプログラムの内容を検討していく必要があるのではないかという方向性を示させていただいています。
 これが、こどもの城と地域の児童館で実践した活動プログラムの効果と影響に関する分析結果でございます。
 最後になりますが、12ページ、13ページは「4.プログラム実践における課題等について」ということで、ここではいわゆるこどもの城が開発・普及に携わってきたプログラムと、地域の児童館で行われている活動プログラムを共通してまとめているところでございます。
 調査結果の概要で、プログラムを実施していく上で一番重要なことは何かと聞いたときに、アイデア・発想、指導力、人員という順番になっています。さらに、アイデア・発想と回答した児童館のうちの運営主体別では、ここでは公設公営が51.8%と割合が高かった。民設民営の社会福祉法人が31.6%と割合が低くなっていたところです。
 また、新たなプログラムを今後導入する予定の有無について聞いたところ、ありが36.2%、なしが56.5%という状況でした。ありと回答した運営主体別では、ここでは公設民営、指定管理が44.9%と割合が高かったのですけれども、公設公営が28.7%ということで割合が低かったと。都道府県別では福岡県、神奈川県、広島県の割合が高かったのに対して、長崎県、滋賀県、高知県の割合が低かったという状況です。
 新たにプログラムを導入しようと考えた理由では、その割合が高い順に「他の児童館で実施しており、効果的なプログラムであると感じたため」「先駆的なプログラムとしてとらえようとしたと考えたため」「利用者からの要望があったため」という順番になっていました。
 逆に、導入する予定がない理由では、「人員が不足している」「必要と思われるプログラムはすでに導入されている」「予算が不足している」などの内容になっておりました。
 これに関する評価・検証、今後の方向性ですけれども、13ページで、今後新たなプログラムを導入する予定の児童館に、具体的にはどんなプログラムがあるのかを聞いたところ、貧困や不登校などによる中・高校生の学習支援、中・高校生向けの居場所づくり、ランドセル来館などということで、ランドセル来館というものは、もともと放課後児童クラブに入所できる要件を持っているのだけれども、そこに入れなかったお子さんが児童館に直接ランドセルを持って来館して、自由来館の子どもたちと一緒に遊びや生活を行うという取り組みが、今、自治体の中で徐々に広がっているわけですけれども、そういった取り組みを今後導入しようと考えているところがあるということです。今日的な喫緊の課題に取り組んでいこうという姿勢がうかがえるのではないかということで、今後、児童館の役割を高めていくためにも、こうした取り組みについて必要な地域で、必要なニーズがあるところに実施するためのノウハウや環境設定などを検討していく必要があるのではないかということです。
 最後に、導入する予定がないと回答した児童館ですけれども、回答の内容では「人員が不足」「予算が不足」「来年度から放課後児童クラブに移行するため」という回答が見られまして、新たなプログラムを導入しようとしても物理的かつ財政的に困難な状況が見られるということがあって、どうしても新たなものを取り入れていこうという発想にならないという結果が見られたということで、今後この専門委員会の役割の一つですけれども、地域の児童館の必要性を再確認・再認識するための児童館が果たすべき機能及び役割の検討をしっかりやっていく必要があるのではないかということを書かせていただいています。
 以上が、とりまとめに際しまして前回以降追加させていただいたものになります。本日は、主に資料2のとりまとめ案の評価及び検証、今後の方向性で、もうちょっとこういった分析が必要ではないかとか、今後の方向性のところでこういったことを書いたほうがいいのではないかという御意見がありましたら、是非、いただけたらと思っております。
 長くなりまして恐縮でしたけれども、事務局からの説明は以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。膨大な資料のとりまとめで、本当にお疲れさまでございました。
 それでは、全体のとりまとめに向けて御質問や御確認も含めながら、御意見のある委員に挙手をお願いしたいのですけれども、一つここで、こどもの城が開発または普及に携わってきた遊びのプログラムのとりまとめについては最後の議論になると思いますので、ぜひ、これを加えるようにということがございましたら、それも意識的に御発言いただければと思います。
 今、1~4までそれぞれ説明をしていただいたので、順番を追ってご意見をいただくということでよろしいですか。それとも全体をまとめて考え付かれたところからの方がいいですか。時間も多少はありますけれども、余り前後してしまうととりとめがなくなるといけませんので、ではとりあえず「1.「こどもの城」が果たしてきた機能及び役割について」のとりまとめからいきたいと思いますが、北島委員、どうぞお願いします。
○北島委員 前回、出席できませんでしたので、今回改めまして幾つか。まず、1番についての意見を述べたいと思います。
 率直に、この評価アンケートも含めてですけれども、私も児童館の職員を辞めて20年近くなりますが、さまざまな現場に行くと、今回の調査結果と現実とのギャップを感じるというのが正直なところで、評価について1つは、最初に出ている児童館巡回事業というものがありますけれども、この影響はかなり大きいというのは、いろいろな現場に行くと必ず言われます。ここについての成果といえると思います。また、こどもの城が果たしてきた中央から発信して、ある種児童館像みたいなものを提案しながらやってきたというのも、自分自身も当時、現場の職員でこどもの城が次に何を言うかというのはとても期待していましたので、今回の調査結果を見て、やはり大きかったんだなということを改めて思ったのですが、同時に限界だなというのも感じました。やはり中央から発信するということだけでは、現場との余りの違いに愕然としてしまうところがあります。
 中央から発信するというやり方自体をある種、この調査結果をもとに成果と限界という目を持たなくてはけないのではないかと考えます。それが、きょうも少し議論されると思いますが、これからモデル事業を含めてどう普及していけるかだと思っていますので、中央が何でも発信すればいいということにはもちろんなってはいないと思いますが、一定の限界があるということを、ここを通して私自身はすごく感じたということです。
2つ目は、例えば児童館と一口に言っても、今回全て児童館と名乗っているところのアンケートではあるのですけれども、例えば、どこかの公民館の一室が児童室になっていて、それも児童館と呼ばれていたり、あるいは区民館あるいは福祉会館みたいなところに児童コーナーみたいなものが一部屋だけあって、それも児童館と呼ばれていたり、あるいはきちんと地区児童館として2階建ての単独のものがあったり、あるいは放課後子ども教室と合併型の学校内の児童館であったり、あるいは大型と言われる、いわゆる4~5階建ての県に1つずつあるような大型児童館であったり、昨今は乳幼児専門の児童館あるいは中高生専門の児童館等、児童館といっても実は今は余りにも多様になっているという実情の中で、こどもの城の運営がどこまで各児童館に反映されていたのかというのは、実はこの調査結果ではなかなか見えてこない。もちろん、今後それをもう一回しろと言っているわけではないですけれども、その視点を持たないと発信したらそれがどう生かされるかというよりは、それぞれの児童館の実情によって余りにも違うのだということを踏まえた今後の方針を出すべきだと考えました。
 また、もう一つ率直なところで言うと、私自身もそうだったのですけれども、児童館でこういうアンケートが来れば、当たり前ですが手前みそになりますので、ある意味、児童館が地域の人たちにとってどう見られているのかという視点が大事だなと思っていて、例えば、町会であり、自治会であり、商店街の人であり、児童館を余り利用していない子どもの親であったり、あるいはPTAであったり、児童館を取り囲んでいる人たちにとって、この児童館がどういう意味があるのかという視点も今後きちんと持っていきたいなと思いました。
 3つ目に、指定管理制度になって10年以上でしょうか。ここに書いてありますように、本当に現場は、3年あるいは5年で変わってしまうかもしれないという危機感はとても大きいです。ただ、危機感が果たして本当によりよいものをというところにいっているかどうかという質を点検しないと、指定管理でないほうがよかったとか、指定管理になってとにかく子どもにけがだけはさせるなとか、あるいは利用人数だけはとにかく一定の数を超えろという指示があってイベントをガンガン打つとか、あるいはけがをさせないために管理が以前より強まったとか、そんな声はごまんと聞いているんです。そうすると、一体何がよりよいものなのかというのをだれが判断しているのかというのを、この指定管理に関してはすごく感じます。それは行政なのか、現場なのか、それぞれの企業、会社、法人が判断すべきことなのか。でも、どうやらそこには行政の一つの基準があるような気がしていますので、その部分も今後、指定管理の児童館はとても多くなっていますので、しっかり中身を点検する必要があるなと感じました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 では、佐野委員。
○佐野委員 こどもの城の果たしてきた役割については、最後の議論になるということなので発言させていただきます。調査の結果、60%の児童館の方が影響を受けたということで大変うれしい結果になったと思っております。今回は、こどもの城の影響をプログラムという視点で調べてまいりましたけれども、開館当初を思い出しますと、その当時よく児童館の先生方に、ぜいたくなところだと、320億円かけてスタッフの数も100人いて、地域の児童館ではなかなかできないこともたくさんあるよと言われたのをよく覚えております。そうした時、子どもだからこそ、最高の文化、最善の利益が得られるような働きかけをしようではないか、子どもだからこのぐらいではなくて、子どもだからこそ最高のものを提供できるよう努力しようと、事業を30年間続けてまいりました。ですから、恐らく今おっしゃったように中央から発信したものは、当然、児童館に合わないことがたくさんあったと思います、できないことがたくさんあったと思います。でも、我々伝えたかったのはプログラムそのものではなくて、児童館は最善のものを子どもたちに伝えよう、豊かな文化、豊かな遊び体験を子どもたちに伝えていくことが必要ではないかということを我々はずっと30年間発信してきたと考えております。
 最後の議論ということで開館当初の思いを言わせていただきましたけれども、やはり子どもだから一番いいものを伝えていきたいと思ったものが全国に波及できたらうれしいなと考えております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 続いて、植木委員お願いします。
○植木委員 遊びのプログラムの効果というのは、この結果で一定認められるのかなと思います。そういった意味では、こどもの城が果たしてきた役割というのも、やはり一定認められると言えると思います。
 そうすると、これは次の議題になるのかもしれませんけれども、今後はこれをどう全国に、地域に普及啓発していくかということになってきますと、先ほど北島委員も言われたように、そのための手段というか、努力というか、あるいは方法というか、そこが極めて重要になってくるのではないかという気がいたします。
 そうしますと、プログラムを実施するのは地域の児童厚生員ということになりますので、ぜひ評価及び検証結果に、一定効果が認められた遊びのプログラムを今後、全国に普及啓発していく際に、児童厚生員の役割であるとか、あるいは一定の質の担保といった視点も重要なのではないかと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 中川委員、お願いします。
○中川委員 こどもの城のプログラムにしろ、地域の児童館のプログラムにしろ、効果が得られた要因として、子どもに受け入れられやすかったため、あるいはプログラムに柔軟性があったためというのが上がってきているわけです。これはやはり児童館の施設特性を如実に示しているのではないかと思います。といいますのは、児童館というのは子どもが自分の意思で利用する施設なんです。ですから、子どもたちが児童館に行ってこんなプログラム、こんな遊び、こんな取り組みをしたいという、そこがしっかりプログラムの中に反映されていると、結果として子どもたちに資するものとして大人も実感できるし、子どもたちもそういう表情をして児童館から帰っていくと。だから、今後はプログラムについて検討するとき、今回の調査結果の中で明らかになった児童館の施設特性をしっかり生かした、子どもの意見、子どもの意向というものをプログラムいかに反映していくか、ここが一つの大きなポイントになるのではないかというのが、今回の結果から読み取れたのではないかと思っております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 松田委員、お願いします。
○松田委員 いろいろなデータがおもしろかったなと思ったのですけれども、3ページのウの2つ目に、運営に影響を与えたという数字ではない自由回答が載っているのですけれども、ここはすごく大事だなと思いました。そのままプログラムを参考にしたとか、それが続けてやれたということよりは、プログラムの導入をきっかけにもう一回職場の皆さん、スタッフの皆さんたちがつながったり、それに向けて何か成し遂げていく、地域の人とか子どもたちと一緒に何かしていくというきっかけになったのかなとか、あとは、そういうことを通して、こどもの城のスーパーバイズとか相談機能みたいなものがここに表れたのかなと思っています。なので、館としてはなくなるかもしれないですけれども、中間支援機能みたいな部分がすごく生かされたのではないかと感じました。
 もう一点、12ページに課題があって、充実していく上で重要なことがあって、1番が「アイデア・発想」というのが「おー」という感じなのですけれども、さっき中川委員がおっしゃったように、その地域の特性や児童館の特性をそのままではなくアレンジしてみたり、プログラムとしてだけでなくて日常に定着させていくといったところに関して、ここに出ているデータは困り感なのか、困り度として出ているのかということだけちょっと気になっていたので、もし、実感としておありの先生方がいらしたら教えていただきたいなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 今の松田委員のお問い掛けに対してはどうですか、何かサジェスチョンはございますか。また途中でも思いつかれた委員がいらっしゃいましたら、挙手をお願いします。時間の制約もございますから、次の項目もいきたいと思うのですが、次に、大きな2番、地域の児童館で行われている活動プログラム。結論は大分1とも重複したり繰り返しになることも多いようですけれども、そういうことと兼ね合わせて、また1で御意見の残っている方もどうぞお願いします。
 きょうは書き足していただいたところを中心に御説明いただきましたけれども、全部で6項目ございますので、これが最後ということでございますから、いろいろと全体を通しても結構かなと思いますが。
○松田委員 済みません、関連していいですか。さっきの動くこどもの城のプログラムのところでお話ししたこと同様で、8ページ上の効果の得られなかった要因というところで、施設の大きさに合っていなかったとか指導者の力量不足とか進行というところが、自分たちだけでやることの課題になっていたのかなと。スーパーバイズとか相談機能とか実践交流みたいな部分が影響するのだろうかと逆として見ました。
○鈴木委員長 遊びのプログラムというのは、だれがやるかによって話し方一つ、説明の仕方一つ、盛り上げ方一つでガラッと変わりますから、どの程度の技量があるかというのは大変なことだと思いますし、全体として私も感じるのは、アンケート調査をやったときに調査主体が上部組織に属すると調査者を喜ばせる傾向がありますよね、ですから、これは事例調査で実際に現地に行ってみないと、数字の意味の実感がわからなかったりすることもございますから、かなり盛っていただいている回答である、という自戒が必要だろうと思います。ただ、実際にアンケート結果全体の印象を全国を回った経験に照らし合わせると、かなりリアリティーのある数字でもあるかなと思います。県別のいろいろな評価を見ますと、あの県は全体として児童館運営方針がちょっと放課後の学習に特化されていたなとか、県独自の保育所需要重視の姿勢などと重なってきますので、そんなに大きくずれていない調査だなと思いつつも、確認しなければならない回答は多々あるかなと思います。
 北島委員どうぞ。
○北島委員 ガイドラインのところでもよろしいでしょうか。今回ガイドラインは、今、委員長がおっしゃられたように、現場であちこち行っている身としては、ガイドラインの内容に沿って運営されていると回答した児童館が92%というのは、「うーん」とちょっとうなってしまいまして、例えば、内容に沿ってというのはまた難しい言い方ですけれども、ガイドラインを生かしているか、あるいは現場に行くとガイドラインそのものの存在を知らない、あるいは読んだことがない、そういえば置いてあったという話は実はあちこちで聞くわけです。しかし、建前としてはもちろんガイドラインがありますし、読み合わせしましたとか、勉強会をしていますという児童館もあるので、本当に現場によってこれをどう生かしているのかと。やっている中身は、例えば子どもの遊びだったりイベントだったり、子育て支援だったりするので、それ自体はガイドラインに全部書いてあることなので、沿っていると言われれば100%沿っているわけですけれども、それをどう地域の実情に合わせて生かしているのかという問いになると、現場はなかなか難しいなと正直思っています。
 特に、今、子どもの貧困というのがガイドラインの評価の中でトップに挙げられてきましたけれども、さまざまな取り組みが始まっていることも知っています。しかし、私自身は遊びの貧困といいますか、今の子どもたちのさまざまな貧困の中で、実は遊ぶという世界さえも貧困、つまり貧しくなっているというものの見方を一つしなくてはいけないのではないか。だから、児童館が子ども食堂をやる、学習支援をやるという新たな発想をガイドラインの中で検討していくことはもちろん重要だと考えていますが、私たちが考える遊びの一体何が豊かで何が貧困なのかという議論を、ぜひ今後詰めていきたいなとは考えています。
 つまり、ゲームあるいはスポーツ、そういうものにたくさん子どもたちが触れる機会の中で、私たちが考える遊ぶということは何か、遊びの貧困とは何かという議論です。
例えば、簡単なところで言えば、人と人とのかかわりの中でルールをつくり変えたり、自分たちがおもしろいと思うものに向かう時間が少ないことであったり、あるいは多様な人間関係の中で体験活動、あるいは自然の中で体験するということが少なかったりとか、そういう幾つか私たちが考える遊びの中の貧困問題ということをきちんとガイドラインの中では取り上げていかないと、佐野委員も言っていましたけれども、子どもにとって今、この時代で最優先のものは何かということが見えづらくなってしまうし、あれも必要、これも必要、それも必要で、結局何をやっているのになってしまうので、今後のガイドラインの行方は本当に今、大きなところに来ているなと感じます。先ほど、中川委員がおっしゃったように、子どもと一緒に何かおもしろいに向かってつくっていく、そういう場所が児童館なんだときちんとここで明文化しなければ、今後なかなか難しいなと。それをどう広げるかということは、この後の議論になりますけれども、このガイドラインについてはそのことを感じました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 あと、城に直接関して特にございませんか。羽崎委員、お願いします。
○羽崎委員 今後、これからこどもの城がなくなった後、こういう普及をどうしていくかという話が話題として多分出てくると思いますけれども、先ほど言った中央からの発信ということでいうと、例えば、動くこどもの城を考えていきますと、確かに最初のころというのは、こどもの城という特殊な場所であったものが果たして地方に受け入れられるかということはかなり話題になって、我々内部的には、それをいかにアレンジしていくかということに相当こだわったところがあります。そういうことを含めて、こどもの城のプログラムというのは多分細かく言いますと、実は2,000とか3,000近くのプログラムになるんですね。私は今後こういう普及をどうしていくかという考え方の中に、例えば、こどもの城が動くこどもの城ということで全国に行ったとき、一番大きいのは県立の児童館にまず持っていこうと。県立の児童館には地域の児童館の人たちに集まってもらおう。例えば、我々が県立の児童館で研修会や何かをするときには、ある程度こどもの城のノウハウで行くのですけれども、そこから実は例えば、児童館のスタイルが違ったり、地域の特性というのはある意味そこからそれぞれが、逆に言えば力強く自分たち流にアレンジしていくというのが多分あったのではないかと思うんです。それは、先ほど言ったように、地域のプログラムというのがあるのですけれども、私はこどもの城のプログラムと地域のプログラムはそんなに変わらないと思っているんです。それはなぜかというと、先ほど言いましたように、我々のほうから持っていったものというのは、地域にはそれぞれが形を変えながらアレンジも含めて取り入れられてきたところがあるのではないかと私自身は感じているんです。
 だから、多少児童館の種類が違ったり、スタイルが違っていても、我々が研修で知らせたものを、そこの人たちがそれぞれがそれぞれなりに考えて、自分たちに合ったものにしていったのではないかというのが、動くこどもの城になって何年たったか覚えていないのですけれども、そういうものが少なくともあったのではないかという気が私はしています。それは長い年月の中で、最初のころと最後のほうでかなり違ってきているのではないかと。実際に私自身も現場に行って、そういうのはすごく感じていて、ある意味こういうスタイルがきちんとしていれば、要するに、中央から我々が言ったものをそのままやろうと思ったら無理ですと拒絶するような話ではなくて、それぞれがそれぞれなりの環境の中で取り入れていくということがちゃんとできれば、それは先ほど言ったように、人材の問題もあれば、行政の問題もさまざまあると思いますけれども、そういう部分ができれば、例えば中央から持っていっても、かなり隅々まで影響は出てくるのではないかと私自身は思っています。
 それだけに、県立の児童館そのものがなかなか広がっていっていないというのは多分現状にあると思うし、県立レベルが指定管理でいい形でやっているところも当然あると思いますが、いろいろな形になってきて、それぞれ独自のものになっていくと、今度は逆に言うと、そこからの発展系というのが若干不安なところがあるかなと思っています。私自身は正直言うと、5,000近い児童館のある面で力の強さというのは30年間の中で感じてきたところがあります。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 中川委員どうぞ。
○中川委員 今のお話を聞いていまして、私は地域の児童館で日々活動しているわけですけれども、やはり年間計画を立てるにいたしましても、現場レベルでいきますと、去年これをやったから、ことしもこれでいいかみたいな感じで流れていきがちなんですよね。そんなときに大きな刺激が入ってきますと、あっと気がつくときがあるんです。だから、おっしゃたように、それをそのままというのはなかなか難しいかもわからないけれども、それと接することによって自分たちのプログラムがまた変わっていく、新しいものができ上がっていくという意味では、地域の児童館というのは、そこだけで全部プログラム対応していく力というのは難しいところがあるので、どこかから大きな刺激を常に受けていくというのは必要な要素なのではないかと思いますし、今般、こどもの城がなくなったことにかわって、では、それをだれがどうしていくのかというのは大きなテーマであるだろうし、そこの確立というのは必要なのではないかと思っております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。まさにこの専門委員会の核心ですよね。どうやって発信していくか。
 北島委員どうぞ。
○北島委員 今おっしゃったように、現場の職員がどうしても井の中の蛙になりますから、そうでない新しい刺激とか、そんな視点があったかというのは絶対に必要なので、その役割をどういう形でというのが1つこの委員会の使命だとは思っていますが、実は今、中川委員がおっしゃったように、現場ではたくさん努力を多分しているんです。しかし、それ自体を下支えするもう一つの学びの場がどうしても私は必要だと思っていて、つまり、現場の職員同士の研修し合いというか学び合いというか、お互い切磋琢磨するような場。これは実は私が勤めていた1980年代には、行政として職員研修は午前中認められて、予算化されて、私たちは仕事として研修していたわけです。それはもちろん都あるいは国のこどもの城からの研修もありましたけれども、自分たちのブロックで、自分たちの実践を報告し合って、そのことをお互いどうなのかと検証するというような研修をよくやっていました。テーマに分かれて乳幼児の問題や中高生の問題をどうすると各分科会に分かれて、当時は、いわゆる鈴木委員長たちがやっていた東京都で児童館集まれみたいなこともやっていましたので、そのことが崩れていったという歴史が大きな意味を私は持っていると思っています。
 中央から今回、遊び委員会でプログラムを提案すると同時に、現場がそのことを生かすための学びのシステムといいますか、研修をきちんと予算化して保証するということがないと、今は本当に任されていて、私は神戸の児童館に4年ぐらい入っていますけれども、もちろん公ではできないので自主的に自分でお金を払って有志の人たちが北島の学びの会に来ているわけです。だけれども、来た人は受けたとしても、現場に帰ってボランティアやアルバイトのおばちゃんたちに、それをどう伝えるかということになっていくと、今度は例えば、私などが実際に児童館に入って、そこの職員やボランティア、学生の方みんなと話して実践するみたいなことをやらざるを得ないんです。したがって、先ほどの普及でいくと、現場の人たちが自分たちで学び、自分たちで実践できるというシステムを同時に提案できると一番いいなというのは、すごく感じているところです。
○鈴木委員長 ほかにございますか。佐野委員どうぞ。
○佐野委員 今、研修の話になりましたので、私が日常的に感じていることをお話し申し上げたいと思います。
 私は、こどもの城で主に研修担当をやっておりました。現在は港区で研修担当をやっております。現場に来まして驚いたのは、本当にたくさんの研修の機会があるということです。東京都の場合だけかもしれませんが、次から次へと研修の御案内が来るんです。それが都児連は都児連、港区は港区、それぞれがそれぞれの研修を提供しますので、受ける身になるとバラバラで、全く体系化されていないように感じるわけです。ですから、職員は結局それだけたくさんの研修の機会を与えられながらも自分の興味のあるものとか、時間の合うものに参加するだけになってしまいます。どういう研修が職員にとって必要なのか、初任者から中堅になるためにはどんな研修が必要なのかという体系化された研修の道筋がどうも示しにくい状態です。この委員会でこの現状を整理し、一つの体系化された研修の道筋みたいなものが示されると、現場、自治体にいる職員には参考になるのかなと常に考えております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 松田委員どうぞ。これで次に移りたいと思います。
○松田委員 1点だけ。それに関連してなのですけれども、今、設置主体がいろいろになっていて、現場の人たちの学びもそうなのですけれども、管理責任者というか、館長なのか社長なのかわからないですが、その人たちの理解というのがかなりいろいろになってしまっていると思いますので、現場の人がすごく頑張ってやりたくても、それがかなわないということもきっとあるので、研修に関しても、プログラムに関しても、そういう現場にはいないけれども決定権がある人をどうやって巻き込んでいくかというのも、これからの課題かなと思います。
○鈴木委員長 よろしいですか。では、どうぞ。
○中川委員 今、研修のお話が出ていましたので京都市の例ということで、京都市もおっしゃるように研修が大変多く設定されております。京都市におきましては、一人一人の職員につきまして、研修の履修状況が明らかになる履修表をつくっております。この履修表というのは職員一人一人が持っていると同時に、施設の責任者である館長もしっかり把握しているんです。初任者から上級に至るまで履修表がございまして、それぞれ研修の案内が来たら館長が手元の履修表をひもときまして、何々さん、あなたはここをまだ受けていないから、次の研修には行ってくださいねというふうに、私どもは研修の体系化と言っております。
 一人一人の職員の資質の向上、スキルアップが児童館全体の運営や活動に資するのだという確信のもとに、施設が責任を持って、館長が責任を持って、運営主体が責任を持って、職員さんに研修を受けるようにしっかり指示させていただいている、こんな仕組みを京都市はとっておりますので、ひとつ御参考までに。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そうしましたら、次のテーマに大分意見が移っているようなので確認でございますが、こどもの城が果たしてきた機能及び役割の遊びのプログラムに関するまとめ方としては、資料2のようにまとめさせていただいてもよろしゅうございますか。
 また、追加とかいろいろ御意見もございましょうし、私に言っていただいても、事務局に御連絡していただいても、細かいところは幾らでも挿入できると思いますが、基本的には事務局ととりまとめを私も御相談しながら一任させていただいてよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鈴木委員長 ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。また次の議論もございますので、先へ進みたいと思います。
 この実践状況調査報告の分析、とりまとめをもって、こどもの城が果たしてきた機能及び役割の議論の一区切りとさせていただきたいと思います。調査票の検討からとりまとめに至るまで、非常に熱心に読んでいただくのも、見ていただくのも大変だったと思いますが、建設的な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。この調査のベースになる資料4でございますが、今後、児童館のプログラムの改定や開発に向けた検討、そのほか一般の研究者の方々の基礎資料としても使われるようになるような大変貴重なデータかと思いますので、皆様もどうぞ今後の展開のときにはこれを十分御検討いただいて、議論を進めていただければと思います。例えば、子どもの性格が変わった、いろいろといい方向へいった、では、そのプログラムは何だったのかということになれば、そのプログラムを少し掘り下げて普及啓発していくというようなことが、リクリエーションとしての遊びを進める児童館の大きなテーマでもございますので、そういう活用の仕方もできるなと思いながら私も拝見させていただきました。
 それでは、次に、議事2と3に移らせていただきたいと思います。ただいまとりまとめを行った実践状況調査報告に関連しまして、資料5につきまして、事務局より説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○竹中少子化総合対策室長補佐 それでは、資料5「好実践事例等の普及啓発について」をご覧いただきたいと思います。先ほど議論の中で中央からの発信の限界というお話もございました。確かに、これまでこどもの城が担ってきたいろいろな情報発信の方法は多岐にわたっていて、これをそのまま全て今後こういった専門委員会などで担っていくというのは限界があるかと思うのですけれども、ああいった機能・役割をしっかりと承継していかなければいけないというのが、この専門委員会の役割ということでもあるので、できる限りのことはしていけたらとは思っています。
 今回、資料として用意させていただきましたけれども、上では参考として、これまでこどもの城で行われてきたプログラムの普及啓発活動の主な内容でございます。1~7まで挙げさせていただいておりますけれども、これについては平成26年度のこどもの城の事業年報といったものが出されているのですが、この中からも参考として件数等を出させていただいて、これまでやってこられた実績が積み重ねの中で行われていたということでございます。
 こういったこれまでの取り組みも踏まえて、今後、普及啓発を行っていくにはどのような実施方法があるのかということで、来年度、国で予算措置したものもいくつかございますので、そういったものも含めてここに書かせていただいております。
 まずは、人から人への伝達という意味で言いますと、1つ目として、全国子どもの健全育成リーダー養成セミナー事業というものがございます。これは主に館長や、先ほどお話がありました指定管理を受けている代表者の方、もしくは指導的立場にある方などを対象とした、いわゆる実践交流的な意味合いを含めたセミナーになりますけれども、今年度から国が主催させていただいて、民間団体に委託して実施するという形をとらせていただきました。
 これについては、参考資料3をご覧いただきたいと思いますが、ちょうど来月2月14日と15日、今回は東京で行いますけれども「子どもの視点から考える地域の居場所づくり」をテーマとしまして、2日間にわたるセミナーを開催するということになります。
 プログラムをご覧いただきますと、まず、行政説明があり、次に基調講演として東京都の世田谷区長にお話をいただこうと思っています。その後、パネルディスカッションということで、「生きづらさを抱える子どもたちの地域での支援」をテーマとしたパネルを行っていただきたいと思います。
 2日目に関しましては、5つの分科会に分かれまして、それぞれテーマに沿ったことをお話しいただきたいと思っています。その中でも第3分科会では、先ほどお話にもありましたけれども、「『遊び』の意義と必要性~そのエビデンスを探る~」ということで、遊び本来の持っている子どもにとっての有用性などについて議論していただきながら、専門委員会とキャッチボールをしながら進めていきたいと思っています。
 こうした館長や指導的立場にある方の指導力というものが非常に重要だという御意見もいただいておりますので、こういったセミナーを通じて来年度以降も引き続き続けていきたいと思っています。
 資料5に戻っていただきまして、(2)がいわゆる児童厚生員等研修事業ということでございます。これは現場の指導員の研修になります。これも今年度から都道府県もしくは一般の市町村が実施主体となって、国庫補助を行った上で実施していくという仕組みにさせていただきました。
 これについても先ほど、体系的な研修をというお話がございました。確かに、そういったところまで国のほうで実施要綱の中ではお示しできていないという状況がありますので、そういったものも含めて人材養成という観点で、この専門委員会の中でも御議論いただく必要があるのかなと思っています。
 今年度この事業を実施する自治体が11自治体ということで、非常に少ない状況になっています。来年度以降、もっとさまざまな自治体で実施していただけるように、我々としても働きかけをしていきたいと思っておりますけれども、関係者の皆様方も是非、こういったものについて自治体の方々と協議を行っていただければと思っています。
 (3)は放課後児童支援員等資質向上研修事業ということで、これは放課後児童クラブの支援員や補助員を対象とした、いわゆる現任研修を国で予算化しています。そういった研修の中でも、プログラムのことや運営内容の向上に向けての取り組みという研修を実施していただくことにしています。
 (4)は、この遊びのプログラムの専門委員会の委員の派遣も今後行ってはどうかと思っています。こどもの城では、動くこどもの城が非常に効果的であったということがございました。もちろん、専門委員会ということで限界はありますけれども、いわゆる動く専門委員会というような位置づけにすることができるかどうかというのはありますが、委員の経験や知見を生かしていただいた中で、そういった機会というものも設定していったらどうかと思っております。
 (5)としましては、県立児童館を活用した普及啓発ということで、先ほども議論の中にありましたけれども、今、県立児童館は全国で20都道府県しかございません。半分以下という状況になってしまいましたけれども、ある意味今後、中間支援団体的な位置づけとして県立児童館の活用もさらに進めていかなければいけないのではないかと思っておりまして、そこのツールを活用した方法が何かできないかということを今後考えていく必要があるのではないかと思っています。
 2つ目として、画像等から人への伝達ということで、まずは厚生労働省のホームページに健全育成のための活動プログラムを既に掲載しています。これは、こどもの城が開発・普及に携わったプログラムを基本的に全て搭載しておりまして、こどもの城でこれまで活動事例集として出されていたものを全て厚生労働省のホームページにも掲載しておりますので、そういったものの啓発も図っていく必要があるのではないか。
 (2)として、好実践事例等を収録したDVDを制作し、配付していくような方法もあるのではないか。
 さらには(3)、全国の自治体の担当者を集めた会議等の場を活用して、好実践事例等をお伝えしていくことも考えられるのではないかということです。
 3つ目としましては、新たなプログラム等のモデル実施による実践事例の蓄積ということで、これは新たなプログラムの開発・改定にも関連してきますけれども、来年度の予算の中で、児童館等における遊びのプログラムの開発普及に関する調査研究事業を予算案の中に盛り込むことができました。参考資料2の9~10ページをご覧いただきたいと思います。児童健全育成対策関係の予算案のパワーポイントになりますけれども、子ども・子育て支援推進委託調査研究ということで、国の委託調査研究事業の一環でこのプログラムの開発・普及に関するものを入れ込むことができております。
 10ページですが、概算要求のときにも簡単に御説明させていただきましたけれども、いわゆる全国で新たなプログラム、もしくは改定するようなものも含めてですが、実際に児童館においてそういったプログラムを実践していただくことを考えていまして、そのプログラムが子どもの成長発達においてどのような効果をもたらすのかなどの分析をしていくということも必要ではないかということでやっていただこうかと思っています。
 予算的には、来年度予算案に約3,700万円を組んでいて、基本的な考え方としては、児童館を10カ所程度選定させていただいて、その中で児童館の規模や地域性、利用者の年齢等を考慮しながら選定するということが考えられるのではないかと思っています。
 さらに、それぞれプログラム、こどもの城のプログラムのカテゴリーでは7つありましたけれども、それぞれカテゴリー別で実施していただくということもあるかもしれません。要は、モデル児童館を選定・指定するに当たって、どういった観点で行っていけばいいのかということを、この専門委員会で御議論いただきまして、その御意見に基づいてこちらでいわゆる委託になりますので、国から仕様書などの中に盛り込ませていただいて、それを全国の児童館で実施していただくと。この児童館で実施していただく内容については、いわゆるプログラムを考えていく段階から、プロセスの段階から議論していただこうと思っています。そういったものを映像の中でおさめて、そのプログラムを実践した効果はどういったことがあったかという一連の流れみたいなものも含めて、この調査研究の中で実施していただければと思っています。そういったものを国から全国に発信して、取り組みというものの普及啓発を図っていければと思っておりますので、このモデル児童館の選定に当たっての考え方のような御意見をいただければと思っています。
 事務局からの説明は以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、今、好実践事例等の普及啓発ということで資料5、参考資料1、参考資料2について説明をいただきましたが、全体的なことに対しまして、ここで御意見・御質問、時間いっぱいお受けしたいと思いますが、どうでしょうか。今後の展開方法でございますが、実際に3,734万円予算もついたということで期待をしたいと思いますけれども。
 松田委員どうぞ。
○松田委員 何かいろいろやれそうで楽しそうだなと思ったのですけれども、何かウキウキやらないといけないなと思って、予算がついたからやるということではなく、待ってましたみたいな感じで盛り上がるといいなと思いました。
 これだけではないのですけれども、さっきの評価のこともそうですけれども、今回アンケートをとったりしたことが自分のところの評価にもつながったのではないかと思って、振り返りとか。こういうふうに言うと嫌だけれども、PDCAサイクルみたいなものがもう一回見直されるといいなということと、取り組むにしても単年度では無理でしょうというものもきっと児童館の声にあるのではないかという気がちょっとしているので、そこの配慮があるとうれしいなというのと、モデル的な課題については、十分現場の声というか、ここの部分は本当に重要だよねというのがうまくピタッと合うといいなということと、できれば、モデル事業というのはそこだけで終わってしまうことがありがちなので、せめてそのエリア、さっきの県エリアとかでもいいので、ノウハウがモデルの中でやれるかどうかも含めて検討だとは思うのですけれども、水平転換ができるかとか、そのエリアでその人たちが今度伝える側になってくるのかとか、その辺も期待したいなと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかにどうでしょうか。植木委員、お願いします。
○植木委員 遊びのプログラムを通して健全育成を進めるというところが重要になるのだと思います。そういった意味では、モデル事業等で遊びのプログラムを検証するわけですけれども、健全育成を進めるのは専門的な力量を持った児童厚生員ということになりますので、ぜひ現場の児童厚生員の専門的な力量であるとか、あるいは今、資格としてあるわけですから、そもそもの専門的な資格としての児童厚生員の位置づけの再確認のようなもの、これも大変重要な検証の部分かなと思います。
 一方で、現場の児童厚生員だけではなくて、館長の意識づけと申しましょうか、館長への研修事業のようなものも一方では重要になってくるのかなと。現場だけで力量を高めていても、館長の理解がなければなかなか進まない、継続しないということがあるでしょうし、あるいは館長だけが意識があっても現場でなかなか進まないということであれば継続しないということになりますので、ぜひ下からのボトムアップと、館長からのトップダウンがうまくかみ合うような事例というか、あるいはこれは研修事業ということになるのかもしれませんけれども、そういったことも検証できると大変効果的なのではないかと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。まさに福祉は人なりということでございますが、ほかにございますか。
 北島委員、お願いします。
○北島委員 何点かあります。1つは、今の広げるための職員の専門性というところは、前回の議論の中でも児童厚生員としての2級、1級という制度が今ありますけれども、そこをどう充実するかという問題は避けて通れないかなと。実際、現場に行くと、全く資格のない人ももちろんいらっしゃいますし、各自治体によってはかなりアバウトに児童館の職員をとっていたりもしますので、そこが徹底されていないです。しかも、1人であったり、2人であったり、非常勤であったりという、そういう意味では人の整備が実態としては一番必要だなと思っています。
 それから、本当に現場の職員やもちろん現場のボランティアの研修を充実させるということもそうなのですけれども、児童館を取り囲む周りの人たち、もちろん学校関係者、PTA、親、そういう地域の児童館を囲んでいる人たちに児童館とはこういう施設だというPRなりアピールなり、どういう形でそれができるかということと同時に、一つの選択としては、そこにどう入っていけるかというのが必要かなとはすごく思いました。
 それから、職員のときにすごく思っていたところですが、職員からとてもいい実践報告をしていただいても、先ほど言ったように、努力をしつつ、それをどうすればいいかわからない・・・ということがあって、そんなときに職員交換ができたらおもしろいと言われました。そこの現場の職員が実際に行ってやってみるということができたらおもしろいのではないかというので、私の学びの会の中で職員が現場に行って、そこで一緒にやるみたいなことをやってみたのですけれども、人と人との交流ができるようなシステムが各自治体でできたら、それは先ほどの中央からの刺激と同時に、自分たちの現場で支えていくということにもつながるかなと思ったのが1つです。
 それから、先ほどからも出ていましたが、遊びのプログラムのモデル事業はなかなか難しいなというのは思いまして、1つはテーマ別というのがありますので、テーマ別の中でそれぞれの児童館がどう取り組めるか考えなければならないとなると、例えば、運動遊びを通しても、一体、運動遊びの何が必要で、児童館でどう生かすのかという議論が必要になるので、イメージが沸きませんけれども、モデル事業にいくまでのプロセスがかなり重要になるかなと思って、そこの議論をある程度丁寧にやらないと、はい、モデル事業はこのテーマでやってというわけにはいかないかなというのは、すごく思いました。
○鈴木委員長 よろしいですか。どうぞ。
○松田委員 もう一つ言い忘れていたのですけれども、今私たちはどちらかというと乳児の子育て支援のほうをやっているのですけれども、自治体の担当者さんの情報量で全然自治体の状況が変わってしまっていて、丁寧に少し話が聞けたり、説明をもらえる場というのが自治体の職員さんとか担当部局の理解につながるようなこと、これは国にお願いすることもしれないのですけれども、ちょっと県エリアで課長を集めてというだけではない場を、ぜひ、つくっていただけたらと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 羽崎委員どうぞ。
○羽崎委員 先ほども言ったのですけれども、多分こどもの城が開発したものというのは、今言ったように1,000単位であるということを考えますと、いわゆる遊びのプログラムの開発といったときに結構大変だと思います。私の印象では、むしろ出尽くしているのではないかと思うんです。だから、開発というのがいわゆる新しいものなのか、それとも今まであったものを現代流にどうやってアレンジしていくのか、開発というのはさまざまな考え方があると思います。
 私は、こどもの城がなくなる過程の中で、これからのことを考えると、先ほどちょっと出たのですが、要するに児童厚生員という方たちがいらっしゃると思うのですけれども、そうではない人たちの活動が意外とあるような場所にもモデル事業として行かないと、先ほど言いましたように1,000単位で新しいプログラムを生み出してきているわけですから、そこから開発ということで新しいものを生みだそうとすると相当大変な、あるいはそこでずっと活動した人たちの中では、なかなか新しいものが生まれないのではないかということをちょっと危惧します。
 逆に言えば、例えばさっき言った運動遊びの世界というのは、極端に言えば、本当にスポーツ関係の人間に入ってもらって考えていくほうがもしかしたらおもしろいかもしれないし、こどもの城が多分そうだったのですけれども、こどもの城でも最後は正直言うとマンネリ化に陥ってしまうわけです。こどもの城でさえそういう状況になっているわけですから、これから新たに開発をしていくときには、モデルの場所でもちょっと違った形のところにモデル事業を依頼するということも必要ではないかと。そうでないと、ほとんど同じような結果が出てくるのではないかというのが、私が一番危惧するところです。それだけ今までの30年間のこどもの城の役割というのは結構大きいんですね。ほとんどそこに影響を受けて、今、児童厚生員として仕事をしている人たちが多いわけですから、そこから本当に新しいものを生み出すというのは結構難しいことかなと思います。モデル事業としてやるからには、何か違った質のところで依頼していくということも少し考えていく必要があるのではないかというのが私の考えです。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 中川委員どうぞ。
○中川委員 私は現場の館長ということで、この話を現場がどう受け止めるかという観点で少しお話をさせていただきたいと思います。
 先ほどいろいろ御意見が出ていましたように、現場としては何をどうしたらいいのだろうという戸惑いが非常に大きいと思うんです。ここに書いていただいております取り組み内容で、調査研究委員会の設置から始まるのだと。そこに対して、専門委員会として支えていく仕組みが必要なのではないかと思います。10館選定して、それぞれで御自由におやりくださいというのではなくて、専門委員会としての下支えをしっかりしますよという、このメッセージを送ることによって現場としても、では、何とか頑張ってみようという流れが出てくるのではないか。今のままのこの状態だけでドンと下ろしても、特にこういう取り組みに対して熱意を感じる現場というのは、既にいっぱいいっぱいの取り組みを展開しているところが多いと思います。その上に、またこれをやるということになったときに、現場だけということではなくて、専門委員会としてそれをどう支えていくのか、この部分がもう少し示されると、現場としては「よし」という思いになるのではないかと思っております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。それを示すのもここの役割かなと。つまり、これはあくまでも私は例示ととらえているのですけれども、モデル児童館1カ所当たり373万4,000円で10カ所ですよね。これでいいのかというのも議論ですよね。例えば、児童館は今まで私も議論を聞いていまして、結局、保育需要、放課後児童クラブ需要、それに対して児童館需要を説得できなかったわけですよね。いい大学に入るための塾には幾らでも親は金を使うが、遊びに金を使っても何の役に立つのということに対して何も言ってこられなかったわけですよね。それをここで逆転していこうというのが専門委員会の発想ですから、こういったものを根本から揺すぶってよろしいのではないでしょうか。
 ですから、児童厚生員の役割にしても、それから、遊びについては確かに出尽くしているという御意見もあって、そのとおりかもしれませんが、ある年代の子どもはトランプ遊びにしろ、トランポリンにしろ、追いかけっこにしろ、同じことを繰り返してやっても構わないわけです。発達に資するという意味では。それをどう組み合わせて、どう展開するかというようなことを考えたときに、恐らくここで言う遊びの定義にもよりますが、新しい開発というのは確かに羽崎委員がおっしゃるように無理なのかもしれませんが、もともと5,000年前、6,000年前の文化ができたときから人間は遊んでいるわけです。それにちょっとずつ調味料を足していっただけですから、私は全く新しい遊びがここで出てくるというのは確かに難しいけれども、ちょっとルールを、状況によっていろいろ助けを要する子どもたちには、こういう手助けをしたら非常におもしろく展開したと、そういうことを開発と呼んでいいのではないかなどと思いながら、そういったこと含めて、せっかくつくられた予算でこれから10カ所でいいのか、それから、この10カ所に今、中川委員おっしゃるように、もう少し懇切丁寧に委員がそれぞれ通い詰めて展開について御意見を近くで言うような。
○中川委員 いえ、そこまでは。
○鈴木委員長 いやいや、どうぞ御遠慮なく通い詰めていただいて結構かと思うのですが、そういうことをして、それを全国に広めなければ意味がないですからね。こどもの城の失った役割を広げるわけですから。
 私も、今計算してみたら、47都道府県にモデル児童館1カ所ずつというのはどうなのかなと。そうすると79万円ぐらいになってしまうんですよ。だけれども、松田委員おっしゃるように、これはウキウキして、お金ではないのでしょう。金と人と物があればいい仕事ができるといったら、企業の方にも、それなら誰だって出来ると言われてしまうので、金と物と少ない人でアイデアを出したときに、一体何が出来るのかを、専門委員会がもう少し煮詰めてもいいのではないかとも考えたりします。
 済みません、委員長が余りしゃべってはいけないので。
 北島委員、お願いします。
○北島委員 今の話を聞いていて、要は、新しい遊びの開発にちょっととらわれると見えなくなってしまうのだけれども、要はモデル館が、例えば、今自分たちの抱えている問題、例えばお化け屋敷にしたって、それをどんなふうにプロセスを使って展開していくかということ一つとっても去年と違うことはできるでしょうし、割と新しい遊びを開発するというよりは、現場で子どもたち自身がやりたくなるような形で、どういう運営も含めた、もう少し幅広いことなのかなと。何か1つのゲームをやってもらいましょうみたいな発想ではなくて、その中で私たちが刺激を与えられるものがつくれるかどうかということもあるし、職員が一生懸命頭を寄せ合って考えるというよりは、子どもたちと一緒にこれからの児童館はここを大事にしてやっていこうということができれば、それにこしたことはないというのはすごく思いましたので、余り新しいものをつくらなきゃという発想は置いておくとすると、今の47都道府県に1館づつというほうが、はるかに意味が出てくるような気がします。お金がなくても、もっと言えば先ほど私が言った、ここは児童館なのか、人が1人しかいなくてどうするんだよという、そこで何ができるかということのほうが、今実践をやっている人たちはやっているので、そうでないところにむしろ入り込んでいくというやり方もあるかなとは思いました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 羽崎委員どうぞ。
○羽崎委員 多分、モデルというのは今言いましたように、例えば、全部の都道府県でやるというのも一つの方法だと思うし、新しいということではなくて、こういうものにチャレンジしたいというところがあれば、そこはそれであると思います。私は今、児童館、学童を含めてアドバイザー的な形でいろいろやってきているのですけれども、今こどもの城を出て大学に勤めながらいろいろなことを感じるのは、メーンは何かというと可視化なんです。例えば、健全育成がいいというのは非常に抽象的な世界ですごく動いているような気がするんです。それを可視化するということが、私はすごく要求されていることではないかと思うんです。例えば、学習支援などだと点数がよくなる、例えば、何点とった子が何点、これは可視化として非常にわかりやすいです。では、児童の健全育成プログラムの中で、こうだからこういう効果があったという明確な可視化を示すようなものがどこにあるかというと、実は意外と少ないんです。
 私はスポーツ関係が専門ですが、運動遊びの中に可視化できるものはやろうと思えば結構あるんです。要するに、他力測定や何かをして、それによって変化していくとなれば一つの可視化なのですが、モデル事業でぜひトライしてもらいたいのは可視化なんです。自分たちのやっているものが第三者が見ても効果がある、あるいは価値があるんだということ、いいとか悪いということではなくて、数量的に表していくといったようなチャレンジとも、こういうモデル事業の中に入れていかないと、遊びのプログラムと言っても多分親子から中高生さまざまあると思いますけれども、可視化をしていかないと、正直言うとほかのプランの教室だとか学童になかなか勝てないと思います。そこはせっかくモデル事業でやるのであれば、どこか何かでチャレンジしてもらいたいと。
 私がそのアドバイスをする中では、例えば、指定管理などのところにアドバイスを結構しますけれども、指定管理をとるためには、説得するための材料を持つには可視化できているものがないとというのがすごくあるんです。だから、ぜひモデル事業の中でそういうことにも挑戦していくと、いろいろな形で説得することができるのではないかと私自身は思っています。
 以上です。
○鈴木委員長 この専門委員会の一つの役割であるエビデンスをもって健全育成を説得するというのは、そこですよね。
 済みません、ちょっと委員長特権を使わせていただきたいと思いますけれども、野村室長に毎回出てきてくださって、ずっとお聞き役に徹しているので、この辺で何か御意見をひとつ承れませんでしょうか。
○野村少子化総合対策室長 本日は、昼から内閣府の子ども・子育て本部の参事官も私は併任でありまして、そちらの法案の与党審査の関係ではしごをしておりまして、遅れて参りまして申し訳ありません。
 今回この調査結果のとりまとめをしていただきまして、本当にありがとうございました。今回のお示ししているモデル児童館事業を、どのくらいの規模感でやるのがいいのかという御意見があるかと思いますけれども、一義的には遊びのプログラムの開発普及と資料上ではしていますけれども、先ほどから御意見があるように、確かに今までなかった遊びのプログラムを開発しようということに余りにとらわれ過ぎると、かえって焦げつくというか、身動きがとれなくなってしまうのかなと感じています。そういう意味では、全く新規のプログラムをつくるというよりは、プログラムそのものを開発しようとチャレンジをしていただくなら、それはそれでも結構なのですが、児童館の中でどんなふうにプログラムを実行に移していくのかという、プログラム本体だけではなくて、前と後にあるプロセスといったところも含めて、要はプログラムそのものの開発というよりは、プログラムの回し方の開発というか改善というか、そういう切り口でやってもいいのかなと思います。
 そのプログラムを実施するに当たって、例えばですけれども、子どもたちの意見なり、準備とか片づけでもいいのですけれども、どうやって子どもに参画してもらうのか、それを促すためにスタッフはどう行動したのかといったところを含めて、プログラムと言われるものが子どもたちの主体的な関わり、与えられたというだけではなくて、自分たちもシェアした意味で参加ができるというために、それ全体でプログラムと捉えるとか、そういった考え方でもいいのではないかと思います。
 10カ所で割ると三百何十万円ということをどこまで分けるのがいいかというのは、これから事業内容を詰めていく中で、この専門委員会の場での御意見をお聞きしながら考えていこうとは思いますけれども、この事業の中でそういったプログラムとどう向き合っていくのかという切り口から、もうちょっと御意見をいただきながら考えていきたいと思います。私自身としては、ここに書いてあります開発や普及も当然なのですが、そこで余り狭く厳密に何か新規性がないとだめ、あるいは今まで広がっていなかったものをどう広げるかといったところに特化するだけではなくて、プログラムというものを一連を通じてどうやってうまく回していくのかという切り口があってもいいし、先ほどどなたかおっしゃっていましたけれども、普及というのも全国津々浦々というのではなくて、地域の中でどうシェアしていくのかという感じでもいいかもしれませんし、あるいは普及の仕方だって、資料5にも書いてありますけれども、人と人が直接というのもあれば、DVDもあるでしょうし、あるいは最近ですとYouTubeというのもあるでしょうから、そういったところでやっても構わないと思いますから、いろいろな方法を組み合わせながら、頭をやわらかくして提案いただければと。
 さらに言えば、こういう事業のやり方でいいかという募集要項を示した後でも、モデルになりたいとオファーしてきたところから、こういうのは想定してはいなかったけれども、おもしろそうであれば、それはまた皆さんにもご覧いただいて、柔軟に対応していってもいいのではないかと。遊びのプログラムをやろうとしているわけですから、それぐらいの遊び心があってもいいのかなとは思っております。
 モデル事業を現場でうまく活用して、目的は子どもが遊びを通じてどうやって発達していくのか、経験を積んでいくのかということでしょうから、事業の枠に当てはめるというだけではなくて、現場からのサジェスチョンというものも刮目しながら、事業を合わせていけたらいいのかなと考えております。
○鈴木委員長 ありがとうございました。大変勇気づけられました。
 時間がちょっと過ぎておりますが、吉村委員どうですか。
○吉村委員 一番最後にこんなことを言うのもなんなのですけれども、ずっとお聞きしている中で子どもの意見というのがありましたが、やはり子どもの目線をちゃんと見据えた活動、プログラムを展開してあげたらいいと思っています。新しい遊びだけではなくて、先ほど佐野委員が言ってくださいましたように、一番のメーン、大切なのは想像力だったと思います。子どもの想像力が今低下しているように感じます。昔の遊びにはそこをうまく引き出してくれるものが沢山ありました。こどもの城はそれらをさらに想像してプログラムを開発していたのだと思います。その想像力を伝えてあげられるようなプログラムを展開できたらいいなと思っています。私がこどもの城から引き継いだ、こどもの城児童合唱団は、今もそのまま継続しておりますが、30年間ずっと続けている人たちが多くおります。その子どもたちが、やはり想像力を持って社会に出ていてくれたらいいなと、今続けてつくづく思います。ぜひ新しい遊びの中にも想像力を伸ばす、そんな項目を入れてほしいなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 定刻をちょっと過ぎてしまいましたが、よろしゅうございますか。ぜひ、これについてはもう一回深く議論をしたいなと考えております。
 高松委員どうぞ。
○高松委員 公設公営の立場で、その体制のあり方について、どこまで発言できるか悩むところですが、先ほどアンケートの結果にありましたけれども、公設公営が一番重要なことと掲げている課題としてアイデアや発想とありましたけれども、そこはきっと一番困り感を持っていることなのかなと私は逆に思っています。現に、中標津町で児童センターみらいるをつくったときにも、中・高校生の支援ということを視野に入れながら進めてきたのですけれども、なぜ中・高生の支援が必要なのだという意見はすごく出てきました。それは中の体制からだったのですけれども、中・高生というのは勝手に居場所をつくって勝手に遊べるのだから、そういう支援は必要ないだろうというのが大枠の意見でした。ましてや居場所というとらえ方なのですけれども、図書館だとか自分で行こうと思えば行けるところはいっぱいあるでしょう。支援する人、先生なんかがいるところに行かないでしょうという意見でした。児童館の理解はまだまだと感じます。
 公設公営ですと、私がそうなのですけれども、実際に役所の中にいまして現場には管理者はおりません。小さい市町村でしたらそういう管理体制となっているところが結構あると思います。現場にいないで決定権を持つ人間が館長になっている。職員は、いろいろな部分で研修を受けているのですけれども、館長というのは驚くほど研修を受けていないです。私も16年この現場にいますけれども、都道府県の中で館長研修をやって、館長研修に参加したということは一度もありませんし、中央でやっているのはわかっているのですけれども、中央まで出ていく予算は、なかなか地域の中で認めてはもらえないという現状にあります。保育所の所長さんの会議というのは新任保育者研修ということで必ず都道府県で義務づけられていて、受けなくてはならないことになっているのですが、児童館で子どもの遊びがどんなに大切かということは、トップに立つ人間がわからなければ、子どもの城の持つプログラムも含めて、きちんとしたいいものを伝達していくということはなかなかできないと思います。異動のある公設公営の児童館において、アイデアや発想が伝わらないのはこの部分でもあり、大きな課題となっています。児童館が、そういうこどもの城の持つプログラムを伝達をしていく機関であり、そこからいろいろ子どもの育ちを考えていこうというところであれば、やはり館長さん、権限を持っていく人間の育成というのは本当に必要だと思っています。
 私の希望なのですけれども、できれば保育所長新任研修のような形で、国の発信に自治体は弱いところがありますので、どこかにそういうような研修を義務づけていただいて、そういう研修をまずつくっていただきたいという気持ちが本当に強いです。このモデル事業に手を挙げるところも、館長と現場の人間が意思統一されているところでないと、なかなかモデル事業に手を挙げられないと思います。そういう意識統一をさせるためには、同じような立場で、同じような研修をきちんと受けていく。児童館が生きたものになる、そして遊びのプログラムを本当に生かしていく、そういう流れを考えていくことも必要なのかなということで、言わせていただきます。
○鈴木委員長 貴重な市町村の情報をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、一応ここで閉じさせていただきたいと思いますので、事務局から次回についての御連絡等をお願いいたします。
○竹中少子化総合対策室長補佐 本日は、ありがとうございました。次回は、モデル児童館のやり方、実施方法についてまとめさせていただいて、現場の児童館が楽しく取り組めるような形でお示しできればと思っています。また、それを次回の委員会で御議論いただきたいと思っています。
 次回ですけれども、年度末になって大変恐縮ですが、3月28日月曜日の午前10~12時までということで、場所はまだ未定ですので、追って御連絡させていただきたいと思います。
 それでは、本日はこれにて終了させていただきます。各委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。忘れ物がないようにお帰りいただきたいと思います。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(遊びのプログラム等に関する専門委員会)> 社会保障審議会児童部会第4回遊びのプログラム等に関する専門委員会(2016年1月29日)

ページの先頭へ戻る